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1966-10-20 第52回国会 参議院 商工委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月二十日(木曜日)    午前十時四十四分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 上原 正吉君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 小柳  勇君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業政務次        官        宇野 宗佑君        通商産業政務次        官        金丸 冨夫君        通商産業省貿易        振興局長     今村  昇君        通商産業省重工        業局長      高島 節男君        通商産業省重工        業局次長     赤澤 璋一君        通商産業省繊維        雑貨局長     乙竹 虔三君        中小企業庁次長  金井多喜男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (日韓経済関係に関する件)  (繊維工業構造改善に関する件)     ―――――――――――――
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会開会いたします。  まず、理事会において協議いたしました事項について御報告いたします。  本日は、繊維工業構造改善及び日韓経済関係に関する両件の調査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。     ―――――――――――――
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) この際、宇野通産政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。宇野通産政務次官
  4. 宇野宗佑

    説明員宇野宗佑君) たいへんごあいさつがおくれまして申しわけないと存じております。先般の改造におきまして、政務次官に就任いたしました宇野宗佑でございます。どうか今後よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。     ―――――――――――――
  5. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、繊維工業構造改善及び日韓経済関係に関する両件について調査を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 藤田進

    藤田進君 三木通産大臣に、まずお伺いをいたします。  最近日韓関係について、過般は閣僚懇ソウル閣僚数名が行かれ、藤山さん団長でいろいろ折衝を重ねてまいられました。しかし韓国のみならず、きようの朝日新聞にも指摘しているように、いわゆるバノコンとか、わが国国内経済運営としてはまことに許しがたい事態になってきていると思われます。ことに二十二日のソウル放送以来、韓国で内閣の総辞職というか、この契機となった日本からのサッカリン密輸事件として韓国では扱われている。このような事態になりましたことについて、日本政府として、これに何ら日本国民に対してその事態を明確にしておいでになりません。しかも現地では、かなり日本商社その他圧迫を受け、さらに国内三井物産が扱ったようですが、これを含む日本に対する韓国民の感情あるいは信用問題等、許しがたい問題であるかと思います。総辞職等については韓国政府も一応おさめたようですが、日本政府、ことに通産大臣とされて、この事態に対する認識とこれが対策等について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) サッカリン問題が韓国の政界に起こっておる事実は、これはわれわれ承知しておるところでございます。したがって、この場合にわれわれとしてもこの問題に対する日本側の立場というものは報道されておりますが、こういう機会国会の場を通じて、こういうことの真相がより一そう国民に明らかにされることは非常に好ましい機会であると考えるのでございます。とにかく韓国に限らず、低開発国の援助というものは、その国が健全に経済的にも安定向上していくために、いろいろな形で――協力の形が違いますが、協力をするわけでありますから、日本側はもちろんのこと、また相手国としてもこういう他国協力を通じていろいろなスキャンダルの起こらないようにすることは、これは両国政府国民に対する厳正な私は義務だと思うのであります。しかしいろいろな問題が、これは日本ばかりの-われわれのほうはわれわれのやはり厳重な、そういう点についての態度というものが厳格でなければならぬわけでありますが、相手国に対してもそれを強く望むものでありますが、何ぶんにもこれは他国のことでありますので、われわれとして強くこれを要請するということ以外にはなかなかこれに対してどうこうということは言いにくいのであります。サッカリンの問題にしても、これは韓国自体の問題であって、一口で言えば韓国における本プラント類は関税がかからない、そうして保税地域があるわけです。保税地域に持ち込まれたものが、それを保税地域以外に何らの手続を経ないで出した韓国内におけるこれは密輸事件である。われわれとしてはこれに対して何らの関与をしておるものではありませんが、こういう事態が起こったことは、日韓両国経済協力の将来に対してきわめて遺憾なことである。韓国政府においても再びこういうことの起こらないように十分な注意を払ってもらいたいと強く望んでおる次第でございます。
  8. 藤田進

    藤田進君 こまかく本日は追及してまいりたいと思って資料も整えてまいりましたが、たまたま衆議院の予算委員会があり、両大臣このほうに万博その他の審議が続けられるために出席なさるようですから、本日は概略ただしまして、次回に集中的に質疑をして事態を明確にいたしたいと思います。  そこで、いまとりあえずの御答弁はございましたが、私としては、どうも上すべりな御答弁で、もう少し詳しく事情経過説明があるものと期待いたしたわけでありますが、まことに残念です。そこで本日は……。
  9. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やりますよ。あなたは総括的な質問だったからちょっと言ったんで…。
  10. 藤田進

    藤田進君 鈴木委員のほうからもこれについて関連の質疑もあるようでありますし、私は、先ほど申し上げたように、次の日程に譲りたいと思っております。  次の資料提出をしていただくことを要求いたしたいと思います。従来プラント輸出に対する資料はあまり国会提出をされておりません。ことにサッカリンが問題になりました三星コンツェルン、なかんずく蔚山化学肥料プラント輸出に関する承認内容ですね、一部はここに内々の資料としてとっておりますが、さらにこまかな概要について御提出をいただきたいと思います。蔚山化学肥料プラント輸出承認内容をこまかくしるしました資料をいただきたいと思います。それからこの蔚山化学肥料工場なるものがサッカリン原材料ですね、OTSというものを実際問題として、その生産能力等から見て原料としてどの程度必要量であったのであろうかという点が疑問であります。あるいは後刻鈴木委員のほうから御質疑があるでしょうが、化学肥料工場原料としては、実は不要なものだという説もありますわけで、これらについて原料としてどうも過当な数量が送られているとも解されます。所要原料としての限界と今回の輸出量、それから輸出価額と、今回問題になりました韓国内におけるサッカリン価格との差、それからさらにこれらにつきまして、いま口頭で一部御発言がありましたけれども、この一連のサッカリン事件として問題となっております経過についてはもっと秩序――経過を踏まえて御発言もしたい点もあるでしょうから、それらをひとつ文書にして出していただけばいいと思います。  それで、いま申し上げた肥料プラント輸出についての内容は詳しくと申し上げましたが、これは、これに関する契約があるはずですから、この写し。それからさらに今後どのように対処するかということも資料としてとりあえず御提出を願いたいと思います。その上で次回に、私としては本日大臣出席の時間等、質疑者も多いわけですから、あらためてこの問題の質疑をいたしたいと思っております。いかがでしょうか。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御要求資料提出いたしますが、一応申し上げましょうか、その経過をいま。
  12. 藤田進

    藤田進君 それでは聞きましょう。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまの御要求の中で、契約書写しというものは、これは通産省ではお出しできませんから、それ以外のことは御要求資料でそろえることにいたします。また、私がある程度概要説明をすれば、資料要求の中で必要がなくなるものもございますので、それは事務当局において選択をさしていただきたいと思います。このことが日本国民に誤解を生ずることがあってはなりませんので、一応の経過を申し上げたいと思うのであります。  蔚山尿素肥料製造設備、これは昨年の七月九日に延べ払い輸出承認を行ないました。支払い条件同種プラント類輸出の例をならった同様のものでございます。しかし、このことは相当大規模なものでありますので、韓国肥料需給上の問題等も検討をいたさなければならぬ必要がございましたので、韓国政府説明も数回にわたって求めたわけでございます。ところが韓国肥料事情は、需給関係において、一九七一年、窒素分換算で十二万トン程度の不足を生ずるということでありますので、生産量十五万トン、これはそう過大な数字でもない。こういう一つ判断一つと、もう一つは、この工場韓国の第二次五カ年計画食糧需給であるとか、産業高度化であるとか、国際収支改善等においても最も重要なプラントであるということで、このことは承認をするということに相なったわけでございます。輸出者三井物産輸入者韓国肥料、金額はCIFで四千三百九十万ドル、支払い条件は頭金一〇%、延べ払いは船積み後八年、半年賦で十六回払い、金利は五分五厘、このプラント類機器の明細のうち、輸出承認申請書提出されたときに、まだ確定されていない部分は判明次第に追加確定をするということでございます。  そこで、この問題になっておるサッカリン問題として世間に注目を浴びておる問題については、この補助資材として本年の四月十三日に承認を与えたものであります。この補助資材は十四部門に分かれて一万品目品目が一万品目という多岐にわたっております。これは機器、いわゆる機械の機器、薬品、こういうものを含んで、いま言った非常に品目の多いものであります。その中で問題になっておるサッカリンは、サッカリンそのもの輸出したのではありません。サッカリン輸出は行なっていない。これはオルソ・トルエン・スルファミド――OTS、こいつを六十トン、この中に含まれておるわけなんです。これは何に使うかといえば、試運転期間に必要な補助資材として使う。このOTSは硫黄の脱硫用として使用するものとして申請がなされておるのであります。そして三井物産韓国肥料会社から脱硫用としてこれの受注を受けて、そして輸出承認を求めてきておるのであります。そしてこのOTSというものが脱硫用として使用されるアミン類の中の一種である。私もこれは詳しくは知らぬですが、調べさせたところが、こういう種類の中の同系のものである。したがって、これを脱硫用として受注をするということが不自然なことではない。日本ではこれを脱硫用としては使っておりませんけれども、これは使えないものではないので、そういう申請がなされたときにはこれを非常に不審に思うような性質のものでもなかった。そういうことで、むろん三井物産、また韓国肥料という一流会社でもありますので、相互に信頼というものがこの取引の上には基礎になっておったと思いますが、そういうことでこれを許したのでございます。ところが、それを向こう韓国肥料保税地域の中にそれを輸入して、これはむろん外には出すべきものでもないし、したがって、これをサッカリンに変えるというようなことは受注のその内容にも反するわけでありますが、それを保税地域から外へ出してサッカリンに変えて売ったというわけでありますから、これは全く日本としては関知せない韓国自体密輸入事件がこの問題の内容であると考えておるわけでございます。われわれとしては、これは韓国の問題としてこれの公正な処理をされることを希望いたすものでございます。
  14. 藤田進

    藤田進君 資料として契約写しが出せないという理由がまだわかりませんが、だんだん内容に入っていきたく実はなるわけですけれども、御説明によれば、日本では製造過程あるいは試運転過程においてもOTSを使用していないが、韓国ではこれを使うということで、お互いの信用関係でこれが輸出をしたと、こう要約できると思います。しかし、これは結果論でしょうが、信用したことがこれはもうおかしなことになる。しかも、韓国ではこれは禁輸物資といいますか、したがって、まあ軽い罰金といったようなことでこれをおさめていた。禁制品であるこのサッカリン、まあサッカリンそのものではないにしても、これは簡単なことでサッカリンになるのですね。これは製造工程その他は資料がありますが、これは省略するとして、これが二千四百袋ばかりいっていた。韓国の中では禁制品だとすれば、通常貿易輸出入の場合に、相手国禁制品というものを知りながら、信用関係にしろ何にしろ、これが三星コンツェルンあてのように伝えられておりますが、取引をし、かつこれを輸送し、陸揚げをし、保税倉庫にあるものが持ち出された、こういうことになりますと、相手国禁制品輸入禁止品であり、国内法に照らしてそれぞれの処罰がなされるということを知り得ていて、これを輸出するということは一体いかがなものでしょうか。信用といいましても、そういう相手国国内法による制約というものが当然あったのです。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このOTS脱硫用に主として使うものだ、ほかにも使う用途があるかもしれませんが、これは主として脱硫用に使うものでありますので、これは当然信用というものは、信用だから何でもというわけではないので、根本はこのOTSというものを脱硫用として使用したいということがだれが考えてもおかしいものであれば、それは信用でそういうことはさせないことはできます。しかし、これは主として使うものであるわけでありますから、これは向こうがそういう理由で使うことは何も不自然なことではないんですから、そういう受注がなされたときには、三井物産としてもおそらくそういうことは不自然なことではないので、何もこれが不正に韓国において使用されるというようなことは考えなかった。むろん通産省としてもそういうことは毛頭考えるわけがない。そんなにサッカリンに使って便宜を与えるという必要は通産省も毛頭ないのでありますから、全然そういうふうなことの密輸、それが保税地域から外に出されて、それがサッカリンに製造されるというようなことは想像だにしなかったということでございます。これはやはり韓国民間人もこういう点は、われわれは韓国経済が安定して、そのことがやはりアジアの安定と平和に役立つということでいろいろな便宜をはかっておるんですから、この日本善意を体して韓国民間人というものも日本経済協力というものが善意にやはり使われなければならぬという、われわれは韓国側に対して十分な今後の注意を喚起したいという心境でございます。
  16. 藤田進

    藤田進君 ところが、現地報道等を見ると、三井物産から送られたのはセメントという名義で送られた、これは韓国国会で問題になった発端というのは、セメントだということだった、それが中を見るとそうではないんだ、禁制品だということで、あれほどの問題が出てきておるので、これは日韓条約のときも私委員の一人でしたが、全く韓国国会で言っているのと、竹島の問題にしてもそうでしたが、日本議会で御答弁なさるのとはまるっきり食い違いのままで議決したかしないかで、とうとう議決したというふうにおっしゃっておやりになっておるわけです。これによく似たような感じをいま受けたのですが、脱硫用に使おう、ああそうかというふうに簡単に言われますが、これは後ほど資料で伺わなければなりませんが、はたして韓国が、この際蔚山で使う化学肥料工場にこれほど六十トンという、大量のものが必要であるかどうか、しかも脱硫用として必要であるかどうか、その量が一体どうだろうか、現地報道国会でのやりとり真実だとすれば、三井物産がなぜそのようなものをセメント名義で送らなければならなかったかといったようなことは、当然わが国として問題にしなければなりません。
  17. 今村昇

    説明員今村昇君) 先ほど大臣からお答え申し上げました点を補足いたしまして、プラント類輸出承認をいたします際の審査につきまして、若干御説明を申し上げたいと思います。  プラント類輸出承認は、輸出貿易管理令標準外決済、つまり延べ払いということに、まずその標準決済方法でない決済方法で代金を回収すする、こういう趣旨の審査をするのが主たる目的でございます。したがいまして、決済方法とかあるいは支払い保証の手段とか、こういうものを詳細審査をいたしまして、そうしてこれは法令上大蔵大臣とも協議をすることになっております。その点を主として審査をいたす。同時に、そればかりではなく、やはり通商政策上の見地からも、この輸出承認申請が適当なものであるかどうか、あるいはその中にはとんどの品目が入っておるかどうかというような点もあわせて審査をいたしますが、その中に含まれますところの品目あるいは価格というようなものにつきましては、もちろんそれがそのプラントに必要なものであるかどうかということを審査をいたすわけでございますけれども、何ぶんにもこれは書面審査でございますので、著しくだれが見てもおかしいと思うようなものはもちろん説明を求めることにいたしますが、一応説明の通っておるものは大体その説明に基づいて承認をする、こういうやり方をやっておるのでございます。で、この韓国向け肥料プラント輸出の件も、実は韓国肥料会社というのは、韓国における一流会社でございます。こちらの輸出商社三井物産も同じようにわが国一流商社である。そこで一応わが国でそのアミン類脱硫用に使われておるという事実もございましたので、OTS脱硫用に使われることがあり得る、こういうふうに判断をいたしまして承認をした次第でございます。
  18. 藤田進

    藤田進君 これはもうますます怪しくなるのでね。当面その衝に当たった三井西島常務も、これは韓国になかなか顔がきくんだという話も聞きますが、そのことについても脱硫用肥料原料とか、そういうふうに指摘していないのです。当時のその談話等をずっと照合して見ましても、工場内の研究だとか、病院あたりで使うと思ったと、こういうことのようでした。これはいまどう説明し直されるか知りませんがね。当時のあのさなかではそういうことであった。ですから、これは非常にあいまいです。私はまあきょうはほかにあるからということで、じゃあ五、六分資料要求して次回に回そうということなんですから、十分ひとつその辺は、私どもはかなりこれは検討してきておりますから。もう少し信用といったことを、ああだと言えば、そうかというふうに思われては、これは今後非常に問題を残すことになりますので、真実真実として、悪かったことは悪かた、今後どう対処するならするということを明確にしていただきたい。その意味で以上申し上げた資料はそろえていただく。委員長におかれても理事会で相談されて、今月場合によればもう一回開いていただけるのじゃないかと思いますので、また早急に委員会開会要求いたしまして、鈴木さんもこの問題に若干触れるそうですから、契約書問題については、これは出せませんとおっしゃったが、これは再検討していただきたいと思うのです。
  19. 今村昇

    説明員今村昇君) 契約書につきましてちょっと御説明申し上げます。  プラント類輸出承認申請をいたします場合に、契約書そのものは必ず添付しなければならないというように書類の中にはなっておらないのでございます。ただ契約書審査いたします場合の最も重要な手がかりでございますので、通常の場合これを通産省が取りまして、その中を読んで十分検討いたします。ただ契約書は当然のこととして、この中にはいろいろ商業上の秘密等も含まれておりますので、通産省といえどもこれを強制的にそれを外部へ発表するというようなことを業者に伝えて要求するということは、これはできないというふうに私ども考えておりますので、これは直接三井物産のほうへお語話いただくということにお願いしたい。こういうふうに思っております。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題は、さっきからの話があるように、サッカリンセメントだと言って出している。その内容契約書にあるのだから、契約書をチェックして許可したわけですね。その大事な契約書写しなり、契約書国会に出さないで審議することはできないはずです。あとはこれはもうただ表面のやりとりだけでは審議にならないから、契約書を出すということがこの問題の一番ポイントである。したがって、そのことをひとつ大臣約束してください。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいま何もかくす必要はないのですが、しかし、こういうことになって、国会の御要求があったら、全部商社のほうに契約書というものの提出義務を負わすのは私はどうかと思います。だからこういう問題になっているのだから三井にも話して、そうして契約書を出さないかということはやってみますが、こちらの場合は、輸出承認が出てきているわけですから、それによってやるわけで、基礎契約書になるわけですから、これは三井物産とも私のほうから相談してみますが、強制力はないわけです。
  22. 藤田進

