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1966-08-09 第52回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年八月九日(火曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員異動  七月二十九日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     高山 恒雄君  八月八日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     白木義一郎君  八月九日     辞任         補欠選任      近藤英一郎君     佐藤 芳男君      杉山善太郎君     大倉 精一君      高山 恒雄君     片山 武夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 青田源太郎君                 稲浦 鹿藏君                 永岡 光治君                 浅井  亨君     委 員                 小柳 牧衞君                 佐藤 芳男君                 山内 一郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 片山 武夫君    国務大臣        農 林 大 臣  松野 頼三君        建 設 大 臣 橋本登美三郎君        自 治 大 臣  塩見 俊二君        国 務 大 臣  森   清君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        総理府総務副長        官        上村千一郎君        内閣総理大臣官        房参事官     上田 伯雄君        農林政務次官   温水 三郎君        農林省農地局長  大和田啓気君        建設政務次官   澁谷 直藏君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省住宅局住        宅総務課長    角田 正経君    参考人        農林漁業金融公        庫理事      和栗  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風四号による災害対策に関する件)  (六月、七月の集中豪雨による災害対策に関す  る件)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまより災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  八月八日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。  また本日、近藤英一郎君、杉山善太郎君、高山恒雄君が委員辞任され、その補欠として佐藤芳男君、大倉精一君、片山武夫君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、先般本委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。  最初に第一班、新潟県、石川県について御報告を願います。青田君。
  4. 青田源太郎

    青田源太郎君 第一班は、成瀬委員長片山委員と私の三名で、去る七月二十五日から二十七日まで三日間の日程で新潟県、石川県に派遣され、六月、七月の集中豪雨による両県下被害について調査をしてまいりました。  なお、新潟県におきまして、武内委員が現地で参加され、終始調査に協力されました。以下御報告いたします。  私ども調査団一行は、二十五日昼少し過ぎ新潟県庁に着き、関係者から説明を聞いた後、ヘリコプター加治川阿賀野川新井郷川新発田流域被災市町村、すなわち加治川村、紫雲寺町、豊浦村、新発田市、笹神村、中条町、関川村、黒川村、豊栄町、新津市、荒川町を視察、翌二十六日は、阿賀野川加治川新井郷川豊栄町、新発田市、水原町、新井郷川排水機場、国道七号線、阿賀野川排水工事現場等視察新津駅から出発して石川県に入りました。  石川県においては、金沢駅長室において県下被害について説明を聞き、七尾市においては、市長をはじめ関係者から説明陳情を聞き、翌二十七日、穴水町、輪島市、門前町を視察金沢市に戻り、県庁において説明陳情を聞き、その夕、東京へ帰ってきました。  諸種の事情により、両県とも被災市町村全部を視察することができず、まことに残念でございました。  次に、新潟県の被害概況についてでありますが、本県は七月十五日から十八日まで県北部地方大雨集中、十八日早朝までに新発田市で約六百ミリ、関川町で約五百ミリ、佐渡の相川で二百五十ミリを記録、この大雨により新発田市を中心にして各地被害発生、特に県北部地方に最もひどく、加治川荒川、三面川、新谷川などの中小河川が急激に増水し、いずれも警戒水位を越え、沿岸流域各所おいて堤防決壊し、住家浸水、損壊、流失耕地流失埋没水田冠水橋梁頭首工等流失など多くの被害を数えるに至ったのであります。このため新発田市、加治川村、豊浦村、関川村、新津市等十二の市町村災害救助法の発動を見ております。  次に被害概況を申し上げますと、死者負傷者等で十二名、全半壊流失等百九十四棟、床上下浸水二万六千戸、被害額総額にして百四十三億円で、そのおもな内訳を申し上げますと、建物関係で十一億、土木関係で三十七億で、これは河川道路被害であります。農林関係で四十四億で、最もひどいのが水陸稲で三十四億以上といわれ、被害面積二万一千ヘクタール、減収量二万九千トンと報告されております。また農地関係で三十五億円で、おもなものは水路十七億、頭首工四億その他であります。さらに商工関係で八億、文教関係で八億、以上となっております。  次に石川県について申し上げますと、本県は七月十一日夜半から日本海沿岸梅雨前線の活発な活動によって大雨が降り続き、特に奥能登地方集中穴水町、門前町では二百ミリ、輪島市、珠洲市で百五十ミリ以上の降雨量記録、したがって被害もこの地方集中、特に中小河川の急激な増水により護岸決壊町野川小又川、山王川、御祓川の河川、各用水のはんらんによって各地浸水があり、農林土木関係等被害が多発いたしたのであります。  次に被害概況でございますが、死者二名、家屋の全半壊等三十八棟、床上下浸水二千三百戸、被害額総額にして十九億円で、おもな内訳建物関係で四千万円、土木関係九億七千万円で、このうち護岸決壊が多く、全部で三百九十八カ所、金額にして六億五千万円、その他は道路橋梁でございます。また農林関係では八億七千万円、商工関係等で七千万円、以上となっております。  次に、両県から寄せられた要望事項について申し上げます。  一、激甚法適用について配慮されたい。  二、天災融資法早期適用。  三、自作農維持資金等各種資金貸し付け条件の緩和について特別の措置をお願いしたい。  四、地方交付税の繰り上げ交付農作物災害対策湛水排除等対策事業について特別交付税による措置。  五、災害復旧事業等地方負担額に対する一〇〇%の起債充当及び償還について一〇〇%の財源措置。  六、被災農民対象とする救農公共事業の早急なる施行。  七、河川改修早期実施。  八、砂防及び地すべり対策早期実施。  その他要望事項はたくさんありますが、時間の関係もございますので朗読を省略させていただき、資料委員長に提出いたしましたのでごらんいただきたいと思います。  次に私ども調査団意見として、中小河川に対する改修事業の促進ということであります。御承知のとおり、このたびの災害は、何といっても中小河川護岸決壊等によるものが圧倒的に多く、新潟県においては阿賀野川加治川新井郷川石川県においては町野川、河原田川、小又川御祓川等の決壊溢水等のため数え切れぬ多くの被害を出したのであります。  率直に言って、わが国治水行政治山もそうでありますが、非常におくれていると申さねばならず、このようなことは河川行政上、また災害を防止する見地から考えて重大な問題であることを指摘せねばならないと思います。国土災害から守るために、治水対策に万全を期せられるよう、特に中小河川に対する施策を急がねばならぬことを強く痛感いたします。  次に、被災者に対する救済措置についてでありますが、御承知のとおり今度の災害は、水田に対して壊滅的な打撃を与えております。新潟県北部地方は、穀倉地帯として知られ、わけても北蒲原地方日本の米どころとして知られる中心地であります。したがって、農地中心とする被害が最も大きく、先ほど申しましたように、被害農地面積二万ヘクタール以上、減収量二万九千トン、農林関係被害四十四億円のうち三十四億、八〇%が水陸稲被害ということであります。私どもヘリコプターから一時間半近く視察をいたしましたが、どこが川でどこが田やら区別ができぬほど一面の水浸しで、すでに一週間以上も過ぎておるにもかかわらず、まだかような状態でありました。県市町村消防団自衛隊農民たちが一丸となって水をとめ、水を引かせるため、あらゆる機能を動員して懸命に努力を続けられております。私ども視察した時点では、まだ二、三日かかるだろうということでありました。空から見る水をかぶらない稲は、一面に青さをたたえ、ことしの豊作を思わせているが、水をかぶった稲は、どろで薄茶色に変わり、穂を持つことすら危ぶまれていますが、それでも農氏たちは、どろを落とすために、炎天下で必死の作業を続けておりました。このような農地流失埋没等被災者その他の被災者に対する種々の諸措置については、一日も早く実施されるべきである。また救農土木事業については、早急に実施されるよう特に要望がありましたので、付言いたします。  さらに、新潟石川両県とも地すべり地帯としてよく知られ、特に石川県鹿島町久江、輪島市、門前町等で指定地外各所において発生しており、住民生活を脅かしております。集中豪雨台風につきものの地すべりという危険地域に対しては、緊急治山事業早期実施が強く望まれます。また、今回の災害についても、私どもの目の届かないところにも、数多くの災害発生しておりまして、視察各所において個人災害救済についての要望を受けました。  以上で終わりますが、今回の集中豪雨による被災市町村は、いずれも連年にわたる災害のため、財政力においては貧弱であり、今後の災害復旧は容易ならぬものがあると思われます。したがって、民心の安定と、住民生活の再建のため、国の緊急なる施策が強く望まれるのであります。  以上で、調査報告を終わります。
  5. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御苦労さまでした。  次に、第二班、福島県、宮城県について御報告を願います。浅井君。
  6. 浅井亨

