運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-07-19 第52回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月十九日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君       唐澤 俊樹君    田中伊三次君       千葉 三郎君    森下 元晴君       山口シヅエ君    山田 長司君       横山 利秋君    志賀 義雄君       田中織之進君  出席政府委員         法務政務次官  山本 利壽君         検     事         (刑事局長)  津田  實君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 片岡  誠君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      矢崎 憲正君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 七月十九日  委員中嶋英夫君辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  刑法の一部を改正する法律案内閣提出、第五  十一回国会閣法第三八号)  裁判所司法行政に関する件      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 大久保武雄

    大久保委員長 本案は、前国会において提案理由及び逐条説明を聴取いたしておりますので、これを省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 大久保武雄

    大久保委員長 これより質疑に入ります。大竹太郎君。
  6. 大竹太郎

    大竹委員 この案件は、いまほどお話がございましたように、前回の五十一通常国会にかかったわけでありまして、私からも若干質問をいたしておりますが、時間の関係でそのときに質問できなかった点について、一、二御質疑を申し上げたいと思います。  それで、御承知のように事故を起こした場合に、運転者に対してはもちろん刑法処罰があるわけでありますが、同時に公安委員会のほうで免許取り消し、または免許停止という処分をされることになっておるわけでありますが、私、基本的には、やはり同じ国として処罰をするという面からいたしますと、これを何とか一つ機関においてやるべきだ。それでなければ、とかくこの二つの処罰と申しますか、取り扱いに矛盾する面が相当出てくる。現に出てきておるような案件も私は知っておるのであります。これはなかなかむずかしいと思いますが、まずこの点について同一の国家機関として取り扱うことが妥当かどうか、取り扱うとすればどういうような方法考えられるか、それらについてまず御意見をお聞きしておきたい。
  7. 片岡誠

    片岡説明員 いまの大竹先生の御質問にお答えいたしたいと思いますが、各国によりまして制度としてやはり免許行政担当機関免許を与え、かつ、取り消しあるいは停止をしているという制度をとっている国と、国によりますと、裁判所免許取り消し停止をしているという国もございます。あるいはその両方が権限として持ってやっている国もございます。わが国法体系としましては、私ども現在考えておりますのは、免許行政担当行政機関免許を与えた運転手に対して、道路交通運転手運転さしておくことが危険であると認めた場合には、これを排除していく、あるいは矯正可能なものに対しては治癒していくという現行のたてまえがわが国の実情に沿っておるのではなかろうか、そういうように考えております。しかしながら、先生指摘のように、場合によりますと、裁判で無罪になった者に行政処分取り消し停止をやるという例がごくまれな場合として確かにございます。そういうものにつきましては司法機関とよく連絡をとって、制度上は違うものでありましても、国民の目から見れば同じような印象を受けると思いますので、そういうそごを来たさないような指導はやっていきたい、こんなふうに考えております。
  8. 大竹太郎

    大竹委員 いままでどおりの制度を維持したいという基本的のお考え、これは御無理もないところだと思いますが、ただ私ここで考えさせられますことは、ついこの前の国会の末期でございますか、法務省のお考えとして、交通事犯に関するいわゆる罰金刑に相当するものについては、名前は別といたしまして、これを行政機関のほうへ移すという、一口に言えばそういう御構想のもとにものを考えていられるということを承知したわけでございます。そういうような方向からいたしますと、全面的にそうするということは多少飛躍になるかもしれませんけれども、私、やはり日本においてもものの考え方はその方向にいっておるのではないかというふうに考えられてならないわけであります。それらについて御意見を承りたい。
  9. 片岡誠

    片岡説明員 いまの大竹先生お話は、私どもがいわゆるチケットと申している制度、つまり道路交通法違反がございましたときにその違反者に対して行政機関が一定の命令を出してその命令を任意履行した場合に刑事訴追はしない、こういう仕組み制度を現在私のほうでも検討中でございます。法務当局とも協議しながら検討中でございます。その制度そのものとしまして、従来、私ども考えておりますのは、いわゆる取り消しまたは停止という、通常行政処分と申しておりますが、これは決して罰ではない、正常な運転のできない危険な運転者道路上から排除する、それから単に排除するだけではなくして、それを矯正可能な人は矯正をして道路上に復帰させ、本来欠格な人は排除していく、こういう仕組みに私ども考えております。  それから新しい制度につきましては、性格論につきましては、まだまだいろいろ検討の余地があろうかと思います。この制度は、従来、考えておりました行政機関行政処分とは異なるものであるというふうに現在、私どもは了解して作業を進めておるわけでございます。
  10. 大竹太郎

    大竹委員 いま、ちょっとお話の中に出ましたから、私この前の五十一国会のときにもその点御質問をしたつもりですけれども、重ねて申し上げておきたいと思いますが、いまほどの御答弁の中で、営業停止あるいは取り消しというものは、決して刑罰とは考えてないのだ。一つの何といいますか、教育的な面を考えてという御答弁だったと思いますが、私もなるほどそうだろうと思います。それならば、この前にもたしか申し上げたと思いますが、その停止になったものに対しての再教育の問題は、やはり現在のあり方として不徹底じゃないか。ただその間、ハンドルを持たせないということだけだ。再教育その他のものもありますけれども、それは決して強制的なものではない。多少停止の期間を短くするためのいわゆる講習と申しますか、というような制度になっておるのでありまして、それらについてもっと強制的といいますか、徹底的な講習制度、再教育制度というものを制度づけられなければ、私は、その行政処分教育的なものだということとは一致しないのじゃないかというふうに思うわけでありす。その点……。
  11. 片岡誠

    片岡説明員 先生指摘のとおり、ごく最近までは、行政処分を受ける対象の違反者で希望する人に対しては、講習をして行政処分を二分の一にするとか、あるいはなくするとか、こういう制度で運用してまいりました。その違反者講習も、非常に形式的な一般的な内容でございます。これではいけないということで、昨年手数料の増額をはかりますと同時に、その内容を整備しまして、違反者講習の中身をよりよくするという体制を整備しまして、強力に始めております。受講率も現在、七割くらいまでになっております。違反者行政処分を受けた人の七割までは講習を受けるというのが現状でございます。先生おっしゃるように、受講命令ではございませんので、一〇〇%にはなっておりませんが、七〇%をこしてきております。  それからもう一つ、単に講習をするというだけではなくして、適性検査所を各府県に設けまして、その人がどこか運転欠陥がある、あるいは身体に欠陥があることにより事故を起こしているとか、違反をしているのを発見すべく、現在そういう体制を整備し、かつ機械なり検査方法を開発しているのが現状でございます。もっと芸のこまかい、違反者に即応した何と申しますか矯正手段と申しますか、社会復帰のできるような手段を今後さらに開発してまいりたいと考えております。
  12. 大竹太郎

    大竹委員 だんだん徹底してきたということは、非常にけっこうなことでございますが、申し上げるまでもなく、これは各県の公安委員会がやっていることでありまして、私の知っている限りにおいては、どうも各県によって多少そういうことのやり方とでも申しますか、徹底のしかたというものは必ずしも一致しているのではないように思うわけでありますが、国としてこれに対してどういうような指令というか、また御指導になっているか、その点をひとつ……。
  13. 片岡誠

    片岡説明員 御指摘のとおり、やはり各府県によりまして若干の相違があると思います。私どもといたしましては、一番よくやっている県に右へならえするように、あるいは私どもの期待しておりますような基準に該当するようにできるだけ府県指導しまして、全国的な統一のとれた改正のできるように、今後とも続けてまいりたいと思います。
  14. 大竹太郎

