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1966-10-03 第52回国会 参議院 法務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月三日(月曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————    委員異動  十月一日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和泉  覚君     理 事                 後藤 義隆君                 稲葉 誠一君     委 員                 岡村文四郎君                 中野 文門君                 安井  謙君                 大森 創造君                 亀田 得治君                 藤原 道子君                 須藤 五郎君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      石原 一彦君        法務省刑事局公        安課長      常井  善君        法務省入国管理        局長       八木 正男君        法務省入国管理        局警備課長    豊島英次郎君        海上保安庁長官  佐藤 光夫君        海上保安庁警備        救難部長     長野 義男君     —————————————   本日の会議に付した案件検察及び裁判運営等に関する調査  (平新艇事件に関する件)  (検察行政に関する件)     —————————————
  2. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十月一日野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として須藤五郎君が選任されました。
  3. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 検察及び裁判運営等に関する調査を行ないます。亀田君。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 去る九月十七日の午後三時過ぎ、突然朝鮮民主主義人民共和国の漁船平新艇が下関に入港して以来、いわゆる平新艇事件というものが起きたわけであります。日本政府がこれをどう処理するかということが非常に影響するところが大きいわけでありますが、政府としてはすでにこの事件に対する態度を決定して実行に移されたわけでありますが、しかし、われわれから見ますると、その処置につきまして納得できない点が多々あるわけでありまして、それらの点につきまして若干本日質問いたしてみたいと思う次第であります。  その第一点は、平新艇乗り組み員十三名のうち関庚泰ら四名、これを韓国に引き渡したことは間違いではないかという点をお聞きしたいわけであります。すなわち、本件はこの四名の者が公海上で七名という大量の殺人行為を行なって日本の港に入ってきたわけですが、この場合その殺人裁判管轄権旗国主義によって船舶船員、の属する共和国にあるということは、これはもう国際慣例上明確であります。したがって、こういう案件については、当然四名についても共和国に渡すべきである、それが正しい措置ではないか。そういう意味で、政府韓国に四名の者を渡したことは間違っておるのではないかというふうに考えるわけであります。なぜこういう措置をとられたのか、その辺の根拠につきまして明確にしていただきたいと思います。基本的には大臣からまずお答え願って、詳細なことはまた入管局長つけ加えてください。
  5. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 韓国に行くことになったのは、本人たちの四人の希望によって出ていくときめたわけであります。御承知のとおりであります。この殺人の行なわれたのは、日本領海外であるということは取り調べの結果わかりまして、日本政府としては、これを取り扱う権限もないということになるわけでございます。そういたしますると、日本に入ってまいりました平新艇またはそれに乗っておりました十三名の者がひっかかる問題は、不法入国の問題あるいは銃砲火薬等不法所持あるいはそういうふうなことにわたるその他の問題でございましょう。そういうふうなことで、主としては不法入国の点において取り調べをするということになったわけでございます。その結果は、御承知のようなことで、あまりこれを強く取り扱って、日本に監禁するというような、またそして日本の法のさばきを受けるというようなことのものではない。なぜであるかと申しますと、不法入国と申しましても、本人たち日本に要するに北鮮から亡命してきたつもりであって、自分たちからちゃんと届け出をしてきておるわけだ。われわれのほうからさがし出したのじゃなしに、向こうのほうから届け出をする、また鉄砲等やなんか持っておるけれども、それは船と一緒に持っておったというだけであって、日本に来てこれをどう使おうとしたのでもなければ、またこれを日本で売ろうというような問題に扱ったわけでもないというようなことでございますから、まあその関係からいいますると、軽微な関係にある。それで、本人たちはどうしても日本でなければ——要するに北鮮に帰りたくないという、北鮮では迫害を受けるというようなことや、いろんなことの陳情によりまして、日本におれなければ——初めは日本にということだったようでございますが、そこの関係は私詳しく承知いたしませんが、韓国に行きたいということでありまして、それならば韓国に出してやる、韓国のほうの側でも受け入れるということでありましたそうでありますから、韓国に出してやる。これは人道的な立場からそうすべきではないかという考えであります。北のほうに帰してやれば、北のほうでは、いまお話しのように、旗国主義によって、その船に乗っておったのだからその殺人事件の所管であります北鮮のほうにやるべしという御意見でございますけれども、そうすればこの人たちはおそらく極刑に処せられるのではなかったかと思われるわけでございます。そういうふうなことを承知しながら北鮮にやることはできないというので、本人たち希望に従いまして、韓国に行きたいという者は韓国にやったというのが大体の筋でございます。  こまかいことは入管局長から……。
  6. 八木正男

    説明員八木正男君) 韓国へ帰っていきました四名の扱いにつきまして、法律上のこまかい問題については、刑事局からもお見えになっておりますので、必要があれば補足していただきたいと思いますが、入管の扱った経緯を申し上げますと、この四名の殺人事件というのは、御承知のとおり、公海上で行なわれた。したがって、その殺人事件そのものについてはもちろんその本人たちの属する国の政府管轄権を持っておるわけでありますが、そして北鮮政府から法務省に対して、この十三名を帰してくれという電報が二度にわたって参っております。ただ、逃亡犯罪人引渡法の規定によりますと、これを適用して北朝鮮に帰そうという段になりますと、わが国と北朝鮮の間には国交がございません。したがって、その引渡法をそのまま適用して北鮮に送り帰すということは法律上できないわけでございます。また、さらにこの結果、北鮮に引き渡さないということになりますと、入管令強制退去の条項が適用されるわけでございますが、その強制退去をどのように扱うかという点はわれわれとしてもいろいろ部内で検討したわけでございます。そして捜査当局がいろいろ調べた結果、日本にこの人たち不法入国をしてきた動機についてはいろいろ特殊な事情があったようでありますけれども、そういった点も考慮し、さらにまたいわゆる一九五一年の難民条約といいますか、この条約の精神というような点、そういうような国際的理念と申しますか、そういうようなことを考慮いたしまして、人道的な見地に立って北へは帰さないということにしたわけであります。そして韓国へ行くかどうかという問題は、これは本人たち韓国に行くことを希望したからその出国を認めたわけでありまして、われわれは強制退去を命じ、そうして扱いとしましては、自費出国を命じてその扱いをしております。したがって、本人日本から立ち去れば日本の法益は害されないわけでありまして、その結果、本人自分の選択するところへ出ていく。どこへ出ていくかということは私たちは別に指示する必要もないし、日本から出ていってもらえば十分であるというような立場で処置したわけであります。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 答弁はたいへん筋の通らない点が多々あるわけでありますが、それらについてお聞きする前に、前提としてお尋ねしたい点が一つあります。それは政府はこの四角という者をいわゆる政治亡命あるいは政治犯罪人、こういうふうな考え方処理したものかどうか、この点については、新聞等では、政治亡命政治犯罪人の範疇には入らないというふうに入管局長どもしやべっておりますが、この点を、まず明らかにしてほしいいと思います。どう思いますか。
  8. 八木正男

    説明員八木正男君) 政治亡命とか政治犯罪ということばは非常にむずかしい定義を必要とするようでありまして、大学の教授どもいろいろこれは簡単に定義が困難であるということを言っておるようであります。ただこれは、政治犯罪人あるいは政治亡命として扱ったのではなくして、政治犯罪的あるいは政治亡命的な性格のものであるというふうに考えて扱ったわけであります。そしてどういう場合にどういう性格であるからそういうふうに判定したかというようなことになりますと、いろいろこまかい問題もございますが、たとえばこの四人の者はいずれも肉親がかつて日本と何らかの密接な関係を持った人が多いようでありまして、そういう点から北鮮の中で生活しておる間にもいろいろ困難を感じ、あるいは共産体制のもとで生活することに反対と反感を持っておったといったことが動機として述べられております。そうしますと、たとえば北鮮政府——北鮮の場合には、御承知のとおり、ああいう全体主義といいますか、共産国家では、ほとんど全部の場合に、国民がその政治体制のもとに生活することをきらって無断で許可なしに国外脱出した場合には、最高の場合死刑、少なくとも十年以上の懲役というような非常に峻厳な罰則がついています。そこで、本人たちとしては、そういう危険をおかしても自分の政治的な心情であるとかそういった個人的な関係からくる迫害とか共産主義に対する反感とかいったようなものから脱出しようとすれば、それは当然本国では本国法律に基づいて一種の政治犯罪というふうに扱われておるようであります。少なくとも日本の側から見た場合に、これは一般犯罪とは違って非常に政治亡命的色彩が強いというふうに考えざるを得ないと思います。私ども本件扱いました立場は、別に政治犯罪であるからどうとか、政治犯罪とは何かといったようなそういう突き詰めた議論をする前に、まず本件は全部そういった意味政治犯罪的な行為であるという立場から処置したものであるということを申し上げておきます。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 新聞に出された見解と多少ニュアンスが違うんです。元来政治亡命政治犯罪という概念は必ずしも明確じゃない、これはあなたがお答えのとおり。そういう明確でない概念についてさらに的を加えるというのはどういうわけですか。実質的にはかくのごときものを政治犯として扱ったということになるんじゃありませんか。私の聞きたいのは、その点非常にいまのお答えを聞いておって了承しかねる。四名の者を韓国に送るためにはできるだけそういう色彩をつけて解釈しなければなるまい、こういうことがあとから出てきておると私は思います。この経過をずっと新聞談話等を振り返ってみますると、そういうことは法の正しい解釈という面から見て遺憾だと思うんです。なかんずく、従来政治亡命なり政治犯罪の問題については、衆参法務委員会等で具体的な問題に関連して数回この論議がある。その中においても、政治亡命政治犯という考え方に割り切るかどうかということはきわめて慎重であるという答えを重ねてやっているわけなんです。単に本人の言い分だけではいけない、そういうことを言っておられる。にもかかわらず、今回の場合には、初めは政治犯でない、大量の殺人をしてきて、こんなものは政治犯として認めるわけにいかない、こう言いながら、いつの間にか、韓国に帰すについてはそのほうが説明しやすいだろうというところから、変わってきておるわけなんです。しかも、その変わった態度というものは、従来の法務当局衆参委員会でたびたびお答えになっておるその態度とはなはだ違う。そんな簡単な処理のしかたなどはやっておられませんよ。それは私よりもあなた自身が御存じでしょう。法務省で現にたくさんかかえているわけですから、ケースを。なぜこの問題についてだけ、的というようなことばを使って、そうして政治犯政治亡命というふうなことに近づけるような解釈を一体おやりになるのですか。その辺非常に私は納得できない。もう一度はっきり説明してください。
  10. 八木正男

    説明員八木正男君) 新聞記事というのは、実は事件が起こりまして、その晩に——私実はその事件の起こったことを夜まで知りませんでした。自宅に夜中までひっきりなしにいろいろなところから問い合わせがございまして、私はまだ事件内容を正確に知りませんでした。ただ、そういった騒ぎのあった船が入ってきた、これは政治亡命であるかないかというようなことをいろいろ聞かれたわけでございます。私はそのときにはっきり言ったことは、政治亡命であるかないかという問題は調べてみなきゃわからない、しかし日本はいまだ政治亡命という理由での特別在留を認めたことはない、そういうことを言ったわけであります。ただ、われわれこういった入管令に基づいて仕事をしている人間には簡単なことであっても、一般新聞社人々——事前そういった予備知識を持たず私と話をしているような人々のほうでは、政治亡命理由にする特在を認めたことがないなどという表現意味がはたして正確に伝わったかどうかわかりません。ですから、あの当日——翌日でしたか出た新聞に、私の談話というのが若干載っております。いろいろ不正確でございまして、私は即座に、その背景の事情も十分調査することなく、これが政治亡命であるかないかということを言うわけがないのであります。しかし、新聞記事内容については責任が持てないという簡単なよく使われることばで逃げようというわけじゃ毛頭ございません。私は少なくともそういう不注意な返事はしなかったと思っております。  それから、いま御指摘のとおり、われわれは確かに幾つかの政治亡命理由にする在留の申請のケースをかかえております。しかし、政治亡命者であるから特別に在留許可するという許可はまだ一度も出してはおりません。この件が一体政治亡命政治犯罪であるか、あるいは政治犯罪ではないにしても、政治犯罪的であるかといったことの考え方は、これはもう事の内容できわめて私は明瞭だと思っております。私は、政治犯罪であるかないかという先ほど御質問がありましたように、非常に確実な議論の対象でもあるし、またこの件についても、われわれが北鮮へ行って現実に北鮮の状況をしさいに調べるということができない以上は、それはあくまでもわれわれとしてはわれわれの当て推量によってこれを判定するほかないわけでありますが、政治犯罪であると判定したわけではもちろんございません。したがって、政治犯罪ではないというのは、政治犯罪というものをはっきり観念的に固定いたしまして、それに当てはまるかどうかということの調査をしたという意味じゃないので、もともと先ほど申し上げましたようなああいう体制の国で、ああいう体制のもとで生活をすることに反感を持って国外脱出する——これは広く言えば難民的なものでございましょうけれども、そういうものは本国にあるそういう峻厳な法律によって処罰するということになりますれば、それを一応われわれとしては政治犯罪的な行為であるというふうに、せいぜいそこまでしか考えられないのじゃないかと思います。それで政治犯罪的ということばを使ったわけであります。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 政治犯罪亡命という概念自身が不明確なんですから、したがって、いまお答えになったような程度のことなら、的なんという誤解を与えるようなことばは使われぬほうがいい。私は、やはりこういうものが一つの扱い方として前例というものをつくっていくわけですね。きちんとしたこういうケースについての国内法上の扱いなどがはっきりしておらないだけに大卒なんです。そういう意味で、私はこの的といったようなことを本件について使われることは間違いだと思う。私は取り消してほしいと思う。また困るケースがあなたの場合出てきますよ、そんな都合のいいことをその場限りで言っておりますと。元来政治犯という場合、本人がこの政治活動をやっていた、その迫害がある、逃げる、こういうことなんです。そんなものは何にもないのです。ただ本人の言によれば、そこにおるのが居づらいということだけです。一体そんなような程度のことで、おいそれと七人も殺人をしているのです。政治亡命であるかないかといったような問題は具体的に検討しなければならないということを法務省はしょっちゅう言われているでしょう。抽象論を私は言うのではない。本件の場合には、その理由に比べて、やっていることが人道上最も憎むべきことをやっているんじゃないか。本人たちは北に帰りにくい、帰りたくない、あたりまえですよ。そんな殺人行為をやっているからじゃないですか。何も公海に出るまでに政治犯罪人になっているのではないのです。公海に出てから、そういうおおそれた、政治犯罪であろうがなかろうが、ともかく人道上絶対に許し得ない犯罪を犯しているのです。そういう具体的な事犯に直面して、それをかばうような理論をつくるというようなことは、私は了承できない。こんなものに一体政治犯罪的、政治亡命的といったような表現を使うことは、私は不適切だと思う。どうですか。
  12. 八木正男

    説明員八木正男君) いま御質問の前段の点につきましては、私よりもむしろ刑事局の方から御説明いただいたほうがいいと思います。  これは私は、実はあのあとでテレビを見ておりましたら、東大の国際法教授が、政治犯罪というものは非常にむずかしい。ただいま亀田委員のおっしゃったような、政府を転覆するとか、その他の政治的陰謀をたくらんだために迫害されたということは、これはもちろん完全な、たしか直接的といいましたか、絶対的でしたか、何かそういう形容詞でございましたが、そのほかに相対的な政治犯罪もあるということを言っております。その中に、たとえば共産主義体制のもとで生活することがいやで逃げ出すというのは、これは相対的な政治犯罪だということを言っておられたようですが、しかしこれは私が耳で聞いただけでありますからなんですけれども、たとえば今度の事件につきましても、九州大学の教授などでわれわれの措置を適当であるというふうに言っておられる先生もおられるようでございます。そういった議論は私は分に過ぎますから申しませんけれども、いまの御指摘のように、犯罪を犯した、七人を殺したこと、これはもちろんたいへんなことでございます。ただ、七人を殺したから日本に来たんではなくて、彼らは日本に来ようとしたということが先になります。もちろん七人を殺していいわけではない。いまですら七人の命を奪ったことは非常に割り切れない気持ちを持ちますけれども、それは脱出の途中で起こったことでございまして、その前に彼らは脱出の意思を固めて行動に着手したわけでございます。そこで、政治犯罪というのは、必ずしも積極的に北鮮政府を転覆しようとして策動しようとしたこと、それが判明したので逃亡したというような、そういうものではもちろんないと思います。自分の国の政治体制がいやであったら、いやであった国から出ていけばいい。日本などはもちろん堂々と出ていけます。ところが、御承知のとおり、特殊な国は、いやだといって出ることに対しては十年以上の懲役もしくは場合によっては死刑というような峻厳な法律をつくっているということで、何といいますか、全体主義国自由主義国との間に根本的な差があるわけでございまして、そこから出てくるこういう行為というものは、われわれとしては、少なくとも日本立場、自由主義的な立場から判断せざるを得ない。そうしますと、そういうような共産主義体制のもとで暮らすことに非常に苦痛を感じてそこから出る行為、それをわれわれとしては政治亡命的な行為であるというふうに認めるのが至当ではないかと思います。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 私も、従来この種のことが起きるたびに、国際慣例ども若干調べてものを言っているわけなんです。多少政治亡命的な——政治亡命概念自体がはっきりしないんだが、政治亡命的な要素があっても、たとえば大量の殺人行為とか人道上絶対に許されないというふうなことをやってきた場合には、政治亡命者としての保護は受けないんだ、これが国際慣例じゃありませんか、どうなんですか。
  14. 常井善

