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1967-05-17 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十七日(水曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 福井  勇君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       長谷川 峻君    堀川 恭平君       水野  清君    山村新治郎君       小川 三男君    神門至馬夫君       野間千代三君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    山下 榮二君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省航空局長 澤  雄次君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         運輸省航空局技         術部長     松本  登君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   綾部健太郎君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)  篠原 武司君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月十六日  委員濱野清吾君辞任につき、その補欠として水  野清君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三二号)  海上保安に関する件  航空に関する件      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として日本鉄道建設公団総裁綾部健太郎君、副総裁篠原武司君の両君が出席されております。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間委員 建設公団の問題で総裁、副総裁の御出席をいただきましてありがとうございます。  この前運輸省のほうに大体概括的に伺ってありますし、きょう神門委員のほうから、なおやや詳細に質疑をされますので、私のほうではこの前の続きの問題として簡単に一、二点伺っておきたいと思います。  副総裁お願いをいたしますが、この前の運輸省の御回答ですと、全国的に工事線が六十二線、調査線が三線というふうに、だいぶ手広く工事が行なわれているというふうに拝見をするわけです。また、公団から出されました公団の概要というパンフレットによりますと、これでやや概括的に概観ができるのですが、同じく相当広範囲にわたって工事が進められているというふうに拝見をいたします。最近の新聞でごらんのように、都心部を中心にした通勤輸送の非常な込み方、これは車両の中、あるいはダイヤにおいても稠密ダイヤといわれるくらいに、しかも定員の三倍から四倍くらいの乗客が乗っているということで、通勤輸送が問題になっている。一方ローカル線のほうも、たしか去年でしたか、十一月ごろ、入高線あるいはその他の、ローカル線と申し上げては多少語弊がありますが、地方の線で、通勤途上において、あれは列車でありますから、デッキにぶら下がって通勤をしたために、電柱に触れて転落したという事件があったように記憶をしております。そういうふうに、通勤輸送という問題が、大都市周辺に限らず、地方にまで相当大きく波及をしている、こういう状況だろうと思うのです。そういうことからくれば、要すればそういう方面重点的な、これは国鉄自体線増の問題もあるでしょうが、この公団のほうにおける新線建設の問題も、地域格差是正であるとか、あるいは新産業都市の発展であるとか、そういうことも目標として掲げられておるわけですから、そういう方面に対する配慮なども必要ではないかというふうに考えられるのです。  そこで第一点は、運輸審議会建設審議会審議をされている多くの線から、この工事線あるいは調査線というふうにやってくるわけですが、それぞれそのときそのときの社会情勢経済情勢などを勘案をしながら、それを選別をしてやって、重点的にやるというようなことが公団として考えられるのかどうか、あるいは建設公団の性格からそういうふうにいくのかどうかということが一点なんです。これをひとつお願いします。
  4. 篠原武司

    篠原参考人 御答弁申し上げます。  ただいまお話のありました線区につきましてどういうのをやるのかということは、もちろんこれは運輸省からの御指示に従いましてわれわれのほうでやっておるわけでございまして、六十二線全部、これは運輸省の御指示によるものでございます。しかし、その中で通勤輸送の問題とか、あるいは地方格差是正に資するような線区の問題とか、いろいろございますが、通勤輸送その他の問題につきましては、国鉄からも強い要望がございまして、ぜひ第三次長期計画に合わしまして四十六年度末までに仕上げるようにという線区がございます。それは東京の外環状線と湖西線でございますが、これの金額は非常に大きうございまして、地方開発線区総額相当するくらいの金額を計上しております。したがって、これも非常に精力的に実施しておりますし、それから地方開発に資するような線区が非常に多いのでございますが、キロ当たり非常に安うございますので、金額としてはほとんど同じぐらいになるというふうに思っております。
  5. 野間千代三

    野間委員 重点的にやっていただきたいというのがぼくらのほうの趣旨なんで、もちろん運輸省のほうでもそういうことでやっていくんでしょうが、ただ問題は、いまお答えのように、たとえば武蔵野線などは、根岸あたりですとキロ当たり七億円以上かかるそうです。地方山間部へ行くと二億円ぐらいでできるのですが、そういうふうに建設工事費の単価からくるいろいろな問題もあるだろうと思います。それはそれとして、ぜひお答えのように、これは運輸省のほうにもお願いをしますが、せっかく相当の巨額をつぎ込んでいくわけですから、そのときの経済社会情勢に見合った、また将来の都市構造などの趨勢などに見合った重点的指定をして、公団趣旨に沿う建設を進めてもらいたいというふうに思います。これはひとつ運輸省のほうにもお願いをいたします。  それで、次に、たとえば四十六年度にはどの線とどの線というふうに予定をして、もちろん工事に着工し進められておると思いますが、全体的に見て予定は大体どうなんですか。予定どおりに進んでいるのですか。あるいはなかなか予定どおりに進捗しないという実態なんでしょうか。その辺は公団でないとよくわからぬのですが、副総裁から。
  6. 篠原武司

    篠原参考人 建設審議会で御答申いただいておりますのは、現在取り上げている線区に全部国鉄から引き継いだものでございますが、これをおおむね十年でやるようにということで十カ年計画を立てまして、昭和五十年度までに一応完成するという線に沿いまして、運輸省から御指示をいただいて仕事を進めております。その線に沿いますと、予算規模としましても、四十二年度は八百七十六億ぐらい必要なんでございますが、しかし、一応の案として、政府案として一応あれしております五百数十億というような線でいった場合には、十カ年計画を、あとで少し金額を増すという程度で済むのではないかということで、何とかやれるというふうに考えております。ただ、その線区を着工します順序につきましては、いまお話のありましたように、われわれとしましてもなるべく重点的に、資本効果をあげていくようにしたいというふうに考えております。
  7. 野間千代三

    野間委員 いまの副総裁の御答弁でございますが、この前の委員会で、予算の問題はだいぶ私も気にしているわけです。いまの十カ年計画でまいりますと、四十二年度建設工事費だけで七百五十九億必要である。これを基点にして昭和五十年度までの九千七百二億を策定をしているわけですね。これが初年度こういうふうに七百五十九億が五百二十五億に変わっているわけです。これは鉄監局長から初年度確かに少ないが、あとぼつぼつふやしていくというような御答弁だったのですが、予定どおり十カ年でこの新線建設計画を進めていくのには、まず初年度から資金計画などがある程度、基礎的な問題ですから相当重点的に組まれていないと、私は心配じゃないかという心配から御質問したのです。  そこで、きょうせっかく大臣が見えておりますので、大橋大臣、この前の委員会では鉄監局長から私のそうした問題に対して、十カ年だから、十年あるからそこでぼつぼつ——ぼつぼつというと語弊がありますが、ふやしてまいりますという御答弁だったのです。いまの副総裁答弁もやはりそういうお考えのようですが、運輸省として四十二年度約二百数十億削られているわけです。これは債務負担行為など入れてあるようですが、それは翌年削られるわけですから、結局同じです。そういう関係からくると、運輸省として、鉄道建設公団がすでにでき上がって工事を進めている実態ですから、この十カ年計画の新線建造のほうの計画お金のほうの長期的な計画、それはきちっと合っていかなければならぬわけです。十カ年計画の新造のほうのものはでき上がっておってお金のほうは足りないということでは、これは合わぬと思いますが、これは運輸省としてどういうふうに考えておられるのか。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御指摘の十カ年計画といたしましては、四十一年度から五十年度までに、いま御指摘のありました線を完成する、こういう計画で一応年度別の計算ができております。これはもちろん毎年の予算編成の指針となるものでございますが、私どもとしましては、何とかこれを閣議決定を経ました、大蔵省に対しても力のある計画にいたしたい、こう存じているわけでございますが、ただいまのところでは、一応閣議に報告いたしました程度で、まだ、これを年度別の点について、あるいは総額ワクについて閣議決定するという段階にいっておらないことはまことに遺憾に存じておる次第でございます。したがいまして、毎年度大蔵省とその年度予算総額を一々折衝しなければならないという状況でございまして、その点でいろいろ予算編成上、当省といたしましては苦心もしなければならぬわけでございますが、御承知のように、年々財政規模も大きくなるものでございますし、そのところを勘案いたしまして、大蔵省といたしましては、さしあたり本年度においては予算外国庫負担契約というものを認めて、今後国家財政の余裕を待ちながら、逐次この計画実現に資するようにしようではないか、こういう話で今年度予算編成されたわけでございます。しかし今年度予算といたしましては、この年度割り金額には達してはおりませんが、しかし御承知のように、昨年の三百七十五億という工事費に比較いたしまして、一躍五百二十五億という線が認められたわけでございまして、今後とも努力いたしまして、先ほど副総裁から述べられましたごとく、何とか十カ年間に既定の計画を完遂するように、今後とも努力をいたしたいと存じます。
  9. 野間千代三

