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1966-10-12 第52回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十二日(水曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 加藤常太郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       大高  康君    小泉 靖也君       志賀健次郎君    徳安 實藏君       服部 安司君    星島 二郎君       安宅 常彦君    片島  港君       中井徳次郎君    原   茂君       前田榮之助君    佐々木良作君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 新谷寅三郎君  委員外出席者         郵政政務次官  田澤 吉郎君         郵政事務官         (大臣官房長) 竹下 一記君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政技官         (大臣官房電気         通信監理官)  浦川 親直君         郵政事務官         (監察局長)  鶴岡  寛君         郵政事務官         (郵務局長)  曾山 克已君         郵政事務官         (貯金局長)  稲増 久義君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (人事局長)  山本  博君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君         日本電信電話公         社総裁     米沢  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社職員局長   遠藤 正介君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  この際おはかりいたします。当委員会におきましては、今閉会中、逓信行政等実情調査のため、各地に委員派遣を行なったのでありますが、その報告書委員長の手元に提出されております。これを参考のため会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔派遣委員調査報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  4. 砂原格

    砂原委員長 逓信行政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。森本靖君。
  5. 森本靖

    森本委員 まず最初に、大臣に当面の労働問題についてお聞きしたいと思いますけれども、私の手違いで人事局長に来てもらってなかったものですから、あとから来られるそうですので、あとで御質問いたすことにいたします。  まず最初にお聞きしたいと思いますることは、八月の十八日の委員会におきまして、私のほうから大臣質問をいたしまして、当時大臣はまだ就任をせられまして早々でございましたので、非常に慎重な御答弁でございまして、その後検討いたしましてお答えをいただくという件が相当あったわけでありますので、その点について、ちょうど九月に委員会が開かれておりませんので、この八月の十八日に懸案になっておりまする事項について、大臣からまずひとつお答えを願いたい、こう思うわけであります。
  6. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 八月の委員会で、もう少し研究をさしていただきたいということを申し上げましたのは、多分三点ほどあったかと思います。その一つ電気通信に関する機構の問題それからいわゆるベルボーイといわれておりますポケットベルの問題がその一つ。それから貯金関係のいろいろの機関考えたらどうかということが一つ。まだほかにもたくさんあったかもしれませんが、大きな問題としては、大体その三つであったかと私は記憶するのでございますが、もし足りませんでしたら、御指摘をいただきましたらお答えを申し上げます。  順次申し上げますが、八月の委員会郵政省機構、特に電気通信に関する機構を、もう少し一元的な強力なものにしたらどうかというようなお話がございました。ことに電波監理局についてはもっと放送界現状にかんがみて機構考え直したらどうかというような御意見もあったのでございます。ちょうど予算編成期でございましたので、森本委員の御趣旨も十分考慮いたしまして、予算概算要求にあたりまして、いろいろ検討をいたしてみたのでありますが、当時前大臣の構想だと言われておりました電気通信庁というような外局の設置につきましては、その当時も申し上げましたが、こういう外局の組織をこしらえてまいりますと、一面では電気通信行政の一元化をはかるという上においては、都合のいい部分が出てくると思いますが、ただ郵政省の全体の機構の点から申しますと、一般の官庁ではいわゆる監督行政事務というものは内局にありまして、大臣が直に指揮監督をしていくというのが通例でございます。現業事務のほうは、むしろ適当な外局機関を設けて、相当程度権限をまかせて、大臣は包括的に政策的な面から指導をしていくというような機構が、これは一番普通のようにいわれます。ことに電波監理局電気通信監理官室との関係でございますが、これは一言で申し上げますと結局電気通信に関する事務をあずかっておることには間違いございませんが、この内容関係する部分もございますが、非常に違ったものでございまして、これを一本にしてほうり出してしまって、そうして、いわゆる独立性の高くなってくる外局で仕事をやらせるということが、はたしていいかどうかということにつきましては、決心がつきませんでしたので、この点はもう少し検討しようということで見送ることにいたしたのであります。ただ現在の電気通信監理官室というものを見てみますると、御承知のようにこれは、私設電気通信設備というものの非常にふえてきておりますこと、それから電気通信に関する海外諸国との技術協力関係国際会議関係有線放送電話関係というようなものが、だいぶふえてきておりまして、昭和二十八年当時に監理官制度を設けました当時の事情とは、よほど変わってきております。量においても質においても変わってきておりまするので、これはこの際電気通信監理局ということにして、これも一つの局の新設でございますが、内容的には現在の監理官室とそう大差のないものでありますけれども、これを強化して局にしようということで予算要求をいたしておるような次第でございます。この機構問題につきましてはこれから後も絶えず留意いたしまして、よりよい機構ができますように研究を進めていきたいと考えておる次第でございます。  それからベルボーイの問題についてお答え申し上げます。この問題につきましてはいままでのいきさつは森本委員もよく御承知のとおりでございまして、私も就任いたしましてからこの問題についてさっそく関係当局から意見を聞きまして研究を進めたのでございます。だんだん結論に近いものが出てきております。しかし現在のところまだこれに対しまして最後的な確定的な解決策というものを御報告申し上げる段階に至ってないことは非常に残念でございます。実は御指摘がありましてから郵政省としましては前後十回ほどこの問題についてあらゆる面から検討をし相談をしたのでございます。一番の問題は何といっても周波数帯の問題でございます。実験をいたしました二つ周波数帯につきましてはそれぞれ利害得失がございまして、こういった点を考えたり、それから現在のテレビジョンの放送に障害を与えることのないようにということやら、いままでに割り当てておりまする他の事業で使っておる周波数に影響を与えないようにというようなことを考えてまいりますと、なかなかむずかしい問題であったのでありますが、ごく最近におきましてこれを打開するめどがだんだんついてまいりました。あまり遠くない機会にこの問題は解決できるんじゃないかと思っておる次第でございます。非常に抽象的でございますけれども、この周波数帯の問題についてもめどがついてきたということで御了承をいただきたいのでございます。  なお、この問題に関しましては、御承知のようにこのサービスがいわゆる公衆電気通信業務であるかどうかということについても法制上いろいろ議論があったのでございます。これは電電公社予算を取ってやろうとしている事柄には直接関係がないといえばないかもしれませんが、しかし公衆電気通信業務であるかどうかということにつきましては、波の割り当ての問題、それから将来このポケットベルをどこまで伸ばしていくかという問題に非常に関係をしてまいりますので、この問題につきましては慎重を期しまして内閣法制局とも非常に議論をし研究をしてまいったのでございます。これも法制局のほうでは二つ意見がございましたが、だんだん法制局のほうでも意見がまとまってきていると聴取をしておるのでございます。いずれにいたしましても、この周波数帯の問題も、法制上の取り扱いの問題についても非常に前進をしてめどがついてきたという状態でございますので、その点御了承をいただきたいのであります。  それから森本委員から非常に御好意のある御質問をいただいた貯金関係でございますが、この八月の委員会でもお答え申し上げましたが、私も原則として森本委員のお考えには賛成でございまして、何とかしてそういう方向処理をしたいという考えでございましたが、形式の上でいってお話のように公庫公団をつくるということになりますと、いま内閣全体といたしまして、行政管理庁が中心になって行政監理委員会でいろいろの決定をしているところをだんだん実行に移そうということで、公庫公団新設は一切認めないでいこうというような申し合わせをしておるような実情もございまして、私はそういった問題で形式論でぶつかるよりも、何とかしてここでお話のように実質的に局面を切り開いていくのが一番適切であろうというような観点に立ちまして、予算要求に際しましては二つのことを提案をいたしておるのでございます。  その一つは、従来財投の主要な原資になっております郵便貯金原資がわれわれの郵政省従業員の非常な努力によって集められておることは申すまでもないのでありますが、それに対しまして、金を集めるのは郵政省でそれを振り当てるのは大蔵省だというような結果になることは従業員士気高揚のためにもとらないところでございまして、私はその点から従業員士気高揚、そのレクリエーションというようなこととあわせまして、郵便貯金預金者に対するサービスをも兼ねまして来年度の予算におきましてはさしあたり二ヵ所分ほどの土地取得費を計上いたしまして、行く行くは各ブロックに一つくらいの郵便貯金会館、仮の名前でございますが、そういったものを建設いたしまして、いま申し上げたような目的のためにこれを活用していただこうというようなことを考えておるのが一点でございます。  もう一つは、この前にもいろいろ御意見がございました預金者に対する貸し付け制度の問題でございます。これにつきましても、先ほど申し上げたように公庫公団というような形でまいりますと、去年もそうであったのでありますが、形式論でぶつかってしまうのであります。今度はこれは郵政省自体において、郵政省自分が直接に貸し付けるという案を立てまして、来年度予算におきましても初年度分大体貸し付け金額五十億円程度を見込みまして、関係の法案の整備をいたしまして、これから具体的な交渉に入ろうといたしておるのであります。貯金につきましては郵便貯金会館を建てたいということと貸し付け制度を創設していきたいということの二つ考えておるのであります。  大体以上で問題になりました点を御説明したつもりでございますが、なお他に漏れておる点がございましたら、御指摘をいただいたらお答えを申し上げたいと思います。
  7. 森本靖

