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1966-11-25 第52回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月二十五日(金曜日)    午後零時四十九分開会     —————————————    委員の異動  十一月十日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 園田 清充君                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 堀本 宜実君                 和田 鶴一君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  松野 頼三君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        大蔵省銀行局長  澄田  智君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        食糧庁長官    大口 駿一君        林野庁長官    若林 正武君        会計検査院事務        総局第四局長   小熊 孝次君        会計検査院事務        総局第五局長   佐藤 三郎君    参考人       日本開発銀行副       総裁        石原 周夫君       農林漁業金融公       庫総裁       大沢  融君       農林中央金庫理       事長職務執行者       副理事長      大月  高君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に  関する件)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に関する調査のため、日本開発銀行総裁石原周夫君、農林漁業金融公庫総裁大沢融君及び農林中央金庫理事長職務執行者理事長大月高君を本日参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 農林水産政策に関する調査として、宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に関する件を議題といたします。  まず、農林大臣から調査の結果についての報告を聴取いたします。松野農林大臣
  5. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 共和製糖及び東洋果糖に対する開発銀行農林公庫及び農林中金からの貸し付けについては、すでに本委員会はじめ両院の各委員会においてしばしば審議対象となら、政府は、その責任において調査し、結果を御報告申し上げる旨お答えしてきたところであります。  農林省及び大蔵省としては、前回の本委員会審議終了後直ちに調査に着手し、鋭意調査を行なってきたところでありますが、その調査結果の取りまとめを終了いたしましたので、ここに御報告申し上げる次第であります。  調査の実施に当たりましては、まず、開発銀行農林公庫及び農林中金に対し所要調査を行ない報告すべきことを求め、政府は、その報告審査するとともに、みずからも実地調査を行なったものであります。  なお、調査過程において、三機関に対し補足調査を指示する等の必要が生じましたため、当初の予定より若干日時を要することとなりましたが、各関係者の積極的な協力を得ることができ、政府としては、できる限りの努力を行なったものと考えております。  次に、今回の調査の結果を要約して申し上げたいと存じます。  まず細島コンビナート工場建設に対する融資経緯について申し上げますと、昭和三十八年秋ごろ、農林省としては、粗糖輸入自由化後の事態に対応するための精製糖企業合理化イモでん粉の主産地である南九州畑作振興等の観点から、細島コンビナート工場建設を推進する方針を定め、三機関は、この方針に即し、共和製糖及び東洋果糖が行なう工場建設について所要融資を行なったものであり、これを融資対象として取り上げましたことは妥当であったと考えられます。  ところが、粗糖輸入自由化以後今日までの糖業事情ははなはだ深刻なものがあり、このような事態に対処して政府が講じた諸施策も結果において十分効果を発揮したとは言いがたく、また、農林省で種々検討を重ねていたブドウ糖大型合理化工場構想も、結論を得られないまま現在に至っております。細島精製糖工場建設は完了いたしましたが、ブドウ糖果糖工場建設がまだ完成いたしていない事情には、このように砂糖ブドウ糖をめぐる情勢がきわめて困難であったことが一つの原因であります。  共和グループ細島コンビナート工場建設計画は、このような情勢のもとにおいて、二転三転せざるを得なかったのでありますが、しかし、共和グループ企業としての責任も無視することはできません。このような大規模建設計画を一貫して遂行する企業としては、安易に過ぎる面があったと言わざるをえないと考えられます。  融資に当たりました三機関においては、それぞれの立場において種々努力してきたところでありますが、特に農林公庫及び農林中金貸し付けに当たっての審査あり方債権保全措置等については、結果的には種々の問題が指摘されるところであります。しかし、この貸し付けにつきましては、一、甘味コンビナート工場建設という新しい事業に対する政策的融資でありましたこと、二、建設過程における糖業事業の急激な変転等の諸点を十分考慮に入れて判定する必要があるものと考えております。  農林公庫及び農林中金貸付金が、結果的には精製糖部門等に流用され、また、農林中金企業採算の悪化に伴い、逐次運転資金の融通を増大してまいりましたことにつきましては、融資機関として、今後において十分慎重な配慮を払うとともに、債権確保に十全を期し、その業務の改善についても、今後よく検討する必要があると考えられます。  また、本件に関する行政庁指導には、情勢変転が急激であったとはいえ、適確さを欠く点があったものと思われます。したがって、今後情勢の推移に即応し、金融機関に対し適時適切な指導を行なうことに努めるとともに、糖価問題及びブドウ糖対策についてさらに検討を深め、適確方針を確立する必要があると考えられる次第であります。  調査内容の詳細につきましては、事務当局より御説明申し上げることといたしたいと存じます。
  6. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、補足説明を願います。大和田農林経済局長
  7. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 調査報告書をすでにお配りしてございます。詳細はそれにございますから、かいつまんで要約をして申し上げたいと思います。  目次のところをごらんいただきますと、第一章が「序論」で、調査目的なり方法なり経過なりがございます。第二章が「融資経緯」で、第三章が「今回の調査結果」で、これが本報告の中心でございます。最近における甘味資源対策経過、あるいは三機関貸付態度資金使途実情債権確保。第四章は「むすび」でございます。資料として若干のものが用意されてございます。  第一章の「序論」は省略をいたしまして、第二章の「融資経緯」、四ページないし五ページのところをおあけいただきたいと思います。  ここでは、粗糖輸入自由化をめぐって、精製糖あるいはブドウ糖業界の苦悶の状態を述べまして、三十七年暮れごろから食糧庁におきまして食品コンビナート構想を打ち出し、また、同時に、粗糖輸入自由化後における精製糖工場規模大型化甘味資源一体的合理化をはかる必要が感ぜられ、三十八年秋ごろにはいわゆる甘味総合コンビナート構想検討されていたということがございます。  なお、これらの問題につきましては、具体的に細島甘味コンビナート建設具体的構想が固められるに至ったのでございますが、農林省といたしましても、粗糖輸入自由化後の事態に対応するための精製糖企業合理化イモでん粉の主産地である南九州畑作振興日向延岡地区新産都市としての発展等に寄与するところが大きいと判断いたしましてこの構想を打ち出しましたことの経過がございます。  この構想に基づきまして、菅社長が、三十八年九月から、農林省宮崎県、あるいは開発銀行農林公庫中金等々との折衝を始め、融資依頼をいたした経過が六ページにございます。  なお、国会で御論議いただきました、農林省公庫あるいは開発銀行に対してあっせんないし依頼文書を出しておるけれども、中金に対してはそういう依頼の事実がなかったのかどうかという点でございますが、六ページの注で、そういう開発銀行なりあるいは公庫なりに文書依頼ないしあっせんをいたした経緯、あるいは食糧庁としてこの構想具体化を推進していた経緯からいって、当時の事情などから考えても、農林中金に対し、農林省といいますか食糧庁として協力要請等があったものと考えられるというふうにその間の経緯を明らかにいたしてございます。  六ページから七ページにかけましては、貸付決定資金交付経過でございます。  八ページに参りますと、コンビナート構想事業計画でございますが、これはいろいろな変転がございましたが、三十九年九月ごろを基準として見れば大体こういうものであったということが表としてまとめてございます。共和製糖精製糖部門事業費として十五億二百万、それから東洋果糖ブドウ糖果糖が二十九億三千五百万、合計四十四億三千七百万。これに対しまして、資金調達として、精製糖関係では、開銀が八億、市中銀行四億、自己資金三億ほど、計十五億二百万。ブドウ糖果糖関係では、公庫が八億、中金が十億、自己資金が十一億三千五百万、計二十九億三千五百万ということでございます。  そこで、九ページから、細島コンビナート構想がどうなったかということでございます。  まず、精製糖部門といたしましては、共和製糖は三十八年暮れごろから精製糖工場建設に着手し、その後能力を増大をして、現在においては日産として四百トンないし六百トンの実績をあげております。  それからブドウ糖果糖部門につきましては、幾たびか変転がございます。当初七十トンのブドウ糖工場と五十トンの果糖工場建設を行なう計画でございましたが、その後、ブドウ糖業界合理化の必要から、三十九年秋ごろには、一工場百トンないしは三百トン、全国五工場という集約合理化構想の試案が関係者から提示されまして、四十年初めごろには細島コンビナートブドウ糖部門の七十トン計画というのは三百トン計画計画が変更されることが具体化してきたわけでございます。  しかし、この計画変更に対しましては、相当業界の反対がございまして、その結果もありまして、四十年七月に共和グループとしてはこの三百トンの工場建設の一カ年延期を決定をして今日に至り、そうして、最近では、このブドウ糖工場敷地に新たに第二期の精製糖工場建設するための基礎工事がこの八月末から行なわれているという状態でございます。これは今回の調査によって明らかにされたわけでございます。  第三章が「今回の調査結果」でございます。  最近における甘味資源対策経過についてでございますが、これは、粗糖自由化をめぐりまして予想以上に糖価が下落したことがございまして、政府としては、甘味資源特別措置法でありますとか、あるいは砂糖価格安定等に関する法律でありますとか、いろいろの施策を講じましたけれども、なかなかその施策効果が十分に発揮されないで今日に至っておる状況が一三ページまで書いてございます。その間にありまして細島コンビナート建設協力した関係金融機関としては、以上の事情もあって必ずしも十分な見通しを持ち得ないまま融資を行ない、結果的には今日のような事態を招いたというわけでございます。  そこで、開発銀行農林公庫及び農林中金貸付態度についてでございます。  細島コンビナート構想をこれらの金融機関が受け入れましたことの可否につきましては、先ほども申し上げましたような事情で、粗糖輸入自由化後における対策として、あるいはイモでん粉の主産地である南九州畑作振興のために、さらに宮崎県の日向延岡地区新産都市の中核として重視されていたという事情もあり、また臨海工場としてコストの引き下げということも十分考えられたわけでございますから、これらの見地に立って考えますと、三機関細島コンビナート構想を前提としてこれらに融資をすべく考えたことは、その基本的態度は当時としては妥当なものであったと思います。  そこで、開発銀行でございます。開発銀行砂糖部門を受け持ったわけでございますが、いろいろ事業計画資金計画等についても審査を行ない、また、実態調査も行ない、資金交付も八回に分けて行なうということをやっております。今回の調査によりますと、当初の貸付決定あるいは資金交付にあたり——一四ぺ−ジでございますが——会社側開発銀行に示した一件書類には、一部、今回確認したものと符合しないものがあり、また、資金交付開発銀行参考資料として提出された領収書写しにも、今回確認したものと符合しないものがあったが、金融機関として通常払うべき注意を怠っていたものとは認められないという状態でございます。  農林公庫につきましては、農林公庫は、三十九年の三月三十一日に、東洋果糖に対し、ブドウ糖部門設備資金として五億円の貸付決定を行ない、そのうちの四億を交付したわけでございます。この貸付決定にあたりましては、中金あるいは開発銀行等々との連絡もとり多少早急の間にこれを決定したという経過はございますし、また、貸し付け審査は必ずしも十分であったとは言いがたい状況もございますけれども、冒頭申し上げましたように、本件甘味コンビナート工場建設のための融資という政策融資的な性格の濃いものであったことから考えますと、当時としては事情やむを得ないものがあったと考えるわけでございます。また、一五ページの終わりのほうでございますが、公庫調査報告によりますと、当時会社側が示した一件書類は真実を表示するものではなく、その説明は虚偽の申し立てであったと認められるが、金融機関として通常払うべき注意を怠っていたものとは認められず、資金交付あり方としては一応妥当なものであったと認められるというふうに考える次第でございます。  八ページに参りまして、農林中金でございます。農林中金は、前に申し上げましたような事情以外に、原料でん粉の購入を通じて系統共販に寄与するという農林中金立場から本構想を推進したわけでございますし、また、この構想を推進しようとする農林省方針に賛同し、さらに、宮崎県からの融資要請もあったので、当時の会社計画により融資決定したものでございます。その後、公庫の五億円の貸付決定もございまして、農林中金としては最初は設備つなぎ資金としていわば短期融資をいたしたわけでございますが、金庫法十五条ノ二に基づく設備資金として十億を貸し付けする方針を定めまして、実は三十九年の八月にその第一回分の五億円分について農林大蔵両省申請を行なった経過がございます。ところが、先ほど申し上げましたように、細島におけるブドウ糖工場が七十トン計画が三百トン計画にだんだんなるという経過もございますし、農林大蔵両省といたしましては、ブドウ糖合理化工場建設に対する融資問題とあわせて中金細島に対する全体として十億、あるいは当面五億の融資問題を考えることとして、一応この申請書を返戻をいたしたわけでございます。したがって、金庫法の十五条ノ二の融資は保留の形となりまして、ききに設備資金つなぎ資金として貸し付けられました十億はそういう形のままに継続して今日に至っておるわけでございます。この間の事情を考えますと、砂糖あるいはブドウ糖事情の激変あるいは細島コンビナート構想変転等から見まして、中金のこの措置はやむを得なかった面があるわけでございますけれども、設備つなぎ資金貸し付けに対する考え方なりあるいは事後の管理等についてやや明確さを欠く点があるものと考える次第でございます。  それから一七ページへ参りますと、資金使途実情がございます。これも委員会でしばしば御論議いただいたわけでございますが、今回の調査によりますと、細島コンビナート工場建設工事費支払いに充てられた資金は二十五億五千三百万円でございます。そのうち、十九億八千四百万円が四十一年の八月末までに現金支払い済みでございます。その差額五億六千九百万円は手形振り出し済みと、そういう状態でございます。これは、二に書いてございますように、工場建設でございますから、いろいろな支払い先が非常に多いわけでございますけれども、小口のものを除きまして、大口のもの二十五億五千三百万円の七九%に当たる二十億ほどのものにつきましては、一々照会をして確認をいたしたわけでございます。  一八ページに参りますと、全体として二十五億五千三百万円という支払い額は三機関一致しておりますけれども、それを精製糖ブドウ糖果糖部面にどう振り分けるかということにつきましては、若干の食い違いが三機関にございます。これは、それぞれの経理上の評価の問題でございますから、それぞれの違いがあることはやむを得ないものがあると思います。これによりますと、一九ページにございますが、機関によって違いますが、細島コンビナート工場建設工事費約二十六億円のうち、六億ないし八億円がブドウ糖果糖部門に投入され、十七億ないし十八億円が精製糖部門に投入され、約一億円が第二期精製糖工場増設工事費、これは従来ブドウ糖工場をつくるとしておりました敷地に新しく精製糖工場を増設するという工事でございますが、それに使用されていると考えられるわけでございます。  そこで、二〇ページに参りますと、以上のような資金使途等があったわけでございますが、開発銀行といたしましては、先ほど申し上げましたように、当初会社が申し出ました支払い先あるいは支払い額と、今回確認された支払い先支払い額とは一致しない部分がございますし、資金交付開発銀行参考資料として提出された領収書写しには、今回確認したものと符合しないものがございます。また、資金交付と実際工事代金支払いとの間には、一部時間的なズレもございますけれども、結果としては、開発銀行融資対象とした精製糖工場については十七、八億円の工事費が支払われ、その完成を見ておるわけでございます。したがいまして、開発銀行貸付資金八億円はおおむね所期の目的どおり使用されたものと考えられます。  農林公庫及び農林中金でございますが、中金公庫融資対象といたしましたブドウ糖果糖工場の本体は、いまだに建設されておりません。一部基礎工事が施行されたほか、共用部分精製糖工場建設に付随して建設されているにとどまっておるわけでございます。したがいまして、公庫四億、中金十億という両機関設備資金貸し付けに対しまして、ブドウ糖果糖部門に帰属せしめられる工事費支払い額は大体六億ないし八億円でございます。したがいまして、それを十四億から引きますと、八億ないし六億円の資金精製糖部門等の他の目的に流用されたものと認めざるを得ない次第でございます。  そこで、資金交付後の資金使途確認につきましては、各機関とも、随時、報告の聴取、現地調査等を行なっております。開発銀行は、工場実態調査いたしまして、とにかく主要設備がほぼ完成し試運転中であることを三十九年の十一月の末に確認をいたしております。公庫は、ブドウ糖部門工事の着工が遅延をいたしておりますので、現地調査をいたしましたところ、計画が変更している、あるいは、さらに四十年八月には、ブドウ糖部門機械精製糖部門に転用されているということが明らかになったわけでございます。その際、その機械精製糖部門に転用されましたけれども、工事支払い実績検討したところ、転用された機械を除いても実支払い額が五億三千百万円であるとの説明を受けたわけでございます。このときさらに一歩突っ込んで調査をすればよかったというふうにも考えられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、大型合理化構想決定を待っておったわけでございますから、公庫としては、当時、資料の提出を求め、あるいは担保補強の手段を講ずるにとどまったということは、ある程度やむを得なかったと認められる次第でございます。中金といたしましては、十五条ノ二の申請を行ないますときに、あらためて会社側事業計画なり資金計画等審査を行なっております。また、公庫と合同して実態確認をいたしておるわけでございますけれども、この際に、すでに貸し付けていた十億のつなぎ資金についても、その使途等をあわせて検討すべきであったと考えられる次第でございます。  二二ページに参りますと、債権確保でございます。  開発銀行につきましては、共和製糖宮崎事業所工場財団担保にとっております。二三ページにございますこの工場財団評価額につきましても、当初の評価は、開発銀行農林公庫ともに十九億二千五百万、中金が二十億八千九百万でございましたが、今回厳密に評価いたしましたところ、開発銀行が十六億二千二百万、公庫が十五億百万、中金が十四億八千三百万ということになったのでございますが、これに対して四十一年八月末第一順位担保をとっております債権残高は、開発銀行が七億四千万、公庫が一億、中金が二億、宮崎銀行が八千万ということで、全体として十一億二千万でございますから、工場財団評価掛け目を八〇%と見ましても、開銀の現在の債権額七億四千万円は担保力について懸念はございません。  二四ページに参ります。公庫につきましては、四億の細島コンビナート工場建設資金に対しまして、共和製糖宮崎事業所工場財団抵当権の設定、さらに追加して東洋果糖宮崎事業所土地汚水処理施設等担保にとってございます。担保掛け目を八〇%として計算すれば、貸付金四億に対しまして約一億五千万ほどの担保不足となっておりますが、最近、共和糖化水戸工場に第二順位抵当権を設定いたしましたので、担保不足は相当程度減少する見込みでございます。さらに、このほか、担保の徴求を公庫としては努力をいたしておる現状でございます。  中金につきましては、共和製糖宮崎事業所工場財団に第一順位として二億、第四順位として十五億六千万の根抵当権を設定しておりますほか、東洋果糖横浜工場高槻山林等について根抵当権が設定されております。農林中金共和糖化工業に対する短期貸付債権残高は二十七億八千万円でございますが、以上申し上げた物的担保掛け目を八〇%として計算をいたしますと、約十億ほどの担保不足となっておる現状でございます。しかし、中金におきましては、最近、共和糖化神戸工場及び株式等担保に徴するように努力をいたしております。また、すでに担保としてとつております千葉市あるいは神戸市所在の土地評価額も最近増加しておりますので、総体として担保不足は相当程度満たされるものと考えます。なお、中金といたしましては、このほか、いろいろな山林、株式等々についての担保徴求に努力をいたしておる状態でございます。なお、二五ページの後段にございますが、担保物件として国会において御論議のありました高槻の山林につきましては、もともと添え担保ということで、正式の評価を行なっておりませんけれども、当該山林の一部の売買の事例、あるいは近隣地の売買事例等よりいたしますと、中金といたしましての評価額はおおむね十億ないし十五億程度と推定されるわけでございます。二五ページからは、なお、貸付金の処理でございますが、開発銀行貸付金につきましては、元利の償還は順調にいっております。それから公庫共和糖化工業東洋果糖及び日本糖化の共和グループに対する貸付金につきましては、元利金の延滞がございまして、四十二年三月三十一日まで支払いを猶予する措置をとっております。中金につきましては、従来は利息先取りの手形貸し付けでございましたが、昨年の暮れから四十一年の初めにかけまして利息あと取り方式に変更する措置をとっております。  なお、公庫といたしましては、先ほども申し上げましたブドウ糖工場建設敷地に精糖工場の増設の工事が始まっておる状態に注目いたしまして、この関係の資金の全額繰り上げ償還を請求いたしております。中金といたしましては、いろいろな形で担保の徴求を進めておる状態が二六ページから二七ページにございます。  なお、二八ページの第四章の「むすび」でございます。これは、先ほど大臣からお話がありましたことと同じでございます。省略をさせていただきます。  以上でございます。
  8. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 以上で概要説明を聴取いたしましたが、なお、提出されております「報告書」は会議録の末尾に掲載いたします。  それでは、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただいま政府から共和製糖東洋果糖に対する各三機関融資についての調査報告を伺いましたが、私は、この調査報告に基づきまして、従来本院の決算委員会なりあるいは当委員会で触れましたことと極力重複を避けてこれからお尋ねをいたしたいと思いますが、かなり時間の制約がありますので、質問も簡潔にいたすつもりでありますが、政府御当局あるいは参考人の御答弁も質問そのものに直接簡明にお答えになっていただきたいと、あらかじめお願いをいたしておきます。  まず、三十八年の十月一日付をもって、東洋果糖株式会社取締役社長菅貞人から、当時の食糧庁長官斎藤誠氏に対して、「ぶどう糖合理化工場建設資金融資斡旋依頼について」なる書面が出ております。これは、その依頼の最終的なねらいは、ブドウ糖工場の総工費十三億四千万円に対して、農林漁業金融公融資八億円の融資あっせんをしてほしいと、要約すればそういうことになるわけであります。なお、それについては、具体的な資金計画も添えて出しております。   〔委員長退席、理事野地浩之君着席〕  この三十八年十月一日の東洋果糖融資依頼を受けた政府は、三十九年の三月三十日に、食糧庁長官名をもって、農林漁業金融公庫総裁、当時の清井正氏に対して、「東洋果糖株式会社宮崎工場のぶどう糖製造施設に対する融資あっせんについて」の依頼をいたしておるわけであります。もとより、この融資依頼は、表現は依頼でありますが、当時の理解としては、この依頼は事実上融資そのものにつながるきわめて強力な取り扱いであることは、周知の事実であります。  それで、まず第一に農林当局にお尋ねをいたしますのは、この業者から出た事業計画の中で従来触れなかった点を私は特にお尋ねをいたすのでありますが、このほかに、ただいまの調査報告にもありましたように、果糖部門については政府から何らかの融資依頼農林中央金庫に対してもなされたという、従来事実確認がなかったという私の質問に対する大臣の答弁からはかなり反省した表現が報告の中に出ております。これは当然のことであって、公文書ではないけれども、必ず総合コンビナートの一環としての果糖部門建設について政府農林中央金庫に対しての融資依頼をしておる、おそまきながらこういう事実を調査報告の中で確認をしておるわけでありますから、この際お伺いをいたしますのは、ブドウ糖果糖、この二つを合わせた総事業計画は二十九億三千五百十六万八千円という計画になるわけでありますが、この二十九億三千五百余万円のうちに、自己資金の調達ということが借り入れその他中にあるわけであります。この調達の具体的な内容の中には、農林漁業金融公庫からの借り入れを八億、農林中央金庫からの借り入れ十億というものを見込んで、残余が自己資金として十一億三千五百万というものを見ておるのでありますが、この十一億三千五百万という自己資金の調達計画の具体的な内容をどう確認をされた上で政府当局はこれらの機関に対して融資依頼をしたか、この点をまずお伺いしたい。
  10. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 当時の経過は、十分私ども追跡をいたしておりますが、詳細判明しない部分がございますが、十一億三千五百万円のうち、一部は、自己資本の、文字どおり自己資本の調達という形で増資を考えておりますし、それからもう一部分は、横浜の果糖工場等の売却ということを言っておったというふうに承知いたしております。
  11. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もう少し当時の計画確認して、少なくともこれだけを融資しなさいという命令に近い公文書で意思表示を政府がやっておるのですから、私が伺うのは、一部が増資で一部がこれらの不稼働資産の処分であるということは当然常識的にも理解した上でお伺いするのでありますが、もっと具体的にひとつ内容について御答弁を願います。
  12. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 数字について申し上げますと、東洋果糖の十一億三千五百万と共和製糖分の三億二百万と合わせまして、いわゆる細島コンビナートといたしましては十四億三千七百万でございますが、この十四億三千七百万円の内訳といたしましては、増資として七億九千四百万、それから資産の処分として四億八千万、それから現金あるいは預金といたしまして一億六千三百万、合計いたしまして十四億三千七百万というふうに承知をいたしております。
  13. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これは代表して公庫総裁にお伺いいたしますが、増資が七億九千四百万、不稼働資産の処分が四億八千万、手持ち預金・現金の引き当てが一億六千三百万、こういうことに融資する金融機関としては確認をしたと思うのですが、この数字に誤りがありませんか。
  14. 大沢融