    藤田進君 どう運用するかはこれは大臣の方針になりましょうが、これはそもそもプラント輸出等もさかのぼれば、あれほど問題になりました日韓条約に端を発しているわけですね。御承知のように、有償、無償あるいは民間ベース、したがって先ほど御説明になったように、四十年七月九日に承認をされた、つまり承認番号までつけて。そういうものなんですね。単なるフリーの輸出入ではない。したがってその際には、いまもちょっと触れられたように、どういう内容契約というものがあるのか、これが基礎にならないで、単なるメモを持ってきてこういう承認をなさるはずはないわけです。したがって契約書が出せないといえば、そうか、それでは契約書はどんなことか知らないが、とにかく承認しよう、こんなばかげた通産省ではないと思う。これはだれが見ても、これは出せといえば出さなければならない。しかもすでに出して承認を受けておると見なければなりません。政府がこの資料提出を受け、承認をしている以上、議会要求すればこれを親切に出すというのが至当だと思うのです。今後出すというのか、出さないというのか、そこまでいまきめかねておりますが、とりあえず出していただきたいということを要望しておきます。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 問題になっている国会審議になるべく差しつかえないように資料は出すようにいたします。
  24. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま藤田委員サッカリン問題で追及されたわけですけれども、先ほどの大臣答弁ですと、保税地域から出たと、実際は保税地域に置いておかなければならないものを出したということが問題になっている。韓国からの密輸入ということは別として、実際問題としてそれは必要なものが出ていったのか、あるいはプラント建設に不必要なものであったか、これが非常に問題だと思う。一応通産省からリストだけはいただきましたけれども、私が見ておっても、どうもいまお話になりましたOTSにしても、それから。パラフィン・ワックスにしてもこれは必要がないような気がする。しかも向こうの新聞によりますというと、実際は三千五百万ドルの契約であったが、一千万ドルの上乗せがあったということが言われておる。しかもそれが向こう国会で証言されているわけです。そういう点からみても、これははっきり政治の姿勢をただすというか、この問題は究明していかなければならないということです。これは東亜日報という新聞に出ていたわけですが、九月の国会の政治記事に出ている。それは機械導入だけで四千五百万ドル、ところが、その肥料工場建設においては、某日本人が言ったのだけれども、これは有力者でありますが、四千万ドルをこえているのではなく、実際の額は三千五百万ドルで、一千万ドル――約三十億ウォンという金額になる、その三十億ウォンの金額をとって日本に財産を投資させたとか、日韓両国の政治人を買収するのに使用したということが向こうの新聞に堂々と出ておる。ところが、しかも向こう国会で取り上げられたということになると、この問題はただの密輸問題とか何とかいう向こうの事件ではなくて、正式に調べていかなければならない問題じゃないか。そういう観点から私はこれを聞いていきたいのですけれども、最初に日韓条約締結について政府借款五億ドル、民間借款三億ドルというものがきまったわけですが、いままでの借款供与の実績ですね、これをひとつ伺いたい。
  25. 今村昇

    説明員今村昇君) 日韓間できまりました経済協力借款、その内容は御承知のように政府ベースで行ないます無償三億ドル有償二億ドル、これを十年間に供与するという政府ベースの借款経済協力がございます。これにつきましては、本年が初年度に当たりますので、韓国との間に初年度の実施計画を策定いたしまして、無償につきましては四千七百七十八万七千ドル、有償につきましては四千五百八十万八千ドル、これをそれぞれの初年度の実施計画ということにいたしましたわけでございます。本来ならば三億ドル、二億ドルを十で割りますと、かような大きな数字にならないわけでございますが、これは実際に金が支払われるというベースではございませんで、本年度中にそういう約束をするということでございますので、金額は十分の一よりも上回わっておるわけでございます。そして、この進捗状況の最近までの分を申し上げますと、有償の分につきましては二十二億円でございます。無償につきましては有償ベースで五十二億円、これが認証されております。それからなお二年度がもうすぐ始まります。十二月が二年度の初めの月になるわけですが、これにつきましては、二年度分の実施計画を目下韓国との間で交渉しておる段階でございます。まだ結論を得ておりません。それから民間信用につきましては、交換公文で三億ドル以上に達するものと期待せられる民間信用供与が行なわれるであろうという交換公文がございまして、先ほども説明がございましたように、三十七年秋に大平・金会談というものがございまして、その際相当多額の通常の民間信用が期待されるという合意をみておりました。この信用供与につきましては、日韓正常化以前といえども一部実施ができるようにしようという合意がございました。その線に従いまして、昨年度十二月に正常化いたしますまでの間に件数にいたしまして十件、金額にいたしまして約七千六百万ドルの輸出承認が行なわれたわけでございます。この正常化前に輸出承認をいたしましたものにつきましては、そのつど口上書を取りかわしまして、そしてこれがさきに申し上げました金・大平合意による民間信用供与の中に入るものであるということを確認をいたし、かつまた韓国の五カ年計画に含まれるものであるというようなこと等につきましても確認を取りつけまして、それぞれ承認をしたわけでございます。それから正常化以後はこの口上書方式というのがなくなりまして、通常延べ払い方式という形になっておりますが、ただいま申し上げました正常化以前のものも含めまして、現在までに二十四件、一億二千六百万ドルという輸出承認をいたしておるわけでございます。これが現在までの進捗の内容でございます。
  26. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この蔚山肥料プラント工場ですね、これについての外務省の口上書の写しはあとでいただきたいと思います。これをまず資料として請求しておきたいと思います。委員長お願いします。
  27. 今村昇

    説明員今村昇君) 提出いたします。
  28. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 韓国に対するその承認実績はわかりましたけれども、蔚山地区の尿素プラントの分について金額等は先ほどありました。四千三百九十万ドル云々がございましたけれども、この輸出については、仕事を進めていく段階で、相手国業者と日本の業者とあるわけですが、それについての手続上の概要を一応ただしておきたい。
  29. 今村昇

    説明員今村昇君) 昨年の七月九日に全体の輸出承認が一本出ておるわけでございます。しかしこれは十四の大きなカテゴリーに分かれまして、品目等はまだ非常にラフでございます。金額もまだ十分には確定しておらないという段階で出ておりますので、その中の各部分が次第に国内で生産されまして、そして船積みが近くなる、価格も数量もそれからスペックもその段階で決定してまいります。その段階で三井物産から承認書の一部を修正するという新たな承認申請を出してもらいまして、そしてもとの承認書にございますその当該の部分をあとに出てきた変更申請でもって打ち消しました、法律の一部改正みたいな形で具体的な部分的な輸出承認を取りつけている、そういうことにいたしておるのでございます。そしてその追加修正の承認申請に基づきまして、三井物産は税関に対して輸出の申告をいたすわけでございます。  なお、現地の進捗状況等につきましては、非常に詳細なことはわかっておりませんが、私どもの承知しております範囲では、資材の搬入が全体の約八〇%ぐらいになっております。それから据えつけ完了が六〇%ぐらいの程度まで進捗をしておる、こういうふうに聞いております。
  30. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの承認書の一部を変更する申請があった、そうすると、もとのいわゆる承認申請書を訂正しちゃうわけですね。
  31. 今村昇

    説明員今村昇君) さようでございます。
  32. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その際に金額が動いていく点はどうなるのですか。
  33. 今村昇

    説明員今村昇君) それは金額並びに数量等につきましても、適宜その後の買い手側との技術的な打ち合わせによりまして変更することがございます。もちろん動きましても、初めに出しました承認申請の範囲内のことでございます。
  34. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、これは非常に事務的な問題になるのですが、この延べ払い輸出のための品目承認をやっておる事務がある。担当官一人についてとにかく数万品目審査承認しなければならない。まあそういうようなところから説明聴取もいいかげんになって、適当に出された申請書をそのままうのみにするというとおかしいですけれども、ためておいてはぽんぽんと判こを押すと、こういうような形になっていないかどうか。その扱う数量はどのくらいになっておるか。本年の四月中だけでもどのくらいの品目になっておるか、その三つの点をひとつ。
  35. 高島節男

    説明員(高島節男君) プラント類輸出承認の事務は非常に繁忙でございます。その窓口をやっておりますところは、大体年間四万件の取り扱いをやっておるわけでございます。それから人数の関係でございますが、窓口事務を処理いたしておりますのは現在四人でございます。
  36. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 四人でもって十分にできるかどうかというところの答弁が先ほどなかった。ことしの四月だけでも、一体どのくらいの品目をおやりになったかというのです。
  37. 高島節男

    説明員(高島節男君) 月ごとの実績を調査いたしておりませんので、その点調査いたしましてお答えいたします。
  38. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは後ほど出してほしいと思うのですが、大臣、こういう実情はどうしても、まあこれは韓国に限らず、至るところで輸出承認をするときに、これはミスを起こしやすいということになると思います。その点についての大臣の考えを伺いたいと思います。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは実際問題として、いまの四人で一万件処理、これは容易ならぬものだと思います。したがって、限られた人員で正確に迅速にやるということはなかなかむずかしいのですが、今後プラント類審査というものもいろいろなことで問題が起こるようなことは好ましいことではない、両国の関係で。こういう機構に対してはもっと充実する必要があるのだろうという感じを私ども持っております。これは検討を加えることにいたしたいと思います。
  40. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 当然増員するなり、もう少し化学的にも強い人を入れるなり、考えてほしいと思うのです。  その四月十三日の承認品目品目名、数量、金額、特に韓国向けの尿素肥料プラントの四月十三日の品目名、数量、金額を説明していただきたい。
  41. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) お答えいたします。四月十三日に出されました申請書を承認いたしましたのは非常に多数のものでございまして、中身が全部で十三のカテゴリーに分かれております。合計金額といたしましては四百六十三万二千三百四十九ドルでございます。中身は十三のカテゴリーと申し上げましたが、英文になっておりまして、たとえばアンモニア・プラントでございまするとか、ゼネラル・マテリアルスあるいはボイラーのプラント、あるいはマシンショップ・アンドラボラトリーというような形で十三の項目に分かれております。詳細の点につきましては、なお資料で申し上げますが、非常にこまかい品目が多数含まれておるわけでございます。
  42. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そのこまかいのはあとで出してください、一緒に。その中に特に聞いておきたいのは、オルソ・トルエン-OTSは入っておるわけですね。入っておりましたら、先ほどのこれが六〇メタリックトンで金額が六万八百四十ドルですか――ということになっておるわけですね。
  43. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) 御指摘のとおりでございます。
  44. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどのOTSについては、尿素の製造工程の中で脱硫装置に使うという申請があった、こういうことなんですが、先日通産省の方に聞いたところが、脱硫ではなくて脱炭酸設備の中で使うのだという説明があった。一体どっちがほんとうなんですか。係官を呼んで聞いてみたところ、脱炭酸設備に使う、一方では脱硫装置に使う、いわゆる三井物産側の説明では、どこの工程のどこで使うと、こういうふうに言っておられるわけです。通産省は、いまの大臣答弁と、それから先ほどの私が最初に聞いたときとちょっと違うのですけれども、その点は……。
  45. 高島節男

    説明員(高島節男君) 化学関係の原料でございますので、その用途は相当弾力性があります。私も化学の専門でございませんので脱硫と脱炭酸設備といいますか、その間の区別はよく存じませんが、結局製品を仕上げていく過程において、よけいな混在物がありますものを取って純化していく、その過程に使うものとして主として考えておったということに承知いたしております。
  46. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それはわかりました。  それでは尿素を製造していく工程ですね、それはどういうような――ここではいわゆる東洋エンジニアリング法とか東洋高圧法ということで承認をしておると、こういうことになっているのですけれども、その東洋エンジニアリング法あるいは東洋高圧法という中で、一体どの辺のところに使われるのか、いろいろそれに使うについてもプロセスがあるでしょう。その前に何とか法、何とか法という工程をとってきて、そうしてアンモニアをつくったりなんかして最後に尿素をつくるのだろうと思う。一番最初の原料からどういうふうな工程で流れていくのか、おもな流れだけを言ってください。
  47. 高島節男

    説明員(高島節男君) 工程の内容を詳細に手元に持ってまいりませんでしたので、後ほど資料と同時に提出いたすことにいたします。
  48. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは資料としてあとでいただきたいと思います。脱炭酸装置に使うと言われたのを私の調べたところでは、現在の輸出されておる装置では絶対に使えないということがはっきりいたしております。脱硫のほうはどうかということになると、私どものほうでも調べておりませんからわかりませんが、いわゆるCIC法とか何とか法というのを使っているらしい。それについての、こうこうこういうところでアミンを入れるというふうに言ってほしい。実際に必要がない。いままでの言明では、相手側からきているのを聞いてみましても、また、こちらが出したものを聞いても、アミンをどうして使うかというような疑問点があるわけなんです。だからほとんどの工程で、必要がないわけです。わが国ではそんなものを使っている覚えがないわけです。ナフサからつくるにしても使わない。使わないものがどうして出てくるのだろうか。そこに大きな疑問があるわけなんです。この点ははっきりどうして使うかということ、どこに入れるかということをきちっと化学的にも押えておかなければならないことだと思います。その点も出していただきたいと思うのです。  それから次に伺っておきたいのですが、いまの問題については、東洋エンジニアリング法でもアミンを使わない工程として全部できているという説明がなされている。この点は、それを使わないものが、サッカリン原料がどうしていったのか、大きな問題だと思うのですよ。  それに関連して次に聞いておきたいのでありますけれども、本年の五月十八日の船積み、これは大和丸という船を使っていると思いますが、それでテレタイプ十三台が同じくプラントのものとして輸出されている。それが八月二十日韓国で通関されているということでありますが、そうして韓国の農協中央会に売却されている。そうすると、これはプラント輸出ということではない。プラントに必要でないものを出したのではないかと思うので、この経過説明及び理由、事実があるかどうか、そういうことについての説明を求めたいと思います。
  49. 高島節男

    説明員(高島節男君) 本件に関連しましてのテレタイプは、私どものほうにまいっております申請では四台でございまして、これは本社あるいは事務所、それと蔚山工場の事務連絡に使うものとして、先ほどお話のように、四十一年の三月十九日に承認しております。いま御指摘の点は、私どももどういう関係になっているのか、船積みとの関連が現在のところわかりません。
  50. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 疑惑があるわけです。あなたの答弁では四台、私どもの調べたところでは確かに運んだのは十三台、それが全部農協中央会に売却されているというのですから、その点であなたの答弁と食い違っている。その点についてできる限り早く調査をして、資料提出していただきたい。  次に、パラフィンワックスが七百メタリックトン、三万八百四十ドル、やはり四月十三日の承認品目で出ております。これを何に使おうということで許可されましたか。
  51. 赤澤璋一

    説明員赤澤璋一君) この承認申請が出されまして、私どもが説明を聴取した段階では、パラフィンワックスは尿素肥料の一部、紙包装で出荷する場合、その際の紙包装用のシールに使用するという説明を受けています。
  52. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これも現在日本でやっている製造工場を見てみると、必ずポリエチレンの袋に入れて、現在そんなシールを。パラフィンワックスでとめる、いわゆるろう引きでとめるということはない。非常にコストが高くなる。わざわざそういうコストの高いもので出すのもふしぎでありますが、これは疑っておかしいかもしれないけれども、韓国では現在ろうそくの原料が非常に不足している。年二回の入札があるはずです。そういうことから、これは横流しされたという疑いもすでに出ているような状態でありますけれども、それだけにその紙袋をつくるについて、日本ではもうすでにやっていないようなそういう製造工程向こう輸出するのか、これは非常に疑問だと思うのです。そんなコストの高いものは現在やらないというのが、日本肥料工場どこに聞いても同じ返答でありますし、そういうようなものを使っているというのはもうすでに非常に古い。しかも、輸出され、経済協力ということになれば、当然ポリエチレンの袋に入れてあげるというふうに考えるのがあたりまえだと思うのですが、その点について詳しく調べた上で、用途をどういうふうにはっきり使うかということをあとでいただきたいと思うのです。  最後に大臣に、いままでだいぶ不明瞭な答弁がたくさんあったわけですが、これはあらためて全部資料をいただきたいということで、そのお約束をいただきたいということです。  それからいわゆる東亜日報に一千万ドル、三十億ウォンという金額が政治家を買収するのに使われたということが載っていて、そうして、大臣のほうでは絶対に黒い霧はないとはっきり言っておられますけれども、そういうようなことがあるだけに、この問題については積極的に、ただ向こうの問題であって私どもには関係のない問題であるというふうにだけ受け取っておられたのでは困る。その点の姿勢というものをはっきりしていただきたいと思う。
  53. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはわれわれとしても、こういうことで疑惑が生ずることはまことに遺憾なことであると思うのであります。徹底的に究明してこの問題が明らかになることは私も望むところでございます。できるだけの資料提出いたして御審議に支障なからしめる考えでございます。
  54. 藤田進

    藤田進君 ちょっと補足しておきますが、先ほどの資料要求の中で、七月九日に承認をせられました蔚山化学肥料プラント輸出承認内容、これのさらにこまかい部分というふうに申し上げたのですが、お出しいただく場合に、どういうものかという御疑問が出てもなりませんので、一つ例示をいたしますと、その中で、承認内容として大きく算用数字で123とありまして、その大きい2の中に(1)から(9)までありますが、たとえばその(8)のスペア・パーツ・フォア・ワン・イヤー・ユーズ、これが約三百万ドルですね、二百九十七万九千ドル、この中にいま問題となっているサッカリンが含まれているという説明をまあ予備的調査ではされております。ところが、このほかにもそれぞれ金額が明示されておりますが、いま手元にあるものだけでさえもちょっと出しがたいというようなこともあったようですけれども、そのそれぞれの内容についてお尋ねしませんと、プラント輸出でなるほど化学肥料工場の一切のものかと思って見たら、いまのようなサッカリンが入っていたり、パラフィンの説も出ましたが、まだほかにもいろいろ私どもふに落ちないようなものも聞いております。そういうことでこまかく資料を出していただきたいということを申し上げたのです。いまの二百九十七万九千ドルの内容、これは一年分の予備品だということになりましょう、日本語で言いますと。その予備品というものはこれこれしかじかで二百九十七万九千ドルある、こういうものがあるのですね。ないわけはないですよ。この中にサッカリンが入っている。それがあっても出せないと言っては困るのです。いま大臣は、この際はっきりして、これまでのものもそうであるけれども、今後誤りのないようにしたいという意気込みですから、われわれ議会側としてもその点を十分確かめて今後遺憾なきを期したいというのが趣旨ですから、それを出してもらいたい。
  55. 高島節男

