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1966-11-16 第52回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月十六日(水曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 鹿島 俊雄君                 土屋 義彦君                 藤田藤太郎君     委 員                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 小柳  勇君                 森  勝治君                 山崎  昇君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        労 働 大 臣  山手 滿男君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省社会局長  今村  譲君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (一酸化炭素中毒症対策に関する件)  (繊維産業労働条件に関する件)  (全国金属労働組合日産プリンス不当労働行  為に関する件)  (失業対策に関する件) ○社会保障制度に関する調査  (茨城県筑西衛生し尿組合に関する件)  (太田病院の閉鎖問題に関する件)  (輸血問題に関する件)  (身体障害者対策に関する件)     —————————————
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  労働問題に関する調査を議題といたします。本調査に関し、質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣質問いたしますが、この前の委員会三池炭鉱一酸化炭素中毒患者治癒認定を受けて退院いたしましたその取り扱いについて質問いたしたのであります。きょうは参考人に来ていただいて、参考人意見などを聴取しながら質問を続行する予定でありましたが、現在この取り扱いについて政府並びに労働者間にいろいろ話が進みつつあるように承るし、参考人意見聴取は次回に延ばしたのでありますが、さきに問題にいたしました政府・総評間の覚え書きなり当委員会の決議なりを尊重して、誠心誠意この問題の解決のために大臣として善処される意思があるかどうか、冒頭にお聞きしておきたいと思うのであります。
  4. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 前回の委員会でも皆さん方に申し上げましたとおり、たいへん不幸な大事故でございましたし、労働省といたしましても、いまお話しがございますように、誠心誠意この問題を円満に解決するように、いませっかく努力中でございます。いろいろ誤解とか何とかということでもございませんけれども、多少の立場相違等もございましたでしょうし、そういうことを明らかにいたしますためにも、いまお話しのように、この次の機会に参考人を御招致になっていろいろ皆さん方も御意見を伺っていただきますことはたいへん有意義だろうと思います。いまお話のように、私たち誠心誠意この問題に取り組んでおりまして、善処をいたしたいと思っております。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 質問終わります。
  6. 高山恒雄

    高山恒雄君 労働大臣にお尋ねしたいのですが、大臣は去る十月二十七日に、東商の役員会中心とする会合に参加されまして、今後の労働問題の政策としては、常に先手を取っていきたい、こういう所信表明大臣としてしておられるわけですが、このことは私も同感であります。そこで、従来の労働政策としては常に後手に回っている、しかも、労働者の災害その他救援措置だけにきゅうきゅうとしているのが今日までの労働政策ではなかったかと、私もその点は同感でございます。  そこで大臣にお聞きしたいのでありますが、最近の繊維界における不況が二年ほど継続してずっと続いておるわけです。しかも、その中の綿スフ紡機織機ともに、これは審議会委員会稲葉委員長中心として答申案が出ております。これに従って通産省はやろうとして、今日あらゆる試案も出ておることは重々承知いたしております。ところが、このスフ綿についての過剰でございますが、この問題が自主操短ということで、かなり長期にわたり話が進められておりますけれども、一向に実現の可能性はないような状態になっております。そのために、今日このスフ部門関係する労働者としては、全く失望の状態に入っておるのであります。しかも、これまでにも希望退社その他において、ある程度の人員は減少を見ておりますけれども、しかし、一つスフ綿試案を見ても、千五百トンに対する約三分の一が過剰だという見方が出ております。そうしますと、三分の一の人員は、依然としてこれは過剰の人員になるわけです。トン当たり十名といたしましても、約五千人の人がどうするのかという将来の生活の不安がここから起こってくるのです。こういう問題に対して、先ほどから申し上げましたように、労働大臣先手という、その労働行政に対して何か一つの御試案があるのか、その先手というのはどういうことをお考えになっているのか、一応考え方をお聞きしたい、こういうように考えます。
  7. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 繊維産業につきましては、楽観論悲観論、いろいろ今日まで出たところでございますが、欧米各国の例を見ましても、英国のマンチェスター方面業界の実情を見ましても、必ずしも楽観をするわけにはいきませんけれども、決して悲観をする必要はない。アメリカの維繊業界もたいへん調子がよろしいのでございまして、繊維に関しては世界的に著名な生産国であると自他ともに許しておりました日本がこういう状態低迷をいたしておりますことは、まことに残念でざごいます。これを何とか活を入れて、生き生きした産業に育てていきますことは十分考えられるところであるし、やらなければならないことであるというのが稲葉答申案が出た理由でもあると私は思っております。いまスフに関しましてお話がありましたが、日本の総設備が大体千四百トン前後、しかし、このうち五百トンぐらいは過剰設備である。この過剰設備を凍結をさしたようなことで、何とはなしに手足まといでぶらぶら操業をしているというようなことでは、やはり起死回生の道が開けていくとは考えられない。そこで、思い切ってその五百トン程度のものを廃棄しようじゃないか、こういうことであろうと思うのです。しかし、廃棄をいたしますについても、これは一部の業者だけが自発的に廃棄をする。一部の業者は残って、そしてまあ俗なことばで言えばうまくやっていくというようなことではなかなかうまくいかないわけでございまして、業界が一致して歩調を合わして、いま言ったような起死回生の手を打つというように歩調を合わして進んでいくということが必要であろう、こういうふうに私ども考えておりますし、今日経済界でもその業界で、もそういうふうに一般的には考えられておると考えております。
  8. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで、大臣のお考えのとおりのような状態でありますのですが、現在が、大体設備実態を申し上げますと、千四百二十一トンのこの設備を持っておるわけです。それだけの生産能力を持っておるわけです。実際この一年間の統計をとってみますと六七%しか稼働率がない、しかも、九百五十八トンしか日産出てない、これが現状なんです。しかも、今日のそうした稼働率が減少しておるのにもかかわらず、好況時代品種と今日の品種はものすごい差があるのです。従来は大体十種類くらいの紡出をいたしておりましたのが、今日では最高四十三種類紡出をやっております。最低でも大体二十五くらいの紡出をやっておるわけです。これでは化学繊維というものはコスト的に合うはずはないのであります。この状態を続けて依然として過当競争が行なわれておる。すべてこれは経営者の責任であると私は断ぜざるを得ないのであります。特に大体トン当たり百五十円から百六十円かかっておるものが、しかも、輸出においては百十八円から百十九円で輸出をしております。なお、国内ではどうかというと、百二十円から百二十五円で内地では販売しておるわけです。これだけの赤字で今日操業をやっておるわけです。そうして労働者に対しては、スフが悪いということで、とにかく生産を縮小した中で、不安と、労働者希望を失なっておる、これが二年近くも続いておるという現状です。これを先手を打つとするならば、私は通産省だけにまかせないで、あるいは業界自主性だけにまかせないで、労働省あたりは積極的に労働問題を中心とする立場から、私は、経営者にも通産省にも大きな発言権をやはり持ってやってもらいたい、こういうふうに考えるわけですが、この面に対する労働大臣見解をひとつお聞きしたい。
  9. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 先ほど申し上げましたように、設備が過剰であるし、需要がそこまでついていかないというようなことで、たいへんな採算割れになっておることは事実でございます。どうしてもそうしたコストを割って輸出をするとか、コストを割って生産をするというようなことに根本的な原因を突きとめてメスを入れる必要があろうと考えるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、戦争中、あるいは終戦直後は繊維設備も不十分でございましたし、また、国民生活におきましても、衣料の関係は非常に不足をして困窮をいたしておりましたが、順次平静、平和になってまいるにつれまして、繊維品についてはもう十二分にまかなえる状態がきておる。今後わが国の繊維業界の向かわなければならない方向というものは、順次高級なものに、順次世人の趣向に合ったものに向かっていく必要があるわけでございまして、どうも過剰設備を持っておるからということで、それがいますぐ生きてくるということにもなりそうにもございませんから、根本的にここでメスを入れる必要があることを確信をいたしております。ただ、その場合、整理をいたしますとどういう問題が超こるか、いま高山先生の御指摘のとおりに、これに従事をいたしております労働者諸君が失業するとか何とかというようなことが超き得る可能性が全然ないとは言えません。しかし、私の見ますところでは、女子の従業員なんかはむしろ不足ぎみでございまして、配置転換等でこれは十二分にまかなっていける。ただ、スフ関係には、男子の、しかも、比較的高齢な人たち相当従事をいたしておりますので、その人たちが問題であろうと思いますが、しかし、まあむちゃくちゃに大きな数ではございませんので、これとても配置転換であるとか、あるいはいろいろ訓練をいたしまして新しい部門につけていくとかいうようなことによって、その人たちに非常に迷惑をかけるというようなことにはならないのではないかと思います。ただ、しかし、こういうふうに採算割れ低迷をいたしておりますと、労働者諸君従業員諸君にも不安もずっと継続して与えますし、待遇や何かについても経営者側も非常に苦しいことが継続的に続けられざるを得ないということになろうかと思うのでございまして、やはりここは従業員諸君にも協力をいただいて、労使が一体になって情勢の根本的な変化に対応する体制を立て、そうしていつまでもだらだらしているんじゃなくて、思い切った構造の改革をする必要が絶対にあると考えております。
  10. 高山恒雄

    高山恒雄君 大臣配置転換やその他で、やれるという見通しはちょっと甘いと私は思うのです。そういうことができないから私は問題にしておるわけなんです。それはなぜかと申しますと、現在すでにもう五百トンは遊んでおるわけです。それだけの余剰人員をかかえながら六七%の操業しかやっていないこの現実から見ますと、余剰人員をかかえたままでやっておるわけですね。したがって、それを廃棄するということになれば、もう可能性がないという事実がそこから生まれてくるわけです。それを、むろん化学繊維そのもの一つ工場に限定はいたしておりません。最近の合成繊維はいろいろなものがありますけれども、しかし、あるメーカーにおいては、やっぱり紡機を持っておりますが、紡機も、十分なる景気が出ていないから操短計画を立てざるを得ない、廃棄措置も、答申で出ておりますように、やろうとしておる。そうすると、化学部門は、自主操短なるがゆえに、それがまとまらないで、とにかく自由競争で強いもの勝ちで、つぶれてもいいじゃないかという、まだ今日めどがそういう状態の中にある。これを労働省自体がほうっておいていいのかどうか。それで、先ほどから申しますように、五千人近くのものが、かりに失業するという状態になってから手を打つのは私はおそいと思うのです。それよりも通産省だけにこれを依存しないで、労働省は労働問題から積極的に私はやってもらう必要があるのではないかと、そうしなければとうてい見通しは立たぬ。なお、御承知のように、この十一月八日の新聞でございますが、スフ過剰設備に対して、余ったものは買いますよとインドなどが強くこれを望んでおるという見出しで、国連アジア極東経済委員会の、エカフェの化学繊維工業開発のセミナーでそういうことを言っております。場合によってはこれに移行するかもしれません。もしこれに移行しなくても、五百トンはもうすでに今日とまっておるという状態設備が。これに対して、いずれに進もうとも、現状はやはり確保していくのか、余剰人員をどうするのかという積極的な問題が労働省にあるべきではないか。これがないとやっぱり問題になると、私はこう考えるわけです。したがって、通産省ともこの問題に対して労働省としては何かいままでに連絡をとり、あるいは、また、それに対する施策というものがあるのかないのか、これを一つお聞きしたいと思います。
  11. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 高山先生お話はごもっともな筋でございますが、まあこれについては業界内でいま一生懸命調整をして、思想統一をしていこうという努力がなされておりまするし、労働大臣といたしましても、そういうことに対しましては十分助言もし、いろいろうまくいくように今後努力もしてみたいと思います。通産省労働省とはずっとこの問題等について話し合いをいたしておりまして、労働省立場通産省にいろいろ見解も申し入れておるわけでございます。私といたしましても、できるだけ繊維業界の将来のために、大所高所から足並みをそろえてやっていただくように話し合いをしていただくことについて助言もしてみたいと思います。
  12. 高山恒雄

    高山恒雄君 大臣に非常に前向きのお答えを願いましたので、私もこれ以上追及することはないかと考えておりますけれども、もう一つお願いしたいのですが、この化学繊維としての協調懇談会というのが設置されておるのかされておらないのか、この点をひとつお聞きしたい。
  13. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 私いまちょっと協調懇談会というのが思い出せなくて、いま事務のほうにも聞いたのですが、どういう実態か、よく私は知りませんが、労働省通産省とも、こういう問題についていろいろ関心を持っておりまするから、経緯なりいろいろ推移の見通しなりについて話し合いをし、懇談をいたしておることは事実であります。
  14. 高山恒雄

    高山恒雄君 十分話し合いをしておられると思いますが、これは私の考え方を申し上げておきたいのですが、その懇談会がないということであれば、通産省労働省とだけの考え方だけでなくて、労働組合代表を含めて、それから起こってくる労働問題をどうするかということを労働者代表も含めて会議を持つ必要があるのではないかと私は思うのです。したがって、これは繊維だけに限らず、労働問題は産業構造の変革に伴う人間構造をどう変えていくかということが優先しなければ、産業構造を変えてみても問題が起こるわけです、合併にしても何にしても。したがって、私は、やはり繊維のそういう労働組合代表も含めた懇談会調整懇談会でもよろしいし、そういうものを労働省が提案して、私は事前にやるべきではないかという考え方を持っておるのですが、そういう構想は労働省としてはお考えにならないのか、今後考えていこうとお思いになるか、大臣の所見をひとつお聞きしておきたい。
  15. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) いま高山先生からお示しのようなことは、こういうような変革期等には十分慎重に対処する必要もありまするし、検討をいたす余地はあろうと思いまするし、私たちといたしましては、労働組合諸君の意向や何かも十分時代に反映させ得るように順次努力をするようにいたしたいと考えます。
  16. 高山恒雄

