運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-11-28 第52回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月二十八日(月曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 濱田 幸雄君 理事 坂本 泰良君    理事 横山 利秋君       唐澤 俊樹君    四宮 久吉君       竹下  登君    千葉 三郎君       濱野 清吾君    畑   和君       山内  広君    山田 長司君       志賀 義雄君    田中織之進君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君         農 林 大 臣 松野 頼三君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         公安第一課長) 後藤 信義君         警  視  長         (警察庁警備局         警備課長)   三井  脩君         検     事         (刑事局長)  津田  実君         法務事務官         (入国管理局長          )      中川  進君         検     事         (入国管理局次         長)      笛吹 亨三君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君         大蔵事務官         (銀行局長)  澄田  智君         農林事務官         (農林経済局         長)      大和田啓気君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   若林 正武君         判     事         (最高裁判所事         務総局刑事局         長)      佐藤 千速君         農林漁業金融公         庫総裁     大沢  融君         日本開発銀行副         総裁      石原 周夫君         参  考  人         (農林中央金庫         副理事長)   大月  高君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 十一月二十八日  委員森下元晴君、神近市子君及び山口シヅエ君  辞任につき、その補欠として竹下登君、山内広  君及び畑和君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員竹下登君、畑和君及び山内広辞任につ  き、その補欠として森下元晴君、山口シヅエ君  及び神近市子君が議長指名委員に選任され  た。 同日  理事迫兼光君同月九日委員退職につき、その  補欠として横山利秋君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  法務行政及び検察行政に関する件  裁判所司法行政に関する件      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件、並びに法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、本日の議事のうち、法務行政及び検察行政に関する件について、農林中央金庫理事長職務執行者、副理事長大月高君を参考人とし、その意見を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのよう決定いたしました。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。畑和君。
  4. 畑和

    畑委員 この前の法務委員会、すなわち今月の十六日に開かれました法務委員会におきまして、私は共和製糖の問題を取り上げ、参議院決算委員会等あとを受けまして、この問題を追及いたしたのでありまするが、その日にたまたま農林大臣と、それから農林中金理事長がとうとうおいでにならない。農林大臣は前日の夜おそく外国から帰ってこられ、その日はちゃんとおられたのでありますが、なんだかんだという理由をつけて、翌日がちょうどたまたま農林省あるいは大蔵省による共和製糖問題の報告書を正式に発表するその日だというようなことのためか、したがって、そのときにはすでにそれらのことについてはもうわかっておるはずなんでありまして、私が共和製糖の問題について質問することも通知済みでありまするから、当然出てきてわれわれの審議に対して協力をするということが本来だと思うにかかわらず、とうとう姿を見せなかった。またさらに農林中金理事長も何とか都合できたはずであるのに、とうとう姿を見せなかったので、やむを得ずわれわれのほうでは、農林中金に関する部分中心として本日委員長の都合をつけてもらいまして、法務委員会を続行するような形と相なったわけであります。その点につきまして、きわめて私は残念だと思うのです。しかも、本日、もう楠見理事長はおられない。もうやめられた。こういうことに至ってはまことに遺憾きわまる話だと私は思う。ともかくもう一段落したからということで、かってに理屈をつけて、そして責任を回避してやめられた。しかも、不正融資は断じてないというような捨てぜりふを残してやめられた。しかもそのあとは、ごらんなさい、まだだれを理事長にするかわからぬのであります。なかなか理事長決定を見ないというような状況であります。あとがまが大体見当がつくようなところでやめるべきであって、何もそんな——ここまでやめずに来たんだから、やめずにある程度までやってもらいたい、そうしてわれわれの審議がすっかり一段落するまで責任をとられるべきだと思うのでございます。それだのに、そうしてやめられてしまって、私が今度質問しようと思っても、肝心な追及の主人公がいなくなってしまった。大月君はついこの間金庫のほうから来られたばかりで、よくわからぬということになるだろうと思うのであります。私、まことにどうも的がはずれたようなかっこうで、きわめて遺憾であります。この点冒頭、政府態度農林中金態度等につきまして、私は遺憾の意の表明をまずいたしておきます。  それから、われわれにはこれは配られてありましょうか。共和製糖問題に関する農林省大蔵省報告書、これがもし全員に配られていないといたしますならば、ひとつ農林省のほうから配っていただきたい。私のほうは特別に何かの手を通じて私の手元に入ったのでございます。
  5. 大久保武雄

    大久保委員長 畑君に申し上げますが、全員に配ってあります。
  6. 畑和

    畑委員 それならばけっこうでございます。したがって、いろいろ重複を避けるために、私この報告書を前提として、この報告書中心として質問をしてみたいと思います。  まずこの報告書をずっと通観いたしてみますと、農林省政策決定がまず優先をいたしております。この農林省政策決定、すなわち砂糖自由化ということを見越して、砂糖精製業の方面の体質を改善して合理化をする、そして、競争にうちかつというようなことがまず第一点のようであります。それからさらにそれに関連をして、同じ甘味資源である国内ブドウ糖等甘味資源関係の産業の育成強化というようなことで、これまた合理化ということを進める。同時にまたカンショ等国内農産資源の助成というようなこともねらって政策決定がなされたようでありますが、この政策決定がきわめて、結果的にとこう申してありますけれども、非常に狂ってしまったことはこれによって明瞭であります。この責任は、まず第一問題になると思う。いくら情勢が変わったといいながら、これだけのことが見通しできなかったかどうかという点について、私は農林省当局中心として、政府はまず責任を痛感しなければならぬのではないかと思うのです。さらに、この各三機関金融についてのいろいろ調査の結果、それに対する評価等が加えられておるのでありまするが、その報告書を見まするときに、貸し付けに当たっての審査あるいは資金交付、こういったようなことがいろいろ順序をあげて、それが妥当であったかどうかということが述べられてあるのでありまするが、この農林省大蔵省報告書を見まするときわめてあいまいでありまして、非常に自己責任を回避し、さらにまた、三機関についてのやり方については、結果としてこうなったけれども、当時としてはやむを得ないものだった、こういうような評価が全般に流れておるのでありますが、これはきわめて当たっていないと私は思う。むしろその最初の当時から、そうした貸し付けに当たっての審査とか、あるいは資金交付とかいうようなことがきわめてずさんであった、そういうことが現在のこういう結果を招いた、こういった率直な反省が私は必要ではないかと思うのであります。そういうところが随所に実は出ておるわけであります。  ところで、まず私がお尋ねいたしたいのは、「細島コンビナート事業計画および資金計画」、こういう表がございます。八ページでございますが、これを見ますると、共和製糖のほうはしばらくおくといたしまして、東洋果糖事業計画並びに資金計画、この二つが出ておりますが、これを見ますると、東洋果糖については、自己資金が十一億三千五百万円というふうな計画になっております。「資金調達」のところを見ていただきます。ところで、この自己資金というのは一体共和製糖グールプ、特に東洋果糖のほうでどういう形で自己資金調達することになっておったかどうか、この点をまず承りたい。これは結局農林省経済局長ですかの担当かと思いますが、それをまず最初に伺いたい。
  7. 大和田啓気

    大和田説明員 この共和製糖及び東洋果糖関係で、合計いたしまして自己資金が十四億三千七百万円というふうに予定されておるわけでございますが、この十四億三千七百万円の内訳といたしましては、増資分が七億九千四百万円、資産処分が四億八千万円というのが当時の計画でございます。なおそのほか預金なり現金なりが一億六千二百万円で、合計いたしまして十四億三千七百万円でございます。
  8. 畑和

    畑委員 ところで、そういった計画だったそうですけれども、実際にはそれがどうなったか。これはほんとの机上プランであって、その机上プランをそのまま受け取っておる。はたしてそういうプラン現実に可能かどうかというような点を私はもっと追及すべきではなかったかと思うのでありますが、その結果はどうなりましたか。その資産処分して四億の資金を得るということについてはいかがでございますか。
  9. 大和田啓気

    大和田説明員 資産処分四億八千万という予定でございましたけれども、その後の事態の推移を見ますと、この資産処分は結果として行なわれておりません。
  10. 畑和

    畑委員 そういうことだから、私は農林省もきわめて甘い、しかもそれを貸し付けた各金融機関もきわめて甘いと思うのです。これは四億八千万円を自己資金でやりますと言って、しかも四億八千万円については自分の資産処分をして充てますということになっておって、結果的には一つも充ててない。また、充てられるはずがないのであります。その資産の処理というものの中には、いろいろもう老朽した工場等が予定されておったようでありますけれども、それがもう第一担保、第二担保というようなものがほかにたくさんついておって、売ろうにも売れないというふうなしろものであったということが、過日の参議院農林水産委員会かで明らかになったようでありますが、そういうことまで調べなくちゃならぬと私は思うのです。いいかげんに机上プランで、こうしてここの何々工場処分いたします、何々工場処分して合計四億八千万円を自己資金に充てます、こう言ったところで、それが一体可能かどうかということを——しからば、その工場はどういう状態になっておるのか、完全にこれが売れるような状況であるのか、売っても、それがどれだけプラスが出るものであるか、抵当に入っておれば、その金を払わなければ売れるはずはないのであります。したがって、そこでまた資金が要るというようなことになるわけです。こういう点については、まず完全に農林省のほうで手落ちだ。そしてまた、農林省あっせんによって、それの貸し付けをした各三機関が大失敗をした、こういうことになると思うのです。まあ開発銀行のほうにつきましては、これは私もいろいろ調べましたけれども、これはなかなかりっぱにやっていると私は思う。それ以外の公庫と農林中金、これがもうなってない。非常に安易な貸し方をしておる。このことがこういう結果を招いたと思うのです。四億八千万円、これだけ国民の膏血がこういうところでむだづかいされた、こういう結果になっておる。私、この点は議論をしてもしかたがない。そういう点をあなたのほうで認めたのだから、これは深追いはいたしませんけれども、きわめて遺憾だったと思う。  それでは、さらに次の増資の問題ですね。九億円増資をする。なるほど増資はしたようでありますね。おたくのほうで書いてくれた、この日時を追っての一番最後の資料4という表によりますと、あちこち出ておりますが、結局共和製糖最後に八億五千万円になっておりますし、それから東洋果糖は何回かやって、結局四億円の増資になっておる。ところが、これがはたしてちゃんと増資が行なわれたかどうか、これは確認しておりますか。形式的にはそういうことになっておるのでしょうが……。
  11. 大和田啓気

    大和田説明員 共和製糖あるいは東洋果糖等増資につきましては、ほぼ計画どおり増資が行なわれておりますけれども、私どもが今回調査いたしました結果によりますと、実質的に見れば必ずしも実体的な資産が増加しているということにすべてなっていないわけでございます。この共和製糖関係増資で、東棉あるいは東食等において増資に応じている分がございますが、その分はそのとおり増資されておりますけれども、それ以外は実体的な資産の増加にはなっておらないという状態でございます。  なお、つけ加えて申し上げますと、先ほどの四億八千万円の資産処分計画、あるいは、そもそもこのコンビナート工場建設自体が当初から非常に無理な、あるいは実現が望めないようなことであったというお話でございますが、私ども、この調査報告書に詳しく書いてございますように、当時の情勢といたしましては、製糖業合理化あるいは国内畑作振興、あるいは南九州地域開発の見地から、これらのコンビナート事業計画がきわめて妥当であるという判断に立ち、また結果としては増資あるいは資産処分等について、予期のごとくなっておらないことははなはだ遺憾でございますけれども、当時の見通しとしては、そのようなことを見込んで本計画を推進することについて、それほど金融機関その他についての誤りといいますか、判断誤りはなかったといりふうに今回の調査報告で確認いたしておる次第でございます。
  12. 畑和

    畑委員 どうも責任回避ですね。私は納得できません。  そこで、先ほども言われましたことについてさらにお尋ねいたしますが、そうすると明確に申しますと、実質的に増資がされたのは東食の幾らですか、もう一度言ってください。
  13. 大和田啓気

    大和田説明員 東食の二億と東棉の五千万円です。
  14. 畑和

    畑委員 そうすると二億五千万円、こういうことになりますね。これは実質的な増資だ、ところがほかは見せ金だった、こういうことになりますと、相当見せ金の額も張っておりますね。一番最初共和製糖は、こうした融資決定をする前が一億三千万円であった。ところが、それが八億五千万になりましたということでありますから、約七億くらいの資金が必要だったわけです。それから東洋果糖のほうは七千五百七十万ですか、それが四億になっておるわけですから、三億何がしの増資があったわけです。そういたしますと、合計で約十億くらいの資金が必要だった。そのうち、いまいった二億五千万円ということといたしますと、やはり七億五千万くらいの資金については見せ金だったということに承知してよろしいのでございますか。
  15. 大和田啓気

    大和田説明員 詳細申し上げますと、共和製糖が三十九年の一月に一億三千万でございますが、それが四十年の十一月に八億五千万円に増資され、東洋果糖が三十八年の九月に七千五百七十万でありましたのが、四十年の一月に四億になっておりますが、四十一年の六月に共和糖化工業の五千万と東洋果糖の四億と日本糖化の五千万円の三つの会社共和糖化に吸収合併されて、減資をして三億になっておるわけでございます。増資の過程において、先ほど申しました東食の二億、東棉の五千万以外には、私ども、実体的な増資がなかったのではないかという判断をいたしております。
  16. 畑和

    畑委員 なかったのではないかと判断しておるというのはどういうことですか。その辺をもうちょっと明確にしてください。なかったということを共和グルーブのほうで認めたというのかどういうことなんですか。
  17. 大和田啓気

    大和田説明員 私ども今回の調査報告を作成いたしますにつきまして、共和糖化関係についてできるだけ調査いたしましたところ、いま申し上げました二億五千万円を除いては実体的な払い込みがなかったというふうに考えるわけでございます。
  18. 畑和

    畑委員 結局いま言った二億と、それから五千万、この二口の増資払い込み、これだけはあったけれども、それ以外は実体的にそういった払い込みはなかったということを農林省当局ではお認めになりました。ちょうどこの表をずっと見ておったのですが、そうしますと、いま言った増資やなんかのときがございますが、その時分にちょうど国家資金、三機関からの金が相当入っているのですね。私もてっきりそうだと思っておった。どうもおかしいと思っておったが、やはりそうした金を借りて、それを増資見せ金みたいにしてやるということですね。こういう手口ほんとうに詐欺的な手口だと思う。いま言った自己資金調達の問題といい、この増資見せ金といい、これだけの三機関が頭をそろえて、農林省融資あっせんによって、国家的な事業だということで、融資をするには最もふさわしくないような、まことにどうもイカサマの共和製糖グループだと私は思うのです。こういう点がこうして白日のもとにさらされてきました。それでわかってまいりましたけれども、これは国民がみんな見ております。いかに、農林省中心とするそうしたお役人の方が、人の金だと思ってずさんに金を貸し付けておるかということ、また、政府機関のこうした金融機関が同様な考えでやっているかということ、民間の銀行じゃこういうことはあまり考えられないと思うのですね。そういう点は、ほんとうにお役所的な銀行の運営のやり方がこういう結果を招いた。また農林省は、どんどんどんどん資金を融通してくれとあっせんを依頼したりすることなどがあって安易に流れるのだと思うのだけれども、われわれとしてはまことに憤慨にたえないところであります。この点、もうこういう結果が出てしまったわけでありますけれども、今度の事件を反省の機会として、ひとつ十分に今後処してもらいたいと思います。  この「事業計画および資金計画」、この点は以上にとどめたいと思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 関連。いまの局長の御答弁は非常に重大だと思うのですけれども、そうしますと、政府側として、増資をしたけれども、実際の増資は行なわれない、政府の金が回って、それが増資に充てられたという結果を認められるということは、商法違反をした事実ありということを認められることになりますか。
  20. 大和田啓気

    大和田説明員 私が先ほど申し上げましたのは、二億五千万以外は実質的な増資がなかったということに関しまして、政府機関から金が回って、それが増資もとになったということを申し上げたのではございません。株式払い込みをする場合に、共和関係会社から菅貞人という人が金を借りて、それで申し込みをしたということで、政府の金がそこに回ったという趣旨ではございません。
  21. 横山利秋

    横山委員 しかしながら、実際問題として、増資現実的、実質的には行なわれなかったということはお認めになったのですね。それでは、それはどこから金が回っておったのか、どうなっておったのか、法律的には一体どういうことになるのか、明白にされたい。
  22. 大和田啓気

    大和田説明員 私どもがただいま承知しておりますことは、株式払い込みをする場合に、共和関係会社から金を借りて、それで株式を払い込んだ。おそらく株式払い込みを済ましてからその金はもと会社に返ったということになるだろうと思いますけれども、そこのところは政府関係金融機関から金を借りて、それをもとにして株式払い込みに充てたというふうに直接的な関係があるかどうかということは、私ども調査をいたしてもわからない次第であります。
  23. 横山利秋

    横山委員 じゃ、あなたは政府の金が回ったか回らなかったかは確認ができないとおっしゃるわけですね。それじゃ調査不十分。もし政府の金が回って増資に振り込まれて、政府の金を借りて増資に回ったというならば全く言語道断だ。これはあなたもお認めのことなんだ。しかも商法に明白に違反をしておる。そうではないようだというのか。わからぬというのか。もしも政府の金が回っていなかったならば、どこから回った金であるか。見せ金であることは明白であろう。どこの金が回ったか。その調査はどうなっておるのか。それがその後自己資金でないということになれば、明らかにこれは商法違反政府の金であろうと何であろうと、見せ金商法違反ですよ。どう思いますか。
  24. 大和田啓気

    大和田説明員 私ども調査では、ずいぶん詰めて調査をいたしましたけれども行政権といいますか、普通の役所の調査でございますから、わからない部分がかなりあるわけでございます。本件につきましては、現在司直の手が調査いたしておりますから、私どもそれによって明らかになる部分があるというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 それじゃ見せ金であるという事実は、調査の結果わかったわけですね。
  26. 大和田啓気

