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1966-10-25 第52回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月二十五日(火曜日)    午後零時五十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 堀本 宜実君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 川村 清一君                 中村 波男君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  松野 頼三君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        大蔵大臣官房財        務調査官     青山  俊君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        食糧庁業務第二        部長       荒勝  巖君    参考人        日本開発銀行副        総裁       石原 周夫君        農林漁業金融公        庫総裁      大沢  融君        農林中央金庫理        事長       楠見 義男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件)  (宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に  関する件)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産政策に関する調査のうち、宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に関する調査のため、日本開発銀行総裁石原周夫君、農林漁業金融公庫総裁大沢融君及び農林中央金庫理事長楠見義男君を本日参考人として出席を求めることにたたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、九州及び北海道地方委員を派遣し、農林水産業の実情について調査いたしましたが、本件の調査報告については、文書による報告を本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農林水産政策に関する調査として、農林水産基本政策に関する件及び宮崎細島甘味コンビナートに対する融資に関する件を一括して議題といたします。  松野農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。松野農林大臣
  7. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 農林大臣就任以来、委員各位にごあいさつ申し上げる機会に恵まれず二カ月余を経過いたしましたが、農業をめぐる内外の諸情勢がまことに容易ならざるときその職責のきわめて重大なることを痛感いたしている次第でございます。かかる時期に、農林行政のある部面及び私の日加閣僚会議への出席に関連して種々話題となっておりますことは、ひとえに私の配慮の至らなさによるものでありまして、まことに遺憾に存じております。この際職務の重大さをあらためて強く認識し、決意を新たに農政を推進してまいる所存であります。当委員会の御審議に際しましても、委員各位の御協力を得ましてこの重責を果たしてまいりたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げますとともに、本日この機会をかりまして、農政基本的方向について私の所信の一端を申し述べたいと存じます。  最近の農業動向を見ますと、農業生産選択的拡大が進展いたしますとともに、農業労働力の流出に対処して機械化等による労働生産性向上ヘの努力が進められ、さらには、農業に専念し、生産性の高い農業を営みつつ、農業によって他産業従業者とほぼ同程度の所得をあげている農家が徐々に形成されつつある等、農業の発展が力強く続けられていることが見られるのであります。  しかしながら、同時に、農産物需給並びに価格の面において、また、農業構造の面においても、解決を要する幾つかの重要な問題を生じつつあるのであります。このような情勢のもとで、農業生産性向上をはかりつつ、需要に即応した農業生産増大を確保し、農業従事者所得向上させるという農政の課題にこたえるためには、生産構造価格に関する各般の施策を総合的に強く推進する必要があると考えるのでありますが、この場合特に内外食料需給動向から見て、主要農産物について長期的観点に立ってその生産を振興すること、生鮮食料品価格の安定のため生産体制整備と流通の改善合理化を行なうこと、また、農業構造改善を進めるとともに、優秀な農業経営担当者の養成と農村の社会、生活環境整備を行なうこと等に留意してまいる考えであります。  また、林業及び水産業につきましても、生産性向上と総生産増大をはかるとともに、従事者に対して福祉の向上をはかるため、積極的に諸施策を推進してまいる所存であります。  このような観点から、昭和四十二年度予算編成にあたりましても、所要の経費を重点的に確保してまいる所存であります。  なお、本年の米の作柄概況について申し上げますと、水稲は北海道冷害のため不良であるほかは全国的に良好であり、中でも西日本においてはきわめて良好であります。また、陸稲は干ばつのためやや不良であります。今後の気象が順調に推移すれば水陸稲合計収穫量は千三百万トン程度期待し得る状況であります。  こうして中で、不幸にして北海道における三年連続の冷害をはじめ諸災害に見舞われた地域に対しましては、政府といたしましても、被害農家の再生産を確保し、経営の維持安定をはかるために、強力に各種の対策を講じてまいる所存であります。  最後に、本委員会及び委員各位の御支援、御協力をお願い申し上げて、私のあいさつといたします。
  8. 山崎斉

    委員長山崎斉君) それでは、質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  9. 矢山有作

    矢山有作君 いま農林大臣所信表明を聞いたのですが、私どもが考えてみましても、農業はいま破滅寸前にあるといっても私は過言ではないと思いますが、そういう重大な時期においてこの農業問題の解決大臣が真剣に取り組まなければならぬということは、これは私が申し上げるまでもなしに当然のことだろうと思います。そういう点から判断するときに、松野農林大臣就任以来のいろいろな言動を見ておりますというと、私どもはあなたがこの農業危機を打開するために真剣に取り組んでおるというふうには考えることが遺憾ながらできません。そこで、私はこれからあなたの政治姿勢の問題について質疑をしていきたいわけですが、しかし、あなたの政治姿勢を正すためには、これまですでに衆参の両委員会で取り上げられて問題になっておる点がたくさんあります。したがって、それらを一応解明していかんというと、あなたの政治責任を追及するということにはならぬし、また、あなたにほんとうに反省してもらうということにもならぬだろうと思う。そういう観点から私は一、二の問題を取り上げてまいりたいと思います。しかし、時間の制約がありますので、多少順序は狂ってまいりますが、ひとつ適切なあなたなりまた関係者からの答弁がいただきたいわけです。  そこで、私はまず第一にお伺いしたいのは、参議院の決算委員会で非常に問題にされました共和製糖に対する融資の問題です。この点に関して、まず第一に、きょう参考人農林漁業金融公庫総裁がお見えになっているはずですから、その方に一応御質問を申し上げたいと思うのですが、お見えになっておりますか。
  10. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  11. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  暫時休憩します。    午後一時六分休憩      ——————————    午後一時三十九分開会
  12. 山崎斉

    委員長山崎斉君)農林水産委員会を再会いたします。  先ほどに引き総き御発言を願います。矢山君。
  13. 矢山有作

    矢山有作君 本日、参考人の方にはお忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございます。先ほど質問をやりかけたんですが、お顔が見えなかったので、すぐ途中でやめております。前段のほうは抜きにいたしまして、単刀直入に質疑に入らしていただきます。私も簡単に御質問申し上げますので、要点を簡単にひとつお答えいただきまして、審議を促進していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、第一は、公庫総裁にお伺いするのですが、十月十七日の衆議院の決算委員会総裁共和への融資不正流用されたということを認めて、共和に対しては繰り上げ償還を命じたと、こういうことが言われておりますけれでも、その繰り上げ償還は正式に御決定になったのでしょうかどうでしょうか、その点をまずお答えいただきたいわけであります。
  14. 大沢融

    参考人大沢融君) 正式でございます。
  15. 矢山有作

    矢山有作君 では、正式に繰り上げ償還をお命じになったそうですから、その際、どういう具体的な内容で繰り上げ償還をお命じになったのか。  まず第一は、金融公庫共和に対する融資全額、これに対して繰り上げ償還を命じられたのか。それとも、例の細島工場分に対してだけ、つまり四億ですね、これだけに対してだけ認められたのかどうか。  それから償還をさせるその期限はいつになっておるのか。また、償還の方法は一時に償還させるのか、あるいは分割で償還させるのか。  それからさらに、これは電話連絡で繰り上げ償還を命じられておるわけですから、正式文書による償還命令は出されましたかどうか。その点、もし出されていないとすれば、いつお出しになるか。
  16. 大沢融

    参考人大沢融君) 正式と申し上げましたのは、先週の月曜——火曜に国会でそういうお話があったわけですが、月曜の午前に内容証明で繰り上げ償還を命ずる書類を発送しております。別に電話連絡をいたし、それから私のほうの職員が向こうの役員を呼んで話もしたと、こういうことでございます。  それからこれの全額償還を命じましたのは、もちろん細島といいますか、あそこの工場に貸し付けを決定いたしました六億、払い出しは四億、それでございます。  それから償還を今月中に払えということにしております。  それからどういうふうに払うかということにつきましては、いま会社側いろいろ話をしております。峻厳な態度で、しかし慎重に処理をするという心がまえでやっております。
  17. 矢山有作

    矢山有作君 十月三十一日までに払えという御連絡なんですから、そのときに一挙に返させるんですかどうですか。
  18. 大沢融

    参考人大沢融君) 私どものほうの希望としては、一挙に全部を返してもらいたい、そのときに返さなければあと遅延利息がつくというような取り扱いでございます。
  19. 矢山有作

    矢山有作君 繰り上げ償還をお認めになったその具体的な理由ですね、それを次にお聞かせいただきたい。
  20. 大沢融

    参考人大沢融君) 私どものほうはブドウ糖工場をつくるということで貸してあるわけですが、事実いろいろ調べますと、いままでに、ブドウ糖土地整備ですとか、汚水施設ですとか、あるいは埠頭ですとか、砂糖工場との共用部門についていろいろ施設をしておったわけですが、その中で、ブドウ糖工場をつくるといって地ならしをしたり整地をしました土地につきまして、最近と申しますか、八月ごろから、精糖工場をつくるということで、精糖工場の準備をしておるという事実を確認いたしましたので、これは、私どもが金を貸すときの契約の条項に、資金流用があるというような場合には繰り上げ償還を命ずるというようになっておりますので、そういう事実をとらまえてやったと、こういうことでございます。
  21. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、いまの御答弁はですね、要するにつづめて言うと、不正流用があったと、したがって返還を認めたと、こういうことになるわけですか。
  22. 大沢融

    参考人大沢融君) 不正とか不正でないとかいうのはどういう基準で申されるのかわかりませんが、私ども取り扱いとしては、資金流用があったということで償還を命じておるわけであります。
  23. 矢山有作

    矢山有作君 私の言ったことばが適切でなかったかもしれませんが、要するに、用途外流用だということで償還を認めたわけですね。そのほかに償還理由は何もなかったわけですか。
  24. 大沢融

    参考人大沢融君) そのほかにも一つございますが、それは、金を借りる過程で必ずしも実際と合っていないことの報告をしておったという事由が一つございます。
  25. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、いまの御答弁によると、用途外使用のほかに、実際の報告と合っていない部面があったということが繰り上げ償還一つ理由になっているようです。そうすると、九月の初め、さらに九月の終わりから十月の初めにかけて、決算委員会でいろいろ論議されました。特に貸し出しを受ける場合に提出した書類偽造であるのかどうかというようなことが論議の対象になったわけですが、それについては、あなたのほうでは、そういう提出された文書偽造があったということをはっきり認められたわけですね。
  26. 大沢融

    参考人大沢融君) 偽造とか偽造でないとかということと関係はございません。具体的な数字を聞いた場合に、その数字が、あとから調べましたものとほんとうは合っていない。前に言ったほうがほんとうでなかったというような事実はあったわけでございます。
  27. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、実際と合ってないというのは、事実が、支出をした金額とそれから工事に実際に要ったものとそうした事実が合ってないということだけであって、あなたのところへあるいろいろな証憑書類等、おそらく調査の場合には照合されたと思うのですが、そういう点については間違いがなかった、両者のそういったあなたのところへ提出された資料とそれから共和のところへある原簿、そういったものは全部正しかったということなんですか。
  28. 大沢融

    参考人大沢融君) 領収証は私どものほうはとっていないわけですが、請負契約書をとっておりますが、それが本物本物でないかということは私どものところではまだはっきりいたしておりません。
  29. 矢山有作

    矢山有作君 じゃ、その点はあとでお伺いします。  その現地調査をやられたわけですが、現地調査をやられた結果というものはもうすでにわかっておるはずなんです。それを詳しくここでお述べをいただきたい。
  30. 大沢融

    参考人大沢融君) このたびの調査は、もちろん私ども独自でもやらなきゃいかぬわけですが、今回は、政府が中心になりまして、開銀と私のほうとそれから中金、それぞれに別個に調査をやらせて、それをおとりまとめになっていろいろさらに政府自体も御調査なさるということで、政府のほうへいま報告をしているところでございます。したがいまして、それが三機関のものが全部集まって、政府でも御調整になってほんとうにそれでいいのかどうかというふうなことがあってからでないと、私のほうの口からは内容について申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたい、こう思います。
  31. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、調査をした結果が、あれだけ問題になったものについて、一応のあなたのほうの立場としてここで説明できないということはないでしょう。これは従前から問題になっておることについてこうして農林水産委員会であなたにお聞きしているわけですからね。あなたのほうの調査の実態というものは言えると思います。私は開銀中金のをあなたに聞いているわけじゃないので、あなたのところが独自に調査をやられたのなら、その結果がどうであったかということは、従来非常に問題になった経緯からして、現在の段階において明らかにされたほうがいいのじゃないかと思いますが、どうして言えないのですか。
  32. 大沢融

    参考人大沢融君) 先ほどから申し上げましたように、調査をして、砂糖にといいますか、ブドウ糖資金がほかに流用されておった、この事実が調査過程でわかった次第でございます。したがいまして、調査が完結するまでもなく私のほうが処置すべきものを処置したわけですが、その事実一つ調査過程で明らかになったことでありまして、ほかの個々のこまかい数字のことはどうであったかというふうなことは、これは三機関のやつをよくごらんになって、最終的に誤りがないかどうかということをきめた結果で、発表する必要があれば発表するということになろうと思います。その調整が済んでからでないと、私の口からはちょっと申し上げかねる、こういうことでございます。御了承願います。
  33. 矢山有作

    矢山有作君 私は、そういうふうにあなたのほうが独自に調査したのだから、私は何も調整したものを出してくれと言っているのじゃないんですよ。あなた方が調整したものを出しなさいと言っていない。現実にあなたのところで、どういうことにしろ、用途外流用があったということを認めておる。そのほかに、事実に合致しないことがあったということを認めているのですから、そうすると、その範囲においては、決算委員会で指摘されたことがそのとおりであったということになるわけです。そうすると、それに対してあなたのほうで調査されたら、あなたの立場として、現在、調査報告に出ておるものをここで言うのは当然の義務じゃないですか。それを言わずに隠しておく、そして三者で協議しなければならぬ、そのことのほうがおかしいんですよ。
  34. 大沢融

    参考人大沢融君) 私ちょっとよけいなことを申し上げたかと思うのですが、私ども調査はこれは政府報告して、政府でお取り扱いを考えておられますので、その結果を待ってからひとつ言わしていただきたい。しかし、その一部の、砂糖資金流用という事実だけはここで申しておるわけですが、その他の点についてはひとつ政府のほうのお取り扱いにまかさしていただきたい、こう思います。
  35. 矢山有作

    矢山有作君 私は、その報告ができないということは了承できないのです。じゃ、たとえば聞きますが、砂糖部門流用があったというのは、一、二の例をあげていただきたいのです。どういうものがどういうふうに流用されておったんですか。それくらいは言えるでしょう。
  36. 大沢融

    参考人大沢融君) それは先ほど私が申し上げたつもりでおったのですが、現在建っております砂糖工場の隣にブドウ糖をつくるという敷地があるわけです。その敷地にいろいろくい打ちをいたしましたりなどして、砂糖工場を建てるという工事が進んでおるわけです。そういう事実であります。
  37. 矢山有作

    矢山有作君 私はこの間決算委員会会議録をずっと調べておったんですが、そうすると、そういうような用途外流用があったということは、いまの段階でわかったことじゃないんじゃないですか。もうずっと前にその事実が出ておったんじゃありませんか。
  38. 大沢融

    参考人大沢融君) さようなことはございません。
  39. 矢山有作

    矢山有作君 さようなことはないことはないんですね。十月一日の決算委員会の中で、会議録がありますが、四十年の八月十三日の段階機械の部分について流用があったということをはっきり共和のほうから言っておるという事実が出ておりますよ。これは間違いなんですか。
  40. 大沢融

    参考人大沢融君) そのときも私お話し申し上げたのですが、ブドウ糖機械として準備されたものが砂糖に回ったということは、これは事実なんです。しかし、その当時の調査によれば、数字はちょっとわかりませんが、四億貸したわけですが、その砂糖のほうに転用された結晶かんその他の価格を差し引きましても、ブドウ糖費用等に四億以上のものが出ているという判断で、全体としてはこちらから貸した資金流用がなかったという判断償還を命ずるというようなことをしなかった、こういうことでございます。
  41. 矢山有作

    矢山有作君 ブドウ糖機械は全然共和は発注しておりませんよ、ブドウ糖機械は。これは私ども調査したわけです。それで、そのとき、あなたは、結晶かんとか遠心分離機等流用されておるということでおっしゃたのは、二億一千万ないし二億二千万と、こういう数字まであげておっしゃっているわけですよ。そうしますとね、いろいろ言いわけはありましょうけれども、このときにすでに用途外流用があったという事実はわかっているわけでしょう。それもわからないといって逃げるのですか。
  42. 大沢融

    参考人大沢融君) その当時の話として申し上げますが、私どものほうの金の貸し方としては、たとえば結晶かんが二億かかるから二億貸す、それから埠頭工事が一億かかるから一億貸すというようなことじゃございませんで、工事全体をつかんで幾らかかる、そのうちどれだけの実支払いをしたかということをつかんで、四億以上のものが使われるという判断のもとに四億出しているわけです。したがいまして、その内容で初めの使い方としては結晶かんブドウ糖に使おうとしておったのを途中から砂糖に回しましても、実支払いが四億以上あるということになれば、ただいま言うような資金流用ということで償還を命ずるということにはならない、そういう判断でそのときの処置がなされているわけです。
  43. 矢山有作

    矢山有作君 それは、あなた、詭弁ですよ。なぜかというと、こういう現実に疑いがあって——会議録を読んでみましょうか。こう言っているんですよ。これは二宮君の質問です。いいですね。「公庫のほうから相手先に対してどういうふうに金が支払われたのか、融資がどういうふうに支払われたのかということを公庫のほうで会社に追及したところが、そして、特にその中で機械代金決済について問い詰めていったところが、会社側からまことに申しわけないが、当時精糖部門を早急に完成しなければならなかったので、ブドウ糖関係遠心分離機あるいは結晶かん精糖部門流用した、結果的には精糖機械のほうに支払い代金を充ててしまった、こういうふうな回答が公庫にあったはずでございますが、その点はいかがですか。」ということに対して、あなたは、「そのとおりでございます。」と、こう言っているわけです。そうすると、私は貸し出し方の問題を言っているのじゃないんです。こういう用途外流用があったという事実はあなたはそのときに認められたのでしょうと、こう言っているんです。
  44. 大沢融

    参考人大沢融君) 用途がえをしたという事実は公庫がそれで認めたわけですが、それが直接四億返せとか全部返せとかいうことにつながらなかったということを、あとの問答でもあったと思いますが、そういうことを先ほどから申し上げているわけです。
  45. 矢山有作

    矢山有作君 あなた、先走っちゃいけない。私は四億返すとか返さんということに議論を持っていっているのじゃない。用途外流用というものはこのときにすでに認められたのでしょうと言っているんです。  それからなお、こういう事実があったというなら、機械関係が焦点に出たのだから、機械について、実際にブドウ糖機械を発注しているのかどうか、砂糖機械が発注されてブドウ糖機械が全部発注されてなかったのじゃないか、こういう点についてなぜあなたは調べなかったのですか。
  46. 大沢融

    参考人大沢融君) いまのお話は、何といいますか、機械は当初ブドウ糖用としてつくられたものが砂糖に転用された、これは事実です。流用と言ってもいいと思いますが、しかしながら、こちらから出した資金全部をながめてみると、それはブドウ糖に出した資金砂糖に転用されたということにはならない、こういうことでございます。
  47. 矢山有作

    矢山有作君 ところで、私が先ほど来言っているように、ブドウ糖の製造機械というのはやってないんですよ。だから、私の言うのは、こういうふうにこの時点で、そういう流用がなされておった、用途外使用をなされておったという事実がわかったならば、なぜあなたは、この機械が、はたしてブドウ糖機械がなんぼで、どこにいつ注文されて、そうしていつ納入されたのかということまで調べなかったのか。それを調べないで、ワクの中だからこれでいいと思いましたというのは、債権管理という立場から、また、貸し出しをやっているあなたの立場から、非常に手落ちじゃないかということを言っているんです、私は。
  48. 大沢融

    参考人大沢融君) 私は、先ほど申し上げたような意味で公庫に債権保全上の手落ちはなかった、こう思いますけれども、いまのブドウ糖機械は、当初金を払い出しますときには、ある会社ですが、そこの工場へ行って公庫が直接現場を確認したという事実は当時ございます。
  49. 矢山有作

    矢山有作君 事実を確認しておって、ブドウ糖機械があったのですか。なかったのでしょう。
  50. 大沢融

    参考人大沢融君) ブドウ糖機械を確認したわけです。
  51. 矢山有作

    矢山有作君 幾らで確認されたのですか、そのとき。
  52. 大沢融

    参考人大沢融君) 二億八千でございます。
  53. 矢山有作

    矢山有作君 ところが、私はその会社の名前は出しませんが、あなたの言っておられる会社のほうにきのう照会したんです。ブドウ糖機械は全然ありませんよ、ブドウ糖機械は。そうすると、あなた、確認したというのは、一体どういう確認のしかたをしたのですか。担当官が行ってごまかされて帰ったか、あるいは確認してないか、どちらかということになる。
  54. 大沢融

    参考人大沢融君) その辺のことは、私どもの聞いておりますことでは、現場を工場ブドウ糖機械ということで確認をしたということでございます。
  55. 矢山有作

    矢山有作君 そのときの実情は、調査に行って、砂糖機械をこれはブドウ糖機械でございますといってごまかされたのだと私は聞いております。したがって、そういうふうに、たとえば流用の問題についてブドウ糖機械一つを取り上げてみても、非常にずさんな貸し出しをやっているのじゃないか、こういうことを私は言っているわけです。それじゃ農林漁業金融公庫政府資金を扱っておるという大きな責任を果たせますまいと、こういうことを言っているので、あなたもこの点は率直に認められなければいかぬのじゃないか。流用が四十年八月に起こっている。そのときの処置が悪かった。処置が悪いから、こちらの弱みを、弱みというか、抜けたところを最高度に利用されて共和のほうではしたいほうだいのことをしたのだということになるでしょう。そうなりませんか。
  56. 大沢融

    参考人大沢融君) 私どもは、この事件の過程で、現在、先ほど申し上げたように、いろいろの調査をしております。それで、公庫の仕事のやり方、あるいはルール、そういう点については反省すべきことは幾つか出てくると思います。そういう反省に基づいて仕事のやり方をこれからは変えていかなければならないという面もあるいはあろうかと思いますが、災いを転じて福とするというような気持ちでやっていきたいと、(笑声)こう思っております。
  57. 中村波男

    ○中村波男君 関連して。いま、矢山委員質問、それに対する大沢さんの答弁を聞いておりまして、ブドウ糖機械だと確認をした。矢山さんは、実際ブドウ糖機械はそれは砂糖をつくる機械であってごまかされたのだと。こういうことになりますと、まず明らかにしなければならぬのは、確認をされたのが全くブドウ糖機械であったかどうかということです。ブドウ糖機械であったものを買うと称して買わなかったということになると、これは債権者としても全く詐欺でありペテンでありごまかしであるということになりますから、どなたが調査に行かれて現場として確認をされたのか。その確認のしかたが、全くこちらが機械の知識等がなくて、砂糖機械ブドウ糖機械だといってごまかされて帰ってきたのかどうか。この点は、ただ、確認に行きました、間違いありませんというだけではほうっておくことのできない重大な問題だと思いますし、そういうずさんな調査等がもとになって金が貸し出されるということになるならば、私は今後重大な問題がまだまだ起きてくるんじゃないかということを思うわけです。  第二点は、いわゆる用途外の流用があったということをはっきり認めておられますが、そこで、一番問題は、全体の資金量としてブドウ糖施設に使った金が公庫の貸した金よりも少なくないんだから、決して間違いはないんだという答弁でありますが、ブドウ糖をつくるということが目的で金が貸し出されておるのだと思うのです。したがって、そのブドウ糖をつくりますためには、機械だけではできぬでしょう。しかし、機械だけではできませんけれども機械がなくて何ができますか。そういうことになれば、明らかな使用の変更であり、ごまかしであり、詐欺であることになると思うのです。そういうことは、いま矢山委員が指摘されたように全く詭弁であって、目的があって金が出されたのではないことになる。  その二点を明らかにしてもらいたい。
  58. 大沢融

    参考人大沢融君) 最初の質問は、矢山委員にお答え申し上げましたように、全体としていろいろ反省して今後の公庫の仕事のやり方の上に反映をさしていきたいということの一点だと思います。  第二番目の流用の問題は、これは機械そのものの流用といいますか転用ということと、こちらから貸し出し資金流用ということとは、これは区別して考えていいことだと思うのです。その当時、事実、機械が、結晶かん——これはブトウ糖にも砂糖にも使える機械でございますけれどもブドウ糖用としてつくっておったものが砂糖用になる、しかしその機械を差し引いてもブドウ糖のために使った資金がこちらから貸し出し資金の四億以上になるということであるならば、その段階において資金流用ということは考えられないということです。機械がなくてどうしてと、こうおっしゃいますが、ブドウ糖工場をつくる土地整備ですとか、あるいは埠頭ですとか、汚水施設ですとか、発電機ですとかいうような、付帯といいますか、いろいろな仕事があるわけです。そういったようなものをひっくるめて当時の調査では四億以上のものが出ておると、こういうことで、その段階資金流用があったということで金を全部返せというような措置をとる必要はないというような判断であったわけでございます。
  59. 中村波男

    ○中村波男君 まあ関連ですからくどく質問いたしませんけれども、はなはだ遺憾であった、今後の運用に反省をしなければならぬということだけでこの点を済ましていただきたくないと思うのです。したがって、少なくともあなたのほうで責任のある者が調査に行ってこれはブドウ糖機械であるということを確認したということであるならば、結局、会社がそれをごまかした、こういうことになりますし、確認をした人が全く砂糖機械ブドウ糖機械だと確認をして来たということであるならば、調査が不十分であったということになると思う。公庫の責任においても、会社の実態においても、この点はきょうここではっきりと御回答をいただくわけにはまいらぬと思いますが、もう一度調査をされまして、どちらがごまかしたのか、どちらがだまされたのか、この点を明らかにしていただきたいということを申し上げて、関連質問を終わります。
  60. 森中守義

    ○森中守義君 関連。総裁、ちょっとお尋ねしておきますが、共和製糖のほうからまあいわば出された金額の要求は三億五千六百万、こうなっておりますね。これに対して、大体幾らぐらい評価したんですか。それが一つ。  それから現地で機械を確認したと。しかしながら、いまの答弁ではそれがやはりはっきりしない。それで、確認をしに行った記録、そういうものが正確にあれば出していただきたい。
  61. 大沢融

    参考人大沢融君) 第一点の三億五千万とおっしゃいますのは、ちょっと私……。
  62. 森中守義

    ○森中守義君 いや、共和製糖が出してきたのがね。
  63. 大沢融

    参考人大沢融君) 共和製糖が金を出してくれといって出してきたときは、全体の事業費としては、ブドウ糖だけを言いますならば十四億近いものだったと思いますが、それに対して、先般来申し上げているように、五億貸し付けを決定して、現実に四億金を出すと、こういうことでございます。
  64. 森中守義

    ○森中守義君 そうじゃないんです。あのね、こういう意味ですよ。総額はいま言われるとおり、その中で、ブドウ糖機械の部分として三億五千六百万と共和製糖のほうが出し、それを公庫総裁のほうでは幾らに評価をしたか、その金額。  それと、機械を確認に行ったというが、はたして確認が記録に残っているかどうか。ただ工場に行ってそり機械に間違いない、こういう確認であったのか。およそ公庫の仕事としては当然記録が残っていると私は思う。そういう内容があれば明らかにしていただきたい。
  65. 大沢融

    参考人大沢融君) おっしゃるような数字、ちょっと符合するものがないのでございますが、私のほうで機械、ボイラーというようなもの——ボイラーも含めまして貸し出しの実行をいたしますときの数字としては二億八千六百万というものがございます。それから当時の確認は、現実に幾ら一体会社は金を払っているだろうかというようなことについて帳簿なり証憑書を出かけて行って見るわけです。その際に、こういう工場機械を発注して幾ら払ったというようなことがございましたら、その工場へ行ってみればブドウ糖機械があるかどうかという、そういう意味の確認をしたわけです。これは記録に残っているかどうかということは、本人の報告としては残っておるんじゃないかと、こう思いますが、記録というのはどういう意味でおっしゃいますか。そういうところへ行ってやったという実支払いが幾らあるかというときの調査として、そういうところに行って確認してきたということは残っているんだろうと、こう思います。
  66. 矢山有作

