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1966-07-19 第52回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十一年七月十一日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員会は、次の 通りである。    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       大野  明君    金丸  信君       木部 佳昭君    小泉 純也君       佐藤 孝行君    志賀健次郎君       徳安 實藏君    服部 安司君       星島 二郎君    本名  武君       南  好雄君    安宅 常彦君       大柴 滋夫君    片島  港君       中井徳次郎君    原   茂君       前田榮之助君    松井 政吉君       佐々木良作君 ————————————————————— 昭和四十一年七月十九日(火曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長代理理事 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 内藤  隆君    理事 栗原 俊夫君 理事 畑   和君    理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       小泉 純也君    服部 安司君       星島 二郎君    本名  武君       南  好雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 竹下 一記君         郵政事務官         (監察局長)  鶴岡  寛君         郵政事務官         (郵務局長)  曾山 克巳君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (人事局長)  山本  博君  委員外出席者         郵政事務次官  長田 裕二君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政技官         (大臣官房電気         通信監理官)  浦川 親直君         郵政事務官         (貯金局長)  稲増 久義君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      武田  功君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君         日本電信電話公         社総裁     米沢  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   黒川 広二君         日本電信電話公         社総務理事   橋本 一郎君         日本電信電話公         社理事     千代  健君         日本電信電話公         社理事     大谷 昌次君         日本電信電話公         社経理局長   中山 公平君         専門員     水田  誠君     ————————————— 七月十一日  日本放送協会昭和三十九年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概況  に関する説明聴取  逓信行政に関する件(郵政省綱紀粛正等に関  する問題)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長がただいま所用のため、指名により、私が委員長の職務を行ないます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、逓信行政に関する事項郵政事故に関する事項郵政監察に関する事項電気通信に関する事項電波監理及び放送に関する事項、以上の各事項について、議長に対し、国政調査承認方を申請いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、議長に提出すべき国政調査承認要求書の作成並びに提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 御異議なしと認め、よって、さように決しました。    —————————————
  5. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 この際、郡郵政大臣より発言を求められておりますので、これを許します。郡郵政大臣
  6. 郡祐一

    郡国務大臣 この機会に、今般郵政部内におきまして異動のございました次官官房長局長通信監理官について御紹介を申し上げます。長田事務次官
  7. 長田裕二

    長田説明員 長田でございます。七月一日付で拝命になりました。よろしくお願いいたします。
  8. 郡祐一

  9. 竹下一記

    竹下(一)政府委員 竹下でございます。よろしくお願いいたします。
  10. 郡祐一

  11. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 どうぞよろしくお願いいたします。
  12. 郡祐一

  13. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 どうぞよろしくお願いいたします。
  14. 郡祐一

  15. 山本博

    山本(博)政府委員 よろしくお願いいたします。
  16. 郡祐一

  17. 浦川親直

    浦川説明員 浦川でございます。よろしくお願いいたします。     —————————————
  18. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 次に、日本電信電話公社当局より発言を求められておりますので、これを許します。米沢総裁
  19. 米沢滋

    米沢説明員 電電公社といたしまして、七月一日に理事級異動をいたしました。  総務理事黒川君が技師長を兼任いたしました。
  20. 黒川広二

    黒川説明員 黒川でございます。
  21. 米沢滋

    米沢説明員 それから理事橋本君が総務理事に就任いたしました。
  22. 橋本一郎

    橋本説明員 よろしくお願いいたします。
  23. 米沢滋

    米沢説明員 建設局長大谷君が理事に就任いたしました。
  24. 大谷昌次

    大谷説明員 どうぞよろしくお願いいたします。
  25. 米沢滋

    米沢説明員 それから経営調査室長千代君が理事に就任いたしました。  以上でございます。
  26. 千代健

    千代説明員 どうぞよろしくお願いいたします。      ————◇—————
  27. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概況について説明を聴取いたしたいと存じます。郡郵政大臣
  28. 郡祐一

    郡国務大臣 郵政省所管行政現況等につき概略説明申し上げます。  まず、郵便事業について申し上げます。前国会におきまして、郵便法の一部を改正する法律を可決していただきましたことをまずもって感謝いたします。  改正郵便法郵便規則は七月一日から実施され、取り扱い方法も大幅に改められましたが、これについては職員に対する事前の訓練を徹底的に行なったほか、利用者に対してもできる限りの周知施策を講じ、新制度への移行を完了いたしました。この移行の際、一部の局において、別後納郵便物等大口の差し出しが殺到いたしましたため、若干の滞留が見られましたが、短時日に平常に復しており、また料金切りかえの際一部の地域において二円切手の不足がありましたので、緊急増刷を行ない、東京、大阪、札幌管内等特に不足している地域に対して重点的に配給を行なうとともに、大口利用者に対しましては、二円切手にかえて収納印の表示によるよう依頼する等により、なるべく一般に行き渡るよう努力いたしておりますので、こうした事態も解消いたすものと考えております。ただいま郵便業務夏期繁忙に入り、すでに贈答用小包が多量に出回っておりますが、これに対しては集中処理分室設置等により対処いたしており、業務は円滑に運行しております。  次に、郵便貯金事業について申し上げます。  本年度郵便貯金は、目標額を四千九百億円三策定し、ただいま強力に増強運動を展開中であります。年度当初から七月上旬までの増勢は、一千四百三十五億円の増加額をあげておりまして、目標額に対し三〇%、また昨年同期の実績に対しまして、一一〇%に当たる成績となっており、なおその現在高は、七月一日に二兆八千億円を突破いたしました。今後は、さらに増強施策充実強化をはかり関係職員の一層の努力により目標額の完遂をはかる所存であります。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  簡易保険におきましては、本年度契約募集状況は、目標額四十五億円に対し六月末現在の実績は、九億六千四百五十万円で、目標額に対し一三%となっております。このため、さる一月二十七日に四兆円を突破した保有契約高は、その後も順調な増加を続けており、六月末現在四兆三千億円に達し、その資金総額も六月末には一兆二千六百億円をこえております。  また郵便年金におきましては、本年度目標額十億円に対し、六月末現在の実績は二億二千万円で、目標額に対し二二%となっております。このように両事業とも関係各位の御協力によりまして順調な推移を見ております。  次に、労務管理関係について申し上げます。  三十数万の職員を擁し、人力に依存する度合いのきわめて商い郵政事業運営にとって人事管理の果たす役割の大きいことはいまさら申すまでもありません。特に人事管理業務管理とは、申さば車の両輪の関係にあるものでありますので、両者相一致して事業の円滑な運営に当たってまいる考えであります。したがいまして、職員勤労意欲を高め、能率の増進をはかるための適切な人事管理を行なうとともに、労働組合との関係につきましても相互信頼を基礎とし、安定した秩序のある正常な労使関係の確立を期する所存であります。  次に、仲裁裁定実施について申し上げます。  さる五月十九月公労委から四十一年四月一日以降基準内賃金の六・五%引き上げ実施(臨時雇いの地区別最低日額の改善を含む)を主要内容とした仲裁裁定が提示されましたが、全逓及び全郵政要求に対し、省案提示を近く行なう予定目下準備中であります。  次に、事故犯罪について申し上げます。  郵政事業における事故並びに犯罪防止につきましては、特に留意してまいりました。その結果犯罪件数を見ましても三十八年度三千五百九十二件、三十九年度三千二百八十八件、四十年度二千八百二十五件と漸次減少してきており、今後ともこの傾向を固めたいと存じておりましたところ、最近に至り部内職員の、しかも管理監督の立場にある者の内から長期間にわたり多数の郵便物を窃取していたことが発覚し、あるいは郵便物運送を委託した運送会社運転手郵便局保管中の郵袋を盗んで逃走するなど、きわめて悪質な犯罪が起こりましたことは、まことに遺憾の次第であります。  職員服務規律確保郵政犯罪の絶滅については、従来から機会あるごとに指導、監督者はもちろん一般従業員に対しても訓示する等周知徹底をはかってきたところでありますが、このような不祥事件が相次いで発生したことは実に残念で、今後は一そう綱紀を粛正し、郵便物郵袋授受保管厳正化郵便物不着申告制度周知徹底等事故犯罪防止に万全の対策を樹立し、国民信頼を回復するため一そうの努力をいたします。  次に、電波関係について申し上げます。  前国会に提出いたしました電波法及び放送法改正法案は成立を見るに至りませんでしたが、政府といたしましては、前国会提出政府案に対しましての国会内外の御意見等をも参酌し、さらに検討を加え、できる限り早い機会改正法案を再提出し御審議をいただけますよう努力をいたしたいと考えております。  なお、将来、法改正が行なわれるまでの間は、現行法に基づき、計画的かつ適切に事を進めていきたいと考えております。  次に、宇宙通信関係について申し上げます。  本年秋には世界商業通信衛星組織がインテルサット第二号を太平洋及び大西洋上に各一個打ち上げる予定でありますが、これにより太平洋地域にも商業衛生通信が開始されることとなります。これに備え、わが国におきましては、国際電信電話株式会社茨城衛生通信所の拡充、整備につとめております。  また、米国航空宇宙局が打ち上げる新型衛星ATSによる国際的共同実験が本年十二月から開始されますが、わが国としては郵政省電波研究所がこれに参加することとし、米国航空宇宙局と技術的に十分打ち合わせながら電波研究所鹿島支所整備を進める等実験実施に万全を期して鋭意準備中であります。  次に、日本電信電話公社事業概況について申し上げます。  昭和四十年度におきましては、事業収入は四千八百四十二億円、事業支出は四千四百五十億円となり、事業収支差額は三百九十二億円となっております。また、電信電話設備建設については、加入電話百三万加入予定に対して百六万加入増設し、また公衆電話二万九千個、市外電話回線四百三十七万キロメートルの増設を行ないました。  なお、本年度建設につきましては、政府公共事業等事業施行の推進の方針に基づき、五月末までの契約済み額は、予算現額四千三百二十億円の五七%に当たる二千四百六十二億円に達しており順調に進捗するものと考えております。  以上をもちまして、私の説明を終わります。
  29. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 次に、米沢総裁
  30. 米沢滋