    大和田説明員 見せ金であるかどうかということは、なかなか論議のある問題だと思いますけれども、私がはっきり申し上げておりますことは、共和関係で相当な増資がありましたけれども、実体的な増資があったと思われるのは東食の二億円、東棉の五千万円、それ以外は実体的な払い込みはございませんということを申し上げておるわけでございます。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 関連して。一番問題は、共和製糖株式会社というのは昭和二十八年十月、わずか二百万円の資本金で設立されたわけですね。当時は零細企業であった。それが昭和四十年一月、八月、十一月、この増資によって八億五千万円になったのですよ。この八億五千万円のうちの二億五千万円が現実払い込みがあるというふうに見ますれば、あと六億円ですね。六億円については払い込みがなかったわけです。払い込みがなければ、この増資は無効です。現実資本がないわけでしょう。現実資本はわずか二百万円で発足して二億五千万円、これも非常にあいまいですけれども、二億五千万円と見ても、六億円という資本金払い込みはなかったわけです。その点はどうふうに——払い込みがあるというのはちゃんと銀行払い込みをしたか、あるいは会社が直接払い込みをしたか、おそらくそれがない。六億円というのがないわけ、だから、この共和製糖グループという会社は依然として二百万円、また百歩譲っても、二億五千二百万円の会社であるわけですね。だからその六億円を行政調査調べができないなんて、そんな調べができないのに多額の融資をしているわけでしょう。それが問題なんです。だからわれわれはその増資について、やはり農林省高級官僚あるいは前農林大臣、当時の農林大臣等において、そこに何か裏に贈収賄というようないろいろな問題がありはしないかというのを疑問にしておるわけです。だからそうでなかったならば、なかったような実証をあげなければならぬ。それを六億円というのが実証がないというのでしょう。こんな会社認められぬわけでしょう。大臣、どうです、その点。
  28. 大和田啓気

    大和田説明員 共和関係会社は、関係会社が株を持ち合っておる関係にあるわけです。たとえば、申し上げますと、共和製糖の現在資本金が八億万千万で、株式の総数が百七十万株でございますけれども、ごく最近までの株主を申し上げますと、共和店商が九十七万六百株でございます。東食が四十万株、菅貞人氏が二十二万九千四百株、東洋棉花が十万株、なお、共和糖化工業について申し上げますと、資本金三億で株式総数六十万株で、株主は共和産商が一名、全部六十万株を持っております。最近までと申し上げましたのは、十一月の初旬に共和産商が持っております共和製糖あるいは共和糖化工業の株を譲渡をいたしまして、共和製糖株式の中で、共和産商名儀の九十一七万六百株は共和糖化工業に売却、共和糖化工業株式の中で共和産商名儀の六十万株は共和製糖に売却という形で、いまは共和製糖共和糖化工業とがそれぞれ持ち合っておるという形になっておるわけでございます。したがいまして、払い込みの実体はあったわけでございますけれども、同族といいますか、同系会社株式を持ち合っておるということで、私は実体的な増資がなかったというふうに申し上げたわけであります。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、そういう株式の譲渡、相当多額の譲渡になるわけですが、それはどういうような方法で譲渡しておるわけですか。
  30. 大和田啓気

    大和田説明員 これは特別の方法ではなくて、共和産商が、いわば同一グループの共和製糖なり共和糖化工業株式を譲渡したという次第であります。
  31. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、大蔵省見えておるですね。——その株式の譲渡については税金がかかるわけですが、その点は大蔵省どうなっておりますか。
  32. 澄田智

    ○澄田説明員 課税の原則は申し上げるまでもありませんが、額面を上回って、帳簿価格を上回った部分については譲渡関係の益金に算入される、こういうことになります。この場合は、現在共和グループ全体につきまして国税庁のほうで税務の関係調査を進めておりまして、まだその結論に至ってないと聞いておりますが、その関係では当然に株式の持ち合い関係、さらに譲渡関係、かなり複雑に動いておりますが、それについての調査は進められるものと思っております。
  33. 坂本泰良

    坂本委員 私が疑問に思うのは、からくりで、インチキで株式の譲渡をやる、またその株式の譲渡をやって、それを基本にして今度は融資を受ける、こういうことになりますから、森協の関係もそういうことで多額の税金になるのではないかと思うわけですが、この共和グループの問題についてもそういうふうにして株式の譲渡を、実際はなくてもあったことにして、資本をふくらかすためにそういうような方法がとられておるのじゃないか。したがって、そういうような場合は厳格に解して徴税をしなければならぬ、そう思うわけですが、その点の調査はいつごろから始められて実際どういうふうになっているか、その点はわかりませんか、中間報告は……。
  34. 澄田智

    ○澄田説明員 はっきりした調査に着手した時期というものは、私つまびらかにいたしておりませんが、最近国会で、この問題について御論議があり、その前後からだろうと思っております。まだ鋭意調査続行中ということであります。
  35. 坂本泰良

    坂本委員 吹原事件、森脇事件の関係は、すぐそのとき出ているのでしょう。これだけ共和製糖の問題が国会で問題になって、その移動も農林省からこうして発表するような関係になっておる。だから、もうそんな調査はすぐにでもできそうなものだ。それを調査中だと言ってやるのは、大蔵省としてよろしくないと思う。われわれ庶民の税金を調査するときには非常に厳格にやるでしょう。それ以上にこういうものは厳格にしなければならぬと思う。だからこれは即刻発表する、できないことはないと思う。その点を要望しておきます。
  36. 澄田智

    ○澄田説明員 ただいまお示しの過去の事例等に比べると、いろいろそれぞれあると思いますが、共和グループ関係会社は非常に多くて、お互いの経理等の関係も非常に錯綜しておりますし、税務の調査の面もかなり困難だろうと想像いたしております。いまお話しのようなことで、できるはずであるという点につきまして、私、直接関係しておりませんので、いまどういうふうな状況か的確に申し上げることはできませんが、非常に努力をしていることは事実でございます。
  37. 山田長司

    ○山田(長)委員 銀行局は各銀行調査というものを年に一問ないし二回やっているやに伺っておりますが、この場合、ほかの銀行調査をやっているように、そういう緻密な調査というものが過去になされなかったのですか。
  38. 澄田智

    ○澄田説明員 政府金融機関につきましても、銀行検査はやっておるわけでございます。そういう点では、いま年に一回、二回と申しましたが、現在の能力ではなかなか年に一回、二回というわけにはまいりませんが、たとえば農林中金で申し上げれば、昨年の二月に検査をいたしております。その場合に共和グループの東洋果糖等に対する農林中金貸し付けに対しては、これは固定化しているという点で一応注意をいたしまして、いろいろ資産分類をするわけでありますが、第二分類に分類をいたしまして、改善の要があるという指摘はいたしております。
  39. 山田長司

    ○山田(長)委員 その指摘をされた当時における改善の要というものは、ただ改善の要があるというだけにとどまっておったんですか、それともその実績は何か出ておったんですか。
  40. 澄田智

    ○澄田説明員 金融検査につきましては、従来からその内容を申し上げることは慎まさせていただいておるわけでございますが、この場合も、いろいろ指摘いたしておりまして、その後報告を取るというような措置をいたしております。
  41. 山田長司

    ○山田(長)委員 さらに大和田局長に伺いますか、同族の会社の間で金が動いておったのかなかったのか〇あなたのさっきの答弁では了解できなかったので、伺います。
  42. 大和田啓気

    大和田説明員 共和グループの現在までの中心的な存在といいますか、販売あるいは売り渡し部門を受け持っておったのは共和産商、大きなメーカーとしては共和製糖共和糖化、その他幾つかの会社があるわけでございますけれども、共和産商を中心として従来まではいわば一つの会社のよりに経営をやっておったようでございます。私ども調査いたすにつきましても、非常にむずかしい問題がありましたことは、一つ一つの会社が独立しているというよりは、むしろ一体として運営されているような感じを持っておるわけでございますから、当然資金の流れは共和グループの中にあったというふうに思うわけでございます。
  43. 山田長司

    ○山田(長)委員 この同族会社は、何かこちらで見ている印象では、そんな形で資金の対象になっておってよかったものですか。しかもばらばらで、内容的には一緒であるというようなわれわれの印象のものが、それを各別々の形の対象にしてよかったものなんですか。
  44. 大和田啓気

    大和田説明員 ちょっと御質問の意味がよく了解できませんので、あるいは的はずれのお答えになるかもわかりませんけれども共和製糖製糖業をやって、これに対して開銀が金を貸し、共和糖化、これは当時東洋果糖でございましたけれども東洋果糖がブドウ糖、果糖部門を受け持って、工場を建設し、また工場の運転をするということで、これに対して公庫と中金が金を貸したということで、資金的には共通のような運営のしかたをやっておったのは事実でございますけれども、とにかく製糖なりあるいはブドウ糖、果糖を担当する会社としては、共和糖化あるいは共和製糖が厳然としてあったわけでありますから、これに対して金融機関がそれぞれの設備資金を貸した、あるいは運転資金を貸したということについては、特別に問題はないというふうに考えております。
  45. 山田長司

    ○山田(長)委員 どうも理解できませんが、資金を導入するために、対外的にはいろいろな名前をつけて出してあるけれども、その得た金というものは全体で融通し合っているという印象を持ちますけれども、その点は間違いないと思いますが、どうですか。
  46. 大和田啓気

    大和田説明員 共和糖化あるいは共和製糖、それぞれ幾つかの工場を持って食品工業をやっておるわけでございますから、それらに対して政府機関あるいはその他の金融機関融資したわけでございます。結果としてそれらの融資が、私ども調査報告でお示ししておりますように、製糖部門の金は開銀八億でございますけれども、それをこえた資金の支出は製糖部門に行なわれておりますが、ブドウ糖、果糖部門については中金十億、公庫が四億。六億ないし八億の金がブドウ糖、果糖部門に使われておりませんで、あとは製糖部門等に流用されたということを調査報告でもはっきりお示ししてあるわけでございますから、結果としては、資金が一体的に運用させたといいますか、共和糖化あるいは共和製糖だけが独立して資金を操作しているのではなく、いわば糖化や製糖を含めてこの資金が運用されたというふうに判断せざるを得ないというふうに私は考えておるわけでございます。
  47. 畑和

    畑委員 そうなりますと、いまの委員の質問応答を通じて大体わかったのは、共和製糖あるいは東洋果糖、そういった物を製造する会社、そこへ政府のほうでは貸したんだけれども、この共和製糖グループが販売網を担当する共和産商までも含めた一連のものであったので、そちらのほうにその資金が融通されたという点は認める、こういうことのようであります。それにつきましてもその辺が農林省はきわめてうかつであった、こういうことは言えるんじゃないか。また金融機関のほうでもきわめてうかつな話だったと私は思うのです。その点についてせっかく大臣がおいでになっておるのですから、その辺の総括のことについて大臣がどう考えておるか、まあ増資の問題もございます。それから先ほど言うた資金計画、これはもう私が質問したときにはおいでになっておったと思いますから、お聞きになっておったと思いますが、自己資金などはこういうふうに調達するのだけれども、実際は資産処分して自己資金を取得することをさっぱりやっていないという結果があらわれた。増資の面でも先ほど言われたとおり、またその増資の問題が発展して、先ほど言うたような共和産商との関連、一連のグループの間の資金の融通、こういうことがかってに行なわれたということなんで、そういう点について農林省当局じゃどういうお考えなのか、責任ある大臣の答弁を承りたい。
  48. 松野頼三

    ○松野国務大臣 この問題の政府の一番の関心は、政府資金が流れた、その政府資金融資の目的に合致しておるかどうかということが第一の政府金融の目標であります。その中で、公庫が約五億のうち四億を融資いたしました。これが要するにブドウ糖工場の建設資金に明らかに流用されている疑いがある。したがって、これは目的違反である、繰り上げ償還を命ずるということが、政府責任を感じて政府みずからとった第一の措置であります。それに関連して、中金は運転資金が大部分で、ある意味においてはつなぎ的なものが十億ばかり設備資金として出ております。これが果糖の部門、これが政府が今回とりました第一の措置であります。それから流用されておるのかされていないのかという事実確認を果たし、その後においての処置をとったわけであります。したがって、基本的に増資問題の議論も出ますけれども増資問題そのものは公庫及び中金が貸し出すときの、審査の対象として明確に増資を確認しなかったんじゃないか、したのかという議論は出てまいりますけれども政府が直接監督するよりもこれは融資対象としての金融機関がとるべき措置の中に入るものだと私は思います。なお短期資金増資の場合は、これは明らかに商法違反だと断定するまで、私は確認をしておりません。ということは、ほとんど両方の会社がお互い交換株、持ち合い株あるいはそういうもので増資をされておる。これが直ちに商法違反だという断定は、これだけではできますん。したがって、現実にその資金計画資金増資資金であると断定した場合には、増資資金がないじゃないかという疑義がそこで生まれてくるわけであります。それは資金計画における違反であり、資金計画の目的がずさんであるということに指摘がさるべきものだ。そういうところから増資問題というのは、確かにその当時の金融機関としては——大体金融機関は相手方を疑って金を貸すなら、私は貸さないほうがいいと思う。当然相手方が信じられる相手だから金融というものか正常に取引されるというのが一般的金融の常識だと思います。ところが今回は、信用さるべき相手方が必ずしもその信用状態のままでなかった。調べてみれば、なおその疑いがあるというので、それでは融資停止をして監査をしようということから、この問題を監査をし、融資を停止し、そうして今回この立場に立ったわけであります。したがって、まだ結論が出ておりませんので、これが違反であるとか違法であるとかいうことは、この後においてしていただかなないと、とにかく融資対象として、行政上において目的及び申請と違っておるということが今日の私たちの立場でありまして、それがどう発展するか、われわれの調査というものには限界がありますから、今後の推移を見ていただかないと、ここで結論を出せとか、答弁をしろというのは——まだわれわれは調査不十分であります。ことにこれが民間会社でありますし、また民間の金融の中に立ち入れる立場と立ち入れない限度とございます。したがって、一般的な増資問題は民間銀行、民間商法における問題で、われわれはそこまで今日立ち入って即答するまでには調査がまだいかないということは、これは御理解いただきたい。しかし、政府が貸しました公庫、中金の金が目的違反の疑いがある。違反だというところまではいかないという意味でこの措置をとったのが今日の時点であります。したがって、私も確かにこれは目的違反に流用されたという疑いが濃厚であるから、償還命令を公庫から出し、中金も監査をさせ、一番大事なことは、これに対する補完措置あるいは補償措置あるいはそれに対する担保描画というものをただいま厳重に調査しておるというのは、万一の場合に国損を与えてはいけないというのでそれをやっておるわけで、全部が全部終了しておりません。私どもは今後の調査、今後の進展というものは、まだずいぶん大きなものが残っておるのではなかろうか。したがって、これを即答しろと言われるのには、まだ私は即答いたしかねる点が多々あります。いろいろなことがあります。念頭には、こうではなかろうか、ああではなかろうかということは一つの常識としてはありますが、それを政府から答えろというには、まだ私は自信がない。答えるのにはまだ少し無理だ。また責任を追及されるにしても、まだもう少し見ていただかないと、結論においてどこが責任があるかということは、もう少し私は推移を見ていただきたい。私が最初にやった当事者でもないですし、もうすでにかわっておることですから。といって政府責任は全然ないといって逃げているわけではありません。政府責任があることは、それはそこは逃げておりません。前任者のことだろうと、私は負うべきものは負います。しかし、同時に、私がここで結論を出すことのできない立場も御理解いただきたい。私はこの問題を隠そうとかどうしようとか、そんな気持ちで——民間のものにこんな調査報告政府みずからが出したことは前例がありません。それだけに国民に対する私の努力、不満足かもしれませんが、努力の善意は認めていただきたいと私は思います。
  49. 畑和

    畑委員 たまたまいま松野農林大臣は、この件の貸し付けの当時には大臣でなかった。まあその点はわかります。また努力しているということもわかります。しかし全般を通じて、厳として、政府責任を回避するわけには、もういまの段階ではいかぬと思う。その点でひとつ今後とも厳重にやってもらいたいと思います。  この報告書などを見てみましても、こういうのがありますね。「今回の農林公庫の調査報告によれば、当時会社側が示した一件書類は真実を表示するものではなく、その説明は虚偽の申立てであったと認められるが、金融機関として通常払うべき注意を怠っていたものとは認められず、資金交付のあり方としては、一応、妥当なものであったと認められる。」これは例の私文書偽造に関連してのことだと思うのでありますが、こういう何が何だかわからないような報告書になっておる。一応非難したようであって、しかも当時としては通常払うべき注意を金融機関として怠ったものとは認められぬ、資金交付のあり方としては一応妥当なものであると認めておる、こういったような報告書の書き方というのは私は問題だと思うのでありますが、この点どうですか。
  50. 松野頼三

    ○松野国務大臣 公庫及び中金が資金を出しますときには、その計画に合わせて工事が完成したかどうかを見る、完成した暁における精算領収書を徴する、この正常なものはやったということであります。ただ、それが事実と違反したことまで見抜き得なかったというところが、そのことばの内容であります。したがって、一応のものは一応領収書を取り、完成したという報告を受けて、その上で資金を出した、これは一般正常にどこでもやっておる。いままではほとんどそれで間違いありません。しかし今回は、間違いがなきべきものがそこに間違いがあった、これを見抜き得なかったということは、監査において必ずしも万全でなかったという反省を加えながら、しかしながら、といって違法に、特別に、これだけは例外に金を貸したものではないというのが前段、後段においては、それでも間違っておったというのが反省、この二つがその文句であります。
  51. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して経済局長に伺いますが、共和製糖増資の問題で、実際に払い込んだのは東食関係の二億と東棉の五千万の二億五千万円で、あとは実質的には資金の増加がないという面から、実際の増資が行なわれたことはないと、こういう先ほどの答弁ですが、あと関連質問で、それはまあ同族会社関係で、株式譲渡その他の操作によって行なわれたので、二億五千万以外のそういう操作上のことはなされておるというような、ちょっと前の答弁と食い違うような答弁がなされておるのですが、この点は依然として疑惑が残りまするので、最初にお答えになったように、約九億のうちで二億五千万円しか実際の払い込みはなかった、あとの金は払い込んだという形に形式的になっていれば、何か見せ金か何かの操作によるものだ、これは常識的な結論だと私思うので、その点をまず明確にしてほしいということが一点。  それからもう一点は、その増資の行なわれた時期と、それから三機関関係からそれぞれの関係融資をして金を出した時期との関係が当然問題になってくるので、一番最初横山委員が指摘したよう北、政府機関から融資を受けたものが払い込みに一応使われたというような形になっておるのではないかという疑惑が依然としてありまするので、各系統への融資の貸し出しの日付順を追うて何か資料の4についておりますが、実際に行なわれた増資等の時期的な関係を当局としてトレースしてみたのかどうか、その点の二点をまず明らかにしてもらいたい。
  52. 大和田啓気