    説明員(高島節男君) ただいまの点でございますが、先ほど輸出承認の手続を御説明いたしましたように、最初契約をいたしまして、一般的な原承認をとります際には、項目は一くくり、スペア・パーツ・フォア・ワン・イヤー・ユーズというそういう大きな項目で申請してきておりまして、それがもとになっておる。あと四月十三日でございますか、先ほどの申請で出してまいりましたほうから、その段階において具体的に承認いたしておる。トータルの最初のときにはまだその中身は明確にされないままで総額で幾らということで承認しております。それが後に具体的に中身がはっきりしてきた段階において個別の承認をしておる。その時点が四月である。したがって四月においてやられましたときの内容は四百六十何万という数字になっておりまして、その関係のスペア・パーツの分が幾らであるかということでその品目が出ておるわけでございます。
  56. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの藤田さんのに関連してですが、資料がたくさんでたいへんでしょうから、いわゆる輸出承認内容の訂正の承認されたやつですね、四月十三日その分についてはアイテムの番号で3番のゼネラル・マテリアルス、それから7番のマシンショップ・アンド・ラボラトリー、11番のスペア・パ-ツ、13番のいわゆる従業員の宿舎等に使う資材ですね、その四つのところについて詳しく出してほしい。  あと次回にこれはまた続けてやらしていただきたいと思います。
  57. 高島節男

    説明員(高島節男君) ただいま鈴木委員の御指摘の項目につきまして、資料提出いたすことにいたします。
  58. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 午後一時に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時十四分開会
  59. 村上春藏

    委員長村上春藏君) これより商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  60. 近藤信一

    近藤信一君 いままでの繊維政策についての通産省の姿勢について若干申し上げまして、それから順次御質問を申し上げたいと思います。  答申案についての質問に入りまする前に、今日まで通産省の繊維政策について若干の反省を促しておきたいのであります。通産省が昭和三十九年に立案し成立しました繊維新法、あるいは織布業に対するところの団体法による設備規制、生産調整政策は、たまたま産業界全体の不況と相まって、もうどうにもならない、こういうところまできてしまったことはもう局長も十分御承知のとおりだと思います。今日出ました答申によりますると、構造改善対策を行なおうとするのでございますが、日本繊維工業というものがここまで追い込まれたという内外の情勢や産業基盤の脆弱性などにつきまして、少なくとも繊維新法律案当時にいまのことが予測されていたことだろうと思います。ところが、過剰設備の処理を通じまして自由競争の基盤をつくろうとする繊維新法の意図は、新法施行後一年もたたない間にこう早くも行き詰まったというふうな結果になっておるのじゃないかと思うのであります。そこで緊急避難のためといいながら、不況カルテルによってその場を収拾せざるを得なくなったことはまことに遺憾なことでございます。これはすべて通産省の情勢分析なり見通しの甘さによるもので、これが災いしておったのではないかというふうにも思われるのです。この点、通産省は深刻な反省の上に立って今後の施策を行なうべきでなかろうか、通産省の今後の姿勢についてまず述べていただきたいのであります。
  61. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) これまでの繊維政策につきまして甘さがあったのではないかという御意見でございますが、そういう見方もされ、間違いではないと思います。繊維新法は、御承知のように発展途上国の繊維工業の発展、それから国内における労働力需給の逼迫等、内外情勢の推移に対処いたしまして、わが国繊維工業の国際競争力を強化するため、四十三年の十月以降自由競争体制に入ることを明示いたしまして、この間業界がみずからの力でこれに対処する体制をつくることを前提として制定施行せられたものであると存じます。  現実論といたしまして、実は過剰設備の圧力とか、あるいはまた企業自体が零細企業が非常に多いという構造的な問題がございます。個別な企業の力のみでは解決し得ないものがたくさんあるのでございます。さらに、永年にわたる需給調整措置の結果は、紡績業全体といたしまして環境変化に対する適応性というものが欠けるに至ってきた。また、他方新法施行と時を同じくいたしまして、わが国経済全般が深刻な不況に見舞われたことなどが原因となって、現状では自由競争体制への移行準備はむしろ後退しているという実情であるのでございます。新法が究極の目的といたしております国際競争力の強化は従前にも増して重大な課題となっておるということは御承知のとおりであります。以上の観点から通産省といたしましては、新法における自由競争によって国際競争力を強化するという命題を早急に達成するために、まず業界における自主的な、しかも積極的な体制整備への意欲と努力を大きく期待しつつ、また政府もこれに対しまして強力な支援助成を行なうべく、今回の構造改善対策を推進しようといたしておる次第でございます。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 通産省としては、今度の繊維改革の問題は非常に大きな仕事でございますし、聞くところによりますれば、通産省は米国会すべてをこれにかけていこう、これにかけて、これを成立させなければならないというふうなことも私聞いておるわけなんでございますが、ところが、いまの情勢としてはいつ内閣が解散になるか、これもはかり知れない。これもそう長くない、年内か来年一月早々かというようなことも新聞等にもいろいろと報道されておるわけなのです。そうすると、必然的にまた通産大臣が変わるというふうな結果にもなろうかと思うわけなのですが、繊維対策として今日やはり十分な対策というものを立てていかなければ、かつて石炭産業の問題において通産省はずいぶん苦労をされた。抜本的な対策を立てて、そしていろいろな計画をされたけれども、それが根本的な対策でなく、次々にくずれてきた。こういう苦い経験も通産省は持っておられると思うのです。それと照らし合わせまして、いわゆる戦後日本の何と言いますか、軽工業としては最も繊維関係が将来伸びる、発展性のある戦後の一大産業である、こういう見地から戦後の繊維対策というものが、非常に重要視された。ところが、二十年後の今日になってみれば、ここ一昨年来繊維の中小企業は相当倒産を見ておることも、局長もこれは十分御承知のことだと思うのです。したがいまして、やはり対策というものはもっと根本的にこれを検討して、そうしていかなければ、また石炭産業のような苦い経験を積まなければならない、そういう結果になろうかと思うのですが、この点、大臣がかわられてもその方針には変わりはないかどうか。この点についてひとつ通産省から御答弁願いたいと思います。
  63. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) ただいま私ども通産省がとっておりまする一連の繊維対策につきましては、もちろん今後の政治方面の状況に応じまして、来たる国会におきまして、われわれの所期どおりにできるかできないかということは予断はできないのでありますが、繊維工業がただいま直面いたしておりまする状況は、先ほど申し上げましたようなきわめて重大な段階にまいっておりまするので、御案内のように新法における結果が思わしくない。また不況その他のいろいろな状況、さらにはまた外国貿易の関係その他全体を勘案いたしまして、どうしても早急にこの一連の構造改善対策はやらなければならないということで、繊維工業に関しまして審議会の答申を全面的に諮問をいたしまして、対処するという基本的な決意をもってこれに臨んだ次第でございます。答申の点につきましては、後刻また御質問がございましょうが、今回は特にこのうちの重要なものにつきまして、さしあたって急を要する問題につきまして答申を得ましたので、政府といたしましては、これに対処してこれを実行するというかたい決意のもとに、予算関係あるいはまた立法措置等を準備をいたしておりまするので、かりに大臣がかわられましても、業界全体、またいろいろの学識経験者の方々の御意見も十分にまとめまして決定いたしましたこの答申の線に治って、これを尊重してこれを実行に一日も早く移して、そうして繊維政策の実現を期するということにつきましては、変わりはないと私は確信をいたしております。
  64. 近藤信一

    近藤信一君 繊維問題等繊維工業といいましても、これは紡績と織布、これが重点的に考えられる。今度の答申策を見ましても、また繊維雑貨局から出ました構造対策につきましても、染色関係の問題が一つもこれは答申案にもないし、雑貨局から出されている対策についてもこれは出されていないのですが、染色関係は繊維問題を議論する場合には、これを無視してはあり得ないと思うのですが、この点どうお考えになっておられますか。この点まずお尋ねしておきます。
  65. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、繊維問題と一言で申しますけれども、これは繊維の原料別に各種あるほかに、また生産段階におきましても糸の段階、布の段階からいま御指摘の染色の段階、縫製の段階、非常に多数の業種を持っているわけでございまして、その中に占めまする今回のいわゆる構造対策として打ち出しました紡績、しかもこの紡績は綿を中心にいたします綿・スフ紡績でございます。これと綿・スフ、絹、人繊織布だけでは、その比重から申しましてもこれは実は半分以下ということでございます。特に御指摘のようにこれからの日本の繊維産業は高級化することによりまして、多様化、高級化することによりまして、後進国の繊維産業と対抗をしていかなければいけないという場合に、その最後の仕上げをいたします染色が最も重かつ大であるということは御指摘のとおりでございます。さらにまた現在染色業界が非常な過当競争に悩み、かつまた外国の染色業界と日本の染色業界におきまして、質的にも相当差がだんだん出つつあるということは、非常にわれわれ心配をしておるところでございます。したがいまして、私たちといたしましては、繊維の構造対策として染色を忘れている、放置しているわけではございません。ただ、遺憾ながら申しわけないことでございますけれども、役所の事務能力にも限界もございますし、また実は業界のまとまりぐあい――何を申しましても政府のは支援措置でございまして、構造対策を解決する一番基本は業界の覚悟であり、まとまりであるというふうに考えるのでございまするが、その覚悟、まとまりにおきまして、まずまとまったところを急速に取り上げる、こういうのが第二。さらに、政府の持っております具体的な支援の能力も遺憾ながら限度もあるということで、さしあたり、今回の綿を中心とする紡績、及び綿、絹の織布を取り上げたわけでございまして、引き続きまして、これに劣らない繊維の各種の段階、特に染色の段階は今後早急に取り上げていかなければならないというふうに覚悟をいたしております。
  66. 近藤信一

    近藤信一君 いま局長から御答弁がございましたように、染色関係も近代化問題については非常にいろいろと研究をしておられるけれども、なかなか染色関係の近代化はむずかしい。というのは、やはり金額的に大きいので、個人で近代化をやるということになるとなかなかむずかしいと、こういう点、私どもよくお話を聞くわけなんです。で、いま局長から御答弁されまして、当面はまず紡績、それから織布関係をやって、順次そういうその他の繊維関係にも徐々に対策を立てたい、こういうことで一応私了解するわけでございます。  次に、答申のいきさつについて若干お尋ねするわけでございますが、今度の答申を出すにつきましては、化合繊の業界を代表する化繊協会と、それから綿紡を代表する紡績協会との間が何かしっくりといってない、意見の対立があるかに伝えられているわけでございますが、化繊協会に言わせますると、将来は、原料綿、それから原糸メーカーとしては、化合繊業界が主役に回ると、そういう関係で、紡績協会は加工業としてわき役に回ると、こういう見方でおるわけなんでございますが、一方紡績のほうにおきましては、紡績の過剰設備の廃棄に化合繊側は関係はないんだと、また、三百万錘の廃棄につきましても、これは協力しない、こういうふうに化繊協会側では言っておるやに私ども聞いておるわけでございますが、この両者の考え方の相違については、稲葉さんが調整にあたりまして、そして結果的には両業界を妥協さしたというふうなことで稲葉さんは答申を出されたのではなかろうかと思うのです。そこで、まずこの機会に答申の骨子を説明していただきたい。それから、答申に至るまでのいきさつと、これに対する通産省の見解、これも承っておきたいのでありますが、特に答申実施にあたりまして、これらの化繊協会、それから紡績協会、この両協会の意見の相違というものがしこりになって残るんじゃないか、こういうふうなことも一つの心配になるわけでございまするけれども、その点については、そんな心配ないんだと、十分それは化繊協会と紡績協会と話し合って、そして今度この答申案に基づいて両協会とも協力するというふうになっておるのかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  67. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) お答えいたします。九月二十日付の答申のあらましを申し上げますと、繊維工業のうちに特にすみやかに対策を実施する必要があるというもの、そしてその構造改善についての業界の体制が整いつつある第一区分の紡績業、綿、スフ、それから絹人繊織布業を実施の対象といたしておるわけであります。先ほどお述べになりましたように、他の問題につきましても非常に大切でありまするが、まずこれを先に取り上げるということで答申がなされておるわけでございます。  紡績業につきましては、第一に、資本集約的な投資を主眼といたしまして、まず四十六年度までにほとんど全設備について近代化投資を促進するということ。  第二には、量産番手につきましては、五万錘未満の企業が単独に、またはグループ化を進めることによりまして、とりあえず五万錘以上の規模に達することを内容とする企業規模の適正化をはかる、これを推進する。なお、非量産番手につきましては、それぞれの実情に応じた生産規模で確実な経営を維持すべきものとする。  それから三番目には、市場環境の改善をはかりまして、企業の投資余力を生み出すために過剰設備を一括処理する、これは大きいのでございます。  四番には、転廃業の円滑化をはかるために、その設備の買い上げを促進する。  それから五番には、以上の諸措置との関連におきまして、現行の繊維工業設備等臨時措置法の有効期限を約一年半延長したいということであります。  それから、織布業に対する答申は、それが典型的な中小企業業種であるとともに、産地ごとに特性を持っておるものであるということを主眼といたしまして、現地の工業組合に対して、その産地ことの躍進改革計画を樹立し、及びその実施の責任を工業組合に負わせる。これに対しまして、政府といたしましては強力な助成措置を集中的に行なう。  産地ごとの工業組合が中核となって、今後大体三年ないし五年の期間に行なうべき事業の内容といたしましては、第一に、組合が設備を導入して組合員に貸与する方式を通じて設備近代化をはかる。それから第二には、ビルドにリンクさせまして、過剰設備のスクラップを行なう。第三には、グルーピング等、共同生産、共同受注、共同販売等の企業の集約化を推進する。第四には、産地ごとの自主的生産取引体制の整備を進める。答申は、これらの織布業対策を進めるにあたりましては、産地組合に助成措置を集中して行なう。  さらに答申は、以上の構造改善施策のうち、重要なものを総合的、効率的に実施するための主体といたしまして、御案内の、繊維工業構造改善事業団、仮称でございます、これを臨時に設立することが妥当であるということでございます。  なお、この答申をまとめる過程で、御質疑のございました紡績業界と繊維業界との見解に若干の食い違いがあったということは事実でございまするが、両業界とも、わが国の繊維産業の将来のために大乗的、大局的見地に立ちまして、完全な了解に達して、しかる後に答申に至ったと聞くのでございまして、今回、これがしこりになって今後残るというようなこと、あるいはまた、そういうことにつきましては絶対にないかと私どもは確信いたしておるわけでございます。いずれの業界も、この答申に沿って繊維工業構造改善に努力されるものと確信をいたしております。この答申に示された施策は、業界の実情及びその今後のあり方に照らして適切なものと考えられ通産省といたしましては、その効果的実現のため、でき得る限りの努力を払ってまいる覚悟でございます。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 いま次官から繊維構造対策に対する全般的な答申案に基づく対策といいますか、それが述べられたんですが、私はもう少し突っ込んで局長にお尋ねしたいことは、ここまで持ってくる段階において、いろいろとあなたのほうで相当苦労されて、これを調和するためにも相当御苦労なさったと思うんですが、それまでの段階ですね、いろいろと化繊協会は化繊協会の言い分があったろうし、それから紡績協会は紡績協会としての言い分があったろうし、まだこれは、いま次官が言われましたように、両者がしっくりとはいっていないんじゃないか、こういうふうにも私は思うんですが、この点どうですか、局長、実際の衝に当たっておられたわけでございまするから。
  69. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 事務当局といたしまして、いろいろ業界の実情もよく調べまして、また、実は先ほども申し上げましたが、構造対策と申しましも、政府はあくまでもこれは支援をするということでございまして、業界がおんみずから御自分でもって覚悟をされて、御自分でおまとまりになってお進めになるということが何よりも大事で、おまとまりになるという意味におきましては、これは紡績業界全部がまとまらなければいけないということ。先生御指摘のように、実に紡績業界が、紡績協会に属しておりますのは綿紡の設備とスフ紡の設備の一部、それから合繊紡の設備とスフ紡の設備の一部、これはいま御指摘のように化繊協会のほうに属しておりまして、同一業者で設備が分かれておるものもございます。業者がまた分かれておるものもございます。  御指摘のように、実はまあ実体論から申し上げますと、紡機の中で過剰であるというのは、いわば綿糸、スフ糸をひく、これがまあ過剰であるということでございまして、テトロンと申しますか、こういうふうなものの合繊紡の設備はむしろこれから伸ばしていかなきゃいかぬ、こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、化繊協会側、ということは適当かどうかわかりませんが、合繊紡中心の方々では、過剰設備問題はいまないんだと、むしろ合繊紡設備は新鋭化し、増産していく必要があるんだと、こういう御意見が当初強かったわけであります。それに対しまして、綿紡サイドは、いや綿紡は過剰なんだと、これもごもっともなんです。ところが、実は御承知のように、現在の法律は、綿紡の設備も合繊紡の設備もスフの設備も、全部これは第一区分というやつで整理されておりまして、いわゆる村区分では一本になっているわけでございます。法律上は、綿糸をひこうが、スフ糸をひこうが、合繊糸をひこうが、ないしはこれの混紡をひこうが、全部自由だということになっておりまして、第一区分だということでワクがきまっておるということでございます。したがいまして、法律的な過剰論から申しますと、いま申し上げました糸をひく設備を全部一まとめにして過剰ということを児なきゃいかぬということになりますと、どうしても法律的には、現在合繊紡をひいておるからといって、これは第一区分に属する以上は、第一区分全部の紡機から見れば、やはり過剰という問題を考えざるを得ない、こういうことになるわけでございます。そういうところから、実際論と法律論の、実はここに食い違いがあるわけでございまして、その辺の調整が非常に努力されたわけでございますが、だんだんお話も両者で煮詰まりました。現実にとにかく過剰な綿紡を中心につぶしていこうじゃないか、スフ紡機、綿紡機をひいているもの、特に古いものを中心につぶしていこうじゃないかというふうなことと、それから現にもうはっきり第一区分の中でも、これはもう明瞭に綿スフをひけない紡機、たとえてみますると、梳毛式のものであるとか、トウ式のものであるとか、こういうふうなもの、これにまた準じますものは、これは除外しようじゃないか、こういうふうなことで、いわゆる稲葉委員長あっせんという名のもとに、両業界の間で非常に円満にこれは話がつきましたわけであります。  それで、これからあとは蛇足になるかもしれませんけれども、私は非常に大事なことと思っておりますし、また、両業界にもその機運が非常に熟しておるのでございますが、御承知のように、アメリカにおきましても、イギリスにおきましても、綿紡業界とか、合繊紡業界とか、こういうふうな業界はもうなくなっております。また、業者から申しましても、アメリカにおきましても、イギリスにおきましても、ICI、コートルズ、バーリントン、こういうふうな、いま世界的な競争力を持っておる繊維業者というのは、綿紡もやるし、合繊紡もやるし、また紡績もやるし、織布もやるし、染色もやるしということで、もう一本の資本の中にまとまってきておる、またそうしなきゃならないというのが、いわゆる複合繊維時代ということであろうということでございまして、日本の実は国内におきましても、現にかつての綿紡中心の会社と、それからかつての合繊化学繊維中心の会社と、現に相当もう提携関係はどんどん個別的に進んでいるというふうな実情でもございます。したがいまして、いま先生非常に御心配になるようなしこりは、だいぶ解きほぐすのに実は手間ひまがかかったわけでございますけれども、手間ひまはかかりましたけれども、現在はもちろん残っておらぬし、その辺を私たちはまた絶対しこりがあっちゃいかぬということを、事務当局としては努力をしたつもりでございます。
  70. 近藤信一

