運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-09-10 第52回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年九月十日(土曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  八月二十七日     辞任         補欠選任      中村啓四郎君     安井  謙君  九月三日     辞任         補欠選任      岩間 正男君     野坂 参三君  九月九日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和泉  覚君     理 事                 後藤 義隆君                 松野 孝一君                 稲葉 誠一君     委 員                 岡村文四郎君                 斎藤  昇君                 鈴木 万平君                 中野 文門君                 大森 創造君                 藤原 道子君                 黒柳  明君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    衆議院事務局側        委 員 部 長  藤野 重信君    説明員        法務大臣官房経        理部長      勝尾 鐐三君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省刑事局長  津田  實君        大蔵大臣官房財        務調査官     山本  靖君        大蔵省国際金融        局投資第三課長  和田 謙三君        国税庁次長    中嶋 晴雄君        林野庁長官    若林 正武君    参考人        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        関盛 吉雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○派遣委員報告に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (大阪拘置所問題偽証事件等に関する件)     —————————————
  2. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  八月二十七日、中村喜四郎君が委員辞任され、その補欠として安井謙君が、九月三日、岩間正男君が委員辞任され、その補欠として野坂参三君が、また、九月九日、山田徹一君が委員辞任され、その補欠として黒柳明君が、それぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、理事辞任についておはかりいたします。  木島義夫君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事後藤義隆君を指名いたします。     —————————————
  6. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました司法行政及び検察行政売春事犯対策並びに出入国管理に関する実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願うわけでございますが、本日は、時間の都合もございますので、口頭の報告は省略することといたしまして、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、検察及び裁判運営等に関する調査のため、日本住宅公団総裁林敬三君及び同公団理事関盛吉雄君から意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 和泉覚

    委員長和泉覚君) それでは、これより検察及び裁判運営等に関する調査を行ないます。君。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま、いわゆる田中彰治事件なるものが捜査中でありまして、全国民の注視を浴びておるわけであります。これは、国会の権威という問題、政党のあり方、こういうふうな問題に関連しても非常に大きな問題であります。ただ、事件は、これは捜査中の事件でありますから、私はそれが捜査中であるということについての限界というものはやはり国会は守るべきであるという考え方に立っておりますですし、立法府としての国会あり方というものについても、おのずからこうした問題については限度があるというふうにも思います。同時に、また、人権は十分尊重しなければならないのはあたりまえのことでありますが、しかし、同時に、綱紀粛正といいますか、そういうふうな大きな目で見て、政治あり方全体のために国民のために正すべきものはこれはやはり正さなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。そういうような観点からいろいろお尋ねをいたしていきたいというふうに思います。  まず、最初に、これは法務大臣——本来ならば、自民党総裁総理なりあるいは官房長官出席というのが妥当かもわかりませんが、御出席がありませんし、所管でありまする法務大臣に、一体、こういうような田中事件というものが起きた原因というようなものについてどのようにお考えになっておられるのか、まずこういうふうなところから質問を始めていきたい、こういうふうに考えるわけであります。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 田中彰治君の事件が起こりましたことは、同じ国会議員の一員といたしまして残念千万に思っておるわけであります。しかし、検察当局の手にこの問題が取り上げられましてそうしていま取り調べの途中でございますが、どうなるかまだ決定はいたしませんが、取り調べ段階になりました以上は、検察当局といたしまして、いっでも私どもが検察当局に期待いたしておりまするような厳正なそして適正な態度事件の取り扱いをしてもらいたいということを期待しておるわけでございます。これは、私いま法務大臣としての期待でございます。  政府といたしまして、こういう問題が起こりましたことは、はなはだ遺憾であり、また、こういう問題が世の風潮に大きく影響する問題でもあるということを考えまして、総理大臣はじめ、みな心を痛めておる次第でございます。この問題が明らかになり、そしてどういうことになるかということを見て、いろいろそれに対する処置をそれぞれ講ずべきでありまするが、そういうことと並んで、何と申しまするか、政治道の確立と申しますか、りっぱな政治というものが行なわれなければ日本の国のすべてのいろいろな問題がまっすぐ動き出すことはできない、また、よく動くことはできないということをよく総理も申しておりまするように、そういうことから考えますると、これは一つの大きな障害を来たした、まことに大きな障害が横たわったようなものでございます。これをのけて、そうしてりっぱな道にして進んでいくというためには、非常な努力をしなければならないということでございます。総理大臣はじめ、内閣、また、政治家としてのわれわれ全体が覚悟を新たにして進んでいかなければならぬ、こういうふうにいまのところは考えておるわけであります。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 総理大臣以下が心を痛めておる、大きな障害になった、それはそのとおりなわけですが、それでは具体的に——あなたは自由民主党総裁ではないし、総理ではございませんので、たいへん失礼ではございますけれども、それじゃ具体的に一体どうするのかということですね。田中彰治氏個人に対してどうするのだ、こういうことについてはどういうふうにお考えなんでしょうか。あるいは、そのことに関連をして、自民党総裁である総理に対して進言をされたとか、あるいは進胃をする必要があるとか、こういうふうなことについてはどういうふうにお考えなんですか。
  14. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは、党といたしましては、ちょうどいま政治の上では来年はわれわれ衆議院議員の任期も来る年であります。また、地方の各議員たち首長たち選挙も行なわれる選挙の年でもございます。そういうふうなことを前にいたしまして、ことばで申しますれば姿勢を正すということを特にこの際は力を強めて言動の上にこれを実現するということにつとめなければならないということが、総理大臣はじめ、みなの心の中に起こっておる感情でございます。いま、だれがどうしようこうしようという話はございませんけれども、おのずからみなの心の中に起こっておることは同じことだと私は思っております。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは内部に立ち入ったことをお伺いするようで恐縮でございますけれども、決してそういう意味ではなくて、国民一つの声としていま大臣が言われたように佐藤内閣全体が姿勢を正すんだ、こういうようなことであれば、その姿勢を正すという具体的な事実のあらわれとして、まず田中議員をたいへん失礼ではございますけれども党から除名をされるとか、いろいろな行き方があると、こう思うですね。こういうふうにしてあやふやな態度をとっておられるということが、かえって国民から疑惑を招く種になるのではないかと、私はこういうふうに考えるわけです。しかし、これは見方によっては内部のことでありまして、そこまで私が言うべき筋合いのものではないとも考えられますので、まあそこまで言うのは遠慮したいと思いますが、伝えられるところによりますと、何か議員を辞職されるというようなことできようその手続がとられるとかとられないとかということが出ております。そうすると、議員を辞職されたからということによって、本件の現在までの捜査、これからの捜査に、何らかの影響、あるいは手心、こういうふうなものが加わるのではないかといって心配している人もいるわけです。こういう点は、かりにそういう辞職なり除名なり何なりが行なわれても、今後の捜査ということについては全然関係がないのだ、こういう点ははっきり大臣としておっしゃることができるでしょうか。
  16. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 初めに申し上げましたように、検察当局は、検察当局のいままでのやり方のように、厳正にそうして適正な態度をもって処理をしていくということでございます。それに私は全幅の信頼を置いておるのでございまして、どうしようこうしようといってこの問題に対してほかの問題の場合と同じように特別な指令をしたことはないのでございます。私は必ずその任務を果たしてくれることを確信しておるのでございまして、それには、ただいまのようなことによってこれが左右される、辞職したとかあるいは議員の地位がどういうふうに動いたから片一方の刑事問題が左右されるというようなことには検察当局は左右されることはないと確信いたしております。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事件発展をしてくるにつれて、いろいろ政界の上層部というか、あるいは財界その他に波及をしてくる、こういうようなことになってまいると、時の政府なり何なりに不利益になることが考えられる。だから、ある段階に至ったときに、この事件はいわゆる指揮権の発動的なもので打ち切りになるのではないか、こういうように国民の中には心配をする向きもあるわけですけれども、かようなことは絶対にないんだと、国民の負託にこたえるためにも徹底的に本件というものを追及する、そのために自由民主党なり政府なりにかりにどんな影響があってもそういうことはかまわない、徹底的にこのことは追及をするんだと、こういうようなことで打ち切りにするようなことは絶対にないんだ、こういうようなことについてはいかがお考えでございましょうか。政府なり与党なりにかりに不利益なことが起こることになっても、大臣としては断乎としてそういうことに影響されない、そして本件をしっかり追及さすようにする、打ち切りなどは絶対にしない、これが国民に対するこたえる通なんだ、こういうふうにお考えなのでしょうか、その点の決意をこの際あらためて明らかにしていただきたい、かように考えます。
  18. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 法務大臣は、ただいまおっしゃったような意味において動くのが当然のことだと思っております。別に新たにここに決意をするということを申し上げなくても、当然そうあるべきだと私は考えております。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあ一般論はその程度にいたしまして、またあとから締めくくりのときにお聞きをするようになると思うんですが、そこで、本件のいままでの状況を、これは刑事局長でけっこうですけれども、あまり長くなっても時間の関係がありますので、要点だけ——現在起訴されたもの、現在捜査中のもので差しつかえのある段階のものがあるでしょうから、それは私のほうもわかりますから、要点だけを簡単に説明願いたいと思います。
  20. 津田實

    説明員津田實君) 田中関係事件につきましては、田中彰治実子田中彰外五名とともに、本年八月五日、恐喝詐欺罪容疑により田中彰治を逮捕し、同月七日勾留請求をいたし、同月十五日勾留延期請求をして取り調べを行ないました結果、八月二十六日、恐喝詐欺背任の各罪によりまして同人勾留中のまま公判請求をしたのであります。次いで、なお、同日付で、田中彰菅谷恒進を恐喝罪によって、田中稔堀川正雄志和池孝介偽証罪によって、各公判請求をいたし、関係被疑者である三浦伊佐美につきましては処分保留のまま釈放をいたしております。  さらに、八月二十九日、偽証、同教唆詐欺未遂恐喝の各罪によりまして田中彰治を逮捕し、同月三十一日勾留請求をいたし、九月八日勾留延長請求、同日十日間の勾留期間延長決定がありまして、これが取り調べを続行中であります。  そこで、起訴事実の点につきましては、詳細を申し上げますとかなり時間を要しますので、簡単に項目的に申し上げます。  まず、八月二十六日に起訴いたしました公訴事実は、被告人田中彰治は、国際興業株式会社会長日本電建株式会社代表取締役小佐野賢治から手形割引による融資を受けていたのでありますが、その手形四通合計一億円の決済が不能の見通しとなりましたので、小佐野決済延期方を依頼しておりましたが、承諾を得られなかった。そこで、小佐野がいわゆる旧虎ノ門公園跡国有地払い下げを受けたことなどが参議院決算委員会で論議されていたのに乗じまして、小佐野が関与した一連の国有地払い下げ等について不正があるというふうに脅迫をいたしました。その間、その関係にある被告人とも共謀をいたしまして、小佐野に対しましていろいろのことを申して、結局、その手形の書きかえをさせ、そして財産上の不法の利益を得た、こういう恐喝罪でございます。  それからさらに、昭和四十年三月ごろには小佐野からの手形割引による融資の額が一億五千万円に達しておりましたために、右融資及び将来の融資担保として、当時富士土地株式会社所有千葉県習志野市所在土地を提供すべく、その所有権保存登記済証その他関係委任状等債権者である小佐野に引き渡し、次いで同年四月七日ころ小佐野より一億円の融資を受けた際、同人に対し、期日に弁済しないときは右土地所有権を譲渡するということを約束しておりましたわけでありますが、その登記義務者としての任務にそむきまして、同年九月東京温泉株式会社代表取締役許斐氏利から五千万円の融資を受けるに際して右土地担保に提供し、同月十八日千葉地方法務局において右土地につき右許斐権利者とする所有権移転請求権保全の仮登記をしまして、もって小佐野に対して右土地価格相当財産上の損害を与えた。  さらに、同じ件に関しまして、許斐に対しましてこの土地小佐野担保に入っておるということを秘しまして、そのような金員を受け取った。これは、その事実を知ればさような金員交付をしないわけでありますので、これがやはり詐欺罪になるわけであります。  その次は、いわゆる深谷団地の問題でありまして、日本住宅公団から工業用地として深谷所在土地代金二千二百万円余りで譲り受けたのでありますが、この土地につきましては工場建設を終わるまで他に所有権を移転することができない旨の特約があるにもかかわらず、これを秘して他に売却しようといたしまして、昭和三十九年二月二十四日ごろ、大映株式会社社長永田雅一に対し、右特約を秘し、右土地を転売すれば相当もうかるから一億円で買ってくれと申し入れ、同人を誤信させ、同人から所有権移転代金名義のもとに同年三月十七日ころから同年五月二十九日までの間に約束手形等合計一億円の交付を受けたものであります。  また、昭和三十九年に、東京地方裁判所におきまして、原告綱島次男被告株式会社国際家畜研究所間の賃借権設定登記抹消等請求事件、それから原告右国際家畜研究所被告綱島間の所有権移転登記請求事件証人として、堀川正雄志和池孝介が証言するに際し、虚偽の事実を証言して、この二人は偽証をいたしたものでございます。  これが、田中彰治につきましては恐喝詐欺背任田中彰菅谷恒進については恐喝田中稔堀川正雄志和池孝介については偽証、こういう罪名で起訴されておるわけでございます。  なお、第二回目に逮捕いたしました事実の要旨をごく簡単に申し上げますと、第一は偽証罪でありまして、これは大阪拘置所土地関係につきまして訴訟が起こりまして、その訴訟に際しまして関係者の上野なるものに恐喝未遂事件が起こったわけでありますが、その事件の審理にあたりまして証人としてみずから出頭いたしました際に、宣誓の上、裁判官に対しまして虚偽の事実を陳述して偽証をいたしたという偽証罪、並びにただいま申し上げました公訴事実に当たっております各偽証罪についての偽証教唆罪等でございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 現在起訴された事件、それから勾留中の事件、これはたしか十九日が勾留満了になるように聞いていますけれども、そうすると、あれですか、これで事件は終わっちゃうわけですか。新しい発展はもうないのですか、事件としては。その点はどうなんです、わからないのですか。これからもっと発展するかもわからないのですか。
  22. 津田實

    説明員津田實君) ただいま第二の逮捕事実について鋭意捜査をいたしておりますが、その間にさらに新しい容疑事実が生ずるかどうかということは、ただいまわかりません。したがいまして、発展するものであるかどうかということも、その点は現在はわかっていないのであります。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはそう答えざるを得ないわけで、聞くほうもおかしいですが、それはそれで別として、じゃ問題を大阪拘置所のあの事件にぼくはしぼって聞いていきたいと思います、全部聞きますととてもあれですから。  そこで、大阪拘置所交換問題ですね、これは昭和三十一年に交換ができたわけでしょう。その間の経過を、これは要点だけでいいですから、日にち別に簡単に話をしてくれませんか。
  24. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) 大阪拘置所の移転問題につきましては、旧大阪拘置所が大正七年建設のものであるため、収容定員が四百余名ということできわめて狭隘なところへ、戦後の収容者の増加のために、新しい大きな拘置所を建てることが現地として焦眉の急であったのでございます。  そういう状況にございましたので、昭和二十六年に、大阪北区の北錦町に約二万一千余坪の土地を約三千四百万円余の不動産購入費で購入いたしまして、そこに新しい拘置所建設をしようといたしましたところ、地元の反対等がございまして、約四年間にわたりまして代替地等のせんさくもいたしたのでございますが、結局、適当な代替地が見当たらないままに昭和三十年を迎えたわけでございます。  しかるところ、昭和三十年の九月六日に、細見育一という人が、天理教此花教会営繕渉外部信徒代理という肩書きで、大阪拘置所移転候補地として都島区の善源寺町に約一万九千余坪の土地がある、これをお世話したいということを書面をもって申し入れてきたわけでございます。現地といたしまして、きわめて困っておりました矢先でございましたので、細見氏との話を進めたわけでございます。その間、いろいろ細見氏とのいきさつがあったわけでございますが、結局、細見氏の持ち込んだ話には幾多疑問の節が多いということで、昭和三十年の十一月二十七日に細見氏との話を一切打ち切ることに決定したわけでございます。  その昭和三十年の十一月二十七日に話を打ち切る前に、良島正浩という人が細見氏にかわって金主として自分がやりたいという事情もあったわけでございますが、そういった経過において幾多疑問の点があり、細見氏あるいは長島氏を相手に話を進めることは適当でないということで打ち切ったわけでございます。  ところが、一方、細見あるいは良島のほうで、都島善源寺町の土地所有者である延原観太郎との間に売買の話を進めていたわけでございます。ところが、延原氏との間の売買の話も、約束された手付金が約束された期日に納められなかったというために、十一月二十八日に延原氏と細見、良島等の間の売買の話も一切打ち切られて白紙になったわけでございます。  その経過をたどりまして、今度は、法務省側延原との間に直接話を進めましたところ、延原のほうで現地事情等も認識されて、直接都島土地の入手について相手方になることを承諾いたしまして、昭和三十一年の二月二十八日に、延原氏との間に、先ほど申し上げました北区北錦町の約一万一千坪の土地延原所有都島善源寺町の一万九千坪の土地との間の交換契約が調印されまして、同年の七月十一日に所定の手続、必要な調査等を全部完了して、登記完了いたしまして、同日付をもって北区北錦町の土地延原観太郎に、また、都島善源寺町の土地等法務省土地になったわけでございます。  直ちに法務省のほうといたしましては予算を入れまして、現在の都島拘置所の工事が始まって現在に及んでいるという状況でございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 時間の関係要点だけにしますが、裁判関係経過だけを日にちを追って簡単に説明してください。内容はいいですから。
  26. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) 私のほうに参っております報告書等によってお答え申し上げたいと思います。  昭和三十一年の三月二日に、良島正浩債権者延原観太郎債務者といたしまして、不動産処分禁止仮処分申請神戸地方裁判所尼崎支部申請されております。  右仮処分申請に対して、同年三月五日に、仮処分決定がなされました。  それに対し、同月十三日、債務者延原から仮処分異議申し立てがなされております。  さらに、同月二十日に、良島のほうから所有権移転登記手続請求事件の訴状が提出されております。  さらに、同月二十八日に、良馬のほうから仮処分解放申請がなされております。  さらに、同年四月十二日に、ただいま申し上げました三月二十日の所有権移転登記手続請求事件の本訴が取り下げなされております。  なお、日時は記録が汚損いたしておりまして必ずしも明確ではないのでございますが、前後の記録等からの推察でございますが、四月の十七日に、延原から提出されました仮処分異議事件について判決がなされております。  以上が昭和三十一年七月十一日交換による登記完了までの裁判関係でございます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それからいまの仮処分の判決はどうなったのですか。
  28. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) これは、四月十七日だと前後の記憶から私は推定いたしております。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、結果はどういう結果に……。
  30. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) これは、良島の申請に基づいて三月五日になした仮処分決定を取り消すという判決でございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは衆議院のほうの事務総長はあれだもので、委員部長がおいでになっておるので、非常に気の毒だと思うのですけれども経過だけ聞くのですが、衆議院の大阪拘置所事件を取り扱った決算委員会調査委員会がありますね、その日時だけでいいですよ、それだけをはっきりしていただきたいと思います。
  32. 藤野重信