    大和田説明員 共和製糖あるいは東洋果糖増資の中で、二億五千万以外は実質的な払い込みはなかったということは、共和関係会社の株の持ち合いでございますから、こういうふうに申し上げたわけでございます。それでその次に、共和産商が持っていた共和製糖の株を共和糖化に譲り、共和産商の持っていた共和糖化工業の株を共和製糖に売却したというのは、これはことしの十一月になってからのことで、全然別の問題でございます。  なお、政府機関融資したものが、増資の見合いになっておるかどうかという御質問でございますが、政府機関なりあるいは農林中金から共和製糖なりあるいは東洋果糖に貸し出されました設備資金のいわば資金交付の日付は、私ども調査報告の七ページに詳細出ておるわけでございます。昭和三十八年十二月三十日、農林中金から東洋果糖へ第一回分としての三億五千万円、それから中金はこれを含めて三回、公庫は一回、開発銀行は八回資金交付が行なわれまして、昭和四十年の九月三十日に開銀の最後融資が二千万円行なわれるまで、相当長期にわたって、また相当多数の回数資金交付が行なわれておるわけでございます。これに対しまして共和製糖のほうの増資は、三十九年の一月二十四日に一億行なわれて、三千万円の資本金が一億三千万円になっておりますが、これは資本金が五千万円の千葉精糖と、それから旧共和産商、資本金五千万円の吸収合併でございます。それから三十九年の四月二十一日に一億七千万円、四十年の一月十一日に三億、四十年の八月二十一日に二億、それから四十年十一月二十五日に五千万、このうちで四十年八月二十一日の二億が東食分で、四十年十一月二十五日の五千万円は東棉関係でございます。また東洋果糖について申し上げますと三十九年の四月二十一日に一億二千四百三十万円の増資で七千五百七十万円の資本が二億になっております。四十年の一月十一日に二億増資されて四億になっておるわけでございます。この東洋果糖の四億と共和糖化工業日本糖化のそれぞれ五千万円の会社が四十一年六月に合併いたしまして、減資して三億になりましたことについては先ほど申し上げたとおりでございます。それでいまの増資資金交付との関係を見ますと、この資金政府機関あるいは農林中金から金を貸したものが増資に回っているというふうにはどうも考えられないというふうに思うわけでございます。
  53. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 関連。先ほど畑委員の質問に対して農林大臣のほうから御答弁がございましたが、まだ大きいものがあるというふうにおっしゃったように思いましたが、大きいものとは何です。
  54. 松野頼三

    ○松野国務大臣 大きいもの……。まだ今後の調査に多大な時日がかかる、こういうことを——私は、あるいは時日の話をしただけで大きいという意味は私は全然言いません。いま、今後の調査においてまだ時間がかかるというふうな意味を私は申し上げたので、大きい小さいということばは……。
  55. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その調査の結果何か大きいものか出てくるというようなふうに伺いましたが、そうじゃないですか。速記録を見ればわかりますけれども、何かそこらに心あたりがおありでおっしゃったのですか。
  56. 松野頼三

    ○松野国務大臣 今後の調査がまだ時間がかかると私は言ったので、大きい小さいとか中型とか、そんなことは毛頭ありません。私は今後の調査においてまだ時間がかかると言っているだけで、したがって、ここで直ちに結論を言えと言われても、それは言えない場面がございます。大きい小さいと私は全然言った覚えがありません。もし言い違いならば、時日の問題が時間がかかる、あるいは長時間、大時間かかると言ったかもしれません。大中小という、そういう御質問のような印象は、私は全然ありません。
  57. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その調査に時間がかかるとおっしゃったことは私も聞き覚えておりますが、その中で、これはあとで速記録を見ればわかりますけれども、まだ大きなものが云々と言われたので、それは金額のことか、犬もののことか、そういう点での御発言じゃなかったのですか。
  58. 松野頼三

    ○松野国務大臣 私がもしそういうことばを使ったなら……(志賀(義)委員「うっかり本音が出たのかもしれません。」と呼ぶ)大きな問題は、また調査の中において、多大の調査においての問題がある、こう私は言ったと思います。大きい小さいというのはそういう念頭で言ったので、もし大中小ということばがありましたら、調査が今後まだ時間がかかる、大きな努力が要るという意味での大中小を香ったかもしれません。そういうことは念頭にありません。
  59. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その速記録が、発言者の真意が直されることがあると困りますから、いまの問題については速記録を訂正発表する前に、いま言われたことがあるかどうか、一度お調べになった上でこの法務委員会に御報告なさってください。それだけお願いしておきます。
  60. 松野頼三

    ○松野国務大臣 なお、それは速記録を私は訂正する意味じゃありませんが、私の意味は、まだ今後において調査に大きな問題があると言ったことは記憶いたしませんが、もし言ったとするならば、調査において時間がかかる、調査においてまだずいぶん時間がかかりますし、いろいろ調べなければならない問題がある、したがって多大なものがある。その多大の多を取れば大だけ残るかもしれませんが、私はそんな趣旨で言った覚えは毛頭ありません。速記録を訂正は私はいたしませんが、私の趣旨はそういう意味であるということをもう一度申し上げておけばいいと思います。あらためて言っておきます。
  61. 畑和

    畑委員 次に移ります。農林大臣がいなくなっちゃうといかぬですから、それと農林中金の副理事長関連がございますので、ひとつお尋ねします。  それは、いままで何回か衆参両院で共和製糖グループ融資のことについて問題になりましたことのうちの一つに、東食を通じての農林中金からの共和製糖グループヘのいわゆるクッション融資、この問題がまだまだはっきり明らかになっておらぬと思うのです。私はこの前決算委員会で質問いたしましたときにも、その旨は否定しておられた。ところで、この間農林大臣参議院の決算委員会で御発言になった概要というプリントがございます。十一月十七日に御発言になった分で、一番最後のところに(注)と書いてあるのがございます。これをちょっと読んでみたいと思うのですが、「共和製糖株式会社の三機関以外からの短期借入金十億七千二百万円には、株式会社東食からの借入金十億六千万円があるが、これは、四十一年二月から八月にかけて三回にわたり、それぞれ五億円、四億円および一億六千万円が借入れられたものである。一方、株式会社東食が取扱っている農林水産関係の品目は、穀物、油脂類、肥料、飼料、食品類等広汎にわたっており、全取扱金額の七〇%を占めている。農林中金は、このような農林水産物および関係物資の流通の円滑化を図るため運転資金を融通しており、四十一年八月末における農林中金からの株式会社東食借入金残高は、三十七億一千万円となっているが、このうちには、」これからが問題です。「上記貸付の日付の前後に上記金額に見合う金額の借入れが行なわれているが、農林中金株式会社東食との取引関係は極めて頻繁であり、融資後の資金の使途については、農林中金としては承知していない。」こう書いてあります。これによって見ますれば、クッション融資をほぼ認めておるようにもとれ、またそれを実際は農林中金としては、農林中金東食との取引関係がきわめてひんぱんであるから、その資金の使途についてはわかっていない、こういうことで逃げているような形になっておりますが、三回に分けて十億何がしの金を農林中金東食に貸し、ちょうどその貸した三回の期日と前後して、同じころに同じ金額のものが共和製糖のほうへ貸し付けられている、こういう二段のクッションをした事実をこれは書いてあるのですが、この点で、日付が何用何日とまず最初に明らかにしてもらいたい。最初農中から東食へ貸した日付と金額、それからそれに見合う東食から共和製糖グループに貸した金額と日付、これをまず農林中金のほうから明らかにしてもらいたい。
  62. 大月高

    大月参考人 ただいまお尋ねのございました農林中金から東食への貸し付け及び東食から共和産商に対する貸し付けの日付と金額につきまして申し上げますと、当方の承知いたしておりますところでは、最初われわれが東食貸し付けました日付は二月一日でございます。これが四億九千三百七十万。それから第二の問題になっておりますのが七月一日、これが三億九千四百九十六万。それから第三回目が八月の五日でございます。これが一億五千七百九十八万四千円でございます。それに対しまして東食からの出金でございますが、最初の二月一日に該当いたしますものが二月の二日、三日と両日にわたっておりまして、動きが四回ございます。第一回が一千六百万、それから五百万、三百八十九万、それから裏書き人九州食品の交換手形に対しまして落としておりますのが四億九千二百万。若干端数がございますから違うかと思いますが、全体の金額としてはおおむねそのくらいの合計になるのじゃないかと思いますけれども、そっくりそういう数字ではございません。それから第二回の七月の一日以降の分につきましては、二日、四口、五口と、いずれも千万ないし千数百万あるいは五千万ベースでずっと出ています。
  63. 畑和

    畑委員 その七月一日以降の合計はどのくらいですか。大体見合いますか。
  64. 大月高

    大月参考人 これはちょうど符合するわけじゃございませんけれども、先ほど申し上げましたこちらが出しましたのが三億九千四百幾らでございますから、その前後の数字になるのじゃないかと思いますけれども、逐次そういうふうに出ております。それから八月五日でございますが、これは八月の五日と八日に少しずつ出ております。こういう問題につきまして、この金題といま出ておりましたのが該当するかどうかということはわかりませんけれども政府にお調べいただきました取引の経過が、因果関係は別といたしまして、もしそこらにそういう似た数字があるといたしますればそういうものがある、こういうことでございます。
  65. 畑和

    畑委員 やはりちょうどそれに該当するのがありますか。
  66. 大月高

    大月参考人 それで、ただわれわれの立場でこういうことを申しますと、それだけくっついておるじゃないかというお疑いが出ると思いますので補足さしていただきますと、われわれの取引はいまそれに該当するじゃないかという御質問の分だけ申し上げたわけでございますが、その他に、先ほどの御報告にありましたように数十億の取引をひんぱんにやっておりますから、それに応じてまた出ておる金もあるわけでございます。そういう意味で、問題になりました点を拾い上げて申し上げますとそういうことになっておるということでございます。
  67. 畑和

    畑委員 そうすると、先ほど読み上げました農林大臣の御発言の数字と大体合っている。結局そのものずばりの数字ではないけれども、それに近い数字がそのくらいの期日に何回かに分けていろいろな形でやはり東食から共和産商に出ておるという事実がわかった。これが俗にいわれるクッション融資でございます。ところが、そのクッション融資である、そういうことを話し合った上で出したものではないといままで農林中金の楠見理事長は答弁をしておられた。東食をここへ呼んでくるわけにいかぬので、東食の証言は得られないのですが、農林中金理事長は大体そういうことを私らに言っていたけれども、この間参議院の決算委員会の段階あたりでそれをほぼ認めるような、農林大臣の発言の趣旨のようなことは認めておったと思うのです。ところで、世上ひもつきの融資だということが言われておる。またそれが裏づけられるような事実そのものはあるわけです。ただ、いままでそこに意思の連係の問題が証明されないということであったのですけれども、その辺のことはどうなんですか。
  68. 大月高

    大月参考人 われわれといたしましては、東食の要求に応じましてそのときどきの運転資金、あるいはいろいろな農林水産物資を扱っておりますから、その購入資金あるいは流通資金というものを出しております。私のほうは東食のメインバンクでございませんので、東食はわれわれ以上にほかの市中銀行からやはりひんぱんに金を借りておられると思います。そういうようなところから、われわれの融資いたします金額を含めまして多額の融資を受け、それをまたいろいろ関連の各種の商品を生産しておるメーカーがあると思いますから、それに対してまた運転資金を供給したり、あるいは前貸しをやったり、いろいろなことをやっておられると思います。そういう意味で、いろいろな関連があると思いますけれども、われわれの分だけを取り上げて、われわれが東金に対して貸すべきものを貸してくれというようなことを言った事実はないのでございまして、いろいろな金の動きの中に、東食としましては、かりにわれわれから融資を受けて共和のほうに貸したということはあるかもしれません、あるいはほかの銀行から借りて貸したということがあるかもしれません。もっと詳しく調べますと、出ておる口座はまた別なのでございます。それから貸しておられます条件というようなものも、われわれは運転資金として短期に貸しておりますが、あるいは別の条件で共和のほうへ貸しておられたり、あるいは手形が回ってきますから、別の条件の手形を割り引いたり、いろいろなことをしておられると思います。そういう意味におきまして、それに似た数字がございましても、それは必ずしもわれわれと東食との話し合いで共和に融資をしたと即断されることは、一般の商社取引の慣例から見て行き過ぎではないかとわれわれとしては考えております。
  69. 畑和

    畑委員 これは全く奇怪しごくな話なのです。これはちょうどたまたま、もう時期として四十一年の二月二十八日という日が、この報告書を見ましても、農林中金はいままでの共和製糖関係の三社への貸し付け金を四十二年の三月三十一日までちょうど一カ年元利の償還を延期するという措置をとった日です。そして、いままで利息も先取りをしておったのが、四十年の暮れから四十一年初めにかけて利息はあと取りというような措置をとった。ちょうどその時分に担保の追加設定をいたしております。例の高槻の土地などを担保にとったのは、ちょうどそのころでちょうどこれは一致するのです。四十一年二月二十八日にそういうことをやった。この貸し付けのいま言ったクッション融資の始まりが四十一年の二月ですね。二月一日が始まりだ。ちょうどその符節を合わしておる。そういったことで共和グループの経営が非常に困難であって、資金の回収が思うようにいかぬ。ついては猶予してやれるというような処置をとって、そのかわりいま言った添え担保というけれども、実質はもう担保がないから高槻の土地を取ったのです。第一担保——担保は幾つかございまするが、いままでとっておったのが実質的にないから、したがってあわてて高槻の土地を添え担保と称して二十三億七千五百万円で第一順位の抵当に農林中金はとっておる。この時期と合う時期にいま言ったクッション融資がなされておるというのは、われわれは、ある確かな情報によりますると、ちょうどそういう時期になってきたものだから、償還の延期をしたような状態で、資金繰りはきわめて苦しいという状態がわかっておる。わかっておるけれども、償還の延期をしたくらいのことではさらに貸すわけにはいかない、幾ら人情がこまやかでも、そういうわけにはまいらぬということで、日ごろ農林中金から取引的にお世話になっておる東食、しかもその東食が共和産商あるいは共和製糖等と取引がある。そういうことで東食へ金を貸すという形で、それへ東食からさらにその金をごまかして同じくらいの金額を共和グループのほうへ貸してやってくれということで、共和製糖グループの総帥の菅と農林中金理事長の楠見さんと、それから東食の代表者はどうか知らぬけれども、柏木常務と少なくとも三人が某所の料亭で会って、そしてこうしたクッション融資、いわゆるひもつき融資、これを談合した。あなた方はそのあとのことは知らぬとおっしゃる。大月さんはおっしゃる。大月さんは関係しなかったかもしらぬけれども、事実がもうほとんどこれに符合する数字が調査の結果出ておるのです。  しかも私のほうの得た情報によりますると、そういうふうな談合がなされておる。これは農林中金から共和グループに貸したも同然ですよ。二十三億七千五百万円すでに貸して、なかなか取れないというのに、さらに貸してやりたい、ところが、それが形上できないから、東食を通じて貸す、こういういわゆるクッション融資です〇これは私は事実は明らかだと思うのですが、そういうことは全然大月さんのほうはわかっておりませんか。少しにおいぐらいかいだことはないですか、あなたは副理事長だ。
  70. 大月高

    大月参考人 先ほど商社の取引について申し上げましたように、われわれは商社の要求に応じまして査定をしながら運転資金を出しておるわけでございまして、商社は商社として相手の取引メーカーその他に対してそれぞれ金融的な援助を与えると思います。それは別の立場で融資をいたしておるわけでございまして、どこの場所でだれがどう話したかというようなことは、私として、個人としても承知いたしませんし、またわれわれ内部の当時の決裁の文書等につきましても、政府に全部現物をお見せいたしまして御判定いただいております。ただ、だれがどこで会ったというような話につきまして、これは当然記録にもないわけでございまして、どなたがそういうことをおっしゃっておるかわかりませんけれども、少なくとも法人及び公の機関としての農林中金及び農林中金理事長は承知いたしておらないわけでございます。
  71. 畑和

    畑委員 私は、もしこの伝えられるところが事実だといたしますならば、これは大きな問題だと思うのです。これは明らかに背任だと思うのです。農林中金理事長は明らかに農林中金に対して——これは商法の例の特別背任ですか、これになると思うし、また東食責任者もやはりなろうと思う。「自己若クハ第三者ノ利益を図り」、自己の利益をはかったことはないでしょうが、第三者の利益をはかったことになるのじゃないか。そして結果としては損害を与えた。義務違反の行為があったかどうかという一点だけは私は残ると思うのですが、私は義務違反だと思う。ここに刑事局長がおられるけれども、話をいろいろ聞いてもその辺についてはどうせ答弁が得られないと思うからあとは聞かないけれども農林中金の代表者としても、東食の代表者としても、私は第三者すなわち共和産商の利便をはかって、利益をはかって、そして結果的にこうした損害を現実に与えておるということになるのじゃないか、かように思うのです、これが事実とすれば。私は事実だと確信をいたしております。現在司直の手によって捜査が進められておりますから、この辺のことまで捜査が伸びると思うのです。われわれは強制権がないからやむを得ないけれども、これはもう厳然たる事実だと思うのです。そういう点でもうこの点が、農林中金のいままでのやり方ほんとうに腐り切っていると私は思う。それでここで追及しようと思っていたら、肝心の楠見君がやめちゃった。全くけしからぬ。的がなくなっちゃったような感じで、大月君が相手で、ちょいとほこ先が鈍ったような感じですけれども、非常にこの点遺憾でございます。  この点についてたまたま関連をしてやはりおかしく思うのです。この登記簿を私調べてみました。登記簿を調べてみますと、この高槻の例の問題の土地ですね。あれに対して東食農林中金あとを受けて十五億の根担保の設定をしている。だから、貸したのは十億という農林大臣の報告でありますが、実際はおそらく取引をやったのは十五億だと思うのです。十五億六千二百五十万円、昭和四十一年二月十八日受付の根抵当権の設定です。原因として昭和四十一年二月一日、ちょうど二月一日にあたります。最初の貸し出し。それがまたあなたのほうが東食に貸した日ですよ。しかもこれが東食と共和グループとの間のことですよ。それがちょうどたまたまあなたのほうが第一回に貸した日の二月一日の同じ日に商取引契約した。その商取引契約について同日設定契約、元本極度額金十五億六千二百五十万円、こうなっております。しかも利息が日歩金二銭六厘、損害金が日歩金五銭也、こう書いてあるのですね。商取引でしかも利息がつき損害金もつくようなことは、私、法律家としても常識に反すると思ってふしぎに思ったのです。商取引契約でこういうことまであるのだろうか。しかも十五億も東食が貸すだろうか。こういうことを非常に疑問に思うのでありますけれども、この辺のことについては農林中金さんは同じく担保にとっているのだし、どう考えていますか。調査していますか、どうです。
  72. 大月高