    近藤信一君 その答申が出された後に、たしか今月の半ばごろだったと思うのですけれども、日清紡は、設備問題に対しては不参加の態度を確認して、新聞に出たわけですね。その直後に、今度はこれは新々紡になるのか、近江絹絲、これは最終案に対しては、設備配置には賛成するけれども、保証金の支出にはこれは応ずるわけにはいかない、こういう態度を、近江絹絲の態度としてこれは明らかにしておるわけなんでございますが、こういたしますると、もう日清紡というのは、かつては十大紡、いまは九大紡といいますか、この九大紡の一つである日清紡がこういう設備問題に対しては不参加だ、こういうことになると、若干これはくずれてくるというふうなおそれはないかどうか、この点どうですか。
  71. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) ただいま御指摘の問題でございまするが、実は過剰設備の処理、いわゆる三百万錘といっておりますけれども、さしあたり当初二百万錘を処理すべきであるというふうな答申になっておるわけでございます。業界のほうも、大体それでまとまられたわけですけれども、問題はその二百万錘の対象にあるわけでございまして、一応そのうちの半分の百万錘は、現在不況カルテルでとめておる設備をそのままつぶそうじゃないか、これはどこも大体御異存はないと私たち聞いております。それからもう一つの百万錘は、現に動いておる設備をつぶそうじゃないかということで、これについて大体お話が進んでおるのでありますけれども、先生御指摘のような問題が若干まだ残っているかもしれません。ただこれは設備をつぶすということになりますと、これは当然自主的におつぶしになる、ないしは法律でもってカルテルを認めまして、カルテルでもっておつぶしになるということでありまして、当然、これまた法律で強制はできない問題、しろものだと思うわけでございます。そういうことでございますので、業界が円満におまとまりになりますことを希望しておるわけでございますが、大体私たちは、そのお話はスムーズに進むんじゃなかろうか。ただちょっと、いまこれは紡績のいわゆる構造対策の広い意味では対象でございますが、今度の審議会の対象になっております紡績の過剰設備問題とは別に、いま民間が完全に自主的にスフ、綿の過剰設備問題の処理もやっておられますが、これにつきましては、日清紡さんが相当強硬に反対をしておられるということを、われわれは事実として聞いております。  それから、負担金の徴収問題でございますけれども、これは設備の廃棄と違いまして、われわれとしてはこれは強制といいますか、法律でもって負担金の強制徴収はできるものと、法理論としてできるものと、また、何しろ非常に多数の業界があるところでございますので、公平の原則から申しましても、強制徴収をしなければ、かえって不公平になるというふうに考え、その準備をいたしております。
  72. 近藤信一

    近藤信一君 今度の構造改善対策の問題として一つ問題になりますのは、労務対策の問題にかかってくるんじゃないかというふうにも考えるわけでございますが、この点は、紡績業、それから織布業を問わず、日本繊維工業というものが低賃金でそうして今日まで発展してきた。これは、労働集約的産業であった、まあこういうことにもなり、極端なことを言いますれば、労働の収奪によって今日の存在というものがあるわけなんです。これが最近になって、労働力の需給の逼迫、特に若年労務者の雇用不足ということが、各繊維紡績業界、また織布業界においては大きな問題となって、年々雇用問題で苦労してきているわけでございます。それといいますのも、毎年賃金の上昇というものがなされている。そして経営の不振がそこに重なってきた。この間の事情を考えますると、答申案は、労働節約的な投資の促進、こういうことを掲げておるわけでございます。紡績業及び織布業にとって、設備を近代化すること、それ自体は国際競争力の強化ということになりますが、製品のコスト・ダウンのために必要なことでもあろうかと思うんです。問題は、構造改善施策の一環として過剰設備の廃棄、また、合併、グループ化、こういうことが、企業の集約として並行していかなければならぬじゃないか。そこで、当然出てくる問題が、離職者の発生ということになるんじゃないかと思います。特に織布業などのように、現在でも労働力に依存していかなければならない、こういう業種について、今後、労働力をいかにしていくか、これも一つの問題であろうかと思います。このことは答申によるまでもなく、きわめて大切なことでございますが、この意味から、通産省にお尋ねいたしたいことは、紡績、織布両業界に発生すると予想される離職者の点でございますが、答申では、この離職者、特に中高年齢層に対する問題として、いままでは労働問題はこれは労働省の所管であるから、この問題については、通商省に対してそう離職者の問題ということにあまり重点が置かれなかったようにも思うわけなんですが、やはり前向きの姿勢で今後これを通産省としては考えていく。たとえば森田綿業が三洋電機と共同出資の弱電機の仕事にかかりまして、そうして労働者をそのまま引き継いでいく、こういうことで離職者対策というものを考えているわけなんでございますが、こういうふうなことで、やはり合併等が起こってまいりますと、さきにも問題になりました鐘紡と東邦レーヨンでしたか、あのときのように、この問題で合併が不可能になったということもあるわけなんでございますし、やはり転換をするということになれば、この労働政策の問題もあわせて考えていく。従来は離職者問題は労働省にということでございましたけれども、やはりこの問題は、こういう大きな改善事業をやるということでございますから、そういう労働者のことも十分にまず考えて、そうしてそういう問題が起こってきた場合には、どうこれを扱っていくか、そういうことを考えていかなければ、私は今度のこの構造改善問題でも成功しないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はどうですか。
  73. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) 構造改善対策につきまして、労働対策というものをともに考えないわけにいかないということは、まことに御指摘のとおりでございまして、特にそれが離職者あるいはまた事業転換、職場転換等の対策につきましては、きわめて慎重に対処する必要があるわけでありまして、答申におきまして、労務関係につきましてもこれを取り上げられているということは、そこにあるわけであります。もちろん、そういうことは答申にないにいたしましても、構造改善の場合における労務対策というものはきわめて重要なものでございます。  ただ、今回の構造改善を進めるにあたりまして考えられることは、今回の構造改善対策のねらいの一つが、やはり求人難に対処するというようなことであるということ、また、この事業につきましては、一般に勤続期間の短い女子労務者が非常に大きい部分を占めている、比率が高いということ、また、かような状況でございますので、むしろ新規採用困難ということが非常に大きく感ぜられておりますので、かようなことを思い合わせますと、問題はかなり解決されてまいると、期待もいたしております次第でございます。しかしながら、御指摘の中高年齢層につきましては、ある程度の離職者の発生が予想せられますので、御指摘のとおりに、その発生を極力回避するよう各企業を指導する等、積極的に対策を講じてまいりたいと思います。しかしながら、やむを得ず発生する離職者に関しましては、答申の線に沿いまして、職業転換給付金制度の拡充、あるいは雇用促進事業団による雇用促進策の活用、それから退職金課税の軽減等の施薬の実現をはかるよう進んで努力をしてまいりたい。  それから織布業における労働力の確保のための施策といたしましては、産地組合におきまして、共同の福利厚生施設の設置、共同求人あるいは従業員教育等の事業を総合的に推進しようといたしておるわけでございます。今回の構造改善施策による織布業の近代化と相まちまして、織布業における労働力の充実が円滑に行なわれることを期待いたしておる次第でございます。
  74. 近藤信一

    近藤信一君 紡績にいたしましても、織布業にいたしましても、特に小さな企業、中小企業、これは局長も御存じのように非常に労働力の確保ということで苦労しておる。特に小さな機屋さんに行きますと、家内工業的な形で、それで家内だけではどうしてもできないから人を集めなければいかぬ。ところが、若年の婦人の労務者はなかなか集まらない。そこで近所のおばさんに来ていただいてそうして機を織っているという機屋さんも相当たくさんあるわけなんです。特に若年の婦人労務者が確保できないということには、これは機屋、紡績だけでなくて、一般の中小企業もそうでございまするが、いわゆる労働環境の問題、設備の問題、こういう問題があってなかなかこれは思うようにいかぬわけであります。せっかく遠いところから雇い入れても、それが今度は逆に大企業にスカウトされてしまうということも、私どもの愛知県地方においては相当あるわけなんです。半としぐらい中小企業でせっかく養成して大企業に取られていく、スカウトされていく。スカウトされない残った婦人労働者はどうなるかというと、いわゆる賃金の問題もございましょうが、環境の問題もあって、ホステス等に今度は転換するのも相当あるわけなんです。名古屋あたり、特に小さな機屋さんやら小さな紡績工場がありまして、いまキャバレー等のホステスをやっているのも前身を聞きますると、九州あたりから来ている婦人の諸君が、ほとんど前身はそういう機屋さんにおったとか、紡績におったとか、こういう人が多いわけなんです。こういうことを私どもが考えた場合に、やはり希望を失うようなそういう若年の婦人労働者に対する対策ということもやはりこれは具体的に立てていかなければ、私は今後の紡績業にとっては、なかなか若年の婦人労務者を確保するということはむずかしい。今後これは構造改善しても、この問題は残っていくと私は思うのですが、あなたのほうは、この点についてどういうふうな方針をこれから立てようとしておられるのか、この点お尋ねいたします。
  75. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) ただいま政務次官が答えましたように、今回の構造改革の主たるねらいでございますし、単にまたねらいのみならず、実は先生も御承知のように、今度の構造改革は、業界側から非常に強く燃え上がったと申しますか、政府は何をしておるのだと言ってまあしかられておる。つまり業界側の熱意が非常に強いわけでございますが、この主たる原因の一つは、いま御指摘の一つの、労働力確保の困難であるということであると思います。それに対しまする対策は、これは私は大きく申しますならば、これはやはり高収益と申しますか、労働環境を整備し、かつ高収益を確保するということでなければならない。従来の中小企業が、中小企業なるがゆえに大企業と格差のついた労働環境と、格差のついた賃金でもって労働力をつなぎとめようと思っても、私はこれは無理であると思うわけです。私はというのはちょっとことばは適当でございませんが、政府としての施策としては適当でないと思うわけでございます。したがいまして、今回の改革の主たるねらいにあげておりますのは、特に中小企業が多い織布業におきましては、いかにその織布業の収益を確保するかという、従来とかく通産省の行政が労働生産性、物的生産性の向上に重点を置きましたのに比べまして、今回は付加価値生産性と申しますか、収益確保というところに非常な重点を置いておるのは、実は収益を上げますことによりまして労働環境の整備、高賃金の確保ということによりまして、中小企業も優秀な労働力が確保できるようにということを一つねらっておるわけであります。それとともに、規模を拡大しようということで、種々施策を講じておりますが、規模を拡大しようということも実はそこをねらっておるわけであります。以上が一群重要な点であると思っておるわけであります。
  76. 近藤信一

    近藤信一君 この点は、私はこの夏に繊政課長と一緒に遠州綿スフの協同組合をずっと視察に行きまして、いろいろと現地を見てきたわけですが、やはり将来はそういう設備の問題やいろいろの面で中小企業がどうしても立ちおくれておる。そこでよそヘスカウトされるのも、それはキャバレーあたりにホステスになっていくのがおるわけなんで、やはりこれに対するところの対策としては、いろいろと娯楽施設や、それから環境衛生関係の施設、共同給食なんか当然でございますが、この点、私はこれはりっぱな施設でやっているなと感じてきたわけなんで、やはりそういう面の指導まで将来やっていかなければ、ここで合併、合同、グループ化したらあとはおまえたちだけでやりなさいということだけでは、私はいけないんじゃないかと思うのですね。やはりあなたのほうがいろいろと苦労されて、特にいま局長も言われましたように、今度の構造改善の問題は業界からわき起こってきた問題であると、しかし、業界からわき起こってきたのだけれども、これは大企業において、いわゆる九大紡が中心となり、それにまあ中小企業の紡績が乗ったというような形になっておると私は思うのですけれども、いずれにいたしましても、ややもすると置き忘れられるというのが中小企業関係であるから、やはりそういう中小企業関係の環境なんかも漸次よくしていくと、こういうことの指導ということも考えなければならぬじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  77. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 対策が紡績と織布に分かれておるわけでございますが、紡績の中の中小企業紡績、これにおきましては、先生も御指摘、またよく御存じのように、グループ化の運動がまあどんどん進んでおるわけであります。このグループ化によりまして、労働施設、環境整備、福利厚生、娯楽、こういうふうなものの強化拡充もやっていきたいというふうに考えておりまして、われわれといたしましては、それに必要なる援助を与え、また、特に金融面の援助を十分与えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  それから特に問題なのは織布であると思います。織布におきましては、これはもう紡績と比べものにならぬいわゆる零細企業もたくさんあるわけでございまして、今度の織布の対策、いわゆる産地組合中心制というものをわれわれは指示しているわけでございますけれども、産地組合が構造改善計画をつくると、その構造改善計画の中には当然この労務問題というのが最も重要な柱として計画の中に出てくるというふうにわれわれは考えます。さらに、この産地組合の構造改善計画は、産地ぐるみ、全部の振興対策でございまするので、これにはアドバイザーが必要であろうということで、地元の公共団体でございますとか金融機関でございますとか学識経験者でございますとか、こういう人たちをもって委員会を設けるのがいいということを審議会では答申の中に入れてございまするけれども、こういうふうなアドバイザーグループと申しますか、これは当然この労働環境整備について十分なる意見を出していただけるもの、また、援助をしていただけるものというふうに考えております。組合単位でもってそこら辺を十分考えていくのがいいのではないかというふうに思っております。
  78. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業庁、ちょっとお尋ねするのですがね。これはいま私は紡績関係だけの問題をお尋ねしておるのですが、この中小企業全般として、これはやはりこの労働環境の問題等についてあなたのほうのこれは所管にならなければならぬと思うのですが、やはり中小企業関係全般にわたって、そういう問題について、あなたの何かいままで構想を練ったことございますか。
  79. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) 私ども中小企業庁といたしましては、ただいま繊維局長がお答えいたしましたように、根本的には、非常に年とともに労働力が不足になってまいりましたので、大企業と同じく労働者が雇用できるためには、やはりその賃金あるいは福祉的な施設等について魅力のあるかっこうに根本的には持っていかなければならないというようなことで、そういった面については、御承知のとおり、企業の構造改善あるいは近代化、合理化、税制、金融、指導事業等についていろいろと努力いたしておる次第でございます。  しかしながら、第二番目に、ただいま御指摘のように、さりとて、具体的に労働者の中小企業への雇用問題として、理想像とは別に、現実の問題はどういうことをやっておるかという点についてでございますが、この点につきましては、労働省と一緒になって、労働省を主体にいたしまして、いままで労働の条件の改善とか福利厚生施設に対する住宅公団あるいは厚生年金制度等の融資制度を中小企業に特別に恩典を施す、あるいは労災保険等を中心とする一連の社会保険制度についての改善、あるいは職業訓練所等を通じましての労働力の確保等について行なってまいっておるわけでございますが、特に、中小企業庁といたしましても、この中の福利厚生施設に対する融資制度につきましては、いわゆる企業の組織化、協業化の制度と相関連いたしまして、そういった共同でもって福利厚生施設をつくる場合等につきましては、今度私どもが構造改善全般の問題のために企図しております中小企業振興事業団の融資対象の一つにつけ加えてまいりたいと、このように考えております。
  80. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業振興事業団が今度の、次の国会に法律として出されるようでございますが、やはりそうなれば現在よりも一歩進んだ形であなたのほうとしても指導ができるのじゃないかと思うのです。やはりいままで一番ネックになっているのは、中小企業と大企業との設備の問題です。それからいろいろ福利厚生施設の問題等がこう格差があるから、どうしても中小企業に就職しても今度大企業のほうにスカウトされる。特に紡績業界は多いですよ、この件は。せっかく私どもの知人でも九州あたりからやっと五人十人と連れてきたのが、半年もたてばそれが大企業のほうにスカウトされていく。これは大企業が積極的に働きかけるわけではないけれども、そこにつとめている友だちからこのスカウトに来るわけなんですね。そういう点を考えると、やはり組合として共同事業としての福利厚生施設等は簡単にもう現在できるけれども、個々ということになるとなかなかこれはむずかしい。特に中企業なんかで、自分の工場だけで福利厚生施設をやろうというのは、なかなかこれは資金的にも相当額が必要なんで、こういう点今後は事業団ができれば、事業団のほうでこういう点もめんどう見るというふうなことも私考えていかなければならぬし、また、そういうようなこともあなたのほうとしてはもうお考えになっておられるであろうと私思うのですが、この点どうですか。
  81. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) ただいま御指摘のとおり、新しい事業団におきましては、そういった共同化してつくる従業員のための福祉施設等につきましては、私どものほうのただいまの案といたしましては、業者は二割の自己資金を負担してもらって、あとは国と府県が八割を負担いたしまして、融資条件につきましては、大体年利三分五厘程度で、期間については二十年程度を予定して画期的な融資制度をつくりたい、このように考えています。
  82. 近藤信一

