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1967-06-28 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十八日(水曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 進藤 一馬君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 河村  勝君       木部 佳昭君    小渕 恵三君       徳安 實藏君    福家 俊一君       水野  清君    山村新治郎君       板川 正吾君    小川 三男君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       石田幸四郎君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月二十七日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として小  渕恵三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月二十八日  熊本車両基地設置に関する請願(野田武夫君紹  介)(第一七七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律案内閣提出第一二三  号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。内藤良平君。
  3. 内藤良平

    内藤(良)委員 きのうちょっと保留しました防衛施設庁関係のほうがまだ見えないようでありますから、便乗するわけじゃありませんけれども、ちょっとまた局長さんに……。  ぼくは航空法をちょっと読んでみたわけでありますけれども、これはやはり運輸省航空局の中心的な法律になるのでしょうね。これと今度の提出法案との関係ですね。特に特徴的に感じましたことは、航空法の、物件制限という、第四十九条のところであります。この内容を見ますと、補償のようなことが出ておるわけでありますが、これと今度出ておるこの法案補償関係ですね。これはやはり運輸省にとっては、この航空法というものは中心的な法律だということから考えますと、相当隔たったものがあるのではないか、こう思うのでありますけれども、これを立案される際にこの航空法との関係はどういうぐあいにお考えになったのか、これをまずひとつ伺いたい。
  4. 澤雄次

    澤政府委員 航空法飛行場関係物件制限に関します規定は、ごらんのように、飛行場をつくりますと、その進入表面転移表面あるいは水平表面というようなものを指定いたしまして、その表面の上に出る物件は安全のためにこれを立ててはいけない。それから、飛行場を指定いたしましたときにすでにあるものは、これを切ってください、その切ったものについては政府補償しましょう、というのが航空法規定でございます。いわゆる航空機の安全のためにする、所有権その他の物件制限規定でございます。  それから、この騒音防止法のほうはそういう安全のためではなくて、航空機が飛びますことによりまして、その騒音により関係住民障害を与えますので、その障害を除去しあるいは軽減するために政府がいろいろな工事に補助金を出そう、あるいは直接補償をしよう、こういう規定でございまして、航空法は安全でございます。こちらはいわゆる公害防止の面からの補助でございます。その間にいろいろな相違があるわけであります。
  5. 内藤良平

    内藤(良)委員 それでは、省内でも航空法との関係を一応検討されたのですか。
  6. 澤雄次

    澤政府委員 検討いたしました。  それから、直接航空法関係が深いのは、今度の防止法の第三条でございまして、航行方法その他を指定するということがございます。これも航空法は安全のためにいろいろな航法その他を指定いたしますが、防止法は、航空法で安全が守られる限度に達しましたら、あと騒音を防止するために右に曲がれとか左に曲がれという規定でございまして、これは航空法とは目的が非常に違うわけであります。
  7. 内藤良平

    内藤(良)委員 それでは補償問題ですが、この問題は御存じのとおり航空法にも出ておるのであります。これは私は非常にいいことじゃないかと見たのですが、簡単に申し上げると、関係者協議するということがありますね。この精神が私は非常に民主的だと思うのであります。今度の法案の中にはこの精神が生かされおらないようなぐあいに受け取れますけれども、その関係はどういうぐあいにお考えになりますか。
  8. 澤雄次

    澤政府委員 航空法は、飛行場設置者といたしまして、直接安全のために障害物件——木を切ったり、煙突を切ったりするわけでございますので、当事者間の協議によるということにいたしたわけでございます。ただこの騒音防止法の場合には、公団が飛行場設置者であります。新東京国際空港につきましては、第十六条にございますように、これは国でございませんので協議ということにいたしてございますが、運輸大臣設置者たる飛行場につきましては、運輸大臣飛行場設置者であると同時に、また行政大臣たるの資格を持っておりますので、申請決定という形をとったわけでございます。
  9. 内藤良平

    内藤(良)委員 これはわれわれ住民的な考えですが、自衛隊の場合であるとか、アメリカの場合であるとか、そういう関係になりますとある意味では申請ということも考えられますが、ただ民間の場合でありますし、運輸省関係でありますし、航空法の中にも当事者協議するということがはっきり出ておりますので、こういうものも全然それでは考えないというわけですか。大臣に対して申請をするわけでありますから、大臣行政最高責任者でありますが、省内においては、こういう精神は必要ないということでありますか。
  10. 澤雄次

    澤政府委員 航空法は、飛行場設置者一般的に運輸大臣あるいは都道府県の場合等網羅的に書いてございますので、四十九条の物件制限規定の形をとってございます。そういう損失補償の場合でございますので、やはりこれは申請、それから飛行場管理者たる運輸大臣であると同時に、行政大臣たる運輸大臣補償金額決定するという行政処分規定をとっております。ただし、これは十二条以下をごらんいただきましてもおわかりになりますように、異議申し出規定を設け、さらに裁判所にまで増額請求をすることができるという十分の救済規定を設けてございますので、申請者の権利が害されるということはない、十分の保護規定が設けてある、このように考えます。
  11. 内藤良平

    内藤(良)委員 きのうの質疑でも防衛庁関係の方は、きょうまだ出ていませんけれども異議関係はほとんどないと言っている。あとで明らかになると思いますが、これは推定でありますけれども、今日のわが国の状態を見ますと、私はやはりこの種の問題は相当議論が沸騰するのじゃないかと思います。しかし防衛庁関係の方はほとんどないと言っています。その間のいきさつを私なりに考えますと、必ずしも民主的に十分に話し合うという場がない。だから表面に出ていないのじゃないか、こういうぐあいにも考えるわけであります。しかしこれは自衛隊あるいはアメリカという関係ですから、運輸省のほうとは若干違うのじゃないか。なぜかといいますと、きのうからの話で、大体この法律防衛庁関係をほとんどとっているわけですね。ですから、そういうことになってまいりますと、何かやはり表面にあまり異議が出ないような形で、形は民主的であっても、実際は押えつけて協議というような状態ですね。航空法にあるような、こういう気持ちをなくすような意図があるのじゃないか。右へならえのかっこうで、防衛庁なりアメリカなり関係でああいうぐあいになってしまうのじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、その点はいかがですか。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 問題は法律用語の使い方というふうに了解いたします。ただいまお述べになりましたことは、行政の運営におきまして注意しなければならぬ大事な事柄だと存じます。この補償におきまして運輸大臣関係者と接触する手続というものは、やはり国民行政官庁という上下の関係ではなく、本来から申しますと、公害原因者である飛行場管理者と被害的の立場にある国民との関係が、まず第一だと思うのでございます。この立場におきましては、あくまでも話し合いによって、お互いに主張すべき点を主張して、そして話し合いを通じて金額において妥結をする、ないしは補償方法において妥結をするという運びが当然考えられるべきもので、私どもはそういう意味でまず第一段にきめるべきものだと思うのでございます。これが運輸大臣以外の場合でございますと、その手続はいわゆる協議というふうに名づけられまして、あくまでも対等立場話し合いを進めるという意味でございますが、その場合におきましても、協議がととのわない場合においては運輸大臣裁定申請するということになっております。この場合の運輸大臣飛行場管理者という形ではなくて、あくまでも飛行場管理者被害者という対等立場における協議がととのわない場合に、仲裁者的な立場に立ってものごとを判断する、そういう立場の者がこの場合の運輸大臣だろうと思うのでございます。ところで、御承知のように、運輸大臣は現在の法令では二重の人格を持つわけでございまして、一面においてはこの飛行場管理者設置者でありますと同時に、その協議がきまらない場合におきましては、仲裁者としての裁定処分をする当事者でございます。そこで、そういう点を考慮いたしまして、一般申請という用語を用いたのがこの法案であるわけでございます。したがいまして、もとより、申請をする前におきましても、管理者としての運輸大臣と、その被害的な立場にある関係者との間には、事実上の協議相当する手続は行なわれるべきものでございまして、そこで十分聞くべきを聞き、調査すべき事項は調査して、その双方意見が合致いたしました場合には、申請書を出させれば、その申請の額のとおり決定されることになると思うのでございます。これはつまり、一般の場合の協議のととのったときと同じ形になると思うのでございます。不幸にしてその協議がととのわないというような場合におきましては、仲裁者的な立場にある運輸大臣裁定を求めるということになりますから、その両方をこの場合には含めて「申請」、こうなっておるのだと思いますので、運用にあたりましてはあくまでもお示しのように、協議段階においては双方対等立場で民主的に運営すべきものだし、また裁定の場合には、従来の経緯にとらわれることなく、公平なる仲裁者立場裁定処分を行なうべきものである、こういうふうに心得ております。
  13. 内藤良平

    内藤(良)委員 これは法案の中では二手になっておるわけでございますから、特定飛行場、これは東京と大阪ですか、これはいま大臣のおっしゃるように当事者になってしまう。しかし、新東京国際空港に関しては裁定者になる、これは使い分けるのは、大臣のおっしゃるようになかなかたいへんなことだろうと思いますが、やはりここにこれからたいへんな問題が考えられると思うのでございます。防衛庁関係の方のお話では、ほとんど出ておらないということでありましたが、これから私聞きたいと思いますけれども、陰に隠れたものがあるかどうか、これらはたいへんなことじゃないかと思っておりますけれども、しかしいまの大臣のおっしゃった気持ちは、この条文の中から、これだけではわからぬわけでありますけれども、これを何かはっきりする方法はないのでありますか。
  14. 澤雄次

    澤政府委員 この運用につきましては、大臣のおっしゃったとおりの精神運用するわけでございますが、条文的には第十一条の第二項をごらんいただきますと、この申請書都道府県知事を経由して出すものでございますが、都道府県知事関係住民生活実態を一番よく把握しているものでございますので、この申請書に対して意見を添付して、これを運輸大臣都道府県知事が送付するということになっておりますので、現実に都道府県知事段階におきまして、大臣の言われたような協議実態と申しますか、都道府県知事がいろいろ指導して、協議実態に近いものをここでつくり上げるということになるのじゃないかと思います。運輸大臣はもちろん都道府県知事意見等を尊重して、その補償金の額を決定するわけでございます。
  15. 内藤良平

    内藤(良)委員 えてして、法律論議の場合は民主的な論議あるいは御答弁がありますけれども、一たんできてしまいますと、法律だけが動いてしまいます。大臣局長さんも永久に御生存なさるわけでもないでありましょうし、いろいろな問題が出ると思いますけれども、何かの方法でこれを生かしていくようなことは、住民立場から見まして非常に望むところだと思うのです。くどいようですけれども、何かの方法はないか、大臣からでも局長からでも御答弁願いたいと思います。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大体法律の条項は、その行為の性質を考えまして、それぞれ適当な用語を選んであるわけでございますが、これらの行動を実際行政庁がとる場合におきましては、お述べになりましたように対等立場で、十分民主的に話し合いを進め、そうしてお互い相手の身になって考えながら協議を進めていく、これはもう当然の事柄だと思います。しかし、当然ではありますが、ときどき忘れられるおそれもありますから、御意見のような御心配の出ることはごもっともと存じますが、実施に際しましては、十分そういった点については、訓示その他の文書によりまして、十分関係者に取り扱いの方針を示すようにして、間違いないようにさせたいと思います。
  17. 内藤良平

    内藤(良)委員 それから、防衛庁の方も来ておりますけれども、もうちょっと航空法関係で聞きたいことがありますので……。  この中で罰則関係ですが、この法律罰則では、十八条で一万円以下の罰則ですね。航空法のほうを見ますと、これに似たような罰則は百五十四条に出ておりまして、これは五万円以下の罰金。この五万円と一万円の関係、これはどういうぐあいになっておるものか、これをちょっと伺いたいと思います。
  18. 澤雄次

