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1967-07-12 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十二日(水曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 福井  勇君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 河村  勝君       阿部 喜元君    小渕 恵三君       大竹 太郎君    木部 佳昭君       徳安 實藏君    砂田 重民君       中川 一郎君    福家 俊一君       水野  清君    山村新治郎君       小川 三男君    神門至馬夫君       米田 東吾君    依田 圭五君       渡辺 芳男君    永江 一夫君       石田幸四郎君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省港湾局長 佐藤  肇君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君  委員外出席者         大蔵省関税局監         視課長     角  政也君         大蔵省理財局資         金課長     大蔵 公雄君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 七月十二日  委員砂田重民君、野間千代三君及び永江一夫君  辞任につき、その補欠として堀川恭平君、依田  圭五君及び山下榮二君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員依田圭五君辞任につき、その補欠として野  間千代三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外貿埠頭公団法案内閣提出第一〇三号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。外貿埠頭公団法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。河村勝君。
  3. 河村勝

    河村委員 初めに、きょうは運輸大臣出席でないので、政務次官にお伺いいたしますが、公社、公団等につきましては、いま政府方針としてなるべくこれを減らそう、これから新しくはつくるまいというのが基本方針であるわけです。そこで現在の国際海運界の情勢からいいまして、わが国コンテナ輸送開発してコンテナ埠頭をつくるということが、国際競争上緊急の要請であるというのは異存はないわけでありますけれども、しかしこれを公団方式でやるということにつきましては、そういう公団はなるべくつくらない。つくると非常にむだが多いということは間違いないわけでありますから、つくるにはそれだけの必然性がなければならない、それだけの十分な理由がなければならないというふうに考えるのですが、その点について政務次官、どうお考えですか。
  4. 金丸信

    金丸政府委員 この問題につきましては、ただいま御指摘のように、いわゆるコンテナ輸送というものは急速に国際海運界で取り入れておる。日本としてもこれを整備しなければならないというような事態になりました。公団というものに対して政府はこれを極力抑圧していこうという考え方であるのに、公団というものをつくるということはどういうわけだ、こういう御質問の趣旨だと考えるわけでありますが、この問題につきましては、いわゆる港湾五カ年計画というようなことで管理者財政状態というものはまことに悪化いたしておりますので、そういうようなことを考え、急速に整備拡充をするためには、現在の日本外貿定期貨物の量というものも非常に毎年増大をいたしておるわけでございます。そういう状況から考えてみますと、この埠頭というものが必ずしも現状では間に合わないわけでありまして、数年間かかりまして埠頭整備をするというようなことになりますと、この際会社でやったらいいじゃないかというような御意見もあるようでありますが、いわゆる埠頭を専用するというような状況から考えてみますと、あくまでもこれは公団でやるべき性格のものであろうというようなところに——現在の世界のコンテナ輸送というような問題に対応していくためには、この線でいかなければ、実際問題としてやっていけないというような考えのもとに公団に踏み切った、こういうことであります。
  5. 河村勝

    河村委員 この間からの御説明によりますと、この公団はそれぞれ理事長一名、副理事長一名、理事四人、五部長、職員百五十人という、かなりけんらん豪華たる陣容で発足されるような計画のようでありますが、これで年度の、工事費を除いた管理費というのは、一体どのくらいかかるのですか。
  6. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 管理費は、まだ大蔵省と折衝いたしておりませんが、私どもが要求をいたしたいと考えている金額は、おのおのの公団について、おおむね一億円程度でございます。
  7. 河村勝

    河村委員 とにかく、この公団をつくることによって、年間それぞれ一億円の管理費が要るというわけですね。これは、もし各港湾管理者にやらせれば、おそらく管理費はふやさぬでも、既存陣容にわずかプラスしたくらいでできるはずですね。そういう意味で、公団というものは非常にロスが多いわけです。だから、よけいにこういうものをつくることに対しては、相当強い必然性がなければならない、そう思うわけです。いままでの御説明によりますと、公団をつくらなければならないという理由として、一つには港湾管理者財政が、いま政務次官お話しになったように、港湾整備五カ年計画のために非常に悪化をしている。現在では、経常費の三〇%が利子であるというようなお話がありましたね。それだから公団をつくって、新しい財政資金でやらなければならぬ。それが一つでしたね。いま一つが、いままでの港湾法による公共事業方式による建設のやり方では、専用使用が不可能である、こういう御説明がありました。そこで、その一つ一つについてお伺いするわけですけれども公共事業方式でいままでの港湾法はやっておりますから、いまの法律そのものではできないということは当然ですけれども、しかし、この公団にせよ、新しい法律をつくってやるわけですね。港湾法というものもずいぶん古いものですね。これは港湾法改正して、大きな港湾大型船の着発する埠頭について専用貸しをするというようなやり方だって、法律改正すればできないはずはないと思うのです。この点いかがですか。
  8. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 御指摘のとおり、法律改正して専用使用するものに対しても補助を認めるということにすれば、可能であると思うわけでございますが、河川、道路港湾という公物については、一つの同じような法律体系がございまして、一般の人に開放するという条件つき施設に対して国が補助しているというような形が一般に取り上げられております。したがいまして、外国貿易埠頭であるからといって、港湾だけについてその例外を認め得るかどうかということは、はなはだ疑問ではないかと思います。
  9. 河村勝

    河村委員 それならば公団方式でやっても同じことなんで、やはりこれは例外を認めるわけでしょう。例外を認めるということは、それが必要な状態が新しく生まれてきたということでしょう。それならば、当然同じ法律改正ですから、港湾法改正あるいは港湾法特別法でもよろしい、そういうものでもってやってできないはずはないと思うのですが、いかがですか。
  10. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 公団は、確かに専用使用をするために国の費用も入っているわけでございますが、これは出資でございまして、一つ企業体をつくって専用使用を認めていこうということでございます。同じように道路につきましても、有料道路というものは、道路法改正ではなくて、公団という企業体をつくって、それに国も出資してやっているということでございまして、やはり現行制度で見ますと、公団方式というものと一般道路法なり港湾法なりによる方式と両立するのが、現在は一番至当ではないかと考えたのでございます。
  11. 河村勝

    河村委員 あなたは、前の御説明で、ニューヨークあたりポートオーソリティーの構想で考えているとおっしゃっていますが、それは当然従来の港湾法考え方ではできない時期にきているということでしょう。それならば、道路公団をつくったから、こっちも公団でなければならないという理由はないはずであって、港湾法でできないことはないはずだと思いますが、いかがですか。
  12. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾管理形態というものを、港が大きくなるにしたがって改善していかなければならぬという問題が一つあるわけでございます。そういうことを港湾法改正でいくべきか、また、たとえば京浜なら京浜にそういうポートオーソリティーをつくるときに、そういう特例的な法律でいくべきかという要望があると思うのですが、われわれとしましては、日本の大多数の港湾というものは、現行港湾法の範疇で開発が進められていくのが妥当だと考えておりますので、むしろ京浜とか阪神については、今後管理の問題については特例法考えていくべきではないかということで検討しているわけでございます。
  13. 河村勝

    河村委員 要するに、これは選択の問題であって、どれがいいかという議論はできぬかもしれぬけれども港湾法改正してできないことはないですよ。だから別の理由がなければならない。そこで一方で、港湾管理者財政が非常に悪くなった、こう言っているわけですね。だけれども港湾管理というのは運輸省がやっているわけでしょう。港湾埠頭使用料なんかも運輸省規制をしているわけでしょう。それなら、自分たちが、港湾管理者赤字になるようにしむけておいて、それで、おまえのところは赤字だから、新しいバースをつくる能力がないから、おれのほうでやるのだということになるのですね、ごく簡単に言いますとね。それは少しおかしいと思いませんか。
  14. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 運輸省港湾管理をやっているのではなくて、港湾行政管理者の監督をやっているわけでございます。その中で、施設について全国的に計画を調整して、必要な施設をやる場合には補助をしていくということはやっておりますが、使用料について運輸大臣認可を要するということは、法律にもございませんし、規制はしておりません。ただ、入港料につきましては、一部の港については大臣認可を得ないでとることができないように規定されているわけでございます。
  15. 河村勝

    河村委員 そうすると埠頭使用料なんかは、港湾管理者が自由に上げてよろしいのですか。
  16. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾管理者が自由にとっていいわけでございます。ただ、とる場合に、従来からの経緯で、道路と同じように無償であるということがたてまえになって、手数料的なものをとるという港湾法の前からのそういう経緯がございます。したがいまして、港湾管理者財政が苦しくなった過程におきましては、一方的にとり得るというものではないので、利用者と折衝して値上げをしてまいったわけでございまして、したがいましては、現在は横浜とか神戸におきましては、総トン一トンについて一日三円の岸壁使用料というものを取っておるわけでございますが、これも三十七年以前においては、たしか一円五十銭程度だったと思います。それを倍に上げるのに、三十八年、三十九年と二カ年にわたって上げているということでありまして、いままでやってきたことを急激に変えるということは非常に困難であるし、管理者十分収支が償うために上げないのだ、こういうことだと思います。
  17. 河村勝

    河村委員 港湾整備五カ年計画というのは、運輸省がお立てになって、それでやっておるわけですね。ですから、そういう大量投資をやる段階港湾管理者が非常な赤字で困る状態というのはわかるわけです。それならば、港湾全体ではなくとも、外貿埠頭であるとか、あるいは大型船の着発する埠頭なんかについては、減価償却費をまかなうくらいの使用料をきめさせることを条件にしたってできるわけですね。そういうことは、いま何もやっていない。結局埠頭使用料が、現在では通常経費会社でいえば事業費をまかなうだけの使用料しか取っていないところに原因があるわけでしょう。その点はいかがですか。
  18. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げました岸壁使用料等をきめるにあたりましては、管理費償却費、それから金利というものをもとにしてやっておるわけでございます。管理者が非常に困りますのは、やはり償還ベースでもって使用料を取り得ないことが一つと、もう一つ償却という観点から見ますと、土地は償却資産ではないというところから、これに対して使用料が取り得ない、こういうようなことで急激に上げることが非常にむずかしいということが一つではないかと思います。また港湾審議会答申には、使用料を適正に原価をまかなうために取るべきであるということと、もう一つは、岸壁なら岸壁から取りましても、防波堤とかハッチとか、それからさらには臨港の照明施設、そういうものに対しては、個々の使用料として事実上取り得ないものもあるわけでございまして、そういうものを取る方法として、一つ入港料という制度の活用、一つ貨物埠頭を通過するというようなとき、埠頭通過料という形の料金を課したらどうかという提案もございます。これについて港湾管理者も六大港が中心になって検討いたしました結果、埠頭使用料制度というものを新しく導入することは非常にむずかしいし、また金の取り立てもむずかしいということで、入港料についてはある程度の結論を得たわけでございますが、これすらも船主の強い反対があって、いま折衝中である。特に外航船は別といたしまして、内航船については非常に強い反対があるということで、事実上この問題はむずかしいということでございます。
  19. 河村勝

    河村委員 私の聞いているところでは、外国港湾埠頭使用料の約十分の一くらいの安い埠頭使用料だと思うのですけれども、今後このままほっておけば、赤字だからおまえのところはだめだと言いながら、永久に赤字のままに置いておくことになるわけですね。その点は一体どうお考えになりますか。
  20. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 欧米の港湾に比べまして使用料が安いということは、おっしゃるとおりでございます。これにつきましては、もともと港湾の経営の観点が違うわけでございまして、日本においては地方公共団体の義務という形で一般になるべく安く施設を提供しておるということでございます。向こうは、これを公債等借り入れ金でやっておるわけでございますから、償還をするためには相当程度使用料をとらなければならないという制度上の違いがあると思います。わが国においても、開発過程にある港湾においては、使用料を取ることよりも、地方開発が進むことによって一般の税収がふえる、またはその地方が繁栄するということが望ましいわけでございまして、規模が大きくなければ、そういう観点でやっていけるわけでございますが、横浜神戸のように規模が大きくなってまいりますところでは、いまお話がございましたような問題点があるわけでございまして、この答申にもあるように、まず入港料制度というものを確立する、その次には埠頭通過料のような形でさらに収入を上げるということで健全化をはかるということが一つと、もう一つは、補助率の問題もあるわけでございまして、これも従来の歴史的経緯から横浜神戸等は水域、外郭施設をやるときには全額補助するけれども、その他の、同じような性格を持っているものであっても、五割しか補助してはいけないという港湾もあるわけでございまして、補助率の不均衡を是正していくということ、さらに地方債につきましても、償還期限を延ばすようにすべきであるという提案答申の中にございますので、これらについても、自治省と現在折衝している段階でございます。
  21. 河村勝