    近藤信一君 さきの五十一国会で成立しました雇用対策法は、雇用問題についての基本的性格を持つものといわれておりますが、この法律立案については、通産省は労働省とよく打ち合わせをしてやってきたと、こう言っておられるわけでございますが、まあこまかい論議は別の機会にするということにいたしまして、この法律の運用等について、通産省の見解を伺っておきたいのであります。
  83. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 雇用対策法につきましては、成立の前から労働省のほうへいろいろお願いをしておったわけでございますが、現在労働省におきましても、基本計画等についていろいろ御準備になっておるやに聞いておるわけであります。われわれといたしましては、この繊維をはじめといたしまする産業構造改善計画のポイントは、先生御指摘のように、むしろ労働力の転換問題でございまするので、この法律の円滑な運用が非常に大事ではないかということで、また、この活用が非常に大事ではなかろうかというふうなことで、転換給付金の問題等につきましてもいろいろお願いをしておる、そういうことで現在労働省とは密接の連絡をとろうということで、月一回担当局長を大体網羅いたしまして、事務次官の共催のもとに連絡会を開いて密接に連絡をとっておる、こういう状態でございます。
  84. 近藤信一

    近藤信一君 次に、いままでお話がございました繊維工業構造改善事業団、その点についてでございますが、紡績、織布業の構造改善対策、特に紡績業の対策実施に当たる機関として繊維工業構造改善事業団、これを設立することを答申は要請しておるわけでございます。この事業団は、その業務を遂行するために、昭和四十二年度から四十六年度の間に二百二十六億三千万円にのぼる各棟補助金と財政投融資が予定されておるわけなんです。その他残存企業者等からの納付金も取り扱うことになると膨大な資金を運用することになります。答申では、事業団に付与された業務は公共性を持つものとともに、多額の資金を扱う関係上、特殊法人としての事業団を設立すべきじゃないかと、こういうことをまあ言っているわけでございます。行政管理庁や大蔵省は、明年度において事業団等の特殊法人の新設はこれを認めない方針だというふうに私聞いておるわけですが、その点、予算折衝の段階でどのように交渉がされておるのか。また、この事業団が認められない場合に、答申案にある紡績の構造改善対策というものが実施できるかどうか、これが危うくなってくるんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
  85. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 御指摘のように、一応原則としてということというふうにわれわれ了承しておるんでございますけれども、原則として特殊法人の新設は認めないという方針が行政管理庁及び大蔵省から出ておるわけでございます。われわれといたしましては、しかし、とにかくこの構造改善対策は焦眉の急でありますし、あるいはある意味では最後のチャンスというふうな覚悟を持っております。また、特に次に申しますような理由をもちまして、先生いま御指摘のように、もしこの事業団ができなければ、審議会が答申しておりますような構造改善対策の実現は不可能になるというふうに私たちは考えますので、どうしてもこれは実現をはからなきゃならないということで鋭意折衝をしておるわけでございます。その理由でございまするが、御指摘のように、また答申で申しておりまするように、この事業団が非常に大きな金を扱う、また公共性の高い仕事をしておるという、こういうふうなことの必要性のほかに、また現実に、その法律論と申しますか、まず今回の構造改善対策は極力民間が自主的にやるということが特徴になっておるわけでございまして、たとえば紡績の過剰設備の処理、これも終局的には業界が自分らで全部必要な金は負担して、そして過剰設備を買いつぶそうと、こういう構想になっておるわけでございまして、われわれもそれを支援をしておるわけでございまするが、ただまあ何ぶんにも業界が一度にその金を出すわけにはいかぬということで、答申の線に出しておりますのは、政府でまず、いわば一時融資をしてやって立てかえてやって、そして必要な金を事業団に入れて、そして一度に二百万錘をつぶすと、そしてその金を五年かかって業界が事業団に返す、こういうまあたてまえになっておるわけでございます。この場合に事業団が必要なのは二つの面から出てまいるわけでございまして、まず第一は、その必要な金を政府が事業団に入れる必要があるわけでございまするが、この金は、運用部の金を答申は期待をしておるわけでございますけれども、運用部の金を動員いたしますためには、事業団債と申しますか、団債の発行できる特殊法人でなければ運用部の金は入れられないということがこれは法律に明記されております。これが一つでございます。したがいまして、事業団というか、特殊法人ができなければ運用部の金の動員ができない、これが一つでございます。それから第二に、先ほど申し上げましたように、まず政府が立てかえてやって、あと民間から五年間かかって返させるわけでございます。この返させ方は、任意に返すということでは、これはかえって不公平も起き得るので、法律をもって強制的に徴収するというかっこうで、強制賦課というかっこうで国に返させる、こういうメカニズムを考えておるわけでございますが、法律をもって強制徴収をいたします場合には、それの納付先はこれは特殊法人でなければいけないということが法律上の常識になっておるわけでございます。そういう意味からいたしましても、この特殊法人である事業団ができませんと強制徴収はできないということになる。強制徴収ができなければ、結局民間から公平に金を徴収することは非常にむずかしくなり、現在の紡績業界の実情では非常にむずかしいと思います。そうなりますと、ひいてはこれが過剰設備の処理ができないということになってまいりますので、今回の答申の趣旨の非常に大きな柱そのものにひびが入るということになることをわれわれは心配いたしております。
  86. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) 一言つけ加えて御了承を得たいと思います。今回の構造改善事業団の設立は、今回の施策のもう中心ともいうべき問題でございまして、その必要なるゆえんは、ただいま局長がお答え申し上げたとおりでありまして、非常に公共性が高い。ことに過剰設備あるいはまた転廃業設備というものの買いつぶしをやって、しかも、民間その他総額におきましても非常に大きい資金の運用を扱うというようなこと、また、それに伴いまして、返還の場合におきましては強制徴収をやるというような、ちょっといままでもあまり例を見ないようなところの構想に相なっておりますし、どういたしましてもやはりこの点はわれわれといたしましては、ぜひこれをつくっていただかなければならないと、かように考えておるわけでございまして、ただいま大蔵省なりあるいはまた行政管理庁等につきましても、繰り返し繰り返し説明の段階にあるわけでございますが、もしこれがいれられないというふうなことになりますれば、ただいま局長のお答え申し上げましたように、この施策全体がこれはもう全くできないということに相なろうかと存じまするので、国会方面におきましても、私どもは一人でも多くの方々にこの今回の事業の内容とその急迫性と重要性をひとつ認識していただいて、そしてこの案が目的どおりに成立しまするよう、大きく期待を申し上げておるようなわけでございまして、今回の閣議と申しまするか、行政管理庁、また内閣におきまして、事業団は今度はむずかしいということは聞いておりますが、前回のように、一切まかりならぬということでもないようでありますし、ただ、もしやるんだったらそういうものを二つを一つにするとかなんとかいうようなことも考えてみるべきであるというような意見もありました。その点に関しましては、この問題につきましては、御案内のように財団法人ではありまするが、繊維工業整備促進協会というものが設立されました。この協会がやっておりますることを発展的解消いたしまして事業団にということについて言っておりまするので、身がわりには不足かもしれませんが、これは非常に重要な問題でありまするから、やはり形におきましてもそういうところで大いに身がわりに立てていただきたいということを大きく私どもは期待いたしておる次第でございます。
  87. 近藤信一

    近藤信一君 いま政務次官と局長からもいろいろと御答弁がございまして、事業団の設立に対しては、まあ行政管理庁や大蔵省がいろいろと言うけれども、通産省としてはひとつしっかり今後交渉してやっていただきたいと、こういうことでありまするから、私これ以上は申しませんが、それでは局長も、これはほんとうに生命かけてやらなければならぬと思うのですよ。私が冒頭申しましたように、紡績関係はもう来るところへ来ているのでございます。どん底へ来ているわけなんで、ここから今度発展させるためには、ほんとうにこの事業団でやろうというのだったら、そして生命かけてやっていく、これぐらいの意気込みでひとつやっていただきたいと思います。  次に三百万錘の過剰設備の処理についてでございますが、紡績業について、過剰設備の処理は必ずしも構造改善対策としては本質的なものではございませんが、これが計画どおりに実施できるかいなかは、きわめて重要な意味を持っておるわけでございます。答申では、昭和四十二年度に二百万錘を一括処理し、そして、あとは百万錘、これは昭和四十六年度までに処理する方針に見受けられるわけでございますが、一括処理の対象となりまする設備は、現行の不況カルテルによる百万錘と、それから現存稼働中の設備百万錘を予定しておられるようでございますが、このうちの不況カルテルによる百万錘はいいといたしましても、現在稼働しておる百万錘の分、この内訳について問題があるのでなかろうかと思うのです。一応の予定では、この紡協のメンバーで五十万錘は供出することのようでございますが、あとの五十万錘は一体どこから持ってくるか、こういうことにもなろうと思いますし、これは昭和四十二年度の二百万錘一括処理がうまくできたといたしましても、あとの百万錘の廃棄について、答申の言うように、転廃業者から三十万錘と、それから繊維新法による格納分の六十万錘ですか、こういうことが見込まれておるわけですが、通産省はこれに対して確信が持てるかどうか、もし昭和四十六年度までにせいぜい二百五十万錘ぐらいしかできなかった場合に一体どうなるか、このことが残されるわけですが、これはどうですか。
  88. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 若干前置きになって恐縮でございますけれども、いま先生のお話の中にもございましたように、過剰設備処理そのものは構造対策の大もと、本柱とは必ずしも考えない、しかし、やるためには絶対必要だろう、こういうお話が要約されてございましたけれども、若干その御趣旨をふえんいたしまして、われわれ、こういうふうに考えておるわけでございます。つまり、構造改善の本柱は何かというと、結局、設備の近代化であり、規模の拡大であり、いわゆる構造改善、体質改善であると。構造改善、体質改善をやるために一番大事なものは何かというと、結局、金である、もと金である、そのもと金については、政府はこれは援助はするけれども、一番もとになるのは、業界のみずからかせぎ出した、ためた金である、こういうことであろうと思うのであります。みずからかせぎ出し、みずからためる金をどこから生み出すかということになると、結局、これは収益が伴う産業になりかわらなければならない。現在のような赤字産業ではあかぬということで、過剰設備を思い切って処理をいたしまして、不況カルテルというような一時的なものではなくして、思い切って処理して、そして収益性のある産業に生まれかわろうと、こういうメカニズムを先生はさしておられるのであり、われわれも、そういうふうに考えると思うのであります。でございますので、したがいまして、私は、問題は、この過剰設備の処理ということは、業界がまず御自分でおやりにならなきゃいかぬと思うのであります。まず御自分でもって自分の産業をもうかるように脱皮させることだと、これが過剰設備処理の一番ポイントであると思うのであります。  それでは政府はどういうかっこうでそれを援助するのかというと、普通であるならば、業界が一致協力してというか、カルテルを結んで設備をつぶすというのは、独禁法上相当問題があることでございますけれども、これは構造対策上必要であるということで、それを合法化するということがまず政府のやるべき第一の措置であると思います。第二には、この過剰設備処理がスムーズにいきますように、行政指導と申しますか、勧奨と申しますか、これをするということが第二のわれわれの仕事であるというふうに思うわけであります。  前置きが長くなりましたが、数字に入りますけれども、一応三百万錘過剰であると言われておりまして、さしあたり二百万錘を一括処理しよう、その二百万錘のうちの百万錘は、現にいま不況カルテルで眠っておるものをつぶす、こういうことをいま業界は考えておるわけであります。あとの問題は、動いている百万錘をどうつぶすかということが、先生の御心配もそこだと思うのであります。一応紡績協会の参加社中心に五十万錘つぶすということは、現に話が大体まとまっております。問題は、あとの五十万錘でございますけれども、これに対しましては、化繊協会に参加をしております人たち、これも賛意を表しておりますし、また、さらに、自主的に廃棄を進めようということで、残りの五十万錘については買いつぶしの値段を、格差をつけて高い値段でもって買いつぶすということがいいんではなかろうかという話が進んでおります。すなわち、近代化をするためには金が要るわけでありますけれども、その金を、高い値段で設備の一部を買いつぶしてもらうことによって、買いつぶしによって得た補償金と申しますか、これを近代化に向ける、こういうことが中小紡の人たちの間にも現実に話が進んでおるわけでございます。そういうことでございますので、私たちといたしましては、現に動いておる百万錘、これが動いておる紡機の中から百万錘がつぶれるということを大体期待していいんではなかろうか。しかし、これはあくまでも業界が御自分でおやりになることでございまして、先ほど別の御答弁に申し上げましたように、法律で強制できるものではない、政府は強制できるものではないと思っているわけでございます。しかし、ぜひこれはやっていただかないといけない問題だというふうに思っております。  次に、現に、三百万錘の残りの百万錘でございますけれども、これはいま現在の法律で格納をしている設備が百万錘ございまして、その格納をしている設備は二対一でもってスクラップ・アンド・ビルドないしオープンされるわけでございますので、われわれの計算では、大体三、四十万錘は生まれかわってくる、六、七十万錘がつぶれるという計算をしておるわけでございます。そういたしますと、生き返ってくる三、四十万錘のかわりが要るわけでございますが、この三、四十万錘は転廃業者が五年間にその程度は出てくるのではなかろうか。現に転廃業者につきましては、政府におきましても、本年からすでに補助金五億円、計十億円の事業資金でもって中小企業の設備買いつぶしの準備を進めておるわけでございますが、こういう制度を強化拡充していくことによりまして、五年間に三十万錘程度の転廃業者は出るのではなかろうかというふうに期待しておるわけでございます。
  89. 近藤信一

    近藤信一君 いま局長の御答弁になりましたように、これは実際この不況の段階になってまいりまして、近代化の問題にしろ、転廃の問題にしろ、これを業界自身が実際はやらなければならぬ問題だ、ところが、業界がそれはできないのだ、業界にまかしておっても、これはいつまでたってもできないし、いまの話ではないが、赤字ではこれはとても業界自身できるわけではない、じゃあ黒字がいま予想されるかというと、そうなってくると、黒字は現段階においては予想されない、それで非常に困って結局はこういう思い切った手術をしなければならぬ、こういうことでなかろうかと私は思うわけですが、そこで、やはり業界としても、もっといろいろと格納分やら転廃の問題等々については考えてやっておられるでしょうけれども、やはりその反面におきましては、あなたのほうがいろいろと指導してやらなければ、これはなかなか、業界自身お互いに生きていこうというのがせり合っておるわけなんでございまするから、これはただ書類を出して、書類の上でこれでやりなさい、これでよろしゅうございますということでは私はならぬと思うのです。そこが私は繊維局としてもつらいところじゃなかろうかと思うのですが、そういう点、あなたのほうでも今後十分腰を据えて、ひとつ突っ込んでいかなければ、また業界に振り回される、こういうようなことにもなるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  90. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 先ほど御答弁申し上げましたように、これは法律でもって強制のできる問題ではない、それからまた、性格上もこれは業界が御自分でおやりになるべき問題である。ただ、先生御指摘のように、特に苦しい業界であるものでございますから、一錘でも、一台でも設備をいわば温存して動かしたい、特に市況でも君子でも直れば、ますますつぶさないでこれを温存したいということになりはしないかということをわれわれも実は非常に危惧するわけでございます。この辺は非常に腰を据えてといいますか、行政指導も十分これはいたさなければいかぬと思いますが、また同時に、何と申しますか、ことばが適当ではないかもしれませんが、もしこの設備が処理されまして、市況が直るというふうにかりにいたしますと、これは設備をつぶしたことによって、残った人がそれで生き延びることになるわけでございますので、自分だけ設備をつぶさないで、そして恩恵だけ受けるということは、やはり業界のモラルとしてはこれは許されないことだということを私は業界と一緒に大いに、何と申しますか、徹底をさせなければいけない、業界もまた、そういうモラルを確立されなければならないというふうに思うわけでございます。
  91. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、やみ紡機の問題が出てくるわけですね。このやみ紡機というのは、繊維新法によって第四区分の紡機ということになっておるわけでございますが、現在この第四区分には約百五十万錘が登録されているようでございますが、答申の態度としては、この区分の設備に対する整理と取り締まりを強化しようとしているわけでございますが、通産省は、昨年十月不況カルテルが発足して以来、第四区分の紡機の紡出違反を取り締まるための監視制度といいますか、それを強化するなどの措置を講じてきておられるようでもございますが、その実効というものは今日まであがっておるのかどうか。仄聞するところによると、なかなかその効力もあがっていないようでもございますし、さらに、第四区分にさえ登録されていないやみのやみといいますか、そういう紡機も稼働しているようにも疑いがあるわけでございますが、この点、あなたのほうで調査して、一体どのようなことになっておるか、調査をどのようにされておるか、その調査結果がわかりますれば、ひとつお知らせ願いたいのであります。
  92. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 第四区分そのものは、これはいわゆるやみ紡機ではないわけでございまして、ただ、第四区分に登録されております紡機は、純綿糸等のいわゆる制限糸をひいた場合に、これはやみ的な行動と申しますか、稼働をする、こういうことになるのだと思うのでございます。それで、現在第四区分が百五十一万五千錘ございますけれども、われわれの抜き打ち調査でございますとか、いろいろ状況を調査いたしますところ によりますと、その百五十万の中で綿・スフタイプと申しますか、いま先生御指摘のいわゆる制限糸、純綿糸をひく可能性のある、危険性のあると申しますか、これは大体百十万錘程度とわれわれは調査をいたしております。その中で五十万錘程度は停止しておる。したがいまして、問題は、動いております五、六十万錘でごさいますけれども、この中で、現に非常に安いスフを主体の、綿が若干入ったというふうな自由糸をひいておるものも相当これは現にございます。いわゆる合法性のある第四区分が非常に相当もちろんあるわけでございまして、また、これは必要の糸でございます。大体その半分以上はそういうふうな合法的な糸をひいておられる。そうしますと、二十万錘か二十数万錘がまあいわゆる純綿糸をひくこともあると申しますか、こういうものの危険性のあるものじゃないだろうかというのも、われわれの調査の結果でございます。
  93. 近藤信一