    大月参考人 いまのわれわれが東食に貸し、東食が共和のほうにいろいろ金融の便宜をはかっておることにつきまして責任があるじゃないかという問題につきましては、割り切って考えますと、われわれの東食に対する貸し金がはたして適当なものであるかどうか、それに対して十分健全性が保たれるかどうか、回収が可能であるかどうかという点においてわれわれの責任は論ぜられるものだと思います。それから東食のことでございますから、われわれ直接当事者でございませんが、共和にいろいろな資金的な便宜を与えるということがはたしていいかどうかということは、やはり相手の信用状態でございますとか、あるいは担保を十分とっておるとか、少なくともその金融の償還の確保という点に十分注意を払ったかどうかということで論ぜられるべき問題だと思います。先ほどお話もございました高槻の山林の問題は、われわれが担保にとりました最終の年月日は四十年、一年前でございまして、その後どういう関係になっておるか、東食がおとりになっておるかどうか存じませんが、かりにおとりになっておるとすれば、東食のお立場において債権確保のいろいろな配慮があったのじゃないかと思います。
  73. 畑和

    畑委員 それじゃもう一つ聞きますが、やはりあなたのほうの関係になるのですよ。この高槻の土地というのは、一番最初は農林開発興業のものでした。それから共和産商のものになって、それから担保についているのです。共和産商の時代にあなた方の担保にもつけているのです。それで今度最近になってから、この共和産商とそれから農林開発の間の契約を合意解除しているのです。こういうことも普通われわれの常識からすれば何かからくりがあると思うのです。あなた方と親戚づき合いしているのかどうか知らぬが、合意解除して、現在は農林開発興業のものです。共和産商のときになっていま言ったような担保設定して、その担保設定のときのあれを見ますと、いろいろ自分のところで借金したものの担保じゃないものだから、共和産商が株主総会を開いて何回かにわたって物上保証人になるための議事録をつくっているのです。その議事録を見ますと、幾つもありますけれども、そのうち昭和三十九年十一月十六日付のやつが一つ。それと昭和三十九年の十一月十四日付のやつがあります。ところでそれよりあとになっているのですよ。共和産商のほうへ農林開発が売った日付が、そのあとになっているのです。登記簿を調べますと、共和産商としては自分のものにまだなっていないときに、議事録をつくったことになっているのです。これはあなた方はここまで調べたかどうかわかりませんけれども、いじ悪のような質問ですけれども、このくらいやはり調べなければいかぬと思うのだが、これを見ると法律上不可能です。ちゃんと登記があったのはいつか、登記はもちろんあとですけれども、所有権の原因行為がいつあったかということについて、十一月二十日ということになっています。ところがそれより前に共和産商が物上保証人になる取締役会の決議書をつくっているのですね。日付では自分のものじゃまだないのです。二十日にならなければ自分のものにならない。そういうことを私らが調べたのですけれども、つまらぬことのようでありますけれども、そういうことまでやっておるのです。だからこういうことまでやっているのだから、あなたのほうもよほど気をつけてやらないと、いま言ったとおり共和産商になったりあるいは共和製糖になったり、こうやって資金でも何でもこうなっている。でたらめきわまるものだと思う。そういうものをあなた方が、農林省も含めて看破できなかったということ、これは非常な落ち度だと思うのです。だから絶対反省してもらって、完全に裸になって、仏さまになったようなつもりで、赤裸々になってやってもらいたい。まずいところはまずいところで出してもらって、これは国民の前に明らかにすることが、私は農林中金責任でもあり、また公庫の責任でもあり、農林大臣のほうの、農林省責任でもあると思う。どうですか農林大臣、ひとつ最後に。
  74. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ただいま私のほうも、これ以上の明快なものを、正しいものの調査をわれわれ機関、整備の機関を動員してやっております。今日までのところは、御趣旨のように相当調査に不十分であった点を多々われわれも認めます。したがって、その不十分であったということを認めただけにあらずして、それはどう処置すべきものか、最終的にはいかにしてこの債権を完全に保全すべきものであるかということに今日鋭意やっておりまして、最近も相当な事例を進めて、担保の増収をはかって、最近においてもだんだんふえて、とにかく国損を与えないようにということで鋭意今日やっております。このいきさつから見ますると、私ももう少し調査をすれば、このような事例はずいぶん防げたのではなかろうかということから、部内調査を監督にやりましたが、各所において考えれば考えられる点が過去においてあったように思います。といって過去においてやったことを今日取り返し得るとかあるいはそれを訂正し得るものでもありません。したがって過去において手落ちのあったものは今日においてその手落ちを取り返すということに鋭意今日やっておりまして、いずれ事態というのは、時間はかかりましても明快に私は出ると思います。私もあえて政府がどうこうとか、責任をのがれるという気持ちではやっておりません。しかし調査がなかなか進まないということは、これは民間機関のことですから、立ち入りとか協力を得なければ、強制権が今日の行政権の範囲の中では及ばないところかあります。したがって今日までのところは、ただいま政府調査しましたことまでが明快にお答えできることで、御注意のほども十々私たち自身もすなおにこれを考えまして、大体同じような気持ちでこの処置に最善を尽くして、国民の前に明快にするという気持ちは少しも変わっておりません。進展の途中ですから、まだ調査の途中ですから、私たちは明快に答えられないが、基本はその方向に政府機関は一致してやっておりますので、しばらく今後問題の事実をごらんいただいて、なお御批判いただけば幸いだと思います。
  75. 大久保武雄

    大久保委員長 都合によりまして、この問題の質疑を暫時中断して、横山利秋君の質疑を許します。横山利秋君。
  76. 横山利秋

    横山委員 法務大臣が十二時半ごろどうしてもというお話でございますから、ちょっと時間を拝借しまして、法務大臣と警察側に対して、先般名古屋の中国経済貿易展にあって惹起いたしました右翼の問題について、質疑をいたしたいと思います。  御存じのとおり、中国経済貿易展は、北九州に次いで名古屋で爆発的な人気で、いまや旬日の間に七、八十万を突破する入場者で、たいへんな盛況なのであります。ところが、これに対しまして、行動右翼約四百八十団体で組織いたしております全国愛国者団体会議議長佐郷屋嘉昭が、二十二日午前十時から名古屋熱田神宮文化殿で第八回全国大会を開き、集まる者二百五十名、そこで皇国憲法の制定、核武装による再軍備、徴兵制度の確立、反共を叫びまして気勢を上げ、おりから開催中の中国展に反対し、市中パレードをすることになりました。そこで、警察がそれに接触いたしまして、そのパレードについての打ち合わせを非公式にいたした模様であります。右翼との接触の中において、私どもが事後いろいろ状況を聴取いたしますと、結局右翼に対する警察側の態度は、終始一貫して、全面的にいろいろなものを禁止をする、やめさせるのではかえっていかぬというわけで、十のものなら二つ、三つは認めよう、そうして混乱を避けよう、これは善意だと警察側は称しておるのでありますけれども、結局それらが積もり積もってたいへんな問題を惹起をいたしました。  二十二日第一回は、午後二時四十分ごろでありますが、やってまいりましたパレードが貿易促進会のライトバンと衝突をする問題、午後六時五十分ごろになりますと、右翼団体の行動員が会場にあらわれまして、中国展をやめろ、共産党は帰れとスピーカーでやる。それに対しまして、中国展で来日しておりました中国人らも道路へ飛び出さざるを得ないような雰囲気になり、そうしてその接触のときに、警察側としましては、問題を解消させるためということであったでしょうか、右翼のほうを向いておったのでありますが、警備員その他が会場の前におりまして、警察側の手薄い態度に非常に激高をいたしておったのであります。そうしたら、右翼のほうを向かずに、警備員や中国人のほうを向きまして、そうしてこれを制止するという事態となりました。そのためにますます激高いたしました。そこで、警備員や中国人と警官隊との衝突という結果に相なったわけであります。そこで、展覧会の展覧団の連絡部副主任黄さんが警察官に抗議をして押し問答しているうちに、警察官になぐられたという問題、あるいはまた東京華僑総会の張さんという人が警察に突き飛ばされたという問題が惹起をいたしました。中国側は非常に激高いたしまして、二回にわたり声明を発表し、北京と連絡をとるということと相なり、日本側におきましても、展覧会の協力会は、御存じのとおり、自由民主党から民主社会党、日本社会党等のすべての団体を網羅いたしておりますために、非常にこれを心配をいたしまして、直ちに政府側へも与野党ともに連絡をいたしまして、警察側に対しましても厳重な抗議をするという事態と相なりました。かつて長崎の国旗事件がございまして、それがために、原因はともあれ、たいへんな影響を受けまして、日中間の貿易が一たん途絶をいたしました経緯をも考えまして、きわめて憂慮にたえないといたしまして、八方努力をいたしたところであります。  しかるに、愛知県警へ抗議に参りますと、警察官に、暴力をいたした覚えはない、あるいはまた、展覧団側が、警備員その他がやっておることは行き過ぎであるというような、目前の問題に終始いたしまして、そうして政府の許可を得て行なわれております中国経済貿易展に対しての政治的な配慮と申しますか、歴史的な過去の事実を考えながら善処をする態度に根本的に欠けておったわけであります。したがいまして、ますます問題は発展をいたしまして、抗議集会が行なわれ、そうして緊急理事会が行なわれ、中国側としては三つの方針を立てました。一つはこのままやるか、一つは一たん中断するか、一つは展覧会を中止するかというような事態まで発展をいたした次第でございます。今日警察側といたしましては、諸事情を判断をいたしまして、警備を厳重にするということを言うておりますけれども、警察官と右翼とが衝突するならともかく、警察官と警備員並びに中国人が衝突してけがをしたということについての過去の問題につきましての配慮が全然ございませんために、きわめて遺憾な事態が現出をいたしておる次第でございます。この点につきましては、すでに成田書記長が官房長官と会見をいたしまして、官房長官としては、まことに結果としては遺憾なことだと思う、今後についてはひとつ十分警察側に善処をさせたいと言っておりますものの、これは公式のものではございません。したがいまして、この際、ひとつ警察側の今日に至りました諸事情につきましても十分にお考えを願う御意見をいただきたいし、政府を代表して、法務大臣としても御所見をいただいて、あと十日ばかりでございますが、せっかく各方面の、中部日本におけるあらゆる地方自治団体、経済界、労働団体、あらゆる団体が全力をあげて円満な中国展の終了を熱望いたしておりますこともよく考えていただきまして、本日政府側の真率なる御意見を伺いたいと思うのであります。  まず最初に、大臣時間がないようでございますので、大臣の御返事をいただきたいのでございますが、私どもといたしましては三つございます。一つは、警察側の考えておりますような、現実どういうことがあったか、ああいうことがあったか、だれの責任かということに終始をいたしております立場からもっと離れて、大局的に、政府としてこの問題についてどう考えられるかという点でございます。  第二番目には、いまちょっと私が意見を申しましたが、警察の右翼に対する態度というものが、現場におけるものの考え方が、どうしても、ああいう場合衝突を避けるために右翼にこれだけを認めようとか、そういう悪い意味の弾力性が今日の結果を招きまして、みんなが見ておる前で、そこは明らかに禁止区域であるところへ右翼がやってきて、そこで調べもせずにすぐ釈放する、何で釈放したんだと言ったら、いまつかまえれば問題があるからあとでつかまえる、自動車番号もわかっておる、あれもわかっておる、だからいいんですよ、こういう態度というものが、見ておる人を非常に激高させる。そういう、今日まで右翼であれ、暴力団であれ、本委員会で私どもがときどき指摘したこと、情報をとるために、あるいは衝突を避けるために、云々のためであるといって甘い考えを与えておるところについて反省を願うという点が、第二番目であります。  第三番目は、今後どうするかという問題であります。現地の警察側は、この点については最善の努力をすると言っています。言っていますけれども、私が本部長その他と会いましたときの雰囲気といたしましては、道交法その他をきわめて厳密な解釈をいたしまして、法律上、行政上はこれが限界ですと言うのであります。その限界の解釈を私が聞いておりましても考えられますことは、簡単に申しますと、展覧会の前の通りは禁止区域であります。向かいの通りを禁止区域にしろ、こういうのであります。駐車場になっているような場所であります。それは拡大解釈になりますと言うから、今日このような状態があったら、前の状況とは違うのだから、区域を広げたって何ら違法ではないというのが、私どもの解釈であります。そういうような論争の中でも考えられるのでありますが、ほんとうに展覧会というものが成功裏に円満裏に終わるということを、より高い次元で考えるという気持ちが足らないのではないか、こういう点を私どもは痛感をいたすのであります。今後の警察側の態度につきましても、政府の所信のほどを聞きたいのであります。
  77. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 名古屋の経済貿易展において、いまお話しのような事件が起こったこと、はなはだ遺憾に思っております。つい数日前でございましたか、北九州市において行ないました中国の経済貿易展が非常にうまくいったというので市長をはじめ関係の方々十数人が、私のところへ、同県人という関係であいさつに見えまして、非常にうまくいきましてありがとうございましたということで、私も非常に喜びました。どうかこれが展覧会だけで終わらず、これを土台として広く経済の協力関係が進むように、福岡側に考慮をしたらといって激励したのでございました。名古屋においてこういう問題が起き、まことに遺憾に思っております。私ども関係するほうの問題としまして、検察当局といたしましては、かねてから問題を起こしたようなものがあれば、要するに治安を害するというような場合には、右も左も同じような取り扱いをする、これはもう不変の方針でございます。そのとおりにやってきておるわけでございます。今度の問題につきましても、そういう心持ちで取り扱っていくつもりでございます。  さて、いまお話しの三つの問題、第一番の、事件を政府はどう考えておるかということでございました。これはいま申しましたように、私は、せっかく貿易展として両国の貿易関係をよくしようとして行ない、またそれを認めたものでありまして、円満にうまくいくことを期待して、そこでそれが悪くなるということを考えておったのでないことは、当然のことであります。そういうふうなことに政府は考えておるわけでございます。こういう事件が起こりまして、愛知官房長官がどう答えたか知りませんか、話を聞きまして、私ははなはだ遺憾に思っております。これ以上この会期中にこんな問題がまた起こらないように、現地において十分な取り締まりをしてもらいたいということ、また事件によって検挙されました者については、厳正なる態度をもって臨むということを考えておるわけでございます。  それから第二の、かねての問題として右翼に対して警察は少し甘いのじゃないか。これはまあ警察のほうからお答え願う問題で、私が少し出しゃばり過ぎるかもわかりませんが、同じ政府の者として考えてみます。私は、警察が右翼にばかり甘いということは、これは右翼に対して批判的な眼をもって見る方々からすれば、警察はそういうふうに見えるかもわかりません。しかし、警察はどこにも問題を起こしたくない、できれば取り締まりを円満にやっていきたいというようなことで、外から見ると、あるいは反対の側から見れば、手ぬるいと思えるような行動もあるかとも思うのであります。警察が私心があってやっているとは私は思わないのであります。私心があってやってはならないのであります。最初に、わが検察当局は問題があれば右も左もない、法の秩序を守るということがわれわれの任務であると申しましたが、警察も同じことだと私は思っておるわけでございます。  第三の、今後どうするか。この会期は、いまお話しのとおり、あと十日ばかりと申されましたが、この間もう問題が起こるとは思いませんし、起こるようなことがあってはならぬと思うのでありますが、現地において十分な警戒体制をとっておると思います。そうしてその後、ごたごたいたしましてあとの報告もないようでございますから、この会は無事にめでたく終わるということにして、もう日本にああいうものは持っていけない、野蛮国だなどと言われないようにいたしたいと思います。そういうふうな心持ちで十分な警備もし、この会がうまく閉じられまするように、初めああいうことがあったけれども、この会はうまく成功裏に終わりましたと言ってもらうようにいたしたいと思っているわけであります。
  78. 横山利秋

    横山委員 もう一つ。その中国の人たちが二人けがしたわけですが、けがしたのは、警察は自分たちがなぐった覚えはない、こう言っています。けれども、その混乱は警備員と警察との衝突の中で起こったわけです。したがいまして、警備員が中国の人をなぐるはずがないのだ。そのことを中国側はきわめて激高しておるわけです。それから私が警察側にこう言いました。あとのことでございますが、全部警備員は手を引かせるから、今後一切の責任は警察側で負ってもらえるかと言ったら、あまり十分な答えがなかったのであります。一昨日も石をたくさん持った右翼が会場内へ入ってまいりまして、未然にわかりました。ですから、今後そういうことがないとはいえないのであります。私は、警備員を動員をせざるを得ないという展覧会側の雰囲気、協力会側の雰囲気というものは、どうしても警察官、警察側に対する不信の念が宿っておる、警備員を増加することは本来ならあまりすべきことではないと思うのでありますが、こういう不信の念の中ではやむを得ないという感じを持つ。毎日十万、二十万と入ってまいりますから、百人やそこらふやしたところでなかなか容易なことではございませんけれども、警備員をふやしたら、石を持った右翼がおととい見つかった、こういう状況なのであります。大臣が、警察側は右も左もないとおっしゃる。おっしゃるけれども、私は、基本方針としてはそれでいいけれども現実運用としては、今回の衝突が起こりまして警備員が激高いたしましたのは、一つ一つの事象、もう早く行け、早く行けと、つかまえもせずに、早くいっちまえ、あとでつかまえるからというようなことや、警察が右翼のほうを向いて右翼をとめるならいいけれども、警備員のほうへ回れ右して、そうして押し合いへし合いを警備員とやったということに、私はたいへんな警察不信、激高の念が生じた、こう考えるのです。ですから、やり方について最善をもってしなければならぬ、考え方を変えてもらわなければいかぬ、こう考えるのでありますが、どうでございますか。
  79. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 警察のほうがどういう体制をとって、どういうふうに警備の方針をとっておるか——根本方針は私が申しましたとおり違わないのでありますが、現実やり方は私は承知いたしておりませんので、ここでそれはああだこうだというお答えもできないわけでございます。いまお話しのことはよく公安委員長が警察の首脳部に伝えまして、私の申しましたようにこれからあとに問題の起こらぬように、そうしてめでたく終わりますように、この上ともの努力をするようにさっそく伝えたいと思います。
  80. 横山利秋

