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1967-06-05 第55回国会 衆議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月五日(月曜日)    午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 川崎 寛治君 理事 永末 英一君       大村 襄治君    北澤 直吉君       佐々木秀世君    古屋  亨君       山田 久就君    西風  勲君       穗積 七郎君    横山 利秋君       門司  亮君    渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局長    小野 幸吉君         外務省北米局長 東郷 文彦君  委員外出席者         参  考  人         (琉球政府立法         院議長)    山川 泰邦君         参  考  人         (琉球政府立法         院議員)    安里積千代君     ————————————— 六月五日  委員森清辞任につき、その補欠として佐々木  秀世君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木秀世辞任につき、その補欠として  森清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月三日  沖繩祖国復帰に関する請願帆足計紹介)  (第一〇九四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  沖繩その他の固有領土に関する件(沖繩問題)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  沖繩その他の固有領土に関する件について、明六日、南方同胞援護会会長大浜信泉君から参考人として意見を承ることに決定いたしておりますが、なお、南方同胞援護会評議員末次一郎君からも、同日同席の上御意見を承ることにいたしたいと存じますので、同君を参考人として出席を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  所要の手続等につきましては委員長に御一任願います。      ————◇—————
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 本日は、先ほどの理事会において御協議願いましたとおり、沖繩問題について立法院議員から御意見を承ることにいたしたいと存じます。  琉球政府立法院議長山川泰邦君及び同立法院議員安里積千代君の両君参考人として本委員会において御意見を承りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。      ————◇—————
  6. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、委員長より両参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をくださいまして、ありがとうございます。  御承知のごとく、本委員会は、沖繩その他の固有領土に関する対策樹立を目的として今回新しく設置された委員会でございますが、特に沖繩祖国復帰につきましては、沖繩皆さまはもとより、全国民の悲願であり、これが一日も早く達成される日を待ち望んでいるところであります。  今回特に現地立法院決議について、立法院代表して両君国会政府関係当局要請のため上京されました機会に、本委員会といたしまして、沖繩の問題について親しく現地実情の御説明を伺い、御高見を拝聴し、もって本特別委員会の使命にこたえたいと存ずる次第であります。  本委員会といたしましては、すでに、沖繩問題等につきましては、内閣総理大臣をはじめ、外務大臣総理府総務長官防衛庁長官等出席を求め、活発な論議を重ねる一方、失業保険特別措置法案はすでに審議を終了し、近く参議院から送付されるテレビ設備譲与法案の審査に入る予定であります。  本日は、特に立法院において決議のありました施政権返還国政参加漁船保護に関する問題等につきまして御意見を承りますればまことに幸甚と存じます。  なお、参考人の御意見開陳のあと、委員に質疑があればこれをお答え願いたいのでありまするが、時間の関係がございまするので、これは後の懇談会でひとつ自由にお話し合いを願う予定になっております。  なお、念のために申し上げますが、御発言の際は、委員長の許可を得ていただくことになっております。  それでは、琉球立法院議長山川泰邦君にお願いいたします。