    野間委員 あとでまた大臣お願いします。  それで副総裁、この金額の問題がいま大臣の言われるように——これはあと大臣お答え願いたいことは閣議決定の問題なんですが、重要な国策としての問題ですから、これはやはり計画を立てた場合には閣議決定をして、内閣で取り組んでいくというふうにしてもらいたいのです。  それから問題は、そういうふうに工事計画あるいは予算がふえていけば問題ないのですけれども、それと同時に、建設公団がいまだいぶ手広く支社をつくり、配置しているわけですね。そういう問題で、工事上の要員の問題はどうなんですか。十分とはいえないのでしょうが、実態としていまその責任の衝におられる副総裁として、要員の問題はどういう状況になっておりますか。
  10. 篠原武司

    篠原参考人 ただいま御指摘のように、要員の問題が工事遂行上非常に大きな問題でございまして、毎年工事費が伸びてまいるにつれまして、要員を大幅に獲得しなければならぬという立場でございますが、何ぶんにも国鉄も非常に忙しゅうございますし、譲っていただくというわけにもなかなか簡単にまいりませんので、何とか新規に集めましたり、あらゆる手を使って集めたいというふうに考えておりますが、この点につきましては運輸省お願いしまして、今後ともひとつ御指導いただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 野間千代三

    野間委員 実は、時間があれば要員の問題の具体的な実情などについてやや具体的に——実は私どもで調べた内容もあって、これは私がいつも言います、重点的に進めていただくという観点からいっても、多少問題があるというふうに考えられる点があるのであります。これはまた国鉄との関連の問題などもあって、別の機会にいたしますが、きょうはとりあえず、これは大臣のほうから、十カ年計画予算の問題ですね。これは大臣お答えのように、毎年、毎年努力をされておったのでは、なかなか十カ年計画予算というのは、そうスムーズにはいかないと思うのです。したがって、この初年度あるいは一、二年度というふうに重要な段階にあるときに、計画全体を閣議できめていただいて、権威のあるものにして大蔵省とも折衝していただくというふうにしてもらうことが必要ではないかということが一つ。  それからもう一つは、いまの要員の問題で、これはもう少し詳しく私のほうから申し上げたいのですが、あとがつかえていますので、これは公団のほうからもよく実情を聴取していただいて、要員配置についてめんどうを見るといいますか、考える必要がありはしないかという問題がありますから、この二点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 野間先生から御質問になりました第一点、すなわち鉄道新線建設長期計画の総ワクあるいは年度割り等について、閣議決定をすみやかにすべきではないかという点でございますが、この点につきましては、ただいま当省といたしましても努力中でございまして、その状況政府委員から申し上げさせていただきます。  それから第二点、要員の問題でございまするが、昨年度に比べまして、今年度相当工事量増加をいたします。これに伴う要員増加が当然要請されておるのでございまして、この点につきましては、公団要請に基づきまして、ただいま大蔵省のその筋と折衝中でございます。
  13. 増川遼三

    増川政府委員 十カ年の長期計画に関しましては、本年度すなわち四十二年度予算計画が、当初われわれの考えておりましたものからやや削られたわけでございます。したがいまして、今後の年次割りというものにつきまして、鉄道建設公団の幹部のほうとも打ち合わせまして、現在再検討作業中でございますので、これができ次第、先ほどもおっしゃいました閣議決定の線までわれわれとしては持ち上げたい、こういうふうに考える次第でございます。
  14. 野間千代三

    野間委員 いまの御答弁の中で、再検討ということばがあったのですが、これはこの前提出をされた鉄道新線建設長期計画年度割りというようなものがありますね。この内容のことなんでしょうか、ちょっとそれだけ……。
  15. 増川遼三

    増川政府委員 十カ年の年次割りのものを現在再編成をしなければならぬということで、作業を進めておるわけでございます。
  16. 野間千代三

    野間委員 それで実情は大体わかりました。時間がないので、ちょっと総裁にお聞きをして終わりたいのですが、いまの内容を再検討というのは十カ年計画のことなんですか。この総ワクは九千七百二億ですね。その九千七百二億という総額は変わらぬのか、それを年度別に割るときに変わってくるのかということが一つ。  それから、もし九千七百二億というものが変わるとすれば、それはどういう内容で変わってくるのかということが一つ。  それからもう一つは、要員要請をしてきているというように大臣お答えになって、運輸省折衝中であるということだからいいのですが、総員としてどのくらい要請をしておられるのか。この二点について総裁からひとつ伺いたい。
  17. 綾部健太郎

    綾部参考人 十カ年計画総額は変わりません。その年度割りは、鉄道敷設法にもあるとおり、国の財政に応じてこれこれの検討をやるというふうに書いてあるのですから、その年度割りその他についていま検討中です。  要員につきましては、今年度は前年度より工事量がふえていますから、当然相当の人員がふえて、それでいま何人どうするかということを盛んに検討して、新規採用その他を決定していきたいと思っております。
  18. 野間千代三

    野間委員 それではその工事費のほうはそういうことで大臣、先ほどの御答弁のようにお考えをいただきたい。  それから要員の問題はまだ正確でないようですから、これはひとつ早急に公団のほうで、これはただ単に、よく役所のほうでは総花的に出されるのですが、そうではなくて、新線建設の必要な重点を指向して、かつ、いろいろな職種がありますけれども、その重点を指向した要求をされて、それを運輸省で十分取り上げていただくようにしてもらいたいと思います。それだけひとつ大臣からお答えいただきたい。
  19. 大橋武夫

    大橋国務大臣 十分に了承いたしました。努力をいたします。
  20. 野間千代三

    野間委員 終わります。
  21. 内藤隆

  22. 神門至馬夫

    神門委員 鉄道新線建設に関する質問を、運輸省当局並びに建設公団のほうにしたいと思います。すでに建設公団が設置される段階で議論されたことと重複するかもわかりませんが、その経過がわかりませんので、その点をひとつお許し願いたいと思います。  最初に、建設公団が設置されて以来、公団建設をしました鉄道新線は何線あるのか、また現在鉄道公団工事中のもの、着手しているものは何ぼか、そして工事線調査線仕分けをしてひとつお答えを願いたいと思います。
  23. 大橋武夫

    大橋国務大臣 昭和三十九年の三月に日本鉄道建設公団を設立いたしまして以来、経済基盤の強化と地域格差是正に役に立ちまする鉄道新線建設というものを促進いたしてまいりましたが、公団設立以来今日まですでに十線の建設が完了いたし、いずれも現在国鉄におきまして営業を行なっておる状況でございます。また、現在建設中の新線は、工事線が五十九線工事中でございます。そのほかに、海峡線の調査中の線が三線と相なっております。昭和四十二年度公団予算は五百二十五億円と予定し、これに債務負担行為限度額二百二十五億円を加え、総事業規模は七百五十億円といたしまして、これらの新線建設をさらに推進いたしてまいりたい考えであります。なお昨年の十二月、鉄道建設審議会から、新線建設十カ年計画を樹立し、これに要する資金の確保について所要の措置を講ずべきであるという建議をいただいておりまするので、目下この長期計画策定につきまして慎重に検討中でございます。
  24. 神門至馬夫

    神門委員 鉄道敷設法別表予定線中に、まだ建設が終わってないもの、あるいは現在認可されてないものがあると思うのです。それは現在どれだけのものが残されておるのか、それはいまの十カ年計画との関連がどういうふうになるのかをお知らせ願いたいと思います。  それからこの鉄道敷設法別表予定線建設については、運輸大臣のほうでその建設実現努力をする任務が、あるいは義務があるのかどうなのか、この敷設法別表との関連についてひとつお教えを願いたいと思います。
  25. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この法律の説明に相なりまするので、恐縮でございますが、政府委員から御説明いたします。
  26. 増川遼三

    増川政府委員 鉄道敷設法に基づきます。その別表に掲げてあります予定線は全部で三百三線ございまして、これに対しまして何らかの措置がとられておりますものを除きますと、現在まだ全然手をつけておりませんもの、全線未措置のものが七十七線、部分的に未措置のものが五十三線ございまして、合わせまして百三十線がまだ何らの措置もとっていないというものでございます。この別表予定線に上がっておりますものは、これは法律で必ずこれを建設をやるということに確定しておるものでございますけれども、当初この別表にのぼりました当時の情勢と現在における情勢というものが相当変わってもおりますので、この中にはすでに他の線の建設によりましてあまり意味のなくなっておるものも中にはあるかと存ずるわけでございまして、したがいまして、これからさらに鉄道建設審議会にもおはかりいたしまして、残っておりますものをいかに取り扱うべきかということにつきまして新たに御意見をちょうだいした上で、別表予定線の残ったものについての態度をわれわれはきめたいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 神門至馬夫