    矢山有作君 次にお伺いしますが、私は機械の発注先で念のためにと思ってさらにきのう調べたんです。そうすると、共和から機械の発注を受けているのは、最初に三百トンの精製装置を受けた。これが三億五千万です。それからそのときに同時に製品計量包装機というものを発注を受けた。これが六千二百五十万円。合わせて四億一千二百五十万の発注を受けているわけです。会社側でこれが確認できるんですよ、私でも。それが去年の十月の段階機械流用が問題になったときに貸し付けをやっておる。あなたのほうからその機械会社へおそらく調べに行ったんだろうと思う。確認に行ったんだろうと思う。それが調べられなかったんです。それが私はおかしいと言う。われわれが調べても、砂糖機械としてこれこれの発注を受けましたとはっきり言うのに、あなた方が調べに行ったときにそれを言わないで、ブドウ糖機械がありました、それは四億ぐらいだと、だから二億そこら出ているのはいいんだというようなことは、これはもう大きなあなたのほうの確認の手違い、手落ちです。  それからもう一つ、いま何か資金流用にはならぬ——機械流用にはなるけれども資金流用にはならぬというようなことをおっしゃいましたけれども、これはあなた方特有の詭弁であって、こんな詭弁は通りません。流用流用です。流用があった段階で、それがわかったんなら事は機械だけじゃありませんよ、なぜ全般について精密な調査をやらなかったか。少なくとも政府資金をもって運用するあなたのほうでは、一つでも大きな疑問点が出たら、全体に対しての調査をやって、貸し出しに対して誤りのないように、さらに貸し出しあとの債権保全に誤りがないようにと考えるのは当然の責任でしょう。それを全部認めて悪かったと言うのなら、それはいい。今後改めると言うならそれでいい。しかし、何だかんだとつまらぬことを言い出して言い抜けをする。そういう姿勢でもって今後あなたが災いを転じて福となすということばをわれわれは信ずるわけにいきません。全面的にあなたが間違っていましたと言うなら、あなたの言う災いを転じて福となすという反省をするということを私たちは信じましょう。
  67. 大沢融

    参考人大沢融君) 機械の確認の話は、これは三十九年の金を払い出すときの話でございます。その機械が転用されたというときは工場へ行って機械を見るというようなことはしてないはずです。  それから先ほど来申し上げたことを私繰り返すのもなんだと思いますが、当時のいろいろの材料でそういう判断をしたということについては、私は公庫としては間違いがなかったということを申し上げたいと思っております。
  68. 矢山有作

    矢山有作君 これはあなたは間違いがなかったと言うし、私どものほうは、いまあなたと私とのやりとりをした中で私は判断しても、あなたのほうには大きな手落ちがある。これは何とあなたが弁解をされても、皆さんはそういうふうな印象をお受けになる。手落ちであるということをあなたは認めて今後反省してもらわなきゃ困る。それをくだらぬ言いわけをするという態度はやめてもらいたい。そういう態度が抜けぬから融資先からなめられてだまされ続けるというようなことになっちまう。その態度は私は厳重にあなたに反省を求めます。  次に、質問に移りますが、松野農林大臣、いま総裁の話によると、調査結果が出た、しかしながら三行でそれぞれ調査をしておるので、それをまとめて一応検討してからでなければ出せぬとおっしゃるのですが、あなたの考え方はどうですか。やはりいままでそれぞれ別に問題になったのだから、公庫公庫中金中金開銀開銀、別に問題にされてきた。そうするならば、調査が完了した以上は、その実態を明らかにする責任があるんじゃないですか。あなたは監督者の立場ですからね。私はそう思う。なお、どうしてもできぬというなら、その理由はどこにあるのか、あなたの立場から一応教えていただきたい。
  69. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) まだ詳細な報告というものは正式に受け取っておりません。しかし、事柄が事柄ですから、順次、公庫総裁中金の理事長から口頭で承っておりますが、文書として私の手元に提出はいまだいたされておりません。しかし、このものが事柄が事柄ですから、正確にするために私は最善の努力をするつもりでおります。ただ、中間的に、公庫公庫中金中金と個々にやることがはたしていいか、また、可能かどうかということは、この調査の進展を見ないとわかりません。というのは、ものごとが大体同一グループに融資されております関係上、公庫のものと別個なものでなしに、ただいま質疑をお聞きのように、流用とかいうことになりますと、個々だけの調査では不正確になるのじゃなかろうかと思うのであります。したがって、正確にするために別個にすることが可能な場合と不可能な場合と私はあると思うのであります。ただいま矢山委員の御質疑の中にも、流用ということが両方の側から説明がありました。公庫だけのものを調査しても、その流用の先の調査が並行して進まないと、かえってそれは片ちんばな調査になる場合もあります。したがって、この場合は、私も監督として最善の努力をしますが、ただ、しかし、個々にやれということが正確を期するかどうか、これは今後の調査の進展を見ていただきたいと私は思うのです。
  70. 矢山有作

    矢山有作君 正確を期するためにはそういう必要もあるでしょう。しかし、質疑を進めていって質疑の焦点を明らかにするためには、いま口頭で報告があったとおっしゃったから、口頭で報告があった限りのことをここで発表してもらいたい。そうせぬと、これは国会の審議の場ですから、審議の場では発表できない、われわれは口頭報告だけは承って、なお今後正確を期するために調整するのだというのじゃ、いささか国会の権威を失墜する。これは国会の審議の正確を期さなければなりません。審議の正確を期するためには、私はここで口頭でよろしいから報告を受けておるその内容を発表していただいて、そうして審議の正確と促進を期していただきたい、こう思うのです。
  71. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 先般報告を受けましたのは、焦点として繰り上げ償還をするという前の報告です。それは公庫において中間的な調査をして、まだ中間報告はまとまっていないが、しかし繰り上げ償還をすることだけはこの際やるべきであるという意向の説明がありました。その理由としては、申請において疑問がある、第二番目にはその用途について疑問がある、この二点については明らかであるので、その全貌は今後明らかにするとして、現段階でやるべきことは直ちに措置していきたい。そのために、繰り上げ償還を、先週の月曜日であったと私は記憶します。私は報告を受けたのが十四日の土曜日であったと記憶しております。その報告を受けましたときは、そういう報告を受けました。その内容について、私は文書とか現物は見ません。公庫大沢総裁が、明らかにこれだけはこの二つの理由で繰り上げ償還をとにかくいたします。これがその全貌であります。なお、中金からも時々刻々報告を受けております。そういう事柄が、まあ申せばすべてであります。したがって、私の意向に沿って公庫中金もこの問題の調査をただいまやっておりますので、内容は私も文書で見ておりませんが、そういう報告を受けました。その結果、ただいまの質疑の繰り上げ償還というものになった。その事前に私は報告を受けました。
  72. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、繰り上げ償還をやらした理由について、以上述べられた二つの理由と言われただけで、内容については一切の報告がありませんということですね。
  73. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) それ以上は大沢総裁から報告は受けておりません。その内容については後刻正確な調査をして報告するということで、具体的の内容はございません。その二点について報告を受けました。
  74. 矢山有作

    矢山有作君 念のためですが、三行で調査された結果の報告政府にいつ提出されますか。そして、政府のほうではいつそれをこちらに明らかにしていただけますか。
  75. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 近いうちに公庫からの報告があるそうです、数日中に。その結果、私のほうも早急に調査をしまして、十一月上旬ぐらいには農林省の監督調査を私たちはある程度進められると思います。
  76. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、この問題はそれでおいて、ひとつお伺いしたいんですが、こちらから具体的にお伺いします、あなたのほうじゃなかなかお答えになりにくいようですから。  まず、公庫資金の払い出しをやる時点において、ブドウ糖工事分として、三十九年八月二十七日に、支払い済み額が八億六千六百余万円、それから実支払い額が六億五千九百余万円ということを確認しておりますね。この確認の数字の裏づけはとれましたか。とれたら、その内容を示してもらいたい。
  77. 大沢融

    参考人大沢融君) そういうことについて調査をいたしましていま報告をしようと、こういうことでございます。
  78. 矢山有作

    矢山有作君 だから、審議を進めていく都合上、この八月二十七日の裏づけをやられたというんだから、その裏づけの内容をここで示してもらいたいということです。そうせぬと、審議が進みにくいのです。
  79. 大沢融

    参考人大沢融君) そのことを現在調査をして中間報告をしようということでございますから、中間報告が済んでからにしていただきたい、こう思います。
  80. 矢山有作

    矢山有作君 私は具体的にあなたのほうから出てきた資料の裏づけを言ってもらいたいといっておるのだから、ほかの関係関係ないと思うんです。というのは、この文書はあなたが開銀なり中金と相談されてつくられた文書とは違うんだから、この裏づけをあなたのほうで調査したものを言ってくれというのですから、ほかとは関係ないですから、言ってくれませんか。
  81. 大沢融

    参考人大沢融君) その当時の調査でございまして、当時の帳簿、証憑書、先ほど申し上げたように、会社に控えを碓認に行く、手形の日にちを見るというようなことで確認したものはその数字でございます。その確認がそのとおり正しかったかどうか、あるいは間違っていたかどうかというようなことについては、現在調査をしております。調査の結果がまとまって政府報告してから先ほどから農林大臣が言われたようなことにしていただきたい、こういうことでございます。
  82. 矢山有作

    矢山有作君 のれんに腕押しで進まなくなっちゃう。委員長、聞いておってそう思いませんか。
  83. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止
  84. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を始めて。
  85. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、農中、開銀も大体今月の中ごろ時分に済んでいるはずなんですが、農中、開銀もやっぱり言えませんか、口裏を合わせて。
  86. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 農林中金のほうも、その後現地について調査をいたしておりますが、まだ役所のほうに報告を申し上げるまでには至っておりません。現在整理をいたしております。
  87. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 日本開発銀行といたしましても、目下鋭意調査を進めておりまして、いずれ政府を経まして報告いたしたいと思います。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 全くのなまくら答弁でどうにもならぬ。じゃ、ひとつ次になお具体的に聞いてみます。  公庫にお尋ねいたしますが、実地に調査したわけですね。この問題が起きてから調査をして、その調査結果を今月の中ごろ時分に一応報告を受けているんでしょう。ですから、その調査をした場合にどういう部面にわたって調査をしたのですか。調査をするのに何もなしに行ってやっているわけじゃない。どういうものをつかまえて調査をしたか。問題の焦点はわかっているんですから、それに関連のある問題を具体的につかまえて調査しているわけですから、何をつかまえて、どういう調査をやったのですか。
  89. 大沢融

    参考人大沢融君) 調査は、現地だけではございませんで、会社に当たって、資金を払い出しをしたときに実際あの当時これだけ金を使っておったというものがほんとうに正しいものかどうかとか、こちらから払い出した金が実際どういうものに使われておったのだろうか、あるいは、現場につきまして、実際の工事がどのくらい進捗して、実際どのくらいの金がかかっておるんだろうか、現在はどうなっておるんだろうかというようなことについて調査をしておるわけでございます。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 まあ書類面の調査を常識としてまず第一発にやりますね。これはやりましたね。いろいろな工事関係書類というものがあるはずですね、会社に行くと。ですから、それの調査をまずこれは第一番に常識としてやるはずなんです。それから現場についていろいろやる。この書類面の調査は全部やりましたね。
  91. 大沢融

    参考人大沢融君) そういうことについて調査をやっておるわけでございます。
  92. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、調査をやった結果、あなたのほうにも貸し出しのときにいろいろの文書が上がってきているはずですね。自分のところの文書は全然対照にしないで置いておいて、向こうに行って向こうの文書を見るだけでは調査にならぬ。自分の手元にある文書と向こうの文書と突き合わせてみてはじめて第一段階調査になるわけですから、その点はやったわけでしょう、突き合わせを。
  93. 大沢融

    参考人大沢融君) こちらにある文書と申しますと、たとえば請負契約書というようなものが当時とってあるわけです。先ほど来おっしゃったような三十九年の八月二十七日に七億何がしのものを払っているというふうな調査があるわけでございます。そういうものと実際の支払いなり何なりはどうなったかという突き合わせばもちろんやったわけでございます。
  94. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、突き合わせをやったら、そこで明らかになってくるのは、あなたのほうに領収証やレシートその他いろいろな文書があるわけですから、それと向こうの突き合わせをやったんなら、それと同じものであったか、同じものでなかったかということがわかったわけでしょう。それはどうなんです。
  95. 大沢融

    参考人大沢融君) レシートは、私のほうはとっておりません。請負契約書ほんとうのものであったか偽造のものであったかというようなことは、調査の課程ではわかっておりません。
  96. 矢山有作

    矢山有作君 私はちょっとおかしいと思うのだがな。あなたのほうで貸し付けをやるときに、これは手続上の問題になりますが、そういった裏づけの資料を何もとらずにやっておるのですか。やっぱり事業の明細書とか、あるいは資金繰り表とか、こんなものがありますね。そんなものは何もとってないでやっているのですか。これはやっぱりとっているわけでしょう。
  97. 大沢融

    参考人大沢融君) もちろん、計画ですとか、それからいまおっしゃるのは資金の払い出しのときのことをおっしゃるのだと思いますけれども、私どものほうは、請求書とかレシートをこちらに直接とるというようなことでなくて、会社に行きまして、帳面、それから請求書、それから手形の期日帳とか、そういうようなものを全部調べあげて、このぐらい払ったんだな、これだけ払ったんだなということを確認しておりますので、私のほうにその結果はございますけれども、確認した受取証その他というものは私どものほうにはないわけであります。
  98. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連。どうも、いままでの経過を聞いていると、貴族の商法の代表的な態度で融資をしておるとこれは指摘せざるを得ないと思うのです。そうじゃないというなら、反論をひとつ示してもらいたい。大体、精製糖あるいはブドウ糖工業の一つの製造過程は、共通してブドウ糖施設を精製糖に転用できる要素が全体の七割を占めておる。詳細を必要なら、図表もありますから、示してその点を明らかにしてもいいですけれども、最初からブドウ糖と精製糖はその機械設備において共通部門が七割以上占めておる。したがって、こういう一つの制度金融として臨まなければならぬ点は、かりに融資を受ける団体が善意をもってそのことに当たる場合といえども、そういうまぎらわしい——制度融資としては精製糖に対しては公庫、金庫はこれはできないわけであります。一たん請負契約をして、レシートの問題もありましょう。しかし、いまの矢山委員質問に焦点をしぼって私は非常にずさんだと指摘せざるを得ないのは、その請負契約に基づいて刻々に出来形払いをすべきものが金融の一つ支払いのルールになっておる。その出来形調書を十分検討し。いささかも転用する憂いのないような貸し出しをする資金管理をまずやらなければならぬ。いままでそれらの点を吟味もしないで、出てきた表向きの書類等に事足れりとする融資は、知能犯的な相手であればあるほどこれは厳重に資金管理をやる責任があるわけです。問題が出てからあわてふためいて行ってもあとの祭り。そういう詳細な出来形を確認し、いささかも精製糖に転用させないような、具体的に言えば、その三割の部分を占める原料の製造工場、原料の仕込み槽から粗ぶるいにかけ、さらに精密なふるいにかけ、ウェストファリア型の遠心分離機にかけ、ノズルゼットの遠心分離機にかけ、さらにアメリカン・フィルターにかける、そしてでん粉乳をつくり、糖化かんにかけ、中和槽に入れるという、そういうブドウ糖として設備をしなければならぬものが、これは最初から出ていない。そうして、精製糖部門に出来形が実態においては出ておるのに、そういう内容を何ら無視して、結果において共和製糖のような私から言えば知能犯的なものの詐欺にかかっておる。そういう責任をあなた方は何らいまの段階でも反省する色がない。まさに貴族の商法以上のものである。そういう点についての資金管理は全く無責任きわまるものであると思うのですが、どうですか。あなたが食糧庁長官時代あるいは次官時代にこれは手がけてきておる、役所の立場から。そういう問題はあなたはどう理解しているのですか。公庫立場から資金を誤りなく融資したという自信はありますか。十分その点について資金管理をしましたか。
  99. 大沢融

    参考人大沢融君) 先ほど来申し上げますように、資金の払い出しをするというような場合は、非常に慎重に、どれだけ実際金が使われているかということを調べておりますし、その後も現地につきあるいは会社について、おっしゃるような出来形がどのぐらいかというようなことも数回にわたって公庫が調べており、融資に間違いのないようにという努力は重ねておったということが言えるのじゃないかと思います。(「何を言っているんだ」「何だ」と呼ぶ者あり)
  100. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ぼくの質問にあなたかつての政府委員のような態度で一あなたはいやしくも一つの金融機関の最高責任者でしよう。私の質問をまともに答えられなかったら答えなくてもいいが、そんな質問をはぐらかすような答弁をして事足れりというようなわけにはいかぬですよ。資金が適正に支払われるということは当然ですよ。その資金内容が、最初から知能犯的な一つの意図を持てば持てるような非常にデリケートな施設、七割以上はブドウ糖といえどもこれは精製糖工場に使える、そういう危険な融資の際には、出来形が出る前から、少なくとも公庫にはかなりの職員がおるだろうから、責任者を現地に常駐させて、その施設公庫融資流用にならないかを工事過程において絶えず監視するぐらいな措置がなくて、何であなた十分な資金管理ができたと言えますか。その点を私は聞いておるのです。
  101. 大沢融

    参考人大沢融君) 工事過程におきましても、私数回現地について調査したということを申し上げたのでございますが、御承知のようにこの施設機械だけでなくて、土地整備して、くい打ちをするとか、あるいは埠頭をつくりますとか、あるいは汚水処理施設をつくりますとか、なまでん粉の貯蔵槽をつくるとか、工場の本館をつくりますとか、原料倉庫をつくりますとか、いろいろな多岐にわたる工事があるわけです。それらについてどのくらいの金がかかるのだということがございますから、それぞれについて実際どのくらいの金をかけているかということを帳簿でも調べ、さらに、先ほど申し上げましたように、何回かにわたって現場に行って、金の払い出しはこのくらいだけれども、現場の工事は何については三〇%、あるいは九〇%ぐらい進んでいるというようなことを絶えず注意しながら、金の払い出し、資金の処理ということに間違いないようにという努力を重ねておったということを申し上げたかったのでございます。
  102. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それならば、なぜ金部が精製糖にこれが設備されましたか。
  103. 大沢融

    参考人大沢融君) 私どもの確認したところでは、先ほど申し上げましたように、ことしの八月までにその資金が精製糖に使われたというようなことの事実の確認はございません。四億ぐらいのものは、ブドウ糖汚水施設ですとか、あるいは土地整備、くい打ちとかいうようなことに使われておったように思います。しかし、八月以後、ブドウ糖工場をつくるというところに別の工事をやって精製糖の工場をつくるということに踏み切っておる事実を確認しておる。それによって、先ほど来申し上げている資金流用があるということで繰り上げ償還をさした。それまでは、砂糖工事に転用されている、よそにどうなっているというようなことは、当時の調査で確認はなかったし、事実まあそうだったんじゃないか、こう私は思います。
  104. 矢山有作

    矢山有作君 総裁ね、いまのあなたの答弁はやっぱりおかしいですよ。なぜか言うたら、八月の段階流用の危険性が出ておるのだ、明らかに。出たのだから、そうすれば、その段階で厳重な調査をやらなきゃいかぬのですよ。国会で問題にされて、それからあなた最近でしょう、調査を始めたのは、本格的な。その姿勢がいかぬというのですよ。去年の八月の時点で機械流用があったかもしれぬということをあなたのほうがはっきり疑問を持ったので調べた。そうしたら、そのとき、機械だけじゃなく、なぜ全体について徹底的な調査をやらなかったか。それをやっておれば、今日この問題は起きぬ。その時点で起こっている問題ですよ。それをやらぬでおいて、国会で問題にされてからばてばてしておるという姿じゃないか。それを言っておる。それが無責任だ。そういうふうな融資のやり方は、先ほども話が出たが、貴族の商法だ。そういうようなでたらめなことはいかぬ。  松野さん、あなた、いままでの論議の中で明らかになったのだが、こういうでたらめの融資をやっているのをどう考えますか。これをこのまま見のがすのですか。責任ですよ、これは公庫総裁の。
  105. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) そういう疑いがあるというので調査を厳重に実は命じたわけであります。今日のところはまだ結論を私が申し上げるのは少し早計ですが、多少の事実も出たために、その事実に対処して次の調査を進めていく。したがって、もう少し詳細に調査が出た上で私のほうもそれに対処したいと思いますが、今日ここで私がどうだと言うにはまだ報告を受けておりません。しかし、いろいろな場面において、流用される。あるいは申請と相違しておるという事実は明確に出ましたので、その事実をとらえてすべての全貌を明らかにしていきたいというのが私の今日の立場です。どうぞ、いろいろな結論はもうしばらく報告が出てその上に結論を出していただきたいと思います。
  106. 矢山有作

    矢山有作君 あなたのほうで、ここで、全く貴族の商法的な融資をやっておった、こそは公庫総裁の責任は大きいぞということはなかなか言えぬだろうと思う。しかしながら、そのことは、いままでのやりとりの中であなたにはよくわかったはずだ。だから、処置するというなら、そういうことも含めてあなた真剣に考えなければいかぬですよ、口先だけでは。  次に、公庫総裁にお伺いしますが、先ほど聞くと、こまかい書類があなたのところにはない、ないから向こうと照合はしなかった、こういう意味の答弁のように聞いたんだがね。あなた、ここへぼくは「貸付資金交付依頼書」を持っているのですが、これの末尾のほうにこういうことが書いてある。「資金の実需を証する別紙の書類を添え貸付金・貸付受入金の払出を請求いたしますから、」云々ということになっているわけですね。この資金の実需というのは、これは何ですか。それから実需を証する書類というのは、これは何ですか。実需を証する別紙の書類を添えて出さなければならぬことになっているのですね。実需を証するというのは、何を証するのか。実需を証する書類というのは一体何ですか。これは何なんですか。
  107. 大沢融

    参考人大沢融君) 実需と申しますのは、実際の資金繰り、どのくらいの現実資金需要があるかということでございます。これは、必要な書類というのは、添付と申しますか、実際こちらが出かけていって帳簿その他を調べるということをやったわけでございます。
  108. 矢山有作

    矢山有作君 それはおかしい。資金の実需というのは、実際の何に何ぼ要るかということが資金需要でしょう。それを証する書類を添えて出さなきゃならぬということになっておる。それはとってないのですか。
  109. 大沢融

    参考人大沢融君) いま手元にございませんが、先ほど来ちょっと申し上げましたように、土地の購入代金が幾ら、その整地が幾ら、工場本館が幾ら、原料倉庫が幾ら、製品倉庫が幾ら、機械やボイラーが幾ら、専用埠頭が幾ら、汚水処理施設が幾らということ、それに対してそのときまでの実支払いも幾らというようなことを確認する。そういうことによって資金の払い出しをするということでございます。
  110. 矢山有作

    矢山有作君 それですから、あなたがいまおっしゃったような「実需を証する別紙の書類を添え貸付金・貸付受入金の払出を請求いたしますから、」云々とちゃんと書いてあるから、そうすると、実需を証する書面というものがあなたのところに行っておるのでしょう。その実需を証する書面というのはどういう書面なんですか。
  111. 大沢融

    参考人大沢融君) その書面そのものではないのですが、私のところにもいま申し上げたようなことがございますから、こういうようなものがついておったのじゃないかと、こう思います。
  112. 矢山有作

    矢山有作君 それは答弁にならぬ。そういう実需を証する書面がついておったはずだ。ついておったはずなのに、あなた、ないと言ったじゃないか。国会でうその答弁をしちゃだめですよ。もしあなたが実需を証する書面をとっていないとするならば、これは手続上の大きな違反ですよ。
  113. 大沢融

    参考人大沢融君) ついていなかったと申し上げたのじゃないと私は思いますが、いま申し上げたようなことは私の手元に数字がございますので、そういうことは事実として確認しておったということは事実であったと、こう思います、数字がございますから。
  114. 矢山有作

    矢山有作君 私は事実において確認した云々ということをあなたに聞いているのじゃないですよ。実需を証する書面が出ておったはずなんだから、それがあなたの手元にありましょうということを言っておるのですよ。
  115. 大沢融

    参考人大沢融君) 請求書、領収証等がついていたんだと思います。それはついておったものを確認してから返戻するということでございます。
  116. 矢山有作

    矢山有作君 あなたの答弁はまこに不確実である。領収証だけじゃない。実需を証する書面ということになれば、おそらくこまかい資金繰り表や、その他何に何ぼかかったといってちゃんとついているはずなんです、書類は。それを添えてなければ、実需を証明することにならない。この証明があるはずだ。それで、あなたがおっしゃったように、確認済の証印を取扱者が押して、それでもって返すわけですよ。そうすれば、あなたが調査して確認したというのなら、あなたのところにある書類と向こうにある書類を突き合わしていなきゃならぬはずなんです。それを突き合わしておらぬのなら、なぜ突き合わさないのか。あなたのところにないか、共和のほうにその書類がないか、そのどちらかということでしょう。あった書類がないということはない。
  117. 大沢融

    参考人大沢融君) 現在の調査のことをおっしゃるのだと思いますが、その当時の数字について、先ほど来申し上げますように、今回会社に出さして帳簿その他を照合しているということでございます。
  118. 矢山有作

    矢山有作君 だから、帳簿の照合はもういいですよ。私はこういう書類があなたの手元に出たんでしょうということを言っているんです。だから、出すことになっているものを出させないで、大まかな領収証だけで、実際に実需がどこにあるのかということを全然わからないで、五億受け取りましたよというたら、五億の領収証だけぽんともらって、それで、ああそうですかという金の出し方をしているんですか。そんなでたらめなことをやっていないでしょう。ちゃんと実需を証する証明がいっているはずなんです。
  119. 大沢融

    参考人大沢融君) 先ほど来申し上げますように、先ほど言ったような帳面を調べて、何に幾らかかる予定で、実際にはどれだけ払い出しておったかということを先ほど三十九年の八月二十七日とおっしゃいました、あの数字を確認をして、それに基づいて資金の払い出しをするということで、全体としていまおっしゃったようなずさんな出し方をやっているということではございません。
  120. 矢山有作

    矢山有作君 私はそれを聞いているんじゃないんです。もうしぼりましょう。実需を証する書面をとられたんでしょうね。
  121. 大沢融

    参考人大沢融君) 領収証その他でとって返戻をしているということでございます。
  122. 矢山有作

    矢山有作君 返戻をするのは領収証だけですよ、確認済の証印を押して。あなた、明細書のいろいろな実需を証する書面というものは全部返すということはあるんですか。債権保全をどうやってやるんですか。その書類があなたのところになければならぬ。ないとすれば、あなた受け取っていないか、受け取っていないということになれば、貸し出しがずさんだということになる。どうなんですか、その辺。
  123. 大沢融

    参考人大沢融君) そういうものについて、実際の支払い予定、それからそれぞれのものについての幾ら支払ったかという数字を確認して、その数字は、先ほど来申し上げるように、手元にあるわけであります。それが基礎になって払い出しが行なわれる。ずさんじゃないと思っております。
  124. 矢山有作

    矢山有作君 わからぬね。あなた質問を横っちょに持っていっちゃだめですよ。実需を証する書面として添付された書面がありますかと言っている。とっておるんですか。とっておるんなら、あるはずです。ありますかと言っているんです。
  125. 大沢融

    参考人大沢融君) 実需を証する書面は見て返戻をしておりますが、その返戻をした書類によって実需が幾らかという確認をした数字は、先ほど来申し上げるように手元にあるわけでありまして、その確実な数字によって支払いをするという手続をとっておるわけであります。
  126. 矢山有作

