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1966-08-26 第52回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年八月二十六日(金曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————    委員異動  八月二十四日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     温水 三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 温水 三郎君                 三木興吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  森   清君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        総理府人事局長  増子 正宏君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        任用局長     岡田 勝二君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査(一般職職員給与についての報告並びに  その改定についての勧告に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動についてご報告いたします。  去る二十四日、塩見俊二君が辞任せられ、その補欠として温水三郎君が選任せられました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告に関する件を議題といたします。  去る十二日、人事院から国会及び内閣に対し、一般職職員給与についての報告並びにその改定についての勧告がございました。この際、佐藤人事院総裁から、これが報告及び勧告につきまして、説明を聴取いたしたいと存じます。  なお、関係当局からの御出席は、佐藤人事院総裁滝本人事院給与局長岡田人事院任用局長、以上の方々でございます。なお、森総理府総務長官は、閣議終了出席されます。  それでは、まず報告及び勧告につきまして、御説明を願います。佐藤人事院総裁
  4. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 給与関係報告及び勧告につきまして、その概要を御説明いたしたいと思います。  特に、本日私ども説明を申し上げる機会をおつくりいただきましたことにつきまして、人事院としてはたいへん感謝いたしておる次第でございます。去る八月十二日に、国会及び内閣に対しまして、一般職国家公務員給与改定につきまして報告及び勧告を御提出申し上げたんでございますが、その周辺の事情となりますと、ごく簡単にまず申し上げておきますると、第一に、労働省でつくっております毎月勤労統計によります民間給与、これが本年四月までの一年間に九・七%の上昇を示しておるということがその一つでございます。なお次に、物価生計費につきましても、これは昨年に引き続いて相当上昇が認められたということが指摘される次第でございます。  そこで、給与に関しまする人事院としての調査でございますが、人事院例年のとおり、四月におきまする官民給与の正確な比較を行ないますために、国家公務員給与等実態調査を実施いたしますとともに、一方、民間につきましても約六千五百の事業所につきましては、公務に類似する九十一職種をとらえ、約四十五万人の従業員を対象に職種別民間給与実態調査を実施した次第でございます。  で、右の民間給与実態調査の一環といたしまして、これまた従来どおりやっておったことではございますが、いわゆる春闘において四月にさかのぼって実施されました給与改定、これもあわせて調査を行なった次第でございます。その結果は、昨年もそうでございましたように、本年もまたたいへんおくれが多数に上るということも異常な事実としてとらえたわけでございます。そこでこの調査の結果に基づきまして、これを民間の分と公務員の分とを突き合わせましたところが、結局において公務員給与民間に比べまして六・九%だけ下回っておるということが明らかとなった次第でございます。かくして今回の公務員給与引き上げについての御勧告を申し上げる必要を生じたということになります。  ここでこの勧告内容でございますが、その重点は、もちろん俸給表改善でございます。その俸給表関係をまず申し上げますというと、全体の俸給表にわたって申し上げ得ることは、全部これを一応改定をいたしまして、同時にその改定につきましては、昇給間差額、これを改善することに配慮いたしました。特に、その場合、いわゆる中だるみといわれておる点の是正をも含めまして、中位等級以下の部分について、特に配慮を加えた次第でございます。  それぞれの俸給表別改定の要点を見ますと、特に一般医師——医者さんであります、それから研究機関研究室長、それから大学の助手、それから技能労務職員などについて特段の考慮を払っております。なお、これに関連いたしまして、指定職俸給表の乙について体系上の整備をはかっております。  次に、やはり俸給関係ではございますが、初任給関係を取り立てて申し上げますというと、次のような改善をはかっております。第一に、一般事務技術系職員初任給につきましては、民間支給額との均衡及び標準生計費上昇考慮いたしまして、高校卒については千二百円、大学卒、短大卒については千六百円の引き上げを行なっております。なお、お医者さんの、医師初任給につきましては、格段の引き上げを行なっております。それからそのほか電工、機械工などの免許関係のない一般技能職員、これらの人々の初任給のきめ方についても、これを一部改善すること等をわれわれとしては考えておるわけです。これは心組みでございます。  かくして俸給表全体の改善率を締めくくってみますと、平均六・〇%の改善となっておるわけでございます。  次に、大きな項目といたしまして、諸手当関係でございます。  第一は、扶養手当であります。これは御承知のように、昭和二十三年以来、ずっと据え置きのままになっておったわけでございますが、今回の民間調査の結果、どうしてもこれは据え置きではほうっておけないという結論が出まして、民間との均衡考えまして、特に配偶者手当額を現在六百円になっております分を千円に引き上げることにいたしております。  次に、通勤手当でございます。これもやはり民間調査の結果に照らして改善の必要を認めたわけでございます。これに対応した改善をやっておりますが、すなわち交通機関を利用いたします者については、全額支給限度額が現在千百円になっておりましたところを千六百円に改めました。それから千六百円をこえる分につきましては、その二分の一の額、これは頭打ちがございまして八百円を頭打ちとするその額を支給することに改めております。なお、自転車等利用者等についても相当改善を加えております。  それからなお、初任給調整手当関係では、医療職俸給表(一)の医師、すなわち一般のお医者さんにつきましては、この初任給調整手当支給限度額をいままでの倍の五千円といたしております。  なお、手当関係で付言しておきたいと思いますのは、期末・勤勉手当でございます。今回の民間調査の結果、総合いたしましたところ、これは現在の公務員関係のものも民間特別給も一致しておる、ぴったり一致しておるということが明らかとなりましたので、今回は改定をしないことといたしております。  以上が給与関係改善内容でございますが、これによりまして総合して六・九の官民較差を埋めることになると思います。すなわち、これによって民間に見合う給与改善が行なわれるということになるわけでございます。  最後に、実施期日でございます。これは従来どおり五月一日から実施していただきたいということを強く勧告の文章の中にあげておるわけでございます。これは勧告基礎になっております官民較差比較が四月ということになっておりますことから申しましても当然の条理であろうと思います。これがぜひ勧告どおり内容は当然のことでございますが、実施期日においても、勧告どおりにこれが実現いたしますように、私ども人事院といたしましては強く要望をしておるところでございます。これは勧告を提出いたしました際に、総理大臣大蔵大臣にも、あるいはまた、その他の関係大臣にも強くお願いを申し上げてきた次第でございます。今後ともその努力は重ねていきたいと思います。国会におきましても何分のお力をお願いしたいとこの機会に申し添えておく次第でございます。  以上、御報告を終わります。
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 以上で説明は終わりました。  それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま総裁からるる御説明のありました人事院勧告について、総裁を中心に以下二、三の御質問を申し上げたいと思います。いまの御説明で明らかになったように、毎勤統計による民間給与例年とほとんど変わりない上昇を示しておるわけです。また、消費者物価生計費についても同様に高騰を示しておる、ただいまも御説明があったとおり。こういうふうに例年と変わりない条件のもとにおいて、人事院調査官民給与較差が昨年よりさらに下回って五・二%という全く納得できない数字が出てきておるわけです。そこでお伺いいたしますが、このような数字の出た根拠と、その理由についてまずもってお伺いしたいと思います。
  7. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) この算出根拠になっております私ども調査は、前年あるいは前々年と同じように、また、先ほども触れましたように、民間の六千数百の事業所に当たり、四十五万の従業員個々給与状況を調べてそれを公務員の分と突き合わしたわけでございます。もちろん、計算の間違いなどはございませんし、その結果は、これは当然正しい姿を反映したものと私どもとしては見なければならないと思います。ただ去年もたとえば五%台の較差しか出なかった。ことしも五・何%というのではどうだと、去年におきましても、これはここでお話に出たわけであります。それがどういう理由によるかということは、これはまた別の問題として、学究上去年検討を要するということを申し上げたのでありますが、今日の場合についても事柄の本質としてはそういう性質のものだろう。ただ、しろうと考えでございますけれども、一応去年は従来やっておりませんでした春闘の積み残し分というものを加えておるわけであります。その影響が確かにあるということはもうはっきり申し上げられるのじゃないかと思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の調査においては、官民給与較差がたしか五・六%と踏んだと思うのです。この低い数字に対して、総裁御自身が当委員会で、全く予想外数字で、どうしてこのような数字が出たかよく検討してみたいと、こういう意味のお答えをしておられるわけです。ところが、今回はさらにそれを下回っておる数字となってあらわれておるわけですね。このような低い数字の出たことについて、総裁のひとつ率直な御見解を伺っておきたいと思います。
  9. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私ども調査なり集計が間違っておるかもしれぬということが疑いがあるならば、われわれとしてはとことんまでこれはまた別の面からも追求しなければならないことでございます。これらの調査及び計算については、絶対に確信を持っておりますからして、したがって、その問題は、学究的な、アカデミックな問題であろうと先ほど申しあげたわけです。で、昨年及びことしについて言われることは、昨年春闘の積み残しを取り入れたからということは申し上げ得ると思いますが、昨年の場合については、やはり春闘相当おくれているということを裏から証明しているという見方はできると思います。ことしもやはり一・七という数字は出ております。春闘のおくれがこういう面でも反映されていると、そういう見方ができると思います。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ことしの勧告内容を見ますると、民間、公労協が春闘で昨年を上回る賃上げをおさめておるわけです、比較してみますると、水準においては昨年の七・二%を下回って六・九%——これは諸手当も含め——。それと大勢では状況か逆戻りしておるではないかということが蓄えるわけです。また、諸手当において若干の改善が見られると、こういうきわめて不満な内容であることが、一体どういうわけなのか了解に苦しむところなんです。その点を明らかにしていただきたい。
  11. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) この点も先ほど来の問題と共通している面があると思いますが、公労委仲裁裁定をお出しになるにつきまして、私どもと同じような方式で同じような調査をされて、そして集計をされるということになりますと、その間に食い違いがあることはちょっとおかしくなるわけでありますけれども、それは前提がある意味では違うわけですけれども公労委の場合とわがほうの場合とが食い違うことはあり得ることであろうと思います。ただ、私どもやり方としては、全体の較差の中で配分をやります、その配分関係でいろんな、たとえば本俸引き上げ率というようなものが違ってまいります。今回は、先ほど触れましたように、いわゆる基準内給与一般に言われております扶養手当について、全体のパーセンテージでは〇・五に当たる改善をやっておりますが、これはいわば本俸で当然こなすべきじゃないかという筋の考え方も出る、そういう性質のものであります。したがって、これらを合わせますと六・五になりまして、公労委の場合と一致するじゃないかという説明もできますけれども、これは説明として申し上げておく程度のことで、そういうものにこだわって六・五にしたとかなんとかいうことはございません。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の官民給与較差は、いわゆる積み残し分を入れて六・九%、この較差是正にあたってお伺いしたいのは、人事院は基本的にどのような考えのもとにその是正を行なったのかということと、勧告にあたって特に重点を置いた点は何かということ、それから較差配分について、いまちょっと御指摘ございましたが、どのような配慮を払われたのか、こういうような点について具体的にお伺いいたします。
  13. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 非常に大きな基本的な考え方といたしましては、やはり公務員の皆さんの生活条件生活環境というものが相当きびしさを加えておると、これは当然のことだろうと思いますが、そういう判断がまず出てまいります。したがいまして、この改定についてどういう点に重点を置くかということにつきましても、もちろん去年ほどいわゆる上薄下厚ということばであらわされておるような面が顕著には出ておりませんけれども、この各等級別パーセンテージによってもおわかりいただけるように、やはり先ほどもまた触れましたように、中位等級以下ということに重点を向けたというような言い方ができます。それに合わせて、たとえば扶養手当関係、これも相当どもとしては勇気を出して踏み切ったつもりでございます。そういう手当の扱いの面もいま申し上げたような考え方にこれは連なっておると、まずそういうことを申し上げ得ると思います。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院の行なう民間給与調査についてお伺いいたしますが、本年も昨年同様企業規模百人以上、事業所規模五十人以上、こういうものについて調査しておるわけでございますが、特に事業所規模五十人以上というのは、官民給与比較をするには小規模に失するのではないかと考えざるを得ないわけです。公務員のほうを民間のほうにたとえると、相当大きな規模事業所ないしは企業所とみなさなければならぬわけですね。それをわずか五十人以上の事業所ということについては過小に失するのではないかと、こういうように考えざるを得ないわけです。これはもう今年は勧告してしまったわけですけれども、こういう点についてはさらに十分検討の要があろうかと思うのであります。この点はいかがですか。全然考えていないのかどうか、どうも不適当——過小に失するいう点を指摘せざるを得ないわけです。この点について。
  15. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私どもは、今年の作業につきましては一切こだわりというものは捨てる、常に前進のかまえで問題と取り組んでいこうという心がまえでおります。したがいまして、いま御指摘企業規模の面につきましても、一昨年でございましたか、これを基準を上げてやっておるわけでございます。今後も未来永久にいままでのやり方を固執いたしますというようなことは考えておりません。おりませんが、現在の実態から申しますと、ただいまの百人、五十人というところが、大体、民間企業の過半数をカバーしているところになると思いますので、この点についての不合理はないというふうに思います。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ不合理はないと言い切っておりますけれども、それは人事院立場からすればそういうことを言うでしょうが、われわれの立場からいうと相当大きな不合理があると指摘せざるを得ないわけです。しかし、ここでこの論議にこだわっておると、他の面の時間の関係もございますから、当面の課題として、とにもかくにもわれわれは強い要請を従来からやってきたわけですから、この点についてもさらに誠意をもって十分検討の要はあろうかと思うので、十分御検討いただくということにして、次の問題をお伺いしたいと思います。  次に、お伺いしたいのは男女比ですね、男女の比率、それと学歴、こういうものを見ますると、民間に比して公務員は男子の職員が多いということ、それから学歴も非常に高くなっているということ、こういう点を指摘できると思います。そうだとすると、この二点から見ても、給与については民間より公務員のほうが高くなるのではないか、これは素朴な見方からしても当然そういうことが結論づけられるわけです。  そこで、さらに官民給与比較において、このような点については、人事院としては何ら配慮されていないのか、配慮したことはあるのか、こういう点についてもお伺いしておきたいと思います。
  17. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) そのことは報告の一番初めにも書いておるのでございまするが、いま伊藤委員の御指摘になりました点は、端的には公務員平均俸給あるいは民間平均俸給ということにも相なろうかと思うのです。で、われわれのほうでは、現在におきましても、すなわち、まだこの勧告が実現されない四月時点におきましても、いわゆる基準内給与平均月額は四万円をちょっとこえたと、こういうことに相なるわけです。ところで、毎勤等によりまして、四月分の平均給与はどんなになっておるかと見てみますると、三万四千五百円、こういう数字になっておる。こういう数字根拠にしております。公務員給与は高過ぎるのではないか。民間の毎勤が三万四千五百円である。そうして公務員平均給与が四万円をちょっとこえておる、それをまた上げるのか。こういう議論になるわけでございまするが、それは、まさしくただいま先生の御指摘になりましたように、公務員男女構成比、あるいは学歴別構成で高学歴の者が多いこと、あるいは平均年齢年齢別構成公務員のほうが高いこと等に起因しておることでありまして、同等のものを比較してみまするならば、公務のほうが平均六・九%まだ低い。こういうことに相なるのでございます。それで御指摘のようなことは官民給与比較いたしまする際に十分考慮いたしまして、公務員人員構成、ただいま御指摘のいろいろな意味におきまする人員構成基礎にいたしまして、それで民間との比較をいたすということにいたしておりますので、おおむね先生の御指摘になった点については考慮をいたしておるつもりでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 十分掘り下げた質疑が時間の制約でできませんので残念でございますが、さらにあとでまた追及することにして……。  まず、ここで重点的にお伺いしたいのは、最近における物価上昇公務員生活をきわめて芳しいものにしておる。組合では一律七千円の引き上げ要求しておるわけです。このような要求は、このような激しい物価上昇に対して生活防衛の切実な要求であろうと思うわけです。  そこでお伺いするわけですが、人事院はこの物価上昇の事実を勧告にどのように反映されておるのかという点、それと公務員給与決定の要件として生計費は最も重視されているということは公務員法にも明らかにされておるところです。人事院は毎年高校卒初任給については標準生計費を算定して、これにあわせて俸給をきめているわけです。そうして物価を一応考慮しておるという御説明でありますけれども、しかし、他の俸給については考慮は払われていないのではないか。高校卒についてはそういう理由物価に見合う昇給をしておるという御説明はあるわけです。他については考えていないのではないか。こういう点も指摘できるわけです。このような点についてあわせてお伺いしたい。
  19. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 十分御承知のことの上でのお伺いと思いますけれども、この機会に私どもの基本的な考え方をあらためて申し述べさしていただきたいと思います。それで、これは民間給与を調べます場合に、非常に大ざっぱな調べ方をしておりまするならば、そのささえとしていろいろなほかの要素もあわせ勘案して適当な結論を出すということもあるいは考えられるかとも思います。御承知のように、私ども民間給与調査というものは非常に大きな大規模の、しかも精密な調査をやっておるわけでございます。そういう調査をやってのそのながめ方、取り入れ方という面から見まするというと、およそ物価の面あるいは生計費の面は民間給与に当然反映して、いわば織り込まれているということが言えるわけです。卑近な例でございますけれども、たとえばことしあたりの春闘の場合を見ましても、物価上昇に対する生活防衛というようなスローガンのもとに春闘が戦われてそうして勝ち取られた民間給与であるという面もある。その民間給与をとらえておけば物価の面はその中に織り込まれておるという見方ができておるわけでございます。その点は、私どもとしては、間違ってはおらぬと思います。公務員が苦しいなら、やっぱり民間も苦しいというふうな見方で見ざるを得ないのではないかというふうに考えております。ただし、われわれとしても全然、しからば物価生計費は無視しておるかというと、これは機会あるごとに申し上げておりますように、標準生計費というものはわが方で算出しております。これは今日の物価にのっとっての算出であるあるいは家計調査の結果を抱き合わせてのわれわれの計算でございます。これをやはり一つささえにはしております。特にささえとしては高校卒初任給をきめます場合には、この標準生計費を大きなささえにする。したがいまして、このささえ相当ものを言わせておる部面もあるわけです。ことしなどもたしか千円ぐらいこのささえによって上がっておるのではないかと思います。そういう一つの面がある。それから、内部の配分の問題につきましても、これらの点は十分考慮に加えて配分しておる。大ざっぱに根本を申し上げますと、そういうかまえで臨んでおるというわけでございます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年四月の消費者物価については、季節商品の一時的暴騰があったわけです。したがって、本年四月にはそれに比して若干下がった傾向を示しておる。ところが、四十年度の年間の消費者物価上昇率はたしか七・四%という最近にない高騰を示しておるわけです。このような年間の上昇率を人事院はどのように見ておられるのかという点、それから、今回の給与引き上げ率は、このような物価上昇率にとうてい追いつかないわけです。そうだとすれば、実質的な給与改定改善にはならないわけです。公務員の利益を守らなければならない立場にある人事院総裁としては、この率をどのようにごらんになるのか、やはりこの物価上昇に追いついた給与引き上げであって初めて実質的な給与改善ということが言えるわけですね。これはいつも物価上昇に追いつけないわけです。こういう現実があるわけです。これでは給与改善にならぬではないかということが当然出てくるわけです。この点はいかがですか。
  21. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いまお話に出ましたように、昨年四月の物価というものは非常に異常なパーセンテージを示しておる。私どももいまから、まあ思い出話になりますけれども、去年勧告をしますときに、こういう異常なところをつかまえて一体どうだろうということで相当苦慮したことを覚えておりますが、しかし、私どもとしては、やはり四月現在ということですべての柱を立てて作業をしております以上は、そのときそのときの都合によってこれを変えるということはいいこともあろうが、悪いことにもこれが出てくる面がありますから、そういうことはすべきでなかろうということで、正直に四月の異常な上昇をそのままつかまえて、そうして、報告書にも率直にそのことを披瀝いたしまして御批判を仰いだということを覚えておるわけであります。そういう点からいきまして、私ども、四月対四月ということで、その物価上昇の調べから申しますというと、四%台の上がりしかなっておらぬということは、これはもうそのとおりであります。ただいま申しましたように、年間の上がりというものは、これはわれわれ公務員が皮膚に感じておる面でございます。それはもちろん無視しない、さっき申しましたような面の考慮に十分入っておると、こういう言い方になると思います。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この物価の動向を検討してみますると、消費者物価と卸売り物価がからみ合って、依然として上昇を示しておるわけです。いま問題になっております、これは予想ではございますけれども、消費者米価の引き上げ、こういうことをも含めて、このままの状態では、本年度の消費者物価上昇率は八%ないし一〇%の大幅な上昇になるであろうということが言われておるわけです。こういう物価の動向をあわせ考えてみますると、公務員生活は一そう苦しくなるであろうということは当然考えられるわけです。  そこでお伺いしたい点は、このような物価上昇に見合ったところの給与改善でなければ、いまお伺いしたように、実質的な給与改善にはならぬということ、これは非常に大事な問題だと思う。やはり物価上昇に見合った給与改善、こういうことはきわめて大事なポイントであろうと思います。にもかかわらず、われわれから見ますると、物価上昇に見合った給与改善になっていない。こういうことを指摘せざるを得ないわけです。それであえてお伺いするわけです、この点について。
  23. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 以上先ほど申しましたような点もございますから、たとえば積み残しをどう扱うかというような面も、またこれが相当配慮基礎になっておる、あるいは配分の問題にもその基礎になっておるということは申し上げたわけであります。私どもがやはり民間給与というものの水準をとらえて、ぜひせめてそれに追いつかしていただきたい。こういうたてまえで全部の勧告報告の基盤を築いてまいっておるわけでございます。私どもとしては民間でやはり帯しんでおられる面については公務員も忍んでいただかなければ、これは納税者大衆には承知していただけない、納税者大衆や国民大衆の御支持を得るゆえんではないかという、大それた考え方になりますが、そういう面もやはりありますので、やはり民間給与水準にせめても追いつかせていただきたいということが一点ばりで、これは一番強いのじゃないかとまた一面で考えるわけであります。したがいまして、先ほど申し上げましたように、一応、物価生計費の上がりが民間給与に織り込まれておる、一応は織り込まれておるという考え方からすべての話が発展してくると、こういうことになるわけであります。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまのお答えでは納得いきませんけれども、これは後日に譲って、さらにお伺いいたしますが、昨年の勧告によりますと、俸給表改善においては中位等級以下の職員給与改善重点を置いたということを最も強く打ち出しておったわけです。で、今回の場合は、中位等級以下への配慮は、わずかの昇給間差額是正がありますけれども、その程度にとどまって、十分な配慮がなされていないのではないかということを御指摘申し上げたいと思います。この点はいかがですか。
  25. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 冒頭に総裁から御説明申し上げましたように、今回の勧告俸給表におきまして平均六%ということで改善をいたしたのでございまするが、これを等級別に見てみますると、たとえば行政(一)の俸給表について申しまするならば、一等級辺が五・四%ぐらいでございます。それから八等級辺が八・二%、もっとも、いま私が申し上げました数字は、これは本俸に対する率でございまするので、俸給表の六%といった数字、すなわち基準内給与に対する数字とちょっと数字が違っておりますが、とにかく、一等級辺の五・四%、これが漸増いたしまして六等級で六・三%、七等級が平均七・二、八等級が八・二と、こういうふうに俸給表の金額を引き上げるという点におきましては、下位等級に重点を置いてまいるということと、それからただいま御指摘の下位等級におきましては、それぞれの等級の昇給間差額をできるだけ広げていくという努力をあわせて行なっておるわけでございます。で、この昇給間差額を広げていくということは、切りかえのときにあたりまして、その号俸あたりにおられる方々の平均引き上げ率が多くなるということはもちろんでございまするが、今後、そういう号俸を通って昇給をしていかれる多くの職員の方々につきましては、それが累積的な効果を持ってくる、このようにわれわれは考えておるわけでございます。なお、先ほど総裁が申し上げましたように、通勤手事の相半大幅な増額、それから扶養手当、これも配偶者に対しまするものを増額するという適切なる措置をあわせましたので、そういうことをあわせ考えますれば、本年の勧告におきましても中位等級以下につきまして相当配慮をいたしておる、このように考えておる次第でございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 物価上昇で一番影響を受けるのは何といっても中位等級以下の職員であろうと思うわけです。そこで、昨年またことしのように改善率の少ない場合には、特にこれらの職員にまず優遇策を講じてしかるべきだと思うわけです。昨年の増加率と本年の増加率を見ますると、行(一)の場合上位等級は昨年よりよくなっておりまするけれども、それに反して、特に五等級以下は昨年より下回っておるわけです。やはり昨年に比して上薄下厚の線がここでくつがえされておる点を指摘せざるを得ないわけです。この点はいかがですか。
  27. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま私が申し上げました上位等級、下位等級の平均引き上げ率のことでございまするが、これは個々の等級を見れば出入りもございまするが、平均的に見ますると、やはり民間においてそういう状況があるのでございまして、それを反映しておるということに相なろうかと思うわけでございます。率で申し上げますると、昨年の率よりも引き上げ率が低いということはございまするけれども引き上げ金額でごらん願いますると、昨年よりもむしろ、たとえば行(一)の五等級に例をとって申しまするならば、行(一)の五等級の七号俸以上というところにおきましてはむしろ金額においては昨年より上回る。これを六等級に例をとって申しますならば、八号俸以上は昨年よりも金額において上回っておる、こういうことでございまして、この辺はでき得る限りの努力をいたしておるつもりでございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回指定職甲については各号俸とも一律一万円の引き上げを行なっておりますが、その根拠は何ですか。
  29. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 御承知のように、昨年は、このわれわれの立場からいたしまするならば、昨年の四月現在、これがわれわれの民間給与公務員を対比する時点、また標準生計費等を算定いたします時点でございます。標準生計費等は四月時点の物価というものが反映してくるわけでございまするが、昨年の四月は、御記憶もあろうかと思いますが、野菜等が暴騰いたしまして、非常に高かった。先ほど総裁指摘されましたそういう事情があったわけでございまして、そういう事情が織り込まれて、ことにわれわれは昨年は下位等級につきまして十全の措置をいたしたということでございます。しかし、向後におきましては、いつまでも上位等級をほっぽらかしてよろしいというものでもございません。で、指定甲は昨年は改定をいたさなかったのでございます。こういう状況をかりにそのまま続けてまいるといたしますれば、指定乙の金額のほうが甲より高くなる、せざるを得ないような、下から押せ押せでそういう状況にも相なる。たとえば指定甲の東大学長という方の給与は、もうこれは上げぬでよろしいというわけにもまいらない。そこで先ほども申し上げましたように、行(一)を例にとってみますると、一等級の付近は五・四%程度の引き上げでございますけれども、指定職甲につきましてはこれを年給で五%程度の引き上げ、すなわち率で申しまするならば行(一)の一等級あたりよりも低い率——なぜ年給で申すかといいますと、給与の体系が違いますので、月の給与で言ってもこれは十分実情を把握し得ませんので、これは年給で申すのでございまするが、年給で五%程度、これは言いかえれば一万円程度ということになるのでございまするが、そういうことで、ことしは指定職甲も引き上げを行なったということでございます。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次は私のお伺いしたいのは、指定職乙を一般給与の体系に改めたわけですが、その理由は一体何かということと、それから現在本省の局長級はほとんど指定職乙に格づけされておると思いますが、今回の改定によって一般給与の体系をとることによって、局長級はすべて指定職乙に格づけされることになるのかどうか、こういう点を御説明いただきたい。
  31. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 現在指定職乙に指定されておりまする者は、たとえば委員会の事務局長、あるいは大研究所長、大病院長あるいは療養所の大きいもの、あるいは大学教授の中で学部長というような重責にあられる方々、それからあわせて本省局長の一部こういうことになっております。で、行(一)の一等級というのは、実はこの職務と責任の観点から見ますと非常に幅が広い、たとえば管区の局長というものもこれはおおむね標準一等級でございまするし、また管区ではないのでありまするけれども、事実上管区に準ずるようなたとえば労働基準局長というようなものの相当部分は一等級である。また大学の事務局長等も、大きい大学校におきましてはやはり一等級、非常に幅が広いのでございます。その中におきまして、本省の重要局長というものはやはりこれは相当の重責でございますし、その職務と責任も相当明確であるという意味におきまして、まあ本省局長だけではございません。ただいま申し上げました指定乙になっておるもののポストを考えてみますと、相当明確である。これはやはり甲と直ちにさい然と区別ができるかどうか。やはりそれに続くような重責であるし、そういう職務については一官一給与的に、職務給与的にはっきりするのが好ましいことでございますので、この点は今回指定乙の体系を甲に準ずるものに、一官一給与的に改めたということでございます。今回の措置で、直ちに指定職乙の適用範囲を広げるとかどうとかいう問題ではございません。しかし、おそらくは、続いて出ます問題は、本省局長級の中において指定乙とあるいは行政(一)の一等級を適用されるものとについては体系が違うというのはおかしいではないか、こういうお話が出ようかと思いまするが、御指摘の点はあろうかと思います。こういう点につきましては、現在の状況でもうすべてが解決したというふうにはわれわれ考えていないのでございます。これは将来の問題としてやはり相当研究を重ねていかなければならない問題があろう、このように考えております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在重要課長については一等級に格づけされておるようですが、課長補佐の一等級格づけは指定職乙の体系を改めることに伴って、今後ますますふえてくるのじゃないか、こういうことが考えられるわけですが、そうして課長補佐以下の職員については三、四等級以下に押えることになるのではないか。そういうことから現在の給与体系はくずれかけておるということが指摘できるのです。そうしてこの結果は、中だるみの現象がますますふえてくるのじゃないか、こういうことが憂慮されるが、この点はいかがですか。
  33. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 給与制度というものは、やはりその適用されまする実態が流動的なものでございまするので、いつもある一定の制度であって、それが理想的なんだというわけにはなかなかまいらぬだろうと思います。その適用されまする対象がどういうふうに動いていくかということによりまして、やはり制度そのものにも改変を加えていく必要が起こってくるであろうというふうには思います。ただ、現在指定乙が、体系が改正されたから、直ちに本省課長級の中の重要ポストがさらにふえるのではないかということは、これはただいまの問題としては直接に関係のあるところではございません。ただ本省重要課長等の職務の性質にかんがみまして、やはり一等級に適用するのが適当であるという場合には、これを等級別定数設定等の際に考えていくということになろうかと思います。現在におきましても、官房課長等はこれは標準等級、こういうことに相なっておるのでございます。それから課長補佐等につきましては、先般新三等級というものをつくりまして——課長補佐の職務と責任の幅が広いわけでございまするので、その中の職務の重いものを三等級に引き上げるということをいたしたのであります。さらに一部分につきましては、暫定で二等級ということにいたしておるというようなことでございます。  全体を通じまして中だるみが一そう激化するのではないかという御指摘でございます。これは今回も中だるみにつきましては努力いたしております。今後につきましても、やはりそれはそれとして努力していく必要があろうが、ただそういうことをおそれまして、ほかのほうに適切な措置をとらないということもいかがなものであろうというふうに考えております。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の俸給表改定によって行政職(一)、その他の俸給表を見ますというと、一部等級の初号をカットしておるわけです。このような改定を行なった理由は一体那辺にあるのかということ。今回の改定に際して初号カットを行なったのはどういうことか。それと、初号をカットすることによって、一般職員の昇給はますます不利になるのではないかということが予想されるが、さらにこの半面上級職の試験採用者は有利となるということが指摘できるのですが、そのような事実はますます顕著になるのではないかと考えられるわけですが、そこで初号カットは、いわばこのような一部職員の優遇策ではないかとさえ考えられるわけですが、なお、初号カットによって序列の調整はどのようになるのか、こういう幾つかの問題が考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  35. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 数年前にいわゆる号俸の間引きということを行なったのであります。これは六等級を中心にいたしまして四号俸について一号少なくする。すなわち従来であるならば、四号俸を平均四年間かかって上がりますものを、一号少なくしましたために、それを三年間で上がっていく、すなわち昇給率をよくしていく、昇給金額をよくしていく、標準からいえば一年早くいくようにする、こういうことでございます。そういうことを四号俸について一号少なくする、間引くということを三つの四号俸について——すなわち三年間早くなる、こういう措置をとらしていただいたわけでございます。いわゆる間引くということ、この措置は。そういうことをやりまして直ちにそういう事情が出てきたかといいますと、そうではございませんで、やはりあとの人がそういう号俸を経過して昇給していきます間に漸次そういう状況が出てくる、昨年の十月をもちまして初めて——すなわち今後ずっと昇給していきまず者が間引きの前に比べますと、三年早くなる、こういう現象が起こったのでございます。そういう現象が昨年の十月から起こった、言ってみればわれわれが勧告を問題にいたします時点で初めてそういうことが起こった、こういうことであります。  そこでその結果はどういうことになるかといいますと、等給別基準定数との関係で三年間早くなりますから、したがいまして、昇格いたします際には初号のところへいかないで二号にまいる、こういうことになったのでございます。したがいまして、この初号というのは使わない、間引きして。いままではどうしてそんならあったかということになりますが、それはやはり間引きの効果が三年ということがはっきり出てまいりませんので、端数が出ている、端数が出るときには、初号を使うことがあり得るということで効用があったのですけれども、現在ではもうほとんど必要が全然ないということでこれを切るということをいたした次第でございます。そこで、そういうことにやって一部優秀な職員に対してより一そう優遇措置を講ずるのではないかとおっしゃっているのでございますが、それはこの際あらためてそこを有利にしたということではないので、従前の状況を保持する程度で、あえてそこを特に有利にしたというわけではございません。  なお、ただいま申しておりますことは、昇格基準年数の八割くらいで、成績優秀なるものを昇格することができるという措置でございますが、これはたとえば八等級から七等級にまいります場合は、一般職員についてもそういう措置が適用されている、こういうものでございます。あえて今回一号俸のところを欠番にいたしました理由は、切りかえにあたりまして号俸がずれておりますと、直観的に内容をよく読まずに、違った号俸に自分がいくのではないだろうかという疑念を残す余地が非常に多いものですから、したがいまして、そういう誤解を避けるためにああいう欠番の体裁をとらせていただいたわけでございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和二十三年以来据え置きになっておりますいわゆる扶養手当について今回初めて勧告を行なったわけですが、この問題については当委員会で強く要望してきたところですが、そこでお伺いいたします。  今回の調査の結果、民間扶養手当の支給状況は一体どうなのか、そういうことと、この勧告において配偶者手当を従来六百円のものを千円にしたということでございますが、その根拠は、千円の根拠は那辺にあるのか。それから配偶者以外の扶養家族に対しては改定が行なわれていないが、将来一体どうなるのか、こういう幾つかの問題についてお伺いいたします。
