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1967-06-30 第55回国会 衆議院 運輸委員会産業公害対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 久保 三郎君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       板川 正吾君    小川 三男君       神門至馬夫君    内藤 良平君       野間千代三君    米田 東吾君       山下 榮二君    松本 忠助君   産業公害対策特別委員会    委員長 八木 一男君    理事 小山 省二君 理事 和爾俊二郎君    理事 板川 正吾君 理事 島本 虎三君    理事 折小野良一君       伊藤宗一郎君    塩川正十郎君       砂田 重民君    葉梨 信行君       加藤 万吉君    吉田 之久君       岡本 富夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部長      財満  功君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   佐藤  恵君         自治省税務局市         町村税課長   山下  稔君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律案内閣提出第一二三  号)      ————◇—————   〔内藤運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより運輸委員会産業公害対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
  3. 内藤隆

    内藤委員長 本案についての趣旨説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承を願うこととし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  4. 島本虎三

    島本委員 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案、この説明書を見たわけでございます。私ども航空機による騒音、その被害という点、公害対策の点から、これはまことに重要なものがある、このように考えている次第でございます。したがって私は、人が不快を感じ、情緒的、身体的に何らかの障害が起こる、この音がすなわち公害の根源である、こう考えているのです。これを物理的に表現すると、高周波音で六十ホン以上の音圧レベルの音波、こういうようなことに相なろうかと思うのです。したがいまして私は空港軍事基地から飛び立つジェット機、こういうようなものによる被害は明らかに百ホン以上のものがある、こういうように考えられるわけでございまして、日本ではすぐ騒音公害化するということは、これは空港軍事基地都市中央部、いわば都心部に位置するということと、面積が狭くて住む人々に影響を与える、このためである、こういうように思っているわけであります。したがって私がいま聞きたいのは、この騒音対策騒音源と人間との関係、こういう見地から、騒音をコントロールする都市計画も、今後これは各省十分連絡の上で立てるのでなければ、騒音による公害は永久にこれから絶え間がないような状態になるのではないかと思うわけです。したがって、いま説明のありました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案、これ一本だけで済む問題ではない。今後は都市計画の問題にも関連して、そしてその騒音のコントロールという点も考えて、これはおそらくは今後の都市計画の中に重要部門を占めるのでなければならないと考えているのです。したがって私は、その一環である、こういうように考えているのですが、大臣はこの法律案を出しただけでよろしいとお考えでしょうか、まずこの見解を承っておきたいと思います。
  5. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この法案は、特に飛行場周辺騒音地帯対策として出したものでございます。しかしこれは一定の騒音地帯の中にある特定の営造物に対する防音工事という面が一つであります。一般建築物に対する防音工事という点までいっておりません。それらの点になりますと、できるだけ飛行場周辺から遠ざけていただく以外にはないわけでございますが、それはいわゆる都市計画範囲になるものが相当な部分を占めると思うのでございます。こういう意味におきまして、ただいま先生の言われました都市計画重要性ということは、公害対策の上からも考えなければならぬ事柄でございますが、私どもは今後ともそうした関連の施策についても、各関係省連絡をとりまして施策を進めてもらうようにすべきものであろうと考えております。
  6. 島本虎三

    島本委員 ただいま答弁があったわけですけれども航空機の場合には、これから一そう産業や文化の発展に伴って、それが発達してくる種類のこれは機関なんです。それは軍用であろうと、また普通の民間のものであるとを問わず、これは発達する可能性無限大にあるものなんです。したがってこれは現在あるものだけを標準にして、それによって計画を立て、騒音による公害を防止しても、それで足れりとするものにはならないと思うのです。これは今後、次から次と発展してくる可能性があると思う。したがって私はいまの答弁だけでは満足できません。したがって、次の質問をしてみたいと思う。  それは騒音の成分と、その大きさとの研究も必要だと思っている。と申しますのは、騒音公害、こういうことばが出ておりますけれども、この騒音に対しての性質、それと持続時間、それと発生時間、騒音の持つ特異の性質、その騒音の経験の有無、こういうようなことから総合的に結論を出す必要が当然あるわけなんです。これは大臣も御存じのように、航空騒音はすでに公害として扱われるような段階にきておるのです。したがってこれは、技術的考慮も十分にされなければならないはずなんです。ただそういうような場合には補償に応じますというだけでは、解決にならない。それと同時に、都市計画考えることとあわして技術的考慮もしなければ、もう対策にはならないと思うのです。これを考えておられましょうかということなんですが、いかがでしょうか。
  7. 澤雄次

    澤政府委員 先生指摘のように、まず発生源でございますが、ジェット機の音の発生源二つございまして、前のエンジンコンプレッサーあるいは空気を吸い込みますところのファンから前方に押し出される音と、それから圧縮されまして燃焼したガスが空気と混流してうしろへ吹き出す音、この二つでございますが、主としてその吹き出す音によって、先生のおっしゃいましたように、非常に高周波の高い音が出てまいるわけでございます。日本エンジン製造国ではございませんが、エンジン製造国と常に連携をとって航空宇宙研究所その他で研究もいたしておりますが、今後出てまいります飛行機につきましてはエンジンコンプレッサーの前についておりますファンでいわゆるエンジンルームの中に入れないで空気のまま直接うしろへ持ってきまして、そして吹き出すという度合いを非常に強くすることを、アメリカの航空局でも航空機製造会社のほうに要請いたしておりまして、それで今度出てまいります747、あるいはアメリカ目下開発途上にございますSSTなどの音も、でき得るならば現在のDC8型をこえないように、こういう要請がございまして、目下メーカーのほうではその線に沿ってエンジン開発を行なっているわけでございます。しかし何と申しましても、騒音そのものをなくすということはもう不可能なことでございまして、この法律は、出てきました騒音に対していろいろな工事あるいは移転補償する、あるいは航行の方法を規制するというようなことで、でき得る限り軽減をするということが目的法律でございますが、これだけでは確かに先生のおっしゃいましたように、ごく一部のものをカバーする、一部のものを軽減するというだけでございまして、われわれといたしましてもこれだけで十分に騒音対策はとれたなどとは考えておりません。それで新しく空港をつくります場合には、先生指摘のような点も考慮に入れまして、関係各省、建設省その他と十分に連絡をとりまして、新しい都市計画その他も騒音の点も考慮に入れて検討をいたしているわけでございます。ただ従来からございます東京大阪の両空港につきましては、いまから都市計画をつくるということも非常に困難でございますが、特に大阪方面におきましては、もし住居を立ちのくという人があればそのあと公園にするというようなことで、運輸省とあの伊丹周辺の市町村とでいろいろ打ち合わせをいたしておりまして、実際一部立ちのきの住居あと公園にするという計画も、ごく小範囲でございますが、具体的に進めつつあるわけでございます。
  8. 島本虎三

    島本委員 空港居住地の配置が問題であるのは当然でございまして、ただいまいろいろ申されましたように、技術的な騒音源ないしは伝播過程の遮蔽、これも今後考えなければならない、これまた当然なんです。それはそれでいいとして、自衛隊ではこういうようなものを考えて大体航空基地に対しての使用機といいますか、いろいろ機がありますけれども、これを飛ばしていますかどうか。自衛隊関係の人おりますれば御答弁を願います。
  9. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 御承知のとおり、ジェット機をやるということは、米軍基地の場合と自衛隊基地の場合と両方ございますが、特に自衛隊の場合におきましては、夜間の訓練をなるべく少なくするというようなことで、極力周辺騒音障害のないようにつとめておりますが、何ぶん軍事目的のために自己規制というものはおのずから限界がございまして、完全にそういう規制をするということにはまいらぬわけであります。また米駐留軍の場合には、安保条約並びにそれに伴う地位協定の実施に伴いまして、米軍ジェット機につきましてはほとんど規制するわけにはまいらぬわけであります。ただ試運転をときどきやるわけでございますが、そういう際には米軍に申し入れまして、早朝あるいは寝静まるころの夜間といったときには極力そういった試運転はやめてもらいたいという申し入れをしております。
  10. 島本虎三

    島本委員 運輸大臣、そうするとアメリカ駐留軍関係飛行機並びに自衛隊の使用する飛行機の場合には、この法律適用は一切受けないようなことになるわけですか。
  11. 大橋武夫

    大橋国務大臣 東京羽田空港それから大阪空港、こういう国際空港におきましては、いかなる飛行機航行規制を受けることになります。
  12. 島本虎三

    島本委員 ただいま自衛隊のほうから、そういうようなことは自分らの力だけではどうにもならぬからいたし方がないという答弁があったのですが、この法律精神を結局自衛隊アメリカ駐留軍飛行機によって無視されるという結果になるのではないかということをおもんぱかって聞いたのですが、いまの答弁食い違いませんか、防衛庁
  13. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この法律によりまして一般飛行機と同様に規制されるということは、先ほど申しましたとおり自衛隊等の任務の遂行に支障を来たすことになりますので、自衛隊のほうにつきましては適用除外ということで予定しております。   〔「自衛隊には適用しないんですか。答弁は食い違いがある。」「大臣はすると言っている。」と呼ぶ者あり〕
  14. 澤雄次

    澤政府委員 大臣のおっしゃったとおりでございますが、この法律政令で指定する飛行場だけでございます。現在政令で指定する飛行場東京大阪の両空港に限定して考えております。それで、ここは公共用飛行場でありまして、ここに米軍練習機戦闘機というようなものは現実に入ってきておりません。ここを使用しております米軍飛行機は、よく問題になりましたMACチャーター機その他が大部分でありまして、これらの飛行機演習目的その他のものはないわけでございます。したがいまして、ここに入ってきております自衛隊あるいは米軍飛行機につきましても現在、たとえば夜の十一時から朝の六時まではジェット機東京空港におきまして陸地に向けて飛び立ってはいけない、こういう行政指導をいたしておりますが、米軍飛行機自衛隊飛行機もこれらの行政指導に従っております。今度はそれを法律の第三条で規定するわけでございますが、罰則その他の関係は、これは当然に適用になりません。米軍自衛隊等には適用になりませんが、その航行の指定には米軍機自衛隊機も同様に従う、こういうふうにわれわれは了承いたしております。
  15. 島本虎三

