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1966-11-16 第52回国会 衆議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月十六日(水曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 田村 良平君    理事 濱田 幸雄君 理事 坂本 泰良君       鍛冶 良作君    四宮 久吉君       瀬戸山三男君    千葉 三郎君       馬場 元治君    神近 市子君       長谷川正三君    畑   和君       山口シヅエ君    山田 長司君       横山 利秋君    吉田 賢一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         公安第一課長) 後藤 信義君         検     事         (刑事局長)  津田  実君         大蔵事務官         (銀行局長)  澄田  智君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   若林 正武君         判     事         (最高裁判所事         務総局刑事局         長)      佐藤 千速君         農林漁業金融公         庫総裁     大沢  融君         日本開発銀行総         裁       平田敬一郎君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 十月二十七日  委員山田長司辞任につき、その補欠として米  内山義一郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員米内山義一郎辞任につき、その補欠とし  て山田長司君が議長指名委員に選任され  た。 十一月九日  委員迫兼光君が退職された。 同月十六日  委員森下元晴君、神近市子君、山口シヅエ君及  び西村榮一辞任につき、その補欠として鍛冶  良作君、畑和君、長谷川正三君及び吉田賢一君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作君、長谷川正三君、畑和君及び吉  田賢一辞任につき、その補欠として森下元晴  君、山口シヅエ君、神近市子君及び西村榮一君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件  裁判所司法行政に関する件      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件並びに法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。
  3. 畑和

    畑委員 私は、本日特に法務大臣出席を請いまして、法務大臣に対しまして質問をいたしたいと思います、それというのは、御承知のように最近非常に一連の霧が政界に立ち込めておりまして、綱紀粛正が強く叫ばれております。マスコミも、あげてこの綱紀粛正のために連日紙面をさき、いろいろ、いかにすれば政界が浄化できるかということについて、あげて努力をいたしておるわけでございます。自民党政府におきましても、その事実を認めて、自民党内にも綱紀粛正調査会を設けて、まず綱紀粛正をするというような一応のかまえを見せております。そういうちょうどさなかにおるわけでありますが、解散も近いというふうにいろいろうわさをされ、またわれわれは一刻も早く解散をしてもらわなければならぬのでありますが、内閣がやめるか、しからずんば解散をということで要求をいたしておるわけでありますけれども、こういう時期にあたりまして、法務行政責任者であられる石井法務大臣、すべての法の番人といった立場におられる石井法務大臣の行動につきまして、どうかと思われるような点が実はあるのでありまして、その点まことに申し上げにくいことなのでありますけれども、申し上げて、ひとつ大臣考え方等をお聞きいたしたい、かように思っておる次第であります。  実は、石井法務大臣の最近の何度かの出張日程が私の手元に入っておるのであります。その日程を見ますと、これはおそらくほんとうだろうと思うのでありますが、それによりますと、石井法務大臣は、十日に一ぺんくらいずつ関西あるいは九州方面公務出張しておられる。公務でございますからそれだけの必要性はあるのだと思いますけれども、ただあまりにも関西方面公務出張が多過ぎて、しかもそれが毎回大臣選挙区である久留米にお帰りになっておられる。そちらのほうへ行きましたら、やはり郷里に寄りたいということは人情の常でありますから、私それ自体を強く言うわけではありませんが、ただほかの方面には最近は出張なさっておらぬのでありまして、その前に東北、関東、そういった方面に行っておられるかどうか、これもついでに承りたいのですが、最近九月から三度あなたは関西方面出張しておられる。これは大臣になられた——もともと法務大臣には前からなっておられるのですから、事新しいことではございません、いわゆるほかの大臣のような、お国入りといったようなことではないと思うのです。思うのですけれども、出張回数がそちらの方面にあまりにも多過ぎる、こう思うのでありますが、この点は別に他意ないというように御答弁になるとは思うのでありますが、その辺、私そう感じましたので、まず最初にその点お伺いいたしたい。
  4. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は九月から十月にかけて、わりあいに近く続いて三度九州に参っております。そのうちの二回は国民体育大会大分に参ったのであります。九月のときは皇太子殿下お供をして、十月のときは天皇、皇后両陛下お供をして、そのあと先久留米に寄ったわけなんであります。そのほかは一回あります。四国に私が出張いたしました。それが金曜日でありましたので、土曜、日曜、わりあい公務のひまなときでございます。土曜、日曜、月曜にかけまして、かねていろいろ話をすることを頼まれておったところもあるし、あるいはまた私がことしの夏法務大臣に留任いたしたので、そのお祝いをしたいなどといわれておったことなどもありますし、いろいろな会合にも顔を出してくれといわれておったので、ちょうどそういう機会に、少しでも顔出しをしようかというようなこと等がありまして行ったというようなことが、三回のうちの一回出かけていったということがあるわけでございます。あと二回は、いま申したような国体大分に行くあと先に寄った、そのときに久留米でいろいろな人に会ったり何かしたということであります。
  5. 畑和

    畑委員 まず最初の御出張の九月の十六日、これは第二十一回国体夏季大会に御出席というようなことになっております。これによりますると、九月の十六日の夜に羽田を出発されまして、それから久留米おいでになってお泊まりになった、それから翌日また出発いたしまして夏季大会に出た上に、その後また久留米にお着きになっておる、こういうこと。それからその次の二回目の御出張は、全国更生保護大会が高松市で開かれました。それにおいでになって、その後検察庁、法務局等の視察をされたようであります。そしてそのあと久留米おいでになっておられる、十四日にお着きになって、十五、十六、十七と、こう土曜、日曜かけていらっしゃっておるわけであります。それが二回目の十月十三日からの御出張。三回目が十月の二十一日からの御出張であります。これがやはり二十一回の国民体育大会秋季大会開会式に御出席になっておられる。いずれも一応公務がおありでございますが、ただそこで、先ほども申し上げましたように、この久留米選挙区でありますから、また御自宅もおありと思いますけれども、久留米に非常に回数多く行っていらっしゃる。これだけならよろしゅうございますが、実は私らの手元のほうに投書が参っておるのです。一々その投書にあれするわけではございませんけれども、それによりますと、特にこの十月の半ばごろの御出張の際の、先ほど申し上げました十五、十六、十七、この三日間でございますが、この三日間にわたって久留米市のBSホールほか市内各地において、延べ六千人の人間を集めて、会費といって五十円を徴収して、弁当菓子等、それをはるかにオーバーするものを配付をした。しかも、その上に現職の参議院議員数名を呼んで、その前座をつとめさしておるということで、これは選挙区の人でございますけれども、八女市という市にお住まいの方でございますが、その方から、こういう点がわれわれどうしても納得できない、法務行政の一番、最高責任者であって、他の模範となってやらなければならないのに、選挙事前運動と思われるようなことを法務大臣が平気でやっておられるのではこれはしめしがつかぬ、そういう点でぜひ国会で究明をしてもらいたい、こういう投書が参っておるわけでございます。後援会というのをあららこちらでやっておられますけれども、少なくとも石井法務大臣は、先ほど申し上げましたように法務行政の一番最高責任者である。法の取り締まり役である。こういうことからしてやはり国民として、選挙民としておかしく、不可解に思うのは私は当然だと思うのです。そういう点で、明らかに選挙事前運動ではないか。しかも、その参議院人たちを並べた中には近く知事候補として出る方もそこにやはり参列さしておる、こういうようなことであります。こういうことではやはり選挙民が約得しないと思うのでありますが、この点どういうふうにお考えになりましょうか。当然のことをやったとおっしゃられましょうか、どうですか。その辺承りたい。
  6. 石井光次郎

    石井国務大臣 それは久留米婦人会のひさご会という会のことだと思います。これはただ、いまのお話のとおり、二回なんですが、私は事前運動に人を集めたように聞こえますけれども、この会はもう十数年続いておる御婦人連中会合でございます。そして私の妻もそれに関係しておりますけれども、会長などは地元の人たちがやっておるのでございます。それで年々盛んになっておるのでございましょう。親睦をはかり、またお互い災害等があったときにはお互いに救助し合うというような心持ちから、年末の助け合い運動とか、あるいは災害筑豊地帯である地方にありますと、そうでないところの人たちがいろんなものをもって助け合うというようなこと等、お互いにそういうことをやっておるものですから、非常にこれが仲よくなって、年々盛んになっておる会でございます。この会に、私はこの間お客さまとして呼ばれておるわけです。私に好意を持つ会でございます。来賓として行ってごあいさつを約十五分か二十分くらいしました。そして、そのまま私はほかのほうへ行ったわけでございます。それだけのことでございます。  それから、何か五十円で何とかということですが、たしか私の知っているところでは、当日の会費は百円、これはお弁当代だということで十何年間ずっとやっておって、そういうことは一応のいろいろな方面にもよく御相談してあって、問題なくいろいろなことをやっておると聞いております。  それから、私が行ったときに、参議院の人を連れていった。私はだれが来るかということは、行くまで全然知りませんでした。この会にはよく参議院の方々を呼びます。衆議院の方は、私に主として好意を持つような会でありますために、ほかの方を呼ぶのはおかしいから呼びませんが、参議院の方はみんな招待状をいつも出しており、いろいろな方がかわりばんこに出ている。今度は私行ったときには、私がはじめあいさつしたとき私だけでございましたが、私あいさつしてさっさとおりてきたら、たまたま亀井さん夫婦が見えたから紹介してくれという声がありましたので、紹介をして、私はそのまま帰っていったのでありますが、そのあと亀井さんがあいさつをした。二日目か三日目であったか、柳田桃太郎さんがやってまいりました。そしてあいさつをされたというのが実際の姿でございます。
  7. 畑和

    畑委員 大臣は、これは自分を慕う人たちが集まって会をやっているんだとおっしゃるのですが、では、その会の名前は何というのですか。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 ひさご会と申します。末長く、だんだんヒサゴのように伸びていくということで、ひさご会といいます。
  9. 畑和

    畑委員 まあ後援会だと思うのですが、ひさご会という名前でだんだんとふえてきておるというわけですが……。  先ほど私ちょっと聞き漏らしたのですが、会員は百名とか言っていましたが、そうじゃないのですか。ひさご会の会員の数はおよそ……。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 会員の数は、私、存じておりませんです。
  11. 畑和

    畑委員 さっきちょっと言ったと思いましたが……。  ま、こまかいことはやめにいたします。ただ、これは自分を慕う会であって、そこへ私も来賓として呼ばれたんだ、こうおっしゃるのでございますけれども、これが一回、一つ場所でおやりになったのじゃないようでありまして、場所を変えて三日間にわたって相当大々的にやっておるようであります。たまたま大臣公務出張であちらへ参られて、その足で寄られるということにも、また私は問題があると思うのです。上林山さんや荒舩さんみたいなはでなお国入りとは違いますが、しかし出張のついでにその足で寄られる。しかも三日間にわたりましてこうした後援会会費以上のものを提供される。それは大臣自身がおやりになったのではなかろうと思います。思いますけれども、やはり大臣を慕う会員組織がそうしたことをやっておるのでありますから、その点でこれはもう何ら、私としては当然のことをやったということでは、私はやはりいかぬのだと思う。こういう時期でもございますし、しかも立場立場でございますから、たとえそうしたひさご会の人々がはでにやりたいといって毛、それを抑えて、ひとつそれは困るからということで、もう少し手心を加えてやるべきではなかったろうか。さもなければ、こうした投書等も私のところへ参らぬと思うのです。こういうところから見ましても、やはり非常な疑惑を生む原因となると私は思うのです。そういう点で私はきわめて遺憾だと思うのでありますが、大臣、その点、もうそれだけでけっこうですが、どうお考えになりますか。
  12. 石井光次郎

    石井国務大臣 いま、いろいろな問題が何でもかでも問題にさておりますから、こういうことも、一つ投書でもくれば問題にされて、お尋ねのある点、もっともだと思います。しかし私としては、実はびっくりしたわけでありますが、この会はことし私に調子を合わせて、この間、私がそのときちょうど行けるからというのでやったわけでも何でもないわけでございます。これは昨年もちょうど三日間、同じ場所で十月ごろやられたわけでございます。昨年は問題がないのです。(「昨年は問題ではない」と呼ぶ者あり)毎年やっておることを申しておるわけです。十何年の間、毎年やっておることを申しておるわけです。そのときは私は行かれなかった。ちょうど臨時国会中でありましたから行かれなかった。私に調子を合わしているわけじゃない。なるべくならばそういうときに行ってごあいさつをしたいが、行かれませんでした。今度の問題でも春からちゃんと、場所関係もありますから、春ごろからやっておかないと、ああいうふうな場所というものはとれるわけがないので、だから春ごろから決定されておる。私に調子を合わせたのでも何でもないわけであります。また、世の中の情勢がこういうふうになってくるなんということは、だれもそういうことを春ごろ考えてもいなかった。私は選挙は来年まで解散なし、任期一ぱいという論者でありますから、いまにまだそういう心持ちでおるわけでございますから、だからそういう問題は問題でも何でもないころ、あの場所はきまっておったということでございまして、私はそういうことを夢さら考えてもいなかった。しかし、こういうことの投書があるということは、だれかが、どういう人か知りませんが、そういうことを問題にするというほど、とにかく何でもかでも気をつけなければならぬということは、そのとおり大事なことだ。法務大臣として一そう気をつけていくつもりでございます。
  13. 畑和

    畑委員 ちょっと一つだけ問題があるのです。いま大臣は、私に調子を合わせたわけではないとおっしゃいますが、調子を合わせないでこういうことができますか。やはり大臣都合などを聞いて、それでちょうどたまたまそれじゃ国民体育大会出席するから、そのときにちょうど土曜、日曜にかけてやろうということになったのだろう。決して大臣調子を合わせたものじゃないということは、私は言い切れないと思うのです。後援会である以上、やはりその人の大成を願ってやられる会ですから、それはわかる。それはけっこうなんです。それはかまわないのです。この調子を合わせておらぬというのはおかしいと思うのですが、それはどうですか。
  14. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは確かに調子を合わせたのじゃない。十何年間に何べんもこういうふうなことをやっておるが、私が都合のいいときはいつも出ております。そうでないときは欠席をさせてもらっておるわけであります。これは女房等は出かけていきますが、私は直接関係がないものでございますから、そういうふうにいたしております。今度の場合は全くそのとおりでございます。
  15. 坂本泰良