    近藤信一君 いわゆるやみ紡機を取り締まるったって、あなたのほうも限界があるでございましょうが、これは紡績業界自身もそういうふうなことについて相当目を光らせて監視しておるようでもあるわけでございますけれども、しかし、その中でも、まあいまも話がございましたように、そういうやみで糸をひいているというのがあるわけでございまするから、今後としては、やはりこの問題についても、全体から言えばたいした問題じゃないけれども、そういう一角があると、それがやはり業界に響いてくる、反映してくるということもあるわけなんでございますから、やはりこういう点は今後十分あなたのほうとしても調査し、そういうものに対してはやはり勧告していかなきゃならぬのじゃないか、こういうふうに私思います。まあこの程度で、あなたの何かそれに対してあれがあればですが、なければ、次に質問を移ります。
  94. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) まあ第四区分そのものは、最初申しましたように、これは合法的な健全な産業たり得るものでございます。そういう指導をしてまいりたい。ただし、制限糸をひくと、これは絶対やみ行為でございますので、これは厳重に取り締まっていかなければならないと思うわけでございますけれども、これは御指摘のように、取り締まりだけでもなかなかいかぬ点が多いものでございますから、まず第一は、業界の自覚にまたなければいけない。これは自覚と申しましても、口頭禅に終わってはいけませんので、業界にもやはりその気分が実は出てまいっております。第一次的には、紡績協会メンバーと申しますか、原則としてこの第一区分の糸をひいておられる第一区分登録紡機を主業にしておられる方、この方々が持っておられるいわゆる第四区分のもの、これについては十分自主的な調整がおできになるはずでございます。そういう動きがすでに大体でき上がっております。紡協加盟メンバーの第一区分業者の持っております第四区分紡機、これについての調整区分は自主的に行なわれております。  第二には、これから先のことでございますけれども、できますならば、現に第四区分の中で制限糸をひかざるを得ないというふうな状況にある方は、一部、第一区分へ登録がえをして、そして堂々と制限糸をひく。しかし、それ相応に過剰設備をやはり廃棄してもらうというふうな措置も必要ではないだろうかということで、そういう話が現在進みつつございます。これは法律改正を機会に、そういう方向へ持ってまいりたいとせっかく努力をいたしております。
  95. 近藤信一

    近藤信一君 次に、企業規模の適正化と中小紡の問題についてお尋ねするわけでございますが、企業規模が過小なために、いわゆる規模の利益の追求が困難なのは繊維工業に限ったことではございませんが、紡績業においては、その業界の実情や、国際的商品という性格からいいまして、規模の利益が追求できるような体制が好ましいには違いないのである。そこで答申では、この点について四十番手等の大量生産しやすいものの生産について、最低五万錘程度でしょう。それから五万錘程度以上の企業規模は一応適正規模としておるわけなんです。数多くある中小紡を、もっとこれを引き上げるために、いま盛んにグループ化という問題が起こっております。このグループ化の問題を、あなたのほうとしても促進しておられるわけで、聞くところによりますると、何か愛知県を中心とするグループ化、それから関西泉州地区ですか、そっちのほうにおけるところのグループ化、こういうようなものが現在進んでおるようにも聞いております。  そこで、その第一点といたしまして、小規模のもの同士が協業とか合併したといたしましても、これはたいした効果が見込めないのじゃないかというふうに私思うんですが――というのは、小企業は小企業で小回りのきく経営というものをやっておられる。これはもう大企業の経営者と違って、中小企業の経営者になりますると、経営者自身が工場の中に入って、そうして糸くずをかぶってやっておるようなわけでございまするから、こういうのは大企業と違って小回りがきく経営者、こういうことになります。これは団地の問題にも非常に困ることもある。なぜかというと、いままで小回りのきく経営者が大きくふくれ上がって経営するわけでございますから、まず運営の面で相当困るということも私いままで聞いておるわけであります。現実にそういう問題にぶつかって相談を受けたこともあるわけであります。中小企業の経営者は比較的小回りのきく経営者である。だから、そういう自分が従来やってきた経営能力から遠去かるから、実際の経営能力を失うのじゃないかという危険が一つあるわけです。二つ目といたしましては、グループ化の経営のリーダー、これが私、大切だと思う。これは団地の問題でも、団地のリーダーになる人がしっかりしていないと、その団地は成功しない、つぶれるというようなことをいままでにも見てきておるわけでございます。グループ化の場合には、リーダーが重要な役割りを演ずるということ。第三の問題は、お互いに一国一城のあるじであった、こういう経営感覚を持ってグループ化して集まった場合には、これらが一つの経営上の、運営上のといいますか、難点になってくるのではないかということも、これは考えられるわけでございますが、これらの諸点は、答申が期待しておることは系列化ということ、系列化に対する考え方、これを答申では盛っておられるようでございまするけれども、やはり今度は系列化によりますると、必然的にこれは賃紡型になりますね、賃受けということになる。賃仕事になっていくわけなんでございまするが、この賃紡形態というものは、なるほど、これは企業形態からいえば近道な形態でございまするけれども、こういうことから申し上げまして、中小企業は系列化に入るならばということで、これまた議論が出てくるようなことも考えられなければならぬと思うのですね。自分らだけでグループ化して、それで独自の自主的な経営ができるかというと、経営ができない場合には、どうしてもこれは系列化に入っていかなきゃならぬ。系列化に入っていくと、これに対しては、自分たちの考えはそうじやなかったという異論が出てくる場合もあると思うのですが、これはどうしても親企業が経営の自主性というものに今度はくちばしをいれることになるから、どうしてもこれは反対することも起こると思うのですけれども、やはりそういうふうなことをいろいろと考えていきますると、グループ化だとか系列化ということは非常にまた困難なこともあろうかと思うのでございまするけれども、それに対しましては、通産省はどういうふうな指導をやっていこうとお考えになっておられるのか、これはいかがですか。
  96. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) いまじゅんじゅんとお話ございましたこと、まことに一々ごもっともでございます。それで、ただ問題は、中小紡績が中小紡績として生きていけるかどうかという問題ではなかろうかと。もっとも、先生のお話にございましたが、紡績は大紡績じゃなければいかぬということにはならない。答申でも示しておられますように、いわゆる量産番手物の二〇、三〇、四〇を中心とするもの、これはどうしても五万錘以上とらなければいかぬ、これはそうしなければ立っていかぬということでございますから、これはしょうがないと思うわけでございますけれども、それ以外の特殊番手物で、私たち現実のことは知らないんでございますが、いろいろまあ変わった糸、もっとも、毛織物材料の毛糸ほど、綿糸、合繊糸は変わった糸があるかどうかわかりませんが、それでも相当メリヤス等に使うもの、刺しゅう等に使うもの等、特殊な糸があるそうでございます。こういうものは非常に規模が小さくて、しかも、いいものができると、また、ロットが少なくていいということだそうでございますので、中小紡績として中小紡績の生き得る通というのは、知恵を働かせば相当あると、また、政府といたしましても、そういうものに対しては積極的に御援助申し上げていきたい、こういうふうに思うわけでございます。問題は、量産番手物につきましては、これは第一に、生産規模の問題から申しまして特に大事だと思いますのは、販売の問題から申しまして、それから生産の問題は、最初先生が御指摘になりました労働問題は当然含めてでございますけれども、これはどうしてもやはり規模が大きくならなきゃならぬというわけでございますので、そういう場合に、それならば一体どういうことが規模が大きくならなきゃならぬということを前提にして、どういうふうになったらいいのだろうということだと思うのであります。そういうふうになりますと、まあ結局、系列化するか、ないしはグループ化するかということの二つになってくるのじゃなかろうか。まあ系列化する場合には、これはいいもの、良品を安くつくり得るなら、これは系列化しましても独立経営を親企業に対してとっておられる幾つもの例をわれわれ知っておるわけでございますが、そういうふうなことになるのじゃなかろうか。問題は、グループ化によってどこまで仲よく企業規模の拡大ができるかということでございまして、これは先生御指摘のリーダーの問題がすぐあるわけでございまして、特に中小企業の経営者の方々は統一して経営されることに非常にまだなれておられませんので、むずかしいことだと思うのでありますけれども、しかし、とにかく、そういう単位で生きていけないのだということになると、やはり仲よく団結してやはりリーダーをきめて、ないしは共同してやっていかれるということで、現実のきびしさをどう認識されるかということで相当程度いくのではなかろうか。また、それを期待していいのではな刈ろうかと思っておるわけであります。
  97. 近藤信一

    近藤信一君 いまグループ化の問題が、中小企業では長谷虎が中心になってやっておるようでございますが、また、泉州のほうでも何かやっておるようで、徐々にそういう問題があっちこっち出てくるだろうと思うし、グループ化から今度は合併に移行するというふうなこともまた出てくるのじゃなかろうかというふうにも思うのです。しかし、こうしてグループ化を、まああなたのほうもそれを奨励しておられるようでございまするけれども、その反面において、九大紡のほうはあまりグループ化には賛成していない。というのは、やはりそういうのはだんだんとグループ化して大きくなり合併に持っていったら、やはり九大紡と対決するような形になる関係もあろうかと思うので、特に中小紡で苦しいのは、いわゆる機屋の機場の系列を持っていない、いま機場はほとんど九大紡の下請みたいな形になっているのですね。この前も私ども視察に行きましてお話を聞きますと、ほとんどが大企業の紡績工場の仕事をやっておられるわけなんです。そういう関係からいうと、中小紡のほうは機場を持っていない、これが一つの中小紡の悩みではないか。これがグループ化し合併していくと、今度は機場の取り合いということになってくるのじゃなかろうかというふうにも私ども思うのですが、そういう点で大企業があまり好ましく思っていないようでございますけれども、その点は話し合いの上において何か了解みたいなものはなっておりますか。
  98. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) その前に、グループ化の現状でございまするが、ちょっと御報告申し上げておきますと、名古屋においては二つのグループが相当できつつございます。それから泉州でございますけれども、泉州では商社、大商社の系列のグループ、これが三つぐらい、それから地域が同じである、隣近所であるということでグループ化ができようとするのが二つ、三つ、それから資本系統、特に銀行が同じであるというふうなところ、ないしは、いわゆる中小紡の中でも相当金持ちの紡績がおられるわけでございますが、それが投資しておられるということで、資本系統でグループ化が進んでいるのが三つぐらいというほかに、九大紡が中心になってグループ化を進めているのが四つ程度あるというふうにわれわれ聞いております。大体十四、五のものが泉州ではグループ化が進んでおり、名古屋で二つ、これで新々紡の錘数で半数程度がグループの中に入っておるようでございます。もっとも、しかし、さっきから御指摘のように、非常に問題があるものでございますから、われわれは期待しつつ、また心配しながら、実は新しい経験でもございますので、おるわけでございます。業界と役所とが共同でだんだん知恵を出していこう、こう言っておるわけでございます。そんなことでございますので、必ずしも九大紡といたしましては、新々紡のグループ化が反対ではない、特に実は紡績協会を中心とする業界のまとまりが従来は数が多過ぎてわやわやになった、これがグループ化になりますと、そのリーダーができてきて、そして頭数が少なくなって話し合いがついていく、こういうことが非常に期待をされている面もあると思います。  それから中小紡が機を持っておらぬ問題でございますが、御指摘のように、確かにそうでございます。実は一、二の例でこういう例が、機屋のほうはいわゆる産地組合中心ということで構造改革を考えておるわけであります。機屋のほうは産地組合でまとまっている。それから中小紡のほうはグループ化して、そうして産地組合と中小紡グループとじかに結ぼうじゃないか、いままでは中小紡のやつは糸の量も少ないし、品質も信用が置けなかった。それは、グループ化をすれば、その点は量も質もだいじょうぶだろうというようなことで産地組合ぐるみ、産地組合を通じて中小紡グループと結びつくという、非常にわれわれから申しますと楽しい例が一、二出てきておるようでございます。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 次に、転廃業の円滑化についてお尋ねするわけでございますが、グルーピングが繊維工業の中で活路を見出すための方策といたしまして、転廃業は繊維工業からの撤退でございますし、いずれも紡績業界不振のしわ寄せをまともに受けているわけで、中小紡のたどるべき姿だろうかと思うのです。答申で、転廃業に伴う過剰設備の処理を一錘について七千円としている点以外には、具体的方策について政府に対してこれは白紙委任と、こういうことになっておるようなわけでございますが、さらに、一錘七千円という買い上げ単価は、完全な転廃業者だけにこれは適用されるものでございまして、たとえば、前に述べました森田綿業の例に見るように、綿紡部門の運転はやめましたが、合繊部門、このほうで操業するというふうな場合、この綿紡部門の設備買い上げの価格というものが、一括処理の対象になり、過剰設備買い上げ単価、この過剰設備買い上げ単価は今度は一錘三千五百円ですね、これと同じように取り扱われるかどうか、こういうことが問題になってくると思うのですが、これはどうですか。
  100. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) まず、完全転廃業者に対しますこの買い上げの単価を考えます場合に、単価をどこからはじくかということでございますけれども、審議会の審議におきましては、設備の残存価値を一つ考えなければいかぬだろう、それからもう一つは、設備の残存価値だけでは、転業されたあとの資金がなかなか出てこぬという点もあるのではなかろうかということで、買い上げ単価が高いほうがいいということになるわけでありますけれども、これはしかし、また一面から申しますと、だれが一体転廃業買い上げの金を負担するのだ、これは原則として残存業者が負担するということであるわけでございますので、買い上げ単価が上がれば、軟廃業は円滑にいくかわりに、残存業者の負担が重くなる、こういうことで両方にらめなければいかぬということで、一応七千円という数字が出たわけでございます。ただ、中小企業者の完全転廃業の場合は、これは社会政策的な意味もございますし、すでに本年から予算措置も講ぜられておるわけでございますので、政府が半額これは補助するというふうなルールでまいるというふうになっているわけでございます。問題は、一部転廃業と申しますか、一部転廃業ということばがどうか、設備の一部を廃止するというわけでございますけれども、これは当然今度は過剰設備処理として業界全部で相当数の、さっき申しました三百万錘というものは廃棄しなければいけませんので、性質はこれと同じではなかろうか。とにかく残存設備で紡績業を継続していかれる、こういうわけであるし、この一部廃棄の点の補償価格と申しますか、これを引き上げれば引き上げるほど、非常にこれはまた錘数も多くなるわけでございますので、残存業者の負担が多くなるということで、まあ半額程度でいいんではなかろうかというのが審議会の審議できまりまして、答申に入ったわけでございます。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 残存業者の負担というものが解消されるということになると、やはり先ほどのようなことになってまいりますし、残存業者はやはり一部あれするけれども、自分は将来これで生きていかなければならない、こういう方なんで、これは若干無理をして安くしてもしようがないというお気持ちもあろうかと思うのですが、完全に転廃業されるのと、一部の転廃と申しますか、それとはやはりおのずから二区分されることであろうかと思うのですが、これは先ほど近江絹糸の例を言っておりましたが、支出には反対だ、廃棄のほうは賛成するけれども支出のほうに対しては反対だと、お互い残ったもので助けていこう、そういうことになってきたんじゃないかと思うのですが、一体それはどれくらいのあれになりますか。支出するということになりますと、全体の額といいますか……。
  102. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 大体業界の方にくる重荷でございますが、これは二百万錘のつまり過剰設備の処理をしてやらなければいかぬわけで、この分と、それから完全転廃業のうち中小企業の分は政府が見るわけでございますが、残りの半分は見るわけでございますが、それから中小企業でない転廃業のほうはまるまる自分らで見る、こういうことになるわけでございます。われわれといたしましては、大体百億程度を予想いたしております。
  103. 近藤信一

    近藤信一君 次は納付金の徴収についてでございますが、紡績業に対するところの構造改善事業については、改善事業団が業界から納付金を徴収いたしまして、その資金手当ての一部とすることになっているようでございますが、問題はこの納付金をいかにして確実に徴収して、特に財産権侵害等憲法問題に触れないようにするかということになってくるんじゃないかと思うのですが、答申では、受益者負担の原則によって残存企業が保有する錘数に応じて負担するということになっているわけでございます。こういう納付金制度は、石炭について前例が見られるようでございますが、繊維工業の内部、特に化合繊業者から、他社のしりぬぐいはいやだと、ごめんこうむると、こういうような空気もあるようでございますが、石炭の場合などは出炭量に応じて納付金の額というものがきめられているようでございますが、これらの点を前提といたして考えました場合に、この石炭と同じように紡績業者の製品の出荷といいますか、製品の出荷量ということになるのか、綿花、化合繊の買い入れ量に応じて徴収するということになるのか、その方法というものは一体どういうことになるのか。  それから答申のように、残存企業保有錘数に応じて徴収するということで業界が実際納得しているかどうか。こういう点が私心配になると思うのです。それから答申どおりにしても一錘につきまして幾らの納付金を予定しているのか。この点が全体として金額はどのくらいになっているのか。この点もひとつお聞かせ願いたい。それから現行の繊維新法が失効して登録制がなくなったときには、業者の保有錘数はこれは確実に把握できないという心配もあると思うのですが、通産省はどういう手段でこの保有錘数というものを今後つかんでいかれるのか。この点はいかがですか。
  104. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 納付金と申しますか、構造改善対策に要します民間側の負担分、これは何を基準にして取るのかという第一の御質問でございます。原綿で取る、つまり材料で取るとか、製品である糸か柄ないし反物で取るとか、こういうことのほうがすなおというか、無理がないのじゃなかろうかという御質問が第一かと思います。これにつきましてはまず二つのことを考える必要があると思います。第一は、憲法上の問題もあるわけでございますが、受益者負担の原則というものが貫かれていなければならない。ということは負担すべき人が当然負担するということ、負担すべからざる人に負担させてはいけない、逆に言えばそういうことが必要である。これが一つでございます。それから第二は、先生のお話もございましたが、確実に把握できるということが第二でございます。そういう点の二つの点から申しますと、原綿にかけますとかないしは製品にかけますとかという点は、いま申し上げましたこの二つの観点から申しますと、いずれも実は大きなぐあいの悪い点が出てまいったわけでございます。実はこれは非常に真剣に勉強したのでございますが、結局として業界も納得いたしまして、残存保有錘数にかけるということに答申はなっておるわけでございます。それが第一点でございます。  それから第二点でございますが、一錘当たり金額がどのくらいになるのかという御質問でございますけれども、先ほど大体総額で百億程度の金が要ると考えられますと、そうしますと残存錘数が約一千万錘でございまするので、一錘当たり千円、これを答申は五年間で徴収するということになっておりますから、年間一錘当たり大体二百円という線でございます。それが第二点でございます。  それから第三点、登録制度で錘数を把握する必要があるはずだが、今度法律を改正しても五年間は制限登録制度が伸びないではないかということ、確かにおっしゃるとおりでございまして、この点は制限登録制度の法律の改正法案が――これは改正法案ということばがいいのでございましょうか、これで期待しております制限登録制がなくなりました後におきましても、錘数を把握する方法はこれはどうも考えなければいけない。しかもその錘数に対しては法律的に強制徴収がかかるわけでございますから、したがって、法律制度として錘数を把握する方法を考えなければならないというふうに勉強いたしております、現在。
  105. 近藤信一

