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1966-10-28 第52回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月二十八日(金曜日)    午前十一時三十三分開会     —————————————    委員異動  十月二十五日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     中沢伊登子君  十月二十六日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     前川  旦君      黒柳  明君     北條 雋八君  十月二十八日     辞任         補欠選任      中村 英男君     加瀬  完君      前川  旦君     鶴園 哲夫君      野々山一三君     小柳  勇君      北條 雋八君     渋谷 邦彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 山本茂一郎君                 加瀬  完君                 小柳  勇君                 鶴園 哲夫君                 山本伊三郎君                 渋谷 邦彦君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  上林榮吉君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        防衛政務次官   長谷川 仁君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (防衛庁に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、片山武夫君が辞任せられ、その補欠として中沢伊登子君が選任され、また、去る二十六日、黒柳明君が辞任せられ、その補欠として北條雋八君が、同日鶴園哲夫君が辞任せられ、その補欠として前川旦君が選任され、また本日、北條雋八君中村英男君、前川旦君、野々山一三君が辞任せられ、その補欠として渋谷邦彦君、加瀬完君、鶴園哲夫君、小柳勇君が選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) この際、上林防衛庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。
  4. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 当委員会は私のお世話になる委員会でございますが、就任以来正式にごあいさつ機会がなくて今日に至ったわけでございますが、どうかいろいろと御指導、御支援を賜わりますよう、心からお願いいたしまして、一言だけごあいさつを申し上げます。
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは国の防衛に関する調査を議題といたします。  なお、関係当局からの御出席は、上林防衛庁長官長谷川防衛政務次官海原防衛庁官房長島田防衛局長、中井同教育局長、宍戸同人事局長大村経理局長、国井同装備局長、以上の方々でございます。  質疑のおありになるお方は、順次御発言を願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、上林長官のお国入り問題に対して若干の質問をしたいと思いますが、ただ御承知のように、昨日、中国においてミサイル用核弾頭核実験があったわけですが、きわめて緊急性のある問題でありますので、お国入り問題に入る前に一、二この際お尋ねしておきたいと思います。  日本時間で二十八日、きょうの午前一時五十分の北京放送は、中国は去る二十七日自国の領土においてミサイル核兵器発射実験成功した。そうして次のとおりに発表しているわけです。一つミサイルの飛行は正常であったということであります。それから二つには、核弾頭は予定の距離で正確に目標に命中し、核爆発実現したと、そこで日本防衛庁長官であるあなたに隣国のこの現実をどう受けとめておられるか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
  7. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) ただいまの御指摘ミサイル核兵器弾頭つき発射中共がやったということについては、御承知のように、これに対する一応の政府見解官房長官から発表せられておりますので、これに対する官房長官考え方は一応政府発表という意味において私ども承っているわけでございますが、この隣国、しかも一番近い隣国において核爆発が、しかもミサイルつき核弾頭を持ったものが発射されたということは、それ自体かねてからわれわれは、日本は核は持たない、核を持ち得る科学的な力を持ちながらも核は持たない。こういう方針をとり、しかも徹頭徹尾核に対しては米国に依存していく、こういうような方針をとってきているわけでございますし、あわせてこういうような問題から私どもとしては、精神的にまことにいろいろな影響日本に与えるんじゃないかと思って一応警戒いたしておりますが、ただ、これがどの程度のものであるかという専門的な見解につきましては、ただいまの段階では私どもの手元にどういう程度のもの、あるいはどういう種類のものであるというような詳しいものは入っておりません。ただ、これは米国原子力委員会発表によりますと、低威力ないし低い中程度威力で、第一回の核実験とほぼ同規模と推定される、こういう意味発表がありますが、これは先ほど申し上げましたように、この段階においてこのとおりであるという断定も私どもはいたしかねる状態でございますので、私どもで専門的な資料を他の政府機関とともに協力して集め得る資料を集めなければならない、こういうことをいま事務当局にも指示をしたところでございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あなたは、いま政府統一見解については、官房長官から談話があったというふうにいま御説明があったのでありますが、ところが、官房長官前回の十七日の当委員会出席を要請しても出られない、今回もいまのところまだ出ておらない。委員長が目下奔走中であるので、やがて委員会にお見えになるやもしれませんが、そこでかわってお伺いしたいのは、政府統一見解というのは一体どういうことなのか、それを明らかにしていただきたい。
  9. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 統一見解ということは、あるいはことばが適当かどうかわかりませんが、とりあえずの政府見解官房長官名発表した。こういうふうにけさ報告を私ども受けた、こういう過程を通っておることでございまして、先ほどの内容からいっても従来も核実験に対してはわが国は反対をしてきておったのだ、核拡散防止についてできるだけ努力——できるだけということばもどうかと思いますが、核拡散防止については徹底的にひとつそういう実現するような方針でいかなければならぬ。あるいはこれがその期待を裏切って第四回目のこの種類核実験が行なわれたということはまことに遺憾である、こういうような考え方でございますし、外務省もまたこの核爆発に対しましては、非公式の見解でありますけれども、直ちに抗議をする、こういうことだそうでございます。統一見解という意味ことばの修正と言いましょうか、そういう意味にお聞き取り願えれば幸いでございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私が伺っているのは、官房長官が、統一見解であるとかないとか、そういう問題はさておいて、見解発表されておる。あなたはそれを聞いておる、私どもは聞いていないわけです。だから、どういう内容発表をされたのかどうか、そういうことを伺っておるわけです。
  11. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) ただいま申し上げたのがその内容の概略でございまして、そう三十分も一時間もかかって発表したのではなく、わずかの時間で、夜中にそういう情報を入手したので、直ちに一応の政府見解発表しておきました、その内容はこうでございますといったのが先ほど申し上げたその内容でございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中国の第一回の実験はたしか一九六四年の十月十六日と記憶しておりますが、それからわずか二年という短時日に驚くべき実験の成果となってあらわれたわけです。最初、その当時は大体十年くらいかかるだろうという防衛庁見解もそうだったわけです。にもかかわらず、驚くべきこのようなスピードでこの実験成功した。これには何かそこによって来たるものがなければならぬ、いかなる理由によってこのように十年と予想されたものがわずか二年で成功に達したのか、この点についてひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 専門的分野でございますから、事務当局から説明いたさせます。
  14. 島田豊

    説明員島田豊君) 中共核実験につきましては、先生御指摘のように、一昨年の十月に第一回の核実験がございました。昨年の五月に第二回、本年の五月に第三回、今回は第四回目でございます。第一回、第二回につきましては原爆の実験である。第一回につきましては爆発威力はおよそ二十キロ、第二回目の核爆発威力はそれよりも若干大きいということが報道されておりますし、第三回目の核実験熱核材料を含む核爆発ということが言われておりまして、これは水爆の予備的あるいは初歩的な実験ではなかったというふうに言われておるわけでございまして、その爆発の、ないし実験の詳細についてはいまだわれわれもよくわかりませんが、今回核弾頭装着ミサイル発射したということは、そういう従来のテンポからしまして、かなり早いという感じを持っておりますが、しかしながら、今回の実験射程距離あるいはその威力なりというものにつきましての詳細な資料はございませんので、ここで的確な判断を加えるということは、まだむずかしい時期にあると思います。先ほど御指摘の、十年ぐらいはかかるであろうということにつきましては、それは米国のいままでの言明したところによりますと、いわゆる大陸間弾道弾ICBMが少なくとも十年ぐらいかかるであろうということを言っておったわけでありまして、中距離弾道弾開発はおそらくそれ以前に行なわれるでありましょうし、今回のミサイルでございますけれども、このミサイルがどの程度のものであるかということについては、いまだにわれわれとしても推定を下す材料がございませんので、そのテンポが著しく早いかおそいかということにつきまして、いまここで確たる判断断定を下す段階ではないというふうに考えております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このミサイル用核弾頭開発成功は、報道によると、アメリカでも非常に驚いておるということの状況を報告しておりますが、さらに考えられることは、いま目下展開中のベトナム戦争にも相当な圧力となるんではなかろうか、こういうふうに考えられるわけです。そこで日本防衛庁長官としてはこのことをどういうふうに考えておるか、その点を明らかにしていただきたい。
  16. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 専門的な意見は別といたしまして、各国からの報道によりますと、御指摘のように、米ソをはじめ世界各国、政治的に心理的にいろいろと影響を及ぼすばかりでなく、純軍事的にも無視できないのではないかという、相当のショックを受けているように報道では見受けられるところでございまして、私どもも、先ほど一言申し上げましたとおり、それぞれの方面日本はもちろんのこと、極東などについても相当衝動を与えたのではなかろうか、こういうふうにいまの段階では推定をいたす次第でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま核拡散防止条約の成立が非常に強まってきておる、こういうおりもおり、今回の実験を見たことについては、私どもから考えると、きわめて遺憾な事実であるわけです。そこで国の防衛を担当する長官としてはこのことをどう考えられ、どう処置しようとお考えになっておるか、この際お聞かせいただきたい。
  18. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 伊藤委員も御承知のように、ただいまの御趣旨にもありますように、過去三回の中共実験に対しても、そのつど政府は強く抗議をいたしてきているわけでございますが、私どもといたしましては、中共がそういうことをやりましても世界の世論にさからうような処置、たとえば日本も核を持てば科学的には持てるんだというような、そういうような方面に発展をすることを戒め、かつ同時に、極東その他の国々もこういう問題に対して正常なる——偏向的な判断でなく、核は世界各国が持たないような方向にいこうという正常なる平和的な強い願望というものを持ってもらいたいものだ、こういうように考えますと同時に、これに対する防御的な考え方というものを将来日本としてはいかにしていくべきかということがもっと真剣に勉強されなければならぬのではなかろうか、かように考えるのでございます。
  19. 北村暢

    北村暢君 関連して一、二点お伺いいたしますが、あなたは、きのう衆議院内閣委員会において、アメリカマクナマラ国防長官との会見において、中国核装備についての情報交換等もやってこられた。その際に、たしか従来もそう言っておられたのですが、先ほどICBM実現についてはもう十年かかるだろう。中距離弾道弾についてはそれより早い機会、まあ四、五年はかかるだろう、こういうことが従来、何回かの国会の審議においても防衛庁長官は言明しているところであります。昨日の衆議院内閣委員会においても、あなたは、核兵器運搬手段開発というものはまあ四、五年はかかるであろうというような趣旨報告をされたと思う。ところが、きょう、その報告をされた翌日、もうこういうふうに中国誘導ミサイル核実験が行なわれ、運搬手段開発をされたということについては、外務当局も異常な驚きを示している。一体、いまの防衛庁長官答弁を聞いておりましても、私は、外交手段による核拡散防止については、これは当然われわれもそういう方向でいかなければならないと思うのでありますけれども防衛庁長官としての答弁としては、この異常な事態に対して、確かに情勢としてはまだはっきり内容についてもつかんでおられないだろうけれども、どうもきのうあたり、あるいは防衛庁長官訪米内容等から察しても、だいぶ情勢判断に狂いがあったのじゃないかというふうに思うのであります。そういう点について、防衛庁長官として、景気のいい私は防衛対策を期待するのではないのだけれども、どうも聞いておるところによると、答弁が明確でない。防衛庁長官らしくない答弁しかしていないのですね。したがって、私は、この受け取り方を一体防衛庁長官としてどういうふうに受け取っておるか。この運搬手段というものについて従来の防衛庁情勢判断していたのとはだいぶ違っているのじゃないですか。そういう面について、三次防との関連もあって、一体どのように考えておられるか。この点ひとつお伺いいたしたい。  それからついででありますから、今回の防衛庁長官訪米にあたって、一体、この三次防というものについて政府の統一した見解なり、おそらく閣議決定等なされていないと思うのでありますが、もう予算編成相当進んだ段階において三次防等の問題についてどういう確たる見解をもって訪米せられたのか。そういうことから、今度の中国誘導ミサイル実験等についても、中国核情勢についても意見交換を行なわれたと思うのです。そういう点について、何かしらこうたよりない形で訪米をしたのじゃないかという印象を強く受けているわけです。ここら辺の点について答弁をひとつしていただきたい。
  20. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私、専門的知識を持っておりませんので、ただいま勉強中でございますが、表現の使い方が適当でないために、あるいはいろいろな疑問がお起こりになるのかもわかりませんけれども日本アメリカ空軍長官が来た場合の表敬のときのこの問題に対する見解を聞いた場合、あるいは今回アメリカに参りましてアメリカ方面のこれに関する見通しなどを聞いた場合、大体従来日本で、歴代の長官か知りませんが、言われておったのと、ほぼ感触は、一、二年のズレはかりにあるにいたしましても、大体その感触は一致しておったかのごとく私は承知をいたしておるのでございますが、その意味において、たとえば一九六八年に御指摘のようなことになるのじゃないか、あるいはそれから数年の間に、あるいはわずかの数ではあるけれども中距離弾道弾というようなものができるのじゃないか、大陸間弾道弾は十年以内にはむずかしいのじゃないかという、そうしたようなことについての一応の見解を持っておったわけでございますが、ただし、アメリカにおいても核の開発に並行してミサイル開発を進めていたことは、ただその実現の時期のいかんは別にして、大体確認されていたようでございます。  なお、この兵器としての使用可能の問題と開発段階の問題とで多少の時間的なズレがあるいはあるかと思いますが、いずれにいたしましても、ただいまの御質問に対して以上のように申し上げておきたいと思いますが、なお、三次防のことについて一言お触れになりましたので、この問題について申し上げますならば、三次防の問題は、現段階では防衛庁内の一つの準備といいましょうか、あるいは成案を得ることに努力をして結論が大体出たというような段階で、御指摘のように、国防会議に付議して、これを正式に決定した段階ではないわけでございますので、この問題を携行してアメリカに行って打ち合わせをやったものではございません。また、この問題に対して具体的にアメリカからぜひこうしてもらいたいというような要請もまだなかったわけでございます。しかし、そうしたような段階のことは別といたしまして、こういうように多少感触として——私は専門的知識を先ほど持っていないことを申し上げておりますが、もっとその方面知識もあるいは権威の方々にもお聞きしなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、これは精神的にも非常に影響を受けておるが、日本防衛的なあるいは防御的な問題として真剣に取り組まなければならぬ段階に来た、それは三次防の中にいわれている海や空の問題などに一体どういうふうに対処していけばいいか。大筋としては、ただいままで作業してまいりました三次防の内容にそう大きな変化はないと思いますけれども、この問題はもっと大事な問題でございまするので、防衛庁のみの見解をただいま申し上げることは、この程度にさせていただきたいと思いますが、なお、専門的なことについては、事務当局から申し上げます。
  21. 島田豊

    説明員島田豊君) 昨日、長官から、衆議院内閣委員会において、米国側との意見交換の間に出ました中共核開発見通しという問題と関連いたしまして、本日の発表ということが非常に食い違うではないかというような御疑念が出されておるというふうに考えますが、これは先ほど長官もちょっとお触れになりましたように、これに対するいろいろな角度からの見方があるわけでございまして、いずれの場合におきましても的確な判断と申しますか、推定を下すことは、いずれにしてもむずかしい問題だと思いますが、たとえばMRBMにつきましてこれが六年、八年かかるか、あるいは二年かかるかということにつきましては、これは兵器としての完成された形において、それが兵器としての使用可能な形において、すなわち軍事的に威力を発揮し得る形において、これをとらえるかどうか、さらにまた開発につきましても、それは一挙に完成された形にまいるわけではないわけでございまして、いろんな段階を経るでございましょうし、また、ミサイルといいましても、これはどういう段階実験であるかということについても、まだはっきりした材料がございませんので、したがいまして、その間にはたして食い違いがあるのかどうかということについては、私どもも十分確認できないわけでございまして、昨日、長官の御答弁とこの実験との間に大きな開きがあるかどうか、これは今後十分われわれとしても検討してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  22. 北村暢

    北村暢君 もう一点だけ。いまの防衛庁長官答弁によると、三次防との関連において空と海の云々というようなことを、ばく然とこう言っておりますが、中国核装備、特に運搬手段開発されたということによって従来の核爆発実験段階から兵器として使用する段階に来つつある、それが予測したよりも非常に早い段階に今日来ているということは、これはこの実験によって証明されているのだろうと思います。その点、私は、きのうまでのアメリカとの情報交換における認識と、今日きょうの認識とではだいぶ違ってこなければならないのじゃないか、こういうことなんですよ。われわれは、核兵器について、外交的手段によって核拡散防止からさらに発展して核実験禁止まで持っていくというのが私どもの願いであるけれども現実の問題として防衛庁では、従来からの答弁によれば、この中国誘導ミサイル大陸間弾道弾、あるいは中距離弾道弾などというものを想定して三次防というものができているのでしょう。したがって、その三次防というものについて防衛庁意見は大体一致したというのであるが、その情勢判断は従来の情報によるものであって、きょう今日このような中国実験成功したという報道について、これは当然防衛庁としてこの情勢下において情勢を検討するというのが、これは防衛庁としてはあたりまえのことではないかと私は思うのです。ですから、したがって、防衛庁長官として一体こういう問題について感覚——感覚の問題なんですよ。私はそういう意味でお伺いしている。三次防は三次防なりでこのままでいいというような意見のようであり、変更する必要はないというような意見でありますけれども、そういうふうに単純に受け取っていいのかどうかということをお伺いしているのです。
  23. 島田豊

    説明員島田豊君) もちろん私どもといたしまして、今回の核実験を契機といたしまして、さらに従来の見通し等につきましても再検討しなければなりません。それはそのとおりであろうと思います。実は三次防と申しますのは、これは何と申しますか、要するに、外国からの核攻撃に対しましては、これは日米安保体制のもとにおきまして、米国核抑制力に依存しつつ、わが国としては在来型兵器によりますところの局地戦以下の侵略に対処するという方針でいままでまいっておるわけでございますし、したがいまして、そういう意味におきましては、この三次防の性格に非常に大きな変更を加えなければならない、こういうふうには私は考えておらないわけであります。ただ、こういう事態変化に即応いたしまして、まあ在来型兵器に対処するための防衛力整備につきましても、いろいろ考慮をしなければならないということは言えると思いますが、これに対する直接的な対抗手段防御手段、そういうものにつきましては、先ほど申しましたような考え方でまいっておるわけでございます。したがいまして、三次防に全然影響ないかということになりますれば、そういうことはないということは申し上げられますけれども、直ちにこれに対して大きく変更を加えなければならない、こういうふうには考えておらないわけでございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の制約がございますので、この中国核実験の問題についてはさらに後日に譲ることにして、本論の長官のお国入り問題についてお伺いしたいと思います。  前回の当委員会では政務次官官房長中心にお伺いしたわけですが、本日は長官だけにしぼってお伺いしたいと思いまするので、そのおつもりで明確な御答弁をいただきたいと思います。  で、もうすでに明らかになっておるように、九月二日長官はお国入りに際しまして最高幹部を含む約二十名から成る部下を率いて、また、西部方面隊、第八師団、国分各部隊からわざわざ音楽隊を計八十二名動員されて、選挙区の中心である鹿児島市を大パレードされておるわけです。このことについては衆議院でもいろいろ追及があり、お尋ねがあったわけですが、その行動は、一言にして言うならば、結局基地視察に名をかりた、しかもきわめて明確に巧妙で悪質な選挙運動そのものである、こういうふうに指摘せざるを得ないわけです。このことに対して長官は、衆議院内閣委員会で昨日公私混同を認めておるわけです。しかも、配慮が足りなかった、こういうふうに答弁されておるわけです。しかし、私はそうは考えないわけです。この配慮が足りなかったというのは国会答弁用のことばであって、実際には十分事前に配慮されて、これは公私混同になるであろうということはもうどなたが考えても明確に判断できるわけです、長官ともあろう方がその区別がつかないはずはない。事前に明確に公私の混同になることは考えながらも、初めて防衛庁長官になられたその勢いで、ひとつ、なにかまわぬという気持ちで選挙運動にはきわめて効果的なこの大パレードをあえて展開された、これが真相ではなかろうかと私は考えるわけです。ほんとうのことをこの際おっしゃっていただきたい。
  25. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 伊藤委員がおっしゃいましたように、当委員会においてすでに一応政務次官等からお聞きいただいたそうでございますが、概略そのとおりで、答弁のとおりでございますけれども、重ねての私みずからの口からというお話でございますので、お答えいたしたいと思います。  私は最初は、公式の行事は公式の行事、あるいは地元の行事は地元の行事、こういうようなふうに原則的には配慮してやってくれ、あるいはそういうふうに期待をしておったわけでございますが、結果的に見ますと、御指摘のような結果が見られた。これは私が伊藤委員の御指摘を受けたように、最初から全部の計画についてきめこまかに配慮をすれば、こういうことにはならなかったであろう。いまにしておそ過ぎるのでございますが、そういうような考え方を持ってほんとうに配慮が足らなかったというふうに考えております。これが純粋の巧妙な選挙運動じゃないか、こういうふうに言われますと、私はそういう気持ちで計画的にやったのではないとお答えする以外に方法はないわけでございますけれども、これはいま申し上げたように、最初の配慮が不十分だった、こういうふうに考えております。  私は、最初事務当局に申しましたのは、鹿屋や国分や熊本の部隊——言いかえますならば郷土部隊、どうしても北海道と九州は早目に視察したいものだし、まあ郷土部隊もひとつ見たいものだ、それと並行して県庁や県警本部や町村役場などもこの機会にひとつごあいさつをしたい、こういう点は確かにあったわけで、衆議院伊藤委員も来てよく聞いておられたようでございますが、どうか私の心境を正直に言えといえば、これが正直な見解でございます。どうぞひとつ御推察をお願いをいたしたいと思います。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう答弁ではとうてい推察できないわけですが、そこでなおお伺いいたしますが、陸海空三軍の権をあずかっている防衛庁長官として、いま御指摘申し上げたように、ともかく大音楽部隊を動員したり、最高幹部を含む幹部を率いたりして、選挙区をパレードをし、この点を追及されると、昨日衆議院内閣委員会でも、いまも御答弁があったように、特に空港に着かれたときにも、記者団の会見では、そうたいしたあやまちあった行動とは考えられない、そんな大きなあやまちではなかったというようにお答えになっているわけです。こういう考え方ですね、自衛隊を私したも同然ですが、なおかつしかも、これはたいした間違いではなかったというふうなこの考え方、これをせんじ詰めると、将来やはり自衛隊を政権の道具に使うところのいわゆるクーデター、こういうものの危険をはらむ問題である、こういうふうに考えるわけです。ただ誤解のないように、ここで私が上林長官が、将来クーデターを起こすであろう、こういうことを言っておるのでありませんから、そういう誤解のないように、ただこの考え方を押していくと、自衛隊を自由にできるその立場の長官が、これをいつも私しようとして、この程度まではよかろう、この程度まではよかろうというので、だんだんこれが長じて自信を得て、最終的にはいわゆる政治のための道具に使う、こういうことが理論的に考えられるわけですね、この点については、こういう考え方はあなたはどういうふうに受けとめられますか、それを長官の考えとしてお答えいただきたい。
  27. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 伊藤委員が長い将来をおもんばかられて、こういうことが積み重なっていけばクーデターも起こりかねないというその見解一つ見解かもわかりませんが、私自身そういう意図はもちろんございません。そこで幹部を連れて行ったじゃないか、音楽隊を動員したじゃないか、こうおっしゃいますと、言いわけがましくなるので、できるだけそういう印象を払拭しながらお答えしたいのでございますけれども、事実はやっぱり事実として、事務当局からもお聞きいただいたと思いますが、私としては音楽隊を東京から連れて行けとかあるいは地元の音楽隊を動員せよとか、あるいは幹部諸君もほかの仕事はほっておいてみんなぼくのあとについてこいとか、こういうようなことはいたさなかったのでございます。ただ計画の当初に配慮がもっとこまかいところまで私がしておれば、こういう結果にはならなかったであろうときびしく自己反省をいたしておるのでございまして、その間の事情をおくみ取り願えれば幸いだと私は考えるわけでございますけれども、決してうそを申し上げているのじゃなくて、真相はそうである、ほんとうに自分では計画の当初配慮すればよかった、今後ひとつこういうことのないように、また誤解を受けるような処置がないように最善の努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしておきたいのは、前回十七日の当委員会で要求した資料に関して、一、二お伺いしておきたいと思いますが、たとえば、その中で音楽隊だけに問題をしぼって、時間の関係もありますから、音楽隊だけにしぼってお伺いするわけですが、ここの資料によりますと、九月二日だけの鹿児島市のパレードで西部方面隊の音楽隊は三十二名、第八師団の音楽隊も三十二名、国分音楽隊は十八名、計八十二名、それから第二日の九月四日は、数は省略しますが三回やっておる、十八名、十八名、十八名。これは国分音楽隊を使っておる。それから三日目は七日で、これも伊集院町、加世田市、加世田市の公民館というふうに三回、これは第八師団の音楽隊だからそれぞれ三十二名、三十二名の三倍ということになります。それから四日目の九月八日は枕崎市、これも第八師団の音楽隊、これも三十二名、こういうふうにして四日間の延べ総計は実に二百六十四名の音楽隊を動員したということになるわけです。こういうふうな動員した目的は一体那辺にあるのかという昨日の衆議院内閣委員会質問に対して、防衛庁としてはそれは広報活動のためだ、そういうふうにお答えになっておるわけです。そこで、このことについてお伺いするわけですが、先ほども申し上げたような情勢の中での音楽隊でございますから、私はそうは考えない、そう考えられない、これは自衛隊の広報活動ではなくして、衆議院議員の上林榮吉その人の広報活動である、即選挙運動だ、こういうふうに断定せざるを得ないわけです。この点についてもこの際ここで明確にしておきたいと思うわけです。長官答弁を願います。官房長にはこの前聞いておる。
  29. 海原治