    島本委員 現在は、東京並び大阪以外の空港で共用しているものもたくさんあるわけです。たとえば北海道の千歳、こういうような方面は、自衛隊並びに米軍、このような飛行機であるならば、いかなる場所でいかなる騒音を出してもこれはかまわないのだ、こういうような考えをいま防衛庁のほうで持っておられるのですか。そうなると、わざわざこの法律を出した精神——自衛隊米軍だけは特別指定された以外は何をやってもいいという解釈になってしまう。この精神を、これはもう完全に冒涜する結果になるのじゃないかと思うのです。この点はどうなんですか。
  16. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、自衛隊といたしましては飛行コースあるいは夜間飛行、そういったものも極力規制するという方向でおりますが、何せスクランブルの場合はそういうわけにはまいりませんので、そういう場合には夜間、深夜も飛び立つということもあろうかと思います。
  17. 島本虎三

    島本委員 どうもはっきりせぬのです。そうしたら、共用している場所では、民間航空機の場合は規制されますから完全に守る、けれども自衛隊の場合は、整備のために早朝全部ジェット機なんかふかす、こうなると、国民にしてみれば、おそらく百や二百や三百ぐらいの問題じゃないでしょう。安眠を妨げられるし、子供は引きつけを起こす。こういうようなことでも、自衛隊の場合はかってにやってもいいんだ、こういうようなことになってしまって、おそらく規制する何ものもないじゃありませんか。そういうようなことをやられては困る。こういうような考え方から、いろいろと公害に対するそういう法律を出して、一つ騒音部門に対する準拠をつくったわけなんでしょう。そうでないとするならば、これはあえてこれ以上質問する必要もないのですけれども自衛隊米軍の場合は、全然そういうような点を考えないで、何でもやるのですか。
  18. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま先生試運転の例をあげて御質問でございましたけれども、私どものほうといたしましては、御承知のとおり、試運転の際相当の音響を発するわけでございますので、それを防止するために各飛行場におきまして可搬式あるいは固定式消音機を備えつけております。それを利用することによりまして、極力周辺騒音によるところの被害を軽減しようということでやっております。
  19. 島本虎三

    島本委員 消音機は何台あるのですか。
  20. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 手元資料がございませんけれども、従来は可搬式の、ポータブル消音機と申しますか、そういう消音機騒音被害を軽減する措置をとっておりましたけれども、それでは効果が薄いということで、最近は各基地消音施設を数千万円かけまして設けまして、それを利用するということにいたしております。
  21. 島本虎三

    島本委員 それはいまから五年ほど前に私は聞いています。ただ現在のその消音施設なり消音機なりが、現在の自衛隊または米軍の持っているもの、それと符合してちゃんとあるということであればいいのです。それが一基や二基備えつけてあっても、一ぺんにふかす場合には、これは何にもならないのです。そういうことをおもんぱかって、いま何基あるかということを聞いたのです。そういうふかす場合の実際の被害はいまもうないと考えていいのですか。これは重要ですから、私はあえて念のためにもう一回聞きます。
  22. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 消音機を使いまして完全に騒音が消えるというわけではございませんが、消音機を使うことによって三十ないし四十ホンの音響は下がるというデータは持ち合わせております。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 関連して。いまの消音装置ですが、それはどことどこにあるのですか。
  24. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 先ほど申しましたように、可搬式施設と両方ございますが、ロッキード104の基地には全部消音施設を備えております。設備をいたしております。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうすると、消音装置施設は違うのですか。
  26. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 先ほど申しましたように、二つありまして、可搬式の移動できる消音機と、それから建物のような施設になっている固定した消音施設と両方ございまして、効果の面といたしましては、後者の消音施設のほうがずっと大きいということでございます。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 事実上前者消音装置では、エンジンテスト消音はできないのではないですか。そこで、昭和四十三年度予算で、厚木横田基地に二基ですか、四基ですか、据えつけるという方向日米合同委員会、あるいは今度の四十三年度の予算に編成をするということをきめたのではないですか。いかがでしょう。
  28. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 現在横田には消音施設が入っているわけでございます。  それから、先ほど島本先生のおっしゃいました全国のジェット基地に幾らあるかという施設の数、あるいは可搬式消音機の数につきましては、ただいま手元資料がございませんが、後刻提出してもよろしゅうございます。
  29. 島本虎三

    島本委員 私は内閣委員ではございませんから、そういうようなことについて深く追及するのではなくて、提案された法律案について、この騒音公害を防止するための見地から聞いておるのであります。したがって、例を東京大阪にとるのではなくて、それ以外の千歳にとっているわけですけれども、そこにあると言うから、そのある消音機なり消音施設によって、ふかす音やその航空機によるところの被害はないものであるというふうに認めてもいいか悪いか聞いているのです。もしないとするならば、私は安心して帰って調査してみたいと思うのです。そういうものがあって、それで騒音は全然心配要りませんということになっているのですか。それを聞いているのです。
  30. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 先ほど申し上げましたとおり、騒音のホンを下げるという効果がございますが、ただいま先生の御質問のように、それをやることによって全然もう周囲には騒音被害はないのかという御質問になりますと、これはやはり完全には遮音効果はないわけでございます。ただ試運転する際にも極力音響が市街地に向かないように配慮を払っております。したがいまして、消音装置によっても完全に遮音はできないということでございますので、当局といたしましてはそれに対応しまして、学校教育施設等防音工事を施す、かような措置をとっておるわけでございます。
  31. 島本虎三

    島本委員 学校施設だけそれをやったって、まだ不完全なのですよ。ですからそういう部門に対して、いまこの法律案でいろいろと幅広く考慮して出してあるのです。防衛庁のほうで学校くらいのものしか考えないとすれば、まだこの法律より相当考え方がおくれていますよ。  私それで運輸大臣に伺いたいのですが、こういうように自衛隊基地民間基地とが一緒になっておるような併用飛行場の場合には、いま言ったように片方のほうはつけない。大臣のほうは、民間航空機の場合にはこのように完全にしてやっていこうとする、これは完全に一つのギャップができるのじゃないかと思います。そういうような場合には、公害に対するいろいろな配慮は十分考えておかないといけないと思うのですが、そういう心配はありませんか。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 先ほど政府委員から申し上げましたように、この法律をさしあたり適用いたしますのは、新東京国際空港とそれから羽田空港と伊丹空港、この三つ空港に限られるわけでございます。なぜそれを選んだかというと、これは民間飛行場の中でも特にジェット機の往来がひんぱんでございまして、現実騒音の問題が緊急に起こっておる、至急対策を要する、こういう意味でそういう飛行場を選んだわけでございまして、民間飛行場でございましても、その他の飛行場につきましても、一応これらの飛行場防音施策がある段階に達した後に、必要に応じて追加するということに考えております。
  33. 島本虎三

    島本委員 三つ空港に限ってこれを実施するとおっしゃいますが、たとえば五年後にオリンピックを行なおうとする札幌千歳空港なんかは、重要なうちに入らぬのですか。これは重要な見地から考えておかないとだめだ、こう思うのですが、大臣は重要じゃないと考えるのですか。
  34. 大橋武夫

    大橋国務大臣 千歳空港は国内におけるその位置並びに施設の内容からいいまして、わが国の飛行場としては国際級の重要な飛行場であると考えております。ただ御承知のとおり、この千歳空港防衛庁の所管にかかる飛行場でございまして、いま当面の問題といたしましては、防衛庁飛行場民間航空が借りておりますので、何とか民間機専用飛行場を千歳につくるべきではないかという問題でございまして、その問題につきまして目下検討を進めつつあるわけでございまして、もちろん民間飛行場が新設されるべきだということに相なりましたならば、そのときの状況に応じまして、この法律案に適応するような処置も考える必要があろうかと存じます。
  35. 島本虎三

    島本委員 そういうようなところまでいきましたならば、続けてこの問題についてお伺いしたいと思うのです。やはりオリンピックは重要な一つの行事ですから、東京オリンピックもあのように成功しましたけれども、今度も一つの信用と申しますか、やはり注目されておると思うのです。それで公害対策部門ではばい煙によるところの公害を除去するために、すでに厚生省のほうで、ひとつ集団暖房をどうかというようなことを考慮して、いまもう調査段階に入っておるのです。冬季オリンピックを控えておるのですから、運輸省のほうでもやはりそういうような見地からこの国際空港と申しますか、大型空港と申しますか、ことばはなんですけれども自衛隊基地をただ借りて、そこで飛行機を動かして、これが冬季オリンピックの根拠地です、恵庭の入口ですということは、大きい声で言えないじゃないか。こういう場合には、運輸省としても対処すべきではないかと思うのです。このままにしておいては私は日本の国威を中外に発揚する一つの機会にならないのじゃないかと思う。逆にこれは自衛隊航空基地民間が借りておるのです。こういうようなことになりましたら恥ずかしいじゃありませんか。こういうようなことに対して大臣はどのように対処するお考えですか。
  36. 大橋武夫

    大橋国務大臣 北海道におきまする民間大型飛行場という問題につきましては、札幌オリンピックの開催ということを十分頭におきまして、本年度より具体的調査に入る予定に相なっております。
  37. 島本虎三

    島本委員 その間にもし現在の施設がいいということになったら、自衛隊にどこかほかに行ってもらってもいいじゃないか。そういうことが可能でしょうかどうか。
  38. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府間の話し合いがつけばそういうことも可能だと思いますが、いまのところはいろいろな考え方を含めましてどれが一番適当かという意味で、各種の方式を考えながら、できるだけ早く北海道大型飛行場具体案をつくり上げて、これを何とかオリンピックに間に合わせるようにしたいと思っております。
  39. 島本虎三

    島本委員 各空港騒音分布図が正確に作製されておるのでしょうか、おらないのでしょうか。この点お伺いいたします。
  40. 澤雄次

    澤政府委員 運輸省におきましては、騒音問題が非常に激しい東京大阪国際空港につきましては、過去におきまして騒音分布図を作成いたしております。
  41. 島本虎三

    島本委員 どの程度やっておるのでしょうか。私の手元にある昭和四十一年の十二月に国立国会図書館立法考査局から出た最新の報告によりますと、この大阪国際空港横田厚木を含めて、騒音分布図を作成する測定資料不足のため技術的に困難な状態であるということになっておりますが、これはいずれが正しいのでしょう。
  42. 澤雄次