    参考人大沢融君) 実は、私の手元にある数字と多少異なりますが、私ども融資決定しました際も、それからしばしば資金計画が変わっておりますが、当初の数字から、第一次工事が三十九年六月二十六日でございますが、そのときは、東洋果糖ブドウ糖部門での資金といたしましては、増資分が一億二千四百三十万、それから資産処分といたしましてブドウ糖神戸工場の二億、それから現・預金が一億七千三百六十四万八千円、それを合計いたしまして四億九千七百九十四万八千円ということになっておりますが、第二次にそれが変わりまして、三十九年の九月二十六日でありますから、決定をして実行直前でございますが、そのときの数字は、これは東洋果糖ブドウ糖果糖分と一緒になっておりますが、増資分が四億九千四百三十万、それから資産処分としましては四億八千万円を計上してありますが、これは千葉工場の五千万、それから神戸工場の二億、横浜工場の二億三千万、合計四億八千万、それから現・預金といたしまして六千八十六万八千円、合計十億三千五百十六万八千円、こういうことになっております。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
  15. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも私が実態調査したことと多少の食い違いがあると思うのですが、私はこういうふうに理解しておる。最終的に自己資金の調達が確定した内訳ということは、ブドウ糖部門については自己資金所要額が五億四千七百九十五万八千円のうち、増資に合う分が二億三十万、不稼働資産の処分が二億、関係会社の借入金が七千万、手持ち現・預金が七千七百六十五万八千円、それから果糖部門についての自己資金所要分は五億八千七百二十一万円、このうち、増資引き当て分が一億二千四百万、不稼働資産の処分が二億八千万、関係会社の借入金が一億、手持ち現・預金が八千三百二十一万、これで確定して融資がなされた、こう理解しておるのですが、この点の私の整理した数字等との違いかあれは、どういう点が違っておるか。私の申した数字が違っておらなければ、これでその内容についてこれからお伺いをするわけです。
  16. 大沢融

    参考人大沢融君) 融資決定直前の三十九年九月二十六日、実行いたしましたのはたしか九月末であったと思いますし、払い出したときが十月の六日だったと思いますが、この直前の決定いたしましたときの資金計画、これは先ほど申し上げたようなことで、ちょっと先生の数字と符合しない点もあるような気もしますので、ここですぐ突き合わしてみるというと、ちょっと私のほうにございませんけれども、先ほど申し上げた数字が私どものほうの数字でございます。
  17. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、内容に入って伺えばなお突き合いもはっきりしてくると思いますので、内容で伺いますが、不稼働資産の処分については公庫ではどう確認されたのですか。ブドウ糖果糖別に言うてください。
  18. 大沢融

    参考人大沢融君) 不稼働資産の払い出しにつきましては、こういうことをやるという確認書を取ってやっております。
  19. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いや、金額を聞いたんです。
  20. 大沢融

    参考人大沢融君) 千葉の精糖工場が五千万、神戸工場が二億、横浜が二億三千万、合計四億八千万ということでございます。
  21. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、千葉の工場が五千万と言いますが、私の確認しておるのはこれは四千万、一千万の違いがありますが、この四千万の千葉の工場を不稼働資産として処分をして自己資金調達の財源の一部に充てる、こういう内容でありますが、この五千万といい、あるいは私の調査した四千万といい、これは裸の財産であることを確認しておるかどうか。あるいは、もっと具体的に言えば、私の調査では、これは千葉銀行に一番抵当がほぼ満額に近い設定がなされておると私は調査をしておる。そういうことを金融機関として確認したとすれば、これは処分しても不稼働資産による自己資金調達財源ではない、こういうふうに思わざるを得ないのですが、その間はどうです。
  22. 大沢融

    参考人大沢融君) 千葉銀行に担保に入っておりますことは確認をしております。担保を解除することによってするということで資金計画書を確認いたしたということでございます。
  23. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それはあとで伺いますところの東洋果糖横浜工場なりあるいは共和糖化神戸工場についても同様ですが、担保を解除させる、そういう資金の余裕があると思っておられるのですか。現在、しかも担保が解除になっておりますか、事実問題。なっていないじゃないですか。
  24. 大沢融

    参考人大沢融君) 事実関係を申し上げますと、担保解除をして現在まで処分をしていない、こういうことでございます。
  25. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 担保解除をしていない。したがって、これは不稼働資産の処分としては、資金計画はこれはまあ現実離れのした金を借りるための方便として出したにすぎない。こういうことはこの一つの事例をもっても明らかになったと思うのであります。  なお、時間がありませんから、同じケースでありますから、神戸共和糖化設備にしても、これは二億というもの、現在残高が一億五千五百万でありますが、三和銀行に抵当権が設定されておる。しかも、これが当時の値上がりの時点での時価評価をして抵当権を設定しているものでありますから、これも何ら自己資金の調達の対象たり得ない。また、横浜工場の、これはデーツ・デックスの工場でありますが、この場合も、これは農林中金抵当権が設定されておる。したがって、これも、神戸工場と同じように、三和、あるいは農中、あるいは千葉銀行等々が抵当権を設定し、解除もしていないということから、不稼働資産の処分合わせて四億八千万というものは、あくまでも公庫あるいは中央金庫から金を借りるときの方便に、できもしないことを数字を作文をしたというふうに解釈せざるを得ないわけであります。  こういう経過に対して、農林省は、過般調査をして報告書を出したんだが、この事実をどう確認しておりますか、融資依頼した当事者として。
  26. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもこの計画を一応調査をいたしましたが、まあ当時においてこの程度の処分の評価は必ずしも不可能ではなかったというふうに考えております。ただ、事実として、御承知のとおりでございますけれども、このような計画に基づく資産の処分は事実上行なわれなかったわけでございます。
  27. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 確かに、この抵当権を解除すれば自己資金調達の財源になることは三歳の童児でも明らかなんですが、累積赤字を抱えておるこういう共和グループがそういう抵当権を解除する余裕がないじゃないですか。だから、私は、金融機関の責めをこの際とやかく言う前に、こういう架空な計画を前提として融資依頼をしたという政府当局の責任は非常に重大だということをこの際はっきりと指摘をしておきます。  こういうことで時間をとられちゃ私もかないませんから、次に進みます。  次は、細島コンビナートの三つの大きな工場建設するために、増資の計画をしておる。それは当時東洋果糖株式会社でありますが、これがブドウ糖部門については二億三千万円の資本金をふやすという計画を出しておりますね。これは政府に出しておる。それから果糖部門については一億二千四百万という資本を新たに増額するという計画を出しておりますが、公庫総裁に伺いますが、この増資をするという資金計画融資の際に当然条件になってしかるべきものだと思う。これはコマーシャル・ベースで融資をする場合なんかは当然そういうことをやっておる。したがって、政策金融といえども、こういう点についてはかなりきびしくそれらの条件を整備させることが融資以前の問題だと思うのですが、この点に関してはどういう融資の際の条件を付されて指導されたのですか。
  28. 大沢融

    参考人大沢融君) 設定をいたしますときに、実行までの間に、担保、保証人等、債権確保措置について別途指示をした上で契約の設定をするということにいたします。契約締結にあたりましては、他の二機関中金それから開銀と協議の上、担保の具体的な取りきめを行なうというようなことをやりましたのと同時に、増資の点についても契約をいたしますときに指示をいたしております。
  29. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 融資の契約をする、そういうときに——私は増資のことを伺っている。担保の問題は、いずれ矢山委員が詳しくお尋ねをする問題ですから、私は重複を避けて取り上げませんが、いやしくも融資をするときに、それが全体として企業としてペイするためには、少なくとも自己資金の調達ということが前提条件でなければ融資できないはずです。それはどういう条件をつけられたのか。つけなければつけないでいいですから、ただイエスかノーかだけを答えてください。
  30. 大沢融

    参考人大沢融君) 三十九年の四月二十一日付で共和製糖東洋果糖から出ておりますのは、三十九年の九月末日までに二億九千四百三十万円、これを増資する。共和製糖が一億七千、東洋果糖のほうが一億二千四百三十万円。そうして、さらに、四十二年九月末日までには両者が合計いたしまして五億円の再増資を行なう。再増資の予定の五億円については、外部引き受けでそれを積極的にやるということを言っております。そうして、これは金額は不明でございますが、菅社長個人それから東食というようなところを予定しておったように聞いております。
  31. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも非常に……
  32. 大沢融

    参考人大沢融君) さらに、三十九年の五月二十九日には、共和製糖あるいは東洋果糖から増資を完了した旨の報告がありまして、増資日は三十九年の四月二十一日で、共和製糖のほうが資本金三億、もとは一億三千万、東洋果糖のほうが資本金二億、もとは七千五百七十万円でございます。そういうことでございます。
  33. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 とぎれとぎれに言われるから、さっぱり聞いているほうはよくわからない。共和製糖は、三十九年の四月二十一日に従来の資本金一億七千万に対して増資を一億三千万して三億にした。それから翌四十年一月十一日にこの三億を倍額増資をして六億にしておる。東洋果糖は、同じ三十九年四月二十一日に従来の資本金七千五百七十万を新たに増額をした分が一億二千四百三十万で二億にした。これはいま総裁の御答弁のとおりでありますが、これが四十年一月十一日にさらに倍額増資をして四億にした。ここまではこれは一致していますか。
  34. 大沢融

    参考人大沢融君) そのとおりでございます。
  35. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 政府に伺いますが、この調査報告によりますと、政府は十月二十一日と二十四日の両日にわたって三和銀行の八丁堀支店の実地調査を行なっておりますが、この東洋果糖共和製糖の増資の実態をどういうふうに把握されましたか。御承知のように、共和グループは全部三和銀行の八丁堀支店を使っておる。したがって、精力的に二日間その資金の流れを調査したのでありましょうが、その資金の流れのうちに、いま私が確認をいたしました、三十九年四月二十一日に、共和製糖が一億三千万を新たに増資をしておる、東洋果糖が一億二千四百三十万を増資しておる、翌年の一月十一日には倍額増資をしておる、これをいかように調査の結果、実態を把握されましたか。
  36. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもが承知いたしておりますのは、三十九年一月二十四日に共和製糖の資本金が一億三千万になったわけでございます。三十九年四月二十一日に一億七千万増資をして、資本金が三億になったと承知いたしております。あとは、いまお読みになったとおりで、私の資料と一致しております。  実は、この共和関係の増資でございますが、払い込みが実質的に行なわれていない増資が多分にあったようでございます。共和のいわゆる中核三社の資本金は、現在、製糖が八億五千万、糖化が三億、産商が五千万、合計十二億でございますが、増資の払い込みの中で二億五千万は私ども支払い確認をいたしましたけれども、残りの増資分につきましては、会社同士で持ち合いといいますか、おそらく借り入れをして増資をしたという関係がございますか、実体的な増資がなかったような印象を受けておるような次第でございます。
  37. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 あなたの数字の発表は非常に混乱をしております。二億五千万が実払い込みがあったというのは、私がいま取り上げた以後に共和製糖が四十年の八月二十一日に二億を増資をして八億にしている。この二億の増資は東食が現実にキャッシュを振り込んでいる。それから十一月二十五日に五千万をさらに増資して現在八億五千万になっているが、この五千万は東棉が実払い込みをしておる。この八億五千万の中に実払い込みが二億五千万があるんで、私が伺った六億までの段階であるんじゃないですよ。
  38. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私がちょっと間違えておりました。この支払い二億五千万は、たしか四十年八月以降の増資でございます。それ以前はございません。
  39. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ここで明らかになったのは、政府調査した結果、いま局長が答弁いたしましたように、共和製糖は四億三千万というものの架空の増資をしてごまかしをしている。東洋果糖は二回に合計して三億二千四百三十万というものを見せかけの増資をしておる。合わせましてこの二つの会社だけで七億五千四百三十万という見せ金でこれは増資をしたかのごとき擬装をしている。このことは、いま政府が答弁したことによって明らかになったわけであります。これは明らかに一つの問題にもなってきている。たとえば、商法第四百九十一条違反の問題なり、あるいは公正証書不実記載の刑法の問題なりということも出てくるわけでありまして、そういう点はいずれ検察庁でも捜査の段階で取り上げることだと思いますから、私は法律違反のことはこれ以上この問題をこの委員会で取り上げる意思はありませんが、しかしながら、農林水産委員会のこの性格から見ましても、非常に大きな自己資金というものが計画の上で虚偽につくられ、それが見せかけの増資に終わって、全体の資金繰りを非常にかたわにしているということであります。こういうことは、結果的にいつわかったのか。私はこれ以上ここで聞くつもりはありませんが、これは、金融する機関としても、これらの実態を把握しなかったということは、非常に遺憾だと思う。しかし、系統金融に融資する場合にもこんなことでやっていいとは言えませんが、少なくともそれらの融資の大きな前提条件であります、自己資本の調達ということは。それらがある程度事実確認をなされてから融資するというのが金融の常道じゃないでしょうか。それを、単に知能犯的なそういう資金繰り計画をうのみにして出す。金だけはどんどん貸し出しをして、出た結果、その他の資金繰りは架空なものであった。不用資産の処分をするという金額も、これはわずかじゃないか。約五億に近いものが抵当権を設定され、もう資金化ができないという実態が明らかなのに、それを資金計画として、五億程度は不稼働資産で自己資本を調達いたしますと。出資についても、いま申しましたように、全体では七億五千四百三十万という架空の資本金を計上されて対外的な信用というものをごまかそうとする。こういうことは、私は、今回の共和グループの不正融資の氷山の一角である、いままで決算委員会でも本委員会でも取り上げなかった問題の一つとして取り上げるのですが、この点について、これはもう金融機関もさることながら、この計画確認した上で融資依頼農林省がしているんですよ。農林大臣として、これは金融機関責任だと言うては済まされぬ問題だと思う。主管大臣として、これらの意図的につくられた資金計画、それを是認して融資依頼した政府当局、これらの事実が明らかになった現在、政府は一体いかなるこの問題に対して善処をされるつもりですか。これは氷山の一角として私は取り上げた問題の一つですが、農林大臣……。
  40. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 企業の担当者の計画がまずその責任の第一であります。これに対処して融資担当する態度、これがもう少し厳正でなければならなかったし、同時に、その計画をつくる農林省としても、その計画の中にそれらを看破し得なかった、これは確かに大きな監督上並びに融資上及び担当者として各所にその問題は手落ちがあり、また、その責任が各所において十分でなかったと私は考えます。
  41. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでどうされるのですか。
  42. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今日、できる限り態度を改め、国損をなくし、そして完全なる処理というものに全力をあげ、この問題の次善の策として最善を尽くすことが今日課せられた問題だと思います。
  43. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうすると、過般、自民党の綱紀粛正調査会で、何ら不正融資がない、やましいところがないというあの発表は、こういうたとえば一つの事例についても、非常に問題があったということは、大臣、お認めになりますね。
  44. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 自民党の発表については自民党自身の問題でありまして、私がとやかくそれを論評するわけにはまいりませんが、政府が今日この問題に取り組んでいるについては、いろいろな点において調査してみると、その時点においてもう少し慎重さが欠けておったということは確かに見受けられる。私自身も、そういうものをなぜもっとより以上厳重な現地調査、あるいはその内容、民間企業といえど、貸し出すほうにとってはこれは重要なことですから、その企業の信用状態というものをもう少し慎重に調査しなかったということは、確かに融資以前における問題だと思います。
  45. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次に、ちょっと角度を変えて一、二お伺いをいたしますが、過般、新聞発表等によって菅貞人氏が共和製糖とかあるいは共和糖化工業の代表取締役を辞任したと伝えられるのですが、真相はどうですか、現実に辞任さしていますか。
  46. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 菅社長から社長辞任の申し出があったわけでございます。ただ、代表取締役としては菅社長一人でございますので、社長辞任申し出があったまま、かわりの者が選任されない時点におきましては、その職務をなお行なっておるようでございます。
  47. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は、当時の新聞を見て、もう責任をとってやめたかと思ったが、辞任の意思表示があったが、まだ辞任をしていない、政府も辞任をしていないことを確認している、そういうことですね。
  48. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 後任の社長がまだ選任をされておらないわけでございます。ただ、菅氏が代表でありますことは、いままでそうでありましたけれども、近々といいますか、あるいはごく近くといいますか、共和製糖の中の取締役のうちの一人が代表権を行使するようになって、菅社長が判こを押さなければ支出ができないという事態は非常に近いうちに解消するというふうに聞いております。
  49. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 非常に近いって、だいぶ間があるんですがね、いままで。いよいよますますこれは困るんじゃないですか、こんなことでは。
  50. 大月高