    米沢説明員 電信電話事業につきましては、平素格別の御配意と御支援を賜わっておりまして、まことにありがたく厚くお礼申し上げます。  ただいまから日本電信電話公社の最近の事業概況につき御説明申し上げたいと存じます。  まず昭和四十年度事業概況について申し上げますと、決算につきましては内部的には完結を見まして目下監事による監査を受けているところでありますが、ただいままで判明いたしておりますところを概略御報告申し上げます。  事業収入は四千八百十四億円の予定に対し四千八百四十二億円となり、ようやく〇・六%の増収を確保いたしましたが、事業支出資本費用増加等により増大し当初予算四千三百八十一億円に対し支出額は四千四百五十億円となり、この結果、事業収支差額は三百九十二億円となります。  建設工事におきましては、加入電話百六万加入公衆電話二万九千個、市外電話回線四百三十七万キロの増設を行ないました結果、昭和四十年度末における加入電話は七百三十九万五千加入公衆電話は二十五万四千個、市外電話回線は二千二百九十四万キロとなっております。  次に本年度経営状況でありますが、四十一年度予算におきましては事業収入を五千五百三十億円と見込んでおりますが、五月末における実績は九百十三億円でありまして、一六・五%の達成率であり、前年同期の六・二%をわずかに上回っておりますが、公社といたしましては、今後とも収入確保のため努力を重ねてまいりたいと考えております。  また、建設工事につきましては、その工事費総額は前年度からの繰り越し額を加え四千三百二十億円となっておりますが、五月末における契約額は二千四百六十二億円、支出額は八百一億円でありまして、総額に対しそれぞれ五七%及び一八・五%の進捗率となっており、順調な歩みを見せております。なお、五月末における加入電話増設数は二十八万九千加入公衆電話は五千個でありまして、年間予定のそれぞれ二三・五%及び一二・二%を消化しております。  最後に、台風四号の豪雨による災害状況でございますが、通信施設について申し上げますと、東京、関東両通信局管内を中心に市内電話回線約六万六千六百回線市外電話回線約三千四百回線電信回線約六十回線が罹障いたしましたが、直ちに復旧につとめました結果、六月三十日にはほぼ全回線が復旧いたしました。なお、今回の災害に伴う被害額は約二億円と見込まれております。  以上をもちまして、最近の公社事業概況説明を終わらせていただきます。
  31. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 これにて郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概況説明は終わりました。
  32. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 逓信行政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤洋之助君。
  33. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 私は、この機会に際しまして、少しく所見を交えて、二、三の問題について郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、ただいま郵政大臣から郵政事業現況についてるる御説明がございました。まことに近来の郵政事業というものは非常に目ざましく発展をいたしまして、巨大な公共企業体になってまいったことは、私が申し上げるまでもないところであります。たとえば普通郵便物を取り上げましても、一日に二千二百万通、十一万のポストにほうり込まれて、一万五千の郵便局がこれを集配するというようなことでございまして、これに対して郵政全体で三十一、二万の職員が日夜非常な労苦のもとに戦っておることは、われわれ感謝にたえないのでございます。  いま、郵政大臣郵政省局長クラス異動について御紹介がございました。そこで私は考えついたのですが、少し私ごとを語って申しわけないのですが、私が逓信委員長を拝命したのは三十四年なんです。実に八年を経ておる。この委員会としては古顔なんです。私より古いのは森本君であり、また片島君も私より古いのでございますが、私のこの八年の在職中に大臣が九人かわっておる。植竹春彦君、鈴木善幸君、小金義照君、迫水君、手島君、小沢君、古池君、徳安君、あなたと九人目なんです。私はこの委員会オンリーです。ほかの委員はやってない。ようやくわかりかけてきたくらいなものでございます。それから、最もわれわれ国会接触の多い官房長が六人かわっておる。荒巻さんそれから金沢君、武田君は留任して二カ年間やられましたが、それから浅野君に鶴岡君、それにいまの竹下君というふうに六人かわっておる。だから、いま御紹介になった人事問題で私は考えておるのですが、こういうように郵政事業が膨大になって、御承知のように、五十一国会におきまして、十五年ぶりに郵便料金の大改定を行なった。これは郵政事業としては画期的なものである。五十六億の赤字を埋めて五カ年間で千九百億の収入を見込むというようなことであって、実は郵政事業としては画期的なんです。こういうようなときにおいては、私は、少なくとも一番大事なポストである事務次官、これらはやはり二、三年腰を落ちつけて、とっくりと公共事業体独立採算制である重要な事業に対しては私は取っ組まなければならぬと思う。少しなれたと思うとすぐかわってしまう。他の局の局長諸君もそうです。これはいま長田君が十四年卒業で、それから十五年が浅野君と武田君でしょうか、あと外局郵政大学校の校長さんがおるが三、四人。十六年組が六、七人。こういうように大体その序列がきまっておるのですね。今度のあなたが行なった人事異動というものは、おおむね妥当なんです。これは過去において、いま私が申し上げた九人のうちで、ずいぶん乱暴な人事をやった人もあるけれども、これはあなたのそつのないところの性格からいって妥当な人事なんです。しかし何か新鮮味に欠けておる。非常に重要ないろいろな問題を包蔵しておるこの際において、清新はつらつな人事に欠けておるような感じがいたすわけであります。しかし、たとえばここにおいでになる曾山君にしても、かつて板野君のときに郵務局の次長をやっておって、郵務局局長に返り咲いたのだから、郵務局の問題については相当なれておるでしょう。こういうものはいいでしょう。だからじっくり腰を据えて、こういう大きな事業体に取り組むときには、そういうような方針を持って今後の人事異動をやってもらいたい。ここに電信電話公社総裁米沢さんがいらっしゃるけれども、電信電話のほうでは更迭は大体一期二年くらいでしょう。NHKが一二年くらい据え置く。それから国鉄も三年くらい再選、留任を妨げないのですね。そうなると重要なポストにおる人がなれてきて、すっかりすみからすみまで行き渡る、これが必要じゃないか。私も委員会を一つ覚えでやっておるから、習うよりなれよというので、郵政関係というものをおぼろげにつかんでおる。私はこれが大事だと思うのですよ。みな秀才諸君であるから、ポストにつけばすぐ遺憾なくやると思うのですけれども、こういうような高級幹部がひんぱんにかわるということは、これが末端の従業員に与える刺激、あるいは影響はどういうふうなものであるかということを考えると、私はほんとうに思い半ばに過ぎるのでありますから、今回のこの異動について、いま私が申し上げた所感ですが、これに対して郡さんはどういうふうに考えておるか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  34. 郡祐一