    坂本委員 関連して。先ほど大臣日程に、九月の十六日においでになって、十六日は久留米に泊まられて、そうして十七日、十八日と……(「十七、十八は九月じゃない、十月だ」と呼ぶ者あり)そのときの問題ですがね。これは私は今度の一〇・二一ストのことで、九州では佐賀福岡が、家宅捜索をやるし、不法な参考人調べをしておる。それから東京と岩手と、この四カ所ですね、一〇・二一ストについては不法な家宅捜索参考人調べをやっておりますから、社会党では調査団を派遣するということになりまして、佐賀福岡調査団として私が参ったときの話ですが、大臣は、九月の十六日に——十五日が敬老の日ですけれども、九月の十六日に、久留米南小学校敬老会が開かれていますね。そこに、石井法務大臣からといって、出席者全員たばこを配付された、こういうことを聞いたわけですが、これは、一月選挙になれば、明らかに六カ月内だから、事前運動になるじゃないか、こういうわけだから、大臣みずからこういうことをやられたら——われわれはたばこを配る金もないけれども、金のある者がどんどんやったのでは、これは今度の解散、総選挙においては政界粛正するのだ、正しい選挙を行なってやるのだということを、盛んに自民党佐藤首相はじめ言われているようですが、それじゃ台なしになるじゃないか、こう思うわけですね。やはり従来のような金権候補が出てくるということになれば、やはりそういう金権候補が出るからこういう政財界汚職疑獄というのが生じておるということは、いま世論になっているわけです。そのための国会解散して政治を正す、こういう点がやはり烏有に帰するのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その点についてどういう御所見ですか、承っておきたいと思います。
  16. 石井光次郎

    石井国務大臣 そう言われますと、私は確かにたばこを持っていって贈呈いたしました。それは宮中で私が天子さまからいただきましたたばこでございます。恩賜のたばこをいただきました。あなた方も宮中おいでになるときにいただかれるたばこがあると思います。こういう箱に入っているもの、そういうものをいただきましたので、私たばこをのまないものですから、たまっております。昨年からことしにかけて国に一度も帰らなかったものでありますから、それがたまって幾箱かになっております。それを今度持っていって、だれかありがたがるお年寄りの方に会ったときにあげようと思って、ちょうど敬老会がありましたので、持っていって、会の方に、こういうものがあるからぼくは持ってきた、人数に合うか合わぬかわからぬが、これだけのものを持っていって贈呈してよろしいかと言うと、喜んで、天子さまのものですからみんないただきましょう、それではよろしくお願いしますといって、私は会の方にお渡しして帰ってきたというのが内情でございます。あれはたばこをやったと言われてしまいますと、まことに、たばこには違いない、そうでありますが、しかし、普通のたばこその他のものをやっていろいろのことをやることは好ましくないことは、お説のとおりでございます。私のはちょっと違う意味だと思っております。
  17. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、この南小学校に集まった敬老会の方にだけやったことになるのですね。全員にやられたというわけですが、そんなにもらわれたばこがたくさんあったわけですか。どうもその点がわからぬわけですが……。
  18. 石井光次郎

    石井国務大臣 私と女房と、二人で宮中にお招きを受けたときいただいたものです。とにかく昨年からいただいておるのがあったわけでございます。だから、人数に合ったか合わなかったか、わかりません。いただいた分だけを差し上げました。
  19. 坂本泰良

    坂本委員 私がお聞きしたのは、そういうような具体的な問題もあったでしょうが、しかしやはり何かの理由をつけてありがたがる者にはやるわけですな。だからいまのは理論的にそうやるでしょうが、ただふしぎなのは、百名集まったか二百名集まったかは、それは私は聞いてこなかったわけですけれども、全員に配ったということですね。そういうことが、今度はまた後援会組織とかあるいは何だかんだという理屈をつけてやる場合は、何か理屈がなければやらぬわけですね。へ理屈でもつけてやるのですから、そういうことを大臣もやられたんだから、ほかの者はだれがやってもいいだろう、こういうようになっては、私は政治の公正というものは期せられないと思うのです。事前運動を、六カ月と限っておりますが罰するというのは、やはり選挙告示後でもこの買収選挙その他は大いに慎まなければならぬけれども、さらにさかのぼって六カ月間をやはり事前運動として違反にしておるのは、事前が、最もひんぱんにそういうことが何らかの理屈をつけて行なわれるから、そういうことをしないようにする。まあ折り詰めに二合びん一本とか、そういうことがやられておるわけです。しかし金のある人は何百人でも何千人でもできるでしょうけれども、それが私は大きい買収選挙基本になっていると思う。そういうことがあるから大きな買収選挙が行なわれる。さらにまた選挙に五当三落、五千万当選、三千万落選というようなことももうすでに言われておるわけです。そういう選挙を今度こそはなくさなければならないというのが、いま国民世論だと思うのです。それを、いま説明を聞いていると、一本ずつ全部にわたったか、その点はわかりませんけれども、とにかく敬老会だから年寄りの人にやる、石井法務大臣からということでやるようなことは、やはりそれを基本にして、ほかでも、大臣もやられるからこれくらいはいいだろうというのでやるところに選挙腐敗、堕落ができてくるわけです。したがって、それが基本となってやはり政財界汚職疑獄となってあらわれ、それに高級官僚がまたあれして、選挙の、あるいは政界腐敗というのが現実に現在に至っておる、こう思うわけですから、やはりそのもとを正す法務大臣としては、厳粛なあれでみずからをやらなければならない、こういうふうに思うわけですが、この際所見を承っておきたい。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ちょっと私はこの発言について意見がありますから、述べさしてください。よろしゅうございますか。
  21. 大久保武雄

  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうも先ほどから聞いておると、たばこを配られておる、金がないからわれわれはやれぬが、大臣は金があるからやられた。——私はとにかく少なくとも一箱のたばこを配られたと思っていたんです。しかるに大臣の弁明を聞くと、陛下からもらったたばこをおすそ分けをされた、こう言うのです。そういうものは、だれが聞いたって買収であるとかなんとか、そういう観念の出る道理がない。そんなことを知らないあれじゃないですよ。しかるに、それがわかったにもかかわらず、金がないからわれわれはやらぬが、そういうことをやるのは金を使うことになる。選挙に影響ある。——ともかく陛下からもらったたばこのおすそ分けをやったということと、金を出して一箱ずつやったというのと違います。そういうものが明らかになったのに、そういうことを言うべきでないのです。この間からいろいろあるが、国会だからといって、公の場でそういう針小棒大なることを言って、いかにも公明選挙に反するがごときことをやったように言われることそれ自体が国会の権威のためにいかぬから、委員長、これからそういう発言があったら注意してもらいたい。
  23. 坂本泰良

    坂本委員 それは違う。私がこの際言っているのは、やはりその具体的の事実はそれでわかりましたけれども、やはり一般には、石井大臣からたばこを配ったとこう言われておる。(鍛冶委員「それがいけないんだ。」と呼ぶ)しかしながら、一般に後援会とか、そういう名目で行なわれておるから、そういうことは厳として慎まなければならぬと思う。そういう誤解を……。   〔発言する者あり〕
  24. 大久保武雄

    大久保委員長 不規則の発言は慎んでください。
  25. 坂本泰良

    坂本委員 だからそういう大臣の行為があったから……。   〔発言する者あり〕
  26. 大久保武雄

    大久保委員長 精器の発言をしてください。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 一般的の議論をしているわけです。だから何も差しつかえないと思うのです。
  28. 畑和

    畑委員 それに関連して、いま大臣の答弁で、たまたま天皇からいただいたたばこを配った、それだろう、こうおっしゃられた。まあ片一方はそうでないという反証もないですから、あるいはそうかもしらぬです。そうだとすればこれは当然でございまして、別にそれを責めるあれは何もない。坂本氏がそのあとで言っていることは、このことをとらえて言っているのじゃないですから、その点はひとつ鍛冶さんも誤解しないでもらいたい。われわれといえどもそれほどけちなあれじゃないのです。ただそれが問題になったから、ことほどさように後援会云々であれすることは誤解を招くということであって、恩賜のたばこ云々と言っているのじゃない。それだけは誤解しないでください。そんなけちなあれじゃありませんから、それだけひとつ……。
  29. 大久保武雄

    大久保委員長 いいですか。それでは畑和
  30. 畑和

    畑委員 私はいままで参議院の決算委員会あるいは衆議院の決算委員会、さらには参議院の農林水産委員会等におきまして、ずっと続けて問題になっておりまする共和製糖グループに対するいわゆる過剰不正融資事件につきまして質問をいたしたいと思うのです。いままでそうした各委員会で、数字等をあげまして相当こまかく議論をされておるのでありますけれども、なかなか急所を突いたところまでまだいっておらぬ傾きがあるのであります。これは結局最後には、やはり捜査権のある人が捜査をした上でないとはっきりしたことがわからぬと思うのでありまして、私はこれには相当の刑事事件がまつわっておるのだろうと思います。つきましては、いろいろ問題になっておりまする領収書の偽造云々という問題に関連をいたしましてお聞きをいたしたい。  まず、開発銀行の総裁のほうからお尋ねいたします。  大体この資金の貸し付けのやり方、それはどんなふうな経路をたどって資金が融資をされるのかというその経路を聞きたいのです。簡単でよろしゅうございますから、その経路をひとつ言うていただけませんか。
  31. 平田敬一郎

    ○平田説明員 お尋ねの点につきましてはほかの委員会でもたびたび御説明申し上げたと思いますが、まず融資の申し込みを受け付けまして、それから受け付けるかどうかについても事前によく一応の調べはいたしまして、受け付けに値するということになりますと、受け付けまして、それから審査をいたすわけでございます。それで審査の結果、これは融資に値するかどうか、それからどういう点を是正してくれば融資に値するかどうか、その辺を詳細に調べるわけでございます。調べた上で相手方とよく話し合いをいたしまして、話がまとまりました場合に初めて融資の承諾をする。それで承諾をいたしましたあとで、現実に今度はお金を交付しますのは、工事の進捗、状況、それから現実の支払いの予定等をさらに相手方からとりまして、それに基づきまして必要量に応じまして資金交付をやるわけです。それで最後に、資金交付が完結しました場合には、工事が予定どおり完成したかどうかを見届けましてそれで融資は完結する、ごく大まかに申しますとそういうことになります。その途中でいろいろこまかい手続等をとる場合があるわけでございます。非常に大まかに申し上げますと、そういう次第でございます。
  32. 畑和

    畑委員 そうしますと、最初にこれだけの金を貸してもらいたいというような申し出があって、それをいろいろ審査をして、打ち合わせをして、そうしてそのうちに、じゃ幾ら貸そうということにきまる。そうなりまして、今度は具体的には、いろいろ設備投資の場合にはどれだけの出来高があったかということについて、その出来高に応じて資金を払い出していく、こういうことなんですか。
  33. 平田敬一郎

    ○平田説明員 資金を交付します場合には、まず一番重視しておりますのは、工事がはたしてどの程度進捗しておるのか、工事の進捗度合いを最も実は重視いたしております。そうしまして、現実の支払い経過、予定等を見まして、工事が完成するに必要な資金を供与する、こういうことで、これは事務としまして運用して支出をするということにいたしておる次第でございます。
  34. 畑和

    畑委員 そうしますと、一般的に、まず最初に幾ら貸すということになってから、その後、具体的にその工事の進捗状況に応じて資金交付願いが出てきて、それを審査して確認をして出す、こういうことであると承知いたします。その際に、そうすると、どれだけの工事をしたか、どれだけの資金が現実に必要であるかということを確認するわけでありますが、そのときに、たとえば建築なら建築等につきまして、その建築をやった建築会社からの領収書あるいは請求書、こうしたものを徴しておるのですか。あるいは本物を見て写しをとるとかなんとかいうことをして、後日に証拠として残しておく、こういうようなやり方をやっておるのですか。
  35. 平田敬一郎

    ○平田説明員 いま申し上げましたのが、基本的な融資実行の流れと申しますか、手続でございますが、その中で現実に資金を渡します場合は、これはもう各担当者と申しますか、事務処理にまかしておるわけでございます。何と申しましても、ある程度相手方を信頼関係に立って融資承諾いたしたわけでございますので、調べて融資決定するのを実は一番私ども重視しまして、重要事項、みんな役員会議にかけまして決定いたしているわけでありますが、あとの実行の手続は、そういう土台に立ちまして、会社が報告を、いろいろな書類を出してくるわけでございますから、その書類に基づきまして、実は資金交付をする。その際、一番重要なのは、いま申しましたように、現実に工事をどの程度やっているのか、やっていないのか、それを一番重視しております。それから支払い予定、それと、大体あとになりましてどれくらい支払ったか、そういったものをとりまして、それをにらみながら幾ら交付するかということをいたしております。普通の場合、何回も取引しているような相手先に対しましては、比較的簡単に実はいたしておりますが、新規の取引先の場合には慎重にいたしておりまして、本件の場合は、すでに御承知のとおり、約七、八カ月の間に八回にわたりまして交付するという手続をとった次第でございます。その間におきまして、これが現実に目的どおりに使われているかどうかという一つの確認の資料といたしまして、お話しの領収書を見せてもらう場合もあるし、写しを出してもらう場合もありますし、それから大体順調に進んでおります場合には、領収書の写し等を省略させることもある、最後に、その工事がはたして私ども銀行に申し出たような状態に完了しているかどうか、さらに検査をして完結する、こういう手続をとっておりますので、領収書の問題は、その中のそういう手続の一環としまして、一つの参考材料と申しますか、としまして意義を持っている、こういうふうに考えている次第でございます。
  36. 畑和

    畑委員 この問題になっております共和製糖グループの細島のコンビナートの工事は、開銀としては幾らお貸しになっているのですか、残はいま幾らですか。
  37. 平田敬一郎

    ○平田説明員 会社が最初に申し込み書に出しました希望金額は十二億円、対象工事が約十五億に対しまして十二億の希望がございましたが、いろいろ審査しまして、開銀だけで十二億出すのはどうも行き過ぎだというので、最後に、半年以上審査して慎重にやったのでございますが、話がつきましたところは本行で約八億円、それから開発銀行は普通の場合、御存じのとおり民間の銀行と協調融資をたてまえにいたしておりますので、会社に話しまして会社から話をつけまして三和銀行が三億円、それから地元の宮崎銀行が一億円、合わせまして協調融資を含めて十二億円、開発銀行は八億円、その他は自己資金その他で調達するということで、最終的に決定いたしましたのが八億でございます。その後率直に申し上げまして、会社は私どもの銀行に関する限り金利の延滞もございませんし、それからすでに期限の来たものについては全然異常なく実は支払っておりまして、現在は七億二千万に残高はなっておる次第でございます。
  38. 畑和

