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1966-11-25 第52回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年十一月二十五日(金曜日) 午後零時四十九分開会
—————————————
委員
の異動 十一月十日 辞任
補欠選任
黒柳 明君
北條
雋八君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
山崎
斉君 理 事 園田
清充
君
野知
浩之君 武内 五郎君 渡辺
勘吉
君
宮崎
正義君 委 員
青田源太郎
君 梶原 茂嘉君 小林 篤一君 櫻井 志郎君 田村 賢作君 堀本 宜実君 和田 鶴一君 村田 秀三君 矢山 有作君
北條
雋八君
国務大臣
農 林 大 臣
松野
頼三君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
説明員
大蔵省銀行局長
澄田 智君
農林省農林経済
局長
大和田啓気
君
食糧庁長官
大口
駿一君
林野庁長官
若林 正武君
会計検査院事務
総局
第四
局長
小熊 孝次君
会計検査院事務
総局
第五
局長
佐藤 三郎君
参考人
日本開発銀行
副
総裁
石原
周夫
君
農林漁業金融公
庫総裁
大沢
融君
農林中央金庫理
事長職務執行者
副
理事長
大月
高君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
農林水産政策
に関する
調査
(
宮崎
県
細島甘味コンビナート
に対する
融資
に 関する件)
—————————————
山崎斉
1
○
委員長
(
山崎斉
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。 まず、
参考人
の
出席要求
に関する件についておはかりいたします。
宮崎
県
細島甘味コンビナート
に対する
融資
に関する
調査
のため、
日本開発銀行
副
総裁石原周夫
君、
農林漁業金融公庫総裁大沢融
君及び
農林中央金庫理事長職務執行者
副
理事長大月高
君を本日
参考人
として
出席
を求めることにいたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山崎斉
2
○
委員長
(
山崎斉
君) 御
異議
ないと認め、さよう
決定
いたします。
—————————————
山崎斉
3
○
委員長
(
山崎斉
君)
農林水産政策
に関する
調査
として、
宮崎
県
細島甘味コンビナート
に対する
融資
に関する件を議題といたします。 まず、
農林大臣
から
調査
の結果についての
報告
を聴取いたします。
松野農林大臣
。
松野頼三
4
○
国務大臣
(
松野頼
三君)
共和製糖
及び
東洋果糖
に対する
開発銀行
、
農林公庫
及び
農林中金
からの
貸し付け
については、すでに本
委員会
はじめ両院の各
委員会
においてしばしば
審議
の
対象
となら、
政府
は、その
責任
において
調査
し、結果を御
報告
申し上げる旨お答えしてきたところであります。
農林省
及び
大蔵省
としては、前回の本
委員会審議終了
後直ちに
調査
に着手し、鋭意
調査
を行なってきたところでありますが、その
調査
結果の取りまとめを終了いたしましたので、ここに御
報告
申し上げる次第であります。
調査
の実施に当たりましては、まず、
開発銀行
、
農林公庫
及び
農林中金
に対し
所要
の
調査
を行ない
報告
すべきことを求め、
政府
は、その
報告
を
審査
するとともに、みずからも
実地調査
を行なったものであります。 なお、
調査
の
過程
において、三
機関
に対し
補足調査
を指示する等の必要が生じましたため、当初の予定より若干日時を要することとなりましたが、各
関係者
の積極的な
協力
を得ることができ、
政府
としては、できる限りの
努力
を行なったものと考えております。 次に、今回の
調査
の結果を要約して申し上げたいと存じます。 まず
細島コンビナート工場建設
に対する
融資
の
経緯
について申し上げますと、
昭和
三十八年秋ごろ、
農林省
としては、
粗糖輸入自由化
後の
事態
に対応するための
精製糖企業
の
合理化
、
イモでん粉
の主
産地
である
南九州
の
畑作振興等
の観点から、
細島コンビナート工場建設
を推進する
方針
を定め、三
機関
は、この
方針
に即し、
共和製糖
及び
東洋果糖
が行なう
工場建設
について
所要
の
融資
を行なったものであり、これを
融資対象
として取り上げましたことは妥当であったと考えられます。 ところが、
粗糖輸入自由化
以後今日までの
糖業事情
ははなはだ深刻なものがあり、このような
事態
に対処して
政府
が講じた諸
施策
も結果において
十分効果
を発揮したとは言いがたく、また、
農林省
で種々
検討
を重ねていた
ブドウ糖大型合理化工場構想
も、結論を得られないまま現在に至っております。
細島
の
精製糖工場
の
建設
は完了いたしましたが、
ブドウ糖果糖工場
の
建設
がまだ完成いたしていない
事情
には、このように
砂糖
、
ブドウ糖
をめぐる
情勢
がきわめて困難であったことが一つの原因であります。
共和グループ
の
細島コンビナート工場建設
の
計画
は、このような
情勢
のもとにおいて、二転三転せざるを得なかったのでありますが、しかし、
共和グループ
の
企業
としての
責任
も無視することはできません。このような大
規模
の
建設計画
を一貫して遂行する
企業
としては、安易に過ぎる面があったと言わざるをえないと考えられます。
融資
に当たりました三
機関
においては、それぞれの
立場
において種々
努力
してきたところでありますが、特に
農林公庫
及び
農林中金
の
貸し付け
に当たっての
審査
の
あり方
、
債権保全措置等
については、結果的には種々の問題が指摘されるところであります。しかし、この
貸し付け
につきましては、一、
甘味コンビナート工場建設
という新しい
事業
に対する
政策的融資
でありましたこと、二、
建設過程
における
糖業事業
の急激な
変転等
の諸点を
十分考慮
に入れて判定する必要があるものと考えております。
農林公庫
及び
農林中金
の
貸付金
が、結果的には
精製糖部門等
に流用され、また、
農林中金
が
企業採算
の悪化に伴い、逐次
運転資金
の融通を増大してまいりましたことにつきましては、
融資機関
として、今後において十分慎重な配慮を払うとともに、
債権
の
確保
に十全を期し、その業務の改善についても、今後よく
検討
する必要があると考えられます。 また、
本件
に関する
行政庁
の
指導
には、
情勢
の
変転
が急激であったとはいえ、
適確
さを欠く点があったものと思われます。したがって、今後
情勢
の推移に即応し、
金融機関
に対し適時適切な
指導
を行なうことに努めるとともに、
糖価
問題及び
ブドウ糖対策
についてさらに
検討
を深め、
適確
な
方針
を確立する必要があると考えられる次第であります。
調査内容
の詳細につきましては、
事務当局
より御
説明
申し上げることといたしたいと存じます。
山崎斉
5
○
委員長
(
山崎斉
君) 次に、
補足説明
を願います。
大和田農林経済局長
。
大和田啓気
6
○
説明員
(
大和田啓気
君)
調査報告書
をすでにお配りしてございます。詳細はそれにございますから、かいつまんで要約をして申し上げたいと思います。 目次のところをごらんいただきますと、第一章が「
序論
」で、
調査
の
目的
なり方法なり
経過
なりがございます。第二章が「
融資
の
経緯
」で、第三章が「今回の
調査
結果」で、これが本
報告
の中心でございます。最近における
甘味資源対策
の
経過
、あるいは三
機関
の
貸付態度
、
資金使途
の
実情
、
債権
の
確保
。第四章は「むすび」でございます。
資料
として若干のものが用意されてございます。 第一章の「
序論
」は省略をいたしまして、第二章の「
融資
の
経緯
」、四ページないし五ページのところをおあけいただきたいと思います。 ここでは、
粗糖輸入自由化
をめぐって、
精製糖
あるいは
ブドウ糖
の
業界
の苦悶の
状態
を述べまして、三十七年暮れごろから
食糧庁
におきまして
食品コンビナート
の
構想
を打ち出し、また、同時に、
粗糖輸入
の
自由化
後における
精製糖工場規模
の
大型化
と
甘味資源
の
一体的合理化
をはかる必要が感ぜられ、三十八年秋ごろにはいわゆる
甘味総合コンビナート
の
構想
が
検討
されていたということがございます。 なお、これらの問題につきましては、具体的に
細島
で
甘味コンビナート建設
の
具体的構想
が固められるに至ったのでございますが、
農林省
といたしましても、
粗糖輸入自由化
後の
事態
に対応するための
精製糖企業
の
合理化
、
イモでん粉
の主
産地
である
南九州
の
畑作振興
、
日向延岡地区
の
新産都市
としての
発展等
に寄与するところが大きいと判断いたしましてこの
構想
を打ち出しましたことの
経過
がございます。 この
構想
に基づきまして、
菅社長
が、三十八年九月から、
農林省
、
宮崎
県、あるいは
開発銀行
、
農林公庫
、
中金
等々との折衝を始め、
融資依頼
をいたした
経過
が六ページにございます。 なお、国会で御論議いただきました、
農林省
が
公庫
あるいは
開発銀行
に対して
あっせん
ないし
依頼
の
文書
を出しておるけれども、
中金
に対してはそういう
依頼
の事実がなかったのかどうかという点でございますが、六ページの注で、そういう
開発銀行
なりあるいは
公庫
なりに
文書
で
依頼
ないし
あっせん
をいたした
経緯
、あるいは
食糧庁
としてこの
構想
の
具体化
を推進していた
経緯
からいって、当時の
事情
などから考えても、
農林中金
に対し、
農林省
といいますか
食糧庁
として
協力
の
要請等
があったものと考えられるというふうにその間の
経緯
を明らかにいたしてございます。 六ページから七ページにかけましては、
貸付決定
と
資金交付
の
経過
でございます。 八ページに参りますと、
コンビナート構想
の
事業計画
でございますが、これはいろいろな
変転
がございましたが、三十九年九月ごろを基準として見れば大体こういうものであったということが表としてまとめてございます。
共和製糖
の
精製糖部門
に
事業費
として十五億二百万、それから
東洋果糖
の
ブドウ糖
、
果糖
が二十九億三千五百万、合計四十四億三千七百万。これに対しまして、
資金調達
として、
精製糖関係
では、
開銀
が八億、
市中銀行
四億、
自己資金
三億ほど、計十五億二百万。
ブドウ糖
、
果糖関係
では、
公庫
が八億、
中金
が十億、
自己資金
が十一億三千五百万、計二十九億三千五百万ということでございます。 そこで、九ページから、
細島コンビナート
の
構想
がどうなったかということでございます。 まず、
精製糖
の
部門
といたしましては、
共和製糖
は三十八年暮れごろから
精製糖工場
の
建設
に着手し、その後能力を増大をして、現在においては日産として四百トンないし六百トンの
実績
をあげております。 それから
ブドウ糖
、
果糖部門
につきましては、幾たびか
変転
がございます。当初七十トンの
ブドウ糖工場
と五十トンの
果糖工場
の
建設
を行なう
計画
でございましたが、その後、
ブドウ糖業界
の
合理化
の必要から、三十九年秋ごろには、一
工場
百トンないしは三百トン、全国五
工場
という
集約合理化構想
の試案が
関係者
から提示されまして、四十年初めごろには
細島コンビナート
の
ブドウ糖部門
の七十トン
計画
というのは三百トン
計画
へ
計画
が変更されることが
具体化
してきたわけでございます。 しかし、この
計画変更
に対しましては、相当
業界
の反対がございまして、その結果もありまして、四十年七月に
共和グループ
としてはこの三百トンの
工場建設
の一カ年延期を
決定
をして今日に至り、そうして、最近では、この
ブドウ糖
の
工場
の
敷地
に新たに第二期の
精製糖
の
工場
を
建設
するための
基礎工事
がこの八月末から行なわれているという
状態
でございます。これは今回の
調査
によって明らかにされたわけでございます。 第三章が「今回の
調査
結果」でございます。 最近における
甘味資源対策
の
経過
についてでございますが、これは、
粗糖
の
自由化
をめぐりまして予想以上に
糖価
が下落したことがございまして、
政府
としては、
甘味資源特別措置法
でありますとか、あるいは
砂糖
の
価格安定等
に関する法律でありますとか、いろいろの
施策
を講じましたけれども、なかなかその
施策
の
効果
が十分に発揮されないで今日に至っておる
状況
が一三ページまで書いてございます。その間にありまして
細島コンビナート
の
建設
に
協力
した
関係金融機関
としては、以上の
事情
もあって必ずしも十分な見通しを持ち得ないまま
融資
を行ない、結果的には今日のような
事態
を招いたというわけでございます。 そこで、
開発銀行
、
農林公庫
及び
農林中金
の
貸付態度
についてでございます。
細島コンビナート
の
構想
をこれらの
金融機関
が受け入れましたことの可否につきましては、先ほども申し上げましたような
事情
で、
粗糖
の
輸入自由化
後における
対策
として、あるいは
イモでん粉
の主
産地
である
南九州
の
畑作振興
のために、さらに
宮崎
県の
日向延岡地区
の
新産都市
の中核として重視されていたという
事情
もあり、また
臨海工場
としてコストの引き下げということも十分考えられたわけでございますから、これらの見地に立って考えますと、三
機関
が
細島コンビナート
の
構想
を前提としてこれらに
融資
をすべく考えたことは、その
基本的態度
は当時としては妥当なものであったと思います。 そこで、
開発銀行
でございます。
開発銀行
は
砂糖部門
を受け持ったわけでございますが、いろいろ
事業計画
、
資金計画等
についても
審査
を行ない、また、
実態
の
調査
も行ない、
資金
の
交付
も八回に分けて行なうということをやっております。今回の
調査
によりますと、当初の
貸付決定
あるいは
資金交付
にあたり
——
一四ぺ−ジでございますが
——会社側
が
開発銀行
に示した一件
書類
には、一部、今回
確認
したものと符合しないものがあり、また、
資金交付
後
開発銀行
に
参考資料
として提出された領収書写しにも、今回
確認
したものと符合しないものがあったが、
金融機関
として通常払うべき
注意
を怠っていたものとは認められないという
状態
でございます。
農林公庫
につきましては、
農林公庫
は、三十九年の三月三十一日に、
東洋果糖
に対し、
ブドウ糖部門
の
設備資金
として五億円の
貸付決定
を行ない、そのうちの四億を
交付
したわけでございます。この
貸付決定
にあたりましては、
中金
あるいは
開発銀行
等々との連絡もとり多少早急の間にこれを
決定
したという
経過
はございますし、また、
貸し付け
の
審査
は必ずしも十分であったとは言いがたい
状況
もございますけれども、冒頭申し上げましたように、
本件
が
甘味コンビナート工場建設
のための
融資
という政策
融資
的な性格の濃いものであったことから考えますと、当時としては
事情
やむを得ないものがあったと考えるわけでございます。また、一五ページの終わりのほうでございますが、
公庫
の
調査報告
によりますと、当時
会社側
が示した一件
書類
は真実を表示するものではなく、その
説明
は虚偽の申し立てであったと認められるが、
金融機関
として通常払うべき
注意
を怠っていたものとは認められず、
資金交付
の
あり方
としては一応妥当なものであったと認められるというふうに考える次第でございます。 八ページに参りまして、
農林中金
でございます。
農林中金
は、前に申し上げましたような
事情
以外に、
原料でん粉
の購入を通じて
系統共販
に寄与するという
農林中金
の
立場
から本
構想
を推進したわけでございますし、また、この
構想
を推進しようとする
農林省
の
方針
に賛同し、さらに、
宮崎
県からの
融資要請
もあったので、当時の
会社
の
計画
により
融資
を
決定
したものでございます。その後、
公庫
の五億円の
貸付決定
もございまして、
農林中金
としては最初は
設備
の
つなぎ資金
としていわば
短期
の
融資
をいたしたわけでございますが、
金庫法
十五条ノ二に基づく
設備資金
として十億を
貸し付け
する
方針
を定めまして、実は三十九年の八月にその第一回分の五億円分について
農林
・
大蔵両省
に
申請
を行なった
経過
がございます。ところが、先ほど申し上げましたように、
細島
における
ブドウ糖工場
が七十トン
計画
が三百トン
計画
にだんだんなるという
経過
もございますし、
農林
・
大蔵両省
といたしましては、
ブドウ糖
の
合理化工場建設
に対する
融資
問題とあわせて
中金
の
細島
に対する全体として十億、あるいは当面五億の
融資
問題を考えることとして、一応この
申請書
を返戻をいたしたわけでございます。したがって、
金庫法
の十五条ノ二の
融資
は保留の形となりまして、ききに
設備資金
の
つなぎ資金
として
貸し付け
られました十億はそういう形のままに継続して今日に至っておるわけでございます。この間の
事情
を考えますと、
砂糖
あるいは
ブドウ糖事情
の激変あるいは
細島コンビナート構想
の
変転等
から見まして、
中金
のこの
措置
はやむを得なかった面があるわけでございますけれども、
設備
の
つなぎ資金貸し付け
に対する考え方なりあるいは事後の
管理等
についてやや明確さを欠く点があるものと考える次第でございます。 それから一七ページへ参りますと、
資金使途
の
実情
がございます。これも
委員会
でしばしば御論議いただいたわけでございますが、今回の
調査
によりますと、
細島コンビナート工場建設工事費
の
支払い
に充てられた
資金
は二十五億五千三百万円でございます。そのうち、十九億八千四百万円が四十一年の八月末までに
現金支払い済み
でございます。その差額五億六千九百万円は
手形振り出し済み
と、そういう
状態
でございます。これは、二に書いてございますように、
工場
の
建設
でございますから、いろいろな
支払い先
が非常に多いわけでございますけれども、小口のものを除きまして、
大口
のもの二十五億五千三百万円の七九%に当たる二十億ほどのものにつきましては、一々照会をして
確認
をいたしたわけでございます。 一八ページに参りますと、全体として二十五億五千三百万円という
支払い額
は三
機関
一致しておりますけれども、それを
精製糖
と
ブドウ糖
・
果糖部面
にどう振り分けるかということにつきましては、若干の食い違いが三
機関
にございます。これは、それぞれの経理上の
評価
の問題でございますから、それぞれの違いがあることはやむを得ないものがあると思います。これによりますと、一九ページにございますが、
機関
によって違いますが、
細島コンビナート工場建設工事費
約二十六億円のうち、六億ないし八億円が
ブドウ糖
・
果糖部門
に投入され、十七億ないし十八億円が
精製糖部門
に投入され、約一億円が第二期
精製糖工場増設工事費
、これは従来
ブドウ糖
の
工場
をつくるとしておりました
敷地
に新しく
精製糖工場
を増設するという
工事
でございますが、それに使用されていると考えられるわけでございます。 そこで、二〇ページに参りますと、以上のような
資金使途等
があったわけでございますが、
開発銀行
といたしましては、先ほど申し上げましたように、当初
会社
が申し出ました
支払い先
あるいは
支払い額
と、今回
確認
された
支払い先
・
支払い額
とは一致しない
部分
がございますし、
資金交付
後
開発銀行
に
参考資料
として提出された領収書写しには、今回
確認
したものと符合しないものがございます。また、
資金交付
と実際
工事代金
の
支払い
との間には、一部時間的なズレもございますけれども、結果としては、
開発銀行
が
融資対象
とした
精製糖工場
については十七、八億円の
工事費
が支払われ、その完成を見ておるわけでございます。したがいまして、
開発銀行
の
貸付資金
八億円はおおむね所期の
目的
どおり使用されたものと考えられます。
農林公庫
及び
農林中金
でございますが、
中金
と
公庫
の
融資対象
といたしました
ブドウ糖
・
果糖工場
の本体は、いまだに
建設
されておりません。一部
基礎工事
が施行されたほか、
共用部分
が
精製糖工場建設
に付随して
建設
されているにとどまっておるわけでございます。したがいまして、
公庫
四億、
中金
十億という両
機関
の
設備資金
の
貸し付け
に対しまして、
ブドウ糖
・
果糖部門
に帰属せしめられる
工事費支払い額
は大体六億ないし八億円でございます。したがいまして、それを十四億から引きますと、八億ないし六億円の
資金
が
精製糖部門等
の他の
目的
に流用されたものと認めざるを得ない次第でございます。 そこで、
資金交付
後の
資金使途
の
確認
につきましては、各
機関
とも、随時、
報告
の聴取、
現地調査等
を行なっております。
開発銀行
は、
工場
の
実態
を
調査
いたしまして、とにかく
主要設備
がほぼ完成し試運転中であることを三十九年の十一月の末に
確認
をいたしております。
公庫
は、
ブドウ糖部門
の
工事
の着工が遅延をいたしておりますので、
現地
の
調査
をいたしましたところ、
計画
が変更している、あるいは、さらに四十年八月には、
ブドウ糖部門
の
機械
が
精製糖部門
に転用されているということが明らかになったわけでございます。その際、その
機械
が
精製糖部門
に転用されましたけれども、
工事支払い実績
を
検討
したところ、転用された
機械
を除いても実
支払い額
が五億三千百万円であるとの
説明
を受けたわけでございます。このときさらに一歩突っ込んで
調査
をすればよかったというふうにも考えられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、
大型合理化構想
の
決定
を待っておったわけでございますから、
公庫
としては、当時、
資料
の提出を求め、あるいは
担保補強
の手段を講ずるにとどまったということは、ある程度やむを得なかったと認められる次第でございます。
中金
といたしましては、十五条ノ二の
申請
を行ないますときに、あらためて
会社側
の
事業計画
なり
資金計画等
の
審査
を行なっております。また、
公庫
と合同して
実態
の
確認
をいたしておるわけでございますけれども、この際に、すでに
貸し付け
ていた十億の
つなぎ資金
についても、その
使途等
をあわせて
検討
すべきであったと考えられる次第でございます。 二二ページに参りますと、
債権
の
確保
でございます。
開発銀行
につきましては、
共和製糖
の
宮崎事業所工場財団
を
担保
にとっております。二三ページにございますこの
工場財団
の
評価額
につきましても、当初の
評価
は、
開発銀行
、
農林公庫とも
に十九億二千五百万、
中金
が二十億八千九百万でございましたが、今回厳密に
評価
いたしましたところ、
開発銀行
が十六億二千二百万、
公庫
が十五億百万、
中金
が十四億八千三百万ということになったのでございますが、これに対して四十一年八月末第一
順位
の
担保
をとっております
債権残高
は、
開発銀行
が七億四千万、
公庫
が一億、
中金
が二億、
宮崎
銀行が八千万ということで、全体として十一億二千万でございますから、
工場財団
の
評価
の
掛け目
を八〇%と見ましても、
開銀
の現在の
債権額
七億四千万円は
担保力
について懸念はございません。 二四ページに参ります。
公庫
につきましては、四億の
細島コンビナート工場建設資金
に対しまして、
共和製糖
の
宮崎事業所工場財団
の
抵当権
の設定、さらに追加して
東洋果糖
の
宮崎事業所
の
土地
、
汚水処理施設等
を
担保
にとってございます。
担保掛け目
を八〇%として計算すれば、
貸付金
四億に対しまして約一億五千万ほどの
担保不足
となっておりますが、最近、
共和糖化
の
水戸工場
に第二
順位
の
抵当権
を設定いたしましたので、
担保不足
は相当程度減少する見込みでございます。さらに、このほか、
担保
の徴求を
公庫
としては
努力
をいたしておる
現状
でございます。
中金
につきましては、
共和製糖
の
宮崎事業所工場財団
に第一
順位
として二億、第四
順位
として十五億六千万の
根抵当権
を設定しておりますほか、
東洋果糖
の
横浜工場
、
高槻山林等
について
根抵当権
が設定されております。
農林中金
の
共和糖化工業
に対する
短期貸付債権
の
残高
は二十七億八千万円でございますが、以上申し上げた
物的担保
の
掛け目
を八〇%として計算をいたしますと、約十億ほどの
担保不足
となっておる
現状
でございます。しかし、
中金
におきましては、最近、
共和糖化
の
神戸工場
及び
株式等
を
担保
に徴するように
努力
をいたしております。また、すでに
担保
としてとつております千葉市あるいは
神戸
市所在の
土地
の
評価額
も最近増加しておりますので、総体として
担保不足
は相当程度満たされるものと考えます。なお、
中金
といたしましては、このほか、いろいろな山林、
株式等
々についての
担保
徴求に
努力
をいたしておる
状態
でございます。なお、二五ページの後段にございますが、
担保
物件として国会において御論議のありました高槻の山林につきましては、もともと添え
担保
ということで、正式の
評価
