○
説明員(
降矢敬義君) お手元に御配付申し上げました「第四次
選挙制度審議会の
選挙制度に関する
内閣総理大臣あて報告書等関係資料」に基づきまして、第四次
審議会の
報告について御
説明申し上げたいと思います。
一ページから、「
選挙制度の改正に関する
審議について」という表題がつけてございますが、これが
報告書でございまして、八月の十六日に決定いたしまして、二十四日に
総理大臣に
報告申し上げております。
この
審議会の
報告は三つの部分に分かれておりまして、
一つは「
選挙区制の
改善について」、それから第二は「
立候補制度、
選挙運動の
方法等の
改善について」、第三は「
選挙手続の
改善について」、こうなっております。それでこの中身につきましては、さらに二七ページ以下に
委員会の
委員長の
報告要旨ということで、それぞれ三部門に分けました
審議の経過を詳細に
報告されております。
「
選挙区制の
改善について」から御
説明申し上げたいと存じます。で、この点につきましては、御案内のとおり、第三次
審議会及び第四次
審議会を通じまして、第一
委員会で主として
議論されたわけでございますが、その
考え方といたしましては、冒頭に書いてありますように、
政党本位の
選挙制度の実現を期するという観点に立ちまして、同時に、
国民の意思の公正な反映と政局の安定との調和をはかり、なお、
与野党の協調が得られるというような観点から、
選挙区制の
改善に関する
審議が行なわれました。それで第三次
審議会、第四次
審議会を通じまして、各種の案がそれぞれ
提案されたわけでございますが、大体十案が
提案されております。それを第四次
審議会の半ばに至りまして
調整委員を設けて御
審議した結果、この二ページに書いてあります小
選挙区
比例代表併用制、小
選挙区制、中
選挙区二名
制限連記投票制の三案に集約されたわけでございます。それでこの点につきまして順次御
説明申し上げますが、
便宜委員長の
報告を手がかりにいたしまして御
説明したほうがよろしいと思いますので、さようにいたしたいと思いますが、その点は三四ページ以下になりますので、それをもとにして御
説明申し上げます。
まず
委員長の
報告の第一は、中
選挙区制二名
制限連記投票制をめぐる御
論議でございます。これは
宮沢委員及び
島上特別委員の御
提案になるものでございまして、その
趣旨とするところは、
現行制度を一挙に大改革して混乱を起こすべきではないという配慮のもとに、
現行制度の弊害のおもなものといわれる
同士打ちを緩和することを主眼に、漸進的、段階的、かつ、
実施可能性のある現実的な
方法として、
現行中
選挙区制のもとに
単記投票制を改めて、二名の
制限連記投票制が適当である。そのねらいとするところは、
政党対
政党の争いを現在よりもやりやすくするところにある。また、有権者の
立場から見ましても、選択の幅が拡大する。また、
少数党についても現在より著しく不利にならないという
骨子で
提案されたわけでございます。この点につきましてのおもな
論議は、三五ページの一番
うしろのほうに書いてありますが、大体
政党本位、
政策本位という
選挙から見て、これがはたしてそれに沿うものかどうか。特に異
党派投票——二名
連記でございますが
——党派を異にする
投票というものが行なわれた場合に、それを有効にするか、無効にするか。この御
提案の
趣旨は有効にするということになっておりますが、その点が
政党本位の
立場からいたしましていかがかという御
議論がここに述べられております。
それから第二は三七ページで、
同士打ちが避けられるかという点でございますが、この点は五人区、四人区というようなものを前提にし、また異
党派投票を認めるという点からいたしましてどうかという点が第二の
議論であります。
第三は、三七ページの後段でありますが、政局の安定をはかることができるかどうかという点につきましていろいろの
意見が述べられておりまして、結局、
審議会のほうでは、この案は少数ということになっております。
それからその次は、単純小
選挙区
制案並びに小
選挙区と
比例代表併用案というものについての御
論議でございます。で、単純小
選挙区は、現在の中
選挙区を改めて全部一人一区の完全な小
選挙区にしようということでございます。それから
比例代表併用案につきましては、答申には詳しく書いてございますが、
骨子を申し上げますと、現在の議員の総