    澤政府委員 航空機乗り組み員が航空法違反しました場合の罰則は、航空法航空の安全のための法規でございますので、航空法違反ということは人命にもつながる重要なことでございますので、罰則は五万円以下の罰金になっているわけでございます。この騒音防止法の場合の航行法規定違反した場合は、いわゆる人命に危険を及ぼすような、安全に違反したということではなくて、公害防止が決して軽いということではないのでございますが、公害防止のための法律違反行為でございますので、一万円という罰金相当であろう、これは法務省とも打ち合わせまして、このように両者の差異を設けたわけでございます。
  19. 内藤良平

    内藤(良)委員 それではもう一点、この航空法の第百五十四条の二項とこの法案関係ですね。これは法案では、機長も乗り組み員も一ぺんにひっくるめてやっておりますね。航空法のほうでは、機長に対してはただし書きがある。この関係はどういうぐあいに違うのですか。ちょっと読んでみますと、「機長以外の航空機乗組員当該違反行為を防止するため、相当注意及び監督が尽されたことの証明があったときは、機長についてはこの限りでない。」こういうただし書きがあるのです。ところが今度の法案には、それがないわけです。この関係をひとつ伺いたい。
  20. 澤雄次

    澤政府委員 御指摘のように航空法におきましては「相当注意及び監督が尽されたことの証明があったときは、機長についてはこの限りでない。」ということが書いてございますが、この法律法制審議の際にあたりまして、機長当該違反行為を防止するため相当注意及び監督をしたのであれば、故意、過失の要件を欠くことになるので当然なことであるのでこれを法文上明記する必要がない、こういう法制当局の見解でございまして、最近の立法例では、こういう条文を書かないのが立法例になっておりますので、これを省略したわけでございます。精神及び法解釈は全く同一でございます。
  21. 内藤良平

    内藤(良)委員 防衛庁の方も見えたようでありますから、きのう異議申し立てがほとんどない、トラブルがなかった、こういうぐあいなお話でしたが、あとからあなたでしたか、調べて御返事をする、こういうことでした。この点について調べができましたらお答え願いたい。
  22. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 昨日、異議申し立て事案はほとんどないと申し上げましたのは、御趣旨のとおり、防衛施設周辺整備等に関する法律は昨年の七月に制定されたのでございますが、一方、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊の行為に関する特別損失補償、これによるところの補償の処理につきまして調べてみましたところ、最近その事例が二、三ございましたので、その事例につきまして申し上げます。  最近の事例といたしましては、昭和四十一年に三沢飛行場西側進入表面並びに転移表面下農耕阻害補償の問題、それから同じ三沢飛行場西側流出汚水によるところの農作物の減収補償の問題、それから昭和三十八年度におきましては、厚木の飛行場進入表面下農耕阻害補償の問題、こういう事案が一応異議申し立てどなっております。
  23. 内藤良平

    内藤(良)委員 それでその異議申し立てをした結果はどのようになっておるのか、それもひとつこの際お尋ねしたいと思います。
  24. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 異議内容を申しますと、進入表面下農耕阻害補償の問題につきましては、申請者労務費単価をもっと高くしてもらいたいというようなこと、それから三沢飛行場流出汚水によるところの減収補償の問題につきましては、平年の収穫高、これが自分の希望するところの収穫高を主張しておりまして、それぞれ当庁といたしましては、労務費につきましては当該地区労務費単価をとりたい。それから減収補償の問題につきましては、三沢地区におけるところの農林統計等資料によりまして、反当たりの粗収入の額が幾らであるかということを算出いたしまして、よく申請者とお話し合いをいたしまして御納得をいただき、補償額を受理されて、この問題は解決いたしておるということでございます。
  25. 内藤良平

    内藤(良)委員 お話し合いあるいは納得ということでございますけれども、利害が相反するわけでありますから、今日の世情から見まして相当論議があったものと思います。その際に、仲介といいますか仲裁といいますか、第三者的な方を全然入れないで当事者間だけできまるものかどうか、あるいは第三者的な方が入ってきまるのか、そこらがもしおわかりでしたらお尋ねしたいと思います。
  26. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 私ども補償の算出にあたりましては、粗収入を算定する場合にも、関係農業協同組合のところに参りましていろいろな資料をとり、あるいはいろいろ御意見も伺うということでございまして、本件のような異議申し立てがありました際にも、私どもとしましてはさらにそういう皆さまの御意見を尊重し、場合によってはそういう皆さまからお口添え願うという方法で、異議申し立てをなさっておる方と話し合いの上で御納得いただくように措置しております。
  27. 内藤良平

    内藤(良)委員 そうしますと、形は当事者であっても実際の面では第三者的な方が入っておって、納得する、あるいは話し合いをして円満に了解する、こういう形、内容になっておるわけですか。
  28. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 異議申し立て者にいたしますと、やはり幾らかでも多い補償額をとりたいということは人情だと思いますが、当庁といたしましてはやはり適正な額を支払うべきだという観点に立ちまして、いろいろな関係の向きの皆さんの御意見も伺いますし、場合によってはそういう皆さまのお口添えを願うということで、あくまでも当庁の答えをそのまま押しつけるというようなことではございません。
  29. 内藤良平

    内藤(良)委員 くどいようですが、たとえば防衛庁のあなたのほうで一方的に押しつけるようなことは実際的にはなかった、こういうことですね。
  30. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 さようでございます。
  31. 内藤良平

    内藤(良)委員 私の質問は、これで一応終わりたいと思います。
  32. 内藤隆

  33. 神門至馬夫

    神門委員 いまの損失補償の問題での民主的手続について、内藤委員のほうから質問があって回答があったわけですが、たとえば新国際空港の場合は、協議が整わない場合には裁定を求め、運輸大臣仲裁者というような立場で判定を下す、それには最終的には両方とも納得する、いけない場合には争いをする、こういうふうになっております。しかし特定飛行場の場合は、やはり府県知事が入るということにはなっているけれども、何かそこに一方的に運輸大臣のほうで決定をされてしまうのだという全体の体系の中に表現がなされていると思うのです。いま大臣の御答弁の中においても、行為に対する適切な表現を使うんだ、こういうふうに法律には使ってあるんだということですが、都道府県知事段階においていろいろ協議的段階があるとするならば、ここにもう少し何か適切な、民主的に補償問題を話し合うんだというものがあってしかるべきじゃないか。そうすることが提案者の究極の意思だとするならば、そのほうがむしろ正しいのではないかというふうに思うのです。これは小川委員のほうからも質問があったことだし、きょうまた質問があって、私もこの法案を読んでみて、非常にその点何か冷酷な感じがするのです。いけなかったら裁判所へ来い、こういうふうに開き直った感じになっておる。ところが裁判所へ来いと言われても、なかなか国民国家相手にしてそのように争う金もないということで、泣き寝入りになってしまう、こういうことになるのじゃないかと思うのです。ですから、いわゆる対等立場当事者相互間において話し合われる段階、新国際空港においては、これは当事者相互において協議をせよということになっております。しかし、この特定飛行場の場合において、当事者相互間とは言えなくとも、やはりいわゆる被害者府県知事の間にもう少し示談とか協議とか、何か適切な表現をなさるべきじゃないか、こういうふうに考えるのです。説明し尽くされたようであるが、もう一度この点について——局長答弁でも、十分その辺で話し合われるように思われるとか、あるいは考えられるとか、いま聞いていましても、こういう自信のない答弁だったと思うのです。この辺を明文化する気持ちはないか、お尋ねしたいと思います。
  34. 大橋武夫

    大橋国務大臣 先ほど申し上げましたように、損失補償は、まず被害者である国民の側からの申し入れによりまして、損害原因者であります管理者たる立場から運輸大臣が折衝に応ずるわけでございますけれども、この過程は当然話し合いが存在するのでございますから、一般の場合における協議相当するわけなんでございまして、その協議の始まるきっかけは、損失補償の要求すなわち損失補償申し出でございますので、損失補償申請というふうに法律では用いたわけでございます。申請のあった場合における話し合いにいたしましても、また協議という過程に行なわれる話し合いにいたしましても、どちらもそれは、一方が国家で一方が国民であるというような、つまり主権者一般国民というような立場ではなく、これはあくまでもある損害に対して原因者被害者という立場対等立場における話し合いであることは、これはもう当然でございます。これはものの道理として当然なことである、そういう意味で便宜、損失補償申請、これに対する補償金決定という文字を用いたわけでございますが、しかし大事な、対等立場で十分話し合うということは法律に書いてないではないかという御意見は、これはまことにそのとおりでございまして、その点は運輸大臣から係官に対して、よく注意をしてこの法文を運用するように、すなわち法文運用の心得として十分に訓令をいたします。その訓令には、そういうことをこまかく書くつもりでございますから、それによって御承知を願いたいという趣旨のお答えを先ほどから申し上げたわけでございます。
  35. 神門至馬夫

    神門委員 ところが、この法案のモデルといいますか、模範になった防衛施設周辺の整備法、これが適用をされて、自衛隊その他がいままで補償してきたものは、いわゆる先輩格なんですね。その間において、被害者がそこを立ちのこうとする場合には、加害者、被害者という立場でものを見るのが正しいかどうかは別として、実は対等ではないのです。示談がととのわなかったら、被害を受けている住民はそのままじっと騒音に悩みながらおらにゃいけない。どうでも逃げようと思えば、不満足な金額であっても自分が逃げていかなければならない、あるいは補償してもらわなければならない、こういうことになるわけなんです。そうすると、そこにいまの法律上におけるルールとしては対等表現がなされても、実態的には対等ではないのです。かつては大した騒音がなかったわけです。飛行機の便数も少なく、飛行機の大きさも小さくて大したことがなかった飛行場が、どんどんホンという単位においても大きくなってくる、いたたまれなくなってくるということになりますと、それはいわゆる追い出しになってくる。この場合においては、全く追われる者と追う者という立場になって、やむなく逃げてしまう。ですから、これはいまのお話のように、権利は対等であるから、話がととのわなかったら、逃げる逃げないはかってでございますとはならぬわけです。この辺に実は大切な問題がある。その辺の取り扱いがあまり大上段から圧力的な法文構成になっておりはしないか、こういうことなのです。それは意見になるのですが、その先例を一つ防衛庁のほうにお尋ねしてみたいと思うのです。  ことしの二月十五日に、昭島の拝島町に二百二十一戸の人たちが集団で移転の協定書類に調印した、こういう実例があるはずなんですが、御承知なんですか。
  36. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま横田基地集団移転の問題につきまして御質問がございましたが、従来横田地区では米駐留軍のジェット機が非常にひんぱんに飛んでいる、そういうことであの周辺の皆さまがその騒音に非常に悩まされて、あるいは危険感に脅かされているということで、かねてからどこか静かなところに移転したいという御希望がございました。そこで、その問題につきまして地元の皆さまとも協議してまいったわけでありますが、たまたまいま御質問の地区につきましては、昭和飛行機の土地の上にある昭和飛行機の所有の家屋に住んでいる皆さまであったわけでございます。したがいまして、だんだんと補償額を計算いたしますと、トラックで引っ越しする運賃しか出ないというようなことで、これではどうにもお気の毒だ、何かいい方法はないかということで、昭和飛行機ともいろいろ協議いたしまして、昭和飛行機のほうとしましても、土地を防衛施設庁から賠償してもらった額の大半をその皆さまにあげましょう、それから補償金につきましても同様の措置をいたしましょう、それで現在居住している皆様が移ったらどうでしょうかということになりまして、幸いにして本年二月、この方針について決定したわけでございます。  さらに当庁といたしましては、移転先の土地がやはり相当の額を出さないと買収できない、それでは移転する皆様がどうにもならぬということで、市とも協議いたしまして、造成の一部を国が持とうではないかということで、約二千八百万円程度の補助金をもって、道路整備あるいは上下水道の整備、こういったものを防衛施設庁のほうで措置するということを、今年度から実施を始めております。
  37. 神門至馬夫