  37. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 今回扶養手当配偶者につきまして千円にいたしたのでございます。その結果、平均引き上げ率扶養手当の分が〇・五%ということになっております。こういうことでございます。これは基準内給与改善でございます。ことしの民間職種別給与調査におきまして扶養家族手当状況調査いたしてみました。これは数年おきにやはり手当について調べてみるのが適当であろう、どういう状況の変化があるか、把握しておく必要があるということで調べたのでございます。数年前に一度扶養手当を増額するかどうかということをわれわれ問題にしましたことがございます。そのときに、配偶者に対しまして四百円の増額をする、これは四十七万の公務員のうち半数が配偶者がございますので、その半数につきまして四百円の原資を用いるということで改善をするのと、公務員全体について一人当たり二百円の原資で俸給表改善するのとどちらがいいだろうかということをいろいろ考えたのですが、やはり給与の基本は俸給表上の本給でございまして、この給与を増額していくということがすべての場合に適切ではないかというので、数年前はそういう措置をとったのでございますけれども、やはり一般の希望は扶養手当の六百円、配偶者の六百円というのは非常に低いのではないか。理屈では本俸改善するほうがいいということはわかっておっても、なおかつ扶養手当配偶者の増額というものの希望が多いということもわれわれは一方において考慮し、また、本俸中位等級以下を改善するのでありますけれども、なおかつより適切にそういう等級の該当者に給与改善をするということになりますると、本俸改善して、それがどの部分で改善されておるのかはっきり理解できないというよりも、配偶者のあるものはとにかく千円だ、このほうが非常に的確であります。そういうこともございまして、今回は扶養家族のうち配偶者のところを改善しようといたしたのでありますが、今回の民間の家族手当状況を調べてみますと、配偶者に対しまして六百円未満支給されているという事業所は全体のおよそ一割くらいしかございません。すなわち公務員で現在やっております配偶者六百円というこの部分だけをつかまえてみますと、民間ではそういうところは一〇%以下である、少なくも扶養手当をもっておりながら、なおかつ配偶者に六百円未満というのは民間では一割程度である。そこでどの金額が一番多いかというところを見てみますと、千円ないし二千円未満、四五・八%という事業所がそういうところにかたまっておる、それでは幅が広いので、千円ないし千百円未満ということで分けますと二六・一%の事業所がそこに集中しておる。すなわち、民間におきましては、配偶者に対しては千円の手当を出しているというところが圧倒的に多いという事実がわかった、もっとも、平均を見ますと千三百円くらいをちょっとこえる程度であります。そこでわれわれは本俸改善すべきか、あるいは手当でやるべきか、先ほどの話の繰り返しになって恐縮でありますが、やはり今回は扶養手当の増額でやろうということで、やるならば幾らと、平均でやるという考え方もございます。しかしながら、これは本俸でやるのと手当でやるのと、いずれも基準内給与改善でございますので、むしろわれわれとしては、できるだけ本俸を上げたいという希望が一方にございます。かつまた、民間におきましては、千円以上千百円未満、すなわち配偶者に千円出しているところが圧倒的多数であるという事実をもにらみ合わせますならば、今回配偶者に対する扶養手当を千円にすることが適当であるという考えに立った次第でございます。なお、第一子、第二子、第三子等につきましてはどういう状況であるかということもあわせて調べたのでございますが、これはおおむね現在公務員でやっております第一子六百円、第二子以下四百円、これとほぼ見合っております。したがいまして、そちらのほうは今回は問題にいたさなかったという次第でございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、通勤手当についてお伺いいたしますが、国鉄、私鉄等の運賃引き上げもあって相当額を今度改善されたわけで、これは時間の関係がございますので、具体的に詳しいことをお伺いできませんが、ただ問題は、通勤手当については、その性格上全額実費支給をしてやるべきだと思うんです。で今回は済んだわけですが、この点について、総裁としても十分考慮される必要があるのではないか、検討の要があるのではないか。全額実費支給の線で今後検討しようとする誠意がおありかどうか、こういう点だけお伺いしておきます。
  39. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私ども立場から、公務員のためを考えますというと、これは全額支給は理想であろうと思います。しかし、たびたび申し上げてまいりましたように、やはり民間とのかね合いということを基本的な考慮の要素としております関係上、ただいままでの措置は、民間のあり方をにらみ合わせ、それに合わせてまいっておるために、やはり民間の趨勢というものもにらみ合わせながら、そういう方向へいくと非常にいいがなあという気持ちを持っておるわけです。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお関連があるのでお伺いしておきますが、日教組から特に強い要請のあった、いわゆる超勤手当問題とか、警備員の問題については、人事院は今回は一言も触れていないわけで、そこでお伺いするわけですが、今後どのように措置されようとするのか、今後の考えについてこの際お伺いしておきたいと思います。
  41. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これはかねがねの問題でございまして、御承知のように、昨年特に文部省に強くお願いいたしまして、まず実態をひとつ調べていただきたいということで、目下調査が進められておる段階であると私ども承知しております。この調査がいつまとまりますか、それをとにかく拝見した上で、また適当な方策を考えたい、こういう気持ちでおります。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、住宅手当の新設については、本年も勧告は行なわれていないわけですが、人事院調査によっても、住宅手当のいわゆる支給事業所の割合が漸増しておるということです。また、手当額もふえておる、こういう人事院自体が調査をしておる。今回人事院が住宅手当新設に踏み切らなかった理由は一体何かということをお伺いしておきたい。
  43. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 住宅手当の問題は、かねがね申し上げておりますように、非常に私どもとしては深刻な、かつ重大な問題だと思っております。したがいまして、民間調査にあたりましても、毎年執拗にその調査を続けておるというわけでございます。ただことしの結果は、まだ支給しておる事業所の割合が三七・六%ということで、そうまだ急務であるというとろこまでのパーセンテージにはなっておりませんけれども、いまお話に出古したように、だんだんこれが漸増の傾向にあるということは明らかであります。これは慎重にわれわれとしても見守ってまいりたい。ただ、一方、住宅問題の一つの根本になりますのは、現実の国設宿舎に入っておる人と入ってない人という問題か一つあるわけであります。また、私ども公務員の採用に重大な関心を持ち、努力をしておる者からいいますと、せっかくりっぱな受験者が受験願書を持ってまいりましても、この役所に住宅施設があるか、ないかということで、ありません、さようならということで、みすみすいい候補者を逃がしておるという非常に苦い経験も毎年持っておりますので、手当手当としてこれは将来の検討にまたなければなりませんけれども、まず手近な問題としては、国設宿舎あるいは独身寮というものを大いに拡充していただきたいという面を、これも数年来取り上げまして、ことしも総理大臣大蔵大臣その他の関係大臣に対しましては、いまの二つの点を特に強調して、お願いしてまいったわけでありまして、そういう努力と合わせて民間の趨勢をも見守ってまいりたい、こういう心組みでおるわけです。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特別給については、今回勧告は行なわれていないわけです。人事院調査によると、民間の支給割合が昨年に比して下がっておるということ、また、公務員と同じ率になっておる、こういうことが指摘をされておるわけです。しかし、この報告はわれわれの立場からすると、どうも納得しがたい。この点納得できるように御説明いただきたい。
  45. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは例年と同じような調査民間職種別調査事業所で行なったわけでございます。支給金額はふえておるのであります。ただ、わが方が従来見てまいった支給月分ということで見てまいりますと、去年の調査では四・三三月分でありましたものが、今回の調査では四・三〇月分、こういう数字が出てまいった。この四・三〇月分というのは、現在公務員に対しまして六月、十二月、三月の期末・勤勉手当、合計で四・三月分支給しておりますが、これと合っておるということでこれの増額をいたすということができなかった次第でございます。しかしながら、本俸が六%上がるのでありますから、この四・三月分の期末・勤勉手当につきましても、当然そういう事実上の金額の増額があるということは申し上げるまでもない、いわゆるはね返りでございます。そういう状況でございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 春闘の積み残しについては、本年も昨年同様の調査によって一・七%に達しておるわけです。この根拠は一体何か、こういうことです。それと積み残しについては、人事院は、異常の事実であって、これを付加することは異例の措置と説明してきておるわけです。異例の措置とおっしゃるけれども、毎年同じ事実は発生しておるわけです。もうすでに異例でなくなってきているのではないかと考えられる。今後本問題についてはどのように対処していく考えなのかということと、総裁調査時期そのものの変更について検討を加える必要がある旨従来お答えになってきておるわけです。したがって、この点についても現在どうお考えになっておるのか、これらの点についてお答えいただきたい。
  47. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 昨年これは異例な措置であるということを強く申し上げておったわけでありますが、異例な措置である点においてはことしも同じであるということを言明しておきたいと思います。基本的には、いまおことばにもありましたように、これは調査時期の問題にかかることでございまして、私どもが四月現在の実態をとらえてやっております関係から申しますと、民間給与引き上げの時期のズレということから起こったものはこれは来年回し、まあ冷たく言えばそれが原則、鉄則であろうと思うのであります。したがって、それをとらえるためには一年に数回民間調査をやるか、あるいは調査時期をずらして全体を適正に捕捉し得る時期をとらえるかという問題にまで発展する事柄であろうと思いますために、調査時期の問題にも関係があるということを申し上げたわけであります。しかし、これは相手が動くわけであります。われわれの希望するように、希望というと語弊がありますけれども春闘の時期がずっと早く繰り上がってやっていただければわれわれ何も心配する必要はない。春闘がおくれるからこういうことでいろいろわれわれ苦労をなめておるのじゃないかというひがみさえ言いたくなる事柄であります。相手が動く問題でありますから、一挙に調査時期をずらそうというようなことを軽々しく申し上げる問題ではない、そういう気持ちでおるわけです。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の制約がございますので深いお尋ねはできないのですが、最後に実施時期についてお伺いしておきたいと思います。  四月実施ということについての要求が繰り返されてきたわけです。この勧告内容は五月実施ということになっておるわけです。民間とか公労協についてもこれはきわめて不均衡ではないかということがまず指摘できるわけです。人事院自体が、四月の時点で調査したら民間との較差がかくかくであったということを人事院自体が認めておる。したがって、この実施時期は当然に四月一日であってしかるべきなんです。なお、人事院公務員共闘の要求に対してこう答えておるわけです。公務員共闘の四月実施説を理解するけれども、当面は五月実現に重点を置く、こういうことをお答えになっておるとすると、いわゆる四月実施説をこれは理解できないというならば話は別、四月実施説を理解するという立場に立つならば四月実施を勧告してしかるべきである、このように考えられるが、この点一体どうなのか。また一歩譲って五月実施としても、当面五月の実現に努力をする、五月実現に重点を置く、そういうことであるならば、五月実現のために総裁はどのように考え、一体具体的にどのように努力してきたのかということが当然御説明があってしかるべきだと思うんです。従来これは人事院の責任ではありませんが、政府が連続六回も引き続いて完全実施していないわけですね。こういう情勢の中で完全実施して初めて人事院勧告した趣旨が不満足ながら一応通るわけです。実施時期がいわゆる値切られてしまったのでは非常な内容の低下を来たすわけです、これは当然考えられる。にもかかわらず、政府は連続六回にわたってこういう実施の時期についてはごまかしをやっておるということでは、せっかく人事院勧告しても意味がないではないか、いわゆる人事院勧告しさえすれば形式はよろしかろうと思いますけれども、これは大いに考えなければならぬ、人事院勧告が完全に実施されて初めて趣旨が通るわけです。こういうことから人事院は五月——これは四月一日に実施すべきだが、一歩譲って五月一日としても、さてその五月一日完全実施という線で人事院総裁立場からやはりあらゆる努力をしてしかるべきだと思う。こういうような点で実施の時期についてはこれは主として政府にお伺いする点でありますけれども人事院総裁としても、特に公務員の利益を守る立場にある人事院総裁としては重大関心を持たざるを得ない。したがって、この勧告が完全実施されるよう総裁としても当然願っておると思うんですが、ただ願っておるだけでなく、具体的にどのような努力をされたか、また、今後どういうふうに努力されるか、こういう点に重点を置いてお答えいただきたい。
  49. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 実施時期を四月にするというお話は公務員共闘の人に会ったときにもまさにそのとおり申し上げました。公務員共闘に話す前に実はここで二、三回私が申し上げたことがあると思うんです。四月説はどうかというお尋ねに対して、人事院はそれが間違いで五月が正しいというところまでの根拠は率直に申し上げてありますまい、ただし五月説も全然根拠のないこととは考えない。したがって、四月説五月説はこれは両論の立ち得ることでございましょう。したがって、また従来五月でやってきておる以上は、その根本論は根本論としてまた検討いたしますけれども、やはり五月実施でいっていまのおことばにもありましたように、これは五月にさかのぼって完全に実施していただかなければ、これまたおことばにありましたように、勧告の筋が通らないわけですから、そういう方向でむしろ努力することで当面はいくのが適切であろう、こういう心組みでおるわけです。先ほども触れましたように、特にこの報告は完全実施についてのわれわれの決意を述べたわけでありますけれども、あらためてお尋ねでありますけれども、これはわれわれとしては、五月にさかのぼって完全実施をしていただかないと、われわれの勧告としては筋が通らない、そういう立場でさらに努力を続けていこう、こういう決意を持っておるわけであります。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 七月の十九日にこの委員会で私来たるべき人事院勧告に対して春闘の積み残しの問題とかあるいは中だるみの是正の問題とかその他住宅手当あるいは扶養手当等について種々要望いたしたわけであります。今回勧告が出まして非常に問題が多いわけなんです。しかし、時間がきわめて限られておる。したがって、要点に限ってひとつ人事院の見解を聞きたいと思います。  その第一は、今度の勧告報告を見ますというと、従来十年一日といいますか七年一日というごとき形になっておったんですが、今回報告勧告一つずつ違った点がある、そしてこの勧告が正しいとした場合に、問題はその実施時期についてどれくらいの決意を人事院が持っておるかという点が焦点だと思うのです。それにつきまして従来はいつもそうなんですが、報告の中に非常に強い態度で五月一日を主張したわけです。去年で言いますと、去年の勧告、この人事院月報に載っておりますが、去年の勧告で言いますと、この報告の中には民間給与に追いつかせるんだ、そういうたてまえをとっているんだと、なお、三公社五現業は四月一日から実施している、この二つの点を特に指摘すると、こういう立場人事院の五月一日実施の意思をはっきり例示しているわけです。今回はこの報告の中には全部消えちゃっているわけです。これは一体どういうことなのかという点なんです。人事院がこの実施の時期について報告の中で強力に主張をしたのは三十八年の勧告、三十九年の勧告ですね。このときも非常に強く主張をした、報告の中で。これはもう人事院が三十五年から五年間といいますか、五月一日を主張したにもかかわらず、十月一日が五年続いたというので、業を煮やした口ぶりがはっきりうかがえる。ところが、今回は五月一日が二年続いてどうにもならぬところにきておるにもかかわらず、報告の中からそういう意思を消すということはこれは理解できない。昨年の年末からことしの三月にかけて人事院勧告の方式にいろいろ論議が行なわれた、政府内部で行なわれた。そういう影響があったのかどうか知らぬですが、とにかく報告の中にそういう意思を全くなくしたということは一体どういうことか、それをまずお伺いをしたい。
  51. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) これは正直に申しまして、私どもがこの報告書なり、勧告書の立案をいたしますときに、そういうような趣旨のことをことしもうたうか、うたうにしてももうちょっときまり文句でないぴかっとした表現はないかというようなところまでこれは実際いろいろ考えたわけです。しかしながら、これは当然実はわかり切ったことでもあるわけでありまして、むしろくどくど書くことよりも、簡潔に勧告文の文章を直すことによって、そしてあとはわれわれの努力によってその実現をはかったほうがよくはないか、それからなおまたいつもやっておりますこの新聞発表の場合の人事院総裁の談話の中の文章といたしましても、人事院給与勧告はいわゆる団交権の代償として一般職国家公務員についてはほとんど唯一の処遇改善の道であることにかんがみて、内容はもとより、実施時期についても勧告どおり実施されることを切望するということを加えたり、入れたりいたしまして、その気魄は決して失っておらないということであります。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院総裁のその答弁ははなはだがっかりですね。落第です。あなたは今度の報告の中には、総裁はそういうふうに削った、ですが、勧告の中には、この勧告の末尾には強い表現をしているわけなんです。従来は、五月一日を実施されることを適当と考えると、こういうことを三十五年以来続けてきたわけです。勧告でいつも本文の末尾には五月一日実施が適当と考えると、こういう表現を使ってきたわけだ、今回の勧告の中では適当と考えるんじゃなくて、実施すべきであると考える、こういう強い表現になっておるんですよ。だから、こちらに強く出したから報告の中では削ったんだというぐらいの答弁をしなければ、これはどうも総裁落第です。人事院としては勧告を出した以上、それが五月一日に実施されるかどうかということは、これは三十五年以来の焦点です。それをいまみたいな答弁したんではこれは落第です。だから、私はここで言い直しますけれども、繰り返しになりますけれども勧告の末尾のところに、過去三十五年以来とってきた方式を改めて実施すべきである、こういうべきであるという強い表現を使ったんだから、それでいいじゃないかという答弁をすべきです。だめです。いずれにいたしましても、総裁のいまの答弁ははなはだ落胆しますですね。しかし、これからの問題でありますから、総裁のおっしゃるように、十分この点についてははっきりした態度で臨んでいただきたいと思います。これは二年続いたんですから、その二年続いたものをこれまで七月一日になるんじゃないかという昨年の年末から今年三月にかけて政府の内部で五者会議が持たれてごたごたしたんですから、この際一ばつ業を煮やしてがしっと打ち込むべきですよ。それには私は報告の中でも、勧告の中でもはっきり表明する、こういう二重の態度で臨むべきだと思いますですね。総裁はもっと強力な態度で臨まれるようにお願いしておきます。  それから、もう一つは、これは先ほど伊藤委員が質問いたしたわけなんですが、きわめて表面的な答弁しかしないという私は気がするんです。それは春闘相場にしても、これは労働省の発表、春闘の妥結状況発表あるいは日経連の春闘状況という発表、いずれも昨年よりも上回っているということなんですね。御承知のとおり、三公社五現業の五月十九日の仲裁裁定にしても昨年より上回っているということになっているんですよ。人事院勧告だけは昨年よりも明らかに下回っているということは、どういうわけですか。みなに背を向けて人事院だけが縮こまらなければならぬ理由があるんですか。日経連の発表しているとおり、労働省が発表しているとおりじゃないですか。何がゆえに人事院はすべてに背を向けてこういうような態度をとるんですか。それをお伺いします。
  53. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 態度をとるとらぬというような政策決定の問題でありますれば、いろいろなことはあろうと思います。あるいは場合によっては、もうわざわざ大規模調査などはやめて、毎勤統計仲裁裁定だけを手がかりにして適当なあんいばをしたらいいじゃないかというようなこともあるいは連なって出てくることかと思いますけれども、私としては、やはり人事院人事院として全責任をもってそれだけの行き届いた精密な調査をした上で作業に臨もうということでやっているわけでございます。その調査の結果はこれは結果としてあくまでも尊重しなければならぬこと、あるいは上になり、下になりという関係はございましょうけれども、われわれとしては、われわれの調査に絶対に自信を持って、これを基礎に使うべきものというふうに考えております。
  54. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁のそういうような話は、それは表向きの話としては、これはいいかもしれないですけれども、しかし、われわれ給与を専門にやっている側から言いますと、そんな話は通用しないですよ。たとえば早い話が一・七という春闘の積み残し分、これ一つ考えましても私はおかしいと思う。政策は入らぬというような考え方はわからないんです。われわれこの俸給表全体を見てみても、総裁の話ですと、科学的に十分調査をいたしまして——それは調査はいたしましたよ。しかし、それを決定する際にいろいろ配慮があってしておられるんでしょう。だからそれぐらいの配慮ができないというのは、これはいささか人事院として情けない話です。たとえば指定職の乙というものを今回このように変えなければならないのかという理屈一つをとってみても、これは、私は官民較差調査なんかからは出てきっこないんですよ。調査ができっこないんです。人事院の政策的な意図からこれは乙というものを甲と同じようにしたんです。だから、総裁のそういうような話は通用しませんですよ。私は、人事院がすべてに背を向けて、こういうような去年よりもはっきり低いものを出すという態度は私は理解できない。  さらにその中の一つになりますが、先ほど伊藤委員が問題にいたしました春闘の積み残し、これは私は口をすっぱくして言っている、人事院やり方はおかしい、改むべきだ。ところが、先ほど給与局長は、四月末の調査というのを基本に置いておるから、これが生命だから、したがって、四月にさかのぼって上がる分だけしかこれは調査しないのだ、こういう立場をとっているわけです。それはいけないということを何べんも私は言っている。あまりにも四月末というものに頑迷固陋にとらわれ過ぎている、それだけではなくて、国公法からいっても、給与法からいっても、当然人事院春闘の積み残し分についてはもう少し違った角度から把握すべきであるということを言っているわけです。その点を今回総裁はっきり検討し直してもらいたい。これが春闘相場なんというのは半分も入らない。人事院給与法の二十四条によって総理府統計局の統計資料とか、労働省の統計資料とか、そういうものを活用しなければならないことになっている。人事院としてもそれぞれ労働省の毎月勤労統計にいたしましても、常に検討を加えておられるのである、そういう立場からいうならば、政府機関の資料を使って春闘分というものは明らかに把握できるのです。何がゆえにそれを把握しないのか、三十九年から三公社五現業は春闘分を完全に把握している、人事院だけが三年たった今日でも春闘分を把握できない、しかも半分以下の把握しかしていない。これは先ほども私が申し上げましたように、四月末調査というのにあまりにもこだわり過ぎる、頑迷固陋というだけではなくて、国公法の精神からいっても、給与法の精神からいってもこれは誤りだ、そういう点についてこの春闘の積み残しについて今後再検討をする考えがあるかという点を、この際はっきりさせておいてもらいたい、これはおかしいです。
  55. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 頑迷固陋であれば春闘の積み残しは全部黙殺してしまう、これは来年回しでお願いしたいということが、一番頑迷固陋の徹底した態度であろうと思いますが、そこまでわれわれとしては徹し切れないものがあって、去年ああいう例外的な措置をやりました。骨なしのぐにゃぐにゃではないかという鶴園委員の御指摘はいまだに忘れません。今回は今回で、またそれについてもいろいろ御批判があるようです。私どもはそういう御批判は常に承って、そうしてわれわれの判断の基礎にしておるわけです。積み残しの問題の技術面についてはそれはいろいろな面からさらに検討の必要があろうと思いますけれども、ただ何ぶん四月現在を対象としての本調査としての、付帯調査をやっているわけであります。その根本にすでにいろいろ明確を欠くところがある、精密を欠くところがあるわけであります。したがいまして、それを今度はすみずみまで合理化していこうということになると、やっぱりそのやり方の問題を変えていかなければならぬという根本につながってくる。そこでこの積み残し分の扱い方というものは非常にめんどうなむずかしい問題を含んでおるということでございますから、そうきっぱりした精密な措置は、これは事柄の性質上、いまのやり方を続けていく限りにおいてはむずかしい、しかし、御批判は御批判として胸に入れて将来に臨もう、こういうわけです。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点はいまの勧告一つの焦点になっております。上実施時期というものと並んで一つの焦点になっている、総裁のいまの考え方でいきますと、本年の春闘分の、それは三分の一しか入らない、三分の一しか把握できないということになるのではないですか、それでいいんだと、それはいけないと私は言っているのです。たとえば労働省の毎月勤労統計人事院資料でも明らかなとおり、たとえば全産業労働者の、常用労働者、あるいは製造工業の中における公務員に似ている管理、技術、事務労働者、そういうものが三月から六月の間に一体どの程度賃金が上がったかというものを見れば、明らかに日本全体としての春闘というものが、ある賃金が上がるというのは、四月に上がっておるのではない、四月にも上がるけれども、五月六月に上がるのだ、それで春闘全体がつかめるのだ、労働省もそうです。あるいは日経連にいたしましても、六月になってから春闘相場の妥結状況を発表する、労働省もしかり、全体として春闘が長引いているのですから、三月から六月ごろまでかかるということは近年のはっきりした事実ではないですか、その前に四月だけをあまりにもこだわりますと、これは春闘相場は把握できない、明確な事実ではないですか、それを認めて、それでいいとおっしゃると、私は理解できない。何も四月末現在という調査を変える必要はない、必要はないが、春闘相場を把握できる、そういう調査を十分できる、それは考えるべきだと思う、それはおかしいですよ、十年一日のごとく、十八年一日のごとく、マニュファクチャーのごときことを言っている、しろうとのようなおくれた調査をやって得々としているのは納得できない、六千三百なら六千三百の事業所を固定したらいいのではないですか、ちゃんとわかります。つまらぬ調査をやらなくても、十年一日のごとく六千三百くらいの毎年違った会社を選んで、そういうものを変えなくていい、固定してしまうと定期的に集まってきます。そういうことをしなくても春闘積み残し分は把握できる、総裁は把握しなくてもいいとおっしゃるのか、はっきりしてもらいたい、そういう立場から私は春闘積み残しについてはもっと把握できるように検討してもらいたい、それをひとつ。
  57. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 人生観的に申し上げますと、頑迷固陋というものは手がたい方法だ、頑迷固陋でやっていると積み残しの問題をめぐる御批判も出ない性格のものです。つらつらそういう気持ちもいたしますけれども、われわれももうちょっと次元の高い合理性の判断から積み残しを無視すべきではないということから去年やったのです。しかし、その決算は、清算は翌年度の官民給与でバランスシートは出てくるのです。いずれ内払いには違いませんけれども、見込みのあまり隔たりというものがあれば、翌年の決算の中でまた不自然な形となってあらわれる、去年をことしの場合と比べると、先ほど伊藤委員の場合にもお答え申しましたように、五・二という間差が出てくる、去年一・六の積み残しを入れた分が相当影響してくるという見方も出てくるのです。その辺のところでいきませんと、それは幾らやっても、精密なところで、小兵までつかまえてということになれば、こういうものにつながる必然的な問題であると、これはある程度のところで割り切らざるを得ないところだと思います。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、私は調査の実情を知っているから言っているのです。簡単な調査ではないですか、個人調査するわけではないでしょう、簡単な調査です。そんなものはできないと、私は理解できない、今回の場合でも明らかに、労働省の統計からいうと、春闘の積み残しというものは、人事院は一・七%とおっしゃる、少なくともこれは二・四%程度削られている、二・四%といいますと千円です。ことし上げるのは二千八百円くらい、二千八百二十円くらい、三分の一です。千円です、というものを削られる事態になるのです。私は三公社五現業が、春闘分がそっくり入るという態勢になったとき、人事院が三年たっても三分の二は来年でいいんだと、総裁はそういう意見です。というような意見は、総裁としてとるべきではないと思う。私はこの点については人事院すみやかに再検討されるように重ねて要望します。これは焦点です。誤っちゃだめですよ。よろしゅうございますか。
  59. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 御意見拝聴いたしました。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 続いて、さっき伊藤委員がちょっと伺いましたですが、三等級と四等級と五等級と初号をなくしましたですね。初号というものがない俸給表というものができました。これは人事院、何ですか、不手ぎわきわまる。こんな不始末なことはない。人事院は全く腹立つですね。初号がなくて、二号から始まるという俸給がありますか。線を引いたそんなばかな俸給表があったものじゃない。一体これ何ですか。瀧本給与局長、技術的な問題どうですか。新三等ができたときに、四等以下におる、特に上級職の甲をとった連中が新三等級ができたから、これは三年損しちゃう、四年損しちゃう。いままででいけば、新三等ができないうちは、四等級からいまの二等級にぽんと飛んだわけですが、今度は新三等にどうしても四年おらなければならない、短かくても、三年はおらなければならない、そうすると、三年おくれるというようなことが盛んに言われたわけです。今回これによって解決しようということでしょう。そんなことでしょう。いろいろ理屈はありましょう。どうだ、こうだという理屈はありましょうけれども、そういう理屈があっても、率直にそうだというふうに答弁なされば、それはそれでもいいが、初号がない俸給表というものはやめなさい。ばかなこと。だこんな俸給表なんて、これは全くおかしい。指定職甲乙というものを行政職の中につくった、行政職のトップが指定職の甲というものになったわけですが、甲乙になってしまった人間が今日非常にふえてしまっている。同じ行政職の公務員が、一方は行政職俸給表で一方は指定職俸給表におる、こういうふうな俸給表ですが、総裁、これはここで指定職俸給表というものは特別職にしたらどうですか。俸給表としては、行政官庁の中でトップにおる連中の俸給表が十五ある俸給表の一番しりにちんまりと載っている。そんなばかなことをしなさんな。最初できたときは、三十九年にこういう俸給表をつくったときは、一番うしろにちょっと載っていました。もっと前に出したらどうですか。行政職俸給表の(一)の前に出したらどうですか。これは何で一番うしろに出すのですか。みっともない。しかも、これは明らかに特別職の俸給表と同じようになっているのですから、特別職に切りかえる、そういうふうに検討をすべきだというように私は思うのです。そうすると、総裁としては困る、特別職は困る、それは官庁が大反対でありますから困るというふうにお考えでしょう。だめですよ。そういうことはやめてしまいなさい。給与体系が全然違っているのに行政職なんていうのはおかしい。だから、これは特別職にするという方向ですみやかに検討すべきたと思うのです。これもおかしいですよ。総裁考えてごらんなさい、フランクに。こういう連中の声ばかり聞かぬで、フランクに考えたらいい、おかしいですよ。  少しよけいなことに入りましたが、指定職の問題について、大臣見えましたから、その問題についてやりましょう。
  61. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  63. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その点について総裁の答弁を求めます。
  64. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 初号の形式の問題、あるいは指定職の俸給表の場所の問題、それはいろいろな御批判があろうと思いますけれども、そういう点は、実は私自身も従来の経歴上から非常に神経過敏なたちでありますので、いまの初号はつぶしてもいいでしょうかという相談には権威を持って臨んだわけでございますけれども、これは法律の条文見たって第何条削除ということでそのまま条文に残っているのは幾らもある。そんなことは気にする必要がない。技術上の問題として便宜を主に考えて、便宜だとならば、形は少しふていさいでもそれは実現すべきだというようなことで言ったわけなんです。これは御了承を願えることと思います。  聞き捨てになりませんのは、たいへんオーバーな言い方をしますけれども、指定職に当たるものを特別職にしたらどうかという御発言は、これはたいへん重大な問題であるということで、私はまた十分鶴園委員からいろいろ御高見を承らなければなりませんが、これはたいへんな問題であるということだけを申し上げます。
  65. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁はいま法律で削ったところがあるというようなお話ですけれども、しかし、総裁、それは従来の給与表についての人事院考え方は甘いですね。いまそんなこと言ったって、一号から二号と順々に番号をつけて整理してあるわけですから、それが一号だけブランクだという俸給表はおかしいから改めてください。来年改まるのでしょう。だからといって、法律で削ったところがあるからそれでいいじゃないかという便宜主義のやり方はやめてもらいたい。そういうものがあっても便宜上やればいいじゃないかというそのお話はわかります。その便宜はあとで少しはっきりしてもらいたい。  もう一つ、指定職の問題で、これを特別職にせよというのは、これは総裁がおっしゃる以上に、私は指定職にすべきだというあらゆる面を考え、また、これは公務員制度にとっても重大な問題だと思う。徹底的に重要な問題です。総裁自身が給与をそういうふうに着々しておるじゃないですか。ですから、私は特別職にしてもよろしい俸給表ができ上がってしまっているじゃないかというふうに思うのです。そうでなければ、やっぱり同じ給与体系にしてもらいたいですね。なぜこういうことをなさるのですか、それを聞きましょう。それは局長なり、外局の長官なり、次官なりその他、そういうものを優遇するのはよろしいでしょう。優遇でも、こういう優遇のしかたをすれば、これは私反対です。そうでしょう。行(一)と同じ表のやり方をやって何にもおかしくない。総裁、そういう点はどうでしょうか。これはむちゃくちゃですよ。
  66. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 私のいま申し上げたいのは、指定職を特別職にしたらどうかという二とがいま私としては一番関心の深いところでございます。特別職とは何ぞやというところから答えてまいりませんと、鶴園委員のおっしゃる特別職というのはどういうものを言っておられるのか、いまの政務次官というものを考えておられるのかということで、つらつらこれはたいへんなことだということを申し上げるわけであります。そういう点はなお私どもとしても十分御趣旨を伺った上でないとお答えができない。いまのところきわめて消極的な態度であるということを表明しておきたいわけであります。  あとの表の場所の問題等は、これはまたいろいろお考えによることでございますから、私どもは別にこだわりは持ちませんということでございます。
  67. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、三十八年に行政職俸給表の一等級の一号、二号等の上に特というものをつくりまして、そこに次官等を置いて優遇したわけです。三十九年に勧告いたしまして指定職俸給表を別ワクにしてしまった。外局の長官と局長とはどこが違うのかという意見が出まして、そこで局長もどんどん指定職俸給表に移していかなければならぬということで移した。指定職俸給表に移したけれども、局長がおるところの乙というものは行政職俸給表とほぼ同じものなんですね。それは困るというので、今回根本的に改正をやりましたね。これはたいへんな優遇ですよ。というのは、今度三万円なり二万円なり指定職の乙というものは上がるわけですからね。それによって局長の退職金というもの、あるいは年金というものがよくなるわけですね。根本的によくなるわけだ。そういう優遇策というものは一等以上の者について、旧一等、旧二等以上の者については非常な努力をされてきた。異常な努力です。これはけっこうです。しかし、それとの関連で、有機的な関連を持っておる三等なり四等以下の給与をどうするんだということを私は強力に主張してきた。それについては、中だるみ是正だというようなお話をなさいますが、しかし、今度の指し定職の乙についてこういう処理をされたことから言えば、中だるみ是正なんていうのはみみっちい話です、これは。とんでもない話です。何たることですか。わからぬですな、人事院総裁考えというのは。人間が多いから優遇できない、一方は人間が少ないから優遇しやすいんだというような話は、これは便宜主義だけじゃないかと思うんですがね。ひどいものですね。  そこで、総裁なり任用局長に聞きたいんですけれども、いま一等級には本省の局長がおりますね、それから部長、次長、課長というのがおるんですが、一体、一等級に局長もおれば部長もおる、次長もおる、課長もおると、こういうような等級制というのはどうなんですかね。もう私はがまんならぬですね、これは。任用局長、従来人事院の任用局というのは非常に影が薄くて、給与だけがさっささっさ走っちゃって、そして任用局というのは何か歩んでいるような歩んでいないようなかっこうで、もっぱら採用試験だけやっているというような形、まことにお粗末しごくだと私はかねがね思っている。そこで、任用局長という立場から見た場合に、一等級の中にいまやはっきり職務の違う者がおって、しかも局長が、こいつも六割というのが指定職の乙におる。しかも俸給体系が全然違う。全く別ものです。局長をこんな二つに割っちゃって、どうなるんですかね。しかも、同じ等級に局長もおれば部長もおる、次長もおる、課長までおるという状態、一体これはどうなるんですか。私はこれは整理しなけりゃならぬだろうと思うんですが、任用局という立場から考えた場合にどうですか。もちろん、現在の八等級というのは職階制じゃなしにあいまいもことしたものなんだというようなお考えもあろうと思いますが、一体どうですか。局長の見解を聞いておきたい。
  68. 岡田勝二

