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1967-05-26 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十六日(金曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 福井  勇君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       中川 一郎君    福家 俊一君       堀川 恭平君    水野  清君       小川 三男君    神門至馬夫君       内藤 良平君    野間千代三君       渡辺 芳男君    石田幸四郎君       松本 忠助君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         運輸省海運局次         長       高林 康一君         運輸省海運局参         事官      野村 一彦君         運輸省海運局内         航課長     鈴木  登君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月二十五日  委員中川一郎辞任につき、その補欠として金  子岩三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員金子岩三辞任につき、その補欠として中  川一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律案内閣提出第一二三  号)  船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第三一号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。金丸政務次官
  3. 金丸信

    金丸政府委員 ただいま議題となりました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案提案理由について御説明申し上げます。  最近におけるわが国航空の発展はまことに目ざましく、国際的には、わが国はいまや世界の航空交通の要衝としての地位を確保するとともに、国内的にも、航空機はもはや国民経済の進展に欠くことのできない存在となるに至っております。  しかるに、他方において、このような航空活動活発化、特に航空技術の発達による航空機ジェット化大型化に伴い、航空交通の拠点である飛行場周辺において、航空機騒音による周辺住民日常生活への影響が大きな問題となってきており、その対策が急務とされております。  このような情勢にかんがみまして、政府といたしましては、従来から、東京、大阪両国際空港におけるジェット機の深夜の発着の禁止等行政措置を講じてまいりましたが、さらに、立法措置により、航空機騒音障害防止対策をより積極的に推進することとし、航空審議会の同様の趣旨の答申をも尊重し、この法律案を提案いたしました次第であります。  次に、この法律案の内容について、その要点を御説明申し上げます。  第一に、公共用飛行場周辺における航空機航行規制でありますが、運輸大臣は、飛行場周辺における航空機騒音により生ずる障害防止、または軽減するため、航空機離着陸の経路、時間その他の航行の方法を規制することができることといたしております。  第二に、特定飛行場周辺整備でありますが、運輸大臣の設置する公共用飛行場のうち、航空機騒音等による障害が著しいと認められる飛行場及び新東京国際空港について、その設置者は、学校、病院等騒音防止工事及び学習等のための共同利用施設整備を行なう者に対して、補助金を交付することとするとともに、一定区域内における建物等移転補償及び土地の買い入れを行なうことといたしております。  第三に、損失補償でありますが、特定飛行場設置者は、航空機離着陸のひんぱんな実施により農業等事業経営上生じた損失補償することといたしております。  なお、板付、千歳等米軍または自衛隊の飛行場を使用する民間航空機につきましては、防衛施設庁において、防衛施設周辺整備等に関する法律等に基づき、所要の措置を行なうよう調整いたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 これにて提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 内藤隆

    内藤委員長 次に、船舶整備公団法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保委員 船舶整備公団改正法案中身に入る前に、この公団によって解撤建造をする内航船について、若干お尋ねをするわけでありますが、まず第一に、内航二法と俗にいわれる二つの法律改正して、言うならば船腹過剰、それによるダンピング、あるいはそれによる幾多の弊害というか、そういうものが出てくる。かたがた老朽船もあるということで、これを一挙に解決しようということで、昨年、制度改正をしたわけでありますが、不幸にして、その際与党が単独審議でこれをつくりまして、野党不在のままでありますので、この際そのときの状況等一つには御説明をいただくということで、これから若干お尋ねをしたいと思うのです。  まず第一に、この船腹過剰なり不経済船解撤建造というようなことを始めようとしたときの船腹過剰というのはどういう程度であったのか、それから、ごく最近の時点で、内航二法改正による制度改正というものが、はたして現在の内航輸送の中で十分に効果を発揮しているのかどうか、そういう点を概括的に最初に御説明をいただきたいと思うのです。もっとも、限られた時間でありますから、詳細な数字その他がもし必要であるということならば、それは後刻資料として出していただくことにしまして、要点だけお述べをいただきたいと思います。  問題を整理します。一つは、いわゆる内航の船腹過剰が原因であり、これを制限しあるいは調整することによって、内航運送秩序を与えよう、特にその秩序というのは、うらはらになりますが運賃低迷をひとつ安定させよう、あるいは不経済船をこの際一掃しようというようなことで考えた当時のいわゆる船腹過剰とは、どの程度考えてみて、それに対して現況はどうなのか。それから、制度として改正したスクラップ・アンド・ビルド、いわゆる解撤係船との関係、それは順調にいっておるかどうか、そういう点を御説明いただきたいと思います。
  7. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 まず最初の御質問の、この内航対策をきめた時点においてどの程度船腹過剰の状態にあったかという、その過剰の状況はどうかということでございますが、この内航対策を閣議で決定をいたしましたのは四十一年の五月でございますが、そのときの状況というのは、大体貨物船、油送船、セメント専用船等を合わせまして二百八十八万六千総トンでございます。その後、公団等建造をいたしていくとすれば、十三万総トン建造計画でございます。そうして、これに見合う解撤といたしまして五十八万五千総トン予定をいたしておったのでございます。そうしますと、年度末の船腹量は二百四十万六千総トンということになりますが、このときに適正船腹量というものを、四十一年の十月に海運造船合理化審議会にはかってきめておりますが、これによりますと、四十一年度適正船腹量としてきめられた数字は二百三十一万五千総トンでございます。したがいまして、過剰になる量は、数字的には九万一千総トンという見方でございます。したがいまして、この約九万総トンというものを係船をすれば、船腹過剰状態は解消できるという考え方でございます。  その後この内航二法の実施並びに内航対策の推進を行なっておるわけでございますが、この内航対策が樹立されましたときの輸送需給と申しますか、そういうものと、実施に入ろうといたしましてからのこういう輸送状況というものは、相当変わってきております。すなわち、この内航対策をいろいろと立案を始めたのは三十九年からでございますが、三十九年には、この内航の輸送需要というものは、対前年度七%くらいの減になっておりました。それが四十年度に入りますと、これがだいぶ引き締まってまいりまして、九%くらいの増に転じております。それがさらに四十一年度に入りまして、特に四十一年度の後半、十一月、十二月くらいになりますと、輸送需要が非常に高まってまいりまして、大体二〇%をこえ、二七、八%までも、対前年度同月比でございますが、輸送需要がふえきておるというような状況でございまして、この内航対策立案当時からは、情勢としては非常に変ってきておるわけでございます。  したがいまして、この内航対策は、本質的にはいろいろな柱がございますけれども、その柱の一つは、いわゆる不況対策と申しますか、船腹過剰対策でございますから、言うなれば不況対策とも言い得るわけでございますが、それが実施段階に入って不況状況が変わりまして、かなり好況的な様相を示してきた。ですから、不況対策が一こまずれてまいりまして、実施段階に入って、好況のような状態不況対策実施するというようなかっこうになってきたわけであります。そのために、当初われわれが予定をいたしておりました解撤計画、五十八万五千総トン解撤いたしまして、新船の建造を三十九万総トンやろうという計画実施が非常に困難な状態になりました。  それで、いま申しましたように輸送需要が逼迫をいたしてきましたので、第一に解撤船値段スクラップ値段と申しますか、それが、当初われわれはトン当たり一万二千円という程度に予想をしておったのでありますが、これが三万円近いスクラップ値段に上がってきております。これが一つの大きな障害でございます。もしその値段が上がっても、予定どおり解撤比率を維持してやろうとしますと、非常に高い船価になってくるわけでございます。そういうような点もありまして、解撤比率一対一・五という当初の予定を維持することは非常に困難であるということにだんだん相なってまいりました。この解撤量の減少に伴いまして、建造量のほうもかなり計画より下回りまして、三十九万トン予定が二十六万九千トンというふうに非常に下回る見込みでございます。一方係船のほうは、いま申し上げましたような非常な状況の変化によりまして係船し得る船舶の量が非常に少なくなりまして、当初、四十一年度、四十二年度の二年度にわたって係船を実行する予定でございましたが、この計画そのもののズレがありましたので、これを四十一年度を省略いたしまして、四十二年度一年間に係船を行なうということにしまして、そしてその係船量も当初五万総トンということでございましたが、これもわれわれ極力係船の量を確保するように海運組合その他にいろいろと呼びかけ、船主にも呼びかけたのでございますが、実際荷物が前にあって契約しておる、あるいは用船にもうすでに契約が済んでおるというものを、その契約を振り切って係船するということはなかなか事実上むずかしい点もございます。そういうことで、現在のところの見通しでは、これはデッドウェートでございますが二万六千ぐらいの係船量見通ししかついておりません。なおこの係船量確保についてはさらに努力を続けていきたい、かように存じております。
  8. 久保三郎