  7. 山川泰邦

    山川参考人 ただいま御紹介をいただきました立法院議長山川泰邦でございます。  本日は、おごそかな国会の本沖繩問題等特別委員会出席する光栄に浴しまして、まことにありがたく、心から感謝申し上げている次第でございます。  この席を拝借いたしますのは、まことに恐縮に存じますが、この機会を拝借いたして簡潔にごあいさつ申し上げたいと思っております。  私、去る五月十二日に立法院議長に就任いたしました。これまでもいろいろ皆さま方お世話にたってまいりましたが、今後一そうお世話になることと思います。何とぞ格別の御指導御鞭撻をお願いしてやみません。つつしんで就任のごあいさつを申し上げます。(拍手)  また、私たちが前々から要請し、お願いしてまいりました沖繩問題等特別委員会が、今国会で新しく設置されまして、沖繩問題に対する有意義な論議が活発に行なわれておることに対しまして、沖繩住民は非常な関心を持ち、諸先生方の御活動に対しまして御期待申し上げております。この特別委員会が設置されましたことに対しまして、本委員会皆さまを通じ、国会に対しまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  さて、私たちは、沖繩県民及び琉球政府立法院代表しまして、沖繩施政権返還問題沖繩県民国政参加問題及び沖繩漁船保護問題を要請するため立法院から派遣されてまいりました。  沖繩に対する経済援助につきましては、これまでも格別の御配慮をいただいておりますが、昭和四十二年度におきましては百三億余の援助を議決していただきまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。また、宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備譲与法、並びに、沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法につきましても、現在御審議のことと承っておりますが、これはわれわれがかねてから強く要望してきたもので、これが実現の早からんことを念願いたしております。この機会に、本委員会を通じ、国会皆さまに対し厚く御礼申し上げる次第でございます。  御承知のとおり、沖繩県民は、米国統治下に置かれて二十二年、また、対日平和条約発効後十五年になります。その間、琉球政府立法院は、しばしば施政権返還要請決議をするとともに、機会あるごとに沖繩県民願望日米両国政府に強く訴え続けてきました。今日おかげさまでようやく国会において沖繩問題に対する論議が盛り上がり、また米国においても、従来に比べ関心が高まりつつあります。しかし、われわれの気持ちを、われわれの感情を、まことに恐縮に存じますが、率直に申し上げますと、いまや論議の時期でなく、具体的計画を立てて日米外交の場において真剣に討議さるべき時期に到来していると思います。政府は、国論を統一して、すみやかに対米交渉を開始するよう、強く要請いたします。  承りますると、総理大臣は今年の秋、米国を訪問されるということでありますが、総理訪米機会に、沖繩施政権返還問題について米国に強く折衝されて、沖繩県民の期待にこたえていただきたいと切望いたします。そのためには、本委員会において一そうの御熱意を賜わり、沖繩問題調査及び審議をなさいまして、政府施策の推進に格別の御尽力をお願い申し上げるものでございます。  次に、沖繩県民国政参加の問題につきましては、われわれは、昭和三十六年に初めて本問題を政府及び国会要請して以来今回まで五回にわたって訴え続けてまいりました。しかし、いまだにその実現を見ず、まことに遺憾に思う次第でございます。日米両国政府首脳共同声明によって確認されてきたとおり、沖繩日本国土の一部であります。沖繩がたとえ不自然な地位に置かれているとはいえ、沖繩県民が自国の政治に参加することは、基本的人権一つであります。また多年の強い願望であります。  本問題は、米国施政権との関係から、その実現にあたってはいろいろ問題もあろうかと考えますが、どうか沖繩県民要請をいれられまして早急に実現できますよう、重ねてお願いいたすものであります。  次に、沖繩遠洋マグロ漁業保護問題について要請申し上げます。  沖繩漁業は、本土の例と同様、沿岸漁業から近海漁業へ、そしてさらに遠洋漁業の趨勢をたどり、いまや遠洋漁業は、昭和四十年においてその漁獲高は一万一千五百五十トン余りで、全漁獲高の四七%、また輸出においては五千十五トン余りで、水産物の全輸出の九〇%を占めるに至っております。  遠洋マグロ漁業は、これも本土の場合と同様、海外基地本拠として活躍しているものと、おもに沖繩那覇基地本拠としているものがございます。那覇基地本拠とするマグロ漁船は、そのほとんどがインドネシア近海へ出漁しており、その隻数は沖繩遠洋マグロ漁船四十七隻の中の半数に及ぶ二十三隻となっております。