    説明員常井善君) 政治犯異人というおことばでございますので、犯罪人関係した問題もございますので、一応お答えさせていただきますが、政治犯罪人ないし政治亡命者定義についてお話がございましたが、終局的にこれは入管当局なり外務省なりの判断がしかるべき責任あるお答えになろうかと存じますが、私ども事件処理をいたしましたその観点で申し上げますと、これはもうとくと御承知かと思いますが、いわゆる政治犯について申し上げますと、客観的政治犯、それから主観的政治犯、あるいは絶対的政治犯相対的政治犯と区別がございます。政治亡命——政治的迫害を受けて亡命する者についても、事情は大体同じようなことじゃないかと存じます。いま申し上げました主観的、客観的、あるいは絶対的、相対的というような区分の中で一番きびしい解釈は、客観的、絶対的がきびしい解釈と申しますが、一番正確と申しますか、そういう解釈は絶対的政治犯あるいは客観的政治犯というふうに聞いております。また、その政治犯というのも、先生お話しのとおりに、そういう動機でもっていろいろな自然犯——刑事犯を犯したというのではなくて、団体的な行動によって、たとえばクーデーターとか、そういうような形によって行なわれたものを厳密な意味ではさすというふうに聞いておりますが、いずれにいたしましてもその定義には幅があるということは、いまいろいろな説があるということを入管局長は申しましたが、定義には幅がある——あいまいといいますよりは、幅があるということを私ども承知しております。したがいまして、どこの幅でとらえるかということは、これはその国その国の、その逃亡者が参った国の認定に属する。法にかなった範囲におきまして、その当該責任者認定することであろとと存じております。  そこで、先ほどございましたように、この四名の方々につきましては、一応きびしい意味政治犯には当たらないかもしれないが、いわゆる政治犯といわれるような周辺に入るかもしれないということを申し上げたのだろうと私は思います。刑事事件立場から申しますと、もっぱら動機の問題でございまして、動機に非常に酌量すべき事情があるかないかということを考えるわけでございます。そういうわけで、確かに公海あるいは領海外におきまして人を殺したという局面だけをとらえますと、これは刑事犯を犯しておりますので、さような重大な刑事犯を犯したということにつきましては、厳密な意味政治犯罪人にはならないという考えのほうが多いとは存じますけれども、いま申し上げておりますのは、そういう厳密な意味ではございませんので、いわゆゆる動機が政治的な亡命のような動機でなされたものである、この事情をくんで私ども事件処理をいたしましたが、入管当局におきましてもそういう認定でこの処理をしたように思うのでございます。これも御承知と思いますが、政治犯罪人だとたとえいたしましても、これは庇護しなければならないということではございませんので、庇護しても決して悪くはないと申しますが、庇護してもそれをとやかく相手の国から言われないということでございまして、その点は政策の問題として、いわばとどめようが、あるいは強制退去させようが、政策に理由があればよろしいのではないかと私は存じております。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 こういう問題の政治犯なり政治亡命ということの概念というものは固まっておらぬし、私も必ずしも狭く解釈する立場をとっているんじゃないんです。むしろ事情が許せば、できるだけ寛大に考えていくという考え方なんです。ただ、本件のように重大な人道上の犯罪を大量に犯しておる、しかも主観的にそういう人が主張しておること、この二つを一体比べてどちらに重きを置くのか。これは日本政府考え方の問題だと私は思うんです。ここまでくると、私たちは、そのいかなる多少の理由があっても、殺人といったようなことは許されない。これは左右両方に対して私たちはそういう考えを持ちます。ところが、日本政府がこの事件処理した考えの背後には、反共ということであれば、非人道的なことをやっても動機のほうが大事なんだ、こういうふうな価値判断をやっておるように思うんです。私はここに問題があると思うんです。法務大臣は先ほど、人道的な立場韓国へ返した、こう言われる。それは反共を四名の方が唱えておるから、法務大臣はそう言うんでしょう、突き詰めていけば。いや、そうじゃない、死には死をもって報いるべきじゃないとか、いろいろなことを言われるのかもしれないが、それはっけ足しなんです。深く検討すれば、この人たちは反共を旗じるしにしておるから、この殺人行為をやっておるけれども、守ってやらねばならぬ、そういう考えが背後にあるんですよ。人道主義的な立場に立ってやったと言いながら、それならば一体七名の方を射殺した、この点をどう考えておられるんですか。これがまずそれに先立つ非人道的な行為じゃありませんか。非常な私はそこに——こまかい概念規定などを求めているんじゃない。先ほどからの質疑応答で大体問題点が煮詰まってきた。亡命的あるいは政治犯罪的というのも多少弱まったが、競的に言えば、そういう動機と現に行なわれた行為——動機がいかにりっぱであっても、非常に大それたことをやった場合は、普通なら認められる政治亡命者でも認めてはならないと言う国際法の学者があるわけですね。私は、このほうが今後の世界の人類社会の発展ということを考えたら積極的な前向きな解釈だと思う。そういう点から言いますと、この七名の方を殺しておいて、そうして人道主義的な立場処理したんだといったようなことは、全くこれは筋が通らぬ。法務大臣の最終的なこの点についての考え方を私はもうう少しはっきり聞かせてもらいたいと思う。人道主義は私は賛成なんです。賛成なんだが、一体七名の方をどう考えるか。あれは社会主義共産主義者だからそれほど重く考えないんだということなんですか、そこら辺をはっきりここで私は答えてほしいと思う。重大な問題です。
  16. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連して。ぼくは、いま亀田君が言ったのは当然だと思うのです。政府当局の答弁を聞いていると、いわゆるこれを法律のほうに曲げてしまって、法律解釈いかんによってこれをごまかしていこうというふうに、皆さんやっておられるようでありますが、皆さんの答弁を聞いておって日本の国民がはたして納得するかということなんです。だれも納得しないと思うのですよ。朝鮮の人も納得しませんよ、そういう答弁では。そういう法律解釈でごまかそうとするような答弁では納得しません、それは、いま亀田君が言ったあの線ではっきりあなた答弁をする必要があると思う。第一、これを所を変えて、場所を変えて、日本の船が公海上で七人の人を殺して、そうして北朝鮮の港に逃げ込んだとする、そのときに皆さんはいまのような態度でおれますか。そういう解釈で済ませますか。そういう解釈をして、日本人たち承知しますか。おそらくそのときは、あなたたちはまた別な解釈をするだろうと思うのです。その点、日本の船がそういうことをやった場合、あなたたちはいまのような態度でおれるかどうかということをはっきりひとつここで答弁をしてもらいたい。
  17. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 公海上においての殺人日本の力の及ぶ範囲でない問題だということは最初に申し上げました。日本に来て、日本の法の及ぶ範囲ということによって日本の法は適用されるということは、もう百も御承知だと思います。でありまするから、私どもの心持ちもさっき八木局長も言いましたように、そういう事件があったことを頭に入れて、国内にとどまることはお断わりしたということを申しておるわけでございます。これを、それではその所属国と申しますか、旗国主義によって、平新艇北鮮の船であるから北鮮に返せということをおっしゃった。北鮮に返したら一体どういうことになりましょう。私は、日本の国の世論はそのほうが大きく反対だと思います。ただいま、この日本政府のやり方に賛成する者がないとおっしゃいましたけれども日本政府のこの判断に賛成する者のほうが大部分だと私は思うのであります。このごろの新聞等をごらんになれば、あるいはそのほかラジオ等もごらんになれば、大体私は、私どものやったことを一〇〇%は支持せぬでも、まあこのくらいのところが落ちつく場所ではないかというふうに見ている方が多いように思うのであります。完全無欠ではないかもしれませんが、まずこのくらいのところがいい判断じゃないかと私ども思っているわけであります。人を殺してきたという事実があるために、非常に私ども心配いたしました。慎重にそれでいろいろな点を研究させましたわけであります。そうしてこういう決断をしたわけでございます。人道上云々と申しましたのは、日本に入ってきまして、日本の法の及ぶ範囲において彼らを処理する、この場合にどういう態度日本政府がとるかというときに対して、人道的にこれを処理した。何もそれだからこの人たち韓国にやろうときめたわけじゃないのです。そうきめて話を持っていったわけじゃないのです。もしこの人たちがあるいは香港に行きたいということであれば、香港にやることも私は賛成いたします。そういう意味人道的だという意味でございます。私の言うたのが間違っておったら、誤解を招いておったら、そういう意味に御了承願いたいと思います。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 まあともかく、私はこの今回の四名の扱いというものは国際慣例に反すると思うのです、殺人行為というものがあるだけに。これは調べてごらんなさい。そういうもののない場合のことと、ある場合とは、非常に違うのです。大事なことですよ。したがってそういう慣例に反し、また共和国のこの裁判権というものを結果においては侵害しておることになるのですよ。その国を認めておる、おらぬ、そんなことは別の問題です。そういう意味で、これは非常な悪例を残したものであると、まるで殺人犯罪人を擁護しておるような結果になっているわけですね。はなはだ残念です、そういうことは。で、大臣はこの措置が非常に大体これで納得してもらっているのじゃないかというふうなことを言われますが、大臣が言うようなものでは必ずしもございませんよ。たとえば毎日新聞の「余録」ですね、朝日の「天声人語」と同じところの「余録」、「余録」ではこのことについてこういう見解を出しておるのですよ。大津はあるいはちょうど関係がある事項ですからお読みになったかもしらぬが、ちょっと申し上げてみましょう。三つの考えがここに集約されております。その一つはドライに割り切れば全部を共和国に返すことだ。割り切ってものを考えるなら、四人も含めて全部を共和国に返すことだ。ところが第二として、この四名について政治犯的な考慮をしなきゃならぬということになると問題は多少複雑になるが、しかし日本から直接この四人の者が韓国に行くということについては日本人の道義心が許さない、こういう意味のことを書いておられます。だから、政治犯的な要素があっても、やはり何といっても世界共通、どこへ行っても弁明の余地のない行為、それをやっておるわけですから、この政治犯的要素を考えるにしても、日本から直接韓国に四人の者が行くと、これは日本人の道義心が許さない。で、結論として、ワン・クッション置いて考えたらどうか。たとえば国際的な亡命センターといったようなものがあります。そういうところに行くようにして、そうしてしばらく時間をかけたらどうか。四人の意思の確認ということも、非常に騒々しい中で必ずしも十分ではないようだ、こういうことが——これは一種の折衷案ですね、こう出ておるのですよ。この中で私が非常にうれしく思うのは、理屈はどうであれ、殺人というようなことを犯してきた場合に、日本人の道義心が、簡単にそういう問題を、政治犯じゃ、共産主義反対じゃ、だから擁護してやれと言わんばかりのことには抵抗を感ずる。こういう考え方が出ておることは、私は非常に頼もしく感ずるわけですよ。大臣、そんなあなたの処置にみんなが納得しておるなんていうことは、それはちょっと思い過ぎですよ。まあ答弁に立てば一応そういうふうには言いたいところでしょうが、どうなんですか。この「余録」はごらんになりましたか。
  19. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 一々の新聞に、これは賛成、これは反対と言って、それにどうだとかということを私がいま申し上げたわけではない、大体論を申し上げたのでございます。そうすると、賛成はこうだということになりますが、私は、さっき申しましたように、私どものとったのが一番いい、これほど完全なものはないということを申してないのであります。しかし、あの場合としてはこういうところがまずまずのところではなかったか。そうして、それはどこの国の容喙も受けたわけでもなく、またさっきのように、共産主義とか反共であるとかいうようなことを考えて私どもはこの処置を一切いたしておりません。これだけははっきり申し上げておきます。私どもは、どうしたらこの事件をきちんと片づけることができるかということのみに頭を置いてものを運べということを初めから私も申しております。そのとおりにやったつもりでおります。そのやったことに多少の批判を受けることも——あなた方も御批判なすっておりますが、そういうふうな声のあることももちろん承知いたしております。だから、百が百私の言うたことがみな賛成をいただいていないことは承知いたしておりますが、大体はこんなところでしかたがなかったのじゃないかと聞いていただいているのじゃないかということをさっき申し上げたわけございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 基本的問題はこの程度にしておきますが、次に、韓国へ行ったのは本人希望だ、それを尊重したのだ、こういうふうな意味のことを言っておられますが、この四名についての意思の確認というものは、これはきちんとできておるのでしょうか、調書は一体どうなっているのですか、それを明らかにしてほしい。
  21. 八木正男

    説明員八木正男君) 四名の者は検察庁の取り調べの際に韓国へ行きたいという意思をはっきり申し述べておりまして、それは調書に記載がございます。また同じことを、入管で違反調査をやったときにも、韓国に行きたいということを申し立てております。それから、この四名に対して、朝鮮総連のほうの側からも意思を確認する意味で面会したいという希望がありましたが、四名とも絶対に会わない、そういう意思がないと言って言い張るものでありますから、会いたくないものを無理に会わせるわけにいかぬので、結局会っておりません。しかしこの四人が韓国へ行きたいという明確な意思を持っていたということは、検察庁のほうにも、私のほうの入管調査の場合にも、明瞭に記載されております。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 この主犯の関という人はもちろんそういう考えでしょうが、四名の方はなかなかニュアンスがあるんじゃないですか。初めからきちんと、いま局長が答えられたようなことになっておらぬじゃありませんか。  それに関連するわけですけれども、実際に引き金をひいて七名を殺したのは、これはだれとだれですか。たいした役割りを演じておらぬ人が自分の身の振り方について非常に悩んだのじゃありませんか。その前提として、その点をお調べになっていると思うから、ちょっと聞いておきます。
  23. 常井善

    説明員常井善君) 刑事事件の捜査の過程で先生のいまの御質問のことに関係いたします点は、閔庚泰と李燦虎、この二人が実行行為者であり、首謀者でございます。張大衡と安平録という二人がこれに加功しております。もちろん共謀もございますし、現場での共同加功もございますが、どちらかといいますと、見張り的な役割りをつとめてまいった、かような状況でございます。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 私たちもこれはそういうふうに聞いておるのですが、したがって、安とか張とかという人は、これはもう閔、李両君からおどされてやむを得ずお手伝いするかっこうになったというのが私は真相だと思う。したがって、この帰国の問題につきましても、必ずしも入管のほうで結論を出しておられるようなことではないようにわれわれは思うのです。ただ、これは想像で言うのじゃなしに、たとえばここに写真がある。これは下関の拘置所の写真ですね。これは朝総連の方が四名の方に対して面会できぬものですから、やむなく外から共和国に帰るように呼びかけた——安平録という人の名を呼んで呼びかけたところ、それにこたえて手を振ってくれておる、そのときの写真です。刑務所の目隠しが高いものですから、手だけしか見えないわけですけれども、これから見ても、安平録は手伝わさせられた、そういうところとも一致するわけですね。あるいはまた写真はとれておりませんが、ほかの房からもきれを手で振るということが、これはもう事実あるわけなんです。で、おそらくそれは張ではなかろうかとみんなが言っているわけです。そうしますと、本人の意思で処理したというふうなことを言われますが、その点自身が私は本件では相当あいまいではないか、そういうふうに思うのですよ。私はそのためにも、「余録」で指摘されたような措置、そういうことが最小限度やはり必要なんじゃないか四名を拘置所のほうに入れて、そうして日本の役人と民団系の者だけがこれを取り囲んでおる、そういう状況の中でほんとうの気持ちというものがはっきり出るものでしょうか。出しにくいのがほんとうでしょう。しかも、現実にはこういう手を振ってこたえておるのです。書類さえちゃんとできておればそれでいいというもんじゃ私はないと思う。重大なこれは人道的な問題なんです。そうして、房に入っていた状況などを聞きましても安平録などは最後まで非常に悲しんでいたということも、これは役人から聞いているのです。そういう状況を皆さんは知っているのですか。もう書類にちゃんと韓国へ行くと書いてあるからそれでいいんだと、そんな簡単なことじゃ私は済まされぬと思うのです。私がいま指摘したような一体情報というものは入っているのですか、どうなんですか。
  25. 八木正男