    高山恒雄君 それでは、最後に大臣に私の希望意見を申し上げて私の質問を終わりたいと思うのですが、御承知のように、いかなる生産調整をやろうとも、これは労働者は当然に余剰人員が生ずるということは、これはもう火を見るよりも明らかであります。なお、大臣先手を打つというこの労働行政に対しても、私ども満腔の敬意を表します。その二つをほんとうに私はお考え願って、現在起こりつつあるこのスフ調整に対して、私は労働省立場から強くその調整に率先してやってもらいたい。もし自主操短ができなければ売却という場合がなきにしもあらずであります。しかし、もし売却という結論がかりに出るとするならば、これは来年一年かかるやら何やらわからぬわけですね。その間の過当競争的なものに対しても、やはり業界だけでなくて、労働者労働者立場から、労働者の擁護という立場から不安を一掃するような方向に私は努力をしてもらいたい、このことをお願い申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連。いまの高山さんの議論は私は非常に大事だと思う。だから日本産業は大なり小なり、片や公正取引委員会独占行為禁止というたてまえがある、過剰設備の上に操短をやる、通産省産業調整ということをやる、結局価格カルテルになっていく。いまの繊維の話を聞くと、だいぶ様相が違いますけれども、あらゆる産業がそういうことになって、そうして結局いまの設備合理化によるこの二つを寄せたものが生産力拡大になっていくというのが通産省の方針です。だから、その生産だけを頭に入れて、そこで働いている労働者のことというものがあらゆる産業で一切忘れられているというのが今日の事態だと私は思う。ですから、私はここで大臣に腹をくくってもらわなければならぬことは、めちゃめちゃな過剰投資をどの産業もやっている。きょうもことしから来年にかけて、四十年、四十一年、四十二年の設備投資の目録みたいのが、計画が出ております。しかし、操業が、いまの繊維の数ですが、六七%、もっと操業の低いところもあっても、結局投資設備拡大はどんどんやっている。だれか犠牲になる。いま千四百万トンの中で五百万トンをスクラップにすると言われる。そういうかっこうで新しい機械で合理化で、そして結局は労働者——どんどん片方のほうでは設備拡大が行なわれていく、それが今日の私は事態だと思うのです。私は、労働大臣は、工場ができた、入れた、あと整理のし放題、これでは労働者は何をやる。私は、経済計画においても、設備拡大、それから日本の全体のバランス的な経済の発展というものを、通産省ばかりじゃなしに、労働省労働大臣は頭に入れてこれと取り組まない限り、こぼれてきた失業者を何かで受けて、それをどっちに向けるか、こっち向けるかという労働行政であってはならぬと私は思う。そこが私はいまの高山さんの議論というのは非常に私は大事な議論だと、こう思うわけであります。だから、たとえば繊維産業を見ましても、みんな過剰の投資があらゆる産業でどんどん去年からことし、ことしから来年と、非常な過剰投資計画がここで出ているわけです、きょうの新聞を見てみても。それで、それじゃ操業はどうだといったら、実質的には五〇%ぐらいしか操業していない。中小企業がつぶれるというコースは昨年からことしにかけて非常なスピードできました。そうすると、大企業だけがそこでだんだん産業生産力を握りしめる。片っ方の全般の国民に対しては価格カルテルで問題が起きる、その形を通産省生産調整でおさめていく、これが重要な問題の一つです。それから、もう一つは、これだけ設備をさすなら国内需要を上げて、比率はフィフティー・フィフティーですから、だから輸出が伸びるように、輸出能力は五割増しも八割増しもあって、そのフィフティー・フィフティーの原則からはずれるから輸出ができない。国内では二重価格で、高い値段で国民からしぼり上げる、これが物価値上げの基礎なんですが、そういうことに労働大臣はもっと関心を持たなければぼくはいかぬと思う。これは繊維だけじゃないと思う。問題を起こしている砂糖産業なんかを見てごらんなさいよ。一カ月に七日しか操業してない。それにどんどんと新しい工場ができて、共和製糖不当貸し出しの問題が問題になる。鉄もしかりですね。鉄はまだ表面的にそういう問題になっておりませんけれども投資拡大なんかひどいものですよ。いま八千万トンぐらいの目標でやられているので、四千万トンぐらいしか操業していない。ことしは少しよくなる。私はこの間ラジオニュースを聞いた。そうしたら、セメントがことしは三千五百万トンぐらい、よければ七千万トンぐらいいきそうだ、いきそうだから日本セメント業界云々というラジオニュースが出てくる。これだけしか言わない。セメントのことしに入るまでの生産能力が六千七百万トン、ことしの操業計画は三千三百万トン、六〇%切れる。それでことし去年の八五%の投資拡大をやっている。そうしたら、ことしだけでセメント生産力は六千五百万トンからふえる。それでもことしは三千三百万トンから三千五百万トンぐらいの操業で、そうしてセメント業界がふえるなんというニュースだけが出てくる。そうすると、国民立場からしたらどうなるのか。これだけ生産消費のアンバランスが起きて不況が続いているときに、なぜそういうものを政府は無放任で許しているのか。弱肉強食のそこに何か黒い霧のような問題が出てくるわけです。そういうことをチェックするのは労働大臣厚生大臣ですよ。これをやらないで、産業生産本位で、業者、特に大きい業者におべっかをつかって、そうしてその産業が進んでいる。自由主義自由経済だということだけで労働者はどうなるのですか。セメントを見れば、生産能力は六千五百万トンで、三千五百万トンなら五十何%でしょう。それだけしか操業しないで、あとみな遊んでいる。これと私は同じだと思うのです。そうしていま五百万トン、それがぐあいが悪くなったらスクラップにして云々ということだけが議論されている。そこに働いている労働者はどうなるのだということは一つもいまの経済の中で議論が出てこない。私は善意で働いているその方々の身になってみたらどれだけ深刻か。いま労働大臣は、労働者使用者経営者が話し合って、よく実のあがるようにしてもらいたいと、私は反対じゃないかと思う。それもある段階においては必要でしょうけれども、しかし、根本的な、日本のそういう設備拡大のために国民生活犠牲になるようなところ、労働者生活犠牲になっているようなところをどうコントロールをして調整をして、そうして日本生産消費のバランスをとりながら経済を建て直すかということぐらいは、私は労働大臣厚生大臣はしっかりがんばらなければ、結局労働者犠牲になる。通産省の統計を見てごらんなさい。去年の三月までの統計ですね、昭和三十五年を一〇〇として、設備拡大が一〇〇で、あとは機械の合理化もありましょうけれども労働者合理化も含めて一〇〇です。結局生産力が三〇〇になった。それで、労働省がお出しになっている実賃質金統計は、昭和三十五年を一〇〇にして一二〇じゃないですか。毎勤統計で一九%、こういう状態物価値上げが続いている中でいいのかということを、私は、佐藤内閣の国民生活労働者保護の重要な柱に労働大臣厚生大臣はおいでになる。だからそのことを身につけて、いまの経済状態で直さなければならぬところはどこなんだということを常に関心を持って、そうして真剣に取り組んでもらわなければ、いまのように、もう生産の問題だけで、あとは労働問題と国民生活問題は全部無視されておるということであってはいけないと私は思う。私は高山さんの意見もそうだと思う。そのことが、結局しまいにはその産業労働者使用者と話し合ってうまくということじゃなしに、それは基準法に賃金、労働条件その他の問題は対等の立場でやるというのを、経営者労働者の言うことを一般的にそういう問題を聞きますか。強いて労働条件関係してくる問題であっても、帰するところは、生産調整設備拡大は自由自在だ、それで問題が出てきたら結局労働者にしわ寄せというコースだ。小野田セメントもそうでありましたし、最近の合併問題は皆そうですよ。だから、そこらはやっぱり労働大臣としてはもっと真剣に取り組んで、日本経済方向、それから経済計画方向労働者生活、そこらはもっと真剣に——これはあるいは私の聞き間違いか知りませんけれども労働大臣は、それは労働組合とその経営者とよく相談してと言っている。千四百万トンのところを五百万トンを処理するのに、よく相談して云々ということだけでは解決しない問題だと私は思う。そういう点について新しい済経計画を立てるときに、この前の雇対法をつくるときに、工場の分散と労働力の正常な配置、そしてそういう問題を、労働大臣と企画庁の計画局長調整局長、それから通産省企業局長も、あの雇用対策法をきめるときの根本問題として約束をしているわけですから、ひとつそれを大臣も新しく就任されたのでありますから、その問題を振り返ってみて、ひとつしっかり取り組んでもらわなければ私は困ると思う。所見があったらひとつ聞かしておいてもらいたい。
  18. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 藤田先生のお話のとおりであろうと思います。こういう自由な時世でございまするので、間々経済界には二重投資やなんかが行なわれておりまして、いろいろな困難を表にいま出しておるところであります。やはり何とか歯どめ的な調整をする人がなければ、こういう慢性的な設備過剰とかなんとかという事態はなかなか解消をされない。したがって、政府といたしましても、労働省はもちろん、これから若年の労働力を中心にいたしまして急速に不足基調になってきているときでもございまするし、十二分にお話のような線を貫いていきたいと思います。ただ、先ほど高山先生御指摘のありましたスフの場合は少し事情が違っておるのではないかと私は考えております。と申しますのは、新しい化学繊維が次から次へと世に出てまいりまして、戦争中、あるいは終戦直後に開発された普通のスフやなんかがそういう新しい繊維に食われた。いわゆる技術革新によって非常な業界に大きな変動が起こってきたということも否定をするわけにはいかないのではないかと考えております。しかし、いずれにいたしましても、藤田先生のようなお話の点は十分考えて今後努力をしてまいるつもりでございます。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 合成繊維が耐久力があって、新しい繊維業界に出てきたことは私もよく知っておる。しかし、いま高山先生の話を聞いておれば、設備はインドが買うという話、後進国の皆さんが、合成繊維とそういう繊維とまぜて使用されている段階なんですよ。設備を買おうということなんです。そんならやっぱし貿易はフィフティー・フィフティーだから、その後進国に使ってもらうような手段を政府がとらぬ限り、問題は解決しないんじゃないですか。その使ってもらう手段とは何か。日本が力でおどして、おまえのところはこれを買えといってもどうにもならぬわけです。やっぱしフィフティー・フィフティーの両方の自立経済国民生活を守りながら貿易というものは発展していくものですよ。そういう処置をやっぱし講じない限り、いまの単に技術革新だからこれはやむを得ぬのだと、それじゃもう納得しなさいということだけでは、そんなのなら政治じゃないとぼくは思うのですよ。政治というものはそんなものじゃない。自然に新しい技術革新の合成繊維に変わっていくなら変わっていく手だてを、そこで働いて生産をあげて生活をしているわけですから、その労働者が切り捨てごめんじゃ私は話にならぬと思う。そこらをやっていくのが政治じゃないですか。外交政治じゃないですか。私はそう言いたい。
  20. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) いま藤田先生のお話のような点、ごもっともでございます。私たちはできるだけ努力をしていきたいと思います。
  21. 山崎昇

    ○山崎昇君 前回の委員会で、私から日産・プリンスの問題について労働省のほうに実情調査をしてもらいたいという要望をしておったのですが、その結果がわかっておればこの機会に説明をお願いしたい、こう思います。
  22. 三治重信