インドネシア近海は、沖繩遠洋マグロ漁業生命線と申しても過言ではございません。インドネシア近海操業ができないということは、沖繩遠洋マグロ漁業の死活の問題でもございます。  しかしながら、インドネシアは、昭和三十五年に、国際慣習を無視した宣言領域を定め、それを侵す船舶は拿捕する方針をとっております。そのため、今年に入ってからもすでに沖繩漁船三隻が拿捕され、そのうち二隻は現在もインドネシア抑留中でございます。  このような事件は、漁業関係者のみでなく、琉球政府をはじめ、全県民が憂慮するところでございまして、われわれは、抑留中の漁船早期釈放と、インドネシア近海における恒久的な安全操業ができるよう、政府及び国会が適切な措置をとってくださるよう、強く要請するものであります。  これと関連して、沖繩漁船乗り組み員と船舶外交保護権についても要請いたします。  米国務長官は、沖繩基本法ともいわれている大統領行政命令第三節で、「琉球列島に関する外国及び国際機構との交渉について責任を負う」ことになっています。しかし、従来沖繩人外国における保護権についてはきわめてあいまいで、移民や海外旅行者に不安を抱かせていましたが、昨年五月九日東京で開かれた第九回日米協議委員会で、琉球住民日本国籍表示及び海外における琉球住民に対する日本政府第一義的外交保護権の発動について、日米両国政府代表の間で合意に達しました。また、琉球船舶国籍表示旗についても、最近の日米協議委員会で、日本の国旗を琉球表示旗に併揚することに合意しました。これらの案件はいずれも沖繩の多年の懸案でありましたが、先般その解決を見ましたことはまことに喜ばしいことで、本委員会を通じ、国会並びに政府に対し厚く御礼申し上げます。しかしながら、外交保護権は従来どおり米国民政府が保持することになっていますので、せっかく日の丸の表示旗を掲げるようになりましたが、外交保護権は依然として米国民政府が保持しているのでございます。どうぞ外交保護権日本政府責任において行なうよう要請いたします。  次に、経済援助拡大について要請いたします。これは今回の立法院決議と直接関係はございませんが、この問題は沖繩県民の最も関心の深い問題の一つでありますので、せっかくこの有意義な委員会出席の光栄に浴しましたので、お許しをいただきまして御報告申し上げ、御理解を賜わりたいと存じます。  沖繩経済は、日米両国政府援助住民努力によって数年来成長をしてきましたが、住民福祉行政水準に、われわれが目標としている本上相当地域に比べ、いまなお大きな格差があります。一九六六年度の国民所得を見ると、本上の一人当たり国民所得二十四万八千四百円、ドルにいたしまして六百九十ドルに対し、沖繩は十五万三千三百六十円、ドルにいたしまして四百二十六ドルで、本土水準の六一%程度にすぎません。これまで日米首脳会談共同声明で「沖繩施政権返還実現するまでの間は、日米政府が相協力して住民福祉安寧の向上に努め、日本本土との格差是正努力する」との基本方針が公表されました。しかしながら、現実にはその格差が年々大きくなる傾向にあることは、はなはだ遺憾であります。琉球政府日本の一県なら負担する必要のない国家事務経費も加えて、日本本土類似県と比較した場合、その行政水準の七五%程度にすぎない現状で、まだ大きな格差があります。特に米国施政権下にあるがゆえに負担している国家事務経費は、年間約八十六億四千万円、ドルにいたしまして二千四百万ドルにのぼり、一九六七会計年度琉球政府予算総額のおよそ二八%を占めています。日本本土類似県の場合は、租税収入などの自己財源はその予算総額のおよそ二五%で、残りの七五%は政府交付税国庫支出金などの依存財源となっていますが、琉球政府の場合は、国税負担など考慮すべき問題があるにしても、自己財源が六九%、日米援助などの依存財源が三一%と、両者の比率は逆になっています。その結果、琉球政府の財政は困難な状態にありますので、国家事務経費負担自己財源による過重負担を解決するため、施政権者である米国政府援助を大幅に拡大してもらいたいと要請いたしております。特に本土政府におかれましても大幅に拡大してもらいたいと要請いたします。  本土との格差について二、三例を申し上げますと、政育部門では、一九六八年度における普通教室不足数は五〇九室、改築を要する教室数五百二十七室を数える現状であり、特別教室管理関係調室等の建設はきわめて不備であります。  生徒一人当たり校舎保有面積本土と比べると、小学校が九四%、中学校が五一%と、大きな開きがあります。児童生徒一人当たり公教育費も、小学校四五%、中学校六二%程度にすぎません。  また、社会保障制度も、本土では戦後いち早く各種社会保険年金制度が整備されたにもかかわらず、沖繩においては、一九六七年度から医療保険制度がやっと発足したばかりで、社会福祉及び公的扶助も、本土と比べると大きな格差があります。  