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1966-07-19 第52回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月十九日(火曜日)    午前十時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人  事  官  島田  巽君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員制度に関する件)  (国家公務員給与に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  国家公務員制度に関する件及び国家公務員給与に関する件につきまして質疑の通告がございます。  なお、関係当局の御出席は、佐藤人事院総裁滝本人事院事務総局給与局長大塚人事院事務総局職員局長、以上の方々予定でございますが、ただいま、とりあえず総裁のほかは間もなく御出席予定でございます。  それでは順次御発言を願います。伊藤委員
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 六月二十五日に、当委員会で、私は、佐藤総裁に対して管理職員範囲についてお伺いしたわけですが、その御答弁に関する限りはまことに理路整然としてりっぱなものであったと思うのですが、そのとおりでいけば、総裁がこういうふうなお考えならば、おそらく公平また厳正なILOの精神に沿うた人事院規則が制定せられるであろうことを大いに期待申し上げておったわけです。  きて、七月九日に施行せられましたこの人事院規則を一覧するに及んで、遺憾ながらこの期待は全く裏切られてしまったわけです。  以下、具体的な問題について、二、三お伺いしたいと思うわけですが、一つは、公務員制度審議会答申において、管理職員範囲の決定については職務実態を十分に把握し、慎重にこれを行なうべきである、こういう旨の意見が述べられておるけれども人事院実態把握のためにどのような措置をとっておられるのか。六月二十五日の当委員会で私はこういう意味質問を申し上げたことに対して、総裁は、正確な判断をするのに困難な職もあるので手間のかかる問題である、重大であるので慎重にならざるを得ない云々という意味の御答弁があったわけです。  ところが、先ほども御指摘申し上げたように、早くも九日の日付で人事院規則が施行されておるわけです。このような短期間職務実態を十分に把握できたのか、まことに疑問を持たざるを得ないわけです。十分慎重に検討した場合ですね、こういう短日月の間に結論が出るものであろうか。推測すれば、どうも政府の圧力があって急いでこういうものが施行せられたのではなかろうか、こういう疑問を持たざるを得ないわけです。  そこで、なおそのことについてお伺いするわけですが、この人事院規則のどこを見ましても、職務実態は明らかにされていないわけですね。職務名前は羅列されておるということであって、職務実態については何らの解説もないわけです。そこで、この機会にひとつ職務実態についての解説資料としてぜひ御提出いただきたい。お尋ね申し上げると同時に、ひとつ資料の提出もこの際お願いしておきたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 主として、慎重にという点に焦点を置いてのお尋ねであるように拝聴いたしましたが、この間もまきにそのとおりだとここで申し上げまして、できるだけ慎重にやりたい、しかし、あまりおくれてもまたなまけておるように見られるというような表現をしたことを覚えております。それはなまけておるようなふうに見られるということもありますけれども、そのときにもう少しはっきりお答えをしておけばよかったと思うのですが、実はあれではありますけれども、新規の登録を申し入れてくる時期でもありまして、まだこっちがきまらぬのだから、ちょっと待ってくれ、何をぐずぐずしておるのだというようなやりとりのあった場面もちょっとありました、それがちょっと気になりましたのであります。  もう一つは御承知のように、地方では猶予期間がたしか三カ月しかない、地方人事委員会が待ちかねておるという面もございますので、そういうような事情で全然タイムリミットなしの作業というわけにもまいらない、そういう情勢のもとでやったわけであります。したがって、慎重を欠いたのではないか、今度は逆にまた責め立てられることになりますけれども、大体お察しがつきますように、この法律あるいは政令、省令などであげられておる官職が大部分を占めておりますが、これらはふだんからわれわれ給与面でも見ております。また、政令以上というふうになりますと、それぞれ素性は明らかになっておるということでありまして、残るのは訓令とか達とか、各省限りのこまかい形式できめられておるものが残るわけであります。それについては特にわれわれとしては、実態を調べなければならないということで集中的にやったわけであります。幸いにしてこれもあまり早くできたとは申し上げかねますけれども、まず九日付の官報には載り得る段階になっておる。したがって、手を抜いた形でこういうことになったといいますよりも、私どもとしては、これらの期間を十分に使って、また十分な検討をしたつもりであるというふうにお答えしてはばからないのでございます。なお、この職種その他の変更については規則にも書いておきましたように、そのつど各省庁から連絡を受けて、われわれもまたこの目でそれを見て、そうしてそのときそのときに善処していこうというかまえを持っておるわけでありまして、そういう点では万遺憾ない体制をとっておるつもりであります。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおいまお伺いした中に、職務実態についてこのいただいた人事院規則の中には、何らの解説がないので、われわれこれを検討する際にぜひ職務実態についての解説といいますか、たとえば一つ教頭という職務に対しましてこれが実態はどうなのか、こういう解説がほしいと思う。そういうものは人事院にはいままとまったものはないのですか、あるのですか。もしあれば、資料として早急に御提出いただきたい、そういうことをいまお願いしたわけです。
  6. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 私どもこの別表で範囲を定めます場合には、上に機関を設け、下に職員官職を書いたわけであります。官職職務実態につきましては、先ほど総裁が御説明申し上げましたように、それぞれの根拠法令がある場合あるいは内部規定がある場合には、これに基づきまして大体のたてまえとしての職務実態はわかるわけであります。しかし、もちろんそういったたてまえ的なものだけではなくて、実態として、たとえばいろいろ管理をなさる方、いろいろ相談のような形で補助しておるというような場合もございまして、それらの点につきましては、一々当たり得る限りにおいてはもちろん当たったわけであります。ただお話のような形で、それでは教頭とは何か、どうこうというような人事院として規定をした文書等があるかと申しますと、この点は法令等で明らかな官職については別でございますが、しかし、お手元の規則にしるしてございますように、たとえば人事係長とか労働係員とか必ずしも各省そのもの内部訓令に基づいておるかどうかも明らかでない場合は、平の係員というような者に関しましては、どういう官職としての内容の仕事をやっておるのかということは、いわば定義の形としまして備考にしるしたわけでございます。  それからあわせて、実態の点が比較的短期間にここまでつかめるかという御不審があろうかと思います。われわれとしましては、制度審議会答申が出、施行政令が出ます以前におきましてやはりかなり問題があろうと思われますような実態につきましては、問題が非常にILO問題、長期にわたりますので、その間に何か所か実態調査をやって出張したような形での実態調査というのは非常にむずかしい機関もあり、一例をあげますと、倒立の教頭の場合には実態調査をいたしてまいりました。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、同じく六月二十五日にドライヤー委員会の報告によると、管理職員範囲を広げないことが重要であると勧告しているが、人事院規則制定にあたってこの勧告をどう解釈せられるか、こういう意味の私の質問に対して、総裁は、団結権の基礎に関する重大な問題である、これらの文面を十分参考にして公正な線を出すことを期している、こういう意味の御答弁をなさたわけです。しかしながら、人事院規則を詳細拝見いたしますと、管理職員範囲は相当広範に拡大されておるということは明確なんです。これでは公正な線が出されたとは解し得ないと私は見ておるわけです。そこでこの六月二十五日の総裁の御答弁と、それに基づいてできたであろうこの人事院規則の趣旨、だいぶ相反しているではないかということを指摘せざるを得ないわけです。この点をひとつ御説明いただきたい。
  8. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 問題が問題でありますし、いま御指摘のような発見も私はしております立場もありますし、かたがた今回の管理職範囲の点では、私自身相当深く首を突つ込んで数日間これに取り組んだということであるわけであります。ただ、しかし、この適正な線をどこに引くかという点につきましては、これはもう申し上げるまでもありませんが、非常に矛盾した二つ要素の間を縫って線を引いていかなければならぬということで、組合を純粋な形のものにしていきたいというためには、いやしくも管理職くさい人物は全部抜いてもらうという点からいくと、管理職範囲を広げたほうが組合を純粋化していくという見方もできます。そうかといってあらゆるものを全部のけてしまえば、また別の意味から組合自主性というものが大きく阻害される。その中間の適正な線を求めたということになるわけでありますが、ここでもその際たしか申し上げたと思いますし、その以前にも申し上げましたと思いますが、この一つ手がかりとなるものが公労委告示でございます。これは労使の意向を、一種の交渉の結果ともいうべきところをまとめて公労委告示されておるのでありますが、この辺のところが手がかりとしては一応使い得るのではないかということで、それらとにらみ合わせながら線を引いた。もちろん公務員の場合はそれぞれの特殊性もございますから、公労委告示どおりにはまいらない。公労委よりもこっちのほうを狭くした場合もありますし、むしろ広くした場合もあります。やはりいろいろありますけれども、大体のめどはあの辺のところが適当ではないかということで採用した結果が九日の官報に出ましたとおりのものでごいまして、私としては、これが適正な線であろうという、自信を持ってつくり上げたつもりでございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 だいぶ時間の制約がございますので、管理職員範囲拡大についての多くの具体例をここで指摘してお伺いする時間がないわけですが、たとえば問題になっておる教頭職種について申し上げてみると、文部省の出しております「解説教育関係行政実例集」というのがございますが、それの一一九ページには次のような問答が述べられておるわけです。「教頭校長を助け校務を整理するの規定のみでは、校長に事故ある時の校長職務代理は行なえないと解してよいか。」という照会に対して、文部省は「お見込みのとおり。」というふうに回答しておるわけです。このことからも明らかなように、学校教育法もさることながら、教頭校長職務代行を有していないということがここではっきりうかがえるわけです。また、いま申し上げました学校教育法二十八条を見ましても、教頭という職制は存在していないわけです。一つの例を申し上げたわけですが、たとえばこのような教頭職務の実体を十分に人事院は把握していないのではないか。教頭管理職員にするなどとはとんでもないと思うわけですが、そこでこの範囲を拡大する一つ具体例を申し上げたわけですが、この点についてひとつ、なお納得できるような御説明をいただきたいと思うのです。たくさんここに職種をあげなければ解明いただけないわけですが、ただ時間の都合で一つ二つの例をいま申し上げたわけです。
  10. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 総裁お答え申し上げましたとおり、私どもとしましては、やはり公企関係告示をかなり参考にいたしました。これは何と申しましてもそのうち五現業はそれぞれ各省庁、国の機関内部機関でございますから、たとえば全逓関係は郵政省としての電波がございますし、林野といたしましては林野内部一般会計機関その他がございまして、これは公企労労働関係になっていないわけでございます。それぞれ五現業に対しましてそういう関係にございますので、したがいまして、あの告示参考にいたしました。しかし、参考にいたしましたけれども、私ども団体協約権を持っている公企関係と、それから団体協約権のないわれわれ所管国家公務員関係労使関係とはもちろんその点での差異はございます。それから機関階層等を考えましても、公企関係は何としましてもこれは現業でございますので、一番末端仕事が一番重要性を持っているわけでございます。したがいまして、機関構成から申しますと、やはりこれはまあ多少変遷はございますが、そうしてまた三公社五現業で違いはございますが、たとえば管区機関のようなものが公企関係では非常に大きなウエートを占めていると思います。しかし、国の機関の場合には、これは中央機関がほとんど仕事の中心になり、また、手続その他業務のやり方等をきめておりまして、機関はかなりそうたくさん何しておりましても中央が一番重要だというような問題もございます。それから公企と比べますと、たとえば内部人事管理の点におきましても、公企関係では一般管理職員からはずれた方方と申しますのは、これはたとえ労働関係であっても比較的管理職としてはずれた系統でずっと下の職種なりなんなりされておる、われわれのほうに関しましては、一時官房系にあって当然管理職としてはずれる立場にありましてもすぐにまた一、二年内に出る、こういう内部人事管理等の面もございます。これらの点は、私どもはむしろ公企関係よりはわれわれのほうの指定は狭めるべき要素になるということで若干の考慮を払ったわけでございます。したがいまして、公企関係そっくりというわけではなく、公企関係よりは若干狭めに見る。ただポストの構成といいますか、階層構成の点が現業とわれわれとは非常に違いますので、いわゆる頭でっかちというような形になりますので、そういう意味では人数を必ずしも広げるべきかどうかという点ではむずかしい点もございますけれども、そういう意味では公企関係よりもしぼるというたてまえは一応とったわけでございます。したがいまして、むやみに大きくなるということに関しては、私どもとしてはきわめて実際的に臨んだ、こういう考え方でございます。  御質問教頭の点でございますけれども、確かにたてまえ論としては、これは従来の教頭の問題を扱った行政事例その他に関しましては必ずしもはっきりしたいわゆる人事管理上の権限ということは、いろいろ出ておる行政事例等からはむずかしい点等もあるわけでございますが、しかし、とにもかくにも教育委員会等に形式的な人事管理権限がありましても、教頭がともかく教員に対していろいろ人事上の問題なりあるいは場合によると組合交渉の対象になるような事項に関与していろいろ進言したり意見をあれしたりというような場合に、やはり教頭はそれを補佐する立場にあることは間違いないわけでございます。特に国立大学附属におきましては、この関係はむしろ地方よりは特殊な形で非常に明白になっておりますので、われわれとしては教頭を指定するということはさして問題はないのではないか、こう考えたわけでございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも納得しがたいですね。文部省見解としても、いま申し上げたように、校長職務代理が行なえないということを、はっきり見解持っているわけです。文部省自体が。それと学校教育法二十八条を見てもこういう教頭という職制は存在しないということは明確です。いま大塚職員局長国立大学附属学校校長教頭公立学校校長教頭、これについては前にある機会でこれは明らかに違うのだという意味見解が述べられたと思うのですが、このことはどういうふうに違うわけですか。この際ここで明確にしていただきたいと思います。