    説明員(三治重信君) この日産・プリンスの問題は非常に長く、また、複雑な経過をたどっておりますが、先生の御質問の御趣旨から、最近の不当労働行為救済命令不履行の問題としてまず御説明をして、そのあとに、また従来の経過について御質問があれば調査の結果について御報告を申し上げます。  第一に、都労委が今年の七月二十六日に全金派を弱めるような職制の活動を放置してはならないというふうな是正命令を下したのでございますが、その後十月八日に、さらに都労委に対して、命令の実行確保につとめるよう措置してほしいという申し出が出たわけでございます。十月十八日には、都労委がこの命令不履行の具体的事例約十件でございますが、そういうものを上申しました。それを要約いたしますと、九月一日から十月十七日の間、旧組合員である山口義弘以下十名に、会社側職制による就業時間中や休憩時間中に全国金属を脱退するよう強要され、これに伴っていやがらせや軟禁などの行為を受けた、こういう要旨のものを具体的な事例として十件都労委に提出したわけでございます。これに対しまして、都労委は、会社側及び全金派が主張する不当労働行為に該当する職制などの全員を招致いたしまして実情を調査いたしました。その結果、この全金派が主張しました十件のうち、三件につきまして命令不履行の疑いが濃いとして、十月三十一日に横浜地裁に対しましてその旨を通知いたしました。それで、いまその通知したあとの地裁の結論はまだ出ておりません。したがって、これに対して会社側及び組合、新労のほうを労働省に呼びまして、その都労委で問題になりましたことにつきましてその実際をただしましたところが、新労のほうは、新組合としてそのような説得行為をいわゆる組合として指令したものではないと、職場で自主的にその組合員がやったものだと思うと、就業時間中の組合活動は禁止されているので、そんなにやってないと思うと、こういうのが新労側の意見でございました。会社側に対して聞きましたところ、前の都労委のいわゆる不当労働行為の是正命令が出た七月二十六日以降、就業時間中に組長、係長というような職制がいろいろの説得活動を、まあ疑いを受けるような説得活動はやらない旨を注意しております。こういうような事件につきましては、職場規律というものを守る立場で職制が注意したものだと思いますけれども、この新組合が全金派の組合員に対していろいろ説得をやって、時間外にやっているうちに感情問題になって、多少全金派が言われるような状況になったことも出たかもわかりませんけれども、まあ事実はそんなにたくさんはないものと考える、こういうふうな説明があったわけでございます。  これに対しまして、われわれとして労働省の態度といたしまして、新組合員に対しまして、まあそうおっしゃるけれども、こういうような事実というものがあるなら、十分もっと、ただ指令してないということでなくして、積極的にそういうことをやらないように十分組合員に徹底さしてほしい、そしてまあいわゆる説得行為にしても、そういうような感情問題や、具体的なまあつるし上げというふうな強硬手段というものは決していいものではないし、もう少し両組合の幹部で話し合って、そういう衝突すというようなことのないように、ひとつ十分幹部として注意してほしい、こういうようなことを申し入れておきました。  会社側に対しましては、この種のトラブルというものは、やはり会社自体にとっても決して望ましいことではないのだから、こういうふうな全金派が主張することが、会社側がそういうような事実はそんなにないのだと言うならば、そういう誤解や外でそういうことが争われることがないように、やはり会社側が積極的に十分注意をして、職制にそういうことが起こらないように厳重注意をして指導されたい、こういう申し入れを十一月七日にいたしました。それが大体の経過でございます。
  23. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま労働省から詳細に内容を聞いたのですが、いま聞いた限りでも、やはりそういう行為が大なり小なり行なわれておったということはもう明らかである。特に重要なのは、東京労働委員会が、十件のうち三件はそういう行為があったとして地裁に報告をしておるということは、これは重大な問題だと私は思うのです。そういう意味で、いま局長から労働省としては組合に対して積極的にそういうことをやらぬように組合員に対してひとつ説得をしてくれとか、あるいは感情問題にならぬように注意してもらいたい、あるいは会社に対しては、会社にとってもあまりいいことでないから、誤解を受けぬようにやってくれとか、こういうお話をされたそうでありますけれども、私はそれだけではきわめてなまぬるいのではないかと思うのです。したがって、いまここですぐどうこうは申し上げませんが、労働省労働政策を見ましても、人間性尊重であるとか、あるいはその他のことがずいぶん強調されておるし、あるいは、また、労働基準法からいきましても、信条その他で差別しちゃいかぬということも法律としてうたわれておる。しかし、現実的にはそういう違反行為がやはり存在をしておるわけですから、したがって、今後とも私は強力な指導をしてもらって、そういうことが起きないようにひとつ願いたいと思う。私のほうももちろん調査をいたしますが、十分定期的と言ったらおかしいですが、ときどき調査をして強力な指導を願いたい。もしも今後こういうことが起きたら労働省の責任を追及しなければなりませんし、また、この委員会関係者に来てもらって私どもいろいろ追及しなければならぬと、こう思うのですが、きょうのところは一応労働省でそれだけの誠意を示されたようでございますので、一応それを了解して今後の努力を要望しておきたい、こう思うのです。これで私の質問を終ります。
  24. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、失対の問題で少し政府にただしたいと思うのです。労働大臣に先に質問いたします。  いまの失対労働者は、だんだん減っている。それから、失業しても、失対の窓口を締めたようなかっこうですから困っている。そこで働けない人が多い。それからもう一つは、失対からだんだんと働いている人たりが締め出されつつある、こういう実情があります。それから賃金が安いということもあります。労働省直接の行政ではありませんけれども、健康保険の問題がありますし、年金の問題との併用の問題があります。しかし、私は、失対労務者として働いておいでになる人は、やはり労働者中心になって、厚生省との関係の問題を別々に議論するのではなしに、労働省が、この場合には厚生省関係の行政はどうなるとかこうなるとかということをよく考えて、そうして私は処理をしなければならぬ面が非常に多いのではないか、こう思う。いま私のとこに毎日毎日たくさんのはがきが来るわけですが、その中には、賃金が安いから生活が苦しい、住宅がないから、住む家がないから困る。それから保険関係で十分な保護が受けられないということ、そういう家庭ですから、たとえばテレビや洗たく機も買えないという問題も出てくる。それにプラスして生活保護の問題が出てくるわけであります。生活保護をもらいながら失対で働いているという人があります。そういうことなんかをずっと見てみると、私は、失対に入っている方々と、それからどっかで働らく場所が、中高年の殺到率が高いのに就労決定というものは非常に低いわけですから、その失対で働くという場を政府がめんどうをみて、働いて社会に貢献しながら、労働力、そうしてやはり生活ができていくという道を、私は十分にめんどうをみてあげなければいかぬのではないか、こう思うのです。だから、この全体的な概念について労働大臣はどうお考えになっているか、これをまず聞いて、具体的に失対労働者現状や今後の賃金の問題や、その他もろもろの手当、生活を維持するためにどういう計画労働省が進んでいくかということは職安局長から詳しく聞きますが、まず失対労務者の現状や、失対労務者に入れるものを締め出している関係労働大臣はどういうぐあいに把握しておいでになるか、お聞きしたい。
  25. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 藤田先生のお話のように、私は失対の現状が非常に満足すべき状態でないことはそのとおりだと思います。できるだけいろいろな措置をとっていきたいと思いますが、片一方におきましては、わが国の労働情勢は、必ずしも過去の非常に多過ぎたという基調ではないわけです。働く意欲を持っていただければ職は大体に見つかる。ただ、高年層の皆さん方におかれましては、多少のからだの状況等によっては問題があると思いますけれども、働く意欲を持って行動をしていっていただければ、私は民間なり何なりの作業場において今日ではいろいろの職は見つかる情勢に私はある。また、今後さらにそういう情勢に拍車をかけてくるものと考えております。まあそういう情勢でございまするので、私が期待をいたしておりまするのは、失対の関係皆さん方も、できるだけ皆さん方が率先をして、そうして職業戦線に自発的に乗り出していただくことが好ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。まあいろいろな問題がございましょう。賃金が安いというような御批判等もあろうと思いますが、まあ私自身の考えとしては、今後この労働情勢が非常に緊張をしてまいりますことに従って、わが国の労働賃金はますます上昇をしてくると思うわけであります。したがって、まあ自分たちだけ賃金が安いというような御不満もいろいろあろうと思いまするけれども、できるだけそうしたより高い賃金がもらえるように、労働者諸君も自分自身でも御努力をお願いをすることがたいへん必要じゃないか、こういうふうに考えております。
  26. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あのね、労働大臣、あなたはだれからそういうお話をお聞きになったか知らぬけれども、あなた、口でこの間も六十歳まで定年を延ばせということをおっしゃってるんでしょう。それをどういうぐあいに実行しておいでになるのか、これも私は聞いておきたいと思う。あなたいまのような理解で、そして六十歳延長ということをおっしゃっているんでしょうか。それでは迫力も何もないじゃないですかという気が私はするわけですよ。そこで、これからは学卒の労働者はだんだん減っていきます。その意味でフレッシュな、賃金の安くて使える学卒労働者不足していく。それは技術労働者不足していこうとおっしゃるけれども、私はまた労働大臣のあの六十歳まで延長せいというのは、五十五歳でいいとこだけとって首を切るというのを、技術を持ってる労働者を、もっと社会へ技術労働者を穴埋めせよといって私はおっしゃってるのかと思ったら、条件は幾らでもあるんだから、しっかり働いてもろうたらよくなるなんていうようなことで私は六十歳定年延長論をおっしゃったのかと思うと、私は非常に期待がちょっとはずれたわけです。その根本は、百八十万技術労働者不足するとおっしゃるけれども、たくさん資料も出していただきたいと思うけれども、五十五歳で技術を持った人を首切ってるわけでしょう。技術を持った人を街頭にほうり出して、そして首切っておるが、技術労働者が足らぬからこれを何とかせいとおっしゃるなら話もわかるけれども、いまのような理解では私はどうもわかりにくいんですよ。いまごらんになったと思いますけれども、いま殺到率を見ていただきたい。殺到率は太平洋岸ベルト地帯以外は非常に高いですよ。その殺到率の高いところで今度は就労の条件が決定したのは、そのまた何分の一かしか就労の条件が決定してないんです。高齢になればなるほど世帯を持ってる人が困っているという現状というものは、その方々が失対——体力も減退しますし、労働力も減退した人を政府が守るのが失対事業でしょう、これは。そういうことで、そんならあなたのおっしゃることを進めていくなら、健康で働いて、いいとこだけをとったら、あとは外国がやってるように年金その他でその生活をみるという原則をやっぱり立てなければどうにもならぬじゃないですか、そうでしょう。福祉年金は千五百円ですよ。国民年金も始まりましたけれども、それはもうとても、身体障害者と母子家族だけですよ、五千円今度支給するのは。あとはまだ始まってから五年なんですよ。国民年金でこれもらえる段階じゃないんです。そうしたらその人はどうして食っていくかというと、結局生活保護におちいっていかざるを得ない。私ここに来ているはがきを見ると、子供がテレビを買えというけれどもテレビを買えない、もうその日の命をつなぐのでいっぱいなんだという、私はそういう状態だと思うのです。それでも失対事業に参加している人はまだいいほうですよ。参加されないでどうして生活していくかという問題を考えてみたら、私はたいへんなことだと思う。あなたいま労働力の流動的な問題で、片一方に百八十万技術労働者が足りぬから、働く気になったら何ぼでも仕事がある。そんな条件が中高年以上の人にありますか、ないですよ。そのないような条件を知りながら、働けばいい生活ができるんだ、幾らでも仕事があるんだという認識を労働大臣がしているのならとんでもないことだと私は思う。私はもっと具体的に取り組んであの発言をしていただけたんだと思って、労働大臣は実をあげてもらえると思って私は期待をしていたのですが、どうもいまのお話は私はいただけません。これはもっと、労働大臣になったんですから、いまの労働者現状というものを把握してもらわなければこれは話にならぬのじゃないか。どうですか労働大臣、そこらあたりのことを、労働省事務官がそういうことをあなたに上申するんですかね。
  27. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 中高年層の就職の問題は、御指摘のとおり、たいへん重要でございまするので、私もお話のように、この間から定年制の問題、高年層といえども、労働余力を持っておるものはできるだけ働いて、活気に満ちた生活をしていただくことがさらに日本人の寿命を長くするゆえんでもある、こういう主張をいたしているのです。御承知のように、現状におきましては若干の中学校卒業生とか高等学校卒業生なんという労働力は、ともすれば大企業や何かに集中する傾向がある。大きな会社とか、あるいは役所などというのは、あまり手のこんだことをしなくても若い労働力が集まる。で、若い労働力をうんと集めて定年を比較的低くしておいて退職をさすというようなことでは片手落ちじゃないか。私は若年の労働力も中小企業やなんかに大いに行ってもらう、そして足りない部分が大きな組織の中にできるならば、それはいまお話のように、日本人の平均寿命が二十年くらい延びたのですから、労働余力を持っており、しかも経験豊かな五十五、六歳ぐらいの従業員に、さらに長くその企業が経験を生かしてもらえるように誘導していく、それが大切だ、こういうことであります。今日中小企業やなんかは若年労働力が非常に払底をしている。で、定年になったような人が中小企業に移動をしていくというような事態は、会社側にとっても不幸であるし、労働者にとっても不幸である。だから、そこらあたりのところをバランスをとらす必要からも、あるいは労働者の社会に貢献をする度合を高める意味からも、そうした考え方を大きな組織の経営者諸君なんかには考えてもらわなければならぬ、考えをしてもらわなければ困るということで、いろいろ経営者側のほうからも私に対しては批判もあるようでございますが、労働省としては思い切って打っていこうということを言っているわけです。でございまして、先ほどお答え申し上げましたようなことは、私はただすわっておってどうこうということじゃいかぬのでございまして、高年の労働者諸君もみずから職場を開拓していく熱意に燃えていただく必要がある。だれかから与えられるというようなことでなくて、会社側もぜひ努力せなきゃだめじゃないか、こういうことで立ち上がってもらうが、労働者諸君も最後まで余力がある限り精一ぱい働くんだという風潮をつくってもらわなければこれはうまくいかない、こういうことを私は提唱しておるわけです。特に技能労働力につきましては非常に不足している。今年の統計でも明らかなように、いま百二、三十万不足しているといわれておる。真剣に、ホワイトカラーでなくて、実際は現場で努力する人があれば採用したいというところは幾らでもあるわけでございますから、そういうふうに世の中の雰囲気を大さく歯車を回していきたいというのが私どもが定年制の問題について発言をいたしたりしておる理由でございます。しかし、全然効果がないことはないわけでございまして、順次そうした雰囲気が出てきつつある、私はこう考えておりまして、いま喜んでおるところでございます。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まず私は、いまおっしゃったことについては、これはよろしゅうございましょう。私は、しかし労働大臣政府がこれから労働者生活や何かをチェックしていくのに、やっぱりどういうところとどういうところを見て、その上に判断していただくかということが大事ですよ。たとえば付加価値生産性を見ればヨーロッパ並みに日本はなっている。今配率は五〇%以上というのがヨーロッパの情勢、日本は三〇%ぐらい。賃金が安いから働く働かんという議論を私はここではいたしませんけれども労働者がよく働いて生産をあげて社会に貢献しようというのはあたりまえのことです。これはあなたのしっかり働いてもらいたいとおっしゃることは私も賛成です。そしてやっぱり労働力を通じて社会に貢献をしていく、そのかわりに、働かすだけは働かすけれども、のりをすすって働けということだけじゃどうにもならぬ。そこらの調整労働省がやることじゃないですか、そうでしょう。働くときだけしっかり働かしておいて、そうして与えるものは世界の常識の三分の二ぐらいですよ。要するに五〇%と三〇%なら、半分ちょっとぐらいの率で労働分配率をやっている日本現状でいいかどうか、これを第一に労働大臣は頭で処理される問題じゃないですか。働くことは私も賛成です、当然だと思うのです。同じ社会の全体の中で生活していこうというためには、社会全体がよくなるためには労働者生産をあげなければならない。生産をあげて国民が幸福になることは当然であります。しかし、働かすことだけは一生懸命にやって、そしてしぼるだけはしぼるというかっこうでは、これは世の中はうまいくかぬというのが今日の実態だと思う。しかし、六十歳定年制を提唱されたことでありますから、これは名実ともに実現にしっかりがんばっていただきたいけれども、やっぱり健康がどうなるか、老後の生活がどうなるか、今日生産をあげている世界産業国の関係から見てどうなるか、そしてだんだん年がいって労働力が低下した人は、どうして国がその方々を守っていくか、その一つとしてできたのが失対事業でしょう。そんなら、あなたの前段おっしゃったように、できるだけその人に合うように、労働力、技術力が残っているんだから、定年制を——外国に定年制のあるところはないんですよ。そして老後の生活をみながら、そこへ全部労働力を遊ばしておくのもつまらぬから、そこで労働をしてもらう、それはいいことです。私らもそれを主張している。しかし、その条件にない人はどうして守っていくのかということがある。その条件を守っていく柱が失対事業なんでしょう。それから、いままた労働大臣、大きい会社にはどんどん若い人が行くと言うけれども、これから計画を立ってみて、日本のフレッシュな学率労働者を採ってみると、だんだんと四十年当時の半分ぐらいに五、六年の間になってしまう。しかし、大企業が若い労働者ばかり使っていくというわがままをしないで、去年も一昨年もそうですけれども、新しい学卒を百人雇うならこれを五十にして、中高年齢者を五十人雇いなさい、こういうきめのこまかいことを労働省はやらなければならない。これはどういうぐあいに報告を受けておいでになりますか。そういうことを頭におきながら労働問題を議論してもらわないと、働く人がしっかり働いてもらいさえすればいいのだという役割だけを労働省がしちゃだめだと思う。労働者自身、僣在的に働いて生産をあげて自分の生活を立てていこうということはだれでも思っているんです、やかましゅう言わぬたって。条件がそろわないから、そこで意見が出たり、わしは働かぬということになる。ですから、そういう見方をするのは私は少し間違いじゃないかと思うのです。そこらはひとつ労働大臣もよく全体の動きを見てからしっかり定年制廃止のためにがんばってもらいたい。私は一般論はまたあらためて議論をしたいと思いますけれども、私のいま言っているのは、きょうここで議題にしているのは、その失対労務者と、それから失対で働かなければどこにも雇い手がないという条件の人をどうするか。賃金ばかりじゃなしに、いろいろな条件を備えて、その人の労働を通じて社会に貢献するのだから、老後の生活の問題や健康の問題その他の問題を含めて、労働省が失対労務者と同じような条件にある働きたいという人の生活をどうしていくかということを私ここで議題にしたい。だから、これはそのくらいにしておいて、職安局長からそのいまの実態と、それから今年どう考えているかということ、生活保護法との関係はどうなっているかというようなことについて、詳しくひとつ資料を出して報告してもらいたい。
  29. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 失対事業の現状は、すでに先生御承知のことと思いますが、過去数年にわたって失対適格者の数も三十五、六年をピークといたしまして、漸次減っております。三十四、五万の状態が二十四万ぐらいに減っておりますが、これに見合いまして、失対の就労規模も二十一、二万の規模から、今年は十六万五千に減ってまいっております。これは一方で経済の成長に伴って民間の正常雇用の就労の機会がふえてきている、そっちへ再就職をしているという事情もございまするし、また、御承知のように、失対労務者の年齢が非常に高齢化いたしまして、就労にたえないといいますか、引退をしていくという方々もございます。そういうことで失対の規模は漸次減ってまいっておりますが、私ども見通しといたしましては、今後就労の規模を過去数年間の勢で減らしていくということは、これはできないと思います。現在の年齢構成、あるいは地域の分布の状況等を見ますと、過去の減り方のように、今後就労規模を減らしていくということはできないと思います。  また、賃金の状況でございますが、これは御承知のように、三年前の改正によりまして、民間賃金と比軟をいたしまして賃金を決定する、こういうことに相なっておりまするので、三十九年からの上昇率を見ますと、三十九年が対前年比で——失礼しました、金額が、三十八年が労働力費単価が四百五十八円であったものが、三十九年には五百一円九十銭、四十年には五百六十一円七十銭、四十一年、ことしは六百二十九円二十八銭、アップ率は三十八年が対前年比で七・八%、三十九年が九・六%、四十年が一一・九%、四十一年が一二%、こういうアップ率でございます。もちろんこれは生活保護との比較、私いまちょっと資料を持っておりませんが、生活保護基準のアップ率との比軟が絶えず問題になりますが、かつては生活保護基準のアップ率を上回った賃金のアップをやった場合もございます。また、最近は多少生活保護基準のアップ率を下回っておる状況でございますが、これはまあ失対賃金の設定の考え方生活保護基準の改定の考え方、一方は世帯単位で考えておりますので、その点の考え方の違いがありますから、端的には比較できないと思いまするけれども、賃金も一般の賃金の推移に比較いたしまして、まあまずまず妥当な上昇が最近見られているのではないかと思います。来年度の賃金にいたしましても、現在御承知のような屋外職賃金の計数整理をやっておる段階でございますが、このデータに基づきまして失対賃金審議会意見を徴しまして最終的には賃金を決定すると同時に、予算の総額を決定してまいりたい、かように考えておる状態でございます。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 局長、いまおっしゃったけれども、一般に再就職しているというのは非常に僅少だと私は思うのです。それから、高齢でやめた人もあるということをおっしゃったのだが、高齢になったらやめさしているのじゃないですか。やめる人もあるのじゃなしに、年がいくとやめさしているのじゃないですか、労働省自身が。それから、あと急速に減らないだろうというけれども、十六万五千だというぐあいに失対労務者がある。私はあの失対労務者の打ち切りかどうかという議論のときに、働かないからこれはもうこんなに入れないんだとか、そういう云々という議論がたくさんあって、あの問題は非常に激しい国会で議論をしてきたわけですが、この失対に入った人はどれくらいありますか。
  31. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 御承知のように、現在の失対制度のもとにおきましては、就職促進措置の経過を経なければ失対に入れないようになっておりますが、この措置の対象者は年間約三万人近くございます。で、このうちから訓練を受けて再就職する、あるいは訓練を受けないで再就職をする、いろいろな形で民間に大部分が再就職しておるわけでございますが、過去三年間の実績を見ますと、民間に再就職できずに失対にお入りになった方々が四千人近くございます。これは景気の動向とも関連いたしまして、年々によって入り方が違いまするけれども、今後といえども、やはり地域的に、あるいは経済の動向によって、その年々によって入る人数は違うと思いまするが、漸次失対にも入ってまいると思います。また、一方で失対就労名か雇用奨励制度等によって民間に再就職する、あるいは自営に転職する、こういう実績も相当出ておりまして、三年間の実績を申しますと、三十八年が一万一千二百人、三十九年が二万四百五十人、四十年が一万四千九百八十二人、ことしが九月末現在でございますが、六千五百六十五人、こういうふうに相当雇用奨励制度によって民間へ再就職する、あるいは自営業を営むというようなことで失対から出ていかれた方々も相当にございます。そういう関係で失対の就労規模がきまってくるわけでございますが、来年の景気の見通し等についても、私ども目下鋭意経済計画その他の面から検討をいたしまして、どうしても失対の就労の場を考えなければならないという面については、来年度の予算編成の際に、極力必要な対象規模を確保してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ、いま賃金六百二十九円二十八銭とおっしゃった。二十日就労として一万二千円ですね。この一万二千円で、これが世帯を中心に失対労務の決定をしているというけれども、一万二千円で生活がなかなかできない。そういたしますと、非常に残酷な話だけれども、夫婦が別れて、だんなさんと奥さんが別々に別れて失対の登録をして働いているというのを多分に見受ける。残酷だと思う。ご主人が働いて生活ができるなら、これはそんなことにならぬと思うのですけれども、そういうことが続いている。それじゃ高齢者がやめたというか、労働省がやめさせたというふうな、とにかくやめた人が生活保護法であと老後の生活、失対に働かなければ食えない人ですから、生活保護法にいっているのか、どういう処置でその方々は生活をしているのか、こういう調査をされたことがありますか。それから、もう一つ、そのような指導はどうしておいでになりますか、これをひとつ聞かしていただきたい。
  33. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 失対就労者の生活実態については、私どもも絶えず重大な関心を持っているわけでございまして、毎年ではございませんが、失対の調査を、特に都市部の就労者について実態調査をいたしております。昨年の十一月の調査の結果によりますれば、六大都市の四人世帯の場合の失対就労者について平均収入を調べたわけでございますが、平均で四万五千九百五十九円、このうち失対就労者ご本人の勤労収入だけが二万六百五十二円、こういう平均になっておりまして、世帯収入として生活保護基準と比較いたしまするならば、御承知のように、四十一年度の一級地が二万六百五十二円でございますので、世帯収入としては倍以上の収入をあげておる、こういう平均的な実態が出ております。で、先ほど藤田委員から御指摘がありましたように、平均賃金六百二十九円二十八銭というのは、いなかと都会では相当開きがございますのと、それから、就労の日数としては、最近三年ほど前から改定をいたしまして、二十二日就労という限度いっぱいを見ておるわけでございます。そのほかに大体平均して三日程度のいわゆる日雇失業保険、あぶれ手当といいますか、日雇失業保険で三日程度平均的に見ておる、こういう状態でございますし、景気の上昇に従って、都市部の失対就労者はできるだけ賃金の高い民間の就労の場に吸収しておりますので、実際の勤労収入というのは、賃金に掛ける二十二日よりも相当上回っておる、こういう状態でございます。しかも、世帯収入で見れば、さらにその収入が生活保護世帯よりもかなり上回っておる、こういう実態でございまして、私どもも賃金の点については非常に神経過敏になり過ぎるくらいに留意をしておるつもりでございます。
  34. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これいま職安局長、その六大都市で二万六百五十二円というたら、賃金は何ぼになっていますか、これが一つ。  それから、この四万五千九百五十九円というのは、失対労務者の全部の平均ですか。その失業保険と二十二日稼働してこれだけになるのだというのだから、そこらあたりを二つ聞かしてください。
  35. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) いま申し上げました四人世帯の平均四万五千九百五十九円というのは、六大都市の場合の失対就労者の世帯収入でございます。  それから、その四万五千九百五十九円のうち、失対就労者本人の勤労収入は二万六百五十二円となっておりますが、これは失対に就労した収入と民間に就労した収入の合計の平均でございます。したがって、この二万六百五十二円を二十二日あるいは二十五日で割ったものが一日当たりの平均賃金ということになろうかと思いますが、これは失対と民間と両方の合わせた収入でございますので、東京の場合の失対賃金の日額掛ける二十二日という計算とは差が出てくるわけでございます。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、差が出てきてもいいのですから、本人の日給は幾らですか。
  37. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 東京の場合の四十年度の平均賃金は六百三十一円でございます。ことしはそれが東京の場合は七百五円になっております。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、六百三十一円の二十二日稼働で、あと三日失保があって、そのほかどういうぐあいになるのか知らぬけれども、民間で働くと、それから七百五円にしても二十日働いて一万四千円ですね、そうでしょう。そうすると二十二日働いて一万五千四百円ですか、そうして休みもあるでしょうが、民間の賃金がものすごく高いということですね、それはそうなります。そうでなければ二万という理屈に合ってこないんじゃないですか。そうしますと、あなたがおっしゃったように、審議会を通じて、民間の賃金その他でいいところだとおっしゃるけれども、それは理屈に合わぬじゃないですか。どうなっているんですか。  それから、私はもっと詳しい資料をいただきたいのですが、きょうはあまり時間がないから、きょうのところはこれぐらいにしますけれども、四万五千九百五十九円というのは六大都市の四人家族の平均だとおっしゃる。四人家族の中でも、奥さんがどこかで働いて高給を取っているとか何かの条件でしょう。失対労務者がだんだんと高年齢になってきて困っているというのと対照的のこの数字じゃないですか。いいとこだけをとってこうだということにはなかなか言えない。非常にこまかいことを言うわけだけれども、もっと実態をおっしゃってもらわなければ、そんな二万何ぼでこれがいくと、たとえば失対で二十二日働いて、三十日として三日日曜を人並みに休むとしたら、あと五日ですよ。五日というと一日千円くらいの日当で民間でもらわなければ理屈に合ってこないということにここはなるし、それから、この七百五円とか六百三十一円というのは、これは一本じゃない。婦人もあれば、年をとって労働力のない人もある人もあるはずです、失対賃金というのは。そうなってきたら、平均でこんな七百五円で見るのには少し無理があるし、四万五千九百五十九円というふうなものはどうもあなたちょっとしろうとが考えたって感じが出てこないのじゃないか。ここらの実態をもっと詳しいものを資料に出してください。そうでないと、こんなところでこんな議論してたって、私はつまらぬと思う。だから六百二十九円、平均ですよ、全国。地方へ行ったらものすごい、五百円、四百円台のところもあるのですから、そんな人がどうしてそれじゃ生活しているか。私の聞きたいのはこれも一つだけれども、それは生活保護と併給を受けてどうして生活をしているかというもっと実態を調べてもらわなければいけない。高齢でやめさした人の生活を、あとをどうめんどうみていくのかということをあなたのほうの行政でできなければ、政府や厚生省に要求して生活保護法でみてあげる、生活していけるようにしてやるのが働いている失対労務者を管理している皆さん方の役目じゃないですか、私はそうだと思う。私のほうは私のところの分だけで、あとは知りませんということで、結局私のところの給付は打ち切りました、どうぞあとは適当なところでまた生活の道をつけなさいというような、そういう失対労務者にそういうやり方じゃぼくはだめだと思うのですよ。だから、そこらの点もどうなっているかの資料をひとつ出してもらいたい。それで、たくさん私のところにはものすごい——これは皆さんのところにもみな来ていると思う、失対労務者のはがきが。実際の生活をみな書いてきているわけです。テレビも買えない人もあるだろうし、子供を学校へやるのも義務教育一ぱい、義務教育も何かではしょらせなきゃどうにもならぬ。新聞少年で盛んに政府はおほめになります。私は新聞配達の少年が朝早くからしっかり働いている点はほんとうに敬意を表します。感謝をいたします。しかし、そういうことを実際にせなければ、勤労奉仕の精神だけで子供は新聞配達やっているのじない。私はやっぱり食わんがために新聞配達をやっている人たちが多いと思う。しかし、私はやってほしいことはやってほしいし、感謝をしていますけれども、そういうものとか、最近納豆売りというのはあまり来ぬように私は思いますけれども、ああいう子供にああいうことをさしてみたり、子供もみんな働きながら——働くのが私は悪いとは言いません。それは一つの社会に出るための、学校の勉強をしながら働いてやることはいいと思いますけれども、そういうことをして、失対に行く、失対に入りたい人の生活というのは、私は悲惨だと思うのです。それが失対の労務者の平均が四万五千九百円でございますというようなことを言ったって、これは世間は通らぬですよ、ほんとうに。だがら、そこらの問題をよくやって資料に出してくださいよ。そうして私はここで失対打ち切りと、あのおもなる原因は、失対労務者が年寄りであるし、そうして労働力に転化がなかなかしにくいし、それで本人自身があまり働かぬから、そんなものは打ち切ったらいいという、私は感情的とは言いませんけれども、そういう感情的な面が多分にあった、それで打ち切りをされたのだが、もっと国民実態に合った私は失対関係というものを考えるべきだ。いま局長経済の推移によって云々というお話がありましたけれども、もっと真剣に私はその辺は考えるべきときが来ているのじゃないか。だから、資料としてはその殺到率の問題もひとつ区分けをして出してください。各地域の殺到率、毎月調査されているのですから、一番新しいものをみんな委員にいただきたい。それから、年齢別に分析したものもいただきたい。その上に立って私は、この失対労務者と、失対で働くところがないから働きたいという、単に生活保護に追い込むことは政治としては一番まずいやり方だと私は思う。やはりみんな労働力を持っている、社会でやはり貢献する能力をみんな持っている、その能力を社会に使わせなければ、これは生きた政治とは私は言えないと思う。そういう意味も如えて、きめのこまかいことで労働省は失対労務者やその他の問題をどう今後めんどうをみていくか、病気になったときだとか、それから、高齢でやめたとき、あとのめんどうをどうみていくか、労働省が厚生省に要求したらいいと思います。政府に、総理大臣に要求して、これはこうやりましょうということで閣議で大臣がきめて方向をつけることも大事なことだと私は思います。しかし、私は、私の見る地域が、何か知らぬけれどもどうも、感情的な面が先行してほっぽらかしにされているのじゃないかという気がいたすわけです。ですから、きょうはこれでやめますから、この次のときまでには資料はできるだけ早くその関係書類全部出してください。それを委員長から確認していただいて、そうして私はこの問題をもっと深刻に浮き彫りにしないと、やはり片一方では社会的にはもったいない、それから、片一方ではこの方たち生活を見るに忍びないと、私はそう思う。それから、地方に行きますと、非常に多くの人が失対で働いて、足らぬものは生活保護でもらっているなんという、こんな姿というのは行政としてあまり感心したものじゃない。じっとしている人が、働いて社会に貢献している人の収入で生活する、生活保護で足らぬものをもらっているというようなやり方は、私は感心できない。そこらの関係もひとつ調査して出していただきたい。お願いしておきます。
  39. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 藤田先生の御要望のとおり、昨年の実態調査の結果、報告書はすでに公表いたしておるのでございますが、資料がございますからお手元にお届けいたしたいと思います。  なお、何か高齢者を追い出すような御指摘がございましたが、私どもはそういうつもりは全然ございませんし、現に先ほども徳島の視察をしたのですが、八十をこえるご老人も元気で働いております。七十歳台の人も相当おります。そこで私どもは、働ける間は失対で就労しておる方々を無理に追い出すというような政策は全然とっておりませんので、その点は御了解いただきたいと思います。年々歳々就労者の年齢構成が高くなって、すでに五十一、二歳になっておりますので、失対法によりまして、五年ごとに一度失対制度について検討をするという条項もありますので、来年あたりは今後の失対の推移をよく検討して、どういうふうな事業運営をやるか、この辺を検討する年度になってまいりますので、その際においても、失対を追い出すとか打ち切るとかいうふうな考え方では問題を考えないつもりでございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  40. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ここに出てくる人は、年寄った人をやめさせぬようにしてくださいと、手を合わしていろいろはがきに書いているんですよ。あなたのおっしゃっていることと実態は違う。  もう一つ私は同じようなことを言うけれども、失業保険の支給でも、働く能力、意思のないものはいかぬといって、六割で、一円でもふえたら、働かぬと失業保険やらぬということをこの前私は議論したけれども、そこらの実態もどうなっているか、ひとつ資料出してください。もういま言いません。
  41. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いま御要求の資料ですけれども、だいぶ項目が多いようですけれども労働省側ではよろしゅうございますか。
  42. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) はい、わかりました。
  43. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) じゃ、できるだけ早く御連絡をとってください。
  44. 高山恒雄