    河村委員 結局どんどん世の中が変わっていくのに、港湾の扱い方を従来どおりにほっておいたまま、おまえのところは赤字だから、もうまかせられないから公団をつくってやってやるのだということになってまうわけですね。だから、かりに今度の公団ができて、埠頭使用料を取るような形、これを港湾管理者の中の特別会計にしておけば、ほかのほうの赤字赤字として、そこ自体は成り立つわけですね。そうすれば、港湾管理者赤字ができるわけはないでしょう。その点はどうですか。
  22. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 実は、この公団の問題は、私どもだけではなく、港湾管理者も三十六年の船込み以来、非常に急激に予算がふえてきた、また施設をつくらなければならぬということから財政的に苦しくなった、打開策として一体どうするかということを相談し合った結果生まれたものでございますが、やはり根底には、現行港湾法はそのままにしておくということと、そういう急激な答申については、公団のような方式をとるべきではないかということから発足いたしたわけでございまして、やはり日本港湾のいままでのあり方、それから国が相当金を出してやっておったということから、なるべく国の財投によってやるべきではないか、こういうような両者の意見から発足したわけでございまして、河村先生のおっしゃることはそのとおりだと思うのでございますが、実際の問題の進み方というものは、こういう公団方式のように管理者もわれわれも考えて進んできた、これが実際でございます。
  23. 河村勝

    河村委員 これは、港湾管理者の立場はたいへん弱いわけですね。赤字をかかえて、運輸省に見放されれば、もうこれはアウトです。だから、理屈は別として、とりあえず自分の負担が少なくつくってもらえば、それはありがたいから、ほんとうはいやかもしれないが、ぜひお願いしますということになるだろうと思うんですよ。だから、最後になって、たいへん正直なお答えでしたが、それならそれで、今度はほんとう公団をつくる——それぞれ管理費に一億円もかかるというようなむだをおかしても、なおかつ公団方式でやらなければならぬというだけの資金計画資金投入をやらなければ、いよいよもって公団存立意義というものはないはずです。  そこで、この間からの御説明を聞きますと、当初の運輸省計画では、出資を二五%予想して、残りが運用部資金の六分五厘を使って、ならして四・九%と予想した。ところが現在の計画は、出資が二割で、四割が政府保証債、これは金利が七分三厘ですが、ことしだけは七分一厘、あとの四割が長期借り入れ金、これが八分二厘、ならして六分二厘になってしまった、こういうことですね。この長期借り入れ金船会社から借りるのだ。これでは公団をつくって、財政資金を投入してやるというだけの値打ちがさっぱりないように思うのですが、いかがですか。
  24. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 御指摘のように、私どもの見通しが甘かったと申しますか、ここに非常な誤算が出たわけでございますが、やはり国全体の財政投融資計画というものが非常に窮屈であれば、これもやむを得ないのじゃないだろうか。もう一つは、この問題は二つあると思いますが、一つ民間資金という新しい方策を考えなければならぬという問題と、金利が高くなるということによって使用料にどのようにはね返ってくるかということではないかと思います。  使用料の点で申し上げますと、この金利の六分二厘というのは、阪神高速道路公団なり首都高速道路公団なりの総合金利を見ますと、大体六分になるまで道路管理者である地方公共団体出資のほかに、納付金という制度でさらに出資をしておるわけでございます。それをやって六分でございますから、六分二厘というのは、二厘だけそれよりも高いわけであります。しかし港湾管理者の、先ほど来申し上げましたような財政状況から見まして、私ども出資というものを一割でもって押えて、この二厘というこういった分に対してさらに納付金制度というものはとらないことにしたわけであります。  そこで、この二厘を安くするためにはやはり借り入れをする金、想定としては八分二厘という金利を予定しておるわけでございますが、これを、いかに安い金利の金を民間資金として集めてくるかということではないかと思います。もう一つは、そのソースをどこにするかということではないかと思うのでございますが、きのうも申し上げましたように、船会社はことしの二十億程度はいいけれども、将来については約束はいたしかねるということで——これは将来の約束をいたしかねるということは当然だと思いますが、これをさらに荷主なり損保なり、公団によって利益を受ける人から御協力を願うという以外に現段階においては方法がないので、やむを得ない措置と考えられるのでございます。
  25. 河村勝

    河村委員 道路と海との違いは、道路国際競争がないわけですね。だからこの公団のねらいというのは、国際競争力をつけるための意味でしょう。だからそれを一緒に議論するのは、ぼくはたいへん間違いだと思うのです。  埠頭使用料は当時一億五千万と予定したのが二億になった、うわさでは二億五千万くらいになるのじゃないかといううわさもありますが、それはどうなのですか。
  26. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げました金利の差、すなわち四分九厘と六分二厘との差から、約一億五千万と予定しておったものが約二億円程度というふうになるという試算がされております。
  27. 河村勝

    河村委員 それから、一番大事なものは運賃だと思うのです。特にコンテナ船について、これは単純なる運賃ではないけれども、荷役を含めた総合運賃というものが安くなるということがねらいですね。ところが今回の計画では、先行きは別として、とにかく、とりあえずいままでと全然変わらないという御説明があったのですが、そういうことですか。
  28. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 昨日もお答えいたしましたように、コンテナ輸送につきましては膨大な資本投入を必要といたしますので、当初非常にコストが高くならざるを得ないわけでございます。長期的に見れば、これはやはりコンテナ輸送コストは安くなるわけでございますけれども、当初コンテナ化される荷物の量がどれくらいになるか、こういうような問題もありまして、当初からコンテナ船が満船になるということもなかなかむずかしいと考えられますので、その荷物積載率というものは、当初は非常に少ないのじゃないかというふうなことからも、当初めコスト高ということが当然予想されるわけであります。そこで、さしあたって、運賃は現在の運賃のままでいくというのもやむを得ないのじゃないか。きのうも申し上げましたように、いろいろ試算をしてみますと、最初の五年間くらいはどうしても赤字になる、そうして六年目ごろからようやく黒字に転じて、累積赤字を消せるようになるのは九年目くらいからであるという一応の試算をわれわれしております。しかし、長期的に見ますと、将来は必ずコストは安くなるものというふうに予想いたしております。
  29. 河村勝

    河村委員 私は、その試算なり考え方が逆じゃないかと思うのです。荷物というのは、コンテナ船ができたことによって安くなれば、魅力があるから集まってくるんですね。そこでペイしてくるわけでしょう。全然同じだというんじゃ、荷物も集まらないから、いつまでも赤字を続けるということになるので、私の調べたところでは、米国欧州運賃同盟、ここではドア・ツー・ドアの場合は海上運賃を一〇%引き、それから、荷主から揚げ地の場合は五%引き、そういうことをやっていると聞いています。おそらく事実であろうと思うのですけれども一体片一方でそういうことをやっていながら、こっちで輸送費を節減して、それで国際競争力をつけようと言いながら、いままでとまるきり同じ運賃でスタートするというのは、そもそもおかしいじゃないですか。
  30. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 荷主の側から見ますと、海上運賃部門だけについてじゃなしに、いろいろな点からその損得を計算されると思うわけであります。たとえば、梱包費の節約とか、あるいは、非常にスピードアップされるわけでございますので、その間の金利が軽減される、あるいは到着日時が非常にはっきりしてくるというような、荷主にとっては海上運賃そのものももちろんございますけれども、その他の面において、コンテナ化されることにより得なメリットというものがほかにもあるわけでございます。もちろん海上運賃部門についても、運賃が下がることが荷主の側からは最も好ましいわけでありますけれども、さしあたって、いま申し上げましたように、海上運賃部門は現在の運賃のままで行く。ただいまおっしゃいましたように、シーランドのほうは、大西洋においてドア・ツー・ドアの場合は一〇%引きをいたしておるようでございますが、その他の船会社におきましては、現在の運賃と同じようにやっておるというふうに聞いております。また日本の関係の太平洋同盟でも、最近、コンテナの姿のままコンテナヤードまで直接搬入しているような貨物につきましては、一般貨物と比べまして、トン当たり二ドルの差を設けるということにいたしておりまして、本年九月一日からこれを実施する予定にしております。
  31. 河村勝

    河村委員 二、三日前新聞で見たのですけれども、コンテナ運賃というか、コンテナ輸送赤字補てんのために運輸省としては助成措置を考えているというのが出ておりましたが、実際そういうことは考えておられるのですか。
  32. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ちょうどいま四十三年度予算の、どういうものを要求するかということをいろいろと検討しておる時期に当たっておるわけでございます。それでコンテナにどのような助成をするかということにつきましては、昨年の造船合理化審議会の答申の中に、適当な助成を考えろという項目がございます。これらの答申もございますので、われわれといたしましては、当初どうしても採算に乗りにくいということであれば、これは何とかそれをカバーするような方法があるかどうかということを、いまいろいろと検討いたしておりまして、はっきりした構想はまだ立っておりません。
  33. 河村勝

    河村委員 この資金計画の中で建設費の四〇%を海運会社長期借り入れ金に依存して、片一方でコンテナ輸送赤字補てんのために助成を考えているというのは、一体どういうことなんですか。およそ矛盾した話だと思いませんか。
  34. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 お説のとおり、そういうような矛盾した印象をお持ちになるのはごもっともだと思うのでありますが、この外貿埠頭を使うのは船主であるわけでございまして、そういう面からいろいろ資金の関係で協力をしろということをいわれておるわけであります。そういう面からは、これは金は出しっぱなしじゃございませんで、貸せという話でもございますし、できるだけの協力をするということはやむを得ないのではないかと思われます。しかし、いま先生のおっしゃいますように、いろいろ助成を受けなければならぬような情勢にある船主といたしましては、当然その協力につきましても限界がある。これは当然のことでございます。できる範囲内でしか協力できない。で、どの程度に協力できるかということにつきましては、本年度の二十億につきましては、これは予算の折衝のときにはっきりきまったことでございますし、四十二年度につきましては何とか見通しが立つわけでございますので、これについては船主も何とかいたします、こう言っておるわけでございますが、四十三年度以降につきましては、今後の海運市況がどうなるか、あるいはコンテナ輸送そのものの採算が、荷物がどういうふうになるか、どの程度赤字になるかというようないろいろな問題もございますし、今後の再建整備計画期間後の政府の助成のあり方等もどうなるかという、いろいろまだわからないファクターがたくさんあるわけでございますので、この四百四十億の金を八年間にわたって貸せということにつきましては、なかなかいま直ちに協力しましょうという約束はできないということでございまして、船主側の気持ちといたしましては、それはできるだけの協力はしなければならない、しかしそれには限界がある、その限界がどの程度のものであるかはいまにわかには言いがたい。それで、協力するにしましても協力しやすいような方法にしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  35. 河村勝

    河村委員 大蔵省来ておられますか。——公団に対する財政投融資のことについて聞きたいのですけれども、この中で政府出資一〇%、それから政府保証債四〇%、それから船会社からの長期借り入れ金が四〇%、これを今後も予定して考えておりますか。
  36. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 この外貿埠頭公団に対しまして、ことしの場合、出資が国、地方が一〇%、それから財投といたしまして四〇%、受益者たる船会社に四〇%出していただくという趣旨で、今後ともこの趣旨は継続していきたいと考えております。
  37. 河村勝