    久保委員 船腹が過剰であるかどうかという、そういう見方というか、計算する土台である現有船腹量について、当初の計算というか、それでは二百四十万六千総トンというふうに計算していて、四十一年の適正船腹量は二百三十一万五千総トン、こういうようなことで計算というか見込みを立ててきたというお話でありますが、実際には四十一年度の中ごろにはすでに約二百九十一万総トンぐらいになっているわけです。しかもそのほかに未登録船というのが大体二万総トンぐらいあったようにわれわれは聞いているのであります。いまさらその当時の計算基礎がどうであろうとかいうことはやめにしても、いま海運局長お話中身によりますれば、何かたとえば五十八万トン解撤して、三年間で三十九万総トン新しくつくる、そういう計画だったが、どうもうまくいかないという御答弁なんであって、私が聞こうとするのは、いまさらその見通しの甘かったというか政策の欠陥をとやかくする前に、少なくとも内航政策というか、そういうものは政策を立てていま実施中で、しかもこの四月一日から新しい制度海運組合というか、そういうものを置きかえるということでありますが、まだまだ四十四年ですか、そこまでかかるはずでありますね。ところがすでにもう当初の言うならば政策そのものに狂いを来たしてきているようにわれわれは思うのであります。だから単に五十八万総トンスクラップして三十九万トンを新しくつくるのだという計画、あるいは十四万トン係船考えていくというようなことだけじゃなくて、むしろこの際考えるのは、内航海運市況というのはほんとう好況に向いているのか。この政策を検討したときにはほんとう不況であったのかどうか、こういう点を一ぺん調べなければ、いままでの政策をそのまま遂行するわけにはいかないと思う。というのは、この政策実行のために好況らしきものに転換したことの要素があるのか。そればたとえばぼろ船で、水船と称された、船の部類に入らぬもの、どこかの港か岸べに、水の中に沈没した船もスクラップの対象に——もっとも船籍があるからだろうが、売れるようなこと、あるいはそれが係船によってはけていくかもわからぬ。そういうようなことがありますと、そういう制度ができたから、これは海運というか持ち主というか知りませんが、そういうものがふところぐあいがよくなるのは当然であります。だから御説明にもあったようでありますが、スクラップ値段がどんどん上がってきた。いわゆるスクラップする船が、あなたがいま御説明のように、海運市況好転のためにすでに運送契約ができておるとか、あるいは用船契約ができているので、目の前に荷物を置いてスクラップなり係船なりはできない。それだけがほんとう理由の全体なのかというと、私はそうじゃないと思う。むしろ私が前に言ったようなのがほとんどの理由ではないかというふうに極端に考えているわけです。自分でも極端だと思いますから御批判をいただければけっこうだと思うのでありますが、水船まで引き当てにしなければならぬようなことになってきたのは、この政策誤りなんです。誤りというよりは、内航海運というものの実態を知らぬままに、普通なら胃の薬を与えるところを頭の薬を与えたというようなことではなかろうかと私は最近疑っておる。親切なことはけっこうであります。だれが親切を受けても、親切は私はけっこうだと思います。だれが利益を受けてもけっこうでありますが、全体の立場から見て、その利益なり親切がほんとう目的どおりになっておるのかどうか、なっていなければこの辺でやめてもらいたいというよりは、メンツにこだわりなく政策の大きな転換をしてほしい。何でそういうことを言うかというと、政府運輸省内航海運を的確に把握する手段を持っていなかったというのが致命的なんです。実態がわからないのでありますからね。わかっておるのは三千トン・クラスのいわゆる大型あるいはタンカー、あるいはそれ以下の中級くらいの一番数も多いし、また内航海運のいわゆる一ばい船主、そういう者はこの政策では救われていないのだろうと私は思う。救われたと見るべきものは、さっき申し上げた水船も何がしかの金になる、あるいはぼろ船でも金のカタになるというようなことでありはしないかと私は思うのであります。それもけっこうです。しかしそれは内航海運を決定的に立て直すということにはならぬ。一時的にある企業者を安楽いすに腰かけさせるにすぎない。だから、この政策というか、こういうものが終わればもとのもくあみで、また再び内航の混乱はもちろんのこと、企業者としても成り立たたなくなっていく、こういうふうに考えるのであります。意見が多いので恐縮でありますが、ざっくばらんに言って、現在進行中の政策が、いままで内航の病根といわれたところにすっと的確に当てはまっているかどうか点検してみたでしょうか。みたとするならばどういうことなのか、率直にお聞かせをいただきたい、いかがでしょう。
  9. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 内航海運実態を把握する手段も持たなかった段階政策立案をしておるから、いろいろとそごがあったのじゃないか、その点に誤りがあれば政策転換をすべきではないか、こういう御意見だと思います。内航海運業法の三十九年の改正によりまして登録制をしきまして、その結果従来、先生のおっしゃいましたように、内航海運というものは非常に把握がむずかしかったのは事実でありますが、この登録制実施によりましてかなり把握できるようになってきておると私は思います。いろいろな統計の数字なども漸次整備しておりますので、今後は相当把握し得るのではないかと思われます。内航対策もまだ実施に着手したばかりのような段階でございます。対策を決定したのはなるほど昨年の五月でありますが、いまはその着手にかかったばかりのところでございますので、効果というものをはっきり判断するのにはまだ早い時期ではないか、こう思います。  それでいま船腹量の問題で、いわゆる過剰対策というものが非常に大きな意味を持っておるのであるが、それがいまのようにくずれてきておる、これでは内航対策全体の敗退ではないかという、私はそこまで評価をすべきではないのじゃないかと思います。と申しますのは、内航海運につきましては、質の問題と量の問題と、そして企業体制の問題と、この三つがあると思うのであります。量の問題は過剰対策あるいは不況対策というようなことで、船腹過剰状態というものがないほうがいいわけであります、過当競争を生みますから。こういうものは量的に適当な量に調整していくということも一つの柱でございますが、この量の問題は輸送需要の伸び縮み、まあ縮みはあまりありません。不況のときだけでございますが、長期的に見ればだんだんと輸送需要というものは伸びてきます。この量的な問題は非常に流動的でございます。そういう意味におきましては流動的な問題でございます。もちろん、これも看過することはできない。しかし、さらに重大な問題は質の問題だと思うのです。と申しますのは、いま内航海運所有船腹というものは、非常に老朽経済船が多いわけでございます。これをなるべく早く近代的な経済船に取りかえてやるということが、内航海運の再建のための非常に大事な一つの柱ではないか。そういう意味におきましては、解撤量が少ない、あるいは係船量が少なかったということも一つの問題でございますけれども、近代的な経済船を早く代替船としてつくっていくという政策をどんどん進めていくということは、やはり大事なことではないか。それは解撤比率が若干くずれましたけれども、近代的な経済船建造代替建造を進めるということは、依然として堅持して政策を進めておるわけでございます。そういう意味からは決してこの量の確保量の調整ということが予定よりくずれたからといって、この質の問題まであまり意味がないというふうに批判するべきではないのではないか、これは私の考えであります。  もう一つは、内航海運の非常に根本的な問題でございますが、企業体制ということを申しましたが、零細企業乱立状況という状態一つの根本的な問題でございます。これを解決しようというのが今度の内航対策一つの柱になっておりまして、これはただいま先生のおっしゃったように、昭和四十四年の九月までにその体制を整えていこうということでございまして、いわゆる企業適正規模、そして乱立でなくなるわけでございまして、それで公正な競争をやり、過当競争にならない、こういう企業体制をつくってやるということも、これからの問題でございまして、この考えは変えるべきではないというふうに考えておる次第でございます。
  10. 久保三郎

