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1966-11-09 第52回国会 参議院 逓信委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月九日(水曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 光村 甚助君     委 員                 古池 信三君                 郡  祐一君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 久保  等君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 横川 正市君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  新谷寅三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        郵政省郵務局次        長        森  圭三君        日本電信電話公        社営業局長    武田 輝雄君        日本電信電話公        社施設局長    北原 安定君    参考人        国際電信電話株        式会社社長    大野 勝三君        国際電信電話株        式会社社長   八藤 東禧君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        板野  学君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        竹内彦太郎君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        黒田 義晴君        国際電信電話株        式会社取締役研        究所長      新川  浩君        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会専        務理事      野村 達治君        日本放送協会総        合企画室総務   野村 忠夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵政事業運営に関する件)  (宇宙通信に関する件)     —————————————
  2. 野上元

    委員長野上元君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  初めに、理事打合会の結果について御報告いたします。  本日は宇宙通信に関し、参考人出席を求めることを決定し、関係当局及び参考人に対し質疑を行ない、次いで、ガン征圧切手に関し、郵政省に対し、それぞれ質疑を行なうことになっております。  なお、午後は郵政事業機械化について、埼玉県大宮郵便局を視察いたしたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  なお、視察に御参加の方は、午後一時会館玄関にお集まりくださいますようお願いいたします。     —————————————
  3. 野上元

    委員長野上元君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本件調査のため、これより、国際電信電話株式会社社長大野勝三君、同副社長藤東禧君、同常務取締役板野学君、同常務取締役竹内彦太郎君、同常務取締役黒田義晴君、同取締役研究所長新川浩君、日本放送協会会長前田義徳君、同副会長小野吉郎君、同専務理事野村達治君、同総合企画室総務野村忠夫君、以上十名の方を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  4. 野上元

    委員長野上元君) 速記を始めてください。  御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 横川正市

    横川正市君 これはきのうの新聞承知をいたした問題ですが、郵政省記念切手取り扱いについて、いささか問題点があるんではないかと思いますので、その点について質問をいたしたいと思います。  まず、記念切手発行趣旨またはその選択のいろいろな要件というものがあろうと思うのですが、その中で、普通は記念切手の名称を冠するけれども、従来であれば、十五円のものは十五円、七円のものは七円、あるいは三十円のものは三十円、四十円のものは四十円というふうに、そのつど、その記念すべき内容によって該当すべき金額というものがきめられておったと思うのですが、その趣旨から、今回の場合には他の意義を持たせた。その意義というのは、今日人間の克服できない病気のうちで、しかも、相当な生命の問題については脅威になっておりますがこの問題について、これは医学界あるいは一般社会で問題になっている、そういう問題に対して、いささかでも記念切手発行趣旨に合わせて、その資金的な裏づけを、大衆のわずかな喜捨ではあるけれども、それの累積によってまかないたいという趣旨もあって発行されたものだと思うのでありまして、従来の記念切手発行考え方とはおおよそその趣旨を異にしておったんではないかと思うのでありますけれども、このガン切手発行にあたっての省側態度というものは、一体どういう態度発行されたのか、郵政大臣の談話も載っておりますけれども、この売りさばきの不成績については全く承知をしておらなかったようでありますし、また、取り扱いについて、いささか私ども納得しかねるのは、従来の記念切手の売りさばきの枚数とは異にして、増加枚数発行した、その増加枚数発行したということの、そのいわば発行に至るまでの経緯というんですか、中で、前郵政大臣郡郵政相がその発行について強い指示を与えた。これは非常に私ども、行政上の不始末になるのではないかと思われるように問題点がとられる内容を持っていると思うのでありますが、この点あわせてひとつその経緯について御報告をいただきたいと思います。
  7. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 横川委員の御質問の、ガン征圧切手のことでございますが、これはガンに対する各方面の非常に強い要望もありまして、この点については記念といいますか、寄付金つき切手発行しようということに、当時政府の部内で話がまとまったようでありまして、今年の三月には、郵政審議会の議を経まして、額面十円のものを三千万枚、二十円のものを二千五百万枚発行することにきめたのであります。その後、ガン関係のいろいろの団体からは、ガン征圧のために自分のほうでもこういうふうにその寄付金を使いたいというような資金需要がかなり出てきたようであります。郵政省におきましても、これまで三千万枚をこえて記念切手発行するというようなことはあまりたくさんなかったのでありますけれども、その直前発行いたしました趣味週間切手でありますが、これは三千五百万枚発行いたしまして、これは今年の四月二十日に売り出しして全部売り切れたというような事実もございますので、ガンに対しまする国民的な関心も相当盛り上がっている、おそらくもう少し記念切手を増刷してもこれはさばけるのではないかというような予想をもちまして、その後、額面十円のものに限りまして五百万枚増発行することにいたしたわけでございます。しかし、今日、十月のこれは二十一日から発売しておりまして、大体今日まで二十日ほどたっておりますが、今日までの状況を聞いてみますると、七日までの状況でありますが、額面十円のものは五二%七、二十円のもので六四%の売れ行きでございまして、当初考えておりましたよりも多少売れ行きが悪いかと思います。しかし、この寄付金つき切手につきましては、御承知のように、期限を大体指定をいたしますので、約二カ月間の指定期限になっておりまして、その三分の一をすでに経過したわけでありますが、実際はまだ三分の二の期間が残っているのであります。いままでに郵政省としましてPR方法が悪かった、足りなかったという点はあるかもしれませんが、これは大いに反省をいたしまして、今後努力をいたしまして、われわれとしましては、この期限内にできるだけ多くこのガン征圧切手を売って関係者要望にこたえる、こういう考えをもちましていま努力をしている最中でございます。
  8. 横川正市

    横川正市君 問題は、私は、これはたしか、この問題については、すでに同僚議員から一度委員会で取り上げられているわけなんです。これが記念切手発行についてのその図案の問題で、その決定までのいろいろないきさつとか、手違いとかの問題もありましたし、もう一つは魚の問題で、何か、カツオのうろこがどうだとかこうだとかという問題も起きて、同時に、いわゆる記念切手としての希少価値といいますか、あるいは発行するその趣旨に合致したものを選択する場合の省側態度というものが一つやはり問題にされておったことを記憶をいたしております。それからもう一つは、実はいま大臣の答弁の中にありましたように、さきに発行されたものの売れ行きというものを見合って次に発行されるべき枚数について加減をされるという考え方というのは、実はこれは十分警戒すべきことだというふうに委員会ではたしか発言があったと思うんです。なぜかといいますと、大体これは一般に使用されるべき通常十五円、七円等を市場に不足しないほどに配付しておくというものではなくして、いわばこれはある限定された枚数で、趣味あるいは持つことによって、まあ利益を追求するわけじゃありませんでしょうけれども、いわば希少価値を持つことを趣旨としてたてまえとした発行なんだから、枚数についてはあまり市場にはんらんをするような状態にしないでおくのが正しいのではないかというようなことが二つ私はあったと思うんです。そういうことから照らし合わせてみて、実は私も、いま大臣が最後に言われましたように、残期間中にこの売りさばきの努力をしたいという趣旨については賛成です。これはもうぜひPRをしてやってもらいたいと思うんですが、一体このガン切手の、いわば今日国民関心事でありますガンの問題について、いささかでも寄付金つき協力をしようとしたその趣旨ですね、その趣旨が十分に国民から、何といいますか、理解はしておるんでしょうが、そういうものがあるということについて周知が足りなかったという点にも問題があるという点と、もう一つは、寄付金つきを生かした切手の最終的な始末の問題なんですが、いま最終的に努力をしてみて、五二%あるいは六〇%以上の売り上げをしたから、残期間中にこの問題についてはどういう見通しを立てるかは別問題として、残枚数取り扱いを一体どうするのか。新聞の報ずるところと、それから何か、いままでの記念切手取り扱いの内規か何かによりますと、残枚数については始末をするのがたてまえのようになっているということですが、これは少しいささか寄付金つきをつけたという趣旨とは合致しないような気もするわけです。できれば全部期間内消化ということが正しいことでありましょうが、もしできなかった場合も考慮されて、どういう取り扱いをされるのか、これはひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
  9. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この寄付金つき切手発行いたします際には、法律によりまして売りさばきの期間を告示することになっていることは御承知のとおりでございます。で、先ほど申し上げましたように、このガン征圧切手につきましても、二カ月という期間を告示いたしております。今日までこういう寄付金つき切手発行いたしました例はきわめて少ないのでありますが、若干例がございます。かつて昭和二十三年というふうに報告を受けておりますが、赤十字募金共同募金切手、これについて昭和二十三年に寄付金つき切手発行いたしましたところが、百八十二万枚残りまして、これは廃棄いたしました。それから先般のオリンピックの際の寄付金つき切手でありますが、これは六回発行しておるようでありますが、五回分が二百八十七万枚残りまして、これは所要手続を経て第六回分に合わせましてこれを発売したという例がございます。つまり、期間は一応切れますけれども、さらに郵政審議会に、内部の手続でありますが、郵政審議会にもかけまして、そしこ、その残った切手をさらに何カ月間かで売るという手配をした例があるのでございます。この点は法制上も差しつかえないということを法制局からも聞いておるのでありまして、今度の場合も、私は先ほど申し上げましたように、横川委員の言われたような、そういった切手が出ていることも知らないような国民がもしあったとすれば、非常に郵政省としてはPR方法が悪かったというようになるのでありますが、そういった点につきまして、十分調査をいたしました上で、残期間でできるだけ残りのないように発売できるような方法をとりたい、これから努力をさらにしていきたいと思っておりますが、不幸にして幾らか残ったという場合には、その残った実は数によると思います。非常にたくさんのものが残った場合には、あるいは、いま申し上げましたように、さらに郵政審議会にかけまして、所要手続を経て期間を延ばして発売するというようなことを考えなければならぬかもしれませんが、非常によく売れて、あまり残らなかったということになりますと、そういったことも必要でなくなるかと考えます。まだ四十日ございますから、われわれが努力をいたしまして、その結果によって、いまのお尋ねの問題は最終的に処理をしたい、このように考える次第でございます。
  10. 横川正市

