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1966-09-27 第52回国会 参議院 決算委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年九月二十七日(火曜日)    午前十一時五分開会     —————————————    委員異動  九月二十七日     辞任         補欠選任      佐野 芳雄君     北村  暢君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 仲原 善一君                 八木 一郎君                 相澤 重明君                 竹田 現照君                 二宮 文造君     委 員                 木内 四郎君                 熊谷太三郎君                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 内藤誉三郎君                 野知 浩之君                 稲葉 誠一君                 大森 創造君                 岡  三郎君                 北村  暢君                 柴谷  要君                 藤原 道子君                 岩間 正男君                 石本  茂君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君        農 林 大 臣  松野 頼三君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        法務大臣官房経        理部長      勝尾 鐐三君        法務省刑事局刑        事課長      石原 一彦君        法務省刑事局公        安課長      常井  善君        法務省入国管理        局長       八木 正男君        大蔵政務次官   小沢 辰男君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        海堀 洋平君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        厚生省国立公園        局長       大崎  康君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農地局長  和田 正明君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        林野庁長官    若林 正武君        会計検査院事務        総局第四局長   小熊 孝次君        会計検査院事務        総局第五局長   保川  遜君        日本専売公社総        裁        東海林武雄君        日本専売公社企        画部長      高村健一郎君    参考人        農林漁業金融公        庫総裁      大沢  融君        日本開発銀行副        総裁       石原 周夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣  提出) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第五十一回国会内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十一回国会内閣提出)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  九月二十七日、佐野芳雄君が委員を辞任され、その補欠として北村暢君が選任されました。     —————————————
  3. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  昭和三十九年度決算外二件(大蔵省の部)の審査のため、農林中央金庫の役職員出席を求めその意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたします。本日は、午前日本専売公社、午後大蔵省決算について審査を行ないます。これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  7. 竹田現照

    竹田現照君 最初に、具体的な問題に入る前に、ここ一週間ほどの間にたばこ値上げ問題がとやかく報ぜられておりますが、これに対して大蔵省専売公社考え方を率直にまず最初にお聞きしておきたいと思います。
  8. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 私、答弁の前に、去る八月二十日大蔵政務次官になりました小沢でございます。諸先生に今後とも御指導、御鞭撻をいただきますようにお願いを申し上げ、ごあいさつを申し上げておきます。  ただいま竹田委員からの御質問でございますが、たばこの値段につきましては、御承知のように、値上げ改定後から見ましても十年間、現価格と同じであったときからいいますと十五年、ほとんど改定をいたしておりません。それとたばこ消費税地方、中央の配分問題その他からいいましていろいろ議論のあることは事実でございます。しかしながら、この問題は明年度予算編成のいろいろ問題でございますので、目下慎重に検討しているというのが実情でございますが、物価の問題等考えまして、私どもとしては消極的な方向であることだけはここで申し上げておきたいと思います。
  9. 竹田現照

    竹田現照君 それで少しく詳しく聞きたいと思いますが、値上げの論拠が専売納付金伸び悩みが理由になっているといういまのお話ですが、いま出されている三十九年度決算を見ましても、三十九年度で千六百五十一億、予算に対して約五・八%の増加になっているという資料提出があります。予算よりは上回っていることは事実でありますが、来年度予算編成にも関係があろうかと思いますが、四十年度実績というものは一体どういうふうになっておりますか。
  10. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 数字説明になりますので、専売監理官からお答えさしていただきます。
  11. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 四十年度決算に基づく納付金は千七百九十二億七千百万円となっております。
  12. 竹田現照

    竹田現照君 それは予算に対してはどういうことになっていますか。
  13. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 予算額が千六百四十二億八千四百万でございまして、対予算増加額は百四十九億八千七百万となっております。
  14. 竹田現照

    竹田現照君 そうしますと、三十九年度も、四十年度も、特に四十年度は百五十億から予算より多くなっている。そうすると、納付金予算よりも上回っているという限りでは、いまこの言われているような値上げを云々する理由というものは現在のところなさそうな気がいたしますけれども、そういうふうに理解してよろしいですか。
  15. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) おっしゃるように、国庫納付金につきましては、予算より大幅に減少しているような事実もございませんし、順調であるわけでございます。しかしながら、先生も御承知のように、たばこ地方に対する消費税の還元問題、いろいろな点から見まして、政府税制調査会一つ意見が出ていることは事実でございますし、またこういう点はいろいろとそうした専門家意見等もございましたので、私いま早急に政府側として先生の御意見にそのとおりであるというふうにお答えするわけにいきませんけれども、私ども年度予算編成につきましては、今年度の補正とも全体と見合いまして、大臣が十月の十日にお帰りになる予定でございますので、その後早急にいろんな角度から慎重に検討したいというのがいまの気持ちでございます。
  16. 竹田現照

    竹田現照君 それで、大蔵省態度としてお聞きしたいのですが、この純利益伸びだけいま納付金の額が伸びてないということは事実ですけれども、両者の伸びというのは大体並行していかなければならぬという原則は、大蔵省はそういうような原則はお持ちになっていらっしゃるのですか。純利益専売納付金伸びの率というものは大体並行していかなければならぬものかどうか。
  17. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 専門的な問題でございますので、専売監理官、また公社のほうからも来ておりますので、お答えさしていただきます。
  18. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 基本的にたばこ財政専売でございまして、したがいまして、財政的な需要といいますか、歳入の必要から議論されることになろうかと思うのでございますが、ただ現実には経費——経費といいましても、主として葉たばこが年々相当に上がっておりますので、たばこのたぶん売り上げに応じて利益がバランスして伸びているかという御質問だろうと思うのですが、売り上げ伸びに比例しまして利益伸びはそれほどまではいっておりません。いってない事情はここ数年続いておりますが、したがって、伸びなければいかぬという立場をとっておるわけではございませんで、現実専売たばこ売り上げ伸び納付金伸びというものを比べますと、売り上げ伸びのほうが高くて納付金伸びはそれに及んでいないという実情でございます。その理由は、原価——原価のうちで特に葉たばこ価格相当にここ数年上がってきておるということが原因となりまして、売り上げ伸び利益伸びはパラレルにはいっておりません。
  19. 竹田現照

    竹田現照君 たばこ消費税率が来年から上がることになっておるのだそうですね。それが納付金との、国と地方とが逆転をする、そのことが財政専売原則に照らしてちょっとおかしいというような論議も税調の中にあるように言われておりますけれども、これはいかがですか。
  20. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 国の専売制度でございまして、国に対する納付金地方税に当たりますたばこ消費税の額は、現在のところ専売納付金のほうが大きいわけでございますが、もし来年度、これは仮定の問題でございますが、ことしの特例交付金の二百四十億というものが消費税のほうに肩がわりしたといたしますと、国への納付金のほうが少なくて消費税のほうが多いという姿になろうかと思います。これは仮定の問題でございますが。しかし、それが直ちに——姿としてはおかしいかもしれませんが、直ちにだからあくまで国の専売なんだから納付金のほうを多くしなければいかぬ、したがって云々ということにはならないと思います。そういうことで税調議論されているのではございません。税調のおもな議論は、非常にこのごろたばこ原価が上がってきていて、したがって、消費税といいますか、課税部門、それは納付金地方消費税を含めました課税部分が縮小してきているではないか、現実的には相当な減税が行なわれているわけではないか、その点について検討してみてはどうかというふうな議論であったと承知いたしております。
  21. 竹田現照

    竹田現照君 いまの段階考え方はわかりました。  それで、具体的な問題を一、二お伺いいたしますが、この専売納付金が、年度末における保有資金が少なくなって、国庫余裕金を借入して毎年納めている。これは年々同額くらいの借入金になっているわけですね。そういうことは、結局一年分くらい穴があいていくという、そういうようなことになってきているわけですけれども、これは現状ではいたし方ないのか、あるいはこれを何とか改善をしなければならないものなのか、こういう点について大蔵省側見解と、納付資金が減っている根本的な原因というか、理由というか、この点について……。
  22. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 初めに、資金が窮屈になった理由でございますが、これは専売納付金を納める場合に、要するに損益上の利益から固定資産として増加した分、この分だけは資金的に固定資産になっているからということで控除いたしまして、利益から固定資産増加分のみを控除した額を納めさしているわけでございます。したがいまして、葉たばこというふうな作業資産利益在庫になっている分は控除を認めていないものですから、葉たばこ在庫が多くなるにつれまして資金的に窮屈になってきているわけでございます。  現在の状況は、四十年度の年末に約三百二十億程度長期借り入れ金をいたしまして、年を越しましたことしの年末は一応七百八十億程度長期借り入れ予定いたしております。この現在の制度のままでございましたら、料金改定でもして非常に資金繰りを助けるような何らかのことがない限り、だんだん窮屈になっていくわけでございます。このままとても放置できませんので、速急に——一般会計財政事情もありますので、直ちに在庫となります葉たばこの分を控除できるかどうかは非常に疑問がありますが、公社の金繰りをこのまま放置することはできませんので、何らかの解決をいたしたいということで、現在鋭意検討いたしております。
  23. 竹田現照

    竹田現照君 その方法というものは、具体的にはまだいまの段階説明できませんか。
  24. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 現在とられている方法は、御承知と思いますが、運用部から長期借り入れを認めているわけでございます。これも一つ方法であることは現実にとられていることでおわかりと思うのでございますが、これも一つ方法でございます。ただこの方法だけが唯一の方法かという点につきまして現在いろんな点を検討いたしておりまして、まだちょっとどういう方途をとることが一番妥当かということにつきまして大蔵省内の意見がまとまっておりませんので、まとまり次第またお答えいたしたいと思います。
  25. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃいま行なっている事業五課年計画における資金計画というのはどうなっていますか。
  26. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 詳しく正規に——事業五カ年計画自体公社の非公式なものでございますので、したがいまして正規に資金計画を検討いたしたことはございません。これにはいろんな仮定が入りますので、たとえば葉たばこはどの程度値上がりを見るのか、あるいは値上がりをしないのかというふうな、たとえ長期計画売り上げ高仮定いたしましても、葉たばこ購入量、それから価格、それによって大きく資金計画が左右されるわけでございます。ただおよその概算をいたしますと、来年度葉たばこ関係がまだ相当ふえますので、その面からは約四百億程度資金繰りを圧迫するのじゃなかろうかと思います。その後は三百億から二百五十億程度の間で毎年在庫がやはり数年間は累増していくという形が一応予想されております。しかし、これは葉たばこの買い付けの量と価格に非常に関係がありますので、現在はある仮定を置いて概算してみた数字でございますので、現実にはまた違ったことになろうかと思います。
  27. 竹田現照

    竹田現照君 ではこれは公社側に最後にお聞きしますけれども、この間私が旅費予算に関する資料要求をいたしまして、それも拝見いたしましたが、そのほかの各費目も同じなんですが、専売公社予算決算の差というものが非常に多いのですね。多いなんていうもんじゃないのですね。たいへんな違いがあるんですが、これはまあ公社予算弾力性がある、あり過ぎるのかどうかわかりませんけれども、こういうようなことについて一日の委員会でも——公社側見解はいま資料と一緒にお聞きいたしますけれども会計検査院のこれに対する考え方、それから大蔵省が年々専売公社予算編成をする際に、私は三十六年度から五年間のいま資料を求めましたけれども、いま三十九年度だけかと思ったんですが、ずっと三十六年にさかのぼっても同じような状態になっているわけですけれども、それでなおかつ予算編成に何ら改善しておらない、こういうことがずっと恒常的になっているというような、こういうことに対する見解もあわせて求めておったわけですけれども、それについて見解が示されておりませんから、ひとつ検査院のほうからまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  28. 保川遜

    説明員(保川遜君) われわれの立場で申し上げますと、われわれ、決算の済んだあとで決算内容を見る、こういうことで旅費その他資産検査いたしておるわけであります。まあ通常国一般会計あたり検査でも、非常に流用が多いと、流用が多ければ何か当初予想できない事態があったのかどうか、あるいは予想はできたけれども何かへまなことがあったのじゃないか、そういった面で検査はやっておるわけであります。ただ公社関係におきましては、いま先生お話しのとおり、非常にまあ企業経理としての弾力性を持っておるということで、一般会計とは必ずしも同一に論ずるわけにまいりませんけれども、そういう目では一応決算についての検査をいたしております。まあただいままでのところ、そういう観点から不当であるというような事態はわれわれ報告を受けておりません。ただ全体として、いまお示しのように、あまり予算決算が違い過ぎるということは、これは好ましい事態じゃない、好ましい姿じゃないとわれわれは考えております。まあこの点につきましてはいろいろ大蔵省とも折衝の機会がございますので、そういうような機会を見ましていろいろ相談はいたしておるわけであります。まあ、ずっと三十六年以降の決算を見ましても、そういった点は若干ずつでも改善方向にあるのじゃないか、こう考えております。
  29. 竹田現照

    竹田現照君 いまの検査院説明さっぱりわかりません。改善方向にあるという御説明でしたけれども、たとえば私がいただいた旅費の過去三十六年以降のやつを見ましても、一つもこれは改善をされておらないのですよ。検査院はどういうふうに改善されておるというふうにつかんでおるか、具体的に数字でもあげてひとつ説明してください。
  30. 保川遜

    説明員(保川遜君) 各費目ごとにはそれぞれのばらつきがございますが、全体から申しまして、まあ予算額決算額との比率というものは、三十六年度、三十七年度から見ますと、三十九年度比率が低下しておると、こういうことで、若干ずつでもその方向に行っておるというふうにお答えいたしたわけです。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 それは費目を合計するとまあ一三四%と、たとえば旅費なんかですね、こういうふうにはなっておるのです、その部分的だけに。しかしこれは、私は旅費だけやっていますが、消耗品費、あるいはまたたとえば四十年度の問題も、業務費なんというものは、予算実行計画というものは、予算が通った直後の実行計画においてすでに予算をオーバーして、一三〇%からの実行計画を立てておるわけですね、予算の通った直後。ですから、大体予算というのはあってなきがごとき状態で、こういうようなことはいまの検査院説明では私は納得がいかない。大蔵省は、この予算編成のときに、専売公社予算編成にどういうふうな態度をとっておるのですか。
  32. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 公社予算につきましては、公社としての弾力性を保持させるために、この現在議論されております旅費は、目の中の、目のまたさらに下の区分、昔は節と言っておりましたところに当たるわけでございます。もちろん予算参照書にその節までを出しておりまして、その節につきましてもできるだけ公社事業予定を反映するようにつとめるべきでございまして、その実績がこのように予算と乖離しておることは決して好ましい姿ではないし、また予算内容の積算というものが現実を反映してなかったという責めは負わざるを得ないと思います。形式的には公社の自由に流用できる費目でございますけれども、今後の予算編成にあたりましては、そういう事業実態経費の使い方の実態というものをできるだけ参考にいたしまして、妥当な予算を組んでいくべきであるというふうに考えております。
  33. 竹田現照

    竹田現照君 どうも私は、三十九年度だけでしたらそんなことはあまり突っ込みたくないのですけれども、先ほどから言っておるように、三十六年度からの資料をずっと拝見しましても一向に改まっておらないがゆえにこのことを聞いているのですよ。ですから、公社が私に出した資料の中でいろいろと説明が書いてあります。公務員の旅費規程が上がったからだとか、あるいは研修関係を二つを予定しておったのが二十二工場に全部やったとか、まあいろいろなことを、葉たばこが大豊作年次でどうだこうだと、まあいろいろ書いております。書いているにいたしましても、これは勘ぐって言うわけでありませんけれども、これは消耗品費、あるいはまた旅費、こういうようなものは、予算に対比して三十六年度は十九倍、三十七年度は二十六倍、三十八年度は八倍、三十九年度は約十倍、一貫してあるのですよ。とりわけ私があえてなぜこんなことを聞くかというと、どうも選挙なんかのある年にはべらぼうに多いわけですね。この旅費なんというものは実際は、端的に質問いたしますけれども、これは去年以来専売公社のいろいろな経理について、いまもってわれわれも納得しておりませんが、国民の皆さんも去年以来騒がれている事件について納得をしておらない、検察がどうあろうとしても。こういうようなところが大体疑惑になるべき金が出る根拠なんですね。ですから、いまの説明だけでは私はわからぬですよ。たとえ旅費規程が改正になったからとしても、実に約三十倍近い予算決算との差があるなんというばかげた予算というものは私は現実の問題としてないと思うのですよ、いくら弾力性があり流用が可能だとしても。ですから、その点はもう少し明確に答えていただきたい、公社側からも。
  34. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) いま御質問の中で、改善されていないじゃないかというお話がございましたけれども、このお手元に差し上げました表でごらん願いましてもわかりますように、予算実績との割合からいたしますと、三十六年度が六五%になっておりますが、三十七年度にはそれが落ちまして五八・五五%、三十八年度が六八・九五、三十九年度には七四・五六、四十年度では八六・二二と、こういうような成績が出ておりまして、まあこの面からいきますというと改善されたと申し上げてよかろうかと思うんであります。本来から申しますというと、これはまあよけいなことを申し上げるようでありますが、予算決算との対比というものはそんなに違うはずのものじゃございません。つまり、予算統制のたてまえからいきますというと、まあかりに流用ができるにいたしましても非帯な特別の場合を除いてはそんなに大きな動きが出るわけのものではないんでありますが、今後この面につきましては十分注意いたしまして、だんだん予算実績との差というものがない、特別の事情のない限りはそういうことの起こらないように注意していきたいと考えておる次第でございます。
  35. 竹田現照

    竹田現照君 総裁トータルで率を言うのですが、先ほどの検査院と同じなんです。幾つか合わせてトータルでは確かに百何十何%減っている面があることは私も認めます。ただ、私は疑問だからあえてお聞きするのですけれども、たとえば一例として葉たばこ乾燥費なんというものは、これは最大なんですけれども、これは率直に言ってどういうように使うのですか、この旅費ですよ。
  36. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) この再乾燥費と申しますのは、ちょうど三十九年度がそうなんでありますが、乾燥工場におけるスレッシャー脱穀方式と申しますか、そういうものを採用いたしまして、これが予算の当初におきましては二十二工場中二工場だけ適用しようということでありましたが、需要の面からいきますというと相当これは急速に急がなければならないということで、二十二工場全体にこれを適用するということにしたのであります。そういう意味から、再乾燥費研修、それから訓練と申しますか、そういう面で非常な旅費が膨張しているというふうに相なったのであります。
  37. 竹田現照

    竹田現照君 それが、私は三十九年度に関する限りでしたら、提出された資料説明でわかります。しかし、これは二工場が二十二工場になったから、三十九年度では約十倍の予算がオーバーした。ところが、三十八年度、三十七年度、三十六年度は、同じような事情があったのですか。三十八年度は八倍ですよ。三十七年度は実に二十六倍、三十六年度は十九倍、そうすると、三十九年度の二工場を二十二工場にした、そういう特例的な説明でなく——ちょっとわからぬわけですね。ですから、私が先ほど疑問に思ったようなことが、どうもこういうようなものに名をかりて、研修とか何とかうまいことを言っていろいろな金が流用されている。旅費の規程改正で二倍ぐらいになったというならちょっとわかりますけれども、二十六倍、二十倍なんていうのはちょっと常識外の流用だと思うのですけれども、これはどうですか。総裁の就任前のことですけれども
  38. 高村健一郎

    説明員高村健一郎君) 再燥工場と申しますのは、御承知かと思いますが、収納しました葉たばこをもう一度プロセスする公社の小さい工場でありまして、これはここ数十年と申しますか、戦後ほとんどもう手を入れておりません。非常に、事業の規模といたしましても、内容といたしましても、古めかしい、小さい工場であったわけでございます。これを三十六年度以降の長期計画の実行編成に基づきまして、実行に移します段階で、新しいスレッシャー方式に切りかえますために、全工場を合理化することにいたしまして、各工場逐次その計画に移っております。そういう関係もございまして、従来ですと、この関係の人の出入り、いろいろな管理上の打ち合わせ等は、ほとんどがルーティンワークでございましたのが、そういう合理化の関係上、全工場にわたりまして、ひんぱんにいろいろな打ち合わせ、研修、あるいは労務管理関係旅費等が必要になってまいります。一方予算の面におきましては、これはまあ私どもの不手ぎわでもございますが、依然として昔のままの非常に少ない数——御案内のように、わずか数十万円、百万円程度予算しかできておりませんために、率を見ますと非常に大きな開きが出てまいっておりますが、そういう事情でございますので……。
  39. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連。いまの説明を聞いておると、委員納得させる資料に乏しいわけです。三十九年度の例をあげて、三十九年度の場合ならば、新しい機械を入れたら確かに必要だったろう。それで、その前とその前はどうなんだ。こういう点については一つ説明がないわけです。そういうことでは、ただ予算上の旅費の計上が少ないから多くなったという理由にはならぬわけです。これは先ほどの監理官の説明も聞いておったが、監理官は実際に専売公社予算編成の際に、前年の実績といわゆる予算決算の上に立って新年度予算を組むわけです。ところが、新年度予算編成の際に、実際は公社の提示したものがほとんどうのみにされている、こういうような印象しか受けない、先ほどの説明を聞いていると。資金計画についても、十分な資金というものを計画をされておらぬというような私どもは印象を受けるわけです。それがいまのような形に、これは計数上ですから、これはもうはっきりしている事実なんだから、大蔵省がどう答弁しようと、専売公社が答弁しようと、現実に出ているものがこれは数字になっているのだから。そうすると、一体この予算編成というものはどうなっているのか、こういうことになるから、これはきょうはしかりおく程度でやむを得ぬと思うのですが、これはしかしこういうことではいけませんよ。これはさっき総裁も言った。総裁も初めてだからしかたがないけれども、こんなことでもって答弁されたら、国会はこれは承認できませんよ。いくら款項目をつくっても、どんぶり勘定になるような形は、これは絶対許されない。そういう意味で、せっかく示された資料だけでも、こういうことをいま竹田委員質問しているが、その質問に実際内容が十分説明のできるようにしなければ私はいかぬと思うのですよ。いませっかく説明を受けたけれども、そういう点は不十分であるから、今後はそういう答弁でなくて、やはり委員納得させる説明のできるようにひとつしてもらいたい。予算編成には、特にそういう款項目を流用しなければならぬ場合のことも考えて私どもはやはり予算編成をしなければならぬと思う。  それからいま一つは、会計検査院に言っておきますが、会計検査院は実際には検査をしても何も改善意見を出していないのですが、そんなことでどうするのか。三十六年から実際にこれ出してもらっているのだ。あとでもってもっとよく実際に調査をして、そうして改善意見のあるものは改善意見を出す。そうしてやはりだれが聞いても、公社が一生懸命やっていることが、事実その努力が実るようにしていくべきではないかと思うのです。会計検査院の答弁も、それは不十分。もっと勉強してもらわなければ困る。それだけ言っておきます。答弁は監理官から。
  40. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 二点ございましたと思うのでありますが、初めは資金の手当ての問題でございますが、現在のところ葉たばこ在庫を運用する経費についての控除を認めていないために資金繰りが窮屈になっている。これは現在のところは資金運用部から長期の貸し付けを行なうということで手当てをいたしております。ただ、こういう姿が一番最善の姿かどうかという点につきましては、政府部内でもいろいろと議論がございますので、現在一番妥当な方法はどういう方法がいいのかということについて検討をいたしております。現在資金手当てがついていないというのじゃございませんのですが 現在の資金手当ての方法が最善の方法であるかどうかということについてもう一度基本的に検討いたしたいと思いまして、現在鋭意検討いたしております。できるだけ早い機会に結論を得たいというふうに考えております。  それから予算旅費、これは各日の中の節の問題でございますが、予算の内訳として国会にも提示いたしております。その予算の実行が、非常に予算決算が離れているということは決して好ましい姿でないということは、御指摘のとおりであろうと思います。それには、使う側の公社のほうも予算にできるだけ即していただくとともに、予算編成をつかさどっております大蔵省のほうでもその実績を十分に研究いたしまして妥当なものは取り入れて予算編成していくべき筋合いのものであろうと思いますので、今後十分注意いたしたいと思います。
  41. 竹田現照