    神門委員 次の質問ですが、先ほど公団のこれまで建設した鉄道新線についての報告をいただきましたが、この建設新線の取り扱いについて、公団法第二十三条の一項によりますと、有償貸し付けまたは譲渡する、あるいは無償貸し付けるという、原則ただし書きがございます。その二十三条一項を適用されて、現在までの建設新線有償無償貸与譲渡、こういうものはどういうふうになされたのか。あるいはその有償無償あるいは貸与譲渡、こういうような区分というものは、どういうふうな基準なり判断に基づいて行なわれるものか、このことについてお知らせ願いたいと思います。
  28. 増川遼三

    増川政府委員 無償貸し付けとなりますものは、建設をしまして国鉄がこれを運営するという際に、当然赤字ということが予想されるものを対象としておるのでございます。有償貸し付けば、大体何とか運営だけはとんとんにいけるだろう、あるいは黒字が予想される、こういうものが有償貸し付け対象となっておるのでございます。公団建設いたしました鉄道施設というものは、有償貸し付けまたは譲渡するということが原則となっておりますけれども日本鉄道建設公団法第二十三条一項ただし書きの規定によりまして、「運輸大臣後進地域その他特定の地域開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償貸し付ける」、こういうふうに規定されているわけでございます。
  29. 神門至馬夫

    神門委員 その数は何ぼですか、どういうふうになっておるのですか。
  30. 増川遼三

    増川政府委員 現在持っております工事線五十九線のうち、有償貸し付け予定になっておりますのが十三線でございます。あと残りの四十六線が無償貸し付け見込みでございます。なお、調査線三線につきましては、現在いずれになるか、まだ決定いたしておりません。
  31. 神門至馬夫

    神門委員 この場合、建設認可の当初から、建設を始める前にすでに、この新線については将来有償貸与あるいは無償貸与をするというようなある程度の見通しをつけて工事を行なわなければ、矛盾が出るのじゃないかというふうにも考えるのですが、その点と、もしそうであるとするならば、現在建設中の新線有償見込み無償見込み、そういうようなものはどういうふうになっておるのかお答え願いたいと思います。
  32. 増川遼三

    増川政府委員 ただいまの点につきましては、従来からの経験にかんがみまして、国鉄自体とも十分打ち合わせをいたしまして検討を重ねまして、建設費は別にいたしまして、開業後の運営自体がどういうふうになり得るかということにつきまして大体の見当をつけまして、これによって仕分けをしておるわけでございます。
  33. 神門至馬夫

    神門委員 それは建設が終わってから、経営責任企業責任を持つ日本国有鉄道打ち合わせをする、こういうことなんですか。
  34. 増川遼三

    増川政府委員 運輸大臣のほうから、工事線として指定をいたします際に、その点はもうすでに考慮をしまして無償線区予定額有償線区予定額という見込みを立てた上で指定をやっております。
  35. 神門至馬夫

    神門委員 そうしますと、鉄道建設許可段階と、それから建設が完了して貸与譲渡を行なうという場合に、この企業責任なり経営責任を持ちます国有鉄道の意思が反映をするのはどういう機関において反映をすることになるのですか、あるいは単に運輸省の行政責任として日本国有鉄道打ち合わせをされるのですか。
  36. 増川遼三

    増川政府委員 実際指定をいたします際に、運営に当たります国鉄自体と協議を重ねた上で結論を得ていたしております。
  37. 神門至馬夫

    神門委員 この公団法第一条を見ますと、鉄道網を完成することによって経済基盤を強化すること、地域格差是正に寄与すること、こういう二つの目的というものが明確にしてあるのですが、これはもちろん経済基盤の強化と地域格差是正という二つの目標、課題は分離して考えられないとも思いますが、あるいはある意味においてはこれが完全に一致しない場合もあろうと思うのです。そういうときに、この両者のウエートというものは同列なものだというふうに考え鉄道新線の認可なりをなされているのかどうなのか、この辺をちょっとお教えを願いたいと思います。
  38. 増川遼三

    増川政府委員 その点は、仰せのごとく同列に考えてやっておると思います。
  39. 神門至馬夫

    神門委員 そうすると、同列に考えられたこの二つの事項というものは、企業性を追求する日本国有鉄道が直轄して工事を行なうことは、どうしても公共性を見失う弊害が出てくる、こういうことが公団が設置された一つの理由でもあろうと思うのです。そうしますと、公団が行なう工事は、設置の目的と合わせて、鉄道新線は主として公共性というものを最重点視して許可される、建設されるというふうに解釈をしてもよろしいか、お答え願いたい。
  40. 増川遼三

    増川政府委員 仰せのごとく、地域格差是正のための新線建設というものは、国の高度な公共的見地から行なうものでございまして、国鉄の採算性というだけの観点からこれを推進するというものではございませんことは御承知のとおりでございますが、国鉄財政の健全化をはかる必要のあることもまた当然でございますので、新線建設にあたりましては、これに必要な財源として、国家財政の許す範囲内においてできる限りの政府出資というものを充当いたしまして、完成後は公団から国鉄に対して無償貸し付けるというようなことをしておるわけでございます。また有償貸し付ける路線につきましては、政府が利子の一部を公団に補給するというような措置もやっておりまして、国鉄に対します貸し付け料の軽減をはかる等の措置をとりまして、新線建設に伴うところの国鉄財政の負担とならないようできるだけの配慮も行なっているわけでございます。今後もこのような方針のもとに新線建設を進めたいと考えております。
  41. 神門至馬夫

    神門委員 その目的の一つである地域格差是正ということは、ただ単純に一面だけを見てはもちろんわからないと思いますが、特に私の出身地である島根県のことを見てみますと、昭和三十五年、四十年の国勢調査を見ましても人口減少が日本一というふうに、大きな人口流出が続いておる。これは地域格差の一面を物語っておると思うのです。いまの格差是正という目的は、そういうふうに大きな人口流出、経済格差の拡大、所得格差の拡大、こういう落差をどんどん深めていくような地域には優先的にそういう新線を公共的観点から設置をして是正をはかるんだ、たとえば具体的に言えばこういうような目的を持っているというふうに考えていいのかどうなのか、お答え願いたいと思います。
  42. 大橋武夫

    大橋国務大臣 地域格差是正ということは、先ほど来政府委員の申し上げましたごとく、新線建設におきまして最も考えなければならぬ大切な点でございますので、仰せのごとく、今日地域格差に悩んでおります地方の新線建設につきましても、経済基盤強化のための新線建設と相並んで、これを急速に推進してまいりたいと存じます。
  43. 神門至馬夫

    神門委員 大臣の御趣旨は非常に同感であり、よくわかりました。そういうようなお考えのもとに現在島根県では三江線、今福線、岩日北線という三線が工事線にすでに指定をされておるわけですが、そのような地域格差是正の目的を持ったこれらの線は、どういうような進捗状態にあるのか、たとえば完工期日の問題なり、この三線の進捗状態等についてひとつ御説明願いたいと思います。
  44. 篠原武司

    篠原参考人 今福線から御説明申し上げます。  今福線は浜田−戸河内間六十五キロございますが、そのうち戦前から路盤の完成しております下郷−今福問十六キロの区間につきまして国鉄工事実施計画の協議中でございまして、今年度路盤工事に着工してまいりたいというふうに考えております。  それから三江線につきましては、浜原−口羽間二十六キロにつきまして、昭和四十年の十二月一日に工事実施計画の認可を受けまして、ただいまこの区間の最長のトンネル、二キロ七百四十メートルございますが、これを含む二つの工区に着手しております。  それから岩日北線でございますが、錦町−日原間五十キロのうち、錦町−六日市町間十六キロ八百メートルにつきまして国鉄工事実施計画書の協議中でございまして、本年度もちろん路盤工事に着工する予定にしております。順次こういうものをこの長期計画の中に予定しておりまして、予算のつき次第なるべく早くまとめたいというふうに考ええております。
  45. 神門至馬夫

    神門委員 先ほど野間委員質問答弁の中にもあったのですが、コスト高になって完工予定がおくれたりしないように十分予算措置を行なう、こういうようなことがありましたが、四十年度の総予算が各工事線別にどのように配分されたか。これはもうきまっておるかどうか。配分されていたとするならば、たとえばいまの三線についてはどうか、お知らせ願いたい。
  46. 篠原武司