    横川正市君 私は、これは昭和二十三年の赤十字のときの廃棄処分、それ以来三十八年のオリンピックのときの残枚数を五回を六回に合わせてこれは売りさばき延長している事実から照らしてみると、今回は相当残枚数の出た場合の取り扱いについては相当問題があるから、一体残枚数が出たときに、その取り扱いは二十三年の例にならって廃棄処分焼却処分をするということで、あまり安易に考えてもらうということは、これは賛成できません。この点は一般にもちょっと理解しがたい点だというふうに思っているようですから、これは相当考究してもらいたいと思うのです。もちろん、この期間内に、完全消化をするということは第一です。しかし、それでもなおかつ消化できなかった場合、寄付金つきをつけたということは、従来の記念切手発行とは趣旨が違っているわけですから、その取り扱いについては、やはり何らかの処置がとられてしかるべきで、そのことによっていろいろな欠損その他を、国費のむだづかいだということにならないように処置をこれは要望いたしておきます。  ただ、この中で私はやはり当面非常に問題なのは、政治的な問題もあるでしょうが、むやみやたらに事務当局の能力を私一〇〇%評価するわけじゃありませんが、従来その発行については相当長い経験と実績のもとで発行枚数というものはきめられてきたと思うのです。郵便収入があがらないから記念切手をうんとふやすというような安易な妥協のしかたはしてないはずです。まあ、ある程度記念切手に負うところがあっても、これは枚数を厳格に守ってきたものだと思うんですね。そういうものに対して、これは同僚議員ですからあまり名前を言うのはどうかと思うんですが、これは大臣といういわゆる職名で明確にいたしますと、大臣から言われたから発行したんですよという、両者に問題があると思うんですよ。これは事務当局は言いのがれ口上、もう一つは、圧力をかけたという問題、両方きわめて私どもは受け取りとしては遺憾に思われる点があるわけなんですが、これは一体真相はどういうことですか。たとえば寄付金つきだから、また、ガンというきわめて重要な問題に対する寄与すべき点だと考えたからとか、何かいろいろ理由があったと思うんですけれども、その点の事務当局大臣との関係ですね、これはもう少しはっきりしておかなければいけない問題だと思うんですよ。いささかでも圧力があったから出したんだということになると、これは少し問題があるんじゃないかと私は思うんですが、もちろん、郵政大臣、いまの施政の中でやったことじゃないですから、責任をどうこうということじゃないので、将来の問題もありますので、これはひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  11. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 私はこの問題について具体的にどういう点で五百万枚をふやさなければならなかったかということについて十分に究明はいたしておりませんが、しかし、結果的に見ますると、また、事務当局からのいろいろの説明によりますと、ガン関係団体が非常に多くて、ガン征圧のためにいろいろの研究をするというようなこと、あるいは医療器械をそろえるというようなことのために、資金需要が非常に思ったよりも多かったということが原因のように考えられます。したがって、この問題は、私は一言でいうと善意であったと思います。しかし、そういうふうなことのために、初めに三千万枚が適当であると考えておったのが急に五百万枚ふえたというようなことにつきましては、これはよほど郵政省も確信を持って、三千五百万枚は必ずそれは売れると、また、売ってみせるということでないと引き受けちゃいかぬと私は思っておるのであります。で、率直に私の意見を申し上げますと、実はそういうことを契機にいたしまして、関係局長も集めまして、いろいろ相談をいたしまして、私はこれから記念切手発行のいろんな基本的な条件について、特に寄付金つき切手発行につきましては、大体どういう条件をそろえて、どういうような方法でやったらいいかというようなことについて、もう一ぺん根本からあらためて検討してみたい。将来に対しましても、やはり今度はわれわれのほうに言ってきている問題では、例の万国博の開催に関して記念切手寄付金つき切手発行してくれという要望もございます。明治百年祭に関連いたしまして、関連事業の整備をするために基金がほしいということで、やはり要望もございます。そういったことがこうたやすく、ごく安易に行なわれるようなことがあっては困ると考えておりますので、これはあらためて、いままでもほんとうにこれは方針を持ってやっておったと思いますけれども、もう一度私の手で基本的な問題から掘り下げて、今後どういう方法でやったらいいか、どういう方針でやるべきかということについて検討をさせまして、そして将来に対して間違いのないような方法をとっていきたいということを考えて、関係局長にそういうことを命じたわけでございます。いずれ、この問題につきましては、私の方針がまたあらためてきめられると思いますので、その機会には委員会で御報告をしたいと考えております。
  12. 光村甚助

    光村甚助君 これは寄付金の額が大きいんじゃないですか。それで売れないと思うのです。それでね、世論を甘く見ていますよ。国際ガン学会を開いていますから盛んに宣伝してくれる、買ってくれるだろう、非常に甘く見ております。十円切手に一円つけるとか二円つけるとかいうならまだしも、二十円、三十円、五十円つけたって、買う人は、切手マニアが残しておいて高く売ろうという連中が、三千万枚も二千万枚も発行して売れるはずないですよ。今後また万国博もあるでしょう。国民を甘く考えていますよ。寄付金つきの、大きな寄付金をつけることは検討してもらいたい。  もう一つは、二カ月という期間が短か過ぎるということですね。それはあなたのほうで頻繁に記念切手を出されるから、あまり期間を延ばすと出せない結果になりますから、記念切手というのはほんとうに将来残しておいて記念になるのだということでなければ、かつおぶしを出してみたり、記念切手のあれは価値がなくなります。そういう点で、こういう問題も今後研究していただきたい。要望を申し上げます。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 私もこの問題について若干質問したいと思いますが、特に、いま大臣からお話しになりました発行枚数のことですが、実はことしの予算委員会におきまして、私はガン切手発行に対する郵政省の御所見を伺いました。その際、もちろん郵政審議会の一応の議を経て今年度ガン切手発行しようという計画を持ったことは事実でありますし、その際、当初郵政省発行いたしました五千五百万枚ですね、二十円のが二千五百万枚、三円ついた十円のが三千万枚ですね、そういう私はお話を当時の長田郵務局長から聞いているのです。ところが、今度五百万枚を新たに増刷したということは一体どういうことか、ちょっと私にわからないのですよ。きょうは郵務局長おらぬのですがね。一体どうしたことでしょうね。私そう思いますよ。ですからね、どうも横川君の言っているように、非常に従来の事務当局意見からして、まあ五千五百万枚でもたいへんじゃないだろうか。しかし、まあ事の性質にかんがみ、ガン征圧協力するという立場に立って、かなりこう五千五百万枚をやっているわけですからね。それにまた五百万枚もふやすというようなことは、非常に無謀にひとしいと思うのですね。いまになってからあわてふためいているということは理解に苦しむわけですよ。あなたのきのうの閣議後の記者会見で、寄付金つき切手発売枚数需要とにらみ合わせながら控え目にすべきだ。賛成です、これ。ガン征圧切手発売枚数が多かった原因については、事務当局真相をただしているが、今後こうした切手の売り出しは慎重に行なう。こういうふうに第一項に言っておりますがね。私、もっともだと思います。一体真相をただしてみた結果ですね、この五百万枚というのはどういうことによって増し刷りされたのでございますか。これを明らかにしてもらいたい。
  14. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先ほど横川委員の御質疑に対してお答え申し上げたとおりであります。その当時の事情事務当局から聞いてみましても、結局、ガン関係の諸団体からの寄付金による資金需要、この資金需要が予想しておりましたよりも相当大きかったということで、できることであれば、もう少し増発行をして、その資金を得るようにしたいということが動機であったかと考えているわけであります。先ほど申し上げましたが、この直前に、これは比較にならぬといえばならぬかもしれませんが、趣味週間切手を三千五百万枚発行して、それが全部売れたというような事実もあったので、ガンに対する国民全体の関心が非常に盛り上がっておったし、その状態では、おそらくこの寄付金つき切手に対しまして相当国民全体の協力が得られるであろう、こういう見通しから三千五百万枚にしたというように考えられるのであります。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 その趣味切手と私はこのガン征圧のための寄付金つき切手とは違うと思うのですね。趣味切手は非常にいいですよ、私も拝見してみますと。ああいう非常に図案もすぐれた、しかも、りっぱな切手ですと、これはかなり売れるでしょうね。しかし、この場合は、大臣のおっしゃるようなわけにはいかぬと思うわけですよ。ですから、私は予算委員会においても、そういう概略の数字は御報告になり、その後よほどの事情の変化のない限りは、五百万枚の増刷ということは、私の言っているように無謀だというふうに私は思うのですよ。ですから、それにはそれとして、当時関係者が相当なひとつ将来の見通しを検討した結果、だいじょうぶだということになって発行したのじゃないですか。ですから、そうであるならば、その事実を明らかにしたらどうですか。当然これは郵政審議会なり、了承を得ておると思いますがね。ですから、そういうことをやはり私はこの際、委員会を通じて明らかにしておく必要があると思いますから申し上げるのですが、特に毎日新聞の記事を見ますと、曾山さん、きょうはおりませんけれども、何か郵政大臣から枚数をふやせというお話があったのでふやしたというような話でございますね。これは郡さんのときのことだと思いますが、そういうので、どうも本人がおりませんから、この点はいずれまた他日伺いたいと思っておりますけれども、その当時のいきさつをやはり明らかにしてわれわれに知らしていただく必要があるのじゃないですか。十月のおそらく二十一日からの売り出しですから、相当前にそういう変更するとすれば話はきまっておったと思います、あなたが就任する前に、と思います。私は、ですから、そこいらのいきさつについては、いまここで即答できないとすれば、曾山郵務局長帰られたあと、十分ひとつその当時のいきさつを、長田、当時は郵務局長でしたね、いまは次官、その方々からもよく事情を聞いていただいて、これこれこういう理由によって五百万枚発行してもだいじょうぶだという自信を持って発行したのでしょう。それから、残るか残らないかは、残された期間努力をするということですから、大いにこの半分くらい残っているやつを努力しなければならぬと思いますがね。そういうわけでちょっとなかなかむずかしかろう、全部売るのが。そういう判断をしているものですから、こういう質問をするので、その点、大臣ひとつざっくばらんに真相を御聴取くださって、われわれにも聞かしてもらえませんか。
  16. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 私も新聞の記事を見まして、いろいろ関係者を呼んで調査をいたしました結果、先ほど来申し上げているような結論を得まして、御報告を申し上げているような次第でございます。その当時だれがどう言ったとか、だれがどうしたとかいうことよりも、やはり郵政省全体として、大臣それから事務当局をあわせてそういうふうな決定をしておるわけでございます。これはもちろん、郵政省全体として処理をしなければならぬ問題でございますから、今日われわれの残された問題は、これを何とかして期間中にできるだけ完全に売れるように手配をしていこう、もしもどうしてもある程度残った場合には、それに応じて、先ほど来御意見がありましたようなことも参酌いたしまして、そういう方向で第二次的な措置をとることについて考慮するということで、当面はPRに全力をあげまして完全に発売するように努力をするというのがいま私の考え方でございます。それでひとつ御了承をいただきたいと思います。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 了承できないし、わからないから私は聞いているんですけれども、具体性がないですから。というのは、おそらくこれから残された部分についてかなりの積極的にPRもするでしょうし、売りさばきについて強引の措置をとると思いますが、こういうことがたとえば、きのうの「毎日」の投書欄に出ておりますが、「がん征圧切手に制圧される」というので、売りさばき人の方々が非常に困っている事実が投書として載っております。これを見ますと、寄付金つきガン征圧切手については、かなり郵政省のほうから割り当て的に枚数がいっているようですね。それを消化するのに非常に苦労しておる。それで、もし売れ残った場合には、寄付金部分だけについては納めなければならぬというようなことまでここには書いてある。時間の関係で私はこの投書の全文を読みませんが、趣旨はそういう趣旨でございます。ですから、あなたがきのうの記者会見で第二段目におっしゃっているように、記念切手売りさばきの人たちが売れ残ったがん征圧切手寄付金を負担していると聞いたが、これはおかしい、さっそく実情を調べて、そうした迷惑がかからないように善処したい、こういう趣旨があるわけですね。おそらく、そんなことはしませんとあなたは答弁するでしょう。しかし、問題は、私は売りさばくためにかなりの圧力が加わっているのじゃないか。そうすることによって売りさばきの人たちは必要以上のまた苦労を受けるということになるわけですね。こういうことが、これから一連の関連した問題が出てくるわけです。私は、こういう実際売りさばき人として協力していただいている人々にまでそんな無理がかかるような征圧切手発行というのはいけないと思うのです。もう少し私は考え直す必要があるのじゃないかと思いますがね、その点についてはどうでしょうか。
  18. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 私も投書欄を読みまして、いまおあげになったようなことを記者会見で申したことは事実でございます。しかし、その投書につきましては、調べましたところ誤解があるようです。売りさばき人に割り当てられましたガン征圧切手が売残れった場合にはどうするかということでございますが、これは売れ残った場合には、郵便局で料額に寄付金額を加えた金額に相当する一般切手と交換をするということに郵政省では取り扱っているようでございます。寄付金分を売りさばき人が負担をするというようなことにはなっておらないようであります。  私は、こういう記念切手あるいは寄付金つき切手国民各層にそれを売りさばくという方法はないことはないと思いますが、しかし、私として、きのう関係者に注意いたしたことでありますけれども、これはたとえば貯金の勧誘とか保険の勧誘と同じような形で各家庭を訪問をして、そうして売りさばくというようなことになりますと、半ば強制的に買ってもらうというようなことになりますから、そういう方法は避けたいと思っておるのであります。そういう方法を避けますと、結局、いまのところは郵政省が大いにPRはいたしますけれども、ほとんど窓口で買ってもらうというのが主になるわけでございまして、そういう方法ではなかなか国民に対するPRの手が届かないといううらみがありますので、先ほど申し上げましたように、今後われわれとして、そういった寄付金つき切手発行いたしました場合にどういうふうなPR方法をとるかというようなことについて十分検討をし、基本的な問題から掘り下げてもう一ぺん考え直してみたいということを考えておるということを申し上げたわけでございます。  これは余談になりますが、私は詳しい経理上のことは存じませんけれども、たとえばPRをするのに非常に経費がかかる、そういった場合に、その経費を一体どこから持ってくるかというようなことも、基本的には私は問題かと思います。非常にむずかしい切手と、むずかしくない切手とございます。そういう場合に、このPRをするのには経費がかかりますが、その受益するのは各種の団体でございましょう、おそらく。このPRの経費をどこから出してくるのかというようなことにつきましても、もっと私は基本的な態度をきめておかなければならぬのではないかというふうなこともきのうは言ったのでありまして、そういったことも含めまして、とにかく、今後まだ将来予想されまする寄付金つき切手がございますから、そういう場合に失敗をしないようにと思いまして、基本的な方針を洗いざらい一ぺん議題にして、そうして方針を立てようじゃないかということで、いま検討を命じておるということを申し上げておる次第でございます。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 この問題については最後にしますが、これから努力されましても、かなりの枚数が残るのではないかと私たちはそう思います。したがって、一枚印刷するのに三十銭の印刷費が要るわけですね。だから、三十銭の印刷代は結局、売れ残った場合には郵政省が損するわけでしょう。ですから、ただ焼却すればいいのだというようなことじゃないと思いますけれども、国家財政から見て、郵政事業なかなか苦しいときに、そんな目先のわからないようなものを発行しておって、そのために、たとえ何ぼでも郵政省で持ち出しになるようなことについては、やはり考えなければならぬと思うのですね。大臣はやはり総括的にこの質疑を通じ、また、あなたがいろいろ考えられて、とにかく、当事者の曾山さんがおらぬですから、よくわからぬと思いますが、たとえば二回目のやつはいつ、どこで、だれが、どういう形できめてどうなったかということについてわかりませんから、一応これは保留にしておきますけれども、そういうことを考えてみても、やはり率直に反省する点がありますか、大臣。これを見てみてまずかったというふうに率直に思いますかね。少し過大の発行だというふうに思いますかね。そうであればなおさらのこと、今後そういう気持ちの上に立って各種の切手の印刷については考えてもらいたいと思うのですが、最後に大臣の政治的な所感をひとつ聞かしてください。
  20. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この問題を契機にして、先ほど申し上げましたように、寄付金つき記念切手というものが非常にむずかしい問題であるということがよくわかりました。郵政省のいままでやっておったことが悪いとは私は申しませんけれども、もう少しこまかい配慮が必要ではないかと思いますので、先ほど申し上げましたように、これについては基本的な問題から掘り下げてもう一ぺんよく方針を検討した上で、将来に対する考え方をきめていきたいということを申し上げておるのでございます。
  21. 久保等

