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国務大臣(
新谷寅三郎君) その問題については、われわれのほうはKDDが窓口でございますので、KDDから絶えず詳細な連絡を受けております。この間のインテルサット二号が不幸にして予定の軌道に乗らなかったということで、これはもちろん、ある時間は通信の用に供することができるわけでございますが、当初予定されておりましたような太平洋上の静止衛星にならなかったために、これを日米間におきまして一月に商業通信の用に供するということができなくなったのでありますが、当初の予定では、私の聞いておるところでは、十一月の二十三日にこの次の衛星を打ち上げるということになっておったのでありますけれども、この間の衛星について検討の結果、私にはよくわかりませんが、技術的に若干の何といいますか、改めるべき点がわかったということで、そういう
関係もあるのでございましょうが、十一月二十三日というのが若干おくれるということを聞いております。しかし、そんなに、おくれるといっても長い
期間ではなしに、それを修正をして打ち上げられることは確実でございます。ただいまのところは、来年一月からの衛星を媒体としての
宇宙通信というものがコマーシャルベースで行なわれるだろうということは動かないように聞いておるのであります。
そこで、この前の
委員会でも御
質問に応じてちょっとお答えいたした次第でございますが、私どもとしましては、一方では、この衛星を利用して、日本も国際的な商業衛星通信をやるというたてまえで、送受信についていろんな設備が要りますので、その整備を
関係機関で急ぐと同時に、それを実行いたします場合に備えまして、実はKDDあるいはNHKあるいは放送業者、そういった
関係の機関がアメリカの
関係者とどういうふうな
関係を持ってこれを実行することがいいかということにつきましては、両者間の交渉、話し合いの経過をいま非常に慎重に見守っておるのでございます。いまお話しのように、放送法、その他の
法制上の措置をする必要があるかないか、そういったことについてはまだ結論を出しておりませんが、しかし、一言で申し上げますと、アメリカのほうの
関係者は、まあ問題になるのはテレビであると思いますが、テレビにつきましては、御
承知のように、三つのネットワークがありまして、これが日本のNHK及び放送
関係のおもな人たちといろいろの交渉を持っておることも事実のようでございます。しかし、これもまだ最終的に煮詰まっておらないようでございます。日本としましては、外国から参りました番組を、これを各家庭に流すことは、これはその番組がどういう
方法で日本に送られてくるにいたしましても、これはやはり放送法の適用を受けるということで、放送法に書いてあります放送コードは厳重に守ってもらわなきゃならぬということになるわけでございます。ただ、こちらから送る問題につきましては、NHKの海外放送に関しまして基本的な精神が書いてございます。放送法に書いてございます。やはりこういう精神ですべての
関係者がやってくれますと問題はないのでございますが、これを法律上こういう方向でやれということを言うだけの根拠は、
一般放送事業者、民放に対してはないわけでございます。しかし、これについては、いろいろ向こうの放送会社とこちらの放送会社との間で交渉が行なわれているようでありますから、先ほど申し上げましたように、その経過を慎重にただいまは見守っておるわけでございます。大体においてこちらの日本側の放送会社もやはり同じような
考え方を持ちまして、向こうの放送会社と接触をしているようでございますから、ただいまのところは、私は特別にこのために
法制的な準備をしなければならぬというようなことは、いまのところは考えてはおりません。一部
新聞に報道されておりましたようなことは事実でないのでございまして、たとえば出てくる放送の
内容、こちらから出す放送の
内容について検閲をするんじゃないかというようなことがどこかで報道されたように記憶しておりますが、これは憲法の二十一条に関する問題でもございまして、そういったことはいまどこにも根拠規定がありません。したがって、これは何かの間違いであったかと私は思います。ただいまはできるだけ、向こうの
関係事業者とこちらの
関係事業者の間の自主的な話し合いによりまして、そういった両国のためになるように、いい放送をお互いに交換することを期待いたしまして、その成り行きを見守っておるというのが実情でございます。