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1966-07-21 第52回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月二十一日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君       唐澤 俊樹君    四宮 久吉君       田中伊三次君    濱野 清吾君       森下 元晴君    落合 寛茂君       神近 市子君    山田 長司君       横山 利秋君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         法務政務次官  山本 利壽君         検     事         (刑事局長)  津田  實君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         警  視  長         (警察庁保安局         防犯少年課長) 今野 耿介君         検     事         (刑事局刑事課         長)      石原 一彦君         農林事務官         (農地局管理部         長)      中野 和仁君         自治事務官         (行政局行政課         長)      松浦  功君         最高裁判所事務         総長      岸  盛一君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      寺田 治郎君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 七月二十一日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  落合寛茂君が議長指名委員に選任された。 同日  委員落合寛茂辞任につき、その補欠として山  ロシヅエ君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件  裁判所司法行政に関する件      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件、並びに法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
  3. 坂本泰良

    坂本委員 私は近江絹絲の問題について若干お尋ねしたいと思いますが、これはいま大阪検察審査会にかかっておりまして、その主たるところは、検察審査会構成その他の問題についてお聞きしまして、なお法務大臣がお見えになりましてから、その審査会結論についての法務省の御見解を承っておきたい、こういう順序で御質問を申し上げたいと思います。  そこで、近江絹絲の問題は、自民党の元参議院議員でありました境野清雄氏が告発をされました事件は不起訴になりまして、それに対して境野氏から検察審査会申し立てがございまして、昭和四十年十七号事件として大阪検察審査会のほうで審理を重ねております。  次に、この境野氏の告訴の問題でわかりました政治献金で、約六千万円の金がもし政治献金でなかったならば、それは特別背任罪になるんではないかというところで、社会党の綱紀粛正委員会委員長山田長司氏から告発をいたしまして、それが昨年の十二月不起訴になりましてから——起訴と申しましても、一部は容疑なしとしての不起訴、一部はいわゆる起訴猶予の不起訴、それに対して検察審査会申し立てをいたしましたところ、昭和四十一年十七号事件として受理せられまして、現在委員が任命されまして、この二つ検察審査会申し立てに対する事件として併合して現在審査会審理中でございます。その点でまずお伺いしたいと思いますが、この山田長司氏から告発をいたしました不起訴理由ですが、この点を刑事局長からまず伺っておきたいと思います。境野氏の不起訴理由については先般すでに承っております。
  4. 津田實

    津田政府委員 本件につきましては、昭和四十年六月一日大阪地検に対して告発があったもので、その結果、捜査をいたしまして、同年の十二月二十五日嫌疑不十分として不起訴処分に付しておるわけです。その理由丹波秀伯氏の在任中、会社資金のうちから告発状にありますような程度の、すなわち一億二千七十万円余りをこの会社から引き出したこと、及びその金の使途の一部に政治献金らしいものがあるということは認められるわけでありますが、右丹波個人または特定の第三者の利益をはかる目的で、しかも会社に損害を与える目的でこれを使用したと認め得るものがありません。また丹波自身会社のために使用したと弁解をいたしておりまして、これをくつがえすに足りる証拠がないという判断をされましたので、嫌疑不十分として不起訴処分になっているわけでございます。なお、本件と事実としては基本的に同一であります先ほどお話に出ました境野清雄からの丹波及び西村貞蔵両名に対する業務上横領告発事件は、昭和三十七年に出されておりますが、この事件につきましても、捜査の結果、昭和三十九年十月二十三日に嫌疑不十分として不起訴処分に付されている。この事件につきまして、いまお話しのとおり、同年、昭和四十年九月一日、大阪第一検察審査会審査申し立てをされましたが、今年四月十四日、不起訴処分相当とする議決があったのであります。この点から申しましても、いまお尋ねの事実は、本件事実と起訴事実は全く同じでありまして、本件の不起訴処分は、その点から見ましても相当なものであるというふうに判断せられるわけでございます。
  5. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、いま申されました検察審査会受理番号が四十一年十七号、前の境野氏の分は四十年の十七号、これが併合して審査を進められておりますが、これは承るところによりますと、会長匹田仁一氏、副会長大中忠雄氏、同じく木田シズエ氏、委員として大西百々枝谷川春吉筒井節子藤田功大栗清伊藤悦子山口紀代文折井美代子、この十一名の構成によって審理されている、助言者については今月中ぐらいにきまるだろう、こういうようなことを承っているのですが、間違いないかどうか、最高裁の事務総長のほうに承りたい。
  6. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま坂本委員からお尋ねのございました件、本日最高裁判所から岸事務総長も出てまいっておりますが、ただいまお尋ねの事項は、きわめて事務的な問題でございますので、便宜私から説明させていただきたいと存じます。  ちょっとお断わり申し上げますのは、実は本日は、この所管は刑事局長でございまして、刑事局長みずから出てまいって御説明申し上げるのが当然でございましたが、急に熱を出しまして、昨日から欠席いたしておりますので、便宜私が刑事局課長の補佐を受けて御説明させていただくというふうにさせていただきたいと思います。若干不行き届きの点があると思いますが、どうかよろしくお願いします。  いまお尋ね近江絹絲事件が数件検察審査会にかかっておるというお話でございます。これは前々からこの委員会でいろいろ御議論になっておる問題で、すでに先ほど津田刑事局長からお話もございましたように、議決の終わっておりますものもございますが、現在係属いたしておりますものも近江絹絲関係で二、三件ございます。坂本委員つとに御承知のとおりの内容でございまして、いま御指摘のありましたような経過で、検察審査会が慎重に審議いたしておるわけであります。  そこで、その委員の氏名というお話でございましたが、これは御承知のとおり検察審査会というものは本来国民の中からくじ引きでおいでいただく陪審制度に近いような制度でございまして、その委員の個性ということに私ども重点を置いておりません。要するに、どなたがおいでになるかということは全く偶然の事情で、国民民意を代表しておいでいただくというところにウエートを持って考えておりますので、委員がだれかというようなことについて、必ずしも報告をとったり調査をしたりいたしておらないわけであります。ただ先ほどお読み上げになりまして、むしろ坂本委員のほうが十分御承知のようでございましたが、きょう御質問があるということでいろいろ電話等確めたところによりますと、大体坂本委員お話のような方が委員として出ておられるように伺っておりますが、その点は一つその程度で御容赦いただきたいと思います。
  7. 坂本泰良

    坂本委員 それで、この委員任期は六カ月である。六カ月であれば、何でもこの委員の中で二、三名は今月で任期が終わってまた来月はかわられる。もちろんこの委員の選任の方法は、いい悪いは別にして、何か抽せん方法でやられるということですから、それによって先ほど申し上げたような委員が選任せられておるわけだと思います。それでこの委員が六カ月で短いから、この中から三人か四人また今月で任期が終われば来月はかわるわけですね。それもまた抽せん方法でかわると思うのですが、そうするとこういう大きい事件は、わずか六カ月で委員がかわるようなことになれば、ほんとうの審理はできないのじゃないか。また新しい委員が出てくると、やはり前に調べておったことを引き継ぐについてはいろいろ聞きもするし調べもしなければならぬ。そうすると、また任期がすぐ来てしまう。そういうような点は、これは法改正をすれば別ですが、現在の状態では、どういう方法で運営をしておられるかという点と、それから会長、副会長、これはやはり十一名選ばれて、その中からきまった者かどうか。その点、承っておきたい。
  8. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま坂本委員からお尋ねのございました点は、大体検察審査会法趣旨に帰するわけでございますが、検察審査会法によりますと、先ほどお話しの、要するに十一人で審査会を開くということになっておりますが、その審査員の選定につきまして、これも先ほどお話しのとおり、いろいろなくじ引きその他で選ぶわけでございますが、その選び方が、十三条という規定でかなりこまかくきめられておるわけでございます。結局、毎年一月三十一日、四月三十日、七月三十一日、十月三十一日、要するに一年を四回に分けまして、三カ月ごとに交代する、こういうことでございます。   〔委員長退席濱田委員長代理着席〕  ただ、三カ月ごとに全員交代いたしましたのでは、坂本委員指摘のとおり、非常に継続性がなくなって困るというところから、ちょうど参議院選挙のように半数交代ということになっておるわけでございます。そこでこれまたはっきり法律できめられておるわけでございますが、たとえば一月三十一日には五名交代させ、四月三十日には六名、七月には五名、十月には六名というように、ちょうど十一人を半数ずつに分けて、半数ずつ交代してまいる、こういうやり方でございます。そういうことによって事件がある程度長引きましても、つまり前の知識のある方が引き続きお残りになって説明されるということでございます。それにしても六カ月という任期が短いではないかという御批判は、これは前々からいろいろあるところでございますが、しかしこれは一種の陪審員制度にも近いような制度でございまして、外国の陪審制度の場合ですと、これは集中されてさっと一ぺんにきめてしまうような例が多いわけで、そういう点ではこういうものは何といいますか、専門家が緻密な証拠調べをするわけではございませんので、むしろ民意を反映するという、要するにしろうとしろうとの感覚でこれは起訴すべきだというその気持ちがとうといわけで、そういう意味ではそういたずらに技術的な、専門的なことを長長とやるということではなくて、やはり集中してぱっと判断するということが好ましい。そういう点から、事実また六カ月ぐらいで大部分の事件は解決しておる。つまりどちらの結論になるかは別にいたしまして、結論が出ているような状況で、いまのところそれほど不便というふうにも思っておらないわけでございます。しかしむろん立法論としては十分検討はしなければならぬ問題だと思うわけでございます。  それから最後にお尋ねのございました会長の点でございますが、これまた検察審査会法の十五条によりまして、これは互選ということになっておりまして、審査員の中でお互いにお選びになる選挙でございます。
  9. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、これは一回か二回開いて民恵を反映するという意味ならば、早く解決をしなければならぬ、こう思うのですが、大阪検察庁の四十年の十七号というのは、一昨々年の不起訴事件ですね。それをそのままにしてあって、今度四十一年の十七号も、いみじくも番号が同じになっておるのですが、四十一年の十七号と併合して審査をする。こういうふうになっておるから、この点はちょうど一緒になって併合されるから事情もよくわかる、こういうふうに思うわけです。そこで検察審査会申し立て人は、やはり審査が進められればなお検察庁のほうに出さなかった証拠とかあるいは判断等についての意見等については、申し立て人として検察審査会申し立て書の内容補充として、理由補充ですか、理由として申し立て権利があると思うわけです。そのことを考えますと、やはり申し立て人が要望する書類閲覧等は、これは許さなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。  そこで検察審査会意見を聞いてみますと、書類閲覧申し立て人といえどもできない。それは根拠はどこだといいますと、検察審査会非公開だから、したがって、それに関連する審査会にかかっておる書類についての閲覧は御遠慮願いたい、こういうことであるわけであります。それで私は、この非公開事件については、一般公開はもちろん許されないと思うのです。しかしながら、当事者公開は許さるべきものであって、これは民事事件にいたしましても——今度は刑事裁判は、これは公開になれば第三者でもできるわけですが、民事事件でも当事者には公開にしてやっておる。私は、公開の問題を、当時者公開とそれから一般公開二つに分けまして、非公開の問題は、一般公開はその趣旨に従って許されないにしても、当両者公開はこれは許さなければならぬ。そうしなければ、申し立て人権利の保護ということが欠けるのではないか、こういうふうに思うわけですが、その点についての御所見を承っておきたい。
  10. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま坂本委員お話議事録閲覧の問題、これまた前々からいろいろ御議論のある問題でございます。検察審査会会議そのもの非公開にするということについては、おそらく多くの御異論はないように伺っておりますし、それからまた、したがってそれに関連しまして、議事録一般閲覧に供することが無理であるということについても、また多くの異論はないように伺っておるわけでございますが、一番問題がしぼられてまいりますのは、いま坂本委員の御指摘の、少なくとも当事者には閲覧させるべきだという御議論であろうと思います。この点は、私どもとしても慎重に今後検討してまいらなければならない問題ではあるわけでございます。ただ、しかしながら、これは何と申しましても、まだいわば起訴前の問題でございます。そして検察審査会として起訴すべきだという結論を出すかどうか、これは全然きまっておらない問題でございます。つまり検察官が不起訴の裁定をされたことは、それはきわめて相当だという結論になる場合もあり得るわけでございます。そういう段階の手続につきまして、その内容書類をいろいろお目にかける——これはたとえ申し立て人でありましてもお目にかけるというととは、いろいろその問題になっておる被疑者の方の人権その他に関連してまいる問題でございますので、したがってやはりそういう点から申しますと、これはちょっと無理ではないか。検察官のほうで捜査中の事件書類を、非常に大事にお扱いになるのと同じような意味で、起訴されてしまいますれば、それでもまだ有罪の宣告を受けておらないのでございますから、無罪の推定を受けているともいえるわけでございます。いわんや起訴されるかどうかわからない段階の問題でございますので、これはやはり私どもとしては書類を慎重に扱わざるを得ないというのがただいままでの私ども結論で、そういうように申し上げている次第でございます。
  11. 坂本泰良