    ○久保等君 関連して。簡単な一問だけお尋ねしたいと思うのですが、それは要するに、先ほど来言われておるような従来の経験なり実績から見ると過大と思われるような発行をやったということであれば、当然従来と違った何かPRなり、それから具体的な消化措置をとられただろうと思うのですが、そういったことについて具体的にどういった、従来の一般記念切手の売りさばきに、あるいはまた幾つか前例があるようですが、寄付金つき記念切手発行せられた場合に比較して、今回の場合に積極的にとられた具体的な何か措置を従来と違った面でおやりになったのかどうなのか。これは一面からいくと、いま言われたように、強制にわたるようなことがあってはいかぬというようなことで、いろいろむずかしい面があると思いますが、しかし、征ガン切手発行せられたという意義はきわめて大きいし、それから、今日ガン対策が非常に叫ばれておるときですから、撲滅運動の一環をになって記念切手発行せられたことは非常に有意義だと思うのですが、それだけに、従来と違った措置をとられたのかどうなのか。発行枚数だけは多かったが、その面について、こと新しい対策をあまりとられなかったとすると、一面からいうと、私はその面に対する怠慢といいますか、切手枚数だけ多く、発行したあとはできるだけひとつ買ってもらいたいというような、そういうことではもちろん消化できないことは当然だと思うのです。そういったことで、とられた措置で具体的に従来と違ったことをおやりになったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  22. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 従来、寄付金つき切手発行した場合に、どういうPR方法をとったかは、私は詳細に存じません。関係者から答弁をさせますが、しかし、今度は御承知のように、非常に国民的な要望の強いものでありましたから、窓口にはポスターを十分に張って、公衆にはよくそれを認識してもらうような措置はとっておりますし、それから、これはわれわれのほうからお願いをする筋ではなかったのでありますけれども、NHKその他ラジオ、テレビを通じまして、そういった問題につきましても国民によく知ってもらうような方法はできるだけとったことと思います。私は、きのうも——これはまあ私いまここでそういうことをやりますともやりませんとも申し上げる段階ではないのですけれども、特に郵政省として、そういったものについてこれを実行するんだという方針をきめてやったわけでありますから、その効果を完全におさめるために、これはやはり私は郵政省に責任があると思いますから、このためには、これはまだ事務当局に検討さしておりまして、申し上げる段階ではないのですが、共同募金を総理から大臣から街頭に出て募金されますと同じような趣旨で、われわれ郵政省の者としましては、あるいは厚生大臣関係するかもしれませんが、街頭に出てPRすることも考えてもいいんじゃないかということまで、きのうは事務当局に話しておったのであります。これはやるともやらぬともまだきまっておりません。いいか悪いか、いろいろ長所もあり短所もございましょうから、検討はいたしますけれども、まあ、やるというふうにきまった以上、私はやはり省をあげて全力を尽くして努力をすべきだというふうに考えておりますので、売れ行きいかんによりましては、もっと強くPR方法をとらなければならぬかと思っている次第でございます。  いままでの記念切手発行PRとどう違うかということについては、私は存じませんので、もし必要であれば関係者から答弁をさせます。
  23. 久保等

    ○久保等君 私はあまり抽象的な御答弁じゃなくて、具体的に、だから今度の場合には従来と違ったこととしてやったんだというようなことがあれば、御答弁願いたいと思います、事務当局から。
  24. 森圭三

    説明員(森圭三君) 従来の寄付金つき切手と申しますと、オリンピックのときが最近のものです。オリンピックの場合は、オリンピック財団がつくりました寄付金つき切手のポスターに郵政省が協賛いたしまして窓口に掲示したという程度のPRしかいたしておりません。今回の場合は、この寄付金つきガン切手のポスターを郵政省で作成いたしまして、二万枚つくりまして、そのうち、五千枚を東京と大阪の省線その他の車中づりに掲示いたしまして、一万四千枚が現在も売りさばき期間中は窓口に掲示しておるという方法をとりましたのが、省として経費をかけたPRとしては、それだけの違いであると思います。
  25. 久保等