    説明員八木正男君) 御承知のとおり、共産国などから無断で脱出したような人間がありますと、その者たちの家族が非常に迫害を受けるということをわれわれ聞いております。この十三人全員がそういうことは当然考えておったことでありましょうし、いわんやその中で、日本亡命したいとか、あるいは日本へ置いてもらえないからそれじゃ韓国に行きたいということを申し立てた四名につきましては、特にそのことを痛切に感じたと思います。私は、いま何とかという男が悲しんでおったというお話がもしほんとうだとすれば、やはり自分が行ったために肉親があと迫害されるだろうということを想像して悲しんだことだろうと思います。しかし、この事件が起こりましたときに、これは最初に私ども入管としてはっきり腹をきめたことは、これはとにかく政治亡命的な問題については、あくまで本人に自由に自分で落ちついて考えて、前後の事情を十分に考えた上で、その上でも亡命したいというかたい決意があるのかどうかという点を十分にわれわれ納得できるまで調べる必要があるということでございます。そこで今度の問題について、もちろん下関の入管の前に何百人というような大ぜいの人間が朝から晩まで怒声を張り上げておる、そういう中でことばの通じない国の役所に収容されて自分たちはどうなるかわからぬというような精神状態にある人間ですから、なかなかわれわれが言うように冷静に考えろと言っても無理かもしれません。そこで、この四名については、検察のほうで拘置所に入れまして、外部のそういった影響からできるだけ切り離された状況のもとに、しかも自由に自分の意思を述べる機会を検事から与えられて陳述したに違いないわけであります。内容は私読んでおりませんけれども、そういうことはわれわれとしても初めから疑いを入れておりません。したがって、そういう自分亡命することによってまわりの者がどういう犠牲を払わされるかということは、こういう全体主義の国の人間は当然よく知っていると思いますので、それらを十分に悩み、考えた末に行き先を申しているというふうにわれわれは了解しております。また一々調書のこまかい点——どういう方法でどんなふうに話したかという点につきましては、もし必要がありますれば、私どもの警備課長が担当しておりますので、警備課長から説明していただきたいと思います。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 時間の関係もあるから、その調書などは、これは資料として出してもらえますか、どうなります。非常なわれわれとしてはその点について疑問を持っておるわけなんです。
  27. 八木正男

    説明員八木正男君) 起訴猶予になった人間の調書というものはいままで出していないようでございますので、われわれとしては出さないつもりでございます。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 まあ不必要なものまでこちらが提出を求めるわけじゃないわけでして、疑問がある、これについて。だからこれは出さなければ、いずれ調書の内容についてさらに尋ねる時間を持つかもしれません。きょうは最初で、いろいろ触れたい問題点がありますから、四人の問題については一応この程度にして、次に九名の問題についてひとつただしたいと思います。  この九名は、もちろん犯罪人ではなく、全く不本意に連れてこられたということは、これは明白なわけなんですが、ところがこういう方に対する下関の入管当局の仕打ち、これは全く私はひどいと思っておるのです。九名の方は本国に帰るわけですが、本来は特に質問の対象にする必要もないわけですが、しかしああいう現場を見せつけられては、私は今後のために質問せざるを得ない、そういった気持ちでお尋ねをしたいと思う。  その第一は、任正甲ら九名の方が、入管の収容所の中で職員によって暴行され傷、害を受ける、こういうことが起きているわけです。単なるうわさじゃなしに、その結果を私は二十六日の日に、於保弁護士、角銅弁護士、三人で九名の方全員に会って確認をしてきたわけなんです。入管の所長にもそのことを指摘して抗議を申しておきましたから、おそらく皆さんのほうもこの問題はきょう質問を受けるだろうということで準備しておられると思いますが、一体こういう事実をどう中央では理解しておるのか、明らかにしてほしい。
  29. 八木正男

    説明員八木正男君) 九人の者が下関の入管に身柄を引き渡されまして後のこまかい個々の動作、挙動などにつきまして、私は詳しく存じておりません。警備課長から補足してもらいたいと思いますが、私どもの知っているところでは、下関の入管職員十二名が負傷しております。中の一名は胸部打撲、肩の打撲によって呼吸困難を訴えており、十日間の安静加療を命ぜられております。二名は腕に咬傷——かみつかれた傷あとがありますが、咬傷を負っております。なぜこういうようなことになったか、いろいろ事情はございましょう。たとえば、最初に身柄が下関入管に到着したときに、入管の警備官が収容に当たったわけでありますが、私どもの想像では、入管の警備官の服装は警察官と非常に似ておりますから、この人々が何か警察に連れてこられたような錯覚でも起こして入るのを拒んだのかもしれません。いずれにしろ建物のまわりにはたいへんなデモが占めてばりざんぼうをやっておる、そういう異常な雰囲気の中でこういう連中が急に中へ入ることを拒否したという場合に、職員としては収容する義務がありますから、腕を引っぱったり、足を引っぱっても入れるのがあたりまえであります。たとえば、収容されたあとで、窓の下でいろいろな連中が大声でいろいろなことをやる、そういうのを、それに応じて顔を出したり何かするということから、不測な事態が起こっても困るので、外へ見えないように幕をおろしたところが、それを引き裂いた、あるいは床板をめくったり、そういうような器物損壊をやっておる。口で言ってわからなければ、手錠でもはめてやるよりしょうがありません。はめてもらっては困るという連中に無理にはめようとして、少しくらいすりむくことがあるかもしれません。ふだん入管の人間にいつも言っておりますが、一応入管事務所を視察しておりますけれども入管の警備官というのは、警察官に比べて、私は歯がゆいくらい人がよくて、おとなしい連中なんでありまして、そういう非道な暴力をもって収監された者をいじめるとか、そういうような勇気のある者は全然いないくらいでありまして、私は、どういうふうにおっしゃっても、この問題は、現在告訴されておりまして、検察庁が調べておりますから、いずれ内容が明白になると思うので、その結果によってお話し申し上げるほかないと思いますが、少なくとも私どもとしては、入管の職員が不必要な暴力をふるって九名に傷を負わせたことは絶対にないと私は断言いたします。
  30. 常井善

    説明員常井善君) ただいまの御質問に関連してでありますが、本件につきましては、亀田先生ほか多数の方々から告発がなされまして、山口地方検察庁の下関支部が九月二十七日これを受理いたしました。取り扱いの公正を期するために、山口地方検察庁本庁に事件を移送いたしまして、それからまた、平新艇事件関係いたしまして、多数の検察官が取り調べに当たったのでございますが、そういう人たちを除きまして、全然関係のない検事を主任検事として捜査に当たらせております。なお、本日午前中この九名は日本を立ったわけでございますが、大至急その立つ前に検察官は調べに当たったというふうに聞いております。今後はやはり厳正にほかの証拠につきまして取り調べに当たるということに相なるわけでございます。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 この九名の方が十九日ですか、船から入管に移される際、急に平新艇から外に出されるわけでして、どこに連れられていくのかわからぬ、そういう恐怖心、あるいは民団の旗がたくさんあるといったようなことから、抵抗があり、若干の混乱があったようです。それは私たちもそのとおり実際に見た人から聞いております。そのときの写真がここにありますが、これは負傷するほどそんな大きなものじゃありません、この写真に写っている限りでは。私たちが書っておるのは、入管にきちんと入ってから以後、二十二、三日ごろから二十五日にかけて暴行行為が行なわれているのです。いま局長のお話ですと、入管の職員も十二名くらい負傷しておると言われます。それならば、一体九名の方の負傷というものをあなた認めておられるのかどうか。いきさつは別ですよ、自分らのほうだけ堂々とおっしゃって、相手方が訴えておる、いきさつは刑として、結果というものは一体局長は認めておられるのかどうか、負傷しておるということ自体は。逐次聞きますから、その点だけをおっしゃってください。
  32. 八木正男

    説明員八木正男君) 私が聞いたのは、何か手首に手錠をかけるときすりむいたということは聞いております。それ以上のことは、警備課長が現地の報告をとっておりますから、警備課長からお答えいたしたいと思います。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 私から問題点を指摘しまして、それから警備課長答えてください、そのとおりかどうか。九月二十二日から二十五日にかけて入管事務所四階の収容所の警備に当たった職員から受けた暴行傷害です。その第一の任正甲、これは二十八歳ですが、二十五日に受けております。右足と背中をなぐられて傷を負っているわけです。それから白成徳十九歳、九月二十一日、右手首と肩に傷を負わされております。それから方正昌二十七歳、これは九月二十五日、右手首に傷を負わされ、さらに鼻を打たれて鼻血を出した。下着にも血痕がついております、血のあとが。私もそれは現認してきました。それから朴永希二十九歳、これは二十三日に右手首に傷を負わされております。印光復十七歳、これは二十三日、右首筋をけられております。それから李徳成十八歳、これは二十三日に右手首に傷を負い、足、それから胴体をなぐられております。それから金基峰三十八歳、これは二十五日に右手をひねられてなぐられておる。それから朴尚烈三十一歳、これは二十二日です、右手首に傷を負う。それから金成浩二十七歳、これは二十五日に左足、右頭部をなぐられ、腰等をくつでけられた、こういうぐあいでありまして、こういうことがかいつまんで結論のところなんですが、そういう傷害の結果のあることを、経過は別にしましよう、それは現認しておりますか、警備課長
  34. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) いま御質問にありましたようなこまかな傷、受傷の有無というものについては、具体的にまだ報告を受けておりませんので、正確なお答えはいたしかねます。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 警備課長がよく知っているようなことを局長が言われるからお聞きしたんですが、新聞にもそういうことが報道されているわけですし、きょう委員会があるといえば、当然資料を持ってきてもらいたかったのです。これはもっときちんとお調べを願ってほしいと思います。
  36. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) 承知しました。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 これは決してわれわれがありもしないことを大げさに言ってるわけじゃないわけでして、私たち三名の弁護士が九名の方に一々確かめてメモをしてきたわけです。これがメモです。ちゃんとあるわけです。しかしまあ、こちらの聞き違い、書き違いということもあってもいけない、そういうことから、九名の代表者に当たる任正甲という人に書いてもらったものがあるわけです。われわれが面会中に朝鮮の文字で質問を出して書いて、その余白のところに書き入れてもらったものがある。これは念のためと思いまして、入管の下関の事務所にもこの書き入れてくれたものを置いてきました。だから皆さんのほうにあるはずです。この直接書いてくれたものを見ましても、二十五日に暴行を受けたと。これはもうきわめて短時間のうちに一人が書いたものですから、必ずしも正確でないかもしれません。二十二とか三とか、そういうことは回答には入っておりません。二十五日暴行を受けたと。暴行を受けたのは九名、全員名前を書いてあります。この中で負傷を受けた者は四名となっておる。で、暴行を加えたのは十五名と書いておりますが、これは相手をよく知らないわけだし、延べ数といいますか、そういう感覚であるいは書いておるかもしれません。同じ人が二回出てきておってもそれは一人というふうに、よく知らぬ間ですからなっているかもわかりません。十五名というのは多いから、こんなものはいいかげんだと、そんな悪い解釈をせぬように検討してほしい。それから手錠をはめられたのは九名全員と書いてありますが、名前は八名しか書いてありません。とっさの間ですから、あるいは一名書き落としておるのかもしれません。それから手錠をはめられ、くつでけられ、こん棒でなぐられたと、こういうことも朝鮮文字で付記しております。で、私たちが面会して、そうしてメモをしてきたものと、直接任正甲が書いてくれた内容、大体合っているわけですね。だから、そういう意味でひとつ次回までにきちんとはっきりしてほしいと思うんです。普通の常識から言うならば、何といったって収容をして取り巻いておる入管のほうが優位な立場にあるはずです。その優位な立場にある人が負傷を受けたなんということを——それはどの程度か知りませんが、そういうことを言う以上は、相手のほうにはもっとひどい状態があるのであろうと、こんなことはしろうとでも想像のつくことですね。——経過は抜きにしましょうよ。これは検事さんがじっくり双方の言い分を聞かなきゃわからぬことですが、その結果も、相手方については握っておらないというようなことでは困りますよ、そんなことでは。  それからもう一つついでに参考までに申し上げておきますが、三十日に李海撤という、これは昭和大学の医学部の先生で医者ですが、総連から依頼を受けてこの九名の方の診断に当たったわけです。その方の診断書の手控えが私のところにあります。それによりますと、全部負傷しておりまして、なかんずく印光復、金基峰、それから金成浩、この三名は後遺症が残るだろうというふうに診断をしております。こういうわけですから、私も現に九名の人を見て、そういう傷害を受けていることは目で見てきました。そのほかにいま申し上げたような物的な書類というものがあるわけでして、何だったら李さんなんかにも当局として聞いてもらったらこれははっきりわかると思う。明らかにしてほしい、公に。いま私が指摘したようなことをずっと検討すれば、現実にどういう結果が起きているのかということが明確になるわけですが、これは次回までにきちんと文書にして出してもらえますか。口頭ではなかなか程度の問題など微妙でしょう。どうでしょう、調べできますか。
  38. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) 暴行事実の調査につきましては、現在検察庁において取り調べをしておられますので、その結果を待ちたいというふうに基本的には考えております。しかしながら、いまお話しの各収容者につきまして、傷害の有無につきまして調査をする必要があるということでありますならば、下関入管事務所のほうに対しまして照会の上、回答を得たいというふうに考えております。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 それはちゃんと照会して、きちんとはっきりしなければだめですよ、私も詳しく材料を持っているのですから。きょうは最初ですからそんな程度の答弁で済むかもしれませんが、次回はそんなわけにまいりませんよ。次回でもなおかつ明らかにされぬというのだったら、これは意識的に暴行行為をかばっているというふうなことにもなるわけでして、そんなことにならぬように、はっきりしてほしいと思います。私たち三人の弁護士が本人たちに会って一々聞きましたのは、これは入管の職員数名が立ち会っているわけです。そんなうそなど、いいかげんなことを言えるような雰囲気じゃないわけなんです。そういう中で、ほんとうに憤慨して、われわれに場所などを示しながら説明してくれているわけです。だからはっきり調査をしてもらう。  それから次に、暴行問題はそれくらいにしておきますが、下関の入管のわれわれに対する扱いですね。これは私はあちらこちら検察庁なり警察なり入管なり行くわけですが、あんな扱いを受けたことはないですな。これはひどいものですよ。結局私があとから思ったのですが、なるほど私たちが会うと、そういう暴行傷害を受けたなま身のからだを見られる、こういうことをきらって、われわれの面会を何とかさせぬようにしたものだというふうにしか理解できないのですね。会うのに、われわれ十二時ごろから交渉して、夕方までかかっているのです、その交渉に。向こうとしてはもう少しねばっておったら五時の役所の時間がきてしまうというような見当をつけておったのかとも邪推すれば思うのですがね。はなはだこれは心外です。そこで私一、二申し上げましょう。私が弁護士として、長い交渉の結果、九名の方に会うということに話がようやくまとまりました。二時ごろです。そうすると、今度は、弁護届けをまず検察庁に出してくれ、こう入管所長は言うのですね。何でそんなことをするのですかと言うと、いやそちらのほうから本人に弁護届けを持っていきます、こういう話です。それはおかしいじゃないか、弁護人というものは本人に会って、そして自分はどういう者かということを言う。相手のほうもそうですかということで、そこで初めて書類が書けるわけなんです。それを見も知らない、しかも役所の検事さんを通じてそういう書類だけ出したって、私には弁護届けを渡してくれるやらくれぬやらわかったものではないのです。常識で考えたってわかることでしょう。弁護届けは私が会ってそこでもらうのだと言うても、いやまず弁護届けが向こうから出て、それから弁護士として会ってください、会うまでは弁護士じゃないのだというようなへ理屈をつけて、何としてでも事がはかどらぬ。まあそのうち支部長検事に、ここの所長はこんなことを言うておるのじゃがと言ったら、支部長検事のほうは、私のほうからそんな白紙を持っていくわけにまいりませんよというようなことがあったりして、それじゃ私が会おうということになりました。要するに意識的な妨害なんです。そんなばかな、弁護届けの取り方を知らぬなんていうことはありっこない。それから今度は、私が会うについて、於保弁護士と角銅弁護士が前から会っておるから——若い人です。——一緒に会いたい。そしたら、これがまたいかぬというわけです。それは、急にこの中央から弁護士が来る場合には、いままで接触し世話をしておった若い人が一緒について会うというのは、これは慣例なんです、こんなことは。しかも弁護士でしょう。それを会わすの会わさぬのと言うて、また時間がいたずらに空費しました。私にしてみれば、やはり非常に政治的に微妙な関係にある問題ですから、前からついている於保弁護士、角銅弁護士が、本人たち自分らのほかに今度はこういう人がついてくれることになった、説明しなければつながりがわからぬわけでしょう、中に入っている被収容者にしては。そういうわかり切ったことをまた四の五の言うて、ずいぶん時間をとりました。今度はそれも片づいて、三人で会おう、時間がと言ったら、三十分だと言う。九名三十分、しかもこれは通訳が要るわけです。そんなむちゃくちゃなことがあるものですか。通訳を入れれば半分ですわね、常識的に考えて。そんなことどこできまっているのかと言うと、規則である。それは普通の場合はそうなんだろう。普通の場合はそうであっても、こういう通訳が要る。そうして九人もいるということになれば、多少それは手心してもいいんじゃないかと言うと、いやそんなわけにいかぬ。だんだん時間がたっていくんですね。私たちもだんだん向こうの手に乗っているように感じたものだから、それじゃ三十分でもよろしい、そのかわり九名一緒に会おう、そう言ったら、それはいかぬ、こう言うわけですね。それからすったもんだやって、ようやく三名づつ三つに分ける。そうすると、一組み十分ということになる。法務大臣、こういう非常識的なことを一体やらしておいていいんですかね。私は普通ではこんな非常識的なことは起こらぬと思う。いま会わせると、きのうけがさせたのがどうも見られる。私は会った後にほんとうにそう思ったのですが、そういうことが九名の諸君について行なわれておるのです、現に犯罪者でも何でもない人に。犯罪者に対してはきわめてこう人道的な扱いというふうなことを言われながら、犯罪者でもない、全くこれは避難者みたいなものですよ。暴風にあった避難者みたいなもの、そういう人に対して何でこんなことまでする必要があるか。私も本省に電話した、だいぶん。一体本省でこんなことを制限しておるのかどうかというふうなことを言うたりしましたが、これは一体何であんなことをするのかいまだに私はわからぬ、本心が。大臣はそんなこまかいこと知らぬでしょうが、局長どうですか。これは知っておるでしょう。私もそういうことで下関からわざわざ電話した。私のした電話、電話賃が払えないというようなことまで言われて、払ってきましたよ。しかし、これは公務でやっておるのですよ。個人的に私の友人に電話しておるのと違う。そういうようなことまで私に言うというようなことは、普通ではないですよ。  局長どう考えますか。調べてください、そういうことが知らなかったなら。どうです。
  40. 八木正男