    竹田現照君 いま総括質問のような、答弁のようなのがありましたけれども、私からも先ほどから言っているように、きわめて業務費であるとかこういうところは官公庁予算の盲点です。しかもなおかつ、こういうところがいろいろと疑惑を招く金の使い方であることは事実です。それが、私が指摘したように、さながらどんぶり勘定そのものです。それですから、去年以来の専売公社に対する疑惑というようなものを晴らすためにもこの点は厳正に予算執行をしていただきたいし、来年度予算編成以降からも、大蔵省としても専売公社予算の立て方について十分な配慮をしていただくようにお願いをして私の質問を終わります。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと、この問題については私も前に質問したわけですが、大蔵省の主計官はいないか。——問題は、いま言われたとおりに、決算予算の幅があり過ぎるということについてですね、これはずいぶん言われておるわけですよ、いまに始まったことではないと思います。検査院のほうとしても、それはかなり指摘してあると思うのです。ところが、実効面であがっていないのは一体どうなんだということになるわけですね。いまの説明を聞いていても、実際納得できないです。実績表を見てみても、明らかにこの数字で、三十六年度においても、三十七年度においても、予算実績とはうんと違っているのに、次の年には同じような予算をぽんと置いているわけですね。実績なんというものはさらに考慮の外にあるというふうに思われてもしかたがないと思うのです。それを弾力性ということばで逃げるということは、私は許されないと思います。いかに専売公社が損する商売じゃないから、したがってその点については弾力性があるということばでかなりいろいろな面において流用できるというところに問題点が私はあると思うのです。だから、たばこ値上げをしようというならば、専売公社自体ももうちょっときびしい姿勢で国民に対してやっぱり明確にそういう点はしてもらわぬと困ると思うのです。そういう点で、いまそこであごを動かして合点のような形をしておりますが、これは言うただけでなかなか直さないのです。これはどっちが悪いのか、大蔵省の主計官のほうが悪いのか、まあその程度にしておけと、どうせこれはふくらんでくるのだから合わそうと思ってもなかなか大蔵省としては専売公社実態として合わせられないのかどうか。まあその程度にしておけというならば、これは大蔵省のほうの予算をつくるほうの怠慢に私はなると思うのです。というのは、専売のほうから出した予算そのものを適当にひとつ認めておこうという程度で、ほかの各省についてはきびしい大蔵省が、いかに専売益金の総本山といったってこれはあまりにもルーズ過ぎるということを、これはしばしば言われておると思うのです。一体こういうふうになっていなければならないわけを私は聞きたいのです、逆に。直す、直すと言って直せないわけを聞きたいのです。これはだれから聞いたらいいのかね、東海林総裁から聞いても……。なぜこれは直せないのかね。大蔵政務次官じゃ、これは専門外でできぬというようなことになるかもわからぬが、大蔵政務次官、一体どうなんです。直す意思があって、主計官のほうでまあその程度にしておけと言っているのか、大蔵省のほうで、一ぺんに直せないから漸次やりますということでうのみにしてここへきているのか、予算決算の幅が違い過ぎる理屈が私はわからない。弾力性ということばだけでは私は納得できない。で、質問をすると、それはやはり、お説ごもっともで、漸次そういうふうにやりますということで、数字上には少しずつなっているような形になっておりますが、根本的な精神が直っていないのですよ、根本的な精神が。これは総裁、それから会計検査院ですね、一体いかなる事情があってそういうものがぴちっとできないのか。ほかの省で言うと、旅費なんといったらぴちっといってなかなかやかましいですよ。ほかの省は金をもうけていないからきびしい、この専売はうんともうけていて財政に寄与していてくれるからそこら辺は弾力性があるなんといったら、たいへんなことになると思うのです。この点どうなんですか、直しますと言ったって。
  43. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) どういう理由かというのは、両方あろうかと思います。大蔵省として改めなければいけないという面も多々あろうかと思います。たとえば、先ほど御指摘のありましたたばこ乾燥費の中の旅費というふうなのは、これは実績を見て十分に実績を尊重して予算編成に当たればすぐにも矯正できる面だろうと思います。ただ、直ちにその実績をそのままに大蔵省として認めていくかという問題になりますと、これはやはりその実績を分析しまして、これだけでもやれるんではないかというやはり意見も入ってくると思います。したがって、両方から接近していく、大蔵省実績をできるだけ尊重するとともに、公社の側でもできるだけ予算に即して——できるだけでございます。できない面はしかたがございません。できるだけ予算に即して実行していただくということで、この差を縮めていくことになろうかと思うんでございますが、ただ、先ほど御指摘のありましたような、実情に即さない面は直ちに来年度からでも是正するようにつとめたいと思っております。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がありませんから簡単に……。あんたの言うことを聞いていても、何が何だかさっぱりわからぬ。両方からさや寄せして何とか直しますと言っておるけれども実態は、かなり膨張しても、次の年は同じだ。意見の食い違いがあるならば、そこでけんかが起きるべきなのに、またその実績を認めているわけです。これは八百長じゃないですか、逆に言うと。これは大蔵省専売同じ穴のムジナと言うとおこられてしまうけれども、これは八百長じゃないですか。ほかの省がこれをやったら、これはとんでもないことで、そんなものはまた認められるわけがないと思うのです。ところが、さや寄せするほうが認めちゃって、またもとと同じようにそのふくらんでいるものを認めて、そして予算はこの程度にしておけということです。これは端的に言うと、予算というのは目の子でちょっと出しておけ、あとはまあその点は弾力性をもって適当にやれ、それはあとで認めてやるからということにとらざるを得ない。だから、いまあんたが言うているようになっていないじゃないですか。あんた何のためにそこで答弁しているのかお聞きしたいのです。なってないことを何べんもやっておいてしらばくれて、両方からさや寄せすると言っても、さや寄せできていれば私はいいと思う、さや寄せしてないです。これは専売公社総裁東海林さん、一体あんたの考え方を聞きたい。つまり予算提出するほうの心がまえがどうなのか、これを受けた大蔵省がどうなのかということになってくるというと、やっぱり本尊はあんたのところだと思う。だからその点でやはり、きちっとこの実績でやってみたところが、これは甘かったからだんだんだんだん実績を次の予算にするとふくらんできてしまうから大蔵省は困るという、きまっていま言ったことばで。しかし、少なくとも専売公社も何十年やっててそんなに目見当がつけられないということ自体おかしいと思う。長期にわたる実績というものがあるわけですから、その中において一体どういう指数をとって、この限度において出張できると、これで大体専売益金というものを確保できるということになってくれば、そこからちゃんと一つ数字というものはきちっと出てくる。そうすれば、いま竹田君が言われたように、選挙のときに二十六倍もの出張旅費が出るというばかげたことにならぬと私は思う。それは憶測であるかどうかということは、やっぱり数字が物語っておりますから、その点で、東海林総裁は民間から出ておられて、こんなばかげた予算の構成というものは、これはでたらめだなと思っておると思うのですが、いかがですか。それはどういうふうに直されるか、そのお考えを聞きたい。
  45. 東海林武雄

    説明員東海林武雄君) 当初に申し上げましたように、民間のことを申し上げちゃ恐縮でありますけれども予算統制ということを非常にやかましく言っております。そういう面から見ますというと、こういう差が出るということが、いろんな事情があるにしましても、差が出過ぎるということは先ほど申し上げました。今後この問題につきましては、実績をよく勘案して、大蔵省と打ち合わせて、こういうことのないようにひとつつとめていきたい、かように考えております。
  46. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 大蔵省におきましても、私、大臣お帰りになりましたならば、十分よくきょうの先生方の議論をお伝え申し上げまして、来年度予算編成にあたりましては、予算実績実態に合うのが最も私は合理的だと思いますし、先ほど監理官から言われましたように、そういう面で十分注意してまいるつもりでございます。御了承願います。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 念を押しておきますが、いま言った御答弁は速記録に載っているわけですが、明年度においてその実績が出てこないときには、実態が出てこないときには、これはどういうふうに責任をとりますか。一時のがれの御答弁を言ったということでは私はならぬと思うのですが。
  48. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 御承知のとおり、先ほど来先生方が認めておるわけでございますが、公社のやはり性格からいいましてある程度流動的な面が出てくるのは、これは御了承願いたいと思うのでございますが、また旅費は、先ほど申し上げましたようないろいろなそのときの実情に応ずるような意味で流用もある程度認めている立場からいたしまして、ぴったりと予算実績が合うことはないだろうと思いますけれども、きょう御議論がありましたように、あるときは二十何倍、あるときは十倍というような、こういう……、しかも三十六年からずっと私が見ますと、ほとんど一千万円を実績で切ったことがないのに、ほとんどその予算額は、五十万円から始まりまして、多いときは百万、二百万というようなこともございますので、明らかに予算編成におきまして私どものほうでもう少し公社実態に近づく努力をすべきじゃなかったのではないかというような反省をいたすわけであります。したがって、十分よく帰りまして検討させていただきまして、来年度予算編成公社編成内容におきまして、先生方の御納得のいくような編成をいたしてみたい、こういうふうに考えますので、御了承いだたきたい。
  49. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  50. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  51. 大森創造

    ○大森創造君 小林章事件についてそろそろ大詰めに来ましたから、疑問の点を二、三お伺いしておきます。  検察審査会の審議の結果、起訴相当という議決がこの間出まして、七月十九日これを受けて地検のほうは、東京地検はどういう態度をとりますか。
  52. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 本年七月十九日検察審査会から起訴相当の議決がございまして、その後東京地方検察庁におきましては、ただいまの御議決に基づきまして直ちに事件を再起いたしまして、一度嫌疑なし並びに起訴猶予などしているわけでありますが、これを再起いたしまして、検察審査会から送付を受けました議決書の内容参考といたしまして、現在必要な補充捜査を行なっている段階でございます。その結果従前の処分を変更する必要があるかどうかを慎重に検討中であるというのが、ただいまの段階でございます。
  53. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、検察審査会の答申というか、起訴相当という勧告を受けて、いまのお話にあるように、今度は再検討する、再起するということだったら、起訴になるか不起訴になるかわからない、あらためて起訴ということになるかもわからないのですね。そのことを具体的に世間に発表いたしますか。その時期はいつでしょうか。
  54. 石原一彦

    説明員石原一彦君) ただいま申し上げましたように、起訴するか、あるいは従前の不起訴を維持するかということを検討中でございまして、その結果は、事件が事件だけに、当然発表になるのではないかと私は推測いたしております。
  55. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、去年の十月ですかな、結論を一応出したのは。事前運動の問題については不起訴——いや地位利用については不起訴、それから事前運動については起訴猶予という結論であるけれども、今度は検察審査会の答申を、勧告を受けて、そうして再検討をして、起訴相当になるかもしれないということですね。ならないかもしれないが、なるかもしれない。
  56. 石原一彦

    説明員石原一彦君) ただいま先生からおっしゃられたように、昭和四十年十月二十一日に東京地方検察庁において不起訴処分にいたしたのでございますが、同月の二十八日東京の第二検察審査会が職権で取り上げまして審査をいたした次第でございます。  したがいまして、現在申し上げられることは、起訴するか、不起訴にするか、まだわかりませんが、いずれにいたしましても、起訴するか不起訴にするかという点につきまして、目下慎重に、捜査——再捜査でございますが——慎重にそれを行なっている段階でございます。したがいまして、現在まだ申し上げる段階ではございませんが、起訴になるかもしれませんし、あるいは不起訴を維持するかもしれないということでございます。
  57. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、それを発表するのは大体いつころになりますか、大体のめどは。あまりおそくならないようにしてください。
  58. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 先般、新聞報道でございますが、私ども正式には報告を受けておりませんが、東京地検と東京高検がこの事件の処理に関しまして協議をしたようでございます。で、もう先刻御承知であろうと思いますが、普通、事件を処理いたます際に、こうした事件でございますと、東京地検が東京高検に相談いたしまして、その結果さらに最高検に相談をいたし、その結果本省——法務省のほうへその結果の通報があるかと思います。それで、これは私の推測でございますが、先般、検察長官クラスの異動がございまして、最高検も刑事部長、それから次長検事がかわっております。それから東京高検も検事長がかわっておりまして、まだ正式には着任しておりませんが、おそらく正式に着任したあと、あらためて検討を行なって、その結果、正式な結果が出るものと思っております。したがいまして、現在の段階で、まあ十日後になるか、あるいは一月後になるかということは、ちょっと私の段階ではまだ承知していないところでございます。
  59. 大森創造

    ○大森創造君 その十九日の日に、午前十時過ぎから、東京高検で検察首脳会議を開いて、同議員の処分について再検討を行なった、その結果再捜査によっても裁判で有罪判決を受けるだけの新たな証拠は得られなかったとして、再び不起訴処分にする意向を固めた模様である、こういうふうに某新聞に書いてあるわけでございますが、こういう内部の情勢でございすまか。
  60. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 実は私もその新聞報道を見まして驚いたのでございます。その結果、すぐに私のところに報告なり何なりがあるかと思いましたら、全然ないわけでございます。それからよくよく見ましたところが、東京地検と東京高検ということでございまして、最高検まで行っていないということがわかったので、まあ安心をしたということでございます。  そこで、私の聞きただしたところによりますと、東京地検と東京高検との協議の結果、さらに検討を加える必要があったので、東京地検で目下その会議の結果による再検討をしておるというぐあいに聞いておる次第でございます。
  61. 大森創造

    ○大森創造君 これは天下周知のことでございますけれども、起訴者が二百七十四名、うち公社職員か百六十三名——間違いかあったらひとつ御訂正願います。内訳は、買収が九十三名、公社の職員がそのうち四十六名、戸別訪問が二十四名、うち三名が公社職員、事前運動六十六名、うち公社職員七名、文書違反が十六名、二名が公社職員、地位利用が百二十五名、うち百十一名が地位利用の公社職員である、こういうことであります。この違反は、買収と地位利用と事前運動が大多数を占めておって、きわめて悪質である。検察審査会が議決理由に述べているように、あらかじめこの一連の計画をつくって公社ぐるみの選挙運動をしたということが検察審査会の報告にございますが、どうも私もそういうふうにとれるのです。そこで、こういうふうに検察審査会のほうでは書いてあります。「同公社東京地方局長狩谷亨一らと共謀のうえ、」、こう一番先に書いてあります。それから第二項の項にも、「前記狩谷亨一らと共謀のうえ、」と書いてある。第三にも「右狩谷亨一らと共謀のうえ、立候補届出前である同年一一月三〇日ごろ、」云々と書いてあります。この共謀の事実はあったんですか。それとも検察審査会のこういう報告はでたらめなんですか。
  62. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 最初大森先生から処分の人員の点がございましたが、ちょっとこまかい数字は記憶しておりませんが、大体それに近いきわめて多数の者が検挙されかつ処分を受けた事案でございます。  その次は小林章議員にかかる事件でございますが、先生御指摘のとおり、狩谷亨一あるいは木村何がしという者と共謀の上という形になっておりまして、この事件の最もポイントがそこにあるかと思います。地位利用と申します場合に、小林章議員そのものが自分の地位を利用したという事案ならばともかく、この事案はどうもそうではございませんで、まあ地方局長その他直接関係者に影響を及ぼす地位にある者と共謀の上という形になっておりますので、狩谷何がしなりあるいは木村何がしと小林議員との共謀関係、これが事件の争点でございます。これに伴う証拠の収集が行なわれたのでございますが、先般の不起訴に際しましてはその点が足りなかったという形、公訴維持をするに足りる証拠の収集ができなかったということで不起訴処分になったわけでございまして、今回の議決を受けましたあとの補充捜査におきましても、まさにその点を最も重点に置きまして、相当数の人々をあらためて捜査しているということを聞いております。その結果共謀が認められたのか、認められないのかということは、すなわち起訴になるか、不起訴になるか、あるいは嫌疑なしが起訴猶予になるか、あるいは起訴になるか、不起訴になるかということでございまして、現在のところはまだ法務省に報告を受けておらないところでございます。
  63. 大森創造

    ○大森創造君 狩谷亨一東京地方局長、それから仙台の局長や、全国の局長がいろいろなことをやっておりますね。そこで、同僚や部下の違反行為は私は全く関知しない、小林章氏とは直接関係がないというのですね。そこで、いろいろな違反事項が多数ありますけれども、こいつは小林の前にくるとぱっと消えてしまうのですね。小林との関連性、因果関係になるとぱっと消える。そこで、私はあの当時の専売公社状況も知っておりますが、組織ぐるみの運動であった。これは私は物証づければ物証できたのじゃないかと思うのですよ。組織ぐるみの運動であった。大体専売公社は中央の方は大蔵出身の人が多いようでございますから、地方出身の人は地方局長あたりがとまりですから、退職直前にこれほど思い切った選挙運動などをやるはずありませんよ。そこで、私がいま申し上げたように、いろいろの事犯でもってこれが起訴されております。小林との関連にくるとぱっぱっと消えていっちゃうのですね。察検審査会のこの申し立てには、狩谷亨一と共謀の上と明らかに書いてある。九カ月かかつているのですよ、検察審査会のこういう答申を出すのには。検察庁に対する勧告を出すのには、「共謀のうえ」、「共謀のうえ」と何回も書いてある。私はしろうと論議かもしれぬが、案外しろうと論議が当たっていると思うのは、地方局長が、東京地方局の狩谷さんが全然頼まれないでやるはずはないと私は思うのだな。常識論だが、依頼をされないはずはないと思うのですよ。また小林章氏、それから当時の選挙について中心になった人は、まさか公文書は出しませんわな、これは。小林章の選挙運動をよろしく頼むなどという公文書を出すはずはない。だけれども、私はどうしても依頼を受けたのに違いないと思うのです、口頭で。それでなければやりませんよ、これほど大がかりな選挙運動、選挙違反は。そこで、いまとなっては始まらないが、私は地位利用だとか、買収だとか、起訴された事件と小林議員との共謀を裏づける証拠が不十分であったと、何かそこで手抜きをしたのじゃないかという感じがするのですよ。これは国民の声ですよ、あの当時。検察当局はちゃんと証拠固めをしていったならば、完全に狩谷さんと小林章氏の関係、その他買収や事前運動や地位利用というものに対する、それと小林章氏との関係というものは、当時ならば私は物証がとれたのじゃないかと思うのです。私の想像だが、どうもそうとしか考えられない。これは口頭で依頼をしたのであって、当時にさかのぼれば私は物証をとれたと思うのですが、その点についてどうお考えですか。
  64. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 私も検事でございまして、どちらかといいますと、強力犯よりも知能犯が好きなほうでございます。特に選挙違反になりますと、当選であろうと、落選であろうと、とにかく上まで伸ばそうという気持ちを持って現場におりますときには仕事をしたわけであります。今回の事件にあたりましても、おそらく第一線の検察官はやはり上に伸ばそうという、それが事実の真相ではなかろうか。事案の真相をきわめようという熱意と努力でこの事件を捜査したものと考えます。遺憾ながら、まさに先生のおっしゃるように、想像ではなくて、事実つぶれてしまったような形になっておるわけでございますが、ただ考えますことは、全国区から立候補された事件でございまして、われわれ足とこう申しておりますが、下のほうにおられる方の事件が相当多かったわけであります。そこで、どうしても下のほうに力がいきまして、上のほうへの解明はできなかった。おそらく第一線の検察官が捜査する段階における方針といたしましては、いま大森先生もおっしゃったように、いわゆる公社ぐるみ、組織を利用した一つの選挙違反であるということで、相当な努力をしたと思うのでございますが、人数の関係、あるいは予算関係、それからこちらが捜査をやるに伴いまして弁解その他も考えられるのが普通でございまして、時のたつにしたがいまして証拠収集ができなかった。したがって、検察官が最初に思ったことに沿う証拠が得られなかった。そこで、捜査の段階において何らか反省すべき点がありはしないかという問題が次に出ますが、その点は、いずれ東京地検の処分が決定いたしましてから、われわれとしても深く反省しなければならないものがあるのではなかろうかと、かように考えている次第でございます。
  65. 大森創造

    ○大森創造君 率直な御意見で、私もそう思うのですよ。検察当局の最初の方針が、人手不足もあった、それから証拠収集というものが当初の予定のようにできなかったということはわかりますが、下のほうに対しまして捜査の重点がいってしまって上のほうの解明ができなかったということをいまおっしゃいましたけれども、事実そのとおりだと思うのです。私は、下のほうで悪質な選挙運動をした、たばこの小売店などがやっていますからね。これは地位利用ですよ、職権によって押しつけられたのですよ。たばこの小売店が相当これは起訴されていますから、こういう下のほうの選挙運動というものは、上のほうの指示がなければできませんよ、常識的に。その上からの指示は中枢からの指示があったのですよ。よって、公社ぐるみの選挙運動というふうに私は解釈するのだが、これは審査会の勧告を受けて何らかの今度は発表があるのだろうと思いますから、それに期待いたします。  そこで、もう一つお伺いしますが、「地位利用については不起訴ということになっており、事前運動については起訴猶予ということになっている。犯罪の事実を認めてはいた。これに対して現職国会議員を事前運動の容疑だけで起訴した例に乏しく、また罪が軽く起訴すべきものと認められないとして起訴猶予にした」云々と書いてあります。私は、この場合の事前運動というのは、相当重大な内容だと思うのです。その事前運動の容疑だけで起訴した例は乏しいですか。実際にどのくらいあるのですか、現職国会議員に。
  66. 石原一彦

    説明員石原一彦君) まず前段で、どういう事実が嫌疑不十分で、どういう事実が起訴猶予であったかということでございますが、一口に申し上げますと、地位利用については嫌疑不十分、それから事前運動につきましては起訴猶予となったのでありますが、この検察審査会の議決書によりますと、事実はこまかく分けますと六つになるわけでございまして、六つのうち最初の三つ、これは地位利用の分と事前運動の分とございまして、これは全部嫌疑不十分になっているわけであります。残り三つが残ったわけでございますが、三つの中には地位利用の分と事前運動の分が二つあるわけでございますが、その起訴猶予になりましたうちの地位利用に関する部分は、これは嫌疑不十分ということに裁定されたわけであります。残りが起訴猶予でございますので、したがって、起訴猶予の事実は三件という形に相なるわけでございます。  そこで次の御質問の、これまでいろいろな当選議員その他で事前運動がどうなっているかという点でございますが、私どもに、法務省に報告がありました分を見てみますと十件ございまして、この中には、自民党のみならず、社会党、それから共産党という各派にわたっておるのでございますが、いずれも起訴猶予になっております。しかも、いま三件と申し上げたのでございますが、もちろん事前運動の中には戸別訪問であるとかいろいろな点がございますが、その三件をこえる分につきましても起訴猶予になっているのが現在のまでの実例でございます。
  67. 柴谷要

    ○柴谷要君 私、小林議員の問題を聞こうとしているのじゃない、監理官に一言だけ質問をしたいのです。  というのは、きょうは専売決算の問題でありますから、先ほど三十六年から四十年度にわたる予算の使途について、資料の上からいろいろ各委員から意見が出されました。四十一年度決算が来年三月三十一日でつく、この決算をめぐっていま私が考えられますことは、さきに政務次官が答えた、来年度決算においてはバランスのとれたものにするというようなことを言われましたけれども、私は二十六号台風によって全国的にたばこ耕作者に非常な被害が出たと思うのです。これを調査するだけでも、これから専売公社はたいへんな旅費も必要だろうし、諸経費が必要だろうと思う。そうすると特別な出費が出るわけです。これに関連をして、お約束どおり、政務次官が言われたようなお約束どおりのものが来年度できるかできないかということは、明白にできないと思う。これは流動的なものですからやむを得ませんね。  そこでお尋ねをいたしたいのは、たばこ耕作者がどのくらいの被害を受けておるのか。この被害を受けておる耕作者に対して、専売公社なり日本政府はどのような処置をいま考えておられるのか。まだ時日がわずか二、三日しかたっておりませんから、まだ出ておらないとは思いますけれども、いまの段階でどのように考えておられるか、それから被害はどの程度あるのか、これだけお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  68. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 先生のおことばでございますが、私が先ほど、来年は実績予算というものについておっしゃるような方向で善処をお約束申し上げましたのは、予算編成にあたってのことを申し上げましたので、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。
  69. 柴谷要

    ○柴谷要君 わかりました。
  70. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) なお、大蔵省のほうにはまだこの二十六号台風の被害の詳細が入っておりませんが、あるいは専売公社のほうからでもわかりましたらお答えさしていただきます。
  71. 高村健一郎

    説明員高村健一郎君) 何しろ非常に広範にわたって被害を受けております。各出張所から、施設、あるいは専売品の被害、個々に報告を受けておりますが、まだ全般的にまとまっておりませんので、どの程度の全般的な被害があったかまだ申し上げられない段階でございます。
  72. 柴谷要

    ○柴谷要君 専売のほうで克明に調査が終わりましたら、資料としてひとつ御提出いただきたいと思いますが、これをお約束できますか。
  73. 高村健一郎

    説明員高村健一郎君) 承知いたしました。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 参考のために一つだけ。これは刑事課長にお聞きしておきたいのですが、検察審査会の起訴相当の議決を受けて起訴された事実は、これはいままで件数としてどれくらいありますか。
  75. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 検察審査会が取り扱いました事件についての統計は、最高裁判所で調べておりますので、その統計に基づいてお答え申し上げるわけでございますが、たとえば昭和四十年におきましては、起訴を相当とするあるいは不起訴が不適当であると言われましたのが百十一人ございます。そのうち三十人につきまして起訴をいたしております。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは大体、時間がないので資料でやはりほしいと思うのですがね。いままでのやつ出してもらえますか。それからどんな——件数だけは、案件だけは書けますな。いままでの総計と、最近のやつで三十八年、九年、四十年くらいの案件ですか、どういう案件、たとえばいま三十件の起訴がある、そういう点どういう案件ですか、それくらいの資料は出せますな。
  77. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 実は先般、市川先生からお申し出がございましたときに提出いたしたのでございますが、最後の、案件でございますが、私どもそれを知りたいと思っておりますが、最高裁判所のほうの調べのほうによりますと、数字が中心になりまして個々の罪名でございますか、それがはっきりしないようでございます。したがって、その点はお許し願いたいと思いますが、数字の分につきましては、御必要とあれば後ほど先生のところにお届けいたしたいと思います。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 その資料要求だけしておきたいのですが、専売公社の四十一年度の外国葉タバコの輸入量、それから銘柄、相手の国、それから今度は逆に輸出、どういうものを出しておるか、その数量、それからたばこ小売店において景品等を出さして売り上げを促進をしているようなことはないのかあるのか、あったらどういうところがあるか、その資料を出していただきたい。  それから、万国博覧会にそういう記念たばこを出す考えがあるのかないのか、あるとすればどのくらいの数量を出すのかということもひとつ政府の考えを明らかにしてもらいたい。  それから小売店の問題ですが、都市と地方の場合の小売店のいわゆる指定の基準はどうなっているのか、人口あるいはその地域差、そういうようなものをひとつ資料として御提出をいただきたい。以上です。
  79. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) いま四十一年度とおっしゃいましたのですが、四十一年度はまだ年度の途中でございまして、予定になろうかと思うのでございますけれども、それでよろしゅうございますか。
  80. 相澤重明