  12. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 私ども内部規定なりあるいは教頭の場合は教育法並びにその施行規則でございますけれども、このたてまえ論と同時に、実態として一体教頭労使関係においてあるいは人事全般いろいろな問題において校長補佐する、あるいはまた、校長を助けて校務を整理するというようなたてまえ論の上にさらに実態としてやっぱりそういうものが十分にあるのだということで見ておるわけでございます。指定する場合に内部規定——まあはっきりした政令なりなんなりの場合はこれは明白ですが、必ずしも内部訓令その他でもってたてまえ的な規定が非常に明白でない場合でも労使関係実態において団交事項に対してその管理者側の答え方をどうするかということに関して会議に加わるとか想定の問答をつくるとか、そういうふうな実態的に仕事をしている方々はやはり管理職としてとったわけでございます。したがいまして、その教頭に関しましても、そういう意味では従来の行政事例に出ているような教頭職務権限というものだけではっきり割り切れる、あるいはむずかしいというふうなことを言うつもりはないわけでございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも理解しがたいですね。そうすると、国立大学附属学校校長教頭公立学校校長教頭との違う根拠については、いま私が申し上げるように理解してよろしいのかどうかということをいまお伺いいたしますが、国立大学附属学校校長は原則として教授がなっておるわけです。教授校長を兼ねておるわけですけれども教授という職名があるので、職務があるので、これは校長を専従的にやっておるわけじゃない。大体三日ですかね、三日くらい教授としての授業をやり、三日ぐらいを附属学校校長としてつとめる。したがって、三日はいるが、あとの三日は全然いない。そこで国立大学附属学校教頭は、この三日間は校長職務を代行しなけりゃならぬ。だから教頭管理職員だというふうに解釈し、公立学校のそれについては、校長はこれはもうほとんど専従的に職務に専念しておるわけです。だから公立学校教頭については、校長職務に専念しておるんだから、これを代行する必要はない。だから公立学校教頭管理職ではない、こういうふうに解釈してよろしいのかどうか、この点を明確にしてください。
  14. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 教頭お話が出ておりますのですが、私どもは、先ほど申しました一つ手がかりとして、また職員局長も触れましたんですが、公労委告示を読みますと、教頭に当たる者はあそこに上がっておるということで、そういう、またこれに準ずる補佐機関もほとんど公労委の場合列挙されておると申し上げてよろしいと思います。ただし問題が問題でありますから、私どももさらにまた教頭関係では慎重に検討いたしました結果が、ただいま大塚局長の申しますようなことでございまして、結果においてはやはり教頭もここに加えるのが適正であるということでかようにいたしたのでございます。ただ一般教頭ばかりじゃございませんが、地方にすぐこれは関係するものですから、地方の場合を取り上げながら、地方への影響等を取り上げながら、いろいろなお話を承ることも実際上ございました。私ども地方のほうは、とてもこの短期間の、先ほど御指摘ありましたように、国の職種を洗うのさえも不十分ではなかったかという御心配をいただいておる、そういう状況のもとにおいての検討でありますので、地方のほうまでとても検討は及んでおらないと申し上げるのが率直であろうと思います。したがいまして、国の学校校長教頭と、公立学校校長教頭とどこが違うかというようなことについては、全然私どもとしてはわかりません。そこまでとても調べが及びませんでしたと申し上げるのが一番正直なお答えのしかたであろうと思います。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総裁はそうおっしゃいますけれども大塚職員局長は、いまの、これに対していま私がお伺いしたようなことの発言は、もうすでにあるわけです。そこで、この機会にここで確認したいと思っていまお伺いしておるわけです。そのことを明確にしていただかぬと……。
  16. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) いま総裁お答えしたとおりなんでございますが、確かに私どもは、国の大学附属小中学校調査を数カ所いたしました。その限りにおいてはおっしゃるような事実がございます。つまり校長大学教授がなっておられて、したがって、教授としての授業がありまして、必ずしも小中学校に実際に校務をとる期間というものは比較的短い、こういう事実がございます。しかし、われわれはそういうふうに、たまたま名前だけで実際に事務に携わることが少ないがゆえに、教顔がそれを代行しているんだという意味でとったわけではございません。あくまで校長にいろいろな権限があり、その権限に対して教頭として補佐をしておる。先ほどくだくだ申し上げましたが、一言で申し上げるならば補佐をしておる、こういう関係でとったわけでございます。したがいまして、国の場合におきましても、高等学校がわずかながらございます。これらの場合に校長並びに教頭をとっております。それから先ほどちょっと触れましたように、国の機関としては、あと学校に似たものといたしまして研修所のようなものがございますが、この場合も教頭に当たる者は、規模等いろいろございますが、やはり所長を助ける、補佐するという人として管理職に指定しております。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、なおこのことははっきりしませんが、国立大学附属学校校長教頭公立学校校長教頭とはこういうふうに違うんだということの理解は、私の申し上げていることでよろしいかどうか、その問題にしぼってこの際お伺いしたいと思います。イエスかノーかだ。
  18. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 私のほうとしては、実はこれは当然今回国家公務員法改正に伴いまして、教育職員特例法改正で、地方に及ぶということはわかっておるわけでございますけれども、たまたまわれわれとしては、われわれの所管のところの特に末端実態等を把握するのに非常な努力をいたしまして、したがいまして、国の機関地方あるいは民間というふうなものの実態がどうかというところまではとても調査はできません。ただ労働委員会資格審査のとき管理職範囲をどう見ているかというようなことは、これはたとえば私立学校とか私立大学附属小中学校というようなものに対しては労働委員会でどう扱われておるかという調査はいたしました。少なくとも公立小中学校教頭実態がどうであるかということは、われわれとしては全然検討する時間的余裕がございませんでした。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも理解しがたいですね。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これはいまの、伊藤委員のほうからこの間の国会の終わりに内閣委員会管理職の問題について詳細にお尋ねをしたわけですが、そのとき私も関連いたしましてお尋ねをした。いま伊藤委員が指摘をしましたように、その際総裁答弁になった考え方と、それから具体的にいま手元にいただきました規則との間には、相当大きな食い違いがあるというふうに思います。なおまた、いま職員局長総裁答弁にも食い違いがある。総裁は、いま答弁の中で、この公労法に基づく公労委の問題を手がかりにして云々と、これよりも広くなっておるところもあるし、狭くなっているところもある、出入りあるが、むしろ広くなっている面が多いと言っておられる。私そのとおりだと思うのです。しかし、大塚職員局長は狭いんだという言い方をされる。ただし五現業と非現業との間には職務上の差がありますから、そういう意味においての問題はあるけれども、狭くなっているのだ、こういうお話だ。これは私はどうも非常に食い違っているという印象を受けるわけなんです。私はこの今回の人事院規則というのは、いままでの人事院の歴史の中でもこれは画期的な問題だと思うのです。今後にわたりまして画期的な問題だと思うのです。それに対しまして、どうも総裁のほうは何か十分その内容を御存じないのではないかという印象がするわけです。ですから、これが問題になったときに、内閣委員会で取り上げた際にも、総裁の考え方というものと今回出ているものとの間には相当大きな食い違いがある。それから、いままたこの席上においても食い違いがあるということになるんじゃないかと私は思うのです。そこで、これは出てしまった問題で、いまここで論議して、さらに今後人事院総裁検討なさって、これを若干の修正をするとか、そういうものがあるならば、余地があるんならいろいろ論議もしたい。ですが、おそらく当分はそういう余地はないだろうと私は思うのです。あるならあるということであとでひとつ御答弁をいただきたいと思います。そうするならば、これはまたあらためてこの委員会において根本的に論議する必要があると私は思います。  そこでお尋ねをいたしますけれども、たとえば、こまかくなって恐縮なんですが、具体的な例について申し上げますと、統計の出張所とかあるいは本省調査事務所——県にあります。あるいは食糧の事務所、こういうところに守衛長とかあるいは庁舎係長というようなものは置いていないのですよ。これを見ますと、そういうような従来置いていないような係長というものが一ぱいつくられておりますが、これは一体どういう考えなんですか。そういう新しい係をおつくりになるのですか。守衛長とか、そんなものないですよ。いま私は農林省の名簿を取り出して見ると、これ全部載っております。名前も載っておるし、係長の名前も載っておるのです。そうしますと、守衛長なんというのはないのです。あるいは庁舎係長とかそんなものはないのです。そういう新しい職務をおつくりになるつもりなのか。それからたとえば食糧庁なんかに秘書なんという職務を置いてありますが、秘書なんという職務はないのです。そんなものは。新しくおつくりになるのですか。
  21. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) この規則の別表を一見いたしますと、上に機関が二段になって書いてあり、下にそれぞれ職名が書いてあるわけでございます。しかし、これはその機関に全部そういう職名があるというたてまえで書いてあるわけではございませんでして、たまたまある機関においては守衛長がある、同じ機関においても守衛長があるところとないところがあるわけでございまして、お話の点は、私はいまこの細部の点で正確に記憶はいたしておりませんけれども、統計の事務所におきましてもそういうものを置いている機関がある。この場合は取るということでございます。ない機関はもちろん職名のない機関のものを取る、あるいは今後創設するというようなことは、これは規則のたてまえ上、本文のほうをごらんいただけば明らかなようにとうてい考えられない。これは全部官職がそれを占める職員というものを施行日において押えておりますので、ない職名をあげておいてそこに人をあてて管理職としてはずすというようなことは考えられないわけでございます。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あまりひど過ぎるですよ。とにかく食糧の事務所というのは、名簿を見ればすぐわかるわけなんです。農林省から出しております名簿を見ればちゃんとわかる。その中で守衛長を置いているとか、あるいは宿舎係長を置いているなんというのはほとんどないのですよ。どこにあるのですか。示してもらいます。統計の事務所ですね、そういうところに守衛長、庁舎係長というのを置いているところがあるのですか。ないですよ。ほんとうに例外的なところはあるかもしれませんよ。守衛というのは一人しかいないのですから、いないところもあるのです。守衛というのは。それに守衛長というのを、これを置きますと、長を置くような奨励になります。しかも人事院規則のこういうものにぴしゃりと出てきますと、一体そういう新しい職務をつくるというお考えじゃないですか、こういうふうに出されるということは。そうじゃないのですか。何もないのです。もっとこういう人事院規則を出されるときは、はっきり考慮の上でやってもらいたいですね。これはおかしいですね。困りますよ、こういうのは。よく見ていただいて、ほんとうの例外的なところはあるかもしれませんですよ。だけど、こういうものをつくりますと、どうしたって係長を置かなければいかぬ、宿舎係長、庁舎係長を置かなければいかぬ、あるいは守衛長を置かなければいかぬということになる。これは守衛長といっても、食糧事務所というのは四十六しかないのです。統計は四十七、八あるが、どこにあるのですか。ないものを掲げられて、しかも二つとも入っているのですよ。おかしいですよ。庁舎係長とか守衛長なんというのはないのですから。
  23. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) どうも農林御出身の先生におしかりを受けたので恐縮でございますけれども、私どもの承知しておる範囲につきましては食糧事務所の場合、東京と大阪には守衛長がおる、こう判断いたしております。統計事跡所の場合も東京と大阪と承知しております。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大阪にはそういうものおりませんですよ。大阪にはそういうものありませんですよ、守衛長というのはありませんですよ。それから庁舎係長というのおりませんですよ。営繕係長というのはおりますがね。東京を見てみましょうか。
  25. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 守衛長それから庁舎係長等につきましてはすべて必ずしも呼称だけにこだわっているわけではございませんので、われわれといたしましては、それを明らかにするために備考に、庁舎係長とはどういう職の任務を持っておるものかということの規定をいたしておるわけでございます。したがいまして、東京、大阪における両事務所においてその呼称を持った人がかりにおらないにしても、そういう仕事の業務があり、それをまたたとえば守衛長という立場で、そういう業務の担当者を何人かたばねておる、そういう職務を持たれておる職員はおられるはずだと思います。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは東京食糧事務所におりませんですよ、そういうものは。東京と大阪におるというから見てみましたが、東京の事務所にも守衛長とかそれから庁舎係長というのおりませんです。しかもいま大塚局長は、何かそういう職務を扱っておるものはそうなんだとこうおっしゃるが、それじゃ係長をつくることになるんじゃないですか、新しく係長をつくるということになる。そういう職名を与えなければこれは管理職になれないのでしょう。だから、いいかげんな話をされちゃ困りますよ。ないんだから、そんなものは。東京と大阪にあるというから見てみればないじゃないですか。まあ一番大きいのが東京と大阪だから、しかも所長が一等級だからおそらくあるのじゃないかという推察じゃないですか。
  27. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) お手元にございます規則の備考の2に書いておりますいろいろな人事係員とか労働係員とかあるいは庁舎係長とかいうのはこういう職務内容を持っていらっしゃる職員ということでございまして、組織上そういう職名をもって呼んでいるかどうかということはこちらとしては必ずしもこだわっておるわけではございません。かりに他の係長の名前を持っている方がこの定義にいう庁舎係長という場合には、その方にこの定義にいう庁舎係長として管理職に指定する、こういう考えでございます。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 しかしあまりひど過ぎやしないですか。食糧庁なら食糧庁の欄にちゃんとぴしゃっと載っている、何も注なしで。しかも存在しないものを——宿舎係長とか守衛長なんというないものを、しかもいまあるとおっしゃった。東京と大阪の食糧事秘所にあるという。ないですよ、しかもそういうものを何かこれから——そういうような仕事をやっているものとなれば、これは当然そういうものをつくるんじゃないですか。つくらないのですか、つくるんですか。さっきはつくらないとおっしゃった。つくらないのかつくるのか。つくらないと思っていいのですか。