    神門委員 それで、私たちがこの点を聞いたところによると、それまでの飛行機より変わってF100が来た。あの飛行機はいわゆる衝撃音が大きい、こういうことで、それまでの飛行機ならまだ住民として居住するに耐え得た。限界ではあっても耐え得たけれども、機種が変わったことによって、その二百十一戸の全部落あげての移転がなされた。それもほんの一部であって、それと同じような騒音に悩む人たちがまだたくさんおるわけです。防衛庁のほうではその滑走路の両側一キロ半ぐらいにおいて大体移転をさせようというふうな計画もあるというふうに聞くのですが、そういうこともいま話に出ているかどうか。
  38. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 御承知のとおり、日本全国、米駐留軍の施設並びに航空自衛隊の使用しておる施設が約二十カ所くらいありますが、その周辺の皆様は、先ほど申しましたとおり、日夜騒音に悩まされておるということで、従来行政措置によりますと、移転の申し出があった場合には移転補償金を払って、逐次遠いところへ移転していただくという形をとってきたわけでございますが、先ほど申し上げました整備法が昨年七月に制定されまして、今度の整備法の五条によりまして、積極的に集団移転の措置を行なうということにしております。昭和四十二年度の予算で申し上げますと、十四億四千二百万円の予算を計上いたしまして、米駐留軍並びに自衛隊の約十飛行場を対象といたしまして、積極的に移転の措置を講じたい、かように考えております。
  39. 神門至馬夫

    神門委員 いまお聞きのように、結局、ただ騒音というものがその地区にあって、生活環境としてどうも都合が悪い、やかましくていけないということではなしに、その騒音の及ぼす影響というものは、諸外国におきましても非常にいろいろなデータが出ている。国内においても昭島市の医師会あるいは北海道庁の調査というものもいろいろ出ております。こういうふうな深刻な及ぼす影響、神経系統やらあるいは内分泌への影響、あるいはモルモットを通じても——これがいわゆるなれになるというふうなことを局長はいつかも答弁しておられましたが、そういうことでなしに、回復することができないような結果も医学上は出ている。こういうことになってくると、そこに示談がととのわなかったら自分の意思によって、おる、おらぬはかってにする、自由にきめるというものではないのです。いわゆる重大な被害者として、弱い立場で強者に何とか金を出してくれ、逃げたいということによって、いまのように全部落が長年住みなれた土地から逃げていくんだと思うのです。そういうことになってくると、先ほどありましたように、ただ対等立場でこれが処理されるというふうなものではない。ですから、その辺が実は今度の騒音防止法の提案の趣旨でなくちゃならぬと思うのです。これが、こういう法律があるのだから、あなた方が不服であるならばこの手続に従ってやっていきなさい、こういうような隠れみのになるのじゃないかという心配が、小川先生のほうからも出ていました。その心配がこの法文全体の体系なり、構成の中に出ている。そこに実は防衛庁のほうからお話があったように、機種が変わることによって重大な影響をもたらしてくるわけです。あるいは今度の大きな輸送機、あるいは音速の何倍というようなSSTが来ますと、いまボーイング社においてもこれが百ホン以上のものになるということもいっております。ですからその辺は、ほんとうに騒音を防ぎ、住民を守る、あるいは救済するという意味があるならば、いまのような抽象的な手続ではなしに、何かもう少し適切な内容に変える意思はないかどうか、この点をお尋ねしておきます。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 神門委員の仰せられます御趣旨は、私どもも全くそのとおりに存ずるのでございまして、本法案の条項を運用するにあたりましては、係の公務員はすべてその心がけを十分に体得して行動すべきものだと思うのでございます。御承知のように、今日公務員は国民の公僕という観念が徹底していなければならぬわけでありますから、私はこの条項を今日の公務員諸君に運用してもらって差しつかえないと思います。ただ、その場合におきまして監督者といたしましては、公務員の心がけに基づいて十分御趣旨のような精神をその行動に生かすように、これは監督者としての責任上当然指導し、また監督すべきものだと思うのでございます。そういう意味において、職務執行上の心得を公務員に達しますことは必要なことでもあり、大事なことでもあると思いますので、そういう意味で十分その点は訓令をいたしまして、御趣旨に決してたがわないようにさせたいと思っております。
  41. 神門至馬夫

    神門委員 これは先ほども内藤委員質問していた中でも、議論になるときには民主的に、実行の段階には冷酷になってくる、法律がひとり歩きをするということがいわれておりますが、その点が特に私たちとしては心配する点なのです。  それと騒音防止法そのものが出されるにあたって、騒音の及ぼす影響、あるいは人体環境ということであると思うのですが、この前の局長答弁によると、卵も産むようになる、乳も出るようになる、なれてしまってもとに戻る、こういうふうに説明があったと思うのです。人間も爆音にはいつかなれてしまうであろうというようなことはおっしゃらなかったですが、そういうような意味のこともうかがえるような軽い気持ちで、少しでもいいところに行きたいと思う者は、あるいは共同施設のもの、学校、病院等にはできるだけのことはしてあげたい、何か私らが聞いていると、恩恵的に何とかしてあげたいという気持ちでこの法律案が出されたようにも受け取れたわけなんです。この騒音が及ぼす重大な影響、家畜、人体という対象でいいと思うのですが、どのような度合いで把握しておられるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 澤雄次

    澤政府委員 先生から、すべてなれてしまうという御答弁を申し上げたようなお話がございましたが、これは実は鶏と牛乳につきましては、防衛庁のほうで九州大学に委託いたしまして、この影響を、まだ結論は出ていないわけでございますが、調査しておられます。その一応のお話では、鶏をよそから騒音地域に持ってきますと、一時卵の出生率が落ちますが、一定の時期がたちますと、またもとへ戻る、これは最終結論ではございませんのであれでございますが、一応そういう結論が出ておりますので、そういうことを申し上げたわけでございます。人は、もちろんそこにどんなにおっても、騒音になれるということはないわけでございます。  この騒音に関しますいろいろな影響につきましては、防衛庁は全国各地について調査をやっておられます。私どもは羽田と伊丹につきまして、相当騒音実態調査をやっております。これは三十六年から実態調査をやっております。まず健康に対する影響でございますが、騒音が健康にどの程度の影響を及ぼしているかということの調査、これはなかなか調査の結果をあれすることができないわけでございますが、これはかって法務省の人権擁護局から防衛庁にあてて出した報告によりますと、騒音が健康にある程度影響を及ぼしている疑いはあるが、主張されている健康上の被害が騒音に基因しているのか、他の原因によるものか、まだ断定することは困難であるという判定をいたしております。ただ聴力に影響があるということは、これは確実でございます。また一般に、騒音の人体に与える影響というのは、非常に心理的なものも含まれております。これは単に騒音だけでなしに、心理的な圧迫感というものと騒音というものは一体になって人体に、心理的な影響も含めた影響があるわけでございます。同じジェット機でも、小さいジェット機が来る場合と、現在のボーイング707のような大きな場合とでは、同じ高度で同じホンを出しても違うというような状態でございます。現在までのところ、私どもの調査いたしました影響はそのようなものでございます。
  43. 神門至馬夫

    神門委員 その調査は、三十六年ごろからやられた古い飛行機の調査が主体になっておるのじゃないかと思うのです。先ほどの昭島の場合なんかでも、最近二年間の自衛隊が入れたF100というような超音速の飛行機になってくると、その音というのが全然質が変わってくる。その辺の新しいものではなしに——そして航空局としては、将来の航空界の発展を期して、どんどん超音速の飛行機あるいは大型の輸送機も入れたいというようなことを言っておられるが、そのような飛行機を前提にしてこの爆音の及ぼす影響というものを考えられないから、いまのように非常に軽微なものの考え方で住民対策がなされる根拠になるのじゃないかと思うのです。答弁を聞いていても、その辺ちょっとズレがあるのじゃないか。ですから、そういうものでなしに、非常に重大な住民への生活なり権利への侵害をしているのですから、何とかお考えがなければならぬ、積極的な責任感というものがなければならないが、その辺に実は食い違いがあるのじゃないかと思うのです。ですから、いまの昭島市の集団というようなことも、これは最近の問題であって、三十六年ごろにはなかったものです。これは軍用基地と民間飛行場とではもちろん違いましょう。違いましょうが、大型機化することによってその影響が重大化することもまた間違いはないわけですが、その辺はどういうふうにお考えになっているのか。また法案との関連として、防音等についても、飛行機がどんどん新しくなってくることに対処していこうという、あなたのほうにお考えがあるのか。
  44. 澤雄次

    澤政府委員 それでは、もうちょっと詳しく御説明申し上げます。  一般に町の中におきます騒音が大体何ホンくらいかと申しますと、騒々しい事務所あるいは静かな工場というところで、七〇ホンくらいでございます。それから、数寄屋橋のかどにホンの指示器が出ておりますが、あそこでごらんになりますとわかりますが、昼間で八〇ホンから九〇ホンの間を上下しております。それが大体ホンの程度のあれでございます。  それで一番影響が出てまいりますのが、静かな音でも——静かと申しますか、騒音が一番影響が早く出てまいりますのが、やはり授業中の児童に及ぼす影響でございます。教室内の騒音が七〇ホン以下の場合は、これはわれわれの調査でございますが、あまり問題がない。しかしこの七〇ホンをこえてまいりますと、これは発生の頻度その他によって違いますが、徐々に影響があらわれてまいりまして、七五ホン以上になってきますと、高学年においてはだいぶ影響が出てくるというようなことで、先般御説明申し上げましたように、学校等につきましては、七〇ホン以上を騒音の対象として取り上げていきたい、こういうふうにお答え申し上げたわけでございます。  それから鶏や乳牛に対する影響につきましては、これは目下のところまだ研究中でございまして、最終的な結論はございませんが、鶏に対しては、ほとんど産卵率の低下という影響はない、こういうことでございます。  それからこの法律におきましては、学校等については七〇ホン以上、その他につきましては、各項目によって違いますが、八〇ホン以上をそれぞれ対象として、騒音防止をすることは不可能でございますが、この騒音というものをなるべく軽減するようにという趣旨で立法せられているわけでございます。  その工事の程度その他も、先ほど先生が申されましたように、今後出てまいります飛行機が現在以上に騒音が激しくなるというような事態になりましたら、これは現在考えております基準よりももっともっと強化していかなければならないというふうに考えております。
  45. 神門至馬夫