    ○衆議院参事(藤野重信君) この問題につきまして決算委員会で最初に取り上げられましたのは、昭和三十六年の二月三日、衆議院決算委員会で国有財産の増減及び現況に関する調査委員会というものが設けられまして、それが一音初めでございます。それから小委員会は、五回、四月三日まで行なわれました。委員会のほうでは、三十六年六月二日に取り上げられまして、二回やっておりますが、三回目の次の国会におきまして三十六年の十月二十六日に本件につきましては打ち切るということに決定したわけでございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その前の三十五年の十二月二十六日から始まっておるのでしょう。
  34. 藤野重信

    ○衆議院参事(藤野重信君) そのときは、国有財産の増減及び現況に関する調査委員会を決算委員会に設ける決議をしております。実際に拘置所事件が取り上げられましたのは、先ほど申し上げましたとおり、翌年の二月三日、かようになっております。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これはこれだけ聞いてあとは帰ってもらってけっこうですが、決算委員会の本委員会なり小委員会として正式に国会から大阪なりほかでもいいのですけれども国政調査権の発動として出張したことはないのですか。それが一つですね。  それと、これはわかっておることですが、決算委員長は荒舩清十郎、小委員長田中彰治、こういうわけですね。
  36. 藤野重信

    ○衆議院参事(藤野重信君) お答え申し上げます。  まず、正式に委員派遣があったかどうかということの事実でございますが、それは、速記録を見ましても、そのほかの書類を見ましても、正式に派遣された事実はその期間内においてございません。  それから念のために事前にそういうことがあったかどうかということを調べてみますと、三十五年の八月に決算委員会から委員派遣はございましたが、これは北海道に行っておるのでございまして、したがいまして、本件に関してはその前後もない、かように思います。  それから第二点は、委員長は荒舩清十郎さんでございまして、国有財産増減の小委員会の小委員長田中彰治さんでございます。
  37. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和三十一年に決着のついた事件が、なぜ三十五年の暮れから三十六年にかけて国会の決算委員会で取り上げられたのでしょうか。この点についての取り調べは、これは当然できておるわけですね。この点はどうなんですか。なぜ取り上げられたのでしょうか。
  38. 津田實

    説明員津田實君) これは、事実としてはまだ捜査中で判明いたしておりませんが、容疑事実として一応申し上げますと、こういうことであります。  第三十八回国会におきまして、衆議院の決算委員をつとめるかたわら、同決算委員会の国有財産の増減及び現況に関する調査委員会委員長田中彰治はつとめていたものでありますが、昭和三十五年の十二月に、同院決算委員会に対しまして、上野浩なる者から、法務省延原観太郎に等価交換により譲渡した大阪北北錦町の宅地合計一万坪余りについて、その譲渡の経過に疑点があるとして調査方の陳情がなされたわけであります。同委員会においては、その問題の、審議を行なった際、同宅地は延原から上野が買い受ける約束をしているのに延原が履行しないものである旨の主張がわかったわけでありまして、そこで、自己の決算委員として威力を用いて、延原から上野に対してこれを売却させ、それを転売して利得を得ようというふうに考えて、先ほど来まあ略して申し上げましたようなことになったわけでございますが、なお、それについて詳細を申し上げれば、なお申し上げることができます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省としては、あれでしょう、三十一年に交換ができて、登記も完全にできて済んでいるわけですね。そういうわけでしょう。だから、それが決算委員会に持ち込まれるということについては、一体、どういうふうに考えたのですか。おかしいと思ったのですか。あるいは、あれが決算委員会に持ち込まれたのは法務省のほうに欠陥があるからあたりまえなんだと、こういうふうに考えたのですか。これは経理部長でも刑事局長でもいいです。質問が変な質問でなんだけれども……。
  40. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) 決算委員会に持ち込まれたことにつきましては、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、三十一年に法律的にもまた事実的にも完全に結着のついているものと確信いたしております。したがいまして、三十六年になりまして同じ問題を蒸し返されましたことについては、その理由に苦しむものでございますが、その後の関係記録等を見ましての私の推定でございますが、結局、良局あるいは上野、細見等が、都島土地を自分らが手に入れて天満の土地交換して、その天満の土地について投機的に相当利益があるものと考えていろいろ奔走したのでございますが、多額の費用を費消して目的を達することができなかったために、何とか少なくとも奔走に支払ったような経費を戻したいというような気持ちがあったのではないか、このように私としては推察をいたしております。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これから本筋に入るわけですけれども、いま刑事局長が言われた上野という者から決算委員長あてに陳情書が出たというのは、日付はいつですか。
  42. 津田實

    説明員津田實君) 日付はちょっとはっきりいたしませんが、昭和三十五年十二月ということになっております。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和三十五年の十二月二十六日に決算委員会が開かれて、そこで小委員が指名されたわけですね。二月三日に第一回の小委員会、これはいま委員部長の話でわかった。ところが、その前の一月三十日に、決算委員長の荒舩清十郎という人と小委員長田中彰治、この二人が大阪のグランドホテルに行って関係者を呼び出しているわけですね。これは、いまの委員部長の証言によって明らかなように、国会の正式な派遣ではないということになっているわけです。この二人が一月三十日に大阪のグランドホテルに行って、そして延原その他の者を呼び出しておる。田中彰治国会の議事録によりますと、三日間そこに泊まっておりますね。そういう事実関係については、これは当然検察庁としてすでに過去においてお調べになったはずだと、こう思うのですが、その点はいかがですか。
  44. 津田實

    説明員津田實君) 先ほど申し上げました三十五年の十二月に決算委員会に上野から陳情がなされたということで、それから本件が始まるわけでございます。その間に本件につきましてどういう事情があったかということについては、もちろん検察当局取り調べておると思います。現存私はこれは承知いたしておりませんが、しかしながら、取り調べておることは当然だと思います。  そこで、それはなぜかと申しますと、この問題は、引き続いて簡単に申し上げますと、そういうふうに転売して利益を得ようと考えまして、昭和三十六年五月初めごろ、この旨を上野に田中が申し入れて承諾を得、転売利益の分配について協定をした上、三十六年五月十一日、上野をして同宅地につき大阪地方裁判所に延原を被申請人として処分禁止の仮処分——先ほど経理部長が申しました——申請させ、同月二十五日、供託金一億五千万円をみずから調達して納付し、右仮処分決定を得、次いで同年六月十五日、上野をして同裁判所に右延原を被告とする同宅地の所有権移転登記請求訴訟を提起させた上、同年八月二十五日ごろ、みずから秘書勝山正に口授して、「臨時国会が始まると、決算委員会延原問題を取り上げて脱税問題を徹底的に追及し、隠退蔵物資の調査も行ない、国が延原の全財産を差し押え、延原の隠退蔵物資の価格をきめて取り上げることになっている」というような趣旨の延原あての手紙を上野名義で書かせ、これを延原方に郵送させましたが、このことが上野の恐喝未遂事件として捜査され、上町が起訴されまして東京地方裁判所において審理されるようになったのであります。  そこで、昭和三十七年の五月十七日に、同裁判所におきまして、宣誓の上、裁判官の尋問に対し、上野との間で前記宅地の土地転売利益を分配しようとの話をしたことはなく、及び供託金一億五千万の調達及びその納付に一切関与せず、延原あての前記手紙はいつだれが書いて出したか知らない旨の虚構の陳述をして偽証をした、こういう偽証の事実になるわけであります。  したがいまして、上野と田中彰治との関係につきましては、十分そこにいろいろの関係がなければこういうことは出てこないわけであります。したがって、その一連の関係は全部捜査の対象になっていると思いますが、現在私は承知いたしておりませんし、なおかつ、現在捜査進行中でございますので、この程度以上には申し上げかねる次第でございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、あなたとしても御存じなことがあるのですけれども言えない立場にあるのはぼくはよく理解できるんですがね。なぜ一月三十日に荒舩清十郎氏が田中彰治と一緒に大阪に行ったかということですよ、問題は。これは検察庁はよく知っておるわけですよ。調べているわけですよ。ぼくはあとで聞きますけれども、荒舩清十郎氏が一月二十五日にこういう手紙を延原観太郎に出していますよ。  拝啓  寒気逐日相募ります折柄益々御清栄の上御活躍の御事慶祝申上げます  扨突然にて誠に恐縮の至りに存じますが此の度国政諸般と視察のため元衆議院決算委員長田中彰治、並現委員長の荒舩清十郎同行の上大阪市に参上致すことになりました就いては誠に御迷惑の御願ひに存じますが一月三十日午前十時大阪市グランドホテル迄御来駕の栄を賜はり何かと御高説を拝聴いたしたく是非共懇願申上げます  取り急ぎまして要用のみ御願いたし余は御拝眉の節を期待いたします    一月廿五日          敬具              荒舩清十郎  延原観太郎様      侍史  こういう手紙を出して、それで荒舩と田中彰治がグランドホテルへ行っているわけです。そこへ上野も一緒に行っているでしょう。上野が一緒にいて、延原関係者を呼びつけておる。そうして、延原が、おやじが行かないで、せがれが行った。それに対して、両方からいろいろなことを言っている。おやじを連れてこいとか、疑義があるとか、いろいろなことを言っておるわけですね。なぜ荒舩清十郎という人が、姓は荒舩、名は清十郎、男一匹だか何だか知りませんけれども、自民党の中の知性派を代表する人だとぼくは聞いているんですけれども、この人がなぜ行ったかということが問題なわけですよ。はっきり聞きましょうか。上野の恐喝未遂事件で荒舩清十郎氏は大阪地検で調べられていますね。これは間違いありませんね。これはお答えできますか。——ぼくは被疑者として調べられたとは言っていませんよ。誤解されるといけませんから、人権に関係しますから、被疑者として荒舩清十郎氏が大阪地検で調べられたとは言っておりません。参考人だろうと思いますけれども、取り調べられたということは間違いございませんね。
  46. 津田實

    説明員津田實君) 荒舩清十郎氏がただいま仰せられました当時に大阪地検の取り調べを受けたかどうかは、私は承知いたしておりません。
  47. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたが知っていても、まさか取り調べを受けたとは言えないでしょう。それじゃ、三十一年にきまりきった事件がなぜ決算委員会で取り上げられたかということですよ。ここに大きな問題があるわけです。  いまのは昭和三十六年の一月二十五日の手紙ですよ。これは決算委員会が始まってからです。その前にあるんですよ、今度また。その前に、すでに天満の土地交換をされて、法務省が持っておったのだけれども、延原さんの土地になっていたわけだ。その土地を譲ってくれといって活躍している人が一ぱいいるんじゃないですか。その中の一人が荒舩清十郎氏でしょうが。牧野寛索という人がいるでしょう。これは元政務次官をやって、この当時は国会議員ではなかった、弁護士だったのですが、この人が三十五年二月二十八日に延原に速達を出しているじゃないですか。  拝啓 其後御無沙汰いたしましたがお変りありませんか  就いては天満の土地の件につきいつぞやお手紙差上げましたが此度荒舩代議士から証しがあり是非御貴殿にもお目に懸ってお話しいたし硬いと云う事でしたが此度は小生のみ参上して御意向伺った上でしょうと云う事になり小生三月一日の午前中の飛行機で出発しますので午後お目に懸り度く存じます小生は決っして無理なことは申しませんから直接お会い下さるようお順い致します  買手は大正製薬株式会社で社長は上原正吉(参議院議員)三菱銀行の三億五千万円の預金証明計小生持参します  売買価額はお話し合いできめること登記価額もお互納得づくできめること上野浩関係は買人で解決し貴殿には一切迷惑をかけぬこと等の申入れもありますが何れ御会いの上万々お話しいたし度く存じます  先づ要々まで          草々    二月二十八日               牧野寛索拝  延原観太郎様  これは二月二十八日の速達です。いいですか。そうすると、決算委員会で取り上げる前に、すでに荒舩代議士が、この天満の土地を、自分が買うのかだれが買うのか知りませんよ、そういうようなことで介在していることははっきりしているじゃないですか。そうして、牧野寛索という人は政務次官をやった人だと聞いていますが、その人が小生のみ今度は参上するということで行っているわけです。いいですか。そして、上野浩関係は買人で解決する。自分たちが中に立って、天満の土地、元法務省土地交換をされて延原土地になったものを、いいですか、それを荒舩清十郎代議士から話があったので買って、上原氏が買うのかだれが買うのか買って、その結果として上野浩のことは自分たちのほうで責任をもって解決します、こういうふうな手紙がちゃんと行っているんですよ。  この一連の書類というものは、衆議院議長あてに出ていますから、これははっきりしているわけです。この経過からいって一体何がわかってくるかということですよ。最初にこの事件に取り組んでいったのは荒舩清十郎氏でしょう、事実の経過からみて。そして、その人がこれを買おうといって、確かにこの人が買ったかどうかは別として、中に入ろうとした。そこで、上野は、荒舩氏のところに、決算委員長、だから、陳情したわけですよ。そうでしょう。そこで、小委員会をつくったわけです。小委員長田中彰治を指名して、国会の正式な調査権の発動でも何でもないのに、委員会の始まる前に二人して大阪に行ったわけですよ。決算委員長が、小委員会をつくったときに、小委員長の下に一委員として入るなんということは、ぼくは例がないと思うんですよ、普通の場合に。それまでして行っているわけですからね。そして呼びつけているわけだ。荒舩清十郎と田中彰治と二人で呼びつけているわけです。この関係大阪拘置所事件国会で取り上げられるようになった発端なんですよ。これはぼくは事実の証拠をもとにして説明しているのですから。それで、その関係で荒舩清十郎氏が大阪地検で取り調べられたことは絶対に間違いありませんよ。ぼくはこれはだれから聞いたかということは言えないけれども、これは間違いない。法務省も知っているわけですよ。この人が田中彰治と組んでいわゆる刑事事件を起こしたということを決して言うのじゃない。ぼくは決してそんなことは言いません。だけれども、とにかくこの経過から見ると、この二人がとにかく非常に仲がよく、密接な関係というか、それをとって、そしてとにかく本件について決算委員会に持ち込んで、あわよくば何かの形で利益を得ようとした疑いがこれはあると見るのが常識じゃないか、妥当じゃないか、こう思うわけです。ところが、まあ率直な話は、ある人の推測によれば、荒舩清十郎というのは人がいいから、そういうもうけ話があったのだけれども、途中でおっぽり出されて、田中彰治だけが自分でもうけるようになっちゃったんだと。まあこれ以上言いませんけどね。これ以上言うと悪いから言いませんけれども、そういうことなんですよね。だから、ぼくは、現職の代議士、しかも今の自民党国会議員ともあろう者が、そんな不動産売買のブローカー的なことをやって、そこのところに首を突っ込んで利権争いをしているというところに政治の根本的な問題があると言うんですよ。荒舩さんと田中が組んで何かをやっているということを言っているのじゃないですよ。そういう点があるから、これは究明しなければならぬ。荒舩さん自身も身の潔白を立てるためにもここに出てきてもらってその剛の事情を説明してもらったほうがいいと思って、それで荒舩さんの出席を要求したのですけれども、韓国に行っているから出てもらえないのですが、この次には出てきてもらったほうが荒舩さん自身のためにもなるとぼくは思うんです。  法務省としては、この決算委員会で取り上げられるに至った大阪拘置所事件のその経過が、田中彰治偽証事件、いまは偽証になっていますね、偽証事件一つの大きなポイントであるということは、これは間違いないでしょう。この点はどうでしょう。
  48. 津田實

    説明員津田實君) 先ほど申し上げました偽証事件に至る経緯としましてはこの問題は非常に重要な問題でございますから、この関係をめぐる必要な範囲の捜査は十分いまいたしておると私は考えております。
  49. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあそういう答えが出れば、聞いておられる方は、言外にどういうふうなことがあるかということはおわかりになると思いますが、私はこれ以上この問題については追及いたしませんが、これは別の機会にしたいと思います。  そこで、問題になりますのは、上野をなぜ恐喝未遂で起訴したのかということですよね。これは無罪でしょう。一審無罪、検事控訴して二審も無罪でしょう。ぼくはこれはちょっと疑問に思うんですよ。脅迫だとかなんとかというなら、これはわかるのですよね。そうでしょう。あれがどうして恐喝未遂になるのか。恐喝だから、一項の場合も二項の場合も、財物の交付の場合もあるでしょうし、利益の交付の場合もあるでしょうけれども、なぜ恐喝未遂で起訴したのですか。そこがちょっとよくわからないんですよね。どうなんですか、それは。
  50. 津田實