    大竹委員 次に、これは警察のほうから御答弁していただくのがいいか、法務省刑事局長のほうから御答弁していただくのが妥当かちょっとわからないのでありますが、このように、ことに自動車運転の悪質な人を重く処罰するという考え方については、最近世間も相当納得してきているように思うのであります。同時に、歩行者であるとか、自転車に乗っている人とか、一般交通者交通法規交通道徳を極端に守らぬ者に対する処罰とでも申しますか、そういうものが欠けているのではないか。交通事故をなくするためには、相手方のほうも十分注意をしなければならぬし、目に余るものはやはりある程度処罰をしていくというたてまえでいかないことには、ほんとうの事故防止の実をあげることはできないのではないか。ことに、私の関係しております会社あたりで調べてみますと、自動車運転手責任のあるものは、大体四〇%くらいしかない。むしろ五〇%以上は相手方——これはもう相手力にといいますか、もちろん相手自動車もありますが、あるいは歩行者自転車乗りというようなものにむしろ原因があるというような統計その他も出ておるのであります。そういうふうなことから見ますと、この交通事故をなくしようという立場に立つならば、いまの法規というようなものをやはり歩行者あるいは自転車乗りその他一般の、まあ事故の面から見ると被害者というような立場に立つ場合も多いわけでありますが、そういうものに対してももう少し何とか法規の上で考える必要があるじゃないかというふうに考えるわけですが、その点についてお考えをお聞かせ願いたい。
  15. 片岡誠

    片岡説明員 いま先生のおっしゃいました歩行者あるいは自転者乗りの不注意な、あるいは無謀な——主として不注意だと思いますか、不注意な歩行あるいは不注意な自低車の乗り方をしておって、それが事故の多くの原因になっている場合もある、こういうことでございますが、私も同感でございます。私ども国の施策として考える場合には、やはり何といっても弱い道路利用者の、歩行者保護だとかあるいは自転車乗り保護に力を入れるのは本筋だと思いますが、しかしながら、といって歩行者自転車乗りに甘くしてはいけない、決して歩行者優先ではない、歩行者保護すべきものではあるが、決して歩行者優先権を常に持っておるものではない、こういうつもりで、歩行者がルールを守るように訴えて指導しております。指導、取り締まりの面でもそういう気持ちは次第に出して進めていっております。  問題は、事故事件捜査の場合に過失のとり方で、運転者に非常にきびしく過失をとるというのが従来の傾向であったと思います。しかしながら最近は、私どものほうの捜査におきましても、あるいはおそらく検察庁の捜査なり、起訴、不起訴を判断される場合も、運転手過失を、本来あるべき姿に評価をしていくというふうに次第に変わりつつあるのではなかろうか、またそうあるべきではなかろうかと私ども思っております。
  16. 大竹太郎

    大竹委員 いまのお話、確かにそういうように警察その他でお取り扱いになっているようでありますが、私の言ったのは極端かどうか知りませんが、現在はそういう悪質な歩行者その他に対して処罰規定がないのであります。私は、少なくとも過料くらいは取るということにしたほうがやはり徹底するのじゃないかと思うのですが、その点についてはどう考えておりますか。
  17. 片岡誠

    片岡説明員 現在歩行者処罰規定がございます。たとえば信号を無視した場合には直に罰則がございますし、それから七条以下に、通行禁止違反も直に罰する規定がございます。ただ歩行者横断に関しましては、横断歩道外横断とか、斜め横断とかそういうものにつきましては、警察官指示に従わなかった場合に初めて罰することができる、こういう体制になっておりますので、その点若干、直に罰則のかかっておるものと、それから警察官指示違反として扱われておるものがある、このようなことになります。
  18. 大竹太郎

    大竹委員 次に、私は、この際申し上げておきたいのですが、ついこの間も私くにへ帰ってその話を賄いて実は驚いた、——驚いたというか、これは危険だと思ったのでありますが、たとえば幼稚園なんかへ通っている子供に、幼稚園先生というか保母さんが、歩道を渡る場合には手をあげて渡れ、そこまではいいんだけれども、手をあげて渡れば自動車がとまるから、こう言っていろいろお教えになっている。そういう教育をすると、このごろ非常に危険なんですね。相当なおとなならいいけれども子供だから、自動車というものは相当スピードを上げてきて、いざといってもなかなかとまるまでに距離があるということを、そこまで教育しませんと、ただ手さえあげればとまるのだということになって、すぐそこまできておるのに手をあげて出ていくというようなことがある。これはうちの子供じゃないのですが、親類の親が来て「とんだことを教えてくれたんで、この間子供を連れて外へ散歩に出たら、子供が、自動車がすぐそこまできておるのに、手をあげればとまるといって、先に立っていこうとしたので、あわてて押えたんだ」、こう言って私に話をしてくれましたが、こういうようなことから見ますと、幼稚園教育から親たち教育、それからいまのような教育をする幼稚園保母さんの教育までももう少しやってもらわぬと、かえって危険なことになると思うのですが、それらの点についてどうお考えになりますか。
  19. 片岡誠

    片岡説明員 確かに先生指摘のとおり、そういう傾向がございます。たとえばスローガンでも昨年警視庁が採用しておりました「手をあげて横断歩道を渡ろうよ」、このスローガンですと、手さえあげれば安全だということになろうかと思います。ことしのスローガンは、「もう一度よく見て渡れ手をあげて」というふうに「もう一度よく見て」というのを入れたわけです。そういう意味で、確かに先生のおっしゃるように手をあげさえすれば安全だという形では非常に危険を伴いますので、制動距離なり自動車の速度、秒速なり、死角なり、そういうことをわかりやすくかみくだいて、手をあげて合い図をしてから、右を見て左を見てもう一度右を見てから渡ろうというふうに、「右を見て左を見てもう一度右を見て」というのを入れようということで指導しておりますが、まだなかなか徹底しない面もあろうと思います。今後とも引き続いて徹底するようにつとめてまいりたい、このように考えております。
  20. 大竹太郎

    大竹委員 次に、これは事故の問題その他に直接関係のないことでありますが、御承知のように、最近自動車賠償責任保険法改正になりまして、たしかいままで百万であったのが百五十万になり、またいままでバイクが入っておらなかったのを、バイク強制保険をつけなければならないというようなことになって、これは非常にけっこうなことだと思うのでありますが、しかし最近いなかにいきまして各所で言われますことは、非常に事故もふえて、新聞なんかによると、何百万、何千万というような額の保険金をもらったとかもらえるというようなことになったというようなことも見るのですが、一面農村、ことに山間などにいって被害を受けた場合には、事故手続もなかなかめんどうだし、一体どうしたらもらえるのかというようなことで、なかなか手続がむずかしい。ことに最近警察が非常に慎重になっていまして、警察なんかに行って相談しましても、それは弁護士のところに行けとか、やあ何だとかいって、手続そのものもなかなか簡単に指導してくれないというようなことで、非常にそういう面で、新聞その他で見ると、手続さえすればもらえるというものもできないということから、何とかこれを簡便に相談をし、そうしてそういう手続をすることができるようにしてもらいたいという話が出るわけでありますが、これはもちろん法律上その他国からも相当な金が出ておるわけであります。弁護士会その他においても相当協力はしておるわけでありますが、これはそこへいくまでが農村山村ではなかなかむずかしいのでありますけれども、それを何とか警察相談所とかあるいは町村の相談所とかというようなもので、もう少し簡単にやれる方法その他について何かお考えになっておりますか。
  21. 片岡誠