    篠原参考人 目下計画中でございましてまだきまっておりませんので、今後運輸省お願いしまして予算を決定いたしたいと思います。
  47. 神門至馬夫

    神門委員 先ほどの地域格差是正という課題からしていまの三線が許可されたわけですが、他にも敷設法の予定線の中に相当部分がまだ残っております。他のことはよくわかりませんが、その予定線建設見込み、許可見込みというものが現在考えられるのかどうか、こういう点をひとつお答え願いたい。
  48. 増川遼三

    増川政府委員 まだ調査線あるいは工事線に格づけされておりません、予定線のままで残っておりますものにつきましては、今後の検討に待ち、新たに鉄道建設審議会におはかりいたしまして措置をさしていただくということになっておるわけでございます。
  49. 神門至馬夫

    神門委員 最後に要望しておきたいと思いますが、この公団設置の目的である地域格差是正、この点は私たち非常に身をもって感じておる点です。ですから、現在許可された新線建設を期日をおくらさないように進めていただくとともに、そういうような後進地域全体の格差を是正するためにも、あるいは予定線等の建設認可運輸大臣のほうで積極的に進めてもらう、こういうふうに御努力願いたいと思います。これで終わります。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま神門委員から御要望のありました点は、十分了承いたしました。御指摘の三線を含みます新規の各路線につきましては、今後ともすみやかに進行いたしますよう最善の努力をいたしたいと存じます。
  51. 内藤隆

    内藤委員長 本案に対する質疑はほかにございませんか。——ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  52. 内藤隆

    内藤委員長 これより討論に入ります。  別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  53. 内藤隆

    内藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認め、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  55. 内藤隆

    内藤委員長 次に、海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。河村勝君。
  56. 河村勝

    ○河村委員 先週の本案委員会におきまして、現在京浜運河につくられようとしておりますLPGのバースに関して御質問いたしました。きわめて狭隘な水路でございます。大体二百五十メートルか三百メートル幅の京浜運河の水路でございます。しかも船舶がきわめてふくそうしております運河で、そこに三万トンのLPGタンカーが発着、荷役するものでございまして、万一接触事故等が起こった場合には、たいへんな災害が起こるわけでございます。それで運輸省当局のこれに対する方針をお尋ねしたのでございますけれども責任のある御答弁を得ることができませんでした。そこで、きょうは運輸大臣に御出席を願いまして、ぜひとも明確な御答弁をいただきたい、そう考えておるわけでございますが、その前に、私が先週御質問してからあとに大きな条件の変更がございました。その点をまず明らかにしてから、その上で大臣の御答弁を伺いたいと思います。  それは、私がこの前御質問申し上げたのは先週の十二日でございますが、その日付で本件LPGバースの工事着手許可が、海上保安庁の下部機構である京浜港長の名前によって行なわれております。私は運輸省当局も、この問題の処理につきまして、ほんとうに真剣に考えて私の質問に答えていただいているものというふうに確信をして討論をしてきたのでございますが、はなはだ心外な事実が起こっております。こういう処置がどうしてなされたのか、その間の事情についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  57. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 経過について御説明申し上げます。  京浜運河のこの地区にLPGの基地をつくりたいということは、昨年の七月ごろ口頭で京浜港長のもとにごく概略な要望がございました。具体的にどういうことをするかということはその当時まだわかっていなかったわけでございますし、かつまたLPGのタンクをつくるについてのそれぞれ諸官庁への許可申請の手続等も、その当時はやっていなかった。ただ概括的な話だけがあったという状況でございますが、その後LPGのタンク、高圧ガス取締法による許可等の手続もだんだん進んでまいるに従いまして、具体的な話が港長の手元に参っております。京浜港長としては、これは当然LPG船の入港、荷役の問題に入ってまいりますので、事柄が相当重大であるということで、実は横浜の管区本部を通じて本省の指示を求めてまいったのが、昨年の十一月でございました。その後三管本部並びに海上保安庁におきまして各般の点を検討してまいっており、かつまた本省とも打ち合わせをしておりましたが、その間に本年の三月、従来のLPGのタンクをつくる予定地区の護岸の補強工事をいたしたいという申請が、三月に港長に出てまいりました。従来この桟橋並びに護岸は重油の集積所でございまして、現在も重油の集積所で、月に一、二隻程度の大型の重油タンカーが着岸、荷役を行なっておりまして、この護岸は昭和二十八年ごろできたもので相当古くなっておるので、その補強工事については港長は許可をいたしました。その後本年の五月の初旬に、護岸工事に引き続き、着岸用のドルフィン並びに桟橋の改修工事の申請書が提出されたのでございます。これが五月の十日付で許可になりました。ただいま先生の御指摘のように、当委員会において論議が行なわれておる時期と、たまたま一致しておったわけでございます。私どもは、実はこの時点において、港長が許可を出しておったという事実を、先般の委員会のときにはまだ承知しておりませんで、委員会終了後本省に帰りましてからその事情を聞いたわけでございます。港長といたしましては、入港、あの京浜運河というところへ入ってくること、並びにあの地点で荷役を行なうことが問題であって、工事許可そのものが、これも当然入港、荷役の前提と考えられますけれども、従来とも三万トン程度の重油タンカーの着岸施設として使用されており、今後も使用されるということでございますし、ドルフィン、桟橋もすでに相当老朽化しておるということでございますので、その工事そのものについては、交通のじゃまにならないように、所定の条件をつけまして許可したわけでございます。もちろん港長といたしましては、その際、このドルフィンあるいは桟橋の改造工事は、決してLPG船の入港並びに荷役を将来にわたって許可するという前提を含むものではないという注意を、口頭で相手方にいたしたそうでございます。そういう次第でございまして、港長の職務の範囲内としては、私どもはやむを得なかったという判断をいたしておる次第でございます。  以上が、簡単な経緯でございます。
  58. 河村勝

    ○河村委員 護岸の補強工事ぐらいならばともかく、ドルフィンあるいは桟橋の工事許可になりますと、もうこれは本件の中心課題に触れてくるわけですね。それで通常の場合でありましたならば、港長の判断というものは、海上交通の安全という立場で工事を許可するかどうか、とりあえずの工事そのものが安全かどうかというだけのことでよろしかろうと思うのでありますけれども、この問題についてはもうすでに、運輸省全体としてお取り上げになっている問題であるはずであります。そういう意味で、京浜港長の立場は別にいたしまして、少なくともこういった工事着手は予想されるわけであります。ですから運輸省として何らかの指示をあらかじめ京浜港長にされてなければならないはずだと私は考えるのでありますけれども、その点はいかがでございますか。
  59. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいま申し上げましたように、港長のほうから、事重大であるから本省側の指示を得たいということでございまして、私どもは当然港長の権限としては、具体的な入出港あるいは停泊、荷役、そういう具体的な事案、それから工事の具体的な許可ということに限られておる問題でごまいますので、包括的に全体としてのLPG船の京浜運河への入港、荷役ということに重点を置いて検討しておって、仰せのとおり、ドルフィンの工事等はその中に含まるべきであるという御説には、私も特に異議は申しませんけれども、港長のほうは荷役及び入港という点に非常に重点を置いて問題を考えて、工事のことは本省の指示を待たずに判断できるというふうなことでありました。この点は、私ども指示が十分港長に徹底していなかったということについては、私どもも遺憾に思っております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、最も問題である入港、停泊、荷役という問題につきましては、本省の指示を待って港長は措置するということは、港長自身も十分承知しております。工事許可まですべて本省の指示がなければしてはならないというふうに港長は解していなかったという点は、中央の、特に私の港長に対する指示があるいは明確を欠いたのではないかという点で反省をいたしておる次第でございます。
  60. 河村勝

    ○河村委員 もうこれは既成事実でありますから、それをいまどうこうせよといってもしかたのないことでありますけれども、そこで問題になるのは、この工事着手の許可というものがどういう性格のものかということが問題になるわけです。これは港長が許可したことによって——港長は今後の問題の前提ではないというつけたりを、書いたのか言ったのか、それは知りませんが、それは言ったかもしれませんが、運輸省として、これが許可をされたことによってバース全体を、今後出入港を含めて、そういうことについて、一体行政責任がそれでもって確定されるものと考えているのか、その点はいかがですか。
  61. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 先ほど申し上げましたように、この場所は現在も重油の集積所として大部分がそれに使われておるわけでございます。月に一ないし二隻の大型船、その他小型船はもっとたくさん月に数十隻のものがこれを利用しております。この桟橋自体の改修でございまして、これは二十八につくったものでございまして、港長も現場を見て、すでに相当老朽化しておる、タンカー自体も、今後も、いま言ったように相当数の利用がある、この岸壁並びにドルフィンは一番使用頻度の高いのは、現在までの使用はもう重油タンカーに限られておりまして、そういう意味で重油のための工事としても改修工事は必要であるという判断に港長は立っておったわけでございます。それが同時に、将来LPGに使われるかもしれないということは、もちろん考えの中に全然なかったわけじゃございません。この桟橋自体は、従来重油に使われ、将来とも重油に大部分使われるというところに、港長としては工事許可をいたさざるを得なかったというふうに、私どもは港長から直接聞いておる次第でございます。
  62. 河村勝