    神門委員 そういうふうに、この騒音そのもの、ホンそのものが、新しく出てくる飛行機によってどんどん変わってくる。そのこともお考えになっておるようですし、既設の飛行場においては、そのまわりに、あるいは新しく移ってきた者もおるかもわからぬが、前からいて、これまでの飛行機には耐え得たけれども、耐え得なくなった。軍用飛行場の周辺には、先ほど御説明があったようにいろいろ問題が出ている。そうしてどんどん移転要求が出ている。それに対して積極的な措置をしていきたいというお考えが出ておるわけです。問題は、新しく飛行場をつくろうとする場合にはそのような重大な影響があるということです。これは新国際飛行場というものが前提になっておりますが、そういうふうなものは初めから内陸につくるべきじゃないのじゃないか。それで、いまあるものには何か手当てをしていく。学校やら病院等は二重窓にするというふうなお答えもあったようですが、そういうものでも及ばないようになる。三重の窓にしなくちゃいけない、壁も厚くしなくちゃいけない、特殊な加工もしなくちゃいけなくなる。こういうふうに追っかけ合いになる可能性があると思うのです。その点がこの法案の第二条ですか——これは原先生のほうからも質問が出ておりましたが、現在法律上はあったとしても、現実に実存していないところの新東京国際空港というものをここに盛っておるのはおかしいじゃないか、こういう意見もありました。私はこの点もやはり除くべきだというふうな気もいたします。その理由としては、この前の防衛施設周辺整備法においては、補償の対象として漁業、林業なども入っているけれども、これには農業しかない。それは現在農業には関係するけれども、漁業に関係するような飛行場がないからだ、こういうふうに航空局長から御説明があったと思うのですが、そういうふうに現在実在しない新国際飛行場というものを対象にして、そこからどんどん騒音を起こして、住民に迷惑をかけるのだ、これはつくりますよということに反対になりはしないかと思うのです。これは、そういうふうな重大な影響を及ぼすものだとするならば、第二条からは除外していくべきだ。誠意がほんとうにあるとするならば、これは除外して提案されるべきだ。こういうふうに考えるのですが、その点のお考えはいかがですか。
  46. 澤雄次

    澤政府委員 新東京国際空港を成田地区に政府といたしまして選定いたしました理由につきましては、いままでたびたび御説明申し上げておりますし、海岸地区にもずいぶん政府としてはさがしたのでございますが、どうしてもこの地域しかないということで、新東京国際空港をここにつくることに決定いたしました。新東京国際空港公団法でも、すでにこの新東京国際空港の地位を決定しているわけでございます。それから空港整備法にも第一種空港として新東京国際空港をすでに御承認いただいておるわけでございますので、これを公共用飛行場特定飛行場として法律上入れるのが至当であると考えます。  それからいま一つ、私たちといたしましては、新東京国際空港昭和四十六年の四月から供用開始をするわけでございますが、この法律をつくることによりまして、それまでにでき得る限りの成田周辺の学校の騒音防止工事その他、この法律に基づきます措置をしてまいりたい、このように考えまして、これを第二条の中に入れたわけでございます。御了承願いたいと思います。
  47. 神門至馬夫

    神門委員 ところがそれが、先ほどあなたの答弁の中にもいろいろ出たように追っかけ合いっこになって、いままでは住めたけれども住めなくなるという状態が出てくる。それで、そのまわりの住民が泣きながら逃げていかなければならぬという問題が出てくる。そのときにはすでに強者と弱者という立場であって、法律上では対等当事者であったとしても、現実にはもう対等ではなくなって、弱者が哀願して逃げなくてはならぬという事実が軍用基地周辺には全国約二十ヵ所においてあらわれておるということなんです。そうなってくると、法律上は存在するけれども、現実には存在していない新国際飛行場というものを引っぱり込んで、それを既成の事実として成田というものを——これはあなたのほうとしては当然かもわからないが、それが及ぼす騒音の影響が重大視されるとするならば、いま法律上あるのだから、あるいはそれまでに技術開発して、何とかそれには間に合わせたいというふうなことでは、三十六年からやってたいしたことはないというような御説明の前提になった防音設備というものは、そのときにはすでにまた間に合わなくなってくる。いわゆる成田空港そのものができたときにSSTもようやく間に合うということになって、それまでの飛行機というもの、いまの飛行機が前提になった騒音が対象になっている。こうなってくると住民は救われない。ですから内陸にそういう国際飛行場をつくることの可否については、これは政府といわず党の別といわず一致しているのです。一致しているのですから、ここにあえて、騒音を生みます、生むが、ひとつ何とかしたいというようなことで、できてないものを対象に入れられるということは、やはりもう一考されるべきだと私は考えるが、どうか。
  48. 澤雄次

    澤政府委員 新東京国際空港は、この公共用飛行場騒音防止法に書きませんでも、すでに新東京国際空港公団法及びそれに基づきます政令、それから航空法に基づきます告示、空港整備法の第二条に規定してあるわけでございまして、これに書いたから新東京国際空港を認めたとか認めないとか、そういう関係ではないのでございます。われわれが誠心誠意考えておりますことは、新東京国際空港昭和四十六年に供用開始を予定いたしておりますので、それまでにでき得る限りの防止工事をやらしていただきたい、こういうことでこの法律にまだ供用開始になっていない新東京国際空港を入れたわけでございます。
  49. 神門至馬夫

    神門委員 この飛行場が設置されますと、先ほど申しましたように、これはもうすでに対等立場ではなくなってしまう。こういうことになってくると、いまの新国際空港にしても、あるいはこの法律の立法の趣旨からいたしましても、騒音の問題について住民から、ここまで完全なものにしてもらわなかったらそれを設けてもらっては困る、どういう問題が事前に新たな飛行場をつくる場合には当然出るわけなんです。つくっておいて、あとにおいてはこの法律は動くけれども、つくる前にそういう法律精神によって航空局は措置をされるのか。それが一番対等立場なんですね。つくる前に住民の要求を一〇〇%聞いて、その後においてつくるつくらぬがきまる、こういうふうになってくると、これは一番正しい補償精神当事者対等精神になると思うのです。そういう点も考えているかどうか。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 新東京空港の新設につきまして、これが防音工事の必要となることは申すまでもございませんし、またそのほかに騒音に対する各種の補償というものは当然考えなければならぬわけでございます。そこで現在東京空港について、土地の所有者の方々はもとより、地元の公共団体その他地元の関係者の方々といろいろ話し合いをしながら、ただいま飛行場及びその周辺のいろいろな施設等についても相談をいたしておるような状況でございまして、私どもはできるだけ国家の強権によって反対を押え、あるいは補償を適当なところでごまかして新空港をつくろうというような了見は毛頭ございません。どこまでも話し合いで円満に話をきめて、そして工事に着手してまいりたい、こういう考えで進んでおるわけであります。
  51. 神門至馬夫

    神門委員 私、この案件としては騒音防止法を前提とするものですから、国際空港云々ということがいま直ちに問題としてなにするわけではないのですが、この法律精神からいきましても、いま強権を発動したくない、こう大臣がおっしゃったように、その辺の問題が、どこに設置されるとしても、これが解決されない限り強行すべきではない。それが強行されるとするならば、実はこの法律というものは、住民の、国民の要求をごまかすための一つの隠れみの的なものであるということに、反対に言えばなるのじゃないか。つくっておいていやだったら出ていけ、これだけの金でいやだったらそこにおったらいいじゃないかという、実際問題、現実いまなっておるのですから、その辺の問題はひとついまのこの法律と関連して、またこの新東京国際空港が対象になっておりますから、要望しておきたいと思います。  それからいまこのような法律案を提案される前提になります全国、全国よりかいまの東京、大阪ですね。それについては具体的にどのような問題が出ておるのか。それは把握されての提案だろうと思うのです。ですからどういうふうな問題が出ておって——五ヵ年間の予算については約百億でしたか、そういうようなものではそれは足らぬのではないかと思います。予算的にこれはどのくらい、全体をやるとするならば必要だろうか。これは陳情も出ておるのじゃないかと思います。そういう点をひとつ御説明願いたい。
  52. 澤雄次

    澤政府委員 この法律を提案し、御審議をお願いいたしますに至った経緯でございますが、これはまず東京国際空港にジェット機が就航し始めたのは三十五年でございます。このころから空港周辺の住民の方がジェット機の騒音を非常に問題にしてこられました。特に最初は小中学校の授業の関係から、東京におきましては住民が問題にしてこられた。そこで運輸省では、東京国際空港騒音対策委員会というものを羽田に設置いたしまして、これは航空局と地元の住民の方、それから関係地方公共団体の方、航空会社でこの委員会をつくりまして、そしてこの騒音をなるべく少なくしようということで、いろいろな騒音監視の制度を設けまして、それからこの第三条にもございますような措置を、事実上これは閣議決定を経まして、ジェット機は夜間十一時から朝の六時まで飛んではいけないというような措置、あるいは羽田におきましては内陸に向けて飛びましたときは、安全度が保たれればすぐ右に旋回して海のほうに出るようにというような措置をとってまいったわけでございます。大阪につきましてもほぼ同様な措置をとってまいったわけでございますが、伊丹地区におきまして、特に三千メートルの滑走路の新設と関連いたしまして、付近の小中学校の授業ができない。現在でもできないのが、三千メートルの滑走路ができればますますできなくなるというような非常に強い御陳情がございました。ぜひ騒音防止法をつくれという御要望、これは大臣あての直接の手紙だけでも何千通に達するわけでございますが、御要望がございました。それから防衛庁が昨年基地周辺整備法をおつくりになりましたことから、運輸省航空審議会も、昨年の十二月に騒音防止のための特別の立法措置をとるべきである、こういう大臣への答申があったわけでございます。それで運輸省はこの騒音防止法を今国会に御審議をお願いしている次第でございますが、一体どれくらいの対象かというのは、個々の学校の御陳情はありますが、大阪府知事あるいは兵庫県知事から、まとめてこれだけのものをやってくれというような統計的な、また制度的な御陳情はないわけでございます。それでわれわれのほうで調査いたしましたところでは、大阪国際空港周辺におきまして、学校で約百十校、病院が三十一病院、保育所等が約十、それから病院に類似いたします診療所、これが約六十というようなことで、これはごく概算でございますが、この工事に要する費用は六十四億。それから移転補償、土地の買い入れにつきましてはまだ具体的な御陳情も伊丹地区からございませんので、これは幾らになるかはわかりませんが、伊丹の空港周辺の一定の範囲の方がかりに全部御要求があったとすれば約九十二億、合計で百五十七億。  それから東京のほうにつきましては、学校が六十三校、病院が二十六、保育所二十、診療所六十というようなことで、これが総計二十五億ということでございまして、土地の買い入れ等は、東京の周辺はおそらく現在のところではまだないのではないか。それを合計いたしますと、約百八十億ぐらいでございます。しかしこの土地の買い入れの予想がわかりませんので、一応五ヵ年計画におきましては百億程度ということで予定をさしていただいたらどうかというふうに考えておるわけでございます。  それから成田地区におきましては、新東京国際空港においては学校が約十三、保育所が二、それから診療所が十一ということで、これは一億七千七百万。それから移転補償、土地の買い入れ、これはどの程度になるか、これもわからないわけでございます。これも一定の推量を入れまして、先般の委員会で三十六億こういうふうに御答弁申し上げたわけでございます。
  53. 神門至馬夫

    神門委員 相当な金が見積もられておるようですが、政府のほうで見積もられた金ですから、これも実際のものよりかはるかに低い金だろうと思うのです。ですから百億にいたしましても、いまの勘定でいってもまだ三分の一にならぬ、実態は五分の一にもならぬのじゃないかというふうなことも考えられますし、土地の買い入れ価格等についてはまだ計算してないということですが、これは先ほど、防衛庁のほうで横田基地周辺の買い入れ価格が合意に達して調印されておるようですが、こういうものはやはり航空局のほうでも参考として、常に資料の交流というものがなされておるものですか。
  54. 澤雄次

    澤政府委員 航空局のほうは、こういう法律はございませんで、いままで補償を実施いたしておりませんでしたので、防衛庁とは土地価格についての御連絡はいままではしたことはございません。これから法律の実施につきましては、十分防衛庁のほうと御連絡をしてまいりたいと思います。
  55. 神門至馬夫

    神門委員 軍民共用の飛行場はたくさんあるのですね。これはいまどのくらいあるかお答えいただきたいと思います。
  56. 澤雄次

    澤政府委員 軍民の軍に——防衛庁は軍ではございませんが一応これも軍といたしますと、防衛庁飛行場を民間航空で使わしていただいているのは千歳、丘珠、小松、徳島、八戸、美保、おもなものはこの六飛行場でございます。それから米軍の飛行場を民間航空が共用しておりますものは、福岡の板付、それから調布でございます。それから三沢もときどき使用をいたしております。それから逆に今度は民間航空飛行場防衛庁のほうで御使用になっているものは、名古屋それから大阪の八尾、大村、熊本、仙台、新潟、帯広でございます。
  57. 神門至馬夫