    参考人大月高君) 共和グループの後任の社長につきましては、菅社長辞任後、会社の信用にもかかわりますので、関係の金融機関が集まりまして寄り寄りどうしたらよかろうかいま相談いたしておるわけでございますが、どの方面から社長を求めるかという点につきまして、こういう事態におきましてなかなか適任者を得られない。で、関係者の間では、われわれのほうから社長を出してはどうかという強い御要望がございます。ただ、国会の御論議にもございましたように、われわれの農林中金といたしましては、共和グループに相当多額の金を貸しておるわけでございまして、一方におきましては債権を管理しこれを確保するという立場においてわれわれとして最も利害関係が深い。そういう意味で、この共和グループの再建問題について、一番の関心があり、かつ利害関係が深いわけでございます。しかし、他面、一般の御批判によりますと、これだけ多額の金を貸し込んでおりますわれわれから社長を出すということになると、いままでいろいろ御論議がございましたように、必ずしも明朗でない。菅グループのいろいろな過去の問題に対しましてわれわれが何かまた不明朗な取り扱いでもするのじゃないかというようなまた一つ御疑念もあるわけでございます。そういう意味で、われわれといたしましては、どうしてもわれわれでなくちゃいかぬということではなしに、関係者の御意向によりましてどうしてもわれわれから出せという御意向が固まりますれば、最後には出さざるを得ない。しかし、その場合におきまして、少なくとも過去におきまして菅グループの融資に関与したという実績がないということ、それからわれわれと特に密接な関係があるつまり現職の者から出すということだけはまあ差し控えたい。  こういうことでございますので、われわれの決断につきましては会社としては一日も早くということを考えていると思います。われわれも、このままじんぜん日を送るわけでもございませんので、関係者の御意向を固めまして早急に処置いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  51. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私が聞いておる政府が答弁しないで、大口債権者が答弁するというのもよけいなような感じがするんですけれども、私は決算委員会でも言いましたけれども、基本的にはやはり政府責任というものが一番問題の根源をなしておると思うのです。したがって、こういうのも監督官庁としてもう少し勇断をもって処置をするということがなければ、一そうこれは混迷に混迷が加わるだけで、一日遷延すればさらにはかり知れない大きな、目に見えない損失等も累加されるわけでありますから、大和田局長の言うように、ごく近い機会にと、近々のうちにということは、いままでのような経過から言っても、もう即刻にこれはそれらの問題を煮詰めた上で適正な措置をおとりになってしかるべきだと思うのであります。  そこで、これらの自後の処理については、いずれ矢山委員が取り上げる予定でありますから、私は触れませんが、菅貞人氏が辞意を表明したのは、共和製糖共和糖化工業の二社だけなんですか。あるいは、共和グループのうちで現在菅貞人氏が代表をしておる会社はどこどこですか、その内訳をひとつ明らかにしてください。
  52. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 菅社長の辞任の申し出がありますのは、共和製糖であるというふうに私は聞いております。ほかの傍系の会社が幾つかございますし——傍系といいますか、中核三社の中で共和産商等ございますけれども、共和産商につきましてはまだ辞任の申し出があるというふうには聞いておりません。辞任の申し出があると聞いておりますのは、共和製糖共和糖化の二社でございます。
  53. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 共和グループの中で菅貞人氏が代表者になっている会社は、共和産商、九州食品、日本液糖、宝不動産、日建開発、関西セブンアップ飲料、これがその会社だと私は調査の上で確認しているんですが、間違いありませんか。
  54. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) おっしゃったいわゆる共和グループに属する会社としては、以上のとおりだろうと思います。
  55. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私はこれからお伺いするのは、共和産商の代表者を辞任する意思表示がないという点であります。共和産商という会社は、私、資料も要求しておりませんから、したがって、正確な材料もわからんのですが、実態というものを見ますと、少なくともこの共和産商というものが不正融資の大きな仲立ちをしている中核的な共和グループの中でも会社であるのではないかというふうに考えられるわけです。というのは、共和産商は、赤字もここへ集中しておる。第一線の共和グループ資金もここへ集中しておる。それからまた、分散をするという一つの集中的な機能を共和産商が握っておる。こういう点から言えば、共和産商の代表であるということを辞任しないということは、共和製糖なり共和糖化工業の代表を辞任するという一つの行動に籍口して、実質的な共和グループのやはり支配権を保持したいというふうに理解せざるを得ないわけです。私はそう理解するんですが、政府は、共和産商におけるこの菅貞人氏の代表取締役というものを、今後の共和グループに対する措置も含めて、このままでいいかどうか、その点をどう理解しておるかということをこの機会に明らかにひとつしていただきたい。
  56. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 共和産商がいわゆる共和グループの一つの中核でございまして、共和製糖なり共和糖化なりの販売部門でありますと同時に、ややホールディング・カンパニーの形をなしておることは事実でございますが、御承知のように、共和グループ会社自体が非常に流動的でございまして、共和産商が非常に確立された中核として今後も経営を続けるのか、あるいは共和製糖なり共和糖化なりにウェートをかけていくのかということは、私は今日の段階ではまだはっきり見通すことができないと思います。ただいま私が申し上げましたような意味のホールディング・カンパニーというのは日本にもかつて例がございますけれども、この共和産商の場合はそういうふうに制度として確立したというふうにはなかなかまだ判断をいたしかねるものがございます。したがいまして、共和産商がどういうふうに今後経営の形を続けていくのか、いままでのように、販売、購買部門の中心であり、また、ホールディング・カンパニーの形態を保っていくかどうかということは、共和製糖の新しい経営陣が生まれて、そこで十分検討されるべきものであろうと思います。したがいまして、共和製糖なり共和糖化なりの社長を菅氏が辞任して、共和産商の社長をかりに現在の時点で辞任しないからといって、製糖なり糖化なりの再建に非常に支障があるというふうには考えなくてもいいのではないかというふうに思うわけであります。非常に事態が流動的でございます。
  57. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これはどうも非常に危険きわまる理解であると私は反駁せざるを得ない。  それでは伺いますが、ホールディング・カンパニーであるという実態は必ずしも的確には把握できないというお話でありましたが、この共和産商の株主はどなたですか。
  58. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 株主は、宝不動産でございます。
  59. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 宝不動産が満株を持っていますね、十万株五千万円。
  60. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 十万株五千万円……全額持っておるわけでございます。
  61. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 十万株で五千万円を持っておる、宝不動産が。宝不動産の株主はだれですか。
  62. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 宝不動産は、資本金九百万円でございますけれども、株主は五名で、菅貞人氏外四名、いずれも菅氏の同族の方であると承知しております。
  63. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 であるとすれば、ワンクッションを置いて明らかに共和産商を支配しておるのは、菅貞人及びその一族です。菅貞人、菅英志、菅英里、菅春貴、菅御丹、そういう菅氏の一族が宝不動産の株主を構成し、この宝不動産が共和産商の株主を掌握しておるということは、少なくともホールディング・カンパニーの範疇に入るかどうかは別として、菅一族が共和産商を支配しておる、こういうことが株主構成によっても明らかな事実である。だとすれば、この会社は流動的であるから、共和製糖あるいは共和糖化等々の今後の歩み方の中でどうするかということは、流動的な中でまだはっきりした考えがないというような、そんななまぬるいことでは、私は今後の債権保全の問題なり何なりは考える資格すらないと疑わざるを得ない。私はこれからそれらのまた関連会社の内容について一、二伺いますが、もっときびしく現実というものを把握した上で監督官庁としては対処すべき問題ではないですか。
  64. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 共和産商が一種のホールディング・カンパニーのような機能をいたしておったということは、私は先ほどから否定はいたしておりません。今後の問題がどう動くだろうかということをはなはだ流動的であるからというふうに申し上げました意味の一つは、最近まで共和産商が共和製糖共和糖化の株を相当たくさん山持っておったわけでございますが、十一月に入りましてから、共和産商が持つおてりました共和製糖の株九十七万株ほどと、共和産商名義の共和糖化工業の六百万株ほどを、それぞれ共和糖化なり共和製糖なりに株式を譲渡いたしておるわけでございます。したがいまして、共和糖化の株式は、従来は共和産商一人で六百万株全部持っておりましたし、共和製糖の株主は四名で、共和産商は九十七万六百株を持っておったわけでございますけれども、この共和産商が持っていた共和製糖の株九十七万株が共和糖化へ、共和糖化の株六百万株が共和製糖に十一月になってから移譲をされた事実がございます。したがいまして、私は、共和産商が今後どういうふうになるかということは、現在見澄ましておる段階で、必ずしもこれが今後もいわゆる共和グループの中核としてやっていくのかどうかということについては、どうもそういうふうにいま割り切って判断をすることができないというふうに考えておるわけでございます。
  65. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 しかし、少なくとも菅貞人氏が共和製糖なり共和糖化工業の代表取締役たるものを辞任したという意思表示は、これは、従来も数々の政府をだまし、金融機関をだまし、そういう多少の反省があってやったことでしょう。だとすれば、なぜこういう共和産商とかその他の代表取締役も辞任しないのですか。どう理解しますか。
  66. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) これはなかなか人の心境をうかがうということはむずかしいわけでございますけれども、私は、いま申し上げましたように、従来いわばホールディング・カンパニーとして共和製糖なり共和糖化工業の株を相当たくさん持っていた共和産商が手放したことによって、今後も共和産商がこの共和グループの中核としてやっていくかどうかということについては疑問を持っておるわけでございます。また、共和製糖がどういう形で今後経営を続けていくか、共和グループの中でどういう地位を占めるかということは、共和製糖なり共和糖化なりの新しい経営陣によって決定されるし、また、決定することができるのではないかというふうに考えております。
  67. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 角度を変えて伺いますが、やはり共和グルールプの中に農林開発興業という会社がありますね。これは、代表者は、前の重政農林大臣の秘書をやった高橋喜寿丸という人が代表者であります。この農林開発興業株式会社の、私は手元に古い資料しかありませんから、古い数字で取り上げる以外にないのですが、四十年の三月末の決算書を見ますと、農林開発興業株式会社に共和、産商が四億六千八百二十七万円の貸し付けをしておる。同じくこの期間に、共和製糖が二千五百万、共和糖化工業が二千五百万円の貸し付けをしておる。こういう事実が決算書の中に出ておる。ところが、この農林開発興業株式会社が、従来しばしば取り上げられた国有林交換の問題、これの主役を演じておる会社である。たとえば高槻の国有林を三千五百万円で購入し、これは全部農林開発興業株式会社土地と立木の中に計上されておるわけであります。これらが、共和産商から五億近い金が出て、その金でこういう土地を買収する。全体として土地が二億四千四百七十一万ということでありますが、この所有土地をざっと私計算いたしましても、二千百ヘクタールの大きな面積に及んでおる。これは一体時価に評価したらどれだけになるか。共和グループの中で、こういう一つの事実が農林開発興業株式会社にあるわけであります。一方では、ただいま取り上げましたような共和産商というもの、これがどういうからくりか私は存じませんが、第一線の会社の赤字もここへ集中しておる。そうして、ドル箱は全部あげて農林開発興業の中の資産に含まれておる。こういう一連の関係を見ますと、私はこの問題があらためてやはり今後の大きな取っ組まなければならないお互いの大きな課題であると指摘せざるを得ないわけであります。これは四十年の三月末の実態でありますから、その後、たとえば建物については、日本橋室町一の二に新しいビルを建てた。これはことしの春竣工しておる。これは資金が一体どこから流れていますか。少なくともこの調査を出す時点では、政府は連結バランス・シートをおつくりになっておるでありましょう。そういうことが報告書に載っておる。その金がどこから流れてこういう建物の建設になっておるか。そういうことを考えますと、私は、債権保全というものは、こういう点にも余すところなく保全の措置対象を向けなければならぬと思う。  まず、私だけがこう先走って言いますと、お尋ねする点がぼけますが、たとえば農林開発興業株式会社が新しいビルを建てた資金はどこから流れているか、その物件は債権保全上どうするつもりか、その二点についてお尋ねします。
  68. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 農林開発が新しいビルを建てましたその資金はどこから流れているかということにつきましては、私どもどうもよくわからないということを申し上げざるを得ないわけであります。  それから新ビルを担保にとるかどうかということにつきましては、中金公庫ともに現在担保の徴求にきわめて熱心になっておりますので、だんだんそこに及ぶことを私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。
  69. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうもすっきりしませんがね。そんな悠長なことでいいんですか。国民監視の的になっているこういう一つの一連の関連を、金融機関が一生懸命になっているというて、金融機関にそうさせて黙って見ているわけにいかぬ。これは一つの例を私は言っている、ビルのごときは。九階建てのビルを建てているでしょう。なぜその債権保全ができないのですか。政府はもっとしっかりした姿勢を示さなければいかんのじゃないですか。次々とこういう点で損失が確定されていくんですよ、国損が。私は一つの例をあげたにすぎない。たとえば、四十年の会計年度で発表しておる土地の二億四千四百七十一万のこれを適正に評価したならば、三けた違うのじゃないですか。非常に大きな隠し財源をこの会社が持っておる。あるいは、菅社長の個人の住宅の問題。いろいろなものが、私たちこの表向きの決算報告書を見ただけではわからぬものが数限りなく伏在しているわけです。あるいは政治献金という点にしぼってみても、表向きの届け出をしたものの何倍か想像がつかないような金がやみからやみへと流動しておる。その媒体が共和産商であり、あるいは農林開発興業会社等々が介在しておると考えられる。一方では巨額な赤字を計上させ、一方では表向き会社設立以来税金を納めないために例年赤字を計上しながらぬくぬくと資産が隠匿されるような会社の経営を放置していいのですか。一体、この農林開発興業会社、これはさしあたり今回の共和グループに対する融資対象ではないにしても、少なくとも共和産商から五億に近い金が流れておる、四十年の三月末現在において。その後、新たな設備をふやすという場合にどこから資金が流れているか、流動的なその動態を把握せずして、これらの資金の適正な規制、こういうことはこれは期されないんじゃないですか。  したがって、私は、菅社長がどういう意思であるかどうかは別として、従来政府金融機関あるいは民間金融機関から融資されたその債権を保全するという一つの問題にしぼってみても、この調査報告書のような甘いことで債権保全が成れりと私は決して解釈ができない。その保全の対象は明らかに流れ流れて動いておる。これらの農林開発興業会社等の含み資産と思われるものを保全するということに勇気をもって対決しなければならない重要な段階じゃないですか。農林大臣はどうお考えになりますか。
  70. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま局長が答弁いたしましたことは、今回の資金の流れという中においてある程度他の方向に流用されているという項目の中に該当いたします。ただ、それがどこの金だと言われると、資金の総体的な流れの中では他に流れた傾向があることは指摘されておりますが、どこの金だということは、局長はただいま答弁を明確にいたしませんでした。  なお、本社及び農林開発の担保に入っていない財産については、公庫中金に至急担保設定をするように私はこの問題で命じております。ただ、その処置がまだ担保設定というところまでいっていないものがあるというわけで、今日、中金及び公庫は督促をしていることは事実であります。ただ、その問題が、まだ担保設定まで至っておりません。あるものは、ある程度の権利書を預かるとかという程度のものまで進んでおるものもございます。それから担保設定が全部済んでいないというだけで、あるものは権利書だけは預かっておこうという程度進行しつつあるものが、いままで過去において担保を設定していないものに一、二今日進行しておる。また、私もそのことは督促をしております。
  71. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 経過を伺いますが、たとえば根抵当設定あるいは抵当権設定の対象になっておる国有林を交換して取得した高槻の山林、これは農林開発興業会社の所有権のまま金融機関にそれぞれの設定をしておるんですか、どうなんですか。
  72. 大月高

    参考人大月高君) お話のとおりでございまして、第三者による担保の提供でございます。
  73. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 結果的には農林開発興業会社の所有権のまま抵当権が設定されておるかもしれませんが、そこに至る経過に、他の会社に所有権を移転し、政府から物言いがついてまたその抵当権先を変更し、最終的に再び農林開発興業会社の所有権になって設定されたという経過はないんですか。
  74. 大月高

    参考人大月高君) 先ほどお答え申しましたことに若干不正確な点がございましたので、補足申し上げます。  最初、いわゆる高槻の山林をとりましたときには、その所有権は共和産商にございまして、それが後に農林開発のほうに移っておりますが、われわれの債権は、東洋果糖、今の共和糖化でございますから、先ほど申し上げましたように第三者による担保提供という形でございます。
  75. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 せっかく交換したその山林が、いつの間にか所有権は共和産商に移っておった。これは、さらに、払い下げをした交換の当事者である農林省は、その事実をいつ確認し、そのことを一体どう処置されたんですかp
  76. 若林正武

    説明員(若林正武君) 確認をいたしましたのは、一月半ぐらい前でございます。それで、交換をいたしました交換渡し財産が転売をされましたということにつきましては、現行の交換制度でまいりますると、そこまでの制約はいたしておらないのでございますが、今後私どもといたしましてはそういった面で改善措置というものを検討してまいりたいということで現在進めておるような次第でございます。
  77. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣、ただいまお聞きのとおりなことで、どうもやるほうもやるほうだが、よほどこれは政府当局もふんどしを締めてかからなければいかぬという一つの事例がここにも出ていると思うんです。私はこういうことをこれ以上とやかく言うつもりはないが、いずれすっきりした一つの基準というものを早く出して、こういうことが再びないように積極的なひとつ取り組み方を期待します。  そこで、いま言ったように、高槻の山林等についての第三者抵当を設定させておるのでありますから、農林開発興業会社は、私から見ますと、想像を絶する大きな含み資産を持っております。したがって、債権保全のためには、これは共和グループのワン・オブ・メンバーですから、決して第三者じゃありませんから、資金は糸目はつけませんから、あるいは金融機関から貸した金がすすっと行ったとか行かなかったとかいうことじゃなくて、共同の立場で余すところなくこれらの持っておる資産というものは強力に措置をさせるように行政当局としても積極的な指導をしていくべきだというふうに思います。したがって、私から申しますならば、今後の共和グループあり方は、これはいずれ矢山委員が詳細に取り上げるわけでありますから、私はこれ以上触れませんが、共和産商、共和製糖共和糖化工業及び農林開発興業という四社は、少なくとも企業的には一体なものにした上でなければ今後の措置というものが出てこないんじゃないかというふうに思いますが、いままで精力的にこの融資関係について調査をされた政府当局は、これらの今後の方向に対してどういう展望を持っておられますか。
  78. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 渡辺委員の御指摘のような実は方向で私のほうは努力しております。ただ、その意向どおりいま進行を必ずしもしてはおりません。ということは、農林開発は、社長が違うといいましても、内容は非常に類似的である。また、過去においてすでに担保を提供したという実績を見るならば、今後の担保も当然債権、債務の中に提供すべきものであるということを論拠にいたしまして、ただいまずっと進めておりますのがまだあります、その担保に入っていない国有林交換で。それを対象に実は交渉をこれは中金公庫でやっているはずでございます。これも相当な価格に私どもは評価できるんじゃなかろうか。それがなかなかそのとおりに進んでおりませんが、交渉は進めております。したがって、これらも中金を強硬に督促しまして、おそらく中金はもう一カ月来これにかかっておると思いますが、まだ結論が出ないというこの事情もひとつ御了承いただきまして、われわれは渡辺委員の言われるとおり、力の及ぶ限り進めている、また、進めなければならないと思っております。いろいろな理由があってそこまで行っておりません。しかし、われわれは、国民の中において正論である法律的なあらゆる手段をとって担保の提供をさせるように目下交渉中である。はなはだ手ぬるい話ですが、相当強く交渉をしているんですが、結論が出ていない。こちらが言っているように、この山だという山を、実は所有者の所有物の中から摘発をやっております。いずれ近いうちに必ず解決させなければならないという決心でおりますので、渡辺委員の御存じのとおりに実はわれわれのほうでは要求しております。
  79. 矢山有作

    ○矢山有作君 それじゃ、引き続いて共和グループの問題で御質問申し上げますが、最初に、私こんなごとを言う必要もないと思うんですが、ちょっと及ぼす影響が大きいだろうと思いますので、一言申し上げておきたいんですが、それは、十一月の二十二日の新聞報道を見ますというと、ある方がこういうことを言っておられます。野党議員の中にも誤解したまま追及した人もあった、こういうことを言っておられるんです。これは金融機関から参考人として出ておいでになった、名前は言いませんが、某氏です。ところが、われわれは決して誤解をしたまま追及しているわけじゃないので、これだけ重要な責任の生ずる問題に対して、もし誤解して追及しているのを追及されている側の人がその誤解を解こうとしないでそのままでおられるというはずはないと思うんです。今後私ども質問していきます場合に、もし誤解があるならば、それはその場でひとつ明らかにしていただきたいと思います。そうして、あとで誤解で質問したとかどうとかいうようなことのないようにしていただきませんというと、ぐあいが悪いと思いますから、まず最初にそのことを申し上げておきます。  第一に御質問申し上げたいと思いますのは、三十九年の三月三十一日に関税定率法の一部改正がありました。その第十三条が改正になったわけですが、そこで新たに「デーツシロップの製造に使用するためのなつめやしの実(干したものに限る。)」ということになっておりますが、このデーツシロップの製造に使用するなつめやしの実で関税定率法の改正のこの対象になっている企業というのは、一体、何がありますか。これは、大蔵省なり、農林省なり、食糧庁なり……。食糧庁が一番いいんじゃないですかね。
  80. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 現在のデーツにつきましての関税率の中で、食用のもの、アルコール用のもの、果糖用のものというのがございますが、これを全部御説明申し上げることは省略をいたしまして、ただいま御指摘になりましたものは、おそらく果糖用の五%のものではないかと思いますが、三十九年度から、果糖用の乾燥をしたもの五%という税率に対しまして、保税工場として承認を受けた工場において製造する場合は免税ということになっております。この免税になっておりまする承認工場は、東洋果糖でございます。
  81. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、いまので、関税定率法の一部改正でデーツ、シロップの製造に使用するなつめやしの実で対象工場東洋果糖一つだということになります。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕  それから次は、同じく三十九年の三月三十一日に租税特別措置法の改正がありました。改正で挿入されたのは、第九十一条が新たに挿入されたわけですが、それで砂糖消費税の軽減が行なわれることになったわけですが、この対象になるブドウ糖混和糖水の製造業者、これは何がありますか。
  82. 大口駿一

    説明員大口駿一君) この改正の該当会社はございません。
  83. 矢山有作

    ○矢山有作君 その当時でブドウ糖混和糖水の製造をやろうとしておった者は、じゃだれですか。全然そういう者がないのにこういう特別措置法の改正が行なわれるということは、私は考えられない。
  84. 大口駿一

    説明員大口駿一君) ちょっと当時の事情を詳細まだ私承知をいたしておりませんので、ただそのような租税特別措置法の改正があったにもかかわらず、実際に適用されている会社がないということだけを実は承知をいたしておりますが、なお当時の事情をもう少し勉強いたしてみたいと思います。
  85. 矢山有作

    ○矢山有作君 御存じないといえばそれまでの話で、まことに私に言わせれば無責任な話だと思うんですが、これの対象になったのは同じく東洋果糖です。デーツ・デックスでデーツ・シロップをつくる、そのためのデーツの輸入に対して関税を軽減し、あるいは免除する、こういう法律を関税定率法を改正することによってつくり、さらに、デーツ・デックスを液状ブドウ糖とまぜていわゆるブドウ糖混和糖水をつくるという計画をしたのは、当時東洋果糖一つです。ほかにはありません。
  86. 大口駿一

    説明員大口駿一君) ただいまの租税特別措置法の関係は、私、不勉強であるという御指摘を受けた上に異論を申し上げて申しわけございませんが、私が承知をしておりまするのは、租税特別措置法の税率改正になりましたのは、ブドウ糖と普通の砂糖がまぜられたものについての税率の改正というふうに承知いたしておりまするので、ただいま矢山委員の御指摘になりました、デーツ・デックスとブドウ糖をまぜたものを対象といたしておりませんので、その点はちょっと私の承知いたしておることと食い違う点がございますので、念のために申し上げておきます。
  87. 矢山有作