    ○河村委員 私が伺っているのは、その京浜港長の判断ではなしに、海上保安庁長官あるいは運輸省としての行政責任をどうお考えになるか、それを伺っているわけです。
  63. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま御指摘のバースの修理ということは、それ自体接岸時の利用のために必要欠くべからざるものと認め、これを許した次第でございます。その利用につきましては、従来から許可されておる利用それ自体のために必要だ、こういう判断でございまして、今後の利用につきましては、また運輸省としては独自の判断によりまして処置してまいる自由を保留しておる、こういうふうに考えております。
  64. 河村勝

    ○河村委員 そこで運輸大臣にお尋ねをしたいのでございますけれども、とかくこういう種類の問題は、本件に限らず、一般的に非常に各省の責任が分散をされております。このLPGの問題にいたしましても、一応こういう高圧ガスの取り締まりについては通産省であり、その委任権限は一応県にあるのでしょうが、そのほか消防の問題はまた自治省から地方自治団体、それに港のほうは運輸省というふうにばらばらになっておりまして、安全の問題についてもそれぞれ部分的な判断でやっております。陸上の基地の問題については、消防の場合はどうだ、タンクからタンクローリーに移す場合の危険の防護はどうだというふうに、部分的な判断ばかりがやられておって、それで、全体的な責任を持たない人間が判断をして、ずっと既成事実がつくられてしまうわけですね。それで、あるところまでいってしまいますと、みんな自分の持ち場だけが何とか過ごされればそれでよろしいというような無責任状態になってしまって、ほんとうに全体として、こういうものをつくることが、産業立地的にあるいは公害を考えて、いいのか悪いのかという判断をするところがないわけですね。それで何となしにでき上がってしまって、だれも最終的に責任を負うものがない。結局それでもって万一事故が起こった場合には—この場合もし何らか事故が起これば、爆発というようなことが起これば、おそらく川崎市の中枢部の半分ぐらいは吹っ飛んでしまうというような大きなスケールのものだと思いますけれども、結局最後に迷惑をこうむるのは国民だけであって、そこに何ら総括的な責任を負うものがない。これは非常な欠陥だと思うのです。そういう意味で、運輸大臣は、運輸大臣であられると同時に国務大臣であるわけでありますから、そういう意味も含めまして、この問題を一体今後どう処理し、どう結論を出されるつもりなのか、それについての明確な御答弁お願いしたいと思います。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 臨海地帯におきまする石油工業の工場の新増設ということに相なりますと、御指摘のとおり、海上航行の安全及び港湾内の安全の確保という観点が非常に大きく影響をいたしてまいることは、申すまでもございません。従来は、こういった点におきまして、各省庁に権限が分属いたしておりまする関係上、総合的な観点からこの工場の新設等を問題に取り上げていくという点で欠くるところがありましたことは、お説のとおりでございまして、それがために、今日になりますと、種々危険を覚悟しなければならないというようなものもあらわれてまいっておると思うのでございます。今後におきましては、こういった点のないように、工業立地全体につきまして、政府の各省庁として、事前に十分な調整を行なって、御心配のような事態を事前に必ず防止するという措置が必要であろうと考えております。
  66. 河村勝

    ○河村委員 大臣の将来の抱負であるか、あるいは構想であるか、その点についてはよくわかりましたけれども、具体的に本件ですね、これは実際いまある程度既成事実ができつつあるわけですね。この問題を一体具体的にどうされるのか、その辺のことを伺いたい。
  67. 大橋武夫

    大橋国務大臣 京浜運河に接した地域におきまする共同石油株式会社の工場の、大型と申しますか、三万トン級のLPG船の入港及び荷役の問題につきましては、先般河村委員より御懇篤な御質問がございました。この問題はまことに重大な問題であると存じましたので、直ちに省議を開きまして、これについての今後の対策というものを検討いたした次第でございます。  ところで、御承知のごとく、この三万トンクラスのLPG船の京浜運河への入港は、年に四回、すなわち三カ月に一回という予定に相なっておりまする点を考慮いたしまして、この程度の入港はどうも認めることも可能ではなかろうか、ただし、LPG船の入港自体非常な危険を伴うことを覚悟する必要がございますので、その際におきましては、必ず、京浜運河内において他の船舶との交錯を避けるような厳重な交通規制を行なうということ、また入港及び荷役にあたりましては、この地帯のラッシュ時を避けますとともに、本船の周囲に厳重な警戒網をしいて、警戒船を配備するというようなことなど、絶対安全を保障できますような安全措置を講ずるという条件のもとに年四回の入港を認めることはいかがなものであるか、こういうことを検討いたしました結果、まずこれならば安全を保障できょうという考えをもちまして、かような厳重な条件のもとに拒否を行なわない、こういう方針を省議として決定いたした次第であります。
  68. 河村勝

    ○河村委員 ここでちょっと通産省に伺いたいのですが、このLPG基地が川崎にできることですね、これについては、直接の形式的、法規的には高圧ガスの取り締まりだけだと思いますけれども、しかし実質的には通産省が当初からいろいろ関係しておられたはずであります。その点、陸上ばかりでなしに、当然、LPGというものは海から持ってこなければならぬわけですね。そういう全体についての産業立地的な見地、全体の安全と言ってもよろしいが、そういう点をどう考えて今日まで持ってきて指導してこられたのか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  69. 両角良彦

    ○両角政府委員 通産省といたしましては、LPGの生産、輸入、供給面につきまして、これが円滑に行なわれるように各種の配慮をして行政を行なってきておりますけれども、御指摘のようにLPG船の建造につきまして、これを開発銀行等にあっせんをいたします際には、十分、その建造に伴う将来の基地建設等につきまして関係各省とも意見の調整等を行ないまして、今後ともかような造船問題についても対処をいたしてまいりたいと考えております。今日までのところにつきまして、ただいま大臣の御答弁にございましたように、私ども運輸省当局ともなお十分な連絡をとる点につきまして、多少至らなかった点があるという点は遺憾に存じます。
  70. 河村勝

    ○河村委員 私が伺っておりますのは、これから運輸省といろいろな調整をするとかなんとかいうことではなしに、今日までもう、私は詳しくは知りませんが、ある程度地上での工事が進められているように聞いておりますが、そこに至るまで、一体通産省はそういった安全の見地からどういう判断のもとにやってこられたのか、それを伺っているわけです。
  71. 両角良彦

    ○両角政府委員 LPG基地につきましての安全は、高圧ガス取締法、その他消防法等、関係法令によりまして当該工事について具体的に処置されることを前提にいたしまして、われわれとしては進めております。
  72. 河村勝

    ○河村委員 どうも、いまの返事は何を言っているかよくわからなかったのですが、要するに、あとの安全のことはほかのほうでよろしくやってくれるのだから、通産省としては何も考えないでやってきた、そういうふうに受け取ってよろしいのですね。
  73. 両角良彦

    ○両角政府委員 何も考えないという趣旨ではございませんで、それぞれの法律に従いまして、それぞれの規制もしくは監督が行なわれることを当然のたてまえといたしてわれわれとしては進めてきた、かようなことでございます。
  74. 河村勝