    神門委員 そういう共用地においては、もちろん防衛庁のほうの場合には防衛施設周辺整備法の適用になると思うのです。そこには民間飛行機は飛んでおるけれども、この法律によると全体がこの整備法の適用を受けて計算をされることになる。そうなってきますと、今度できょうとしている騒音防止法との関連において、いわゆる補償問題において、あるいは損得とか、いわゆる格差のできるような不平等のような問題も出てくるのじゃないか。いわゆる騒音の質が違うということはいろいろ考えられます。あるいは危険度の問題についてもこうだというお話があった。そういう点は考えられるとしても、共用のものが、いま説明があったのでも十六、七あるのです。そうするとその辺のものにアンバラというものが生まれる可能性というふうなものはないか。先ほども、いままでは法律がなかったので土地価格等の問題についての交流、打ち合わせというものはなかったということがありましたが、そういう点につきましては今後どのようなことが考えられるか。また双方においてどういう連絡を慣行的に、あるいは制度的に考えておられるか。
  58. 澤雄次

    澤政府委員 防衛庁の基地周辺整備法とそれから騒音防止法とにおきまして、飛行場航空機騒音に関する限り、両方には何ら措置上区別はないわけでございます。ただ防衛庁の場合にはいろいろな危険飛行というとおかしいのでございますが、危険飛行をやったり、あるいは訓練飛行を激しくやったりというようなことによる差異は若干ございます。普通の航空機騒音ということに関する限り、両者で差異はございません。  それから民間飛行場でも、名古屋などは民間飛行場でございますが、運輸大臣が設置、管理する飛行場でございますが、これは防衛庁が非常にたくさん共用しておられるということで、実際上防衛庁のほうで騒音防止工事を現在まで実施しておられる。今後もこれは防衛庁のほうにお願いしてまいりたいと思います。両者の間に別に差異はございません。ただ防衛庁は非常に長い歴史を持ってやっておられますので、従来防衛庁が所管しておられました飛行場についてはやった総量が多い、こういうことはあるかと思いますが、これは東京、大阪につきましてもこれから五カ年計画で漸次整備をしていきまして、防衛庁と全く同じような騒音防止の対策をとってまいりたい、このように考えております。
  59. 神門至馬夫

    神門委員 その辺はわかりました。名古屋の場合は防衛庁のほうが積極的にそういう措置をしているということは、民間飛行場防衛庁のほうが非常にたくさん使っているということで、基地周辺整備法を適用して騒音防止をやっているということは、約束ごと、契約ができているということではないのですか。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  60. 澤雄次

    澤政府委員 名古屋の飛行場は民間飛行機の使用回数がわりあい少ないのでございます。防衛庁にどうかお使いくださいということを申し上げて、それで防衛庁がお使いになっているわけでございます。ジェット機に関します限り、防衛庁のジェット機のほうがほとんどでございます。九〇%以上防衛庁のジェット機でございますので、それで従来から防衛庁が実質上の予算措置を持ちまして騒音防止工事をやってきたということでございます。
  61. 神門至馬夫

    神門委員 それは基地周辺整備法の適用はされてないけれども、それに準じて防衛庁騒音防止の措置をとってきた、こういうことでいいんですか。
  62. 澤雄次

    澤政府委員 これは防衛庁からお答えいただいたほうがいいかと思いますが、基地周辺整備法が昨年成立いたしました。今後基地周辺整備法に基づいて工事をしていかれる、こういうことになると思います。
  63. 神門至馬夫

    神門委員 次の質問ですが、これもいままでずっと問題になっていたように、政令できめるというものが、出してみると十ほどあるのです。非常に大事なところは全部、という言い方は極端な言い方ですが、未知の世界へ逃げ込んでいる、こういうことなんです。はっきりわかるのは第二条の特定飛行場東京と大阪だということですが、あとの場合はほとんどみな政令政令で逃げておるのです。それではこの委員会で審議するとしても、この内容をどういうふうに考えているかということを国民に知らす、国民が知るということは不可能なことですね。審議そのものの本質が果たされない。ここに十ある中で、第二条はわかるとしても、あと五条第一項なり、三号、六条にも二つあります。九条にも二項、三項ですね。それから第十条。こういうことに対してあなたのほうでは、先ほどの予算も百億程度のものを五ヵ年計画で何とかしたいということなんですから、この政令できめるある程度の基準というものはお考えがあると思うのです。この点をひとつ説明をしてもらいたいと思います。
  64. 澤雄次

    澤政府委員 政令に非常にたくさんのものを、基準的なものを落としておりますのは、先ほど先生から御質問がございましたように、非常に流動的になる面が多いということで、法律に書くことが非常に法技術的に困難なために、この政令に落としたわけでございます。申し上げられますことは、防衛庁が基地周辺整備法で航空機騒音に関して出しておられる基準というものは、運輸省でも完全にそのままに実施いたしたい、このように思っております。  それで、この政令でございますが、第二条は、申し上げましたが、東京、大阪両空港を指定いたしたい。それから第五条に関しましては、いろいろの政令がございますが、まず補助は、航空機騒音の強度及び頻度について運輸大臣が一定の告示で定めるものというようなことを書く予定にいたしております。それから、補助の割合でございますが、これは先般来もいろいろ御質問のありました防止工事の補助の割合、これは原則として十分の十、一〇〇%の補助をいたしたい。ただし、補助にかかる工事が補助を受ける者を利することとなる場合は、これはもちろん一定の仮定に基づいて何ぼ利するということでございまして、その限度においで補助の割合を減ずる。それで、先般も例として申し上げましたが、非常に近い場所におきましては、鉄筋の二重窓の校舎をつくったとかいう場合は、九割補助ということにいたしたいと考えております。  それから、第五条の第一項の三号で、政令で定める施設、これで現在関係省と了承をとっておりますものは、児童福祉法に規定する保育所、保育園、それから教護院、感化院、それから医療法に規定する診療所で一定数以上のベッドを持っているもの、これは六以上ベッドのある診療所というものを予定いたしております。それから、生活保護法第三十八条第二項に規定する救護施設、それから老人福祉法第十四条第三項に規定する特別養護老人ホーム、これは医者の看護を必要とする老人ホーム、これは防衛庁の場合と全く同じものを考えております。  それから、法第六条におきましては、その補助の割合を政令で規定いたしますが、一般住民の学習、保育、休養または集会の用に供するための施設というものにつきましては、これは先般も御質問がございましたが、運輸大臣住民の戸数その他に応じまして定額を差し上げまして、それによって市町村にこういう施設をつくっていただく。それから、有線放送業務の運用の規正に関する法律第二条に規定する有線放送、これらの場合には十分の八、その他運輸大臣が指定する施設、これは現在のところどういうものを指定するかまだ関係省との詰めができておりません。これが十分の七・五、こういうようなことをこの政令で規定いたしたいと思います。  それから、第九条関係の指定区域でございますが、これは当該飛行場進入表面及び転移表面のそれぞれの投影面と一致する区域内の区域、それで具体的には防衛庁の場合には現在滑走路の端から三百メートルのオーバーランをとりまして、さらに千メートルの範囲、ですから、滑走路の端から千三百メートルの範囲につきまして移転補償あるいは買い取り補償等を実施いたしておりますので、当省の場合もそれと全く同じことを実施いたしたい、このように考えております。  それから、第十条の損失補償でございますが、「適法に農業その他政令で定める事業を営んでいた者」、これは農業だけは農耕補償を行なうということは現在確定いたしておりますが、その他どのようなものを政令で定めるかということは、まだ関係省との話し合いがついておりません。先般原先生から、漁業補償を含めるべきではないかというお話がございましたが、これは防衛庁の場合には漁業補償を実施しておられます。この公共用飛行場の場合に、漁業補償を実施する必要があるかどうかということにつきましては、その実態調査と申しますか、一体そういう要求が非常に強くあるだろうかどうだろうかということにつきましても、現在のところまだ明確ではございませんので、これは漁業を含めるかどうか、まだ決定をいたしておりません。大体重要な政令の考え方は、以上申し上げましたとおりでございます。
  65. 神門至馬夫

    神門委員 この第二条へ特定飛行場は政令で定める、これは将来重要飛行場があっちこっちできると、政令の範囲も広げていきたいんだ、こういう説明が航空局長のほうからあったと思います。将来のものといたしましては、そういうことで、現在はこの二つの飛行場が具体的に実在し、それが対象になっておるけれども、ここでいう適法に営まれているどころの農業については具体的には出ておるわけですね。その他は政令できめるというふうになっておるのです。ところが基地周辺の整備法によると、漁業、林業まで入っておるのです。漁業の場合には、海にないから、淡路島にできたらそのときに考えたいというようなこともちょっと局長のほうから答弁があったと思うのですが、林業の場合は、これは陸にあるので、この辺等がやはり除外されたということは、この特定飛行場の範囲を広げていきたいんだということと、それが除外されているということはどういうことなのか。
  66. 澤雄次

    澤政府委員 基地周辺整備法のほうは航空機騒音だけでありませんで、非常に広範なものを対象としておられます。これは「機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施」、こういうものがございまして、それによって林業その他の事業も含めているわけでございます。その点はこの公共用飛行場の場合とだいぶ相違をいたしておるわけでございます。
  67. 神門至馬夫

    神門委員 それでは時間が迫りましたから、騒音防止法とはちょっと離れるのですが、英国海外航空機の事故原因というものが発表になっております。あの年には四つの大きな事故があったのですが、あと三つの事故原因、この調査関係はどういうふうになっておるのか、いつごろ発表の予定か。
  68. 澤雄次

    澤政府委員 四十一年の三月四日にカナダ航空機が羽田で落ちました。この事故につきましては、BOACと同じ調査団の方が、BOACが終了いたしましたので、引き続き調査をやっておられまして、これが一番早く調査結果が出るのじゃないかと思います。これは秋ごろまでには調査結果が出る予定になっております。  それから全日空の二つの事故のうち、ボーイング727によります事故と、それから昨年の松山の事故、これはちょっと時間がかかりそうでございまして、でき得る限り発表は早くできるようにということで、調査団の方は鋭意努力中でございます。
  69. 神門至馬夫

    神門委員 この調査結果の報告書の写しを、あとから御配付願えないですか。
  70. 澤雄次

    澤政府委員 かしこまりました。
  71. 神門至馬夫

    神門委員 これは新聞情報ですが、いわゆる乱気流によるところの事故であった、機体及び操縦に欠陥はなかったのだ、こういうことです。たまたま八ミリのフィルムがあって発見されておる。しかし乱気流そのものは、その原因というものが気象的にも把握されていないし、まして操縦士なり、地上からその乱気流の正体を事前につかむということができない、こういうことが記事として載っておるのだが、その辺の模様をもう少し……。あまりにも大きな事故が続くので、いまは平穏なときですが、平穏なときこそ次の備えをしておかなければならないと思います。ちょっと御説明を願います。
  72. 澤雄次

    澤政府委員 これは私よりも、あるいは調査団の守屋団長をお呼びいただいて、御報告を聞かれたほうが適切かと思いますが、先生のおっしゃるとおり、山岳波による乱気流、タービュランス、あるいは富士のような孤峰による乱気流というものは、現在の気象学ではまだ予知することは不可能といいますか、きわめて困難であるというのが調査団の御報告でございます。
  73. 神門至馬夫