    説明員岡田勝二君) 現在、私ども任用制度を運用してまいります上におきまして、上位等級のほうで申しますと、課長級、それから局長級、次官級、こういうきわめて大づかみなとらえ方をいたしております。で、それぞれ課長級なり局長級なり、これの差異を見てまいりますと、やはりその間には、おのずと、職務の重要性、そういったものについて若干の差異がございます。そういったこまかい差異にどの辺まで着目して把握していくか。これはこまかく把握すればするほど、何と申しますか、そういう等級構成と申しますか、これはこまかくなっていくわけでございます。で、現在のところは、ただいま申しましたようなかなり大づかみなとらえ方をいたしておりますが、ただこれを給与上処遇する場合に、私どもでとらえておりますような大づかみなとらえ力で済むかということになりますと、そこには若干問題がございましょうから、これはまた、給与上では違ったこまかい差をつけて取り扱っておるというのが現状だと思います。で、これは現在の任用制度におきましても、鶴園委員承知のように、現在人事院規則の八——一二でやっておるわけでございますが、八——一二の本則自身は、これは将来職階制の実施ということを前提として組み立てられた規則でございます。ただ現在の時点におきましては、諸般の事情から職階制実施というところまでいっておりませんので、それに至る間の暫定的な措置としてやっておるという状況でございます。
  69. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、人事院が、局長なり課長なり部長なり次長なり、そういう人たちの責任の重さなり、あるいはそういったものについて科学的に調査したなんということは一ぺんも聞いておらない、これはおそらく勘で言っておられるのだろうと思う。そういうあいまいな話ではこれは論議にならないと私は思う。ただ、私が局長に聞きたいのは、確かに職階制ではないが職階制のごとき運用もやっておるわけなんですね。その中で、行政職俸給表のトップにある一等級というものを、こういう混乱した状態に置いておいていいとお考えになるかどうかということなんです。というのは、私は、勧告にあたってもう少し任用局というものは、勧告ともっと密接な連絡があってしかるべきだと思う。何か無縁のごとき存在に置かれている。もう少しやるべきだと思う。私は従来から、勧告についてはこれは任用局ももっと一体になって処理していかないと——こんなべらぼうなことを、給与局がかってにやったというとおかしいのですが、人事院総裁がやられることなんですから、給与局長も含んでおられるわけなんで、総裁そのものがおかしいのだから、そういう場合には任用局長が、おかしいですよといって総裁の独走を少しとめにゃいけない。これはどうなんですか。トップの一等級の中に、局長もおれば部長もおれば次長もおる、課長までおるという状態になっちゃって、それでいいとお考えになりますか。
  70. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) それはおっしゃるとおり、各局長にお答えさせるのはこれはちょっとおかしなことなんで、おかしければ私がおかしいことをやっているというのがやっぼり筋だろうと思うのでお答えいたしますが、これは確かに理想的な目から見ると、非常にまだ整理されていない面がある、ごちゃごちゃになっているという見方も出てくるのもやむを得ないと思いますが、しかし、いま局長も触れましたように、根本は、やはり公務員制度上職階制というものの確立を前提として、すべてがそれによってしっかりしたものをつくりあげるということにたてまえがなっておりまして、はなはだ私どもとしては怠慢のそしりを免れませんでしょうけれども、職階制がまだ動いておらない。そこで、一方においては職階制の確立ということについて全力を注いで作業をしておるわけでございますが、職階制ができてこれが土台になって給与関係ともつながり、それから任用関係ともつながるというのが法の意図するところであろうと思います。それらとも勘案しながら、終局的なところを探って求めてまいりたいという気持ちでおります。いまおことばにありましたように、職階制そのものの形には出ておりませんけれども、裏にはあるだろうというおことばがありましたが、まことにそれはそのとおりだと思います。非常にラフな形で職階的なものがある。しかし、それにしては話が、たとえば俸給表の形を見た場合においては、雑然とし過ぎているじゃないかという批判はあります。それは十分認識の上で善処しようという心組みでおるわけでございます。
  71. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、私は、中だるみ是正だとかなんとかおっしゃって、今度もそういうことを勧告の中にいっているんですが、中だるみ是正なんかになっていない。たとえば一等級は五・五だ、二等級は五・五だというような数字を言っておられるのですが、こんなものはお話にならない。こんなものはみみっちい話で、私は、こういう状況になってきたのはこれは必然性があるというふうに思うのですよ。その必然性を人事院としてお認めになっている。だから、一等級の中に局長もおれば部長もおれば次長もおる、課長もおるということになってきておる。そこで問題は、四等級以下の問題について、六等から五等、五等から四等へというところ、これは鉄壁のごとき壁なんです。まさに職階制と言われるのは、みんなが言うのはここなんです。ここはえらい壁になっている、鉄壁のごとき。それから上のほうはぐにゃぐにゃになっている。ここだけはえらいかたい。だもんだから職階制だというのですけれども、私は、六等級から五等級へ、五等級から四等級へというのも、こういうような処理をすべきだと思う。もうすでに実情に合わないです。必然的に一等級と同じような処理をすべきだと私は思う。のみならず、人事院給与上においても、五等級というものは決して係長というふうには取り扱っていない。そうでしょう。官民対応等級で見ればわかるように、これは係長として扱っていない、五等級というのは、六等級と五等級の差別は一体どこにある。厳に五等級は係長だ、六等は上級係員だという人事院の規則にあるだけの話なんです。給与法上においてもそういう取り扱いはしていない。四等級を人事院は課長補佐と言っている。しかし、官民対応等級の場合には、明らかにこれは四等級というのは係長になっている。だから五等と六等とは一緒ですよ。行政運営上においてもそうなっている。もっとこまかくいってもいいですよ。行政運営上もそうなっているし、給与上もそうなっているし、実情においても全く合わなくなってきている。だから、私は、いまみたいなびほう策でなくて、一等級と同じようなそういう措置をとってしかるべきじゃないかと思うのです。なお、八等級の七号から自動的に七等になり、七等の本省の場合は八号、地方の場合はおそくとも九号から六等となっている。さて六等から五等へというこの壁ですね、これを私はいまみたいなびほう策でなくて、もっと抜本的に行政運営上も給与法上も給与上もそう変ってきているのだから、ここを変えられたらどうか。六等のある号俸になったらひとつ五等に行く、五等のある号俸になったら四等に行くという程度の是正をはかることが今日の行政運営上に、また給与に最も適応している、こう思うのですが、どうですか。
  72. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) いろいろ御指摘がございましたが、やはり現在におきましても本省段階、あるいは管区の段階、あるいはもう少し出先の段階、いろいの行政組織の状況のもとにおきまして職員が仕事をしておるわけでございます。そういう中におきまして現在の等級というものが御指摘のようなものであるかどうか、これはやはりわれわれとしても十分今後も検討してまいらなければならぬところであろうというふうに思います。したがいまして、この問題は問題なしとはいたさないのでありまするけれども、いま直ちに鶴園委員指摘のようなところまで一足飛びに行けるものであるか、今後の研究を必要とするものであろうというふうに思います。なお、われわれはそれにもかかわらず、現在その等級の状況におきまして、中位等級内の中位号俸以上、あるいは昇給間差額改善につとめておるというのが現在の状況であるわけでございます。ただいま申し上げましたことは、やはり指揮監督を直接受ける上司が等級上同列である、あるいは場合によっては号俸はかえって監督を受ける者のほうが高いというような状況は、必ずしも人事行政といいますか、運営上好ましいことというふうに考えられないという面もあるのでございます。なお、現実問題といたしましては、非常に熟達いたしました職員が能力も上がりましてその職務の遂行状況相当上位の等級に比べて変わりないというような状況が現在起こっておるのでございます。こういう官職は専門職としてとらえまして、そうしてその間においては、たとえばいわゆる職務の段階ということにかかわらず、専門職ということで上位の等級に昇格せしめるということをやっておりまして、現実問題としてはそういう運営によりまして専門職等で上位等級に進めるということで、五等級と六等級の間は措置しておるという面もあるのでございます。
  73. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは非常に重要な問題ですから、だから総裁、ぜひ総裁の答弁もひとついただいておきたいと思うのですけれどもね、これは八等級制というのが三十二年にできまして、それから三年ぐらいは確かに五等級は係長だった。四等級は班長だった。間違いなし。それをそのまま持っていったのですから、現状持っていったのですから間違いないのです。しかし、その後三年たち四年たった今日では、これは係長というのは係長でなくなっちゃったのですね、行政運営上、そうでしょう。班長というところに係長が三人なり四人なりおるのですよ。あと係員はいないのですよ。だから班長が係長なんです、これは。のみならず、その当時係長として精力的に動いた連中はこれは班長になっちゃっているのです。だから行政運営上から見てもおかしいです、これは。五等と六等の鉄壁のごときものを設けるのは。なお、五等と四等の間に鉄壁のごときものを設けるのは、現状に全く合わなくなっている。一等級が現状に合わなくなったから、先ほど総裁もお話のように非常に大づかみに、かなり大づかみにつかんで、任用局長がかなり大づかみにつかんで、そうして一等級の中に、局長もおれば課長もいるということになったのですよ。前はそうじゃないのです。はっきり、できたころは一等級は次官、二等級は局長、三等級は課長というようにびしっとしていたのです。それを行政官庁の上にある者をごたごたに乱しちゃったのです。下の者はびほう策であくまで鉄壁を設けているということはよくない。なお公務員は御承知のように、四等以下は九七%、行(一)で言いますと二十四万いるわけですから……二十四万にちょっと足りない、その二十四万の中の九七%というのは四等以下にいるわけですから。ですからよく四等級というのは公務員の墓場だと言われたり、公務員の終着駅だと旨われておる、だからそういう場合に私らは、四等級以下については、もっとある程度フリーにして、もっといい給与にしたらいいと思うのです。三等級以上はもうちょっときついもので締め上げて、きちっとした形をつくっていったほうがいいのじゃないかと思うのです。昇給間差額なんかもっとよくしまして、四等あたりは終着駅なんですからよくして優遇するというような方策だって十分とれると思うのです。そういう配慮が足りないですね。そのことが今日の四等なり五等なり六等という者の連中の行政意欲というものをどれだけ失わせているかわからない。だから総裁、その点はこの機会にひとつはっりき検討するという御答弁をいただきたいのです。
  74. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 御指摘の点はここ数年来にわたって私はこの委員会の席上でたびたび伺っておって、しかも十分体しているつもりでおります。したがいまして、たとえば去年の勧告の場合についても、いまのような御指摘に対する措置は、できるだけのことはしたつもりでございます。たとえば中だるみ是正だとか、あるいは間差額の拡張だとかというようなことを説明にもうたっておるわけでございます。しかし、ことしはことしとして、さらにそれに輪をかけて、できるだけのことをいたしました。しかし、御指摘の点はやはり一つの問題には違いありませんから、なおその方向にわれわれとしては検討を続けていきたい、こういう心組みでおるわけでございます。
  75. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この三年来の動き、つまり三十八年から行政職の(一)、(二)、特をつくった、指定職俸給表をつくった、今回甲乙を非帯に優遇をした、それとの関連で一等級がよくなる、あるいは二等純がよくなるというようなことから言いますと、まさに人事院勧告の中で、つまり下を幾らかよくしたのだというようなお話ですが、まことにみみっちい話であって、このままの状態でいきますと上厚下薄、上に厚く下に薄いだんじゃない、下はほんとうに残酷無比に取り扱っている、上は丁寧しごくというようなことになっちゃっているのです。だからこの点については重ねて、総裁これは特に検討すべきですよ、どうもはっきりしないのですよ、総裁の御答弁は。どうなでんすか、はっきりしなければだめですよ。瀧本給与局長だめですよ、あなたならば行政運営知っているのでしょうが…どうですか。一体行政運営上どうなっているかというのはわかっているのでしょう、行政運営が四等と五等と六等とどういう関係になっているか、わかっているでしょう、いま一緒にしたってかまわぬくらいのところまで来ているでしょう。
  76. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま総裁から御答弁がありましたとおり、鶴園委員を含めまして本委員会におきまして、いろいろ二、三年来御指摘がありました線に従いまして、われわれ十分改善をいたしてきたつもりでございます。しかし、御指摘のように、現在の状況で十分であるというふうにも思いませんし、それからただいま御指摘になりました点等に今後問題を残しているということも事実でございます。したがいまして、今後とも専門職制度の拡充等も含めまして、ただいま御指摘の問題等につきましては、十分に検討してまいりたい、このように考えております。
  77. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長、私あなたに言っておきたいのだが、専門職なんというのはいいかげんにやめなさい。専門職が雨後のタケノコのようにできちゃって、農林省だって二百数えるでしょう、わからぬです、何が何だか。一ぱいできちゃったのです、そんなものはやめなさい、つまらぬことしなさんな。だからそれを移したっていいじゃないですか、専門職をあんなに頭でひねり出すだけひねり出しちゃって、よくこんなに考えたと思うくらい、何とか専門、何とか専門がもう一ぱいできましたよ。あんな悪知恵を働かすようなこと、悪知恵と言っちゃ悪いですが、こんなものやめたほうがいいですよ、めちゃくちゃでしょうが、何ぼあるでしょう、一体専門職というのが、農林省だって二百をこすでしょう。そういうのはやめて、先ほど言ったように、六等から五等であの年齢にきたら、号俸にきたらこれは上がっていくというような道を開いたらよろしい。五等と四等の差というのは、これは行政運営上もうなくなっているの、だから、五等というのをあの年齢にきたらこっちに移していくというような処理も含めて検討してもらう、私はいまの答弁をそういうふうに受けとったのですけれども、さらに気になったのは、専門職をどんどんつくっていくという話なんですが、これじゃみな沈没してしまいますよ、専門職、専門職ということになってくるというと。だからそれはいいから、いま言ったような形を含めて検討してもらいたい、専門職はもういいです、いいですね。  では続いて扶養手当配偶者手当について伺いますよ。配偶者手当人事院は今回妙なことをやりまして——まことに人事院というのはそのときどきで身がってな理屈を立てるものだと思うのだけれども、今度の勧告によりますというと、扶養手当配偶者手当平均額は幾らになるのですか、それをここに出していない。いままでは平均額はいつも出しておる、三十八年に出したにかかわらず、本年はその平均額を出さない、何ゆえに平均額を出さないのか。なお局長、三十八年に人事院扶養手当調査をやった。さっき何か数年前にとか言ったが、局長が扶養手当を数年前にというのじゃだめですよ、二十三年からことしまで二回しか調査していないのだから。三十八年に調査したそのときの妻手当の、配偶者手当平均はちゃんと出ている、勧告の中に、千百四十円。今回は三年何ぶりに二度目の調査をやったわけだ、昭和二十三年以来。その平均額を出さない、何がゆえに出さないのか、局長答弁してください。
  78. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほども御質問がございまして、この点に触れたのでございます。扶養手当、暫定手当、それから本俸、これでいわゆる基準内給与——これはちょっと公労委仲裁裁定に例をとるのはいかがと思いますけれども、あそこで言っておりますたとえば本年の仲裁裁定基準内給与の差六・五ということで、われわれのほうの基準内給与改善ということは、これは本俸で全部やってもいいのでありますし、また、扶養手当改善等でやってもいいのでありますが、先ほどもお答え申し上げましたように、基本は本法でやるべきである、少なくとも公務員配偶者を持つというのは——これは公務員だけじゃありませんが、あたりまえのことでありまして、そういう状況は何ら特異の事情ではない。したがいまして、そういう特異の事情ではない事態は、すべてこれは本俸で常態で対処さるべきものである、われわれはこういう確信を持っておるのでございます。したがいまして、そういう事態からやはり本俸で解決さるべきものである。本俸でやはり初任者からそういう結婚年齢まであるいは家族のある時期等につきましては、やはり昇給して上がっていくような待遇をとるということが一番好ましい。本俸改善ということが好ましいと考えておるのでございまするけれども、しかし、今回の調査によりますると、度数分布的に見まして、千円の配偶者に対して支出されておる場合が非常に多いということで、それを問題といたしまして、特に千円ということにいたしましたのであります。したがいまして、その点を強調する趣旨もございまして、平均というものを出しておりませんが、これは先ほども申しましたように、妻、配偶者ということで見ますると、千三百円をこえるということを申し上げた次第でございます。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 瀧本さんね、平均額をなぜ出さないのです。出ているのでしょう平均額、妻手当平均額出てないはずはない、幾らなんですか。
  80. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 千三百三十五円ということになっております。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 だからいままで人事院は住宅手当にしても——まだ出ておりませんか、住宅手当算出にしても、交通手当にしても、給与の問題にしても、こういう平均値をとってものを言っておる。都合悪くなるととってしまう。まことにその場限りの理屈で、何がゆえに平均をとらないか、千三百円という平均をとらないか。しかも千三百円というのは今度の勧告の中に発表しない。いいかげんなことをしなさんな。だから私はこの交通手当にしても平均をとってやっているんだから、扶養手当だって、千三百四十円ははしょって千三百田というものをやるべきだと思う。ただ六百円から千円だけでも四百円上がり、さらにそれを三百円上げるにはまた三百円だ、一挙に上げるのはたいへんだ、それで今回はひとつ九百円にしようか千円にしようかという論議があった末にまあひとつ千円にしましようということなんでしょう、とぼくは思うんだ。それには理屈が立たなければいかぬから平均値は隠してしまったし隠してしまったと言うと語弊がありますが、ここへ出さない。そうして最も多いところは千円から千百円だ、そういうものを表面に出して理屈を合わしたという人事院の操作ですか、悪知恵というんですか、ということなんですよ。ですから私はこの点は、今回は千円にしたが、ほんとうは来年もひとつもう一回調査をして——来年調査するとおそらく千四百円、千五百円になるでしょう。だから千三百円とか千五百円とか来年はするんだという、こういうお考えを持っておられるべきだと思う。みみっちいそういう態度を人事院としてとるべきでない。そういうことをすると、これは人事院は全く信用をなくしてしまいますよ。千三百四十円、明らかなんです、平均値は。だから、本年は一挙に上げることはなかなか困難だから、来年はひとつ千三百円に上げる、それには調査をしなければいかぬわけでしょう。来年も調査をしてひとつ千三百円から千四百円にするんだというやはり考えを持たないと信用を失墜する。  なお、局長が本俸本俸だとおっしゃるが、私は口をすっぱくして本俸でやるならやりなさいと言っておる。本俸でやるならすでに人事院が出しておる一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、五人世帯という生計費があるんじゃないか。あの生計費俸給表を比べた場各にまことに悲惨そのものだ。だから本俸を思い切って上げられないならば扶養手当だけでも上げてそこのところをカバーしなければどうにもならぬじゃないかと言っておるわけですよ。本俸はなかなか上げない。本俸上げたとおっしゃるかもしれぬが、そんなものじゃ話にならない。ですから妻を持つところ、子供が一人できるところ、二人できるところは悲惨ですよ。だから本俸は私は異存ありませんよ、局長思い切って上げていかれるなら異存ありませんよ。本俸は思うようにいかない。ちょっと上げたって間尺に合わないから、本俸を幾らか上げて扶養手当も上げていくという策をとらないと——あと五年たって、十年たってそれは扶養手当考えなければならぬというときもあると思うと、それはしろうとに言う話です。おかしな話をしなさんな。いまの扶養手当配偶者手当について来年はどうなさるのか。
  82. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 何か千三百円を隠しているようなおことばではなはだ悲しいことに存じますが、何も他意があって出さないわけじゃないんで、その別表第三というのをごらんになれば、三千円以上というところも堂々と出しておるわけですから、その辺のところ御推察いただけると思います。ただ局長が申しましたように、直接今度の勧告関係がない数字だから表立って出さなかった。住宅手当関係調査関係がないものですから出さないということと同じだと思うんで、全然他意はないんです。ただいまの千三百円にするかどうかという問題は、いみじくもいま御指摘になりましたように、本俸でやるか手当でやるかという配分の問題としてわれわれはやはり慎重に考えなければならぬ。したがいまして、独身の方もたくさんおられるという点でさらに勘案して、やはりことしはいわゆる中位数といわれる千円ぐらいのところでおさめるのが妥当であろうということでわれわれは理屈を求めた、こういうことであります。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、そういう答弁されると長くなります。私が吉っているのは、人事院平均値を使うじゃないか、何で本年平均値を使わなかったか、しかも平均値を出してない。いつもですと、民間資料の中には平均値も出してある。平均値を出さない、それを避けて通っているのです。そういう説明なんです。三千円出した平均値が問題。高いところは幾らでも出しているのですよ。平均値が問題。それを来年どうするかということは総裁はっきりしないのですね。それじゃ公務員の期待に全くこたえられないですね、来年どうするんです。
  84. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 来年はいまからお約束するわけにはまいりませんので、申すまでもなく、来年のまた調査の結果によって較差がどのくらい出るか、その較差の中でのあんばいということになりますから。ことしは本俸でやったほうがいいじゃないかという結論になったので、その辺のところは来年のお話ということになるわけです。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間が非常になくなりまして少ないのですが、総裁そういうことじゃ全く都合のいいときには並み数階層をとって、都合のいいときには平均値をとるという、全くこれは三百代言というやつだ、おかしいですよ、むちゃくちゃだ。何を一体考えておるかわからない。私は依然として平均値をとっていくべきだ。交通手当についても、通勤手当についても平均値をとってきておるし、そのほかの問題についても平均値をとってきているのですから、こういうときには平均値をとると千三百円になるものだから、それを表面に出さないで、並み数階層で千円くらいがいいということじゃ話にならぬ。住宅手当についてはこの七月十九日に口をすっぱくして言ったのですが、この住宅手当というのは、石と木を比較するようなことはしなさんな。住宅手当というのは条件が二つあるのだ。それは住宅施設があるかどうかという問題と転勤があるかどうかという問題、二つの条件比較しなさいということを言っているのです。今度の人事院調査でも明らかなようにはっきりしているのですから、つまり住宅施設があるということ。住宅手当要求があるというのは二つの理由ですよ。一つは住宅というのは官舎なら官舎があるということ、そこに入っている者と入ってない者とのアンバランスをどうするかという問題。もう一つは、かつては上の者が転勤しておったけれども、いまや公務員のほとんどが転勤の対象になっている。その二つの立場から住宅手当というものは考える。その二つの要素をもって民間公務員との住宅手当比較しなさい、そうでなければあと二つの条件を入れたのじゃ木と石を比較するようなものです。今度の場合人事院は木と石を比較して住宅手当を出す必要はないということです。しかし、今度の人事院調査でも住宅手当について二つの条件をとった場合には住宅手当というのは五二・三%出ている。いろいろの手当を踏み切る場合には、半分をこした場合には人事院は従来踏み切っているのです。これも私は踏み切るべきだと思うのです、また、あとの二つの条件を入れて平均して三七%ということをやるのだから。官民対応等級というめんどうくさいやり方をするのだから。住宅手当になると民間なんかの条件をすっとばして、恥ずかしい話ですよ。どうなんです。
  86. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 住宅手当についての民間調査のまあ比較の様式と申しますか、ポイントについては、かねがねここで御要望もあって、いま御指摘のような面にわたっても調査して、そうしてこれだけのパーセントでございます、ここで御批判を仰ぐということになっているわけです。私どもとしては、現在の三七%六ということで、いよいよこれは切実性を帯びてきたなということで考えているということは事実でございます。しかし、これまたこの%の問題がどうであろうと、たとえば扶養手当についてもそうですが、この前の昭和三十八年の調査の結果を見ていただいても扶養手当を出そうと思えば出せるデータは出ているわけです。しかし、これは配分の問題としてやはり本来の本俸でまかなうべきじゃないかという理念から考えてそれをやめて掘え置きにしたのだというような、そういう勘案考慮をすべき場面というものはそのつどあるわけです。較差が非常に大きくて、どうしようかと、もてあますようなことがあれば、これまた話は別でありますが、きわめてきびしい較差のやりくりの中でというお話でありますが、いまの扶養手当について、かつてあるような考え方はもちろんでありますが、較差配分としての問題が残るということは十分御理解いただけると思うのであります。
  87. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、総裁のその点については全然理解ができないのです。今度は木と石を比較するようなやり方でごまかしてはならない、木は木と比較してもらいたい。木と石を比較してこんな数字を出されたのでは人事院らしくないじゃありませんか。人事院給与上のいろいろな点は欠陥がある。欠陥があるけれども一つの方式を踏んでおる。これなどは踏まない。木と石を比較して官民対応等級の場合なんかについて比較する、こうなった場合には——まあ官民対応等級の場合は一応木と木を比較したようなものだ。ところが、この場合は木と石ですよ、比較は。こんな恥さらしみたいな比較はやめてもらう、そういう点を要望いたして、最後に行(二)の問題について、行(二)の問題についてはいろいろ毎年勧告のたびに努力をされてきておることは私どもわかっております。行(二)というのは私がたびたび言うように、昇給金頭が非常に少ないということ、もう一つは昇格が非常にめんどうだということ、ですから、行(二)の人たちは、これは行(一)に移せば五等級しか行けないのですから、俸給表土五等級しか行けないのです。そうでしょう、先を見ると五等級しか行けない。だから私は行(二)というものの昇格問題を、行(一)二等級から一等級に移るように、あるいは三等級から二等級に移るように行(二)の一等や二等、三等の昇格問題を取り扱ってはならないと言っておるのです。そうでしょう。依然としてその態度が十分改まらない。幾らか改まってきましたね。しかし、もっと行(一)の五等級しかならない。それとタイアップした俸給表になっておるのです。六等から五等に移るように、五等から四等に移るように、もう少し弾力のある昇格というものをやるということと、昇給金額がはなはだしく少ない。だから行(一)と比べて一緒に高等学校を出たが、五年、十年たっておるうちに非常に差が出てくるという不満が絶えないわけですね。その二つの点も配慮してもらいたいのですが、ことしはまだ昇給金額、昇給間差の問題については十分な配慮を払われておらない。ただ、昇格問題はこれからの問題ですから、人事院としてもう少し誠意を持って努力をしてもらいたいと思う。  以上で人事院勧告についての私の大まかな質疑を終わりたいと思います。
  88. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 行(二)の関係のことは御指摘を待つまでもなく、生活問題に直結しての深刻な面を持っておるという認識を持ちまして、従来改善につとめて、あるいは鶴園委員からも、とにかく改善のあとは見えるというおことばをいただいてお認めを願ったことに考えるわけでございますけれども、なお、私どもとしては、これで十分とは思いません。今度の改善をごらんになってもできるだけのことはやっておるわけであります。やっておるという御認識はいただけると思いますけれども、この態度で今後も努力してまいりたい。こういう気持ちでおります。
  89. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 非常に不十分ですね。私は二つ言ったわけです。昇格の問題を言ったわけです。昇格はこれからの問題です。  総裁、行(二)の問題はよく御存じないのじゃないですか。どうもそう思うな、いまの答弁を聞くと。行(二)の問題をおわかりになっておらない、問題点が。これは総裁ですからこまかいところまでなかなか目が行き届かないことはわかりますよ。しかし、いま一番大きな問題になっておるわけですから、行(二)というのは。局長、昇格問題について、それから任用局長にも聞きたい。だめですよ、こんな昇格、給与局長任用局長
  90. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 行(二)につきましては、ただいま総裁が申されましたように、人事院勧告におきましてもこれは一つの大きな重点として考えたのでございますし、行(二)につきましては、逐次改善の努力をしてまいっておる、これは初任給方面についてしてまいっておるのでございますが、今回もまたいわゆる免許制でないところの技能職員等につきまして、初任給の点の改善をはかるということをやっております。行(二)につきましては昨年もそうでありますが、今年もまた全体としては官民見合っておるという状況でございます。ただ、行(二)の中にもいろんな職種がございまして、ある場合には、非常に必要な職種についてどうも劣っておるというようなところもございます、というようなことでございますので、これは今後きめこまかく対処していかなければならないというように思います。  昇格の問題等につきましても、これは行(一)あるいはその相当等級とだいぶ性質の違うところがございまするので、同様の考え方でやれとおっしゃる点につきましては、これはなかなかむずかしい点があろうかと思うのではありまするけれども、しかしながら、従来、主として同一の考え方で、まあいわば一律的な感じの強かった、たとえば部下が何人というようなことのみ条件といたしまする昇格ということは、これは大いに反省してみる必要がある、そういう点につきましては、十分今後とも考えてまいりたい、そう思いまして、行(二)の点は十分今後対処していく、このように考えております。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 給与担当大臣である総務長官がお見えになりましたので、人事院勧告の中で、特に問題を、実施の時期、この一点にしぼって以下お伺いしたいと思っております。  人事院勧告が出た際、いつも例年同じように問題になるのは、実施の時期についてです。政府の立場からすれば、第三者機関である人事院勧告については、その趣旨からいってその性格からいって、当然これを尊重しなければならない。そして、尊重するというならば、完全実施に移すべきであるわけです。にもかかわらず、過去六年間にわたって一回もこれが完全実施されていないわけです。特に当面の責任者である給与担当大臣についてみても、最初の段階では実施の時期を含めて尊重いたしますと必ず明言されるわけです。にもかかわらず、最終的にはこれが尊重されていない。幸い、この面に理解の深い森総務長官が就任されたので、森総務長官就任第一発の仕事として、この完全実施に踏み切ってもらいたいと思うわけです。で、長官の御決意のほどをまずお伺いしておきます。
  92. 森清