    浅井亨君 御報告申し上げます。  第二班は、永岡光治君、近藤英一郎君と私、浅井亨の三名、ほかに地元選出議員の御参加を得て、七月二十七日より二十九日の三日間、福島宮城県下における被害状況調査し、被災者の方々にお見舞いを申し上げるとともに、激励してまいりました。  まず、気象状況につきましては、六月二十七日に東北地方では各地に二十ないし三十ミリの降雨があり、これが飽和状態となっていたところに、二十八日夜半から台風四号による百ないし二百ミリの降雨が比較的短時間にあったため、河川の洪水を招き、各地田畑湛水頭首工被害発生させたのが特徴であります。さらに、台風通過後、七月三日までの梅雨前線の影響による降雨が続いたため、堤防決壊地及び低地における退水、並びに排水作業の能率を著しく低下させ、被害を大きくしたのであります。災害救助法福島県においては、常磐市、磐城市、勿来市の三市、宮城県においては登米郡南方町に発動されております。  次に、福島県における被害状況は、罹災者三万名以上、床上下浸水六千戸以上、家屋関係一億三千万円、特に土木港湾関係被害はまことに甚大であり、十五億円と総被害額の五五%にも及び、ついで被害耕地面積が一万三千ヘクタールにも達した農作物関係七億円、農地農業用施設関係三億円、林業、治山関係二億円、教育、厚生、商工水産関係二千万円、さらに降ひょうによる農作物等被害額七千万円を合わせて総被害額は二十七億円に達しているのであります。  宮城県につきましては、県下耕地面積の約三分の一に当たる三万ヘクタールが冠水し、主として水稲にきわめて激甚なる被害を受けたのであります。被害状況死者一名、重軽傷者十一名、罹災者四万二千名以上、家屋半壊八十六戸、床上下浸水等一万戸以上、被害額のおもなるものは、水稲被害十九億円を含めて農作物関係二十一億円と総被害額の四六%にも達し、続いて公共土木関係十三億円、田畑流失埋没農業用施設関係九億円、住宅関係一億三千万円、治山水産教育施設商工衛生施設等被害を合わせて総被害額は優に四十六億円をこえるのであります。  以上申し述べました被害発生に伴い、各県はもちろん、関係市町村にいち早く水防対策本部等を設置して、地元住民自衛隊等の協力を得て応急対策に万全を期してこられたのであります。しかし御承知のとおり、罹災市町村水田単作地帯経済力に乏しい地帯であり、県市町村の力をもってしては、とうてい万全を期し得ない点も多々あるので、一刻も早い国の総合的な援助の必要を痛感した次第であります。以下、調査の概要と私どもの所見を申し上げます。  まず、福島県においては須賀川市をはじめ鏡石町、玉川村を、宮城県においては柴田町、鹿島台町、古川市、中新田町、南方町を視察いたしましたが、一括して特徴的な二、三の点について申し上げます。  両県とも、被災後、日数も経過しているところから、農作物等は若干の立ち直りを見せてはいましたが、警戒水位を二倍以上もこえた阿武隈川水系中心とする土木災害はきわめてひどく、これらの復旧に関しては、早期完工制度を樹立するとともに、単なる原形復旧にとどまらず、起債補助対象改良復旧を認めてもらいたい等、特に台風シーズンを迎えて非常に真剣な陳情があったのであります。この改良復旧につきましては、再度災害防止の観点からきわめて重要な問題であり、これを強力に推進する必要があります。  次に、両県に共通して今次災害原因となったものとして、中小河川整備の立ちおくれがあります。中小河川については、従来大河川と比較してとかくその整備はなおざりにされてきており、今次災害でも、はっきりとその欠陥を暴露いたしておるのであります。この点からも、中小河川改修については、国の積極的な抜本対策必要性を強く感ずる次第であります。特に宮城県は、阿武隈川、北上川の二大河川の下流に位置する関係から、その上流で多量の降雨があると、これが増水するため、両河川に流れ込む小支流の水をのみ込めず、逆流して溢水、はんらんし、家屋農地等への浸、冠水をはじめ、土木農業用施設に年々多大の損害を与えている現状であります。このため主要河川中小河川を一体とした有機的治水対策を早急に推進させるとともに、新治水事業五カ年計画中の今次災害による重要個所については、特に繰り上げ早期着工の方途を講ずるのが緊要であります。  次に、干拓地をはじめとして、低地帯における内水排除設備の不備による冠水水稲の腐れも注目に値します。宮城県の南方町、鹿島台町がそれであり、自然排水が悪く、宿命的に長期間の湛水を余儀なくされている現状であります。これらの地域連年災害を受けており、農作物被害を最小限に食いとめるためにも、早期排水が必要であり、地元民からの切実な要望に、われわれも一日も早く排水機関場を完備することが、農民営農意欲を高める上に大いに役立つものであることを強く感じた次第であります。このほか特に、災害救助法適用のあった南方町の被害は悲惨であり、災害対策費町財政の半ばを上回っている窮状にあり、さらに災害後、黄化委縮病などの病害虫が大量に発生していることなど、水稲病虫防除用農薬に対する助成措置については、特段の配意を講ずる必要のあることを痛感する次第であります。  次に、小災害に対する措置必要性について申し述べます。今回の被災市町村の大部分において、農地農林水産施設及び公共土木施設に関する小災害が特に目立ち、これが被災市町村財政負担を大きくし、早期復旧を遅延せしめている原因ともなっております。これらの小災害については、従来、小災害復旧債単独事業債により一応の措置はとられているところであります。しかし、一定の基準に満たない零細なものについては、起債対象とならず、したがって、これらのものについても、町村ごと累計額起債対象とされたいという要望があります。現在の起債制度事務能力等から考えて問題点も多かろうかと思われますが、災害時における特別の財政需要を考えますと、要望にはもっともな点もあり、十分考慮する必要があろうかと思われます。  最後に、各県市町村からきわめて多項目にわたる要望がなされました。そのおもなるものとしては、激甚災財政援助法並びに天災融資法早期適用、自創資金融通法災害資金ワクの拡大と償還の特別繰り延べ、特別交付税増額等でありますが、本委員会に提出されております陳情書で御承知願いたいと思います。  政府におかれましては、これらの要望を十分検討され、被災住民生活の安定をはかるため、一日も早く適切な措置をなされるよう、強く要望いたしまして、報告を終わります。
  7. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御苦労さんでございました。  以上で派遣委員報告を終わります。  質疑の通告がありますので、順次御発言を願います。
  8. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 私は、新潟のいわゆる七・一七の水害中心として若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず、あの未曽有水害が、幸いに関係者の非常な努力によりまして、水どめ工事並びに冠水についはほぼ目的を達しましたことを、非常に喜んで敬意を表する次第であります。今後災害措置につきましては、重大ないろいろの問題があるのでありまして、これらについて政府の所信をお聞きいたしたいと思います。  まず第一に、われわれが一番先に要望したところの激甚法適用ということについてお伺いしたいのでありまするが、今日この激甚法適用することについてどんな調査が行なわれておるのか、その進捗の状況はどうであるか、また、これを将来どんなふうに適用する見通しであるか、そういうようなことをまず第一にお聞きいたしたいと思います。
  9. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 激甚災害特別措置法律がございまして、これによる指定の現在の状況と、こういう御質問であったわけでございますが、ようやくにして資料等整いまして、現在私ども考えておりますのは、六月の台風四号というかなりひどい全国的なものがございます。それから、六月の中旬から七月までの豪雨による災害を一括して激甚災害として指定する、こういうつもりでおります。  もう少しこまかく申しますと、台風四号と六月十九日から二十四日まで宮崎県と木曽谷のほうに降った雨でございます。それから、六月の三十日から七月二日まで西日本大雨という、九州また近畿地方に降った雨、それから七月九日から二十三日まで断続的豪雨があったわけでございますが、これは鹿児島のほうとか石川のほう、新潟のほう、あるいは山梨のほう、これらの豪雨指定いたしまして、これを災害として指定することにいたしております。  それから、しからばこれらの天然現象によって起こったところの災害に対する措置といたしましては、現在、農地等災害復旧事業、それからこれに関連しますところの災害関連事業補助特例、これはいわゆる激甚法の五条の関係でございます、農林省所管のものでございますが、それから水防資材費補助特例というのが、法律の二十一条にございます、これは建設省所管のものでございます。それから、農地関係被害の小災害につきまして、小災害債元利補給特例というのが、法律の二十四条にございまして、これを予定しておるものでございます。その他につきましては、現在、着々とこの三つにつきましては早急に手続をとって成規のものにしたいと、かように現在作業中でございます。それ以外のものにつきましても、今後できるだけ早い機会に調査整い次第、天災による被害農林業者等に対する融通法、いわゆる天災融資法特例でございますが、これは法律八条関係のものでございます。それから、土地改良区で行ないます湛水排除事業というのが、同じ法律の十条にございまして、これらについても現在鋭意資料の調製中でございまして、まだ、結論的なものが出ておりませんのであれでございますが、そういうことで現在努力中でございます。
  10. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 激甚法適用ということは、申すまでもなくこれから災害復旧施策をする場合においての基本的なものでありますが、どうしても一日も早くやってもらいたいと、強くこれは要望するものでございます。これは何を差しおいても、この問題が解決しなければ今後の施策計画が立たないことになりますから、ぜひ早くやっていただきたいと思いますが、いまの激甚法適用に関連いたしまして、私はここに個人被害基本法との関係についてお伺いいたしたいと思います。  従来日本災害対策基本は、御承知のように公共関係中心としておりまして、個人災害につきましては、いわゆる社会事業とかそういうような方面に比してあまり顧みないのが慣例でございます。これはその当時の国の政治のあり方としては、一応納得できるのでありますが、今度の災害基本法におきましては、この点につきまして画期的な意見を認めておると思います。基本法の第三条によりますというと、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ」国の目的公共建物災害をなくするというだけではなくて、個人を守るということを国家使命としてうたっております。これはきわめて重大なることでありまして、従来の災害法からいえば、まさに画期的なものであると私は思っております。これは要するに、わが国がいわゆる個人尊重民主主義国家になったということ、あるいはまたさらに進んでは福祉国家に進みたいというような根本理念から出たものと思うのでございます。かように個人災害ということを、はっきりと国の使命としてやらなければならないものであるということを認めたということは、きわめて重大でありますが、これと関連いたしまして、基本法の第八条の第三項には被災者の援護をはかり、災害から復興せしめるということを、はっきりとうたってあります。さらにまた九十九条の三号によりますというと、「災害発生に伴う被害者に対する特別の助成」という、個人の立場についてはっきりした規定を添えておるのであります。これを受けて基本法の九十七条はこういうことを政府仕事として要望しております。第一は、迅速適切に応急措置をやる、これは当然ですが、その二に、「激甚災害を受けた地方公共団体等の経費の負担の適正を図るため、又は被災者災害復興意欲を振作するため必要なる施策を講ずる」といって、公共団体に対する財政援助と、個人災害から復興のできるように努力するということを、二つの柱として認めておると見てよろしいと思うのであります。こういう趣旨を受けまして、いわゆる激甚法の第二条におきましては、当該災害による地方財政負担を緩和し、または被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認めたる場合には、これをやるんだというのであって、基本法を受けまして激甚法においてもしその趣旨でやっておるのであります。かように考えてみまするというと、われわれは従来の公共事業、いわば公の仕事復旧という伝統を抜け出しまして、さらに個人災害を防止するなり、あるいはまた、その復興をはかるという二つの柱をはっきり立てておるものと思うのであります。  しかるにこの激甚法の施行令なりあるいは激甚災害の基準等を見まするというと、実に地方財政助成することについては綿密なる規定を設けまして、これによって町村財政が何とか切り抜ける道を十分にうたっておるのであります。また農業につきまして、あるいは中小企業等につきましては、単に公共事業だけではなく被害者に対しましても相当考慮するというような形において、全国の同種の人の収入に対してどれほどの災害があったかというようなことを総括的に定めております。これは個人災害ということには直接こない考え方であって、あくまでもこれは公の問題、もしくはこれに準ずる災害という見方から、その恩恵に浴して個人が立っていくという見方でありまして、私ども地方団体の財政の健全をはかると同時に、個人災害をなくするという二本の柱とは少し性質が異っておると思うのであります。言いかえてみますれば、個人災害救済いたしまして、そうして再び立つところの意欲を振作するということとは、だいぶ違っておるのではないかと思います。団体収入の幾らに対して幾らの損害だというような見方は、あくまでも団体なりあるいは同業のものの全体的の見方を中心としておるのであります。これには被害者個人的の災害から免れて、そうして再び立つ意欲を振作するというものとは全然ねらいが違っております。これにつきましては、どういう標準でしからば個人のことを考えるかということは、これはよほどむずかしいので簡単には言えないのですが、私どものは常識的に考えるところを見まするならば、家族がどれほど死んだとか、あるいは個人の総財産についてどれほどの損害を受けたとかというような、いわゆる災害についての重圧ということを考え、その重圧に耐え忍んで、再び奮起するということに持っていかなければ二本立ての趣旨が全く没却されると思うのであります。現在の施行令なり、あるいはまたいまの災害の基準についての考え方は、概括で申しますならば、個人被害については、単に融資するとか、少し便宜をはかるというような程度のものであって、公共事業と対立しておる二本の柱の一本としては、まことにもの足りないと思うのであります。こういうようなことは、私が初めて申すのではなく、基本法の審議の際にも相当議論があったと思われるのでありまして、わが参議院におきましてはこの点につきましては附帯決議をしておるのであります。この附帯決議はこういうことになっております。「災害対策については特に国民生活の安定と民間施設の復旧に努め、被災者援護の万全を期すること」というのが全会一致の附帯決議です。これは政府ももちろん了承して、その線に沿っていろいろ施策をやっておると思うのでありますが、しかし今日の施行令なりあるいは災害の認定等においては、およそこの点については縁の遠いものだと、概括して言えるのではないかと思うのであります。これにつきまして当局の御所見を承りたいと思います。
  11. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 公共的なものに対する援護は相当に行なわれておるのであるが、個人に対する災害については、法律に書かれておるような十分の手だてを行なわれておらない、こういうような御趣旨の御質問だったと思うのでありますが、実は先ほどいろいろ先生がお読みになられました災害基本法の三条にいうところの趣旨が、これらの二本のこういうことの根本をなしておるわけのものでございますが、これは国土の保全や、それに伴いますところの、それによっていたされますところの生命や身体や財産を災害から保護するということで、まずその予防措置を非常に大きく取り上げておるわけでございます。そこで、予防措置については、もちろん公共的なものが相当行なわれておるわけでございます。これが災害の全体の基本的な考え、国が直接やるということにつきましての全体的な考えであろうかと思うのであります。そのほかにも、いろいろ個人災害についての考え方が法律に述べられておるのでありますが、現在におきましては、被災者個人の方々に対しましては、災害救助法による各種の救助措置、これはまあたき出しの問題でざごいますとか、あるいは衣料品を配るとか、こういうようなきわめて直接的な手だてをやっておりまして、それ以後の立ち上がり等に関しましては、国民金融公庫とか住宅金融公庫とかの融資によって、それらの方々の援護をいたしておるわけでございます。そうしまして、ただ直接個人にあるいは見舞い金を出しますとかいうようなことは、そのほかのいろんな社会事象に対しますところの行政上のバランスといいますか、こういうものから見まして、現在のところは行なわれておらないというのが実情でございます。
  12. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 いまお話しのとおり、実にこの点は基本法趣旨とその実行面における行政のあり方について大きな違いがあるのでありまして、これは災害の根本問題として、われわれ十分に検討しなければならないと思っております。で、こういうように町村の財政については、事こまかく基準を定めておるが、個人災害については、ほとんど顧みるところがないということになりますから、具体的の例を申し上げますというと、地方財政関係から申しまするというと、新潟県の今回の水害が、具体的ではなはだ恐縮ですけれども、かりに富山県にあったとすると激甚法適用がある、たまたま新潟県という大きな県であるから激甚法適用がないという、これは公共的の財政面からいえばそれは当然であるかもしれませんが、個人災害、そうして再び立ち上がる意欲を振作するということになったら、これはすこぶる妙なものです。たまたま新潟県に籍があるためにその激甚法適用がなく、富山県にあったら適用があるということは、これは個人災害についての救助が付帯的のものであったら、私は何も言いませんが、災害基本法の二つの柱の一つであるということになりますると、そう簡単には了承できないように思うわけであります。それはどこからくるかというと、財政という立場からいろいろの基準を設けてやって、個人ということについては、ほとんど顧みないという結果だと言ってよろしいのであって、これはまさに基本法趣旨に沿わないものと言ってよろしいのじゃないかと思うのであります。こういうような関係でありまするから、個人災害についてはそれではどうするのかということをお聞きしたいと思うのですが、個人災害はいままでもちょっとお触れになったようですが、従来は公共的の仕事ということに重点を置いて、個人というものは顧みなかった伝統がありますから、これはまあ尊重してもよろしいかもしれませんが、今日のように個人尊重の時代において、これでよろしいということは許されぬと思いまするが、いわんや基本法において、すでにその趣旨を取り上げておる以上は、その趣旨に従って施行令なりあるいは災害の基準なりを定めることが必要であり、もしそれがないとしても、運用においては十分その趣旨をくんでやっていただきたいと思うのでありまするが、そういう点から考えますると、私は施行令なりあるいはこの防災会議の決定によるところの災害基準というものを、根本的に再検討する必要があるのではないか。あるいはまた、極端な希望から申しまするならば、特例法を設けてこれらの盲点をふさぐほうがいいのではないかと思いまするが、特例法を設けるということは基本法を設けた趣旨に反しまするから、これはできないことと思うのでありまするが、その他の方法におきましてできるだけのことをやっていただきたいと思うのですが、これにつきましては、政府はどういう用意をもって臨んでおりますか、その点をお聞きしたいと思います。
  13. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) おっしゃる御質問趣旨、まことにそういう節もあるかと思うのでございます。先ほど来申しましたような行政上のバランスというような問題もありまするが、しかしながら個人尊重というような方向におきまして、将来の問題として検討いたしてまいりたいと、かように思っております。
  14. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 個人被害につきましては、先般の委員会に、武内君が細田前総務副長官に質問されたので、大体のことはわかる。そのときも、政府の答弁は、現在の法制のもとでは、個人災害についてはこれを援護するところの手段がない、こういうようなお話であった。これは、先ほど来私が申し述べておる伝統と、それから政治理念の違いという点から見たら、必ずしも悪いとは思いませんし、また財政という点から見まするというと、これもよほど慎重に限界を定めておかなければならないと思うのでありまするが、しかし、個人災害をなるべく見てやろうという親心があったら、具体的な問題については相当考えられるのではないかと思うのであります。大体、私企業についての助成というようなことは慎しまなければならぬことは当然でありまして、これは財政当局もなかなか強い意見を持っているようです。これも私は必ずしも悪いとは申しませんが、しかし実例から見まするというと、数年前、九州の水害のときに島原の鉄道が水害のために非常に打撃を受けた。これに対しまして助成をやっております。近くは、豪雪のために私鉄なりバス会社なりが非常に打撃を受けたことについて助成をしております。これは交通事業の公共性ということから来たものと思いまして、私も適切な処置であると思っております。私企業であるからいかぬというような公式的な意見は抜きにしまして、具体的に、公共的な性質なりその他大衆に関係のある仕事につきましては、たとえ私企業であっても、これに対して助成するということは、私は決して悪いことではないと、かように考えておるのであります。こういう見地に立ちまして考えてみまするというと、小さな河川がはんらんした、あるいは堤防決壊したというような場合に、これは広く申しまするならば、私は国の責任が十分に尽くせなかったと言ってもよろしいのではないか。あえてこれは民法上の責任を言うわけではありませんが、政治的に言ったならば、もう少し水防等に力を尽くしたら、そういうことはなかったのではないかというように考えられまするので、したがって、この河川のはんらんなり、あるいは堤防決壊等によって直接被害を受けた者に対しましては、政府として十分の考慮を払わなければならぬ。公共の利益があるからして助成したということを、さらに観点を変えて見るならば、政府の責任においてやるべきことが万全でなかったという点から見まするならば、これらに対しまして救助の手を差し伸べるということは、あえて理論的に筋の通らぬものでもないし、他との権衡において必ずしもバランスを失するものとも言えないと思うのであります。これらの点についてはどう考えておるのか、またこういうような災害については何によってこれを援助するのか、その点をお聞きしたいと思います。
  15. 上田伯雄