    高山恒雄君 非常に重要な問題ですから、ちょっと関連で質問さしてもらいたいのですが、何が重要かと申しますと、先ほど局長お話を聞くと、三十五万の失対が二十四万に減ったと言われる。減ったのは自然現象的なことで減ったのか、内容は私もわかりませんけれども、問題は、これは大臣もよく了解してもらいたいのですが、失業対策として入ってくる人の事態というものはどこが中心か、これは年です。なぜそうなっておるか。これは大臣が言われるように、六十の停年制になっていないから、働ける五十五歳以上のものが失業してこうなっておる。それに関連して、最近はこの十一月から三月、四月まで臨時工を雇うことが非常に流行しておる。いわゆる農閑期の短期労務者、愛知県だけでも約三万人ほど入っておるはずです。そうしますと、六十歳は、労働省はそういう奨励をして努力していただくということには感謝しますけれども、現実は五十五歳以上はまだなかなか職がないというのが現状なんです。そうしますと、結局この間接工で間に合わすという最近の産業形態をとっていることから考えますと、年の人はやはり失対にでも入らなければしかたがない、こういう事態が現実に起こっておるのです。一つ産業分布の問題もございます。たとえて申しますならば、愛知県の一宮市等には失対はおりません。それは産業が開発されて、内職をしたほうが失対にいくより利益が上がるから失対に入らぬでもいい、これは現実にそうなんです。根本的な問題は、やはり産業分布を変えるということが大前提であるけれども、いまの暫定の処置としてはこれはどうするかという問題は、停年退社でやめた人ほど失対にたよらざるを得ないという事実を私は深く認識していただかなければいかぬと思う。これをひとつ考えていただきたい。  なお、もう一つは、生活の問題も先ほどちょっとお話が出ましたが、別収入が二十万円あるとか十万円あるとか、それはないことないでしょう。けれども、平均年齢五十歳台という失対の構成からいきますと、これは子供を高等学校に出したい人もたくさんおるだろうと思う。したがって、この給料では食えないわけですね。だから食えるだけのものを出すか、就職をできるだけあっせんするかという、こう二つの道しかないと思うのですが、そのどれもあまり十分じゃない。一年間に五千人やそこらの就職のあっせん等ではなかなか生活がやはりできぬ。そうすると、おのずと暫定処置としては、この六百二十九円二十八銭ですか、これをもっと上げて生活の保護をする。先進国でいうならば、これが働く労働者の、たとえて言うならば社会保障ですよ。そういう面もやはり考慮の一つに入れないと、この問題は私は解決つかない。それは藤田さんだけじゃありません、私たちも手紙がきておりますよ。だから、この点は十分私は考えていただきたいと思います。  もう一つ、資料として大臣にお願いしたいのですが、大臣は季節的労務者を奨励して今後ずっとやっていく考えなのか、労働行政として。これをひとつ大臣にお聞きしたい。なお、昨年からことしにかけての短期労務者というものはどのくらい入ってきておるのか、東北なり九州から。これはひとつ統計的なものを出してもらいたいと思うのです。  以上です。
  45. 山手滿男

    国務大臣山手滿男君) 昨日の閣議でも——閣議のことを申し上げるのはどうかと思う点もありますが、昨日の閣議でも、北海道方面の季節労務者について、建設が雪に埋もれて停滞をするので、その間は休業をする、そうして季節労務者として他に転出をするというようないろいろな事態が必ずしも合理的ではないではないか、できるだけ建設関係なんかも、できるものは冬工事をさすようにしようじゃないかというようなことが話題になり、そういう方針で処理していこう、こういう話し合いをいたしたわけでございます。季節労務者を必ずしも私は奨励をするわけではないのでございまして、できるだけ常用雇用に移行をさすようにしむけていく必要があろうかと考えております。
  46. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 後段の季節労務者の実態につきましては、資料としてあとでお出しいたします。
  47. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本調査に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  午前の調査はこの程度とし、午後は一時四十分に再開して、厚生関係調査を行ないます。  これにて休憩いたします。    午後、零時四十四分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会
  48. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  社会保障制度に関する調査を議題といたします。本調査に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  49. 山崎昇

    ○山崎昇君 厚生省にお尋ねをしたいのですが、実は茨城県の下館市、結城市、それから関城町というのですか、それに明野町、真壁町の二市三町で一部事務組合として筑西し尿衛生組合というのが結成をされて、その衛生組合で、し尿の処理工場を建設をしたわけなんですが、この建設の途中でかなり事故等が発生をいたしまして、地元では問題に実はなっておるわけであります。これは厚生省も御存じのとおり、総工費一億四千七十万、国の補助金が四千百二十五万、あるいは起債が五千九百万というふうに、多額の金をもって行なわれておるこの工場建設なんですが、私の手元にまいりました写真だけを見ましても、かなりずさんな工事が行なわれているんじゃないか。あるいは担当したこの建設会社は、少しこういう工場の建設に無理な会社ではないのだろうかというような気さえするわけであります。  そこで、きょうは具体的にこまかい点をお聞きするのをやめまして、厚生省でそういうことを知っておられるのか、あるいは、また、補助事業でありますために厚生省としてもいろいろ指導されたのではないかと思いますが、もし指導されておればその内容、あるいはこまかな調査されてなければ今後調査をされて、次回の委員会等に報告書を私は出してもらいたい、こういうことで、まず内容についてお知りであればお話をお聞かせ願いたい、こう思うのです。
  50. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) ただいま山崎委員から御指摘がございましたように、茨城県筑西し尿衛生組合の処理施設が三月の十日に事故を起こしております。これは御指摘のとおりでございますが、この問題につきましての事故の原因なりその後の処理の問題、また、施工業者関係その他における指導の問題等につきましては、環境衛生局長からお答えいたさせます。
  51. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) このし尿処理施設は、お尋ねございましたように、下館市、結城市、関城町、明野町、真壁町、これらが寄り集まりまして筑西し尿衛生組合を結成いたしました。昭和三十八年度から事業を開始するということで補助申請があったものでございます。これに対しまして、昭和三十八年度に事業基本額として九百万円、国庫補助三百万円を決定いたし、翌三十九年度に国庫補助基本額一億一千四百七十五万円、これに対しまする国庫補助額三千八百二十五万円、総計、国の補助といたしましては四千百二十五万円ということで工事を承認いたしまして補助をいたしておる事業でございますが、工事は三十八年度から開始をいたしたのでございますが、放流管工事に遅延を来たしましたために完成がおくれまして、ことしの二月四日に完成したものでございます。で、完成後二月十六日からし尿の投入を開始いたしたわけでございますが、三月十日の午後七時二十七分に運転中の第二消化槽の中のメタンガスに引火事故を起こしまして、そのために爆発してスラブ全体にわたって亀裂をいたしました。この事故によりまして別に人身事故はなかったわけでございますが、施設が相当いたみまして、その後修理をいたしたわけであります。この爆発事故を起こしました原因は、当時第一消化槽はほとんど一ぱいし尿が入っておりまして、第二消化槽は三分の一ほどし尿が入れてあったわけであります。その際、曝気槽及び沈でん池などの効果を見るために第二消化槽の水位を上げようということで、昼間の間から普通の水道水の投入を始めておったわけでございますが、この工事が夜になりましたために、専門の技術者が作業員にその後の処置を頼んで帰宅をいたしてしまったわけであります。そのあとを頼まれた作業員が不十分な知識をもちましてその現場を見るということで、マンホールのふたをあけまして、メタンガスが充満しておるその中を、マッチをすってのぞいたわけでございまして、したがいまして爆発いたしたということでございます。修理工事につきましては、事故後直ちに始めまして、ことしの六月二十五日に気密テストを終わり、モルタル上塗りを六月三十日に終了し、最近におきましてはほとんど完全な操業に入っておるということでございます。これに対しまして、完成いたしましてから厚生省の国立衛生院の岩戸室長が現地にまいりましてつぶさに点検をいたして、専門的な立場からその工事の内容、今後に対する注意は十分調べてまいっておりまして、私どももその結果の報告を受けておるわけでございます。現在の状態におきましては、この施設は十分し尿処理施設として使い得るという状態に修理をいたしております。修理前の状況を私どもとしては知り得ないわけでございまして、爆発以後修理をいたしまして、現在ありまする施設は専門的な立場から見ても危険のないものであるという状況でございます。
  52. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま詳細なお話ございましたが、修理後問題がないというお話なんですが、かなりあちこちに割れ目を生じたり、あるいは、また、写真にありますのですが、その付近の工事があまりうまくいってないとか、石段が少しズレ下がっておるとか、まあさまざまなことが起きているようでありますし、さらに、また、どうもガス漏れがまだするのじゃないかと、そこを扱っておる労働者諸君がかなり疑問視をしておるということを私どもは聞いておるわけでありますが、そういうことがなければけっこうでありますが、もう一ぺんひとつ厚生省でお調べいただいて、そういう事故が再び起きないようにこれは要望しておきたい、こう思うのです。  それから、質問の第二点でありますが、私が聞いたところでは、このし尿処理工場の場長の人事に問題があるやに聞いておるわけです。名前は永井西次さんといわれるそうでありますけれども、この方の経歴を調べてみると、沼田市長選に際して、その運動員として戸別訪問、あるいは買収などの違反容疑で去年の四月に公民権停止三年、罰金二万円の刑が確定をして、結城の市会議員、あるいは筑西し尿衛生組合の会員等を失格した者をこの場長に任命しておるということで、地元では問題になっているわけなんですが、御承知でしょうか。
  53. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) お話のような事態は、私自身としてはあまり詳細には存じておりません。
  54. 山崎昇