    郡国務大臣 おことばのございましたように、確かに郵政事業というのは非常に大事な転機にきておると思います。このたびの郵便法改正にいたしましても、反省をいたしておる点が多いのであります。これを土台に大きい発展をいたさなければいけません。ことに電波関係では、非常に早いスピードで発展してまいると思います。そのように考えますると、郵政省人事というものが、おっしゃるように、安定したそうして永続性のあるものであるということは、私も全く同感でございます。ただ私見ておりまして、近ごろは公務員諸君在任期間も非常に長くなりまして、次官になる人は、三十年近い仕事をいたしております。そういたしますると、郵政省というような現業を持っておりまする面では、それぞれの郵政部内の業務についてはかなり練達し、また一つの専門を持ちながら中央の業務、地方の業務について自分が担当をいたしておりません仕事についても、かなりよく理解を持ってくれていると思います。私はいまの郵政省に大事なことは、それぞれが専門を持ちますと同時に、部内仕事については、自分が直接それをその場において担当いたしておりませんでも、その時々刻々における部内仕事を掌握してくれる人物が、これから育っていくことを期待いたしておるのであります。そのようにいたしまして、たまたまその局にいたから、あるいはその課にいたからそれをよく心得ているというのでなく、郵政部内、また考え方によりますと、こういう現業を主にしました官庁におきましては、かなりに共通のものの考え方共通国民に対する接触のしかたということの仕事をいたしておるわけでありますから、そのような意味合いで、ひとつ事業仕事もはっきりつかまえておると同時に、人間としても郵政部内全体の将来を展望しながら国民のための仕事をしていくというような人間を育ててまいりたいと思います。したがいまして、このたびの人事を行ないます場合にも、動く幅というものをなるべく狭めて、そうして人事を行なったという気持ちでおるのでありますが、いま佐藤さんが御指摘のとおり、どかっと落ちついて、そうしてすべてに通暁した人間というものがこれから担当してまいる、そして一番高い地位に順次進んでまいるということを期待しておりまして、ただいまのいろいろのお示しは私もそのとおりと考えております。
  35. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 郵政事業としては共通の問題がありますから、ポストがかわりましてもしろうとでありませんから、すぐ緒につくでしょう。御承知のように放送電波のようなものは常識では堪案できない。おそらく郡さんも、失礼な申し分だが、大臣になってようやく放送電波というものがわかりかけてきたのじゃないか。それがうわさによれば更迭、私は惜しいと思うのですよ。いままでのうんちくを傾けてこれから実際的に仕事をするということになるといいと思うのです。実際こういう広範な異動、これは下のほうは——下のほうといっては申しわけないけれども、相当人事交流してもいいと思うのです。しかし最高幹部においては、やはり何としても多くの現業の人の目標ですから、それは相当腰を据えてやるというような方針に出られんことを希望するわけであります。  その次に私お伺いしたいのは、郵便法改正に伴うサービスの問題ですね。最近の新聞をごらんくださると——大臣もごらんになっておるでしょうが、毎日の新聞に実際郵政当局の準備の至らないこと、それから出先の郵便局のほうでほんとうにのみ込んでいないというような問題も随所に見るのです。これは新聞の切り抜きをたくさん持っているから、これを一々例をあげて申し上げてもいいのですけれども、これはあなた方もおそらくごらんになったでしょう。二円切手の不足の問題、これが七月一日から実施いたしましてわずかに二週間で三十七件も出てきておる。それからPRの不備で、これは定形、非定形のものが五件も出ておる。取り扱いの不徹底が二件もあるというようなことで、昨晩の朝日の夕刊をごらんになりましても、かなり痛烈に世間の批評を書いておるわけです。こういうことはあらかじめわかっていることなんです。この値上げのときに、われわれに対して郵務局ではどうしても二カ月要るんだ、二カ月くらいの猶予期間がなくてはできないのだということで、われわれもできるだけこの問題の結末をつけたいと思ったが、やはり議会の問題でございますから、与野党いろいろ問題がございまして、思うようにはいかないけれども、すでにこれは上げるということで、前提的にできておるのですから、こういうような非難がないように、ことに郵務局長としては今後考えなければならぬのではないかというようなことを私は痛切に感じますから、これらに対しまして当面の責任者である曾山郵務局長から、現在の不備の点というようなことについて、ひとつ説明していただきたいと思います。
  36. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 ただいま佐藤先生御指摘のように、当面郵便料金の値上げ並びに新郵便制度の発足にあたりましては、省当局といたしましても十分準備をすべきでございましたし、また私どもといたしましては実は善意をもって、またこん身の努力をもってさような努力をしたつもりでございます。ただ、私どもの見通しと申しますか、あるいはものの考え方と申しますか、つまり利用される国民の方々の立場に立ったものの考え方という点につきまして、率直に申しまして反省すべき点がございました。たとえば、ただいま先生御指摘の二円切手の問題につきましては、私ども当時の、六月三十日現在におきます在庫数が二千三百万でございまして、それに三千五百万を追加増刷いたしまして、五千八百万あれば一日のはがきの差し出し物数が三百五十万でございますので、少なくとも十五日から、十六、七日は持つだろう、一方古いはがきだけでなくて、新しいはがきでございます。円はがきも平等に出されるであろうという期待をいたしました。そういたしますと、一カ月間は、いま申しました程度の三千五百万の追加増刷であれば、十分国民の方々の御要望に沿いうるだろうという見込みを立てたわけでございます。ところが、すでに先生御指摘の新聞関係の苦情あるいは記事等を見てもわかりますように、実は国民の方々の立場に立ちますと、必ずしも一枚出すのに二円切手を求めるのではございません。その場合には五枚、つまり十円で五枚を買っていかれる、あるいは往復はがきを差し出します大口利用者の方々は、この際少しでもたくさん買い占めておいて、そうして往復はがきの返信部にこれを張ってできるだけ利用される、アンケート等に利用する、相手方の不便をなくしようというところから非常にたくさんの買い占めをされるというような心理が動いたのでございます。そういったところから、実は三百五十万出されるだろうと思いましたことに対応しての二円切手の増刷数が、きわめて不足を来たしたという状況が出てまいりました。これなどは先ほど私申しましたように、つまり利用される国民の方々の心理というものを十分理解しなかった私どもの手落ちだろうということを率直に認めます。しかしこれに対応いたしまして、さっそく私どもさらに二千万枚を増刷いたしましたし、またさらに追加増刷をいたしまして二千万、合計七千五百万を増刷いたしまして、足らないという国民の方々の御要望にこたえていった次第でございます。  現段階においてどうかという先生のお話でございますが、なおこれにおきましても、切手の偏在あるいは配給の間に合わぬという点もございますので、私どもといたしましては、集配局におきましては、たとえ一通たりといえども別納印をもって処理するという対策も考えましたし、またさらには必要な無集配局も含めまして、全国相当数の郵便局におきましては料金収納印を調製しました。またそれでは足らないというところで、通信日付印それ自体を利用するということとしました。まあ手だけは打っていったのでございますけれども、いかんせん先生御指摘のように、なおすみずみ、国民全般の方々の御要望を満足させるというところまではいっておりません。しかし、すでに最終の二千万の増刷も本日納入になりまして、逐次配給を開始いたしております。私どもといたしましては、二円切手のことにつきましては、だんだんとそういう手を打つことによって解消していくことを期待しております。今後もさらにこん身の努力をすることによりまして、二円切手の不足の悩みを解消していきたいと考えております。  先生御指摘のPRの不十分、これも実は一生懸命やったつもりでございますが、足らぬ点がございました。例をあげて申しますと、定形第一種の市内特別郵便料金は十二円でございますが、御案内のように一般のものが十五円でございます。たまたま国民一般の方に配布いたしましたものに、十二円という制度を詳細に表示いたしましたためにかえって誤解を招きまして、十二円でポストに投函したという例もあります。こういうものはPRの不十分ということで、国民の利用される方々の心理を十分把握しなかったというそしりを受けてもしかたがないと思います。なお取り扱いの不徹底がございます。これも御指摘のとおりでございます。こういう点につきましては、新法に移行します前に十分講習会、打ち合わせ会を繰り返したつもりでありますが、なお不十分な点もあろうかと思います。なお今後十分気をつけまして、一そうの監視指導をはかってまいりたいと思います。そのほか窓口の混雑、料金値上げそのものに対する不満というものが新聞紙上等にあらわれております。こういった点につきましては、十分利用者の立場に立ちましたPR、さらに納得を得るような努力を今後続けていく所存でございます。
  37. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 郵務局長の話は一応ごもっともなんです。それを末端に浸透しなければだめなんです。あなた一生懸命そう言っても、これが一万五千の郵便局に浸透して、取り扱いに対して不備のないようにしなければいかぬ。いま郵便を投函しようとしても、局まで行って切手がないときにはスタンプを押すというでしょう。そんなことはたいへんなことです。遠隔のいなかのほうにおいてはそういう不便が実際にあるのです。あなたのいま言われることは責任者として一応ごもっともだけれども、それがやはり末端に浸透して万遺憾なきを期してもらいたいと思う。こういうような問題については、専門家の森本さんが詳しく聞くでしょうから私はこのくらいにしておきますが、ひとつこの点は、安易な郵便料の値上げということを新聞にたたかれないように十分御注意を願いたいと思う。  その次に伺いたいのは、郵便犯罪の発生ですが、これも私はあまり具体的な問題をとらえて、どこがどんなことをしたか、渋谷がどうだ、横浜がどうだということはいま申し上げない。できてしまったのだから、できたこの問題についてどういう処置をしたかということは当局にまかせる。郵政当局は、この値上げによって郵便事業の円滑な運営に要する財源が確保された、これによって要する事業の近代化が推進され、郵便物の正確迅速な送達が期せられると所信を述べておるのであるから、常に国民郵便物の安全な送達を期待しますが、ことに今回の郵便料値上げを契機として、郵便物の安全な送達を確保する旨の郵政当局の決意に対しては、国民は心からこれを信じており、その実現を切望してやまないのであります。しかるに最近発生した渋谷郵便局における集配課副課長の郵便物窃取事件あるいは東京中央郵便局における郵袋窃取事件または横浜の郵便局集配事務員の郵便物業務上横領事件等は、郵便物の安全送達に対する国民の期待を裏切っておる。国民郵便事業の信用を著しく傷つけるものでありまして、まことに遺憾千万であります。私はこれらの犯罪がなぜ容易に敢行されたか、その原因について郵政省内でどの程度まで探求されておられるか、その状況を詳細にお知らせ願いたいと存じます。また、今後同種の犯罪が再現されないためには、いかなる保安対策を考究実施しようとしておられるか、大臣のお考えをひとつお伺いしたいのであります。
  38. 郡祐一