    説明員海原治君) 委員長の許可を得ましたので私からお答え申し上げます。  音楽隊の派遣の理由につきましては、前回の当委員会におきましても御説明したとおりでございまして、お手元の資料を見ていただければおわかりいただけますように、それぞれの父兄会の会長から所定の手続を経まして要請が出ております。したがいまして、前回もお話し申し上げたと思いますが、それぞれの音楽隊を持っておりますところの部隊長は、「防衛庁の広報活動に関する訓令」、こういうものがございますが、これの示すところに従って音楽隊を派遣して「自衛隊と国民との親和を図る」こういう目的のもとの行事を行なったということでございます。前回も申し上げましたが、選挙運動ということにつきましては、私ども全然これはそういうことを考えるべき筋のものではございませんし、そのような状況でなかったということでございますので、御了承願いたいと思います。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま一回だけ官房長が代弁されたのは、もう事実だからやむを得ぬとして、今後はかたくお断わりしますから、こちらの指名した人から御答弁をいただきたい。重ねてお願いしておきます。  ここにも、いま官房長の言われたような趣旨がございますが、音楽隊の派遣については、ここにある「防衛庁の広報活動に関する訓令」これによっておるわけですが、この該当条項は十二条、こういうことで、特に今回の面に関係があるのは、「部外行事に対する協力」と、そういう個々の、指摘されておると思う。そこで今回防衛庁としては、音楽隊の動員は広報活動だといま言われたわけですけれども、これは結局部下として長官がああいう事実をやったことに対して、選挙運動ではないかときめつけられれば、それは選挙運動でございますと言えないでしょう、その気持ちだけはわかります。その気持ちだけはわかりますけれども、これは完全に選挙運動そのものであることはきわめて明確です、これは。おそらく常識として当然、そういうふうに考えられるわけです。そういうことで結局、さてそういう前提に立てば、いま私の指摘しておるこの選挙運動という条項は、選挙運動に協力していいのかどうか、これは一体「広報活動に関する訓令」のどこに該当するのか、この点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  31. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私は、法律の解釈は、法律を見ておりませんのでよく承知をいたしておりませんが、そういう意図を持っておったのか、こういう御質疑であれば、そういう意図は最初から全然ございませんでしたと申し上げる以外に方法はございません。——選挙運動のため帰ったのではないかという御指摘だったそうでございまして、そういう意味で帰ったのではございません。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この点はきわめて大事な点でありますので重ねてお伺いいたしますが、繰り返しお伺いしておるように、これはもう明白な事実です。地元の自民党さんの方々も、間接でございますけれども、非常に憤慨しておるということを耳にしておるわけです。また、報道でもそういうことを一部承っておるわけです。そのことについてさらにお伺いするわけですが、昨日長官衆議院内閣委員会で深く反省しておるということばを使っておるわけですけれども、そこでお伺いするわけです。どの程度一体反省しておられるのか、ただ追い詰められて答弁のしようがないから反省しておりますというようなことでは、配慮が足りなかった、反省しておりますと、そういうことの繰り返しでは事実が明白にならぬわけです。そこで、一体長官はこういう一連のお国入りの行動についてどのように反省し、どのようにこれを考えておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  33. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 最初から申し上げておりますように、私が計画の当初から細部に至るまで目を通し、よく熟議してそういうことをやればこういうことにならなかったであろうと深く反省をいたしているわけで、その配慮が足らなかったために、先ほどから申し上げるように、自分としては、公の行事と地元の行事を最初は区別しておったのでありますけれども、それが結果的にはそういうふうに見られない部分が出てきた、これは深く反省しなければならぬ点である、今後もこういうことについてはきびしく自分を戒めていかなければならぬと、こういうように考えておるところであります。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおこのことに関連があるわけですが、前回の十七日の当委員会で私が質問したのに対して、防衛庁としては全日程が公務である、こういうふうに答えられておるわけです。ところが、昨日、衆議院内閣委員会を傍聴しておりますと、そうではなくして、九月四日と七日の両日は私事旅行だと答弁しておるわけです。これはまさしくどなたも考えておる明白な食い違いであって、一体この食い違いはどうしたことなのか、どこから出てきたのか、これは一体どちらを信用していいのか。このことにも選挙運動ではないかという問題がからんでくるわけですね。これは一体長官として確信持ってお答えいただきたい、どちらをわれわれはとったらいいのか。
  35. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) これはもう最初から申し上げているとおり、私は日程を全部頭に入れて計画的にやったわけでなかったので、これはもう事務当局まかせでいかぬじゃないかとあとで言われればそれまででございますけれども、そういう意味でやっておったわけでありますが、当委員会で先ほどこう言ったのに、衆議院のきのうの委員会ではこう言ったじゃないか、こう言われてみますと、全体としては公用でありますけれども、この二日間だけはどちらかと言えば私的の部分の要素が多かったんだと、こういうふうに私は解しておるのでございます。これも日程表などを事務当局から見せてもらって、なるほどそうであったのか、こういうことがわかりましたので、前の当委員会政務次官事務当局が答えたのと、そういうことになったのではないかと思いますけれども、大体においてはそんなに違ったのではないのではなかろうかと思います。そういうふうに御了解していただきたいと思います。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも長官悪い癖で、ものごとをはっきり言わぬですね。四日、七日は私用の要素が多かった……。要素が多いとか少ないとかいうことを聞いているんじゃないです。私事旅行であったのかどうかを聞いている。イエスかノーかを聞いているわけです。以後そういう点をぼかさぬではっきり御答弁いただきたい。  なお、いま一つ食い違いがあったことをお伺いしておきたいと思います。同じく十七日の当委員会で私の質問に対して、防衛庁としては全日程が公私混同でない、こういうことを答弁されておるわけです。ところが、昨日の衆議院内閣委員会長官の御答弁を承っておると、公私混同をある程度認めておるわけですね。そうなると、衆参の委員会で、同じ国会の同じ委員会でありながらそういうふうに答弁が次々と食い違っていくようでは、この審議は意味がないと思うわけです。そこで、長官としては一体どちらなのか、ぼかさぬではっきり御答弁いただきたい。
  37. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 計画全体としては公用でありますが、九月の四日と同七日の二日は私事旅行であると私も思いますし、また、そういう扱いをいろいろ事務的にもしているそうでございます。そういうことでございますので、政務次官がもし答えていたとするならば、政務次官は現地にそのとき行っていなかったから、そういう感触になったのかもわかりませんけれども、私自身はいまお答えしたとおりでございます。  公私混同の問題についても、先ほど私は最初のときに、全体としてはこれは公的な旅行である、しかし、公的な旅行と地元が計画したものとが、結果的に混同された部分がある。最初から計画によく参画しておればそういうことも起こらなかったであろう、こういうのでありまして、私自身公私混同した部分もある。一から十まで私は公私を混同したとは思っておりませんので、そういうふうに、すなおに答えているつもりでございますから、どうかひとつそういうふうにお受け取り願えればありがたい、こういうふうに考える次第でございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がお伺いしているのは、第二の問題として、十七日の当委員会では、防衛庁としては全日程公私混同でないと、はっきり答弁されているわけです。そこで長官は、長官の言うことはわかりますよ、いい、悪いは別として。長官の言うことは、いま一部公私混同を認めているわけですね。しかし、あなたの部下である政務次官、官房長は、十七日の当委員会では全日程公私混同でないと、はっきり言い切っているわけです。だから同じ国会で委員会によってこういう食い違いがあったのではまずいではないか、この際明確にしていただきたい、こういう点をお伺いしているわけです。
  39. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 大体事務当局からも当委員会でどういうことを言ったかということは速記録で一通りは私拝見したのですけれども、どうも記憶をもう一ぺん呼び起こす意味で、事務当局がどういう答弁をしているのか、それを聞いた上で、先ほど大体申し上げたとおりなのですけれども、私としては最初から詳しい計画に参画していない、ただ部隊を視察することと、いわゆる公的な旅行と、あるいは私事旅行と、これが結果的に混同された点がある。これは全面的に最初から計画的に私が公私混同をやったのではない、こういうふうに申し上げておきたいのです。これは事実です。事実ですから事実をひとつすなおに聞いていただけるとまことにありがたいと思いますので、これについてひとつ事務当局からふえんさせたいと思います。
  40. 加瀬完

    加瀬完君 関連事務当局が答える前にちょっと事務当局関連質問があるのですが、いまの伊藤委員質問事務当局がお答えになる前に、事務当局に次の点もあわせてお答え願いたい。質問いたします。選挙区での就任あいさつ、あるいは墓参というものもあなたのほうでは公務とお認めになるのか。それが一点。もう一つは音楽隊の演奏なりパレードなりというものには、一つの内規というものがあるはずであります。たとえば政党活動とか選挙活動とか、個人の著しい利益を与えるものとか、そういう対象には音楽隊あるいはパレードというものを提供しないという、当然これは官庁としての内規もあるはずです。そういう立場で選挙運動にもあるいは政党活動にも個人の利益にも関係がなく許容されるものとこの事件についてお考えになったのかどうか。この点をあわせてお答えをいただきます。
  41. 海原治

    説明員海原治君) 前回の当委員会におきます私の御説明関連してのお尋ねでございますので、当時のまだ速記録を私読んでおりませんが、そのときにお答えいたしました趣旨は、その二日から八日にわたる全行程、これは、通じてみまして、公用であるということを申し上げた次第であります。御存じのように、公務員、大臣も公務員でございますが、公務員の出張の際に私事的なことを行なうことは認められております。したがいまして、全般として見れば、今回の大臣の鹿児島出張は、これは公用である。したがって、そのような処置ができているわけであります。そのような趣旨のことを御答弁したわけであります。で、四日と七日の日は、旅費支給の手続上、私事旅行をした扱いになっております。ところが、ただいまのお尋ねは、全般として公用の出張の中に私事旅行の日が入ることによって公私が混同されたのではないか、このような御趣旨の御質問に相なっているように拝察されますが、これはいわゆる公私混同ということではございません。したがいまして、先ほど申しましたように、一連の公用の出張の日程の間に私事旅行が行なわれることは、これは当然に認められるところでございます。ただいま関連質問ございました大臣が墓参をされるあるいはあいさつをされる、このことは公用か、これは私事でございます。  音楽隊の派遣に関しまして、内規はないのかということでございますが、私どもの内規的なものは、先ほど申し上げましたこの防衛庁のこの広報活動に関する訓令というものが帝楽隊の派遣に関する規定でございまして、これには先ほども申し上げました前回委員会においても御説明いたしましたが、それぞれの部隊長がその判断に従いまして、広報活動の面に寄与することが明らかな場合、いわゆる実施担当官と申しておりまするが、いわゆる部外行事に対する協力を行なうことができるようになっております。したがいまして、そのときの判断は一般のそれぞれの指揮官に対して当然期待されますところの良識に従って処置されております。お尋ねが選挙運動であるとかあるいは政党の活動であるとかいうことに関連しての御質問でございますが、私どもはそのようなことに関連しての音楽隊の派遣は従来もいたしておりません。
  42. 加瀬完

    加瀬完君 いままでの衆参両院において、それぞれ問題が取り上げられました概要は、明らかにこれは公務員としての正当な行動である、あるいは自衛隊自身の正当な行動であるとは見なされない、逸脱している点があるのではないかという点が問題の焦点でありまして、いま伊藤委員からも、明らかな選挙運動ではないかという点が指摘されておりまするが、この行事の日程表の数々には明らかに選挙運動と見なされる事象が多いと思う。公職選挙法では事前運動というものはこれは禁じられております。ましてや公務員である長官が事前運動にまぎらわしい法律で禁じられておりますようなことをあえてするのをその官庁が許容するということは、公務員としても官庁としてもあり得ない。あなたがいまおっしゃるように、政党活動とかあるいは選挙活動とか、特殊な個人の利益というものをはかるためにはパレードも派遣をしない、音楽隊も利用させないというならば、少なくもそういうように見られておるような事態が起こっておらなかったでしょう。こういう問題は事務当局として当然、長官から要請があったことであろうとも、拒否すべきでしょう。自衛隊員の人たちは長官のあるいは防衛庁幹部のこのやり方というものに対してどういう反応を示しておりますか。ぼくらのところにも制服の人からたくさん手紙が来ております。非常に憤慨を買っておりますよ。ひんしゅくを買っておりますよ。少なくもどう見たって事前運動にまぎらわしい行為というものが数あまたあるでしょう。この点をあなたはどう規制をしたのですか。
  43. 海原治

    説明員海原治君) 事務当局としての考え方のお尋ねでございますので、私どもといたしましては、先生ただいま事前運動というおことばをお使いになりましたが、一体衆議院の総選挙がいつかどうか、これは私たちは何も承知いたしておりません。事前運動ということばはいわゆる選挙に関連してのことでございます。新聞紙上等におきましても、一体選挙がいつあるのかということはいわばいろいろな説が流れておりまして、そういうことに関連いたしまして私どもの広報活動の判断を制約することには、これは相ならないというのが私ども考え方でございます。またさらには、いわゆる今回の音楽隊の派遣が、これは一般の社会的な慣習かと存じますが、大臣が初めて御就任直後のいわゆるお国入りということが、これがどのような意味を持つものか、これはそれぞれの立場によっての御判断はあろうかと思いますが、私どもは別に先生のおっしゃいますような選挙運動との関連、事前運動としての色彩のある行動、そういうものにかかわりのあることをあえてやったというような認識は全然ございません。過去におきまして自衛隊の音楽隊が出動した例はいろいろとございます。しかし、今回の事態関連しましていろいろと御批判をいただいておりますので、私ども関係者の何と申しますか、善意だけではなかなか判断のできない問題がいろいろあるということは、つくづくと私どもも勉強になりましたので、今後は音楽隊の派遣につきましても、いま少しいろいろ誤解のないような、先生おっしゃいました内規的なものを考えてみたいと、こう思っておりますが、従来、自衛隊の各部隊の音楽隊が要請によりまして派遣されました実績から考えますと、今回の音楽隊の派遣は決して私どもにとりましては間違ったものではなく、地元の方々の御好意にこたえたものだと、こういう判断でございます。
  44. 加瀬完

    加瀬完君 関連ですからこれでやめますけれども、この公私混淆の日程をおつくりになった責任はどなたでございますか。  それから上林長官のお国入りのような状態が前例としてございますか。前例としてないことを今度あえて行ないましたのはどういう理由でございますか。それが特に広報活動としてあるいは自衛隊の士気高揚のために必要だという観点は、どういう立場でそのような見方をなさいますか。
  45. 海原治

