運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-05-30 第55回国会 衆議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十日(火曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 小渕 恵三君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 竹下  登君 理事 丹羽 兵助君    理事 帆足  計君 理事 永末 英一君       大村 襄治君    上林山榮吉君       北澤 直吉君    小坂善太郎君       古屋  亨君    山田 久就君       石橋 政嗣君    西風  勲君       穗積 七郎君    美濃 政市君       横山 利秋君    門司  亮君       渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         防衛庁防衛局長 島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君  委員外出席者         外務省北米局北         米課長     枝村 純郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  沖縄その他の固有領土に関する件(沖縄基地  等に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいまの理事会の申し合わせによりまして、来たる六月六日、沖縄その他の固有領土に関する件について、南方同胞援護会会長大浜信泉君を本委員会参考人として出頭を求め、沖縄の諸問題について意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人出頭日時等の変更の場合における処置につきましては、委員長に御一任願います。      ――――◇―――――
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 沖縄その他の固有領土に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。帆足計君。
  5. 帆足計

    帆足委員 皆さま承知のように、沖縄は、人口九十五万、わが日本民族同胞でありながら、しかし、日本憲法、すなわち、一国の民族の行き方で一番根本をなす憲法から切り離されて他国のようになり、そして日本国民として正当に取り扱われず、他国軍政下に置かれている状況に対して、与党、野党を問わず、国民一人として心を病めないものはありません。これは敗戦の結果、アメリカが勝れとしてふるまっておるためでしょうか、それもございましょうけれども、同時に、その言明を見ますと、防衛上の必要、特に自由主義圏防衛、もっと端的に言うならば、アメリカ上院外交委員会質疑応答録を見ますと、アメリカ防衛のために沖縄は手放すことのできない場所である。そのためにまた、住民諸君施政権をも、いまではアフリカの象牙海岸にすらないような支配形態を持っている。すなわち、住民自治権が皆無にひとしい状況のもとで治外法権が行なわれており、犯罪事件がありましても、それがアメリカ関係のものであるならばこれを処罰することもできず、沖縄県の船舶、船員に対しては、日の丸の国旗はただ単にマーク、デザインという形で掲げることはできても、日本国船舶としての保護も受けられず、日本国民としての保護も受けられないような現状でございまして、党派を越えてこの問題を憂え、この問題を正常化しますために沖縄特別委員会が設置されておるものと了承いたしております。  したがいまして、沖縄アメリカ軍政は、戦略的基地としての性格からきておるところが大部分でございますから、きょうは特に防衛庁長官に御出席をわずらわし、また、防衛庁長官戦略の御専門家とはかねて何っておりませんで、その他の御専門家としてかねて敬意を表しておりますけれども……(「その他とは何だ」と呼ぶ者あり)その他もろもろのことでございましょう。(「もろもろとは何だ」と呼ぶ者あり)もろもろとは、人生さまざまのことにおいて尊敬すべき方でございますけれども、したがいまして、防衛庁防衛局長さんを中心としてお話を伺わねばならぬと思います。  防衛庁あり方につきましては、内閣が決定し、長官が決定し、時の政府が決定するのでございますから、この問題について深く防衛庁長官にお尋ねすることは、私は質問の所を得たものでないと存じております。しかし、戦略専門家として防衛庁長官を助け、政府が愚かな、合理性のない、現実性のない政策におちいることのなきように専門家としてこれを助けることは、これは防衛庁局長、名部長、幹部諸君の責任でもあろうかと思いますし、また、私ども議員が必ずしも今日戦略にうといわけでもありません。おそらく防衛庁皆さまは今日の戦略戦術について御研究でありましょうけれども、おおむね四十歳以上の御出身の方々は、敗戦専門家でございまして、勝利の専門家ではないように伺っております。したがいまして、この敗戦の苦い体験をもお忘れにならないうちに、それから学び、そして日本の進路につきまして、戦略戦術の面から正確なリアルな判断を平素から持たれておるということが重要でありますし、そのために、こういう専門の問題については議院を通じて国民の意向が皆さまの耳に入ることも、これまた真実の国民安全保障のために必要なことであろうと思うのでございますから、そのように御理解くださいまして、率直な御答弁を願いたいのでございます。  また、本日の新聞によりますと、最近琉球立法院皆さまが満場一致で、とにもかくにも施政権は返還してもらいたい――軍事基地あり方については、まだ戦略上からも世界情勢からも論議はあろうとも、目的のために手段を選ばすということはとるべきことであるまい、一国国民施政権を奪うということは、そして植民地状況支配目的のために手段を選ばずに続けるということは、それはかってのヒトラー式のやり方でありまして、施政権だけは少なくともまず戻せ、その戻し方は、職能的に順々に戻すのも一つ方法であろうし、段階的に戻すのも一つ方法であろうし、両者をまぜて行なうことも方法であろうということがいま論議されている最中でございます。その論議が行なわれている最中に、突如としてアンガー高等弁務官殿が、沖縄早期返還はとうてい見込みがないということをきょうの新聞で声明しております。もちろん、ベトナム戦争のただ中でありまするし、後ほど申し上げますが、アメリカ軍敗戦の竹が濃い今日の状況のもとに、前線基地司令官が、人道と国連憲章の原則に基づいて、目的の正否は論議の余地があろうとも、手段についてはこれは不正な手段であるから、国連憲章違反であるから施政権を戻すというような、正常な市民的な意見をこの一職業軍人が述べるということは、それは困難であることは了察されるのでありますけれども、あまりにも明確にそのことを表現いたしておりますから、私どもの心の痛みは一そう大きいのでございます。  このような観点から、多少時間をとりますが――政府当局におきましては、戦略的観点から沖縄を考え、外交を考えるという機会は従来あまりありませんでした。私はいま記憶しておりますが、前の外務大臣のころ、またその前の外務大臣のころにも、外交防衛とは一体でなくてはならないから、日本安全保障についての基本的論議予鈴委員会においても外務委員会においてももう少し行なわるべきであるということを主張いたしましたけれども、各大臣におかれましては何ぶんにも戦略戦術のことはしろうとでございまして――碁のほうは相当の腕前の方が多いようでこぎいますけれども戦略戦術のことはしろうとでございましてと、こうお答えになりまして、全然質疑応答機会を得ることができなかったのでございます。しかし、今日の時代は、前の世界大戦経験をもちましても、高度のしろうと常識というもの、教養ある政治家常識というものは非常に重要でありまして、過ぐる世界大戦を指導いたしましたルーズベルトにいたしましても――チャーチルは非常な戦略家でありましたし、スターリンは戦略戦術の大家であったことは御承知のとおりでございますが、ルーズベルトも軍籍に身を置いたことはありますけれども、しかし、彼は、職業的戦略戦術家というよりも、偉大なアメリカ民主主義の伝統を継承するすぐれた政治家であったことは、だれしも認めるところでございます。したがいまして、いわゆる狭い意味職人かたぎ職業視野による戦略戦術ではなくて、高度の良識による、それからきわめて実際的な見地から見る日本防衛沖縄防衛上のただいまの地位、将来の展望等について委員会におきまして論議が出ますことは、国の安全のためにもきわめて寄与するところ大きく、意義深いことと私は思うのでございます。  したがいまして、まず第一にお尋ねいたしたいのでございますが、防衛庁におきまして、今日幹部方々の中で職業軍人であられた方々、いわゆる文民でない方々ですか、その方々パーセントはどのくらいになっておりますか、参考のために伺っておきまして、そして論旨を進めたいと思うのでございます。簡単でけっこうでございます。御答弁を願います。
  6. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ただいまの御質問の趣旨がよくわかりませんけれども……。
  7. 帆足計

    帆足委員 現在の自衛隊の中での職業軍人パーセントということです。幹部級でけっこうです。
  8. 島田豊

    島田(豊)政府委員 お答え申し上げます。  幹部自衛官の中の旧正規軍人でございますが、現員総数約三万二千人のうち約四千九百が旧正規軍人でございまして、その比率は約一五%であります。  なお、防衛庁の組織について申し上げますと、三自衛隊のほかに内部部局及び付属機関がございますが、内部部局及び付属機関におきましては、すべてこれはいわゆる一般の職員でありまして、その中には旧正規軍人というものはきわめて少ないわけでございます。
  9. 帆足計

    帆足委員 私は、沖縄の問題を考えるにあたりまして、日本民族日本国民利害から考えねばならないと考えております。すなわち、特殊の職業上の利害職業上の偏見から、その面からだけものを見たならば民族の大計を誤る。これは過ぐる大東亜戦争経験もそのことを物語っておりますが、さらに、今日アメリカとともに共同防衛の構想を練っておられるようですけれどもアメリカ利害日本利害とはまた異なるところが非常に大きい。これはかりに経営者として経営いたしてみましても、私はかつて財界におりましたから、大きな企業と小さな企業とが一緒に経営いたしましても、利害の触れ合うところと触れ合わないところと非常にたくさんありまして、そのために大きなほうの企業目的を果たすけれども、小さな企業はあえなくつぶれてしまうという例も多いのでございます。したがいまして、この戦略戦術の問題の前提になる民族防衛の問題につきまして最も重要なのは、その主体的立場、すなわち日本国民立場に立ってものを考えるということ、それから同時に、実際に即して考えること、それから、兵器は一日も停滞しておりませんでどんどん進歩いたしておりますから、その兵器科学技術の進歩の流れを見ながら戦略戦術の問題は考えねばならぬこと、その他多くの問題がありますけれども防衛庁といたしましての基本的心がまえはただいまどういう点に置かれておられるかを、昔ならば軍人勅諭、ただいまならばどういうお心がまえでおられるか、一言だけでけっこうですから、先に伺っておきたいと思います。
  10. 中井亮一

    中井政府委員 平素自衛隊教育をしております基本的な考え方としましては、自衛隊は直接侵略及び間接侵略に対してわが国を防衛することを主任務とする存在でございますので、その任務を遂行する使命を十分自覚して、国民のために民主主義を擁護するということを徹底させるようなことを考えております。
  11. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御答弁は、それはそれとして、私は、岡の安全保障ということは、その国の安全を守る立場と同時に、安全保障ということばの概念の内容を正確にすることが必要である、こう思っておりますから、そのことにつきましては、あとで意見も述べ、政府当局意見も確かめたいのですが、きょう質問するにあたりまして、久方ぶりに孫子兵法を読んでみました。クラウゼウィッツ戦略論等は、皆さんも若いころお読みになったと思いますが、それらと比べまして、私は、孫子兵法は、やはり兵術を考える者にとってのバイブルというほどの英知の集積されたものであることを一そう深く痛感いたしました。孫子の最初の井き出しに、「孫子曰く、兵は国の大事なり、」まことにそのとおりです。「丘は国の大事、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからず。」「兵は国の大事なり、」私は、この一言から説き起こしたことは、きわめて重要なことであると思います。同時に、それに引き続きまして、たとえば兵を遠くのほうにつかわすことを戒めまして、わかりやすく申しますために口語体に翻訳して申しますと、戦うにあたって最も重要なのは兵糧である。私はこのことを後に防衛庁日本立地条件から御注意を促したいために申すのでございますが、去る大東亜戦争のときは、バックグランド朝鮮、満州、台湾でありまして、最後の日まで砂糖も参り、米も参り、大豆、アズキも多少は輸入できまして、かゆをすすりながらも生きていくことができました。いまこれらの地域との関係は全く昔と違っております。したがいまして、戦略論的に言いますならば、原爆、ロケットのほかに、食糧原料の問題のことを皆さんがお忘れになったならば、一切は水泡に帰するのでございまして、一つの例をもって申し上げますと、敗戦後時間のあまりたたないころ、アメリカロイヤル陸軍長官は、余は六千キロ離れた四つの島の、一億に達する人口の、しかも大量に米を食べる胃拡張の国民に一日百万ドルの食糧を戦時中補給すると約束する勇気はない、こういうことを述べております。もちろん、このことばは、当時マッカーサー元帥が、日本よ、中立を守れ、アジアのスイッツルたれと言ったことばの裏づけをする意味ロイヤル長官日本原料食糧問題に触れたのでございます。三矢作戦その他にあらわれました防衛庁ボーイたちの落書きは別といたしまして、国の安全保障を考える私どもにとっては、軍事技術のほかに、食糧原料のことを忘れてはならない。それに対して孫子はこう述べております。通訳して言いますと、戦いが続き、距離が遠ければ、国家が軍隊のために貧しくなるということは避けられぬことである。遠征して遠くに食糧を運べば、民衆は貧しくなる。近くでの戦争ならば、物価は高くなるであろう。いずれにいたしましても、民衆たくわえはいよいよ少なくなるであろう。たくわえがなくなれば、村から供給する軍役にも苦しむことになり、戦場では戦力が尽きて力が弱り、人心を失い、国内の家庭では、その日の食糧にもこと欠くことになり、民衆の経費は十のうち七割まで減らされることになる。国家の財政も疲弊し、それでは、戦車もこわれ、馬も疲れ果ててしまうであろう。これは遠征を戒めたことばでありまして、同時に、兵に当たっては、民心を失うことがあってはならぬ。特に食糧原料の問題について忘れてはならぬということばでございます。  さらに、長期戦の問題に触れまして、ゆえに兵は勝つことをとうとぶ。久しきをとうとばず。ゆえに兵を知るの将は、民の命をつかさどることを忘れるな。これが国家安危中心点である。そして最後に重要なことば一つを抜粋さしていただきますと、「故に曰く、彼を知り己を知れば百戦して危からず。」まことに名言でございます。「彼を知らずして己を知れば一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆し。」まさに三十年前を思い、そして今日を思うならば、私は、皆さまともどもに胸に銘記すべきことばであると思うのでございます。  かりにこれを大東亜戦争の例に引いてみましても、戦争の始まったとき、私はいまでも思い出しますが、日本の鉄は、アメリカのくず鉄の輸入を含めて、ようやく最高のピークが七百万トン、自給力は三百万トン。その十二月の開戦の日に、アメリカの鉄は六千八百万トンでありました。六千八百万トンと三百万トンの鉄の戦い妥協点は香港が精一ぱいであるということは、グラフに出るのでありまして、私は当時経団連専務理事をしておりましたので、総動員を覚悟いたしまして、直ちに椎名商工次官のところへかけつけまして――当時軍需省でありましたが、経済総動員はもう出ましたか、私は駅頭できょう戦争が勃発したと知って、もう万事休すですけれども、できるだけのことをして、互いに力を合わせようではありませんかと言いましたら、私はいまでも記憶しておりますが、椎名さんは――最近は少しかっぷくがよくおなりのようですけれども水っぱなをたらされて、そしてあのそらとぼけたような顔をされまして、少しの興奮もされず、帆足君、しっかりやろうなと言って、手を握ったりせずに、水っぱなをハンカチでふきながら、事がここに至った以上、これは容易なことではない、しかし、軍から一言あいさつもない、事ここに至った以上は、落ち着いて、そして毎日一、二回連絡を保ちながら、できるだけのことをしようではないかというのが、椎名さんのあいさつでした。よく世の属僚はそういうときに興奮して涙を流し、そして互いに空虚な励ましのことばをかわすのが、この国のおおむねの習慣でありますけれども、私はそのときの椎名さんのことば忘れることができません。今日の椎名さんの外交政策に対しては、私は正面からいつも批判的です。いつも衝突しておりますが、そのときの風景忘れることはできません。  やがてその後三年たって、日本の鉄は二百万トンを切りました。アメリカの鉄は一徳トンをこえまして、ルーズベルトの特命で九千八百万トンに生産制限をしました。昭和十九年八月のことです。日本の鉄は二百万トン、アメリカの鉄は一億トン、一億と二百万の戦いです。サンフランシスコから東京までの距離を六千キロと仮定いたしましても、三次方程式をかければ、大阪の全滅は六カ月後、東京全滅は八カ月後、十二カ月で日本はほぼ消えてしまうであろうという計算が立ちます。当時アメリカはB29の大量生産に成功しつつあるということが伝えられておるのであります。私はこの三次方程式というものを海軍に提出いたしました。いまでも覚えておりますが、そのときの海軍水交社には、「淡如水 熾仁親王」と書いてあったのを思い出します。まことに海軍礼儀正しく、そうしてみな背広を着て出席されまして、きょうは民間の専門家意見を聞くのであるから、帆足さんはかねて軍人をあまり好いていないと聞いているから、自分たちは学者に会うのに礼儀を尽くす必要があると思って背広を着てきました、ひとつ国の運命を決定する重要なときであるから、専門家として偽りのない日本の情報の分析をあなたはあなたなりにしてください、こう言われまして、私は、一時間にわたって、その統計を示して、そうして軍事限界はすでに終わった、経済限界も終わった、残るのは政治外交の問題ですという話をした。数日後に陸軍に呼ばれまして、同じような説明を九段の軍人会館でいたしました。  その数日後、突然私のうちは憲兵隊の自動車に取り囲まれまして、朝の六時ごろですか、私は戒厳令がしかれたのかと錯覚して、当時の弁護士会長海野先生に書き置きして、子供たちの末をたのみまして、憲兵隊に連行されていきました。それから爆撃を受け、やけどをし、一年間いわゆる人間の条件の、獄中生活が続きまして、その三つ離れた私の先の部屋に、あの大磯の吉田茂老が、たしか三カ月ですか、四十日でしたか、あそこに入獄しておりましたのを、私はかいま見て知っております。一年の獄中生活でしたけれども、当時のことですから、子供たちの行くえもわからず、夕方のたそがれどきになりますと、お母さんとかお父さんとかいって逃げまどう子供の声が聞こえます。夜になりますと、夜ごとの爆撃で地下道の中は硝煙で息もつけないような風景の一年が続いたのでございます。戦争が済みまして初めて焼け野原になった東京の空を見たときは、ぼう然自失するような気持ちでありました。もちろん、当時経団連は私を喜んで迎えてくれましたけれども、それが動機になりまして、私は、平和を守ることが私どものゼネレーションにとっていかに重要な仕事であるか、特に私は合理主義的な傾向がありまして、子供のときに福澤諭先生の四軒隣りが私の母のうちでありまして、そういう関係がありまして、結局財界をやめてそうして平和の一兵卒として野党に入った、こういう次第でございます。  今後の質問を理解していただきますために、ちょっと質問前提としてこのことを申し上げまして、これから申し上げますことは、一瀉千里に実務的に申し上げますから、それぞれお答え願います。  総務長官から、私がただいままで申し上げました前提について何か御答弁があるといたしますならば――私は、民の語ることは長く、官の語ることは短くというこのことばは適切であろうと思っておりますが、私は民の代表としていささか前提として長く語り過ぎましたけれども大臣がもし何かお話があるならば、一、二分間御答弁を許してもけっこうでございます。
  12. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 また商工委員会に呼ばれましたので行かなければなりませんが、孫子兵法クラウゼウィッツ戦争論、非常に御高説を拝聴いたしまして、参考になる面がたくさんあったことを喜んでおります。なお今後ともいろいろ御教授を賜わりたいと思います。別に御質問でございませんので、答弁のあれはないと思いますから、これで中座いたします。
  13. 帆足計