    坂本委員 それで、検察庁におけるところの書類閲覧なんかは何も考えないのですけれども検察庁のほうの問題は刑事局長等とも、だいぶ問題になりました。それはやはり捜査の秘密、こういうことでは何も内容は言えない、こういうことである。しかしその内容を言えないと言っても、近い例をあげましても、塚田新潟県知事選挙違反問題等については、相当答弁があるわけなんですね。衆議院、参議院を通じて相当詳しい答弁があった。しかしながら、近江絹絲事件については言ってもよさそうなものだと思うけれども、ノーコメントで言わない。これは総理大臣質問書山田長司氏から出してありますから、その問題については懸案が残っておりますけれども検察審査会のほうは、そういうふうで多数の委員が任命されて、そして委員会を開いてそこで審議をされる。そういう状態だから、検察庁における検事捜査するのとその内容の趣はずいぶん違っておる、こう思うわけです。したがって、起訴した場合は憲法上裁判公開になっておりますから、その公開原則に立って第三者といえども判決の内容を聞くこともできるし、関係者に対してはその重要な書類裁判所から見せてもらっておるわけなんです。そういうようなことを考えますと、やはり検察審査会においても少なくとも当事者公開というのはこれは私はあたりまえじゃないか、こういうふうに思うわけですね。だから、その原則の上に立ちますと、申し立て人には見せて、やはりその主張をさせ、またそれをはっきりさせたところで、さらにそれに対する検察審査会委員の多数に、民意を反映して、その結論を出させる、結論というのは起訴すべしとか不起訴相当とかという結論があるようですが、そういうふうになると思いますから、やはりこれは検察審査会においては当事者公開原則に立って、申し立て人だけには許すべきだろう、こういうふうに考えるわけですから、この点について事務総長の御意見も承っておきたいと思います。
  12. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 総長から御説明いただく前に、私の説明がさっきちょっと不十分な点がございましたので一言私補足させていただきたいと思います。  先ほどは、いわば段階の問題で申し上げましたために、坂木委員から、検察庁とは違うじゃないかというお話がございましたが、そのとおりだと思います。そこでしかし、要するにしろうとが合議をしていろいろやりますその経過が、議事録に載っておりますので、その点が出ますというと、またいろいろ対外的の関係で問題があるという点を一言補足いたしたいわけでございます。そういう点もあわせてお考えいただきたい。これが私の説明でございまして、あと総長にまた御説明いただくことにいたしたいと思います。
  13. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 先ほど来の当事者公開の問題でございますが、少なくとも申し立て人記録閲覧の機会を与えるべきじゃないかということは、先ほど総務局長説明いたしましたように、法改正問題点一つとして論じられております。しかしながら、先ほど総務局長から申しましたように、何と申しましてもこの段階捜査段階である。だれがどういうことを警察で言っているとか、だれが検察官にこういうことを言ったとかというようなことが当の申し立て人にわかるということは、これは好ましくないことなんで、そういう点を考慮されて、現在のところではまだ閲覧権を認めるような制度に変えようという結論には達しておりませんけれども、これはしかし新たな証拠の提出という問題、先ほど申しましたような問題もありますので、なお検討を続けたい、かように考えております。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 大臣も来られましたけれども、その前にまだ一、二お聞きしたいのは、少なくとも検察庁検事捜査段階と違いますから、やはり検察審査会においてはこれは当事者公開で、ぜひひとつ当事者だけには閲覧させる、そういう方針をひとつ早急に決定して、ただ根拠というのは、非公開だから全部できないだろうというふうな審査会事務局長以下の意見のようですから、これは全国的な問題になると思いますから、ぜひひとつ最高裁判所のほうでもその処理を急いでやっていただきたいと思います。  さらにまた近江絹絲事件につきましては、なお山田代議士から質問があると思いますが、ひとつ早急に、やはり小林章氏の審査会みたように慎重に審議をいただいて、そうして民意のあらわれるところが結論に出るように、この近江絹絲の問題についても、その処理を希望しておくわけです。  そこでもう一つは、そういう重要な検察審査会ですが、事務局長は何か相当古い方で、前職はいろいろ経歴もありましょうが、相当古い方がやっておられますから、これについてどうも心もとないような気がする。というのは、もう一つは、この検察審査会というのは裁判所の片すみにありまして、あるいは別な家があるところもまことに粗末なところですから、そういう場所も必要であるし、さらに公正な事務局長——やはり事務局長というのは、相当あるところでは官僚的に働いて、委員なんかも事務局長がいろいろと操作をしてやっているというような点も、これは推測ですけれどもうかがわれるわけでありまして、そういう人選について、もっとやはり前歴も、また現職の事務局長としての手腕力量を公平に発揮できるような人材が必要ではないか、こういうふうに思うわけですが、この点いかがでございますか。
  15. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘摘の点もまことにごもっともな点でございます。ただ、検察審査会事務局長は、従来は兼任のような者もございましたけれども、最近はこれは全部専任者を充てるようにいたしました。  それから、これが年寄りかどうかというお話の点でございますが、これは一般的にこういう官庁機構では、世帯の小さいところのほうがわりあいむしろ若い新進の人が多いわけでございまして、裁判所全体から見れば、検察審査会事務局世帯というのは、たとえば地裁、家裁の事務局世帯よりは小さいわけでございますから、つまり、そういういわゆる官僚的な機構においてはむしろ若い方がなられて、検審から地裁のほうに移られる方がおもでございますので、そういう点では、年齢的には決して年寄りの役に立たぬ人が行っているということでは毛頭ないわけでございます。  それから、建物の問題でございますが、これもまことにごもっともでございますけれども裁判所は何と申しましても年間全部で七、八百万件の事件をやっておる大世帯でございます。それに対しまして、検察審査会というのは、年間数千件の事件処理しておる世帯でございます。こういう世帯を私ども持っておりまして、一体それが別むねに小さいものをつくったほうがやっていきやすいのかどうかということになりますと、やはりむしろ、たとえ話で恐縮でありますが、親鳥がひなをかかえているようなものでございまして、これを要するに一人立ちされましては、かえっていろいろやりにくい面がございます。小さいところにおいては数名の世帯でございます。そういう点では、これは大きな世帯の中に入れてあげまして、そうして育てていっているというのが、これが実際の現状でございまして、むろんいろいろ設備の悪い点はございますが、これは裁判所全体の問題として、常々御支援いただいて、改善につとめつつある、かような状況でございます。
  16. 坂本泰良

    坂本委員 もう一点は、いわゆる検察のお目付は検察審査会でございます。これは言い過ぎるかもわかりませんが、やはり検察ファッショに対する民意の反映をやるところがこの検察審査会であるし、また法的には、公判の陪審が以前あったわけですが、起訴についての陪審ともいわれておるこの検察審査会というのは最も重要なものである、こういうふうに思うわけですから、この点は、御質問しました施設、庁舎の問題、あるいはその内容の人材の問題等も、とにかく委員の方は十一名あるから、その事務局のほうでやはり大部分の不起訴になった書類処理して、そして委員がわかりやすいように持っていくのは、やはり若い新進の事務官でなければいかぬのじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、この点は予算の関係等もありますから、来年度の予算等についての問題については、十分検討してもらいたい。われわれもまた、そうしなけれなならぬ、そういうふうに思っておるわけでありますが、近江絹絲の問題についてはこれで打ち切りたいと思います。
  17. 山田長司

    山田(長)委員 関連して質問をしたいと思います。  近江絹絲丹波秀伯氏の政治献金の問題というのは、一億二千万円からにのぼる金額が政界方面に流れておるということですね。実は党の綱紀粛正委員会で私が責任者という立場で告発をした内容を持っておるものでございます。その結論が特別背任でもなければあるいは横領でもない、政治献金であるかもしれないけれども、その内容は言えない、こういうばく然たる形で処理をされてしまっておりますので、数日前に検察審査会申し立てをしたわけでございます。ただいま坂本委員質問をいたしましたように、この検察審査会内容につきまして私は申し立て人としまして、この法律のいかに気やすめ的なものであるかという内容を知ったのでございます。  なぜ気やすめ的な内容であるということを私申し上げるかといいますと、一体委員に選ばれるのは選挙人名簿の中から摘出して、専門家結論を出したものに対して——選挙人名簿の中からこの委員が選ばれて、それで、この委員の人たちが、しかも半年ごとに交代、一体検察当局の専門家結論を出したものを、しろうとの、いわゆる大工さんだの看護婦だの、あるいは商店のおやじさんだの、床屋のおやじさんなんか選ばれて、その結論を出せといったって、そう簡単に出せるものじゃないのですよ。ようやく検察当局の出した結論について、それは第三者にその秘密を漏らしてはならぬというけれども、一体だれかに相談して聞かなければ、法律知識なんかないような人たちがこの衝に当たるのでありますから、幾ら法律で秘密を守れなんていったって、これは実際私は無理なことだと思うのですよ。  そこで、それでは一体この審査会に選ばれた人の日当は幾らなのか調べてみたら、日当は九百円だというのです。大工さんがいま九百円で、一体審査会が開かれたときに、仕事を休んで出ていくかどうかということなんです。いま大工の真相を知れば、一日千八百円ぐらいとって、夕方ちゃんとお酒が二、三本ついて、それで一日の仕事が終わっているのです。そういう人たちに出てこいといったって、実際問題として出ていくかどうかということなんです。おそらく審査会委員に選ばれた人たちは、満足に出席してないと思うのですよ。それで結論が出たからこれでいいのだということであるとすれば、これは事務局長の考え方を集められた十一人の人たちに趣旨を徹底するように話して、それで大体そのことをうのみにされて結論が出るというような実態じゃないかと私は思うのですよ。一体あなた方は、選ばれた審査会委員が、九百円の日当や一日五百円の調査費で、出てきて真剣にやると思っていますか、この点ですよ。この点を伺いたい。
  18. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの山田委員お話の点は、一つ委員の選任が妥当でないのじゃないか、つまり、町のいろいろな人を選んできても、それは検察官が専門的にやられたことに批判ができないじゃないかというお話でございまして、これはややおことばを返すようになってまことに恐縮でございますけれども民意を反映するということを徹底させますれば、どうしてもそういうことになるのが自然ではないか。つまり選挙でもそうでございます、あるいは外国にございます陪審制度でもそうでございます。つまり、そこに何らかのセレクションをいたしまして、ある程度の知識なり、経験なり、能力を持った者を選ぶということになりますれば、その選び方自体が非常に問題でもございますし、またあまりに専門的な方を選ぶことになれば、これは検察庁のほかにもう一つ検察庁をつくるみたいな、ことばは非常に悪うございますけれども、そういうことにもなりかねないわけで、そういう一般国民が、ほんとうの国民の感覚で判断されるということが尊いと私どもとして思うわけでございます。それが第一点の選び方の問題でございます。  そこで、お礼の日当の問題でございまして、これは大体いま九百円見当で運用されておりますが、この額がそれにふさわしいものだと必ずしも考えておるわけではございません。毎年予算のときにはある程度の努力はいたしておるわけでございます。ただこの点も、ひとつこういう面からお考えいただきたいということは、これは陪審制度の場合も同様でございますが、要するに司法の民主的な運営、もう少し端的にいえば、検察の民主的な運営、そういうことのために、民主国家における一翼をになうということで、国民一つの義務といってはことばはたいそう強うございますけれども、そういう一つの、たとえば参政権あるいは司法に参与する、こういう意味合いから出ておるわけでございますから、極端なことをいえば、奉仕的においでいただくということに尊いところがある。これをもし、たとえば一日に五千円も一万円も出して、ほんとうに職業化するということになりますと、そういう意味で、かえってまたある意味の弊害が出てくるわけでございます。私ども九百円で十分だと申しておるわけでは決してございません、今後とも努力は重ねたいと思いますけれども、その点はひとつ、それが一つの収入として、対価として、それで利益を得るというような形でなくて、やはり一つ国民の義務というようなことにお考えいただいて、しかしそれではお気の毒なのでお礼を出すというような面からお考えいただきたい。そういうような面もひとつ御検討いただいて、また将来いろいろ、これは法律問題でございますから、法律でおきめいただくことでございますから、国会の御協力を得て増額その他についても努力してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  19. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの答弁は、私はまことに了解しにくいのです。確かに民意の反映で手当は少なくとも出てきて、それが国のためになることをするんだとあなたはお考えになるかもしれぬですが、いまはそんな幾ら出してやってもそれはかまわないのだというような考え方自体に、私は間違いがあると思うのですよ。当然これは世間並みの手当は出してやる。そしてあなた方、出てきた人たちの意見民意の反映として聞きたいということなら、当然相当の待遇を考えてしかるべき筋のものだと思うのですよ。この点は十分お考え願いたいと私は思います。  次に私が伺いたいことは、民意の反映、民意の反映と言うけれども、たとえばこの間の小林参議院議員の問題につきまして、これは選挙違反事件が不起訴になって、それで民意の反映で今度は起訴相当という結論が出たようです。だが民意の反映でそういう結論が出たとしても、それは町のいわゆる大工さんや、あるいは床屋さんの御主人や、あるいは八百屋の御主人が出ていって、それで民意が反映した、そのことで起訴相当という結論が出たというわけですが、今度はどこへ民意の反映が回っていくかというと、また検察当局のもとの審査をした人のところに戻ってくる。一体もとの審査をしたところに書類が回っていって、またその人たちが、幾ら民意起訴相当といっても必ずしもそういう結論を出すものかどうか、民意の、相当という結論が出るのかどうかということになると、扱う人たちは法律家ですから、何といっても法律に引っかからぬような結論を出す可能性が多分にあるのです。残念ですけれども、私はそう言わざるを得ないのです。メンツがつぶれるのですから、戻ってきた書類をもう一ぺん審査をし直すというときに、これは幾ら民意が出てきたって、自分の顔がまるでつぶれるようなところへ回ってくるのでありますから、検察当局の人たちが本気になって、なるほどこれは選挙違反に関連があるんじゃないかといったときに、民意はどういうところで出たのかと言えば、これは何と考えても候補者から金が出て、それが甲なり乙なりに渡されておったという結論で、この点で選挙違反があるという民意が出たわけです。こういう場合に、その書類が回っていったところが検察当局であるとするならば、これはほんとうの民意が出るかどうかということになると、非常に私は疑問を持つのです。この点について、あなた方は、そんな、ミーちゃんハーちゃんクラスの人たちが出した法律的見解で、それで民意がこうだからといって一般国民の期待するような結論が出るとお思いですか。
  20. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。私もこれは質問したいと思っていたところです。そこで大臣においで願ったのは、この小林章氏の選挙違反の事件については、去る十九日に不起訴相当でなく起訴すべきである、こういう結論に達して、これが東京地方検察庁のほうに通知がされておるわけであります。そこで昨日の夕刊に、小林議員を起訴すべきであると各新聞が取り上げてやっておるわけです。さらにけさの新聞を見ますと、五大新聞が全部この論評をいたしまして、この検察審査会結論検察庁はこたえるべきである。もちろんきのうの河井次席検事の談話もありますし、いろいろな権威ある方の意見も新聞は発表しておりますけれども、世論を反映した議決に対しては、これは検察庁は慎重に捜査すべきものは捜査し、なお足らざる点は補う。ことに起訴猶予事件があるわけです。この起訴猶予になった点についても、検察審査会起訴相当という結論だったと私は思うわけです。この起訴猶予の点は、やはり犯罪事実はある、あるけれどもどういう理由で不起訴になっているかという点が明らかになっておらないわけですから、そういう点は民意の反映、小林章起訴しないのは不都合である、それを代表したのがこの検察審査会であって、その審査会の決定は、その世論を反映して起訴相当という決定をした。ですから、容疑事実なしとして不起訴にされた点も、さらに容疑事実の探求  これは検察庁は世論にこたえて新たな捜査を開始すべきである、こういうふうに考えるわけです。  さらにまた起訴猶予の問題については、いかなる理由起訴猶予にしたか。この点はやはり世論を反映して起訴すべきである、私はこういうふうに考えるわけです。これは重要な問題だと思うのです。単なる自民党の参議院議員であるからということで、これは容赦すべきじゃないと思うのです。単なる河井氏のあの発言のようなことではなくて、不起訴の問題については事実をもっと調べて、何度も申しますけれども起訴猶予の点については断固として起訴すべきである、私はこういうふうに考えますが、法務大臣の御所見を承っておきたい。
  21. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 小林君の問題につきましては、ただいまお話しのような手順によって、いま検察審査会から意見が出ておるわけであります。これを東京の地検で取り上げまして、これから慎重にこれを研究しまして、その結果審査会の言うとおりであり、またそうやってこれは公訴に付すべきものであるという結論に到達しますれば、当然そうすべき問題であると思います。党派のいかんとかなんとかを考えるべき問題ではないと当然私も思っております。またこれは検察審査会から出されたという事実をちゃんと頭に入れまして、この問題は慎重の上にも慎重に取り扱うべきものだと考えております。そのとおり扱わせていただきます。
  22. 坂本泰良