    説明員海原治君) 日程につきましては、これも再々あらゆる機会に御説明してございますが、防衛庁関係の行事につきましては、防衛本庁が地元の地方連絡部あるいは西部方面総監部等々と打ち合わせの上決定した次第でございます。地元の行事につきましては、これはそれぞれ地元の方々の計画実施されたところでございます。  過去にこのような例があったかなかったかということでございますが、前松野大臣が熊本にいわゆるお国入りされましたときに、やはり西部方面音楽隊が熊本駅頭に出ております。ただし、いわゆる市中行進はいたしておりません。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題についてはとうてい了承できませんけれども、私の時間も持ち時間はもうありませんので、そういう意味ではこれはさらに今後の課題として、次の問題をお伺いしたいと思います。  昨日の衆議院内閣委員会でわが党の楢崎委員質問に対して長官は、十分反省している、道義的責任を感じておる、こういうことばで御答弁なさっておるわけであります。そこでお伺いいたしますが、それでは政治的責任はあるのかないのか、この点をまず順序としてお伺いしたい。
  47. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 昨日も申し上げましたとおり、私は強く道義的責任を感じておる、こういうように申し上げておきたいと思います。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 道義的責任を感じておるということは、いま伺わぬでも昨日衆議院のお答えで伺っておるわけです。  そこで、私のお伺いしておるのは、それでは政治的責任はどうなのか、こういうことを聞いておるわけです。だから、政治的責任はあるとかないとか、イエスかノーかをお答えいただけばいいわけです。
  49. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 責任の考え方はいろいろな方法があるだろうと思いますが、私が考えておるのは、道義的責任、これをきびしく考えております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まだ私の質問の要旨がわからぬと見えるらしい、私がお伺いしておるのは、道義的責任はもう明確になった、あるとおっしゃる。それでは、政治的責任はあるのかないのかをお伺いしておるわけです。したがって、あるかないか、どっちかお答えいただけばいいわけです。
  51. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 責任の方法はいろいろあるだろうと思いますが、道義的責任は、先ほど申し上げましたとおり、きびしくその方面のことについては反省をいたしております。なお、政治的責任はというふうにおっしゃいますと、私としては、みずから足らざるを省み、配慮の足らなかったことを十分反省して、今後精魂を傾けて自分の仕事に精進をいたしたい、これが私の考え方でございます。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 重ねてお伺いいたしますけれども、私がお伺いしておるのは、政治的責任はあるのかないのかをお伺いしておる。だから、あるなし、どちらでもいいわけです。ありのままをお答え願いたい。
  53. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) ただいま申し上げたとおり、みずからを省みてさらに足らざるを補い、さらに精魂を傾けて最善の努力をする、これが私の考え方でございます。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あなたの心がまえを伺っておるのではなくして、道義的責任は十分反省しておる、そこで道義的責任を感じておると、ここまではわかるわけです。その先です。それでは、最大限の努力をするとかしないとか、今後の心がまえを聞いておるのではなくして、政治的責任はあるのかないのか、これを伺っておるわけです。はっきりお答えいただきたい。
  55. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 伊藤委員のおっしゃる政治的責任ということが、たとえば進退を考えろという意味であれば、私はそれは考えておりません。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここではっきりさしておかなければならぬ問題は、道義的責任も政治的責任も本来一体のものです、本来は。本来一体のものであるわけです。そういう前提でお伺いしておるわけです。それはもう本来不一致のものである、そういうばかなことはない。これはもう常識です。当然そういう本来一体のものであるということになると、あなたは、繰り返しお伺いするように、深く反省し、道義的責任を感じておると、そこまでは言っておられるわけですね。それならば、本来一体である政治的責任を感じないということはないでしょう。これは後ほどまた申し上げることによって明確になると思いますが、そこでお伺いしたいのは、また当然あなたがとらなければならない点は私がいま申し上げたことから当然政治的責任はあるのだ。道義的責任即政治的責任に通ずるわけです。そういう意味からあなたはここで政治的責任をとるべきである、こういう結論に到達するわけです。そういう前提に立つならば、あなたはここで鹿児島県人らしく、人に聞こえた鹿児島県人らしく、男らしくひとつここで辞意を表明して全責任をとってしかるべきだ、当然そういう結論になるわけです。これはあなたには恩もなしあだもない、ただ公平厳正な気持ちでお伺いしているわけです。したがって、そういうことが当然考えられるわけです。この点はっきりお答えいただきたい。
  57. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 責任の分析のしかたがその立場においていろいろあろうかと思います。しかし、私が先ほど申し上げたとおり、私の責任は自分は配慮が重々足らなかった。最初から計画等についても配慮すればよかった。結果的に見て確かに一部公私混同になってしまったかなあというところもあるので、こういうことの将来ないように、かつまた、精魂を傾けてさらにこの方面努力を極力やっていきたい、これが私は私の言う意味の責任だ、こういうように考えておりますので、先ほど私の意のあるところはいろいろの形でお答えしたとおりでございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおこのことでお伺いいたしますが、昨日衆議院内閣委員会でこの問題について楢崎わが党の委員からいろいろと追及があったわけですが、その昨日の内閣委員会終了後、楢崎委員は記者会見されて、こういう意味のことを解明されておるわけです。一つは保釈中の久保氏の減刑嘆願書に長官が署名していること。それから長官は昭和三十七年以来所得の申告をしていないこと。それから長官衆議院の石炭対策特別委員会委員長時代に、北海道の某炭鉱会社に金銭を強要しておること、こういうことどもの楢崎委員が昨日四項にわたる資料の提出を求めているわけです。この資料の提出された時点においてこのことはみな明確になるという確信を持って発言されておるわけです。こういうことから推してあなたはここで直ちに職を辞さないで、楢崎氏のそういう致命的な追及があった後、やめようと考えておられるのか。この点をこの機会にお伺いしておきたいと思うのです。
  59. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 昨日も衆議院内閣委員会で明確にお答えいたしましたとおり、私は保釈中の人の身元引き受け人、その他の意味で署名をした覚えは全然ございません。それは防衛庁の仕事ではございませんからしかるべく御了承願いたいと思います。  第二に御指摘になりました石炭業者に金銭を強要したことがあるか。全然これもございません。  第三の所得税の申告云々の問題も、これは皆さんも御承知のように、議員であればほとんど歳費が中心でございます。そういうような意味合いにおきまして、二、三顧問などいたしておるところもございますけれども、これもほとんど名目を貸しておるというところでございまして、お調べになれば、——もう社会党さんがすでに手を回されて事前に、質問の前にお調べになったそうでございますので、真相はおわかりだと思います。だから私といたしましては、そういう事実は全然ございません。これだけをはっきり申し上げておきます。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 楢崎委員質問に対してそれをあなたの立場でいますぐ認めるということは、それは情においてできないであろうと思う。しかし、楢崎委員は、この四項目にわたる資料が提出されれば明白になるということを確信を持って言われているわけです。これは私が資料を調べてお伺いしておるわけではありませんので、その内容には触れるわけにはまいりませんが、そこで最後にお伺いするわけです。  長官アメリカから帰られた翌日、佐藤総理を訪問しておるわけです。それでもちろん訪米報告もしたでしょう。そして今回の問題について総理にあやまっておる、こういうこともしておるでしょう。その際、これは私の考えですが、佐藤総理から、何とかこの国会を切り抜けるように厳命されておるのではないか、こういうふうに考えられるわけです。そこでお伺いするわけですが、佐藤総理の考えとしては、その点をただしたいために前十七日から今日まで佐藤総理の出席、そして官房長官出席を繰り返し要請しておるにもかかわらず、私の質問中、ついに姿を見せなかったわけです。これは国会軽視のそしりは免れないわけで、今後その点から大いに問題になると思いますが、ここではこの問題はさておいて、したがって、出席がないので明確にすることはできませんけれども、思うのに、佐藤総理としては、この際また一人大臣を首にするということはきわめて不利である、おそらく十二月一日に総裁公選がある、それまでは何とかして切り抜けなけりゃならない、そして、その総裁公選を不利にしたくもない、何とか国会を切り抜けて公選を有利にし、しかもこれを済ましたあとで内閣の大改造をやるであろうと、これは私の考えですが、その際に、あなたはイの一番に首になる、こういうことではなかろうかと思うわけです。そこであなたの身を考えて憂慮するあまり、いますぐ鹿児島県人らしく、男らしく職を辞したほうがあなたの将来の政治性からいってもきわめて有利であろう。したがって、結論としては、二者択一ということばがございますけれども、私は三者択一であろうと、いまそういう観点に立って直ちにやめられるのか、それが一つ。楢崎委員からの致命的な追及を受けて、やむを得ずそのときやめるのか、それとも十二月一日の総裁公選後の大改造においてイの一番に身を切られるか、この三者択一と言わざるを得ないわけです。そこであなたとしてはその三つのうちどれを選ばれるか、これは一番最初に申し上げたあなたの将来の政治生命のためにおすすめするわけです。しかし、私には強要はできませんので、この際、あなたの気持ちをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 伊藤委員から、いろいろな角度から私の将来を友人として御心配くださっての御忠告でございますので、その情においては私感謝をいたします。  私がアメリカから帰ってまいりまして佐藤総理に会いましたのは、言うまでもなく、訪米の御報告をいたしたのでございます。その次には、国会の委員会でいろんな問題があることについて、脚色をすることなく、ありのままを私は総理に御報告をいたしたのでございます。それに対して総理は、国会から要求がある場合は、みずから進んでそういうような問題については説明をせよ、釈明をせよ、こういう意味の御指示がございました。もちろんいろんな点について配慮して今後間違いのないように努力をせよと、こういう意味のことでございまして、私は情理のある御忠告、あるいは国会においていろいろと疑問視せられておる問題は国会で解明することが少なくとも民主主義の根本ではないだろうか、こういうように私も考えましたので、質問がございます問題についてはできるだけ国民に対して申し開きをするということが、私は議員としてのこれが最善の道ではないか、何も疑問に包まれたままそういうような処置をする、それはその事実があったのだという、またこれはこれなりに私は今度の問題についてのもういろいろなことを楽屋裏の問題を聞かされておりますが、これはしかし私はそういうものは何も気にもいたしませんけれども、いま申し上げたのが私の心境でございまして、これがあなたのおっしゃる真の薩摩魂ではないだろうか、こういうように私は考えております。
  62. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  63. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  それでは、午後一時四十五分から再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後一時五十三分開会
  64. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。御質疑のおありになる方は順次御発言を願います。
  65. 北村暢

    北村暢君 午前中は伊藤委員が、前回質問に続きまして、主として大臣の責任問題について質問を行なわれましたので、私はさらに具体的に、今回の鹿児島県下の長官の視察にあたっての公私混同等の問題について、事実関係を明らかにしながら質問をいたしたいと思います。  まず、随行者についてでありますが、統幕議長をはじめ三幕僚長、官房長などの自衛隊の最高幹部が大挙して、視察に名をかりましたお国入りに参加した。こういうことは前例にないことである、このように思います。先ほど資料をいただきましたが、大臣は就任以来各地を視察されておるようです。お国入り以前にも各地を視察しておるようでありますが、その際においては、その所属部隊の視察にあたっては関係の幕僚長が参加している。統幕議長並びに幕僚長が参加している。まあ、大体、常識的な視察が行なわれておるわけであります。  ところが、九月二日からの鹿児島県下並びに熊本県下においての視察においては、いま申し上げたように、自衛隊の最高幹部が大挙してお国入りに参加をしている。これは私は、自衛隊の運営の面からいっても、きわめて重大なことだろうと思う。特に長官は、命令したのでもなければ自主的というわけでもない、まあ、ひまがあったらついてこないかと言ったのに対して、幹部の方々がそれに、命令したわけでもないが、ついてきた。一体、一国の防衛を取り扱う官庁として、そういういいかげんな、日曜日にゴルフに行くような、ひまがあったらついてこないかなんていう、あなた、大体そういう認識そのものが私はおかしいと思う。そういう、軽く扱っていい筋合いのものかどうか。最高幹部が中央の行政というものをがらあきにして、それで最高責任者として責任が果たせるのかどうなのか。私は、そういう意味においては、全く軽率のそしりを免れないと思うのです、これは。そういう防衛庁長官に、国の国防だなんていう大事な問題を、自衛隊というものを私どもは認めておりませんけれども、かりに認めるにしても、一体預けておいていいのか、安心できるのかどうなのか。まことに国民の不信を買う、こういう重大な問題だと思うのですよ。  きのうの衆議院でも質問がありましたように、長官はじめ統幕議長から陸海空軍の三幕僚長が全部鹿児島に行くなんていう、これはあなた、大本営が鹿児島に移ったのと同じだというふうに言われたけれども、そのとおりじゃないかと思う。そういう重要性が、一体、お国入りが必要であったのかどうなのか。国の防衛よりもお国入りのほうが重要であったとあなたは考えたとしか、国民はそういうふうにしか受け取らない。一体どういうふうに考えたのですか。これは軽率や配慮が足りなかったで済まされるものではない。いかような心境であるか、心境を承りたいと思います。
  66. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) いろいろな見方もあるでしょうけれども、私は統幕議長や幕僚長に命令をして、ついてこい、こういうふうに言ったものではないわけであります。御承知のように、これらの諸君は自分で出張の命令を出せる立場にある人々であることは御承知だと思います。ことに鹿児島県下における鹿屋、国分の部隊——鹿屋の場合は、これは海でもあるが、同時に、海の基地としては航空基地として非常に大きなところでございます。日本でもおそらく単なる地方の一小部隊というようなところでないことは御承知だろうと思いますが、そういうようなところでございますし、また熊本にしても、これは広い意味における郷土部隊でございますが、そういうように、そういうところの視察をする場合、各幕僚長から専門的な意見を聞くということは、これはきわめて私は必要なことであると思うわけでありますが、それについて命令だとかあるいは自発的に単に行ったんだとかいう、機械的な解釈をすることは、これは不自然だという意味で、昨日私は衆議院内閣委員会で申し上げたわけで、これは純粋の命令かというとそうではない。さりとて純粋の自発的だけで行ったのかといえば、これもまたきわめて四角ばった考えになるんじゃないかと思いまして、私はそういう見解を申し上げたのでございます。
  67. 北村暢

    北村暢君 そんなことを聞いているのじゃない。
  68. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) そこで、ただ私は、大本営がということばがありますけれども、大本営という意味は現在どういうふうに解釈していいか、法理論的なことはさておきまして、常識的に、いまの時代に考えられる、いわゆる統括的な幹部の諸君、こういうものが一緒に鹿児島に行った。先に言ったような目的はあることながら、こういうふうにそろって行ったということは不自然だ、だから、今後はこういうように全部が一緒に行くということは改めなければならぬと思う、こういうのが、私の、心境はどうかとおっしゃいますから、私の考え方であり、すなおに私がそういうふうに今後善処していきたい、こういうふうに考えております。
  69. 北村暢

    北村暢君 その命令したとかしないとかの問題でなくて、あなたはですね、各最高幹部に、ひまがあったらついてきたらどうだと言うような程度認識でおられるというところに問題がある。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)それはですね、私は先ほど言ったように、日曜日にゴルフに行くのを誘うような、そういうふうにしか受け取れないじゃないですか。各幹部が一斉に行った場合に、それはいろいろ説明はしておるようです。私はそんなことを聞いているのじゃない。鹿屋の部隊がどうしたとか、国分の駐とん地がどうしたとか、そういうことはあとからつけた理屈であって、私は防衛庁長官はお国入りに統幕議長以下陸海空軍の三幕僚長を従えて故郷ににしきを飾ってお国入りしたいというのが本音でしょうが。また、それを私は唯々諾々として、命令されたんではない、自主的にできるとはいいながら、ついていった幹部も幹部だ、これ。海原官房長は小手先の答弁はよくやるけれども一体こういうことが防衛庁で、最高幹部がそんなようなふざけた考え方で行動をして、あなた部下に対して綱紀粛正だの、服務は忠実にやれだの、そういうことを言えると思いますか。最高幹部そのものが腐敗堕落しておるんじゃないですか、あなた。最も規律をとうとばなければならない幹部が、たとえ防衛庁長官から来たらどうかと言われても、それくらいの判断のできない、情勢判断のできない幹部だったらそれは最高幹部の資格はないじゃないですか。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)これは明らかに私は辞表を出すべきだと思う。だらしない幹部はどうやって責任をとるんだ、これは。そういう点を明らかにしてもらいたい。長官から聞きたい。長官から聞いてから官房長。
  70. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私に関する分についてお答えをいたします。羽田の記者会見で、私が命令をしたものか、それとも自発的についてきたものかという質問を受けましたので、そのときの表現の一つでまあ御指摘を受けているかと思うのでございますが、これは昨日の内閣委員会でも表現を改めましたとおり、それは命令だとかあるいは自発的だとかというと、命令はできない組織になっておりますし、同時に、自発的に専決できる立場の諸君であるわけですから、さりとて、それは制度上の問題であって、実際上血の通ったお互いの関係ではない。こういう意味合いにおいて、まあ重要な作業を何か控えているならば何だが、まあそういうあれがないならば、鹿屋なりその他の九州の部隊も、これは北海道や九州は広い意味においての重要なところだから、まあひとつどうだろうと、こういうことであって、何もゴルフに行くようなそんな単純な気持ちで、ひまだったら来いと、こう言ったのでないというふうに衆議院内閣委員会で申し上げたとおりをここで申し上げまして、御了解を得ておきたいと思います。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 関連して。私は官房長に質問したい。これは将来の自衛隊の動きを見る、また指揮系統などを掌握するのに非常に重要な問題だから官房長に質問いたします。  大臣は就任早々だから、いま言ったような答弁委員会があるいは通ると考えておられるかわからぬが、歴代の長官は、統幕議長なり幕僚長が公務出張するのを知らないで幹部が出張できたかどうか、質問しておきたいと思います。
  72. 海原治

    説明員海原治君) 歴代長官最高幹部が出張するのを知らないでおることがあり得たかと、こういう御質問でございますか。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 そうです。
  74. 海原治

    説明員海原治君) このことは、昨日も衆議院委員会で御質問がございまして御説明したところではございますが、先ほども説明いたしましたように、それぞれの各幕僚長、統幕議長も入りますが、並びに附属機関の長というものの出張命令につきましては、これは部内の規定によりまして、各人がそれぞれ自己の出張を決定できるたてまえになっております。で、したがいまして、出張にあたりましては、自分が自分で自分の出張命令を決裁するわけでございますが、その場合には、長官のもとに、こうこうこういう目的でどこに出張するからという報告を出すことになっております。したがいまして、長官といたしましては、最高幹部の動静につきましてはすでにこれを掌握しておる、こういうのがたてまえでございます。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、今度の出張の場合、長官は、統幕議長なり幕僚長がみずから出張をサインしたものを確認して随行を承認したと承知してよろしゅうございますか。
  76. 海原治

    説明員海原治君) これは、一々各幕僚長が、自分の出張命令を決裁しましたものを長官の手元に出すというものではございません。しかし、御存じのように、長官のところは、最高の幹部でございますから、時々おりおりの定期的な会合もございますし、臨時の報告もございます。したがいまして、今度大臣が出張されるにつきましては、私がお供をしてまいるということは当然に連絡をされているわけでございます。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 私は、形式上の文書上の取り扱いということではなくて、指揮系統を秩序立って確立しておかなければならぬ自衛隊で、長官と統幕議長なり幕僚長の間に、ただ、行ってまいります、ああよろしいというような、そのようなことで公務出張がなされておるということについては、将来非常な禍根を残しはせぬか、問題が発生せやせぬか。現在この新しい防衛庁長官が問題を起こしておる。みずから出張することはいいですよ。それだけの権限を持っておる統幕議長がそういうふうに判断をして出ることはそれはやむを得ないかわからぬが、統幕議長の上には長官がおるのだから、役所の、どのような役所でも、みずからの上に上官がおるとき、それは慣習として文書上のサインはとらぬかもわからぬけれども、慣習として、鹿児島まで出るのに、本部を離れて、東京都を離れて鹿児島まで出るのに、形式上はどうあろうと、長官の了承を得て、目的はこれだ、任務はこれだ、いつ帰るということを必ず了承を受けてみずから決裁するのが当然だと思う。そのようなことがなされておれば、いまのような長官答弁はこの委員会をまかり通ることはならぬです。そのような、飛行場で記者会見で言ったから、それを適当に裏づけて、それを曲げないで、ひれをつけて委員会を通ろうとしておる。そのようなことでは、将来自衛隊の指揮系統はちゃらんぽらんですよ。しかも、長官に帯同して、統幕議長なり幕僚長全部鹿児島に移動する。どのような役所でも、そのようなふしだらなことをやっておらぬ。いままでの慣習、手続上あるいは法的なものと慣習と、もう少し正確に報告願いたい。
  78. 海原治

    説明員海原治君) 私の御説明が不十分なのかもわかりませんが、再度同じことを繰り返すことに相なることをあらかじめお許しいただきたいと思いますが、私が申し上げましたのは、統幕議長及び各幕僚長は自分の出張命令を自分で決裁する権限を与えられておる。しかし、その際には、当然に、事前に、大臣に、長官に対しましては、こうこうこういう目的でどこどこへ出張してまいりますという報告をされる。これは当然のことです。そのことは、従来そのように行なわれてきたわけであります。したがいまして、今回の鹿児島行きにつきましても、これは前々から御説明しておりますように、大臣から命令されたかという御質問でございますので、命令ではないということを大臣はお答えになった。御存じのように、これだけの人員がそろって参りますから、したがいまして、どれだけの人間がついていくかということは、当然にこれはお互いに話し合いの上で計画が実施されたことであります。  なお、この際申し上げておきますが、先ほどからのおことばを承っておりますと、いかにも何の意味もないのに制服の最高幹部が全員同時にお供をして行ったようにおとりになっておりますけれども、これは御意見でございますからいたし方ございませんが、私どもはそのように考えておりません。それぞれ最高の責任者でございますので、それぞれの立場において判断がございます。その判断に従って大臣にお供をして行った次第でございますから、ひとつその点はどうか、非常に強いおことばで御叱責がございますが、私ども考え方はそのようなものであるということをひとつ御了解願いたいと思います。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 大体実態が明らかになっておりますが、大臣が鹿児島に行くということがわかって、統幕議長なり幕僚長なりがその大臣の日程がわかったから集まって話し合って、大臣が鹿児島に行くそうだ、鹿屋にも行くそうだ、したがってわれわれはついていこうということを話し合った上、おのおのみずからの出張を決裁して、大臣に、長官に随行した、そのように確認してよろしゅうございますか。
  80. 海原治

    説明員海原治君) ただいまのおことばの中で、大臣がどこどこへ行くそうだ、だから自分たちも行くということではございません。これは前々から申し上げておりますように、今回の一連の行事と申しますか行動は、大臣の鹿児島県におきまする部隊視察とそれからお国入りと、この二つが同時並行的に行なわれたということでございます。したがいまして、鹿児島県内の海上自衛隊の部隊、陸上自衛隊の部隊を御視察になるということは、これは御視察いただく部隊の現状を御認識いただくということに意味があるわけであります。これは先般も申し上げましたが、大臣御就任以来、東京付近の各陸海空の部隊をつぶさにごらんになりまして、御存じのように、現在第三次防衛力整備計画の立案の最中でありますが、なるべくすみやかに各部隊を御視察をいただき、問題点の御認識をいただくということで、それぞれの部局はそれぞれの考え方を持っているわけでございます。したがいまして、鹿児島にお帰りについては、海上自衛隊の鹿屋の部隊、国分の部隊もごらんいただく、部隊の実情を御認識をいただくということは、私どもとしては当然のことでございますので、その意味で計画をつくったわけでございます。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃあね、官房長、いままでの長官にはそのような例はなかったということをさっきから北村君は言っている。そうすると今度の長官が鹿児島の出身であって、鹿児島の鹿屋の航空基地の大きいことは私も承知しておるのでありますが、特に長官に統幕議長なり幕僚長なりこれだけの随行者が一緒に行かなければならなかったという理由はいまの答弁でようわからぬ。各長官も就任して直後は相当方々を見られるはずです。その長官には随行しないで、今度の長官に特に配意を払った理由は何ですか。
  82. 海原治