    説明員上田伯雄君) 堤防をつくるのは国の責務であって、これが切れた、そういう場合に、地元の人たちに迷惑がかかった場合にそれはどうするべきであるか、こういう御質問でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、これに似たような社会事象もたくさんあろうかと思いまして、これら全体につきまして検討いたしませんと、にわかには結論を出すのも危険かと思いまして、あくまでも将来の問題として検討さしていただきたい、かように思っております。
  16. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 これに類した具体的の問題をもう一つ述べまして、政府の善処を要望する次第であります。  今度の災害中心地でありました新発田市のうちに松浦郷というところがあります。そこに田家という部落が先年多額の砂防工事をやってもらった。非常によく砂防工事ができております。ところが、今度の豪雨によりまして非常にたくさんの土砂が流出したのであります。これは上流における砂防工事が不十分であったのか、それともまた例のない豪雨であったから、予想以上の土砂が流出したのか、その辺はわかりませんが、実に多額の土砂が入りまして流下しまして、幸いに砂防の堰堤はりっぱでありましたから、それで食いとめたのですけれども、下流はそれで土砂の被害を受けませんでしたけれども、その堰堤の付近にあるところの部落は、実に見るもみじめな惨状におちいっております。聞くところによると、一軒のうちで二千立米という砂が床上まで積もった、これが六、七軒あるのであります。これらの者に対してどうすればいいのか、これが激甚法でも適用になりますならば、何かの道があると思うのでありますが、こういうようなものは一体どうすればいいのか、それについてのお考えを承りたいと思います。
  17. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) ただいま砂防ダムをつくりましたために、上流には非常に土砂が流れてきて上流で災害をこうむった、下流はその砂防堰堤のために非常に助かったという実例を承りました。そういう実例がありましたことは、まことに残念でございます。われわれとしましても、早急に実情を調査いたしまして、具体的な措置を考えたいと思います。特に御指摘の個所につきましては、上流で非常に土砂くずれを生じております。なお、その地点の豪雨は、はるかに計画を上回る豪雨があったように聞いております。したがいまして、上流の砂防の今後の計画の推進はもちろん、さらにそういった土砂によって被害をこうむられた地点につきましては、実情を調査して具体的に善処する方法を検討してみたい、こういうように考えております。
  18. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 いまお聞きしたのは、そういう点じゃないのであって、砂防工事そのものは、これはもう十分に調査して検討する必要があると思うのです。その点少し悪く勘ぐるというと、従来の伝統によって、いまは砂防のほうでやっていますけれども、伝統からいうと、木を植えるのは農林省の所管である、堰堤をつくるのは建設省の所管である、こういうような悪い伝統をちょっと感ずるのですが、そういうことは抜きにして、少なくとも、計画に大きなそごがあった。そごがあったのは、計画のそごだけではなく、予想しない豪雨であったということにあるかもしれませんが、まあそういうようなこと、したがって、今後どうするかというようなその事情の性質を私はお聞きしているのです。いま土砂によって埋もれている五、六軒の人をどうしてくれるのかということを聞いているのであって、その点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  19. 澁谷直藏

    説明員(澁谷直藏君) 先ほど来から小柳先生の御質問趣旨は、従来の日本災害対策がいわゆる公共施設中心にあまりにも偏しておった、その陰に個人災害を受けた、そういった者に対する対策がほとんど講ぜられていない、こういう趣旨の御質問が先ほど来からあったわけでございまして、ただいまの砂防ダムに関する御質問も、それの一環ではないかと私拝聴いたしたのでございます。確かに御質問のとおり、わが国災害対策というものがそういうふうに偏しておった、災害の陰に、個人が受けた災害というものに対してほとんど目ぼしい対策というものが講ぜられていない。個人の生命、財産というものを保護するのが国の責任だと規定した災害基本法のたてまえからいっても、この状態のままで置くということは、国として怠慢ではないかという御趣旨ではないかと思うんであります。まことにそのとおりでございまして、ただ、この問題は関連するところが非常に広範でございます。また長い間の伝統でこういう状態になってまいっておりまするので、いまにわかにここでどういたしまするという答弁をすることは困難ではないかと思うのでございます。しかし御質問趣旨は、私どもも十分これは納得できる趣旨でございますので、これは政府全般として、先ほど総理府の参事官から答弁も申し上げたようなそういう線に沿って善処してまいりたいと考える次第でございます。
  20. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 この問題に対する質問はこの程度で終わりたいと思いまするが、私が最後にあげたわずか五、六軒のものであるけれども、ほんとうにえらい打撃を受けているのをそのまま見ているということは、国の政治としてはきわめて貧困なものであると、かように考えるのでありまして、単に砂防工事を将来どうするとか、もっと完全にするというようなことではなく、もういまおる所もなく、私も行ってみたんですが、座敷の上に一メートルも砂がたまっておる、どうするのだということを聞かれますと、国会議員として赤面の至り、これが実情です。ですから、こういう問題を何とかしてもらいたい、何とかするのがまた国の責務じゃないかということをいま聞いておるのであって、いま即答ができないとするならば、砂防工事の調査なんぞはゆっくりやってもいいんですが、それよりもいま困っている人をどうするということを考えていただきたい。砂をどうして除くか、その砂をどこに持っていくのか、それについてはどういう経費で、だれがそれを支弁するのか、そういう点をお考えいただきたいと思いますが、ちょうど大臣がお見えになっておりますから、概括的にこの問題について、大臣に私は要望しておきます。  先ほど来申しましたように、今度の場合の災害基本法というものは、民主主義国家の精神にのっとりまして画期的な精神を吹き込んだ、すなわち個人の尊重ということによって個人の損害を認めたということは、かつて日本災害救助の歴史にはあまりないところでございます。幸い激甚法もその趣旨をくんでおりまするが、実際におきましては、町村財政助成ということにほとんど全部あげられておりまして、個人災害についていわゆる再び立ち上がるところの、いわゆる災害に打ち勝つところの意欲を振作するというようなことにはきわめて縁遠いと思うのでありまして、これらのことにつきまして、非常にむずかしいと思いまするが、どの程度のものであればやってやるというような一応の御検討を願いたい。私もむろん、今日の日本の行政組織におきましては、一人一人が非常に困っておるからして全部国でやるというようなことはけっこうなことであっても、財政上から許すべからざることであるということはよく承知しております。したがって、どの程度にこの問題を取り上げてどの程度に実効あらしめるかということは、いわゆる運用によらなければならぬと思います。これらの運用の方法、言いかえれば、施行法なりあるいは災害基準の問題等を、この個人災害ということを入れて再検討願い、さらに進んでは、一般のこの災害基本法にあるようなことを実現するためには、国家組織についてどういう用意が必要であるというようなことを御検討の上、ほんとうに画期的な災害対策を樹立せられんことを望んで、私のこの点についての質問を終わります。  次に、建設省にお聞きしたいのですが、今度の災害はいろいろの見方もありましょうが、非常な豪雨であったということも一つでありますが、加治川の治水計画あるいは改修計画が不徹底であったということも争うことができないと思うのですが、この雨量——従来は二百ミリを基準にしておったそうですが、今度は五百ミリというような異常の雨量でありましたが、これらの雨量についてのお考え、あるいはまた、さきに建設大臣は現地を視察して、直ちに防災ダムをつくるということを提案された、これも非常にけっこうなことと思うのであるが、これもまた踏襲する考えであるかどうか。要するに、従来、日本河川改修計画というものは、道路計画に次いで非常に予算面においては貧弱であります。しかし、最近、中小河川災害というものは非常に多いのであって、したがって、それが地方団体の意欲にも及ぼし、住民の立ち上がる力を阻止するということにもなるのであって、一段と力を注がなければならぬのでありますが、加治川改修計画並びに防災ダム、全般的にこの河川計画についてのお考えを承りたいと思います。
  21. 澁谷直藏