    郡国務大臣 最近におきまする犯罪の続出についてはまことに申しわけない限りに存じております。渋谷郵便局の集配副課長の抜き取り事件、これらを見ますると、十一年間とか聞いておりますが、かなり久しきにわたる間の継続した犯行であります。これにつきまして、従来事故の申し出等にたよっておりましたのが、こうした渋谷の副課長事件につきましては、その犯罪の形態からでございましょうか、被害にかかった郵便物事故申告がほとんどなかったのであります。しかしながらこれにつきましては、事件ということよりも、この事故申告の制度というものについて、さらにこれを受ける側において全体にものの考え方というものを変えてまいらなければならない問題があるのであります。したがいまして郵政職員全体について綱紀の粛正について決意を固めてもらうことはもちろんでございまするけれども、こうした事故が再び起こりませんように、事故申告の受付体制の整備というようなことをはからなければ相なりませんし、また東京中郵に起こりました郵便物の運送委託会社の運転手が起こしました窃取事件のようなものにつきましては、これの監視、有償のものにつきましてはかなりな注意をいままで払っておったようでありまするけれども、なおかつこのたびの事態が起こりましたことを見ますると、この辺の手抜かりがございます。したがいまして東京中郵において直ちに取り扱い方を改めましたことはもちろん、重要なそれぞれの各地の中郵についても十分な用意をいたさせておりますが、これらを通じまして、欠陥といたしまして事故が確かにあるのでございますから、これを率直に認めて改善してまいる。犯罪の摘発ということについて仰せのとおり捜査を十分いたすことではございまするけれども、今後業務量の増加ということと相まちまして、またこの機会にほんとうに国民の御安心をいただきますためにも、防犯の強化という面から、この点については要員も必要になってまいりましょう、そうした点についてあらゆる検討を加えて必要な改善を加えてまいります。現にそれぞれ起こりました事態については、それに対応した方策をとっておりまするけれども、根本的な全般的な改善措置を早急に実施してまいる所存でございます。
  39. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 全く事件が起きてから、その事件のなまなましさ、しかも大胆な様相には驚かざるを得ないのですが、最近青少年の犯罪がふえてきた。私はやはり大臣として青少年諸君を何とか訓育とでも申しますか、研修でもやってだんだん善導していくという大きな手を差し伸べる必要がまずある。それからこの種事件を見ますと、郵政監察官が少ないのじゃないか、手薄じゃないかというような感じがするのですが、これはいかがですか。
  40. 郡祐一