    説明員海原治君) どうも先生のお考えの御前提として、特に今回私ども上林長官に対して特別な配慮を払ったというどうも前提でものをお考えのようですが、私どもはそのように考えておりませんということを、実は従来しばしばの機会で申し上げたと考えておるわけであります。先般の委員会でも私申し上げましたように、大臣御就任以来、東京周辺の陸海空の部隊をそれぞれごらんいただいております。最初に練馬の部隊を御視察いただきましたし、その他の日程もございますが、その際になぜ統幕議長がついていったかということを御説明しなければならないわけでありますが、これもこの前申し上げましたように、統幕議長、現在の天野陸将は従来陸の関係でございましたので、海空の部隊については自分は知らないから、この際大臣の視察に随行して勉強したいと、こういうことで出かけられたことは事実でございます。したがいまして、今回の鹿児島行きの結果に相なったと、空幕長が随行いたしましたことも先般御説明したとおりでございます。過去においてそういうことがあったかということにつきましては、この統幕議長と三幕僚長が全員そろうということは、今回が初めてでございますということは申し上げております。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 関連ですから、私はこれで、一問でこの関連質問は終わりますが、いまわれわれこの問題が出ました新聞を見まして、国民もそうだと思うけれども、大臣が空港で、記者会見で、命令でもないと、それかといってただ遊びに行ったのでもない、いまの大臣——長官答弁もそうでありますが、非常にはっきりしない。そのようなことで、長官のはっきりした意思がないまま、統幕議長なり幕僚長が出張するということは、自衛隊の今後の動向を掌握する長官の任務及び今後の隊を動かす秩序の上で、指揮系統の上で不安だから、不安だから質問しておるわけです。だから、蒸し返して衆議院でも参議院でも質問しているわけだ。なぜそれがはっきりできないか。長官が自分の責任で統幕議長も幕僚長も一緒に出張いたしましたと、あの場所は必要だから、視察が必要だから私が行くから、よくわからぬから説明を求めたとなぜ言えなかったか。空港の長官のその発言を裏づけるためにいろいろ苦労しておられる。自衛隊の隊員も新聞読んでおる。国民全部が新聞なり放送聞いておる。そのようなことで自衛隊が動いているかという不信がある、心配があるから、再三再四繰り返して聞いておるわけです。したがって、官房長のお話はよくわかりましたが、それでは答弁にならぬです。したがって、長官のもう一回確かなところを御答弁願いたいと思います。
  84. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) いや、命令したのかと、こういうふうに前提を置かれて言われると、私はそういうことが前提になっていると、いろいろと先ほど申し上げたような答弁になるわけですが、これは制度上の問題で、制度上の問題はこれは大事です。機構の問題は、これは大事です。だから、その制度上の問題を考える場合に、これはそれぞれ幕僚長のほう、あるいは統幕議長の専決事項になっておるんだと、だから、一から十まで一〇〇%命令したのかというふうにとられますと、命令して九州の出張に行ったのかと、こういうことになりますと、そうじゃございませんということを私ははっきり言いたいわけでございます。ただ、それはあまりにもしかし人間関係において、組織の上においても機械的過ぎるから、私としては先ほど事務当局から答弁がありますように、それぞれの理由において、たとえば鹿屋にYS−11を運航する場合どうなるかということを見たかったでありましょうし、そういうような場合に、やっぱりこういう理由もあるから行きたいと、それはこちらのほうに重要な案件が山積していないのならそれはいいじゃないだろうかというようなことは、それは言っておるわけです。だけれども、あまりにも四角四面に、命令かと、無理やりに連れて行ったんじゃないかと、こう言われると、これは困るわけです。ただし、私は先ほど来も申し上げているとおり、ちっともあいまいでないと思っているんですけれども、たとえば、こういうことは、四人一緒に行くということはいまから考えてみれば、これは不自然であると、だから、今後はそろってこういうことがないようにしたいというのが私の考え方ですと、こういうふうに申し上げているんですから、私は御了解願えるんではなかろうかと思うわけですが……。
  85. 北村暢

    北村暢君 大臣はいま、統幕議長、三幕僚長が一緒に行くことは不自然である、今後の問題として考えたいと、こう言っておる。ところが、海原官房長はですよ、それは行くには行くだけの理由があったんだ。理由があったんだと言うんですよ。しかしながら、理由はあったでしょう。それは空幕の部隊はないんですよね、航空自衛隊の直接の部隊というのはない。しかしながら、航空幕僚長は行っておるわけです。それじゃ海上自衛隊の航空基地だけれども、空幕長も見ておくことは必要だ——それは見て悪いと言っているのじゃないですよ、私は。しかしながら、前例にない統幕議長並びに三幕僚長が四人一緒になぜ行かなければならないか。なぜ行かなければならないかじゃない。行くことが軽率じゃないかと言っておるのです、空幕長が。これは別の機会だってあなた行けるでしょう、自分であなた出張のできる権限を持っておるんですから。何も全部あける必要はないんじゃないかと言うのです。そのことを私は言っているんですよ。だから、その点について、大臣は、それはいまにして思えばと、こう言う。いまにして思えば軽率であったとか、配慮が足りなかったとか言うんだけれども、そういう配慮が足りなかったというその時点の問題において、私は、いまにして思えばなんていう、そういうことが綱紀弛緩しているのじゃないかと言っているんですよ。そういうことであって自衛隊というものはいいのかどうかということ、それを言っている。あなたは、行くときには命令したわけでもなんでもないが、人間関係からいって、行ったときは、いまにして思えば反省されるけれども、行ったときは、長官も統幕議長も三幕僚長も意見一致して、和気あいあいのうちに何ら疑問なしに行っているんですよ、これは。そこに問題があるんですよ。しかも、そういう前例というものはない。ないですよ。したがって、これは世間からですよ、部隊を視察する任務あり、いろいろ理由があっただろうけれども、お国入り長官のために三幕僚、統幕議長が忠節を尽くした、こういうふうにしか受け取れないんです。そういうことまでして長官に義理立てをしなければならない、公の最高幹部がそれまでして長官に顔を立てなければならないなんて、そんなばかげたことはないじゃないかと言っているんですよ。これが公私混同もはなはだしいと世の中の批判を買っているんです。事務的な答弁で済まされる問題じゃない。この点について、私は明らかにこれは責任をとるべき、とってしかるべき価値のある問題だと、こういうふうに言っているんです。その責任の所在を明らかにしてもらいたい。
  86. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) この問題については再三申し上げているわけでございますけれども、まだ疑問があられるようでございますのでお答えいたしますが、四人そろって行った場合に緊急態勢はできているのか、これらの人々がいない場合は一番懸念されるのは緊急態勢だが、それは十分できておるのか、こういうことになりますと、これは十分にできていると、私は事務当局から説明を聞いております。そこで、それならばこの四人の者が九州に行く場合に、協議をして一緒に行こうというふうにしたのかというような疑いを持たれるような御発言がございますので申し上げますが、私はそろって協議をした覚えもございませんが、これらの諸君がどういうことをやったかということも承知をいたしておりません。また、事務当局が言うように、最初出て行くときは、先ほどから申し上げておりますように、これはそれぞれの理由があったわけであります。部隊視察という理由があったわけであります、すべて。最後は、それと現地のいろんな計画との、いわゆる混同したという批判も結果的にあるわけでございますけれども、そういうこともございますが、いまあなたが、将来これはこのままでいいかと、こういうことになりますと、だんだん私が申し上げますように、きのうも衆議院内閣委員会で申し上げましたように、せめて半数ぐらいは東京におったほうがいいと思う。将来の運営はそういうふうに反省していくべきじゃないかというのが私の考え方であります。
  87. 北村暢

    北村暢君 責任追及はあとで総括してやりますから、次の問題に移りましょう。  視察の日程についてでありますが、正式に通知をしていないということを言われておるのでありますが、一体防衛庁の組織の中で、大臣が総体的には公的な出張である旅行であるということがはっきりしているのにかかわらず、一体、大臣の日程が公式に通知がされていない。そういうようなことであって、事務処理上においてもいいのかどうなのかと私は思うんですがね。これをまた正式通知をしないなんていうのはあり得べからざることであります。われわれが委員会から、国会から派遣されて行く場合でも、何月何日どこにどういうふうにして着く、どこを視察すると、こういう日程を通知するのは、そして協力をしてもらうのはあたりまえのことでしょう。そういう日程について一体どういう取り扱いになっておるか、事務的でありますから官房長に。
  88. 海原治

    説明員海原治君) ただいま北村先生から、日程が公式に通知されていないのはおかしいという意味の御質問でございました。これにつきましては、昨日の衆議院内閣委員会での御質問に対するお答えと関連があるかと思いますが、私が御説明申し上げましたのは、防衛庁側の、大臣の行動につきましての公式の通知は、これはいたしております。当然でございます。しかし、地方団体のほうへ通知をしたんではないかと、こういう御質問がございましたので、地方の団体のほうへは、防衛庁として公式に御通知申し上げる筋合いのものではない。しかしながら、今回の行動が、いわゆる防衛庁長官としての視察と、地方の行事と日程の関係と詳細にからみ合いますので、いろいろと地元の準備その他の都合上、このような計画で行動されるという意味の連絡はいたしております。こういうことを昨日御説明申し上げたと私は記憶しておるわけでございます。で、そういう意味でございますので、防衛庁内において最高指揮官であられる長官の出張につきまして、その日程等が公式に通知をされないというのはございません。詳細に関係の部隊には連絡通報をしてございます。
  89. 北村暢

    北村暢君 あなたはきのうの衆議院内閣委員会で、正式に文書では通知しておりません、地方にも、しかし、あなたは公私の問題について、市役所であるとか県庁であるとか、こういうところについては、公の立場でいっているんです、こういうことを言っているのですね。したがって、防衛庁長官が鹿児島並びに熊本県へ、県下を視察する際に、なぜ、地方へ通知したというのが、これが正式じゃないということになるのですか。単なる通知であって、正式なものではないように受け取れるようなあなたの答弁だった。一体、これはどういう、あなたのほうで、防衛庁で通知なりなんなりしなければ……、ただ連絡したと、こう言うのですけれども、ところが、公的なところばかりではない、それ以外のところについては、どういうような通知のしかたをしたのか。日程表というものは、あなたのほうでつくって、そして出先の部隊には正式に通知をする。あるいは出先でないところには同じ日程表が連絡という形で行っているんでしょう。その場合に、大臣が何時何分どこに着いて、何時何分どこを出発するという、この内閣委員会へ提出された資料、これが大体大臣の県下視察の日程として行っているだろうと思うのですね。その場合に、私はあなたの配慮が足りないというのは、一体、この公的なものと公的じゃないものとの区別をどういうふうに日程の中にあらわしていったかということが非常に問題だと思うのです。受け取る側は、連絡だろうがなんだろうが、防衛庁から来れば、これは公式なものとして受け取るだろう。ところが、あなたから出したこの日程表、いただいておりますけれども資料の中に、四日と七日は私事旅行だと、こう言っているんですけれども、私事旅行ということは一言も入っておらないですよ。これは七日の官用車使用は民間車のミスプリントだと言って訂正の文書が来ました。それ以外は訂正の文書が来ていない。四日と七日は私事旅行であるということは、これによってはわからない、連絡を受けた者は。そういう状態になっているんじゃないですか。はっきり私事旅行であるということが末端までわかるようになっておるかどうか、この点どうですか。
  90. 海原治

    説明員海原治君) 少し事実関係でございますので御説明申し上げますと、実は私どもも、今回の長官の御出張につきましては、この二、三日以来いろいろと御指摘を受けておりますような、いわゆる公私混同という御非難があってはならないと、それなりに考えたことも事実でございます。具体的に、たとえば九月の三日、これは土曜日でございますが、午前中、鹿屋と国分とは、これは当然部隊観察でございますので、私もお供いたしました。しかしながら、十三時三十分に……
  91. 北村暢

    北村暢君 委員長委員長。そんなことを聞いているんじゃない。四日と七日とだけにしてください。
  92. 海原治

    説明員海原治君) 鹿児島に着きまして、ずっと大臣が行動されておりますが、これは私的旅行でありますので、だれも随行いたしておりません。このように、私どもとしましては、お回りになりますところの行き先であるとかいうことから、おのずから関係者は当然それが私事であるか公事であるかということがわかるだろうという判断をいたしておったことは事実でございます。しかしながら、日程が御指摘のような表となりまして、それぞれの、たとえば村役場、町役場に送られますというと、その送られた先では、これは全部公用である、このように誤解された向きもあるという御指摘を実は昨日も受けたわけであります。そういう点につきましては、私どもは実は考え及ばなかったことは事実でございます。ここに明らかに、四日は私事、七日は私事であるということをうたっておけば、その辺のところははっきりしたと思いますが、当時におきましては、私どもはそこまで考えが及ばなかった、これはそのとおり事実を申し上げる次第であります。
  93. 北村暢

    北村暢君 考えが及ばなかったのじゃなくて、なるべく公用に間違えてもらいたかったんだろう。何を言っているんだ。末端の市役所や受けた側は全部公用だと思っている。したがって、四日における、小学校が日曜日出迎えに出た翌日は——先生もこれは付き添いで出ている——代休でもって月曜日は休んでいるでしょう。しかも、これは明らかに市長なりなんなりが校長を集めて、公的な旅行であるから協力してもらいたいということではっきり協議がされている。四日の日が私事旅行だということがわかっていれば、私事旅行にまでわざわざ市なりなんなりが学校の生徒を休ませてまでやるなんということにはならないでしょう、大体。もともと公私混同がなるべくなされるようにあなた方は計画しているじゃありませんか。そう指摘されても弁解の余地がない。いまにして思えばなんて言ったってだめなんです、そんな弁解では。  それから次に、あなた、七日の日の官用車使用というのがプリントにあって、私事旅行で官用車を使ったのはまずいというので、これはあとからあわてて民間車借り上げということにしたんだろうと思う、これは。まあ、そうでなくてもいいですよ。だけれども、官用車と書いてあるのをミスプリントでございますなんとあとから訂正したって、それは聞こえた話じゃないのだよ。と同時に、その日の熊本から串木野までは、これは私事旅行であるのにヘリコプターを使用しているね。これはさすがに民間のヘリコプターを使ったとは、ミスプリントとは書けないので、そのままになっている。一体どうなのか。これもミスプリントだったのですか。訂正しますか。
  94. 海原治

    説明員海原治君) 私どもこの資料を用意しますときには、相当入念に準備したつもりでございましたが、昨日念のために、私が当時同行した西広秘書官に、これは官用車とあるが官用車で間違いないかと念を押しましたら、西広秘書官から、これは借り上げ軍でございますということの連絡を受けましたので、正直にその旨を委員会で御発言して、つつしんでおわびし、御訂正申し上げたという次第でございます。官用車であったか、民間車であったかということは、御存じのとおり、お調べいただければすぐわかることでございまして、私どもは決して事実を糊塗するような措置はとっておりません。したがいまして、いまお話もございましたが、HU−1Bという飛行機は、これは私どものほうの陸上自衛隊の所属のヘリコプターでございます。私どもこれを変更する考えはございません。
  95. 北村暢

    北村暢君 自衛隊では私事旅行にヘリコプターを使用していいという規定になっておるのですか。
  96. 海原治

    説明員海原治君) この点は非常に微妙な点でございますが、大臣が、防衛庁長官が私事で行動されます場合にも、そこには一つおのずから公的と申しますか、そのような形が実はついてまいります。三自衛隊の最高司令官であられる長官が行動されます場合でございますので、したがいまして、その場合に、たとえば私事旅行でございましても、車の使用ということになりますと、これは当然大臣車を御使用になると思います。私ども自衛隊におきましては、御存じのように、ヘリコプターというものは一般の輸送手段、移動手段として考えられておるところは御存じのとおりでございます。この日なぜヘリコプターが用意されたかと申しますと、当初事務的には車でということでございましたが、熊本から串木野に移動するのには三時間ばかりの時間もかかるということになりますと、車では実は非常にたいへん無理な日程になるということもございまして、ヘリコプターに搭乗いただくということに実はなったわけであります。前日までは熊本の駐とん地を長官の資格で御視察いただいております。その翌日の移動には、これはヘリコプターを用意いたしましても、私どもの感じといたしましては、大臣の防衛庁長官の移動でございますから、あとでこのように御批判を受けることになるとは考えていなかった次第でございます。
  97. 北村暢

    北村暢君 いや、防衛庁長官だから何とかというのじゃなくて、私事旅行に官用車である自動車を使う、使ってもよろしいと。官用車を私事の旅行に使っておるね。ヘリコプターも同じだから使っていいのだ、私事旅行でも使っていいのだ、こういうことになるかと聞いているのですよ。
  98. 海原治

    説明員海原治君) 御質問がきわめて端的に私事旅行だけを取り上げられまして、それに使っていいかという御質問になりますと、実は今回の場合は、前半としましては、公用の日程の中の一部の私事でございます。その場合の扱いにつきましては、これは先ほども申しましたように、これは微妙な解釈上の問題もございますが、私どもとしましては、いわば前半が公用でございますから、その中における一部の私事関係におきます移動は、いわば公用の延長と申しますか、公用的な色彩を持つものということで、長官の移動のための手段を用意した、こういうことでございます。しかし、いろいろ御批判を承りますと、今後このような場合どうしていいかは、関係の部局ともいろいろと相談をいたしまして、今後は御批判のないような計画をつくりたいと考えております。
  99. 北村暢

    北村暢君 それはね、私はこんなこまかいことをくどくどうだのこうだのという筋合いじゃないと思う。私事旅行に官用車を使っていけないというのは原則ですよ、これは。こんな原則まで否定されちゃおかしいのであって、しかし、たまたまこういう問題が出たので、特に長官でもあるから、ヘリコプターを原則は認められないのだけれども、特別に認めましたと言えば、簡単なんだけれども、それをくどくどくどくど、いかにも合法であるかのごとく説明するからおかしくなる。だから、公私混同になっちゃうんだ。どこまでが公でどこまでが私だかわからなくなっちゃう。混同しているからわからなくなっちゃう。そういうことになるんだよ。原則は、私事旅行に官用車を使っちゃいけないんだよ、これは。そうでしょう。どこの官庁だってそういうふうになっているんだ、それは。そういうようなことであるが、これもあなた方は、それじゃ何のために乗ったかというと、移動のためでございますと言うのだな、目的は。目的は、まさか選挙区に入ったから選挙運動をやるためにヘリコプターに乗りましたとは言えないから、したがって、移動のためでございます。自動車で行けば何時間かかる。何時間かかったって、私事旅行ならかまわないじゃないですか。何でヘリコプターで早く行かなければ日程に合わないからつて、日程が初めからヘリコプターで行くことになっているんじゃないか。そういう言い回し方をすることはけしからぬよ、これは。私はそういうことを言っているのですよ。そのあなた心根が憎らしいじゃないですか。全くもう卑劣そのものだ。その点はまあそういう公私混同の一つの例なんだ。それからもう一つ、四日と七日は私事旅行だった。ところが、この四日と七日私事旅行だったということをあなた方は末端に徹底できなかったばかりでなく、長官すら大体薄ぼんやりわからなかったでしょう、これは。きのうとおとといようやくとそんな気になってきたんじゃないですか。大体わからなかったでしょう、四日と七日私事旅行だなんというのは。これはもうあとからつくったことなんだ。私はそういうふうにしか思われない。あなた方はなかなか、日程を立てる上において、ほんとうの公務は三日の日の鹿屋と国分の部隊を視察した、これだけでしょう、ほんとうの公務は。六日の日は熊本の部隊を視察した。これだけですよ。あとは何と説明しても説明ができない。ただ、二日の日は東京から来た。これは来るときは公用だ。次の日、三日は部隊へ行ったから、これも公用だ。四日は何としても説明がつかぬから、私事旅行にした。五日は東京に帰ったから、帰るときは公用だ、こう言っておる。そして六日の日は熊本に来たからこれは公用だ。七日の日は説明がつかないから、これは私事旅行だ。八日は東京に帰ったから、帰る日は公用なんだ。ところが、大臣の一貫した日程の中においては、そういうような私事旅行も公用も区別がつかないようになっているのじゃないですか、この日程を見ても。そういうふうになっていませんか。たとえば四日の日においても、七日の日の私事旅行の日に自衛隊のパレードが行なわれていますね。自衛隊の音楽隊がパレードに参加しておる。あるいは演奏会をやっておる。これはあなた方がこの音楽隊の演奏なりパレードに、参加と言うのかどうか知らぬが、「パレード」となっていて「参加」とはなっていないが、参加したかどうか知りませんけれども、とにかく広報活動のために音楽隊が来ているわけです。柳田の場合は国分の音楽隊。それから伊集院、加世田、枕崎については、これは熊本の八師団の音楽隊をわざわざ呼んできているわけですね。しかも、これは広報活動をやった。こういう広報活動で市中行進やっているときに、たまたま私事旅行の上林長官の車がこう膚接して、ついてくるなというやつがついてきちゃった、こういうことになる。そういう説明しかできないじゃないですか。何もこの音楽隊は私事旅行の上林長官のために来たわけじゃないんでしょう、これは。そういう説明にはならないでしょう、どうしたって。偶然、伊集院などや加世田でもって、長官の行進しているところに広報活動のための音楽隊の行進がぶつかっちゃった、こういうことになる。そうでなければ説明つかないんじゃないですか。そうでなければ公私混同だ。パレードに参加したとなれば、明らかに公私混同だ。何と説明しますか、これを。
  100. 海原治

    説明員海原治君) 北村先生御指摘の、音楽隊と大臣一行が偶然にもたまたまぶつかったという御表現でございますが、そういう御説明は実はいたしておりません。これもいままで申し上げたことの繰り返しになりますが、地元の父兄会会長、場所によりましてはその会長は市長がやっておられますが、そういう団体から、こういう機会にひとつ音楽隊が出て音楽の演奏をして、広報活動にもなるからやってくれんか、こういう意味の御依頼がございまして、それに従いまして、先ほど来申し上げておりますような部内の規定に従いまして、音楽隊が出ていって、そこで音楽の演奏をやった。一部その場所の状況によりましては、わずかの距離でございますが、いわゆる音楽の行進でございます、これをやった、こういうのが実態でございます。なぜそのような集まりができたかということになりますと、これは大臣として初のお国入りをされます方のお帰りの機会をつかまえてということになりましょう。しかし、音楽隊が出てまいりましたのは、その大臣御一行を云々ということではございません。その辺のところは、まあ非常に理屈と申しますか、理論的に分析されますというと、先生のおっしゃいますようなことにも相なるかとも思いますが、ひとつそこは社会的な、客観的な見方を……
  101. 北村暢