  29. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) これは規則の本則のたてまえからいって、新たにつくるものではございません。あくまで施行日において押える。しかし、かりに庁舎係長というような名前でなくても、ここに書いてあります庁舎係長の定義に当たるような宿舎その他に関する事務を見ておられるという方があれば、現在施行日に置いてあれば、それはこの管理職の指定の範囲内に入ると、こういう考えでございます。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういうものはないんだから、あるという、さっきのを訂正してもらいますよ。東京と大阪の食糧事務所に守衛長と庁舎係長があるとおっしゃったけれども、ないと訂正していただきたい、まず。不届きですよ、ないものをあると言ったのは訂正しなさい。
  31. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 備考に書いております「守衛長」というのは、守衛の仕事というものはかなり範囲は広いわけでございましょうけれども、したがって、呼称は必ずしも守衛長と呼んでいるとは限らないと思います。そういう業務を担当しておる人たちが何人かおられて、三人なり、四人なり大ぜいおられて、かりにそれに守衛長という名前をつけておらなくとも、大体そういう仕事を担当しておる人たちに対して指揮監督をやっておる、こういう立場にある人がいるならば、それは守衛長として管理職に指定するのだ。こういうことでございます。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それは総裁、私が言っておるのは、守衛長とか庁舎係長というのはいないと、私はこう言ったんです。食糧にも統計事務所にもいないと。ところが、いまの御答弁では、食糧の東京と大阪にいるとおっしゃったから、さっそく調べてみたら、東京にも大阪にもいない、いるということは取り消してもらいたい、そう言ったのだから取り消してもらいたい、それでなければ話は進まないと思う。
  33. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはこのような網羅的にすみずみまで拾うということになりますというと、あるいはわれわれの調査の段階では、人はおったが、今日の段階では欠員になっておるというようなこともありましょうし、また、あるいは欠員になっているところに今度は人が充員されたという場合もありましょうし、そういう人事の出入りもこれは相当動きがあるということもひとつ考えられます。かたがた、いまの問題につきましては、私どものほうとしては、東京、大阪にいることになっておるというたてまえでここにあげたのでございますけれども、先ほども局長が触れましたように、全体の備考の趣旨は、七月九日現在における内部規定その他で定められておるものをいうということで押えておりますから、いまここにないものを今度たまたまここにあがったからといってそれを加えるということはあり得ませんし、先ほど伊藤委員お答えしましたように、その後の内部規定改正等でいろいろ改廃をやるだろう、そのときはそのつどこっちに各省庁から通知してもらって、われわれのほうとしてはそれを洗うという態度で臨んでおるわけでございますから、少なくとも実害は絶対にないというふうに考えております。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃこれはあらためて全般的にやらないと、いま総裁は何か人事の出入りがあるとかなんとかおっしゃるが、人事の出入りがあっても、長に該当するものがちゃんとあればここに来るんですよ、だれが動こうとちゃんとここに来る、欠けているところはないんですよ。ある者が転勤すれば、そのあとの者でちゃんと埋めてある、異動とかなんとかいったってそういうことはないですよ。しかも、末端がどうで、どこがどうというが、農林省の出先機関では食糧と統計は最も大きな出先機関、しかも画一的に各県に置かれておる。これくらい大きな農林省の出先機関ではっきりとしたものはない、これくらいはっきりした出先機関はない、その中でこの名簿を一つも見ないで、ないものをちゃんとあるかのごとくここに麗々しくあげて、あとの何か説明書きで何か救われるような言い方をなされますが、この中に麗々しくないものをあるように書くというのは言語道断ですね。これはおかしいですよ。時間の関係があるようですから、あらためて全般にわたってもう一度やりますが、とてもこんなことは——私は小さいことを取り上げましたが、目が見えないですね総裁、てんで話にならないんですよ。
  35. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) いま総裁から御答弁がありましたように、もちろんこれは末端機関に至るまでわれわれが実態といいますか、現場に臨んで調査したわけではございませんから、全くミスがないということは申し上げるわけにはまいらぬと思います。しかし、ミスにつきましては、もちろんこの別表は相当ひんぱんに改正されなければならないと思いますから、その間において改めるにやぶさかではございません。しかし、念のためにもう一つつけ加えておきますと、われわれこの指定をいたしますときには、それぞれの省庁にお示しをいたしたわけでありまして、その場合こういう官職があるとは思えぬという、そういう組合側向の御意向のあったものもかなりあるわけでございまして、そういう問題のあったものに関しましては、われわれとしては実際に検討して、最終的に決定いたした次第でございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は、繰り返し申し上げておるように、六月二十五日当委員会で私が総裁にお伺いした、それに対する総裁のお考えと人事院規則が全面的に相反しておるということがはっきりしてきたわけです。そこであと人事院勧告についてという重要な案件がございますので、最後に一点だけ、この件についてお伺いして、人事院勧告のほうに移りたいと思います。  やはりこれも六月二十五日管理職員範囲を拡大して、組織の分断が行なわれれば、ILOの精神がそこなわれて、これはゆゆしい事態になる、総裁はどうお考えになるか、ということに対して、あなたは、拡大することはとんでもないことであるという意味の御答弁がなされておるわけです。そこで繰り返し申し上げるように、この人事院規則の随所に管理職範囲は一方的に拡大されておる。この人事院規則が基準になって、地方へ行くと、人事委員会とか公平委員会がこの人事院規則に準じて管理職範囲を決定するという事態になれば、組織がまさに分断されるということになって、総裁のことばをかりて言うと、いわゆるとんでもないことが現実に行なわれようとしておるわけです。そこできょうは、時間のない関係から、この点にとどめておきますが、人事院としてはこういう各面について早急にさらに検討を加えて、一たん出したものをすぐに改めるということもなかなか立場上できないことでありましょうけれども、事重大であるので、一たん規則は出したものの事後の処理として十分こういう各般の面について慎重な検討をしてしかるべきだと思うわけです。そこで最後に要望をかねて、この点に関する総裁の御見解を伺っておきたい。
  37. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ここに当時の速記録をいま取り寄せましたが、まきに御指摘のとおりの気持ちで私はお答えしておるわけです。不当に拡大して組合自主性を奪うようなことは、とんでもないことだと、私はいまのでき上がりの規則について、先ほど来申し上げましたように、決してこれは拡大でもない、不当な縮小でもない、一応適正な線だと考えておるということを申し上げたわけです。たびたび口に出しますけれども、たとえば公労委告示等とお比べになりまして、先ほど、今度のほうが管理職の幅を広めておるように鶴園委員はお聞き取りになったかもしれませんけれども、これはむしろ管理職の幅は公労委告示よりも狭くなっている面も相当あるということもはっきり申し上げられるんであります。決して不当な拡大あるいは縮小をやっておるとは私はゆめゆめ思っておりません。  それからもう一つ、一応これで私どもは自信をもって出しておりますから、これを軽々しく直さなければならぬというような理由もにわかに発見できませんけれども、全然ないものをあがっているじゃないかということであれば、ないものを落とすことは一向差しつかえないことでありますから、そういうことは別といたしまして、実体的には私は、まあこれはというよくよくのものがあれば、別でございます。一応これでまいりまして、なお自主的な検討は続けてまいりたい、こういう気持ちでおります。
  38. 北村暢

    ○北村暢君 大体管理職範囲というものをきめる場合に、根本的なものの考え方として、業務上の管理をするというだけの考え方ならばこれでいいかもしれないです。しかしそうじゃなくて、労働組合というものを対象にものを考えなくてはいけないと思う、根本的な考え方として。いまILOでまだ公務員の団体交渉権の問題は結論出ていませんから、でありますけれども、大体管理者というのは、末端の職場で団体交渉というものが、将来交渉権が復活した場合に交渉する能力があるのかないのかという問題が、この管理職の問題に大きく影響してくると思うのですよ。団体交渉をやる権限も全然なければ、能力もない者を管理職の中へ入れておくということはまことにおかしな形になるんですよ。だから、したがって、私はこれを見ますというと、人事権もなければ何もない者が、交渉権限に該当するような能力のない者が管理職の中に入っているというふうに受け取れるのです。したがって、ものの考え方として、官庁業務をやっていく上にはこれはそれなりに場長なり、出張所長なり、主任なりというものがずっと末端まであります。しかし、独立官庁の中で相当人員を使いながら交渉権限も何もないところは管理職の中に入っていない、そういうものはたくさんあるわけですね、そういうことをひとつ基本に置いて考えないというと、管理職範囲が私は労働組合を分断するような形で出てくるという、そのことがいわれているとおりのことがこれで出てくるのですよ。そしてまた、こういう権限のないような者に権限を与えるような形になる、したがって、これは官庁業務を運営する上においての考え方と、労働組合というものを対象に考えるのと違ってくるんですよね、それを何か一緒くたに考えられているような考え方がありますから、今後私ども改正してもらわなければならないという考え方で今後もやりますが、これだけひとつ私申し上げておきます。
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はいま食糧と統計の庁舎係長、守衛長の問題を取り上げたわけですが、いま名簿をぱっぱっぱと全部めくってみたんですね、そうすると、この中に出ている守衛長とか宿舎係長というものはどこにもないんですよ、農林省には。たとえば農業試験場をとってみます。中国農業試験場あるいは東海の、九州の地方農政局あるいは食糧庁というのをとってみて、どこにも宿舎係長とかそれから庁舎係長とか、守衛長とかこういう名前に該当するものは載っていないですよ。だからあるいは庶務係長がそういう職務をやっているのかもしれない、庁舎の係をやっているのかもしれない、しかし、庁舎係長という名前のものはどこにもない、何でこういうものを載せるのです。麗々しくですね。だからこれは削ってもらいたい、誤解を生ずるもはなはだしい。しかも大塚局長はそういうものはつくらないのだとおっしゃる、私もそうだと思うのです。つくっちゃ困ります。ないのですから。どこにもないものを、何でこういうものを載せるのですか、食糧、統計だけではありませんよ、少なくともここに出ている地方農政局とかあるいは種畜牧場とか、農業試験場とかあるいは生糸検査所、こういう大きなところですね、一ぱいありますけれども、農林省はそういうところに庁舎係長とか、守衛長とかいうものを置いていないです。どこにもないです。何でそういうものを載せるのですか、削ってもらいます。これは。そういう職務に該当するものは、当然おたくはそういう主張なんだから、うしろのこれでいいです。出されたんじゃみんなつくっちゃいますよ、たいへんな係長ができますよ、何百という係長ができます。何百じゃない、もっと多い係長ができますよ。やめてもらいます。
  40. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 先ほどのお答えを繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、私どもとしては、施行する上において備考に書いてあるような任務を持っている、そういう仕事をしている職員ということで押えているわけでございます。係長、もちろん係長という名前を例示されておられます点は、係長ということでございますから、あるいは庁舎係長というのは、うしろにありますような庶務係長であるかもしれません、そういう職務そのものは確かにあるので、またその職務をやっていて係長的な職務を兼ねているという職務もあるという前提に立っている、しかし、これはもちろん全機関に、統計事務所なら統計事務所の全機関にあるというような意味でのこれは表示のしかたではございません。たまたまある場所にこれがあり、他の場所にはないという場合には……。
  41. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ないんだと、そんなものはさっきから言っているのです。名簿見てくれと言っている、農林省なら農林省にないから言っている、ある場合と——ないから言っている。
  42. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 先ほどからたびたび繰り返して申し上げておりますけれども、呼称としての庁舎係長ということで考えているのではございません。あるいは宿舎係長という呼称で考えているのではなくて、その両方の業務をしている、庁舎係長も宿舎係長という名前で担当している場合もあるでしょう、庶務係長も宿舎係長という名前で担当している者がある、そういう業務がある、この定義に当たる職員があるという私どもは前提に立って、それも先ほど申し上げたように、全機関に必ずしもあることを要しない、そのレベルの機関一つなり、二つなりそれがある場合にはあるとわれわれが判断いたしました場合にはこういう指定だと、こういう考えでございます。
  43. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 何ぼ言っても、頭をめぐらしてください、賢明な総裁。統計だって四十七あるんだ、これは四十八ですか、食糧だって四十七ある、そこには庁舎係長、守衛長というものはないと言うのです。こんなものはないですから、それから農業試験場にしても茶業試験場にしても、ここに出ている生糸検査所にしても、そんなものはないです。守衛長とか庁舎係長とか——庶務係長という職務の中に庁舎を扱うということになっている、それらしく書いてもらいましょうよ、全部出ている、庁舎係長、宿舎係長と、よくしてくれと言うのです。あとに書いたらいいじゃないですか、庁舎のようなものを、備考でいいじゃないですか、これで何百という宿舎係長、守衛長と出ますよ、一人しかいない守衛長を、守衛ということばも使ってない、あまりにもずさんだと思う、名簿に全然ないものが全部出ている、ひど過ぎますよ、変えなさい、みっともない。
  44. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お答えします。いま局長からるる申し上げたとおりであります。たとえば庁舎係長のところを備考欄で読みますと、「主として庁舎の管理又は警備を担当する係(庁内の取締りを担当しないものを除く。)の長をいう。」ということで、実態を押えての表現でございますから、たまたま名前が別な名前になっておりましても、これは該当するということは備考で明らかであろうと思います。ただ遺憾ながら私自身も、局長もわかりませんが、私自身も詳しい名簿というものを拝見する機会がありませんので、いずれ拝見さしていただいて検討いたします。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 よく見てください、ないのだから、いま「主として」なんとおっしゃるけれども、そんなものじゃないです。わかっているんだ、ぼくら実態は、年中行っているから、そんなものはないですよ、どうもおかしな話で、しかもこれが全部出て、どこにも、ちょっとでっかいところは全部出ている、軒並み、守衛長、庁舎係長という、そういう名前のもの、ないものばかり出されてかないません、つくりますよ。つくらないとおっしゃるならいいけれども、これだったら何千と、千くらいのものができます。おかしなものです。削ってもらいたい、すみやかに、名簿を見て、いま貸してあげてもいいです。あるのですから、全部出ているのですから、見てもらって、ないのだから、削ってもらいたい、ないのだから。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではこの管理職範囲の問題については、きわめて不十分であるので、別途機会を設けて追及することにして、以下人事院の勧告について総裁を中心にお伺いしたいと思います。  本年も人事院給与に関する報告の時期が近づいてきたわけですが、公務員給与をきめる基準となるところの生計費、年間における賃金、これが昨年の調査時期よりも大幅に上昇を来たしておるわけです。したがって、当然今年も公務員給与の引き上げの勧告が行なわれなければならないと思うわけですが、これに関して人事院の作業はどのように進んでおるかということと、本年の報告及び勧告の時期はいつごろを目途としておるのか、まずこの二点についてお伺いしたい。
