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1966-10-11 第52回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十一日(火曜日)    午後一時十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川野 三暁君     理 事                 小林 武治君                 松本 賢一君                 多田 省吾君     委 員                 木内 四郎君                 楠  正俊君                 天坊 裕彦君                 占部 秀男君                 小酒井義男君                 鈴木  壽君                 横川 正市君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治省選挙局長  降矢 敬義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法改正に関する調査(第四次選挙制度  審議会中間報告等に関する件)     —————————————
  2. 川野三暁

    委員長川野三暁君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  それでは公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。  第四次選挙制度審議会中間報告等に関する件について説明員説明を求めます。降矢選挙局長
  3. 降矢敬義

    説明員降矢敬義君) お手元に御配付申し上げました「第四次選挙制度審議会選挙制度に関する内閣総理大臣あて報告書等関係資料」に基づきまして、第四次審議会報告について御説明申し上げたいと思います。  一ページから、「選挙制度の改正に関する審議について」という表題がつけてございますが、これが報告書でございまして、八月の十六日に決定いたしまして、二十四日に総理大臣報告申し上げております。  この審議会報告は三つの部分に分かれておりまして、一つは「選挙区制改善について」、それから第二は「立候補制度選挙運動方法等改善について」、第三は「選挙手続改善について」、こうなっております。それでこの中身につきましては、さらに二七ページ以下に委員会委員長報告要旨ということで、それぞれ三部門に分けました審議の経過を詳細に報告されております。  「選挙区制改善について」から御説明申し上げたいと存じます。で、この点につきましては、御案内のとおり、第三次審議会及び第四次審議会を通じまして、第一委員会で主として議論されたわけでございますが、その考え方といたしましては、冒頭に書いてありますように、政党本位選挙制度の実現を期するという観点に立ちまして、同時に、国民の意思の公正な反映と政局の安定との調和をはかり、なお、与野党の協調が得られるというような観点から、選挙区制改善に関する審議が行なわれました。それで第三次審議会、第四次審議会を通じまして、各種の案がそれぞれ提案されたわけでございますが、大体十案が提案されております。それを第四次審議会の半ばに至りまして調整委員を設けて御審議した結果、この二ページに書いてあります小選挙比例代表併用制、小選挙区制、中選挙区二名制限連記投票制の三案に集約されたわけでございます。それでこの点につきまして順次御説明申し上げますが、便宜委員長報告を手がかりにいたしまして御説明したほうがよろしいと思いますので、さようにいたしたいと思いますが、その点は三四ページ以下になりますので、それをもとにして御説明申し上げます。  まず委員長報告の第一は、中選挙区制二名制限連記投票制をめぐる御論議でございます。これは宮沢委員及び島上特別委員の御提案になるものでございまして、その趣旨とするところは、現行制度を一挙に大改革して混乱を起こすべきではないという配慮のもとに、現行制度の弊害のおもなものといわれる同士打ちを緩和することを主眼に、漸進的、段階的、かつ、実施可能性のある現実的な方法として、現行選挙区制のもとに単記投票制を改めて、二名の制限連記投票制が適当である。そのねらいとするところは、政党政党の争いを現在よりもやりやすくするところにある。また、有権者の立場から見ましても、選択の幅が拡大する。