    帆足委員 きょうは防衛庁専門家にお尋ねしたいというのが、きょうの私の質問目的でございます。防衛庁の方にちょっと申し上げておきますが、質問ということば慣用語でありまして、別に私があなた方の生徒になった意味ではありません。質問ということばは間違っておりまして、問いただし、国民意見を強く述べる、そうして政府のいうことを問いただして、政府が何を考えておるかを国民の前に示し、正しい点は支持し、あぶない点はこれに対して警告を発する、こういう意味ですから、帆足計質問したから、あれはおれの弟子になったかなどという錯覚を抱かないようにひとつ申し上げておきます。  そこで、まず第一に、過去をさかのぼって、先ほど私は、職業的軍人の方が何%おられるか――敗戦のエキスパートという失礼なことを申し上げましたが、これは事実ですから、失礼でありましてもお許しを願います。また、本来であれば、生きて虜囚のはずかしめを受けず、過去の職業軍人方々ならば、いまは魂魄ここになく二重橋の前に消えておるべきものが、こうしてあらわれておるわけでございますから、これはよほど国民に対して謙虚であらねばならぬ。私は、防衛庁幹部にとって最も必要なのは、私どもも同じでございますけれども戦略戦術の問題に対して謙虚であるということ、これが戦争経験の、「きけわだつみのこえ」の私たちに教えることばであると信じておるものでございます。思えば、いまから三十年前、この国に朝鮮台湾も消えてしまい、教育勅語紙くず箱の中にほうり込まれ、連隊旗こたつぶとんになり、そして乃木将軍東郷元帥のいさおしも、バルテック艦隊の栄光も、ストリップショウのごとくに消えてしまうとは、だれが想像し得たでしょうか。あるいは、先日ある本を読んでおりましたら、乃木将軍とは、中国東北部侵略すると同時に、近代化の道を開いて中国に大重工業を残した、そして中国共産党にサービスした将軍である、ある漫画の本にこう書いてありました。私は、歴史というものの深刻さに卒然として深く考えさせられたのであります。皆さまも生き長らえて、たくさんの戦友を、みずくかばね、草むすかばねになくされて、感慨無量でありましょう。  また、今日の時代は、いまも思い出しますが、地中海まで参りますのに昔は一月近くもかかりまして、その間にラブストーリーの一つくらいはできたものでございます。私はそういう経験はありませんでした。家内も知っております。しかし、やがてBOACで香港に行くのに八時間かかりました。たった八時間で行けたときには驚きました。それがいまやジェット機で三時間、自衛隊のジェット機ならば一時間。ガガーリン少佐に会いましたら、その奥さまが、一緒にビフテキを食べましたとき、私の家内に、たくと一緒ならば五分間で香港に行きますものを、こういう時代でございます。やがて旅客機が中国に直通するようになりますならば、北京まで一時間かからずして到着できます。土曜日の十二時半に東京を出発いたしまして、一時半には北京飯店で中国料理を召し上がって、夜は京劇――近ごろの京劇は、紅衛兵以来、なかなかすさまじい、激しい京劇でございますが、その激しい京劇を見まして、北京に翌日一日遊んで、そうしてその翌日の昼はもう銀座でアイスクリームを奥さまと一緒に召し上がっておる、こういう世の中にいまはなっておるのでございます。  こういう時代の安全保障でございますから、皆さんと一緒に旧套を脱し、ときにはこのように語り合って、そうして真実の安全保障ということを考えねばならぬ。そういう観点から見るときに、沖縄とは何であるか。アメリカが、四十男のいやらしい恋のように、執着して握って放さないその沖縄とは、今日の戦略上どういう場所であるか、こういうことになるわけでございます。  そこで、問題を抽象的な問題から次第に具体的な問題に移しまして、まず、安全保障というものの定義、これを防衛庁ではどうお考えになっておられるか。安全保障ということばは、朝から晩までお聞きになることばでしょう。安全保障とはどういうことでしょうか。人の心を不安にすることが安全保障でしょうか。そういう見方は、松澤病院に行くとちょいちょい見受けられますけれども、まず、国会の中における一つの共通の概念を整理しておきたい。御答弁を願います。専門家のほうがいいですね。
  14. 島田豊

    島田(豊)政府委員 安全保障という概念は、広義の場合、狭義の場合、両方考えられますが、安全保障を広義に解釈いたしましたならば、これは外交手段によりますところのいろいろな国際間の緊張を防止する、あるいはそれを最小限度に食いとどめる、こういう適切な外交手段というものが講ぜられなければならないと思います。また、内政的には社会的、経済的な発展をもたらしまして、要するに、国内における治安と申しますか、広い意味での治安というものを乱すその発生原因をできるだけ除去していく、そういう内政的な処置というものが講じられなければならぬと思いますが、同時に、一面、外国からの脅威あるいは侵略というものに対しましては、有効な防衛力を保持いたしまして、それに対する抑止力としての意味を持たせ、また、現実に外国からの武力侵略がありましたならばこれを排除していく、こういう外交、内政、及び、国防と申しますか、防衛と申しますか、こういうものの三本立てというものが実現されて初めて国としての安全が確保できるというふうに私どもは考えておるのであります。
  15. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御答弁はおおむね六十点をちょっと切れておるようですが、学校はどこをお出になりましたか。参考のために、経歴のごく一端を、三十秒ばかり……。
  16. 島田豊

    島田(豊)政府委員 東京大学でございます。
  17. 帆足計

    帆足委員 東京大学としてはあまり秀才でなさそうですけれども、そうすると、きょうは戦略専門家に来ていただきたいという私の要望に対して、委員長はそれに応じなかったわけですか。戦略専門家に私は聞きたいというのが……。
  18. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  19. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めてください。
  20. 帆足計

    帆足委員 それはうかつなことで、あなたにたいへん失礼を申し上げました。  一問一答でいきましょう。  安全保障といえば、何の安全保障を考えているのか。犬の安全ですか、ネコの安全ですか、アメリカの兵隊さんの安全ですか、それとも、紅衛兵の安全を主としてお考えでしょうか。安全の対象をごく簡単に……。
  21. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが国の安全、わが国土及び国民の安全ということでございます。
  22. 帆足計

    帆足委員 国民の幸福並びに国土の安全とするならば、その安全を守るためには、いま子供の死亡率の一番大きいのは交通事故です。これに相当の努力をしなければなりません。私どもにとっての安全保障は、ガンと高血圧、ダレス氏もガンで倒れ、池田さんもガンでなくなりました。ダレスは、中共兵に殺されたのでもなく、ベトコンに殺されたのでもありません。ガンに殺されたのです。したがいまして、病気と自然の脅威、これに対して人の命を守ること、これが第一の安全保障、台風等に対して国土の安全を守ること、これが安全保障、そして戦争――その戦争は過去の概念と全く違って、あなたも東大をお出になったらおわかりでしょうが、もう小銃、機関銃、連隊旗の時代ではございません。ロケット、人工衛星、原爆、水爆の時代の国防とは何であるか。したがいまして、国土と生命の安全保障であるならば、自然の災害から守ること、それから直接社会福祉その他――失業も最も不安全なものです。貧乏と失業ほどはなはだしく不安全なものはありません。しかし、防衛庁は守ってくれません。子供が事故にあって苦しむときも守ってくれません。しかし、近ごろ災害に出動なさいます。そのときにいかに評判がいいかということは、皆さん承知のとおりです。私の言いたいこともそれなんです。その一番言いたいことに対して、わが党をほめるわけではありませんが、自衛隊はそちらのほうに目を向けて、やがては全面的にそちらに目を向けてもらわねばならぬ、こういうことからきていることを、社会党はちょっと変わったことを言うというふうにお考えにならずに、あまりにも常識的であるくらい常識的であることを御了解願いたいと思います。  それから第二に、今度は狭義の軍事安全保障を考えるにあたって最も必要な条件は何とお考えですか。これを三十秒ばかりでちょっとお答え願いたい。
  23. 島田豊

    島田(豊)政府委員 その国が持ちます戦争を未然に防止し得る力、これを持つことだと思います。
  24. 帆足計

    帆足委員 これまた落第。こういう方に国の安全保障をまかしていることがいかに危険であるかを国民が知ったというだけでも、きょうの委員会は非常に価値のあることであります。国防上の安全にとって重要な条件は、日本立地条件です。この孫子兵法をもう一ぺん読むことは差し控えますが、これは値段は安いのです。岩波文庫で、星二つですから、百円です。立地条件が大事です。私は沖縄の問題に触れるためにこれを言うわけで、決して冗談で皆さんの眠りをさまそうとしているわけではありません。それから、もちろん戦争軍事技術の進歩、それから食糧原料――最も必要なのは食糧ですけれども食糧原料、それから世界の大勢の流れ、それから民心の把握、人の心をつかまえることです。おおむねこれらの点について防衛局長は理解されるところございましたか。理解する能力がなければ、もうやってもむだなことですから、御退席を願って、速記録だけ残すことにいたします。御理解願えれば、私は今度は本論に入ることにいたします。これほど極端に申し上げますのは、私は従来防衛庁のお出しになったものや御議論の一端を拝見して、あまりにも程度がひどい。日本安全保障に対する論議があまりにも低調である。保守党の立場から、ある程度までアメリカと接触し、迎合もせねばならぬ点はよくわかります。西ヨーロッパでも同じことはしております。しかし、わが国の場合にはあまりにも自主性がなさ過ぎる。これは本論の主題の大きな問題でありますから、言うておるわけでございます。簡単に御答弁を願います。
  25. 島田豊