    坂本委員 いま法務大臣の御決意を承りまして、やはりそれはぜひ断行していただきたいと思います。特に私はその不起訴内容が、聞いたかもわかりませんが、いまどういうことであったかということは全部記憶しておりません。ただ容疑なしとして不起訴にした部分と、やはり容疑はあるけれども起訴しなかったといういわゆる起訴猶予と、内容二つに分かれると思うわけです。したがって、きのう毎日新聞等も報じておりますように、検察審査会は公務員の地位利用と断定した、こういうようなことで、私は直接その内容はまだ承知しておりませんが、公務員の地位利用は専売の東京地方局長以下千名に近い者が取り調べを受けて、その中の大部分が起訴されて、いま裁判中である、こういう事件なんです。やはりわれわれが一番注目すべきことは、公務員の最高の地位にあった者が、その地位を利用して下の者に選挙運動をさせる。またその中にはばく大なる金がばらまかれておる。さらにまた、それは専売局の公金もその中に含まれておる。こういうようなこともわれわれは承知しておるわけですが、そういうような点もありまして、やはりこの新聞によりますると、「小林さん、忘れませんよ」地検は納得のいく結論を出してもらいたい。こういうのが各新聞の——一々これは時間がありませんから、切り抜きは持っておりますが申しませんけれども、こういうような点で、その中心はやはり公務員の地位利用の点、こういう点についての捜査がまだ足らぬじゃないか、私はこういうふうに思いますから、やはり不起訴事件が、今度こういう審査会結論が出ましたから、さらにこれはやはり捜査を進めなければならぬ、そういうふうに考えますが、その点はいかがでございますか。
  23. 津田實

    津田政府委員 検察審査会起訴相当議決がありました事件につきましては、これは当該検察庁におきまして、当然再び捜査をいたすわけでございます。その点につきましては部内のいろいろのルールがございまして、高等検察庁とも十分連絡をして検討する、こういうことになって結論を出すことになっておりますので、今回の事件についても当然さようなルールに従って処理されるものというふうに考えております。
  24. 山田長司

    山田(長)委員 関連。たとえばただいまのような起訴相当という問題が出たとしても、過日私が検察審査会に、われわれが常識的に考えてみて起訴は免れないものだという結論を得て、そういう判断のもとに閲覧申請を願い出たとしても、これは法規上許さぬといいますが、検察審査会法の規定の中に閲覧申請をした場合には閲覧を許さぬという内容がどこに一体あるのか。たとえば会議非公開というのは一応出ております。それからもう一つ会議録の作成という問題について会議録を作成しなければならないという規定があるが、一体見せないという規定はないように見受けられるのでありますが、たとえばいまのような民意を反映した形で起訴相当というようなことが出た場合に、あるいはそういうものであるという判断のもとにわれわれが閲覧申請をした場合に、閲覧は許さないのですか、許すのですか。
  25. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 この点は、先ほど坂本委員お尋ねに対してるる御説明申し上げましたとおり、法規上の直接の根拠としては、いま山田委員から御指摘のございました検察審査会法第二十六条の「検察審査会議は、これを公開しない。」という規定でございます。そうして同時に、これは裁判所の手続におきましては、いずれもかりに閲覧申請を許します場合には、それぞれ申請の手続がきまっておるわけでございます。どういう書面をどこへ出してやるというような、いろいろ具体的な手続がきまっておるわけでありまして、そういう手続がございませんことも、間接にはその閲覧申請が許されておらないということの実証になるわけでございます。
  26. 山田長司

    山田(長)委員 申し立てをしている立場に私はなるのです。ところがその申し立てをしても、その申し立てをしている書類閲覧は許さぬというのでは、何か新たに私たちが考えている事態と前の事態との重複を避けるためにもこれは考えていることなんですけれども、その場合でも閲覧申請は許さぬですか。これじゃおかしいじゃないですか。
  27. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 この点は、先ほど事務総長からも御説明申し上げましたとおり、申し立てについては十分検討に値する問題ではあろうと考えております。ただ資料の重複提出というような点は、おそらく控え等がございますればそれでわかるわけでございましょうし、またどういう書類が出ているかというくらいのことは、おそらく御本人がお出しになった書類で御説明はしているのではないかと思います。しかしながら一般的な会議録なり、あるいは会議の資料をお目にかけるかどうかということになりますと、これはやはり立法問題として相当検討を要する問題で、私どもとしても、先ほど岸事務総長から申し上げましたとおり十分検討してまいりたいとは思いますけれども、現在の法制上はさようなことになっておるということを御了承いただきたいのでございます。
  28. 山田長司

    山田(長)委員 もう一点だけ伺っておきます。  それでは、委員が選ばれて、半年の間に裁判の記録が驚くべきほど分厚なものになっておって、とてもしろうとなどに裁判所の書記が書かれた字体というものはわかりにくい。これは常識的に考えてみてもわかるでしょう。大工さんや床屋さんのおやじさんが、裁判所の続け字でさっと書かれた書類は、そう簡単に読めるものじゃないですよ。そうすれば結局、事務総長なりあるいは当の議長に当たったりした者が、念入りに書類調べ上げてきて、かりにその人の主観でその話を委員にした場合に、委員はその書類を見ていないのですから、その人間の主観に従う危険性が多分にあるから、申請者としてもどうしても書類を見ておきたいという希望を私は持っておるわけなんですが、この場合にどうしても書類は見せないのですか。
  29. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 山田委員の御希望の御趣旨は十分了解いたしましたので、先ほど来申し上げておりますとおり十分検討はいたしたいと存じますが、現行法の規定では先ほど来申し上げておるようなことになっておる。そして委員の交代の問題とは、私どもとしては必ずしも直接関係ございませんで、やはり大きな書類でございますれば、それは努力してある程度読んでいただく、委員の方に勉強していただくよりしようがないのじゃないか、かように考えるわけでございます。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 広義の解釈で、会議非公開ということで「検察審査会議は、これを公開しない。」こういうことになっておると思うのでありますが、申請者の場合は私は別だと思うのです。申請者の場合は、この審査会はこれを公開しないというのと内容が違うと思うのです。審査会における書類その他については、審査会が独自の見解においてこれを検討調べるだろうと思うのでありますが、さらに申請者ですから、申請者には委員よりも先に見させてしかるべきだと私は思うのです。この点について、申請者に対する処遇というものは何ら考えられていないのです。申請者に対して見せないということは書いてないですよ。申請者に当然見せてしかるべきだと私は思うのですが、この点どうなんです。
  31. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 おことばを返すようでございますが、この検察審査会の手続は、別に職権で開始するという手続を定められておるところがらも御了解いただけますとおり、必ずしも民事訴訟のような原告と被告がなければ成り立たないというような手続ではないわけでございます。これはたとえば検察庁捜査の場合でも同様かと思いますが、告訴とか告発とかあって始まる場合もございましょうし、そうでなくて検察官独自に御捜査になる場合もある。検察審査会もまた、申し立てによってやる場合もありますが、独自にやる場合もあるわけでございまして、申し立てば要するに手続の始まります一つのきっかけではございますけれども申し立て人がいわば民事訴訟における原告的立場のような形でずっとその手続に関与しておるというようには考えていないわけでございます。しかしながら、それを将来いわゆる補充するための限度でいろいろ見る必要があるという点は、これは先ほど来岸総長から申し上げましたとおり、そこに意味があるということも了解できますけれども、また私ども先ほど来申し上げておりますような被疑者の人権であるとか、あるいは検察審査会委員の方々のそれぞれの発言その他の公正を確保する、つまりそういうことがあまり公にならないというような面、あるいは捜査の秘密という面、そういういろいろな面から総合いたしまして、いまのところまだ立法論としても踏み切れないわけでございますし、現行法のもとにおける解釈ということになりますと、そもそも閲覧だけ許すのか、閲覧と謄写まで許すのかとか、あるいは閲覧はどういう手続で許す、あるいは費用はどうするとかいうような、いろいろ技術的な問題が法制上何ら解決されておらないわけでございまして、そのことは、結局裁判所の手続においてそういう閲覧というものを許していないということの反面解釈というふうに理解しておるわけでございます。私どもとしては事柄はあくまでも立法論というふうに了解しておるわけでございます。
  32. 濱田幸雄

    濱田委員長代理 横山君。
  33. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど来法務省その他の問題についていろいろ議論があるわけでありますが、私は法務大臣並びに各政府委員にとくといまの民意というものがどういうところにあるか承知をしてほしいと思います。新潟の知事問題は不起訴となりました。先般岐阜の共済組合、政治的に発展する可能性のあるものも不起訴になりました。そして小林章も一たんは不起訴となりました。昨年は昨年で森脇事件が非常に発展をする過程で、突如として前法務大臣は病院から出てこられて政治家には関係なしと断言をされた。あたかもそれは参議院選挙の直前であったのでありますから、きわめて政治的な色彩が濃いという世間の批判を受けたものであります。かくして検察陣等に対する不信の念が多いときに、また法務省に汚職が続発をいたしました。刑務所における汚職のみならず、今回は入国管理局、あるいはまた法務局の登記所における汚職、まさに司法行政の権威は地に落ちたりといわなければならぬと思うのであります。  このときにあたって、小林章氏に関する起訴相当と認めるという民意判断が出ましたのに対しまして、政府、特に総理並びに法務大臣が、本件について、きのう総理のおっしゃるところによりますと、検察当局に指示するのは不適当だと考える、したがって、指示はしない、こう総理大臣は答え、いま法務大臣は慎重に考える、その慎重にというのがどういう意味だかわかりませんが、どうも私どもの聞くところによれば、私は何もしないというように感じられる。津田刑事局長はそれに対して、そういうものが出れば、ルールはあるけれども、一応審査をするということになるであろうという趣旨をおっしゃった。私どもが要望したいのは、このまさに地に落ちたような法務行政の中で、民意がこれを起訴相当と認めるといった、天の声、地の声、人の声をどういうふうに政治的に判断を総理並びに法務大臣がされるであろうか、最高責任者としてのその判断を伺いたい、こういうところなんでありますから、ひとつ腹を据えた御意見を伺いたい。
  34. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題に対しての私の考えは、さっき申したとおりでございまして、一向変わりはございません。慎重にこの問題を取り上げて、地検においてこの問題を研究し、そうして十分に研究した結果公訴に値するということになれば、公訴すべきものであるということだと私は思っておるのであります。そうでないものをわざわざ公訴すべきものでもなければ、また公訴すべきものをわざわざ政治的判断によって、何とかかとかいって、さっきわが党であるとかいう声も出ましたが、わが党であるというようなことでこれが左右されるようなことがあってはならないということを、私は厳に戒めておる。いつもそういうことを私は法務省としては考えておるわけであります。  私は、新潟の話が出ましたから、ちょうどこれにも関連するわけでございますが、そのときも私は何もそれには指図はしないということを申しました。こういうものはもう少し積極的に指図をしたらどうだというような声も中には聞かれました。しかし、検察庁がどんどんしっかり正しいと思うことをやるべきだ、われわれがいろいろな指図をするものじゃない、何か指図をすればまた違ったような指図をするような場合も出てくるわけだし、政治的なことで検察庁が動くことになるようなことは、検察庁を非常におかしな方向に向かわしめる。私どもはそれにさわらないでちゃんとしておいて、そこは正しいと思う方向に判断をした行動をとるのが一番大事なことであるという私は信念を持っておる。その考えにおいて今度の問題も、しっかりとこの問題に取っ組んで、せっかく声が出てきたならばそれと慎重に取っ組んで、りっぱな判断を下してくれということは、機会があったら申すかわかりませんが、それ以上のことはどうとかこうとかいうことは私は申しません。
  35. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと機会があったら言うということは、さしあたり機会がなければ法務大臣としては本件について何らの指示もしなければ、反対もしなければ、じっとしておるということでございますか。
  36. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題は当然検察庁がルーティンワークとして、平常事務の一つとして扱うべき問題でありまするし、この問題を取り上げてどうするかということはちゃんと法規的にきまっておるわけでございます。そうしてその心がまえというものは、私はかねて検事総長のもとにどうあるべきかということについて、検事長その他の会同の際には絶えず訓示を与えておるわけであります。ここ一個の場合だけで、どうしろこうしろということをあらためていま言うことは特に考えてはいないということでございます。
  37. 横山利秋