    河村委員 公団をつくることの是非についてはいろいろ議論があろうと思うのですけれども、私も先ほど言ったとおり、これはどうしてもやると政府が一応決定したわけですね、国会はまだだけれども。それで、そういう決定をしながら四〇%も企業からの借り入れに依存するというのは、なま殺しみたいな、角をためて牛を殺すやり方だと私は思うのです。なぜ、過程にいろいろな議論があろうとも、つくるからにはほんとう公団を生かして、国際競争力強化に役立つような形にするとお考えにならないのか、どうして少なくとも八〇%政府保証債ということをお考えにならないのか、その点をお答えいただきたい。
  38. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 先ほど来お話がございましたように、もともと本公団を設立いたしますのは、現在の港湾法に基づく公共埠頭では——コンテナ輸送というものの性質上どうしても専用埠頭にせざるを得ない、こういうことでございまして、専用埠頭にいたしますと、港湾の使用が効率的になりますと同時に、専用し得るところの船会社がそれによって利益を得る。したがいまして、その必然的な帰結といたしまして、従来よりも高い使用料を取ることができる。そういたしますと、これまで国あるいは地方公共団体が出しておりました資金を軽減をして、借り入れ金によってこれをまかなうことができる、こういう筋道によりまして公団構想というものができたのではないかと思います。  そうして、財政資金の投入そのものが公団設立の趣旨ではございませんで、いわゆる専用使用を可能にし、コンテナ埠頭の建設を進めるというところに最も大きな意味があったのではないかと思います。先ほど財政資金事情により今年度は二十億ときまったというお話がございましたけれども、私どもの立場からいたしますと、これは必ずしも量的な財政事情——もちろんこれは量的な財政事情という面もございますけれども財政資金の使用のあり方という基本的な問題に若干触れる点があるのではないかと考えております。  と申しますのは、この公団の場合に、どうしても事の性質上、特定の会社に対する専用使用たらざるを得ないという問題点があるわけでございまして、いわゆる郵貯等を原資といたします財政資金を使用するのに適当かどうかという問題があるわけでございますが、この点に関しましては、先ほど来河村先生もおっしゃっておられましたけれども、いわゆる国際競争力を強化をするとか、あるいはまた、世界のほかの国々に比べて流通機構の面において日本が立ちおくれをしないための、いわゆる公共的な性格もあるわけでございますが、一応、この公団を設立することによりまして受益いたしますものは、ほかの道路公団であるとかその他の政府関係の機関に比べまして、非常にはっきり特定なものが受益をすることが明らかになっております以上、これらの専用埠頭をつくります際に、その設備資金の一部を受益をする人が負担をするということは、これはあり方としては自然の姿ではないかと私ども考えたわけでございます。したがいまして、国あるいは地方公共団体が二〇%出資をして、またこれを設立することによって受益をいたしますところの船会社が四〇%負担をし、それと同じ額を私ども財投のほうで負担をするというのが、考えられ得る最も自然な姿ではないかというふうに、私どもといたしましては判断をいたしたわけでございます。また、現在船会社といたしまして、これができるだけ安いお金で、自分たちのお金じゃないものでつくってもらってこれを使用することができれば、これにこしたことはないことはもちろんわかっておるわけでございますけれども船会社の立場からいたしましても、私どもいろいろ調査いたしたわけでございますが、この八年間にこの埠頭を建設いたしますのに約一千百十四億円かかる。そういたしますと、その四〇%でございますと約四百四十億円というお金が必要である。四百四十億円を八年間で割りますと、大体年間にいたしまして五十数億円という金になるわけでございます。これが海運会社の中核六社がかりにこの専用埠頭を使用いたしますと仮定いたしますならば、大体一社平均十億足らずの借り入れ金ということになるわけでございます。これは、現在のところ、中核六社の年間の借り入れ金が約百五十億ないし百六十億くらい、各金融機関等から船会社借り入れ金を行なっておるわけでございますけれども、これに対してこのいわゆるコンテナ埠頭の建設という大命題のために各船会社がさらに十億ぐらい借り入れ金をふやすということが、彼らの、要するに海運会社の経理内容にとって非常に大きな脆弱化を来たすということも考えられないわけでございまして、表面的には確かに経理的には借り入れ金の増大ではございますけれども、これは反面政府出資いたしておりますところの特殊法人に対する貸し付け金に対応するいわゆる借り入れ金でございますから、返済に関しては心配がないわけでございますし、こういった点を勘案をいたしまして、現在のシステムでこの外貿埠頭公団の設立の趣旨にのっとりまして今後もやっていける、かように私どもといたしましては判断をいたしたわけでございます。
  39. 河村勝

    河村委員 こういったかっこうで資金計画がきまれば、それに合わせて会社やなんかは計画をつくるわけですね。だから、結果として、せっかくコンテナ輸送を始めながら、運賃は従前どおりというふうな意味のないかっこうになってしまうわけですね。国際競争力をつけるというなら、それに役立たなければならない。それと、どうも専用貸しによる受益ということを非常に強く考えておられるようだけれども一般の国内産業というのは関税なりあるいは輸入制限というようなことによって、いろいろな保護措置がとれるわけですね。だから、飛行機もあるかもしれぬけれども、海運の場合はこれは常に裸で国際競争の中にある。そういった政府の別の意味の保護措置がとれないから、直接の助成をするというたてまえなんだろうと私は思うのです。それを海運会社の助成と考えるからおそらく気に食わないので、貿易全体の競争力を強めるという意味から考えれば、それは多少のものを船会社に持たせるというのもけっこうなことだろうけれども、四〇%も持たせるのはちょっと過大だとお考えになりませんか、いかがです。
  40. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、四〇%というものが船会社に対して非常に過大な押しつけだとは考えておらないわけでございますが、御承知のように財政投融資計画そのものが民間資金の調達、いわゆる政府保証債を年間五千億以上も発行いたさなければ、要するに財政投融資計画そのものが組めない現状におきまして、相当はっきりと特定の船会社の専用埠頭の建設というものがございます以上、他の道路公団あるいはその他のものと比べまして、この程度の財投協力ということは、私どもといたしましては、外貿埠頭に対しての財投の協力といたしましては相当思い切った協力をいたしておるつもりでございます。
  41. 河村勝

    河村委員 財投のワクなんというものは、ずいぶん弾力性があるのですね。しかしこれをあなたと押し問答してもしょうがないのでやめますけれども、繰り返して言いたいのは、一般の国民産業のような保護措置がとれないというところに、私はこの公団理由があると思うのです。もうちょっとお考えになって今後の対策を考えてほしいと思うのです。  それと、これはもうちょっと現実的な問題になりますけれども長期借り入れ金で今度の場合やっているわけですね。私は船会社に頼まれたわけでも何でもないので、何か船会社の応援ばかりしておるようで気がとがめるんですけれども、実際考えてみて、他の公団では公団債が発行できるわけですね。それを公団債を発行しないで長期借り入れ金にされるというのは、これは運輸省がきめたのですか、大蔵省がきめたのですか。
  42. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは予算でございますから、大蔵省でございます。
  43. 河村勝

    河村委員 それでは大蔵省に伺いますが、長期借り入れ金でなければならない、公団債ではいけないという理由はどういうことですか。
  44. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 これはやはりいろいろな問題が実はあるわけでございますけれども、現在御承知のように、政府関係機関の発行しております債券と申しますのは相当多額にのぼっておるわけでございます。現在連日新聞紙上等にものぼっておりますように、最近の金融情勢その他から申しまして国債、政保債、あるいはいま国鉄が発行しております特別債であるとか金融債であるとか、こういった債券の発行市場そのものから申しまして、非常に現在市中の長期資金事情は詰まっておるわけでございまして、これらはやはり年度予算当初におきまして、その年間におきます予測を私どもといたしましてはいたすわけでございます。これは銀行局その他と連絡をとりましてきめるわけでございますが、そういった金融市場との関連におきまして公団債の発行、いわゆる公団としての特別債の発行は適当ではあるまい、こう判断をいたしたわけでございます。
  45. 河村勝

    河村委員 しかし金融市場ということを考えれば、長期借り入れ金であろうと公団債であろうと、相手方が同じなら資金の詰まり方、資金需要は同じことですね。ですから、区別する理由はないじゃありませんか。
  46. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 これはまさしく資金的に同じではあるわけでございますけれども、実は銀行その他の立場からいたしますと、同じ長期資金でございましても、公団債を引き受けるということと、それから船会社に対して貸し付け金を行なうということでは、これは銀行の立場からいたしますと違った判断をいたすわけでございます。
  47. 河村勝

    河村委員 立場は違うかもしれない。それは銀行の立場であって、国の立場からいえば同じことですね。それなら、長金借り入れ金のほうが出すほうはどうしても分が悪いですね。せめてそのくらいのめんどうを見てやってもいいと思いますが、いかがですか。
  48. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 実は国の立場といたしましてはまさに理論的には同じでございますが、私どもの立場といたしましては、国債を年間八千億発行いたし、公社債を五千億発行いたしまして、これを順調に消化しなくてはならないという立場があるわけでございまして、これは現在日本の長期資金の市場の情勢から申しますと、金融機関にこれを引き受けてもらうというかっこうになっているわけでございます。したがいまして、銀行としての立場を全く無視しまして国だけの立場として、これでいいのだからこうだと一方的に押しつけるということも、なかなかむずかしいという実態が存しておるわけであります。
  49. 河村勝

    河村委員 たいていの場合一方的に押しつけておるのだろうと思うのですけれども、しかしその点は同じじゃないですか。銀行の立場だって、資金を出すことにおいては、長期借り入れ金は当然銀行にいく、公団債も回り回って銀行にいくのでしょうけれども、それは何か大蔵省のあらゆる種類の政保債の発行のワクをこの辺でおさめようというだけの、ていさいをととのえるだけで、実質的意味は何もないように思うのですが、そうじゃないですか。
  50. 大蔵公雄

    ○大蔵説明員 その点は私どもはっきりと申し上げられると思うのでありますけれども、ていさいだけをつくるという意味ではございませんで、実質的な意味が伴ってこうきめておるわけでございます。したがいまして、たとえば極端な——極端というか実態的に申し上げますと、ある年には公団債を発行することを認めることもできるかもしれないし、ある年には長期借り入れ金でなくては困るということを言わなくてはならない、こういうこともあり得るわけでございます。
  51. 河村勝

    河村委員 長期借り入れ金かあるいは特別債か知りませんけれども、来年度以降、そのワクの大きさは別としまして、これは公団債を発行するということは当然あり得る、こういうことですね。もうこれ以上やってみても効果がないようですから、いままでの議論の中で申し上げたことをもう少しよくお考えをいただきたいと思います。  それで、あと時間もありませんから、あと少し陸上輸送のことを伺いますけれども、いま道路が非常に悪くて、ほんとうをいえば、こういう大型コンテナをドア・ツー・ドアでやるだけの条件は、実は日本ではできてないわけですね。実際、今度東京と神戸に最初にできて、一体ほんとうにドア・ツー・ドアで扱われる貨物の割合というのはどのくらいですか。
  52. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 実際コンテナで運ばれる貨物の約二〇%ぐらいではないかというふうに見ております。
  53. 河村勝

    河村委員 ドア・ツー・ドアで扱われるのは二〇%となりますと、これはコンテナ輸送の一番大事な魅力が非常に薄れてしまうんですね。その点一体今後のドア・ツー・ドアにするための計画をどうお考えになって、どういうふうに関係の役所なり自治体なりと話を進めていかれるつもりですか。
  54. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 昨年このコンテナに関する諮問を海運造船合理化審議会にいたす前から、海上コンテナ輸送研究会というものを海運関係、港湾関係、鉄道関係、道路輸送関係者、こういう者が集まりまして、昨年の五月ごろから、コンテナ化に伴ういろいろな問題を検討してきておるわけでございますが、いまの道路事情から申しますと、太平洋ベルト地帯の高速道路と申しますか、そういう道路が非常に整備された範囲ぐらいしか、ドア・ツー・ドアということは困難ではないかと思われます。これを一挙に六〇%なり七〇%までいくのには、道路の問題でやはりどうしてもひっかかりまして、急速にはなかなかむずかしいんではないか。いま、道路構造令自体をまず直さなければいかぬ。それを直すについては、どういうような道路の規格で、どういうような道路計画を立てるかというところまでいくわけでございます。これはもちろん建設省その他でいろいろ検討をお願いをいたしておるわけでございます。現在の道路構造令に対する検討といたしましては、高さは三・八メートル、長さが十五メートル、重量が三十二トンというような前提で、いま建設省に検討を進めていただいておるわけでございます。それで、さしあたって、いまのままでもとにかく通れるという道路は若干あるわけでございまして、これを一々許可を受けて通るということでは非常に煩瑣になるわけでございますので、そういう既存の道路で通行可能なところにつきましては、何か包括的にそういうものを認めてもらうような措置をいま協議を進めておる、こういう状況でございます。道路といたしましても、あるところまでは行ける、それから先は入れないというようなところもあるかと思います。そういうところはインランドデポとでも申しますか、そういうところにデポをつくりまして、そこで積みかえなりをする、こういうことにならざるを得ないんではないかと思います。  なお、海上輸送で間に合うものにつきましては、これは海上のフィーダーサービスということを当然考えなければならぬわけであります。
  55. 河村勝

    河村委員 海上で中継するのもあるでしょうけれども、鉄道で中継するというのもあり得るわけですね。それで、このコンテナヤードの専用船なり専用鉄道とか、そういうような鉄道で戸口まで持っていくというような計画はお持ちですか。
  56. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 いま鉄道のことを申し忘れましたけれども、鉄道輸送は八・八・二〇という、われわれのいま考えている規格のコンテナ、それから八・八・四〇というコンテナも、いずれも輸送可能であるということでございますが、問題は、駅にそういうコンテナを荷さばきする場所があるか。これはまだおそらく、こういう駅は非常に少ないのじゃないか。そういうところに問題点がありまして、これは国鉄当局に、コンテナのセンターになるような駅を選定いたしまして、そうしてその駅の改造ということをお願いしなければならぬと思っております。また一方、国鉄におきましては、海上コンテナの専用貨車というものを試作中であります。そういうようなことで、国鉄当局にもいろいろ御研究を願っておる次第でございます。
  57. 河村勝