また、少数党についても現在より著しく不利にならないという骨子提案されたわけでございます。この点につきましてのおもな論議は、三五ページの一番うしろのほうに書いてありますが、大体政党本位政策本位という選挙から見て、これがはたしてそれに沿うものかどうか。特に異党派投票——二名連記でございますが——党派を異にする投票というものが行なわれた場合に、それを有効にするか、無効にするか。この御提案趣旨は有効にするということになっておりますが、その点が政党本位立場からいたしましていかがかという御議論がここに述べられております。  それから第二は三七ページで、同士打ちが避けられるかという点でございますが、この点は五人区、四人区というようなものを前提にし、また異党派投票を認めるという点からいたしましてどうかという点が第二の議論であります。  第三は、三七ページの後段でありますが、政局の安定をはかることができるかどうかという点につきましていろいろの意見が述べられておりまして、結局、審議会のほうでは、この案は少数ということになっております。  それからその次は、単純小選挙制案並びに小選挙区と比例代表併用案というものについての御論議でございます。で、単純小選挙区は、現在の中選挙区を改めて全部一人一区の完全な小選挙区にしようということでございます。それから比例代表併用案につきましては、答申には詳しく書いてございますが、骨子を申し上げますと、現在の議員の総定数を四百八十八人ということにいたしております。これは一七ページのところにこの案の骨子になる定数が書いてございますが、これを見ていただきまして御説明申し上げたいと思います。  四百八十八人といたしております。これは神奈川県を現在より二名ふやしまして、このふやした方式につきましては、先年衆議院の定数是正をやりましたときの考え方に基づきまして、大体県の人口比の二倍程度の差を認めまして、アローアンスを認めました上で、神奈川県を二名ふやすということで四百八十八人としております。そのうち、小選挙区で選ばれる数を三百四十二人といたしまして、比例代表を百四十六人、こういうことにいたしております。投票は一人一票でございまして、小選挙区のほうは当然でございますが、同時に、その投ぜられた票は、都道府県の単位において政党ごとに集計をして比例配分の基礎にする。要するに、一人一票という方式候補者に投ずる、それが同時に政党に対する票というふうにいたしております。そしてその考え方は、小選挙区におきます得票数議席数のバランスをとるために、その比例代表によってそこを補っていこう、ひずみを是正するという考え方でございます。以下そういう骨子に基づきまして、この案によりますいろいろ御議論を三八ページ以下に詳細に御報告してありますので、その点を中心に御説明を申し上げたいと思います。  で、三八ページのうしろから三行目でありますが、この案につきまして、「両統一案の細部にわたる論議よりは、むしろ両統一案を含めて、選挙制度改善策についての基本的な考え方なりとりまとめの方向なりに論議の重点が向けられ」てまいりました。三次及び四次を通じて、この区制の問題が、先ほど御説明申し上げましたようないろいろな経過を経まして、結局、最後において議論になったのが、いま御説明申し上げたような点でございます。一ページだけ読ませていただきます。「すなわち、選挙制度の問題で与野党が激突することは、議会政治の危機を招くことになる。選挙制度議会政治の共通の土俵であるから、もっと与野党の最大公約数的な一致点を見出せるように考えるべきではないか。また、かりに与野党間において調整が不可能となり、結果として審議会独自の立場最善案を答申することとなる場合にも、国会において歩み寄りが期待でき、しかも国民が納得しうる案というものが考えられるのではないか」などの意見が述べられております。また、これに対しまして、「政情を考慮するという場合に、客観的にいつの時点で政情を考慮したらよいかわからないとか、政情を考慮するよりは純理論で考えるべきである。純理論を実行した場合の反動は大きいかもわからないが、その実効もまた大きいなどの意見も述べられ」ております。  「また、選挙区問題の核心は、区制を変えることによって多数党と小数党との利害がどうなるかということであり、もう一つは、政党本位選挙となるためには、どういう方法がよいかということである。そこで、審議を前進させるためには、多数党、少数党のそれぞれの立場を十分に考慮して議論をつくすことが必要であり、さらに、政党国民のなかに根をおろしていくためにはどのような選挙の仕組みがよいかについて掘り下げて審議すべきであるとの意見が述べられ」たわけでございます。