    森本委員 この機構改革の問題についていま御説明がありましたけれども、今回の機構改革については、これは単に電気通信監理局を置くということであって、電波監理局そのものについては全然今回は触れてない、一番重要な電波関係についての機構改革に全然触れてない。そこで、いままで一回か二回提案になりましたけれども、国会で否決になり、もしくは審議未了になっておりましたところの電気通信監理局だけをあえて出してきておる。これについては大臣も御承知のとおり電気通信事業に対する監督強化であるという点から非常に反対が多かったのであります。しかもこれは単に現在の電気通信監理官室をそのまま電気通信監理局に切りかえるだけであって、名前電気通信監理官電気通信監理局長になるだけであって、その内容の人員については同じであるということで、この機構改革についてはあまりぱっとした機構改革でないということは、これはもう事実であります。それから、肝心の電波監理局そのものに対する機構については全然触れておりません。そこで私が前にも申し上げましたように、現行の電気通信の問題については、電気通信そのものよりも電波庁というふうなことを考えて、電波行政事務に対する強力な一つ指導が必要ではないか、こういうふうに申し上げたわけでありますけれども、今回の予算概算要求についてはそういう点が盛られておりませんので、これは今後非常に論争の焦点になろうと思いますが、一応現状を明らかにするという点で、この程度にしておきます。  それから、次のポケットベルの問題については、だんだん解決方向につきつつある、こういうふうな大臣お答えでありますけれども、一体これはいつごろやられるのか、はっきりしためどをひとつ示してもらいたい、こう思うわけです。
  8. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 実はこの問題は非常に抽象的にお答えを申し上げましたが、大体周波数の問題についてもこの辺の周波数を与えるのがよいのじゃないかという一つの案が示されてきております。これを実現いたしますのには、もちろんもう一ぺんこの周波数帯実験をすることが必要であると存じます。したがいまして、このポケットベル実用化いたしますことは、まだ少し時間がかかると思います。しかし、郵政省考えとしてこういう方針でやるのだということを決定するのには、そんなに時間はかからないと私は思っておるのであります。実はきょうの委員会が開かれるということを承知しておりましたので、できることならばきょうの委員会でもう少し明確に具体的に御説明をできるようにという考えで促進をしてみたのでございますが、この周波数帯の問題は非常にむずかしい問題で、私たちの技術的な知識のない者には理解しにくい点もあるのかもしれませんが、考えようによってはなかなかむずかしい問題でございますので、きょういまここで具体的にどこの周波数帯でどういう試験をして、いつごろにどうするというところまではまだいっていないということでございます。私に示されておるこれはほんとうの素案でございますが、そういう考え方については、大体二つぐらいの周波数帯でもう一ぺんこれの本格的な実験をさせるというのが適当であるというふうに報告されておるのであります。まあ方針をきめるのには、日をはっきり言えというお話でございますから、私の見当を申し上げますと、まあ大体一ヵ月もあればもう郵政省としては片づけ得るだろう。ただ、その方針に従って実験をもう少しやってもらわなければならぬことになりますので、これを実用化するのには、実験の結果によりましてもう一ぺんまた振り返って考えなければならぬ場合が生じまするので、いつごろになって実用化されるかということについては、そういう方針をきめましてからなお何ヵ月間か実験をするということになるかと思います。そういう程度できょうは御了承いただきたいのであります。
  9. 森本靖

    森本委員 一応大臣は誠意があるような答弁であって、実際ははっきりわからぬわけですが、その一ヵ月後に大体の結論を得て、それからどういう順序を踏んで、いつごろこれが実用化されるのか、こういうことを聞いているわけです。
  10. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは先ほど申し上げました一つの問題は、これを公衆通信業務に関してやるかどうかという問題に実は関係しておったのでありますが、この問題については、これは実験とかなんとかいうような時間が要りませんので、法制局においても二つ意見があるようでありますから、それに関しまして、郵政省と協議をしてどちらかに詰めればいいわけでありますから、この問題はそう時間がかからぬと思います。周波数の問題で時間がかかると思います。この二つの問題が大体きまってまいりますと、いま申し上げたように、ここ一ヵ月ぐらいの間には、方針としてはきめられるだろう、私はそういうふうに考えております。きまりました場合には、実験をやって、実験の結果非常にスムーズに実験が運ばれれば、非常に早く実用化されると思います。また、その実験の結果がいろいろ考えるべき点が出てくると、実用化がおくれるということになると思います。いずれにいたしましても、方針を決定いたしましてからそんなに長い間でなく、数ヵ月間で実用化されるというふうに考えておるのであります。
  11. 森本靖

    森本委員 それからテレフォンカーの問題については、どうなっておりますか。
  12. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 自動車に取りつける無線電話の問題でございますが、これにつきましては、この前にもちょっと申し上げたかと思いますが、いろいろ調べてみますと、非常に周波数がたくさん要るようであります。それは、ポケットベルはただ単に信号でありますが、いまお話しのテレフォンカーのほうは、これは話をするわけでありますから、周波数が何倍かかかります。したがいまして、これを実用化するということになりますと、非常にたくさんの周波数を用意しなければならないのであります。電電公社のほうでいろいろ意見を聞いてみましても、かりにいまの電電公社の希望するような周波数を割り当てたといたしましても、東京エリアで百万台をこえるような自動車があるところで、実際にこの機器を取りつけ得る、免許を与え得るという車は、三千台をこえないだろうといわれております。そうなりますと、この制度趣旨とかあるいは考え方とかは非常にいいことに考えますけれども東京の百万台をこえるというようなところで三千台以内だということになりますと、これはほんとうにその制度をつくりましても、一般公衆にはほとんど利用することができないようなものになってしまうのじゃないか。大衆性がないということだと思います。そういうことでありますから、私は、この問題については、もう少し角度を変えて、周波数の問題あるいは機器問題等が違った方向解決されるようなときまでは、この自動車無線電話というものは、大衆のために、これは許すのは時期が早いのじゃないかというような考えを持っておるのであります。それの引き合いになっておりますポケットベルのほうは、一つの波で、いままでの実験では、大体一万台ぐらいのものが利用されるということでございまして、自動車の場合とは非常に趣が変わっておるのであります。したがって、許される周波数の範囲内でもこれは処理ができるだろうという見込みをつけて、取り組んでおるような次第でございます。
  13. 森本靖