    久保委員 結論的には私と見方がまるで違うことになっているわけであります。あなたのおっしゃるとおり、内航二法の最終的な政策——当初は違いますよ。三十九年のころは違うのです。だんだん変わってきて一だんだん変わったというのは、政府政策後手後手に回ってきた、それで去年で集大成したというかっこうで、実は内航政策が一応出発した。ところが出発してみたら内航海運実態というものがその政策を策定したときにはだいぶ違ってきた。だから政策を遂行する場合に、私が言いたいのは、そういう基礎的条件が変わってきたことについて十分な検討を加えて、基礎的な条件は変わりがないということならば、もちろんそれはそれでけっこうであります。私はそうじゃないと思う。そういうふうに考え質問をしているわけであります。たとえば政策を、着手したばかりだからいま直ちにその効果を判断することは誤りである、こうおっしゃっています。そうかもしれませんが、すでに誤りというのは、あなたもおっしゃったとおり、解撤比率も一対一・五の比率がだんだんくずれてきた。解撤単価というかスクラップ単価も当初、政策策定の時期とはだいぶ違って上がってきている。そういうことになりますと、政策中身である利子補給、あるいは船舶整備公団によるところの建造、あるいはこれからやろうとしているのでありますが、おそらくできないだろうと思うけれども係船、それも公団を通しての融資というか、そういうものでやろうというのでありますが、それほどの必要はないのじゃないかというふうにも、極端に言えばとれます。スクラップ比率にしても、いま手元にあるあなたのほうの資料を見ますと、四十一年度ではこれは計画として一・五、これは約束の比率だが、それはそのとおりなったのか。これはあとから御答弁願いたい。それから四十二年は一・三五、四十三年は一・二四、これは一・五ではない。それからおことばにあったように、建造は約二十七万総トン。三十九万総トンではない。三十九万総トン考えたときには、いわゆる五十八万総トン老朽船が内航の中にある、だから、これを代替建造して三十九万総トンにした。この場合はいわゆる生産性において、五十八万総トンと三十九万総トンを比べた場合に、これはいまだ答弁を的確にもらっておりませんが、おそらく船腹の量としては少なくなる。数字からいっても違うのですから、少ない。しかしその生産性からいきました場合に、三十九万総トン計画は五十八万総トン現有船腹に匹敵するか、あるいはそれにプラス・アルファで、もっといいのかどうか。こういう計算をして三十九万総トンで将来の船腹需給というか、そういうものの安定をはかろうとしたのだろうと思うのでありますが、いまだ私は寡聞にして、そういう計算のしかたを聞いていない。ただ感じとして、五十八万総トンつぶして三十九万総トンをつくるのだから、船腹過剰と言われ、市況これによって低迷し、一ばい船主が困るという端的な表現で言った。内航海運はこれで立ち直るのだというふうにいままで説明されたのです。そういうことが変わっていないとするならば、四十一年度は一・五の解撤比率でやった。ところが次年度以降、四十二、四十三年度はそういう比率をくずしていく。最初目的は、さっき局長おっしゃるように、量がだぶついているから量を押えることと、それと並行して、うらはらになるが、船舶の質を変えていく、そうして企業の体質を量の面からと質の面からと両方で立て直していこうというふうに考えておる。そこにもう一つ加わったのが、いわゆる経営規模の問題。一ばい船主というのをどう扱うかが大きな問題です。これはさておいても、少なくともいわゆる内航政策、いわゆる内航二法の改正の当初から変わりのない政策目的は二つ。いわゆる内航の船の質をよくすると同時に、量を規制していく、こういうことなんですね。ところが海運市況が好転したというならば、これは量を規制することはないのですね。そうでしょう。量を何も規制することはないのです。無理してまでスクラップせいとか系船せいとい言たっていま荷物があるのなら、それはそれでいいじゃないですか。何も無理してまで国家の銭出して引きずり込んでくることはない。むしろそれは国家の政策でやるのではなくて、自力更生という、好況になったら金が入るし信用も高まるのだから、自分で解撤する、あるいは新しい船をつくる、こういうことだと思うのです。政策はそのワクを包めばいいのであって、何も中にまで入って、おまえのところは景気がいいか悪いかと調べて歩く必要はないと私は思うのです。だから、そういう意味で言うならば、この政策は、誤りとは言わぬが、基礎的条件が変わってきている。あるいは客観的と言っていいか主体的と言っていいかわかりませんが、いろいろな条件が変わってきている。きているから、政策転換をはかるのが当然ではないかと言うのです。だから、これは公約違反ですよ。四十二年度、四十三年度解撤比率が一・五を下回ったことについて了解を国会はしていない、極端なことをきめつけて恐縮でありますが……。いままでの説明にどこにも書いてない。公式的にもいま初めて発言があったわけであります。だからそんな解撤比率まで下げるなら、何のためにやるのか。当初の目的の量を押えるということは、それは違うじゃないか。計画どおり量が押えられない。だから船の方向をはっきり示しなさい。これはジグザグコース。向こうに行ったりこっちに行ったり。私も非常にむずかしいと思いますよ。むずかしいと思うけれども、どうもそういう御答弁ではちょっと違うのじゃないか。それも無理もない話だ。あなたもやはり専門家としての局長さんでありますから、言いたいのは、内航問題を手がけてから何人局長さんが変わったか。いまお見えになっている高林次長さん、この人は終始一貫してやったかな。内航課長は三人くらい変わっている。そういう人事の問題もあろうかと思うのです。人の出世を妨げる必要はございません。ございませんが、そういうことも反省されたらどうか。だからあなたが新しく局長さんになったのだから、前任者がやったことについても引き継ぎどおり何もやることはないのであって、あなたが点検してこれはまずい、こうあるべきだというならば、そのとおりおやりになったほうが私はいいんではなかろうかと思っているわけです。どうでしょうか。
  11. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 内航業界が現在好況であるのか不況であるのか。先ほど私は、立案当時はいわゆる不況であったが、実施に入ってから一こまずれて好況段階に入ったのでありますということを申し上げたのでありますが、従来内航海運は恒久的に過剰状態、したがって不況状態にあるということもいわれてきたわけでございます。私が最初に申し上げましたように、なるほど昨年の後半から輸送需要の伸びというものは、数字的には上がっておることは事実でございます。これは一時的な現象であるのか、あるいはほんとう好況なのか、いろいろ見方がございましょう。好況とは何か。ただ輸送需要の面だけ見て好況と言っていいのか。あるいは市況はそんなに好転をいたしておりません。用船料が若干上がっておりますけれども、運賃そのものはそれほど上がっておりません。ですからそういう運賃面から見ますと、必ずしも好況と言いがたいかもしれません。好況不況か、あるいは船腹が恒久的に過剰なのか、一時的に足りないのかというような問題は当然ありますけれども、本質的には問題は変わってないんじゃないか。先ほど申しましたように、量の問題は流動的である。そのときそのときの経済状態輸送需給の問題の上がり下がりがございますから、量の問題そのものは流動的でありますので、これを恒久的にどうのこうのという議論はなかなかしにくい。むしろ本質的な問題は質の問題ではないか。そうして近代的な経済船をつくっていくというために、老朽船をつぶす。早く老朽船を市場から姿を消さす。それを義務づけることによって近代的な経済船建造を促進する、そういう意味から、解撤を義務づけるという政策はやはり依然として続けたほうが私はいいと考えております。そうして一対一・五の解撤比率を維持していくのか。これはなるほど先生は先ほど、市況がよくて輸送需要があるんだから、何も無理して船をつぶさなくたっていいじゃないかということをおっしゃいましたが、そういう意味から、硬直した姿勢をもって一対一・五を維持するということをあきらめたわけでございますが、しかし、と言って全部はずしてしまうという必要はもちろんない。むしろできるだけ解撤比率を可能な限度において維持していく、それによって古い船を早く市場から姿を消させ、新しい船をできるだけ量を多くつくらせる、この政策はやはり今後続けるべきじゃないかというふうに考えております。したがって、量的の問題は多少のズレなりいろいろの問題がありますので、これは流動的であります。そしてこれはできれば時々刻々に流動的に量の調整が可能であれば、これが一番いいと思います。今度はこういう解撤融資の予算を取ったりなんかやりましたので、臨機応変にその措置をしにくかったという点はございますが、これをきっかけにいたしまして、業界が自主的に係船なんという措置を今後できるように持っていくのが一番その時宜に適した——手網を締めたり、ゆるめたり、その輸送事情に応じて手網を締めていく、こういうことができれば一番いいと考えております。
  12. 久保三郎