    畑委員 開銀の場合は、ほかの金融機関に比べてきちっとやっておるように私も見受ける、しかも非常に確実にやっておるものだから、乗ぜられるすきはわりあいにないようにやっておられると思いまして、ほかのものに比べまして開銀が一番その点はよろしいようですが、ところでこの領収雷の写しですね、これは本件の場合にはとっておるでしょうね。
  39. 平田敬一郎

    ○平田説明員 写しをとっております。
  40. 畑和

    畑委員 手元にございますか。会社にございますね。
  41. 平田敬一郎

    ○平田説明員 はい。
  42. 畑和

    畑委員 それからまた開銀の総裁にお聞きしたいのですが、本件の場合、開銀の場合には何もなくて済んでいるわけだと思いますけれども、もしこれがそれだけの出来高ができてないといった場合はどういうやり方をやるのですか。資金の貸し付けの関係はどうなるのですか、具体的の場合。
  43. 平田敬一郎

    ○平田説明員 実際問題として私どもめったにございませんですが、途中でやりかけている工事を中止してほかに変えるといった場合は、これはもちろん融資の目的、趣旨に合いませんので、適当な措置をとるわけでございます。でございますが、最近、私の経験では、相当厳重に審査いたしまして詰めてまいりますので、そういった例は記憶ございませんですが、本件の場合は、毎々御説明申し上げておりますとおりに、工事完了いたしまして現実に最後の資金交付をしたときには試運転を始めておりまして、その後の状況を見まして、事、精製糖に関する限り、実際私どもが予定したような工場生産と申しますか、というものをあげてきておるわけでございます。そういうわけでございまして、ごく大まかに申し上げますと、私どもたびたび申し上げておりますように、本行の融資に関する限りにおきましては、大体融資目的を達成いたしておると確信いたしております。
  44. 畑和

    畑委員 これは工事が完成いたしますと、当然、もちろんこのでき上がったものに対して工場財団を設定して、そうしてそれを抵当に組み入れる、こういう手続をやられることはもちろんですが、本件につきまして、おたくのほうでこの抵当権を設定するについて、工場財団の範囲は一体どうなんでしょうか。ただ工場そのものなんでしょうか。土地はもちろんでしょうけれども、そのほかの例の共通部分というのはどういうぐあいになっておりますか。
  45. 平田敬一郎

    ○平田説明員 同じところで本行だけの融資対象の場合は簡単でございます。この融資対象物件が完成しましたときに、工場を評価しまして担保を設定するわけでございます。本件の場合も、実際にできましたのは大部分製糖工場でございます。御承知のとおり、ほかのものもやるということでスタートしておりました関係上、共用部分が若干ございます。この共用部分につきましては、それぞれ私どもの専門家が共用部分の価格を評価いたしまして、そのうち砂糖部門、製糖部門に割り当てるべき額はどのくらいの額か、これはこまかいことは非常にむずかしくて、精密な計算はできませんので、ある程度の経験に基づく比率等で、あるいはそういう部分が主としてどちらに使われるかといったような判断で妥当な額を査定いたしまして、それを開銀なら開銀の債務の担保区分けにする、そういうやり方を実はいたしておるわけでございます。  本件の場合におきましても、共用物件、共用部分が若干あることは前々御説明いたしておるとおりでございます。
  46. 畑和

    畑委員 ところが、共用部分を分けることができる場合はいいんですけれども、分けられないことが多いんじゃありませんか。そうすると、それはそれを分けないで全部工場財団に組み入れて、それで担保を設定するということにならなければ、ちょっと分けにくい場合が相当あるんじゃなかろうか、私はちょっとその辺が、観念的には分けられても実際には分けられぬ。したがって、それは全部含んでやる。たとえば専用埠頭の場合なども、これは精製のほうにも使うかもしらぬし、またブドウ糖のほうにも使うかもしらぬ。どっちも船を利用したりなんかしますから、それを分けるということができない、一つのものですから。それはどうなんですか。
  47. 平田敬一郎

    ○平田説明員 これはお話しのとおり、事実を調べまして——共用部分といいましても主としてどちらの部分に使われるのか、あるいはその辺のところ、実は事実関係を調べなければなりません。本件の場合はボイラー、埠頭、こういうところが問題になるわけでございます。ボイラーについては、大体いまのところ蔗糖に使われる、できておるボイラーの規模からいたしまして。これは全部私どもの担保に入れております。埠頭につきましても、私どもの係の調査の結果は、精製糖の部分の埠頭が先にでき上がっていると申しますか、でございますので、それも大部分共用設備として担保に組んでおります。その他一般的にどうしてもそういうような点で分けにくいものもあるかと思いますが、そういうものは適当に調べた上で、比率等で担保価格を査定する、こういうやり方をやっております。
  48. 畑和

    畑委員 開銀のほうのことについては一応それだけにいたしまして、同じようなことを農林公庫にお尋ねいたしたい。  農林公庫のほうでの資金の貸し付けのときの流れは、先ほど開発銀行から言われましたのと大体同じだと思うのですが、やはり概略話していただきたいと思います。
  49. 大沢融

    ○大沢説明員 開銀の総裁が申されたのと大同小異でございますが、私のほうも、借り入れの申し込みがあり、事業の計画なり、資金計画あるいは事業担当者の信用力、そういうことをよく審査いたしまして決定をする。決定をしてさらに契約を締結する。契約の締結をいたしました場合には、幾ら幾ら金を払い出すかというようなあれは、現実の諸団体の資金繰りを見まして、この程度使っているからこの程度のものを出すというようなことで現実の払い出しをしているわけであります。大筋において大体開銀と同じです。
  50. 畑和

    畑委員 そうすると、いままでいろいろ問題になりました例の領収書の問題ですね。あの場合には、農林公庫のほうではやはり領収書を確認はしているのですか。さらに確認だけではなくて、確認をするときに領収書の本物を見せてもらう、そうしてコピーをとっておく、こういうようなことをやるのですか、やらないのですか。開銀のほうではとっておく、あまり信用してくるとその必要もなくなるというのですが、この場合にはとってある、こうおっしゃっている。公庫のほうはどうされているか、それを聞きたい。
  51. 大沢融

    ○大沢説明員 私のほうでは、現実の金の支払いがどのくらいあったかというような場合に、帳簿その他についても確認はするわけですが、その際おっしゃるとおりに請求書なりあるいは領収書を見るわけです。しかし、それを見ましたあと、写しをとるとか、手元に残すとかいうことでなくて、そのままお返しをしております。その辺は開銀の写しをとるというところと手続的に差異がある。お返しをしております。
  52. 畑和

    畑委員 その返しているというのが、今度の事件でいろいろ問題になっているようですが、返してしまっていると、あとでいろいろ調べるときに因るのではないですか。今度のような事件が起きますと、あとで現物を調査したりなんかするとき照らし合わせるべきものがないじゃありませんか。そうでしょう。完全なものができていればいいのですが、人間ですから間違いもありますし、しかも、また、相手が故意にごまかして、いま問題になっているように、実際に工事をしないのに工事をしたように適当な名前で領収書や請求書をつくってやられた場合、うん、これでよろしいということで、現地もあまり見ないで——見ないからこういうことになったのですが、見ないでやってしまう。そうすると、あとでこうして問題になったときに、これを調査するその資料がなくなりはしませんか。その点はどうですか。
  53. 大沢融

    ○大沢説明員 先ほど申し上げましたように、当時会社のほうでどれだけの所要額があったかというようなことは、資金繰り等に出てくるわけであります。資金繰り表がほんとうかどうかということを確かめますのに、領収書あるいはその他の帳簿、手形というようなことの点検をしているわけでございます。資金繰り表はこちらにございますので、当時幾らの金がかかり、それに基づいて払い出したということは現在でも対照をしようという場合には対照ができるわけであります。
  54. 畑和

    畑委員 資金繰り表があるからその点は対照はできると言いますけれども、その資金繰り表には、たとえば何々株式会社がこれだけの仕事をした、したがってそれの代金が幾ら、そういう請求がきている、あるいは領収書をとって払い出しているということは、ちゃんと明確に資金繰り表に書いてあるのですか。
  55. 大沢融

    ○大沢説明員 払い出しをいたしまするときには、どこの会社でどういう工事を幾らでやるということは、現在も資金繰り表等に残っております。
  56. 畑和

    畑委員 資金繰り表に残っておりますね。——そこでお尋ねいたしますが、農林公庫のほうでは、このコンビナートに対して幾ら融資の決定をされて、現実に幾ら出してあるかということを承りたい。
  57. 大沢融

    ○大沢説明員 コンビナートのブドウ糖の事業をするということで、五億の貸し付けを決定いたしました。貸し付け契約をいたしまして、四億を払い出して、一億はこちらに留保しております。これはもうすでに他の機会に申し上げたことですが、ただいまは全額の繰り上げ償還を命じておりますので、その当時と事情が異なりますが、繰り上げ償還を命じて、全部すぐ返せということでやっております。
  58. 畑和

    畑委員 繰り上げ償還を命ぜられた。五億を融資決定して、四億を出した。その四億が、繰り上げ償還を命じなければならぬようになったのはどういうことですか。
  59. 大沢融

    ○大沢説明員 私ども繰り上げ償還を命じましたのは、ブドウ糖の工場をつくるということで着々工事が進んでおったようでございますが、昨年の半ばごろから、規模を大きくするとかその他のことがありまして、工事を中止しておったわけですが、ことしに入りまして、八月ごろから、そのブドウ糖工場の建設工事を途中から変更して砂糖工場にするという事実を私どもつかみましたものですから、こちらが目的として貸した資金が、その目的どおりに使われないという現実がありましたので、それをとらえて全額繰り上げ償還ということを命じたわけであります。
  60. 畑和

    畑委員 公庫のほうでは、四億を貸したのですね。そして現実に、五億を貸すことにしてそのうち四億、ほとんど大部分を払い出してしまった。それで、その当時、領収書、請求書等を点検し、現地を見たと称しますが、とにかくちゃんとりっぱに工事ができているということを少なくとも確認した上で出したことになると思う。それがいまになって、ほかのほうへ使われたというので償還を命じた。どうも私はなっていないと思うのですね、そういうことは。開銀のほうはちゃんとしていますよ。公庫のほうは全くこれはなっていないと思うのだ。ブドウ糖のほうに使うということでなければ資金は融通できないことになってあるはずですね。砂糖の精製のほうじゃ融資ができないことになっている、おたくのほうでは。したがって、ブドウ糖なら出せるということになっている。ブドウ糖と限定されているんですね。それで、ブドウ糖の工場をつくって、もうある程度できたということだからこそ四億を出したんじゃございませんか。それをいまさらになって、全部ほとんどやっていないということで、全額償還ということはどういうことなんですか。怠慢もはなはだしいじゃ、ないですか。
  61. 大沢融

    ○大沢説明員 ブドウ糖の工場をつくるということで金を出しまして、ブドウ糖をつくる工事が続行しておったわけでございます。そして、ブドウ糖工場を建てる敷地のくい打ちがあるとか、あるいは、ブドウ糖から出る汚水の処理施設ですとかというようなものが着々工事が進んでおったわけです。それが、一時工事が中止になり、ことしの八月にわれわれが確認したところでは、そこが八月から——八月じゃありません。最近確認したところでは、八月ごろから、ブドウ糖の工場を建てようと思って金を使って基礎工事をしておったところを、さらに補強して砂糖工場をつくるという、計画を変更して事業を実施しておる。それをとらえてやったわけでございまして、それまでは、ブドウ糖工場をつくるということで、ブドウ糖工場の工事が進んできたわけでございます。それまでには資金の流用があったということにはならぬと思いますが、現実に八月から砂糖工場をつくるということは、資金の流用ということになりますので、その事実をとらえて直ちに繰り上げ償還を命じた、こういうことでございます。
  62. 畑和

    畑委員 どうもわからぬね。四億出すときには、先ほど言ったように、開銀も言われたが、ちゃんと出来高に応じてやっているのですね。それで、着々やっているというのであなたのほうは出した。着々やっているというちゃんと証拠に基づいて、それだけの理由があって出来高に応じて出すわけなんですね。そういうことがないならいいですよ。ただ融資決定をして、よし貸そうということでぽんと貸してしまうということなら、あなたのほうの言いわけも立つのだけれども、それを具体的に資金をどう出すかということについて、やはりある程度の規制があるわけですね。あなたのほうの内部規程か何かあるわけです。そうして、そういうことを精査した上で、現場を確認して、それでこれだけ使ったということで貸し出したということである以上は、あなたの言われるように、着々とやったことは一つもないじゃないですか。着々とちっともやっていない。結局くい打ちをやった程度で、ところが、前もってそれに使うブドウ糖の機械や何かじゃなく、発注したものは、精製のほうをふやすために、精製の工場を増設するために、その機械を相当前に発注したことは、あなたのほうはわかっていたはずでしょう。それがどうも解せないですね。それは何としても解せない。それはもう少し弁解できますか。しかし、できないならできないと言ってくださいよ。
  63. 横山利秋

    ○横山委員 ちょっと関連して。どうも納得できないと思うのです。それで、私どもがあなたに聞きたいのは、どうしてこういう間違いが起こったか、どこにミスがあったかということを、将来のためにも率直に聞きたいのです。普通だったら出来高払いで大体払っていくわけですね。五億の中の四億も支出をしてしまうということ自身に疑問を持つわけです。しかも、あなたは領収書をちゃんともらった。現地を確認したとはおっしゃらないけれども、どうもそれがいつもは普通ですわね。領収書をもらい、現地を確認し、工事の進捗状況に応じて金を出していく、これが普通ですよ。それが行なわれなかったのかどうかはっきりなされない。結局あなたは融資を失敗した。繰り上げ償還をさせるということは、どこかあなた方の仕事の中にミスがあったのですね。それをまず認めて、そうしてどうしてこういう間違いが起こったのか、将来こういうことをカバーするためにはどうしなければならないかということで、かくかくの点が反省されるという点を、もうここまで議論をし尽くしてきた問題ですから、率直にはっきりしてください。
  64. 大沢融