定数を四百八十八人ということにいたしております。これは一七ページのところにこの案の
骨子になる
定数が書いてございますが、これを見ていただきまして御
説明申し上げたいと思います。
四百八十八人といたしております。これは
神奈川県を現在より二名ふやしまして、このふやした
方式につきましては、先年衆議院の
定数是正をやりましたときの
考え方に基づきまして、大体県の
人口比の二倍
程度の差を認めまして、
アローアンスを認めました上で、
神奈川県を二名ふやすということで四百八十八人としております。そのうち、小
選挙区で選ばれる数を三百四十二人といたしまして、
比例代表を百四十六人、こういうことにいたしております。
投票は一人一票でございまして、小
選挙区のほうは当然でございますが、同時に、その投ぜられた票は、
都道府県の単位において
政党ごとに集計をして
比例配分の基礎にする。要するに、一人一票という
方式で
候補者に投ずる、それが同時に
政党に対する票というふうにいたしております。そしてその
考え方は、小
選挙区におきます
得票数と
議席数のバランスをとるために、その
比例代表によってそこを補っていこう、ひずみを是正するという
考え方でございます。以下そういう
骨子に基づきまして、この案によりますいろいろ御
議論を三八ページ以下に詳細に御
報告してありますので、その点を中心に御
説明を申し上げたいと思います。
で、三八ページの
うしろから三行目でありますが、この案につきまして、「両
統一案の細部にわたる
論議よりは、むしろ両
統一案を含めて、
選挙区
制度の
改善策についての基本的な
考え方なりとりまとめの
方向なりに
論議の重点が向けられ」てまいりました。三次及び四次を通じて、この
区制の問題が、先ほど御
説明申し上げましたようないろいろな経過を経まして、結局、
最後において
議論になったのが、いま御
説明申し上げたような点でございます。一ページだけ読ませていただきます。「すなわち、
選挙制度の問題で
与野党が激突することは、
議会政治の危機を招くことになる。
選挙制度は
議会政治の共通の土俵であるから、もっと
与野党の最大公約数的な
一致点を見出せるように考えるべきではないか。また、かりに
与野党間において調整が不可能となり、結果として
審議会独自の
立場で
最善案を答申することとなる場合にも、国会において歩み寄りが期待でき、しかも
国民が納得しうる案というものが考えられるのではないか」などの
意見が述べられております。また、これに対しまして、「政情を考慮するという場合に、客観的にいつの時点で政情を考慮したらよいかわからないとか、政情を考慮するよりは
純理論で考えるべきである。
純理論を実行した場合の反動は大きいかもわからないが、その実効もまた大きいなどの
意見も述べられ」ております。
「また、
選挙区問題の核心は、
区制を変えることによって多数党と
小数党との利害がどうなるかということであり、もう
一つは、
政党本位の
選挙となるためには、どういう
方法がよいかということである。そこで、
審議を前進させるためには、多数党、
少数党のそれぞれの
立場を十分に考慮して
議論をつくすことが必要であり、さらに、
政党が
国民のなかに根をおろしていくためにはどのような
選挙の仕組みがよいかについて掘り下げて
審議すべきであるとの
意見が述べられ」たわけでございます。その間、この四一ページには、
渋谷特別委員からの御
意見として、「
改正案も時期尚早である」ということと、それからまた、「中
選挙区
比例代表制は検討に価する」という
意見が述べられております。それから
島上委員からは、四一ページの一番
最後から二行目でありますが、この「
比例配分制の
併用案については、
選挙をよくし、わが国の
政治全体をよくするためには、
選挙区制は、
政権交替の道を開きうるような
制度に改めることが必要であり、そのためには、現在の
政権担当者をこれ以上有利かつ多数にすることは適当でないとの理由で賛成できない」と述べられております。
それでこの両案をめぐりまして、四二ページ以下に、「
手直し案をめぐる
論議」といたしまして、いろんな案が出ておるのでございます。中
選挙区
比例代表制案で
名簿式でいこうというような
意見あるいは
小林与三次委員のように、
比例代表制で
選挙される
候補者の数は初めから予定しないでおいて、全部
不足数は埋める、つまり