    久保委員 だいぶ変わったお話なのでありまして、だから、政策転換したほうがいい、こういうのです。一つは、量の問題は、流動的に考えていく、それは資本主義経済の中では、そういうふうになったほうが資本の側はいいのです。そうでしょう。必要なときに必要な船があればいいのであります。たくさん運ぼうと思っても、船が足りなくなっては困るし、だから、必要ないときには遊んでもらっててもいいという論法は成り立つ。その問題は別にして、内航の大きな問題は、いわゆる船腹が過剰ぎみであるというところから出てきたのですよ。だから、船を減らすということは、いまだに政策の大きな柱になっているわけです。われわれはいままでそのとおりとってきた。だから、一・五のこの比率がいいかどうかは別にして、政府を信用して、一・五ならば大体量は減るだろう、こう考えた。しかし考えてみれば、つくる船は近代的な船だ、生産性からいけば、スクラップの量よりはもっと稼働率、生産性というようなものはよくなってくるかもわからない。そうなると、スクラップ比率によって、いわゆる船腹量を調整するという効果をねらう政策は、これは一・五でももう一ぺん検討し直さなければならない。そこへもってきて一・三でもいいのだということでは、もはやこの法律改正までして船腹量の策定などをする必要はないのではないか。それは単に参考として、必要ならば法律で書く必要はなくて、あなたのほうの政府の機関をつくって、その中でやっていけばいい。何も法律に書く必要はない。法律の中に置いておいて、硬直した姿勢云々と言われたのでは、ちょっと反論したくなる。もちろん、それほどに私も硬直した姿勢を考えている一わけではありませんよ。しかし、あなたがおっしゃるとおりにすれば、ぼろ船は依然として残るわけです、比率からいうと。新しい船はどんどんふえていくのです。比率からいうと、逆に一・五が一・三四とか一・三六になる。算術計算からいえば、そういうことになるのです。そこらのところは考えているのかどうか。だからあらためて聞きます。新造船一に対して一・五という比率は、いわゆる稼働率というか生産性は大体とんとんか、それ以下か、あるいは上回るのか、そういう計算をしましたかどうか。おそらくしていないでしょう。していないというのは、わからないということでしょう。何でかというと、一定のルートを歩くものだけが全部内航じゃない。北海道、京浜、あるいは関門、瀬戸内から阪神、その中には四国から今度は最後に中京まで来るとか、そういうおよそ一定したところがあるのです。全体のスクラップ比率が一・五で、船腹量が減るとか多くなるというのはちょっとないから、その問題は別にして、そういう計算をしましたか。そして一・五になるのか。  もう一つは、四十二年、三年の解撤比率が一・五を下回るのは、いわゆる生産性に換算したところの船腹量というものはいかがなのか、それからもう一つ、現在の船腹量というのはどうなっておるのか、あなたが計算したような方向にいま向いているのかどうか、現在の船腹量というのはどういうふうになっているのか、いわゆるこれは昨年ですか、ことしですかきめた四十一年度以降の毎五カ年間の適正船腹量というのがきまりますから、それとの関連で現有船腹量はどうなっておるのか、この二つを答えてください。
  13. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 古い船と新しい船との生産性を考慮しておるかどうかという点でございますが、なるほど古い船を一トンつぶして新しい船を一トンつくれば、船腹量の絶対量としては現状維持になるわけでございますが、一以上の船をつぶせば船腹量の絶対量は減っていくわけでございます。しかし一方新しい船の生産性が高いわけでありますから、実質的には一対一の解撤比率をもしやっていくならば、輸送量が多くなっていくということは先生のおっしゃるとおりでございます。それを計算しておるかどうか、これはわれわれが適正船腹量というものを計算いたす際に、輸送の原単位というものを使っております。生産性というものはこれにあら一われてくるわけでございます。これは観念的にこの原単位というものを考えるのではなしに、従来の実績の伸び方、そういう傾向と申しますか、そういうものを考えまして、この原単位については適正船腹量というものをはじいております。これは将来五カ年間にわたってこれを毎年はじき直すことになっておりますので、毎年新しい生産性に基づいて適正船腹量をはじくということに結果的にはなっていくと思います。  それから現在の船腹量は一体幾らなんだ、これは二百九十万トンでございます。これでは最高限度量をこえているじゃないか、実はそのとおりでございますが、これはこの年度内に五十八万トンお願いする、解撤するということでもって、この超過しているものを消すという考えであったわけでございます。したがって、すでにこれはずれておりますので、現在海造審にはかりまして、これを解撤する手続を行なっておる次第であります。  なお、この解撤比率が減ったから、生産性の高い新造船をどんどんつくっていけば、また船舶過剰になるのではないかというお話がございましたが、それは絶対量としては絶対ふえることはないのでございます。一対一以上であればふえることはございませんが、実質的な輸送量というものはだんだんふえる可能性はある。これに対しましては、長期計画、経済企画庁で経済社会発展計画というものをつくっておりますが、これによりますと、今後五カ年間で内航輸送需要というものが一・七倍になるというような見通しも出ておりますので、やはり今後の輸送の需要自体は伸びていく、したがって生産性の高い新造船をいまのテンポで——一対一・三六でございますが、このテンポでつくっていっても三カ年で過剰になるということはおそらくないのじゃないかというふうに見ております。
  14. 久保三郎