そのほか、医療施設、道路、港湾などの各公共資本部門においてもかなりの立ちおくれが見られます。  この現実の大きな格差をよく御理解くださいまして、今後一そうの援助拡大を要望するものでございます。  これに関連いたしまして、プライス法の問題について御報告いたしたいと思います。  日本政府援助金の増額、あるいはまた、日米協議委員会における対琉球経済援助計画などによりまして、一九六七年度の琉球政府予算は、現行プライス法の対琉球経済援助ワクの一千二百万ドルから二千五百万ドルに引き上げて、五百三十一万ドル追加支出がなされることを期待いたしまして編成されております。したがって、現会計年度においてもしプライス法が改正されないようなことがありましたならば、一九六七年度の琉球政府予算は五百三十万ドル歳入欠陥が生じます。そして、各事業執行を停止しなければならないことになります。そこで、琉球政府は、当初予算予定歳入がないために、現在各種の多くの事業執行を保留しているが、これ以上保留しておくことは、会計年度関係及び事業早期執行の面からはなはだ好ましくないという立場に立ち、去る五月二十七日、プライス法未改正による歳入欠陥に見合う分として三百五十万ドルの起債をなし、当初予定どおり政府施策を実施すべく、一九六七年度一般会計補正予算立法院へ送付してあります。これがずいぶん論議の的になっております。その補正予算は現在審議中と思いますが、そればかりでなく、琉球政府米国民政府との問で合同で作成いたしました長期事業計画実現困難になり、日本本土相当地域との格差を是正するという基本目標の達成が大きく後退し、長期計画自体根本的に練り直さなければならなくなります。したがいまして、プライス法の改正問題につきましても、政府を鞭撻されまして、御推進くださいますようお願い申し上げます。  次に、日本の旧国有地及び旧県有地琉球政府へ移管することについて要請申し上げます。  琉球列島日本国有地及び旧沖繩県有地およそ十万エーカーは、現在米国民政府が管理しております。これらの土地は琉球政府において管理したほうが、国土開発計画沖繩経済振興などの施策上、適当と考えます。特に旧沖繩県有地は、当然琉球政府が引き継ぐべきであると考えますので、早急に移管するよう要請いたします。  なお、いろいろ申し上げたいことがございますが、どうぞ本委員会沖繩を訪問してくださいまして、沖繩実情基地実態委員会皆さまの目、皆さまのはだで調査してくださいますれば、沖繩問題がはっきり浮かび上がってくると存じます。したがいまして、皆さんの御調査機会を私たちはお待ちいたしたい気持ちでございます。  御清聴ありがとうございました。(拍手
  8. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、琉球政府立法院議員安里積千代君にお願いいたします。
  9. 安里積千代

    安里参考人 安里積千代であります。  われわれがこの大切な本委員会に招かれまして、私どもの意見を聞いていただく機会を与えていただきましたことをわれわれは心から感謝申し上げております。  この機会意見をまた申し上げたいと思いますが、申し上げます前に、述べます私の立場を明らかにしておかなければならないと思います。  御紹介のありましたとおり、立法院議員でありますとともに、沖繩社会大衆党に属しております。野党に属しております。とともに、個人的には法曹人の一員でございます。したがいまして、これから述べまする問題につきましては、あるいはわれわれの党の持っておる考えとか、私個人の持っておる考えが大きく響くかもしれぬと思いまするけれども、本日は、つとめて、沖繩の全県民が素朴な気持ちでもって一般的に良識的に考えられておると思うような線に沿うて述べたい、こう思う次第であります。限られた時間でございますので、意を尽くすことができないかもしれないと思うのでありまするが、皆さま方のぜひ御配慮をわずらわしたいと思います。  ことばの中において、あるいはまずい表現があるかもしれませんし、失礼に当たることばがあるいは出るかもしれませんけれども、これは長年の間祖国から切り離された同胞のうちに秘めておるところの不満のあらわれであるとともに、母国に対しまする愛情を信ずる甘えた気持ちである、このように御了解願いまして、お許し願いたいと思うのであります。  私たち祖国に帰るための強い叫びを展開いたしましたのは、いまに始まったことじゃなくして、一九五〇年平和条約が結ばれようという機運が熟してまいりましたときに、沖繩日本から切り離されるというそのような機運の中に、そうさせてはいけない、日本に帰る運動、これが組織的に強く署名陳情運動として、平和条約の結ばれる前に強く主張されております。