    説明員(澁谷直藏君) ただいま御質問のとおり、河川の治水計画につきましては、御承知のように、治水五カ年計画を策定をいたしまして昭和四十年度から実施いたしております。本年度が第二年目でございますが、今回の集中豪雨によって非常な災害発生したわけでございますが、その一つの特徴は、中小河川のはんらんによる被害が非常に大きかったということでございます。それとまた関連いたしまして、従来予想しておりました降雨量よりもはるかに大きい降雨量が今回あらわれたというような点、そういった点をいろいろ考え合わせてみますると、現在実施いたしておりまする治水計画ではとうていこれはもう不十分であるということがはっきり出てまいったわけであります。したがいまして、建設省といたしましては、河川の治水計画全般といたしましては、現行の五カ年計画を、これを繰り上げて実施する必要があるという基本的な考え方の上に立ちまして、現在鋭意その改定について検討を加えておる次第でございます。  なお、ただいま御質問のありました具体的な問題といたしましては、加治川の防災ダムを含めての御質問でございますが、これにつきましては、前瀬戸山建設大臣が現地を視察しての考え方を発表されたのでございますが、私どもといたしましては、瀬戸山前大臣の考え方を踏襲いたしまして、防災ダムの建設を含めて一貫した加治川の水系の全体を考えての対策を実施してまいりたい、そういう考え方に立って、昭和四十二年度にはその実地調査を進める予定でございます。
  22. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 次に、この災害復旧のことですが、従来、災害復旧はさらに関連の災害復旧、言いかえれば、災害復旧じゃなく復興というようなことをだいぶ要望されておるのでありますけれども、この点については、どうしても従来の解釈を少し拡大して、そうして関連事業をやり得るように、単にやり得るだけじゃなくて、やる以上は、それに対する経費についても御考慮を願いたいと思うのですが、これについてはどういうふうにお考えですか。
  23. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 災害が非常に大きい場合につきましては、ある地区を限りまして、一定の改修計画のもとに、関連事業等改修費を入れまして将来計画に合うような計画で施行してまいっております。これらにつきましては、従来からの例で見てみますと、ほぼ御要望に沿うような採択ができるようになっております。ただ、最近土地の価格等が非常に高騰いたしまして、災害関連事業の採択について若干問題点がありますので、その点につきましては、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  24. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  25. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。  ただいま関係各大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森総理府総務長官。
  26. 森清

    ○国務大臣(森清君) 新潟地方大雨災害に対して政府のいままで講じてまいりました措置につきましては、先般の当委員会におきまして御説明してまいりました。その後の状況も含めまして、今日まで政府のとってまいりました措置につきましては、お手元に配付いたしております資料新潟地方大雨による被害状況政府のとった措置の概要」によりまして詳細御承知をいただきたいと思います。  主要な点のみを申し上げますと、まず被害状況は、八月六日現在で関係省庁がまとめたところによりますと、死者三名、負傷者五名、家屋の全半壊流失九十三棟、浸水家屋二万六千三百五十二棟、被害額は、公共土木施設約百五億円、農地等約九十七億円、農作物等約七十八億円等、総額約三百十五億円となっております。  次に、加治川の仮締め切り、湛水排除の問題につきましては、七月の二十六日に破堤個所の仮締め切りを完了し、排水につきましては、七月二十四日に阿賀野川右岸堤防を開さくし、また、排水機をフル運転いたしまして排水につとめ、八月五日には排水を完了いたしました。これに伴いまして、被災者の方々にも一応の御安心をいただくことができ、また、応急復旧等も順調に進めることができるようになったと考えております。  さらに、被災現地の方々から、天災融資法適用激甚災害指定を行なうこと、現金収入の方途を講ずること等の強い要望がございました。  まず、天災融資法適用につきましては、農作物関係被害が確定し次第、台風第四号及び六月中旬から七月までの豪雨等による被害を一括して適用政令を制定するということにいたしております。  激甚災害指定につきましては、同様に、台風四号及び六月中旬から七月までの豪雨等による災害を一括して激甚災害として指定し、今週中にこれが指定のための政令を制定すべく作業中であります。  なお、今回の政令において適用すべき措置として指定するものは、農地等災害復旧事業及び災害関連事業補助特例水防資材費補助特例農地・農業用施設等小災害債元利補給の三措置を予定しており、さらに、今後できるだけ早い機会に天災融資法特例土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助特例を追加指定する予定であります。  被災者の方々のために現金収入の方途を講ずる問題につきましては、とりあえず七月二十九日に阿賀野川水系の直轄幹線水路の災害復旧のために、一億八千九百万円の予備費支出を決定し、これによって被災者の方々に現金収入を得ていただくことにいたしたわけでありますが、さらに、今後とも今回の災害復旧事業の実施にあたっては、被災者の方々に現金収入を得ていただくために十分な配慮を行なってまいることにいたしております。  以上、主要な点のみ御説明を申し上げましたが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、本災害復旧被災者の方々の生活の安定のためにできる限りの努力をいたしてまいる所存であります。
  27. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 私、一年十カ月間官房長官をいたしておりましたが、その間に皆さんのたいへん御好意にあずかって大過なく済ましてまいりましたが、このたびは建設大臣を仰せつかりまして、実はまだ官房長官の癖が直りません、まことに相すまない次第と思っております。前に、五年ほど前にちょっとやりましたが、これはもうほんの八カ月やっておりますうちに選挙になったりして、ほとんど建設行政を十分に実施する時間がなかったのでありますが、ただ、当時、私が就任して間もなく、いわゆる住宅五カ年計画、下水道十カ年計画河川計画等の策定をいたしまして、策定しただけで実は建設大臣をやめたのです。当時を考えますと、まる五年の今日、皆さんの非常な御協力によって、これらの本格的な計画も相当に進捗を見ておるようであります。しかしながら、いわゆる産業経済の発達、あるいは当委員会の問題である災害問題等を考えますというと、なおやはりかなり大胆な施策、ある意味においては法律を越えた施策、そういうものが——まあ法律を越えた施策というと、ことばが過ぎますけれども、そういう一つの感じでこれに当たらなければいかぬ問題が多いのではないだろうか。ただいま森総務長官から、加治川中心とする豊栄町の災害のことがありますけれども、これなども、いわゆる従来皆さんのお力によっておきめ願った規定をそのまま準用していく場合に、どこまでやれるかという問題もあります。もちろん、これは行政官が法規を越えるわけにはいきませんからして、よく皆さんと御相談の上で最善の措置を講ずる、こういうような問題が相当に各方面にある。ことに私、まあ就任して、感じますことはいわゆる基本計画というものは原則的に皆さんの御協力によって一応進められてきておる、当局の非常な熱意と相まって、当時から考えれば、その間においてすでに第二次改定まで行なわれて進んではおりまするが、それすらも現在の産業開発といいますか、産業の発展とか社会の発展に追いつかないというのが現状だろうと思います。そういう意味から考えますというと、それらについても、これからは御支援を得て、積極的なやはり社会の進展に伴う新しい計画というものが必要だろう。同時に、この災害問題、これをいかにして防止するか、また同時に、起きた場合においてはいかにして急速にこれを解決するか、こういう問題は単なる行政だけ、単なる法律だけではできない、政治的な御協力を得なければならぬことを強く感じております。ただ、最初申し上げましたように、まだ官房長官の癖が抜けませんので、今後は、皆さんに対する答弁の場合におきましても、そつのある答弁が多いかと思いますが、その点はひとつお許しをいただきたい。できるだけひとつ誠心誠意をもってやってまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  28. 塩見俊二

    ○国務大臣(塩見俊二君) 今回、自治大臣に就任することに相なりまして、当委員会におきましても、交付税の問題、あるいは起債の問題、あるいは消防等の問題等につきまして、何かと御指導、御支援を賜わることと存ずる次第であります。何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  きょうの委員会は、主として新潟災害に対する問題だというふうに承っておるのでありますが、新潟の問題につきましては、非常に大きな、まれに見る降雨量に伴った大災害であるわけでありまして、自治省といたしましても、また消防活動の面におきましても努力をし、今後も努力をいたしたいと考えておる次第でありまして、特に交付税の繰り上げ支給あるいは今後の査定の経過に従いまして、これに対する起債の処理あるいはさらに消防の活動と、各般にわたりまして全力をあげて対処したいと考えておる次第であります。何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
  29. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 先ほど建設省のことについてお伺いしたのですが、もう一つ。従来、災害復旧は原則として四カ年だそうですけれども、実は三カ年で、いわゆる予算にしては三、五、二というのが通例になっております。しかし、これはどうしてもできるだけ早くやらなければならぬ。しかし、事実上はなかなか早くいかないのです。ことに、いま問題になっておりまする新潟地方は、天候の関係でおそくなっては工事ができないことになるので、一段と進めなければなりませんが、そういうような観点に立ちまして、四年を三年にするとか、三年を二年にするという意気込みでやってもらいたい。その一つの便法として適当な工事としては、いわゆる仕越し工事として地方団体にやらしてみるということもできるのじゃないか。それについてはどういうようなお考えであるか。また、単に地方団体にやらせるというのじゃ困るので、これに対する財政上の裏づけはどうしてやるか。言いかえれば、それに要する経費は地方団体にはありませんから、融資を受けるとか、あるいは起債を認めてもらうとか、そういうことにしてもらわなければならぬと思いますが、こういうようなことについてはどういうお手配をいただけるかどうか、お聞きしたいと思います。
  30. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 災害復旧を早期に完了すべきであることは御説明のとおりであります。  われわれも、従来から四カ年復旧になっている災害につきまして、三カ年復旧を強く要望しているところでございます。幸いに、四十年度災害から国庫債務負担行為も入れまして、ほぼ三年半ぐらいで災害復旧ができるようなことになりまして、一歩前進したわけでありますが、さらに、これが災害復旧の早期完成につきまして、今後とも努力してまいりたいと思っております。なおその際に、早期にやるためにはどうしても地方自治団体としては仕越しというような問題がありまして、それにつきましては、先ほど申し上げました、翌年度にまたがる債務を負担するという債務負担行為というものを災害には与えられておりまして、それで四十年災害はただいま行なっておるわけでございます。その他融資等につきましては、ひとつ自治省のほうからお願いいたしたいと思います。
  31. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 大体事務当局からの答弁で御了解願ったと思いますが、一応大臣としてしゃべらなければいかぬでしょうからして申し上げますが、おっしゃるとおり、これは災害復旧をなるべく早くやりたいということで、長い間の懸案で、最近は、いま申したように、三年半ぐらいで実績があがっております。いま小柳さんのおっしゃることは、ものによっては地方団体にやらしてはどうかというお話だろうと思いますが、方向としては私も賛成であります。その場合にはやはり、これは起債等の——自治大臣の問題ですが、特にこれは全額を認めてもらわないと、いまの地方財政から見てむずかしいでしょうから、その点の問題があると思いますが、加治川の場合は、これは御承知のように、大体二百ミリを限度にして考えておった河川工事が、今回二百五十三ミリ、こういう計画水量をこえた。天候というものはなかなか人為のいかんともしがたいところでありますけれども、ただ私考えますことは、やはり従来、これは私の一つの考え方なんですが、多目的ダム、いわゆる用途をいろいろ変えたダム、これはかなりこの数年前から強く要望され、また、そういう方向で来ているし、その意味において、防災ダムあるいは治水ダムといいましょうか、そういうものに対する考え方が少し薄くなっておるのではないであろうか。そういう意味で、この加治川の水量調節のためにも、防災ダム千トン級ぐらいのものをあわせて加治川復旧工事を五カ年間ぐらいで完了したい、こういうことでやっておりますので、本格的な復旧に入りたい、さように考えております。
  32. 塩見俊二