    ○山崎昇君 もし知らないとすれば、これは一部事務組合でありますから、普通地方公共団体でございまして、ここに採用される者は、当然地方公務員法なり、あるいは自治法の適用を受けてくるわけなんで、そういうものに違反をしているような者を場長に据えてここの管理をするということは私はけしからぬと思うのです。したがって、そういう事態がほんとうにあるのかどうか、これもあわせて厚生省でひとつ調査をしてもらいまして、そういう人物がかりに場長だとするなら、即刻やめさせるような指導を私は願いたい、こう思うのですが、それもあわせてひとつ調査を願っておきたいと思います。そういう意味で、次回の委員会でいろいろお尋ねをすることにして、きょうは調査方を依頼して私の質問を終わりたいと、こう思うのです。
  55. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) お尋ねの点については、さっそく調査をいたします。
  56. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 冒頭に、私はきょうは少しハンセン氏病の患者の対策について質疑をしたいと思っておりましたのですが、ほかの委員も希望をされるような関係もあるようでありますから、これはそのときに譲りまして、私は別な面の問題についてきょうはちょっとお尋ねしたいと思います。  第一番目に伺っておきたいことは、新聞にも出ておりまして御存じだろうと思うのでありますが、杉並の太田病院閉鎖の問題です。医務局長来ていますか。
  57. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) はい、公衆衛生局長が来ております。
  58. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それじゃ続けて質問さしていただきます。  この太田病院には結核患者が二十八名ほど入院をしておる。それが閉鎖の通知を受けて、ガスだとか水道とか、あるいは、また、そうした衣食に、生活に欠くことのできないものをとめられた。そうして非常に圧迫を受け、しかも、この新聞を見てみますと、ガードマンというのですか、それをたくさん入れて非常に暴力的行為をやって追い出そうとしておる。それからして、また、労働組合あたりもこれを支援して、非常に険悪になったために警官が百名も出て待機をしたということが報じられているわけでありますが、私はこの問題について詳しく調査をする必要もあると思うわけでありますが、こうしたことは前にも新聞に出ておったことがあるわけでありまして、こういう問題について厚生省はもっと根本的に私はそういう事態を超こさないように指導なり何かをされるべきであり、こういう中には、特にその患者さん方が入院をしておって、十分にあれをしないで、自由行動をして外へ出ていろいろなものを買ったり食べに出たり、非常な不謹慎なことがあり得るやにも聞いております。あるいは、また、住む家へ帰ろうといっても、なかなかそういう設備もなくて困られるような非常に苦しい状態の長期療養患者もあるということも聞いておりますし、相当の高齢者もあるということも開いておる。それから、また、いろいろな点もあると思いますが、こういうことを含めて、私は厚生省でもう少しこうした問題に対しては前向きな指導というものをされるべきじゃないかと思うのでありますが、この間の太田病院のその後のこの事件の内容についての御報告を受けたいと思うと同時に、こういうふうなことに対して今後厚生省としてはどういうふうに進まれて、どういうふうな指導をされてどういうふうな処置をされるかということについて、ひとつ態度、あるいは、また、お考えを伺いたいと思います。
  59. 中原龍之助

    説明員中原龍之助君) 本日新聞に出ておりました太田病院でございますが、御質問でございますが、太田病院につきましては、院長が太田敏夫さん(七十四歳)でございまして、ベッド数は、結核四十五、普通八、計五十三。それで、この病院は、本年の八月一日、院長から、老齢と後継者がないという理由のもとに結核の指定医療機関を辞退いたしたいということの申し出がございました。当時約三十名くらい入院患者がいましたので、これらの患者について適切な措置をとった上でこの指定医療機関の辞退を行なうように東京都としては行政指導をしておったわけでございます。しかし、病院側といたしましては非常に辞退の意思が強くて、八月の十五日に辞退届けの提出を行ないまして、九月三十日をもって指定医療機関を辞退するという形になったわけでございます。病院側としては、もちろんこの入っておる患者さんにつきましてはほかのほうに移すような行為をしてもらいたいというような要請もございました。しかし、都といたしましては、できるだけ患者を納得さした上で円滑に病院をかわるというような指導をしてもらいたいという希望を病院側に話をしておったわけでございます。ところが、病院と、それから患者側の代表とが幾度か話し合いをいたしましたが、なかなか話し合いがつかず、都といたしましてはその間に入りまして、できるだけ納得がいくような形でひとつおさめようという方針で、幾たびか会見をしておる。それがまあうまくいままで成功いたしませんで、結局病院側といたしましては、まだ患者がおりますから、それに対してすぐに出て行ってもらいたいというようなこと、あるいは、また、その他のことで病院側に、新聞によりますとガードマンというようなものを雇い入れてきたということになっております。そのガードマンのことにつきましては、まだ厚生省といたしまして調査しておりませんので、詳細についてはわかりませんが、そのようにまだ紛争が解決しておらないということを御報告申し上げます。
  60. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまのような状態がほかにもあるわけでありますし、私は、特にこの病院という中に、やはり新聞を読んでみますと、特にそういうふうな人を派遣するようなところがあって、そこへ頼めばそういうガードマンが来てくれるということになっておって、そういうような人が入ってきてこういう医療の場にいろいろ圧力をかけられたりなんかされるということも、これは非常に問題だろうと思うのですが、こういうようなことに対して、あるいは、また、この結核病院あたりがもう閉鎖をしたいというときに、こういう人たちをどういうふうに指導して入院患者を他の病院に移さすとかということに対しては、もう少し厚生省としては前向きの指導をすべきじゃないか。いまおっしゃっておるように、これはもちろん都のあれでありますから、直接の管轄は都にあると思うわけです。あるいは、また、府県にあるわけだと思うわけでありますが、だからといって、私は、厚生省も、こういうことが新聞にもどんどん出ておるし、非常に患者もそういうような状態であるし、やはり総元締めは厚生省にあるわけであって、厚生省はもう少し的確な、都に対してもいいでありましょうし、病院に対してもいいでありましょうが、こういう指導性が欠けているためにこういうふうなトラブルが起こるわけですから、あるいは、また、そういう不安定なままに置くからしていろんな力が入ってくる、そういうふうなガードマンが入ってくるだろうし、また、一面からいえば、患者側に立つ人もあり、応援する人もあって対立状態になるということが起こってくるということは、ぼくは行政の面に何かもう少し強い指導性がないというところに欠陥があるのじゃなかろうかと思うわけでありまして、私がいま尋ねたいのは、厚生省としての立場から、こういう問題についてはどういうふうなことにしてどういうふうな指導をしていくのだ、どういうふうにされたらこういうようなことがないようになるのかという見通しを立てておるのかということについてもう少し尋ねてみたい。大臣からお伺いしてもけっこうでありますし、よろしくお願いいたします。
  61. 中原龍之助

    説明員中原龍之助君) この病院のいわゆる閉鎖の問題につきましては前にも問題があった。都内でやはりありまして、問題はやはり、病院としてそれが継続できないという、やむを得ざる事情があるという病院側にいたしますならば、やはりそのものは認めていかざるを得ない。しかし、患者に対して不利になるような形は絶対に避けなければならない。したがって、患者は、もちろん本質的におきましてはその人の病気をなおすということがこれは一番大事なことである。したがって、その患者のいわゆる病気をなおすケアに欠けない万全の策を講じていく。したがって、また、病院としても無理にそれが経営が続けられないとか、あるいは特別の事情にしてどうしてもやめなくちゃならないというものをそのままどうしてもやれと言うわけにはもちろんいかない。したがって、結局そこを、患者のいわゆる療養に支障を来たさないような形でひとつ解決をはかるということにつきまして、厚生省もこういう問題が起きましたときにおきましては都道府県にも話し、そうして指導してまいりたい、こう考えております。
  62. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大体了解をさしていただいたのでありますが、特に私は指導がいままでの間でそれがもっと明確な筋が通っていないように思うわけであります。ですから、何か地方に事務が委託になっておるから、大体そこでやるべきだということで、問題はありましょうが、私はもっとそこのところで具体的に国としてある程度の指導的なものをぴっちりやらないと、こういうことはあちらこちらに起こっておるわけであります。ですから、そういうことを撲滅するためには、非常に対立してきてからいろいろな指導を加えられてはおそいという感じを私は持つわけなんですが、そういう観点で私が少なくとも問題にしておるところは、いわゆる患者を対象にして、患者側につく人と病院側につく人と二つになって、そして患者の前でそういうような療養を妨害し、いろんな活動があるというようなこと、ことに警官まで導入しなければならぬというような危険な状態をはらむということが出る前に根本的な施策というものを講じてもらわなければいけない。私はそういう点で、最近、ことに結核療養所の長期療養に関係のある人なんかは、非常に私は率直に言って、すぐ退院をするとか、あるいは、また、どこかに移すにも、生活上の生きる条件が非常にまたむずかしいことが起こってくるものだと考えるわけでありますけれども、そういう点を何とかもっと指導性を発揮して、そういうことがあったときには、どこか厚生省のほうで中心的にそういうものを吸い上げて、すぐそういうことに対しての適切な措置を指令してもらって、各都道府県ではそれに従ってぴちぴちとそれを処理していけるというような何か筋がないと私はいけないと思うわけでありますが、もう少し将来のそういう問題に対しての取り組み方の筋を、あるいは、また、展望を含めたひとつお考えを伺っておきたいと思います。
  63. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 大橋委員からお話のとおり、この問題はやむを得ざる事情で病院を閉鎖せざるを得ない。このことは、どうしてもその閉鎖を思いとどまらせるというようなことは諸般の事情から困難でありました場合におきましては、残された問題としては、現在その病院で治療を受けております患者の方々に療養上支障のないような他の病院にこれを移して療養させることにつきまして十分患者との間に話し合いをし、その理解のもとに円満にそのことが行なわれるということでなければならぬと思うわけでございます。この事件は病院側と患者側との間にいろいろ条件その他で話し合いが円満に進まず、感情的なもつれにもなって対立が続けられておった。そこで、東京都におきましてもこの事態を心配をされまして、病院と患者の中に入ってだいぶあっせんの労をとり、また、患者の方々を他の病院に移すにつきましても、東京都としてもできるだけの措置を講じたところであります。そこで、一部の患者の人たちは、この東京都のあっせんによりまして他の病院に移った、そして療養を続けておるわけでありますが、一部の残った方々がいろんな条件等を不満といたしまして最終的に話がつかなかった。ただ、その間におきまして水道をとめるとか、あるいは電気をとめるとか、あるいは光熱を遮断するとかいうようなことのないようにというようなこと等も話し合いがつきまして、そして時間をかすことによって事態を円満に処理できるのではないか、こういうぐあいに私どもも明るい見通しを立てて見守っておったわけでありますが、その間に、いま御指摘のように、ガードマンが入ったとかいうような遺憾な事態が発生をしたのであります。私は東京都とさっそく連絡をとりまして、事態を円満に解決できまするように最善の努力をいたしたい、かように考えておりますし、今後同様の事柄が各地に起こらないように、この点につきましては厚生省のほうから各県のほうに十分今後連絡をとり、指導してまいりたい、かように考えております。
  64. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまの問題については、非常に大臣からも積極的にいろいろお話を承りましたので、この程度にとどめまして、ただ一言だけいまの問題について付言して私の意見も申し述べさせていただきたいと思うのでありますが、この間の長野のほうに起きました看護婦の学校の問題につきましても、医師会の中でいろいろなトラブルがあって、それが原因になっておるようであります。これもやはり非常に問題になってくるわけでありますが、これに対しましても、一連のいまの強い指導性を発揮していただくことによってそれがスムーズにいくという点で、大臣のいまの御所信と私はぴったりいくところがあると思いますので、こういう点も含めて、どうか今後ともいまの大臣のようなお考えで強力に御指導を願いまして、この厚生行政なるものが、ことに患者、あるいは、また、そういうような直接いろいろ衛生、健康に関係のあるものでありますので、特に御配慮願っておきいたと思います。  続きまして、私は別な問題として、きょうは大綱的にひとつ伺っておきたいと思います。それは、この間、私は救急医療の問題について部分的に大綱についてのみいろいろとお考えを聞いたわけでありますけれども、その一環として、この救急医療の中に占めるところの輸血の問題が非常にいま大きくなっておりますので、これについてちょっと概括的なことをお伺いして、同時に、この輸血の問題も、きょうは時間もあまりないようでありますが、この問題については半日、一日くらいゆっくり詰めてお話を聞きたいと思っておるわけでありますが、きょうはそれも許されませんので、いままで私はいろいろと質問をしかけても、時間の関係でしり切れトンボになっておりますので、その点を片づけさせていただきたいと思っておりますが、この救急医療の問題も同じようにしり切れトンボになっておりますので、一部輸血の問題に触れさせていただきたい。最終的にこの救急医療の問題についてもいろいろと私の意見も聞いていただき、また、厚生省のお話も聞いて、ひとつこの問題も相当詰めたところまで話を聞かしていただきたいというように考えているわけであります。  きょう私が申し上げるのは、この救急医療のものが全国でいま三千二百近くあると思うのでありますが、救急指定病院、こういうようなところで非常に血液が急に要るということがいま盛んに叫ばれております。救急医療施設に入ってくる患者は意識がなくて、同僚、親族がいない者でありまして、そういう場合に非常に親族や同僚の血液が要るというのに、事欠いているというのが現況ではないかと思うのであります。特に心臓のあの手術なんかでも、家族者が全部ひっくるめてその献血をする人を探し出して血液を確保してから手術にかかる。そういうように時間を稼いで準備ができる者はいいといたしましても、特に救急医療の場合は急でありまして、時間的にそれが間に合わなければ死んでしまうという状態で、その何分間を争って血液がほしいという場合が多いわけであります。こういうような場合に対して、非常に私はこの状態では寒心にたえない状態であるのではなかろうかと思う。そういうことに対して、私は、この輸血血液の救急態勢というものを、必要に応ずるところの態勢というものをどういうふうに計画されているか。私はその点に対してちょっと具体的にお考えを伺いたいと思う。
  65. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 血液問題につきましては、国としてもこの確保に特段の努力を払っているところでございます。ただいまも御指摘になりましたように、最近の交通災害の激増等に対処いたしますためにも、その必要がさらに私は緊急性を持ってきておる、このように認識もいたし、それだけに事務当局を督励いたしまして、血液の確保につきましては最善の努力を払っておるつもりでございます。去る九月末現在の献血の状況は、全国で献血に応ぜられた方が約十二万人、その献血の量は全体の保存血液量の六〇%をこえるところまで献血が進んできております。これは国民皆さん方の非常な御理解と御協力によるものでございまして、心から感謝をいたしておるわけでございます。しかし、現状をもって満足しておるものではございませんので、今後血液組織をさらに全国的に整理していく、また、採血のための受け入れ体制、これをできるだけ早く整えたい、このように考えておりまして、現在の血液センターがございますが、その支所、出張所を、保健所のありますところには全部支所、出張所をつくって献血を広く受け入れるような態勢を整備をしたい。また、採血車の増強をはかり、そのフル運転、フル稼働をやりまして、最近の献血の盛り上がりにこたえて、十分献血が円滑に進むようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。また、さらにこの献血を受けました血液を供給いたします際に千六百五十円で供給をいたしておるのでありますが、そこに問題の五百円の点が献血者の善意に報いる立場からいたしまして、いろいろ問題がございます。で、私は、四十二年度の予算の編成にあたりましては、たとえば献血手帳の交付でありますとか、その他の事務的な費用は一般会計でこれを負担をして、五百円問題はぜひその際に解決をいたしたい、そして血液献血問題のさらに一そうの推進ができまするようにしたいと考えております。  また、今日まで献血の事業は、日赤を中心に大体進めてきておるのでありますが、地方によりましては、この日赤偏重といいますか、日赤に片寄ったこの献血事業の推進ということにつきまして、実情に合わない、もっと公的医療機関でありますとか、あるいは地元の医療機関等の積極的な協力が受けられるような体制でこの献血事業を進めるべきである、こういう御要望もございます。私は、今後各府県につくられますところの献血推進連絡協議会等を通じまして、各県ごとに実情に合うような組織でこれをやってまいりたいと考えております。  さらに、献血一本やりでいくのはどうか、もっと預血というようなことも加味してやったらどうかという御意見があるわけでございますが、この預血の問題につきましてはいろいろ慎重な検討を要する点があると思います。預血の名に隠れまして、依然として売血というような実態がそこにひそんでおるというようなことでございますと、私はこれは決して好ましい方向ではない、また、預血のためにせっかく盛り上がっておる献血の思想、献血の熱意というものが低下するようなことがあってはいけない、こう考えておりますが、私はかく言うて、純粋な意味における預血の制度というものを軽視はいたしておりません。今後十分その預血がほんとうにうまくいくように十分具体的な対策を検討していきたい、このように考えておるわけでございます。
  66. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それでは、急救医療機関において、患者の場合場合によっていろいろな血液型のものが必要であります。そうしてそのような場合に、この保存していく間は時間が制限されている。十六時間くらい、こういうようなことになりますと、いまの急救医療機関で血液をいつも貯えていることができない。だからしてどこかで要ればすぐ補給をしてもらうという体制が明確にできておらない。ある程度のものは補給をしていなければ、近くに持っていなければならないわけです。いままでわれわれがやっておりましたのは、結局その近くのローカルで、あるいは何ぼかの医療機関の中でどこか病気になって、そこには何ぼかの血液を置いておく。したがって、急救のときにはその県の人がちょっとそこへ行けば二分か三分で持ってこれるというようなシステムがちゃんと立てられていたわけでありますが、このごろ献血のような体制になってきてからは、その体制がどうも明確でない。したがって、たとえば日赤がおもにそれをやっているからというので、日赤に出せば、その血液はいまありませんというような状況があり得て、非常に困っているわけでありますが、そういうようなわけで迅速に血液が入手できないということをどういうふうに厚生省ではくんでそういうものを下に流しておられるか。また、そういうようなことに対しては、まず急救医療機関に対しては徹底しているのかどうかどういう流し方をされているのかどうかということについて一ぺんお聞きしたい。
  67. 坂元貞一郎