    ○横山委員 非常に不満の意を表示いたしたいと思います。私は、あなたが法務大臣就任のときの談話をいまでも記憶しておるのでありますが、あなたは法務大臣におなりになります際に、法務大臣というものはじっとしておることによっておのずから威厳が徹底され、汚職とかいろいろな問題がないようにするのが私の任務だと思うというような趣旨のことをおっしゃいました。あなたはじっとしておられるのでありますが、ところが、続々あなたの足元から汚職がいま続発をしておるわけであります。先般刑務所の問題についてあなたの所信をただしたのでありますが、そのあなたが非常に遺憾の意を表示された翌日には、また翌々日には、今度は法務局である、今度は入国管理局の傘下である。とほうもない話でありますが、この大阪地検特捜部の摘出によりますと、大阪法務局では収入印紙を張って出すその法務局の職員が、その収入印紙を張って出したやつをまた持ち出して、出てきたやつに今度古い収入印紙を張る、それによって使ったものを——新しい窓口の係の者、それらがその収入印紙による収入を分配をしておる、こういう驚くべきことであります。入国管理局というところは私は一番きびしいところだと思っておった。いろいろな海外の問題があって一番シビアーな審査をするところだと思っておったが、何と入国管理局の職員が、韓国人あたりからリベートを取って仕事をしておる。こんなばかげたことが白昼公然と行なわれる。松山の刑務所では、あろうことかあるまいことか刑務所の中で密会、売春が行なわれておる。こういうような状況で、他方においては国民の非常に関心の的である問題が何か政治的に扱われて続々不起訴になっていくということについては、どうにも私は納得できないものを感ずるわけであります。   〔濱田委員長代理退席、委員長着席〕  先般私は、法務大臣の今日のあり方につきましていささか苦言を呈したものでありますけれども、それ以上にこの小林事件、あるいは法務省法務局、あるいはまた入国管理局等続出をいたしましたのでは、いささか腹に据えかねるものを私は感じておるわけであります。この際私は汚職その他についてはまた機会があれば言うでありましょうけれども国民が、また世論が、圧倒的に小林問題についてかくあるべしと断じておるものを、あなたは、法務大臣だから、裁判だからわしは知らぬことだ、政治的なものは何ら考えないんだ、わしはじっとしておるというだけでは国民は納得しないとお考えになりますまいか。
  38. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 ちょっと小林君の問題と私の法務省内の汚職問題と一緒にしての扱い方は、こんがらかるように聞こえて、はなはだ私、話しぐあいが悪いのでありますが、小林さんの問題とほかの三つの問題とは私は別に扱ってお話申し上げたいと思います。  小林議員の問題は、これは検察庁に対しまして、いま検察審査会からこういうふうな点がいけない、検察当局のやったことについてはもう一ぺん考え直せというような心組みでの申し立てが出ておるわけであります。これを法規に従いましてちゃんと取り上げまして、慎重にこれはやるというのは、かねてからの、私どもが大事にしておる、検察というものはちゃんとした形でいかなければならぬという姿勢の中に入っておる仕事のことでございまして、いまさらそれを慎重にやれとかいいかげんにやれとかいうふうな問題ではない。当然のこととして慎重にやるのでございます。それだからこの問題は慎重にやりますと申すことは当然のことでありまして、私はそれを申しておるわけでございます。で、さらにそれが各方面からいろいろな声が出ておりますこともみんなも承知しておるでありましょう。私ども承知しておるのでありますが、そういうことも頭に入れておいて、かつ自分たちの職務ということをちゃんと考えてこの問題としっかり取り組んで、検察庁がりっぱな仕事をしてくれること、これは検察当局に私はまかしたいという意味のことでございます。  あとの三つの問題につきましては、その中の松山事件につきましてはこの前あなたからいろいろとお話がございました。私もいろいろ申し上げました。はなはだ遺憾きわまりないことで申しわけないことである。こういう状態を来たらしめた原因を探求して、そういうことのないように——私はこれきりで、この次はもうこういう問題が起こらぬようにします、口幅ったいことを申し上げたいのでありますけれども、なかなかそう言うことができないかもわからないが、どうしてもないように、必ずないようにという心がまえで、私どもはどうするかという次の問題をいまも盛んに研究をし、そしてそれの手だてをなお進んで相談をいたしておるようなわけでございます。いろいろな点を考えておるわけでありますが、そういうふうに今後の問題を考えておる。法務局の登記所の問題などにいたしましても、ほんとうに残念千万である、何ていやな事件だろうと思っておる。それから入管局の問題もそのとおりでございます。これは監督上の問題といたしましては私は申しわけないと思っております。申しわけだけでは済まない問題でございます。今後こういうことが起こらないように、そうしてそうするにはこれはどうしたらいいか。ただ、ないようにいたしますと口先だけで言わないで、その実をあげるようにいたすべしということで、いま盛んに研究もし、問題を取り上げて、こういう問題はこういうふうにしようじゃないか、ああいうふうにしようじゃないかというようなことを盛んにいま議している最中であります。この問題は私もしっかりと取り組んでいくつもりでございます。前の問題と切り離してこれは私ががっちりと自分が陣頭に立ってやっていくつもりであります。前の問題は私がほったらかしておくわけではない。全体的の問題としては、かねて私が検事関係の諸君の集まりのたびごとに訓示しておる方針に従ってやっていってくれておるものであり、そのとおりにやらせますという心持ちを申し上げておるわけでございます。いいかげんにほったらかすという意味では決してないのであります。その点は御了承いただきたいと思います。
  39. 横山利秋

    ○横山委員 法務大臣として前とあととは違うとおっしゃるけれども、私は大臣御自身の心がまえ並びに決断を要することが最近続出しておると思うのです。  もう一つは北朝鮮からの技術者入国に関連する問題であります。一年有半にわたって大臣の決断をお願いをして、いまや政府が関係閣僚のすべての合議の上で技術者入国を許可した。しかも技術者入国の法律上の閣僚としての責任者はあなたである。ところが、韓国がこれに対してあらゆる妨害を政府決定以後においてなおかつ行なってまいりました。私は韓国大使館のさる某公使や、あるいはそれを通ずる金融機関、某銀行、某銀行、すべて情報を知っているわけでありますが、いま言う時間はございません。いま言いたいのは、あのような韓国の、日本の国の方針がきまった直後に、まさに白昼公然と、あるいは陰に回ってあらゆる妨害工作をして、そのためにこの技術者入国の問題ががけがくずされる。入国許可になっても入国ができないかもしれぬ。入国ができても実際の契約が実行できないかもしれぬ。こういうような状況になっておることに対しましてあなたの深甚な関心を促したいのであります。ただ、政府は入国を許可したのだから、あとのことはおれは知らぬというふうにおっしゃりますまいと思うのであります。なぜならば、政府が一年有半にわたって検討をしてきた陰には、このことを許可したらあとどういうことが起こるかということをしさいに法務省は法務省、通産省は通産省、外務省は外務省として検討をしたはずであります。私も伺っておったわけであります。それがいま行なわれたときに、総理大臣は、きのうのお話によりますと、何かぬるま湯に入ったような、そして政府が許可したそれがどうあろうと、あとのことはおれは知らぬというような感じを私どもは持たざるを得ないのであります。  法務大臣にお伺いしたいのでありますが、この韓国のあり方によって入国の実際の事務がおくれるようなことはないか、また今日行なわれておる韓国の内政干渉等々の問題によって、この政府がきめた入国許可、それによって契約、それらの一連の行動について政府は責任をお持ちになるかどうか。その点、許可をした閣僚として、また閣議における一人として大臣の御意見を伺いたいと思います。
  40. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 ちょっと私にはあなたがやかましく言われる意味がよくわからないのですが、長い間の問題でありました。それが許可になりました。いま許可する人たちに対しての手続は、入国管理局のほうでやっている事務の途中でありまして、どの程度やっておりますか、その許すことになったということを言うたままで、そのほうで事務的な問題を話し合っておることだと思うのであります。それ以上私は何にもその問題に関与しておりません。出てくれば、話がつけばそのとき許されるわけであります。  それからその先に、責任を云々とおっしゃるが、どういうことですか、横山さん。ちょっとわからないのですが……。
  41. 横山利秋

    ○横山委員 大臣御存じないかもしれませんが、私の入手いたしましたところによりますと、韓国の大使館のある公使はさる銀行の頭取に対しまして、この契約が実行されないように、もしもこの契約が実行されるに伴って金融をするならば、韓国への支店の許可あるいはまた賠償取り扱い指定銀行としての許可、それらを一切行なわないというように通達をしておる。それから呉造船に対しましては、すでに私は十数日前に承知しておるのでありますが、やはり金融機関を通じてもしも呉造船がこの契約をするというのであるならば、今後韓国は貿易をとめるということを言い、某銀行は関係の東邦ベスロンのところに重役を派遣しておるのでありますが、韓国の内意を受けてこの東邦ベスロンの重役に対しましてなるべく取りやめるように、自発的にこれを辞退するようにという慫慂を行なう等々、まさにあらゆる角度から韓国からの金融機関並びに商社に対する妨害というものは、先般許可をなさる前に私がお話をいたしました以上の状況がいまあるわけであります。したがいまして、私が申しましたように、あなたは許可をされた。けれども、その許可をされたことによって韓国が猛烈な抵抗を行ない、日本政府に表向き抗議をすると同時に、裏口で金融機関や商社に大圧力を加えておるというのが現状なんです。ぼくは某銀行の頭取に会ったのでありますが、金融機関の諸君に言わせれば政府がけしからぬ、こう言っておる。なぜけしからぬかというと、政府は許可をした、おれの役目は済んだといってあとのしわ寄せはみんな私のほうにくる、こう言って、もしも政府が許可をし、その判断をあらゆる角度からしたというならば、われわれにしわ寄せがくるものを守ってもらう責任が政府にあるはずだ、こういう主張をしておるわけです。したがって、政府が許可をしたけれども、あとのことについては私は何も知らぬ、それに対してどういうことが起ころうと私は知らぬと言ったのではいけませんぞ。普通の貿易の問題じゃなくて、長年の懸案であり、政府が政治的に経済的にあらゆる状況判断して許可したのであるから——あなたは法務大臣であるから、法務大臣としてのことについてはあなたの所管であるけれども、他のことについては直接所管ではあるまい。あるまいけれども、閣僚の一人として責任を持ってほしい、こういう意味のことを私は申し上げておるのです。
  42. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 その先のところまで、どこまで政府が責任を負うかということは、私はちょっとはっきりいたしません。と申しますのは、私のほうの関係だけ見ましても、出願があり、許可をする、ところが来なくなった。そうすると、せっかく許したのにどうして来ないかということを追っかけ回して、どこがどういうわけで来なくなったかさがして、三人なら三人許したものをなぜこれが三人来なくなったかということを追っかけて、原因を探求していろいろやるところまでは私のほうはやらないのだ。たとえて申しますと、この間スポーツの関係で三人許しました。ところがせっかく許可をしたが、レクチャーを聞きにくる日までに入ってこない。どうしたのだといって、これは私、体育協会の関係がありますから体育協会に聞きましたら、船か飛行機か何かおくれたらしいということで、その翌日か何かに二人見えたということがありました。そして二人見えてそのままになったということがありました。しかし二人になったのはどういうわけだ、三人であるはずだったじゃないかといってそれを追っかけ回していろいろやるというところまでいかない。二人になったら二人であったのかな……。三人が四人になると、それは免状がないわけでありますからいけませんが、というようなことで、許可をすればそれから先のことまでちょっといま、あなたもそれは法務省のことじゃないのだが政府としておっしゃるが、資金の問題やいろいろな問題にまで関与して、許可を与えるからには資金の面も確かに保証するというような立場に日本の政府が置かれるのはおかしいのじゃないかと私は思います。民間ベースでやっておっても何にしても、とにかくちゃんとそういうことで許すことになっておるのだから、それはくずしちゃいかぬということを政府の力で押しつけるというのはちょっと行き過ぎじゃないでしょうか。私はそういうふうな気がするのですが、ちょっとよくわかりません。
  43. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは新聞を読んでいらっしゃると思うのですけれどもね。これらの新聞を読んで、国民の圧倒的多数といっても私は差しつかえないと思うのですが、義憤を感じている。政府が入国を、単に貿易上の問題で許可をした。そのことに対して韓国があらゆる猛烈な抵抗をしておる。そして切りくずしをし、表向きは表向きで抗議をしておる。こんな、韓国が日本の内政に干渉するようなやり方について義憤を感じておるのですよ。まずその国民民意といいますかを、あなたももっとなまで感じてもらいたいという意味と同じなんです。あなたは、おれは入国をさせろと言ったから入国を許可した、あとはおれの所管ではないとおっしゃるまいと思いますが、夜ごとごと、韓国があらゆる報復措置をしておることについて、日本政府としては何らかの方針があってしかるべきではないか。あなには入国を許可した、あとはおれは知らぬ。今度韓国はそれに対して、商用で日本人が入国する場合ビザを発給しない、商用で日本に滞在しておる韓国人を帰国させる、商用で韓国人が日本を訪問できないようにする、在韓日本商社との接触を禁止する、脱税を云々する、何々を云々するというようにあらゆる報復措置があるんですよ。いま、私は何か特別な金融をつけてやれと言っておるわけではない。普通の金融が行なわれようとしておるものを、韓国の圧力で金融ができないようになりかけておる、こういう意味です。ですから、私は単に法務大臣、外務大臣のベースでなくて——韓国のこのような内政干渉とあえて言うのです。国民的義憤を持っておる問題について、閣僚が、おれの所管はこれだからあとは知らぬというばかげたことはあるまいじゃないか、これは一ぺん閣議で、この日本国民のあるべき民意を参酌して、政府としてき然たる立場でいかなければいかぬじゃないか。韓国は賠償の金だけはもらう、賠償のルートだけはそのままにしておく、あとは日本のやることは全部報復手段でとめてやると言わんばかりの話じゃないか。それにああそうですが、それならまあ入国は許可したけれども、下がくずされてもうぱあになってもそれはそれでしょうがないよ、私は入国を許可しただけだからというようなことは、法務大臣としても閣僚としてもおっしゃいますまいな。政府としてこの国民の義憤を感じておる問題について、どうお考えですかということが焦点であり、それに伴って、あなたも入国を許可した以上いろいろなことを考えて許可されたのだから、それが形式だけのことで砂上の楼閣のようになって、あとは実態が何もないというようなことを韓国にされて、それもしようがないじゃないかというお考えでしょうか、そういう疑問を私は呈しておる。
  44. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 何か私どものあとのことの責任が重いようなふうに聞こえるのでございますが、これはいままで北鮮方面と日本との間に貿易が行なわれておる。政府はこれに何らの関与もしなければ、援助もしなければ、また妨害もしなかったのであります。自然に伸びてきた。これは同じようなものの一つだと思うのであります。ビジネス、そういう形のものの一つでございますし、この問題だけ政府が特にこうだああだといって飛び出してやる  何か別な方法が考えられて、あなた方の力、同情してこの問題を扱っていただいておる方々の力で何かなさるということならばわかりますけれども、政府の力でどうということは、私ちょっとまだそうおっしゃってもぴんとこないのでございます。もう少し承っておきますけれども……。
  45. 横山利秋