    ○久保等君 あまりたいして変わったPRをやったとも思われないんですが、ただ、先ほどちょっと大臣の答弁の中で、PRをやるについても金がかかるわけですから、金の一体出どころがどうなるのかという問題、郵政省のように非常に一般経費そのものも窮屈な中でやるとすれば、そういった問題が大きな一つの、それこそガンじゃないかと思うのですが、そこで、特に寄付金つきのこういった記念切手発行する場合に、その寄付金の中から、そういったPRの費用なり経費なりを出すということが、やはり私はある程度考えていいのじゃないかという感じがするのですが、そういったことについては、大臣の腹なり、大臣の行政的な範囲内でやれる問題じゃないかと思うのですが、その点はどうなっておりますか。
  26. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その点は私もまだ十分調べてないのです。先ほど申し上げたように、ある程度のPRの費用はもちろんとっておると思います。しかし、特にむずかしい問題に対しては、経費もよけいとっておかないと、完全に実行できないことは事実ですから、そういった場合を考えて、私は特別に経費をとっておくような、あなたのおっしゃったように、これはもうコストなんですから、それは堂々ととっておいたほうがお互いのためにいいのじゃないかというふうに考えるものですから、そういった点につきましても、もっと基本的に考えようじゃないかということで、いま調べをさしておる次第でございます。その結論については、もう少しお待ち願いたいと思いますが、方向としては、あなたのおっしゃったように私も考えております。
  27. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 関連。一つだけ聞きます。  御両人がずいぶんいろいろ聞きましたが、こういう問題が起きたときに、えてして、どこへか責任の所在がいってしまうのですが、もし普通の民間会社だったら、これだけの見込み違いをしたら、会社はつぶれますよ。親方日の丸だからということでほうかむりをして済ませるという量見がよくないと思うのです。一体これはどこに責任があって、だれがとるのか、この点だけ、ひとつ明確にしておいてもらいたい。
  28. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 責任は郵政大臣である私の責任でございます。  それから、これだけの赤字を出してとおっしゃいますが、先ほどあなたが来られる前に御答弁申し上げておったのですが、これは、売り出してから二十日間、まだ四十日あるわけです。結論として、今日残っておる何十%かを、すべて売れないのだという前提でお考えくださるのは早いと思います。先ほど来申し上げておりますように、今後四十日の間にできるだけPRもして、われわれも努力をいたしまして、そして損失が少しでも少なくなるように、できるなら全部売りたいという考えで努力をするということを申し上げておった次第であります。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 それから、これは大臣考え方を伺っておきたいと思うのですが、実は先般来、上林山長官のお国入り問題が問題になっておりますが、その際、例の久保俊広という方が上林山さんの秘書という名義で飛行機に同乗したということがありましたね。その久保というのは、東京地裁で四十年の四月十二日、恐喝罪で懲役三年の実刑が出ておるのですね。要するに、いま保釈中の人なんですが、この方が、昭和二十八年の十月二十九日のころ、東京都の港区所在の日本郵便逓送株式会社代表取締役社長の津田鉄外喜らに対して、郵政省と結託して不正な利益をあげていると「政界ジープ」に発表し、国会の問題にする、こういうことを言っておどかしたんでしょう。それで、その人が二万円現金を取ったのですね。それから、十一月の四日の日にまた二万円、こうして合計四万円取っているのです。たしか、この時期は逓送の何か改革があったと思うのですね、郵政省の。どうも私、こんなことはないと思いますが、不正な利益をあげているということが、もし事実でないとすれば、こんな金を出すことはないでしょう。どうも、こう言われて出したということになりますと、必然的に何かあったのじゃないかというふうにわれわれは推察するわけです。私も郵便逓送株式会社というのはよく知っておりますから、まさか、そんなことはないだろうと、こう思っておりますが、たまたま、事件を私ずっと調べております間に、そういうことが出てきましたから、そういう点については、ひとつ十分調査もしていただきたいし、その当時一体どういうわけでこう言ったのか、津田さんという方がいまいらっしゃれば、その方にもよく事情を聞いていただいて、どういう意味でこの金を渡したのか、ひとつその事情も調べていただきたいし、こういう不正な利益をあげるようなことを、日本郵便逓送株式会社との間に郵政省があるかどうか——ないと思いますけれども、これをひとつ大臣から承っておきたい。
  30. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その具体的事実は私全く初耳です。よく調べてみたいと思います。しかし、お話の中にありましたが、この郵便逓送の会社が郵政省と結託をして何か不正な利益をあげているというようなことは、私は、郵便逓送会社及び郵政省の立場から考えまして、それはあり得ないことだと思っているのであります。この点もしかし、関連をいたしまして、よく調べてみます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 これは間違いない。検察側の起訴の犯罪容疑の事実の中にあるわけですから、私の資料は絶対間違っていませんから、そのことをひとつ心得ていただいて、ぜひお願いします。  それでは次に、私は、宇宙通信関係について、関係の皆さまにお尋ねしたいと思いますが、特に、国際、NHKの皆さん、わざわざおいでいただきまして、ありがとうございました。  御承知のとおり、先般十月二十六日にインテルサット二号が打ち上げられまして、これは不幸にして軌道に乗らなかったわけですね。しかし、太平洋の間を通る期間、六時間か七時間か知りませんが、その間はちゃんと通信ができるようですね。ただし、静止しなかったということが問題です。したがって、これが実用化は、来年の一月とかいろいろ言われております。したがって、日本の宇宙開発もかなり進んでいると思いますが、とりあえず、インテルサット二号の実用化に備えて、郵政省郵政省、国際電電は国際電電、また、NHK、民放、それぞれの立場に立ってこれが利用についてそれぞれの措置をやっていただいていると思います。特に国際はコムサットの日本側の代表者になっているわけでありますから、国際電電がその窓口でいろいろ御苦労いただいていると思います。現在失敗しまして、もう一つの三号になりますか、あるいはABにすればBですか、これは本来大西洋側に打ち上げるわけですが、あるいは、これを太平洋側に回していただかなければならぬかもしれませんが、そういった時期の問題もございますので、これは国際電電のほうがむしろ窓口ですから適役かもしれませんので、失敗したあとの三号といいますか、インテルサット三号の打ち上げの時期、それから、いまの準備体制、そういうものを郵政省から逐次お伺いしたいと思いますが、特に郵政省については、この宇宙通信の実用化に際して、法制的に行政上どういうふうな、やはり措置をしなければならぬかというようなこともあると思いますが、それらの準備その他についてどうなっているか、国会の、あるいは法律改正をしなければならぬ問題があるとすれば、それもまた出てこなければならぬと思いますが、そういった法制上の問題、特に行政上から見たそういう問題を中心にして、ひとつ郵政大臣からお伺いしたいと思うのです。
  32. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) その問題については、われわれのほうはKDDが窓口でございますので、KDDから絶えず詳細な連絡を受けております。この間のインテルサット二号が不幸にして予定の軌道に乗らなかったということで、これはもちろん、ある時間は通信の用に供することができるわけでございますが、当初予定されておりましたような太平洋上の静止衛星にならなかったために、これを日米間におきまして一月に商業通信の用に供するということができなくなったのでありますが、当初の予定では、私の聞いておるところでは、十一月の二十三日にこの次の衛星を打ち上げるということになっておったのでありますけれども、この間の衛星について検討の結果、私にはよくわかりませんが、技術的に若干の何といいますか、改めるべき点がわかったということで、そういう関係もあるのでございましょうが、十一月二十三日というのが若干おくれるということを聞いております。しかし、そんなに、おくれるといっても長い期間ではなしに、それを修正をして打ち上げられることは確実でございます。ただいまのところは、来年一月からの衛星を媒体としての宇宙通信というものがコマーシャルベースで行なわれるだろうということは動かないように聞いておるのであります。  そこで、この前の委員会でも御質問に応じてちょっとお答えいたした次第でございますが、私どもとしましては、一方では、この衛星を利用して、日本も国際的な商業衛星通信をやるというたてまえで、送受信についていろんな設備が要りますので、その整備を関係機関で急ぐと同時に、それを実行いたします場合に備えまして、実はKDDあるいはNHKあるいは放送業者、そういった関係の機関がアメリカの関係者とどういうふうな関係を持ってこれを実行することがいいかということにつきましては、両者間の交渉、話し合いの経過をいま非常に慎重に見守っておるのでございます。いまお話しのように、放送法、その他の法制上の措置をする必要があるかないか、そういったことについてはまだ結論を出しておりませんが、しかし、一言で申し上げますと、アメリカのほうの関係者は、まあ問題になるのはテレビであると思いますが、テレビにつきましては、御承知のように、三つのネットワークがありまして、これが日本のNHK及び放送関係のおもな人たちといろいろの交渉を持っておることも事実のようでございます。しかし、これもまだ最終的に煮詰まっておらないようでございます。日本としましては、外国から参りました番組を、これを各家庭に流すことは、これはその番組がどういう方法で日本に送られてくるにいたしましても、これはやはり放送法の適用を受けるということで、放送法に書いてあります放送コードは厳重に守ってもらわなきゃならぬということになるわけでございます。ただ、こちらから送る問題につきましては、NHKの海外放送に関しまして基本的な精神が書いてございます。放送法に書いてございます。やはりこういう精神ですべての関係者がやってくれますと問題はないのでございますが、これを法律上こういう方向でやれということを言うだけの根拠は、一般放送事業者、民放に対してはないわけでございます。しかし、これについては、いろいろ向こうの放送会社とこちらの放送会社との間で交渉が行なわれているようでありますから、先ほど申し上げましたように、その経過を慎重にただいまは見守っておるわけでございます。大体においてこちらの日本側の放送会社もやはり同じような考え方を持ちまして、向こうの放送会社と接触をしているようでございますから、ただいまのところは、私は特別にこのために法制的な準備をしなければならぬというようなことは、いまのところは考えてはおりません。一部新聞に報道されておりましたようなことは事実でないのでございまして、たとえば出てくる放送の内容、こちらから出す放送の内容について検閲をするんじゃないかというようなことがどこかで報道されたように記憶しておりますが、これは憲法の二十一条に関する問題でもございまして、そういったことはいまどこにも根拠規定がありません。したがって、これは何かの間違いであったかと私は思います。ただいまはできるだけ、向こうの関係事業者とこちらの関係事業者の間の自主的な話し合いによりまして、そういった両国のためになるように、いい放送をお互いに交換することを期待いたしまして、その成り行きを見守っておるというのが実情でございます。
  33. 野上元