    片岡説明員 確かに御指摘のとおり、特にいなかに参りますと、法律のことに明るくなくて、金もないし、ひまもないし、知恵もないというために、非常な不利益をこうむっている場合が多かろうかと思います。やはり何と申しましてもまず被害者は、警察事故処理をしますので、警察にすぐ相談に参ります。私どもとしまして、従来民事介入ということで非常に消極的でございました。これではいけないというので、ことしから交通相談で積極的に取り上げろ、民事介入というそしりを受けたり、あるいは弁護士法違反という非難を受けない限り、できるだけ積極的にやれという指示をいたしております。と同時に、したがいまして各警察署交通相談係の表札を出すようにいたしました。それから安全協会交通相談所というのがございますが、これも各県に必ず一つは置け。そして、弁護士会交通事故処理委員会とよく連絡をとって、比較的話のまとまりそうなのはそこでやっていったらどうか。まとまらないのは弁護士会交通事故処理委員会にまかして、そして、場合によると法律扶助協会訴訟救助を受けるというお世話をしてはいかがであろうか。ただ、その最小限度これはやれと言っておりますのは、従来の自賠責関係被害者請求がまず完全に履行されるということが必要ではないか。そのためには、現在事故捜査をいたしました場合に、調書に被疑者保険会社保険証書番号を記載する。それを記録にとどめておいて、被害者から話があった場合には、被害者被疑者の加入しておる保険会社名前保険証書番号、それから保険会社営業所はどこにあるかということを教える。一方保険会社のほうに対しましては、被害者請求に来た場合には、代書でもして至急に手続を進める、あるいは仮渡し金をすぐ渡せるようにする、こういう態勢を現在大体とり終わったと思っております。したがいまして、被害者は、自賠責の補償だけはまず何とか得て、さらにそれ以上のことは少し落ちついて相手方と交渉できるような地位に置きたい、大体そういう方向に、まだ完全とは申しませんが今年中ぐらいにはできるのじゃなかろうか、かように考えております。
  22. 大竹太郎

    大竹委員 きょうはそのほか少年関係交通違反の問題をお聞きしたいと思いましたが、裁判所のほうで御都合できょうは出られないというお話でございますので、その点については保留をお願いいたしまして、きょうは私の質問はこの程度でやめます。
  23. 大久保武雄

    大久保委員長 刑法の一部を改正する法律案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。      ————◇—————
  24. 大久保武雄

    大久保委員長 次に、裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
  25. 坂本泰良

    坂本委員 私は最高裁判所の、今回のILO八十七号条約に基づきまして、管理職員等範囲の問題について御所見を承りたいと思います。  まず最初に、私非常に不案内ですが、批准されましたILO条約八十七号の第三条ですか、これはどういう内容規定でありますか、まずそれを承りたい。
  26. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 結社の自由の中の三条でございますが、「労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、自由にその代表者を選び、その管理及び活動について定め、並びにその計画を策定する権利を有する。」「公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。」こういうように規定してあります。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、最高裁判所裁判所職員団体管理職範囲規則によって制限する、これはただいまのILO条約八十七号の第三条に違反しておる。それは憲法第二十八条の勤労者団結権の保障、この憲法違反ではないかと思われますが、その点いかがですか。
  28. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 この問題については、非常に国会で御論議があったようでございます。ただしかしながら、この法律ないし規則が、憲法違反するかしないかということは、これは具体的な事件につきまして、当該裁判そのものにおいてきまる事柄でございますし、最終的には最高裁判所裁判によって確定するということに相なるわけでございます。これはもう坂本委員において御承知のとおりでございますが、私ども事務当局といたしましては、国会の十分な御論議を経た上で国家公務員法百八条の二の規定がなされたというように解釈いたしておるわけでございます。で、百八条の二の第三項が憲法違反するから、したがって、百八条の二の第三項の適用はしないのだというように最高裁判所事務当局において処置することはやはり間違っているのではなかろうか。したがいまして、国家公務員法百八条の二の第三項のただし書き及び第四項に基づきまして、最高裁判所においてこの法律適用において管理職等範囲を定めるということは適法、合憲なものとして事務的に取り扱っていく、こういう態度で処理しておるわけでございます。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 そこで大体の御見解はわかったですが、管理職員範囲を、使用者である最高裁判所が直接決定する、これは問題の性質から適当ではないのじゃないか。やはりこれは、最南裁判所人事院規定に入っていないもんだから問題か起こるわけですが、別に人事院のような公正な、純然たる別機関によって慎重に検討すべきじゃないか、使用者である最高裁判所みずからやるべきじゃないのじゃないか、こういうふうに考えられますけれども、その点いかがですか。
  30. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま坂本委員の御発言の御意見、これはもとよりそういう御意見のあることも十分に存じているわけでございます。しかしながら人事院自身人事院自身職員範囲等について管理職の指定をいたしますし、国会職員についてはこれはまた別の問題でございましょうけれども、理論的に私どものほうで行ないます場合に、第三者の機関によって決定しなければならないというようには考えていないわけでございまして、百八条の二の第四項の準用によりまして、最高裁判所の措置できめるという態度でいるわけでございます。しかしながら、御指摘のようにいろいろとこれは問題のある点でございます。したがいまして、私どもといたしましては十分に組合側意見等を聞き、また第一線、第二線の当該関係している人たち意見も聞いて、そして全く公平に適正な態度で臨みたい、こう考えておるわけでございます。
  31. 坂本泰良

    坂本委員 ただ使用者である最高裁判所の一方的な公平、適正というのでは、これはいわゆる公平、適正ではないじゃないか、こういうふうに思うわけですが、それを前提としましてこの管理職職員範囲検討する、もちろん検討されたと思いますが、その検討する際において、全司法労組との交渉と申しますか、私はこれは聞くだけでなくて、やはり相当団体交渉と申しますか、話し合いによって見解の一致をはかって、そうしてきめるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、その点についての経過等について承りたいと思います。
  32. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 坂本委員からどのような態度で組合に臨んだかという御質疑でございます。私どもといたしましても十分組合の意見は聞き、尊重し、事を運んでいきたいという根本的な態度に基づきまして、組合の意見を十分に聴取いたしました。  まず経過から申し上げますと、最初に六月二十日の月曜日でございますが、これは午後の五時から八時までの間全中央執行委員と面会いたしまして、根本的な問題についてそれぞれ意見の交換をいたしました。  それから次いで第二回目が六月二十二日の水曜日、午後五時から八時までの間、前回と同様にいろいろ根本的な事柄等について意見を交換いたしました。  それから六月二十四日の金曜日、これは午後五時から九時ごろまでの間、やはり中央執行委員と会いまして、そして十分に意見を交換いたしたわけでございます。  それから次は四回目でございますが、六月三十日の木曜日、やはり午後五時ごろから九時ごろまで——九時過ぎまして十時ごろになったかと思いますが、同様に十分に意見を交換いたしたわけでございます。  それから第五回目でありますが、五回目は七月六日の水曜日でございますが、午後の五時半から十時四十分ごろまでの間、同じく人事局長室におきまして意見を交換いたしました。ただこの場合はいろいろと事柄の実態に入らないで、そのほかの事柄について意見を交換するに終わったことは残念なことでございましたけれども、この内容については逐一御報告申し上げるのは省略させていただきたいと存じます。  それから次の第六回目が七月八日の金曜日でございますが、これは午後五時から九時四十分までの間、中央執行委員の方々と意見交換をしたかったのでございますけれども、また実際に五時から九時四十分までの間人事局長室におきまして中執の方々とお会いしたのでありますけれども、これは地方からの代表者五、六十名について、これを全部入れろ入れないというような形式的な面につきましてそれぞれ意見の食い違いがございまして、これは実質的な内容には立ち入ることができませんでした。  次が第七回目でありますが、七月十二日の火曜日に午後六時から十一時までの間、これは具体的な問題について意見の交換をいたしました。  それから第八回目でございますが、これは七月十三日でございますが、五時半から翌朝の午前三時まで、——これはなぜ午前三時までなりましたかと申しますと、十分この機会に完全に意見交換をしようじゃないかというような話し合いを前にいたしておりました関係で、ともかくこの日に全部についてやってしまおうということで意見の交換をやりましたために、翌日の朝の三時までに及んだわけでございますが、水曜日は五時半から翌日の午前三時まで具体的な意見を交換いたしました。  それから残った部分がございまして、それは七月の十五日の金曜日、これは組合の三役と、午前十一時から午後一時までの間にわたりまして、残った問題点について意見の交換を行ないました。  それから十回目でございますが、七月の十六日の土曜日、組合の委員長ほか二名の方々に裁判所の最終案を示しまして、本日の午前中までに意見を述べてもらいたいということにいたしました。  そして本日は第十一回目でございますが、昼休みに最終の意見交換を行なうことに相なっております。そして一番最初に素案として問題といたしましたのは、パーセンテージにいたしますと約二三%くらいを目途とした素案についてそれぞれ意見交換を行なったわけでございますが、最終案では一四%程度に引き下げた案を示しました。そして意見交換を行なったわけでございます。私どものほうといたしましては、組合側意見はこまかい点にわたりましても十分に聞きまして、そして全く公平な、先ほど坂本委員から御指摘のありましたような問題のあることも承知いたしました上で、十分に意見交換を行なって最終案に至りました。本日の十二時、昼休みからさらにまた最終案について意見交換を行ないまして、そして今度は確定案にこぎつけたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  33. 坂本泰良