    森本委員 大体このテレフォンカーについては、非常に慎重な態度で臨まなければならぬ、こういうことでありますけれども、もともと、これについては、ポケットベルカーテレフォンを両方やるという考え方に立って臨んでおったわけでございまして、いま大臣が言ったようなことについては、予算を編成する前に、電電公社とも十二分に打ち合わせて、そうしてそういう結論を得てからこういうふうな政策を出すべきであった。ところが、実際問題として予算を出しておいて、それからいよいよ実行段階になって、相当検討しなければならぬというようなことで、行政がちぐはぐになっておるという点があるわけであります。それから、ポケットベルについても、私どもが執拗に質問をいたしておりますのは、いざこれが実施になった場合に、それじゃ一体申し込み方法はどうするのか、それからその使用料は一体どうするのか、そういう具体的に大衆関係のある事項がちっとも論議をされてない、そういう点について、一般国民に明らかにする責任があるわけであります。これがきまったからといって、そのまますぐ施行するということであっては、そういうふうな予備知識国民に与える時間がない、こういう点で、私のほうは執拗に質問をしておりますけれども、どうも大臣答弁が長いので、時間が非常にかかりますので、もうこの程度でやめておきますけれども、こういうふうな内容については、私が言っておる真意というものを十分に理解してもらいたい。そういう点で、今後この問題をかりに実施に移すということになりましても、そういうふうにぽっと実施に移すということがないように、事前に、これは与野党のそれぞれ政調会もありますから、そういうところにも十分に説明をして、納得をさして、そして実施に移す。しかしながら、そういうことで時期はなるべく早いほうがいいということを特につけ加えておきたい、こう思うわけであります。  それから貯金の問題についてでありますけれども、今回は貸し付け制度を行なって、それから郵便貯金会館を設置するということでありますが、この貯金会館というものの具体的な内容については一体どうなるのか。それからそれを運営していくについては、どういうふうに運営をしていくかという点が非常にわれわれの疑問とするところでありますが、そういう点の細部については、ひとつこれはあとから資料でいただきまして十分に検討したい、こう思うわけであります。  次に、この前ちょっと私から申してありましたソ連のいわゆる衛星を利用しての通信方式でありますが、これについてその後何らかの検討をしたのかどうか、ひとつお答え願いたい。
  14. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど問題点を拾うのにちょっとこれを落としたようでありますが、この場合、御質問になりましたモルニア衛星の問題につきましては、私どものほうとしましても引き続いて慎重に検討をいたしておるのであります。ただわが国で持っております地上局宇宙局である鹿島と十王につきましては、御承知のATSの計画やら、今月の二十六日に打ち上げられる予定でありますインテルサット二号への参加というようなことがございまして、今後これらの計画と並行してモルニア計画を進めていく場合には、わが国宇宙局設備とかスケジュール、混信関係などにつきまして、これは相当むずかしい問題が起こってくるように思われるのであります。さらに技術的な問題だけではなしに、この前にも申し上げましたが、両国間の文化交流ということになりますと、国全体の問題としていろいろと考究しなければならぬということもございます。これにつきましては、これは外務省中心になって考えるべきことでございますので、外務省連絡をいたしておりますが、外務省には、ソ連からはいままでのところ連絡はない、また資料の送付もないということでございます。結果といたしましては、ただいまのところ、これはあまり進展をしていないというのが実情でございます。
  15. 森本靖

    森本委員 これは待っておって——この前向こうから言ってきたわけでありますが、電波監理局あたりの技術的な担当官向こう派遣して、具体的な内容をいろいろ聞かしてみたらどうですか。それができる、できぬについては、外務省なりあるいは閣議において、国全体の立場から協議するということになりましょうけれども、技術的に責任を持たなければならぬところの郵政省としては、こういうものについても国策的にやるということになれば、やれるというふうな準備をするためには、場合によっては担当官向こう担当官のところへ派遣をして、そういう技術的な問題についてもディスカッションをさせるというくらいの熱意があってもいい、こういうことなんです。
  16. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 お話のようなことは、実現をしようと思いますと、いずれはやらなければならぬことかと存じますが、ただいまの段階では、私の考えでは、とにかく外務省中心になっておりまして、外務省からは検討してみてくれぬかということでございますので、一応私たちは机上でいろいろの条件を考えながら検討しておるという段階でございます。さらに必要だと思いますことは、ソ連の打ち上げております衛星の電送の方式でありますとか、電力でありますとか、あるいは周波数の問題などがわれわれにはわかっておりません。そういった問題についてもう少し資料をもらいたいのだということは外務省にも申してあるのであります。外務省のほうでは、それをソ連に通知していると思いますが、まだそれを入手することかできないというようなことでございますが、とにかく一応基本的な問題については、こちらのほうから出向かなくてもわかることでありますから、そういった資料を提示してもらって、それで検討した上で、さらに実用化するかどうかについて外務省中心にして政府部内で相談をした上で、その段階で必要があったら技術者の派遣をするということも必要になってくるかと思いますが、いまはその向こうのそういったものについて資料を入手したいということでいま話をしている段階でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 そうすると、その資料はどうしてこないのですか。
  18. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私のほうで直接に交渉しているわけではございませんから、なぜこないかは私たちにはよくわかりません。
  19. 森本靖

    森本委員 なぜこないかということを外務省に聞いてみないのですか。これは一つ一つ詰めていかないと、大臣みたいにばく然としたことで答弁しておったのでは、これは審議にならぬですよ。だから一体どこにそういうふうな原因があるのか。私もしろうとではないし、あなたもくろうとのように、これはやはり周波数なりあるいは電力なり出力なり、そういうものを検討してみてやらなければならぬということであるとするならば、そういうデータをもらいたい、向こうがくれぬというなら、もう二ヵ月以上たっておりますから、なぜくれぬのか、そのくらいのことを理を詰めていかなければならぬ。ただ外務省に頼んである、あとは知らぬということでは、私はやはり責任のある答弁ではないと思います。だからこういうふうに一つ一つ理を詰めた形で私はものごとはやっていただきたい、こういうことを言っておるわけで、別に大臣を追及しようとは思わぬけれども、妙に大臣の回答を聞いておるとぼやっとして、そつのない答弁だけれども、ちっとも核心に触れるような答弁がないから、それではやはり国会というところは乗り切れるところではないということをひとつはっきりしておきたい。だから今後この問題については、私は理を詰めて質問もしていきたいと思いますので、そういうふうな外務省あるいはその他の方面との連絡も、大臣のほうとしても理を詰めた形においての回答ができるようにしておいてもらいたい、こう思うわけです。  それから監察局長が来られましたので、ちょっとお聞きしたいと思いますが、この前の委員会以降、全国的に監察業務関係で大きな事件はなかったですか。
  20. 鶴岡寛

    ○鶴岡説明員 最近の事件といたしましては、高知県の仁井田局におきます事件、小切手と資金過超金の現金をすりかえたという事件が一つございます。
  21. 森本靖

    森本委員 その内容は大体どの程度ですか。これは新聞に一応発表になっておりましたが……。
  22. 鶴岡寛

    ○鶴岡説明員 高知県の仁井田の特定郵便局長下元幸一郎が、本年の一月四日から三月二十六日にわたりまして犯しました事件でございますが、現金横領が八回で七十一万円でございます。ただし実損は、現在のところないことになっております。ただし本件は、いわば捜査に着手をして間もなくの事件でございますので、今後余罪はある見込みでございます。その内容を申し上げますと、一つは業務上の横領でございますが、仁井田の局から窪川郵便局に納付します過超金、現金でございますが、現金と、自分が振り出しました小切手、これをすりかえまして前後八回にわたり、ただいま申し上げました七十一万円を横領したというのが一つ。もう一つは、いわゆる判を用いましての虚偽公文書作成でございますが、実際に預金をしていないのに、通常貯金通帳に自局の金額印または主務者印を使用しまして、九十万円を預入したという事件、そういう事件でございます。
  23. 森本靖