    河村委員 このドア・ツー・ドアにするという問題は急にはいかないでしょうけれども、ただ成り行きにまかせるというのじゃなしに、もっとほんとうに取り上げてやらないと、結局コンテナ輸送の自殺みたいなことになりかねないので、本気で私はやっていただきたいと思います。  それから、労働問題についてちょっと伺いたいのですが、港湾労働のほうは前々からだいぶ質問がありましたから、それは伺いません。もう一つコンテナ輸送形態というのはウィークリー・サービスというのが原則ですから、非常に停船時間が短くなりますね。いままでは大体一年のうちの二百日海上で、百五十日が港というぐらいのが常識だったようですけれども、今度これをほんとうにやりますと、三百日海上で五十日陸上ぐらいになってしまうわけですね。そういう場合、船員にとっては、陸上でほんとうに家に帰ってなりして休養する時間が少なくなりますね。そういう場合に、コンテナヤードにおける船員の福利厚生施設といいますか、休養施設といいますか、そういうものがやはりなければならぬと思うのですけれども、そういう点については運輸省としてどういうふうにお考えですか。
  58. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 コンテナができますと、荷役時間が短くなりますので、当然停泊の時間が短くなり、船員の方々の休養時間が短かくなってくるわけでございます。それで、この休養施設につきましては、たとえば北米太平洋岸航路を考えてみますと、日本側と太平洋岸側と両方にこの休養施設というものを考えていかなければならないと思います。それで、現在日本側について申しますと、京浜地区に三カ所、阪神地区に四カ所のいわゆる宿泊施設がありまして、ここに家族を呼んで休養をとることができるようになっております。これで合計七カ所でございますが、一カ所につき三十世帯ぐらい収容できる施設があります。これだけの施設日本側につきまして十分かどうかはさらに検討を要すると思いますが、もし足りない場合は、これはまた増設する必要があると思います。それで、アメリカサイドにつきましては、こういう宿泊施設を要するかどうか、これも検討を要すると思いますが、少なくともコンテナヤードに休息施設がどうしても要るんじゃないかというふうに考えております。その際、船員の食堂あるいはレストハウスのような簡単な施設、そういうものをつくるように、現在郵船においてもそういう計画をすでに立てておるようでございますが、われわれとしてもそういう考え方で今後指導していきたい、かように考えております。
  59. 河村勝

    河村委員 質問を終わります。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 松本忠助君。
  61. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 外貿埠頭公団の問題につきましては、連日にわたる審議であらゆる点がきわめ尽くされておりますので、若干私の質問も重複する点があろうかと思いますが、まず最初にお伺いしたいことは、きょうは大臣の御出席もないので次官にお伺いするわけでありますが、行政管理庁ではことしは各省庁の部局の新設、公団、公庫の新設は認めない、このようなきついお達しである。この方針を閣議で決定を行なったということでありますが、事実でありますか、この点をお伺いします。
  62. 金丸信

    金丸政府委員 事実のようであります。
  63. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 あっさり事実だという御返事でございますが、各省庁の部局の新設はやらないという方針にもかかわらず、郵政省の電気通信監理局、労働省の安全衛生局が生まれた。また公社、公団としましては、環境衛生金融公庫とか中小企業振興事業団、動力炉・核燃料開発事業団、日本学術振興会、石油開発公団、そしてまたいま議題となっておる外貿埠頭公団が二つも生まれるじゃございませんか。この点についてどうお考えになりますか。
  64. 金丸信

    金丸政府委員 そういうふうに公団を認めたというようなことにつきましては、絶対必要であるという観点、あるいは、ことに外貿埠頭公団の問題につきましては、世界の海運界の情勢から考えてみてもやらなければ手おくれになるというようなことで、この公団ということに踏み切ったと考えます。
  65. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私どもは公社、公団の新設という問題は世論に対する反逆である、こう思うわけであります。  なぜ公団を新設するかについては先ほど河村議員からの御質疑もありましたが、重ねてもう一度お伺いしておきます。なぜ、公社、公団でなければいけないのか。
  66. 金丸信

    金丸政府委員 国際海運界におきましてコンテナ船の導入というようなことでその計画が進んでおりますし、また日本といたしましてもこれに対応してコンテナ船整備というようなことを考えなければ、世界の海運界におくれをとるという問題もあるわけでありまして、そういう意味で受け入れ体制をしなければならぬ。しかし現在、日本の外貿定期船貨物量というものは毎年毎年増大をいたしておるわけでありまして、それに対応するためにはどうしても外貿貨物船の埠頭というものが必要であるが、その埠頭というものの絶対量が不足しております。そしてそれ以上埠頭を建設するためには相当の年月を要さなければならぬというような状況にもありますし、さらに現在の状況から、いわゆる港湾管理者状況財政状況港湾整備五カ年計画ということもございまして非常に悪化いたしておるわけであります。そういうような状況から考えてみまして、公団でやることが、これを整備し、なおコンテナ船に対応していく、世界の情勢に一緒にいけるのじゃないかというような考えのもとに、今回外貿埠頭公団というものが、政府がそういうものはできるだけ抑圧していくという中に、これが御審議を願うというような段階になった次第でございます。
  67. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 港湾局長にお伺いするわけでありますが、海上コンテナ輸送研究会の資料を参考にしまして運輸省大臣官房でつくったところの、昭和四十年度の北米向けのコンテナ対象の輸出物資、これの内訳を御承知でありましょうか。
  68. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 北米向けの貨物のうちでコンテナに適するものは四百七十九万トンのうち二百八十九万トンであります。
  69. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 端数のほうはともかくとして、二百八十四万トンないし二百八十五万トンと思います。これを横浜神戸、名古屋の三港にいたしましたときにどのようになっておりますか。
  70. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 コンテナ可能な貨物で申しますと、横浜が九十五万六千トン、それから名古屋が八十三万トンでございます。
  71. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 名古屋が八十三万トンといいますと、大体二百八十五万トンの二九%に当たる。名古屋といたしましては陶磁器の輸出が五十八万トン、その他が二十五万トン、合計八十三万トン。そういたしますと、三港の二九%を占めておるのに、なぜ名古屋には公団をつくらないのか。公団をつくらない理由
  72. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 御指摘のように、貨物量から見ると相当の貨物が北米向けに名古屋から輸出されておるわけでありますが、コンテナに対する船会社考え方といたしましては、なるべく寄港地が少なくて船の回転率をよくするというのがコンテナ化のメリットでございますので、当初船会社計画いたしましたのは、日本においては京浜地区と阪神地区の二港だけに寄りたい、こういう希望でございました。したがいまして当初の計画といたしましては、われわれは船会社の要望する二地区だけに公団を限ったわけでございますが、その後船会社におきましても、船の回転率を上げるということと、貨物をいかに安く集荷するかという両面から考えまして、今後は中京地区にも寄るということを検討しております。したがいまして、そういう意思がはっきりした場合におきましては、当然名古屋についても考えなければならないと思います。
  73. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 公団をおつくりになるのがたいへんお好きのようでございますから、最初からおつくりになったほうがよろしいのじゃないか、こう思うわけでございます。いずれにいたしましても現在は京浜阪神の二つでありますけれども、せめていま三分の一の貨物量を持つ名古屋を加えて、この三港にいずれも公団を置いて、そうして言うならば日本外貿埠頭公団というように一本の頭にして、三つは支店扱いというようにすれば、相当経費の点も省けるのではなかろうかと思いますが、そういうようなお考えはないかどうか、この点次官にお伺いしたい。
  74. 金丸信

    金丸政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、最初一つでいこうという考えを持っておったのでありますが、神戸、東京におきましたのは、この問題は現場へ置くということのほうが非常に運営がうまくいくのじゃないかというような意見が地元から出まして、いろいろ検討してみますと、それのほうが効率があがる、こういうような観点になりまして、最初一つでいこうと考えたのですが、二つに分離いたした次第でございます。
  75. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは重ねてお伺いしますが、名古屋が言うならば三分の一あるわけであります。大体三分の一近い数字があるわけであります。二九%……。であったならば、将来名古屋に開設するという場合には、名古屋にまた新しく外貿埠頭公団を設けるわけでありますな。
  76. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 コンテナだけに限りますと、名古屋は相当な北米向けのウエートを占めているわけでございますが、この公団はコンテナ以外にも一般の定期船のための専用埠頭をつくるわけでございます。したがいまして、私ども現在考えておりますところでは、この二つの公団にいたしましたのは、港湾管理者とも密接であるし、本来この公団埠頭を運営するという現場的な性格の機関でございますので、京浜阪神に置いたわけでございますが、名古屋にコンテナ埠頭をつくるという場合におきましても、仕事量を考えて、はたして名古屋にまた新しくこういうものをつくるのがいいのか、コンテナに関する限りであるならば、最近は名神高速なり、あるいは東海道新幹線なりで、阪神地区とは時間的には非常に至近の距離にあるわけでございますから、あるいは阪神公団の出先として埠頭を経営していくか、これらについては今後検討していきたいと考えているわけでございます。
  77. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に移ります。次官にお伺いしたいわけでありますが、公団、公庫、あるいは事業団等の新設につきましていつも話題になるのはその人事であります。言うならば役員の構成であります。いわゆる世間一般に高級官僚の天下りの場になっている、こういわれているわけであります。ただいまここで新設される予定の二公団といたしますと、最低十四人、役員が要るわけであります。それにつきましてすでに、激しいポスト争いが陰で展開されているということを私ども耳にしているわけであります。いかがでございましょうか。
  78. 金丸信

    金丸政府委員 お答えいたします。  ただいまの人事の問題は、激しい人事争いをしておるといううわさにつきましては私はまだ全然聞いてはおりませんが、とかく公団の人事の問題につきましてはいろいろ問題にされる点が多いようでありますが、そういう問題につきまして、これから埠頭公団が国会を通過する、こういうことになりますと人選に取りかかるわけでありますが、この人選につきましては安い金利の金を調達できるような方、あるいは良質な埠頭をつくれる技術を持った方、そういうような適材適所の人を選びまして、いやしくも一般からとやかくいわれないような穏当な人事をやってまいりたい、こう考えているわけであります。
  79. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 きのうの渡辺委員の質疑に対しまして、大臣から御答弁がございました。役員の人選に触れて御答弁がございました。第一番目に金融事情に明るい人、こう大臣は言われましたけれども、これは大蔵省関係の人。二番目に埠頭の建設に相当の学識経験を有している人と言われましたが、これはまあ建設省関係の方。三番目に港湾管理者、船主等の利用者の関係を十分調整できるような人、こう言われましたが、これは運輸省関係の人。こういうふうに判断いたしましても差しつかえございませんか。
  80. 金丸信

    金丸政府委員 それはちょっと推理が回り過ぎておると思うわけであります。あくまでも適材適所ということで人選をいたしたいと考えております。
  81. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 過去に所管庁、関係の官庁に在職した者、官吏出身者、こういう者は活用しない、登用しない、こういうふうに言われるわけでございましょうか。その点重ねてもう一度。
  82. 金丸信