    島田(豊)政府委員 国の安全保障というのをどういうふうな角度から見るかということは、それぞれ個人的な判断あるいは意見というものがあるわけでございます。ただいま先生が申されましたような問題点、これはいずれも国の安全保障に非常に重大な関係があるし、重要だというふうに考えております。
  26. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御答弁もこれ落第です。というのは、ただいまのような問題は客観的な条件でございまして、人それぞれの意見に従う趣味の問題ではありません。私はシュークリームが好き、君はチョコレートが好き、そんな問題ではないのです。客観的な問題で、その中の二、三の問題はもう決定的な、デイサイシブな問題なんです。ですから、それを申し上げるわけです。それが沖縄関係しているからです。  その次に申し上げますが、防衛庁アメリカ戦略の大綱を心得ておりますか。それから、アメリカ沖縄に対する戦略の立て方、状況を始終通達を受けておりますか。アメリカのベトナムに対する一触即発の危機にあるその戦略の大綱を、同盟国として、しかも日本がこれにある程度タッチすることを強制されている立場として知らされておりますか。その行政技術的な面をお尋ねしたい。
  27. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが国はアメリカと日米安全保障条約を締結いたしまして、わが国の立場で申しますならば、わが国の国土の安全をこの安保体制によってはかろうとしておるわけであります。したがいまして、わが国の安全を確保する、わが国の防衛ということにつきましては、日米の幕僚間でいろいろ意見の交換もし、情報の交換等もいたしておりますけれども沖縄戦略的な価値についてアメリカから教示を受ける……(帆足委員「教示ではない、通報を受ける」と呼ぶ)通報を受ける、あるいはベトナムの戦争に関しましてわが国に対する強制をするというふうな意味においての連絡あるいは通報を受けるというふうなことはございません。
  28. 帆足計

    帆足委員 そうすると、つんぼさじきに置かれておって、この重大な問題について、日本一つの県、九十五万の同胞をつんぼさじきの御主人に、預けておる。しかもそのつんぼさじきの前ではきょうにもエスカレーションするかもしれないときに、立川から来たジェット機が、沖縄で一息ついて、そのままベトナムに行って爆撃するならば、やがてひとつエスカレーションすれば、沖縄は報復爆撃を受けねばならぬ、こういうことを心配するから、私はいまあなたにお尋ねしておるわけです。  そこで、その次にお尋ねしますが、それでは自衛隊沖縄に対してただいま主としてどういう関係を持っておりますか。
  29. 島田豊

    島田(豊)政府委員 自衛隊員を沖縄に出張の形で出しまして、いろいろ現地におきますところの戦跡の調査あるいは米軍の施設等の見学、こういうことをいたしておりますけれども、日常の業務という点、任務遂行上の業務という点におきましては、沖縄とわが国とは直接何も関係ございません。
  30. 帆足計

    帆足委員 これは驚きました。すると全くつんぼさじきであって、沖縄戦跡の調査というのは、ひめゆりの塔にワニの涙を流して――これは失礼でございました。ひめゆりの塔に悲涙を流してお帰りになった、それだけでございますか。
  31. 島田豊

    島田(豊)政府委員 それと、現在の沖縄における米軍施設等の見学、これをやっております。
  32. 帆足計

    帆足委員 沖縄で合同演習をなさったことがありますか。
  33. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ございません。
  34. 帆足計

    帆足委員 日本海では合同演習を現在なさっておるわけですか。
  35. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これはその年度の計画に基づきまして、年に一回ないし二回合同演習をやっております。日本海におきましては年に一回程度です。
  36. 帆足計

    帆足委員 私は最初に孫子兵法を朗読いたしましたときに、「兵は国の大事なり」このことばから質問を始めました。この国の大事について、ほとんど連絡らしい連絡も受けないで、金魚のうんこのようにアメリカ戦略にくっついて回って、そして沖縄九十五万の同胞はそのために自治権も失って、少女が強姦されても――その事件はいま非常に多いのですが、これを訴える権能もない、治外法権です。背の上海の租界と同じです。こういう状況であることを残念に思っておりますが、自衛隊といたしましては、米軍または米市民の命のとうときと日本国民の命のとうとさと、どちらが大事だと考えておりますか。
  37. 島田豊

    島田(豊)政府委員 人の生命でございますので、特に差別はないと考えます。
  38. 帆足計

    帆足委員 一視同仁――いつ、あなたはクエーカー教徒におなりになったのですか。クエーカー教徒はたしか軍部に入ることはできないはずです。日本民族の命のとうとさもアメリカの市民の命のとうとさも同じであるという、その説法を聞きたいから言うたわけではないわけです。防衛庁の職員として、もしあなたがそういう思想を持っておられるならば、クエーカー教徒として私は尊敬します。セブンスデー・アドベンチュア・チャーチに御入信なさればいいでしょう。鳥田防衛局長立場において日本民族の安全とアメリカ市民の安全とどちらかを選ばねばならぬときは、どちらを選ぶか、こう聞いたわけです。まことに情けないことですね、こういうことを聞かねばならぬとは。
  39. 島田豊

    島田(豊)政府委員 国民としての自然の感情と申しますか、そういう感情から申しますれば、それは民族の安全ということがわが国にとっては非常に痛切であるというふうに考えます。
  40. 帆足計

    帆足委員 それをおずおずと、しかも自然の感情とは何ごとぞや。人にして学ばざれば禽獣のごとし。自然ではなくて、教育を受けて大脳が発達してその理性によって理性的に考えたときに、あなたは防衛局長として日本国民の安全に対して重大なる責任を持っており、われわれも国会議員として重大な責任を持っておる。その安全の内容は、国土、生命、それからいまの狭義の軍事関係の脅威、こういうことで先ほどあなたと意見が一致したと思ったが、一致してない。これはアメリカの圧力が強くて、私は、こういう防衛庁に国の安全をまかして安心して寝られるとするならば、それは神経に異常がある証拠であることを痛感するのですが、しかし、話し合うことによってその欠点を互いに改めてもらいたいと思います。  そこで、次にお尋ねいたしますが、沖縄に参りまして、沖縄軍人どころか、家族、軍属は、水も豊富に使い、豊かな生活をしております。その水を使っているその真下では、沖縄住民は、土地を取り上げられるのみか、水まで取り上げられて、百姓に水がなく、そしてそのために稲もできずに、サツマイモで飢えをしのいでおる農村がとても多いのでございます。防衛庁の規定によりますと、国の平和と民族の独立を守ると、こうあります。沖縄においてはすでに民族の独立はありません。そこで佐藤さんは沖縄に行ってみて痛感した。沖縄が祖国復帰するまでは戦争は終わっていない、こう言いました。防衛庁としては、したがって、沖縄民族の独立と平和がないということはお認めになりますか、そして悲憤慷慨されておりますか、それとも、不感症でてれっとしておられるのでしょうか。
  41. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは一政府委員がお答えするような問題ではなくて、もっと大きな問題だと思うのですが、要するに、沖縄国民日本国民でございますし、潜在的には領土の主権をわが国が持っておるわけでございます。ただ、条約によって立法、司法、行政の施政権を現在アメリカか保有しているということでございまして、そういう施政権アメリカが保有しているということが、沖縄としての独立と申しますか、そういう点につきましてこれは大きな制約をいたしておるということは事実だと思います。
  42. 帆足計

    帆足委員 それでは次にお尋ねします。  いま、沖縄では単に施政権を失っただけです、こういうお答えがありましたが、かつてアルサス・ロレーンが百年前にドイツに取られました。アルサス・ロレーンは、フランス革命の洗礼を受けまして、当時フランスにもはや百年近くも同化しておりました。そのときに、アルサス・ロレーンは単に施政権をちょっと取られただけだと、フランスの軍部はそう言って済ましたでしょうか。そうではありません。悲憤の涙を流し、そのときのアルサス・ロレーンの祖国返還の先頭に立ったのは、アルサス・ロレーンの小学校の先生でありました。デンマークで緑化運動を起こしたのも、一人の戦いに敗れた退役将校でありましたが、剣を捨ててくわを取れと叫んだ彼は、グルントビーと手を握りまして国民高等学校をつくりまして、ます教育から国を復興しようと努力しました。同じことは各国とも敗戦の試練を受けた国に言えることでありまして、沖縄では沖縄同胞をどう育てようかというときに、無国籍者として育てろというきつい速しに対して、日本国民として育てるという一つことばを入れるために一年間闘争し、そしてデモンストレーションもし、たくさんの犠牲者も出て、そして戦い取ったのが沖縄教育基本法でございます。沖縄先生たちは、めんどりがひなどりをかかえるようにしてその祖国復帰運動の先頭に立ったのでございます。だとするならば、私はあなたを問い詰めようとして言っているのではありません、この問題の根を皆さまとともに国民に明らかにしたいから言うのですが、沖縄にすでに独立がなく、施政権がないなんという簡単なことでありません。よその国に取られてしまってすでに侵略が行なわれているわけですが、あなた方が宣戦布告することはもちろん憲法上できませんけれども沖縄アメリカに取られている。沖縄同胞日本人でないのですか。沖縄でつくった品物は「アメリカ琉球」と書いてあります。沖縄の風船には日本の国旗は立っておりません。デザインが今度は海賊船でないという証拠だけ立つようになり、沖縄の船員は日本政府がこれを保護する権能もないのです。すなわち、沖縄では独立がありません。形は何であろうとも、他国の隷属国になっているわけです。自衛隊の精神からいうならば、もし日本に宣戦布告の権利があるならば、まず二十七度線で一発ぶっ放さねばならぬということも、いわゆるシニカルに表現できるような状況です。自衛隊の精神が、国の独立と平和を重んずるというならば、自衛隊の中にこそ沖縄祖国復帰の声が起こってしかるべき状況である。しかるに何ごとぞや。その沖縄支配者にあなた方が呼ばれていって見物して帰っている。どういうことを、見物して帰っているのですか。沖縄同胞を救うために、軍事基地に行ってアメリカ軍の弱点をよく握って、そしてひとつ弁務官にあわを吹かしてやろうと思って行っているのですか。それとも、そうではなくして、ただ元物に行っておられるのか。昔は軍というものは非常に神聖なものでありました。いまの軍が敗戦後こういう形態になっておることは、これは国民共通の悩みでありますから、あえてそれを言おうとするのではありません。しかし、沖縄の持っておる矛盾がいかに深刻であるかということを訴えるために、私はこういう表現を使っているわけです。防衛局長並びに教育局長は、沖縄の祖国復帰運動に対してどのように考えておられますか、だれがこれを抑えておるとお考えですか、この二つのことをお尋ねしたいと思います。
  43. 島田豊

    島田(豊)政府委員 沖縄の返還につきましては、私どもとしても痛切な希望を持っておりますことは、他の一般国民と違わないはずでございます。また、その沖縄の返還を困難ならしめておる事情は、要しまするに、戦後におけるところの国際情勢というものの非常にきびしい今日の姿、沖縄軍事的な役割りというものは、わが国のみならず、極東の平和と安全という面におきまして非常に大きいと考えるわけでございまして、そういう情勢が続きます限りにおきましては、そういう意味での沖縄の返還を困難にする事情というものが今後とも引き続いて継続していくであろうというふうに考えておるわけであります。
  44. 帆足計

    帆足委員 沖縄の現状はまことに不満であるけれども、しかし、自由世界の安全上やむを得ないという御答弁でしたが、先ほどあなたは、立地条件というものは決定的なものの一つであるという答弁がありました。この地図でわかるように、もしソ連、中国がメキシコに軍事基地をつくって、この軍事基地なくしてはキューバの革命が広がるおそれがあるといって、メキシコとパナマに軍事基地をつくったとしたならば、その軍事基地はソ連、中国にとっては軍事技術的に都合のいいことでしょうけれども、それがパナマとメキシコにとっていささかの安全保障にでもなるでしょうか。そこまで言わなければわからぬから、答えてください。
  45. 島田豊

    島田(豊)政府委員 例を世界のよその場所に求められまして御輿聞いただきましても、ちょっとそれに対する御答弁のしようがないわけでございますが、とにかくく今日は御承知のように……。
  46. 帆足計

    帆足委員 立地条件について問うたわけです。立地条件の宿命によってそれは不可能ではないかということを聞いたわけです。簡単に答えてください。立地条件、困難なら困難と。
  47. 島田豊

    島田(豊)政府委員 今日の二つの陣営が対峙しておりますこの基調というものは変わっておりませんし、そういう意味で、極東におきましても両者が相対立しておるわけでありまして、そういう面から考えました場合に、おのずから一つ立地条件というものの価値が出てくるというふうに考えております。
  48. 帆足計

    帆足委員 ただいま申し上げましたのは、沖縄戦略価値を論ずるにあたって、あなた方が立地条件をなぜ考えないか。もしニューヨークの向こう側の場所に日本があって、そして、アメリカよ守ってくれというならば、それは私は立地条件合理性があると思います。しかし、ソ連と中国の影の下の四つの島、その島のはずれのまた小さな島、その島は立地条件附にアメリカ前線基地、犠牲基地、中継ぎ基地連絡基地一言でもっとわかりやすく言えば、火葬場の前の湯のみ茶屋の立地条件になる。この事実は、どこを守るとか守らぬとかいうことでなくして、純粋に今度は将棋の名人として、立地条件として無理な条件の島である、日本を守るためには無理な島、そしてアメリカを守るためには犠牲基地前線基地である。すでにこれをお読みになりましたか、世紀の大論戦、アメリカ上院外交委員会戦略論議、これはもういままで数冊出ております。この中にも余すところなく露骨に戦勝者としてのアメリカの気持ちがあらわれておりまして、自分たち日本に執着しようとは思わない、一日百万ドルも大めしを食うような胃拡張の民族を三カ月も持ちこたえることができるか、サンフランシスコから横浜までの距離を思うならば、そういうことはこの苛烈な戦争中にもう不可能である、ただアメリカのショーウインドーとしてここの場所をある時間だけ持ちこたえようとするだけである、こういうことを申しております。すなわち、この立地条件について無理があるということを防衛庁は気がついておりますか。
  49. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが国がこういう立地条件にあるということはもう厳然たる事実でございます。わが国の安全というものをいかにすれば確保できるかということは、われわれとしても、また日本国民としても、当然考えなければならぬわけでございまして、あくまで考えの中心とならなければならぬのは、わが国の安全と独立を確保すること、こういうことであろうと思います。
  50. 帆足計

    帆足委員 顧みて他を言うとはそのことばであって、さらにことばを続けさせていただくならば、こう書いてあります。海綿が水を吸収するごとくソ連、中国の攻撃を吸収させる場所――このことばを聞いてりつ然たらざる者がおるでしょうか。これは善悪の問題ではありません。そういう立地条件にある。私は昨年西ヨーロッパに参りましたが、おおむね、南太平洋の小さなアッツ島と、多くの人々は思っております。そういう立地条件に置かれておるわけです。  そこで議論を進めますが、今度はアメリカ防衛によるとして、戦略を立てるとして、食糧原料は何カ月持ちこたえることができますか。特に食糧です。一億の人口が朝のラッシュアワーにすら困るこの日本で――この前の戦争では、最後の日まで朝鮮台湾、満州が背景にあって、かゆをすすりながらでも生きていくことができました。もし日本が中立を守らず、戦争のときには防衛条約によって巻き込まれるかもしれぬということを前提とするならば、食糧対策はどのように、原料対策はどのようにお考えでしょうか。私がこれを質問しますのは、そこに困難があるならば困難があると言うていただくならば、保守党は保守党としてその困難に対処しつつ、また安保というものの期限や条件、その限界を国会は検討するからであろうと思います。防衛庁専門家が、立地条件のことについてもはかばかしい御答弁をなさらずに、まるで処女のようにうつむいてそして答えられる、そうして確信ある答えをなさらない、それでは困るのでありまして、食糧原料についてはどのようにお考えですか。
  51. 島田豊