    説明員津田實君) これは昭和三十六年十月十一日の起訴の内容でございますが、いまのお尋ねに対しましてはこの起訴の内容を申し上げないといけないと思いますので、これを申し上げますが、被告人は、元国有にかかる延原観太郎所有の北区北錦所在宅地合計約一万一千坪を買い取り、これを他に転売して利をおさめんことを思い立ち、同人に該土地を売り渡すよう申入れていたが、これに応じないため、尋常の手段では容易にその目的を達しがたいと考え、一方においては、第三十八国会衆議院決算委員会に対し、右延原の前記宅地取得経過に疑惑がありとしてその調査方を陳情し、同委員会及び同委員会国有財産の増減並びに現況に関する調査委員会がこれを取り上げて同問題の審議を開始するや、他方においては、大阪地方裁判所に対し延原観太郎を被申請人として前記宅地の処分禁止の仮処分申請をなし、昭和三十六年五月二十五日、保証金一億五千万円を供託して仮処分の執行を了した。しかるに、右延原が依然として被告人の右要求に応ずる態度を見せないので、ついに被告人同人をおどしてもその目的を達せんことを企て、早期に右買収問題を解決すべく、来たるべき臨時国会において再び右延原問題が審議せられるよう奔走するとともに、同年八月二十六日ごろ、被告人名義で延原観太郎あてとして、同人に対し、「臨時国会が始まると、決算委員会延原問題を取り上げて脱税問題を徹底的に追及し、隠退蔵物資の調査も行ない、国家から延原の全財産に向かって差押をなし、延原が隠退した物資の価格を定めて取り上げることになっている」旨を記載した手紙を郵送してこれを送達させ、暗に被告人の右宅地買収要求に応じないときは延原観太郎の名誉、財産等に不測の危害を及ぼすべきことを通告して同人を畏怖せしめたが、同人においてこれに応じないためその目的を遂げなかったものであると、こういうのが恐喝未遂の起訴事実であります。  ところが、これに対します裁判所の判断はかなりございますが、そのうちで、田中彰治の当公判廷における証言として、右手紙は被告人が勝山正に命じて発信させたものである旨の供述をしているので、これらの証拠を総合すれば、一応右公訴事実を認めることができる。しかしながら、被告人及び勝山正の検察官に対する供述部分には、それぞれその供述のつど、右手紙の発信方の示唆、同窓及び依頼の各日時、場所、依頼の相手方、依頼の方法、内容、同席者の有無等、供述内容の重要部分に顕著な変転があって一貫性を欠き、単なる記憶の喪失ないし混乱に基づく供述の動揺とは解しがたい作為のあとがうかがわれて真意を捕捉しがたいところであると、こういうふうになりまして、結局、公判廷における被告人田中彰治の供述部分は、信憑性に多大の疑問があって、とうていこれを証拠とするに由がなく、他に被告人が勝山正をして被告人のために本件手紙を発信せしめた事実を確認するに足る証拠がない。  要するに、勝山正が出したのでありますが、この被告人上野が勝山に出させたということを認める証拠がないということで無罪になったわけであります。
  51. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあその上野が、八月二十五日、これは三十六年ですか、速達で出した手紙がここにありますけれども、これは本筋じゃありませんから、また本筋に戻りますけれども、これはぼくは大阪地検が非常に努力されたのに敬意を表するんですよ、それ以上言いませんけれども。上野を恐喝未遂でやっていて、そしてこの事件から田中彰を調べ、田中彰治を調べて、そこまで発展させようとしたわけで、非常に努力したわけですよ。だけど、それはその間の自白やなんかも得られなかったのですから、これはしようがないとして、その間に事件は東京に移っちゃったのですから、これは別として。  そこで、もう一つ問題になってまいりまするのは、その後、大阪地裁に対して三十六年の五月十一日に仮処分申請が出て、三十六年五月二十五日にこれは仮処分が一億五千万円の保証金で決定されているわけですね。この仮処分の内容を、これは経理部長でいいです、要点だけでいいですから、簡単に説明してくれませんか。
  52. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) ただいまお話がありましたように、五月十一日に天満の土地に対する処分禁止の仮処分申請がございました。五月二十五日に一億五千万円の保証金納付を条件といたしまして天満の土地に対する処分を禁止するという仮処分決定があり、同日、右仮処分に基づきまして天満の土地の処分の禁止につき職権による嘱託登記がなされております。仮処分の内容は、天満の土地を勝手に売ったり、あるいは抵当権等を設定したりしてはならないという趣旨のものでございます。
  53. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この仮処分目的物の価格は八千二百九十六万三千一百円、それに対して一億五千万円の保証金というのは、これはあり得べからざることですね。普通の民事事件だったならば、訴訟額の大体三分の一ですね。まあ手形の場合は五分の一くらいですけれども。ということは、いかにこの疎明が薄弱であったかということを意味しておるわけですが、その理由として、仮処分なんだから、一応法律的な理由づけがあるわけでしょう。その理由づけというのは一体何なんですか。それに対して契約書でもあるのですか。
  54. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) 仮処分申請の理由は、一つは、昭和三十年の十一月二十八日、この日が先ほど申し上げました手付金を全額納めるという日でございます。その十一月に手付金を五百万円払って、さらに十一月二十八日の期限を猶予してもらってあったのだ、したがって、十一月二十八日に良島、延原間の売買契約は失効していないで成立しているんだというのが大前提でございます。そうして、その売買契約が失効していないという前提で、延原と良島との間に、延原が獲得した天満の土地について、前の売買契約の関係で、自分にやはり所有権があるのだというのが理由のおもなるものでございます。  そのお尋ねの疎明資料でございますが、私のほうで保存しております記録によりますと、昭和三十六年四月三日付の第三十八回国会衆議院決算委員会国有財産の増減及び現況に関する調査委員会会議録、さらに増井良二の確定日付のある証明書、高瀬昌弘の確定日付のある証明書等が疎明資料として添付されているようでございます。
  55. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは経理部長の説明はちょっと勘違いされているのじゃないかと思うのですが、五百万円の手付の問題でそれが期日が来たから契約が効力を失ったとかなんとかいうことはもちろん前提になっていますけれども、それは三十一年の仮処分のときに一応解決しているわけなんで、今度の場合の仮処分は、それも入っているけれども、むしろ前のそれが取り下げになったときの状態からして、売買代金を一千万円減額をして天満の土地延原が所有する、所有したら二億二千万円で譲渡する旨の承諾があったんだと、それが中心で仮処分の理由になっているのじゃないですか。まあそれはいいですけれども、今度の仮処分はそれが中心でしょう。そうじゃないですか。
  56. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) ただいまお話しの点が中心ということも言えると思いますが、私が申し上げましたのは、それを主張するについては、その前の十一月二十八日付で失効した売買契約というものが成立しているのだということを前提にしてただいまの主張がなされているというのでございます。
  57. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあこれはあれですけれども…。  そこで、問題になってくるのは、いま疎明資料として出てきた——これは契約書もなんにもないわけですよ、いままでこの仮処分をするについて。それで、国会会議録第六号、三十六年四月三日の会議録です。これは、参考人として上野浩、それから鍵谷という人、それから上野側の弁護士の田口という人と、それから鑑定人の高瀬という人ですか、それから良島と、これが出席をしている委員会ですね。ここでいま言った確定日付のいろいろな書類を持ってきたりなんかして会議録をつくっているわけです。この会議録を疎明の第九号として添付をしているわけですね。だから、この決算委員会会議録というものを添付してそして仮処分しているわけですから、もう初めからその契約自身が法律的にほとんど根拠がないということは、見ただけでわかるわけです。二億三千万円の契約を一千万円まけて二億二千万円にするんだという話があったのだというけれども、そんな契約書もなんにもない。しかも、相手方は、当事者としての延原が出てきてそういう契約を口頭で披露したわけじゃない。延原の支配人か何かの中村というのが出てきて、やったとかやらないとか。しかも、それは黙っておったというわけですね、この速記録を見ても。そういうことで、こんな契約が成立しているわけがないわけです。  それから前のときの五百万円の手付にしろ、期限が来て手付流れになっていることははっきりしているわけです。その点については、昭和三十一年の仮処分異議なんということも取り消しになっているわけですからね。本訴は終わっているわけですから。これは本訴が終わった経過なんかごたごたしているようですけれども、それは省略しますけれども。  そこで、その仮処分をするについて、これは非常にむずかしい仮処分なんです。普通ではとてもできない仮処分です。だから、八千万円の価格に対して一億五千万円という倍額の保証金が積まされるということは、いままで日本じゅうにないですね、そんな裁判は。非常にむずかしい、法律的にあぶなかしいものだから、だから国会で前もってその点についての証拠固めをしておこうというので決算委員会を開いて会議録をつくっているんです。その会議録を持っていってやっているわけです。実に計画的にやっておって、国会の決算委員会というのは、これはブローカーか何か知りませんけれども、国会議員もまじって曲取引の場に使われているわけです。ぼくは絶対にいかんと思う、こういう行き方は。こういうのを放置しておいたいままでの国会あり方というものは、ぼくは納得できませんし、いかんと思うのです。商取引の場に使われているんです。契約書も何もないんです、この仮処分は。その疎明九号の決算委員会会議録を中心として仮処分が行なわれている。こういうやり方は実にいかん。これはおそらく検察庁も調べているでしょう。国会自身のあり方としてもぼくはいかんと思うのです。  そこで、問題は、また一つ、いままで言ったような国会あり方というものは徹底的に直さなければいかんと思うのですけれども、これは法務大臣に聞いてもあれだと思いますけれども、今度は、一億五千万円の金ですね、この金をどこからどうやってつくったかということがこれまた問題ですね。これについての調べはできているでしょう。これは必要な範囲でしゃべれるのじゃないですか。
  58. 津田實

    説明員津田實君) 保証金一億五千万円を調達したということは、ただいま被疑事実として申し上げました。それで納付したということでございますが、その調達先等の問題は、関連事項として当然捜査の対象になっていると私は思っておりますけれども、現在私はもちろん知りません。また、わかりましても、ちょっと申し上げかねると思うのでございます。
  59. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 前にちょっと戻って法務大臣にお尋ねしますけれども、私のいままでの質問は、証拠に基づいてというか、それでしてきたつもりですけれども、お聞きになっていておわかりだと思うのですけれども、決算委員会というものが、もう商取引の場に利用されているんですよ、国会が。事件裁判をやっていると、やる前にここへ出てきて頼み込んで証拠誓願をつくって、そいつを持っていって裁判を有利にしよう、そんなブローカーとか何とかに利用されるような形で国会議員が動いているわけですね。失礼だけれども、自民党議員がほとんど動いているわけです、決算委員会の中では。そういう国会あり方なり議員というもののやり方ということに対して、法務大臣としては、これは国初大臣としてでもいいですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。また、どうしてこういうものを直さなければいけない、こういうふうに考えておられるでしょうか。
  60. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 委員会あり方そのものについても、正式に決算委員会そのものがこの問題からして非常に心配をしていろいろ相談をされているようでございますが、決算委員会だけでなく、国会委員会あり方をこの際見直してどうすべきかということを考える非常にいいといいますか、悪いといいますか、一つの動機になったことは事実だと思います。かねてから問題になっております常任委員会制度、それがずっと長い間つながっているということ等がはたしていいかどうかという問題や、あるいは、年じゅうそこに同じようなところにみんなが委員としていると、ついそこのことになれ過ぎて、いろいろな問題について特別な関心を払わないで、おもしろくない、また、やっていけないとあとになると考えるようなことも、ついそれに引きずられてやるということもあるかもわからんというようなことで、委員会そのものの構成という問題がこの際私はちょうど考えられる時期だと、こう思っているのであります。その問題につきましては、幸いに各党ともそういう問題を取り上げてこの際考えるべきだという声が起こっているようでございますが、この機会にぜひそういう意味において新たな角度から各委員会が見直され、そうして委員会の構成というものがお互いに考えられることができればたいへんけっこうだと思っている次第でございます。
  61. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この一億五千万円の金ですね、この出所というのは、これは本件捜査にとっても非常な大きなポイントですね。これはもうそんなことは私が申し上げるまでもないですが。五千万円は、千葉県の銀行から電送されていますね。これは間違いないでしょうね。あとの一億円は、田中彰がかばんに入れて持って行ったわけですね。ぼくは一億円がかばんに入るのかどうかわからないけれども、かばんに入れて持って行った。これは間違いありませんけれども、この金がどこから出たかというんですね、問題は。これはもうここでぼくが聞いたって、あなたのほうでそれはとてもそこまで答えられないと言うに違いないので、ぼくは答えはわかっていますけれども、それ以上言えないと思うんです。上野は自分の金を持っていないことはわかっていますね。上町が画策した一つの先に、一億五千万円の金を出してくれと言いに行った一つの先に、森脇があるでしょう。それは間違いないでしょう。森脇からこの金の一部は出ているのじゃないですか。この点については、いずれにしても、森脇さんが頼まれて金をとにかく出したかどうかは別として、森脇さんのところにこの話が一応行ったことは間違いないでしょう。この点はどうですか。この点だけはお答えになれるでしょう、この程度なら。
  62. 津田實

    説明員津田實君) ただいまの点は、私は全然承知しておりません。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑事局長がここで承知していないと答えるのに、ぼくがここからあれだと、そう言うのも、あなた方に御迷惑をかけますから、これ以上言いませんけれども、五千万円が電送されて、一億は現金で持って行ったことは間違いないですね。これはいいじゃないですか、ここら辺までは。その金はどこから出てきたかはぼくは聞きませんよ、捜査の問題だから。その程度は答えられるのじゃないですか。どうですか。そこら辺まではもう隠す必要はないんじゃないですか。それはすでに調べられているのですね、もうずっと前に。そうでしょう。そこら辺のところまでは隠す必要はないと思いますけれども、あまりそこまで隠すと、ぼくはさらにその上また聞きたくなるんですよ。だけど、これは国会の場というのは捜査をやるところじゃありませんから、これは限度がありますから、私も限度を心得て聞いているつもりですけれども、その点は、千葉県からとにかく五千万円の金が電送されたことは間違いないですよ。一億円は現金で田中彰が持って行ったことも間迷いないから、この点は間違いないようだと——間違いないとは言わなくても、間違いないようだという程度のことを言ったら、それで終わりにしますがね。
  64. 津田實

    説明員津田實君) 実際、私どもといたしましては、ただいまこれは全くの勾留の被疑事実でございます。で、私どもは勾留被疑事実については被疑事実の概要を承知しておるだけでありまして、その裏づけ関係は全然ただいままで検察庁へ聞いておりませんし、まあ大体聞かないたてまえにいたしておりますから、ただいま御指摘のような事実がこれに関連してあるかどうかということは私は承知いたしておりません。
  65. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、いま勾留中の事件ならぼくは聞きませんよ。それはいま勾留中の事件じゃないですよ。上野の恐喝未遂のときの事件なんですよ。これは無罪になって確定しちゃっているでしょう。これはいまそのことでは偽証の問題が出ておるとしても、確定しているから、それはあなたのほうでしゃべらなければいいですけれども、これは森脇が介入をしているのではないですか。森脇さんのほうから金が出ているんじゃないですか。あなたのほうがうなずいているように見えるし、これ以上聞きませんけれども、それはそうしておきましょう。これは金の出所を地検で調べておると思いますから、当然。  それから上野の恐喝未遂、これは無罪になったでしょう。そうすると、田中彰治が共犯という形になると、その恐喝未遂はどうですか、時効にかかっておりますか。その点はどうなんですか、ちょっとその点は気がかりなものですから。あの手紙が行ったのはいつでしたかね。三十六年でしょう。恐喝だから、五年以下だから、ちょっと調べてください。どうなっておりますか。起訴によって中断するのかどうかね。
  66. 津田實

    説明員津田實君) これは三十六年四月ということになると……
  67. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 八月二十五日です。
  68. 津田實

    説明員津田實君) 恐喝は十年でございますから、七年ということになりますので……。
  69. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 恐喝は十年ですか、ちょっと見てください。——十年ですね。そうすると、まだ時効にかかっておりませんね。わかりました。いまのはぼくの勘違いです。そうすると、恐喝未遂の点は特効にかかっていないですね。それで了解しました。  それから偽証で逮捕したでしょう。その関係で非常にぼくは不審に思ったんですよ。偽証というのは逮捕勾留の理由で、実際は恐喝未遂のところに持っていくんだろうと思うのです、筋は。これは捜査の内容ですから、そこまで立ち入りませんが、そこまでいかないとおかしいですよ。当然捜査はそっちのほうに進展しているだろうと思いますから、これ以上のことはあれしません。  じゃ、時間の関係で、私一人ばかり長くやるわけにはいきませんから、適当に事件をまとめますが、いま言ったように、私は一つ事件だけをとってみたんですけれども、きわめて計画的ですよね。きわめて計画的に国会の場が利用されている。これはもうはっきりしているわけですね。そういうようなことに加担をしておる。それは、どうも、当初の計画から見てみると、田中彰治一人だけがやったとも考えられない。とにかくおどかして取るかどうかということは別個の問題としても、少なくとも大阪の天満の土地は非常にもうかるところだというわけですね。いま聞いたら、数十億すると言っていますよ、大阪に行って聞いてみたら。そういうところの売買に目をつけて入っていった人がいるわけですよ。これは前に話したとおり。そういう人が共犯だと言うのじゃありませんけれども、そういうような疑いがあれば、綱紀粛正という立場からいっても、もっと徹底的にそういう面にも当然捜査をしてやっていって、国民の疑惑を晴らさなきゃならない。そういうことですね。だから、法務大臣に最終的にお尋ねをするのは、いまの政府与党の中にどのような疑惑がかりに起こっても、それをやはり徹底的に明らかにするまで本件については捜査を続けるつもりなんだということですね。どうも、何か、あんまりやるとあぶなっかしくなってきてしまう、火の粉がかかっちゃう、だからここら辺で何とかしなくちゃいけないというようなそんなことはあり得ないことだと思いますけれども、そのことは前にもお話を聞きましたけれども、かりにどのような人がどのような目にあうかもわからぬと、そういうことがあっても、そういうことはしないで、徹底的に公平に厳正にしかも迅速にしっかりした本件捜査を続けていくと、こういうことを国民の前にしっかりお約束をしていただきたい、こういうふうに考えるわけです。  私は、いまなお捜査段階ですから、あまり立ち入った形での質問というものはやめますが、いまの展後の質問に対するお答えを願って、これで私は私の質問をきょうは終わりたいと、こういうふうに思います。
  70. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この決意のほどは初めに申し上げましたことで尽きていると思いまするが、これが私の所属しておりまする自民党員等に関係をしようと、内閣影響しましょうとも、検察当局の厳正なる態度によってその結果がわかりましたら、それに従ってやっていくつもりであります。いささかもその心持ちは変わっておりません。
  71. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 和泉覚

    委員長和泉覚君) それでは速記を起こして。  黒柳君。
  73. 黒柳明

    黒柳明君 私は、初めに、一般論的に大臣に二、三の点をお伺いしたいと思います。そのあとに、田中彰治氏と永田雅一氏との間に詐欺事件としていま問題になっております深谷の団地の事件について若干究明したいと思います。先ほど稲葉さんが触れた問題だと思いますが、私なりの立場で大臣にお伺いしたいと思います。  最近、森脇、大橋、あるいは吹原と、政界に密接に関係を持った人が逮捕起訴される、さらには今回の田中彰治、前回の小林童、政界人が次々に不祥事件関係しておりますが、この間の検察当局態度に対しては非常に敬意を表するとともに、ただ、国民の間には、この政治の腐敗がはたして根本的に検察当局においてメスを入れられるのであるかどうか、こういうことが若干の疑惑が残っているのじゃないか、こう思うわけです。これは、もういまさら言うまでもなく、かつての造船疑獄事件におきまして、当時の与党の幹事長である佐藤榮作氏の事件に対し犬養元法務大臣指揮権を発動したそのときから、国民の間には、検察権の完全なる独立が若干その健在性がむしばまれているのではないかと、このような疑惑が残っている。もしもこういうような点が国民の間に残っているとすると、これはゆゆしき問題であると、こう思うわけでありますが、大臣のこの点に関する所信をまずお伺いしたいと思います。
  74. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度の田中事件は、先ほども申しましたように、まことにわれわれ同じ国会議員の一員として遺憾のきわみでございます。しかし、検察当局がこれを犯罪の容疑ありとして取り上げました以上は、厳正なる態度でこれに臨みまして、そうして間違いのないように、あらゆる角度から証拠を集め、そしてこれを立証し得るように、そして適正なる結論を見出すということに力を尽くすということは、あらゆる場合にそうであるように、今度は特にそういう気持ちでやってくれていると私は思っております。先ほども申しましたように、この問題については私は特別なる指令も発したことはないのでございます。ということは、検察当局のこの問題に対する態度は、いつもと変わらぬ心がけをもってきちんとやってくれるということを信じておるからでございます。また、私といたしましては、そういうふうな信頼を検察当局に置いておる以上、検察当局が仕事ができなくなるような態度は一切とらないつもりでございます。
  75. 黒柳明