    ○横山委員 何と歯切れの悪いお話であろうか。一体何をお考えになっておるのか私にはよくわからないのですけれども、これは同僚諸君を含めて、あなたの御意見を聞きますと、何かほかに原因があるような感じがしてならないのです。私どもがどうも不安に思いますことは、なるほど社会党もあなた方に要請したけれども、これは最後的には政府が決断をもって北鮮技術者の入国を政府の責任で許可されたことだ。今日はそういうことなんですよ。それによって韓国が猛烈な抵抗をして切りくずしを行なう、報復手段を行なう、それに対して何らなすすべなし、来なければ来ないでしょうがない、おれは許可したのだからしようがないよ、来ても、その実態がなくなってもおれはしようがないよ、貿易のことだからわしは知らないよ、こういうふうに受け取れてしかたがない。もしそうだとするならば、それは何たることでありましょうか。私はここ数日間、ほかの用事でいろんな都民の方にも会っているのですが、私をつかまえて、あれは何ですかと言う人が実に多いのです。ばかにされているじゃありませんか、日本政府はどうするんでしょうねと、技術者の問題よりも、いまやこうなっては、韓国があらゆる猛烈な切りくずしや内政干渉がましいことをやってくることについて、何ですか、こんなことぐらいで政府はどうするのですか、こういうのが圧倒的な都民の意見ですよ。いまあなたが御答弁されたことではとても国民は納得しません。私の質問のしかたが、最初、金融だとかいろんなことから入りかけたから、あなたが誤解されておるとするならば言い直します。あなたの責任で技術者入国が許可されたことによって、韓国の内政干渉が山ほどこようとしておる。それじゃ、そのことについて一体どうなさるかというふうに言ったらあなたの答弁はしやすいのか、あるいはしにくくなるのかわかりませんけれども、もう時間です。参議院でも呼んでいますから、もうお答えがこれ以上なければ、不満の意を呈するだけで、私はあなたに対して質問を打ち切りたいと思う。
  46. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 いや、お答えいたしましょう。  韓国からのいろんな不満が新聞ではいろいろ出ますけれども、さまざまなことが書かれておりますが、どこでどうなっておるのか、私は直接聞かないから、一つもわかりません。どの程度のことかもわかりませんが、もしこの問題を引っ込めろと言われましても、いまのあなたの援助をしておられまする、あなたがそうやってしきりに声をあげておられまするものが、出しておるいろんな条件が変わらないで出てきておるものでございますから、それを私どもが、いろいろ言われたからといってやめる考えは一つもございません。どういうことを言われましても、方向はきまっておるわけであります。それだから手続を命じて、私は淡々として水のごとくその答えの出てくるのを待っておるわけなのでございます。あなたがあまり力まれるのが、私さっきからわからないというのはそういうことであります。しかしいまのお心持ちはわからぬじゃないのです。あなたと、この問題でずいぶん長い間、一年間いろいろと話し合いましたから、心持ちはわかりますけれども、いまになって政府がこうせいああせいとおっしゃるが、そうでなしに、やっていただくべきものじゃないかということは、やはり依然としてそんな感じがする。なお私も考えてみますということだけ……。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 大いに不満の意を表して御検討願っておきます。歯車は変えません。どういうわけだか、何かほかに原因があるかわかりませんけれども、歯車は変えません。  時間の関係上次に移りまして、次は最高裁に質問をいたします。  鹿児島地方裁判所長飯守重任氏、この人はすでに御存じのように、歴史的にたいへん話題の多い人であります。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 満州国で司法官をやっておって、終戦直後抑留生活をされた。伝うるところによりますと、現地で自己批判をされて、いわゆるソビエトのいうところの民主的な人におなりになって、帰ってきてから、あれはうそだったという立場をおとりになって、そうして某裁判の際に弁護士と紛争を起こして、弁護士を法廷侮辱罪に請求をなさったという、言うならばいわくづきの人であります。鹿児島地方裁判所にお入りになりましてから、「裁判所広報」を今年の一月からお出しになっておるのでありますが、その「裁判所広報」には、冒頭に「展望」と題しまして飯守所長の論説が常に掲載をされておるのであります。私は、「裁判所広報」というものはまさに広報であるから、公のものであるから、ここにありますように、人事だとかあるいは試験の状況だとかあるいは会計だとかいろいろな通報すべきことを通報し、どうしても書きたかったら、一番最後の随筆欄にでもお書きになるならば、それもさこそもあらんと思う。ところが、ここで飯守所長がお書きになっておりますことは全く政治観である。そうして社会観である。この政治観を連続お書きになっておりますことを見まして一驚を喫しました。第一号はわりに穏やかでありますが、まず憲法を論じて、わが国の憲法は修正資本主義の憲法と断じ、「修正資本主義はその性質上漸進的である。敵対的階級の存在及び階級闘争の必要を認めず、従って革命的急進的でなくて、特に戦後においては本質的に平和的、協調的となった。」この論断も議論はあるのでありますが、かりにまあまあとして、一号、二号、三号に発展をいたしますと、三号は、「唯物論の行方」と称して、「「搾取されている階級が団結して、自由国家の資本主義政府を暴力革命によって倒して労働者の支配する独裁国家を作り、資本家、地主を絶滅しなければならぬ」と主張する。彼等は「神を信ずる宗教は、搾取を隠ぺいする阿片である」とも言う。唯物論という、この勇敢な独断論の帰結は、敵階級に対する残忍な憎悪の哲学、それに基く階級闘争、暴力革命へと導かれる。」そうして結論として、「十九世紀以来の唯物論の流行の行方は恐らく流行に終るということだろう。私たちは今後唯物論流行の原因と結果を種々の角度から検討しなければならない。」といい、第四号に至って戦争の原因に触れ、「戦争の原因を的確に把握してその原因を除去する手段、手順を考えずに、一部の人々のように「戦争絶対反対」「戦争はもうこりごりです」「息子を絶対に戦争には出しません」とわめいてみても、殆んど何の役にも立たない。それどころか、一部の勢力即ち自分の方から戦争を始めながら、これを受けて立った防衛戦争を逆に侵略戦争だとしてゴマ化す勢力から、政治的に利用されるばかりである。ユネスコ憲章に「戦争は人間の心の中で始まるものであるから、先づ心の中に平和のとりでを築かなければならない」とある。この精神主義は決して無駄ではない。しかし近代において戦争は絶対多数の人間の意思に反して起った。」云々として、ユネスコ憲章に対する誹謗を行なう。それから「日本は日貨排斥運動に対する外国の煽動にも神経をとがらせていた。支那市場を列強から奪われないようにするために、日本は満洲事変や支那事変を起し、これが拡大して大東亜戦争となった。民族的に孤立で経済的基礎の弱い日本は善戦したのであった。」つまりよい戦い、しっかり戦った、善戦したのであったといい、「この戦争で戦ったどちらの国が正しくて、どちらの国が不正であったかは容易に判断できない。大極的に見れば、戦争責任は日米英あまり違わないと云うべきである。」と論じ、それから「単に表面上の現象だけをとらえて、戦勝国の威力をもって、日本に侵略国としての烙印を押し、戦勝国の責任については何も触れるところがなかった。米英は世界第一級の富強な大国であった。米英が、国際経済協力と植民地独立の音頭をとっていたならば、あるいは大東亜戦争は起らなかったかもしれない。要するに東京裁判は極めて皮相的、感情的であって殆んど裁判という名に値しないものであった。」そして結論として、「この傾向を是正する一つの重要な鍵は、大東亜戦争を正当に評価し直し、東京裁判に対し新しい歴史的観点から批判を確立することである。」と論じた。第五号に至っては「将来の戦争の原因」を説き、——全部読むと時間がかかってなんでありますが、たとえば「日本では殆ど報道されなかったアメリカ国務省の「ヴェトナム白書」によれば、北ヴェトナム」がどんどん南へ侵入したんだ、こういうアメリカ国務省の「ヴェトナム白書」の引用をして、「なおヴェトナム戦局は、昨年十月十一月のプレーメ・イアドラン渓谷の大会戦で攻守ところを変え、南ヴェトナム・アメリカ軍が絶対に優勢となり、既に掃蕩戦の段階に入っている」と独断をし、第六号「「憲法は階級闘争を是認するか」 敵対的階級思想は憲法に違反する——」として、「憲法の立場は、革命的急進的でなく、平和的漸進的で、政治制度としても、議会の多数決によって平和的に政治経済を改良して行く議会制民主主義を採用し、一階級の暴力による改革ないし革命を排撃する。従って敵対的階級闘争の思想、階級的憎悪の思想は明らかにわが憲法の否定するところであると云わなければならない。」として、「現在、一部の政党や組合の間に、この階級闘争の傾向が濃厚に見えるものがあることは残念なことである。」その特徴の幾つかの例をあげて、第一にストライキの問題、第二に何々闘争とやたらに「闘争」という文字を使う問題、第三番目に、政府や会社の方針には何でも反対だという言い方、第四番目に、組合の場合に、政治闘争をして、組合の政党化の傾向を論じ、第五番目に、何でも政府や会社に要求することを非難し、第六番目に、政府や会社の幹部を反人民的というような言い方をする扇動的な記事、書説をすることまで論じ、第七番目に、公共的なものに対してストライキをすることを非難し、第八番目に、自己政党や組合の気にいらない裁判は、裁判に値しない裁判であるとか、裁判とは認めないとかいう記事言説をなすこと等を非難し、「以上のような偏向現象のいくつかが政党や組合の活動に表われた時は、我々国民は、その活動が革命的階級闘争として憲法に違反するものであるかどうかを慎重に検討して、これに対処する自身の正しい態度を決めなければならない。」とまで論じている。  私は、このいわゆる「展望」なる毎号掲載されるものを読みまして、この飯守さんという人がこういうものの考え方を持っておることを私は否定するものではありません。しかしながら、いやしくも地方裁判所長として「裁判所広報」にかくのごとき独断と偏見と、そうして一部の報道を真実なりと信じて裁判所職員にこれを広報として読ませるという態度については、これは何としても阻止をしなければならぬ。この人は一体裁判所長として適格であろうかどうか。いかなる気持ちでこういうようなことを一こういう独断や偏見を広報に載せて裁判所の職員に読ませる。そうして最後に随筆なり書くならともかく、麗々しくも一番最初にこういう自分の独断を載せて読ませるということについては、何たることであろうか。最高裁判所はこういうような地方の「裁判所広報」というものを入手していないのであるか。入手をしているとするならば、どうしてこういうようなあり方を見のがすのであろうか。最高裁判所もこれが適当だと思っておるのだろうか。適当だと思っておる、ならば、その適当と考える根拠は何であろうか。全く私は不可解に感ずるのであります。いかがでございますか。
  48. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 実は鹿児島の地家裁でそのような広報を発行しておるということは、ごく最近になって私ども知ったことでございます。この広報は別に最高裁判所の方針としてやっているものではなくて、各下級裁判所が自主的にやっておるもので、現在広報を発行しておる裁判所は、東京高等裁判所と東京地家裁、甲府地裁、それくらいなものでございまして、最近になってこの鹿児島でもそういうものを発行しておることを知ったわけでございます。しかも広報というのは、どこの地家裁でも、鹿児島以外の広報は、これまで私ども、ことに地元の東京のものは入手して読んでおりますが、まあ裁判所の内部のいろいろなできごととか、人事異動とか、管内の会同関係とか、あるいは通達、そういうものを載せて、職員によく周知徹底させるのが主たる目的のようで、そのほかにたまたまこれだけではあまり無味乾燥というので、別に所長とは限らず裁判官なり何なりの随筆とか偶感、そういうものが載っているわけでございます。ところが先ほど申しましたように、鹿児島地家裁の広報は、これはごく最近私どもは知ったことでありまして、しかも本日お聞きすると、ずいぶん——六号くらいいろいろお読み上げになったようでございますけれども、私どもは大東亜戦争のことに触れた広報だけを急いで入手して、それを読んだわけでございます。それ以外のいろいろ階級闘争とか唯物観云々とかなんとかいうそういうものを記載したものは、まだ入手しておりませんが、この大東亜戦争云々、先ほどたしか四番目にお読みになったと思いますが、それは一通り目は通しまして、その内容はともかくとして、こういうようないわば政治的含みのあるものをこの広報に載せることは、これは決して妥当じゃないと私は考えます。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 妥当でなければどうするのですか。私の言うのは、この人がこういう思想を持っておることが悪いとは言わないのです。もちろんその思想まで私はどうこうしようという気持らは毛頭ないけれども、こういう思想を持っている人が——実際この人の根底になっておる思想だと思う。まあ善意にですね、ソビエトで改宗をなさって、帰ってきて、また改宗をなさったということについては、あまり多くを触れますまい。いまになっては、この人の根底になっている人世観、社会観、政治観だと思う。こういう人が裁判にあたって、鹿児島の地方裁判所なら御自身でも裁判をなさるでしょう。こういう思想というもの、こういう政治観というもの、こういう組合観というものが根底になっておって、どういう裁判が行なわれるだろうかと思うと、はだえにアワを生ずる思いです。したがって、私は端的に言うならば、裁判官として不適当とまで書いたいけれども、さしあたりこのような文章を掲載するのを、執筆を禁止してください。
  50. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 私も先ほど申しましたように、そういうものを広報に載せることは決して望ましくないと思っております。  それで四号の戦争観ですか、飯守判事の戦争観に関する部分は入手して読んでおりますが、あれも戦争を賛美している趣旨では決してない。しかし書いていることが、あの広報なんかに載せなくてもいいようなことがかなり書かれておる。それと同時に先ほど来、そのほかのこともたくさんございますので、それを全部これから取り寄せまして、至急検討いたしまして、しかるべく処置をとりたいと思っております。とりあえず四号の広報を取り寄せましたときに、電話でそういう「展望」の広報の行き方は国会でも問題になっておるということを係を通じて警告いたしております。全部を検討いたしまして、そしてしかるべき処置を考えたい、かように考えております。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 次に、ここに「旬報カレント」なるものがあります。この「旬報カレント」の表題を見ますと、「この本は政府刊行物サービス・センターより無料で頒布する政府資料の一つであります。広く御利用下さい。」こう書いてある。これが聞くところによりますと、鹿児島地方裁判所で予算で購入されて職員に回覧をされておるという話であります。一ぺんお確かめ願わなければなりませんけれども、第一に疑問を生じますのは「この本は政府刊行物サービス・センターより無料で頒分する」——そこまではいい、「政府資料の一つであります。」という、一体どうしてこんなものが政府資料になるのかというのが第一の疑問であります。  しからば、内容は一体どういうものであろうかと見てみますと、賀屋元法務大臣相当執筆されていらっしゃるようでありますが、賀屋さんも、——ここに私の入手いたしました五十六号によりますと、随筆的なものであります。ですから、そのこと自身に触れるわけでも何でもない。しかし、この「旬報カレント」を貫く思想というものは、一番最後に、「全国的組織へと読者から発言」「第一回カレント友の会」の雰囲気を見ますと、これが何といいますか、結語みたいな雰囲気で書いてあるのでありますが、続いて何がし何がし何がし先生などから、「安保条約の存続は絶対必要との熱心な発言が続いた。特に国際情勢判断の甘さをきびしく警戒しなければならない現今の風潮の中で、小誌カレント発行の必要度は非常に商いものであるという認識が会場にみなぎったように見受けられた。」また、「これが保守陣営の宣伝不足によるものとの見解には、「それだけではない、青年これ真剣に起つべきである」との発言もあり、終了近く政府自民党への激励と国民大衆の自覚を促す一つの集まりに育てていこうという強い要望となって、予定時間を一時間も超過するという真剣なる第一回友の会であった。」という末尾の文章で見られますように、この「旬報カレント」という雑誌の意図しております方向というものは大体わかるのであります。ここにあります「安保百講」並びに「共産主義——過去・現在・未来」という論文に至っては、おそらく飯守裁判官が垂涎して、これはいい本だ、これを予算で買え、それをみんなに読ませろということになったのではあるまいかと思われる。しかしそれと同時に、こういうものが「政府資料の一つであります。」と、これは政府刊行物サービス・センターが出したと思うのでありますが、何のゆえをもって政府資料にこういうものがなっておるのか。その点が私にもわからない。ともあれ、単に「裁判所広報」一つの問題でなくて、飯守所長が行なわれておる、根底に持っておる思想から流れる裁判所の運営等については、これらを含めても大体想像にあまりあるような状況ではあるまいか、こう考えられるのであります。この「旬報カレント」についての御所見を伺いたい。
  52. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ちょっと私、事務的に先にお伺いして、あるいは総長から所見を述べていただいたらいかがかと思いますが、この「旬報カレント」と申しますのは、いま私ども、実はここで初めて拝見いたしました。おそらくわれわれのほうで作成したものではないと思います。それで、政府でおつくりになったもののようにお伺いいたしましたが、政府でおつくりになったような資料をいろいろ裁判所のほうへお配りいただく場合もございます。そういう場合に事務的に、それを中央で配付する場合もないわけではないと存じますが、その資料はどうもわれわれのほうから、中央から配付したものではないように存じております。で、あるいは現地で、先ほどちょっと無料とか伺いましたので、無料だとすれば、自由にお入れになったものか、有料なら、あるいは現地でも若干予算がありますから、購入されたものか、その点はさらに調査いたしましてから申し上げたいと思いますが、内容も全く存じませんし、どういう手順で鹿児島のほうにいっておりますのかもわかりませんので、よく調査いたしました上で意見を述べさせていただきたいと思います。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問はこれで終わりたいと思うのでありますが、先ほどの法務大臣の御答弁は全く不満であります。また機会を改めて法務大臣の何かほかに原因がある——原因がなければ法務大臣としてまことに言語道断のお立場だと思う。  それから、いまの飯守裁判官の問題については、最高裁においてまだ調査が不十分な模様でありますから、調査結果並びにその処置結果をまって質問を継続いたしたいと思います。
  54. 神近市子