    横山委員 田中さんからもお話があるのですが、実際問題としてけがをしたということについて、右翼と衝突したときではなくて、警察側との押し合いの中で中国人の二人の人がけがをした。何とも私どもも説明のしょうがないということなのであります。警察側はなぐった覚えはないということです。けれども、警備員が中国の人をなぐるはずがないのであります。その点について、法務大臣は、その事情をよく御存じないと思いますから、ひとつ十分にその点についても調査をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  81. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 よく警察のほうにお話をいたしたいと思います。
  82. 畑和

    畑委員 時間もだいぶ長くなりますので、そろそろ締めくくりの質問をいたします。法務大臣はもうお帰りになりましてけっこうです。刑事局長はちょっとおってください。  その次に質問をいたしたいのは、共和製糖の社長、菅さんがもう共和製糖をやめた。共和糖化もやめたと聞きますが、まだほかに共和産商の会社の社長もしております。そのほかのところはまだやっておるようです。しかも共和産商のほうへほとんどすべてが集中をしておるということで、菅貞人はやめたというが、依然実体は菅貞人が握っておるというふうに承知いたしておるのです。まあ、いずれにいたしましても、共和製糖のグループに融資をしている三機関、それを監督指導しておる農林省、このほうでは、一体この共和製糖グループを再建して立て直してやろうとするのか、そうでなくて、ここでもうこういう問題を起こしたのだから、できるだけ債権の確保をはかり、存続させるということのほうは別に重点を置かぬということなのか、あるいはさっき言ったように、これから金もかかるというようなことで、場合によっては金を出すのか、もうぴしりとやめて、債権の取り立て、これだけに邁進するのか、その方針をひとつ聞かしてもらいたい。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
  83. 大和田啓気

    大和田説明員 大臣からお答えすべき筋合いのことでございますけれども、便宜私から申し上げたいと思います。  共和関係の今後の方針でございますけれども、役所といたしましては、債権の確保といいますか、とにかく農林中金なりあるいは公庫から貸し出しましたものの債権の確保をはかることが、一番重要なことであろうと思います。ただ、債権の確保をはかりますにつきまして、共和関係会社がかりにつぶれるといたしますと、債権の確保自体が非常に困難になることでございますから、債権の確保ということを主体に置いて、債権の確保が十分行なわれ得るような体制をやはり今後考えていくことが重要であろうと思います。いずれにいたしましても、後任の社長の決定もそうおくれて行なわれるということではないと思いますので、新しい経営陣が確立いたしましてから、経営陣の方針も伺った上で、役所としては善処したいというふうに考えております。
  84. 畑和

    畑委員 いまのところは債権確保を重点としてやっていく、こういう考えだというお話です。ところで、そううまいぐあいにいきますかどうか、私は、きわめて疑問があると思うのです。一方、債権を確保しながら何とかしていくということですが、これほどがたがきた、信用も全然ないような会社を再建していくことができるか、きわめて疑問だと思うのですが、あなたがそうおっしゃるのだからやむを得ないけれども、ともかく国民の大事な資金ですから、債権の確保に全力を注いでもらいたい。  それについて、実は芦屋の例の払い下げの土地ですね。あれをわれわれ調べてみたのですが、われわれの調べがちょっと前だったので、その後どう変わっておるかわかりませんが、芦屋の剣谷の土地ですね、あの土地については、農林開発興業の所有になっておるはずですが、われわれが調べた暗点におきましては、担保権は設定されておらないのであります。これは共和グループの一つでありまして、会社は違うと申しましても一つであります。これに対して抵当権設定等の話が進んでおるのかどうか、あるいは抵当権の設定はすでにしてあるのかどうか。してないとすれば、都合のいいときは一緒になっていて、都合の悪いときは、これは会社は別ですから、こういうことで農林開発興業が担保設定を拒むという態度は、けしからぬと思います。その点はどうなっておるか、債権の確保に関連して、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  85. 大和田啓気

    大和田説明員 現在中金なりあるいは公庫なりが取っておりますものの担保価値が債権の保全に一対して十分であるかどうかということについては、私ども率直に報告書で指摘しておるとおりでありますが、債権の確保を進めるために、あるいは債権の保全をいたしますために、中金及び公庫において、現在できるだけの努力をして担保権の徴求につとめておるわけであります。いま御指摘の芦屋の剣谷の国有林の交換をした事件につきましては、中金といたしまして担保徴求についていませっかく努力中であります。
  86. 畑和

    畑委員 せっかく努力中は、ずいぶん前からもせっかく努力中ということをほかの委員会でも報告したように聞いておるのですけれども、そのあと相当時間がたっておる。ずるい男ですから、がっちりしなければ逃げ切ってしまうかもしれない。私は、そう思うのです。この土地も、ここに林野庁の方もおられるけれども、まことに批判をかった払い下げです。三千五百万円の例の高槻の土地が、この報告書にも十億から十五億の評価ができると書いてある。わずかの年月の間に、三千五百万円のものが急に十億、十五億、政府でもそう認めておる。これは不当な払い下げではないと幾ら強弁をしても、いかぬと思うのです。しかし、それは結果的にはそういうものがあるから、まだ農林中金はよろしい。でも、それでもまだ足りないはずだ。しかも、しゃあしゃあと、いま言ったように剣谷の土地はまだ無担保ですよ。これを、せっかく努力中だと言うけれども、もっと何とかやれないのですか。努力すると言っても、向こうが拒否すればどうにもしようがないという理屈ですが、これは大いに見込みはあるのですか。どういうことですか。
  87. 大和田啓気

    大和田説明員 剣谷の土地につきましては、すでに念書も取っておりますし、私は、ごく近い将来担保権の設定ができるというふうに考えております。中金としても、そういうふうに考えていると思います。
  88. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。いろいろそういうことを聞くのですが、大体共和グループの担保といえば、大阪の高槻の土地、それから芦屋の土地、それから滋賀県のそれと、それだけしかないわけですね。債権の確保と言われるならば、どれだけ担保価値を回収してやれるのか、そういう点については、どう見ておるのですか。
  89. 大和田啓気

    大和田説明員 中金関係で現在担保に取っておりますものの評価をいたしますと、約十億円くらいの担保不足があるということを調査報告書に指摘してございます。今後追徴いたします担保の内容といたしましては、いま御指摘にありました国有林等のほか、福井県でございますとか、あるいは島根県でございますとか、そういうところにある共和グループ関係の所有の土地を担保に徴求するように努力いたしておりますし、またさらに、すでに担保にとっております神戸等の土地の値上がりも、多少見込まれるわけでございます。また、菅貞人その他が持っておりました共和糖化あるいは共和製糖関係株式担保の徴求も現在進めておるわけでございますから、山林等の評価につきましては、いま幾らというふうに申し上げる段階ではございませんけれども、約十億担保不足がありますうちの相当程度はいやされるというふうに、私ども判断をいたしております。
  90. 坂本泰良

    坂本委員 約十億ぐらいでは——全部で七十億といわれ、あるいは九十億といわれるのですが、農林中金その他開発と農林漁業、三公庫が貸し出しておる総額は幾らですか。そしてそれに対して不動産が十億しかない。菅貞人その他の株式というのは、これはもうこういう問題になったら、株式なんかは値打ちがなくなってしまうですね。少なくともそういう回収の点に手をつけておるというならば、その段階はやはり踏んで進まなければならぬと思うのですが、その点、貸し出しの金額と、それから相当の額ですから、それに対して半年、一年たてば相当の利息がつくわけです。不動産を処分するについては、なかなか期間もかかるわけです。またこれから担保にとって、そうして確保する、そういう段階だから、相当の利息もみなければならぬ。ですから、その点について農林省の当局は、債権だ、あるいは債権の確保だ、こうおっしゃるけれども、その概略をひとつ承りたい。
  91. 大和田啓気

    大和田説明員 共和グループ関係、特に共和製糖共和糖化工業あるいは共和産商を含めまして、借り入れ金の現在高は、私ども調査報告書の三十二ページに詳細報告申し上げております。開発銀行は、共和製糖に対して長期資金の残高が七億四千万円、それから農林公庫は、共和糖化工業に対しまして細島の四億円を含めまして十一億八千二百万円、それから農林中金は、実質的に長期のものは、細島に対する十億を含めまして十一億五千五百万、短期が十七億八千万で、合計いたしまして二十九億三千五百万ということでございます。開発銀行につきましては、七億四千万円の債権保全のためには、細島の工場財団がとってございますから、これは担保力の不足はございません。農林公庫につきましては、細島以外の分については担保力は不足はございませんが、細島の四億分につきましては、報告書にもございますように、約一億五千万円程度の担保不足が見込まれる状態でございます。農林中金につきましては、二十九億三千五百万のうち約十億程度の担保不足がございます。それに対しまして、公庫におきましても担保の追徴について努力をいたしまして、公庫の債権につきましては、個人保証もございますので、個人的な財産についても追及の手を現在進めておるわけでございます。農林中金につきましては、先ほども申し上げましたように、国有林の交換をいたしたものを含めて、山林及び株式あるいは現在すでに担保に徴している土地の値上がり等を見て、相当程度の担保不足がいやされるというふうに申し上げておるわけでございます。
  92. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、先ほど畑委員も言われたわけですが、菅貞人氏がただ社長をやめただけだ。それから今度は、農林中金は楠見氏がやめた。委員会にも出ない。前回の法務委員会の際は、すべて従来楠見理事長が答弁をしておるし、その人より知らないから、ほかの人はわからぬから、ほかのものは出られないというので、とうとう出なかったわけです。そうして今度はもうやめたから出ない、こうなるのです。これはまことに不都合なことであって、やはりそれはやめても、その収拾には全力をあげなければならぬ。菅貞人氏なんか、これは週刊誌によると、何か私邸が十二月中旬ごろには完成する、あるじはどうなるだろう、こういうようなことも週刊誌で見たわけなんですが、したがって、整理をする場合においては、もちろん民事問題において完ぺきを期するというのは当然なことですけれども、やはりそこにいろいろな不正その他があったならば、それもこの際洗ってやらなければ、私は、この完全な整理、新発足というのはできないのじゃないかと思う。そういうような状態にあるから、楠見理事長がやめた、管貞人氏が社長をやめた、こういう問題については、どういうふうにやられる農林省の方針ですか、これは大臣にお聞きしたい。
  93. 松野頼三

    ○松野国務大臣 楠見氏がやめたからといって、その楠見氏が行なっておった中金の責任、権限というのは、それはあると思います。個人的なものよりも、中金全般として、その責任は、また今後の監督権というものは、存続いたします。したがって、楠見氏がやめる、やめないにかかわらず、この問題についてはより正確にこれを推進する。ある意味においては、楠見氏がやめたから、新たな方になれば、またその意味においては新たな精鋭によってこの問題の整理及び調査が進むかもしれません。やめたからだめだ、やめないからどうだということは、これは今後の進展によって私はきまるものだと思います。  なお、この問題は、共和の社長の菅氏は辞任をいたしました。いまおそらく代理者がきまっておるか、まだきまってないか、これは民間会社ですから、そこまで制約はできませんが、しかし、監督の金融機関としては、必然後任の正式な社長を早く任命して、そうしてこの事実をもっと正確に進めるという責任があると私は思います。金融機関かお互いに相談をして、近いうちに菅氏の後任社長として金融機関の信用の置ける者を社長に置いておかなければ、会社の財産保全から見ても適当ではないというので、私は近々のうちに、きょう、あすじゅうにもできればなるべく急いできめさせたいと思って、今日まで約二週間ぐらい人選は急いでおります。なかなか適当な、引き受ける方がおりません。進んでこの火中のクリを拾う自信のある方が、なかなか見つからない。といって、これは金融機関としてはどうしても見つけなければいけないというので、近々のうちに、きょう、あすじゅうに私はきまるのじゃないかと思います。やはり陣容を立て直したからといって、前の責任を全部御破算にするわけではありませんから、菅氏の責任は、社長をやめたからといって消滅するものではありません。したがって、それを正確に追及して、そうして私たちは新たな意味で国損を与えないように最大限の保全措置をとりたい。  それからもう一つ、いまの担保がなかなか進まない。そのとおりなかなか進みませんけれども、進まないからといって、それがよそに流用されたり、よそに転売されたりすることは防止できると思います。それは御承知のごとく、すべてが関連として保証をとっております。したがって、そのものがよそに転売されるとか、よそに霧散するということは、早く社長をきめることによって防げるのじゃなかろうか。もちろん今日でも経済行為を行なう能力はほとんどありません。したがって、今日のままで早く整理をするなら、早く共和の社長をきめて、整理にその社長が当たる、そうして正確にそのものごとを処理するというのが、今日の時点じゃないかと思います。担保はまだ足りませんけれども、まだわれわれが要求している担保の対象はございます。それが出ないときにはどうなるか。出ないときには、菅氏個人の保証というものがここでものをいう。また発動しなければならないというものになると私は思います。したがって、全然進んでおらぬ——少しずつは進んでおります。念書を出したり、権利証を出したりして少しずつこの一カ月間進んでおります。おそらく担保だけは完全に取れるんじゃなかろうかという気持ちで、整理の最善を期して、再建のほうはまだ実は考えておりません。このままで再建をするということはあり得ないのじゃないか。整理の上で、再建ということが可能かどうか、整理してみなければ、金を融資することは不可能だろう。したがって、その債権保全が先で、その事後処理のほうが済んだ形でなければ、再建のほうは出てこないのではないか。どちらも正しく順序を追ってやっていくつもりでおります。両方一緒に混合してしまうということはやっておりません。正確にやった上で正確に事後処理をする、これが国民に対するわれわれの責任だと痛感して、政府機関は一致してやっております。
  94. 坂本泰良

    坂本委員 そこで私は、どうもいままでのいろいろの答弁を聞くと、これをそのまま再建したい、こういうような方針のようにも伺えるわけですが、しかし、こうなった以上は、製糖業というのは国家の政策であればこれはやらなければならぬと思うのですが、そうするのには、いままでこういう不始末をしたいわゆる共和グループ等にやらせてもなかなか再建はできないのじゃないか。だから社長にもなる人がないと思うのですが、それはもう少し方法をとって、あるいは破産にするとか、あるいはどうこうするとか、問題をもっと両断的にやらなければ、ただ、いままでの行為を糊塗する、責任のがれをするという、また刑事問題のほうからいえば証拠隠滅するということにきゅうぎゅうしておっては、国家の政策としてできないと思う。だから、その点については、重大なる決意を大臣はじめ農林当局はせられて、そうして債権の収拾確保はもちろんのことでありますけれども、国家の政策の問題もやはり遷延してはいかぬと思うのです。さっそくやらなければならぬと思うのですが、そのような考え方と、もう一つは菅貞人氏に対しては、公文書偽造、行使ということで社会党では先般告発をいたしました。これについてはいろいろほかの犯罪の嫌疑もある、そう思って相当われわれも調査しました。しかしながら、告発をする以上は、はっきりその犯罪に対しての構成要件に該当する証拠がなければならぬ、そういうことで私文書偽造、行使罪というので告発をいたしました。しかし、検察庁に対する告発は、これは捜査の端緒でありますから、これに基づいていろいろの問題があります。あるいは贈収賄罪とか、あるいは会社にすれば特別背任罪とか、あるいは過剰融資を受けた金を隠匿している、こういう嫌疑もあるわけなんです。あるいは外国に持っていったんじゃないかというような容疑もあるわけでありまして、しかしそれかといって、社会党がその告発をするにおいては、その証拠についてはなお若干厚薄の差はありますけれども、足らない点もある。したがって、この告発によって検察庁はその権力に基づいて捜査を早急に開始してもらわなければならぬ。そうして、この問題の解決は、やはりここ数年来大きい独占資本の倒産する際に起こる刑事問題とからみ合っておるわけであります。私は、この事件もそれと同じような問題があると思うのであります。ただ国家機関の庇護を受け、国家に関連する公庫その他から融資を受けておるからというので例外にすべきじゃないと思う。ですから、この点に対する、大臣はおられませんから、刑事局長の御意見も承っておきたいと思う。この二つの点であります。
  95. 松野頼三

    ○松野国務大臣 この経営をこのままの姿で再建するという考えは毛頭ございません。ただいま経済局長が答えましたのは、ただいま製糖工場が今日操業いたしております。この操業しておる製糖工場まで煙をとめることはどうであろうというので、これは継続して今日も業務をやっております。やっておるあとのブドウ糖、果糖については、一切今日融資を打ち切っております。その償還を命じておりますから、再建は私は今日の場合は考えられないんじゃなかろうか、いまのままの体制では考えておりません。したがって、みそもくそも一緒にというふうな御意見ですが、そういうことは断じてございません。明快にこの問題を処理して、きれいになった上で将来の産業政策は別個に考える。このままの会社の経営、このままの経営者の姿でやろうなどということは毛頭考えておりません。それは御承知のように、私どもも同じ立場で国民の前に納得のいく処理しか考えておりませんので、どうぞひとつ今後の推移を見ていただきたい。検察庁の問題は私の権限外でございますから政府委員にお願いいたします。
  96. 横山利秋

    横山委員 刑事局長の答弁がありますので、それに関連しまして刑事局長に……。先ほど冒頭のところで増資の問題で非常に議論がございましたから、この機会に商法上の増資等はいかにあるべきか、その禁止されておることはどういうことなのか、純法律的な点について明白にされておきたいと思う。
  97. 津田実