    説明員坂元貞一郎君) 採血いたしました血液を迅速に医療機関のほうにどういう方法で配給をしていくかというお尋ねでございますが、御案内のように、現在の血液の配給制度というものは、献血の場合でございましたら日赤が中心となって未端の配給をやっているわけでございますが、日赤の性格なり能力からいいまして、全国津々浦々に日赤の系統で配給をするという、そういう組織的な面がまだ十分確立していないわけでございます。したがいまして、県によりましては特定の薬局等に配給を委託するとか、あるいはそれ以外の民間の業者等に委託するとかというようなこともやっております。日赤自身でいわゆる託配形式というような形式でやっているところも数は多いわけでございますが、いま申しましたように、委託形式で配給をやっているという県も相当あるわけでございます。その点につきましては、確かに私どもとしましては、迅速に配給をしなければ、先生御存じのように、保存期限というものが血液にはございますので途中で有効期限が切れてしまう、あるいは不良品が出てきたというようなことがかりにも起きますと、国民の医療なり健康の立場からいってまことにゆゆしい問題でございます。したがいまして、従来からこの配給面についての私ども考え方としましては、いろいろ各県の実情、あるいは各地方の実情に応じましてそれぞれ体制を考えていくように指導しているわけでございます。御指摘のように迅速の面、あるいは適正に優秀ないい血液が配給できないというような懸念も一部あり得るわけでございますので、ただいま大臣からの御指示もありまして、どのような形でこの採血された血液を配給するかということにつきましては、各県の意見等を現在聴取しておりまして、十分各地方の実情に合うような合理的な配給組織と配給機構というものをつくってまいりたいということで、現在案をつくりつつある段階でございます。一部の県におきましては、御案内のように、医師会と、あるいは日赤と、あるいは県というような関係団体が共同しまして、いわゆる血液の配給センターというようなものをつくっている県もぼつぼつ出てまいりましたので、そこらあたりの運営の実績等も十分見まして、全国的な一つ考え方を出したいということで、目下早急に作業を進めている、こういう段階でございます。
  68. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そういうふうな運営の問題に対しましては、私は大臣からも、保健所があるところあたりには給血をする——給血というよりは採血もするような出先機関を持ちたいということで、私は非常にけっこうなことだと思うわけでありますが、私はいま考え、いまお尋ね申しましたのは、結局厚生行政として考えた場合に、いまの日赤を主体に置いて、非常に救急センターとして整備をしておられる、これも一つのいい考え方だと思っておるのでありますが、しかし、私は、先ほど大臣のお答えの中にもありましたように、日赤だけでできない実情にあるところは考えたいと、こうおっしゃっておられるわけでありますが、日赤のある、たとえば京都にしても大阪にしても東京にしても、日赤があるから、それなら十分できるはずだが、私は東京のでは例を知らないのですが、京都ではそういう例を幾つも見ておるわけでありますが、実際問題としてできないわけであります。だからして、間に合わないから、やむを得ず売血によっている、そういう便利なところは。ところが、最近はそういうような血液銀行のような、いままでの売血のところが非常に数が減ってまいったために、今度は遠隔地のほうに持っていかれないというわけですから、二重に考えてみて、京都なら京都を考えてみても、ちょっと郡部のほうへ行けば、そういうことがあった場合に間に合わない。日赤にしても間に合わない。いままで行なわれておった売血でもできない。だからして代用の補血によってこれを補っておるということになって、非常に私はいま心さみしい状態に置かれているんじゃなかろうかと思うわけであります。ですから、私がここのところで伺いたいのは、いま調査中だとおっしゃっておりますけれども、この調査を、いま大臣がおっしゃっておられたように、保健所単位に持っていくとか、あるいは何かでもってもう少し早くそれを整備してもらわなければ、県自身においてそういう問題が起こっておる一面に、私の手元にも届いているのですが、東京都の弁護士会あたりでは非常にこの売血の問題を取り上げて、人権問題だ、法律問題にすべきだという考え方が進んでおるわけであります。そうなると、実際はいまの制度の十分行き渡らない間には、一方では法を無視せざるを得ないことが行なわれておる。また、受けた患者さんはそのために肝炎なんかを起こしてみじめな状態が出てくるでありましょうし、あるいは、また、救急車でもっとひどいのは血液が間に合わなくて死んでしまう人が出てくるわけであります。こういうようなことを考えると、私はいまの預血を供給したりする態勢、あるいは、また、その血液を受け入れる態勢というものはもっと具体化したものを早くつくってもらわなければ、いま調査の段階どころじゃなくて、いま日々そういう問題が起こってきているんじゃないか。大臣のいまのお話は、非常に献血も進んで、六〇%程度にきておりますが、私はこれの中にも問題があります。あとの項目でちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、そういうようなことで救急体制を確立するということに対して、もっとひとつ積極的にこれをやっていただきたい。特に私はここで考えることは、やはり日赤を主体に置いてやっていく考えであるかどうか、あるいは、また、厚生省として、厚生行政を担当する厚生省自体がやって、そして日赤やなんかをサイド、その外側から一つの補う機関としていかれるほうが私は正しいのではないか。何か私の受ける感じでは、特に厚生省がやらなければならない仕事を何か日赤に転嫁をして、そうして日赤におんぶするというか、あるいは、また、日赤をそういうふうなことで利用するというか、もっと何といいますか、本来やらなければならぬことを他に委譲しているような形もうかがえわれるわけでありますが、そういうことについてもひとつお考えを聞いておきたいと思います。
  69. 坂元貞一郎

    説明員坂元貞一郎君) 従来から、確かに献血制度を推進する場合の運営の主体としましては都道府県及び日赤ということになって指導をしてまいったわけでございますが、実際の運営上は、やはり日赤中心主義に片寄っていることは私どもも率直に認めざるを得ないと、このように考えているわけでございます。したがって、今後は、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、日赤だけに依存するというような体制でこの血液問題を考えていく、あるいは推進していくことは、なかなかいろいろな面において問題があり得ることも十分わかるわけでございます。したがいまして、今後は、私どもとしましては、ただいま御指摘のように、日赤ももちろん有力な協力団体としまして献血事業を推進していく、それから都道府県等の地方公共団体も今後もっともっと積極的にこの献血問題、血液問題全般について足を突っ込んでいくような体制で指導をしていきたい。お尋ねの京都府等においては、府自身が目下そのような考え方を具体化しつつあるやに聞いているわけでございます。したがいまして、日赤なり都道府県なり、あるいは最近におきましては国立の病院等がこのような採血機関を持つというようなところもどんどん出てまいってきておりますので、そのようないろいろな各方面の協力を得まして、また、そのようなところにそれぞれの分野で、それぞれの立場に応じましてこの血液問題全般を考えていくような仕組みで今後この問題について考え方をまとめていきたい、こういうことで、明年度予算にもそのような考え方で、先ほど大臣も申し上げましたように、採血体制としましては、各保健所単位に一カ所ずつの採血の機関を設けていく。もちろんこれは日赤だけじゃなくて、各都道府県の実情に応じまして適当な医療機関をさがして、その医療機関に採血の責任を持たせる、このような予算も明年度予算に要求をいたしているわけでございます。したがいまして、そういうような観点から、この問題を経営主体全般の問題として総合的に考えてまいりたい、そういう気持ちでいるわけでございます。
  70. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それについてでありますが、あれはいつでしたか、昨年でしたか一昨年でしたか、日にちははっきり記憶していないですが、救急で非常に急激に死亡者がふえたというので、あれは消防法か何かを改正してそうして救急病院を指定して、そうして医療機関を整備されたわけでありますが、私はそのときに、当然この血液問題も含めてやられるべきだというふうに考えておった。いま先ほどから質問している重点は、その体制を確立してもらうということを質問しているわけでありますが、いまのように、京都ではこうだ、あるいは、また、ここでは実情に沿うて保健所もやる、あるいは、また、適当な医療機関をさがして、あるいは、また、血液センターをさがして、そういうところで血液のあれをやらすというふうな、まちまちでは私は体制じゃないと思うわけです。ですから、私の申し上げるのは、いまのような病院でも、適当にそこにおる病人も救急患者も見せておるのでは設備が不十分だから、やはりそういう設備を持った病院を救急病院に指定することが必要なように思うわけであります。こういうふうに今度の預血の体制も保健所まで持っていくならば、保健所の系統はやはり府県にあるわけでありましょうし、そのもとは厚生省にあるわけでありますから、そういうふうな系列を正して、そうしてスムーズに流れていくような仕組みをしてもらわなければ、何かこちらでは日赤が重点的にされておる、こちらでは足らないというまちまちな、その実情実情によってそれは必要でありましょうけれども、もっと体制を明確にしていただかなかったら、実際その医療機関そのものは、どこへ頼んでどうしたらばその血液が明確に入るかということが非常にまちまちになるわけであります。ですから、そういう点を含めて体制を整える、特にこの血液の採血から供給に至るまで一本化した制度をつくるということに重点を置いていただきたい。同時に、また、私は、先ほどから予算面もとられていると言っておられましたけれども、私は、こういったことを確立するためには相当の予算が要るのではないかと思うのでありますが、それは非常に先決の問題で、予算の裏づけというものが相当なければ進まないという観点から、予算の面についてもひとつお伺いしておきたいと思います。
  71. 坂元貞一郎

    説明員坂元貞一郎君) 献血制度を始めましてから現在まで二年経過いたしているわけでございますが、当初各都道府県に一カ所のいわゆる血液センターというものを設け、また、秒動採血車というようなものを一台ずつ各府県に整備してもらいまして当初スタートしたわけでございますが、現在になりますと、この血液センターなり、あるいは移動採血車というものが相当各都道府県にふえてまいりまして、血液センターの場合でございましたら全国に約九十カ所くらいふえております。それから、移動採血車でありますと六十六台くらいのところまで整備を進めてまいったわけでございますが、しかしながら、先ほど大臣も申しましたように、受け入れ態勢というものは決して現状において十分でないわけでございます。たとえば移動採血車をとりましても、六十六台とは申しましても、平均いたしますと各都道府県に大体一台、大府県等が二台、三台持っているという程度でございまして、普通の都道府県においては大体一台程度の車しかないわけでございます。したがいまして、そういう面から申しましても、まだまだこの受け入れ態勢というものは、御指摘のように、十分でないわけでありますので、今後このような血液センターなり、あるいは移動採血車というようなものをもっともっとふやしていきたいということが私ども考えている一点でございます。  それから、先ほど大臣も申しましたように、各県に一カ所程度の血液センターというものではなかなか十分採血の機会に恵まれないということがあるわけでありますので、各保健所管内に一カ所程度の採血機関を今後つくっていきたい。そうしてこれを二カ年計画で早急に整備していきたい。それから、また、もう一つは、そういった出張所と、それからいわゆるセンターとの間の血液の運搬車というようなものも今後整備していきたいというようなことを明年度の予算要求でお願いをしていると、こういうことでございます。
  72. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 じゃあもうちょっと急いでまとめさせていただきます。  もう一つ私は薬務局長のほうに基本的に聞いておきたいことは、血液の問題を、いままでは比較的何といいますか、医薬品として取り扱っているという感じでありますが、これに対しての取り扱い考え方、今後どういうふうにしてこの輸血に使われる——二〇〇ccにして利用されますね、これをどういうふうな観点でもって処理されるか、その考え方についてひとつ。
  73. 坂元貞一郎

    説明員坂元貞一郎君) 血液というものは、先生御存じのように、身体の影響するわけでございますので、その品質というものは絶対的に安全性というものを強く要求される性質のものであるわけであります。したがいまして、私ども従来薬務局でこの血液問題を取り扱っておりますのは、その採血から保存、配給までの品質管理というものについて、非常にいろいろ技術的な問題なりその他に慎重な配慮が必要であると、こういう観点で従来私どもの局で所管をしてきているわけであります。したがいまして、このような厳重な品質管理というものが強く要請される性質のものでありますので、まあ医薬品というような考え方で現行の法律もできております。ただ、いま御指摘のように、人体の貴重な一部である血液というものを普通の商品と同様に考えるということは問題じゃないかという御意見も私どもも一部にあることは十分承知いたしているわけでございます。したがいまして、この血液というものを、そういうような医薬品として扱っていくかどうかということについては、私どもとしましては慎重にこれは考えないと、単に品質管理というものはどうでもいいんだというような考え方ではこれは許されないのであります。したがいまして、現在の他の一般の医薬品と同様に、製造から配給までの一貫した品質というものを厳重に監視していく体制というものが、従来われわれのほうの局で一般医薬品の監視という形で所管をいたしておりますのでそのような現状になっているわけでございますが、ただ、この点は、確かに御指摘のような意見も十分うなずける点もございますので、今後の問題としてこの血液をどのようなものとして考えていくか、あるいは制度全体をどのようなものにしていくかということについては、各方面の御意見を承りながら慎重に研究を進めなければならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
  74. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 特に私はあと一点だけお伺いしたい点がありますが、いま採血する場合は、やっぱりこれは医師の監督のもとに行なわれているというのでありまして、採血は、これはもう医療行為に入っているわけであります。ですから、私は、採血された時点から、いままでは売血ということで薬品化されたわけでありますが、このところに私は問題があると思うのであります。ですから、これはやっぱり一つの医療行為の中に入れるくらいにしないと、やはりその間に変化したものも出てくるでありましょうし、あるいは、また、途中に、もう一ついえば、非常に薬品が工業化されていく、血液が献血されているけれども、血液はほかのほうに回ってしまって実際輸血に使われないということになるのでありまして、私はこのところが非常に重大な問題だと思うのであります。これが第一点。  それから、いま献血でもって大体六〇%まかなわれておりますけれでも、いま問題になっているのは、やはり一番集団的にとりやすい高校の学生さんあたりからとっているという問題がたくさん出ている。これは私は健康上非常に問題があって、東京あたりではおやめになったという話も聞いているわけでありますが、まだひどい話を聞きますと、学校の休みの期間だと大きい手術はできぬのだ、学校の休みの期間中は手術を待とうじゃないかという病院もあるやに聞いております。そうして献血というのは六〇%の効果があがっているけれども、それは学生あたりの一番感銘しやすい、まとめやすいところでこの献血が行なわれて六〇%ができているとすれば、私は献血そのものにも非常に問題があるのじゃないかということを感じているわけであります。この二点について一ぺんお考えを承っておきたい。
  75. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 血液の取り扱いにつきまして、医薬品的な扱い方でなしに、医療の一環として扱ったらどうかという御意見、この点は私ども非常に今後保存血液等を共給いたします場合における監督指導の面等をあわせまして、これは基本的な問題でございますから、慎重に検討をいたしたいと考えております。  第二の、高校生等を中心とした現在の献血のあり方、この問題につきましては、高校生の健康にどういう影響があるかという問題につきましては、医学者の方々からも十分御意見を伺って、二〇〇cc程度であれば健康上支障がないということで現在行なっておるわけでありますが、献血の組織がそういう学生、高校生というようなものに現在のところウエートが置かれておるということは御指摘のとおりでございます。私は、今後献血は地域、職域にわたって広く組織というものが全国に普遍化されていかなくちゃいけない、こう思っておりまして、当面、献血を推進いたしますために学生等に重点が置かれておるということは御指摘のとおりでありますが、今後は十分このPR等をやりまして、国民全体の理解と御協力が得られるようにしたい。また、受け入れ態勢を先ほど申し上げたとおり、保健所管内に一カ所ずつというのも、そういうぐあいに学生がおる都市等に偏在しないで、各地で献血、採血ができるようにと、こういう受け入れ態勢の面にも関連がございますので、そういう方向努力をしていきたいと、こう考えております。  なお、あわせまして、血液型の検定と登録、こういうこともあわせてやってまいりたいと考えておりまして、このことは、保存血液でなしに、緊急の場合に職域あるいは地域において血液型の登録をしておくことによって緊急の用に応じ得る体制をつくる必要がある、そういうこともあわせてやってまいる所在でございます。
  76. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大体それで大まかな私は基本的なことをお伺いしたわけでありますが、この救急医療の立場から考えて、私はまだまだいまの議論の中では、この救急の医療に対する救急のその間に合わせ、そういうものに対する供給の体制ということについては、まだまだ非常に不十分ではなかろうかと感じます。ですから、この点につきましては、私はひとつぜひ調査を願って、そして今後緊急という程度までの手術とか何かというものについてはいまのような考え方でもいいと思いますが、もうとっさに出血状態で運ばれてくるという、そういう救急の問題に対する救急体制というものは、もっと別な観点から系統を明確にしておかないと、私はそれが間に合わないと思います。そういう関係から、ひとつ根本的なこの輸血の問題に対しては、ひとつまたいろいろとお考えを練っておいていただいて、私はこの次に続いていろいろと今後こまかい点について質問をさせていただきたいと思いますので、それを一つお願いして、私の質問は終わります。
  77. 小平芳平