    近藤信一君 次に織布関係について。産地組合主義に対する危惧に対してお尋ねするわけでございますが、織布業の構造改革に対する基本的な考え方は産地主義と組合中心主義のいわゆる産地組合主義と申しますか、こういうことであるわけでございますが、織布業の構造改革が産地共同体としての力を強化活用する。いわば産地ぐるみと申しますか、産地ぐるみの今度は構造改革、こういうことになるわけですが、これは中小企業対策の一環としても、これ重要なことだと思うんです。産地組合主義は当然のことかもしれませんが、答申にあるように、産地組合を通じて各般の構造改革施策を行なわせるばかりか、それとも資金の調達までやらせるとするならば、団体法による工業組合にこれほどの大仕事というものはないと思うのですね。そういう点でまたこれ問題が出てくるんじゃないかと思うんです。このように私ども若干の心配を持つわけでございますが、構造改革の仕事のみをやらせて権限のある、また強力な責任のある制度といいますか、組織体といいますか、そういうものを新設するということが実際意義あるかどうか、その点はどうですか。新しいこれ組合主義になるわけですね、現在もう工業組合、いろいろ組合が産地にあるわけですから。
  106. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 構造改革組合とわれわれ通称言っておりまするけれども、これを新たに制度として別に設けるということは、御指摘のように屋上屋を架することになると思います。現在すでに商工組合がみなあるわけでございますので、したがいまして、法律的にはこの商工組合制度を活用していくということでいいんではなかろうか、現に出資商工組合でございますれば、われわれ考えておりますような事業は法律的には可能でございますので、現在の法律に基づきます商工組合制度は法律制度としては活用していっていいというふうに思うわけであります。ただ問題は、現実にそれならば、いまの商工組合がそれだけの力があるかという点が非常に心配でございまして、この点はもうわれわれも御指摘のように心配しておるわけでございます。したがって、今後の構造改革につきましては、この商工組合に思い切って支援措置を与える。逆に言いますと、思い切った支援措置を与える組合を構造改革組合と称しておると、こういうふうに御了承いただきたいと思うわけであります。
  107. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、織布業の企業の集約化は産地組合一括して近代化設備をやろう。で、それを組合員に貸与する、こういう方式をとるわけなんですね。このような設備、貸与関係を通じまして、企業の集約化を進めるようにすると答申は言っております。紡績業については、これは利益を追求するための企業規模を一応五万錘という線を打ち出しておるわけなんですが、織布業にはそういう具体的なめどというものがないわけなんです。もちろんこれは各産地におけるところの製品によりましてその規模も変わってくると思うんです。で、一がいに適正規模を計算することも織布関係についてはできないわけですね。また一説には絹、人絹の場合を例にとりますると、これは特殊織物については織機を五十台程度と、それから量産織物については三百台程度、これが生産単位の一応の目安だ、こういうふうに言っておるようでございますが、この点はどうですか。
  108. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 織布業につきましては、御指摘のように綿と絹と、ないし合繊とでも全然違いまするし、また同じ綿と申しましても、広幅の生地織物と別珍、コールテンと先染めとでは全然違うということでございまして、おのおの織っておりますものによって違うわけであります。しかし、逆に申しますと、織っておりますものを取り上げれば、たとえば先染め織物を取り上げれば播州が中心になっておりまするけれども、個々の適正規模というものは考えられるわけだと思います。それから広幅の無地物の三河の適正規模は、これは当然考えられるということでございまして、織っております製品別の適正規模はこれはやっぱり考えるべきであろうと思うわけであります。いま先生御指摘のように、量産品種につきましては三百台程度、それから非量産物につきましてはやっぱり五十台程度というふうなことを一応目安にしておりますけれども、ただし、これはいま申し上げましたような、織っております物別というようなことはイコール産地別に適正規模を別々に考えていくべきであろうというように考えておるわけでございます。
  109. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関連。いまの繊維雑貨局長答弁をせられて、産地ぐるみ商工組合制度を大いに活用するということについての説明答弁があったのですが、今度できる協業組合制度と繊維業の構造改革、これとの相互関係はどういうふうに見ておられるか、これは具体的に聞いておきたいと思うのです。
  110. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 私たちは、産地組合はこれは知多でございますとか播州でございますとか遠州でございますとか、現在一つの地域経済を形成しております。そこに現に存在しております。現に商工組合、これが事実上構造改革組合というものの機能をやるというふうに考えておるわけであります。協業組合はむしろ一つの企業単位と申しますか経営単位であると、したがって、その地域経済の中におきます零細企業が独立しての企業経営としてもいろいろな経営方面が、あるいは販売から生産までいろいろあるわけでございますけれども、そういう場合に経営活動、生産活動を協業してやったほうがベーターであるという場合に協業組合ができ上がる。したがって、協業組合は産地組合の中の一つの構成要素であるというふうに考えております。
  111. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それで協業組合制度を活用することが繊維関係については相当多いと考えられるか、あるいはそれほどでないのだ、少なくとも当分の間の段階においては、むしろ商工組合制度を中心としていくのだというふうに考えておられるかどうか、そしてこれについてさらに主として織布関係でしょうが、綿、スフについて、あるいは絹、人繊について、あるいは着尺物関係について、あるいは輸出物関係についてそれぞれ違うと思うのですが、大体の見通しを聞いておきたいと思う。
  112. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) いま先生御指摘のように、非常にいろいろ違うと思うわけであります。しかし、現に染めの部分でございますとか、のりつけの部分でございますとか、一つの織物に完成いたします前段階におきましてもいろいろ別種業種になっており、現に共同加工しておる面もあるやに聞いております。そういう面におきます協業組合の活用は十分考えられる面もあるのじゃなかろうか、それから販売面におきましても、販売活動を協業してやるという面も考えられるんではなかろうか、しかし、何というてもまだ新しい制度でございまするので、どういう面が特にうまく協業組合制度というのが適用されるか、もっと勉強しなければいけないというふうに思っております。
  113. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 一部協業程度であれば従来の協同組合でいいのでしょうから、そういう点も考え合わせると、一部協業なら従来の協同組合、産地ぐるみの構造改革なら商工組合制度、勉強が足らぬというお話ですけれども、繊維関係についてはほとんどいまの、近い段階における見通しでは、協業組合制度にはそれほど期待をかけてはおらぬというと語弊がありますが、そう活用するという方針ではないというふうに承知しておいていいのかどうか、そこを聞いておきたい。
  114. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) 協業組合の関係につきましては、ただいま繊維局長が御答弁申し上げましたように、新しい組合制度として検討中でございます。中小企業庁のほうといたしましては、率直なところ、この機屋を主体とする繊維の構造改善の主体は、商工組合によってやっていきたいというふうに承知しておりますので、率直のところ、私どものほうも、いまだ協業組合制度については検討中でありますので、どちらがいいかというような点までまだ詰めていないわけでございます。ただ、先ほど局長が答弁いたしましたように協業組合については、私どもの基本的な考え方は、一部協業から全部協業へということを便法的に考えております。そういたしますると、この綿織物なり絹・人絹織物についても、ところによっては何千軒というような産地もございますので、そういった実態から考えますと、先ほど局長が答弁いたしましたように、協業組合というのは、ほんとうに自主的に自分たちで息の合ったものがやっていくということが、その協業組合制度に乗れる実態ではなかろうかというふうに現在のところでは考えているわけでございまして、なおよく検討いたしてみまするけれども、いまの段階では、協業組合でもってこういう非常に人数の多い構造改善について、いま一挙にそこまで持っていくということはむずかしいのではなかろうか、こんなふうに考える次第であります。
  115. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ぼくも大体そうだろうと思うのですが、それだけに、協業組合制度をいま研究せられ、具体化しようとしているが、中小企業のうち、製造工業としては繊維関係は、これは一番中枢的なものですよ。いまの段階では、それが協業組合制度とはまずまず当分は関係がないのだということになると、協業組合制度は、中小企業の業種別に見た場合に、どれどれを主としてねらうということになるのか、これは予算要求を具体化するに伴っても、相当やはり関心を持つところだと思うのです。繊維関係が大株主であろうと表面的に考えれば思われるだけに、これをどういうふうに見たらいいか、この点、こういう業種別に見た場合にこれをねらっているのだ、それに対しては相当な期待がかけられるのだというような、繊維大株主と見ながら、それ以外にこういう大株主があるのだという点を聞いておきたいです。
  116. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) 私先ほど答弁申し上げました趣旨は、繊維の構造改善につきましては業種別のビジョンを立てて、その地場の業種全体のために、ある程度の調整活動的な意味を含めて構造改善をやっていくという点に、今度の綿スフ織物、絹・人絹織物の構造改善の実態があろうかと思うわけでございます。そういったときに産地組合を総括するという意味においては、協業組合というものは、先ほど答弁申し上げましたように、やはり端的に申しますと、十企業とか二十企業とかいうようなその程度の企業というものが、実際に一部協業から全部協業へというふうにいけるのじゃなかろうか、それが、綿スフ織物、絹・人絹織物の産地というものは御承知のとおり、たとえば西脇を取り上げてみましても、福井を取り上げてみましても、非常に大規模な産地でございますので、そういった総ぐるみには適しないと、こういった意味で私申し上げた次第でございまして、先ほど繊維局長が申しましたように、今度はグルーピング活動というような、その中の十企業とか二十企業、あるいは五企業でもよろしいのではないかと思いますが、そういった場合には、当然、綿スフ織物、絹・人絹織物等あたりについては、構造上長期的な不況の問題もございますので、やはり中小企業のグループから見ますと一つのモデルとして大いに取り上げていってもらいたい業種ではなかろうか、こんなふうに考えておるわけです。
  117. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 じゃあ念を押すのですが、最初、途中までの段階じゃ、繊維関係については商工組合制度ないしは協同組合制度でまあまあよかろうと、協業組合制度にあまりすぐかかっていくことはない、だろうという説明のようだったけれども、しかし、やっぱり考えてみれば、グルーピングについては、繊維関係といえども協業組合制度を活用するものはやはり相当あるんだと、繊維関係を大体、外へ置かんでもいいんだというふうに答弁せられてきたと考えていいのですね。
  118. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) 豊田先生の御質問のとおりでございます。
  119. 近藤信一

    近藤信一君 過剰設備の処理についてお尋ねいたしますが、織布業においては合繊業と同じく設備のスクラップ・アンド・ビルド方式をとっているのでございますが、答申ではこの点について、転廃業者の分については改善事業団が買い上げ、それから、その他の過剰設備九万六千台の織機については廃棄率を明示してありまして、あとはすべて産地組合の責任に転嫁していくというわけでございます。一体、転廃業者以外の過剰設備については産地組合にどう取り扱わせるか、これが明確になっていないわけでございますが、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  120. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 紡績業と織布業の過剰設備処理のやり方が若干違っておりますのは、いま御指摘のとおりでございまして、一番違っておりますのは、紡績業においてはまず二百万錘というものを一括処理しようということで、これは何といっても規模が大きゅうございますし、数も少ないものでございますから、まず、過剰設備処理というものを一括やって事業を立て直すということが可能だと思うのでこういう方法論になったわけでございます。ところが、織布におきましては、何しろたいへんな数であり、小さな規模でございますので、まず自分で持っておられる織機を供出して、一括過剰設備を処理しようと言うても、これは事実上困難でございますので、答申に示しております方法論は、設備を近代化するに際して古い設備をつぶすということを示しておるわけであります。その場合に、ただ近代化設備というのは、これは古い設備に比べると原則として生産力が非常に高いわけで、また高い設備でなければ意味がないわけでございますので、近代化設備を入れるとよけい過剰設備が出てくるという、いわゆる豊作貧乏ということになるわけであります。で、この辺のことがございますので、こういうふうに答申では考えております。  まず、近代化をしようとする場合に、一台新しい設備を入れれば一台古い設備をつぶす。その古い設備は、これはその一台対一台でつぶす責任は新しい設備を入れる個々の機屋さんの責任にする。しかし、一対一でつぶしたのではまたこれは過剰設備がなくならないので、綿機におきましては原則として〇・六台、絹機については〇・五台を上乗せしてよけいにつぶすということにしようではないか。ただ上乗せしてつぶすということになりますと、これはもう機屋につぶさせることが事実上困難でございますので、産地組合が買い上げてつぶすということ、つまり上乗せ分だけを買い上げてつぶすと、こういうことを考えておるわけでございます。すなわち十台かりにここに入れるということになりますと、綿においては十六台つぶす、六台分は産地組合が買い上げると、その六台分について二分の一を政府が補助をするというふうなことで、十台分は機屋さんがつぶすと、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
  121. 近藤信一

    近藤信一君 資金の調達、政府の助成についてでありますが、織布業の構造改革に必要な所要資金は全体計画で総額約千六百七十六億円ということになるわけで、この総所要資金のうち改善事業団を通じて交付する補助金というものが百十五億円、中小企業振興事業団をつくってここから設備近代化資金約千三十億円の融資が産地組合に予定されているようでございますが、しかし、これらの補助金や融資があっても産地組合自身で約五百八十三億円というものを自己調達しなければならないことになるわけです。これだけの巨額な資金を不況にあえぐ産地企業が一体どうやって自己調達をしようとするのか、この点を伺っておきたい。結局は政府系の金融機関などから借り入れるということになろうかと思うのですが、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのですね。というのは、私が機場に視察に行きましていろいろと聞きましたところによりますると、もうわれわれも近代化したいと、ところがなかなか金を借りても払う見しがつかない。だから借りられないのだと、これは個々の機場ですね。ところによっては、私が生まれる前からこの機械はすわっておるんだからこれも何十年たっているんだかわからないと。こういう経営者もおったわけなんですね。こういう点からいきますると、なかなか個人で資金の調達ということは非常に困難なことになるんじゃないか。近代化したいけれどもそれができない、払う見通しがつかないからできない。今度の場合でも産地組合でやられるわけでございまするから、産地組合の責任で個々の近代化をやっていこう。そういうことであるからこの点は若干前向きになるんじゃないかと思うけれども、組合でやってもやはり個々で金は支払わなきゃならぬ。こういうことになりますので、私は、これから機場の近代化ということについてはなかなかむずかしい点が出るだろうと思うのです。  通産省として一体予算折衝でどういうふうな折衝を現在やられたのか、また、これからも予算が出されるわけでございますが、その点はなかなか私、大蔵省との折衝がむずかしくなってくるんじゃないかと思いますが、この点はどうですか。
  122. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 御指摘のとおりでございます。先生が設備近代化資金中心にお話しになりましたので、もう一ぺん数字を繰り返しますと、ビルド資金として千二百八十八億要るという計算が出るわけでございます。それでその八割――八〇%を、先ほど中小企業庁の金井次長が申しましたような非常に有利な条件で中小企業振興事業団から産地組合員が借りる。千二百八十八億の八割というと千三十億借りるという計画になっております。実は設備近代化資金の八割を三分五厘の非常に長期の金を借りるということは、これだけでも実はたいへん有利な政府助成であると思うのでございまして、これ自身の実は予算というか、財投折衝が、ワクとしては財投、それから三分五厘でいたしますためには一般会計からの予算が要るわけでありますが、この予算折衝非常に難航するわけでございますけれども、さらに先生の御指摘のように、残りの二百億余というものは組合が自分で調達せにゃいかん。八割政府が出すけれども、二割ぐらいは組合が自分で調達してもいいじゃないか。その二割が非常にむずかしいというのが現実であります。その二割分につきまして、答申の中に述べられておりますのは、その二割のうちの一割、だから全体から申しますと二分ということになります。これを政府が補助金として産地組合に渡すということを考えております。それで、そういうことによりまして組合の自己調達分のうちの一割を政府が補助金として渡すということになりますと、その一割分というのは銀行に対する見せ金にもなりましょうし、組合が銀行から借ります場合に、また銀行に対して担保の役にもなりましょうし、政府が組合に対して――全体のパーセンテージからいうと低いものではありまするけれども、直接に補助金を出しておるということは銀行の信用力を非常に高めるということも期待しようというふうな、以上のようなことをねらいまして、組合の負担分の二割のうちのその一割を補助金として何とか組合員に出したいということで予算折衝をしておるわけであります。ただし、これは非常に難航中の難航をしておるわけでありますけれども、私たちといたしましては、今度の構造改善事業というものが、機屋さんの構造改善事業というものは、どうしても産地ぐるみでやらにゃいかん。産地ぐるみでやります場合には、いろいろ考えましたけれども、組合を通ずる以外に手がない。個々の業者をつかまえておったのではだめだ。どうしても組合を強化していく以外に手がない。組合単位でということは、組合を強化することである。そういうことになりますと従来の日本の予算制度では相当これは例の少ないことかとも思うのでありますけれども、何とか産地組合を強化するために産地組合に補助金を出すということを貫徹いたしたいというふうに思っておる次第でございます。
  123. 近藤信一