その間、この四一ページには、渋谷特別委員からの御意見として、「改正案も時期尚早である」ということと、それからまた、「中選挙比例代表制は検討に価する」という意見が述べられております。それから島上委員からは、四一ページの一番最後から二行目でありますが、この「比例配分制併用案については、選挙をよくし、わが国の政治全体をよくするためには、選挙区制は、政権交替の道を開きうるような制度に改めることが必要であり、そのためには、現在の政権担当者をこれ以上有利かつ多数にすることは適当でないとの理由で賛成できない」と述べられております。  それでこの両案をめぐりまして、四二ページ以下に、「手直し案をめぐる論議」といたしまして、いろんな案が出ておるのでございます。中選挙比例代表制案名簿式でいこうというような意見あるいは小林与三次委員のように、比例代表制選挙される候補者の数は初めから予定しないでおいて、全部不足数は埋める、つまり議席数得票数のアンバランスを埋めるというようなかっこうを考えてはどうかというような意見、あるいは四四ページでありますが、まん中にございますように、挾間委員から、グラーベン式という方式でありまして、小選挙区制比例代表制を別々に考えて、小選挙区制で何人、比例代表制で何人というような一人二票制の制度をとってはどうかというような意見も述べられておるのでございます。こういう案を調整委員の段階でいろいろ調整いたしました結果、その他の議論が四七ページ以下に「調整案をめぐる論議」ということでいろいろ紹介されておりますが、そのときに問題になりました点を以下申し上げたいと思います。  四七ページのうしろから四行目の「併用方法併用の割合について」でございます。この四百八十八人に総定数をきめまして、小選挙定数を全体の七割、比例代表配分による定数を三割〉いうふうにしております。この点が一体七割でいいのか、三割でいいのかというようなこと。あるいは五割・五割にしたらどうかというような御者見もあったわけでございます。この調整提案者の考えは、要するに、小選挙区の長所と比例代表の利点を生かすということであって、特に四八ページのちょうどまん中ごろに書いてありますが、「併用の比率については七対三といわれるが、小選挙区「七割」、比例代表「三割」という意味ではなくて、国全体として三四二区の選挙選挙を行ない、同時に三四二議席比例代表制によって各政党に按分して不足があればこれを補充するという意味であって、この場合、一四六議席を用意すれば、その不足は十分に保障されることになろうというのが調整段階での多数意見であった」わけでございます。それから、総定数を四百八十八人にしたということでございます。これにつきましては、この都道府県の人口の差のアローアンスというものをどの程度まで置いたらいいのか、一・五倍にするとか、あるいは一・八倍にするとか、二倍にするとか、いろいろな意見がございまして、総定数全体が非常に変動するわけでございます。審議会としては、総定数は、いまのこの案におきましては、現行程度を考えるという考え方に立ちまして、四九ページの一番最後でありますが、「第二次審議会の際にとられた不均衡是正方式にならい、都道府県間の偏差が二倍以内となるよう是正を行なうこととした」のでございます。これに対しまして、一・五倍にしたらどうかとか、あるいは一・八倍にしたらどうかというような意見が述べられておるわけでございます。  それから、その次は五一ページの投票方法でございます。これは先ほども御説明いたしましたとおり、一人一票でありまして、一票は候補者に投ずるものでありますが、同時にそれが政党に対する投票となるわけでございます。この点につきましては、一人二票にするというような、いわば西ドイツ式考え方も述べられておりますが、この結論といたしましては、一人二票制にすることは異党派投票を生ずる可能性があって、政党本位選挙の理想からは少し遠くなるということで、これは五二ページの冒頭にそのことが書いてございますが、そういう議論で一人票制ということにいたしたのでございます。  それから第四は、当選人決定方法についてであります。一つは、有効投票の五%を政党が取らない場合には議席配分にあずかれないようにしようという五%条項というのが提案されてございます。しかし、この意味は、御案内のとおり、少数党群小政党の乱立をある程度チェックしようということで、これは西ドイツ選挙制度の中にあるわけでございますが、この点につきましては、実際五%条項を設けても、都道府県定数が二十名以上なければほとんど実際的に意味がないので、むしろ落としてはどうかという意見も以下述べられている点でございます。  