    北村暢君 「社会的」で説明できないから質問しているのだよ。
  102. 海原治

    説明員海原治君) おとりいただきたいと存じます。
  103. 北村暢

    北村暢君 自衛隊の音楽隊の広報活動というのは、防衛庁長官の選挙区においてだけ行なわれるのでしょうかね。これは大臣は鹿屋にも、国分にも行っておられる。熊本にも行っておられる。ここでなぜパレードをやり、音楽隊を率いて演奏会やらないのですか、これは。熊本なんて、県庁の所在地でしょう。当然防衛庁長官が初の視察に行った場合に、駅頭に、これは松野さんのお国入りじゃないけれども、自衛隊の音楽隊が出て演奏するぐらいあたりまえなことでしょう。なぜそれをやらないのですか。熊本の市内だってパレードをやって、自衛隊の音楽隊——これは旅費かからないわ、熊本におるのだから。伊集院や加世田の鹿児島県までわざわざ熊本から八師団の音楽隊を連れていってまでやらなけりゃならないほど重要な広報活動をやる音楽隊が、なぜ熊本市に長官が行ったときに広報活動やらないのか。それほど熊本の父兄会がぼんやりしておって、鹿児島の一区の自衛隊の父兄会だけ敏感に頭が働いたのか。こんなことが許されると思うのか。社会常識と言うのかい、そういうのを。大体こんな、ふざけているよ、あなた。したがって、あなた方がいかに弁解しようと、公私混同でない、防衛庁長官の選挙のためでないといえども、いいですか、松野前長官は、熊本で、先ほど答弁があったように、駅へ音楽隊が出て演奏して迎えた。パレードはやりませんでした、前の長官は。まあ、農林大臣になってからぐあいが悪いようだけれども防衛庁長官のときはそのくらいで済んでおった。上林山さんは、あなたは第一日目のこの鹿児島のパレードでも大げさだった。パレードに気がつかないはずはないでしょうね、大臣が。これは自分の予期してきたのとはちょっと違う。土地柄だけれども、大げさだった、これはあまりこういうことは好ましくないから改めようというのが、大臣、あってしかるべきでしょう。そのパレードについても、私の関知するところじゃない、音楽隊の出たのも父兄会が呼んだので、私は知らない。みんな知らぬ存ぜぬで、いかにも地元の人が、ならないと思っていた大臣がなったというので、うれしかったのかもしれないけれども、極端なパレードをやり、しかも、東京へ帰ってまた出直してきてから、またやっているじゃないかね。こんなばかげたものが社会常識として許されるかどうかという問題なんだ。それで自衛隊の音楽隊は、あなた方は、広報活動をやって、合法的で——あなた方の午前中の答弁から聞いていたって、少しも法に恥じず、自衛隊の運営上においても間違いはないと、こう言っている。何が間違いないのだよ。大きな間違いじゃないですか、こんなことは。こんなことを自衛隊が許していいのかどうかということだ。これが社会常識として許されることですか。お国入りで二日の日に鹿児島で大パレードをやられた。これもパレードとは言わなかったようですね。何か、大臣が行って車もたくさんあったから、ついているうちに後援会もうしろについている、何となくパレードみたいになってしまったと言っているが、そうではない。現実には堂々と音楽隊を、しかも西部方面隊の音楽隊、第八師団の音楽隊、これは両方とも熊本からわざわざ呼んでいる。国分の音楽隊、これをパレードにはべらして堂々とやっている。これだけでけっこうじゃないですか。なぜ余分なことをまたやらなければならなかったのですか。大事な鹿屋なり国分なり熊本なり、部隊に行ったときにはやっていない。選挙区にのみやっているじゃないですか、あなたは。それで悪質な選挙の事前運動だと言われて抗弁のしようがあるかどうか。海原官房長のごときは、午前中何ですか、あの答弁は。そういうものをやってお国入りにそういう音楽隊が参加することは当然なことなんだくらいに前には言っている。そういう認識で自衛隊の運営なり指揮監督ということが成り立つかどうか。公私混同もはなはだしいと言われて抗弁する余地があるのかどうか。これは公私混同じゃないですか。そういうつもりでなかったけれども、結果的に公私混同のようなかっこうになりましたなんてふざけた答弁は許されませんよ、これは。どうです。大臣にひとつこの点は明らかにしてもらいたい。
  104. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) ただいまの御指摘については、さらに御質問でございますので申し上げますが、私は何回も同じことを申し上げますが、それは最初の計画というか、考えは、公私混同をする考えももちろんなかったわけで、すべてこれは公的な旅行、視察と、こういうことが重点でございますが、もちろん、結果的に地元の催しといいますか、こういう方面との混同があったと、一部混同があったと、こういうことは認めなければならぬと思っております。しかし、御承知のように、いみじくも私が言いやすいようにあなたに言っていただいたからそれを活用さしていただきますが、鹿児島の土地柄は、これは非常に御案内のとおりの土地柄でございまして、長い間大臣が出なかった、こういうことで、大臣が出たと、こういうことで非常に歓迎をしたことは、これは事実でございます。そういうようなことから、地元の団体におかれても非常に協力的であったというのでございまして、何もこれは私がこういうふうにやってもらいたい、計画はこうでなければならぬといって、そう一から十まで細目にわたって時間的にもそういうことのできる立場ではないはずでございます。そういうような立場でございますから、私といたしましては、結果的に見て一部公私混同した点があったと、こういう点は将来戒めなければならぬと思っておるのですと、しっかり反省して改めていかなければならぬと、こういうふうに誠意を持って申し上げておるのでございまして、それ以上、全部公私混同ではないか、あるいは選挙運動ではないか、こういうふうにあなたの大きな声で言われますと、それは私としても一言だけはこの程度にはやはり申し上げておかなければならぬと、こういうように思います。
  105. 北村暢

    北村暢君 声が大きいから脅迫しておるわけじゃないのだけれどもね。声は地声ですから御了解いただきたいと思います。  あなたは、いま答弁ありましたように、最初から公私混同するつもりはなかった。そんなことはあたりまえの話じゃないですか。初めから公私混同するなんて説明する者もないし、また、計画したという者ももちろんない。ところが、計画表を見てごらんなさい、日程表を。大臣はこの日程表を見たことも聞いたこともない。あなた、でくの坊のように自動車に乗れと言ったから乗った、ヘリコプターに乗れと言ったから乗った、飛行機に乗れと言ったから乗った、こういうことをおっしゃるのですか。明らかにこの日程表の中には、四日なり七日の私事旅行というものの中にはっきりしておるじゃないですか。パレードも書いてあるし、演奏会をやることも書いてあるし、みんな出ていますよ、これ。伊集院パレード十分、加世田パレード十分、これに自衛隊の第八師団の音楽隊がやるということははっきりしておる。こういうものは偶然にして、大臣の知らない間に地元の熱狂的なお国入りの歓迎のためにこういうことがなされたのじゃない。あらかじめ計画されておる。日程の中にはっきり載っておる。予期しないということで白々しいことを言われたって困る。日程に載っておるのですよ、これ。日程表を知らないというなら別だ。それほどおめでたい大臣でもないだろう。日程も何も知らないで、ああいうことを言う。そういうことはあり得ないはずです。また事務当局も、この日程を知っておって、これはあなた方先ほど来言っておるように、自衛隊の音楽隊が参加することは違法でもなければ適正な運営だと、こう考えておられるから、日程を立てたときには何ら疑問に思っておらない。これが選挙区に限ってだけこういうふうに行なわれておる。選挙区でない鹿屋とか国分の三区とか四区ではやっていないじゃないですか。熊本でもやっていないじゃないですか。あなたの選挙区だけの日程に載っておるのですよ、これ。それで、予期したことではないだなんて白々しくそういうことが言えますか。  それから、今後のことがありますからお伺いしておきますけれども、あなた方、自衛隊の父兄会がこれを申請をしておる。この自衛隊の父兄会というのは、一体公的な組織なんですか、これは。私的な組織なんですか。何かに認められた公的な組織なんですか。自衛隊の父兄会並びに隊友会、それから自衛隊協力会、こういう十一団体から申請されておる。こういう団体から申請されたものは、公的な音楽隊の出動する何か規定や規約の中に、この地方的なお祭り等に要請があれば、公的なものから要請があれば——公的と言っているのですから、的の中に入るという解釈だろうと思うのですが、こういうものをですね、まあ目的である上林長官のお国入りが郷土のお祭りであれば別ですよ、それをお祭りと解釈しているのじゃないかと思うが、そういうお祭り騒ぎにこの父兄会なり自衛隊の協力会なり隊友会、こういうものが公的なものとして見られる。自衛隊の人から言わせれば公的かもしれませんけれども、一般国民、一般市民から言えば、これは公的なものとは私は言えない、私的なものだ。どうせこれは自衛隊の内輪の中で頼んだり頼まれたりしてやっているんだろう、いいかげんに音楽隊というものは行動されているのだろう、こういう疑惑の起きることは当然です。一体、こういう父兄会なり何なりというのは、任務は何なのかそうして公的なものか私的なものなのか、ここら辺をはっきりしていただきたい。
  106. 海原治

    説明員海原治君) 音楽隊の派遣を要請されますところの部外の団体と申しますのは、いわゆる公法人としての性格を持ちましたものだけに限りません。これは先般も御説明いたしましたが、防衛庁の広報活動に関する訓令の第十二条に、国、地方公共団体、その他の部外団体等から行事に対する協力の要請を受けた場合には出してよろしいと書いてございます。この場合の団体等という中には、先ほど申しましたような法人格を持った団体だけではございませんで、いわゆる任意団体、これが入るわけでございます。具体的に申しますと、先ほど来音楽隊の市中行進パレードに関して御疑問がございますが、出た場合を申してみますと、たとえばことしの四月二十九日、東京では全国日の丸連合会、こういう団体からの要請によりまして、第一師団の音楽隊が天皇誕生日の祝賀パレードに参加しております。あるいは京都におきましても、七月一日に京都市の保護司連盟からの要請によりまして、第三師団の音楽隊が第七回愛のパレードというようなものを京都市内で実施しております。そのほかに、たとえば九州でございますと、二月七日に高千穂線の鉄道工事の起工式のための音楽隊派遣を、地元から要請が出ております。こういうことでございますので、おわかりいただけると思いますが、部外団体という規定は、先ほど申しましたように、いわゆる任意団体、協力団体的なものも全部入っております。これが従来からの防衛庁の慣例でございます。
  107. 北村暢

    北村暢君 任意団体も部外団体もいいんです。私の聞いているのは、自衛隊の父兄会、協力会、隊友会、これは一体何なのか。しかも、今度の要請は全部こういう十一団体である。自衛隊のいわば下部機関みたいなものですね。下部機関、これはつながりは全然ありませんよ。公的な機関では私はないと思うから、つながりはない。だが、あなた方は自衛隊員の募集なり何なりにこれを使っている。事実でしょう。この問題は私はまたいつか問題にしたいと思っているのですけれども、使っている。そういう自衛隊の募集なり何なりに使っているもの、しかもこれが、会長だの何だのというのは、先ほど言ったように市長さんがやっている。あるいは自民党の議員さんがやっている。自民党の議員さんがやっている県の連合会なんかもある。自衛隊の隊員募集ばかりでなしに、選挙に使われているという、悪用されているといううわさもある。しかも、その自衛隊の内部的なようなところから要請されたからと言って、他の任意団体ならいざ知らず、こういう自衛隊関係だけの十一団体から来ているのですね。私は、小学校なり、あるいは市——加世田市なら加世田市の市なり、あるいはそれの市内の各学校の連合会——連合会というか、そういう組織があるかないかわかりませんけれども、そういう学校であるとか、色のつかないところから要請されたのなら、まだわかりますよ。いかにあなた方が任意団体から要請されたと言ったって、これはあなた自分の息のかかったところじゃないですか。そんなことを平気で国会で答弁して、これが選挙活動、事前運動ではございませんとか、ハチの頭だの言ったって、これは聞こえないじゃないですか。だから、今後において、特に防衛庁長官の出張する際に、父兄会だの何だのというものの要請というものについては、これはあなた内輪であとからどんな細工でもできる。要請が内輪だったのは、国会で問題になったからしかたなしに要請されたような形をとったのかもしれない。それくらい疑わしいのですよ。やれ、あとからうるさくなったから、あとから申請書出しておけというようにやっているのかもしれません。そういうふうに疑われますよ。そういうものであるということ。したがって、今後における方針、先ほどいろいろな例をあげたけれども、自衛隊の父兄会だの、隊友会だの、協力会だの、そういうものは一つもないじゃないですか。他の任意団体でもいいのですよ。いいのですが、色のつかないところから要請されるべきである。そうであれば、国民の批判も免れると思う。また、自衛隊の音楽隊の運営としてもそれでいいと思う。一から十まで、日程表にしても何にしても、事務当局が知らないわけでもない。大臣が公私混同を予期したわけでもないと言っているけれども、明らかに計画なり何なりすべて公私混同にそういう指示はしたのじゃないけれども、なるべく公私混同ができるように計画が立ててあるのじゃないですか。全く作戦なり何なりがお手のものだから、作戦を立てるのだろうけれども、こういうでたらめな作戦はやめてもらいたいね、これは。これを公私混同と言わないのかどうなのか、大臣はっきりしてもらいたい。それから事務当局には、今度の自衛隊の父兄会なり何なりの問題について、特に防衛庁長官の出張の際における、何と言いますか、広報活動というようなことで行なわれる問題について、私は今後の問題として十分これは反省する必要があると思うが、その運用の方針についてこの際伺っておきたい。
  108. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 日程を知らないのか、計画に参画しなかったのかと、こういうような話を前提とされておるようでございますが、私は日程を最初から計画するのに立ち会ったのではないわけで、あるいはまたこまかいところまで大臣が注意したほどのことはないと思いますけれども、そういうところまで注意する余裕もございませんで、結局、いろんな点について、いろいろ批判があるかと思いますけれども、事実を事実として私は申し上げてきたわけであります。今後はこういうことを自由にやっていいのか、こういうお話でございますので、それについては、たとえば私の地元でやるような場合については配慮をば十分にしてやるべきである、その他の方面においては、これが自衛隊の広報活動に効果があると思われるところについては積極的に音楽隊の活用をいたしたい、こういうように考える次第でございますので、御了承を願っておきたいと思います。
  109. 海原治

    説明員海原治君) ただいま長官が御答弁になりました後段の点で、今後の方針につきましては明確になったと思いますが、私からも重ねまして、広報活動に際しましての音楽隊の運用につきましては、ただいま先生から重々御注意がありました点をよく考えまして、いろいろな、何と言いますか、運用につきましては、誤りのないよう注意したいと思います。ただ一言お願いいたしたいことは、この三団体は、いま先生がおっしゃいましたように、やはり自衛隊にとっては縁の深い団体でございますので、それらの団体からの要請はほかの団体よりも冷たくするわけにもまいりません。これはやはり一般の団体と同じように扱ってまいりたいと思いますが、御注意のことはよく私も拝察いたしますので、今後は十分その点について注意してまいりたいと思います。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 公私混同の問題で関連して二問だけ、素朴な質問ですけれども、数字の問題ですから官房長から答弁してもらいたいと思います。  それは、国会の常任委員長はいろいろ調査活動しなければならぬ。各常任委員が年に一、二回重要な問題を調査するのに、常任委員長が専決できる予算は二十万ないし三十万しかない、年間に。ところが、今回のこの防衛庁長官の鹿児島及び熊本県下視察に伴う経費は一回で百二十三万円使っております。この種の経費というものは、防衛庁長官はどのくらい年間予算を持っておるのか、御答弁願いたい。
  111. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) いまごらんになっておる資料は、私どものほうから差し上げておる資料の数字をごらんになっておるのかと思いますけれども、したがいまして、第一回分が七十二万四千円、第二回分が五十万七千円、合計百二十三万一千円となっております。これは、特に長官が出張するためにだけのあれではございませんで、委員会から今回、第一回、第二回合わせて長官御出張に伴って各種の経費が出たわけであるが、その経費の明細を出せという御指示でございますので、長官の今回の二回にわたる出張に伴う経費の明細を計上したわけでございます。特に長官出張のためにだけの経費というものは、私どもで予算を別にとっておるわけではございません。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 いろいろ苦しい答弁のようだけれども長官が出張されなければこれだけの経費は要らなかったわけです。それで、一回鹿児島県下及び熊本県下を視察るるために、いま言ったように、YS11あるいはヘリコプター、音楽隊の輸送費、あるいは長官の出張費、随行者の出張費、その他地方においてこれに随行した各賞の旅費なども含まれておると思うけれども、これは長官がやはり行かれたからこれだけ経費が要っているわけです。そういうものを大臣は視察を何回かやっておられる、また今後もやられる。年間一体どれくらいの予算が長官の出張、視察旅費として組まれているか、官房長官に聞いておるわけです。
  113. 大村筆雄

    説明員大村筆雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、長官出張のために幾らという予算の計上はいたしておりません。年間私ども毎年国会で御審議、御承認いただきました予算の範囲内で長官が随時御出張になる、そのために所要の経費を支出してまいるわけでございまして、一年間にわたってでは幾らかという実績は出てまいりましょうが、一年間前もって長官出張のために幾らという予算の計上のしかたはいたしておりません。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 われわれは、議員の調査活動と比べて、あまりにもけた違いに豪華であるし、けた違いの予算を使っているものですから、びっくりして質問しているわけです。この辺はあとでまたいろいろほかの議員から質問がありましょうし、将来これは決算でも問題になりましょうから、また将来の問題といたします。  第二の問題は、YS11、いわゆる長官機を二機も並べてお国入りしたということは、国民はどぎもを抜かれておる。長官機の任務というのは一体どういう任務づけをしておるか、これを正確に御答弁願いたいと思います。
  115. 海原治

    説明員海原治君) 航空自衛隊の所属輸送機がYS11とC46と両方ございますが、そのうちの特定の飛行機がいわゆる長官機という目的のためにいろいろ装備し、運用されているものじゃございません。それぞれそのときの御要求に従いまして、長官の出張の際あるいは国会議員の御視察の際等に随時使用しておりまして、特別な長官機というものは私どもは持ち合わせておりません。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、YS11二機連ねて行ったということは、随行官が多かったために一機では足りないから二機連ねて行ったと、こういうことですか。
  117. 海原治

    説明員海原治君) この件は昨日も御説明申し上げましたが、今回の長官の御視察に際して使用しましたYS11は一機でございます。たまたま報道関係者の前からの計画がございまして、一機鹿屋の部隊の視察には使用しておりますが、これは全然別行動でございます。
  118. 小柳勇

    小柳勇君 そのお国入りがはでだったために、音楽隊とか、あるいはその長官機とか——表現は長官機としてありましたね。私はその二機ということは取り消します。一機は報道関係者が随行のために使われたようでございますから、長官の使われたのは一機と速記も訂正していただきますが、そのようなことが大げさに出て、まことにもうけしからぬ長官である、そういうものが問題の発端であろうと思う。それで、もちろん総理大臣も、あの寸暇を惜しんで出張する場合でもYS11など使わないでおられる。もちろんそれは飛行機の日程もありますけれども、それをあたかも、長官が自分の飛行機を持っておって、いつでもそれを自由に、自動車と同じように、さっきの答弁じゃないですけれども、ヘリコプターでも飛行機でも長官は自動車がわりに使っておるという印象を持っておる。そういうものを、もう公私混淆、混同、それこそ正式に秘書でない者さえ乗っておったという疑惑がある。そういうものがこの問題の発端だと思う。したがって、これは、官房長はきれいなことばでいろいろさっきから答弁をしておるけれども、率直に私はこれは認めるべきだと思うのです。大臣も飛行場の発言もあったろうけれども、私が、私の意思で、統幕議長も、幕僚長も、その他の随行員も連れてまいりました、そのことが自衛隊を強化する道であるし、十分に自衛隊のあり方を知るゆえんであると判断したから連れていきましたとなぜ大臣は言えないか。また、官房長は、そういうことで計画しましたとなぜ言えないか。私は、この問題が起こりましてから今日までの答弁をずっと聞きまして、まことに国会の答弁をさえ言いのがれすればよろしいというようなことでは、自衛隊の士気にも関係するであろうし、第一、官僚、役所のあり方自体に大きな問題があろうと思うのです。そういう問題について、関連でありますから、最後に大臣から答弁を願っておきたいと思います。
  119. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 従来の制度あるいは慣例というものもございますが、こういう問題を別にいたしまして、ただいま御指摘の点については、私はきびしくこれを反省し、さらに御発言趣旨に沿うように努力をしてまいりたい、こういうように考えております。
  120. 北村暢

    北村暢君 時間の関係がありますから、あとに搭乗者の問題等ありますけれども、省略いたしますけれども、とにかくいま私がいろいろあげてまいりましたが、まあどういうふうに事務的に答弁しようといえども、かりに大臣のおっしゃるように、公私混淆するということはもちろん考えておらなかったし、またしたくないと思っておったけれども、結果的に公私混淆のような形になったというふうに言われておるようでありますけれども、私はここではっきりやはり事実は事実として、あなたも総理に言われたのでありますから、公私混淆があったということを率直に認めるべきだと思う。これは午前中、伊藤委員からもこの点について追及したところでありますけれども、前の委員会における事務当局答弁においても、公私混同はないのだ。そしてあなたの羽田における記者会見においても、公私混同というような点についてはあいまいである。そして最近になって、きのうあたりからようやっと公私混同ということがあったんだと認めるようになってきた。空港へ着くまでは、事務当局のそちらについておる二人が悪知恵を教えて、そして公私混同でないとか、やったことは間違っていなかった、世間を騒がしたのは申しわけないけれども、総体的にいってあまり間違ったことはしていなかったと、こう言っておる、あなたはね。したがって、今日でもなおそのような考え方でおるのか。午前中の伊藤委員質問に対しても、事務当局答弁したとおりでございましてとこう言う。とおりであったならば、これは公私混同もやっていないし、悪いこともやっていないということになる。そういうことは断じて私どもは承服できない。公私混同であったということを率直に認めるべきである。総体的においてあまり間違ったことはしていなかったと、こういう認識というものは、きのうの衆議院内閣委員会、きょうの内閣委員会において私は明らかになったと思う。この点について大臣は率直に、公私混同の事実と、いかにも国民のほうが、自分は正しいことをやったんだけれども、世間があまり騒ぎ立てたのがよくなかったようなことを言っておるけれども、誤解をされたようなことを言っておるけれども、誤解ではない。あなたのやった行動自身が世論の批判を買っておる。総体的に誤ったことはしてないんじゃなくて、大いにやっておるんだ。そのことをはっきり認められるかどうか、明確に答弁していただきたい。
  121. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 多少の見解の相違もあるかと思いますが、私は最初は、混淆だという意味はないと、こういうふうに考えておりましたが、結果的に見て一部御指摘のような混同された点があった、これは認めて、そうして将来こういう誤解を受けないような処置をとっていきたい、これが私のただいまのまじめな見解というと語弊がありますが、率直な私の考え方でございます。
  122. 北村暢