    ○矢山有作君 じゃ、条文を読んでおきますから。あなたのおっしゃることが間違いです。第九十一条一項「砂糖類の製造者が、政令で定めるところによりその製造場の所在地の所轄税務署長の承認を受けた製造場において、ぶどう糖を混和した砂糖又は糖氷で政令で定めるものを製造し、」云々と、こうなっております。だから、ブドウ糖を混和したいわゆる混和糖水というものは入っておるわけです。
  88. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 私も担当官の説明をまる暗記しておる状態でありまするが、説明によりますれば一ただいま先生が御指摘になりました後段の糖水というのは砂糖のことだというふうに説明をいたしておりまするので、私が説明を聞いた上で承知をいたしておる範囲で先ほど申し上げたとおりだというふうに現時点では思っております。
  89. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあいろいろ解釈をされておるようですが、「ぶどう糖を混和した砂糖又は糖水」というのは、私が承知しておるその当時の立法の動きというものは、ブドウ糖と、じゃ何をまぜるんですか。これは果糖をまぜるんですよ。そしてブドウ糖混和糖水というものをつくるんですよ。これは技術的によく研究してみてください、そうなっていますから。じゃ混和糖水、ブドウ糖を混和した糖水というので、一体何を混和するんですか、相手は。砂糖ブドウ糖を混和するんじゃありませんよ、糖水をつくるのに。それは大間違いですよo
  90. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 私が承知いたしておりまするのは、液状の砂糖と液状のブドウ糖をまぜたものを指しておるので、これはブドウ糖の消費促進ということが頭にあってとられた措置であるというふうに私は理解をいたしておりますので、まだ勉強不十分な点がありますれば、今後勉強をいたしたいと思います。
  91. 矢山有作

    ○矢山有作君 それでは、それといたしてもよろしい。そういうようなブドウ糖混和糖水をやっておる企業はないわけです、先ほどおっしゃったように。それをやろうとしたのが共和なんです。私が一歩を譲って、そのことだけははっきり申し上げておきます。それは異存ないでしょうね。共和以外にこの話はその当時出てなかったんですから。その当時の事情を御存じなければ、しかたがありませんがね。
  92. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 私は初めから先生のおっしゃっておることに異論を申し上げておるわけじゃないので、ただ、私自身が承知をしておらない部分と、また、承知をしておる部分と先生の御指摘が食い違うという部分だけを申し上げたにすぎません。
  93. 矢山有作

    ○矢山有作君 それじゃ、ブドウ糖砂糖をたとえば混和してブドウ糖混和糖水をつくるにいたしましても、私が言ったブドウ糖果糖をまぜてやるにしても——あ、私のほうのあるいは誤解かもしれない。ブドウ糖果糖をまぜれば、その場合の果糖東洋果糖が考えておったのはデーツ・デックスとの混合ですから。そうすると、あなたのおっしゃるブドウ糖砂糖をまぜるブドウ糖混和糖水をつくるというほうがあるいは正しいかもしれない。この点は私が誤りとするならばそれを認めますが、しかし、その当時、ブドウ糖砂糖の液とをまぜてブドウ糖混和糖水をつくるという企画をしたのは、業界を調べてみてください、全然ありませんから。したがって、これもですね、共和製糖グループがブドウ糖混和糖水をつくるという企画を立てておったと、このことはその背景として断言しておきます。  そこで、次なんですが、実はこれは十一月二十日の「毎日新聞」ですが、これを見ると、こういうことが書いてあるんです。新友会の総額八千一百万円に上る政治献金の額を見ると、国内産糖の助成政策が農林行政の課題となった三十七年後半、当時の重政誠之農相の個人後援会、田中角榮蔵相の後援会その他に十一件約千五百万円。さらに、甘味資源特別措置法案が国会に提案された三十八年三月前後にかけて十件一千万円。同年後半は、甘味資源特別措置法がいまだ国会で成立しないとき、審議未了になっては提案され、あるいは継続審議になっておった時分です。衆議院解散、総選挙をはさんで二十八件二千五百万円が集中的に新友会から出されている。同法がようやく成立した三十九年前半は、赤城農相の後援会対山社に対し百万円を出したくらいのもので、献金は二件二百万円と激減をしておる。だが、三十九年後半は、共和グループに対する問題の融資が行なわれたときであるが、またブドウ糖業界糖価安定法を強く望んでいたこともあり、再び十五件一千万円と多額の献金をしておる。この新友会の献金の状況、さらに献金されたその相手方を見ると、業界の利害と密接な関係を持つ法案の国会提出に先立って集中的に行なわれている形が浮き彫りにされてくると、こういうふうなことを言っておるわけですがね。大臣、これは私はまことに的を射た評論だと思っておるのですが、あなたはどういうふうにこの新聞記事を見てお感じになりますか。
  94. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 記事は記事として私は拝見をしましたが、それがどうであるかというまで私のほうの知識は、私はまだそこまでは何とも申し上げられません。
  95. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは格別の知識がなくても言えることなんで、要はこういうふうにしてちゃんとこう献金の状況が並べてあることですから、それに対比してその当時の国会における法案をめぐる動きが書いてありますから、これは別にいろいろな知識がなくても、これをながめて、もう客観的に六体判断できる。私は新聞がそういうふうに論じておることが至当だと思うのですがね。  そこで、私は、もう一つ問題は、さきに私の触れました租税特別措置法や関税定率法の成立は、三十九年三月三十一日です。この改正法案との関連も私は無視できないと思う。しかも、この両法律の一部改正の適用を受ける対象事業というのは、菅が計画をしておった事業だけである。ほかにはないということが明らかです。そうするならば、その実態を、これはまあ知らぬとはおっしゃるまいと思いますが、御存じだろうと思うのです。菅あっての新友会、菅が全くボス的な存在で牛耳っておった新友会ですから、そこからどんどん献金がなされておるのです。そうすると、私は、甘味資源特別措置法やあるいは糖価安定法だけでなしに、菅が自分が新たに企画した事業のために特別な利益を受けるような法律、それは関税定率法の一部改正であり、租税特別措置法の一部改正です、このために新友会という政治献金をするための団体をフルに使って政治工作を展開しただろう、こういうふうに断言せざるを得ぬと思うのです。私はそういうふうに客観的に判断をしておりますが、その点、大臣、まあ前の答弁の繰り返しだとは思いますが、これは率直にお感じになったことをおっしゃったほうがいいんじゃないですか。
  96. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御指摘のように、前の答弁と同じであります。
  97. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ大臣の自分としての判断を申されませんが、しかし、世間の人が見たり聞いたりすれば、これらの業界の利益に深くつながった法律、特に業界の中心的な存在であった個人の事業の利益に深くつながった法律をめぐって、自分が中心的な存在である政治献金団体をフルに活用して政治工作をやるための政治献金を出したということになれば、これは普通はくさいなと、こう思うでしょう。私は今後そういうことがあってはならぬと思う。お互いにこの点はきびしく反省をしないと、政治が金によって不正に動かされていき、しかも、法律までが金によってつくられていくというでたらめなことになっていくから、この点はお互いに今後十分に考えるべき問題である。お互いと言いますが、私たちを含めてのお互いじゃなく、これは政権を担当しておられる自民党なりあるいはまた政府で十分自粛自戒すべきことだろうと思います。  それから、次の質問は、砂糖ブドウ糖企業で大体合理化の余地というのはどの程度あるのですか。私は砂糖ブドウ糖企業合理化の余地というものがはたしてどれぐらいあるのだろうかということに大きな疑問を持っておるのですが、これは担当の食糧庁のほうからお答えいただきたいと思います。
  98. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 合理化の余地と申されますと、一企業のコストの合理化ということになりますれば、おそらく企業規模を大きくして総合的にやった場合に普通合理化が進むというのが一般の常識でございまして、また、他の企業と共通の施設、機械等が利用できますれば、その面の一つの合理化がはかられるというのも、これも一般の常識でございますので、私はそのような一般的な合理化の常識に従った合理化の余地が特にブドウ糖砂糖についてあるかないかという問題は、いろいろ個々のケースに当たって結論を出すべきものであると思いますが、おそらく、先生の御指摘の中で、通常合理化の余地が非常にたくさんある企業と、合理化の余地が少ない企業というものは、たとえば、原料代の占める割合が非常に大きい企業合理化の余地が少ない、そうでないものは、たとえば人件費の占める割合が非常に大きいものは合理化の余地があるというふうに、かりに大ざっぱに分けましたときに、砂糖ブドウ糖は前者に属するというふうにおっしゃっておりますとすれば、それはあるいは先生の御指摘のようなことは私どもも肯定せざるを得ないのではないかと思います。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕  それから合理化と申しましてもいろいろございまして、たとえば、現在のブドウ糖砂糖ともに、需要に対しまして設備が非常に過剰な状態になっておりまして、この過剰設備をなくすことによって操業度を上げるということによって合理化をはかるという場合にも合理化ということばが使われると思いますが、砂糖企業並びにブドウ糖企業は、ともに程度の差はございますが現状においては需要に対して設備が非常に過剰でございまして、これをいかに合理化をするかということは現在の政策上の一つの大きな課題でございまして、これは合理化の余地が十分にあって、また、しなければならぬというふうに考えておりますので、その点から申しますれば、これらの両者の企業はまさに合理化をしなければならない状態にあるということが申されるかと思います。
  99. 矢山有作

    ○矢山有作君 合理化の意味を、設備過剰を解消して操業度を上げていく、そうして採算の向上をはかるというなら、それは私はわかります。ところが、砂糖ブドウ糖企業で考えられておった場合の合理化構想の場合に、そうした点が十分考慮されていないのではないですか。それを十分強く打ち出してやっておるならば、今日のような設備過剰で、たとえば砂糖なら糖業界がいろいろ合理化について考えておりますが、糖業界の方を呼んで聞くと、設備過剰を解消するには政府に施設の買い上げをやってもらって設備を減らしていく以外にはないという声すらある。ブドウ糖業界も似たり寄ったりです。そうすると、設備過剰を解消して、合理化をはかるという、そのことがはっきりと考えがきまらん、それがあやふやなまま中途半端なずさんな合理化構想が立てられて、それに従って資金融資をやっていこうとしたところに今度の共和グループをめぐる根源があったのではないかと、こういうふうに思うわけです。  特にたとえて申しますと、砂糖の場合、私が、糖業界のほうで不況カルテルを申請するときにいろいろな文書が出ておりますが、それを試算してはじいたところによると、どうしても動かない原料代その他課徴金だとか関税だとか消費税、こういうようなものを含めると、全体の製造コストの七九%、約八〇%を占めているんですね。それか一らさらにブドウ糖の場合、これはブドウ糖工業会で全部試算をしてもらったんですが、事業団買入価格に対して原料でん粉代で大体八割以上——含水結晶ブドウ糖と精製ブドウ糖と多少の数字が違いますが、まあ両方突っ込みにして八割程度原料代といいますか、そうしたものがある。これは非常に大きな比率を占めておるわけです。そうすると、そういうような企業に膨大な資金を投入してみたところで、私は、いわゆる合理化ということには実際問題としてならんのじゃないか、金利負担でたいへんだと思うんですね。私は、その点の意味では、合理化がなかなかむずかしいということは、食糧庁長官は認められたと思うんです。そうすると、その合理化構想というものを実際に推進して、文字どおり合理化を達成しようというなら、あなたのおっしゃった、私の先ほど触れた設備過剰という問題をどうするかという本格的な検討がなされなければいけなかったわけです。ところが、それがないまま共和の問題に手を出されたということが私は問題の根本じゃないかと思うのです。ですから、その点がはっきりしませんというと、あなた方のような報告書の書き方だと、その行政の責任金融機関に一方的になすりつけるようにとられてもしかたがないんで、私はその辺をやはり反省していただきたいと思うんです。
  100. 大口駿一

    説明員大口駿一君) ただいま先生が最後に申されました責任を全部金融機関になすりつけるというおことばが若干私としては気になるわけでございますが、今回御提出をいたしました政府報告書におきましても、この問題となりました期間中における政府甘味資源対策というものが、今日の時点で振り返ってみますならば、必ずしも一貫しておらなかったというきらいがある、したがって、これを受けて融資をした金融機関のみの責任ということだけではなくて、やはり政策担当者としての食糧庁が今日の時点で反省をすれば幾多反省すべき点があるという趣旨は、十分に報告書の中で申し述べておるつもりでございまするので、その点を冒頭に申し上げたいと思います。  それから先ほど御指摘の中で、精糖業界では今日の過剰設備を解消する方法としては政府が遊休設備の買い上げをする以外に方法がないというふうに御指摘になりました部分と、それから共和製糖の問題を引き起こした裏には政府合理化に関する施策が十分でなかったという御指摘とがございまして、この両者が直接結びついたような御指摘であったわけでございまするが、私は今日の時点で振り返ってみて甘味資源対策が必ずしも一貫し得なかった点についての反省ということは、もちろん私ども重大なる責任として反省をいたしておるわけでございまするが、しかし、業界が申しておりまするような遊休設備政府が買い上げる方法のみが合理化の方法であり、それをやらなかったことが政府甘味資源対策の一つの失敗であるというふうな趣旨で御指摘になっておりまするとすれば、今日その政策の問題をここであまり詳細に申し上げる趣旨ではないと思いまするが、私どもの考えておりますることとその点は残念ながら見解が全く相違いたしておりますということだけをこの際申し上げておきます。
  101. 矢山有作

    ○矢山有作君 私の言い回しで、過剰設備の買い上げを要求しておることと、政府合理化政策が十分固まらないうちにやったと、これが直接結びついて共和問題を引き起こしたと、こういうふうに受け取られたようですが、そういう意味じゃないんです。直接私は結びつけておるんじゃないんで、要するに合理化に対する基本的な姿勢が固まらないままにこの共和問題に手を出したことが今日のような事態を引き起こしておるんだと、こういうようなことを申し上げたかったので、その中で合理化といえば設備過剰を解消するような云々と長官のほうから言われたから、それはそのとおりだと、そこまではやっぱり考えて行かぬと、ほんとうの業界実情から見てきちっとした合理化計画は立たぬだろうと、こういう意味なんです。  それから私は決して合理化の方法として設備過剰の施設を買い上げることだけを唯一の方法だと言ったわけじゃない。業界で一つの方法としてそういう声も私の耳に入ったということなんであって、将来糖業界合理化をやっていくのにどうするかということは、私もおっしゃるように過剰設備政府買い上げだけでは片のつく問題じゃないと思います。それは同意見ですから、その辺をひとつ誤解のないようにしていただきたい。
  102. 大口駿一

    説明員大口駿一君) もう一つちょっと誤解のないように申し上げておきますが、合理化のための一つの方法として過剰設備の買い上げの方法が一つの方法としてあり得るというふうに私が現在考えているというふうにおとりになりますと非常に困りますが、私は今日あまり注釈なしに申し上げますれば、合理化を過剰設備の買い上げでやるということについては個人的には反対でございます。
  103. 矢山有作

    ○矢山有作君 いまは糖業界合理化政策を論議しておるわけじゃないので、その問題について突っ込んで議論をするということはこの場の議論ではないし、それからそれは政府買い上げをやったらいいじゃないかと私がぽんと言うたところで、現在のあなたの立場上、では過剰設備政府買い上げをやるのが一つの方法だと言い切るなんということはできませんよ。あなたの立場はよくわかっておりますから、それはいいです。その点の私の誤解はありません。  私は報告書でどういう印象を受けたかということは、この前も大臣にちょっと申し上げたんですが、大ざっぱにまとめて一口に言うと、私はこういう印象を受けたんです。報告書全体から受ける印象は、共和グループをめぐる融資実態を解明し、その責任の所在を明確にするという姿勢が感じられません。ひたすら、政策的な融資建設過程での糖業事情の激変、これに籍口して、大きな行政上の責任を回避しようとしている。そのためにはついでに金融機関責任もあいまいにしようと努力したような気配が濃厚に見える報告書だと、私は一口に言うとこういう印象を受けておるわけです。特に金融三機関が先の見通しを持ち得ないまま融資をした、こういうことを言っておるんですが、金融機関がそうなった根本の原因というのは、私先ほども指摘しましたように、政府の見通しのないずさんな糖業合理化構想、これに基づいて融資依頼なり融資あっせんをした、そういうことにあるんだと思うのです。ところが、政府が、そのずさんな、それ自体成り立たないような合理化構想を立てて、それを推進しようとして金融機関融資依頼をやりあるいは融資あっせんをしたところに共和グループをめぐる問題の発端、根源がある、私はもうそう断言して差しつかえないと思います。だから、私は政府に第一次の責任があると思います。その責任を明確にして、それに対応した態度をやはりとるべきだと思う。それを、政策的な融資であったとか糖業界事情の激変であるとかいうようなことで責任をすりかえるということは許されませんし、政府自身がきびしい態度で自分の責任を自覚することによってやはり金融機関融資にあたってのずさんなやり方というものも十分反省を求めることができると思うのですから、この辺をやはり明確にされる必要があるだろう、そういうふうに思うわけです。
  104. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 政府みずからその政策には必ずしも満足ではなく、その間にいろいろな政策の手直しを行なっております。しかし、それが必ずしも結果においてそのとおりいかなかったということは、政策上において、見通し、その後の処置について、確かに手ぬるい点があったことは率直に認めております。と同時に、これは、全甘味資源に対する、あるいはでん粉、ブドウ糖に対する政策でありますが、だからといって、その中においてやはり融資を行なった責任というものもこれは明確に——すべての砂糖業界が苦しい立場にありますけれども、すべての砂糖会社が今日全滅したというわけではありません。苦しい中にも努力してやっておるところもあるというふうなその優劣というのは、政策においての責任、あるいは融資における責任、一番最終的には企業者そのものの責任というものを実は浮き彫りにしたっもりでありまして、政府責任をあえて逃げるために言ったわけじゃありません。政府責任は、甘味資源対策あるいはそれに対応するだけの処置というものが政府責任である。しかし、融資そのものの焦げつきといいますか、今日の状態というものは、やはりそれを担当した者の当然それを十分把握し得なかった点があるわけで、この三つを実は分割して申し述べたわけで、政府責任をみずからのがれていると私は思っておりません。これはまた甘味資源対策すべてに今後において及ぶものである、私はこう考えて、もちろんその中の一つがこれであるというふうな感じでこれは実は書き上げたつもりでございます。
  105. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ報告書を作成された当の責任者のほうから、私の言うたことをまるでそうですと言ったんでは、身もふたもないから、それはおっしゃらぬだろうと思いますが、まあこの報告書を皆さんが立場を離れてお読みになったら、おそらく私の指摘したような印象を受けるのが一般だと思うから私は申し上げたんで、その点は、いま大臣がおっしゃったように、ひとつ十分に第一次的な政府責任を痛感し、その中で金融上のいろいろなやり方に対して反省を加え、これを正す、それはもちろんですが、同時に、その責任の所在も明確にされたいと思います。  それから次は、私は今度の共和製糖融資問題をながめておりますときに、公庫中金などの融資あり方というものがいまのような状態でいいのだろうかということをいろいろ痛感させられるわけです。実態は、もう御承知のように、政府からの融資依頼なりあっせんがあると、なかなかその金融機関が自主的な判断ではそれを取捨選択をし得ないというようなのが実情じゃないかと思うのです。そうした点を含めながら今後この金融のあり方について再検討される必要があるのじゃないかと思いますが、もしそういう必要があるとするならば、大臣としてはどういうふうに具体的にお考えになっておるか、この際ひとつ所見を述べておいてもらいたいと思います。
  106. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 政策的問題は、政府の政策として政策的責任を負うべき問題です。その中においての融資対象の今回のものを反省してみますると、一番のものは、当然の債権確保の保全措置という事前の措置が非常に不明確であった。ある場合には、公庫においては、政策融資の場合、必ずしも今回が手落ちだと私は指摘はいたしません。こういう手続でいままでやっておりまして順調にいったものもたくさんございます。したがって、そういう善意なもとにおける善例——いい例を今回も踏襲したというところに問題点があったのじゃなかろうか。したがって、最初からこれが悪い、これがいいと貸す前に選別はなかなか不可能にしましても、一応の最終的における債権保全だけはいかなる場合でも確保するという方向は今後公庫においてはとらなければならないのじゃなかろうか。と申しましても、公庫の中には、土地改良とか、大きな農民金融がほとんどを占めております。その債権保全をどうするかとあまり厳格に言い過ぎますと、ある場合には団体への土地改良などというようなものはなかなか行きにくくなる。したがって、そういうものを振り分けて、要するに農政上における基本的な融資であるという場合と、それよりもう少し軽い農業関連の事業であるという場合とを分けて、関連的なものについては、対象が個人経営であるならば、その担保物件をいままでの例と変えた新たなる基準においてこれをやるべきじゃなかろうか、これが私の今日の考えであります。中金におきましても、同じように、ほとんどが組合系統融資で、これに担保を強要してやりますならば、組合が必ずしもそのとおり運営できないごともあります。また、融資が非常に局限される。しかし、関連的なもの、相手が一つの企業である場合には、一般金融機関以上に、やはりその資金のもと、原資を考えますと、より厳格に行なうべきじゃなかろうか。  この二つは、公庫及び中金に対する私の大ざっぱな考えとして、今回この融資をめぐって整理に当たる私にとっては、つくづくそういうことが感じられます。
  107. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、農民対象に貸し出す土地改良事業資金だとか何だとか、そういう場合はあまり問題はないのじゃないかと思う。実際融資される実態を見ておっても、公庫にしてもあるいは中金にしても、農民対象に金を出すという場合は、まあわれわれときどきその衝に当たることがありますが、きわめてこれは厳重で、なかなかむずかしいんですよ。むしろ私は問題は、農民対象土地改良事業その他の融資にあるのではなくて、やはり将来問題を起こしがちなのは、農業関連産業に対する融資の場合にあるのじゃなかろうか。これが、現在、私の記憶では、農中で関連産業に融資した残高が四千億を上回っておるはずです。それから公庫でももう百億近いのじゃないかと思うんですがね。これらの要求というのは今後私はますますふえてくるだろうと思うんですね。ところが、そういう関連産業に限って、典型的に今回示されたような共和製糖に対する融資のように、きわめて大ざっぱな、ずさんな融資が行なわれている。しかも、いろいろな政治的な背景を持って政治工作を伴いながらそういうことが行なわれる。これは実際に否定できないと思う。ですから、そういった問題の起こりがちなそういう部面に対するこれらの金融機関あり方というもの、これを私は深く反省する必要があるのじゃないかと、こう申し上げたので、その点はどうですか。
  108. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 公庫の関連産業としては、でん粉、ブドウ糖に相当なものを毎年出しております。その趣旨は、説明申すまでもなく、御承知のとおりであります。そこで、これらに対する少なくとも担保物件、少なくともその保証措置というものは、一般の銀行に負けない以上に多額なものを要求すべきじゃなかろうか。必ずしも担保によってその金融が全部左右されるものじゃありません。しかしながら、第一にそのものだけはまず第一順位確保するという上において政策的融資というものが行なわれなければ、非常な悪例を残すと私は考えております。中金公庫もその意味においては同じような範疇に入るのじゃなかろうか。中金ももちろん相当なものをとっておると思います、関連産業においては。しかし、ある場合には、政策という意味でそのほうが第二義的になって、政策が先に進み過ぎて、第一を忘れるという傾向は、これは私は反省しなければならぬと考えております。
  109. 矢山有作