    久保委員 結論的に御答弁がありましたように、一・三六でも過剰になることはないだろう。もっとも過剰になるという答弁をしたら、それはうまくないですからね。それから、どこから計算して過剰にならないのか。ただ経済計画が、長期経済計画でないほうが一・七倍になるからというのですが、私はあまりああいうものを信用しないたちでありまして、それから計算すると一・三六という因果関係も、算術計算をどういうふうになさるのか。意地の悪いことでありますが、どうもこれは、直截的には一・七倍に海運輸送シェアがなるから、一・三六でもオーバーにならないだろうという計算をされたのかどうかというと、されないのじゃなかろうかと思うのです。局長の頭の中でストレートに計算したのじゃなかろうか。話がめんどうになりますから、私はあまりそういうことにはこだわらないことにしましょう。  ただ、そうしますと、局長、この量の問題は何べん御答弁いただいてもあまり気にせぬ、気にせぬというお話ですけれども、だから冒頭申し上げたように、政策転換をおはかりになったらどうかというふうに私は思っております。一・三六でも船腹過剰にはならないとおっしゃるならば、別に船腹量にこだわることはない。だから適正船腹量などは法律で一々策定して五年間の見通しをどうのこうのといっても、これはたいへんだろう。そういうものは取り下げて、海運局内部で試算する、そうなれば大体腹づもりでしょうからね。いわゆる内航の許可をする場合の目安というところにだけ使おうというふうになってきたと思うのでありまして、そういう意味からいけば、法律によるところの適正船腹量の策定なんといういかめしいことはおやめになってもいいのではないか、こういうふうに思うのであります。これはいずれまた別な席でいたしますが、水かけ論かもしれませんが、少なくとも天下に公約した政策の実行には少し誤りがあるようだということです。  それからもう一つは、輸出船が九万一千トンくらいあったそうでありますが、これは解撤の対象にしたり係船の対象にしてそれぞれ金を出しているのですか。
  15. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。  公団で一括募集いたしました際の代替建造の引き当て船の中に、すでに輸出をした船及び応募当時これから輸出をするように手続中であるという船を合わせまして、久保先生のおっしゃいました約九万トンの船があったわけでございます。また輸出船につきましても、これは昨年の公団法の改正のときに、輸出をしたものについても解撤と同じように扱うという改正になりましたので、四十二年度以降船については解撤融資の対象に考えております。
  16. 久保三郎

    久保委員 その解撤の中に計算として入れてもいいということは、日本に船がないのでありますから、スクラップと同様に扱っても、それはいいと思うのですが、輸出船の場合には延べ払いに対しても助成することになっておるでしょう。それとスクラップに対する助成と両方でしょう。そうならないですか。この場合どっちですか。
  17. 野村一彦

    ○野村説明員 中古船の輸出につきましての延べ払いは、新船の延べ払いのようにはっきりした制度はございませんけれども、事実延べ払いが行なわれております。これについて、解撤と同様に、今度代替建造の引き当て船として延べ払いをする輸出船を申請した場合には、これは四十二年度以降については解撤融資の対象にするということになっております。
  18. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、政策的にはやはり一つですか、輸出船に対して。解撤船に対する手当てというか、そういうことだけですか。二つあるのですか。両面があるかどうか。
  19. 野村一彦

    ○野村説明員 代替建造に対しましては、輸出船は解撤船と全く同じ条件で取り扱っております。先生の御質問の輸出の金融につきましては、現在のところ大体五分五厘の三〇%頭金の三年というのが一般に行なわれている延べ払いの条件でございますが、これは新船のようにはっきりした条件でございませんで、ケース・バイ・ケースで金融機関のほうで審査をしてやっております。
  20. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、よく考えてみないとわかりませんが、輸出船に対しては、解撤建造というかそういうものに引き当てをする場合には、二重に政策的な恩恵というか助成をするように見受けられるわけです。それは手厚い保護でございますから、やられる人はそういうことのほうがもちろんいいにきまっていますがね。だけれども、その他のいわゆる振り合いもございますから、それはどうなのかということでお聞きしたわけであります。
  21. 野村一彦

    ○野村説明員 輸出船の場合も、解撤船と同じように、輸出をした人が必ずしも代替建造を申請しているとは限らない場合がございまして、自分は輸出をする、それからその輸出したのを引き当てとして他人に譲渡して、他人がそれを引き当てとして新船建造を申請しておるという場合がございまして、輸出すればそれだけ収益もあるではないかという御質問かと思いますけれども、その点につきましては、解撤船におきましても、自分の船を解撤する場合と他人の解撤船を買って手当てをする場合とございますので、特に解撤船と輸出船というものは取り扱いを別にいたしておりません。  それから御質問の金融の問題につきましては、いま私どもは閣議決定に基づきまして、今後の輸出金融について、中古船の輸出金融についての改善の努力はいろいろしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、いまはっきりした融資条件というものが確立をされておるわけではございません。
  22. 久保三郎

    久保委員 それは解撤新造をするものが別な場合はたくさんありますから、そういうふうにとられれば政策的には二重の助成ではない、こういうふうにおっしゃるけれども、その金は最後にはその船を持っていた人に参ります。だから結局二重の助成のようになろうかということであります。是非の判断はあとにします。だけれども、言いたいのは、これはそれほどまでしてやらなければならぬのかなという気持ちですよ。好況でしょう。景気がいいのでしょう。景気がいいものに対して、両方のほっぺたにさわるような助成の方法というのはいかがかというふうに、私はいま疑問を持っておる。決定的に申し上げはいたしませんけれども、そういうふうになる。  それから大体七千トン以上の水船を引き当てにしているそうだが、それはそのとおりですか。
  23. 野村一彦

    ○野村説明員 建造申し込みの船の中に約七千トン程度の沈没船が入っておりますことは、仰せのとおりであります。
  24. 久保三郎

    久保委員 それは何の効果があるのですか。
  25. 野村一彦

    ○野村説明員 この点につきましては私どもいろいろ検討をいたしたわけでございますが、今度の沈没船を引き当てにやりました場合に、考え方の基盤は、去る三十九年の十月十日に新しい内航業法ができまして、それに基づく登録の全面実施ということが三十九年の十月十日以降行なわれておるわけでございます。これにつきまして、いま問題にしております沈没船は、当時登録をされて、登録船であった船がその後沈没または滅失をしたわけでございます。ところが、そういう沈没船につきましても、従来は自己資金建造の場合にはその登録をしておった船であるということが確認されれば、それに対しては一対一で新船建造ということを認めてまいったわけでございますが、今度、先ほど先生がおっしゃいましたように、内航三カ年計画という抜本的な政策をやるにあたりまして、やはり法律の不備等から一部では登録漏れというような船もかなりあるということでございますので、一つはそれをつかんで十分実情を再調査して——登録漏れの船の中でも今後必要に応じてはあるいは追加登録しなければならないのではないかという船もございますが、他方登録実施後、滅失、沈没されて、それが確実に登録されておった船ということが確認されれば、それが他にすでに引き当てておられない限り、認めるということもやむを得ないのではないかという考えで、登録船についての沈船を引き当てにする。これは厳格に申しますれば、沈船が登録船である限り、これを引き揚げまして、そしてそれを焼却するとか、あるいは切断するとかいうことで、航行の用に供しないように人為的に物理的に処理することが筋道ではないかとも思いますけれども、すでに沈船等はそういう船としての用をなさないのが大部分でございますので、引き揚げて切断するとか、あるいは焼却するという手間を省きまして、登録船であるということが確認されれば、それを引き当て船として考えよう、こういう考えであります。
  26. 久保三郎