    北村暢君 あなたは一部公私混同というようなことを言われたけれども、一部じゃない。公には鹿屋と国分の三日の午前中あるいは六日の熊本県における部隊の視察、これが中身的に見れば公務だ、あとの八日間のうち大部分というものは公私混同なんです。一部じゃないですよ。一部だなんという認識を持っておるから、一部なら改めたらよかろうということになる。責任をとるような形にならない。大部分をあなたが公私混同をやっておる。その点はどうですか。
  123. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) たいへんきびしい御批判のようでございますが、先ほど申し上げました見解が私の見解でございます。御了承願います。
  124. 北村暢

    北村暢君 あなたは、先ほど小柳委員が言っておるとおり、きょうの参議院の内閣委員会を、何とかかんとか頭を下げてでも、同じことを繰り返してでも、何してでも過ごせば、それでまず切り抜けたと、こういうふうに思われるようであります。また、内閣もそのように思っておるようであります。そうではないんですよ。私は、いま申してきたような事態が、これはほかの官庁ならまだいざ知らず、自衛隊というまことに規律をとうとび、しかも長官の一挙手一投足が隊員の士気にも影響する問題なんです。あなたが三十日に観閲式に行かれるようだけれども一体どの顔下げて隊員に合わせる顔があるんですか。また、あなたは就任当時隊員に副本をしている。信賞必罰をあなたはモットーとしている。私もかっては軍隊に経験があります。指揮官たる者は率先垂範しなければならない。隊員に服務規律を法律において要請し、その責任というものを、重大性というものを感じて、国民の奉仕者としてやるということを法律で規定をしておいて、しかも訓示における信賞必罰ということをモットーとする長官が、率先垂範することによって、何よりも生きたこの隊員に対する、口で言う訓示でなく、行動をもって私は範を示すべきであると思う。そのことは、今日これだけ世間を騒がし、批判を受けておる大臣、あなたが、まじめな考えにおける心境だということで、やったことに対して改めればいいと、今後は一生懸命やるつもりである、それだけでは今日許されない段階に来ておる。あなたの進退というものが、今日自衛隊の士気に対する重大な影響があると思う。私は、あなたが、この際進退を明らかにして——あなたの統幕議長なり、陸海空の幕僚長なり、これらの幹部に対しても、あなたが進退を明らかにすることによって規律というものが保たれるのではないですか。そういう段階に来ているのです。したがって、私はいまここでどうこうということは、あなたも総理大臣から何とかしてこの衆参の内閣委員会なり何なりを切り抜けろと言われている。あなたの進退というものも総裁の選挙までもたせる、そういうようなことを言われているから、あなた個人の意思でどうにもならないのかとも思うけれども、先ほど来言われているように、あなたが進退というものについては考えておらないと、こう言っているが、あなた自身は考えるべきですよ。考えるべきです。少なくともこれは、公にするとしないとにかかわらず、私は総理大臣には進退伺いくらいは出してしかるべきだと思うのです。そのくらいの重要性があるというふうに私は思うのです。あなたの進退について、いま考えておりませんといったようなことでは、私はあなたのほんとうの心だとは受け取れない。偽らざる心境をひとつ承りたい。
  125. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 御指摘の点は、衆議院内閣委員会でも、なお午前中の当委員会においても、私の心境は申し上げたとおりでございます。私は配慮の足らなかった点は重々反省いたしますが、同時に、今後一そう精魂を傾けて、そうして自衛隊の精強なる育成に最善の努力をいたす決意でございます。私はそういう決意で今後も当たっていきたい、これが私の考え方でございます。
  126. 北村暢

    北村暢君 あなたが何ぼまじめな気持ちで誠心誠意自衛隊の隊員に自衛隊の士気について説いてみたところで、今日のあなたの状態では、部下である隊員があなたのおっしゃることをすなおに聞くような体制にはない。どんなに誠心誠意やってみたところで、そういうような体制にはない。そういう点から、あなたが出所進退を明らかにすることによって信賞必罰を部下にあなたは説くことができる。これだけのことをしていながら、反省いたします程度で居すわって、そうして隊員にいくら説得しても、これは説得力というものはない。率先垂範されること、そのことによって先ほど来言っている全く腐り切った自衛隊の幹部のいましめになる、そういうことです。あなたのそういう心境は、私はどうしても納得できない。一体そういうものでいいのかどうか。一国の防衛庁長官たる者が、私は荒舩大臣よりもはるかにあなたのやった行動というものは重いと見ております。また、世間もそう見ている。荒舩大臣のやつは何となくこっけいじみていて、まだ無邪気で、やめ方も率直でよろしい。あなたは何ですか、一体。あなた自衛隊の、防衛庁長官ですよ。規律を最もとうとぶ自衛隊において、防衛庁において、長官たる者が責任をとるというのはあたりまえのことじゃないですか。なぜできないのですか、それが。それほどあなたは佐藤さんに顔を立てなければならないのですか。佐藤さんの顔よりも国の政治のほうが、自衛隊に対する士気のほうがはるかに国家的な意義があると思う。どうですか。
  127. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 先ほど来私の心境は申し上げているところでございますが、御意見をきもに銘じて、今後精魂を傾けてやりたいと思っておりますから、どうぞ今後の行動を見ていただきたいと思います。
  128. 北村暢

    北村暢君 大体あなたはナマズのようなもので、さっぱりこれだけ私が言っても通じない。それほど無神経ですか。私はそれなりの大臣としか思えない。大体あなたは閣僚になったときから、あなたと荒舩さんは何か出すのじゃないかということで、新聞記者はもうウの目タカの目であなたについて歩いた。はからずもりっぱなことをやってくれた。これだけ世間を騒がせたならいさぎよくやめるのが、私は自衛隊の士気に対しても、はるかにあなたが誠心誠意今後の行動を見てくれというよりもりっぱな処置であり、あなたのために非常に惜しむものであります。この点だけ申し上げまして、いくら言っても尽きませんから私の質問は終わります。
  129. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は最初に、きのう行なわれた中国の核ミサイル実験並びに渡米中のことについてお尋ねしたいと思います。  長官にお尋ねしますけれども、渡米中マクナマラ長官に会われたそうですが、大体何分くらい会ってどういう話をされたかお聞きしたい。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
  130. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 御承知のような事情で、マクナマラに会う前にバーンズ国防次官と約二時間半、さらにマクナマラと四十六分、こういうふうな時間でございました。それは、マクナマラがベトナムにジョンソン大統領の緊急命令で行った関係上、いろいろな問題についてはバーンズ国防次官とある程度話し合いをしておいてもらいたい、そうして集約ということばはどうかと思いますけれども、そのことを参考にして、そして会うというのがその趣旨でございました。時間の関係を申し上げますと、そういう状態でございました。  なお、今度の訪問の目的は、衆議院内閣委員会でも申し上げましたとおり、マクナマラの招待状にも示されているように、日米両国の国防当局の首脳が直接会談して、それぞれ意見をかわし、相互に意思の疎通をはかることに意義がある、こういうことでございまして、会談の内容といたしましては、極東における政治、軍事情勢についての意見交換を第一といたしたわけでございます。また、これは御質問にはございませんけれども、便宜申し上げておきたい点は、その後私といたしましては、米国の軍事事情あるいは軍事施設の視察を行なったわけでございます。会談の内容を項目的に大きく分けますと、ベトナムの戦況の見通しはどうかという点、あるいは中共核開発に対する考え方はどうか、中ソ間のただいまのような状態は大体いつまで続くと思っているかというような点について、主としてこちらから情報を提供することをやめまして、できるだけ向こうがどういう見解を持っているか、どういう情報を持っているかというような点に重点を置いて話を進めてまいったのでございます。一応これだけ申し上げておきたいと思います。
  131. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、こちらから話をしないというんですから、外交上の問題もないわけですから、ベトナム戦争見通し、それから中共核開発の現状、この二点についてマクナマラ長官がどのように言っていたか、簡単にお知らせ願います。
  132. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) その点について、まずベトナムの問題について申し上げたいと思います。これは軍事作戦上の具体的ないろいろな向こうの進捗状況は、これは遠慮させていただきたいと思います。だが、総括的に軍事情勢の進行状況はどうかということになりますと、バーンズ国防次官の話し方もマクナマラの考え方もほとんど一致しておりまして、軍事作戦としての状態は予定どおり進行しておる、こういうような話でございます。ただし、こういうふうにやったから、ああいうふうにやったから、また今後はこういう具体的な作戦を持っているからというような話も出ましたけれども、そういう問題は、両国の外交的関係も考えまして、先ほど遠慮させていただきたいと、こういうふうに私は申し上げたわけでございます。  なお、中共核開発の問題については、この委員会において先ほど来質問に対して御報告申し上げた程度でございますが、これも一九六八年ぐらいまでにはこういう問題は、いわゆる——通訳は、軽度のといいますか、初期のといいますか、そうしたような問題についての核開発ができるが、これを武器にしていく開発については、これは中距離のそういうような問題については、わずかなものであるが、六年から七、八年でございますか、その間に完成すると見ている、大陸弾道弾のごときそういう大がかりのものは十年以内にはむつかしいんではないだろうか、こういうような話があったわけでございます。  なお、専門的な問題については、防衛局長も同席をいたしておりましたので、先ほど中共の四回目の核実験の問題に関連してお答えした点もございますので、重複するかもわかりませんが、専門的な見解なり見通しなりというものはまだ十分できる段階ではないと思いますけれども事務当局からお答えさせます。
  133. 島田豊

    説明員島田豊君) ベトナムの情勢の今後の見通しにつきましては、ただいま長官から答弁があったとおりでございます。中共核開発見通しにつきましては、これもただいま長官から御答弁ございましたが、六八年までには航空機から空中投下のできる爆弾が開発せられるであろうと、それから中距離弾道弾につきましては六年ないし八年を必要とするであろう、ICBMにつきましては少なくとも十年はかかるのではないか、こういうふうな情勢見通しについての話がございました。  なお、けさ北村先生から関連質問で、今回の核実験テンポが非常に速いのではないか、それと米国側のただいまの発言との関係はどうかという御質問がございましたが、これにつきましては、今後私どもとしても十分各種の資料を集めまして検討いたしてみたいと思いますが、いささか感じといたしまして両者の間に食い違いがあるような感じがいたしますけれども、これも、開発というものが完成いたしまして、一つの完成された兵器としてそれが実戦的な威力を発揮する段階ということなのか、あるいは、核開発段階におきましても、一つの装備が完成する域に達しますまでにはいろいろな各種の開発が行なわれなければならないわけでございますので、今回の核実験というものがそういう間におきましてどういう段階のものであるかということについての十分な資料が得られませんとその間の関係について十分説明ができない、こういうことではないかということをけさ御答弁申し上げた次第でございます。
  134. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 関連。いまの長官説明ですと、ベトナム戦争見通しについてでありますが、予定どおり進捗しているということは、拡大する方向なのか、それとも現状維持なのか、その点はどうなんですか。
  135. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 拡大するのか、減少するのか、そういう数字的とでもいうような作戦の内容については話は出なかったわけでございますが、できるだけ軍事作戦は早くやめて建設的な方面にもっと力を入れていきたい、民生安定というふうな方面にもっと力を入れていきたい、こういうような話が出たと思っております。
  136. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 先ほどのお話とだいぶニュアンスが違ってくると思うのですがね。長官は、軍事行動において予定どおり進捗していると、こう申されたはずなんです。建設ということと全然それは矛盾している話ではないかと思うのですが、その点、もう一ぺんはっきりしていただきたいと思います。大事なことですからはっきりしてくださいよ。何のために行ったかわからなくなっちゃうじゃないですか。
  137. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 御承知のように、さっき申し上げたように、軍事効果については予定どおりいっていると思う、こういうふうに話しておったということを申し上げたわけでございます。なお、いまあなたが、拡大するのか、あるいは兵力を増すのか、何かそういうような話が出たものでございますから、私はそういう話は出なかったと、ただし、民生安定とかいうような経済的な建設面についてもっと力を入れていかなければならぬ、こういうように言われたというように考えます。
  138. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 聞きもしなかったのですか、その問題。一番日本の国民が重大な関心を払っておるそうしたベトナム戦争の拡大ということについて、長官はマクナマラに対してそのことを尋ねもしなかったわけですか。米国の基本方針というものがあるはずだと思うのです。そのくらいなことはこの席上で申されても一向に差しつかえないのじゃないでしょうか。
  139. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) それは、拡大するのかというような話は、私のほうからは出しませんでした。私としては、できるだけ早く、そういうふうに軍事効果があがっているならば、早くひとつ一方のほうに、経済面の建設を両々あわしてやっていくと、こういう話でありましたから、そういう方向でひとつ極東の平和が一日でも早くよくなるように期待をすると、こういう話はいたしましたけれども、まあ拡大についてというような話は何もしませんでした。
  140. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあいま次官が来られる前と来たときの全然ニュアンスが違うし、まあそういった話でしたら、新味のない話で、前からわかり切っている話です。全然そういう話だったら訪米の値打ちがない、そのように私は思います。  で、きのう中国で核弾頭つきミサイル実験が行なわれた。これは世界で初めての実験であると言われております。そうして、まあジョンソン大統領のアジア訪問等において一つの示威行動をやったのだろうとは言われておりますけれども、この際水爆の予備実験をもっとさらに強めたものやあるいは中距離弾道弾実験等が行なわれるのじゃないかという見通しも行なわれたわけでございます。そういった問題も、当然長官訪米中にアメリカで知らないはずはありませんし、まあそういった問題についてもお話がないとしたら、全然小僧扱いされたのじゃないかと、そのように思います。松野前防衛庁長官は、中距離弾道弾がもう四、五年先にできるだろうというマクナマラ長官見通し発表されたときに、中国核開発については、あるいはミサイル開発については重大な脅威を感ずる、あるいは具体的にはアンチミサイルというようなものを考えている、あるいはもう一段の防衛力、最大限の防衛力の強化を考えている、そういう具体的な方針を述べておりましたけれども長官はいまどのように考えておられるか、長官からお答えをお聞きしたい。
  141. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私は、官房長官のこの問題に対する発表関連いたしまして、当委員会で御指摘の問題について申し上げたわけでございますが、私は、専門的な見解、こういうような問題については、今回の核ミサイルの実態を明確に把握し得ない段階でございますので、軽々な発言は慎しみたいと思うわけでございますが、私が言い得ることは、核拡散防止条約が成立する可能性が強まっているときだけに、世界の世論の大勢にさからうような、そういう第四回目の核実験に対しましては、特にわれわれは隣国におるという立場上からも、極東その他の核拡散努力をしつつある、こういう状態から考えまして、外務省も、われわれといたしましても、これに強く抗議をし、あるいは反省してもらわなければならない、こういうように考えておりますが、なおいまの段階で最も重要に考えられますことは、あるいは確かにそれぞれ開発なり兵器への装備化なりが一歩前進していると見なければなりませんが、現段階中共のねらったものはそれだけではなくて、心理的あるいは政治的影響というものを考えたのではないだろうかと今日思いますから、このことによっていたずらに国内が動揺するような、あるいはまた、核拡散の条約問題が薄れていくような、そういうやり方を慎しむべきではないかと思いますが、いまあなたが具体的に御指摘になりました、たとえば前長官がいろいろと具体的に、専門的に言われたそうでございますが、たとえば核に対するミサイルに対するアンチミサイル開発の近く完成する見通しだとか、この点は明瞭でございませんでしたが、そういうようなお話だったということでございますが、それは一つの研究課題としてもちろん進められていると思いますが、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 現段階でこの問題がどこまで進んでいるか、ソ連のことは私は知りませんが、アメリカでどの程度に進んでいるか、これは向こうもつまびらかにしませんし、ただ私どもが言い得ることは、ジョンソン・佐藤会談でも示されていますとおり、また、アメリカが言っているとおり、中共核開発があっても、アメリカは数十年優位を保てる確信がある、その確信というもの、あるいは佐藤・ジョンソン会談で核は米国を信頼して、これに依存する、こういう態度は私は堅持すべきものではなかろうか、一応政治的な見解が主になるようでございますけれども、そういうふうに申し上げておきたいと思います。
  142. 多田省吾

    ○多田省吾君 日本防衛に関して専門的、具体的にはあまり言えないという姿だったら、防衛庁長官の資格はないと思う、その面からも全然ないと言わざるを得ない。そうしてそんな自信のないことで訪米してマクナマラ長官に会ったとしても、何の意味がありますか、そう思います。  先ほど島田局長が中共核兵器に対してはアメリカに依存するということを答えました。ところが、いま長官は、佐藤総理のことばとして数十年アメリカが優位を保つというようなことを言っておりますけれども、マクナマラから聞いたのでしょうけれども、そういうおかしな話はないと私は思いますね。マクナマラ自体が十年先にICBM中共開発するであろう、このように言っております。また、日本に届くいわゆるIRBMももうすでにまた短縮されて、三、四年後には開発されるのじゃないかという見通しさえ立っております。そのときに、長官として具体的に日本防衛をするには、中国核兵器に対抗するにはどうしたらいいとお考えなのか、具体的にお答え願いたい。それは長官にお答えいただきたい。
  143. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私の発言が、ことばが足らなかったのかどうかわかりませんが、ただいまの御質問の中に、佐藤・ジョンソン会談で中共に対してアメリカが数十年核が優位である、こう言ったという御質疑のことばがあったようでございますが、そうではなくて、佐藤・ジョンソン会談の中で、核はアメリカの優位性を信頼して、そうして日本は在来兵器に力を入れていかなければならぬ立場もありますので、核はアメリカを信頼して、アメリカに依存をする、また、アメリカもいかなる外部の攻撃があっても、これに対しては積極的に、特に核の問題については守っていく、強く協力していく、こういうことであったのは御承知のとおりでございます。ただ、中共核開発に関して私が話した対談の中に、中共核開発をいろいろな段階を経てやるだろうけれども、あるいは兵器化もそれぞれやるであろうけれども、核の優位は数十年まさっているという確信を持っておる、こういう話が出たということを申し上げたわけでありますが、その点誤解のないようにお願いをいたします。
  144. 島田豊

    説明員島田豊君) 今回の中共核実験関連いたしまして、わが国防衛におきましてこれにどういうふうに対処すべきか、これについて前松野長官は格段の軍事的な努力をしなければならぬというような答弁をされたことがございますが、先刻申し上げましたように、核兵器が非常に著しく進歩してきた場合の段階におきまして、いまの段階におきまして、わが国としてはそれに対する防御手段対抗手段というものが直ちに持ち得ないのでございます。これはそういう点につきまして、米ソ間におきまして現在いろいろ開発されておりますところのアンチミサイルミサイルのシステムにいたしましても、これには膨大な経費とたいへん長い年月を要してなおかつまだ開発段階にある。こういう状況からいたしまして、わが国としてそういうシステムを直ちにとるというふうなことは、現状におきましてはとても至難なことでございます。こういう核攻撃に対しましては、わが国防衛日米安保体制のもとにおきまして米国核抑制力に依存するということが従来からの方針でございまして、わが国防衛力整備段階におきましては、在来型の兵器によりまして、これをできるだけ内容を充実し、近代化いたしまして、その面からの脅威に対してわが国としては対処していく、こういう方針でございます。もちろんこういう脅威に対して在来型の兵器によりますところの対処という問題におきましても、こういう核兵器に対しまして全く効果がないかと言いますと、必ずしもそうではないのでありまして、いろいろな防御手段は考えられますけれども、ただ、大型のミサイルわが国に攻撃が加えられた場合、これに対する防御手段というものは現在の段階では考えられない。そういう面は米国の核の抑制力に依存するという考え方でございまして、したがいまして、これに対して対抗する手段ということではなくて、わが国としては在来型の防衛力というものを逐次整備いたしまして外国からの脅威というものに対処する、これがわれわれの基本的な考え方でございます。
  145. 多田省吾

    ○多田省吾君 長官は十月六日にホークの国産化を指示したといわれております。また今回、アメリカはホークをはじめいろいろな兵器をたくさん持っておりますので、それを日本に売りたいということを言っている。これはアメリカの強い考えであると思いますので、その点、長官はホーク国産化の問題に対してどう考えておられるのか、その点を率直にお尋ねいたします。
  146. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) これは事務当局ともよく協議をして研究をしてまいったのでございますが、第三次防の中にどういうように国産化を取り入れるべきか、こういう問題についていろいろと検討をされてきておるわけでございます。その一つとしていま御指摘の問題があるわけでありますが、これは日本の技術力、あるいは日本の技術力でつくったものがそう高くなく、そうして何年か、少なくとも十年たってこれが輸入の品物、兵器とそう値段の差がない、こういう見通しのつくものを基本として国産化に踏み切ったらどうだろうという庁内の意向もございますし、私も検討の結果、そういうものについてはそのほうがいいだろうと、こういう意味で作業を庁内に進めておる。これは政府統一見解ではないわけでございまして、防衛庁内だけの一つ見解として事務的に指示をした、こういうことでございます。
  147. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、長官のお国入り問題でお聞きしたいと思います。話の都合上次官と官房長がこの前十七日にお答えいただきましたので、そのときには初めは政務次官は何だかマスコミが騒ぎだしたから問題が大きくなったのだというようなニュアンスのお話もありましたし、公私混同はないというような話もありましたし、また、最後のほうでは、次官は局部的に反省しなければならない点もあるし、二度と起きてはならない点もあるかもしれない、そういった点は長官が帰ってからよく話し合っていきたいというふうな趣旨のお話でありました。政務次官は当然長官を補佐しなければならない立場、あなたはこのお国入り問題に対してどの程度知っておられるか、どの程度補佐したのか、そうして長官と話し合ってどのようにいま考えておられるのか、端的に政務次官からこの前の続きとしてそれだけお答え願いたい。
  148. 長谷川仁