    ○国務大臣(塩見俊二君) 早期に事業を進捗いたしまして、すみやかに災害対策を講ずるということにつきましては、私はこういう災害の性質上当然であろうかと思います。そこで、自治省といたしましては、御承知のとおり、この査定区分に従いまして全額起債を認めるという方針でおるわけでございまするが、ただいまのお話の仕越し工事につきましては、これはやはり補助金の裏打ちということで長期起債を認めるわけでございます。その起債でこれをまかなうかどうかということにつきましては、なお検討の余地があろうかと思います。しかし、実際一般財源でこれをまかなうことが不可能であるという状況はよく了解できるのでありまして、こういう場合には短期資金をもってとりあえずこれをまかなうというふうに配慮いたしたいと思います。
  33. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 私、今回はからずも農林大臣を命ぜられました松野頼三でございます。どうぞ委員各位にも、よろしく御指導をお願いいたします。  新潟地方大雨災害につきましては、去る七月二十二日開催されました本委員会において、坂田前農林大臣が御報告をいたしました。その後、農林省といたしましては、これに対処するため、このたびの災害激甚災害指定することとし、来たる十二日の閣議において決定し、農地、農業用施設、林道及びこれらの小災害について、とりあえず激甚災害法を適用することとしておりますが、なお、天災融資の特例湛水の排除についても、被害額が確定次第、追加して適用することとしております。被災者営農意欲を起こすために、その再建を強力に援助する自作農維持資金ワクの追加、現金収入確保対策、農地、農業用施設等の早期復旧措置被災地の病害虫駆除措置、農業共済金の早期支払い措置、既貸し付け金の返還条件の緩和措置、家畜のえさ対策についても、逐次その体制を整え、着々実行に移しておりますので、必ずやその成果はあがるものと信じます。  なお、対策の詳細については、関係局長から追加御報告申し上げます。
  34. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 建設省の関係につきましては、大体了承を得たのですが、最後に、水防の関係、これは私は本会議に出して総理に質問して、総理から再検討するということになっておりますが、これは建設大臣が、官房長官のまだくせがとれないうちというのは、まことにけっこうな問題と思うのでありまして、水防制度を確立してもらいたい。私が質問したいのは、そういう根本問題もありますけれども、さしあたり、今度の水害について出動した人が、それに対して出動手当がもらえるかどうか、あるいは使った資材に対して、経費はどうするかということでありましたが、幸い、その点については激甚災害法を適用するそうでありますから、それによって解決すると思いますので、別にお答えを求めませんが、根本の水防制度については、ほんとうにこれは日本の行政の一つの盲点と言ってもいいくらいおくれていますから、ぜひ御検討願いたいと思います。  この機会に農林大臣にただ一つお願いしたい。今度の災害につきまして、いろいろ手を打っていただきまして、非常に感謝しておりまするが、今度のあと始末をどうするかという問題は、これは救農工事に関連するものであります。あれだけの区域が水浸しになりましたので、ほとんど全滅です。ことに、あの地方は単作地帯ですから、もうそれ以外に収入がないのです。また御承知のように、今日は土地改良によりまして、土地の廃置分合が行なわれまして、自分の耕作地が一団となっているのです。したがって、一たび水を受けますると、自分の耕作地全部がやられるというような極端な結果におちいるのでありまして、どうしてもこれは救農工事その他をやっていただきたい。まあ、出かせぎも一つの方法でしょうが、家庭の事情は必ずしもそうばかりいきません。いま聞くところによりますというと、政府においては公共土木事業にうんと人を使うのだから、それでやってよろしいんじゃないかというような意向のように聞いております。これも確かに一つの考え方でしょう。ことに、あの地方には、いわゆる産業都市に対する建設もありますし、また、復旧公共事業もありますから、相当それによって救い得るとは思いますけれども、何といいましても、非常な広いところの多数の人の災害でありますから、あらゆる就労の機会を与えることが必要である、なるべく近いところに手近に仕事のできるようにしてもらいたいという観点に立ちまするというと、公共土木事業のぽかに、救農事業というものもどうしてもやってもらいたいと思うのです。幸い、新潟県においては、詳細にその救農事業を調べておりまして、総額約十八億円と聞いております。まあ、金額のことについては、多少の弾力はあるといたしましても、公共土木事業があるからして救農事業をやらぬでもいいというようなことは、私は実際に適しておらぬと思うのでありまして、この点につきまして大臣の御努力をお願いしたいと思います。これに関連しまして、いまも触れましたが、ほとんど全部の収入を失った人、ことに、はなはだしいのは保有米がみんな水につかってしまったんです。これは政府もそうでありまして、佐々木の農林倉庫の約七千俵という米はむだになってしまったという状態で、各個人保有米も全部やられてしまった、もうあすの食事も困るというのですから、これらの農家に対しては配給米をやるとか、あるいは配給米についての支払い方法をどうしてやるかというようなことについても、あたたかい手を差し伸べていただきたいと思いますが、この救農工事に対する大臣の所見、並びに、いまのような、その日に困るような人に対して食糧をどうするかというようなことについての御見解を承りたいと思います。
  35. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) ただいま御指摘のように、救農土木はすでに過去におきましても非常な効果をあげております。したがって、私の、農林関係としても、救農土木事業を今度は田畑あるいは被災地の復旧農地復旧等にも及ぼしていきたい。今日既存の予算内で大体流用しながらことしはやれると思いますが、まず、それによって現金収入を得られるようにし、これは長期的観点から相当長い期間にやりたいと私は思っております。なお、飯米につきましては、御承知のように、必要ならば払い下げ、貸し付け延納、これは直ちに現金——なかなかそれは無理なことですから、飯米につきましては、払い下げも昨年の産米としていたします。また、必要ならば延納もいたします。また、配給もいたします。ただいま特別配給を一部において実施しておるようであります。したがって、この飯米につきましては、万遺憾、不安なきよう十分準備いたします。救農土木もさっそく準備してこれに取りかかるつもりでございます。
  36. 武内五郎

    武内五郎君 およそ災害というのは私は非常な人間の不幸だと思います。それに対処する態度というものは、たとえば法規等の解釈、運用等においても、棒を飲んだような硬直した解釈や運用をされては、私は不幸を大きくさせると思いますので、ぜひ、いわゆる弾力性のある、あたたかい気持ちで法の運用、政策の実施をお願いしたい。それで、私もきょうは実はたくさんお伺いしたいのでありますけれども、非常に時間を制約されておりまするので、一、二点だけ伺います。  特に、先ほど小柳委員からの質問の中に、私はこれは激甚法第二章の運用の関係であろうと考えるのでありまするが、おそらく、いまのところ明確なお答えをいただいておらぬようでありまして、これに対するこれからの措置について政府のお考えを伺っておきたいと思うのであります。特に、私は、もうその法の解釈や運用についての考え方は、小柳委員からきわめて明確な質問が出ておりますので、それは省きます。特に災害における地方団体の支出いたしまするいろんな経費に対する政府救済の方法、これが私は大事だと考えるのであります。これが今日まだ明確に出ておりません。これをはっきりさせるようにしていただきたいと思うのです。本日その答えが出ないならば、私は出なくてもよろしい、十分先ほど申し上げましたような弾力性のある運用の方法を御検討をお願いしておきたいと考えるわけであります。それ以上私は申し上げません、この問題は。  第二は、この前の委員会でも申し上げましたが、今回の災害の大きな原因となっておりますものが、中小河川に対する手薄の関係なのです。これは瀬戸山前建設大臣も謙虚に認めておられ、その対策を真剣に検討したいという熱意を示されておって、私は非常にそれに対する好感を持ってその話を聞いたのです。そこで私は、過般当委員会から派遣された委員の諸君と現地でいろいろ一緒に調査をしてまいりましたが、いろいろな問題が出ております。いろいろな問題が出ておりまするが、その特に中小河川のはんらん決壊でも、加治川のはんらん決壊というものが北蒲原の平野を全く水で埋めてしまった。そういうようなことでいろいろ調査をいたしますると、実は地元の人たちは、どうも上流におけるダム操作の手違いからこうなったのではないかという話がある。私はちょっと考えたのですが、実は私は、加治川の上流にダムのあることを知らない。かなり、たいていの川や何かはよく見て歩いておりまするけれども加治川の上流にダムがあるということは実は知らなかった一いろいろ聞いてみますると、ダムではなくて、大きな山くずれがあって、東北電力の送水パイプが押し流されて決壊した。それで、急激な水が下流に土砂とともに押し出してきた、こういうことでありまするので、まあ、このダムについての問題は、新潟県の地方の人たちは非常に敏感です。かつて阿賀野川の大洪水がありました当時、これこそは私はダムの操作の手違いが洪水を激化きしたと考えている。そういうような非常に苦い経験がありまするから、洪水というとまたダムだ、こういうふうに考えるのです。だけれども、私は、今回のやつはダムではなくて、山くずれから東北電力の送水パイプが押し流されてこわれたのだ、こういうことが明らかになってきたのであります。この加治川の治水の問題について瀬戸山前大臣はかなりの熱意を持って、あすこに防災ダムを建設するというお話をしておったのであります。承るところによると、橋本大臣もより以上の熱意を持って当たられるという話なのであります。そこで、私の考えた問題を提起したいと考えるのでありまするが、先月の二十五日、加治川の上流に内倉川という小さい川があります。ここに農業用水の一これは農林関係でありますが、農業用水のダムを建設するという計画で、先月の二十五日土地買収の協定ができた。これは約二千万トンの水を貯水して下流八千町歩——八千ヘクタールにわたる耕地にかんがいをしようという計画でやられておるわけなんであります。これが昭和四十七年に完成予定で、今回土地買収が成立したのでありまするが、私はここで非常な実は一つのヒントを得たことは、加治川の本流には東北電力の発電所が三カ所ある、その最も上流には一万七千キロワットの発電をする加治川発電所、それからその下流に飯豊第一、そのさらに下流に飯豊第二という三カ所の発電所がある、これがほとんどパイプが押し流されたという関係が出ております。そこで、ここにもし防災ダムの建設をするというならば、いま農林省で計画しておりまする農業用水の貯水池建設とあわせて総合されたる利水と治水と、この二つの考え方が持てないのかどうか、地元の人たちはこれを非常に期待を持っておる。橋本大臣がこの防災ダムに非常な熱意を持っておると承りまするので、その大臣の計画、構想と、農林省で持っておりまする貯水計画との総合されたものが考えられないのか、こういう点を承っておきたいと思う。特に私はなぜこれを考えなければならないかというと、実はこれは新潟県の河川行政担当者の話なのでありまするが、従来河川行政というものは大きな川にだけ注がれておる、小さい川は往々にして見のがされておる、それは投資をやっても経済効果が出てこないから、こういう考え方が支配しているのだと言っておる。あるいはそれはほんとうかもしれない、けれども、私はまことに悲しい話であると考える。そういうような考え方でまいりますと、河川行政というものが非常な不幸な状態でもっていかなければならないということが明らかになろうと考えます。そこで私は、そういう事実から、なぜこの農林省の貯水池と建設省で考えるであろう防災ダムとの総合的な考えが統一されないのか、こういう考え方でおるのでありまするが、これは地元の非常な強い要望でありまするので、しかも、非常に今日暗たんとした気持ちで、また再び災害の襲来をおそれている地方民の気持ちを、もうこれで何年か後からはこういう災害は来ないぞという強い安心感と自信をひとつ与えるように、農林大臣と建設大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  37. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 加治川国営かんがい排水事業というのがただいま御指摘の項目だと思います。これはだいぶ長い間調査をいたしまして、大体諸般の準備は円満に進捗しておりますが、着工までにはまだ至っておりません。これは大体が農地のかんがい排水工事ということで計画いたしましたが、こういう河川には水害というものが非常に多大でありまするので、かんがい用排水ばかりにあらずして、洪水調整というものも計画案に入れまして、建設省とも交渉をして、この計画の一部はあるいは変更をしながらこの実施をいたしたい。着工いたしますれば、大体来年ぐらいからその準備ができれば幸いだと、多少まだ地元との調整が、買収問題が残っております。たぶん、その御指摘だろうと思います。なわ張り根性は抜いて、建設省ともこれは協議をいたして、今後の住民全般の不安のないようにいたしたいと私は思います。
  38. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 武内さんのおっしゃるとおり、特に根本的な考え方は治山治水、いわゆる国を治めるの根本のものは山を治め水を治めるとありまするからして、私は一般的に、先ほど申し上げましたように、ダムの考え方が最近功利主義的になったのじゃないか、できるだけ経済効率をあげよう、まあ特別会計でやっていきたいということが従来行なわれてきた方向ですが、もちろん、それでも治水のことは考えないわけではなかったのでありますけれども、従来の、最近の災害等にかんがみて、いま農林大臣から答弁がありましたように、特にこの問題につきましては、目下建設省と農林省で協議中でありまして、おっしゃるような方向でこれは片づけるという考え方で当たっております。したがって、今回の加治川復旧については、今後全く二度とかかる災害が起きないような万全の措置をとりたい。ダムの工事にいたしましても、また、堤防改修にいたしましても、最善の措置を講じて、再び加治川決壊による、付近の皆さんが非常な困難をせられた、その二度の被害のないようにいたしたい、かように考えて鋭意目下具体的な案を作成中でありますので、御了承願いたい。
  39. 武内五郎