を行なっておりませんけれども、当該山林の一部の売買の事例、あるいは近隣地の売買事例等よりいたしますと、
中金
といたしましての
評価額
はおおむね十億ないし十五億程度と推定されるわけでございます。二五ページからは、なお、
貸付金
の処理でございますが、
開発銀行
の
貸付金
につきましては、元利の償還は順調にいっております。それから
公庫
の
共和糖化工業
、
東洋果糖
及び日本糖化の
共和グループ
に対する
貸付金
につきましては、元利金の延滞がございまして、四十二年三月三十一日まで
支払い
を猶予する
措置
をとっております。
中金
につきましては、従来は利息先取りの手形
貸し付け
でございましたが、昨年の暮れから四十一年の初めにかけまして利息あと取り方式に変更する
措置
をとっております。 なお、
公庫
といたしましては、先ほども申し上げました
ブドウ糖工場
建設
の
敷地
に精糖
工場
の増設の
工事
が始まっておる
状態
に注目いたしまして、この関係の
資金
の全額繰り上げ償還を請求いたしております。
中金
といたしましては、いろいろな形で
担保
の徴求を進めておる
状態
が二六ページから二七ページにございます。 なお、二八ページの第四章の「むすび」でございます。これは、先ほど大臣からお話がありましたことと同じでございます。省略をさせていただきます。 以上でございます。
山崎斉
7
○
委員長
(
山崎斉
君) 以上で概要
説明
を聴取いたしましたが、なお、提出されております「
報告
書」は会議録の末尾に掲載いたします。 それでは、これより質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言願います。
渡辺勘吉
8
○渡辺
勘吉
君 ただいま
政府
から
共和製糖
と
東洋果糖
に対する各三
機関
の
融資
についての
調査報告
を伺いましたが、私は、この
調査報告
に基づきまして、従来本院の決算
委員会
なりあるいは当
委員会
で触れましたことと極力重複を避けてこれからお尋ねをいたしたいと思いますが、かなり時間の制約がありますので、質問も簡潔にいたすつもりでありますが、
政府
御当局あるいは
参考人
の御答弁も質問そのものに直接簡明にお答えになっていただきたいと、あらかじめお願いをいたしておきます。 まず、三十八年の十月一日付をもって、
東洋果糖
株式
会社
取締役社長菅貞人から、当時の
食糧庁長官
斎藤誠氏に対して、「ぶどう糖
合理化工場建設
資金
融資
斡旋
依頼
について」なる書面が出ております。これは、その
依頼
の最終的なねらいは、
ブドウ糖工場
の総工費十三億四千万円に対して、
農林漁業金融公
庫
融資
八億円の
融資
あっせん
をしてほしいと、要約すればそういうことになるわけであります。なお、それについては、具体的な
資金
計画
も添えて出しております。 〔
委員長
退席、理事野地浩之君着席〕 この三十八年十月一日の
東洋果糖
の
融資依頼
を受けた
政府
は、三十九年の三月三十日に、
食糧庁長官
名をもって、
農林漁業金融公
庫総裁
、当時の清井正氏に対して、「
東洋果糖
株式
会社
宮崎
工場
のぶどう糖製造施設に対する
融資
あっせん
について」の
依頼
をいたしておるわけであります。もとより、この
融資依頼
は、表現は
依頼
でありますが、当時の理解としては、この
依頼
は事実上
融資
そのものにつながるきわめて強力な取り扱いであることは、周知の事実であります。 それで、まず第一に
農林
当局にお尋ねをいたしますのは、この業者から出た
事業計画
の中で従来触れなかった点を私は特にお尋ねをいたすのでありますが、このほかに、ただいまの
調査報告
にもありましたように、
果糖部門
については
政府
から何らかの
融資依頼
が
農林
中央金庫に対してもなされたという、従来事実
確認
がなかったという私の質問に対する大臣の答弁からはかなり反省した表現が
報告
の中に出ております。これは当然のことであって、公
文書
ではないけれども、必ず総合コンビナートの一環としての
果糖部門
の
建設
について
政府
は
農林
中央金庫に対しての
融資依頼
をしておる、おそまきながらこういう事実を
調査報告
の中で
確認
をしておるわけでありますから、この際お伺いをいたしますのは、
ブドウ糖
と
果糖
、この二つを合わせた総
事業計画
は二十九億三千五百十六万八千円という
計画
になるわけでありますが、この二十九億三千五百余万円のうちに、
自己資金
の調達ということが借り入れその他中にあるわけであります。この調達の具体的な内容の中には、
農林漁業金融公
庫からの借り入れを八億、
農林
中央金庫からの借り入れ十億というものを見込んで、残余が
自己資金
として十一億三千五百万というものを見ておるのでありますが、この十一億三千五百万という
自己資金
の調達
計画
の具体的な内容をどう
確認
をされた上で
政府
当局はこれらの
機関
に対して
融資依頼
をしたか、この点をまずお伺いしたい。
大和田啓気
9
○
説明員
(
大和田啓気
君) 当時の
経過
は、十分私ども追跡をいたしておりますが、詳細判明しない
部分
がございますが、十一億三千五百万円のうち、一部は、自己資本の、文字どおり自己資本の調達という形で増資を考えておりますし、それからもう一
部分
は、横浜の
果糖
の
工場
等の売却ということを言っておったというふうに承知いたしております。
渡辺勘吉
10
○渡辺
勘吉
君 もう少し当時の
計画
を
確認
して、少なくともこれだけを
融資
しなさいという命令に近い公
文書
で意思表示を
政府
がやっておるのですから、私が伺うのは、一部が増資で一部がこれらの不稼働資産の処分であるということは当然常識的にも理解した上でお伺いするのでありますが、もっと具体的にひとつ内容について御答弁を願います。
大和田啓気
11
○
説明員
(
大和田啓気
君) 数字について申し上げますと、
東洋果糖
の十一億三千五百万と
共和製糖
分の三億二百万と合わせまして、いわゆる
細島コンビナート
といたしましては十四億三千七百万でございますが、この十四億三千七百万円の内訳といたしましては、増資として七億九千四百万、それから資産の処分として四億八千万、それから現金あるいは預金といたしまして一億六千三百万、合計いたしまして十四億三千七百万というふうに承知をいたしております。
渡辺勘吉
12
○渡辺
勘吉
君 これは代表して
公庫
の
総裁
にお伺いいたしますが、増資が七億九千四百万、不稼働資産の処分が四億八千万、手持ち預金・現金の引き当てが一億六千三百万、こういうことに
融資
する
金融機関
としては
確認
をしたと思うのですが、この数字に誤りがありませんか。
大沢融
13
○
参考人
(
大沢
融君) 実は、私の手元にある数字と多少異なりますが、私ども
融資
を
決定
しました際も、それからしばしば
資金
計画
が変わっておりますが、当初の数字から、第一次
工事
が三十九年六月二十六日でございますが、そのときは、
東洋果糖
の
ブドウ糖部門
での
資金
といたしましては、増資分が一億二千四百三十万、それから資産処分といたしまして
ブドウ糖
の
神戸工場
の二億、それから現・預金が一億七千三百六十四万八千円、それを合計いたしまして四億九千七百九十四万八千円ということになっておりますが、第二次にそれが変わりまして、三十九年の九月二十六日でありますから、
決定
をして実行直前でございますが、そのときの数字は、これは
東洋果糖
の
ブドウ糖
と
果糖
分と一緒になっておりますが、増資分が四億九千四百三十万、それから資産処分としましては四億八千万円を計上してありますが、これは千葉
工場
の五千万、それから
神戸工場
の二億、
横浜工場
の二億三千万、合計四億八千万、それから現・預金といたしまして六千八十六万八千円、合計十億三千五百十六万八千円、こういうことになっております。 〔理事
野知
浩之君退席、
委員長
着席〕
渡辺勘吉
14
○渡辺
勘吉
君 どうも私が
実態
で
調査
したことと多少の食い違いがあると思うのですが、私はこういうふうに理解しておる。最終的に
自己資金
の調達が確定した内訳ということは、
ブドウ糖部門
については
自己資金
の
所要
額が五億四千七百九十五万八千円のうち、増資に合う分が二億三十万、不稼働資産の処分が二億、関係
会社
の借入金が七千万、手持ち現・預金が七千七百六十五万八千円、それから
果糖部門
についての
自己資金
の
所要
分は五億八千七百二十一万円、このうち、増資引き当て分が一億二千四百万、不稼働資産の処分が二億八千万、関係
会社
の借入金が一億、手持ち現・預金が八千三百二十一万、これで確定して
融資
がなされた、こう理解しておるのですが、この点の私の整理した数字等との違いかあれは、どういう点が違っておるか。私の申した数字が違っておらなければ、これでその内容についてこれからお伺いをするわけです。
大沢融
15
○
参考人
(
大沢
融君)
融資
決定
直前の三十九年九月二十六日、実行いたしましたのはたしか九月末であったと思いますし、払い出したときが十月の六日だったと思いますが、この直前の
決定
いたしましたときの
資金
計画
、これは先ほど申し上げたようなことで、ちょっと先生の数字と符合しない点もあるような気もしますので、ここですぐ突き合わしてみるというと、ちょっと私のほうにございませんけれども、先ほど申し上げた数字が私どものほうの数字でございます。
渡辺勘吉
16
○渡辺
勘吉
君 それでは、内容に入って伺えばなお突き合いもはっきりしてくると思いますので、内容で伺いますが、不稼働資産の処分については
公庫
ではどう
確認
されたのですか。
ブドウ糖
、
果糖
別に言うてください。
大沢融
17
○
参考人
(
大沢
融君) 不稼働資産の払い出しにつきましては、こういうことをやるという
確認
書を取ってやっております。
渡辺勘吉
18
○渡辺
勘吉
君 いや、金額を聞いたんです。
大沢融
19
○
参考人
(
大沢
融君) 千葉の精糖
工場
が五千万、
神戸
の
工場
が二億、横浜が二億三千万、合計四億八千万ということでございます。
渡辺勘吉
20
○渡辺
勘吉
君 そうしますと、千葉の
工場
が五千万と言いますが、私の
確認
しておるのはこれは四千万、一千万の違いがありますが、この四千万の千葉の
工場
を不稼働資産として処分をして
自己資金
調達の財源の一部に充てる、こういう内容でありますが、この五千万といい、あるいは私の
調査
した四千万といい、これは裸の財産であることを
確認
しておるかどうか。あるいは、もっと具体的に言えば、私の
調査
では、これは千葉銀行に一番抵当がほぼ満額に近い設定がなされておると私は
調査
をしておる。そういうことを
金融機関
として
確認
したとすれば、これは処分しても不稼働資産による
自己資金
調達財源ではない、こういうふうに思わざるを得ないのですが、その間はどうです。
大沢融
21
○
参考人
(
大沢
融君) 千葉銀行に
担保
に入っておりますことは
確認
をしております。
担保
を解除することによってするということで
資金
計画
書を
確認
いたしたということでございます。
渡辺勘吉
22
○渡辺
勘吉
君 それはあとで伺いますところの
東洋果糖
横浜工場
なりあるいは
共和糖化
の
神戸工場
についても同様ですが、
担保
を解除させる、そういう
資金
の余裕があると思っておられるのですか。現在、しかも
担保
が解除になっておりますか、事実問題。なっていないじゃないですか。
大沢融
23
○
参考人
(
大沢
融君) 事実関係を申し上げますと、
担保
解除をして現在まで処分をしていない、こういうことでございます。
渡辺勘吉
24
○渡辺
勘吉
君
担保
解除をしていない。したがって、これは不稼働資産の処分としては、
資金
計画
はこれはまあ現実離れのした金を借りるための方便として出したにすぎない。こういうことはこの一つの事例をもっても明らかになったと思うのであります。 なお、時間がありませんから、同じケースでありますから、
神戸
の
共和糖化
の
設備
にしても、これは二億というもの、現在
残高
が一億五千五百万でありますが、三和銀行に
抵当権
が設定されておる。しかも、これが当時の値上がりの時点での時価
評価
をして
抵当権
を設定しているものでありますから、これも何ら
自己資金
の調達の
対象
たり得ない。また、
横浜工場
の、これはデーツ・デックスの
工場
でありますが、この場合も、これは
農林中金
に
抵当権
が設定されておる。したがって、これも、
神戸工場
と同じように、三和、あるいは農中、あるいは千葉銀行等々が
抵当権
を設定し、解除もしていないということから、不稼働資産の処分合わせて四億八千万というものは、あくまでも
公庫
あるいは中央金庫から金を借りるときの方便に、できもしないことを数字を作文をしたというふうに解釈せざるを得ないわけであります。 こういう
経過
に対して、
農林省
は、過般
調査
をして
報告
書を出したんだが、この事実をどう
確認
しておりますか、
融資
を
依頼
した当事者として。
大和田啓気
25
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私どもこの
計画
を一応
調査
をいたしましたが、まあ当時においてこの程度の処分の
評価
は必ずしも不可能ではなかったというふうに考えております。ただ、事実として、御承知のとおりでございますけれども、このような
計画
に基づく資産の処分は事実上行なわれなかったわけでございます。
渡辺勘吉
26
○渡辺
勘吉
君 確かに、この
抵当権
を解除すれば
自己資金
調達の財源になることは三歳の童児でも明らかなんですが、累積赤字を抱えておるこういう
共和グループ
がそういう
抵当権
を解除する余裕がないじゃないですか。だから、私は、
金融機関
の責めをこの際とやかく言う前に、こういう架空な
計画
を前提として
融資依頼
をしたという
政府
当局の
責任
は非常に重大だということをこの際はっきりと指摘をしておきます。 こういうことで時間をとられちゃ私もかないませんから、次に進みます。 次は、
細島コンビナート
の三つの大きな
工場
を
建設
するために、増資の
計画
をしておる。それは当時
東洋果糖
株式
会社
でありますが、これが
ブドウ糖部門
については二億三千万円の資本金をふやすという
計画
を出しておりますね。これは
政府
に出しておる。それから
果糖部門
については一億二千四百万という資本を新たに増額するという
計画
を出しておりますが、
公庫
の
総裁
に伺いますが、この増資をするという
資金
の
計画
が
融資
の際に当然条件になってしかるべきものだと思う。これはコマーシャル・ベースで
融資
をする場合なんかは当然そういうことをやっておる。したがって、政策金融といえども、こういう点についてはかなりきびしくそれらの条件を整備させることが
融資
以前の問題だと思うのですが、この点に関してはどういう
融資
の際の条件を付されて
指導
されたのですか。
大沢融
27
○
参考人
(
大沢
融君) 設定をいたしますときに、実行までの間に、
担保
、保証人等、
債権
確保
措置
について別途指示をした上で契約の設定をするということにいたします。契約締結にあたりましては、他の二
機関
、
中金
それから
開銀
と協議の上、
担保
の具体的な取りきめを行なうというようなことをやりましたのと同時に、増資の点についても契約をいたしますときに指示をいたしております。
渡辺勘吉
28
○渡辺
勘吉
君
融資
の契約をする、そういうときに
——
私は増資のことを伺っている。
担保
の問題は、いずれ矢山
委員
が詳しくお尋ねをする問題ですから、私は重複を避けて取り上げませんが、いやしくも
融資
をするときに、それが全体として
企業
としてペイするためには、少なくとも
自己資金
の調達ということが前提条件でなければ
融資
できないはずです。それはどういう条件をつけられたのか。つけなければつけないでいいですから、ただイエスかノーかだけを答えてください。
大沢融
29
○
参考人
(
大沢
融君) 三十九年の四月二十一日付で
共和製糖
、
東洋果糖
から出ておりますのは、三十九年の九月末日までに二億九千四百三十万円、これを増資する。
共和製糖
が一億七千、
東洋果糖
のほうが一億二千四百三十万円。そうして、さらに、四十二年九月末日までには両者が合計いたしまして五億円の再増資を行なう。再増資の予定の五億円については、外部引き受けでそれを積極的にやるということを言っております。そうして、これは金額は不明でございますが、
菅社長
個人それから東食というようなところを予定しておったように聞いております。
渡辺勘吉
30
○渡辺
勘吉
君 どうも非常に……
大沢融
31
○
参考人
(
大沢
融君) さらに、三十九年の五月二十九日には、
共和製糖
あるいは
東洋果糖
から増資を完了した旨の
報告
がありまして、増資日は三十九年の四月二十一日で、
共和製糖
のほうが資本金三億、もとは一億三千万、
東洋果糖
のほうが資本金二億、もとは七千五百七十万円でございます。そういうことでございます。
渡辺勘吉
32
○渡辺
勘吉
君 とぎれとぎれに言われるから、さっぱり聞いているほうはよくわからない。
共和製糖
は、三十九年の四月二十一日に従来の資本金一億七千万に対して増資を一億三千万して三億にした。それから翌四十年一月十一日にこの三億を倍額増資をして六億にしておる。
東洋果糖
は、同じ三十九年四月二十一日に従来の資本金七千五百七十万を新たに増額をした分が一億二千四百三十万で二億にした。これはいま
総裁
の御答弁のとおりでありますが、これが四十年一月十一日にさらに倍額増資をして四億にした。ここまではこれは一致していますか。
大沢融
33
○
参考人
(
大沢
融君) そのとおりでございます。
渡辺勘吉
34
○渡辺
勘吉
君
政府
に伺いますが、この
調査報告
によりますと、
政府
は十月二十一日と二十四日の両日にわたって三和銀行の八丁堀支店の
実地調査
を行なっておりますが、この
東洋果糖
、
共和製糖
の増資の
実態
をどういうふうに把握されましたか。御承知のように、
共和グループ
は全部三和銀行の八丁堀支店を使っておる。したがって、精力的に二日間その
資金
の流れを
調査
したのでありましょうが、その
資金
の流れのうちに、いま私が
確認
をいたしました、三十九年四月二十一日に、
共和製糖
が一億三千万を新たに増資をしておる、
東洋果糖
が一億二千四百三十万を増資しておる、翌年の一月十一日には倍額増資をしておる、これをいかように
調査
の結果、
実態
を把握されましたか。
大和田啓気
35
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私どもが承知いたしておりますのは、三十九年一月二十四日に
共和製糖
の資本金が一億三千万になったわけでございます。三十九年四月二十一日に一億七千万増資をして、資本金が三億になったと承知いたしております。あとは、いまお読みになったとおりで、私の
資料
と一致しております。 実は、この共和関係の増資でございますが、払い込みが実質的に行なわれていない増資が多分にあったようでございます。共和のいわゆる中核三社の資本金は、現在、製糖が八億五千万、糖化が三億、産商が五千万、合計十二億でございますが、増資の払い込みの中で二億五千万は私ども
支払い
を
確認
をいたしましたけれども、残りの増資分につきましては、
会社
同士で持ち合いといいますか、おそらく借り入れをして増資をしたという関係がございますか、実体的な増資がなかったような印象を受けておるような次第でございます。
渡辺勘吉
36
○渡辺
勘吉
君 あなたの数字の発表は非常に混乱をしております。二億五千万が実払い込みがあったというのは、私がいま取り上げた以後に
共和製糖
が四十年の八月二十一日に二億を増資をして八億にしている。この二億の増資は東食が現実にキャッシュを振り込んでいる。それから十一月二十五日に五千万をさらに増資して現在八億五千万になっているが、この五千万は東棉が実払い込みをしておる。この八億五千万の中に実払い込みが二億五千万があるんで、私が伺った六億までの段階であるんじゃないですよ。
大和田啓気
37
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私がちょっと間違えておりました。この
支払い
二億五千万は、たしか四十年八月以降の増資でございます。それ以前はございません。
渡辺勘吉
38
○渡辺
勘吉
君 ここで明らかになったのは、
政府
が
調査
した結果、いま
局長
が答弁いたしましたように、
共和製糖
は四億三千万というものの架空の増資をしてごまかしをしている。
東洋果糖
は二回に合計して三億二千四百三十万というものを見せかけの増資をしておる。合わせましてこの二つの
会社
だけで七億五千四百三十万という見せ金でこれは増資をしたかのごとき擬装をしている。このことは、いま
政府
が答弁したことによって明らかになったわけであります。これは明らかに一つの問題にもなってきている。たとえば、商法第四百九十一条違反の問題なり、あるいは公正証書不実記載の刑法の問題なりということも出てくるわけでありまして、そういう点はいずれ検察庁でも捜査の段階で取り上げることだと思いますから、私は法律違反のことはこれ以上この問題をこの
委員会
で取り上げる意思はありませんが、しかしながら、
農林水産委員会
のこの性格から見ましても、非常に大きな
自己資金
というものが
計画
の上で虚偽につくられ、それが見せかけの増資に終わって、全体の
資金
繰りを非常にかたわにしているということであります。こういうことは、結果的にいつわかったのか。私はこれ以上ここで聞くつもりはありませんが、これは、金融する
機関
としても、これらの
実態
を把握しなかったということは、非常に遺憾だと思う。しかし、系統金融に
融資
する場合にもこんなことでやっていいとは言えませんが、少なくともそれらの
融資
の大きな前提条件であります、自己資本の調達ということは。それらがある程度事実
確認
をなされてから
融資
するというのが金融の常道じゃないでしょうか。それを、単に知能犯的なそういう
資金
繰り
計画
をうのみにして出す。金だけはどんどん貸し出しをして、出た結果、その他の
資金
繰りは架空なものであった。不用資産の処分をするという金額も、これはわずかじゃないか。約五億に近いものが
抵当権
を設定され、もう
資金
化ができないという
実態
が明らかなのに、それを
資金
計画
として、五億程度は不稼働資産で自己資本を調達いたしますと。出資についても、いま申しましたように、全体では七億五千四百三十万という架空の資本金を計上されて対外的な信用というものをごまかそうとする。こういうことは、私は、今回の
共和グループ
の不正
融資
の氷山の一角である、いままで決算
委員会
でも本
委員会
でも取り上げなかった問題の一つとして取り上げるのですが、この点について、これはもう
金融機関
もさることながら、この
計画
を
確認
した上で
融資依頼
を
農林省
がしているんですよ。
農林大臣
として、これは
金融機関
の
責任
だと言うては済まされぬ問題だと思う。主管大臣として、これらの意図的につくられた
資金
計画
、それを是認して
融資
を
依頼
した
政府
当局、これらの事実が明らかになった現在、
政府
は一体いかなるこの問題に対して善処をされるつもりですか。これは氷山の一角として私は取り上げた問題の一つですが、
農林大臣
……。
松野頼三
39
○
国務大臣
(
松野頼
三君)
企業
の担当者の
計画
がまずその
責任
の第一であります。これに対処して
融資
担当する態度、これがもう少し厳正でなければならなかったし、同時に、その
計画
をつくる
農林省
としても、その
計画
の中にそれらを看破し得なかった、これは確かに大きな監督上並びに
融資
上及び担当者として各所にその問題は手落ちがあり、また、その
責任
が各所において十分でなかったと私は考えます。
渡辺勘吉
40
○渡辺
勘吉
君 それでどうされるのですか。
松野頼三
41
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 今日、できる限り態度を改め、国損をなくし、そして完全なる処理というものに全力をあげ、この問題の次善の策として最善を尽くすことが今日課せられた問題だと思います。
渡辺勘吉
42
○渡辺
勘吉
君 そうすると、過般、自民党の綱紀粛正
調査
会で、何ら不正
融資
がない、やましいところがないというあの発表は、こういうたとえば一つの事例についても、非常に問題があったということは、大臣、お認めになりますね。
松野頼三
43
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 自民党の発表については自民党自身の問題でありまして、私がとやかくそれを論評するわけにはまいりませんが、
政府
が今日この問題に取り組んでいるについては、いろいろな点において
調査
してみると、その時点においてもう少し慎重さが欠けておったということは確かに見受けられる。私自身も、そういうものをなぜもっとより以上厳重な
現地
の
調査
、あるいはその内容、民間
企業
といえど、貸し出すほうにとってはこれは重要なことですから、その
企業
の信用
状態
というものをもう少し慎重に
調査
しなかったということは、確かに
融資
以前における問題だと思います。
渡辺勘吉
44
○渡辺
勘吉
君 次に、ちょっと角度を変えて一、二お伺いをいたしますが、過般、新聞発表等によって菅貞人氏が
共和製糖
とかあるいは
共和糖化工業
の代表取締役を辞任したと伝えられるのですが、真相はどうですか、現実に辞任さしていますか。
大和田啓気
45
○
説明員
(
大和田啓気
君)
菅社長
から社長辞任の申し出があったわけでございます。ただ、代表取締役としては
菅社長
一人でございますので、社長辞任申し出があったまま、かわりの者が選任されない時点におきましては、その職務をなお行なっておるようでございます。
渡辺勘吉
46
