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説明員(増子正宏君) まあ
人事院勧告の扱いにつきましては、
先生も御
指摘のように、また五人
委員会でも
検討いたしましたように、
勧告をやる
人事院の側のこれは何といいますか、
改善策といいますか、それとそれから
勧告を受ける側の
内閣としてどういう措置の対策があるかという二面があるわけでございます。
勧告の時期の問題、これは年度途中に行なわれて、しかも年間の
給与費に
相当影響を与えるようなものを年度途中で行なわれるということは困るという意見はかなりございます。その点は御
承知だと思いますが、それに対してどうするかということは、実はこれは
人事院自身の問題でございまして、
内閣が
調査をいつやり、
勧告をいつやるかということは
内閣自身が決定すべき問題ではないわけでございます。しかしながら、それはそれとしましても、まあいろいろな
関係者が何か方法がないかという
意味で研究することはいいという
意味において、政府において研究いたしたわけでございます。もちろん
人事院の御意見もお聞きしながら
検討したのでございますが、この
調査時期なり、あるいは当然の結果として
勧告の時期等については、少なくとも現行制度のたてまえからいうと
改善するといいますか、これを変更する余地がないというのが
一つの
結論であったわけでございます。
それからもう
一つは、今度はそれでは
内閣の
勧告を受ける側としましてこれにどう対処するかという問題につきましては、まあいまもお話がありましたように、当初予算に何らか
勧告というものを予定しました貯源措置をするかどうか、できるかどうかという問題、これには実は申し上げるまでもなく、予備費というような形も
考えられますし、それから予備費外でもって
給与改善費というようなものを計上するということも一応は
考えられるわけでございますが、これを一々申し上げると時間がかかりますけれ
ども、
結論的に申し上げますと、
給与法定主義から言いますと、
給与法の改正の法律改正でなしに、
給与改善費を予算の上に組むということは現行制度では許されないということが
一つ。それからもう
一つは、予備費でもってある程度の
給与改善費を見るということは、予備費の性格から言いましてそこに
一つの限度があるということは申し上げるまでもないわけでございますし、しかも予備費でもってある程度金額を予定すると、そこにはめ込むということはやはり
給与の
改善率、あるいはいわゆるアップ率というものを政府みずから予定するということになるわけでございますが、この予定は実は非常に危険な困難な問題をはらむわけでございます。そういう
意味におきまして、端的に予備費でもって計上するということについては非常に問題がある。こういうことであらかじめ何らか予算の上で財源を設けるということにつきましては、
結論としましては否定的というか、消極的な
結論に達したわけでございます。そこでそれなら一体どういう道があるのかということにつきましてはこれはまたいろいろろ意見がありまして、最終的にそこでどうすればよろしいという
結論を得られなかったというのがこれが実情でございます。しかしながら、それはそうでございますが、ただいまお話もあったのでございますけれ
ども、それじゃそれでどうしようもないからということで政府が手をこまねいているというわけにはいかぬのじゃないか、そういう事情があるにしても、政府としましては、
人事院の
勧告のその完全な実現をはかるということはいかなる場合においても責務として
考えなければならない、そういう
意味で今回の
勧告に対しても臨むわけでございますが、それを実施いたしますのは何と言いましても財政の問題、これが
相当な影響を持つわけでございます。それらの財政の事情は、私から申し上げるまでもないことでございますが、年々いろいろな情勢が変わっております。まあ従来かなり自然増収があったものが最近は自然増収をほとんど見込めない。あるいは予定の収入も得られないというような
状況もあり、一方でいろいろ景気回復の措置もとられる。で、今年あたりは昨年とは必ずしも同じ状態ではないのじゃないかというような
意味で、いろいろな事情があるわけでございます。そういう問題を勘案した上で現状において許される限り最大限度の努力を政府としてすべきではないか。私
どもはそういう
考え方でやっているわけでございます。