議席数と
得票数のアンバランスを埋めるというような
かっこうを考えてはどうかというような
意見、あるいは四四ページでありますが、
まん中にございますように、
挾間委員から、
グラーベン式という
方式でありまして、小
選挙区制と
比例代表制を別々に考えて、小
選挙区制で何人、
比例代表制で何人というような一人二票制の
制度をとってはどうかというような
意見も述べられておるのでございます。こういう案を
調整委員の段階でいろいろ調整いたしました結果、その他の
議論が四七ページ以下に「
調整案をめぐる
論議」ということでいろいろ紹介されておりますが、そのときに問題になりました点を以下申し上げたいと思います。
四七ページの
うしろから四行目の「
併用の
方法と
併用の割合について」でございます。この四百八十八人に総
定数をきめまして、小
選挙区
定数を全体の七割、
比例代表の
配分による
定数を三割〉いうふうにしております。この点が一体七割でいいのか、三割でいいのかというようなこと。あるいは五割・五割にしたらどうかというような御者見もあったわけでございます。この
調整提案者の考えは、要するに、小
選挙区の長所と
比例代表の利点を生かすということであって、特に四八ページのちょうど
まん中ごろに書いてありますが、「
併用の比率については七対三といわれるが、小
選挙区「七割」、
比例代表「三割」という
意味ではなくて、国全体として三四二区の
選挙区
選挙を行ない、同時に三四二
議席を
比例代表制によって各
政党に按分して不足があればこれを補充するという
意味であって、この場合、一四六
議席を用意すれば、その不足は十分に保障されることになろうというのが
調整段階での多数
意見であった」わけでございます。それから、総
定数を四百八十八人にしたということでございます。これにつきましては、この
都道府県の人口の差の
アローアンスというものをどの
程度まで置いたらいいのか、一・五倍にするとか、あるいは一・八倍にするとか、二倍にするとか、いろいろな
意見がございまして、総
定数全体が非常に変動するわけでございます。
審議会としては、総
定数は、いまのこの案におきましては、
現行程度を考えるという
考え方に立ちまして、四九ページの一番
最後でありますが、「第二次
審議会の際にとられた不
均衡是正方式にならい、
都道府県間の偏差が二倍以内となるよう是正を行なうこととした」のでございます。これに対しまして、一・五倍にしたらどうかとか、あるいは一・八倍にしたらどうかというような
意見が述べられておるわけでございます。
それから、その次は五一ページの
投票方法でございます。これは先ほども御
説明いたしましたとおり、一人一票でありまして、一票は
候補者に投ずるものでありますが、同時にそれが
政党に対する
投票となるわけでございます。この点につきましては、一人二票にするというような、いわば
西ドイツ式の
考え方も述べられておりますが、この
結論といたしましては、一人二票制にすることは異
党派投票を生ずる
可能性があって、
政党本位の
選挙の理想からは少し遠くなるということで、これは五二ページの冒頭にそのことが書いてございますが、そういう
議論で一人票制ということにいたしたのでございます。
それから第四は、
当選人の
決定方法についてであります。
一つは、
有効投票の五%を
政党が取らない場合には
議席の
配分にあずかれないようにしようという五%条項というのが
提案されてございます。しかし、この
意味は、御案内のとおり、
少数党の
群小政党の乱立をある
程度チェックしようということで、これは
西ドイツの
選挙制度の中にあるわけでございますが、この点につきましては、実際五%条項を設けても、
都道府県の
定数が二十名以上なければほとんど実際的に
意味がないので、むしろ落としてはどうかという
意見も以下述べられている点でございます。
それから、その次は五五ページであります。五五ページの
まん中ごろの「
比例代表で割り当てをうけた
政党における
当選人の
決定方法」でございます。
結論は、
政党にまかしてはどうかということでなっておりますけれども、なお、この点はいろいろ御
議論のある点でありまして、
結論から申し上げますと、そういう一応の
趣旨はできましたけれども、五六ページのちょうど段落のところで、「今後さらに検討を加える」ということといたしております。つまり、
政党にまかせるという場合に、