    委員長野上元君) KDDのほうから何かありますか。
  34. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ただいま郵政大臣からおっしゃいました以外には、何もございません。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 前田会長おいでいただいておりますが、会長には特に先般ヨーロッパ、アメリカ方面をお回りになっておりますので——ヨーロッパではすでに実用化されております、放送関係につきましては。そういうこともひとつ参考にいたしたいと思いますから、含めまして、NHKとしてのいまの準備体制でございますね、特に民放連のほうでも協議会をつくっておるようですが、これは要するに、宇宙通信の開発研究ということでなしに、この前、大臣もおっしゃったように、実際にどういうふうにはめてもらうかという、そういう立場に立っての協議会のようでございます。しかし、これは非常に、日本の放送界全体の問題でありますから、これはどこかで民放、NHK、同じような立場に立ってのひとつ配慮をしてやらなければならぬと思うのですが、その点、NHKに聞くのが至当かどうか私ちょっとわかりませんが、もしそうでなかったら、国際電電でも大臣でもいいんですが、そういった点も含めて会長にはお話を伺いたいと思うんですが。
  36. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもの立場で、テレグラフの宇宙中継という問題は、日本ばかりでなく、ヨーロッパにおいても、それからアジア各国、それからアメリカ合衆国だけでなしに、アメリカ大陸の各国で非常な関心を持っている問題でございます。したがいまして、問題点は二つに分けなければならないと思います。いわゆるインテルサットを通じて行なう宇宙中継というものと、世界の放送事業者ないし事業者の団体が考えている宇宙中継の将来のあり方という問題は、厳然として区別されなければならない問題だと考えます。インテルサットを通じての問題は、これは簡単に申しますと、世界の放送事業者としては、コストが安ければこれに依存することは当然であるというたてまえを原則的にとっているわけでございまして、したがって、日本の放送事業者に対しても、私が民放を代表するわけにはまいりませんが、そういう考え方でおります。この点については私どもの考え方は、一社が独占するという考え方は毛頭持っておりません。これはやはり世界の世界的機構の中で自由に使うんだというたてまえで、したがって、その意味での今後使うとすれば調整が必要になってくるであろう。その場合には、たとえばNHKが独占するとか、あるいは民放にも私が期待しているのは、民放のどこかの社が独占するということのないように、そしてまた、このことは、従来行なわれている実験中継放送的な原則でも、ほぼこの原則は各国間に確立しつつある状態にございます。したがいまして、私どもがこの際、NHKとして、インテルサットないしインテルサットとの関連にある郵政省の御方針ないし国際電電の御方針について申し上げることは何もございません。  ただ、その次に厳然区別された第二の問題、これはヨーロッパにおいてもアメリカ、カナダあるいは中南米等におきましても、アメリカ自身でもインテルサットを使用する場合には、使用は経費の面から極度に制限されざるを得なくなるだろうという点であります。この点について従来も幾つかの会議が持たれておりますが、ヨーロッパ放送連合の考え方としては、まず第一に、インテルサットのテレビ中継に使用する料金を徹底的に下げさせるという要求をいたしております。これはアメリカ自体の中でも、アメリカの三大ネットワークは、コムサット及びインテルサットの関係者並びに連邦政府及び議会に対して、この問題を従来からも提起いたしております。こういう関係では、われわれの第二の立場は、インテルサットの形式的経営とは全く関係なく、世界諸国民の親善ないし平和的な活動、あるいは世界諸国民間のニュースの自由な流通に対して、もし現在のインテルサットが現在の組織及び運営方法のみでいく場合には、これに適当な措置を講じなければ、文字どおり、インテルサットによって、各地域の放送事業者、したがって、その対象となる各国民の自由な意思あるいは実情の交換、相互理解のしかたが事実上制限されることになるだろうという点に非常な関心を持っているということは申し上げられると思います。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 私はきょうは、将来の、会長のお述べになった次の段階への開発研究ですね、この点についてはまたあらためて伺いたいと思っておりますが、とりあえず、インテルサットの二号が打ち上がりまして、それによって国際的なテレビ中継をやる、そういう段階を迎えているわけですから、これに対してNHKなり、あるいは民放連は、会長がおっしゃったような一社独占とか、そういうことでなくして、まあ限られた回線しかないようでありますが、その回線を公平に分かち合いながら日本の国際的な飛躍を考えていく、躍進を考えていくというふうな気持ちについて、私も全く同感です。おそらくそういうふうにやっていただいていると思うのですね。  それで、いまお話しの料金について、やはり確かに問題があると思いますね。私ちょっと調べてみても、いま打ち上げられているインテルサットの一号ですね、ヨーロッパでやっている。三十分間で四百四十万円くらいの料金を取られておりますね。これは地上局から放送局までのマイクロの使用料は別にしまして、これはコムサットに払っていると思うのですけれども、十分間でも二百五十万円。カラーはその五割増しで非常に高い。したがって、こういうことではなかなか、せっかく打ち上げられてもテレビ中継ということはむずかしいし、まあやるにしてもごく限られたものになってくるのじゃないか、こう思うのですね。そこいらの料金の引き合い問題は、ヨーロッパでもアメリカでも盛んにやっているそうですが、現に外国を見てこられたのですからね、そういう点では、窓口になっているのはこれは大臣か向こうか知りませんが、NHK、コムサットとの間では、そういう点についてはまだお話し合いをしてないのでございましょうか、日本の場合は……。
  38. 八藤東禧

    参考人(八藤東禧君) お答え申し上げます。  鈴木先生の御質問は、現実にインテルサット一号または二号に関連してのテレビ料金の問題について、コムサットあるいは暫定商業衛星通信組織はどういうふうに考えているかという御質問と、KDDは現実に日本との間のテレビ衛星中継について、料金等について何らかの交渉を持ったか、この二点だと思います。  第一点のほうにつきましてお答え申し上げますと、先生のおっしゃったとおりに、アーリーバードは現在商用化されておりまして、しかし、その能力上からいいまして、テレビジョンに心要な回線を提供するということについて非常に制限があるわけでございます。時間帯によっては商用電話を停止して、そうしてテレビのために使わせるという場合がある。まあいろいろあるわけでございまして、現在におきまして、コンソーシアムとしては、決してテレビ料金に高い料金を払え、かけようという方針では全然臨んでおりません。簡単に申し上げますれば、電話に対してもこれだけの料金は課するから、電話の料金と同じように、テレビに必要な回線を提供する場合にはこういうふうな料金になるからということで料金を割り出しているのが現在の基本的態度でございます。その結果、あるいは高い安いの議論が出るかと思いますが、それは決してテレビに特に高くしているのではありません。電話と対等に扱っているのだ。そこには、テレビ部門の方々からおっしゃれば、いろいろ問題はあるかもしれません。一方には、また、衛星自体の能力それ自体にも問題があるわけでございます。ただいま申し上げましたのが、私の承知している限りのコンソーシアムの委員会における基本的な態度でございます。  それから第二点の、KDDが衛星通信を通じての海外テレビ伝送における料金関係について外国と接触したかという御質問でございますが、これには二つ接触のルートがあるわけでございます。第一は、何と申しましても、コムサットとの間に、言いかえれば、コンソーシアムの代表者としてのコムサットまたは委員会、それとKDDがテレビのためにチャンネルを借りる、買う、その場合に支払う料金、これが一つの問題、それからいま一つは、今度は現実に日本の放送部門の方々にKDDが放送に必要な回線をどういうお値段で差し上げるかという問題、この二つでございまして、しかし、何といいましても、向こうのほうは向こう側の料金制があるわけでございますから、その二つを合わせて、まあ日米どちらの放送業者がお払いになるか、両方でお払いになるか、それは放送業間の御協定でございましょうが、そういう問題があるわけでございます。この点につきましては、私どもはコムサットとも過去におきましてテレビ料金について交渉、検討の会を持ったことがございます。それからまた、先般向こうで現実にコムサットから回線を中売りいたしまして、現実に放送業者に提供する立場にあるRCA、ITT、ATT、ハワイアンテレフォン、こういう方々との間にも、近く始まる太平洋衛星通信放送業務についての基本的な協力関係の相談はいたしました。しかしながら、現実におきましては、まだ一体いかなる料金をもってKDDが日本側の放送分に対して回線を提供するかという点はまだ結論に達しておりません。至急、急いで検討はしておりまするが、これも、やはり大西洋の料金も最近ちょっとまた変動の状況が見えておりまするし、日米間にも日米間としての事情があるわけでございますので、鋭意検討いたしておりまして、少なくとも、実際の営業開始以前に、日本の放送部門の方々に御迷惑にならない以前に郵政大臣の御認可を得るように、放送料金についてはただいま鋭意検討中でございまして、その検討の基礎として、米国側の業者との間には、過去において数回そういうふうな接触を持った、こういう問題でございます。  それからいま一つは、このコンソーシアムといたしましても、テレビ部門は相当重要視しております。今度のインテルサット・セカンドの場合には、まだまだ衛星にそう大きな余裕がないのでございますが、少なくとも、グローバルシステムに入りますれば千二百チャンネルと言われておりますから、相当テレビ部門に対しても——まあ相当と申しましても限度がありますが、回線提供能力がふえる。したがって、こういう意味においても、われわれ衛星通信事業体は放送部門と密接な連絡をはかるために、放送部門の方々を交えての衛星通信事業者との会合を持つべきであるという結論を委員会が打ち出しまして、その委員会も、太平洋は太平洋地域で、大西洋は大西洋地域で衛星通信事業体と放送部門体との合同会議を開こうという段取りは一応つきましたが、期日、その他についてはきまっておりません。この席上におきましても、あるいは、いまちょっと前田さんもお触れになりましたが、放送部門としての立場から、料金あるいはサービスその他の御要望も出ましょうし、また、こちらからも放送部門に対して、国際企業体としてのいろいろな御意見を申し上げることもあると思います。  以上申し上げましたのが在来までの経過でございます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 いまお話を聞いておりますと、なかなかこの料金の問題はむずかしいように思います。そこで、NHKの前田会長が言われた次への段階、開発研究ということにどうしても移らざるを得ないと思うのですが、これはもう一つお伺いしたあとにお話をそちらに移したいと思いますが、きょうは電電公社からもおいでいただいておりますから、さっき申し上げたような失敗をしなければ、来年の一月ですか十二月一日——来年の一月ですね、くらいから実用化しよう、こういう方針ですから、それに対しての準備体制というのは大体できている、そう判断をしていいと思います。  そこで、この回線の点で公社にお尋ねしたいのですが、宇宙通信から、これは十王ですね、NHKの受信所に入った電波が、さらにマイクロウエーブで東京の青山にありますTRCに入ってきますね。入ってきたものをどうするかということが問題になると思うのですね、回線の関係で。だから伺いたいのですがね、その場合に、TRCに入ってきて、それからNHKなりTBSなり、それぞれの民放に流れていくというシステムか、これはコントロールを国際電電がやる場合ですね。それからもう一つは、十王からTRCに入って、すぐ各NHKなりTBSなりに分けてやる、その場合には、コントロールはTRCがやることになるわけでしょう。その場合に、業務を一部電電公社に委託してKDDがやるのか、あるいはKDDの職員を向こうに派遣してやるのか、それは別といたしまして、その二つがあると思うのですね。これは私の考え方なんですが、やはり、できればこの回線の調達について公社側に協力してもらう、当然使用料を払うわけでありますが、そうしてKDDがコントロールをしてやるようにしたらどうかと思うのですが、いま言ったように、非常に料金も高いわけですから、一分何万円か何十万円かになるのでございますから、その辺の計算値は厳格にしなければならぬと思うのです。これは電電公社にまかしたってやりますよ。やりますが、非常にむずかしい問題ですから、KDDはやりたいでしょう、私もそのほうがいいと思いますから、そういう意味において、回線措置ですね、そういうために必要な回線措置は電電公社としては万全にされておるかどうかですね、この点をひとつNTTのほうから伺います。
  40. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申し上げます。  国際テレビの中継につきましては、当公社としての役務ではございませんが、先生御指摘のように、国際的な見地から、現在あります私どもの設備を有効に使用できる、こういうことでございまして、また、そういう意味から御要請があれば、私のほうとしましても、青山の設備を十分に御利用していただければと思っておる次第でございます。  それからテレビのコントロールのことでございますが、これにつきましても、御要請によりまして、公社においてできるだけやってまいりたいという考えでございます。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 北原さんね、もう少しわかりやすくするために、公社で要請があればやる、こうおっしゃるのですが、一つは、コントロールを国際電電がやるか公社がやるかという問題にからんで、これは回線——もしKDDでやるということになりますと、一回線か半回線かふやしてやらなければならぬですね。これは大手町とTRCとの間ですから、そうたいしたことはないと思うのですが、そういうような点を考えて、これはどっちがいいかという判断——私はKDDがやったほうがいいのじゃないかという気がしますけれども、公社のほうとしては、まかしてくれ、私のほうでやってだいじょうぶだというふうに考えておるかどうかということですよ。その点をちょっとお伺いいたします。
  42. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申し上げます。  技術上の点からと性質上の点からとございますが、まず、技術上の点から申し上げますれば、なるべく回線技術を高度に維持するという意味から、青山から国際の建物のほうに、あるいは、それから青山に戻るというようなことのないようにするほうが望ましいと私ども思っております。しかしながら、業務運行上の問題が別にあるかと思いますので、その面につきましては、武田さんから御説明申し上げます。
  43. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 十王のKDD基地局で受けられまして、いまのKDDの考えでは、十王から公社のマイクロを通じましてTRCに入る、そのあと、いま先生から御指摘がございましたような問題点はございますが、いずれかの——NHKに、あるいは民放に入っていくという形になると思います。その場合、結局、NHKなり、あるいは民放に入る。十王から前半のものが国際業務になるというふうに考えておりますので、したがいまして、切りかえ業務は国際電電会社の仕事であるというふうに私ども考えております。したがいまして、KDDとして、そういうふうな意味において国際業務をおやりになります場合に、一番やりやすいような切りかえ方法につきまして、いまKDDと公社の間で、その点について打ち合わせております。  ただ、一つの問題がありますのは、かりにNHKが受けられました場合に、NHKの回線は国内業務に使っている回線をまた国際業務にもお使いになるというようなことになると思いますので、全体が、何といいますか、宇宙衛星を使った放送業務全体が、NHKまで含めて国際業務であると言いながら、NHK回線については国内業務に使われている回線を使うというような点もございますので、その辺むずかしい問題がございますが、国際業務というたてまえで、性質上そういうものでございますので、その点につきましては、KDDと打ち合わせしまして、国際業務としてやりやすいようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 前田さんね、このデモンストレーションにつきまして、二号が打ち上がった場合に、日本からどういうふうな放送をやるかという問題、そういうような計画はお持ちになっていたのですか。何か最初は、この二号は受信だけで送信ができないようなコムサットからの連絡であったでしょう。その後また送信もできるようなことになって、どうもコムサットとKDDとの間の連絡というものがうまくないように思うのですがね。これはおそらく、コムサットの内部がなかなか意思決定ができないのでKDDに来ないので、KDDの責任ではないと思うのですよ。おそらく、向こうのコムサットもでき上がってそうひまはないし、体制はどこまでいっているか私わかりませんが、いろいろ問題があると思いますので、たとえば、さっきの失敗したあとどうするかという問題についてもさっぱりわからぬ、それから、送信か受信か、両方できるのか一方かというようなことについても、どうも最初から連絡がとんちんかんだということもあって、これもみっともない話ですから、そういう点についてやはり十分にできるだけの努力をしていただくように、コムサットを鞭撻しなければならぬと思うのですね。そういう意味で、そういう問題がありましたけれども、いずれにしても、おそらく、民間放送とも御相談なすって、どういうふうな番組を最初日本からデモンストレーションしようかというようなことは準備をお進めになってもうできておるのですか、そういうプログラムも。
  45. 前田義徳