    武内五郎君 ぜひひとつ総合された、希望の持てる計画の遂行をお願いしたい。  それからあと特に承っておきたいことは、河川管理が、特に加治川における河川管理がほとんどなかった。これはもう地元の諸君も、われわれは常日ごろからそれを心配しておったのですが、とうとう出てきた、うみが出ちゃった、こう言っておるのでありまするが、特に昨年の台風の際に、根こそぎ倒れた桜の大木が至るところにころがっておる。しかも、その桜がころがって堤防に大きな穴をあけておるのに、今日までほとんど改修修理補強等がされていなかった。ちょっと雨が降るとこのようなことになってまいります。こういうのが地方の実情であります。しかも、加治川村の向中条という部落にありまする水防小屋、この水防小屋のごときは、去年の台風で屋根が吹っ飛んだまま、今日までほったらかしている。中の資材というものは丸太が——たぶんくい用の丸太であろうが、丸太が何本かころがっておる。なたを入れて先をくいのように削ることもなく、ただころがっている。丸太のままころがっている。なわやむしろも全く雨ざらしにされておったというのが、その水防小屋の姿である。こういうようなことが、まことに小さい行政上の措置でありまするけれども、そういう小さいことが大きな災害のもとになってまいりましたことを考えると、私は前回も特に河川行政についての考え方を申し上げて瀬戸山大臣に質問したのでありましたが、今回も特にそれを指摘して、中小河川における特に河川管理の業務というものを、貧困な地方財政の中でやられるのだから、国としても、建設省としても、特にこまかい点まで注意をもって対処していただくようにお願いしたいと思います。大臣のお考えを一応承ります。
  40. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、具体的な問題については、十分監督の行き届かなかったところもあるやに聞いております。ただ、お話のように、水防関係の直接の施行者は地方にあります。これは建設省がこれを監督をし、また、資材等についての補助等が行なわれるわけですが、どうも従来この水防に対しての補助金額も必ずしも十分ではない。あるいは不足がちであると申し上げたほうがよろしいと思います。かような事態でありますし、十分なる活動のできる余地をつくってないという点もあろうと存じますので、この点は御注意を十分拝承して、今後の措置について万全を期してやってまいりたいかように考えております。
  41. 武内五郎

    武内五郎君 もう時間がありませんので、あと一点だけ伺いますが、農林大臣、先ほど小柳君からも質疑がありました救農土木についてでありまするが、大臣も農民仕事を持たせなければならぬ、現金収入の道を立てなければならぬという考えが出されて、非常に私も意を強うしたわけなんでありまするが、実は承ると、特に大蔵省方面並びにそれに関係した方面らしいですが、救農土木なんというものは、そういうことを前例に残すことがよくない、財政運営上よくないことでありまするので、そういうことはやりたくないという強い抵抗が出ておるそうであります。私は、前回の委員会で坂田前農林大臣が、とにかく農民に現金収入の仕事を持たせなければならないということを主張された、非常にそのとおりだと私は思います。今日もまた松野大臣からその考えが泣く出ておりますのですが、私は特にああいう単作地帯、ほとんど水田一本の農業であります。これが、その土地において現金収入がないという状態になるとすれば、またいろいろとその地方における救農的な事業の計画がないとするならば、おそらく出かせぎか何かで出ていかなければならぬと考えます。今日まで、実はわりに出かせぎの少ない地方なんであります。耕作面績も比較的広い。したがって農業に土着しながら耕作に専念しなければならない地方なんであります。それがもしそういうような、もうその地方においての現金収入というのはおぼつかないとすれば、出かせぎせざるを得なくなって、土地を放棄して耕作から離れていかなければならぬという関係が出てくるのではないかということを実はおそれる。私は、いま大臣も現金収入の道を立てなければならぬということを言われたのでありますが、その救農事業と先ほど申し上げました大蔵省との考えの調整ができるのかどうか、これを承っておきたいと思います。
  42. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 大蔵省は財政当局としていろいろな意見があります。しかし、この問題  につきましては、大蔵省も十分私は理解を得られると思います。得られると思うだけではいけませんが、そのうち一部は、大蔵省から予備費として二億円、これは救農土木に該当する直轄災害復旧の中には、すでに予備費から支出をいたしております。私のほうももちろん、農林省の既存の予算からも流用いたしますが、そればかりでは足りませんので、大蔵省からも、要求どおりは大蔵省は出しませんけれども、一応今日やろうとする十七億程度の救農土木の第一期、これは今日の既存予算及び予備費、流用、増額をはかってあわせて私はやり得ると思います。なお、救農土木は多年地元の農村の復旧と同時に、農民生活関係することですから、あらゆるものにまさって優先的にこれをはかりたい。したがって、既存予算、予備費あわせて今日実行いたすように、一部のものはもう準備をして着工になっております。今日要望されるのは、やはり災害復旧、あるいは冠水が、水が引きますと、あとの土地を直ちに耕したい、できるならば何らかの作物を植えたい、これは純朴な希望だろうと思います。したがって、これを迅速にやること、効果的にやること、なお、これを長期的に冬場を越えるような現金収入まで求めてやること、この三つが私は救農土木の今日の問題である。第一期につきましては、十分着手いたします。第二、第三の計画についても私はやり得るという自信と考えを持ってただいま御答弁したわけでございます。これは農民の非常な基本的な考えですから、農林省としても、大蔵省も十分私は理解を得られるし、また、ただいま一部は着手しているということをつけ加えて答弁させていただきます。
  43. 武内五郎

    武内五郎君 自治大臣、先ほど激甚法二章の問題、これについて地方財政が困窮している中から負担していかなければならぬいろいろな費用がある、それに対して簡単でいいから、私も簡単にそれだけ言って質問といたしますが、第二章の発動についてどういうふうに考えておられるか。
  44. 塩見俊二

    ○国務大臣(塩見俊二君) 災害に対する地方負担につきましては、これは各省によりまして、全額国庫補助ということで査定をするわけでありまして、自治省といたしましては、これの金の手当て、とりあえず起債をもってこれに充当していくという考えでいるわけでありまして、ただ、先ほど小柳委員からもお話がありましたように、繰り上げて工事を施行するといったような場合におきましては、長期資金の手当てをすることがなかなか基本的に困難な点もあるわけでありますので、こういった問題につきましては、とりあえずつなぎ資金と申しますか、短期資金で、地方自治体に御迷惑のかからないように迅速に措置をいたしたいと考えております。
  45. 武内五郎

    武内五郎君 大臣お忙しいそうだから、いずれまた詳しくお伺いしたいと思います。  あと災害住宅の関係であります。  まだ今日、たとえば豊栄町なんかにおいても、八月三日の現在で、私ども行ったときに、七カ所に一千四百名の人が避難しております。特に福島潟沿岸の部落は、ほとんどこれはもういわば壊滅して、米はなくなる、住むに家なく、食うに食なしという状態で避難所にたむろしておるわけなんです。そのほかの災害地においても同様なことが見られる。ところが、なかなかこの農民というのは、特に新潟県の農民は、長い冬の間を過ごさなければならぬものだから、いままで大きな家で暮らす習慣がついておる。たとえば応急仮設住宅なんかに住もうなんていう考えは、もう全くほんとうをいうとないのです。しかし、そういうことも一つのわがままでしょうから、応急仮設住宅等の建設についての申し込みを募集しましても、見込み量よりも非常に少ないというような現象が出ておる。いずれにしましても、私はそれも必要であり、早く住宅復旧の−復旧というよりは、復興の対策が必要ではないかと考える。また、募集の必要があると思う。これについては、第一はすみやかに住宅復興の資金を早く出す。出しているというなら、どういうふうな形でいま出ているか、それをはっきりしていただきたい。  それから、そういう復興資金の借り入れ等について、生活のボーダーラインすれすれの人々に対して全くこれは救済の道がないといわれている。ほんとうにそうなのか。これこそが救ってやらなければならぬ、そういう状態なんだ。それを明らかにすると同時に、それらに対してはどういうふうな形で住宅の復興を考えているか、明らかにしていただきたい。
  46. 角田正経

    説明員(角田正経君) お答えいたします。  先生からこの前も御質問がございまして、お答えいたしましたとおりでございまして、住宅の災害を受けた方たちに対しましては、さっそく住宅金融公庫のほうから、新築をいたします方、非常にたくさん全壊あるいは半壊以上で、どうしても新しくお建てになります場合は新築の融資、また復旧を、補修その他をいたします場合は、災害復旧のほうの補修の融資をいたすようにしております。これは災害指定がございません、まだ指定をしておりませんので、一般の個人貸し付けの特別貸し付け、要するに優先貸し付けで無抽せんでお貸しするように道を開いておりまして、そのためのPRをすでにいたして、受け付けを開始しているわけでございますが、なおそのほかに先ほどお話がございましたような激甚法指定がございますと、それに合わせまして住宅金融公庫のほかの災害復興貸し付けという別な制度がございまして、やや手続の点、それから据え置き期間を置きますというような点で有利な点がございますので、それらの資金の貸し付けができますように、いま主務大臣は建設大臣、大蔵大臣両大臣でございますので、協議を進めているわけでございます。  いまボーダーラインのお話の点がございました。これも災害の基準に合いますと、災害公営住宅の補助が出るわけでございますが、現在の状態でございますと、そのような法律に定められております基準に該当いたしますれば——ただ、そう言いましても、私ども手をこまねいているわけではございませんで、現実にそういうふうな必要な戸数がありますれば、地元の公共団体とも御相談をいたしまして、現在手持ちの公営住宅のワクの中からできるだけやりくりをいたしまして、そういう方が入っていただきます住宅をつくるというふうなことで措置をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  47. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 災害発生以来、政府のたゆまざる御努力に対しまして、私は地元の者として心から感謝を申し上げるところであります。ただこの際、小柳委員からも武内委員からもるるお述べになった問題ではありますけれども、これが被災者の地元といたしましても、また私どもといたしましても、何としてもこれだけは通達をみなければやまない、こういう考えを持っておりますが、先ほど来の御答弁では私の満足するところではございません。それは激甚法の問題でございます。激甚法の問題につきましては、先刻総理官房の上田参事官からるる御説明がありました。また、松野農林大臣からもお話がございました農地災害の問題については、農地災害の問題を主としてこれを取り上げて、そして十二日に決定をするというありがたいおことばにも接したのでございますが、私どもが一番それとともに重大に考えておりまするのは、公共土木の問題でございます。すなわち第二章の問題でございますが、上田参事官は、五条、二十一条、二十四条、こうした問題はもう内定済みであるというごとくお話がありました。それも当然でございますが、どうしても公共土木の問題をそこから抜かりまするというと、すでに政府からちょうだいいたしました資料の点から見ましても百億を突破いたしておる。これは何としてでもやはり激甚法の内容としていただかなければならぬと思うわけであります。これが抜けて、ただ単に農林関係災害農地関係災害ということだけでありまするというと、私どもはどうしても鼓を鳴らしてお願いをしなければならぬというかっこうにならざるを得ないのでございます。上田参事官のごときは建設省御出身でありますから、私は先刻も色よい御返事をある程度におわしてくださるのかと思ったら、期待はずれでございました。ただ今日は、橋本建設大臣におかれましては、はっきりと、大胆な施策、法を超越した施策ということまでも考えなければならぬというおことばに接したのでございます。先般私どもの亘知事が閣議の際にまかり出まして、総理にこの激甚法の問題をお願いいたしましたところ、佐藤総理は、もう何でもかまわぬでやりなさい、こっちもできるだけやってやるというおことばに接して感激して引き下がったのでございましたが、それとあたかも平仄を合わすがごとく、橋本建設大臣の先ほどのおことばを賜わりまして、私はほんとうにうれしくてたまらぬのでございますが、どうかひとつ、建設関係が主でございますが、公共土木の問題を激甚法の内容から省かないで、これを含めて指定にあずかりたい。これに対しまして特に建設大臣から、お心組みのほどだけでけっこうでございますが、承っておきたいと思うのであります。
  48. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいまの佐藤さんのお話ですが、全く地元の皆さんに対しては気の毒にたえないし、関係市町村、県当局も今後の復旧について頭を痛めておられるだろうと思います。ただ、現在の状態では、いわゆる激甚法適用するにはなお多少の数字の差があるようであります。ただ、実はこの調査もなお続けておりますので、現在の調査時点における七十四億余円というものが、これでとまるのか、なおこれから、調査の結果ふえてくるのか、この問題も一つあります。ただこの問題は、もちろんこれは基準の数量に達しますれば激甚法適用するということは当然でありますけれども、そういう形でなくとも、何らかの方法で実際上はそういうような地元が困らないような措置ができないものか、万が一この数字に達しない場合。一応これは国会を通った法律によって規定をせられておりますので、法律自体を曲げるということは、これはむずかしいことであります。しかし問題は、地方負担の問題であり、あるいは市町村財政問題等にもかかわる問題でありますからして、この点については今後ともあらゆる場合を想定して十分な調査を進め、なお災害者側、いわゆる地元側に立ってものを考えて善処したい、かように考えておることを御了承願います。
  49. 佐藤芳男