    澤政府委員 東京大阪につきましては、昭和三十七年以来、毎年予算をつけていただきまして、騒音測定をいたしまして、これは航空機騒音コンターと申しておりますが、これを作製いたしております。
  43. 島本虎三

    島本委員 東京国際空港の場合でも予算が不足して騒音分布図を正確に作製されていない。こういうふうな報告があるのですが、そっちのほうはできている。どうも私ども調査では、それは不十分な測定だといわれている。それと大阪国際空港のほうでは騒音分布図の作製は測定資料不足のための技術的困難な状態にあるといわれておる。そっちのほうではできている。こうなりましたならば、そのできているそれを資料としてはっきり出していただきたいのですが、それはいま私が言った、これを否定する裏づけとして完全にできておりましょうか。
  44. 澤雄次

    澤政府委員 これは推定ではございませんで、東京大阪国際空港につきましては各地で実際に測定をいたしまして、それを線で結びました騒音コンターができております。
  45. 島本虎三

    島本委員 それは資料として出してもらいたいと思いますが、いいですね。
  46. 澤雄次

    澤政府委員 御提出いたします。
  47. 島本虎三

    島本委員 それから、この法律精神を生かすためには、将来やはり騒音分布図によって防音林とか学校、病院、住宅というような方面の配置を十分に計画しておかなければならないのじゃないかと思うのです。損害の補償は起きたものに対しての事例になるわけです。起こさないためには都市計画を今後考えなければならないということは、先ほど御答弁がありましたが、そのとおりです。それには、やはりいま申しましたように防音林だとか学校、病院、住宅等の配置を十分考え都市計画を指導するのでなくてはならないのじゃないかと思っておるのですが、大臣この点はよろしゅうございますか。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 たとえば新東京国際空港のごとく新しく空港をつくる場合におきましては、もちろんそうした考えで進むつもりでございますが、現在すでに市街地の中にでき上がっておる飛行場に対して、その周辺都市計画その他を急速に行なうということはなかなかむずかしい事柄だと思います。
  49. 島本虎三

    島本委員 むずかしいからどういうふうにしようということでしょう。大臣、むずかしいからしようがないということですか。むずかしいから、事件が起きたならば補償すればいいという考えですか。むずかしいから、今後の都市計画の中でそういうような配置の点を考えながらこれを打開していくのだ、こういうような前向きの考えでしょうか。むずかしいのはわかっているのですよ。これに対する考え方を聞いているのです。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 一時にりっぱな計画を実施するということは非常に困難だと思いますが、しかし考え方としては、どこまでもそういう方向考えるべきだと思うのございます。現に、いま大阪飛行場におきましても騒音地帯の買収などを行なっておりますが、買収済みの地域については、今後これを公園化していくというようなことを地元等とも相談をいたしておるのでございまして、さような措置がだんだん積み上げられることによって都市計画も積み上げられていくと思います。
  51. 島本虎三

    島本委員 あわせて、現在問題になっておる新国際空港の損失補償の範囲に対する考え方をちょっと発表してもらいたいと思います。
  52. 澤雄次

    澤政府委員 損失補償と申しましてもいろいろございますが、敷地を買収いたします場合には、その土地価格につきましては周辺の同様の関連公共事業におきまして買収いたしました価格その他を十分参照し、土地の所有者のほうに損失のいかないような価格で買収いたしますように、目下空港公団と土地所有者でお話し合いを進めている状況でございます。また、そういうふうにして公団が購入しました土地所有者のうち、代替地を希望される方には、公団と県が一体になりまして代替地のごあっせんをいたしております。その代替地の取得価格も、造成費を含めまして敷地内の買い上げ価格で十分代替地が取得できるというような措置を講じております。このほか、住居の移転補償、立木補償その他につきましては十分補償いたしまして、その敷地内の居住者に、従来長年住みなれたところを移られるわけでございますから、そういう精神的な苦痛は何とも補償いたしかねますので、少なくとも経済的には何らの損失のないようにということで、目下公団と土地所有者とでお話し合いを進めておるわけでございます。
  53. 島本虎三

    島本委員 ここでその問題に強く触れようとはいたしません。ただ、公害に対するいろいろな恐怖感またはそれで生活を脅かされるという心配があるのじゃないか、こういうふうに思っているのです。やはり航空騒音としてこういう問題に対しては十分親切に、理解できるまでやるのでなければ解決になりませんし、少なくともこれだけときまったのだからこれだけ押しつけるようなことがあったら全然だめですし、納得するまでやるのでなければだめだ。九条、十条には「予算範囲内において、」ということばと「通常生ずべき損失」ということばがありますが、これは予算範囲内しかやれない、通常生ずべき損失の範囲外のものだったらやらないという意味か、こういうような危惧は当然あるわけですが、これに対する考え方はどういうことになりますか。
  54. 澤雄次

    澤政府委員 第九条に「予算範囲内」ということが書いてございますが、これは、お約束しましたことは政府で必ず予算をつけて実行をいたすということは、大臣がたびたび明言しておられます。それからいま一つ予算範囲内においてというふうに書きましたのは、補償すべき項目が非常に多く一度に出た場合、これは政府財政当局の都合もございますので、やはり順序をつけて二年なり三年の計画でやるという必要が起きてくる場合もあるかもしれないわけでございます。そういうことで、「予算範囲内において、」ということは、この種の立法形式では必ずついているわけでございます。これは予算がつかなければやらないということでは決してございません。大臣を御信頼いただきたいと思います。  それから「通常生ずべき損失」と申しますのは、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがございまして、相当因果関係にあるものは完全に補償するということに相なっております。建物の移転料、取りこわし費用、仮住居の使用、営業の休止補償、立木の移植または伐採補償等、すべてを含んでございます。  それから第十条のほうの農家補償につきましては、「予算範囲内」という規定がないのでございます。これは非常に多額のものが出てまいりましたら、予備費を請求してでも必ず政府は補償する。通常のこの形は前年度の損失を翌年度予算で補償するということを考えておりますので、予算で十分に損失補償額は計上できる、このように考えております。
  55. 島本虎三

    島本委員 これで紛争が起きた場合には、これは紛争処理機関、仲裁あっせん機関というようなものがないようでございますけれども、紛争が起きないという前提ですか。これは起きた場合には、こういう機関がなくてだいじょうぶですか。
  56. 澤雄次

    澤政府委員 これは第十一条をごらんいただきますと、申請書はまず都道府県知事を経由して御提出いただきます。都道府県知事は、申請書を運輸大臣に提出いたします場合には、損失を受けられた住民の方と十分お話し合いをされ、それを指導されるわけでございまして、さらに十一条の二項で知事が意見書をつけるということでございまして、運輸大臣といたしましては、この知事の意見書というものを十分尊重することは当然でございます。それから、さらにこの運輸大臣の補償金の決定額に対して不服のある方は、第十二条で「異議の申出」という制度を特につくったわけでございます。これは御承知のように、行政不服審査法によりますと、通常の場合は、このような当事者間の法律関係を確定します行政決定につきましては、異議の申し立てを許さないというのが行政不服審査法のたてまえでございます。しかしこの場合には、なお念を入れまして、異議の申し立てではないのでございますが、同様の「異議の申出」という制度を特別につくりまして、運輸大臣が再度これを見直すということをいたさしていただいておるわけでございます。これで十分に住民の方の御要望と申しますか、正当な損失の補償額というものは、これだけの、知事、運輸大臣の決定、さらに異議の申し出に対する運輸大臣の再決定ということで、十分にその住民の御希望はかなえられると思いますが、しかしさらに不服の方は、これは法律上の形式かもしれませんが、もちろん訴訟することができる、これは第十四条でございます。そういうことで、二重、三重の保障規定を置いてございますので、住民の御希望は十分にいれられるのじゃないか、このように考えております。
  57. 島本虎三

    島本委員 自衛隊騒音について、教育上の学力の低下のおそれがあるかないか、こういうような資料の提出を求めておったのですが、これは著しくないというような発表でございました。しかし特定の地域、たとえば九州の板付並びに北海道の千歳、この周辺の学力は他の方面より劣っているようなデータが出たのですが、あれは騒音の結果ではないというようなはっきりした判定がございますか。
  58. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま騒音の学童に及ぼす影響につきまして御質問がございましたけれども、当庁といたしましては、昭和三十六年以来、人身に及ぼす影響につきまして、福岡市を通じまして九州大学に調査を依頼してまいっておりますけれども、今日の段階におきましては、まだ結論が遺憾ながら出ておりません。
  59. 島本虎三

    島本委員 ではもう一つ重ねて、幼児に対するこういうような発育上のいろんな被害騒音による被害等、これは共用飛行場の場合などはことに多いと私は伺っておりましたけれども、幼児に対するデータは、はっきりしたものはございますか。
  60. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま御質問の幼児あるいは老若男女、それからろうあ者、こういった者につきまして、広くどの程度の——まず、その障害があるかないか、それがあるとすれば、どの程度の障害があるかというようなことを、先ほど申し上げましたとおり、九大に委託調査をしております。しかしながら、今日の段階においてはまだ結論が出ていないわけでございます。
  61. 島本虎三

    島本委員 あと一、二で終わりにしますけれども、特に大臣防衛庁の両方に聞いておきたいのは、今後の都市計画その他によって、騒音の防止ということを観点にして学校並びに公共の施設、こういうようなものに対して相当考えてやるとしたならば、おそらくはもう騒音も通さないような建物になるのじゃないかと思うのです。これは現在病院、学校、それから幼稚園、こういうようなところまでそれぞれ考えられておるようです。そうなりますと、今度は換気の点がまた問題になってきやせぬか。ことに学校の場合なんかには、窓をあけると騒音、また、締めると、今度は騒音が来ないかわりに、換気が悪くなって、教育上効果が減退する、こういうようなことがあっては何にもならないと思うのですが、こういうような科学的な配慮を十分されておられましょうか。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 防音工事に伴うベンチレーション及びエアコンディションについては考えなければならぬと思っております。
  63. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 騒音防止のために、御承知のとおり教育施設等を、木造の校舎を鉄筋に改築いたしまして、窓も二重窓ということになりますと、空気も相当濁るわけでございます。それから寒いところでは、暖房の関係で相当支障があるということで、寒冷地の学校につきましては、とりあえず千歳におきましては、通風の際に温風暖房を送り込むという措置をしておる学校が一件あります。
  64. 島本虎三