    坂本委員 その最終案を出されたのは、これは全司法と意見の一致はやっていないわけですね。それで、結局は全司法と数回話はされたけれども、それは話を開くだけであって、やはり最高裁判所の独自の案をそのまま明示したのじゃないですか。それとも交渉の経過によって変更された点がありましたら、その点を伺いたい。ただいま局長おっしゃった「管理職員等範囲」ということでガリ版刷りを出しておられるのは、最終案というふうになっていますか、ちょっと……。
  34. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 これは最終案でございます。
  35. 坂本泰良

    坂本委員 そこでこの最終案は、全司法には、意見を聞いただけであって、最初からこの範囲最高裁判所のほうできめていて、そうしてそのまま出されたものか、あるいは交渉の結果によって組合側意見もいれて、変更された点がありましたら、その点を承りたい。
  36. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 坂本委員のおっしゃる御趣旨が、その場、その場におきまして、この職種についてはこの掲げられてある管理職を落とそうか落とすまいかという点で、その場で次次と決定しながら進んでいったというような御趣旨であるとしますれば、そういうような決定のしかたはいたしませんでした。その職種、職種につきましては、十分に意見を聞きまして、片方、組合からも非常に具体的なこまかい、実態に即した意見が出てまいるわけでございまして、それをまた私どものほうではやはりその意見を参照しつつ、人事局にあります全国の資料に基づきまして、いろいろと組合の意見を一方に踏んまえながら、その資料を十分に検討しつつまいったわけでございまして、組合の意見をただ聞くだけで、最高裁の当局が一方的に決定したというようなものでは決してございません。十分に組合の意見も参酌いたしまして、そして一方私どもの手元にございまする全国の人事に関する資料を一つ一つ具体的に出たりました上で、最終案ということにたどりついたわけでございます。
  37. 坂本泰良

    坂本委員 いまの御答弁を聞くと、まことに合理的にできたように思いますけれども、私のお聞きするのは、最終案といわれるけれども、この管理職員等範囲というのは、すでに最高裁判所のほうできまっていて、これに対して意見を聞いただけであって、変更した点は私はないじゃないかと思うのですが、大きい点で、ありましたら、どういう点か御指摘願いたいと思いますが……。
  38. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ごく簡単にその事例だけを申し上げますと、最初の素案からはずいぶんたくさんの人員が落ちているわけでございます。最初の素案につきまして、きわめて簡単に申し上げますれば、たとえば検察審査会、これは総務課長は検察審査会につきまして全員にわたりまして入れておいたわけでございますが、組合側意見等も聞きまして、また全国的に実態的な数字も当たりまして、そして検察審査会につきましては、東京、大阪、名古屋の三つの大きな都市につきましては総務課長を入れてございますけれども、それ以外の都市につきましては、総務課長は全部削除というように、第一番目の素案からいたしますと非常に多くの管理職を削除いたしまして、結局二三%から一四%というように多くの管理職を落とした、こういうことに相なるわけでございます。
  39. 坂本泰良

    坂本委員 大体最高裁判所は、二三%の管理職を認めるというのが間違いであって、人事院規則によると、これは政府でも同じですが、八・八%である。八・八%としますと、最初の二三%は約三倍になるわけですね。それでこれを大きく一四%に下げたんだとおっしゃるけれども、まだ人事院規則からすれば相当高いわけですね。五・二%高いわけですね。こういう点については、全司法のほうでは少なくとも人事院規則の八・八%の範囲内でとどむべきだ、こういうような主張をしたけれども、それがやはり結局は最終案は一四%だ、そうすると、一般よりも最高裁判所のほうが管理職の率が高いわけです。そういう点で矛盾があるという点が一つと、それから検察審査会ですね。この検察審査会のことについては、別な本来の目的等について当委員会で明後日質疑をしたいと思っておりますが、これは私たちの考え方では全部削除していいじゃないかと思う。いわゆる検察庁の不起訴処分に対して審査の申し立てがありますと、それを審査するのであって、これの事務局長とか総務課長は本来管理職には入らないじゃないか、こういうふうに考えておるし、なお二三%に達するのは、この検察審査会は、結局は事務局長、総務課長は東京、大阪、名古屋の地方裁判所所属地に置くものに限られたわけです。全国的にやれば二人か三人しかいないのに、それが事務局長の仕事をする、あるいは総務課長の仕事をするというので、はずせば二人か、三人しかいないのに、入れれば一人か二人になっちゃうわけですね、管理職以外の者は。だから問題にならなかったから東京、大阪、名古屋に限ったわけですが、これは当然のことであって、最初から裁判所のほうはそういうようなサバを読んでやるところに、労使双方が話し合いで決定すべきこの管理職の問題に対して、非常な規則を一方的につくるという点について問題があり、さらに、この検察審査会を入れるというので、それがいろいろ話し合いの結果狭められて少なくなった。こういう点でありまして、検察審査会は、大京、大阪、名古屋であっても、事務局長、総務課長は管理職から全部削除すべきてある、こういうふうに考えますか、その点いかがですか。
  40. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 非常にサバを読んだ案を初めに提出して、そして最高裁判所側はもう確定的なものを用意したのではないかというような御質疑があったわけでございますけれども、しかしながら、これは決してそういうわけではございません。先ほど申し上げましたように、私どもがこの問題について組合側意見の交換に入りましたのが六月の二十日であるわけでございます。六月の二十日に組合側に素案を示しましたときには、いずれこの問題については人事院のほうで詳細な検討がなされて、そして人事院規則案、それから規則が出るだろう、そしてまた各省でもそれぞれにどの範囲管理職にするかという具体案が出るし、またそれも確定するだろう、そういうことを参酌した上で、そしてまた組合側意見も十分聞いた上で、われわれのほうとしては案をきめたいのだ、したがって、素案についてはそういうような趣旨で意見交換に入りたいのだということは、もう重ね重ね何回となく繰り返して申しているわけでございます。初めて意見の交換に入りましたのが六月二十日でございまして、そして人事院規則が出ましたのがたしか今月に入りまして七月の九日ごろでなかったかと、こう思うわけでございます。それまでの間は組合のほうとも十分意見の交換をしつつ、また、七月九日に人事院の案が出ました後は、人事院の案の内容について、詳細に裁判所側といたしましても調査いたしまして、その上で最終的な案にこぎつけたわけでございます。ただいま坂本委員の御質疑では、人事院の案は八・八%ではなかったかというようなお話がございましたけれども、私どもの聞いておりますところでは、それは学校、それから大きな国立病院等全部含めまして、全国的なものにつきまして八・八あるいは八・九というように、実は聞いておるわけでございまして、それぞれ各省、それから外局の長等につきましては、それぞれの特異性を入れて、パーセンテージが非常に多いところもあるし、また少ないところもあるというように聞いておるわけでございます。そういう点から申しますれば、私どものほうで出しております最終案のパーセンテージが、坂本委員からおしかりをこうむるほど決して高いものではないということは、はっきり申し上げることができるのではないか、こう思うわけでございます。  それから、検審の事務局長のお話がございましたけれども、検審の事務局の総務課長は、これは全国の検審の事務局に設けられているものではございませんで、たしか二十カ所台のところで総務課長が設けられておりまして、そのうちでも若干あるいは欠員があるかもしれません。そういう意味におきまして、総務課長を削ったからパーセンテージが非常に少なくなったというわけでもございませんので、どうぞこの点御了承いただきたいと思うわけでございます。  それから、検察審査会そのものは、全部はずしてはどうかというような御意見があったわけでございますけれども、しかしながら、やはり検察審査会が独立官庁といたしましての機能を保持して、その職務を完全に遂行してまいります上におきましては、これはどうしても独立官庁の長は管理職にしていただきませんと、その庁の職員につきましていろいろと人事面の配慮等をすることが逆にできなくなりますし、また、当局側といたしましても、それを全然省いてしまいますと、人事面の管理というものが全くできなくなるというような結果に相なりますので、独立官庁ということをひとつお考えになっていただきまして御了解いただきたい、こうお願い申し上げるわけでございます。
  41. 坂本泰良