    ○大沢説明員 私ども、この事件が起きましてから、政府から調査を命ぜられておりまして、政府にも報告しております。政府でもそれをお取りまとめになって、一両日中に御報告があるのじゃないか、こう思いますが、細部の点はその御報告に待つことにいたしたいと思いますが、先ほど来、これは最近まで現実にブドウ糖工場をつくるということで金が使われ、工事が行なわれてきた、これは事実ございます。しかし、ことしの八月から、ブドウ糖工場をつくる基礎工事の上に砂糖工場をつくるということに変わってきた。ですから、最近まではブドウ糖に融資した金が流用されているという事実は、結果としてはなかったと思いますけれども、最近において砂糖工場にその基礎工事が使われるということになりましたので、最近において資金の流用が行なわれるという事実が明確になったので繰り上げ償還をさせた、こういうことでございます。
  65. 畑和

    畑委員 先ほど横山さんが言われたように、全く五億のうち一億くらい出ていたということならわかりますよ。聞こえますよ。ところが、ほとんど四億を全部出してしまったのでしょう。あと一億しか残っていない。全部出してしまった。それで、いまになってそれがわかったということはどうもおかしいと思う。それではしからば、ブドウ糖工場について、そのときの現状においてどこまでの工事がなされておったのですか。そこが聞きたいのです。ほとんどやっていないじゃないですか。埠頭は共用だとか何の共用だとか言いますけれども、そういうことがあるかもしれないけれども、とても四億にはいかぬと思うのです。その点がどうしてもわからぬ。
  66. 大沢融

    ○大沢説明員 これも調査の結果が政府から御報告があれば、現実にブドウ糖工場にどのくらいの金がかかって工事が行なわれていたかということははっきりすると思いますけれども、それは私どもの調査では、四億以上の工事が行なわれていたということは言えるのじゃないか。それが、四億以上かけてブドウ糖の工事をされたものが最近において砂糖に転用されてしまったというその事実が資金の流用。資金の流用という事実があったのは最近ということになりますので、その事実をとらえて直ちに繰り上げ償還をさせた、こういうことでございます。ずっとくる過程では、確かにブドウ糖の工事に金が使われていたということは言えるのであります。おそらくこれは報告があればもっとはっきりすると思います。
  67. 畑和

    畑委員 どうもそれは理解できないですね。  それでは次に進みます。その四億という金を出すについて、さっき言ったとおり、いろいろ受け取りなんかを出し、請求書を出し、これだけの仕事をやりましたということで出してきた。よろしい。それを見てその上で金を出された。そのときには少なくともそれだけのことはもうやられておるという形が、書類において証明されたわけでしょう。だから出したのでしょう。その点はどうでしょうか。
  68. 大沢融

    ○大沢説明員 その当時のことはただいま調査いたしまして政府に御報告申し上げておりますから、その結果でひとつ御判断を願いたいと思います。
  69. 畑和

    畑委員 それなら報告してあるのだから、もうわかっているはずだ。農林水産委員会は農林水産委員会、決算委員会は決算委員会、法務委員会は法務委員会ですから、もうきょう大臣のところで話し合うそうだから、そこまでいっているならわれわれに答弁できないはずはない。それはぜひとも答弁してください。金庫で答弁できないと言うなら、政府でよろしい。政府が答弁してください。食糧庁か農林経済局長か、どっちでもよろしい。
  70. 澄田智

    ○澄田説明員 便宜私のほうからお答え申し上げます。  先般来各委員会で申し上げておりますように、政府として、農林省、大蔵省共同いたしまして、本件につきましていままでいろいろ御質問のありました事項、いろいろ問題になりました事項につきまして、一括してこれをまとめて報告をするということで調査に着手いたしました。いままでにそれぞれ開発銀行、農林公庫あるいは農林中金、各機関に調査を命じまして、調査の報告が逐次出てまいりました。それを取りまとめまして、目下報告書を作成しつつありまして、いまのところ明日には報告としてまとまって提出できる、こう思っておりますが、現在のところまだ報告書はでき上がっておりませんので、報告書を待ってお答え申し上げたいと思います。
  71. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連。少なくとも四億円の金を出しておるのです。出すについてはいろいろ調査をしてやる。事故調べは事故調べ、機械の注文は機械の注文というところで数回出しているはずですから、大体四億円という大金を何回に出しておるのですか。報告は報告だろうが、ここの法務委員会で確かめたいのはそこなのです。
  72. 大沢融

    ○大沢説明員 金を払い出しましたのは三十九年の十月六日でございますけれども、その当時、三十九年の八月二十七日だったと思いますが、そのときに現実に幾ら金を使ったかという調査をしているわけでございます。それは先ほど申し上げたようなことでやったわけですが、その当時つかんでおりましたのが、たしか七億幾らかのものだったと思います。そういうことで、ブドウ糖融資というのは全体の事業費の六割以下を融資する、そういうことでやっておりましたので、現実に七億何がしのものが使ってあれば、その六割程度、四億幾らになりますが、四億程度のものは払い出して差しつかえないじゃないかということで、払い出しをしておるわけでございます。
  73. 畑和

    畑委員 それがまことにどうも金庫はずさんですよ。だまされているんですよ。よく言えばだまされているんだ。悪く言えばこれは共犯だ。実際開銀なんか八回にも分けて出している。着実にやっているんだ。現地もよく見てやっている。ところが金庫はさっぱり。それを一度に出したというんだ。そういうことが私はどうもおかしいと思う。だからそれはだまされているんだ。やはり大森さんの言われた偽造なんでしょう。ほんとうですよ。結局はいいかげんの書類をでっち上げて、それでともかく資金を早くもらって、それを砂糖のほうにつぎ込むのは初めからわかっている。そうだとすれば、これは明らかに文書偽造による詐欺ですよ。それにあなたたちはひっかかった。さもなければ知っているということになりますね。知っているとすれば、共謀ということになります。資金を決定するときでなくて、実際出すときに、こういう要件がなければ出さぬということであれば、もしそれが偽造であって、うそであってあなた方がひっかかったとすれば、その四億円を出すときに騙取をされた、詐欺をされた、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  74. 大沢融

    ○大沢説明員 その辺の事情は、調査の結果、政府からいろいろお話があると思います。
  75. 畑和

    畑委員 政府がこれから答弁すると言って逃げていますけれども、それは逃げられぬですよ。当事者ですよ。いまの総裁はいつおかわりになりましたのですか。私はその前の人がくさいと思うのだ。あなたは比較的最近だと思うのだ。だからかまわないじゃないですか。はっきり事実は事実として言ったらどうですか。ともかく共犯かあるいは詐欺か、どっちかだと思います。あなたがそういうことを答弁できないはずはないと思う。どうしても言わなければ、時間ばかりたってしょうがない。あしたもう発表するんだから、そのくらいのことは言えないことはない。膨大なものを全部言えというのではないから、この問題だけどうだというのだから、大体この問題が焦点だから、わかっていると思うのだ。銀行局長どうですか。わかっているはずだ。
  76. 大口駿一

    ○大口説明員 経済局長が直接の所管でございますが、便宜私からお答えいたします。  先ほど銀行局長がお答えになりましたように、政府の報告書は実は明日国会に提出をするということでございますが、報告書の文案を作成いたしまして、政府の責任で国会に提出をいたしますためには、実は最終的には大臣の決裁を経なければならぬわけでございますが、農林大臣は東南アジア旅行から昨晩おそく帰ってまいりまして、現在本省において報告書の全文を検討していただいておりますので、私どもの立場といたしましては、大臣決裁の済んでおらない書類ということで取り扱っております点を御了承いただきたいと思います。
  77. 横山利秋

    ○横山委員 私どもはいま報告書を見せろと言っているわけではない。事実を究明している。問題の焦点になりましたのは、この四億を三十九年八月二十七日ごろですかの調査でお出しになった。その四億というものは、何もまだ工事も始まらぬ、現実に仕事ができていない部分が多数あるのに、なぜそういうことをするのか。だから初めから領収書とかなんとかいっても、四億はずぼっと出したのではないか。何もでき上がっておらぬうちから、何も買わぬうちから、領収書もないうちから出したのではないか、そういう疑問を私は持っているものだから、三十九年八月二十七日ごろは工事は大体どういう状況にあったか、四億を出すべき現実にあったか、まだ出すべき現実でなかった部分が多大であったのではなかろうか、こういうことに疑問を持っているわけですよ。大体あなた方のほうは出来高によって金を出していくのではないのですから、できもせぬうちから初めから銭を出していく仕組みですから。ほかの公庫はそういうことをやっておらぬのです。だからそこのところを何も報告書を出せとは言やせぬ。この問題の畑さんの質問に対して率直に答えたらどうですか。なぜそのことを答えられないのですか。そうすると、それじゃあなたは言いたくない。銀行局も食糧庁も言いたくない。それじゃいま農林大臣手元で紛飾の報告書をつくっておるのではなかろうか。その事実を曲げようとした報告書をつくっているのではなかろうかという、そういう疑問を持っておりますけれども、このことを、事実をはっきりしてください。
  78. 大沢融

    ○大沢説明員 当時私が申し上げました八月二十七日の支払い状況の確認後の調査では、三十九年十月六日に払い出しをしているわけです。これは三十九年の十月末には整地も完成し——もちろん土地を手に入れてです。それから基礎工事は来年初めにする。機械は発注済みである。それから自家発電は工事中である。汚水処理施設も工事中である。専用埠頭も工事中であるというようなことで締めまして、先ほど申し上げましたように、七億何がしのものが現実に金が支払い出されておるということで四億ということをやったわけでございまして、何にも工事ができていないのに何かしたというようなことではなくて、支払い手形、あるいは先ほど申し上げた領収書、帳簿、そんなものを突き合わせて会社の報告も聞き、工事がどのくらいできておって、どのくらい進んでおって、どのくらい金が要るのかということを確認して、四億を払い出しましたということをやっておったと思います。
  79. 畑和

    畑委員 それは確認をされたでしょう。しかし、それはあくまで書類の上での確認だ、だからこそこういうことになった。こういうことになるはずはないのですよ。ほんとうに現物を確認して、機械を調べればどういう機械か、これはブドウ糖の機械だ、製糖の機械だということはわかるはずですよ、専門家が見れば。ところが、その当時、現地のほうの確認をしていない。書類の上の確認なんだ。その書類が偽造によるものだから、だまされるのはあたりまえだ。その結果が四億円の償還ということになったのでしょう。ようやくあなた方が認めた。最近まではがんばっていたけれども、最近衆議院の決算委員会の段階になって四億円の償還を命じました。こう言っておる。これは書類だけですね。いま言った領収書や何か、それがそのとおりだと思った。そう言ったらいいじゃないですか。実際の現地の確認はいたしませんでした、書類だけでやりました、したがって書類の偽造でしたから、だまされたのです、四億円だまし取られたのです、こう言えばいいのではなかろうか、こう思うのです。どうでしょうか。隠すことはありませんよ。ここまできておるのですから。怠慢は改めればいいんだよ。
  80. 大沢融

    ○大沢説明員 当時の数字を申し上げますと、土地について千二百六十三万円、整地に四千万円、工場本館、原料倉庫、製品倉庫というようなものについて二億二千万、それから機械が二億八千六百万、それから自家発電が三千万、専用埠頭が千百二十万、汚水処理が五千七十三万、なまでん粉の貯蔵槽が八百九十五万円というようなことで六億五千九百五十一万円という数字は、実際の支払いをしておるということを三十九年の八月二十七日につかんだわけですが、その後三十九年の十月六日に払い出しをしたわけですが、そのときはいま申し上げたものに、さらに九千四百万円の手形決済が済んでおるということで、先ほど申し上げた七億五千三百五十一万円ですが、それだけのものが払い出されておるということで四億を出した、こういうことでございます。
  81. 大久保武雄

    大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後零時十分開議
  82. 大久保武雄

    大久保委員長 直ちに再開し、質疑を続行いたします。畑和君。
  83. 畑和

    畑委員 農中は来てい幸せんか。いまさっきの問題、あれだけれども、農中が来ていればそれによってまだ農中に大いに質問したいことがあるので……。
  84. 大久保武雄

    大久保委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  85. 大久保武雄

    大久保委員長 速記を始めて。
  86. 畑和

    畑委員 先ほどの問題については、もっと明確に、正直に、はっきり話してもらいたいのですがね。あした政府の発表があるからというので、いいかげんにしないで率直に、事実は事実として話していただきたい。まことに遺憾です。  それでは、それで議論していてもしかたがありませんから、その次の問題に移ります。  一体公庫のほうでは、この共和製糖グループのほうに、細島と限らず、全部でどのくらいの融資をしているのですか。
  87. 大沢融

    ○大沢説明員 細島以外、共和グループ関係の共和糖化工業十二億——ちょっと正確な数字を私覚えておりませんが、十一億幾らかの融資をしております。
  88. 畑和

    畑委員 どういうふうに融資をして……。ちっとも償還はされていませんか。
  89. 大沢融

    ○大沢説明員 ことしの春条件変更するまでは、前の分は利子の支払いはあったわけでございますが、現在は全部のものについて来年の四十二年の三月三十一日まで支払いの猶予をしておる、こういうことでございます。
  90. 畑和

    畑委員 そこで公庫のほうでは、ブドウ糖関係の会社に全部でどれだけ融資をしていますか、同じ業界にですね。どれだけ融資をしているうち、どれだけが今度は共和グループに融資されているか、それを聞きたいのです。
  91. 大沢融

    ○大沢説明員 六十億程度の融資をいたしまして、現在残高が、正確な数字を申し上げますと四十六億五千万でございます。
  92. 畑和

    畑委員 そうすると、四十六億五千万のうち十一億幾らですか。
  93. 大沢融

    ○大沢説明員 十一億八千万でございます。
  94. 畑和

    畑委員 十一億八千万円を共和グループに貸している、こういうことになりますね。そうすると、割合は総体の約二割五分、この業界に貸しているうちの二割五分を共和製糖グループに貸している、こういうことになりますね。
  95. 大沢融

    ○大沢説明員 残高について申し上げますとそういうことになりますが、全体で貸したものは六十二億でございますから、これに貸したのは十二億、そうしますと二割程度のものになる、そういうことじゃないかと思います。
  96. 畑和

    畑委員 そこで、参考までに聞きたいのですが、ほかのブドウ糖会社あるいは製糖会社、これは両方ですけれども、こういった甘味の関係をやっている会社でいろいろ設備投資などをいたしておりますけれども、大体どのくらいが民間資金であってどのくらいの割合が政府あるいは政府関係機関の、農中も含めて、資金になっておるか。その割合を、食糧庁ですかどこですか、聞きたいのです。
  97. 大沢融