    金丸政府委員 官庁にいた者は絶対入れないということではなかろう、私はあくまでも適材適所でいこう、しかしいやしくも、なんだこんな人事かと言われるような人事はいたしたくないと考えております。
  83. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に、管理委員会の五人の委員の構成についてお伺いをいたしたいと思います。これは京浜公団を例にとって具体的に御説明をいただきたいと思います。
  84. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 五人のうち二名は、港湾管理者たる地方公共団体の長の推薦する方でございます。それから三名につきましては、広く港湾の運営、建設を見ていくのにふさわしい学識経験者を選びたいと考えておるわけでございます。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと二名は、言うならば、具体的に言うと東京都知事の推薦する人、それから横浜市長の推薦する人、そうなるわけですね。
  86. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そのとおりでございます。
  87. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 あとの三名については学識豊かな方、経験の豊富な方でございますが、それは民間人でございますか、官僚出身でございますか。
  88. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは官僚出身であるか民間人であるかはいまのところ何もきめておりませんが、ほかの公団、たとえば住宅公団、それから首都高速道路公団、それから阪神高速道路公団に例がございますが、広く経済界のことがわかる方もしくは学者、大学の先生等がなっておるわけでございまして、おそらく同じような人選になるのではないかと考えます。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 役員につきましても、また管理委員会の委員につきましても、いろいろと世間では思惑を考えておりますので、この点先ほど政務次官からお話がございましたように、いやしくもとやかく言われないような人事をりっぱにひとつ遂行して、この外貿埠頭公団に限ってこのようであったと、こう政務次官並びに大臣が胸を張っておられるような人選を必ずやっていただきたい、こうお願いするわけであります。  次にお願いしたいことは、管理委員会におきまして資金的に裏づけの少ないところの、いわゆる港湾管理者の発言、港湾管理者を代表しておられる方の発言が弱まって、資金的に強力な裏づけを持つほうの側の、言うならば船主側を代表するような者がかりにあるとすれば、これとの発言が、一方は強くなり一方は弱くなる、やはり資金的なバックを持っておる者と持ってない者では、そこに差が出てくるというふうに考えますが、この点はどうでございましょうか。
  90. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 資金的には、出資の分につきましては国と港湾管理者が対等でございます。その他の、財投につきましては確かに国の責任としてこれはあてがうわけでございますが、そのためにこの管理委員会は資金のバックだけできめられるものではないと思います。
  91. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、港湾局長と大蔵省関税局の角監視課長にちょっとお伺いしたい点があります。  それは先般配付されましたばかりの「海上コンテナ輸送体制整備の進捗」というのがございます。これを見ますと、四ページのところに関税制度について書いてございます。この中で「コンテナ自体の通関手続の簡素化措置として昨年九月コンテナの保税地域内での蔵置期間の延長および貨物の詰込み、開梱場所までの簡易な保税運送の採用等、一連の手続の簡素化が実施された。また、昨年九月には輸出貨物については即日に通関を完了するよう措置され、また輸入貨物については同年十月一日に関税の申告納税制度が実施された。これらは特にコンテナ輸送に対して採られた措置ではないが、これによりコンテナ貨物の通関の迅速化、簡素化が期待できるものである。」云々と、こう書いてあります。私お伺いしたいのは、ことしの四月二十四日に私が予算委員会の第四分科会で、この点について質問いたしました。そのときの御答弁は、大蔵省運輸省で今後協議する、今後の検討の問題である、このような御説明でございました。その時点におきましても、特にコンテナ輸送についてとられた措置ではないとしても、このようなものがすでに考えられていた。昨年の九月、十月中にいろいろと措置がとられている。私が質問したのは四月の二十四日なんです。その時点においては、検討中である、こういうふうな食い違いがある。この点についてなぜそのときに、このようなことがはっきりわかっていたのなら、もう少し答弁に誠意を持って当たってくれたらよかったのではないか、こう思うわけでありますが、この点はどうでしょう。
  92. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 予算分科会のときの答弁は、たしか私がしたかと記憶いたしておるのですが、確かにことばが足りなかったと思います。ここにも断わってありますように、この措置自体はコンテナ輸送のために特にとられた措置ではないわけでありまして、コンテナ輸送に対する、その目的のためにとる措置はこれから検討する、そういう趣旨であるわけでございまして、ことばの足りなかった点はまことに遺憾と思います。
  93. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 遺憾というお話でありますから、それではその点はあとはもう追及しないことにします。  それでは港湾局長にお伺いいたしますが、外貿定期船の貨物量の見通しでございます。港湾局でおつくりになって配付を受けました資料でございますが、この資料の二二ページをごらんいただまきすと、その見通しが載っております。「東京湾、大阪湾における外貿定期貨物の実績と見通し」というところで、昭和三十九年度それから昭和五十年度、昭和五十年に施設別の取り扱いが、公団コンテナ埠頭が東京湾におきますものが五百八十万トン、公団一般埠頭が五百二十万トン、公共のものが千四百十、合計二千五百十、こうなっております。特に二千五百十のうち、コンテナ埠頭につくもの、これを横浜と東京と分けた場合には幾らになるのか、一般外貿埠頭の五百二十万トンも東京、横浜と分けた場合には幾らずつになるのか、さらに千四百十万トンを両港に分けた場合に幾らになるのか、この点をちょっと御説明願いたい。これはあくまで見通しでございましょうから……。
  94. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 私ども考えておりますのは、五百八十万トンのうち約百五十万トンが横浜であろう、残りは東京でございます。一般外貿埠頭につきましては、これはすべて東京港を予定しております。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういたしますと、東京港だけに入ってくるものはコンテナと一般と合算いたしまして二千三百六十万トン、そうなりますか。
  96. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 コンテナの量といたしましては四百三十万トン、それから一般外貿定期船の貨物としては五百二十万トンでございますから九百五十万トンということになります。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その下に千四百十とありますね。千四百十と五百二十というのはコンテナ以外のものですね。ですから、千九百三十あるわけでしょう。千九百三十のうち東京へ幾つ入るかといったら、さっき全部東京に入る、そう言ったのじゃないでしょうか。
  98. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 たいへん申しわけございません。公団の分につきましては、一般外貿埠頭横浜には公団としてはつくりませんので、この五百二十万トンがすべて東京であるということを申し上げたわけでございます。なお、この千四百十万トンにつきましては、横浜、川崎等が予定されるわけでございます。それと東京の一部でございます。これをこまかくはまだ試算しておりません。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 千四百十の内訳は、大体東京はどれくらいになる予定ですか。
  100. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 東京の埠頭といたしましては、今後つくるものは十三号地の一般外貿埠頭が外貿を取り扱うわけでございますが、在来ある施設といたしましては、品川埠頭がそれに該当するものと思います。したがいまして、これらを合わせて、千四百万トンのうち約百万トン程度が東京港ではないかと想定いたします。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういたしますと、先ほどから累計いたしますと千五十万トンでよろしいわけですか。千五十万トンのうちコンテナのものが四百三十万トン、そうするとコンテナ以外の従来の荷役の形態によるものが六百二十万トン、こういうふうに考えてよろしいわけでございますね。そういたしますと、その千五十万トンのうち陸上輸送のもの、特にトラックによって運ばれるものがどれくらいになる推定か、この点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  102. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 いまお話がございました千五十万トンというものは、ほとんど陸上輸送貨物であると思います。それを貨車とトラックとにどのように配分されるかということは、まだ推定はしてございません。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは自動車局長にお伺いいたしますが、ただいまの五十年度の見込み数量について、自動車局のほうでは推定一千五十万トンのうち、トラックに乗るものがどれくらい、貨車輸送がどれくらい、この点について自動車局長の御見解を伺いたい。
  104. 原山亮三

    ○原山政府委員 海上コンテナの陸上輸送の問題につきましては、われわれのほうといたしまして、一般道路上に大きな八・八・二〇のコンテナが運行できるような道路の事情でなければならないということにおきまして、道路構造令の問題と車両制限令の問題と二つございますが、道路を新しくつくる場合の道路構造令の問題につきましては、トンネルなり橋なり、そういうものについて、八・八・二〇のコンテナが通れるような道路構造令の改正について、建設省のほうに申し入れております。これについては建設省のほうも了解いたしまして、現在その改正の案について作業をやっておる最中でございます。  それから、個々の、いま港湾局長のお話計画の問題につきましては、いまのところ港湾局のほうから協議は受けておりません。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 協議がないとおっしゃるのですか。
  106. 原山亮三

    ○原山政府委員 港湾局のほうのそういう将来計画についての陸上輸送の問題については、先ほど申し上げました、一般的に通行可能の道路でなければならないということでもって、道路構造令と、既存の道路につきましては車両制限令の問題があるということでもって、その法令改正についてわれわれのほうから関係の省庁のほうに折衝いたしております。こういうことでございます。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私のお伺いしたいのは、いま港湾局長の言われた、東京へ入ってくるところの一千五十万トンについて、陸上輸送、要すればトラックによるものと貨車によるものがあるであろう。その一千五十万トンのうち、トラックが輸送するものは一体どれくらいあるのか、その見通しはどうなのかということを、自動車局長にお伺いしているわけです。
  108. 原山亮三

    ○原山政府委員 問題は、コンテナがドア・ツー・ドアで運ぶ場合におきましては、先ほど申し上げました場合の道路の問題がございます。しかし、それ以外の、ドア・ツー・ドアでいかない場合で、その港でもってそれをばらして運送する場合におきましては、個々の既存の事業者でもって十分輸送し得るくらいの量でございますので、その辺については御心配は要らない、こういう解釈をいたしております。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃ局長にお伺いしますが、昭和五十年ごろに都内の自動車は大体何台くらいになりますか。
  110. 原山亮三

    ○原山政府委員 現在一千万を突破したところでございまして、大体いまの予想では年率一八%程度の自動車の増加率になるのじゃないかというふうに考えておりまして、昭和四十四、五年で二千万ぐらいにいくのじゃないか、こういうふうな推測をいたしております。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうもお答えがピントはずれで困るわけです。私はさっきから一つの例として東京における問題を言っているのです。東京において昭和五十年ごろに自動車がどれぐらいになるか。それは確かに自動車局長さんとすれば全国の問題をお考えになるでしょうけれども、ここでわかりやすく言うならば、いま千五十万トンというコンテナあるいは一般のもので入ってくるものが——東京港で水揚げになるもの、あるいは積み込みをするものが千五十万トンある。そういう時点に立ったときに、東京都内の自動車が一体どれくらいになるのか。交通事情で最も問題になるのが自動車、その自動車の見込みがどれくらいかわからないようじゃ、私ははなはだ困ると思うのですよ。この点どうでしょうか。
  112. 原山亮三

    ○原山政府委員 先ほど全国の年率一八%ぐらいと申し上げましたが、東京の場合におきましてはその平均値よりももっと上回りまして、約二〇%程度の増加率でもっていくであろう、こういうふうに考えております。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 およその見込みが何台になるかと聞いているのですよ。
  114. 原山亮三

    ○原山政府委員 現在、東京が大体全国の一割程度でございますから、それでもって、いま正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、約二〇%の増加をいたしますと、大体年間二十万ということになりますので、約二百万増加する、こういうふうに考えております。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長の見解はちょっと少な過ぎるのじゃないかと思いますね。私どもの調査によりましても、現在の東京におけるものは、昭和四十一年の三月三十一日に運輸省で発表している自動車の台数で計算してみても、約一五%ですよ。いまあなたは一割と言われたけれども、一五%に当たっています。月間大体十五万台ふえるとして、一年で百八十万台、東京では二十七万台ふえるという推定です。この点疑義があります。あなたは二十万台と言われたけけども、七万台の相違がある。
  116. 原山亮三