    黒柳明君 大臣としては、犬養元法務大臣がとられた指揮権の発動、こういう処置は適当であったかどうか、この点はどうお考えでしょうか。
  76. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは、前の犬養大臣が最も是なりとしてとった処置でありますし、私がいまここで批判することはお許し願いたいと思います。私は私なりの態度で今度の問題に臨んでいきますし、そういう御心配をなさらないように、こういうときに犬養君の名前を思い出していただかんでもよろしいということを申し上げておきたいと思います。
  77. 黒柳明

    黒柳明君 あくまでも私も前のことには決して触れよう、こういう気じゃございません。先ほど冒頭に述べましたように、検察権の健在それ自体が国民の間に多少でも疑惑を残すことはうまくない、こういうような観点から私は念のために申しただけですが、さらにこれをもう一回大臣におしかりを受けるかもしれませんけれども念を押すならば、当時の犬養法務大臣は、指揮権発動以後、どういう理由か知りませんが、辞任をしております。また、みずからも非常に不祥事件であった、このように申しております。また、その事情もつぶさではございませんが、内閣もがたがたになってきた。このような一連の関係から見ますと、何かまだまだ国民にはその疑惑が頭に残り、そのことが今度の事件と非常に密接な関連性を持たざるを得ない、このようにも感ずるわけなんです。それで、またあらためて思い出す意味じゃなくて、決してそういうことがあり得ないと大臣に再三発言させてわずらわせましたですが、そういう点から伺ったわけなんですが。
  78. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) おことばは、私は、この問題に限らず、どういう問題につきましても、私の今の地位にある限り、法をちゃんと守る立場にあるということを肝に銘じてその職をやってまいりたいと思っております。
  79. 黒柳明

    黒柳明君 重ねて同じような答弁をさせまして申しわけございませんでした。  本筋に入りますが、去る九月一日の決算委員会の席上で、刑事課長は、この事件について、田中彰治事件捜査の過程で出てくる犯罪容疑に対してはどこまでも事態を明らかにする、このように答弁をしているわけですが、この点に関して刑事局長から確認をしていただきたい、このように思うわけですが、いかがでしょう。
  80. 津田實

    説明員津田實君) 先ほど来申し上げましたように、現在すでに関係者並びに事件としては数件起訴をいたしております。さらに再度逮捕をいたしまして新しい容疑事実について捜査をいたしておりまして、この捜査はもちろん徹底的に行なっておるわけでございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、この捜査の過程におきましてさらに新しい容疑が出れば、当然その分についても捜査を進めていく、こういう検察庁の決意でおるということははっきり申していいわけでございます。
  81. 黒柳明

    黒柳明君 田中彰治事件の起訴事実のうち、永田雅一と氏の関係事件内容を説明していただきたいと思います。
  82. 津田實

    説明員津田實君) 田中彰治は、昭和三十七年七月、日本住宅公団から工業用地として埼玉県深谷所在宅地八千五百坪を代金二千二百九十五万円で譲り受けたものでありますが、この工業用地譲渡契約には、工場の建設を終わるまで土地所有権を移転するなどをするには公団の承諾を要すること等の条件、及びこの事件に違背した場合は公団が一方的に右契約を解除して土地を買い戻す旨の特約が付されており、この買戻権については登記を完了していたのでありますが、いまだ工場の建設に着手せず、右土地所有権移転につき公団の承諾が得られなかったのにもかかわらず、右公団との特約を秘して右土地を売却し、代金名下に金員を騙取しようと企て、昭和三十九年二月二十四日ころ、東京都中央区大映株式会社において、同社代表取締役永田雅一に対し、右特約を秘し、右土地を転売すれば相当もうかるから一億円で買ってくれと申し入れ、同人をして右の土地は何ら制約なくその所有権を取得しかつ転売し得るものと誤信させ、よって同人から右同社において代金名下に同年三月十七日ころから同年五月二十九日までの間に同社振り出しの小切手二通及び約束手形三通、合計一億円の交付を受けてこれを騙取したものであります。
  83. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、これは国民の素朴なる疑惑として、永田雅一氏のような非常に有能な実業家が、ある意味ではですね、一億円も詐欺されるなんということはどうも考えられない。また、御存じだと思いますが、専門誌である「法律時報」にしても、「「永田雅一がだまされた」、まさにありそうもないことである。」と、専門家もこのような推測を行なっておるわけです。  そこで、日本住宅公団から国際家畜研究所に払い下げ土地所有権の移転状態について、いまここでおわかりだったら説明していただきたいと思います。所有権の譲渡と期間、いつ日本住宅公団から譲り渡しを受けて、いつそれが大映に行って、またこうなったか、その日にちですね。
  84. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 問題の土地は、深谷市幡羅町一丁目八番の五宅地三千五百四十四坪七合二勺及び同町一丁目八番の六宅地四千九百九十坪でございます。  この土地につきまして、登記簿によりまして調べたところを申し上げますと、昭和三十八年六月十五日の売買を原因といたしまして、同年九月二十七日に日本住宅公団から株式会社国際家畜研究所、これは東京都港区赤坂伝馬町二丁目一番地にございます、この家畜研究所に所有権移転の登記がなされております。なお、これにつきましては、昭和四十七年七月十四日までの期限つきで買戻権の特約登記されております。  さらに、昭和三十九年四月三日の売買を原因といたしまして、翌四日に国際家畜研究所から大映株式会社に所有権移転の登記がなされました。  さらに、続きまして、昭和三十九年十月十四日の売買を原因といたしまして、翌十五日大映株式会社から国際家畜研究所、これは東京都渋谷区上原二丁目八番の二十二号に事務所がございます、この国際家畜研究所に所有権移転の登記がなされております。  次いで、昭和四十一年、五月十七日の売買を原因といたしまして、同日、先ほど申し上げました渋谷の国際家畜研究所から大映株式会社に対しまして所有権移転の登記がなされております。  さらに、昭和四十一年七月三十日の買戻を原因といたしまして、同年八月一日、大映株式会社から日本住宅公団所有権移転の登記がなされております。
  85. 黒柳明

    黒柳明君 同じく民事局長にお伺いしますが、土地登記簿に買戻特約があるということは、これは第三者に対してどういう効果を発揮するか、この点はいかがでしょう。
  86. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 買戻権の登記がございますと、この買戻権を行使することによりまして第三者に対抗できるということになっております。したがって、本件の場合には、すでに買戻の登記がございまして、それに基づいて買戻権の行使がなされておるようでございます。問題なく住宅公団に所有権移転の登記が行なわれたということになっております。
  87. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、刑事局長にお伺いしたいのですが、この起訴事実の、要旨は先ほど読んでいただいたとおりですが、ここに、「右公団との特約を秘して」、またさらに、「同社代表取締役永田雅一に対し、右特約を秘し、」云々、「その所有権を取待しかつ転売しうるものと誤信させ、」云々で「騙取した」、これが詐欺事件の内容です。ところが、大映がはたして一億もの土地を買う場合に登記簿を児なかったのかどうか、この買戻特約というものを知らないで契約を結んだのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  88. 津田實

    説明員津田實君) この点は、本件詐欺の成否に非常に重要な関係、がある問題だと思います。もちろん、登記簿を見ないで売り主を信用して土地を買うと、こういう人も世の中にはございます。しかし、通常は、登記簿を見た上で代金を渡すと同時に所有権移転登記をするというのが普通の取引形態であろうと私どもは考えておりますけれども、しかしながら、当事者のいろいろな関係から見まして、さようなことをしないで、信用で売った買ったをやるということも、これは世の中にはままあることであります。また、買戻権の特約登記されておりましても、その買戻権についてはどうするというようなことであるから心配は要らないというようなことをもって相手をだますということは、これはあり得るわけです。ただいま申し上げましたことは、本件について申し上げたのでございません。世の中の実例として申し上げた点でございまして、そういうようないろいろな場合があるわけでございますから、登記簿に買戻特約登記があるということだけで直ちに詐欺罪が成立するはずがないというようなことには必ずしもならないというふうに思うわけでありまして、要は、本件の事実関係が、その点を支配する事実関係したがってそれを裏づける証拠がこれを明らかにする問題であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  89. 黒柳明

    黒柳明君 検察当局はいま現在取り調べ中ですから、深くその問題について立ち入って質問することはできないとは思いますが、常識として考えた場合に、しかも、いま説明がありましたように、一回だけじゃない。またこれから二、三ふえんしていきますが、二回も三回も、しかもその間の実情というのは非常におかしな事情がある。それはこの次に触れようと思うのですが、常識として、登記簿を見ないでやる、あるいはもし登記簿にある事実を知っていてこれを買ったとしたらば、明らかにこれは「秘して」とか「誤信させ、」とか、こういうことばは通用しない。要するに、普通の売買契約になるわけです。ですから、その点、常識として考えてみても非常におかしい。特にこの詐欺事件というのは、田中彰治と永田雅一との事実関係というものをはっきりさせませんと詐欺事件が成立しないわけですから、すでにこれは起訴されておるわけです。検察当局が黒だと、このように言っているような話も聞いておりますですが、そういうような関係から見て、このこと自体を究明することは第一のただいま局長さんおっしゃいましたように重要なポイントだ。その点についてあくまでも常識として考えられないそういう問題が起こっている。しかも、また繰り返すようですが、一回じゃない、二回三回と起こり、しかもその間におかしな田中と永田氏との間に特殊な契約を取り交した、こういうような事実もあるんです。くどいようですけれども、この点をいま現存究明されつつあると思いますけれども、この点はまだはっきりされていないのかどうか。はっきりとかはっきりされていないじゃない、ただ登記簿を見ればはっきりわかるわけですが、これを見たのか見ないのか、これはこれだけの問題だと思うのです。知っていたのか知らなかったのか、これだけの問題です。ことばになってきますと、「秘して」とか、あるいは「誤信させ、」とか、こういう非常にむずかしいことばになってきますが、問題は非常に簡単です。これは幼稚園の生徒でもすぐわかることです。登記簿を見ますれば、ちゃんとここに買戻特約がある。  これを見たか児ないかということがこの起訴事実詐欺事件に大きな関係がある。それを調べる調べない一これは私が調べる調べないと、こういうことを言っちゃまことに失礼ですが、当然調べなければならないのですが、調べるとか調べないとか、これは問題以前の問題だと思うんですよ。常識の問題だと思うんですよ。その点はいかがですか。
  90. 津田實

    説明員津田實君) 検察当局といたしましては、本件は確実に起訴事実を起訴いたしております。そこで、検察当局といたしまして、ただいま仰せになりましたような常識は、当然これは持っているわけです。しかしながら、その常識以外の問題ということが確信を持っておるという前提で当然これは起訴したものであり、それを打ち破るだけの資料を十分にぎった上で起訴したものと私は考えておるわけでございまして、いずれこの件は審理が進行いたしますにつれましてその内容は逐次明らかになってまいると思うのでございますけれども、検察出局といたしましては、なるほど、いまおっしゃいました常識は、確かに世間の一般の通常の取引の形における常識としてはもっともなことであると私も考えます。しかしながら、それを打ち破る程度の事実なり、打ち破る程度の事実を裏づける証拠があるということをもって起訴いたしたものと私は考えております。
  91. 黒柳明

    黒柳明君 またおことばを返すようで失礼でございますけれども、ほかの打ち破るような事実、証拠がある、こういうふうにおっしゃいますけれども、この証拠は、ここじゃないですか、この買戻特約ということを知っていたか知らなかったか、それ自体が詐欺事件の先ほど局長さんおっしゃったように一番の中心なわけです。ここが要点です。これ以外の資料なんということは考えられないわけですよ。要するに、くどいようですが、これを知っていたのか知らなかったのか、もしも知っていてやったとすると、ここに二、三の事実がありますけれども、非常にこれはおかしな関係になる。仲が非常によくて、お互いにこんなことはまあ知っていたのだけれどもお互いにうまくやろうということから事件発展して、今日の段階になってうまくいかなくて、田中一人が悪者になったということも、もしかすると推測されないようなこともないのです。そういうような方向に発展していく可能性もある。ですから、裏づけの資料を持ってとかなんとか言いましても、この点、買戻特約をどう認識していたか、そこだけが確実な裏づけの事実——これは、先ほどから言いますように、検察当局の問題ですから、ただあくまでも常識としてこういうことがあることがおかしい、こういうことが国民に一番初めに言ったように非常に疑惑を持たせる、こういうことです。  まあ局長さんにはこのくらいにして、大臣はこの事実を御存じでしょうか。
  92. 津田實

    説明員津田實君) ただいまのお尋ねに対しまして若干お答えをいたしますが、特約の有無ということは、これは法律的に申しますと、登記簿に特約がありましても、実質的な特約がなければそれは問題にならないわけであります。登記簿と申しますのは、その実質と登記とが合致してはじめて意味があるわけでございます。そこで、その特約の実質があるかどうかという点を事実として秘するということもあり得るわけでございます。これは具体的事件についてそうであったかどうか私は存じませんが、抽象論としてはそういう問題もございますので、登記簿面がこうであったから常識はずれのことをやったのだということには必ずしもすべての場合にならないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  93. 黒柳明

    黒柳明君 一般論から言われますと、確かにそういう事実もなきにしもあらずです。私の言いたいことは、あくまでもこの事件にしぼられているわけですが、大臣は、いま申しましたように、このことが非常に問題であるし、これが中心なわけです。このことが究明されることが詐欺事件が成立されることにもなるわけですけれども、大臣はあまり小さい問題である、こう言われるかわかりませんけれども、事実はそんなちっぽけな問題ではございません。あるいは内閣の屋台骨までゆするかと思われるような大きな事件ですが、この事実について御存じでしょうか。買戻特約がある。登記簿にきちっとある。大映株式会社がこれを見なかったということは常識として考えられない。検察当局としてそれ以上の裏づけを持って起訴した、そういうことはいま言いましたですけれども、それ以上の裏づけというのは、私が考えるところは、実質的に特約がなければだめ、だ、こうおっしゃいましたけれども、もう実質特約もあるんです。そういうことから見て、この登記簿に出ている買戻特約がはたして大臣のお目に触れたかどうか、この点はいかがでしょうか。
  94. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は、さっき稲葉君の御質問に答えましたように、この問題につきまして、指令もしなければ、報告もまだなんにも受けないで、全部検察庁が自由な立場で働いてくれるようにまかしておるものでございますから、内容も実は承知しておりません。その捜査過程においての報告もしたがって受けていないのでございますから、いまのところはどういうふうになっておりますか、たぶんあなたの御心配になるようなところはちゃんとこれが起訴し得るという事実をつかんでおると信じてやっておるのだということを、そのことを私は信じておるわけであります。どういうことをやっておるかということを私承知いたしておりませんし、そこまで入っていないのでございます。
  95. 黒柳明

    黒柳明君 それは当然大臣がそういう点に入るということは考えられません。ただ、常識としてですね、これほど大問題になっていること、その事件の中心であるそのこと自体ぐらいは、大臣は最高責任者ですから、そのことぐらいは常識として知っておられることがあたりまえですよ。また、知らなきゃならぬ、こう思うんですけれどもね。ここにちゃんとあるわけですよ、登記簿に。これが買戻特約です。その次の次に大映がまたこれを譲渡しているわけです。これを児ないということは考えられないわけですね。まあお互いに深い信頼関係にあった、こういうことがあれば、こんなのを見ないという例はあるかもわからない。だけれども、常識じゃ考えられない。しかも、一回のみならず、二回もあるんです。こういう事実が。そうなりますと、ますますこれは疑惑を持たざるを得ない。それで、しかも今日になってみれば、詐欺された、そういうようなことを言って、自分がみずから訴えるならともかく、反対にこちらから真実を聞かれて、実は詐欺されたんだ、こういうようなことが一連の事件の内容じゃございませんか。ほんとうにこのときに詐欺された、失敗だった、こういうならば、みずから訴えてもこういう事件は明るみに出さなければならない、こういうようなことも感ずるわけです。それを、検察当局から聞かれて、はじめて詐欺されました、こういうふうなこともあるわけです。現在の時点から過去を振り返った場合に、一度ならず二度まで、はたして——永田さん自体はこれは見ていないかもわかりません。当然不動炭部の人たちがこれを見ないわけは絶対ない。ですから、常識論として非常におかしい。そういうおかしなことが、くどいようですが、あらゆる不審を招く原因になっている、このように思うわけです。  長々と私の意見を申して申しわけございませんでしたが、まあこれはこのぐらいにして、それで住宅公団の総裁にお伺いしたいと思います。  公団の資料によると、公団は永田雅一に対して買戻をしているわけですね、最近。どうして買戻をしたのか、その根拠はどこにあるのか、まずこれからお伺いしたいと思います。
  96. 林敬三

    参考人(林敬三君) この事件は、公団の深谷地区の工業用地に関連することでありまして、まことに残念に思います。さっきお話がありましたように、ことしの七月三十日に買戻権を行使して、八月一日に大映から土地の返還を受けて登記を済ませたわけであります。  その理由は、先ほど来御論議になっておりますように、当初国際家畜研究所に三十八年にこの土地所有権を移転して売りました。そのときに、同時に買戻の特約登記してありますので、それに基づいていたしたわけでございます。その理由の一番おもなものは、公団の承諾なくして所有権を他に移転したということが一番おもな理由でございます。そのほかに、その後に法人が合併をいたしましたり、代表者がかわりましたり、いろいろなことがありまして、それについて何らの公団に対して承諾もなければ届け出も連絡もなかったということ、それがおもな理由で買戻を行使いたしました。
  97. 黒柳明

    黒柳明君 これは住宅公団から出た書類ですが、「買いもどし理由、契約書第十四条第一項第四号の規定による買いもどし」、そのあとには「契約違反の事実」が書いてありますが、これでよろしいわけですね。
  98. 林敬三