    矢山有作君 実需を証する書面を返しはしませんよ、そんなものは。それは、領収証には、融資の確認済みの印を私が先ほど言ったように押して、それに扱い者の印を押して返す。しかしながら、実需を証する書類といわれておるものを返すわけがないでしょう。それを返したんじゃ、将来問題が起きたときに突き合わせて遺憾なきを期していくというようなことはできないでしょう。その書類を返すわけがない。返していないですよ。それはあなたそんな勝手な答弁をしたってだめです、返していないということははっきりしているんだから。
  127. 大沢融

    参考人大沢融君) 先ほど来申し上げますように、実需を証する書類は、差し出してきたものを見て、それによって、何に幾らかかるという予定で、実際は現段階において幾ら金が支払われた、実需があるかということを確認して、その確認した数字は、先ほど来申し上げるように、これはあるわけです。それに基づいて資金の払い出しをしておるわけでありまして、根拠ははっきりしておるので、先ほど来申されるような、ずさんな手続で金を貸しておるということではないというふうに私は考えます。
  128. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、そういう実需を証する書類をきちっと確認して出したのなら、その書類はあなたのところにあるはずですね。なければ将来どうするのですか、一体、債権管理上。ないというのがおかしい。
  129. 大沢融

    参考人大沢融君) 実需を証する書類は、先ほど来申し上げたように、お返しをしましたけれども、それに基づいてつかんだその当時の数字というものは厳然としてあるわけでございまして、それによって債権管理も行ない得るということだと思います。
  130. 矢山有作

    矢山有作君 写しはあるのですね。いまの答弁、写しはあるのですね。いまね、ちょっと聞き漏らしたのですが、原本は出ておりますね、実需を証する書面が。それじゃ、あなたの言うように、判こを押して返した原本はどこかに写しはあるわけです。どうなんですか、写しもないですか。
  131. 大沢融

    参考人大沢融君) 写しはございません。
  132. 矢山有作

    矢山有作君 写しもない。それは、あなた、そういうような金の貸し出し方をしていて、私のほうは慎重な貸し出し方をしておるとは申せません。慎重な貸し出し方というのは、貸し出しのときだけを言うのじゃありません。貸し出した以後についても、その貸し出した金が目的に従って有効に使われたか使われなかったかということを、絶えずあなたのほうは確認をしなければならない責任がある。それによってほんとうにそこに慎重な貸し出しをやったということが言える。それじゃ、写しもとらないでそんなことをしておいて、自後、照合するときに一体どうするのですか。写しはない、向こうのものだけしかない、これであなた照合ができますか。そういうような管理はないはずです。私の知っておるところでは、写しはとっておるはずです。これはあなたが直接事務は知らぬかもしれぬが、私は直接事務をやっておる人から聞いておるのですから、写しはとってあるはずです。そういう詭弁を弄してはいかんですよ。(「何もわからぬのじゃないか」と呼ぶ者あり)
  133. 大沢融

    参考人大沢融君) 先ほど来申し上げますように、領収証等の一覧表、これは私ども返しておりますが、資金繰り表も同時に添付されておりまして、これは私のほうに残っておるということでございます。
  134. 矢山有作

    矢山有作君 持っておるのですね。だから、あなた、問題になった事件なんだから、もう少し詳しいことを知っておきなさい。これを見なさい。私は、ちゃんとわざわざ書いてもらって、こういう融資確認済の印を押して、扱者が印を押して、これこれは返すけれどもあとは写しはちゃんとこちらに持っておるんだという手続を聞きに行ったんです。聞きに行かずに、知らずにこんな質問はできはせぬです。だから、あなた方のところにあるはずです。あるとすれば、調査のときに、あなたのほうは、あなたのほうの手持ちのそういった証憑書類と向こうに返したものとちゃんと確認したはずです、突き合わして、その結果はどうだったんですか。
  135. 大沢融

    参考人大沢融君) その結果については、先ほど来申し上げましたように、全体の調査が終わってからひとつ言わしていただきたいと、こう思っております。
  136. 矢山有作

    矢山有作君 私は、調査の結果、何に何ぼ出されておったかということをいくら聞こうとしても、あなたはおっしゃらないから、それはもうきょうやっておると時間がないからやりません。ただ書類確認をしたわけでしょう。確認したときに、それはうそだったということがわかったわけでしょう。虚偽の申し立てによっておったということをあなたはおっしゃったわけです、最初。虚偽の申し立てによっておったということをおっしゃったわけでしょう。用途外使用、虚偽の申し立てがあった、そこで償還繰り上げをやったと、こうおっしゃった。虚偽の申し立てということは、そういうふうに文書をきちっと照合してみたところが食い違いが出てきたということなんですか。
  137. 大沢融

    参考人大沢融君) その当時確認した数字と現在調べた数字との差があったということでございます。
  138. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、その当時出てきた書類によってあなたは金の払い出しをやったのだから、それを証する書類というものをあなたのほうでは一部とり、向こうに原本を返した。ところが、実際調べたところが、食い違いができたのですね。その食い違いができたというのは、そこに虚偽の申し立てがあったということでしょう。虚偽の申し立てがあったということになれば、虚偽の申し立てをするような、それを信じ込ませるような文書が出てきておったわけでしょう。あるいは後につくったのかどうかはわかりませんが、要するに不一致があったということは。何かそこに合わないやつが出てきたというのは、虚偽の申し立があったはずなんです。そのときに虚偽の書類をつけて貸し出し申請をやったんだから。いま調べてみたらうそだった。突き合わせてみたらわかったんですから、どこかに偽造があったんですよ、明らかに。文書によって符号せぬところが出てきたんでしょう。どうなんですか。
  139. 大沢融

    参考人大沢融君) 全体を調べなければ偽造であったかどうかということはわかりませんけれども先ほど来申し上げましたように、当時の調査といま調査したのとは違うということだけは事実でございます。
  140. 矢山有作

    矢山有作君 あなたのほうでは、きょう直ちに偽造があったということは言いにくいでしょう。なぜ言いにくいのかはわかりませんが、率直に言うべきだと思う。しかしながら、あなたのいまの答弁を聞いていると、その当時の調査、それを裏づける資料、今日の調査、今日の調査した結果、向こうにあるそれを裏づける資料、これが食い違うておった、だから合わぬのですよ。したがって、そのことは、つづめて一言にして言うならば、四の五の言う必要はない、偽造であったということでしょう。そんなことであまりごまかそうとしなさんな。はっきり事態は明らかにしたほうがいい。それをごまかそうとするから、こっちの質問も長くなるし、あなたのほうの答弁も自分で答弁しながらわからなくなってくるんでしょう。(笑声)  いままでのやりとりで、用途外の流用があったということ、さらに虚偽の申し立てがあったということ、このことは明らかになりました。虚偽の申し立てということは、あなたが資金貸し出しをやるときにいろいろな書類調査して出しているわけですから、その当時のものと今日のものと突き合わせたときに不一致ができたそのことは、虚偽の申し立てイコール偽造である、こういうふうに私は考えて差しつかえないと思う。それはあなたがおっしゃれないというのがちとおかしい。その程度にその問題はとどめておきます。  次の質問は、共和糖化と日本糖化、東洋果糖が合併したのはことしの六月です。合併以前に、それぞれの企業に公庫の貸し付け金が六億四千万、一億二千八百万、それから四億ですね。問題の細島のこれがあった。それで、明年の三月末日までこの三社の元利償還をたな上げしておりますね。当時この三社はそれぞれ別個の法人であったわけです。東洋果糖は細島工場の未完成をあなたのほうで理由にこれまで償還を猶予してきたということを国会の答弁でおっしゃっている。元利償還の猶予は工場が実際に動いておらぬからこれは猶予しておるのだということを国会答弁であなたは言われておりますね。ところが、法人格が別なんですよ、この三社はそれぞれ。だから、私は、共和糖化から日本糖化の元利償還まで東洋果糖の分とあわせてたな上げをした理由はどこにあるのか、それが聞きたい。それはあなたのこれまでの会議録答弁から言っておることなんですよ。
  141. 大沢融

    参考人大沢融君) 昨年の八月ごろだったと思いますけれども、申し上げたように、ブドウ糖を当初七十トンの計画をしておりましたが、さらに大きな工場のほうがいいというような意見もあり、それに対しては、不況の中にあったブドウ糖でございますので、大きな工場がどかっとできるのは困るということで工事が中止になったということで、おっしゃるようにいまの東洋果糖の来年の三月までの支払い猶予をしたのですが、同時に、二つの会社も、当時赤字であり、資金繰りもむずかしいということで、支払いを延ばしてくれというような話がございまして、三社について来年の三月まで支払い猶予をするという決定をしたわけでございます。
  142. 矢山有作

    矢山有作君 この三社とも全部を支払いの猶予をするかせぬかということについては、その当時公庫の内部においては非常に議論があったはずです。それをとにかくいまおっしゃったような理由で三社とも全部をたな上げにしてしまったんです。そういう論理から言うならば、今回繰り上げ償還を命ぜられたのも、旧東洋果糖分に対して貸し出した四億だけでなしに、なぜ金額に対して繰り上げ償還を認めないのか。今日、経営状態は依然として赤字であるし、はたして債権確保ができるかできぬか、償還が可能かどうかという見通しは全然立たない。そういう状態にあるときに、しかも、いままでの論議で明らかにされたように、非常に不正な方法で融資を受けている。あなたのほうは融資をしている。そういう実体を踏まえるならば、全額についてたな上げをしたと同時に、同様に全額についてなぜ繰り上げ償還をさせないのか、その理由は何ですか。
  143. 大沢融

    参考人大沢融君) 債権債務の関係は、債権者の立場もございますけれども、法律で、あるいは契約条項で債務者の立場も保護されているわけであります。しかし、いま私が繰り上げ償還を命じたものは、これはもう契約条項を見ると明らかに公庫立場としては繰り上げ償還をせざるを得ないというものでございますが、あとの残りのものはそういうふうに公庫として繰り上げ償還を命ずべきものだというような判断は現段階では下し得ない、こう思っております。
  144. 矢山有作

    矢山有作君 これは判断の問題になります。しかしながら、私は公庫から直接聞いたたな上げのときの論議、いろいろ論議があったということ、こういうことから言うならば、先ほど来私があげたような理由でこれは繰り上げ償還はやはり全額についてやらして、早急に、こういう見通しの立たない、不正な融資を受けた、赤字まみれの会社に対する貸し付け金の確保をはかっていくというのがあなたの立場だろうと思いますが、それをやらないということについては私どもは大きな疑問を持っております。なぜやれないのか、あなたがいま言ったような一つ答弁だけで私はそれを了承できるような状態ではない。ことほどさようにこの融資の問題についてはわれわれが承知している面がたくさんあるということです。しかし、これはあなたが言われるように判断の問題として逃げられれば、これはきめ手はないわけです。しかし、債権確保ということだけはあなたの責任としては考えなくちゃならぬ問題ですよ。これを忘れて、ただ元利償還の延期は全額やったが繰り上げ償還はこれだけでいくんですということの答弁だけでは済まされませんから、そのことは後日の問題に残します。  それから次にここで開銀に少しお伺いしておきたいのですが、開銀のほうは実際の調査をおやりになって、具体的にはどういうふうな調査をおやりになって——私は調査をやった結果の食い違いの金額まで聞こうとは言いません、おっしゃらぬとすれば。事実が聞きたいのです。ですから、もしあなたのほうで話せるならば食い違いの詳細を話してもらいたいし、もし金額の点までどうしても話せぬということなら、実際どういう調査をやってどういう食い違いがあったかということだけは明らかにしていただきたい。
  145. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、日本開発銀行といたしましては、政府側に十一月上旬までに御報告をしたいということもございまして、それに十分間に合いまするように調査をいたしているわけであります。当然、事柄の性質からいたしまして、本社関係調査もいたしました。現場の調査もいたしました。それらの調査の結果を現在とりまとめをいたしまして、なお、当然のことでありまするが、機械なりあるいはそれ以外の請負というようなことについても同様でありまするが、相手方もございます。そういうような関係を目下精密に調査をいたしておる段階であります。
  146. 矢山有作

    矢山有作君 その場合に、いろいろ照合するものを照合されたと思うんですね。どういう照合をやったのですか。やっぱり公庫に対して私がお伺いしたと同じように、あなたのところへ出ておるいろいろな貸し付けの際の文書、それと向こうのものとを照合されたはずなんですね。照合されておりますね。
  147. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 当然、先ほど申し上げましたように、本社関係の資料、現地におきまする所見、並びに発注先に対しまする照合をやるわけでありまするが、現在のところまだ全体の照合を終わっておりません。
  148. 矢山有作

    矢山有作君 だから、全部を終わっておる全体を聞こうというのじゃないんです。たとえば、文書の照合等やられましたか、やった場合にどういう食い違いが出ましたか、こう言っているわけです。
  149. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 申すまでもないことでありまするが、発注者関係の照合などをいたしまして全貌をつかまえませんと、部分的にどうであったかということは、かえって真相の理解を全うするゆえんであるかどうかという点も疑問であります。われわれといたしましては、全体を見、発注者関係の照合を全部終わりました上で、全部をつかみました上で役所のほうへ御報告申し上げ、役所のほうから国会のほうにも御報告になる次第だろうと考えます。
  150. 矢山有作

    矢山有作君 そんな答弁はないでしょう。そんなばかな答弁はない。私が聞いておるのは、文書の照合やりましたかと聞いている。それだけに答えていただけばいいのでね。何も余分の答弁まで長たらしくつけていただく必要はない。
  151. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 文書の照合にいたしましても、先ほど申し上げたように、発注先との照合をいたすことも当然必要でございまするから、そういうような全体の照合まで済みませんとまだ御報告を申し上げる段階にないということを申し上げております。
  152. 矢山有作

    矢山有作君 私は調査は済んだという話を聞いているんですよ。すでに調査の済んだ段階で発注先の云々ということは出てこぬでしょう。一応調査を済ました以上は、共和調査を済ませ、さらに関連したものの調査を済ましているはずですよ。だから、関連先のことは私は言いません。言いませんから、文書の照合をやられましたかということなんです。共和に行って、あなたが貸し出したそのとき出した文書と、共和で控えてある文書と、その照合をきちっとやられましたかと言っているんです。
  153. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 当然そういう文書の照合もいたしております。ただ、繰り返して申し上げまするように、今日のような状態で調査を始めているものでありますから、したがって、現在本社においてわれわれが照合いたしておりまする文書が、発注先においてもそれが確認せられるかどうかということは当然裏づけとして考えなきゃならぬというふうに考えまして、そのほうの照合も続けてやっておる次第であります。
  154. 矢山有作

    矢山有作君 それならそう言っていただけばわかるんです。文書の照合をやった結果、あなたの手元にある文書と向こうとはかっちり一致しましたか。
  155. 石原周夫

    参考人石原周夫君) それは、全貌がわかり、全体の姿が判明をいたしましてから、しかるべき筋を経て申し上げたいと思います。
  156. 矢山有作

    矢山有作君 全貌がわからなくったって、その突き合わせた文書が向こうとこっちと合っているか合っていなかったか、それはあるでしょう。何も私は全貌が合うかと言っておるのじゃない。あなた方で調べた向こうとこっちとどうだったか、全貌には関係ない、それだけおっしゃっていただけばいい。
  157. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 全体の姿がどうなっておって、その各個の書類がその全体に対してどういう立場に立つかということをつかみまして、それを役所のほうに報告をしてから申し上げたいという考えでございます。
  158. 矢山有作

    矢山有作君 委員長、焦点が狂っとる。何べんも何べんも一つことを言いたくない。的確に答弁さしてください。
  159. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  160. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。
  161. 矢山有作

    矢山有作君 私は、全貌を調査した結果、その状態がどうであったかということをお聞きしているのじゃないんです。あなたのほうで調査をやられた。やられたら、その共和との関連においていろいろ調査をやって、文書の照合その他やっておるわけだから、そのことだけに限って一致しましたかどうかということを聞いているのです。全体の判断を聞いているわけじゃないのです。その時点で一致したのか、あるいは一致しなかったのか、それを聞いているわけです。
  162. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 政府側の調査につきまして協力を申し上げるわけでありまするから、やはり文書の照合あるいは発注先との照合を終えまして、はたしてそれは全体においてどういうふうに判断、どういうふうに考えるべきかということをあわせまして政府報告をするというように考えております。
  163. 矢山有作

    矢山有作君 私はいまのような総裁の全体の調査の完了しての判断を聞いておるわけじゃないので、あなたのほうにおそらく報告が行っていると思う、調査の結果の報告が、どういう報告を行っておりますか。
  164. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 参議院の決算委員会段階で詳細申し上げましたので、ここでは略しますが、先ほど大沢総裁からお話がありましたような資金繰り表というようなものをとりまして、それに基づきまして資金交付をいたしております。その資金交付をいたしましたものに対しまして、いわゆる債権管理の裏づけの資料といたしまして領収証をもらっている、こういう状態であります。
  165. 矢山有作

    矢山有作君 それに食い違いはなかったですか、調べた結果。
  166. 石原周夫

    参考人石原周夫君) それをいま発注先とも合わせ、本社関係の資料とも合わせ、そういうものの照合をいたしまして、その結果を政府側に報告をいたしたい、こういうふうにやっておる最中であります。
  167. 矢山有作

    矢山有作君 これは大したつわものだ。私は何も最終的な話を聞いておるのじゃない。文書を照合した、その状態において一致か不一致かいうことだけ聞いておるんですよ。しかし、なかなかあなたは口を割らぬな。それがあなたのいわゆる職務に忠実なゆえんだと考えたら、これは大間違いですよ。これはそういう態度でおればおるほど共和グループをめぐる融資に対する疑惑は深まってくるし、さらに政府機関の金融機関の首脳部のとっておる態度というものに対して疑感が深まってくるのですから、あなたきょうの答弁はそれで切り抜けられたとして、わしは腕があるだろう喜んでおいでかしらぬが、その及ぼす影響はちっとやそっとの小さいものじゃないということをよく御承知になっておいでなさい。そうせぬと、答弁がじょうずだというようにうぬぼれてもらっては困る。  松野さん、よくいまの状態をごらんになっておきなさい。ああいう態度で融資をやっておるんだ。  じゃ、次に聞きます。開銀は、融資しておるものについてどうしますか。このままほうっておきますか、それとも、公庫が繰り上げ償還をやったのだから、繰り上げ償還の措置でもとりますか。
  168. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 私どもは、調査をいたしまして、その調査の結果に基づきまして、必要な措置があればとることにいたしたいと思います。
  169. 矢山有作

    矢山有作君 いまの御答弁は、調査結果によって、必要があれば開銀も繰り上げ償還をさせると、こういう考え方であるというふうに確認してよろしいですね。
  170. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 私どものほうの製糖工場融資につきましては、幾たびかの機会に申し上げたことでありまするが、現に工場が完成をいたしまして運営をいたしております。最初に八億の融資をいたしました。その後におきまして元利はことごとく約定どおり払われております。現在の残高はしたがいまして七億二千万ということに相なっておるわけでございますから、私ども融資のでき上がっている砂糖工場の運営は正常な運転をいたしておるように承知をしておるわけであります。調査の結果云々ということを申し上げましたのは、先ほど来申し上げておりまするように、いろいろな資料の突き合わせをいたしまして、その結果出てまいりますことがございましたら、その事柄に応じた何らかの措置が必要であればその措置をとるということを抽象的に申し上げたわけでありまして、私ども繰り上げ償還をするということを目下考えておりません。
  171. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連。開銀融資立場から言えば、利息は期限どおり入っておる、適切に資金が運営されているということであります。これは、精製部門の融資担当の立場から言えば、一応それはもっともらしく聞こえます。しかし、公庫あるいは農林中金、この三つの金融機関、あるいは民間金融機関も、宮崎銀行あるいは三和銀行等が融資をしております。その中で運転資金を特に多く担当しておる農林中金、この農林中金も元利をたな上げせざるを得ないような結果になっておる。そういう場合に、従来の利息等は三億の手形でしかとれない。開銀はこれはキャッシュでもらっているだろうけれども、そういう全体の金融機関の総合的な調整というか、そういう点は、農林大臣、これはどういうふうにコントロールしておりますか。
  172. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 総体的に農林省と大蔵大臣とのこれは共管事項であります。ことに開銀の場合は大蔵大臣の所管事項になっております。ただ、問題の融資先が同一グループということに関して各公庫開銀中金というものの融資方法、融資内容が異なっておるというので、この三つが並行して調査をするということに大蔵大臣と実は共同で調査命令を出したわけであります。したがって、この問題はもう数日のうちに順次報告が来ると思いますから、その報告を見てから政府の責任の上において国会に御報告すべき事項であろうと私は思います。
  173. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、今度は別の観点からお伺いしますが、九月二十八日の決算委員会会議録によりますと、開銀に対し農林省から融資あっせんが三十八年十二月にあったように出ております。その融資あっせんの内容、添付された計画の概要というものがわかったらお知らせ願いたい。
  174. 石原周夫

    参考人石原周夫君) ちょっといま手元にございませんので、私の記憶といいますか、頭にありますことを申し上げておきますが、推薦書というものはそう長文なものではございません。推薦の理由というようなものが書いてあると思います。それから、農林省が、見込んでおられる工事費が書いてあるかと思います。(「手元に持ってきたじゃないか。ちゃんとそれぐらい慎重にやっておけよ。事務当局がついておるだろう」と呼ぶ者あり)三十八年十二月九日付農林事務次官名でいただいているわけでございます。「昭和三八年度農林省関係企業に対する日本開発銀行資金融資について」「このことについては、昭和三八年七月一一日付け三八農経A第四九四一号をもって融資協力方を依頼したところであるが、今般追加分として別紙のとおり貴行に融資を依頼するこことしたので、よろしく御配慮を願いたい。」——「追加分」としておられますのは、別の計画についての推薦をいただいておるのでございます。この共和製糖の分はそちらに入っていないのですが、「昭和三八年度日本開発銀行融資期待企業の概要(追加分)」「業種甘味総合コンビナート、会社共和製糖、払込済資本金八千万円、施設場所宮崎県日向市、事業計画の概要日産能力二百トンの精製糖設備新設、所要資金十五億二千三百万円、資金調達計画開銀十二億円自己資金三億二千三百万円、備考 地方開発」、こう書いてあります。
  175. 矢山有作

    矢山有作君 私のほうからお伺いいたしましょう、そのほうが早く済むようですから。融資あっせん状には、一つの条件として、既存の能力をふやさないで設備の合理化をやる、これが入っておるわけです。それからその当時の計画は日産二百トンの計画なはずです。このことは私が勝手に言ったのじゃないんで、あなたのほうが九月二十八日の決算委員会の席上で大森議員の質問に対して答弁になっておることを私は言っているわけですから、それに間違いございませんか。
  176. 石原周夫

    参考人石原周夫君) ただいまお読みいたしたのは推薦書の全文でございまするから、矢山委員のおっしゃいます工場能力をふやさないということは私の読み上げました書面には出ておりません。ただ、当時におきまする砂糖の状況からいたしまして、持っておる古い工場のほうはスクラップダウンをすることにいたしたいとこういうようなことに了承いたしておりまするが、それは先ほどお読みをいたしました推薦書には載っておりませんので、その点を申しておきます。  それから二百トンという点につきましては、いま書類で読みましたように、公称能力二百トンということになっております。これは、公称能力というものは、ほかの製糖工場の場合にも同様のようでありまするが、実際の能力というものはややそれを上回るというのが多くの場合の実情のようでありまするし、いわゆる公称能力二百トンというものは農林省側からのお話があったわけであります。
  177. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ農林省のほうに担当官がおられるでしょうからお聞きしますが、融資あっせんのときに、既存能力をふやさない、そうして合理化をやるのだというあっせん条項はついておったのですか、ついておらなかったのですか。
  178. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいまの御質問でございますが、食糧庁といたしましては、当時から二百トンということで合理化をお願いする、こういう形で経済局のほうにお願いをいたしました。
  179. 矢山有作

    矢山有作君 その場合、二百トンということになっております。二百トンのためにこうだということがいろいろ書いてありますが、私が言っておるのは、九月二十八日に大口食糧庁長官がこう言っているわけです。製糖工場が既存の能力をふやさないということで、これで融資あっせんをやったのだ、こう言っております。それは確認されますか。
  180. 石原周夫

    参考人石原周夫君) これは食糧庁からお答え願うことかと思いますが、繰り返して申し上げまするが、東京工場でありましたか、古いほうの工場はスクラップにするということが、同時にといいまするか、並行して行なわれるものと私どもは承知いたしております。
  181. 矢山有作

    矢山有作君 食糧庁は。
  182. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 食糧庁といたしましては、全部で二百トンでお願いいたした次第でございます。
  183. 矢山有作

    矢山有作君 そんなことはないのじゃないの。二百トンというのは、計画は二百トンで出ているのだ。ところが、同時に、はっきり大口食糧庁長官が言っているのじゃないの。既存の能力をふやさないということになっているわけだ。そういう条件がついておったでしょう。ついておらなかったというならば、大口食糧庁長官が決算委員会にうそをついたということになる。会議録を貸しますよ、なんだったら。
  184. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 食糧庁としまして書面でお願いいたしたときには二百トンの精糖工場合理化資金としてお願いいたした、こういうかっこうになっております。
  185. 矢山有作

    矢山有作君 あくまでもそれだけしかなかったというなら、食糧庁長官が、既存能力をふやさない、スクラップ・アンド・ビルドでやるから融資のあっせんをするのだといった答弁はどうなるのですか。消えるのですか。二百トンというのは計画として承知しております。東京工場云々というのも承知しております。私の言っておるのは、既存能力をふやさない、それで合理化をやるんだということが入っておるはずだと言っておるんです。食糧庁長官もそう言っておる。間違いないかと言っておるのです。
  186. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 多少長官との間に私の答弁関係でことばの不適当なところがありましたが、一応スクラップ・アンド・ビルドということを前提として二百トン工場合理化を進める、こういうことでございます。
  187. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、それでよろしい。当初の計画が、いま言ったような融資あっせんで、既存能力をふやさないということで二百トン、二百トンの所要資金が十五億と、こういうことで出ておるわけですね。ところが、現実はそれといささか違うようです。それで、これも十月一日の石原さんの御答弁ですが、こういうことを言っておられる。砂糖工場はトン当たり大体四、五百万円というのが常識だと。したがって、五百トンで十五億になっておるからこれは非常に安上がりについておるのだ、こういうことを言っておられるのですがね。ところが、当初出された計画は二百トンでそして所要資金十五億という計画で出てきているわけですね。そうすると、これはトン当たり何ぼになるのですか。七百五十万になるんですね。そうすると、石原さんが言われる業界の常識よりもはるかに上回った融資のあっせんが計画書をつけて出てきているわけです。こういうものを食糧庁はそのまますっとうのみにされたんですか。いささか金がかかり過ぎやせぬかということでチェックしなかったのですか。どうなんですか。また、開銀もどうなんですか。
  188. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 食糧庁のほうでも御答弁があると思いますが、私どものほうの立場を申し上げます。  砂糖工場の場合は、先ほど申し上げましたように、これはどういうことでありますか、これはあるいは食糧庁のほうからお答えをいただいたらいいかと思いますが、公称能力というものと実際に出ます能力というものにはある程度の差がある。公称能力というのは、おそらく結晶かんか何かの能力ではかるのだと思いますけれども、これはつくります砂糖の質といいますか規格にもよるようでありますが、いずれにいたしましても、大体本格的な操業を開始しまして以来は、実際は三百トンぐらいの砂糖を出しておったようであります。  先ほど矢山委員が御指摘になりましたこの前の答弁の問題でありますが、そのときも申し上げましたように、まあ四、五百万円ぐらいのトン当たりというのが一つの相場であるということを申し上げたわけであります。御承知のように、最近におきましては相当単位の大きいものが出ております。そのときもある例を申し上げたのでありますが、大体八百トンぐらいの工場で三十数億というケースもあるということを申し上げましたけれども、これはそのときにもいろいろお断わりをいたしたのでありますが、埠頭関係でありますとか、自然条件とか、地盤の関係とか、いろいろございますから、非常に乱暴なものの言い方でありますが、一つの目安だということを申し上げました。十五億ということで三百トンということになりますと五百万円。二百トン、三百トンというのは工場規模といたしましては御承知のようにそう大きいほうではございません。  ただ、つけ加えて五百トンならばということを申し上げましたのは、これはこの前の機会にも申し上げたわけでありますが、一応公称二百トン、実際はそれより上回る数字を出しておったようでありますが、それから後におきまして手を加えまして五百トンという規模になっております。その五百トンという規模で見まするというと、十五億だけでは済まなかったと思うのでありますが、やはりトン当たりにしてみますと相当低い数字になるのではないかということをこの間申し上げました。この間の申し上げようがややことば不足の点があるかもしれません。ほんとうは、規模の関係、あるいはそこの立地条件、そういうようなものを加えて申し上げるべきだったのでありますが、大体のところはこんな見当じゃないかという趣旨に御了解をいただきたいと思うわけであります。
  189. 矢山有作