このことは、現在におきましては、アメリカ自身でも、沖繩日本に帰るということは当然のことだと、だれも疑わない問題でありますが、一九五〇年、本土軍事占領下にあり、沖繩はなお以上に強化された中にありまして、祖国政府からも何ら手を差し伸べることのできない、そして戦争のために完全に破壊された中に、アメリカ援助ですべてのことがなされ、生きたければならないという、その統治下において強く叫ばれたということをどうぞ御銘記願いたいと思うのであります。  当時、日本復帰を主張する者は赤だ、あるいは反米者だと、いろいろな圧力があったにかかわらず、そのような戦いをはねのけて、沖繩県民祖国復帰への道を一筋に進んできて今日に至っておるということをまず御了解願いたいと思うのであります。  次に、与野党をあげて、先ほど議長説明をいたしましたところの復帰に関する問題であれ、あらゆる問題は全会一致決議をもって行なわれておるということであります。政党は違い、思想は違いましても、祖国に帰るというこの問題は、与野党あげての一致した強い要求であるということを、この決議の裏に秘められたものとして御理解願いたいと思うのであります。主として祖国復帰を中心にして私は訴え申し上げたいと思うのでありますが、まず第一に、訴えを申すというよりは、私はお願いをしたいと思っております。  それはどういうことであるかと申しますと、本土政府本土国民は、沖繩復帰という問題に対して、沖繩施政権を回復するということに対して、基本的に一体どのようなことが根本の考えとなって、気持ちとなってこれがなされておるかということであります。  一昨年佐藤総理沖繩においでになりました際に、県民歓迎会場におきましてこのように申されました。沖繩県民の受けたところの犠牲、そうして今日までの努力に対して感謝し、敬意を表するというおことばでありました。私は、その後総理にお会いいたしましたときに、率直に申し上げたのであります。総理から、われわれ沖繩県民に対して、犠牲に対して感謝をする、あるいは敬意を表するというようなことばを私は受けようとは思わない。われわれが聞きたかったのは、総理の口から、二十年もの間、そして現在現実に行なわれておる沖繩実態に対して、日本政府をあずかる者として、日本国民代表して、申しわけないということばを聞きたかったと、率直にこのように申し上げたのであります。その申しわけないということを形をかえて申しますれば、責任をほんとうに感じてもらいたいということであります。  御承知のとおり、われわれ沖繩が切り離されましたのは平和条約の第三条でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、あの平和条約が結ばれる前から、沖繩の人々は署名運動を展開して、日本復帰を主張したり、アメリカにもこの請願書は送達されております。この平和条約は、沖繩県民意思に反して、そうして沖繩県民にはかることなく、沖繩県民を除く日本国民の名において、国会において、憲法の規定に基づいて承認されております。われわれはこれを新憲法違反第一号だと考えております。国会はいかなる権限、立法権も絶対に持っておられるでありましょうけれども、皆さん立法権でございましても、一地方自治体にのみ適用する法律をつくる場合は、その県民の過半数の同意を得なければ国会はこれを制定することができないと憲法には規定されているはずであります。もちろん、沖繩にのみ適用する法律をつくるのとは違うのでありますけれども、少なくとも日本法律外に、手の届かない法域外に置く、こういう条約がそのようなことによって結ばれております。もちろん、当時、一日も早く占領から解放されてそうして独立を回復したいという祖国政府、かつまた、敗戦という結果の前に、占領者としての大きな力の前に事情やむを得なかったものだと考えておりますので、そのような問題をいまとやかく責めようというものではございません。当時の事情やむを得なかったものだと思うのでありますけれども、私がただお願いしたことは、沖繩県民不在の中に、沖繩県民意思を問わず、沖繩代表も参加しない国会においてわれわれは切り離されたのだということに対し、政府並びに国会国民も全体が責任を感じていただきたい。その責任感のもとから、ではどうしなければならないかという政策なり国策が生まれてくべきだ、このように考えるわけでございまして、ぜひそのような気持ちを私は持っていただきたいと思っております。  はなはだ卑近な、素朴な例でございますけれども、事業に失敗したところの一家が、債権者のやかましい要求によって、やむなく、泣く泣く、いやがるところのむすこを債権者の手に奉公にやった、これが平和条約を結ばれたときのありさまであると思います。もちろん、債権者アメリカであり、奉公に出されたのはわれわれ沖繩であります。そうして、奉公に出されたわれわれは、いま戦争に直結する危険な仕事に債権者の手により当面させられておるというのであります。