○渡辺
勘吉
君 私は、当時の新聞を見て、もう
責任
をとってやめたかと思ったが、辞任の意思表示があったが、まだ辞任をしていない、
政府
も辞任をしていないことを
確認
している、そういうことですね。
大和田啓気
47
○
説明員
(
大和田啓気
君) 後任の社長がまだ選任をされておらないわけでございます。ただ、菅氏が代表でありますことは、いままでそうでありましたけれども、近々といいますか、あるいはごく近くといいますか、
共和製糖
の中の取締役のうちの一人が代表権を行使するようになって、
菅社長
が判こを押さなければ支出ができないという
事態
は非常に近いうちに解消するというふうに聞いております。
渡辺勘吉
48
○渡辺
勘吉
君 非常に近いって、だいぶ間があるんですがね、いままで。いよいよますますこれは困るんじゃないですか、こんなことでは。
大月高
49
○
参考人
(
大月
高君)
共和グループ
の後任の社長につきましては、
菅社長
辞任後、
会社
の信用にもかかわりますので、関係の
金融機関
が集まりまして寄り寄りどうしたらよかろうかいま相談いたしておるわけでございますが、どの方面から社長を求めるかという点につきまして、こういう
事態
におきましてなかなか適任者を得られない。で、
関係者
の間では、われわれのほうから社長を出してはどうかという強い御要望がございます。ただ、国会の御論議にもございましたように、われわれの
農林中金
といたしましては、
共和グループ
に相当多額の金を貸しておるわけでございまして、一方におきましては
債権
を管理しこれを
確保
するという
立場
においてわれわれとして最も利害関係が深い。そういう意味で、この
共和グループ
の再建問題について、一番の関心があり、かつ利害関係が深いわけでございます。しかし、他面、一般の御批判によりますと、これだけ多額の金を貸し込んでおりますわれわれから社長を出すということになると、いままでいろいろ御論議がございましたように、必ずしも明朗でない。菅グループのいろいろな過去の問題に対しましてわれわれが何かまた不明朗な取り扱いでもするのじゃないかというようなまた一つ御疑念もあるわけでございます。そういう意味で、われわれといたしましては、どうしてもわれわれでなくちゃいかぬということではなしに、
関係者
の御意向によりましてどうしてもわれわれから出せという御意向が固まりますれば、最後には出さざるを得ない。しかし、その場合におきまして、少なくとも過去におきまして菅グループの
融資
に関与したという
実績
がないということ、それからわれわれと特に密接な関係があるつまり現職の者から出すということだけはまあ差し控えたい。 こういうことでございますので、われわれの決断につきましては
会社
としては一日も早くということを考えていると思います。われわれも、このままじんぜん日を送るわけでもございませんので、
関係者
の御意向を固めまして早急に処置いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
渡辺勘吉
50
○渡辺
勘吉
君 私が聞いておる
政府
が答弁しないで、
大口
債権
者が答弁するというのもよけいなような感じがするんですけれども、私は決算
委員会
でも言いましたけれども、基本的にはやはり
政府
の
責任
というものが一番問題の根源をなしておると思うのです。したがって、こういうのも監督官庁としてもう少し勇断をもって処置をするということがなければ、一そうこれは混迷に混迷が加わるだけで、一日遷延すればさらにはかり知れない大きな、目に見えない損失等も累加されるわけでありますから、大和田
局長
の言うように、ごく近い機会にと、近々のうちにということは、いままでのような
経過
から言っても、もう即刻にこれはそれらの問題を煮詰めた上で適正な
措置
をおとりになってしかるべきだと思うのであります。 そこで、これらの自後の処理については、いずれ矢山
委員
が取り上げる予定でありますから、私は触れませんが、菅貞人氏が辞意を表明したのは、
共和製糖
と
共和糖化工業
の二社だけなんですか。あるいは、
共和グループ
のうちで現在菅貞人氏が代表をしておる
会社
はどこどこですか、その内訳をひとつ明らかにしてください。
大和田啓気
51
○
説明員
(
大和田啓気
君)
菅社長
の辞任の申し出がありますのは、
共和製糖
であるというふうに私は聞いております。ほかの傍系の
会社
が幾つかございますし
——
傍系といいますか、中核三社の中で共和産商等ございますけれども、共和産商につきましてはまだ辞任の申し出があるというふうには聞いておりません。辞任の申し出があると聞いておりますのは、
共和製糖
と
共和糖化
の二社でございます。
渡辺勘吉
52
○渡辺
勘吉
君
共和グループ
の中で菅貞人氏が代表者になっている
会社
は、共和産商、九州食品、日本液糖、宝不動産、日建開発、関西セブンアップ飲料、これがその
会社
だと私は
調査
の上で
確認
しているんですが、間違いありませんか。
大和田啓気
53
○
説明員
(
大和田啓気
君) おっしゃったいわゆる
共和グループ
に属する
会社
としては、以上のとおりだろうと思います。
渡辺勘吉
54
○渡辺
勘吉
君 私はこれからお伺いするのは、共和産商の代表者を辞任する意思表示がないという点であります。共和産商という
会社
は、私、
資料
も要求しておりませんから、したがって、正確な材料もわからんのですが、
実態
というものを見ますと、少なくともこの共和産商というものが不正
融資
の大きな仲立ちをしている中核的な
共和グループ
の中でも
会社
であるのではないかというふうに考えられるわけです。というのは、共和産商は、赤字もここへ集中しておる。第一線の
共和グループ
の
資金
もここへ集中しておる。それからまた、分散をするという一つの集中的な機能を共和産商が握っておる。こういう点から言えば、共和産商の代表であるということを辞任しないということは、
共和製糖
なり
共和糖化工業
の代表を辞任するという一つの行動に籍口して、実質的な
共和グループ
のやはり支配権を保持したいというふうに理解せざるを得ないわけです。私はそう理解するんですが、
政府
は、共和産商におけるこの菅貞人氏の代表取締役というものを、今後の
共和グループ
に対する
措置
も含めて、このままでいいかどうか、その点をどう理解しておるかということをこの機会に明らかにひとつしていただきたい。
大和田啓気
55
○
説明員
(
大和田啓気
君) 共和産商がいわゆる
共和グループ
の一つの中核でございまして、
共和製糖
なり
共和糖化
なりの販売
部門
でありますと同時に、ややホールディング・カンパニーの形をなしておることは事実でございますが、御承知のように、
共和グループ
の
会社
自体が非常に流動的でございまして、共和産商が非常に確立された中核として今後も経営を続けるのか、あるいは
共和製糖
なり
共和糖化
なりにウェートをかけていくのかということは、私は今日の段階ではまだはっきり見通すことができないと思います。ただいま私が申し上げましたような意味のホールディング・カンパニーというのは日本にもかつて例がございますけれども、この共和産商の場合はそういうふうに制度として確立したというふうにはなかなかまだ判断をいたしかねるものがございます。したがいまして、共和産商がどういうふうに今後経営の形を続けていくのか、いままでのように、販売、購買
部門
の中心であり、また、ホールディング・カンパニーの形態を保っていくかどうかということは、
共和製糖
の新しい経営陣が生まれて、そこで十分
検討
されるべきものであろうと思います。したがいまして、
共和製糖
なり
共和糖化
なりの社長を菅氏が辞任して、共和産商の社長をかりに現在の時点で辞任しないからといって、製糖なり糖化なりの再建に非常に支障があるというふうには考えなくてもいいのではないかというふうに思うわけであります。非常に
事態
が流動的でございます。
渡辺勘吉
56
○渡辺
勘吉
君 これはどうも非常に危険きわまる理解であると私は反駁せざるを得ない。 それでは伺いますが、ホールディング・カンパニーであるという
実態
は必ずしも的確には把握できないというお話でありましたが、この共和産商の株主はどなたですか。
大和田啓気
57
○
説明員
(
大和田啓気
君) 株主は、宝不動産でございます。
渡辺勘吉
58
○渡辺
勘吉
君 宝不動産が満株を持っていますね、十万株五千万円。
大和田啓気
59
○
説明員
(
大和田啓気
君) 十万株五千万円……全額持っておるわけでございます。
渡辺勘吉
60
○渡辺
勘吉
君 十万株で五千万円を持っておる、宝不動産が。宝不動産の株主はだれですか。
大和田啓気
61
○
説明員
(
大和田啓気
君) 宝不動産は、資本金九百万円でございますけれども、株主は五名で、菅貞人氏外四名、いずれも菅氏の同族の方であると承知しております。
渡辺勘吉
62
○渡辺
勘吉
君 であるとすれば、ワンクッションを置いて明らかに共和産商を支配しておるのは、菅貞人及びその一族です。菅貞人、菅英志、菅英里、菅春貴、菅御丹、そういう菅氏の一族が宝不動産の株主を構成し、この宝不動産が共和産商の株主を掌握しておるということは、少なくともホールディング・カンパニーの範疇に入るかどうかは別として、菅一族が共和産商を支配しておる、こういうことが株主構成によっても明らかな事実である。だとすれば、この
会社
は流動的であるから、
共和製糖
あるいは
共和糖化
等々の今後の歩み方の中でどうするかということは、流動的な中でまだはっきりした考えがないというような、そんななまぬるいことでは、私は今後の
債権
保全の問題なり何なりは考える資格すらないと疑わざるを得ない。私はこれからそれらのまた関連
会社
の内容について一、二伺いますが、もっときびしく現実というものを把握した上で監督官庁としては対処すべき問題ではないですか。
大和田啓気
63
○
説明員
(
大和田啓気
君) 共和産商が一種のホールディング・カンパニーのような機能をいたしておったということは、私は先ほどから否定はいたしておりません。今後の問題がどう動くだろうかということをはなはだ流動的であるからというふうに申し上げました意味の一つは、最近まで共和産商が
共和製糖
と
共和糖化
の株を相当たくさん山持っておったわけでございますが、十一月に入りましてから、共和産商が持つおてりました
共和製糖
の株九十七万株ほどと、共和産商名義の
共和糖化工業
の六百万株ほどを、それぞれ
共和糖化
なり
共和製糖
なりに株式を譲渡いたしておるわけでございます。したがいまして、
共和糖化
の株式は、従来は共和産商一人で六百万株全部持っておりましたし、
共和製糖
の株主は四名で、共和産商は九十七万六百株を持っておったわけでございますけれども、この共和産商が持っていた
共和製糖
の株九十七万株が
共和糖化
へ、
共和糖化
の株六百万株が
共和製糖
に十一月になってから移譲をされた事実がございます。したがいまして、私は、共和産商が今後どういうふうになるかということは、現在見澄ましておる段階で、必ずしもこれが今後もいわゆる
共和グループ
の中核としてやっていくのかどうかということについては、どうもそういうふうにいま割り切って判断をすることができないというふうに考えておるわけでございます。
渡辺勘吉
64
○渡辺
勘吉
君 しかし、少なくとも菅貞人氏が
共和製糖
なり
共和糖化工業
の代表取締役たるものを辞任したという意思表示は、これは、従来も数々の
政府
をだまし、
金融機関
をだまし、そういう多少の反省があってやったことでしょう。だとすれば、なぜこういう共和産商とかその他の代表取締役も辞任しないのですか。どう理解しますか。
大和田啓気
65
○
説明員
(
大和田啓気
君) これはなかなか人の心境をうかがうということはむずかしいわけでございますけれども、私は、いま申し上げましたように、従来いわばホールディング・カンパニーとして
共和製糖
なり
共和糖化工業
の株を相当たくさん持っていた共和産商が手放したことによって、今後も共和産商がこの
共和グループ
の中核としてやっていくかどうかということについては疑問を持っておるわけでございます。また、
共和製糖
がどういう形で今後経営を続けていくか、
共和グループ
の中でどういう地位を占めるかということは、
共和製糖
なり
共和糖化
なりの新しい経営陣によって
決定
されるし、また、
決定
することができるのではないかというふうに考えております。
渡辺勘吉
66
○渡辺
勘吉
君 角度を変えて伺いますが、やはり共和グルールプの中に
農林
開発興業という
会社
がありますね。これは、代表者は、前の重政
農林大臣
の秘書をやった高橋喜寿丸という人が代表者であります。この
農林
開発興業株式
会社
の、私は手元に古い
資料
しかありませんから、古い数字で取り上げる以外にないのですが、四十年の三月末の決算書を見ますと、
農林
開発興業株式
会社
に共和、産商が四億六千八百二十七万円の
貸し付け
をしておる。同じくこの期間に、
共和製糖
が二千五百万、
共和糖化工業
が二千五百万円の
貸し付け
をしておる。こういう事実が決算書の中に出ておる。ところが、この
農林
開発興業株式
会社
が、従来しばしば取り上げられた国有林交換の問題、これの主役を演じておる
会社
である。たとえば高槻の国有林を三千五百万円で購入し、これは全部
農林
開発興業株式
会社
の
土地
と立木の中に計上されておるわけであります。これらが、共和産商から五億近い金が出て、その金でこういう
土地
を買収する。全体として
土地
が二億四千四百七十一万ということでありますが、この所有
土地
をざっと私計算いたしましても、二千百ヘクタールの大きな面積に及んでおる。これは一体時価に
評価
したらどれだけになるか。
共和グループ
の中で、こういう一つの事実が
農林
開発興業株式
会社
にあるわけであります。一方では、ただいま取り上げましたような共和産商というもの、これがどういうからくりか私は存じませんが、第一線の
会社
の赤字もここへ集中しておる。そうして、ドル箱は全部あげて
農林
開発興業の中の資産に含まれておる。こういう一連の関係を見ますと、私はこの問題があらためてやはり今後の大きな取っ組まなければならないお互いの大きな課題であると指摘せざるを得ないわけであります。これは四十年の三月末の
実態
でありますから、その後、たとえば建物については、日本橋室町一の二に新しいビルを建てた。これはことしの春竣工しておる。これは
資金
が一体どこから流れていますか。少なくともこの
調査
を出す時点では、
政府
は連結バランス・シートをおつくりになっておるでありましょう。そういうことが
報告
書に載っておる。その金がどこから流れてこういう建物の
建設
になっておるか。そういうことを考えますと、私は、
債権
保全というものは、こういう点にも余すところなく保全の
措置
の
対象
を向けなければならぬと思う。 まず、私だけがこう先走って言いますと、お尋ねする点がぼけますが、たとえば
農林
開発興業株式
会社
が新しいビルを建てた
資金
はどこから流れているか、その物件は
債権
保全上どうするつもりか、その二点についてお尋ねします。
大和田啓気
67
○
説明員
(
大和田啓気
君)
農林
開発が新しいビルを建てましたその
資金
はどこから流れているかということにつきましては、私どもどうもよくわからないということを申し上げざるを得ないわけであります。 それから新ビルを
担保
にとるかどうかということにつきましては、
中金
、
公庫
ともに現在
担保
の徴求にきわめて熱心になっておりますので、だんだんそこに及ぶことを私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。
渡辺勘吉
68
○渡辺
勘吉
君 どうもすっきりしませんがね。そんな悠長なことでいいんですか。国民監視の的になっているこういう一つの一連の関連を、
金融機関
が一生懸命になっているというて、
金融機関
にそうさせて黙って見ているわけにいかぬ。これは一つの例を私は言っている、ビルのごときは。九階建てのビルを建てているでしょう。なぜその
債権
保全ができないのですか。
政府
はもっとしっかりした姿勢を示さなければいかんのじゃないですか。次々とこういう点で損失が確定されていくんですよ、国損が。私は一つの例をあげたにすぎない。たとえば、四十年の会計年度で発表しておる
土地
の二億四千四百七十一万のこれを適正に
評価
したならば、三けた違うのじゃないですか。非常に大きな隠し財源をこの
会社
が持っておる。あるいは、
菅社長
の個人の住宅の問題。いろいろなものが、私たちこの表向きの決算
報告
書を見ただけではわからぬものが数限りなく伏在しているわけです。あるいは政治献金という点にしぼってみても、表向きの届け出をしたものの何倍か想像がつかないような金がやみからやみへと流動しておる。その媒体が共和産商であり、あるいは
農林
開発興業
会社
等々が介在しておると考えられる。一方では巨額な赤字を計上させ、一方では表向き
会社
設立以来税金を納めないために例年赤字を計上しながらぬくぬくと資産が隠匿されるような
会社
の経営を放置していいのですか。一体、この
農林
開発興業
会社
、これはさしあたり今回の
共和グループ
に対する
融資
の
対象
ではないにしても、少なくとも共和産商から五億に近い金が流れておる、四十年の三月末現在において。その後、新たな
設備
をふやすという場合にどこから
資金
が流れているか、流動的なその動態を把握せずして、これらの
資金
の適正な規制、こういうことはこれは期されないんじゃないですか。 したがって、私は、
菅社長
がどういう意思であるかどうかは別として、従来
政府
金融機関
あるいは民間
金融機関
から
融資
されたその
債権
を保全するという一つの問題にしぼってみても、この
調査報告書
のような甘いことで
債権
保全が成れりと私は決して解釈ができない。その保全の
対象
は明らかに流れ流れて動いておる。これらの
農林
開発興業
会社
等の含み資産と思われるものを保全するということに勇気をもって対決しなければならない重要な段階じゃないですか。
農林大臣
はどうお考えになりますか。
松野頼三
69
○
国務大臣
(
松野頼
三君) ただいま
局長
が答弁いたしましたことは、今回の
資金
の流れという中においてある程度他の方向に流用されているという項目の中に該当いたします。ただ、それがどこの金だと言われると、
資金
の総体的な流れの中では他に流れた傾向があることは指摘されておりますが、どこの金だということは、
局長
はただいま答弁を明確にいたしませんでした。 なお、本社及び
農林
開発の
担保
に入っていない財産については、
公庫
、
中金
に至急
担保
設定をするように私はこの問題で命じております。ただ、その処置がまだ
担保
設定というところまでいっていないものがあるというわけで、今日、
中金
及び
公庫
は督促をしていることは事実であります。ただ、その問題が、まだ
担保
設定まで至っておりません。あるものは、ある程度の権利書を預かるとかという程度のものまで進んでおるものもございます。それから
担保
設定が全部済んでいないというだけで、あるものは権利書だけは預かっておこうという程度進行しつつあるものが、いままで過去において
担保
を設定していないものに一、二今日進行しておる。また、私もそのことは督促をしております。
渡辺勘吉
70
○渡辺
勘吉
君
経過
を伺いますが、たとえば根抵当設定あるいは
抵当権
設定の
対象
になっておる国有林を交換して取得した高槻の山林、これは
農林
開発興業
会社
の所有権のまま
金融機関
にそれぞれの設定をしておるんですか、どうなんですか。
大月高
71
○
参考人
(
大月
高君) お話のとおりでございまして、第三者による
担保
の提供でございます。
渡辺勘吉
72
○渡辺
勘吉
君 結果的には
農林
開発興業
会社
の所有権のまま
抵当権
が設定されておるかもしれませんが、そこに至る
経過
に、他の
会社
に所有権を移転し、
政府
から物言いがついてまたその
抵当権
先を変更し、最終的に再び
農林
開発興業
会社
の所有権になって設定されたという
経過
はないんですか。
大月高
73
○
参考人
(
大月
高君) 先ほどお答え申しましたことに若干不正確な点がございましたので、補足申し上げます。 最初、いわゆる高槻の山林をとりましたときには、その所有権は共和産商にございまして、それが後に
農林
開発のほうに移っておりますが、われわれの
債権
は、
東洋果糖
、今の
共和糖化
でございますから、先ほど申し上げましたように第三者による
担保
提供という形でございます。
渡辺勘吉
74
○渡辺
勘吉
君 せっかく交換したその山林が、いつの間にか所有権は共和産商に移っておった。これは、さらに、払い下げをした交換の当事者である
農林省
は、その事実をいつ
確認
し、そのことを一体どう処置されたんですかp
若林正武
75
○
説明員
(若林正武君)
確認
をいたしましたのは、一月半ぐらい前でございます。それで、交換をいたしました交換渡し財産が転売をされましたということにつきましては、現行の交換制度でまいりますると、そこまでの制約はいたしておらないのでございますが、今後私どもといたしましてはそういった面で改善
措置
というものを
検討
してまいりたいということで現在進めておるような次第でございます。
渡辺勘吉
76
○渡辺
勘吉
君 大臣、ただいまお聞きのとおりなことで、どうもやるほうもやるほうだが、よほどこれは
政府
当局もふんどしを締めてかからなければいかぬという一つの事例がここにも出ていると思うんです。私はこういうことをこれ以上とやかく言うつもりはないが、いずれすっきりした一つの基準というものを早く出して、こういうことが再びないように積極的なひとつ取り組み方を期待します。 そこで、いま言ったように、高槻の山林等についての第三者抵当を設定させておるのでありますから、
農林
開発興業
会社
は、私から見ますと、想像を絶する大きな含み資産を持っております。したがって、
債権
保全のためには、これは
共和グループ
のワン・オブ・メンバーですから、決して第三者じゃありませんから、
資金
は糸目はつけませんから、あるいは
金融機関
から貸した金がすすっと行ったとか行かなかったとかいうことじゃなくて、共同の
立場
で余すところなくこれらの持っておる資産というものは強力に
措置
をさせるように行政当局としても積極的な
指導
をしていくべきだというふうに思います。したがって、私から申しますならば、今後の
共和グループ
の
あり方
は、これはいずれ矢山
委員
が詳細に取り上げるわけでありますから、私はこれ以上触れませんが、共和産商、
共和製糖
、
共和糖化工業
及び
農林
開発興業という四社は、少なくとも
企業
的には一体なものにした上でなければ今後の
措置
というものが出てこないんじゃないかというふうに思いますが、いままで精力的にこの
融資
関係について
調査
をされた
政府
当局は、これらの今後の方向に対してどういう展望を持っておられますか。
松野頼三
77
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 渡辺
委員
の御指摘のような実は方向で私のほうは
努力
しております。ただ、その意向どおりいま進行を必ずしもしてはおりません。ということは、
農林
開発は、社長が違うといいましても、内容は非常に類似的である。また、過去においてすでに
担保
を提供したという
実績
を見るならば、今後の
担保
も当然
債権
、債務の中に提供すべきものであるということを論拠にいたしまして、ただいまずっと進めておりますのがまだあります、その
担保
に入っていない国有林交換で。それを
対象
に実は交渉をこれは
中金
と
公庫
でやっているはずでございます。これも相当な価格に私どもは
評価
できるんじゃなかろうか。それがなかなかそのとおりに進んでおりませんが、交渉は進めております。したがって、これらも
中金
を強硬に督促しまして、おそらく
中金
はもう一カ月来これにかかっておると思いますが、まだ結論が出ないというこの
事情
もひとつ御了承いただきまして、われわれは渡辺
委員
の言われるとおり、力の及ぶ限り進めている、また、進めなければならないと思っております。いろいろな理由があってそこまで行っておりません。しかし、われわれは、国民の中において正論である法律的なあらゆる手段をとって
担保
の提供をさせるように目下交渉中である。はなはだ手ぬるい話ですが、相当強く交渉をしているんですが、結論が出ていない。こちらが言っているように、この山だという山を、実は所有者の所有物の中から摘発をやっております。いずれ近いうちに必ず解決させなければならないという決心でおりますので、渡辺
委員
の御存じのとおりに実はわれわれのほうでは要求しております。
矢山有作
78
○矢山有作君 それじゃ、引き続いて
共和グループ
の問題で御質問申し上げますが、最初に、私こんなごとを言う必要もないと思うんですが、ちょっと及ぼす影響が大きいだろうと思いますので、一言申し上げておきたいんですが、それは、十一月の二十二日の新聞報道を見ますというと、ある方がこういうことを言っておられます。野党議員の中にも誤解したまま追及した人もあった、こういうことを言っておられるんです。これは
金融機関
から
参考人
として出ておいでになった、名前は言いませんが、某氏です。ところが、われわれは決して誤解をしたまま追及しているわけじゃないので、これだけ重要な
責任
の生ずる問題に対して、もし誤解して追及しているのを追及されている側の人がその誤解を解こうとしないでそのままでおられるというはずはないと思うんです。今後私ども質問していきます場合に、もし誤解があるならば、それはその場でひとつ明らかにしていただきたいと思います。そうして、あとで誤解で質問したとかどうとかいうようなことのないようにしていただきませんというと、ぐあいが悪いと思いますから、まず最初にそのことを申し上げておきます。 第一に御質問申し上げたいと思いますのは、三十九年の三月三十一日に関税定率法の一部改正がありました。その第十三条が改正になったわけですが、そこで新たに「デーツシロップの製造に使用するためのなつめやしの実(干したものに限る。)」ということになっておりますが、このデーツシロップの製造に使用するなつめやしの実で関税定率法の改正のこの