    参考人前田義徳君) まだ最終的には、結論から申し上げますと、できておりません。ただ、私の承知いたしている範囲では、放送事業者の連絡によりますと、送受信とも可能である。ただ、その送信の設備が日本側でどうなっているかという問題は私は存じません。したがって、その二号の成功の場合についても、アメリカ側でもわれわれに連絡しておりますし、それからまた、国際連合がこれを、デモンストレーションを使いたいという話もございまして、その点、アメリカ内の調整については、われわれのニューヨークの橋本総局長が各関係事業者と話し合っているというのが実情であり、また、私どもに対しても直接アメリカの事業者がいろいろな意思表示をしてきているということも事実であります。しかし、番組の中身をどうするかという問題については、いまのところ未確定でございます。
  46. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この問題、いまのデモンストレーションの問題だと思いますが、この問題については、この間のインテルサット二号が予定の軌道に乗らなかったが、かりに予定どおりに来年一月から商業通信に入るということを考えますと、時間的に非常に制約されてきたわけです。当初からわれわれの聞いておりますところによりますと、デモンストレーションも関係者の間の——いまこういったのが始まりましたということで、関係者の間のデモンストレーションにするのか、あるいは、さらに、両国とも相当公式なものにして、前に太平洋ケーブルができたときと同じように、たとえばアメリカ大統領とこちらのほうは総理が出るというような形で、国と国との間の国家的な行事にするかどうかというようなことについても、いろいろまだ意見があるわけです。これについては、今日までまだ確定はしていないのであります。したがって、NHKの会長が言われるように、まだどちらにもきまってないものですから、番組もまだきまってないという状態でありますけれども、これは場合によりましては、在外公館等を通じてやらなければならぬかもしれません。その点は向こうのほうとこれから、この次のインテルサットの打ち上げに関連いたしまして、それに応じて必要な交渉をしてもらいたいということをKDDのほうに申しておるわけです。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 そして受信体制については、NHKのほうは万全ですか。
  48. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもとしては、これはまた別の分野に入るかと思いますが、NHKとしては、いかなる必要性にも応じ得る体制は持っていると確信いたしております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 KDDのほうに少しお尋ねしたいのですが、いまの地上局の十王局ですね、これの拡充をかなりしてもらっていると思うのですが、さっき八藤副社長の言われたような将来のベーシックシステム、こういう問題とも関連して、これからいろいろ設備の拡充をしていかなければならぬと思うのですが、いまの十王だけでは間に合わないのじゃないですか。日本の場合、それらの対策はどうなっていますか。  それからもう一つ、十月二十六日の打ち上げは失敗しましたね。したがって、今度はそれにかわるべきものを、大西洋のやつをこっちに持ってまいりますれば、また大西洋に一つやらなければならぬわけですね。そうすると、予定よりも余分に一つ打ち上げなければならぬわけですね。そうなりますと、前に分担金を出しましたが、それらの分担金はふえるようになるのですか。それらのことはまだわからないのですか。  もう一つ聞きますが、実用化の段階において、いろいろ料金問題だとか、それぞれ営業面における整備があると思いますが、準備が。それらについても、いまどうなっておりますか。
  50. 八藤東禧

    参考人(八藤東禧君) お答え申し上げます。  それぞれ技術的に、また業務的な専門的なことにつきましては、後ほど板野、竹内両常務から詳しく申し上げたいと思いますが、基本的に申しまして、先生お尋ねの第一点、KDDのインテルサット二号及び三号に対する準備体制はどうなっておるかという点につきましては、御承知のように、ただいまあります十王局というのは、最初テルスターまたはリレーの実験ということを主体としてやったのでありまして、あのままでは今度のインテルサット二号に対しても不十分でございまして、それに対して急遽、インテルサット二号は予定より早く太平洋に上がるようになった時点から、このインテルサットの実用可能な時期において日本も参加できるようにということで、十王局、衛星通信実験所としての設備の手直しをいたしまして、インテルサット・セカンドをこの十月に予定どおり打ち上げたわけでございまして、大体諸般の関係から、営業開始時期には日本も参加できるように準備いたしました。  第二点といたしまして、ベーシックシステムの場合には、太平洋の場合においても上がりますし、御承知のように、インド洋においても上がるわけでございます。そういたしますれば、どういたしましても、このインテルサット・セカンドに対する応急体制に対する設備では不十分でございます。太平洋のためにも、本格的な技術基準を持った地上局が必要でありますので、すでにその準備体制に入っております。また、予定されているようなベーシックシステムの運用時期には、本格的なKDDの地上局で対応し得るような、現在計画どおりに諸般の準備を進めております。これに加えまして、インド洋に上がった場合においては、この十王局において準備中の地上局では足りません。これはインド洋の星の位置、あるいはヨーロッパ側においてカバレージの問題がありまして、どうしてもこれに対して、さらにいま一つ対ヨーロッパ向けの地上局が必要ではなかろうかと思いまして、これに対しまして、関係の各国とも交渉し、あるいは社内におきましても、それに対する準備をいろいろと計画中でございます。  お尋ねの第二点のほうでございますが、インテルサット二号計画は、ベーシックシステム以前において、アメリカのアポロ計画とタイアップいたしまして急遽組み立てられた計画でございますが、この計画のためには、四つの星を用意いたしております。したがいまして、今度の星が失敗いたしましても、先生のおっしゃいましたように、次の星を打ち上げる、あるいはいま一つの星を打ち上げるということは可能でございまして、先ほど大臣の申されましたとおり、来年一月末、太平洋衛星商業通信業務の開始はほぼ心配なかろうと、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、このたびの失敗のあとにつきまして、先般コムサットから入電がございまして、できるならば近い将来において臨時国際委員会を開いて、この結果について検討したい、それは先ほど鈴木先生がちょっとおっしゃいましたように、もしかしたら、現在の軌道でも、ある程度まで短い期間、それが六カ月であれ、三カ月であれ使えるかもしれぬ。一方また、そういうような期間だけでも使いたいという通信事業体があるかもしれぬというような問題もありまするし、できるならば臨時国際委員会を開きたいという申し入れがありまして、これに対してKDDは、もちろん、失敗の原因の明確化とか、あるいは事後処理等について、かかる会合を持つことが妥当と思うので、臨時国際会議の開催については賛成という態度をとっております。  それからまた、費用の点でございますが、このインテルサット二号の計画は、全体として二千八百五十万ドル、まあ百億円でもってこのインテルサット二号計画を持ったわけでございます。この中に、実は二五%の失敗ありという計算になっております。そういたしますと、ちょうど四つのうちの一つの失敗があるだろうという企業計算が成り立って、このインテルサット二号計画をやったわけでございます。まあ、たまたま、今度失敗いたしましたので、この打ち上げ費用三百万ドルでございますか、費用は四百万ドルでございますか、この間の経費としても七百万ドル、二十五億程度は、まあしばらく日本としても使うものがあるとして見ても、一応失敗になったわけでございます。しかし、計画それ自身としては、国際企業体としては計算済みでございます。ただ、おっしゃいましたように、その損は一応七百万ドルなら七百万ドルのものは一応の損になるわけですが、また、それによって間接的な得べかりし収入とか、あるいは、いろいろな問題も起きてくるわけでございますけれども、それは決してKDDとしても追加支出は必要としない。大きくいって、一九七〇年までの間に二億ドルでベーシックシステムまでやろうじゃないかということで企業として計算してやっておりますので、その二億ドルのうちの二千八百五十万ドルを投じてインテルサット二号計画をやろう、それには四つの星を用意しよう、それでまあ二五%は失敗するだろう、こういう計画を立てているわけでございます。で、不幸にして失敗いたしましたが、これによって追加支出をいたしましたり、あるいは暫定的に二億ドルの追加分担をするということはございません。  以上のとおりでございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それで、料金問題にいたしましても、なかなかまだむずかしい状態にあるようでありますが、少なくともKDDとして商業実用化の方向にスタートする場合、これによって年間どの程度の収入を見込み、支出はどうなるか、そういう計画はあると思いますが、そういう問題はどうなっているか。  それからもう一つ、これはこの次にお尋ねする問題にも関連するのですが、将来、このコムサットが主宰しております打ち上げ計画、この衛星事業と、それから日本みずからが打ち上げようとする計画がございますね、そういうものとの関係で、これは経済的な比較になると思うのでありますが、日本で打ち上げた場合、かなり安くいくのかどうなのか、こういった問題もひとつ検討の余地があると思うのであります。おそらく、四者会議が持たれているのもそういう関係にあると思いますので、それまでの間ということになると、これはまた腰かけですね。そうすると、また相手方は相手にせぬということも出てくるでしょう、国際的には。おまえたちはひそかに安いやつを考えてやっているじゃないかというようなことになりますと、これは感情として、商売ですから、おもしろくないところがあると思います。しかし、それはそれとして克服しなければならないわけでございますが、その判断は、やはりとりあえず暫定的にこのコムサットを利用して、そうして将来はみずからの手によって四十五年から四十七年なりに打ち上げの時期が来れば、それによって切りかえていく、こういうことは相手方とどの程度の話をしているのでしょうか。
  52. 八藤東禧