    ○国務大臣(森清君) お答えする前に、ちょっとごあいさつ申し上げたいと思います。  私、今回、総務長官として給与担当いたすことになりました。よろしくお願い申し上げたいと思います。  さらに、きょうは第一回のこの委員会、閣議に引き続きまして新国際空港の協議会等で若干時間をおくれましたことをおわび申し上げます。  ただいまの御質問につきましては、私ども人事院勧告をそのまま全面的に完全実施をするということがたてまえでございまして、もちろんことしもその方針に従って努力をいたしたいと思いますが、いかんせん、例年のことでございますけれども、財源の問題、あわせて私どもの手腕力量の点もありまして、なかなかむずかしいことだと思いますけれども、私は担当大臣として極力努力いたしますことをお誓い申し上げます。
  93. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この勧告内容については、本日いままであらゆる角度から追及されてきて、その内容はきわめて不満のものであるということを明らかにしたわけですが、特に公務員諸君最大のふんまんの点は、何といっても、完全実施されていない、こういう点に最大のふんまんがあるわけです。ことしの勧告内容を見ると、きわめて低いものである。で、そのことは、裏を返せば、政府にとってはきわめて実施しやすいものになっておるわけです。  そこで、先ほどもお伺いしたように、森総務長官就任第一発の仕事としてですね、ことしこそ完全実施に踏み切るべき絶好の機会であろうかと思うんです。そういう意味合いから、ぜひそういう角度からもひとつ完全実施に踏み切ってもらいたい。政府のどの閣僚にお伺いしても、人事院勧告をどうするのだとお伺いすれば、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 口をそろえて必ず尊重いたしますと、これは終始尊重の一点ばりだ。ほんとうに文字どうり尊重するということであるならば、完全実施ということが当然出てこなけりゃならないが、こういう角度からひとつ長官はどうお考えになっているか。
  94. 森清