    島本委員 いろいろな施設をしようとしても、各省間に分かれて、連絡が十分でない場合には、まちまちになって所期の効果をあげるわけにはいかないようになろうかと思います。そういうような心配は今後しなくてもいいように、十分この法律案によって、これは範囲も徐々に拡大していくように将来考えて、この万全を期してもらいたい、こういうふうに思うわけです。最後にこれを大臣に伺って、私は質問を終わりたいと思います。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この法案は、当局といたしましては、今日の段階において必要最小限度のものと考えておるのでありまして、将来逐次完全を期して改めてまいりたいと思います。
  66. 島本虎三

    島本委員 終わります。
  67. 内藤隆

    内藤委員長 加藤万吉君。
  68. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度のこの法案、実は施行規則がついてないものですから、具体的にどうなるだろうかという問題が、率直に言ってなかなか判断しにくいわけです。そこで、おそらくこの法案に基づいて、いわゆる騒音公害に対する補償ないしは防止策というものは、従来防衛施設庁が持っている基地周辺の整備法、これを一つの基準にされるのではないか、こういうふうに推定するのですが、まずこの辺どうでしょうか。
  69. 澤雄次

    澤政府委員 この政令及び施行のいろいろな措置基準がまだできておりませんので、まことに申しわけないのでございますが、これは運輸大臣の諮問機関の航空審議会の騒音部会というのを設けまして、ここで学識経験者、それから関係各省入っていただいて目下基準をつくっております。ただお約束できますことは、先ほど先生がおっしゃいましたように、防衛庁基地周辺整備法に基づきまして——防衛庁基地周辺整備法は航空機以外に、非常に広いわけでございますが、航空機騒音に直接関係がある部分について、防衛庁がとっておられます基準というものを目下参考にして案を練っておりますので、防衛庁のその基準だけは私のほうも取り入れるということはお約束できると思います。
  70. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほどの大臣答弁で、今度の公共飛行場というのは大阪、羽田、新国際空港ですね。そういたしますと、千歳、板付、小牧、こうあるのですが、千歳は先ほど言いましたように自衛隊飛行場でございますね。板付、小牧についてはどういうようにお考えなんですか。
  71. 澤雄次

    澤政府委員 板付は米軍画提供しておりますので、これは基地周辺整備法で防衛庁がこの騒音防止を実施される。  それから小牧は運輸大臣が設置、管理する飛行場でございますが、あそこを使用しております飛行機のうち、ジェット機は九七%までが自衛隊ジェット機でございます。それで防衛庁では従来から、あそこに、基地周辺整備法ができます前から、非常に手厚い防音工事をやってこられました。基地周辺整備法ができましても、基地周辺整備法の立て方が、その騒音を発する行為者が防衛庁であればあの法律適用する、こういうたてまえになっておりますので、基地周辺整備法に基づきまして、引き続いて名古屋については防衛庁防音工事を継続していかれるので、そのほうにおまかせする、こういう打ち合わせになっております。
  72. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そういう意味で一番競合するのは小牧だろうと思うのですが、そうしますと、あらためて確認するのですが、大阪、羽田、新東京国際空港、これについては本法を適用し、それから千歳、板付、小牧については基地周辺整備法ないしは自衛隊何とか法ですか、それを適用する、こういうように理解してよろしいわけですね。そしてそのうち航空機に関する限りは、おおむね基地周辺整備法を参考にしながら、それに対する騒音防止ないしは補償、そういうものを行なう、こういうように認識してよろしゅうございましょうか。
  73. 澤雄次

    澤政府委員 そのとおりでございます。
  74. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、音を出す側とそれによる被害の側の二つに分けるわけですが、音を出すことの措置について、消音装置をいま基地周辺関係では設けている。それが来年度予算では厚木だけでも三億何ぼですか、それぐらいの消音施設をつくられているわけですが、大阪、羽田、新東京国際空港には、先ほど大臣答弁された、自衛隊が持っておられるような消音施設をつくる計画というものはないのでございましょうか。
  75. 澤雄次

    澤政府委員 これは民間航空でございますので、航空会社自身がエンジン・テストの場合にはエンジンの噴射口のところにサイレンサーというものをつけるように、これは空港管理者として運輸省で要求いたしております。サイレンサーと申しますのは、噴出するあれが方々に散るようにするものをエンジンうしろにつけさせるわけであります。それからエンジン・テスト・ルーム、これは航空会社が自分でつくっておりますエンジン・テスト・ルームの中でエンジン・テストをやるように指導いたしておりますので、羽田におきましては比較的この苦情が少ないのでございますが、伊丹につきましてはこれが整備いたしておりませんので、非常に苦情が多うございます。それでこれは運輸省でやりますか、あるいは航空会社に連携してやらせますか、防衛庁が実施しておられると同じような消音装置を伊丹にも設置いたしたい、このように考えております。
  76. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほど騒音の測定について、私のほうの島本委員から幾つか調査と実態と違うというお話がありましたが、私も実はどうもそういうように思うのです。いま局長が言われましたように、測定図は確かにありますね。それから、それに対する予算も確かにあるわけです。それに基づいて、当面学校に対する補償を行なっていくという方向政府委員からお聞きしましたけれども、その測定図は実はきわめて不完全だというような気が私はしたわけです。というのは、飛行機の進出入の経路の変更によって違うわけですね。しかもいま運輸省のほうで作成されておる測定図は、一定の期間、ある一定の時期を測定の範囲としてきめられておるのです。これでは私は騒音公害がどういう形で発生するかということが的確にはつかめないと思う。  これは防衛施設庁にお聞きしますが、いま防衛施設庁が各地点で騒音公害の測定図をつくっておられますね。これはどういう形でやっておられるのですか。
  77. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 防衛施設局というものが各地区にございまして、防衛施設局で騒音測定器を持っております。これによりまして、一週間その一カ所に詰めまして、毎日毎日ジェット機が飛来するたびに測定器にあらわれる強度それから頻度、こういったものを集積いたしまして、ここの地区は一級程度の鉄筋改築をやる必要がある、あるいは二級程度でいいということで、分布図といいますか、そういったものをつくっております。統計によりますと、大体飛行場の着陸帯二キロ−五キロ、これが大体A級の学校防音工事をやる範囲、それから三キロ−七キロになりますと、二級程度の防音工事を施すことによって遮音効果がある、さらに最近は三キロ−七キロ以上の地区についてもそれぞれ騒音測定を始めようというふうに考えております。
  78. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そこで、これは大臣でも局長でもいいのですがお聞きしますが、先ほど私がお聞きしましたのは、基地周辺整備法を大体参考にしながらということですから、今後起きてくる騒音公害の実態調査、これをいまのような単なる測定図の作製ではなくて、測定図を連日とるような、いま防衛庁がやられているような方向予算化してとられるという気持ちはありませんか。ちなみに、私はいま言われたことを——これは非常に参考になったのですけれども、一定の地点を設けまして実は毎日毎日防衛庁ではとられておるわけです。たとえばこれは少し古いデータですが、七月一日に最高ホンは九十二、最低ホンは何ぼ、それから一日の飛行回数は何回、そして七十から八十までのホンが何回、時間にしますと七十ホン以上の時間が一日のうちに二十三分五十八秒というような形でずっと出されておるわけですね。この測定図があると、私は将来起きる公害に対するあらゆる問題の解決点になると思うのです。これは大臣に聞きますけれども、この測定予算ですね、私が見た範囲ではきわめて少ないのです。これではできませんよ。特に大阪の伊丹のように、周囲に非常に人家がたくさんあるところでは、あの測定図をもって公害関係はどうだこうだと言うことはできないと思っております。私ども基地周辺におるわけですけれども厚木の場合には幾つかの地点を設けて、いま言ったように連日七十ホンは何ぼ、この辺は何ホン、飛行回数は何ぼ、早朝のエンジン・テストによる騒音は何ホンという形で、ずっと出てくるわけですね。どうでしょう。あのくらいのものを、私は今後の公害対策の基礎的なデータとして運輸省が来年度予算に組み入れられてやる必要があると思いますけれども大臣どうですか。
  79. 大橋武夫

    大橋国務大臣 貴重な御意見だと拝聴いたします。来年度予算の編成にあたりましては、極力努力いたしたいと思います。
  80. 加藤万吉

    加藤(万)委員 施設庁がお忙しいようですから、施設関係だけのことを二、三先にお聞きしておきます。  実は音を出すことについていま少し聞きたかったのですけれども、音を出したことによる被害についてお聞きしておきたいというふうに思います。今度の法案で、それぞれ騒音公害に対する補償を行なう、こう言っておるわけですけれども、その補償の範囲基地周辺整備法では、先ほど言われましたように、米軍ないしは軍事行動による被害というものは幾つかあるわけですから、これを除いていわゆる航空機騒音による公害範囲、そういうものを、どの範囲にお考えになっておられるのですか。たとえば福祉施設、こういっておりましたけれども、福祉施設の場合に公民館あるいは公会堂、そういうものに対するものが起きますね。どうでしょう。神社のようなものに対して補償するということは考えられますか。神社——お宮さんです。
  81. 澤雄次

    澤政府委員 現在の補償の対象として考えております第六条、共同利用施設の助成に関連する御質問かと思いますが、これは民間航空の場合には学習、集会、公民館等だけを補償の対象に考えております。神社は考えておりません。
  82. 加藤万吉