政党が
比例代表をめぐって、割り当てられた数の中でどの
候補者が
当選人となるかというときに
政党に順位をつけさせるというような
意見も出ておったわけでございますが、順位をつけるとすれば、つまり高順位の方についてはほとんど
選挙するといわれてもあまりファイトがわかぬ、実際においては
意味がないんじゃないか。そんならば
落選人と
当選人との票の比率によって、比率の非常に高い者と
あまり差のない者から当選するようにしたらどうかというような
意見もいろいろ出たわけでございますが、その点はいまここですぐ
結論を出し得るような状況にないので、「今後さらに検討を加える」、こういうふうに相なっております。
それから第六の
議論であります。第六は、五六ページに書いてありますが、この
併用方式をめぐりまして、主として社会党の
島上先生から、実際自分が試算してみると必ずしも有利にならぬ、つまり、逆に言えば、大
政党に非常に有利に作用するのだというようなことで、数字を出されていろいろ御
議論になりました。また、
調整委員の段階でも、一応の試算でございますが、そういう数字を出しまして、数字の御
論議がありましたが、実際は三十八年の
選挙とか、それから四十年の
選挙等におきまして、
政党の分野においても変動がございました。したがいまして、この五七ページの一番
最後のところに
議論の集約が書いてございます。五七ページの
うしろから二行目でありますが、「これらの試算をめぐり有利・
不利論が種々かわされましたが、この
併用方式案を採用した場合に
政党別得票数がどのように変化するかを正確に推計することは困難である、有利・不利はなにを基準にして判断するのか、すなわち、現在の
勢力分野に対してか、また、実際の
得票率に比例しないということなのか、その基準をはっきりさせなければならない、ことに、どちらの試算の結果も一概にその数字を信用することはできない」などの
意見が述べられましたのでございます。
以上がこの小
選挙区制の三
提案につきましていろいろ御
議論があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、
審議会としては
委員会において採決することをせず、お手元に配付いたしましたような
報告書を了承した次第でございます。
それから、その次の第二は、「
立候補制度、
選挙運動の
方法等の
改善について」でございます。これは四ページに書いていますので、短いものでございますので読ませていただきます。「
立候補制度、
選挙連動の
方法その他
選挙制度一般の
改善については、
政党本位の
選挙の実現を期することに主眼を置いて、
選挙区制の
審議の
方向をも考えながら、鋭意、
審議を重ねた結果、
政党の要件、
政党の
候補者の選定および
立候補制度については、おおむねその大綱がとりまとめられたが、
選挙運動および
政治活動のあり方、
連座制その他罰則の強化、
高級公務員の
立候補制限等については、なお今後の検討に残されることとなった。」。この点につきましては、第二
委員会の
報告といたしまして六三ページ以下にその点が書かれておりますが、その点を要約して申し上げるようにいたしたいと存じます。
で、
一つは六七ページの「
政党の要件」についてでございます。この
政党本位の
選挙制度というのを考えます場合に、
政党をどういうふうに
選挙制度の中で取り上げるか、そもそも
政党をどう考えるかという御
議論が第三次
審議会から続いておるのでございますが、六七ページの後段、一番
最後の行であります。「もともと、
政党に関する法律上の取扱いをどうするかということは、
政党法の立案にもつうずる基本的な大問題でありますが、当
委員会としては、
立候補の手続、
選挙運動の規制などの面から最少限度必要な事項に限って
選挙法のなかにとり入れることといたしました。」この点は、大体この
委員会としては
意見の一致を見た点でございます。
そこで
政党につきましていろいろ御
議論がありますけれども、
意見の一致を見た点は、七〇ページでございます。七〇ページに、
政党というものをどういうふうに考えるかという一応のまとまった案が書かれております。それは、「
政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくは反対し、又は国の
選挙に参加することにより、
国民の
政治的意思の形成に協力することを本来の目的とする団体で党員(