    ○小平芳平君 私がお尋ねしたい点は、身体障害者の問題について、初めに基本的な考え方について、政府の特に重点施策いかんについてお尋ねしたい。また、若干の具体的な問題についてもお尋ねしたいわけであります。  で、身体障害者の問題について、昭和四十二年度予算を編成するにあたって、厚生省の基本的な構想としまして、四十二年度の重点施策の中に身体障害者対策を厚生省としてお考えになっていらっしゃるかどうか。まあお聞きするところでは、老人問題は重点施策として取り上げているけれども、身体障害者問題は取り上げていないではないかというふうにもう言われますが、厚生省の基本的な考え方として、四十二年度予算を編成するにあたっての身体障害者に対する態度についてまず初めにお尋ねしたい。
  78. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 身体障害者の福祉の問題につきましては、実は私就任をいたしましてから特に重点的に取り上げてまいっておるつもりでございます。四十一年度予算におきましては、まず重症心身障害児の国立の収容施設を整備をするということで、五百二十床を、整肢療護園を含めまして、全国に十一カ所これをつくる。また、身体障害者の総合的な収容施設としての国立の身障者の村の建設をはかる、こういうようなことを四十一年度を第一年度といたしまして、今後年次計画をもってぜひ拡充をしていく所存でございます。四十二年度はさらにそういうことで四十一年度に引き続いて重点施策としてやってまいる考えでございます。  なお、ただいま身体障害者福祉審議会に諮問をし、御審議願っておるのでありますが、総合的な、または子供からおとなに至る一貫した身体障害者福祉対策を確立いたしますためにただいま審議会答申をお待ちしておるわけでありますが、その答申を待ちまして、ただに厚生行政だけじゃなしに、教育の問題、さらに機能訓練の問題、あるいは職能訓練の問題、職業あっせんの問題等々、総合的な身障者福祉対策を立てましてそれを推進をしてまいる考えでございます。
  79. 小平芳平

    ○小平芳平君 去年の九月ごろの厚生省の発表、また、特に橋本官房長官が積極的に支持をしているとかというような、非常に身障児対策の推進とか、心身障害者の村の設置を目ざして研究会を持つとかということが発表になり、報道されておりました。それで、その点についていま厚生大臣からお話があったように思いますが、やはり重点的にやっていくということ、そこで、具体的に今後どのような期待が持てるか。やはり国立村の建設、その他審議会答申を待ってとおっしゃっておりましたが、それでは審議会答申はいつごろを期待していらっしゃるか、その時期。それから、また、一貫した施策がない、一貫した施策を考慮中であるというふうにいま言われましたが、私たちも非常にその点は痛感しておりまして、われわれ公明党においても研究した身体障害者福祉法の改正案を提案しておるわけでありますけれども、厚生省としてこの福祉法の抜本的な改正、この抜本的な改正によってこそ一貫した施策も可能になってくるように感ずるわけでありますが、答申の時期並びに福祉法の改正の見通しについてお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  80. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 身体障害者福祉審議会答申は、大体今月中には答申が得られる見通しでございます。私はこの答申の線に沿いまして、その趣旨を尊重いたしまして身体障害者福祉のための法的改善をぜひやりたい、このように考えておるわけであります。  なお、身体障害者の範囲等につきまして、内部疾患の障害等につきましても範囲を広げていく必要があると考えております。また、この施設の整備につきましても、昭和四十五年度までに重症心身障害児につきましては八千ベットをつくるということを目途に、四十二年度は第二年度としての予算要求をいたしておるところでございます。また、十八歳をもって重症心身障害児と障害者の福祉の対策が異っておるように取り扱いがなされておるのでありますが、こういう面につきましても一貫した福祉対策が講ぜられるようにしてまいりたい、このように考えておりますし、先ほども触れましたように、リハビリテーション、機能訓練、あるいは職業訓練、あるいは特殊教育、そういうような面につきましても十分な対策を講じていきたい。  それから、公明党のほうから御提案になっておりまする身体障害者福祉法につきましても私も拝見をいたしております。その御趣旨の存するところは私どもも全く同感でございまして、政府としては身体障害者福祉審議会答申が出ますれば、さっそくその線に沿うて真剣に取っ組んでまいりたいと考えております。
  81. 小平芳平

    ○小平芳平君 非常に積極的な御答弁で心強く思うわけでありますが、もう少し具体的にお尋ねしたい点は、かりにいま大臣お話しくださった内部疾患のものを含めるということ、あるいは身体障害者の村——一貫した社会復帰できるまでのコロニーの建設、そういうような点、その二つにしましても、これはもう大きな期待を持てる大きな施策だと思うのでありますが、かりに今月中に答申があった場合に、いつごろ内部疾患のものも加えるような法律改正が期待されるか、あるいはコロニーを建設する場合に、どのような構想で、いつごろどういうものができるかというような具体的な見通しがおありになるかどうか。  それからもう一つ、いまおっしゃったリハビリテーションについての一貫した運営、これについてもリハビリテーションに関係した——かりに厚生省の機構も、現状ではお医者さんに関係している機関とかいろいろな部門があるようでありますが、そういうリハビリテーションに関する部門も一本にまとめて厚生省の中に新しく局をつくるとか、そういうような考え方ができるんじゃないかと思いますが、そういう点について、いつごろそういうようなリハビリテーション関係を一本化してもっとスムーズに運営できるようにする場合ですね、いつごろそういうことが期待できるか。  それから、特に私たちも、先ほども申し上げましたが、リハビリテーション関係に限らず、一貫した対策というものが必要だと思います。そこで、いまのコロニーの建設にしても、リハビリテーション関係の厚生省内部部局の整備にしましても、それが一貫した対策という点で期待するわけでありますが、それについての見通しをお尋ねしたい。
  82. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 今月中に身体障害者福祉審議会から答申を得られる見通しでございますので、そういたしますればすぐ法律の成案を急ぎまして、二月あるいは三月ごろまでには通常国会に提案をいたしたいと考えております。その措置によりまして内部疾患の問題まで障害の範囲を広げるというような取り扱いは四十二年度からこれを実施できるようにいたしたいと考えておるわけであります。  なお、重症心身障害者等の総合的な収容施設としての身障者の村の建設は、大体マスタープランができ上がりつつございますから、四十二年度の予算におきましては整地でありますとか、あるいは水道、あるいは下水道等の基礎的な工事をやるような予算要求をいたしております。四十五年度ごろまでにぜひこれを第一次の計画を実現するように今後引き続き努力していきたい、さらに予算措置を講じていきたい、かように考えております。  なお、リハビリテーションその他一貫した福祉対策を進めるための行政の面の改革をどうするか、こういう問題でございますが、この点につきましても、答申を拝見いたしまして、答申の線に沿うた所要の改正はぜひできるだけ早くやりたい、このように考えておるわけであります。
  83. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういたしますと、四十二年度予算で村の建設については整地その他計画を持っていらっしゃるというふうでありますので、その場所、あるはい規模、そういうような点についてはいかがですか。
  84. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 身障者の村の建設の場所は、前に御報告したと思うのでありますが、群馬県高崎市郊外の一名観音山、こういわれておる国有地を中心とした一帯の約六十万坪の土地を決定いたしました。大体いまのところの計画では五十億ないし六十億くらいの建設費で第一期の工事を進めたい、このように考えておるわけであります。
  85. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、それは一カ所ですね。
  86. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) そうです。
  87. 小平芳平

    ○小平芳平君 それが一カ所取りかかるということと、それから五カ年計画の四十五年、八千ベッドということは、この八千ベッドが四十五年にできた場合に、大体どのくらいの人が施設へ入ることができるか、また、なおかつ施設へ入れない人のための手当なり、そういう点についての対策を伺いたい。
  88. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 現在、重症心身障害児で、施設に収容をして療育をする必要があるという児童数は、昨年八月の厚生省の調査によりますと約一万六万人でございまして、その半数を施設に収容するようにということを目標にいたしておるわけであります。私は当初二、三百床の施設を各ブロックに建設をするというようなことを考えておったのでありますが、その後、親の会、その他の各方面からの御要望が、できるだけこれを分散をしてつくってもらいたい、肉親の者も一週間に一ぺんなり十日に一ぺんなりはぜひ見舞って世話をしてあげたい、それにはできるだけ各県に一カ所ぐらいずつ分散してつくってほしいという強い要望がございまして、この八千床をそういうような御要望にこたえるようにつくっていきたい、建設していきたい、このように考えておるわけでございます。なお、それにいたしましても、全部重症心身障害児等を収容施設に収容できないわけでございますから、在宅で療育をする方々に対しましては療育の指導をやっていかなければいけない、児童福祉司、あるいは児童福祉相談機関というものをもちまして療育の指導を各家庭を訪問してやらせたい、また、必要な療育のテキストとしてのリーフレットとかパンフレットとか、そういうようなものも配付するようにいたしておるわけであります。また、介護費の一部に充てていただきますために、先般の国会で審議、御承認をいただきました特別児童扶養手当、これが月額千四百円支給されるようになりましたが、これも来年度は、介護費という性質にかんがみまして、もう少し充実させて支給額を引き上げていきたい、このように考えておるわけでございます。
  89. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま大臣が御説明のように、四十五年度をもってしても半数残ると言う。しかし、その一万六千人ということもどういうようなお調べをなさったか、やはり非常にこれは数字自体もむずかしい数字ではないかと思いますが、いずれにしても半数の人が四十五年になおかつ残るという点、したがって、相当積極的な施策が講ぜられて、ことしも来年もというふうに四十五年まで講ぜられていくようでいながら、現状としては出発点が非常に立ちおくれているということ、四十五年になってもなおこれだけの人が残るということ、したがって、いま大臣お話の介護手当にしましても、もっともっと思い切った額の引き上げも必要じゃないか、こう思う次第であります。この点については、とにかく希望者は十分に収容できる施設を至急につくるという点、それからそういういろいろな施設の関係で入れない人たちのためには十分な介護手当なり、いろいろな意味の手当を支給できるような、そういうことを御要望いたします。  次に、私が考えますことは、社会復帰していくという、結局労働省では職業訓練手当、まあいろいろな形で手当を受けながら職業訓練を受けるという制度はいろいろな面で労働省関係ではあるわけですが、そこで、こうした身体障害者の方々も、はっきりした職業訓練となれば、これは労働省関係になると思いますけれども、医療を受けながら施設にいるという人たちのためにいろいろな訓練をする意味の手当、あるいは社会復帰のための手当、そういうものをお考えになるかどうか。
  90. 今村譲