    坂本委員 内容にちょっと入りたいと思いますが、その前に、最高裁判所——これは最高裁判所だけでもないと思うのですが、全部裁判所は消費機関である、こういうような考えがこのごろ強くて、いわゆる労働争議等に関連する事件は治安事件だといって特別に取り扱って、裁判所裁判管は治安事件については非常に証拠を制限する。それから検察官がつくった供述調書なんかも、裁判起訴した以上は、全部国家の費用で調べた供述調書であるから、全部公判にさらけ出して、たとえ不利な調書があっても、これは公平ないわゆる裁判所裁判を受けるから、それを全部出してそうして裁判の判断を受ける、判決を受けるのが正しいのである、だから全部書類を出してもらいたいと言っても、検察官は出さない。そうすると、裁判所はそれに迎合して、それじゃ、出さなければやむを得ないでしょう、証人でやりましょう。——今度は証人調べをする。そうすると、今度はその証言が検察側に不利な場合に初めて、三百二十一条の二項の後段ですか、それで出す。それから、さらに、裁判の期日、日程をきめる場合、ある裁判所なんかは、私なんか、弁護人であって、本会議で緊急質問を、やる日になってきまったから、その期日を延ばせと言っても、それを延ばさずに強行する判事がおる。そして、裁判所は真実を発見するのがその職務であるけれども、そうせずに、形式的にそういう証拠調べをどんどんやって、もう期日がないからあとは弁護人、被告人側の証人は却下する、こういうことで、裁判の進行等についても非常に不公平な取り扱いをして、そうして無罪となるべきを有罪にしたり、あるいは刑の量定についての考え方が非常に過酷である。こういうのが判例上もあらわれておるわけですが、裁判所というものはやはり人権を擁護する機関であって、やはり国民がたよりにするのは、裁判所の判決によって無非を主張するし、また刑の量定についても、公平な立場でその判決を受ける、これが裁判である、これに期待しておりますが、そういうことを無視してやる考えがある。裁判所は、今度の管理職の問題の決定についても、私はそういう点が非常に出てきているのじゃないかと思う。それが、最初は二三%の管理職をつくり、組合の力を弱めていく、折衝しても人事院の八・八%よりも五・二%多い最終案が出ておる、そういう結果になっているだろうと思いまして、私はそういう考え方があるから、以下御質問申し上げる点についても管理職が認められたんじゃないか、こういうふうに考えますから、その前提としての考え方で若干お聞きいたしたいのは守衛長ですね。守衛長は人事院規則では入っていないのを、裁判所のほうは入れておられるわけですが、この点ははずすべきだと思うんですが、御所見はいかがでございますか。
  42. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま守衛長についての御意見がございましたけれども人事院自身におきましても、守衛長というのは入れているわけでございまして、そのほか自治省にいたしましても、建設省にいたしましても、また建設省の内部で建設大学校等にいたしましても、また地方建設局にいたしましても、守衛長はみな入っているのでございまして、最高裁判所だけが守衛長をきめたのでは決してないわけでございます。
  43. 坂本泰良

    坂本委員 その点は留保いたしておきまして、先に進みたいと思います。  次に、主任書記官ですね。書記官というのは、人事とか労使の関係事務には関係しない。いわゆる裁判に立ち会う、民事訴訟法上、刑事訴訟法上定められた職務を行なうのであって、管理職的な仕事はしていないと思います。ですから、これは管理職からはずすべきだ、こういうふうに考えますが、その点の御所見はいかがですか。
  44. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 首席書記官、それから主任書記官、これは通じての問題でございますが、職員の……。
  45. 坂本泰良

    坂本委員 首席書記官ははずしまして、私の言ったのは主任書記官でございます。
  46. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 わかりました。主任書記官についてでございますが、これはその下に属します書記官、事務官、速記官等につきまして、それぞれ人事の管理をいたしておるのがほんとうの実情であるわけでございます。全国各庁、全部それぞれ同じというわけにはまいりませんけれども、ある裁判所におきましては、昇給の辞令も、主任書記官かその下におります書記官、事務官等につきましては交付しておるというようなのが実情でございまして、全国いかなる裁判所におきましても、主任書記官は、その自分の下に属します書記官、事務官あるいは速記官等につきましての能力、いわゆる考課等につきましては、首席書記官と密接に結びまして、それぞれの人事面の管理をいたしておる、こういうのが現実であるわけでございます。
  47. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、この主任書記官というのは入れてあるわけですが、私がはずすべきだと言う根拠のもう一つは、書記官が入ります裁判の公判部というのは、これは労使関係の事務は一切タッチしていない。裁判事務だけについての職務であるから、このようなほうからもやはり主任書記官ははずすべきだ、こういう見解を持っているわけです。先ほど、主任書記官は、その下に書記官がおり速記者等がおって、その昇給等についてもやはり関係しておる、こういうふうにおっしゃるけれども、それは日常の勤務状態その他についてのことであって、管理職としてのものは首席書記官のほうで取り扱うわけですから、そういうことで、高等、地方、家庭裁判所における公判部は、最初申しましたように、労使関係の事務はタッチしていない。こういう点からいたしまして、主任書記官ははずすべきだ、こういうふうに考えますが、その点もう一つ答弁いただきたい。
  48. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 主任書記官は、執務の面だけでの監督ではないかというような御趣旨になるかと存じますけれども、しかしながら、執務と人事の管理の面とは、密接に結びつき合っているものでございまして、この人事の監督面を除きまして、執務だけの監督ということについては、実態といたしても考えることができないわけでございます。  これは、それについてのほんの例を申し上げるわけでございますけれども、たとえて申し上げますと、ある地方の裁判所の支部でございますが、そこの主任書記官は、自分の部に属する書記官が、仕事上のあやまちがあったということを理由に、行政上の注意処分を受けている例が三十八年にもございますし、また三十九年に至りましては、これは大きな——具体的な庁まで申し上げないでよろしいようでございましたら、具体的な庁を申し上げないで述べさせていただきたいと存じますが、大きな庁で、ある主任書記官が、その下に属します職員の刑事事件につきましての身分上の監督責任を負わされまして、厳重な注意処分を受けた実例もあるわけでございます。四十年に至りましては、やはり大きな裁判所でございますが、ある競売事件の処理に関しまして、その監督に属する者の不行き届きの点を理由に、厳重な戒告処分を受けておるわけでございます。また四十一年におきましても、ある高裁の主任書記官が、やはりその部に属します職員の不行き届きな行為かありまして裁判所の信用を失墜したということを理由に、厳重な注意処分を受けておるわけでございます。まだほかにも申し上げれば実例はあるわけでございますけれども、このように前から主任書記官は、その下に属する職員の人事管理の面につきましても責任を負わされておるわけでございまして、主任書記官の人事面の監督的な作用というものを無視いたしましては、裁判所全体の書記官の正当な適正な人事管理ができないというのが現在の実情であるわけでございます。
  49. 坂本泰良