    ○原山政府委員 正確な数字は本日持ち合わせておりませんけれども、東京の伸び率は全国平均の伸び率よりも多いということで、二割程度の伸びというふうに考えているわけでございますので、現在の数字に二割を掛けたものが正確に——先生の御指摘の資料によりますと、そういう数字になろうかと思います。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その問題をくどくどやってもしようがありませんから言いませんけれども、現在の都内の交通の混乱状態から考えまして、一千五十万トンというものが大井埠頭を中心といたしましてその周辺に流れるわけであります。そうすると、一千五十万トンのものをトラックに積んで毎日仕事をしたとしたらば、どれくらいのトラックが必要か。そしてまた、現在のトラックにプラスそれだけのものになったときに、大井埠頭の周辺がどういう混乱状態になってくるか、この点についてお考えになったことがありますか。
  118. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 東京港を外貿定期船の寄港港にする問題、またコンテナの寄港港にする問題につきましては、港湾管理者たる東京都が以前からこの問題を検討しておったわけでございます。これは当然、背後の道路計画も含めてでございます。とりあえず環状七号線を使うということによって、都内のコンテナ貨物の調整をする個所との連絡はとり得る。しかもさらに今後は高速一号線、さらに環状八号線から第三京浜、またその他の環状八号線から出る高速道路等、海岸地帯におきましては湾岸道路の建設計画、その他背後の道路整備計画を東京都としては持っておりまして、コンテナ輸送または外貿定期船の寄港港となっても陸上交通に支障がないように考えておるわけでございます。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 将来の問題でございますから、そのような混乱の状態が起きないように、事前に十分のものを地方自治体ともお考えになってやっておいていただかないと、たいへんな問題になるのじゃなかろうか。いまでさえもう都内の交通事情というものはごらんのとおりの混乱状態を惹起しているわけであります。そこに加えまして、いわゆる八・八・二〇というような大きなずうたいのものがのさばって歩くということになりますと、うしろから行く自動車は一切信号が見えなくなってしまう。そういう点を考えたときには、それに対してはいまから検討を加えておかなかったら、この九月にはもう八・八・二〇が走り回るわけでしょう。そういうことを考えてみたときに、先ほど堀海運局長のお話にも、通れるところは通る、通れないところはしようがないから水際線で荷役をする、開梱をするということを言われておりますけれども、それにしてもそれだけの荷物というものは動くわけでありますから、この点十分御調査の上で確たる方針を立てておいていただかないと困るのではないか。念のために申し上げるわけであります。  それでは次に、コンテナ方式による輸送が加わった後の時点における船会社の収支の問題であります。先ほどからいろいろお伺いしてみますと、コンテナの始まったばかりは相当の赤字があるというふうに聞いております。この点につきましては、昭和四十五年度くらいには平均してコンテナを扱う六社の収支の状態はどうなるか、また昭和五十五年度にはどんな状態に好転してくるか、この点について見通しをお伺いしておきたいと思います。
  120. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 コンテナ船の採算の見通しでございますが、いろいろ前提を置いて試算をいたした数字はございます。それによりますと、最初の年はどうしても荷物積載率というものが非常に低いということが当然想像されます。最初の年は三七%くらいの荷物積載率、以後漸次少しずつ上がっていくという前提で算定をいたしております。これによりますと、フレート・トン当たりのコストというものを見ますと、最初の年は七十六ドル弱、次の年は少し下がりまして五十ドル三五くらい、三年目は三十七・五六ドル、四年目はさらに下がりまして三十一・三九ドル、そして五年目にようやく二十八ドル台のコストに下がってきまして、十年目くらいには二十一ドルに下がってくる、こういう試算をいたしております。現在の運賃は約三十ドルでございますので、五年目にようやくその線を下回っていく、こういうことでございますので、先ほど来申し上げておりますように、最初の四年間くらいは当然赤字になるであろう。それで、最初の一年にどれくらいの赤字になるだろうということを各船会社におきまして、いろいろな前提を置いて試算をいたしておりますが、ある社では五億くらいという社もございますし、ある社では七億くらいになるかもしれぬというふうに試算をいたしておるところもございます。最悪に見積ってみましてせいぜい十億以内にはおさまるであろうというふうに踏んでおるわけでございます。これが船会社の経理にどのように響いていくか、これは将来の見通しでございまして、再建整備計画は三十九年から五年間でありまして、四十四年に一応終わるわけですが、現在すでに中核六社につきましては償却不足というものは解消いたしております。延滞につきましても解消いたしておるわけでございます。いまの状態でいくとなれば何とかしのげるのではないかと思われますけれども、この再建整備期間を過ぎますと、国の助成のあり方というものがどうなるかによって大きく左右もされますし、また先ほど来お話がありましたように、海運そのものは裸で国際競争に立ち向かっておるという関係もございますので、国際的な市況というものが今後どう動くかということに大きく左右されるわけでございます。そういう点を考えますと、やはり再建整備計画終了後も何らかの助成策を続けていく必要があるのではないか。そしてコンテナの当初の赤字というものをどのようにカバーしていくか、造船合理化審議会の答申にも、コンテナ輸送についての当初の赤字というものは、何とか国で助成措置を考えるべきだというふうな答申もございますので、いま四十三年度以降の政策なり、あるいは四十三年度の予算についていろいろと検討いたしておる次第でございます。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 具体的に言うと、昭和四十五年度あるいは五十年度、その辺になるとどういうことになりますか、その六社の収支の状態は。
  122. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 四十五年、五十年という時点での船会社の収支というものは、いろいろファクターがありまして、正直に言いましてそういう収支の姿というものを私どもまだはじいておりません。ただいまここに四十一年の実績というものがございますので、参考のために申しますと、六中核体だけについてまず申しますと、収入が三千四百十二億、それに対して費用と申しますかコストでございますか、それが二千七百九十億、したがいまして、償却前の利益は六百二十二億、償却実施額は五百九十一億、したがいまして、四十一年の損益というのは三十億のプラス、こういう収支になっております。ちなみにその一年前の四十年の実績を申しますと、この収支が六十八億のプラス、こういうことになっております。それで、これは四十年、四十一年の実績でございますけれども、四十五年、五十年というだいぶ先のことになりますと、国の助成政策がどうなるか、あるいは国際市況がどうなるか、いろいろ大きく変動の可能性のある要素がありますので、そういう収支をまだはじいたことはございません。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ただ、将来にわたって黒字にはなるということは言えますか。
  124. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 コンテナ船だけの採算を取り出して見通しを見ますと、先ほども申しましたように、長期的には必ず黒字になるというふうにわれわれ見ております。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に、埠頭公団の収支の見通しでありますが、御説明によりますと、埠頭使用料が年間一バース当たり、コンテナ埠頭が二億円、こうなっておりますけれども、その算出の基礎はどのようなことですか。
  126. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 公団出資とそれから財投、長期借り入れ金でやっていくわけでございますが、償還期限は三十年と考えております。それから出資が二割、財投が残りの半分、あと半分が借り入れ金ということで、出資金利がゼロでありますが、財投が七分三厘であります。それから長期借り入れ金は市中金利でございまして想定はできませんが、大体八分二厘程度考えるわけであります。そうすると、総合金利が六分二厘になります。それを三十年償還ということでやってまいりますと、おおむね二億円程度であれば償還が可能である、こういうところからきておるわけであります。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 バースがすべて完成した時点におきましては、どれくらいの使用料が入る予定になりますか。
  128. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは公団ごとというよりも、港ごとになってございます。例として東京をあげますと、東京におきましては昭和五十年におけるコンテナ埠頭使用料は、十二億円と試算いたしております。それから一般定期船埠頭につきましては、十億六千万円でございます。横浜も申しましょうか。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 横浜、大阪、神戸言ってください。
  130. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 横浜では、同じ昭和五十年でございますが、コンテナ埠頭使用料が四億五千万円でございます。それから大阪で申しまして、昭和五十年にコンテナ埠頭使用料が七億五千万円でございます。神戸コンテナ埠頭使用料が九億円、それに対して一般定期船の埠頭使用料が十億六千万円でございます。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 合計幾らですか。
  132. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げました数字は当初の試算でございまして、その後民間からの借り入れ金がふえまして金利が違ってまいりましたので、先ほどの数字は取り消させていただきます。  いま私が申し上げました総合金利で六分二厘として勘定いたしまして、昭和五十年におきましては、コンテナ、バースのほうが公団全部で四十四億円、それから一般埠頭が二十億八千万円であります。合計六十四億八千万円でございます。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私の計算もそうなっておるわけでございますが、そうすると、将来においてもいまの使用料というものはもう値下げをしないというお考えでございますな。
  134. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは三十年で借りた金をいまのような条件で返していくということで、将来を見通した使用料をきわめておるわけでございますから、それを途中でもって漸減方式をとるとか、あるいは漸増方式をとるということは考えておらないわけであります。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  いろいろお尋ね申し上げましたが、要は一番心配しておる点は、最初申し上げましたような公団の人事の問題、これに対して世間でもいろいろとうわさが出ております。どうかその点についても慎重に御検討願いたい。なおまた、陸上輸送の点についてはたいへんな問題であろうと思うわけであります。これに対して自動車局のほうでもまだまだ十分の検討がなされていないようにお見受けいたしました。非常に残念に思うわけであります。この陸上輸送の点についても確たる方針を立て、そしてまた地方自治体ともよく協議をされまして、万遺憾ないところの陸上輸送のできるように考えていただかないと、港湾のほうはコンテナが港へつけばそれでいいのだ、積んで出してしまうまでのこと、陸上のことは知らないというようなことでは困るわけであります。先ほどの自動車局長のお話でございますと、まだその点について港湾局あるいは海運局、自動車局と横の連携、検討がなされていないように私は見受けました。この点を非常に心配するわけでございます。どうか将来におきまして十分の省議を尽くされまして、万遺憾のない運営をしていただきたいということを最後に申し上げておきます。終わります。
  136. 内藤隆

    内藤委員長 依田圭五君。
  137. 依田圭五

    依田委員 佐藤港湾局長にお尋ねをいたします。時間がありませんので私も簡単にお聞きして、簡単に御答弁をいただきたいと思います。  まず第五条でございますが、資本金の問題について、これは一割ということになっておりますが、地方団体の負担は将来にわたって一割をオーバーするようなことはあるのかないのか、この点をお伺いいたしたい。
  138. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 将来にわたって一割を変える考えはございません。
  139. 依田圭五

    依田委員 将来公団の内容が、現在のコンテナにしても一般ライナーにしても、いまの、バースだけでは足らないというような時代を迎えまして、いま郵船をはじめ六社ですか、こういうようなことではとても日本の経済界の需要をまかない切れないというようなときをも想定して、公団の資本金そのものは地方自治団体は一割、それ以上はない、あるいはそれ以下になることはない、以下はないでしょうけれども、以上の負担をかけるようなことはないということははっきりしておりますね。もう一ぺんお聞きしておきたい。
  140. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは大蔵当局とも話し合いまして、将来も変えないということを確認しております。
  141. 依田圭五

    依田委員 第二点で、第十条に関連をいたすのですが、これは権限の問題であります。一応資金計画並びに決算ということになっておりますが、このほかに業務方法に対する一つのプラン、あるいは業務方法書とでもいいますか、また、重要な財産の処分、これについてやはりこれを追加して委員会の議決事項の中に入れるということについて、お考えはありますかどうか。
  142. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この点につきましては、この法案の作成時、自治省あるいは港湾管理者または法制局等ともいろいろ協議を尽くした結果でございますが、重要財産の処分というものは、当然公団の年々の事業計画の中に入るということで、特に重要な財産の問題を管理委員会には入れませんでした。それから業務方法書は公団が仕事をやっていく規則、規定のようなものでございまして、これは特に管理委員会の議決を得る必要はないという見解から、それも入れなかったわけでございます。
  143. 依田圭五

    依田委員 十条に関連してお聞きしますが、遠い将来、これはほとんどないと思いますが、何かの関係で赤字、あるいはいろいろな点で公団が改組、解散というような場合に、公団財産の先取特権といいますか、一応地方自治体あるいは縁故債あるいは預金部資金等が入っておりますから、これらについての順序がもしあれば、ここで明確にしていただきたいと思います。
  144. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 公団の解散につきましては、別の法律で定めることになっております。それから四十一条にございますように、公団の債券につきましては先取特権があるということが規定されております。
  145. 依田圭五

    依田委員 別の法律というのは、そのときになって単行法を出すということですね。
  146. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そのとおりでございます。
  147. 依田圭五

    依田委員 二十一条の役員の任命に関連してお聞きいたします。地方自治団体としては、今回この公団ができ上がることについて非常に心配いたしておるわけです。それでこれは大臣にお聞きしたいのですが、管理委員会のほうへは一応一人、合計二人ですか、出るということになっておりますが、二人でとどめるのか、五人ですから、もう少し二割以上の、合わせれば四割になりますが、発言を期待をいたしておるわけです。その点が一点。  もう一つは、今度は公団の執行機関、これに対して地方団体のほうからは入るようなことはないのかどうか、その辺の推薦——もし方針があれば明確にしていただきたいと思います。
  148. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 執行機関につきましても関係公共団体の御推薦を得たいという考えでございます。
  149. 依田圭五

    依田委員 執行機関のうちどのくらいの数を、あるいはどういう目安で、どういうような方法地方団体の推薦をさせようというようなお考えでありますか。さらに明確に……。
  150. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まだ最終的な決断まで至ってはおりませんが、一応の考え方といたしまして、関係の各公共団体ごとにそれぞれの関係公共団体のほうへ御推薦をお願いしたい。そして管理機関と公団の執行機関との緊密なる連携を人事面から保障してまいりたい、こう思っております。
  151. 依田圭五

    依田委員 大体大臣方針でありますから、それ以上は具体的にお聞きすることは差し控えたいと思いますが、できるだけ、一人入れるのも、二人入れるのも、三人入れるのも、入れるのですから、できるだけ数多く要望しておきます。  その次に第三十条の二項に関連をしてお聞きいたしますが、「隣接して造成し、及び管理」。外貿埠頭に関してですね。いわゆる背後地の問題でありますが、これは例を東京にとりまして、この区画はいまはっきりしておりますかどうか、しておれば、大体十三号の場合どこからどこまでが背後地であるか、大井埠頭も同じであります。これを明確にしていただきたいと思います。これは局長にお願いします。
  152. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この背後地というのは、大体東京都の計画によれば倉庫地帯に予定しているところでございます。したがいまして、コンテナヤードにはこれに付随した倉庫地帯のようなものはないわけでありますが、十三号地には第一線の上屋用地に続く、同じ程度の面積を持っている土地を考えているのであります。
  153. 依田圭五