    ○津田説明員 ただいま坂本委員のお尋ねの件でございますが、この件は、御承知のとおり本月十九日山田長司議員外十名の方々から、菅貞人氏を私印偽造、私文書偽造、同行使罪によりまして東京地方検察庁に告発をせられた事件であります。同検察庁におきましては当該事件について目下捜査中でございます。  なお、この事件につきましては、御承知のとおりすでに各方面でいろいろの論議を呼んでおりますし、国会等におきましても相当御審議がなされましたので、したがいまして、この事件の捜査方法そのものについては十分方法を考えなければならぬというふうに検察当局は考えておりますので、ただいまその点について十分検討し、なお一部捜査をいたしておると私は考えております。さらにこの問題からいろいろな問題に発展するかどうかは、この事件の捜査の経過中にさらにいかなる捜査の端緒が得られるかどうかという問題に帰着する問題だと思いますので、目下のところはそれがどういうふうになっておるかはわからぬ次第でございます。  なお、商法関係増資の問題でありますが、御承知のとおりこれは会社資金の充実ということが考えられるわけでありますので、少なくとも商法上は払い込みを仮装する預け合いというものはもちろん禁止されております。しかしながら、先ほど来御審議の中にありましたが、はたして預け合いに当たるものなのかどうかということは、これはわかりませんし、また、いろいろ持ち株が各会社にわたっておりまして、各会社がそれぞれ資金を融通して払い込む、そのあとにおいてさらにその資金が、いかなる形か知りませんが、もと会社に戻るというようなことは、現在においては大なり小なりある問題でもあります。したがいまして、そのこと自体が直ちに商法上の犯罪になるかどうかは疑問でありますが、その間にいろいろ別の犯罪、背任とか横領とか、そういう問題が起こり得ることはもちろんあり得ると思います。また、融資されたものは、会社融資されるわけでありますから、それがいかなる形で他の会社に移り、払い込みに使われたかというようなことは、かりに問題となるとしましても、その経路自体はいろいろその会社間の取引その他が正当であるかどうかという問題に帰着するのでありますから、一がいにこれが商法問題あるいは商法上の問題として取り上げられ得るかどうかということは、抽象論で申し上げましても、きわめて問題であるというふうに考える次第であります。
  98. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣、帰る前にちょっと伺いたい。  これはいずれ聞かなければならぬことだと私は思っていたのですが、砂糖の問題につきましては、すでに糖価の安定法なんという法律もできたようでありますけれども、何かよほどの抜本的な対策が立てられなければ、糖価の問題は、国際価格の変動ということがあるわけでありますから、容易ならぬものだと私は思うのです。何かこれについて大臣としての方針が強く打ち出されなければ、これに類似することが次々起こるような気がします。そこで何か方針をお持ちになっているかどうか伺っておきたいと思います。
  99. 松野頼三

    ○松野国務大臣 山田委員の御質問は、実は基本的に日本の国内精糖業、あるいはカンショでん粉の問題について基本的に問題点があります。大体、糖価安定基準をきめましたときは、百十五円ないし百二十五円以下にはなるまいという予想で、実は日本のビート及びでん粉、及びブドウ糖というものを一つの基準に合わせてやったわけなんです。ところが、驚くなかれ、今日は九十六円、九十八円という、国際糖価から逆算しますと国内の糖価であります。したがって、精製砂糖会社はもちろんのこと、ビート、これは多額な補助金によります。カンショでん粉、これもある程度補助政策を要します。また、それによるブドウ糖、これも実は非常に砂糖の値下がりに合わせて苦境にあります。したがって、どうしてもこれを何とかしなければならない。基本は何だといえば、それは砂糖価格が上がればすべて解決するじゃないか、これは一つの論点です。百十五円ないし百二十五円に砂糖価格が安定すれば国内糖価は解決します。しかし、消費者からいうならば、九十六円の砂糖がそんなに引き上げられて、砂糖会社にばかり利益をあけられては困るじゃないか、消費者からはおそらくそういう声が出るでしょう。そこで、ここに何らか合理化というものを砂糖会社がやっております。しかし、あくまで値上げをしない不況カルテルということで、砂糖会社の再建をはかっております。もし再建が進んだとしても、残りますのは国内のビートにおける補助金、あるいはでん粉、ブドウ糖関係、これはあくまで残ります。それから沖縄の黒糖問題、これも残ります。  そこで、これは山田委員御指摘のように何らかの処置をしなければ、国際価格と国内製造業者の間の大きなギャップを埋めることは容易じゃありません。したがって、これは何らか政府でやらなきゃならないと私は思っております。その辺をどうやるか、といって輸入砂糖業者にいたずらに利益を与えることは、かつての非難を再びここで呼び戻すことで、これはできません。そこで、何らかここに政府が中に立って、国内糖の精製をふやしながら、国際輸入糖の価格を上げないで、そうして安定していきたい、この三つの問題じゃないかと思うのです。  これはいろいろ案は出ております。案が出ている最中に実はこんな問題がありましたので、また、これとこれを引きかえにされては、国民の疑惑を招いてはいけませんので、実はことしの暮れごろ、来年の予算には甘味問題の基本的な考えを示さなければ国内の製造業者も困る。あるいは輸入糖業者も困る。消費者も何だか安いだけでいいというわけにもいかない。その辺国内の問題と国際問題とのからみ合いが容易なものじゃない。ことしの通常国会ごろまでにはこの問題はいずれ政策として出さなければならない問題だと私は思います。放置することはできないと思います。かつての砂糖相場みたいなものをつくるなんという念頭はありません、その辺で消費者の立場、輸入業者の立場、国内の生産者の立場、この三つの利益をどうやって調整するか、あるいは、ある意味においては政府みずからこれに手をかけなければ結論は私は出てこないと思います。したがって、甘味資源——過去の対策はそのとおりまいりませんでしたから、今度は新たな意味でその問題はぼつぼつ政府自身が考えなければならぬ。問題点はその三つです。それをどうかみ合わせるかは今後の推移を見ていただきたい。
  100. 山田長司

    ○山田(長)委員 安定価をはかって業界の方々が五十億の供出預金をしておると思うのでありますが、そうしますと、一体これらの安定価をねらって五十億ではたして大臣は安定した状態というものを保てると思ってあの五十億預金し、妥協したのですか。
  101. 松野頼三

    ○松野国務大臣 国内のビートに対する補助政策というものは大体四十五億から五十億ぐらいです。というのは、大体その金額に当てはまります。それでビートが満足かというと、なかなか満足しておりません。したがって、ビート精製工業は、いまのような相場だと、このビート保護政策の四、五十億では足りないと思います。それに精製ブドウ糖がまた四、五十億ぐらい私は今日融資しておると思います。したがって、金額はコストによってきまるのですから、いま山田委員の言われた五十億というものは、輸入糖から差益金をとってビートに補助しておる金額が大体五十億に見合うのじゃなかろうか。それでも実はビートの生産者は満足しておりません。またビートを製造しておる企業者としても、窮屈な思いで、利益を今日得ていないと思います。基本はやはり輸入糖の糖価問題にすべてが帰するようにも見えます。
  102. 坂本泰良

    坂本委員 いろいろ問題がありますけれども、時間がありませんから、国有林の払い下げの問題について……。これは登記簿を調べますと、保安林を解除して、農林省の所有にして、農林省から払い下げをやっておるわけです。そのうちの特に問題になりますのは、高槻市の国有林約三十六ヘクタール十万余坪、この払い下げのケースですが、いろいろすでにほかの委員会でも究明されておりますから、私の質問の結論だけを申しますが、その前提として、この高槻市の国有林は、昭和三十八年十月、百の交換契約の際、坪単価三百七十円、合計三千五百万円と評価されたのが、約一年後には農林中金に対し、これは根抵当でありますから、その極度額二十三億七千五百万円余の根抵当物件として提出されております。この点から見ても、わずか一年の間に評価が約七十倍になっておる。交換当時の七十倍ということ、これは不正の評価か、あるいは過剰融資のいずれかである。こう断定せざるを得ない。  そこでお聞きしたいのは、いわゆる所有権の移転を見ますと、昭和三十九年四月二十三日に、これは払い下げの売買によって、農林開発興業株式会社、これに所有権を移転しておる。そしてその次に所有権移転として、昭和四十年二月十七日に売買によって共和産商株式会社に移転しておる。そしてさらに、ちょっと違いますが、昭和四十一年の二月十八日に所有権移転の仮登記が株式会社東食にやられております。そして四番の所有権の抹消ということになりますが、昭和四十一年五月十日で合意解除、こうなっている。したがって、合意解除になりましたから、結局農林開発に戻ったことになっているのですね。これは畑委員が聞かれたところでありますが、そこで私がお聞きしたいのは、こういうふうに所有権を移転している。所有権を移転しますと、やはりその税金がかかるわけです。移転についての不動産利益ですか、正式な名称はいま忘れましたが、とにかく不動産がこれだけ数回移転すれば移転しただけの税金がかかる。それで、このような税金は大蔵省はどういうふうにやっておるか。なお、その合意解除ですが、この合意解除はわれわれも長年弁護士をしておりますが、まだこういうような方法は見たことはありませんが、これだけの三十億近い担保がついているこの種の不動産に対する所有権移転についての合意解除をする、この点が非常にわれわれもくさいと見ておるわけです。しかしながら、登記がこうある以上、それに対してはどういうふうな税金をかけるか、その点を承っておきたい。
  103. 澄田智

    ○澄田説明員 私の所管でございませんので、どうも的確な御答弁を申し上げることができません点おわび申し上げますが、先ほども申し上げましたように、税務の調査は目下調査中でございます。当然この問題もその中に含まれてくる問題でございます。お示しのように、地方税の関係の不動産取得税ももちろんございますが、そのほかに譲渡による益に対する法人税の問題というのもあるわけでございますが、税務の調査は、御承知のように、登記の状態というよりも実質の権利関係の移転、そしてその間の益の発生というような点を追及していくということで、目下調査中というふうに承知いたしております。いずれ国税庁のほうの共和グループの税金問題に関する調査全体の中には当然この問題は一つのポイントとしてあらわれてくる、こういうふうに承知いたしております。
  104. 坂本泰良

    坂本委員 先ほどは株式の移転の問題に対する課税の問題もやりましたが、あわせてこの問題も早急に解決しなければならない問題です。だからどういうふうになったか、その報告を、これは書面でお願いしたいと思います。  そこでもう一つ、私はこれに関連しまして、これは農林省関係もあるが、農林省関係のない点もあるわけですから、大蔵省にこれは資料要求になるわけですが、国有地払い下げ転用名簿一覧表というのが、これは国有財産審議会の報告にあると思うのですが、だれに払い下げられているか、いわゆる国有地払い下げ転用名簿一覧表を、昭和三十五年以降のものを書面で提出をお願いしたいと思います。この点いかがでしょう。
  105. 松永勇

    ○松永説明員 国有財産の払い下げと申しますと、大蔵省所管の普通財産の払い下げということでございましょうと思うのでございますが、本件は国有林でございます。国有林の払い下げということは私のほうでは扱っておりませんので、こういうものは一切入りません。私のほうは主として旧軍用財産の払い下げをやっております。それでいま御希望の書面を出せとおっしゃるのはそういうものであるのかどうかということをちょっと……。
  106. 坂本泰良

    坂本委員 どうも説明が足りませんでした。大蔵省にお願いしたいのは、国有地払い下げ転用名簿一覧表ですから、いま局長が言われた一般国有地になる。それから農林省関係農林省に一覧表をお願いしたい。
  107. 松永勇

    ○松永説明員 実は私のほうで処理いたしておりますものは非常に件数が多うございます。それで、私のほうでいま直ちにこれからつくるということでできますものは、大口のものということで従来決算委員会等でいろいろ資料をお求めになられまして提出したものがございます。一億円以上、これが審議会にかかっておりますし、本省の承認を得るということになっております。そういう一億円以上のもので過去三カ年のものにつきましては、その書面が私のほうの手元にございます。それ以上になりますと、倉庫等に保管してございまして、非常につくるのにやっかいでございます。従来決算委員会では過去三カ年のものを提出させていただいております。それでよろしかったら全国のものについて提出させていただきたいと思います。
  108. 坂本泰良

    坂本委員 いま局長のお話しの資料をお願いしたいと思います。  それから農林省のほうは、先ほど言いましたように、そんな一億円以上などということはないですから、この三十億も担保がついている、それがわずか交換関係で三千五百万ですから、農林省のほうは価格に制限なく資料をお願いしたいと思います。もちろん、いろいろな関係でわずかな額の交換はいいと思います。しかしながら、こういうような問題になって、高槻市の山林なんかは一年内に七十倍にもなるような山林ですから、一億円以上というとあるかないか知らぬけれども、それに制限なく資料をお願いしたいと思います。
  109. 若林正武

    ○若林説明員 交換の事案につきましては、金額一千万円以上で御了承いただきたいと思います。一千万円以上で過去四カ年ということにやっていただきましたなら、すぐ御提出できると思います。
  110. 坂本泰良

    坂本委員 けっこうです。
  111. 横山利秋

    横山委員 銀行局長に一ぺん聞きたいと思っておったのですが、今度のこの共和製糖の問題で金融機関融資状況がまずい、それから念査が足りないというさまざまな点が出てきておるのですが、金融機関、これらの関係機関を監督なさるのは申すまでもなく大蔵省銀行局で、年に一回か定期的に監査が行なわれる。したがって、この監査適切でありせばもうすでに端緒は得られておったはず。端緒が得られておったとすれば是正されておったはずということになるわけですね。一体かくのごとき政界を聳動し、満天下の問題になったことを、銀行局の累次の監査の中で摘出ができなかったものであるかどうか。もしも摘出がされておったとするならば、いかなる手が打ってあったものかどうか。いまわれわれの審議は、衆参両院もうすべての関係金融機関なりあるいは農林省やそういうほうへ向かっておるのですが、本来的に未然に防ぐべきは銀行局の監査ではなかったか、こういうことが痛感をされるのでありますが、監査はどのように行なわれ、どういう結果が今日までにこの関係機関にあったのか、それは一体報告としてここへ提出できるものであるか。きょうはあまり時間がございませんが、私は本件については銀行局の責任がきわめて重大であると思うのです。
  112. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほど私が、御質問に対しまして昨年農林中金金融検査を行なったことを申し上げました。そのおり、やや不正確に申し上げまして、政府金融機関についても検査をしているというふうに申し上げましたが、この点あらためて申し上げますと、農林中金は債券を発行いたしておりますし、いろいろ特殊な法的な立場にあります金融機関でございますが、政府金融機関ではございません。  そこで、現在大蔵省銀行局検査部で行なっております金融検査は、民間の金融機関——この中にはいま申し上げましたようなことで農林中金は含まれておりますが、民間の金融機関に対しまして検査を行なっております。検査の人員等の関係で、できる限り検査はひんぱんに行なうということでやっておりますが、二年に一回あるいは場合によっては三年に一回というようなことにならざるを得ない現状でございますけれども、鋭意ひんぱんに検査を行なうという方針で今日までやってまいっております。  政府金融機関に関しましては、それぞれの法律でもって任務大臣として所要の検査をすることができるような法律的な条文はございますが、いままでの方針といたしまして、金融検査は民間の金融機関に重点を置いておりますことと、それから政府金融機関につきましては別途検査院による会計検査ということがございますので、政府金融機関に対してそれぞれの法律、それぞれの単行法の規定によります検査というものはいたしてきておりません。  そこで、本件の場合は、農林中金の検査が、現実のいままで銀行局で行なってきたものとしては問題になるわけでございますが、現状におきましては、検査能力の関係でほぼ三年に一ぺん程度で検査をやっておる実情でございます。先ほどちょっと申し上げましたように、昨年二月に検査をいたしました。そのおりに、問題の細島の融資につきまして長期固定化をするおそれがあるということで、検査の結果として注意事項として指摘をいたしました。資産としてはそういうふうな資産として分類をいたしております。各金融機関それぞれ回収等が予定のとおりいっていない資産等がありますので、これを幾つかのカテゴリーに分類をして検査の結果のときに検査の相手方に対してそれを指示をいたしておるわけであります。農林中金の場合、本件融資の場合についてそういうことはいたしておるわけであります。それにつきましては、その後その改善の状況の報告をとるという措置を一般的な検査の場合にいたすということでやってきておるわけであります。  ただ本件融資につきましては、政府報告書にもございます、先般来いろいろな角度から御審議があったように、製糖業界あるいはブドウ糖業界におきましては、糖価低落に伴う状況の変化その他いろいろな問題がございました。いま御指摘のように、検査としてその後事後管理を十分にやれば未然に防止し得たではないかという点につきましては、種々の事情があり、今日の状態にまで至ったという点でございまして、今後の運営等についての一つの貴重な実例ということで、今後検査等にあたって、こういう事態も反省をして処理をしていきたい、こう考えております。  なお、検査の内容につきましては、従来から金融機関のそういう検査内容というものを申し上げることは、これはいろいろ問題もございますので、検査そのものの内容、あるいはその後の具体的な処置につきましては、これを国会に御報告することを差し控えさせていただいてきておる次第であります。
  113. 横山利秋

    横山委員 意見だけ申し上げておきますが、いまの澄田さんの御答弁は、おそらくどなたもお感じになったと思うのでありますが、迫力のない御答弁でございました。自来私も大蔵委員を長年やっておるのでありますが、金融機関と証券関係は、大衆投資家保護あるいは預金者保護という美名のもとに隠れて、結局外へはいろいろなことは公表しない、問題が起こったらこそこそとうまく話をつけてしかりおくということで、そのために経営者があぐらをかいたり預金者や大衆投資家が不当な扱いを受ける、こういうことは枚挙にいとまがないのであります。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 証券に関しては、先般の大暴落以来非常に高い叫びとなりましたが、金融機関につきましてはまだそういう伝統があるわけであります。私はかつて銀行検査官を検査する検査官をつくれということを言ったことがございます。その後若干の改善がなされ、銀行局内部におきましては、検査報告につきまして念査をする組織ないしは会議をすることになったということは承知をいたしておりますけれども、しかし、今回共和製糖グループの一連の問題を通観いたしますときに、本来ならばあなたのほうが最も早く知り、最も早く適切な手を打っておればかかることは防ぎ得たかもしれないのであります。したがいまして、この際、今日の銀行検査のあり方につきましては思い切ってひとつ改善をする必要があるのではないか。銀行だから悪いことをしても新聞にも載らぬ、預金者にも知らせぬ、国会にも報告せぬ、そして内部だけで措置をするという伝統はこの際考え直すべきではないか、私は痛感をいたしておるわけであります。これは私の意見でありますから、また別な機会に大蔵大臣に出席を求めまして十分その点についてただしたいと思っています。
  114. 澄田智