    佐藤芳男君 そういたしますと、念を押すようで恐縮でございますが、数字が達すればもちろん指定をいたす、これはまあ当然のことでありますが、達せざる場合においては、激甚法の内容とはそれはできないけれども、それと同等または同等に近い措置によって代用的な考えのもとに善処をすると、かように御言明くださったものとして了承いたしたいと思います。  続いて承りたいのでございますが、災害復旧はもちろん原形復旧から改良復旧へ、これはまあ当然過ぎるほど当然でございますが、また国会の議決等にもそういう方針になっておりますることは、かなり前からかように相なっておると思うのでありますが、それ以上のものをこれは関連事業としてお願いをせなければならぬわけでございます。この関連事業というものに対しましても、かりに激甚法適用がこの面からはずれたという場合にも、やはりそうしたことにつきましては、ただいま御答弁になったと同じ趣旨に取り扱って、遺憾なくその実効をあげていただきたいことを念のため希望申し上げておくところでございます。  なお、実はおととい、関係被害者が千名も寄りまして、私どもそこに出席を要請されて伺ったのでございますが、その際いろいろの決議が行なわれました。その中に、私考えまして、これは名案だと考えた案が一つございました。しかして、県の役人にこれを聞いてみたら、いやこれはどうしてもやってもらわなければならぬ。中小河川の取り急いで行なっていただきますることは、これは方針はそのようになりまして、そうして一兆一千億の五カ年計画が今度は改定されるにいたしましても、やはり年数を必要とする。ところが、もう直ちに洪水の危険を相当程度緩和できるという方策が示されました。それは、福島潟から幾らも隔たっていないのでありますが、海に水路をつくらまして、そうすることによって水害の防止に非常な貢献をいたすという——私は所見を求められましたから、その際、これは確かに名案だと思います、政府にお願いをいたしましょう、映画館をつくるにも非常口がなければ許可にならないのだから、ちょうどこれは洪水の非常口のようなものだと、かように答弁をいたしたのでありますが、これはいずれ県のほうから伺わさせますから、ひとつよろしくお取り計らいを願い、すみやかにこの問題を着手をしていただきたいということをこの際申し上げておきたい。  なお、私は最後にきわめて簡単に伺っておきたいのでありますが、農林漁業金融公庫の理事の方どなたかおいででしょうか——ちょっと伺いたいのでありますが、それは先ほどの橋本建設大臣のきわめて積極的な御所見を承ったのに力を得て伺わざるを得ないのでございますが、この水害で十三もございまする土地改良区というものがみな悲鳴をあげておる。その運営にこれから四苦八著せなければならない。この運営の資金、これはいまの法律から申しますと系統金融によらなければならぬということになっておることは、私もよく承知をいたしておるのであります。しかしながら、系統機関の金でありますというと、これは日歩二銭ですから年七分三厘。あなたのほうが金を出してくだされば、三分五厘を適用してもらうことは無理といたしましても、五分にはなる。そうすると、そこに利子のはなはだしい相違があるのでございます。したがって、全面的とは申しませんが、この災害の場合においては、運営費の一部を公庫資金から貸し付けてもらうことがこれは望ましいことだと、私はかように考えております。橋本大臣の積極的なおことばを拝聴いたしまするというと、公庫もひとつ意欲を出していただいて、そうした態度に、直ちに法律改正なら法律改正に踏み切っていただきたいということを念願するものでございますが、そうした意欲をお持ち合わせでございましょうか、ございますまいか。私は、かつて他の委員会におきまして、清井総裁と質疑を行ないまして、公庫の事務を取り扱う代理業、これが各普通銀行だけなんであります。相互銀行とか信用金庫はその範囲外である。そんなことはないじゃありませんかと、やはり需要者のためにはかっていただかなければならぬと、一問一答いたしまして、だいぶ系統機関のほうからの苦情も出たようでございます。また大蔵省の一部のほうからも反対があり、農林省自体の金融課あたりもあまり好感を持っていなかったようでございますが、清井総裁の意欲がきわめて旺盛で、すでにこれを逐次行なっておられる。そういう実例も私は体験をいたしております。この際ひとつ、災害という非常事態でございまするから、こうした場合においては、その部分だけはその運営費の全部または一部に対しまして公庫資金を貸し付けをするということに踏み切るだけの意欲をお持ちかどうか。ただしゃくし定木に、いやいまの法律がそうなっておりませんから研究いたしましょうということでは、私は満足しない。その意欲がありやなしや、この点を伺わさしていただきたいと思います。     —————————————
  50. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 参考人の出席に関する件についておはかりいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、ただいま農林漁業金融公庫理事和栗博君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  52. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 和栗参考人
  53. 和栗博

    参考人(和栗博君) お答えをいたします。  現在の農林漁業金融公庫で災害の場合にいろいろ努力をいたしておりますことは先生も御承知のとおりだと思うのでございますが、いわゆる貸し付け金の償還の条件を緩和するとか、あるいは災害の自作農資金を出すとか、そういうような措置を講じております。  先生がただいま御質問になりました土地改良区の運営資金と申しますのは、現在の制度では公庫といたしましては融資ができないことになっております。いわゆる災害復旧の事業費ならば融資できるのでございますが、土地改良区の運営費に対しては公庫の現在の制度といたしましては融資できないことになっておることは、先生御承知のとおりだと思うのでございます。実際問題といたしましては、これは農林中金であるとか、あるいは信連であるとか、農協のほうの系統で、そういう運転資金が一時要るというような場合は、大体そっちのほうでめんどうを見ていただくというようなたてまえになっております。いまお話しのように、なるほど金利の面におきまして、確かに公庫のほうが低利の資金でございますので、災害地の場合は特別に何か考えたらどうかというお話でございます。現在の制度はそういうようなことでございますが、公庫といたしましても、おしかりを受けるかもわかりませんが、この点につきましては今後よく検討いたしまして、さらにこれは農林省、大蔵省とも十分打ち合わせた上でないとこれは実施できませんので、よく研究をさせていただくことにいたしたいと思います。  なお、相互銀行の問題は、現在御趣旨の方向で手続を進めております。
  54. 片山武夫

    片山武夫君 私、今度の新潟県、石川県の水害調査の一員として、いろいろ御質問を申し上げたいわけであります。各委員からも御質問が出ておりますので、重複を避けまして一つだけ大臣にお伺いしたいことは、先ほどダム建設の問題について大臣がお答えになった内容、これをちょっと私、大いに疑問がありますので、再度確めたいと思っておりますが、現在ダム建設が経済的に功利的に行なわれております。したがって、そういうことが結果していろいろ問題が起きるかのごとき御発言があったと思うのでありますけれども、おそらくそれについては、国なり、県なり、それぞれ指導的な立場で水利あるいは治水の問題については指導を十分行なって、そして建設されておるものと、かように理解しておるわけなんでありますけれども、おそらく大臣のことばが、冒頭にそつのある答弁をすることがあるかもしれぬというお断わりがあったから、あえてことばじりをとらえるわけではないですが、特にこれは電力の関係がありまして、ダム建設が盛んにいま行なわれております。それがいろいろ建設にあたって、水利権の問題とか、あるいはその建設に伴うところの山間の開発道路、そういう面については相当留意して建設が行なわれておるかと私は思うのでありますけれども、これが経済的に功利的な立場だけで行なわれておるとしたならば、これは国の指導が悪かったのか、あるいはまたそれを無視した功利的な立場で建設が行なわれたのか、いずれに欠陥があったのか、私はもう一度はっきりとこの点だけはお伺いしておきたい。
  55. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 私のことばが足らぬところがあったように思います。この点は注意をいたします。  私の申し上げたいのは、建設上にさような欠陥があったと申し上げたのではなくして、管理上の問題がある。もちろん、多目的ダムをつくる場合は、実用も含めて、電気その他かんがい用水等含めて、治水も含めていわゆる多目的ダムというものはつくられるわけであります。したがって、治水上の役割りをも多目的ダムはもちろん持っておるわけでありますが、ところが、管理上と申しますか、取り扱い上については、もちろん一定の基準があってこれを処理することになって、最近そのようなことが大体皆無であることを承知して、私は喜んでおります。問題は、私が申し上げましたのは、そういう多目的ダムというものと別個に、この治水ダムというもの、あるいは防災ダム、そういうものの建設をもっと併用すべきではないか。だから、多目的ダム自身を私は排斥するのではなくして、当然治水治山というたてまえから、山における防災、一もちろんこれも努力してやってきておりますけれども、治水ダムについてもこれはもっと積極的にやる必要があろう、こういう点を申し上げたのでありまして、いまのダムの建設上においていわゆる欠陥があるということを申し上げたのではないのであります。特に最近の災害は、もちろん本川を中心にして大きな災害になるわけでありますけれども、この本川の災害に至るまでには、いわゆる準用河川、支川等からの水の流量の問題がある。そういうことからして、かなり今後ほんとうに本格的に治水を遂行するためには、もちろん治水計画の改定に際しても治水ダムというものは相当重視しなければならぬ、こういう意味で申し上げたのでありまして、いわゆるダムについても総合対策が必要であるという観点で申し上げたのですが、ことばが少ないためにあるいは誤解がありましたろうが、今回の加治川については、いわゆる治水ダム専門としてやっていきたいというのが前建設大臣の意向でもあり、私もこの方針でやっていくべきであろう、かように考えているわけでございます。
  56. 片山武夫

    片山武夫君 これは、お考えはわかりましたが、速記録をちっと見ていただけばおわかりになると思うのですが、何か功利的な立場でこういうダムが建設されると、こういうことになりますと、これは国土建設上非常に問題があると思います。その点だけをお聞きしたがったのですが、それは間違いだとおっしゃるのですか。
  57. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) もし前の答弁とあとの答弁と食い違いがありますれば、あとの答弁のほうが正しいということで御了解願いたいと思います。
  58. 浅井亨

    浅井亨君 この間、福島県下宮城県下視察に行ってまいりましたが、南方町の蕪栗大沼というのですが、ここは干拓されたのですか、どうなんですか、それをまずお聞きし北いと思います。
  59. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 宮城県の蕪栗大沼につきましては、私ども現在手持ちの資料を持っておりませんので、詳細後刻調査をいたしたいと思います。
  60. 浅井亨

    浅井亨君 いまの御答弁ですと、詳しく御存じないんですか。じゃこの災害はいつあったのですか。
  61. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 台風四号の災害であったというふうに承知しております。
  62. 浅井亨

    浅井亨君 いつごろですか、日にち。
  63. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 六月の二十九日であったと承知しております。
  64. 浅井亨

    浅井亨君 六月の二十九日に災害があったと。それから今日までこのことについて御存じないというのは……。
  65. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私どもあるいは調査が不十分であるかもしれませんけれども、直接私どものところで取り上げて、この問題について十分案を練ってはおらないわけでございます。
  66. 浅井亨

    浅井亨君 そういう答弁は、私は不服ですよ。こちらから、参議院の対策委員として、現地に調査に行ったわけですよ。その以前に、もうすでに政府としてははっきりした調査を刻々と徴集する、またそれを調査すべきものじゃないのですか。現地の被災民というものは非常に困っている。そういう政治の姿勢というのが私は気に食わぬ。
  67. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いまおしかりを受けまして、私ども至急調査いたしておりますけれども、どうも農林災害でございますかどうか、あるいは河川災害でないかというふうにも思われまするので、至急調査をして、適当な機会に私御報告をいたしたいと思います。
  68. 浅井亨

    浅井亨君 河川災害であるか、農水関係であるか、そんなことがいまもってわからないというのは、そういうようなあり方でいいかというのです。災害は常に日本にはあります。そうするならば、そういうことについてはすべて調査もされておると思います。また、こちらから真剣に、被災民の方々の慰問にも行かれたであろうと思います。この南方町の被災は一番ひどかったと私は聞いております。現地は行ってみました。全滅なんです一だけれども、この問題がはたしていわゆる政府自身に責任のある場所であるかないかということを私は聞きたいのでいま質問しているわけなんです。それを知らないと、一番いわゆる災害のひどかったところが、私にはまだわからぬ、こういうことであっては、何のために委員会開かれたのやらさっぱりわけがわからぬ。
  69. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私ども災害が起こります場合には、人を派遣したり、あるいは現地からいろいろ報告を聞いて、一つ一つ対策を講じてまいっておるわけでございますが、この問題につきましては、私残念ながらただいまのところよく承知しておりません。しかし、御趣旨もございますから、至急建設省とも連絡をいたしまして、調査の上、対策について御報告を申し上げたいと思います。
  70. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいま上村総理府総務副長官から発言を求められておりますから、この際これを許します。
  71. 上村千一郎