    坂本委員 いま例を出されたのは、これはよほどの顕著な例であって、主任書記官も同じような穴のあれじゃないかというようなことが問題になったのであって、全然関係のないもので刑事上の処分を下が受けたからということで、その監督権でやられるというのは——注意処分なんというのは、今後こういうことがないように執務上よく注意してやれというようなことであって、まだあなたのおっしゃったのは、内容をよく検討してみなければ私はわからぬと思うけれども、よし、そういうようなことが若干あったとしても、今度のこの労使双方の関係を円満にする労働組合の団結権にあたって、管理職として組合からはずすというようなことについては私は不適当だろう、こう思うわけです。そういう点は、きょうまた十二時から折衝があるなら、そういう点ははずすべきである。まず本質が、公判部というのは人事をやることは全然ないわけですから、これははずすべきだ、こういうことの考えを申し上げておいて、次に移りたいと思います。  家庭裁判所の調査官、これの主任調査官というのがあります。それも管理職に入れるというのは、これもやはりいまの公判部の主任書記官と同じような関係になるのではないか、こう思うわけですが、その点いかがですか。
  50. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 主任調査官につきましても、私どもといたしましては、先ほど説明申し上げました主任書記管と同様に考えておる次第でございまして、この主任調査官につきましても、これは新聞にも発表になりましたことですから申し上げさせていただきたいと思いますけれども、去る四十年に東京家裁で不祥事件がございまして、調査官が刑事処分を受けておるわけでございます。それにつきまして、それを監督いたしておりました主任調査官は厳重な戒告処分を受けておる。二人が厳重な戒告処分を受けましたけれども、やはり実際の人事管理の面で主任調査官にほんとうにやってもらいませんと、とても人事管理ができないということから、そういうようなことも一つの例として出ているわけでございまして、実態といたしましても主任書記官と同様にお考えになっていただければ幸い、こう存するわけでございます。
  51. 坂本泰良

    坂本委員 この点も、これは首席調査官がおるわけだから、それが管理職に入るのだから、その下の点を、わずかな不祥事件があった戒告処分などを取り上げて、管理職に入れて組合の人数を減らすということは、これは私はちょっと行き過ぎじゃないかと思うのです。この点はやはり十分考慮すべき点であって、私ははずすべきだと思うのです。これははずしたからといっても、もちろんそういうような調査官同士の関係で刑事上の問題が起きたら、それは責任を負うべきでありましょう。またその場合は首席調査官が監督不行き届きの点があります。それかといって、昭和四十年の例があるからといって、これを管理職にする。こういうのは私は当たらぬと思うのだから、この点はひとつ十分考慮して、こういうのははずして、やはり人事院の八・八%に近いように考慮すべきだと思うから、その点を強く要望しておきます。  次に、簡易裁判所の庶務課長ですね。これは二人か三人のところの庶務課長もおるだろうし、結局これを管理職に入れれば組合員はほんの一人か二人だ、こういうことになるのであるのと、もう一つは検察庁のほうでは区検察庁は、十人以下の場合はたとえ管理職であっても管理職としてはずさずに組合員になっておる、こういうようなこともいわれておるわけですが、庶務課長もそういうような関係からはずすべきだ、私はこういうふうに考えますが、その点いかがですか。
  52. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま坂本委員の御指摘のとおり、簡易裁判所におきましては大きな簡易裁判所もありますし、小さな簡易裁判所もあります。したがって、その小さな簡易裁判所については、やはりその点十分考慮すべきではないかというような御質疑でございます。ただいまの私ども考え方といたしましては、簡易裁判所におきまして、もっとも事務移転の一部の庁はございますけれども民事、刑事等につきまして広範な仕事をやっておるわけで、職員の数はあるいは若干少ないところもあるかも存じませんけれども、しかしながら、この人事管理面もまた非常に大切なことではないかという考えで最終案を立てたわけでございます。しかし坂本委員のただいまの御発言の趣旨等につきましては、やはり実態について十分調査いたしてみたい、こう存じておるわけでございます。
  53. 坂本泰良

    坂本委員 最後に、先ほど私申しましたように裁判所は人権擁護の機関であって、司法権の独立というのは行政権に対する独立であって、それで時の行政権に支配されることなく、国民の信頼を受けて独立、公平、無私な裁判をやる、そこに裁判所の、三権分立の本質があるし、われわれが信頼しておる裁判所である、こういうことになるのであります。警察とか検察庁は、事案によって時の行政機関に非常に支配されることがあるし、またそういう状態にあるわけですが、裁判所だけは独立してやらなければならぬ。そういうような政府の機関でない、独立の機関である、この点は国会と同じでありますが、人事院の政府職員でさえ八・八%である。だから人権擁護の立場に立つところの裁判所は、その性格からいっても、人事院よりもっとパーセンテージからいえば低いところで管理職はとどめて、そしてその運営をはかって、国民の信頼を受けるべきではないか、こういうふうに考えますから、以上申し上げた点等についても、まだきまっていないわけですから、やはり少なくとも人事院の八・八%より上には上がらぬような点で労使双方で、いわゆる裁判所と全司法の間に話し合いを進められて、そして妥当な管理職範囲をきめてもらいたい、こういうふうに考えますが、その点裁判所のほうとしてどうですか。
  54. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の八・八%あるいは九%は、これは政府職員全体を通じましてのパーセンテージで、やはりこれは各省、各庁においてそれぞれパーセンテージは異にしているとは存じますけれども、しかしながら、いま坂本委員が御発言くださいました御意見は十分に尊重いたしまして、そして確定案にこぎつけたい、こう存じておるわけでございます。
  55. 大久保武雄