    ○神近委員 関連。私の質問は、さっきの山田委員質問に関連しているのですけれども大臣が時間がないというのでおそくなったのですが、ちょっと伺ってみたいことがあるのです。  これは問題が大体検察審査会の問題ですけれども、あれの制定された動機は民意を反映するためのものであった。刑事訴訟法だけでは民意を反映することができないというので、審査会が制定された。いろいろ法律のことを勉強してみると、民意を反映するものはこの審査会とそれから自由人権協会の仕事だと考える。ところが、この審査会あるいは自由人権協会というところの状態を見ると、ほとんどこれが民意を反映するというのに遠いのです。ですから、私は、この次の質問でこのことをちょっとお尋ねしたいことがあるのですが、たとえば小林章議員の問題で法務省の見解は、小林議員にもうすでに事実をつかむことができないから、これは問題にならないのでないかというような談話が新聞に出ておりました。それで、私が伺いたいのは、一体年間にこの審査会にはどの程度の申し出があるのか。そうしてこれが何%ぐらい取り上げられて、それが処理されているのか。この点をもし数字がありますなら教えていただきたいと思います。
  55. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま神近委員からお尋ねのございました検察審査会の運営の実情でございますが、まず検察審査会で取り扱っております事件の総数は、これは発足当初はかなり少のうございましたが、その後次第にそういう制度の存在が一般に普及いたした等の関係もございまして、逐次増加してまいっておるわけでございます。そうして最近では、年間二千件近くも全国で処理しておる、かような状態になっておるわけでございます。そうしてその中で、検察官が不起訴にされましたのが不当である、あるいはさらに進んで起訴相当である、かような趣旨議決をいたしておりますものが大体百件ないし百四、五十件、まあ百件を中心とする件数になっておるわけでございます。そうしてかような議決がございました結果、検察庁のほうでさらに御審議になって、そうしてこれはやはり検察審査会意見のとおり起訴すべきであるというような結論に達せられましたものが、大体それの二割ないし二割五分見当というのが現在の実情ということになっておるわけでございます。端的に申しますれば、検察審査会意見が大体二割から二割五分程度で取り上げられておる、こういうようなことになっておるわけでございます。
  56. 神近市子

    ○神近委員 それでは、申し出があった二千件の二割ではないでしょう。取り上げた百件あるいは百数十件のうちの二割でしょう。そうすれば全体としての数字は非常に少ないわけなんです。
  57. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは検察審査会起訴相当あるいは不起訴不当と申しました中の二割ないし二割五分でございます。したがいまして、件数といたしますると比較的少ない。年間二、三十件ということにはなるわけでございます。ただ、これは検察審査会そのものが不起訴がもっとも、こういった事件は、これはいわば民意も不起訴相当としたわけでございますから、いわば問題にならないわけでございまして、検察審査会のほうで起訴相当だといった事件だけがいわば民意の反映という意味から問題になるわけでございます。そういう点で大体二割ないし二割五分ということを申し上げたわけでございます。ただ、ちょっと一言つけ加えさせていただいてよろしければ、件数としてはこういうことでございますけれども、しかし、常に検察審査会がここに控えておりまして、そうして新聞等でいいますいわば検察のお目付役ということでにらみをきかせておるということは、また意味が非常にあろうと思うわけでございます。また先ほど来ここで各委員の方々からいろいろお話のございました、社会的にいろいろ大きな問題になった事件について、たとえば検察庁と違う意見を出す。そうしますれば、それが検察官のほうで最終的にどう取り扱われるかは一応別といたしましても、少なくともいろんな世論を巻き起こし、あるいはジャーナリズムにおいて取り上げられるということが、これまた検察の運営を非常に慎重にしていただくという一つの監視の役目をしているということは少なくとも言えると思います。パーセントではこういうことでございますけれども、そういう限りにおいて、私ども検察審査会というものは検察の民主的運営に非常なにらみをきかせているものだという感じを持っているわけでございます。
  58. 神近市子

    ○神近委員 検察ににらみをきかすとおっしゃるけれども、そういう意図でこれは制定されたものなんです。民意をどういうように反映するか。たとえばこの前私は陪審制度というものが必要があるのでないかということも申し上げたのですけれども検察審査会というものはある意味での陪審制度ですよね。ところがこの二千件の申し出があるのに、わずかに二十件か三十件というのはあんまり少な過ぎる。いろいろ欺瞞的なこと、詐欺とか何とかいうようなことで裁判に取り上げられるというこはあたりまえだと思います。だけれど、ほんとうによい人がいじめられている。そういう場合にもっと進んでこれを取り上げるべきだというのが私がさっきから伺っていることです。たとえばいまの小林議員のこと、何度も出して何だか小林さんにたいへん悪いように思うのですけれども、あの問題だってほかの者は百何十人かあげられている。だけれども、小林という人が実際にお金を渡したとかあるいは依頼をしたとかというようなことはないから、これは起訴する根拠がないというようなことが出ている。あなた方は法律をつくって、その何条がどうとかこうとかということばかりに頭がいっている。これを石原莞爾という人が——この人は戦前の人でありますけれども、官匪ということばを使っています。役人の匪賊だというようなことばを使っているので、私はびっくりしてメモにしてありますけれども、ともかくも自分たちは法律を知っているのだ。法律の頭の中に入れておけばそれで仕事ができるんだというような考え方にとらわれて国民一般が何を考えているか、何を感じているかということをあまりにおろそかにしていらっしゃる。私はこの問題ではこの次に質問をしたいと思うので、この件数をいま伺ったのでございます。二千件のうちのたった二十件か三十件というのは一・何パーセントになりますか、そういうようなことではならない。ともかく人権擁護局、それからこの検察審査会、これが国民を守るためのただ一つ裁判における方法だと思うのですから、もうちょっとこれは重要に考えられていい。そして民法ができたあとで、法律ができたあとで、これが民意を保護するためにつくられたということがあなた方の頭にないのではないかということを私は疑うものであります。  いまは件数を伺うのが私の今日の質問の趣意ですから、これで私の質問を終わります。
  59. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 落合君。
  60. 落合寛茂

    落合委員 私は茨城県猿島郡岩井町町長吉原三郎のことにつきまして当局に質問をいたすものでありますが、実は六月十日の法務委員会続いて六月二十四日の法務委員会で、坂本及び畑委員から詳細にわたって町長の一身上に対する問題について質問その他意見開陳があったわけであります。  それで最初に私御当局に申し上げたいことは、この問題は岩井町の町政刷新議員連盟、町政刷新協議会の二つの団体から、すでに三月二十四日に告発になっております。その理由は背任、収賄、選挙違反でありますが、ところがこの問題にあたりまして、この二つの団体が中心になって、町内におきましてはいろいろな憶測も立ち、いろいろに問題にされてまいったのでありますが、新聞には一行も出ない、あるいは三月二十四日——もうすでに四カ月もたっておるわけでありますけれども、その間におきまして警察のほうでも、あるいは裁判所のほうでも、あまりこれに関心を払っていないように見受けられましたので、法務委員であります坂本、畑、落合の三委員が地元のこの団体の要請によりまして、この問題を扱っております境の警察署に参りまして、なぜこれをほうっておくのだという申し入れをしましたところが、いや、実は調書をきょう送ったのだというようなことを申しまして、その場のがれの答弁をいたしております。それからわれわれは水戸に参りまして、警察本部長及び検事正が留守で、次長に会いましていろいろ具陳をいたしました。その結果やっとこの問題が取り上げられて、そうして今日に至っておるようなわけでありますが、なおさら今日になりまして、三月二十四日に告発いたしたものが、何かしらんゆるんでしまって、ほとんど消え去ってしまったような感じをすら与えるような今日状態になっておるのであります。ところが、現地の岩井町におきましては、非常にこの問題につきまして神経過敏にもなっておりますし、いろいろいたしまして、今日で三回法務委員会にこの問題が提起されたようなわけでありますが、三回とも御承知のようにこの町政の混乱に対しまして、あるいは吉原町政の批判に立ち上がっております町民諸君が、きょうも三十数名どうしても傍聴に行くと言って聞かないような状態で、今日町民全体が非常にこの問題に注意を集めておるわけであります。この前の法務委員会におきまして当局にいろいろの問題を聞いてみますと、何かしらん実に調査も行き届いておりませんし、この問題に対する熱意が当局に欠けておるようにどうも考えられるのでありますので、この前の法務委員会で問題を区切りまして、それに対する当局の調査事項を当局に要求しております。きょうは時間がありませんので、簡単にそれを申し上げますから、それに対する当局の御答弁を要求するものであります。  まず最初に私が当局の答弁をいただきたいのは、吉原町長対聯合紙器の会社、これは十億以上の資本金を持つ大きな聯合紙器という会社でありますが、これの間に取りかわされておるいろいろな問題の中で、当局に調査を願っておきましたのは、その裏におきまして、町民に全然知らせずに町長一人の独断で、この会社と取りかわしておるいわゆる秘密な契約毒、今度の問題につきまして、その秘密な契約書が四通取りかわされておるということが出てきたのでありますが、さきの法務委員会でこれに対する調査を当局に願っておきましたが、この調査の結果の御報告を願いたい。
  61. 石原一彦