  47. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 大体勧告関係の作業は例年どおりの進行状況でございます。まあいま御指摘の管理職範囲という思いがけない大きな仕事が飛び込みましたために、実はどうなることかと思いましたけれども、幸いにして勧告作業のほうはそれとして進んでおります。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕  御承知のように、四月調査をやりましたその民間の実態調査が終わりまして、もはや全部集まりまして、目下その集計をかたわら急いでおります。ただその集計がなかなか手間どりますので、結果においては報告の時期は例年のような八月十日前後、まあ去年は八月十三日でありましたが、まあそのころにならざるを得ないだろう、こう思っております。今日の段階におきましてはいま申しました集計を急いでおりますと同時に、並行いたしまして各省事務当局、その他各省側のほうからいろいろこれも上げてくれ、あれも上げてくれという要望が、各省からの要望、並びに組合側の熾烈な要望がいろいろと出ていて、たいへんなボリューウムになっている。これを逐次私ども人事官の会議検討を、要望事項検討を目下進めておるという状態でございます。以上でございます。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 民間給与実態調査について、昨年人事院は事業所規模五十人以上、それと企業規模百人以上、こういうものについて約六千の事業を調査しているわけですが、本年の調査方法について従来と異なる点はあるのかないのか。また、改善された点は見られるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  49. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 事業所規模、企業規模等の点におきましては昨年どおりでやっておるわけであります。そのほかまあ例年いろいろと変えてやっておりますのは手当関係調査でございますが、今年は通勤手当、それから扶養手当、それから住宅手当、これらの調査をあわせてやることにいたしております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本年の民間給与実態調査においてですね、調査を行なった項目はどういうことか、この際お伺いしておきたいと思います。
  51. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま総裁から大綱の御説明を申し上げたのでありますが、民間給与調査は御存じのように、個人票とそれから事業所票とございます。個人票のほうはこれは例年調査事項が変わっておりません。それから事業所票のほうにおきましては、これは事業所全般のことを聞くのでありますが、これも例年変わっておらないのでございまして、ただいま総裁から御説明申し上げたように、ただ手当関係につきまして住宅、通勤、扶養手当、こういうものを調査しているということで、ほかは変わりはないのであります。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 消費者物価については依然引き続いて上昇を続けておるわけです。で、人事院調査の結果、昨年の四月に比し、本年四月はどの程度上昇しているかということ、また、生計費の上昇はどの程度になっているかということ、民間給与の上昇は昨年四月に比してどのようになっているか。人事院調査の結果が判明していればこの際御説明いただきたい。また、毎月勤労統計による上昇率はどの程度になっているか、この点をあわせて御説明を願いたい。
  53. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人事院調査は目下集計中でございまして、これは七月末ないし八月の初めにならないと結果が出てまいりません。そこでただいまお話がございましたように、消費者物価、それから生計費、毎月勤労統計における賃金調査、それがどうなっておるか、ただいまもうすでに本年四月分も出ておりますので、例年のように対前年の四月ということで現在数字がわかるのでございます。  まず物価について申しますと、去年の四月という時点が、御記憶があろうと思いまするが、野菜等がたいへん高騰いたしまして、四月時点の数字が非常に高かったのであります。したがいまして、昨年はそのことが勧告、報告にあらわれておるのでございますが、その昨年の四月を起点といたしますので、本年の四月の数字というのはどうなっておるかと申しますると、四・四%、これは東京でございます。昨年は東京で九・六%、昨年の四月対前年四月ですが、九・六%でございましたが、本年は四・四%、こういう数字になっております。それから全都市通じて申しますと、昨年は九・九%でございましたが、本年四月の昨年四月に対します全都市は四・六%、こういうことになります。数字の上からは物価は非常に小さい数字が出ております。これは先ほども申し上げましたように、われわれの見方が対前年四月と、こういうことで見ております。一般的に言われておりますように、年間平均で見るというようなことになりますと、巷間伝えられておるような七%というような数字がございますが、われわれの見方からいたしますると、ただいま申し上げたとおりでございます。  それから生計費につきましては、これは昨年は東京において非常に高い数字が出た。すなわち三十九年の四月に対する四十年四月の数字は一二・五と、こういう数字が出たのでございますが、本年の四月対昨年四月という数字は東京におきまして四%、こういう数字になっております。これはやはり物価と関係のある問題であります。五万以上の都市につきましては、昨年は八・三%でございました。今年も八・三%、同じ数字が出ております。この生計費関係の数字というのは非常な動きがございますので、こういうことをつけ加えて申し上げておきます。  また、毎月勤労統計につきましては全産業のきまって支給する給与、本年四月の昨年四月に対する数字は九・七%、昨年の四月の前年四月に対しまする数字は一〇・七%、こういう数字でございます。さらに製造業について申しますると、多少様子が変わっておりますが、本年の四月対昨年の四月は一〇・五%、昨年の四月の前年四月に対する数字は九・九%、こういう数字でございます。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の給与勧告の実態について総裁は、物価や生計費というものを考えると、中位等級以下の給与改善に重点を置かなければならない、それを貫いている、こういう意味の説明があったわけでございます。そこで指定職等については改良を行なっていないが、物価、生計費を考えれば、昨年と事情は何ら変わっていないわけです。そこで本年も昨年と同じような考え方で勧告を行なうのかどうかという点、こういう点をお伺いしておきたいと思います。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  55. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お話の点はまさに昨年は下位等級に重点を置いたわけでございますけれども、生活の苦しさというものはことしになって非常によくなったとはとうてい思えませんし、依然として苦しい状況が続いているということは言えます。と同時に、やはり相当高給な人々についてもやはり生活の苦しさというものはつきまとっておるわけでありますから、その辺のところをどう勘案するか、これは今後の私どもの大きな課題であろうと思いますが、何ぶん官民比較の結果の較差いかんによることでございまして、その較差自体がどう出ますか、全然いまのところ見当がつきませんのでございますからして、まだそういう点をあれこれと考慮しつつ、ただいま思い悩んでおる段階である、こう申し上げることが正確であろうと思います。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近の人事院勧告の給与改善率を見ますると、公労委の仲裁裁定が大きく影響を与えておるやに見られるわけです。本年の仲裁裁定のアップ率は六・五%、定昇を含めて一〇%となっておるわけです。そこで考えなきゃならぬのは、四十年度の物価の上昇率は七・四%あったわけです。したがって、実質賃金の上昇にはなっていないわけです。ベースアップはすべて物価に食われてしまう、こういう現象を呈してきている。そこで本年もまた仲裁裁定のアップ率に準ずる勧告が行なわれることになると、物価の上昇に追いつけないものになるわけです。公務員の生活は実質的に何ら改善されないという結果になるわけです。そこで人事院はこのような事態をどのように一体考えておられるのか、勧告にどのようにこれを反映さしていく考えなのか、こういう点はきわめて大事な問題だと思うのでお伺いをいたします。
  57. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御承知のとおりに、またたびたびここで申し上げてまいりましたとおりに、私どもは民間給与水準というものを一番の大きな柱としてこれをとらえて、それと公務員給与との較差を解消していきたいというたてまえでやっておるわけであります。物価の問題は、これはまたたまたまことしの公労委の裁定の中にも触れられておりましたけれども、物価は一応民間給与の中に織り込まれておるというたてまえをとりまして、したがいまして、民間給与公務員給与とを比べれば物価の問題もおのずからそこに解消されておるという見方がひとつ柱になっておるわけであります。ただしこれもたびたび申し上げておりますように、高校卒の初任給のところで標準生計費というものをとらえまして、それに物価がまた別の角度から入ってまいります。それが一つのささえにはなっておりますけれども、裸で物価そのものをとらえることはやっておらないし、また、そうするだけの必要性と申しますか、理由というものを発見いたしかねますので、今回も、たてまえはそのたてまえでまいりたいと思います。たまたま従来の実績が公労委の裁定のパーセンテージとある比率を持っておるように見えるもんでございますから、新聞あたりで御承知のように、最近二、三このパーセンテージの予測が出ております。これらはみな毎勤の上がりの関係及び公労委の裁定のパーセンテージなどを基礎にしての推察でございます。私ども立場としてあるいは態度としては、公労委の裁定のパーセンテージというものはもうほとんどと申しますか、全面的にこれがたよりにはしておらないわけであります。あくまでもわれわれの独自の調査で出ました官民給与の較差というものを本俸とそれから諸手当のほうにいかに配分していくか、いかに配分することによって適正な給与体系をつくり上げることができるかという態度でずっとまいっておりますので、その結果がたまたま公労委の裁定とある比率を持つということは、これは事実と申し上げてよろしいかもしれません。考え方の筋道は全然そういうたてまえはとっておりません、ということを申し上げておきたいと思います。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも納得しがたいのですがね、人事院としては物価については直接取り入れる必要性はない、生計費の中にも入っておるんだという御説明で、物価それ自体を取り入れる必要性はないという意味の御答弁ですけれども、物価は御存じのように、ウナギ登りにはね上がっておる、それはもう人事院資料によっても生計費の中に明確に入ってないわけです。その時々刻々の上がりぐあいが。したがって、今後はやはり物価について十分それを反映させる必要があろうかと思うのです。この点については納得しがたいと思うのですが、なお昨年の報告によると、人事院調査による官民給与の較差は五・六%を出たと、これはあまりにも少ないものであって、人事院当局自体もその結果に驚いて、人事院総裁のことばを借りると、異例な措置として、積み残し分として一・六%を付加して、結局七・二%の給与改善を行なったと勧告しておるわけです。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 この積み残し分の調査については、必ずしも十分な調査を行なっていないということを総裁自体も触れられておるわけです。昨年。本年は、この問題についてどのような調査を一体行なっておるのか、その点についてのお話を伺いたい。
  59. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これもたびたび申し上げておりますとおりに、私どもは四月調査ということをたてまえとしております以上は、積み残しの解消は来年度の問題、冷たく言えばそういうことであろうと思います。毎年この積み残しが出るというような情勢であれば、むしろこの調査月を四月に定めたことが間違っておるのであって、積み残しを、当然いわゆる春闘の結果を総ざらいにさらい得るような時期に調査するのが正しいのではないか、そういう問題にもつながってまいりますので、なかなかこれは基本的に考えますというと、非常にデリケートな問題点を含んでおることだと思います。しかしながら、昨年の事態は、そういう冷ややかなことではとても押し通し得ない、もっと大きな、合理的な見地から見てそのままでは済まされない、民間の積み残しが二四%事業所だけでも残っておるという事態があります。かたがた諸般の情勢を勘案いたしまして、いまおことばにありましたように、異例の措置としてああいう措置をとったわけであります。ことしがどうなりますか、これはわかりませんけれども、ただしこれは四月調査を現在たてまえとしてやっております関係上、積み残しの調査をいかに精密にやろうかといったところで、それも当然限界のあるところは御推察のとおりで、それも精密にやれというならば、先ほど申しましたように、それの調査月を六月か七月に延ばせば正確なものが出るという論理になると思います。しかしながら、われわれのほうではこの調査の表の、いわば付記事項というような形で積み残しの場合を記録してもらっておるわけであります。ことしはまた昨年程度、あるいはそれ以上に給与改定の民間の時期がおくれるという可能性もありましたものですから、調査員にはそういう付記事項の記入については、特に書き落としのないように十分やってくれということをことしは念を押したということはございます。その精密度は、これはもう事の性質上ある限界があるということはやむを得ないと思います。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは四月調査の意義ということを本来言えば、たとえ五月の妥結となっても、やはり人事院本来の使命から言えば、官民給与の均衡ということが人事院の重大な使命であろうと思うのですね。したがって、妥結が五月になった場合でも、これを当然四月に含めて考えるということでなければ、いわゆる官民の均衡は保たれぬと思うのです。しかも人事院の使命は、何といっても官民の給与の均衡ということが大事な、大きな使命であろうと思うのですね。その使命に忠実であるということになれば、たとえやっかいな仕事であっても、この積み残し分については当然四月に加えて計算すべきである、これはもう当然なことだと思うのです。きて本年の春闘によるアップ率は大体一〇%をこえておると思うのですが、しかもその妥結の時期は昨年とあまり変わっていないわけです。したがって、この事情については昨年と変わっていないということが言えるわけです。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 そこで人事院としては、昨年のように、四月の官民給与の較差の幅を見ないと積み残し分を付加するかどうか決定ができないかという点と、それと、春闘のおくれている事実に着目して、四月の格差の幅にかかわらず付加する考えを持っておるのか、こういう点もひとつこの際明確にしておきたいと思います。