    説明員八木正男君) 非常に予算のない役所なものでございますから、長距離電話料を請求したことは申しわけないのですが、今後ともそういうときには必らず払うということはあると思います。  いまの面会の件でございますが、私どもとしては、弁護士の——私実は個人的には刑事訴訟法などはあまり詳しくございませんから、選任の手続などということは存じません。しかし、入管には検事出身者が大ぜいおりますから、そういう点については十分検討した上で必要な指示は担当課長から出したわけであります。警備課長から知っておる範囲については説明があると思います。それ以上のことにつきまして、もし何か手違いがあったり、あるいは十分でなかった点があったりすれば、それは突然こういう大きな事件が起こり、そうして連日たいへんな人が動員されて、はなはだ異常な雰囲気にあったというところで、ふなれな職員が何か失策をしたことがないとは言い切れないかもしれません。問違ったところがありましたらいくらでもおわびいたしますが、向こうが指示を受ける必要があると思えば、当然入管に問い合わしておるわけでありまして、われわれとしては与えた指示の範囲内で処理をしてきたものと考えております。詳細につきまして、もし警備課長知っておる範囲につきましては、説明さしていただきます。
  41. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) 被収容者との面接につきましては、方針といたしまして、この事件が非常に保安上問題のあるケースでございますので、一般第三者には会わせないという方針を出しております。ただ刑事弁護人につきましては、これは刑事上の事件がいまだ係属しておりますので、防御権との関係で会わせるようにとの指示もいたしております。亀田先生がお見えになりましたときに、弁護士として会わせろというお話が最初あったように聞いておるのであります。弁護士としてということではやはり現地としては困るのでありまして、刑事弁護人の選任の手続を踏んだ上ということをおそらく申したのであろうというふうに思います。選任の手続につきまして、現場の所長が、いま亀田先生のお話のような様子ですと、多少混乱、混同があったようにうかがわれるわけでございますけれども、たてまえとしては、刑事弁護人の場合には、われわれの調査審査の手続、それにやはり在宅事件として検察官が捜査を続けておりますので、検察官の捜査の手続、それを阻害しない範囲内においては会わせるようにという指示をいたしておりますので、その観点に立って、接見の時間とか、人数とか、そういうものを勘案して現場は指示したのであろうというふうに考えるわけです。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 支部長検事にもその前に会いましたが、支部長検事は、最終処分は終わっておらぬがこの九名の方は犯罪人ではありませんとはっきり言うておるのですよ。会うのだったらどんどん会ってもらっていいと、検察庁のほうで特にそういう点についての支障などはありませんと、午前中に私たち会ったときにそうおっしゃっているのです。入管令立場からいけば、六十一条の七という条項がありますね。保安上差しつかえある場合以外はできるだけ自由にしなければならぬと、そうなっているのでしょう。一体、弁護士が会うのに、何かこれ保安上差しつかえがあるのだろうか。ことに前に会ったことのある二名の弁護士と私が会うのに、何か公安上支障があるでしょうか。入管令の規定から言うならば、原則はこの被収容者はいわゆる犯罪人と違うのだからできるだけ自由にすべきだ。制限するのは、これは例外的な書き方をしているのでしょう。私は、そういう法規のたてまえから見たって、まことにけけしからぬ措置だと思っているのです。なぜ私はこういうことを申し上げるかというと、罪のない九名に対して全体としてそういう姿勢で当局が臨んでいた、これを私は残念に思うからです。反共という旗じるしさえ出せば殺人行為やったって手厚くする、はなはだこれは片手落ちです。そういう一つの例証としてこのことを申し上げておるわけです。だから、事実をもつと調べてください。  で、やはりこういう扱いに関連することですが、これも人道上の問題ですが、九名の方が、朝鮮人の方でよくことばのわかる医者に見てもらいたい、また朝総連の方も、そういう方に一度見さしてほしいということを何回も入管当局に要請しておるのですが、最後までこれが認められないで、先ほど申し上げたように九月も三十日になってようやく李海撤さんに見てもらった、こういうことなんですね。なぜ、こういう現に傷害を受けておるのに、ことばのわかる親切な医者に見せてほしいという、そういう要求をこれは断わるのですか、犯罪者でもないのに。おかしいと思います。そういうことはあなたのほうでわかっておらぬのですか。局長か警備課長、どっちでもいい。
  43. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) 収容中に在日朝鮮総連側から推薦してまいりました医者が、たしか私の記憶では三名でございますが、入管へ参ったということは聞いております。その際に、その時点におきましては少なくとも入管の職員が収容されておる者たちから診断を要求されておったというような事実はありませんでしたし、また診断を受けさせなければならないような心身の異常が認められたような状況ではございませんでした。一般に被収容者に心身の故障がある場合は指定医に診断させるというのが入管処理方針でございます。その意味合いにおいて、これはおそらく外部から特に総連の人が連れてきた医師というものに対しては診断をさせなかったのであろうというふうに考えます。三十日に一人医師が参りましてこれは本人たちも診断を受けたいということであったので、これは会わせたというふうに聞いております。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 入管の指定医というのはだれで、その人は九名の方について診断をしたのですか。
  45. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) 被収容軒が収容中に医師の診断を受けたいという要望をしたというふうには聞いておりません。  それから、指定医は下関にはございますが、私いま氏名は存じておりません。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、結論としては、指定医は診断をしておらぬということですか。
  47. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) おりません。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 ともかくこれだけの傷害が出ておるのですよ、後遺症まで残るような。それで、三十日に李さんが会って非常に憤慨して帰っておられるのです。これだけの傷害を受けておって一つも治療をしておらない。全く言語道断ですよ、これは。こういうわけで、最初の四名と七名の扱い、はなはだしくバランスがとれておらぬです。私は政治的な立場でそういうことをやっちゃいけないということを強くここで要求しておきます。  そこで、告発状が正式に出ているのですが、被害者からの。被害者の調べはしたと言われますが、調書などはちゃんとでき上がっているのですか、九名とも。
  49. 常井善

    説明員常井善君) 検察官が取調べたというふうに聞いておりますが、供述をする人も若干はあったそうでございますが、大体供述を拒否し、また供述をしたといたしましても署名を拒否して、所期のとおり思うような調べはできなかったやに聞いております。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ、被害者の調べが十分できておらぬということになるわけですが、供述を拒否した理由なり気持ちは別として、結論として十分できておらぬということになりませんか。
  51. 常井善

    説明員常井善君) あるいは結論としては、この九名の方にはそういうことに相なるかもわかりませんが、その他に状況証拠、あるいはさらに容疑者を調べるという方法もございますしまた、そういう九名につきまして結論に至った理由につきましては、またそれなりの理由があるように聞いております。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 加害者のほうはどういう取り扱いになっていますか。
  53. 常井善

    ○説明賃(常井善君) 目下各人別に次々と調べ中だというふうに聞いておりますが、告発状に加害者の特定がございませんので、結局関係ありと思われます全員に対して幅広く調べを進めなければならないというふうに聞いております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 検察当局では調書は取れなかったかもしれぬが、九名の方の負傷とか、そういう結果起きておる傷害ですね、身体上の、そういうところは少なくとも確認してありますか。
  55. 常井善

    説明員常井善君) この点、捜査経過につきましてまだしさいに聞いておりませんが、私がつい最近承知した範囲におきましては、その傷害の部位程度、そういうものを確かめようとして本人たちに説得しても、自分たちはあなたたちにそういうものを見せるつもりはないと言って、その調べに応じなかったというふうに聞いております。ただし、その一々こまかい正確なところまでは、まだ経過中なもので、私は必ずしも正確なところまでは聞いておりませんが、現在そのように承知しております。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 それは非常に残念なことですね、そういうことは。そういうときにこそ、この地元にも告発をした専門の弁護人がおるわけですから、その弁護人を呼んで、弁護人から、この取り調べの趣旨はこういうことだ、こういうふうに九人の方に話をすれば、それはしゃべりますよ、自分の利益のために申し立てるわけですから。ところが、こう相手が警戒して言わない。それをいいことにして、もうそれで終わりと言わぬばかりのこの扱いというものは、私はもうふに落ちないですね。船に乗って北に帰るわけですから。そういうふうにしたいなと検察庁から地元の弁護士なり角銅弁護士に連絡をとれば、それはあなた、急を要するときですから、こっちから調べをお雇いしておるのですから、行きますよ。そういう一切の手続をとっての上のことですか。
  57. 常井善

    説明員常井善君) 法務省といたしまして、個々の検察官の——まあ先生のおっしゃったことは捜査技術にわたろうかと思いますが、そこまで個々に承知いたしませんし、私どもはその限られた時間の中で許された範囲でできるだけのこはとやったと思いますが、具体的に、先ほども申し上げましたとおり、現在の時点ではそこまでやったかどうかはわかりません。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 それは調べてください。ほんとうにこう良心的に検事が取り組むのであれば、当然私がいま指摘したようにやってもらわなければならぬはずだと思います。本来ならば、この警備官の名前は一々おぼえておりませんからね。だから見おぼえのある職員はどれかといったふうなことぐらいやってくれなければ、傷害の結果だけをまあたとえ確認したとしても、人物の特定ができないということで、結局は事件としては、成り立たないと、そういうことになるじゃありませんか、これは常識として。本来はこういう事件は、事件だけのことを考えれば、船が出発するのをまあおくらしてでも両者が対決をする。現場の場所で対決をすれば、第三者が見れば大体わかる、事情が。そうあるべき私は事案だと思うのです。それを、いまおっしゃるように、そんなあなた説明すら十分聞いておられないというようなことでは、全く遺憾だと思うのです。
  59. 常井善

    説明員常井善君) 先ほども申し上げましたように、捜査の経過、やり方のしさいまでただいま承知しておりませんので、ただいまの点はいずれ捜査の結果明らかになると思いますので、その段階におきまして調べたいと思っております。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ、まあ四名と九名の扱いの問題はその程度に本日のところはいたしておきます。  そこで、最後に、この四名というのは、こはれ初めて日本に来た人、しかも下関という非常に複雑な港へ入ってきておるわけですが、この殺人事件公海上で起きて、そうしてこの港まで入ってくる経路ですね。これはきちんとわかっておるんですか。これは海上保安庁のほうの担当であれば、そちらでお答え願ってけこっうですが、いままでの調べの結果、確定しておる部分だけをひとつ明らかにしてほしい。
  61. 常井善

    説明員常井善君) 先生仰せの殺人事件は、送検はされておりません。しかし、検察庁におきましては、一連の事情といたしまして取り調べをいたしましたので、その結論のほうをかいつまんで申し上げますと……。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 あのちょっとね、これこまかく言うと非常に時間がかかると思いますので、私のお聞きしておるのは、殺人事件の状況などではなくて、この港へずっと入ってくるまでの大事な問題点だけをおっしゃってもらえれば。
  63. 常井善

    説明員常井善君) 二回の殺人行為が終わりましたあと韓国の巨文島付近におきまして韓国の漁船から海図を入手いたしました。その海図によりまして日本を目ざして、特に下関というふうに目ざしたとは聞いておりませんが、日本のほうへ船を動かして、どこの港でもいいから上陸したいと思って来ましたところ、たまたま下関に着いた。そうして、領海に入りまして小型の釣り舟に会っております。そこに乗っておる人に、筆談で近くの港を教えてもらったところ、下関の港であるということになって、下関に入ってまいりました。  それから、上陸したのは関という人でありますが、これが上陸いたしまして、小型トラックの運転手に海上保安署のありかを聞いて、それから海上保安署のほうへ自首と申しますか、自分らの来た経過を申し出る、こういうふうになっております。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 四名の操船の技術ですね、これはどういう程度なんですか。
  65. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 四名のうちで、閔庚泰、これは副機関長でございます。それから張大衡、これは副船長、あとの二名は甲板員という資格でございます。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、いま役名だけ言われたわけですが、この関と張で船がうまくあやつれるのですか、技術的にどうなんですか。
  67. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 航海担当の資格を持つ者と機関の資格を持つ者でございますので、操船技術上可能であったというふうに判断をいたしております。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 海図を手にしたということですが、これは新聞にはいろいろ説明がついておりますが、もらったものですか、奪ったものですか、どっちなんですか。
  69. 常井善

    説明員常井善君) 海図の入手に関して申し上げましたので、私から申し上げますが、その点は、証拠判断といたしまして、入手したのであろうと、つまり任意に入手したのであろうと思われます。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、ほかの船に寄っていってもらったという意味ですか。
  71. 常井善

    説明員常井善君) ほかの船に寄ったと申しますと、その海図を持ってる船に近寄ってもらったかという、そういうことに相なろうと思いますが、その点のもっと詳細は私承知しておりません。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 その図には下関がちゃんと載っておるような図なんでしょうか。
  73. 常井善

    説明員常井善君) 仰せの海図に下関が載っていたかということでございますが、私それは承知しておりません。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 調べてください。  それから、この図面というものは、これは入管令違反という立場から見れば一種の犯罪物件ですね。押収しておりますか。
  75. 常井善

    説明員常井善君) 海上保安庁のほうで警察取り調べの段階の差し押えその他をしておりますので、お聞き願いたいと思います。
  76. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 押収をいたしております。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 それ、ひとつ写しを出してもらえますか、いいですな。
  78. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 先生の御質問の、どういうような海図であるかということの内容については、お答えできると思います。調査をいたしましてお答え申し上げます。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 現物は出せぬという意味ですか。どういうことなんですか。現物というか、写しですわ、こちらの言うのはね。内容を説明するんなら、写しくらい出したって一緒でしょう。一番正確な説明だ。
  80. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 押収した海図自体は別に秘密のものじゃございませんが、その取り扱いについては、法務省と打ち合わせをして、必要な事項をお知らせするようにいたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 まあ関係者が知りたいというものはできるだけ知らすように運用することを希望しておきます。  そこで、先ほどの課長の説明ですと、領海の中に入ったときに小型の釣り舟に会うたという御説明でしたが、その釣り舟の舟並びにそういう筆談で話をした人、それははっきりしておるんです
  82. 常井善

    説明員常井善君) ただいま荒筋を申し上げましたが、その舟そのもの、あるいはその人について取り調べをしたかどうかは、私承知しておりません。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 あれは相当、平新艇というと大きな船でしてね、釣り舟というと小さい感じがするわけですが、どんな釣り舟なのかね。その点をおそらく調べてあると思いますが、お調べ願いたいと思うんです保安庁のほうはわかっておるんじゃないんですか、ずうっと入ってくる経路ですから。
  84. 長野義男

    説明員(長野義男君) 海上保安庁の捜査の段階におきましては、釣り舟の供述はありませんでした。検察庁の捜査段階において、釣り舟云々のことは言われておるようであります。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 それはおかしいじゃないですか。保安庁が最初に調べたわけでしてね。領海内で釣り舟に会ったというようなことは、これは重大な問題ですわね、あの複雑な港へ入るわけですから。それが初め抜けていて、検察庁の段階だけにそれが出てくる。それはちょっとおかしいですわ。だから、これはひとつ検察庁のほうで、ほんとうに抜けていて、釣り舟はこういう舟だ——あれだけ問題になっているのですから、ほんとうに会っているんなら、その実際筆談をして教えた人は自主的に検察庁へ来ておるかもしれぬ。調べてください。
  86. 常井善