    説明員長谷川仁君) 私は多田先生にも申し上げましたとおり、鹿児島には参っておりません。参っておりませんがために、一体どういう状態であったのかという点を実は私はマスコミがどう扱ったかという点につきまして資料を集めまして、そうしてその資料の結果を判断する一つ材料として申し上げたわけでございます。それからこちらへ帰ってまいりましてから、それ以前にも私多田先生にも申し上げましたとおり、私どもは全部が全部いいとは思わない、反省すべき点は反省するし、また是正すべき点は是正する。しかし、これは補佐役として私はやはり長官がお帰りになったあとから私がよく相談してお答えする、こういうふうに申し上げたわけでございます。現在の心境は、昨日来長官がおっしゃられているとおり、公私混同した面もございますし、また、従来の慣習であっても、それが非常に悪い例である場合は、これはやはり是正しなきゃならぬというふうに考えているわけでございます。
  149. 多田省吾

    ○多田省吾君 このたび二十日の午前に政務次官会議というのが行なわれて、各閣僚が海外出張の際に非常にはでな見送りをする、それはいかぬという申し合わせをした。今度の事件でまた問題があったらたいへんだろうというわけで、そういう申し合わせをしたんでしょうけれども、起きてからそのような打ち合わせをするくらいなら、初めからそういう長官を補佐する立場としてそのような公私混同が行なわれたようなこのたびのお国入りに対してももっと補佐していただきたかったと、そのように私は思うわけでございます。  次に、長官にお尋ねしますが、長官はひまだったら来ませんかというような話で統合幕僚議長あるいは三幕僚長が一緒についてきた、そういう話をしておりましたけれども一体簡単でいいですけれども長官並びにそういった官房長あるいは四幕僚長が鹿児島にいるということ自体、そうして先ほど質問しましたけれども、ソ連の戦艦が津軽海峡を往復しているとか、空には日本の上空すれすれに飛行機が飛んでいるとか、そういう事態だということを長官がほんとうに心から思っているなら、たいへんな事態だということを思っているなら、たとえ統合幕僚議長や三幕僚長が行きたいと言っても、それを長官として、日本防衛をになっている防衛庁長官として、それはやめさせるべきであり、そうしてもし事件が起こったときには、どういう処置をされるつもりだったのか、それを端的にお答え願いたいと思います。
  150. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 御承知のように、防衛庁の態勢は、これらの四名の幹部がいない場合でも緊急態勢が十分にできておるわけでございます。  それは別といたしまして、先ほど来からだんだんと私がお答え申し上げているように、こういう姿がいつまでも、あるいはいつでも望ましい姿かということになりますと自己反省が起こってくる。それは四名のうちせめて二名ぐらいは東京におったほうがベターである、最善である、こういうようなふうに考えて、将来はこういう運行でいこうじゃないかと思っておるところであります。まあこれらの諸君もすべて一緒にそろって行くことは、これはいま申し上げたとおりでございますが、それぞれの重要な任務も、外を見ることによって、視察をすることによってあるわけでございますし、また、私自身もいまおっしゃるように、日本の近海で、あるいは空で、どういう種類の外国の演習みたいなものが行なわれているかというような、行なわれたこともあるという情報、こういうものを聞いておるときに、私自身もこれは東京にいるべきじゃないか、四幕僚長とともにいるべきじゃないか、こういう御見解ではないかと思いますので、先ほどの自己反省を、あるいは将来の方向を一口で言えといえば、まあ全員そろって行くことはこの際好ましくない、せめて半数ぐらいは東京に置くようにしたほうがいいだろう、こういうふうに端的にとおっしゃいますので申し上げておきます。
  151. 多田省吾

    ○多田省吾君 長官は公私混同の面があったということを認めておりますけれども、それでは九月二日の鹿児島の市民広場からのあの自衛隊八十二名による音楽隊のパレード編成、それから駅前広場におけるパレード解散——その間に至る姿は公私混同だということを率直に認めますか、長官
  152. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) この問題についても、当委員会でも何回もお答えいたしておるわけでございますが、私は公式の行事と地元の行事とを、最初は区別しておったつもりでございますし、またそうしてくれているものだと思っておったわけでございます。ところが、向こうへ行ってみますと、先ほどもお答えいたしましたとおり、確かに結果として一部混乱の状態を生じた。これは公私混同したと解釈されてもいたし方のない状態であった、こういうわけでございまして、一から十まで公私混同じゃないか、大部分が公私混同じゃないかという点については、私はそうは考えません。先ほど申し上げましたように、結果的に一部そういう状態になったことは遺憾である、こういうふうに考えております。また、私が全部そのすべての状態を、右、左あるいは前後をずっとながめながらすべて行動したのではないのでございまして、まことに言いわけがましくなりますけれども、実情はそういう状態であった、しかし、強く反省はいたしております。こういうことでございます。
  153. 多田省吾

    ○多田省吾君 少なくとも市民広場に長官がいたときには、そのオープンカーの自分の前に音楽隊がつくかどうかぐらいは判断できたわけですよ、動く前に。先ほどの話のように、松野前長官だって熊本ではそんなパレードなんかしていない、また、江崎元長官だってそういった幕僚長を私事旅行に引っぱっていくようなことはしなかった、そのように言っておりますけれども長官は事実市民広場におけるパレードの開始のときに、はっきりオープンカーに乗って行った、その前を八十二名の音楽隊がまさに歩こうとしている状態があるわけだ、ほんとうにこれは変な状態だ、あまり感じのいい状態ではない、そのように長官が思われるならば、それはとめることだってできるじゃありませんか、そんなおかしなことが行なわれようとしていること自体わからぬはずはないと思う。そのときに長官はどのように考えられたのか。二日の晩に同窓会か何か会合があったときに、これはある新聞に書いてあったんですが、そのときの長官の言動として、いまは陸を連れてきたけれども、この次は鹿児島湾に艦隊を連れてくるというようなことを言い、そのときには見てくれ、頼むと言ったというように新聞に書いてありましたけれども、そのようなことをおっしゃったのかどうか知りませんが、そういう気持ちが、公私混同の気持ちが初めからあったんじゃないか、初めからあったんだとそのように私は思います。その点はどうですか、なぜとめられなかったんですか。
  154. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 先ほど来申し上げているように、私が実際計画したのでないし、しかも行列がとっさにでき、交通規制もある、混乱の中でありますので、一々これはこの行動はいけない、この行動はいいという、そういうとっさ的な判断は私にはできませんでした。  なお、ただいま艦隊の観艦式を鹿児島湾で私がやるという発言をした、これがもっともらしく事実のように、私の不徳のいたすところでございますけれども、それが伝えられておる、これはそういう事実はございません。観艦式は御承知のように、前長官時代に博多湾でやることにきまっておるのでございますから、それをひっくり返して、鹿児島に持っていくなどという、そういう不見識な考えは私は持っていないということを申し上げておきたいと思います。
  155. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃあ、鹿児島湾に艦隊を持っていくということは不見識である、それでパレードをしたり、四幕僚長を連れていくことは不見識ではないとおっしゃるのですか。
  156. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) いや、そういう意味ではない、あなたが、どこかの会合で、鹿児島湾で観艦式をやるという私が演説をした、こういうことを何かに書いてあったということを前提とされての御質疑でございましたので、私はそういうことを言った覚えはない、もっと詳しくいえば、それが原因となりまして、博多湾でやることになっていたのを、鹿児島湾に持っていくのだそうだ、こういう尾ひれまでついて宣伝されておる、まことに私の不徳のいたすところ、こういうふうには思いますけれども、事実をあまりにも拡大し、曲げて報道されることは私は残念だと思っております。そういう事実はございません。
  157. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、艦隊の問題は不見識だということをよく御存じでありながら、今度のパレードの問題や、あるいは串木野高校に授業中にヘリコプターで舞いおりたような事件、そういうものは当然不見識であり、前もってそういう計画を知らないでいたからそういう結果になった、たとえ百歩を譲って、知らなかったからといっても、防衛庁長官としての責任としては残ります。結果の責任としてはっきり残るじゃありませんか、責任をのがれられるものではありません。それをのがれようとして知らなかった、初めは知らなかった、秘書が全部やったんだ、そういう言い方というものは、全く鹿児島健児らしくない、薩摩魂にそむくような考え方であって、そういうことは男として恥ずかしい次第ではないか、そのように思うのです。四幕僚長にしましても、なるほど三日の日半日くらいは視察したかもしれないけれども、二日、三日、四日、五日と、この四日間において格別大事でもない、そういった私事旅行まで含んだものに四人が最後までついて歩く必要があったのか、特に四日の日、私事旅行と称する行動の中に、指宿の小学校では校庭で父兄と、あるいは一般の人と、あるいは児童が集まった中で話をした。あるいは市長あるいは教育長等の命令で、学校で、柳田小学校ですか、日曜二時間、九時から十一時まで授業をして、そしてそのあと旗をつくらせて、そして並ばせて、迎えさした、そのあとで柳田小学校の講堂でレセプションをやっている、そういった私事の会合においても、四幕僚長を紹介しているという姿が、幕僚長を紹介した、そういった姿がある、このように、どうして国分や鹿屋の基地の視察が終わったあとで、四日、五日まで四幕僚長が従っている必要があるのか、もし従っていなかったというならその事実を示してもらいたい。
  158. 海原治

    説明員海原治君) ただいま先生は、最初から最後まで四幕僚長が大臣と行動をともにしたようなおことばがございましたけれども、これは前回も御説明したと記憶しておりますが、そのようではございません。具体的に申しますと、九月三日土曜日には、海幕長と陸幕長とは先に帰っております。したがいまして、日曜日大臣と柳田小学校におきまして一緒になりました者は、統幕議長と空幕長と私でございます。その晩のパーティに出ました者は、統幕議長と空幕長だけでございます。このようなことでございまして、最初から最後まで四幕僚長が同行したということは、事実と違いますので、そのように御訂正願います。
  159. 多田省吾

    ○多田省吾君 では、二人の幕僚長をその柳田小学校で紹介したのは事実ですね。
  160. 海原治

    説明員海原治君) これは先般も申しましたが、統幕議長と空幕長は、柳田市の昼食会は市の主催でございまして、市のほうに招待を受けましたのでそこに参りました。したがいまして、そこで随行として来ておられる方はこの方ですと紹介があったことは事実です。
  161. 多田省吾

    ○多田省吾君 十名の民間人を長官機に同乗させたということでございますが、同乗をさせた目的はどういう目的ですか。
  162. 海原治

    説明員海原治君) 往路羽田から鹿児島までの六名につきましては、これは長官の部隊視察に随行というのが目的でございます。帰りますときの目的は、これは長官に随行ということでございます。
  163. 多田省吾

    ○多田省吾君 きのうの衆議院内閣委員会でもお話がありましたけれども、その六名のうちの同行者二名は、部隊視察の確認もしてない、あとの四人は確認したようだというお話でございましたが、いまでもまだその二人が部隊視察をしたかどうか確認できないのですか。
  164. 海原治

    説明員海原治君) いま確認いたしておりません。
  165. 多田省吾

    ○多田省吾君 きのう追及されて、部隊にちょっと電話すれば、国分あるいは鹿屋のほうに照会すれば、当然わかるはずであると私たちは思うわけです。わかろうともしなかったのか、あるいは確かめたけれどもチェックできなかったのか。それほど、外部の者が自衛隊の部隊を視察するようになってだれが来た、だれが来ないというのを全然チェックできないようなシステムなのか、その点をお伺いしたい。
  166. 海原治

    説明員海原治君) その辺のことは、実は鹿屋と国分にはそれぞれ地元の後援会並びに近隣の方々が数百名、部隊の参観のために来ておられます。したがいまして、天幕を張りまして、部隊の観閲式等をごらんになった方々の中に入っておったかどうかということの確認は、これは実は非常に困難でございます。したがいまして、昨日も衆議院内閣委員会において御説明しましたように、六人中四名につきましてはこれは確認できましたが、あとの二名につきましては連絡がとれません。もちろんこのような状況でございますので、部隊においても確認はできないということを正直に御説明した次第です。
  167. 多田省吾

    ○多田省吾君 それが非常におかしいと思う。たとえ何人見学しようとも、大体だれとだれの名前ぐらい控えていなくちゃいけないんじゃないかと私は思いますけれども、ただその団体なら団体、百名来たなら百名来た、そうして名前を一々控えていないで視察をさせるのですか、見学をさせるのですか。
  168. 海原治

    説明員海原治君) 従来このような、部隊におきまして何と申しますか、巡閲とかあるいは観閲式が挙行されるという場合におきましては、一般の方々に広く門戸を開放しておりますので、おいでになる方々に一々住所氏名等を伺うということはいたしておりません。
  169. 多田省吾

    ○多田省吾君 しかし、少なくとも長官の、肩書きは私設秘書だか何だか知らないけれども、議員秘書という立場で来ている六名でありますので、長官機に乗って来ている六名じゃありませんか。そのぐらい確認できないで、そして視察を許す、あるいは搭乗を許すということはどういうことでございますか。そういうことが許されるんですか、一体
  170. 海原治

    説明員海原治君) 私ども、これは言いわけになりますが、それぞれ要務を持って随行いたしておりますので、具体的にそれぞれの方々の行動を把握しておらなかったことはこれは事実でございます。しかし、いろいろ御指摘を受けてみますと、そういうことは私どもとしましてもやはり十分に把握をすべき事柄だと考えますので、ひとつ今後はそのようにしたいと思います。
  171. 多田省吾

    ○多田省吾君 昨日長官は、こういう事態になっても、公私混同のきらいがあった、あるいは道義的責任を感ずる、あるいは遺憾であったというようなことばを、長官はそれぞれ十何回ずつ言われた。きょうも何回かずつ言われた。そういう姿というものは自衛隊の隊員は全部知ってるわけです。それでもなおかつ長官は、自衛隊の士気に関しては全然沈滞してない、士気はすこぶる鼓舞している、そのようにお考えですか、長官どうですか。
  172. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) これは、当委員会で何回も申し上げておりますとおり、私は配慮の足らなかった点、あるいは結果的に見て一部公的行事とあるいは地元の行事とを混同したことが結果的に出たと、こういうふうなことについてはきびしく自己反省をいたしておりますが、今後一そう精魂を傾けて自衛隊の精強なる育成に当たる決意でございますと、こう申し上げておりますが、ただいまの心境もそういうような考え方でございます。
  173. 多田省吾

    ○多田省吾君 自衛隊の士気はいまもって鼓舞されているかどうか、それをお尋ねしたい。
  174. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私は自衛隊の諸君を信頼いたしております。
  175. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃ自衛隊の士気は鼓舞されていると長官はお思いなのですか。
  176. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私は自衛隊の諸君は動揺していないと確信いたしております。
  177. 多田省吾

    ○多田省吾君 どういう心境でそういうことを言われるかわかりませんけれども、ほんとうに長官防衛庁長官であるという自覚があったなら、そんな無責任なことは言えないはずだと思うのです。事実国分あるいは鹿屋等の自衛隊の方々が町に出ますときに、いろいろ話しておりますことは、直接、間接に聞きますところ、もう初めから公私混同のこういったお国入りが始まる前から、どうも今度のはおかしい、これは今度のは選挙運動じゃないか、そういうことをみなうわさし合っている、そうして今度の国会における追及が始まってからも、隊員は非常にがっかりし、困って意気沈滞し、もう自衛隊なんかやめたい、そう言う隊員も非常に多いように見えるわけです。テレビ等を見ながら、またうちの大臣やられているじゃないか、そういった姿でみな冷笑している、嘲笑している。そういうことも聞きました。また、ある自衛隊の方々はかわいそうにも町を歩くのもいやだ、外出するのもいやだ、そのように言っている人もいるわけです。これは全部このたびの長官の政治的な責任であり、自主的な責任じゃありませんか。そういった自衛隊の方々の気持ちというものは察するにあまりありますけれども、これは常識人ならばだれが考えてもそう思います。長官お一人があれですか、自衛隊の士気は相変わらず鼓舞されている、動揺はない、そのようにいまもって信確されているのですか。そのような事実を申し上げてもそのように長官は主張いたされますか。
  178. 海原治

    説明員海原治君) 私も事務的に大臣を補佐する立場でございますので、今回のことがいろいろと世上問題になりまして、以来先生が御心配になるようなことは、私どもやはり防衛庁の一員でございますので、いろいろと心配いたしまして、私どものみならず、各幕僚長、統幕議長とも当然これはその点についてのいろいろの話が出るたびに心をいためている次第でございますが、いろいろと私どもの知る限りにおきましては、先ほど来いろいろと御心配になっての御発言でございますが、御心配のような動揺はない、こういうことで、一同まあ安心をしている状態でございます。
  179. 多田省吾

    ○多田省吾君 そういう無責任な発言をしておりますと、ほんとうに国民がおこりますよ。やめたくないならやめなくてもいい。しかし、国民の審判というものはこわいですよ。それは長官のそういった、またそばに連なる幹部のこういった無責任な、公私混同の行動、また国民を愚弄した行動というものがほんとうに今度は自衛隊二十七万に対する不信感となり、そしてこのたびの長官の行動というものがいつまでも汚点として残ることはこれは必定です。ここで、きのうも、また先ほどからも言われているように、長官がほんとうに道義的責任を感じ、不徳のいたすところだ、あるいは遺憾に思う、そのように感ずるのならば、みずから辞職をすべきだ、それが薩摩魂だ、そのように思います。この前、佐藤総理が精強な自衛隊を築けということで、九月の二十八日に高級幹部に訓辞したそうですが、その中に、自衛隊はみずからの職責に正しい誇りと自信を持つべきである。そのためには全隊員が厳正な規律のもとに固い精神的団結を確立し、常に有事に備えて訓練にいそしめ云々と訓辞されているそうです。また、長官もこの前の鹿屋の基地において、誇りと自信を持ってがんばっていただきたいというようなことを言っているそうでございますが、まことに無責任な発言ではございませんか。そのように隊員に指導するならば、みずからかえりみてまず範をたれるべきだ、この際、長官が辞職すべきだ、そのように私たちは思います。国民のだれもが思うところであろうと思うのです。また、長官はある雑誌によりますと、昭和二十二年に片山内閣を攻撃した新聞記事を出しまして、その中に何だか、民主的政治家の良心があるならば国民の声に忠実でなければならない。国民の支持を失ったときには直ちに総辞職をして、国民の前に不徳の首をたれるべきであろう、というようなことを書いていらっしゃるそうですが、そのようなことを書く長官であるならば、不徳のいたすところとみずから辞職をすべきが当然じゃありませんか、どうですか長官
  180. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 御意見は御意見として拝聴いたしておきますが、私はその問題について先般来御答弁申し上げているとおりでございます。
  181. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 関連。いまの多田委員質問関連しまして、再度繰り返すようでありますが、動揺していないという、まことに自信過剰といいますか、まあ自衛隊員の気持ちも察しないという言動でありますが、長官がそういうふうにおっしゃられるからには、有力な根拠があるのじゃないかと思うのですが、その根拠を明らかにしてもらいたい。こちらは事実を申し述べている。動揺してないという事実。
  182. 海原治

    説明員海原治君) 私からも補佐官としての立場で動揺していないということを申し上げた次第でございますが、これはまあ先ほども申し上げましたように、私個人にいたしましても、防衛庁に長く職を奉じている者であります。三自衛隊の健全な育成ということにつきましては、やはり私なりにいろいろと考えているわけでございます。のみならず、先生方はいろいろとおうわさと申しますか、お話し等によって言っておられますが、私どもは部内のいわゆる指揮系統というものを通じまして、いろいろと部隊の実情を掌握するということがこれはならわしでございます。一口に部隊の士気と言われますけれども、部隊の士気ということはこれはなかなか簡単なことではございません。一朝一夕に部隊というものを練成できません。いろいろな条件のもとにおいて私どもは与えられた任務を遂行できるような精強な部隊というものの育成は、多年それぞれ努力してきております。こういう過去がございますから、今般、隊員の鹿児島にお供いたしましたのは、御存じのように、制服の最高の幹部でございます。これらの方々も先ほど来申し上げておりますように、それぞれの御判断があってついていった。そのことにつきまして、大臣お一人の行動がどうこうということではございません。これは言うなれば、防衛庁最高幹部が全部一緒に参ったわけでございますから、それぞれの行動につきまして、どのような影響があるかということにつきましては、それぞれの立場で調べております。その結果を先ほどまとめて御報告した次第でございまして、私どもへいろいろ御批判もございます。私どもといたしましては、なかなか掌握がむずかしいというような幹部のお話もございますが、私どもの知る限りにおきましては、先ほど申しましたように、部隊として動揺していることはないと、これを御報告した次第でございます。
  183. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いまの海原さんのお話ですと、そうした指揮系統を通じての掌握というものはなかなかむずかしい、そういうこともあろうと思います。しかし、ほんとうに自衛隊員の心というものがそんなに的確に指揮系統にだけたよって掌握ができるものであるかどうか、これは重大な問題であると思います。しかも昨日来から連日にわたって長官の今回の行動について追及を受けております。新聞にもこれが大きく報道されております。それを見た自衛隊員が、心ある者が憤りを感じないことがあろうか。常識的に考えてもわれわれはすなおにおそらく心配する心をとめるわけにいかない。それをあなた方は全然そういうことはない、指揮系統が非常に複雑であり、少なくとも最高幹部が知る限りにおいてはと、こういうことを申されました。どういう人に会って、またあなた方から言われれば一般の自衛隊員が口を閉ざして言わないでしょう。首になることをおそれるかもしれない。だれが正直なことを言えますか。権力の強さにはやはり頭を下げなければならない場合もある。それをもって動揺していないなんということはあまりにも言い過ぎじゃないか。自信過剰もはなはだしい、こう思いますので、長官として、あり得るかあるいは絶対にないことか、あるいはもしないというならば、先ほど私が申し上げたように、その背景なり根拠を明らかにしてもらいたい。
  184. 多田省吾