    島田(豊)政府委員 有事の場合におきまして、わが国といたしまして食糧原料につきましての確保対策をどういうふうに考えるかという点につきましては、まだわれわれとしてはそこまで研究をいたしておるのではございません。そのときの情勢のいかん、戦争の様相のいかん、これが短期的に終わるのか、相当長期に継続するのか、それによりましてもいろんな相違があるわけでございまして、原料につきましては、私どもは国内で平時におきましても十分でないわけでございますので、有事において持ちこたえられるとは思いませんが、それらについての輸送力は、有事におきまして当然確保されなければならない、こういうふうに思います。
  52. 帆足計

    帆足委員 私が理解しましたのは、防衛庁方々は、個人としてはいい方々ばかりでありますけれども、ただ職業として就職なさったというだけであって、戦略を考えるにあたって、立地条件も深く考えず、食糧問題も考えず、原料問題も考えずして相互援助条約を詳しく結んだということは、私は軽率であると思いますから、防衛庁としても、三矢作戦のようなつまらぬことをなさらずに、食料問題の御研究でもなさることをおすすめしたいと思います。  次にお尋ねしますが、もしエスカレーションが起こりまして、紅衛兵の中国に火がつきまして、そのときに沖縄から――現石ベトナムを爆撃しておると思いますが、現在沖縄から海外出撃が行なわれておることをすべての新聞が伝えておりますが、そのとおりですか。
  53. 島田豊

    島田(豊)政府委員 南ベトナムに対する攻撃の基地としましては、B52がグァムを使用しておりますし、それ以外は南ベトナムの基地及びタイから出撃しておるわけであります。沖縄から直接出撃しておるというふうな確実な情報は、われわれとしては持っておりません。
  54. 帆足計

    帆足委員 それでは、沖縄は軍需品、それから兵員――歩兵、それから飛行士その他、沖縄でもって訓練したレンジャー部隊、そしてそれが重要な前線の第一級の補給基地になっているということは存じておりますか。
  55. 島田豊

    島田(豊)政府委員 沖縄の地理的な要求からいたしまして、おっしゃいますように、米軍の補給あるいは兵たん、あるいは輸送、そういうものの非常に重要な基地になっているということは事実であります。
  56. 帆足計

    帆足委員 沖縄が報復爆撃を受けるおそれができたときに、アメリカの軍属及び家族が疎開を始めましたならば、沖縄同胞も私は疎開することがよかろうと思っております。アメリカ軍人軍属が一度疎開し始めたことがありましたが、あのときは中止になりました。今度疎開が始まった状況が来たならば、どうすることが沖縄の安全のために――すなわち、沖縄のさっきの安全の定義に従うその最大のものは人命です。どうすることが一番いいと防衛庁はお考えですか、また、考えはありませんか、または何も研究しておりませんか。一言でけっこうです、時間がもう二、三分ですから。
  57. 島田豊

    島田(豊)政府委員 その点につきましては十分研究いたしておりません。
  58. 帆足計

    帆足委員 防衛庁沖縄の九十五万の同胞の命の防衛についてはまだ研究していないし、考えもない、こういうことですが、事実でありますからやむを得ません。  それから、沖縄から現在のような大量の補給、それから戦略戦術物資、武器の進撃が行なわれるとするならば、私は、もう一つエスカレーションしたならば、もちろん前戦補給基地ですから、それを爆撃されることを予想せねばならぬ。すなわち沖縄が戦場に入る。日本は平和憲法のために戦場に入っていない。しかし、沖縄アメリカの施政下にあり、日本の施政下にありませんから、日本が戦場に入る前に沖縄が戦場に入らねばならぬ。そういう戦略立場立地条件、構成上の条件、及び憲法上の条件の中に沖縄が入っている、そのことは御存じですか。
  59. 島田豊

    島田(豊)政府委員 そういう可能性はあるというふうに考えられます。
  60. 臼井莊一

    臼井委員長 帆足委員に申し上げますが、時同がもう一時間過ぎていますから、よろしく。
  61. 帆足計

    帆足委員 私はきょう伺って非常によかったと思います。それは、両局長とも卒直に、できないことはできない、考えていないことは考えていないと言う。敗戦日本の鉄は、私が東大を出たとき二百万トン、いまは夢にも思わなかった五千八百万トンの鉄をつくっております。世界第三位です。しかるに、一たん非常のときに日本をどういうふうに防衛するかということについては、防衛庁においてすら、ほとんど私どもに聞かすことばも持っていない。もちろん、防衛については、軍事外交、総合的に考えねばなりません。そして敗戦の国に万全の道というものはありません。そのときは次善の策をとらねばならぬでしょう。それにしても、ほとんど研究されることなく安保条約は結ばれ、研究されることなく軍の予算はつくられておる。ただ惰性によってつくられておる。あたかも東京の都市計画のごとし。日本の自動車協会は、自動車は道を通り、夜は車庫でお休みになることを五年前まで忘れておったそうです。防衛庁もまた、防衛にとって一番重要なのは立地的、地理的条件であり、人命の安全であり、そして守らねばならぬものは日本国民であるということを、多少薄くしか自覚していなかった。先ほど聞いたら、アメリカ人も日本人も同じです。それでは皆さんの月給は全部アメリカからもらうようにしてもらいたいと思いますが、そういうことをお尋ねし、聞くことができたことは、日本政治の現状のエアポケットがここにもまたもう一つ大きな口を開いておるということを示したことによって、皆さんの功績は大きいし、決して恥ではないと私は思うのです。  そこで、最後にお尋ねしますが、アイゼンハワー元帥がその告別の辞で、アメリカの軍備は予算の七割に達して、大軍需産業と結んでいるから、アメリカはもはや半身不随である。若いケネディ大統領に暗に残した告別の辞です。これは有名な演説です。アイゼンハワー元帥のことを思うと、私は、日本でいえば、ちょうど縮軍派の宇垣さんのような立場だったと思うのです。ケネディ大統領が近衛公であるとするならば、ジョンソン大統領はぼつぼつ東条の役割りをいま演じておる。歴史はよく似ていると思います。先ほどの孫子兵法でおわかりになりますように、立地条件、人心の把握、兵術の進歩等から、ベトナムの戦争をあの形で持ちこたえることはもう幾ばくもできまいということは、もはや世間の通念になっておりますが、ディエンビエンフーの戦いでフランスがなぜ敗れたか、三十八度線また鴨緑江の岸辺でマッカーサー元帥がなぜ敗れたか。そして、老兵は去るべきのみ。そのときの状況は、この世紀の大論戦――これは最近出たアメリカ上院公聴会の議事録で、チャーチという議員が詳しく述べております。そしてこう言っております。当時マッカーサー元帥はトルーマン大統領とやりとりをしたけれども職業軍人としての見解の狭さのために、彼の報告はことごとく誤っていた。それに対してテイラー教授が、皆さん、ある将軍がこの前見通しを誤まりました。こういうことはよくあることですから、もう一人の将軍もまた誤らないようにしなければいけません。見解は違うけれども、チャーチ議員のきょうの議論に感謝します、こういうことばで結ばれております。アメリカにはこれほどの言論の自由がまだかろうじて残されておりますから、最後のところを踏みとどまっておる。この公聴会を開いたのは、皆さん承知のとおりに、アメリカの有名な上院委員長です。きょうの質疑応答がそのためにも役に立てばしあわせだったと思いますが、最後に、沖縄アメリカの領有はもとより、アメリカ日本との関係において、アメリカが戦勝国としての優越感に立って皆さんに接触しておるという場面を私どもは至るところに見ますが、控え目にお答えになってけっこうですが、皆さんもそうお考えになって、これは是正せねばならぬということは痛感しておりますか。
  62. 島田豊

    島田(豊)政府委員 少なくとも私どもが接触しております限りにおきましては、そういう感じは全然持ちません。
  63. 帆足計

    帆足委員 これが最後です。これはそういう感があったと言うと、すぐ呼びつけられてやられる。それが彼らが優位を持っておるということの証拠であって、優位を持っていないならば――戦勝国ですから、そういうことが始終起こるのは当然ですよ。われわれが知っておるのですから、あなた方が知らぬとしたら、知らぬは亭主ばかりなりということになると思う。知っておって言えないことが、すなわち諸君がいま苦しい立場におるのであると思います。したがいまして、敗戦国にある、中間くらいの合法性を持ったこの軍隊、オタマジャクシとカエルの中間、まだイボガエルほどにはなっていません、トノサマガエル程度の立場におる過渡期の軍の仕事をあずかっている皆さんの御苦労に対して、私はほんとに労をねぎらいたいと思います。  そこで、この問題につきまして、日本防衛庁といたしまして、アメリカとの関係、両者の関係で、戦略上の相談などいたしますときに、日本日本の自主性を主張するだけの、皆さんは法制的にも、それから制度的にも、自信が与えられておりますかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  64. 島田豊

    島田(豊)政府委員 もちろんそのとおりでございまして、日米の共同防衛というものは対等な立場で行なわれるわけでございます。したがいまして、有事におきまして作戦を行ないます場合に、一つの統一した司令部を設けたり、あるいは米軍が日本自衛隊を指揮したりというふうなことは、何と申しますか、法制的にもあり得ませんし、実際的にもわれわれとしてはそういうことは全く考えておらないのでございます。
  65. 帆足計

    帆足委員 最後に、いまの御答弁で私は多少不満でございます点を一言言っておきます。  それは、立川から爆撃機が飛び立ちまして、沖縄に寄って、沖縄からベトナムに出ておることは、周知の事実であります。立川の基地で、血だるまになったベトナムの兵隊さんがそのまま送られてきて降ろされるのを、砂川の住民は毎朝二階から見ておるわけでございます。そういうふうにベトナムの戦争アメリカ軍基地との間が密接にリンクしておることは十分自覚しておられますか。
  66. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが国の立川の基地から爆撃機が沖縄を経由してベトナムに攻撃を加えるというような事実は承知しておりません。もしただいまの患者を後送しておるとするならば、それはいわゆる米軍の輸送機によりますところの患者の後送であるというふうに考えられるわけでございます。
  67. 帆足計

    帆足委員 そのことは、沖縄または立川からベトナムに直接爆撃することを望ましくないと思うから、そういうふうに答弁しているのですか。または、アメリカが必要ならば、沖縄から速日北ベトナムを爆撃しても差しつかえないということになっているわけですか。
  68. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが国の基地を戦闘作戦行動として使用します場合におきましては、当然事前協議の対象になるわけであります。
  69. 帆足計

    帆足委員 沖縄のことを言っておるのです。
  70. 島田豊

    島田(豊)政府委員 沖縄から出撃をするということは、これは戦術上は可能であると考えられます。
  71. 帆足計

    帆足委員 立川から出て、沖縄に三十分か一時間停止していくならば、いまの条約上からは差しつかえないことになっているように聞いておりますが、そうですか。
  72. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは条約の解釈の問題でございますけれども、われわれとしては、沖縄に出発をするということは知っておりますけれども、その先、沖縄からどういうふうな行動をとるかということについては、知らされておりませんし、知る状況でもないわけでありまして、わが国から直接行く場合には事前協議の対象になる、こういうふうに承知しております。
  73. 帆足計

    帆足委員 そうしますと、結局この問題は、軍事同盟といいましても、いまほとんど何事も皆さんは知らず、そしてアメリカの行なうことに対してただわれわれは便宜を与えているだけである。私は、それで済むならばいいけれども、一たび戦争がエスカレーションしてきたならば、自分は単なる家主であり、地主であるにすぎない、あの土地、あの家でずいぶんひどいことが行なわれたけれども、責任がないということは、条約のたてまえ上言えないから、報復爆撃を受けるおそれがある。おそれがあることはお認めになりました。そのときに、アメリカ軍人軍属が疎開するようになったときに、九十五万の沖縄同胞をどう疎開さしたらいいかというようなことについては、まだ考える余裕もない、考えてもいない、こういうことも承りました。きょうは問題をそれぞれ提起したにとどまりまして、私の申し上げましたことは、ずいぶんぶしつけなことばもあったかと思いますが、その点は御寛恕願いたいが、しかし国民の声でございますから、それらの点について防衛庁も深く自己の宿命についてお考えあらんことを切望いたしまして、質問を終わります。
  74. 臼井莊一

    臼井委員長 帆足委員に申し上げますが、御発言中、沖縄住民日本国民でない云々の個所は、後ほど会議録を調べまして、委員長において善処する場合があるということを御了承いただきたいと思います。
  75. 帆足計

    帆足委員 国民でないような状況に法制的に置かれておる、よほどそこはことばを気をつけないと、沖縄同胞に失礼に当たりますから……。御注意ありがとうございます。
  76. 臼井莊一

    臼井委員長 関連質問がございますので、これを許します。横山利秋君。
  77. 横山利秋

    ○横山委員 簡潔に長行にひとつお伺いします。  いま帆足委員質問の中で明らかにされたとは思いますけれども長官のお考えを聞きたいのです。  講和条約がきまって、そして沖縄の今日の地位が置かれたときに、日本の軍国主義を排し、住民の平和な生活を確保するというところに講和条約のねらいがあったと思うのです。いまの沖縄は、アメリカが占領しておる目的が、極東における軍事的な立場において占領がされておる、つまり性格が変わった、こういうふうに私どもは理解しておるのでありますが、軍事的な立場の責任者としてお考えを伺いたい。
  78. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 横山さんにお答え申し上げます。  私は、昭和二十六年の九月、最初の安保条約が締結されたときと現在との相違というものは、時間の経過によりまして、仙山さんの御指摘のように多少の変化があると思っておる次第でございますが、しかし、本質的の変化はそれほどはないんじゃないか、こう考えておる次第でございます。  それから帆足先生政府委員に対する御教育は、非常に有益に承りました。感謝をいたしております。  それからこの際、私も、塚原総務長官、ここへ見えるはずでございますが、沖縄ができるだけ早く日本に返還されたいということは、全国民とともに熱望しておるところでございまして、その点は帆足さんと同窓児でございますから、どうぞそういう前提防衛庁におきましても臨んでおるということを御理解願いたいと思います。  それから、沖縄が現在ベトナム関係において相当使われておるからして、何か向こうのほうにエスカレーションの可能性があるというふうなことの御質問に対しまして、可能性も考えられますというようなことを政府委員から申し上げておりまするが、これは可能性という、つまり論理学でいえばポシブルというもので、蓋然性というものではない。蓋然性のほうの可能性ではない。そんなにめったにある状況ではございません。いま政府といたしましては、ベトナム紛争もできるだけ早く解決いたしたい、エスカレートはもちろん望みませんし、できるだけ早く終息方に対して総理、外務大臣その他一生懸命努力しておるわけでございますから、その他各般のことのポシビリティーというようなことを考えてそして対処するということもまだいたしておりませんが、また、そういうようなポシブルなんということは、まずまずないのではないか。可能性というのは、ほんとうに千に一つ、万に一つというような意味防衛局長が答えたということを、賢明なる帆足先生において御理解願えれば幸いでございます。
  79. 横山利秋