    ○大沢説明員 ブドウ糖につきましては設備資金の六割見当ということで貸しておりますから、大体の会社がその程度で歩調が合っているのじゃないかと思います。
  98. 畑和

    畑委員 そういう意味じゃないんだ。そういう意味じゃなくて、いろんな業界の会社が総体的に資金を市中銀行に求めている割合がどのくらいか。それはそちらの農林省関係者のほうでわかるでしょう。大体でいいですよ。
  99. 大口駿一

    ○大口説明員 直接の担当でございませんので、ちょっと手元に資料を持っておりませんから、もし御必要があれば電話等の連絡によって後ほど説明させていただきたいと思います。
  100. 畑和

    畑委員 私のほうの計算では、約七割を市中銀行に一般は求めている。三割が中金とかあるいは開発銀行とか公庫とか、こういうところから求めておるように聞いておる。やはり市中銀行の、あるいは自己資金が七割を占めている。公の機関からは三割くらいの融資を受けている。こういうふうに聞いておる。ところでこの共和製糖グループは非常に多いのです。全体の九割までが公的な機関から融資を受けている。そういうふうに私のほうの調査でわかっておるのですけれども、どうですかその点、農林省関係当局……。
  101. 大口駿一

    ○大口説明員 いま数字を問い合わせておりますので、その点は後ほどお答えをさせていただきたいと思います。
  102. 畑和

    畑委員 どうもそのくらいのことがわからぬではしようがないね。大体共和製糖グループにあまり公的な機関が貸し過ぎていますよ。九割も貸しているんですね。実際なっておらぬ会社だ。欠損続きで、公の機関からばかり借りている。民間はほとんど貸さないんですね。民間から借りているのは、静岡銀行から一億、三和から三億、平和相互から一億に満たない何千万か、そんなところだと思います。それ以外は全部開発銀行であったり、あるいは公庫であったり、あるいは機中であったり——一番農中が多いですね。それを合計しますと、ほとんど九割が公の金融機関。一般の同業者は三割しか借りてない。七割は自己資金あるいはそういった市中銀行から求めておる。これが私は非常に解せないんだ。政策的にことさらに共和製糖グループに対しまして、政府あるいはその関係の金融機関が——政府があっせんするから、推薦するからそういうことになるかしらぬけれども、きわめて公平を欠いている。アンバランスだ。そういう点を私は指摘したい。こういうことが今度の問題を生むことになったと私は思うのでありまして、この点は改めてもらいたい。生産のシェアからすれば、砂糖とブドウ糖と両方ひっくるめて一割五分しかないのに、いま言ったように公庫は二割五分、農中はここにいないけれども、農中の資金貸し出し率は総ワクの三割強を共和製糖グループにだけ貸しておる。全く不公平きわまる。こういう融資態度を改めてもらいたい。これは大体農林省が悪いです。だからこういうことになる。何かいわくがあるからこういうことになると思うのです。こんなおんぼろ会社で、さっぱりわからないような会社、自己資金がほとんどない、市中銀行からも借りられない、そういうところに国家資金を、国民の膏血である税金からできておる資金あるいは農協の集めた農中の金、こういうものをどんどん出しておる。こういうことが私は解せない。こういう点はどうなんです。肝心なときに農林大臣はおらぬけれども、食糧庁、どうですか。
  103. 大口駿一

    ○大口説明員 あるいは御質問に直接お答えすることでないかもしれませんが、私、直接金融担当ではございませんので、食糧庁といたしまして、ブドウ糖企業の育成について現在までとってまいりました方針等について御説明をいたしたいと思います。  御承知のように、ブドウ糖の原料でありまするでん粉は、昭和三十三年以降非常な過剰状態になりまして、このでん粉を生産いたしまするイモ作農家の経営安定という見地から、この過剰でん粉処理の有力なる方途といたしまして、そのころからブドウ糖企業の育成をはかってまいり、また制度金融等についても促進をするということによって、ブドウ糖の企業を大いに育成をするということでやってまいったのでございまして、その後、現在におきましては、当時の状況から大いに育成をされましたブドウ糖の企業が、最近においてはむしろ原料でありまするでん粉が、イモの減産等に基因をいたしまして、若干不足ぎみである。したがって、ブドウ糖の原料でありますでん粉の価格も非常に高騰いたしておるのが現状でございます。ブドウ糖の製品の価格というものは、砂糖の価格との代替関係と申しますか、関係がございまするので、最近の砂糖の価格が、過剰設備等に基因をいたしまして非常に低迷状態にあります関係上、ブドウ糖企業といたしましては、製品安の原料高という状態にこの一両年おちいっておるのでございまして、食糧庁といたしましては、従来とってまいりましたブドウ糖企業の育成方針を、現時点を含めまして、今後どういうふうな形でブドウ糖企業対策を立てるかという、非常に大きな問題に直面をいたしておるわけでございます。現在までにブドウ糖企業に公庫その他の制度金融を大いにあっせんをいたしました結果は、いま私が申し上げましたような、食糧庁といたしましてブドウ糖企業を積極的に育成をするという方針のもとに大いに馬力をかけました時代に融資をされましたものが、現在残高として集計をされておるのではないかと思うのでございます。共和製糖グループにつきましては、昔からある会社ではございませんが、最近甘味資源関係の産業に非常に進出をしてまいった会社でございまして、現在の共和グループの生産シェアは、先ほど畑委員が御指摘になりましたように、ブドウ糖におきまして約一五%程度の生産シェアではございまするが、ブドウ糖企業は、御承知のように大部分のものが水あめ加工を兼業いたしておるわけでありまするが、最近起きてまいりました共和グループ関係は、ほとんどブドウ糖専業であるということ等もありまして、生産シェアが一五%であるのにかかわらず、農林漁業金融公庫の共和グループに対するブドウ糖貸し出しの比率が、ブドウ糖企業全体に対する貸し付け残高の比率に占める割合が生産シェアより若干高いという傾向は、そういうことにも基因をしておるのではないかというふうに私は推測をいたしております。一応食糧庁といたしましてブドウ糖企業に対する従来とってまいりました育成方針並びに現在のブドウ糖企業が置かれておりまする現状等について、概略を御説明いたしました次第でございます。
  104. 山田長司

    山田(長)委員 関連して、食糧庁のほうに伺いたいと思います。  それは、ブドウ糖とてん菜糖の栽培に関しまして、いろいろ覚え書きが各方面に取りかわされていると思います。その覚え書きで取りかわされている内容について、差しつかえないものがありましたらお聞かせいただきたい。
  105. 大口駿一

    ○大口説明員 いまのお尋ねは、てん菜についてという御質問でございますか。
  106. 山田長司

    山田(長)委員 いや違う。てん菜糖とブドウ糖の栽培について、各方面といろいろ覚え書きが取りかわされていると思います。その覚え書きの内容について、ここで差しつかえない範囲で、どことどういう覚え書きが結ばれているか、この覚え書きの内容について、ごく短い説明でいいですから、明らかにしてもらいたい。
  107. 大口駿一

    ○大口説明員 突然のお尋ねでございますが、私の承知をいたしておりまする範囲では、ただいま山田委員がお尋ねになっておりまする問題は、てん菜の生産と関連をしてブドウ糖企業をやらせるという会社についての覚え書きのことをさしておるのではないかというふうに記憶いたしております。  この問題は、会社の名前を申し上げますると、岡山の横浜精糖が南九州のてん菜、暖地ビートの加工をいたしますることが決定をいたしましたる際に、年間の一時期だけの操業であるという観点から、この岡山工場に対しましてブドウ糖の加工を認めるということをやりました際に、会社と食糧庁等との間でいろいろな取りきめがあったように記憶をいたしておりまするが、その問題をさしてのお尋ねではなかろうかと思います。私、きょう突然のお尋ねでございまするので、その間の資料は、もちろん役所に戻ればあるわけでございますが、ちょっと手元に持っておりません。したがって資料なしでお答えをするので、やや抽象的にわたる部分があるのを御了承いただきたいと思います。  南九州でいわゆる暖地ビートというものを育成をするということで、南九州の生産農民の所得向上、経営安定という見地から暖地ビートを育成いたした時代があるわけでございますが、暖地ビートを加工いたしまするてん菜工場といたしましては、栽培面積並びに原料の生産高がある程度の規模に達しませんと、工場建設をいたしましても採算に乗らないということから、将来ある程度のてん菜の栽培規模になるまでは現地に工場建設をしないで、将来建設のために移転をするという予定ではありますけれども、それまでの間、すなわち経済採算に乗るような原料生産の事情になりますまでの間は離れた場所でもっててん菜加工をやらせるということがきまりました際に、その工場に関しましてブドウ糖の企業もあわせ行なわせることによって、原料生産が十分でない時期における採算の不利な点を若干考慮するというような考え方に基づいてブドウ糖企業の新設を認めたことがあるわけでありますが、その際のことではなかろうかというふうに推測をいたします。その際の考え方は、将来南九州の原料生産が相当な水準に到達したならば、その工場が、南九州の原料生産地帯に新たに工場建設をして移転をする。そして移転をするまでの間は現在地においてブドウ糖生産をやるのだ。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 しかし、もし会社がかってに工場の移転をしないということになれば、その際政府としてブドウ糖の新設を認めた考え方はもとへ戻さなければならないという趣旨の内容ではなかろうかというふうに承知をいたしておりますが、先ほど申しましたように、手元に覚え書きの原文を持っておりませんので、この程度のお答えで御承知をいただきたいと思います。
  108. 山田長司

    山田(長)委員 次に伺いたいのは、粗糖の自由化が三十八年の八月と記憶しているわけですが、その三十八年の八月に自由化した以後において、どういう関係でビート、それからてん菜糖の奨励を農林省としてはしなければならなかったか、ここのところの前後がよくわからないのですが、お教え願いたいと思うのです。
  109. 大口駿一

    ○大口説明員 粗糖の輸入の自由化をいたしましたのは、ただいま御指摘のように三十八年の八月でございます。わが国は、御承知のように砂糖の消費量といたしましては、欧米諸国に比べて一人当たりの消費量はまだまだ非常に少ないわけでありますが、最近の経済の成長、これに伴います国民所得の水準の上昇に伴いまして砂糖の一人当たりの消費量、ひいては国全体の甘味資源に対する需要というものは相当な増大を見ておるのでございます。これは現在もそういう事態でございます。この膨大であり、かつまた急速に伸びておりまする砂糖、甘味資源の需要をまかないます国内生産はどうかと申しますと、砂糖の自由化前後におきましては、大部分のものが輸入粗糖を原料とする精製糖、すなわち原料を海外に依存しなければならない状態でございます。政府ないし食糧庁といたしましては、日本国民が必要といたします甘味資源の海外依存度をできるだけ縮めて、国内の自給度を高めていくということが国民経済上望ましいという考え方と、それから国内の甘味資源の原料でありますてん菜あるいはブドウ糖の原料でありまするサツマイモ、でん粉等は、ことにてん菜とイモでございますが、これは日本の国内で比較的有利とされております農作物が生産できない地帯、すなわち日本の北の端でありますとかあるいは南の端、すなわち農作物の生産条件が非常に有利でない地帯の畑作物として、その地帯の生産農民にとっては非常に大きな収入源と申しますか、重要な作物であるわけでありまして、砂糖全体の需要を海外に依存しなければならない重荷をできるだけ軽減したいという考え方と、国内で生産をされます甘味資源作物の原料であります農産物が、その地帯の農家の経営にとって非常に重要であるという考え方と、両者にらみ合わせまして国内の甘味資源、ひいてはその原料であります甘味資源作物たる農産物の生産の育成ということは、砂糖の自由化前後を問わず、ことに砂糖の自由化後、最近において非常に力を入れておるのが現状でございまして、たまたま主として力を入れました時期が砂糖の自由化をされました三十八年八月以降になっておりますけれども、自由化をしたからそういうものを育成するというのとは少し違うわけでございます。  ただ、自由化との関連を申しますと、どこの国でもそうでございますが、てん菜糖の生産コストというのは、粗糖を原料として生産されます砂糖の原料コストに比べて著しく高いのでございまして、すでに欧米諸国において、てん菜糖生産の相当長い歴史を持っている国におきましても、採算的には非常にハンディキャップがあるわけでございまして、粗糖が自由化をされまして国際糖価の影響を受けますと、非常に影響の受けやすい部門であることは確かでございます。したがいまして、国内の甘味資源作物の生産農家にその影響をできるだけ及ぼさしめないという配慮も砂糖自由化後には新たに加わって、いろいろな法律制度等を策定いたしたわけでございますが、そのような作物の生産奨励をいたしております基本的な方向は砂糖自由化と直接の関係はなく、農林省の方針としてやってまいって今日に至っておるというふうに御説明いたすべきではなかろうかと思っております。
  110. 山田長司

    山田(長)委員 関連ですからあと一点だけで、いずれもっと詳しく伺う機会を持ちますけれども、もう一点だけ伺っておきます。  いま長官は、九州のほうにおけるビートの奨励についてのありさまを言われましたが、鹿児島の県会では、ビートは合わぬということで決議をして、生産をやめる事態に立ち至っております。ことしの春ですね。しかも農民は、これがすばらしい農産物であるということで奨励を受けて、そのままこれに一生懸命盲従して生産に励んでおったのが、決議によってとたんにやめなければならぬ事態ということは、農民にとってたいへんな障害だと私は思います。農村の近代化であるということから奨励を進めておったものが、そんな簡単にやめられてしまったというようなことでは、これは農民の生活に大きな脅威をもたらすものだと思われますが、これがやめなければならぬ事態というのは一体どういう事態だったのですか。
  111. 大口駿一

    ○大口説明員 南九州におけるてん菜を将来に向かって育成していこうということは、ただいまその前の御質問に対して、私が食糧庁なり農林省の畑作地帯における農業生産政策の一つの方向を申し上げたつもりでございますが、その方向に合致をするものであるということで育成をいたしたのでございますが、てん菜の生産をし、さらに加工する工業を発達させますためには、生産が一定の規模以上になりませんと、工場そのものも採算がとれないということになりますので、育成をいたして一定の規模以上の規模に持っていくということで、鹿児島県当局と農林省とも力を合わせてやってまいったのでございますが、遺憾ながら当初われわれが意図いたしておりましたようなテンポでは、鹿児島県の暖地ビートの生産が思わしく伸びなかったということから、鹿児島県においてはこれ以上のてん菜糖の生産育成を続けることは、将来に向かってむしろ方向転換をすべきではなかろうかということで、私どものほうもそういう考えに傾いておりましたのと、たまたま鹿児島県の県議会でそのような決議が行なわれましたのが大体同じ時期であります。もちろん私どもといたしましては、過去においてそのような作物の生産育成に大いに力を入れまして、その間において生産農民に対しましてもそういうような角度で指導をいたした責任があるわけでございますから、暖地ビートの生産を他に切りかえることにつきましては、今後かわるべきものとしてどのような作物を栽培させたらいいかということ等も真剣に考えますと同時に、将来の代替作物については、でき得れば予算的措置を講ずる等によって、生産農民が結果的に非常に不利、不安を招くようなことのないように配慮すべきであるということは当然であると思いますので、農林省のそれぞれの担当の部局において現に明年度の予算要求につきましても、かわるべき作物についての生産補助的な予算要求等も検討いたしておる段階でございますが、御指摘のように、生産農民にいたずらに不安を与えないということが、農林省として今後考えていくべき方向ではなかろうかというふうに考えております。
  112. 山田長司