    依田委員 そうしますと。同じ面積ということになると、いま十三号は大体六十万坪のうち二十五万坪前後までを一般ライナーに使わせる、大井の場合は大体二十万坪強を使わせるということになっておりますが、大体地方団体のほうの考え方では、できればそのあとのほうは地方団体のほうにやらしてもらう、こういうことで、できるだけ狭めてもらいたい。また、いまほぼ同じぐらいの坪数というのは、一体、たとえば十三号では何坪ぐらいを——いまでいうと平米ですが、坪でわかりやすくお聞かせ願いたいんですが、二十五万坪がいま用地に予定されておりますが、二十五万坪ぐらいのことを言うんですか。
  154. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 私ども試算では、本来業務に要する面積が、先ほど申しました十七万坪でございます。これに対しまして十三万坪程度が倉庫用地として考えられる面積、合わせて三十万坪、こういうように試算しております。
  155. 依田圭五

    依田委員 十三万坪ということは、十三号の場合は確定した、ほぼ固まった、詰められた数字でございますか。
  156. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは東京都がすでに十三号地については背後の区画割りの一応の計画を持っておりますので、上屋、いわゆる荷さばきをする面積が、われわれが想定している十七万坪でございまして、それに続く倉庫用地として予定している面積が十三万坪、それを隣接地域と考えているわけでございます。
  157. 依田圭五

    依田委員 その隣接地域の内容は、どういう形でこれを地方団体ときめられるわけですか。協議のしかたですか、決定のしかたをここで明らかにしてもらいたいと思います。
  158. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 荷さばき地なりその背後に所要の倉庫敷地というようなものは、そこを流れる貨物量からおおむね試算できる数字でございまして、それをもとにして東京都がそういう計画を持っているわけでございます。それから試算したものでございますが、これをすべて公団がやるということではないわけでございまして、公団が一体として運営することが埠頭の利用上よりよいという場合、そのときに協議をして、自分たちがこの敷地をつくることがどうか、それはそのほうがその港全体から見て、埠頭の効率化のためにいいということであれば、われわれは——われわれと申しますか公団が、この仕事を大臣認可を受けてやるということでございまして、いま予定しているものをすべて公団が当然やるというように考えておりません。
  159. 依田圭五

    依田委員 この規定を削りまして——背後地の問題は非常にまだ不確定なんですね。これは地方団体の残されました財産との関係の接点になるので、地方団体のほうはもうすでに、たとえば東京都の場合、六百七十万坪を外債でもって埋め立てる。昭和三十六年ですか、その当時から、十カ年計画の当時からこの問題はもうすでに、ここの用地については計画を持っておるわけなんですね。それをごく最近になって、しかもコンテナについてはここ一両年、最近になりましてから急速にこれがクローズアップされてまいったわけであります。ですから、十三号にしろ大井埠頭の使用方法にしろ、いま非常に地方団体側が混乱しておるんです。ですから、できるだけこれを残してもらいたい。できれば背後地のような非常にあやふやな、はっきり区画のきまらないような内容を持った区域については、この二項の一号についてはこれを削除するとか、何か方法を講じて、そういうようなはっきりさせてもらう方法は可能かどうか、お聞きしたいと思います。
  160. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 東京につきましてはすでに土地利用計画のようなものがあるわけでございまして、無理にわれわれも、その利用計画が港の発展上望ましいものであれば、この条項によってやるつもりはございませんが、管理者によってはこういう形が望ましいということもございますし、港全体と申しますか、公団の事業を考えれば当然この規定は置くべきではないか。しかし、これを強制するということはないわけでございまして、管理者との協議でやっていくわけでございますから、この条項は必要だと思います。  もう一つは、私ども考えますのに、たとえば十三号地が一般外貿埠頭であるといたしましても、将来これはコンテナ化というものが進んだときに、コンテナに転換する必要が出てくるかもしらぬわけでございます。ところが、わが国港湾管理者は、これは世界に例がないのでございますが、みな埠頭地帯の土地を売るわけでございます。外国では私、ロッテルダムに行ったとき聞きましたのですが、なぜ土地を売らぬかと言いましたら、土地こそ港湾管理者のために必要なんで、これは金の卵を産む鶏である、なぜその鶏を殺すのかと反論しておりましたように、なるべく埠頭の土地は売っていただきたくないわけでございます。したがいまして、東京都としてそういうお考えで土地を利用してみずからやっていただく分におきましては、その調整さえとれるならばいいわけでございまして、無理にこれによって公団管理者の土地を取るという意図は全然ございません。
  161. 依田圭五

    依田委員 それじゃ、局長、お聞きしますが、すでにもう法案ができる階段において、背後地の範囲、これについてもう具体的に図面ができておりますか。
  162. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 東京都の計画についても、一応の管理者としての案はございます。しかし、それが確定するということは考えられません。と申しますのは、埠頭の運営、荷役の方法等が、いま輸送革命と言われておりますように、非常に急激に変わるわけでございますから、いまから確定するということではなくて、埠頭ができた時点において、どういう地帯が一体として運営するに望ましいのかということで、そのために協議という条項が残してあるわけでございます。
  163. 依田圭五

    依田委員 じゃ、引き続き「協議」についてお聞きしますが、協議とは一体どの程度の拘束力を行政上持っておりますか、明確にしてもらいたいと思います。これは大臣からお答えを願います。
  164. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 協議と申しますのは、特定の問題につきまして関係機関が相互に話し合いをいたし、意思の合致を得るということを目的としております。
  165. 依田圭五

    依田委員 意思の合致を得ることを目的に協議するわけなんですが、その協議がととのわない、意思の統一がなかった場合の行政効果、その協議の効果は一体どういうことになってくるのですか。
  166. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 公団があらかじめ港湾管理者に協議しなければならないということでございますから、港湾管理者がそれに対して同意すれば問題ないことでありますが、同意が得られない場合、したがって協議がととのわないということになりますが、その場合については、ここには規定はございませんが、結局一つ考えとしては、その場合には、協議のととのわなかった事由を具して当事者双方から運輸大臣に、何とかさばきをつけてもらいたい、こういう仲裁を求めてきて、そうして運輸大臣が仲裁の役をつとめた結果協議がととのうという、これも一つの場合だろうと思います。しかし、いずれにしても、協議が法律上の要件に相なっておるようでございますから、協議が何らかの形でととのわなければ、公団としては運輸大臣認可を受ける手続に出ることができないわけでございまして、これは結局、関係者の互譲、妥協によりまして、そうして最もいい利用方法を双方話し合っていく。あくまでも協調の精神で進むべきだと、こう思うのでございます。
  167. 依田圭五

    依田委員 公団地方団体との間の協議がととのわないときには、運輸大臣に仲裁を求める。三十一条の第二項は今度、運輸大臣港湾管理者との間の協議でございますが、これはととのわざるときは一体どうなるのですか。
  168. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これはととのうまで双方いろいろ対案を出し合って話し合うということが絶対に必要だと思います。
  169. 依田圭五

    依田委員 そこで自治省のほうにお聞きしたいのですが、私がきのう電話で聞いた範囲内では、協議ととのわないときにはその仕事はやらない、こういうことを自治省側の答弁で聞いておるのですが、間違いありませんか。
  170. 林忠雄

    ○林説明員 ただいまの運輸大臣の御答弁は、その趣旨だと拝聴いたしております。私のほうもそのとおりに解釈いたしております。
  171. 依田圭五

    依田委員 運輸大臣のほうは、協議ととのわないときには努力をする、具体的には実際は私もそれでいいと思うのです。しかし、それでもととのわないときには一体どうなるのだろうということなんです。これを自治省側は、それはもう大体その仕事は一応ストップしてもらうのだ、これが協議ということばの行政法なり行政上の慣用の使い方の内容なんだ、こういうお話なんですが、その点もう一ぺんくどいようですが、お聞きしたいと思います。
  172. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私も結局においてそういう意味で申し上げました。ただ、私の申し上げたのは、どこまでも協議がととのうように努力するという点を申し上げました。その意味はどうしても協議がととのわなければやろうと思ってもやれないのだという含みを持っております。
  173. 依田圭五

    依田委員 それでは港湾局長に聞きますが、もし現物の出資地方団体がする意思があれば、これは可能なんですか。
  174. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この法律では現物出資考えておりません。
  175. 依田圭五

    依田委員 土地の値段なんですが、造成途中で公団側のほうに引き渡すということですが、これは買い上げの形になるかどうかが一点、その点をお答え願います。
  176. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 公団が買うわけでございます。
  177. 依田圭五

    依田委員 そのときの価格は造成原価なんですか、それともどういうような値段でなさるのですか。
  178. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 お互いに出資した公団でございますから、当然原価でいただきたいと思っております。
  179. 依田圭五

    依田委員 その原価の場合なんですが、これは要するに埋め立て計画の中に一般に稼働の用地と、それからそれ以外に、道路やら公共用地やら公園用地やらその他を入れましてこの原価を出すわけなんですが、どちらをお使いになりますか。
  180. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 要するに、道路等売れないものは引いて原価を出すのが普通でございますので、そういう方法考えております。
  181. 依田圭五

    依田委員 結果的に地方団体には非常に過酷な条件でやることになるわけですね。この公団ができることによりまして、大体こういうことなんですよ。さらに聞きますけれども、一体いまの造成途中のあれは大体どういうふうにきめるのですか。途中までやっておるのを引き渡し時点とか、そういう点は……。
  182. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 東京都との話し合いでは、東京都がつくったものを買ってくれというからそういう方針を立てております。
  183. 依田圭五

    依田委員 地方団体のほうでは、この公団をつくられることによって、コンテナの輸送の革命がきた。財政は若干は負担が軽くなる。しかし将来にわたって一つの、治外法権じゃないですけれども、何かそういう方針が出るわけですね。しかも銀座通りではないけれども、一番いいそこを維持するために、全港湾計画をいろいろ立てなければならない。一番大事なところなんです。それを国の要求に従って非常に安いお金で提供いたすわけなんです。これについてできるだけ地方団体側の将来にわたる負担も考えていただきたいという希望は、私も地方行政からきておりますから、そういう立場から発言しておるのですが、そう思っておるわけです。それについて造成原価、しかも稼働用地だけの造成原価、ほんとうに正味だけだ、こういうお話だと……。
  184. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げましたのは、売れない道路用地その他は売れないものとして、造成地のうち売れる面積で割った価格で買う、こう申し上げたわけであります。
  185. 依田圭五

    依田委員 それはわかりました。  時間がありませんのでちょっと急ぎますが、第三十条岸壁の貸し付け、これまた協議事項になっておるのですね。従来は意見を聞いたり、あるいは聞かなければならぬというような規定の経過をたどって協議事項になっておりますが、岸壁等を貸し付けようとするときには第三十条第三項の規定を準用するというのですが、この準用のしかた、姿勢について御答弁願いたいと思います。
  186. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 貸し付けようとするときにおいて準用するというのは、港湾管理者と協議するということそのものをいっておるわけであります。
  187. 依田圭五

    依田委員 三十七条に関連して一言お聞きしますが、「書類を、公団出資した地方公共団体に提出しなければならない。」ということになっております。この点なのですが、「提出」だけでは非常に弱いので、これをもう少し強く規定することができないか。「提出」とは一体何かということをお聞きしたいと思います。
  188. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この点につきましても、いろいろと管理者と話し合いをした問題点でございます。当初管理者から御要求のありましたのは、事業計画について予算の作成をしたときから協議をすべきではないか、こういうことでございましたが、一般に公共事業をやる場合でも当初から協議をしておるわけでございますが、これはあくまでも実際にこれだけの仕事をやりたいということでございまして、予算でそれがきまるわけでございます。したがいまして、当初の協議は法律事項でなくて必ず実態として行なわれておることである。しからば、ここに書いてある「大臣認可」というのは何であるかと申しますと、予算できまったことを大臣がオーソライズすることによって、初めて公団が仕事に着工できるという規定である。したがってこれについての協議ということは不要であって、事実上協議がなされておるということでこの条項では協議を省いた。しかし予算がきまったあとの——これは当初の要求よりおそらく少ないものだと思いますが、予算がきまったあとで大臣と協議がととのってこのように仕事をいたしますということは、当然出資者に対して報告をする義務があるので、書類を提出する、こういうようにいたしたわけでございます。
  189. 依田圭五