    ○相澤重明君 よろしいです。
  81. 高村健一郎

    説明員高村健一郎君) 四十一年度は、輸出入の計画と申しますか、予定ということを御了承いただきまして、資料を御提出いたしたいと思います。
  82. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 万国博の記念たばことおっしゃられたんでございますが、万国博の資金のために公社が協力する、例の広告の問題じゃなかろうかと思うのでございますが、その計画と考えてよろしゅうございますか。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 けっこうです。
  84. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にとどめます。  午後は一時まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩     —————————————    午後一時二十五分開会
  85. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続さ、昭和三十九年度決算外二件を議題とし、大蔵省決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  86. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 国有財産であります大阪拘置所の交換の問題、この問題について、前にも尋ねたことがあるのですが、きょうも引き続いてお尋ねをしたいと思います。  実はこの件につきましては、国務大臣の荒舩さんが当初からいろんな意味で介在といいまするか、関係しておるというか、これは犯罪を犯したとか、あるいは不正があったとかいう意味ではありません、そう断定するものでは決してございません、そうではありませんけれども、いずれにいたしましても、そういうふうなことがはっきりあらわれておるわけであります。むしろおいでを願っていろいろお聞きをして、御本人から説明を聞いたほうが私はかえってよろしい、そのほうがフェアだと、このように考えて、国務大臣としての荒舩さんに出席を求めたわけであります。ところが、まあいろいろな理由からか、自民党の理事の方がこれに反対をされた。理事会は全会一致でなければ参考人として呼ぶことができない、こういうようなことでございまするのでいたしかたございませんが、私は、また十月十一日の法務委員会の中で問題をはっきりさしていきたいと思います。きょうはこの問題を先に聞いていって、あとから緊急質問として平新艇の事件を、これは大臣中心にお聞きをしていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  非常に残念なんですよ。荒舩さんが出てこられて、決して興味本位ということでなく、やはりその事実関係を明らかにしたほうが御本人のためにも私はいいと思うのですが、何か不戦勝ちみたいなことで、調子が出ないわけですけれども質問の第一は、一般的に国有財産の交換のときに、価格をきめるときに、その土地が将来どういうふうな値上がりをしていくだろうかという、利用度といいますか、価格の上昇というか、こういうふうなものをどういうふうに見ているかということです。これは大蔵省ですか、これを私は第一にお聞きしたいと思います。その次になってまいりますと、具体的に大阪拘置所の交換事件のときにそれをどのように見たか、こういうことですね、それが第二になってくるわけです。
  87. 松永勇

    説明員(松永勇君) 国有財産の評価のやり方についての御質問でございます。国有財産の評価のやり方につきましては、これはもう先生承知だと思いますけれども、現在の評価のやり方というものは、国有財産中央審議会に諮問いたしまして、その答申を得て定めておるところでございます。この評価のやり方というものは、戦後のいろいろな状態のもとではまだ未発達のものが、一方では不動産鑑定士の制度が発達してまいりましたし、そういう中においてだんだん現在の鑑定評価のやり方というものが整備されてまいっております。御承知のように、国の扱います国有財産の評価というものは非常に大量であり、そうしてその扱いも、いわゆる個人個人の差というものをできるだけ少なくする、すなわち統一的な基準によって処理するという考え方からできております。やり方といたしましては、相続税の課税標準価格から見た算定方法、それから固定資産税の課税標準から見た算定方法、それからその付近の売買実例から見た方法、その三つを基本とし、それに、民間精通者の鑑定意見を求める。これは大きなものについては三者以上、小さなものにつきましては二者というものの鑑定を依頼いたしまして、先ほど述べましたものとの平均をもって評価額とするという仕組みになっております。この鑑定のやり方は、先ほど申しましたように、できるだけ客観的であって、そして、いわゆる名人芸というものをできるだけ排して、通常の職員が習熟することによって評価ができるような基準というものを目ざしていっておるわけであります。  先ほど先生お話ございましたいわゆる将来における開発利益というものを現時点における価格というものにどう反映させるかという点は、この点は非常にむずかしい問題であろうかと思います。私たちの鑑定の現在のものでは、いわゆる固定資産税等の中に占める路線価というもの、これは路線価のある地域とない地域がございますが、その路線価というものが毎年国税庁においてきめられております。そのきめる際には、毎年のその土地の状況、付近の価格の推移等を見まして毎年国税庁が定めておるわけでございますが、そういう価格の路線価の中に将来の開発利益というものも若干含まれてくるであろう、それから売買実例というものの中にもそういう先行きの見込み価格というものも若干のものが出てくる傾向はあるかと思います。それから第三番目に述べました鑑定人、不動産鑑定士というものは、まあそれを専門として業といたしておるものであります。そういう方々が将来のそういう価格を見て現時点における評価をいたすということで、若干ながらそういうものが価格の中に出てまいっておるであろうというふうに考えておりますが、しかし、その見込み等がどの程度はたして十分出ているかどうか、これはその評価する時点と、それから開発までの見込み期間等によって相当な違いも出てくるかと思います。私たちの現在やっております評価の基準は以上のような状態でございます。
  88. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 何か、試験問題を出したら、試験問題にずっと学校の生徒が答案を書くような答弁なわけなんですが、そういうことじゃなくて、将来の開発利益というものは、人為的な開発を加えた場合もあるし、その土地の持っておる属性から自然にほっておいても値上がりするというものもあるわけですね。そういうものを具体的にどう見るかということがぼくは問題だと思うのですが、それがこの大阪拘置所の交換のときにどういうふうに見られたかというのです。これはなかなかむずかしいと思うのですが、なぜそれを聞くかといいますと、大阪拘置所の交換のときにはたしか一億幾らでしたね、この金額が。それが田中彰治事件の追起訴状によりますと、これはまあ約八億円相当となっておるわけですね。だから、この八億円相当というのはどこから出てきたのか、いつのことを言っているのかということが一つと、そうすると、結局、この延原氏が得た法務省の国有地をいろいろな人が得ようとして運動したということがよくわかるわけです。非常に地域的、土地的に属性からいって値上がりをする属性のある土地だという、現在、いま八億になっておる、二の時価約八億円というのはいつのことなのかちょっとはっきりしないのですが、そこら辺のところの解明と、将来どういうふうに値上がりをするかということを交換のときに見たわけですね、ここら辺は簡単でいいですから説明していただきたいと思うのです。もう時間が足りないようですから、要点だけにしていただきたいと思うのです。
  89. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 私から答えさせていただきます。  御質問にぴったりしたお答えになるかどうかわかりませんが、大阪の天満の土地に関する近畿財務局の評価鑑定書でございますが、いま手元に持ち合わせておりませんので、将来の値上がりをどう見ていたかということについて具体的な御説明は申し上げかねるのでございますが、一言で申し上げますと、やはり相続税の標準価格から算定した価格参考にいたしております。それからさらに敷地を細分いたしまして道路に面する部分、面さない部分あるいは線路に面した部分いろいろ細分した上でその位置、環境、交通関係、利用価値、これを考慮しまして細分した地区別に具体的な理由を明示して評価しているわけであります。この起訴状の時価八億円相当でございますが、経理事務担当者としてこの起訴状を拝見いたしますと、この時価というのはやはり前後の文章から見ますと、昭和三十五年の十二月前後ごろをさすものではないかと思います。そのときの時価が約八億円相当というのはいかなる根拠に基づくものであろうということを考えてみますると、実は現在——現時点でございますが、の天満の土地がどれくらいの評価になっているだろうかということを調べてみましたところ、これは区役所に台帳が備えつけられておるようでございまして、そこの台帳価額と申しますか、評価額はその土地に関する部分については四億九千九百五十二万三千六百円という数字になっておるようでございます。ただし、一方、いわゆる不動産の仲介業者と民間の人の間で実際に売買されたら幾らになるだろうかという点になりますと、見る人によってかなりの開きがあるようでございますが、非常に高くこれは買う価値があると見ている仲介業者の言によりますと、二十五億くらいするのじゃないかということを言っておる者もあるようでございます。しかし、これは非常に個人的な主観でございますので、一応区役所の評価額によりますと約五億ということになっておるのでございます。したがいまして、ここの八億円というのがいわゆる昭和三十一年当時の評価額が一億四千万円でございます。そうして現在の台帳、区役所の評価額が五億といたしますと、この八億というのもちょっと私のほうでは理解しかねるのでございますが、起訴状の前後を読んでみますと、この延原から手に入れようとした、あるいは手に入れることができた場合に、その天満の用地を転売して得る利益の配分方法等について相談をしておるという犯罪の動機のようなことが書いてありますが、それらを総合いたしてみますと、この八億円というのは鑑定者の間であとの土地をうまく利用すればこれくらいはもうかるのじゃないか、それを前提にしてその起訴状に書いてあるようないろいろな行為が行なわれた。そういう意味としか私には理解できないのでございます。
  90. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いずれにいたしましても、三十一年に一億幾らのものが四年くらいたったら八億になってしまっているというこの交換のしかた、あるいは法務省がどうしても過剰拘禁で拘置所を建てなければいけないというせっぱ詰まった事情があった、こういうことからやったのだと思うので、それは昔のことですから、いまここで私は取り上げるつもりはございませんが、いずれにいたしましても、そういうようなことですから、これが利権の対象になってきたというのは目に見えていると思うのです。これを買ってほかに売ればばく大な利益が得られるわけですから、これを得ようとして田中と上野とが共謀して、六、四で転売利益を分けようとした。六、四とまで書いてありませんが、そういう意味の起訴状になってきているわけです。いずれにいたしましても、そういうような交換のやり方に田中氏あたり食いつかれる一つの根拠があったのじゃないかと私は思いますが、それは抜きにいたします。  そこで、起訴状に従って、この起訴状の内容でこれを証拠によって判断するとか、これはたとえば、冒頭陳述にわたるようなものまで私は聞くというようなことは国会としてすべきではないと考えますから、そういうことはいたしませんが、論理的に、この起訴状の中でいろいろ考えてみて、問題点となる点を二、三やはり指摘していきますと本件の問題がよくわかると、こう思うんですが、そこで、この中にありまするのを読んでみますると、追起訴状ですが、「昭和三五年一二月二六日衆議院決算委員会の国有財産の増減及び現況に関する調査小委員会委員長に就任したが、その後上野浩らから、法務省が等価交換により延原観太郎に譲渡した大阪市北区所在の宅地合計一万一、〇九二坪二合一勺(以下「天満用地」と称する。)(時価約八億円相当)は延原が上野に二億二、〇〇〇万円で売却すると約束しながら履行しないものであり、なお延原は隠退蔵物資の横流しや脱税をしている旨聞知するや、上野と共謀のうえ、自己の決算委員たる威力を用い延原を脅迫して天満用地を上野に時価よりきわめて安い価格で売却させ、もって売買名下にこれを喝取しょうと企て、昭和三六年一月三〇日延原に大阪市北区所在の大阪グランドホテルに出頭するよう命じ、同日同所において同人の代理として出頭した延原久雄に対し、君の父はなぜこないのか。君の土地については入手経路に問題があるという投書がきているので決算委員会で取り上げるかどうか考慮中である旨等申し向け、さらに同所から帰宅した右久雄に対し、電話で、なぜ君の父は来ないのだ。決算委員会で取り上げてやる等申し向け、ついで同年二月三日から同年六月八日までの間」、だんだんこういうふうになってきておるわけですが、そこで、ここにありまするように、法務省の交換の登記はいつ行なわれて、それに関連して訴訟が起きて、それがいつ終局したのか、これを要点だけ簡単に説明していただきたいと、こう思うんです。要旨は、延原が上野に二億二千万円で売却すると約束したことが一体あるのかないのかですね、交換の前後に。そこの点ですね、一つの問題点は。これをまずお聞きするわけです。
  91. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 最初のお尋ねでございますが、延原と法務省側の交換が完了して登記が済みましたのは、昭和三十一年の七月十一日でございます。  それから裁判関係でございますが、昭和三十一年の三月二日に、債権者良島正浩でございますが、それから債務者延原観太郎ということで、不動産処分禁止仮処分の申請が神戸地方裁判所尼ケ崎支部に行なわれております。この申請に対して、同年三月五日仮処分の決定が行なわれております。その仮処分の決定に対して、裁判所が命じました保証金が五百万円でございます。次いで同月十三日、すなわち三月十三日に、延原側から良島の仮処分に対する異議の申し立てがなされております。次いで三月二十日に、良島側から所有権移転登記手続請求の本訴が提出されております。次いで同月二十八日に、良島側から仮処分の解放申請が行なわれております。それに対して、四月四日に仮処分の解放決定が行なわれております。それから、次いで四月十二日に本訴の取り下げ、すなわち先ほど申し上げました所有権移転登記手続請求事件、この本訴の取り下げが行なわれております。一方、同月、四月十七日に、さきに延原側から出されました仮処分の異議申し立てについての決定が行なわれております。  以上が登記完了までの裁判関係でございます。  それからなお、次のお尋ねでございました延原と良島側に売買契約が締結されていたのかどうかという問題につきましては、結論を申し上げますと売買契約は締結されておりません。
  92. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この起訴状にありまする「昭和三六年一月三〇日延原に大阪市北区所在の大阪グランドホテルに出頭するよう命じ、」というのは、これはだれが命じたという意味ですか。
  93. 石原一彦

    説明員石原一彦君) ただいまの事件は捜査が終了いたしまして公判を待っている段階でございまして、したがいまして、この証拠関係では申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思いますが、稲葉先生から先ほど起訴状の論理的な釈明ということがございましたので、私の判断いたすところを申し上げたいと思います。で、これは起訴状の最初が「被告人田中彰治は、」と、こうありますから、その意味を受けますれば、田中彰治、被告人田中彰治は「昭和三六年一月三〇日延原に」「グランドホテルに出頭するよう命じ、」ということになろうかと思います。
  94. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 しかし、おかしいんですが、一月三十日にですね、グランドホテルと命じたかどうかは別ですよ、来いといったのは、これは荒舩清十郎さんが来いといって手紙を出したのじゃないんですか。その手紙があるんですが、ちょっと読んでみますと、  拝啓  寒気逐日相募ります折柄益々御清栄の上御活躍の御事慶祝申し上げます  扨突然にて誠に恐縮の至りに存じますが此の度国政諸般と視察のため元衆議院決算委員長の田中彰治、並現委員長の荒舩清十郎同行の上大阪市に参上致すことになりました就いては誠に御迷惑の御願ひに存じますが一月三十日午前十時大阪市グランドホテル迄御来駕の栄を賜はり何かと御高説を拝聴いたしたく是非共懇願申上げます  取り急ぎまして要用のみ御願いたし余は御拝眉の節を期待いたします        敬具   一月廿五日             荒舩清十郎  延原観太郎様     侍史 と、表は延原さんのあて名ですが、裏は衆議院決算委員長荒舩清十郎、なかなか、筆でうまい字です、こういうふうに書いてあるわけですね。これは荒舩さん認めているわけですよ、こういう手紙を出したことは。そうなると、ここに延原にグランドホテルに出頭するように命じたというのは田中彰治になっていますけれども、この手紙からいくと、ちょっと違ってくるんじゃないですか。
  95. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 本件起訴に当たりましては、あらゆる関係人並びに関係証拠を収集いたしまして、その結果検察官が認定した事実を本起訴状に記載したものと思われます。したがいまして、先生の御発言の中に、荒船現大臣もお手紙を出されたではないかという点でございますが、その点、それをこの起訴状認定の証拠にしたものであるか、ほかの件で証拠に認定したものであるかは存じませんが、本件起訴状におきましては論理的に見まする限り田中彰治氏がグランドホテルに出頭するように命じたという形になっているものと思います。
  96. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、この大阪のグランドホテルに出頭するように命じて、それがこの恐喝未遂の実行に着手というか、第一歩だったということは、これは論理的な起訴状の書き方から認められるわけでしょう。
  97. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 本件起訴状は非常に長い起訴状でございまして、いま先生お読み上げになりました「もって売買名下にこれを喝取しようと企て」というところから二ページ飛びますところまでがいわゆる恐喝未遂事件でございますが、その構成要件で書いたものと思われます。これを見ますると大体八つくらいの大要に分かれるように思われますが、そのうちの一つであろうかと存じます。
  98. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 一つであることは間違いないのですが、時間的な経過からいうと一番最初になるわけですか。
  99. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 本件起訴状に関する限りさように記載されております。
  100. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから私はこれは非常に問題になる、こう思うわけですね。東京地検がこの事件を恐喝未遂で起訴したということは、私は非常に勇気が要ったと思いますが、三十六年一月三十日に荒舩さんがこういう手紙を出して、そうしてグランドホテルへ呼びつけているわけですから、それがこの田中の恐喝未遂の少なくとも時間的の一番最初なんですから、ここに問題点が一つ出てくるわけです。荒舩さんは九月十二日の運輸委員会でいろいろ言っておるわけです。これは記録に基づいて調べて言っているわけじゃなくて、韓国から帰ってきて次の日ですから、記憶で言っているからいろいろ間違いがある、こう思うのですが、その間違いが非常に多いわけですね、荒舩さんの言っていることが。たとえば一つは「延原氏に個人の名前で御高説を拝聴したい」と、こういう手紙を出したのだと、そうしたら向こうから電報で何月何日に大阪のグランドホテルで、時間も忘れましたが、多分十時ごろと思いますが、御来駕をお待ちしますという電報がまいりました、こういうのですね。こっちからやったら向こうからグランドホテルで待つという電報がきたというのですが、待つ前に、グランドホテルで待っているから来いというのですか。来てくれという手紙を出しているのですからこれは非常に違うのですね、荒舩さんの言うことが。こっちから日にちと場所を指定してそこに来てくれという手紙を出しているのですから。荒舩さんの言うのはそうじやないのですね。向こうから場所や時間を指定したように言っております。これは違います。これは「個人の資格で、調査という問題等を別に」、こう言っていますね。見ると、ちゃんと封筒は決算委員長です。筆で書いて荒舩清十郎、内容を見ますと、元衆議院決算委員長田中彰治、現委員長の荒舩清十郎同行の上参ると書いてあります。個人的とも何にも書いてございません。決算委員長がちゃんと肩書きを利用してというか、活用してと言ったほうがいいですが、活用してこう言っておるわけですね。ここが違います。それからもう一つは「調査という問題等を別に」、こう言っているのですね。文章を見ますると「此の度国政諸般と視察のため」そこへ行くと言っています。これは国政調査というものに名をかりて言っているわけですね。これは私が確かめたら正式の委員会の視察でないことがわかっているのですが、これは個人で行ったのかしれませんが、調査とは別に行ったと、書いてありますのが「国政諸般と視察のため」、国政調査をするのだということをにおわせて、内容に含ませて決算委員長として手紙を出している。ここのところは運輸委員会における荒舩さんの言うこととこれは違います。それからこの話の出発点が違うのです、また。荒舩さんは、「その後私は手紙を何か法務委員会でまた牧野君を通じて出したとかなんとかいうようなことを言ったということですが、それは全然うそでございまして」と、そう言っていますが、これは私はそんなことは言ったことはないのですから、これは荒舩さんの勘違いです、これは帰ってきたばかりのときですからこれは無理もないと思うが。決算委員会が二月三日から始まるわけですが、その後に延原に手紙を出したというのじゃなくて、その前の年にすでに問題として私は、これは手紙を出しておるのです。荒舩さんが出しておるのじゃなくて牧野寛索という人が出しておるのです。この人は元法務政務次官で、このときはたしか国会議員でなかったというふうに聞いております。これは昭和三十五年の二月二十八日、牧野寛索が延原観太郎にあてた速達です。   其後御無沙汰いたしましたがお変りありませんか  就いては天満の土地の件につきいつぞやお手紙差上げましたが此度荒舩代議士から話しがあり是非御貴殿にもお目に懸ってお話しいたし度いと云う事でしたが此度は小生のみ参上して御意向伺った上でしょうと云う事になり小生三月一日の午前中の飛行機で出発しますので午後お目に懸り度く存じます小生は決っして無理なことは申しませんから直接お会い下さるようお願い致します  買手は大正製薬株式会社で社長は上原正吉(参議院議員)  これはよけいなことですが、書いてあることは書いてあります。  三菱銀行の三億五千万円の預金証明書小生持参します  売買価額はお話し合いできめること登記価額もお互納得づくできめること上野浩関係は買人で解決し貴殿には一切迷惑をかけぬこと等の申入れもありますが何れ御会いの上万々お話しいたし度く存じます  先づ要々まで         草々   二月二十八日               牧野 寛索拝   延原観太郎様  これは速達です。二十八日に速達を出して——これは二月は二十八日、二十九日のときですかちょっと知りませんが、いずれにいたしましても、三月一日の飛行機で行くということですね。これを見ますると、荒舩代議士から話があって一緒に行こうというような話だったのだけれども、今度は自分だけ先に行くのだ。そういうことでいきますと、そのときには、買い手は大正製薬で三億五千万円の預金証明書を持っていくのだと書いてあります。これは一体何を意味しておるのかといえば、その前の年から荒舩さんがこの土地の少なくとも売買のことに何らかの形で関係をしておったということをこの手紙は意味しておるわけです。この人はなくなってしまったんです。非常に残念というかなくなってしまいました、法務政務次官をやったそうですけれども。それと同時に「上野浩関係は買人で解決し貴殿には一切迷惑をかけぬ」と、こういうふうに書いてあるわけですね。これは一体何を物語るか。決算委員会で取り上げる前に、くどいですけれども荒舩さんがこの天満の土地の売買のことに関連をしていた、そして決算委員長として話があったというのでこれを決算委員会に取り上げた、こういう論理的な経過にならざるを得ないわけです、これはもう事実なんですから。だから私はそのことでどうこう言うのではなくて、そういう関係、自分が売買に関与をしておるものを決算委員会で取り上げるということがはたして国会議員として正しいやり方なのかどうか。このことは綱紀粛正の上からいっても、むしろまた国務大臣というものの適格性というものからいっても当然考えなければならぬ問題を含んでおるというふうに思っておるわけです。しかし、荒舩さんがおいでになりませんので、これは私の意見だけになってしまって恐縮ですが、この当時からそういう話があって上野との関係もある。それは自分のほうで解決しようということを言っているわけですね。  そこで問題は、どういう経過でこれが決算委員会で取り上げられたか、なぜ小委員会で取り上げられたか、小委員長に田中彰治がなって、そこに荒舩さんが一員として入っていったかというこの経過、議事録を調べましても、参考人が呼ばれておりますけれども二月三日から、それが議事録の中ではいつ呼はぶようになったのかということが全然わからないんです。突然として参考人が呼ばれてきておりますが、その間の経過というものを明らかにしなければ私は国会の権威にかかわると、こういうふうに思います。荒舩さんは運輸委員会で利権を伴うような話でもあると直感をしたのだとこう言っています。それで新聞記者との会見では、田中彰治が暴走するといけないから自分はくっついていったのだなどと言っております。これは一つ意見かもわかりません。それでは利権を伴うような話であると直感をしたならば、決算委員長としてなぜこういうふうなことは国会で取り上げるべき筋合いのものではないのだ、こういうことを言ってそれを食いとめることができなかったのか。田中彰治が国会を利用して恐喝未遂を働いておるという起訴の前提をなしておるこの事実について、刑事事件だという意味ではなくても、少なくとも国会が恐喝未遂の場に使われた、それを阻止できなかったという私は一つの政治責任というものは、当然決算委員長である荒舩さんがこれはいまになっても負わなければならない筋合いのものだと、こういうふうに思うわけです。利権を伴うような話でもあると直観をした、こう言っているのですから、それならそういうことだからやめさせればいいわけです。やめさせないで小委員会にも何回も出席をし、決算委員会にも何回も出席をしておるのです。これは私はおかしいと思う。責任を当然追及されてしかるべきことだというふうに考えます。へんなことをお聞きして恐縮ですけれども、三十六年九月二十一日に上野浩が恐喝未遂で逮捕されました。このときの逮捕状の記載内容というものは、差しつかえない範囲でどういうものであったか、これをお聞かせ願いたいと、こう思います。
  101. 石原一彦

    説明員石原一彦君) 上野事件は、一審、二審この関係におきまして無罪となって確定したわけでございますが、今回の田中彰治前議員に対する恐喝未遂事件が起訴されたことによりまして、そのときの全記録がそのまま今度の事件の証拠に相なるわけでございます。そのような関係におきまして、その当時の点につきましての御答弁はごかんべん願いたいと思います。
  102. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の調べた範囲では、このときの逮捕状というのは、上野浩が決算委員長の荒舩氏、同委員の田中彰治両名をして、延原観太郎氏、同人の代理人延原久雄、もう一人います、を通じてあるいは電話をもって不正の疑いありというふうに申し向けられていろいろやったというふうになっておるわけであります。それでわかることは、私は、荒舩さんが軽率だったというふうに考えておられるのかもわかりませんが、少なくとも上野浩の恐喝未遂の逮捕状のそのときにおいては、これは疎明資料として延原久雄なり、もう一人のそこにおった人が調べられておるわけです。それらの供述の中から出てまいりましたのは、上野浩が荒舩氏と田中とこの二人を使っておどかした、おどかさせたというふうになっておるのはこれは間違いのない事実であります。これがどういうふうに認められるかという判断の問題はおのずから別個の問題でありまするが、少なくとも恐喝未遂なり、あるいはその財物を喝取する犯意がないといたしますれば脅迫になるかもわかりませんが、いずれにいたしましても、そういうようなものに使われたというふうに少なくとも一時期において認定されたということは、私は非常に残念だと思う。荒舩さんの名誉のためにもこれはこの間の事情というものを明らかにしていただかなければならないのだと、こう思うわけでございます。もう一つは、グランドホテルへ行って立っていたら、うしろから田中彰治が来てどなりつけたというのですけれども、どなりつけて、それで何だかわからなくて帰ってきてしまったというのですが、問題は、そのときに上野が荒舩、田中両名を使ってやったと言っているような逮捕状が出ているのですから、疎明資料によりますれば、少なくとも荒舩さんも何かここで相手方に対してしゃべっていると見るのがこれは普通の状態であります。私はそういう人の調書を見たわけではありませんからこれ以上言えませんけれども、私の聞いた範囲では荒舩さんもしゃべっておる。あるいは一たん帰った人に対して電話をかけて、また出てこいというようなことを言っておられるように聞いておるのであります。間違いであれば私は幸いだと、こう思いますが、いずれにいたしましても、こういうように間接に聞いておる。この間の事情はやはり御当人から明らかにしてもらうことが私は必要ではなかろうか。現職の国務大臣の適格性の問題、権威の問題に関しても私は必要だと、こういうふうに考えるわけです。しかし、これを言いましても私の演説みたいになってしまってはこれは恐縮でございますので、この程度にいたしておきます。  もう一つの問題は、一体決算委員会が進んでまいりますと、二月三日が小委員会で、何回と小委員会をやり、最後に十月二十六日ですが、これはまあその前が六月八日、その前の四月三日の小委員会、これが参考人として呼んで、この議事録が一億五千万円の仮処分の保証金ですね。そのときの疎明資料として九号として使われておるわけです。三十六年四月三日の小委員会の議事録です。前に私が法務省の経理部長に確かめましたように、二億二千万円で売却することはないのだということを法務省当局は認めておるわけです。ところが、決算委員会の議事録を持っていって、疎明資料というものができて、一億五千万円で仮処分を許しました。こういうような決算委員会の流れの中において、荒舩さんが絶えず出席しております。利権を伴うような話でもあると直観をしたと最初に言っておられるならば、その間ずっとの経緯の中で一体何が起きておるか、田中彰治が何をしようとしておるかということを、委員長として当然、同じ党でもあり、調察をして、しかるべき手を打つべき筋合いのものであった、こういうふうに思うわけです。それを気がついておったけれども打たなかったというならば、私は荒舩さんの決算委員長としての、あるいは国会議員としての、失礼ですけれども力を疑うわけです。いや、そうじゃない、気がついておったのだけれども田中彰治がおっかなくて手が出せなかった、こういうならきわめて率直であってよろしいと思います。そのとおりかもしれません。いずれにしてもその間の経過を——自分も決算委員長として出席しております。同じ党内です。恐喝未遂なりの手段に使われておることに——ずっと出ていてその間の事情がわからなかった、初めから利権を伴うようなあぶない話だというのを直観したというのですから、ずっといく経過において、もっとそういうふうな問題がどうなっておるかということに強い関心を持ってしかるべき措置をとるべきだったと思うのですが、とらなかった理由は一体何なのか。気がついておったけれどもとらなかったのか、気がついておらなかったからとらなかったのか。そこらの辺のところは、私はやはり国務大臣としての適格性の問題なり、綱紀粛正の問題からいっても、明らかにする必要がある。この点からいえば、荒舩さんが御自分でも出てこようと言っておられるわけですから、ぜひ出てこられて、この間の事情説明してもらいたい。私は納得できれば、さようでございますか、そのとおりであれば、そうでございますか、納得できればその点でけっこうなんでございますが、いまの段階ではどうも納得がいかないのであります。  だから、国会が一種の利権屋の集合体、と言うと語弊がありますけれども、そういう取引の——いまのことば悪ければ取り消しますが、とにかくあまり芳しくないことに利用されておることの一半の責任は当時のこの方におありになる、こう見るのは私は常識だと、こう思います。そこで、いま言ったような点が疑問なんです。  もう一つの点は、一億五千万円という保証金はばく大な保証金であります。この仮処分は、訴訟金額がたしか八千万か七千万であります。そういうことで一億五千万円という保証金を積むなんていうことはあり得ません、普通の場合では。普通は大体訴訟額の三分の一であります。非常にあぶなっかしい事件であることがわかっておって、おそらくこの国会の議事録ということを中心にして、やむを得ず裁判所は——これは二週間以上かかっておりますよ、仮処分の申請を許すまでに。そういう関係で許さざるを得なかったのだと、こう思うのですが、いずれにしても国会議事録が疎明九号として、大いに不当な、不法な仮処分に利用、活用されております。そこで問題は、田中彰治が一億五千万円の金を、どこから一体供託金をつくったのだろうか。これが私はまた大きな問題だろうと、こう思うわけです。田中彰治と呼び捨てにして悪ければ田中彰治さんと呼びますが、まあどちらでもいいですけれども、これはもうほんとうに疑問なんです。この点を私は解明することが、国民に対する義務であるというふうに考えるわけであります。一億五千万円を田中彰治名義で仮処分の保証金として積んだこと、このことは間違いございませんか。同時に、その仮処分が本件恐喝未遂の中でどういう位置を占めていたのか、この点について、二点について説明を願いたいと思います。
  103. 石原一彦