    矢山有作君 食糧庁は。
  190. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 食糧庁のほうでも、出ております手元にあります資料によりますと、約十五億二千三百万円の総資金需要量が要請されておりまして、そのうち開銀で十二億、自己資金で残りを調達するというふうに申請書のほうには書いてございます。
  191. 矢山有作

    矢山有作君 私の質問がちょっと前後したので、よくわからなかったと思うが、それは私の質問のしかたが悪かったのであらためて申しますと、石原さんが十月の一日に言っておるのは、先ほど石原さんみずからおっしゃったように、十五億何がしかの金で現在は五百トンの工場をつくっておるんだ、そうだとすればトン当たり三百万円程度でできておるはずだ、業界の常識としてはトン当たり四、五百万円だからこれは安上がりにできておる、こういうふうにおっしゃったんですよ。ところが、私の聞きたいのは、そういうふうな業界の常識であり、そういうふうに石原さんがおっしゃっていることを前提にして、計画が二百トンで十五億何がしの融資の申請があった。それはトン当たり七百五十万を上回る。この申請を受けたときに、これが正しい申請だと、このままでよろしゅうございますということで食糧庁はそのまま融資あっせんをやったのかどうかということを言っておるんです。さらに、その融資あっせんを受けて、開銀の副総裁石原さんはこのあっせん状どおり正しいんだということをそのままうのみにして融資をしたのかということを言っておる。
  192. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 食糧庁といたしましては、三十八年の十二月前後の書類といたしましては非常に正しいものであった、こういうふうに了解いたしております。
  193. 矢山有作

    矢山有作君 ぬけぬけとあなた正しいものであったとよく言えますね。石原さん、あなたどうですか、当時融資あっせんを受けて。あなたの口から言っておるんだから。
  194. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、公称能力というものと実能力というものにある程度の差があるということでございまして、私どものほうは、推薦を受け、事業の審査をいたしまして、先ほど来申し上げておりまするように、大体の金額を見ますると、いま申し上げましたような規模の関係、あるいは埠頭関係、そういうようなものが、これは御承知のように、現在五百トンでも、その専用埠頭を使い、あるいは自家発その他の関係は、将来における工場拡張をいたしましてもなおまかない得るような設備を持っておるわけであります。食糧庁全体と申しますか国の政策として砂糖の精製工場の規模をどうするかという問題はこれは一つあるわけでありますが、やはり融資をいたしまする以上は、でき上がる工場が将来ある程度まで大きくなってもまかない得るような施設を持っているということもそのポイントであります。先ほど申し上げましたように、実際に出ておりまする二百トン設備のときの三百トンということを見ましても五百万円、なおどの程度の金額がこれにつけ加わって現在の五百トンになっておるかということは、これまた調査を終わりましてから次の機会に御報告を申し上げることになるかと思いますが、そういうものを含めてみましても、先ほど申し上げましたように、現在各地方ででき上がっておりまする新しい施設、それに比べてみまして四、五百万というのは一つの見当だ、その見当に比べてみてまあいいところにいっておるのではなかろうかということを申し上げたのであります。
  195. 矢山有作

    矢山有作君 食糧庁は砂糖行政を専門にやっているんだが、トン当たり業界常識として四、五百万だといったばく然たるこれは一つの考え方ですね。これは食糖庁にもあっただろうけれども。ところが、二百トンの計画に対して十五億の融資が出てきたときに、そういう業界常識を破ってトン当たり七百五十万につくこの融資のあっせん依頼をそのままのんだのか。のむのに、業界常識より高くはついているが、それはそのまま認めて融資のあっせんをしてやらなければならぬ特別の事情というものが何かあったのか。そこのところを聞かしてください。特別な事情は何もなかったか、どうなんですか。
  196. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 特別な事情というほどのこともございませんが、当時食糧庁としましては、いわゆる甘味総合コンビナートということを強く考えておりまして、こういうコンビナート構想でいけば、砂糖だけでなしに、もろもろの甘味資源を一緒に製造することによって非常に合理化が行なわれ、まあ低廉かつ豊富に甘味資源が供給されるから非常にいいということで、コンビナート構想を打ち出しておりましたところ、たまたまこの共和製糖グループのほうから細島にそういうコンビナート構想で希望が出てまいりましたので、その希望を極力検討いたしまして、これなら直接総合的にやれば十二億の資金量をもってもそうひどいものではないというふうに判断いたしまして、一応妥当と認めて開銀のほうに資金を御依頼したような次第でございます。
  197. 矢山有作

    矢山有作君 それは食糧庁の答弁としては私ははなはだ了承できませんね。総合コンビナートでつくるのでしょう、総合コンビナートで。それだったら、むしろ合理化のほうがもっと進むはずなんだ。総合コンビナートという形で共用部門等がありながらつくる中で、一般常識より並みはずれて高いような単価が出てくるのですか、建設単価が。何か土地の地盤が格別悪くて基礎打ち工事にものすごい金がかかるのじゃないかということなら別ですよ。あそこに特別な事情はありませんよ。私はこの八月に細島工場に現地視察に行ったんだから。あそこの当局者から詳しく説明を聞いている。特別都合が悪い事情があったんですか。あなたに率直に聞きたいが、業界常識としてトン当たり四、五百万と言っているが、計画書で出されてきたその計画書を判断したときに、特別な理由がないのにこれがあたりまえだと思って融資のあっせんをしたのかと聞いているんです。何か特別な理由があるでしょう。なければおかしい。
  198. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま答弁いたしましたような次第で、やはり食糧庁から農林省の内部で経済局のほうに申請いたします際にも、コンビナート構想というような考え方を付しまして検討したようなかっこうであって、それ以上に特に御指摘になるような事情はないと了解しております。
  199. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、これは業界の常識より並みはずれて高い建設費がついておる。それをそのまま特別な理由もないのに——特別な理由というのは、この場合工場建設工事自体にからむ特別な理由ですよ。そういう特別な理由もないのに、それをそのままうのみにして融資のあっせんをやったということになれば、工場建設自体に関係しないそのほかの特別な理由があったと、それをのまざるを得ない特別な理由があったと私は判断せざるを得ぬのです。そして、さらに、その融資あっせんを受けて——石原総裁よりいろいろとごっちゃにまぜて答弁されましたこのあっせんを受けて、それを見たとたんに石原さんとしてもこれは疑問を持たれなきゃならぬ。公称能力云々というような話を出されましたが、私はその問題はあとから触れますが、二百トン計画に対して十五億何がしかの融資申請があった。それ自体があなたの業界常識から考えれば一応おかしいじゃないかという考え方が浮かんでこなければならぬ。その考え方が浮かんできたのか来ぬのか知らぬが、食糧庁のあっせんどおり開銀もそのままうのみにして融資をやったと、こういうことになると、開銀にも何か特別な理由があったんだろうかと、こういうふうに私は疑わざるを得ぬと、こういうことを申し上げておるんです。
  200. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 一、二つけ加えて申し上げておきます。  開発銀行といたしましては、公称二百トン、それが十五億ということで推薦がございましたから、それをうのみと言うと語弊がありますが、推薦がございましたということで融資をいたしたわけではございません。これはいつかの機会にも申し上げたわけでございますけれども、推薦に基づきまして私どもは金融機関としての判断をいたしまして、その上でこれは適正であるという判断をいたした上で融資をいたしたわけでございます。  なお、先ほども申し上げましたように、公称能力が二百トンではあるが、実際はどうなんだろうかという問題がございます。それから先ほども申し上げておりますいろいろな立地条件というものもございます。たとえて申し上げますれば、これは内訳でいつかごらんいただいたと思いますが、自家発というものに相当な開発銀行の融資をしております。自家発電の設備を持っていないもちろん工場のほうが多いのでございます。この工場というのは専用埠頭というものを持っております。もちろん専用埠頭のある工場もございますが、これだけ一応完備いたしました専用埠頭を持っているところは少ないのでございます。そういうような意味合いにおきまして、そういうような普通の工場にはない、この工場に特別にあるようなものがそれがまた工場の運営にプラスになるわけでございます。そういうように各点を総谷的に判断いたしまして、その上で融資の決定をいたしたわけでございます。
  201. 矢山有作

    矢山有作君 一つところにとまっておっては話が進みませんから、その次に進みます。いままでの論議で明らかなように、共和製糖は公称能力二百トンで計画、食糧庁からその融資あっせんを申し出ている。ところが、これは最初から二百トンで工事しましたか。その辺は、食糧庁は、その実態を融資あっせんをした以上はよくつかんでおりますか。
  202. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 工事のスタート当初からある程度の工事のでき上がりまではおおむね二百トンで共和製糖では建設されたんではなかろうか、こういうふうに思っております。
  203. 矢山有作

    矢山有作君 食糧庁では、最初から二百トンで工事をやったんじゃないだろうか、やったんだろうと思うと、こうおっしゃるが、最初から三百トンで工事を始めております、三百トンで。これは私は直接きのう確認したわけです、この機械を受注したところで。よろしいですか。第一回目に機械をつくったのは、先ほど言った三百トン精製装置三億五千万円、製品計量包装機六千二百五十万円、合わせて四億一千二百五十万円というものを受注した、こう言っておる。そうすると、計画書は二百トンのを出しておいて十五億何がしの融資あっせんを受けたということです。それがきまってくると、建設は最初から三百トンで始めておったということを、食糧庁は知っておるのですか、開銀は知っておりますか。
  204. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 食糧庁といたしましては、出発当初から三百トンであったということは聞いておりません。
  205. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 開発銀行といたしましては、先ほども申し上げましたように、砂糖の実際の公称能力というものと自主生産の間には差がありますが、私はしろうとでありますが、幾つかの場合に承知をいたしておるわけでありますが、実際の状況から判断いたしまして、総合的な判断の上でこの工事の採算、将来の見通しというものを立てて判断いたしたわけでございます。
  206. 矢山有作

    矢山有作君 石原さんの答弁は、こっちが言ったことを的をはずして答えるくせがあるらしい。私は、最初二百トンと言った計画が三百トンで着工されたというのを知っているのか知っておらないのか聞いているんです。そのほかのことは何も聞いておらない。聞かないことは、口がだるいから、しゃべらなくてもいい。聞いたことだけしゃべってください。  そうすると、いまの話を総合すると、食糧庁も開銀も計画は二百トンで融資あっせんを受けておりながら、実際にはもうすでに出発から三百トンの設備をやったと、こういうことになる。ですから、あなた方は初めからだまされておった、それを知らなかったということになるわけです、いまの答弁では。そういうだらしのないことで、金融行政がやれたり、農林行政がやれますか。これは大切な国民の税金ですよ、金は。その点はもう少し責任を感じてもらいたい。  しかも、さらに二百トンの増設工事をその後やっておる。そのときの機械が九千九百四十万、ほかに付属品が少々あります。総額にしても一億足らずの機械を第二回目に発注しておる。これがさらに五百トンにするための施設であったろうと私は推察しておるわけです。そういうような実態をよく調べないでやるということでは困ります。特別な理由があれば知りませんが。  次にお聞きしたいのは、当初計画は二百トンで出てきた。とことが、実際には五百トンの施設があるといわれておる。一説によれば、公称能力は八百トンから千トンだという話もある。しかし、話は話として、一応五百トンの設備ができて稼働しておる、こういうことを食糧庁の長官は九月二十八日に認めておる。五百トンの設備ができておる、これがつくられたということを知ったのはいつの時点か。
  207. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) おおむね昨年の十二月ごろに文書をもって五百トンの報告が参っております。
  208. 矢山有作

    矢山有作君 昨年の十二月に文書をもって五百トンの報告を受けた、そのときに知ったわけですね。それまでは知らなんだわけですね。どうなんですか。
  209. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 糖価安定法等のいろいろの法律は出ておりますけれども、一応自由化されてしまいましたので、正式に行政的にこういう設備能力を一々チェックする方法はございませんようなかっこうになっておりますので、多少あるいは実際よりもおくれて知ったかとも思います。
  210. 矢山有作

    矢山有作君 そういう逃げ方をしてはいかぬですよ。計画書を出さして融資あっせんまでやったんです。その結果は、実際はそのとおりに守られないで、五百トンできた。自由化問題というのは、今日の時点におけるあなた方の逃げ口上ですよ。計画を逸脱して、すでに五百トンつくっておる。それを知ったときに、食糧庁はどういう処置をしたんですか。黙っておったんですか。
  211. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 一応二百トンで開銀のほうにお願いをいたしまして、そして実質的にはそれよりも大目の、いわゆる設備能力としては大きなものができておりまして、これについては、砂糖の競争の激甚なおりから、少しでも安い砂糖ができることについては合理化上やむを得ないというふうに認めまして、一応そういうふうに認めたようなかっこうになっておる次第でございます。
  212. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、あなたのほうは、融資あっせんということをやっておりながら、自由化になって合理化上は大きければ大きいほどいいということでそのまま認めたということですね。ところが、そういうことがかえって設備能力の拡大競争を引き起こして、かえって不況を招来するんじゃないですか。業界に、その問題も一つある。  さらに、計画書がつけられて融資あっせんが出て、その計画をみずみず破られておりながらそのまま黙っていたというのも、これは奇妙な話なんです。そう思いませんか。自由化云々というのは、あとからくっつけたあなた方の理屈ですよ。自由化云々ということでいくらでもつくっていたら、その結果は、今日のように設備過剰で、第一次、第二次、第三次と不況カルテルまで結ばなければならぬということになったのではないか。そういう状態で、あなた、砂糖行政をやっていると言えるのですか。そんな無責任な答弁はない。答弁できないでしょう。そんなずさんなことをやっているから。そういうずさんなことをやってもらっては困るというんですよ。  開銀石原さんにお伺いしますが、あなたのほうは五百トンになったということをいつごろお知りになったんですか。
  213. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 精糖工場の規模を増大することにつきましての報告は受けておりません。
  214. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、これは考え方としてこう考えざるを得ないですね。とにかく、共和は、最初から融資あっせんを依頼したときの計画の二百トンの事業をやろうという考え方は持っておらなかったわけです。最初から将来大きな設備をつくるという腹で臨んでおった。それを善意に解決するならば、関係機関はよう見抜かなかったということになる。よう見抜かなかったということは、これはあなた方の責任は簡単なことじゃ済みませんよ。と同時に、そいつをそのまま黙認してきたということば、これは何か特別な話し合いでもやったんですか。これは、私に言わせれば、もし知っておったとするなら、なれ合いとしか言えませんよ。なれ合いですよ、こんなものは。なれ合いで行政をやったり、なれ合いで金を貸してもらっちゃ困るというんです。業者とのなれ合いで行政をやったり、業者とのなれ合いで金を貸すということをやっちゃ困る。そういう態度でやったのじゃ、いくら口できれいなことを言ったって、政治は正しいものになりませんよ。行政は正しいものになりません。われわれは口先だけの答弁を求めているのじゃないんです。国民だってそうですよ。腹の底からあなた方に正しい行政をやってもらいたいんです。この責任を痛感してもらいたい。委員会をのがれるだけの答弁をして、委員会さえ済んだらやれやれだという、そういう薄ぎたない根性は持たぬこと。  次に開銀に伺いますが、開銀は、融資について繰り上げ償還をやらせる場合がありますかありませんか。繰り上げ償還をやらせようとするならば、それはどういうときに繰り上げ償還をやらせるのですか。
  215. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 繰り上げ償還をやらす場合がないわけではございません。できるだけ融資のときに厳選をいたしまして、そういうことのないように努力をいたすわけであります。たとえば重大な契約条項の違反がありまするとか、そういうようなことがございますれば、私どものほうといたしまして事柄の実体を考えました上で処置をいたす場合はあります。
  216. 矢山有作

    矢山有作君 重大な契約違反があれば繰り上げ償還の措置をとることがあるとおっしゃるのですが、重大な契約違反というのは、具体的に言ったらどういう場合ですか。たとえば公庫の場合ですと、特約条項というものがあって、貸し出しのときに、繰り上げ償還を求める場合はこういう場合、こういう場合と、ずっと書いてあります、何項目か。書いてありますが、そういうものが開銀にもおそらく私はあると思うんです。だから、具体的に言うと、重大な契約違反があったときというのはどういう場合を言うんですか。
  217. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 繰り上げ償還を命令いたしました場合の実は具体的なケースを存じないものでございますから、抽象的に申し上げているのでありますが、何と申しましても、金融機関のことでございまするから、金融機関といたしましてどうにも繰り上げ償還を命ずる以外にないということのないように、やはり全体をできるだけそういうことがないように持っていきたいということば、これは一般的な態度でございます。具体的にはどういうところまで起これば繰り上げ償還を命ずるかというと、私いま具体的なケースを見ておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。(「わけのわかった者が答えたらどうだ」と呼ぶ者あり)——きわめて明確な場合を申し上げますると、「債務者が他の債務のためその財産に対し差押、仮差押、仮処分もしくは競売の申立を受け、または滞納処分を受けたとき」あるいは「債務者につき更生、整理、破産または和議の申立があったとき」に繰り上げ償還を命ずる場合があります。
  218. 矢山有作

    矢山有作君 いま私が聞こうと思ったことに直接関係のないことだけ抜き出して答えられたのだと思う。これはまことに巧妙な答弁で、そういうことで逃げられちゃ困る。繰り上げ償還の場合というのは、そういうことだけじゃないでしょう。まだあるんですよ。たとえば用途外使用だとか、そのほかあるはずですよ。それを、きょうの質疑関係ないところだけをべらべら並べ立てる、それじゃ困りますね。まだあるでしょう、ほかに。
  219. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 元利の延滞をいたしました場合とかというような場合がございますが、先ほど申し上げましたように、金融機関のことでございますから、元利の延滞を一回でもしたら債権の繰り上げ償還をするかというと、そうではございません。金融機関としては、全体を判断いたしまして、債権確保、元利の償還ができるだけ多く受けられるように考えながらいたすわけでありますので、私がいま非常に明瞭な場合を申し上げましたのは、そういう判断上の問題が存在しないだろうと思われる場合、やや極端な場合だけを申し上げて、おしかりをいただいて恐縮でございますが、そういう判断の上でやるわけでありますから、そういう意味できわめて明瞭な場合のことをまず申し上げたわけであります。
  220. 矢山有作

    矢山有作君 まあきわめて明瞭な場合をお知らせいただいて御親切なことなんですが、私はそれよりもきょうの質疑に関連のある問題のほうが聞きたかった。おそらく、繰り上げ償還のときは、それだけじゃないと思うのです、用途外使用をやったとか、あるいはまた、まるでうそを言って融資の依頼をしてきたというような場合に、これは開銀は繰り上げ償還をやらせないのですか。
  221. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 繰り返して申し上げまするように、   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕 事柄の理由、あるいは生じましたる事態、現在におきまする当該企業の運営状態、そういうものを総合的に判断をいたしまして繰り上げ償還をお願いをするわけでございまするから、いま矢山委員の御指摘のような場合に直ちに繰り上げ償還を命令するのかとおっしゃいますと、直ちにそうだと言うわけにはまいりかねるわけであります。繰り返して申し上げますが、総合的な判断の上でそういう措置をとる、こういうことであります。
  222. 矢山有作

    矢山有作君 それはわかるんです。現実に繰り上げ償還の決定をなされるときに、いろいろな条件に適合した場合、その他いろいろな判断をされて実際にはそれをやられるということは、それはそのとおりなんです。ところが、その判断を固めるに至る過程として、こういう場合、こういう場合というのがちゃんとあるはずなんです。なければならぬ。だから、私がその中で具体的にお聞きしたのは、たとえば用途外使用という場合も入っておりますか、融資の申し立てに対して虚偽があった場合も入っておりますか、それが全然入っておらぬのですかときわめて具体的に聞いたのです。だから、こっちが迷うから、あまりごたごた答弁をやらないで、私の聞いたことに直截に答えてください。
  223. 石原周夫

    参考人石原周夫君) おことばを返すようで恐縮でございますが、やはり銀行といたしまして一は、繰り上げ償還をいたしまするのには一定の総合的判断をした上でやるのだということを申し上、げたわけでありまして、たとえば用途外使用という御指摘がございましたけれども、これがきわめて重大でありまする場合、当然繰り上げ償還をいたすわけであります。しかしながら、それじゃどういう場合でもやるかということになりますと、先ほど申し上げたようないろいろな総合的な判断も要るだろうということを申し上げるわけであります。(「定款があるのじゃないか」と呼ぶ者あり)
  224. 矢山有作

    矢山有作君 私はあんたの判断を聞いているわけじゃない。繰り上げ償還をやらせる判断を聞いているわけではない。繰り上げ償還をやらせる場合には、こういう場合、こういう場合と項目が羅列してあるはずだというんだ。それを総合して繰り上げ償還をやらせるかやらせないか判断をやるのだろう。私は判断を聞いているのじゃない。こういう項目があるかということを聞いている。勝手にいいかげんな答弁をするのにもほどがある。
  225. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、元利の延滞を行ないまする場合、あるいはそこにあります、先ほど申し上げました「差押、仮差押」以下の場合、「この契約の条項に基く義務の履行を怠ったとき」というようなことがございまして、そういうような場合に繰り上げ償還を命令することがあるということは、矢山委員が御指摘のごとくに、一定の事由がございまして、   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 しかも、いまのような判断をいたしました場合には繰り上げ償還をするということであります。
  226. 矢山有作

    矢山有作君 だから、私は虚偽の申し出や報告の場合にも繰り上げ償還一つの要件になるのでしょうということを聞いているんです。押し問答したってしょうがないが、おそらくそういう条項が入っているはずですよ。  そうして、私は質問の初めに戻りますが、あなたのほうで今度の共和の問題が起こってから調査されたときに、あなたのところに出ておるいろいろな融資に対する申し出の書類、レシート、そういうものを向こうと照合した結果、全然間違いがなかったか、再度念押ししておきます。そこの部分だけ答えてください。
  227. 石原周夫

    参考人石原周夫君) その点は、先ほども申し上げましたように、調査の全体をにらみましてせっかく政府も取り調べて責任をもって報告すると言っておられるのでありますから、政府側の手を通して全体を報告する際にお願いをいたしたいというふうに考えます。
  228. 矢山有作

    矢山有作君 これは何べん繰り返しても問題の焦点である点については答弁がないわけです。松野さん、結局、調査をした段階で、開銀に対して融資の申し込みをするときにいろいろな資金の需要の実態を証明する文書が必ず要るのです。これは開銀に出ておる。開銀はそれを持っておるのです。それと今度突き合わせながら調査やるわけですから、その突き合わした結果がそのまま合っておったのか、合っておらぬ部面があったかということに対して、がんとして口を割らない。これは口を割れぬということは、不一致があったということなんです。そう断ぜざるを得ないのです。もし不一致がなかったならば、不一致はありませんと言えるはずなんです。この点は重大な問題ですよ。あなた、どう思いますか、いままでのやりとりの判断は。あなただったら、突き合わして不一致の点がなかったら、なかったと言うでしょう。そう判断しませんか。いつまでもなまくら答弁して、これはけっこうだと思いますかね。
  229. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今回は特に政府が責任をもって調査を命じ、その調査報告によって、政府の責任で国会、議会には御説明、御報告をいたします。いまおそらくただいまの質疑を聞いておりますとその過程であるから、まあ行政上監督官庁に報告の前には言えないという真意が私はそこにあると思います。いずれ、どんな報告が来るか、私も拝見しますから、その上で政府の責任、私の責任で御質疑に答える。まあしばらくこれは矢山さん、時間もそう長い期間じゃありませんから、大体十一月上旬と、こう私も言っておりますから、やはり役所の立場、責任の所在というのが明確な上でいくと、いまのような質疑にならざるを得ないのじゃないか。また、御質問の趣旨もわかります。それで、先ほどから私は政府の責任の上において国会には報告をいたしますということばは、その政府の責任のまだ部分の中だと私は思います、いまの各公庫総裁、軍事長立場は。したがって、なるべく質疑の中において明快にしなければなりませんが、責任を負っての答弁としてはまだできないのじゃないか。また、その質疑を聞いておりますと、いろいろ私もそうかな、ああかなとまあ想像したり考えたりしておりますけれども、いずれ責任を持った答弁はもうしばらくですから、この質疑はそのときにあらためてしていただきたいと私は思います。
  230. 矢山有作

    矢山有作君 まあ私が総体としての調査結果の判断をここで全部明らかにしてくれというような言い方をするなら、あなたの理屈も私は通ると思う。ところが、私が言っておるのは、全体の中のほんのごく一部、まさに九牛の一毛ぐらいのほんのごく一部分だけを明らかにできませんかと言っておるのに、明らかにでけぬということになれば、これは共和グループの融資問題は、そうでなくても疑惑をもって見られておるのですから、その疑惑がますますふえるだけだ。これは一つもプラスにならぬということです、そのあなた方のおとりになっておる態度は。そのことだけはやはり今後行政を進めていく上に十分認識されて、どう善処していくのか。あなた大臣だから、その大臣立場に立ってよくお考えいただきたい。それからまた、開銀石原さんにしても、きょうこれで何とかかんとか、のらくら答弁をしたら済むというような無責任な考え方をしてもらっては困るのです。  次は、農中にお伺いするのですが、おそらく農中の答弁も、政府機関ですらこの調子ですから、まあ似たり寄ったりだろうと思いますが、あなたのほうにもお尋ねします。あなたのほうでは、三十九年の十月末現在で宮崎工場関係のものについて調査をしておられますね。対象事業資金支払い状況の調査というのがやっておられます。そのときに、事業費の処分額が十四億三千万円、こういう数字を出しておられますね。他の二行と同じように、あなたのところでも調査になっておるはずなんです。調査をして、この数字と照らし合わしてみて、どうですか、現在の段階で。それも言えませんかな。
  231. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 矢山さんのただいまのお話の日時の点は私正確に記憶いたしておりませんが、調査をいたしたことはおっしゃるとおりでございます。問題は、果糖、ブドウ糖の専用部門と、それから精製糖との共用部門をどういうふうに見るかということが金額の焦点ではないかと思うのであります。したがって、先ほど開銀の副総裁公庫総裁、あるいは農林大臣からもお話がございましたが、そういう点を正確に突き合わせまして共用部門をどういうふうに割り振るのが一番妥当であるかということについていま調査をいたしておる、こういう段階でございます。
  232. 矢山有作

    矢山有作君 じゃ、楠見さんね、共用部門の割り振りのところまでは聞きませんから、あなたのほうで調べてつかまれば、総事業費はどのくらいになっておりますか、それを項目別にちょっとあんた言うてくれませんか。
  233. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 総事業費につきましても、従来会社の言っておりましたのをそのままうのみにするわけにはまいりませんので、現地に当たって調査をしておる、こういう段階でございます。
  234. 矢山有作

    矢山有作君 これはほかの二行に対すると同じような話になるんですが、もう調査は済んでいると聞いているのですがね。総体つかんだ数字が出ているでしょう。それも言えませんか。
  235. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) その点は、先ほど申し上げましたように、政府に提出をすることになっておりますが、私はまだ見ておりません。きょうは昼見る予定でございましたが、昼から出てこいと三時という予定でございましたので、まだ見ておりません。
  236. 矢山有作

    矢山有作君 これはまたきわめて巧妙な御答弁ですよね。しかし、あなた見ておられぬでも、事務当局の人はそうすると見ておられる、知っておるということははっきりしたわけですね、これで。あなたは昼から見る予定だったから見ておられぬが、事務当局は見ていますね。事務当局は来ていましょうから、それちょっと言わしてくださいませんか。
  237. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほど来各総裁からお話がございますようなことでありますから、これははなはだ恐縮でございますけれども、理事長が言わないことを職員が言うということは、これはあるいは事務当局の者もここに来ておるかもしれませんが、これは遠慮さしていただくということになるのじゃないかと思いますから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  238. 矢山有作