    ○多田省吾君 関連して。長官にお答えいただきたいのですけれども、いま渋谷委員が言いましたように、ほんとうにただ官房長の言うことをのみ込むのじゃなくて、長官自身がほんとうにそのように思っておるのか。そのように感じておるのか。具体的なそういった動揺していないという自信を持っておるのか。自衛隊といえば命令があれば死を決して戦う純真な青年たち、それに対して長官は少しも恥ずかしいと思わないのか。恥ずかしいと思うならば、なぜ辞職を決意しないのか、その点をお伺いしたい。はっきり答えてください。
  185. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) この問題については私の心境を率直に申し上げてきたところでございますが、いろいろと御批判もあるかと思います。また、御意見もあるかと思いますが、私は先ほど来申し上げているような決意で事に当たっていきたいと、こういうふうに考えております。
  186. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 長官がそういうことであればまことに情けないことだと思うのです。自衛隊員がかわいそうだと思う。  それでもう一つその問題に関連して申し上げたいことは、これも昨日来から、またきょうもそうでありましたが、私は今度の視察については参画していないからわからない、その責任というものを部下になすりつけておる、こういう状態で、あなたはこれからもシビリアンコントロールというものを貫けるかどうか、まずこれが一点。  じゃ、もし秘書官だとか事務官に責任があるとするならば、やめさせますか。この二点をまず伺います。
  187. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私は、事務当局や自分の信頼している秘書官のやったことを、事実を事実として申し上げただけであります。これに責任を転嫁して、そうして自分だけがいい子になろうという考えは毛頭持っておりません。
  188. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 長官、それは説明が足りないですよ。私が聞いておることは、あなたの言動というのはだれが聞いても責任をなすりつけているという印象しか受け取れませんよ。これは事実かどうかわからないけれども防衛庁のある事務官も、部下をかばうどころか部下に責任を押しつけようというのだからやりきれない、こういうような声がちらほら言われている。もうおそらく精一ぱいのそれは抵抗であろうと思うのです、長官に対する。あなたは自分で感じませんか。ずっと今日まで答弁を聞いておりますけれども、私は知らなかった、私は知らなかった、それを事実ありのままなんとことばの上ではきれいごとのように並んでおります。そんなことで許せるわけないじゃありませんか。なぜ、あなた自身が、たとえ部下が犯した罪であってもあなたがしょうべきである。その点をどう思われるか、もう一ぺん伺います。  それから第二点のシビリアンコントロールを貫けるか、そんな状態で。
  189. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) 私は精魂を傾けてやる決意でございますから、シビリアンコントロールは貫けると確信いたしております。問題は、それぞれの御意見はあると思います。あると思いますが、しいて、繰り返しお聞きになりますから、私はそういうふうに申し上げておるわけです。
  190. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 最後に言っておきたい。いずれにしても、今日、第二次佐藤内閣が発足してわずか二カ月、荒舩大臣をはじめとして今日また防衛庁長官の行動が云々される、まことに嘆かわしいことだと思います。そのこと自体が、起こることがあまりにも国民をばかにした言動ではないかと、このようにわれわれとしては非常に憤慨にたえません。しかもだれが見ても歴代内閣の大臣でこんなに閣僚の中から問題を起こした人がありますか。にもかかわらず、お国入り——何がお国入りだというのです。それが大臣としてのならわしですか。あなた個人の保身の術のためやるとしか思えない。もっと国民を大事にしてもらいたい。閣僚になってなぜお国入りする必要があるのですか。あなたは日本全体の責任者じゃないか。鹿児島県だけの責任者じゃないでしょう。それは行くなとは言いません。しかも就任早々まだ日も浅い。自分の就任したのを選挙民に見せようという心もあったかもしれません。そんなことで何が民主議会政治だと言いたくなります。私は、この際に、そうした防衛庁長官のあまりにも軽率な、あまりにも横暴なそういう行動に対して、強くその責任をとってもらいたいし、その責任のあり方は辞職をすることが最も選挙民に対しても国民に対しても理想的な処置ではないか、このように申し上げて、私の質問を終わります。
  191. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 相当時間もおそくなりましたが、おそらく田中彰治事件以来今日まで、不祥事件あるいは黒い霧のうわさが立ち込めております中で、婦人が質問に立つのは初めてかと思いますので、どうか婦人の疑惑を解くためにも、また全国民の疑惑を解くためにも懇切丁寧に御答弁がいただきたいと思います。  実は、私、けさおくれてまいりましたのは、きょう東京都のいろいろな各種婦人団体が市民デモをいたしておりました。十一時半から四十分までどうか婦人議員はみんな出てきてこれに激励を与えてほしい、こういうことで私は実は出てまいりましたが、もう婦人たちも市民たちも、この再三の不祥事あるいは黒いうわさにはもうがまんがならない、こういうことで市民デモがきょうから始まったわけでございます。  私がまず初めに質問を申し上げたいのは、きょうは朝からずっといろいろな方の質問をここで聞いておりますと、どうも今度のお国入りの問題、いろいろな問題は一体どこに責任があるのか、だれがこのようなプランを立てたのか、こういうことがどうもあいまいでございます。私が拝聴いたしておりましたところをまとめてみましても、どうも上林長官は少し人がよ過ぎて何だかだれかのつくったプランにうまいこと乗せられてしまって、何だかお国入りというような非常にはなばなしい中に巻き込まれてしまった。こんなような感じがいたすわけでありますが、それにしてもやっぱり少しふつつかであったのではないか、こういう点から長官の責任を追及するわけでございますが、一体今度のお国入りの問題のプランはだれが立てたか、その最高責任者を聞かしていただきたいと思います。
  192. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) ただいまの御質問にお答えいたしたいと思いますが、私は熊本、国府、鹿屋の部隊を視察をしたい、こういう申し出を事務当局にしたのは事実でございます。そのとおりでございます。なお、閣議には重要でございますから、これは優先的に出なければなりません。だから閣議と閣議の間をよく活用して、そうして閣議に支障のないように配慮して視察したい。あるいはまた、県庁とか県警察本部とか市町村役場とか、こういうようなところにもひとつあいさつをしたい、この程度のことは私が申し出たのでございます。その他何月何日、何時どこどこにどうしてこうしてくれ、ああしてくれというような強い注文は何もしておらぬのでございますが、私はでき上がったときにこれを一々検討もいたしませんけれども、これに従ってやっていいものとこういうふうに信頼をいたしてやったわけです。何も言いわけをいたしませんが、だんだんお聞きになって不満足な点もあると思いますけれども、私は私なりにありのままを申し上げておるわけで、最初は決して公私を混同してこれを巧妙に利用しよう、こういうような考え方はほんとうにございませんでした。しかし、結果から見て、混乱を一部した点がございますので、こういうことなら、こまかいことまで大臣が注意をしてやればよかった、こまかいところまで神経を配ってやればこういうことにはならなかったのじゃないだろうか。こういうように私は考えるのでございますが、しかし、先ほど申し上げた大きな問題について、たとえば部隊を視察するそのついでにこうするプランを立ててもらいたい、こういうことは私がもちろんこれは申し出たわけでございます。その辺のことを私は率直にあなたにお答えいたしておきたいと思います。
  193. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私はいまこのプランを立てたのは、だれか、こういうふうなことをお尋ねしたわけですが、ずいぶん親切に丁寧に御答弁をいただいたわけですが、伊藤顕道先生が朝から質問された中にも、自分がもう少し配慮が足りなかった、このプランに参画をしていなかったと再三そういうことばがありましたが、いま長官から御答弁をいただきますと、自分から視察したいから、こういうことでプランを立てさせたと、こういうことなんですけれども、ずいぶんはなばなしいいわゆるお国入りですが、こういうふうな、これだけのプランはだれがお立てになったのか。その最高責任はだれがとるのか。このことを伺ってみたいと思います。
  194. 海原治

    説明員海原治君) 中沢先生のお尋ねが、この計画全体が一つのまとまったものとしてだれか一人が最終的にこれでよしということになったというようなお考えでの御質問だと思いますが、実際の姿は先般来申し上げておりますように、まずただいま長官から申されましたように、鹿児島の部隊、熊本の部隊を視察する、その際に、いわゆるお国入りをやるんだ、こういうことになりますと、先ほど来御説明しておりますが、だれが随行するかということになるわけでございます。元来、統幕議長がお供するということになりますと、その統幕議長には副官がつきます。各幕僚長にも副官がつきます。これはいままでのならわしでございますので、そういうことでみんながそれぞれ大臣の御日程等を承知いたしまして、みんなが相談し合ってつくったのが防衛庁の計画でございます。この防衛庁の計画と、先ほども説明いたしましたが、地元の計画が一緒になりまして全般のプランがつくられた。これはお互いに、何と申しますか、相互に連絡し合うわけですから、結果的には一枚のお手元に差し上げたような日程になっておりますが、初めからそういうものはぴしゃっと姿がきまりまして、それに従ってだれかが命令をしてそれででき上がったというわけじゃございません。したがって、おわかりいただきたいと思いますのは、だれか一人の人間が全部の総合計画を立てて、したがってだれが責任者である、こういう姿では実はございませんのです。したがいまして、統幕議長以下四幕僚長につきましても、るる申し上げておりますように、こうこうこういうことで大臣の視察にお供しようと、こういうことでございますから、それからあとはそれそれが命令を出しております。したがいまして、全部のプランにつきましての単一の最高の責任者というものは、これはございません。これが私どもの解釈でございます。
  195. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、結局その責任者はないと、みんな朝から伺っておりますように、みんなが責任をなすり合いをしてだれもほんとうの責任者がないと、こういうような印象を受けるのですが、その点についての見解を伺いたいのと、それからそもそもお国入りというそのことば、お国入りというのは、大体公的なものか私的なものか、それを伺わしていただきたいと思います。
  196. 海原治

    説明員海原治君) 私の御説明が、みなが責任をなすり合ったということじゃございません。これはそれぞれがそれぞれの範囲につきましては、これは当然責任を負うべきでございます。しかし、その全部につきまして単一の最高の責任者という形のものは、今回につきましては私は考えられないと、こういうことを言っておるわけでございます。  その次の大臣のお国入りが公的か私的かということになりますと、これはまたいわゆる公私の解釈になってまいると思います。これはもちろん法律的というよりは一般社会的、政治的な考え方でございますし、大臣が就任後にそれぞれの郷里にお帰りになりますということはそれなりに意味のあることでございますから、私どもは、そのお国入りという行事を単純に一議員がお帰りになるという私的なものでなく、やはり大臣という肩書きをお持ちの方が郷里に帰られるわけでございますから、まあ、公私両方の性格がミックスされておるのじゃないか、こういう考え方でございます。
  197. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 実は、有田文部大臣は兵庫県の出身でございまして、今度兵庫県にお国入りで帰られたわけです。それから塩見自治大臣もこれは土佐の方ですけれども、いま宝塚市の市民でございまして、私も宝塚に住んでおります。で、両大臣のいわゆるお国入り、いま海原さんの御説明のあったとおりのお国入りということを考えてみますと、みんな市民は何か非常な好意的な感じで歓迎をした、お迎えをした。こういうことで、それこそ音楽も鳴りものも何もないし、ほんとうにただすっと帰ってこられた。むしろわれわれ市民のほうが、塩見自治大臣が市民であるのにということで、みんな私どもが集まって、私費を出し合って歓迎会をした。それもただ夕食会をしたと、この程度のことでございますから、それから比べてみると、ずいぶん上林長官のお国入りというのはあまりにもはなばなし過ぎた。私もこの間からちょっと兵庫県の郡部のほうを回ってみますと、素朴な婦人の声として、質朴な婦人の声として、再々新聞やテレビでお国入りということばが使われておる。上林長官がどうしたのこうしたの、衆議院でも参議院でもつつき回されておる、こういうふうなことをテレビで見たりした婦人たちは、一体国入りというものはどんなことをするものですかと、こういうくらい質朴な質問を発する婦人もいるくらいなんです。あの昨年の台風二十三号、四号、五号で兵庫県は激甚な被害を受けた。家が流されてしまったあげくに、だんなさんが交通事故で死んだりなんかして、そのおかみさんは少し気が狂ってしまった。こういうふうな人も中にあるのに、そういう婦人たちのあることも考えずにあのような大々的ないわゆるお国入りということをされて、少しは困っている婦人たちも、国民のことも考えていただきたかった。まあこういう点についての長官の御感想をひとつ伺ってみたいと思います。  で、先ほどからだれにも、一人とこの人という責任者がないのだというふうな御説明でございますが、それならば自衛隊法の八条を開いてみますと、確かにこれは長官が責任を取らねばならないと自衛隊法の八条には書いてあるわけですが、まあその観点から長官の御答弁をいただきたいと思います。
  198. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) いろいろな御意見を承ったわけでございますが、私も結果から見て、先ほど来申し上げますように、公私を一部混同した点があると、あるいはほかの大臣とまた私の場合とは多少立場も違うかと思いますが、たとえば一人でも、何人か制服でもついていきますと、それにまた軍楽隊がついたということなどで、確かにおっしゃるような印象を受けたのだろうと、私もそう思っております。しかし、これは、言いわけがましくなって恐縮ですけれども、こういうふうにしてくれ、ああいうふうにしなければならぬといって、たとえば軍楽隊の問題でも、地元と私が連絡をして、そうしてこれをそれぞれの手続でやっておいてくれと、こういうふうに言うたのではないわけなんです。しかし責任は、いまあなたが示された法規によって、あるいは徳義的に考えますならば、言うまでもなく私にあると、これはすなおに私認めたいと思います。  今後はどうするのだと、私は今後が問題だと思いますので、今後はこういうような誤解を受けないように、ほんとうにきびしく自己を反省するとともに、このことによっていままで以上の精魂を傾けて成果を上げたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  199. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 非常に皮肉なことでございますけれども、国民は相当政治に対して不信感を持っておりまして、ところが最近の田中彰治事件以来、いろいろな不祥事が起こりましてから、国民は政治に非常に関心を持っております。それはよい意味での関心でなくて、何とかこういう黒い霧を払拭してほしい、あるいは不祥事件を何とか片づけてほしい、こういうことから政治に関心を持ち始めております。その関心は政治に対する非常な不信感があり、清潔感と違ったものを感じているわけです。不清潔感を感じながら、いま国民は何とかもう少し国会がどうにかならないかなあということを非常に感じておるわけです。そこで、国民はややもすると口から出すことばは、どうして早く解散をしないのか、どうしてこれを一ぺんひっくり返してみて出直さないだろうか、そういうところに非常な不信感を持っているわけです。先ほどから何べんも上林長官は、これから精魂を傾けてがんばっていくと、こう申しておられますけれども、国民のほんとうの声はそうではなくて、これだけよごれた政治を一ぺん何かと解散をしてもらって、新しく出直してほしい、こういうふうに国民は盛んに口からそういうことばを吐いておるわけでございます。まあいま、全責任は自分にあると長官ははっきりおっしゃいましたので、もう再三何べんか同じような質問が繰り返されておりますので、私はこれ以上追及はいたしかねますが、それにしても先ほどから公明党の方が、いまの自衛隊の人たちに士気が阻喪していないかというような質問がなされました。私の質問もそういうところにきょうはひとつ焦点を合わせてみたわけでございますけれども、いわゆる中堅幹部以下の制服組、そういう人たちはおそらく自分たちの大将が、自分たちのトップが、衆議院で参議院でこづき回されているというような、ああいうテレビや新聞記事を見て、私は何だかやりきれない、士気を阻喪しているということは想像にかたくないわけでございます。こういう点についての長官の所信あるいは責任を私はきょう伺ってみたいと思いましたが、幾ら伺ってみても、先ほどの公明党の方に対するような御答弁しか出てこないと思います。  そこで、最後に私は一つお伺いしたいのは、実はこれは個人攻撃みたいなことになってたいへん申し上げかねますが、こういう本をお読みになったことがございますか。——これの一三二ページに「海原官房長の切腹」という記事が、北郷源太郎という人の記事として相当な記事が載っております。これを一読いたしまして実は私はがく然といたしたわけでございます。もしもこういうものが自衛隊の人々によって読まれたら、自衛隊の士気はずいぶん私は阻喪すると思います。この記事の中には海原官房長はソ連のスパイであるということまで書かれております。このような記事が自衛隊の官房長というような非常な要職にある方に関して、このような記事が書かれている。これはやはり私は長官に大きな責任を持ってもらわなければならない問題だと思います。海原官房長はここに書かれたような問題が再三国会の中に流れております。いろいろな新聞にも再三載っておりましたり、あるいは週刊誌に書かれたりして、そういうものに対して告訴をしておられるような新聞記事も私は拝見いたしました。その告訴されたその事件と告訴をされた相手の方、そういうことをひとつここで御報告海原官房長からしていただきたいと思います。
  200. 海原治

    説明員海原治君) いわゆる怪文書、特に防衛庁の関係者、その中では私が最大の被害者でございますが、防衛庁の関係者をめぐります怪文書は本年の二月から合計五冊各方面に配付されております。第一号の怪文書が出ましたときに防衛庁といたしましては、何ぶんにも関係の、そこに怪文書で対象となっております人の地位もございますし、数も多うございますので、直ちに警視庁のほうに捜査を依頼をいたしました。自後あらためて六月には文書をもちまして捜査依頼もいたしております。その結果、警視庁のほうではいろいろと内偵をしていただいたわけでございますが、その結果と申しますか、今月の二十四日、私と前空幕長の浦氏と前防衛審議官の村上信二郎氏、この三人は、怪文書の作者を対象といたしまして警視庁に名誉棄損の告訴をいたしております。そのお手元の「軍事研究」につきましては、これは創刊号以来特に私につきましていろいろと推測の記事を出しております。私にとりましてはこれは全く迷惑なことでありますし、その記事に出ておりますことはいずれも推測という形においてあたかも事実であるかのごとく書いてございますが、先ほど申しました怪文書五冊を前提にいたしておりますので、その怪文書の捜査との関係もございます。したがいまして、まだどのような処置に出るか、これはきまっておりません。ただ、お読みいただけばおわかりいただけますように、私がソ連のスパイであるとか、やがてスターリン平和賞を受けるだろうとかいうことはまさに荒唐無稽でございまして、私がソ連のスパイであるばかりでなく、陸幕第二部長もソ連のX大佐とどうだこうだ、こういうようなことはまさに荒唐無稽ということになります。したがって、そういう記事を相手どって名誉棄損の訴えを起こすがいいかどうか、これは私個人の問題もございますが、同時に、防衛庁の関係もございますので、いま捜査当局の意見を聞いておる段階でございます。  以上のようなことでございまして、先般衆議院の決算委員会におきましても、社会党の先生からその問題等を取り上げられまして御質問ございました。その際にもはっきり申してございますが、全く根も葉もないことであり、しかもそういうものを出すことによって、考え方によりますというと、防衛庁の文官といわゆる制服との間の離間をはかるという、いわば防衛庁弱化の一つの方法じゃなかろうかという考え方も出てまいりますので、先ほど申しましたように、警視庁捜査当局の捜査の進展に伴いまして一応怪文書の犯人を対象の名誉棄損の訴えはいたしております。それに基づきまして、今後「軍事研究」につきましてどうするかは、これは今後の問題として考えてまいりたいと思います。
  201. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は海原さんよく存じあげておりますので、まさかあなたがソ連のスパイだなんて、こういうふうなことは私は思っておりませんけれども、それにしてもこういうようなちゃんとした記事にそこまですっぱ抜かれた、こういうふうなことになりますと、やはりこれは一つは全自衛隊の私は名誉を傷つけた、こういうようなことになるのではないかと思います。六月の何日とかに告訴をしてみて捜査をしてもらっているというようなお話がいまございましたけれども、それならばこれはちゃんと軍事研究社という一つのやはり本を出しているところであるし、また、この中にペンネームかもしれませんけれども、ちゃんとそうした名前が入っているのですから、それならばさっそく私はこういうものを告訴してしかるべきではないかと、こういうふうに思うわけです。そういうようなことから、私は今度の問題はどうしても最終責任は防衛庁長官にこれはしょってもらわなければならない問題ではないか。やはり部下の一人がこういうふうなことまで書かれるというようなことは、やはり何か防衛庁の中に少し士気の弛緩したものがあるのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。国民はほんとうにこんなものを目にとめますと判定に迷うわけでございます。それからけさほどからいろいろな議員がいろいろなことでずいぶん長官に詰め寄られましたけれども、結局、私も最後に申し上げたいとは思いますけれども、幾ら言っても感じない相手に、責任も恥も感じてもらえない相手に、やめてくださいよ、やめるのがしかるべきでしょうと申し上げてみたところで、もう何だか一枚岩にくぎでも打つような感じでございまして、もうおそらく私が申し上げてもこれは無理でしょうと思いますけれども、私はもしも上林長官の奥さんをよく存じているとしたら——これだけこづき回されて、つつき回されて、あなたの奥さんや子供さんはさだめし悲しい思いをしているのではないか、こういうふうに考えるのですが、もしも私ならば、もうおとうさんいいかげんに引っ込みなさい、やめてください、おそらく私も子供もそういうふうにすすめるのではないか、こういうふうに考えながら、長官の御家族の皆さんの御心中に思いをはせているわけでございますが、どうかとなるならば、ほんとうに責任が自分にあるということであれば、やはり私は形にあらわして責任をとっていただきたい、このように思います。どうか最後に長官からの決意と御答弁をいただいて私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  202. 上林山榮吉

    国務大臣上林榮吉君) ただいまじゅんじゅんと御婦人の立場からいろいろお話がございましたが、そういう話が出ましたので、話題の中に出ましたことを申し上げますと、私の家内は結婚以来三十年でございますが、私を——今日いじめられているのかどうかよくわかりませんが、この状態を見まして、私を信頼してくれております。このことだけをまず申し上げておきますが、私が一から十まであなたがおっしゃるように、この責任を感じていない、徳義的なものを感じていないというのではございません。どうかその辺のところは御賢察を願いたいと思います。これ以上私もこういたします、ああいたしますと、幾ら申し上げましても御理解を願えないような気持ちがいたしますので、どうか私の真意を、ぜひ、時を重ぬるに従って、そうであったかという時期が私は必ずくると信じておりますので、どうぞそういう意味におきまして御理解を願っておきたい。この程度にひとつお許しを願います。
  203. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは、本件につきましては本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会