    ○国務大臣(森清君) 佐藤人事院総裁から勧告がございました日に、私はただいまのような決意のもとに、即刻関係の閣僚会議を開きまして、完全実施の方向にお互いが努力をすることを誓い合いかつ、即急に財源等につきましては検討するように依頼をいたしました。私どもはあくまでも完全実施がたてまえでございます。そのたてまえに向かって努力をいたします。
  95. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政府は憲法違反の疑いのある労働基本権に対する規制を公務員に対して行なっておるわけです。ところが、こと賃金問題に関しては、唯一の仲裁手段である人事院勧告についてはこれを連続じゅうりんしてきておる。で、政府については、公務員にはいろいろの順法の精神を機会あるごとに説いておるわけです。ところが、政府みずからは、この法の精神を無視して、勧告の実施の時期についてはそれをじゅうりんしておる、きわめて遺憾であると指摘せざるを得ないわけです。こんなことでは、佐藤総理が言われておる責任政治の確立などということはとうてい期待できないと思います。こういう点からも、本年こそひとつ責任政治の確立という線に沿うというならば、当然政府みずからも法の精神を尊重して、ということは、人事院勧告の趣旨、そしてその性格を本質をきわめて、当然完全実施に踏み切るべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  96. 森清

    ○国務大臣(森清君) 御趣旨に沿いまして、私どもこん身の努力をいたす所存でございますが、いまの段階におきましては、まだ財源等が、大蔵大臣等から出ておりませんので、さらに緊急第二次関係閣僚会議を開きまして、早急に完全実施の方向について検討し努力したいと思います。
  97. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もちろん財源の問題について検討を深める必要はあるわけです。しかしながら、その財源は基本方針がきまって、この基本方針を実施するという段階になってどうするか、そういう当然の問題が出てくるわけです。したがって、まず完全実施するのかしないのか。完全実施する——尊重するというなら、完全実施でなければならなぬわけですね。そういう基本方針を踏まえて、そして財源を考えなけりゃならぬ、こんなようなことになろうかと思う。  なお問題は、三公社五現業については、ここのところ四月一日実施になっておるわけです。同じ公務員でありながら、一般職公務員については、従来の例を言うと、多くは十月、そして九月ということで、この実施の時期は根本的にじゅうりんされてきておる。公務員公平の原則にも反するし、これはきわめて不均衡ではないか。特に総務長官は、言うまでもなく国家公務員制度の担当責任者であるわけです。こういうことからも、こういう立場からも、その問題には当然取り組んで、完全実施の線で最大限の努力をしてしかるべきだと思うのですね。この角度からもお伺いしておきたいと思うのです。
  98. 森清