    神門委員 立ちおくれになっておるといろいろ議論をされておるけれども航空行政というものは非常におざなりになっており、大きな犠牲を転機にしていろいろな改善がなされたというふうに承っておるのだが、この内容については、またこの事故関連でまとめて質問があると思いますのであとに譲りたいと思いますが、特にこの間、私たちが羽田の飛行場に、MACチャーター機の問題で行きましたときに、管制塔の労働条件というものが、たまたま私らが外から入ったので、薄暗い中で、そしてある程度視界によって制御され、コントロールされているあの実態を見て、近代的な航空というものでありながら、特に労働条件というものが非常に何かおくれた、原始的な感じを受けたのです。この辺については、何か名古屋の事故のときにも、刑事問題になったような記憶があります。あのときにも、だれか調査団の一行の中から、これはどういうことだということでいろいろ質問が出ておりました。あそこの労働条件なり、あるいは定員に対しても十分補充をされていないというふうなことが、何かあのときの説明にもあったように思うのですが、特に一番重要な管制塔の労働条件あるいは全体の体制整備の問題その辺についてお伺いしたいと思います。
  74. 澤雄次

    澤政府委員 おっしゃいますように、小牧の事故以来、管制官の待遇改善につきましては、国会、関係方面の非常な御協力によりまして、まだ諸外国の管制官に比べれば不十分でございますが、現在の国家公務員の体系下におきましては、管制官につきましてはでき得る限りの優遇をいたしているわけでございます。具体的に申し上げますと、これは東京、大阪等の主要空港におきます管制官、それから管制部というのがございまして、これは全国の管制をやっている管制部、それらのところにおきます管制官は、四直五交代制度をとっておりますので、実際に管制塔におりまして管制をしております時間は六時間でございます。これは現在の国家公務員制度の中では非常な配慮を加えていただいたものでございます。もちろん今後ともこの待遇改善については努力してまいりたいと思います。  それから給与のほうでございますが、これにつきましても、いろいろ御配慮をいただきまして、調整給というのを管制官には出してございます。調整給(二)というのを出してございまして、調整給(一)というのは本給の四%でございますから、本給の八%に相当する調整給及び実際に勤務した場合の特殊勤務手当というものを交付いたしておりまして、たとえば他の同等の国家公務員が四万円の場合は五万円程度をもらえるということになっております。不十分ではございますが、現在の公務員制度の中では、管制官につきましては、現在の時点におきましてでき得る限りの待遇をいたしているわけでございます。
  75. 神門至馬夫

    神門委員 定員の充足率はどうですか。
  76. 澤雄次

    澤政府委員 定員につきましては、定員が不足しているところが方々にございます。特に先ほど申し上げました管制部におきまして不足いたしております。これの原因は、訓練定員の不足が原因でございまして、管制官は羽田で六ヵ月訓練いたしまして、さらに六ヵ月各飛行場なり、あるいは管制部なりに配置いたしまして、実地で訓練をいたし、養成まで一年かかるわけでございます。ところが実際に毎年大体平均して五十名ないし六十名養成いたしておりますので、実際の訓練定員は、もうこの倍要るわけでございます。それが原因で方々の、あるいは管制部なりあるいは飛行場の管制塔から定員を借りてきて、そして訓練生に充てているという実情でございます。来年度の予算の折衝におきまして、訓練定員の増加に大いに努力いたしたいと考えております。
  77. 神門至馬夫

    神門委員 アメリカなんかの航空輸送の実態を見ますと、旅客についてすでに鉄道、バスを総体的に上回っておるようです。日本の場合も、本格的にいよいよ航空業界が活動しようとする、航空行政として本格的に取り組まれようとしておるのですが、二、三日前にこの航空事故の実態調査が初めて第一段として出され、再びあのなまなましい事故の記憶がよみがえった今日の段階で、いまのようなたくさんの欠陥があると思います。またこの事故問題と関連して総括的に質問がなされるようでありますから私のほうはおきますが、十分もうこの事故原因なりが出されておるのですから、またその事故原因の可能性としても、着陸また発進の場合に一番多いようです。そういうときにおける全体の施設、要員、労働条件、こういう点の完備をはかって体制を整備してやってもらいたいということを要望して、質問を終わります。
  78. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 久保三郎君。
  79. 久保三郎

    ○久保委員 時間もたくさんございませんから、二、三お尋ねします。  その第一は、防衛庁に関連するのでありますが、郵政省からおいででありましょうか。
  80. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 左藤放送部長が見えておられます。
  81. 久保三郎

    ○久保委員 先般もどなたか御質問されておったかと思うのでありますが、言うならば今回の法案は、騒音による障害に対する措置ということでありますが、それに直接関係があり、かつテレビのごときは画面の映像が写らぬために聴視ができないというようなことがあって、そのためにNHKはそれらのものに対しては減免の措置をとっている、こういうことになっておりますが、民間航空専用の飛行場、いまこの法律案によって設定しようとするような飛行場、その中でもジェット機が飛ばないところは問題がないのか知りませんけれども、ジェット機の飛ぶところの飛行場については、いまはどうなっているか、これは郵政省のほうにお伺いするのが一つかと思うのですが、どうでしょう。
  82. 左藤恵

    左藤説明員 いま先生お話しのごとくに、基地周辺のテレビの受信料につきましては、基地が国防上の見地から設置されましたという特別の事情によりまして、受信料の免除を認めておるわけでございます。民間空港の周辺につきまして免除の措置を講じますということになりますと、空港周辺の騒音の問題は一般都市の騒音の問題ども関連がございますし、民間航空につきましては加害者と申しますか、あるいは受益者ということになろうかと思いますが、民間航空会社というものがあるという点などがありまして、非常にむずかしい問題でございます。郵政省といたしましてもNHKと相談いたしまして、その協力を求めて対処いたしたいと考えております。  受信料の免除の手続でございますが、これは、放送法によりまして、NHKの申請に基づいて郵政大臣が認可をする。受信料免除基準によりまして受信料が免除されるという形をとっております。その特例の措置であるわけでございまして、NHKが社会的、経済的な実態に即応してそういった申請を出してきた場合に、われわれといたしまして検討いたしまして、郵政大臣が認可するという形をとるわけでございます。
  83. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話では、いわゆる基地周辺というのでありますか、防衛庁あるいは米軍関係のそういうものは、国家目的のためであるので、まあ言うならばラジオ、テレビの聴視料は減免している。その方法は、NHKから申請があって郵政大臣が許可している、こういうお話でありますが、お話にちょっと抵抗を感ずるのですがね。これは立場の相違でありますから、やむを得ないと思うのでありますが、国家の目的だから、片方は民間の飛行機が飛ぶから、というような御説明があったので、民間の飛行機が飛ぶことは国家の目的に沿わないのだろうか、かってなんだろうかというふうにも思うわけです。ここで議論をふっかけようということではありません、時間がありませんから。ただ問題は、国民立場で受け取る場合は、軍の飛行機であろうが、民間の飛行機であろうが、飛行機には違いない。テレビやラジオが聞こえない、見えないのでありますから、その損害補償は一律にしてもらうのが当然だと思う。だれがやるかは別です。そういう意味で、これも同様に扱うのがほんとうではないだろうかというふうにわれわれは考えるのであります。放送関係を受け持つところの郵政省としては、そういうふうにはお考えにならないでしょうか。
  84. 左藤恵

    左藤説明員 先生のおっしゃる点も、確かにわれわれとしまして十分考えなければならない問題だと考えております。NHKにもそのような趣旨を十分伝えまして、御趣旨に沿えるようにNHKに相談を持ちかけていくということをいたしたいと考えております。
  85. 久保三郎

    ○久保委員 これは運輸大臣にもお願いするわけでありますが、いままでたびたびその話が出たと思うのでありますが、これは郵政省の立場から、いまの制度の中では、前段放送部長さんですかからお話があったとおりであるのかもしれませんけれども、   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 さっき私が申し上げたように、問題はそれが軍の飛行機であれ、民間の飛行機であれ、やはり同じように行なわるべきだし、またNHKも、見えなかったり聞こえなかったりするのに、見えたり聞こえたりすると同じような料金を取るということも、いささか酷ではなかろうかというふうにこれまた考えるわけなんです。ついては、これに対して、いま郵政省はNHKと相談するということでありますが、運輸大臣はいかがお考えでしょう。
  86. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私も伊丹飛行場周辺の住民の方々から、テレビあるいはラジオ等の料金について考慮してほしいという陳情をたびたび受けております。しかしこの問題は郵政省の御所管でございまするので、郵政大臣にお願いを申し上げましたところ、十分考慮してやろうというおことばがございましたので、安心してお待ちをいたしておるところでございます。ただいま政府委員の方から至急やってやろうというおことばを承りまして、非常に心強く考えております。
  87. 久保三郎

    ○久保委員 次に、本件に直接の関係ではないのでありますが、防衛庁飛行場周辺、いわゆる基地周辺であります。これは防衛庁にお尋ねするのでありますが、いまNHKで郵政省からお話のような減免をしているものは、たしか具体的な基地というか、そういうものが当該飛行場としてあげられておるものだけかと思うのですが、これは郵政省のほうに先にお聞きしたほうがいいと思うのですが、そういうことですか。これはNHKからの、言うなら日本放送協会受信料免除基準の一部変更について、これは三十九年三月二十五日に放送協会から郵政大臣にあてたもので、その中にございます基地周辺受信者の項で、カッコ3の中に当該飛行場として幾つかあげてありますが、これは今日ただいまのものはこれにあげてあるだけでありますか。
  88. 左藤恵

    左藤説明員 現在免除の対象になっております基地の名前は、千歳、三沢、松島、入間、木更津、横田、厚木、浜松、小牧、小松、岐阜、岩国、板付、築城、新田原、百里、以上の基地が対象になっております。
  89. 久保三郎

    ○久保委員 そこでこの減免の範囲についてでありますが、これが必ずしも実態に合っていない場合があると思うのであります。これは一律に何か線を引いておられるようでありますが、これは民間空港の場合もそういうことになるんだろうと思うのでありますが、民間飛行の場合はもちろん航空管制の問題もあるのでほぼ一定した進入あるいは進出路というか、そういうものが大体予定されていると思うのでありますが、基地の問題は、演習をいたしますから、その周辺では必ずしも一定の方向だけで出たり入ったりしていない。もちろん滑走路の方向は一定でありますから、これに近いところではもちろんそれに合わせて進入したり離陸するわけでありますが、飛んでいる場合そうじゃないんですね。特に近いところでは低空で回転をするというか、方向転換をしますので、画面が全然映らぬというところがある。私が実験したのは、私がよく知っている百里基地を中心にした地域であります。もちろんそれに近いところはこれによりまして減免の措置がとられておると思うのでありますが、やや離れたところは実際には映らぬものに対しても料金が取られておるという不満が実は出ているのであります。だからここで要請しておきたいのは、言うならば、その基地を中心にして実態調査をおやりになって、その実態に即した区域の設定によって減免の措置をとられるのがほんとうだろう、こういうふうに思うし、その調査はもちろん防衛庁がやるのか郵政省がやるのかわかりませんが、防衛庁としてもこの規定だけでいいだろうというふうにはならぬと私は思うのですが、これは郵政省ではどうでしょう。
  90. 左藤恵

    左藤説明員 この地域のきめ方でございますが、これにつきましては郵政省と防衛施設庁、NHK及び神奈川県の合同調査団によって実施いたしました厚木基地の騒音の実情調査によって、ほぼ滑走路を中心といたしまして二キロメートルと一キロメートルの長方形の範囲が免除対象とするのに適当な地域であろうかという結論になりまして、一応そういうふうにきめたわけでございます。  ただ、先生おっしゃいますように、基地周辺の騒音は、地況等に影響されましていろいろ変化いたすものでございますので、現地調査の結果等も、それぞれの基地につきまして十分勘案する必要があろうかと思います。この点につきましては、さらにNHKにも協力を求めまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  91. 久保三郎