    久保委員 それは参事官、親切というものの過剰であります。私は法律その他のことはようわかりませんけれども、沈没した船、現に荷物を積んでおらない船、そういうものはあなたがおっしゃるとおりの内航の法律によって登録がされている船でありますならば、これは内航二法による再建の対象のしろものではない。内航二法による再建の対象にはならない。何の対象になるかというと、権利の継承だけだ。権利の継承は、申し出があれば一対一で建造を許すものであります。それだけの話であって、はっきり言って金を出すがごときは断じて許せない。現に荷物を積んでいる船の船室を改造する——沈没した船の船室改造なんてありません。代替建造というのじゃなくて、権利の継承によるところの建造をあなたのほうで申請させて許可すればいいのであって、それに対して内航二法の政策による助成は関係ありませんよ。そう思うのですがね。これはまさに牽強付会というか、どなたが親切を受けてもけっこうでありますが、あまりのサービス過剰は混乱を来たすと私は思うのです。しかも一ぱいや二はいじゃないようでありますね。この中には大きい船も入っているのですか。どんな船が水船になっておるか。
  27. 鈴木登

    ○鈴木説明員 一番大きな船で千トンという船がございます。
  28. 久保三郎

    久保委員 あとでその船会社と船の名前と沈没か滅失か——滅失もあるのですね。全然影も形もないものもあるでしまう。そんなものあなた助成の対象になりませんよ。あなたはどこかの大学の法科をやってきたのでしょう。そんなもの、あなたどこの法律に書いてある。どこの制度に一あるのですか。これはその人らには気の毒だと思いますよ。しかし筋道はきちっとしなくちゃ。滅失して影も形もないものを、登録書一枚持ってきて、これスクラップだ、銭くれ……。  係船の場合どうなるのですか。水船係船というのもあり得るのですか。
  29. 野村一彦

    ○野村説明員 沈没船の係船はございません。全部可能な船でございます。
  30. 久保三郎

    久保委員 それはあなたのほうのさっきの答弁からいってもおかしいのです。水船もやはり係船できるということになる。だから滅失した船も係船できるのです。許可証か何かぶら下げておけばいいの、だ。これはそういうことになりますよ。局長どうなんです。
  31. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 先生のふしぎに思われる点はごもっともだと思います。私もまだ新米でございますから、最初にその話を聞いたときに、私も先生と同じような印象を持ちました。それでいろいろと説明を受けました結果、水船はだめだ、引き当てには認めないということにいたしますと、わざわざ引き上げ費用をかけて引き上げてきてそれを解撤船だ、こうくるだろうと思うのです。そうしますと、さらにむだ金をわざわざかけさせて解撤船に持っていくということに、実際問題の話、結局なっていくだろう。そうすると、さらにばかげたことをやるようなことになります。それに従来も、代替建造の場合に水船を認めておるという実績がございます。今度の場合だけに沈没船を引き当てに認めないということになりますと、従来の方針を全く変えることにもなりますし、いままでの建造船主との均衡の問題もございます。兼ねて、それを認めない場合の弊害といいますか、そういうものも出てくるおそれがあるということで、これは根本的には先生のおっしゃいますような問題が引っかかってくると思いますが、従来のいきさつ等から考えまして、やむを得ないものであるというふうに私も考えるようになった次第でございます。
  32. 久保三郎

    久保委員 引き上げてきたっていいじゃないですか。それが船に見られなければ代替建造はやらせない。これは権利の継承、一対一でこちらのワクでつくりなさい、そう言えばいいのですよ。私はむずかしいことはないと思うのです。そんなもの何百そう、何千そうもあるわけじゃないでしょう。水船は案外いまでも水の中に沈んでいるかもしれない。そのままになっている。それでそのわきを、代替建造のりっぱな船がすっと通っていくかもわからない。考えてみると、これくらい奇妙な話はないですよ。漫画に出るような話ですよ。そこらのところに、私はやはり政策の混乱というものがあると思うのです。たてまえはよくわかりません。あなたのおっしゃるとおりかもわかりませんけれども、これはどこの国に行ったって権利の継承ですよ。そういうところにも問題があろうと思うのです。  ところで、係船はどうなっているのですか。さっきの説明ちょっとわからなかった。係船はこれからやる……。
  33. 野村一彦

    ○野村説明員 係船につきましては、昨年度でございますか、四十一年の三月十五日から係船の手続、公募等を内航総連合で開始をいたしまして、内航総連合の係船管理委員会で審査をしまして、すでにもう係船をいたしておりますが、予定といたしましては四十一隻、二万六千重量トンの船を係船するということを内航総連合としては一応きめております。さらに追加の申し出が出ればそれを審査して追加するということで、いま申し上げました二万六千トンの約六〇%程度はもうすでに係船をいたしております。
  34. 久保三郎

    久保委員 最終的には係船の量というか、そういうものは当初計画どおりいくような見込みですか。
  35. 野村一彦

    ○野村説明員 当初の計画でございますが、第一年度九万総トン、第二年度が五万総トンでございましたことは御案内のとおりでございますが、その後情勢が変わりましたために、四十二年度の予算編成の段階におきまして一年間五万重量トンやるということで変更いたしました。ですから、四十二年度の予算編成当時の計画といたしましては五万重量トンという計画でございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 いまのお話ではすでにやっているものもあるようでありますが、参考のために聞きたいんですが、どういう理由係船に出していますか。とっぴもない質問で恐縮ですが、市況は好転しているのにどういう理由係船しているんだろうか。
  37. 野村一彦

    ○野村説明員 係船理由につきましてはいろいろあると思いますが、係船に伴いまして、御案内のように係船融資というものを船舶整備公団から出すわけでございますが、その単価が一トン当たり大体千五百七十円平均ということになっております。それで船主のほうとしましては、それと自分の持っておる船の用船料というようなこと等を比較いたしまして、係船をするという判断に踏み切った者が大部分であろうと思います。
  38. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 ちょっと補足をいたしますが、輸送需要が引き締まっておることは事実でございます。これはやはり航路により、あるいは貨物によりまして全部が輸送需要が高まっておるということではないんじゃないかと思います。したがって航路により、あるいは貨物により、あるいは船そのものの性能にもよりまして荷主がつかないという場合もございます。したがいまして、市況が好転しておるから係船が出るはずがないじゃないか、ごもっともな疑問でございますけれども、いま申しましたように航路別、荷物別それから船の船齢とか性能の問題等から荷主がついていない、係船し得る船があるということじゃないかと思います。
  39. 久保三郎