    近藤信一君 それから、今度の繊維構造改善事業で、特に答申案の中で、機屋の問題については、これは緊急対策を立てなきゃならぬ。御承知のように、倒産が昨年から今年にかけてはだんだんと零細企業の倒産が出てきておる現在の機屋をながめた場合に、ほとんどもう倒産寸前というふうなところもなきにしもあらず、こういう関係から答申案というものが出されておるのじゃないかと思うのです。この答申の中にこういうことがあるのですね。「構造改革対策は、短期間に集中して実施しなければその目的を達し得ない。したがって、」これは機の、織布関係に対して「対策の実施期間については、四十二年度以降三年間を希望する。」機場の場合には三年間を希望する、こう答申案を出しておる。しかし、どうしてもできない場合にはこれは五年間をこえるということもあるが、希望としては三年間だということが答申案で希望されておる。それはやはり機場が現在の状態からいけば、もう倒産寸前にあるという前提の上に立ってこの答申案というものは出されておると思うのですが、これが通産省では紡績も機場も五年間ということでこれがなされておるわけでございますが、特別に機場に対してはあなたのほうはこの答申案の三年間を希望するということに沿わなかったのじゃないかと思うのですが、このいきさつはどうですか。
  124. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 実は答申案の出る前の予算要求ではございまするけれども、答申案が相当煮詰まっての上の予算要求でございますので、これは繊維局長の良心から申すと、当然答申案の精神に沿った予算要求をいたしたかったわけでございます。ただ遺憾ながら予算要求のワク制度というものがございますために、実は設備近代化だけをとりましても、実は初年度はその十分の一をやる、来年度は十分の一をやるということでございまして、さっき申し上げました設備近代化資金千二百億余、その中の政府助成は約一千億、その中の十分の一の百億しか実は要求していないわけでございます。しかし、事情は先生御指摘のように、倒産は非常にふえておりますし、それのみならず、これは実は非常に急がなければならないのは、後進国の繊維産業、特に織布産業というのは急ピッチで進んできておる。進んできておるだけではなくして、御承知のように、先進国の間では後進国に対して特恵的な関税制度を設けるべきであるという方向が、おそらくこの近い数年間にはきまるのではないかということが、大体推察できるわけでありまして、それまでに問に合うように織布業の構造改善計画をやらなければいけないわけでございますから、われわれ事務当局としては、実は十分の一の予算要求ではこれは実はどうにもならぬということであるわけでございますが、この辺はせっかく現在各方面にお願いいたしておりまして、新しく答申案も出たことであるので、答申案の趣旨に沿って、これの完全実現方を何とかひとつ御配慮願いたいということを、各方面にお願いしておる次第でございます。
  125. 近藤信一

    近藤信一君 いま局長が御答弁で、答申案が出る前にもう予算折衝される、これからもまた予算がまだ折衝されて復活予算の点もあろうかと思うので、この点はやはりいま局長が言われましたように、答申案の趣旨に基づいて何とかしてやらなければ、機屋に対しては非常に危機がきておるのじゃないかと思うのです。したがいまして、初年度十分の一の予算要求ということになっておるのですね、近代化資金の問題が。で、これは三分の一に相当するということになりますると、これは約三倍の要求をまた出さなければならぬということにもなろうと思うんですけれども、これはどうですか、これからの予算折衝の過程で、いま局長が言われた各方面にひとつ努力して、了解を求めてこの三分の一の要求をやるようなわけにまいらぬものであるか、いわゆる近代化についてですね。
  126. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) ただいま御指摘になりました措置と、実際われわれがこうして御説明申し上げておる点とだいぶ食い違いがあるように、まさに五年でやるということになる場合を、三年ということになれば三倍という数字を出さざるを得ないような状況に相なりまして、予算折衝は開始いたしておりますものの、これは御案内のように、内閣全体の予算の申し合わせと申しまするか、そういう点において拘束されておるが出しておるというような内情でございます。したがいまして、われわれといたしましては、この構造改善の急速処理という意味において法的整備をいたしますと同時に、予算措置につきましても、省をあげましてこの問題を当局に、また内閣関係の方々にも制度の重要性と必要性を強調いたしましてがんばっておるような次第でございまして、ただいまから最後の予算案決定の見通しをおまえ立てろといわれましても、なかなかむずかしいわけでございますが、われわれといたしましては少なくとも五年内ということについては、全力を尽くしてひとつ突進してまいりたいという覚悟をきめておるわけでございます。
  127. 近藤信一

    近藤信一君 それは先ほど局長も言っておられましたように、近代化の補助金については二〇%は自己調達しなければならぬ、こういうことになるわけですね。その二〇%のうちの一〇%についてはこれは構造改革組合に補助金を交付する、これを基金にして自己調達をやれ、こういうことでございまするけれども、いま機場の状況というものは、実際自己調達ができるかどうか、これ自体が私問題じゃないかと思うんです。そう考えますと、やっぱり二〇%に対するところの補助金というものが考えられないものかどうか。これは今後の予算要求の結果ではそういうことも私は考えられるかわからないけれども、現在のところでは、あなたのほうの方針としては私がいま申しましたようになっておるわけでございます。そうすると機屋の力ではなかなかこの自己資金ができぬというところに、機場の苦悩というものがあるわけでございます。この点は補助金の点ではあなたのほう何かほかには考えというものはないかどうか、この点はどうですか。
  128. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 機場の現実は、先生の御指摘のようにまあ二割分の調達すらも非常にむずかしい。ただこれが一般の常識から申しますと、大体政府の助成というのは半分半分、半分は自己資金でというようなのが、従来の常識になっているわけでございます。それに対しましてとにかく八割を政府サイドで出そう、残りの二割は手金で、しかしその手金も個々の機屋では無理であろうから組合で調達をしなさい、組合の調達にしてその一部を政府が援助いたしましょう、これは実は現行の各制度、各方面のバランスを考えますと、相当バランスを失し、相当過重した制度であるというふうに思うわけでございます。ただ現実には、それですら機場は疲弊しておるという非常に実は困った問題があるわけでございますけれども、何とか地元の、地元ぐるみの振興問題でございますので、地元の金融機関等の積極的な援助を期待をいたしたいと思っておる次第でございまして、少なくともこの近代化のテンポと申しますか、構造改革のテンポもひとつ答申案にできるだけ沿ってテンポアップをいたしてまいりたいと思っております。
  129. 近藤信一

    近藤信一君 それから上乗せ廃棄分の交付の問題でございますが、スクラップ・アンド・ビルド計画により、ビルド一に対し現存設備一・六の割合でスクラップするこの上乗せ廃棄分は、織布業の環境整備の法的性格を有するという点からいって、この上乗せ配棄分について、通産省では一台十万円としてその二分の一の補助金を交付することにしておる。そういう意味から四十二年度の所要上額は、十分の一の四億八千万円ですか、こういうことになっているわけですね。これを三カ年計画で計算してみますと、今度は予算計画からいっても大きく三倍、十六億ということになりますか、約十六億ということになるわけでございますが、そういうことでこれを三カ年計画ということになると、現在の十分の一はみんな三分の一になっていくわけですね、あなたの意見だというと。これはどうですか。
  130. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 実は構造改善計画の中で主流をなしますというか、非常に金額の大きな設備近代化、これは事務ベースでは十分の一の要求になっておりますが、過剰設備処理のほうはできるだけすみやかにやるべきであるということで五分の一の、つまり五カ年でやるという要求になっております――ちょっと失礼いたしました。ただいまの御答弁を訂正させていただきます。上乗せの〇・六の上乗せ分は、約十分の一しか要求しておりません。
  131. 近藤信一

    近藤信一君 それからいま転廃業者の設備の買い上げの補助金の問題で話をしておりましたけれども、やっぱり構造改革事業を推進していく上において転廃業者を優遇すべきことは当然でございまするから、で、通産省としてはいま一台分廃棄――一台分買い上げが十万円ですか、価格は。で業者に話を聞くと新しい機械は十五万円だというんです、買い入れる場合には。だから十万円ではとてもこれは追っつかない、これを少なくとも十三万円くらいにしてもらわなければこれはとても追っつかない、こういうことを言っておられるわけでございますが、これもやはり予算の問題と関連してくれるわけでございまするから、これはなかなか無理な点もあろうかと思うんですけれども、こういう点について買い上げ価格の問題で何か考えるというふうな余裕というものはないかどうか、この点はどうですか。
  132. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 実は本年の予算、これは現実化しているやつであります。それで一応予算要求の単価はそういうことになっておるわけでございますので、それを踏襲いたしまして、来年度の予算要求算出の根拠にしておるわけでございます。これは多々ますます弁ずではございますけれども、国の先ほど来御審議を賜わっておりますように、非常に大きな金をお願いしているわけでございまして、単価がふえれば台数のほうを落とさざるを得ないということにもなりかねないということでございますので、これは産地としては非常に御不満かと思いますが、この程度でやってまいりたいというふうに考えております。
  133. 近藤信一

    近藤信一君 この点は予算の問題と関係してきますから、私はここでどうこうせよと言ってもこれは無理な話ですけれども、いろいろと繊維構造改善事業を成功させるためには、全般的な視野の上に立って考えていかなければならない。あなたのほうも苦労しておられるでしょう。特に私は機場が規模が小さいだけに零細企業で、いつ倒れるかということの心配を持ちながらこの仕事をやっていく、こういうところだけに、よけいこういう政府にたよる点が強いと思うのです。九大紡などはそれと対照的で、政府にそうたよらなくても何とか切り抜けできるという状態であろうと思いますけれども、やはり機場になりますと、どうしても最終的には政府にたよらなければならない。政府だけが頼みの力になるわけで、非常な期待を持っておられるわけでございますから、こういう機場は、その倒産でいつうちが店をしまわなければならないかというふうな心配をしながら仕事をしておりますので、これでは生産のプラスにもならないし、またなかなか人の問題もあろうかと思うのですが、そういう点ひとつ機場の問題は、特にこの繊維構造改善事業に対してはウエートを高く考えてやっていただきたい。このことを一応希望しておきます。  もう終わるのですけれども、これと関連しましてこの貿易関係、これは特に繊維製品の問題ですが、答申とはこれは直接の関係はございませんが、日本の繊維産業の不況の原因でもありまするこの輸入制限問題、これはもうアメリカだけでなくして、各国が輸入制限をやっている。そうして非常に日本の繊維業者は戦々恐々としている。同時に局長も繊維品の問題では、アメリカにも何回も行かれて、いろいろと向こうとも折衝していられるわけでありますが、この綿製品についてすでに国際協定がありながら、本来の趣旨から逸脱するような運用を行なっているようにも思われるわけですが、そういう面も見られる。それから欧州諸国は依然として差別的な規制を行なっているようでございますが、後進国についてもやはりこの前私ども行って現地でいろいろ承りますると、アフリカ、ナイジェリア等におきましても、日本から見返りとして取るものがないということで日本の製品については、これは遠慮したいというふうなことで、相当これは天竜社の組合では非常に困ったということを私ども聞いたわけでございますが、御承知のように、天竜社のあの組合は、組合員が四千以上あるわけですね。ビロード、別珍等をやっているわけですが、それにいままではほとんどナイジェリア等に出ておったが、それがだめだということになると、もう輸出の先ということは見通しがつかない。これについて一体政府としてどのような措置を考えてくれるのだろうか、こういうことで非常に心配をしておったわけでございますが、そういう面について、やはり通産省として、特にその衝において折衝されておられる局長としては、今後これをどういうふうに打開していくか、こういうことについて何か御所見がございますれば、お聞きしておきたいと思います。
  134. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) ただいまお話がございましたように、先進国、後進国両方から日本の繊維製品は非常にきびしく規制を受けておる。それがますますだんだん強くなってくるという憂うべき状態にあるわけでございます。御指摘のように、まず先進国関係の例の綿製品協定でございますが、来年九月には失効するということで、これを延長するかどうか、先ほどもジュネーブの綿製品委員会審議があったわけでございますけれども、一応輸入国側は輸出国側に対して協定の運用をもっと改善するという必要があるのではなかろうか、その辺をひとつ輸入国と輸出国とで個別でもって話し合うべきである、その結果協定を延長するかどうかを、十一月の末にもう一ぺんジュネーブに集って相談しようということになっておるわけであります。日本といたしましては、先進国側に対しまして、ただいまこの点の改善の努力を鋭意しておる次第でございます。  それからまた御指摘のように、欧米諸国におきましてはいわゆる対日差別がございまして、これは確かに御指摘のように、綿製品協定の精神にはそぐわないとわれわれは思います。この点は、この延長問題を審議する機会に、特に強く欧州諸国に対しまして差別の撤廃を要求をしており、さらにケネディ・ラウンドの交渉の場も活用いたしまして、鋭意交渉しておる次第でございます。  それから発展途上国の問題、特にナイジェリアに対しまする遠州の別珍輸出の例もお引きになりましてお話がございましたが、発展途上国に対しましては、ただ日本からの輸入のワクを広げろということを要求しても、これはない袖は振れませんということ、特にぼつぼつ綿製品の生産も開始されておる状態でございますので、したがいまして、一次産品の買い付けを促進いたしますとか、それから経済協力を供与いたしますとかというふうな別の手で後進国側の輸入制限の撤廃緩和を求めていく必要があるのじゃなかろうか。特に一次産品の開発輸入が大事であるということで、私の所管ではございませんけれども、通産省の来年度施策の非常に大きな柱として一次産品の買い付け輸入促進についての諸措置をお願いしておる次第でございます。こういうことでございまするが、しかし、何はともあれ、日本の繊維産業は非常に多事多難だと思うわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、せっかく必死の努力を重ねますとともに、いまからお願いをしております改善対策を速急に実現方をはかるということが何よりも大事ではないだろうか。これによりまして日本の繊維産業の構造の改善をはかりますとともに、高級品化をはかっていく。そして後進国とは競合しない先進国型産業日本の繊維産業をだんだん変えていくという必要がある。それによりまして輸出の安定的拡大をはかっていくというふうにやってまいりたいというふうに、覚悟を新たにしておる次第でございます。
  135. 近藤信一

    近藤信一君 最後に、繊維工業の将来のビジョンについてお尋ねいたしまして、このあと中小企業庁の次長に資料要求でちょっと一点お願いしたいと思うのです。だいぶ時間が長くなって委員長委員の皆さんに御迷惑をかけてなんですが、もうしばらくお願いいたします。  最近の大手の繊維メーカーは、答申に盛られている改善対策とは別に、再編成とも言うべき動きが活発であります。その方向として綿紡同士の合併、それから綿紡の化合繊への参入、これはわかりますね。それから化合繊の原料部門、特に石油化学との結合があるわけです。これらの一連の動きは、各社それぞれの理由から打ち出されたのでありましょうが、かつて日本の綿業が世界を押えたときは、国からの何の保護助成もなくて激烈な国際競争に耐えて、そうしてしかも、世界を凌駕しておった、こういう時代もありました。しかし、現在の化合繊中心への動きがそのよき前例への生みの苦しみでもあるとするならば、むしろよけいな手出しは無用であろう。しかしこの場合、鐘紡と東邦レーヨンの合併条件に見られる人員整理とか、あるいは構造改善の答申実施にあたって心配される中小企業の問題、さらには労働条件の切り下げによる経営の合理化等々が、この再編成気運の中で行なわれるとするならば、これら問題というものが深刻になるでありましょう。この点、最近の再編成気運と構造改善対策のねらいとするところの関係から、今後の繊維工業のあるべき姿について、一体通産省のビジョンがあるかどうか、もしあるとするならば、それについて伺っておきたいのであります。
  136. 金丸冨夫

    説明員(金丸冨夫君) わが国の繊維産業は豊かな国民生活を約束するすぐれた衣料供給の責任を果たしておるばかりでなく、輸出におきましても、四十年において十五億ドルに達するなど現在においても輸出産業としては重要な役割りをいたしておることは、御了承のとおりであります。しかるに、繊維産業を取り巻く内外の情勢は、お話しのように、発展途上国の繊維産業の発展と、それから先進諸国の繊維産業構造改善の進展、うちにはまた、労働力の逼迫などに直面いたしまして、このまま放置するならば、国際競争力を急速に失い、輸出産業の地位を確保できなくなる可能性が非常に大きくクローズアップされておるわけであります。さらにこれに加えて複合繊維品の進展により、これに対する適応が問題となっておるわけでございます。これらに対しまして、わが国の繊維産業は現在企業規模が非常に過小で、しかも企業数が多い、さらに過剰設備をかかえておる。これらに基因する過当競争から構造的不況に悩み、みずから新時代に対応する力を失ってきておる。こういう観点に立ちますときに、繊維産業については、まず国際競争力を強化するために単一企業の合理化、あるいは企業の合併、さらに合併に至らないところにおきましては、グルーピングをやりましてグループ化するという生産性向上の方途を講じて、国際的に遜色のない企業体をつくり上げるとともに、発展途上国の製品と競合しないように、先ほど局長が申し上げましたように、製品の高度化、多様化というようなことをはかっていくべきではなかろうか、かように存じます。産業の安定的な発展をはかるために化合繊、綿糸から二次製品に至るまでの企業の縦の結びつきの強化をいたしまして企業集団の総合力を強め、複合繊維化の進展等需要の変化に対応する供給体制の形成に役立たせたい、かようなことをしたいと考えておるところでございます。これに基づきまして今回紡績業、織布業につきまして集中的に助成措置を実施することとしておるのでありますが、なお、流通部門を含むその他の業種につきましても、今後可及的すみやかに所要の対策を進めることに最善の努力をはらってまいりたい、かように考えておる次第でございます。はなはだまとまりませんが、こういうことでございます、御了承いただきたいと思います。
  137. 近藤信一

    近藤信一君 じゃ中小企業庁に資料要求をちょっとお願いするのですが、実は小柳委員が官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、これに関しまして質問をする予定でおりましたが、急用ができましてちょっと中座いたしましたので、私から資料要求するわけでございますが、この小柳委員の申されるには、せっかく官公需の法律が先国会で成立したけれども、地方へ行ってみますると、役所も業者もほとんど無関心でいるようで、効果があがっていないようにも思える。これは法律の趣旨が末端へ徹底していない、こういうことでなかろうか、そういうふうにしか考えられない。この際、官公需の法律がどんなふうに施行されておるか、また各省に官公需担当官を設けるという話もありましたが、それがどのように運用されておるのか、官公需の発注は法律ができてからどのくらい中小企業のほうへ出されておるか、そういう官公需法の施行状況に関する資料を、この次までにひとつ提出いただきたい、このことをお願いします。
  138. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) 承知いたしました。
  139. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会