    森本委員 そういうのは何に使っておったわけですか。
  24. 鶴岡寛

    ○鶴岡説明員 ただいま詳細は取り調べ中でございますが、現在までに判明しております段階では、自己や妻の銀行当座に預金をしたり、事業資金として融通をしたり、あるいは事業関係の諸払いに充てておるということを自供いたしております。
  25. 森本靖

    森本委員 事業資金というのは、特定局長は事業ができぬようになっていますが、どういう事業ですか。
  26. 鶴岡寛

    ○鶴岡説明員 本人は、もちろんただいま先生御指摘のように私企業を営むことは認められていないわけでございますが、妻の名義をもちまして石油の給油所を経営するとか、あるいは自分の知人の経営しております砂利採取事業、そういうものに融資をしたというようなことでございます。
  27. 森本靖

    森本委員 この事件についてはいま捜査をしておるということでございますのでこれ以上質問をいたしませんが、大臣にひとつ申し上げておきたいと思いますが、いま非常に綱紀粛正の問題がやかましいおりであります。特定郵便局長といえども、全国に二万何ぼあるわけでありますが、これはほとんどまじめにみなやっておると私は思いますが——御承知のとおりいまこういうふうな兼業兼職というものは一切禁止されておるわけでありまして、特に必要な場合については郵政局長の許可を得てやらなければならぬということになっておるわけでありますが、その許可も実際に自宅がたばこ屋であるとかいうふうなことだけであって、事業経営についてはやってはならぬというふうになっておるわけであります。ところが、従来は御承知のとおり特定局というのは私企業で自由であったし、それから全国的にそれぞれの特定郵便局の切手箱というようなものはこれは局長の私金であったわけでありまして、それが今日では公金になっておるわけであります。それがいまだに昔風の考え方が抜けないというようなことが全国的にちょいちょいあって、いまみたいな事故があがってくるということがあるわけであります。あながちいまの事件だけ私はさすわけではありませんけれども、こういうふうに全国的にいろいろ問題があがってくるのは、特に特定郵便局が非常に多い、こういう現状考えた場合に、こういう面における綱紀粛正については、郵政省としてはもっとふんどしを締めてかからなければならぬのではないか。昔の特定郵便局時代の問題を払拭してもらいたいということで、ひとつこの機会に大臣考え方、決意というものを私ははっきり表明しておいてもらいたい、こう思うわけであります。
  28. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 郵政事業に関する犯罪は部外の犯罪と部内の犯罪とありますが、部内の犯罪については仰せのようにもう全くわれわれとしては申し上げることばもないのであります。綱紀粛正がやかましく言われておるおりでもありますし、また国民から大切な財産を預かっておるというような特別な地位にある人たちでありますから、これに対しましてはわれわれも全体がほんとうに姿勢を正してこれを粛正するということは当然のことでございます。いまお示しのような気持ちで、私は監察局長にも言うのですが、もっと具体的にそういったことが部内で行なわれることがないような万全の措置をとろうじゃないかということで、あらゆる部面から犯罪防止についての方法を研究いたしますと同時に、われわれいわゆる郵政省の幹部の人たちも姿勢を正して、部下に対しましてそういうことを大いに督励できるような体制をつくろうじゃないかということで、話を進めておるような次第でございます。できるだけ御趣旨を体しましてこれからも引き締めていきたい、かように考えております。
  29. 森本靖

    森本委員 そこで、この特定郵便局の、要するにこういうふうな風習、習慣が残っておるということについては、何としても特定郵便局の局舎が局長の個人の私有であるということについて非常に関係があるわけでありますが、たまたま特定郵便局舎の建築について、新しく局舎を建築する場合に、国営なりあるいは郵便省の外郭団体の互助会なりが建てるというときに、その当該特定局長の許可が要るというふうな形に今日なっておるかどうか、これは事務当局でけっこうでございますので、お答え願いたいと思います。
  30. 曾山克已

    ○曾山説明員 ただいま先生の御質問の特定局舎の改善につきまして局長の許可が要るかどうかという問題でございます。局長の許可というものは私ども別に求めておりません。ただ、本人の私有財産でございます局舎の場合に、かってに省側がこれを改築あるいは取りこわすというわけにはもちろんまいらぬのでございますので、そういう場合に局長に、お前の局は平面何ぼで非常に狭隘であるから改築したらどうだというような勧奨はいたしております。そういった意味で、あるいは厳密な意味では許可ということではございませんが、本人の了承を求めるということには相なっております。
  31. 森本靖

    森本委員 どういうわけで新しく国営にする、互助会にするときに当該特定局長の承認を求めなければならぬのか。法律的根拠は。
  32. 曾山克已

    ○曾山説明員 私、先ほど自営局舎としての局舎をさらに新しくする、改築するということを主体に申し上げたのでありますが、先生の御質問は国有あるいは互助会ということで、本人の私有財産でなくてやる場合にというさらに御質問でございますので、それにお答えいたします。  当然国の業務が営まれるという国の機関でございますので、私のほうといたしましては、それが公衆に対して権威を持ち、また品位のあるものでなければ困るというぐあいに考えます。したがって、局長があくまで自分の私有財産にこだわりまして、古い局舎でいいのだ、自分は金がないからこのままでやっていきたい、国有も困る、あるいは互助会も困るというふうな場合におきましては、先生御指摘のように私ども当該局長に対する承認等はさらさら求める気持ちはありません。これはあくまで国有あるいは互助会という線で理論的にいきたいというぐあいに考えております。
  33. 森本靖

    森本委員 そのときに本人が建てるといっても、これは国のほうで建てたほうがよろしいと判断をしたときに、その本人が国営で建ててもらいたいというふうに言わなければこれは建てられないというふうになっておると思いますが、その辺どうですか。
  34. 曾山克已

    ○曾山説明員 大部分の局舎はそういうふうな場合に、非常に古い局舎ですでに耐用命数も尽き、償却済みだということだろうと思いますので、そういう場合には本人の意思にかかわらず従業員の保健上あるいは局務の遂行上、あくまで本人が私費で改築しないという場合には国が一方的に建てるということは可能だと思います。一般的に申しますと、その土地の持っております有利性等からいたしました場合に、やはりその局長の土地を借用する場合もございますし、さらにいわんや耐用年数等が尽きていないという場合につきましては本人の従来の局舎料等の収入というような面もございますし、それこれ勘案いたしますときには、承認ということばは非常に強うございますけれども、本人の解了を求めることが妥当であろうと思うのでございます。
  35. 森本靖

    森本委員 何で本人の了解を求めなければならぬ。局舎契約は一体どういう契約になっておるのですか。
  36. 曾山克已

    ○曾山説明員 先生の御質問趣旨は、国が一方的に契約を解除できるではないかということだろうと思いますが、ただいまお示しのように非常に局舎が古くなりまして、局務遂行上困難である、借り主でありますところの国、つまり借り主としまして非常に不便であります場合には、これは当然契約解除できるというぐあいに相なっておるものであります。
  37. 森本靖