ところが、十数年を経過しました今日、親きょうだいのりっぱな努力によって家運は回復し、事業も伸展し、言いますならば、世界に驚異的な経済発展を遂げておるといわれております。やがては世界第三位にまでなるといわれていますところのこの祖国であります。そうしてまた、国際社会におきましても大きな役割りを果たしつつあるところの祖国日本であります。東南アジアに、あるいはあらゆる後進国に大きな援助なり積極的な手を差し伸べるところの祖国日本であります。このように回復された、破産の状態から立ち上がったところの親元であるが、この場合に、人間の例にたとえますならば、この親が、このきょうだいが、一番まじめに最も強く考えることは、十数年前に破産し、一家離散して、心ならずも奉公に追いやったところのこのむすこを取り戻すということが、私は、人情としても、また社会人としても、たてまえじゃないか、これがいまのたてまえだと思っております。  しかも私がここで付言して申し上げたいことは、この奉公にやられましたところのむすこは、奉公先でずいぶんかせいでおります。沖繩から貿易の収支によりまして日本がかせいでおりまする金は、現在一億ドルを突破しております。三百億から四百億円を突破する状況にあります。もし沖繩現状のままにしておくことが日本経済のためになる、また、日本本土のこの驚異的な経済発展の裏には、沖繩が切り離されたことがある、沖繩が切り離されておることによってそのような利益があるのだという立場が、かりそめにも沖繩施政権の返還にブレーキをかけることがあるといたしますれば、不幸この上もないことであります。沖繩のわれわれは一日も早く親元に帰りたいというこの熱願を持っておるということをお願い申し上げたい。  その次に、私は、沖繩復帰問題を、やはりこれは素朴な例にたとえたいと思うのでありまするけれども、われわれがこのようにして皆さま方に十何年にわたって訴えを申し上げておりますこの訴える立場は、私どもが訴えるものでありますので、原告たる立場において訴えております。その場合に、日本は被告であると思います。私どもが卒直に申し上げたいことは、いま原告でありますところの沖繩県民要求を、祖国に返せというこの要求を、被告日本はもっともだと考えているのか、要求をいれようとしておるのか。もし、要求は当然であるけれども、いろいろな事情があるからといって、何とか口実をつけまして訴訟を遅延せしむることがあるとするならば、われわれには情けないことであります。また、日本としましてアメリカに対しまするところの立場ならば、私は、日本は原告となって、アメリカが被告である立場であると考えております。そうしてその場合に、われわれは証人であると考えております。  ところで、このような要求に対しまして、アメリカが、もし、軍事上これは必要だ、いまはどうも返せないというようなことがありとしまして、原告が、ごもっともでありますといって、被告の言うとおり、それは被告の言うのはもっともだということになりました場合におきましては、原告はまさに国民に対しまする不信であり、背任行為であるといわざるを得ないのであります。  そういった立場で、私は、沖繩復帰問題に対しまして、本土政府本土国会本土国民をあげまして、当然強い要求立場アメリカに立ち向かい、アメリカの弁解やアメリカの都合を主体にして、重大なところの要求に対しまして右顧左べんいたしましたり、あるいはまた、考え方を曲げるようなことをしていただきたくない、二のように考えております。  次に、われわれのこの訴え、日本アメリカに対するこの訴えの場合に、私は、アメリカ自身はこの訴えを拒む何らの理由もないと考えております。もちろん、いろいろなことは申しておるのでございますけれども、理屈はどうにもつきますけれども、私は、アメリカはこれを拒む理由はないと考えております。平和条約の第三条につきまして、もはや論じ尽くされておる問題でございますので、私はここで申しません。ただ、これだけのことを申し上げたい。  本土におきましては、よく議会のいろいろな御答弁の中からも、平和条約によって沖繩アメリカにやった、憲法条約は尊重しなければならない、だから条約は尊重するんだ、平和条約の第三条の尊重ということが非常に強く出されておるような気がいたします。けれども、われわれの受けますところの現地におきまする感じにおきましても、また、アメリカからしばしば来られまするいろいろな方々のお話を聞き、接しましても、もはやアメリカ自身平和条約の第三条を表向きに打ち出しておりません。おれたち平和条約の第三条で権利があるんだというような強い主張をアメリカはようやりません。それは、その条項に名をかりて十何年にもわたって沖繩をこのようにしておるということが、いかに国際政治の場において不合理であり、許されないものであるかということをアメリカの良心自体がよくわかっておるからであります。この場合に置きかえられておりますのは、しばしばいわれますところの、極東の緊張云々の問題であります。