    参考人(林敬三君) そのとおりでございます。
  99. 黒柳明

    黒柳明君 この契約書を見ますと、「甲」と「乙」と、こういうふうになっている。甲は当然住宅公団、乙は田中国際家畜研究所。一番最後に四十一年八月一日に公団が買い戻したのは、それは大映から買い戻したわけですね。そうすると、この契約書というのは、公団を甲にし、田中を乙にすると、大映は丙というような関係になる。あくまでも契約書は甲と乙との契約であって、その中に丙大映というものは介在していないように思えるのですが、この永田、要するに大映不動産部だと思うのですけれども、に対して買い戻したその交渉の経緯、それを説明していただきたいと思います。
  100. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) ただいま、契約当事者は、確かに公団の処分当時の国際家畜研究所でございます。それが第三者である大映に転売されておりましたので、この契約解除のしかたは、現時点において当該不動産を持っておる大映に買戻権を行使することによって当初の契約も解除する、こういう法律的な効果を生じますので、買戻権の行使を大映に実施する、こういうことが当然原契約の解除を意味する、こういうことで大映にその買戻権を行使した、こういうわけでございます。
  101. 黒柳明

    黒柳明君 自動的に国際家畜とは契約が解除されて大映にその契約が移る、こういうことでよろしいのでしょうか。
  102. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 大映の所有する公団の工業用地として当初処分いたしましたものを公団に買戻をする、この法律効果の当然の結果といたしまして、当初の契約当事者との間において締結されました譲渡契約が解除される、こういう意味で行使をいたしたわけでございます。
  103. 黒柳明

    黒柳明君 ところで、先ほど説明していただいた所有権の移動ですが、要するに、三十八年九月二十七日国際家畜が取得した。それから半年後の三十九年四月四日大映が取得している。さらに三十九年の十月、半年後には国際家畜。そして、四十一年の五月ですから、一年半後にまた大映が取得している。こういうふうに二転三転しているわけです。どうしてこういうふうに所有権が移動したのか、その理由と経緯について説明を願いたいと思います。これは、住宅公団でも、刑事当局でも、もしわかっていらっしゃるようでしたら。
  104. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) ただいまお尋ねの点は、第一回の公団の契約をいたしました国際家畜研究所、港区に事務所を持っております国際家畜研究所、これが一定の期限内に工業用地土地に工場を建設すべきことを担保いたしますために公団が契約の解除権なり、また、その当初の目的外の施設にあててはならないということを確保するために買戻権を付しておるわけでございますが、第一回の三十九年四月に大映に転売されましたのをわれわれが知りましたのは、その以後において承知いたしました。したがって、これに対しまして、公団といたしましては、このままの状態ならば契約を解除せざるを得ないということを、こういう仕事は公団の現場の機関であります首都圏宅地開発本部において実施いたしておりますが、そういうことを申しまして、結局、国際家畜が当初の事業をやります、それがためには大映から国際家畜に土地を戻しますからぜひお認めを願いたいということであったので、それを認めたのでございます。その戻されたのが、私たちは当初の国際家畜研究所、港区の国際家畜研究所と存じておりましたが、その後、ことしの四月にやはり同事件につきまして決算委員会のほうにおきましていろいろ御指摘がございまして、調査いたしましたところ、この国際家畜研究所というものが、大映から三十九年の十月に渋谷区の国際家畜研究所に戻っておる、こういう事実がわかりまして、それで、われわれのほうといたしましては、これは公団に対しましていわゆる諸般の条件に違反をしていることであるし、結局において、このような事実に即応してみると、工場建設の具体的な見通しも立たないような状況であるから、何としてもこれは契約を解除し、また公団に買戻をすべきであるということを通告いたしてまいりまして、その間いろいろな準備を研究いたしておりましたところ、その過程において大映にまた四十一年の五月に戻ったわけでございます。したがって、この後におきまして法律的な手続その他をはっきり固めまして、本年の七月五日に大映に向かって買戻の通告をいたしますと同時に、買戻権の行使は七月三十日に実施いたしまして、土地の返還を八月一日に公団に登記を戻した、こういうのが経過のあらましでございます。
  105. 黒柳明

    黒柳明君 その経過は知っているわけです。その理由ですね。国際家畜から半年で大映のほうに行って、また国際家畜に来た、それからさらにまた大映のほうに行っている、こうなっているわけでしょう、所有権が。そうじゃないですか。一番初めは、目的不履行だから返せと通達して、大映から国際家畜に行ったと思います。それがまた大映のほうに行っているじゃありませんか。どうしてそんなことになるのか、その理由はどこにあるか、そこをお伺いをしたいわけです。
  106. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 私どもといたしましては、正式に当事者間にどのような理由があったのか、その理由のことにつきましては正式には承っておりません。いずれにいたしましても、公団が当初の事業計画を承認いたしまして、公団の定めに従った工業用地の活用がはかられることが一番先決でございますので、そのような事実関係が現実に起こることを期待しつつ今日まで来たので、時間が延びておった過程はお話のとおりでございますが、当事者間においての話し合いの内容というものは承ってはおらないのでございます。
  107. 黒柳明

    黒柳明君 理由はわからないと、このようにおっしゃいますけれども、要するに、国際家畜のとった処置が不備であると、このようなことから、三十九年四月四日に大映が取得したものを、三十九年十月に国際家畜にまた所有権を移動させたと、これは住宅公団がやったことなんです。それ以来、さらに四十一年五月、大映にまたこの所有権を移してきた。この間に、三十九年の十月、これは文書によってらしいですが、再三再四工場建設を通告してきた。それから四十年の九月二十八日、大体一年ぐらいたったときですが、六カ月以内に工場を建設しろと、こういうふうなまた文書を出したというんですね。このように、再三再四三十九年十月から警告を発し、聞くところによると電話で何十ぺんも警告を発したというんです。さらに四十年九月、国際家畜が大映から取得してから一年後、六カ月以内に工場を建設せよと命令している。こういうことをやりながら、またそれが大映に移っている。それが私知りませんというわけにはいかないのではないでしょうか。そうなると、あまりにも住宅公団の無責任、管理不行き届き、そういう点が指摘されるのじゃないか、こういうように思うのですが、いかがでしょう。
  108. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 昭和三十七年に予約契約をいたしまして、所有権の移転寮記が三十八年の九月に行なわれております。工場の建設が予定よりおくれておりましたのは事実でありますが、これは、譲渡代金も納入されておりますし、それからまた、昭和三十七年、八年、九年というころは全体として経済が非常に下降期をたどっておりまして、公団の工業用地の分譲を受けました企業でありましても、業種は違いますけれども、それぞれ予定の期限内に工場の建設に着手至らざる企業もかなりありまして、したがって、各企業の要請にも応じまして実態的に予定期限が延びることはやむを得ないということで承認を与えておる企業もあったのでございます。したがって、いまお尋ねになりましたような事実は、そういう経済界の変動が一般的にございましたことを背景にしておった事実であることを御承知願いたいのでございます。  ただ、転売されましたものが三十九年の十月に国際家畜に戻った。われわれはこれは当初の契約の国際家畜という認識で進んでおったのでございますが、この国際家畜に戻ったということにつきましては、当初の事業を実施するということについてのかたい決意を現場のほうに申し出がありまして、それではひとつ御縁があってやっていただくのだから予定の期限内に工事が進むようにということで見守っておったのでございます。しかしながら、その後、ただいま申しましたように、各ほかの企業の場合は延期の承認の手続を時宜に即してとるとか、そういうように事務的に処理できたのでございますけれども、この会社だけはそういう例に当てはまらない特殊なケースでありましたので、三十九年の十月に工場の建設についての善後処置について督促をいたしております。それが、四十年の九月になりまして、延期をしていただくと同時に、六カ月以内に工場を建てるようにするからと、こういう申し出等もありまして、その事実を見守ることを公団としてやっておったわけでございます。したがって、その期間の経過が間もなく切れるということになりましたので第二回の督促状を出したと。つまり、早く予定期限内にやっていただくという目論見を達成していただく事実関係を期待しながらその期間の経過があったと、こういうのが第一回の督促状から第二回の督促状を出した経過でございます。  その後、先ほど申しましたように、本年の四月に決算委員会で御指摘がありまして、現実の事実関係を調べましたところ、公団の契約当事者である国際家畜というものと名前は一緒でも、住所が違っておって、別法人である諸般の事実が明らかになりましたので、これは新しい立場でこの問題を取り扱わなきゃならないということになったわけでございます。  ことに、四十一年の三月には、「四十一年の五月に着工いたしまして、六月中に一部完成をいたしまして、さらに残りの未建設分につきましては四十一年度中に建設を終わりまして、十二月から操業をする」、こういうつまり向こうの、何といいますか、念群といいますか、そういう意思が公団に提出されておったのでございます。しかし、それが、先ほど申しましたような新しい事実関係の発見をいたしましたので、この契約当事者とは公団は仕事を進めることはできないという判断に立ちまして、最後の買戻権を行使しなきゃならぬということにいたしておりましたその前後に大映に転売されたわけであります。  そういうような過程の経過でございますので、その間において当事者間においてどのような話があったかというふうなことは、公団といたしましては直接関知をいたしておらないということを申し上げるわけでございます。
  109. 黒柳明

    黒柳明君 ただいま、経済的理由とか、あるいは見守っていたとか、こういうようなことがございましたが、住宅公団の不備を云々するわけじゃないですけれども、要するに決算委員会で指摘されて気づいたわけですね。その前までは明らかに住宅公団の監督不行き届きだと、目が届かなかったと、こういうことが言えるんじゃないですか。しかも、決算委員会で指摘されて、また翌月に大映に所有権が渡った。しかも、この国際家畜の土地というのは、三十九年のときから札つきです。前にこういう事実があったわけですよ。工場を建てない。しかも買戻特約に違反したことをやっている。要注意なところなんですね。その要注意なところに、経済的な事情だとか。だけど、四十年の九月ですから、そんな経済的な事情なんて穏便な処置をはたしてここの時点に至ってとっていいものやらどうやら。一回すでに住宅公団と田中との間の買戻特約に違反しているんです。そういう札つきのところですから、ほかのところよりもなおさら監視していなきやならない。それが監視不行き届きのために決算委員会で指摘された。それで気づいたんじゃないですか。ですから、決して住宅公団としては万全を期していたなんということは言えないんじゃないですか。前に何もなくて、再三再四警告を発していた、まあ経済的事情があったからやむを得なかった、それで決算委員会で指摘された、すぐそれに対して警告を発したと、それならまだいざ知らず、そうじゃないんですよ、この過程というのは。一回住宅公団との契約に違反した、そういう札つきだ。まずこの時点においてこれは要注意ですね。もう絶対的に監視をしていかなきゃならない。渋谷のほうに移ったとか何とか言ったって、そんな問題はあるにしても、年じゅう登記簿なんてものは見ていなきゃならない、住宅公団としては。そういう義務があるわけです。まして、この場合には、くどいようですが、こういう前科もあるところですから、その点に対しては明らかに住宅公団の監督不行き届き。それは、いま言ったように、決算委員会で知った。その直後五月になってまた大映に所有権が移っている。まあこういうようなことがありますと、非常にこれはおかしなことで、しかも、四十年の九月に、六カ月以内に工場を建てなさいと言われて、六カ月以内というのは三月ですね。三月の時点においてそれじゃどのような処置をしたか。それが四月、五月とたって、とうとうこんな事件発展しちゃった、こういう経過なんです。ですから、私たちは、そういう理由は知りません、当事者間にどんな話があったかわかりませんということ自体が非常にこれは問題だと思うのです。あくまでもその点を、不備であったという事件が前に起こっているのですから、ですから、その事件をふんまえた上の細心の注意を払っていかなきゃならない。これはもう当然じゃないですか。まして、決算委員会で指摘されてわかっているんです。ということばの裏には、確かに手落ちがあった、監督の不行き届きがあったから、決算委員会で指摘されて初めてわかった、こういうおことばだと思う。ですから、何か経済的過程、あるいは経済的事情とか、あるいは見守ってきたとか、そういうこととこの一連の経過とは非常に矛盾するものがある。なぜもっともっと監督を厳重にしてこなかったのか。警告を発して、六カ月以内に工場を建てると。四十年の九月で六カ月といったら、四十一年の三月だ。そのとき工場を建てなかったら、契約を破棄するぐらいの強い態度になぜ出なかったか。そういうことがまた一連の疑惑を起こす原因にもなる。いや、私どもはそういう黒いものはないですよ、疑惑なんかないですよ、当事者間の話は知りませんでしたよと、こうおっしゃいますけれども、こういう常識であり得ないような経過なんです。ですから、当事者間にどんなような話があったのか、非常にここらあたりがまた疑惑を起こす問題です。もう一つ理由があるんですから。  まあそれはそれとして、刑事局長にお伺いしたいのですが、刑事局長は、この事実ですね、過程、経緯、理由というものはもう調べたのでしょうか。こういう事実は、田中彰治と永田雅一氏との詐欺事件を起訴するための重要な根拠になるわけですが、この点の事実関係というものは、いかがでしょうか、すでに調査してあるのかどうか。お知りになっているのかどうか。
  110. 津田實

    説明員津田實君) この件の内容につきましては、私はただいまは具体的に承知いたしておりません。しかしながら、先ほど民事局長が申しましたように、所有権移転関係は、もちろん御説明申し上げましたとおりの経過になっております。したがいまして、検察庁といたしましてこの登記簿の内容を承知しないはずはもちろんございません。したがいまして、どういう経緯によってかような所有権の移転が転々しておるかということ、及びその理由については、当然捜査の対象にいたしておるものと私は考えております。
  111. 黒柳明

    黒柳明君 公判の進む過程においてこのようなことが明るみに出てくること、これはもう当然そうだと思うのですが、住宅公団あるいは刑事当局にお伺いしたいと思うのですが、この土地が、いつですか、四十年の四月ですか、一回差し押えられた、埼玉県に。それから一カ月後にはまた解除されていると、こういう事実があるわけですが、これは当然御存じだと思うのですが、いかがでしょう。公団は少なくとも御存じだと思うのですけれども、いかがですか。
  112. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) また聞いておりませんので、よく調べまして……。
  113. 黒柳明

    黒柳明君 刑事当局はいかがでしょう。
  114. 津田實

    説明員津田實君) そのただいま御指摘の事実は、昭和三十九年十月十四日付の売買の原因で、翌日所有権移転登記をいたしまして、株式会社国際家畜研究所の所有になっております。その後におきまして、昭和四十年四月十二日受付で、昭和四十年四月九日熊谷税務署、埼玉県熊谷県税事務所が債権者埼玉県として差押をいたしておる登記がございますが、これは同年の五月二十二日差押が抹消されております。すなわち、四十年五月二十日差押解除になっておるようでございます。
  115. 黒柳明

    黒柳明君 住宅公団、御存じじゃございませんか。
  116. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) ただいま申し上げましたように、まだ聞かなかったわけでございます。
  117. 黒柳明

    黒柳明君 その登記簿、これは住宅公団から私もらったのですけれども、ここにちゃんと出ているんです。四十年四月差押、四十年五月解除、これを見て私言ったんですが、御存じじゃございませんか。——そうなると、これはおかしいと思うのですけれどもね。これは住宅公団から出たんですよ。これをいただいた。これを、この席上にいらっしゃるのに、差押は知らない、解除になったのを知らないということは、私は先ほどから言うように、いかにこの点について住宅公団の方が監督不行き届、関心が薄いかと、こういうようなことにもなると思うのですけれども、総裁、どうでしょう。
  118. 林敬三

    参考人(林敬三君) いまの御指摘の点、まことに遺憾に存じます。いろいろ私もこのことについて部内でも……
  119. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、この差押のこと、この事実……。
  120. 林敬三

    参考人(林敬三君) 仰せのとおりでございます。
  121. 黒柳明

    黒柳明君 御指摘……私はちょっと短気なものですから。これだけ調べるのに相当時間がかかっているんです。きのうも熊谷税務署に夜おそくすっ飛んで、署長の家まで行っているんです。この次にそれを申しますけれども、おかしなことをやっている。ここに出ているのは、住宅公団、おたくのほうから出した資料ですよ。この差押、解除、この理由をこれから確かめたい。これを知らないなんといって、それでいままでなんのかんのと言えるか。そういう理事の方が住宅公団の責任者としてこの場に出席して答弁する資格がありや否や、非常にこれは問題ですよ。これほどの大事件ではないですか。先ほどから言っているように、大臣をはじめ、この暑いのに真剣になってこの事件と取っ組んで、何とかして態度を示そう、国民の疑惑を晴らそう。その中心が住宅公団の深谷の団地ですよ。そうじゃないですか。詐欺事件が起訴事実の一つになっているんですよ。住宅公団が渦中の人じゃないですか。総裁理事の二人の方が、ほんとうに困ったな、何とかしなければならないなと頭痛はち巻きで夜も眠れない、そういう状態で白黒がつくのを待っていなければならない、私はこう思う。少なくとも、責任ある立場であるならば、責任感、使命感を持つならば。ところが、おたくのほうから出たこの登記簿、それに書いてある差押の事実、解除の事実を知らない。だから、これから私が言うようなおかしな契約、内々の了承が田中と永田雅一氏との間に取りかわされてこういうことに発展している。どうですか、総裁。これはただ単に知りませんでしたということでは済まされないと思いますよ。こういう事実はほうっておくわけにいかないと思いますよ。それだったら、この問題に関していままでおっしゃっていたことは全部上っつらだけ。ほんとうに真剣になって取っ組んだ態度じゃない。下の事務局員か事務当局に聞いただけで、まあ出たらいいかげんに答えておきやいいんだ、善処しますと言っておきやいいんだ、そんな問題じゃないんですよ、ここで取り上げているのは。大臣、どうですか、この事実。これほどだらしがないのですよ。だから、先ほどから言ったように、過去の前科があって不祥事件を起こした土地、それに対してまた全然監督をしていない。全然ほっぽりっぱなし。決算委員会で追及すれば、わかりました、そういう不手際。しかも、くどいようですが、四十年の九月に、最後の警告だと思うんです、六カ月以内に工場を建てろ。それは四十一年の三月じゃないですか、六カ月といったら。そのあとは何をやっていたんですか。しかも、三十九年の十月六日から、文書によって、工場を建てなさい。その後何十回となく電話でも警告を発したというんですね。その警告を発したというのは、どういう目的で警告を発したのか。まあ言っておけばいいんだ、あとは田中と永田氏とうまいことやるんじゃないか、こっちはあと個人的なやりとりは知らない、こういうわけにいかないのじゃないのですか。住宅公団の土地ですよ。しかも、買戻特約がきちっとついているんですよ。それに違反しておるわけですよ、この事実は。これは見ればわかる。さすがに刑事局長さん、すぐ登記簿を見て、ここにあると。見れば簡単なことです。ですけれども、みりゃいいとコロンブスの卵じゃ済まされないと思います。この事件は徹底的に住宅公団の責任を最後まで究明されなければならない。だから、ある一部においては、これは住宅公団も一部かみ合っておるのじゃないかという、これは私としてはあくまでもうがった推測だとは思うのですけれども、私はそんなことは当然夢にも信じておりませんですけれども、そういうところから国民の疑惑が起こってくることはやむを得ないと思うんですよ。あまりにも無責任ですから。ほっぽりぱなしですから。どうですかと聞いたとしても、知りませんでしたということになると思うのですけどね。いま言った一連の私の話、それをふんまえた上で、そのことを見落としたとか、知りませんでしたとか、そういうことで済ます問題じゃないと思うんです。しかも、きのうは管理課長さんにも来ていただいてこの事実ははっきりと聞いた。それを今度は立場が変わって最高責任者がおいでになると、そんなことはなんにもわからない。下のほうの人が、そういうことでは非常に困るのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  122. 林敬三