    説明員常井善君) 承知いたしました。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 船は、これは共和国の旗を立てないで入ってきたんでしょうね、保安庁。
  88. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 問題の本船は総トン百四十六・六七トンでございます。国旗は掲揚しておらなかったというように承知いたしております。
  89. 亀田得治

    亀田得治君 初めから……。  そこで、この六連島と竹の子島ですか、あすこの二キロほどのところ、非常に狭いんでしょう。それで、検疫も受けないでそういうところを通ってくる、こういうふうなことは簡単にできぬのじゃないかと、われわれは思うのですが、これはどうなんでしょうか。保安庁のほうの仕事でしょうが、そう簡単にぬけぬけとこの狭いところを法規を破って入ってくると、そんなことはできるのですか。水先案内ももちろんついておらぬ。危険でしょうがないでしょうが。どうなんです。
  90. 佐藤光夫

    ○説明輿(佐藤光夫君) 御指摘のように、国旗を掲揚しない、そういうような不審船が入港したというような事態については、われわれも非常に関心を持ちまして、当時の状況を調べたわけでございますが、当日天候が、十二時現在、雨、東の風、風力約六メートルというような状態で、視界が非常にきかなかったというような状況であったのでございます。したがいまして、当然わがほうの巡視船艇は通常の警戒に当たっておったわけでございますが、まことに残念ながら、それを中間においては捕捉できなかったという状態でございます。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 またさっきの話に戻るのですが、雨の中の筆談といいますとね、これはちょっと何か大きな船と小ちゃい舟と、筆談というようなことが出ているのですが、それが雨が加わっておるとすると、よけいそんなことはしにくいわけですね。ともかくも、これがするすると簡単に入ってきた。はなはだわれわれとしては疑問に思っておるところなんです。で、結論は言いませんが、ともかくはなはだ不可解に思っているのです。  それから次の点は、閔氏らが上陸をして、車でこの海上保安署に行った、こう先ほどお答えがあったわけですが、この閥というのは、日本語はどの程度できるんですか。
  92. 常井善

    説明員常井善君) 私の承知しております範囲では、片言と申しますか、非常にうまくない、幼稚な日本語だというふうに承知しております。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 まあ片言でも、われわれと話ができて、意思が通ずるのですか。どういう程度なんですか。
  94. 常井善

    説明員常井善君) そこまでは、調べといたしまして、私も責任を持って、どういうことに相なるか、申し上げられませんが、とにかく話を日本語まじりでした結果、その運転手とようやく通じて、目的のところへ行くことに相なった、こういういきさつでございます。
  95. 亀田得治

    亀田得治君 この船が着いた時間、それから保安署に閔があらわれた時間、これはどの程度の間隔があるのですか。
  96. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 船が着きましたのは、十七日の十五時ごろ——約午後三時ごろでございます。保安署にあらわれたのは十五時三十分ごろというふうに報告を受けております。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 それで、車に乗って行ったとおっしゃいましたね、保安署へ。その車の所有者並びに運転者は現在わかっておるんですね。
  98. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 下関海上保安菅において関係者を鋭意さがしましたけれども、現在まだわからないという状態でございます。
  99. 亀田得治

    亀田得治君 そういう大事なことが、どうしてわからぬのですかね。ラジオで放送して頼んででも、出てきそうなものですね。海上保安署までは、着いた岸壁から距離にしてどのくらいのとこなんです。
  100. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 約二キロでございます。
  101. 亀田得治

    亀田得治君 通ったコースというのは、調べの結果確定しておるんでしょうか。私も地図をもらっているのですが。
  102. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 供述によって、ほぼ承知いたしております。
  103. 亀田得治

    亀田得治君 何か途中ガソリン・スタンドに立ち寄ったということは事実なんですか。単なるうわさですか。
  104. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) これは、その後の供述等よくわれわれも承知しておりませんので、明確でございません。ガソリン・スタンドに寄ったかどうか、明確にいたしておりません。
  105. 亀田得治

    亀田得治君 この閔には、保安署に行くまで案内人がいた、そういうふうにもいわれておるんですが、この点はどうなんですか。
  106. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) われわれが聞いておるところでは、一応場所を聞いて行ったということで、特殊な案内人があったということはないと承知しております。
  107. 亀田得治

    亀田得治君 場所を聞いて行ったというのは、どういう意味ですか。自動車に乗っているわけでしょう、車に。その車に乗っておる運転手が聞いて行ったのですか。
  108. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) たまたま車を持っている人に場所を聞いたので、その車を持っている人が海上保安署のところまで案内したというふうに聞いております。
  109. 亀田得治

    亀田得治君 それは運転手だけですか。その車は運転手のほかにもう一人だれか乗っておるのじゃないですか。
  110. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 先ほど申し上げましたように、その関係者をいま鋭意さがしておるわけでございますが、当時供述によって聞いたところでは、運転手だけであったというふうに聞いております。
  111. 亀田得治

    亀田得治君 この殺人行為があって、海上保安署までやってくる経路ですね。これらは四名とも説明が一致しているんですか。若干食い違っている点が相当あるのじゃないですか。
  112. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 上陸してから海上保安署まで行ったのは一名でございますので、その一名について取り調べをして承知しておるということでございます。
  113. 亀田得治

    亀田得治君 港に着くまでの経路、説明。
  114. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 港に着くまでの入港のいきさつは、先ほど法務省のほうからお話がございましたわけでございまして、なお、それぞれいかなる供述をしているかという詳細については、われわれもまだ細部の供述を承っておりませんので、的確なことは申し上げられませんが、一応こういう経路でこういうふうに来たということを供述を取っているわけでございますから、そういうふうな内容について、さらに詳細については、供述の内容等をわれわれも現地に照合しないと、お話をできないわけでございますが、一応法務省からお話がございましたような経路をとって下関に入港したというように承知しているわけでございます。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ、海上保安署における状況について若干お尋ねします。  下関の韓国領事が面会に来ましたね。これはいつになっています。
  116. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 当初に面会の要求がございましたのは、九月十七日の二十二時ごろでございます。
  117. 亀田得治

    亀田得治君 それから二回目はいつ、三回目はいつなんです。三回目はないかもしらんが。
  118. 佐藤光夫

    ○説明鼻(佐藤光夫君) 十八日の午前、午後の二回にわたって、第七管区海上保安本部を来訪して、面会の要請をなさいました。
  119. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、都合三回保安署で韓国領事が閔らに会ったわけですね、三回。
  120. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 面会の要求は三回ございましたが、取り調べの状況その他からいたしまして、前二回は要求はいれませんでしたので、面会は一回でございます。
  121. 亀田得治

    亀田得治君 一回は、何分ぐらい会い、どういうことが話し合いされたのですか。
  122. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 面会をいたしましたのは、巡視船「いすず」の上におきまして、二十一時三十分から約三十分間面会をしたように承知しております。面会の内容については、現在ここに詳細な賞料はございません。
  123. 亀田得治

    亀田得治君 それは資料があるわけでしょう。こちらのだれか、立ち会い人がついて会っているわけでしょうね。したがって、資料はあるわけですね、どうなんです。
  124. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 内容については、さらに資料を調べてお答えをさせていただきます。
  125. 亀田得治

    亀田得治君 それからもう一点は、関のいとこに当たるという下関の副領事ですね、これが面会に来たのはいつといつですか。
  126. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 副領事の関氏が面会をいたしましたのは、先ほど申し上げました十八日の二十一時三十分から三十分間のときでございます。
  127. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、領事と同じ時間ですか。
  128. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) さようでございます。
  129. 亀田得治

    亀田得治君 副領事は、その一回きりですか。
  130. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 一回だけでございます。
  131. 亀田得治

    亀田得治君 それで、これはもちろん面会の内容の資料というものは残っておりますね。領事の場合残っているのですから、当然これも残っているはずですね。
  132. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 先ほど申し上げましたように、同時に会っておりますので、面会の内容については、後刻調査をいたしまして、お答えさせていただきたいと思います。
  133. 亀田得治

    亀田得治君 それから、四人に対する弁護士の選任ですね。九名のほうはずいぶん選任自体に手を焼いていたわけですが、四人のほうの弁護人の選任はいつ何名行なわれました。
  134. 佐藤光夫

    説明員(佐藤光夫君) 私のほうの調査で、弁護人の選任はしてなかったというふうに聞いております。
  135. 亀田得治

    亀田得治君 検察庁に行ってから弁護人選任ということになったのですか。
  136. 常井善

    説明員常井善君) 私も弁護人の選任につきまして承知しておりませんので、これは調べて答えさしていただきたいと思います。
  137. 亀田得治

    亀田得治君 それははっきりしてください。弁護人の名前、三名ついているはずです。うち一名は民団の関係者ということになっておるはずです。そこら辺の点もはっきりしてもらうとともに、この四名との面会ですね、これがいつといつ行なわれておるのかという点もひとつお調べを願いたいと思います。それはよろしいですな、調査は。
  138. 常井善

    説明員常井善君) 弁護権の行使をされたということに関して、妨げにならない程度で調べてお答えをしたいと思います。
  139. 亀田得治

    亀田得治君 そんなあなた、本人がおりもしないのに妨げになるわけがない。ともかく本件は、すでに本日九名の方が北のほうに行くといったようなことで、一応の日本政府としての処理ですね、これは終わったようなかっこうになっておりますが、しかしわれわれとしては、この事件をずっと考えてみますると、経過的に非常に納得のいかない点がある、納得のいかない点が。はたしてあんなに簡単にするするとこう入ってこれるものだろうかどうか。やはりこちらのほうに内通者があるんじゃなかろうか、こういうことが一つの大きな疑問点になっておるわけです。私は、もしそれが事実だとすれば、入管令を守るという立場からしても、法務省自体もほっておけぬわけでして、そういう点について今後ともさらにいろいろ出ておる疑問点の解明をお願いしたいと思っておる者です。  それから、何といっても四名と九名の方の処理ですね、四名の方の処理というものは、これは間違っておる。大臣は大体自信があるようなことを言われましたが、私から指摘したような「余録」のああいう意見等を見ましても、それほどいばっておれる処分では私はなかろうと思う。何といってもこういう微妙な問題ですから、もっと慎重であってしかるべきではなかったか。  それから九名については、非常に、犯罪者でもないのにひどい扱いをしておるわけですね。扱いをしております。で、私は、こういう一連のことの中に、政治的な立場でものごとを考え過ぎておる、こういうことが一貫してこう流れておるというふうに感ずるわけです。そういう点で、これらの処置についてはどうしても納得がいかない。本日十分解明されなかった点につきましては、追ってひとつ明確にしていただくよう要求しておきまして、本日のところ私の平艇新事件に対する質問はこの程度にしておきます。
  140. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほどから長時間にわたって亀田議員から詳細にわたっていろいろ質問をされたわけでありますが、それを私は聞いておりまして、強く感ずることは、人道主義的にものを解決したんだと言いながら、あの極悪犯人に対して非常な丁重な扱いをし、そうして、その被害者であるところの九人の人たちに、これが共産党の国から来たんだということによって、非常な差別待遇をして、非人道的な扱いをした、こういうふうに私は感ずるわけです。そこで、私は、先ほど亀田さんの関連質問で法務大臣に質問したことについて、まだはっきり答弁がされていないと思うのです。所を変えて、もし日本の漁船が——私は再び質問しますが、漁船があのような同種の犯罪を犯して、そうしてかりに北朝鮮のほうに逃げ込んだとする場合に、北朝鮮の国が、まさかこのような日本のとったような処置はいたしません。そういうばかな処置はいたしませんが、かりにいたしたとするならば、日本政府はそれを妥当な処置だというふうに理解なされるのかどうか、そのように了解ができるのかどうか、その点を私はもう一ぺん重ねて法務大臣に聞いておきたいのです。これは日本政府の心がまえのことに関しますから、私は明確に答えをいただきたい。共産党の国というものは、このようなばかげた処置はいたしません。罰するものは罰し、ちゃんと明らかにするものです。それにもかかわらず、今度のようなやり方、これを法務大臣はこれで日本の国民は了承しているというようなことを言いますけれども新聞紙の論調を見ましても、これを決して了承していないのです。だから、そういう点につきまして、はっきりと私の質問したことにつきまして法務大臣のお考えをここで明確に述べていただきたいと思います。
  141. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 新聞等解釈についての解釈は、あなたと私は考え方の差でございましょうか、それをとやかく言うても水かけ論になりますから、申し上げません。  北鮮日本の船がいまのような形で行ったらどうかと、これは仮定の問題も仮定の問題で、そういうことがありそうに私は思いません。というのは、かりに日本の人で日本の政治に不満で、佐藤内閣の政治に不満だからおれは北鮮亡命するという人があったら、どんどんおいでになってかまわない。途中で殺さなくてもだいじょうぶなんです。こういう事件が起こるわけがないのであります。だから、そういう仮定のことを言うておると、小説をこしらえるようなものでございますから、どうだこうだと言っても、私どもこの場合はこうだと言うても、ああだと言うても、ただ法律上の遊戯のようなことになりますから、言う必要はないと思います。ただかりにそういうふうな場合がどこかの国にあったとすれば、日本の国民がどこかでそういう目にあったとすれば、国民感情としては非常に反対するでありましょう。しかし、それが一般の常識、法規的に国際通念に従ってやられたのであれば、国家としては結局においてはやむを得ぬということにおさまるでありましょう。しかし、国民感情は別問題だと思います。
  142. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうふうに国際的に問題の残るようなことを日本政府はぱっと平気なつらをしてやるべきじゃなかったんじゃないですか。北朝鮮人たちがどういう感情を抱いておるか。また、日本におる朝総連の人たちすら、日本政府のとった措置に釈然としていないのです。非常に大きな不満を持っておりますよ。そういう国際的に大きな問題を残すようなことを軽々しくやるべきでない、それが私たちの意見です。  それから、質問しましょう。昭和四十年一年間の密入国容疑で出入国管理令違反として検挙された人員はどれだけあるか。それから、その中で起訴された人員がどれだけあるか。起訴された者の犯罪事例を一、二明らかにしていただきたい。
  143. 八木正男

    説明員八木正男君) 本日はいまの平新艇の問題の御質問と承りまして参りましたので、ただいまお話しのような詳細の統計についてはここに持参しておりませんので、後刻調査しまして提出いたします。
  144. 須藤五郎

    須藤五郎君 これはね、平新艇関係のない問題だと言いますけれどもね、平新艇の問題に大きな関係があるわけですよ。これまで入管違反で犯罪として受けた人がどれだけあるかということはね、これはこの平新艇にも関係の起こってくる問題なんですよ。だから私はこれを聞いておるわけです。答えられないのですか。
  145. 八木正男

    説明員八木正男君) これは統計を調べればすぐわかることですから、調べて御報告いたします。ただ、ただいま、ことばを返すようでありますが、本件はもちろん不法入国事犯でありますけれども、われわれがこれから調べて御報告申し上げる、昨年一カ年間における不法入国者の数とかその結末とか申しますのは、これは日本に在住する目的をもって、ほとんど全部朝鮮でありますが、入国を企図した人々の統計でございます。本件は、もちろん日本亡命したいと言っておったそうですけれども、われわれは在住を認めない。結局、韓国へ行ってしまって、ただ日本は舞台に使われただけでありまして、昨年の一年間の統計にあらわれるような不法入国とは全然性格が違いますので、その点は御了承願いたいと思います。
  146. 須藤五郎

    須藤五郎君 私のところにね、ちょっと、資料が——入国管理局が、昨年一年間に不法入国の出入国管理令違反として検挙した数は三十件、百三十六人だというここに数が出ておりますが、新聞の報道でありますが、事実でありますか。
  147. 八木正男

    ○説明君(八木正男君) 私は、もっとそれより不法入国者の数が多いような気がいたします。しかし、こういう数字は、ばく然とした記憶などでお答え申し上げるのは失礼でありますので、よく調べまして報告いたします。
  148. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃね、資料がないから答えられないものを答えろと言ってもこれは無理でありますから、これ以上追及しませんが、資料として私からいま聞いた点を明らかにしてください。
  149. 八木正男

    説明員八木正男君) ただいまの御質問の点について、警備課長からちょっと補足さしていただきます。
  150. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) 密入国者数ということでございますが、昨年一年間の密入国者の数という御趣旨でございましょうか。それとも検挙者の数という御趣旨でございましょうか。つまり、密入国いたしましてもわからないで数年御に検挙された者もございますし、それから密入国後すぐつかまっておる者もございますし、統計のとり方によりますと、昨年度の密入国者の数全部を調べるということは実は不可能なんでございます。
  151. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃね、その密入国者の数がどれだけあるかということは後日に譲るとしまして、その中でね、起訴された人があるはずだと思うのです。そうして、その起訴された人たちはどういう種類の人が起訴されたのか、その例をあげていただきたい。
  152. 常井善