    郡国務大臣 私が、数少ない程度でございまするけれども、郵便局を視察をいたし、またことに年末その他の繁忙期にまいりました際に、若い郵便局員が実に熱心によく働いている。かなりな重い労働であり、それからかなりに無理な勤務で、しかも条件の悪いところで働いていてくれます。私はまた外勤の諸君の模様なども拝見いたしまして、そしてその苦労をねぎらい、また苦労話を聞かしてもらうようなときに、よく若い人がこれだけやってくれるなということに感服する場合が多いのでございます。したがいまして昨日部内全部に訓辞を出しました際にも、幾人かの非違を犯します者は三十万人の全郵政職員に対する重大な裏切りをしてくれる。これがどれほど全郵政人の心を痛めておるかということを痛切に感じて、さように申しましたのであります。しかしながら大事なことは、そうした青少年にもっともっと郵政人としての自覚に徹してもらいますように、本年度から青少年の研修所の再訓練——数千人の人間、一万人に近い人間を再訓練をいたすような予定にいたしております。   〔加藤(常)委員長代理退席、秋田委員長代理着席〕 また監察官の数もでございまするけれども、大事なことは監察官補、実際に働きます監察官補の充実だと思います。これらの点についてはさっそくそれぞれ予算上の要求をいたして、そして御期待に沿うてまいりたいと思います。
  41. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 監察官は御承知のように設置法第二十二条で七百人と限定されておるわけですね。そこでそれを補う監察官補というのがいま百名ほどおるそうですか、一万五千の郵便局の監査をするのはたいへんです。さきにやはり森本君がこれに触れておることですけれども、年に一回回るというのが二年あるいは三年に一ぺんくらいしか回らぬということなんですね。だからむやみに犯罪扱いのような疑惑の目をもって従業員を見るということは私はよくないと思うのです。だけれども、いわゆる適当な方法をもって考査をする必要があるのではないか。いま大臣が言われた監察官補をふやして、予算も大いにわれわれ努力してとってあげるから、十分に考査して防犯の体制をするようにひとつしていただかないと、ますます郵政事業が拡張して大きくなってきて、反比例に信用を害するということではならぬと思うのです。どうぞその点は御注意を願いたいと思う。  こんな程度で私はやめておきます。
  42. 秋田大助

  43. 森本靖

    森本委員 ただいま佐藤さんのほうからいろいろ質問がありましたが、総体的にいって郵政省は、人事異動あるいは国会開会中で法律案件をかかえておったというような点があったかもしれませんけれども、ひとつ気合いが抜けておるといっても差しつかえないのじゃないかというふうに考えるわけでありまして、この週刊誌を読んでみますと、東に郵袋の抜き取り事件、西にセックスを配達する郵政技官、まん中に切手の盗作事件、こういうふうに書かれておるわけでありまして、まさに郵政省としてはあっちこっちからつつき回されるというふうな情勢になっておるわけでありまして、特にこの犯罪事件につきまして、渋谷の事件、これなんかはもってのほかのことでありまするが、さらに加えまして東京中央郵便局の大郵袋の窃取事件、それから横浜郵便局の集配課の窃取事件、それから事もあろうに名古屋郵政局の現職の人事部の管理課長の汚職事件、こういうようにたどってまいりますと、まあ郵政省としては事故だらけであるというようになっておりまするが、それに加えまして今回この切りかえにあたっての実に不手ぎわな、二円切手の問題やあるいは定形、非定形の郵便物の宣伝の方法、こういうものは全くなってないというふうに考えるわけであります。一体大臣としてはこういうようなもろもろの事件に対しまして、具体的にどういうふうな指示を自分の部下にしておったのか。たとえば郵便料金の値上げについてはある程度国会の状況から見て予想されたことであります。先ほど曾山君のほうからいろいろ意見がありましたけれども、その意見を抜きにいたしましても、この二円切手については相当足らないということは予想ができるわけでありまして、そういう点におきましていまの郵政省のやり方は、犯罪におきましてもあるいは今回の郵便料値上げの混乱におきましても、非常にまずいかっこうになっておる。大臣としてはそういう点について一体どういう指導をしておるかということをまず聞いておきたい、こう思うわけであります。
  44. 郡祐一