    ○河村委員 どう言い回しても同じことなんで、結局このタンクの基地をつくるについては、安全のことは通産省は何も考えていなかったということになるわけですが、いいです、御答弁は要りません。  そこで、運輸省内でも、LPG船をつくるというからには、必ずや海運局あたりはこれは関係しておられるはずですね。LPG船である以上、そうどこでもここでもつくるわけのものではありませんね。その際、一体運輸省としてこの問題の扱いをどうお考えになってそれを進められたのか、それを伺いたい。
  75. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 海運局といたしましては、この船を開銀の融資によって建造するという場合、開銀から打ち合わせがございます。また一方、利子補給契約を将来することになりますので、その面からも会社からの要望も説明がありまして、これに対して了承を与える。事前に大体こういう手続になるわけであります。その際に海運局としてはどういうことをチェックするのかという問題でございますが、従来海運局といたしましては、この船舶の建造によって、わが国の国際海運の発展に支障がないかどうか、あるいは企業自体の体力とか経営力、そういうものから見てよろしいかどうか、それから採算の面で十分やっていける船であるかどうか、それからその船が就航する航路に適切な船舶であるかどうか、大体こういうような観点からチェックいたしまして、安全の面から特にチェックしていなかったということは、これは言えると思います。運輸省内でもおのおの持ち場持ち場がございまして、安全の面はまた、海上保安庁なりそういう面でみるということで、おのおの自分の持ち場範囲をチェックする。先ほど先生がおっしゃいましたように、おのおの自分の持ち場範囲だけやって、それを総合して判断をする点について十分であったかどうか、これは先生のおっしゃること、ごもっともな点があると思います。海運局といたしましても、いま申しましたような点をチェックしておりましたが、これではやはり不十分であると私思いまして、念には念を入れて、そういう安全の面についても関係方面をさらにチェックしてみる、こういうことにいたしたいということで、さっそくこの判断をする基準というものをつけ加えたいということで、すでに指示いたしまして、いま立案をしておるという状況でございます。
  76. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、おわかりのように、運輸省内ですら意思統一がないわけですね。いわんや通産省はまるっきり考えてない、こういうことで、こういう既成事実ができつつあるわけですが、そこで先ほど大臣は、年四回程度の接岸荷役である。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 だから、そのくらいなものは何とか安全確保ができるのだというお話でございましたが、年四回でありましても、入港から接岸荷役が終わるまで、少なくともまる一昼夜くらいかかるはずでございますが、その間の航行規制、LPG以外の一般の航行に対して、具体的に一体どの程度の航行規制をやるのか、その辺のところをちょっと伺いたいと思います。
  77. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 まず第一に、保安庁といたしましては、入出港する場合にはあらかじめ前日の正午までに港長に報告をさせる。その報告によりまして、港長はその船が京浜運河内において千トン以上と行き会わないように時間を選びまして、具体的な入港の時間を指示いたします。もちろんその時間は、夜間はいたさせない。それから昼間でも、朝方の非常にラッシュの時間には、これを避けてもらうということにいたす予定でございます。それから出入り口のところで、もちろんごく小型の船以外とは一切行き会い関係を持たせない。つまり具体的に申しますと、鶴見航路及び川崎航路、この京浜運河の出入り口が二つございますが、この地点では行き会い関係を持たせない。LPGが今度係留して荷役するという場合には、このLPG船の周囲三十メートルというものには他船で一切近づかないようにさせるという、要するに小型船、大型船を含んで三十メートル以内には接近をいたさせないということをいたします。この実行を担保いたしますために、巡視艇、消防艇を荷役中、停泊中にはここに常時配置をしておくというふうな措置を講ずることにいたしております。また、共同石油側に対しましては、各般の安全措置、つまりタグボートの用意、あるいは三十メートル以内に接近させないような赤い標識のついたブイをその地点に一時置かせるというふうなこととか、ガス漏れの場合、それを事前に早く知るというふうな所要の道具を桟橋に備えつけさせる、いろいろの措置を講じまして、これの荷役中において他船がこの付近を通過することによって危険を生ずるということのないようにいたしたいと思います。また、二十四時間程度の荷役時間がございます。小型船は三十メートルという範囲をこえて航行することは、あの航路幅でございますが、大型のタンカーなどは、場合によればその荷役中の航行ができなくなる。これは現在すでに大型のタンカーで荷役中は、そこは大型は横を通らないようにするという措置を講じておりますが、これと同様の取り扱いを私どもはいたしたい、かように考えております。
  78. 河村勝

    ○河村委員 いま保安庁長官は、場合によれば大型タンカーは京浜運河をその時間帯には通さないようにするということをおっしゃいましたけれども、大型タンカーを通さないのはあたりまえなんですよ。二百五十メートルの幅しかない京浜運河で、片方でこういう荷役作業をやっている最中に通さないのはあたりまえです。それ以外に、おそらくそういう大型船舶でないけれども、実際二十四時間の荷役中はとめなければならぬことになるだろうと思っておりますが、その辺はこれからの問題でしょうけれども、いずれにしましても、これは回数は少ないけれども、定期船なんです。定期的に来るもの、恒久的に来るものです。臨時の対策の場合には、一時的に他の船の航行規制をやらなければならぬ場合もあるでしょうけれども、恒久的な設備としてそこまで一般に及ぼす不便、安全のための非常な運航規制をやって、それでもまだ危険だというような場所なんです。そういう基地をこの際認めるのは適当であるとお考えになるのか、適当でないとお考えになるのか、その点を私は運輸大臣にちょっとお伺いしたいと思います。
  79. 大橋武夫

    大橋国務大臣 純然たる白紙の上に立ってこういうふうなことはどうだろうという御質問でございまするならば、これは望ましくないというお答えをするのが当然だろうと思うのでございます。ただ、御承知のように、現在のところ、いろいろ既成事実の積み上げができております今日、それらをも考慮に入れまして、なおかつ海上の安全、こういう見地からいろいろ考えますると、ただいま申し上げましたような省議の線がおよそ適当ではないか、こう思う次第でございます。
  80. 河村勝

    ○河村委員 既成事実ができたからやむを得ないという大臣のお考えのようでありますけれども、私は逆に既成事実がある程度できつつあるからむしろ問題にしておるわけでございまして、大臣の先ほどの将来に向けての総合的な判断をし得る体制を考えるという構想はわかりますけれども、そういうものは、ここでおっしゃるだけでほっておけば、と言えば失礼でありますけれども、時期が過ぎればまたどうなるかわからないようになる可能性が、従来とも非常に多いわけです。ですから、むしろある程度既成事実ができた、こういう問題を取り上げて、ほんとうに大臣として閣僚段階まで持ち上げて、この処理をどうするか、さらに今後の問題をどうするか、そこまでの議論をした上で判断をさるべき性質のものだと私は思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  81. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は、先ほど来申し上げたような措置が最も適当だと思います。
  82. 河村勝

    ○河村委員 これはもうたいへんはっきりした御返事で、押し問答しても切りがないかもしれませんけれども大臣、そう簡単におっしゃらずに、実際この問題は、年四回ということで御安心になっておるようでありますが、ちょっと何かありますとたいへんな問題を惹起するのですから、こういう問題を機会に、ほんとうに閣議なり何なりで、将来の問題も含めて検討されて結論を出すいいチャンスだと思うので、そういう意味で申し上げておるのですけれども、そういう建設的な方向にこの問題を持っていかれるお考えはないのですか。
  83. 大橋武夫

    大橋国務大臣 将来の新しい問題ということに相なりますると、河村委員からの今回の御質問を機会に、先ほど申し述べさせていただきましたごとく、今後は、政府といたしまして事前に十分な調整を行なうような体制をぜひとることにいたしたいと存じます。ただいま御指摘の具体的な事件につきましては、先ほど来申し上げたとおりに措置いたしたいと存じます。
  84. 河村勝

    ○河村委員 くどいようでございますけれども大臣も、こういういままでのいろいろな権限の分化、あるいは権限のなわ張というものをほんとうにほぐすのは非常にたいへんだということは、よく御承知のことだと思います。ですから、こういう既成事実が少しできつつあるような段階で、ほんとうにそれらの問題を取り上げてそこで議論されるのが、こういう問題を今後総合的に判断ができるような体制に持っていく一番いいきっかけだと私は考える。ですから、私は大臣に繰り返し申し上げておるのですが、いかがでありますか。もう一ぺんお考え直して、そういう方針をおとりになる気はございませんか。
  85. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題に関する限り、先ほど来とくと申し上げた次第でございます。
  86. 河村勝

    ○河村委員 たいへん遺憾なことでございますけれども、これ以上押し問答してもしょうがありませんから、一応きょうの質問はこれで打ち切ります。      ————◇—————
  87. 内藤隆

    内藤委員長 次に、航空に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。松本忠助君。
  88. 松本忠助

    松本(忠)委員 運輸大臣お願い申し上げたいのでございますが、昨晩東京国際空港におきまして、ケーブル故障のために停電いたしまして、離着陸が一時不能になり、内外の多数の旅客にたいへんな迷惑をかけたように思います。大臣は、この事故を何時ごろ御承知になりましたか。
  89. 大橋武夫