    ○横山委員 沖縄占領の目的が時間の経過とともに変わってきたという点を長官は大体了承されたようでありますが、いま政府沖縄復帰に対して国民に言っておりますことは、沖縄アメリカが占領して、そして軍事基地があることによって、軍事基地の存在というものが極東並びに日本の平和に中天な寄与をしておる、こういうような説明が一番オーソドックスな説明のようでございますが、長官もそれと同意見でございますか。
  80. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 占領ということばは、横山先生お話がございますが、ちょっと当たらないのでございまして、平和条約の条項に基づきまして、国連の信託統治に移すまでの間、その間アメリカ合衆国において沖縄に対する立法、司法、行政の三権を行なう、これは占領ということばとはちょっと――その前は占領でありまし共うが、それから以後はそういうことばでございますから、司法のことにお詳しいあなたにおいては、正確なることばを使っていただきたいと思います。  そこで、この立法、司法、行政の三権といえば、いわゆる施政権でございまして、その基礎には潜在主権があるわけでございますが、いまのところは潜在主権は潜在でございまして、働いていないわけでございます。すなわち、施政権を行なっておるその目的というものは、極東、東洋の平和の保持という見地から最初からなされたものであり、それからいまの段階におきましても、多少様相は変わっておりますが、本質的には変わっていない。しかしながら、平和条約三条によりますと、立法、司法、行政の権を行なうが、その次には、国連の信託統治に移すということが書いてありますけれども、それは一つ飛びまして、ぜひとも日本に返してもらいたいという共通の念願を、国会議員も国民もわれわれもひとしく持っておるということを、くどいかもしれませんが、さらに明瞭にいたしておくわけでございます。
  81. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことをお伺いしておるのではないのです。関連質問ですから、端的に意見を聞いておるのですけれども沖縄アメリカ軍がおる、軍事基地になっておるということが、政府の説明によれば、極東並びに日本の安全に面大な寄与をしておる、だから国民よ納得しろ、こういう点を一審オーソドックスに説明しておられるが、防衛庁長官として同意見であるかということを聞いておるのです。
  82. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 同意見でございます。
  83. 横山利秋

    ○横山委員 それが今日の重大な原因であるとするならば、先ほど話もありましたが、もしその反面をとらえてみますならば、戦争が発生した場合、ベトナム戦が拡大した場合、火が吹いた場合には、沖縄がまっ先に第一攻撃の目標となる可能性というものをあなたは所管大臣として想定しておられるのではあるまいか、それが蓋然性であれ、可能性であれ、沖縄攻撃の可能性というものが作戦の中に入らなければうそではないか、そういう点はどう思いますかというのが第三番目の質問です。ずばり答えてほしい。
  84. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 三番目までは、お答えいたしましたとおりでございます。  三番目の、もしエスカレートした場合に沖縄が攻撃される可能性があるかといえば、蓋然性でない意味の可能性というものはあり得る、万一の場合にはあり得る、こう考えます。
  85. 横山利秋

    ○横山委員 そこで、これは私、政治論でなくて軍事論で言っておるのですから、軍事的な専門家、最高責任者としてお答え願いたいのですが、そこで今度は、日本のわれわれと、それから沖縄の九十六万の県民と、アメリカ政府と、三つの立場というものがあると思うのです。沖縄の県民諸君は、無条件でとにかく帰りたい。日本政府の言っておるような、軍事的必要があって、日本でもこれは必要なんだから、アメリカ軍事基地があることは必要なんだから、がまんしてくれというような立場であるが、沖縄県民はそれを乗り越えて、とにかく無条件で帰りたい、こう言っておることは、あなたも御存じのとおりであります。アメリカ政府としては、純粋な軍事論でいま沖縄日本支配下に置いておきたい。純粋な軍事論のアメリカ政府立場と、それから無条件でとにかくわれわれを帰してくれという立場と、そのまん中におって日本政府が、つまり官長がおっしゃったように、沖縄の諸君にも軍事的必要があるのだから少しがまんしてくれという立場の、三つの相違があるわけであります。その三つの相違については大臣もお認めになるわけですね。
  86. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 認めます。
  87. 臼井莊一

    臼井委員長 横山君に申し上げます。関連質問ですから、簡単に願います。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 そこで一番題問になりますのは、今度は、沖縄の県民諸君がその三つの相違から恋病な声を上げておるわけです。この恋病な声というのは何か。われわれ九十六万が日本国民の安全と平和のために犠牲になるのかということであります。なぜならば、平和条約は、この沖縄に万一のことがあった場合には、日本政府アメリカ政府が協議をすることになっておる。その協議というのは、県民の福祉について協議することになっている。そうして、総理大臣自衛隊の出動はしないと去年約束した。そうでしょう。お認めになっておるとおり。そうすると、結局県民の福祉だけの問題であって、自衛隊が出動するわけではない。第一、攻撃にさらされる可能性、あなたのことばでいえば、蓋然性のある可能性がある。そこで沖縄県民に対してどうお答えになるでありましょう。われわれのからだを犠牲にして全日本人は安全と平和を維持したいというのか、ひどいじゃないかという声に対してどうお答えでありますか。
  89. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 福祉のことについては、毎回当委員会をもわずらわしまして御高見を拝聴して、政府としては協議をいたしておりまするし、御承知のとおり、百数十億の金も出しておるわけであります。しかしながら、沖縄の地位全体に対する協議等も、防衛の事務局段階でございませんで、政府の段階といたしまして、総理あるいは外務大臣その他の段階で引き続き協議をいたしておるわけでございまして、われわれは当分だめだというふうに考えていないのであります。これは引き続いて皆さまの総意を受けまして、沖縄軍事基地からいってだめだと向こうも断定しているわけでもございませんし、きょうの新聞等もございますけれども、こういうようないわゆる出先ということでなしに、もし総理がジョンソン大統領に会うならば、そういう段階におけるトーキングというものがある、話し合いがある、また従来もそういう話し合いをいたしておりまするし、やはりこの委員会の存在します以上、国会の最高権威の委員会でございまするから、皆さまの総意を体しまして協議を引き続いて続行中でございます。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 お答えになっておりませんね。むずかしい答弁かもしれませんが、お答えになっておりません。つまり、沖縄県民が、おれたちのからだを犠牲にして日本本土にあります日本人の安全と平和を維持せよというのかという悲痛な叫びについては、お答えになっていません。  それかあらぬか、政府の一部に、つまり、沖縄の祖国復帰、安保条約の適用、そして軍事基地の奄美大鳥方式的な存置、こういうお考えがあるやに承るのでありますが、長官は、その一部の意見とおぼしきものについてどうお考えでございますか。
  91. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 奄美大島は全然内地と同様でございます。途中返還は受けましたが、内地と同様の防衛方式でわれわれが防衛の全責任をしょっておりまするし、また、内政につきましては各省が、あるいは自治につきましては鹿児島県がそれぞれ責任をしょっているわけでございまして、純粋の、四国、九州、本州あるいは北海道と同じでございます。  それから先ほどの御質問で、沖縄の船が日の丸をつけても……(横山委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)これは先ほどの御質問でということを申しております。重要なことですから、先ほどの御質問に関連してやっぱりお答えします。  自衛隊は出ないのだ、われわれを見捨てるのか、こういうお話でございまするが、私は、まずベトナムあたりからエスカレートしてくることはないという意味において、可能性があるというような政府委員の話もありましたが、そうなると話がむずかしくなるのでございまして、ほとんどない、つまり蓋然性はないと言っておるのですから、可能性というものは、風が吹けばおけ屋がもうかるくらいの可能性なんでして、それ以上の可能性は、いまのところ、私は、ベトナム紛争をもうことしじゅうくらいには解決したいという腹で一生懸命政府は努力しているのですから、それがだんだん上へ上がってきて、そのときに沖縄九十五万のものはどうかこうかと言われても困るのでありまして、私は、いまの段階で、沖縄県民――琉球政府の統治下における、あるいは米国の三権のもとにおけると言ったほうが正確でございましょうが、九十五万のものが、日本の主権のもとに守られていたいのだ、それなのに自分の故郷へ帰られないのはさびしい、そういう姿に対しては、当委員会においても、また総務長官においても、総理大臣においても、一生懸命心配しているのでございまして、ベトナムのほうからだんだんこう上がってくるのだから、そのときにおれたちを見捨てちゃ困るということを前提とされては、ちょっといまのところ、われわれが不勉強といわれましても、その間のことを準備していなくてもしかるべきことだと思っております。
  92. 横山利秋

    ○横山委員 委員長の御要望でなるべく簡潔にしてもらいたいということでありますから、私は委員長の御要望に沿いたいと思いますが、委員長、いまお聞きのように、一番大事なことをお答えにならぬわけであります。これはきょうの記事が沖縄県民に、私の質問はずっと続いたならば、すぐにそのあとで長官はどう言ったかということをみんな見ているでしょう。長官は何も言っていないのであります。つまり答えがないと言っているのですね。答えがない。私がさらに誘いをかけて、一部の説にあるような、それでは祖国復帰させる、そのかわり沖縄はすぐに安保条約が適用される、軍事基地の提供というやり方で沖縄軍事基地は置かれる、そうすれば沖縄県民を含む全国民の共同一体感、そういう政府の一部にあるような意見はどうか、そう考えておるのかと聞いたところ、これも御答弁がない。断わっておきますが、私はその意見に反対ですよ。反対だけれども、いま私の質問にずっといって救いを出して、そういう考えでもあるのかと言ったら、それも答えはない。これでは私は納得できません。長官がお答えにならなければ、総理大臣のお答えを――一番大事な、おれたちを踏み台にして内地の諸君は安全と平和を保つのかという声に対してはっきりお答えをいただかなければ、私は納得できません。
  93. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私どもは、佐藤総理がことしあたりからずっと国会において答弁しておる線がわれわれの答弁する線でございまして、沖縄を全体として返還してもらいたい、こういう見地でございまして、いわゆる床次方式とか、いろいろな方式がございますけれども、そういうことはいま考えていないのでございます。
  94. 横山利秋

    ○横山委員 それはわかったのですが、私の質問に結局お答えにならないのであります。これは一体どうしていただきましょうか、委員長の御配慮を願いたいと思います。
  95. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  96. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を始めて。
  97. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 それでは、第三問の、万一ベトナムがエスカレートしてきて、そして沖縄がある程度基地になっていることは政府も認めているわけでありますから、(「ある程度とは何ごとだ。世界最大の基地になっている」と呼ぶ君あり)ある程度と言ったほうがいいのです。グァムとかタイとか、いろいろあるのですから、ある程度です。エスカレートしてきたときに、一体九十五万を見殺しにするかということでございますが、日本の旗を立てた琉球の船も守ることはできないのですから、そこで、琉球の潜在主権はございますけれども、立法、司法、行政の三権、すなわち施政権を行使しておる米軍はこれを守るべきである。感情的には、われわれは守りたいということは、佐藤総理もいつも申しております。私も同感でございます。感情的には、同じ国民日本国籍を持っておる九十五万の琉球の日本人を守りたい。守りたいけれども、現在は守り得ない状況でございます。まずアメリカが守るべき責務がありますし、おそらくアメリカはその責務を果たすであろうと私は考えております。だから、見殺しになるということはあまりないです。(「見殺しにすると、これに書いてある」と呼ぶ者あり)書いてあっても、ないのです。
  98. 臼井莊一

    臼井委員長 横山君、この辺でひとつ……。
  99. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃ、私の意見だけを申し上げておきます。私は納得できませんから、これは外務大臣か総理がおいでになったときに継続してお尋ねをいたしたいと思いますが、私の意見だけ申し上げておきます。  九十六万の県民はわれわれの同胞である、これはもう明白です。その明白な人々を、結果としてあなたは他国にゆだねるということを言っていらっしゃる。われわれとしては、何ともしようがないから、他国にゆだねる、そして他国がやってくれるであろうと信ずるということでは、私は納得できません。私の意見としては、無条件祖国復帰、そして一緒にわれわれが守るべきだ。その守るというのは、単に私は軍事的な意味で言っているわけではありません。極東の緊張というのは何が原因かというところにまでさかのぼらなければなりませんが、われわれはすべて沖縄を含む全国民一体になって平和と安全を守るべきであって、九十六万の諸君の身命を他国にゆだねるということは、私は賛成できません。  それで最後に、いまあなたが言いたそうな顔をしていらっしゃるから、どなたでもけっこうですが、聞くところによりますと、日の丸の問題が解決をしていよいよ実行されるそうでありますから、この際正式に御報告を願いたいと思います。
  100. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 日の丸のことはあとでお答えしますが、どうもあなたと私と意見が違うというのは、客観情勢に対する認識が違うので、意見じゃないと思うのです。もう少し横山さん、私と、客観情勢に対することだけは同じ見解にしていただきたいのです。つまり観察ですから、観察をする、どういうふうに見るかということですから、そこであなたはザインとゾルレンと間違えていらっしゃるんじゃないか。現在の状態は、米国の施政権下にある沖縄県民がかりに襲われた場合に、わが自衛隊員が行って守りたいのですけれども、守り得ないのです。守るとすれば、いわゆる海外派兵になって、横山さんの属する社会党なんかはわれわれに食ってかかることは間違いないでしょう。そこで、ゾルレンとすれば、守りたい、祖国に復帰させて全体として守りたい。だから、あなたはザインとゾルレンを間違えていらっしゃるということを言いたいわけです。
  101. 枝村純郎