    説明員上村千一郎君) 今回、はからずも総理府の総務副長官に任命をされました上村千一郎でございます。実はこの委員会とはきわめて関係の深い立場にあるものでございますし、委員の先生方にも何とぞよろしくお願いをいたしたい、ここに簡単ではございまするが、就任をいたしましたところのごあいさつをいたす次第でございます。たいへんありがとうございました。
  72. 永岡光治

    永岡光治君 関連。ただいまの南方の件ですが、農地局長御存じないと、こういう話で、現地から報告があってから、農林省はそういうことを検討するというような答弁にもとれるわけですが、実は私どもあそこは農地激甚災害地の適用を受けているところだということで、特に当委員会ではこの地を指定いたしまして視察に参ったわけですが、これは県当局からも報告されていないとすれば、たいへんな問題だと思いますが、その点を、何も言ってきていないのですか、明確にしていただきたいと思います。
  73. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 県当局からの報告はあるいはございますかもわかりませんけれども、私ここで県当局からの報告がないというふうに申し上げているわけではございません。私この問題につきまして、農地局長として十分検討ができておりませんから、至急調査の上御報告申し上げますというふうに申し上げておるわけでございます。
  74. 浅井亨

    浅井亨君 委員長にちょっとお伺いをいたしますが、きょうの委員会はどういう趣旨で開かれたのか、また政府とどのようなお話し合いの上に開かれたのか。
  75. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) きょうは、新潟と、それから石川、それから福島宮城派遣委員を出しております、そういうのと関連しての委員会でございます。
  76. 浅井亨

    浅井亨君 四十日たって知らないなんていうのは、それじゃ委員会でわれわれがもの申しまして、それから以後に調査して、それからやるのですか。そういうような政治姿勢なんですか。そんな話だったら、質問も何もできやしません。全くもって人民不在の政治だと言わざるを得ないというのはそこなんですよ。人のことだと思っているからそういうことになるのです。四十日も五十日もたって、それに対する対策を政府のほうからやるべきものじゃないですか。その至らざるところをわれわれが政府に対してこうしていただきたいと要望していくのがわれわれのいき方だと思うのです。それが四十日、五十日もたってまだわからない、質問する相手がないじゃないですか。質問できやしません。
  77. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと私からも申し上げますが、実は第二班の方たち福島県と宮城県に出張されました。しかも、そのときに、いまの南方町の町名をあげて、ここに行きますと、それは災害がひどいところですから行きますと、こういうふうに農林大臣あてに出しているわけです。そういうもの等を全然ごらんになっていないし、あるいはまたそういうような点について全然報告がないというようなことについては、ちょっと了解に苦しむわけです。ですから、その辺のところをもう少し農林省のほうとして、あなた農地関係だから農地のことしかわからぬというふうなことではなくて、災害対策委員会に出席されるわけですから、行政面のいろいろなことをおやりになることはそれはいいと思うのですが、もう少し高い視野に立っての御発言があってしかるべきじゃないかと思うのですが、ほんとうに何も知らぬのですか。
  78. 永岡光治

    永岡光治君 関連、もう一回。これは災害救助法適用されている地区なんです。いいですか、そして私どもが現地に参りましたならば、県知事のほうからも、あるいはその地元からも、関係当局からも、何としてもこれ救済していただきたいという熾烈な要望があるわけです。しかも、ここはもう一面の農地なんです。農地局長、ちょっと聞いておいてください、一面のここは農地なんです。壊滅的打撃を受けているところなんです。それを農地局が知らないとなると、これはもうまきに行政の堕落です。この点だけでもこれは明確にしておかなければならぬと私は思うのです。ほんとうにあなた知らないのですか、この問題を。県当局から何も報告がないのですか。たいへんな問題です、これは。どうなんですか、これは。
  79. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いまここで具体的にいろいろ申し上げる準備はございませんので、詳細至急調査の上対策等について御報告申し上げたいと思います。
  80. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  81. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こしてください。
  82. 浅井亨

    浅井亨君 いまお聞きしますと、何にも知らないで四十日、五十日たったということですが、そこらあたりがいまの政治姿勢に、いわゆる真の民衆の味方でない、ほんとうに現地における人々はどうなることだろうと考えているにもかかわらず、それを放置している。なおかつ、知らないということは、これはもはやいまの政府農民並びに庶民階級は眼中にないと、こう私は断定して間違いがないと、こういうふうに感ずるわけです。  いま知らないことを私が何ぼお聞きしましても、これは壁につぶてを打つようなもので、これは何にもなりません。音もなければ、何にも出ません。だから、私はきょうはこれでやめておきますけれども、このようなことであっては、ほんとうの災害災害だと、毎年毎年、災害災害——それに対する政策というものは、根本的に打ち立てられていないことも事実であるし、また、ことしより来年、来年より再来年へと、必ずしもこの災害を受けられた被災者方を救済していくという方法は打ち立てられないものであると私は信ずるよりほかに方法がない。そうであるならば、一日も早くりっぱな根本的対策をはっきり立てなければ、真の政治家とは言えない。日本には政治がないと言われてもしようがないと思う。この点をひとつ明らかにしていただいて、次の委員会までにこれをはっきりとして、その資料なりをひとつ全部提出していただきたい、こういうふうに思います。
  83. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) ただいまの御質問に対しまして、農地局長も全然これを知りませんし、災害課長がわずかに災害のあったことを知っておった程度でございます。それ以上のことはわからないということは、まことに農林省としては申しわけのないことでございます。  ただ、現在のこの時点におきまして想像されますることは、それが遊水池であるために、農業災害としてこれを見るかどうかという問題があったのかと思うわけでございます。すなわち、法の盲点ということがございますが、行政の盲点とでも言うべきものではなかろうかと想像をいたしております。  しかしながら、ただいま浅井委員の御発言のとおり、このようなことで農業災害に対処するというようなことでは、全く政治不在と言われてもいたしかたございません。次官として、直ちに農林省に対しまして至急調査を命じまして、次回の委員会までに明確なる答弁をいたさせることで、それまでお待ちを願いたい、かように存ずる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  84. 片山武夫

    片山武夫君 新潟県下並びに石川県下調査に当たりまして、具体的な問題二、三御質問申し上げたいと思うんです。  いろいろ各委員から御質問がありましたので重複する点は避けたいと思いますが、新潟県を調査に参りました際、実はいろいろ現地でも指摘されたわけなんですが、阿賀野川の切開を行ないまして水はけを行なったわけでありますが、あそこは将来、水路として残しておいたらどうか、こういったような意見が非常に多かったように聞いてまいりました。したがいまして、そういう問題について、将来、建設省として、水路として残しておく考えがあるかどうか、この点をひとつお伺いしたいわけであります。  なお、あの地域水害を見まして、ちょうど新発田中心にいたしまして、七号国道ですか、ずっと縦断しておるわけでございますが、あれと並行して鉄道線が敷設されておる。ちょうどあの水害のあった中心を大体通っているように見てきたのですが、これはしろうと考えで、当たっているかどうかは別として、あれがもう少し地盛りがしてあって高かったならば、あの水害は三分の一あるいは半分、こういったようなところで防止できたのではないかと、こういうふうな実は気がしたわけであります。そういう問題について、現地を見られて、今後の対策としてそういうことが研究の材料になるかどうか、そういうことを御検討になっておりましたならば、ひとつお答えを願いたいと思います。
  85. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 阿賀野川堤防の開削を七月二十四日行なったわけでございますが、これは加治川から入ってくる内水をはくために、農林省の新井郷川排水機とともに効能を発揮したものでありまして、その後湛水が非常に低下いたしまして、一応その目的を達したと思われましたので、われわれといたしましては、これは早急に阿賀野川の洪水に対処するために締め切りを早くやりたいというぐあいで、いま締め切りをやっている最中でございます。しかしながら、この新井郷川の排水系統を詳細に調べる必要があろうと思いますので、その排水系統を調べる段階におきまして、ここに水門をつくることが適切であるというぐあいに判定されれば、これは水門をつくることを検討してみたいというふうに考えております。ただいま締め切っておりますのは、切開した個所を、堤防のところだけ残しまして、前とうしろで締め切っております。したがいまして、将来水門をやれるような方法で締め切っておりますので、その点は支障のないように処置してございます。それだけあわせて御報告を申し上げておきます。
  86. 片山武夫

    片山武夫君 新潟県の問題はこのくらいにしておきまして、石川県の特に能登半島、あの辺の視察をしてきたのですが、御承知のように、能登半島は地形的にも突出しているところでございまして、梅雨前線が通るたびにここに停滞をして集中豪雨が起こる、こういう特殊な地形になっておるようであります。特に地すべり地帯として、そういう被害が常に起きているわけなのでありますが、先ほど来いろいろ御質問があったようですが、中小河川の対策というものが、これが一級河川指定によっておろそかにされる危険もあるのじゃないかと思います。特にそういう場合、石川県能登半島にある中小河川、これの対策は特別にしなければならない地形的なそういう問題が私はあるのではないかと思いますが、そういう点について具体的な対策があるかどうか、こういう問題と、特に地すべり地帯として指摘されておるわけでありますが、今回この対策によりまして地すべり地域指定されておったところは一応被害を免れて、そして指定されていないところに非常に被害が多かった。これは調査にあたって何か手落ちがあったのかどうか、そういうことが原因したのかどうか。今後こういう問題は、非常にこれは指定されて、そうした被害がなかったということでありますので、けっこうなことでありますが、たまたま指定外のところに被害が多かったということは、この調査にあたって何らかの手落ちがあったのじゃないか、そういう点があるのではないかと思いますが、そういう点について検討されたことがあるかどうか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  87. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 能登半島地区につきましては、富山県氷見町の対岸に当たるところでございまして、比較的地すべり地帯が多いわけでございまして、したがいまして、地すべり地区と指定したところにつきましては、それぞれ対策を行なっておりますが、なかなかこの地すべり地帯を雨のない段階で発見するということは非常に困難なことでございまして、日ごろ精密な調査を要するわけでございまして、今回のそういった地すべりの現象もありましたので、われわれとしましては、そういう定時の継続して観測することをつとめてみたいというふうに考えております。  なお、中小河川対策につきましては、能登半島につきまては、小又川その他の河川につきましてそれぞれ対策を講じておりますが、なかなか工事が進まなかったという点で災害を受けた河川もございます。また、工事ができていなかったために、工事を施行していなかったために災害が起きた河川もございます。そういう点につきましては、よく事情を調査いたしまして具体的な措置を考えたいと思う次第でございます。
  88. 片山武夫

    片山武夫君 いま一つは、能登半島で言われたことなんですが、これは能登半島ばかりではないのではないかと思いますが、まあ宅地造成——この宅地造成について、いろいろ各地でも地くずれ等、がけくずれ等起きておるわけなんでありますが、こういう問題について建設省としての指導あるいは監督といいますか、そういうのは一体どういうふうにやられておるか。特に石川県で聞きましたのは、公営でやったいわゆる造成地帯地すべりが起きた、こういったようなことが指摘されておる。そして被害が起きておるというわけなんでありますが、これはそれぞれ公団でもやっておりまするし、またそれぞれの建設業者もやっております。こういったようなものをおろそかにしておきますと、そういう大雨等のためにしばしば被害が起きるわけでありますけれども、これについての十分な監督、指導、そういう点について具体的にひとつ御説明を願いたいと思います。
  89. 角田正経

    説明員(角田正経君) 宅地造成に伴います危険が生じますような場合、現在宅地造成等規制法という法律がございまして、一定の危険の起こりそうな地域につきましては制限をかけまして、そこで工事をいたします際は、一定の技術基準によります石積みとか、そういうふうな危険のないような工事をしていただくように措置しているわけでございます。具体的にこの法律適用につきましては、私権の制限を相当きつく受けることになりますので、相当危険度の高いところについては指定をしておりますけれども、あまり広範囲に指定いたしますと、やはり問題が生ずるというふうなことで、これは公共団体からの申し出によりまして、必要に応じて指定をいたすようにいたしております。
  90. 温水三郎

    説明員(温水三郎君) この際、ごあいさつを一言申し上げたいと思います。  突然農林政務次官に命ぜられまして、農業のことはわかっておりますが、農政のことはよくわかっておりませんので、何とぞよろしく御指導をお願いいたしたいと思います。  なお、先ほど小柳委員からの御発言は、次官といたしましても、かねてからそう考えておりますので、早急に農林省で検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  91. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十五分散会