    説明員石原一彦君) ただいまの一億五千万円の仮処分にあたっての保証金の問題でございますが、公訴事実の要旨として当委員会提出いたしましたものの中には、五月十一日に「処分禁止の仮処分を申請し、同月二五日供託金一億五、〇〇〇万円を納付し」とございます。それからこの事件に関連いたしまして、田中彰治前議員が偽証をしたという次の事実によりますと、「前記仮処分申請に要する供託金を自ら調達して納付し、」と、こうありますので、ここから判断される限りにおきましては、田中彰治前議員が調達したものと思われますが、その詳細につきましては、まさに恐喝未遂事件と、それから偽証事件の証拠の本体をなすものでございますので、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だれが見ても疑問に思いますることは、こういうふうに法律的に最初から無理な事件を自分が買って、そしてブローカーと分けようとした。そのことの仮処分の保証金、その仮処分が決算委員会の議事録を使ってやられて、その仮処分が恐喝未遂の一番大きなウエートを占めておるわけですが、一体だれがどうやって出したんだろう。田中彰治に一億五千万円の金を出さなきゃならないという義理があるとするならば、その義理というのは一体何なんだろう、おかしいじゃないかと、普通の人がこんな金貸すはずがない。貸したのか、貸させられたのかどうしたのか、よくわかりませんけれども、ここら辺が問題になる。あるいはだれか人が中に入ってその金を調達したのか、あるいはだれか人が口をきいたのか、現実につくったのか、ここら辺のところはよくわからないところであります。私の聞いたところでは、名前は申し上げません、名前を申し上げることは差し控えますが、ともかくも大手のある土建業者がこの金を調達したといわれておるわけです。宮城のところに、どなたのでしたか忘れましたけれども、非常に安く請け負ったというので評判になったのがあったように記憶しております。私の記憶ですから間違いであるかもしれませんが、そういうようなことを記憶しております。あるいはそのところかもわかりませんが、いずれにいたしましても、一億五千万円を一体この土建会社がどうして田中彰治に出したんだろう、貸したのか貸させられたのか、やったのか恐喝されたのか、ここら辺は一体どうなんでしょうかね。そこら辺のところは、まあ差しつかえない範囲でお答え願います。
  105. 石原一彦

    説明員石原一彦君) ただいまの御質問にありました点について私承知いたしておりませんが、かりに承知いたしましても、本件、先ほど申し上げましたように、恐喝未遂事件並びに偽証事件の証拠として立証すべきことでございますので、答弁はお許し願いたいと思います。ただ、先ほど上野浩にかかる恐喝未遂事件は、一審、二審で無罪になったと申し上げたのでございますが、まあその判決は公開の法廷で読まれますので、その点だけ御紹介いたしますと、二審判決の段階におきましては、「天満用地の処分禁止の仮処分申請をなし、田中彰治の子彰より借り入れた一億円余を保証金として供託の上仮処分の執行をした。」というぐあいになっております。もちろんこの点は今回の偽証事件によりまして判断が変わると思いますが、前回の事件、上野浩に対する恐喝未遂事件では、かような判決がなされたということだけは申し上げることができると思います。
  106. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま二審の判決のことを引用されたんですが、二審の判決は四十一年六月二十九日東京高裁の判決でありますが、その中に、証拠調べは相当やった結果の判決ですが、高裁の判決ですが、ちょっと読んでみますると、初めから読むのもあれですが、「よって按ずるに、本件記録によると、昭和三十年夏頃以来法務省の元所管地で当時拘置所の敷地になっていた大阪市北区北錦町所在の土地(以下天満用地という)約一万一千坪を延原観太郎の所有していた同市都島区善源寺町及び友淵町所在の土地(以下都島用地という)約一万九千坪とを、右両者間において交換する話合いがすすめられ、幾多の曲折を経て、昭和三十一年七月頃その交換を了し、天満用地は延原の所有するところとなった。ところが右土地の交換については土地ブローカー等が多数蝟集して利権漁りの対象になったのであるが、その後被告人上野は延原より右天満用地を買い取った上これを転売して利を収めんことを図り、土地ブローカーを介して延原にその売却方を執拗に申し入れたが、延原は容易に応じなかったので、被告人上野は遂に尋常の手段では到底その目的を達し難いと考え、昭和三十五年十二月頃第三十八国会の衆議院決算委員会に対し、右延原の天満用地の入手経過に疑惑ありとしてその調査方を陳情すると共に、爾来同委員会委員長荒舩清十郎或は同委員会国有財産の増減並びに現況に関する調査小委員会委員長田中彰治に対し、右問題の取り上げ方を懇請する等種々工作、手段を講じ、延原を脅してでもその目的を達せんとしたが、」云々と、こういうふうに出ているわけでございまして、この証人調べをした中での東京高裁の判決によりましても、この上野がなかなか土地が手に入りにくい、入れたいというので、荒舩氏と田中氏と二人に、問題を取り上げいということを執拗に工作したということがはっきり書かれているわけであります。荒舩さんがこの問題の出たときに、これは利権あさりの事件だというように直感したと、こうおっしゃるのですから、おっしゃるならおっしゃることに従った適切な処置を当然とるべきであったのにそういう措置をとらなかったということは、私は非常に大きな問題にならざるを得ないと思いまするし、いわんや決算委員会に取り上げる前に、すでにこの牧野寛索氏の手紙によれば、荒船氏はこの土地の問題に、ある程度といいますか関与をしているのがわかっている。自分が関与しているものを、決算委員会で、取り上げて——頼まれたかして取り上げて、こいつは利権のにおいがあるということを感じた。最初から、取り上げる前から感じておったのかもしれませんが、取上げてから感じた。こういうようなことを感じながら、そのままにしておいた。そこで国会が恐喝未遂の場に使われた。こういうふうな結果を生じせしめた荒舩さんの責任は、やはり私は問題として、国会の権威にかけて、いま国務大臣をやっているから、国務大臣の適格性なり、綱紀粛正の問題としても、当然考えられなければならないことだと思うのであります。なぜこういうものを国会で取り上げたのか。決算委員長が取り上げたのだろうか。どうも私は、その間がはっきりいたしません。  それから問題はもう一つある。起訴状にありますグランドホテルに出頭するように命じた。命じたというのが、起訴状では田中彰治ですが、文書を書いて出したのは荒舩さんなんですから。日時、場所を指定して出しているわけです。それが出発点だったのです。その間の関係というものは、荒舩さんは個人だと言う。いや、ちゃんと決算委員長という形で出ている。調査とは関係ないと言う。いや、文書の中では国政調査というものは出ている。ここら辺の疑問点というのは、当然私は、出てきて御解明願うのが筋であろう、これが荒舩さんのためにもよろしいし、国会の権威というか国民の疑惑を解くためにおいてもよろしい、こういうふうに考えるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、また別個法務委員会で追及というか、よくお聞きをさしていただきたいと、こういうふうに考えます。  そこで、別のことになりますが、これは法務大臣にお尋ねをしておきたいことでございますが、私は決して個人をどうこう言うつもりはございません。この点は御了解願いたいのでございますが、この荒舩さんの後援会がございます。後援会あったってかまわないのですけれども、これは瀞白会という後援会です。荒舩会というのもありますし、友の会というのもあります。この瀞白会というものの中で理事長をやっておる相部某という人がおられまするが、この人とどういう関係なのかわかりませんけれども、荒舩さんが運輸大臣に就任されましてから、八月九日には海運業者を集めて、これは運輸省内で百人ぐらい集めて懇談会をやっておられます。これはたいへんいいことです。それから十日はバス私鉄関係、それから十一日は国鉄資材及び工事関係業者、これらの方を集めて懇談会をやっておられる。これは大臣の勉強会ですから、このこと自身は決して悪いことでは私はないと、こう思います。そしてまた八月二十二日には朝八時半からパレスホテルで、前に百人ぐらい海運業者を集めましたが、これでは十分意を尽くさなかったという意味でございましょうか、十人の人を集めまして朝めし会を開いたわけです。これも私はけっこうだと思うんです、勉強会ですから。ところが、その前の九、十、十一のこの三日間、あるいは二十二日の朝めし会、こういうときに、いろいろ話があってお開きになると、とたんに瀞白会なるものが出てまいりまして、荒舩清十郎さんの後援会の募集をば始めるわけですね。——後援会あったっていいですよ、これは悪いことないんです。特別会員は三万円、賛助会員が一万円、普通会員が月に五千円ですね、これは法人です。こういう、衆議院議員荒舩清十郎君を支援する瀞白会結成についてお願い——これは前に刷ったものらしいですがね、瀞白会の会則というのがあるわけですが、こいつを配るんです。配って、ぜひこれに入ってくれと言うわけです。荒舩さんが配るわけじゃありません。いかになんでも大臣が自分で配るわけじゃありませんけれども、個人秘書か瀞白会の理事長かしりませんけれども、こういうのを配って歩くんです。渡して歩いて、入ってくれって言うんですね。それをもらった人がおこったっていうんです。人をばかにするなと、造船疑獄の二の舞いはごめんだと。非常識きわまるじゃないかといってある人がこれを自民党本部に持っていって、問題になったという話があるんです。それはもう別に犯罪じゃないわけですからあれですけれども、まあ総理が出てくれば総理がいいんですけれども、石井さんも副総理以上だと思うんですが、綱紀粛正という意味ね、国務大臣出席しているんですよ。自分の管轄の業者を集めて、そこでめし食ったり懇談会やるのはいいことですけれども、それが終わったらとたんに後援会が出てきて、後援会入ってくれ、月三万円です、一万円ですという形で一体勧誘することが——荒舩さんが自分でやったんじゃないですよ。荒舩さんの部下の人だと思うんですが、こういう人がやることが一体国務大臣としてどうなんですかね。自分がやったのじゃないから——やられたのか、あるいはやってしまったのか別として、そんなことが一体大臣としてどういうことなのでしょうかね。ぼくは適格性を疑いますね。そういう点で綱紀粛正という立場から言っても、政治のあり方ということから言っても、法務大臣にお聞きするのは筋違いかもわかりませんけれども、国務大臣という立場でこういう点についてどういうふうにお考えなのか、やはりこれは明らかにしていただいたほうが私はよろしいと思う。決して個人をどうこうするというつもりでやっているのではないことはぜひ御了解願って、明快なお答えをお願いをしたい、こういうふうに考えます。
  107. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 後援会を政治家はみなといっていいくらい持っているだろうと思うのですけれども、それがどういうふうな形で後援しているか、まあきまった金を出して、それで政治活動を助けてあげるという意味の一定額のもの、それがあまりめちゃくちゃに多くなってはおかしいのでありますが、定額のもので、そうして大っぴらにやって、それが利権等に直接つながらないということが明らかであるならば後援会みたいなものがあるほうが、大っぴらにあることのほうが私は変なことをしないでいいのじゃないかと思うのですけれども、その行き方次第によってはなかなかいまのお話しのように誤解を招く。それによってある人はこういうことはおかしいじゃないか、中には怒る人も出てくるということだったらこれは他に手段を講ずる、これは私はやはり十分気をつけてやらなければならないと思います。全面的に後援会がいけない、後援会の会費を取ることがいけないということは言えないが、そのやはり金額、やる方法等に問題を起こさぬように注意をする、これは私どもこれから先もいろいろな点で誤解を招くおそれが特に多いのでございますから気をつけなければならない。私どももしきりに、姿勢を正すというふうなことをわが党はよく言うけれども、どうやって正すのだといってひやかされるくらい姿勢を正すということを言い過ぎるくらい言っているのでありますが、特に注意したいと思います。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まあよく聞こえなかった点もあるのですけれども、まじめな意味でね。後援会が悪いということを言っているわけじゃ決してありませんで、大臣が直接やったのじゃないとしても、腹心ですね。これは自分の所管の業務に関係のある業者のところへ行って、そうして後援会へ入ってくれと言って、公式の席の終わったとたんだと思いますが、そういうことをやって入ってくれと言えば、これはやはり大臣のひとつの権力というか、仕事のあれを利用してやっていることですから、こういうようなやり方というのはこれは芳しくない、こういうようなことはあってはならないことだ、こういうことは当然なんでしょう。その点だけお答え願えれば、私どもあまりこういう問題をあれするつもりはありませんから、こういうことは芳しくない、こういうことはあってはならないことなのだ、やり方としてはまずいということだけお答え願えればけっこうです。
  109. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 知った人のところに後援会があるのです。知らぬ人が後援することはないと思います。いずれも知ったところで、いろんなところで知り合いができるわけでございます。しかし、監督下にありまする業態というような場合には特に気をつけなくちゃならないということはおっしゃるとおりでございます。その点を注意して、問題を起こさぬようにお互いに気をつけます。
  110. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの問題については閣議の中なり何なりで、石井さんからも荒舩さんに、直接やったという意味じゃないにしても、こんなことで疑いをかけられちゃいけないから、よく注意するようにあなたから言っておいてください。あの人は言えばわかる人だと思うのですね。その点どうですか。
  111. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) まことに御注意ありがとうございます。
  112. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 一応いまの問題は終わりにいたしまして、私はまた十七日の法務委員会でゆっくり聞きたいと思います。私ばかり長々やっているわけにいきませんので、ほかの方がありますので……。  そこで、ちょっと緊急質問をさせていただきますが、それはお許しをいただいたので、平新艇の問題なんですが、平新艇の問題について、時間の関係上、事件の経過と、これの処理ですね、処理についての考え方、事件の経過は局長でけっこうですけれども、処理についての考え方、基本的な、どうするかという、これは大臣からお答え願いたい。
  113. 常井善

    説明員(常井善君) 捜査の経過についてでございますが、九月十九日、下関の海上保安署から山口県下関支部に事件送致がなされまして、現在同事件につきましては下関支部において取り調べ中でございます。  罪名でございますが、この本件の主謀者と見られます張大衡ら四名につきましては、出入国管理令違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、検疫法違反このような罪名をもって事件送致を行ないました。それから金基峰ら九名につきましては、出入国管理令違反の事実をもって書類のみの事件送致を決定いたしました。なお、いま申し上げました張大衡ら四名につきましては、九月十九日に山口地裁下関支部に勾留並びに接見禁止請求を行ないまして、同日勾留状の発付がございました。そして接見禁止の決定がなされまして、現在身柄は下関の刑務所に勾留の上取り調べを行なっております。なお金基峰ら九名につきましては、下関海上保安署におきまして逮捕いたしましたが、やはり九月の十九日に釈放をこちらはいたしまして、同日直ち入国警備官が収容令書によって身柄を下関の入国管理事務所に収容の上取り調べを行なっております。  なお、山口県の下関支部に対しましては、山口県の本庁から検事四名を応援に派遣いたしまして、合計七名の検事でもって鋭意捜査中でございます。
  114. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) ただいま事件の経過は申し上げたとおりでございますが、これに対しましてどういうふうに扱ったらいいのかということにつきまして、あれは非常に慎重に扱わなくちゃならぬ、そして急いでやるというので、関係の山口県の検事総計七名かかってそれで調べをいたしております。大体もう調べが一応済んで、その報告を持って上京して来るわけでございます。まだ結論を関係のほうで出すところまで至っておりません。ここ数日中には——数日というとあまり長いことでございませんが、近く事務的に結論を出すようにいたしたいと考えております。その上で関係方面と相談して慎重に取り扱いたい、いまのところはどういうふうに扱うかということを申し上げる段階になっていないのははなはだ遺憾に存じます、暫時お待ちいただきたい。
  115. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 慎重に扱い、それから早くやる、なかなかむずかしいのですが、処理についての基本的な考え方はどういうところにあるでしょうか、基本的な原則というものは。ちょっと質問が抽象論で恐縮ですけれども。たとえば国際法を尊重するとか、日本の主権の問題もある、あるいは本人の意思を中心とした人道主義的なものの考え方、いろいろからみあってくる事件ですね、この事件は。なかなかむずかしいところもあるかとも思いますし、私は私なりの考え方は持ってはおりますが、それは別といたしまして、基本的な考え方は、ただ慎重とかなんとかいうことは別として、どういう原則に立ってものを処理するのか、そこら辺のところをひとつお聞きしたい。
  116. 八木正男

    説明員八木正男君) この事件の処理につきまして、いま刑事局のほうから報告がありましたように、まだ検察庁から起訴の決定が来ておりませんので、その決定のあったのちの段階として申し上げます。われわれとしては、第一に、この関係者を日本には絶対に在留を許さないという点は一致しております。それから在留を許さない以上は、外国へ送致するわけでありますが、そのどこへ帰すかという問題につきましては、このような問題の持つ政治的な意味を十分に考えまして、後日悪い結果を残さないように、できるだけ筋の通った処理をしたいというふうに考えております。で、私ども事件の処理を出入国管理令によってやるわけでありますが、御承知のとおり、出入国管理令ではこのような場合に該当する条項、たとえば五十三条の強制退去の条項などにつきましても、比較的ことばの裏に本人の意思というようなことがにおっておりますし、また、こういうような事柄の性質上、その処理にあたっては、あくまで人道的見地に基づいて処理すべきことは当然でございますので、そういうような点を十分に念頭に置いて適正な処理をいたしたいと思っております。
  117. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最初の、日本へは絶対置かないということ、これはそのとおりだと思いますが、その根拠はどこにあるわけですか。
  118. 八木正男

    説明員八木正男君) これは端的に申しますと、今度の事件のように、非常に血なまぐさい事件、これはたとえばこのような全体主義国などから脱出しようとすると、ただでは済まないだろうということは、もちろん常識的に考えられますけれども、それにしても大ぜいの人を殺害をしたというような場合、そういう人間を日本へ置いておくということは、決して日本の社会のためにはならぬわけです。私ども出入国管理令のたてまえから申しまして、外国人の日本への入国、ことに日本と国交のない国の外国人の入国につきましては、その者の入国が日本にとって利益である場合にのみ許可するというのが、私は入国管理の根本政策であろうと了解しております。その意味におきまして、今度のこの事件に関係のある人間は、一人として日本の社会に歓迎すべき人間ではないと考えますので、その意味から在留は許したくないと考えておるわけでございます。
  119. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 結論は私もそれは正しいと思います。それはそれですが、韓国ではあれですか、韓国側へ全部引き渡せと、こう言うのですか、その点はどうなんですか。それに対してどういうふうに判断するわけですか。
  120. 八木正男

    説明員八木正男君) 私外務省の関係者から聞いた範囲では、この事件に関して外務省に韓国側から正式の要求は来ていないように聞いております。これは私確かめましたのは先週中でありましたので、その後何かあったかどうかよく存じませんけれども、直接まだ正式に外務省に対して韓国政府からの何らかの申し入れがあったということは聞いておりません。ただ事件の起こりました下関に駐在しております韓国の領事、また福岡だと思いますが、その福岡の韓国総領事というような人、このような人たちが執拗にこの人たちに面会を求めたということが初期にあったようです。初期と申しますのは、身柄が海上保安庁にあった当時でありますが。そうして、この十三人のうちの一部にその領事との面会を希望した者があったらしいのでございます。そういう点で、韓国領事が数名の密入国者に面接をしたということがあったということは聞いております。
  121. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 北朝鮮ですね——朝鮮民主主義人民共和国から、直接か、あるいはソ連を通じてか、日本の政府に対して何らかの申し出があることはあったわけですか。あったとすると、その内容の要旨なり、それに対するこちら側の態度ですね。これはどういうふうなものがあるか。
  122. 八木正男

    説明員八木正男君) 九月の十八日に平壌の社会安全省という名前、発信人の電報が来ております。あて名は「法務省ギョウチュウ」と書いてあるのですが、これは何の意味かよくわかりませんが、おそらく「御中」というのを音で読んで「キョウチュウ」と打ったんじゃないかと思います。「局長」じゃないらしいのです。それはローマ字で書いた電報でありまして、この船及び何名かの者が公海で漁労作業中行くえ不明になった、その後、報道によると、下関に入ったということを聞いておる。自分たちはすでに数回、不法入国した日本漁船を好意的に帰したこともあるから、今度日本に入ったこの船及び船員をすみやかに帰してもらうことを要望する次第です、という電報であります。それから、その後、九月の二十二日付で、同じく平壌の、今度は英語の電報でありまして、ミニストリー・オブ・ソシアル・セキュリティー、先ほど申しました社会安全省というローマ字を、今度英語でミニストリー、オブ、ソシアル、セキュリティーとしてございます。それから、あて名はミニストリー、オブ・ジャスティス、法務省というあて名になっております。これはやはり同じような内容でありまして、ただそれに、この前電報を打ったのに返事をせぬのはどういうわけだとか、国際法に全く違反している、要するに、この漁船を出入国管理令違反ということで勾留しているのは国際法違反だという、どういう意味かよくわかりませんが、そういう意味の電報二通これが直接法務省に配達されました。それで、こういう、これはいずれも日本と国交のない国の政府の電報でございますので、その処理については、法務次官から外務次官にお願いいたしまして、外務省でどういう処置をしたらいいか検討してもらいたいということでお渡ししてありますが、その結果まだ外務省から返事は伺っておりません。で、ソ連からの申し出というのは、これも私、外務次官が法務次官のところへ来られまして、その次第を御説明になったのを、法務次官を通じて伺っただけでありまして、正確を期する意味で私から内容を申し上げるのは差し控え、外務省の係官がおいででしたら、そちらから……。
  123. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 時間の関係もありますから要点しぼりますが、この出入国管理令違反と、また何かありましたね、銃砲ですか、それはあれですか、刑事事件としては、公安事件か、刑事事件か、としては、重い事件なんですか、軽い事件なんですか。ここら辺はどういうように考えているのですか。
  124. 常井善

    説明員(常井善君) この張大衡ら四名と、金基峰ら九名につきまして、おことばでございますので、一応張大衡ら四名について申し上げますが、日本へ必ずしも正式な、いわゆる亡命とは言えないと思いますが、亡命のような意思を持ちまして日本に参りまして、その過程におきまして、入国管理令違反あるいは銃砲刀剣類所持等取締法違反を犯しておりますが、その対象がいわば仲間の争いに向けられておるというような事情を聞いております。そういう意味で、直接日本の国民あるいは日本の公益と申しますか、利益にそのまま侵害を及ぼすというような事態ではないと思いますが、これ以上の詳しい事実認定につきましては、せっかく取り調べ中でございますので、厳密な認定を待った上で判断を下したいと思っております。
  125. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 出入国管理令違反で、日本へ密入国してきて大阪なり神戸なり下関でつかまった、こういう過去の例は、あれでしょう、ほとんど身柄拘束して——現行犯でつかまった者は身柄拘束して起訴しているのが多いんじゃないですか。保釈になってもそのまま日本外に持っていっちゃうんです。こういうのが多いわけですね。執行猶予になる者もあるし、下関と福岡は重いようですね、実刑もあるというし。いずれにしても、そういう取り扱いをしているんじゃないですか。みんな裁判に回しているんじゃないですか。法務大臣、本件に限って、何か聞くところによりますと、出入国管理令なり何なりを不起訴にしてしまう、そして早く向こうに回しちゃうのだ、そのために不起訴にしちゃうのだと、こういうようなことが決定されたと一部聞いているんですね。過去の実際の取り扱いの例と、本件は何か不起訴になるというふうな話が伝わっているんですが、そういう点がどういうところからそういうふうに伝わったのか。何か最高検と広島高検なり何なりと話し合ってそういうふうになったということもちょっと出ていたわけですが、本件を起訴猶予にしてしまうということが決定したのかどうか、あるいはまた、何のためにそれでは起訴猶予にするのか、容易に納得できないと思うのです。そこら辺、どういう事情で起訴猶予にしなければならないのか。何か聞いてみると、重い事件のようじゃないし、そこら辺、過去の例と、起訴猶予にするということが、どこでどういうふうにきまったり、きまりつつあるのか、その間の経過ですね。
  126. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) さっき申しましたように、まだ検察当局も調べが済んで私のほうに報告がない状態でございますので、したがいまして、いろいろなお聞き込み、新聞、私も見ました。しかし、そういうのは、そのとおりきまったものであれば、私が聞いたあとでなければ、きまったものではないはずであります。そういうことにきまっているとは私は思っておりません。まだそういうふうな研究途上にあるという状態でございます。
  127. 常井善