    ○矢山有作君 これだけでとまっておるわけにいきませんから、公庫中金等の農業関連産業に対する融資あり方については再検討をしていただいて、再びこういうような問題の起こらないように万全の措置をひとつ講じていただきたいと思います。  それから次の質問に移るわけですが、今度調査をやられまして、調査報告にも出ておりますが、私は調査の内容等をいろいろな方面から聞いてみて、なかなか徹底した調査というものは困難じゃなかったかという気がするんです。特にこの間も申し上げましたが、支出を証明する一つの大きなよりどころになる融資先の相手方から出た領収書等々が、偽造されたりあるいはこれが紛失をしたりして、その突き合わせがきわめて困難だったということを聞いておるのですが、そういうふうに考えてよろしいか。特に私は極論すると、宮崎県庁から出た領収書だけが真実のものであって、あとはほとんど偽造であるか、だから、突き合わしてみて、一致しなかったか、あるいは領収書がないということで見せてもらえなかったか、こういうふうに私は調査の筋から聞いております。!これは簡単におっしゃっていただけばいいんです、それだけでこの質問はやめますから。
  110. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいまの御質問の点でございますが、今回の調査にあたりましてそれぞれ共和製糖——これは任意調査共和製糖協力調査をしたわけでありますが、そこで支払いの伝票とそれからその領収書を調査をいたしたわけであります。その場合の領収書は全部が全部というわけにはまいらないかもしれませんが、融資ないし資金交付に際してたとえば開発銀行にその写しを提出したその領収書、これがまあ違う領収書であったわけでありますが、それとは別ないわば真正——ほんとうにそのときに取引に基づいた領収書、これは保存してあったわけであります。大部分は保存してあったわけであります。そして、その保存のものとは別に、当時は偽造といわれております領収書を開銀のほうにその領収書の写しを出した。その写しのもとになったものは、やはり焼かれて今日ない、こういう状況であるわけであります。   それで、お話の宮崎県庁から出たもの以外はいずれも真正のものでなかったということは、大体おっしゃるとおりでありまして、それは当時共和製糖開発銀行に写しを出すときにそういう操作が行なわれまして、その操作をいたしたものはいまはもうございません。それで、いまは当時の真正の取引の領収書というようなものが大体保存されておる、それと突き合わせを行なった、こういうことでございます。
  111. 矢山有作

    ○矢山有作君 いまの御答弁で、いかに悪らつな偽造が行なわれておったか。ほんとうの領収書というのは宮崎県庁のだけである。あとは領収書その他全部偽造によって金を引っこくり出した。きわめて悪らつなやり方だと私は思うのです。それに振り回された銀行の側も全くこれは情けない話ですが、私は、やったほうの側のきわめて知能犯的なやり方に対しては、私だけではなしに、おそらくはとんどの人が憤激を覚えるだろうと思うのです。まあこれから融資にあたっては、融資先の相手方の領収書というものを真正なものは十分確認して、それでその控えはとって、そうして、金を出すにあたっては、事業の進行状態等をよくにらみ合わせて、慎重にやってもらいたい、このことをひとつ御要望申し上げておきます。それから次の質問に入るわけですが、質問がいささか飛び飛びになりますけれども、あとからどうせ関連が出てまいりますから……。「共和グループ資金繰りについて」という、「報告書」に添付された農林大臣が決算委員会で口頭で説明なさった分ですが、その説明によると、共和製糖は東食から十億六千万円の短期借入金をしており、「これは、四十一年二月から八月にかけて三回にわたり、それぞれ五億円、四億円および一億六千万円が借入れられたものである。」と記載しております。で、さらに、「四十一年八月末における農林中金からの東食借入金残高は、三十七億一千万円となっているが、このうちには、上記貸付の日付の前後に上記金額に見合う金額の借入れが行なわれているが、農林中金と東食との取引関係は極めて頻繁であり、融資後の資金の使途については、農林中金としては、承知していない。」と、こういうふうに出ておるんですが、具体的に四十一年の二月から八月にかけて農中から東食に融資されたその日にちと、それから東食から共和製糖に貸し出された日にちとをおっしゃっていただきたいのですが。
  112. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いま御質問がありましたのは、私どもこの大臣の補足説明で申し上げた三件以外の東食に対する中金融資の日付でございましょうか。
  113. 矢山有作

    ○矢山有作君 もう一ぺん言いますと、十億六千万というものが四十一年の二月から八月にかけて出ているわけでしょう。それの日づけと前後した形で今度は農中から東食に金が出ているわけですね。そのことを説明書に書いておられるでしょう。それを……。
  114. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 申し上げます。三回ございますわけですが、最初のものは四十一年二月一日に中金が東食に対して貸し出しをいたしまして、それに見合う金が二月の三日に出ております。それから二回目が七月一日でございます。これは七月一日に受け払いが行なわれております。三回目は八月五日でございますが、これもその日に受け払いが行なわれております。  金額を申し上げますと、二月一日に中金が貸しました分が五億、七月一日に貸しました分が四億、八月五日に貸しました分が一億六千万、以上十億六千万円でございます。
  115. 矢山有作

    ○矢山有作君 大臣、具体的にいま答弁をお聞きいただいたと思うのですが、この答弁を聞かれて、農中と東食と共和の間で、農中から東食に出し、東食から共和へ出す、こういうことでちゃんと何かおぜん立てができておったのじゃないかという印象を私は受けるのですが、どういうふうに印象としてお感じになりますか。
  116. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この事実を見ますると、中金と東食は非常に密接であった、東食と共和も非常に密接であった、まあこういうふうに感じます。
  117. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) この三点だけを取り上げますと、はなはだ受け払いの日付が近いわけでございますけれども、中金の東食に対する貸し付け実態を申し上げますと、ことしの一月から八月までについて申し上げますと、貸付件数が月に四件ないし十一件ございます。それで、貸し付けの額は全部で月にならしまして大体二十億くらいでございます。非常に多くの件数が中金から東食に貸し出されているうちの三件がいま申し上げました事実でございます。
  118. 矢山有作

    ○矢山有作君 中金と東食との取引が非常に密接だったということは私も承知をしておるのですが、いま申し上げた農中、東食、共和を通じて、金が、二度は同一の日に、一度だけが二日ほどずれて出ているわけですね。こういうつながりを見ると、やはり三者間でちゃんと話し合いが行なわれてこういう融資が行なわれたのじゃないかという疑いを私は強く持つんです。というのは、ここに共和製糖のバランスシートがありますが、これで見ると、四十年九月三十日のもので、三十九年の十月一日から四十年の九月三十日までの一年間に一億余の赤字を計上しております。この赤字はその後さらにふえておるはずなんです、きょうは申しませんけれども。こういう赤字会社に東食が自己の負担で十億六千万というような多額の融資を行なうということは私は考えられない。もしこういう赤字会社で、しかも東食と共和とのつながりから言うならば、東食は共和の経営実態をよく知っておるはずなんです。よく経営の実態を知っておって、それに対してしかも自分が危険負担をして十億をこえるようなばく大な金を東食から共和に出すということになると、これはへたをしたら東食の当の責任者は背任罪に問われかねないと思うんです。そういうような危険を何の裏づけもなしにおかすとは私は考えられない。農林大臣がもし東食の責任者だったら、そういうことをやりますか。これは農林大臣の職責を離れで言ってみてください。なお、銀行局長も、少なくとも金融の問題では非常にあなたは事情にお詳しいのですから、あなたももし銀行局長として言うのが差しさわりがあるのなら、金融行政に携わっておる人として、率直に私は意見を聞きたい。
  119. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私が農林大臣を離れて東食だったら、おそらく、共和との関連において、今後の事業が赤字でも立ち直る、また、それが自分の取引関係先であるということが第一条件、第二番目には万一の場合における担保の保全措置というものを考えた上ならば、これは行なわれることもあり得るであろう。それでなしに、ただ赤字でつぶれるということを見越してやるということは、これはないであろう。その判断は、そういう二つの判断をするであろうと私は思います。
  120. 澄田智

    説明員(澄田智君) この前もちょっと申し上げましたが、東食は、共和製糖との関係は非常に密接であって、原糖の輸入、製品の販売、これは全面的に最も主力な商社としてやっておりまして、したがって、そういう関係からして、もちろん共和製糖実態をよく知っているということはあると思いますが、共和製糖の経営の存続ということの必要の上からまあこういう糖価の悪いような時期にやむを得ずある融資をするというようなことは、これは取引の非常な密接な関係、取引の大きさというようなものから、場合によってはあるのではないか、そういうふうなふうに考えております。
  121. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ御答弁とすれば、ここでいくら責めたところで、その程度の御答弁だろうと思うのです。しかしへいかに取引が密接であろうと、共和製糖の経営の実態というもの、あるいは共和グループ全体の経営の実態というものは、この前の決算委員会でたしか泉国税庁長官がおっしゃったが、ほとんど赤字決算がもう毎年のように続いているわけです。そういう会社であるということを東食は十分に知っておるわけですから、そこに対して金を、しかも十億をこえるばく大な金を貸せるということば、私は自己の危険負担においてはまず責任者はやらぬと、こう考えるのが至当な考え方だと思います。まあその問題については後ほどまとめてまたちょっとお伺いしますが、しかし、いずれにしても、こういう点の解明はやはりやる必要があったのじゃないか。私でも、東食に当たって、その裏の内情というものを聞かしてくれるのですから、どういうぐあいでそんなつぶれそうな会社に東食が自己の危険負担において十億をこえる膨大な金を出したかという裏の事情くらいは政府で行かれたら私はわからぬことはないと思うのですが、行かれなかったのですか。
  122. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 東食を仲介としての中金共和製糖に対するクッション融資の問題が国会で御論議があったわけでございますけれども、私どもそれをそういう事実があるかどうかを確認いたします責任もあるわけでございますから、特にその関係の伝票を中金について洗ったわけでございます。で、そういうふうに言えば言えないことのないような三件を見出したわけでございます。しかし、繰り返して申し上げますけれども、共和グループ関係で共和産商が扱っております取引高は年間百三、四十億でございまして、そのうちの八割程度を東食が商っておるわけでございますから、東食と共和グループとの関係は、まあ普通の大代理店なり取引商社といわれるものよりももう少し密接な関係があろうかと思います。したがいまして、そういうきわめて密接な関係のためにそういう融資があったんであろうと推測されますが、中金等につきましても、クッション融資といいますか、要するに、中金、東食、共和との三者が話し合いの上でその融資をしたのでなければクッション融資というふうには厳密にいって言えないわけでございますから、中金等についてもずいぶんその事態の解明をいたしたわけでございますけれども、中金といたしましては、月二十億前後、あるいは件数にして月にして四件ないし十一件の貸し付けがある。その一々についてその使途を確かめるわけには事実まいらないし、また、三者でそういうことを話し合った事実は絶対にございませんということでございます。
  123. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあこれはいくらやっても水かけ論でしょう。私は、東食で、この問題は非常に重大だ、金融のあり方としても非常に重大だと思いましたから、直接先方の幹部から聞き出しておりますので、その点については私はあとからお話しを申し上げたいと思います。  なお、東食と共和の関係は、それは非常に密接ですけれども、共和と東食の間の取引関係というものをしさいに検討されたら、東食の共和に対して持っておる債権がどの程度あるのかというようなことも出てくると思うのです。東食は共和に対して持っておる債権というのは非常に少額ですよね。おそらく二、三ぐらいのものじゃないかと思います、的確な数字は覚えておりませんが。それらからしても、十億六千万という融資がぽかっと行くのは、私は非常に疑問があると思います。  次にちょっとお伺いしたいのですが、オルガノというのがありますね。ちょっとそこを調べておったのですが、そうしたところが、おもしろいことが出てきたので、これをどういうふうに解釈されるか、承っておきたいと思います。ここに発注書の写しがありますが、四十年の十月十四日に甘蔗糖の脱色装置移設工事というのを五百九十万でオルガノが請け負っているんです。この施設移設工事の契約をやった契約者は東食です。ところが、その工事を受けたほう、納入先は、共和製糖細島工場ということになっているわけです。金額にして五百九十万ほどでありますがね。それからもう一つは、四十一年の四月の二十日の契約になっておりますが、二億二千五百七十万円の甘蔗糖の脱色精製装置です。これも同じように契約者が東食です。納入先が共和製糖細島工場、こういうことで受注をしております。そうして、それをいまやっておるのですが、一部六千七百万円が支払い済みになっているということです。この間の調査をオルガノでおやりになったかどうか。もしおやりになっておれば、こういうことを東食と共和でやっておるのをどういうふうにお考えになったか。これらのことをきっかけにしてもっと深く検討をされなかったでしょうか。どうですか。
  124. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私ども調査いたしております結果を申し上げますと、この「調査報告書」にもございますように、二十五億五千万円ほどの中で、まず二十億四百万円の大口のものの支払い確認をいたしました中に、オルガノが脱色精製装置ということで一億二千万円の支払い確認をいたしております。  それからいまのお話に関連をいたすことでございましょうが、前回申し上げましたように、私ども「調査報告書」で七九%二十億の支払い確認をいたしましたが、その次に大どころのものをできるだけ支払い確認をいたしておるわけで、丸紅飯田以下四つないし五つのものにつきましてこの二十億四百万円のほかに二億八千七百万円の支払い確認を現在までのところいたしております。したがいまして、二十二億八千万円ほどの支払い確認、これは二十五億五千万円のうちの大体九割近くになるわけでございます。そうして、東食九千二百万円というものがございますが、これは第二期精製糖工場の関係でございまして、東食に九千二百万円支払いましたことを確認いたしておりますが、この東食はオルガノに相当部分請け負わせたといいますか、その金額は六千七百万とも聞いておりますけれども、その分は、東食がまず共和と契約を結んで九千二百万円を受け取り、その九千二百万円のうちオルガノにたしか六千七百万円ですか支払ったということを私ども調査の結果突きとめておる次第でございます。  最初にお話がございました四十年十月十四日五百九十万円の件につきましては、あるいは最初申し上げました一億二千万の一部かと思いますけれども、五百九十万円ということで調査に出てきておらないのでございます。
  125. 矢山有作

    ○矢山有作君 大体いま私が申し上げた点についてはお調べのようですが、そういうふうに東食と共和の間でやっておるというのは、いままでになかったことなんですよ。いままで私が調べた範囲では、こういうことまでやっておるということはない。これらを総合して考えると、東食が金を共和に出す場合に、やはり東食が危険負担をしなくて済むようないろいろな了解ができておったと思うんです。この点を私が調べたところを申し上げてみます。ですから、これはひとつぜひお調べをいただきたいのです。こういう融資が行なわれることがあるとするならば、これはもってのほかですから。  私が調べたところでは、これは東食の、名前は言いません、幹部ですから。その幹部の言うことにば、この十億六千万円を貸すいきさつは、菅と楠見氏より共和の融資をまず依頼をされた。東食としては、農中には非常に世話になっておるんで、この依頼を受けて実は困った。しかしながら、農中と東食とのつながりもあるから、融資をすることに踏み切りました。しかしながら、共和の実情から見てきわめて危険である。したがって、私のほうは担保の要求をいたしました。そのときに担保として話が出たのが、高槻の元の国有地、これは農林開発が取得したものですね、これを二十四万坪、単価一万五千円で三十六億というものがある。だから、ひとっこれを担保にして貸してやってくれと、こういう話だったと、あるいは貸してくれと、こういう話だった。そこで、東食としては、実は担保物件をみずから実際に調査をしようと思ったけれども、聞くところによると、すでに農中が——聞くところによるというのは、そのときに話が出たんですね。農中が二十三億七千五百万円の根抵当権をこの高槻の旧国有地に対して設定をしておられる。そこまでやられるということになれば、私のほうは農中との関係もこれあり、農中の言うことも一応信用いたした。で、坪数はそのままで信用いたしましたが、土地評価については、いろいろと考えてみたところ、ちょっと無理があるようだ。そこで、単価を六千円から七千円の間で評価をいたしました。  それで、私のほうから、じゃ、六千円から七千円の間で評価をしたというのは、ずばりと金額を言えば六千五百円と評価をしたのじゃないかと言いましたら、にやりと笑われまして、何ともおっしゃいません。私がなぜそう言ったかというと、二十四万坪、単価六千五百円でこれを評価すると、ちょうど十五億六千万円になります。ところが、この高槻の元の国有地の登記簿をとってみると、これに四十一年の二月十八日に極度額十五億六千二百五十万円で根抵当権が設定をしてあります。さらに、所有権の移転の仮登記も念を入れてしてあります。そうしてまた、その四十一年の二月十八日に抵当権を設定したその内容を読んでみると、原因は四十一年の二月一日商取引契約についての同日設定契約、こういうことになっている。そうすると、最初に農中から東食に金が出たのが、四十一年の二月一日に五億出ているわけですね。それが四十一年の二月三日にそのまま共和に入っているわけです。これらのことを考えると、私は東食の幹部の言われた事情が伏在しておらなければ、東食としてはおそらくこういう膨大な融資を自分の危険負担で何の裏づけもなしに共和にやられるわけがない、こう思うんです。私の話をもとにしてひとつ精密な調査を要求をいたします。私はただ金が出たとか出ぬとかいう問題ではなしに、そういうような融資というものはこれは明らかに違法です。こういうような違法融資をこんな巧妙な手段でやられる。しかも、その裏には、東食の幹部の言うように菅、楠見氏、この両者の依頼があり、東食をまじえて三者の間の話がついて、そうして裏づけをとってやっているのですから、こんなでたらめな融資はないと思う。今後ひとつ徹底的にこれはお調べを願いたい。
  126. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 本件につきましては、私ども十分注意して調査いたして、否定的な結果が出たわけでございますけれども、だんだんのお話でございますから、今後もひとつさらに調査を進めてみたいと考えております。
  127. 矢山有作

    ○矢山有作君 いま申し上げたように、これは私の一方的な説明に終わりましたけれども、こういうことをこういう場で言うということは、これは会議録にも残ることだし、新聞にもひょっとしたら書かれることなんで、こういうことは根拠がなくて言えることではありませんから、したがって、十分お調べをいただいて、そういうような違法融資をやったその責任の所在というものは私は明確にしていただきたいと思います。  次の質問に移りますが、国税庁、見えておりますね。——国税庁が見えておったら、私は国税庁がかなり精密な調査をこの共和のグループに対してやっておられるということを承知しておりますので、調査がまとまっておるまとまっておらぬということはさておいて、現在の調査の段階で確認できた事柄を御説明を願おうと思っておったわけです。しかしながら、手落ちで国税庁長官が見えておらぬようですから、時間の関係もありますから私のほうは質疑を進めてまいりますが、できるならばこれは銀行局長にお願いをしておきたいのですが、国税庁の現在の段階における共和グループ調査の結果、特に細島工場に投入された事業費をめぐる実態について、お知らせ願えるならば次の委員会の機会にぜひともお知らせいただきたいと思いますが、この点はどうでしょうか。
  128. 澄田智

    説明員(澄田智君) 国税庁のほうに連絡をとってみまして、調査の進行状況それからこの次のときにというお話でございますので、この点をよく国税庁と連絡をしてみたいと思います。
  129. 矢山有作

    ○矢山有作君 それではお願いをいたします。  次にお伺いしたいのは、この前のときにちょっと触れた問題ですが、これは時間が切迫しておった関係で御答弁をいただかないでそのままに済ました問題ですから、ちょっとお聞かせ願いたいのですが、今回の調査で三機関確認された事業費、これが「報告書」には二十五億五千三百万と出ておりますが、この中に今回の三金融機関融資をする際に融資対象にならない事業というものがあるはずなんですが、それがどういうものかということをお調べになっておりますかどうか。
  130. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 金融機関が今回の細島融資にあたりまして対象としておらなかったということが、たとえば第二期の精製糖工事までも含めてお話しになるのでしたら、それはそういうことはございます。しかし、そういうことではなくて、むしろ細島工場以外にどこかで共和の事業をやっておって、その分に流れているのではないかというお話でございますならば、当時の事情調査いたしましたところ、他の地点において横浜、千葉等々、共和グループ工場を持っておりますけれども、共和グループ関係の細島以外の他の工場において建設をしているという事実はございませんから、細島以外に金はある程度流れているということは私はないと信じております。
  131. 矢山有作