しかし、ここで私は特に皆さま方に申し上げたいことは、平和条約の第三条によりまして施政権があるというようなことは言いませんけれども、沖繩の統治を継続しておりまする根拠をアメリカは一体どこに求めつつあるかということであります。残念ながら、平和条約に名をかりるよりも、祖国日本がこれを了解し、祖国日本がこれを認めておるからと、こういう立場に置きかえられておるということであります。  変なことを申し上げるようでございまするけれども、佐藤総理が訪米されましてジョンソン大統領との会談におきまする共同声明を、その直後におきまする琉球立法院の定例会の劈頭におきまして、アメリカ施政権代表するところの高等弁務官が、正式のメッセージにおいてこれを堂々と述べておる事実であります。二月一日の立法院におきまして、当時のワトソン高等弁務官は、沖繩が軍事上重要である、これを日本総理大臣はこの共同会談において認めたということを強く主張し、越えて三月には、ハワイにおきまする沖繩県人連合会のレセプションにおきまして、同様に、日本総理はかく言ったということを述べておるのであります。その意図はどこにあるかと申しますならば、沖繩の母国であるところの日本政府がこれを認めておるがゆえに、われわれは沖繩を保持し、沖繩をまた軍事的に使用しておるのだというところのよりどころにしておるのじゃないかということが感じられるのであります。  さらにまた、私自身のうがち過ぎた観察かもしれませんけれども、間違った観念かもしれませんが、現に沖繩がベトナム戦争に利用されておるわけでありまするけれども、そのこととの関連性を結果的に私は感じさせられるものがあるわけであります。御承知のとおり、ベトナムに対しまするアメリカの軍事介入は六五年の二月だったと思っております。これは佐藤・ジョンソン会談のその翌月であると記憶いたしておるのであります。そうしますと、アメリカのベトナム戦争の関係も、やはり沖繩を自由に軍事上使用するということに対しまする大きな礎石があったように感じられます。現在、やはり軍事上必要であるがゆえに沖繩施政権を返すことがなかなかできない、これがブレーキになっておるということは、こういうところからも生まれておるのじゃないかと思うのであります。  時間がございませんので、私はこれ以上及びませんけれども、ここで一つだけ申し上げたいと思うのであります。  このようにして、アメリカは、平和条約の第三条という、現在では無意味な、意味をなさないこのようなことによりどころを置くのでなくして、いわゆる日本政府がこれを承知しておる、あたかも、ベトナム戦争が、南ベトナム政府要請に基づいて戦争が行なわれておるというのと同じことになるかと思います。  さらにまた、もう一つ立場は、沖繩現地においてアメリカが単に軍事的な、あるいは政治的な支配力を強めるのでなくして、経済的な支配力を強化することによって、それが現地現実の生活、現実の政治を支配する形に次第に移行しつつあるとわれわれは見ております。  これにつきましても、十分説明する時間がないのでありまするけれども、少なくとも、一面におきましては、日本政府がこれを容認しておるからということと、現地におきましては、経済的な支配力というものを持って、多くのこれが政治的支配力に転嫁しつつあるということを考えざる得ないのであります。  そうして、申し上げたいことは、アメリカ自身なぜ沖繩を返さないか、いまよく問題になっておりまするところの軍事基地施政権と不可分論は、アメリカのいうことばであります。アメリカはこれをいっております。私は、この問題につきまして、アメリカの高官と論争したことがありました。その理由を聞きました。実に彼らは卒直でございました。もし現在の沖繩基地をそのままの状態にして日本に行政権を返すということはできないことである。その理由は、日本憲法が許さないと、こういうことでございました。すなわち、本土にありまするところの軍事基地は防衛的であるけれども、沖繩の軍事基地は自由に作戦行動ができる基地である、だから、このような基地日本の領土内においては許されない、だから施政権を握っておらなければならないというのがアメリカの言い分でございます。  こういうことを考えてまいりましたときに、沖繩復帰問題ということは、基地問題と切り離して考えることのできない大きな要素を持ってきております。  しからば、この基地をいかにするかという問題が、新聞紙上、いろいろまた政府におきましても論議されておるようでありまして、いまここでわれわれはこれに対しまするところの意見を十分申し上げることができないのでございまするけれども、ただ一言申し上げることができるならば、われわれはいま爆弾をかかえたところの、あるいは病原菌を持った立場沖繩が置かされております。もし祖国政府が、祖国国民が、沖繩の爆弾をかかえても、たとえどんなおそろしい病原菌をかかえても、そのままの姿でもいいから帰るというだけの腹がありまするならば、またわれわれはこれを拒む理由はないと考えております。