    郡国務大臣 郵便法改正に伴いまして、確かにおっしゃるとおり定形、定形外の区別というものの扱い方、これについてはかなりに法案が御審議中からもその徹底方をはかってまいりました。そして私自身が窓口に参りましての感触でも、まだまだ十分——これはいろいろな見方があると思いますが、私は郵便局員はある程度理解をしていてくれたと思いますが、それの伝え方というものにまだまだくふうが足りなかった。あるいは率直に申せば、自分は一応わかっていたけれども、これを人に教えるだけののみ込ませ方が足りなかった。ただし、見ておりますと、これをもう一センチ折り曲げてくれると定形になって十円違いますから、そうしてくれませんかというようなことを言って、その場でのりをはり直しておるというような場合もございました。しかしこれを持ってまいりますまでの間においての国民の方への周知ということについては、確かにまだまだ不十分だと思います。  それから二円切手の問題は、一円のつり銭とともに一番気を使ったところでございます。ただいま郵務局長から申しましたように、大体七月の一日において五千八百万を用意する、こういたしますならば、一日三百五十万という数全部が旧五円のはがきで出ましても、半月はそれで足りる。しかしながら、これは実は部内で、どこまで二円切手を発行したらいいのかちょっと見当がつかぬけれども、総人口の数くらい発行したほうがいいのじゃないか、私はこのようなことを申したのであります。ただその総人口の数を発行いたしますのが、五千八百万枚を用意して、二千万、二千万と用意いたしましたために、全体で九千八百万、最後の二千万というものは本日あたりから出回ってまいるわけでございます。大体この一億枚という数で足りるのではないかと思っておりますけれども、しかし私自身、家の近くの特定局に家の者が使いに行きますたびに様子を聞かせてみておるのでありますが、やはり切手がありませんから、日付印ですか、収納印ですか、印を押してあげますからというようなことを言っておりました。近くの特定局にはなかったようです。そうしてみますと、私が七日の日でございましたか六日の日でございましたか、都内の各局を歩きまして聞いてみますと、とにかく二円、一円が足りておりますということを四つの局を歩きましたときに聞いたのでありますが、その後に至って切手の不足が起こっておる。そうすると、一応上旬で片がつくと思っておったのが、上旬で片がついていたのが中旬になってかえって不足をしてきておるというようなことは、やはり今後もっと早く残りの二千万を出して模様を見たいと思いますが、急ぎませんと、片がつくと思っておったのが案外片がついておらなかったんではないだろうか、このような深い反省をいたしておるわけでございます。  それから部内犯罪につきましては、犯罪の検挙数も近年毎年増加してまいってきておるのでありますけれども、犯罪は減少して検挙数はふえてきておるという点は一つの順調な経過をたどってきておると思うのでありますが、近時におきます犯罪につきましては、まことに申しようのない遺憾なことでございまして、これは結局監督者に対して一そう職場規律を厳にする、ことに物の取り扱いを、先ほども申しましたような事故申告等につきましても、成規の取り扱いをどこまでも励行させ、そうしてそれぞれの犯罪の態様につきましては、善後措置なり、今後の教訓というものは違ってまいりますから、そうした個々のものについて監査の実態を検討してみますと同時に、もう一段、ひとつ業務考査、会計検査の厳重な実施ということをはかってまいりたいと思っております。渋谷の事件でありますとか、東京中郵の事件等につきましては、それぞれに対応させました処置をとっておりますけれども、この教訓というものを他の局にもすべて移しまして、そうしてものが後手になりませんようにひとつ努力をさしていただきたいと思います。
  45. 森本靖

    森本委員 この犯罪の問題については二度と起こさないようにひとつお願いをしたい、こう思いますが、特にこの東京中央郵便局の大郵袋の窃取事件におきまする日本逓送会社の運転手、助手の年齢が二十二歳と二十歳、こういう年齢の人に何千万も入れたところの郵袋の持ち運びをやらすということ自体が、私は大きな間違いである、少なくともこれはある程度の年齢に達し、そうして妻帯者であり、生活もきちんとしているという方々でなければ——こういうふうなものについては相当慎重を要するというふうに考えるわけであって、そういうこの具体的な指示事項について、ひとつ十分に、犯罪については、二度と起こさないように御検討願いたい。  さらに名古屋郵政局の汚職事件等におきましても、新しく管理課長になっているわけでありますが、この管理課長が厚生課長当時に行なった事件であります。その後異動によって管理課長になっておりますが、郵政局の管理課長というのは最も重要なポストでありまして、文書課長に次ぐ課長の、次席筆頭という課長クラスであります。そういう者に対して、いわゆる前の課長時代の汚職事件が管理課長になって出てまいったということについては、全くこれはその人を見る人事能力がないといっても私は過言でない、おそらく上司の責任であろうというふうに考えるわけでありまして、この犯罪事項についていろいろとやかく申し上げましても、済んだことでありますので、今後二度とこういう問題を起こさないようにということについて、あらゆる場面から検討願いたい、こう思うわけであります。  それからこの二円切手でありますが、五千八百万刷った二円切手は全国にどういうふうに配分をされたのですか。集配郵便局、無集配特定郵便局全部に配分されたわけですか。
  46. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 全局への配給状況でございますが、三千五百万につきましては、先生御指摘のように、在庫の二千三百万を合わせまして、つまり五千八百万につきましてはできるだけ全国的に配給をいたしました。ただその後の二千万等につきましては、なくなったという声の高かった東京、大阪、札幌を中心にして配給した次第でございます。
  47. 森本靖

    森本委員 最切のその五千八百万というのは全国の無集配特定局に配付したのでしょうか。していないのだろう。
  48. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 先ほど申し上げました在庫数の二千三百万のときに調査いたしました各無集配局の在庫の多寡に応じまして残りの三千五百万、つまり五千八百万から二千三百万引いた三千五百万を案分して配給した次第でございます。
  49. 森本靖

    森本委員 それは無集配局の末端に至るまで配付したのですか。
  50. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御案内のように、それぞれの指定局等を通じまして調査いたしましたその数を基礎にしてやりましたので、先生御指摘のように、しからば某々——たとえば鹿児島県なら鹿児島県の某々無集配特定局の窓口に完全に配給したかどうかということにつきましては、私ただいまここでつまびらかにする資料を持っておりません。おりませんが、私どもとしましては、当然、新法切りかえのときに混乱が起きないようにという配慮でございましたので、そういう措置をとったと思っております。
  51. 森本靖

    森本委員 配付されておりません。この間私が帰りまして、百名ぐらいの特定郵便局長を集めて聞いてみたところが、二円切手一つもない、請求しても全然こない、こういう要求が特定局長から出ておるわけであります。だからその切手の配給がどっかでとまっておるわけですよ。そこで、実際問題として末端の、特に無集配特定郵便局に至っては、ほとんど二円切手は七月一日以降出ていない。そういう万全の手配と準備というものはやっていない。そういう点についてはあんまりあなた方が殿様で上過ぎて、下のほうがわからぬ。私は上も下もようわかっておるからようわかる。あなた方は上のほうだけしか見ていない。私は帰って実際にずっと回ってみた。回ってみたところが、二円切手は一向に来ていない、こう言っております。だから今回のような問題についてはもう少し具体的に警戒をしなければいけない、こう私は思うわけであります。  さらに定形、非定形の問題についても非常にPRが足らないのではないか。これは定形と非定形については、私が郵便法を審議するときに、この一般民衆に対する周知宣伝はよくやりなさいよということを言って、当局としても万全の手配をいたします、こう言っておりますけれども、いまだに国民の中には定形、非定形の内容がしみ込んでおりません。こういう点については、これはもう新聞あるいはラジオ、テレビ等を通じて、若干金がかかってもしようがないから大いにPRをすべきだと思うのです。それを全然やらずに、わずか各家庭に一枚ずつ配ったとかいうことを言っておりますけれども、それは新聞の折り込みと一緒で、実際そういうものをよく見る人は少ないのです。だからそういう点について、今回の郵便法の改定については、郵便料金の値上げだけでなくして郵便のやり方を根本的に変えておるわけでありますから、その変えた内容については新聞、ラジオ、テレビ、そういうものをどんどん使って、ある程度PRしなければ、まだまだ私は混乱が続いていくのではないかというふうに考えるわけであって、ひとつそういう点について十分に注意を願いたい、こう思うわけであります。  それから、例のガンの切手の盗作問題でありまするが、これは一体いまどうなっておりますか。
  52. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御案内のように、郵政省でがん征圧の寄付金つき記念切手の図案の公募をいたしました。それに当選いたしました作品は、特賞が二点、入選が四点、佳作が十点、合計十六点あったわけでございます。それぞれ応募規程に記載いたしましたとおりの賞金を贈呈いたしたわけでございます。
  53. 森本靖

