○米田
委員 私は、
日本社会党を代表し、本案すなわち
外貿埠頭公団案に対し
反対の態度を明らかにし、その主要な
理由を申し述べたいと存じます。
その第一は、まず新しく
公団を設立することについて
反対であります。
いまや行政の簡素化と能率化は国民の要求であり、
佐藤内閣もしばしば行政の簡素化を口にし、ことに行政監理
委員会の
答申を尊重することを明らかにしてまいりました。この
公団設立はこれと相矛盾するものであります。すなわち昨年二月二十日行政監理
委員会が行なった昭和四十二年度の公社
公団の新設は認めないとする
答申の趣旨に反するものであるからであります。われわれは、
海上輸送のコンテナ体制に備えて
港湾の
整備増強を必要とすることについては、必ずしも理解できないわけではないのであります。それは
現行港湾法のもとに、国と
地方自治体である
港湾管理者が一体となり、もっと行政に熱意を持ち、国の
補助率を大幅に充足することによって可能なのであります。
第二は、
港湾は公共性を主体として
開発、運用されるべきでございまして、特定の企業のみに専用されることを前提として建設することは適当でないということであります。
申すまでもありませんが、港の基本は
日本経済の民主的発展と都市の一部としての自治体の発展との共存を目標として公共性を貫いたものでなければならないと思うのであります。本法によれば、国は
港湾管理者から一定区域の港を治外法権として取り上げ、国の金を出し渋って、
地方自治体と特定業者から金を出させて、そして
埠頭を切り売りするというものでありまして、われわれの絶対納得できないところであります。
第三は、この
法律によって
港湾の公共性が失われるばかりでなく、多くの中小
港湾業者、大量の
港湾労働者が港から締め出され、スクラップ・アンド・ビルド化される。すなわち首切り、合理化が促進されることは明らかであります。本法は、いわば大多数の
港湾関係労働者の犠牲において、事実上三井船舶や
日本郵船などきわめて特定数社の大企業を擁護し、企業への系列化を推し進めるのかねらいであると断ぜざるを得ないのでありまして、これまたわれわれの認めることのできないところであります。
次に具体的な二、三の点について申し上げます。
一つは、
コンテナ輸送への即応が
公団埠頭建設の大きな
理由となっておりますが、問題は、国内的国際的にまだまだ、
コンテナ輸送体制に必要な諸政策と法的準備ができていないということであります。われわれの心配する
一つは、
コンテナ輸送が、アメリカにおいてそうでありますように、ベトナムなど軍需輸送に重点が置かれ、そして急速に発達しているように、国内においても軍事的利用に結びついてはならないという点であります。また
公団の
埠頭は特定
会社に
専用貸しされることになりますので、その
埠頭は閉鎖的となり、
管理、監督がチェックされ、何よりも民主的な諸運動が制限されることを
指摘しておきたいと思うのであります。
次に、
資金計画や資金調達または税制措置等についてであります。
ことに
地方自治体に対する資金調達がずさんであり、利子補給、免税対策などが考られておりません。このことは一そう
地方財政を圧迫することとなり、また国や
地方自治体が将来において
赤字補てんに金を増さなければならないことも明らかであります。さらに特定企業への専用を許すため、逆にこれと癒着し、私企業化する危険も内蔵しているといわなければならぬと思うのであります。
最後に、今日重要なことは、経済の高度成長と貿易自由化を控え、外貿の増大、輸送の近代化、
港湾の効率化など、ますます主要な国の施策となっていることを強調するのはわかりますが、反面、
港湾労働者の非近代的な、他産業のいずれにもおくれておる労使関係、労働
条件、労働安全などの諸点に全く目をそむけている点であります。
われわれは、
政府並びに関係業者の責任において、既存の
港湾労働者の労働
条件についてまず対策を明確にすること、また
港湾労働法による登録日雇い労働者の定数を減らすことのないような保証をすること、また
港湾の近代化、輸送のコンテナ化の名によって
港湾労働者の首を絶対切らないこと、国は
財政的裏づけを伴って労働時間、賃金、安全確保にいまこそ抜本策を確立して、
港湾労働者の不安を一掃することこそ急務であることを申し上げ、本案に対し
反対の討論を終わるものであります。