    森本委員 いや、契約は一年契約でしょうが。そうじゃないですか。
  38. 曾山克已

    ○曾山説明員 御指摘のように会計法上一年でございます。
  39. 森本靖

    森本委員 一年契約でありますから、一年の契約期限がくれば、解約しようがどうしようがかまわぬでしょう、これは。どうなんですか。
  40. 曾山克已

    ○曾山説明員 理論的にはそのとおりでございます。
  41. 森本靖

    森本委員 理論的にと言っても、法律上のことを言っているわけであって、われわれは法のもとにやらなければならぬわけであって、法律上については一年契約でありまするから、実際には一年ごとの契約で——それは一年の契約途中において突如としてこっち側が更新をするということは契約上できません。しかしながら半年なり待てばその契約を更新しても法律上何らおかしいことはないという場合に、わざわざその局長、いわゆる郵便局舎の持ち主の承認を得なければならぬということは、私はやり方がおかしい、こう思うのですが、それじゃもう承認を求めるという必要はないわけですね。
  42. 曾山克已

    ○曾山説明員 その承認の意味でございますが、厳密な意味で申しますと、国が局務遂行上あくまでその局舎を建てかえなければならぬという必要性を認めました場合に局長が拒否してきた場合、その以外の、局長所有地以外のところへ建てるということにつきましては局長の承認は要らぬと思います。
  43. 森本靖

    森本委員 だから、郵政省の判断において国営にしあるいは互助会にするという場合についてはでき得るということでしょう。ただし、その現在あるところの場所が、郵便局として置くところについては一番適当なところであるというふうな判断を郵政局が持っておる場合については、その土地だけでも貸してくれぬか、あるいは君のほうが建てるかという折衝は、これは当然郵政局としてはやってよろしい。しかしながらもうその場所も、その土地の異動によって相当変わってきておるという場合には、これはもう全然その当該局長に相談する必要はないでしょうが。だから、現在ある土地がどうしてもほしいという場合にはこれは当然相談しなければならぬけれども、もうその土地でなくともよろしいということになった場合には、国がどこへどう建てようが、これは国の判断によってやるわけですからそういう必要はないでしょう。だから当該郵便局長のいわゆる承認を必要とするというようなことはもうないわけですね。
  44. 曾山克已

    ○曾山説明員 お示しのその承認という意味が、拒否したらできないという意味での承認ではなくて、拒否した場合でもできるという意味におきましての承認ではないかというぐあいに考えます。
  45. 森本靖

    森本委員 まあなかなか微妙な答弁をいたしておりますが、いまの郵務局長答弁を信用いたしまして、今後のこういうふうな特定郵便局舎の建築についてはわれわれとしても十分に見ていきたい、こう思うわけであります。  実は郵政省の四十二年度の予算概算要求内容についていろいろ聞きたいことがありますけれども、時間があまりありませんので、あと一つ二つだけ聞いておきたいと思います。  まず第一番目に、当面のいわゆる労働問題でありまするが、全逓、全電通の、現在交渉がいわゆるデッドロックに乗り上げて一つの問題になっておるというようなことについて、全逓関係と電通関係を公社と郵政省のほうで簡単にひとつ説明を願いたい、こう思うわけです。
  46. 山本博

    ○山本説明員 郵政省と全逓との間に当面いたしております重要な労働問題と申しますのは、ただいま、十月中に、郵便法改正のときからの懸案でございます航空機搭載の問題に関しまして、夜間労働の回数を含めまして、労働条件の改善の問題が一つございます。それからもう一つは、かねて問題になっておりました勤務時間の短縮の問題。この二つが目下団体交渉継続中でございますが、この十五日に全逓側ではストの予定をしておると聞いておりますが、私のほうはこの二つの問題を現在鋭意団体交渉を継続して、こういう問題の解決に当たろうというふうに、せっかく話し合いを続けておる段階でございます。
  47. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 電電公社の場合には、現在組合といろいろな話をいたしておりますが、さしあたって特に大きな問題で懸案というようなものはございません。
  48. 森本靖

    森本委員 十月二十一日の労働組合関係の闘争に関連をいたしまして、政府としても政府は政府なりにいろいろな声明を発表しておるわけであります。政府は政府なりの考え方でやっておるわけでありますが、社会党は社会党としてのこれに対する考え方を明らかにしておることは御承知のとおりであります。こういう内容になっておるわけでありますので、私は特に大臣に申し上げておきたいと思いますが、郵政省並びに公社側は好んでこの対立をあおり、それから何か一つの騒ぎが起こるというふうなことをやらないように、私はくれぐれも忠告をしておきたい、こう思うわけでありますし、それは立場上それぞれの立場においていろいろのことをしなければならぬと思いますけれども、それ以上に、故意にこういう際に組合をあおりあるいはたたきというふうな、底意のあるようなやり方は、特にひとつやらないように、特に郵政省については九州事件でこれははっきりした例があるわけでありますので、そういう点については、やらないようにひとつ特にお願いを申し上げておきたい、こういうふうに思います。お願いというよりも、これはひとつ警告を発しておきたい。  電電公社も、よもやそういうことはやらないと思いますけれども、これはわかりません。大臣なりあるいは政府からやれと言われればそのとおり忠実に動く公社の人でありますから、それはわかりませんので、やはりそういうことはひとつ厳重に私のほうから、この際大臣もおられる前で、警告をしておきたい、こう思うわけであります。  それから、この予算内容にちょっと触れてみたいと思いますが、その前に大臣に聞いておきたいと思います。この前の郡郵政大臣のときにも私は申し上げたわけでありますが、特にNHKの中立性の問題についてでありますが、ここでは私はその問題に触れません。触れませんけれども、NHKの中立性の中におきまして、特に私は会長がどうこうということは言いませんけれども、NHKの最高責任者である会長がたとえば公務員制度審議会の会長というふうな、特に政党では与党野党が対立をしあるいは経営者と労働者側が対立をするという中に、あえて火中のクリを拾うというふうな形において、中立委員であるにせよ、その審議会の会長というふうな重責をになうということについては、私は、NHKの会長という大きな職務からいたしまして、そういうふうなものは引き受けるべきではない。さらに、NHKの中立的な態度からいたしましても、こういうものはすみやかに引くべきであるという考え方を私はこの委員会を通じて明らかにいたしてきておるわけであります。とにかくNHKの会長があちこちのものを頼まれて引き受けるということはあまりかんばしくない、NHKの会長はNHKの業務に専念をすべきである、こういうように私は考えておるわけですが、何か政府は、NHKの会長が公務員制度審議会の会長を辞任したい、こういう申し入れをしたら慰留をしておるということでありますが、これは政府がそんなに引きとめて慰留をするということになると——NHKの中立性を保持しなければならぬということについては政府も責任があるわけであります、法律を守るという点からいきまして。だから、そういう点でひとつこれに対する見解を大臣から要領よく言ってもらいたいと思います。
  49. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 非常に要領の悪い答弁ばかりしまして申しわけありません。NHKの会長がほかの職を兼ねておるという問題につきましては、御承知のように郵政大臣としましてはNHKの会長に対していろいろ指揮をする権限は何もないわけであります。でありますから私としましては、NHKの会長がそういう場合に自分の判断によって、おっしゃるように中立性を害するかどうかということについても判断をせられるでありましょうし、またNHKの会長であるその職務に非常に影響がある、具体的に言うと、協会の仕事に影響のあるようなことまで引き受けられるかどうかということについては、会長自身の判断によってきめられるべきものだと思っておるのでありまして、いわば非常に目に余ったようなことがありますれば個人的な注意はもちろんしなければならぬと思いますけれども、法律上の問題としましては私には何ら指揮、監督の権限はございませんので、そういうことについてはNHKの会長の自主的な判断にまかしておるのが実情でございます。
  50. 森本靖