対象
になっている
企業
というのは、一体、何がありますか。これは、
大蔵省
なり、
農林省
なり、
食糧庁
なり……。
食糧庁
が一番いいんじゃないですかね。
大口駿一
79
○
説明員
(
大口
駿一君) 現在のデーツにつきましての関税率の中で、食用のもの、アルコール用のもの、
果糖
用のものというのがございますが、これを全部御
説明
申し上げることは省略をいたしまして、ただいま御指摘になりましたものは、おそらく
果糖
用の五%のものではないかと思いますが、三十九年度から、
果糖
用の乾燥をしたもの五%という税率に対しまして、保税
工場
として承認を受けた
工場
において製造する場合は免税ということになっております。この免税になっておりまする承認
工場
は、
東洋果糖
でございます。
矢山有作
80
○矢山有作君 そうすると、いまので、関税定率法の一部改正でデーツ、シロップの製造に使用するなつめやしの実で
対象
の
工場
は
東洋果糖
一つだということになります。 〔
委員長
退席、理事
野知
浩之君着席〕 それから次は、同じく三十九年の三月三十一日に租税特別
措置
法の改正がありました。改正で挿入されたのは、第九十一条が新たに挿入されたわけですが、それで
砂糖
消費税の軽減が行なわれることになったわけですが、この
対象
になる
ブドウ糖
混和糖水の製造業者、これは何がありますか。
大口駿一
81
○
説明員
(
大口
駿一君) この改正の該当
会社
はございません。
矢山有作
82
○矢山有作君 その当時で
ブドウ糖
混和糖水の製造をやろうとしておった者は、じゃだれですか。全然そういう者がないのにこういう特別
措置
法の改正が行なわれるということは、私は考えられない。
大口駿一
83
○
説明員
(
大口
駿一君) ちょっと当時の
事情
を詳細まだ私承知をいたしておりませんので、ただそのような租税特別
措置
法の改正があったにもかかわらず、実際に適用されている
会社
がないということだけを実は承知をいたしておりますが、なお当時の
事情
をもう少し勉強いたしてみたいと思います。
矢山有作
84
○矢山有作君 御存じないといえばそれまでの話で、まことに私に言わせれば無
責任
な話だと思うんですが、これの
対象
になったのは同じく
東洋果糖
です。デーツ・デックスでデーツ・シロップをつくる、そのためのデーツの輸入に対して関税を軽減し、あるいは免除する、こういう法律を関税定率法を改正することによってつくり、さらに、デーツ・デックスを液状
ブドウ糖
とまぜていわゆる
ブドウ糖
混和糖水をつくるという
計画
をしたのは、当時
東洋果糖
一つです。ほかにはありません。
大口駿一
85
○
説明員
(
大口
駿一君) ただいまの租税特別
措置
法の関係は、私、不勉強であるという御指摘を受けた上に異論を申し上げて申しわけございませんが、私が承知をしておりまするのは、租税特別
措置
法の税率改正になりましたのは、
ブドウ糖
と普通の
砂糖
がまぜられたものについての税率の改正というふうに承知いたしておりまするので、ただいま矢山
委員
の御指摘になりました、デーツ・デックスと
ブドウ糖
をまぜたものを
対象
といたしておりませんので、その点はちょっと私の承知いたしておることと食い違う点がございますので、念のために申し上げておきます。
矢山有作
86
○矢山有作君 じゃ、条文を読んでおきますから。あなたのおっしゃることが間違いです。第九十一条一項「
砂糖
類の製造者が、政令で定めるところによりその製造場の所在地の所轄税務署長の承認を受けた製造場において、ぶどう糖を混和した
砂糖
又は糖氷で政令で定めるものを製造し、」云々と、こうなっております。だから、
ブドウ糖
を混和したいわゆる混和糖水というものは入っておるわけです。
大口駿一
87
○
説明員
(
大口
駿一君) 私も担当官の
説明
をまる暗記しておる
状態
でありまするが、
説明
によりますれば一ただいま先生が御指摘になりました後段の糖水というのは
砂糖
のことだというふうに
説明
をいたしておりまするので、私が
説明
を聞いた上で承知をいたしておる範囲で先ほど申し上げたとおりだというふうに現時点では思っております。
矢山有作
88
○矢山有作君 まあいろいろ解釈をされておるようですが、「ぶどう糖を混和した
砂糖
又は糖水」というのは、私が承知しておるその当時の立法の動きというものは、
ブドウ糖
と、じゃ何をまぜるんですか。これは
果糖
をまぜるんですよ。そして
ブドウ糖
混和糖水というものをつくるんですよ。これは技術的によく研究してみてください、そうなっていますから。じゃ混和糖水、
ブドウ糖
を混和した糖水というので、一体何を混和するんですか、相手は。
砂糖
と
ブドウ糖
を混和するんじゃありませんよ、糖水をつくるのに。それは大間違いですよo
大口駿一
89
○
説明員
(
大口
駿一君) 私が承知いたしておりまするのは、液状の
砂糖
と液状の
ブドウ糖
をまぜたものを指しておるので、これは
ブドウ糖
の消費促進ということが頭にあってとられた
措置
であるというふうに私は理解をいたしておりますので、まだ勉強不十分な点がありますれば、今後勉強をいたしたいと思います。
矢山有作
90
○矢山有作君 それでは、それといたしてもよろしい。そういうような
ブドウ糖
混和糖水をやっておる
企業
はないわけです、先ほどおっしゃったように。それをやろうとしたのが共和なんです。私が一歩を譲って、そのことだけははっきり申し上げておきます。それは異存ないでしょうね。共和以外にこの話はその当時出てなかったんですから。その当時の
事情
を御存じなければ、しかたがありませんがね。
大口駿一
91
○
説明員
(
大口
駿一君) 私は初めから先生のおっしゃっておることに異論を申し上げておるわけじゃないので、ただ、私自身が承知をしておらない
部分
と、また、承知をしておる
部分
と先生の御指摘が食い違うという
部分
だけを申し上げたにすぎません。
矢山有作
92
○矢山有作君 それじゃ、
ブドウ糖
と
砂糖
をたとえば混和して
ブドウ糖
混和糖水をつくるにいたしましても、私が言った
ブドウ糖
と
果糖
をまぜてやるにしても
——
あ、私のほうのあるいは誤解かもしれない。
ブドウ糖
と
果糖
をまぜれば、その場合の
果糖
で
東洋果糖
が考えておったのはデーツ・デックスとの混合ですから。そうすると、あなたのおっしゃる
ブドウ糖
と
砂糖
をまぜる
ブドウ糖
混和糖水をつくるというほうがあるいは正しいかもしれない。この点は私が誤りとするならばそれを認めますが、しかし、その当時、
ブドウ糖
と
砂糖
の液とをまぜて
ブドウ糖
混和糖水をつくるという企画をしたのは、
業界
を調べてみてください、全然ありませんから。したがって、これもですね、
共和製糖
グループが
ブドウ糖
混和糖水をつくるという企画を立てておったと、このことはその背景として断言しておきます。 そこで、次なんですが、実はこれは十一月二十日の「毎日新聞」ですが、これを見ると、こういうことが書いてあるんです。新友会の総額八千一百万円に上る政治献金の額を見ると、国内産糖の助成政策が
農林
行政の課題となった三十七年後半、当時の重政誠之農相の個人後援会、田中角榮蔵相の後援会その他に十一件約千五百万円。さらに、
甘味資源特別措置法
案が国会に提案された三十八年三月前後にかけて十件一千万円。同年後半は、
甘味資源特別措置法
がいまだ国会で成立しないとき、
審議
未了になっては提案され、あるいは継続
審議
になっておった時分です。衆議院解散、総選挙をはさんで二十八件二千五百万円が集中的に新友会から出されている。同法がようやく成立した三十九年前半は、赤城農相の後援会対山社に対し百万円を出したくらいのもので、献金は二件二百万円と激減をしておる。だが、三十九年後半は、
共和グループ
に対する問題の
融資
が行なわれたときであるが、また
ブドウ糖業界
も
糖価
安定法を強く望んでいたこともあり、再び十五件一千万円と多額の献金をしておる。この新友会の献金の
状況
、さらに献金されたその相手方を見ると、
業界
の利害と密接な関係を持つ法案の国会提出に先立って集中的に行なわれている形が浮き彫りにされてくると、こういうふうなことを言っておるわけですがね。大臣、これは私はまことに的を射た評論だと思っておるのですが、あなたはどういうふうにこの新聞記事を見てお感じになりますか。
松野頼三
93
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 記事は記事として私は拝見をしましたが、それがどうであるかというまで私のほうの知識は、私はまだそこまでは何とも申し上げられません。
矢山有作
94
○矢山有作君 これは格別の知識がなくても言えることなんで、要はこういうふうにしてちゃんとこう献金の
状況
が並べてあることですから、それに対比してその当時の国会における法案をめぐる動きが書いてありますから、これは別にいろいろな知識がなくても、これをながめて、もう客観的に六体判断できる。私は新聞がそういうふうに論じておることが至当だと思うのですがね。 そこで、私は、もう一つ問題は、さきに私の触れました租税特別
措置
法や関税定率法の成立は、三十九年三月三十一日です。この改正法案との関連も私は無視できないと思う。しかも、この両法律の一部改正の適用を受ける
対象
事業
というのは、菅が
計画
をしておった
事業
だけである。ほかにはないということが明らかです。そうするならば、その
実態
を、これはまあ知らぬとはおっしゃるまいと思いますが、御存じだろうと思うのです。菅あっての新友会、菅が全くボス的な存在で牛耳っておった新友会ですから、そこからどんどん献金がなされておるのです。そうすると、私は、
甘味資源特別措置法
やあるいは
糖価
安定法だけでなしに、菅が自分が新たに企画した
事業
のために特別な利益を受けるような法律、それは関税定率法の一部改正であり、租税特別
措置
法の一部改正です、このために新友会という政治献金をするための団体をフルに使って政治工作を展開しただろう、こういうふうに断言せざるを得ぬと思うのです。私はそういうふうに客観的に判断をしておりますが、その点、大臣、まあ前の答弁の繰り返しだとは思いますが、これは率直にお感じになったことをおっしゃったほうがいいんじゃないですか。
松野頼三
95
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 御指摘のように、前の答弁と同じであります。
矢山有作
96
○矢山有作君 まあ大臣の自分としての判断を申されませんが、しかし、世間の人が見たり聞いたりすれば、これらの
業界
の利益に深くつながった法律、特に
業界
の中心的な存在であった個人の
事業
の利益に深くつながった法律をめぐって、自分が中心的な存在である政治献金団体をフルに活用して政治工作をやるための政治献金を出したということになれば、これは普通はくさいなと、こう思うでしょう。私は今後そういうことがあってはならぬと思う。お互いにこの点はきびしく反省をしないと、政治が金によって不正に動かされていき、しかも、法律までが金によってつくられていくというでたらめなことになっていくから、この点はお互いに今後十分に考えるべき問題である。お互いと言いますが、私たちを含めてのお互いじゃなく、これは政権を担当しておられる自民党なりあるいはまた
政府
で十分自粛自戒すべきことだろうと思います。 それから、次の質問は、
砂糖
や
ブドウ糖
企業
で大体
合理化
の余地というのはどの程度あるのですか。私は
砂糖
、
ブドウ糖
企業
の
合理化
の余地というものがはたしてどれぐらいあるのだろうかということに大きな疑問を持っておるのですが、これは担当の
食糧庁
のほうからお答えいただきたいと思います。
大口駿一
97
○
説明員
(
大口
駿一君)
合理化
の余地と申されますと、一
企業
のコストの
合理化
ということになりますれば、おそらく
企業
の
規模
を大きくして総合的にやった場合に普通
合理化
が進むというのが一般の常識でございまして、また、他の
企業
と共通の施設、
機械
等が利用できますれば、その面の一つの
合理化
がはかられるというのも、これも一般の常識でございますので、私はそのような一般的な
合理化
の常識に従った
合理化
の余地が特に
ブドウ糖
、
砂糖
についてあるかないかという問題は、いろいろ個々のケースに当たって結論を出すべきものであると思いますが、おそらく、先生の御指摘の中で、通常
合理化
の余地が非常にたくさんある
企業
と、
合理化
の余地が少ない
企業
というものは、たとえば、原料代の占める割合が非常に大きい
企業
は
合理化
の余地が少ない、そうでないものは、たとえば人件費の占める割合が非常に大きいものは
合理化
の余地があるというふうに、かりに大ざっぱに分けましたときに、
砂糖
、
ブドウ糖
は前者に属するというふうにおっしゃっておりますとすれば、それはあるいは先生の御指摘のようなことは私どもも肯定せざるを得ないのではないかと思います。 〔理事
野知
浩之君退席、
委員長
着席〕 それから
合理化
と申しましてもいろいろございまして、たとえば、現在の
ブドウ糖
、
砂糖
ともに、需要に対しまして
設備
が非常に過剰な
状態
になっておりまして、この過剰
設備
をなくすことによって操業度を上げるということによって
合理化
をはかるという場合にも
合理化
ということばが使われると思いますが、
砂糖
企業
並びに
ブドウ糖
企業
は、ともに程度の差はございますが
現状
においては需要に対して
設備
が非常に過剰でございまして、これをいかに
合理化
をするかということは現在の政策上の一つの大きな課題でございまして、これは
合理化
の余地が十分にあって、また、しなければならぬというふうに考えておりますので、その点から申しますれば、これらの両者の
企業
はまさに
合理化
をしなければならない
状態
にあるということが申されるかと思います。
矢山有作
98
○矢山有作君
合理化
の意味を、
設備
過剰を解消して操業度を上げていく、そうして採算の向上をはかるというなら、それは私はわかります。ところが、
砂糖
や
ブドウ糖
の
企業
で考えられておった場合の
合理化
構想
の場合に、そうした点が
十分考慮
されていないのではないですか。それを十分強く打ち出してやっておるならば、今日のような
設備
過剰で、たとえば
砂糖
なら糖
業界
がいろいろ
合理化
について考えておりますが、糖
業界
の方を呼んで聞くと、
設備
過剰を解消するには
政府
に施設の買い上げをやってもらって
設備
を減らしていく以外にはないという声すらある。
ブドウ糖業界
も似たり寄ったりです。そうすると、
設備
過剰を解消して、
合理化
をはかるという、そのことがはっきりと考えがきまらん、それがあやふやなまま中途半端なずさんな
合理化
構想
が立てられて、それに従って
資金
融資
をやっていこうとしたところに今度の
共和グループ
をめぐる根源があったのではないかと、こういうふうに思うわけです。 特にたとえて申しますと、
砂糖
の場合、私が、糖
業界
のほうで不況カルテルを
申請
するときにいろいろな
文書
が出ておりますが、それを試算してはじいたところによると、どうしても動かない原料代その他課徴金だとか関税だとか消費税、こういうようなものを含めると、全体の製造コストの七九%、約八〇%を占めているんですね。それか一らさらに
ブドウ糖
の場合、これは
ブドウ糖
工業会で全部試算をしてもらったんですが、
事業
団買入価格に対して
原料でん粉
代で大体八割以上
——
含水結晶
ブドウ糖
と精製
ブドウ糖
と多少の数字が違いますが、まあ両方突っ込みにして八割程度原料代といいますか、そうしたものがある。これは非常に大きな比率を占めておるわけです。そうすると、そういうような
企業
に膨大な
資金
を投入してみたところで、私は、いわゆる
合理化
ということには実際問題としてならんのじゃないか、金利負担でたいへんだと思うんですね。私は、その点の意味では、
合理化
がなかなかむずかしいということは、
食糧庁長官
は認められたと思うんです。そうすると、その
合理化
構想
というものを実際に推進して、文字どおり
合理化
を達成しようというなら、あなたのおっしゃった、私の先ほど触れた
設備
過剰という問題をどうするかという本格的な
検討
がなされなければいけなかったわけです。ところが、それがないまま共和の問題に手を出されたということが私は問題の根本じゃないかと思うのです。ですから、その点がはっきりしませんというと、あなた方のような
報告
書の書き方だと、その行政の
責任
を
金融機関
に一方的になすりつけるようにとられてもしかたがないんで、私はその辺をやはり反省していただきたいと思うんです。
大口駿一
99
○
説明員
(
大口
駿一君) ただいま先生が最後に申されました
責任
を全部
金融機関
になすりつけるというおことばが若干私としては気になるわけでございますが、今回御提出をいたしました
政府
の
報告
書におきましても、この問題となりました期間中における
政府
の
甘味資源対策
というものが、今日の時点で振り返ってみますならば、必ずしも一貫しておらなかったというきらいがある、したがって、これを受けて
融資
をした
金融機関
のみの
責任
ということだけではなくて、やはり政策担当者としての
食糧庁
が今日の時点で反省をすれば幾多反省すべき点があるという趣旨は、十分に
報告
書の中で申し述べておるつもりでございまするので、その点を冒頭に申し上げたいと思います。 それから先ほど御指摘の中で、精糖
業界
では今日の過剰
設備
を解消する方法としては
政府
が遊休
設備
の買い上げをする以外に方法がないというふうに御指摘になりました
部分
と、それから
共和製糖
の問題を引き起こした裏には
政府
の
合理化
に関する
施策
が十分でなかったという御指摘とがございまして、この両者が直接結びついたような御指摘であったわけでございまするが、私は今日の時点で振り返ってみて
甘味資源対策
が必ずしも一貫し得なかった点についての反省ということは、もちろん私ども重大なる
責任
として反省をいたしておるわけでございまするが、しかし、
業界
が申しておりまするような遊休
設備
を
政府
が買い上げる方法のみが
合理化
の方法であり、それをやらなかったことが
政府
の
甘味資源対策
の一つの失敗であるというふうな趣旨で御指摘になっておりまするとすれば、今日その政策の問題をここであまり詳細に申し上げる趣旨ではないと思いまするが、私どもの考えておりますることとその点は残念ながら見解が全く相違いたしておりますということだけをこの際申し上げておきます。
矢山有作
100
○矢山有作君 私の言い回しで、過剰
設備
の買い上げを要求しておることと、
政府
の
合理化
政策が十分固まらないうちにやったと、これが直接結びついて共和問題を引き起こしたと、こういうふうに受け取られたようですが、そういう意味じゃないんです。直接私は結びつけておるんじゃないんで、要するに
合理化
に対する基本的な姿勢が固まらないままにこの共和問題に手を出したことが今日のような
事態
を引き起こしておるんだと、こういうようなことを申し上げたかったので、その中で
合理化
といえば
設備
過剰を解消するような云々と長官のほうから言われたから、それはそのとおりだと、そこまではやっぱり考えて行かぬと、ほんとうの
業界
の
実情
から見てきちっとした
合理化
計画
は立たぬだろうと、こういう意味なんです。 それから私は決して
合理化
の方法として
設備
過剰の施設を買い上げることだけを唯一の方法だと言ったわけじゃない。
業界
で一つの方法としてそういう声も私の耳に入ったということなんであって、将来糖
業界
の
合理化
をやっていくのにどうするかということは、私もおっしゃるように過剰
設備
の
政府
買い上げだけでは片のつく問題じゃないと思います。それは同意見ですから、その辺をひとつ誤解のないようにしていただきたい。
大口駿一
101
○
説明員
(
大口
駿一君) もう一つちょっと誤解のないように申し上げておきますが、
合理化
のための一つの方法として過剰
設備
の買い上げの方法が一つの方法としてあり得るというふうに私が現在考えているというふうにおとりになりますと非常に困りますが、私は今日あまり注釈なしに申し上げますれば、
合理化
を過剰
設備
の買い上げでやるということについては個人的には反対でございます。
矢山有作
102
○矢山有作君 いまは糖
業界
の
合理化
政策を論議しておるわけじゃないので、その問題について突っ込んで議論をするということはこの場の議論ではないし、それからそれは
政府
買い上げをやったらいいじゃないかと私がぽんと言うたところで、現在のあなたの
立場
上、では過剰
設備
の
政府
買い上げをやるのが一つの方法だと言い切るなんということはできませんよ。あなたの
立場
はよくわかっておりますから、それはいいです。その点の私の誤解はありません。 私は
報告
書でどういう印象を受けたかということは、この前も大臣にちょっと申し上げたんですが、大ざっぱにまとめて一口に言うと、私はこういう印象を受けたんです。
報告
書全体から受ける印象は、
共和グループ
をめぐる
融資
の
実態
を解明し、その
責任
の所在を明確にするという姿勢が感じられません。ひたすら、政策的な
融資
と
建設過程
での
糖業事情
の激変、これに籍口して、大きな行政上の
責任
を回避しようとしている。そのためにはついでに
金融機関
の
責任
もあいまいにしようと
努力
したような気配が濃厚に見える
報告
書だと、私は一口に言うとこういう印象を受けておるわけです。特に金融三
機関
が先の見通しを持ち得ないまま
融資
をした、こういうことを言っておるんですが、
金融機関
がそうなった根本の原因というのは、私先ほども指摘しましたように、
政府
の見通しのないずさんな糖業
合理化
構想
、これに基づいて
融資依頼
なり
融資
あっせん
をした、そういうことにあるんだと思うのです。ところが、
政府
が、そのずさんな、それ自体成り立たないような
合理化
構想
を立てて、それを推進しようとして
金融機関
に
融資依頼
をやりあるいは
融資
あっせん
をしたところに
共和グループ
をめぐる問題の発端、根源がある、私はもうそう断言して差しつかえないと思います。だから、私は
政府
に第一次の
責任
があると思います。その
責任
を明確にして、それに対応した態度をやはりとるべきだと思う。それを、政策的な
融資
であったとか糖
業界
の
事情
の激変であるとかいうようなことで
責任
をすりかえるということは許されませんし、
政府
自身がきびしい態度で自分の
責任
を自覚することによってやはり
金融機関
の
融資
にあたってのずさんなやり方というものも十分反省を求めることができると思うのですから、この辺をやはり明確にされる必要があるだろう、そういうふうに思うわけです。
松野頼三
103
○
国務大臣
(
松野頼
三君)
政府
みずからその政策には必ずしも満足ではなく、その間にいろいろな政策の手直しを行なっております。しかし、それが必ずしも結果においてそのとおりいかなかったということは、政策上において、見通し、その後の処置について、確かに手ぬるい点があったことは率直に認めております。と同時に、これは、全
甘味資源
に対する、あるいはでん粉、
ブドウ糖
に対する政策でありますが、だからといって、その中においてやはり
融資
を行なった
責任
というものもこれは明確に
——
すべての
砂糖
業界
が苦しい
立場
にありますけれども、すべての
砂糖
会社
が今日全滅したというわけではありません。苦しい中にも
努力
してやっておるところもあるというふうなその優劣というのは、政策においての
責任
、あるいは
融資
における
責任
、一番最終的には
企業
者そのものの
責任
というものを実は浮き彫りにしたっもりでありまして、
政府
の
責任
をあえて逃げるために言ったわけじゃありません。
政府
の
責任
は、
甘味資源対策
あるいはそれに対応するだけの処置というものが
政府
の
責任
である。しかし、
融資
そのものの焦げつきといいますか、今日の
状態
というものは、やはりそれを担当した者の当然それを十分把握し得なかった点があるわけで、この三つを実は分割して申し述べたわけで、
政府
の
責任
をみずからのがれていると私は思っておりません。これはまた
甘味資源対策
すべてに今後において及ぶものである、私はこう考えて、もちろんその中の一つがこれであるというふうな感じでこれは実は書き上げたつもりでございます。
矢山有作
104
○矢山有作君 まあ
報告
書を作成された当の
責任
者のほうから、私の言うたことをまるでそうですと言ったんでは、身もふたもないから、それはおっしゃらぬだろうと思いますが、まあこの
報告
書を皆さんが
立場
を離れてお読みになったら、おそらく私の指摘したような印象を受けるのが一般だと思うから私は申し上げたんで、その点は、いま大臣がおっしゃったように、ひとつ十分に第一次的な
政府
の
責任
を痛感し、その中で金融上のいろいろなやり方に対して反省を加え、これを正す、それはもちろんですが、同時に、その
責任
の所在も明確にされたいと思います。 それから次は、私は今度の
共和製糖
の
融資
問題をながめておりますときに、
公庫
や
中金
などの
融資
の
あり方
というものがいまのような
状態
でいいのだろうかということをいろいろ痛感させられるわけです。
実態
は、もう御承知のように、
政府
からの
融資
の
依頼
なり
あっせん
があると、なかなかその
金融機関
が自主的な判断ではそれを取捨選択をし得ないというようなのが
実情
じゃないかと思うのです。そうした点を含めながら今後この金融の
あり方
について再
