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佐藤(肇)
政府委員 港湾法ができましたのが
昭和二十五年でございますが、御
承知のように、三十六年には異常な
船込みがありまして、その後特に
横浜、
神戸のような
外国貿易の港におきましては、
埠頭の
建設を促進したわけでございます。その結果非常な
財政上の
負担というものが出てまいりまして、そこで
港湾管理者から何とかこの
事態を改善してほしいという要望がございました。そこで、
港湾審議会に
管理部会というものを設けまして、一年間に約十七回非常に真剣に審議をしていただいたわけでございますが、その結論が、
先ほどお話がございました四十年十月十一日の
答申でございます。これは、そういう
事態を受けて、現在の
管理制度を、港の発達の過程で、前段で非難しているわけでございます。やはり港というものは、当初は道路、河川と同じような公物であったのであるが、だんだん港の
発展していくに従って、企業的な経営が必要なものに変わってくるのではないか。それを「成熟した
港湾」という名前で言っているわけでございますが、そういうように
横浜、
神戸のような港はなってきつつあるということを前提にした議論でございます。そこで、この
管理者は、まず
財政基盤の強化という中で、経営についての基本的な指針を確立すべきではないかということを言っているわけでございます。その中で、国としても同じような港の格、同じような性格のものについては、
補助率の不均衡を直せということが
一つございます。私どもはこれを受けまして、いわゆる
外国貿易という面でいいますと、
港湾法上最高の
補助率を適用されているのは、
横浜、
神戸と関門の門司港区でございますが、これ以外にも東京、清水、名古屋、四日市、大阪等というような港は、同じように
外国貿易に非常に寄与する重要な港でございます。これらについても同じく
補助率を上げていくべきではないかということで折衝いたしたのでございますが、従来の五割
補助から六割に、一割
補助率が上がったわけでございます。そのときの条件として、さらに
補助率の問題としては、根本的に今後検討を大蔵省との間にしていこうということになっております。
それから、次にこの
答申で言っておりますことは、料金の適正化と料金体系の再検討ということで、適正な対価をとるべきではないかということがございます。これにつきましては、この
答申の
対象となった八大港の
管理者がいろいろ
協議をいたしまして、そのときこの
答申で示唆されておりますものは、入港料制度と
埠頭通過料というようなものでございますが、
埠頭通過料についてはいろいろ考えたけれども、現段階ではとり方が非常にむずかしいということで、それはさて置くが、入港料は一応成案を得まして、これについては
船会社と
対象の企業と交渉をして、話を詰めるという段階までまいっておるわけでございます。
次に、もう
一つこの起債条件を緩和せいという問題がございますが、これは私どもが担当いたしまして、自治省ともいろいろ折衝したわけでございますが、四十二年度の予算におきましては、下水道その他について三十年という非常に長い
償還期限が認められたわけでございますが、
港湾については一年待ってほしいということで、この問題はなおペンディングになっておる、こういう
状態でございます。
それから次には
埠頭の効率的
使用について、同じように
答申があるわけでございます。これにつきましては、
横浜の
山下町の
埠頭なり
神戸の摩耶
埠頭におきましては、ここに述べられておるような
航路別優先
使用方式というもの、さらには上屋と
岸壁とを一体化する方式というものを取り上げて、逐次経岸率もふやしてきておる、こういうふうに、いろいろとこの
答申の手を打ってきたわけでございますが、さらに、この
審議会といたしましては、広域的な
港湾管理ということで、
先ほど申し上げました成熟した
港湾のとるべき姿としての企業経営的な港の
管理のしかた。これはロンドンとか
ニューヨークのようなポートオーソリティーをさすわけでございますが、こういう問題が残っておるわけでございます。したがいまして、現時点で
公団がいいか悪いかということは、現時点ではやむを得ない。あるいは理想的な、
先ほどおっしゃられたような
管理の姿、一元化したものではないかもしれませんが、私どもはやはり企業経営的な観点で、また
管理者の
財政が苦しいということを救い、かつ効率的に早く
埠頭を
整備しなければならぬという全体の経済
事態から見れば、やはりこの際この
答申の最後に触れておりますような
公団方式をとることが、現在どうしても必要だ。これでもって
港湾法に言っている
管理というものの一元化が侵されるのではないか、またこれが理想的な
港湾管理の
体制ではないのではないかと言われると、そのとおりでございます。しかしさらにわれわれは、今後広域
港湾あるいは
ニューヨーク、ロンドンのようなポートオーソリティー構想というものを取り上げて考えなければならぬわけでございます。その中で理想的ないわゆる企業経営的な観点に立った
港湾管理体制というものができて、その中に
公団がやっているような
事業が吸収されれば、初めていまおっしゃられたような理想的な
港湾管理体制ということが言い得るのではないかと思います。