    ○枝村説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、去る三月一日に開かれました第十二回の日米協議委員会で、沖縄船舶旗を変更いたしまして、日の丸の上に、琉球と記した三角旗を掲げたものを新しい沖縄船舶旗として採用するということが日米間で合意されたわけでございます。これがその後なかなか実行されないじゃないか、こういう御質問がこの委員会でもございまして、私ども外務省としても、この協議委員会の合意を早急に実施するように督促してまいったのでございます。七月一日を目標期日として進めているという回答をその間に得ましたので、これは委員長のほうへ御報告申し上げて、委員長のほうから御報告があったと思うのですが、去る五月二十三日、高等弁務官が、高等弁務官布令第五十七号、琉球船舶規則の関係の条文でございますが、その第二条a項を修正するということを発表いたしまして、これは七月一日から実施されることになっております。その間にアメリカ側として、この船舶旗の変更について関係各国に周知の手続を現在とっておる、こういう状況でございます。  御報告いたします。
  102. 臼井莊一

    臼井委員長 永末英一君。
  103. 永末英一

    ○永末委員 一九六五年一月十三日の佐藤・ジョンソン共同声明の中に、アメリカの大統領は「極東における自由世界の安全保障上の利益がこの願望」、すなわち施政権返還でありますが、「この願望の実現を許す日を待望していると述べた。」と書き上げられております。それから一九五七年六月二十二日の岸総理とアイゼンハワー大統領の共同声明に、「大統領は、脅威と緊張の状態が極東に存在する限り、合衆国はその現在の状態を維持する必要を認めるであろうところを指摘した。」ということが書き上げられております。   〔委員長退席、鯨岡委員長代理着席〕 防衛庁長官は、この二つの声明は同じことだと思いますか、違うと思いますか、御見解を承っておきたい。
  104. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お答えいたします。  永末さんの御指摘の一九五七年というは、一九六〇年じゃございませんか。
  105. 永末英一

    ○永末委員 どっちでもいいです。岸・アイク共同声明です。
  106. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 昭和三十五年だと思いますが、三十五年二月、それは岸さんとの声明でございますし、一方は一昨年一月の声明でございます。私は、佐藤さんが強く申し述べたというのは、ニュアンスがだんだん変わってきていると思います。
  107. 永末英一

    ○永末委員 ニュアンスが変わってきているというのは、岸・アイク共同声明の場合は、「脅威と緊張の状態が極東に存在する限り、」という、「極東」という地域的限定がある。ところが、佐藤・ジョンソン共同再明は、同じく「極東における」という地域的限定はございますが、「自由世界の安全保障上の利益」ということばに変わっておる。ニュアンスの差異と申しますが、一体どういうことが変わったか。防衛庁長官は、ニュアンスの相違なら、どこが変わったとお考えですか。
  108. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 極東における脅威と緊張の状態というものは、これはだんだん変わってきております。しかしながら、ふえたものもあるし、減ったものもあるということは、衆議院において永末さんに私がお答えしたとおりでありまして、しかしながら、全体としては多少緩和の傾向にあるのじゃないか、私どもはこう考えている次第でございます。  それからニュアンスというよりも、ことばの相違といったほうがいいかもしれません。色彩の相違でなくて、ことばの相違――というのは、つまり沖縄の返還について佐藤総理がジョソン大統領に希望をしたという点が変わっております。しかし、脅威と緊張の状態その他のことは、あるいは極東の安全性ということばに変えられても大体において同じではないか、ことばの違いはございますが、同じようなことをいっておると私は考えておりまするが、沖縄の返還についての希望の表明があったという点が違っております。
  109. 永末英一

    ○永末委員 これはアメリカ大統領がそういう意向を述べた、こういう書き方になっておる。日本国総理はこのことを受諾したとも何ともなってない。文章全体としては、ほかのところに違うことばはございますけれども……。  そこで私ども防衛庁長官に伺いたいのは、極東の緊張という状態について、日本国防衛庁長官はやはりその判断を絶えずしておられなくてはならない、これが義務だとわれわれは考えます。そこで、アメリカ側がその緊張が緩和したと判断をするまで待つというのがこの声明の趣旨か、それとも、日本側が緊張緩和したということを判断した場合にも、日本側の意向がこの文句を通じて施政権返還に関して関係づけられるものか、その辺ひとつ伺いたい。
  110. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、大体において文句は同じであって、ただ沖縄のことに言及してある点が違うのであるということだけは、まずもって前提として申し上げておきます。  それから、緊張と脅威の点につきましては、絶えず防衛庁といたしましても研究をいたしております。そこで、研究いたしておりまするが、いま東西両陣営とか、あるいは南北問題とか、いろいろございまするが、南北関係かあるいは東西関係かわかりませんけれども、ベトナム関係においては緊張しておることは事実でございます。それから、米ソの関係においては緩和を漸次いたしておるように、諸般の軍縮関係のことにつきましても、核拡散防止のかけ合いにいたしましてもそう感じるものでございまするが、全体としてやや緩和の方向に向かっているようにも感じますが、しかし、防衛庁防衛五カ年計画をつくるこの際には、やはりある程度のものが必要であるというような、全体の国際情勢の分析、批判、検討、観察した結果の結論でございます。
  111. 永末英一

    ○永末委員 沖縄に限って関係づけてお答え願いたいのですが、いまあなたは、全体としては緩和しているようだと判断されているようなおことばがございました。私伺いたいのは、アメリカ側が緊張緩和したと判断をしなければ返さないのだということをこの声明で受けておるのか、それとも、アメリカ側の緊張と脅威に対する判断と日本側の緊張と脅威に対する判断が違う、つまり、われわれは緩和したと日本政府が判断をしたということはこの中に入れて考慮するのだ、こういうことが含まれておるのか、その辺について防衛庁長官はどう判断するかを伺いたい。
  112. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、そのややという字、特に永末さんに、これは字は必要でございますから、ややという字を入れたということで御了解願いたいと思うのでございます。  それから、中共における核爆発の五回にわたる実験等もございまして、アメリカの、ことに太平洋軍がどういうふうに沖縄を観察しておるか、価値判断をしておるかという点につきましては、われわれ意見交換しないわけではございません。してはおりまするが、両方の意見がしょっちゅう交換されておるということだけを申し上げます。どちらがどういうふうに見ておるかということまでは申し上げかねますが、いつも極東並びにアジア全体の平和あるいは脅威あるいは緊張等について意見交換を日米双方でいたしておるということを申し上げておきます。
  113. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁長官、私が伺いたいのは、この文章は両方ともアメリカ大統領の言いぱなしになっているのです。共同声明ではありますがね。この点について、日本国総理がアメリカ大統領の言いぱなしたものを承諾したとも合意したとも書かれてないわけです。そこで私が伺いたいのは、日本政府、すなわち防衛庁が主として判断をするであろう極東の緊張や脅威というものに対しての判断、これが、沖縄施政権の返還を目ざして日本国政府が熱心であるならば、大体もう緩和したではないか、返還の時期ではないかということを言えるはずだと私は思う。あなたはそう思いませんか。
  114. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私はやや緩和したという程度でございまして、沖縄基地に対する価値判断ということは、この前も永末君から予算委員会において御質問を受けましたけれども、私は、これは、こちらがそう情報網をたくさん持っておるわけではございませんし、それからまた、全体についてのオペレーションをしているわけでもございませんから、やはり向こうの話を聞くことも多少多いのじゃないか、こう考えておる次第でございます。  それから、沖縄における軍備その他配置状況というものは、もし御質問があればお答えいたしまするが、いまのところ、ある程度のものは必要ではないか。(永末委員「それはあとで聞きます」と呼ぶ)それでは質問を受けてからお答えいたします。
  115. 永末英一

    ○永末委員 長官、あなたが先ほどやや緩和したというところにこだわっているのじゃないのですよ。われわれは、沖縄の問題に関する日米両国の認識というのは、この共同声明以外にひっかけるものがないわけである。特に極東の緊張等についてその判断をする窓口は私は防衛庁だろうと思う。そこで、共同声明を防衛庁が受けて沖縄問題を考えるにあたって、極東の緊張に対する判断がアメリカと食い違った場合、われわれのほうは緩和したと判断した場合は、あなたは総理に言って、ともかくアメリカ大統領がこう言っていることは、わが国の判断からすれば、すでに沖縄施政権が返還されてもいいように極東の緊張は緩和したと判断するからやれ、こういうようなことは、この共同声明の中に余地があるとわれわれは思います。あなたはどう思うか、それを伺っている。
  116. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、そこまでまだ総理や外務大臣に向こうに交渉するようにと言う段階と認識しておりません。
  117. 永末英一

    ○永末委員 それでは長官、極東の緊張に対する判断あるいは脅威に対する判断は、あなたはその判断をする政府部内の責任者ですね。これをひと  つ伺っておきたい。
  118. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私が全体としての緩和というようなことをちょっと申し上げましたのは、やはり世界全体の緊張と脅威といったような問題から申したわけでございまして、何と申しましても、東西両陣営といえば米ソでございまするから、米ソの関係が緩和の状態に向かっていることは事実でございます。そういうようなわけで、全体としての第三次大戦なんということは考えられないというような意味において私は申し上げたわけでございまして、局地的の紛争というものはまだ依然として現在も存在しておりまするし、将来も在来兵器等による紛争ないし戦争あるいは侵略というものはあり得ると考えておる次第でございます。
  119. 永末英一

    ○永末委員 御答弁と私の質問とがちょっと違うのですよ。私は、政府の中には外務大臣もおられる、しかし防衛庁長官としては、極東における緊張とか脅威とかいう問題については防衛庁として判断をする、その判断をする政府部内におけるやはり責任の一半をあなたはになっておられるのですねと聞いている。簡単にお答え願えばいい。
  120. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 になっております。
  121. 永末英一

    ○永末委員 緊張とか脅威という場合に、相手国があるわけでございますが、過般の予算委員会であなたに私が質問したときに、対象国なんということばは使ってない、こういう御答弁があった。昭和四十年四月七日、予算委員会でつくられました防衛図上研究問題等に関する予算小委員会で、その当時の防衛庁長官小泉さんは次のように言っておるわけです。「前にも申し上げましたとおり、対象国とすることが適当であって、仮想敵国というようなことばを使ったことは適当ではない」、仮想敵国ということばは使わないが、それは対象国ということばでやっておるのだということをそのときの防衛庁長官が言っておる。防衛庁は方針を変更されたか、伺いたい。
  122. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 永末委員から御質問を受けたかどうか、その点は予算委員会のことははっきりいたしておりませんが、私は仮想敵国ということはもちろん考えたこともないし、また、そういう用語を使うこともございませんということは、まずもって第一に明確にしておきます。  第二に、対象国ということばも私は使いませんということを言っておる。私とは、増田防衛庁長官です。  そこで、前に、ある草案ではございまするが、研究等の際に、対象国ということばを使った事実がございまして、恵庭判決の田中証言の中にも、対象国ということばがございます。そこで、対象国ということばはよくないじゃないかということを衆議院の予算委員会でしばしば私は申しました。と申しますのは、自衛隊侵略を阻止しあるいは排除する対象というものは、国に限らないのでございます。お笑いになるかもしれませんが、海賊もある。交戦団体もある。また、オーソリティーもあります。北ベトナムのごときはオーソリティーといっているのでございまするし、またイースト・ジャーマニーもオーソリティー、ノースコリアもオーソリティーといっておるので、だれも自由陣営のほうではステートとはいっておりません。それから北ベトナムのほうは、おそらく南ベトナムをオーソリティーといっておるでしょう。それから最後にステートがある。つまり四つ、侵略があるかもしれないというものがあり得るのです。現にレシフェの沖でポルトガルの海賊が船をとって、カリビアン海域で奪回したという、戦争類似の大事件もあります。人も相当死んでおります。だから、これもアグレッションなんだ、だからアグレッサーということばを使えということを言い出したのはつい一週門前でありますが、その一週間前の二カ月前に、侵略国という字はよくない、侵略者ということばを使え、たとえば図上演習にしても何にしても、侵略者には四つのグループが考えられる、第一には海賊であり、第二には交戦団体であり――戦時国際法上認められた交戦団体です。第三にはオーソリティーであり、第四にはステートである、だから、君らが対象国対象国と言ったってだめじゃないかということを私は幕僚にも強く申しつけてございまして、自今――と申しましても二カ月面からでございますが、使っておりません。使わせません。
  123. 永末英一

    ○永末委員 確認しておきます。従来防衛庁としては対象国ということばを使った。しかし、増田防衛庁長官の時代に入って、しばらくたってからでございますが、自今対象国ということばは使わない、侵略者ということばを使う、こういうことですね。
  124. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 さようでございます。
  125. 永末英一

    ○永末委員 その点は解明いたされました。  そこで、先ほど防衛庁長官は、同僚議員の質問に答えて、日の丸の旗を立てた沖縄船舶は、防衛庁としては守ることができない、こういうことをこの席上で言われました。これは間違いないと思うのです。ところが、予算委員会のときに私は総理に質問いたしましたところ、総理は、日の丸の旗を掲げた沖縄船舶がよそのものから攻撃を受けたときには、守れと命令する、こう言われた。これは速記録に明らかである。日本の国の自衛隊の最高指揮権者は総理大臣、その総理大臣が守れと命令をすると言われた。それを受けて自衛隊を動かしていく防衛庁長官は、日本自衛隊では守ることができない、こう言われた。そうしますと、これは一体どういうことになりますか、命令違反ですか、お答え願いたい。
  126. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 総理大臣はその翌日また取り消しておるということも永末君において御記憶願いたいと思います。
  127. 永末英一

    ○永末委員 総理大臣が取り消したというぐあいに新聞に報道されましたので、速記録をたんねんに調べてみました。ところが、沖縄の日の丸を掲げた船舶のみの問題ではなくて、その他にいろいろなものがついておって、そういうものに対して自衛隊を出動させるのかということについて、総理大臣は、きのうは自分の気持ちを言うたのであって、すぐに自衛隊を出動させる気持ちがないような気持ちであることはおわかり願いたい、こういう気持ちの問題になったわけですね。しかし、あれで取り消したことになりますかね。やはり一たんあの時点で問題が起こったら、総理大臣は、守れと言うたに違いない。命令すると言うたのですから……。どうですか。
  128. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは総理大臣が来ないとほんとうはわからないのですが、翌日の総理大臣は、感情的には、日の丸の国旗をつけた琉球の船は守りたいのだ、しかしながら、憲法上守り得ないことを遺憾とする、こういうことばで、明瞭に取り消すということばではございませんが、やはり日本語の文脈から申してこれは取り消しに該当します。
  129. 永末英一