    ○矢山有作君 私がいま融資対象にならない事業があるんじゃないかと言ったのは、細島の分です。第二期の精製糖工場融資対象にはならぬということはわかるのですが、まだほかにあるような気がするのですけれども、たとえば社宅関係で計上されておるもの、これはおそらく砂糖工場事業計画による融資対象あるいはブドウ糖果糖事業による融資対象から見たらちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。これは銀行局長のほうにお伺いしましようか。
  132. 澄田智

    説明員(澄田智君) お話しのとおり、社宅の関係がこの中にございます。この点は、当初の会社側のこの「報告書」にも出ております事業計画の中には入っておらないものでありまして、したがって、当初の計画の積み上げの中にはないわけでありますが、ここで細島に支出されたというものを全部確認いたしました中には、いまのお話しの社宅は入っております。この前御質問がございまして、該当を探してみたのでございますが、いま経済局長から第二期工事を申し上げたのと、ほかには社宅ぐらいが該当するのじゃないかと、こう考えております。
  133. 矢山有作

    ○矢山有作君 それからその他社宅としていろいろ計上されている分と、さらに私は事務所として計上されているもの、これも事業計画にないし、事務所なんという施設は、こういう事業に対して融資する場合の対象外と考えているのですが、その点はどうですか。
  134. 澄田智

    説明員(澄田智君) 当初の計画の中にその点があるかどうか、なお調査してみないと、いまちょっと即答できかねるのですが、建物という中に入る部分もあるのじゃないか。したがって、これは、社宅の場合と違いまして、全然これが融資対象にならないということは言い切ることができないのじゃないかと思います。
  135. 矢山有作

    ○矢山有作君 この事務所の評価も、それぞれ千五百万から三千万の間で行なわれておりますが、私の手元にある事業計画書では、全然事務所は出ておりません。しかも、計画書には建物の名称が全部はっきり載っておりますから、そういうことでこれは私は融資対象事業外だと考えております。したがって、この点もひとつお調べ願いたいと思います。  そうすると、融資対象事業外のものに使われた金を計算してみると、大ざっぱな計算ですが、開銀で事務所を含めまして三億六百万ぐらい、公庫で三億五千五百万ぐらい、農中で二億六千一百万、これはそちらから提出された資料そのままで言ったんですが、そういうふうになると思います。したがって、融資対象事業としてちゃんと正当に使われたのは、それを引いた金額になる。だから、開銀なら二十二億四千七百万円、公庫なら二十一億九千八百万円、農中なら二十二億九千二百万円、こういうふうになります。したがって、調査をして報告書を出される場合に、込みで全部でこれだけかかりましたというような報告では私たちは困るので、この共和に出された金がいかに正当に事業費に投入されたか、不正にそれ以外に使われたものがどれだけあるのか、こういう点は明確にするということが一つの焦点なんですから、したがって、そういう点は、報告書自体にも明確に示す必要が真相究明を約束される政府としてはあると思います。今後、そういう点は、大臣、明らかにしていただけますね。
  136. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま御指摘のとおりの数字かどうか知りませんが、なるべく明確にいたしたいと思います。
  137. 矢山有作

    ○矢山有作君 さっそく御調査を願います。  それからもう一つは、「細島コンビナート工場建設工事費の支払に充てられた資金は、二十五億五千三百万円であり、うち、四十一年八月末までに十九億八千四百万円が現金支払済みとなっている。その差額五億六千九百万円は手形振出し済みである。」と、こうあるわけですが、私はこの数字についてはこの「調査報告書」を全部信頼するとしても、三金融機関から細島工場に対して融資をされた最終の融資は、民間をも含めて四十年の九月三十日が最終なんです。特に集中的に融資が行なわれたのは三十九年です。念のために申しますと、三十八年に三億五千万円融資されたことになっている。三十九年に十四億五千万円、四十年の九月三十日までで四億円融資されておるわけです。そうすると、その時期的なズレがまず一年あるわけですね。四十一年八月末で調査されたその四十一年八月末までのズレを見ると、まるまる大体一年ある。そうすれば、手形支払い済み云々というのは、これは融資の金がそれに充てられたということにはならぬ。言い方がちょっとむずかしいのですが、おそらくこれは他に流用された。実際に融資を受けた金で事業費として支出されていったのは、決済済みになっておる十九億八千四百万円だと、こういうふうに解釈をしておるのですが、その点、銀行局長、どうでしょうかね。
  138. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいまの御指摘のような日時の関係等から考えますと、資金の流用ということはこの面でもやはりあるのではないかと、こういうふうに考えられるわけでございます。
  139. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ私もそういうようなところに資金流用をやっておるだろう、こういうふうに考えておったわけですが、そういうふうな同じ見方をされておるようですから、次に移りますが、支払い確認工事費二十五億五千三百万円のうちで、またその後確認されたものもある由ですが、七九%、二十億四百万円だけがいまのところ確認されたということで、報告書では出てきたわけです。未確認のものが、そうすると五億四千九百万円があるわけですね。私は、これはこの間も申し上げたのですが、ここのところがいろいろと言いのがれ——一番くさいものがあるのじゃないか、こういうふうにどうも考えられるんです。で、この点でやはり全部の確認を精力的にやっていかぬと、実際に事業費外に流用されたものが的確につかめぬと思うのです。やはり、共和グループの問題の場合には、どれだけが正当に使われ、どれだけが事業関係外に不正に流用されておったかということを突きとめることが一つの大きな眼目であるし、そしてその使途を明確にすることがいわゆる黒い霧だといわれておるものを解明するもとになるのですから、したがって、この点を徹底した調査をやるべきだ。私は、五億四千九百万円というものは、これは実に信用ならぬ。まあ極論すれば、これは未確認のもの全部がそうだと言うのじゃないんですよ。そういうふうな情勢の中で、五億や六億は事業費の水増しか何か知らんがいろいろな形で使われたものがあるのじゃないかと、こういうふうな感じがするわけです。
  140. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもも、できるだけ確認をしたいと思って努力をいまでも続けておるわけでございます。七九%大口のところが二十億四百万円、これが全部ぴしゃっと合っておりますので、あとは現在の時点で大体いいのではないかという推論をしたわけでございますが、その後今日まで確認いたしました幾つかのものを申し上げますと、丸紅飯田五千三百万、東食九千二百万、九州電工五千五百万、住宅公団八千万、合計二億八千万円でございます。これは支払い先について確認をいたしております。したがいまして、全体といたしましては、さきに確認いたしました二十億四百万円と、今回確認いたしました二億八千万円とを含めまして、約二十二億八千万円でございます。全体の支払い想定額二十五億五千万円に比べますと、九〇%ほどでございます。残りは非常に小さなものが多くございまして、私の手元にあります資料によりましても、大体八、九十から百くらいあるわけで、主として地元の建設業者その他でございます。目ぼしいものはなお今後も私ども確認努力をいたすつもりでございますが、九割のところは会社の帳簿と支払い先の帳簿と合っておるわけでございますから、私どもいよいよ全体の二十五億五千万ほどのものが確かに支払われたという自信といいますか感じ方を強めておるのが今日の状態でございます。  なお、今後も確認努力いたすつもりでございます。
  141. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは、融資の相手方できちっと確認しておられますね。
  142. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 融資の相手方といいますか、共和製糖関係と、それから丸紅飯田、東食、九州電工、住宅公団等、先方と突き合わせております。
  143. 矢山有作

    ○矢山有作君 ところで、これは、私が具体的にどういうもの、どういうものということまで的確に全部つかんでおるわけじゃありませんから、そのつもりでお聞き願いたいのですが、この問題を調査しておるときに私が聞いたのは、細島工場分として支出されたものの中に共和グループの中の他の工場用のものがいろいろと含まれておる、修繕だとか部品だとか、そういうものも含まれている、こういうことを聞いておりますが、この点は、おそらく私は確認が非常に困難だろうと思うのです。ところが、これは共和の内部からの話ですから、したがって、その点もやっぱり融資の使途を明らかにするためには、今後の問題として御努力願いたい。おそらく、こういう点の調査は、私はもう政府の段階ではあるいは困難かと思います。そうすると、司直の手でこれは明らかにされるだろうと思いますけれども、しかし、政府としてもやはりこれは明らかにしておいてもらいたい、こう思います。
  144. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いま御指摘の点の確認は、実は非常にむずかしいことでございます。現に、私ども確認の途中でも、領収書が見当たらなかったり、帳簿には載っておるけれども領収書がないというようなことが何回かございますから、非常にむずかしいことでございますけれども、できるだけ私どもとにかく実態の把握ということをやるつもりでございますから、努力はいたすつもりでございます。
  145. 矢山有作

    ○矢山有作君 それから細島工場事業費で盛んに値引きさしているのですが、これはっかんでおられますか。
  146. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) これは二十五億の支払い額であの工場ができたことをどういうふうに評価するか、いろいろな評価のしかたもございましょうけれども、経営の責任者としてはずいぶん相手をたたいて安く仕上げたというふうに私ども幾つかの会社から話を聞いた過程で考えております。値引きをさしたり値をたたいたり、相当無理をさして設計なり調製なりをさしておることは事実のようでございます。
  147. 矢山有作

    ○矢山有作君 ところが、私のことばが足らなんだかもしれないが、その値引きをさしたものを、値引きをして実支払い額でちゃんとやっておればまだしもなんですが、値引きをして実支払い額を計上してないのがありますよ、私の調査したところによると。ですから、こういう点まで立ち入ってやはり調査をする必要があるのじゃないか。  たとえば、一つの例を申し上げますと、私いろいろ当たってみましたが、私の当たった範囲では富士電機とか扶桑通信あたりにそれがあるようです。したがって、こういうそう巨額でない事業をやらしておるところでかなりの値引きをやらしておりますから、わずか三千三百五十万円ほどの受電設備に対して三百万円くらい値引きをやらしておる。それから三百万円ほどの電話交換機に対して六十万円ぐらい値引きをやらしているのですが、こういうことをやっておるようですから、これはひとつ後日また十分お調べ願いたいと思います。  で、以上のことで私が受ける印象としては、かなり精力的にそれは調査をやられただろうと思います。思いますが、あの共和製糖の菅のやった巧妙な手口から見て、私は非常にまだ疑問を持っておるわけです。その疑問を持っておる根拠を言うと、いまそちらからおっしゃったように、支出の真正を証明するというものはもうほとんど何もないわけですね。なかったわけですね。だから、したがって、相手先を何とかして確認する以外には手がないわけです。徹底した偽造の領収書その他のいろんな文書によって金を引きずり出しているこのこと、それからもう一つは、その事業費に充てたといいながらその行き先が細島工場外に行っておるということを共和の内部から私は聞いております。これはやがて検察庁の段階で明らかになるでしょう。それからもう一つは、先ほど言いました値引きなんかもかなりやらしているわけですね。これは、おそらく、値引きを正直に認めて出したところもあろうし、出さないでやっておるところもあろう、こういうふうにやはり考えざるを得ぬわけです。そうすると、二十五億五千三百万円が細島事業費に投入をされておる、それで二十二、三億のものを確認されたとおっしゃるけれども、私どもは先ほど申し上げたような大まかに言って三つの点から判断しても、必ずしもそういうふうな結果になりがたい場合があるのではないか、そういう疑惑を私は強く持ったわけです。  この問題に対してどうしてしつこく疑惑を持つかというと、先ほど来言っているように、融資の行き先というものを解明する必要がある。だから、その点はやはり徹底すべきだと思うのです。私はいくら見積もってもせいぜい十九億か二十億、二十億もとても購入していないだろうと思いますが、私がいままで調べたところ、先ほど言った共和の内部の方から聞いたところでは、その当時仕事の中心であった人です、その方から聞いたところでは、とても二十億の事業費の投入はやってない、こういうことをはっきり言っております。これはおそらく先ほど言った検察の段階で明らかになるでしょう。そのことを一つ私は申し上げておきます。ぜひこれは徹底した調査をあなた方のほうでやって、また、検察で解明されたものともあわせてひとつ御注意を願い、さらに全貌を明らかにするように努力をしていただきたいと思います。  それからその次は……
  148. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いまのお話でございますが、いま御指摘になりましたたとえば富士電機の問題でも、私どもの調査によりますと、共和からの申告は三千六百七十万円の支払いということになっておりますが、富士電機に確認をいたしましたところ、未払い分が百三十万円まだあるということで、現実に受け取った分が三千六百二十五万三千円である。それで、共和製糖の帳簿と突合しない分が四十四万七千円私どもの調査でも出てきております。しかし、これは富士電機の人が言いますのにも、未払いが百三十万円ということについて、どうも確かな記憶といいますか資料もなくて、この点、共和の三千六百七十万円が正当であるのか、富士電機の三千六百二十五万三千円だけが正当であるのか、あるいは未払い分のうち一部が支払われておって、大体共和の三千六百七十万円に合う数字なのか、いずれにしても四十万円ほど——三千六百万ないし三千七百万のうちの四十万円ほどでございますけれども、どちらとも確認しがたいような現状で、私どもなおこの点調査をいたしたい、こういうふうに考えます。  それから二十五億の支払い額に対して、紀島に二十億程度までも支払いが行なわれていないではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、細島工場建設中に共和グループ関係で他に大きな工場をつくっている事実はございません。いまの二十五億と二十億の違いの五億も、支出して新しい工場建設したという事実は全然ございません。それからまた、共和のやり方として値引きをさしたり値をたたいたりしておりますけれども、私どもが調査して確認いたしましたのは、実際共和が払った金と相手がもらった金との突き合わせでございますから、ここのところは九割ほど完全に合っておるわけでございまして、共和が払った金と実際相手方がもらった金とはどうもその間に違いはないというふうに私ども存じております。しかし、まあ私ども行政権といいますか行政府としてできるだけのことをいままでやって、これ以上はあるいは司直の手にゆだねる以外に直相はわからぬというふうに申し上げてもいいのかわかりませんけれども、なお私どもができる範囲で今後も支払い確認努力は続けたいということを重ねて申し上げたいと思います。
  149. 矢山有作

    ○矢山有作君 新工場はやっておりませんが、現在動いている工場の部品の補給だとか、修理だとか、そんなものです。  それから先ほども言ったのですが、手形で残っているのが五億六千九百万と、こう出ておりますね。私はこの問題についてはメーカーに当たってみましたら、全部払ってもらえるかもらえぬかわからぬというので非常に心配をしております。メーカー側はこれがもう頭にきております。それで、どっちかというと、おそらくこれはもう払ってもらえないのじゃないか、こういうことを言っております。したがって、この五億六千九百万は、明らかに先ほどお話が出たように他に流用されている。十九億八千万、決済の済んでいるものは融資された金でこの細島に投入をされた。それで、手形で出しりぱなしでほったらかしになつて現金決済のついていないこの五億六千九百万、これは他に転用されている。このことは、私は、先ほども銀行局長ですかおっしゃったように、その疑いがあることは明らかだろうと思います。  それで、次は……
  150. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいまの点でちょっと私の先ほど答弁を申し上げました点を補足さしていただきますと、たとえば精製糖工場のほうを例に引きました場合には、支出された事業費よりも融資金額のほうが少ない形になっているわけでございます、総額において。そこで、結局、自己資金を投入するというふうに当初の事業計画になっております分が、先ほどからもいろいろお示しのあったように、その自己資金というものがなかなか手当てができなかったというようなことになっている面、そういうものがあるいはいま手形でもって未決済と、こういうところに回っているもの、金に区別はございませんから、どれがどれかは言いかねるわけでございますが、そういうことも一方言えるのではないか、こういうことを補足さしていただきます。  それから先ほど事務所の問題が出ましたが、いま当初計画を当たりましたところ、当初事業計画の中に、事務所と分析室ということになっておりますが、事務所と分析室三棟百十坪というものが入っております。この分は、当初の計画の中にもあった事務所の建物だということになっております。
  151. 矢山有作

    ○矢山有作君 融資金が足らぬで——自己資金を投入することになっておる。というのは、農中が十億です。それから開銀が八億ですね。それから公庫が四億。それで二十二億。それから三和が三億、宮崎一億。ですから、細島融資されたものは総額二十六億。それが四十年の九月三十日で全部出てしまっておるわけです。出方については、先ほど私が申し上げたとおりですが。で、ここで出てくるのは、現金でもう決済がついたものが十九億八千四百万円ですから、やっぱり融資をした金が浮かされてよそへ流れているということはここで出てくるのじゃないか。つまり、二十六億金を借りた。自己資金は一文も投入しないで事業をやって、現金決済したのが十九億八千四百万円である。したがって、その差額の大体六億ちょっとは浮かされたものだ、これが流用された、こういう結論になると思うのですが、局長、ちょっとその辺の数字を誤解されておるのじゃないですか。
  152. 澄田智

    説明員(澄田智君) 私は精製糖部門と分けて考えたようなことで答弁を申し上げましたが、一緒にしていまの融資の金額の総計とこの二十五億との関係は、おっしゃるような数字になります。
  153. 矢山有作

    ○矢山有作君 投入された実際の事業費を問題にしておりますから、やはり全体としてつかんでいただきたい。  それから次に移りますけれども、共和中核三社の短期借入金は二十九億五千二百万円となっておりますね。ところで、私がお伺いしたいのは、一体ブドウ糖砂糖に対して運転資金というものをどれくらい見たらいいのかという問題なんですがね。先ほど言いました二十九億五千二百万円に間違いがなければそれを御確認願って、それから運転資金の問題でこれはひとつ特にお願いしたいのは、農林省からもお答えになりたいだろうけれども、砂糖なんかについては大蔵省がよく実態を把握しておられるのじゃないかと思うので、砂糖なんかの場合に運転資金というものは一体どれだけ要るのか、ひとつ御説明を銀行局長のほうにお願いしたい。——いやいや、銀行局長からひとつ。食糧庁長官にはまたあとで聞きますから。
  154. 澄田智

    説明員(澄田智君) 実は、運転資金の計算は、お話がありまして、分担してやって、農林省のほうにお願いをして、農林省のほうで計算をしておりますので、私が申し上げてもその数字を申し上げることになりますし、計算をいたしました農林省のほうからやっていただくのが適当かと存じます。
  155. 矢山有作

    ○矢山有作君 農林省から出していただいたこれにいろいろ問題点があるんです。実際に日本の一流の精糖会社に直接私は聞き合わせて、さらにそれだけでは足らんので精糖工業会にも聞き合わせて、一体砂糖というものに対して運転資金というものがどれだけ要るのかということをいろいろ聞いて説明を受けたんです。その説明を受けた頭で農林省から出てきたこれを見ると、何とも合点がまいりませんので、それで私は銀行局長のほうが、大蔵省という関係で、砂糖を輸入しておりますから、関税の関係もあるし、いろいろなことでよく御存じじゃないかと思ってお伺いしたのですが、まあ銀行局長のほうからお答えになると、おそらく食糧庁が言うのと答弁は食い違うと思うのです。食い違うと思いますから、それで銀行局長も用心をして、食い違ったのではたいへんだということで言われんのでしょうから、食糧庁のほうにちょっとお伺いしたいのですが、どういうふうなことでどれくらいの運転資金というものが要るのか、砂糖ブドウ糖について言ってください。
  156. 大口駿一