    ○澄田説明員 ただいま御意見として伺いました金融機関の検査につきまして、その内容を公表するというようなことで検査というものにつきまして考え直したらどうか、こういうことでございますが、この点われわれとしては非常にいろいろ考慮しなければならぬ点がありますので、慎重に検討させていただく問題であろうと存じております。私のほうもそれ以上の御答弁はいたしかねますので……。
  115. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちょっと関連して。先ほど坂本泰良委員が、共和製糖グループの問題について、社会党の山田委員等から告発をしたことに基づいて鋭意調査中、一部捜査に入っているというような御答弁を刑事局長にいただいた。先ほど私も質問をいたしましたように、共和製糖増資の問題と政府関係機関からの融資との関連についても一応時間的な経過を申されましたが、速記録を見てみないと、いつの融資と結びつくかということをわれわれしろうとなりに検討する余裕がございませんけれども、相当問題があると思う。後の横山委員の質問に対する刑事局長の答弁では、いわゆる預け合いの問題等について、あるいは政府からの融資は、融資を受けたものがそれを関係会社増資に振り向ける、増資が終わったあとで、それが何らかの形で関係会社に戻るというような問題が商法上の犯罪になるかどうかという点については非常に微妙だという点を述べられた。それは、あるいは法律上そういうことになろうかと思いますが、一般国民の立場から見れば、この点について、少なくとも検察当局がそういうことについても調べるべきだという受け取り方をしておるのではないかと思う。私は、そういう意味で、捜査の端緒としての告発がなされておる特別背任の問題等も具体化して、あるいは贈収賄の問題等も出てくるのではないかという状況の中でありますから、この告発に基づいての捜査について、検察当局が、これは当時政府関係機関あるいは政府の要路にあった人たちの名前も出ておるという問題だから、政治的な考慮なくして——私は、この問題について政治不信の原因として刑事犯罪の問題も伏在しているのではないかという、政治不信の裏にそういう疑念を国民がひとしく抱いている問題ですから、検察当局が思い切った緻密な調査と捜査に踏み切ることをこの際要請をしたい。  なぜ私がこの点を申し上げるかというと、数日前からいわゆる町の手形金融屋である東京大証の問題が出ておる。その社長の水野は先般福岡で逮捕されたということですが、直接的には旅券法違反だということになって、それはきのうですか、もうすでに送検をされたというふうに聞いておるのであります。しかし、マスコミの関係から見ますと、東京大証の業務内容の問題については、いわゆる第二の保全経済会の問題のような事犯ではないかということです。旅券法の問題については、それが逮捕状の罪名になっているという点で、旅券申請に虚偽の申告をしたという簡単なことしか出ておらない。問題は、それにもかかわらず、これは警視庁の段階でやっているので検察庁は関係ないとおっしゃるかもしれませんけれども、これらの事件については、警視庁と検察庁と連絡はないことはないと思う。それだから、純然たる町の金融業者の関係の問題でありますならば、まず社長を旅券法違反というような問題でひっくくって、それからすでに強制捜査に踏み切っていろいろ関係帳簿等も引き上げておるようでありますから、本来の本筋の問題の捜査も進んでおることだと思うのです。国民の目から見れば、その問題について、社会党が責任をもって告発しておる問題についての捜査がきわめて緩慢である。一面町の金融機関については、関係者はおそらく数千人にのぼるし、金額も相当にのぼることでありますから、捜査を徹底的に進めてこれを明らかにしなければ、そういう預金者なりあるいは手形を割られた零細な貯蓄者に対する影響がございますから、これも徹底的にやらなければなりませんけれども、たまたまこの共和製糖グループに関する検察当局の動きであるが、まだ警視庁の段階で検察庁の段階ではないのだとおっしゃるかもしれませんけれども、東京大証の問題で警察と検察との動きについて何か開きがあるような感じを一般国民が持ちますので、この点はすでに旅券法違反で送検されておるということになりまするならば、東京大証の水野社長の問題は捜査中の問題ではありますけれども、どの段階にあるのかということを明らかにしていただくと同時に、共和製糖グループの問題については、国民がひとしく持っておる政治不信の大きな内容として、そこには何らかの刑事犯罪の問題が伏在しておるのではないかという疑惑を解くために、検察当局がもつと積極的な態度をとるべきではないかというふうに考えるのですが、この点についての刑事局長の御見解を伺いたいと思う。
  116. 津田実

    ○津田説明員 ただいまお話しの大証関係の事件につきまして送検になりましたかどうか、実は私承知いたしておりません。その点については、ちょっといま御答弁を申し上げる用意がございません。新聞で承知した程度のことしか承知いたしておりません。  それから、ただいま問題になっております本件の関係議員に対する告発事件に関連いたしまして十分捜査を遂げるべきだというお話でございますが、これはもうもちろん当然のことであります。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、この事件はすでに国会でもしばしば御審議になっておりますし、その他各方面でいろいろの事実があらわれております。その事実そのものが真実であるかどうかは別といたしまして、いろいろな事実があらわれておるというようなことから、この事件がどういう形で捜査をいたしましてどういう形でその事実が明らかになるかということにつきましては、捜査方法としてはなかなかむずかしい問題があることは先ほど申し上げたとおりであります。したがいまして、検察当局といたしましては何もしていないということではございませんで、十分その方法を検討いたしておるということであります。同時に、農林省及び大蔵省から提出されました報告書につきましても、これは一般犯罪人に関する資料としてこれを検察当局に送付してあります。これについても、いま十分検討いたしておる段階にあるわけであります。したがいまして、いつ、どういう形で捜査が延びるかということにつきましてもいま私は明言することもできませんし、また、現段階において検察当局がどういう考えを持っておるかということも申し上げかねる次第でございます。
  117. 田中織之進

    ○田中(織)委員 東京大証事件の問題については、まだ何も聞いておらない、新聞で承知する程度だという刑事局長の答弁は、私はうなずけないと思うのです。少なくとも、捜査は警視庁が主になってやっておりますけれども、この問題については当然やはり検察庁との間で連絡がなければならない問題だと私は思う。新聞等の関係から見るならば、警視庁の段階においても、いわゆる債権者からどういうような実情であるかというようなことについて事情を聴取するのだということも新聞に出ております。しかし、この種の相当の問題があるから、捜査令状に基づいて関係帳簿、あるいは営業所、支店等を捜索しておるのだと思うのです。こういうような金融機関、一種の信用機関ですから、新聞に出るということになれば、かりに債権の問題についても、これは非常に影響するのです。しかし私は、警視庁や検察庁はそういうような関係の問題については、やはり新聞に発表するなり内容を出すから新聞が取り上げるということになるのだと思う。この事件については、検察の元締めとは申しませんけれども、少なくとも国会に出てくる検察庁側を代表する立場の刑事局長が、新聞で見る程度だという御答弁では私はうなずけないと思うのです。  それから私は、特に共和製糖グループの問題についても検察当局に異常な努力をひとつ払ってがんばってもらいたいという点は、われわれ国会議員も特に社会党の関係では非常に苦心をしていろいろの資料を集めていますけれども、それは検察当局がたとえば参考人を呼んで事情を聞くとかいうような関係のようなわけにいかぬ。捜査権を持っていないのです。あるいは調査権を持っていないのです。私はあえて事件の名前は申し上げませんけれども、ある事件の関係等については約二カ月にわたって七十人の人たち、しかもひどいのになると二回にわたって相当長時間、これは参考人として事情を聴取する関係ですが、検察庁はやっておられます。検察当局がある事件にはそれだけの熱意を示し、どうも共和製糖の問題等については告発も出されておるのに対して、実際には——もちろん捜査の秘密の関係もございます。調査段階であるということであればなおさら困難がありましょうけれども、どうも検察当局の動きが鈍いのではないかという点を国民がひとしく持たれておる点は、検察の威信にも関する問題でございますので、刑事局長の御答弁のように、この問題については国会でいろいろ取り上げて、各方面で論議されている、それだけに検事のような専門家と一般の国民との間に常識論と専門的な知識との開きはありますけれども、これはやはり大きな問題が伏在しておる、こういうふうに国民が見ておるのですから、私はその点についてなお積極的な努力を重ねて要請したいと思います。
  118. 津田実

    ○津田説明員 告発がありました事件につきましては、端緒を得ました事件につきましては当然必要な捜査を進めることはもちろんであります。したがいまして、本件につきましても、検察庁といたしましては十分努力をいたしまして、事柄の真相を明らかにしたいと考えておるわけであります。  ただ、たとえば強制捜査を行ないますと、これは外部的にやっておるということがおわかりになると思うのです。しかしながら、強制捜査をする時期であるかどうかという問題、あるいは強制捜査をするに足る資料があるかどうかという問題、これは結局強制捜査をするについては裁判所の令状を必要とするわけであります。そういうような問題を考えますときに、捜査の進伝というものは十分考えなければならないという意味において、ただいま検討されておるというふうに申し上げたわけでございまして、何もこの事件の捜査をしない、あるいは捜査をゆっくりするのだというようなことではもちろんございません。十分、鋭意努力をいたしておるわけであります。担当の検察官も十分やっておるということは、私も承知いたしております。  それからもう一つ大一証関係でただいまお話がございましたが、ことに大証関係のように警察でやっておる事件、それが送致されたということにつきましては、実は法務本省に対する連絡というものはなかなかないわけでございます。これは私どもがいろいろな標準を設けまして、全国の犯罪なり検挙情勢を知るための必要な手を打っておるわけでありますけれども、しかしながら、送致直後については自動的に私の手元に内容がわかるということにはなっておりません。したがいまして、もし国会で御調査があるということで調査をいたしますれば、すぐ内容がわかるのでありますけれども、そういう意味におきまして私は全国の検挙状況をつぶさに承知いたしておるというわけにはまいらない点を御了承願いたいと思います。
  119. 横山利秋

    横山委員 入管局長に、時間がございませんから端的にだめを押したい問題がございます。  今度御新任になった局長でございますから、引き継ぎを受けていらっしゃると思うのでありますが、北鮮の技術者の入国問題は一大政治問題となりまして、日韓の特別委員会、本委員会あるいは外務委員会、累次にわたって法務大臣なりあるいは外務大臣から御了承を得たわけでありますが、その後韓国の猛烈な妨害工作があって、閣議では一たん保留する、時期を待つということになっておおる問題であります。先般、本委員会で八木前局長並びに法務大臣に意向をただしましたところ、その点については変わりはない。つまり技術者入国を許すことは間違いないけれども、時期の問題であるという点に変わりはないというお話でありましたが、そのように新任局長も御理解をなすっていらっしゃいますか。
  120. 中川進

    ○中川説明員 ただいま御指摘の点は、前局長八木正男氏からも、そのような原則に変わりはないというふうに申し受けを受けております。さよう承知しておる次第でございます。
  121. 横山利秋

    横山委員 しからば一体いつごろ、どういう条件のもと——率直に申しまして、法務大臣にもこの前申し上げたのですけれども、あの当時はしばらくじっとしておってもらいたいという雰囲気であったわけです。あまりわあわあ言わないで、時と条件をおいてばっとやるというお気持ちだと拝察をしまして、しばらく黙っておったわけです。黙っておったら、いつまでたっても黙っておるというような雰囲気では、これは政府として誠意がなさ過ぎる、国会を通じ、あるいは関係者を通じてそういうことを言っておったのが、こちらが黙っておったらいつまでたってもそういうお気持ちがないでは、これは信義に反する、こう考えておるわけです。したがいまして、どうお考えですか。——どういうふうに聞いたらいいのでありますか、私もあなたの真意がはかりかねるわけでありますが、こういう時期にこういう条件があれば認めるつもりだという御答弁をなさるおつもりか、まかしてもらいたいという御答弁をなさるおつもりか、もう一ぺんひとつ話をよく聞きたいというふうになるものか、こういうあなたの前向きな基本姿勢についてどう考えればいいのでありますか。
  122. 中川進

    ○中川説明員 まだ何ぶん就任後日が浅うございまして、非常に詳しく研究したわけではございませんが、政府の方針はただいま御指摘のとおり決定されておる次第でございまして、現段階におきましては、これがどういうふうに展開されていくかということを将来に向かって明言することは、はなはだ困難であろうかと思いまして、私ども事務官僚といたしましては、慎重に諸般の情勢を検討いたしまして善処したい、そういうふうに考えておるのです。(横山委員「諸般の情勢というのは何ですかと聞いておる。」と呼ぶ)これはいろいろ複雑な問題があるように思いまして……。
  123. 横山利秋

    横山委員 複雑な問題とは何ですかと聞いている。そういう点があったら認めるというのか、黙っておるというのか、まかせるというのか、こういうことがあるというのか、そこを聞いておる。
  124. 中川進

    ○中川説明員 いろいろやはり問題があるようでございますが、その点はひとつよく検討いたしまして、慎重に事を取り運びたい、こう考えておる次第でございます。
  125. 横山利秋

    横山委員 いろいろ複雑、前向き、ややこしい話でとんと私にはわからないのです。まあ新任局長をあんまりいじめても——いじめるといっては語弊がありますが、悪いのでございますが、これは少なくとも閣議まで持っていって、よろしいということになった問題なんです。ですからあなたは事務当局として、上から来なければしょうがないという腹だったら、これは私どものほうとしては困ります。ですから、入管として一たん約束をしてきちんとした問題であるから、ひとつこういう条件ならどうですかということを入管でまず腹をきめて法務大臣に具申をしていただく、こういうふうにしていただかなければだめなんです。私の要望はそれなんです。法務大臣が忘れておる場合もある。この間忘れておったのですよ、ほんとうに。だから、これはあなたの所管の最初の重要な問題だから、相談してくださって、こういうことにしたらどうですかというものを持ち上げていただいて、それでそれをてこにして話が始まる、こういうふうにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  126. 中川進

    ○中川説明員 ただいまけっこうな御忠告をいただきまして、御礼を申し上げます。私どもといたしましては、諸般の情勢を考慮いたしまして、できるだけ御要望に沿いたいと思い、慎重に検討していきたい、そういう気持ちで一ばいでございます。
  127. 坂本泰良

    坂本委員 北鮮の往来の問題なんですが、これは長年の問題、人道的の問題で、昨年の暮れには、何名かちょっと忘れましたが許してもらいまして、そうしてその人は年をとった人あるいは親戚が病気でおる、そういうような者が特に許されまして帰ってきたわけなんです。その際はテレビあるいは新聞等にも出まして、韓国人の方々の非常なうれしい立場と、それからよくやってもらった、やってもらった以上は、その指示あるいは法規に基づいてちゃんと帰ってきたわけです。そこで、本年になりましてからも逐次そういうことがやってもらえる、こういうふうに思っていたわけですが、不幸にもまだ一名もないわけなんです。それで、前局長の時分にも、直接陳情にも行ったと思います。それから、われわれのところにも多数の人が陳情に来まして、すでに書類は入管局に提出をしているわけです。それで、それに対する事務上の審査その他は、私はもう終わっているんじゃないかと思うわけです。問題は、局長の具申による大臣の決裁が残っておるというので、それが今年はまだ一名もないというわけです。そこで、もう本年も十二月になりますから、ことしもやはり昨年くらいにはぜひひとつ帰して一やはり多数ありますけれども、そのうちから最も緊急を要するというようなこともすでに審査が済んでいるんじゃないかと思います。ですから、年内にぜひひとつその点を実現してもらえないか、こういうことで本日は御足労願ったわけですが、その点いかがでございますか。
  128. 中川進

    ○中川説明員 ただいま御指摘の問題でございますが、私が承知しております限り、昨年はたしかに三名帰られたと存じておる次第でございます。ことしは、いかがなことになりますか、これはやはりいろいろ内外に与える影響もございますので、慎重にこれまた検討をしておる次第でございますが、お申し出の次第は大臣にも御報告をいたしまして、御指示を仰ぎたいと思う次第でございます。
  129. 坂本泰良

    坂本委員 この問題は先ほども申し上げましたように、やはりそういう希望を出している人、書類を提出している人は非常に熱望しておりまして、そうして、直接入管局のほうにも陳情に行って、非常にめんどうな点もあったと思うのです。われわれのほうも大ぜい来られるから、それかといって一々局長のところに行ってどうだこうだもできないから、日をおいて前局長に陳情に行ったこともありますし、法務委員会でもこのごろ、秋になってまだ質疑を申し上げたことはないわけです。しかしながら、ことしも迫まったから——去年は三名でしたけれども、それでもやってもらったというので、在住鮮人の方は喜んでおるわけです。だからことしも一人もないでは非常に遺憾でありますから、これは私の私見もありますけれども、ぜひことしも昨年あるいは昨年の倍——三人ではとてもあれですから、これは十人あるいは二十人やってもらっても、国交は回復しておりませんが、日本の政治に関係することはないし、むしろ人道的立場から許可してもらってやったほうが日本のためにもいいのではないかと考えるわけです。その点ぜひひとつ年内に実現することを希望しておきたいと思いますが、きょうは大臣も早く帰られたから、大臣の所見も聞けなかったわけですが、ぜひそういうふうに大臣のほうにも取り計らってもらいたい。何名でどうしろというようなことは申しませんが、家族は全部北鮮におりまして、年も相当——八十か幾らもとって、もう余命幾ばくもないというような人もたくさんおるわけです。そういう点はあなたのほうでよく御審査もできておると思いますし、その点で特にひとつお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  130. 中川進

    ○中川説明員 ただいま坂本先生の御指摘の諸点は私ども事務当局といたしましても十分検討を続けておる次第でございまして、いずれ大臣の御指示を仰ぎまして、何ぶんの御回答と申しますか、御返答を差し上げたい、そう存ずる次第でございます。
  131. 坂本泰良