    説明員(今村譲君) お答え申し上げます。いま先生おっしゃいました労働省の職業訓練につきましては、人によって違いますけれども、大体一万二、三千円から一万八、九千円というものが、これは一年間教科課程を経ますと社会復帰しますので切れるわけでありますが、出ておるわけであります。そこで、厚生省のリハビリテーションの機構につきましてもそういうふうな制度が要るのじゃないかということでいろいろ検討いたしております。ただ、問題は、現在の厚生省の、たとえば十八歳以上の身体障害者施設というものをとりますと、非常に裕富な場合は別でありますが、教育関係も無料、それから入所の食費とかそういうものも無料、若干裕富関係は徴収がありますけれども、そういうかっこうになっておりますが、それを思い切ってさらにそれの家族の生活費まで含めた、その人の背後におる全世常の生活費まで出すという点になりますと、やはり労働省がいまやっておりますのは、三十四年でありましたか、国策によって炭鉱が相当つぶされる、そこで必然的に失業者ができる、その人の職業更生を一年間で仕上げて再就職させる、その間の家族のめんどうまで国としてみなければならぬというふうなものとか、あるいは駐留軍離職者で、これは三十六年でございますか、出たわけであります。そういうふうな、何か国の政策の転換によって出た人間で職を失なった人の訓練期間中というふうな意味で全額国費というかっこうで出ておりますが、私どもの場合に非常にそこがつらいのは、全然十六、七から十八ぐらいで職業なしに訓練に入ってきているという人も非常に多いわけでございます。それから、相当職業ももちろん持って入ってきておる人もありますし、必ずしも職業転換の間世帯の全部生活のめんどうみなければならぬという労働省のその出発の筋とはいろいろ違った面が出てまいります。それから、今後厚生省といたしましても、たとえば老齢者の相当思い切った医学的なリハビリテーションなんかもしなければならぬというふうな問題、あるいは救急医療に基づくいろいろなリハビリテーションの問題、今後非常に大きな問題が出ますので、その辺も含めて労働省と同じような線で押していけるか、あるいはどういうふうなかっこうにするかということを、もうしばらく検討の期間をいただきたいという意味で、結論が出ないままで目下研究をいたしておる、こういうふうな事情でございます。
  91. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの身体障害者のリハビリテーションの問題と、それから駐留軍離職者、あるいは炭鉱離職者の問題とは、これはまあ違いますから、そこでもって例がちょっと極端な例になっちゃったわけですが、したがって、身体障害者と、それから、そうした炭鉱離職者の人と違うから、だから手当は要らないということにもならないわけであります。それで私がお聞きしました現状ですね、現状は、医療を受けながらそうした作業をするということが可能な人たちですね、たとえば国立らい療養所の人たちの問題ですが、患者に対しては毎月一人当たり慰安金というものが出ている、あるいは作業賞与金というものが出ているというわけでありますが、これがとてもとても作業をするという点では、まあ働くわけですけれども、その人が働いた場合に、お話にならない、賃金とさえいわない、どうしてこれを作業賞与金といっているのか、それもお聞きしたいわけですが、そういうような点につきまして実情をお尋ねしたいのですが、この私の持っている資料だと、慰安金は一人八百五十円、作業賞与金は、たとえば一日働いて、作業種目によっていろいろ変わってきますが、四十円とか五十円とか六十円とか、それこそもう働いてもらうお金が、賞与金というか、あるいは賃金というか、手当というか、いずれにしても四十円や五十円しかもらえないという実情ですね、そういう点。それから、もうちょっと質問がありますが、そこをひとつお尋ねいたします。
  92. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) らい患者の関係の患者給与金の中で、慰安金というものが現在八百五十円でございます。明年度は若干これもふやしたいということでございます。また、作業賞与金につきましては、お話のように、長い間かなり低い金額でございましたが、たとえば付き添いをやりました場合に、三十五年ころはたしか四十五円でございましたが、現在は百六十五円、また、作業をいたしました場合に、特別作業の賞与金が三十五年ころは三十五円でございましたけれども、現在は百三十円、一般作業につきましては、三十五年ころに三十五円でございましたが、現在は四十五円、これも明年度は若干の引き上げを予定いたしております。
  93. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、八百五十円は上がっていない、それから作業のほうは上がってきている、まあ四十二年度は若干とおっしゃいますけれども、その若干が非常に期待を持って待っている人があるわけですが、もう少しはっきりした見通しについてはお答えできませんか。
  94. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) らい療養所の中の患者につきましては、御承知のように、いろいろの患者がございまして、比較的からだの自由のきいている患者、あるいは非常に不自由で作業も労働もできない患者、あるいは軍人恩給等をもらっております患者、あるいは身体障害者の福祉年金をもらっております患者、あるいはそういうふうな年金の何もない患者というように、いろいろな患者がございます。しかし、現実には生活の内容がほぼ同様でございますので、できるだけそれらの格差を少なくしていく。福祉年金をもらえる患者ともらえない患者の間であまり差ができると、また今後の問題といたしまして、福祉年金をもらえる患者と拠出年金をもらえる患者との間の差というような、いろいろな問題が出てまいりますので、それらの間をできるだけ格差を縮めまして、なるべく不公平のない、また、所内で生活をする人たち生活があまりアンバランスのないようにということで、慰安金等につきましても、不自由者の年金をもらえるような患者には比較的少なく、そういう年金をもらえないような患者にはなるべく手厚くというような形でいろいろ差等をつけましてできるだけ均等化をはかる。しかも、最近は年金等で総体的に現金収入といいますか、そういう金の入る人が多くなりましたので、そういう金額と合わせましてできるだけ引き上げていきたい。したがって、不自由者の年金とかいうふうなものができるだけ所外の不自由者というものとも歩調が合うような形で上げていきたいというふうに努力いたしてまいりたいと思います。
  95. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、それらの点につきましては後ほど私がまお尋ねしたい点があるわけですが、いま私のお尋ねしている点は、この八百五十円を若干引き上げる、あるいは作業の手当四十五円を若干引き上げるといわれますので、その若干引き上げる可能性、あるいはどのくらい引き上げられるか、いずれにしても、作業は、それは寝ている全然安静の患者は作業をやるわけじゃないですから、作業のできる人は、その作業に対してお金が払われるわけですから、ですから、そこでもってアンバランスの問題はまたあとでお尋ねしますので、あるきめられた作業をした場合にどれだけの手当を出しているか、最低四十五円ですか、現在は、一番の軽い作業で。そのくらいのものがどのくらい引き上げられるか、四十二年度予算でどのくらい引き上げられるか、その見通しについてお尋ねしたい。
  96. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) この患者の作業賞与金というものは、先ほど冒頭に先生のお話がございましたように、決して単純に賃金と称するものではないわけでございます。もともと入所患者は衣食住を全部保障されておりまして、医療費も全部保障されましたその上で、比較的からだの自由のきく方に作業をしていただくことはリハビリテーションのためでもあり、社会復帰の準備でもあります。そういう意味で生活費というもの以外の賞与金という形で出ているわけでございます。そういう意味で賃金というふうにお考えいただくと多少違うと思います。で、お話の患者慰安金につきましては、八百五十円を、来年度要求といたしましては九百七十円に、また、作業賞与金につきましては、特別作業と称しまして、食事の運搬であるとか、あるいは洗たくであるとか、あるいは薬品その他の看護助手的な働きをいたします者については現在の百三十円を百七十一円に、また、一般作業と称しまして、単に短時間残飯の処理であるとか、あるいは道路の清掃であるとかというような、比較的単純な短時間の労働をいたします者については四十五円を五十七円にという要求をいたしております。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういういろいろな賃金というものに該当しないとか、いろいろな点を含めて私もお尋ねをしているわけですから。  それで、もう一つ、ここへ入っている人たちが相当健康も回復している、だからといってすぐ社会へ出ていって働くというわけにもいかない、で、やむを得ず労務外出ということばを使っているようですが、ともかく近所の土建現場あたりに働きにいくというようなことをしているような実情についてはいかがですか。
  98. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) この問題は患者の社会復帰の問題と非常に関連がございます。近年、らいの治療が非常に進歩いたしまして、昔であればどんどん障害が強くなっていくものが、現在では早期に治療すればどんどん回復してまいります。しかし、現在おります患者は大部分が非常に古くから入っている患者でございます。大体四十歳以上が七〇%になっておりまして、若い人たちは早く入ってどんどん軽快して退所してまいります。したがって、こういう七〇%を占めます四十歳以上の高齢者の方々は、ある程度作業能力等があったといたしましても、はたして社会に出ていって独立して生活ができるかどうかということに対しては非常に不安を感じております。現実に、一たん出ていってみても、どうしても一人前の働きができないということで戻ってまいるというような例もございます。そういうように、労働意欲はあるけれども、さて一本立ちはなかなかできないという状態の者がかなりおりますので、現実の問題といたしまして土工であるとかというような、比較的単純な労働に所内から出ていって従事しているという例がございまして、これはある程度症状から見まして、感染性がないとかというものについては黙認しているわけでございまして、これもある意味では社会復帰の準備訓練というような形に考えております。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、らいについても、そうした薬品の進歩発達によって社会復帰がこういうふうに可能になる。まあそういうように変わってきているわけでんから、要するに。それを制度が昔のままですから、慰安金とか作業賞与金とか、しかも働いても四十五円というようなことで、ですから、そこに医学が発達した、しかし療養所の制度が昔のままというようなところから、いま局長が御説明のような労務外出みたいな、やむを得ずそういうことをやるような結果になるんじゃないかと私は思うわけです。ですから、医学の進歩とともに療養所のリハビリテーツョンの制度をそれに準じてやはり改善していかなくちゃならない。それで、ですから、先ほど厚生大臣が御説明の、一貫した福祉対策が必要だという点がそこで非常に大事だと思うのです。要するに療養する、治療を受ける、それからだんだん社会復帰の訓練をする。要すればもうそこで内職のできる人はやりたいんだけれども、内職をやってみたところでほんのわずかの収入にしかならない。また、作業をやってみても四十五円とか五十円とか六十円にしかならない。それではやむを得ず外の土木工事の現場に働きにいけば、収入は相当比較にならないほど今度はふえるわけですが、非常にそこに矛盾が出てきているんじゃないか。したがって、もっとこれは、らい療養所に限らず、身体障害者福祉対策をこれから確立していく上に一番大事なことは、そうした一貫した福祉対策、つまり病気をなおす、なおしながらからだの訓練をする、からだの訓練をしながら職業を覚える。要すれば、そこで若干なりとも生産ができればなおいいし、とにかく収入の面でも、これから社会に出ていって荒波にもまれて戦っていくわけですから、ある程度のこうした賞与金程度のものでない収入が得られるような道を制度として講ずれば、労務外出みたいな不自然なものは必要なくなるのではないですか。
  100. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) らい患者等につきましても、一般の身体障害者等と同じように、系統的なリハビリテーション対策の線に乗せていくというお話かと思いますが、実は、らいに対しては非常にその点が特異でございまして、どうしても一般的なリハビリテーションの体系の中に乗ってこなかったのでございます。といいますのは、実はこれは公衆衛生局の所管でございますけれども、昭和三十六年ころから、このようないわゆる労務外出というような形は不自然である、したがって、労働力がある者は退所させて、そうして一般の世の中で労働の訓練なり、あるいは生活訓練をさしてやりたいということで、一たん退所をさせた方々を一般の世の中で居住を与えて、そこでそこから一般の労務に出ていって、そして一般の労働市場の中で独立して生活できるような準備をさせよう。その間、半年なり一年なりというものは、そういう特殊な居住、収容施設といいますか、住居を与えて、生活生活保護でみながら何とか自立させたいという努力を実は試みたわけでございます。そのために予算も計上いたしまして、退所患者のアパートといいますか、収容施設をつくって、そこで一般の労働をやらせたいという計画をかなり進めまして、その予算の準備までいたしましたけれども、そういうような施設をつくることに関しまして地元が非常な反対をいたしまして、とうとうこれが三年間努力をいたしましたけれども、成功せずに、三年間予算をそのまま流して、そうしてとうとう立ち消えになってしまったという実例もございます。そういう意味で、理論的には確かに一般リハビリテーションの線に乗せていくのが妥当だと思いますけれども、なお現在のらいに対する不当な偏見等の社会的なこの一般常識の中ではなかなか困難がございまして、そういう意味で、比較的らい療養所の近辺ですと、すでにもうらい患者とかなりつき合っておりまして、そういう偏見も非常に少ない、また、らいというものがもう簡単にうつるものじゃないという理解もかなり進んでおりますので、そういう意味で、らい療養所の近くでありますと一般労働市場に参加するというようなことも可能なわけでございます。そういう意味で、療養所の近くで、所内からむしろ通いながら単純な労務に従事して、そうしてほんとうにそこで自信がつき、一本立ちできるというときになって初めて退所して、それこそ全く一般の市民と同じ形で生活の自立をはかっていくということが現在の段階ではやむを得ないことであろうというふうに私たち考えております。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはやむを得ないでしょうかね。それでは、たとえば駿河の療養所からそうやって近辺に働きにいくのはやむを得ないから働きにいきなさいと、この道路すら、あそこはまるきり道路なんていうものじゃないのであって、まず舗装もしてなければ、街灯もなければ、夜になればまっ暗だし、ちょっと穴にでも落ちてころんだら、もうたんぼへ転落しちゃうみたいな現状です。ですから、現状やむを得ず労務外出をして働けということは非常に問題があると思うのですがね。じゃ局長から、そういうようなやむを得ず労務外出せよということならば、道路ぐらい直してやらないといけないのじゃないのか、それ一つと、それから、やはり大臣がおっしゃった一貫した福祉対策ということは、いまの局長の説明でも、らいに対する社会の一般的なまだ不認識があって、そのために社会で受け入れられない、そのために社会復帰が困難を来たす、困難を来たすからそういう労務外出というような——所内で働けば四十五円、五十円、それから所内で働いていたんじゃ賞与金というような特別なものしかもらえないので、その療養所にいながら外の土建業者のところへ働きにいくというようなですね、こういう行き方が現状やむを得ないと言っていたんじゃ一貫した福祉対策にならないのじゃないかと思うのですが、それはいかがですか。
  102. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) 最初の道路の問題につきましては、療養所にも現在全部いろいろな物資の購入その他で自動車も用いておりますので、自動車の通らない道路ではないと思っております。多少舗装とかというような点において欠けているところがあることは、これは御指摘のとおりと思います。何ぶんにも交通量のない、ほんとうにもう施設だけが使っている道路でございますので、十分これを舗装するというようなことができてない点は残念でございますが、できるだけ事故等の起こらないようなふうにいたしたいと思います。  次に、一貫的なリハビリテーションとして賞与金というようなことは不自然であるというお話でございますけれども、何ぶんにも、先ほど申しましたように、療養所内の作業というものは、いわゆる賃金ではないということと、それから非常に単価が低いといいますのも、これは一日中労務に従事しているものではなくて、たとえば四十五円というような低い単価の労務は、めしのあとの残飯整理だけを一日三回三十分程度やるという程度のそういう作業でございます。さらに食事のたびに食事を運搬したり云々ということも、一日何時間といわないまでも、一日三回相当の時間を働く者については、いまの特別作業賞与金で百三十円ということになりますし、また、もっと長時間働きます患者の付き添いというようなものはさらに高い百六十五円という賃金が、賃金といいますか、賞与金が与えられておるわけでございまして、労働時間、あるいは労働の軽重というようなものを考えましてこのようなきめになっておるわけでございまして、一般の八時間労働の報酬ではないというふうにお考えいただきたいと思います。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうも時間ばかりとって困りますので、大臣からひとつお答え願いたいのですが、そういうことを私は言っておるのじゃないのですよ。現在の制度が昔の制度のままでは非常に矛盾が起きているのではなかろうか。それは病気そのものがなおる、したがって、社会に復帰していく人が相当数出ているという、こういう医学の進歩に合わせて療養所の制度も変えていかなければならないのじゃないか。その一つのあらわれが、作業賞与金をもらって作業の仕事になれて、それで社会に出ていって働くか、しからずんば作業賞与金程度のものか、ものしは土建業者のところに働きにいくかというような、現状はそう感心した制度ではないと思うのです。一貫した福祉対策なんというものじゃないと思うのです。ですから、社会的に病気の性質上受け入れにくいということをもとにして、やはり単純労務なら単純労務に従事する。賞与金をもらう人は、賞与金をもらうと同時に、またそこで仕事の訓練を受けるとか、あるいは単車に乗って土建業者に働きにいかなくても、もっと社会復帰のためのあたたかい施策というものが考えられはしないか。むしろまた先ほどの訓練手当に戻りますけれども、訓練手当をもらってまでも社会復帰の準備をしてあげるような、そういう制度が必要じゃないかということを申し上げておるわけです。
  104. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 私も通常国会が終わりましたあとで多摩の療養所を視察をいたしました。そのとき痛感をしたのでありますが、中高年齢の早くから入っておった諸君、この当時はおそらく医学、あるいは薬学の進歩開発がそれほど進んでいなかった当時ではなかろうかと思うのであります。相当やはり手であるとか足であるとか、あるいは目であるとか、そういうところに障害を受けておる。ところが、若い年齢層の諸君は、非常にいい薬が開発された結果でございましょうが、そういうような大きな障害として残っていない。非常に軽い形でなおっておるというような状況にあるように私は見受けてきたわけであります。したがって、小平さんがおっしゃるように、いままでのように療養所の中で一生療養生活をするというようなことは、今後においてこれは実情に合うように再検討を加える必要があるのではないか。若くて早く軽快になった人たちには障害も少ないわけでありますから、機能訓練なり職業訓練なり、そういうものを今度は重点的に行なって、そして早く社会に復帰させる必要があるのではなかろうか。また、それに即した作業手当であるとか訓練手当であるとか、そういうようなものもやはり検討すべきことではなかろうかと、私も同様の感を深くして実は帰ったわけであります。ちょうどいま過渡期でございますので、いままでのやり方をそのまま踏襲して、若干ずつの改善を部分的に加えておるというのが、率直なところ、現状でございますけれども、私も根本的な検討が必要である、このように考えております。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあそういうふうに局長さん、大臣も言われますように、私もさっきから言っておるわけです。  そこで、その問題は以上にしまして、次に、先ほどからもちょっと局長から言われましたが、同じ療養生活をしておる人の中でも、軍人恩給をもらっておる人もある、また、いろいろな意味で福祉年金をもらっておる人もある。そこで、特にいま問題点として、昭和三十六年四月一日というものを境にしまして、福祉年金をもらっている人、それから、次に拠出制をもらえるようになる人、その差が非常に大きい。したがって、同じ療養所内でいままでも、もうほとんど何らお金の入らない人もあれば、ある程度恩給等のもらえる人もあるというように、また、福祉年金がもらえるということはありがたいことなんですが、同じ中で生活しながら非常にそういうようなアンバランスが大きくあるわけですが、こういう点についてもいろいろ陳情も受けていらっしゃると思いますが、それについていかがでしょう。
  106. 網野智

    説明員(網野智君) 昭和三十六年の四月一日から国民年金の被保険者の拠出に基づく拠出制の国民年金制度が発足したわけなんです。本来ならば、それらの方々の保険の拠出により、被保険者となって一定期間保険料を納付した者が障害になった、しかも障害の程度が法に定める一級あるいは二級に該当するということになれば、拠出制の国民年金制度による障害年金を支給する、こういう制度が昭和三十六年から実施されることになったわけでありますが、この制度が実施される前に諸準備があって、障害になっておる方等につきましては、どうしても拠出制の国民年金制度から漏れるということになるわけでありまして、したがって、これらのものに対しましては、経過的に全額国庫負担の障害福祉年金を支給するというような経過的な制度が実は設けられたわけであります。したがって、いかなる制度をつくりましても、そういう経過的な問題がございまして、どうしても拠出制の障害年金はもらえないけれども、いま申し上げましたように、経過的にあるいは補完的な障害福祉年金をもらっておるそういう二つの型、制度ができましてからすでにもう相当の年月がたっておるわけでありますのでそういう二種類の型が出てまいるわけでありまして、この点はやむを得ないのではないかと考えておるわけであります。で、経過的にあるいは補完的に支給されますところの福祉年金はただいま月二千円でございまして、昭和四十二年一月からは二百円引き上げまして二千二百円になる、こういうことになっておりますが、一方、拠出制の障害年金は、一級が現在のところ月二千五百円でありますが、このたびの改正によって来年の一月から月六千円になるということで、その差が非常に開くではないかというような御意見もいろいろあるわけでありまして、来年度の予算要求におきましても障害福祉年金の大幅な増額要求をただいまやってその間の均衡をはかってまいりたい、こう考えているわけであります。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 やはり法律上、いまの法律を適用すればそういうように大幅に開く。ですから、それに対して予算要求をして接近させようというこの御努力大臣にも今後お願いしたいわけです。  それから、ちょっとこれは労働省関係になるわけですが、労働省のほうでも労災保険の関係でもって、これも同じ程度の症状でもいろいろの違いが起きちゃうわけですが、それで、これは労働省の方は見えないですね、ですから、またそのときに労災保険の問題としてお尋ねしたいと思いますが、まあ大臣から、最後に、一貫した福祉対策の大事な一つの項目として、私がまあお願いをしながら大臣の御意見を承りたいことは、やはりこうした療養所に入っている人は、非常にあるいは一般身体障害者にしてもそうですが、収入が一番問題になるわけです。結局とにかく働いていても生活をしていくというのはたいへんなことの上に、こうした療養所にいる人たちにもある程度明るい生活をみてあげれるような、収入を確保できるような、また、一般身体障害者に対しても、より明るい生活が望めるような、そういう収入が確保できるような、また、将来は職業訓練を受け、社会へ出て働いていけるという、将来そういう人もあれば、中にはほんとうに一生身体障害者で、もうどうしようもないというような現状の人もあるわけですから、それぞれの人に応じて、その人が前に軍人であったから収入が多い、拠出制だからどう、それから障害福祉年金だから少なくともがまんしろというような点も、できるだけ政府があたたかい手を差し伸べて、収入を確保できるような、次の社会復帰して働いていかれるための準備ができるような、そういう対策を期待したいと思いますが、いかがでしょう。
  108. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 先ほどお話がありました障害者の障害等級の区分、これが各省まちまちである、不均衡である、こういう御指摘は、私もそこに非常な欠陥があるということを認識をしておりまして、実は先般厚生省が障害年金の問題を検討いたしますために、専門家の方々に、この障害等級の区分の問題、そういう点を長い時間をかけて御研究を願った答申を実はちょうだいをしたわけであります。私は、これは日本におけるその方面の第一人者、権威者の方々がお集まりになって、せっかくの貴重な時間をかけておつくりいただいたものでございますから、これを厚生省だけで活用するということでなしに、政府全体がこれをひとつ参考にして、できるだけ障害等級の基準が同じようになるように、こういうようなことを私考えまして、閣議にこのことを報告し、関係大臣にその点を申し上げて、ぜひこれを活用してもらいたい、こういうことを私は提案をしておいた次第でございます。今後そういうことで、政府全体としても前向きでこの問題は処理すべきものだと、かように考えております。  それから、身体障害者の社会復帰の問題、また、入所中の、収容施設に入っておる間の手当その他の増額の問題、あるいは職業訓練等を受けておる際における手当の支給の問題、こういう問題につきましては、最近における経済事情、物価事情等を勘案をして、そして適正な改善がなされるようにできるだけ厚生省としても努力をしたいものだと、こう考えております。先ほど来問題になっておりますらい療養者の、たとえば日用品費のようなものは、生活保護によって入所しておる人たちの均衡をも考てえ大幅な改善をいたしたい、かように考えております。
  109. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本調査に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は十一月二十五日に開会する予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会