    森本委員 それはむろんここで大臣がそういうことについてはいかぬということをNHKの会長に注意するというようなことは法律上できません。そういうことになればたいへんであります。ただ私は、郵政大臣としてそういう点に対してどういう見解を持っておるかということを聞いたわけでありますけれども、郵政大臣としてはそういう点についての見解も申し上げられないということであるとするならば、それもやむを得ません。それならば角度を変えまして、郵政大臣は国務大臣として一応内閣の一員として列しておるわけであります。その場合に、NHKの会長に対しまして、公務員制度審議会の会長に留任をしてくれぬかということは、官房長官みずから政府の責任において要請をしておるわけであります。こういうことは政府部内としていいのか悪いのか。私は、少なくともNHKというものは中立を守るべきところである、また報道には公平でなければならぬ、こういう点を考えた場合に、ややともいたしますと対立をする公務員制度審議会の会長という地位につくことは望ましくない、それを政府があえて慰留をするということ自体もおかしい、こう思うわけであって、その政府の一員として大臣はどうお思いになるか、こういう点であります。
  51. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまの会長が公務員制度審議会の会長になられたのは私が就任する前のことでございまして、その当時の事情は実は存じません。その後会長に留任をしろというような話があるということは新聞等を通じては承知しておりますけれども内閣といたしましては、郵政大臣に特別に相談があったわけではございません。これは官房長官あるいは総務長官あたりから事情をお聞き願いたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、私は放送事業の発展ということについて責任を持っておりますから、そういう意味でNHKの会長が他のいろいろの兼職をするためにNHKの仕事がおろそかになるというようなことがあってはならないと思うのであります。しかし森本委員のおっしゃったような中立性という問題になりますと、私はこれは反論するわけではありませんけれども、非常に二つ意見が対立しておる。会長というものはどちらに片寄ってもいけない。むしろ非常に中立性を守り得る人であるというようなことから会長になっておるのじゃないかと私は思うのでありまして、その点についてはいろいろ見解もございましょうが、私としてはいま申し上げた程度にしか答えられないのであります。
  52. 森本靖

    森本委員 これは論争になりますけれども、確かにあなたが言ったように、中立性ということで中立委員で出ているわけであります。しかし、この間の審議会を見てもわかりますように、明らかに経営者側と労働者側が対立をして、そうして実際には中立委員と経営者側の委員が最終的な意見が合って、労働者側は退席をするということになっているわけであります。そういう場合にNHKは、こういう報道についてはすべて正確に中立性をもって報道しているとはいいますけれども、何といったって自分のところの親分が会長でありますから、その会長が公務員制度審議会の中立委員の会長でありますから、これははっきり言ってあまり悪くたたけぬですよ。NHKそのものがテレビ、ラジオを通じて公務員制度審議会についてはその内容を克明に中立をもって報道しなければならぬ、そういう場面に対して、NHKの会長が公務員制度審議会の会長になるということについては、やはりNHKの報道業務その他についてもかなり支障がくるだろう。しかも報道関係の第一線におる放送記者その他の方は、おそらくそういうことを十分加味しながらデスクにニュースを送らなければならぬだろう。会長の悪いことをデスクに送ったって放送するはずがない。だからこういう点については、NHKの会長というものがこういう面の兼職をするということは望ましくない。NHKの会長はNHKの会長としてあり余るほどの仕事が山積をしておる。それでも時間が足りないぐらいである。そういうふうな状況の中において、たとえば、これはあんまり政治性はありませんけれども、国語審議会の会長もやっておる。これだって意見が相当違う人々がおるわけであります。そうすると会長が言った意見については、NHKはけなして報道できません。私ははっきり言って、なるべくならこういうものはやめてもらいたい。NHKの会長はNHKの会長としてその業務に専念をする。公務員制度審議会の会長なり国語審議会の会長をやるなら、NHKの会長をやめてそれに専念をすればいい。それだけNHKの会長というものは重責であるということを御認識願いたい。これは大臣としてもひとつ十分に御検討願いたい。ここで大臣の個人的見解をあえて聞こうなんということは考えませんけれども、私のきょうの発言は将来の参考としてひとつ十分に考えていただきたい。しかし公務員制度審議会の会長に留任をする、あるいは慰留をするということについては、私は政府部内としてはやめてもらいたいと思うわけであって、そういう点についても閣議その他においていろいろ話をするときがあろうと思いますから、こういう委員会意見もあったということをひとつ御記憶願っておいてもらいたい、こう思うわけであります。  それから四十二年度の予算の中でいろいろまだ申し上げたい点が多々ありますけれども、時間の関係でそういう点は省略をいたしますが、ただ一言だけ申し上げておきます。こまかいような問題でありますけれども、今年度の予算を見てみますとあまり載っておりませんので、従来から私がやかましく言っておりました駐在集配と八十五条適用地について、実はこれは、今日の道路交通事情が発達をしてきました以上は当然やめなければならぬ。全国で約一千をこえる駐在集配区があるわけでありますけれども、もともとこれは郵便配達は直配達でやっておったわけでありますが、大臣も御承知のとおり、定員法のときに定員を削減するという意味でこれは廃止をしたことがあります。その後これをもとへ戻す戻すということを言っておきながら、実際には戻しておりません。ところがいまの駐在集配はもう変わりまして、駐在集配をする必要はないというふうな状況下になっておるこの駐在集配区が全国では非常に多い。たとえば高知県でも四十以上の駐在集配区がありますが、その五分の三以上はもうほとんど普通の配達区域と変わりがない交通事情になっておるわけであります。こういう点は十分に今後の施策に生かしてもらいたいと思いますので、あえてこれは答弁を求めません。  ただ、ここで答弁を求めておきたいのは郵便年金事業についてであります。郵便年金事業について、今回行政管理庁からも再検討せよということが出ております。それから、事実また郵便年金については、昔の郵便年金の加入者が三月ごとに、大体五十円ないし六十円もらっておるのだって、これはお笑いぐさになっておるのであります。そういう点について、いま厚生年金、国民年金、それから公務員の恩給その他ができた場合に、郵便年金そのものについてはもはや必要がないのではないか。根本的にこれを改正をし、廃止をするという方向にいかなければならぬのではないかということが、行政管理庁からも言われておるわけであります。われわれが見ましても、この郵便年金についてはそういうことが言えると思います。現に、いまの郵便年金事業については、もう昔からの一つの習慣といいますか、ずっといままで経営してきておりますものですから、ここでばたんとやめたら、一切がっさいとまっちゃうわけですから、自転車操業みたいなもので、やむを得ずこの郵便年金事業は最小限度やっていっておる。実際に国民の利益に郵便年金事業がなっておることは一つもない。こういうふうな状況にあるわけでありますが、この郵便年金事業については根本的な改正あるいは廃止というふうな方向にもはや向くべきではないか、その時期に到達をしておる、こう思うわけでありますが、まずひとつこれは事務当局から意見を聞いて、それから最後に大臣に聞きたいと思います。——事務当局がいなければ、大臣から。
  53. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 事務当局のように詳しいことは御答弁できませんが、大体の方向についてお答えいたします。  先般、お話しのように、行政管理庁から勧告が出ましたときにも、行政管理庁の長官とこの問題についてはいろいろ打ち合わせをいたしました。お話しのように、郵便年金のほうは貨幣価値が非常に変わったものでありますから、いわゆる少額の年金が今日残っておりまして、これの処理にはほんとう事務当局も困っておるようであります。しかし、これは単に郵便年金だけではございませんで、あらゆる社会保険にも共通の問題でございます。それから、民間の保険についても同様な事情が起こったと思います。それについて、今日まで他の保険あるいは民間保険のほうでは逐次それを改善いたしまして、今日のような状態になっておるということでございますが、郵便年金につきましては、この少額年金が非常に多いものでありますから、事務当局もこれの処理に実は非常に困りまして、そのために、本来ならば新規募集をすればその募集に応じて年金に入るであろうという人たちにさえも募集に回らないでほうってあるというのが今日の偽らない実情であるかと考えます。この事務能率をあげるという点からいいましても、保険制度の再検討といいますか、そういう点からいいましても、私はこの郵便年金というものについては、この際もう少し事務的にも積み上げて、検討をさしてみたいと思っておるのであります。これはちょっと事務当局がおりませんので、詳しい御説明はできませんが、この点は簡易保険と違って、また別の角度からいまお話しのような点も加味しながら、これから検討を始めたいと思っておるところであります。
  54. 森本靖