    参考人(林敬三君) 私も関盛理事も、いま御指摘のことは何も存じませんで、まことに遺憾に存じます。以後、姿勢をもっと正しまして最善を尽くしてまいりたいと存じます。ただ、このことについては、しかし決してほうりっぱなしということではなく、公団としては、前任者の時代から、また私になりましても、これについて一番適切な解決をしなければならない、それはなかなか問題の多いものだということではいわゆる心を砕いておったのでありまして、成り行きにまかせてしかるべきというようなことでは全然前任者のときもなかったと存じますし、私自身になりましてからも絶対にさようなことはしておらないのでございます。何ぶんにも非常に例外中の例外のような奇想天外な出方がいろいろまいりますので、それでいろいろと遺憾な点が出てまいりましたことで、それはやはりこちらの力の至らないところ、及ばないところと存じまして、遺憾に存じまして、今後一そう戒めて努力をいたしたいと思います。
  123. 黒柳明

    黒柳明君 私もこれ以上住宅公団の方に言う気はないのですけれども、そこがお役人の悪いところだと思うのです。今日の政治は大衆と遊離しておる。姿勢を正せばいいと言うけれども、率実はこの事件はどんどん発展しておるじゃないですか。発展しておるのは、姿勢を正せばいい、そのつもりでやればいいと言ったって、これはそういうわけにいかないのじゃないですか。大きな国としての問題です。国会議員全体の問題でもある。政治家全体の問題でもある。そういうことをほんとうに簡単なことばで片づけてしまえばいいんだ、そういうことではまた次の事件を起こす原因にもなるわけです。くどいようですけれども、自分のほうから出した登記簿、その登記簿すらも目を通していない。それでありながら、私はこの事件をほうっておくつもりはないということばはどこから出てくるか、こういう疑問が私は出るわけなんです。まあその点は非常にくどくなるようですけれども。  じゃ、差押され、差押が解除されたこの理由、これについて御存じでしょうか。
  124. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 私、いまお尋ねがありました件につきましては、先ほど申しましたように詳細に承知いたしておりませんので、御了承願います。
  125. 黒柳明

    黒柳明君 非常に困った問題だと思うのですけれども、要するに、この土地は、何回も指摘しますように、国際家畜から大映に行ったわけですね。それからまた国際家畜に来たわけです。それで、三十九年度の不動産取得税五十三万余円、これが埼玉県税として当時の登記上の所有者の国際家畜に課税されたわけです。ところが、田中国際家畜というのが納税しないために差押になった。そういうことで差押の理由があるわけです、四十年の四月。ところが、一カ月後に解除になった理由は、よくその実情を調べてみますと、登記上の名目は田中国際家畜になっておりますけれども、事実上は、永田雅一氏と田中国際家畜との間に、「この土地の形式的な所有者は田中国際家畜であるが、実質的な所有者は永田雅一にある」と、こういう一筆が熊谷税務署に入っている、こういう事実があるんです。ですから、先ほど来取得の過程が変わっておりますですね。要するに、またここではっきりするためにもう一回それを言いますと、三十八年九月二十七日住宅公団から国際家畜が取得している。半年後の三十九年の四月大映が取得している。さらに半年後の三十九年十月国際家畜が取得している。この三十九年十月の取得は、登記上は国際家畜になっておりますけれども、実際上は大映のものなんです。永田雅一氏のものであるという一筆が熊谷税務署に入っている。ですから、その事実を税務署がわかりましたから——田中家畜に税金を納めろ。納めなかったから、差押をした。ところが、事実は田中家畜のものじゃなかった。実質上の取得者は永田雅一氏のものだ、こういうことで、大映のほうに税金を催促して五十三万何ぼかを取った、こういうことです。それで差押が解除になった。こういう一連の過程がこの裏にあるんですよ。ですから、国際家畜が再取得三十九年十月、これは実質上は大映不動産永田雅一氏に三十九年の四月から四十一年の五月まで実質上二年間所有権があった、こういうことなんです。それが、税務署のほうで田中家畜に納税不履行で差押をしたのでその事実がわかったから、大映から取って差押解除になった、こういう一連の過程があるわけですが、この過程について、刑事局長、住宅公団総裁、どのようにお思いになりますか。
  126. 津田實

    説明員津田實君) ただいまのような経緯でこの県税差押が解除されましたかどうかについては、私は現実に承知いたしておりません。しかしながら、この不動産につきまして登記関係がいろいろ複雑しておるわけではございますが、その経過、並びに現在住宅公団に所有権が移転されておりますが、それまでの経過については、先ほど来申し上げました事件のそのものの直接の内容にもなり得るし、また、自後の情状にもなり得る問題でもありますので、当然捜査の対象になっているものと判断いたしますから、したがいまして、捜査の経緯においてはその内容は明らかになっておるものと私は信じております。
  127. 黒柳明

    黒柳明君 総裁、いかがですか。
  128. 林敬三

    参考人(林敬三君) 私昨年参ったのでございますが、それからこの問題をいろいろと聞いておりますし、また調べてもおりますが、そこの間の当事者の事情がどうなっておるかは、何とも判断したことを申し上げかねるのでございます。
  129. 黒柳明

    黒柳明君 要するに、あくまでも名義上は田中家系と言っていますが、実質的には大映のものだった。偽装登録をしていたわけですね。そういう点もある。だから、この点は当然検察当局として調べていると思いますけれども、きのうも、その内容はわかったのですが、その写しをもらいたいと。そうしたら、ともかくこれを出すと大臣からおこられて私は首になる、こういう所長の話です。そんなことはない、そういうことを言ったら、いや、それだったら県庁の県の課長。課長のところに行ったら部長。結局つかまらなくなってきょうになっちゃったのですが、内容だけははっきりしている。だから、こういうことが、だれがどういう手を回したか、どういう事実があるかわからないけれども、写しをやると私は大臣からおこられます、私の進退に関係します、こういうようなことを所長が平気で言うような、こういうやましい事実がこの裏にある。要するに、詐欺された詐欺されたなんて言いますけれども、あくまでもこの時点を見ると、田中と永田雅一氏との関係というのはツーツーで、お互いに承知ずく、納得ずくでこういう偽装登録をやっておるわけだ。そういうことがいまになると詐欺事件としてはたしてこれがどのように発展していくや否や、非常にこれは疑問であり、国民大衆がその結末を黒白を待っていると、このようなことです。  ですから、最後に、だんだん時間が長くなりますから、小佐野さんのほうにも事件発展していくわけですけれども後日に譲るとしまして、ともかくある意味では、これは誤解かもわかりませんけれども、永田さんが協力者という立場にもならざるを得ないですね、偽装登録なんかしていると。こういうような疑いもここから出てくる。何かこの永田雅一氏と田中との間を無理に縮めちゃって、一ぺんに詐欺事件、起訴、こういう過程に発展したが、どうもうなづけない点があるわけなんですが、この点の所見はどうでしょうか。  また、いまいろいろ申しましたのですが、大臣として、最後に、このようなことで常識論からして断然これから事件はどんどん究明されると思いますが、非常に疑惑があり、住宅公団のほうでも不備があるわけです。そういうことを判断して、常識的に見てどのような所見をお持ちになるか。また、引用で申しわけありませんけれども、「法律時報」には、「田中対永田という、どの道裏には裏があり、狸と狐のばかし合いをしているであろう」と、こういうふうなことを書いている。国民が抱く印象としては、疑念もますますぬぐいされないものを持っておるわけです。こういうことを感ずるわけですが、最後に以上のようなことで刑事当局の所見及び大臣の所見をお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
  130. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいまのお話でございますが、永田君がどうであるか、田中君がどうであるかということの個人的のいままでの、何といいますか、行動、言動というようなものを頭に置いてそうして今度の問題にぶつかって、解釈をしていくというような、偏見を前に置いてそのことを判断していこうとすると、えてして間違いが起こりやすいものでございます。刑事当局におきましてはそういうことは百も承知のはずであると思うのでございます。事件の運びの上においてはその人のやってきたこと等を十分知らなくちゃならぬのは当然でございますけれども、あの人はこういう人だからこのくらいのことをやりそうだというようなこと、あるいはこういうことを世間で言うているからどうもそうらしいというようなことを頭に置いてやっていると、ともすると間違いが起こりやすい、法の鏡が曇るというようなことがあってはならないのでございますが、できるだけそこは冷静に、そうして正しぐ厳正にやっていくということが私どもの立場としては大事だと思うのであります。そういう心持ちでやっていくように私はかねてから検事当局に期待しているし、そのとおりやっておると思いますし、これからもそのとおりやってもらいたいと思います。
  131. 津田實

    説明員津田實君) 御承知のとおり、最終的に事実関係を明らかにしまして結論を下すのは、もちろん裁判所でございます。しかしながら、現在、検察官といたしましては、少なくとも無罪になるおそれのある事件、証拠上みずからは無罪というふうに思わざるを得ないであろうという事件については、これは起訴をいたしておりませんが、起訴有罪率から申しましても、起訴に対して九九%以上の有罪率を占めておるわけでございます。したがいまして、本件に限りませんわけでございますけれども、特に本件につきましても、検察官といたしましては、有罪の確信を持って、しかも合理的に有罪の判断を第三者たる裁判所になさしむるという確信を持って起訴いたしたものと私どもは考えておりますし、これは従来ともあるいは今後ともその点は変わりない検察の方針でございます。
  132. 黒柳明

    黒柳明君 私も当然個人的に何も先入感を持てと言ったのじゃなくて、いまのは全部事実を言った、だけのことですから……。  資料要求をしたいと思いますが、さっきの熊谷税務署にあります永田さんと田中との私的なやりとりの文書ですね、それを資料として提出していただきたい、住宅公団のほうから。——よろしいでしょうか。
  133. 林敬三

    参考人(林敬三君) 税務署の文書でありますと、住宅公団ではどうも提出するというわけにいかないと存じますが……。
  134. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  135. 和泉覚

    委員長和泉覚君) では速記を起こして。  大森君。
  136. 大森創造

    ○大森創造君 田中彰治事件について、時間もありませんから、端的にひとつお伺いいたしたいと思います。  この田中彰治さんの問題は、私どもの間にもだいぶ古くから話題になっておりました。これはどうもおかしいという話は私の耳にも三、四年前から聞いていた。そこで、お伺いしたいと思うのは、なぜこの時期に、どういう発端で、いかなる根拠で東京地検の特捜部が田中逮捕、起訴に踏み切ったか、この発端の根拠のほどをお聞かせいただきたい。
  137. 津田實

    説明員津田實君) 検察庁におきましては、御承知のとおり、告訴あるいは告発があれば当然捜査を開始しなければならないわけでございますし、また、司法警察職員等から送致がありました事件につきましては当然捜査をするわけであります。しかしながら、検察庁といたしましても捜査権がございますので、独自の捜査は当然みずからできるわけでございます。そういう意味におきまして、検察庁におきましては、諸般の社会現象から犯罪として摘発を要するものがあるかどうかということについては常に注意を払っておるわけでございます。したがいまして、本件がどういう端緒から田中彰治捜査しこれを逮捕するに至ったかということについては、これは検察庁自身はもちろんわかっておるわけでございますが、私自身はただいまよく存じません。しかしながら、このことは公に申し上げますことは差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
  138. 大森創造

    ○大森創造君 刑事局長、この事件がどういういきさつで問題になったのか、起訴され逮捕されることになったのかということについて、これは国会法務委員会で私が質問をしても、お答えになる筋合いじゃないのでしょうか。私はその点を知りたいんです。どういう事情でこういうことになったのか、おわかりだと思うんですね。ここで発表されても差しつかえないじゃないですか。
  139. 津田實

    説明員津田實君) この事件が将来公判でいよいよ審理されます際に、この事件についての証拠、証拠に対する心証を得るために、いろいろ事件の端緒というものが明らかにされなければならない事態は、これはあり得ると思います。たとえば、これはほかの例でございますが、強盗殺人なら強盗殺人がございました場合に、その犯人がどういう経路で逮捕されたかということは、将来その事件について非常に重要な問題になるわけであります。しかしながら、これがどういう端緒で起こったかということは、あくまでもその公判の審理において必要な範囲において裁判所が取り調べ、あるいは当事者が主張して取り調べを求めるということになるのが筋でございまして、あらかじめかくかくの理由によってこれが起こったということが明らかになりますると、これは裁判官に予断を抱かさせるもとにもなります。また、関係のその後の証人についてもいろいろのよくない影響がある場合もあります。したがって、どういう端緒によってこれを捜査したかということは、公に申し上げることは差し控えさせていただきたいのみならず、将来どういう事件についてどういうことから検察庁が端緒を置いているかということが一般にわかることは、これは将来の犯罪枚挙にも相当重大な影響を来たす問題でございますので、これは申し上げることを差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
  140. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、この問題について、告発状が出されたのでございますか、それとも、特捜部のほうが自主的にお調べになったのでございましょうか。
  141. 津田實

    説明員津田實君) この案件は、告訴、告発はございません。
  142. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、いまも黒柳さんからいろいろお話がございましたが、どうも私は納得できないものを感ずるんです。この事件について私は検察庁の方に聞いたんだけれども、田中彰治さんの問題はしばしば検察内部で問題になって、いつこれは踏み切るかということが話題になっていたそうで、昭和三十七年のころに一回田中事件についての合同会議などをやって踏み切ろうかという話があったやに聞いているんだが、刑事局長はそのことについてお知りでしょうか。
  143. 津田實

    説明員津田實君) そのことについてと申しますか、田中彰治関係事件について、検察庁に限らず、ほかの捜査機関において捜査あるいは内偵の対象にしておったかどうかということにつきましても、これは申し上げることはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  144. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、前の稲葉さんと黒柳さんの質問とダブるようでございますが、この点が重要だから、私からも念を押しておきますが、どうも今度の事件は田中さんでとまるんだといううわさが巷間非常に流れているんです。そこで、雑誌を読みますと、自民党の某有力代議士がこういうことを盲っているんですよ。「検察庁は田中だけしか調べようとしない。」と、こう言うておるんですね。田中だけしか調べようとしない、こういう態度はないでしょうね。
  145. 津田實

    説明員津田實君) 御承知のとおり、刑事事件は、告訴、告発のあるものは別といたしまして、捜査の端緒を得て証拠を追って進展してまいるものでございます。したがいまして、検察庁といたしまして他の事件捜査の間におきまして捜査を要すべきと判断される捜査の端緒を得たものについては、当然捜査を行なっております。それがまた厳正な検察権の行使の当然の事柄であるわけであります。この点は、本件に限らず、あらゆる事件におきまして、そういうような端緒を得たものについては、捜査を遂げ、あるいは内偵を遂げておる次第でございます。
  146. 大森創造

    ○大森創造君 別な角度からお伺いしますが、大蔵省は問題の国際興業の小佐野賢治氏に文部省の前の虎ノ門公園跡の国有地を払い下げたことは、私の所属する参議院の決算委員会でも何回か問題になった。そこで、大蔵省の方にお伺いしますが、小佐野賢治氏は著名な実業家であって、幾つも会社を持っているんだけれども、問題の虎ノ門の公園跡の国有地以外に——以外にですよ、小佐野賢治氏は名前を出していないかもしれませんが、実質的には小佐野氏が主宰する会社などに数カ所国有地を払い下げているはずだ。これは、だれが大蔵大臣のときで、どこの場所でございますか。
  147. 山本靖

    説明員(山本靖君) ただいま御質問になりました点につきまして、小佐野さんという方はいろいろ関係の会社も多く持っておられますし、広くわたっておりますので、正確な相手方、あるいは日時、財産というものにつきましてはただいま資料を持っておりませんので、したがいまして、その関係が何大臣のときであるかということもちょっと申し上げられないのでございますが、お許し願いたいと思います。
  148. 大森創造

    ○大森創造君 これは、さっきの黒柳委員の質問と同じように、いやそれより以上に、今度の事件の一音最初の問題なんですね。参議院の決算委員会で同僚の二宮文造君が質問した国会会議録を手段として恐喝したりゆすったりしたということが公訴事実の第一なんですね。そこで、これはあとからでもいいが、お調べいただきたいと思うんだが、もう一回申し上げますというと、虎ノ門公園跡の国有地を小佐野賢治氏に払い下げたのはいつか。それからその他の国有地についても何カ所かあるはずである。これは小佐野賢治氏の名前が出なくても、刑事局なりそれから大蔵省のほうでは当然調べがついているものと思うから、ひとつきょうの私の質問が終わるまでの間に発表いただきたいと思う。時期を調べると、大蔵大臣はすぐわかる、そのときの大蔵大臣は。これもひとつこの席でおっしゃっていただきたい。いまわかったらお答えいただきたい。
  149. 山本靖

    説明員(山本靖君) 御指摘のように、できる限り調べまして間に合わせるようにいたしたいと存じます。
  150. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、その点はあとからお答えいただくとして、これは決算委員会でもしばしば問題になったのだけれども、問題の小佐野賢治氏と田中彰治との関係というのを簡単にお答えをいただきたいと思う。起訴状の中にもあると思いますが、どういう関係がございましょうか、わかりやすく簡単にお答えいただきたい。
  151. 津田實

    説明員津田實君) 小佐野賢治と田中角栄氏との間にいかなる関係——田中彰治でございますか、彰治氏との間にどういう関係があるか、私は承知いたしておりません。おそらく国際興業あるいは日本電建の関係から知り合いになっているのかどうかと思うのでありますけれども、そういう知り合いのいきさつにつきましては、私はいまここに何も資料を持っておりませんが、これは検察庁は当然調べているものと思っております。
  152. 大森創造

    ○大森創造君 きょうは稲葉君の質問に対して刑事局長はお答えになりましたね、起訴状の内容について。その中からも関係が浮かび上がってくると思うんですよ。いろいろ関係があるはずです。いろいろな複雑な関係があると思うのだが、小佐野氏と田中彰治氏とがどうして知り合いになったか御存じでしょうか。事件の背景をなすものとして非常なかぎだと思うんですが、これはお調べになっていると思う。
  153. 津田實