  56. 横山利秋

    ○横山委員 大要は坂本委員から御質問でありましたから、関連しまして、ふくそうしないように二、三伺いたいのですが、裁判所職員国家公務員法によっていまは特別職である。しかしながら、実際問題としては、労務管理は何ら変わりがない雇用関係にあると思われるわけです。そうしますと、国家公務員は人事院というものが救済機関としてある。裁判所職員にはそういうような人事院制度というものがない。したがって、最高裁裁所の理事者側が自由裁量になる部面が非常に多い、こういう点については何としてもふぐあいである、こういうことを私ども考えるわけです。そこで、今回の管理職範囲についても、最高裁判所がかってにきめるということはおかしいというのがわれわれの意見、それに対してあなたは、いや、かってにきめてはいない、六、七回ですかにわたって交渉をした、したがってそれで了解してもらいたいというわけですね。  それでは聞きますけれども、その何回かにわたって行なわれたものは、法律上にいいますと、一体何ですか。どういう性格をもって行なわれたのですか。
  57. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 法律上の性格と申しますよりは、私どもといたしましては、十分に組合のほうの意見を聞きまして、それを十分に参考にいたしまして、その上で案の作成にかかりたいという趣旨で申し上げたわけでございまして、私どもの組合の法人格性とか、それからその構成ということまで、現在のところ厳格な趣旨で申し上げているわけではございません。要するに組合のほうの代表の意見を十分に聞いた上で、そしてまた人事院、それから各省の管理職範囲のきめ方を参考にして、そして公平な立場で適正な範囲を定めるように立案したい、こういうように申し上げたわけでございます。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、あなたのほうとしても、管理職範囲についてはかってに最高裁判所できめるようなことはしない、組合の意見を十分聞いて円満な方法できめたい、こういうわけですね。
  59. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 精神はそういう精神でございますが、しかしながら、何と申しますか、先ほど坂本委員から御質疑がございましたように、一つの問題、問題について、その場で右か左かということをお互いに話し合ってきめていくということではございませんで、全般について十分に意見も聞き、また、こちらのほうでいろいろ不備な点もございましたし、そういう点はやはり組合のほうから指摘されまして、われわれのほうも十分わかったというような事柄も相当あるわけでございまして、そういうような趣旨で十分に意見を聞きました上で確定案にこぎつけたい、こういうように存じておるわけでございます。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 今後新しい職名を創設する場合、廃止する場合についても、同様ですか。
  61. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 職名につきましては、実は私のほうの所管ではないわけでございまして、実は、何と申し上げていいのか、はなはだあれでございますけれども、やはりその実態に応じた職名を、十分に検討した上できめられていくものであろう、こういうふうに私は考えておるわけでございますけれども、ただいま……(横山委員「所管はどこですか」と呼ぶ)局の中を中心にして申し上げますと、総務局が中心になりまして、各局の意見を聞きまして、その上で案を立てるというようなことに相なると思います。
  62. 横山利秋

    ○横山委員 私の聞いておるのは、職名を創設する場合に、それを管理職にするか非管理職にするかという点については、いまお話しのように、今後とも——創設するのは総務局であるけれども、それをどちらにするかについては、いまお話しのように、組合の意見を十分聞いてきめる、こういう意味でしょうねといって聞いているのです。
  63. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 これは実は具体的な問題でないものでございますから、いまどういうように申し上げていいのか、これはちょっと申し上げることは非常に困難だと思います。(横山委員「何が困難だ、ルールを聞いているのだ」と呼ぶ)しかし、たとえば課長ときめたものを、課長を落とす場合とか、そういうような問題につきましては、将来実態について十分検討いたしました上でそういう問題が起きてくるわけで、実は、こう申し上げては、はなはだ——あるいは私が誤解しているようなことになるかもしれませんが、仮定の問題として扱わなければなりませんので、どうもそれにつきましては私のほうで責任を持ったお答えは、いまのところは申し上げかねるわけでございます。
  64. 横山利秋

    ○横山委員 あなた、何か勘違いしているのじゃなかろうか。ぼくの言うのは、今度何か新しい職名をつくるというときには、総務局がおつくりになる、それはまた別の問題である、その職名を組合員とするか非組合員とするかということはあなたの責任だ、そのときに、いまのように組合の意見を十分聞いて、これは組合員、これは非組合員というふうに円満に話をつけるのだな、こういって聞いているのです。
  65. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいまお手元にございまするそこに掲げてある「管理職範囲」等について変更する場合には、かりに変更するようなことがあった場合には、組合の意見を十分聞くかどうかというような御趣旨の御質疑でございますれば、これはやはり十分意見を聞いて案を立てたい、こう存じておるわけでございます。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 さしあたりの問題はそういうことだと思うのですが、どうもあなたも注意しながら答弁していらっしゃるようだけれども、根本的には、国家公務員法管理職、非管理職が、また条約によってもそれがきまっておるわけですね。条約は、公の機関は組合員の選挙権、被選挙権を制限してはならぬという立場であるから、それで、国家公務員は、人事院というものを創設をして、そこでなるべく公平にやらせるようにしておる。ところが、あなたのほうは、どうも聞いてみると、最終権限は私のところです、組合の意見は聞くけれども、最終権限は私のところです、こう言いたいらしいのですね。そのことが根本的に間違いがある、こういうことをぼくらは考えているのですよ。これは人事院で、特別職だからいかぬというなら、少なくともこの裁判所職員に労働権なりいろいろなことについて、人事院にかわるべきものということが何か考えられてもいいんじゃないか。聞けば何か公平委員会のようなものがいまあるそうですね。そういうものを含めて何か特に考える必要がありはしないか、こういう点はどう思いますか。
  67. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 これも先ほど坂本委員の御質問にお答え申し上げたわけでございますけれども、私どもといたしましては、十分に組合のほうの意見を聞き、また人事院規則内容検討し、各省の管理職範囲検討した上で事を運びたい。人事院自身も、自分の人事院の内部の職員について、管理職であるかどうかは人事院自身がやはりきめておる問題だと思うのでございますけれども、しかしながら、そういうようないわゆる法律論とか、そういうたてまえは抜きにいたしまして、実質的に十分組合の意見を聞き、各方面の資料を参考にし、そして公平な立場で適正妥当な案にこぎつけたい、こういうように存じまして、努力いたしたいと存ずるわけでございます。
  68. 横山利秋

    ○横山委員 あなたはまだサザエの中に入って、ぼくの言う気持ちがわからないのですけれども、本来どちらの分類に属する人間であるかを一方できめるということがおかしいという点については、あなたオーソドックスに答えていないのですね。これだけの人がおる。それをどちらに配分するかという点については、もう一歩高い地位ないしは客観的な人がきめなければおかしいじゃないか。最終的にはおれがきめるんだということ自身がおかしいというのですよ。ですから、人事院があり、仲裁委員会があり、労働委員会があるのですからね。その労使関係の基本的ルールに、なぜ裁判所だけがそういうものがないのかという点について、あなたはお答えがないわけですね。だから、ほくは——聞けば公平委員会のような、何か第三者を含めたものが一つあるそうですね。それをもう少し大きくして、客観的な、公平な立場というものがもっと大きなウエートを占めてもいいんじゃないか。どうしても、管理職の問題のみならず他の問題についても、あなたならあなたがきめなければならぬという理由がどこにあるか。あくまでこれは労使の問題ですからね。その点はお考えになったことはありませんか。
  69. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 御指摘のような点についても、考えたことがないわけでは決してございません。一般規則制定諮問委員会というような委員会もございますし、そういうような点についても十分考慮いたしました上で、ただいまのような結論に到達いたしたわけでございます。
  70. 横山利秋

    ○横山委員 ただいまのことを聞いているのじゃないですよ。基本的な労使関係のあり方をぼくは聞いているのですよ。どうも見当違いな御答弁が多いようなんですけれども、もう一つ伺いますが、今回のこの最終的に近づきつつある案でいきますと、いま組合員である人がどのくらい管理職になり、あるいは管理職である人がどのくらい組合員になるのですか。計算をなさいましたか。
  71. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 その組合員であるかどうかという問題につきまして、非常にデリケートな問題がございまして、私どものほうで、君は組合員かどうかということは聞かないたてまえにいたしておるわけでございます。したがいまして、問題となっておりますある者が組合員かどうかということは、人事局長から直接、君は組合員かどうかということについては、現在は承知いたしていないわけでございます。ですから、組合員の数等も、組合の執行委員長から、自分のほうは一万六千ないし一万八千というように言われる数を聞いているわけでございまして、具体的にこの者が組合員か、この者が組合員でないかという点につきましては、私どものほうといたしましては、積極的な調査は、正直なところ何もいたしていないのでございます。したがいまして、管理職範囲と申しますのは、いまそこにお持ちのいわゆる最終案では、一四%が管理職の人員に相なっておりますけれども、その中にどのくらい組合員が含まれているかという点については、私どもは全くの白紙で、実はわからないというのが実情でございます。
  72. 横山利秋