    参考人(八藤東禧君) 先生お尋ねの後半の問題は、実は私どものほうからお答えするということよりも、むしろ政府のほうの御方針かと思います。  それから、前半のほうの問題につきましては、ちゃんと今度もインテルサット二号が予定どおり上がりましたといたしましても、回線によって非常に制限がございます。また、その回線について、また、KDDが業務運営上の立場からどういうものに使うかということにつきまして、板野常務取締役のほうからひとつお答えさせたいと思います。
  53. 板野学

    参考人板野学君) お答え申し上げます。  先ほど副社長から答弁がございましたように、料金問題につきましては、なかなか複雑な計算もございまして、まだ私どもの側で決定に至ってはおりませんが、いずれにいたしましても、来年早々の実用化を控えまして、郵政省のほうには、十一月一ぱいには料金をきめまして申請をしたいということで作業を急いでおるわけでございます。そういう事情でございまして、この衛星通信が実用化された場合の収入というものがどういうことになるかというお話でございますが、確定的なことはここで申し上げませんが、大体、新しい業務といたしましてはテレビだけでございまして、ほかの電信電話あるいはテレックス、こういうような収入につきましては、私ども、四十一年度あるいは四十二年度の大体の収支の予想を、全体として、あるいはケーブル、無線、それからこの衛星通信全体としてこれを立てておるわけです。  衛星回線につきましては、来年早々から大体私ども、米本土との間に十二回線、それからハワイ間におきましても十二回線程度の衛星回線を使いたい、こういうことで考えておるわけでございます。  それからテレビにつきましては、これは予測が非常に困難でございますが、一応、来年の一月から三月の間において、一日三十分程度の需要があるのではないか、こういうように見ておるわけでございます。また、四十二年度につきましては大体年間百八十時間程度の需要が見込めるのじゃないか、こういうふうに考えております。  ただ、残念なことには、先ほどお答え申し上げましたように、料金そのものが確定額ではございませんので、その点の収入がどうなるということにつきましては、いましばらく御猶予をお願いいたしたいと思っておる次第でございます。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 大体、一号の、ヨーロッパでやっておりますのに比べまして、コムサットとして今度の場合は、料金はやはり一号と同じような考え方でおるのでございましょうか。それとも、何か二号の場合には考えるというような余地はあるのですか。
  55. 板野学

    参考人板野学君) お答え申し上げます。  先ほど鈴木先生おっしゃいましたように、ヨーロッパのインテルサット及びアーリーバードの例をとりますと、普通の時間で十分間四千四百ドル、こういうことになっておりますが、インテルサット二号につきましては、それより多少は安くなる、こういう見込みでございます。衛星部門に対します料金も現在年間二万ドルということになっておりまして、それに地上局の、地球局の費用、連絡線等の費用も含めまして全体の料金ができるわけでございますが、多少安くなる、こういう見込でございます。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 さっきの将来の見通しについて、これは道義的な問題ですから、ここで聞くのは私はどうかわかりませんが、少なくとも、日本がそういう計画に乗っている以上は、相手方はそれを知っているはずですよ。そのときになって切りかえていくのだということについては、やはり感情として起こると思うのです。ですから、あらかじめ、日本の計画はこういう計画であるということを明らかにしつつ、コムサットの計画に参加していく、払った金を戻すというわけにはいかぬでしょうが、それらの協定はどうなっているかわかりませんが、少なくとも、第一次協定で払った金それ以上を出すということは、あるいは、場合によっては、日本が成功すればこっちにいくかもしらぬというようなことは、向こうが聞かないでしょう、それは。そういう話はコムサットの間で出ないのですか。KDDはたいへん問題がむずかしいものだから、大臣に転嫁しておりますが、転嫁といいますか、質問をそらしておりますけれども、大臣でもいいです、そういう点どうしますか。
  57. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先の問題で、いまここでお尋ねのことに対して、確定的なお答えはできないと思いますが、しかし、こういうことは申し上げられると思うのでございますが、いま当座は既定方針で、おっしゃるように、コムサットの関係の現在のいろいろの話し合いをもとにして、日本も対国際的な宇宙通信に参加をしていくという態度は、これは必要であろうと思います。そこで、数年先にはわれわれの希望としては、日本においても独自の衛星を打ち上げたいということで、郵政省関係関係機関はもちろんのこと、打ち上げに関しましては、特に科学技術庁あたりで非常に研究を進めております。そういったものが総合されて、数年先にはおそらく私は実現し得ると思っておりますが、その場合に、要するに、その衛星をだれが管理をして、どういうふうに運用するかということにつきましては、今日まだ政府の中でもはっきりとした方針を打ち出していないのであります。おそらく、各種の目的に対しまして、それぞれ衛星を打ち上げるということはできないかと思うのです。ある程度多目的の衛星にならざるを得ないと思います。その場合に、いま申し上げたように、どういう形でそれを管理するか、つまり、だれがその衛星を持つかということ、どうして管理するかということ、また、どういうふうに運用するかということにつきましては、もう少し、技術の開発と並行いたしまして、今後鋭意検討しなければならぬ問題であると思います。それに関連いたしまして、コムサットの関係につきましても、同時にこれはあわせて考えていくということになると思うのであります。いまその点について、政府から具体的にあなたの御質問にお答えできないのは遺憾でありますが、そういう状態でありますから、もう少し時間の余裕をいただきたいと思います。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 答えられないとすれば、これ以上、質問ですから、伺いませんが、私は意見としては、当然商売ですから、お互いに商業道徳からいっても、そういうふうな、やはりわがほうの手の裏というものはある程度見せておく必要はあると思うのです。あとから裏切られたということがあってはいけないものですから、そういう点について、もう少し検討していただいて、どういうふうに、国内開発と国際的なコムサットの関係をどうするかということは、日本の通信政策としてやはりきちっとする必要があると思いますから、これらについては、ひとつ早急に結論を出していただきたいと思うのです。  私はきょうは時間が、さっき委員長がおっしゃったように、時間の制約がありまして、たいへん残念ですが、あと十分ぐらいしかない。そこで、残された、KDDに対するソ連経由の日欧間の通信幹線建設計画、それから日本海の海底ケーブル新設計画、日韓の通信回線の問題、あるいは東南アジアの海底ケーブルの問題、そういうふうな、いろいろな問題についてお尋ねしたかったのでありますけれども、前段に少し時間がかかりましたので、きょうは少し問題が多過ぎますから、大きいものですから、中途で切ることは非常に残念に思いますけれども、いずれもう一回これらの点について伺いたいと思います。それからさらに、今後の開発計画等についても、四者会議を持っていろいろと検討されておるわけでありますから、そういう点についても、もう少し御意見を承りたいと思います。きょうはそういうわけでできませんので、あと、NHKの会長に一、二お伺いしたい点と、それからKDDのほうに伺っておきたいのは、御承知のとおり、短波無線通信から海底ケーブル、そしてまた宇宙通信へと、日本の国際通信というのは非常に目まぐるしく技術革新をされていると思います。聞くところによりますと、加入電信ですね、テレックスにいたしましても、あるいは一般的な国際通信にいたしましても、ほとんど自動化されておる。こういうふうな計画を持っておる。これはまさに一つの国際電信の革命ではないかと私は思います。そのためには、KDDはいま局内の受け入れ態勢等についても整備をやっておられるようであります。これは非常に大事な問題でありまして、現行の通信を確保しつつ、新しいシステムへと切りかえていくためには、何といってもこれは全職員の協力を得なければならぬことだと思います。私は先般も福岡受信所の廃止等でいろいろと御意見を承りました。非常に進歩的に、しかも労働者の立場をよく考えて、そうして、いろいろ施策をやろうというような従来からの会社の考え方は私は大いにけっこうでありますし、敬意を表しますが、もう一歩ここで決意をしなければならぬのは、合理化がここまで進んでまいりますと、相当なやはり国際通信面における要員削減等が出てまいると思います、機械化に伴って。そういう場合に一体首を切るのか切らないのか。私は、やはり合理化を進める場合は、一番労働者にとっては大事な問題ですから、私はおそらく国際電電の労働組合も合理化にまっこうから反対するということじゃなくて、労働条件の向上をかちとり職場環境をよくしていく中において合理化というものを受け入れていこう、こういう立場にあると思います。それだけに、私はもっと大胆に率直に会社側はこれらのすべての計画について組合側とよく話し合いをし、いま電電公社と全電通労働組合が覚え書きなり協約を結んでおりますような事前協議制ですね、こういうものまでやはりいきませんとならぬと私は思うのです。だから、そういう意味において、いま東京国際電報局の中における通信設備の近代化に伴う配置がえ等の問題につきましても、私は当然組合側とそういう立場に立ってのお話し合いがあってしかるべきだと思うのです。この際、いかがでございましょうか、私はやはり首切りの問題にいたしましても、配置転換の問題にいたしましても、やはりこれは一方的に首を切るなんということは考えておられないと思うわけでありまして、したがって、そういう点を明らかにしていただくと同時に、これらの問題につきましては、かつては経営協議会という制度がありまして、お互いに経営について話し合いをするというところまでやってきたわけですよ。ですから、むしろ私は、そういう態度を出して協力を得るというほうが、今後の合理化推進に非常にプラスになるように思うのですね。こういう考え方が是認されるとすれば、労働組合とひとつ大胆率直に話し合っていただいて、そういう基本的な事前協議の方向を確認して今後お進みになったらどうかと、こう思うのですけれども、こういう点について、社長はどうお考えになりますか。
  59. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ただいま国際通信界の技術革新あるいは合理化の進展、そういう事柄についてきわめて御理解のあることばがあり、また、それに対処する会社のやり方、あるいは職員の考え方等についても御理解をいただいておりますことを感謝申し上げます。  ただいま仰せになりましたとおりの実情でございますから、全く一方的に事を進めるということは、これはなすべきことではありませんし、私どももさようなことは考えておりません。ことごとく、可能な限り職員の諸君に話し合いをし、そうして、その理解を得た上でこれを実施に移すということでやってきておりますし、将来もそういう方法でやるつもりでございますが、これに関連しまして御指摘のありました事前協議の問題につきましても、この事前協議に関する協約ができているできていないにかかわらず、すでにそのとおりの精神で現在やってきておるわけでありますが、一方、その協約自体も、実質的にはほとんどもう組合との間に一致しておりますので、ただあとは一、二ごくさまつな手続のようなことが残っておりますが、これを至急にまとめまして、近い将来にこれを成立させるように持っていきたいと思っております。  なお、先ほどお話のございました、合理化の進展に伴って人員の整理があるかないかというようなことがございましたが、これは絶対にそういうことは考えておりません。業務量もどんどんふえますし、合理化がありましても、所要の人員はこれを増加していかなければなりません。また、合理化によって節減される人はこれを再訓練その他の方法で、一方、研修その他で訓練をしました上で、それぞれ適所の再配置をする等の方法もとるつもりでございますから、過員を生じて、そのために整理をしなければならないということは全く予想いたしておりません。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 非常に理屈のわかったお話を承りましてけっこうだと思います。私はここで、団体交渉でないですから、そこにいくような話は差し控えますが、いまの精神で、協約を結ぶか結ばぬかは別として、それですから、やはりこれはお互いの一つの安心をするものですから、そういうことをやはりおやりになる要があると思いますから、それらの点もぜひひとつ、十分お考えのようですから、組合側と十分御相談願いたいと思います。  それからもう一つ要望しておきたいのは、非常にいまのように職種がかわる場合があると思います。そういう場合の訓練などにつきましても、万全の体制をしいていただいて、古い職場から新しい職場に行った際にまごつかないように、やはり事前における訓練というものはおやりになって、合理化に即応できるひとつ配慮をしていただきたい。これは私の希望ですから、その点を申し上げておきます。  それから、NHKの会長一つお尋ねしたいのは、先般来会長が公務員制度審議会の会長としておつとめになっておられたわけです。たいへん御苦労だと思いますけれども、しかし、まあ非常に事が事ですから御苦労もされたと思いますが、結果的に見ますと、なかなかあなたの思うように最終の段階においていかなかった。そのために、労働者側からは非常な不信をもっていま見守られていると思うのです。あなたが欧米を旅行中にも、公務員制度審議会の再開をめぐって、あなたが辞表を出されておるそうですから、政府のほうでもお困りになっているようですけれども、私がここで申し上げたいのは、もうすでに一千億から近い予算を投じてNHKというものが大きな仕事をされているわけです。その会長としての任務はまたこれ非常に重いと思います。したがって、私は、まあ簡単な、時間がさけるような会合、あるいは国際的な、あるいは国内的な放送関係に対する、あるいは、それに関連する委員とかになるなとは言いません。それはもちろん進んでおやりになってもいいと思いますが、それ以外の、放送にあまり関係のないことはおやめになって、むしろ、NHKの仕事に専念されたほうが私はいいと思うのですよ。そういう意味において、いまあなたが辞表を出しておるのですから——やめたのですか、受理されないからまだやめないようなかっこうになっているのでしょうか、そういう点を含めて、会長としていまお持ちになっております考え方をこの際承っておきたいと思います。
  61. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 全く御同感でございます。私は、NHKにある限りは、NHKを中心として全力を注ぎたいと、このように考えております。ただいま御質問の公務員制度審議会については、私はすでに辞表を出しております。私の決心は変わっておりません。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、今後慰留その他の働きかけが政府からありましても、これは受けない、そういう信念でおられるわけですね。
  63. 前田義徳