検討
される必要があるのじゃないかと思いますが、もしそういう必要があるとするならば、大臣としてはどういうふうに具体的にお考えになっておるか、この際ひとつ所見を述べておいてもらいたいと思います。
松野頼三
105
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 政策的問題は、
政府
の政策として政策的
責任
を負うべき問題です。その中においての
融資対象
の今回のものを反省してみますると、一番のものは、当然の
債権
確保
の保全
措置
という事前の
措置
が非常に不明確であった。ある場合には、
公庫
においては、政策
融資
の場合、必ずしも今回が手落ちだと私は指摘はいたしません。こういう手続でいままでやっておりまして順調にいったものもたくさんございます。したがって、そういう善意なもとにおける善例
——
いい例を今回も踏襲したというところに問題点があったのじゃなかろうか。したがって、最初からこれが悪い、これがいいと貸す前に選別はなかなか不可能にしましても、一応の最終的における
債権
保全だけはいかなる場合でも
確保
するという方向は今後
公庫
においてはとらなければならないのじゃなかろうか。と申しましても、
公庫
の中には、
土地
改良とか、大きな農民金融がほとんどを占めております。その
債権
保全をどうするかとあまり厳格に言い過ぎますと、ある場合には団体への
土地
改良などというようなものはなかなか行きにくくなる。したがって、そういうものを振り分けて、要するに農政上における基本的な
融資
であるという場合と、それよりもう少し軽い農業関連の
事業
であるという場合とを分けて、関連的なものについては、
対象
が個人経営であるならば、その
担保
物件をいままでの例と変えた新たなる基準においてこれをやるべきじゃなかろうか、これが私の今日の考えであります。
中金
におきましても、同じように、ほとんどが組合系統
融資
で、これに
担保
を強要してやりますならば、組合が必ずしもそのとおり運営できないごともあります。また、
融資
が非常に局限される。しかし、関連的なもの、相手が一つの
企業
である場合には、一般
金融機関
以上に、やはりその
資金
のもと、原資を考えますと、より厳格に行なうべきじゃなかろうか。 この二つは、
公庫
及び
中金
に対する私の大ざっぱな考えとして、今回この
融資
をめぐって整理に当たる私にとっては、つくづくそういうことが感じられます。
矢山有作
106
○矢山有作君 私は、農民
対象
に貸し出す
土地
改良
事業
資金
だとか何だとか、そういう場合はあまり問題はないのじゃないかと思う。実際
融資
される
実態
を見ておっても、
公庫
にしてもあるいは
中金
にしても、農民
対象
に金を出すという場合は、まあわれわれときどきその衝に当たることがありますが、きわめてこれは厳重で、なかなかむずかしいんですよ。むしろ私は問題は、農民
対象
の
土地
改良
事業
その他の
融資
にあるのではなくて、やはり将来問題を起こしがちなのは、農業関連産業に対する
融資
の場合にあるのじゃなかろうか。これが、現在、私の記憶では、農中で関連産業に
融資
した
残高
が四千億を上回っておるはずです。それから
公庫
でももう百億近いのじゃないかと思うんですがね。これらの要求というのは今後私はますますふえてくるだろうと思うんですね。ところが、そういう関連産業に限って、典型的に今回示されたような
共和製糖
に対する
融資
のように、きわめて大ざっぱな、ずさんな
融資
が行なわれている。しかも、いろいろな政治的な背景を持って政治工作を伴いながらそういうことが行なわれる。これは実際に否定できないと思う。ですから、そういった問題の起こりがちなそういう部面に対するこれらの
金融機関
の
あり方
というもの、これを私は深く反省する必要があるのじゃないかと、こう申し上げたので、その点はどうですか。
松野頼三
107
○
国務大臣
(
松野頼
三君)
公庫
の関連産業としては、でん粉、
ブドウ糖
に相当なものを毎年出しております。その趣旨は、
説明
申すまでもなく、御承知のとおりであります。そこで、これらに対する少なくとも
担保
物件、少なくともその保証
措置
というものは、一般の銀行に負けない以上に多額なものを要求すべきじゃなかろうか。必ずしも
担保
によってその金融が全部左右されるものじゃありません。しかしながら、第一にそのものだけはまず第一
順位
を
確保
するという上において
政策的融資
というものが行なわれなければ、非常な悪例を残すと私は考えております。
中金
も
公庫
もその意味においては同じような範疇に入るのじゃなかろうか。
中金
ももちろん相当なものをとっておると思います、関連産業においては。しかし、ある場合には、政策という意味でそのほうが第二義的になって、政策が先に進み過ぎて、第一を忘れるという傾向は、これは私は反省しなければならぬと考えております。
矢山有作
108
○矢山有作君 これだけでとまっておるわけにいきませんから、
公庫
、
中金
等の農業関連産業に対する
融資
の
あり方
については再
検討
をしていただいて、再びこういうような問題の起こらないように万全の
措置
をひとつ講じていただきたいと思います。 それから次の質問に移るわけですが、今度
調査
をやられまして、
調査報告
にも出ておりますが、私は
調査
の内容等をいろいろな方面から聞いてみて、なかなか徹底した
調査
というものは困難じゃなかったかという気がするんです。特にこの間も申し上げましたが、支出を証明する一つの大きなよりどころになる
融資
先の相手方から出た領収書等々が、偽造されたりあるいはこれが紛失をしたりして、その突き合わせがきわめて困難だったということを聞いておるのですが、そういうふうに考えてよろしいか。特に私は極論すると、
宮崎
県庁から出た領収書だけが真実のものであって、あとはほとんど偽造であるか、だから、突き合わしてみて、一致しなかったか、あるいは領収書がないということで見せてもらえなかったか、こういうふうに私は
調査
の筋から聞いております。!これは簡単におっしゃっていただけばいいんです、それだけでこの質問はやめますから。
澄田智
109
○
説明員
(澄田智君) ただいまの御質問の点でございますが、今回の
調査
にあたりましてそれぞれ
共和製糖
——
これは任意
調査
で
共和製糖
の
協力
で
調査
をしたわけでありますが、そこで
支払い
の伝票とそれからその領収書を
調査
をいたしたわけであります。その場合の領収書は全部が全部というわけにはまいらないかもしれませんが、
融資
ないし
資金交付
に際してたとえば
開発銀行
にその写しを提出したその領収書、これがまあ違う領収書であったわけでありますが、それとは別ないわば真正
——
ほんとうにそのときに取引に基づいた領収書、これは保存してあったわけであります。大
部分
は保存してあったわけであります。そして、その保存のものとは別に、当時は偽造といわれております領収書を
開銀
のほうにその領収書の写しを出した。その写しのもとになったものは、やはり焼かれて今日ない、こういう
状況
であるわけであります。 それで、お話の
宮崎
県庁から出たもの以外はいずれも真正のものでなかったということは、大体おっしゃるとおりでありまして、それは当時
共和製糖
が
開発銀行
に写しを出すときにそういう操作が行なわれまして、その操作をいたしたものはいまはもうございません。それで、いまは当時の真正の取引の領収書というようなものが大体保存されておる、それと突き合わせを行なった、こういうことでございます。
矢山有作
110
○矢山有作君 いまの御答弁で、いかに悪らつな偽造が行なわれておったか。ほんとうの領収書というのは
宮崎
県庁のだけである。あとは領収書その他全部偽造によって金を引っこくり出した。きわめて悪らつなやり方だと私は思うのです。それに振り回された銀行の側も全くこれは情けない話ですが、私は、やったほうの側のきわめて知能犯的なやり方に対しては、私だけではなしに、おそらくはとんどの人が憤激を覚えるだろうと思うのです。まあこれから
融資
にあたっては、
融資
先の相手方の領収書というものを真正なものは十分
確認
して、それでその控えはとって、そうして、金を出すにあたっては、
事業
の進行
状態
等をよくにらみ合わせて、慎重にやってもらいたい、このことをひとつ御要望申し上げておきます。それから次の質問に入るわけですが、質問がいささか飛び飛びになりますけれども、あとからどうせ関連が出てまいりますから……。「
共和グループ
の
資金
繰りについて」という、「
報告
書」に添付された
農林大臣
が決算
委員会
で口頭で
説明
なさった分ですが、その
説明
によると、
共和製糖
は東食から十億六千万円の
短期
借入金をしており、「これは、四十一年二月から八月にかけて三回にわたり、それぞれ五億円、四億円および一億六千万円が借入れられたものである。」と記載しております。で、さらに、「四十一年八月末における
農林中金
からの東食借入金
残高
は、三十七億一千万円となっているが、このうちには、上記貸付の日付の前後に上記金額に見合う金額の借入れが行なわれているが、
農林中金
と東食との取引関係は極めて頻繁であり、
融資
後の
資金
の使途については、
農林中金
としては、承知していない。」と、こういうふうに出ておるんですが、具体的に四十一年の二月から八月にかけて農中から東食に
融資
されたその日にちと、それから東食から
共和製糖
に貸し出された日にちとをおっしゃっていただきたいのですが。
大和田啓気
111
○
説明員
(
大和田啓気
君) いま御質問がありましたのは、私どもこの大臣の
補足説明
で申し上げた三件以外の東食に対する
中金
の
融資
の日付でございましょうか。
矢山有作
112
○矢山有作君 もう一ぺん言いますと、十億六千万というものが四十一年の二月から八月にかけて出ているわけでしょう。それの日づけと前後した形で今度は農中から東食に金が出ているわけですね。そのことを
説明
書に書いておられるでしょう。それを……。
大和田啓気
113
○
説明員
(
大和田啓気
君) 申し上げます。三回ございますわけですが、最初のものは四十一年二月一日に
中金
が東食に対して貸し出しをいたしまして、それに見合う金が二月の三日に出ております。それから二回目が七月一日でございます。これは七月一日に受け払いが行なわれております。三回目は八月五日でございますが、これもその日に受け払いが行なわれております。 金額を申し上げますと、二月一日に
中金
が貸しました分が五億、七月一日に貸しました分が四億、八月五日に貸しました分が一億六千万、以上十億六千万円でございます。
矢山有作
114
○矢山有作君 大臣、具体的にいま答弁をお聞きいただいたと思うのですが、この答弁を聞かれて、農中と東食と共和の間で、農中から東食に出し、東食から共和へ出す、こういうことでちゃんと何かおぜん立てができておったのじゃないかという印象を私は受けるのですが、どういうふうに印象としてお感じになりますか。
松野頼三
115
○
国務大臣
(
松野頼
三君) この事実を見ますると、
中金
と東食は非常に密接であった、東食と共和も非常に密接であった、まあこういうふうに感じます。
大和田啓気
116
○
説明員
(
大和田啓気
君) この三点だけを取り上げますと、はなはだ受け払いの日付が近いわけでございますけれども、
中金
の東食に対する
貸し付け
の
実態
を申し上げますと、ことしの一月から八月までについて申し上げますと、貸付件数が月に四件ないし十一件ございます。それで、
貸し付け
の額は全部で月にならしまして大体二十億くらいでございます。非常に多くの件数が
中金
から東食に貸し出されているうちの三件がいま申し上げました事実でございます。
矢山有作
117
○矢山有作君
中金
と東食との取引が非常に密接だったということは私も承知をしておるのですが、いま申し上げた農中、東食、共和を通じて、金が、二度は同一の日に、一度だけが二日ほどずれて出ているわけですね。こういうつながりを見ると、やはり三者間でちゃんと話し合いが行なわれてこういう
融資
が行なわれたのじゃないかという疑いを私は強く持つんです。というのは、ここに
共和製糖
のバランスシートがありますが、これで見ると、四十年九月三十日のもので、三十九年の十月一日から四十年の九月三十日までの一年間に一億余の赤字を計上しております。この赤字はその後さらにふえておるはずなんです、きょうは申しませんけれども。こういう赤字
会社
に東食が自己の負担で十億六千万というような多額の
融資
を行なうということは私は考えられない。もしこういう赤字
会社
で、しかも東食と共和とのつながりから言うならば、東食は共和の経営
実態
をよく知っておるはずなんです。よく経営の
実態
を知っておって、それに対してしかも自分が危険負担をして十億をこえるようなばく大な金を東食から共和に出すということになると、これはへたをしたら東食の当の
責任
者は背任罪に問われかねないと思うんです。そういうような危険を何の裏づけもなしにおかすとは私は考えられない。
農林大臣
がもし東食の
責任
者だったら、そういうことをやりますか。これは
農林大臣
の職責を離れで言ってみてください。なお、銀行
局長
も、少なくとも金融の問題では非常にあなたは
事情
にお詳しいのですから、あなたももし銀行
局長
として言うのが差しさわりがあるのなら、金融行政に携わっておる人として、率直に私は意見を聞きたい。
松野頼三
118
○
国務大臣
(
松野頼
三君) 私が
農林大臣
を離れて東食だったら、おそらく、共和との関連において、今後の
事業
が赤字でも立ち直る、また、それが自分の取引関係先であるということが第一条件、第二番目には万一の場合における
担保
の保全
措置
というものを考えた上ならば、これは行なわれることもあり得るであろう。それでなしに、ただ赤字でつぶれるということを見越してやるということは、これはないであろう。その判断は、そういう二つの判断をするであろうと私は思います。
澄田智
119
○
説明員
(澄田智君) この前もちょっと申し上げましたが、東食は、
共和製糖
との関係は非常に密接であって、原糖の輸入、製品の販売、これは全面的に最も主力な商社としてやっておりまして、したがって、そういう関係からして、もちろん
共和製糖
の
実態
をよく知っているということはあると思いますが、
共和製糖
の経営の存続ということの必要の上からまあこういう
糖価
の悪いような時期にやむを得ずある
融資
をするというようなことは、これは取引の非常な密接な関係、取引の大きさというようなものから、場合によってはあるのではないか、そういうふうなふうに考えております。
矢山有作
120
○矢山有作君 まあ御答弁とすれば、ここでいくら責めたところで、その程度の御答弁だろうと思うのです。しかしへいかに取引が密接であろうと、
共和製糖
の経営の
実態
というもの、あるいは
共和グループ
全体の経営の
実態
というものは、この前の決算
委員会
でたしか泉国税庁長官がおっしゃったが、ほとんど赤字決算がもう毎年のように続いているわけです。そういう
会社
であるということを東食は十分に知っておるわけですから、そこに対して金を、しかも十億をこえるばく大な金を貸せるということば、私は自己の危険負担においてはまず
責任
者はやらぬと、こう考えるのが至当な考え方だと思います。まあその問題については後ほどまとめてまたちょっとお伺いしますが、しかし、いずれにしても、こういう点の解明はやはりやる必要があったのじゃないか。私でも、東食に当たって、その裏の内情というものを聞かしてくれるのですから、どういうぐあいでそんなつぶれそうな
会社
に東食が自己の危険負担において十億をこえる膨大な金を出したかという裏の
事情
くらいは
政府
で行かれたら私はわからぬことはないと思うのですが、行かれなかったのですか。
大和田啓気
121
○
説明員
(
大和田啓気
君) 東食を仲介としての
中金
の
共和製糖
に対するクッション
融資
の問題が国会で御論議があったわけでございますけれども、私どもそれをそういう事実があるかどうかを
確認
いたします
責任
もあるわけでございますから、特にその関係の伝票を
中金
について洗ったわけでございます。で、そういうふうに言えば言えないことのないような三件を見出したわけでございます。しかし、繰り返して申し上げますけれども、
共和グループ
関係で共和産商が扱っております取引高は年間百三、四十億でございまして、そのうちの八割程度を東食が商っておるわけでございますから、東食と
共和グループ
との関係は、まあ普通の大代理店なり取引商社といわれるものよりももう少し密接な関係があろうかと思います。したがいまして、そういうきわめて密接な関係のためにそういう
融資
があったんであろうと推測されますが、
中金
等につきましても、クッション
融資
といいますか、要するに、
中金
、東食、共和との三者が話し合いの上でその
融資
をしたのでなければクッション
融資
というふうには厳密にいって言えないわけでございますから、
中金
等についてもずいぶんその
事態
の解明をいたしたわけでございますけれども、
中金
といたしましては、月二十億前後、あるいは件数にして月にして四件ないし十一件の
貸し付け
がある。その一々についてその使途を確かめるわけには事実まいらないし、また、三者でそういうことを話し合った事実は絶対にございませんということでございます。
矢山有作
122
○矢山有作君 まあこれはいくらやっても水かけ論でしょう。私は、東食で、この問題は非常に重大だ、金融の
あり方
としても非常に重大だと思いましたから、直接先方の幹部から聞き出しておりますので、その点については私はあとからお話しを申し上げたいと思います。 なお、東食と共和の関係は、それは非常に密接ですけれども、共和と東食の間の取引関係というものをしさいに
検討
されたら、東食の共和に対して持っておる
債権
がどの程度あるのかというようなことも出てくると思うのです。東食は共和に対して持っておる
債権
というのは非常に少額ですよね。おそらく二、三ぐらいのものじゃないかと思います、的確な数字は覚えておりませんが。それらからしても、十億六千万という
融資
がぽかっと行くのは、私は非常に疑問があると思います。 次にちょっとお伺いしたいのですが、オルガノというのがありますね。ちょっとそこを調べておったのですが、そうしたところが、おもしろいことが出てきたので、これをどういうふうに解釈されるか、承っておきたいと思います。ここに発注書の写しがありますが、四十年の十月十四日に甘蔗糖の脱色装置移設
工事
というのを五百九十万でオルガノが請け負っているんです。この施設移設
工事
の契約をやった契約者は東食です。ところが、その
工事
を受けたほう、納入先は、
共和製糖
の
細島
工場
ということになっているわけです。金額にして五百九十万ほどでありますがね。それからもう一つは、四十一年の四月の二十日の契約になっておりますが、二億二千五百七十万円の甘蔗糖の脱色精製装置です。これも同じように契約者が東食です。納入先が
共和製糖
の
細島
工場
、こういうことで受注をしております。そうして、それをいまやっておるのですが、一部六千七百万円が
支払い
済みになっているということです。この間の
調査
をオルガノでおやりになったかどうか。もしおやりになっておれば、こういうことを東食と共和でやっておるのをどういうふうにお考えになったか。これらのことをきっかけにしてもっと深く
検討
をされなかったでしょうか。どうですか。
大和田啓気
123
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私ども
調査
いたしております結果を申し上げますと、この「
調査報告書
」にもございますように、二十五億五千万円ほどの中で、まず二十億四百万円の
大口
のものの
支払い
の
確認
をいたしました中に、オルガノが脱色精製装置ということで一億二千万円の
支払い
の
確認
をいたしております。 それからいまのお話に関連をいたすことでございましょうが、前回申し上げましたように、私ども「
調査報告書
」で七九%二十億の
支払い
確認
をいたしましたが、その次に大どころのものをできるだけ
支払い
の
確認
をいたしておるわけで、丸紅飯田以下四つないし五つのものにつきましてこの二十億四百万円のほかに二億八千七百万円の
支払い
の
確認
を現在までのところいたしております。したがいまして、二十二億八千万円ほどの
支払い
確認
、これは二十五億五千万円のうちの大体九割近くになるわけでございます。そうして、東食九千二百万円というものがございますが、これは第二期
精製糖工場
の関係でございまして、東食に九千二百万円
支払い
ましたことを
確認
いたしておりますが、この東食はオルガノに相当
部分
請け負わせたといいますか、その金額は六千七百万とも聞いておりますけれども、その分は、東食がまず共和と契約を結んで九千二百万円を受け取り、その九千二百万円のうちオルガノにたしか六千七百万円ですか支払ったということを私ども
調査
の結果突きとめておる次第でございます。 最初にお話がございました四十年十月十四日五百九十万円の件につきましては、あるいは最初申し上げました一億二千万の一部かと思いますけれども、五百九十万円ということで
調査
に出てきておらないのでございます。
矢山有作
124
○矢山有作君 大体いま私が申し上げた点についてはお調べのようですが、そういうふうに東食と共和の間でやっておるというのは、いままでになかったことなんですよ。いままで私が調べた範囲では、こういうことまでやっておるということはない。これらを総合して考えると、東食が金を共和に出す場合に、やはり東食が危険負担をしなくて済むようないろいろな了解ができておったと思うんです。この点を私が調べたところを申し上げてみます。ですから、これはひとつぜひお調べをいただきたいのです。こういう
融資
が行なわれることがあるとするならば、これはもってのほかですから。 私が調べたところでは、これは東食の、名前は言いません、幹部ですから。その幹部の言うことにば、この十億六千万円を貸すいきさつは、菅と楠見氏より共和の
融資
をまず
依頼
をされた。東食としては、農中には非常に世話になっておるんで、この
依頼
を受けて実は困った。しかしながら、農中と東食とのつながりもあるから、
融資
をすることに踏み切りました。しかしながら、共和の
実情
から見てきわめて危険である。したがって、私のほうは
担保
の要求をいたしました。そのときに
担保
として話が出たのが、高槻の元の国有地、これは
農林
開発が取得したものですね、これを二十四万坪、単価一万五千円で三十六億というものがある。だから、ひとっこれを
担保
にして貸してやってくれと、こういう話だったと、あるいは貸してくれと、こういう話だった。そこで、東食としては、実は
担保
物件をみずから実際に
調査
をしようと思ったけれども、聞くところによると、すでに農中が
——
聞くところによるというのは、そのときに話が出たんですね。農中が二十三億七千五百万円の
根抵当権
をこの高槻の旧国有地に対して設定をしておられる。そこまでやられるということになれば、私のほうは農中との関係もこれあり、農中の言うことも一応信用いたした。で、坪数はそのままで信用いたしましたが、
土地
の
評価
については、いろいろと考えてみたところ、ちょっと無理があるようだ。そこで、単価を六千円から七千円の間で
評価
をいたしました。 それで、私のほうから、じゃ、六千円から七千円の間で
評価
をしたというのは、ずばりと金額を言えば六千五百円と
評価
をしたのじゃないかと言いましたら、にやりと笑われまして、何ともおっしゃいません。私がなぜそう言ったかというと、二十四万坪、単価六千五百円でこれを
評価
すると、ちょうど十五億六千万円になります。ところが、この高槻の元の国有地の登記簿をとってみると、これに四十一年の二月十八日に極度額十五億六千二百五十万円で
根抵当権
が設定をしてあります。さらに、所有権の移転の仮登記も念を入れてしてあります。そうしてまた、その四十一年の二月十八日に
抵当権
を設定したその内容を読んでみると、原因は四十一年の二月一日商取引契約についての同日設定契約、こういうことになっている。そうすると、最初に農中から東食に金が出たのが、四十一年の二月一日に五億出ているわけですね。それが四十一年の二月三日にそのまま共和に入っているわけです。これらのことを考えると、私は東食の幹部の言われた
事情
が伏在しておらなければ、東食としてはおそらくこういう膨大な
融資
を自分の危険負担で何の裏づけもなしに共和にやられるわけがない、こう思うんです。私の話をもとにしてひとつ精密な
調査
を要求をいたします。私はただ金が出たとか出ぬとかいう問題ではなしに、そういうような
融資
というものはこれは明らかに違法です。こういうような違法
融資
をこんな巧妙な手段でやられる。しかも、その裏には、東食の幹部の言うように菅、楠見氏、この両者の
依頼
があり、東食をまじえて三者の間の話がついて、そうして裏づけをとってやっているのですから、こんなでたらめな
融資
はないと思う。今後ひとつ徹底的にこれはお調べを願いたい。
大和田啓気
125
○
説明員
(
大和田啓気
君)
本件
につきましては、私ども十分
注意
して
調査
いたして、否定的な結果が出たわけでございますけれども、だんだんのお話でございますから、今後もひとつさらに
調査
を進めてみたいと考えております。
矢山有作
126
○矢山有作君 いま申し上げたように、これは私の一方的な
説明
に終わりましたけれども、こういうことをこういう場で言うということは、これは会議録にも残ることだし、新聞にもひょっとしたら書かれることなんで、こういうことは根拠がなくて言えることではありませんから、したがって、十分お調べをいただいて、そういうような違法
融資
をやったその
責任
の所在というものは私は明確にしていただきたいと思います。 次の質問に移りますが、国税庁、見えておりますね。
——
国税庁が見えておったら、私は国税庁がかなり精密な