    大橋国務大臣 事故発生直後、航空局長から電話報告を受けました。
  90. 松本忠助

    松本(忠)委員 事故の原因につきましてお尋ね申し上げたいのでございます。
  91. 大橋武夫

    大橋国務大臣 詳細は航空局長から申し上げさせます。
  92. 澤雄次

    ○澤政府委員 故障の原因につきましては、ただいま調査中でございまが、推定される原因といたしましては、照明変電所と第八号地下変電所間のケーブルを引いてまいります共同溝内のC滑走路、進入角指示灯のケーブルのプラグレセップ、電線の接続部分が接触いたしまして、過熱し発火したものと思われます。
  93. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣はこの通知を澤航空局長から受けられて、どのような指示をなさいましたでしょうか。
  94. 大橋武夫

    大橋国務大臣 おおよそ三時間程度の間飛行場が閉鎖のやむなきに至っておるということを聞きまして、その間離着陸の予定の飛行機を安全な場所へ離着陸いたしますように十分誘導するよう指示いたしました。
  95. 松本忠助

    松本(忠)委員 航空局長にお伺いしたいのでございますが、幸い大事故の発生に至らなかった、不幸中の幸いであったと思いますが、この事故のために国際線、国内線の着陸不能となったものは何機ぐらいございましたでしょうか。その点をお伺いいたしたい。
  96. 澤雄次

    ○澤政府委員 国際線で到着便十三便、国内線で到着便九便が他の代替飛行場に着陸いたしました。それから到着の取り消しは国内線が八便、出発の取り消しは国内線で四便でございます。
  97. 松本忠助

    松本(忠)委員 国際線についてのみお伺いしたいのでありますが、代替空港にはどこの空港を指定なすったか、またその空港には何機着陸したか、お知らせをいただきたい。
  98. 澤雄次

    ○澤政府委員 代替空港は、ICAOに対して東京の羽田の代替空港として日本政府から千歳、三沢、大阪、名古屋、板付を指定いたしております。それで、どこの代替空港を使うかということは各航空会社が自分できめまして、フライトプランを出しますときにそれを明らかに航空局のほうに指示いたします。それから、横田につきましては、米軍と交渉のついているエアラインは横田を代替飛行場に指定いたしております。  それで昨日は、国際線では名古屋に五便、横田に六便、立川に一便、福岡に一便、着陸いたしております。
  99. 松本忠助

    松本(忠)委員 その後回復してから羽田に再度飛来してまいりましたのは、何機ございますか。
  100. 澤雄次

    ○澤政府委員 大部分のものが羽田に戻っておりますが、目下のところ、何機確実に戻ったかという数字は、まだ報告を受けておりません。
  101. 松本忠助

    松本(忠)委員 その戻った飛行機の乗客でございますが、その乗客に対しまして、こういう事態でおそくなったというようなことの陳謝の意を表明したかどうかについてお伺いいたします。
  102. 澤雄次

    ○澤政府委員 それは空港長からエアラインのほうに、故障の状況その他を通知いたしております。各乗客には、エアラインから通知しておると思います。
  103. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまお伺いしますと、いわゆる飛行機会社というよりも、むしろ空港を管理するほうの側に問題があったと思うわけであります。おわびのほうは航空会社にまかせっきりで何らその点について——空港側では同時に陳謝の意を表するのが常識ではなかろうか、このように私は思いますが、いかがでしょうか。そういうしきたりなんでしょうか。
  104. 澤雄次

    ○澤政府委員 飛行場が故障を起こしましたり、あるいはこのような事故のために一時クローズするというような場合には、エアラインのほうに通知いたしますが、個々の乗客には航空局のほうは直接はタッチしておりません。
  105. 松本忠助

    松本(忠)委員 また、この停電中にMACチャーター機の飛来はなかったのでしょうか。その点についてお伺いいたしたい。
  106. 澤雄次

    ○澤政府委員 このMACチャーターは、通常の民間飛行機を米軍がチャータャーいたしておりますので明確なあれはわかりませんが、フライング・タイガーの飛行機が一機、二十一時三十分に香港から飛来したのが確実なところでございます。
  107. 松本忠助

    松本(忠)委員 それはどこの空港へ代替したわけですか。
  108. 澤雄次

    ○澤政府委員 立川に変更して着陸いたしました。
  109. 松本忠助

    松本(忠)委員 海外より飛来した旅客の中の人の出迎えのために、外交官が出ておったのでございますが、御存じでございましたでしょうか。
  110. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは、ヨーロッパの、ベルギーかと思いますが、大使がおいでになったということは後ほど、けさになってわかりましたが、その当時ではわかりませんでした。
  111. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、その外交官に対しては陳謝の意は表明していなかったわけでございますか。そういう点は必要ないものでございましょうか。
  112. 澤雄次

    ○澤政府委員 陳謝の意は表してございません。
  113. 大橋武夫

    大橋国務大臣 こういう際にどういうふうにすべきか、実は私もよくいままでわかりませんでしたし、御質問によりましてはじめて、なるほどそういうことがあったか、こう気がついた次第でお恥ずかしい次第でございますが、この点につきましてはさっそく外務省と打ち合わせまして、適切な処置をいたすように運びたいと思います。
  114. 松本忠助

    松本(忠)委員 はい、了承いたしました。  日本のいわゆる空の表玄関といわれる東京国際空港が、停電のために三時間にわたって使用が不可能になった、この点は国際的にも信用失墜であり、まことに残念なことであったと思うわけでございますが、私は昨晩そこにいらっしゃいます航空局の松本術部長にもお会いいたしました。またさらに、事故の調査のために、空港長の案内で地下のケーブルの敷設してありますところまで入ってまいりまして、空港長にもいろいろとお話を伺ってまいりました。空港長の言うのにも、全く予期しないことが起きた、予期しなかった事故である、このようにおっしゃっておりました。あらゆる事故というものは予期しない時期に、そしてまた予期しない場所に起こるものであると私は思います。今後この対策につきまして航空局長はどのようにお考えでございましょうか、お答え願いたいと思います。
  115. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは保守点検を現在、午前一回、午後一回やっております。それは回数をふやしますよりも、点検の際の、マニュアルと申しておりますが、点検の際に実施すべき点をもっと詳細に記述いたしまして、点検をもっと念を入れてやるように実施いたしたいと思います。またケーブルは、ごらんになったと思いますが、段で分けているわけであります。A滑走路用、C滑走路用……。結局そのたなの断熱が不十分であったことが原因として推定されますので、この隔離をもっと厳重に——そのたなの間に断熱材をもっと入れる、そういうふうに厳重にやりたいということで、けさから検討いたしております。
  116. 松本忠助

    松本(忠)委員 昨晩も現地で空港長から説明を受けたわけでありますが、羽田には御承知のようにA、B、C三本の滑走路がございます。この三本の滑走路が、一つのスイッチで全部が一度に消灯できるような施設もあるそうでございます。もちろんその施設も必要と思いますが、一滑走路ずつ別々に点滅できるような方法にしておくならば、A滑走路に事故があった場合も、BCのほうは使える、こういうふうに考えるわけであります。その点は、そのような処置はしてなかったものでございましょうか。
  117. 澤雄次

    ○澤政府委員 この照明灯の点滅は、滑走路別に別々にすることができるようになっております。  それで昨晩も、まずC滑走路のブザーが鳴りましたので、Cを切りまして、すぐその直後A滑走路のブザーが鳴りまして、またAを切ったという状況であります。
  118. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうでございますか。  電力会社から供給を受けている電気がとまった場合に、自家発電に自動的に切りかえができる、この装置も昨晩見せていただきました。たいへんりっぱな装置でございますが、問題は、ケーブルが一本でございますと、今回のようにケーブルそのものが故障した場合には、せっかくの自家発電も役に立たないのじゃなかろうか、こう思うわけでありますが、これを改善する必要があると私は思いますが、いかがでしょう。
  119. 澤雄次

    ○澤政府委員 御指摘のように、あれは電源関係に重点を置きまして、東電から来る電力も、二本別々につくっておりまして、ある一つが切れても東電のほかのほうからとれる。それから、東電が全部だめになりましたときは、自家発電へすぐスイッチを切りかえられるというふうになっておったわけでございますが、その来る先がみんな一本のケーブルになっておりましたので、御指摘のような事態が生じてまことに申し訳ないと思っております。  それで航空局といたしましては、まずたなの断熱をもっと強化するということ、これをまず第一にすぐ実施いたしまして、それから、ケーブルを別にすることは、これは予算もかかりますことでございますので、今後引き続いて検討さしていただきたい、このように思っております。
  120. 松本忠助

    松本(忠)委員 先ほどもちょっとお伺いいたしたわけでありますが、昨晩のような東京国際空港が急に使用不能になった場合、いわゆる代替空港でございますか、そこはどこに何機くらい収容できるようになっているのか、その余力などについてもお伺いいたしたいのでございますが、収容のスペースはどれくらいあるものか、空港別に……。
  121. 松本登