    矢山有作君 だから、昼から見る予定で見ておらぬから言えぬのじゃなくて、他の二行と同じように、政府の考え方と同じように、この場で明らかにすると問題になるから言えぬということなんでしょうね。そうしか解釈のしょうがない。言わぬというものを私も特別な言わせるための権限を持っているわけじゃない。あなたの口を力づくで開いてみたところで出てこぬですから、しかたがないから、言えぬのなら、われわれは多分の疑問を残したまま次に移ります。  公庫は繰り上げ償還の決定をやったわけですね。それから開銀のほうも、いろいろ調べてその結果として繰り上げ償還をやらせる場合もあると、こういうような御答弁だったと思うのですが、あなたのほうはどうですか、これは。
  239. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 形式的と申しますか、観念的には繰り上げ償還を命じ得る場合もあり得ると思うのでありますけれども、私どものほうはといいますか、政府機関は同様でございましょうけれども、私どもといたしましては、この企業をいまつぶすということであれば、これはもう問題はないのでありますけれども、これをつぶすことなしに私どものほうの債権をできるだけ確保していくということになりますと、おのずからその場合における措置というものはそれの事態に即応してきめていかなければならぬ。ただ、繰り返して申し上げますが、先ほど来もお話がございましたが、観念的あるいは形式的には繰り上げ償還を命じ得るという場合はあり得るということだけは申し上げることができると思います。
  240. 矢山有作

    矢山有作君 これは、農中さんの場合、繰り上げ償還は、公庫がいままでの調査した結果、使用目的外の使用がある、いわゆる不正使用があるということで繰り上げ償還を決定されたわけですね。そうすれば、あなたのところも対象は同じなんですから、やはりそういう措置をとるのが私は至当なんじゃないかと思う。それを、あなた債権確保云々と言われますけれども、このままほうっておいて債権確保ができるんだという確実な見通しがあるなら別ですよ。この問題については担保物件の問題であとでお聞きしますが、そうでないのに、一方の公庫が繰り上げ償還やらした。あなたのところも早急に繰り上げ償還の措置をとるべきだと思うが、これにどうなんです。
  241. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) おそらく、繰り上げ償還ということになりますと、これはもうばたばたとしてこの企業はたちどころにその場でつぶれちまうのだろうと思うのであります。そうしますと、たとえば担保物件にいたしましても、かりに十億なら十億の担保物件は、これは処分をするとすると足元を見られます。これは申し上げるまでもありませんけれども、一億、二億というもう捨て値で処分せざるを得ないということにならざるを得ないと思います。これは企業の、申し上げるまでもありませんけれども、御承知の実態だと思います。したがって、やはりできるだけ私どもとしてはこの企業の債権を確保する、こういう意味からいろいろの措置を考えていかなければならぬ、かように考えております。  それからもう一つ、これは先ほど来お話がございましたが、総合コンビナートとして、精製糖、またあるいはブドウ糖、果糖をつくるということで出発しまして、それに対して私ども資金を融通しておる、こういうことであります。そうして、現に果糖あるいはブドウ糖の専用部門もできておるわけであります。したがって、この計画を全く中止するということになりますれば、これは全くやめてしまうということが確定すれば、これはもう問題はないのでありますけれども、現在は一時その工事を中止している、こういう状態だと私は承知をしているわけであります。したがって、先ほど申し上げたような共用部門の問題とか、そういった問題も出てくる、こういう意味で申し上げた次第でございます。
  242. 矢山有作

    矢山有作君 あなたのほうでは、まだブドウ糖をやめるという考えはないから云々ということを言われますけれども、これはブドウ糖ほんとうにやる考え方があるなら、今日のような問題は起こらないわけです。もう最初から砂糖施設をやるということに共和のほうは集中していたわけです。その経過は、聞いてみれば判断がつくでしょう。というのは、計画にあると出しておいて、のっけから三百トン出して、さらに二百トン追加してやる。最近ではさらにそれの増設工事をやっている、こういう事実があるんですよ。そういうふうにやっている。しかも、聞くところによると、増設完了のときに総計が千二百トンになるのか、あるいは現在の五百トンは別にして千二百トンの増設をやるのかということは私はまだ明らかにしておりませんが、いずれにしてもそういう大増設計画というものを計画しているんですよ。このことは、最初からその経過をたどったら、ブドウ糖をやる気がないということです。さらに、ブドウ糖部門を共和がやる気がないということについては、いろいろほかの問題もあります。しかし、その問題まで広げていくとまとまりがつかぬようになりますから、その問題は融れませんが、ブドウ糖をやる可能性があるから待つのだというようなそういう考え方は、これは再検討してもらわなければならない。  それからいま償還命令を出したらつぶれちまうといって心配なさるのですが、いまの共和の実態というのはあなた御存じでしょう、融資をやっているのですから。いまだって、このままほっておいたら、繰り上げ償還やらなければ、あとのあなたの金が出なければつぶれますよ。公庫はそういう実態を承知しておって繰り上げ償還四億を出したんです。同じ対象の仕事に対してあなたのほうは融資している。それをあれやこれやいう理由を並べてじっと見ておったら、ひっくり返ってしまう。債権保全ができなくなったらどうするんですか。そういう甘っちょろい考えでおったらどうするんですか。債権保全ができなくなってくる問題が出てくる、具体的に言うと担保物件の問題を出さなければならぬ。こういう考え方は甘いですよ。
  243. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 共和グループの債権の問題につきましては、私どもは、関係金融機関の方とも、また政府にも御相談申し上げて、そうして早急に再建のめど、また債権の確保のやり方をしていかなければならぬと思っておるのであります。ただ、何ぶんにもそういうひまもないほど、と言ってははなはだ恐縮でございますけども、こういう目前のことで実は追われておる、こういう状態でございます。したがって、いまお話しになりました点は、十分私どもも心得まして善処をしていきたい、かように考えております。
  244. 矢山有作

    矢山有作君 それは、目前忙しいのに追われて結論が出ぬというのは、忙しくなった責任はほかにはない、あなた方金融機関にある。いいかげんな貸し出しをやって、十分な管理をやっておらぬからこういうことになった。それは人の責任ではない、あなた方です。  石原さん、ついでですから、私はもう一度繰り上げ償還の問題についてあなたにもはっきり言いたいのですが、公庫は決定しているのですが、開銀は検討してみるというのですが、早く繰り上げ償還の措置をとるならとって債権保全の措置をとらないと、たいへんなことになりますよ。この辺の認識はどうですか。
  245. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 公庫側が繰り上げ償還の措置をとられました理由につきましては、先ほど大沢総裁が述べられたとおりであります。私どものほうは、製糖事業に融資をいたしまして、現にその工場ができ上がり、運転している状態であります、したがいまして、大沢総裁の述べられましたような事情は、私どものほうには存在いたしておりません。ただ、繰り返して申し上げましたように、調査をせっかくいたしておりますから、調査の結果わかりましたことがありましたならば、その事柄の大きさなりその程度なり、とるべき措置を判断いたしました上で措置をとることがあるだろうということを抽象的に申し得る段階でございます。
  246. 矢山有作

    矢山有作君 それはわかります。あなたがそういう御答弁をなさるだろうということもこちらは予想しておったわけです。なるほど砂糖部門はやっています。やる段階において、先ほど来指摘したように、何というのか、あなた方をだましてだましてだましまくって今日にきているわけです。そうして、膨大な借り入れをやった。だますのには、おそらくあなたは口を割られぬけれどもいろいろな文書もいいかげんなものをつくってあなたのところに出しておる。これだけでも共和グループの責任はたいへんです。しかも、今日の経営の状態は、国税庁長官がこの間の決算委員会でも言ったように、全く赤字です。再建の見込みがあるかないかわからない。しかも、公庫は四億の繰り上げ償還を命じておる。のんべんだらりと考えておられるとまた失敗をやりますから、二度も三度も失敗をやらぬようにひとつこの際御忠告申し上げておきます。  なお、農林省のほうもよくその点をお考えになって、失敗をなさって、またこの委員会でがちゃがちゃ質疑をせぬでもいいように、十分な配慮をしてください。  それから農中にお伺いするのですが、公庫は元利の償還の繰り延べを全部に対してやった。農中はどの範囲でその元利償還の期限の延期をやっておりますか。
  247. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 細島コンビナートの部分については、利息あと払いといいますか、あと取りといいますか、そういうことでやっておりますが、それ以外のものにつきましては、向こうの、たとえば最近といいますか本年に入りまして、先ほどお述べになるであろうというお話もございましたが、所有財産の一部を処分をいたしましてその代金を償還に充当さしていくと、そういうふうなことをいたしております。
  248. 矢山有作

    矢山有作君 そのことは承知しております。聞いておりました。あなたのほうで三月末まで元利の償還延期をやったその債権額は幾らですか。いまおっしゃった細島分だけですか。そうじゃないでしょう。
  249. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 細島関係だと承知いたしておりますが。
  250. 矢山有作

    矢山有作君 それは私も調査不十分なところありますが、私は、あなたのほうが共和グループに貸し出した総額が三十二億四千万円ありますね、そのうちの二十六、七億くらいについて、それは細島も含めてです。元利償還を来年の三月までたな上げをしていると承知しているのですが、あなた間違いないですね。それを確かめたほうがいいですよ。間違った答弁をされては困ります。
  251. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) ですから、私は詳細承知をいたしておりません。
  252. 矢山有作

    矢山有作君 事務当局がおるでしょう。
  253. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 十二月までということだそうです。
  254. 矢山有作

    矢山有作君 いやいや、どれだけの債権額に対して。
  255. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 額は、おっしゃるとおりだそうです。
  256. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、楠見さん、あなた、元利の償還のたな上げを来年三月末までやっているでしょう、それがほとんど債権全額についてたな上げをやっているのに、あなた知らないで細島分だけですと、そういうような認識で、金融機関の責任者として適正な金融はできませんよ。
  257. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほど申し上げましたように、高槻の山林の一部が処分されまして、その代金六千五百万円が金庫の債権に償還充当されております。そういう報告を聞いておりますから、いま申し上げたようなことを申し上けた次第でございます。
  258. 矢山有作

    矢山有作君 総額三十二億四千万の貸付けについて六千万や七千万の償還があったことを私は言っているのではないです。元利償還のたな上げというものが非常に莫大な額に対してやられておるということを私は言っているのです。その認識があなたは、またそれを事実を知ってなきゃ困るでしょう。これだけ共和グループの問題は大きな問題になっているのです。この問題になったのは、すでにはや一カ月以上たつのです。その長い間問題になっているのに、一体元利償還のたな上げを何ぼやったか知らないという、そんな無責任な話じゃ通りません。もっとよく事務当局にレクチュアさして実態を知っていなきゃ適正な措置をするすると言っても、そうですかとわれわれ信頼できませんよ、そんな態度では。そうすると、これは公庫にも言ったことと同じようなことになるのですが、元利償還のたな上げをほとんど全額の債権についてやっておる。細島だけではないです。そんなら、今日の時点を踏まえたら、農中は債権の全額に対して繰り上げ償還をやらせなさい。ほっといたら、ぶっそうでしょうがない。あなた、いろいろ調査した結果繰り上げ償還やらすときに、どの範囲でやらす考えですか。まだ全然考えは固まりませんか。
  259. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほど申し上げましたように、元利たな上げというのではなしに、利息のあと取りということにしておるということを申し上げました。それから細島関係については来年三月までですか、そういうようなことを申し上げたわけですが、繰り上げ償還の問題は、先ほど申し上げたことを繰り返すことになるのでありますけれども細島ブドウ糖計画あるいは果糖の計画というものが断念されたといいますか、そういう計画が行なわれないということが確定されますれば、これは繰り上げ償還のはっきりとした対象になろうかと思います。先ほど来重ねて申し上げておりますように、現実ブドウ糖の専用の施設というものもできいるわけでありますから、したがって、その辺はもう少し確認をしなければならないのではないかと、かように考えております。
  260. 矢山有作

    矢山有作君 だから、その点については私は先ほど——同じあなたの答弁の繰り返しになったのですが、その点については私は先ほど言ったとおりなんです。だから、繰り上げ償還をやらせる場合に、やらせるとするならば、全額やらせますかどうですかと聞いているわけです。私は全額やらせるべきだと言っているので、そのことだけ言っていただければいいんで、先ほど来、繰り上げ償還を直ちにやらすか云々という問題については、すでに私のほうの考え方は言ったわけです。だから、繰り上げ償還をやらせるというときには全額やらす、そして早急に手を打たぬと債権確保がむずかしくなるという状況を聞いておるから、それで、そういうふうな措置をとられるかどうか、繰り上げ償還をやらせるときには全額償還の措置をとられるかどうか、それだけ答えてください。
  261. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 繰り上げ償還をいたします場合は、直接対象は、いま申し上げましたような環境の状況のもとにおいては、細島だけということになりますが、しかし、全体としての債権確保につきましては、これは先ほど申し上げましたように、十分努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  262. 矢山有作

    矢山有作君 私は公庫に対しても申し上げたように、共和グループのいままでの金の借り出しのやり方、工場の建設のやり方、さらにあなた方のとってきた態度、そういうものを総合して判断するときに、そしてそれに加えて、現在の共和グループの経営の実態を見るときに、これは繰り上げ償還はすみやかに決定をして、しかも全体についてそれをやるという腹で債権確保措置をとられぬと、これはあとで問題になりますよ。また、そのことだけは私のほうから注意申し上げておきます。  それから次にお伺いしたいのは、私が聞いているところによると、共和グループはもういま金がなくて困っている。いま、一億、二億、三億の金がなければひっくり返るんだということがいわれているようですが、それで、農中は、どうもそれが心配で、あるいはそれに対してさらに貸し付けをやるのじゃないかというようなことがいわれているのですが、その点どうなんですか。これだけの赤字を出し、これだけ不正なことをやってきた共和に対して、まだ融資をやるということは常識では考えられぬのですが、どうですか。
  263. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 現在のところ、そういうような融資については考えておりません。「約束できるか」と呼ぶ者あり)
  264. 矢山有作

    矢山有作君 これは大事な点ですから、はっきりさせておきますが、じゃ、今日の時点を踏まえて今後共和グループに対する農中からの融資はやりません、こう確認してよろしいですね。
  265. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) これは、共和をどういうふうに再建をしていくか、持っていくか、これはまた私どものほうの債権管理の立場からもございますが、いろいろなことを考えなければいかぬと思います。あるいは首脳陣の更迭というような問題が出てこようかと思いますが、そういう再建計画を立てて、こういう計画について、各金融機関等も参加のもとに、これはまあ私どもだけの問題ではございませんが、そういうことで、再建計画の手段として貸し増しをしていくということは、あるいはあり得るかとも思います。しかし、いまのところはそこまできまっておりませんから、先ほど申し上げましたように、現在のところは共和糖化にこのままで貸し増しをしようというようなことは考えておりません、こういうことを申し上げた次第でございます。
  266. 矢山有作

    矢山有作君 農中の話はわかりました。どういうあんたりっぱな再建計画が出ていてほんとうに再建をさしていくつもりか私は知りませんが、われわれが現在であの経営状態をバランスシート等をみな持っておりますが、それで判断したところでは、なかなか再建なんというようななまやさしいものではないと思います。そういう段階で農中はまだ金を出すというようなことは、私はやってもらいたくない。あなたのほうもやらぬとおっしゃる。  ところで、この問題について、一体農林省はどういう考え方ですか。いままでの問題を総合して、どういう考え方で臨んだらいいというふうに思っておられますか。何も考え方はきまっておらぬということにはならぬと思うのですがね。
  267. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 共和問題の実態調査をいたしまして、その結果、方向を打ち出すことになります。まだ結論は出ておりませんので、あえて私はここで明言はできませんが、抽象的に農林省の一般的な考え方から申しますならば、ブドウ糖工場をどうするか、甘味資源の総合対策をどうするか、あるいは今日の製糖工業界のあり方をどうするかというようなことが農政上の一つの基本問題になります。その中においてこれをどうするかということは、その時点においてこれは考えなければならないと思います。したがって、ブドウ糖工場が今日は過剰設備であるとは私は申し上げましたが、しかし、立地条件からいって、必要なところに農産物に関連のあるものが要らない、そのよしあしは別です。農政上においてブドウ糖工場が要らないのだという断定ができるかどうか、それは農政上の問題の中においてこれを解決しなければならない。しかし、この問題は、融資の今次の問題とは別個の話であります。したがって、厳重な調査、解明、報告を受けてこの問題を処理するというのと、今後において農政上においてその産業が必要であるかどうか、これは別に考えて、われわれは基本的に考えなければならない。だからといって、この問題をいたずらに中途半端にしようという意思は毛頭ありません。これは金融というものは厳重に監督しなければなりません。また、その調査報告を求め、その処理をする、これは今後の問題であるし、将来においてどうするかということは農政上全般の中において考えなければなりません。まだその段階に至っておりませんので、今日のところではその前段でその問題の調査と解明と報告を求めておる段階であります。
  268. 矢山有作

    矢山有作君 いまの段階ではその答弁しかできないだろうと思う。しかし、共和の問題を処理するということは、これはただ単に甘味資源行政の問題だけではなしに、金融の問題からも非常に大きな問題がある。これはよほど的確な処理をしていただきたい。それについては、私はあなたが大臣就任以来のもろもろの状態を総合してみて、よほど腹を据え直してやっていただかぬと、ちょっとやそっとのことではこれは解決つきませんよ。その点だけはあなたはよく自分のいままでとってきた態度、これについてはまた今後問題になるでしょうから、そのときにいずれその点を反省しながらこの問題の処理を考えていただきたい。  それからなお、いままで金融機関三行の問題をめぐって私との間にいろいろ質疑応答をしてきたわけですが、きょう大蔵省の銀行局長見えておると思います。銀行局長は、これらの質疑を通じて一体どういう考え方をしておるのか。大蔵省には監督の大きな責任があるはずです。総合した意見をこの段階で述べてもらいたい。
  269. 青山俊

    説明員(青山俊君) 銀行局長が別の会合のためどうしてもやむを得ずそちらに参りましたので、私かわりましてお答え申し上げます。  今回の問題につきまして、金融機関貸し出し態度というものが非常に大事なわけでございます。したがいまして、金融機関としては、あくまでも厳重に審査をいたしまして、そうして必要な所要資金というものを貸し出す、同時に、債権の保全については十分な措置をとるとともに、その回収についても責任をもって行なうというのが基本でございます。そういう意味におきまして、現在、各開銀、農林公庫並びに農中につきまして、農林省とともにその調査報告を求めておるわけでございまして、その結果を待ちまして今回の内容を明らかにするわけでございますが、この問題とは別にいたしまして金融機関としての貸し出し態度ということについては、あくまでも疑惑を持たれないように、きちんとした貸し出し並びに債権保全という面で臨むように。今後ともにその点については厳重に行政上指導してまいりたい、こういうふうに考えます。
  270. 矢山有作

    矢山有作君 いまの段階答弁ですね、それは。ところが、これまでは、大蔵省としては監督上の責任があるのに、こういう融資が行なわれておる点に対して何らの措置もとっておらぬのだろうと思うのです。とっておるのなら言ってもらいたいのですが、その監督上の責任というものは痛感されておりましょうな。そういうことでないと、ただきょう一ぺんの答弁だけでは問題は済みません。  それが一つと、それからもう一つは、あなたも決算委員会の状況やきょうの質疑の状況をよく御存じなんですから、総合して、いままで金融機関三行のとった貸し出し態度はいいと思いますか、悪いと思いますか。
  271. 青山俊

    説明員(青山俊君) われわれといたしましては、監督の立場がございますので、この事件につきましては、先ほど農林大臣からお答えがございましたように、現在調査をいたしておる段階でございます。で、この結果を待ちまして十分な処理をいたす。したがいまして、監督に対する責任は十分に感じておるわけでございます。  それから第二の点でございますが、われわれといたしましては、やはりいま申しましたように、こういう問題については疑惑のないようにきちんと処理をするという基本方針で臨んでまいりたい、こう考えております。
  272. 矢山有作

    矢山有作君 これはまあ銀行局長のほうから、いままで話を聞いて、貸し出し態度はきわめてずさんであったと言いたくても、なかなかここじゃ言えぬのでしょう。だから、それはそれでよろしいが、農林大臣、こういう問題が起こってきた、しかもいままでの論議を通じて、きわめてずさんな面が食糧庁当局にもあった、金融機関当局にもあった、このことは大体明らかになったと思うのです。この責任の所在だけはきちんとしてもらわなければ困るし、それに相応する処置をとってもらわなければ困る。こんなことをずさんなままで済ましておくと、いつまでもこれは続く。口先だけの弁解や弁明じゃ済まぬのですから、それはわかっておりますね、大臣
  273. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今回の問題については、御承知のように、金融機関としては前例のないような厳重な措置をとっております。また、農林大臣、大蔵大臣両名で調査を命じておるのであります。こういうことは、金融機関としては非常な厳正な厳重な措置であると思うのであります。したがって、その結果も、厳正、厳重な処置をとる覚悟でこの問題に最初から取り組んでおります。いずれ十一月の当初に明快に出ますから、そのときには十分御説明ができると思います。今日即断をするわけにはなかなかまいらない問題であると私は思います。しかし、大体御質疑内容については私も聞いておりましたので、責任者としてはひとつその報告を見て政府の態度をきめて、そうしてその問題は厳正な厳重な措置をとるつもりであります。
  274. 矢山有作