調査
をこの共和のグループに対してやっておられるということを承知しておりますので、
調査
がまとまっておるまとまっておらぬということはさておいて、現在の
調査
の段階で
確認
できた事柄を御
説明
を願おうと思っておったわけです。しかしながら、手落ちで国税庁長官が見えておらぬようですから、時間の関係もありますから私のほうは質疑を進めてまいりますが、できるならばこれは銀行
局長
にお願いをしておきたいのですが、国税庁の現在の段階における
共和グループ
の
調査
の結果、特に
細島
工場
に投入された
事業費
をめぐる
実態
について、お知らせ願えるならば次の
委員会
の機会にぜひともお知らせいただきたいと思いますが、この点はどうでしょうか。
澄田智
127
○
説明員
(澄田智君) 国税庁のほうに連絡をとってみまして、
調査
の進行
状況
それからこの次のときにというお話でございますので、この点をよく国税庁と連絡をしてみたいと思います。
矢山有作
128
○矢山有作君 それではお願いをいたします。 次にお伺いしたいのは、この前のときにちょっと触れた問題ですが、これは時間が切迫しておった関係で御答弁をいただかないでそのままに済ました問題ですから、ちょっとお聞かせ願いたいのですが、今回の
調査
で三
機関
が
確認
された
事業費
、これが「
報告
書」には二十五億五千三百万と出ておりますが、この中に今回の三
金融機関
の
融資
をする際に
融資
の
対象
にならない
事業
というものがあるはずなんですが、それがどういうものかということをお調べになっておりますかどうか。
大和田啓気
129
○
説明員
(
大和田啓気
君)
金融機関
が今回の
細島
の
融資
にあたりまして
対象
としておらなかったということが、たとえば第二期の
精製糖
の
工事
までも含めてお話しになるのでしたら、それはそういうことはございます。しかし、そういうことではなくて、むしろ
細島
工場
以外にどこかで共和の
事業
をやっておって、その分に流れているのではないかというお話でございますならば、当時の
事情
を
調査
いたしましたところ、他の地点において横浜、千葉等々、
共和グループ
が
工場
を持っておりますけれども、
共和グループ
関係の
細島
以外の他の
工場
において
建設
をしているという事実はございませんから、
細島
以外に金はある程度流れているということは私はないと信じております。
矢山有作
130
○矢山有作君 私がいま
融資
の
対象
にならない
事業
があるんじゃないかと言ったのは、
細島
の分です。第二期の
精製糖工場
が
融資
の
対象
にはならぬということはわかるのですが、まだほかにあるような気がするのですけれども、たとえば社宅関係で計上されておるもの、これはおそらく
砂糖
工場
の
事業計画
による
融資対象
あるいは
ブドウ糖
・
果糖
事業
による
融資対象
から見たらちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。これは銀行
局長
のほうにお伺いしましようか。
澄田智
131
○
説明員
(澄田智君) お話しのとおり、社宅の関係がこの中にございます。この点は、当初の
会社側
のこの「
報告
書」にも出ております
事業計画
の中には入っておらないものでありまして、したがって、当初の
計画
の積み上げの中にはないわけでありますが、ここで
細島
に支出されたというものを全部
確認
いたしました中には、いまのお話しの社宅は入っております。この前御質問がございまして、該当を探してみたのでございますが、いま経済
局長
から第二期
工事
を申し上げたのと、ほかには社宅ぐらいが該当するのじゃないかと、こう考えております。
矢山有作
132
○矢山有作君 それからその他社宅としていろいろ計上されている分と、さらに私は事務所として計上されているもの、これも
事業計画
にないし、事務所なんという施設は、こういう
事業
に対して
融資
する場合の
対象
外と考えているのですが、その点はどうですか。
澄田智
133
○
説明員
(澄田智君) 当初の
計画
の中にその点があるかどうか、なお
調査
してみないと、いまちょっと即答できかねるのですが、建物という中に入る
部分
もあるのじゃないか。したがって、これは、社宅の場合と違いまして、全然これが
融資
の
対象
にならないということは言い切ることができないのじゃないかと思います。
矢山有作
134
○矢山有作君 この事務所の
評価
も、それぞれ千五百万から三千万の間で行なわれておりますが、私の手元にある
事業計画
書では、全然事務所は出ておりません。しかも、
計画
書には建物の名称が全部はっきり載っておりますから、そういうことでこれは私は
融資対象
事業
外だと考えております。したがって、この点もひとつお調べ願いたいと思います。 そうすると、
融資対象
事業
外のものに使われた金を計算してみると、大ざっぱな計算ですが、
開銀
で事務所を含めまして三億六百万ぐらい、
公庫
で三億五千五百万ぐらい、農中で二億六千一百万、これはそちらから提出された
資料
そのままで言ったんですが、そういうふうになると思います。したがって、
融資対象
事業
としてちゃんと正当に使われたのは、それを引いた金額になる。だから、
開銀
なら二十二億四千七百万円、
公庫
なら二十一億九千八百万円、農中なら二十二億九千二百万円、こういうふうになります。したがって、
調査
をして
報告
書を出される場合に、込みで全部でこれだけかかりましたというような
報告
では私たちは困るので、この共和に出された金がいかに正当に
事業費
に投入されたか、不正にそれ以外に使われたものがどれだけあるのか、こういう点は明確にするということが一つの焦点なんですから、したがって、そういう点は、
報告
書自体にも明確に示す必要が真相究明を約束される
政府
としてはあると思います。今後、そういう点は、大臣、明らかにしていただけますね。
松野頼三
135
○
国務大臣
(
松野頼
三君) ただいま御指摘のとおりの数字かどうか知りませんが、なるべく明確にいたしたいと思います。
矢山有作
136
○矢山有作君 さっそく御
調査
を願います。 それからもう一つは、「
細島コンビナート工場建設工事費
の支払に充てられた
資金
は、二十五億五千三百万円であり、うち、四十一年八月末までに十九億八千四百万円が現金支払済みとなっている。その差額五億六千九百万円は手形振出し済みである。」と、こうあるわけですが、私はこの数字についてはこの「
調査報告書
」を全部信頼するとしても、三
金融機関
から
細島
工場
に対して
融資
をされた最終の
融資
は、民間をも含めて四十年の九月三十日が最終なんです。特に集中的に
融資
が行なわれたのは三十九年です。念のために申しますと、三十八年に三億五千万円
融資
されたことになっている。三十九年に十四億五千万円、四十年の九月三十日までで四億円
融資
されておるわけです。そうすると、その時期的なズレがまず一年あるわけですね。四十一年八月末で
調査
されたその四十一年八月末までのズレを見ると、まるまる大体一年ある。そうすれば、手形
支払い
済み云々というのは、これは
融資
の金がそれに充てられたということにはならぬ。言い方がちょっとむずかしいのですが、おそらくこれは他に流用された。実際に
融資
を受けた金で
事業費
として支出されていったのは、決済済みになっておる十九億八千四百万円だと、こういうふうに解釈をしておるのですが、その点、銀行
局長
、どうでしょうかね。
澄田智
137
○
説明員
(澄田智君) ただいまの御指摘のような日時の関係等から考えますと、
資金
の流用ということはこの面でもやはりあるのではないかと、こういうふうに考えられるわけでございます。
矢山有作
138
○矢山有作君 まあ私もそういうようなところに
資金
流用をやっておるだろう、こういうふうに考えておったわけですが、そういうふうな同じ見方をされておるようですから、次に移りますが、
支払い
確認
工事費
二十五億五千三百万円のうちで、またその後
確認
されたものもある由ですが、七九%、二十億四百万円だけがいまのところ
確認
されたということで、
報告
書では出てきたわけです。未
確認
のものが、そうすると五億四千九百万円があるわけですね。私は、これはこの間も申し上げたのですが、ここのところがいろいろと言いのがれ
——
一番くさいものがあるのじゃないか、こういうふうにどうも考えられるんです。で、この点でやはり全部の
確認
を精力的にやっていかぬと、実際に
事業費
外に流用されたものが的確につかめぬと思うのです。やはり、
共和グループ
の問題の場合には、どれだけが正当に使われ、どれだけが
事業
関係外に不正に流用されておったかということを突きとめることが一つの大きな眼目であるし、そしてその使途を明確にすることがいわゆる黒い霧だといわれておるものを解明するもとになるのですから、したがって、この点を徹底した
調査
をやるべきだ。私は、五億四千九百万円というものは、これは実に信用ならぬ。まあ極論すれば、これは未
確認
のもの全部がそうだと言うのじゃないんですよ。そういうふうな
情勢
の中で、五億や六億は
事業費
の水増しか何か知らんがいろいろな形で使われたものがあるのじゃないかと、こういうふうな感じがするわけです。
大和田啓気
139
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私どもも、できるだけ
確認
をしたいと思って
努力
をいまでも続けておるわけでございます。七九%
大口
のところが二十億四百万円、これが全部ぴしゃっと合っておりますので、あとは現在の時点で大体いいのではないかという推論をしたわけでございますが、その後今日まで
確認
いたしました幾つかのものを申し上げますと、丸紅飯田五千三百万、東食九千二百万、九州電工五千五百万、住宅公団八千万、合計二億八千万円でございます。これは
支払い先
について
確認
をいたしております。したがいまして、全体といたしましては、さきに
確認
いたしました二十億四百万円と、今回
確認
いたしました二億八千万円とを含めまして、約二十二億八千万円でございます。全体の
支払い
想定額二十五億五千万円に比べますと、九〇%ほどでございます。残りは非常に小さなものが多くございまして、私の手元にあります
資料
によりましても、大体八、九十から百くらいあるわけで、主として地元の
建設
業者その他でございます。目ぼしいものはなお今後も私ども
確認
に
努力
をいたすつもりでございますが、九割のところは
会社
の帳簿と
支払い先
の帳簿と合っておるわけでございますから、私どもいよいよ全体の二十五億五千万ほどのものが確かに支払われたという自信といいますか感じ方を強めておるのが今日の
状態
でございます。 なお、今後も
確認
に
努力
いたすつもりでございます。
矢山有作
140
○矢山有作君 それは、
融資
の相手方できちっと
確認
しておられますね。
大和田啓気
141
○
説明員
(
大和田啓気
君)
融資
の相手方といいますか、
共和製糖
関係と、それから丸紅飯田、東食、九州電工、住宅公団等、先方と突き合わせております。
矢山有作
142
○矢山有作君 ところで、これは、私が具体的にどういうもの、どういうものということまで的確に全部つかんでおるわけじゃありませんから、そのつもりでお聞き願いたいのですが、この問題を
調査
しておるときに私が聞いたのは、
細島
の
工場
分として支出されたものの中に
共和グループ
の中の他の
工場
用のものがいろいろと含まれておる、修繕だとか部品だとか、そういうものも含まれている、こういうことを聞いておりますが、この点は、おそらく私は
確認
が非常に困難だろうと思うのです。ところが、これは共和の内部からの話ですから、したがって、その点もやっぱり
融資
の使途を明らかにするためには、今後の問題として御
努力
願いたい。おそらく、こういう点の
調査
は、私はもう
政府
の段階ではあるいは困難かと思います。そうすると、司直の手でこれは明らかにされるだろうと思いますけれども、しかし、
政府
としてもやはりこれは明らかにしておいてもらいたい、こう思います。
大和田啓気
143
○
説明員
(
大和田啓気
君) いま御指摘の点の
確認
は、実は非常にむずかしいことでございます。現に、私ども
確認
の途中でも、領収書が見当たらなかったり、帳簿には載っておるけれども領収書がないというようなことが何回かございますから、非常にむずかしいことでございますけれども、できるだけ私どもとにかく
実態
の把握ということをやるつもりでございますから、
努力
はいたすつもりでございます。
矢山有作
144
○矢山有作君 それから
細島
工場
の
事業費
で盛んに値引きさしているのですが、これはっかんでおられますか。
大和田啓気
145
○
説明員
(
大和田啓気
君) これは二十五億の
支払い額
であの
工場
ができたことをどういうふうに
評価
するか、いろいろな
評価
のしかたもございましょうけれども、経営の
責任
者としてはずいぶん相手をたたいて安く仕上げたというふうに私ども幾つかの
会社
から話を聞いた
過程
で考えております。値引きをさしたり値をたたいたり、相当無理をさして設計なり調製なりをさしておることは事実のようでございます。
矢山有作
146
○矢山有作君 ところが、私のことばが足らなんだかもしれないが、その値引きをさしたものを、値引きをして実
支払い額
でちゃんとやっておればまだしもなんですが、値引きをして実
支払い額
を計上してないのがありますよ、私の
調査
したところによると。ですから、こういう点まで立ち入ってやはり
調査
をする必要があるのじゃないか。 たとえば、一つの例を申し上げますと、私いろいろ当たってみましたが、私の当たった範囲では富士電機とか扶桑通信あたりにそれがあるようです。したがって、こういうそう巨額でない
事業
をやらしておるところでかなりの値引きをやらしておりますから、わずか三千三百五十万円ほどの受電
設備
に対して三百万円くらい値引きをやらしておる。それから三百万円ほどの電話交換機に対して六十万円ぐらい値引きをやらしているのですが、こういうことをやっておるようですから、これはひとつ後日また十分お調べ願いたいと思います。 で、以上のことで私が受ける印象としては、かなり精力的にそれは
調査
をやられただろうと思います。思いますが、あの
共和製糖
の菅のやった巧妙な手口から見て、私は非常にまだ疑問を持っておるわけです。その疑問を持っておる根拠を言うと、いまそちらからおっしゃったように、支出の真正を証明するというものはもうほとんど何もないわけですね。なかったわけですね。だから、したがって、相手先を何とかして
確認
する以外には手がないわけです。徹底した偽造の領収書その他のいろんな
文書
によって金を引きずり出しているこのこと、それからもう一つは、その
事業費
に充てたといいながらその行き先が
細島
工場
外に行っておるということを共和の内部から私は聞いております。これはやがて検察庁の段階で明らかになるでしょう。それからもう一つは、先ほど言いました値引きなんかもかなりやらしているわけですね。これは、おそらく、値引きを正直に認めて出したところもあろうし、出さないでやっておるところもあろう、こういうふうにやはり考えざるを得ぬわけです。そうすると、二十五億五千三百万円が
細島
の
事業費
に投入をされておる、それで二十二、三億のものを
確認
されたとおっしゃるけれども、私どもは先ほど申し上げたような大まかに言って三つの点から判断しても、必ずしもそういうふうな結果になりがたい場合があるのではないか、そういう疑惑を私は強く持ったわけです。 この問題に対してどうしてしつこく疑惑を持つかというと、先ほど来言っているように、
融資
の行き先というものを解明する必要がある。だから、その点はやはり徹底すべきだと思うのです。私はいくら見積もってもせいぜい十九億か二十億、二十億もとても購入していないだろうと思いますが、私がいままで調べたところ、先ほど言った共和の内部の方から聞いたところでは、その当時仕事の中心であった人です、その方から聞いたところでは、とても二十億の
事業費
の投入はやってない、こういうことをはっきり言っております。これはおそらく先ほど言った検察の段階で明らかになるでしょう。そのことを一つ私は申し上げておきます。ぜひこれは徹底した
調査
をあなた方のほうでやって、また、検察で解明されたものともあわせてひとつ御
注意
を願い、さらに全貌を明らかにするように
努力
をしていただきたいと思います。 それからその次は……
大和田啓気
147
○
説明員
(
大和田啓気
君) いまのお話でございますが、いま御指摘になりましたたとえば富士電機の問題でも、私どもの
調査
によりますと、共和からの申告は三千六百七十万円の
支払い
ということになっておりますが、富士電機に
確認
をいたしましたところ、未払い分が百三十万円まだあるということで、現実に受け取った分が三千六百二十五万三千円である。それで、
共和製糖
の帳簿と突合しない分が四十四万七千円私どもの
調査
でも出てきております。しかし、これは富士電機の人が言いますのにも、未払いが百三十万円ということについて、どうも確かな記憶といいますか
資料
もなくて、この点、共和の三千六百七十万円が正当であるのか、富士電機の三千六百二十五万三千円だけが正当であるのか、あるいは未払い分のうち一部が支払われておって、大体共和の三千六百七十万円に合う数字なのか、いずれにしても四十万円ほど
——
三千六百万ないし三千七百万のうちの四十万円ほどでございますけれども、どちらとも
確認
しがたいような
現状
で、私どもなおこの点
調査
をいたしたい、こういうふうに考えます。 それから二十五億の
支払い額
に対して、紀島に二十億程度までも
支払い
が行なわれていないではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、
細島
工場
の
建設
中に
共和グループ
関係で他に大きな
工場
をつくっている事実はございません。いまの二十五億と二十億の違いの五億も、支出して新しい
工場
を
建設
したという事実は全然ございません。それからまた、共和のやり方として値引きをさしたり値をたたいたりしておりますけれども、私どもが
調査
して
確認
いたしましたのは、実際共和が払った金と相手がもらった金との突き合わせでございますから、ここのところは九割ほど完全に合っておるわけでございまして、共和が払った金と実際相手方がもらった金とはどうもその間に違いはないというふうに私ども存じております。しかし、まあ私ども行政権といいますか行
政府
としてできるだけのことをいままでやって、これ以上はあるいは司直の手にゆだねる以外に直相はわからぬというふうに申し上げてもいいのかわかりませんけれども、なお私どもができる範囲で今後も
支払い
確認
の
努力
は続けたいということを重ねて申し上げたいと思います。
矢山有作
148
○矢山有作君 新
工場
はやっておりませんが、現在動いている
工場
の部品の補給だとか、修理だとか、そんなものです。 それから先ほども言ったのですが、手形で残っているのが五億六千九百万と、こう出ておりますね。私はこの問題についてはメーカーに当たってみましたら、全部払ってもらえるかもらえぬかわからぬというので非常に心配をしております。メーカー側はこれがもう頭にきております。それで、どっちかというと、おそらくこれはもう払ってもらえないのじゃないか、こういうことを言っております。したがって、この五億六千九百万は、明らかに先ほどお話が出たように他に流用されている。十九億八千万、決済の済んでいるものは
融資
された金でこの
細島
に投入をされた。それで、手形で出しりぱなしでほったらかしになつて現金決済のついていないこの五億六千九百万、これは他に転用されている。このことは、私は、先ほども銀行
局長
ですかおっしゃったように、その疑いがあることは明らかだろうと思います。 それで、次は……
澄田智
149
○
説明員
(澄田智君) ただいまの点でちょっと私の先ほど答弁を申し上げました点を補足さしていただきますと、たとえば
精製糖工場
のほうを例に引きました場合には、支出された
事業費
よりも
融資
金額のほうが少ない形になっているわけでございます、総額において。そこで、結局、
自己資金
を投入するというふうに当初の
事業計画
になっております分が、先ほどからもいろいろお示しのあったように、その
自己資金
というものがなかなか手当てができなかったというようなことになっている面、そういうものがあるいはいま手形でもって未決済と、こういうところに回っているもの、金に区別はございませんから、どれがどれかは言いかねるわけでございますが、そういうことも一方言えるのではないか、こういうことを補足さしていただきます。 それから先ほど事務所の問題が出ましたが、いま当初
計画
を当たりましたところ、当初
事業計画
の中に、事務所と分析室ということになっておりますが、事務所と分析室三棟百十坪というものが入っております。この分は、当初の
計画
の中にもあった事務所の建物だということになっております。
矢山有作
150
○矢山有作君
融資
金が足らぬで
——
自己資金
を投入することになっておる。というのは、農中が十億です。それから
開銀
が八億ですね。それから
公庫
が四億。それで二十二億。それから三和が三億、
宮崎
一億。ですから、
細島
に
融資
されたものは総額二十六億。それが四十年の九月三十日で全部出てしまっておるわけです。出方については、先ほど私が申し上げたとおりですが。で、ここで出てくるのは、現金でもう決済がついたものが十九億八千四百万円ですから、やっぱり
融資
をした金が浮かされてよそへ流れているということはここで出てくるのじゃないか。つまり、二十六億金を借りた。
自己資金
は一文も投入しないで
事業
をやって、現金決済したのが十九億八千四百万円である。したがって、その差額の大体六億ちょっとは浮かされたものだ、これが流用された、こういう結論になると思うのですが、
局長
、ちょっとその辺の数字を誤解されておるのじゃないですか。
澄田智
151
○
説明員
(澄田智君) 私は
精製糖部門
と分けて考えたようなことで答弁を申し上げましたが、一緒にしていまの
融資
の金額の総計とこの二十五億との関係は、おっしゃるような数字になります。
矢山有作
152
○矢山有作君 投入された実際の
事業費
を問題にしておりますから、やはり全体としてつかんでいただきたい。 それから次に移りますけれども、共和中核三社の
短期
借入金は二十九億五千二百万円となっておりますね。ところで、私がお伺いしたいのは、一体
ブドウ糖
、
砂糖
に対して
運転資金
というものをどれくらい見たらいいのかという問題なんですがね。先ほど言いました二十九億五千二百万円に間違いがなければそれを御
確認
願って、それから
運転資金
の問題でこれはひとつ特にお願いしたいのは、
農林省
からもお答えになりたいだろうけれども、
砂糖
なんかについては
大蔵省
がよく
実態
を把握しておられるのじゃないかと思うので、
砂糖
なんかの場合に
運転資金
というものは一体どれだけ要るのか、ひとつ御
説明
を銀行
局長
のほうにお願いしたい。
——
いやいや、銀行
局長
からひとつ。
食糧庁長官
にはまたあとで聞きますから。
澄田智
153
○
説明員
(澄田智君) 実は、
運転資金
の計算は、お話がありまして、分担してやって、
農林省
のほうにお願いをして、
農林省
のほうで計算をしておりますので、私が申し上げてもその数字を申し上げることになりますし、計算をいたしました
農林省
のほうからやっていただくのが適当かと存じます。
矢山有作
154
○矢山有作君
農林省
から出していただいたこれにいろいろ問題点があるんです。実際に日本の一流の精糖
会社
に直接私は聞き合わせて、さらにそれだけでは足らんので精糖工業会にも聞き合わせて、一体
砂糖
というものに対して
運転資金
というものがどれだけ要るのかということをいろいろ聞いて
説明
を受けたんです。その
説明
を受けた頭で
農林省
から出てきたこれを見ると、何とも合点がまいりませんので、それで私は銀行
局長
のほうが、
大蔵省
という関係で、
砂糖
を輸入しておりますから、関税の関係もあるし、いろいろなことでよく御存じじゃないかと思ってお伺いしたのですが、まあ銀行
局長
のほうからお答えになると、おそらく
食糧庁
が言うのと答弁は食い違うと思うのです。食い違うと思いますから、それで銀行
局長
も用心をして、食い違ったのではたいへんだということで言われんのでしょうから、
食糧庁
のほうにちょっとお伺いしたいのですが、どういうふうなことでどれくらいの
運転資金
というものが要るのか、
砂糖
、
ブドウ糖
について言ってください。
大口駿一
155
○
説明員
(
大口
駿一君) この前決算
委員会
において矢山先生から御要求がありました
資料
として本日お配りをいたしておるものがおそらくお手元に配られておると思いますが、「ぶどう糖製造業および
砂糖
精製業の
運転資金
」、これは、この前、年間の
運転資金
という御要求がございましたが、一応ある時点をとっての
運転資金
というふうに私のほうでは理解をいたしまして計算をいたしたわけでございますが、
ブドウ糖工場
にも、たとえば製造日数でありますとか、製品の在庫日数でありますとか、いろいろな違いがあると思いますが、平均的な日数というものを頭に置きまして、かたがた製品の販売における商習慣、通常幾日のサイトがついておるかということ、それから原料取引においてどれだけの期間のサイトがついているのが普通の商習慣であるかということを認定いたしまして、それから操業
規模
を一応百トンというふうに置いて計算いたしましたのが十億五千七百八十万という数字が一応計算されておるわけでございます。この中に使用いたしましたたとえば原料代は、これは通常取引をされておりまする最近の原料代の市価から平均的な数値を求めて使用いたしました。それから加工費も、いろいろな
工場