    森本委員 賞金は幾ら……。
  54. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 特賞は二十万円でございます。入選が五万円でございます。佳作が五千円でございます。ところが特賞の一つの七円プラス三円の料額の図案に入っておりますところの顕微鏡のかっこうそのものが、たまたまアメリカのゴスリンというデザイナーがすでに発表いたしましたデザインに酷似しておることがふとしたきっかけからわかりました。それによりまして私ども至急調査いたしました結果、きわめて酷似しておる。したがって、たとえ切手全体の図案としては非常によくできておりましても、これを切手の図案として採用することは不適当であろうというぐあいに認めて採用しなかったわけでございます。
  55. 森本靖

    森本委員 賞金は……。
  56. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 賞金はどうなっておるかというお話でございますが、端的に申し上げますと、その採用しなくなった切手の図案を応募いたしました者につきましては、私どもの見解といたしまして、次のように思っておる次第でございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように郵政省ががん征圧の寄付金つき記念切手を発行するにつきまして、国民的関心を高く呼ぶという意味から、賞金を佳作以上の十六点に出した次第でありまして、しかも応募規程には必ずしも切手として佳作以上のものの中から採用するということを約束しておらぬのでございます。過去の例におきましても、一等に当選いたしました図案を切手に採用しなかったという例が二件ほどあるわけでございまして、さらに民間のポスター等におきましても、しばしばそういう例があるようでございます。それこれ勘案いたしましたときに、国民的関心を呼ぶためにそういった十六点の作品に賞金を出しました。しかも一番りっぱにできました特賞の作品に対しまして二十万円の賞金を贈呈いたしましたが、それはそれなりに、つまり国の経費の支出目的というものを満たしたものであるというぐあいに私どもは考えておる次第でございます。さような見地から、ただいまのところは直ちにこれを返還させなければならぬというぐあいには考えておらぬのでございます。  ところが一方御本人におきまして、それだけ話題になったのであれば、自分としてはこれを盗作したという覚えもさらさらないし、また私どもも先ほど申し上げましたように、その顕微鏡のデザインそのものを、切手の全体的なワクの中に入れましたデザインが非常によくできておりますので、これに対して特賞と認めたというような見解も持っておる次第でございますし、それこれ考え合わせまして、本人としてはそういう意味での観測をし、ただ世間的にかなり問題になったという意味におきまして、自発的にこれを返還してもいいというような意思を持っておるやに承知しております。ただいままでのところ返還したという事実はございませんけれども、御本人においてそういう意思を持っておるということでございますならば、私どもといたしましても、できるだけそういった自発的な処理と申しますか、円満な処理というものを期待しておるのが現状でございます。
  57. 森本靖

    森本委員 これはどこがこういうのを審査するのですか。
  58. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 切手の最終図案を決定するにあたりまして、かねて郵政審議会の中に専門員がおられます。今回の場合は公募でございましたので、この専門員の中の一部も入っておりますけれども、新たに有名な権威者であるところのデザイナー等も加えまして、今回のがん征圧記念切手図案審査委員会というものを特別に設けまして、その審査の合議によって決定いたした次第でございます。
  59. 森本靖

    森本委員 それは何人くらいですか。
  60. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 当時の郵務局長でございました現長田次官が入りまして、合計六名でございます。
  61. 森本靖

    森本委員 その中に国際的なデザイナーとかあるいは医師会側とか入っておりますか。
  62. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 国際的なデザイナーといたしましては、日本ではかなり高名であるそうでありますが、山名文夫さんという方が入っておられます。さらに医師会ということではございませんが、ガンの権威でありますところの東京大学名誉教授であります吉田富三さんが入っておられます。
  63. 森本靖

    森本委員 こういうふうなものを審査をするときに、やはり世界的にこういうものに目の届く人人が一人か二人入っておるほうが、一番無難であろう、こう思うわけでありますが、そういう人は入っていないのじゃないですか。入っておったら、これは簡単にあの顕微鏡の図案については目につくと思うのです。
  64. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御指摘のように、審査員だけにすべての作業をおまかせをするということは、先生方にとりましてもなかなか酷であると思います。むしろ事務当局であります私ども郵務局人間が、内外の諸文献を渉猟いたしまして、そういった酷似をしているような作品がないかどうかを十分検査すべきだったと思います。   〔秋田委員長代理退席、加藤(常)委員長代理着席〕 ただ残念なことに、いろいろと調査は、前の段階においてしましたけれども、デザインブックの一部にありましたところのそのデザインそのものは見落とした次第でございます。今後はそういう点につきましては、本職の方にも入っていただき、十分内外の資料等も照合してみたいと思います。
  65. 畑和