    矢山有作君 これで、実はまだあなた方にお伺いしなければならぬのは、今後の債権確保の上から担保の問題については非常に問題が残っているのです。これは必ず明確にしなければ、あなた方が口先だけで債権を確保すると言っても、安心できない。こういう重要な問題が一つあるわけであります。さらに、繰り上げ償還を命じて、それに対して実際どう実行させるかということについてはいろいろ問題点がありますが、しかし、この点については私は他の人の質問時間までかなり食い込んでおりますので、これからひとつ休憩にしていただきたい、このように思います。
  275. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止
  276. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。午後四時四十六分休憩      ——————————    午後五時十一分開会
  277. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引ぎ続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  278. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただいままで矢山委員共和グループ問題を中心に質疑をしたわけであります。途中でありますけれども、私がまたこの問題についてお尋ねをいたします。  そもそも、この共和グループをめぐって数々の疑惑が持たれているということについては、参議院の決算委員会なり、あるいは衆議院の決算委員会、大蔵委員会等の審議に照らし、これはもう明らかであります。すなわち、高槻の国有林の交換をめぐる問題、細島甘味コンビナートに対する過剰融資の問題、また、これを偽装するためにレシートの改ざんが行なわれたという疑惑の問題、さらには、細島コンビナートに対して不正の融資、つまり法律のたてまえから許されない融資が行なわれたのではないかという問題、さらに、もっと突っ込んで言えば、高槻の山林等を担保にして過剰ないし不正に融資された数十億円、この金額のかなりの部分が、あるいは政治献金として流用され、あるいは会社の赤字補てんに使われ、あるいは特定の人物の個人財産を太らせる部分に流用されておるという忌まわしい疑惑が数々発生しておる世間注目の問題であります。私は、本来、これらの問題のすべてを明らかにしていきたいと思うのでありますが、予定の時間がかなり経過をいたしましたので、きわめて問題を要約してこれからお尋ねをいたしたいと思うのであります。  ただ、お尋ねをする際に、おわびと申しますか、御了解いただきたいのは、公庫開銀、金庫のそれぞれの最高責任者には、参考人として、われわれ委員としては、いささか常識をはずれるような時間まで御出席をいただくことについては、前もってこれはあしからず御了承願いたいと存じます。  第一に伺いますことは、多少事務的な角度でありますけれども農林漁業金融公庫法という法律の第十八条の二に規定いたしておりますところの新規用途を開発するための関連産業融資についてお尋ねをいたしたい。  この十八条の二を設けることについては、その立法の際に、当時の国会における議事録を見ますと、東隆君などから、この道を開くことは糖業資本に奉仕することにならないかという非常に批判的な意見が出されておるのでありますが、現在では、具体的にはこれはブドウ糖工業に融資が認められておる。御承知のように、ブドウ糖工業は、政府の甘味資源対策によって関税と物品税を操作してやっとその存立の基盤を与えられ、今日に至っておるのでありますが、近年の国際糖価の下落、精糖工業の過当競争等によって、深刻な影響を受けております。一方的な抜き打ち的な政府の関税自由化が、その基本的な施策の誤りをおかしておるわけです。すなわち、精糖業界では不況カルテルを長期にわたって継続しておる。さらに、ブドウ糖業界でも、原料高製品安に加えて、設備能力が三十万トン、フルに稼働すればこれは六十万トンと見ておるのでありますが、それに対して生産が二十万トン、過剰設備の実態にある。昭和三十七年以降に設備の新増設を見合わせる態勢がとられておるのに、精糖業界もブドウ糖業界も現在過剰設備に悩んでおる。こういう時期に、共和グループに対して開銀とか農林中央金庫あるいは公庫というものから、細島精糖工場及びブドウ糖工場の建設に対して多額の融資が行なわれたということは、断じて納得のできないことであります。いままでの政府答弁を要約してみますと、甘味コンビナートといういわば食料品工業の構造改善のための合理化投資であるのだ、同時に、これはまた、国会の答弁によれば、地域開発としての実をあげるということがその趣旨のように答弁が出ておるのでありますが、深刻な過剰設備の問題を無視するということは、いやしくもこれは政府としてとるべき態度ではない。私が要求しまして提出された資料を見ましても、「昭和三十七年度におけるぶどう糖工業育成要領」、三十八年にこれを多少修正しておる。新設というものを基本的にこれを規制するという政府の方針が一方にあるのにかかわらず、三十八年の十月には、東洋果糖の菅貞人社長から政府に対して「ぶどう糖合理化工場建設資金融資斡旋依頼」という書面を出し、これに対して、政府は、農林漁業金融公庫総裁に「東洋果糖株式会社宮崎工場のぶどう糖製造施設に対する融資あっせん」というものを出しておる。全く全体の糖業政策から見れば支離滅裂であると言わざるを得ない。一体、これは、政府共和製糖及び共和糖化工業等に多額の融資を認めたという事実はいかなる目的によるものか、まず農林大臣の見解を明らかにしてもらわなきゃならぬ問題であります。あなたは答弁技術はうまいから、いろいろもっともらしいことを言うかしらぬけれども、基本的には、過剰設備の段階の中で、特に細島コンビナートに政府金融を中心として融資をしなきゃならぬというその基本的な相反する行政方針というものは那辺にあるかということであります。そこで、このことをまず大臣から明らかにしてもらわぬと、私の質問は進まぬわけであります。
  279. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 補足的に後ほど事務当局から説明いたさせますが、私が当時の状況を勘案いたしますと、ただいま渡辺委員の言われたような感じを、基本的には私もそう思います。ただ、個々に言うなれば、特別な場合というので、要するに甘味コンビナートという一つのタイトルがそこにあらわれた。これがおそらくブドウ糖合理化であり、あるいは甘味の価格合理化であるという感じから、政策的にこれが認められたのではなかろうかと、私は今日そう考えております。  なお、その当時のことにつきまして、事務当局から私の説明を補足して説明いたさせます。
  280. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) その当時、東洋果糖から融資の申請が出まして、それは、ただいま大臣から御答弁がありましたように、いわゆる細島コンビナートの砂糖のほかに、いわゆるブドウ糖それから果糖も含めて、いわゆる甘味コンビナートという一つの大きな新しい構想で話が出てまいりました。しかも、その細島コンビナートの一環に、当時まだ多少いわゆるカンショでん粉が過剰ぎみな段階でございましたので、それの消費の拡大といいますか、それを加工してブドウ糖にしたほうがいいじゃないかということで、ブドウ糖の新規用途の開発に非常に貢献するところが大きいんじゃないかということで、そういう考え方の上に立ちまして、三十九年の三月に公庫のほうに融資をお願いした。しかし、その後、いわゆる糖価、本体の砂糖のほうの値段が非常に下落してまいりましたほか、原料でん粉のほうのカンショの生産が少し減退したものですから、したがって、でん粉のほうの供給の事情も悪くなったというふうな事情になっております。
  281. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも、私の質問にやはりまともな答弁じゃないわけであります。私の言うのは、具体的にいま設備過剰に悩んでおる。これはやっぱり自民党内閣の高度経済成長政策の一つの落とし子である、そう言わざるを得ない。そういうように食糧品総合工場という構想を打ち立てることに政策の反省がない。設備過剰であるという実態をどういうふうに合理化をするかということであります。  そこで、私、こういう描象的なことも、きょうは限られた時間で質問することは、一切省略します。それで、どうも具体的な答弁を引き出せませんから、具体的にこれから伺いますが、また、矢山委員が取り上げた問題と重複する点を省略をいたして伺います。  農林省が公庫に対して融資のあっせんをしたそのことでまず伺いたいのは、当初のブドウ糖の七十トン案について、これはきょう提出された資料でははっきりいたしません。無水結晶ブドウ糖その他ブドウ糖七十トンと、こうなっております。日産。どのようなブドウ糖を農林省は公庫に対して融資の依頼をしたのか。つまり、もっと具体的に言えば、無水結晶ブドウ糖、含水ブドウ糖、精製ブドウ糖、あるいは液状ブドウ糖のいずれのブドウ糖を製造する工場であるかということであります。これは私の要求した会社側の申請書の写しを見ればすぐわかるのでありますが、その他というところは一体何を、そして具体的な内容は何か、これが融資内容に関連をいたしますが、明確に答弁を願いたい。食糧庁長官のあっせん依頼書によりますと、細島コンビナート工場の果糖部門において生産されるデーツ果糖液に混合する原料ブドウ糖液を生産するという内容が併記されておる。この点は一体どういう内容なのか。
  282. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 渡辺先生から御指摘がありましたように、当時、東洋果糖株式会社から食糧庁長官あてに出ております申請書によりますと、「無水ぶどう糖製造後の残余の液状ぶどう糖と合わせてこれを混糖して、」という形で、いわゆる無水結晶ブドウ糖生産して、しかもそのあとで残余のものができたときにそれを果糖液と混糖したいと、こういうふうな申請書が出ているわけでございます。それで食糧庁といたしましては、一応公庫総裁あてに、「果糖部門において生産されるデーツ果糖液に混合する原料ぶどう糖液を生産するものであって、ぶどう糖企業として適切であると思われるので、よろしくお願いする。」、こういうふうに融資依頼をお願いをしておるような次第であります。それで、全体的に向こうから出てまいりましたいわゆる計画書に基づきますと、先生の御指摘のように、無水結晶ブドウ糖とその他のブドウ糖というもので七十トンの設備能力があるという形になっておりまして、原料としてはでん粉約百五トン使用する。無水結晶ブドウ糖がおおむねその中心でありまして、場合によってはその残余のものから余裕の設備能力を活用してまあブドウ糖もしくはこれに近い液状のものを副産物みたいな形で生産されるものではなかろうか、こういうふうに見ております。
  283. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いまの答弁は非常にごまかしがある。会社の計画そのものは七十トンですが、七十トンのうちの三十五トンは、これは無水結晶ブドウ糖である。あとは結晶ブドウ糖換算三十五トンであって、製品として事業で見ているのが、これは液状ブドウ糖五十トンであり、それを結晶ブドウ糖に換算して三十五トンとし、合わせて七十トンにしておる。したがって、この計画並びに申請書、及びこれをふまえて農林大臣が公庫総裁融資あっせんをしたのは、結晶ブドウ糖と液状ブドウ糖の製造を内容としてそれぞれの資金融通を認めておる、こういうふうに考えられるのですが、その点はどうですか。
  284. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 会社から出ております計画概要を見ますと、いわゆる無水結晶ブドウ糖とその他のブドウ糖で七十トン・パーという形で出ておりまして、それが先生のあるいは御指摘されるようなものであるかも存じませんが、一応まあそういう形になっております。
  285. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 あなたはまあ最近第二部長になられたから御存じないかもしれないが、これは最初から液状ブドウ糖というものを前提にしなければ、デーツ・デックスができない。廃液で副産物でつくるのじゃない。総合コンビナートというものを確認する前提条件としては、結晶ブドウ糖は結晶ブドウ糖でつくる。デーツ・デックスをつくるために液状ブドウ糖をつくらなければならない。そうしてデーツ・シロップとフィフティ・フィフティでデーツ・デックスをつくるというのがこれは糖化という部門である。そうでしょう。廃液なんというそういう従たるもので加工生産ができるものじゃない。しろうとだって明らかなこと、だ。
  286. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) そういう計画で出されたようでありましたが、具体的に、先ほどからのこの委員会での御指摘のように、その設備が全然できませんでしたので、実際その成果をわれわれは確認できないままに今日に至っておりますので、その点につきましてはちょっと御答弁がいたしかねる、こういうかっこうでございます。
  287. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 実際は、こういう申請、あるいは農林省が融資依頼をした内容と違っているから、事態は変わっておる、これはまさにそのとおりです。私は、融資後の資金流用、それをいま取り上げておるんじゃなくて、融資の際の政府の確認の内容を伺っておるわけであります。大臣もお聞きのように、いま明らかにしたことは、これは細島コンビナートの総合的な食品工業の内容は、ブドウ糖と精製糖と果糖の三部門を総合した、これは政府の指導によって企画立案されたものですね。その場合の果糖というのは、あまりこれは委員会で従来触れられなかったので、私は二の問題に限られた時間をさいて言うのですが、果糖というものは、御承知のようにイランからデーツを輸入する、見返りに。そうして、それからシロップを一方にはつくる。一方には液状ブドウ糖をつくってこれをミックスしてデーツ・デックスをつくって、製造販売するということでありますから、明らかにこれは液状ブドウ糖をつくるということがブドウ糖部門の中でまた分離をして確認をされなければならない事実であります。これは、大臣、御確認願えますね。
  288. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 専門的なことはわかりませんが、デーツ・デックスというのをつくって、そうして液状ブドウ糖と混合して甘味のハチみつ及びハチみつ代用品にこれが使用されて今日製品として出ているという報告は聞いております。私も専門的じゃありませんので、渡辺委員の言われるように、廃液でできるものなのか、特殊につくらなければいかんものなのか。廃液という感じはちょっと私も常識的におかしいのじゃないかと思いますが、おそらく液状ブドウ糖、水あめ的な液状ブドウ糖からこれは加工されるのじゃなかろうか、こう想像いたします。
  289. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大観的に大臣荒勝部長の言うような遁辞を反省してか、そのものを一つネグレクトして、廃液というような事態では、これはデーツ・デックスの主体性がないのです。あくまでも液状ブドウ糖をつくり、デーツ・シロップをつくり、そうしてデーツ・デックスをつくるというのがこれは常識の問題ですね。  そこで、私は次に伺いますが、農林漁業金融公庫法第十八条の二の第一項の資金の指定ということがあります。これは三十三年の十月六日に農林省・大蔵省告示第五号によって明らかにしておりますが、関連産業に対する新規用途としての甘でんまたは馬でんを原料とする結晶ブドウ糖または精製ブドウ糖に限定されておるわけです。その公庫融資対象ですよ。液状ブドウ糖は、この結晶ブドウ糖または精製ブドウ糖のカテゴリーに含まれておると解釈しますか、別だと解釈しますか。これは事務当局でいいです。
  290. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私たち、先生の御指摘のような右か左かというふうな御指摘だとしますと、やはり液状は液状じゃなかろうかと、こういうように思いますが。
  291. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私の言うように右か左かなんて、そんなあなた妙な、あなたはまじめな人だが、答弁はきわめて不まじめである。私は政府が出した法律なり政令というものをまともに解釈を明らかに要求しているのです。液状ブドウ糖というものは、この政令で出した指定の結晶ブドウ糖、精製ブドウ糖に含んでいるか含んでいないかということを聞いている。単純なんです。
  292. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 一応われわれのほうの考え方では、結晶ブドウ糖の一番液を取り出しますと結晶ブドウ糖になりまして、残りが残余のやつがいわゆる普通の液状ブドウ糖と、こういうふうになるものと了解いたしております。
  293. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 一番液を取るというのですか。要するに、液状ブドウ糖からさらに結晶ブドウ糖に転化する過程もありますが、明らかにこの工場としては液状ブドウ糖をつくらなければならない。そうしてデーツ・シロップとこれを混合しなければならぬ。液状ブドウ糖は事業計画にはっきりと出ておる、こういうことですよ。どうですか。
  294. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私も詳しい技術情のことは存じませんが、液状のブドウ糖と結晶ブドウ糖とは製造過程は同じようなものでありまして、そしていわゆる製造段階の多少の違いのように私は了解をしておるのでございますが。
  295. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 製造過程が同じであるなしを私は言うておるのではなくして、液状ブドウ糖というものと結晶ブドウ糖というものと相異なるものがある場合に、この政令で指定する具体的な対象に、結晶ブドウ糖しかない。いいですか。精製ブドウ糖しかない。したがって、このコンビナートの液状ブドウ糖を事業計画として確認し、この上に立って融資依頼をした農林省自体は、これは明らかに法律違反を行なっておる。これは常識的な点から私は言うておるのですよ。何もあえて異なる意見をここで言うているつもりはない。こういう法律なりあるいは政令なりというものを忠実に理解すれば、これは公庫法違反を政府みずから認めて果糖生産というものに公庫をして融資させたという重大な責任がある。適当なこれは答弁では済まされぬ問題です。融資がしぼられておるのに、そのしぼられた焦点以外に製造することを前提として融資農林大臣が公庫総裁に出したということは、みずからつくった法律、政令をみずから破っているということになる。いいですか。これは、私のは、単に法律解釈ではない。専門家が十分これは問題にしている点なんです。どうですか、大臣
  296. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 正確なことは後刻取り調べて御報告いたしますが、ブドウ糖といえば、精製ブドウ糖、あるいは結晶ブドウ糖、これを対象にブドウ糖であると私は思います。そう中間における副産物というものを最終製品を目的としているものではないと私は思います。  なお、これは技術的なことですから、後刻また取り調べますけれども、私、一応やはりブドウ糖というのは精製及び結晶ブドウ糖、これを対象に、でん粉というものの農産物を目的としてつくられたものである、こう私は考えます。ただ、その中間的にどうこうと言われると、これは技術的な話で、私の領分をこえますので、政治家として常識的に見るならば、ブドウ糖というのはこれを目的に、私も農林委員におりましたけれども、そのときにはそんな感じでこの振興策をつくったと私は記憶いたします。
  297. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 おおよその大臣の見解は了解に近い答弁でありますが、何といいましてもデーツ・デックスをつくるということ、このことがまた問題なわけであります。なぜこの細島のコンビナートでデーツ・デックスが計画にありながら企業化しなかったか、その点をどういうふうに理解しておりますか。
  298. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私の承知しているのは、デーツ・デックスをどこか別な場所で営業製造をしておった、それを細島のコンビナートに移転して合理化すると、こういう意味でこの計画が立てられたという報告を私は今日受けております。デーツ・デックスが何だというのでまあいろいろ勉強してみましたけれども、そういう製品もすでに市販されておるということからこれが勘案されたと、そういう報告を受けております。なお、もし私の答弁でなんでしたら、質疑の中でどうぞ御遠慮なしに。事務当局にも補足説明いたさせます。
  299. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 時間がないからいいです、事務当局の答弁は。  そこで、この問題は、融資一つ内容でありますから、これ以上私は取り上げませんけれども、明らかにここで確認しておきたいのは、融資の対象じゃなかったということです、この七十トンのうちの三十五トン分は。それを、農林省の強い行政指導によって公庫がこれを融資した。したがって、私は、公庫を責める前に、政府のそのみずからつくった法令を無視した責任を明確に指摘しておきます。  それから次に、この七十トンというスケールの点について取り上げるのでありますが、食糧庁長官のあっせん書を見ますと、この細島の七十トン工場は、共和糖化工業の工場の譲渡を受けて建設するということがうたわれております。ブドウ糖工業が設備過剰におちいっているというのは、前段も私が指摘したとおり。その設備合理化をはかるけれども、新増設はしないという方針を政府が三十七年、三十八年にわたって出しておる。三十九年以降もこの「要領」には変わりがないという通牒を出しておる。そうして、ブドウ糖工業の組織が自主的に申し合わせを行なったのは、これはたしか昭和三十七年ころのことです。これらは、たとえば私が要求した資料の「ぶどう糖工業育成要領」あるいは三十九年八月の閣議了解事項等がこれを明らかにしております。合理化をやらにゃいかぬ、果糖設備というものはもっと合理化の方向に整備せにゃいかぬということが三十九年の八月の閣議でもこれは了解事項になっておる。したがって、細島工場は、合理化のためのスクラップ・アンド・ビルドのたてまえで建設することが基本課題であって、神戸工場の設備能力をオーバーすることは許されないはずであります。しかるに、私の資料によりますと、神戸工場の能力は日産十八トンであります。細島の第一次のブドウ糖の日産計画は七十トンであります。それをうのみにして七十トン計画というものを融資させたということは、一体、閣議の了解事項なり毎年出しておる工業化の整備要領なりというものと自殺行為をしておる。共和糖化という一私企業にあまりに片寄った一つの政策のあらわれであると指摘せざるを得ないのであります。弱小の他のグループはこれを放置して、共和グループだけを優遇しておるということをこの施策の中に読み取らざるを得ないわけであります。いずれにいたしましても、神戸工場をスクラップする以外に七十トンを認めるという理由があるならば、それを食糧長官があっせん書に記載しなかったということは、これは明らかに怠慢のそしりを免れない。これを受けた公庫が、十八トンをスクラップして七十トンをビルドするという大幅な増設案をうのみにしたということも、きわめてこれは軽率である。政府と同じ穴のムジナ的立場でこれは進めておる。共和コンビナートだけにこれは片寄った政策金融をやっておる。従来の行政指導方針を自己否定したところの無責任きわまる措置であると思うのでありますが、この点の明快な答弁を、これは客観的な立場から大臣ひとつ明らかにしてください。
  300. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 三十七年にこれが許可されたその当時は、おそらくその前年度に多量な政府手持ちのでん粉を消化するということに苦労しておった年であります。したがって、三十七年は、多少減っておりましたけれども、まだ相当な手持ちでん粉があった。そして、農業生産としては、でん粉及びカンショ、バレイショのでん粉消費には苦労した直後だったようにこの年限が該当いたします。そこで、何とかこれは合理的なブドウ糖価格の安定と市場性を拡大したい、これが政策の基本であったと思います。そこでたまたまこれの案が出た。しかも、これがコンビナートである。非常に合理的にあれする。場所がまたカンショの生産地帯である。こういうところにおそらく政策の方向が私は示されたことは間違いないと思う。ただ、その後の結果が必ずしもそのとおり順調にはいかなかった。それは総合的な大きな変動がありました。そこに一つの大きな政策と現実との差が、三十七年ごろからぼつぼつこの工場ができるころから現実にあらわれつつあった。今日は、いまの場合には、ブドウ糖でも、どちらかといえば過剰的である。しかも、原料高の製品安の傾向がある。こういうところに確かにこの問題が概括的に包含されておると思います。その意味で、総体的なものはまだ基本的に考えねばなりませんが、その時点にこの問題が現実にあらわれた。したがって、政策が必ずしも全部が間違ったと思いませんが、たまたまそういう時期にこれが台題し、そういう時期に経済変動があった。完成をしなかったという結果から見れば、そう想像いたします。また、私どもそういう考えで、この問題とは別ですが、甘味政策というのは今後また安定した方向を立てなきゃならないということとこれはもちろん原因と結果は違いますけれども、そういう状況であった。  ただ、御指摘の十八トンであったのが七十トンになぜなったか。これは、おそらく、コンビナートという一つの新たな政策に政府も農林省もある意味においては非常に新味を見出したのじゃなかろうか。七十トンというのは、計画は、先ほど言いましたけれども、七十トンだというと非常に合理的に、しかも価格が非常に低廉にできるという合理性がその申請書についております。それで、おそらく興味というか一つの政策の焦点を合わせたのじゃなかろうかと思います。
  301. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあ経過的には原料のオーバー・プロダクションという事態も確かにあったわけであります。しかし、その後設備過剰ということがもうはっきりしておる。ブドウ糖製品の市場のシェアというものもあまり発展しないという事態の中で、これがスクラップもしないで、建設だけが立てられる。しかし、あなた方は、大臣やあるいは役人がそういう情勢の変化というものを見失っているうちに、利にさとい業界は、やはり将来を見越して、政府のビジョンというものを捨てて、ブドウ糖というものに見切りをつけて、クリーニング屋に転向する。精製業に転向する。そういう中に、私は共和グループの菅社長を中心とした一つの詐欺的な事実が存在しておると思う。絶えず生々発展する経済界、特に砂糖問題をきょうやっているわけであります。そういう時代の中に、やはり適確な行政指導というものがないために、政府のそういう融資依頼というものを真に受けて公庫がこれを融資する。しかしながら、借りるほうは、最初からそれをやる気がない。表をごまかして精製糖中心の工場に狂奔しておる。あらゆる悪質な知能を駆使していまの犯罪を構成しておるという事実がこれを証明しておるわけなんです。国民はこういうことに大きな義憤を感じておる。したがって、先ほどからの大臣答弁を聞きますと、来月の上旬にはそれぞれ資料が集まって云々と言いますが、九月三十日の閣議であなたはこういう共和製糖の黒い霧はすみやかに晴らさなければならぬとえらいけんまくで記者発表をしておるその当事者が、私はこの農林水産委員会を開くにあたってできるだけ今月の早い機会に開催を要求したのでありますが、大臣の日程は、日加閣僚会議から、その後重要な会議で詰まっておって、十八日でなければ帰れない。やむを得ずわれわれはきょうの日を前もって予定しておったのであります。ほんとうにこういう国民が疑惑を持つ、政治献金がいろいろな方面に流れているといううわさがうわさを生んでいる今日、寸刻も猶予せずに問題を率先して究明に当たらなければならない農林大臣が、何ですか、一体、十八日までのスケジュールは。ふざけるにもほどがある。しかも、そのスケジュールはおれのあずかり知ったことではないと国会における答弁では全部下僚にかぶせて、自分はその質問をはぐらかすというようなそういう態度でもって、一体こういう共和製糖の問題の黒い霧をあなた晴らせますか。もっと真剣に取っ組んでもらわなければならぬ重大な問題だ。そこで、ブドウ糖工業合理化を一体今後どう進めるか、政府は率先してそれをいかなる方向を策定しておるかということについても、いまの大臣答弁ではきわめて抽象的である。私の手元にある一つの試案というものもまだ一つの結論が出ていない。出ていないが、少なくともブドウ糖事業の実態を調べなければならないという課題から取っ組む、そういうありさまであります。そうして、企業内における合理化を進める、企業の縮小、整理をしなきゃならない。こういう事態に、スクラップ・アンド・ビルドじゃなくて、単純にただ増設、新設ということに主たる内容を置いたこの細島コンビナートというものに大きな問題を感ずるわけであります。ブドウ糖についてはいろいろ各委員会で取り上げましたが、果糖については、一体、政府は、どういう成算をもってこの計画を確認し、また行政指導をされたのでありますが、これが特に農林中金融資関係があるから、前段で政府の基本的なその態度をお聞きいたしておくわけであります。
  302. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ブドウ糖及び甘味政策の基本は、御承知のごとく、必ずしもでん粉の需要というものが将来に拡大しないと私は考えておりません。ただ、今日、糖価とでん粉価格あるいはブドウ糖価格というもののその比率が必ずしも適正じゃない。そのためにブドウ糖及びでん粉の消費が非常に圧迫を受けているというふうな感じで、必ずしも全部が全部将来この農産物関係のものが不可能であると私は見込はつけておりません。ただ、問題は、糖価、一般の砂糖価格に非常に影響されること、これは事実であります。その意味においてはいまちょうど中間的な変動期に当たるというので、今日の精製ブドウ糖価格が利益と収益というものは非常に圧迫されていると思います。果糖につきましては、これは農林物資というよりも、一般の食品工業という観点で、消費に合わせて生産をされるという——特に日本の国内農産物という意味よりも、食品工業の中における嗜好的なものというので、ある意味においてはその需要に合わせた生産ということで特に農林省がこれに農林省の行政として重点を合わせるというふうな私は感じは持っておりません。ただ、今日は、先ほど渡辺委員の御指摘のように、ブドウ糖と混合をするというところに関連はあったかと私は思います。
  303. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうもはっきりしませんが、次の問題に入ってもっと具体的に伺うことにしますが、共和グループに対する融資は、決算委員会等での答弁は必ずしも一致しておりません。大和田局長答弁、あるいは公庫総裁答弁は、二億ぐらいな違いがあります。二億といえば、あなた方にとっては大した金じゃないだろうが、これはきわめて大きな違いがある。それは別として、私はこれから金融の実態をただすために、前提条件として融資数字を確認いたします。  まず、大沢総裁に伺いますが、公庫でいわゆる共和グループに融資している総額は幾らですか。
  304. 大沢融

    参考人大沢融君) 共和糖化、日本糖化、東洋果糖でございますが、これは先ほどお話が出ましたように四月に合併しておりますが、それぞれ別に申し上げますと、共和糖化として貸したのが七億一千、残高が六億四千、日本糖化が一億二千九百万、この残高が一億二千七百万、東洋果糖が、先ほど来お話が出たように、五億の決定をしまして、四億払い出して、いま現在償還を命じておる、そういうことで、共和グループ全体のあれは十二億三千九百万円で、いま残っておりますのが、四億を含めて十一億六千八百万円、そういうことになっております。
  305. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 残高が幾らですか。
  306. 大沢融

    参考人大沢融君) 総計でよろしゅうございますか。
  307. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ええ。
  308. 大沢融

    参考人大沢融君) 十一億六千八百万円です。
  309. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 東洋果糖の水戸の分は一億二千八百万ですね。あなた、内訳は一億二千七百万といま言うたが。
  310. 大沢融

    参考人大沢融君) 日本糖化の残高は一億二千七百万、これは端数をちょっと切り上げております。
  311. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 なお資金内容を付け加えて伺いますが、共和糖化工業の残高の六億四千万は千葉工場の設備資金だと確認していいかどうか。ついでに伺いますが、日本糖化——合併していまは一本ですが、前の内訳の会社で言いますと、月本糖化の四億は言うまでもなく細島の設備資金だと思いますが、そう確認していいか。東洋果糖の一億二千七百万の残高は水戸工場の設備資金と確認していいかどうか。
  312. 大沢融

    参考人大沢融君) 共和糖化の六億四千は、これは千葉の工場でございます。それからいま渡辺委員がちょっと間違って言われたのですが、一億二千七百万というのは日本糖化水戸の工場です。それから東洋果糖四億というのは、これは宮崎のほうです。
  313. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 東洋果糧が四億ですね。
  314. 大沢融

    参考人大沢融君) そうです。
  315. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それでは、公庫融資内容はこれ以上はないわけですから、次に農林中央金庫に伺いますが、融資の内訳をひとつこの際紹介していただきたい。
  316. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) お話のいわゆる共和グループに対しましての総額の残高は三十二億四千万円でございます。そのうちで、共和糖化工業の設備資金としては、これは千葉工場の分でございますが、これが一億五千五百万円、それから南島開発、これは甘蔗糖をつくっておりますが、これに対するものが一億七千万円、残りの二十九億一千五百万円が共和糖化と共栄糖化に対する短期資金として出ております。
  317. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もう少し詳しく伺いたいのですが、共和グループの融資の中で、共和糖化工業の千葉の設備が一億五千五百万、南島開発が一億七千万、あとは、あれですか、全部細島ですか。
  318. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) それ以外の、いまお話しになりました以外のものは、共和糖化工業それから共栄糖化に対する貸し付けでございまして、その二十九億一千五百万円の内訳は、共和糖化工業が二十七億八千万円、共栄糖化が一億三千五百万円、合計しましてただいま申し上げました二十九億一千五百万円、こういう数字でございます。
  319. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 それで融資先等、内訳は一応わかりましたが、このうち少し立ち入って伺うわけでありますが、設備資金と運転資金という区別があるはずであります。その内訳で言えばどういうふうになっていますか。
  320. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 共和糖化工業の先ほど申し上げました千葉工場関係いたしまする分が一億五千五百万円、これが設備資金になっております。それからおそらく御質問の中にお考えになっての上のお話だと思いますけれども、運転資金二十九億一千五百万円と申し上げましたが、そのうちの十億が設備資金のいわばつなぎ資金というような意味で出ております。
  321. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、私は少し立ち入って伺うわけでありますが、設備資金というものだけを拾い上げてみますと、農林中央金庫では、十億というものを出している。それから千葉共和糖化工業の工場には一億五千五百万出しておる。南島開発に一億七千万のうち、設備が一億で七千万が運転資金だと理解するのですが、そのとおりですか。
  322. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) それは逆だそうです。七千万と一億……。
  323. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 七千万が設備で、運転資金が一億ですか。そうしますと、まず、資金の実態は、総額で共和グループに農林中央金庫が融資している額は三十二億四千万ある。そううち、設備に融資をしているのが、千葉工場の一億五千五百万と、細島に対して十億、南島開発に七千万、こういうことに理解して間違いないわけですね。あとは全部運転資金である。まず一応数字はそういう報告を確認しておきます。  それから開発銀行の融資は何に幾らということになっておりますか。
  324. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 細島共和製糖の精製糖工場に八億円融資をいたしまして、今日までに八千万円を回収いたしまして、残高七億二千万円であります。なお、先般衆議院の大蔵委員会にお配りをした数字には七億四千万円という数字になっておりますが、これはそのとき備考にお断わりしておりますように、今年八月末現在の数字でございまして、その後二千万円の元利償還がふえておりますので、殊高が七億二千万円というふうに相なっております。
  325. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、開発銀行では、現在七億二千万の残高である。細島の設備資金である。内容は精製糖設備であることは先般の質疑で明らかになったわけであります。  そこで、政府関係機関の代表として大沢庫総裁に伺いますが、これは単にあなた方三行だけではなしに、民間金融機関融資しておる。これは、事態がさらに悪化する方向では、それらの金融機関とも当然債権者協議をしなければならぬ。これを一体どういうような内容に現状を把握しておられますか、他の金融機関あるいは商事会社等の融資を。
  326. 大沢融

    参考人大沢融君) 私からお答え申し上げる筋ではないかとも思いますが、三和銀行、宮崎銀行、そういうところからの融資を受けているというふうに聞いております。
  327. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 幾らですか。
  328. 大沢融

    参考人大沢融君) 三和が三億だったと思います。宮崎が一億だったと思います。多少違いがあるかもしれませんが……。
  329. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 われわれでさえも三和が三億細島の設備に融資しておる、固定設備に。あるいは宮崎銀行が地元で一億出しておるということはわかるのですから、さっさと答えるくらいの数字を押ええてかからなければいかぬですよ。  そのほかに融資共和グループにしているという実態がありますですね。それは確認しておられるのでしょう。それを漏らして全体の債権をどう保全するかという対策は出ないですよ。
  330. 大沢融