党員名簿に登載され、かつ、党費を納入している
選挙人をいう。)によって構成され、かつ、次の各号の一に掲げる要件に適合するものとして、
自治大臣の
確認書の交付を受けたもの」をこの
選挙制度上
政党として考えようと、こういうことになっております。「一」、「二」、「三」は省略させていただきます。
そういう一応の
政党の
考え方をとりまして、以下「
政党の
候補者の選定」でございます。これにつきましてはいろいろ御
議論がありましたが、七二ページの段落のところでありまして、いろいろ
政党の
内部事情の問題もあるので、結局、一番
最後の行では、「党則の定めるところにより
候補者として選定された者でなければならない」
程度のものにとどめたようにいたしております。つまり、党の党則に全部おまかせしよう、こういう
考え方でございます。
それから次に
立候補制度でありますが、この
立候補制度についてもいろいろありましたが、七四ページであります。七四ページの段落のところでありますが、この
政党所属候補者につきましては、すべて
政党の推薦、届け出によるものとするということについては異論のないところでありました。ただ、一体
無所属候補者についてはどうするかということについて以下いろいろ御
議論があったのでございますが、七五ページの
うしろから
五行目であります。「結局、この問題は、
無所属候補者についても、例外として、
一定数以上の
選挙人の署名のもとに
推薦届出をすることができることといたしました。」たてまえは、
政党の推薦、
無所属候補者についても例外的に認めよう、こういうことにいたしております。
それから次に、七六ページに、当選した議員の
党籍変更等についていろいろ御
議論がありましたけれども、これは全部留保されております。
無所属で
立候補したあとで
党籍変更という問題についての御
議論はありましたが、七七ページの第
一行目に書いてあるのですが、「一応、
保留」となっております。
供託金制度についてはこれを残しておく。それから七七ページの一番
最後に、「
供託金の金額を合理的な額まで引き上げるという点につきましては、異論のなかったところであります」。
その次は、七八ページ。以下、「
選挙運動及び
政治活動について」でございますが、この
選挙連動につきましては、いろいろこのスタートは書いてございますが、結局、具体の
論議といたしましては、八二ページ以下に順次順を追うて書いてあるわけでございます。八二ページの第一は、「
選挙運動の期間に関する
制限」であります。つまり、
事前運動、
選挙運動の時期をどう考えるかと、こういうことでありまして、これはまあ
選挙運動全体を
自由化の
方向に持っていくかどうかということときわめて関連がある問題でございます。この点につきましては、いずれにいたしましても非常に御
議論がありまして、直ちにこの
事前運動の
制度を撤廃するということは、
選挙費用、あるいはもっと言えば、八四ページ冒頭にも書いてありますが、
選挙区荒らしが激しくなるとか
選挙を毒するとか御
議論もありまして、結局、
結論といたしましては、留保になっておるのでございます。この点は非常に御
議論が重ねられたようでございますが、私はこの
議論に参加しておりません、途中交代いたしましたので。記録で読みますと、相当
議論がかわされておりますけれども、
結論といたしまして、もう少し考えるということで
保留になっております。
それから、次は八六ページの「
文書図画による
選挙運動」の問題であります。この
文書図画につきましても、もう少し全体を
自由化の
方向で考えてはどうかという
提案——柏村
提案が基調になっておりますが、この点につきましても、現在の公営その他の関連、その他いろいろ御
議論がありまして、結局、その
結論としては、全体として
保留になっておる点でございます。で、
文書図画で一番
議論になりましたのは、八八ページ以下に二ページにわたって書いてあります。
新聞雑誌の表現の自由の
濫用禁止規定が
選挙法の中に、百四十八条に
ただし書きが書いてありますけれども、この
規定は、
新聞社その他の方面からは、むしろこの
規定があるために、変に、
報道評論の自由というものが、まあ簡単に言えば、ある場合には
新聞社に申し入れを受けたり抗議を受けたりするのであって、むしろ当然表現の自由の範囲内で新聞は
選挙に関する
報道評論をやるので、こういう