    ○石原説明員 刑事課長の石原でございます。六月末刑事課長になりまして、法務委員会のお世話になっておるものですが、よろしくお願いします。  なお、先ほど神近先生のお話で、石原莞爾という名前が出ましたが、私全然関係ございませんので、ここで御了承を願いたいと思います。  いまのお尋ね事件でございますが、水戸地方検察庁下妻支部におきまして、四月八日告発を受理いたしました。そのころ警察のほうにも告発がございまして、検察庁捜査と警察の捜査と一緒になったのでございますが、検察庁におきましては、警察に捜査指揮をいたしました結果、六月十日捜査記録を警察から受領をいたしました。そこで目下水戸地検の下妻支部において捜査中でございます。何ぶんにも事件が町長の選挙法違反の事件、それから御指摘の背任横領の事件がございまして、事案が複雑でございます。関係人も多数で、記録が相当な分厚さになるということでございます。目下その捜査の方針等について検討中でございます。先生のお話しの、いま秘密の契約書四通というところまでは、現段階では申し上げられないのでございますが、検察庁におきましては、近く人員を動員いたしまして、捜査をするという予定になっております。
  62. 落合寛茂

    落合委員 いつそれはやっていただけるのでありますか。
  63. 石原一彦

    ○石原説明員 実は捜査内容でございますのでちょっと申し上げにくいのでございますが、下妻支部には検事一名でございまして、一人でやるのはちょっと荷が重過ぎるという形でございます。本庁から応援検事を出しまして、できますれば八月中には処理を終えたいという予定を立てていると聞いております。
  64. 落合寛茂

    落合委員 町長の相手でありますこの聯合紙器の会計について、会計を調べてもらうことになってお願いしておったのですが、その結果はどういうことになっておりますか。
  65. 石原一彦

    ○石原説明員 ただいま警察から参りました記録を検討中でございまして、先生に納得のいくように御説明できる資料はいまだ持ち合わせておりません。しかし、事件内容、核心にわたることでございますので、当然その分につきましては捜査をするものと考えております。
  66. 落合寛茂

    落合委員 それから、この速記録の七ページにありますが、斎藤説明員が、土地改良区検査ではやや理解に苦しむ点があると言っておりますが、その理解に苦しむ点という内容について、具体的にひとつ。これは二十四日の法務委員会答弁をされたのでありますが、そのときは時間がなくてお聞きできなかったのですけれども……。
  67. 中野和仁

    ○中野説明員 前回の委員会におきまして、私のほうの斎藤管理課長から申し上げたことでございますが、これは四十年度におきまして土地改良区の検査を県庁でいたしました。その際に、検査の結果としまして、いままでの委員会でも御指摘がございましたように、その請求書なり受領書がどうなっているかということに関しまして検査官が検査しましたところ、請求書は会社あてに出している。しかし金は役場から受け取っておる。その辺が理解に苦しむと申し上げたわけであります。  その後、県庁を通じまして調査いたしました結果によりましても、やはり前々回私が申し上げましたことでございますが、その契約によりまして、土地改良区の理事長としましては、会社あての請求書を役場に持ってまいりまして、役場から金をいただいておるということになっております。そうして、経理的には、聯合紙器からの契約金の入金という雑収入で受け入れているというかっこうになっているわけであります。
  68. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいまの経理面の関係について、役場のほうからの調査を御報告申し上げます。  ただいま農林省のほうから御説明がございましたように、聯合紙器あての請求書を土地改良区が持って役場に行って、そして役場ではそれを確認した後に、聯合紙器あての請求書は破棄をいたしまして、役場で預かっておりました土地改良区の理事長の判を使って、土地改良区から役場への請求書に書き直す、そして役場から、その請求書に基づいて、支出をしておるということのようでございます。したがって、役場からは直接土地改良区のほうに金が支出されておるという経理の形をとっております。
  69. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。そういたしますと、聯合紙器のほうからは金は出ていないわけですか。
  70. 松浦功

    ○松浦説明員 私どもが地方課を通じて調べました限りにおいては、そういう事実はございません。
  71. 落合寛茂

    落合委員 次に、利根浚渫有限会社というものがあるのですが、そのサンドポンプの使用料及び社員の氏名、出資額等についての内容調べるようにお願いしてあったのですが……。
  72. 松浦功

    ○松浦説明員 利根浚渫有限会社、これは設立が三十九年の一月十四日でございます。名称は有限会社利根浚渫工業、所在地は岩井町の長谷二千九百八十三、代表取締役は古矢正、岩井町の長谷の二千九百八十三。取締役が二人おりまして、島村明という方と滝本勝己という方でございます。資本金は三十万円。サンドポンプ、これは御承知のように聯合紙器からの寄付金で町が購入いたしまして、百八十万円に付属品を入れて約二百万円のもののようでございますが、これは無償で貸与をいたしております。この浚渫工業の事業内容は、聯合紙器株式会社に対し、同会社の利根川製紙工場より利根川に至る導水路掘さく構築並びに排水路新設作業の請負をするということのようでございます。聯合紙器から利根浚渫有限会社が結局その事業を請け負うわけでございますが、この点については聯合紙器に参りまして、地方課のほうでいろいろと聞いたのでございますが、向こうは会社のことだからということであまり明確なことを申してくれなかったようでございますが、大体月額三十万円程度の委託料を払っておるということのようでございます。県の地方課では、これ以上の確認は捜査権がないので困難だということを私のほうへ言ってまいっております。  この会社の経理状況は、若干の黒字を計上しておるようでございまして、昭和四十年度の税金としては、市民税として均等割り二千円、法人税割千七十円、合わせて三千七十円。それから県民税としては、均等割り六百円、それから法人税割が五百八十円。それに県税の事業税二千七十円。法人税が国税として一万六百九十円。合わせて二万円弱の税金を払っておる、こういう会社でございます。
  73. 落合寛茂

    落合委員 この告発による本問題の非常に大きなかぎとなっております問題は、さいぜん、最初に申し上げました裏契約の問題、これが非常に重大な問題となっております。そこで、最初の契約は三十五年の十二月五日契約ができておる。その次には三十六年の九月十三日に契約書の取りかわしがあった。その次には同年の九月十六日に覚え書きの取りかわしがあった。その次には、年月日が多少不明でありますが、やはり裏契約でそういうものが取りかわされております。先ほどお話によると、今日ちょうど捜査過程であって、まだその内容には触れるわけにいかないというようでありますが、もう少しその問題につきまして当局の考えを聞きたいと思います。
  74. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。いまの資料は自治省と農林省どっちかの所管に属すると思うのですが、それでお願いしたわけなんですが、捜査のほうではないわけですから、その点でお願いしておいた点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  75. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま御指摘の四つの覚え書きあるいは契約の問題でございますが、一番最後に御指摘をいただきましたものは、私どもにはわからない、調査をいたしましてもそういうものの存在がどうも不明のようで、この点は御了解をいただきたいと思います。  第一の昭和三十五年十二月五日付の契約書、これは検察庁か警察庁かそれはちょっと聞き漏らしておりますが、押収されておりますために、肝心の部分の第七条だけやっと調べてまいりました。それから三十六年の九月十三日、三十六年の九月十六日、これの書類はそれぞれ私のほうで入手をいたしております。
  76. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、その書類委員会のほうへもらえるのですか。写してあるわけですか。何か全部書類を等したのを資料として出してもらえるかどうか、その点を伺いたい。
  77. 石原一彦

    ○石原説明員 ただいまの点お答え申し上げます。  どうもお話を承りますと、現在警察か検察庁いずれかが押収いたしたとのことでございますが、そういたしますと、検察庁に原本が保管されているのだと思います。そうすると、押収品といたしまして検察庁で保管中でございますので、現地警察官、検察官判断によるわけでございますので、この点この段階でいま写しをそのまま国会に提出できるかどうか、ちょっとお答えしにくい関係にございます。
  78. 落合寛茂

    落合委員 警察庁の刑事局長にお伺いするのですが、いまでも警察後援会とかなんとかいうふうなものの制度といいますか、何かそういうものは残っておりますか。
  79. 日原正雄

    ○日原説明員 この前もそういうお話があったのでございますが、警察後援会というものの存在は私どものほうは存じておりません。
  80. 落合寛茂

    落合委員 同じ岩井町のことなんでありますが、地方の小さな御承知の町であって、私どもその予算、いろいろから見ましても、警察に関係する出費というようなものが非常に多くて、世間では、はたの町村からは岩井ほど警察を大切にするところはないといううわさが立っておるくらいでありまして、それはまことに警察の方にとってけっこうなことでありますが、やはり一つ程度がございまして、昭和四十年度の警察関係の予算を見ましても、警察後援会費が七十五万円出ております。それから猫実というところにある駐在所の増築、その負担金が三十一万円出ております。それから町内に散在いたしております駐在所の修理費として百七十七万、総計二百八十三万という出費が出ておりますが、どこの町でありましても、やはりこの程度の警察に対する助成といいますか、協力といいますか、そういうものなんでございますか。
  81. 日原正雄

    ○日原説明員 私、全国的ないまの駐在所修理費等の関係をよく知りませんが、一応全国の警察署の派出所、駐在所等について、土地なりあるいは建物なりというものを地元から提供を受けて無償で使用しておるというような場合は、ある程度いまもって残っておるわけでございます。あるいはモーターバイクなどについても、所有権は市町村にあって、それを無償で使用さしてもらっておるというような状況のところもあるように聞いております。そういう場合に、やはり無償で使っておりますれば、修繕費等につきましても、やはり国なり県なりが警察の費用を持つというたてまえになっておるわけでございまするから、そういう修繕費等につきまして府県なり何なりでまかなうのが当然だと考えるわけでございますが、全体の予算が少ないという関係上、どうしても非常に老朽化したところから優先的にやっていく。そこで地元から無償で提供を受けて使用しておるようなものについて、地元が見かねて修繕するというような場合が起きてまいっておるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  82. 落合寛茂

    落合委員 さいぜんも申し上げますように、三月二十四日、四カ月も前に告発をした問題が、町の中やその他の警察関係、いろいろの問題について町民はどういうことを言っているかというと、ふだん警察の人に非常に厚くなにしておる関係上、これは警察のほうでは手をつけないんだというふうな流説が流れておる状態である。われわれはその流説にも非常に遺憾に考えているわけなんでありますが、そう言われるようなぐあいでありまして、非常に警察にとってはいろいろな論判が出ておりまして、さいぜん申し上げますように、告発してから何ヵ月たっても新聞にも出なかったというふうなことで、町民の憤激がこり固まりまして、そしてあくまでも黒白をつけなければならないということで、町長選挙を契機といたしまして、法務委員会の論議にまで発展したわけでありまして、近く二十六日には参議院の法務委員会にも出されるということも聞いておりますように、地方といたしましては、これが非常な問題になりました。御承知のように吉原町長という人は民主主義以前の、ほんとうにワンマンぶりな町長でありまして、助役も十六年間置かず、収入役はもちろんのこと、課長も三つぐらいは兼務をしているというような状態で、この町長の認めがなければ会社へも入れない、自分の招致したいろいろな会社がありますが、そういう会社へも入れないというふうな、非常に時代離れのしたひどい町長でありまして、この周囲に対する影響はたいへんなものであります。これが町長選挙に端を発して、ついに爆発したのでありまして、忙しいのにもかかわらず、農事を放てきして、そして憤慨にたえない人たちが本日もたくさん傍聴に来ておられるような状態でありますから、ひとつ当局におかれましても、ぜひともこの問題を真剣に、いなかの小都市の小さな問題としてでなしに取り扱っていただきたいと思います。  私の質問をこれで終わります。
  83. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。いま落合委員から申されたとおりでありますが、私はもう少し内容を聞きたいのであります。  警察後援会に対する岩井町の寄付、さっき数字をあげられましたが、そのほかにもあると思うのですが、もちろん交通安全協会の費用とか防犯協会とかに分かれておると思うのですが、御調査願っておいたから、できておりますれば、その内容をお聞きしたいわけです。
  84. 日原正雄

    ○日原説明員 係から説明いたさせます。
  85. 今野耿介

    ○今野説明員 それでは私のほうから防犯協会関係について御説明申し上げたいと思います。  茨城県は県知事を会長として茨城県防犯協会というものをつくりまして、県下に二十七の署がございますが、その二十七の署ごとに支部を置いております。岩井町に関連しておりますのは、境警察署ということでございまして、境警察署の管下には御承知のとおり境町、岩井町、猿島町、五霞村、三和村でございますが、この五ヵ町村が一応加入しているわけでございます。それで防犯協会といたしましては、境町の警察の関係としては、年間大体五十二万円くらいの予算でいろいろ防犯活動その他の仕事をしているわけでありまして、この五十二万円の予算というものを、それぞれいま申し上げましたような五つの町村から、人口に応じまして分担金として出していただいている。したがいまして、岩井町の場合には、防犯協会といたしましては、いまの人口割りに基づく金額といたしまして十七万一五千円を、いまの五十一万円の総額の一部として負担していただいている、こういうふうに了解いたしております。
  86. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、茨城衆では何か人口とかそんな標準があって、境警察署のほうは五十二万円、それから岩井町は十七万円、こういうことになるわけですか。  それでほかの署との比率その他は、金額は多少違うのですが、何かそういう標準があって、割り当てというと語弊があるかもしれませんが、そういうことになっているのかどうか。
  87. 今野耿介

    ○今野説明員 県下全体の茨城県防犯協会というものは、大体年間二百九万ばかりの予算でいろいろな仕事をやっているわけでございまして、ただいまの境支部につきましては、先ほど申しましたように五十一万ということで支部としての仕事をやっている、こういうことになっているわけでございます。
  88. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、今度は警察に寄付するのは防犯協会だけでございますか。ほかにまだ寄付、たとえば交通安全協会とか警察後援会というのはいまないかどうか、その点はどうなっておりますか。
  89. 今野耿介