    森本委員 これは大臣も大体よく御承知だと思っておったわけでありますが、あなたは電気通信関係が詳しいので、こういう方面はあまり詳しくないと思います。いまのお話で見ますると、これは郵便年金というのは、もうこれだけなんですよ、はっきりいいまして。民間の年金制度にはこういう制度はないのです。だから、これが簡易生命保険の、いま結局七千円とか五千円とかもらったって何ともならぬという保険については、あえて国民から非難がありましても、これは反論をしたらいい。これは保険だから、死んだときにはそれがいくのであって、あなたはずっと生き残ってきたから当然のことだと言って、保険は断わることはできます。だから、簡易生命保険の少額保険については、確かにこれは一つの筋が通るわけであります。そのときにはその生命保険という効果があったわけでありますから。ところが、郵便年金というのは、御承知のとおり、年がいって仕事ができなくなったときに、恩給と同様に毎月の年金をもらっていって、その年金で生活をしようというのが、この年金制度であります。こういう年金制度は民間にはあまりありません。だから保険であるとするならば、簡易生命保険でもこれは貨幣価値が下がってどうにもならぬという少額保険契約があります。ありますけれども、これはあえて補償する必要はない。しかし戦時中に、将来あなたは月三十円程度もらっていけば十分に生活ができますよ、こう言って募集をしてやったところの郵便年金が、いま毎月三十円もらったところで電車賃にも足らぬ、こういうふうな年金制度を将来も続けていくということは国民を欺瞞することになる、いまのいわゆる物価上昇の観点からいくとするならば。保険というものはそれと違って、そのときどきにおける生命保険でありますから、これはいいわけであります。そういう点を行政管理庁もついておるわけであります。そこで簡易生命保険とは十分意味が違ってきておるわけでありますので、この郵便年金については根本的に対策を考えなければならぬ。だから、今後の新規募集はやめて、従来の郵便年金の契約者に対しましてはある程度の還付金をつけて返すということも、いまの保険の特別会計から見るとするならば、たとえば百二、三十億ありますところの保険のいわゆる剰余金の中からこの際大英断で五十億ないし六十億をこれに投じて、これを一切整理するということも不可能ではないわけであります。ところが、いまはそういうところの英断できませんから、郵便年金事業というものをずっとここまで経営してきておって、ここでばたんとやめたら大ごとになるから、やむを得ず郵便年金は細々といま営業を続けておる、こういう実情になっておるわけであります。その実情行政管理庁がついておるわけであります。そのとおりであります。そういうふうな実情でありますから、この郵便年金事業については、行政管理庁も言っておるように、ひとつ根本的にそのあり方を検討する必要があるということを言っておるわけであります。だから大臣もこの点は、私がいま言っていることにはあまり反対意見はないと思う。しかしこれを具体的にどうするこうするということになりますと、これは相当大きな問題になります。あるいは保険の剰余金から持ってくるということについても財政上の大きな論争になりましょう。しかしながら、郵便年金事業というものをこの際根本的に改革をしていかなければならぬということは、おそらく郵便年金の事務当局者も全部考えておることだ、こう思うわけであります。その点をもう一度ひとつ大臣から答弁を伺っておきたいと思うわけです。
  55. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 森本さんの言われたこととあまり違った考え方でいっているつもりはないのでありますが、ただ単に少額だけを取り上げますと、いまお話しのようなことになりますが、しかしこれから先の問題としましては、やはり社会保険の一つであります厚生年金との関係ども十分に考えまして、郵便年金をどうするかということについて根本的に考えていこう、こういうつもりでおるのであります。したがいまして、いま郵便年金制度をここでやめる方向考えるということをいまここで申し上げる段階ではないというのであります。しかし場合によりまして、研究の結果そういうことになるかもしれません。なるかもしれませんが、いまはとにかく貨幣価値が非常に変わってきた。まあ民間の保険でも養老保険というようなものもありますから、いろいろな保険事業との関連を考え合わせまして、そういった問題についての処理考えると同時に、一方将来に対しましては、厚生年金等の関係考えながら、処理方をこれから研究させてもらおう、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  56. 森本靖

    森本委員 行政管理庁からの勧告書は郵政省へ届いておりますか。
  57. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 来ています。
  58. 森本靖

    森本委員 それは大臣、読みましたか。それに何と書いてありましたか。やめたらいいと書いてあったでしょうが、行政管理庁の勧告は。
  59. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 読みましたが、やめたらいいとは書いてございませんで、抜本的に再検討してほしいということは書いてございました。
  60. 森本靖

    森本委員 抜本的に再検討したらいいということは書いてございますが、あれは大体やめたほうがいいという意味の文章になるわけでしょう。大臣はおそらく初めからしまいまで読んでいないと私は思う。事務当局からちょっと御進講があって、それをよしよしといって聞いたくらいのことだろうと思うのだが、あれを詳細に読んだら、大体やめてもらいたいというふうな意味のことになるわけです。これは同じ政府部内の行政管理庁がそういうふうなことを言っておるわけであります。ほんとうに真剣に取り組んでもらいたい。ところが四十二年度の予算編成については、昨年と同じように年金事業については一つ予算編成をやって切り抜けようとしておる。だからこういう改革は大臣みたいに非常に詳しい、しかも部内に対して威力のある大臣でなければ根本的に検討できない。だからおだてるわけではないけれども、特にあなたに言っておるわけであって、こういう際、大臣はこういう問題についてはひとつ十分に検討を願いたいと思うわけであります。  最後に、十二チャンネルの問題についてちょっと聞いておきたいと思いますが、この十二チャンネルを最初に免許しましたときの免許条件は、この放送時間についてはどういう免許条件になっておりますか、電波監理局長でいいです。
  61. 上田弘之

    ○上田説明員 ただいま責任のある回答ができないと思いますが、たしか十二時間半程度のものが出ておったと思います。さらに詳細につきましてはあとで取り調べて御返答申し上げたいと思います。
  62. 森本靖

    森本委員 十二時間程度ということでありますが、これが現在は一日五時間程度になっておるわけでしょう。
  63. 上田弘之

    ○上田説明員 そのとおりでございます。
  64. 森本靖

    森本委員 これは私がずっと前にこの問題をこの委員会に出して、ひとつ十分に検討を願いたいということを郡郵政大臣の時分に追及したことがあります。その後、この問題について、電波監理局あるいは郵政省内部において検討してどうなっておりますか。
  65. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 十二チャンネルの問題についてはいろいろの問題があることは聞いております。郵政省としましては再免許を与えましてから何とかして予定のコースに従って再建されるようにということを願っておるわけでありますが、今日関係者の間でいろいろの意見があるようでありまして、再建策についていろいろの対案が練られておるということは聞いておりますが、まだ私のほうにはその結果こういうふうにして再建をするんだということの報告はございません。でありますから、第二次の更新の免許を与えました状態が今日まで続いておるということで御承知を願いたいと思います。
  66. 森本靖