    説明員常井善君) 刑事事件になりますと私どもの所管になりますが、昨年度に起訴された事件及び人でございましょうか、それとも昨年密入国を行なったために起訴された人でございましようか、統計上。
  153. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、もっと大ざっぱに、昨年というふうに限らなくとも、これまで密入国してきて、そうして起訴された人の事例をあげてください。
  154. 常井善

    説明員常井善君) たいへん膨大になりますので……。
  155. 須藤五郎

    須藤五郎君 膨大になるから、ぼくは昨年一年と切っているわけですよ。
  156. 常井善

    説明員常井善君) 私もそれはわかりますが、正確を期するために、昨年度に起訴したということでよろしゅうございましょうか。
  157. 須藤五郎

    須藤五郎君 そう。
  158. 常井善

    説明員常井善君) わかりました。
  159. 須藤五郎

    須藤五郎君 それで、犯罪の事例を述べてもらいたい。何件あって、どういう犯罪だということで。
  160. 常井善

    説明員常井善君) 承知いたしました。
  161. 須藤五郎

    須藤五郎君 いま答えなければだめじゃないですか。
  162. 常井善

    説明員常井善君) 私そのような資料を調査しろと御下命を受けたと思っていますので、私も即座にここではお答えできないのございます。
  163. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたは答えられるだろう。
  164. 豊島英次郎

    説明員豊島英次郎君) いまの起訴事例ということになりますと、これは検察庁のほうの統計によらなければ出てこないと思いますし、それから起訴の内容ということになりますと、おそらく密入国の起訴事例というのは相当数があるのではないかと思いますので、具体的な内容が結局において全部把握できるかどうか疑問であるのじゃないかというふうに思います。われわれのほうでは、少なくとも昨年中集団で不法入国した者の数というものは統計上出ると思います。それはお知らせできると思います。
  165. 須藤五郎

    須藤五郎君 資料はあとでもらうこととします。資料待っていることができないからぼくは言いますがね、私たちずっと調査したところによりますと、これまで起訴された人たちの中に、今度入ってきた四名以上、あのような狂暴な人間は一人もいないのです。あのような悪質な犯罪者は一人もいないですよ。そして、ああいう四人のような、ああいう悪質な犯罪でない人も起訴されているわけです。しかるに、今度はあのような悪質な犯罪者を起訴しないで韓国に返すということはね、これは全く政治的な私は陰謀だと思うのですよ。そうとしか理解ができないですよ。解釈ができないのです。そういうところに今度の問題があるということです。朝日新聞でも九月二十八日に、こういうふうに政府の言いわけを代弁するように、「四人は亡命目的で日本に侵入しようとしたもので、侵入後はただちに下関海上保安署に出頭して、侵入した事実を告げており、一般密入国事件とは異る。」というようなことを政府当局は言っているらしいのですけれどもね。しかし、いま私が申しましたように、従来の密入国者でも、これほどの悪質な犯罪者でなくても処分しておるのに、今度に限ってそれを不起訴にして、そうして本国に送り返す——本国というのは韓国に送り返しているということは、全く私はやはりこれに、先ほども亀田さんも言ったのですが、やはり政治的なにおいがすること、こういうふうに理解されてもやむを得ないと思うのです。  それからね、その次の質問になりますが、昭和四十年一カ年間に銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で検挙された人員はどれだけであるのか、それはあなたのほうでわかるでしょう、これは日本の問題ですから。その中で起訴されたものの人員はどれだけであるのか、起訴された事例、それを言ってもらいたい。
  166. 常井善

    説明員常井善君) 先ほどの密入国事件と同様でございまして、準備が本日整いませんで参りましたので、後刻調べた上でお答えさせていただきたいと思います。
  167. 須藤五郎

    須藤五郎君 何も答弁できないのですか。そのくらいの資料は持っているでしょう。持っていないのですか。これまで日本ではね、この刀剣所持法というものは、持っているだけでたくさん処分されているのですよ。(「関係ない」と呼ぶ者あり)いや、これは平新艇関係してくるのですよ。関係しますよ。だってそうじゃないですか、日本人ならば、銃砲刀剣不法所持——大鵬や柏戸がアメリカに旅行に行って、ピストルをもらったりなんかして持って帰ってきたというわけですね。それでもやはり処分の対象になったでしょう。不起訴にはなったけれども、なったわけですよ。あの人たちだって、何もそれを悪用しようなどという考えで持って帰ったわけじゃないです。おもちゃのようなつもりで持って帰ってきたわけです。それでも処分の対象にされたわけですよ。ところが、今度のはどうですか。現実に七人の人を殺して、そういうむちゃくちゃをやるような、そういう悪質な犯暴な人間でしょう。それが持つて入ってきたわけですよ。それが銃砲刀剣の不法所持にひっかからないで不起訴になったというのは、一体どういうことですか。これだって、やはり特例な扱いじゃないですか。これは何によってこういう特別な扱いをするのですか。
  168. 常井善

    説明員常井善君) ただいまの御質問と同じ亀田先生の御質問に対しましては、大臣からるる申し上げたとおりで、それ以上つけ加えることはございません。
  169. 須藤五郎

    須藤五郎君 この人たちは、今後もどういうことをやるかわからない人たちなんです。非常な危険な人たちなんです。そういう危険人物がこういう銃砲刀剣をたくさん持ち込んできて、それが問題にならぬということ自体がおかしいのじゃないですか。これは非常な特殊扱い、特別扱い。何でそういう特別扱いをしなければならぬか。ここらにもやはり政治的なにおいがするわけなんです。日本にはたくさんの、あの人たちがかたきのように思うであろうところの朝鮮の人たちもおる。朝鮮の人たち六十万からおるわけです。そういう人たちがおるところに、ああいう連中が乗り込んできて、そして韓国に送り届ける。こういうことは全く私はおかしいことだと思うのです。これはどういう根拠で起訴猶予にしてやったのですか。
  170. 常井善

    説明員常井善君) 重ねて申し上げさせていただきますと、ただいまお話しの銃砲及びたま、このたぐいのものにつきましては、領海外で、日本脱出するために使用をいたしました。それから、その後九人に対しまして日本へ近づくまで、警戒の具としてこれを用いたようでございますが、日本の領海に入りましてから、もはや目的を達しておりますので、これを使う意思もなければ、また隠す意思もなく、それを持って日本へ上がって、日本の、先生お話しのように朝鮮人を攻撃する武器にするという意思も全くなかったようでございます。船内にあったまま、もはやその用途、目的を達しまして差し押えを受けたという状況でございますので、この武器が、先生お話しのように、危険性を持って、その後再犯に利用されるというおそれは全くなかったと、しかも日本の国に直接それらが向けられる武器でもなかった、こういうような情状が不起訴の理由になったように承知しております。
  171. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると何ですか、すべて日本領海に入ってからは九人は解放されておったのですか。そうじゃないでしょう。日本領海に入ってからも、船が着いてちゃんとするまで九人の人たちは監禁されておったのでしょう。どうですか。
  172. 常井善

    説明員常井善君) 検察庁の認定を伺いましたところ、もはや領海に入るところからほとんど監禁状態を解いておったという結論でございます。ただ、船の船倉の中におりますから、そのままの状態で入ってきておりますから、そういう状況が続いておったと見られると思いますが、主観、客観両方面から総合的に判断いたしまして、事件の処分としてはそのような判断をとっております。
  173. 須藤五郎

    須藤五郎君 それも一方的な私は解釈だと思うのですよ。四人に非常に有利な解釈をあなたたちが一方的にしておる。やはり九人は日本領海に入ってからも監禁されておったのです。そして、その銃砲刀剣というものは、やはり四人の手に握られておったわけです。だからね、ああいう日本領海へ入ってからも、やはり九人を威嚇する、そういう道具としてちゃんと使われておったということははっきりしているのです。だから、そういう立場から見ましても、あの四人は、銃剣不法所持においても処分すべきものです。それがされないということはね、やはり、先ほどからくどく申しますように、やはり私たちはこれが日本政府による、いわゆる政治的な一つの意図を持ってこれが行なわれた、こういうふうに考えるのです。私たちはこう考えておりますよ。この問題の正しい処理はですね、日本政府国際法国際慣例の原則に照らしまして、「平新艇」のすべての乗り組み員をすみやかに朝鮮民主主義人民共和国に送り返すべきであった。こうすれば何ら問題は起こらない。日本政府がどこからも非難を受ける点はないわけです。おそらく非難をするとしたら、ぐらいが非難をしたかわからぬけれども、世界の非難を受ける必要はないんです。そのことは、朝鮮民主主義人民共和国、在日朝鮮人、日本の民主勢力の共通した要求であったということが今日までのいろいろな交渉の経過で、私ははっきりすると思うんです。  佐藤内閣は、この正しい要求を無視しまして、国際法の原則、国際慣行を踏みにじりまして、四人の乗り組み員を分離して、朴かいらい政権にその身柄を引き渡し、他方では不可抗力によって入港した九名の乗り組み員を監禁暴行するという挙に出たわけです。これは、日韓条約の批准強行以来一段と強化してきました朝鮮民主主義人民共和国に対する露骨な敵視政策のあらわれだと言わなければならぬと思います。アメリカ帝国主義のアジア侵略政策に忠実に奉仕しつつ、朴かいらい政権との結びつきを強めて、朝鮮再侵略をねらう日本独占資本の要求を反映したものである。こう私は断ぜざるを得ないと思います。私たちはこういう日本政府のやり方に対して、断じて承認することができないということをつけ加えて、私の時間がありませんから、質問を終わりたいと思います。
  174. 亀田得治

    亀田得治君 これは法務大臣に申し上げておきたいんですが、よく韓国からですね、生活に困って、そしてこの在日の親族の方などをたよってくる。こういう密入国などについても、ああいう入管令違反で罰金を加えたり、いろいろしているんですよ。私どもより皆さんのほうがよく知っている。ところが、今度の場合はね、殺人はやる。もちろんその点は、日本には管轄権はないとしても、人道主義ということを言う以上は、これはもう大きな要素なんです。入管令だけの扱いをするとしても、これは大きな要素なんです。そんなものは管轄権がないから考慮しませんというようなことをね、日本政府が言うたんでは、これは法律問題じゃなしに、人道上の問題として、私は世界的に非難を受けると思うのです。だからそうして入管令自身立場から見ても、積極的に、意識的に入管令を破っているわけですね。だから、私はね、最小限度の処分として、ともかく、たとえば罰金を課するとかということをしなきゃ、やはりいま須藤君が言っているように、筋は通らぬと思うのですよ、これは。いろいろな弁明をされておりますけれども、常識的に考えて、やっぱりこの点ははなはだ遺憾だと思うのです。何もしないで返してしまった。積極的な違反者なんですから。で、その点今後のひとつ参考にしてほしい。こういうことは慎重にやってもらわなきゃいかぬ。  一つ私、抜けた点を大胆にお伺いしたいのは、例の船ですね、船は残っておるわけですが、これは新聞紙上等では、北朝鮮に返す、こういう方針のように出ておるわけですが、その点についての明確なお答えをここでお願いしておきたい。そして、その根本方針と、しからば返すとして、具体的にはどういうふうな具体策を検討しておるのか、この点をちょっと最後にお聞きしておきたいと思います。
  175. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 船の問題は、ただいまこれは証拠物件として押えておるということでございますが、これをどうするかということは、まだ検察庁において決定いたしておりません。すぐもう決定するだろう、決定すべきはずでございます。決定し次第、どういうふうにしてこれを処分するか、あまり時をおかないでその処分を早急にするということ、どういうふうにやるかということはここで申上げる段階に至っておりません。
  176. 亀田得治

    亀田得治君 これはちょっと一問で終わらそうと思ったのだが、身柄と一緒に当然これは片づけるべき私は処分だと思いますが、ちゃん内定しているのじゃないですか。そして、たとえば下関の片岡支部長検事などは、これは新聞記者にも、当然この船並びに武器は共和国のものだから北のほうへ返すべきものだ、こんなことをはっきり言うてますね。どうなんですか。
  177. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 各個各個の意見としてはいろいろ言っております。私も私の意見としては言うこともございますが、まだ公式の手続としてきょうまで私聞いておりません。もうきょう片一方の九人も出発いたしたことでございます。当然結論が出ると思いますが、きょう、あすのうちには話があるだろうと思いますが、話のきまり次第その扱い方をきめたいと思います。
  178. 亀田得治

    亀田得治君 この点だけは、わかり切ったことですが、明確でしょう。船並びに武器は北朝鮮共和国のものだ、所有権の存在はこれははっきりしているでしょう。
  179. 常井善

    説明員常井善君) 多少事務的な問題もございますので、私に答えさせていただきたいと思いますが、日本と同じ体制でございますと、どこがどう所有して、あるいはどこが占有しているかということはわかるのでございますが、いろいろ行政組織、それから、あるいは内部の機関にいたしましても、たとえば、先生御専門ですが、法人格があるのやら、ないのやら、あるいは行政組織としてどうなっているのやら、そこが客観的に定まらないといいますか、認定を検討しなければならない問題もあるやに聞いておりますので、それこれあわせて検討中であるということでございます。
  180. 亀田得治

    亀田得治君 どうも三国に遠慮している。だめですよ。まあいいです。
  181. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの船の点は、不起訴の裁定が韓国に行った四人と、それから朝鮮のほうにきょう帰るというのは九人ですかにこの不起訴裁定があったのでしょう。不起訴裁定になっていれば当然、押収物になっておるのか任意提出になっておるのかよくわかりませんけれども、裁定の中に入っていないとおかしいですよ。具体的に手続がおくれているということなら話はわかりますけれどもね。
  182. 常井善

    説明員常井善君) 大臣もさっそくきまるだろうという仰せのとおりでございまして、いまの問題や手続の問題は、何しろ新しいことでございますので、手続が若干おくれているように承知しております。
  183. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 不起訴の裁定はないのですか、四角と九名について。
  184. 常井善

    説明員常井善君) 不起訴の裁定はございます。
  185. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まあ、あればいいのですけれども、不起訴の裁定があれば当然その中に入っているのじゃないですか。おかしいですよね。裁定の中に含まれなければならないのじゃないですか。
  186. 常井善

    説明員常井善君) 原則としてはお説のようでまさにそのとおりでございますが、いま申し上げたような問題があるので若干おくれておるというふうに聞いております。
  187. 大森創造