  61. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) われわれの立場は、昨年も申し上げた、ただいまも述べましたとおりに、積み残しを見るということは、たてまえから言うと、これは当局の例外だという気持ちを持っております。先ほども述べましたように、むしろ、調査時期を変えて臨むべき性格の問題である。したがって、これは例外的な措置であるというふうにいまでも考えております。したがいまして、その今回の調査の結果、積み残し関係がどういうふうに出ますか、それだと、同時に、昨年度におけるような諸般の状況も勘案いたしまして適正な措置をとりたい。したがって、原則としては積み残しは見ないというたてまえをとりつつ、そういう考え方でいきたい、こういう考え方になるわけでございます。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 給与改定の際いつも問題になるのが例の中だるみ是正という問題であろうと思うのであります。  昨年は、若干の上昇金額の是正とか、あるいは三短措置を行なっておるわけでありますが、しかし、官民較差の配分という限界から十分なものでないことを総裁自体も認めておられると思うのです。で、本年も、また、中級職員の改善ということは力を入れるべき問題だと思うわけですが、どのように解決していくお考えなのか、この点について明らかにしていただきたい。
  63. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) なかなかこの中だるみの問題は、いわゆる人員の分布などの問題もかみ合って、実に、これはわれわれとしては、最も困難な問題と考えておるわけであります。最近、いま御指摘のように、やはり中だるみの現実があるというような声も相当ございますが、これらも十分拝聴しながら、いま、各省各庁、組合の要望事項検討の段階においても、そういうことを問題にしながら検討していくということでやっているわけでございます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 行(一)の四、五、六等のところを見ますと、大部分のところがいわゆるオーバーラップ点以上のものであるわけです。これらのものは号俸が上がるにつれて勢い昇給金額が下がることになっておる。一昨年、新三等級をつくって、四等級を二分することによって四等級のたまりの緩和をはかったわけですが、現在の号俸別人員分布を見た場合に、現在の給与体系を再検討する必要があるのではないか、こういうふうに考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  65. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その場その場でなかなか応急措置で対処してきた面も確かにございますので、百歩退いてみますと、いま御指摘のように、ここで全般をもう一ぺん建て直してみたらどうかという気持ちにかられる、これは私、正直に申し上げて、その事実を申し上げますわけであります。なかなかこの体系そのものをいじるということになりますというと、それはそれでまたいろいろなむずかしい条件がからまってまいりますために、踏み切りがつかないまま今日に及んでおりますということがまあ率直のところであろうと思いますけれども、いまのような考え方、基本的な考え方を常に頭に置きながら、あるいは部分的な訂正の際にもそういう全体の体系を考えながらの訂正をしてまいりたい。いずれかの機会にはこれを抜本的にやっぱり全面的に改定すべきではないかとひそかに考えておるという段階でございます。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中位等級以下の職員については、職階的給与体系を強く打ち出すことをしないで、生活給の観念を重視すべきではないかということが考えられるわけです。一部の公務員試験合格者の特進組は、これは別として、同じ等級に長く据え置かされて、漸次昇給金額も下がるというこういう該当の公務員の場合は、勤労意欲をそぐことになるし、また、生活の保障もできないわけです。このような実情について、また、現在のこういう制度について、総裁としてはどういうふうにお考えですか。
  67. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いまお答えしましたところにもこれは関連するわけでございますけれども、率直に言えば、給与体系というものはやはり、職務というものを大きく打ち出した上で、いわば、職務給的な体系で整えることが実は理想ではないかと、これもひそかに思いますけれども、現実はいまおっしゃるとおり、きわめて給与の水準そのものが低いのであります。食うか食えるかという線をむしろ彷徨しておるという、われわれとしてははなはだ悲しい現実にあると思いますから、いまの訂正あるいは改定を加える際にも、つい生活給的な要請のほうに向かっていろいろな改定がされつつある。したがって、またそこには純粋な理論から言うと割り切れないようなところも、手直し手直しでやってきておるという面もあるわけであります。したがいまして、今日の段階として考えられますことは、先年、ここで成立さしていただきましたいわゆる指定職の俸給表というものがございます。あれからある程度のところまでああいう方式に改変できるかどうかというせいぜいのところでございまして、いまのそれ以降の下位の部分につきましては、この職務給的な体系化というものはとうてい、今日のところではまだ見込みが立たない。やはり、筋の問題は別として、生活給的な面を考えていかざるを得ない。そういう立場で当面は対処していこうということでございます。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間がないので、論議を深めてお伺いできないのですが、次に、通勤手当について一言お伺いしておきますが、昨年、増額の改正が行なわれましたが、その後、国鉄、私鉄の運賃が大幅に値上げされた結果、昨年の人事院の増額の勧告の趣旨は、もうすでに失われてしまったわけです。当然、本年再び通勤手当の増額が勧告されなければならないと思うわけです。そうしないと、筋が通らぬと思うのですが、その点はどうするのですか。
  69. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) たいへんな運賃の値上がりだということは、諸般のデータを今日われわれ見ておりまして痛感するところであります。したがいまして、今日やっております民間の通勤手当が一体どういうように出るかということを十分にらみ合わせまして、適正な措置をとりたいと考えております。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、住宅手当の問題でありますが、これは毎年論議の対象とはなっておりますけれども、なかなか実現の運びに至っていないわけです。人事院調査によると、昨年は住宅手当支給事業所の割合が三四・七%となっておるということでありましたが、本年の調査の結果はどうなっておるのか。また、すでに住宅手当新設に踏み切るべき時期に到来しておると思うのですが、ことしはひとつ論議ではなくして、実際にこれが具体化されるような、そういう運びになっておるかどうか、当然、その時期が到来していると思うのですが、その点はいかがですか。
  71. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 住宅手当の問題についてわれわれの苦慮しておりますことは、これもたびたび申し述べてきたわけでございますが、民間の調査でも、民間の住宅手当についても先ほどのとおり調査をいたしておりますけれども、これは非常なパーセンテージが出てくるということになりますと、われわれもこれを無視することはできないということになりましょうけれども、これも一方においては官民較差の中での配分の問題にもなりますし、いろいろと困難な条件の中での作業ということになりますので、少しくらいは何とかいたしたいと思いますということはとうてい、ここで申し上げるだけの自信がございません。民間調査をやはりとくと拝聴した上でということにならざるを得ないわけでございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも心細いきわみですが、次に家族手当についても、これは二十三年以降全然上がっていないのです。二十三年から四十一年、何年になりますか、もう。二十八年に人事院は勧告はしたわけです。けれども、しかし、この勧告は政府によって結局は無視されてしまい、結論としては、二十三年以後そのまま据え置くという形になっておるわけです。二十年近い時日が経過しておる。こういう意味の家族手当は全く意味がないと思うのです。これは一体どういう考えを持っておられるか、このままいつまでも据え置くわけですか、もうそろそろ時期が到来しておるんじゃないですか、二十年近くにもなるし。
  73. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この家族手当、扶養手当の性格は、実はほんとうの原則から申しますというと、本俸で当然これはまかなうべき性格のものだという点が非常に強いと申し上げてよろしいと思います。その意味で従来家族手当については凍結状態のまま今日に及んでおるというふうに見るべきものであろうと私は考えますけれども、しかし、ここにおいて、ただいまのような生活給的な面の問題もございますし、かたがた家族手当の調査をいたしましたのは三年前です。そのように一ぺん調査をして、もちろんそのまま調査しただけであります。が、しかし、それにいたしましても、それ以来、間がたっておりますので、今回やはりひとつ正確なところをつかんでおく必要があるだろうということで、民間調査で調べることにいたしました。どういうことになりますか、これはまたいま申しましたような、なかなか給与そのものについての基本的な考え方というものもからんでまいりますので、なかなかこれを具体化することはむずかしいと思いますが、とにかく調査の結果は慎重に検討するつもりでおります。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、実施の時期についてお伺いいたしますが、これは毎年そのつど論議の中心にもなっておりますが、人事院としては四月調査で五月実施、こういう勧告を行なっておるわけです。しかし、よく考えてみれば明確なように、四月における官民較差がかくかくあったということを人事院自体も言われておるわけです。ゆえに四月に実施されてしかるべきことはもう論議の余地はないと思うのです。にもかかわらず、四月に調査したから五月実施だという人事院の勧告、これは全然根拠がないのです。四月に官民較差を調査したらかくかくの差があったと人事院自体は発表しておるわけです。したがって、四月に当然実施してしかるべきだと思うのですが、これは毎回人事院見解を伺っておるわけですが、どうにも納得できないわけです。これはひとつこの時点で明確にしていただきたい。明確にするということは、四月実施することによって初めて明確になる。この点はいかがですか。
  75. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) たびたびこれも申し上げてまいりましたように、とにかく確かに四月実施という考え方も成り立ち得る考え方であるということまでは申し上げてまいりましたけれども、しかし、事柄としてはやはり両論成り立ち得ることであるので、まだにわかにどちらという段階にはまいっておりません。そういうこともかねて申し上げてきたわけでございますが、その点については今日も同様でありますが、しかし、いずれにいたしましても、五月からにせよ完全実施していただかないことにはわれわれも立つ瀬がないという立場におりまして、とにかく完全実施のほうに全力を注ぎたいと考えております。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは完全実施はもちろん当然必要なことでありますが、完全実施でも四月から完全実施ということでなければ筋が通らぬと思うのです。人事院の本来の使命は官民給与の均衡をとるということが大事な使命だろうと思うのであります。そうでないということになると話は別ですけれども人事院の存在価値は官民の均衡をとるということに大きなウエートがあろうかと思います。そういうことで、四月の実態がすでにかくかくの較差があったということになれば、四月実施して初めて官民の均衡が保たれるわけですね。五月になれば一カ月おくれる、これは明確でしょう。したがって、四月調査で四月実施ということにどうしてならないのか。初めうっかり五月にしたから、いまさら変えるわけにはいかぬから、そこでこういうことになっておろうかと思うが、何も根拠がないのです。別に。この点を重ねてお伺いしておきたいと思います。
  77. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 四月実施説、五月実施説、これはまあどちらにも相当の根拠があると思いますけれども、四月実施説が間違っているということは自分たちは申しません。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 伊藤委員のほうから勧告問題に関連いたしまして質疑があったわけですが、おおむね問題は全部言い尽くされております。したがいまして、私といたしましては、重複を避けた形で質問をいたしておきたいと思います。
  79. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それではまず手当の問題について、いま伊藤委員のほうから質問があったのですが、簡単なものからポイントだけを、もう明らかになっておるわけですからお尋ねしたいわけですが、いま出た交通手当、これは二つ問題があると思うのです。一つは、去年の人事院調査にも明らかなように、自動車という項目が新しく出てきましたね。自転車それからスクーターですね、こういう項目のほかに自動車という項目が四十年度から出てきたですね、民間の場合には。しかもその支給の占めている割合というのが非常に高いですね。それは三十八年にも調査していますね。三十八年のときにはそう高い割合じゃないのですが、しかし、四十年になりますと、自転車、スクーター、自動車と、こう並べて見た場合に相当高い率になってきている。しかも、最近、小さな自動車、四輪車あるいは小型のライトバンですね、こういうものによって通勤するというのは相当ふえている。私ども地方に参りましても、庁舎の前に十台ぐらい車がとまっている。何だ、これは業者が来ているのかと思ったら、そうじゃないのです。やはりこれは自動車で通っているのです。そういう意味で、民間もこの自動車による通勤手当というものを相当出しておりますね。去年の調査によりますと五百二十七円と、自転車は四百三十九円という数字が出ておりますね。そういう意味で、ことしはこの自動車の問題について人事院として考えるべきじゃない、だろうか。さらに、ことしの調査ではこの自動車の欄というのはもっと大きな数字になって出てくるのじゃなかろうか。その点が一つです。それからもう一つは、条件は、これは当然取っ払ってもらう、千百円。これは当然取っ払ってもらうのですが、あと、五百円刻みになっている、五百円を限度にしてということになっておりますね、これもひとつ改善をしてもらう。二つだと思うのです。それについて、ひとつ給与局長答弁を承ろうと思うのです。  次に、扶養手当ですが、この扶養手当は三十九年はやらなくて、三十八年がやったのですね、そして四十年と、こうなっておるのですね。四十年も調査していないですね。そして本年やっておるわけです。そこで、一番人事院調査した新しい三十九年の調査による扶養手当を見た場合に、非常に顕著なことは、子供の手当は別にして、妻手当というものが非常に浮き彫りにされておるわけです。これは人事院調査でも出ておりますように、三十八年の人事院の勧告を見れば資料の中に出ておりますが、配偶者、第一子、第二子、その他と区分してある場合、つまり、配偶者、子供、父母、こういうふうに区分してある場合、配偶者は千四十一円、その他の定め方の場合でも、第一人目は約九百円ですね。あと、二番目というのは子供になるのでしょう、五百円とか四百円とか、こういう数字が出てくるわけです。ですから、いずれにしても、この三十八年度の調査のときに、扶養手当は、はっきりしていることは、妻手当というものが非常に特殊な民間の中では特殊なものになってきているというのが焦点じゃないかと思うのですね。ですから、今年の場合においては、さらにこの点は顕著に出てくるのではないか。その後における日経連等の発表を見てみますというと、妻手当に対する考え方というのは相当明らかになってきている。しかも子供のほうの扶養手当よりもずっと違った高いものになっている。千二、三百円から千五百円という数字が出てきておるわけですね。ですから、今回調査をされて出されるわけですけれども、六百円、四百円というものを考えられます場合に、特にこの妻手当というものについてぜひとも重要な関心を払ってもらうという点じゃなかろうかと思うのですよ。この二点について、局長のひとつ考え方をお尋ねいたします。