    ○久保委員 いまの御答弁のそれぞれ結果を待つことにいたしましてこの問題は終わりにいたしますので、郵政省のほうは本日はもうけっこうでございます。  それで、次に申し上げたいのは、さっき神門君からもお話がありましたが、政令事項にまかせるものが非常に多い。一々航空局長が御説明になったようでありますが、御説明になったものの、どうも非常に大ざっぱ過ぎて、国会の審議には少し足らないのじゃなかろうかというふうにわれわれは見ております。だから次回までに政令案があるものは政令案、政令案までいかないものは政令要綱案くらいは出してきて、こういう大体の構想でございます。問題点は、まだ各省庁関係のほうにはばかっていないが、この点が各省庁、たとえばここは建設省との関係でうまくいくかどうかわからぬとか、打ち割った話がなければ、責任を持ってこの法案を通すというふうにはまいらぬのではなかろうかと思うのです。これは自民党からお話があったように、原さんもがっくりしているのです、みんな政令だといって。それはやはり政令に譲らなければならぬような性格のものでしょう。だけれども、やはりそれは中身をきちっと出すものは出していかぬ限りは、これはいかぬと思います。次回までに政令案並びに政令要綱案でも全部出す、そして審議を進めるというふうに、これは委員長を通じてひとつお願いします。これはもっと早く気がつけばよかったのですが、出てくるかと思って実は良心的に見ていたのです。そこまで言われたら、これはこういう案ですと出すと思ったら、案外飛行機の話になるとずるいですね。
  92. 澤雄次

    澤政府委員 おしかりを受けましたが、実は政令案として委員会に御提出申しますのには、御指摘のように大蔵省、それから関係各省の了解をとり、また法制局の審議を経たものでないと、いわゆる政令案として参考資料でも提出しにくいということと、もう一つ、航空審議会のほうに騒音部会を設けまして、いろいろそこで具体的基準につきまして御審議を願っているわけでございます。それとの関係もございまして、実はいままで提出をできなかったのでございますが、まだ大臣の御了承も得ていない航空局試案というものでもおよろしければ、参考資料として提出さしていただきたいと思います。
  93. 久保三郎

    ○久保委員 それはだめだよ。それは大臣を目の前において、大臣の御了承を得ないものを局長限りで国会へ出すという、それほど融通のきく話はしていません。それは大臣が一々中身を十分御承知で、ここは努力目標でありますとか、ひっかかりがございますという前提なら、それはそれでもいい。だけれども、やはり大臣が了承をしないものを、あなたが裏口から航空局長試案というものを出しても、それは国会の審議には乗せませんよ。
  94. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま航空局試案というものを提出したいと航空局長から申し上げましたが、提出するにあたりましては、私も十分に目を通しまして、私として、これならば一応の運輸省考え方として御理解いただけるというものを提出させるようにいたします。そのかわり、先ほど局長からもお断わりいたしましたとおり、各省間の話し合いあるいは航空審議会の審議等の過程において、将来若干変更があるようなこともあるかと思いますが、この点はひとつお含みの上でごらんをいただくようにお願いいたします。
  95. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃその政令については、大臣からせっかくのお話がありましたので、それを待つことにいたしましょう。  もっと言いたいのは、局長、予算要求して予算をとっているでしょう、三億円か何か。だから、予算の三億円というのは積算基礎があるわけだよ。だから意地悪い質問をするなら、こまかい三億円の積算基礎全部調べてくれということになるのだよ。そこまで論議をしても国会は決して越権行為でも何でもない。慎重審議の部類なんだ。ところが、それには当然政令できめる費用の負担の基準というのもあるし、それから助成をする対象工事というものの種類も出てこなければならぬ。全然わからないが、大体集会所とか学校とか幼稚園だそうだ。この間原先生が質問したら、料理学校はだめらしい、その程度では審議はできません。だから今後の問題もございますから、ひとつお願いしたいということでございます。  それからもう一つこの法案関係して、一番あとのほうに書いてありますが、説明でもあるようですが、「板付、千歳等の米軍または自衛隊飛行場を使用する民間航空機につきましては、防衛施設庁において、防衛施設周辺整備等に関する法律等に基づき、所要の措置を行なうよう調整いたしております。」というから、いままでは何にもやっていなかったということですか、いかがでしょう。
  96. 澤雄次

    澤政府委員 防衛庁からお答えいただいたほうがいいかと思いますが、米軍基地及び自衛隊の基地におきましては、従来から実際上非常に手厚い防音工事を実施しておられたわけであります。ただ、法律的に特損法及び基地周辺整備法は行為者を対象として、すなわち米軍あるいは自衛隊の飛行機が騒音を発した場合にそれに対する補償を行なうという行為者を基準にして書いてございます。それから、この法律管理者を基準にして書いてございますので、この法律が出ますに際しまして、特損法及び基地周辺整備法のほうも法律的な筋を通しまして、民間機が基地を使用した場合も含めて防衛庁でいろいろな補償工事を実施する、こういうことを法律上明記したわけでございます。
  97. 久保三郎

    ○久保委員 法律のことはそういうこまかいことになるとよくわかりませんけれども、この法律は何で行為者を対象にしなかったのでしょう。それば民間航空機であるから、そして個々ばらばらであるからということですか。飛行機を飛行場においてオペレートするものは国でありましょう。そういう意味のとり方もございます。いかがでしょう。
  98. 澤雄次

    澤政府委員 私が申し上げましたのは、特損法及び基地周辺整備法は、行為者たると申しますか、米軍なり自衛隊騒音を起こした場合に補償するという、行為者を基準にして書いてあるということを申し上げたわけでございます。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 それでこの法律が通ると千歳、板付ではどういう効用が実際的にありますか。法律の文言はめんどうだから、端的にそういうことをお聞きしたい。
  100. 澤雄次

    澤政府委員 この法律が通りますと、防衛庁が民間機の騒音についても防音工事なり、それから損失補償を行なうことができる、こういうことでございます。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 防衛庁はそれでは民間のものまで騒音については請け負ってやろう、しょってやろう、こういうことになるわけですか、いまの御答弁は。防衛庁そうですか。
  102. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  たとえば板付等につきましては、米軍基地でございますし、従来からも対策をやってまいったわけでございますが、もちろん現在では相当民間機が利用しておられます。しかし地元との関係の問題を考えますと、何といいましても軍事利用という点が一番地元にとっては非常に政治的に問題があろうという意味から、民間飛行機と共同使用する場合に、防衛庁で幸い昨年防衛施設周辺に関する法律ができておりますので、それと今度の法律とは大体内容は軌を一にしておりますので、私のほうでひとつ一元的に——分けてやりますと、いろいろ地元との関係で事務も煩瑣になりますし、またびっこになるというようなものも、ものによってはあり得ると思いますので、この際騒音以外の施策も施設周辺で、たとえば防災とかそういうことでやっておりますので、そういったこともあわせて、基地周辺の対策としまして私のほうで引き受けようということに相なったわけでございます。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 それでは第四条の使用者の負担、そういうのは千歳と板付ではどういうふうに相なりますか。いままでの防衛庁方法でいくなら、防衛庁はこれは全部国の飛行機でありますから使用者についての問題は起きてこぬということでありますから、板付と千歳については、防衛庁が従来の方法でおやりになる場合には第四条はない、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
  104. 澤雄次

    澤政府委員 たとえば附則の第四章雑則の十五条で、防衛施設たる飛行場を使用して行なわれるものは、自衛隊航空機の離陸及び着陸とみなし、第九条第一項の規定の適用についても、自衛隊航空機の離陸及び着陸とみなすということで、民間機が自衛隊航空機法律上みなしてなってしまうわけでございますので、一応この第四条の設置者及び使用者の責務の原則は、法律的にはなくなるわけでございます。ただし、現在防衛庁のほうとお話し合いをしておりまして、この法律の適用を、民間機の板付における着陸料を若干上げる、そういうような措置を講じてまいりたい、このように思っております。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 法律の読み方が違うのかわかりませんが、これはそんなこと書いてないですね。第十五条には三条二項という条文が出てくる。あとで第九条第一項。第九条第一項というのは、これは移転の補償についてであります。それから三条二項というのは、いわゆる飛行場周辺の指定ですか。これはそういうことですね。
  106. 澤雄次

    澤政府委員 十五条の三条二項と申しますのは、防衛施設周辺整備法の第三条第二項でございます。防衛施設周辺整備法第三条第二項、防音工事でございます。その適用工事については、自衛隊等の航空機——自衛隊等の航空機というのは、自衛隊と米軍の航空機、以外の航空機というのは民間機ということでございます。民間機の離陸及び着陸で、防衛施設たる板付飛行場を使用して行なわれるものは自衛隊の飛行機とみなすということでございますので、民間機が法律上は自衛隊の飛行機になってしまうわけでございます。それで、この法律の第四条の(特定飛行場設置者及び使用者の責務)、こういう原理は防衛施設周辺整備法にはございませんので、一応法律的には、うちの法律の第四条の原理というものは、板付飛行場におきましては、みなす規定で、なくなってしまうわけでございます。ただし実際上の運用といたしまして、たとえば板付においては民間機が非常に多くのパーセントを占めております。これは着陸料その他で調整をしよう、こういうことを考えているわけでございます。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 それは実際の運用はどうなさるか知りませんが、法律の範囲内においておやりになることじゃないですか。そうだとすれば、この第四条はどこからも料金などをとられるような心配がないことに板付と千歳はなっているわけなんでありまして、とるほうがいいのか、とらぬほうがいいのかは別にして、はっきりしておかぬと、局長がそんなことを言ったって、これはそれじゃ通りませんよ。入っていないために、責任がないんですよ。責任の条項が、板付と千歳については何も書いてないのです。あなたのおっしゃるとおり、ぼくの言うとおり、ないところに何で責任がありますか。着陸料離陸料を少しよけいいただこうといったって、板付と千歳はおれの飛行機は全部軍用である、みなし規定である、四条の規定はないということになります。理屈をつければそういうことに相なろうかと私は思うので、念のためにお伺いしているわけであります。防衛庁は、いまの航空局長の解釈どおりですか。そうだとするなら、これは法律か何かではっきりしなければいかぬ。  それから続けて、そういう場合には千歳や板付の場合、航空局長が言っている離着陸料その他を値上げした場合、それに対する費用の分担というもの、そういう金はいわゆる国家の歳入として入ってくるわけですよ。その場合、あなたのほうの勧告というか言い分に従って、防衛庁のほうにそれだけ上積みされる筋合いというか、そういうものになってくるんでしょうか。
  108. 澤雄次

    澤政府委員 これは先生のおっしゃるとおりでございまして、板付におきましては法律上は第四条の規定が死んでしまうわけでございますので、いわゆる国が全責任を負って騒音の防止工事をやるわけでございまして、使用者たる航空会社はその責任が法律上はないわけでございます。それで着陸料を値上げすることを実際上考えております。これは国庫の一般歳入に入ってまいりますので、これが事実上防衛庁に上積みされる、そういう関係ではなくて、一般の歳入歳出の問題に相なるかと思います。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 その辺は局長よくわからぬのでしょう、実際は。言われたからそう言うものの。そうじゃないですか。
  110. 澤雄次