の加工経費の平均値というような形で織り込んでおりますので、ある特定の
工場
に具体的にこういう数字が当てはまるということではなくて、一応平均的な姿というものを想定をして計算をいたした数字と御理解をいただきたいと思うのであります。
砂糖
につきましても、ほぼ申し上げることは同様でございまして、最近の輸入価格を基礎といたしまして原料代といたします。これに
所要
の関税とかあるいは
糖価
安定
事業
団の瞬間タッチ売買等に伴って精糖
会社
が負担をいたしまする売買差損等を置きまして計算をいたしたものでございまして、製品並びに原料の取引の商習慣に基づいて手形のサイトに要する日数を差し引きました点は、
ブドウ糖
と同様でございます。その上日産能力を一応五百トンということで計算をいたしました数字がお手元にありまするような九億七千五百九十六万円という数字でございまして、ただいまも御
説明
いたしましたような前提で一応の計算をいたした数字というふうに御理解をいただきたいと思います。
矢山有作
156
○矢山有作君 私は、この
説明
が、この計算がわからないんです。私の聞いたところでは、
運転資金
なんてこんなべらぼうに要るもんじゃないというんです。私が聞いたところは、これは名前だけは伏せます、日本の一流の
企業
ですから。そこの担当者にきょう聞いたんです、どうしても納得がいかんから。とくと聞いたら、端的に言うてしまうと、いまの原糖の輸入、そうしてクリーニングして製品で出す、この
過程
から言うたら、一文も
運転資金
は要りませんと。もし要るとするならば税金関係ですね。関税とか消費税というのがありますが、それはあるいは見なきゃならんかもしれないと。しかしながら、押して言えばこんなものは全然要らないというんです。ですから、こういう
報告
書を出されるんなら、あなた日本の精糖
会社
の数あるのを当たってみたところで知れているんですから、全部当たってみてください。それはなぜかといいますと、簡単に申し上げますと、原糖を輸入しますね。そうして手形を切ります。まあ二カ月か三カ月の手形を切るでしょう。それはまあ場合によって違うでしょうがね。そうしてクリーニングをして今度それを出して手形をもらいます。二ヵ月くらい。それで片がついちゃうというんです。ですから、
運転資金
が要らないというんです、大ざっぱなところ。詳しい
説明
はしませんから、大ざっぱなところを言いますと、要するに、原糖が入る。手形を切ってやる。そうして製品になるのにたしか一週間足らずと言っておりましたかね、それを出しちゃうとすぐ手形が入る。これでいったら、金利は多少出てくるかもしれませんが、
運転資金
なんてこんなべらぼうなものはないとびっくりしていました、これを言うたら。要りませんよ、こんなものは。税金関係を見るくらいのもの。しかも、その税金関係も押して言えば要らない。何も
運転資金
だというてやかましく言う必要がないわけです。この点は、きょう議論すれば、おそらくあなたはこれを盾にとられるでしょう、あくまでも。私は現在のいわゆる精糖業、あのクリーニング屋の
会社
の方から直接聞いたんだから、あなたがおかしいと思われるなら、これは
会社
に当たって聞いてください。これはおかしいですよ、この出し方は。
大口駿一
157
○
説明員
(
大口
駿一君) 私ども、
運転資金
というものは、一応さっき申し上げたような前提で作業をしてつくったわけで、また、専門の
工場
に全然一言も聞かなかったわけではないので、ただいまおっしゃるように全部当たったわけじゃございません。私が直接聞いたわけじゃございません。担当の者に聞かしたわけですが、その
報告
によると、その担当者はこの数字でそう驚いていなかったという
報告
を聞いておりますので、どっちがほんとうか、もう少し調べさせていただきます。
矢山有作
158
○矢山有作君 これは、私が言ったように、おそらくそういう言い方をして水かけ論になると思いますが、私は精糖
会社
に当たり、さらに精糖工業会にも当たっていますが、これは要りません。こんな膨大な九億なんていうような
運転資金
は要らない。せいぜい見て税金負担だけです、見なきゃならんというのは。 それからもう一つは、
ブドウ糖
のほうがあります。
ブドウ糖
のほうも
——
これは私はこのやり方には多少の疑問を持っております。
説明
を受けましたが、ぶどう糖工業会の幹部から聞いたところによると、私はこれで計算してくれと言うたんです。きょういまの
ブドウ糖
の関係から日産何ぼぐらいかはじき出して計算してくれ。大体、
業界
のことだから、知っているわけです。それで計算をさせたら、特殊な
事情
を抜きにして、一般的な計算として出す場合には、共和のあの生産能力なら
ブドウ糖
に対して
運転資金
として見なきゃならんのはせいぜい五億どまりです。もし、いまのようなでん粉
業界
の
状況
ですから、当用買いで行くとするならば、二億か二億五千万あったら十分運転はっきます、こういうことです。あなたは、これに対しても、おそらく、わしはわしでまた調べたんだとおっしゃるでしょう。けれども、私は調べて全くうそのことを言っているわけじゃないんですから、これは水かけ論になりますから時間の関係でやめますが、そういうことです。 したがって、
運転資金
としてここに提出されたもの、
砂糖
で必要
運転資金
が九億七千五百万、
ブドウ糖
で十億五千七百万、こういう数字はあり得ませんよ。
ブドウ糖
の場合には多少私は疑問は残ると言いました。しかしながら、
砂糖
については絶対ありません、これは。そのことを断言しておきます。 それで私は考えてみると
——
笑いごとじゃないんですよ、長官。これはあんた実際に調べて
運転資金
が要らなんだら、たいへんですよ。これは私がこうしてしゃべりおるんだから、この
運転資金
がはたしてどれだけ要るかという問題は、不正に流用されたものが何ぼ出てくるかということに密接な関連を持ってくるんだから、きょうお聞きになっている傍聴の方々、報道
機関
の方々にしたって、このままじゃ済まされんだろうと思う。この点を的確にある程度つかんでいくことが、この
短期
借入金が不正流用されたものが一体どれくらいあるかという大どころの目安をつけるもとになるんですから、これは笑いごとでは済ません問題ですから、それはよく腹へ入れておいてください。そうして考えてくると、共和の
短期
資金
が、先ほど何とか言いましたね、二十九億ですか。その
報告
書に出ておるのが二十九億五千二百万円
短期
資金
が出ております。そうすると、二十九億五千二百万円という
短期
資金
は、私がかなり
ブドウ糖
の場合は疑問を持ちつつ五億なり六億なり見ていく、あるいは
砂糖
について関税分だけは要るかもしれぬという見方をしても、ゆとりの出る金が二十億くらいは出てくるはずです。私はいままで
説明
したような基礎に立って言っておりますから、少なくとも二十億、もし多く言うならば二十二億、これだけのものは全部浮いてきます。
運転資金
として必要とされるのはせいぜい七、八億程度のところと、こういうふうに私は断言して差しつかえないと思います。こういうふうに思っております。そこで、これは、あなたのほうじゃ、どうせ質問の形をとれば反論してくるでしょう、わざわざ御丁寧にこんなものを御苦労してつくっていただいたのですから。だから、私は、一応この水かけ論はやめて、あなたのほうでも御
調査
をなさる。私のほうでもなお
ブドウ糖
については念のため
調査
いたします。
砂糖
については、これは
調査
の必要なし、これは明確です。そういうことで、そういう
立場
に立って話を進めてまいります。 次は、
共和糖化
の千葉
工場
ですね。これにかつて
公庫
がたしか七億一千万
融資
をされたと思うのです。ここでこの
建設
事業
をやるときに、
事業費
の水増しが行なわれたという事実が共和の中の幹部から明確にされております。このことをお聞き及びですか。
大沢融
159
○
参考人
(
大沢
融君) 聞いておりません。
矢山有作
160
○矢山有作君
政府
の方も聞いておられませんか。
大和田啓気
161
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私どもも聞いておりません。
矢山有作
162
○矢山有作君 このことも、おそらく、検察が捜査を進めていくならば、その段階で出てまいります。これも間違いのない事実として内部の話で出ておりますから。 そして、そういうふうにずっと総合して考えていくと、私の結論はこうなるんです。共和中核三社で、長期借入金は、
共和糖化
の千葉
工場
、日本糖化、これはもとの明利酒類ですね、これを除いて、
細島
工場
分だけで、先ほど言いましたように大体六億浮いてくる。それから
運転資金
では、いま申し上げましたように二十億から二十二億くらいのところが浮いてくる。そうすると、合わせて二十六億ないし二十八億ほどのものが出てきます。それだけのものが出てくるわけです。そうすると、これが、
事業
やあるいは
事業
に対する施設やあるいは
事業
の
運転資金
、要するに
事業
関係として使われるだけでなしに、二十億や二十二億という膨大なものが外部に使われておるということです。それで、さらにそれに千葉
工場
の分を含めて考えていくと、おそらく二十七、八億の不正流用が浮かんでくるだろうと、私はこういうふうにいろいろな
調査
からまた先ほど申し上げたようないろいろな根拠から申し上げて差しつかえないと思うのです。 そこで、私はここでお聞きしたいのは、一体、銀行
局長
が御
調査
になったときに、累積赤字がどれだけあるかという問題なんですが、これはこの場で銀行局のほうからおっしゃることにはいろいろ問題もあろうかと思います。そこで、私のほうから、ここに現に全部バランスシートを持っておりますから、それで出したところで集計したものを参考のために申し上げてみます。私はおそらく当たらずといえども遠からず、あるいはどんぴしゃりとその金が合うかもしれぬと思っておる。それは、一つは、四十年の四月一日から四十一年の三月三十一日の間の共和産商のバランスシートです。これは私が前々から持っておったものですが、これによると、共和産商で二十二億六百五十万余の欠損金を出しております。それから
共和製糖
で四十年の九月三十日の決算で八千五百万円を出しております。
共和糖化
で四十年の九月三十日に二億二千三百万円を出しております。日本糖化で四十年九月三十日に八千八百万円を出しております。
東洋果糖
で四十一年三月三十一日に七千万円の欠損金を出しております。これに
農林
開発の欠損金が四十年三月三十一日で四千万出ておりますが、共和三社中心に調べられておりますから、
農林
開発の分だけは除いて考えていいと思いますが、
農林
開発を入れれば五社で五億八百五十万円の欠損金を出しております。そうすると、共和産商の二十二億何がしを加えていくと、二十七億一千五百万から二十七億二千万程度の欠損金が出てまいります。これは、現在までのところ、おそらく正しいのじゃないか。しかも、その後これは多少ふえておるかもしれぬ。だけれども私の言った数字、欠損金が大体二十七、八億、二十七億一千万か二千万程度のところだということについては、全面的に違うなら違うと言っていただけばいいし、大体合っておるならば合っておると言っていただいていいし、というのは、私はそちらのほうの
調査
で申し上げておるのではなくて、私は前の決算書をもとにして申し上げておるわけです。その点はどうですか。
澄田智
163
○
説明員
(澄田智君) ただいまお示しの数字、その各社の累積の損失額、決算書で当たられたと思いますが、私どものほうがそういう計算の方法で当たりましたものとほぼ同じでございます。それからまた、ほかに中核の三社についての連結貸借対照表をつくって見ておりますが、先ほど当たらずといえども遠からずとおっしゃいましたが、大体そういう感じでございます。
矢山有作
164
○矢山有作君 そうすると、私はこういうことになると思います。
事業費
を水増しをする。経費を水増しをする。いろいろなことをやります。欠損金が出ている。それで、その見合いとして
短期
資金
を不正な手段でぼんぼん借りる。その水増しで浮かされたものが全部流用されておるということです。その流用先というのはいろいろあるでしょう。このばく大な不正不法な手段で入手された
資金
が、私の見方では、
共和グループ
の中核である共和産商というものを巧妙にこれを仲介にして、そうして宝不動産や
農林
開発に出ていって
土地
や建物になっておる。また、菅個人が有価証券の投資に使う。さらに、匿名の預金に使う。さらに、先日決算
委員会
で国税庁長官に
調査
を
依頼
しておきましたが、ダイヤモンド等の貴金属の購入に回されている。これは東洋美術館を徹底的に
調査
していただければわかるはずです。私が
調査
に行ったところが、けんもほろろな扱いを受けましたが、ほかに私が直接当たったところでけんもほろろに扱われたところはありません。大体内容を詳しく
説明
してくれた。だから、東洋美術館を徹底的に
調査
なさる必要があるだろうと思います。 それからまた、その次には、政治献金に回されておるということです。自治省に届けられておる表向きの政治献金は、
共和グループ
で三千百万円です。しかしながら、それだけでなしに、菅自身の手で裏で政界にばらまかれた金というのは相当多額にのぼるということは、新聞の報ずるところによれば、自民党の有力議員の方も言われておるところのようです。そうすると、そういうふうに政界にばらまかれた表向きの金、あるいは菅の裏でまいた金がどういう役割りを果たしたかというと、最初に私が指摘しましたように、
糖価
安定法や
甘味資源特別措置法
をつくるとき、特に精力的にばらまかれたのは、菅個人が自己の
企業
において利益を受けるところの関税定率法の一部改正、租税特別
措置
法の一部改正をめぐって集中的にばらまかれたであろう、こういうふうに私は考えておるわけです。これはおそらく当たらずといえども遠からず、まあ皆さんがお調べになれば、大体それとあまり違わぬものが出てくるのではないか。さらに検察の段階ではそれがいろいろな方面から明らかにされるだろうと思います。 ところが、さらに私は申し上げなければならぬのは、いま言ったのはまた一部であって、共和中核三社が、この
報告
書によると、借り入れた借入金の
残高
は、長短合わせて六十七億七千二百万円です。これは共和中核三社ですから、これに
共和グループ
の他の社のものを加えると、おそらく七十億を私はこすだろうと思う。そうすると、私が指摘をした二十六、七億、あるいは二十七、八億かもしれません、それ以外に相当もっと多額な金が不正に菅のもとに入手されて、それが
事業
関係外に使われておる、こういうふうに断じて差しつかえないだろうと思う。こういうふうに私は思っておりますが、これらに対してどういう御感想をお持ちになりますか。感想としては、きわめて巧妙で、とんでもないことをやったものであるということになるだろうと思うのですが、どういう感想をお持ちになりますか。
松野頼三
165
○
国務大臣
(
松野頼
三君) ただいま矢山
委員
のお話を聞いていると、何だか夢のようなお話であると感じますが、それは別に悪意で夢と言うわけではありません。何だかわれわれの
調査
から見ても非常にかけ離れたということで、といっても、矢山
委員
も非常に精密な御
調査
をされておりますから、それを私はあえてどうこうと言うほどの
——
調査
の
対象
外のものもあります。ただ、先ほど来の
砂糖
のお話で
食糧庁長官
がお答えしましたが、それは一、二の例で申しましたが、全然要らないというのは、よほどそれは
実績
のある
会社
、あるいは信用のある
会社
、手形が完全に割れる
会社
、代理店が即金でするもの、その手形が直ちに全面的に
資金
になるもの、あるいはまたユーザンスで非常に信用があってそれが長くいくもの、そういうものの前提における
融資
、先ほどの
砂糖
会社
の
融資
金であると思います。すべてそんなに順調にいくならば、金利も要らない。そんなにクリーニングがもうかるというような
状態
では私はないと思う。糖業の今日の
状態
は金利に追われているというのが当然の
状態
でありますから、いまのお話だと金利は要らないというのですから、ちょっとそれは特別な
会社
の例がないとは私は言えませんけれども、われわれが
調査
したのは一般的なコストをかけて
資金
を払ってという計算で、先ほどの
食糧庁長官
の計算を見ましたけれども、ある意味においてはサンプルのとり方ですから、そこで十億ばかりただいまのお話で違ってくる。われわれは、やはり
砂糖
会社
の
資金
としては十億くらいは要る。もちろんこれは期限もあります。一、二件で要らないという計算は成り立たないのではないかというと、そこで十億ばかりのいまお話しのように差が出てくるというので、私も何とも自分の
調査
の
対象
外のものが非常にありますし、矢山
委員
にあえて反発するだけの
資料
もいまありませんが、聞いた限りはそのとおりじゃなかろうかという感じがまあ
融資
状況
でもあるのです。しかし、あえて私のほうも、じゃ反発してみろと言われても、する
資料
はもちろんありません。これは、お互いに今後の推移を見て結論は出すべきである。ただ、何ともこの問題は言えないような、
調査
の手の届かないようなところがたくさんあるものですから、私どもただいまのお話を批判するというわけにいきません。といって、それだからそれを是認するわけにもいかないというふうな感じで、今後の推移を見てこの結論はおのずから出てくるのではなかろうか、こんな感じを私抱いております。
矢山有作
166
○矢山有作君 まあいまの御答弁は当然だろうと思います。ただ、それだけの
運転資金
が要るか要らぬかという問題については、いまの私の点と
食糧庁長官
の水かけ論だけでなしに、私は実はきょう持ってきていないんですが、有価証券
報告
書が出ておりますから、それの東食の内容
——
資産内容あるいは買い掛け、売り掛け、もうあらゆるものが明細に載っておりますから、その東食の有価証券
報告
書、一番最近のものです、それと、それから
共和製糖
のバランスシートとを対照してごらんになったら、おのずから解明されると思います。特に、おっしゃっておったように、東食が
共和製糖
に対して、製品の八割からのものを全部引き受けて一手販売やっておるし、さらに原料も、先ほどのお話によると、東食から全部入っているわけですから、そういう形の中で一応いまのクリーニング業の
実態
の
あり方
というものをお考えになって、さらに、先ほど言いました
——
前後しますが、その東食のバランスシート、共和産商のバランスシート、これを突き合わせてごらんになれば、私の言ったことは、つまり
砂糖部門
についてはほとんど
運転資金
は要りません
——
全部要りませんとは言わないけれども、ほとんど要りません、こう言うたことは間違いないということが大体おつかみいただけると思う。もし、
松野
さん、そういう方面のなにがなかったら、ひとつ経理の専門家によってそうした東食、共和産商のバランスシートをひとつ突き合わせて、それからなお、
砂糖
のクリーニング業というものがどういうものであるかということを
政府
のお役人の中にもよく御存じの方もおりますから、どの程度金が要るのか、そういう点は、あなた自身で当たられてお調べになったらこれはわかります。 結局、
共和製糖
グループをめぐる
融資
というものは、こういうふうにつづめるところなると思います。
共和グループ
の
融資
資金
の流出をごく大ざっぱに言うと、虚偽の事実の申し立てで
融資
された金を流用し、そして実際には非常に値打ちのある国有の
土地
などを政治的な背景のもとに不当に安く手に入れる。そして、今度はそれをもとにしていわゆる根抵当を設定したり、もとにしてさらにより以上ばく大な金を同じように政治的な背景のもとに
金融機関
から引き出す。そして、その金で膨大な
土地
、建物を取得したり、有価証券を取得したり、あるいは匿名預金をやったり、あるいは先ほど触れた貴金属の買い入れをやったり、さらには政治献金に流して自己の有利な法律をつくらせる、こういうようなことをやっておった。だから、私は、これくらい悪質な知能犯的なやり方はないと思うんです。だから、私は、関係の
政府
や
金融機関
、さらにいつも名前の出てきておった重政元農相その他の方々は、菅のこの知能犯的なやり方に踊らされておった、こう結論をつけて差しつかえないと思います。しかしながら、これらの問題については、やがて全貌が明らかにされるだろうと思います。で、議論は、これはやったところで、ある程度水かけ論的になるおそれがありますから、その点の議論はそれだけにしておいて、次に
担保
の問題に移らせていただきます。
担保
の
評価
にあたって
掛け目
を一律に八〇%と見ておるということがこの「
報告
書」にも出ておるんですが、私はこれは、この間銀行
局長
も妥当な見方だとおっしゃったんですが、普通の常識としては非常な甘い見方だと、こういうふうに思っております。私が聞いているところでは、さら地でこの間言いました七〇%、建物、
機械
なら三〇%から五〇%見たらもう関の山だと、こういうことなんです。さらに、私の言うことがうそではないということを
金融機関
の
責任
者が裏づけているんですよ。ちょうど会議録を読んでおりましたら、この間の十月二十五日の参議院の
農林水産委員会
で楠見さん自体がこう言っているのです。「かりに十億なら十億の
担保
物件は、これは処分をするとすると足元を見られます。これは申し上げるまでもありませんけれども、一億、二億というもう捨て値で処分せざるを得ないということにならざるを得ないと思います。これは
企業
の、申し上げるまでもありませんけれども、御承知の
実態
だと思います。」と、こう言っておられるのですよ。ですから、楠見さん自体が、いわゆる
担保
というものが、いかにいざその
担保
処分をしようということになったら、金にかえる場合にたたかれるものかということをよう御存じなんですよ。それを金融の通常の考え方からよりももっと甘く八割で
掛け目
を見ていったということは、私はこの事実だけでも
担保
物件に対して
債権
保全上非常に問題があると、こういうふうに申し上げて差しつかえないと思うのです。これは銀行
局長
ね、事はここまで進んでいるのですから、私は率直なお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
澄田智
167
○
説明員
(澄田智君) この「
報告
書」で計算いたしました場合、その一応の計算としまして
担保
の
掛け目
を八〇%ということにいたしているわけでございます。もちろん、それぞれの
担保
物件の内容等によっていろいろその
評価
、さらに
掛け目
というものも違ってくるべきものでございますが、今回の場合、一応全体を通じましてそれぞれ八〇%、こういうふうに
評価
をいたしました。現実に処分をしなければならないというような場合等は、あるいは相当
評価額
一ばいに売れるというものもあるわけでございますし、今回も一応
担保
の計算上は八〇%、こういうことにいたした次第でございます。
矢山有作
168
○矢山有作君 売る場合にわりあい有利に売れるというのは、やはり
土地
でしょうね、いまの地価の
状況
から。で、
土地
も、これも値打ちがあるある言うても、どこもかしこも値打ちがあるわけじゃないんでしてね。やはりその場所というものが私は相当ものを言うだろうと思います。
共和糖化
のずっとグループが抵当に入っている
工場
の場所等を一々当たっていった場合には、それほど地価が有利になるようなところばかりじゃないようですから、この点はひとつお考えいただきたい。 それから建物、
機械
ということになりますと、これはほんとうに処分するとなったら二束三文だと思う。建物はまだしも、
機械
となったら、これはとてもじゃないがだめだと思う。そうでなくても、皆さん御承知のように、
設備
過剰だということははっきりもうお認めになっている。その
設備
過剰で余って余って困っている、操業度五割を割っているというような
状態
のときに、この
機械
を処分してどれだけはたして……これは私はきわめて危険だと思う。おそらく私はもう二束三文、古鉄相場だと思うのです。そうなってくると、
土地
、建物、
機械
等を抵当にとっているから、ここへ出していただいたこの数字で、大体十億程度
担保力
不足だと、これは農中の場合ですが、そういうような気楽なことは私は言っておれないだろうと思います。相当の穴が私は出てくるだろうと思う。ですから、そういう点については十分今後御
検討
をいただき、先ほど追加
担保
をとるということについては渡辺さんのほうからいろいろお話があったようですから、これはやはりあなた方のほうで真剣に考えなければならない。特に
担保
にとる場合に、すでに
抵当権
が設定されているものを
担保
にとってみたところであまり価値はないんですから、これは新たに
抵当権
のないものを徹底的に追求してこれに
抵当権
を設定するということでなければならぬと思います。 そのことでちょっと一つだけついでにお伺いしたいのですが、高槻の旧国有地を十二億五千万に
評価
をして今度は出してこられました。これはどういう方法で
評価
をされたのでしょうか。
大和田啓気
169
○
説明員
(
大和田啓気
君) 高槻の山林は、もともと
中金
が添え
担保
でとったということで、正式な
評価
はいたしておらないわけでございますけれども、今回の
調査
にあたりましておおよその目見当をつける意味で
中金
がやりましたことを御紹介いたしますと、高槻の山林の一部が、四千数百坪でございますか、ことしになりまして関西電力に売り渡された事例がございます。そのときの坪当たり価格が一万五千円でございました。それからさらに近傍で宅地の分譲がございます。その価格が一万円ないし二万数千円でございます。二万数千円の中には相当な造成費をみなければいけませんけれども、そういう近傍類地の
土地
の売買価格というものをながめて一応十億ないし十五億と
評価
いたしまして、
中金
のとっている
担保力
が
中金
の
債権
をどの程度
担保
し得るかという評定にあたりまして、これを中をとって十二億五千万というふうにいたして、さらに
掛け目