それから、その次は五五ページであります。五五ページのまん中ごろの「比例代表で割り当てをうけた政党における当選人決定方法」でございます。結論は、政党にまかしてはどうかということでなっておりますけれども、なお、この点はいろいろ御議論のある点でありまして、結論から申し上げますと、そういう一応の趣旨はできましたけれども、五六ページのちょうど段落のところで、「今後さらに検討を加える」ということといたしております。つまり、政党にまかせるという場合に、政党比例代表をめぐって、割り当てられた数の中でどの候補者当選人となるかというときに政党に順位をつけさせるというような意見も出ておったわけでございますが、順位をつけるとすれば、つまり高順位の方についてはほとんど選挙するといわれてもあまりファイトがわかぬ、実際においては意味がないんじゃないか。そんならば落選人当選人との票の比率によって、比率の非常に高い者とあまり差のない者から当選するようにしたらどうかというような意見もいろいろ出たわけでございますが、その点はいまここですぐ結論を出し得るような状況にないので、「今後さらに検討を加える」、こういうふうに相なっております。  それから第六の議論であります。第六は、五六ページに書いてありますが、この併用方式をめぐりまして、主として社会党の島上先生から、実際自分が試算してみると必ずしも有利にならぬ、つまり、逆に言えば、大政党に非常に有利に作用するのだというようなことで、数字を出されていろいろ御議論になりました。また、調整委員の段階でも、一応の試算でございますが、そういう数字を出しまして、数字の御論議がありましたが、実際は三十八年の選挙とか、それから四十年の選挙等におきまして、政党の分野においても変動がございました。したがいまして、この五七ページの一番最後のところに議論の集約が書いてございます。五七ページのうしろから二行目でありますが、「これらの試算をめぐり有利・不利論が種々かわされましたが、この併用方式案を採用した場合に政党別得票数がどのように変化するかを正確に推計することは困難である、有利・不利はなにを基準にして判断するのか、すなわち、現在の勢力分野に対してか、また、実際の得票率に比例しないということなのか、その基準をはっきりさせなければならない、ことに、どちらの試算の結果も一概にその数字を信用することはできない」などの意見が述べられましたのでございます。  以上がこの小選挙区制の三提案につきましていろいろ御議論があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、審議会としては委員会において採決することをせず、お手元に配付いたしましたような報告書を了承した次第でございます。  それから、その次の第二は、「立候補制度選挙運動方法等改善について」でございます。これは四ページに書いていますので、短いものでございますので読ませていただきます。「立候補制度選挙連動方法その他選挙制度一般改善については、政党本位選挙の実現を期することに主眼を置いて、選挙区制審議方向をも考えながら、鋭意、審議を重ねた結果、政党の要件、政党候補者の選定および立候補制度については、おおむねその大綱がとりまとめられたが、選挙運動および政治活動のあり方、連座制その他罰則の強化、高級公務員立候補制限等については、なお今後の検討に残されることとなった。」。この点につきましては、第二委員会報告といたしまして六三ページ以下にその点が書かれておりますが、その点を要約して申し上げるようにいたしたいと存じます。  で、一つは六七ページの「政党の要件」についてでございます。この政党本位選挙制度というのを考えます場合に、政党をどういうふうに選挙制度の中で取り上げるか、そもそも政党をどう考えるかという御議論が第三次審議会から続いておるのでございますが、六七ページの後段、一番最後の行であります。「もともと、政党に関する法律上の取扱いをどうするかということは、政党法の立案にもつうずる基本的な大問題でありますが、当委員会としては、立候補の手続、選挙運動の規制などの面から最少限度必要な事項に限って選挙法のなかにとり入れることといたしました。」この点は、大体この委員会としては意見の一致を見た点でございます。  そこで政党につきましていろいろ御議論がありますけれども、意見の一致を見た点は、七〇ページでございます。七〇ページに、政党というものをどういうふうに考えるかという一応のまとまった案が書かれております。