  82. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 最初に通勤手当の問題に関連いたしましてお答え申し上げます。  昨年、人事院は、従来から変わりまして、千百円までは実費がかかっただけ、それから千百円をこえましてさらに千円の額、すなわち二千百円まで、そこは半額、したがいまして、最高額千百円に五百円を加えまして千六百円、画期的なそういう勧告をいたしたのであります。これは当時評価していただいたと思うのでありますが、その後におきまして運賃の値上げ等がございまして、これはせっかくわれわれがやったことがあまりぱあっとしない感じになっておるというのは事実でございます。そこで、本年もこの点に関しましては、民間給与表も調べておるのでありますが、この調査の結果が出てまいりました上でこの問題等は十分検討しなければならぬ。現在はただいま御指摘ございましたようないろんな問題を含めまして、いろいろああでもないこうでもないと言って現在の段階においては考え方を議論しておる段階でございます。まあたとえて申しますると、バス等が非常に発達いたしまして、地方等におきましては通勤に相当長距離の区間バスを利用する。バス運賃というのは、これは電車、列車等に比べますと高いというような問題もございます。いろんな問題がございます。軽四輪を使用するという場合もございますけれども、こういうものを、かつて自転車ということだけでやってまいったのでありますが、やはりバイクというものは相当普及をしておるという事態に着目して、そういうものを新設してまいった経緯もございます。現在の時点においてどういうふうに評価をしていくかということは、これはいろいろ問題のあるところだろうと思います。現在まだ具体的には出ておりませんで、ただいろいろ議論をしておる段階でございます。すべては調査がどういうふうに出てくるか、それの待ちである、こういうことであります。  それから扶養手当のことにつきましては、御指摘のように、配偶者につきましては扶養家族手当を支給しております。民間の事業所におきましては支給していないところも相当あるのであります。扶養家族手当を支給しておる民間事業所におきまして出しておるのは配偶者に対しては千円以上の場合が非常に多い。これは先ほど御指摘になりました調査にもそのように出ております。今回もそういうことでいろいろ扶養の実情を調べておりますが、ただこういうことは考えられる。これはこの前も何回も御説明いたしたのでありますが、公務員の半数は配偶者がある。若い人は配偶者がなくても結婚するから配偶者ができるわけであります。ほとんど例外なく。結婚するので配偶者があるということになりますれば、そういうことは特段の事情でもなんでもない。およそ手当というものを考えます場合は、基本的な給与を考えました場合に、やはり例外として取り出せるようなものに手当をする必要があるというようなことが手当を考える理由であろうというふうに思うのであります。扶養家族があるということは例外のない、もうほとんどすべての人に共通した事実でございますので、そういうことは当然基本給で考えられてしかるべきじゃないかという考え方がございます。しかし、出しておる事業所は、少なくとも扶養手当、家族手当というものを出しておる事業所では配偶者には千円を下ることはないという事実もあるのであります。それからまた、それでは民間の扶養手当を出しておるところ、出していないところ、総平均すると、一人当たり勤労者にどれくらい出しておるかというと、約九百円くらいの扶養手当を出しておることになっている。現在公務員につきましても九百円程度になっているという事実もあります。そういういろいろ背反した事実もございますので、これをどういうふうにいたしていくか、こういうことは非常に重要なことであると思います。原則的に申しますれば、扶養手当を考える場合に、子供が多い場合にこそ、その辺で考えていくのがより妥当であるという考え方もあろうかと思うのであります。いろいろございますので、ただいま御指摘になりました点等もわれわれ問題として含んでおるのでありますが、特に御発言がございましたので、そのことも十分考えまして、今後この結果を見まして、どういうふうに策定するか考えてまいらなければいけない問題だろうと考えております。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま局長のおっしゃったように、子供が二人、三人というところが非常に苦しい、ですから、子供手当をふやしたい、それは私も同じです。ですけれども、これはいまさら言ってみても二十三年以来、四十一年まで十八年、十九年という長い間改めないのですね、ですから私はこれは局長がおっしゃるように、子供の手当を六百円にしていくとか八百円にしていくという考えなら大賛成です。ですけれども、いままで聞いたところによると、どうもそういうふうに動きそうもないし、特に人事院が民間の扶養手当との関係でいつも考えられる、そういうような現実に即して扶養手当という問題を見た場合に、人事院が見落としている最大の問題はこの妻手当ではないか、配偶者手当ではないかと私は思うわけなんです。それは数字でもはっきり出ておるわけですから、少なくとも扶養手当を出しているところ、そういうところによっては配偶者手当というものは、これは千二、三百円、千五百円というようになってきているわけです。その点を指摘しているわけです。ですから、重ねてその点についての局長のひとつ配慮を願っておきたいと思うのです。  それから、住宅手当ですがね、これは三十八年三十九年、四十年、四十一年と、いま四年にわたって調査をやっているわけですね。ですから、住宅手当というものについての人事院の執拗な調査については若干の敬意を表したいと思っているのです。ですが、私はほかの手当もそうですが、この住宅手当はあまりにも作為に満ちているというふうに思うのですよ。三十九年に私やかましく言いまして、三十九年から調査のやり方が相当変わったですね。で、四十年と引き継いできているのですが、いま三十八年から三十九年、四十年と人事院の勧告をとじたものを持ってきているのです。これを見ますと、三十八年は住宅手当を出しているところが一八・七%ですね。三十九年から調査のしかたが若干変わったですから三〇になっていますが、あるいはそのまま比較できないかと思います。ですが、三〇%ということになっていますね。それで四十年が三四・七%、ですから毎年五、六%ずつ上がってきておるわけですね、住宅手当を出す事業所の割合というものはですね。ですから、本年四十一年もまたこれが上がりまして、四〇%ぐらいになるだろう、その次には四五、六%か七、八%になるだろうというふうに思うのですよね。ですから、このやり方でいきますと、これは三年待たないというと住宅手当というものになかなか踏み切れない。かつて人事院が交通手当、通勤手当に踏み切ったときには四八%ぐらいで踏み切ったわけですよね。ですから、半分ぐらいは少なくとも出さないというと人事院としては踏み切れないという点はあるだろうと思うのです。ですが、これは観点を変えて見なければならぬと思うのです。だから、住宅手当と、こう言っておりますけれども人事院としては同じ紙だけでもボール紙とちり紙とでしか比較してない。これは比較にならないと思うのです。こういう統計のとり方はね。住宅手当というものがなぜ問題になったのかという点は二つあったのですね。一つは、これは住宅をもらっている者ともらっていない者との差別ですね、それが一つだったですね。ですが、本来これは住宅という施設があるところが対象になると思うのですよ。住宅という施設のあるところ、これは第一の条件。第二の条件は転勤のあるところですね。転勤のない事業所だって一ぱいあるのですから、百人程度の事業所は転勤がないですから、転勤があるから問題になる、激しい問題になってくるわけですね。かつては上の者だけ転勤したのですが、ところがもうこの五、六年というのはほとんどすべての職員が転勤は若年になってくる。その場合に住宅手当もなければ官舎もない、そうすると、転勤を命ぜられるというと、これはもう非常に大きな問題ですね。そこで、人事上もまあひとつ行ってくれ、そのかわり何か昇格をさせるとかなんとかするとか、あるいは約束をして二年後には帰すとかいうような、人事をゆがめなければならないような事態も起こっている。ところによっては、もうそのようなことは言わぬでくれ、ともかく役所のほうで住宅をさがしてくれ、そうすれば転勤するから、住宅手当はなくてもとにかく住宅をさがしてくれというところまでいま出てきておるのですね。ですから、そういう意味で転勤のあるところというのが問題だと思うのですよ。ところが、人事院も住宅のあるところ、しかも転勤のあるところあるいはないところというふうに、分けて調査していますね。これは三十九年から四十年とこう調査しておるわけです。そこでそれをとっぱらった比較というのはボール紙とちり紙を比較するようなものでこれはいけないと私は思うのです。ですから、人事院もせっかく分けて調査しておるのですから、住宅の施設があって転勤のあるところ、そこで一体住宅手当はどうなっておるのかという点を考えるべきだと思う。その状況をとっぱらって比較した場合、お話にならないと私は思うのです。言うなれば石と紙を比較しているような、同じ物質でありましょうけれども、石と紙を比較してものを言うようなものだと思う。ですから、その二つの条件にしぼって住宅手当というものは考えるべきものだ。そういたしますと、三十九年からこういう調査になったのですが、住宅手当を出しても言いという、三十九年は、住宅施設があって転勤のある事業所、そういうところで住宅手当に四四%支給されておる。四十年、去年四八・八%支給されておるわけですね。本年はもう少しこれは上がりまして、おそらく五二、三%になるでしょう。毎年これは四%以上上がっておりますから、五%近く上がっておりますからね。ですから、これは通勤手当に踏み切ったときは四八%くらいで踏み切ったわけですが、そのくらいの見通しを持って踏み切ったと思うのですが、これは住宅手当についても踏み切るべきときにきておるのじゃないか、こう私思うのですが、局長いかがですか。
  84. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 島田人事官がお見えになりましたから……。
  85. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 住宅問題は、これは御指摘のように、しばしば問題にされたわけでございまするし、われわれも非常にこの問題は関心を従来持って、何回か調査してまいった経緯がございます。しかし、住宅問題というのを十分考えてみますると、ただいま御指摘がございましたけれども、やはり根本は住宅を確保するということがこれは一番大切な問題じゃないか。まあ言ってみれば現在住居の確保が困難である、公務員宿舎というものが不十分であるというようなことから、民間の借家借間にたよらなければならぬ。その間に家賃の相当の懸隔があるというようなところから問題が起こってまいるのでありますけれども、これはやはり住宅政策ということが十分いっていないのを給与問題に転嫁するきらいはないか。これはまあ非常にわれわれのひがみかもしれませんが、そういう考えもあるわけであります。  そこで従来人事院は何をやっておるかと申しますと、これはもう何回も御説明申し上げましたように、人事院総裁は一昨年から住宅確保ということにつきまして、総理大臣、内閣側にあるいは国会にいろいろお願いをいたしまして、その結果、一昨年度、昨年度、今年度、従来公務員宿舎が年間六千戸増設されるという計画でまいっておりましたものが四千戸ふえまして、一万戸ずつふえてまいっておる。こういう根本的な住宅問題につきまして、これはまあ人事院だけの努力とは申しませんが、やはりわれわれの努力もそこに出てまいりまして、そういう住宅確保という根本問題のほうにむしろ重点が置かれてまいっておるということ。しかしながら、今年もこの問題は調査いたしております。ただいま御指摘になりましたように、やはり住宅手当を出すというからには、転勤のあるというようなこと、あるいは住宅施設のある場合に、その施設に入れなくて民間の借家借間に入らなければならないというような者との比較ということが問題になるのは当然であります。まあそういう観点を合わせまして、これは本年の調査結果が出てまいりましてた上で十分検討をいたしたい、このように考えております。
  86. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 住宅手当について、先ほど申し上げたように、四年にわたって調査をしておられるのですが、このことは半面やはり公務員の間にあって住宅手当の問題というのは非常に強いものがあるということも示しておると思うのです。いま瀧本局長がおっしゃった住宅について、公務員の住宅を確保するという点にあるというようなお話ですが、三十九年の八月に勧告出しますとすぐ、総裁が当時の内閣総理大臣池田勇人さんにあてた文書が載ってますね。で、そのあてた要望書の中に、別紙として、公務員の場合は住宅施設入居率というのは二〇%だと、民間の場合は五百人以上の企業では約三〇%だ、百人以上では二七%だと、こういうことを示しまして、公務員の住宅というものが困っているということで要望しているのですね。それで幾らかふえてきたというお話なんですが、しかし、私はそのときも主張したわけですが、これじゃ百年河清な待つで百年かかるじゃないか、それは困るんだということを主張したわけですよ。ですからせっかく四年住宅手当という調査をしておられるのですから、本年あたりはこれは先ほどいったような観点から、石と紙と比較するようなことをしたいで、石と石と比較をする、紙と紙と比較をするという、そういう立場で考えていくべきじゃないかと重ねて強調したいわけなんです。  次に、やはり手当の中に入るんですが、昨年看護婦に対します夜勤手当出しましたよね、百円。あまり小さすぎて困るわけですが、今年はこれをふやすかどうかという点ですね。もう一つはそういう夜勤に該当するような職種というのは、公務員の中に相当広範囲にわたっておるわけですよね。数としてはそう大きなものじゃありませんですが、各省庁にわたりまして夜勤している、夜勤して仕事をしているという職種というものは相当広範囲にあるわけですよね。そういう問題についてどうなさるのかですね、という二つ伺いたいと思うのです。考えていかれますか。