    加藤(万)委員 施設庁、これは現在までどう取り扱っておられますか。
  83. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 現在まで当庁におきましては、整備法が制定される以前におきましては、行政措置によりまして学校、教育施設を主体に実施してまいりました。なお、医療施設につきましても、非常に障害の強いもの、これは実施してまいったわけでございます。昨年整備法が制定されまして、今後は学校教育施設はもちろんのこと、医療施設も積極的に実施する予定でございます。なお、ただいま先生の御質問のありました神社等の防音工事は、全然考えておりません。それから、学習等共用施設につきましての措置、これにつきましても、ただいま航空局長がお答えしたとおりでございまして、今後われわれとしましては実施してまいりたい、かように考えております。
  84. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それは少し違うんじゃないですか。先般大和地域でいわゆる騒音によって、地元住民の全部の集団的な引っ越しがあったのですね。大阪の場合にこのようなことが起きる可能性がある。運輸委員会の議事録を読みましたら、政府側の答弁として、もし騒音地域が非常にひどければ、それに対するいわゆる移転補償ないしはかえ地による移転というようなものも考えられる、こういうようなことをちょっと言われたような気がする。防衛施設庁の場合には、それが各所に行れわれている事実があるわけですね。その場合に、たまたま無人の神社ないしは無人のお寺、神社仏閣といいましょうか、そういうものに対してどうするかということが実は争点になって、先ほど言いましたような公共施設面では、少し一般的に公共施設というには問題があるし、といって、従来の日本の民族的な感覚からいえば、神社仏閣というものは、その村のいわゆる住民の一種のシンボル的存在になるのではないか、したがって、そのシンボル的なそういう施設は準公共の施設として見て、これは補償の対象にすべきであるということで、たしか先月でありますけれども、お宮さんの引っ越しということが有名な話題になったと思うのです。どうでしょう、今度のこの法案によっては、そういうやや公共に近い諸施設、それに対する補償までお考えになるのか。また、いまのことについて防衛施設庁のほうでは、そういう事実があったということをお認めになりますか。この二点をお聞きしておきたいと思います。
  85. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 先ほどの先生の御質問は、既存の建物に防音工事を施す面だというふうに私ども勘違いいたしましたが、ただいまの先生の御質問によりますと、そういう防音工事を施すだけでなく、ほかに何らかの施策があるのかという御質問かと思います。そういう障害につきましては、整備法におきましては、第五条に特定飛行場周辺の移転の補償という項目がございます。したがいまして、この移転補償の措置によりまして、実行上は飛行場の着陸帯から進入表面の投影下、そのうちとりあえず千メートルまでの建物、これにつきましては、申請があった場合にはその移転補償を払うという措置は講ずることになっております。
  86. 加藤万吉

    加藤(万)委員 運輸省のほうはどうですか。
  87. 澤雄次

    澤政府委員 防衛庁と全く同じでございます。これは第九条にございます。その中でございましたら、公共施設でなくても移転を希望される方があれば移転補償をお支払いする、こういうことでございます。
  88. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 ちょっと関連して。施設庁の方がお急ぎだそうですから関連して質問させていただきますけれども、これは民生安定法ですか、基地周辺の実行の原則につきまして、全額補償する、こういうように現在はなっております。ところが事実を調べてまいりますと、大和市におけるところの姿を見ますると、子供がたくさんふえて、生徒がたくさんふえて増築をしたところがあった、大体三割五分の増築をしたところがあったけれども、それに対しての防音装置の補助を申請したけれども、補助はしていただけなかった。今後こういう問題があらわれてくるのではないか。ですから、この点についてお尋ねしたい。これが一点。  もう一点は、なるほど学校その他についてその防音装置の補助はしてもらっても、中にいろいろと備品が加わってくる、そのために全体の八割ぐらいにしかならない。それでこの地域の人たちは困っている、こういうことなんですが、それに対する見解をお願いしたいと思います。
  89. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま御質問の第一点、増築部分について防衛施設庁から補助がないのかという御質問かと思いますが、その場合、生徒数がふえたというこでございますので、本体工事につきましては文部省からの補助があろうかと思います。ただしその場合、窓を二重窓にするとかいう所要の防音工事の経費につきましては、平衡交付金といたしまして、当庁が負担する、かような仕組みになっております。  それから従来の木造校舎を鉄筋に改築する際に、いろいろな備品が変わるのでそれも全部見てほしいという御質問がありますが、これにつきましては、たとえば教員室といったものが鉄筋化される際には、従来ありました書だななどは極力はめ込み式の、施設の中にそういった書だなをつくるというような措置は講じております。備品そのものを補助金で見るということにはなっておりません。
  90. 加藤万吉

    加藤(万)委員 騒音発生の制限について、どういうようにお考えになっていますか。たとえば飛行時間の制限、それから防衛庁のほうでは着陸訓練と言っていますが、高さをどのくらいにして、たとえば高出力によるエンジンの停止をさせるというようなことについて、どういうお考えをお持ちでしょうか。
  91. 澤雄次

    澤政府委員 東京大阪の両空港におきましては、原則といたしまして夜の十一時から午前六時までは陸地に向けて離着陸をさせない。東京の場合で御説明申しますとおわかりかと思いますが、海側のほうを三三側と申しております。それからずっと出ますと、東京タワーのほうに向いて離陸するわけであります。これを夜の十一時以降はそういう飛行はさせない、こういう措置をとっております。  それから先生の御質問の訓練並びに低空飛行の高さと言いましょうか、訓練並びに低空飛行は、東京大阪の両空港においては事実上ほとんど行なわれておりません。タッチ・アンド・ゴーと申しておりますが、タッチしてゴーするタッチ・アンド・ゴーの訓練は、東京大阪の両空港は非常に通常の定期便だけで混雑いたしておりますので、それは原則としてやらしておりません。それから、もちろん低空飛行その他の訓練飛行などは、東京大阪空港では原則としてやっておりません。
  92. 加藤万吉

    加藤(万)委員 エンジン・テストについてはいつかお話がありましたけれども、時間制限をされておりますか。
  93. 澤雄次

    澤政府委員 時間はちょっとわかりませんが、深夜はさせておりません。
  94. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いわゆる軍事飛行場ですから、民間航空と多少その差が出てくるのはやむを得ないと私は思うのですけれども、先ほど言われたように防衛施設庁の日米間の取りきめによりますと、飛行時間の制限は二十二時から六時までですね。そして住民の要求は二十二時から午前八時までということで出ているようです。これは香港の飛行場との時間的な関係もありましょうし、香港の飛行場がああいう飛行場ですから夜間飛行がなかなかむずかしいという状況もありましょうけれども、この飛行時間の制限、それからいま言ったエンジン・テストの制限でも、十八時から朝の六時まで、特別な場合は除きますけれども、日米間で取りきめをして、やっていないようです。どうでしょうか。エンジン・テストについても試運転の制限を、特に大阪空港の場合などやられる必要が私はあると思いますけれども、いかがでしょうか。同時にまた飛行時間の制限も、地域の住民にしてみればできる限り短いほうがいいというのは、これは考えられることなんで、いま取りきめされている二十二時から朝の六時までという程度に、一時間ですが、そういうことをお考えになることはできませんか。
  95. 澤雄次

    澤政府委員 民間空港の場合、一番込みます時間が実は夜の八時ころから十一時くらいまででございます。それでこの十一時という時間をきめます場合にも、地元の住民の方、それから航空局関係、航空会社の者が集まりまして騒音対策委員会というものをつくっております。ここで何べんも何べんも相談をいたしまして、そうして航空会社がやっと十一時というのをのんだわけでございます。これを一時間繰り上げて十時にするということは、現在の定期便の関係から非常に困難ではないかと思われます。  それからエンジン・テストにつきましては、夜おそく十時半ごろ着きました飛行機が、羽田にステーしております。そして朝早く立っていくために夜エンジンの整備をやるというような状態でございますが、この点につきましては先生の御趣旨を体しましてさっそく検討いたしたいと思います。
  96. 加藤万吉

    加藤(万)委員 音を出すことについてはまだいろいろあるのでしょうけれども、特に大臣に私はお願いいたしておきますが、先ほど申し上げました測定図ですね、単なる進出入経路による一時期をとらえた測定図ではなくして、連日とらえられるような測定器をある幾つかの地点に設定をされて、そうしてそれによる一般民衆の公害が常に実態的に把握できる、このことはぜひ来年度予算では多く計上されて確実に実施をされるように、これは要望しておきたいというふうに思います。  それからその次の、いわゆる起きてくる補償問題ですが、いまも同僚の委員からもありましたが、学校に対する公害、それに対する補償ですね。いま防衛施設庁のほうからいろいろ説明がありましたけれども、たとえば木造建築を鉄筋に直した場合、木造建築の木はバラにしたら幾らかにでもなるから、その分は十割補償から差し引くのだと言いますが、実際どうでしょう。木造建築で騒音のために鉄筋に切りかえなければならぬ。その木材を買えといった場合に、常日ごろ地方自治体のごやっかいになっている業者なら、それは顔を立てて幾らかで引き取るでしょうけれども一般的に言えば、建物をこわすだけの費用でとんとんですよ。したがって、その建物の木材まで含めた形で十割補償から差し引くというのは、どうしても地域、学校ないしは地方自治体にとってみれば、そのほかに先ほどありましたように換気装置を別に負担せねばいかぬ、それから冷暖房の装置を別途に考えなければいかぬということになりまして、地方自治体の負担というものは建物だけではなくて、別の面に多く出るわけです。したがって、少なくとも木造の建物自身を一定の価格に評価をしてそれを補償費から差し引くというのは、少しむごいと言っては失礼ですけれども、おかしい取り扱いではないかと私は思うのです。したがって、今後の学校防音施設ないしは学校の建物の新しい建築に対する補償については、完全に十割を補償する。いわゆる廃品を価格に計算をして差し引いて補償するというのではなくて、十割完全に補償する、そういうようにお考えになる意思はないかどうか。  もう一つ、先ほど島本委員質問に対して大臣は、冷暖房、換気装置について考えなければいけない、こう言われたのですが、その考えなければいけないということは、それまで含めて国庫補助の面で見ると言われたのかどうか、その辺をひとつ明らかにしておきたいのであります。
  97. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そういう意味でございます。
  98. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前の建物の問題はどうですか。
  99. 澤雄次