    ○永末委員 それでは実態的に伺いますが、わが国の航空自衛隊の警戒担当区域は、南のほうはどこまで入っておるか、お答え願いたい。
  130. 島田豊

    島田(豊)政府委員 鹿児島県まででございます。要するに、沖縄はわが領土ですでにございませんので、航空警戒区域というのは、奄美群島と申しますか、やはり鹿児島県までと思います。
  131. 永末英一

    ○永末委員 警戒担当区域は、地図の上に線を引っぱってあると思います。そうですね。
  132. 島田豊

    島田(豊)政府委員 線を引っぱってあると思いますが、要するに、わが領土、領空、領海の上空だけでございませんで、その周辺海域の上空というものが警戒の対象になりますので、それは一応幕僚監部の所有しておりますものの中には線が引っぱってあると思います。
  133. 永末英一

    ○永末委員 線を引っぱってありますよ。線が引っぱってないと区域なんということばは使えないのだし、そこで伺いたいのは、あなたがいま言われた周辺区域、周辺海域も入る、すると南のほうは何度まで引っぱってあるか、お答え願いたい。
  134. 島田豊

    島田(豊)政府委員 具体的に東経何度まで引っぱってあるかどうか、私は現在資料を持っておりませんが、理論的には先ほど申しましたようなことでございます。
  135. 永末英一

    ○永末委員 日本の本土方面における警戒祖当区域も公海が入っておるわけである。当然のことですよ。だから、南のほうも公海が入っておるのは当然ですし、いま資料をお持ち合わせがなければ、資料の提出を求めます。あとでいいです。  それでは、これにつけ加えて伺いたいのは、わが国の要撃戦闘機104は、発進して最大限何マイル防衛能力がありますか。
  136. 島田豊

    島田(豊)政府委員 いま数字を持っておりませんけれども、これは要するに、航空機の場合に行動半径がどのくらいあるかということは一がいに言えないわけでございまして、それがどの程度の武装をし、また燃料をどの程度持っておるかということによって距離が非常に違ってくるわけでございます。104の場合に、最もいい条件のもとにおいて航続できる距離というものは約千九百キロ程度と思いますけれども、それに武装をいたしまして、増槽タンクを二つ程度つけました場合、もう少し具体的に申し上げませんと誤解を招くかと思いますけれども、その場合には行動半径というものは三分の一程度に減少するというふうに考えております。
  137. 永末英一

    ○永末委員 わが国の中で一番南にある104の基地はどこですか。
  138. 島田豊

    島田(豊)政府委員 宮崎県にあります新田原の基地でございます。
  139. 永末英一

    ○永末委員 新田原の基地から南へ直線で飛んでどこまで行けますか。いまのように考えられる有効な防備行動半径。
  140. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ちょっと地図がないとわかりませんが、当然沖縄の先まで行けるわけでございます。
  141. 永末英一

    ○永末委員 いま行動能力としては沖縄もカバーできる、こういうことですが、沖縄の那覇におきまする地域防空戦闘指揮所、これはアメリカ軍のものでございますが、その指揮所がカバーしておる範囲は、わが本土の中でどこまでいっていると判断しておられるか、伺いたい。
  142. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ちょっとわかりません。
  143. 永末英一

    ○永末委員 知らない。防衛庁長官、最初私が伺ったのは、やはり極東の緊張とか脅威とかということについて判断する責任を政府部内であなたが持っておられる。外務大臣もあるかもしれませんが……。あなたの一番信頼しておる防衛局長は、アメリカ側の――実際ベトナムで戦闘しておる。したがって、那覇にあるADCCというのは、絶えず戦時中の観念で警戒しておるはずだと私は思うのです。一体わが国のほうに向けてどの程度の警戒範囲をカバーしておるのか、それを知らないと言うのですが、そんなことで防衛庁はいいのでしょうか。
  144. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 当然知っているべきだと思いますけれども、詳しくは幕僚監部が一番よく知っておりますが、幕僚監部はここに出ることはできませんし、また勉強してお答えいたします。  しかし、この際永末さんに御認識願わなければならぬのは、横田や厚木に米軍の空軍基地がございまして、それが日本を守っておるのでございますから、向こうからこっちへ来なくても、日本を守ってもらえることはだいじょうぶでございます。
  145. 永末英一

    ○永末委員 そんなことを聞いているのではないのです。重大な問題であって、そういうことについて制服の方だけが知っておって、内局の方は知らぬということで、一体防備計画なんて立つのですか。(石橋委員「いまの答弁を取り消せ」と呼ぶ)答弁できるから出さない、そういうことになっておるのです。防衛庁長官をはじめとして内局で全部答弁できまずから、出さないという。先ほどのこの委員会の前の理事会でもそのことが問題になったが、十分答弁いたしますという。ところが、あなたのお答えでは、制服は知っているかもしれぬが、内局は知らない、これではいけません。全部知ってもらっているというので私ども質問しておるのですから、いま石橋君のことばもございましたが、いまのところもう一ぺんお答え願いたい。
  146. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、シビリアン・コントロールのたてまえで、ユニホームがやたらに国会に出てくるのはよくないと思います。これからも出しません。
  147. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁長官、それならあなたのほうでお答え順いたい。重要な問題です。
  148. 島田豊

    島田(豊)政府委員 御承知のとおり、レーダーの能力によりますけれども、明確な境界ははっきりいたしませんが、一応春日にありますADCCと那覇にありますところのADCC、それの中門くらいところというふうに考えております。
  149. 永末英一

    ○永末委員 那覇におけるADCCはわが木上内もカバーしておるですね。
  150. 島田豊

    島田(豊)政府委員 そうでございます。
  151. 永末英一

    ○永末委員 那覇における地域防空戦闘指揮所は、府中にあります防空戦闘指揮所で統括されておる、これがアメリカ軍の指揮系統である。そうですね。
  152. 島田豊

    島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  153. 永末英一

    ○永末委員 この府中にございます、略語で言いますとCOC、このCOCは、防衛庁でつくられた映画によっても明らかなとおり、わが航空自衛隊の者とアメリカ空軍の者とが一緒にすわって情報をキャッチしておる。そうですね。
  154. 島田豊

    島田(豊)政府委員 そのとおりであります。
  155. 永末英一

    ○永末委員 そういたしますと、日本の航空自衛隊の行動能力は沖縄に及ぶ、それから那覇にありますアメリカ軍の警戒区域は本土に及ぶ、そうしてそれらを統括しておるところ、すなわち、日本の航空自衛隊も、あるいはまた、那覇を含めてのアメリカ空軍、この方面における最高の指揮所が府中にある、こういうことになりますと、結果的には、沖縄に対して日本の航空自衛隊もまた防衛し得る体制に現在なっておると私は思いますが、防衛庁長官、どうお考えになりますか。
  156. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 防衛し得る体制でございますけれども防衛しないのでございます。
  157. 永末英一

    ○永末委員 与論島と沖縄の一審北のところとは距離は幾らですか。
  158. 島田豊

    島田(豊)政府委員 約二十キロ程度と思います。
  159. 永末英一

    ○永末委員 そこで、先ほど質問いたしましたように、警戒区域というものが出てくればはっきりするのですが、防衛庁長官、実際上は、あなたは沖縄防衛しない防衛しないと言うけれども沖縄周辺の海域に出てくる正体不明の航空機、これに対しては、アメリカ空軍も、わが航空自衛隊も同様に対処していくわけなんです。これはあなたの頭の中では観念的に、沖縄は守らないのだと、こう言うかもしれないが、沖縄周辺の正体不明の航空機には対処せざるを得ない、そういう形になっておりますね。お答え願いたい。
  160. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 与論島と沖縄本島とは二十キロしか離れていないのですから、緊急発進というようなことはあり得ると思います。
  161. 永末英一

    ○永末委員 結果的にお認めになりました。それでは次に進みます。  先ほど防衛庁長官がお答えになりたさそうでございましたから御質問いたしますが、沖縄におきまする米軍の配備、その力、基地の数、そういうものをひとつお答え願いたい。
  162. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大体のことを私がお答えいたしまして、防衛局長に補足させます。  沖縄に駐留する米軍は、詳細のことは明瞭でございませんが、諸資料によりますと、兵力は四万五千人でございます。陸軍は、補給部隊のほか、ナイキハーキュリーズとホークを装備しておる部隊を配備いたしております。それから海軍は、艦隊の基地部隊、海軍のほうの航空部隊がございます。それからマリーンがある程度ございます。陸軍は第五空軍麾下の航空師団がございまして、戦闘機、偵察機が配備されております。それから、これはマクナマラがアメリカの議会において明瞭にしたところでございますが、地対地ミサイル、二千二百キロくらい行動半径のある核、非核両用のミサイルがあるようでございます。  詳細なことは防衛局長から補足させます。
  163. 永末英一

    ○永末委員 防衛局長がお答えになるのなら、その中で特に知りたいのは、沖縄における核基地、核装備、その現状を明らかにしていただきたい。
  164. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは米軍の編制、装備にわたることでありますので、私どもとして十分確認できない点もございます。いろんな資料に基づきまして一応申し上げますと、まず陸軍につきましては、太平洋司令部麾下の……。
  165. 永末英一

    ○永末委員 答弁中ですが、私が防衛局長にお願いしたのは核基地だけです。あとは要らないのです。
  166. 島田豊

    島田(豊)政府委員 核基地は、ただいま長官から申しましたミサイル、メースBの基地が、二個部隊ございますので、二カ所。それから、これはもちろん、現在それが核を装備しておるかどうかという点につきましては、われわれとしても確認の方法がございません。メースBというのが、一応核、非核両用ということになっておりますので、そういう意味で申し上げておるわけでございます。あとは、空軍のいわゆる防御兵器といたしましてナイキハーキュリーズ、これを二個大隊持っておるということになっておるわけでございます。これも現実に核を装備しているかどうかということについては、確認はできません。
  167. 永末英一

    ○永末委員 先ほど防衛庁長官は、陸と言うて空のことを言いましたが、いま防衛局長は、ハーキュリーズはどこの所属ですって。
  168. 島田豊

    島田(豊)政府委員 間違いました。陸軍でございます。
  169. 永末英一

    ○永末委員 そのほかに、航空機搭載用の核弾頭はありますか。
  170. 島田豊

    島田(豊)政府委員 核弾頭の有無につきましては、現在わかりません。
  171. 永末英一

    ○永末委員 メースBなるものは、先ほど防衛庁長官の御説明によりますと、二千二百キロぐらい射程があるというのですね。これは完全な攻撃兵器ですね。
  172. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ナイキハーキュリーズあるいはホーク、こういうものを防衛兵器というふうに考えますれば、やはり攻撃的兵器ということになると考えられます。
  173. 永末英一

    ○永末委員 沖縄の返還問題の中で、アメリカ側のいろいろな人の意見、その中に、沖縄がいま核の基地である、その核の基地を、もし日本施政権の返還があった場合には、いまの日本政府の考え方からすればちょっと認められない、それが一番困るのだ、こういうことをたびたび聞くのです。そこで私は特にこの核の問題について伺っておるのでありますが、メースBというような射程の短い、しかも相当旧式になっておる核兵器、これはアメリカ政府の中でも、これをどうかしようということが問題になっておると聞いておりますが、その辺のところをひとつわかっておればお伺いしたい。
  174. 島田豊

    島田(豊)政府委員 問題は、沖縄におきますメースBにつきましては、必ずしもこれが十分――ヴァルナーフルということばを使っておりますけれども、これがあるというふうにはアメリカも考えておらないようでございますけれども、しかしながら、一つの中間的な兵器といたしましてここ当分の間これを維持しようというのが米国の考え方のようでございます。
  175. 永末英一

    ○永末委員 ひとつ防衛庁長官の判断を伺いたいのです。これは、ミニットマンがまだアメリカが望むとおりの完成をしない前に沖縄に置かれたのである。その場合には、なるほど射程は短いけれども、私は、これはアジア大陸に届き得るミサイルだとしてここに配置したと思います。しかし、それ以後ミニットマンという大陸間弾導弾も発達をしてまいりました。それから特にこの西南太平洋海域にはポラリス潜水艦が配置されてまいった。そういうことを念頭に置いた場合、沖縄にこの種の古い型のミサイルを置いておるという戦略上の意義を防衛庁長官は一体どう判断されるか、伺いたい。
  176. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でして、永末君のほうで御研究があったら教えてもらいたいのですけれども、これは私が防衛庁に来てからではございませんが、防衛庁に来る前の研究では、タイタン、ミニットマンの開発が先である。つまり、ICBMができ、その後にIRBMができ、それから最後にMRBMができた。これはミーディアム・レインジ・パリスチック・ミサイルでありまして、MRBMが一審あとにできた。最も刺激を受けたのは、ロシアのICBMが一番先でございますが、これをすぐ、追いかけ追い越そうとしておるのが、数量ともにICBM、タイタンあるいはミニットマンである。それがあとのほうでできてきた。カバレージはなるほど狭いけれども、援護距離といいますか、それは二千二百キロでございまするから、やはりある程度効果はあるのじゃないかと思いますが、いまあなたのほうにお尋ねしたいわけであります。
  177. 永末英一

    ○永末委員 私が答える筋合いはございませんが、あなた御自身ちょっと違うんじゃないですか。タイタン時代には、なるほどアメリカもICBMをタイタンによってつくろうといたしました。しかし、ミニットマンという、同型燃料によるICBMに主力を注ぐに上至ったのは、メースBよりもあとですよ。タイタンでは間に合わないというような配慮が、最初に沖縄にメースを配置せしめたアメリカの意図であったろうと私は思います。そこで、それ以後も、いま申しましたように――ソ連のことはどうでもいいのです。ミニットマンの展開がいわばアメリカの所期するように完成したし、しかもポラリス潜水艦の配置が行なわれたというときに、一体この種の中距離ミサイルというものの戦略的な意味というものは、あなたは、まだカバーできる、意味があるとこうおっしゃるけれども、当初設置したときよりは意味が変わっていると思う。この点については、マクナマラがことしアメリカで言うているでしょう。その辺を考慮しつつもう一ぺんお答え願いたい。
  178. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ポラリスというのが一審新しいことは、御指摘のとおりでございます。でございますから、沖縄基地としての効用というものはだんだんニュアンスが変わってきておりますということだけは、この沖縄問題特別委員会において特に申し上げたいと思っております。しかしながら、いまアメリカのことを一々そんたくはできませんが、私の想像では、メースBのカバレージというものがヴァルナーブルがあるかどうかわかりませんが、ある程度の援護範囲というものはあるのではないか、しかも、アメリカは絶対に積極的に攻撃するわけじゃございませんから、侵略に対する防御としてメースBが初めて働くわけでありますから、まだある程度効用は米軍が認めておるというふうに私は想像をいたしております。
  179. 永末英一