    説明員(常井善君) 一般論としては、先生の仰せのとおりの処分であると存じますが、何しろ、御承知のように、ケース・バイ・ケースと申しますか、ケースごとに特殊な情状と事情を持っておりますので、やはりそこをくんでしんしゃくし事件を処分するというのが、これはもう私ども原則だろうと思っております。大臣も申し上げましたように、何ぶん最終の事実認定ができておりませんので、差し控えたいと思います。
  128. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 入管令違反というのは、関西が非常に重いわけですよ。特に下関と福岡が重いんですよ。実刑も相当あります。身柄拘束してやって、なかなか保釈しませんし、身柄の点は引き受け関係などがあってそういう場合もありますけれども、非常に重いわけですね。特に近ごろ重いわけです。本件に限って悪い結果を生まないように、こういうようなことを考えて、悪い結果が何かと言えば、韓国との関係を考え過ぎて、そして本件について起訴猶予にしてしまう、そして、すぐ向こうに送り返してしまう、こういうようなことが何か伝えられているわけです。慎重に早くと言うが、とにかく早く処分しちゃおう。早く処分するには、裁判に回すべきじゃない。起訴猶予にしちゃう、それで向こうに帰しちゃう、こういうことは非常におかしいと私は思う。これでは日本の司法権の独立というか、司法権の放棄みたいなものだ。司法権というのは裁判権ですから、厳密に言えば、起訴不起訴の権限というものが司法権に含まれるわけじゃないですけれども、広い意味で言えば、実際問題なんで、そういう、やり方とすれば、普通の場合なら当然起訴されて身柄拘束のまま裁判を受けるものを、起訴猶予にしてしまう、これは現実的には日本の裁判権の放棄にひとしいことになる。私は非常にそういう意見が強いように聞くわけです、あっちこっちで。新聞にも出てますが、どうも納得できないのです。韓国のやり方に非常に屈服しているような印象を受けるわけです。  それから、別のことですけれども、個人の場合に、あるところで犯罪を犯して自分の家に逃げてきた、それをほかへ逃がしてしまったら、犯人蔵匿とか犯人隠避になるでしょう。個人の場合はそうでしょう。殺人事件を犯して私のところへ逃げてきた、それを逃がしたら——私はそんなことをしないけれども、ぼくの法律的な責任はどうなるのですか。
  129. 常井善

    説明員(常井善君) 仰せのとおりになることが多いと思います。
  130. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは犯人蔵匿なり隠避の場合も、親族であるとか、そういう場合には、特別の場合には刑の免除があったと思いますが、特殊の場合は別として、そうでない場合、犯人隠匿罪になるのです。殺人して日本に逃げてきたのを、それがわかっていてほかの国へやっちゃった。犯人隠匿に個人の場合にはなる。同じようなことを日本の政府がやろうとしているということは、ぼくは納得できないわけです。結果としてそういう結果になるというのは、どうも私は納得ができない。それは当然私は、一応日本の裁判主権の問題からいっても、裁判に回すべきものだと私は思います、いままでの普通の事件との比例からいって。しかし、それは検察の内容に国会議員がタッチすべき筋合いのものではありませんから、これ以上のことは私の意見だけですが、私は納得できない。どうも起訴猶予にして早く向こうへ帰してしまえ、そういう内容になるのは納得できません。個人の場合には犯人蔵匿になって刑罰を受ける。同じことを日本の国がやって平気でいられるというのも、私には納得ができない、こういうふうに考えられます。そこら辺のところはどうもよくわからないのですが、あれですか、あなた方の考え方によると、何か四人の本人が強い意思だから韓国へ帰してしまえ、こういう方向へ大体かたまっているわけですか。韓国ではこれは国民的英雄のように取り扱うわけでしょう。殺人罪を犯して——人殺しを七名したのですか、殺人を犯して日本から帰ってきたが、起訴猶予になった。裁判も何も受けない。普通ならば受けるけれども、向こうへ帰してしまえ。向こうでは英雄のように取り扱われる。日本のあれとしては、まるで裁判主権を放棄したような印象を受ける。何だろうと、国民はそう思いますね。大体そういうような方面へ行きつつあるのですか。もしそういうような方向へ行ったときに、一体日本の国民は何と考えるだろう。国民感情からどういうふうに考えるだろう。この点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。これは常識的な問題です。国民感情論の問題ですから、そこら辺、どういうふうにお考えでしょうか。
  131. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) さっきから何べんも申し上げましたけれども、まだきまってない問題であります。だんだん仮定の話ばかりでありますので、仮定議論になりますので、私としてはそれ以上のことは申し上げかねます。お説を承っておきます。
  132. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは三時まででやめますが、勾留満期はいつですか。これはそれまでに延長しない、大体けりをつける方針だ、こういうことですか。そこの点はどうですか。起訴不起訴の処分がきまってから、法務省なり外務省としての取り扱いをきめる、こういうことですか。
  133. 常井善

    説明員(常井善君) お尋ね二点あると思いますが、第一点につきましては勾留満期は二十八日でございます。延長請求をするかしないか、この事情につきましても、これは最終の結論によってきまることと存じます。それから、送り返すといいますか、その問題につきましては、刑事事件としての結論がついてからのことに相なろうかと存じます。
  134. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その起訴不起訴をきめるとか、そういうふうな問題はあれですか、こういうような事件は、どことどこが相談して最終決定するということになっているのですか。
  135. 常井善

    説明員(常井善君) 指揮系統に従いまして、本件でございますれば、山口地方検察庁の下関支部でございますので、本庁としての山口地方検察庁、なお、その上に広島の高等検察庁、さらに最高検察庁、この間の、事案によりまして必要とありますれば、その間の指揮、連絡、報告、そういうことを通じまして事件処理の結論に達します。
  136. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そればわかり切ったことなんですが、本件について、すでに最高検なり広島高検なり、それから山口地検なり、そういうふうなものが集まって——集まらなくても、電話連絡でもいいですけれども、具体的に一応結論を出したと新聞では伝えられているわけです。二十六日午後、きのうの午後集まって結論を出したように伝えられているわけですから、念を押すわけですが、そういう事実はあったけれども、なおかつ、また、勾留満期まで日にちがあるから、もう少し日にちを見ようということなんだと、こういうふうに承ってよろしいのですか。その点はどうなんですか。その点は差しつかえないのじゃないですか、内容まで私は聞きませんから。その程度のことは。
  137. 常井善

    説明員(常井善君) さような経過で、事件の打ち合わせがなされたということを私は聞いておりますが、なお、補充捜査を遂げる点があるということで、現地でせっかく捜査中であるというふうに聞いております。
  138. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最後になりますが、実は、いま、一時ごろに私どもの亀田得治参議院議員と二名の弁議士——亀田さんも弁護士ですが、三名が、九名のほうですね、入管にいますが、入管にいる九名に会った。その結果というものが、電話が来たわけです。それは、九名が全員負傷しているというのです。けがをしている。けがをしたというのは、十九日に来たわけですから、その来る途中のけがではなくて、二十五日に入管に入ってからけがをしたということ、これは、下関入管ですが、くつでけられたり何かしているのもいるとか、なぐられたりしたのもいるとかいうようなことでの電話があって、現地でこれを、あるいは告発が出るかもわからない、するかもわからないというふうなことが、連絡が私のところにありまして、そうして、そのことについて、一応聞いてみてくれ、聞いてみても、答えは、まだ聞いていないという答えになると思いますが、いずれにいたしましても、そういうことがあった。告発が、三名の弁護士が会った結果として、どういう告発か、特別公務員のあれだと思いますけれども、告発が出るかもしれないということはあったわけです。一時ですが、そのことに関連をして、何か法務省なり何なりのほうでもって聞いていることがありますか、まだ現在の段階では、ありませんか。
  139. 八木正男

    説明員八木正男君) 九人の者が負傷しているということは全然聞いておりません。ただ、入管の職員が乱暴を受けて、警備官が肋骨を痛めているのがいる。それから、小人数のところを、連日いろいろデモなどが盛んに来て押しまくられて、みんな過労ぎみで倒れそうになっているのが多いというような報告は受けております。しかし、九人がどうしたというようなことは全然聞いておりません。
  140. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの話は、私が電話で聞いたことなんですから、きょうは二十七日ですか、三十日のころに、あとで委員長、理事にお願いするわけですけれども、亀田さんからのあれで、もう一ぺんぜひ委員会で緊急質問を許していただいて、現実にこれらの者、九人の者に会って負傷しているところを見てきた。いま入管の局長が言われるとおり、入管の職員のほうがけがしたり何かしているということですから、いろいろな食い違いがあるかもしれませんが、やはりその間の事情というものを十分確かめたいというふうなことで緊急質問したいというようなことを申し出て、これは理事の方におはかり願いたいわけですが、いずれにいたしましても、そういうことについてあなたのほうでもよく調べておいていただきたい、こう思います。その点については、ぜひ調べていただいて、これは私ではございませんが、亀田さんの緊急質問をお許し願えれば、そのときに十分事実関係全体に答えられるようにひとつお願いをしたい、こういうふうに考えます。  そこで、時間が参りました。平新艇のことについての緊急質問を終わるわけですけれども、率直に申しますと、非常に法律的に国際法上非常にむずかしい問題がたくさんあると思います。外務省の条約局長とかなんとかに来てもらうとか、外務大臣などに聞くべきかもしれません。亡命というものの定義の問題政治的亡命の問題、それから難民の地位に関する条約の問題、日本は入っておりませんが、そういうふうなことでありますとか、国際人権宣言との関係の問題ですね、それから、本件が起訴された場合に、一体公海上の殺人ということが日本に裁判権がないとしても、それが出入国管理令の中の入港の事情としてどれだけ加味されるか。あるいは量刑として加味されるか、事情として加味されるか、罪体ではないとして、ここら辺に非常にむずかしいいろいろな問題が含まれているわけです。いずれにいたしましても、それは別といたしまして、本件についての緊急質問はこれで終わりますけれども、私は、やはり日本の国家として国家主権があるわけですから、しっかりとした立場で、同時にまた、国民感情というものも十分考慮に入れながら、国際法の原則、日本の主権、人道主義と、この三つのものの妥当なからみ合いの中に本件を当然解決しなくちゃいけないことであろうと、まあこういうふうに考えるわけです。日本の国家がいかにも犯人隠匿罪を犯しているような外部に与える印象というものは避けなくちゃいけないのだと、こういうふうに考えるわけですが、緊急質問ですから、きょうはこの程度にして終わらせていただきます。
  141. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速言をとめて。   〔速記中止〕
  142. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連ですから簡単にお聞きしますが、第一に、この平新艇が入ってきたときに、水先案内なしで下関に入港してきたんですね。これについては、日本側当局と何か連絡があったのかどうか、これが第一点。  それから第二は、乗り組み員は海上保安庁へ行くまでの間に、どのような日本側機関と接触して話し合ったか、これが第二点。  第三点は、韓国警備艇が犯罪者を引き取りに来て、日本側は退去させたが、その警備艇の一体任務というものは何だったのか。さらに、現在韓国の軍艦が下関付近の領海外におるけれども、その理由、これへの政府態度は一体どうするのか。  第四に、首謀者らは海図を韓国の漁船からもらい、日本の漁船にニュースを聞いて入港したと言っているが、そのような事実があるのかどうか。さらに、下関の韓国副領事閔という人と首謀者閔というのは、これはいとこ関係だということが言われておるが、その事実はどうか。  この四点について、まず事実関係をただしたいと思うのであります。これは時間の関係があるから、てきぱきと要点だけを述べていただきたい。四つの点、わかりましたな。
  144. 常井善

    説明員(常井善君) 第一点の入港するときに連絡があったかという点でございますが、所管で申しますと、海上保安庁の所管の事項でございますが、私ども、特別司法警察職員としての海上保安官から聞いた範囲で申しますと、あるいは不正確かもしれませんが、連絡がなかったというふうに承知しております。  第二点の、上陸してからどのような状況で事件が発覚したかということでございますが、これはそのうちの一名ないし二名が下関海上保安署に参って、亡命の事実を届け出をした、かように海上保安官より私どもはその間の事情を聞いております。  第三点につきましては、これは私どもの所管でございませんので、しかるべき人から答えていただきたいと思います。  第四点の、海図を入手したいきさつでございますが、そのような事実があるように聞いておりますが、その点が具体的に、はたして任意に譲り受けたものやら、あるいは奪取行為によってその海図を手に入れたものやら、そういう事情についてはまだ明確になっておりません。これもおそらく検察庁におきまして、周辺の事情として取り調べ中であろうかと思います。  第五点の縁故関係につきましては、私ども承知しておりません。  以上でございます。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間の関係から詳細を尽くすことはできないのですが、非常にこの事件の裏面関係相当複雑であると考えられる。いろいろな海図の問題、あるいは縁故関係の問題、それから、こちらに入ってからその後のいろいろの措置の間に、これは相当の背景がある、そういう疑惑が持たれ、また、そのニュースが推理される面がある。われわれとしては、こういう点から考えて、ことに日韓のいまの立場から非常に重大な問題だと考えています。ことに日韓会談が妥結されてから、政府の朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策というものは非常に露骨なんです。非常にこれは露骨になってきておる。しかも、そこには非常に圧力が加えられてきた。韓国側の圧力というものが絶えず加えられてきた。ですから、民族教育の問題、あるいは、その後起こった技術者の入国問題、さらに、最近の帰国問題、そして平新艇の問題というふうに、矢つぎばやに起こっている。これは日韓国会で非常にわれわれが心配したことです。こういうことが起こる可能性がある、こういう点について、しばしば政府意見をただしたときに、政府はこれに対しまして、そういうことはない、ただ韓国は隣なんだから、それで国交回復するのだ、北鮮に対するいろいろな圧力というものは今後ないのだというような答弁をした。ところが、実際は事実となってあらわれている。そういう点から非常に重大な問題です。  そこで、どうなんですか、当然いま政府のやっているのは、出入国管理令違反の問題でこれは捜査をしている。そして公海上における殺人問題というものは一応これは触れていない。この点どうですか。
  146. 常井善

    説明員(常井善君) 出入国管理令違反、それから銃砲刀剣類所持等取締法違反、検疫法違反の罪名をもちまして送致されておりますので、その点につきまして調べを行なっておることは当然でございますが、ただいまお話の殺人事件、それから、先ほど申し上げました海図を取ってきたいきさつ、このような事情につきましては、一連の事情でございますので、当然検察庁におきましては調べを行なっておるはずでございます。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 質問の要点をよく聞いてくださいよ。公海における殺人事件と出入国管理令違反と、この二つを区別しているのだ。だから、出入国管理令違反の問題が調べがつけば、これにはタッチしない。当然、そういうことになりますというと、国際法の慣例に従って、これは旗国主義の立場をとるべきじゃないか。したがって、朝鮮民主主義人民共和国に船並びに全乗り組み員をこれを送還するというのが基本的な立場じゃないですか。この点どうなんだ。この点について、はっきりした態度をこれはとっていなければ話にならぬ。これはもうこの点は法務大臣が答えるべき問題です、政治的問題ですからね。法務大臣としては一体どういうふうな立場をとっていられるか。聞くところによるというと、四人は韓国へ、あとの九人は、これは朝鮮民主主義人民共和国に帰すのだというような、分離したたてまえをとっておるということも聞いている。そういうようなことが伝えられて、それから、しかも、当然であるところの、国際法の慣例による当然なすべき船と全乗り組み員を帰すという、これができないのは未承認国だからというようなことが言われていると聞いているのですが、未承認国だからというような理由は今日成り立たないと思うのです。これははっきりしておりましょう。いままで、どうです、大村におけるところの出入国管理令違反で強制収容されておった人たちが、これは韓国は昨年の条約があのような無理な形で結ばれて、とにかく形はこれは国交は回復したということをあなたたちは言っているわけだけれども、それ以前の未承認時代においてもどんどん帰した例が、韓国には送還された例があるでしょう。その例からいけば、当然これは未承認国だからという理由は全然成り立たないと思うのです。したがって、これは朝鮮民主主義人民共和国が法務省に対して要求しているこの要求に従うのは、当然国際法の立場からなすべきだと考える。法務大臣のこの点に関するはっきりした私は決意のほどを述べてもらいたいのです。この点について非常に不明瞭な、しかも、韓国政府の圧力に屈した、そうして、その裏には何か陰謀的なもののにおいが非常にする、そういうものに政府が同調したというようなことになりますと、先ほどの稲葉委員の発言にもありましたけれども、日本外交のこれは本質というものをすっかりここで混乱させられる。めちゃくちゃですよ。これでは全く筋が立たない。私はこういう点では、はっきり日本外交の筋を明らかに、する、政府態度を明快にする、国際法を厳守するという立場をとっていかなければ、これは日本の今後の権威のために重大な問題を私は持っていると思うのでありますから、この点について、はっきり御答弁を願いたいと思います。
  148. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) まず、日本の政府は日本の政府独自の立場でこの問題を取り扱うことは問題ありません。韓国の顔色を見たり、韓国の指図に従ってこの問題を取り扱う、また、まっすぐに歩くものをそのためにゆがんだ道を歩くようなことは、法務大臣石井光次郎、そんなことはいたしません。御心配なく。  それから、どういうことに扱うかということは、さっきから何度も何度も申し上げておりまするとおり、諸般の情勢を取り調べ中でございます。それによりましてどういうふうにこれは適用するかという問題、あなたのおっしゃっていることも新聞紙上で私どもがお互いに知っているだけの問題をただうわさ話しておるだけのことであります。そのとおりになるかどうか——そのとおりになるかもわかりません。そのとおりにならないかもわかりません。ただいま取り調べ中であります。それはしっかりと間違いのないように、国際法も考えます、国内法も考えます。いろいろな情勢を取り調べてしっかりとやっていくことをこの機会にはっきりと申し上げておきます。
  149. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  150. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を始めて。
  151. 竹田現照

    竹田現照君 だいぶ時間がたっておりますので、審議に協力をしますので、いずれ農林省のほうにも審査の際に譲らなければならない点がたくさんあろうと思いますから、簡潔にお聞きしますので、お答えのほうも簡潔に願います。  一日の決算委員会で、田中代議士に関連をする富川の牧野に関する資料の提供を求めて、本日いただきました。これは資料によりますと、後ほどの質問に関連もありますからお聞きをするわけでありますが、昭和二十三年の四月六日、富川牧野農協なるものはできていることになっている。しかし、これは現実はもう有名無実のものになっておったところに、三十九年に田中一族が入り込んできて、この農場というものを新たに発足させたというのが昨年の六月というのが実情であります。こういう点については、農林省としては、はっきり掌握をされた上で、資料として出されているような補助金の交付あるいは公庫からの融資、こういうものをなされたのですか。その点をまずお聞きしたい。
  152. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 御承知のように、小規模草地改良事業でございますが、これの国庫補助につきましては、要項並びに要領に基づきまして、草地改良事業の目的並びに適格性を審査いたしておるわけでございますが、道庁に申請をいたしまして、道庁が適格であるというものにつきまして協議を受けまして決定をするというたてまえになっております。一応適格であるというふうに判断をいたして補助事業の対象にいたしたわけでございます。
  153. 竹田現照

    竹田現照君 これはそういうお答えになりますけれども、それでは、現実にこの田中問題が起きた現在、これはもう閉鎖をしなければいけない実情になっておるわけです。わずか一年足らずで田中事件が起きたから、こういうことになっている。私は一日の質問の際にも、これは明らかに田中牧場でつくり上げたいわゆるサラブレッドですか、ああいう競馬馬を売買に都合のいいという地点まで運んできて、この富川牧野農協なるものをでっち上げて、ここで売買するという計画のもとにこれがっくり上げられたことは事実。事実、この農協というものは、火山灰地帯のために昭和二十三年以来三十九年まで全然利用価値がなかった。四苦八苦しているところに目をつけまして、いまの構想で田中一族が乗り込んできた。それで農業協同組合というものをつくり上げてしまうと、これは税金の問題あるいは補助の問題、公庫からの融資の問題等、あらゆる便宜が受けられるということの、そういう一つの合法的隠れみのというか、こういうことで行なっていることは事実ですね。現実はいま閉鎖せざるを得なくなったことですから、あとに関係しますが、この問題だけ簡単に言いますと、現実に約三千万円ですか、この国庫補助金の千五百万円、公庫からの借り入れが約千二百万、こういうような問題のあと処理を、どうするのですか、現在の段階で。
  154. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 今後の問題につきましては、牧野協同組合がどういうことになるかということに関連してまいりますので、現在、協同組合につきまして道庁のほうで調査をいたしております。その調査の結果を待ちまして、どのような措置をとるかということを検討する必要があるというふうに考えております。
  155. 竹田現照

    竹田現照君 これは道庁だけにまかせるのじゃなく、後ほど私は、いなせ農園に関係して聞きますけれども、この補助金の交付については、まあいろいろと規程があるわけですね、補助規則その他。これは各都道府県にもあると思いますが、これは最後に、最終的に払う前に、いわゆる暫定払いのようなものをする際にも、一部検定あるいは出来高検定というようなものを農林省としては実際行なっているのですか、行なった上で出しているのですか。
  156. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) できたかどうかというやつを確認いたしまして、そこで補助金を出す、精算をするというたてまえになっておるわけであります。
  157. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、つい昨年ですね、金が出て、僅々一年もたたないで今回のような事態になってしまったということになると、道庁の関係は別として、農林省自体一体何を見ていたのですか。形式的に表面だけをつくろっていれば金は出すしかけになっているのですか。
  158. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 本補助は、御承知のように、県を通じて補助することになっておるわけであります。四十一年の三月三十一日に事業の検定の確認をいたしまして、それに対して、四月の二十七日に補助金の精算払いをいたしておるわけでございます。
  159. 竹田現照

    竹田現照君 そういうことはわかっているのです。現実にこうなっている問題についてどう責任をとられるか、このことを端的にお答えいただきたい。
  160. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 草地改良事業の補助金といたしましては、当初の目的どおり補助金の対象となる事業が完全にでき上がっているということを確認いたしまして、その確認ができましたら補助金の精算払いをいたすという形になっておりますので、そういう意味におきまして、当初の計画いたしました事業が完全に施行されておる、こういうことで補助金の精算払いをいたしたわけでございます。
  161. 竹田現照

    竹田現照君 きょうは国有財産の運営管理の問題ですから、この富川牧野農協のあと始末の問題については、いずれ農林省の部のときに譲りますが、これもいま申し上げましたように、田中彰治代議士が関連をしている。きわめてスピーディーにいろいろな問題が進められているわけですね。  そこで、今度は阿寒湖畔にあるいなせ農園なんです。これも自民党の代議士が関係しているわけですね。これは農業生産法人というものをでっち上げて、あの阿寒湖畔に一大観光地をつくり上げようという目的であります。これはあらゆる新聞その他の広告、パンフレット等たくさん持っておりますが、そのことによって明らかです。この農業生産法人にも農林省は昨年金を出している。ところが、一年もたたない間に、その金をもらって草地改良あるいはいろいろな施設をしたところに観光道路をつくり上げてしまった。こういうような実態についてどういうふうにお考えになっているか。ですから、前から言われている税金の問題のときにも触れましたように、有力な政治家が介入しているところには、そういう表面上は合法的なように見えているけれども、陰で競馬の馬の売買をやるとか、観光事業をやるということが明らかでもあるにもかかわらず、表面的に合法であるということで、補助金などだとか、いろいろなものが出され、あとで触れます国有林の活用だとか、そういうものが許されるのかどうか、はなはだ疑問です。
  162. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) いなせ農園につきましては、御承知のように、三十九、四十年度事業といたしまして、弟子屈農協が七十一ヘクタールの草地造成をいたしたわけでございます。これに対しまして、先ほど申し上げましたような草地改良の適格性から見まして妥当であるという判断をいたしまして、補助の措置を講じたわけでございますが、その後、いなせ観光株式会社というものができたわけでございますが、法人といたしましては、これは別会社でございますし、いなせ農園につきましては、当初の目的に従いまして、草地改良事業が完成をいたしまして、適正に管理されておるというふうな点から妥当であるというのでございますが、たまたま、お話がございましたように、観光会社ができまして、それに関連いたしまして、観光道路を造成し、草地の中を通過するものとして設置をしたいという要請があったわけでございます。で、これが一・三七ヘクタールでございますが、これにつきましては、用途変更の申請を認めたわけでございまして、同時に、道路の敷地分の補助金分について返還命令を出しますと同時に、畜産経営上支障を来たさざるような代替草地を造成するということを条件として、本年八月二十七日に承認をいたしたわけでございます。
  163. 竹田現照