ただし書き、あいまいな
規定を設けるべきではない。むしろラジオその他と比較いたしましても不当ではないかという御
議論がここ二ページにわたって書いてあるわけでございますが、この点につきましても
結論は
保留になっております。
それから第三は、この八九ページの、「言論による
選挙運動について」でございます。これは、
提案された
趣旨は、できるだけ言論による
選挙運動というものを自由にしようという
趣旨からいたしまして、九〇ページの三行目に書いてありますように、「
現行の
個人演説会の
回数制限および
第三者主催の
演説会に関する
制限を撤廃し、
街頭演説についても、その態様、
選挙運動員の数のいかんを問わず自由にできることとしよう」というのが柏村
提案の
趣旨でございますが、この点につきましても相当御
議論がございまして、
結論は
保留という
かっこうになっておるのでございます。
それから九四ページに飛ばさせていただきまして、第四は、「言論、文書以外の
選挙運動の
方法の
制限」でございます。ここでは、まあ特に
議論になりましたのは戸別訪問で、もっと戸別訪問を自由にすべきだという御
意見をめぐりましての御
議論でございます。戸別訪問につきましては
自由化するという
方向の御
意見といたしましては、常時
政党がその政策の普及宣伝につとめるのは本来の任務であって、そのためにはこれが非常にいい
方法だと、こういうことでございます。で、これにつきましてはこの九五ページの
うしろから三行目に警察庁、法務省の非公式な
意見もここに聞きまして掲載してありますが、いずれにいたしましても、両者の
意見といたしましては、
選挙運動全体の
自由化という
方向の
程度その他と関連いたしまして取り扱いたいということでございます。たとえば九六ページの
うしろから三行目に警察庁の
意見の取りまとめが書いてあるのでございますが、戸別訪問を
自由化するとしても
選挙運動全般の取り扱いはどうするかということと関連して考慮すべきであるというような
趣旨で述べられておりまして、この点も相当御
議論がありましたが、
審議会としては
保留になっておる次第でございます。
まあ、その他いろいろございますが省略させていただきまして、次は一〇一ページの第五、「
選挙運動費用に関する
制限」であります。で、これは本来、まあ
選挙運動の
方法をどの
程度自由化するか、あるいは
事前運動をどの
程度制限を撤廃するかということと非常に関連がある問題でございまして、もとよりこれは
結論を出さずに出ておる次第でございます。
それから、これに関連いたしまして、一〇三ページの「
選挙公営」でございます。この点につきましても、全体として時間がなくなりましたので、
選挙公営については突っ込んだ御
議論はございませんでした。むしろ、
提案になりましたのは、この一〇四ページに書いてありますような
政党に対する公営というものをどう考えていくかということから、ラジオ・テレビによる
政党の政策放送とかその他のことが
提案になっておりますが、この点については十分の
審議を経るに至らなかった次第でございます。これがこの第二の問題のおもな中身でございます。
それからその次の第三は、
選挙手続の
改善についてでございますが、これはすでに法案として御決議をいただきました
選挙人名簿
制度は施行されましたが、もう
一つ不在者
投票制度その他の
選挙手続の合理化についてこの
委員会は
審議することになっておりましたけれども、この点もやはり時間の関係から不在者
投票まで入ることができなかった次第でございます。
以上、三部門に分けました
審議会の
報告の概要を御
説明申し上げましたが、その
報告の
最後に——五ページをお開き願いたいと思いますが、五ページの
うしろから二行目に——以下読ませていただきます。「以上が、
選挙制度の改正に関する
審議の大要であるが、衆議院の
選挙区制の
改善については、国会の構成として両院
制度を採っている建前上、参議院の
選挙制度の基本的な
改善の
方向とにらみ合わせて考えることが必要であり、また、
区制改正に伴う
選挙区の具体的区割および
政党本位の運動
方法に関する
改善策と併せて、その最終的な
結論を決定すべきものと考える。」というふうに
審議会としてはまとめまして、お話し申し上げましたように、
報告を八月十六日に
提案した次第でございます。
以上、簡単でございますが、
説明にかえさしていただきます。