    澤政府委員 これは、自衛隊が非常に長い歴史を持って一つ予算の積算根拠としてこられたわけでございますが、木造の家屋の残木価値と、それからそこの児童の方が、何も自分ら鉄筋に移りたくて移るのではないと言われると思うのでございますが、やはり木造の校舎よりも鉄筋の校舎のほうがりっぱだというか、がっちりしておると申しますか、それらの受益者が受ける利益というものがある、それは事実かどうかは別といたしまして、こういう予算の算定で九割補償あるいは七割五分補償、こういうことになっておるわけでございます。今後この補助額の増額については努力してまいりたいと思いますが、これは非常に困難ではないかと思われます。  それから先ほどの通風装置は、現在国が工事の中で実施をいたしております。冷暖房はやっておりませんが、通風装置はやっております。
  100. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度のこの法案で、先ほど言ったように、集団的な場合は別としまして、個人の公害に対する補償についてはどうでしょうか。たとえば有線電話などの補償、それから農耕補償、そういう問題についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  101. 澤雄次

    澤政府委員 これらにつきましては、自衛隊が現在やっておるのと同様の基準で、農耕補償あるいは有線放送に対する補助等を実施いたしたいと思います。これは第六条、農耕補償につきましては第十条にございます。
  102. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほど同僚の島本委員が、学童の就学、それから学童の健康についていろいろ質問しましたが、それについてまだ九州大学の結果も出ていない、こういうお話ですが、これは資料請求の形になりますけれども、お願いをしておきたいと思うのです。日本医学総会で厚木基地周辺騒音による子供の成長低下、この問題を発表されております。高橋日本医大医学部教授ですが、この人の医学総会での発表では、騒音で子供の成長低下が起きておる、その事実を、みずからのいろいろな動物実験経過によって明らかにされておるわけですが、これは、この次の産業公害委員会で産業公害基本法の問題と関連して、ぜひとも問題を明らかにしたいと思いますので、資料を請求しておきたいと思うのです。運輸省、厚生省——まあ厚生省でしょうけれども、厚生省でお取り寄せ願って、できれば人体障害、特に子供に対する成長低下の結果というのは重大な問題ですから、提出をされるように要求をしておきたいと思います。  問題は、いわゆる個人の健康上の阻害あるいは個人、家庭に対するいろいろな面の騒音公害、これに対する今度の補償というものは、この法案の中を見るとどこから見出すことができるわけですか。この法案のどこに、個人のそういう損害補償、たとえば騒音によって成長が低下をしたというかりに事実があったとすれば、それはこの法案のどこで補償が受けられるか、ないしはそれに対する給付が受けられるような手続等がとられるのか、お聞きしておきたいと思うのです。
  103. 大橋武夫

    大橋国務大臣 仰せられましたような児童の発育成長等に及ぼす害も十分考え得ることでございますけれども、何ぶんにも公害問題、特に航空機騒音公害問題としてかまびすしくなりましたのは最近のことでございまして、いろいろ公害全般についての研究はなお完備いたしておりません。そういう中において、このたび顕著な問題をとらえましてこの法案をいたした次第でございまして、少なくともこの法案に掲げてあります事柄は、明白かつ緊急を要することだと存じて提出いたしております。しかしこれで航空機公害の全部が片づくというふうには考えておりませんので、取り急ぎこれだけを提出しておりますが、今後とも他の方面についてもいろいろ研究の進められるのに従いまして拡大強化していくべきものだ、こういう考え方を持っております。
  104. 財満功

    財満政府委員 ただいま九州大学で検討いたしております騒音の人身に及ぼす被害につきましては、長年にわたって研究しているところでございますが、ただいま先生のお話の中で、その資料要求をというようなお話もあったかと思いますが、これは非常に多年にわたっておりまして、私どもも早くその研究を完了していただきたいとは思っております。ただ九大のお話では、中途はんぱなままでこれを外部に出すことは影響するところが非常に大きい、したがいまして、いわゆる学問的な良心の問題といたしまして、完成するまでこれを外部に出したくありません、こういうことを申しておられます。したがいまして、ただいま先生がその資料をというふうにおっしゃったと思いますが、それは、私どもの立場といたしまして何とかごかんべんいただきたい、九大の研究の終わるまでお待ち願いたいというふうにお願いしたいと思います。
  105. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私の資料請求はそれではないのです。日本医学総会で高橋教授が第三分科会で発表されている、その研究報告書を何とか私どもにいただけないか、こういうことですから、ひとつお願いをいたしておきます。  それから公害の場合に、一般的に言われるわけですけれども騒音公害の場合でも個人に対する補償ということが非常にないわけです。いま言いましたように、たとえば騒音のためにノイローゼになった、このノイローゼに対しては、病院に対するいろいろな保護施設あるいはそれに対する国家の援助はありますけれども、ノイローゼになった人そのものに対してどういうことが行なわれるのか。いま言ったように子供の成長が低下した、あるいは高校の進学度が騒音のために非常に下がった、これに対してどういう援護措置があるかというと、きわめて少ないわけです。これはやはり物理的なものを別途に考えなければいけないだろう。たとえばある一定の病気になって、それが騒音のために本来静養を要すべきものが静養ができないで、今度はノイローゼになってしまったというような状況、したがって、これをなおすには、ある心臓病なら心臓病でもいいのですが、その病院を別につくるということなしには、騒音による個人の救済はできないと私は考えるわけです。これは、いずれそういう成果なり、私どももいろいろ調査研究をさしていただいて、個人の騒音に対する補償はこれからの問題として、防衛庁のほうでも、あるいは運輸省のほうでもぜひひとつお取り上げを願って研究を願いたいと思います。  最後に、今度放送法が改正になりまして、ラジオの聴取料は全国全廃されまして無料になるわけでございますが、同時にテレビの受信契約によってテレビ料金を取られるということになっております。そこで、航空機によりテレビの受像ができないという公害、こういうものに対してどういうようにお考えになっておられるかお聞きをしておきたいと思います。
  106. 澤雄次

    澤政府委員 テレビの電波干渉による画面のゆれ、あるいは騒音によって音が聞こえないということにつきましては、ずいぶん考えたのでございますが、これは防衛庁のほうで、従来基地周辺におきましてはNHKがある一定の、一キロ、二キロという範囲を限りまして半額に減免しているという前例がございますので、その例によりまして現在郵政省及びNHKに対しまして、東京及び大阪の両国際空港に限って、基地周辺と同じように減免してもらいたいという申し入れをいたしております。まだ了解を得るまでには至っておりません。
  107. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それではいまのことは今後やっていただくということで了承しますが、それにつけてもテレビの受像ないしは音ですね。これも距離ではかるのはどうかと私は思っておるのですよ。   〔内藤運輸委員長退席、進藤運輸委員長代理着席〕 一キロ、二キロといっても、その範囲を越えたものはどうするのだ。たとえば百メートルこえたものはどうするのだという問題が起きますから、やはり人間の耳に聞こえ目に見えるという物理的判断のほうが私は正しいと思うのです。したがって音の問題については、七十ホンなら七十ホン以上のところについては云々という式にするか、あるいは受像画面だったら一日のうちに何分間あるいは何時間見れない場合には云々とするとか、そういう形の方法が私は正しいと思うのです。それでないと、単に距離によって一キロと二キロと、範囲はこうだということではいけないと思うのです。したがって、そういう科学的なデータをつくるにも、当初申し上げましたこれがなくてはどうしてもできないと私は思うのです。したがって音、テレビの受像、あるいは有線放送もそうでしょうが、それらの補償についてはぜひそういう科学的な資料運輸省が積極的につくられることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  108. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 岡本富夫君。
  109. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 最初大臣にお聞きしたいと思いますが、この法案につきましては、すでに同僚委員からいろいろと質問もし、また審議されたと思いますので、私は若干運営上の事実の上からお聞きしたいと思います。  そこで、まず、二十六日の朝の新聞を見ますと、大臣が成田空港へ行かれまして、激しい抵抗にあいながら現地の人と話し合った。そして、大橋帰れというようなきびしいことばも受けながら、この空港問題について非常に熱心に、自分の命をかけてまで戦っていらっしゃるということに対しては、明治の元勲のような気持ちがいたしまして、私はまことに大臣の決意というものには敬意を表しておるものであります。そこで、なぜこれがこういう激しい抵抗にあっておるのか、これについて若干お聞きしたいと思いますが、どうでしょう。
  110. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま、成田の空港の予定地の内外におきまする土地所有者の動向は、相当多数の条件つき賛成派と絶対反対派というものに分かれておるわけでございます。当日デモに出られた方々はその絶対反対を唱えておられる方々であったのでございますが、これらの方々とはお目にかかってお話を承ることができなかったので、そのお気持ちを十分に確かめることはできなかったのでございますが、幸いにいたしまして社共両党の千葉県の国会議員、県会議員の有志の方々がごあっせんくださいまして、一応かわってその主張を取り次ぐという形でお目にかかりました。そのお話によりますと、まず、今度成田にきまる前に富里になったり、そういうふうに転々として候補地がうわさされておる間に、突如として成田にきまった。しかも事前において重大な関係のある地元の人たちに何ら相談もなかったし、話もなかった。一方的に政府が閣議でもってこの成田空港というものを決定したことは、はなはだ非民主的である。そこで今度話をしたいといってきても、こういう根本において話し合いの精神に出発していない事柄については、自分らとしては話し合うことはむずかしい。政府側において、この成田問題を一たん白紙に戻してもらいたい。そうしたならば、ひとつ白紙の段階で話し合いに入ろうじゃないか。そういうふうなお気持ちであるということをいま申し上げました国会議員、県会議員の方々から伺ったような次第でございまして、私もこの問題の経緯等から見まして、この方々のお気持ちはよくわかる点もあるのでございます。できれば白紙に還元して、白紙から話し合いに入るということはけっこうだと思いますが、何ぶんにも現在の情勢といたしましては、四十六年春には少なくとも四千メートルの滑走路一本はつくり上げなければならぬという期限が参っておりますし、また場所的に見ましても、現在考えられる候補地といたしましては、この三里塚以外にはないであろうというふうに考えておるものでございますから、白紙還元ということも、私どもとしてはちょっとそこまで踏み切ることができないように思われます。こうした行き違いが今度の問題の根本になっておる一つの背景であるということは言えると思います。
  111. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そこで大臣運輸省として考えなければならぬことは、この成田空港でもそういうように、国民側からいえば失敗していると思うのです、大臣がそうして命がけで行かなければならぬような状態ですから。これと同じようなケースがやはり山陽新幹線、今度の尼崎付近もやはりそういうようにただ一方的だ、ただ運輸省は指定しただけだ、あと国鉄は、指定してしまったのだし、わしはやっていくのだというように、住民の意見を若干聞いていないように私たちは承っているわけですが、今後こういう問題についてはやはり同じような失敗を繰り返さないようにやっていただけるかどうか、大臣の見解をまずお伺いします。
  112. 大橋武夫