    ○今野説明員 昔は後援会と称するものがありまして、いろいろ足らないところを御援助いただいているというような形がとられていたようでございますけれども、だいぶ前から、そういうことでは警察の正しい執行ができないというようなことがございまして、そういう後援会組織というものは、現在なくなっていると私は了解いたしております。警察庁のほうからも、そういったあいまいな、というと語弊がございますけれども、形で経済的な援助を受けることのないように前々から指示をいたしておりまして、したがって現在ありますのは、防犯協会にいたしましても、あるいは交通安全協会にいたしましても、一応それぞれ町村の正規の議会の議決を経た予算という形で援助していただいておるというふうに了解いたしておるわけでございます。
  90. 日原正雄

    ○日原説明員 交通安全協会の関係では岩井町から年間四万五千円の助成金が出ております。地方公共団体からこういうふうに地区の交通安全協会に助成金が出ているのは全国で大百九十二協会、約半数が出ております。それから岩井町の予算書で後援会費となっておるようでございますが、これは駐在所の修繕費その他、そういうようなものをその費目から払っておるということで、後援会というものではないように聞いております。
  91. 坂本泰良

    坂本委員 私の聞いておるところは、警察後援会という——前がそうだったから、そういうことで一般の人は言っているのだろうと思いますが、岩井町から約三百万円出ているのだ、それがやはりいまおっしゃった防犯協会に五十一万、それから交通安全協会のほうに四万五千円、こういうのも含めたのだろうと思いますが、そうしますと、三百万と約六十万とはだいぶ違うわけですが、その点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  92. 日原正雄

    ○日原説明員 岩井町が警察関係費として予算計上したのが総額二百八十三万円で、負担補助及び交付金として百六万円、工事請負費として百七十七万円であります。それで内容は警察協力の前年同様な経常的経費として七十五万円、それから駐在所の新築及び移転費として百二十六万円、その他派出所、駐在所の応急修理費として八十二万円というようになっておるようでございます。ただ、先ほどお話でございましたが、私どもこの町の予算からそういう庁舎の修繕費その他を出して無償で使用さしてもらっておるという関係にありましても、これは、この前も申し上げましたように、地方自治団体から無償で使わしてもらっておるということでございますので、われわれが犯罪検挙をする場合に、予算を出してもらっておるから手心を加えておるのじゃないかと思われると非常に心外なんでありまして、私ども警察の立場から申しますと、こういう予算を出してもらっておりましても、犯罪検挙とは別問題ということで割り切って考えておるつもりなんであります。これはひいて言えば、正規の予算で県なり国なりから出してもらっておると、国の役人なりあるいは県の役人なりにも手が出ないというような実情になってくるわけでございまして、その点は割り切って考えていかなければならない、またそういうふうにお考え願いたいと思うのでございます。
  93. 坂本泰良

    坂本委員 いや、いま局長の申されたように、私は警察のほうはそうだろうというふうにも思うわけですが、しかし、岩井町のほうではやはり非常に疑っておるわけですね。だから昭和四十年度の警察関係の予算として岩井町から出ているのは警察後援会費が七十五万、それから猫実駐在所建築負担金が三十一万円、各駐在所修繕代が百七十七万円、合計二百八十三万円出ているわけですね。そこでやはり私たち法務委員会もぜひ明らかにしておきたいのは、この吉原町長は、おれは警察なんか手玉にとって、言うとおりになるのだ、選挙違反を起こしても調べもしきらぬ、検挙もするじゃない、隠し契約書をやって、そうして先ほど調査によると、町から金が出ておるわけですね。領収書は聯合紙器の領収書で、町の会計から金が出ておる。聯合紙器からは出ていない。契約書には聯合紙器が出すような契約ができておる。そうしてこの吉原町長はその聯合紙器から毎月五万円からの顧問料をとっておる。そういうようなことがあるものですから、町長が町民のために、ほらをふいておるかどうか知りませんけれども、実際こういうものが出ておるわけです。だから背任なんて一部の町会議員が告発しても、何も警察は調べたっておざなりの調べだというようなことで、捜査が長引いたものですから、われわれも社会党の弾圧対策委員会調査に行ったわけなんです。ですから、それかといって、警察は、寄付はもらっても犯罪の捜査は堂々とやってもらわなければならぬ。しかし、この吉原町長の告発事件については大いに疑いがあるわけなんです。というのが、この町長は今度五選ですから、全部で二十年つとめたのです。そうすると、終戦後ほとんど町長をやっておる。そうしますと、とかくの比判がありました警察後援会当時からやはり寄付をしておるわけです。後援会で非常な全国的な批判がありましたのは、いわゆる終戦成金とか——やはり犯罪すれすれとか、あるいは犯罪まで犯しても金をうんともうけたやつがおるのです。その利益金のある一部を警察後援会その他へ寄付して難を免れておる者がたくさんおるわけですね。それが終戦当時から十数年は非常に多かった。現在は警察制度も充実してきて——ほかの制度も全部充実してきたわけで、やはり合理的な国の予算だけでも足らぬから、自治体にも寄付を合法的に、そうして市議会あるいは町村議会の議決を経て会費を出す、こういうことが行なわれておるのですが、その前は、終戦当時の昭和二十年から三十年当時までは、これはわれわれの狭い範囲でも東京とかあるいは自分の関係している県だけでも、終戦後あれだけ金をもうけておる、そうして後援会といって、その一部の金を寄付をしてまかり通った時代があったものですから、この吉原町長はその時代からずっと町長を二十何年やっておるわけですから、やはり豪語するのもそうじゃないかと思われる。豪語するならば、その裏にはやはりそういうような悪いことをする、悪いことをして、相当のあれをやっておるそうですが、そういうことをやってきているのではないか、その氷山の一角がこの聯合紙器の水利の問題でここに暴露されたのではないか、こういうふうに考えるものですから、警察のためにも、それから町民のためにもこれを明らかにしておくのが至当じゃないかと考えるのが第一であるし、第二には、やはりそういうことをやりかねない。だから今度の告発の背任の問題についても、これはもう警察から検察庁に行っております。さらに選挙違反の問題も清酒四千本、そのうちでも八百本というのはもう警察の調べでもわかっておりますから、書類検察庁に送検されたということになれば、それだけでもこういう、不都合な町長はやはり強制捜査に移ってもらって、そうして徹底的に調査をしていただいたのが、今後全日本に対するところの、権力機関に対する迎合的な、また自分の不正を隠蔽しようとするようなやからの撲滅をはかる、それに貢献するのじゃないか、こういう意味が第二にあるわけです。  そこで、この吉原町長としては、この際徹底的に捜査をしておいてもらいたい。ちょうど東京都においても、やはり警視庁は、有力な方とか前警視総監をしていた方の選挙違反等が起こっても、それがなかなかできなかった。しかしながら、やはは検察庁検察庁だけあって、公平な捜査を始められて、自民党の都会議員が十八名も逮捕されて、いま起訴されて裁判中である。ですから、これは全国的にも東京都は唯一のものであるからというので、法律の改正等もありまして、都議会が解散をされて、そうして選挙が行なわれて、今度は都知事の来年の選挙を控えての問題も起こっておるわけですが、これがやはり世論に訴えてやるところに——それは自民党が勝つか、社会党が勝つか、また公明党が伸びるというような変化はありましても、やはりこれは非常に都政の郭清にはなっているとわれわれは思うわけです。この岩井町もやはりまさに東京都の小型版じゃないかと思うのです。その内容においては、またその悪質な点においては、東京都以上の問題があるのじゃないか、こういうふうに考えられる問題が起きているわけですから、徹底的に検察庁のほうで——先ほど聞きますと、下妻支部の検事は一名であるから、本部のほうからいま応援を出して調査中だ、ぜひとも八月中に結論を出すというふうに調べてありますから、これこそ小林章氏の選挙違反の問題等々に比べましても、また金額等は少なくても、背任の問題、選挙違反の問題について、やはり同じような悪質な問題であるから、これはひとつ徹底的に捜査をしていただきたい。これが町民の方々の要望であるし、また国民の代表としての法務委員会の要望でもあるわけでありますから、ぜひひとつそれをやっていただきたい。  警察後援会の問題についても大体その内容が明らかになりましたが、もちろん警察のほうとしては、この犯罪の捜査については決して左右されるものじゃない、そうおっしゃったけれども、遺憾ながらこれには、われわれが考えてやはり手ぬるい点が十分あったのじゃないかと思うのですね。ですから、ひとつこの点は検察庁のほうで徹底的に糾明してもらいたいと思うのですが。この点についての警察、検察庁のお覚悟、方針等をひとつ承っておきたいと思います。
  94. 日原正雄

    ○日原説明員 町長が、もしお話しのように警察はどうにもなるんだというような言辞を弄しておったとすれば、これは全くお話しのとおり不都合なことでございます。ただ、私どものほうといたしましては、それぞれ法律の手続に従って、犯罪を検挙していかなければならないということでございますので、その点だけの悩みでありまして、その他の関係で決してどこにも遠慮いたさないでやってまいっておるつもりでございますが、また今後もそういう形で十分指導をしてまいりたいと思います。  それから予算のことでいろいろお疑いでございますが、私どもは町の予算として議決されて出されたものというのは、町長から出されておるのではなくて、町全体から出されておるという考え方であるわけでございまするから、町民全体の方々が、そういうことで何か警察が手ぬるいのじゃないかと思われるような事項があれば、町民全部で修繕してやっておるのだ、無償で使わしてやっておるのだというような気持ちで、どしどし御鞭撻をいただきたい。また警察としても決して一町長だけを相手にしておるのではなくて、やはり町民全体の意向に従って、法律に基づいて職務を遂行するというのでなければ、警察としても仕事ができないわけでございます。その点は、従来もそういう形でやってきておると思います。また警察署だけの仕事でこれが済むものではございません。県本部もあるし、警察庁もあるし、検察庁もあるわけでございますので、われわれのほうで十分法律に基づいて何ものにもとらわれない形で犯罪に対処してまいりたいという努力を、今後も続けてまいりたいと考えておるわけでございます。そういう点で御鞭撻をいただきたいと思います。
  95. 落合寛茂

    落合委員 ちょっと、いまの局長さんのそれは常識を持った人ならそう考えられる。御承知か知りませんが、先年自分の反対党の議員のうちにポンプで水をかけた人がある。放水事件といいまして、雑誌にも出たりいろいろしたりして……。それからただいまの予算の問題ですが、そういうことはもうほとんどルールなし、どんどんきめたりやったりしている人なんです。そういう点もひとつお考えくださいまして……。
  96. 石原一彦

    ○石原説明員 坂本委員の御指摘よくわかりました。私ども東京におりますとどうも小さな町という感じでございますが、おそらく茨城県におきましては相当大きな事件だろうと思います。検察庁としても適正な処理をするのであろうということを期待いたしたいと思います。
  97. 坂本泰良

    坂本委員 最後に、頼みは厳正公平な捜査を、やはり町民は信頼しておるわけでありますから、ぜひひとつお願いしておきたいと思います。  そこで先般の資料の点で、契約書とかその他の点、いま詳しく申し上げますと時間がありませんから、省略しますけれども、自治省、農林省にお願いしておるのがありますが、これは書面で資料として出せるものなら委員会のほうへ出していただきたいと思います。  それから一つだけ聞いておきたいのは、四十一年度から五万トンの水を聯合紙器が使うそうです。それを無料で使うかわりに岩井町にブルドーザーを寄付する、こういうことが、先ほど三十五年十二月五日の契約、三十六年九月十三日の契約、それから同年九月十六日の覚え書き——多分この覚え書きじゃないかと思うのですが、また第四の協定書というのがある。この四つの契約のうちにそういう内容の契約があると思うのです。それがまだブルドーザーも何も買ってきていない。したがって、岩井町の道路の改修等も、それがきたらそれでやろうというのができていない。そういうことも聞いておるわけでありますから、そういう点もあわせてひとつ調査事項として御報告願えたらば幸いだと思います。ぜひひとつそれをお願いして、質問はこれで打ち切りたいと思います。
  98. 松浦功

    ○松浦説明員 ブルドーザーにつきましては、五百万円聯合紙器から町に寄付をするということで、それを財源としてブルドーザーを買う予定でございます。もともとそのブルドーザーを寄付するにあたっては、ブルドーザーが導水路のために役立つということでそういう寄付契約をしたようでございます。いろいろ調べてみましたところが、ブルドーザーでは役に立たないということがわかりましたので、五百万円だけ寄付を収納いたしましたけれども、そのうらの二百万円で例のサンドポンプを買っておるわけでございます。あとの三百万円は町が一般財源というふうに心得て扱っておるようでございます。  それから、なおその五百万円の寄付金の問題が三万六千トンから五万トンへの増量に伴うものということについては、地方課の調べではそういう関係は全くないようでございます。また、三万六千トンを五方トンに増量の契約をし直しておるという事実も私ども調べではございません。
  99. 中野和仁

    ○中野説明員 農林省のほうでいまの点を調査いたしました結果も、いま自治省からもお話がありましたように契約書を更改して五万トンにしておるというようなことは、現段階においてはございません。
  100. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、第一、第二、第三、第四、それは前回の法務委員会で細君が要求していた点だと思いますが、そういう契約書はない、こういうことですね。
  101. 中野和仁

    ○中野説明員 私申し上げましたのは、本年度になって五万トンにしたというようなことで契約を改定したことがないということを申し上げましたので、契約としましては、先ほど指摘のように四つあったようでございます。
  102. 坂本泰良

    坂本委員 その点、明らかになったらよろしゅうございます。  それで、農林省と自治省にお願いをいたしたいのは、われわれこの法務委員会で不明な点について、資料としての調査をお願いしておいたわけですが、もちろん検察庁で押収その他になっておればこれはやむを得ませんけれども、それ以外でわれわれは検察庁刑事問題は、これはぜひ徹底的に摘発してやってもらいたいのですけれども、それだけでなくて、工場を誘致した、その工場が利益を縛る、それに対して、やはり幾分でも町民のために支出する点があるわけですから、それは今後といえども履行しなければならぬわけです。そういう点で私たちは自治省、農林省には御調査をお願い申し上げておるわけですから、どうぞその点については資料と、それから資料でないのはこういう経過にこれはなっておるのだという点を、書面でもけっこうですから、その点をぜひひとつお願いしておきたいと思います。
  103. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は、明二十二日に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会