    説明員大口駿一君) この前決算委員会において矢山先生から御要求がありました資料として本日お配りをいたしておるものがおそらくお手元に配られておると思いますが、「ぶどう糖製造業および砂糖精製業の運転資金」、これは、この前、年間の運転資金という御要求がございましたが、一応ある時点をとっての運転資金というふうに私のほうでは理解をいたしまして計算をいたしたわけでございますが、ブドウ糖工場にも、たとえば製造日数でありますとか、製品の在庫日数でありますとか、いろいろな違いがあると思いますが、平均的な日数というものを頭に置きまして、かたがた製品の販売における商習慣、通常幾日のサイトがついておるかということ、それから原料取引においてどれだけの期間のサイトがついているのが普通の商習慣であるかということを認定いたしまして、それから操業規模を一応百トンというふうに置いて計算いたしましたのが十億五千七百八十万という数字が一応計算されておるわけでございます。この中に使用いたしましたたとえば原料代は、これは通常取引をされておりまする最近の原料代の市価から平均的な数値を求めて使用いたしました。それから加工費も、いろいろな工場の加工経費の平均値というような形で織り込んでおりますので、ある特定の工場に具体的にこういう数字が当てはまるということではなくて、一応平均的な姿というものを想定をして計算をいたした数字と御理解をいただきたいと思うのであります。  砂糖につきましても、ほぼ申し上げることは同様でございまして、最近の輸入価格を基礎といたしまして原料代といたします。これに所要の関税とかあるいは糖価安定事業団の瞬間タッチ売買等に伴って精糖会社が負担をいたしまする売買差損等を置きまして計算をいたしたものでございまして、製品並びに原料の取引の商習慣に基づいて手形のサイトに要する日数を差し引きました点は、ブドウ糖と同様でございます。その上日産能力を一応五百トンということで計算をいたしました数字がお手元にありまするような九億七千五百九十六万円という数字でございまして、ただいまも御説明いたしましたような前提で一応の計算をいたした数字というふうに御理解をいただきたいと思います。
  157. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、この説明が、この計算がわからないんです。私の聞いたところでは、運転資金なんてこんなべらぼうに要るもんじゃないというんです。私が聞いたところは、これは名前だけは伏せます、日本の一流の企業ですから。そこの担当者にきょう聞いたんです、どうしても納得がいかんから。とくと聞いたら、端的に言うてしまうと、いまの原糖の輸入、そうしてクリーニングして製品で出す、この過程から言うたら、一文も運転資金は要りませんと。もし要るとするならば税金関係ですね。関税とか消費税というのがありますが、それはあるいは見なきゃならんかもしれないと。しかしながら、押して言えばこんなものは全然要らないというんです。ですから、こういう報告書を出されるんなら、あなた日本の精糖会社の数あるのを当たってみたところで知れているんですから、全部当たってみてください。それはなぜかといいますと、簡単に申し上げますと、原糖を輸入しますね。そうして手形を切ります。まあ二カ月か三カ月の手形を切るでしょう。それはまあ場合によって違うでしょうがね。そうしてクリーニングをして今度それを出して手形をもらいます。二ヵ月くらい。それで片がついちゃうというんです。ですから、運転資金が要らないというんです、大ざっぱなところ。詳しい説明はしませんから、大ざっぱなところを言いますと、要するに、原糖が入る。手形を切ってやる。そうして製品になるのにたしか一週間足らずと言っておりましたかね、それを出しちゃうとすぐ手形が入る。これでいったら、金利は多少出てくるかもしれませんが、運転資金なんてこんなべらぼうなものはないとびっくりしていました、これを言うたら。要りませんよ、こんなものは。税金関係を見るくらいのもの。しかも、その税金関係も押して言えば要らない。何も運転資金だというてやかましく言う必要がないわけです。この点は、きょう議論すれば、おそらくあなたはこれを盾にとられるでしょう、あくまでも。私は現在のいわゆる精糖業、あのクリーニング屋の会社の方から直接聞いたんだから、あなたがおかしいと思われるなら、これは会社に当たって聞いてください。これはおかしいですよ、この出し方は。
  158. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 私ども、運転資金というものは、一応さっき申し上げたような前提で作業をしてつくったわけで、また、専門の工場に全然一言も聞かなかったわけではないので、ただいまおっしゃるように全部当たったわけじゃございません。私が直接聞いたわけじゃございません。担当の者に聞かしたわけですが、その報告によると、その担当者はこの数字でそう驚いていなかったという報告を聞いておりますので、どっちがほんとうか、もう少し調べさせていただきます。
  159. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは、私が言ったように、おそらくそういう言い方をして水かけ論になると思いますが、私は精糖会社に当たり、さらに精糖工業会にも当たっていますが、これは要りません。こんな膨大な九億なんていうような運転資金は要らない。せいぜい見て税金負担だけです、見なきゃならんというのは。  それからもう一つは、ブドウ糖のほうがあります。ブドウ糖のほうも——これは私はこのやり方には多少の疑問を持っております。説明を受けましたが、ぶどう糖工業会の幹部から聞いたところによると、私はこれで計算してくれと言うたんです。きょういまのブドウ糖の関係から日産何ぼぐらいかはじき出して計算してくれ。大体、業界のことだから、知っているわけです。それで計算をさせたら、特殊な事情を抜きにして、一般的な計算として出す場合には、共和のあの生産能力ならブドウ糖に対して運転資金として見なきゃならんのはせいぜい五億どまりです。もし、いまのようなでん粉業界状況ですから、当用買いで行くとするならば、二億か二億五千万あったら十分運転はっきます、こういうことです。あなたは、これに対しても、おそらく、わしはわしでまた調べたんだとおっしゃるでしょう。けれども、私は調べて全くうそのことを言っているわけじゃないんですから、これは水かけ論になりますから時間の関係でやめますが、そういうことです。  したがって、運転資金としてここに提出されたもの、砂糖で必要運転資金が九億七千五百万、ブドウ糖で十億五千七百万、こういう数字はあり得ませんよ。ブドウ糖の場合には多少私は疑問は残ると言いました。しかしながら、砂糖については絶対ありません、これは。そのことを断言しておきます。  それで私は考えてみると——笑いごとじゃないんですよ、長官。これはあんた実際に調べて運転資金が要らなんだら、たいへんですよ。これは私がこうしてしゃべりおるんだから、この運転資金がはたしてどれだけ要るかという問題は、不正に流用されたものが何ぼ出てくるかということに密接な関連を持ってくるんだから、きょうお聞きになっている傍聴の方々、報道機関の方々にしたって、このままじゃ済まされんだろうと思う。この点を的確にある程度つかんでいくことが、この短期借入金が不正流用されたものが一体どれくらいあるかという大どころの目安をつけるもとになるんですから、これは笑いごとでは済ません問題ですから、それはよく腹へ入れておいてください。そうして考えてくると、共和の短期資金が、先ほど何とか言いましたね、二十九億ですか。その報告書に出ておるのが二十九億五千二百万円短期資金が出ております。そうすると、二十九億五千二百万円という短期資金は、私がかなりブドウ糖の場合は疑問を持ちつつ五億なり六億なり見ていく、あるいは砂糖について関税分だけは要るかもしれぬという見方をしても、ゆとりの出る金が二十億くらいは出てくるはずです。私はいままで説明したような基礎に立って言っておりますから、少なくとも二十億、もし多く言うならば二十二億、これだけのものは全部浮いてきます。運転資金として必要とされるのはせいぜい七、八億程度のところと、こういうふうに私は断言して差しつかえないと思います。こういうふうに思っております。そこで、これは、あなたのほうじゃ、どうせ質問の形をとれば反論してくるでしょう、わざわざ御丁寧にこんなものを御苦労してつくっていただいたのですから。だから、私は、一応この水かけ論はやめて、あなたのほうでも御調査をなさる。私のほうでもなおブドウ糖については念のため調査いたします。砂糖については、これは調査の必要なし、これは明確です。そういうことで、そういう立場に立って話を進めてまいります。  次は、共和糖化の千葉工場ですね。これにかつて公庫がたしか七億一千万融資をされたと思うのです。ここでこの建設事業をやるときに、事業費の水増しが行なわれたという事実が共和の中の幹部から明確にされております。このことをお聞き及びですか。
  160. 大沢融

    参考人大沢融君) 聞いておりません。
  161. 矢山有作

    ○矢山有作君 政府の方も聞いておられませんか。
  162. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもも聞いておりません。
  163. 矢山有作

    ○矢山有作君 このことも、おそらく、検察が捜査を進めていくならば、その段階で出てまいります。これも間違いのない事実として内部の話で出ておりますから。  そして、そういうふうにずっと総合して考えていくと、私の結論はこうなるんです。共和中核三社で、長期借入金は、共和糖化の千葉工場、日本糖化、これはもとの明利酒類ですね、これを除いて、細島工場分だけで、先ほど言いましたように大体六億浮いてくる。それから運転資金では、いま申し上げましたように二十億から二十二億くらいのところが浮いてくる。そうすると、合わせて二十六億ないし二十八億ほどのものが出てきます。それだけのものが出てくるわけです。そうすると、これが、事業やあるいは事業に対する施設やあるいは事業運転資金、要するに事業関係として使われるだけでなしに、二十億や二十二億という膨大なものが外部に使われておるということです。それで、さらにそれに千葉工場の分を含めて考えていくと、おそらく二十七、八億の不正流用が浮かんでくるだろうと、私はこういうふうにいろいろな調査からまた先ほど申し上げたようないろいろな根拠から申し上げて差しつかえないと思うのです。  そこで、私はここでお聞きしたいのは、一体、銀行局長が御調査になったときに、累積赤字がどれだけあるかという問題なんですが、これはこの場で銀行局のほうからおっしゃることにはいろいろ問題もあろうかと思います。そこで、私のほうから、ここに現に全部バランスシートを持っておりますから、それで出したところで集計したものを参考のために申し上げてみます。私はおそらく当たらずといえども遠からず、あるいはどんぴしゃりとその金が合うかもしれぬと思っておる。それは、一つは、四十年の四月一日から四十一年の三月三十一日の間の共和産商のバランスシートです。これは私が前々から持っておったものですが、これによると、共和産商で二十二億六百五十万余の欠損金を出しております。それから共和製糖で四十年の九月三十日の決算で八千五百万円を出しております。共和糖化で四十年の九月三十日に二億二千三百万円を出しております。日本糖化で四十年九月三十日に八千八百万円を出しております。東洋果糖で四十一年三月三十一日に七千万円の欠損金を出しております。これに農林開発の欠損金が四十年三月三十一日で四千万出ておりますが、共和三社中心に調べられておりますから、農林開発の分だけは除いて考えていいと思いますが、農林開発を入れれば五社で五億八百五十万円の欠損金を出しております。そうすると、共和産商の二十二億何がしを加えていくと、二十七億一千五百万から二十七億二千万程度の欠損金が出てまいります。これは、現在までのところ、おそらく正しいのじゃないか。しかも、その後これは多少ふえておるかもしれぬ。だけれども私の言った数字、欠損金が大体二十七、八億、二十七億一千万か二千万程度のところだということについては、全面的に違うなら違うと言っていただけばいいし、大体合っておるならば合っておると言っていただいていいし、というのは、私はそちらのほうの調査で申し上げておるのではなくて、私は前の決算書をもとにして申し上げておるわけです。その点はどうですか。
  164. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいまお示しの数字、その各社の累積の損失額、決算書で当たられたと思いますが、私どものほうがそういう計算の方法で当たりましたものとほぼ同じでございます。それからまた、ほかに中核の三社についての連結貸借対照表をつくって見ておりますが、先ほど当たらずといえども遠からずとおっしゃいましたが、大体そういう感じでございます。
  165. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、私はこういうことになると思います。事業費を水増しをする。経費を水増しをする。いろいろなことをやります。欠損金が出ている。それで、その見合いとして短期資金を不正な手段でぼんぼん借りる。その水増しで浮かされたものが全部流用されておるということです。その流用先というのはいろいろあるでしょう。このばく大な不正不法な手段で入手された資金が、私の見方では、共和グループの中核である共和産商というものを巧妙にこれを仲介にして、そうして宝不動産や農林開発に出ていって土地や建物になっておる。また、菅個人が有価証券の投資に使う。さらに、匿名の預金に使う。さらに、先日決算委員会で国税庁長官に調査依頼しておきましたが、ダイヤモンド等の貴金属の購入に回されている。これは東洋美術館を徹底的に調査していただければわかるはずです。私が調査に行ったところが、けんもほろろな扱いを受けましたが、ほかに私が直接当たったところでけんもほろろに扱われたところはありません。大体内容を詳しく説明してくれた。だから、東洋美術館を徹底的に調査なさる必要があるだろうと思います。  それからまた、その次には、政治献金に回されておるということです。自治省に届けられておる表向きの政治献金は、共和グループで三千百万円です。しかしながら、それだけでなしに、菅自身の手で裏で政界にばらまかれた金というのは相当多額にのぼるということは、新聞の報ずるところによれば、自民党の有力議員の方も言われておるところのようです。そうすると、そういうふうに政界にばらまかれた表向きの金、あるいは菅の裏でまいた金がどういう役割りを果たしたかというと、最初に私が指摘しましたように、糖価安定法や甘味資源特別措置法をつくるとき、特に精力的にばらまかれたのは、菅個人が自己の企業において利益を受けるところの関税定率法の一部改正、租税特別措置法の一部改正をめぐって集中的にばらまかれたであろう、こういうふうに私は考えておるわけです。これはおそらく当たらずといえども遠からず、まあ皆さんがお調べになれば、大体それとあまり違わぬものが出てくるのではないか。さらに検察の段階ではそれがいろいろな方面から明らかにされるだろうと思います。  ところが、さらに私は申し上げなければならぬのは、いま言ったのはまた一部であって、共和中核三社が、この報告書によると、借り入れた借入金の残高は、長短合わせて六十七億七千二百万円です。これは共和中核三社ですから、これに共和グループの他の社のものを加えると、おそらく七十億を私はこすだろうと思う。そうすると、私が指摘をした二十六、七億、あるいは二十七、八億かもしれません、それ以外に相当もっと多額な金が不正に菅のもとに入手されて、それが事業関係外に使われておる、こういうふうに断じて差しつかえないだろうと思う。こういうふうに私は思っておりますが、これらに対してどういう御感想をお持ちになりますか。感想としては、きわめて巧妙で、とんでもないことをやったものであるということになるだろうと思うのですが、どういう感想をお持ちになりますか。
  166. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま矢山委員のお話を聞いていると、何だか夢のようなお話であると感じますが、それは別に悪意で夢と言うわけではありません。何だかわれわれの調査から見ても非常にかけ離れたということで、といっても、矢山委員も非常に精密な御調査をされておりますから、それを私はあえてどうこうと言うほどの——調査対象外のものもあります。ただ、先ほど来の砂糖のお話で食糧庁長官がお答えしましたが、それは一、二の例で申しましたが、全然要らないというのは、よほどそれは実績のある会社、あるいは信用のある会社、手形が完全に割れる会社、代理店が即金でするもの、その手形が直ちに全面的に資金になるもの、あるいはまたユーザンスで非常に信用があってそれが長くいくもの、そういうものの前提における融資、先ほどの砂糖会社融資金であると思います。すべてそんなに順調にいくならば、金利も要らない。そんなにクリーニングがもうかるというような状態では私はないと思う。糖業の今日の状態は金利に追われているというのが当然の状態でありますから、いまのお話だと金利は要らないというのですから、ちょっとそれは特別な会社の例がないとは私は言えませんけれども、われわれが調査したのは一般的なコストをかけて資金を払ってという計算で、先ほどの食糧庁長官の計算を見ましたけれども、ある意味においてはサンプルのとり方ですから、そこで十億ばかりただいまのお話で違ってくる。われわれは、やはり砂糖会社資金としては十億くらいは要る。もちろんこれは期限もあります。一、二件で要らないという計算は成り立たないのではないかというと、そこで十億ばかりのいまお話しのように差が出てくるというので、私も何とも自分の調査対象外のものが非常にありますし、矢山委員にあえて反発するだけの資料もいまありませんが、聞いた限りはそのとおりじゃなかろうかという感じがまあ融資状況でもあるのです。しかし、あえて私のほうも、じゃ反発してみろと言われても、する資料はもちろんありません。これは、お互いに今後の推移を見て結論は出すべきである。ただ、何ともこの問題は言えないような、調査の手の届かないようなところがたくさんあるものですから、私どもただいまのお話を批判するというわけにいきません。といって、それだからそれを是認するわけにもいかないというふうな感じで、今後の推移を見てこの結論はおのずから出てくるのではなかろうか、こんな感じを私抱いております。
  167. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあいまの御答弁は当然だろうと思います。ただ、それだけの運転資金が要るか要らぬかという問題については、いまの私の点と食糧庁長官の水かけ論だけでなしに、私は実はきょう持ってきていないんですが、有価証券報告書が出ておりますから、それの東食の内容——資産内容あるいは買い掛け、売り掛け、もうあらゆるものが明細に載っておりますから、その東食の有価証券報告書、一番最近のものです、それと、それから共和製糖のバランスシートとを対照してごらんになったら、おのずから解明されると思います。特に、おっしゃっておったように、東食が共和製糖に対して、製品の八割からのものを全部引き受けて一手販売やっておるし、さらに原料も、先ほどのお話によると、東食から全部入っているわけですから、そういう形の中で一応いまのクリーニング業の実態あり方というものをお考えになって、さらに、先ほど言いました——前後しますが、その東食のバランスシート、共和産商のバランスシート、これを突き合わせてごらんになれば、私の言ったことは、つまり砂糖部門についてはほとんど運転資金は要りません——全部要りませんとは言わないけれども、ほとんど要りません、こう言うたことは間違いないということが大体おつかみいただけると思う。もし、松野さん、そういう方面のなにがなかったら、ひとつ経理の専門家によってそうした東食、共和産商のバランスシートをひとつ突き合わせて、それからなお、砂糖のクリーニング業というものがどういうものであるかということを政府のお役人の中にもよく御存じの方もおりますから、どの程度金が要るのか、そういう点は、あなた自身で当たられてお調べになったらこれはわかります。  結局、共和製糖グループをめぐる融資というものは、こういうふうにつづめるところなると思います。共和グループ融資資金の流出をごく大ざっぱに言うと、虚偽の事実の申し立てで融資された金を流用し、そして実際には非常に値打ちのある国有の土地などを政治的な背景のもとに不当に安く手に入れる。そして、今度はそれをもとにしていわゆる根抵当を設定したり、もとにしてさらにより以上ばく大な金を同じように政治的な背景のもとに金融機関から引き出す。そして、その金で膨大な土地、建物を取得したり、有価証券を取得したり、あるいは匿名預金をやったり、あるいは先ほど触れた貴金属の買い入れをやったり、さらには政治献金に流して自己の有利な法律をつくらせる、こういうようなことをやっておった。だから、私は、これくらい悪質な知能犯的なやり方はないと思うんです。だから、私は、関係の政府金融機関、さらにいつも名前の出てきておった重政元農相その他の方々は、菅のこの知能犯的なやり方に踊らされておった、こう結論をつけて差しつかえないと思います。しかしながら、これらの問題については、やがて全貌が明らかにされるだろうと思います。で、議論は、これはやったところで、ある程度水かけ論的になるおそれがありますから、その点の議論はそれだけにしておいて、次に担保の問題に移らせていただきます。  担保評価にあたって掛け目を一律に八〇%と見ておるということがこの「報告書」にも出ておるんですが、私はこれは、この間銀行局長も妥当な見方だとおっしゃったんですが、普通の常識としては非常な甘い見方だと、こういうふうに思っております。私が聞いているところでは、さら地でこの間言いました七〇%、建物、機械なら三〇%から五〇%見たらもう関の山だと、こういうことなんです。さらに、私の言うことがうそではないということを金融機関責任者が裏づけているんですよ。ちょうど会議録を読んでおりましたら、この間の十月二十五日の参議院の農林水産委員会で楠見さん自体がこう言っているのです。「かりに十億なら十億の担保物件は、これは処分をするとすると足元を見られます。これは申し上げるまでもありませんけれども、一億、二億というもう捨て値で処分せざるを得ないということにならざるを得ないと思います。これは企業の、申し上げるまでもありませんけれども、御承知の実態だと思います。」と、こう言っておられるのですよ。ですから、楠見さん自体が、いわゆる担保というものが、いかにいざその担保処分をしようということになったら、金にかえる場合にたたかれるものかということをよう御存じなんですよ。それを金融の通常の考え方からよりももっと甘く八割で掛け目を見ていったということは、私はこの事実だけでも担保物件に対して債権保全上非常に問題があると、こういうふうに申し上げて差しつかえないと思うのです。これは銀行局長ね、事はここまで進んでいるのですから、私は率直なお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  168. 澄田智

    説明員(澄田智君) この「報告書」で計算いたしました場合、その一応の計算としまして担保掛け目を八〇%ということにいたしているわけでございます。もちろん、それぞれの担保物件の内容等によっていろいろその評価、さらに掛け目というものも違ってくるべきものでございますが、今回の場合、一応全体を通じましてそれぞれ八〇%、こういうふうに評価をいたしました。現実に処分をしなければならないというような場合等は、あるいは相当評価額一ばいに売れるというものもあるわけでございますし、今回も一応担保の計算上は八〇%、こういうことにいたした次第でございます。
  169. 矢山有作

    ○矢山有作君 売る場合にわりあい有利に売れるというのは、やはり土地でしょうね、いまの地価の状況から。で、土地も、これも値打ちがあるある言うても、どこもかしこも値打ちがあるわけじゃないんでしてね。やはりその場所というものが私は相当ものを言うだろうと思います。共和糖化のずっとグループが抵当に入っている工場の場所等を一々当たっていった場合には、それほど地価が有利になるようなところばかりじゃないようですから、この点はひとつお考えいただきたい。  それから建物、機械ということになりますと、これはほんとうに処分するとなったら二束三文だと思う。建物はまだしも、機械となったら、これはとてもじゃないがだめだと思う。そうでなくても、皆さん御承知のように、設備過剰だということははっきりもうお認めになっている。その設備過剰で余って余って困っている、操業度五割を割っているというような状態のときに、この機械を処分してどれだけはたして……これは私はきわめて危険だと思う。おそらく私はもう二束三文、古鉄相場だと思うのです。そうなってくると、土地、建物、機械等を抵当にとっているから、ここへ出していただいたこの数字で、大体十億程度担保力不足だと、これは農中の場合ですが、そういうような気楽なことは私は言っておれないだろうと思います。相当の穴が私は出てくるだろうと思う。ですから、そういう点については十分今後御検討をいただき、先ほど追加担保をとるということについては渡辺さんのほうからいろいろお話があったようですから、これはやはりあなた方のほうで真剣に考えなければならない。特に担保にとる場合に、すでに抵当権が設定されているものを担保にとってみたところであまり価値はないんですから、これは新たに抵当権のないものを徹底的に追求してこれに抵当権を設定するということでなければならぬと思います。  そのことでちょっと一つだけついでにお伺いしたいのですが、高槻の旧国有地を十二億五千万に評価をして今度は出してこられました。これはどういう方法で評価をされたのでしょうか。
  170. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 高槻の山林は、もともと中金が添え担保でとったということで、正式な評価はいたしておらないわけでございますけれども、今回の調査にあたりましておおよその目見当をつける意味で中金がやりましたことを御紹介いたしますと、高槻の山林の一部が、四千数百坪でございますか、ことしになりまして関西電力に売り渡された事例がございます。そのときの坪当たり価格が一万五千円でございました。それからさらに近傍で宅地の分譲がございます。その価格が一万円ないし二万数千円でございます。二万数千円の中には相当な造成費をみなければいけませんけれども、そういう近傍類地の土地の売買価格というものをながめて一応十億ないし十五億と評価いたしまして、中金のとっている担保力中金債権をどの程度担保し得るかという評定にあたりまして、これを中をとって十二億五千万というふうにいたして、さらに掛け目を八割に見て十億というふうにいたしたわけでございます。
  171. 矢山有作