    坂本委員 ひとつぜひこれはお願いしたいと思います。  そこで、次は最高裁判所のほうですが、実は上林山防衛庁長官に対する内閣委員会の質疑の中で、東京高裁に係属しておりまするいわゆ久保社長に対する嘆願書の資料の提出の問題です。これは委員会において上林山長官が、そういうものは知らないとそらぞらしく言っておるわけです。そして防衛庁の飛行機に乗せていったわけですが、その乗せていったものが秘書がやったようなことで、自分は全然知らない、こういうそらぞらしく全くの虚言をしておるわけです。そこでそれじゃ久保社長を知らぬというなら、保釈の際のいわゆる保釈出所についての嘆願書ですね、これは多数あると思うのですが、その中の一名である上林山氏は、その保釈についての嘆願書に署名をして、裁判所に頼んでおる。さらにまた一審判決の際には減刑嘆願書が出ておるけれども、その中にも署名をしておる。そういうような間柄であるから、そらぞらしく知らないということは言えないのじゃないか。そういうのも知らぬというようなことを言っておりますから、それじゃこの嘆願書を、国会、内閣委員会に裁判所のほうから提出してもらおう、こういうことになりまして、その嘆願書の提出方を要望したら、最高裁判所のほうでそれを拒否されておるそうです。その点について、その法律の根拠あるいは拒否されておる理由を承りたい。と申しますのは、私に、それから「社会党委員殿」ということで大阪その他からいろいろはがきその他が来ておるわけですが、それの一つを私読みますと、「最高裁は久保社長の減刑嘆願書資料提出を断わったる件。訴訟法四十七条」——とこれは書いてありますが、「政治家の姿勢が問題とされ、政界浄化が論されている今日、これ以上の公益はない。」これは「国会法百四条」と書いて、「各議院の委員から……を求められたときは応じなければならない。」「以上の点からわれわれには最高裁が資料の提出を拒んだ理由がわからない。最高裁が三百代言ならぬ黒い霧代言など許されない。最高裁はわれわれ国民のもの、そこに奉職する人、また利用する人のものではない。大いにがんばってうやむやにしないでください。」こういう意味のことがほかにも来ておるわけですが、そこで、これに対する最高裁の御所見をまず承っておきたい。
  132. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 いかにも先ほどお話のございました資料につきましては、去る十月二十七日、衆議院の内閣委員会の委員長のほうから、法務省の津田刑事局長を通じまして、私のほうに資料の提出方、——これは現実には東京高等裁判所刑事第六部に係属しておりまするが、御指摘の資料は国会のほうに出せるか、かような御連絡を間接にいただいたわけでございます。そこで私のほうといたしましては、現に事件が係属し、現に記録がありまするところの東京高等裁判所刑事第六部の裁判長にさっそく連絡をいたしまして、このような要請が非公式にあるけれども裁判所としてこれらの資料を出すことができるかどうかということを照会したわけでございまするが、現に係属中であるので提出することは困るという返事を得ましたので、津田刑事局長を通じてその旨御返事申し上げた、かような関係になるわけでございまして、現に係属中の事件の資料を提出するかどうかという問題は、結局は当該事件の係属しておりまする裁判所が決するということに相なるわけでございます。私どもといたしましても、これを現に係属しておりまする裁判所の意向を無視して提出することはできない次第でございます。  それでその法律関係を若干御説明申し上げさせていただきますが、まず訴訟に関する書類、公判が開廷いたしまする前の段階はどういうことになるかと申しますると、先ほど仰せになりました刑事訴訟法の四十七条「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」かような規定があるわけでございます。かたがた事件が確定いたしました場合にはどうなるかということでございまするが、これは刑事訴訟法の五十三条に規定がございまして、「何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。」という原則でございます。「但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。」その他公開を禁止した場合の審理の記録については別に例外の規定がある。かようなことで、確定した後は、原則といたしましてこのように公開という扱いになっているわけでございます。  しからば公判開廷をいたしまして確定するまでの間はどうなるかということが問題でございまするが、これにつきましては刑事訴訟法の四十条を見ていただきますると、これは、弁護人は、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し謄写することができる。かように弁護人の閲覧謄写の権を定めておるわけでございます。被告人はどうかと申しますると、刑事訴訟法の四十九条におきまして、弁護人がない場合に限りまして、被告人本人も閲覧することができる。それから検察官につきましては二百七十条で閲覧謄写の権利が認められる、かような規定でございまして、当然の記録の公開ということではございませんので、それぞれ当事者に対する関係におきましては、このような閲覧謄写の権が認められておる。また確定した後には何人も閲覧できる、かようなたてまえをとっておりまして、開廷いたしました後の記録の扱いというものは、当然には公開ということには相ならないのでございます。  ところで一般に係属中の事件につきましては、当該裁判官が良心に従いまして、憲法と法律にのみ従って、虚心に当該事件の裁判をするということが要請されるわけでございまして、そのような観点から、現に係属しておりまする事件の記録の扱いというものも、究極におきましては当該裁判所が現に審理しておる関係上、国会にいま提出することは困るということでありまするならば、それを尊重いたしまして、提出の御要求がございましても、当然にこれを提出するということには支障がある。事は司法権の関係から、そのようになるものと考えられるわけでございまして、御質問の事件につきましても、東京高等裁判所の刑事六部といたしましては、そのような考えに基づきまして、せっかく提出の御要求がございましたけれども、現に係属中の事件であるという観点から、このようにお断わりを申し上げたということになるわけでございます。
  133. 坂本泰良

    坂本委員 そこで問題は、「但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」こうありますね。この大阪のはがきによると、要求しているのは「政治家の姿勢が問題とされ、政界浄化が論されている今日、これ以上の公益はない。」こういうことで、これは一般国民のこの問題に対する要望じゃないかと私も思うわけです。もちろん私は三権分立の現憲法の規定は承認するものであります。しかしながら立法権、司法権、行政権の三権の中においても、いろいろ、国会は最高のものであるとか、あるいは行政権の、総理天田は国会で選ぶとか、憲法違反の法律については、裁判所はその地位の保・証もあって、そしてこれは一審から全部ですが、民事、刑事の裁判については憲法の審査権がある。こういうふうに三権分立の思想は確立をしておりますけれども、しかしながら具体的の問題については、そういう重要な問題については、はやり司法と立法の両方の効果その他がある、そう思うわけです。  したがって、お聞きしたいのは、高裁の刑事六部の裁判長は、その公益上の必要ということについて、検討した上で最高裁判所にはそういう返事をされたか、また最高裁はこの公益上の必要という点は検討されてやられたものか、ただ刑事訴訟法の規定によって、確定前は当然に公開にならないという、その公開にならぬという点だけをとって資料の提出を拒まれたか、これは大きい問題だと思うのです。したがって、減刑嘆願書というのは、もちろん、裁判官が裁判するにあたっては相当の威力と申しますか、影響を持ち、保釈するかせぬかについても——その保釈の嘆願書というのは保釈してもらいたいという嘆願書ですね。これはやはり重要なウエートを置いて保釈するかせぬか、こういう嘆願があるから保釈をしようという裁判所の考え方に立って保釈を許可する場合も、これはたくさんあると思うのですね。その嘆願書の問題が衆議院の内閣委員会で問題になりまして、その久保という人を全然知らぬなんというから、それじゃ嘆願書に署名しておるじゃないか。保釈の嘆願書あるいは減刑の嘆願書に署名しておるじゃないか、署名しておる以上は知らぬということはそらぞらしくて言えぬじゃないかということで、この資料の要求というのが、これは内閣委員長の要求ですから、やはり内閣委員会一致の見解で出たものだと思う。したがって、政治家の姿勢が問題となって、政界浄化の一翼をになうような重要な段階にあるところの裁判所の嘆願書を見たい、こういうわけだから、公開にならないという裁判所の見解なら、どういう点で公開にならないか、それははっきりしなければならない、この四十七条のたてまえからもそう思うわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  134. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 もちろん、条文の形式的な解釈だけでさように申し上げている趣旨ではございません。根底にありまするところの実質的な根拠というものは、結局制度論といたしまして、国会と、また司法権の問題、それとの問題でございまして、現に裁判所が当該事件について判断を下そうとしている係属中の事件であるということでありまするので、その資料をお出しすることについて、これは困る、こういう制度的な問題として申し上げているわけでございます。当該裁判所の裁判官も、もちろん形式論で困るといっている趣旨ではないのでございます。
  135. 坂本泰良

    坂本委員 いや、その点が、もう少しこれは考慮をしなければならぬ問題じゃないかと思うわけです。というのは、減刑嘆願書は裁判の進行について、裁判の書類そのものでなくて、別冊がたぶんあると思う、それにやはり雑書類としてこういうのはとじてあると思うわけです。したがって、それがかりに裁判をするときに、審理をするについては、あるいはなくてもその審理は十分できるものであり、この嘆願書の本質そのものから考えますと、これはほかの審理が進んで、いよいよ高等裁判所であれば、最終の合議をされるとき、あるいは刑の軽重とか、有罪か無罪かという合議をされるときに、私はこの嘆願書というのは問題になってくると思うのです。保釈の嘆願書はもうすでに使用済みだ、こういうふうに考えられるわけですね。そうしましたならば、国会の審理上、委員会の審理上ぜひ必要だからということになれば、私はそこに公益上の必要というのが生じてくる、こういうふうに考えるわけです。それを、公益上の必要でないというならば、どの点が公益上の必要でないか、その点はひとつ明らかにしてもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
  136. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 当該減刑嘆願書があるかどうか、またそれはどのような扱いを記録上されておるかということは存じないわけでございまするけれども、そもそも先ほど来申し上げておりまするように、係属中の裁判の資料につきましては、これは裁判のための資料である、またそれは制度的にはまさに司法権を行使しておる事柄でございまして、またそれは公益といえるわけでございまするが、そういう観点から裁判権をお預かりしているわけでございます。そのお預かりしておりまする当の裁判所が現に係属中であるから、こういうことでお断わりをしているということなのでございまして、これは要は国会で御要求になるから公益になるかと申しますと、やはり制度的に考えますると、司法権を行使しておるということもこれは公益なのでございまして、そこは国会と司法権との関係、かように相なるものと考えるのでございます。この点につきましては、現に係属中の事件につきましては、国会におかれましても十分にそこのところをお考えいただきたい、かように存ずるわけでございます。
  137. 坂本泰良

    坂本委員 司法権の行使をしておるから出せないというのは私は当たらないと思うわけです。この四十七条によれば、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の裏山があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」ただ、裁判の進行中だから公益だというだけではいかぬと思うのです。この四十七条の解釈というのは、その進行中であっても「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」出さなければならぬ、こう解して私は差しつかえないと思います。したがって、ただその司法権行使をしている途中だから、そっちの公益で、国会の公益は関係がないというのではいかぬと思うのです。やはりこの「公益上の必要その他」というのがあるから、この法律の解釈によってどういう点が公益上にならぬか、その他の理由もあったらその理由を明記しなければ——これはやはり書類の提出はやってしかるべきだ、こういうふうに考えられますが、その点どうですか。
  138. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、四十七条と申しまするのは、むしろ開廷の前の場合の規定だと考えておるわけであります。もちろん開廷の前でも、仰せのとおりた、だし書きがございます。それから公益上の問題は、ただし書きで出ておることは承知しておるわけでございます。そこで現に係属中でございましても、たとえばこの記録と申しましてもいろいろございます。たとえば起訴状自体も訴訟に関する書類に相なるわけでございまして、そういうものも困るというかどうかということでございまするが、従前起訴状自体はある程度公にされているというような実情もございます。でありまするので、当該書類書類に応じましてそこは判断される。たとえばまた上訴がありまして、係属しておりまする事件の第一審の判決について、国会におかれまして裁判所に対して御要求がある場合もございます。そのような場合は、私どもとしましては、当該裁判所の意向を聞いて、差しつかえないということで提出を従前いたしておるわけでございまして、その書類の性質に応じて判決あるいは起訴状というようなもの、これらはその性質上提供できると一般的に考えられるものがあると思うのでございます。でございまするので、この「公」という意味におきましてもいろいろあると私どもは考えておるわけでございます。たとえば捜査段階において作成されました資料も、一応この「訴訟に関する書類」という中に入ると思うのでございます。それを、たとえば検察審査会に対する申し立てがございまして、その申し立てに対する審査をする場合に必要だということで検察庁から取り寄せる、これは札対的な意味では公開ということに相なるわけでございまして、それは個々の資料によってそれぞれ違う。最終的には相当と認めるという場合の究極的な判断でございますけれども、それが当該本件におきましては、先ほど申し上げましたような裁判所の返答であった、裁判所の考えであった、かようなことでございまして、一般的に申しましても、係属中の裁判の資料につきましては、これは特に固く会におかれましても重々そこは御配慮いただきたい、かように申し上げたいわけでございます。
  139. 坂本泰良

    坂本委員 私の聞きますのはこの嘆願書ですよ。保釈の嘆願雷が、私も出ておるかどうかわからぬが、出ておるということで要求しておる。そうすると、保釈の嘆願書であったら、もう保釈で出ておるから使用済みのものだ。減刑嘆願書といえば、これは一幕の判決前の嘆願書だろうと、私はこれは見ていませんから想像するわけです。そうしたら、これはもうすでに一審の判決は済んでおりしますからもう使用済みなんです。高裁でなおこの事実審理が続いて、そうしていよいよ判決があるときは、そこでまた嘆願書があるいは出ることもありましょうし、引き続いてその一審の嘆願書を考慮するということは、相当時期もたっし、私は弁護士を長年やっておりますが、おそらく高裁では一審に出ているこの減刑嘆願書はもう参考になさらずに——参考にするならばまた新しく出す、こういうことが普通、だろうと思うわけです。ですから、この書類はやはり内閣委員会として参考にしたい、こういうことで委員長名で裁判所に要求しているわけですから、それに対してはその書類はどういうことで出せないのか、公益上の必要があって国会から内閣委員長が要求している。その点を国民は、これ以上の公益はないじゃないか、これに何で裁判所は出さないかというのが国民の声だと思う。やはり裁判所も三権分立のたてまえ、思想をとっておりますけれども、旧憲法と違って、天皇の裁判でなくて国民の裁判ですよ。そこにある書類を——これは軽重の差をつけてはいけませんけれども、雑書類として処置をしてある嘆願書であるし、しかもその嘆願書はすでに一審でもう使用済みのものである。こういうものまでも、やはり公益上国会で必要だというのを、裁判所は公益上の必要は認めないということで書類を送付しない。そういうことになれば、どうして裁判所がその公益上の必要を認めないのか。内閣委員長が要求したのを公益上の必要がないと認めたら、その理由を明らかにしなければ、この刑事訴訟法四十七条の正しい解釈にも私は当たらない、こう思うわけですが、その点いかがですか。  さらにまた、時間がありませんから……。この場合、原本がいかなければ、リコピーでいま写しかすぐできますから、私はその写しでもいいじゃないか、こういうふうに思いますが、その点についての御見解を伺っておきたい。
  140. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 リコピーのお話でございますが、これはリコピーならいいかという問題ではありません。当の資料を、裁判所以外に提供することがいいか悪いかという問題でございまして、先ほど来申し上げておりますように、現に係属中で裁判のためにつくられた資料、それが当該裁判所はいま審理中であるからこれは困る、こういうことなんでございまして、制度としてこの点はひとつ十分にお考えいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  141. 坂本泰良

    坂本委員 私は、制度として考えてもなおやはり刑事裁判は刑事訴訟法に基づいてやるわけです。だから刑事訴訟法にこういう規定があるから、ただ制度に基づいて考えるじゃ、これは済まないと思う。衆議院の内閣委員会が要求しているのが公益に反しておるか、あるいは公益に沿っていないから出さないというのかどうか、その理由がはっきりならなければ、ただ司法権の制度上の問題だからというのでは私はこれは納得できないと思う。やはり国会でも国政調査権があるから——検察審査会が必要な場合は、要求したらそこに出さなければいかぬでしょう。それと同じように、三権分立のたてまえではあるけれども、国会でもやはり必要と認めたから、そこで要求しておるわけだから、制度が違うじゃいかぬと思うのです。その点を明らかにしてもらわなければいかぬと思うのです。
  142. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 まさに国政調査権と裁判権行使との関係の問題だと理解しておるわけでございますが、国政調査権に基づきまして御要求がありました場合におきましても、現に係属中の事件の資料につきまして、その内容につきまして提供はできないという場合はあり得るものだ、かように考えるのでございます。
  143. 坂本泰良

    坂本委員 この問題の場合はどうです。
  144. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、本件の場合には、正式な御要求はなかったわけでございます。正式な御要求がありまして、それに対して正式に返答、つまり提供を拒んだ理由を述べよということであれば、またあらためて正式に申し上げる機会もあろうかと思いまするが、本件につきましては、あくまでも非公式な意向の打診というふうに私どもは了解しておるわけでございます。
  145. 坂本泰良

    坂本委員 それじゃ、意向の打診だからこうだ、正式な要求があればそれで考えるというような、それはあなた明示しなければいかぬと思うのですよ。時間がありませんから、この点については私は刑事局長の御答弁では満足できないわけですが、司法権も国政の運用についての一面であるし、国会も国政の運用についての一面であるから、三権分立のはっきりしたたてまえから制度上の問題として拒否することは私はできないんじゃないかと思う。ですから、この点はなお検討していただきたいと思う。私のほうも、また国会で正式に要求するかどうかの点については、また今後の問題としてあれしますから……。ただしかし、私は当然電話か、あるいはその他で内閣委員長から正式な要求があった、ただ意向を聞いただけじゃない、こう思っておるわけです。しかし、ただ意向を聞いただけだというようないまの御発言であれば、これはやはりもっとはっきりしなければならない、そう思いますから、この点については留保いたしまして、私のほうも検討することにいたします。
  146. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 この問題は非常に重要な問題だと私どもも考えております。しかも、現に係属中の事件の資料でございまするので、国会の正式な御要求がありましても、はたしてこういうものを御提出できるかどうか、こういうことにつきましては私ども真剣に考えてきたわけでございます。公益上の要求と申しましても、現に係属中の事件を調べているということは、まさに公益上の要求なのでございまして、公益と公益とのそこに一つの衝突の問題が起きているわけだ、かように考えておるわけでございます。なお、このような問題につきましては、たとえば国会至上主義をとっております英国におきましても、事、司法の問題につきましては、十分国会においてその点を配慮しているというような実情もあるのでございまして、なお国会におかれましても十分にその点は御注意、御留意をいただきたいところである、かように考えます。
  147. 坂本泰良

    坂本委員 この訴訟の審理の内容とか、そういうものに対するのには、やはり重要に考えなければならぬと思うのですが、これは嘆願書でしょう。保釈の減刑嘆願書ですから、司法権に基づく裁判権の行使に対しては、私はそうたいしたものじゃないと思うのです。紙きれ一枚でも司法権の運用上の問題だとして拒否するのは当たらない、そう思うものですから、その点についても断然できないなんというのは——やはりその書類自体については、これはわずか嘆願書の問題です。一般に巷間では嘆願書を出しても裁判長は見るかどうかわからぬくらいのものなんです。しかし、出すほうは真剣なんです。この書類自体の取り扱いについては、これは司法権の運用に対する主体的な書類じゃないと思うのです。これは付随的な書類じゃないか、こういうように思いますから、その点については、なお私ども検討することにしておきたいと思います。      ————◇—————
  148. 大久保武雄

    大久保委員長 この際理事補欠選任についておはかりをいたします。  去る九日理事迫兼光君の委員辞任に伴い理事が一名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、横山利秋君を理事指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会