    大橋国務大臣 先ほど私、一部の絶対反対の方々が成田においてお感じになっておられるお気持ちは、私にも十分わかると申し上げました。同様に、西宮地区において新幹線予定地に対して反対の気持ちを持っておられる方々の心境も、よくわかるわけでございます。私はやはりこういう問題はできるだけ事前の話し合いというものを基礎にして、ある段階で決定をするということに、できるできぬはともかくといたしまして、心がけていくべきものではないか、こう思うわけでございます。実は西宮の問題につきましても、すでにことしの春、早い時期からすみやかに認可をとって計画を決定して、それから土地買収に入りたいという動きが国鉄にあったのでございますが、話し合いがまだ十分に進んでおらぬというように思いましたので、約三カ月ほど私の手元で認可の申請を握っておりました。その間話し合いを進めるように勧奨いたしたのでございますけれども、どうもやはりいままでの習慣が基礎になっておると見えまして、どうしても認可をもらった上でないと話し合いが進まない、こういうことでございまして、私も当事者間でそういう状態でいつまでも宙ぶらりんに置くのもいかがかと思いまして、ついに最近になって認可をいたしたようなわけでございます。
  113. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 大臣、今後こういう問題は、こうして決死の覚悟で行ったぐらいの努力を、最初に、認可される前に大臣がみずからしておけば、トラブルも非常に少なくいくのじゃないか、こう思います。  それはこれの問題ではありませんので、若干本論に入らせていただきますが、この法案が通過すれば成田空港の問題は解決するのかどうか。自信はおありでしょうか。
  114. 大橋武夫

    大橋国務大臣 解決するという確信はございませんが、しかしこの法案ができて、これに基づいてある程度の補償問題についての方針が確立すれば、これは反対者に対して相当良好な心理的な影響を期待できるものじゃなかろうかと思います。
  115. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 いつも私思うのですが、大臣考えが、この前の油濁問題の法案のときもそうでしたが、この法案が通れば一歩でも前進する——大事な国民の血税を使って立案なさるのでありますから、一応やってみよう、こういうような考え方の法案というものは、私は許せないと思うのです。したがって、今度のこの法案の精神あるいはまた仕組みというものは、伺いますと大体自衛隊法ですか、あれによっていろいろいままでできた法律に合わせてつくってある。その域を一歩も出ていない。その域よりもさらにすばらしい、いい法律をつくるのがほんとうじゃなかろうか、こういうように私はこの法案を見て一番感じたわけです。それについて、現地の施設あるいは研究、こういうものについてどういう努力をなさっておるのか、関係の局長から承りたいと思います。
  116. 澤雄次

    澤政府委員 騒音問題につきましては、昭和三十五年ごろから民間航空におきましてはジェット機の就航が始まりまして、最初東京、その後大阪におきまして、騒音に対する非難と申しますか弊害が非常に生じてまいりました。先ほども説明申し上げましたように、三十七年からわずかでございますが毎年予算をとりまして、騒音分布のコンターを測量しまして、それと同時に、これは事実上の措置といたしましてジェット機夜間における飛行禁止その他の措置をとってまいったわけでございます。それでこの法律の策定につきましては、十分地元の方とも御相談をしたわけでございますが、昨年基地周辺整備法ができまして、これも防衛庁はその周辺整備法ができます前から、事実上いろいろと予算上の措置として種々の防音工事を実施してこられた経験に基づいて基地周辺整備法ができておりますので、一応それをこの民航につきましても出発点として、その形によってこれからさらに、先ほど大臣の言われましたように、今後の運用の経過によりましてこれをより完全なものにしていきたい、このように考えておるわけでございます。
  117. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それで第四条のところに、特定飛行場の設置者及び使用者は「ともに特定飛行場周辺における航空機騒音により生ずる障害防止等に努めなければならない。」これは努力目標であって、講じる責務を明らかにしてない、こういうように思うのですが、どうでしょうか。
  118. 澤雄次

    澤政府委員 この四条の責務は、一つは「障害の防止に必要な施設の整備等を行なうことにより、」障害の防止につとめるということと、その費用分担の原理を考えておるわけでございまして、飛行場の管理者と航空会社が分担してその費用を負担するという費用分担の原理、それから障害防止につとめるという義務を規定しているわけでございます。
  119. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 この文章を日本語で見ますと、防止を講じる責務と努力、その点ではこれは努力するほうであると私は思う。ですからこれは再考を要すると思います。  なおこの法案につきまして大事なところがたいがい政令による、政令によるで、この法案を見ますとほとんど骨抜きのように思うわけです。大事なところは全部政令による、こういうことになっておりますが、これはおそらく当委員会においても問題になったと思いまして、きょうはその質問は私のほうは差し控えたいと思いますけれども、そこで大阪伊丹空港の状態を見ますと、非常にジェット機の就航というものが激しくなってきておりまして、昭和四十年の十月現在で一日二百五十機から二百六十機、そのうちジェット機は六十二機から六十三機、そしてその被害が非常に多くなっておることは御承知と思うのですが、どうでしょうか。
  120. 澤雄次

    澤政府委員 騒音によるところの大阪空港周辺における被害が非常に増大していることは、私たちもよく承知いたしております。
  121. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そこでこれは関西の八市のデータですけれども、食欲がなくなった、冷や汗が出る、顔やくちびるが赤くなる、鳥はだが立つ、また昼寝ができない、赤ちゃんは飛行機が通るとすぐ飛び起きてしまう、こういうような非常にいろいろなこまかいデータが出ておりますけれども、これについて、また学校におきましても、川西市の久代小学校から、六年生の寺尾君というのが、こういう手紙をよこしております。「ぼくたちのいる所は、ジェット機のばく音でなやまされて、ろくに勉強もできません。学校でも、時間中に本を読んでいても、ジェット機が、三分に一回は、とぶので、すぐにとまってしまって、ジェット機のいってしまうのをまってから、つづきを読まなければなりません。算数のテストをしていても、頭にはいらなくなって、せいげん時間を、オーバーしてしまうこともあります。  そのほかに、おかあさんや、おとうさんも、いっしょうけんめいになってくださっていますが、今からしごとをしていただかないと、ぼくたち六年生はもちろん、五年生も、ばく音になやまされなければなりません。なんとか早く防音校舎をたててください。」こういうような手紙が数通まいっておりますけれども、そこでこの法案が通りますと、相当学校の建築あるいは病院、これに対して助成をし、また防音装置ができると非常に喜んでおる次第でありますけれども、大体五カ年計画でどれくらいの予算をとっておやりになる決意であるか、これをお願いしたいと思います。
  122. 澤雄次

    澤政府委員 五カ年計画の細部はまだ政府として決定いたしておりませんので、その決定数字は申し上げられませんが、運輸省といたしましては、東京大阪の両空港だけ、新空港を除きまして約百億円ぐらいの騒音対策費の予算が要るであろうと考えております。
  123. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 では、その対象になる学校あるいは病院は、全国で大体どのくらいありますか。
  124. 澤雄次

    澤政府委員 大阪につきましては、将来三千メートルの滑走路ができるということを前提として考えなければならないと思いますので、現在におきましては、実測によらない将来の推定も入ってくるわけでございますが、大阪空港周辺におきまして学校約百十校、病院三十一、保育所十、診療所六十、共同学習室あるいは公会堂のようなもの約六棟、これらのものが対象になってくるのではないかと考えております。
  125. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 全国でどのくらいになりますか。
  126. 澤雄次

    澤政府委員 これは私のほうはさしあたり五カ年間には東京大阪それから新東京国際空港しか現在のところ考えていないわけでございます。それで学校では、これは成田を入れまして、新東京国際空港を入れましてこの三つ空港学校百八十六、病院五十七、診療所百七十一ぐらいになるのではないかと思われます。しかしこれは実際に学校工事をします場合には、先ほどもお話ございましたが、単に七キロ−三キロあるいは五キロ−二キロということではなくて、実際に騒音測定器である一定期間測定をいたしまして、それによって校舎の工事の質をきめてまいらなければなりませんので、実際の工事というものはこれとあるいは増減があるかと思います。
  127. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 私のほうの調べによりますと、これは文部省の調べですが、学校だけで大体五百七十六校、これが大体対象になる、こういうことをいっておりますが、あなたのほうでは幾らでしたかね、学校が。
  128. 澤雄次

    澤政府委員 百八十六でございますが、これは先ほど申し上げましたように東京大阪、成田だけでございまして、先生のおっしゃるのは基地周辺が入っているのでございませんですか。
  129. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そこで、まず学校をとりまして、一校当たりの工事費あるいはまた空気調節費、防音工事施設、どれくらいかかるわけですか。
  130. 澤雄次

    澤政府委員 これは平均はとっておりません。学校によって非常に違うので平均を申し上げられませんが、これは伊丹周辺の例でございますが、一校一千万円程度から五千万円程度でございます。と申しますのは、現有面積にほぼひとしい面積の鉄筋コンクリートの校舎をつくるということでございますので、現在の校舎の大きさによって非常に違ってくるわけでございます。一千万円から五千万円ぐらいまでという予定をいたしております。
  131. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 その一千万から五千万というのは、それは防音工事だけですか。
  132. 澤雄次