    説明員津田實君) それは調べていると思いますが、いま私は承知いたしておりません。
  154. 大森創造

    ○大森創造君 田中彰治氏が脅迫をした、ゆすったということは、相手はだれなんでしょう。ゆすられた人、脅迫された人はだれなんです。
  155. 津田實

    説明員津田實君) 第一の恐喝事件の事実につきましては、もちろん小佐野賢治氏であると思います。
  156. 大森創造

    ○大森創造君 なぜ小佐野氏はゆすられたんでしょうか。
  157. 津田實

    説明員津田實君) これは、先ほど読みました事実関係の中に出てくるわけでございますが、虎ノ門公園跡国有地払い下げを受けたことなどについて参議院の決算委員会で論議があって、国有地払い下げ関係に不正があるということをもって脅迫をした、こういうことでございます。
  158. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、その虎ノ門の公園跡の敷地、ニューエンパイヤの問題を決算委員会で問題にするぞと言うて小佐野氏を脅迫したのでございますか。
  159. 津田實

    説明員津田實君) その大体の趣旨は、参議院の決算委員会の四十年五月七日の速記録を示しまして、「自分は決算委員であるからどのようなことでもできる。自分の考え一つで旧虎ノ門公園跡払い下げ問題を押えることもできるし、自分の言うとおりにすれば損はないから、手形の支払期日の延期を承諾しなさい」というような趣旨を言ったと、こういうことであります。
  160. 大森創造

    ○大森創造君 それはいつですか。もう一回だめを押しますが、その時期は。
  161. 津田實

    説明員津田實君) 昭和四十年七月二十日過ぎごろであります。
  162. 大森創造

    ○大森創造君 その前に田中彰治氏、小佐野賢治氏のいろいろないきさつがございましょう。院の決算委員会会議録をネタにして小佐野賢治氏にゆすりをかけたそれ以前に、小佐野賢治と田中彰治との関係は非常に濃密なものがございましたね。起訴状の中にはそれを書いてあると思うのですが、その部分についてはどういうふうにお調べになっていますか。
  163. 津田實

    説明員津田實君) 起訴状によりますと、その別の事件でありますが、昭和四十年三月ごろに小佐野氏からの手形割引額が一億五千万円に達しておった、こういうことがございます。でありまするから、昭和四十年三月ごろにすでに小佐野氏との間に手形の割引がありまして、それが残額が一億五千万円に逃しておったということでございますから、したがいまして、それ以前から取引があったものというふうに判断されるわけであります。
  164. 大森創造

    ○大森創造君 話が前後いたしますが、刑事局長にお伺いいたしますが、ことしの三月に私も刑事局長と問答いたしましたが、あの大橋冨重君が逮捕されて、そして拘禁中に、田中彰治氏が上申書を馬場検事総長に出したといういきさつは御存じですか。
  165. 津田實

    説明員津田實君) その事実は知りません。
  166. 大森創造

    ○大森創造君 これはひとつ参考までに——馬場検事総長のところへ上申書を田中彰治が出したのは事実だと思うのです、私の調査では。そこで、その上申書の内容を拝見したいですね。これは御提出いただけますね。
  167. 津田實

    説明員津田實君) 上申書が出たかどうか私は承知いたしておりません。したがいまして、その上申群がもし出たとすれば、内容がいかなるものであるかということなんでございますが、その内容いかんによるということに結局なるのでありまするけれども、それが捜査上の意味として出したものであれば、これはやはり捜査関係記録は公判前には公にできませんので、それは差し出すことができないのではないかというふうに考えておりますが、そのほかの問題であるとすれば、また検討いたしました上で考えたいと思います。
  168. 大森創造

    ○大森創造君 まあひとつ上申書が出ているはずでありますから、その内容をお調べになって、私の調査した範囲では大体今度の事件については直接の関係はなさそうだから、その場合にはお出しいただけますね。
  169. 津田實

    説明員津田實君) そういうものが出ているかどうかも存じませんので、出ておるとすれば、それを見ました上で、そのときの判断によっていまの御質問に対してお答えをいたしたいと思うのでございます。
  170. 大森創造

    ○大森創造君 大蔵省のほうで調べがついたかな。
  171. 山本靖

    説明員(山本靖君) ただいま調べておりますが、そのうち、御質問の最初にございました虎ノ門の件について申し上げますと、これは三十八年の十月一日にニューエンパイヤモーター株式会社に対しまして和解により売り払いをいたしております。その当時の大蔵大臣は、田中角榮大蔵大臣でございます。
  172. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、その問題の土地を三十八年の十月一日に払い下げたんだけれども、これは刑事局のほうでおわかりになっておりますか、これ以外にも、小佐野賢治氏の名前でなくとも、関連会社に払い下げた事実を御調査できておりますか。
  173. 津田實

    説明員津田實君) それは、これに関連してさようなことがあるかどうかは捜査の対象になっておるかもしれぬと思いますが、私は現在は承知しておりません。
  174. 大森創造

    ○大森創造君 これはひとつ大蔵省はきょう私の質疑の終わるまでの間に調べがつけば発表いただきたいし、これは捜査をしてだんだん事件発展すると当然問題になってくる問題でございますから、ひとつ刑事局長にお願いしておきたいんだが、いまの問題、今後ひとつお調べいただけますか。
  175. 津田實

    説明員津田實君) いまの問題とおっしゃいますのは、田中彰治関係の国有地の払い下げ問題でございますか。
  176. 大森創造

    ○大森創造君 そうです。
  177. 津田實

    説明員津田實君) その点につきましては、検察庁といたしましては、本件に情状その他で関連があるものならば、当然調査をいたしますし、調査の対象になります。しかしながら、田中関係をめぐるすべての土地売買、あるいは土地払い下げ問題について捜査をするということになりますと、捜査をするに合理的なやはり資料が必要でありますので、資料もなしにとにかくすべてを洗うというようなことは、これは人権上問題がありますので、それはいたさないと思いますが、本件の情状その他の関係があるものについては当然調べるはずでございます。
  178. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私は人の悪いことを言うようですが、国会委員会での質疑応答というのは、えてしておざなりになるようでございますので、私は通り一ぺんのことを言いたくないんです。実は、大橋富重の問題について私は半年くらい調べた。大橋さんが逮捕される前まで半年くらい。大体事件の全貌がわかってきたときに大橋富重氏が逮捕された。そこで、今度の問題も、検察庁をつゆ疑うわけではないのだが、どうも私が調べた限りでは、この事件全体がもやもやとしているんですよ。さっき黒柳委員の質問といい、ゆすられたほう、脅迫されたほうがどうも態度がおかしいのですね、私が見ると。もっとおこってよさそうなものだけれども、おこらないのだね。いまの永田大映社長にしてもそうです、態度があやふやなんです。そこで、ある雑誌を見ると、自民党の有力議員はこう言っているんです、「田中はねえ小物ですよ。」と。これは自民党の中に精通している有力な議員ですよ。「つまり犯罪としては恐喝でしょう。田中という男はグラマン事件だとかいろんな事件を知っていて、いわば政治の裏街道に通じているんだ。それをネタに恐喝をやったんだが、大物はねえ、恐喝されるようなことをしている人間なんだ。だからマスコミなんかでも田中だけが悪いように書いているが、ありゃまちがいだ。問題は田中事件の背景にある政界全体の腐敗ですよ。」と、こういう問答があるんです。ちゃんと名前入りでございます。「それをネタに恐喝をやったんだが、大物はねえ、恐喝されるようなことをしている人間なんだ。」と。どうも私はそういう感じがする、今度の問題は。思い当たる節はございませんか、どなたか。石井法務大臣……。
  179. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私はどうもそれに思い当たる節はないのですが、そういうふうな出ておる人が被害者が大ものである、なかなか活発に事業界において動いておる、それをいろいろ批判する人もあるというようなことでとやかくの声があるやに聞くのでございますが、しかし、それは、問題があるならば、こんな問題を起こすわけはないんです。  いま、もっとおこっていいのではないかということですが、おこっているから出したに違いない。私は、これが出てきた以上は、検察当局はこれをしっかりつかまえて、そしてこれを糾明して、どこまでも真相を突きとめて、そうして結論を出すということが大事だと思っております。そういう声があればあるほどひとつしっかりやっていきたいと思っております。
  180. 大森創造

    ○大森創造君 刑事局長、どうですか。
  181. 津田實

    説明員津田實君) まあ今回の関連事件の被害者には著名な実業家があるわけであります。したがいまして、軒名な実業家が詐欺なり恐喝をされることはあるまいというような考え方というものは、これは必ずしもそうは言えないところでありまして、著名な実業家であれ、市井の人であれ、恐喝詐欺の被害者になることは、当然あり得ることでございますから、そういう意味におきまして、私どもといたしましては、これが著名であるからといって特段に奇異に感ずるわけではございません。要は、事柄の事実の真相であり、それを裏づける証拠の問題であるというふうに考えております。
  182. 大森創造

    ○大森創造君 大蔵省の国際金融局長にお伺いいたしますが、それまでの間にだんだん大蔵省関係もさっき私が御質問したことについてお調べがつくでしょうから。田中代議士は、アイルランドに十五万三千六百万ポンド、一億五千四百万円にのぼる海外送金の認可を受けているそうだ。そこで、アイルランドのテンプルモアというところに牧場を経営しているということが周知の事実になってきた。この一億五千四百万円というものを海外送金の認可を受けているという問題について、どういういきさつなんでしょうか、これは。これは法律的に違法な点はございませんか。外為法違反というようなことはございませんか。そういう問題について刑事局のほうはお調べになったことがございますか。
  183. 和田謙三

    説明員(和田謙三君) 国際金融局長不在のために、私が代理答弁いたします。  御質問のアイルランドに対する投資の問題でございますが、私が聞いておりますところでは、おっしゃいましたとおり、十五万三千六百万ポンドを二回にわたりまして、三十七年の十二月に五万三千六百万ポンド、四十年の三月九日付で十万ポンド増資の許可を受けておりまして、合わせまして十五万三千六百万ポンドの許可をいたしております。  これにつきまして、外為法違反の問題があるかどうかという問題でございます。私どもとしましては、実際上私の前任者、前々任者でございますが許可をいたしまして、これによって現地に許可したとおりの事業計画に基づく牧場を経営しているものと一応思っておるわけでございます。それで、事業計画を変更する場合には事業計画の変更願いというものを当局に出すことになっておりますが、いまのところその変更願いというものは提出されておりませんので、一応当初許可の前提とした事業計画のもとにいっているものと一応想定しております。
  184. 大森創造

    ○大森創造君 この許可の名目はどういうことなんです、送金の許可の名目は。
  185. 和田謙三

    説明員(和田謙三君) 本件の一応当初の投資の許可の名目としましては、競走馬の改良、牧場をつくって、競馬馬の種馬を買い入れをして優良馬に仕立てて、それを日本に輸入するという名目で許可しております。それで、当初の投資は、主として牧場の購入資金、それから増資分は種馬の購入に充てられるというものであります。
  186. 大森創造

    ○大森創造君 この一億五千四百万円にのぼる海外送金の認可を受けたことについて、これはいいですか、外為法違反であるとか、そういう法律違反の事実はないですか。
  187. 和田謙三

    説明員(和田謙三君) これは、もし現状が投資の許可の際に前提とした事業計画と非常に異なったように運営されておる、たとえば、投資して送金した金がほかに使われているとか、そういう事実が判明いたしますれば、それは外為法違反の問題が生ずると思いますが、いまのところそういう事実をしかと確認しておりませんので、いまの段階では、これは外為法違反だということはいまの段階としては申し上げられないと思います。しかし、そういう事実が判明すれば、当然そういう問題が起こってくると思います。
  188. 大森創造

    ○大森創造君 このアイルランドのテンプルモアは、首都ダブリンから南西二十キロの町、そこに田中牧場があるわけですね。これは今度の田中事件現地においても相当話題になっているのだけれども、これはどうも大した経営をしていないようなんですね。この現地についてお調べになったことがございますか、どなたか政府機関において。
  189. 和田謙三

    説明員(和田謙三君) いまの御質問の点でございますが、私どもも非常にその点は関心を持っておりまして、実は、最近、外務省を通じまして、現地の実情をできるだけ調べてくるように依頼してございます。しかし、まだこれは相当時日もかかるかと思いますので、結果はすぐには出てまいらないと思います。
  190. 大森創造

    ○大森創造君 それから牧場の運転資金というやつを二千三百万円ぐらいの送金の認可を受けているらしいの、たが、これは何回やっていますか、認可を。
  191. 和田謙三

    説明員(和田謙三君) 先ほど申し上げましたとおり、投資の許可としては二回にわたって行なわれまして、最初が三十七年の十二月に五万三千六百万ポンド、二回目が四十年の三月に十万ポンド、二回の投資の許可をいたしております。
  192. 大森創造

    ○大森創造君 私の調査した範囲では、どうも牧場経営はどうでもよくて、差押のがれの海外送金だったようなにおいが非常にするのですがね、これは。その場合に、どうなんでしょう、海外のアイルランドの牧場というものを国税庁で差し押えるなんていうことはできるのでしょうね。いかがでしょう。
  193. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 御承知のように、国税債権の確保のために強制徴収をいたす場合がございますが、これは国税徴収法に基づいてやっておるわけでございます。しかしながら、この国税徴収法は、本邦だけに施行されるわけでございまして、アイルランドまでは適用にはなりません。
  194. 大森創造

    ○大森創造君 大蔵省にもう一回聞きますが、牧場経営はどうでもよくて、財産保全のための海外送金ということになって、どこかにこの金が漏れていたならば、どうなりますか。これは法律違反になりませんか、この場合には。
  195. 和田謙三

    説明員(和田謙三君) 投資の許可を受けて、その許可の目的以外に金を使っていたことが判明いたしますれば、それは当然外為法上の問題を生ずると思います。その点もございますので、いま実情を調査しております。
  196. 大森創造

    ○大森創造君 まあその点があるから、いま外務省を通じて調査をしておられるということですから、時間の経過とともにその点はわかってまいりましょうから、そのときにひとつ私のほうにその結果をお知らせ願いたいという要望を申し上げておきます。  そこで、この問題はだれが知っているかな。私もよくそこを通ったので、田中事務所を知っているわけだ。千代田区平河町、そこにあった。千代田区平河町が高速道路建設にひっかかって、このときに補償費は幾ら払ったのですか。きょうお見えの皆さんではおわかりになりませんかな。これは建設省かな。田中事務所がそこにあったんですよ、去年あたりまで。これが現在の港区の元赤坂にビルを建てて、本拠地をそこにした。よく私は歩いてくるから、そこで、ああ田中彰治さんの事務所はここにあるのだなと思っていたのだけれども、それがいつの間にかなくなっている。あそこが高速道路になっちゃったので、補償金をもらって元赤坂のほうに引っ越しちゃった。港区の元赤坂にビルを建てて、そこを本拠地としてかまえた。その補償費の問題は、刑事局長、御存じないですか。
  197. 津田實

    説明員津田實君) それは全然存じません。
  198. 大森創造

    ○大森創造君 これはそうでしょうね。高速道路公団でしょうね。これは後日にいたします。  そこで、お伺いしたいのは、昭和三十七年の十二月と四十年の三月と二回にわたって、いま申し上げましたように、アイルランドに一億五千四百万円の現金を送ったんですね、現金を。そこで、田中牧場が北海道にあると。これは相当膨大なものだ。それからしばしば話題になりますところの田中家畜研究所とかいろんなものがある。九州にも財産がある。私が不思議にたえないのは、昭和三十七年の十二月と四十年の三月にわたって現金を一億五千四百万円も送っているにもかかわらず、一体税務署はどうしたんだろうと思うんだな。税務署はこれはどうなんでしょう。田中さんは申告なしなんですね、いままで。どういういきさつなんですか、税務署は。東京地検の特捜部がこれを逮捕して起訴したから田中さんの脱税問題を追っかけるようになったんでしょうか。その前にどうしてわからなかったんでしょう。北海道に牧場を持ち、それからアイルランドに牧場を持っている。大蔵省の認可を受けて一億五千四百万円もの巨額の金を送金している。そして、私の聞いたところでは、検察庁のほうでは田中彰治氏の事件をどうするかというようなことで、刑事局長はお知りにならないけれども、何年か前にしばしは問題になっているというその田中彰治の脱税の問題。大体いつごろから田中彰治さんの脱税の問題についてはにおいをかがれたか。どういう脱税についての、何というか、調査をしたのか。いつごろから始めて、現在どういうふうになっているか。それから、今後の見通しはいかがですか。
  199. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 先ほどの最初のお尋ねでございますが、アイルランドヘの送金実績、これは、先ほど国際金融局のほうからお答えいたしましたのは、送金の許可の額であろうと思います。実際の追金がそれほど行っておるかどうかは、私は別の問題ではないかと存じます。  それからそれが田中彰治氏の脱税資金に関連があるかどうかも、これもはっきり私はここで申し上げるわけにはまいりません。はっきりいたしません。  田中彰治氏の関係の課税関係について税務署でどうしておったんだというお尋ねでございますが、連年田中彰治氏個人は所得税について無申告でございまして、税務署では非常に苦労いたしまして申告を慫慂してきたわけでございます。そのうちで、三十三年分につきましては、これはずいぶん古い話でございますが、申告を慫慂いたしまして課税処理をいたしております。それから三十五年分、三十六年分につきましては、これもやはり無申告でございますが、放置しておきますと時効にかかりますので、ことしの三月の確定申告期に田中彰治氏に強く期限後申告の申告の慫慂をいたしまして、三十五年分、三十六年分につきましてはそれぞれ相当額の申告をさせて、これに基づいて課税処理をいたしております。それから三十七年度以降につきましては、これも調査中でございますが、やはり無申告でございまして、現在調査中でございまして、今後東京国税局の直税部あるいは査察部等におきましてどういうふうな課税処理をするか、調査を内々進めておった段階でございます。その段階で別件で本人が逮捕されたということになっております。
  200. 大森創造

    ○大森創造君 田中事件の問題については、私、質問の最後のところでもう一回申し上げます。  それで、国有林野のほうを林野庁長官にお尋ねいたしますが、農林大臣が、こないだの新聞を見ますというと、私と二宮文造君などが質問をしたその翌日ですかな、私、新聞を見たところが、農林大臣は、国有林野の処分について適正な方法を策定する間、現在申請の出ている払い下げ交換手続の進行を一時ストップする方針を出した模様でございます。これは新聞で拝見した。その具体的内容と、それに基づいて林野庁が現在とっている措置はどういうことでございますか。
  201. 若林正武

    説明員(若林正武君) 私どものほうで改善対策といたしまして考えております点を申し上げますと、まず第一点は、観光地ないし観光開発見込み地につきましては、評価につきまして独自の体系を整備する必要があるのではなかろうかというふうに考えておりまして、今後関係方面と連絡の上、これらの点を十分考慮に入れまして評価の実施について早急に検討いたしたい、これが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、交換の渡し地につきましては、交換後の利用につきましても国として無関心であっていいかどうかという点がございますので、今後用途指定ないしは特約条項を付することにつきましても、これまた関係方面と連絡をいたしまして検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。  で、いま申し上げましたこの二点につきまして基本的な今後の考え方というものが定まりますまでは、これらに該当いたしまする事案につきましては一時その事務を停止いたしたいというふうに考えております。  なお、国有林野の管理及び処分関係の事務を刷新いたしますために、林野庁の林政部に管理課を新設いたしまして、機構陣容の整備をはかってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  202. 大森創造