しかし、問題は、このような爆弾あるいはこのような病原菌を完全に処理するだけのものがなければならないと考えております。  非常に断片的になりまするけれども、復帰の具体化、復帰のスケジュールというようなこともいろいろいわれております。この問題に対しまして要望いたしたいことは、スケジュールけっこうであり、プログラムけっこうでありまするけれども、問題は、ほんとうに復帰をいつ実現するか、たとえて申しますならば、一九七〇年までには復帰せしめる、この確信があり、この約束づけられた上にスケジュールは立てらるべきものだ、こう考えております。  国政参加の問題は、われわれはまた強く訴えてきておる問題であります。一言だけ申し上げまするならば、私は、沖繩日本であるといいながら、残念ながら、法規的に沖繩日本であるというところの根拠を見出すことが非常にむずかしいのであります。のみならず、われわれから言いまするならば、口で沖繩日本であると言いながら、大事な国民として、民主国家の国民として、沖繩県民を含めての日本国の国民として、残念ながら国政に参加する権利が認められませんが、認められない上に、積極的にこの大事な根拠法でありまする国会法あるいは公選選挙法の中に、定員にもなければ、また選挙法の別表からは、これまでありました——鹿児島県の次に沖繩県がありましたけれども、沖繩県が完全に削られておることであります。私たちはこのことを通じましてこう言っております。本土政府は、口では日本だと言いながら、法規の上から、沖繩県を、しかも、大事な選挙権、国政参与権について削っておると、こういうふうにわれわれは申しておるわけでございますが、この問題は、私は、日本国会において、日本政府において、その気になりさえしまするならば、十分可能であると思っております。  もちろん、アメリカはいやがるでありましょう。  アメリカがいやがるからといって、われわれが遠慮すべき問題ではないと考えております。どうぞこのような点につきまして必ず実現さして、沖繩県民日本国民として皆さん同様に国政に発言力があり得るようにしていただきたいと考えております。  多くの補助金をいただいておるのでありまするけれども、その補助金、その予算にくちばしをいれることができないということは、われわれは非常に悲しく思うものであります。  時間でございまして、たいへんどうも申しわけございません。あと懇談会があるとおっしゃいますので、その席上におきまして十分申し上げまして、皆さま方の御理解のもとに、この二十何年間にわたりまするところの不自然な姿を回復しまするために力になっていただき、場合によりましては、いろいろな外交上、あるいはまた、いろいろないきさつ上から、政府としては強く出られない面もあるかもしれません。その際には、ひとつ日本国会が、国会自体としてアメリカ国会と相提携してアメリカ国民に直接訴える、日本国会アメリカ国会に働きかける、こういったところまでどうぞ強力に推し進めていただきますることをお願い申し上げまして、たいへん粗雑でございましたけれども、私のお願いにかえたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  10. 臼井莊一

    臼井委員長 以上でお三方の御意見の開陳は終わりました。  両参考人には貴重なる御意見を承りまして、まことにありがとうございました。本委員会代表いたしまして、委員長より厚く御礼を申し上げます。  当委員会といたしましては、ただいま拝聴いたしました御意見等を十分勘案の上、今後ともなお一そう沖繩問題を真剣に検討いたしてまいりたい所存でございます。  長時間にわたりどうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  11. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、おはかりいたします。  すでにお手元に提出いたしてあります立法院決議につきましては、会議録の末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、この際申し上げますが、先ほどの理事会の申し合わせによりまして、参議院の沖繩問題等に関する特別委員会が終わり次第、衆参両院特別委員立法院議員の方々と意見を交換するため懇談会を開きたいと存じますので、委員の方々は委員長室にお集まりを願います。三時三十分開会の予定であります。  次回は、明六日、理事会午前十時、委員会午前十時三十分より開会いたし、大浜、末次両参考人から意見を聴取することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十六分散会      ————◇—————