  87. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 昨年看護婦につきまして、深夜勤務いたします場合百円という手当を出すということになりましたわけでございます。で、この問題と、後段に述べられました、そのほかにもいろいろ夜間に勤務しておる職種がたくさんあるではないか、また、断続的に勤務しておるものと、いろんなものがあるじゃないか、そういう関連どうするかというお話でございます。そこでわれわれのほうは、昨年看護婦のを出しましたときに、これは看護婦、女子職員が深夜の勤務を禁止されておることは、これは労働基準法でそうなっておりますが、看護婦が特段にそれが解除になりまして勤務できることになった。で、こういう説もあるわけです。ほんとうは夜間勤務を禁止されておるのを特に解除した、そういう勤務に対しては特段の厚い処遇がなくてはならないじゃないかという議論もございます。ところが、われわれのほうは禁止がされておるということは、これは特段の事実であるから、これは十分その点についてはわかる、しかし、解除された以上は、これはやはりそこに特段の、たとえば解除はするけれども、女子職員が勤務する場合には手当は厚くするんだという一般的基準があるならいざ知らず、それがないとするならば、やはりこれは男女を問わず、男女の差別なしに、夜間の困難な勤務に対してどう措置するかと、こういう問題にしかならないというように考える。そこでわれわれが看護婦の問題が出ましたときに、これは看護婦だけではない、いろんな問題があるんだから、そういうことを一切がっさい研究した上で処遇すべきじゃなかろうかというふうに考えまして、しかしながら、看護婦のところにつきましては、すでに相当調査もできておりましたので、まずはそろえてやるためにおくれるよりも、看護婦のところだけ早いほうがいいじゃないかというので去年やった次第でございます。引き続きまして、さらに人事院職員局におきまして、夜間の断続勤務あるいは拘束勤務等につきまして調査も続行しておるのでございます。これが調査完了しました暁におきましては、場合によりましては、昨日も決算委員会において同様の問題に関連して同じようなことを申し上げたのでございまするが、やはり勤務の規制をするというような問題も出てまいるかと思いまするし、また、処遇の問題につきましても十分検討してまいりたい。場合によりまして、そのとき必要があるならば、看護婦の百円というのを再検討する、これは問題に含まれると思います。本年直ちに看護婦の百円を上げるということにつきましては現在そういうことは考えておりません。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、先ほど総裁答弁された積み残しですね。先ほどの総裁お話を承ってみますと、少し後退した感じを非常に強く受けたんですね。後退した感じを非常に強く受けまして、そこでこれは一ぺん大きくねじを巻いておかないといけないという気持ちになっておるんです。昨年私は、この積み残しというのはこれは人事院側が言われたわけであって、私が長年主張してきたのは、これは春闘分というものを入れるべきだという主張をしてきたわけです。それを入れないというと、春闘相場というのは来年の勧告になってしまって一年おくれるようになってしまう。春闘相場を入れるべきだということで、人事院が長年やってきた三月末の調査というものを四月末に変更した。四月末に変更してから六年になるでしょう。五年くらいになりますね。今年で六年目になりますか。ところが、四月末に調査を始めて四年たち五年たってみたところが、だんだん春闘というのはおくれている。大体三月に戦われておった春闘というのが四月の末になり五月に入ってくる。さらに団体交渉で配分等の問題になっちまってそこで妥結するのが五月になり六月になり、もちろんさかのぼって四月一日からやることになるんでしょうけれども、しかし、妥結がおくれているというところから、だんだん春闘相場というものが四月に出てこない、六月あたりに出てくるというようなことになって、これがあまりにもひどくなってきたから、春闘分を、四月末の調査でも幾らか入るだろうけれども残っているから、したがって、それを積み残し論と称したわけです。人事院は。これは人事院発言ですよ。それをひとつ加えようじゃないかというので、一昨年若干の勘案をされて、四十年の昨年の勧告では、相当報告書の中に出ておるように、異常な事態であるというふうなことばを使って——何も異常じゃないですよ、だけれども異常な事態である。したがって、積み残し論を考えなきゃいけないというので、昨年は一・六というのを考えられたわけですね。ところが、実は私はそのときに、労働省の毎月勤労統計でも明らかのように、すでにそんなもんではない、もっと三%、四%という積み残しがあるんだという主張をしたんですが、今日事態が明らかになっておるわけですね、労働省の毎月勤労統計を見てみましても。人事院は遺憾ながら四月末しか、一年度一回しか賃金調査をしないわけですから、五月調査もないし六月調査もないわけですよ。しかし、労働省は毎月勤労統計というものを発表いたしておりますから、それによりますというと明らかのように、去年で言うと四・一という積み残しがある。その中の一・六というのを見たということになるわけです。二・五%はしよったのですが、二・五%というと、御承知のとおり、そのときの賃金水準で言うと約千円になる。二千五、六百円上げるんだから、その中の千円値切られたんだから、とんでもない大きな値切り方です。いま四万円ベースぐらいになっているから、二・五%といったら完全に千円ということになるのですが、なぜその積み残しをやらぬのかというと、総裁はこんなことを言ったのですが、これはどうも聞き捨てならぬものなんです。それは、四月末という時点をとらえて人事院としては考えているから、だからもし積み残しというのが大きくなれば、調査の時期を変える、こういうお話ですね。ですが、私はその点もやかましく言っているのですけれども人事院の賃金をきめる場合に三つの要素がある。これは国公法の六十四条に出ているように、生計費と民間の賃金とその他人事院の考える要素、こうなっているのですが、あまりに民間の賃金に重点を置き過ぎるというのがぼくらの従来の主張なんです。この人事院の考える要素の中に入れたっていいじゃないですか。労働省の毎月勤労統計をとってものを考えるのはこけんにかかわるというような感じがあるいはあるかもしれない、役所のことですから。しかし、その点については給与法の二十四条に、人事院は、総理府統計局、労働省その他の政府機関から提供された適切な統計資料を利用して、こう書いてある、だから労働省が出している毎月勤労統計というものをこれはひとつ真剣に考えれば出るわけです。何も四月末の調査にこだわる必要はないと私は思う。いかがでしょう。これはひとつ島田人事官お見えになりましたが、いまになってみますと、賃金の問題の最も大きな焦点の一つはこの点なんです。昨年も問題になりました。一昨年も問題になりました。その前の年も問題になりましたが、昨年は明確に出たわけです。その前も若干出ました。三十九年もちょっぴり出ましたが、去年は一・六という数字をお出しになった。しかし、その積み残しもいま申し上げたようにまことにささやかなものでありまして、ちょっと修飾した程度ですね。ちょっとモディファイしたという程度、四月末の調査に少し色をつけたという程度。もっとやはり積み残しというものをはっきり出すべきだと思うのです。もちろん人事院調査で、これは四月末の給与調査する。それと比べれば正確度というのは少ない。だからその点について人事院が懸念されるという点わかります。しかし、人事院が考える要素というのがあるのです。国公法の六十四条に。ですから、その点を取り上げてお考えになっても何も差しつかえないと私は思うのですが、いかがお考えになりますか。この点については総裁は、どうも少しばかり、だれの入れ知恵か知らぬけれども、そんなこと総裁が知っているはずがないのですけれども、えらく四月末にこだわった言い方をされましたね。いかがでしょう。
  89. 島田巽

    政府委員(島田巽君) お答えいたします。ただいまの春闘の積み残しに関してでございますが、先ほどから御指摘がございましたように、非常に春闘の妥結のおくればかりではなしに、さらに、その配分が労使間の交渉の遅延によってます表すおくれるというのが現状でございますので、私どもの四月調査という範囲の中に、どうしても入りにくくなってくる。昨年その春闘のおくれが御承知のとおり、約四分の一というふうな異常な数字になったわけでございますが、それをどうも全部人事院勧告の中に織り込めないということは、これも十分御承知のことで、いまさら申し上げるまでのこともないのでございますが、人事院で事業所の給与表の中の個人票の調査を累計して権威ある民間の調査人事院のよりどころとしております数字を出しますためには、まだその配分が、個々の個人票に記載されていない。したがって、どうしても事業所単位の大ざっぱな、大ざっぱと申し上げては語弊があるかも存じませんが、少し基盤の違う数字しかわれわれの手に入らない。そのためには、今度も調査をいたしておりますけれども、おくれればおくれるほど、個人票には乗ってこないというのが現状なものでございますから、昨年のように、そのおくれが異常な数字に達しましたときには、何とか考慮しなければならないというので、昨年のような措置をとったわけでございまして、これもさっき御指摘がありましたように、もしこれをどうしても個人票をとらえて正確なものにして、正確に春闘の積み残しがこれだけであるという数字を出しますためには、五月あるいは六月調査ということになり、現在の調査時点というものを大幅に再検討しなくてはならないというふうな段階になってまいると思いますし、一方において、四月調査というものが、やはり現在の民間の賃上げその他の状況から見まして、適切な時期であるというふうな判断からいたしまして、どうもこれも動かせないというふうな状況でございますので、現状のような方法をとっているわけでございます。本年もしたがいまして、その調査の結果を見まして、できるだけの善処をいたしたいと思います。  もう一つ御指摘のございました民間の賃金だけでなしに、給与法に明記してありますその他の点について考慮したらいいではないかという御意見でございますが、現在におきまして、その他のいろいろな生計費、物価を勘案いたし、また、先ほどおあげになりましたほかの重要な経済指標、統計その他のものを私どもといたしまして十分に参考にいたしていくということは、ふだんの心がまえとしてもちろんもっておりますが、ただ、いろいろ人事院独自の立場ではっきりした納得のいく数字をもって、それをもって勧告いたしたいという従来からの考え方からいたしまして、あくまで民間の賃金調査というものを主体として考えていきたいということでございます。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま島田人事官から答弁があったのですが、ぜひそういうことで御努力を願いたいと思います。労働省の毎月勤労統計は、人事院が勧告いたします八月になりますれば、六月の数字が出ておるわけです。で。歴年見てみましても、大体六月で春闘というものは入るというふうに見ていいと思うのです。この三、四年ぐらいの経緯で。ですから、このときには、すでにいま申し上げたように、労働省の毎月勤労統計というものは六月のものは出ているわけですから、ぜひとも労働省の毎月の統計も人事院立場から御活用いただくよう御要望を申し上げて、念のためにということになりますが、申し上げておきたいと思います。  もう一つは、私は人事院の勧告のやり方をもっと簡素化する必要があるのではないかというように思うのです。いま一年がかりになっているのですね、勧告というのは。これはもうこんなまどろっこしいことはやらぬほうがいいのじゃないかというふうに思うのですが、十五年間こういう調査をやっているわけですよ、人事院は。六千ぐらいの事業所を選定いたしまして十五年同じようなことを繰り返している。これは手はないものですかね。しかも手工業みたいなもの、手工業ですよ。一つ一つ聞いて、手工業のようなものですね。十五年もそういう作業を繰り返してきたんですから、六千か五千の事業所を限定いたしまして自動的に上がっていくという——調査に行くといやがられたり、け飛ばされたり、さんざん苦労して今日きているんですが、その中には積極的に協力してくれるところもたくさん出てきているわけですね、長い間の調査ですから。毎年四月末になるというと、四月末といっても五月の連休明けに調査に入るわけですが、事業所の中には積極的に協力しようというところだって一ぱい出てきておるわけです。この段階になりましたら、ほぼ公務員給与に該当するような事業所を限定して、たとえばいまの公務員の賃金水準に該当するようなものを固定して、そこから自動的に上がってくるぐらいのことを考えたらどうかと思うんですがね。そうすると、もう少し簡単にすみやかにこういうものはできるんじゃないかと思うんですけれどもね。ということを申しますのは、今度旧国家公務員法から新国家公務員法によりまして、団結権というのが従来の団結権と変わったわけですね。八十七号条約に基づく団結権というふうになったわけですが、そこで先ほども管理職範囲ということでごちゃごちゃ論議がありまして、使用者側と被使用者側というふうにはっきりとして、つまり労働組合として、政府も国会の場で言いますように、労使関係、使用者と被使用者という点をはっきりしてきたわけです。従来は労働組合ということばを使わなかった。組合組合、しいて言うならば職員組合ということばを使っておったんですが、しかし、この新国家公務員法と同時に労使関係、その意味では従来の国家公務員法規定する交渉というものとは内容が違ってきた。組合側は交渉する権利を持ち、使用者側はそれに応じなければならない義務を負う、権利と義務の関係になってきたわけですね。そういう意味で、賃金の問題についてもこれはもう少し勧告についても根本的に考えなければならぬのじゃないか。たとえば三公社五現業の仲裁裁定等が一回か二回の会議をやることによってきまる。もちろん資料としては人事院資料も、あるいは労働省の資料も、内閣から出します資料も使ってやるわけですけれども、いずれにいたしましても一回か二回の公労委会議によってきまるというわけです。もちろん、使用者側の意見も聞き、労働者側の意見も聞きですね。ですから、私はこの際人事院は正式に政府意見も聞く、使用者側の意見も聞く、正式に労働組合側の意見も聞く。つまり使用者側の意見も労働者側の意見も聞くという中で、もう少し簡明に勧告ができる——もう勧告という考え方はどうかと私は思うんですが、だんだん変えていくべきだと思いますが、これは重要な問題でありますので、人事院としてもぜひ協議をなさっていただきたいと思うんですが、もう手工業みたいなものはよしてもらいたい。私もうんざりしましたですよ、私も六年やりましたけれども、こんな、相当な欺瞞に満ちているんですね。こまかく過去にやりましたからやりませんが、こんなものは疑問を残すだけで、公務員はさっぱりわからない。どういうことでわれわれの賃金がきまっているか、民間これだけきまったから公労委言うように——公労委は三十九年から同じような形態になっているわけですが、三十九、四十、四十一年と仲裁裁定ではっきり言っているように簡単なんです。これが一番はっきりする。賃金というものは明快にきまらなければいかぬ。何かごちゃごちゃやって相当な専門家じゃなければわからない、こんなものはいかぬですね。ですから、私はもっともっと簡略に勧告ができるように、勧告という名前は控えたほうがいいと思いますが、というふうに変えていくべきじゃないか。国会法に勧告ということばが生きておりますし、簡単に名前は変えるわけにいきませんでしょうが、しかし、心がまえとしては従来のようなことじゃいけないと思いますが、その点について、もし島田人事官のほうでお考えがある、あるいは人事会議においてそういうようなことを御相談になっていらっしゃるならば承っておきたいと思います。
  91. 島田巽