    参考人前田義徳君) そのとおりでございます。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 まことに私も同感です。どうぞひとつその所信を貫いていただきたい。そして協会の仕事に専念をしていただくようにお願いいたします。  それから最後に、これは要望でもけっこうなんですが、私は実は、最近、基地関係の周辺のテレビあるいはラジオの受信、受像の様子を見学させてもらいました。たまたま、東京都の昭島ですね、あそこは横田と立川の基地にはさまれた市なんでありますが、この地域はもちろん減免がされております。しかし、行ってごらんになるとわかりますように、非常に、横田と立川にはさまれているだけに、現在適用されている減免地域ですと不十分だというのが、市会の一致した意見で、市会もそれを議決して、たしか陳情がいっているはずです。私もつぶさに、その様子を聞いてまいりました。したがって、私は、ぜひ、この際、いろいろ問題はあるでしょうが、実情を御調査くださいまして、そして、もう少し拡大をして地域の皆さんの御要望に沿えるようなことがとれるならば、ぜひとっていただきたい。一面、何か受信料なり聴視料を払うについては、私はまあいずれまた、どういうふうな状況になっているかお聞きしますけれども、ことさらに意識を持って料金問題について事を起こそうというような人たちもおらないとも限らないと思います。そういう空気も察知されました。ですから、事がそこまでいきますと、非常に重大な問題でありますから、私はぜひ、それらの点を配慮しつつ、もう一度現地の御調査、特に昭島だけでもテストケースでやっていただいて、そうして、ある程度の地域をふやして、そうして地域の人たちの理解協力が得られるような道がとられるならば、そうしてもらったほうが気持ちよくみな受信料を払ってくれる、こういうことになると思いますので、その点を調査をして、そうして私の言ったような方向で検討していただけますか、これはぜひお願いしたいと思います。
  65. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 昭島市当局からの陳情は、明らかに、明確に受けております。しかし、この問題は昭島だけでなしに、各基地にある問題であります。名古屋周辺においても、小牧基地におきましても、非常に深刻な問題があることでございます。私どもといたしましては、ああいった減免措置をとりました後において、使用機種等も変わっておりますし、情勢変化もあろうかと思います。この問題は、全然何も調査をしないでおるわけではありません。昨年も一回しております。現在におきましても、そういうような資料も持っております。明らかに問題はあろうかと思います。ただ、根本にさかのぼりまして、この減免をいたしますまでには、NHKといたしましては、完全な電波は出しております。ただ、これを十分障害を除去して十全に受信していただくという技術的な方法があれば、これは問題なく解決するわけでありますけれども、それのないところに非常に問題を起こしております。したがいまして、NHKといたしましては、こういった問題は、ひとり基地問題だけでなくて、都市雑音の問題、その他いろいろな機器から来る騒音、いろいろな問題があります。あるいは高速の列車の通行による障害とか、非常に広範な問題があるわけであります。そういうような中に、この問題だけを特殊にNHKがいかにもNHKの責任としてやろうということは問題があろうということで、非常に消極的でございまして、政府としましては、地元のそういった強い要望を受けられまして、関係御当局でいろいろこれに立法上あるいは行政上措置がないかどうか、その可能性の有無について長らく検討されたわけであります。その当時は、NHKとしては、かなり関係の住民の方々もNHKに責任はないのだ、しかし、そういった措置が政府でとられないので、やはりまずNHKのほうへ要望するが、問題の責任の有無、所在は十分に理解をしておられたようであります。そういうようなことでありましたが、政府の関係の御当局の間の検討の結果、立法上いろいろこれは問題があるということで、いい点が浮かんでこなかったようでありますが、現在の行政のたてまえにおきまして、この問題の措置をいたしますことは、あるいは、いろいろ制度上、予算上、非常に手が出しにくいということで、これは実はNHKとしましては、特殊な例外として独自の調整のもとに、一定の区域を限りまして減免の措置をとったわけであります。その後、基地の移動とか、情勢の変化はありましょう。それに応じていろいろとこれを拡大いたしてまいりますると、非常にNHKとしては苦しい問題をかかえてくることになるわけでございます。したがいまして、現在におきましては、現在の基準を改定する、こういった気持ちは持っておりません。一応ああいう基準は、縦に二キロ、横に一キロでございますけれども、その当時の状況で申しますと、対象の世帯の数も、これに必要な減免による所要経費の関係も、これははるかに今日オーバーをいたしております。と申しますのは、この基準を厳格にやったのではいろいろ問題がありますし、やはりどのような基準をとりましても、ある一定の限界を限って、ここまでは減免の対象、その隣からはそうでない、これは実際的にも不可能であります。自然拡大の一途をたどっておるという傾向にあることは、事柄の性質上当然であろうと思うのでありまして、その辺にこの問題の処理の非常にめんどうな面があるわけであります。そういうことで、可能な限りにおきまして、現在の基準の外でありましても、隣接の減免の世帯との関係等において、そこに明確に線を引くことが無理な点は、かなり考慮をいたしてやっておるわけでございます。そういうことで、当初一億一千万円ぐらいの予算で済むことが、ところが今日では、二億五千万円ぐらいの減免の額になっておるようなわけでありまして、そういう面ではかなり考慮をいたしておる次第でございますが、実情といたしましては、いろいろ調査をいたしておりますが、それは同時に、その調査に基づいて基準を改定しようということには踏み切っておらないわけでございます。そういう特殊なところも御理解をいただきまして、御要望の点はとくと承りましたので、私どものとってまいりました措置にも御理解をいただくということも、かたがたお願いを申し上げながら、実情を御説明申し上げたわけでございます。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 これは副会長のおっしゃるように、よくわかっております。それは私も現地に行きまして、そういった諸般の今日までのやり方についても話をしたんです。しかし、現実に納得しませんよ、これは。特に最近ベトナム戦争が始まりましてから行ってごらんなさい。朝から夕方まで、大型輸送機が立川から離着できないので、横田へ行ってやっておりますから、両方からはさみ打ちでこれはたいへんな状態ですね。ですから、私はその未収金のことについても触れればよかったんですが、それとの関連で私は心配しているのです。具体的にここで私言いませんが、いろいろと下総や何かでも見ておりまして、たいへん心配している問題があるでしょう、わかると思いますが、そういう問題に発展したときに一体どうします。ことさらに、そういうことがありますと、それに便乗をして、ことさらにそういう事をかまえようとする動きが出てくる。それに、思想的にはどうであっても、同調してくる人が出てきます。そうなったときには、どうするのですか。ですから、全般的に触れなかったのは、特に最近の横田、立川基地の実情をごらんになっていただいて、そうして何がしかの、そこに、これはそういう特殊な事情の変化でありますから、あすこと一般的なところと、一キロ、二キロ、これは不合理です、実情において。そういった点は、理屈の上から検討してみれば、できないことはないと思う。ですから、そこら辺は御調査をしていただきまして、できるならばそういう措置をとったほうがよかろうという判断をいたしましたから、申し上げたのですが、一応調査してみてください。
  67. 野上元

    委員長野上元君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度といたします。  この際、参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  参考人の方々には、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり、本委員会調査に御協力くださいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会