    ○大森創造君 時間もありませんので二、三石井法務大臣と石原刑事課長にお伺いしたいと思いますが、私は決算委員会の場で国有林の交換の問題を中心にして約八カ月ばかり国会の場を通して研究をいたしてまいりました。そこで、那須の国有林の交換の問題について調査しているうちに、今度は場所が大阪郊外の高槻市の国有林の交換の問題に自然に発展してまいりました。そこで登記簿などを取り寄せてだんだん検討してまいりましたら疑問点がだんだん出てまいりました。ホワイ、ホワイ、ホワイ、というものの連続でございました。で、決算委員会の場は当然行政審査でございますから、窓口行政の改善だとかあるいは会計検査院もございますし行政管理庁もございますが、私どもの義務は国民の立場からそういう行政のあり方について検討するということでございますが、そういうことを調査していく過程の中から自然に出てきた問題は、いま申し上げましたように、幾多の疑惑であります。そこで、きょうは時間がありませんからポイントだけ申し上げますが、これは石原刑事課長とも多少問答いたしましたが、それから農林中金、公庫、それから開発銀行、それから問題の共和製糖グループ、こういうものの中からいろいろな問題が出てまいりまして、私や岡議員や稲葉議員や、公明党の二宮議員などの追及とともに、何としても納得できない点が数点ございます。しろうとの私の調査した範囲でも、私印偽造、私文書偽造行使、そういう問題が浮かび上がってまいりました。それから農中法という法律がありますが、その法律の違反、それから公庫法違反、これは背任横領の疑いもある。それから、当然行政的な責任があると同時に刑事責任も出てくるのじゃなかろうかということでございます。石原課長の先日の御答弁では、私のほうでは新聞に出たことでも、それから単なるルーマーでも——うわさでも、まして国会の会議録などを大いに参考にして、そして告訴することもあり得るという御答弁がございました。石井法務大臣は、かねがねこういう問題はいかなる圧力にも屈しないで——この間領収書の問題について大詰めに来たときに、自民党の皆さんだれもおられなくなってしまいまして空中分解したので、これは小委員会をつくって決算委員会としてさらに究明するということが事実上不可能になりました。ですから、自民党御出身の石井さんではございますが、身は副総理格でございますし、それから日本の法務大臣でございますから、自民党や社会党や公明党という立場を離れて——共産党の岩間君も取り落としましたけれども、追加いたします。そこで、そういう立場を、政党政派を離れて、あくまで与野党という立場を超越して、石井法務大臣の立場から、国民の疑惑に答えていただきたいと思います。  一つは行政的な責任の問題が当然起こり得ると思います。どなたが何と言おうと、不正融資、過剰融資は免れないと思います。これは総理大臣などに処置してもらいますけれども、どうも民間団体のほうは、それから金融機関のほうは、国会議員の私では手が及ばない段階に来ているし、それから、いま私初めに申し上げた同僚議員の皆さん方が指摘した中にも、歴然たる刑事事件に発展する可能性のある問題をはらむものでございますから、これは石井法務大臣は日ごろの信念を貫いて告訴する、こういうことで御準備いただきたいものだ。それがだめならば、自民党も社会党もない、非常に国会に対する不信感、法務省に対する不信感が出てくるだろうと思うのでございます。そこで、法の日が十月一日。実は予定しなかったのですけれども、法務大臣がどこに行かれましたかな、川越の少年刑務所に行かれたということでございますが、四時ごろまで待っておりましたけれどもお見えになりませんでした。これは突然のことでございますから、法務大臣の責任ではございません。たまたまきょうは法務大臣お見えになりましたので、平新艇の問題に便乗さしていただきまして、この一点だけ私から御質問したいと思います。どうしても動かしがたいアトモスフィアがある。どうしてもこれはしろうとの私にも、私印偽造ではなかろうか、私文書偽造行使ではなかろうか。問答が長くなりますと、私はまたいやなことを申し上げなければなりませんから、明快なる御答弁をお願いしたいと思います。
  188. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 共和製糖グループに関していろいろな論議が行なわれたことは承りました。新聞紙上でも拝見いたしました。しかし、内容はほんとうのところどうあるか、もちろん私知り得ないところであります。いまこういう疑惑の中にある問題。そうしてあなたのお話によりますと、これを公訴して、そして皆さん方の手の及ばないところに届かしてはっきりすることが必要じゃないかというお話。私はかねてから、いろいろな問題について私がどうやっておるかという問題を問われた場合に、よく申すことでございますが私は特に刑事問題に関連いたす問題は、いまの検察当局を全面的に私は信頼いたしております。信頼しなければお互いにやっていけるものではないわけでございます。私は、検察当局に対してどの問題をやれ、どの問題をやるな、どの問題を途中でやめろ、どの問題をもっと進めていけというような指図は一つもしたことはございません。そんなことじゃいけない。これぐらいやれということをこの中でおっしゃった方もございましたけれども、私は検察当局の力を信じておりますので、検察当局が動いてくれることをじっと見ております。そして、その動きに信頼をしております。いままでのところは、私は間違いないと思っております。そういう立場からいたしまして、この問題、検察当局がどういうふうにこれを扱って、どの程度にこの問題を知っておりますか、これは私まだ何も聞いたことがございませんから知りませんが、取り上げるとか、自分でかってに取り上げるというようなことをやっているとは、私がまあ想像するところじゃ、ないと思います。大体におきまして、告訴があってそうしてそれを取り上げていくのが本来でございます。そうでない場合ももちろんございますが、そういう行き方でございますので、この問題に限らず、国会においていろいろな場面においていろいろな論議がされて、この問題は国会で論議されているからひとつ調べて必要であれば公訴をというように一々やるべきものとも思ってないのでございますが、そういうことをやれとも、やるなとも私は言うてないわけでございます。だから、この問題につきましてもいままで私は言うておりませんし、また、いま承っただけで、それじゃ帰ってひとつさっそくやるように言いましょうというふうにお約束、引き受けるという心持ちもまだ出てないわけでございます。問題は、この仕事をやっております共和製糖グループがどういうことをやってどうなっているかと、そうして問題が、あなたのおっしゃるような非常に天下に災いを及ぼしておるという問題であれば、どこかから訴えが出てくるのだと思います。いろいろな問題のありました、なかなかなにされないだろうと思った田中彰治君の事件等も、訴えが出て調べてわかったというような次第でございます。何かあれば、私のほうは自民党に近かろうが、近くなかろうが、私、法務大臣石井光次郎が動き出すことになりますけれども、そうでない限り、お話しのとおりよろしゅうございます、引き受けて帰りますとは申し上げかねます。
  189. 大森創造

    ○大森創造君 私は法務大臣のおっしゃられることは、一つ一つの文章はわかるのですよ。だけれども、まあそういう一般論は、失礼ですが、しろうとの私にもわかっている。私がお聞きするのは、あなたの留守のときに、刑事局長は海外へ行かれたそうですが、わきにおられる石原課長が私にこう言っておる。単なるルーマー——うわさでも、新聞記事でも、国会の問題でも、疑わしいものはやると、こういうことをおっしゃっている事実。で、私は具体的にものを言っているのです。半年ぐらい山の問題について国会で議論してまいりましたその過程の中において、あなたが、刑事局長が、あるいは石原課長がお読みになったら歴然たる事実がすでにあるということになっている、現在の段階ですでにあると。それをしも等閑に付すということはいかがなものであろうか。いま法務大臣のおっしゃられたことのうちで、私が明らかにわかったような感じがするのは、検察当局が動いてくれることを見ているという表現がございました。動いてくれることを見ていると。どういうふうに解釈したらいいのか。それから私はあなたのお気持ちはわかるが、はっきりものを申しますというと、指揮権発動があったのですよ、あなたでない昔。その内閣なんですよ、いまね。そうでしょう。あとのくどいことは申し上げませんよ。指揮権発動という事実が大昔ございました。その続きでございます。そこで私の言うのは、しろうとの私ですからこの半年間の会議録を一読してみると、当然、これは何というか、公訴の手続といいますか、準備といいますか、そういうものを開始しなければ国民に相済まないと、そういうことになるはずだと思うのだが、これは石原課長とともに大臣再びお答えいただきたいと思う。
  190. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私がそういうさっき言うようなことばの中にいまおっしゃったような意味があったとすれば、それは検察庁が動いてくれるのを見ておるというのは、検察庁は検察庁の独自の立場でどんどん動いてくれるのを私はいままでもずっとどんな場合でも見ている。これはそれほど私は信頼しているという意味で申し上げた。だから、石原君の言うたのも私の言うたことの裏側を言うていることだと思います。だから、そういうことが出てくるかもわかりませんが、しかし、じっとしておって、それじゃ多分動くだろうと思っておったって動くかどうかわかりません。私は引き受けて帰るんじゃないということを申し上げている。だから、一番はっきりしたことは、その訴えが出ればいまはっきり動く。しかし、いまのところは、ただそういうお話のあったことをはっきり承って帰るということであります。
  191. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 一昨日の参議院の決算委員会におきまして、大森先生からいろいろお話がございました。先生いま申されましたように、私の答弁の内容は、端緒があれば検察庁は捜査を開始するものであるというぐあいに申し上げたのであります。それで、そのまあ端緒にはいろいろいろなものがあるということを申し上げたのでございますが、あのときのお話しの中に、法務大臣からやれという指揮権を発動されたらいいではないかという御趣旨の説があったのでございますが、その点は、役所に帰りましてから秘書課長を通じまして大臣にもお伝え願うようにお願いいたしました。で、ただいま大臣からお話しございましたが、私の記憶に誤りなければ、昨年の長官会同であるか次席検事会同であるか忘れましたが、検察の首脳部を信頼するというおことばが会同の大臣訓辞にございました。この点はやはり石井大臣であるからこそ申されたことばであると思いまして、私どもは本省といたしまして単にそれに参列といいますか、補佐で出たのでありますが、深い感銘を受けたのであります。したがいまして、今度の事件につきましても、法務大臣のお答えは、検察を信頼していて検察のなすことに文句も言わない、ただしかし特にやれとも言わない、すべての信頼をおくという御趣旨のように承っている。したがって、今度の事件についても同じように処理されるであろうということを、私ども下僚ではございますが、さように信じている次第でございます。
  192. 大森創造

    ○大森創造君 石井法務大臣との問答はどうも禅問答のような感じがしまして、あまりにお偉い方だからどうも禅問答のような感じがいたします。禅問答のような感じがしますので、そこでまあ石原課長に一言だけ聞く。あとは専門家の稲葉さんと亀田さん、藤原先輩、その他の方におまかせしますが、一言だけ言います。私はあなたのいま言われたことよくわかるんです。石井さんぐらいの人格者でなければそういうことは言わないだろうと思う。それほど石井さんに信頼をされている検察——いいですか、信頼されている検察庁なら——ならですよ、過去半年問にわたる私の那須の問題に始まってきのう、おとといまでやった会議録を調べられたらば、これはいけないということがわかると思うんですよ。いいですか。これではいかぬ。これは公訴の準備をせにゃいかぬというふうにわかると思うんです、会議録ができておりますから。十月一日の分は、これはまだでしょう。しかし、あと一週間もたてばできます。しかし、過去八カ月にわたって参議院決算委員会が行政審査の立場から、先ほど申し上げているように、紙の一枚、用紙の一枚持って鬼の首を取ったように、そしていちゃもんつけるとか、そういうけちな量見で私やっているのではございませんよ。いいですか。これは行政審査の立場から自然発生的にこのことに触れざるを得なくなったということです、前段申し上げたとおり。その会議録をくろうとのあなたが読んだらば、必ず私がいま言うたように、公訴の手続の準備をせにゃならぬというふうな結論が出るだろうと思うんです。それをやっておりますか。もしくはやろうとしておりますか。  それからもう一つ。それでもあなたのほうで公訴の準備がおできにならないならば、非常に私は首をかしげちゃう。首をかしげてもしかたがない。それならば新たな事実を私は出します、いやだけれども。国会の品位、それから国会の権威、そういうために私は実は遠慮しておるのです。これは会議録に載っておりません。具体的に私は資料を幾つも持っておるのです。いいですか。要約します。これは信頼すべき石井法務大臣から信頼された検察庁なら、過去数カ月にわたる会議録をお調べになっても公訴の準備ができるはずだということが一つ。それに対する具体的な方法いかん、態度はどうですかということと。それにあわせて、あなたのほうで、それでも首をかしげておるなら、私が持っておる新たな事実を御披露申し上げたいと思うがどうか。ただ、国会の場でその新たな事実を申し上げると、これは超党的な、国会の品位にも関する、国会の権威にも関するので、実は私はいまは手控えておるのでございます。  この二点についてお答え願いたい。
  193. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) ただい京の大森先生のお話、結局、私ども的に解釈いたしますと、捜査を開始するのかしないのか、するとすれば、一体いつやるのかというところを先生はほんとうはお知りになりたいのだろうと思います。私どもも忙しくて全部出ておりませんで、十月一日は拝聴さしていただきましたが、先生のお話を聞いておりますと、全部言ったのでは捜査の際に困るだろうということで遠慮されておるようなきらいもあるのではないか。そこで、もしそういうことであるならば、先生の点も考慮いたしまして、私どもとしては、必要があれば先生の資料その他をいただくということも、出てくるのではなかろうか、かように考えております。ただ先生が非常に遠慮されて、いろいろ御質問された証拠の全部出さないようにということで遠慮されたというようなことは理解するのでございますが、それでも、まあ事件事件なので新聞等にも出ました。したがって、現在ここで私が検察庁ですでに捜査を開始した、あるいは将来開始するということを申し上げますのは、将来の検察権の行使に影響がございますので、その点は差し控えさしていただきたいと思います。ただ、事実を確定いたしますのが検察庁の仕事でございまして、その点に関する先般の質疑の内容等につきましては、検察庁にも伝える予定でございます。それで、ただ私考えますのに、先生も非常に遠慮されたようなことがございますので、御承知のように、犯罪事実の確定には六何の原則とか八何の原則というのがございまして、いつ、どこでどういう方法でやったかということが必要になるわけでございますが、その全部はいまだわかっていないわけでございます。そういう点につきましては、はっきりするためには、でき得れば告発という形をとっていただければ一番検察庁としても捜査しやすいのではないか。その際に、むしろだれを調べればわかるのかというような点をも、しかるべき機関に言っていただくのが一番ありがたいのではないか、かように考えております。
  194. 大森創造