    山田(長)委員 いずれこの問題につきましてはあらためて質問をすることにいたします。坂本委員の質問があるようでありますから、私の質問は打ち切ります。
  113. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 坂本君。
  114. 坂本泰良

    坂本委員 大臣にちょっと一点だけ先に承っておきたい。  十月二十一日のストライキの問題ですが、これについて東京都と岩手県、佐賀県、福岡県で家宅捜査が警察の段階で行なわれ、そして参考人の調べがいままだ続行しておる、こういう状態にあると私どもは思っております。被疑者の呼び出しあるいは尋問等はまだないじゃないか、こう思っておるわけです。  そこで家宅捜査、参考人尋問のいろいろな問題についてはあとでお聞きしますから、ここで大臣にお聞きしておきたいのは、一〇・二一ストに対しては、文部省は、違法であるから厳罰に処する、こういうようなスト前の状態で十月二十一日ストに入ったわけです。多少まちまちではございますけれども、全国で九十何%が半日ストあるいは一時間ないし二時間の時間内ストに入ったわけです。それに対して、先ほど申しました東京都ほか三県だけについて家宅捜査が行なわれ、参考人尋問が行なわれております。  そこで、われわれの見解では、やはり公務員、地方公務員もスト権がある。いわゆる労働基本権は教員にも認められている。これに対しては憲法二十八条の保障がありまして、それで労働組合法の一条に基づくストライキであればこれは適法である、こういうふうに考えていたわけなんです。その後二十六日になりまして、これは中郵事件と申しまして、公労協の中央郵便局の事件ですが、これに対して最高裁の大法廷の判決が下されました。その判決の中において、公務員あるいは地方公務員に対する労働争議の件についての見解が出ておるわけであります。「労働基本権は、たんに私企業の労働者だけについて保障されるのではなく、公共企業体の職員はもとよりのこと、国家公務員や地方公務員も、憲法二七条、二八条にいう勤労者にほかならない以上、原則的には、その保障を受けるべきものと解される。「公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことは許されない。」こういう見解が出されている。さらに詳しく申しますと、この判例にあるわけですが、国家公務員も地方公務員も全体の奉仕者だからスト権がないという見解ではなくて、やはり労働基本権を持ち、二十八条の保障はあるのだ、こういう見解が示されたわけなんです。二十一日のストライキは何ら暴力その他のことはないのでありますから、まさにその判例に従いますと、これは刑事責任はないではないか。その他の責任は別としまして少なくとも刑事上の責任はない。こういうふうに、われわれの考えとマッチするような判決が下されておるわけです。  こういう状態でありまして、学校の先生がストライキをするなら、もうそれだけで文部省の諸君なんかは、観念的に考えて、ストライキはできないのだ、こういう考えでやっていたのが文部省の方針であったわけです。しかしながら、憲法の解釈については、公労法の判決ではありますけれども、その中にその解釈が下されたる以上は、やはり大法廷の判決は権威あるものとしてわれわれは尊重しなければならぬ守らなければならない、こう思うわけです。したがって東京都ほか三県については、参考人の調べも、あるいは最初のように二十一日がストライキですから、二十二日あるいは二十三日には、ストライキは違法であるというので積極的に家宅捜査並びに参考人の調べを行なったが、いまはやや数においても少なくなっておるではないかと思う。この点はあとで警察当局にお聞きするわけですが、そういうような段階にありますから、これは福岡の検事正並びに佐賀の検事正に面会しましたときには、家宅捜査並びに参考人の調べは、これは検察庁にまだ事件がきていないし、検察庁は素通りして警察から直接家宅捜査令状をとってやっておるのだ、だからいまは関係ない、こういうことでした。ただ佐賀の場合においては、副検事が巡査と一緒に学校の先生の自宅あるいは学校に参りまして、参考人調書を警察官がとると、それに引き続いて副検事が検察官の調書をとっておる。これは私が十一月一日に調査に参りましたときはわずかに六人だけでありましたけれども、そういうようなことが行なわれておるわけですが、これはかりに検察庁に事件が回りまして、そうして調査をされ、さらに起訴されましても、これは重大な問題であるから、この判決を契機に、これは起訴しても公訴維持ができないのじゃないか、こういうような見解もあるわけです。佐賀県のごときは、学校の先生、組合員は四千数百人しかいない。それがいたずらに千人以上を参考人として調べ、さらにまたこの点を検察庁にきて調べる、こういうことになりますと、ストライキは教育を撹乱するという名目で文部省はそれはいかぬと、こういうふうにやっておりましたけれども、今度はストライキは違反であるという見解で、参考人の調べに学校に行く、さらには自宅に行く、こういうことになりますと、教育者である学校の先生に対し、形の上では任意供述というふうになっておるのでありましょうが、まことに迷惑であるし、そのことがやはり翌日の教育にも影響することでありますから、四千名のうち千名以上も参考人で調べるということになると、それがかえって教育の撹乱を来たすのじゃないか、こういうふうにも考えられます。さらにまた東京都ほか三県以外は何ら家宅捜査も参考人の調べもないわけでありますから、これはひとつこの際打ち切って、やはり、最高裁大法廷の見解が出た以上は、文部省もいままでの見解を変えてやるべきである、そうすることが日本の小中学校、もちろん高等学校もありますけれども、日本の教育をよりよくするものである、こういうふうにも考えられますから、参考人調書等も打ち切ってはどうか、こういうふうに考えるわけであります。御存じのように選挙違反等については、ある一定の期日がきますともう打ち切るというので、その後相当の違反がわかっても捜査をしないというようなこと、まあこれは選挙違反とは別ですが、私は教育の撹乱というようなことを考えるとやたらに調べてやるべきじゃない。  さらに一言しますと、日教組の組織自体から考えて、二十一日のスト考えますと、これはあるいは日教組各県本部、県下の郡、市町村支部で、その執行部があおり、そそのかし、扇動するというようなことをしなくても、これは大会、この場合は臨時大会も持たれておるようですが、それから各県において毛大会が持たれて決定したことでありますから、何もあおり、扇動しなくても、そのとおりに、特に先生方は理知的な人ですから、きまったことはやるんだ、やらないものはやらないということで、二十一日のストは行なわれておるようなわけであります。今後の教育の問題等も考えて、さらにまた先生がストをやるのはてんから違法だというような考え方は、最高裁のこの判例を見ます上においては言えないわけでありますから、そのような判例の上に立って今後は善処するのが日本の教育のためだ、こういうふうに考えますから、この点について法務大臣の今後の処置についてここに御答弁を願って、そして参考人等にいつ来るかもわからぬ、まだ東京都ほか三県以外のところもどうだこうだと不安がないように、ここに一掃するようにひとつ御見解を承っておきたいわけです。
  115. 石井光次郎

    石井国務大臣 一般労働運動に対しまする検察権の行使にあたりましては、従来から繰り返して明らかにしておりまするように、健全な労使関係の育成と民主的な秩序、正しい労働運動が発展していくようにということを期待しておりますので、その正当なというか、筋道の立った労働運動には介入しないような方法で私ども大体に考えておるわけでございます。  さっきお話のありました裁判所の今度の判例と申しますか、きまりは、これは公共企業体に従事する者の平穏なストライキに対しては刑事罰をもって向かってはいけないということであります。そのとおりに私どもは思います。しかし、公務員の場合は少し違うのじゃないか。公共性が公共企業体の職員よりも強いということ、それから公務員の労働基本権と申しまするか、それの制限が公共企業体等の職員よりもはるかに強いというようなこと、公務員法においては、一般職員に対しまして労組法の適用を全面的に排除しているというようなこと等をいろいろ考え合わせまして、いまお話のありました労組法一条二項の通用はないものだ、私どもここにちょっと区切りを置いて考えなければならないものではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  もう少し詳しいことは刑事局長から補足して申し上げます。
  116. 坂本泰良

    坂本委員 大臣急がれるから、刑事局長にはまたあとでお聞きします。
  117. 横山利秋

    ○横山委員 大臣、お帰りだそうですから、恐縮ですが、ちょっとひとつお帰りの前に、本件と違う先ほどの共和製糖に関連する質問の中で、政治的所信を大臣に伺っておきたい。  先ほど大臣はいささか解散の問題に触れられました。私が大臣政治的所信を伺いたいと思いますのは、大臣はいち早くいわゆる石井派をもって佐藤内閣に協力をする、こういう立場をとられ、先ほどのお話ですと、どういうつもりでおっしゃったか知りませんけれども、解散は当分ないもの、任期まで継続するものというようなお話がちょっと漏れたわけであります。私どもが本国会、休会中ではありますが、全力をあげていわゆる黒い霧を粛正をしようとしている。この点については、良心ある与党の皆さんといえども、また法務行政を担当していらっしゃる石井さんといえども、私は変わるところはないと思うのであります。したがいまして、いわゆる共和製糖を含むすべての黒い霧につきましては、法務大臣としても全力をあげてこの粛正工作に検察陣を指揮してやらなければならぬもの、あなたはいつも検察陣を信頼しておるということだけでありますけれども、しかしそれだけではいまの世論の期待にこたえるわけにはいかぬではないか、こう痛感をいたしておる次第であります。この一連の黒い霧について、法務大臣としてどういうお考えで、どういう指揮をしていらっしゃるかという点が一つであります。  それからもう一つは、こういう場所でお伺いしてはどうかと思いますけれども、それにしてもあなたが佐藤総理を支持し、また石井派は佐藤総理を重ねて総裁として推薦するというようなお考えを新聞で漏れ承ったわけであります。そういうことが、大将があなたでありますだけに、この黒い霧と相関連して私はその総裁公選に対する石井さんなり石井派と称する人々の真意をいささか疑いたいような気がするわけであります。  第三番目には、先ほど何かの話の都合でおっしゃったかもしれませんけれども、いわゆる解散についてのものの考え方であります。あなたが良識ある政治家として、この今日の状態を、来年の任期がくるまで解散はないのだというようなお考えを持っておられるとするならば、いささかあなたの良識を私は実のところ疑っておるわけであります。いかにして政界粛正をし、いかにして失われた政治への信頼を取り戻すかにつきましては、片言隻句をとらえて恐縮でありますが、石井法務大臣個人としても、公人としても、この際所信を伺っておきたいと思うのであります。
  118. 石井光次郎

    石井国務大臣 解散の問題につきまして、どうも恐縮でありますが、私は解散の問題は、さっき申しましたのは、ことばのあやとおっしゃった、そういうふうな傾向もありますが、私は、ひさご会がことしの秋になったのを、それはことしの春ごろからその期日がおよそきまっておったのだ、そのころ解散なんかだれも考えていなかったのだ、私は任期一ぱいということを考えておったのだ、いまもそう考えておるということを申し上げたのであります。解散の問題というものは、私は実はいつあるべきだというようなこと等については、私一個の考えはありますが、いつあるべきというような期日をいま考えておりません。まだその前にしなければならぬ仕事があると思っております。佐藤内閣といたしましては、佐藤総理がこの間北海道の一日内閣においていろいろ話をいたしました。その後の記者会見等においてもいろいろ話をいたしております。来月の初めに佐藤内閣というか佐藤総裁の——私のほうの内輪のことでございますが、総裁の改選期になって改選が行なわれます。私は、おっしゃるとおり佐藤総裁はまだ一期しかやらないのだから、総裁というのは私のほうは二年が一期でありますから、二年では何もできない。少なくも二期やらなければ何もできるものではない。だから二期はやるべきものだというのが大体の私の前からの考え方であります。二期やりますと、日本人はあきっぽいから、あるいはそこいらで人心一新というようなことでやらなければならぬかもわかりませんが、というようなこともありますから、そういうところは私は二期ということを前から言うておるから、この際は私は佐藤君を推すということを言っておるわけであります。藤山さんが立たれるということになっておりますが、内輪のことでございますが、だれがどうなるかまだこれから先わかりませんが、だれがなるにしても、一番先にやらなければならぬことは、私は党内の総裁、総大将として、あるいはこれはすなわち内閣の首班にもつながるものだと思います。佐藤総裁がそのまま残ると仮定いたしますと、まず内閣にも、党の幹部にも大きな人心の一新になるような心をもっての革新をして、なたを入れるということが第一。そうして新しい気持ちで出発し、新しい予算、新しい政策、それによって出ていく。それから先のことは、来年になりますと、御承知のように任期一ぱいがどうせくるのであります。いつのときにかその間に解散がくるかもわからない。それはどうなるか、それから先のことで、これは総裁の考えできまるものだ、情勢を見て総裁がきめればよろしいということで、私はあまりこれは深くは考えておりません。まずその前にそういうことをやるべきものだ、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一つの共和製糖というような問題に関してでございますが、この問題で一体どうやっておるかということでございますが、いろいろ国会内において問題にされておる点は、刑事局長をして、検察当局にすべて詳しく報告させております。   〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 検察当局はそれをいろいろ検討をしておるだろうと思っております。それから先どう考えておるかは私いまのところ何も承知いたしておりません。そういう状態でございます。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 大臣お帰りになってけっこうでございます。  先ほど話が出ました一〇・二一の問題でありますが、私が刑事局長並びに警察当局に伺いたいのは、この捜査のやり方であります。坂本委員がおっしゃいましたように、岩手八十カ所、東京七十四カ所、日教組本部三カ所、役員宅十四カ所、佐賀県では五十四カ所、任意出頭約二千名、まさにけたはずれのやり方であります。しかも、その中で特徴として見られることは、傍若無人のようなやり方であります。ここに写真があるのでありますが、練馬支部におきましてはロッカーを電気ドリルでこじあけた。それから都教組のところではロッカーのかぎ穴の下にドリルを突っ込んでこじあけた。それからやはりこれは東京の支部でありますが、金庫を電気ドリルでこじあけた。それから多少の紛争事案もでき上がった。それから校長など非組合員を立ち会い人としておる。それから佐賀県の教組の関係でありますが、捜査令状を見ますと、支部事務局が使用している場所及び隠匿保管されていると思料される場所という捜査令状であります。ほかの捜査令状を見ますと、そういう「思料される場所」というような表現というのはないし、今日までもぼくはあまりそういうものは見たことがない。つまり警察官が、自分の私的判断で隠匿保管されておると思えばどこでもさがせるという捜査令状であります。こんなことはあまりにも逸脱したやり方ではなかろうかと考えます。とにかく金庫にしたところで、あるいはいろいろなロッカーにしたところで、電気ドリルでこじあけて、あとは知らぬというやり方が許されるであろうか。だれでもいいから、非組合員である校長に、おまえ立っておってくれ、そんなことが許されるであろうか。警察官が保管されていると思量される場合、どこをさがしてもいいというような捜査令状があり得るであろうかと考えてみますと、今回の捜査の特徴というものは、まるっきり強引なやり方ではないか。規模からいっても、やり方からいっても、まるっきり弾圧的様相というものが顕著たるものではないか、こう考えられるのでありますが、その点どうお考えですか。
  120. 後藤信義