    澤政府委員 よくわからないのではないのでありまして、板付の場合は、運輸大臣が着陸料を徴収いたしているわけでございます。それで、運輸大臣が着陸料を一方的に値上げをすることが可能でございまして、それは運輸省の歳入に入ってくるわけでございます。それで、防衛庁が実際に予算をお使いになる場合に、防衛庁の要求されました予算に、その運輸省に歳入として入った分が見合うかどうかということは、これは直接の関係はないのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 それは費用と歳入のほうで見合う場合もあるし、見合わない場合も——おそらく見合わないほうが多いかもしれない。だけれども考えてみれば何かややこしいね。片方じゃみなしちゃう。四条には全然関係ない。そういうところで、いまの局長答弁のようにするのはもちろん実際的かもしれないが、法律でもってすべての制度を律するという立場に立てば、法律のことはわからぬけれども、少し穴があいているのではなかろうかという気分がいたすわけであります。実際そういう論争をしても効能がないようでありますから、一応意見としてだけ申し上げておきます。  次に、これが最後でありますが、乗っている旅客並びに荷物というか、そういうものは運送約款により損害の賠償は出すことになっております。飛行機事故によるところの損害賠償というか、そういうものは、それ以外は一般民法というか、そういうものでやるということでありますが、これまたいろいろな損害を与えてきているわけであります。これは騒音ばかりではなくて、騒音も一つでありますが、それに対しては積極的な損害補償以前の問題を、こういう法律をつくってやるわけですね。だけれども、たとえばそれ以外に何か物が落ちてきたとか、あるいはへっこんだとか、あるいは高いものが建てられないとかいうような損害があるわけだし、また飛行機の航行によってのいろいろな損害が事故によって出るかもわからぬ。そういう場合の賠償というか、そういうものは、自衛隊のほうは国家賠償ですか、そういうものでおやりになるかもしれませんが、民間航空の場合は民法だということになるのですが、やはりこれはある程度制度として考える時期ではなかろうかと思うのです。その点はどうですか。航空局長に先にお伺いいたします。
  112. 澤雄次

    澤政府委員 先生の御質問、もう一度確認させていただきたいと思いますが、民間航空機の事故による乗客、それから貨物に対する損害賠償あるいは補償の話でございますか。それとも、飛行場の設置、管理に瑕疵があった場合の国の損害賠償でございますか。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 お客と荷物の場合以外。
  114. 澤雄次

    澤政府委員 航空機が旅客及び貨物以外のものに被害を与えた……。わかりました。  この騒音防止法は、航空機が正常に離着陸いたしますことは適法行為である、適法行為であるが、一般住民に傷害を与えますのでこの損失補償をする、こういう立法構成でございます。先生がおっしゃいましたように、航空機騒音以外のもの、たとえば墜落して第三者に事故を与えた、あるいは油を廃棄して田畑に被害を与えたという場合は、通常の故意または過失に基づく不法行為による損害賠償でございまして、これはこの法律規定の適用外でありまして、一般民法の規定により、被害をこうむった者が当該航空機に対して損害賠償を要求するというのが法律的なたてまえかと考えます。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 防衛庁はどうか。
  116. 小幡久男

    ○小幡政府委員 米軍機と自衛隊機に分けて申し上げますと、米軍機が航空局長が申しましたような事故を起こしました場合には、地位協定によって補償することになっております。自衛隊機は国家賠償法によって補償するということになっております。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 たとえば墜落の場合は、旅客並びに運送品はそれぞれ運送約款によって賠償する。あなたの答弁は民法によって損害賠償ということですね。それから防衛施設庁長官のほうも、国家賠償法、そういうことをおっしゃった。そういうもので充足することがいまの実態に合っているかどうかということになると、必ずしもそうでない。むしろそれは役人的なと言ってはたいへん言い過ぎかもしれませんが、どうも行政官庁が上にあって国民が下という立場にある場合に、そういう法によってやろうとすることが非常に多いのであります。そうでないというふうに解釈してもいいですよ。ところがそうではなくてもっと積極的にものを考えていけば、行為者はまずもって、こういう場合にはこういうふうにしますという約束があって飛んだりはねたりをするのが、最近のものの考え方ではないか。もし間違ったときにはこうしますというふうな事故に対するものの考え方に最近変わってきてはいないか、ついては新しい考えはないのか、こう聞いているわけであって、民法や国家賠償法云々というのは、型どおりもちろん救済の方法はそれであります。ありますが、実際はそうではないものが多いのであります。たとえば防衛庁の場合は、そういう法律に基づかないで、防衛庁の一方的なと言っては語弊があるが、話し合いで、墜落した場合などは建物や何かいろいろなものの補償はしているのでしょう。あれは訴訟になったものはあまりないのでしょう。あなたのほうはそういう話し合いで、これぐらい補償しましょうとなっているのでしょう。どうですか。
  118. 小幡久男

    ○小幡政府委員 先ほど申しましたように、米軍のほうは地位協定に基づきます特別法でやっておりますし、自衛隊国家賠償でやっておりますが、航空事故につきましてはこの法律に従いましてきちっと話し合いをつけて、決してこの法律以外のことは現在まではしておりません。事故の原因によって、そのために周辺対策を強化するということはございますけれども、当該事故に対しましては、その被害者に対する救済はいずれもその法律どおりやっております。
  119. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、何でそういうめんどうなことを航空局長にも聞いているのかというと、全日空の松山における墜落、その前の東京湾におけるものも海の中に入ってしまった。特に松山のは、おそらく沿岸漁民のいわゆる操業区域だろうと思うのですよ。そうなると、それはどういうふうに処理なさったかわかりませんけれども、ほんとうから言うならば、網引きで一括損害賠償も含めたというやり方もありましょう。だけれどもそうできない場合もあると思う。そういうときには、航空機会社だって、かなり範囲が広くなった場合にはそういう賠償の責任を自分だけで直接的には負えない場合も相当あるかと思うのです。そういうところも考えると、この法律とは別ですが、新しい制度というものはそういう方法考えていくべきじゃないかという気がするわけなんです。松山のはどういうふうにやられたのか。そういう問題は起きなかったのですか。
  120. 澤雄次

    澤政府委員 松山の遺体捜索につきましては、沿岸漁民の非常な御協力を得まして底引きで捜索をいたしたのでございますが、それにつきましてはもちろん、契約に基づく料金を全日空は払っております。  それからいわゆる遺体が浮遊したということで魚が売れなくなったというような問題につきましても、全日空は漁業組合と話をいたしまして、ある程度の漁業組合の御納得のいく措置をとったように聞いております。
  121. 小川三男

    小川(三)委員 関連。時間の関係がありますから簡単にやりますが、「新東京国際空港の位置決定に伴う施策について」という閣議決定が四十一年七月四日に発表されております。この中の地元に対する諸対策の中で、「騒音対策については、今回建設が予定される新空港の性格にかんがみ、現在国が実施している騒音対策の基準等を勘案して、一定ホン以上のものについて格別の配慮を行なう。」とありますが、この閣議決定に基づいて今回のこの法律案というものを提出されたのかどうか、それをちょっと伺いたい。
  122. 澤雄次

    澤政府委員 この閣議決定のみではございませんで、先ほども申し上げましたように伊丹、大阪の地元から騒音防止法を早く制定せよ、こういう御要望が非常に強くて、また航空審議会からも騒音防止法を制定せよという御要請がございましたので、もちろんこの新空港のことも十分に考慮いたしてこの騒音防止法をお願いしたわけでございます。
  123. 小川三男

    小川(三)委員 この中に「一定ホン以上のものについて格別の配慮を行なう。」とあるのですが、きのうの質疑を通じてみると、一定ホン以上というものを大体七十ホンと航空局長は押えておられる、それでよろしいですか。
  124. 澤雄次

    澤政府委員 これは騒音防止法の各対策によって異なるわけでございますが、小学校、中学校の防音工事は七十ホンから取り上げていきたい。こういうふうに申し上げたわけでございます。
  125. 小川三男

    小川(三)委員 地元に配付されている、これはもちろん航空局として配付したものでなくても、空港公団それから千葉県その他へ配付してある資料によりますと、特に芝山町などに対しては、成田周辺に職業訓練所あるいは新国際空港に伴う各種の工場やその他のものが設置される。したがって、最初発表したのは人口十万くらい、それが最近では七万五千くらいの人口で新たなる都市が形成される、こういう発表が各種の資料で出たわけです。そうしますと、騒音防止に対する、障害に対する防止の法案を一方で出しながら、新たなる都市をその周辺に設置するというのは、新たにできた都市なり諸工場なりというものは、この法律によって補償を受ける資格があるのかどうか、その点。
  126. 澤雄次

    澤政府委員 これは各条文によって違うわけでございますが、たとえば移転補償等は告示の際現にあるものだけが移転補償等の対象になりますので、これはこれからできます家屋、事務所等は移転補償の対象にもちろんならないわけであります。
  127. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると明確にしておきたいのは、現在の時点というものをどこで押えるのかという点が一つと、それから関連して起こってくる事業というものはどこで押えるか。
  128. 澤雄次

    澤政府委員 第九条第二項によりまして、「指定の際現に」とございますから、特定区域を指定いたします際に現にその指定にかかる区域にあるものでございます。これは政令で特定区域を指定するわけでございます。
  129. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、第九条でかりに押えるとして、その後飛行場の設置に関連して起こってくる——あなたのほうではっきり言っておるのです。公団ははっきり言っておるのです。芝山町の開発やその他についてパンフレットまで出してやっておるのです。そうすると、それらの工場その他の施設というものは、騒音の被害を当然受けるのです。これらに対してはこの法律は適用されないということに理解してよろしいですか。
  130. 澤雄次

    澤政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  131. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、新たにできる、たとえば新都市といってもよろしいが、それら関連の事業を行なう。したがって皆さんは農地を捨ててもここで就職され、ここで仕事ができる場所ができるのだ。地域が開発されるのだ、こういうことを言っておるわけです。したがって、新たに開発される場所に対しては、どんな騒音があろうともどんな被害があろうともその対象にはならないということでよろしいですか。
  132. 澤雄次

    澤政府委員 先ほど先生から七〇ホンのお話から始まったわけでございますが、このいろいろ対象とします補償工事によりまして、ホンの数が違ってくるわけでございます。七〇ホンというのは小中学校の防音工事が一番通例なものでございますので、七〇ホンから対象にいたしてございます。たとえば第九条の移転補償の区域というものは、もっと非常に幅が狭いわけでございます。それで今後工場地帯あるいは新都市が芝山や成田の周辺地区にできるといたしましても、そういうものがこの第九条で対象になります指定区域の中につくられるというものは、非常に少ないのじゃないかと思います。それでかりにその中に住宅ができたといたしましても、政令指定後でありますから、それは法律解釈上移転補償の対象にならない。こういうことは法解釈上当然であるのでございます。
  133. 小川三男

    小川(三)委員 最後に一つ伺っておきます。  確認しておきたいのは、かりに新たにできる工場なり施設なんというものは——現在あるものは百ホンであろうと九十ホンであろうとこの法律の適用を受けるが、今後できるものについては一切補償の対象にならないということでよろしいかどうか。
  134. 澤雄次

    澤政府委員 指定区域をまだ明示申し上げないのでたいへん恐縮でございますが、指定区域が政令できまりましたら、その指定された場所にその後住宅あるいは工場ができましても、この法律による移転補償の対象にはなりません。
  135. 小川三男

    小川(三)委員 けっこうです。      ————◇—————
  136. 内藤隆

    内藤委員長 この際、連合審査会開会の件についておはかりいたします。  本委員会において審査中の公共飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案について、産業公害対策特別委員会より連合審査会の申し入れがありました場合、これを受諾することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 内藤隆

    内藤委員長 異議なしと認めます。よってさよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時等に関しましては、産業公害対策特別委員長協議の上追ってお知らせいたします。  次会は、来たる三十日金曜日、委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会