    参考人大沢融君) 細島の仕事に対する融資はそれ以外にないというふうに聞いております。
  331. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は共和グループとして全体を聞いているんですよ。共和グループ融資が三和銀行あるいは宮崎銀行以外にはあとはなんにもないということでいいのですか。政府は一体どう確認していますか、これは参考人にばかり聞くのも気の毒だから。人ごとじゃないですよ。政府がこれは最高責任者なんだから。いばるときだけが最高じゃないだろう。
  332. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもまだ共和グループに対する調査が十分完結しておりませんから、詳細申し上げることはできませんげれども、三機関が担保として押えておりますものから私どもが把握していることを申し上げますと、一つは、宮崎共和製糖工場財団関係に、いま問題になっております公庫開銀、農中、宮銀以外に、火災保険会社の担保権が一億八千五百万ほどついております。それから農中が担保に取っております高槻の国有林に、根抵当として農中に次ぎまして東食の根抵当が債権の極度額十五億ないし十六億でついてあることを承知いたしております。
  333. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうもよくわからぬが、結局、東食がこの共和グループに十五億融資している、こういうことですか。
  334. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 高槻の国有林の抵当は根抵当で、債権の極度額でございますから、極度額だけ債権を貸しておるかどうかということは全く別のことでございます。
  335. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 十五億を限度として根抵当を設定している、それを聞いているのじゃない。あなたから東食という話が出たから具体的に伺いますが、東食は共和グループにどれだけ融資をしているという数字を確認していますかと聞いているんです。
  336. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私ども、まだ十分数字を確認いたしておりません。
  337. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣、たとえばこういう状態ですよ。あなたが黒い霧を晴らすと言って閣議でも各閣僚にも依頼し、えらいけんまくでとにかく大みえを切った。実態をまるで把握してないじゃないですか。一番東食の融資というのがまた金融の立場から問題点なんですよ。まあこれは大臣にこれ以上言うたって何ともならぬ。あなた方は、もうその資金流用したということを確認し、もう菅貞人という者から詐欺に引っかかっているんだから、それに返還を命じておる。そういう事態に、他の債権者はどれだけの債権を持っているかということは確認しているでしょう。自分の債権だけ回収すればいいというそういうひとりよがりでこれを見ては、全体の対策にはならぬ。どなたかどういう実態を把握しているかを伺っている。
  338. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) ただいまの正確な数字は事務当局のほうも握っておりませんが、大体十五億程度のものが東食から出ておるのではないか、こういうことでございます。
  339. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 以上がまず私の現状認識であります。そういう点から申しますと、総額で七十一億ちょっと切れるわけであります。七十一億というものが共和グループに融資されておる。前の委員会等では七十億という数字も出ましたので、大体七十一億というものが公庫、金庫、開銀を中心として出ておる。これが明らかになっている。  そこで、私は内容として伺いたいのは、東洋果糖に、細島コンビナートの施設に十億出しておるというのですが、これはどういう内容資金ですか。
  340. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 東洋果糖に出しておりますのは、先ほど渡辺さんから昌頭に話がございましたように、細島で甘味食品コンビナートができ、そして果糖のシロップとそれから液状ブドウ糖と合わしていわゆる液糖というものをつくるという計画、これは、砂糖の外国における現状といいますか、消費の実態等から見まして、将来日本もそういった面に相当伸びていくことが予想されるというようなことからいたしまして、東洋果糖に出しておりますのはそういう意味で出しております。
  341. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 液状ブドウ糖とデーツ・シロップとをミックスしてデーソ・デックスをつくる、その設備に出したわけですか。
  342. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 実は、当初の計画は、ブドウ糖と果糖の計画が、ブドウ糖が七十トン、それから果糖が五十トン、そういうことで、ブドウ糖、果糖合わせまして当初計画はたしか二十九億であったと思います。それから精製糖のほうが、当初計画は、先ほど来お話がございましたように、二百トン計画で十五億というようなことであったと記憶いたしておりますが、その二十九億に対しまして、わが方はその事業計画をつかみまして、その二十九億のうちで金庫は十億を出すと、こういうことにいたしたわけでございます。
  343. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 楠見理事長は、大蔵委員会で、この十億は設備に対するつなぎ資金だと答弁されておりますね。そのとおり理解していいのですか。
  344. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) そういうつもりで出したわけでございます。
  345. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 おおよそでいいのですが、これはいつといつ、あるいは一回ならいつ融資をしているのですか。
  346. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) たしか三十八年の十二月が最初だったと思いますが、それが第一回で、三億五千万円、それから第二回、第三回——第三回目は第一回を出しましてからおよそ七、八カ月あとであったと思いますけれども、その間一回三億五千万を出して、最後にいま申し上げました三億を出して、合計十億を出しております。
  347. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 どうも私も金融のセンスが薄くなってわからぬのですが、設備のつなぎということは、かなりこれは長期にわたらなければ回収が困難な資金のはずであります。それは一体どうい  うことになるのでしょうか。
  348. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほど申し上げましたような全体の計画が打ち立てられまして、それに対して政府もそれを御承認になったことと思うのでありますが、それに基づいて開発銀行それから農林漁業金融公庫融資あっせんの依頼をされたと、こういうことでございました。で、その計画の中に、当初は、公庫は八億、それから金庫は十億という計画であったわけであります。そこで、一方にそういう御計画、融資あっせんをお出しになったのでありますから、私どものほうといたしましても、その十億を——まあ当初は十二億というような数字も出てまいりましたけれども公庫とのつり合いからいたしまして十億ということにおさまったのでありますが、そういうことで政府に対しまして御承知の十五条ノニによる申請を一方で出し、一方でそのつなぎとして最初三億五千万というふうに出していったわけでございます。
  349. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 経過がやや明らかになったのでありますが、そうしますと、政府にお尋ねしますが、このコンビナートの三部門の一つである果糖部門というものを政府内容として確認して、まず公庫には融資の推薦をしておる。推薦ということばはことばですが、これはほとんど貸せということと変わりのないことである。他の部門である果糖に対しては、これは公庫では融資ができない。金庫法の規制するところによると、金庫であればこれは融資ができる。融資一つの認可基準もあるわけでありますが、私はいろいろ検討いたしましたが、これは認可の対象の中に入っておる。ここに問題はないというふうに理解するわけであります。時間がないから、質問をなるべく省いて、見解もまじえて先へ進みます。そうしますと、公文書では出ていないけれども、この果糖の部門に対する設備融資なりというものも、これは公庫では出せないわけでありますから、農林中金に対して出せなければ、金利のより高い市中銀行ではとうていまた長期資金も出せない、明らかなことでありますから、何らかの金庫に対する融資の依頼というものが書面ではなしにあったと思うのでありますが、そういうことは政府としてあずかり知らぬというのであるのか、あるいは、この甘味コンビナートを総合的に育成するために、公庫では融資ができないから、金庫で担当させるということで行政指導されたのか、その点はどうですか。
  350. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私は、その間の事情はつまびらかにいたしておりません。中金に対して農林省からブドウ糖あるいは果糖の関係融資をお願いをしたというようなことは承知いたしておりません。(「承知いたしておる者があるだろう」と呼ぶ者あり)
  351. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 あなたは、先ごろ局長になったから個人的には知らぬだろうが、行政庁としてそんなことでいいんですか、一体。大和田個人は知らぬかも知らぬが、金融を担当しておる経済局長が知らぬとは言えぬです。そんな依頼はしない、勝手にやったんだというのですか、あるいは、何らかの行政的な指導をしたのですか、農林省として責任ある答弁を求めます。
  352. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 経済局長といたしましても、そういうことは聞いておりません。(「責任ないと言うんですか」と呼ぶ者あり)
  353. 矢山有作

    矢山有作君 私はそれはおかしいと思うのだ。大体、ブドウ糖七十トン、果糖五十トン、合わせて二十九億の金が要るということで、その当時計画書をつけて融資あっせん依頼があった、政府に対して。それで、その融資依頼を受けて、開銀に対しては、先ほど来問題にしたように、既存の能力はふやさない、合理化するのだからということで五億の貸し付けを決定して、四億を出したわけでしょう。その出てきた計画書の中には、総所要資金が二十九億で、中金から十億、それから公庫から八億、借りる金は十八億、十一億何がしというものは自己資金で充てます、こういう計画書が出ているはずなんです。その計画書に基づいて政府でいろいろ考えた結果、公庫に対しては融資あっせんの依頼状を出している。中金に対して全然知らん顔をしておったということは言えませんよ、これは。融資あっんを申請してきて、計画書がついて、これでなきゃ仕事ができんですからね。それが出てきた以上は、公庫に対して融資あっせんをしたのならば農中のほうはほっぽらかしにしておったのですか、何もせずに、勝手に借りなさいと。私は、そうは聞いておりませんよ。その当時の担当官がおるよ、ちゃんと。(「重大な問題だ」と呼ぶ者あり)——わからぬということはないでしょう、食糧庁が。経済局長がなりたてで知らぬというのならば、まあ不誠意きわまる態度だけれども、それはそれとしても、食糧庁が知らぬということはないよ。
  354. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま打ち合わせましたが、公文書で出ているというようなことはないということははっきりしておりますが、その後のいきさつについては、いま直ちにここで打ち合わせするのもどうかと思いますから、後刻わかり次第に報告します。いまの答弁は、公文書ではないということが経済局長答弁内容です。そのほかにちょっと私もここで急にどうこうともいきませんから、よく事情を取り調べます。
  355. 矢山有作

    矢山有作君 公文書で出ていないのなら、出ていないでいいですよ。だから、その当時のいきさつを、私の話し方に前後したところがあるからわかりにくかったと思うから、まとめて筋道立てていきますと、要するに、ブドウ糖部門が七十トン、果糖部門が五十トン、その所要資金は合わせて二十九億である。それについて、十億は農中を当てにし、八億は公庫を当てにして、残りの十一億は自己資金でまかないますということで融資あっせんの申請が食糧庁にあったはずです。それを受けて、食糧庁は、公庫の分は融資あっせん依頼状を出した。ところが、中金の分はどうしたかということがいま問題なんですよね、中金の分が。そのときに食糧庁内部でいろいろ論議したんじゃありませんか。論議しておるでしょう。そのことを経済局長が知らぬというならいいけれども、食糧庁の担当官は知らぬとは言えないはずなんです。きょうこういう質問が出るだろうということは予想してあなたは出てきているわけだ。
  356. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 食糧庁といたしましては、当時、四十年の春ころ、何かブドウ糖にもう少し設備を大きくしたいというふうな話がこの共和グループのほうからあったようであります。しかし、それが公式文書で出たのではなくて、意見の交換という形で出てきたのでありますが、そのうちにブドウ糖の市況も悪くなり、砂糖の市況もますます悪くなるというようなことから、いつとはなしに現在の段階ではさたやみになっておる、こういうふうに私は了解いたしております。
  357. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうなると、ますますこれは聞き捨てならぬことになるわけです。全体の計画は確認し、金融はさせておる。しかし、業界が不振になって果糖はさたやみになった。明らかに資金流用している実態がある。そのもとを私が尋ねるから、知らぬ存ぜぬでこれはごまかそうとする。これで一体政府の責任ある態度と言えますか。一体、黒い霧を晴らすと大臣が言うて、それもわずかじゃないですよ。十億ですよ。一億の十倍。この金を金庫はおそらくまっ正面に理解して融資したでしょう。その融資にあたって、監督官庁である農林あるいは大蔵省にこれは相談しないはずはない。相談しておる。相談を受けていましたか。
  358. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 私のほうといたしましては、そういうふうな事情を何ら関知いたしておりません。
  359. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 だめだ、そんな答弁じゃ。関知していないなんという無責任なことで、こういう融資を整理して黒い霧を晴らせますか、一体。ますます疑惑を生むんじゃないですか。
  360. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) その間の事情については、早急に取り調べて御報告いたします。  なお、私のほうの文書としては、自己資金という計画になっておると私は記憶しております、文書上は。したがって、その当時のいきさつは早急に取り調べて、明日の委員会にこの問題は農林省として御報告いたします。
  361. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 自己資金としてじゃなくて、設備の計画があるんですよ、果糖の設備の計画が。十五億幾らというものが、総額で。そういう設備の申請があったのに対して、政府はどういう行政指導の任に当たったかということを聞いている。公文書や何かではない。それならば現実に公文書以上に大臣なりあるいは長官がどういう指導を金庫に加えたかということを聞いているんです。
  362. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 文書の上では、たしか自己資金ということになっているはずであります。文書の上では自己資金という金額にそれは入っていると思います。したがって、この問題は、私のほうもあれですから、十分取り調べて、明日の委員会に御報告いたします。
  363. 矢山有作

    矢山有作君 それは自己資金じゃありませんよ。いま言った分の総額が二十九億、そのうちの十一億が自己資金なんです。これで出ているはずです。十八億は中金公庫の借り入れ、こう出ている。だから、あなたあまり不確実なことを数字まで言っておると、あとで抜き差しならなくなりますよ、それははっきりしているのだから。  ところで、これは私がお聞きしたんじゃまことに渡辺さんに相済まぬと思うのですが、政府のほうは何も知らぬと言っているのですが、中金はそのとき十億という膨大な金の貸し付けの申し込みを受け、しかもその当時から中金共和グループの間には取引があったはずですから、したがって、共和グループの経営状態というのを知らないとは言えない。これは認織しているはずです。共和グループの経営状態を認識している、しかもこういうばく大な金を貸すということについて、一ぺんの相談もあなたはせずに、あなたのところで独断でこの融資を決定したんですか。私たちの常識からするならば、融資あっせん状は政府を通じて公庫に出て、そうして公庫が出している。あなたのところでもおそらくその点の経緯は全然知らぬということはない。そうすれば、それぞれ相談ぐらいはしていると思うが、どうですか、相談せずにやりましたか。
  364. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほども申し上げましたように、全体のブドウ糖七十トン、果糖五十トンという計画で、ブドウ糖、果糖部門の二十九億という計画があったわけであります。そこで、その中で全体として金庫が幾ら受け持つかという問題でありますが、先ほど申し上げましたように、当初の過程におきましては、十二億というような数字もございましたけれども公庫が八億しかお出しにならないということであれば、私どものほうはそのつり合いからいってもあまり多く出すのはどうだろうかということで十億にいたした経緯がございます。したがって、その過程におきまして政府との間にそういったやりとりがあったと思いますけれども、私どものほうといたしましては、開発銀行なりあるいは公庫と違いまして純民間機関という立場で、政府のあっせん依頼を文書でいただくとか、そういうことは一切いたしておりません。と申しますことは、そういう文書をいただくことがいい場合もありますけれども、また悪い場合も出てくるわけでありますから、そうなりますと、金庫の自主性というものがそこなわれることになるわけでありますから、私どものほうは、そういう融資のあっせんについての依頼を正式に文書でいただくというようなことはいたしておりません。口頭であるいはそういう話があったかどうかということは私は記憶はいたしておりませんが、しかし、その過程において金庫がどのくらい受け持ったらいいだろうかというようなことで、経過のなにはございましたけれども、私どものほうの融資方針としては、重ねて恐縮でございますけれども、自主性という立場から政府のほうの御命令をいただくというようなことは一切いたしておりません。
  365. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、もう明らかに食い違いが出てきたわけだ。食糧庁のほうはなんにも知らないと、こう言っておるし、中金のほうは相談しただろうと思うと、口頭では。これは相談するのが常識ですよ。これだけばく大な金をあの赤字会社に出すのですから、相談しないほうがおかしい。その相談を受けておって、私は知りませんと言っている食糧庁自体がおかしいんだ、政府がおかしいんだ。そういうばかな話がありますか。それで、しかも、相談を受けて食糧庁のほうでは話がまとまらぬで、設備資金としての長期融資、いま言っておった十五条ノ二に該当するものとしてよう認可しなかったんでしょうが。それが実情でしょう。そういうことを隠してはいけませんよ。正直に言いなさい。
  366. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) よく調査して御報告いたします。
  367. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 調査にも限度がありますから、これは明日までに。  私は、前提として言っておるのですよ。自主的な金融機関という立場から、そういう公文書で規制される筋合いのものではない。金庫法も改正して民主化をされたという今日でありますから、そのき然たる態度はまあいいが、私はそういう大だんびらを聞く前に、この総合コンビナートに対する政府の責任を一体どういうように理解しておるかということで聞いておるわけです。これはかなりの額になるわけです。この総合コンビナート全体の事業費が四十四億三千七百十九万円。このうち、ブドウ糖分は、国会で大沢総裁が言うたとおり、これは十三億四千七百九十五万円、これはそのとおり。精製糖部分が、これは開発銀行副総裁が証言したとおり、十五億百万円。したがって、果糖の設備は、土地に対しては九千百八十万、建物が三億三千百五十万、機械が九億一千二百九十二万、ボイラーの果糖部分が六千万、自家発電が五千万、専用埠頭部分が一億一千万、汚水処理施設部分が三千二百二万円で十五億八千八百二十四万になっておる。この計画に対して、総合コンビナートを総合的に前進させるためには、必ずこれは行政の一つの働きかけがあったと素直にこれは解釈しておるわけです。それはけしからぬという立場で言うのじゃなく、政府の一枚看板の食料品総合コンビナートというものを前進するためには、この事業費を前提としてそれぞれの分担に応じて、政府あるいは政府に準ずる金融機関融資を依頼しておるはずである。したがって、あすの本委員会冒頭にいまの大臣答弁をはっきりと約束をしておいていただきたい。それはいいですね。
  368. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 取り調べて、明日御報告いたします。
  369. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、果糖の設備に対して、農林中央金庫は、十五条の第一項に基づいて包括承認を得ておる範囲内で員外融資をしておる、これはまた法律の範囲内で適法にやっておる、まあこう認めていいと思います。しかしながら、あくまでもこれは設備のつなぎ資金である。これは理事長が繰り返し証言したとおりであります。であるとすれば、当然これは十五条ノ二によって政府は認可をし、長期融資をする責任がある。認可の申請に対してこれはいかような経過を経て却下をしたか、これは農林大臣及び大蔵の担当者の責任ある答弁を求めます。
  370. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 三十九年の八月でございます、農林中金の理事長から大蔵・農林両大臣に対しまして五億の東洋果糖に対する十五条ノ二の貸し付けについての認可申請がございましたことは そのとおりであります。それに対しまして、私ども、食糧庁と相談いたしました結果、この問題につきましては、四十年度においてブドウ糖合理化工場建設に対する問題を総合的に処置することに結論をきめまして、それまでこの申請書を中金に対してお返しした事実がございます。
  371. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これは非常に重大な内容であります。第一、設備資金として短期の十五条によって十億を出しておる、金庫が。その間には政府がこの融資についてあっせん依頼を口頭でしておる。これは松野農林大臣答弁で、していないということであれば、また質問は別個になってきますが、私は常識の上からそうであろうと思う。そうして、その十億の設備資金を、いまの局長答弁によると、五億の申請をした、これは事実ですか。
  372. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 五億の申請をしたのは事実でありますが、その五億の申請をするにあたりまして、十億のうち第一回分として五億ということをつけ加えましてそして申請をいたしております。
  373. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうすると、十五条ノ二の申請はワン・クッションとしてまず五億を出した、次にまた五億を出すという前提で五億を出したんですか。
  374. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) そのとおりでございます。
  375. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうすると、総合的に理解をするならば、あくまでも短期資金として十億を貸したが、申請の手続——私はそういうこまかいことはわかりませんが、第一回分として五億の長期資金を金庫が法律に従って出せるような申請をした。続いて第二次の申請も用意しておった。しかるに、その申請を受けた農林省がこの第一次の五億すらこれを却下した、こういうことに確認していいですか。
  376. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 先ほど私が申し上げたことにも関連いたしますけれども、十億のつなぎ融資を出しましたのは、最初は三十八年の十二月てございます。それから最後が三十九年の九月というふうに先ほど事長が言われたわけです。この十五条ノ二に基づく認可の申請は、つなぎ資金を出しましてから十五条ノ二の申請を出されたわけで、三十九年の八月でございます。したがいまして、私ども三十九年の八月にこの申請を受けましたときは、当然金庫のほうとこのことについての話し合いをいたしておるわけで、私が申し上げましたのは、そもそも十億のつなぎ融資を出すか出さないかということについて農林省といいますか私のうほで金庫にお話を申し上げたということは承知いたしておりませんというふうに申し上げたわけでございます。
  377. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 まあいずれはあす総括して大臣の扱いについての当時の農林省の態度というものを伺わなければなお進まぬのでありますが、大体、金融常識から言いますと、つなぎ資金というものは、あくまでも本資金が決定して、それが基本的な借り入れの手続きがかなり頻雑でありますから、抵当権設定その他の手続がございますから、本資金貸し出し決定がなされた後に、それが資金化するまでの間に資金融資するのが金融の常識であります。しかし、ただいままで伺った範囲によりますと、本資金の申請をしない前につなぎ融資をしておるということは、私はこれを前向きに理解をしますならば、あくまでも本資金の十五条ノ二の認可はしてあるという約束のもとに農林中央金庫がつなぎ資金を出したのでなければならぬと金融常識から理解をするのであります。したがって、もしもあす農林大臣答弁が、これはあずかり知らぬのである、農林中央金庫の自主性を発揮してつなぎを出したのである、したがって細島コンビナートに対する果糖の設備資金として正式に申請があったものは政府はこれを情勢の変化等々によって却下したということになれば、これはまた大きな問題である。どうなんです、これは。金融もいいかげんなものじゃありませんか。
  378. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) どうもその辺が明確ではないんですが、融資あっせんを私のほうから特に依頼したということもどうもはっきりしない、私はこう思いますので、なおもう少し取り調べて御報告するほうが正確かと思います。
  379. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 これはあす大臣答弁を待ってひとつ伺うことにして、次に進みます。時間もあまり経過をして、政府もお互いも御迷惑ですから、ごく簡単にやりますが、設備資金は以上のように非常に責任の所在が明らかでない、きょうの段階では。したがって、これが債権の保全の問題もありますけれども、やがて落ちつく先の責任はどこに重点があるかという問題にもなり、きわめてこれは重要な問題であります。いずれこれはあすの農林大臣答弁を待ってお尋ねをすることにいたしまして、私は運転資金の点について焦点をしぼって伺います。  運転資金は、これは農林中央金庫が重点的に共和グループに対して融資をされておる。一体、この共和グループがブドウ糖を買い入れて製造して販売するに要する全体として見た場合に、運転資金はどれくらいあると見ていますか、政府は。やっぱり包括認証しているんですよ、この資金について。(「答弁々々」と呼ぶ者あり)——私がこれを伺うのは、運転資金として借りながら、その金が政治献金に流れ、個人の財産を肥やし、赤字を補てんしているからです、必要運転資金以外は。
  380. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ただいま渡辺先生からの、運転資金がどのぐらいが妥当であるかという御質問でございますが、ちょっと私どもにはわかりかねるのでございます。
  381. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そんなことじゃだめだ。そんなことで公庫、開発銀行、金庫、三和銀行、宮崎銀行、東食、そういうものに対する総合的なコンビナートの運営の責任の頂点に立っていると言えますか、農林省は。そういう点を確認しないから、ケース・バイ・ケースで、ちょっと持ち込めばまた貸す。それが名目の運転資金であるが、実際は政治資金に流れているのじゃないですか。赤字補てんに使われているのじゃないですか。この根拠を明らかにしなければ、これは他の委員会では取り上げないから私はここで伺っているんです、重複を避けて。それが黒い霧の根源をまたなしている。設備の過剰融資も別個な問題です。短期の運転資金にもそういう問題が伏在している。伏在してないというなら、融資した総額が運転資金として適正な規模であるとはっきり専門的な計数をもって説明してください。
  382. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 暫時休憩いたします。    午後六時五十九分休憩      ——————————    午後七時五分開会
  383. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。  ただいまの渡辺君の質問に対する答弁、また、それに関連する質問等も引き続いてあるかと思いますが、それは明日に繰り延べたいと思います。
  384. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ただいまの委員長の措置について、私は、この際明確に大臣答弁を確認して、次に進みたいと思います。したがって、私のこの最後の質問に対する政府側の答弁は、明日の委員会大臣の御都合で十一時でなければこれは開けないことをわれわれは承知をいたしております。したがって、十一時再開壁頭にこの答弁を持って臨まれる御意思を確認いたしておきますが、よろしゅうございますか。
  385. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいまの質問に対する答弁は、明日、調査いたしまして答弁をいたします。
  386. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 矢山君。
  387. 矢山有作

    矢山有作君 では、私のほうの質問もまだだいぶ残っているんですが、時間が時間ですから、一つだけにします。あとはまた、それ以外の委員の方からそれぞれお尋ねになると思いますので、私の質問は多少数字が出てまいりますから、これをよく確認しておいて御答弁願いたい。  中金の楠見さん、おられませんか。
  388. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止
  389. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を始めて。
  390. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、参考人の方にはまことにお気の毒なんですが、しかし、問題が問題ですから、一応私が予定しておる質問は、一、二を除いて、一つだけはきょうじゅうにさしておいていただきたいと思いますので、お尋ねします。  まず、最初に、中金の楠見さんにお尋ねするんですが、私のほうから、言いますからこれが間違いがなかったらそれを確認してください。そして、答弁を簡潔にしていただいて、なるべく早くやりたいと思います。  共和製糖グループに短期資金として貸し付けた総額は三十億一千五百万円。そのうちで一番の大口が共和糖化工業の二十六億八千万円。ただ、この中には銀行保証の分だけを抜いております。この数字で間違いありませんか。
  391. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 間違いございません。
  392. 矢山有作

    矢山有作君 それで、その短期貸付に対する担保物件の評価が、あなたのほうからいただいた資料によると四十億七千二百万円、こういうことになっておりますが、これの内容を一応あなたのほうで数字だけ述べてください。
  393. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 四十億七千二百万円という数字は農林省のほうからお出しになった数字だと思いますが、そのうちの担保評価額を横浜工場を一ちょっと矢山さん、私たいへん失礼ですけれども、一億の銀行保証の分も入って評価してありますから、ちょっとそこが違うかもわかりませんから、その点はあらかじめ御了承いただきたいと思います。
  394. 矢山有作

    矢山有作君 はい。
  395. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 横浜工場が二億八千三百万、それから宝不動産のビルが五千八百万、それから共和糖化の千葉の土地それから神戸の土地、これが二億五千一百万、それから今度まあ共和糖化になっておりますが、旧東洋果糖の宮崎工場土地が一億七千九百万、それから共和製糖宮崎工場が三十三億一百万、それから銀行保証が一億、合計ただいまお述べになりました四十一億七千二百万、こういう数字になっております。
  396. 矢山有作

    矢山有作君 それではっきりいたしました。おっしゃるとおりなんです。  それで、次は、共和製糖工場財団の評価を三十三億余にしておるようであります。ところで、これに関係してお伺いしたいのは、この工場財団の評価額の三十三億余円というものはいま明らかになったのですが、この同じものを公庫開銀それぞれ評価しておられるのですね。その評価額、それからその内容が明らかであるならば、その個々の物件別にどういう評価をして、その総評価額がどれだけになったかということを公庫なり開銀なりのほうからお答えください。
  397. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 過般、これは大蔵委員会でございましたか、お配りをしてございまするが、十九億二千五百万というのが私どもが提出いたしました細島工場の現在担保に相なっておる物件評価額でございます。これはまだ取得早々と申しまするか、でき上がったばかりの工場でございますので、取得価額と申しまするか、帳簿価額と申しまするか、でき上がった値段で評価をいたした金額でございます。——ちょっとつけ加えて申し上げますが、これは四十年の九月だと思いますが、財団を設定をいたしました分に対するものでありますから、そのときに財団に組み入れました分の評価額ということに承知をいたしております。
  398. 矢山有作

    矢山有作君 公庫は同じですか。
  399. 大沢融

    参考人大沢融君) 全く同じです。
  400. 矢山有作

    矢山有作君 この内容をもっと詳しくお聞かせ願いたいのですが、まあ時間の関係がありますから、十九億二千五百万円という評価を公庫なり開銀両者がなさったその基礎になる個々のものについては、きょうお伺いいたしません。しかし、できるなら、これは私は資料として出していただきたい。  そこで、いまの話を聞きますと、農林中金宮崎工場財団に対する評価は、これは三十三億余になっておると。それから開発銀行なり農林漁業金融公庫のほうは、いまお話しのように十九億二千五百万と、こういう評価をしておられる。しかも、十九億二千五百万の評価は、いわゆる必要とされた設備に対して支払いをした金ですか、そういったものを基準にして評価したというふうな意味の答弁だったんだろうと思うのですが、そういう評価をしておる。ところが、十九億と三十三億というと、これはたいへんな相違が出るわけですね、評価に。一体、この大きな評価というのは、どこからこんな大きな評価が生まれたのか。一億や二億の評価の相違というなら、まだこれは理屈もたちますが、倍半分の開きがあるようですから、この理由はどういうことでしょうか。
  401. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 開発銀行と公庫との間には、いまお聞きのように、そう大きな評価額の相違はないわけでありまして、大きな差異があるのは金庫との間にあると思います。  そこで、一体どうしてこんな大きな評価の差が出たかということを考えてみますと、ただいま石原総裁からお話がございましたように、開発銀行のほうは、当初の二百トン計画でもって評価されたのではないかと思うのであります。私どものほうの評価は、その後、その当時入っておりませんでした、たとえば汚水処理施設でありますとか、そういったものも入れまして、本年に入りまして工場財団を組成している登録物件と申しますか、登録物件について会社の帳簿価額を見まして、それによっていたしましたのが約二十九億何がしでございます。それに、その後の、あるいは発電設備だとか、今後増設されるであろうというものも評価の中につけ加えまして、将来の投資といいますか、こういうものもつけ加えて、これが約四億足らずになると思いますが、そういうものを合計いたしまして三十三億になった。そこに大きな違いがあるのではないかと、こういうふうに私どもは承知をいたしております。
  402. 矢山有作