を八割に見て十億というふうにいたしたわけでございます。
矢山有作
170
○矢山有作君 いままで、高槻の旧国有地については、いかにして価値がそれほどないものであるかということを
政府
の皆さんは
説明
するのに一生懸命になっておられた。今度
担保
を設定するという段階になると、いかにしてこれが価値あるものであるかということを強調する
説明
になるわけです。というのは、この前若林
林野庁長官
が御
説明
になったときには、あの
土地
はがけのあるようなところだとか但とかかんとかということで三千五百万というのは絶対に正しうございます、こういうお話だった。ところが、きょうの
説明
を聞いておると、関西電力が買った
土地
というのは、あの地域の中の一番いいところなんです。平坦地の一番いいところなんです。
林野庁長官
がおっしゃったようながけのようなおかしなところもあるわけです。ところが、今度の
担保
物件の
評価
にあたっては、あの
土地
の中で一番いいという
土地
、それを関西電力が買った、一万五千円はおろか、それよりももっと高く
評価
をしなければならぬ、こういうふうになってきておるのです、いまの御
説明
の口振りで見ると。私は出たとこ勝負で問題を処理しょうという考え方は間違いだというんです。なぜこの十二億五千万
——
ここに農中の
担保
の設定
状況
を
説明
されたものに書いてあります。これをもしこう
評価
なさるなら、あなた方はおそらく私は
現地
まで行って
実情
をつかんで
評価
をやられていないと思うんです。そういうことをやらないで、権威ある
評価
の
機関
があるのですから、なぜそれにかけて厳重な
評価
をやってここに計上しないのですか。この高槻の国有地の問題についてはきのうきょう問題になった問題じゃないんです。すでにずっと前から問題になっているのですから、もうおそらく私の記憶では半年以上ぐらい前から問題になっていると思う。そうすれば、はたして高槻の旧国有地の
評価
は何ぼにやったら一番正しいのかということをやる
努力
をどうして今日までやられなかったのですか。今日までそれをやらずにおいて横言の
説明
をいまされたわけです。私はその態度がやはりいけないというんです。そういう態度がこの
共和グループ
のいろいろな問題を起こす一つの根っこにもなっている、そういうものの考え方が。そう思うのですが、その点、あなたは非は非として認めて、高槻の旧国有地について厳正な
評価
をやる気持ちはありませんか。いまからでもおそくはないんです。
大和田啓気
171
○
説明員
(
大和田啓気
君) 私が先ほど申し上げましたとおり、また、「
報告
書」にも書いてございますが、この高槻の山林は、もともと添え
担保
ということでもありまして、正式の
評価
を行なっておらないわけでございます。しかし、今回、
評価
をしないでは
担保
の余力がどの程度あるかあるいはないかということの判断ができないわけでございますから、
中金
といたしましては、先ほど申し上げましたように、関西電力に一部売られたこと、あるいは近隣地の売買事例によって推定をいたしたわけでございます。十億ないし十五億、私どももこれは一応の推定でございますから、はたしてそれだけの
担保
価値があるのか、あるいはさらにもっとあるのかどうかということは、厳正な
評価
機関
といいますか、鑑定
機関
によって精密に
評価
をするように
中金
とも話しておるわけでございます。
矢山有作
172
○矢山有作君 私はいままで権威ある
機関
に鑑定
評価
をやらせなんだというところに問題があると思うんですがね。しかし、いままでまんざら何もやってないことはないんですよね。いろいろやっている。その内情はおそらくあなた方は御存じだろうと思うんですよ、いままで。それを御存じであって、しかもいまだにそれに対して
評価
がやられぬ。本格的な
評価
がやられぬというところに問題がある。これも、私はこういうことを言っていると思い出すのは、この前の決算
委員会
で楠見さんはこういうことをおっしゃった。この高槻の元の国有地については
評価
の引き受け手がないのだと。それはそういうことになるんですよ。そういう
評価
の引き受け手がなくなるほどでたらめな
評価
をいままでやってきておった。 どういうことをやっておるかといいますと、まず最初に
評価
したのは、
共和製糖
が熊谷組に
依頼
して
評価
をしてやらしております。これは熊谷組の幹部は知りません。熊谷組の職員に頼んで
評価
をやらせた。それで、そのときに二十四万坪、単価一万五千円、
評価額
三十六億円という
評価
をやって、そうして共和が農中にその
評価
書を提出しているはずです。おそらく、私は、これが国税庁長官の手元に入っているのだろうと思う。国税庁のほうで二十四万坪三十六億の
評価
書があるということをこの前の
委員会
で言われましたが、これだろうと思う。 それからその次にどうかというと、この
評価
はさすがにおかしいと思った、農中でも。そこで、農中が
現地
調査
に行きました。このときに共和側から重政元農相の秘書をやっておった安野、これは
共和グループ
のどこかの
会社
の重役をやっているはずです、この人が同行している。その際にどういうことを
調査
をやったかというと、地元の森林組合、不動産業者に聞いて回っております。ところが、地元の森林組合や不動産業者の言っているのは、山林だから公簿面積で
評価
してまあ坪七千円ぐらいだと、こういうふうな話をしたらしい。それを聞いて担当者はそのまま帰っております。それで、農中の上層部に対してはどういう話をしているかというと、大体七億七千万円見当でしょうと、こう言っているわけです。というのは、坪七千円で七億七千万円見当でしょうと言ったということは、二十四万坪はうそであったということがこの時点で農中には明らかになったということを証明すると思うんです。 そこで、農中は、共和が熊谷組に
評価
して提出させた三十六億と、それから農中自身の
現地
におけるこの
評価
報告
の七億七千万円、これはあまり違い過ぎる。これでちょっと困って、共和にまた
評価
をし直せいと、こう言っている。それで、共和が
評価
をやりました。共和はどういうことで
評価
をやったかというと、不動産鑑定士の遠藤という人、これはこの間泉国税庁長官が遠藤鑑定士はその鑑定に問題があるからいま
調査
をしておるが、病気だといって出てこぬと言っておったその人物、これに
依頼
しておった。共和では、遠藤が
現地
調査
に行く前に、これまでの
評価
の
実情
というものを詳しく話をしております。実面積は二十四万坪ある、だからそれをそのまま信じてくれ、そうして、単価は、関西電力が大体一万五千円で買っているのだ、だからそれに近いところで
評価
を出してもらいたい、こういうような話をした上で遠藤鑑定士は
現地
に行っております。そして二十四万坪はそのまま、これをのんで、そしてそのときの
評価
は坪当たり一万四千九百円何がしで
評価
をしておるわけです。九百円以下のこまかい数字ははっきりいたしません。そうすると、
評価額
は、三十六億円程度になりますね。 そこで、農中は何をやったかというと、共和が熊谷組に
評価
さして提出した二十四万坪三十六億円と、農中自身の担当者が
評価
した七億七千万円と、共和が遠藤鑑定士に
評価
して提出させた二十四万坪三十六億円弱ですね、この三つが集まったわけです。農中は、この三つを足して三で割ったわけです。そうして、大体この程度の
評価
だというものを出していったわけですね。で、先ほど、国税庁長官のところに出ておるのが熊谷組の測量
評価
をした二十四万坪単価一万五千円、三十六億と言いましたが、あるいは、これでなしに、遠藤鑑定士が
評価
をした分のほうが国税庁に出ておるかもしれない。というのは、国税庁長官の遠藤鑑定士の鑑定に疑問があるということばからして、おそらくこのほうだろうと思います。ですから、熊谷組の分でなしに、国税庁に行っておるのは遠藤鑑定士の鑑定
評価
をやった分だと思います。農中では、そういう三つ寄せて三で割るような
評価
をやった。ところが、農中の検査部がこの
評価
はおかしいと指摘したわけです。農中自身でさらに
評価
をやり直さにやならぬということで、不動産研究所に
評価
させいということを検査部が指示をした。ところが、
依頼
されたほうの不動産研究所は、この元の国有林が交換されるときに林野庁の
依頼
で
評価
をしておるわけであります。そのときに十一万坪ほどを三千五百万という
評価
を出しているんですから、したがって、不動産研究所は
評価
を引き受けることができない。で、不動産研究所は
評価
を断わりました。 そこで、農中は、さあ困ったということになって、自分のところの
評価
の専門家、これに
評価
をさせようということで、
融資
二部の次長と、それから、名前ははっきり言っていいでしょう、河井という人、これを
現地
に行かしております。これが四十一年の三月です。両者は、営林署や
現地
でいろいろ
調査
やった。ところが、共和の言う二十四万坪はうそだ、単価一万五千円にはとてもいかぬ、こういうことが明らかになったわけです。しかしながら、
評価
のしょうがない。そのままほっぼらかしになって今日まできた。そして、先ほどクッション
融資
のところで申しましたように、東食に対しては二十四万坪三十六億というものを信用せいということで信用さしてこれを根抵当にとらせ、所有権移転の仮登記をやらして、そして十億六千万を農中から東食に出す、東食から共和に出す、こういう操作をやった。これが高槻の国有林の
評価
をめぐる大体の
状況
です。多少の食い違いがあるかもしれませんけれども、おそらくこれで私は大差ないと思う。ですから、この高槻の
土地
の
評価
ということは、ただ単に
担保
保全の上からだけ問題じゃないんです。もちろん
担保
保全に対して非常に重要な意味を持ちますから、これを正しく
評価
するということはもちろんですが、いままでの菅が仕組んできた不正な
評価
のやり方というものをやはり整理していくためにも、この際きちっとした
評価
をやり直す必要がある、こういうふうに思うわけなんで、先ほど経済
局長
のほうからおっしゃっておったようですから、ぜひともこれは適正な
評価
をやっていただきたい、このことを重ねて強く要望しておきます。やられますね、早急に。
大和田啓気
173
○
説明員
(
大和田啓気
君)
中金
に対してそういうことで話を進めたいと思います。
矢山有作
174
○矢山有作君 そこで、いろいろと私は特に問題になる点を指摘しながらいま質疑を続けてきたわけですが、その結果、私がいままでの
調査
をしたものをまとめてみて、先ほど来指摘をしましたように、きわめて悪質な知能犯的なやり方だと思うのです。そこで、
担保
保全の問題もある、いろいろの問題はありましょうけれども、私は再建の問題についてはきわめて慎重な態度でのぞんでほしい。どうも、話を聞くと、再建のほうに空気が行っているようです。しかし、これだけ悪らつな手段でばく大な金を公共的な性格の強い
金融機関
から引きずり出して、そして
事業
外に流用して、私腹を肥やし、あるいは政治
資金
に使っていった。しかも、その後の
状況
をいろいろ聞いておりますと、また、先ほどの質疑から考えても、菅は
債権
保全に積極的に
協力
をしておるとは言えぬと思うのです。そういうものに対してなぜ再建策を真剣に考えてやらなくちゃならぬのか。菅が
債権
保全に対してきわめて非
協力
であるということは私も聞いておりますが、いま渡辺
委員
の質問からでも私はその点はある程度肯定できると思う。したがって、私は、この段階では再建を論議すべきときではない、いかにして
債権
保全に全力をあげるかということが最大の問題であると、こういうふうに思うのです。もしあなた方が再建をやるというなら、一体どういう再建策を考えるのか。
融資
をする道はどこもありませんよということは、私は先般の決算
委員会
でもはっきり申し上げておるとおりだ。
融資
をする民間の
金融機関
はないでしょう。
公庫
も
開銀
もできぬはずです。農中もできぬはずです、精糖に対して。ですから、ここを再建を論議するというなら、どういう形で再建をしようとするのか。それをもし道があるならば、この際ひとつ言ってもらいたいと思う。
松野頼三
175
○
国務大臣
(
松野頼
三君) この
委員会
でも明らかにしましたように、債務
債権
のその
債権
保全を第一義にしております。したがって、再び
建設
するという再建については、まだ各
機関
とも一致はしておりません。この点は明確にしておきます。
矢山有作
176
○矢山有作君 それからこれで最後の質問にいたしますが、二つございます。
共和グループ
の今回の事件というもののいろいろないきさつというものは、私は会計検査院の方もこの場所に
出席
をしておられて逐一やりとりを聞いておられると思います。それから検査院自身で御答弁に立たれた場合もあるわけです。そういうことからして、この共和をめぐる
融資
の
状態
から、いまの会計検査院の検査の
あり方
に相当
検討
をし直さなければならぬ問題があるんじゃないか。そういう点で、出資関係の検査を担当しておられる
局長
のほうから、今度の
共和グループ
をめぐる問題について、これをひとつ反省の
資料
として、検査について今後改善すべき点、そういう点があるとお考えになるなら、それをお話し願いたいし、いままでの検査どおりで十分会計検査の期待に沿えるというなら、そういうふうにお答え願いたい。どういうふうにお考えになっておりますか、この際ひとつ御所見を承っておきたいと思います。
佐藤三郎
177
○
説明員
(佐藤三郎君) お答え申し上げますが、今回の
ブドウ糖
融資
に関しましては、会計検査院としても、
融資
当初の三十九年以来、環境が環境でございましたので、非常に注目をいたしまして特に念入りに検査をしてまいったつもりでございます。そして、昨年夏検査の結果、いろいろの疑問点につきましても
公庫
に対して照会を出しまして
検討
を促しております。さらに、今年の夏の実地検査におきましても、例の
資金交付
したあとの向こうの
支払い
実績
というものについて、どうもまだ
調査
が検査院としては納得いかない。それで、積極的に
会社
帳簿から
支払い
実績
を
確認
するようにということで督促しておったやさきにこういったことになった次第でございますので、会計検査院といたしましても、こういう
融資
の面につきまして、
融資
の当初に、まず
融資
の
目的
、それから金額、それから償還の能力、収支見込み、そういったものを
検討
しますとともに、その後の
資金交付
の
状況
、それから
債権
管理、つまり延滞が始まるような
情勢
に立ち至った場合に
債権
確保
をどういうふうにやるかという点については、なお一そう今回の例を反省いたしまして積極的にやっていきたい、こういうふうに存じております。
矢山有作
178
○矢山有作君 私は詳しく検査のやり方というものを知りませんが、どうもその年度に出資したもの関係だけに限定をされて検査をなさるというような傾向が強く出てくるんじゃないか。こういうような出資関係の
実態
というのは、切り離されて年度年度を見ておったんでは私はわからぬと思うのです。したがって、数年度にわたるならば、それにわたってやはり前後の関係をつけながら徹底的な検査を総合的にやっていってそして
実態
を究明していくというやり方にいかないといけないと思うのですが、そういう点はそういうふうにやっておられるんですか、どうですか。
佐藤三郎
179
○
説明員
(佐藤三郎君) お話、ごもっともでございます。私どもといたしましては、
融資
がありましてから完全に償還に至るまで見ておるつもりでございますが、ただ、
融資
することが妥当かどうか、こういう問題になりますと、
融資
の時点において要するに過去があるというようなことになりませんと私どもとしては不当だといって責めるわけにはまいりません。したがって、
融資
の検査は、翌年度、つまり会計検査院は決算の検査でございますから、
融資
自体の検査は翌年度でございます。そうして、それ以降の検査は
債権
管理という問題でずっと見てまいっております。
矢山有作
180
○矢山有作君 できるだけ年度を継続さして広範な総合的な
調査
をやって、権限の許される範囲で
実態
をつかむようにしてください。 それから、次は「毎日」の十一月の二十三日の報道によりますと、会計検査院も
調査
に乗り出すということで、その
調査
の
対象
として大阪府高槻市の丸尾山の国有林野の交換、それから兵庫県の芦屋市の劔谷の国有林の交換、このことを言っておられるようですが、私もこのことだけに限っているのじゃないだろうとは思います。思いますが、共和関係のものはこれ以外にもまだあるわけです。たとえば志賀町の天神山、あの国有林もあれば、さらに共和との直接関係はどうか私もつまびらかにいたしておりませんが、那須の美福何とか株式
会社
というのが、交換をやってやはり決算
委員会
で問題になったのですが、これや、それから国土開発が同じように芦屋市で行なった国有林の交換があります。これらは、私の聞いているところでは、やはり重政元
農林大臣
との関連があるように聞いておりますから、したがって、やはりこれらも含めて全体の
調査
ということをやられぬというと、物事の一端の解明しかっかないということになるおそれがありますから、そういうふうな
調査
をおやりいただきたい。これは私のほうからの希望でございます。
小熊孝次
181
○
説明員
(小熊孝次君) お答えいたします。 国有林野の交換につきましてただいま御指摘がございました。国有林野の交換につきましての検査につきましては、特に特定のものというようなことでは必ずしもございません、やはり相当
規模
の大きいものというものにつきましては四十一年中に検査いたしておりますので、その結果によりまして慎重にただいま
検討
中でございます。
矢山有作
182
○矢山有作君 それから、これでほんとうの最後ですが、ちょっと申し上げておきたいんですが、私も長々やっておると記憶の薄れるところがありまして、私の申し上げたところに多少混乱した面があったと思うので、それを明らかにしておいたほうがいいと思いますから申し上げておきますが、いわゆる
ブドウ糖
混和糖水の問題です。これは事柄の
実態
はこういうことなんで、整理をしておきます。三十七年に一万トンの
粗糖
の外貨割り当てを菅が受けたわけです。その
目的
は、
ブドウ糖
液と
砂糖
の混和液糖をつくるための研究、こういうことでやってきたわけです。それで、租税特別
措置
法の一部改正をやった。そのねらいは、それをねらいにしておったというのが
実情
のようです。ところが、その後、
砂糖
液と
ブドウ糖
液とのいわゆる混合による混和糖水ということをやめちゃって、そうして今度は
果糖
との混和糖水をつくるというふうに変わってきた、こういう
経過
があるようです。しかしながら、それはいまだに共和がやってないということは御案内のとおりです。ただ、租税特別
措置
法の一部改正をやる背景にいずれにしても菅の関係する
事業
だけが
対象
になって、そしてこの租税特別
措置
法の改正のために非常に活発な政治献金が新友会を通じ、あるいはまた、推察するならば菅個人からも行なわれた、こういうことになろうかと思いますので、一部混乱した点があったと思いますから、その点を 明らかにしておきます。 以上で私の質問を終わりますけれども、これですべてが明らかになり、すべて終わったということじゃありません。司直の手で解明されることはもちろんです。これからやはり
共和グループ
をめぐる問題についてはいろいろと
政府
のほうでも今後も
調査
をされてそうして明らかに
事態
をやっていく、その中で金融の
あり方
等につい直さなければならぬところがあればどんどん積極的にこれを改めていく、そしてさらに
責任
の所在を明確にしてそれ相応の
措置
をとっていくということだけは私はやっていただきたいということをお願いしておきまして質問を終わります。
大月高
183
○
参考人
(
大月
高君) いままでの矢山先生のお話に関連しまして、若干今後の問題が含まれておりますので、一言
農林中金
の
立場
として意見を申し上げておきたいと思います。 従来われわれの仕事がどういう
状態
であったかという問題、あるいはどういう点に反省しなくちゃいかぬかというふうな問題は、御指摘をまつまでもなく、十分反省いたしまして改善をはかってまいりたいと思うわけでございますが、ただいまお話のございました点二点につきまして一言釈明させていただきたいと思います。 一つは、
担保
の
評価
の問題につきまして、例の八〇%が甘いじゃないかというお話がございまして、それに関連いたしまして、楠見
理事長
が、かりに十億の
評価
があるものについても、それを売るとすれば一、二億にしかならないのだ、だから
担保
の
評価
は厳正にしなくちゃいかぬとおっしゃったと、こういう御発言でございます。私、どういう場面でそういうお話があったか存じませんけれども、従来の
経緯
から考えますと、
企業
が生きてまいりまして
工場
が動いている、製品を出している、こういう段階においては値打ちがございましても、先ほどお話がございましたように、かりに
工場
がストップいたしましてその
工場
をスクラップにして売るということになれば価値がなくなってしまう。それからかりに
土地
とか建物のようなものにいたしましても、
企業
が非常に弱い
立場
になりまして店じまいをしてしまう、この際倒産をしてこれを売るというふうなことになりますれば、足元を見すかされてたたかれるんだと、こういう意味でたぶんおっしゃったんだろうと思うわけでありまして、たとえば富士、八幡というような
工場
でございましても、かりにこれが倒産いたしましてスクラップとして売るとしますならば、現在財団の抵当としてとっております価値はほとんどゼロに近いというのは事実であろうと思います。そういう意味で、われわれが
細島
にとっております
担保
も、
企業
として
工場
として動いておる
状態
を前提にして考えなければ、なかなか従来お話しになっておりますような二十億というような価値はなかなかとれないんじゃないか。そういう意味におきまして、私は必ずしもぜひこの
企業
を生かさなくちゃいかぬとまで申すわけではございませんが、
債権
を
確保
する意味において、つまり
債権
確保
が先であって、
企業
のつまり再び建てるのかどうかは別だというお話は、
債権
確保
という
立場
からも再び建てるという問題が非常に重要な問題になるという意味においてひとつ御理解いただきたいと思います。つまり、つぶしてしまって捨て値で売ってしまえば
債権
確保
になるのであって、これを生かしておく意味はないんだというように言われますと、われわれの
債権
確保
の問題にも支障が生ずる問題でございます。 で、仰せのように、
菅社長
がいろいろ従来あまりよくないことをしたという意味がもしございますれば、これは私は断然糾弾すべき問題だと思います。しかし、
菅社長
がやって、いま退任いたしました現在におきまして、残されたものは、その従業員であり、それから
細島
においてまっとうに
砂糖
を製造しておる、どちらかといえばいまの新営
工場
でございます。そういうものをスクラップ化するのがいいのかどうかというような問題は、かりに何十億も赤字を負っているグループが一体再建ができるかどうかという問題に関しましては、最近問題になりましたたとえば山一証券の場易合におきましても、あるいは山陽特殊鋼の場合におきましても、あるいは大王製紙というような問題におきましても、あるいは現在動いております日東化学というような問題におきましても、関係の
金融機関
なり
関係者
がいろいろ知恵をしぼりまして、どうしたら一番いいのかというようなことをおやりになっておるわけでございます。そういう意味で、菅氏のいままでやったことについていろいろ御非難があり、けしからぬというお話があるといたしましても、将来この
企業
をどうするかという問題については、それぞれ別の
立場
において、たとえばこれを第二
会社
をつくっていい
工場
だけを別にするとか、あるいは現在
砂糖
業界
におきましてグループ化が進んでおりますから、どこかのグループに入れていただいて、それはどこかのグループの援助に待つとか、そういうようないろいろの考え方はあると思います。そういう意味で、われわれも新しい社長をぜひ送り込みまして、明朗なる明るい姿においていろいろ問題を考えさしていただきたいと、そういう意味で御好意ある皆さんの御批判をお願いいたしたいと思う次第でございます。
矢山有作
184
○矢山有作君 誤解があってはいけませんから言うのですが、私は、再建の方途というのは普通ではちょっとない。だいいち、このままの
状態
ではあすの日にでもお手上げになっちまうおそれがあるわけです。一体、金の出場を考えた場合に、出どこがないわけです。ですから、そこまでおっしゃるならですね、私は再建で残された道というのは皆無だとは思わない。再建に残された道は皆無だとは思いませんから、そこで私は答弁はまだいただかないと思いますが、再建するとするならばどういうものが可能なものとして考えられますか、これは御答弁をいただいておらぬので、まあ
農林中金
のほうでお答えできるなら
農林中金
なり、
農林中金
でお答えできぬというなら、大臣御不在のようですから、経済
局長
のほうでひとつお答え願いたいと思います。
大月高
185
○
参考人
(
大月
高君) まず、この問題は、将来の
政府
のお考えにも関係いたしますし、いま
業界
においていろいろ話し合っているグループ化の問題にも関係いたすと思いますし、それから経理がいままでお話がございましたようにはなはだ明確でない面もございますので、
責任
ある社長に入ってもらいまして腰を据えてどうしたらいいかということを真剣に分析してやっていただくのが第一だと思います。
山崎斉
186
○
委員長
(
山崎斉
君)
本件
については、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十六分散会 —
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