    ○後藤説明員 今回の十月二十一日のいわゆる日教組の統一ストライキは、全国にわたりましてかなりの規模で行なわれたわけでございます。これに関しましては、申し上げるまでもなく地方公務員法違反でございまして、三十七条の違反ということで六十一条の罰則の適用があるわけであります。この罰則によりますと、これは争議行為の遂行を共謀したり、あるいはそそのかしたり、あおったり、あるいはこういう行為を企てた者は、そうことで罰則の適用があることになっております。刑罰は三年以下の懲役または十万円以下の罰金でございますが、そういうことでございますので、かなり広範なる争議行為が行なわれたわけでございますが、その犯罪の実体は、こういう先生方大ぜいの人々を争議行為にかり立てた原動力となった方々の責任の追及ということになるわけでございます。したがいまして、先ほど話がございましたが、非常に広範にわたっていわゆるあおられた、あるいはそそのかされたという、そういう先生方の供述を得るということがぜひ必要になってまいりますので、かなり広範なる参考人の取り調べということになっておるわけでございます。  さらに、前々から私ども情報として入手しておりますところによりますと、今回の十月二十一日のストライキは、かなり以前から計画されておるようでございまして、これに関しましては何べんかの会議を開き、そうして指令が出ておるようでございます。したがいまして、これらの内容を明らかにするために、所要の証拠物を収集する必要がございますので、これらについて令状をとって捜索をし、あるいはその他の方法によりまして捜査を進めているわけでございます。御指摘の点は、非常にそのやり方がひどいではないかというお話でございます。私ども、ただいま先生おあげになりました練馬の例を聞いておりますが、これらは、状況をいろいろ聞いておりますところでは、どうも当時の状況上やむを得ない処置であったように考えておるわけでございます。  それからまた、佐賀県のほうで捜索、差し押え許可状の記載が非常に広範であるという御指摘でございますが、こういう例はしばらく前にもございましたし、これは一定の建物の中における証拠物件の存在すると考えられる場所、こういうことでございますので、その場所の特定という点からいたしまして、格別警察官の恣意にまかせられておるという筋合いのものではないと思うのでございます。なお、これは御承知のようにすでに準抗告の申し立てがなされておりますので、これらはいずれそのほうで審理されることと考えております。
  121. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。捜査令状について、裁判所のほうにも所見を聞きたいと思うのです。  佐賀県の捜査令状は、十月二十日に出ているわけです。二十一日の前にですね。前日に出ている。それから福岡県の捜査令状は、二十二日に出ている。その捜査令状の捜索すべき場所が、「佐賀市松原町58」、これも番地かなにか多少違っているようでしたが……。「佐教組佐賀市支部事務局及隠匿保管されていると思料される場所」、こうなっているわけですね。「支部事務局」で切っちまって、「及隠匿保管されていると思料される場所」、こうなっているのです。そうしますと、いまの御説明と違いまして、「隠匿保管されていると思料される場所」、こうするならば、巡査の見解によって、隠匿保管されている場所と思料したというのならば、どこでもできるということになるのですね。こういう広範な令状は、私、無効じゃないかと思うのです。  そこでお聞きしたいのは、第一は、佐賀の地方裁判所が出した捜査令状は、まだ二十一日のストライキがあるのかないのかわからないその前日に出ておりますから、その前日に申請したわけなんだ。これは、地検のほうではそれは知らない、まだ聞いていない、県警本部から素通りで裁判所にいくからわからない、こういうことでありましたが、そこで裁判所のほうですね、前日に捜査令状が出ている第一点の疑問と、それから、捜索令状というのは、これは憲法上保障されております国民の人権に関することであるから、旧憲法では人権に関し非常に乱用されたから、通常は刑事訴訟法的な法律の規定でも、特に憲法事項としまして、憲法の中に、令状は警察あるいは検察官の判断にはよらない、裁判所の判断によって出されるところの令状でなければならない、こうきまっているわけです。したがって、裁判所においては、そのような、事、人権に関する問題は特に慎重にしなければならぬと思うのです。この点が私たちは非常に疑問であります。もちろん地方裁判所の刑事部と民事部が一つずつしかないところでは、刑事部の判事が捜査令状を出したら、それがあとで起訴になった場合に、令状をやった判事が除斥され、裁判に加われないで因るから、民事部の裁判官がやる、こういうことになっておるようであります。裁判官は、刑事部の裁判官も民事部の裁判官も、やはり裁判官としての教養を持ち、法律的見解に立って処理する、こういうことで人権の保障がここに確立する、こういう問題であると思いますが、それがどうもそういうような裁判所都合により、あるいは若い人だから軽いとか、年をとっている人が法律知識があるということは申しませんが、少なくともやたらどこでも捜索されたら困るから、この捜索の場所について特に特定をしなければならぬ。こういうような特定がないわけであります。それはその裁判官の判断によるといえばそれまででありますけれども、こういう点はやはり憲法上の人権の保障のたてまえからして、裁判官は、令状を出す場合には慎重にしなければならぬ、こういうふうに思うわけですが、その点が一つと、第二は前日に捜索令状を警察が請求した、裁判所が前日に出した、問題は二十一日の問題である、こういうことになると、やはりこれは日教組を弾圧するために令状が合法的に出されている、こういうふうにしか考えられない。したがって執行は、二十一日のストの日を一日置いて翌日の朝の六時に執行に来ておる。この日は日曜でしたかで、日曜執行、夕方になるから夜間執行という命令ももらって家宅捜査に臨んでおる。こういうことを考えますと、横山委員の申されましたように、数百カ所の家宅捜査、千名以上の参考人を調べる、そういうことで、やはり日教組に対する文部省の考え方そのままを受けてやっているのじゃないか、こういうのであっては、それこそ私は教育の破壊になると思う。先ほど申しましたように、さらにあおり、扇動というようなことを言われましたけれども、警察官が任意の形式で調書はつくりますけれども、それ自体に教育を撹乱するのじゃないか、こういうように考えますから、この令状の問題については、私は、警察としても裁判所としても——裁判所の慎重さが、いわゆる憲法上出す令状についての配慮が足らなかったのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけです、こういうことが今後あっては因るわけですから、裁判所所見も承っておきたいと思います。
  122. 佐藤千速

    佐藤最高裁判所長官代理者 ただいま承りましたが、仰せのとおり令状の発付につきましては憲法に規定もございますし、慎重でなければならないということは仰せのとおりでございます。具体的な当該令状はどうであったかということにつきましては、具体的な事件の処理の問題でございまするから、お答えを差し控えさしていただきます。一般論といたしまして慎重でなければならない、それについて裁判官が日ごろ十分研究をしておかなければならないということは、まことに仰せのとおりでございます。私どももそういう事件の処理につきましての資料等も用意いたしているわけでございまするが、今後におきましてもそういう点は一般的な研究の問題として十分行ないたい、かように思っておるわけであります。
  123. 後藤信義

    ○後藤説明員 具体的な事件でございますけれども、第一点の、二十一日に争議行為が行なわれたのに前日の二十日に令状を請求し発付されたのはどういうわけか、こういうお話でございます。これは申し上げるまでもないと思いますけれども、この地方公務員法違反の事件は、これは争議行為が現実に行なわれることを必要としませんで、そういう行為の原動力になった行為が罰せられるわけでございまして、遂行を共謀したり、あおったり、そそのかしたり、あるいはこういう行為を企てた者は、すなわちそれが既遂になるわけでございます。したがいまして、犯罪はすでに既遂でございますので、二十一口の争議行為を待たないで、これは犯罪として捜査するということができるわけでございます。したがいまして、前日に疏明資料が整えば、またその必要があれば、これは捜索許可状をもらうことは差しつかえないことだと考えております。  それから第二点の、場所の特定に欠けるではないかという点でございますが、私ども承知しておりますところでは、佐賀県教育会館佐賀県教組事務局の使用しておる場所及び差し押え物件が隠匿保管されていると思量される場所、こういう記載であるようでございます。私どもの見解では、この佐賀県教育会館というのが全部かぶっておりますので、どんな場所でも全部捜索できるという筋合いではなくて、佐賀県教育会館の中において、佐賀県教組が使っておる場所及びそれ以外の場所であっても証拠資料が隠匿されていると思われる場所は捜索してもよい、こういう意味であろうと思いますので、あらゆる場所がと、警察の恣意の判断によって、あらゆる場所が入るではないかということは、これはどうもそういうことではないと考えておるわけでございます。佐賀県教育会館内におけるそういう場所でございますので、これはもう場所の特定としては欠けるところがないと考えておるわけでございます。ただしかし、これはただいま準抗告の手続きがとられておりますので、先ほど申しましたように、いずれその点はそれとして審理されるものと考えております。
  124. 横山利秋

    ○横山委員 あなた日本語習っているのですか。「事務局が使用している場所及」——「及」で切れて「隠匿保管されていると思料される場所」は、これは独立しているのでしょう。あなたが言うようなことであるならば、「会館内における隠匿保管されていると思料される場所」でなければならない。当然の論法じゃないですか。だから実際やらなかったかどうかという問題じゃないですよ。今後こういう——ほかの教組の令状を見てごらんなさい。そこにあなた持っているでしょう。日教組本部「日本教職員組合事務室及び使用している場所」と明記してある。ほかの岩手県でもそうだ。「事務所が管理する付属建物」とちゃんと明記しておる。なぜ佐賀県だけ「及隠匿保管されていると思料される場所——なぜそうする。これは検察官が判断をして、何がしのうちはそうだ、何がしのうちも隠匿されておると思うとなれば、どこだっていい。当然の解釈です。この解釈間違っているのですか。
  125. 後藤信義

    ○後藤説明員 私どもはいま先生がおっしゃいました、つまり佐賀県教育会館内におけるというのが全部にかかっているという考え方でいっておるわけでございます。またそういうふうにも私ども読めると思うのでございます。それからまたこれは佐賀県だけではございませんで、他県の場合にも同様の使い方をして発付されておる捜索許可状がございます。
  126. 横山利秋

    ○横山委員 そうすると、教育会館内であっても外であっても、検察官がどこでも隠匿、保管されていると思料される場所であれば捜索していいという捜索令状である、あなたもそういう解釈ですね。
  127. 後藤信義

    ○後藤説明員 私が先ほどから申し上げておりますのは、佐賀県の場合でありますと、佐賀県教育会館内における限りということを繰り返して申し上げておるわけでございまして、佐賀県教育会館以外でございましたならば、当然それはその範囲に入っておらないし、また佐賀県教育会館内におきましても、佐賀県教組が使っておる場所及びその他証拠資料が隠匿されていると思料される場所でなければその中には入らない、こういう解釈をとっておるわけでございます。
  128. 坂本泰良

    坂本委員 私はここに令状の写しを持っておりますが、「佐教組佐賀市支部事務局及隠匿保管されていると思料される場所」、こうあるが、この「事務局」というものをとっていただいて、「隠匿保管されていると思料される場所」、これはどういうふうな解釈ですか。
  129. 後藤信義

    ○後藤説明員 私が先ほど読み上げたのが若干抜けておったかと思いますが、いま先先おっしゃいましたように、「佐賀市松原町五十八の三佐賀県教育会館内佐教組佐賀市支部事務局及び差し押え物件が隠匿保管されていると思料される場所」、こういうことでございます。これは「佐賀県教育会館内」というのが全部にかかるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  130. 横山利秋

    ○横山委員 私のさっきの質問に対する答弁、まだないのだけれども、ドリルでぶちあけるということで捜査をされたところは物質的被害を受けたんですね。金庫やロッカーは損害賠償してくれるのですか。それはあたりまえだ、金庫はドリルを使わなければしようがない、こういう考えですか。私の承知しておるところによれば、かぎはここにあるからあけてもいいと言っておるのにもかかわらず、連れてきたドリル屋がドリルでどっとあけたのです。これは補償するのですか。
  131. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっといまに関連して。そこで捜索令状を執行するにあたっては立ち会い人が必要ですね。あるいは本人がおれば、その人でもいいですけれども。ところが組合の支部長がおるわけです。あるいは執行委員がおるわけです。練馬の場合もそうなんです。支部があって、支部長その他の執行委員の、だれだれということは私もちょっと記憶しませんが、その方がいて立ち会うのだ、そうして金庫のかぎを持っているから、かぎであけますから、そうしてくださいと言うのを、なぜ校長を立ち会わせてやったかということです。もう一つは、どこでしたか、教職員組合の人が、私たちが立ち会うと言うのを、それを排除して、隣の消防署の署員を連れてきて立ち会わしている。そのこと自体が、令状を不特定にして、権利の乱用をしようということのあらわれです。さらに日教組に対する憎しみを文部省と同じに持ってやっておる、そうしてこの金庫も破壊する、そういうことの上に立ってひとつ御答弁を願いたい。
  132. 後藤信義