    久保委員 もともと係船運輸省の指導によって業界を通して十四万総トン、これを当初は九万トンでありますか、そういうことでやってきたと思うし、またそうだろうと思う。その場合の指導なり、要請のしかたは、係船料がこれこれだ、君のところの船をひとつ何ばいか出さぬかというところに持っていっているんだろうと思うのですが、そうでしょう大体。実際は違うのですか。
  40. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 われわれが予期しておりました係船が出なかったことは事実でありまして、われわれとしても海運組合の幹部に、せっかくあなた方がやってくれと言ったことをやっているのだ、やはりもっと真剣になって係船可能なものを出してくださいということを、再三要請をいたしたことは事実であります。
  41. 久保三郎

    久保委員 われわれしろうとはこの制度説明された当初から、係船スクラップと大体同じように、特に係船の場合は暫定的に船腹過剰を押えていこうというのがねらいであったと思うのです。いまのお二人の説明をつなぎ合わせますと、そうではなくて係船したほうが赤字が少ないというか、もうかるとはあえて申し上げませんが、そのほうが企業者にとっては利益であるというような計算上出たものが入ってきておる。局長は、航路によっても船の構造によっても一般の市況とは関係なくだめなものがある、こういうことをおっしゃいましたが、それもせんじ詰めれば計算上このプールにきておる。係船というものはそういうものですか。これはむしろ海運組合そのものが独自の立場でやる係船です、そういう意味ならば。運輸省が出向いてやるというのは、海運市況全体の問題としてこれを取り上げてきたから、係船に対してはこういうふうにする、こういうことだと思うのですね。だから時代は変わってきたんですよ。その必要があるとかないとか言いません、係船にもいろいろな理由による係船がありますから。またそういうものが相互にいつも機動的に右から左にやれるようになれば、これは大したものであります。そうすることがまた一番望ましい姿かもしれません。ところがいまの制度の中で、そういう本来は海運組合等がやるべきものを政府の助成でやっていくことが、はたして内航を強めていく道かどうか、私は疑問があると思うのです。それからもう一つは、たいへんこだわって恐縮でありますが、内航再建の大きな柱は、船腹過剰を押えるのだということであります。局長は違うと言っておりますが、違ったらやめておけと私は言いたい。それから係船料についても、最初は千百六十円くらいのやつが、だんだん海運市況がよくなってきたので、さっき御答弁があったように千五百七十円というふうに上がってきた。これは海運組合からトン当たり三十円取るということになっておりますが、それはいまそのように考えておるのですか。
  42. 野村一彦

    ○野村説明員 当初三十円と考えておりましたのは九万総トン、引き続いて五万総トン係船を出した場合に、それに見合う納付金として三十円を考えておったわけでございます。しかし現在はトン数が減りましたので、それに見合うものとして、内航海運組合の調整規定は十三円以内ということで、現実に十円程度の金を納付金として徴収するという計算になります。
  43. 久保三郎

    久保委員 その納付金は確実に担保されておりますか。
  44. 野村一彦

    ○野村説明員 納付金につきましては、海運組合の連帯保証という制度によりまして、組合員が相互に連帯保証をし合うということで連帯保証書を提出をいたし、またそれとは別個に一定の手形を積み立てまして、それをもって返済を確実にするという方法をとっております。
  45. 久保三郎

    久保委員 局長、いずれにしても係船の性格も違ってきた。それでおそらく海運組合の中でも、違ってきた係船に対して銭を出すほうはちょっと渋るのではなかろうかという心配をしておるわけだ。いま野村参事官お話ではそういうことにはなっておるというが、実際はどうなのか聞きたいと思う。人の身上の、世帯の中身だからあまりせんさくはしたくない。だけれども、係船制度もこれはやはり当初の目的からはだいぶ違ってきている。しかしあなたが当初説明したように、船腹量についてあまり硬直した姿勢は久保さんうまくないんだよ、わかっちゃいないようだなあなたも、という話みたいにとれたんだが、それはそのとおり、多少のゆとりがなければ、なかなか業界の安定なんていうのはできないから、さっきも申し上げたように、業界の結束が固く、自主的に船腹の調整を特にこの係船でやっていけるというようなことになれば、もはや国の政策で世帯の中身まで洗う必要はないと思う。それが望ましい。だから、ここで当初の船腹過剰ということではないんだというふうになったらば、政策転換して、係船を将来に向かって新しい制度に置きかえるということも考えなければならないと思うんだな。それはどうですか。
  46. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 係船のやり方につきましては、私は、やはりこういう係船事業というようなことは、この海運組合の事業としては本質的な事業だと思います。ですから、こういう船腹調整のための係船というのは、操短でございますから、これは自主的にやられるのが一番いい。海運組合自体が自主的な判断によって、その刻々の情勢に応じて係船をやるのが、私は一番いい方法だと思っております。それで、いままでの海運組合はまだできて間もございません。なかなかこういうことにはなれておらないわけでありまして、それでこの呼び水と申しますか、将来こういうことが自主的にやれるように、まずこういう呼び水というような形で、政府がこういうような形で助成をしてやる、そういうことで一ぺん経験を積ます、そういうことで経験を積むことによって、今後自主的にやれるようになるのではないか、そしてまたそのように指導していきたい、かように存じております。
  47. 久保三郎

    久保委員 時間もないようでありますから、次に移りましょう。  いま中小の内航船主というか、そういう者が困るものは幾つか問題があると思う。しかしその中でも一番、今日ただいまでも困っているのは運賃の後払い制、輸送というのは、言うならば取っときのきかないもの、去年の輸送力をことし使うという器用なことは——器用というより、これはできませんね。輸送というのはその瞬間においてこれは消えてなくなるものです。それが運賃だけ後払いというのが日本の産業構造の一つになっている。おかではトラックも、中小零細というか、そういうものが後払いになっている。内航でも、一ばい船主を中心とする業者に対する運賃は、これは後払いになっている。これが実際は一番困っているわけです。だから、ダンピングの一つ条件にもなってくる。あるいは、無理な稼働の原因にもなってくるわけです。だから、幾つか対策は立てなければならぬが、むしろ一ばい船主にすれば、内航二法の推進よりは、目の前の運賃後払いをやめてもらって、運送したら直ちにもらう。国鉄というか、大きい陸の乗り物は全部前払い。着払い制度というのはほとんどない。内航やトラックは着払いどころか、荷物を完全に輸送しても、半年サイトでやっと払ってもらえるものなどがあるわけですね。長いのはもっと長くなるかもしれません、私はよく調べていませんが。そういうものに対してこの際有効適切な手段考えるべきだと思うのです。それは、あとから聞くけれども、いわゆる内航の集約と系列の問題にかかわってくる。それを解決しないで系列なりあるいは専属なりということで集約化されるならば、内航の八五%くらいを占める一ばい船主は、救われないままで内航のいわゆる組織の中に組み込まれていくわけだ。それであっては、八五%の犠牲の上に内航が形を変えるということでありまして、われわれはかかる方策というかやり方については反対であります。だから、運賃一つの問題も解決できないままいくんでは私はどうかと思うのだが、どうでしょう。
  48. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 全く私も先生のお考えに同感でございますが、この運賃後払い制というのは、これは内航だけじゃなしに、輸送関係に相当広く行なわれておる。ことに長年の商慣習と申しますか、そういう面もあるわけであります。こういうような長年の商慣習というものは、なかなか一ぺんに変えるということは非常にむずかしい点はございます。しかしこういう零細な企業でございますから、後払いというのは確かに企業にとっては負担であると思われます。それで、こういうものを漸次改善をしていくということについては、役所からいろいろ荷主なりあるいは輸送業者に強制をしにくい面もございますが、内航海運組合法による海運組合というものがございまして、こういうことについての荷主との交渉を団体でやっていろいろ取引条件をきめ得ることになっておりますので、そういう海運組合を中心にいたしまして荷主との間で漸次さような商慣習を変えていくという指導は今後行なっていきたい、かように存じております。この後払い制の実態、現状はどうなっておるかということをいま調査中でございまして、この調査結果がまとまりますれば、それに基づきまして何らかの具体策というものを考えていきたい、指導の方策を考えていきたい、かように存じています。
  49. 久保三郎