それは、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくは反対し、又は国の選挙に参加することにより、国民政治的意思の形成に協力することを本来の目的とする団体で党員(党員名簿に登載され、かつ、党費を納入している選挙人をいう。)によって構成され、かつ、次の各号の一に掲げる要件に適合するものとして、自治大臣確認書の交付を受けたもの」をこの選挙制度政党として考えようと、こういうことになっております。「一」、「二」、「三」は省略させていただきます。  そういう一応の政党考え方をとりまして、以下「政党候補者の選定」でございます。これにつきましてはいろいろ御議論がありましたが、七二ページの段落のところでありまして、いろいろ政党内部事情の問題もあるので、結局、一番最後の行では、「党則の定めるところにより候補者として選定された者でなければならない」程度のものにとどめたようにいたしております。つまり、党の党則に全部おまかせしよう、こういう考え方でございます。  それから次に立候補制度でありますが、この立候補制度についてもいろいろありましたが、七四ページであります。七四ページの段落のところでありますが、この政党所属候補者につきましては、すべて政党の推薦、届け出によるものとするということについては異論のないところでありました。ただ、一体無所属候補者についてはどうするかということについて以下いろいろ御議論があったのでございますが、七五ページのうしろから五行目であります。「結局、この問題は、無所属候補者についても、例外として、一定数以上の選挙人の署名のもとに推薦届出をすることができることといたしました。」たてまえは、政党の推薦、無所属候補者についても例外的に認めよう、こういうことにいたしております。  それから次に、七六ページに、当選した議員の党籍変更等についていろいろ御議論がありましたけれども、これは全部留保されております。無所属立候補したあとで党籍変更という問題についての御議論はありましたが、七七ページの第一行目に書いてあるのですが、「一応、保留」となっております。  供託金制度についてはこれを残しておく。それから七七ページの一番最後に、「供託金の金額を合理的な額まで引き上げるという点につきましては、異論のなかったところであります」。  その次は、七八ページ。以下、「選挙運動及び政治活動について」でございますが、この選挙連動につきましては、いろいろこのスタートは書いてございますが、結局、具体の論議といたしましては、八二ページ以下に順次順を追うて書いてあるわけでございます。八二ページの第一は、「選挙運動の期間に関する制限」であります。つまり、事前運動選挙運動の時期をどう考えるかと、こういうことでありまして、これはまあ選挙運動全体を自由化方向に持っていくかどうかということときわめて関連がある問題でございます。この点につきましては、いずれにいたしましても非常に御議論がありまして、直ちにこの事前運動制度を撤廃するということは、選挙費用、あるいはもっと言えば、八四ページ冒頭にも書いてありますが、選挙区荒らしが激しくなるとか選挙を毒するとか御議論もありまして、結局、結論といたしましては、留保になっておるのでございます。この点は非常に御議論が重ねられたようでございますが、私はこの議論に参加しておりません、途中交代いたしましたので。記録で読みますと、相当議論がかわされておりますけれども、結論といたしまして、もう少し考えるということで保留になっております。  それから、次は八六ページの「文書図画による選挙運動」の問題であります。この文書図画につきましても、もう少し全体を自由化方向で考えてはどうかという提案——柏提案が基調になっておりますが、この点につきましても、現在の公営その他の関連、その他いろいろ御議論がありまして、結局、その結論としては、全体として保留になっておる点でございます。で、文書図画で一番議論になりましたのは、八八ページ以下に二ページにわたって書いてあります。新聞雑誌の表現の自由の濫用禁止規定選挙法の中に、百四十八条にただし書きが書いてありますけれども、この規定は、新聞社その他の方面からは、むしろこの規定があるために、変に、報道評論の自由というものが、まあ簡単に言えば、ある場合には新聞社に申し入れを受けたり抗議を受けたりするのであって、むしろ当然表現の自由の範囲内で新聞は選挙に関する報道評論をやるので、こういうただし書き、あいまいな規定を設けるべきではない。