    ○国務大臣(森清君) 仰せのとおり、三公社五現業とのこれの不調和は私ども率直に認めます。そこで政府としては、特に私、給与担当の者といたしましては、でき得る限り人事院勧告のとおりに完全実施の方向に、作業し、そういう考え方のもとに進めていきたいと思います。
  99. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この物価上昇は、私がここでるる言うまでもなく、引き続き上昇の一途をたどっておるわけです。そういう情勢の中で、低い給与勧告がなされておる。しかも、実施時期については繰り返し申し上げるように、過去においてはそのつどじゅうりんされてきておる。公務員生活の苦しいゆえんのものはこの辺にもあろうと思うわけです。こういう状態の中にある公務員としては、いわゆる職務に専念するという勤労意欲、こういうものはこのままではあがってこないということが憂慮されるわけです。加えて、ただいまも指摘したように、三公社五現業と比較しても、その実施については大きな不均衡がある。このままではほうっておけないと思う。こういう角度から、当然本年こそ完全実施をしてしかるべきだと思うわけです。この点いかがですか。
  100. 森清

    ○国務大臣(森清君) 全く仰せのとおりだと思います。ただいまの段階におきましては、私といたしましても、極力、その御趣旨に沿い、かつ、人事院勧告の完全実施は私どもの当然の義務でもございますし、そういう方向に努力いたしたいと考えております。
  101. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この人事院勧告が、例年完全実施されないために、当委員会においても、与野党一致で完全実施すべきであるという意味の附帯決議がなされておるわけです。  それに対して、給与担当大臣を中心に政府の関係大臣は、必ずこれを尊重すると——口では尊重すると言われておるにもかかわらず、この附帯決議は無視し続けられてきておるわけです。ほんとうに尊重するというなら、これは実現に移すべきなんです。附帯決議がなされたゆえんのものは、いままで言った趣旨から当然に附帯決議が、しかも与野党一致でなされておるわけですね。繰り返しなされておるにもかかわらず、尊重すると甘いながら、少しも尊重しないわけです。尊重すると言うなら、この附帯決議の趣旨に沿うて完全実施に踏み切ってしかるべきが当然のことだ。にもかかわらず、行なわれていない。完全実施されていない。きわめて遺憾なんです。やはり、何といっても、閣僚の中で、給与担当大臣としての総務長官に最大の責任はあろうかと思うんです。  そこで、尋常一様の努力では、なかなか従来完全実施されてこなかったんだから、最大限、最高度の努力をもって、ひとつ職を賭してでもまず完全実施を私の使命とするというくらいの大きな決意のほどが伺いたいと思うわけです。
  102. 森清

    ○国務大臣(森清君) 与野党一致しての毎年の附帯決議、これも承知をしております。さらに、いままで、過去を振り返ってみまして、完全実施されていない現実も私は知っております。  そこで、ことしは何とかして完全実施の方向にいくための努力を私は担当大臣として極力いたしますことを申し上げまして、非常に毎回重ねたようなお答えで恐縮でございますが、覚悟していこうと思っております。
  103. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この給与に関する関係閣僚会議について、今年春、今年の人事院勧告は従来どおり、四月調査、八月勧告で行なう、こういうことを決定しておるわけです。そこでお伺いするわけですが、この決定に至るまでの経緯についてまずお伺いしたいということと、この決定は勧告を本年は完全実施するということを前提に行なったものと解すべきだと思うわけですが、この点はいかがですか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  104. 森清

    ○国務大臣(森清君) 勧告の時期につきましては、御承知のとおり、まことに問題があると思います。そのことにつきましては、当面の人事院におきましてもさまざまな案を検討して、結局本年もこれでいくよりしかたがないというので出されたものと私は解釈しております。そこで問題になりますことは、それを受けた政府として、われわれはこれをいかに完全実施するかという努力がなされなければならないと思いますが、その方向に従って私どもは極力努力いたす所存でございます。
  105. 北村暢

    ○北村暢君 関連。この問題は人事院勧告の時期の問題、いま伊藤委員から質問されたのは、どうも四月の民間給与調査して八月に勧告したのでは、さかのぼって実施するということについて予算上からもなかなか問題があるということで、それじゃ、あらかじめそういうことを予測して年度当初に予算を編成したらいいじゃないかとか、あるいは勧告が八月になるからおくれるので、その勧告が早くなるような方法はないだろうかというようなことが前任者においていろいろ検討されたわけですよ。その結果、従来どおり四月調査、八月勧告、こういうことになった。これはおそらく政府と人事院と協議されておるのじゃないかと思います。それは前任者は人事院勧告を完全実施するのにはどうしたらいいだろうかということで頭を悩まして検討した結果なんです。それで従来の方式どおりいくということになったのだから、それじゃ従来どおり八月勧告になっても政府としてはそれでも完全実施でやっていけるのだ、こういう結論に達して従来どおりということになったのでなければ、これは前々から問題になっておって、政府とてもかなり検討された事項なんです。したがって、完全実施は従来どおりになったので、政府は完全実施にこれから努力するのですというようなことでは、前回、前々回とも繰り返してやっておるわけです。同じことなんです。そうでなしに、検討した結果がそういうふうになったのだから、今回は完全実施ということが前提になっておるのだということではないのかと、その経過を私お聞きしておるわけなんです。ですからこれは人事院総裁とそれから総務長官と両方から、協議があったのかなかったのか、その経過を聞いておるのですから、経過をひとつ説明してください。何らか相談があったのかなかったのか、人事院総裁どうなんですか。
  106. 森清

    ○国務大臣(森清君) 私の就任前でございますし、私はただいま仰せられるような方向で了解はしておりますが、さらに詳しくは局長から報告いたさせます。
  107. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) ただいま御質問の最初になっております事項でございますが、人事院勧告を受けましてそれを政府が実施いたします際のいろいろな問題点につきましてはすでに周知のところでございますが、いずれにしましても結論的には人事院勧告がそのまま実施されていないという事実、その事実を前におきまして、どうしたらその問題の解決ができるのかという意味での検討を実は数年来政府としてもやっておったわけでございます。なかんずく衆参両院の内閣委員会の際帯決議もございまして、さらにそれを一そう具体的に進めてまいったのでございますが、今年三月二十三日に一応結論といいますか、そういうところに達したという経過、それは大体御承知のとおりでございます。ただし、その結論としましては、先ほども御指摘がありましたように、人事院昭和四十一年度における勧告の時期、調査の時期等は従来の方式によってやる、しかし、四十二年度以降については、さらに引き続き検討するという内容でございますが、これにはもちろん、関係者僚のほか人事院総裁も御出席でございまして、そういうことになったのでございます。お尋ねの、そういう結論になったことは、従来の方式においても完全実施をやるということでそうなったのではないかというふうに私お聞きしたわけでございますが、もちろん全体といたしまして、完全実施をやるのにはどうしたらいいかという意味検討してまいったのでございますが、ただいま申し上げました結論といたしましては、実はこれを解決すべき非常に有効な方法がないというのが実態でございます。したがいまして、この際は、従来の方式を改めるという結論が得られないという意味で従来どおりということになったわけでございます。しかしながら、これで問題は全部解決したというふうに全然考えていないわけでございまして、四十二年度以降の分については、さらに引き続き検討を重ねる、こういうことになったわけでございます。
  108. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連しまして……。いまの三月二十三日の五人委員会ですね、この五人委員会結論は、いま局長が答弁のように、従来どおりということなんですが、それは結局長い間かかって、財源措置の問題等を含めて考えれば完全実施ができるじゃないかという主張か行なわれ、それも新聞等の報道によりますと、一つの大きな議題になっておるようなんですが、財源措置も含めて四月調査、八月勧告という、従来どおりということなんでしょう。そうすると、せっかく五人委員会で努力してみたが、何らの結論もなかった。あったのは従来どおり、元も子も全く前のとおりということになれば、財源措置を含めなければ五月一日実施ということはできないという考え方、いま給与担当の大臣は五月で努力されると言うのですが、財源措置を従来のままで五月一日というのは、私はいささか白々しい感じがするのですが、大臣どうです。その前に局長答弁でもいいですよ。局長はよう知っているのだから、あなたどう考えるか。
  109. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) まあ人事院勧告の扱いにつきましては、先生も御指摘のように、また五人委員会でも検討いたしましたように、勧告をやる人事院の側のこれは何といいますか、改善策といいますか、それとそれから勧告を受ける側の内閣としてどういう措置の対策があるかという二面があるわけでございます。勧告の時期の問題、これは年度途中に行なわれて、しかも年間の給与費に相当影響を与えるようなものを年度途中で行なわれるということは困るという意見はかなりございます。その点は御承知だと思いますが、それに対してどうするかということは、実はこれは人事院自身の問題でございまして、内閣調査をいつやり、勧告をいつやるかということは内閣自身が決定すべき問題ではないわけでございます。しかしながら、それはそれとしましても、まあいろいろな関係者が何か方法がないかという意味で研究することはいいという意味において、政府において研究いたしたわけでございます。もちろん人事院の御意見もお聞きしながら検討したのでございますが、この調査時期なり、あるいは当然の結果として勧告の時期等については、少なくとも現行制度のたてまえからいうと改善するといいますか、これを変更する余地がないというのが一つ結論であったわけでございます。  それからもう一つは、今度はそれでは内閣勧告を受ける側としましてこれにどう対処するかという問題につきましては、まあいまもお話がありましたように、当初予算に何らか勧告というものを予定しました貯源措置をするかどうか、できるかどうかという問題、これには実は申し上げるまでもなく、予備費というような形も考えられますし、それから予備費外でもって給与改善費というようなものを計上するということも一応は考えられるわけでございますが、これを一々申し上げると時間がかかりますけれども結論的に申し上げますと、給与法定主義から言いますと、給与法の改正の法律改正でなしに、給与改善費を予算の上に組むということは現行制度では許されないということが一つ。それからもう一つは、予備費でもってある程度の給与改善費を見るということは、予備費の性格から言いましてそこに一つの限度があるということは申し上げるまでもないわけでございますし、しかも予備費でもってある程度金額を予定すると、そこにはめ込むということはやはり給与改善率、あるいはいわゆるアップ率というものを政府みずから予定するということになるわけでございますが、この予定は実は非常に危険な困難な問題をはらむわけでございます。そういう意味におきまして、端的に予備費でもって計上するということについては非常に問題がある。こういうことであらかじめ何らか予算の上で財源を設けるということにつきましては、結論としましては否定的というか、消極的な結論に達したわけでございます。そこでそれなら一体どういう道があるのかということにつきましてはこれはまたいろいろろ意見がありまして、最終的にそこでどうすればよろしいという結論を得られなかったというのがこれが実情でございます。しかしながら、それはそうでございますが、ただいまお話もあったのでございますけれども、それじゃそれでどうしようもないからということで政府が手をこまねいているというわけにはいかぬのじゃないか、そういう事情があるにしても、政府としましては、人事院勧告のその完全な実現をはかるということはいかなる場合においても責務として考えなければならない、そういう意味で今回の勧告に対しても臨むわけでございますが、それを実施いたしますのは何と言いましても財政の問題、これが相当な影響を持つわけでございます。それらの財政の事情は、私から申し上げるまでもないことでございますが、年々いろいろな情勢が変わっております。まあ従来かなり自然増収があったものが最近は自然増収をほとんど見込めない。あるいは予定の収入も得られないというような状況もあり、一方でいろいろ景気回復の措置もとられる。で、今年あたりは昨年とは必ずしも同じ状態ではないのじゃないかというような意味で、いろいろな事情があるわけでございます。そういう問題を勘案した上で現状において許される限り最大限度の努力を政府としてすべきではないか。私どもはそういう考え方でやっているわけでございます。
  110. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま局長の答弁があった、そういうものを踏まえまして伺いたいのです。私は先ほど大臣の答弁を聞いておって、まあたてまえはそうですから答弁はうなずけますし、お気持ちもわかります。しかし、いま局長が答弁をしたように、この完全実施という、つまり五月一日実施というためにもいろいろこの五人委員会で論議があった、しかし、どうもその方法が見出せなかったという結論ですね。がしかし、完全実施ということを政府も尊重して実施していくのだという政府の義務があるのだから考えていくのだ——具体的な方法がないようですね、ぼくが言うとおりに。いろいろ考えてみたけれども結論はなかったわけですよ。そこで、その上に立って一体大臣どうなんですか。もっとびしっと答弁してもらわぬと困るわけですが。
  111. 森清