    竹田現照君 そういう何か作文のようなお答えをいただいても困るのです。観光会社があとからでき上がったというようなものではないのです。いなせ事業団というものは、一つの構想として、これはいなせ事業団代表者衆議院議員松田鐵藏さんの名前ですよ。ちゃんと天下の新聞に広告が出ているのですよ。最後のほうを読んでみましても、「いなせ農園は風光明媚な阿寒国立公園内の名湖である屈斜路湖にのぞみ、美幌峠と相対する四隣の美観をほしいままにする自然美の大景観を補い、新たに産業と直結する一大新観光地を完成し、当地域の開発と改善に大きく貢献せんとする」云々とちゃんと出ている。あとからでき上がったものではない。いなせ事業団は有限会社いなせ農園、いなせ観光株式会社、鹿苑荘がいなせ事業団になっている。だから、いまのようなお答えは、さながらあとからできた、そうして、それから道路をつくった、それがちょっと支障があったので許可を求めてきたので、八月の何日に許可をいたしました、そういう答弁は、これはだめなんです。三百代言だ。でき上がっているのだ、大体道路というのはことしの三月に。そういう事態の中で、いま富川牧野農協にしても、いなせ農園にしても、農業生産法人なら法人の中に、これはいろいろなことをやっちゃいけないことになっている、こういう法人は。観光事業だとか、そういうものをつくっちゃいかぬことになっている、この法人の経営する中には。そういうことを実際にあなた方は調査をしているのかどうか、いかがです。
  164. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) まあ私たちの関係では、一応助成をいたしまして、草地改良事業を実施しました、それで完成をいたしましたということでございますので、一応妥当なものと考えておったわけでございますが、その後、土地の問題が出てきましたから、草地改良事業の本来の目的に違反するようなことであれば、これはもちろん困るわけでございますけれども、それに道路をつけたから直ちに草地改良の目的に反するということにはならないのでございますから、それはやむを得ないということで、ただし補助金の返還をさした。別に必要な土地をつくるということでありますので、それを承認をいたしたわけでございます。現実には道を通ずる、補助事業でありますので、道におきましていろいろ調査をした結果をもってわれわれのところに相談があるという形をとっておりますので、そういう相談に応じましてすべて決定をいたしておるわけでございます。
  165. 竹田現照

    竹田現照君 これは畜産局長ばかりでなくて、農地局長いらっしゃるのですか。−農業生産法人の中に、端的にお聞きします。ジャングルぶろだの、貸し別荘だの、あるいはシカ牧場だの、クマ牧場だの、宝石をみがくところだの、ヘルスセンター、バスターミナル、こういうようなものが存在するということについて、農業生産法人の性格から許されるべき性格のものですか。
  166. 和田正明

    説明員(和田正明君) いなせ農園が農地法上の農業生産法人として適格であるかどうかということにつきましては、御承知のように、農地法上いろいろな適格性を判断する要件があるわけでございます。現在まで北海道庁から報告を受けております問題は、法律論なり、あるいは事実認定の問題なり、いろいろあるわけでございます。事実認定の面から道庁から受けております報告、また、それに基づきましての法律的な見解としては、農業生産法人としての適格性を有しておるというふうに私どもは判断をしておるわけでございます。ただ、いま先生がおあげになりましたふうなものは、この農業生産法人の事業内容ではございませんので、この生産法人としては、弟子屈農協が造成をいたしました、先ほど畜産局長からお話のありました造成をいたしました草地を利用して肉牛を放牧いたしましたことと、それから礫耕栽培による園芸をやっております。これが生産法人の主たる事業でございます。
  167. 竹田現照

    竹田現照君 どうも歯切れが悪い。そういうようなことが生産法人の性格上脱法でないか、違法でないか、いま私があげたようなことがあるということは。
  168. 和田正明

    説明員(和田正明君) 一般論として、農業生産法人は、当然農業生産に従事するのが本業で、それに付帯をする事業の範囲内で農業生産事業以外の事業をやることになっておるわけであります。したがいまして、農業生産を主たる業務としておらないとすれば、これは農業生産法人としては認定しがたいことになります。いま具体的に問題でありますいなせ農園につきましては、道庁からの報告等による事実認定を法律論として考えます場合には、農業生産法人としての適格性を有しておるというふうに考えます。
  169. 竹田現照

    竹田現照君 私は質問の前に、八月の初めに林野庁あるいは農地局もだったと思いますが、現地に行ってよく調べてくるようにと言いまして、よく現地を見ているはずです。それでなおかつそういうお答えは私は納得がいかない。これは時間の関係で私のほうから端的に言いますが、いいですか、ことしの北海道議会でこれが問題になった。ところが、その一緒にやっているものだから、道庁の役人は議会でのらりくらりわけのわからない答弁をしてですね、質問の中で、適格性を持つためにこれは必ず分筆移転登記などということをやりかねないということがあったが、やはり四月の三十日に、その適格性を欠くものだから、そういういま言った鹿苑荘だとか、いわゆる貸し別荘、ジャングルぶろ、そういう部分は全部分筆移転登記をしちゃって、いまは形を整えているんです。  それから、先ほど畜産局長は、その草地改良をやったところの云々について、あれだから金を返してもらう。私は金を返してもらえば何をやってもいいというものではないと思う。草地改良というのは少なくとも六年間は手をつけてはいかぬことになっておる、いろいろなことに。ところが、半年もたたぬうちに観光道路、それは面積にしては少ないですが、そういうものをつくって、それはしようがありませんと、だから、他にそれに類するものをつくれば、その補助金を返していただけば、それはやむを得ませんと言うんなら、これはすべてのものにそういう態度をとりますか、農林省としても、あるいは地方庁としても。そうじゃないでしょう。これはやはり有力な政治家か何か介入しておるから、そういうような措置をとるんです。そういうばかなことは私は答弁としては成り立たないと思う。  それから国立公園。厚生省に聞きますけれども、あなた方は、自然公園法に基づくいろいろな工作物の新築許可、あるいはいまの現状変更の道路等々の問題についてですね、許可前に全部着工して、ほぼでき上がっているというようなことを現実に認めるんですか。
  170. 大崎康

    説明員(大崎康君) ただいまお話がありました点につきましては、一部について若干の工事を始めてあったようでございますが、現地における管理員等を指導いたしまして、申請書を提出後許可をいたしまして、これをやるように指導をいたした次第でございますが。
  171. 竹田現照

    竹田現照君 許可をして指導したなんと言ったって、そのときにはでき上がっているんじゃないですか。昨年ですね、厚生省は国立公園地域の第三種としての現状変更許可を九月の二日に行なっておるんです。それは、私に提出された資料によると、これは現地調査を行なった上でやったんですか。そのときに、私が先ほど来いろいろなことを農林省に質問しておったような別荘だとかその他のものは現実にできておりませんでしたか。
  172. 大崎康

    説明員(大崎康君) いわゆるいなせ農園につきましては、先ほどもお話がございましたように、三つの会社があるわけでございます。で、その各施設ごとに実は自然公園法上の許可が必要なわけでございまして、いなせ農園につきましては、十件の許可——たとえば道をつくりますとか、温室をつくりますとか、あるいは、さくをつくりますとか、そういうものについて一々自然公園法による許可が必要なわけでございます。それはいなせ農園について十件、それからいなせ観光について三件、それから鹿苑荘という、これはシカを飼う施設であります。それについては一件許可申請が出ておりまして、目下二件は保留をいたしておるわけでございます。  で、先生からいまお話がございました九月の二日の許可ということにつきまして、ちょっと私、手元の資料等さがし出しまして符合いたしませんが、その当時おのおの許可を得て、本格的な工事につきましては許可を得てやっているはずでございます。そういうふうに私は承知をいたします。
  173. 竹田現照

    竹田現照君 はずでありますなんて言われたって、九月の二日に厚生省は許可をしましたけれども、昨年の七月の十三日、北海道農地開拓部農地調整課の向田技師が現地の調査に行ったときの復命書、これによりますと——七月十三日ですよ、二カ月前です、許可の。貸しバンガロー四棟の基礎工事中、シカ牧場あり、そういう云々というちゃんと復命書が出ているんです。二カ月も前にすでにやっているんですね。やっているのに、許可をしてから本格的工事をやったと思います、なんて言ったってだめなんです。それから、ことしですね、あなた方のところで許可したのもあるし、これからするのもありましょうけれども、厚生省としてはあれですか、自然公園法に基づくもの、私の承知している限り、北海道の一般の民家では屋根のペンキまでうるさいのですね。あそこにいる管理員というんですか、レンジャーというんですか。ところが、こういうものは許可をしない前でも着工するということを認めるんですか。許可を必要とするということは、許可をしてから着工するというのが常識的だと思うのですけれども、事これに関する限り、私はその手続が一つも踏まれていない。これは国立公園局としてはどういう取り扱いになっておりますか。
  174. 大崎康

    説明員(大崎康君) 国立公園内の地域内につきましては、御承知のように、自然公園法上で特別保護地区、あるいは特別地域、あるいは普通地域という種類がございます。その中で、特別地域につきましては原則として自然の状態を保護する地域、それから産業との調整をある程度許す地域、あるいは主として産業を原則として許す地域というふうに、まあ区分されるわけでございます。したがいまして、このいなせ農園につきましては、これは特別地域でございますが、私ども、申請書類を検討いたしまして、そして自然公園法上の風致判断上これが許されるやいなやということを判断をいたしまして、そして、おのおの申請書類に対して許可を与えているわけでございます。ただいまお話がございましたように、許可の前の着工ということがあるとすれば、これは非常に遺憾なことでございます。
  175. 竹田現照

    竹田現照君 これは全部が遺憾なんですよ、農林省も、それから厚生省も。それから、ほかの省にも聞くと、たいへん遺憾なことでございます、こうなんです。遺憾遺憾と言ったって、でき上がってしまったものについて、法律上の撤去命令なり、あるいは農地の場合は農地法を適用して国が買収するとか、そういう強硬措置というのは全然とられないんでしょう。やり得なんですよ、これは。これじゃ厚生省所管の自然公園なんていうものは、あれはあってなきがごとものじゃないですか。できてしまった、これはしようがない、こういうのじゃしょうがない。現実にそうなんです。全部そうなんですからね。首かしげているけれども、私は現地を見ているんだから、八月の私は十八日に行ったけれども。いま国立公園局長がここで説明をした中で、その当時許可がおりたというのは、六月二十九日の一件だけ私は許可がおりたと聞いております。その後、行き違いがあるかどうかは知りませんけれども、、そのときには全部でき上がったんですね。そうすると、やり得ということですか、これは。いろいろな法律の許可事項というものは、実力のある者はさっさとやりほうだい、やってしまえばあとは全部追認で許可になる、こういうふうに解釈をしていいんですか。
  176. 大崎康

    説明員(大崎康君) そういうことはあってはならないことであろうと思います。
  177. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ明らかにこれは法律違反ですね。自然公園法違反です。これについて厚生省としてはどういう態度をとるのですか。
  178. 大崎康

    説明員(大崎康君) 一部事前着工があったように北海道庁からも報告を受けておるわけでございますが、その点につきましては、ただいま申し上げましたように、自然公園法上の許可をとっていなかったわけでございますので、いま申し上げましたように、遺憾なことではございますが、それぞれにつきまして、管理員を通じまして今後十分に指導していきたいと思います。なお、現在までもその点につきまして注意を喚起いたしているつもりでございます。
  179. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ全然これはこの問題の解決にはならないのですね。  それから、最近聞くところによると、ここにいた管理員はどっかへ飛ばされたそうですね、あまりうるさいので。いつ転勤になりました。
  180. 大崎康

    説明員(大崎康君) そこの管理員が転任になったのは事実でございますが、すでに二年有余の在勤であったと記憶をいたしております。したがいまして、ことしになりまして——毎年これは定期異動をやっておるわけでございまして、その定期の異動に乗せてかえたわけでございます。
  181. 竹田現照

    竹田現照君 まことに四角四面の答弁をしていますけれども、あまりうるさいのであれはどっかへ飛ばそうと言ったそうですね、この責任者は。私の聞いている限り、あれだそうじゃないですか、志賀高原というのは国立公園の中で最もひまなところだそうですね。そこへ何か飛ばされたと、こういう話です。これは人事異動で、何とでも説明がつくわけです。その飛ばされた、飛ばされないは別として、現地にいるのですからね、管理員というのが、あなた方の出先が。出先がおって、現に九月の二日の認可する二月も前から基礎工事が始められ、いろいろなことが全部進んでいる。しかも、ことしも同じこと、こういうことについて何のために——現地の者はその問題について、公園法違反であるからやめろとか、認可がおりるまでそれは着工すべきでないとか、そういうことをなぜやらないのですか。それじゃ何のためにいるかわからないじゃないですか。近辺の農家のペンキが赤がだめだから青にしなければならぬとか、青を赤にしなければならぬとかいうような程度のことしかやらないのでは、何のためにいるかわからぬ、高い金を払って。ですから、いまの国立公園局長の答弁では私は全然納得がいかない、私は阿寒国立公園について言っているのだけれども、これは全国的に、こういう地帯にいわゆる政治家の実力者がいればそういうようなことが進められている気配なしとしないから、あえてこの問題について聞くわけです。厚生省の明確な答弁をもらいたい。
  182. 大崎康

    説明員(大崎康君) 事前着工ということにつきまして、私どもその事実を発見次第、その件のいかんにかかわらず指導をいたして従来きたわけでございます。将来ともその点、お話の点も十分考え合わせまして厳重な指導をいたしたい、こういうふうに考えております。
  183. 竹田現照

    竹田現照君 これは農林省にも関係ありますが、これはやはり国立公園地帯が一政界の実力者を中心として、いま一大観光地に変貌しよう、現にしつつある、このことをやはり未然に防ぐ必要がある。だから言っているのですよ。それだのに、同じような答弁をする。農業生産法人はどうだ、適法とは思いませんけれども好ましくない、そういうような答弁をしている。違法とは思わないけれども好ましくない、何が何だかさっぱりわからない。そして指導の実態というものは、指摘をされたところを分筆移転登記をして、これは私有地でございますから、農業生産法人とは関係がなくなります、こう言って逃げるわけです。これじゃ全部やりたいことをやってしまって、結果は予定どうりのものができ上がった、こういうことになるわけですよ。ですから、私は、厚生省所管のこの問題は、まず厚生省が現状の変更許可をしたから、農林省その他もこれに対するいろいろなことをなさったと思うのですね。その元凶は厚生省なんだ。ところが、厚生省はいまのように何が何だかさっぱりわからないように、でき上がったのだからしかたがないと、でき上がったのだからしかたがないならしかたがないという答弁をしてください、これからの公園法の運用の問題もありますから。強い者には弱いけれども、弱い者には強いなんということは、それは国立公園のあり方にも反するからね。その点、これははっきりしてもらいたい。
  184. 大崎康

    説明員(大崎康君) 将来さようなことがないように十分指導してまいりたいと存じます。
  185. 竹田現照

    竹田現照君 将来じゃない、この問題はどうするのです。現に私がいま質問している問題についてどうするんですか。
  186. 大崎康

    説明員(大崎康君) 私ども、この問題につきましては、それぞれ申請書が提出されてありまして、十分審査をいたしまして許可をいたしたつもりでございます。まだ二件この無審査のものがございますが、これらにつきまして十分検討いたしまして、御趣旨に沿いたいと思います。
  187. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、国立公園地帯の許可申請というものは、こういうものを建てますというんじゃなく、建てましたと、これが自然公園法に違反をしませんかというふうに、現物を建ててから認可申請をしなければならぬのですか。それは、どんなものが建つかわからないわけだから、設計図で——それはそういうことになるんじゃないですか、でき上がってしまったものを皆さん見ているのですから。そうでしょう。これはどうなんですか。その点、撤去させるでしょう、場合によっては、認可前にいろいろなことをやっちまったら。ところが、こういう問題だけは何千万もかかっているから撤去をさせませんと。自然公園法に違反するかしないかというものは、これはいろいろと許可申請の内容についてこれはどうだとかああだとかということについて、皆さん方が、間違っているところは指摘をしたり、こういう条件で許可をしますと、こういうのが許可だと思う。ところが、建ててしまって公園法に違反をしていませんから認めました、今後気をつけます、これでは全然話にならぬ。
  188. 大崎康

    説明員(大崎康君) たびたび繰り返すようで恐縮でございますが、認可をしてから工事に着工するのが、これが法律上要請されているところでございます。もし建てました件につきまして不都合な点があれば、それぞれ法律に従いましてその措置をするわけでございますが、これらの件につきまして、一部事前着工があるというふうな話も道庁のほうから報告を承っておりますが、それぞれ所定の認可の手続を進めまして、現在におきましては、風致の自然公園法上の判断からは正しいというふうに考えているわけでございます。ただし、認可前に一部でもそれは着手の事実があれば、それは法律のたてまえを乱すものでございまして、今後とも十分それは指導してまいりたい、こういうことでございます。
  189. 竹田現照

    竹田現照君 何だかさっぱりわからない。法律のたてまえを乱すものだからどうだとかこうだとか——法律のたてまえを乱すものだからどうするというのですか。現実のこの問題については撤去させるのですか、あるいは自然公園法の罰則を適用して、何らかの措置をとるのですか、どっちですか。原状に復させて、その上で許可申請を出させて、その上に立ってもう一ぺんやり直させるのですか、どうなんですか。それでなければ、私が先ほどから言っているように、やり得だというのです。何だかんだと言ったって、やってしまえばいい。文句言ったら飛ばすぞ、こうなんです。それじゃ脅迫強盗みたいなものじゃないですか。その点ですよ。
  190. 大崎康

    説明員(大崎康君) 一部着工の事実というものをもう少し綿密に調査をいたしまして、それに従いまして適切な処置をとりたいと、かように考えております。
  191. 竹田現照

    竹田現照君 これはのれんに腕押しみたいなもので、さっぱりわけがわからない。いずれ厚生省のときにあれします、これは問題を打ち上げておりませんから。  時間の関係がありますから次に進みますが、ただ、厚生省には、ここはこれからまだリフトあるいは膨大な計画がありますから、この事業団には、少なくとも今日以降、私は、厚生省の自然公園法に基づぐ許可のないものについて着工したとかなんとかという問題のないように、これはもう絶対凍結をしておいていただきたい。これからの問題——いままでの問題については、なおいま局長だけの答弁では私は納得がいきませんから、厚生省の審査の際に、さらに詳しくお聞きいたします。  それで、今度は国有林野の開放について。このいわゆる農業生産法人いなせ農園に隣接する国有地約七十ヘクタール、これを弟子屈農業協同組合に貸し付けてあるわけですね。ところが、実態は、このいなせ農園と農業協同組合と、管理何とかという一つの契約を結びまして、事実上はいなせ事業団がやっているわけです。これは読み上げましたように、一大観光地の景観をつくるわけ。この問題、国有財産の問題が大きくなりましてから、農林大臣がいまこういう問題を差しとめておるようでありますけれども、これがなければ、もうすでに国有地借り入れの申し込みに基づいて、リフトの申請許可が出ているのです。これはちょっとストップになっていますけれども、着々そういうことが進められているわけです。先ほどの富川牧野農協と同じように、農業生産法人であれば、自分の持っている土地を、二分の一をこえる借地はまかりならぬとなっている。ところが、それにひっかかるものですから、弟子屈農協を借人として、そうして国有林を借り上げて、それを事実上はいなせ農園がまあ運営管理をする、将来は牛を千頭だなんて、こう言っていますけれども、そうすると、リフトをつくる、そうすると、屈斜路湖の景観、これは牛が千頭、馬が何頭、クマ、シカ、いろいろなものが全部いて、一大観光地がリフトからおりてくると見える。そうすると、百二十何棟ある別荘、貸しバンガロー、これを借りてお休みください。そこにいろいろなものを使うのは、礫耕栽培と称する、いわゆる農業構造改善事業に名をかりた礫耕栽培ででき上がったものをぜひ御利用ください、こういうしかけになっている。ところが、部分的には弟子屈農協が借りているから、林野庁に言うと、これは合法ですと、こう言うのです。しかし、一連のそういう観光計画というものは、何も私が言わぬでも、ちゃんとここに出ている。しかも、いなせ農園の所有地が、パンフレットから新聞に全部書いてある。所有地八十ヘクタール、国有地借用七十ヘクタールと書いてある。ところが、こんなものは国は一つもいなせ農園には貸していない。しかし、現実には事業団はそういう認識の上に立ってやっているわけですね。だから、少なくとも、私は畜産振興であるとか、いろいろなそういう草地改良、あるいは放牧、そういうようなことというのは、農協全般の組合員の利益の向上とか、あるいは、その地域における畜産振興、あるいは礫耕栽培等もその地域における農業構造改善事業の一環としてとらまえていろいろなことをやるのが筋だと思う。ところが、そういうことを隠れみのにして、一大観光地をもくろんでいるという、こういう事実の上に立って、私はいまの国有林を貸し付けているということについては、これは明らかに合法の名のもとにおける脱法行為だと思う。これはもう現実に調査に行ったからわかっている。こういうことについてはどうお考えですか。これはもう大臣、詳しく事情をお聞きになっておらぬと思いますけれども、かいつまんで言えば、そういうしかけになっているわけです。これはもうたいへん不都合だと私は思うのですけれども、いかがですか。
  192. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 竹田委員の御指摘のとおりのことならば、必ずしも適切でないと私は思います。ただ、私がここで明快にお答えできないのは、その事実認定が、これは地方の小規模の場合は、北海道庁における認定によって申請を受け付け、それによって農林省が決定しているという事実がありますので、北海道庁と協議の上で、事実において相違があるならば、使用目的に、それは当然これは手直しをすべきだと私は思います。ただ、ここで竹田委員お話をもちろん信用はいたしますけれども、私のほうは行政庁として、事実認定は手続上における事実認定をして、違法の場合があるならば、当然手直しをいたします。ただ、おっしゃるような場合と、北海道庁でも議論があって、結論が必ずしも明快に出ておりません、違法だという明快な決定がまだ出ておりません。といって、合法だというほうにいまのところ出ているわけですから、形式としては、組合員の員数、生産法人における居住者及びその組合員の構成人員というものは、一応これは合法的な報告と手続をとられております。それが事実が違うというならば、それは私のほうの方向も変わってまいります。今日はまだ事業認定が違法であるという結論は出ておりません。ただ、いろいろ話を聞きますと、もう少し調べなければいかぬなという気持ちはいたしますけれども、よく調べた上で、明快に私はこういうものは処理したいと思います。やはり少なくとも、疑いのあるものは正しくこれを検討するという気持ちはありますから、今日直ちに私がどうすると言いません。北海道庁と連絡をして、この事実認定をもう一度やり直してもらう、その上で、違法があるならば違法のところは処理いたす、こういう覚悟で私はおります。
  193. 竹田現照

    竹田現照君 冒頭私が申し上げましたように、各省に聞きますと、部分的には合法なんです。弟子屈農協に貸し付けているこれも、その部分だけを切り離して私が貸せと言っても、これは断わるわけにいかぬわけです。しかし、私が借りたのじゃ、補助金も出ませんし、公庫の融資もできないから、農協というものを引き出すわけですね。冒頭質問した富川牧野農協に対する田中さんの一族がやったことと同じことです。これだって、ほんとうに困っている、農民が困っていることに目をつけて入り込んでいったのですから、このいなせ農園もそうなんです。戦後の牧野解放で相当困っている、さっぱり資金も何もないという農民に目をつけて、いわゆる松田一族が入り込んでいった、そうして農協の組合員になった、そうして弟子屈農協の組合員である、そういう限りにおいては構成員であり、いろいろな適格性というものがあるのですけれども、どうも私は、これは北海道議会等の議事録を見たり、いろいろなものを見ましても、やはり役人が中に介在をしておって、いろいろと相談を受けながら、まことに巧妙な脱法行為を私は教えているような気がしてならないのです。事実そうなんです。分筆移転登記をする気配があるなと言ったら、はたせるかな、一カ月くらいでそうなっているのですから、ですから、そういうような事態というものが現実に起きているわけです。特にこの国有林のいま七十ヘクタールに、聞くところによりますと、さらにその周辺に大きな開放を強く求められているようです。造林計画の関係で林野庁としては困るようでありますけれども、私は冒頭からお話ししたように、この阿寒湖畔に、自然公園法にも、あるいは農地法にも、あるいは国有林野の貸し付け等についても、まことに合法的な脱法行為に基づいて——合法的な脱法行為というのはおかしいけれども、いわゆる合法的な脱法行為に基づいて、当初の目的に合ったいなせ事業団なるものが現実に実現しつつある、このことは、もうやはりいまの段階で押えておく必要がある、そういうふうに考えているから、先ほどから申し上げていたわけです。  それで、いま大臣がお答えになりましたけれども、スキーリフトを含めまして、それから、いま現に貸し付けている七十ヘクタール、これは昨年の九月の十五日に貸してあります。通常一年だそうでありますが、この間聞きますと、二年かもしらぬということであります。それはどういうことか、あとからお聞きしたいと思うのでありますが、現実にそういう事態を早急に調べて、弟子屈農協に貸し付けてあるこの国有林、このことも、本来の弟子屈農協全般の利益、全般の利益になるということであれば、これは別でありますけれども、いま私が指摘しているような事柄が明らかであれば、この貸し付けを解除すべきだと思うのですけれども、そういう点はいかがなものですか。
  194. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 違法であるなら、もちろん解除いたします。また、事実、明確になるまでは、今後の進捗とか今後の進行は全部ストップいたします。ただ、その違法であるかどうかということはなかなか、竹田委員も御承知のごとく、資格のあるもの、資格のある農協をつくって、そして農協法の法人をつくってそして自分が経営しておる多少の牛馬はおそらくこの中に放牧されていると私は思います。そうなると、非常にその認定は、もう少し突っ込んでいきませんと、その外形だけで悪いと言うことは、その中にもちろん善意の人もおられると思います、だから、全部が悪いのだ、こういうことも事実に多少反するといけませんので、その辺はもう少し待っていただきたい。また、個人個人の認証とか個人個人の調査もしなければ、全部悪いのだ、この組合員は、というわけにもいかぬのじゃないかと思います。しかし、もう一ぺんこの問題は調査します。調査が明確になるまで、今後の予定、予約というものは私ども全部ストップいたします。その上で、正確になった上で、悪かったときは変更する、これが第二段階。事実認定をまずする、その上で国有林に関するものはストップする。その事実認定をして、事実と違反したものはもとへ戻す、私ども、そういう覚悟はしておりますので、私の、農林省に関しては、それを実行いたします。
  195. 竹田現照