    依田委員 出資権を根拠に発言をするということになれば、四団体で二割くらいしかないのですからね。大体公団なんかつくらないで、公団で平均して六分何厘とか利息を払うとか、あるいは預金部から資金を出すとか、いろいろ手当てをなさるということであれば、同じような援助を地方団体になさっていただければ——極端にいえば六十万坪の第十三号埠頭一つとってみても、坪十万円の価値と考えれば六百億の財産価値があるわけです。ですから、埋め立て会計は独立会計でありますし、少し政府が援助してくれれば、私は公団なんかつくらぬでもできるように思うのです、そういう角度から申し上げて。しかもでき上がるとあとあとまで絶えず地方公共団体は、公団が使っておる土地を守るために、たくさん防波堤なりあるいはいろいろの設備をやるわけですね。もちろんそれは内貿にも使います。奥のほうにも使いますが、たとえば十二メーターのしゅんせつをやる、前の航路は九メーターで間に合う、ただコンテナのところまでは十二メーターだ、しかもこれは重要港湾ですから、十分の十までマキシマムに保証されておる、にもかかわらず、十分の六くらいしかいままで出ておらないのです。こういう形で、あとはそれぞれ団体ごとに金を使わなくてはならぬ、こういうような中で、当然地方団体の管理者としての監督権、指導権あるいは責任という角度から、公団に対して、公団のほうから毎年度の計画なり予算を協議の内容として出していただきたい、そのくらいの規定を強化してもおかしくないと思うのですが、これは大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  190. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 書き方の問題じゃないかと思うのでございますが、御承知のとおり、運輸大臣に事業計画認可を受ける際には、毎年度の資金計画というものを立てなければならないわけでございまして、この資金計画と事業計画というものは、実質的には不可分一体をなすものでございます。そのうち資金計画ということになりますと、必ず当該年度の公共団体の出資額というものが見積もられなければならないわけでございまして、それを見積もるには公共団体と公団が事前に話し合いをして、完全なる了解に達するということが、おそらく実際上は必要じゃないかと思うのでございます。したがって、こういう協議が運輸大臣のところまで出てくるということ自体、双方の間に、法律に規定はないけれども、実際上法律に規定したと同様な協議の手続が行なわれ、しかもそれが合意に達しておるということを意味するのではないか、こう思うわけでございます。
  191. 依田圭五

    依田委員 地方団体が公団のほうと毎年度の予算なり資金計画を相談をするということと、運輸省、いわゆる中央官庁の本省に対して出して、そのはね返りでいいのじゃないか、実際の効果は同じじゃないかというお話ですが、公団ですから株式会社とは違うのです。国のいわば機関なんです。これは。しかも、一番いいところを使っておられる。しかもそれに関連するたくさんの付属の事務、事業を直接間接に、たとえば東京都であれば都の事業として請け負っていかなければならぬ、自分の事業として請け負っていかなければならぬ。お互いに十分助け合っていかなければならぬ。しかも政府のおえらいところではなかなか目につかないこまかい問題が、現地にはたくさんあるわけです。こういう中において、すぐそばにある地方庁に対して、同じ政府機関であるから、公団であるから、株式会社でないのだから、懇切丁寧にお互いに相談し合って協議をしていく。提出では出しっぱなしで、極端に言えば読んでも読まなくてもかまわないわけです、法文からいうと。その辺がいかにも、中央政府地方団体に対する姿勢というものが、こういうことばで明記されました権限の使い分けの中に——それならば一体公団の仕事が影響を受けるか、私は影響を受けないと思うのですよ。その辺をもう一ぺん重ねてお聞きします。
  192. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 実は私どもも当初、いま依田先生が言われたような考えを持ちまして、いろいろ法制局その他ともこの条文について相談したわけでございます。と申しますのは、同じ条文が高速道路公団についてもあるわけでございます。その結果予算の要求にあたって、お互いの出資者が来年度どのくらい予算を要求しようというようなことは法律事項ではなく、この条文は、公団が予算がきまったあとでどういうルールで仕事をするかということをきめてあるのです。したがって、ほかの公団にもそういう条文がないということで、私ども、そういう手続規定であればそれでいいだろうということで、実は当初先生と同じ考えから出発いたしまして、法制局、大蔵省、その他いろいろ公団に関係ある各省と打ち合わせした結果、この法、案に固めたわけでございます。
  193. 依田圭五

    依田委員 よく他の公団道路公団か何かを引き合いに出して、均衡論か何かの上から、いろいろ制度、形の上から言われるのですが、高速道路なんかは、実際無差別に地域住民が利用しているわけです。ことに大井埠頭の場合には、大手のコンテナの場合には六つの郵船以下連携しました三組の会社しか使っておらぬのです。そのために、わざわざ下を掘ったり、防潮堤をつくったりしているわけです。しかもそれは十分の十ではなくて、十分の四は地方団体が自分の金を出しているわけです。こうした制限された公団性格、そのすぐそばにあって、しかも利害関係が密着している地方団体との間の調整の毎年度の文書、これについて格差をはっきりつけて発言を封ずるということが私にはわからないのです。もう一ぺんお聞きします。
  194. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この三十七条に限りましては、あくまでも公団が、予算がきまったあと、どういうルールで仕事をやるかという手続規定でございますので、港湾管理者との協議というものはございませんが、法案全般としては、先ほどお話がございましたような港湾管理権との調整で計画、建設、さらには貸し付けの規定に至るまですべて協議をして調整をはかっているわけでございます。
  195. 依田圭五

    依田委員 あと四、五分しかないので、三点ばかり簡単にお聞きします。  四十四条の「経費の一部を補助する」、この内容についてお聞きしたいと思います。
  196. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは災害が起こった場合に、国と出資している公共団体とがおのおの災害の分について経費の一部を補助していこうという規定でございまして、しからば何割補助するのかということは、災害の規模にもよると思いますし、その率については規定していないわけでございます。
  197. 依田圭五

    依田委員 災害だけだと理解いたします。  それからもう一つ公団側が港湾施設について必要な費用、維持管理の費用を若干負担するような規定はこの中に全然ないのですが、そういうものをどのようにお考えになっておりますか。
  198. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 業務の範囲、つまり第三十条の一項の四号にございますように、外貿埠頭の改良、維持その他の管理を行なうわけでございまして、当然この経費は、公団としては支出するわけでございます。
  199. 依田圭五

    依田委員 最後に、職員の問題ですが、一体職員は一般から公募したりするのか、それとも港湾関係の従来の地方団体の職員なんかに一部出向を求めるのか。もしそのような場合には身分関係は一体どうなっていくのか。この点身分関係、職員の問題について包括してお答え願って終わることにいたします。
  200. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この公団は、相当専門的な技術を要しますので、国としてもできるだけ職員を出さなければならないと思いますけれども、一番その港に近い港湾管理者の職員の応援を得なければできないと思います。その場合には、ほかの公団の例でもそうでございますが、退職して公団の職員になってもらう、しかし退職金その他については通算があることになっております。
  201. 依田圭五

    依田委員 どうもよその委員会から来たものですから、ふなれで申しわけないと思いますが、私は地方委員会から来ましたから、ひとつ地方団体の大きな負担にならないようにお考え願いたいと要望いたしまして、終わります。
  202. 内藤隆

    内藤委員長 本案に対する質疑はほかにございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  203. 内藤隆

    内藤委員長 これより討論に入りますが、討論の申し出がありますのでこれを許します。米田東吾君。
  204. 米田東吾

    ○米田委員 私は、日本社会党を代表し、本案すなわち外貿埠頭公団案に対し反対の態度を明らかにし、その主要な理由を申し述べたいと存じます。  その第一は、まず新しく公団を設立することについて反対であります。  いまや行政の簡素化と能率化は国民の要求であり、佐藤内閣もしばしば行政の簡素化を口にし、ことに行政監理委員会の答申を尊重することを明らかにしてまいりました。この公団設立はこれと相矛盾するものであります。すなわち昨年二月二十日行政監理委員会が行なった昭和四十二年度の公社公団の新設は認めないとする答申の趣旨に反するものであるからであります。われわれは、海上輸送のコンテナ体制に備えて港湾整備増強を必要とすることについては、必ずしも理解できないわけではないのであります。それは現行港湾法のもとに、国と地方自治体である港湾管理者が一体となり、もっと行政に熱意を持ち、国の補助率を大幅に充足することによって可能なのであります。  第二は、港湾は公共性を主体として開発、運用されるべきでございまして、特定の企業のみに専用されることを前提として建設することは適当でないということであります。  申すまでもありませんが、港の基本は日本経済の民主的発展と都市の一部としての自治体の発展との共存を目標として公共性を貫いたものでなければならないと思うのであります。本法によれば、国は港湾管理者から一定区域の港を治外法権として取り上げ、国の金を出し渋って、地方自治体と特定業者から金を出させて、そして埠頭を切り売りするというものでありまして、われわれの絶対納得できないところであります。  第三は、この法律によって港湾の公共性が失われるばかりでなく、多くの中小港湾業者、大量の港湾労働者が港から締め出され、スクラップ・アンド・ビルド化される。すなわち首切り、合理化が促進されることは明らかであります。本法は、いわば大多数の港湾関係労働者の犠牲において、事実上三井船舶や日本郵船などきわめて特定数社の大企業を擁護し、企業への系列化を推し進めるのかねらいであると断ぜざるを得ないのでありまして、これまたわれわれの認めることのできないところであります。  次に具体的な二、三の点について申し上げます。  一つは、コンテナ輸送への即応が公団埠頭建設の大きな理由となっておりますが、問題は、国内的国際的にまだまだ、コンテナ輸送体制に必要な諸政策と法的準備ができていないということであります。われわれの心配する一つは、コンテナ輸送が、アメリカにおいてそうでありますように、ベトナムなど軍需輸送に重点が置かれ、そして急速に発達しているように、国内においても軍事的利用に結びついてはならないという点であります。また公団埠頭は特定会社専用貸しされることになりますので、その埠頭は閉鎖的となり、管理、監督がチェックされ、何よりも民主的な諸運動が制限されることを指摘しておきたいと思うのであります。  次に、資金計画や資金調達または税制措置等についてであります。  ことに地方自治体に対する資金調達がずさんであり、利子補給、免税対策などが考られておりません。このことは一そう地方財政を圧迫することとなり、また国や地方自治体が将来において赤字補てんに金を増さなければならないことも明らかであります。さらに特定企業への専用を許すため、逆にこれと癒着し、私企業化する危険も内蔵しているといわなければならぬと思うのであります。  最後に、今日重要なことは、経済の高度成長と貿易自由化を控え、外貿の増大、輸送の近代化、港湾の効率化など、ますます主要な国の施策となっていることを強調するのはわかりますが、反面、港湾労働者の非近代的な、他産業のいずれにもおくれておる労使関係、労働条件、労働安全などの諸点に全く目をそむけている点であります。  われわれは、政府並びに関係業者の責任において、既存の港湾労働者の労働条件についてまず対策を明確にすること、また港湾労働法による登録日雇い労働者の定数を減らすことのないような保証をすること、また港湾の近代化、輸送のコンテナ化の名によって港湾労働者の首を絶対切らないこと、国は財政的裏づけを伴って労働時間、賃金、安全確保にいまこそ抜本策を確立して、港湾労働者の不安を一掃することこそ急務であることを申し上げ、本案に対し反対の討論を終わるものであります。
  205. 内藤隆

    内藤委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  206. 内藤隆

    内藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  207. 内藤隆

    内藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、細田吉藏君外三名より、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の弁明を求めます。細田吉藏君。
  208. 細田吉藏

    ○細田委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表して、ただいま議決されました外貿埠頭公団法案に対し、附帯決議を付することを提案いたします。  案文を朗読いたします。   外貿埠頭公団法案に対する附帯決議(案)   政府外貿埠頭公団による外貿埠頭の建設及び運営に当っては左の事項について努力すべきである。  一、今後の財政資金確保のために特段の配慮をすること。  二、港湾管理者の行なう管理行政に支障を来すことのないよう十分の配慮すること。   右決議する。  この決議の趣旨につきましては、法案の審査の過程で十分明らかにされておりますので、省略いたします。  何とぞ各位の御賛成をお願いいたします。
  209. 内藤隆

    内藤委員長 以上をもちまして趣旨の説明を終わりました。  これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  210. 内藤隆

    内藤委員長 起立総員。よって、本案は附帯決議を付することに決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。大橋運輸大臣
  211. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまは慎重御審議の上御採決をいただき、まことにありがとうございました。  また御決議になりました附帯決議につきましては、政府当局としてこれを尊重し、決議の趣旨については十分これが実現に努力いたす所存でございます。
  212. 内藤隆

    内藤委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に記載〕     —————————————
  214. 内藤隆

    内藤委員長 次会は明後十四日午前十時理事会、十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会