    ○国務大臣(森清君) 調査の時期あるいは勧告の時期、こういったものに対しては確かに五人委員会人事院との間には十分な話し合いもいたしました。ただいま増子局長からお答えもいたしましたように、その結果去年と同じように今年も八月に勧告したというようなことになった。問題はその時期が八月という時期であるために一体その財源はどうか、これが一番問題になるわけであります。この財源確保の問題はこれまた増子局長が御答弁申し上げたようなことで、私どもといたしましてもこれを一番問題としておりまして、もともと人事院の創設の趣旨からいきましても、われわれは人事院勧告をともかくすなおに、しかも誠実に実施するたてまえでなければならぬ、これは当然なことだと思います。そこで政府といたしましては、完全実施ということはたてまえであっても、その結論となるものはどうしても財源ということになりまして、そこで勧告をお受けして以来、私どもが非常に頭を痛めているところもそこにあるわけであります。理想並びにわれわれの方向、われわれの決意というものは何べんか私が申し上げたとおりでありまして、したがって、五人委員会——もっとも最近経済企画庁長官が一枚加わりまして六人委員会になりましたが、この六人委員会でともかく完全実施の方向に向かって努力を重ねていく、こうお答えするよりいまの段階としてはやむを得ないのではないかと、こういうふうに思います。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あと一点ですからついでにお伺いいたしますが、いまの論議についても、問題は政府に完全実施しようとする意思があるかないかによって分かれていると思うのです。やれ財源が困難とか、やれ国民経済全般に影響があるからということで公社、現業が四月一日に実施されているにもかかわらず、公務員の不均衡ということを、都合の悪い点はたなに上げておいて、ただ財源が困難、国民経済全般に影響を及ぼす、こういうことだけを毎年毎年繰り返して、結局最終的には尊重する尊重すると言いながらこれをじゅうりんしておるわけです。これは例年繰り返しておるわけです。したがって、ほんとうに政府に完全実施しようとする腹があるならば、これは当然完全実施されておるわけです。にもかかわらず、完全実施したくない、人事院勧告内容はともかく、実施の時期については完全実施したくない、こういう腹を政府は持ち続けてきたわけです。こんなことでは、先ほどもお伺いしたように、責任政治の確立などはとうてい期待できないと思うのです。口でいろいろ都合のいいことを言って、さて実施になると財政困難ということを繰り返して、国民経済に影響がある、こういうことを例年例年繰り返してきている、こういうことでは結局ことしも尊重するということを言い続けて、最後には結局実施時期についてはじゅうりんするということになるわけです。そこでどうしてもこの際は、ひとつ抜本的な考え方をもって先ほど局長からも、あらかじめ予備予算を組むことは都合が悪い、それは都合の悪い面もあるが、プラスになる面も大きいのだから、一つの例であらかじめ人事院勧告を期待して予備費を組むとか、そういう財源措置を組んでしかるべきで、そういうことによってはじめて政府の誠意がわかるわけです。何ら誠意を示していない、ただ勧告が出ると尊重するということで終始表面はごまかしている、これを少しも尊重していないわけです。これを五回、六回毎年繰り返してきたわけです。そこでどうしてもこの際はひとつ完全実施に踏み切るためにそういうまず腹をきめる、きめることによってこれを当然完全実施に移す、表面だけは尊重するということでごまかさないで、ひとつ終始完全実施の線で一貫してもらいたいと思うわけです。財源困難と言いながらもほんとうに出す気があれば、財源はどこからでも出るわけです。必ず出るわけです。出す気がないから出ないわけです。出ざるにあるのではなく、出さざるにあるわけです。毎年同じわけです。こういうことをよくかみしめていただいて、ことしこそこの問題を当然解決すべき機会であろうかと思うのです。先ほども言ったように、今年の勧告内容はきわめて不満の多いもので、結局相当低くて、政府にとっては、このことは実施しやすいことになるわけです。したがって、先ほどもお伺いしたように、今年こそ完全実施に踏み切るべき絶好の機会であると、われわれとしては考えられるわけです。ひとついままでの尊重するということのことばを繰り返されないで、私は完全実施に踏み切ってもらいたい。  そこでお伺いするわけですが、この勧告の実施について、五人委員会は今後繰り返されると思うわけですが、昨年は十月下旬になってようやく結論が出たわけです。きわめて怠慢と言わざるを得ない。そういうことでは相ならぬ。勧告を尊重するという基本的方針を踏まえてやるならば、この結論ももっと早く出てしかるべきだと思う。  そこで、五人委員会は、さらに今後話し合うことによってそういう結論が出るかと思いますが、給与担当大臣としての総務長官は、一体いつごろ結論を出すお考えなのか、一応ものにはめどがあるわけです。めどを置かなければいかぬ。大体いつごろまでに結論が出せるか、めどのない仕事というのはあり得ない。いかなるものも、必ずめどをつけてそれに向かって努力する、できるできないということはまたそのときの情勢によって変わるわけですけれども、一応めどがある。そうい意味給与担当大臣としては、いつごろ結論を出したいというお考えなのか、そのこともあわせてお答えいただきたい。
  113. 森清

    ○国務大臣(森清君) 私は給与担当の閣僚でございますので、前段の御質問に対しましては、最後まで完全実施の方向に努力をいたしたいと思います。  第二の問題につきましては、勧告があったその日に、私は給与関係閣僚会議を開きまして、その際、例年の例はとらずに、可及的すみやかに——特に佐藤総理の指示もございまして、この結論を出すように努力しようじゃないか、そういう心がまえで作業をしてもらうように、各閣僚に依頼をいたしてございます。  第二回目の会合はおおむね九月中旬ごろに開きたい。そこで大体のスケジュールがきまると思います。
  114. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、先ほどもお伺いしたように、昨年の場合は十月の下旬になってしまったわけです。そこで問題は、勧告を尊重する基本方針はもう確立されておるわけです。これは確認できると思う。そういう基本方針が、もうすでに明確になっておるとすれば、その線に沿うて結論がもっと早く出てしかるべきだと思う。そこで大体いつごろをめどにやられるのかということをあわせてお伺いしておるわけです。おおよその担当大臣としてのめど——そのときに出ないからうっかり答弁できない、そのときにまた公約したから追及されるなんというそういうことを何ら心配されないで、確約ということでなくて、めどは一体いつごろかということをお伺いしておる。
  115. 森清

    ○国務大臣(森清君) 先ほども申し上げましたように、私は第一回の関係閣僚会議を即日開きました。そこで可及的すみやかな時期ということで要請をしてございます。それには、まず大蔵省が財源等について一応の目鼻をつけなければなりませんので、その数字が出るのが九月の半ば、それが出たならば、これまた一日も早くというつもりで作業をしておりますので、それが十月の半ばか、十月の終わりか、十月の初旬かと言われましても、私は第二回目の会合を持たないと、私としては明言できないわけであります。しかし、何としても、一刻も早く私は作業をしたい、こう思っております。
  116. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に、要望を申し上げておきたいと思うのですが、この完全実施については、以上いろいろな角度からお伺いしてきたわけですけれども、ひとつ基本的に、まず今年こそ完全実施しようという決意を固めて、その線に沿うて財源は必ず捻出できると考えられるので、今年こそ、ひとつぜひ完全実施に踏み切ってもらいたい、そうしてその決定の時期については、いま御説明がございましたけれども、九月中旬になって数字内容が出るということですが、昨年は十月下旬になってしまったわけです。ということは、ますます事を混乱に導くというゆえんにもなるので、ひとつ一刻も早くこれが結論を出せるよう、最大限の努力をしてもらいたいということを強く要望するわけです。お伺いすれば、努力いたします、努力いたしますと言う。国会で、努力いたしますという答弁をするというのはそうむずかしいことじゃない。ただ、その裏書きが必要なわけですから、そのお答えに反しないように最大限の努力をして、ひとっことしこそ実現してもらいたいということを重ねて要望申し上げ、本日の質問を終わります。
  117. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私も大臣にひとつ、強く要望いたしておきたいと思いますが、これは御承知のように、三十五年から十月一日実施というものは五年続きましたね。いま九月一日実施というのが二年続いたわけです。去年私どもは、もうぎりぎりのところまできた、これからさきにころがっていくというふうに見ておったのですが、先ほど人事局長が答弁のように、茶々が入ったような形でごたごたしたというように思っています。勧告は、御承知のように、ことしの五月から来年の四月まで、毎月六・九%引き上げろということなんです。それが五月、六月、七月、八月、四カ月も実施しないわけですね。そうしますと、十二カ月の四カ月ですから、三分の一削るわけです。そうしますと、なべて言いますと、六・九ではなくて四・六の実施になるわけですね。来年また勧告があるでしょうが、また値切られてしまう。毎年はなはだ不満なんですよ。まあ非現業の公務員は、団体交渉権、つまり協約権を含んだ団体交渉権がない。争議権がない。そのかわり人事院ができている。だから、それにふさわしい取り扱いをしてもらいたいのに、逆に、そんなものがないからというので、いつも勧告を四分の一に値切って、いじめているという印象を与えているのですね。ですから今度は、若い張り切った給与担当大臣が出て、私ども大いに意を強うしているのですが、ひとつ二年続いた九月一日を、ぜひ動かしてもらいたいということを要望いたしまして、終わりたいと思います。
  118. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記起こして。
  120. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いろいろ皆さんから御質問があって、私は最後に一つだけ質問さしていただきたいと思う。それは、たとえば県立の大学とか、あるいは病院とか、そういうものが最近、国立に移管をいたしております。例を申し上げますならば、兵庫県では県立医大が国立になりまして、移管をいたしました。そのために、看護婦さんとか職員給与がだいぶベース・ダウンになるわけです。一番ひどいのは、看護婦さんの平均が約九千円あまり、ベース・ダウンになる。いまこの問題で非常に騒いでいるわけですけれども、このようなことを人事院のほうはどのようにお考えになられますか。このことをひとつ。
  121. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 御指摘のような場面が最近、ちょいちょいとございます。特に、この間伺ったのは、兵庫県の関係でもそういうことがあるということを、兵庫県の知事さんから話を聞いた覚えがございます。これは原則は、国は国としてやはり全体の職員の秩序というものができておりますから、初めから国家公務員であった者として移ってこられる職員につきまして、その人が初めから国家公務員とすれば、これだけの経歴をお持ちになればどのくらいのところまで給与がいくかという基準でこれは原則としてやります。やりますが、私どもはこれは非常につらい話ですけれども、地方によっては国家公務員以上の給与をとっているところが相当ございまして、いまのお話のように、そういうことになる場合もあると思います。そういう場合に、これは困るということでわれわれのほうで冷たく突っ放すわけにいきません。なにも御本人の意思でそういうことになったわけではないのですから、個人個人の公務員の方を考えますと、理屈だけでもまいりませんから、そういう場合には、まあごく例外的ではありますけれども、若干の手かげんをしております。ただし、その手かげんの範囲は、同じ立場におられる現職の国家公務員の人たちとバランスを非常に失してもまた困ります。そのバランスを失しない限りにおいて、できるだけのことをしてさしあげているということでございます。
  122. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いままでにも、そういうふうに国立に移管したためにベース・ダウンになったというような例がございますか。
  123. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 岐阜県にやはり同じような例がございました。
  124. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その場合には、どういうふうな手当てをなすったのですか。
  125. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま総裁が申し上げましたように、原則は、そういう方々が初めから国家公務員であったならばどういう給与になっておられるであろうかという、そういう原則に立ちまして、給与を再計算していくということでございます。ところが、地方によりましては、国の水準よりも高いことをおやりになっているというようなところもございますので、その場合には計算して、国では幾らになるかということをやってみますと、下がるような結果になる場合が往々にしてあるのです。これは全体的に見ますと、非常に遺憾であると思うのです。やはり地方が国よりも高い——これは地方の全部ではございません。それは、どこかおかしいところがあるのじゃないか。おかしいと思うのでありますけれども、しかし、先ほど総裁も申し上げましたように、個々の方に責任があるわけじゃない。われわれはできる限り有利に、下がらないように、あるいは極端な場合はしばらく昇給ということはがまんしていただいてというような方法をとる場合もあります。まあできるだけ下がらないように努力して給与の決定をする、こういうことであります。
  126. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 給与を下がらないようにということでも、平均で九千円というようなことですと、これは相当大きな額になります。たとえば等級ですね、一級とか二級とか、そういう等級は上げられないにしても、せめて号俸ですね、それをいいほうの号俸にかえていただく、こういう措置でもできないものでしょうか。岐阜のときはどういうことをなすったのですか。
  127. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 繰り返し申し上げるようで恐縮でございますが、やはりそういう職員が初めから国におられたならば現在どういう号俸になっておられるだろうかということで号俸はきまってまいるのであります。それを飛びこえて、五号も高いものをきめるということを任意にやるわけにはまいりません。これは、国に初めからっとめている人の全体的な均衡関係というものがございますので、そういう場の中で均衡を保っていかなければならぬということがございますから、したがって、限度のある話でございます。平均で六千円もあるいは九千円も下がるというのは、よほど地方が圏の水準からげたをはいたやり方をやっているような、別の表現にもなるわけです。そのこと全体を改めてもらわなければ困るので、しかし、個々の場合にはそういうことも言えません。したがいまして、そういう場合には、その職場における全体の均衡感を失しない範囲内におきまして、不利にならないように決定をするよりしかたがないと思います。
  128. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 どうかしますと、いま看護婦さんが非常に足りませんね、ですかね、そんなにべース・ダウンするなら、むしろせっかく国立に移管になったけれども、国立病院をやめて、もう一ぺんほかの県立病院につとめなおそうかというような話が、看護婦さんの間に相当険悪な空気として流れているのです、何とか県のほうによく勧告するか、あるいは人事院のほうでほんとうに十分手当てをしていただかない限り、いまでさえ看護婦さんが足りないのに、国立病院から看護婦さんがやめてしまって、県立のほかの病院につとめかえるという、こういうことになったらたいへんな問題でございますので、十分このことを考えていただきたいと思いますが、そのお考えはございますでしょうか。
  129. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 従来の考え方は申し上げましたけれども、具体的の問題につきましては、その方向でまたできるだけのことはいたしたいと思います。
  130. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 終わります。どうもありがとうございました。
  131. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 森総務長官にちょっとお尋ねしますが、先ほど伊藤委員からもお話がありましたので重複いたしますが、今回の人事院勧告のやはり中心点は、勧告の実施時期だと思うのです。実施時期だと思う。従来一回も完全実施したことがない。しかも担当給与大臣は勧告を十分尊重いたしますと、尊重という意味ですね、尊重という定義を私はまず総務長官に承りたい。どういう意味ですか、尊重という意味は。
  132. 森清

    ○国務大臣(森清君) 尊重という意味は、当然人事院から勧告なされましたこと全部を含むものだと解釈しております。したがって、実施時期等については五月から、こういう意味でございます。
  133. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 先ほどもお話があっておりましたように、完全実施をする、それが尊重だと、こういう長官のお考えでありますので、当然本年は人事院勧告どおりに五月にさかのぼって完全実施があるものだと、私らは承知いたしますが、先ほどいかんせん財政の問題でこれがどのようになるか、いまここではっきり申し上げかねるというような意味の御答弁があったようでありますが、そういうことになりますと、これは先ほどお話があったように、例年同じことを繰り返すのであって、五人委員会なんかでも十分検討されたけれども、その結果は従来どおりにするんだという、何ら明るい見通しの結果は出ていない。そこでです、そこで、今度新しく就任された森長官に、私が絶対の信頼をおいてあなたに期待をいたしておりますが、ここらひでとつ新しく勧告に対してあなたの手腕を示していただきたい、このように考えておりますが、どうあなたはお考えになりますか。
  134. 森清

    ○国務大臣(森清君) 私は、御承知のとおり給与担当でございまして、私の立場といたしましては、当然完全実施の方向に最後まで努力しなければならぬと思っております。ただし、政府におきましては、御承知のように、五人委員会がございまして、たとえば大蔵大臣は財源の問題で、あるいは経済企画庁長官は国民生活に及ぼす影響等の立場からさまざまな点見が出てくると思います。しかし、総務長官といたしましては、これはあくまで完全実施の方向にこん身の努力を傾ける所存でございます。
  135. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは以前、安井長官のときにも私は申し上げたのですけれども、このように勧告を尊重すると口にしながら、事実においては勧告を無視する、こういうようなことでわが国の官公部門の労使関係が非常に私は悪化しつつあるんじゃないかと、その因はこういうところにあるんじゃないかと、このように考えますが、長官はどのようにお考えになりますか、その点を。
  136. 森清

    ○国務大臣(森清君) 厳正な第三者的な立場にある人事院が、しかも、その立場において勧告したことが、実際上政府の立場に立って考えたときに、それが完全実施されないとき、労使の間のさまざまなトラブル、いま仰せのような問題に派生してくると私は思います。したがって、私はこういう問題を論議するにあたりましては、当然人事院勧告したその線に沿って完全実施の方向に最大の努力をすべきものが私は当然の姿であると、こう考えます。
  137. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 都合のいいときには尊重するんだと言いのがれをして、都合が悪くなれば言を左右にして完全実施をやらない。そして公務員にのみ種々の制約を加えると、これでは私はほんとうの民主的な行政とは言えない。この点をはっきりしていただかないと、将来大いに禍根を残していく、人事院の存在すら私は危ぶまれるんじゃないか、こういう点を、先ほどからお話のあっておったとおり私も同感でございますが、その点、長官どのようにお考えになりますか。
  138. 森清