    ○横山委員 まあかりにおことばのとおりに聞いたにしても、勘として、大体これによって非組合員になる職名、その人数というのはおわかりになってないんですか。
  73. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 正直なところ調査いたしていないのでございます。しかしながら、組合のほうが申しますところによりますと、たとえば東京地裁の刑事部では、主任書記官の中で組合員であるのは三名だ、民事部では三十七、八名中二十名近くが組合員としているんではないかというように組合のほうでは申しておるわけでございますけれども、私のほうから直接、主任書記官なら主任書記官に対しまして、君は組合員であるかどうかということを聞くということは差し控えているというのが実情でございます。
  74. 横山利秋

    ○横山委員 その次には、先ほどの職名変更の権限が、セクションは総務局でございますね。何の規定によって最高裁判所では職名がきめられるわけですか。どういう規定ですか。
  75. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 最高裁判所規則によって職名がきめられております。
  76. 横山利秋

    ○横山委員 どういう名前規則ですか。
  77. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 下級裁判所事務処理規則、それから首席書記官等に関する規則、それから首席調査官等に関する規則等、規則によってつくられる、こういうように承知しております。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 そういう規則によって職名がきまっておるのですが、下級裁判所その他で、規則以外の職名を任意につくっておる事例はありませんか。裁判所、図書館ないしは研修所限りで給与を伴わない職名、そういうものはありませんか。
  79. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 規則以外で、通達等できめておるものもないわけではないと存じますが、たとえば守衛長でございますけれども、この守衛長と申しますのは、われわれ守衛長とは申しておりますけれども、守衛長そのものを定めた規則、通達等はないというように理解いたしております。
  80. 横山利秋

    ○横山委員 私も先ほど見ながら、この「管理職員等範囲」の中で守衛長と書かれておるけれども、備考として、守衛長は、「守衛のうち監督的地位にある者をいう。」と書いてあるわけですね。一体規則で守衛となっておりながら、こういうことをきめるときには守衛長だときめてかかることには間違いがある。この「管理職員等範囲」の中には、あくまで公式には守衛なんだから、「守衛」と書いて、そうして、そのうち備考の中に、ただし、その他のものを除くというふうにするのが妥当である、これが現実論です。  それから規定的な立場でいえば、守衛はあくまでも守衛ではないか。そいつをかってに守衛長と呼ぶなら、なぜ守衛長にせぬか。守衛長にふさわしい給与をなぜやらぬか。法律規定で職名を定めながら、地域で適当にその場限りの職名をつくるということは、これは人事関係として私はよろしくないと思う。現実にそれが守衛長にふさわしい仕事をし、みんながそう呼んでおるなら、なぜ守衛長に昇格しないのかという点はどうですか。守衛長ばかりじゃないですよ。
  81. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおり、守衛長というものは職制としてはないわけでございますから、したがいまして、「守衛のうち監督的地位にある者」というような表現をあるいは使うべきかもしれないと存じます。それで、「守衛長」とそこに書いてありますものの中身といたしましては、備考に書いてありますとおり、「監督的地位にある者」でございまして、したがいまして、その範囲というものも、地方裁判所、家庭裁判所全体について守衛長があるというたてまえではないわけでございまして、監督的地位にある実質的なもののみを規定するというような考えでおるわけでございます。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 少なくともその機関限りの職名、機関限りで、おまえは本来なら書記だけれどもここでは書記官と呼んでおるぞ、ただし給与は伴わないぞ、そういうやり方はやめてもらいたい。あくまで規定、通達によって公式の職名で通すか。それが現実問題としてぐあいが悪ければその職名を起こすか。つまり名前と給与とを一体化させるべきだ、かってなことをやってはいかぬということでございます。そういう意味合いでは格下げしろというのではないのですよ。現実に合わして職名をつくり、それにひとしく適当な給与に改善すべきだという点は同感でございますか。
  83. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 御趣旨、よくわかりましてございます。その点について十分検討いたしたいと存ずるわけでございます。
  84. 横山利秋

    ○横山委員 これで終わるのですが、政務次官、せっかくそこにおすわりでいながら御苦労さまでございます。お礼を申し上げるとともに、ひとつ苦情なりを申し上げておきたいのです。  このごろ、カラスの鳴かぬ日はあっても、法務省関係で汚職の記事が載らない日はないのです。どう思いますか。この間法務大臣は、まことに松山については申しわけないと言った。申しわけないと言った口うらから、今度は入国管理局の汚職です。その次には、どうですか、法務局の汚職ですよ。全く言語道断ですよ。いま管理職の仕事を議論しておるのですが、先ほど矢崎さんの話だと、汚職があったからこの職名は管理職にせぬとぐあいが悪いという、そんなばかなことはないですね。汚職があったら管理職になれるものなら、みんな汚職をやったら、みんな管理職になれる。監督というものはそんなものではないと私は思う。つまり、汚職があったときの監督責任、これをたださなければいかぬ。汚職をやった人間よりも、その上の監督責任、その監督責任をこの際断固として追及をするということにしないと、これは世間はびっくりしますよ。これじゃもう法務大臣も政務次官もおやめになるでしょうね、今度はかわるでしょうね、気の毒な話ですがね、と言う。しかし、私は法務大臣の出所進退についてこの間善処をお願いしてありますよ。言いにくい話だけれども、事務次官以下が一つの出所進退がきまって、おれだけは別だ、おれだけは最高の監督地位だから、おれだけは白紙だというわけにはまいりますまい、どうなさいますと言ったら、自分で考えますという、その口うらから、また次から次へと汚職が新聞記事を飾っているじゃありませんか。これは、わが社会党としてもただでは捨ておけぬと考えているのですが、ひとつ政務次官の御感想をいただきたい。
  85. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 横山委員の仰せられるとおりであります。私は、日本で、裁判所関係法務省関係のものこそ最も汚れていないという意味で、いささか国民の信頼をつなぎ得た機関であるように承知しておったわけです。ところが、そういう方面にまでいまの汚職その他のいかがわしい問題が起こるということは、政治そのものに対しての国民の信頼を失墜することだと思うわけでございますから、この点については、各機関の者が、それぞれその職責に応じまして十分監督を厳にし、先般の委員会でも大臣に対してきびしい御説がございましたけれども、事務次官以下がその責めを感じておるのに大臣はどうかということでございましたけれども、ただ、大臣もあのときにも言われたと思いますが、それぞれの職にある者が、その部下において不幸な事態が起こったときに、ただ責任を感じて職を辞するとかいうことだけではものごとはなかなか解決すべきものではないから、大臣は、あらゆる点において、自分の職責における各方面の綱紀を振粛するために、また、信賞必罰という態度で、国民の信頼を取り戻すように努力せられるのが大臣として最も必要なことだと私は思うのでございます。内閣の改造も近づいております。政務次官なんかは必ず更迭すると思いますけれども、私は、議員といたしましても、いまの横山委員のおことばには全く同感でございますから、今後この点については大いに努力するつもりでございます。
  86. 大久保武雄

    大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は明後二十一日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十八分散会