むしろラジオその他と比較いたしましても不当ではないかという御議論がここ二ページにわたって書いてあるわけでございますが、この点につきましても結論保留になっております。  それから第三は、この八九ページの、「言論による選挙運動について」でございます。これは、提案された趣旨は、できるだけ言論による選挙運動というものを自由にしようという趣旨からいたしまして、九〇ページの三行目に書いてありますように、「現行個人演説会回数制限および第三者主催演説会に関する制限を撤廃し、街頭演説についても、その態様、選挙運動員の数のいかんを問わず自由にできることとしよう」というのが柏村提案趣旨でございますが、この点につきましても相当御議論がございまして、結論保留というかっこうになっておるのでございます。  それから九四ページに飛ばさせていただきまして、第四は、「言論、文書以外の選挙運動方法制限」でございます。ここでは、まあ特に議論になりましたのは戸別訪問で、もっと戸別訪問を自由にすべきだという御意見をめぐりましての御議論でございます。戸別訪問につきましては自由化するという方向の御意見といたしましては、常時政党がその政策の普及宣伝につとめるのは本来の任務であって、そのためにはこれが非常にいい方法だと、こういうことでございます。で、これにつきましてはこの九五ページのうしろから三行目に警察庁、法務省の非公式な意見もここに聞きまして掲載してありますが、いずれにいたしましても、両者の意見といたしましては、選挙運動全体の自由化という方向程度その他と関連いたしまして取り扱いたいということでございます。たとえば九六ページのうしろから三行目に警察庁の意見の取りまとめが書いてあるのでございますが、戸別訪問を自由化するとしても選挙運動全般の取り扱いはどうするかということと関連して考慮すべきであるというような趣旨で述べられておりまして、この点も相当御議論がありましたが、審議会としては保留になっておる次第でございます。  まあ、その他いろいろございますが省略させていただきまして、次は一〇一ページの第五、「選挙運動費用に関する制限」であります。で、これは本来、まあ選挙運動方法をどの程度自由化するか、あるいは事前運動をどの程度制限を撤廃するかということと非常に関連がある問題でございまして、もとよりこれは結論を出さずに出ておる次第でございます。  それから、これに関連いたしまして、一〇三ページの「選挙公営」でございます。この点につきましても、全体として時間がなくなりましたので、選挙公営については突っ込んだ御議論はございませんでした。むしろ、提案になりましたのは、この一〇四ページに書いてありますような政党に対する公営というものをどう考えていくかということから、ラジオ・テレビによる政党の政策放送とかその他のことが提案になっておりますが、この点については十分の審議を経るに至らなかった次第でございます。これがこの第二の問題のおもな中身でございます。  それからその次の第三は、選挙手続改善についてでございますが、これはすでに法案として御決議をいただきました選挙人名簿制度は施行されましたが、もう一つ不在者投票制度その他の選挙手続の合理化についてこの委員会審議することになっておりましたけれども、この点もやはり時間の関係から不在者投票まで入ることができなかった次第でございます。  以上、三部門に分けました審議会報告の概要を御説明申し上げましたが、その報告最後に——五ページをお開き願いたいと思いますが、五ページのうしろから二行目に——以下読ませていただきます。「以上が、選挙制度の改正に関する審議の大要であるが、衆議院の選挙区制改善については、国会の構成として両院制度を採っている建前上、参議院の選挙制度の基本的な改善方向とにらみ合わせて考えることが必要であり、また、区制改正に伴う選挙区の具体的区割および政党本位の運動方法に関する改善策と併せて、その最終的な結論を決定すべきものと考える。」というふうに審議会としてはまとめまして、お話し申し上げましたように、報告を八月十六日に提案した次第でございます。  以上、簡単でございますが、説明にかえさしていただきます。
  4. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  5. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記を始めてください。  以上で本件についての説明は終わりました。本件に関する質疑は、これを後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会