    矢山有作君 銀行局長、経済局長、お聞きしますが、いま農林中金がお答えになったようなでたらめな担保の設定というのがあるのですか。これは、私は非常識きわまる話だと思うのです。説明を聞いておられたでしょう、答弁を。しかも、同じ共和製糖工場財団を設定しているんですよ。それに対して、いまのような楠見さんの答弁でいいのですか。しかも、発電機その他、これから増設されるであろうと思われるものまで含めて評価したというのです。こんな評価がありますか。銀行局長と経済局長に私は金融常識の上からお伺いしたい。
  403. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 担保物件の評価で十九億と三十三億の違いでございますが、いま理事長が言われたように、公庫開銀は四十年の六月の評価でございます。農林中金は、それから約一年たってからの評価であると承知しております。そうして、評価のそれぞれの内容土地建物等に対する評価はほとんど違っておりませんで、機械設備に対する評価が非常に違っておるわけでございます。三十三億の中身についてはいま理事長が言われたとおりでございますが、私ども先ほど大臣から十一月上旬には詳細御報告申し上げるということの一つのポイントとして、その担保物件の組成なり評価なりの問題をいま慎重に検討をしている最中でございます。
  404. 矢山有作

    矢山有作君 私が聞いておるのは、あなたが御答弁になったことはあとで問題になりますからもう一度聞きますが、いま楠見さんがおっしゃったのは、これから増設されるであろう施設まで含めて財団の評価をやったと、こういう御答弁になっているんですよ。そういうでたらめな抵当権の設定のしかたというものが金融常識であるのですか。これは、銀行局長、どうなんですか。私は聞いたことがないね、こんなことは。
  405. 澄田智

    説明員(澄田智君) ただいま実は私楠見理事長答弁されましたところを的確に聞き取れません点がございましたので、いまその点は、かりにこれから追加されるような施設、そういうものを含めて財団として評価をするということであると、それは少し評価の方法としてはおかしいのじゃないかと、こういうふうに思っておりますが、先ほど経済局長からの答弁にありましたように、いま、財団組成の内容、それから担保の評価等についきましては政府側として調査をいたしておりますので、調査の結果によって判定いたしたいと考えております。
  406. 矢山有作

    矢山有作君 結果で判定でなしに、銀行局長もはっきりおっしゃったほうがいいと思う。こんなでたらめな担保の設定のしかたというのは私は聞いたことがない。これは非常識きわまる。これからできる設備まで加えて財団として評価して抵当に取る、そんなばかなことがありますか。第一、それだけの設備がこれからできるかどうかわかっちゃいないでしょう。金融機関が一番よく知っているはずだ、あそこの経営状態は。そんな無責任なことを言っていたんじゃ、あなた方いくら善処々々と言ったって、そんなものは善処になりませんよ。  それで、じゃお伺いしますが、いまおっしゃった四十年の六月に評価したとおっしゃいましたね。それから財団の設定登記をしたのも四十年の六月とおっしゃいましたが、これは間違いありませんか。
  407. 石原周夫

    参考人石原周夫君) 先ほど四十年九月と申し上げましたが、四十年六月の間違いでございますが、四十年の六月に財団を設定をいたしまして、そのときにおきまする取得価額をもちまして評価ということで申し上げておる次第でございます。
  408. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、楠見さん、おかしいな。あなたの担保の評価のしかたがこれはめちゃめちゃなんです。これはどう思いますか。こんな評価は、大臣も、いまの話を聞いて、これを適正な評価と言えますか。両方からひとつ意見を聞かしてくださいよ。
  409. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 財団の評価されます場合には、別添表示の物件のとおりと、こういうもので、財団それ自体には幾らという表示はしないと承知いたしております。そこで、別添表示の物件というのが、工事がどんどん進んでいきますと、そのつど加わっていく。矢山さんはくろうとのようですから、あるいは私の言っておるのは間違っておるかもわかりませんが、私はそういうふうに聞いておるのですが、したがって、刻々に新しいものが物件として表示されると、その物件についてどれだけの価格であるかということを会社にある帳簿によってその価格を表示しておると、こういうことのように承知いたしております。しかし、この点は、先ほど開発銀行のほうからもお話がございましたが、私どももこの点はさらに現地で十分に精査をいたして、もし間違っておればこの点は修正しなければならぬと思いますが、とにかくいま申し上げたようなことで処理をいたしてまいったわけでございます。
  410. 矢山有作

    矢山有作君 あのね、これははっきりしましょうや。こういう、これからできるかできないかわからぬ、将来においてできるであろうという施設までを入れて財団として評価するのが正しいのか、正しくないのか、これははっきりさしたいと思うんです。これは、銀行局長、あなたのほうからはっきり言うてください。これは言えるはずです。現在ない施設を将来つくって、それで財団として見てそれを評価するということが正しいか正しくないか、これはっきり言うてくださいよ。
  411. 澄田智

    説明員(澄田智君) 現在ない施設で将来設定されるというものを予想して、そしてこれを財団の評価として入れるというのは、私はそれは評価の常識から言っておかしいんじゃないかと思います。
  412. 矢山有作

    矢山有作君 そのとおりです。それが金融常識ですよ。楠見さん、あなた、農林中金の理事長をしておられて、そういう金融常識に反したことをやられるというのは、これはたいへんですよ。そんなむちゃなことをやってもらったんじゃ困るんですがね。あなたのほうは財団設定はいつやったんですか。私は、四十年六月、一緒だろうと思うんですがね。
  413. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 財団設定については、公庫なり開発銀行と同時でございます。
  414. 矢山有作

    矢山有作君 そうでしょう。
  415. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) ただ、先ほど申し上げましたように、別添表示の物件がだんだん変わってきておる、こういうことは先ほど申し上げましたとおりでございます。
  416. 矢山有作

    矢山有作君 だから、財団として設定した時期が同じであるならば、その時点で評価をしなければいけないわけですよ。その財団をあとから加わるものがどうだとかこうだとかいうことは、財団評価じゃないんですよ。抵当財団をわざわざ設定して登記簿をつくって登記したんでしょう。それを評価しなきゃ。あとからあなたの言う汚水施設ができたと称するなら、これは財団外ですよ。それをあなたわからないんですか。
  417. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) それは、先ほど申し上げましたように、あとからできた施設は別添物件としてどんどん入れていくと、こういうふうに私は承知しております。
  418. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、お伺いしますが、別添物件としてあなたはその財団に入れていったとおっしゃるが、何を入れたのですか。財団の登記簿を見せてくれますね、それじゃ。何を入れたか、あなたが入れたものをここではっきり示していただきたい、あすにでもいいから。財団の設定登記をしているはずです。だから、その登記簿を見せてください。
  419. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私は、実は具体的な内容は部下のほうから報告を徴しまして、それによっていま申し上げたようなことを御答弁として言っておるわけであります。何を入れたかということについては、私は詳細承知をいたしておりません。あしからず……。
  420. 矢山有作

    矢山有作君 だから、あなたは承知していなくても、きょうあなたについて事務担当の責任者が来ておるはずだから、財団設定登記をした四十年の六月以降にどういうものが新しくできて、これを正式に財団の中に登記したというなら、そのことをはっきり、事務の責任者が来ているのだから、私はわざわざきょう担保物件について聞きますよということをあなたのほうに通告してあるのですから、その準備ができてないはずはないんです。おっしゃってください。
  421. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) その資料は、整えまして、明日にでも提出さしていただきたいと思います。
  422. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、その財団の登記簿も同時に出してくださいよ。登記簿を出していただけますね。謄本の写しをとればすぐとれるでしょう。
  423. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) ほかのほうの関係の方とも御相談申しますが、宮崎県でございますから、あすというわけにはいかないのじゃないかと思うのですが。
  424. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、昨年の六月に財団設定登記をやって、それから新しくできて加えたとあなたおっしゃるのだから、加えるためにはそれもちゃんと登記簿に載っているはずだから、それも早急に宮崎から取り寄せてくださいよ。これは約束できますね。
  425. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私の先ほど申し上げましたのは間違っておったようでございます。いま事務のほうからの話が、三十三億と、こういうふうに評価をしておるので、財団の組成額というものとは別にいたしておるんだそうでございます。
  426. 矢山有作

    矢山有作君 そういうふうにこちらが聞いていかなきゃ実際のことが言えないというのだから長引くのですよ。だから、財団としての評価は、四十年六月に設定登記をしたその時点でじゃあなたのほうは三十三億余の評価をやられたわけですか。そうすると、それにはあなたがおっしゃったようなあとからできたと称せられる汚水施設や発電機は加わっていないということになりますね。これははっきりしてください。
  427. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 他の金融機関がおやりになりました四十年六月に私どもも大体十九億余の評価をいたしておるようでございます。
  428. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、財団設定のときには十九億の評価しかしてなかったとあなたはいまおっしゃったね。なぜ国会に提出される要求資料に対してそのことを明らかにしないのですか。これを見ると、あなたのほうから提出された資料ですよ。これを見ると、「共和製糖工場財団評価額三十三億一百万円」となっておるじゃありませんか。なぜこういう不確実な資料を出すのですか。これこそ国会をなめているものでしょう。十九億何がしの財団に対する評価書を出して、その後こういうものができました、その評価はこういうふうになっております、これも担保にとっておりますと言うならわかりますよ。
  429. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 農林省のほうから、私がいただいております評価につきましては、「共和製糖宮崎工場評価額三十三億一百万」ということになっておりまして、工場財団云々というふうにはなっていないように私ここにその書類を持っておりますから、そういうことじゃないんでしょうか。
  430. 矢山有作

    矢山有作君 そういうことじゃないんでしょうかじゃない。あなたのほうから提出された「四十一年九月五日」、この日付までぴしっと打ってある。そうして、提出された資料の二枚目のところにちゃんとあなたのほうでは「共和製糖工場財団三十三億一百万円」と書いてあるんですよ。そんなでたらめな資料を国会に出しているんですか。事務当局はどうしたんだ。
  431. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私のほうからは、いまお話しのような書類は出していないと思いますが……。
  432. 矢山有作

    矢山有作君 出ています。私は盗んできたのじゃないですよ。私はどろぼう癖はありませんからね。(笑声)
  433. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 九月五日ですか。
  434. 矢山有作

    矢山有作君 九月五日です。
  435. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いま御指摘の九月五日の資料は、私も調べますけれども政府から正式に委員会等に出した資料ではないというふうに思っております。
  436. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、私が持っておるこの資料をどこからか私が盗んできたことになる。そんなばかな話はない。じゃ、そんならこの資料のことは言わぬとして、会議録には全部工場財団ということの対象で議論がなされておりますよ、会議録を見ると。その会議録では三十三億になっている。だから、やはりあなたのほうでは工場財団を三十三億に評価したでしょう。それが誤りであったということで、四十年六月に設定をしたときには他の二行と同じように十九億幾万でしたとおっしゃるんなら、私は、あなたのとんでもない大きな間違い、国会をごまかそうとしたこと、そういうことは許せませんけれども、十九億でしたということだけは一応それは聞きましょう。それでいいんですか。
  437. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 国会を欺瞞したとかあるいはごまかすつもりで申し上げては絶対にございませんから、その点は御了承いただきたいと思います。ただ、私が事務のことを十分承知をしなかったために不満足なお答えなり御報告をしたといたしまする点は、これははっきりとお断わりをしなければならぬと思います。それで、ただいまも確かめましたところ、財団組み入れ分としては他の銀行とあまり変わりはない、ただ、宮崎工場の評価としては先ほど申し上げたようなことになっております、こういうことで御了承をいただきたいと存じます。
  438. 矢山有作

    矢山有作君 そうするともう一度、大事な点だから確認をいたします。要するに、宮崎工場財団に対する評価は、これまでいろいろと述べられたのは誤りであって、はっきり四十年の六月財団設定当時の評価で十九億余の評価をやりました、こういうことで確認をいたしてよろしいですか。
  439. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 財団の点につきましては、いまお述べになりましたとおりでございます。
  440. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、三十三億というものは、あなたの話から言うと、宮崎工場ということで評価をしたら三十三億になるんだ、こういうことですから、財団とは別個にして、宮崎工場全体を三十三億というならば、それならば財団設定の昨年六月以降に新しくどういうものが十四億の相違が出るほどばく大なものが加わってきたのですか。
  441. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 土地、建物、構築物等においてはそう大きな相違はございません。機械関係で大部分の差異が出てまいっております。この点は、二百トンの設備と五百トンの設備による機械の評価の違い、こういうふうに理解をいたしております。
  442. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、それは違いますよ。私が先ほど言いましたように、きのう機械を発注した先に問い合わせたところが、四億一千幾らと申しましたね、先ほど。あれは発注を受けたと言っているわけです、砂糖機械としてね。ところが、それ以外には機械の発注は一切受けておりませんと言うんです。それ以後加わった機械は何があるかといいますと、私のほうから申し上げると、それ以後加わった機械としては、四十一年の二月にこれは完了しておりますが、九千九百余万円、まあ大体一億程度の機械が納入されておる。たった一億ですよ。とてもじゃないが、十九億と三十三億を比べると十四億も開きができる。これではちょっと間尺に合わぬ、相違が大き過ぎて。どうなんですか、その点。
  443. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) これは、先ほど申し上げましたように、機械で二百トン分の機械とそれから実際は五百トンの機械が入っておるのでありますから、その差というものは当然あるのではないかと思いますが、したがって、まあ私どもここで常識的に考えても、二百トン分の機械と五百トン分の機械はそれはまあ当然大きな差があると思いますが、しかし、先ほども申し上げましたように、その点につきましても、現地に当たりまして十分にそれを検討を加えて、もしあやまちがあればそれは修正をしていく、こういう態度で臨みたいと思っております。
  444. 矢山有作

    矢山有作君 先ほど質問をあなた全然抜きにしてものをおっしゃってはいかぬ。先ほど来私が言っているのは、私が調べたら、第一回の三百トンの精製施設と製品包装機とを合わせて四億一千幾らの機械を受注いたしましたと。三百トンですよ。それから現実には五百トンになったのですが、差の二百トンは、どこで発注をし、どこでこしらえたか。これは、調べたところが、私の手元にわかったのは、第二回目の増設分としては、先ほど言いました九千九百余万円、そのほかにこまごましたものが百五十万ついておりますが、しかし、総額にして一億円にはなりません。その第二回分の増設機械の据えつけを四十一年の二月に完了いたしましたと、こういうことを向こうははっきり言っておるんです。それ以外には機械の発注は一切受けておりません。それはあなたどうするのですか。あなたのおっしゃるように、現在五百トンなら五百トンとおっしゃる。三百トンが五百トンになった、機械が差がついたのだとおっしゃる。私は、現在の五百トンの設備能力がそういうふうにしてできているのだと言っているんです。そうすると、四億一千幾らと一億ほどですから、五億一千ほどしか機械にはかかっておりません。ですから、財団登記以後はそれしかふえていないのです。機械は、何かほかに機械があるのですか。あるなら、どこにあるのか、どこから納入さしてどこに発注したのか、それを言ってください。
  445. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) その点は、先ほども申し上げましたように、私どもも十分に精査をいたしてはっきりといたしたいと考えておる段階でございます。
  446. 矢山有作

    矢山有作君 まさにでたらめであるということがここで暴露されてきたわけですね。それと、もう一つ、あなたのほうからネタを出されたから言いますが、自家発電も将来できるものであろうということで自家発電を加えておるとおっしゃったですね、たしか。工場評価の中に自家発電が加わっているのですか。これは自家発電の機械が入って設備完了しているのですか。どうなんです。
  447. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 自家発電の機械は、工場に現在あって、据えつけるまでの段階になっておるそうでございます。
  448. 矢山有作

    矢山有作君 それは違いはしませんか。私はこれもきのう調べたんですよ。
  449. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) メーカーの工場だそうです。
  450. 矢山有作

    矢山有作君 もう一ぺん言ってください。何ですか。
  451. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 自家発電の機械類はメーカーのところの工場にあって、それで据えつけるのは間もなくだということでございます。
  452. 矢山有作

    矢山有作君 これは私はきのう確認したんですよ。その機械をつくっておるところ、それから機械をつくるのにその中へ入っている業者がありますからね。そうしたら、こう言っているんですよね。大体自家発電施設は四億二千万円ですと。その代金は手形でいただいております。現金は一文も入っておりません。それでその支払いの仕方は分割払いになっておりまして、手形が最初に一部落ちるのが四十二年の三月の末です。それから毎月分割払いにして、最終的に済むのは四十五年の八月末ですと、こう言っているんです。現品はまだ未納ですと。これは向こうが持っていると言うんですから間違いないですよ。あなたは現場にあるとおっしゃった……。
  453. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) いや、メーカーのところにあるということを申し上げたのです。
  454. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、この自家発電機械はまだ納入されておらない。据えつけはもちろんしてない。そうすれば、これを工場の評価の中に加えるということは誤りである。このことは、銀行局長がおっしゃったとおりということになりますね。そうすると、あなたは、十九億の評価当時からふえたものとして指摘されたものはとにかく機械だと。その機械は、私のほうからはっきり言って、四十年の六月以降は一億ほどしかありませんぞと申し上げておるわけです。それに自家発電は入っていないのだから、問題になりません。金融常識からいって抵当に取るということはできません。そうするならば、十九億プラスの一億でわずか二十億の評価ですね。それが三十三億に水ぶくれしているわけです。これはとんでもないからくりじゃありませんか。そうお思いになりませんか。私はからくりだと思うんだ、これは。
  455. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 私どもは特別にからくりをして申し上げておるのではございませんで、財団組成の物件についてそれぞれ会社の帳簿に照らしましてそうして評価をいたしたのが、先ほど申し上げましたように二十九億何がしでございまして、それからいま問題になりました、これから入るであろうというものも入れておりますのが、それが三億六千万円余でありますから、それで合計いたしまして三十三億になっております。したがって、調査をいたしました結果、財団組成物件の評価で会社の帳簿に載っております金額を信用して評価をしておるわけでありますけれども、それが精細当たりまして間違いであるということになれば、これは当然修正をしなければならない、こういうことになりまするし、また、メーカーの手元にあって、まだ入っていないというものは、これは除くというふうにせざるを得ないと存じます。
  456. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、とにかくいま十九億の評価が三十三億になった水ぶくれをあなたおっしゃったわけですが、水ぶくれではっきりしているのは、いまの機械だけですよ。未納のものを担保に考えちゃいかぬということは銀行局長がはっきり言っているんだから、これはだめ。そうすると、三十三億になるのは、ほかに何があるのですか。ほかにあなた汚水処理施設をおっしゃった。これを何ぼに見ているのですか。こんなものじゃ、とてもじゃないが届きませんよ、この大きな開きには。汚水施設を何ぼ見ているのですか。
  457. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) ただいま財団組成物件をこちらで会社の帳薄によって評価をいたしたということを申し上げました二十九億三千万円余でありますが、これの内訳といたしまして、土地、建物で七億二千七百万円、それから構築物、これは専用埠頭だとか、用水排水の施設だとか、それから道路でありますとか、こういった構築物でありますが、それが三億五百万円、それからいま問題になっております機械でありますが、機械が十九億余ということになっております。この機械の点が一番大きな相違ではないかと、こういうふうに思われます。
  458. 矢山有作

    矢山有作君 いまおっしゃった問題は、実情とは全部食い違いが出ております。出ておりますが、時間の関係があるから私は言いませんが、要するに、機械一つ例にあげれば、十九億、これはでたらめきわまる。実際に納入した機械の評価額は、とにかく四億一千万にプラス第二次の増設工業としてこっちは一億ほどで、五億一千万ほどしかないんですから、それに対して十九億というようなでたらめな評価をやっておるということは、これは論外ですよ。しかも、いまおっしゃった建物の評価にしても、あるいは埠頭工事費にしても、工事費に不正があるということは、かつて決算委員会で指摘されたところですから、その問題は私は触れません。機械だけを取り上げても、こういうでたらめなんです。そんなことで債権の保全ができる担保のとり方であるということは絶対に言えない。それはあなたも納得されますね。そのくらいのことは納得できるでしょう。そんなでたらめな……。
  459. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 先ほど申し上げましたように、精細に調査をいたしておりますから、それの結果に基づきまして修正すべき点は修正いたしたいと存じております。担保の点につきましては、私どもは全体の先ほどお話し申し上げました三十二億という金を出しておりますから、それはひとりこの宮崎工場だけにとどまりませんで、他の物件の担保をとっている。したがって、そういうことでできるだけ今後ももしとり得る担保がございますれば、増し担保を徴するということも必要になろうかと思いますが、今日のところできるだけ債権確保については遺憾のないように努力してまいりたい、かように考えております。
  460. 矢山有作

    矢山有作君 とにかく、いままでの話で、全く担保のとり方、評価のしかたを含めて、もう大でたらめも大でたらめ、言語に絶する大でたらめをやっているということがはっきりしたわけです。昨年の六月の段階は十九億、これは財団設定として評価をしている。このことをあなたがおっしゃった二十九億に水ぶくれをする根拠は何もない。私が指摘したとおりです。何もない。ただ、これから据えつけられるであろうというものを入れて評価をしていくならば、二十九億になったり三十三億になるということです。そういう評価のしかた、担保の設定のしかたは間違いであるということは、これは銀行局長が明言したとおり。そうすると、あなたは、重要な農民の金を集めて、そうして貸し付けをやっているんですよ。しかも、農民がはたしてこの資金がよく使えていますか。ほとんど農民は使えないでしょう。そういう貴重な金をそういうようなところにぼんぼん出して、しかも、今日は、相手の経営状態を見ると、債権保全に大きな問題が出てきているんですよ。私は、きょうは、時間の関係で、細島工場財団関係のことだけを焦点に言いました。しかしながら、ほかの担保についても全部疑問がある。そういうやり方をやっておって責任が果たせるかというんです。ただ自分のふところから出す金とは違いますよ、この金は。その点をよく認識してください。
  461. 楠見義男

    参考人(楠見義男君) 農民の金であるから、あるいは一般の金であるからというのではなしに、私どもはすべてお預かりしている金は大事に運用しなければならないし、また、その運用についてもできるだけ効果的に活用しなければならぬと考えております。したがって、この細島計画に対して私ども融資をいたしましたのも、これはもちろん法律の制約もございますけれども、農民のために、畑作農家のためにこの計画は非常にいいと、こういうことで出発をいたしたわけでありまして、このことは、先ほど地域開発ということばもございましたが、私どもは南九州の農家のためにも非常に有効な計画であったと、こういうふうに承知をして出発をしたわけでありますが、しかし、やってみた結果、もしあやまちがあれば、その点は十分改めなければなりませんし、特に債権確保については、これも先ほど申し上げましたように、ただつぶしてしまうというのではこれは元も子もなくなってしまうのでありますから、債権確保については十分に今後努力をしていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  462. 矢山有作

    矢山有作君 いまの答弁では、答弁にならぬわけです。間違いであったならばとおっしゃるけれども、すでに間違いであったということが明らかなんです。担保の評価のしかた、設定のしかた、すべてでたらめです。でたらめの一語に尽きる。財団の評価が十九億である。それを三十三億に出してくる。そうして、三十三億はおかしいじゃないかと突っ込まれてくると、今度はこういう施設があった、こういう施設があった、それを財団に加えましたと言う。財団にあとから加えられるか加えられぬか、そういうふうなことの常識がこちらになしに質問していると思ったら、大間違いです。そうして、突っ込めば、財団に入っておりません、工場として評価しましたという。それじゃ、去年の六月の段階より以上に十億の水ぶくれができるような評価の根拠がどこにあったかと言うと、何も出てこない。そういうでたらめな評価をしておったのでは、これはもうすでに間違いであるということになりましょう。銀行局長も間違いであると言った。間違いであるという前提に立たない限り、改善できない。言いのがれをしておったのでは改善はできない。だから、ここまできたのは間違いであった、その上に立って今後改善するとおっしゃるなら、それはあなたの正直な態度は認めますよ、誤りは誤りとして。しかしながら、それがなおかつその段階で誤りがあったなら、これはあまりにも言い方が、何とかたけだけしいということがありますが、そのたぐいですよ。これは全くけしからぬ。政府のほうはこれはどう思いますか。こんなことをやっているのは、あなた方が、これをやっているのを監督官庁としてのんべんだらりんとして見ておったのか。一体、どう考えるか、政府のほうから答弁してください。
  463. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 先ほど申し上げましたけれども、本件につきましては三機関及び政府において現在慎重に調査中でございます。十一月の上旬には詳細御報告申し上げることができるだろうと思います。
  464. 矢山有作

    矢山有作君 もうあなた方を相手にいくらやってもどうにもならぬ。どうにもならぬということは、私はあきらめたということではないですよ。あなた方がでたらめであってどうにもならぬということですから、これはちゃんと認識しておいてください。  それで、私は委員長のほうにお願いしますが、農中がいかに細島工場財団についてでたらめな評価をやっているかということも、いま明らかになったとおり。なお、工場財団と言わないならば、細島工場についてもでたらめな評価をやっているということは明らかになったのでありますから、したがって、これを向こうで調査しますと言っているのですから、早急に調査をして、その調査結果を委員会報告してもらいたいと思います。その点、どうですか、委員長
  465. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 先ほどから、農林大臣は、この件については詳細な調査をして、十一月の上旬ですか、そのころには詳細な報告ができるだろうということを再々農林大臣からも言われておるわけですから、そういう際にあわせてひとつ報告してもらえるものだというふうに理解しております。
  466. 矢山有作

    矢山有作君 最後に、もう一つだけ言っておきます。この細島工場財団の評価をめぐる問題については、さらに関連が出てきます。これは旧国有林の高槻市内にある山です。あれの評価をめぐってまた問題が出てくる。これとの関連でこういうようなでだらめな評価をやって当面を糊塗しようと考えたのだろうと思う。そうなると、高槻山林の評価の問題にまで入っていかなければならぬ。さらに、高槻山林をめぐっていろいろな問題が起こっているところに入らなければならぬ。しかしながら、きょうは時間がありませんから、これでやめておきます。しかしながら、少なくともいままで抵当権設定のでたらめな状態がはっきりしたのだから、これも政府のほうで責任をもって処理してもらいたい。あなたは監督者として責任がある。なお、大蔵省のほうも、あたたはそれは全く間違いだとおっしゃるなら、でたなめな処理をおやりにならずに、これは監督官庁としてあなたのほうも今後の態度というものを明確にしてもらいたい。
  467. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 監督官庁として責任の上においてこれは処理いたします。
  468. 澄田智

    説明員(澄田智君) 大蔵省といたしましても、いま農林省と共同して調査をいたしておりますので、調査の結果を待ってその問題の処理に当たりたいと思います。
  469. 矢山有作

    矢山有作君 これで最後にします。それで、調査した結果、私が一時過ぎ以来いろいろとやっておりますが、貸し出しのあり方についても、担保のとり方にしても、将来の債権保全についても、きわめて問題がある。この点は、政府のほうは、それに対する事後処置をどうするのか。このままでほうっておいたのでは、これは片がつきません。すでに、農民のほうからは、農中不信の声が上がっている。われわれの預けた金が一体どこに使われるのだということに大きな不満を持っている。不安を持っている。したがって、これはどうかあなたのほうで厳重な処理をして、そしてそれぞれ責任ある処置を責任者の人にはとってもらいたい。
  470. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本件に関しましては、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後七時五十九分散会      ——————————