    政府委員(島田巽君) お答えいたします。最初に御質問いただきました毎勤統計でございますが、春闘の積み残しを見、準備作業といたしまして毎勤統計の数字は十分に人事院検討いたしております。  ILOの関係につきまして労使関係ということばが出ましたが、人事院といたしましては、従来から厳正な中心的な機関として、ちょっと矛盾するようなことばになるかもしれませんが、同時に、被使用者側の代表機関といたしまして、従来も慎重にその機能を果たしてきたと私は考えておりますので、今後もこの方向に沿いましてやっていきたい、ただいま御指摘のございました点を念頭に置きまして進んでまいりたい、こう思っております。  それから次に、非常に給与勧告の十年一日のごとく内容が複雑で、実際に給与をもらっている人がどういう計算で出てきたかわからないじゃないかという御指摘でございますが、非常に複雑であることは事実でございますが、ただ公労委などの場合と違いまして、俸給表の配分、一人一人の配分に至るまで、一人一人と申してはことばが過ぎるかもしれませんが、配分まで人事院が決定するという従来からの方針の方式におきまして、ある程度複雑であることはお許し願いたいと思いますが、ただ今後の方向といたしまして、いつまでもこのままでいいかどうかという問題につきましては、今後御意見を尊重いたしまして十分に検討いたしたいと思います。それからまた、民間における給与体系というようなもののつくり方というようなものなども今後の過程におきましてやっていきたいと思いますし、また、現在の民間給与の四月調査というような調査方法などもできるだけ簡素化する方向に向かってまいりたい、そういう意味のことを含めまして、私ども将来にわたって十分により理想に近い、完全に近い方式を慎重に考えさせていただきたい、こう思っております。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は勢いのおもむくところということになるのですが、こういう管理職範囲というものがきまりまして、そして使用者側と被使用者側がはっきり分けられてまいりますと、おのずから文書交換によるやはり協約が出てくると思います。どんどん出てくると思うのです。どうしたってこれはつくらざるを得なくなってくるのです。使用者側と被使用者側ですから。そうすると、信頼度の問題になりますけれども、どうしたってあっちこっちでこれは慣行をつくっていくことは必然的に起こってくる。こういう勢いでいきますれば、当然やはり協約権というところまで早い機会にもう必然の勢いとして流れていくと思うんです。ならざるを得ないと思うんですよ。ですから当然協約権を含んだ団体交渉権というところまでいくだろうと思うんですけれども、しかし、その過程の中で、いま申し上げたように、団結権というものが変わってきたという点ですね、それにかかわらずこの勧告という態勢といいますか、こういうものが十五年の間変わらないということは、やはり人事院としても深く再検討をすべきときにきているんではないかと私は思うんです。単に十年一日というだけの問題ではなくてですね。そういう事態になっておりますから、団結権が変わってきましたから、労使関係も使用者側と被使用者側とはっきりしてきたわけですから、ぜひそういう意味で勧告問題についても深く再検討をしてくれるように重ねて要望いたしておきたいと思いますが、なおついでながら申し上げておきますと、この実施時期の問題に関連いたしまして、人事院のこの勧告、三十五年以降ずっと見てみたんですが、まあ五月一日を適当と思う、五月一日を適当と思うということで、もう一貫して全く字句そのものは何も違わないで、ぴしっときているんですがね、五月一日を適当と思うという形でやってきておられるわけです。で、先ほど伊藤理事のほうから、四月一日が理屈どおりじゃないかとおっしゃったんですがもちろんこの問題もあります。しかし、それはここでは省略いたしまして、ただ勧告の中で違っておりますのは、去年の勧告では三公社五現業を強く強調しているんですね。三公社五現業が本年も四月から実施していることを特に指摘しておきたい。それから三十九年度はそういう指摘はないんですよ。ただ民間給与におくれているんだということを指摘していう私こういう新しいことばが二つ入ってきたという点に注目をしておるんですが、今度はこの報告の中ではなくて、勧告の中に入れてもらいたい。報告というのは大体読まないですよ、これは、おえら方は。勧告は短いですからね、御承知のとおり、短くて一枚っぺらに入りますから。報告というのは長くて、ちょっと専門家でないと読まないですから。ですから勧告の中に、報告ではなくして勧告の中に、単に五月一日より実施されることを適当と考えるということばではなくて、民間賃金におくれているんだということ、三公社五現業が四月一日から実施しているということ、この二つを指摘して、五月一日が適当であるというふうに強く出てもらいたいと思うんです。もう少し強く出てもらいたい。そうしますと、ことしは七月一日まで持っていける可能性というのが出てくる。もちろん五月一日が望ましいんですけれども、とてもそうはいきますまい。七月一日、第二四半期からということに持っていけそうな可能性があると私は思うんです。ですからこの勧告の中にことしはひとつ入れてもらいたい。もう業を煮やさなければいけない、人事院も。三十五年以来同じことを言ってきているんですけれども、また同じことを言ってみてもしようがないですから、今度はまあ初めてですけれども、勧告の中にひとつ強く主張していただきたいというふうに要望しておきます。どうでしょうか。
  93. 島田巽

    政府委員(島田巽君) ただいまの御意見につきましては、これから本年度の勧告の作業が始まりますので、その過程におきまして十分に念頭に置きまして考慮をきせていただきたいと思います。
  94. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がありませんで、また正午を過ぎてだいぶ御迷惑をかけておるわけですが、一時になりまして御迷惑をかけているわけですが、もう一点ですね、この実施時期の問題につきまして、それから積み残しとも関連いたしますが、公労委の仲裁裁定が三十九年から変わりまして、三十九年、四十年、四十一年と同じスタイルをとっておるわけですが、変わりました点は、すでに人事官としては御承知のとおりであります。つまり、仲裁裁定の最大の焦点というのは、春闘相場を実施するかどうかと、春闘相場をそっくりそのまま仲裁に出すかどうかという点が焦点になっておるわけですね。公労法によりまして、公労法の適用を受けている人たちの賃金というのは、民間の賃金、国家公務員の賃金、物価、この三つを考えてきまることになっておるのですね。公労法によりましてですね。その場合に公務員との賃金を比較してみたら、特に配慮する必要はない。民間賃金と比べてみると、特に配慮する必要はない。ただし、本年のこの民間の春闘というものを考えなきゃならないと、こういう表現になるわけですよ。ところが、人事院は、先ほど申し上げたように、ちょっとおくれていましてですね、春闘の積み残しをどうするかというような論議をしておるわけです。若干積み残しを、不正確であるが幾らかということですね。ですから、その点をですね、三十九年以来四十年、四十一年と、そういうふうに春闘をそっくりそのまま入れるというところにこの三公社五現業の仲裁が中心をなしてきているわけですから、この春闘の積み残しという点についてはほんとうに真剣になってひとつ考えていただきたいということをさらにつけ加えます。  次に中だるみですね。この中だるみは、これは詳細に論議するといいんですが、時間がありませんので詳細にできませんが、ただ私はですね、この三十八年の勧告ですね。三十八年の勧告で初めてこの一等級の中に一官一級制度、つまり事務次官の十六万というものをつくったんですよね。その際に私は主張したことは、これは人事院が八等級制をつぶしてきたと、次官については八等級制から解放したと、おそらくこのことは次々に上級職については解放するだろうという論争をやったわけですが、このあと私は選挙で、論議に参加することができなかったわけですけれども、三十九年に御承知のとおりに、指定職俸給表というものが大きく出てまいりまして、そうして次官並びに外局長官というものがはみ出す。八等級からはみ出すということになりまして、さらにその際に一部の局長については指定職俸給表の乙に移るということをやられたわけですが、四十年になりまして。四十一年になりまして、続々と局長は指定職俸給表の乙に移ると、乙に移る。本年はおそらく全部移すのじゃないでしょうか、局長は。指定職に移るのじゃないかと思うのです。ですから上のほうはですね、つまり上のほうは八等級制というものから解放していった。で、それに引きずられて一等級もよくなる。二等級も前進をすると、三等級もよくなったですね。で、四等級は非常に問題になっちまって、四等級は公務員の墓場と言われた。そこで四等級の分家をつくって新三等級をつくった。そういう意味で上のほうは逐次八等級制から解放されたと私は思うのです。解放され、解放されつつあると思うのです。で、下のほうはですね、これは初任給のところを、八等級というようなところはどうしてもやっぱり給与を上げませんというと採用がむずかしいという点もあったりなんかいたしましてですね、あるいはこの四、五年の労働事情という、労働需給関係という点もありまして上がっていく。しかし、その中間に置かれているところが非常にまずいということになったわけですね。五等級、まあ六等級もまずいですが、まあ五等級あたりが一番ひどいことになったのですね。五等級というのは係長でしょう。よく、行政は係長行政といわれるのですけれども、いまや四十前後の連中が全部係長です。これがほんとうに実務をやっているのです。この人たちが子供が二人おる、三人おるということで、実に苦しいわけですね。  そこで念のために給与局長にお尋ねいたしますが、代表官職、係長というのは五等級の十号になっていますね。係長という代表官職、キー・ポジションというやつ、これは人事院が勧告の中に示しておるとおり。この五等級の十号の係長というのは一体どれくらいの年齢になるのですか。平均年齢ですね、五の十の平均年齢。
  95. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま手元に正確な資料を持っておりませんので、またあとお答え申し上げたいと思いますが、おおむね三十七、八歳くらいに相なっておるのではなかろうかと思っております。
  96. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 とんでもない話ですね、三十七、八歳なんということじゃないのです。ただし、ここで言っておきたいのは、五等級の十号というのはこれは代表官職、係長の代表官職になるのですが、四万五千ですね、いまは。これ、子供さんが二人あるとすれば、そうすると四人家族になるのですが、四人家族の標準生計費というのは四万九千三百七十円ですよ、二人子供があった場合——三十七、八だったら二人は子供はあるでしょう。いまは子供は少ないこともありますが、二人はあるとして四人家族になるのですが、四人家族としますと、標準生計費が、人事院が出しております標準生計費は四万九千になるのです。ところが、月給は四万五千ですよ。どうにもならないですね、これでは。標準生計費というのは相当なものなんですね、エンゲル係数も非常に高い、たいへんなこれはしろものなんですけれども、それにしても標準生計費は子供が二人おりますと四万九千という生計費が出てくる、それに対して五等級の十号というやつは四万五千、係長の代表官職。局長の言われる三十八としました場合に、子供二人あるとすれば。三人あるとすれば、五人家族になるわけですが、五万五千となるのです。約一万円低いということになるのです。食えないです。これは。一番能力があって、スタミナがあって、気力があって、仕事も覚えて最も活動する、役所をささえておる連中ですよ。この時代に子供の教育もたいへんなときなんですが、このときに一万円も標準生計費から下がったような月給をくれるということは、これはよくない。私はいま決算委員長です。そこで新聞に載る不正なり汚職なりというのは全部新聞を切り抜いている。そういう中身を見ますというと、いつも問題が出てくるのはここの年齢なんですね。若いところはもちろんアプレみたいなものがあるのですけれども、昔で言うアプレもありましょうが、実際ここのところなんですよ。私はこれは異常な状態だと思うのです。これは、人事院、上のほうを解放することも必要でありますが、ぜひともここらあたりをもっと本格的に考えて処理していただかないと困ると思うのですね。これは昇給金額をとってみますと、つまり昇給間差額、これを見ますというと、これはよく待遇をあらわしているのですけれども、とにかく五等級というのはひどいですね。五等級の十二、三号になりますと八等級の九号と昇給金額が同じになっちゃうんですね。八等級の九号、十号あたりと昇給金額同じになっちゃうんですね。これはもう全くむちゃくちゃですよ、この五等級の昇給金額というのは。しかもその五等級に在籍——各号俸におる在籍人員というのが出ておりますが、三十八年と四十年と比べてみますというと、十号から上のほうにぐっとたまってきちゃったですね。五等級は非常なたまり方です。三十八年から四十年のこの約二年間にずっと五の十以上に固まっちゃったですね。これはもう何ともならない状態ですね。ですから私は昇格問題もありましょうが、昇給金額をもっと大幅に改めてもらう。  もう一つお尋ねしておきますが、四等と三等は一緒にしたらどうですか局長。四等に残された者はかわいそうになっちゃったですね。実質的にいって四等と三等の差はないわけですからね。四等を三等に突っ込んでしまう。そうしますと、ちょっとあきができますから、五等を全体として四等にしてしまうというような思い切った措置をとらなければここのところは救えないですね。人さまのことだと思って聞いておられるかもしれないけれども、賃金問題というのは非常に重要なんですね。これはひとつそこら辺について島田人事官あるいは技術的にいって給与局長の考え方を聞いておきたいと思うのですね。
  97. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま御指摘のように、現在五等級付近におきましては非常に職員が困難の度が高いということは御指摘のとおりだと思います。ところでわれわれは、これは御指摘もございましたし、われわれもそのことを痛感いたしまして、ここ二、三年来、四等級、五等級、六等級あたりにつきましては、俸給表上の中位号俸以上の昇給間差額を広げていくという努力を重ねてまいっておるのでございます。現在決して十分とは申しません。しかしながら、これはさらに努力を継続してまいりたい。この辺は御指摘のように、中堅職員で、やはり一番仕事にあぶらの乗るころでございまするので、そういう人を意気阻喪せしめることは最もよくないという観点から、この辺は十分考えてまいりたいというふうに思っております。と同時に、また、等級別定数の上におきましても相当の配慮をいたしてまいっておるところであります。  なお、現在俸給金額とそれから標準生計費と御比較がございましたけれども、現在は相当期末、勤勉手当等もございまするので、そのことを全然度外視して話をするというわけにもまいらないのではなかろうかというように思います。まあ、それはそれといたしまして、五等級、四等級、主として五等級——六等級も同様でございまするが、やはり御指摘の点はごもっともでございまするので、十分な努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事官はいかがですか、同じ意見ですか。
  99. 島田巽

    政府委員(島田巽君) ただいま給与局長お答えいたしましたとおりでございまして、私といたしましてもいろいろ詳しい説明を受けまして、四等級、五等級あたりに非常に大きな問題が存在しておるということを十分認識しておりますので、今後の作業におきまして十分に念頭に置いてやってまいりたいと思います。
  100. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 最後に、いま瀧本局長は五等級の昇給間差額というのは十分でないというようなお話ですけれども、十分でないどころのさわぎじゃないですよ。むちゃくちゃですよ。これ局長だってわかっているはずですよ。むちゃくちゃですよ。四等を三等にぶち込んだらどうですか。指定職俸給だけはぽんと外にはずして平然としている。どうですかね、ぶち込んだらどうですか。四等というのは三等にぶち込んでしまう、変わらないのですから。今度、局長を優遇するでしょう、局長を指定職に移すでしょう。指定職の乙に移すでしょう。わかっています。局長連中は言っています。それはそうですよ、一等級というのはいま局長がおって部長がおって課長がおるのですよ、一等級の中に。課長というのは三等級ということだったでしょう。局長と部長と課長が一緒の一等級におるなんというのは、いまやナンセンスに近い。だから、局長をおそらく指定職に移すでしょう、本年は。まあ大部分移っていますから、あと若干の者ですから移すでしょう。そして指定職の乙はぐっと上がります。上げなくちゃいかぬでしょう。それは外局長官とあんなに差ができちゃった。不平たらたらですよ。その不平たらたらがある程度人事院に通じるからいいですよ。ところが、四等級、五等級、六等級のところはなかなか通じない。だから、これは指定職俸給表をつくって八等級からぱっとはね飛ばしてしまう、爆破して出しちゃうというくらいの勇気を持ちながら、四等と三等を一緒にしてしまって五等をつり上げるというくらいの思い切った措置をとらない限りにおいては、なかなか六、五、四というところはどうにもならぬという気持ちなんですがね。最後にそれについての島田人事官の答弁を承りまして終わります。
  101. 島田巽

    政府委員(島田巽君) 確かに御指摘になりますような事情がございますので、五等級あたりにおける非常な、まあいろいろな意味における、給与その他いろいろな他の面におきましても不平不満が出るという現状も私ども常に聞いていることでございまして、従来それに対するいろいろな措置をとってまいりましたが、まだ、抜本的な改善を行なうには問題が困難が大き過ぎるというのが偽らざる現状だと思いますので、今後も引き続いて取り組んでまいりたいと考えます。
  102. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは、ほかに御発言もないようでございますから、両件につきましては本日はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時十二分散会