    ○矢山有作君 いままで、高槻の旧国有地については、いかにして価値がそれほどないものであるかということを政府の皆さんは説明するのに一生懸命になっておられた。今度担保を設定するという段階になると、いかにしてこれが価値あるものであるかということを強調する説明になるわけです。というのは、この前若林林野庁長官が御説明になったときには、あの土地はがけのあるようなところだとか但とかかんとかということで三千五百万というのは絶対に正しうございます、こういうお話だった。ところが、きょうの説明を聞いておると、関西電力が買った土地というのは、あの地域の中の一番いいところなんです。平坦地の一番いいところなんです。林野庁長官がおっしゃったようながけのようなおかしなところもあるわけです。ところが、今度の担保物件の評価にあたっては、あの土地の中で一番いいという土地、それを関西電力が買った、一万五千円はおろか、それよりももっと高く評価をしなければならぬ、こういうふうになってきておるのです、いまの御説明の口振りで見ると。私は出たとこ勝負で問題を処理しょうという考え方は間違いだというんです。なぜこの十二億五千万——ここに農中の担保の設定状況説明されたものに書いてあります。これをもしこう評価なさるなら、あなた方はおそらく私は現地まで行って実情をつかんで評価をやられていないと思うんです。そういうことをやらないで、権威ある評価機関があるのですから、なぜそれにかけて厳重な評価をやってここに計上しないのですか。この高槻の国有地の問題についてはきのうきょう問題になった問題じゃないんです。すでにずっと前から問題になっているのですから、もうおそらく私の記憶では半年以上ぐらい前から問題になっていると思う。そうすれば、はたして高槻の旧国有地の評価は何ぼにやったら一番正しいのかということをやる努力をどうして今日までやられなかったのですか。今日までそれをやらずにおいて横言の説明をいまされたわけです。私はその態度がやはりいけないというんです。そういう態度がこの共和グループのいろいろな問題を起こす一つの根っこにもなっている、そういうものの考え方が。そう思うのですが、その点、あなたは非は非として認めて、高槻の旧国有地について厳正な評価をやる気持ちはありませんか。いまからでもおそくはないんです。
  172. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私が先ほど申し上げましたとおり、また、「報告書」にも書いてございますが、この高槻の山林は、もともと添え担保ということでもありまして、正式の評価を行なっておらないわけでございます。しかし、今回、評価をしないでは担保の余力がどの程度あるかあるいはないかということの判断ができないわけでございますから、中金といたしましては、先ほど申し上げましたように、関西電力に一部売られたこと、あるいは近隣地の売買事例によって推定をいたしたわけでございます。十億ないし十五億、私どももこれは一応の推定でございますから、はたしてそれだけの担保価値があるのか、あるいはさらにもっとあるのかどうかということは、厳正な評価機関といいますか、鑑定機関によって精密に評価をするように中金とも話しておるわけでございます。
  173. 矢山有作

    ○矢山有作君 私はいままで権威ある機関に鑑定評価をやらせなんだというところに問題があると思うんですがね。しかし、いままでまんざら何もやってないことはないんですよね。いろいろやっている。その内情はおそらくあなた方は御存じだろうと思うんですよ、いままで。それを御存じであって、しかもいまだにそれに対して評価がやられぬ。本格的な評価がやられぬというところに問題がある。これも、私はこういうことを言っていると思い出すのは、この前の決算委員会で楠見さんはこういうことをおっしゃった。この高槻の元の国有地については評価の引き受け手がないのだと。それはそういうことになるんですよ。そういう評価の引き受け手がなくなるほどでたらめな評価をいままでやってきておった。  どういうことをやっておるかといいますと、まず最初に評価したのは、共和製糖が熊谷組に依頼して評価をしてやらしております。これは熊谷組の幹部は知りません。熊谷組の職員に頼んで評価をやらせた。それで、そのときに二十四万坪、単価一万五千円、評価額三十六億円という評価をやって、そうして共和が農中にその評価書を提出しているはずです。おそらく、私は、これが国税庁長官の手元に入っているのだろうと思う。国税庁のほうで二十四万坪三十六億の評価書があるということをこの前の委員会で言われましたが、これだろうと思う。  それからその次にどうかというと、この評価はさすがにおかしいと思った、農中でも。そこで、農中が現地調査に行きました。このときに共和側から重政元農相の秘書をやっておった安野、これは共和グループのどこかの会社の重役をやっているはずです、この人が同行している。その際にどういうことを調査をやったかというと、地元の森林組合、不動産業者に聞いて回っております。ところが、地元の森林組合や不動産業者の言っているのは、山林だから公簿面積で評価してまあ坪七千円ぐらいだと、こういうふうな話をしたらしい。それを聞いて担当者はそのまま帰っております。それで、農中の上層部に対してはどういう話をしているかというと、大体七億七千万円見当でしょうと、こう言っているわけです。というのは、坪七千円で七億七千万円見当でしょうと言ったということは、二十四万坪はうそであったということがこの時点で農中には明らかになったということを証明すると思うんです。  そこで、農中は、共和が熊谷組に評価して提出させた三十六億と、それから農中自身の現地におけるこの評価報告の七億七千万円、これはあまり違い過ぎる。これでちょっと困って、共和にまた評価をし直せいと、こう言っている。それで、共和が評価をやりました。共和はどういうことで評価をやったかというと、不動産鑑定士の遠藤という人、これはこの間泉国税庁長官が遠藤鑑定士はその鑑定に問題があるからいま調査をしておるが、病気だといって出てこぬと言っておったその人物、これに依頼しておった。共和では、遠藤が現地調査に行く前に、これまでの評価実情というものを詳しく話をしております。実面積は二十四万坪ある、だからそれをそのまま信じてくれ、そうして、単価は、関西電力が大体一万五千円で買っているのだ、だからそれに近いところで評価を出してもらいたい、こういうような話をした上で遠藤鑑定士は現地に行っております。そして二十四万坪はそのまま、これをのんで、そしてそのときの評価は坪当たり一万四千九百円何がしで評価をしておるわけです。九百円以下のこまかい数字ははっきりいたしません。そうすると、評価額は、三十六億円程度になりますね。  そこで、農中は何をやったかというと、共和が熊谷組に評価さして提出した二十四万坪三十六億円と、農中自身の担当者が評価した七億七千万円と、共和が遠藤鑑定士に評価して提出させた二十四万坪三十六億円弱ですね、この三つが集まったわけです。農中は、この三つを足して三で割ったわけです。そうして、大体この程度の評価だというものを出していったわけですね。で、先ほど、国税庁長官のところに出ておるのが熊谷組の測量評価をした二十四万坪単価一万五千円、三十六億と言いましたが、あるいは、これでなしに、遠藤鑑定士が評価をした分のほうが国税庁に出ておるかもしれない。というのは、国税庁長官の遠藤鑑定士の鑑定に疑問があるということばからして、おそらくこのほうだろうと思います。ですから、熊谷組の分でなしに、国税庁に行っておるのは遠藤鑑定士の鑑定評価をやった分だと思います。農中では、そういう三つ寄せて三で割るような評価をやった。ところが、農中の検査部がこの評価はおかしいと指摘したわけです。農中自身でさらに評価をやり直さにやならぬということで、不動産研究所に評価させいということを検査部が指示をした。ところが、依頼されたほうの不動産研究所は、この元の国有林が交換されるときに林野庁の依頼評価をしておるわけであります。そのときに十一万坪ほどを三千五百万という評価を出しているんですから、したがって、不動産研究所は評価を引き受けることができない。で、不動産研究所は評価を断わりました。  そこで、農中は、さあ困ったということになって、自分のところの評価の専門家、これに評価をさせようということで、融資二部の次長と、それから、名前ははっきり言っていいでしょう、河井という人、これを現地に行かしております。これが四十一年の三月です。両者は、営林署や現地でいろいろ調査やった。ところが、共和の言う二十四万坪はうそだ、単価一万五千円にはとてもいかぬ、こういうことが明らかになったわけです。しかしながら、評価のしょうがない。そのままほっぼらかしになって今日まできた。そして、先ほどクッション融資のところで申しましたように、東食に対しては二十四万坪三十六億というものを信用せいということで信用さしてこれを根抵当にとらせ、所有権移転の仮登記をやらして、そして十億六千万を農中から東食に出す、東食から共和に出す、こういう操作をやった。これが高槻の国有林の評価をめぐる大体の状況です。多少の食い違いがあるかもしれませんけれども、おそらくこれで私は大差ないと思う。ですから、この高槻の土地評価ということは、ただ単に担保保全の上からだけ問題じゃないんです。もちろん担保保全に対して非常に重要な意味を持ちますから、これを正しく評価するということはもちろんですが、いままでの菅が仕組んできた不正な評価のやり方というものをやはり整理していくためにも、この際きちっとした評価をやり直す必要がある、こういうふうに思うわけなんで、先ほど経済局長のほうからおっしゃっておったようですから、ぜひともこれは適正な評価をやっていただきたい、このことを重ねて強く要望しておきます。やられますね、早急に。
  174. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 中金に対してそういうことで話を進めたいと思います。
  175. 矢山有作

    ○矢山有作君 そこで、いろいろと私は特に問題になる点を指摘しながらいま質疑を続けてきたわけですが、その結果、私がいままでの調査をしたものをまとめてみて、先ほど来指摘をしましたように、きわめて悪質な知能犯的なやり方だと思うのです。そこで、担保保全の問題もある、いろいろの問題はありましょうけれども、私は再建の問題についてはきわめて慎重な態度でのぞんでほしい。どうも、話を聞くと、再建のほうに空気が行っているようです。しかし、これだけ悪らつな手段でばく大な金を公共的な性格の強い金融機関から引きずり出して、そして事業外に流用して、私腹を肥やし、あるいは政治資金に使っていった。しかも、その後の状況をいろいろ聞いておりますと、また、先ほどの質疑から考えても、菅は債権保全に積極的に協力をしておるとは言えぬと思うのです。そういうものに対してなぜ再建策を真剣に考えてやらなくちゃならぬのか。菅が債権保全に対してきわめて非協力であるということは私も聞いておりますが、いま渡辺委員の質問からでも私はその点はある程度肯定できると思う。したがって、私は、この段階では再建を論議すべきときではない、いかにして債権保全に全力をあげるかということが最大の問題であると、こういうふうに思うのです。もしあなた方が再建をやるというなら、一体どういう再建策を考えるのか。融資をする道はどこもありませんよということは、私は先般の決算委員会でもはっきり申し上げておるとおりだ。融資をする民間の金融機関はないでしょう。公庫開銀もできぬはずです。農中もできぬはずです、精糖に対して。ですから、ここを再建を論議するというなら、どういう形で再建をしようとするのか。それをもし道があるならば、この際ひとつ言ってもらいたいと思う。
  176. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この委員会でも明らかにしましたように、債務債権のその債権保全を第一義にしております。したがって、再び建設するという再建については、まだ各機関とも一致はしておりません。この点は明確にしておきます。
  177. 矢山有作

    ○矢山有作君 それからこれで最後の質問にいたしますが、二つございます。共和グループの今回の事件というもののいろいろないきさつというものは、私は会計検査院の方もこの場所に出席をしておられて逐一やりとりを聞いておられると思います。それから検査院自身で御答弁に立たれた場合もあるわけです。そういうことからして、この共和をめぐる融資状態から、いまの会計検査院の検査のあり方に相当検討をし直さなければならぬ問題があるんじゃないか。そういう点で、出資関係の検査を担当しておられる局長のほうから、今度の共和グループをめぐる問題について、これをひとつ反省の資料として、検査について今後改善すべき点、そういう点があるとお考えになるなら、それをお話し願いたいし、いままでの検査どおりで十分会計検査の期待に沿えるというなら、そういうふうにお答え願いたい。どういうふうにお考えになっておりますか、この際ひとつ御所見を承っておきたいと思います。
  178. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) お答え申し上げますが、今回のブドウ糖融資に関しましては、会計検査院としても、融資当初の三十九年以来、環境が環境でございましたので、非常に注目をいたしまして特に念入りに検査をしてまいったつもりでございます。そして、昨年夏検査の結果、いろいろの疑問点につきましても公庫に対して照会を出しまして検討を促しております。さらに、今年の夏の実地検査におきましても、例の資金交付したあとの向こうの支払い実績というものについて、どうもまだ調査が検査院としては納得いかない。それで、積極的に会社帳簿から支払い実績確認するようにということで督促しておったやさきにこういったことになった次第でございますので、会計検査院といたしましても、こういう融資の面につきまして、融資の当初に、まず融資目的、それから金額、それから償還の能力、収支見込み、そういったものを検討しますとともに、その後の資金交付状況、それから債権管理、つまり延滞が始まるような情勢に立ち至った場合に債権確保をどういうふうにやるかという点については、なお一そう今回の例を反省いたしまして積極的にやっていきたい、こういうふうに存じております。
  179. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は詳しく検査のやり方というものを知りませんが、どうもその年度に出資したもの関係だけに限定をされて検査をなさるというような傾向が強く出てくるんじゃないか。こういうような出資関係の実態というのは、切り離されて年度年度を見ておったんでは私はわからぬと思うのです。したがって、数年度にわたるならば、それにわたってやはり前後の関係をつけながら徹底的な検査を総合的にやっていってそして実態を究明していくというやり方にいかないといけないと思うのですが、そういう点はそういうふうにやっておられるんですか、どうですか。
  180. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) お話、ごもっともでございます。私どもといたしましては、融資がありましてから完全に償還に至るまで見ておるつもりでございますが、ただ、融資することが妥当かどうか、こういう問題になりますと、融資の時点において要するに過去があるというようなことになりませんと私どもとしては不当だといって責めるわけにはまいりません。したがって、融資の検査は、翌年度、つまり会計検査院は決算の検査でございますから、融資自体の検査は翌年度でございます。そうして、それ以降の検査は債権管理という問題でずっと見てまいっております。
  181. 矢山有作

    ○矢山有作君 できるだけ年度を継続さして広範な総合的な調査をやって、権限の許される範囲で実態をつかむようにしてください。  それから、次は「毎日」の十一月の二十三日の報道によりますと、会計検査院も調査に乗り出すということで、その調査対象として大阪府高槻市の丸尾山の国有林野の交換、それから兵庫県の芦屋市の劔谷の国有林の交換、このことを言っておられるようですが、私もこのことだけに限っているのじゃないだろうとは思います。思いますが、共和関係のものはこれ以外にもまだあるわけです。たとえば志賀町の天神山、あの国有林もあれば、さらに共和との直接関係はどうか私もつまびらかにいたしておりませんが、那須の美福何とか株式会社というのが、交換をやってやはり決算委員会で問題になったのですが、これや、それから国土開発が同じように芦屋市で行なった国有林の交換があります。これらは、私の聞いているところでは、やはり重政元農林大臣との関連があるように聞いておりますから、したがって、やはりこれらも含めて全体の調査ということをやられぬというと、物事の一端の解明しかっかないということになるおそれがありますから、そういうふうな調査をおやりいただきたい。これは私のほうからの希望でございます。
  182. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) お答えいたします。  国有林野の交換につきましてただいま御指摘がございました。国有林野の交換につきましての検査につきましては、特に特定のものというようなことでは必ずしもございません、やはり相当規模の大きいものというものにつきましては四十一年中に検査いたしておりますので、その結果によりまして慎重にただいま検討中でございます。
  183. 矢山有作

    ○矢山有作君 それから、これでほんとうの最後ですが、ちょっと申し上げておきたいんですが、私も長々やっておると記憶の薄れるところがありまして、私の申し上げたところに多少混乱した面があったと思うので、それを明らかにしておいたほうがいいと思いますから申し上げておきますが、いわゆるブドウ糖混和糖水の問題です。これは事柄の実態はこういうことなんで、整理をしておきます。三十七年に一万トンの粗糖の外貨割り当てを菅が受けたわけです。その目的は、ブドウ糖液と砂糖の混和液糖をつくるための研究、こういうことでやってきたわけです。それで、租税特別措置法の一部改正をやった。そのねらいは、それをねらいにしておったというのが実情のようです。ところが、その後、砂糖液とブドウ糖液とのいわゆる混合による混和糖水ということをやめちゃって、そうして今度は果糖との混和糖水をつくるというふうに変わってきた、こういう経過があるようです。しかしながら、それはいまだに共和がやってないということは御案内のとおりです。ただ、租税特別措置法の一部改正をやる背景にいずれにしても菅の関係する事業だけが対象になって、そしてこの租税特別措置法の改正のために非常に活発な政治献金が新友会を通じ、あるいはまた、推察するならば菅個人からも行なわれた、こういうことになろうかと思いますので、一部混乱した点があったと思いますから、その点を  明らかにしておきます。   以上で私の質問を終わりますけれども、これですべてが明らかになり、すべて終わったということじゃありません。司直の手で解明されることはもちろんです。これからやはり共和グループをめぐる問題についてはいろいろと政府のほうでも今後も調査をされてそうして明らかに事態をやっていく、その中で金融のあり方等につい直さなければならぬところがあればどんどん積極的にこれを改めていく、そしてさらに責任の所在を明確にしてそれ相応の措置をとっていくということだけは私はやっていただきたいということをお願いしておきまして質問を終わります。
  184. 大月高

    参考人大月高君) いままでの矢山先生のお話に関連しまして、若干今後の問題が含まれておりますので、一言農林中金立場として意見を申し上げておきたいと思います。  従来われわれの仕事がどういう状態であったかという問題、あるいはどういう点に反省しなくちゃいかぬかというふうな問題は、御指摘をまつまでもなく、十分反省いたしまして改善をはかってまいりたいと思うわけでございますが、ただいまお話のございました点二点につきまして一言釈明させていただきたいと思います。  一つは、担保評価の問題につきまして、例の八〇%が甘いじゃないかというお話がございまして、それに関連いたしまして、楠見理事長が、かりに十億の評価があるものについても、それを売るとすれば一、二億にしかならないのだ、だから担保評価は厳正にしなくちゃいかぬとおっしゃったと、こういう御発言でございます。私、どういう場面でそういうお話があったか存じませんけれども、従来の経緯から考えますと、企業が生きてまいりまして工場が動いている、製品を出している、こういう段階においては値打ちがございましても、先ほどお話がございましたように、かりに工場がストップいたしましてその工場をスクラップにして売るということになれば価値がなくなってしまう。それからかりに土地とか建物のようなものにいたしましても、企業が非常に弱い立場になりまして店じまいをしてしまう、この際倒産をしてこれを売るというふうなことになりますれば、足元を見すかされてたたかれるんだと、こういう意味でたぶんおっしゃったんだろうと思うわけでありまして、たとえば富士、八幡というような工場でございましても、かりにこれが倒産いたしましてスクラップとして売るとしますならば、現在財団の抵当としてとっております価値はほとんどゼロに近いというのは事実であろうと思います。そういう意味で、われわれが細島にとっております担保も、企業として工場として動いておる状態を前提にして考えなければ、なかなか従来お話しになっておりますような二十億というような価値はなかなかとれないんじゃないか。そういう意味におきまして、私は必ずしもぜひこの企業を生かさなくちゃいかぬとまで申すわけではございませんが、債権確保する意味において、つまり債権確保が先であって、企業のつまり再び建てるのかどうかは別だというお話は、債権確保という立場からも再び建てるという問題が非常に重要な問題になるという意味においてひとつ御理解いただきたいと思います。つまり、つぶしてしまって捨て値で売ってしまえば債権確保になるのであって、これを生かしておく意味はないんだというように言われますと、われわれの債権確保の問題にも支障が生ずる問題でございます。  で、仰せのように、菅社長がいろいろ従来あまりよくないことをしたという意味がもしございますれば、これは私は断然糾弾すべき問題だと思います。しかし、菅社長がやって、いま退任いたしました現在におきまして、残されたものは、その従業員であり、それから細島においてまっとうに砂糖を製造しておる、どちらかといえばいまの新営工場でございます。そういうものをスクラップ化するのがいいのかどうかというような問題は、かりに何十億も赤字を負っているグループが一体再建ができるかどうかという問題に関しましては、最近問題になりましたたとえば山一証券の場易合におきましても、あるいは山陽特殊鋼の場合におきましても、あるいは大王製紙というような問題におきましても、あるいは現在動いております日東化学というような問題におきましても、関係の金融機関なり関係者がいろいろ知恵をしぼりまして、どうしたら一番いいのかというようなことをおやりになっておるわけでございます。そういう意味で、菅氏のいままでやったことについていろいろ御非難があり、けしからぬというお話があるといたしましても、将来この企業をどうするかという問題については、それぞれ別の立場において、たとえばこれを第二会社をつくっていい工場だけを別にするとか、あるいは現在砂糖業界におきましてグループ化が進んでおりますから、どこかのグループに入れていただいて、それはどこかのグループの援助に待つとか、そういうようないろいろの考え方はあると思います。そういう意味で、われわれも新しい社長をぜひ送り込みまして、明朗なる明るい姿においていろいろ問題を考えさしていただきたいと、そういう意味で御好意ある皆さんの御批判をお願いいたしたいと思う次第でございます。
  185. 矢山有作

    ○矢山有作君 誤解があってはいけませんから言うのですが、私は、再建の方途というのは普通ではちょっとない。だいいち、このままの状態ではあすの日にでもお手上げになっちまうおそれがあるわけです。一体、金の出場を考えた場合に、出どこがないわけです。ですから、そこまでおっしゃるならですね、私は再建で残された道というのは皆無だとは思わない。再建に残された道は皆無だとは思いませんから、そこで私は答弁はまだいただかないと思いますが、再建するとするならばどういうものが可能なものとして考えられますか、これは御答弁をいただいておらぬので、まあ農林中金のほうでお答えできるなら農林中金なり、農林中金でお答えできぬというなら、大臣御不在のようですから、経済局長のほうでひとつお答え願いたいと思います。
  186. 大月高

    参考人大月高君) まず、この問題は、将来の政府のお考えにも関係いたしますし、いま業界においていろいろ話し合っているグループ化の問題にも関係いたすと思いますし、それから経理がいままでお話がございましたようにはなはだ明確でない面もございますので、責任ある社長に入ってもらいまして腰を据えてどうしたらいいかということを真剣に分析してやっていただくのが第一だと思います。
  187. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本件については、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会      —————・—————