    ○大森創造君 それは私は一つの前進だと思うんですよ。非常にけっこうだと思うんです。そうならなきゃいかぬと思うんですよ。そこで、国有林野の評価方法や適正な処分方法は、いつごろまでにつくり上げますか。
  203. 若林正武

    説明員(若林正武君) 具体的にいつまでということは、ちょっと現在の段階では見当はついておりませんが、なるべく早く結論を出したいと思っております。
  204. 大森創造

    ○大森創造君 それから刑事局長もおられますけれども、私は、熱海の恵泉会の国有地貸し付けの問題で、社会福祉法人恵泉会の問題に対して、これは刑事事件になるぞということをいつか申し上げたんですよ。決算委員会で。林野庁は、不正はないと、刑事事件にはならないであろうなどということを答弁した。ところが、これは刑事事件になったですね、私が申し上げたとおり。刑事局のほうのせっかくのお骨折りで、私の発言が動機になったかどうかわからないけれども、現職の営林署の課長ほか四名が逮捕されておりますね。これについて、上級管理者の監督責任問題が出てくると思うんです。林野庁長官、私がこのあいだいまから一カ月ぐらい前に大賢声で申し上げた。むちまでひっぱたいた、決算委員会の場で。ほぼ事実だったでしょう、私の申し上げた内容が。この事件のアウトラインを刑事局長とそれから林野庁の長官と簡単に述べてもらって、それで、私が言うたごとく、その名指しした営林署の課長外四人が逮捕されているんですよ。どういう措置をこの問題について考えておられますか。
  205. 津田實

    説明員津田實君) いまお尋ねの件は、現在、平塚営林署庶務課長渋谷皆佐雄、これを収賄罪で、それから前大磯病院長吉岡良雄、同病院関係者相場精一郎、橋本恭平を贈賄罪で、橋本のほか三名はいずれも逮捕いたしました。それから本年九月三日平塚署から横浜地検小田原支部に送致されまして、即日勾留請求の上、現在勾留中であります。橋本は、老齢のため、身柄不拘束のままであります。  被疑事実の要旨は、平塚営林署庶務課長渋谷皆佐雄は、昭和三十九年十二月中ごろ、神奈川県中郡大磯町の料亭滄浪閣において、橋本、吉岡、相場の三名から、医療法人大貫会大磯病院分院設立のための用地として熱海市伊豆山の国有林野四万四千三百十四平方メートルの貸付認可申請にあたり好意ある取り扱いを受けたい旨の申し入れを受け、その謝礼の趣旨で提供されたものであることを知りながら現金十万円を受け取って収賄をし、他の三名は右に相応する現金十万円を贈賄した、こういうものであります。
  206. 若林正武

    説明員(若林正武君) 平塚営林署の職員が逮捕されましたことにつきましては、まことに遺憾に存じておるところでございます。今後におきましては、二度とこういうことのないように綱紀粛正をはかってまいりたいと思います。  なお、お話のございました関係者につきましては、今後、現在御承知のように調査段階でございますので、事実がはっきりいたしました後におきまして、法規に基づきまして厳正に処分をしてま  いりたいと考えております。
  207. 大森創造

    ○大森創造君 時間がないから、はしょって申し上げますが、今回農林大臣払い下げのストップ命令を一時出した、そういう同じような趣旨の——今後非常に問題が多いのでございますから、私は今月の二十七、二十八日にその詳細を質問しようと思うんだけれども、非常に多いですよ。山もそうですが、いろいろな問題があるので、きょうは農林大臣も大蔵大臣もおられないけれども、この際、どうですか、山の問題、営林署、林野庁ばかりでなくて、国有財産払い下げ処分の方法について全面的に再検討したらいかがでしょう。自民党政府、いかがでしょう。これはやったらどうでしょう。やったほうがいいと思うのですがね、私は。大蔵省、ひとつ検討してみませんか。
  208. 山本靖

    説明員(山本靖君) 国有財産の処分につきましては、かねがねから粛正いたさなければならぬということで私どもずっと努力してまいっております。昨年も国有財産中央審議会にその処分の方法並びに評価のやり方等につきまして諮問をいたしまして、その御答申をいただきまして鋭意改善につとめておるところでございます。しかし、委員から御指摘がございましたように、いろいろと世間でも問題にされておりますので、なお一そう慎重に考えていかなければいけないと思っておりますので、今後さらに検討を続けてまいりたい、適正に努力してまいりたいというふうに私どもも思っております。
  209. 大森創造

    ○大森創造君 今度ストップした中に、私と二宮君が問題にした例の高槻市の問題、これは払い下げたのは農林開発興業ですね、この申請もありますか。この問題の高槻市の払い下げの問題も入っておりますか。
  210. 若林正武

    説明員(若林正武君) 現在私の手元に営林局長のほうから申請の出てまいっておりますのは、売り払いで七件、交換で十件ございます。この十件のうちの四件でございますが、これは林業経営川地といたしまして国有林のほうで取得をしたいという交換でございますが、その中に農林開発興業株式会社が一件入っております。
  211. 大森創造

    ○大森創造君 やっぱり入っているんですね、高槻の土地は。そこで、今回の払い下げストップを契機に、いままでの不当と思われる交換払い下げのケースをあらためて再調査して、すでに交換してしまった、払い下げをしてしまったという過去の実績をこの際ひとつ再調査をして、処分の適否を再検討する意思はございませんかな。
  212. 若林正武

    説明員(若林正武君) すでに契約をいたしましたもので、たとえば特約条項あるいは用途指定というふうなものがついておりますものにつきましては、そのとおりに行なわれているかどうかという点につきまして現状を十分に把握いたしました上で、必要に応じまして適切な処置を行ないたいというふうに考えております。
  213. 大森創造

    ○大森創造君 私は二十七日、二十八日の決算委員会でいろいろ問題にしたいと思うんですよ。それで、新長官になってから新機軸を出して、払い下げ交換というものの手続を全国民に明朗に、疑惑がないようにしたいと思うんですよ。そういう契機にいたしたいと思うのですが、私が調査した限りでも、これからはこうするとか、これはけっこうですが、いままで交換してしまったもの、それから払い下げをしてしまったものの中に、どうも林野庁の自主的な調査におきましてもこれは不当であろうというケースが実は政治的の圧力のもとにやられてしまったやつが多いと思うんだが、そういう処分の取り消しなど、勇気をもって本腰で、メンツを捨ててやる意思はございませんか。
  214. 若林正武

    説明員(若林正武君) いまお話しのように、不当な交換があったかどうかということにつきましては、私はないと確信をいたしておるのでございますが、その交換の事案等につきましても調査をいたしまして、ただ、御承知のように、もうすでに交換が終わりまして所有権の移転も終わっているわけでございますので、それを取り消すということにつきましては困難かと思うのでございます。ただ、そういう実態の上に立ちまして、今後の運営の改善等をいろいろ考えてまいります場合に参考に資してまいりたいというふうに考えております。
  215. 大森創造

    ○大森創造君 それはそれとしてお聞きしておきます。  その次に、田中事件の最後の締めくくりとして二、三質問いたします。  大蔵省のほうでは、さっき私が冒頭に御質問したことを調べがつきましたか。
  216. 山本靖

    説明員(山本靖君) ただいま調査中でございますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
  217. 大森創造

    ○大森創造君 刑事局長にお伺いしますが、さっきあなたがちょっと間違って言われた田中彰治でなくて田中角榮氏と小佐野賢治氏との関係、田中角榮氏と田中彰治との関係は、あなた御存じですか。
  218. 津田實

    説明員津田實君) 田中角榮氏と田中彰治氏、あるいは田中角榮氏と小佐野賢治氏の関係は、私は承知しておりません。
  219. 大森創造

    ○大森創造君 御存じないですか。昭和三十八年の暮れごろ、田中彰治氏が田中角榮自民党幹事長のところへたくさん資料を持って行った。で、田中川榮氏にいやがらせをやったようですね。それがどうもこの田中事件の背景をなすものであるというふうに私は考えるのです。そこで、問題はいろいろに発展してきている。小佐野賢治氏が今度は登場してくるんですよ。これは昭和三十八年の暮れごろです。これは、私のことばでなくて、だいぶ印刷物に書いてありますね。そこで、田中角榮氏は田中彰治氏に幾らか借りができたのではありませんか。借りができたので、そのお返しとして小佐野賢治氏が登場してくるんでしょう。これはそう書いてあるんですがね、印刷物に。  そこで、自民党の有力な代議士はこう言っているのですよ、座談会で。「本質は汚職問題なんだ。田中はある政治家の汚職をかぎつけてそれで恐喝をしたんだ。」と。自民党の某有力代議士の発言です。「それがどうやら、汚職問題が脱税問題にすりかえられようとしている。」ということなんだが、これが事件の背景をなすもので、どうも最近決算委員会やその他の委員会でいろいろ——解散前に人の名前を出すということはこれは非常に慎重にやらなければならぬと思うが、私が調査した範囲では、どうも各種の印刷物を見るというと、同じようなことが書いてあるんですね。これは刑事局長法務大臣か御存じございませんかな。この某有力自民党の代議士が私がいま申し上げたようなことを発言しているし、それからいまのようなことを明らかに印刷物で私は拝見もしているんです。うそではないと思う。うそならば、これは告発したらいい。私はざっくばらんに申し上げますというと、大橋富里の問題について、先ほど申し上げたように、半年ぐらいかかって調べてみた。そうしたら、某週刊誌はばったり押えられちゃったんだな。押えた人間を調べてみたんだ、今度は。だれが押えたんだろう。ここで名前は公表いたしませんが、えらい人物が出てきますよ。そこで、きょう午前中稲葉君やそれから黒柳君からいろいろな質疑がございました田中彰治の問題は、自民党の某有力代議士が言っているごとく、田中一人で終わりなんだと。それ以上はできない。指揮権発動はやらないにしても、実質的な指揮権発動が行なわれるんではなかろうかと、こういう疑惑を国民は持っておるわけです。いまどき指揮権発動などやりませんよ。しかし、稲葉君、黒柳君もそういうことを念を押して言っておる背景は、ただ口に出して言えないだけですよ。どうも私はこの田中彰治事件の発端は、その奥にあるものは何かというと、この印刷物は私はあとで御参考までにお見せしてもいいし、皆さん方は御存じだろうと思うのだけれども、ここらあたりがどうも発端ではなかろうか、そういうにおいがするんですね、これは。  そこで、刑事局長並びに法務当局にお願いをするが、田中彰治と田中角榮幹事長との関係、なお、大蔵省と刑事局長法務大臣にお願いしておきますが、小佐野賢治氏と田中幹事長との関係、当然これは事件の背景をなすものですから、これを御調査いただきたいと思う。  そこで、大蔵省にさらに聞く。田中大臣のときに小佐野賢治氏に払い下げた虎ノ門公園跡の敷地そのほか幾つかあるでしょう。調べがつきましたか。
  220. 山本靖

    説明員(山本靖君) とり急ぎ調べましたので、国際興業の関係だけについて申し上げます。  売り払いは、国際興業に対しては四回いたしておりまして、最初のものは三十三年の二月の七日でございます。これは新宿戸山町の土地約七百坪をバスモータープール用地として払い下げをしております。この当時の大蔵大臣は一万田大臣でございます。  それから三十六年の一月の十一日、同じく新宿戸山町の土地を二百三十坪余り、これは事務所その他として払い下げております。そのときは水田大蔵大臣でございます。  それから同じく三十六年の十一月の二十九日、江東区深川越中島町の土地千三百五十坪余り、それからわずかな建物、これを乗合バスの営業所として払い下げております。このときも水田大蔵大臣でございます。  それから同じく三十六年の十二月の二十日、北区稲付の土地約八百六十坪余を乗合自動車の車庫の施設として売り払いをいたしております。これも水田大蔵大臣の時代でございます。  ただいま取り急ぎ調べましたものは、このようになっております。
  221. 大森創造

    ○大森創造君 いまの問題は、小佐野賢治並びにその傘下の会社に国有地が払い下げられたケースでございますね。
  222. 山本靖

    説明員(山本靖君) この四件は、いずれも国際興業でございます。
  223. 大森創造

    ○大森創造君 国際興業すなわち社長が小佐野賢治ですね。
  224. 山本靖

    説明員(山本靖君) 確認はいたしておりませんが、そのように記憶いたしております。
  225. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、この事実について法務当局、刑事局長、お調べいただきたいと思う。これはだまって過ごされない。「田中逮捕の容疑はこういうことです。昭和三十八年の暮れごろ、田中彰治が田中角榮自民党幹事長のところへ電話帳ほどの資料を抱えて行って角榮氏をユスったんです。〃虎ノ門のニューエンパイアの土地問題を決算委に持ち出してアバくぞ〃というわけですが、角榮氏も困って彰治のいる前で小佐野賢治国際興業会長に電話したんです。内情をいうと、ニューエンパイアの全株を小佐野氏が買い取って、自分の所有とし、さらに蔵相時代の田中角榮氏に計って国有地払い下げを受けて土地を所有した。そのあと朝日土地とニューエンパイアが合併し、これが独禁法違反で公正取引委で問題になりかけました。この時は金を使ってモミ消されたようですが、彰治はこの田中角榮氏——小佐野氏の関係を知っているので、ユスったわけですね」と、こう誓いてありますね。「困った角榮氏は、彰治のもっていた約手八千万円を、銀行に口をきいて割ってやったほか、さらに小佐野氏にも紹介。」と、こう書いてある。小佐野氏にも紹介した、田中角榮氏が。「彰治は、それで小佐野氏から二億八千万円の現金融資を受けて、」云々ということが書いてあります。「ところが、彰治は小佐野に渡した手形を、期日になっても切りかえ、切りかえで返済しない。さすがに業をニヤした小佐野会長が返済を迫ると、彰治はまた新しい恐喝のネタをみつけ出した。というのは、「小佐野会長が丹沢善利氏(朝日土地社長)に同額の土地を売りつけ、」」云々ということが書いてございます。  そこで、こういう問題は、これはどうも一般巷間のうわさと同時に、非常に疑惑を持つと思われるんですよ。これは、一般の市民層でなくて、相当政治に通の人がみんな言うているんですね、こういうことを。これは私のことばでなくて、印刷物に書いてあるんですよ。そうしますと、小佐野賢治氏と田中彰治氏との関係というものはこういうところに原因があるような気がするんだが、このことについてお調べいただけますか。
  226. 津田實

    説明員津田實君) ただいまお尋ねの国有地の払い下げ関係は、先ほども申し上げましたように、捜査の端緒が出てまいればもちろん捜査の対象にいたします。そうでない限りにおいて、国有地の払い下げがあったからそれを全部洗ってみるということは、これは人権に害がありますからそれはいたしませんが、捜査関係があれば当然やるわけでございますし、本件の国際興業関係事件についてその状況となるべきすべての事項は、これは当然捜査の対象にしておるものというふうに考えます。そこで、私どもは、過去の経験におきまして、たとえば森脇事件あるいは吹原事件というものにつきまして、雑誌、週刊誌その他にいろいろなことが出ております。しかしながら、その中でもちろん捜査内容にぴったり合うものももちろんございますが、私どもがどう考えてもさようなことはないと、判断することも、まことしやかに書かれていることもしばしばあるのです。したがいまして、私どもとしましては、本件小佐野あるいは田中彰治関係におきましていろいろなことが書かれていることは承知しておりますが、そのことごとくが事実であるということには当然ならないと思うのです。しかしながら、さようなことは無視すべきだということではもちろんございません。問題があり、この公訴事実に関係のある事項は当然捜査の対象にするわけであり、捜査しておると私は思います。しかしながら、過去の私どもの経験から申しますと、吹原、森脇事件に関しましてやはりいろいろなことが書かれておるが、それがどうしても裏づけはない、むしろ逆のことである、否定的であるというような事実がたくさんあるわけです。そういう意味におきまして、まあいろいろ書かれることに世の疑惑を招くということははなはだおもしろくないことではございますけれども、しかしながら、そうでなかったという事柄はこれは公判の進行の過程において当然明らかになってくるものと私どもは考える次第でございますので、そういう意味におきまして、ただいまの段階において、だれそれとだれそれの関係はどうである、だれそれとだれそれの関係はどうであるということを申し上げることは、それによりましてまたいろいろな記事あるいは論評、批判というものが出てまいりまして、しかもそれが真相を伝えるならばそれはいいかもしれませんけれども、真相を伝えない場合がえてして多いということになりますと、これを明らかにすることは非常に私は害があると思うのでございます。したがいまして、公正な公判廷における解明によりまして事実が国民の前に明らかになることが最もよろしいことであるという意味におきまして、あらかじめ事件の周辺のことは公表することをはばかっておる次第でございます。その辺は御了承おきをお願いしたいと存じます。
  227. 大森創造

    ○大森創造君 一言だけ申し上げます。これはどうなんでしょうね。こういうものを誓いて、そうしてそれが事実と違った場合には、これは世間の多くの人がこれを見るわけですね。その場合に、それが事実と明らかに食い違っているという場合には、こういう印刷物に対しては何か法的措置もあるのでしょうか。
  228. 津田實

    説明員津田實君) これはもしその違っている内容が本人の名誉を害するということであれば、本人が名誉棄損の告訴をすればよろしいわけです。しかしながら、名誉棄損事件は親告罪でございます。これはなぜかと申しますと、名誉棄損のことが明らかになったことをさらに明らかにすればなお名誉が棄損されるというおそれもあるから、これは本人の意思にまかせているわけであります。したがいまして、被害者たる者が告訴をしない限り、名誉棄損につきましては捜査を開始しないというのがこれが常識的な扱いでございます。
  229. 大森創造

    ○大森創造君 これで終わりますけれども、この問題について、きょうの午前中稲葉君とそれから先ほど黒柳委員がいろいろ質疑をされて、指揮権が発動になるまあ昔語りが飛び出したゆえんのものは一体何であろうかということを考えてみるというと、これは私のことばではなくて、私がいま読み上げたような印刷物というものが頭にあるのだろうと思うんだ、稲葉君にも、それから黒柳君にも、それから一般国民の間にも。そこのところをひとつこうわかりやすく説明してもらいたいというのが国民の願いなんですね。そういう意味で、ひとつ捜査を公正に堂々とやってもらいたいと思うんです。やがて事件が進展するでしょうから、そのときにまたあらためて必要があれば御質疑をいたします。  きょうはこれで終わります。
  230. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十六分散会      —————・—————