    竹田現照君 大臣のはそれでいいですが、厚生省、農林、運輸、全部関係あります。この一連の動きは、少なくとも、それと農林省の農地局、畜産局、林野庁、それぞれまた違うのです。ばらばらにやられると、部分的には、私が先ほどから指摘しているように、合法のように進むのです。ですから、事実は指摘をしたわけですから、少なくとも、農林省内における審議、あるいは厚生、運輸、こういう各省との連携というものをよくとられた上で、この問題について対処していただくことをお願いして、一応この問題についての質問を終わります。
  196. 北村暢

    北村暢君 一つ関連してお伺いしますが、いま弟子屈町長から、この地域を農業構造改善事業の指定地域にするということを申請するということを私聞いておるのです。したがって、いま観光事業というものが農業の指導の中に入るのか入らないのかというのが、いま問題だと思うのです。この点をひとつはっきりしておいてもらいたいと思うのですが、農協の組合員であれば、観光事業をやっても、農協という、それが主体である場合ですね、これは農協法の点からいっても、農協の事業というものはきめられているわけですから、該当しない、しかも、農業構造改善事業というものの指定地域ということになれば、これはやはり農業のあり方としての一つの模範的なものになって、その地域の農業発展に寄与するということでなければ——趣旨でなければ、農業構造改善事業の指定地域ということはおかしいのじゃないか、したがって、こういう点からいくというと、私は非常に疑問が出てくると思います。どうも礫耕栽培ということも、その指定地域の一つ事業の中に入るようでございますけれども、温室、六つの棟ですか、もう六つぐらいふやすようでございますけれども、そこの中でメロンを栽培する、スイカを栽培する、あるいは貴重な野菜を栽培するということが、その地域の農業発展にどれだけ寄与するかということになれば、しかも、その産物というものは一般市場に出るような規模のものではない、せいぜいその温泉で消化——これは温泉でありますから、温泉に来たお客さんで消化するというようなものでありますね、したがって、これ、総体的にいま出ているように、草地造成事業としてやったけれども、それは温泉から見て、はるかに草地ができて非常にきれいに見えるのですよ、そういうふうにつくってある、観光用につくってある草地造成なんです。そのために一国有林は土地を貸し、そして畜産局の指導方針として、乳牛を育てるのはいいけれども、シカまで奨励をしているのはどうなのか。しかも、五十頭いまいるんですよ、実際。そういうような点からいって、どうも該当するのかどうかという点について、私は、観光事業が農民の所得さえよくなれば、しかも、法人も、一人の技術の優秀な人がおって、その礫耕栽培を指導して、農民が入っているようになっているんだけれども、それは使用人みたいになっている。それで経営に参加しているわけじゃないんです。どう見ても非常に特殊なものであって、その地域の農業の発展に寄与するようなものではない。それに対して草地造成が行なわれ、農業構造改善事業が行なわれ、国有林は土地を貸し、農林漁業金融公庫は金を融資する。これは農業に貸しているのか、観光事業に貸しているのか、こういう機関が、厚生省には金を貸す機関がないから、農林省関係でかわってやってやるというのならわかるけれども、これはどうも私は観光事業と農業との区別ですね、どういうような方針でいくのか。これは今後たくさん問題が出てくる。したがって、この見解をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  197. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 農林行政は観光事業を排除するものじゃありません。しかし、観光に隷属するものでは断じてありません。したがって、今回の弟子屈の構造改善というものも昨年申請がありましたが、私のほうもややありますので、今日はまだ許可もしておりません。したがって、この問題は今後も十分検討します。冒頭に申しましたように、観光事業を全然排除するものじゃ私はない。ただ、観光に従属するものでは断じてないということが私は今日言える。ということは、その国有林などある場合においては、今回は「青年の森」とか、いろいろなやはり健全なものは、観光というとおかしいのですが、健全娯楽の中に取り入れるということは、これは健全な意味でいいことじゃなかろうかというものもあります。ただ、観光収入が多くて農業収入が少ないんだということは、観光に隷属し過ぎやしないか。それには農林省予算は不適当だと、こういう考えを持っておりますので、弟子屈の場合は、もう一度検討しまして、農林省の予算として適当であるかどうか審査してからきめたいということで、今日までこう来ておるのであります。
  198. 北村暢

    北村暢君 それでは、まず国有林野の売り払い、貸し付け、交換等の問題について、従来のこの種の措置について非常にずさんであった、しかも、その評価についても非常に疑点があるということで、大臣はこれに対する措置をとったようでございますが、これについては私資料をいただきましたので、資料に基づいて若干質問いたしますが、まず、この貸し付け、売り払いその他の問題についても、昭和三十七年以降の資料、しかも、これはある一定の規模以上のものの資料で、こういう膨大な資料があるわけでありますが、これは昨日いただきましたので、夕べ検討したのでありますけれども、これを見ますというと、まず問題になっておるこの農林開発興業株式会社に対する交換の件については、高槻市における丸尾山の牧草地、放牧地の問題以外に、西宮市における剣谷における国有林の宅地、緑地化の問題、そのほか、滋賀県の志賀町における天神山における放牧地、宅地、こういうものがこれが三十八年、三十九年、四十年と続いて交換が行なわれております。そのほか、那須等における問題についても、大森委員から指摘されておるのでありますが、これが特にこの用途について、今後宅地開発等がなされるであろうというようなところに、宅地でなしに放牧地その他で交換が行なわれているというところに、この地価のその後の変動によりまして膨大な利益を得るという問題が出てきている。しかも、それが特定の会社、たとえば西宮市における問題にしても、土地開発株式会社というのが三十八年、三十九年、続いて西宮市の剣谷というところに続いて交換が行なわれている。それから美福、この株式会社においても那須において続いて行なわれているというようなことで、国有林の交換、そのほかあとで出てまいります売り払い、貸し付け等についても特定のブローカー的な人に続いて処理されているという問題について疑惑を持つ点があるのであります。こういう点について、しかも、この件数を見ますというと、いま見ただけでもそういうものが多い。  それから国有林の活用という問題で、農用地であるとか、あるいは宅地造成であるとか、こういうものはもちろんあるのでありますけれども、これが地方公共団体であるとか、あるいは社会事業であるとか、こういう面であればいいのですけれども、やはり一つ利益本位の、観光関係にしても、利益を追求する個人会社、こういうものに貸し付けられたり払い下げられたり交換されているところに大きな問題があると思うのです。したがって、私は、この国有林というのは、国民の国有林でありますから、そういう特定の者に膨大な利益を与えて処理されることは非常に問題がある、したがって、こういう面について基本的に国有林の今後の貸し付け、売り払い等について、どのような考え方を持っておられるのか、まず大臣に基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  199. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 国有林の今後の活用、運営につきましては、公共性のあるもの、または学校林等の用途が明確なもの、あるいは森林経営という目的、用途が森林経営であるもの、こういうものに限定して今後貸し付け、払い下げというものは行なわれる、その他のものについては、一切当分の間基準が改定されるまで貸し付け、売り払いはしないということを先般きめました。したがって、各営林局長から営林署まで明確に行っていると思います。もちろん、この問題は過去においてどういうことがあったかというと、これはいろいろ御批判があります。ただ、過去における基準というような一般常識から見ると非常にかけ離れたような気さえして、いまこれを何とか改定したいと思っております。と申しますのは、国有林野として生産性の低いところは、必ず森林経営としては非常に生産性が低い。しかし、目的においては非常に、逆に言うなら生産性の高いところに転用されるというところで問題が多いのではないか。したがって、国有林そのものの中から言いますと、問題のところは必ずしも森林経営としては優秀な、生産の多い森林、成長率の高いところじゃないわけです。したがって、成長率の高いところと交換した、国有林の中では通用しましても、一般国民としては必ずしもこれは適法な価格では私はなかったんじゃなかろうかと、こういうことで、これはもちろん、大蔵省の国有財産局とも協議の上でいままでやっておったようであります。しかし、いずれにしましても、これはあまり一般常識から見ると、必ずしも常識に適合しませんので、まあその基準はしたがって変えたいというので、しばらく十二月ごろまで四カ月ぐらいかかれば、私はいい基準ができるんじゃなかろうかというので、それまで全部ストップして、申請したのをお断わりしてやり直すということでいまやっておるわけですが、そういうところが、問題が私は過去において一般常識と森林経営そのものとの差がここに出てきたと、私が見る問題は、これはみな成長率からいくと——必ずしも造林生長率じゃありません、いいところじゃありません。しかし、逆に言うなら、そういうところが他に転用したときには非常に大きな利害を生んだんじゃないかという地域に当てはまるんです。そこに非常に問題があったんじゃないかと私は思いますので、過去のことは私よく明快じゃございませんけれども、ただ、私は就任して基本的に変えたいのは、その点をひとつ変えたいと、こう考えております。過去のいきさつは私はどうも全部知りませんので、過去が違法だったとは思いません。しかし、必ずしも常識的に一般常識から見ると、あまり合わないんじゃなかろうかという考えは、私はその基準を改めたいという気持ちはそこから出ていると私は思います。
  200. 北村暢

    北村暢君 次に、それと関連しますが、特に大臣の出身地である九州熊本営林局管内の事情について、私は特にこの資料を見まして、観光関係の会社に、観光事業に貸し付けているものが三件、四件この一、二年の間にあるわけでございます。それから売り払いをしているものもございます。そういう点について、これは私はもうすでにこれは実施している問題でありますが、どうも疑義に感ずるのは、ここの局長さんがもう大体やめるのであろうということが想定されておったんですね。ところが、やめる前にばたばたと解決をしておるきらいがあるんです。そういう点について、これは一つ疑義を持たれるところであります。  それからもう一つは、大島に基本財産として三十九年、四十年、宇検村と言うんですか、基本財産として三十九年と四十年続いて払い下げ、売り払いが行なわれておる。しかも、これはずっと町村合併促進法による基本財産の払い下げではなくして、それ以外の措置によるものであります。ここ以外にも、実は、基本財産として市町村に払い下げたものはありますけれども、その価格を見ますというと、この大鳥のやつは、非常にほかと比較して安いのであります。これはいかなる理由によるものか、ひとつお伺いしたいと思います。  時間がございませんので、続いて奄美大島の関係でありますが、いまスーパー林道というのをことしか来年か、やることになっておるわけでありますが、今年度か来年度か、大島に、もうつくようになっているようでありますが、年間、どことどこに計画されておるのか。大島の分の年度に、幾つなっているのか、この点ひとつお伺いしたい。
  201. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 熊本営林局管内で、福岡と大分、鹿児島。幸い私の県は一件もございません。
  202. 若林正武

    説明員(若林正武君) 国有林を売り払いました価格の細部につきましては、現在、手元の資料にございませんので、別途調査さしてお答えいたします。  それから奄美大島にありますスーパー林道は、これは一本でございます。
  203. 北村暢

    北村暢君 で、ここで問題は、貸し付けた場合、特に観光事業、これは営利を目的としている観光事業です。そういう場合に貸し付けるというと、これは結局は、縁故特売のような形で将来は変えていってしまう、こういう問題が出てくるわけであります。したがって、この点は先ほども申したとおりですから、再度は省略しますけれども、この関係の貸し付けの場合における西日本開発株式会社、あるいは霧島観光株式会社、こういう特定の会社に貸し付けまたは売り払いをやっているわけでありますが、これには政治家と称せられる国会議員の方が関係している会社はないかどうか、あるいは林野庁の退職者が入っているような会社はないかどうか、この点について、おわかりになっておったら、ひとつお答え願いたい。
  204. 若林正武

    説明員(若林正武君) 現在わかっておりません。
  205. 北村暢

    北村暢君 往々にして何々開発株式会社という中に政治家が関係し、退職者がおるという会社が、私も実際の例を知っております。そういうことが縁になって、国有林とのくされ縁というものが出てきている。そうして、いまスーパー林道の問題も申し上げましたけれども、また、奄美大島における基本財産としての売り払い、これらのことが、どうもやめた局長との関係が出てくるようであります。で、この局長は特権官僚であるようでありますから、林野庁長官の権限ではどうにもならない局長のようでありますけれども、ところが、この人が将来総選挙に、衆議院選挙に打って出るということがもっぱらのうわさになっている人なんであります。そういうような点からいって、高級官僚が選挙との関係において、特定の地域に利益誘導的なことが行なわれたのじゃないかという疑いが、私は非常にする。全国でたった二つか三つしかないこのスーパー林道を何んで奄美大島にわざわざ持っていかなければならないのか。離島振興法なり何かでやったらよさそうなものであるが、奄美大島にわざわざ持っていく。全国でいままででも四本くらいしかできていないスーパー林道であります。それを奄美大島へわざわざ持っていかなければならない、こういう点について、私は、高級官僚の姿勢の問題として、どうも選挙との関連においてこういうことが行なわれているんじゃないかということを感ずるのであります。したがって、ひとつこの点については、大臣から所信を承っておきたいと思います。
  206. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 官吏が自分の地位を利用して公平なる民主主義の——不公平な競争をするということは、これは私は厳に慎むべきことだと思います。公平なる民主主義の立場からいうならば、そういう権力を利用するとかいうことは、これは選挙法そのものにも地位利用というのが私はあるんじゃないか、選挙法にも規定が私はあるんじゃないかと思います。それだけに厳に慎まなければなりません。ただいま御指摘のようなことがもしありますれば、私の権限で十分それを是正します。私もまだなって早々で、だれのことかわりませんし、やかめた者は私の権限外ですから、現職ならそれはいまからでも是正いたしますが、前身のことまで私もわかりません。いまその事情を調べて、政治的な意味があるならば、いまからでもこれは是正をいたします。公平な行政上の問題のスーパー林道ならば許可をいたします。御指摘のことはきょう初めてですから、いまお答えしたことを厳重にやりまして、この予算執行はやりたいと思います。これだけお答えをして十分私の気持ちを御理解願いたいと思います。
  207. 北村暢

    北村暢君 これはよく親心で、衆議院その他に選挙に出るときに、まず人事配転をしておいて、そして現職のうちに地盤つくりをさせて、それからやめてから立候補するということが往々にしてあることなんですね。まあその程度ならいいんでありますけれども、いまなにしたようなことで行政がへんぱになっては、これは明らかにこう目立ってくるようでは私は非常にまずいんじゃないかと思います。公務員の地位利用という問題と関連して非常にまずいんじゃないかと思われます。したがって、これは農林省だけに限ったことではありませんので、こういう面については、ひとつ厳重に注意をしていただきたいと思うわけであります。この点はこれで終わります。  次にお伺いしたいのは、国有林の直営生産に関連する立木の処分の問題、土地と関連しまして国有林の立木は、これは国有財産のうちでも非常に大きな部分を占めているものであります。その処分方法等によって非常に大きな国損をし、あるいは国益になる、こういう問題です。ところが、これは国有財産でありますけれども大蔵省の監督権限というのはほとんど及んではいない。これは国有林を管理している林野庁のほとんど専決的に処分されている問題。したがって、これは私は非常に国有財産の処分の問題として重要だと思うのでありますが、まず、直営で行なう場合に、先行立木処分ということを最近行なっているようです。特にこれも熊本営林局管内の例で私申し上げたいのですが、最近、三十九年、四十年からこの方法を取り入れているようでございます。まず、先行立木処分というものを取り上げる理由をごく簡単に説明していただきたいと思います。
  208. 若林正武

    説明員(若林正武君) 低質小径木の広葉樹の多い林部につきましては、製品生産事業の収益性を増大する一つ方法といたしまして、こういった小径木を直営生産に入ります前に立木処分で処分をいたしまして、その後直営生産をやる、こういうようなことで、ねらいといたしましては、収益を増大させようというねらいでございます。
  209. 北村暢

    北村暢君 直営生産に入る前に、小径木の利用を行ない、収益の採算をよくするということのようでございますが、これに関連して非常に問題が私出てきていると思う。一つには、先行立木処分という直営生産へ入る前の小径木の立木処分、これについて安売りが行なわれているという一つの事例があります。それは、一つの例として熊本営林局管内の高岡営林署の例でありますが、昭和四十年度の先行立木処分において、特にこの林班をはっきりしますと、六十一林班の「い」というところの処分内容を見ますというと、大体三千三百十三立方処分をしているわけですが、その単価が立方当たり六円八十銭、二万二千六百円ということで払い下げてきているわけであります。この単一価の査定のしかたでありますが、まことに遺憾な事態があるのでありますが、処分物件の単価の査定にあたっては、そこはすべて木馬道による搬出ということで査定がなされております。それからもう一つは、林道がこれは入っていないことになっているわけなんですが、林道を新たにつけるという計画、それから、そういうことでもって、林道がないということで、木馬道という原始的な搬出方法でやる、それからまた、林道がないですから、その林内に集まったものを出すのにも金がかかるということで、その立木処分の単価というものが六円八十銭というきわめて安い単価でもって処分されておる。ところが、実際にはどうやったかというと、これは機械集材で出しておる、木馬道ではない。それから林道がつかないと言っているのですが、もう伐採をして搬出する段階になりますというと、そのあとに一年おいて直営生産に入るわけですから、その林道というものはすでにもうつけていっているわけです。そうして、この立木処分の搬出をする時期には、もう林道がついている。結局、そういうことで、非常に原始的なやり方でもってこの処分単価というものはきめているのに、実際はそういうことでなしに、相当、処分を受けた者は利益を得る結果になり、国損をすることになる、こういう結果が一つ出てきています。こういう事実について問題になっているかどうか、ひとつ御答弁願いたい。
  210. 若林正武

    説明員(若林正武君) ただいま北村先生からお話のございました林班につきましては、手持ちの資料がございませんのでわかりませんが、立木の小径につきましては、御承知のように、逆算方式をとりまして適正に実施をしておるというふうに私どもは考えております。
  211. 北村暢

    北村暢君 いまの実際の価格数字をあげてやればいいのでありますが、時間がありませんので省略いたしますが、事実はそういうことでもって、それをもしかりに直営生産でやったとすれば、相当利益を得るという計算も私はしております。そこで、その作業のやり方の問題でありますが、小径木を直営生産をする前に利用をして収入の効果をあげるということでありますけれども、実際はそうなってはおらない。ここに、写真を持ってきておりますけれども、そのときの林班の——実際の写真があるのでありますか、この処分の方法は、二十四センチ下、六センチ上、これを切るということで指示しておるわけです。業者にはそれだけでもって、あとは集積処分といって、切ったものを出してその層積で処分をするという方法をとっておるのです。ところが、ここにもありますように、その出石というものについて、二十四センチ下ということになっておるけれども、三十センチ以上もあるようなものがどんどん切り出されている。したがって、当然用材として処分せられるべきものです。そういう集積処分という方法をとっているために、二十四センチ上は切ってはいけないということになっているのだけれども、それ以上のものも切って、結局出したものであるからやむを得ないという形でもって処理をされておる。しかも、その切ったあとというのは、このように、残った木というものは非常にまばらにしか残っていない。そして、これを木馬道で搬出をするという予定になって処分をしておるものが、鉄索で搬出をしておるために、鉄索の下はこういうように支障木という形で皆伐をされておる。その皆伐されておるところは、非常に沢の、木のいいところです。それが支障木という形で切り出されて処理されておる。そういうような点で、この先行立木処分というのは、後の直営生産というものを有利にするためのものが、価格においても非常に安い価格で、しかも、そのあとの事業を実施するのには、かえってこのまばらな木しか残らない、こういういわゆる誤伐、盗伐といったようなことが行なわれるような仕組みになっておるわけなんです。これはまことに遺憾なことでありまして、この立木の処分方法については普通調査をするのでありますけれども、こういう細いものでありますから、三十九年度は集積処分でやった、これが指摘されて、次の年は標準値調査をやっておるわけです。標準値でやるのですから、全体について、この木は切れというしるしはしないから、切りっぱなしで切って出してやる、これは結果的に同じなんです。そういうことで非常な国損を来たしておるという問題が出ておるわけなんです。したがって、これは私はぜひ改めていただきたいと思うのです。こういうずさんな国有財産の処分のしかたというものはいかぬと思うのですね。これは四十年、四十一年の問題でありますから、今後、会計検査院は厳重にひとつこの地域について検査をしてもらいたいと思いますが、この点について、先行立木処分について農林省の今後の方針、それから会計検査院は、本年度なり来年度の会計検査において、この種の会計検査というものを厳重にやっていただけるかどうか、ひとつ両者から御答弁願いたい。
  212. 若林正武

    説明員(若林正武君) 先行立木処分につきましては、資原の有効利用、作業能率の向上、更新期間の短縮、地ごしらえ経費の節減等を目的といたしまして現在実施いたしておるわけでございますが、ただいま先生から御指摘のございましたような運営面におきまして行き過ぎ等がございましたならば、実態を調査いたしまして、さらに適切な処置をいたしたいと、かように考えております。したがいまして、今後におきましても、ただいま申し上げましたような目的でもって先行立木処分というものを実施いたしておりますので、引き続き先行立木処分というものはやってまいりたいというふうに考えております。
  213. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) お答えいたします。  本年度はもう実地の検査段階は過ぎておりますので、来年度におきまして、先生の御趣旨を体しまして十分調査をいたす所存でございます。
  214. 北村暢

    北村暢君 いまの長官の、運営面に行き過ぎがあったならば是正すると言うけれども、これはできないのですよ。細いものを一々調査するわけにいかないし、こういう集積処分とかなんとかという方法しかできない。従来は直営生産をやったあとの二次整理という形でこういうものを処理しておった。したがって、いい木はなくなっていると、盗伐をやろうったって、これは限定されているわけです。ところが、前にそういう細いものを、要らないものを処理するというのですから、低質のものを処理するというのですから、いいものがそこに立っているのですよ。したがって、これは業者でありますから、その業者の、しかも、作業員は二十四センチ下を切れと言っても、二十八センチあっても切ってしまう。切ってしまったものは、これは誤伐にしても何にしても、検査に行った者は、まあやむを得む、パルプということで認めてしまう、こういう結果になってしまう。それからもう一つは、理由として収益をあげるというのですが、現在はもう作業方法が違ってしまって、御存じのように、全幹集材という、もう枝のついたまま鉄索で持ってくるわけですね。したがって、その倒したために、細いものが支障ができたとかなんとかでなくて、一緒に処理したほうがかえって合理的にいくのですよ。これは私は処分の方法として、もう一部の天然林の低質広葉樹というのは圧倒的にパルプ材でありますから、結局、現在のパルプ材の時価からすれば、直営生産でやって十分これは採算がとれる、私はそういう確信を持っている。したがって、先行立木処分を今後も続けるということは、これはずさんなやり方を続けていく、そういうものを官でやったならば赤字になるから民間でやらせると言うけれども、といって、官でやって赤字になるものが民間でやったら黒字になるということはあり得ない。しかも、同じような鉄索でやっているわけでしょう。そして、その立木処分を受けた者は、しかも、その官の集材機なり何なり使っておる。それを撤去してまた直営生産ということで二重投資やっている。そういう二重投資なんかやる必要はない。直営生産で一貫作業で幾らでもできる、合理的にできるのですよ。したがって、いまのこの長官の、先行立木処分は今後も続けますという答弁については、私了承できませんから、この点で答弁いかんによっては、私は数字をあげて決算委員会でこれは争う。これは国有財産ですから、不当に一部の者にもうけさせるとかなんとかということはあってはいけないことですからね、私は最後までこれは争いますよ。したがって、この点について大臣の確たる答弁をひとつお願いしたい。
  215. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 先行立木処分ということが直営生産で採算的に合うならば、私は直営生産を推進することはけっこうです。ただ、御承知のごとく、直営生産の労働力の配分ということもありますから、そのためにまた労働力をふやして雇用を拡大するということも、なかなか場所的には不可能な場合もあります。しかし、そういうものを計算して国損にならないように直営生産が合理的にいく、採算が合うなら直営生産を推進します。また、先行処分のほうが国損にならないというなら、これを推進する。それは場所によって、また、時期によってこれはきめるべきものであろう、まあ大体雑木林、パルプ材でございますから、大体国有林を処分するには該当しない林材であることには間違いない。しかし、国有林のことですから、国損にならないように、経営によって、場所場所によってきめて、そして計算した上で今後実行いたします。したがって、やるとかやらぬとかいうことでなくて、国損にならないということを原則として、今後の行政を担当してまいりたいと、私はこのように考えます。
  216. 北村暢

    北村暢君 ちょっとはっきりしないんですけれども、直営生産のほうが有利だと言うなら、それでやると、こういうことのようでございますが、それは地域により、場所によりいろいろだと思います。しかしながら、もう一貫してこの方針がとられている。それで労務の問題もあると、こうおっしゃるけれども、現在はもう人員をふやすなんという状態じゃない。もう人員はどんどん減っていっているんです。そういう心配は全然ない問題です。全然ない、私はそう思う。いまの人員の中で幾らでもやっていける問題だと思う。先行立木処分の問題は、先行伐採とか先行班とかいう労務上の問題あるようであります。あるようでありますが、私はこれを直営でやったほうが有利であるということについては——資料も林野庁からいただきまして、直営生産でやったほうが赤字になって、先行立木処分でやったら黒字になるんだという資料いただいている。これは検討もいたしましたけれども、私はこれでは納得いたしません。まことに適当な、非常にこういう数字の出るような——机の上でつくった数字でありますから、こういうものは信用しておりません。したがって、実際面について幾らでも論争できるのでありますが、これはまあ会計検査院も、ことしはできないが来年やるということのようですから、重大な問題ですから、これはひとつ結論出してもらいたいということをお願いしたいと思います。  どうでしょうか、この方針として直営生産については例外なし的に先行立木処分というものをやっていくんだということについては、私は理解できないんですけれども、どうですか。
  217. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) いまの林野庁のスタッフ及びその労働力が過重にならないように、直営生産の可能なところはなるべく直営生産を実行いたします。ただ、全然やらないというわけには場所的にいかないかもしれませんので、直営生産を原則として、また、労働過重にならないように、そういうことを勘案してやりたい、したがって、直営生産でなるべくやる。できないというか、そろばん上先行伐採のほうがいいという場合には、それはそれでやると、こう二つの方法を一度お考えいただきたい。私のほうはなるべく御趣旨のように直営生産でやるようにいたします。そういう御希望もあるし、また、世間もそういうふうな感じでおられることも、これは事実ですから。ただ、実際やってみますと、全部直営生産だときめられると不可能な場所もありますから、そういう点は例外的というか、状況において勘案していきたいと思います。
  218. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  219. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  220. 大森創造