    ○後藤説明員 いま両先生からお話がありました金庫の問題でございますけれども、これは金庫をあけたという問題と立ち合いの問題と二つあると思います。立ち合いの問題は、別に人数の制限はないわけでございまして、第百十四条の規定及びこれが第二百二十二条によりまして警察官の行ないます捜索にも準用されておりますので、第百十四条の準用があるわけでございますが、これによりますと、公務所の場合は第一項、公務所以外の場合は第二項と、それぞれ立ち合いの規定がございまして、これに立ち合わせる義務が規定されておるわけでございます。私どもは、この規定に従いまして立ち会いはそれぞれやっていただいておると考えておるわけでございますが、多くの捜索場所の中には、なるほど先生のおっしゃいましたように組合の責任者ないしは幹部が立ち会うと言うのにこれを十分でない、つまり断わると申しますか、立ち会いということについての便宜を供与しなかったというような個所は幾つかあるのでございますけれども、これは、これをもって直ちに刑事訴訟法に違反するということは申せないわけでございます。ただ私ども検討いたしまして、事前の指導もそうでございましたが、そういう組合の捜索の場合には、組合の幹部なり責任者を立ち会わせるようにということは十分に指導をいたしておったのでございます。また今後もそういうことをいたしたいと思うわけでございますが、今回の、二十二日以後行なわれました捜索の場合には、場所によりましては、そういう点において欠けた点があったことは事実でございます。私どもは、もう少し親切にしてあげればよかったというふうに考えておるわけでございますけれども、これはどうも刑事訴訟法のたてまえから申しますと、必ずしも違法とは申せないということを考えておるわけでございます。  それから金庫をあけた問題でございますが、これは同様に第二百二十二条によりまして警察官が行ないます捜索の場合に準用されているわけでございますが、第百十一条の規定によりますと、「差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。」こういうことが書いてございます。この規定に基づきましてやったのでございます。かぎを持っている幹部がいたのに、それであけなかったというのは、これは事実でないようでございます。目下問題になっております練馬の件で申しますと、これは当日、二十二日は土曜日でありましたから、授業に差しつかえるといけないということで朝早く、夜明けとともに差し押え、捜索に入ったのでございますが、六時ちょっと過ぎに現場に行ったようでございます。この練馬の場合には、練馬の支部は練馬の小学校の中にあるわけでございます。そこで、そこに行って声をかけたけれども、だれもいないということで、そこで校長先生を連れてきて立ち会い人になってもらった、こういうことでございます。七時ちょっと前に事務所に入ったのでございます。ところがいまのお話の金庫がございまして、これがかぎがかかっているダイヤル式のものでございました。これがあきませんので、それで支部長に連絡するということを練馬署に指示すると同時に、金庫屋を呼びまして、そうしてあけることを考えたのでございます。金庫屋は七時半ごろに現場に到着したようでございますが、このときに至りましても支部長のほうと連絡がつかない状況であったようでございます。そこで、このまま時間がたってはいけないということで、金庫屋がいよいよあける作業にかかったのでございますが、どうしてもあかない。約三十分を要したようでございます。八時過ぎになりましてやっとこれをあけることができたという状況でございました。いまお話しの幹部が現場に到着したといいますのは、九時十分ごろに執行委員の方々が五人ばかり来られたようです。それからさらに十時ちょっと前になりまして支部長が現場に到着しているようでございます。そういうわけでございますので、どうもかぎを持っているからあけるというような話がもしかりにあったといたしましても、その時点においてはすでに金庫があけられておるという状況でございます。この件も、これは刑事訴訟法上の規定に基づいてやった行為ではございますけれども、何かもう少しほかに手はなかったかどうか、こういう点は私ども十分に調査し、検討いたしておるのでございますけれども、当時現場におりました警察官の話を聞きましても、できるだけ早く捜査を完了したいということと、それから金庫がダイヤル式でなかなかあかない、そうしますと、これはどうも時間の余裕がないというようなことでやむを得ずあけたわけでございますので、これはもっと理想的なことを申しますと、何か破壊しないで他に方法があったならばそれがよかったと思いますけれども、当時の練馬のこの件の状況にかんがみまして、どうもやむを得なかったのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、警察官の法規にのっとりました公務執行の行為といたしましては、これはそれ以外の別段の責任を負うものではない、こういうふうに考えているわけでございます。
  133. 坂本泰良

    坂本委員 それは私も見たわけではないけれども、あなたも見たわけではない、あなたの報告は少し違っておるのじゃないかと思う。私も見たわけではないのですが、とにかく警察は金庫屋をすでに連れてきておったそうです。そうして金庫屋がやったけれども、あかないからぶちこわした。そのとき書記がいて、かぎは持っている、かぎであけてくれと言うのをわざと校長を立ち会わせてやる。事実はそうだけれども、それを考えますと、これは先生たちがストライキをやったのだから、警察から来て家宅捜索、ガサをやって金庫でも何でも破ってやったのだという、おとなしい先生方に対する警察と教育委員会の、あるいは校長の一つの威圧になるからわれわれは弾圧だと言うんです。だからその点をもう少し調べてもらいたいと思います。  さらに、私は佐教組の調査に行ったわけですが、この令状でやはり問題になったから、それを解決せずに先生方のすわり込みを暴力で警察が排除している。そこで小笠原という中闘の方が負傷している。そのけがについては、そのとき警察側の責任者が来て、これは負傷のことは何とか帰ってあとで話をつけますと言っておりながら、その後になっても話をつけない、われわれが調査に行って、県警本部長と警察の幹部に会ったときに、何でこれを解決しないかと言ったら、告訴でも告発でも出ればやるけれども、そうでなければやれないと言う。ことほどさように、この佐賀県なんかは警察が高圧的に出てきている。そうして、教員がストライキをやった、これは徹底的にこの際にやっつけろというようなことでやっている根性が公平でないというわけです。  さらに、先生の家に参考人調べに行く場合には、教育委員の紹介状を持って行っている。きょうは文部省は来ていないけれども、とにかく教育委員の紹介状を持ってきましたと言って来るので、何ですかというと、二十一日のストについて聞きますと言って調書をとっておる。しゃべりたくないけれどもやむなくしゃべる、やはりこういうふうにして参考人の調べをやるわけです。いまはもっと人数がふえているようですが、私たちが調査に行ったときは、千名以上の者に任意の呼び出しをやっている。しかしながら、先生でもそれは困るといって拒否した人があるけれども、調書に応じたのが五十三人、それから副検事が一緒に行って検事の調書をとったのが六人だった。こういうのが、全く二十一日のストを犯罪視して、しかもその参考人であるけれども、やはりそれも普通の者は被疑者かどうかわからぬから調書には参考人と不動文字が書いてある用紙に書いて調書ができ上がる。とにかくやり方それ自体がひどい調べです。佐賀県は手ごろな県であるから、沖縄県と同じで人口も広さも同じであるわけですから、一番反動的で、警察本部長もそれに乗って反動的になってやる。そういうところに弾圧がある。そういうことは、これはもう警察としていかに中正だと言っても言えないと思う。こぞって佐教組その他総評あるいは社会党等が行って抗議をするからだんだんとゆるめているようですけれども、えらくものすごい勢いで弾圧をやっているわけです。しかしながらそのストたるや、さっき申しましたように、これは公労協の判決であるけれども、やはり最高裁の大法廷の判決の判断には従わなければならぬと思う。それによれば、やはり労働基本権があるし、憲法二十八条の保障を受けておるからストライキ権があるのです。したがって、地公法三十七条の規定があっても、それは労働基本権を解釈するにあたっては、憲法二十八条の基礎に基づいての考え方の上に立って、その実定法の考え方を厳格に縮小して考えなければならぬから、これを乱用したり拡張すべきものじゃない、こうわれわれは解釈し、一般もそうだと思う。それを、あおり、そそのかしたのだというように、何でもかんでもそれを立証するために、千名、二千名の学校の先生を参考人調べをしなければならぬというのでは、これはやはり警察権の乱用であるし、私は、人権の侵害あるいは教育の破壊にもなる、こういうふうに考えるから、そんなことをやめてもらいたいと思うのです。どうですか、まだこれからもやる気があるのですか。
  134. 後藤信義

    ○後藤説明員 何点かお話がありましたが、第一点の、日教組の中央からおいでになりました小笠原さんの事故がどうだという件ですけれども、私ども承知しておりますところでは、佐賀県の教組の事務所を捜索に参りました際に、二十人ばかりの組合員の方がおって、立ちのき——じゃまだからどいてくれという、つまり刑事訴訟法に基づく要求ですけれども、それをやりましたが聞き入れませんで、すわり込むというような状態でございましたので、やむを得ず制服の警察官を二十数名動員しまして、順送りに外側に排除したのでございます。その中に女の方が二人おられましたが、その一人が小笠原さんであったようでございます。この方は一ぺん外に連れ出されましてから、一ぺん警察官に体当たりをして入ろうとした、こういうことで、これも警察官が二名で両側からかかえるようにして排除をした、こういう報告になっております。この点は念を入れて聞きましたが、事実そのようでございます。その際に着ておりましたオーバーのボタンが一つ取れたという状況があったそうでございますが、あとで、けがをしたという話を聞きましたので、その状況はどうであるか、けがをしておるならばその状況をお聞きしたいということで、県の委員長のほうに話をいたしましたけれども、これは聞きおくというだけで、あとで連絡をするといったまま今日に至るまで連絡がないようでございます。私どもの承知しておりますのは、どうも小笠原さんは捜索の現場におって立ちのこうとしなかったため捜索の妨害になるというので排除をしたが、体当たりといいますか、そういうことでもう一ぺん入ってこようとなさった、そのときにボタンがちぎれたということがあったようでございますから、もしけがをなさっておるとすればそのときであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。もしさらにその点の調べをする必要がございますならば、いつでも佐賀県のほうではこれについて調査を進めるつもりでおりますし、またそういう話がありましたので、私のほうからその事実を十分に明らかにしておくようにということは話してございます。私どもの承知しておりますのはそういうことでございます。  それから、校長先生あるいはその他の方々から紹介状をもらって参考人に当たっておるというようなことでございますが、今回はたいへんに教員組合に所属しておられる方々が警察の捜査に対して非協力と申しますか事実を述べていただくことができないで、捜査はたいへん難航しております。そこで何べんもお願いにあがる、あるいは校長先生から紹介を受けて会いに行く、あるいはその他の人々から紹介を受けてお会いしに行くといったようなことで、いろいろなくふうをしながら参考人から事実を明らかにしていただくということをやっておるわけでございまして、これは先生おっしゃいますように、何か他意があってやっておるというようなことでは毛頭ございませんで、たくさんの争議行為に参加された方々でございますから、どういうことで参加されたのか、そのいきさつをそのまま述べていただけばいいということでやっておるわけでございます。  それからこの間の十月二十六日の全逓中郵事件の最高裁の判決でございますが、先生おっしゃいますように、なるほど判決の中では、憲法二十八条の規定は一般の公務員についても適用があるということはいっておるようでございますけれども、全然これに関して何らの制限もできないということではございませんで、これについては制限をし得る場合もあるということをいっておるわけでございます。もちろんそのいわゆる労働基本権の制限に関しましてはいろいろ条件を考えなければならぬということはいっておるのでございますけれども、あの判決は、やはり形式的に申しますれば、あれは公共企業体等労働関係法の適用を受ける五現業の一つである全逓の組合に関する判決でございますから、これは今回の地方公務員法の適用を受ける先生方の争議行為に関する判決とは直ちに言えないと思います。  それからまた、いろいろ判決の中にいっておりますような、先ほどもお話がございましたが、労働組合法第一条第二項の適用を排除していないということが一つあの判決の理由の中にありますけれども、これは地方公務員法によりまして明瞭に労働組合法では全部適用を除外されておりますし、それから公共企業体等労働関係法自体の中に罰則がないというのは、これは民事の責任は追及することであって毛、刑罰を科さないという趣旨であると判断すべき個所がございますけれども、そういう点から申しましても、地方公務員法には、地方公務員法自体の中に、第六十一条によりまして、争議行為禁止の規定の機動力と申しますか、原動力となっておりますような行為に対しましては、罰則を規定しておるわけでございますので、そういう意味におきましても、これは直ちにこの間の大法廷の判決が、今回の地方公務員法違反の日教組の争議行為についてもそのまま適用になるものとは考えていないのでございます。
  135. 坂本泰良

    坂本委員 とにかく苦しいあなたのほうの解釈で、それでやはり千人も千五百人も参考人を調べてやるべきものじゃないと思うのですよ。さっき、大臣にもあとで聞きたかったけれども、結論から先に聞いたわけなんですが、そういう疑問のある問題であるし、いままで文部省が、学校の先生はストライキはやつちゃならぬというのを、やはり労働基本権もあるし、ストライキ権もあるという大法廷の判決が下った以上は、やはりそれに従わなければならぬと思う。そういう問題が二十一日ストについては、その以後において生じた判例ですから、東京都ほか三県はその判決前からやっておるけれども、それももう打ち切ったらどうだ、やめにしたらどうだということを私は言ったわけです。したがって、警察のやり方も、今後はそういういやがる先生のところに行ってやることはかえって教育の撹乱になるからやめてもらいたいというのが私の趣旨だったのですが、その方向でやってもらいたいと思うのです。  私は、もう時間がありませんから、いろいろ質問したいけれども、一応留保しておきまして、これで打ち切るわけだが、その点を要望しておきます。
  136. 後藤信義

    ○後藤説明員 先ほど先生が選挙違反の問題についてもお話しになったのでございますが、この犯罪は三年以下の懲役または十万円以下の罰金ということでございます。これは一ぺん参考人の供述が得られなかったから、それであきらめるといいますか、それで捜査を打ち切るというわけにはまいらぬと思いますが、しかしさればといって、捜査のできる、端的に申しますと、公訴の時効が完成するまでは捜査をするというような筋のものでもなかろうと思います。したがいまして、その点につきましては、おのずから捜査を切り上げると申しますか、そういう時期はあるべきものと考えておりますが、現在の段階ではなお参考人の方々に供述をしてもらうことがぜひ必要だと思いますので、しばらくの間やはり捜査を続行させていただかなければならぬと考えておるわけでございます。
  137. 坂本泰良

    坂本委員 まだ長谷川委員のほうからもいろいろ質疑があるようですが、時間が参りましたから、これで切り上げますが、ひとつそういうわけだから、全国の府県に対してたった四つやった、やったのをどうこう言わぬから、今後はもうやめてもらいたいというのが趣旨だから、いままでのやり方についてもまだいろいろありますが、これは次会に究明すると思いますけれども、もう四つだけだから、その点についてもやめてもらいたい、こういう強い要望をして、きょうは打ち切りたいと思います。
  138. 大久保武雄

    大久保委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十三分散会