    澤政府委員 これは防音工事だけではございませんで、いわゆる補助の対象になる総事業費でございます。
  133. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 少ないですね。私のほうで、宝塚市の長尾中学の改築の例をとりますれば、校舎全部ひっくるめまして総額大体二億、そのうち防音工事が千五百万、それからどうしても必要になってくるのは空気調節費ですね。二重窓にして、そして密閉してしまったのじゃどうしようもありませんから、これが大体四千八百万、それから工事費が一億三千万ですか。こまかい数字をいいますと、校学の工事費が一億三千八百万ですか、それから防音工事が千五百万、それから空気調節費が四千八百万、総計二億余りといいますか、こういうような数字が出ているわけです。そうしますと現在の予算では何ぼもできない、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  134. 澤雄次

    澤政府委員 御指摘学校工事費の積算根拠を拝見しないとあれでございますが、私のほうは従来防衛庁が実施いたしておりました積算根拠によりまして、現実に伊丹付近の小学校の現有面積をあたりまして、それを防衛庁の積算根拠で鉄筋コンクリートにして、そして通風装置をつけて総事業費を積算いたしたのでございます。これは全部国が七五%ないし九〇%という現在の基準によりまして補助して実施する、こういう工事でございますので、先生のおっしゃった学校の積算根拠を拝見いたしませんとちょっとわからないのではないかと思います。
  135. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 あなたの言っているのは学校全体、要するにいままでの木造であったのを鉄筋にして、そして全部ひっくるめて大体一千万から五千万、これはそんな安い学校を見たことないですがね。一校舎つくるのに一千万円くらいでできるようなのはどうでしょうか。
  136. 澤雄次

    澤政府委員 申しわけありませんでした。これは四十二年、四十三年度両年度に分けて予算要求をいたしておりますので、この四十二年度予算のただいま申し上げました倍額が総工費でございます。どうも申しわけありませんでした。
  137. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 四十二年度と四十三年度の二回に分けているわけですか。私のほうの資料では、四十五年度、要するに四カ年に分けてこれを計画している学校なんですが、それでも防音工事は四十二年度だけで三百十九万円ですか、それから空気調節費が一千万、それから学校工事費が二千八百万、要するに総計で四千二百万、これは初年度です。ずっとこれを全部やっていきますと、四カ年に分けますとそういう状態で、全部足すと二億になるわけです。ですからあなたのほうの考えでは、ただ初年度で全部終わってしまう、そんな中途半ぱな学校だったら使えませんよ、どうですか。
  138. 澤雄次

    澤政府委員 初年度ではございませんで、実は本年度、予算を三億全体でとれましたうち二億を、大阪伊丹付近ということで予定いたしまして、そしてモデル校をとりまして実際に計算いたしまして、そして六つのモデル校につきまして、これは四十二年度、四十三年度の両年度の予算で校舎改造を行なう、こういう計画でございます。
  139. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 何かさっぱりわからぬですね。とにかく一千万から五千万で、二年に分けたところで二千万から一億ということになりますね。一つの校舎を二年に分けてやるわけですか。要するに四十二年度と四十三年度、二回に分けてやる計画ですか、どうですか。
  140. 澤雄次

    澤政府委員 二年度計画でございます。
  141. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 その出た数字の積算は、あとで見せてもらいたいと思います。二年に分けても一千万だったら二千万。そんな二千万くらいで学校ができるわけはないですからね。一ぺんその積算根拠をあとで見せてもらいたいと思います。  そこで一つ一つ大阪東京と成田新空港ですか、これを合わせて大体二百校が対象になる。そうしますと今度は、病院の問題があります。それから老人ホーム、保育所、これが大体関連になってくるわけですね。そうしますと相当な決意を持ってやらないと、予算措置でもってやらないと、完全なものはできないと思うのです。それで実は伊丹の一つ学校の例を引きますれば、昭和四十二年三月二十四日の神戸新聞、それから朝日新聞、この両方に出ているわけですが、ここで防音校舎をこっちのほうでは初めてつくったらしいのですね。ところが予算が非常に少ないために換気装置、そういうものがはっきりできてない。そのために視力障害が非常に急増しておる。夏には頭痛、吐きけ。いまこういうような防音校舎をつくる前の生徒の病気の姿と、それからこの中に入ってからの毎日の病気の姿、これの対照が出ておりますけれども、非常に完全にしなければりっぱな防音校舎はできない。このことをこれはあらわしていると思うのです。したがって相当な決意でもってがんばってこの法案を運営していかなければならぬ、こう思うのですが、大臣どうでしょうか。
  142. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そのとおりに考えます。
  143. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そのとおりに考えるって、えらい簡単に申されましたが……。  そこで次に、先ほど同僚委員から話がありました航空機の、この間これは伊丹であった話ですが、廃油によって農産物のイチゴなんかが非常に被害を受けた。こういうようなものに対する補償はどこにその交渉相手を求めればいいか、その窓口が実際は被害を受けた人が困るわけです。これをこの際明らかにしておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  144. 澤雄次

    澤政府委員 本年の五月上旬に伊丹の進入表面のちょうど下にあたりますところの畑あるいは木の一部が、その理由不明のあれによって枯れたという事実がございまして、これは私のほう、航空局と地元の市が一緒になりまして調査をいたしました。それで、さらに完ぺきを期するために現在大阪大学のほうに、一体何でこれが枯れたのか、航空機のジェット燃料ケロシンによるものであるか、潤滑油によるものであるか、あるいはその他の薬品によるものであるかということの調査を依頼いたしております。それから一方、地元の方と御一緒になりまして、これによる被害総額は幾らであったかという調査もいたしております。それで、これに対してどういうふりに考えるべきかということでございますが、この騒音防止法はもちろんこれは音だけで、この騒音防止法では救済されないわけでございます。それで、法律的に申し上げますと、国が賠償できます場合は、国家賠償法の第二条の、公の営造物の設置もしくは管理に瑕疵があって第三者に被害を与えた場合に、国は損害賠償の責めに任ずるわけでございます。御指摘の事例は、その大阪空港の管理に国の責任があったためとは考えられませんので、やはりどこかの航空機が何らかの薬品なり、あるいは潤滑油なりを落としたということが原因ではなかろうかと推定されますので、これは純法律的に申し上げますと、関係住民の方はその航空会社に対して民法上の損害賠償を請求するという形になるわけでございます。しかし、住民の方が実際にどの航空会社が落としたかということを調査されることは事実上不可能でございまして、これは航空局で、その間に油漏れのあった航空機はなかったか、故障があった航空機はなかったかということをいま検査官が調査をいたしておりまして、その間に若干の油を排出したであろうと推定される航空機は二、三あがっているわけでございます。しかし、それがその畑に被害を与えたかどうかということについては、おそらくこれはわからないだろうと思います。そういたしますと、これはやはり政治的な問題として何らかの解決をはかる必要があるのではないかということで、目下大臣と御相談をしておる、こういうことでございます。
  145. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それで、最後にお聞きしたいことは、伊丹あるいは羽田、こういう空港自衛隊機がずいぶん入ってきているわけです。要するに、伊丹の場合はもとの川西航空、いまの新明和がありまして、そこへちょいちょい修理にくるわけです。したがって、これは自衛隊法のあれと同じようにテレビの聴取料、先ほど話がありましたが、こういうものを減免措置をする考えはないかどうか、郵政省の放送部長にひとつお願いします。
  146. 佐藤恵

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  受信料の免除につきましては、放送法によりまして、NHKの申請に基づきまして郵政大臣が認可するたてまえをとっております。したがいまして、その受信料の免除基準というものがございまして、基地周辺につきましては、御承知のように、二キロ、一キロの範囲につきまして受信料を減免いたしておりますが、これは一つの特例の措置でございまして、この措置は、社会的とか経済的な実態に即応して講ぜられているものでございまして、NHKに対しまして私のほうでも御趣旨の点もよく伝えまして、その段階におきましては、NHKのほうも現在十分承知いたしておりまして、検討いたしておる段階でございます。
  147. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それはちゃんと、あなたのほうで責任を持ってやってもらいたいと思います。  次に、自治省の方にお願いしたいのですが、伊丹あるいはまた羽田空港、こういうところは先ほどからいろいろ話しましたように、この被害がずいぶんあるわけです。そこで、この法案が通りましても非常にこまかなところ、すなわちきめのこまかい手はなかなか運輸省として打ちにくいのじゃないか、こういうようにも考えられるわけで、そこで、法定外普通税、こういうことを考えてはどうか、こう思うのですが、自治省の見解をお聞きしたいと思います。
  148. 山下稔

    山下説明員 四十年の初めごろだったと思いますが、伊丹のほうからそういう案につきまして内協議の形で意見を求められたことがございます。現在まだ正式の見解を決定いたしておらない段階でございまして、具体的な案をお示しいただいた上で、たとえば課税客体あるいは課税標準、税率、徴収方法というような具体的な案を拝見いたした上で結論を出したいと考えておりますが、地方税法の規定に従いまして、国税、他の地方税との競合関係とか、あるいは国の経済施策に支障がないというような見地から検討をいたして結論を出したいと考えております。
  149. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 先ほど私が防衛庁部長さんに聞いたように、学校がこうしてつくられましても、そこに対する備品があるいはまた目に見えないところに相当いろいろ地方公共団体としてはかかるわけです。いままでよく学校は寄付を取ったりいたしておりましたけれども、それはいま許されません。これはいまもう法律できまっておりますから。そうすると、非常に中途はんぱな学校になってくるわけです。使用する児童あるいはまた父兄の立場から見れば、いま地方財政が非常に逼迫しておるわけです。こうしてそこにジェットなんか飛ばなくて、要するに航空機基地でなければ何でもないところが、こうして被害を受けるわけですから、これは特別にひとつ早急に考えていただきたい、こう思うのですが、どうでしょう。
  150. 山下稔

    山下説明員 法定外普通税につきましては、市町村の申請に基づいて自治大臣が許可をすることになっておりますので、その許可にあたりましては、先ほど申し上げましたように、種々の具体案を拝見した上で、かつまた、四十一年からこうした飛行場所在市町村の特別の財政需要の事情も考慮いたしまして、国有資産所在市町村交付金の対象にしたというような事情もございますので、そうした他の財源措置等も考えあわせまして、具体案に従って検討いたしたいと考えております。
  151. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 よろしくお願いします。  これで終わります。
  152. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 連合審査会は、これにて終了いたします。    午後零時五十九分散会