    久保委員 せっかく御調査をなさるそうでありますから、調査の結果を見なければいけませんが、私は、あの集約の一つ条件として、全国海運組合の中にもそういう関係のあるものがある、それから、海運組合同士の中にもそういうものがあると私は見ているのであります。でありますから、一ばい船主の一番多いといっては語弊があるが、それを対象にするような、全国海運組合連合会じゃなくて何かそういうものがありますが、そういうもの自体の団体交渉その他では残念ながらうまくいかないだろうと私は見ているのです。というのは、この内航二法を三十九年から改正しましたが、改正せぬでも、この組合法なり業法なりが的確に運営できるような組合ができれば、これは何も文句はないんです。非常にこれはりっぱな法律なんです。制度なんです。ところが、それがとうとうこの内航二法といわれるような方策まで出て今日にきた。そこに問題の本質がある。私はもちろんきょう言ったからあしたからということにはまいらぬと思うのです。しかし長い商慣習、これは商慣習でも何でもない。押えつけられた制度なんです。だからそういうものをはね返すような集約の方向をとらせると同時に、そういう商慣習だということで内航船主に押しつけるような運送取り扱い業者なりあるいは海運組合、そういうものがありますれば、一切の恩恵的な政策を遮断するというぐらいの制度をつくってほしいと思うのです。この調査は会期中ぐらいには間に合いますか。
  50. 鈴木登

    ○鈴木説明員 現在この海運業法の二十条に基づきまして取り扱い業者が二重、三重にまたがっておる関係はどういうふうになっておるか、実態調査をしております。それで現在、案をつくりまして各組合単位にその案に対する意見を聞きまして、その案に対して意見が出次第、それに基づいて調査報告書を出すということになっております。それでやはり二カ月くらいかかるんじゃないかと思っております。
  51. 久保三郎

    久保委員 それじゃそれはそれなりにおまとめいただいてやってけっこうだと思うのですが、私があなたらに要望したいのは、この会期中にサンプル抽出調査でもいいから、どういうものがどういう実態になっておるのか、そういう調査をしてわれわれのほうに連絡してもらいたい。それからできますならば、私が主張するような方法によって、この際内航の立て直しということなんだから、これを立て直すあなたのほうの方策というのを考えて御披露願いたいと私は思うのです。どうでしょう。
  52. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 調査がまとまれば報告いたしたいと思っております。
  53. 久保三郎

    久保委員 次に近海輸送の問題でありますが、いつかこの内航二法の当初の論議のときに、私から近海に逃げるというか、いまの方策だけでは近海のほうが今度はふくれ上がって船腹過剰ということになりはしないかと言ったならば、そのときはそういう心配はないというようなたしか御答弁があったと思うのであります。ところが最近聞きますところによりますれば、この政策に乗っかったのか乗っからぬのかわかりませんけれども、近海海運市況というのはかなり船腹過剰ぎみで、過当競争におちいっておる。そこで政府当局、海運局はそういう中型船の建造について去年まではよかったが、ことしに入ってからは許可しない。それで業界内部での調整をしてほしい、こういうことをいまになって出したそうでありますが、それはほんとうですか。
  54. 高林康一

    ○高林説明員 昨年ぐらいから近海船の建造意欲が非常に高まりまして、それにつきましては建造を調整するように、大体その関係につきましては輸送協議会という一種の国内団体がございますが、そういうようなところで十分調査するように指導しておる状況でございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 高林さん指導しておるのだろうが、それはどういう実態なんです。内部調整をしてくれという指導をしておるというが、何でいままでやってなかったのですか。ぼくが言ってからたしか一年たつ。そこに逃げ込むのは当然なんだよ。そこで近海が荒れてきた。それと同じことをまたやろうというのだ。まごまごすると出てきそうだ。だから海運局中心の運輸省政策というのは、非常に過剰サービスくらいに親切なんだな、業者には。カッコつきだよ。それでまた近海ものについておそらく内部調整なんかできっこないじゃないですか。だんだん今度は不況になってくる。それで何とか高林次長してくれませんか、こうくるんじゃないか。きてもいいですよ、困っておる人が政府に相談するのはあたりまえです。そのために政府があるからいいけれども、予見される政策がないと困ると思う。ただ内部調整だけでいけるのかどうか。現状をもう少し詳しく説明してください。
  56. 高林康一

    ○高林説明員 近海船の建造調整で、輸送協議会によります自主調整は、昨年からやっておるわけではなくて、ずっと前からやっておるわけでございます。ただ先生御指摘のように、いま内航の建造抑制というようなこと、一方また近海貨物は最近非常にふえております。そういう状況にかんがみまして、昨年大体内航に関するところの閣議決定をいたしました前後より、建造希望が非常に多くなっておることは事実でございます。それにつきまして具体的にやっておりますることは、建造申請が昨年四月以降大体百七隻現在までございます。それにつきましては建造を抑制させるために、そのうちの八隻を、今後荷物はだんだん伸びていきますので、伸びていく時期に合わせるように四十三年以降建造するように申して、着工の繰り延べをさしております。それで残る九十九隻のうちの六隻は一応とめておりまして、九十三隻の建造を現在認めておるという状況でございます。ただ御指摘のように、幸いにある程度荷物の伸びはございますけれども、全然これを放置いたしますと、やはり内航と同じように過剰船腹の問題が今後生じ得るかとも考えます。そういうような点につきましては、輸送協議会においてよく荷物状況及びそれの契約の関係、荷物が具体的にあるのかどうかというようなことをチェックいたしまして、それによりますところの建造許可をわれわれとして今後も進めていきたいというように考えております。
  57. 久保三郎

    久保委員 時間もだいぶ過ぎましたから、多少お尋ねすることが残っておるのでありますが、これを後日に譲って、きょうはこの程度にします。  ついては、残っておる質問を申し上げておきましょう。予約しておきます。必要なものがあれば資料をお出し願いたい。いわゆる標準運賃の設定、そういうものの中身というか、運用というか、そういうものをひとつ明らかにしてもらいたいと思う。それから内航のこれからの問題というか、集約の問題があります。集約については施行令か何かで一応の数量的なものは方針として出しておるようでありますが、実際行為としてどういう程度になるのか、あるいはその中で当初考えたような集約の姿でうまくいくのかどうかということです。そういうものを中心にして多少補足的にお尋ねをしたいと思っていますので、あらかじめ御答弁の用意をしておいてくだされば、今度はもっと能率的にできるかと思います。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 次会は来たる三十日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会