    松本説明員 お答えいたします。  空港別には、いまのところ、何機くらいという資料は持ち合わせておりませんが、先ほど局長から御説明ございました国際便、国内便、これは十分各空港とも収容できる能力はあると思っております。
  122. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうしますと、何時間そういう事故が継続しても収容できるわけでありますか。
  123. 澤雄次

    ○澤政府委員 この代替飛行場は、御承知のように、羽田を使うものは、羽田がクローズされておる間他へ参るわけでありますので、何時間——もちろん代替飛行場の性格上、長くということではございませんので、臨時の使用ということを考えております。
  124. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、かりに濃霧のためにおりられなかった。その濃霧が晴れるのが六時間、九時間かかったというような事態が起きた場合には、どうなさいますか。
  125. 澤雄次

    ○澤政府委員 濃霧の場合は、代替飛行場にみんな到着いたしますが、国際線、国内線合わせまして、大体、その時間帯にもよりますが、昼間時間帯、夜間時間帯ございますが、各エアーラインが一つまたは二つの代替飛行場を指定いたしておりますので、その収容能力と申しますか、これは代替飛行場に分散いたしますれば、羽田にある時間帯に到着する飛行機の収容能力は十分ある、このように思っております。
  126. 松本忠助

    松本(忠)委員 MACチャーター機が飛来する、これは先ほど一機だったというお話でありますが、これがたくさん飛来して——昨晩などもちょうど込み合う時間にあの事故が起きたわけであります。MACチャーター機も相当数これが飛んできた、そういう場合にはどのような処置をとられるわけでございましょうか、念のために伺っておきます。
  127. 澤雄次

    ○澤政府委員 MACチャーター機につきましては、当委員会でも現地を御視察していただいたのでございますが、ことしになりましてMACチャーター機が非常にふえてまいりましたので、三月の下旬に米軍に対しまして、MACチャーター機はなるべく羽田に飛来しないでくれ、どうしても飛来するものがあれば、羽田は昼間がわりにすいておりますから、午前十一時から午後六時までの昼間帯に羽田を使用するようにしてくれ、こういう申し入れをいたしまして、米軍からは、四月の中旬に、日本側の言うことはよくわかったから、羽田を使用する飛行機の数は現在以上はふやしません、それから羽田を使用します場合も、なるべく昼間帯の羽田のあいているときを使用するように努力いたします。こういう回答がございまして、その後四月の実績では、三月よりも羽田に飛来しましたMACの飛行機の数は減っております。それから昼間帯を使用するように努力しているかとも見えます。そういうことがございましたので、きのうは夜間帯は一機であったというふうに思っております。
  128. 松本忠助

    松本(忠)委員 ただいまお話のございました、四月の中旬でございますか、米軍から回答があったというものの写しはちょうだいできませんでしょうか。
  129. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは日米合同委員会の席上、日本側の代表——これは外務省でございます。外務省から口頭で向こうに要求いたしまして、そして向こうから口頭で回答があったものでございます。ただし、外務省から私のほうには、日米合同委員会でこういう回答があったということは文書で回答がございますから、その写しなら提出いたします。
  130. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでけっこうです。いただきたいと思います。  昨晩のような事故によりまして到着がおくれた場合でございますが、乗客から損害の補償請求があった、こういう場合に補償をする用意があるかどうか、その点についてお伺いいたします。補償をするとするならば、それは空港側でするのか、あるいは航空会社のほうでするのか、その点についても伺います。
  131. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは第一次的には航空会社と旅客との間の運送約款によって決定するものでありまして、通常の運送約款の場合には、航空会社の重大な過失——故意または過失に基づくものでなければ損害賠償しない、こういう約款になっております。
  132. 松本忠助

    松本(忠)委員 次に、大臣にお尋ね申し上げるわけでございますが、ラッシュのときにはいわゆるスポットが足らない、こういう話を聞いてまいりましたが、これに対する対策はどのようになっておりますか。
  133. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説のとおりでございまして、できるだけすみやかにスポットの増設をいたしたい、こういうふうに思っておりまして、目下いろいろ計画を練っておる段階でございます。その新しいスポットの候補地といたしましては、海岸方面をある程度埋め立てて、そして敷地全体にゆとりをつけた上で適当な地域をスポットに使用しよう、こういう考えでございます。
  134. 松本忠助

    松本(忠)委員 ただいまのお答えのように、そうしますと、海岸のほうに新しい滑走路を一本つくる、こういう御計画になるのですか。その御計画はないのでございますか。
  135. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そういう計画でございます。ただし、これはまだ運輸省内の計画でございまして、政府といたしまして採択されたものではございません。何とか採択されるようにいたしたいと思っておるところでございます。
  136. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは最後に、大臣出席でございますので、非常にいい機会でございますのでもう一点、陸上交通の点についてお尋ね申し上げておきたいのでございますが、学童の通学の安全を期するための学童通学路の確保をはかる、この点についてひとつ特に大臣の大英断をもって横断歩道とか、ガードレール、横断歩道橋等の設置は特に急いでやっていただきたいと思うわけであります。  また、けさもテレビで見たわけでございますが、ダンプカーの規制でございます。けさのテレビで見ましても、ダンプカーが猛烈な勢いで走っているわきを学童が、いなかの状態でございましたが、カバンを下げて通学している、そういう場面が写っておりました。このダンプカーに対する規制も、スピードあるいは時間、乗り入れの地域、こういう制限を至急実現をはかっていただきたいと思うわけでありますが、大臣の誠意ある御回答をお願いいたしたいと思います。
  137. 大橋武夫

    大橋国務大臣 二点ともまことに適切な御注意であると存じます。第一の通学道路の問題につきましては、所管の建設大臣によく御質問のありましたことの趣旨を申し伝えたいと存じます。  第二点の、ダンプカーの取り締まりの問題でございますが、これにつきましては自動車局を中心にいたしまして、各省、ことに警察当局等とも十分連絡をとりまして、交通安全対策本部が内閣にできておりまするから、これを中心にいたしまして、具体案をつくり、急速に実現するように運びたいと存じます。
  138. 松本忠助

    松本(忠)委員 ありがとうございました。
  139. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 福井勇君。
  140. 福井勇

    ○福井委員 羽田の昨夜の事故に関連して、ちょっと希望だけ申し上げておきます。  実は、この委員会から先般飛行場を見にまいりまして、管制塔へのぼったとき、委員のうちで、停電したらあの管制塔はどうなるのだという質問をしようと私に尋ねたものですから、そんなしろうとくさい質問は、当運輸委員会としてするな、わしは電気屋だから、そんなことは二重にも三重にも、この管制塔における電気施設は完ぺきだから、その愚問だけはやめておけといって私はやめさせた。サルも木から落ちるというか、紺屋の白ばかまというか、私がそういうことをとめたのがほんのこの間のことでございました。ところがこういうことが起こったので、私はその人に、けさあやまってしまった。そんな愚問はよせといったことが起こってしまったので、私はすっかり頭をかかえてしまいました。  そこで、私は電気屋だから、こういうことを申し上げるのですが、いま質問の中にもだいぶございましたが、原子力発電所などでは、関東の震災が、あの震度がどのくらいだか、その学術的な震度の数は知りませんが、その五、六倍から十倍に近い異変があっても、原子炉関係の被害が外に及ばない、放射能の被害を及ぼさないという設計を日本ではしております。そこで飛行場の管制塔のごときはやはり、自家発電などは当然しろうとでも考えることでありますから、自家発電もそれは当然やってありますから、それはよろしいし、それからまた当座に間に合う蓄電池の施設もやらなくちゃならないし、いま断熱材云々のことがございましたけれども、電気の故障の大部分は絶縁だけです。これはちょっと耳ざわりな表現をいたしますが、私たち電気の技術者として事故をいろいろ見ておるところによると、雷による事故は絶縁ではないですが、普通の故障の九〇%以上は絶縁による故障です。断熱材云々のことがありましたが、これは不注意であって、あの断熱材は当然起こるべき故障だなどといって平気でおられるものではない。絶縁が十分であれば、ヒートしたって当然防げるものであったわけです。  そこで私の申し上げたいのは、二重、三重の施設をしてほしい、三重以上の、三段階くらいの事故があっても、この施設をこの際やってほしいということと、それには電気の技術者が要るから、この際大蔵省をひとつ説得して、そういう施設を当然やらなくてはならないという認識を深めるいい機会だから、特に運輸省側としてもその対策を本気でやっていただきたい、これを申し上げたいためにいま私が立ったわけであります。以上であります。御答弁は要りません。
  141. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 次会は、来たる十九日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会