    ○国務大臣(森清君) いままでの例を見てみますと、確かに完全実施をほとんどしておりません。そこでしていない理由は、もう御承知のとおり、ただいま申し上げましたように、財源の問題とか、国民生活に及ぼす影響とか、さまざまな理由がございます。そこでそうしたことを克服してもなおかつ完全実施の方向に力強く進んでいきたいということは私どもの念願でございますけれども、しかし、それと同時に、国全般の経済、国民全般の生活の安定、その他生活に及ぼす影響等を考えたときに、従来の、過去のさまざまな、毎年毎年行なわれたところの実績を見てみますと、私どもとしても当然うなづける部面もあることをあわせて考えておかなければならないじゃないかと思います。
  139. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 毎回同じことを繰り返しても、例年のことですから、長官におきましては、今年度は格別の御配慮を願いたい。強くそれを要望いたしておきます。  それから人事院総裁にちょっとお尋ねいたしますが、先ほどからほとんど質問がありましたので、これは重複するようなことになれば、これはたいへんお気の毒ですが、今回のこの勧告は、官民給与比較ということに重点をおかれて、消費者物価上昇率という点が私は案外加味されておられぬように、勘案しておられぬように思う。統計局の資料によって、去年の四月とことしの四月を比較してやっておられるようですけれども官民給与比較ということに重点がおかれて、そういう点が非常に薄いような気持ちがいたしますが、人事院総裁の御見解を承りたい。
  140. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その点は、私ども立場としては基本的な問題でございまして、先ほども触れましたように、私ども官民給与比較重点をおいてとおっしゃいますけれども、むしろ官民給与比較そのものを基礎にしてと、こう申してよろしいくらいに、それを前提にしておるわけでございます。ただいまお話しの生計費なりあるいは物価の上がりという点は、これは民間給与の中に当然織り込まれておる、あるいは当然反映しておる。したがいまして、その民間給与を直ちにつかまえれば物価の問題、生計費の問題もその中に織り込み済みのものとして比べれば、適正な比較ができるだろうというたてまえをずっととっておりますから、民間給与との比較のほかに特に物価生計費の上がりを別の要素として給与パーセンテージの中にこれを加えるというようなことはいたしておりません。ただし、先ほども触れましたけれども初任給の、ことに高校卒初任給をきめます場合におきましては、これは標準生計費というものをとらえまして、独身男子の標準生計費をもってそのささえとする。したがいまして、この標準生計費の場合においては、家計調査の結果、あるいは物価の上がりが当然織り込まれるわけです。そしてその結果、今回の勧告におきましても、標準生計費ささえによって、初任給の面で相当上がっておる。そういうような面、及びただいま、この全般的な一年間を通じての物価の上がりというものは、これは先ほどもやはり触れましたように、たとえば春闘の積み残しを取り入れるというような問題についてのこれは大きな裏づけにしておる。このような意味から、あるいはまた、配分の問題についてもそうでございます。そういう意味においてこれを取り上げる、こういうたてまえになっております。
  141. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは官民給与比較ということがそれが中心でね、それがむろん基本になっておると思いますけれども、やはりこの消費者物価の率、あるいは生計費ということを私は十分考えてこの勧告がなさるべきものであると、そのように思うのですね。そういう点において、私は非常にこれは不満な点が多いのですが、当面のこの勧告は上厚下薄の傾向を解消して、いわゆる上薄下厚という精神のもとに勧告をしたとこうおっしゃっておるのですが、どうも私どもがこの表を見るというと、うなずけない点が多い。先ほど鶴園委員からも詳細にお尋ねがありましたので、再びどうかと思いますが、たとえば五等級の現在昇給が二千百円のが二千二百円になっている。千九百円が二千二百円になるのだ。まあ百円から三百円の間がこの五等級と。ここでみなためておる、上に上げないで。わずか二百円か百円の昇給でためるよりも、私は、四等級に上がることをみな望んでおるのだと思う。ここへためるようにしたということは、これはむしろ、私は、中位の人々を非常によくしたのだと、優遇したのだとあなた方はおっしゃっておるけれども、私はそうじゃないと見るのですね。ここをどういうふうにお考えになりますか。
  142. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) その辺にためるようにしたとおっしゃいますけれども、実は自然にたまるような傾向になってきた。(笑声)いや、お笑いになりますけれどもね、終戦後にたいへんな公務員の膨張がございまして、その時期の人がだんだんだんだん昇進してまいりまして、昇給してまいりまして、今日のところ中ぶくれがその辺のところに集中しているというわけで、これは人事院が別にそうしたわけではございません。自然の勢いとして……。しかし、自然の勢いであるとしてほうってはおけません。これは重大な問題でございますから、私どもとしてはその点を直視いたしまして、その辺のところの給与の間差その他についてできるだけの手当てはいたしました。こういうお答えになるわけでございます。
  143. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 人事院がしたのじゃない、自然にたまったのだと。自然にたまるならば、その自然にたまったのをたまらないようにするのが人事院じゃないですか。あなた、そんな妙なことを言うけれども、そういう詭弁を弄しちゃいけませんよ。これは国家公務員が多くなったから、われわれがやったのじゃない、自然に吹きだまりができたのだ——。たまりができたならは、それを、たまりを上に上げるようにするのが当然じゃないか。局長そのところがわかればはっきりしてください。ふざけたことを言うのじゃない。
  144. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは現在あります等級というのは、職務と責任に基づいてあるわけでございます。先ほど鶴園委員から、現在のところ、職務と責任という観点から見ても現在の等級制度は不適当じゃないかという御批判があったわけでございます。そういう点につきましては、今後の問題として十分考えなければならぬという点はもちろんでございますけれども、現在われわれがやはり本省段階あるいは官公局の段階、あるいはさらに県段階、いろいろ役所の性質がございますが、それに応じまして職務の段階が現在やはり相当あれで表現されておると、こういうふうに思っておるのでございます。そこで等級を上げるということは、やはり職務と責任に応じまして上の段階になるということが等級を上げるということでございまするので、ただ単にそういうことを無視しましてこれを上げていくということは、これはなかなかむずかしい。やはり現在の公務員法なり給与法なりの精神から申しましてもむずかしい問題であろうというふうに思うわけであります。しかしながら、現に、ここ終戦後、公務員に入ってこられた方で相当熟達して仕事ができるという方も多いわけでありますから、先ほどもちょっと申したのでありますけれども、専門職制度というものを活用いたしまして、そういう方々は職務の段階という面よりも別の面でこの等級を上げていくということをいたしておるのでございます。級、六等級という辺で単に百円程度昇給の幅を広げてそれで事済むというのは何事であるかというお話でございますが、たとえば五等級、六等級、一例といたしまして六等級の先ほども申しました八号俸という辺で見ますると、引き上げ額自体を二千二百円、去年も二千二百円、したがいまして、昨年とことしと合計すると、この六等級号八俸というところは四千四百円上がっておるということになる。昇給間差額を広げたということは、いま直ちにそこで効果を発揮するというよりも、むしろ今後そういう号俸を経過して昇給されまする方々にとって効果があらわれてくる。だからむしろこれは、一号俸のところでどれだけ、二号俸のところでどれだけというふうに、累積的にこの金額を見ていく必要があろうというふうに思うのであります。将来にわたって功を奏するようにしておるということでございます。総じまして、われわれは現在の段階におきまして、でき得る限りの手当てをしております。しかしながら、これでもう万事終われりとは決して思っておりません。したがいまして、等級制度につきましては、今後十分なる検討を要すると同時に、あるいはこの辺の号俸の金額、あるいは昇給間差額等につきましても、さらに今後に努力を続行していく必要があると、このように考えております。
  145. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私らがこうして指摘するとあなた方はいつも、大いに今後考究すべき脈が多いとか、考究しますとか、間差額でももう少し上げたいとかそういうことをおっしゃるけれども、そういうことをわれわれが指摘しないうちにやってもらたいですね。指摘したらあなたそういうことを言われますけれどもね。だからこれにも「中位等級以下について特に配慮した。」、特に配慮したのが百円だ。まあ百円から三百円ということになっている。特に配慮したのだね。百円ぐらいのことを特に配慮なんて書かぬでも——書き方かあまり大げさでどうも納得がいかないのだ、私は。そこで、ここへ全部ためてしまっている。そしてあまつさえ三等級、四等級、五等級は先ほど鶴園委員から指摘があったように、一号俸は筋が引いてある。ここにはもう上げないのだと、ここは空欄だ、おまえたち上がっちゃこられぬぞと。このひとつ意味を、はっきりした意味を、どうして空欄にしたのか。号俸というものはやはり一号俸、二号俸、三号俸、四号俸と、こう上げる場合が号俸であって、途中二号俸から上がったり三号体から上がったりするのは初めてだね。
  146. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) もう先ほどからわれわれといたしましては十分御説明申し上げておるつもりなんでありますけれども、重ねてもう一度申し上げます。
  147. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 不徹底だ。
  148. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 不徹底ではないのでありまして、十分御説明申し上げたつもりでありますが、さらにおわかり願うために重ねて申し上げます。  昇給間差額を百円広げる、二百円広げるということは、これはもうたいへんなことなんであります。もう一度見ますと、たとえば六等級で申しますと、そういう努力をいたしましたために、これは一つの極端な例でありますけれども、   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 かりに六等級の初号から末号までそういう方々が、今後の方が昇給していくとしたならば、そういう措置をしたためにどれだけの効果があるかと申しますと、これは今回の六等級で申しますと千七百円の効果がある、こういうことになるのでございます。それが先ほどから申しておりまするように、いま直ちにそれが効果をあらわすということではございません。いま直ちに効果をあらわすということになれば、これは先ほども申しましたように、先ほどは六等級のところを例にあげて申し上げましたが、今度は五等級のところを一とこのところでもいいのでありますが、まあ八号俸のところを見ますと、昨年は二千四百八十円上げたが、今年は二千五百円上げた、これは毎年相当程度の金額を上げております。昨年と今年だけ合計して見ましても約五千円、こういう上げ方をしておるのであります。決して少ない金額ではないのであります。また、これは五等級の八号俸のそこにずっととどまっておるのではないのでありまして、多くの人は成績が特に悪くない限りは昇給してまいるということでありまするから、やはりいま言ったような昇給間差額を、たとえ百円でも、場合によってはあるいは三百円に広げたところもございますが、その効果は今後にあらわれてくるということでございます。  それから、初号に棒を引いておるということでございますが、これは切りかえのときにあたりまして混乱を避けるということが主であります。これはたとえば五等級の一号俸を削ったのでありまするから、二号俸を一号俸、三号俸を二号俸と言いかえてもよろしいのであります。言いかえてもよろしいのでありますが、そうすると、とたんに見られた方は、現在の自分の号俸がどういうふうに切りかわるのだということで非常な誤解を起こすおそれが多分にあるということでございまするので、特にその誤解を避けるという趣旨が主なるねらいでございまして、このような表現をとったのであります。その表現をとるとにつきましては、先ほど総裁からも申し上げましたように、これはまあ俸給表としては初めてのことであるかもしれませんけれども、そういう例があることもあるのでございます。おかしいことではない。それは順序数、番目万でありますから、その初番号が必ずしも一番から始まらなければならぬという性質のものでもないと思います。しかし、でき上がりました結果につきましては、二号から始まっておるということは不適当であります。したがいまして、誤解を避ける期間を置きました後におきましては、これはやはり先生のおっしゃるように、番号を二号のところを一号としたほうが適当であろうと、そういうことは今後考えてまいらなければならぬところであろうと思います。  それから、五等級あるいは六等級のところでためておるという話でございます。ためておるということではないので、職務と責任の段階でそういう仕事をしていただいておる六等級相当の方は六等級で昇給していただく。従来中位号俸以上のところにまいりますと、昇給額が小さくなっていくというような傾向がございましたので、そういうことではやはり困りますので、この辺の昇給間差額を広げていくという努力を一方にいたしておるのであります。  また、先ほども申しましたように、そういう方々が専門的な職務でありまする場合には、これは職務の段階にとらわれずに五等級に上げ得るような道を現在すでに開いておるのであります。まあこの点につきましては、先ほど鶴園委員から御批判がございましたけれども、そういうこともあわせまして今後研究したいと思います。現在の時点におきましては、われわれはできるだけの努力はしております。相当これはやっておると思っておるのであります。しかしながら、それで万全であるかとおっしゃると、なおかっこれはやはり万全とは言えないかもしれません。そういう意味におきまして、御指摘の点等につきましては、今後さらに努力したい、こういうことを申し上げておるのであります。
  149. 柴田栄

    ○理事(柴田栄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  150. 柴田栄

    ○理事(柴田栄君) 速記をつけて。
  151. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 間差額の問題でも、百円ということはたいへんなことで、重大なことだとおっしゃる。まあそれはそうかもしれないと思いますが、上厚下溝ということを十分訂正したんだ。そういう点が、まだ私はほんとうに上厚下薄が訂正されて、いわゆる上に薄く下に厚いという表にはまだなっていないんだ。四等級は二千三百円、三等級は二千五百円、それから二等級が間差三千二百円に上がっている、二等級になると。そうすると、その間の百円、二百円の間差額がたいへんだなんて、あなたがたおっしゃるけれども、まだ私はこれは上厚下薄であって、決して下に厚くなっておらない、ことしは。そういうことを私は指摘したい。  それから、先ほどお話があっておりましたが、私もこれ非常に感じているのですが、指定職の甲、乙ですが、今度乙を甲と同じ体系にしてしまうのだ、一官一給与体系にするんだ、甲のほうは一万円上がっているのですね、一万円。そうすると乙のほうは一万円以上上がっているのですね、みな。勤勉手当、管理職手当とかあるいは扶養手当という諸手当を全部加えてそうして一官一俸給にするのだ、甲、乙一緒にしてしまうのだ、甲のほうは一律一万円上がって乙のほうはもっと上がっている。一万数千円上がっている。そうするというと、実際を申しますと本俸そのものは四・九%のアップであると思いますけれども、すべてを、勤勉手当あるいは管理職、つまり諸手当を合わせて一すべてを合わせるというと実はずっと多くなる。非常に大きな率になる。そうして、甲乙を一緒にしてしまうのだ、しかも一等級の局長級は指定職のほうに入っている人もおれば入っていない人もいる。同じ局長であっても。そうすると、指定職は一種特別職みたいであり、同じ局長でも特別職と同じような一官一俸給になる人と、それと一等級の人と、しかも非常に優遇されている、いずれも。こういうところが上厚下薄というこれは最たるものだと私は思う。そういう点はひとつどういうふうにお考えか、総裁、局長、いずれも御答弁願いたい。
  152. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) まず私から申し上げますが、上薄下厚というまあことばの定義ははっきりしないので、大体これはキャッチフレーズ的なものに使われておるわけであります。去年の場合は大体私どもとしてもことしは上薄下厚だということを相当大きな声で申し上げた覚えがありますけれども、ことしは上薄下厚を基調としつつということばがあります。したがいまして、去年ほど、はでにこれは打ち出しておりませんけれども、しかし、先ほども局長から触れましたように、級別の賃上げのパーセンテージを見ますと、これは下のほうほどぐっと厚くなっているということは申し上げられると思います。  それから、そのほかにたとえば扶養手当あるいは通勤手当、これは賃金に関係なしのパーセンテージ抜きの固定給でございますから、この辺はずっと低所得層のところに大きくきいてくるというところもあわせて考えますと、決して上厚下薄ではない、これは言えると思います。そしていま御指摘の指定職乙、これはおっしゃるとおり、額から言うとものすごくその額は上がっているように見えます。皆さんこれをごらんになってどう思うだろうかということで、われわれも内々検討はいたしました。これは御説明をすればなるほどそうかなとわかっていただけるに違いないということで、やはり合理化の筋を通したというわけでございます。たとえば管理職手当でございますとかあるいはいまお話し出ましたように、扶養手当通勤手当は全部込みにしている額でございますから、これはふえるのはあたりまえ、御説明をすればすぐおわかりいただけるだろうということで打って出たということでございます。
  153. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいまの総裁の御答弁で尽きていると思いますけれども、じゃ、もう少し詳しく申してみますると、たとえば一官一給与的にしたということで、いわゆる管理職手当、特別調整額は支給しない、扶養手当も支給しない、勤勉手当も支給しない。現在行一等は年間、期末、勤勉合わせまして四・三カ月分の特別給が出ておるのでございまするが、指定乙につきましては勤勉手当を支給しませんから、今後は期末手当だけと、こういうふうに給与の体系が非常に変わってくるわけでございます。したがいまして、月額だけでこれを比較するということは実は不適当でございまして、年度給与総額で比較するということが適出であろうかと思うのでございますけれども、年給与比較いたしました場合には、指定職甲は五%の引き上げということになり、それから指定職乙は四・九%ということになりまして、行政の(一)の一等級は五・一%引き上げ、これはやはりそういう意味におきましてバランスをとっておる、このように考えております。
  154. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連。どうも瀧本さんやら人事院総裁の話を聞いておると、白々しくてしょうがない。たとえば今度指定職の乙をいまこちらから言っておられるように、二五%、管理職手当ぶち込むわけでしょう。ところが、退職金にはね返るわけでしょう、年金にも二五%というやつが。級におる局長は二五%の俗称管理職手当をもらっておる。これは退職金にも年金にも何もはね返らぬでしょう。たいへんな誤差が出るわけですよ。おまけに扶養手当も交通手当も暫定手当もみんなぶち込むので、全部退職金と年金にはね返るわけです。非常なアンバランスですよ。指定職の乙は、それだけ優遇したわけですよ。ぼくはあと残っておる三割か四割の局長全部指定職に移すわけでしょう。それではそれ以下の者とこのアンバランスはどうするのかということを言っているわけです。それをいわゆる退職金も年金も超勤も含めて退職金、年金にするのだというような考え方ならばいいですよ。本来、退職金、年金の中に全部ぶち込むこと自体が理論上問題だと思うのです。そんなこともっとはっきり言いなさいよ、局長説明するときに。おかしいですよ。
  155. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほどもその問題が出て御説明を申し上げたつもりでございますが、ただいまおっしゃるようなことは確かにある。これはやはり大病院長、研究所長、あるいは行政の本省の局長でございますね。重要局長、こういうところで指定甲と乙と比較してみますると、まさしくおっしゃるようなアンバランスがある。したがいまして、この点はやはり人事管理上そこの是正をはかる必要があるということは当然でございます。したがいまして、そういう意味で、そういう辺の体系のバランスをはかったということをいたしたわけでございます。しかしながら、その引き上げの金額につきましては、ただいま御説明申し上げたとおりでございます。しからば、そのあとにおいて問題が残らぬかとおっしゃれば、おっしゃるような問題が当然残ってくる。これは今後の問題として考えていかなきゃならない。しかしながら、やはりただいまの問題は退職ということと関係がございまするので、どういう方々がどういうような退職状況をされるか、今後そういうこともあわせまして漸次検討していかなきゃならなぬ問題を含んでおるということはもちろんでございます。
  156. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それで私は先ほど言っているように、本俸の上に諸手当を全部ぶち込んでしまうから、それで一官一給与体系にしてしまうから、だからそれが全部大きく私はパーセンテージがアップされたことになるんじゃないかということをさっきから言っている。そうすると、その本俸に対して退職手当でも恩給でも全部それが基本になりますから、だったら上厚下薄というこれが最たるものじゃないかと、それを私は先ほどから言っているのです。それをこまかくいま鶴園委員がおっしゃったのですが、私が言っているのは一官一俸給にしてしまって、全部入れてしまってそれが基本になるから、いわゆる手当がもう全部それが基本になるから、あなた方が間差が五等級なんかは百円上げるのはたいへんなことだとおっしゃっているけれども、そうおっしゃっているその口の下から指定職なんかは私はそれを一官一給与の体系にして、そして俸給をベースアップしてその上にまた加えて、またそれが大きなアップになるんじゃないか、そうするとそれが全部響くんじゃないか、これほどの上厚下薄の最たるものはないじゃないか、そういうことを申し上げておるんですよ、そうすると、これが一番いいんじゃないですか。説明すればおわかりいただけると総裁はおっしゃったけれども、どうもその説明が私はおわかりあそばさないのです、こっちは。その点どうですか。
  157. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 先ほど申し上げましたのは、私はこの俸給給与の問題として御説明しておるものですから、ここに添えました指定職俸給表をごらんになると、乙のところは非常な額が上っているようにおとりになるように思うということを中心に申し上げたわけでありますが、その結果、退職金あるいは年金にはね返ることは先ほどお話に出ましたように当然のことである、それを別に隠すつもりで申し上げたわけではございません。ただ、この問題は、現行法は現行法としてまた問題がある、同じ指定職といいながら、甲、乙と隣同士の箱にありながら、なぜ基本的扱いを異にするかという問題がありまして、つくりましたときからの懸案として残っていました。そこで一等級に引き継ぎましていまの制度はできたのであります。同じ箱の隣の甲と比べてたいへんなアンバランスが出るのではないか、一官一給与に近いものをとりながらそこの矛盾は避けられないじゃないかということで、不安定なところを甲とあわせて多少秩序を整えたということでありまして別に他意はございません。ただし、そういうことをやりますと、いま御指摘のように、それじゃ行(一)の一等級とどうなるかということは、われわれとして今後考えなければなりませんが、とりあえず同じ箱の甲とのつり合いということを考えたいということでございます。
  158. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると、指定職のほうの乙に入っていらっしゃる局長と、それから一等級のほうの局長と大体どういうふうな率になっていますか、一等級のほうに残されておる局長と。
  159. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 一等職と申しましても、これはたえば行政(一)について申しましても、管区機関の局長という局長もございまするし、また大学等の事務局長、こういう方々もありまするし、また部長あるいは次長、非常に広いのでございます。そこで、いま問題にされておりまするところは、本省の局長ということでございまするが、本省の局長ということになりますればこれは約六〇%くらいが指定乙になります。
  160. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その問題が私は大きな問題であり、それから先ほど五等級の吹きだまり、それから一号俸を全部空欄にされた、こういうことに対しては、私はどうしても納得いかない。それから上級職の合格者は大体昇給が四年の八がけということになっておるということですが、そうですか。
  161. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは一応昇格基準表というのがきめてございまして、それでやるわけでありますが、特に成積のよろしい場合にはその年数の八割ということで昇格をいたす場合もある、こういうことでございます。
  162. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いままでそういう特に成績優秀と称して四年の八がけくらいで昇給した人がどのくらいおりますか。
  163. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) いま直ちにここに資料を持っておりませんけれども、従来とてもそういう措置で昇格をいたしましたという人は相当おると思います。
  164. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは人事院としてどうお考えですか、私はそれは一部特別な職員に対する優遇だというようなふうに考えますが、そのように考えられませんか、あなた方。
  165. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) われわれの給与制度といたしましては、やはり成績主義ということが相当導入されてしかるべきものであるというふうに思うのであります。現実には現在の給与制度というものにおきまして成績主義というものがそれほど強くはあらわれておりません。そこで、現在わずかにそういうことが出てます場と申しますと、特別昇給制度、あるいは符に成績のよろしい者に対しまして、昇格の際に基準年数の八割で昇格させる、こういうことに相なっております。
  166. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 最後にもう一問ですが、先ほどこれは問題が出ましたが、住宅手当というのはどういうわけで人事院総裁はお考えにならないのですか。昨年も十分あなたに要望したので、あなたに考えますというお答えをいただいたんだが、今年は全然住宅手当のことは出ていないようですが、勧告していないようですが、つまり六%か、六・九%か、その上げる率が住宅手当を含むというと率が響くからという意味ですか、どういう意味ですか。
  167. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 前に、考えますということを申し上げた覚えはございませんが、しかし、重大な問題として意識はしておるということはたびたび繰り返して申し上げております。いまのお話で二つのポイントがお答えになると思います。第一点は、民間ではほとんど大多数の事業所が住宅手当をみんな出しておる、ほとんどが全部出しておるということになりますれば、こっちのほうもとてもほってはおけないというような一つの要素があります。それからもう一つは、先ほど来申し上げているように、民間との較差が何%、その年々によって出ます。たいへんな較差が出れば、その間の較差配分の問題として相当な余裕が出てまいります。ところが、較差が非常に少ない場合には、住宅手当にこれを回してしまえば、本俸のほうの引き上げはがまんしてくれという配分関係が出てまいりますので、その両面をかね合わせながら考えなきゃなりませんものですから、なかなかむずかしい   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 こういうことでございます。
  168. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 じゃこれで私のは終わりましょう。
  169. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それではほかに御発言もないようでございますから、本件につきましては、本日はこの程度にいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十五分散会