    ○永末委員 防衛局長、メースBは生産しておりますか。
  180. 島田豊

    島田(豊)政府委員 現在生産しているかどうか承知しておりませんが、おそらく生産は中止しておるというふうに聞いております。
  181. 永末英一

    ○永末委員 そういうことはちゃんと調べてくださいよ。アメリカのほうは、核戦略を展開するについて、不必要なものはどんどんやめてしまっているわけだ。わが国の防衛庁は、アメリカの核戦略を見る場合に、一体、彼らは何を不必要としているのか、何を必要としておるか、必要としておるならば、必要としておるものによってアメリカ戦略は変わってきているわけだ、それをぴしゃっとにらんでいただかなければ、安心してあなた方に防衛をまかせるわけにいかぬじゃないですか。  そこで、防衛庁長官アメリカもおそらくある程度メースBの効用を認めておるだろうと言われた。そうかもしれません。しかし、沖縄からすれば、相手国の国土に届く、しかもあなたのことばをかりても、インヴァルナーブルではない、こういうことになりますと、逆に沖縄の人々は、そのメース基地を持っておることが非常な脅威になる、ねらわれる、こういう気持ちを抱くでしょうね。そこで、あなたは日本防衛庁長官として、アメリカ戦略方針に注文をつける立場ではございませんが、極東の緊張という観点からした場合に、古くさくなってものを置く必要はないじゃないかということは、日本政府一つの考えの中にのぼってきていい問題ではないかと思います。あなたはどうお考えになりますか。
  182. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 生産しなくなったということは、たとえばホークにしてもハーキュリーズにしてもあるわけでございまして、生産しなくなっても、ある程度の存在によって抑止力があると私は考えております。そこでメースBはある程度抑止力がある。ただし、沖縄県民から見れば、ここに何かあるものだから、ねらわれたら困るといったような感情もございましょう。爆撃機も長距離爆撃機を備え得るわけでございまして、琉球におきましては、その長距離爆撃機には核も運搬し得る。やはりこういうものが備え得て初めてアメリカ軍としては、その脅威を取り除いて、極東並びにアジアの安全と平和を保つんだ、こういうっもりがあると私は思っておりますから、いまのところ、防衛庁が、これは必要だけれども、これはやめたまえよというところまではまだいっていないと思います。
  183. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁当局は、先ほどあなたの形式的な見解では、沖縄は守りたいけれども、いまの憲法構造上、あるいはアメリカとの法律関係上守れないのは遺憾だ――遺憾と言われたかどうか知りませんが、気持ちは遺憾ということが含まれておったと思うのです。そういうお気持ちがある。だとするならば、やはり何とかして沖縄住民の安全を守りたいというのが佐藤政府の意思でなくてはならぬ。とするならば、不必要な武器をアメリカ沖縄に置いておるということについては、日本政府として発言していい問題ではないか。沖縄住民の命に関する問題だから、それはもう施政権があっちにあるのだからアメリカの自由判断でよいという問題ではない。したがって、このアメリカの西南太平洋方面における核戦略の展開をあなたがにらんでおられて、沖縄になおかつこの種の攻撃兵器を置く必要がまだ今後もあるとお考えか、それによって沖縄住民が不安を感じておるとするならば、防衛庁はこれを除こうという意思が一体ないのかどうか、この二点をもう一ぺん伺いたい。
  184. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は永末君に聞かれる前にポラリスのことまでも申し上げておるのですが、ポラリスというものが東洋に存在しているのは事実のようであります。しかし、ポラリスを保持し、これを遊よくせしめるということは、これはなかなかたいへんなものらしゅうございます。そこで、メースBが現在のところある程度の抑止力を発揮しておる、そのカバレージが二千二百キロであるというならば、その範囲のものは、もし攻撃を加えんとする侵略者があるとしましても、侵略の意図を抑止できるという意味で、永末君は、必ず沖縄が迷惑をこうむる、沖縄が迷惑をこうむるということをおっしゃっておられますが、沖縄、フィリピンも台湾日本全体も、これである程度の安心感があるとするならば、ある程度はがまんしてもらわなければならぬ。しかし、根本的前提としては、私は、沖縄の立法、司法、行政権が早く日本に返ることを最も望ましとします。  それから、費用が多少かかってもポラリスというほうへだんだん移行してきておるのですから、そちらのほうへ行ったらいいじゃないかとまでも私は先ほどから申し上げておるのですから、私の意図をぜひとも永末君はおくみ取りくださるようお願いいたします。
  185. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁長官日本防衛の責任者に私は言っておるのであって、核戦略というものは、一体相手方の何をたたくかという場合に、一つには、相手方のミサイル基地をたたくという方針があるわけです。いや、それよりも都市をたたくんだということで戦略をかまえている国もございます。したがって、あなたが侵略者と考えておられるような国のミサイルというものは、のべつまくなしに私は東京の空とか大阪の空に降ってくるものではないと思う。やはり一つには、もし相対峙しているとするならば、沖縄の相手方と思われる国からは、その沖縄の核基地というものは一つの問題点だと思う。その意味合いで申し上げておるのです。この点はおわかりでしょうね。したがって、それが設置されたときからそういう核戦略の変化があるということは、これは事実としてあなたはお認めになった。だとするならば、こういう基地の撤去というものについて日本政府は発言していくのが順序ではないかと思いますが、お答え願いたい。
  186. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 永末君にお答えいたしますが、いま核のことは日本防衛庁といたしましてはまだ聞くほうが多いのでございまして、こちらのほうから注文をつけて、お前のやっているものはこうやったらこういくのだという世話をやくところまで行っていないのでございます。でございますから、ある程度確信がつけば――私は永末さんと同意見でございます。これはアウト・オブ・デートで、こんなものはやめてしまって、沖縄県民のほうが不安を感じないようなほかの方法でやったらどうかと言える段階も私はくるのではないかと思っております。
  187. 永末英一

    ○永末委員 なかなか前進的なお答えをいただいてけっこうでございます。  第三次防でわが国の防衛庁はナイキハーキュリーズに通常弾頭をつけて対空防備に万全を期し得る、こういうお考えだということを過般の予算委員会で承りました。沖縄のナイキハーキュリーズは核弾頭をつけております。わが日本国政府が通常弾頭で防空能力に万全を期し得るのに、なぜアメリカは核弾頭をつけておるのでしょうか、ちょっとそれをお答え願いたい。
  188. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は永末君にこの前もお答えしましたが、突然に一五か三〇かと言われて困ってしまったのですが、その一五から三〇の範囲内ということもあなたも御存じなんで、向こうの攻撃兵器を要撃する能力というものは三〇以内であることは明瞭でございます。そこで、沖縄のほうでやっていらっしゃるアメリカは、核弾頭をつけることによってそれよりもパーセンテージを高くするという自信のもとにやっておるのではないでしょうかということが、私のお答えでございます。
  189. 永末英一

    ○永末委員 私がこれを聞いておりますのは、当初申しましたように、核兵器に問題があるとするならば、日本政府としては、メースBというものの戦術的な効果というものをやはり判定する必要がある。そうしてアメリカ施政権返還を交渉するならば、われわれはこう思うんだということをやはり内容に入れて言わなければ私はいけないと思う。同時に、ナイキハーキュリーズについては、なるほど沖縄のような海のまん中にある島、そういうところで使われるもの、そうして核弾頭をつけましても、それが爆発した場合にその真下ではあまり影響がないところでアメリカは使いたいでしょう。しかし、そのナイキハーキュリーズに核弾頭をつけておるという事実、これを日本政府は一〇〇%のみ込んでそうして施政権返還を進めようとすると、これがやはりネックになるわけですね。したがって、あなたが、日本国におけるナイキハーキュリーズは通常弾頭でもいける――なるほど、おことばの中に、パーセンテージが上がるかもしれないというようなおことばがありましたが、アメリカも、わが国に施政権を返還する熱意があるならば、沖縄防衛は核弾頭なしのハーキュリーズでもやろう、こういうことを考えてもらっていいのではないかと私は思うのです。そういう進め方、施政権返還について核基地というものが問題になるならば、防衛庁はナイキハーキュリーズについても沖縄におけるそういう考え方をまとめて政府の案とする、こういう御意思はございませんか。
  190. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 日本のナイキハーキュリーズ――これは対話で言ってほしいと思いますが、これを核兵器をつけられないような核弾頭に初めから製造します。それからランチャーにしてもブースターにしても、そういうようなものにいたします。というのは、日本政府は、核兵器を製造せず、持ち込ませず、保有せずという方針を岸内閣以来ずっととっておりますから、ただ、短距離の核兵器くらいは憲法上持ち得るのではないかという説はずっとございます。しかし、行政府の方針として、持たないということを言っておりますから、われわれはこの方針を体しまして、そうしてナイキハーキュリーズは、あるいは核をつけたほうが有効かもしれませんが、絶対につけないんだ。第一、初めから画こうで製造はあなたの言うようにいたしておりません。だから、ライセンスなりノーハウというものを買ってきて日本で製造するわけでございますから、製造するときから、核弾頭をつけ得ないような弾頭にいたしますし、それから発射装置もそういうふうにいたすわけでございますが、これはわれわれの行政府の方針でやっておるわけでございまして、もしほんとうに防御する手段としたならば、沖縄でやっておるのはやはりアメリカ軍としてはやむを得ないとおっしゃるのではないでしょうか。日本もこうやっているから向こうもやれといっては逆の論理になってしまいまして、そこまでは言いかねる。だから、沖縄基地に使わないでも、ほかの、東洋全体の、ことに極東全体の平和と安全を守り得る方法があるならば、そこを考えてくれぬかという時期にだんだん時間とともになるべきではないか。沖縄基地としての効用の度合いはだんだん変化しつつあるというのが私の考えでございます。また防衛庁内局等の考えもそうでございますということをこの際申し上げておきます。  ただ、これを無用であるからやめておいてどうこうと言われますと、少しあなたの御質問にならないことまでお答えすることになるかもしれませんが、たとえばポラリスなんかが日本に入ってくるということは、絶対にわれわれは政府の方針として許さないわけでございますから、そこで補給をしたいというときに、どこもここもなくて、グァム島しかないということになるとやはり困るから、沖縄あたりへ行って補給したいということもあるんじゃございませんでしょうかね。そこのところを、もう沖縄はやめてしまって、こっちできめてこうやればいいという解決方法をあなたが示してくださったならば、沖縄問題解決上非常に有益であると私は考えております。いずれにしても、私は、沖縄は早く返還してもらいたいという、防衛庁長官ではございまするが、国民の一人といたしまして、また国会議員といたしまして、そういう考えを持っておるわけでございます。
  191. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁長官が、国民の一人、あるいは政府の責任者としても、沖縄早期返還が望ましい、こうお考えになっておられるなら、その防衛庁長官の職責上――やはり一番ネックになるのが核基地である。施政権返還があった場合に、アメリカが心配しておるのは、私の聞いたところでは、二、三の人でございますけれども、核基地を、いまの安保条約第六条、それに付属したもの、これにひっかけてくると、日本政府の行政上の方針が、持たさないのだ、だから困るのだということを聞きました。だといたしますと、あなたの職責上、日本政府が、沖縄における核というものはこういう意味ではないかということをアメリカに説得して、その核基地をやめさせれば、私は施政権早期返還一つのネックがなくなると思う。このことを日本政府の中でやり得るのはあなただけじゃないですか。ほかの人はやれないでしょう。あなたが、先ほど言いましたように、極東における脅威、緊張の問題で軍事的には判断をされる責任者だと私は思う。その意味では、やはり日本政府の中では沖縄における核基地の意義、そしてその意義がいまや戦略とともに変わってきたのなら、変わってきて意義が薄くなった、だからその核基地をやめなさい、やめれば早期返還のネックは取り除かれる、こういうことが私は考えられる。そういうお考えはございませんか、伺いたい。
  192. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 防衛庁長官がたいへん何でもできるような御質問でございますが、これはむしろ総理段階で、最初申し上げましたとおり、全般のことを考究して、ジョンソン大統領とでも会ったときに解決する、また交渉すべき問題だと思います。そこで、外務大臣段階でもほんとうはちょっと無理じゃないか。ただし、基地の問題につきましては、われわれもいま勉強最中でございまして、基地の効用というものはだんだんニュアンスが変わってきたことは認めます。けれども、いますぐ撤廃でどうこうということまで言えるかどうかということは、私が言ったようになっていますけれども、私はそこまで言っておりませんから……。基地の効用はある程度存在しておるのであるということは、やはり効用の程度はだんだん下がってきておりまするが、必要だということを向こうさまがおっしゃって、こっちは必要でないと向こうに申しても、先ほど帆足さんのお話で、まだ占領時代の残滓が残っておりはせぬかというお話でございますが、これは帆足さんにお答えする意味もありますけれども、全くパートナーと同様でございまして、対等の立場で話し合いをいたしております。しかし、対話をする上においても、こちらがあまり経験もたんとないのに、お前のところ、そこは要らないから、あっちに行け、こっちに返せという段階まですぐくるかどうかは疑問ではないか。正直なところを私は申しますが……。そこで、やはりジョンソンに総理が近く会われるでしょうから、それはそのときに交渉題目として、何としても、それは基地も大切かもしれませんが、九十六万の日本人が、国籍は日本国籍であるけれども、あとの扱いはさっぱりわからないといったような、こういう状態は何とか早く解決したいということが、全日本人の共通の感情である、私はこう考えておる次第でございます。
  193. 永末英一

    ○永末委員 時間がなくなりまして、私は実は施政権返還の暁に――安保条約の第六条交換公文に関する核兵器の問題をいま扱ったわけですが、もう一つは、直接戦闘区域に出動するということでいま沖縄が使われておりますけれども、これはベトナム戦争の終結とともに沖縄基地のその点に関する意味合いは一変すると考えます。そういうところを実はきょうもう少し詰めたかったのでありますが、この核基地の問題については、いまあなたがおっしゃたように、アメリカ国大統領と日本国総理大臣との非常に高度の政治折衝の問題だと私は思います。いずれこの委員会に総理に来ていただきたいと思いますが、ぜひ防衛庁長官としては、いま私が申し上げたような核基地意味合いを日本政府の見解として十分調べ上げられて、そしてこれはネックなんだから、総理大臣に十分その事情を説明して、アメリカ大統領との折衝に資する、こういう御準備をお願いして、質問を終わります。
  194. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡委員長代理 永末さんの先ほどの資料要求につきましては、理事会で協議することといたしますので、御了承を願いたいと思います。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十五分散会