    森本委員 私が聞いておるのは、この十二チャンネルの再建方策とか、あるいはこの債務がどうなっておるとか、その経営状況がどうなっておるとかということについては、これはまた日を改めていろいろ検討しなければならぬわけでありますが、私が当委員会で非常に疑問を感じて質問をいたしましたことで保留をいたしましたことは、免許のときに十二時間ということで免許をして、その途中において経営ができないということによってゴールデンアワーの五時間だけを放送するということについてやった場合に、一体それを許容できるかどうか。もし許容できるとするならば、それじゃ他のテレビ局がそれをまねた場合に、一体法的に規制が加えられるかどうか。これを私は非常に疑問に感じて、この委員会においてこの問題を質問をしたわけであります。それに対してひとつ十分に検討を願いたい、検討いたしますということになって、大体もう半年くらいになっておるわけであります。このことを聞いておるわけです。
  67. 上田弘之

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの放送時間の変更につきましては、いまの規定の上では年度の変更のときに時間の変更というものを届け出でればよろしいという形になっております。そういうことでございますし、それから、さらに再免許のときに課しましたところの条件というものも、実は放送時間というものははっきりと時間としては入れてありませんで、パーセンテージということだけしか実は入っておりませんでした。パーセンテージの上から言いますと条件を満たしておるというふうな状況になっております。
  68. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、一般放送局がこういうふうにゴールデンアワーの時間のみ五時間程度とって、私のほうは放送時間をこういうふうに変更しましたという届け出をしましても法的にはそれでいいわけですね。
  69. 上田弘之

    ○上田説明員 規則の上ではそのとおりだと思います。
  70. 森本靖

    森本委員 これは大臣、相当考えなければならぬ。私は相当問題だと思うのです。たとえば、ローカルの放送局においても、実際に手間をかけてやるよりも一番見る時間だけ集中して放送する。それならばこれは損をするものはないですよ、はっきり言って。これは前から非常に疑問に感じておるわけですが、一般放送局がそういうことをやれば、いま電波監理局長の上田君が言ったように、法律的にはそれでやむを得ませんというような答弁ではどうも私はおかしいと思うのですが、大臣この辺はどうですか。
  71. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そういうことが一般的に行なわれることになりますと、われわれの所期しております民放の形が乱れてくると思います。でありますが、法律的にいいとか悪いということは別にいたしまして、いまとにかく十二チャンネルのほうは、先ほど触れないとおっしゃいましたけれども、何とかしてこれを再建しようという努力をしているように見えるのであります。そういう過程の問題でございますから、これは法律に反したり規則に反したりということでございますとほうってはおけませんけれども、再建できるかどうかということについてわれわれも注意をしながら見守っておるわけであります。その過程においてそういうような現象が起こりますことはこれはまあいいことではありませんけれどもやむを得ないことかと思います。したがってお話のように初めに免許を受けたときに考えておったような内容放送が早く国民に向かってなされるということが望ましいのでありますから、それに向かって一日も早くそういう状態になるように努力をすべきだと思います。われわれも、その意味では直接間接にいろいろ助言をしてでも、早くそういう状態が実現するようにということを願っておるのであります。そういう意味においては森本さんのおっしゃったことはまことにごもっともです。ごもっともでありますが、いまの十二チャンネルの状態がすべての民放に波及していくということはちょっと考えられませんので、十二チャンネルに関する限りはもう少し再建途上の問題として見てやっていただきたい、こういうふうに考えます。
  72. 森本靖

    森本委員 この十二チャンネルの再建方策については、いろいろの人がいろいろの角度から検討しておる。それについては私たちもいろいろな意見がありますが、そういう点については私はここであえて申し上げませんが、ただ私が言いたいのは、いまほかの民放に波及せぬと言いますけれども、それならかりに複数局としてずっと二局許可していった場合にたとえば実際問題として採算上というようなことでこういうふうなことが出てくるかもしれません。そういう場合にそれは法律上はやむを得ないんだということになっては、最初の免許条件と違ってあとたったの四時間かそこらしか放送しなくてもかまわぬというようなことが許されるとするならば、私はこれは電波行政一つの欠陥だと思う。この電波放送行政一つの法の欠陥だと思うわけでありまして、単にこれはやむを得ませんということだけで済まされる問題ではないと私は思う。だからこれは、根本的にこういう欠陥があるということについては一体どんな原因があるのか、これを改めるについてどういうふうに改めていったらいいのかということを私は検当すべきだと思う。そうでないと、あなたは波及するおそれはないと言いますけれども、いまはありませんよ。しかし将来において波及するおそれは多分にありますよ。それは私が経営者だったらそうしますよ。たとえば、ある地方で自分が一局しか持っていない。しかし、いやにもかかわらずもう一局許可せられた。腹が立ってたまらぬから、ひとつこの際抵抗しようということで、いま言ったようなやり方をやらぬとも限りません。その場合に、一体それに対するところの措置はどうするかというところまで考えてみなければならぬと思う。それから、いま大臣は、そういう点はないと言われたけれども、もしかりにそういうことをやるというものが出てきたら、それを規制することはできないということになるとするならば、これは私はやっぱり問題だと思う。最初の免許申請と実際にやる内容とが違ってきた場合に、これが全然規制ができないということになるとするならば、これはもう野放しであります。だから、放送内容そのものについては、われわれは立ち至っていろいろ言うべきではありません。それは放送権、あるいは編集権の問題がありますから。しかしながら、こういうふうないわゆる機構にも連なるところの放送の形態が根本的に変わるというような問題については、これはやっぱり私はある程度何らかの方法があるべきだ。それがないなんということは、放送行政というものは全くない、こういうことになるわけであって、その点これは、私は大臣が言うようにやむを得ませんでは済まない問題であって、十分にひとつ法の欠陥として検討してもらいたい、こう思うわけです。あなたも議員のときにはいろいろ意見を言うておって、実際に大臣になったら何もかも慎重で、言うことが全く口を閉ざしたようになる。もっとも、きのう大臣がやめましたから、何か言うてひょっとやめさせられたら困るということでは、これはちっとも行政が前に進まぬのであって、こういうことはあなたが議員として当然言うべきことを言うておった時代と同じように、大臣になっても、すぱすぱとそういうものの行政解決をつけていかなければ、恋々として大臣の地位におったところで意味をなさない。大臣になる以上は、やはり大臣の職権をもって行政については正していかなければならぬ。悪いところは悪い、いいところはいい、不可解なところは不可解なところで十分に検討して、よりよき道を見出す。慎重にやるということについては私はけっこうだと思うけれども、その慎重もあまり長引いたんでは、何にもしないということになります。だから、こういう点について、大臣あたりは、十分この欠陥を認めますので検討してみたいと思います、ぐらいの答弁があってしかるべきだ、こう思うのですがどうですか。
  73. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 お話のように検討はいたします。ただ、あなたも非常に専門家ですからおわかりになっていると思いますが、民法の放送時間というものは、おそらく短かければ短いほどいいというわけじゃないと思います。やはりスポンサーがついて、そうして放送料をもらわないと成り立たないんですから、やはりある適正な規模によりまして、適正な放送時間というものは当然なければならぬと思うのです。そういう意味で各放送会社が免許を受ける、再免許を受けるときには、自分のほうはこういう状態であるからこのくらいの放送時間でやりたいんだということを言ってくるんだと思います。それをもとにして免許を与えるんだと私は思っております。この放送時間につきまして、いまの十二チャンネルの放送時間というのは少し極端に過ぎますから——先ほど申し上げましたように、再建途上にあるからこうなっておるんだろうということを申し上げたわけですが、これが全部に波及すると、これは困ると思います。しかし、いま言ったような観点から、私もこの法的な問題あるいは免許の基準としての問題につきましては、十分検討をしてみたいと思います。
  74. 砂原格

    砂原委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会      ————◇—————