    ○大森創造君 一言だけ。  現実に証拠書類を焼却しつつあります。それから埋めつつあります。私はこれを見ているのですよいいですか。過去数カ月にわたる調査の中において、何回も繰り返しますが、しろうとの私でもこれは黒だというふうに判断します。それを裏づけるようなものが幾つもあるのです、幾つも。それは遠慮しておる、さっき言ったような理由で。しかし、現実に向こうが盛んに証拠隠滅をはかっておるのです、いま。焼いておるのです。物を隠しておるのです。だからぼくはこれはどうかなと。私も含めて検察庁も含めて、これはそうなったら、自民党も社会党も共産党も公明党もない。これはの国会権威のためにこの際もう私どももあなたの答弁を聞いて専門家で研究してもらいますが、どうでしょうなあ、現実にいまやっているんですよ。きのうもきょうもおとといも私どものところにひんぴんと入っているわけです。きょうはこれをやりました、あれをやりました、これはアトモスフィアで物証ではございませんが、こういう場合はいかがなもんでしょう。
  195. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 十月一日にも証拠隠滅工作があるというお話ございましたが、具体的にいつどこでだれがやったかということはまだ承知してないわけでございまして、お差しつかえなければ、先生個人でけっこうなのでございますので、告発手続をとっていただくのが一番検察庁としては捜査をしやすいのではなかろうか、かように考える次第でございます。
  196. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 刑事課長は十月一日の事件だけですか、聞いておられたのは。ほかのものは聞いておられないかもわかりませんが、このいわゆる甘味コンビナートの問題に関連する全体の事件で、これはあなたの考えで、一体これらの事件のといいますか、ずっと決算委員会のあなたが聞かれたもの、聞かれないものをまぜて、一体刑法上の問題点がどういうところにあるかということは、刑法上の問題点がここにあるということをもちろん断定するわけじゃありませんし、そういう意味じゃもちろんありませんから、問題点として考えられて、その点はどういう点、どういう点にあるだろうか。たとえば印鑑なり、あるいは私文書の偽造の問題が幾つかあるとか、あるいはそれに基づいてあれしておるとすれば、詐欺の問題も出てくるだろうとか、あるいは金の貸し方が、自己または第三者に損害を与える目的で貸したと、そういう故意の目的があって貸したとすれば背任の問題も出てくるだろう。あるいは特別背任の問題も出てくる。あるいは特別法の問題も出てくるだろうとか、さらにいろいろ勘ぐってくれば、発展してくれば場合によっては贈収賄という事態も起こってくるかもわからぬとか、そういう問題点があるとか、いろいろあるわけですね。私はそれがいまの段階でどうも断定できるわけでももちろんありませんし、疑念というところまでまだ法務省当局としてはいっていないと見ているわけです、いまの段階では。ですから、ずっと眺めてこういう点、刑法上の問題点でこういう問題点がある、こういう問題点があるだろうという程度のことがこれは考えとして出てくるのではないか、こう思うのですがね。疑念というか、断定という意味じゃないですから、これはある程度はわかりますからね、その点はどうでしょうか。
  197. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 私が申し上げたいことを先生全部質問の際におっしゃたような形でございますが、結局、検察庁といたしましては、事実を全部確定いたしまして、それがどの罪名になるかということを確定すべきだろうと思います。したがいまして、現在のお話で刑法上の罪名になります印章偽造であるとか、私文書偽造でございますとか、証拠隠滅とかいうお話が出ておりますけれども、その結果的なお話だけ承っておるわけでござまして事実がわかりません。したがって、そういうような問題でございますので、私個人の見解になるわけでございますが、たとえば証拠の隠滅は百四条になるわけでございまして、「他人ノ刑事被告事件ニ関スル証憑ヲ湮滅」するという形でございますので、他人の被告事件になるかならないかということによりましては証拠隠滅の成立があろうと思います。  それからさらに印章偽造や私文書偽造でございますが、条文によりますと刑法の百五十九条が私文書偽造でございます。この中にはいわばすでに偽造した印章を使った場合と、使っていない場合があるわけでございまして、新聞等の報道によりますと、印章偽造と私文書偽造が別々になっているということでございますが、もしその私文書偽造をするにあたって偽造した印章を使っていれば、結局私文書偽造一罪に集中されるわけでございまして、刑法百五十九条の私文最偽造が成立するものと考えられます。これは御承知のとおり、ここには「行使ノ目的ヲ以テ」というようなむずかしい目的罪がございますので、この点は検察官の捜査を待ってみなければわからないのではなかろうか。したがいまして、現在では事実関係が明瞭でございませんので、どうということはわかりませんが、ただいま申し上げたような条文に当たる事実が確定いたしますれば犯罪が成立するであろうというふうに考えております。
  198. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それから背任の問題はどうですか。金融機関が金を貸す場合に担保が不十分であるとか、あるいは貸した金が約束した返済期間に確実に返ってこないような見込みがある。そういうような場合に、自分の銀行なり金融機関に損害を加える、あるいは相手方に利益を与える、こういうような目的でやる、こういうようなことになってくると、それは背任の問題が起きてくるわけでしょう。そういうことも考えられるわけですね。
  199. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) ただいま稲葉先生の申された前提要件が全部成就いたしますれば背任罪の成立も考えられるだろうと思います。この場合あまり申し上げますと、これから捜査をもしするんですと困るので申し上げませんが、これは目的罪でございまして、「自己若クハ第三者ノ利益ヲ図リ」という点の捜査は、検察庁で捜査をしてみなければわからないことだろう、かように思っております。
  200. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま言ったような点で、本件はいろいろな角度から、私はもちろん断定するわけではありませんし、問題点がまだいろいろあると、こう思うのです。特別法の問題もありますし、いま背任の問題になってくると、故意の内容が特別故意であって、それがはっきり目的罪としての認識の問題、いろいろ問題がありますけれども、これはいずれあとにいたしまして、きょうはそんなこと聞きませんが、いずれにいたしましても、本件は問答の中にもこんなようないろいろな問題点を含んでいるということは、これは事実だと私は思うわけですが、これに対してどうこうということをいまここで聞くのもどうかと思うのでこの程度にしておきますが、最後に法務大臣にお聞きいたしたいのは、いまお聞きをしておりますと、何か告発があれば捜査に着手すると聞こえるわけです。そうすると、告発があればこれは捜査に着手するのはあたりまえのことなんですよ、これは検察庁の仕事ですから。それと同時に、早急に徹底的に国民の疑惑を解くために捜査に着手をして国民の信頼にこたえて疑惑をなくすように進んでいくという一つの覚悟がしっかりあるかということが一つと、それから、問題が発展してきて、政府なりあるいはあなたの属する、失礼だけれども、自由民主党の人なりに関係するようなことがあっても、あなたとしてはそれに対して厳正な、しっかりした態度をとっていって、圧力をかけるようなことをしない、この二点についてお考えをきょうは承っておきたい、こう思います。
  201. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 訴えがあれば当然調べるのはあたりまえだろう、そのあたりまえなことをさっき申したわけであります。進んでこの問題と取っ組んでいくかどうかという問題は、そういう問題と取っ組めとか取っ組むなということを一切指図しないということを申し上げたのであります。  それから、これがほかのほうでいろいろな問題が、あるいは党内で反対があるとか、ほかからいろいろ話があるというような問題がありましても、私はいままでもこういう問題につきましてはあまりそういう声を聞かないことにしております。私の立場、法務大臣の立場で最も正しいと思った方向にちゃんとやってまいりたいと思います。
  202. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 稲葉先生もうすでに御存じなのであえて申し上げる必要ありませんが、検察庁の端緒の中には、先ほど大森先生おっしゃられたように、投書、申告その他すべて捜査の端緒になるわけでございますが、告発もその端緒の一つと考えておるわけでございまして、告発が特別の要素を持つものでは決してないわけでございます。ただし、これまで私も十月一日の委員会に傍聴させていただいたのでございますが、結局、事実がはっきりいたしませんので、その証拠その他の点をはっきり検察庁に言っていただくためには告発手続をおとりくださったほうがいいのではないだろうか、こういう意味でございますので、一言申し上げます。
  203. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと一、二点確かめておきたいのですが、端緒があれば捜査に着手するのだ、こういうふうに課長がせんだってからも言われておったわけです。私はそのとおりだと思います。告発がなくなって端緒があればやらなければならぬわけです。ところがですね、本件については、私はすでにちゃんと端緒というものは生まれておると思うのですね、本件については。なかなかあれだけの端緒というものは簡単に出てきませんよ。それは普通の投書とか、そんなものなんかに比較したら、これはたいへんな端緒になる。だから私は、その告発があれば当然なんですが、すでに告発以外に端緒というものは出ているんだというふうに理解したいわけなんですが、あなたのほうでは、この端緒いまだなしと、こういう考え方ですか。もう端緒ははっきりあると、こう言われるのですか。そこはどうなんですか、見解は。
  204. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 具体的事件関係いたしますので、明確にお答えするのは、ちょっと差し控えさせていただきますが、現在の形でもう捜査を開始するだけの、もっとはっきり言いますれば、証拠収集ができるというような端緒があるかということは、私は速記録等を十分検討さしていただきましてきめたいと思っております。ただし、先ほどの、一例だけ申しますと、証拠隠滅の点になりまして、証憑が隠滅されているという点でございますが、もしそうであれば、だれがやったかということを早く確定しなければならないわけでございます。その点は大森先生のお話から申しますと、先生ある程度特定される何ものかをお持ちであるわけでございます。これを検察当局に伝えるとするならば、それは告発手続という形であろう。  それから、なお、先ほど先生引用されたと思うのですが、この委員会で言ったのでは、それに伴うまたその証拠隠滅も行なわれるということをおそれられたのじゃないかと思うのですが、そういう点から考えますと、検察庁にその事実をお伝え願うには、さっきの告発という点が一番近い道ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、現在の事件で、端緒にならないじゃないかということに対して、一般的端緒にならぬ、あるいは端緒になるという意味で申し上げたのではございません。捜査を明確にあるいはまた迅速に適切にといいますか、そのためには告発の手続をとっていただくのが一番いいのではないか、かように考えるわけでございます。
  205. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、結局、現状では端緒があるともないとも断定されないわけですが、そういう状態であれば、これは相当端緒に近いものがあるんですから、大森君なら大森君を呼んでもらって参考に聞いたらいいわけでしょう。実際は、そうすると、すでに捜査に着手することになるかもしれませんが、私はそういう程度の端緒の状態にはすでにこれは当然なっていると思うのですよ。各新聞見てごらんなさい。これを明確にしてくれとみな言っているじゃありませか。だから、告発という問題はいろいろ問題があるのです。ここまであなたおっしゃるから、われわれも言いますが、告発をすると、国会の論議がなかなか制約される場合があるのですよ、従来の例からいって。それは十月一日の決算委員会の状況等を見たって、与党のほうは、もうこの問題を樹上にのせないような、そういう運営に出てきているわけですし、それは告発すると、従来の例からいうと、いま捜査当局がやっておりますので、それを待ちますというような言い方でさらにまた国会の審議に支障があるのですよ。われわれそんなことを望まぬのですが、しかし、そういう傾向があるわけですよ。だから、われわれとしては国会は国会として、これらの一連の問題については、刑事事件に関連するような問題もあるし、それからまた、行政上不当だと思われるような問題もあるし、非常にやっぱり広い問題が多々あるわけですね。そういう国会本来の審議にやはり支障があってはいけないということで、実はその点は党内で論議になっております。ここまで来ればはっきり言いましょう、それは。それに対して告発があればというのは、それは何か与党の諸君としめし合わせたような、そんなことをされておらぬと思うのですが、結論としてはそういうことになる。結論としては。だから、そうじゃなしに、この各社の世論等を見たって、ここまで問題が出てきたら明確にしてほしいという要望がはっきり出ているのですからね。私はこれを端緒としてあなたのほうがやはり受け取って、そうして必要があれば大森君の資料なども見せてもらうとかというようなことをして自発的に私はやっていくのがほんとうにいいのじゃないか。国会の審議も支障がないし、そうして検察庁のほうもやれるわけですからね。それは一体どうなんです。そういう状況にあるわけですよ。われわれの立場もこれは率直にあなたに言うたわけだ。
  206. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 亀田先生の御趣旨よくわかりました。ただ、検察庁といたしましては、刑事事件になりましたので、御承知のように捜査密行主義でございまして、それがまさに国会の国政調査権とぶつかるという御指摘でございますが、検察庁の立場から申しますと、捜査をやる際に証拠収集その他につきましてはしばらく検察庁におまかせ願いたいという気持ちでございますので、その点を申し上げた次第でございます。
  207. 亀田得治

    亀田得治君 だから、この点は非常に微妙にからむわけですよ。われわれ自体が告発すれば、必らずそれは自民党のほうから、国会運営について、検察庁にまかそう、こういう意見が出てくるのですよ。それだけで済まされぬ問題点がたくさんあるわけですよ。そちらにまでこれは支障が来るわけです、実際問題として。だから、そういうことでいいというのなら公訴はやらぬのだという態度をおとりになったらいいでしょう。しかし、それは世論の期待に私は反するものだと思う。だから、必要なことは、証拠を持っている諸君が皆さんにこれは当然協力するわけですから、すでにあれだけのものが出ているのですから、自発的に動くのがほんとうではないか、こういうところなんですよ。どうもきょうのあれですと、告訴なき以上はやらぬような印象を受けまして、はなはだもって不満なんです。よその点は。
  208. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) 先ほど亀田先生お話しの中に、自民党と何か話し合ったのではないかというお話もございましたが、さようなことは絶対にございません。
  209. 亀田得治

    亀田得治君 いや、そんなことはないでしょうがと、こう言っておりますよ、結果はそうなるというのです。
  210. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) それから、痛い腹を探られたという形でございますが、私どもといたしましては、国会の審議を妨害するために告発してくださいと申し上げた趣旨でもございません。ただ、まあこの事件を別にいたしまして、一般的に申し上げますと、ある程度公になった事件になりますと、捜査とそれに伴ういろいろな相手方の工作というものとの戦いになるわけでございまして、私どもとしては、どこかの殺階で捜査段階のほうが先んじなければ捜査は常に後手に回るという結果になるわけでございます。そういう意味におきまして実は暗中模索の状態であろうと思うわけです。なるほど、偽造があった、あるいは証拠隠滅があったというお話だけ聞いたのですが、まあ証拠隠滅については東京葛飾工場というようなお話もございましたけれども、まだ犯罪事実確定及び犯人を特定するに足りるものではないわけでございまして、その意味から申し上げまして、資料を御提供いただかなければ判断ができないのではないか。その資料提供の方法として告発ということで申し上げた次第でございまして、告発がなければ捜査をやらないという趣旨では決してございません。
  211. 亀田得治

    亀田得治君 わかりました。まあ手っとり早く資料をつかみたいという意味で言うたのだというのならばそれでけっこうです。ところが、資料をつかむ方法は、告発がなくとも、十分協力できるものはそれらを持ってる諸君がするのは、これは当然なんですから、だから、それは心配御無用だと思うんです。  そこで、まあそこは了解願ったらいいんですが、大臣に一つお聞きしとくんですが、いま捜査の端緒とか、あるいは告発があったら、なかったらというふうな問題が出たわけですが、検察庁がすでにこれは端緒ありというふうにして告発がなくとも動きだすと、こういうことについては、大胆としては別に異論を唱える筋はないでしょう、信頼してまかしてあるんですから。大臣も告発だけに限定しているわけじゃないでしょう。
  212. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) さっき申し上げましたように、検察当局を全面的に信頼いたしておりますので、それについては、決して妨げも何もいたしません。その点は御心配なく。
  213. 亀田得治

    亀田得治君 そうでしたら、刑事課長、大臣もそういうざっくばらんな気持ちですから、もっとあなたは、検察庁のほうに速記録などもすでに渡しておるとおっしゃるわけですがね、大臣の意向も伝えて、検察庁独自の行動というか、判断というか、それを示してもらいたいと思うんです。それは、あなたがいろいろこまかく連絡しているようですから、あなたに要求しておきます。
  214. 藤原道子

    ○藤原道子君 委員長一言。  私は、問題を提起された大森委員法律的には専門家の亀田さん、そしてまた稲葉さんがおいでになりますから、その点に触れようとは思いません。ただ、法務大臣にお願いしたいことがあるのです。私は国会議員としてきょうの事態が非常に残念なのです。情けないのです。今度の事件は大森さんも自分の運命をかけて申されておるわけです。ところが、私委員長をしております当時、国有財産にからむ不正事件がずいぶん出てまいりました。そうすると、国有財産だけやっておると決算委員会自体の使命を遂行することが不可能になる。そのために小委員会を持ちました。ところが、小委員会で追及が激しくなってまいりましたら、自民党から圧力がかかりまして、とうとう小委員会をつぶされてしまった。小委員会でやらなくたって本委員会でやればいいじゃないかというので、国会対策からさらにその上まで問題が持ち込まれて、自分たちはしようがない、上からの命令だからというようなことさえ自民党の理事が口にされるというようなことでついに——委員会は、国会が終わって会期が変わるとき、その前にきめるわけでございますが、そのとき——最後までねばられましてこの国有財産追及の場を失ってしまったわけです。  ところが、今回もいよいよ煮詰めてまいりましたところが、成規の手続をもって要求されるならば証拠書類を出す。成規の手続というのは、理事会が一致しなければならない。もし理事会が一致しない場合には、これは委員会の採決になるわけです。そうすると、御案内のとおり、自民党が圧倒的多数なんです。決算委員会は圧倒的でもございませんが、一人の違いで否決になるわけです。十四対十五なんです。そうして、ふだんはちっとも出席されない自民党の議員が、その日にはずらっと並んだのです。ところが、これが採決をしないで済むような方向に行ったと思ったら、ぞろぞろ帰られてしまい、最後には理事まで退席された。そうすると、それが終わりましてから、いつの委員会でも、委員会終了後理事会を開いて次期の日程を協議してきめるわけでございますが、それをすることができない。野党はおるのです。ところが、自民党では理事さえいなくなる。けんかになりません。委員会の円満な遂行もできないわけです。勘ぐるわけじゃございませんけれども、こうして、やることができないようにしていくという多数の暴力に対して私たちはたえがたい気持ちでございます。大臣もひとつ国民の声を率直に聞いてもらいたい。このごろは政治不信の声がちまたに満ちております。あんなことやってたって結局しり切れトンボじゃないか、国会はサル芝居をやっているんだ、こういうことさえ極論する人がふえてまいります。わずか百万円の金繰りができなくて倒産している中小企業はたくさんございます。にもかかわらず、たった三千五百万円で払い下げた土地が一年そこそこで四十億の担保に入って融資を受ける、こういう記事を見たときに国民はどう思うでございましょう。しかも、その間には印鑑偽造がある、私文書偽造がある、あるいは大阪拘置所の問題では荒舩大臣の名前が出てるんです。ということになれば、与党ならば、多数ならば何をしてもうやむやで済むんだと、こういうことがもし国民の中にさらにさらに盛り上がったときに、私は政治の危機を感じるわけです。議会政治に国民が期待しない、信頼しないとなったときには一体どうなるのか、これを私はおそれております。きのうもちょっと新聞に出ておりましたけれども、私は汽車に乗っても、地方へ出ていっても、そういううわさが大声で話されておりますと、バッジをつけているのが恥ずかしい、こういう気持ちにさえなるわけでございます。何も野党だから自民党をやっつけよう、こういう気持ちは毛頭ございません。政治の姿勢を正したいのです。私は法務大臣としての石井さんよりも自民党の実力者としての石井さんにいま申し上げているわけなんです。きょうも、ごらんください、与党は一人もいないじゃありませんか。理事がたった一人おいでになる。(笑声) 理事が一人、委員は一人もいないじゃございませんか。これが国会の正常な審議の姿と言えるでございましょうか。私はこの点を、自民党の実力者といたしましてぜひ党内にこの問題を持ち帰っていただきまして、もう少しまじめな議員の姿ができますように特にお願いしておきたいと思います。  さらに課長に申し上げたいのですが、証拠がないからやれないとおっしゃるならば、一日の委員会でも、その前でも、大森さんは証拠を持っているとおっしゃっておられる。葛飾ですぐに焼かれた、埋められたという通報もあるとまでおっしゃっておるのです。それならば、告発がなくたって、大森さんに来ていただかなくても、あなたが直接会館へおたずねになってひそかにお聞きになるということは私可能だと思うのです。私は、もう少し、いまの国民の政治不信感を払拭するには、あなた方がよほどしっかりしていただかなければたいへんなことになる。こういう意味から、私はあえて本職の専門議員がおられますけれども、私も国会議員の一人といたしまして、さらに決算委員会におきまして一年半なり委員長をしておるときの体験等を考えまして、今日の事態を非常に憂えますがゆえに、一言発言したわけでございますが、大臣にぜひ御決意のほどを承りたいと思います。そうして、各委員会とも与党の出席が悪いんですよ。採決になればずらりと並ぶのです。これは私どうしても許せないと思いますが、大臣の御所見を伺いたい。
  215. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 御忠言ありがたく承ります。いろいろ至らぬところがずいぶんあると思います。しかし、なかなか一つの面だけ見ると非常に悪いように見えますけれども、そうでない、いい面もお互いにどっさり持っているわけでございますから、もっといい面を育てていくというほうにお互いが努力して、悪い面をだんだんなくなすように努力する。それには私も一生懸命、党の一員といたしましても、法務大臣といたしても努力をするつもりでございます。御注意ありがとうございました。
  216. 藤原道子

    ○藤原道子君 しっかり頼みます。
  217. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 いま藤原委員から、私ども自民党が協力せないというようなおしかりをいただきましたが、実は本日の法務委員会もいままで予定でなかったのでありますけれども、臨時にこれを入れたいということでありますから、私は理事の立場としてそして、私はきょうやることに賛成したわけであって、全面的に協力せないという意味ではありませんから、どうぞ御承知を願いたいと思います。
  218. 藤原道子

    ○藤原道子君 それはわかっています。わかっていますけれども、決算委員会だって二日の予定が五日になったし、これは審議の必要があればこそやるのじゃありませんか。
  219. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会