    ○大森創造君 だいぶ時間がおそくなりますから、能率的に質問いたしますが、幾ら能率的にやっても、私も長時間調べましたので、二、三時間はかかると思います。そこで、一応委員長の要請で三十分ということですから、松野農林大臣もお帰りになるそうですから、きょうの私の質疑内容をお聞き願って、ひとつ農林大臣にも善処方お願いしたいと思います。  農林大臣は、さっきから聞いておりますと、非常にしろうと放れのした、ものわかりのいい答弁をされる。それで、そういう農林大臣だから、ひとつ、いまから質問することについて、私の話をよく聞いて善処方をお願いしたい。大いに、国有財産の管理について、松野農林大臣になってから、是正するとか、今後こうするとか、いままでの不正な問題についてはペンディングするというような措置をとられました。そのお気持ちは了といたしますけれども、農林大臣就任前の話だが、本委員会は三十八年と三十九年やっておりますから、そういうものについて、過去はやっぱり改めるべきものは改める立場質問したい。  そこで第一にお伺いしたいのは、先ほどから北村委員お話にも出ましたように、前回、私と二宮委員質問しました農林開発という会社に払い下げた例の高槻の問題そこのほかに農林開発もしくは共和製糖、共和グループに貸し付けた土地はどことどこがございますか。覚えているでしょう。お伺いします。
  221. 若林正武

    説明員(若林正武君) 高槻——現在処分の完了いたしております部分につきまして申し上げますと、高槻、芦屋剣谷、それから志賀、この三件でございます。
  222. 大森創造

    ○大森創造君 私の調査では八件あるのだな。農林開発関係だけに八件、あとのやつはペンディング、松野農林大臣になってから、申請中のものであるからこれはひとつリザーブしょうという意味でございますか。このいまの三件は、これはすでに交換が完了してしまったものであって、あとの五件もあるんでしょう。これひとつ御回答願いたい。
  223. 若林正武

    説明員(若林正武君) あと申請が出ておりまする分が、軽井沢と北海道の斜里でございます。二件でございます。
  224. 大森創造

    ○大森創造君 八カ所でございますから、いま言われたことについて詳細の点をひとつ御報告願いたい。これはお約束願えますね。  そこでまずお伺いしたいのは、この芦屋の問題について、いま北村委員からお話がございましたが、これは私の調べによりますと、十三万平方メートル、坪単価が立木とも二千九百四十一円、したがって、一平方キロメートル七百七十五円でございますが、ここは非常に最高の住宅地でございますから、時価は坪単価数万円になると思います。二千九百四十一円、不当に安いと思います。これはひとつ御検討いただきたいと思うんです。松野農林大臣は過去のことであってもやっぱり是正すべきは是正すべきだと思うんです。そこで、この芦屋市の問題は、これは保安林だったんです。ただの場所じゃないんです。芦屋市民の水を供給すべき保安林なんですよ。ですから、保安林解除の手続を必要とするわけです。これをごり押ししてやったんです、政治的な圧力で。だれがやったかというと、これは一々私は当たって調べております。市役所の幹部の大谷正弘という人がやりました。いいですか。芦屋市民の水を供給する保安林であって、その場所は絶好の、最高の、最良の住宅地である、時価は数万円するという。そこで、その保安林の解除申請を行なわせたわけです、大谷正弘という市役所の幹部の人に。だいぶ無理押ししたんです。そこで、その大谷正弘なる人物は市役所の幹部でございます。保安林解除の申請をした。退職せざるを得なくなった。で、共和製糖は日建開発という会社をつくって、そこの重役に送り込んだ。現在でも芦屋で問題になっているのだが、このいきさつについて林野庁長官御存じですか。
  225. 若林正武

    説明員(若林正武君) いま先生からお話しの経過につきましては、承知いたしておりませんが、保安林の解除につきましては、県知事を通しまして適正に知らしております。
  226. 大森創造

    ○大森創造君 確かに保安林の解除については、県知事を通じて林野庁のほうへいくんですよ。問題は市の段階なんです。林野庁ではお調べにならないが、私のほうで調べている。名前は大谷正弘という人が強引に解除申請を市の段階でやって、あとはフリーパスなんです。そこで現在でも芦屋市で問題になっているということです。この点についてはひとつお調べ願いたいことと、もう一つは、これも北村委員から出ましたが、琵琶湖ですね、場所は志賀町です。これが問題になったんですよ、御存じですか、林野庁長官、同様の問題があった。
  227. 若林正武

    説明員(若林正武君) 問題があったと聞いておりません。
  228. 大森創造

    ○大森創造君 それではお教え申し上げますが、こういうことですから——まょうは農林中金の方もおいでになっておりませんから、あした継続します。  これをひとつお調べください。公共団体——市か町か村か、こういう公共団体が使いたいということで政治的な圧力をかけられた。農林開発がそれと競願になった。一年以上かかった。そして軍配は公共団体のほうを押えて、そして農林開発のほうに払い下げになったという事情がございます、私の調べでは。これはひとつ、いま申し上げた二つについて、何で農林開発なんという会社にこれほどばか丁寧にやるのか、私はわけがわからない、八カ所もやるんですから。この二つはひとつお調べ願いたいと思う。  それから共和グループに対する——開銀、きょうお見えになっておりませんが、公庫、農中のいままでの貸し付け総額は幾らになっておりますか。
  229. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  230. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を始めて。
  231. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) ブドウ糖関係で共和製糖に対するものを申し上げますと、公庫で十一億六千八百万円でございます。また、中金といたしましては三十億七千万円でございます。
  232. 大森創造

    ○大森創造君 私の調べでは違うんです。開銀が八億、公庫が十億四千万、中金が三十二億四千万、宮崎銀行が一億円、三和銀行が三億円、そういう金額になっておりますね。  そこで、再び返って林野庁長官にお尋ねします。高槻市の問題の土地は、これはつまり総坪数は幾らでございますか、もう一回あらためてお伺いします。
  233. 若林正武

    説明員(若林正武君) 約十万坪でございます。
  234. 大森創造

    ○大森創造君 単価は幾らですか、三百七十円ですね。
  235. 若林正武

    説明員(若林正武君) 約三千五百万円でございます。
  236. 大森創造

    ○大森創造君 これは前回の委員会でも問題になりましたが、約十万坪で坪単価が三百七十円で、そうすると三千五百万円ですね、そこで、その土地をある業者か——業者というか、一万五千円で、払い下げを受けてから買っているんです、五千坪。この事実は御存じですか、坪一万五千円で事実買っている。そして、もう一回聞きますが、十万坪というのは延びがございますか、実測でございますか。
  237. 若林正武

    説明員(若林正武君) 実測でございます。
  238. 大森創造

    ○大森創造君 これを二十四万坪にしているのです。実測十万何坪というのは、林野庁の見解が正しい、実際十万何がししかない、それを二十四万坪に直しておるのです。その事実は農中の方は御存じだと思う、開銀の方も御存じだと思いますが、知っていたらお答えいただきたい。これは林野庁長官の言っているのが正しい、十万坪というのが、これを二十四万坪に直している、だれが直したか知っておりますか。坪当たり三百七十円というのを右から左に一万五千円で買った人物がいる、これはだれでしょう、これは問題じゃないか。
  239. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 中金の方が参っておりませんが、私、経済局長でございますが、いま申されたような事実は、これは承知いたしておりません。
  240. 大森創造

    ○大森創造君 これはこういうことなんですよ。これも問題だと私は思うのですが、十万坪で三千五百万円の土地、坪単価三百七十円のものが、農林開発は交換を受けてしばらくしてから、その山林の一部五千坪を関西電力に一万五千円で売っておる、こういう評価はどこから生まれたのですか、事実売っておる。
  241. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  242. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  243. 大森創造

    ○大森創造君 いまの問題は保留いたします、あしたにつなぎますから。  それでは別なことをお伺いいたします。この前、二宮君と一緒に尋ねた宮崎県の細島工場について伺いますが、これはわかっておるはずですから、そのままお答え願いたい。公庫のほうにお尋ねいたしますが、専用埠頭、倉庫、製糖工場、これはだれが請け負って幾らの見積もりをしましたか。
  244. 大沢融

    参考人(大沢融君) そういう個々の取引の内容については公開の席で申し上げるという筋のものではなかろうかと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  245. 大森創造

    ○大森創造君 何を言ってますか、これは金を貸すことの対象になるのですよ、これはわからないのはおかしいじゃありませんか。こういう細島工場の建設について、それぞれ公庫や開銀や中金が大体金を出しておるのだ。それを専用埠頭とか倉庫、製糖工場などについて、だれが請け負って幾らの金額で請け負ったかということは、あなたのほうでおわかりにならなければ、これは責任は済まされない、これはわかっておるはずだ、手元に数字があるはずだ。
  246. 大沢融

    参考人(大沢融君) もちろん私のほうでわかっておりますけれども、個々の取引の内容について公の席で申し上げるという筋合いのものでなかろうと思いますので、ここでは差し控えきせていただきたいと思います。
  247. 大森創造

    ○大森創造君 私は、どなたか知らぬけれども、そういう答弁は私はおかしいと思うのですよ。私がいま決算委員会で、そして農中や開銀や公庫に対しての融資の問題をきょうからあすにかけてお尋ねするのについて、ここに地図がございますよ、これはあなたのほうからもらったのかもしれない。この工場だとか倉庫だとか専用埠頭とかいうのがちゃんとできているのですよ。この問題について、公庫や農中や開銀はそれぞれ融資をしているのですよ。この内訳がわからないはずがないのです。あなたのほうでは現地に人も行っているのです。わかっているけれども言えないのですか。私のほうの調査ではちゃんとあなたのほうから数字で出ているのですよ。それをどうして委員会では言えませんか。私の調査の段階には、事務当局からその数字は入れているのですよ。委員会だからよけい言えるのじゃないですか。私はこんなことを聞くわけじゃない。いまの三行にかかわる融資の関連において聞いているのですよ。委員会でその数字が発表できなければ、この委員会の審議できませんよ。わかっているはずですから、おっしゃってください。
  248. 大沢融

    参考人(大沢融君) 私のほうも金融機関でございますし、開銀もおそらく同じことを申されておりますけれども、金融機関として、個々の会社の取引の内容について立ち入ったことをいろいろ知っているわけでございますが、そういう個々の個別取引の内容に立ち入るというようなことは、公開の席上では申し上げるべきことではないというふうに考えます。
  249. 大森創造

    ○大森創造君 いまの答弁は絶対私は納得できない。これはあなたのほうで打ち合わせをしたのだな。なぜ私のほうの調査の段階では教えていただいて、委員会の席でその数字を言わないのか。それに基づいてちゃんとあなたのほうや政府の銀行筋から金が出ているのですよ。その数字を聞いている。知っているくせにお答えにならないというのはいかがなものですか。調査の段階で、あなたの部下はちゃんと言っているのですよ、差しつかえないから。委員会で私がちゃんと聞いているのに、正式に聞いているのに、その数字を出さないのはどういうわけか。打ち合わせしたのでしょう、きのうあたり。いかぬですよ、そんなこと。おっしゃってください。
  250. 大沢融

    参考人(大沢融君) 繰り返して申し上げますが、個々の取引についての数字内容を申し上げるわけにいかないと思います。
  251. 大森創造

    ○大森創造君 これはどうしても私は納得できません、そういう答弁は。農林経済局長、おわかりになりませんか。
  252. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私はいまの数字承知いたしておりません。
  253. 大森創造

    ○大森創造君 いいですか、農林開発とか、いろいろな会社が十ぐらいございますが、ブドウ糖、果糖だとか、あるいは砂糖工場という名目で、細島工場相当の融資をしているわけですよ。数十億の融資をしているわけですよ。その基礎になるのは何かというと、これは一々チェックしているわけですよ、これはあなたのほうで。個々の専用埠頭については幾ら、それから倉庫については幾ら、製糖工場については幾ら、それから土地代は幾ら、ボイラーは幾ら、こういうことは現地に行ってお調べになっているはずですよ、中金の方も、公庫の方も、食糧庁の人も。わかっているけれども言えないのですね。
  254. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連。いま聞いていますと、個々の取引については言えないと言うけれども、取引の問題は従で、一体この公庫なり中金なり開発銀行から国の金として共和製糖なりあるいは農林開発ですか、まあいずれにいたしましても、そういう会社に幾ら貸しているのか、その貸した目的は何なのか、こういうことをここで聞いているわけだな。それが何のために貸したのだか、そういうことは言えませんと、そういうことが言えない金を、あなた方がかってにやられて国会が黙っているわけにいきませんよ。農林中金にしたって、公庫にしたって、開発銀行にしたって、これはみんな国の金ですよ、国民の金ですよ。その国民の金が、一般のものに貸し出されていくときに、何のために貸したのか、それが言えないで、国民に対して言えないで、これは秘密ですと、そんなことが言えた義理ですか。これは国の金じゃないですか。それは一体幾ら貸して、それは何の目的で貸したのかということ、それは言えないのですか。
  255. 大沢融

    参考人(大沢融君) これは、ほかの金融機関も同じだと思いますけれども、ボイラーをつくるとか、個々の事業に幾ら金を貸すということではなくて、総体として幾らぐらいの金がかかる、もちろん積み上げ計算するわけですから、総体としてどれほどの金がかかるということで、それを見て私どもは金を貸すわけでありまして、個々のものについて貸すということではないわけです。もちろん、先ほどから申し上げましたように、会社の徴憑あるいは帳簿というようなものを見まして、そのぐらい金がかかったということで払い出しをやるということでございますが、個々の内容については、先ほど申し上げましたように、特定の会社あるいは個人の間の取引でございますから、公開の席上で、どこの会社に幾ら発注したというようなことは、こういう公開の席では私、申し上げるべき筋合いではないというふうに思うわけです。
  256. 岡三郎

    ○岡三郎君 あなたのいまの答弁を聞いていると、積算をして、そのかたまりだけは言うと、こういうのですな。ところがどういうふうな方向に貸していくかということがわからないで、頭だけ幾らと聞いてそんなことがわかりますか、答弁にならぬでしょう。たとえば、二十億なり三十億を貸すならば、その場合において、どれに幾ら、どれに幾らということで貸したわけでしょう。貸すわけですよ。それがわからないで、幾ら幾ら貸しました、それ以上言えません、そんなばかな答弁はありませんよ。おかしいですよ。
  257. 大沢融

    参考人(大沢融君) 私申し上げたことに誤解があるといけませんが、機械をつくるのにたとえば百万円かかるから、九十万円貸すというようなことじゃありませんで、機械もつくり、埠頭もつくり、地ならしもする、それぞれ金がかかるわけです。その総体を、たとえば一千万円、一千万円総体としてかかるから八百万円をお貸ししようというようなやり方をやっているわけでございます。ですから、個々のものに幾ら幾ら貸したということじゃございません。
  258. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、あなた方は、積み上げてきてその金を貸すということを、いまあなたが言ったことですよ。それなのに個々のものに貸したのではない、なるほどまとめて貸したわけですよ。しかし、内訳があってそういうまとめができるわけです。内訳がいいかげんで、それがどっちにいってもいいのだけれども、総額がこれだというのじゃ、これは答弁になりませんよ。そんないいかげんなルーズな貸し方だったら、たいへんなことになる。やっぱり地ならしに幾ら、埠頭が幾らとか、あるいは機械が幾らとか、そういうことがやっぱり正確に見積もられて、その上に立って総額幾らということが常識じゃないですか。それを、いまのあなたの答弁を聞くと、そういうことは適当にやられて総額を貸しているのだ、そういう答弁にとられますよ。そんな貸し方はないでしょう。幾ら幾らということを積算して出て来た数字が総額の数字になるということと、これは何のかかわり合いもないけれども、あなたの答弁としては絶対承服できないですよ。そんな国の金の貸し方はありませんよ。個々があって初めて全体が出てくるのじゃないですか。個々があって、その個々がそれは言えないと。じゃ、出てきた数字はいいかげんなものだと言われたってしょうがないじゃないですか。個々のものが集まって総体的な金になることは、それは常識ですよ。その場合、いま専用埠頭の場合幾らとか、それから、いま言ったように機械に幾らとか、そういうものがあってそこに出てくるのでしょう。それがなぜ言えないのです。それは疑惑を持たれたってしかたがないですよ。承服できないですよ。
  259. 大沢融

    参考人(大沢融君) 繰り返し申し上げますが、誤解があるといけないと思いますが、どういうものに幾らぐらいかかっているというものを積み上げ計算をいたしまして、そのうちのどのくらいをこちらがお貸しするということでお貸ししているわけで、ただ頭から総体を押えてどうのというようなことに、あるいは私の言い方でそういう御印象を持たれたかと思いますが、決してそうじゃないので、個々の積み上げをして総体を出して、幾ら貸すかということをきめてやっているわけです。
  260. 大森創造

    ○大森創造君 いまの大沢さんのお答えは、私は国会と委員会立場からして、おかしいと思うんです。これは絶対にそういうことで事実を糊塗することは許されないと思うんです。これでは審議できませんよ。これは時間がないからあしたに譲りますが、これはひとつ国会でも事務的に調べてみてください。岡さんからお話がございましたけれども、そういう数字決算委員会に出せないというのには法的な根拠があるかどうか、私非常に疑問に思う。ないと思います。こんなのは、私の想像では、個々が出せないのですよ。あなたのほうでは出せないのですよ。総体の数字を言ってください。いま言ったように、その問題についてはあした質問いたしますが、総体の数字、幾ら貸しておりますか。総体はやっぱり個々の集積ですからね、いまのお話のとおり。総体は幾らですか。
  261. 大沢融

    参考人(大沢融君) これはこの前もお話し申し上げましたが、約九億近いものがかかっておりまして、それを見て、私どもとしては、五億という契約でございますが、四億を払い出しておる、こういうことでございます。
  262. 大森創造

    ○大森創造君 これは公庫中金、それから開銀のほうもそれぞれ金を出しているわけですからね、七十億ぐらいになるのですよ、私のほうの計算によると。そこで、これはそれぞれ調べがついているはずなんですよ。これが言えないというのはおかしいので、国会法上決算委員会として、そういう資料提出できないならば、ひとつ法制局で調べてもらいたいと思うんです。これでは何にもできませんよ。私は不当な要求をしているわけじゃありませんよ。これだけのものですよ、おっしゃってください、これはあなたの事務当局はだれもみんな持っているのだから。私は押えている、その数字は。それは銀行の融資と関係があるのですよ。一々チェックしてわかっているのですよ。あなただけですよ、わからないのは。政策的に言わないだけだ。そこで、専用埠頭は幾らになっているかということをあしたお答えください。倉庫、製糖工場は幾らか、それから土地代は幾らか、ボイラーは幾らか、これはみんなあなたのほうでわかっている。わかっていなければ金は貸せない。一々チェックしているわけです。人も行っているわけです。それから砂糖の機械というのは幾らか、請負はどこか、ブドウ糖の機械は幾らか、請負はどこで、金額は幾らか、これはいまひとつお答えください。法制的に調べてみても、私はこの資料提出できないという理由はないと思うのです。あなたのうしろの人はわかっているのですよ。中金、公庫、開銀は政府と一番関係のあるもので、そこから金が出ているのに、一々チェックして調べて検討した結果貸しているのだから、その数字が出せないという根拠はないと思う、法的に。あなたのうしろの人はわかっておりますから、いまの問題をひとつお答えください。
  263. 岩間正男

    ○岩間正男君 委員長、議事進行。  何か大沢総裁は勘違いをしているんじゃないかという感じがする。私は相当長い間決算委員をやっておりますが、こういう前例はないじゃないですか。しかも、公庫です、政府資金が動いている公庫です。その運営のいかんについて、いま決算委員会は調査権を発動して、その内容審査している。それに対していまのような、内容は言えないという前例はないです。あなた、何か勘違いしている。市中銀行における秘密保持の問題とは違う。こういう点からいって、私は委員長に要求しますけれども委員長は本委員会の権威において、こういう前例のないことを、拒否するという立場を許すことはできない。したがって、当然これは委員長の権限において、本委員会の権威のためにも、この問題ははっきり明細に答弁するという確約をここではっきりさせる必要がある。これは議事進行として……。
  264. 岡三郎

    ○岡三郎君 あわせて。これは先ほど私が質問したのと、それから大森君の質問とも関連するが、大沢総裁は、こういうところでは言えませんと言った。こういうところというのはどこなんです。こういうところでは言えないというのはどこなんです。参議院のこういう決算委員会では言えないということなのか。これはあわせてその真意を聞いておきたい。これは重要な問題です。とにかく、こういうところでは言えないというのだから、一体どこで言えるのか。その根拠をちゃんと言ってください。
  265. 大沢融

    参考人(大沢融君) もちろん、私どものほうは国家の資金を運用しているわけですから、おっしゃるとおりでありますけれども政府機関ではございますけれども、金融機関でございますから、金融をやります過程で、個々の会社なり個人なりの取引の個別のものについて、いろいろな知識を得るわけですが、そういうような個別の知識のことについては、ここで、というよりは、公開すべき筋のものではないということを申し上げておるわけでございます。
  266. 大森創造

    ○大森創造君 そうではないのですよ。それは岡さんかどなたかがおっしゃったように、私の推測では、出せないのですよ。一例を申し上げてみましょうか、こういう場所で、とは言っても、私のほうで私的に調査したときには、あなたの部下はみんな言っている。全部数字を申し上げましょう。あなた書いてください。これは開銀でも、うちに帰ったらちゃんと帳簿にその写しがあるのです。原本、オリジナルは共和製糖にあるのです。これは持ってきてもらいますよ。そこで、こうなっているのですよ。数字を書いてください。これは開銀でも中金でも公庫でも、全部わかっている。専用埠頭は二億八千百万円と書いてある。これはあなたのうしろにいる人はみんなわかっている。あなただけが言わないのです。言うたらたいへんだというので、そういう申し合わせをきのうしたんです。だから、これはちゃんとあなたの部下に聞いているのだ。二億八千百万円、熊谷組。倉庫は四億四千三百万円という数字があなたのほうにあるはずです。あなたは知っているはずです。あなたのうしろにいる人は知っているはずです。製糖工場は一億三千四百万円、合計して五億七千七百万円というのが熊谷組だということになっている。それだけ金が出ている。  ところが、ひとつよく耳の穴をほじくって聞いてください。これはインチキなんです。これは偽造なんです。熊谷組はやってないのです。あなたはここのところに触れられたくないのです。これは熊谷組に行って私は確認しました。ここから電話をかけて聞いてください。やってないのです。専用埠頭二億八千百万円、熊谷組、これはうそなんです。これは共和製糖のほうがあなたのほうの三行から金を引っ張り出すために道具に使った偽造印鑑なんです。私文書偽造なんです。倉庫が四億四千三百万円、製糖工場一億三千四百万円という数字、あなたのほうには請求書、レシートの写しがあるわけです。それからオリジナルのほうは共和製糖のほうにちゃんと保存されているはずだから、これはあしたの委員会で照合するから、ここに持ってきてもらいたい。それでないと委員会の審議はできない。さらに私どものほうの調査、これはあなたのほうから教わった数字です。この委員会で私が申し上げるのは変なものです。あなたが言うとすれば、この数字が出てくるに違いない。申し上げますと、土地代は、県から、坪二千八百円、三万六千坪、これだけ払い下げた。これは事実だ。整地料坪当たり四千円、熊谷組がやったということになっている。ところが、調べてみた結果、整地は熊谷組がやっていない。これは偽造印鑑なんです。私文書偽造なんですよ。その情を知っているらしいのだ、どうもあなたのほうは。そう思える節があるのです。ボイラーはといえば、これは東京産業というところが請け負ったのです。みんな知っているのですよ、あなたのほうで。あなたのほうから調べたのですから。これは一億八千三百万円、これはほぼ金額は一致している。ところが、あなたのほうへの報告は、これは金を貸すほうですから、さっきお話がありましたように、一々チェックするのですよ。これは、あなたのほうへの報告は、一回に払ったという報告になっておる、東京産業に一億八千三百万円払った一これは数回にわたって払った。これはたいしたことはないのです。その次は砂糖機械、これはあした楠見理事長に聞くが、月島機械という、これは東京にあるから電話かければわかる、大きい会社ですから。八億二千万円で請け負ったということになっておる。ところが、実際は、この砂糖機械は月島機械には相違いないが、四億円なんですよ。これも私文書偽造、それから印鑑偽造です。ブドウ糖の機械のごときは、これは月島機械でございますが、二億八千六百万円、これは月島機械に実際発注していない。これは確認してください、月島機械に電話かけて。だから言えないのです、あなたのほうは。そこで、砂糖機械のほうは月島機械が八億二千万円であるけれども、実際は四億円しかやっていないのです。  この偽造印鑑のいきさつを申し上げます。こういうことなんです。これはこっけいなんですよ。興味があったら聞いてください。東京の中央区の小舟町に錦正印舗という、あなたはお知りになっているかどうか知りませんが、錦の正月の正、印舗というのは判こ屋です。そこでつくったのですが、実物と違うのです。たばこをやめて聞いてください。実物と違うわけですよ。いいですか。実物の押し型を持って行った。月島機械と共和製糖のほうは仲がいいから、実物の押し型を持って行った。笠原印舗、これは蠣殻町でございます。そこでつくり直したのです。偽造印です。松野大臣がいれば見てもらいたいのですが、これは偽造印鑑全部持ってます。こういうからくりはわからぬでしょう。これはにせです。これがあなたのほうに行っているのです。確認したのです。それから、これはね、全部ごまかされてしまったのです。だから言えないのですよ。だから、いま私が申し上げたようなものについて、あなたのほうでは一々わかっているのだから——私のほうの資料はあなたのほうから聞き出しているのだから。だから、あしたの委員会までに出してください。そういたしますと、いまから今晩中に偽造印鑑をつくらない限り、その偽造印鑑の書類が共和製糖のほうから農中、開銀、公庫に出ているに違いない。オリジナルは共和製糖にあるのです。これがいきさつです。おわかりですか。
  267. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔午後五時三十五分速記中止〕   〔午後五時五十四分速記開始〕
  268. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本日の大蔵省及び日本専売公社についての審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会