    ○畑委員 いまの件ですが、関連して聞きたいのですが、そういった図案を採用する委員会がございますね。その委員会での審査の基準とかなんとかいう内規があるかどうか。この問題につきましては、盗作が問題になった、したがって、盗作や何かの場合にはそういった賞を与えない、あるいは採用しない、こういったような明確な審査基準というものがないからこういうことになるのではなかろうかと思うのです。あるいはあるとすれば、結局それを見失った。そういう該当するものが盗作であるということが事前に発見できなかった、こういうこともあるでしょう。したがって、そういうことがはっきりしていないから、また賞金をどうするかということで迷うのだと私は思うのです。それだけに世間的に大きな問題になったことだから、特選ということにはして、しかもそれを剥奪するとかいうことはしない、賞金はそのまま、積極的におろすということは言わぬということのようですけれども、もしただ渉猟というようなことであって賞金を返せないのだったら、何もりっぱなものであれば、それは盗作したのでないということであれば採用したらどうですか。ちょっと矛盾していると思うのです。採用しないならこれは盗作だということで、そして賞金も返させるというようなことですべきだと思う。そういう規定がまたない。したがって、そういうことになるのでなかろうかと思うのだが、その辺はどういうことになっていますか。
  66. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 ただいま御質問のございました点につきましては、切手図案を懸賞募集するにあたりまして、応募の条件という、言うならば約束事が明示してございます。その中には、図案面に、技術的なことでございますが、「日本郵便」あるいはローマ字で「NIPPON」さらに「がん征圧」という文字を入れる、あるいは「一九六六」という西暦年号を入れること、また、七プラス三または十五プラス五という料金額をアラビア数字で入れることというような技術的な条件がついております。さらに、原画の大きさ、これも一つの条件でございますが、これがきまっております。そのほか、これが大事な点でございますが、佳作以上の入賞作品の著作権は郵政省に帰属するということを明示してございます。その次に、切手として採用する場合修正することがあるということでございます。最後に申しました点とそれから最後から二つ目の、著作権は郵政省に帰属するというようなことを総合的に勘案いたしますときに、先ほど森本先生の御質問にお答えいたしましたように、切手として必ずしも当選した作品を採用しないことがあるということを裏で言っておりますことと同時に、佳作以上の作品ということでございますが、著作権は当然郵政省に帰属するということを考えますときに、すでに著作権を侵害するものあるいはされるおそれのあるものといったものにつきましては、応募してはならないといった意味のことが暗にこの中に含まれておるというふうに私どもは見るわけでございます。ただ、それは理屈じゃないかということでございますが、先生がお示しのようにそういうものがあっても、たとえば原作者と十分話をつけて、りっぱな作品であればそれを堂々と採用してもいいのじゃないかということも御意見としては確かにあろうかと思います。思いますが、御案内のように三カ月あとに控えましたがん征圧切手の発行にあたりましては、技術的に、向こうの原著作権者でございませんが、きわめて酷似しましたデザインを書きましたゴスリン氏との交渉とかいうことになってまいりますと、相当な日時を要しますし、私どもとしましては、そういった手続のためにいつ発行されるかわからぬということになっても、本来のがん征圧切手の発行の目的とたがうものでありますから、先ほど私がお答えいたしましたようなことで実は採用しなかったわけでございます。  ついでに、第二の作品は、これも新聞で問題になったわけでございますが、特賞作品にかわるものとしまして、実は次のこれは東京近郊のある若いデザイナーの方のかかれた作品でございまして、これなどはまさしくただいま畑先生のお示しのとおりの、デザインブックに似たような作品がございましたけれども、何もそれはアイデアと申しますかヒントを若干得ただけであることを本人は正直に申しておられました。そういった点からも、審査員等は、本来から申すと、別に切手にしてもおかしくないものだという御意見もございました。本人も正直にそう申しておりますし、私どもといたしましても、普通の事態でございましたら、先生の御案内のように堂々と切手に採用できるものだったと思います。審査員の先生方もそういうぐあいにおっしゃったことでございますが、しかし一たん採用の特選切手におきまして、相当国民的の関心を呼びました以上は、少しでも似たようなデザインのものがほかにあるということは、また波紋から波紋を呼ぶということになろうと思われますので、若干配慮におきまして、先生が御指摘のように憶病になったかしれませんけれども、審査員の諸先生の意見の一致したところにおきまして、それはとらなかったという話もあるわけでございます。
  67. 畑和

    ○畑委員 いまの郵務局長の答弁ですが、だいぶこじつけが多いような気がする。それで、先ほどいろいろの条件がきまっているということでずっと並べられましたけれども、その中に創作であるというあれが一つないのじゃないか。だからこういう混乱が起きるのじゃなかろうかと思う。前の原作が著作権があるかないかこれはわかりませんけれども、著作権があるとすれば、明らかに大きな問題になると思いますが、著作権のない場合といたしましても、第一の場合は、私は新聞で見ましても、ほとんどそっくりです。第二の場合には、確かにアイデアを原作品から得たと本人も正直に言っておる。私はそのほうが正直でよろしいと思う。しかし第一の場合は、私は盗作はないと言っているけれども、全然似ている。そういう意味からするとこれは全くけしからぬと思うのです。それでいいということになると、堂々と採用すればいいと思う。やはり時間に出して、採用しない。それで賞金だけやる。どうも割り切れないところが私はある。いずれにいたしましても、創作であるということの条件が一つ欠けておるので混乱しておる。今度はそういうふうに直してもらいたい。できるだけやはりこういった盗作問題を起こさぬように配慮することが必要であると思う。したがってそういう条件がないからこそいま混迷があると思う。その点どうですか。
  68. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御意見はごもっともだと思いますので、今後公募等にあたりましては、御意見のとおり処してまいりたいと思います。
  69. 森本靖

    森本委員 これは要するに特選に入って賞金は二十万円だった。しかしそれを採用する、しないは郵政省のかってだ、これはへ理屈ですよ。こじつけた理屈であって、そんなことだったら初めから特選ということをきめなければいい。そんなばかな答弁があるか。それでわざわざ郵政省が金が足らぬ足らぬといって郵便料金を値上げしておきながら、今度二十万円をただ使いのような使い方をしてもらっては困る。国民からすればこれはどうしても戻してもらいたい。盗作の疑いがあるということで使わぬとするならば、それはやはり戻してもらうのが至当だと思う。これは使うために特選入選佳作、こう入れたと思うのです。そうなってくるとこれは当然特選の中からこれを使うということになるのがあたりまえなんです。そうでなかったら何も特選、入選、佳作というようなことをきめる必要はない。これはきのう私は会計検査院にわざわざこのことについて聞いてみた。聞いてみたところが、会計検査院としては、いま少し内容を詳しく調べてみないと、すぐ先生にはお返事がしかねる、こういう会計検査院としてはかなり慎重な態度をとっている。おそらく会計検査院としてもその間のいきさつを十分に調べると思いますが、しかし郵政省としてはやはりこういう場合には戻してもらうべきが至当ではないか、私はこう思うのです。どうも曾山君はふだんから理屈をこじつけるくせがある。こういう場合は単刀直入に、これについては盗作の疑いがあるから、初めに特選にしたけれども、残念ながら今回の場合はひとつ戻してもらいたい、こうあっさりと言ったってかまわぬと思う。どうなんだ、その辺は。
  70. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 先生お示しのような御意見も十分あろうかと思います。ただ先ほど畑先生の御質問に答えまして申し上げましたのは、確かに理屈と私自身も申したのでございますが、言うならば会計検査院等と十分最終的に詰めて、法律的な見解まで統一しなければいかぬわけでございますが、それと若干似たような見解ということで私申し上げた次第でございます。  先ほど例として過去においてもあると申し上げましたが、昭和二十一年の日本国憲法制定記念切手のときと、さらに二十八年でございましたか、皇太子殿下の御帰朝の記念切手のときも、これは盗作まがいであるとか、酷似しておるというようなことではございませんでしたけれども、賞金は一等に出しましたが、実は必ずしも切手として採用するにふさわしい——最終的にふさわしいデザインでないというぐあいに伴断いたしまして、賞金はそのままにして、切手として採用しないというようなこともありました。しかしそういう点については、これは確かにおっしゃるように、こじつけだという気持ちも、つまり常識的な気持ちとしては当然だろうと思います。そういった点について、私が申し上げましたように、やはり御本人がそういった意思表示をされまして、実は賞金はすでに使われたそうでございますが、かなり財産も、ここで申し上げるのはいかがかと思いますが、富裕な方でないようでございまして、それぞれ勘案いたしますときに、これは直ちに返せというようなことで申すのもいかがと思いますので、御本人の自発的な態度、意思というものを持ちまして、私どもは円満に解決していきたいということを先ほど申し上げた次第でございます。
  71. 森本靖

    森本委員 使わぬようなものを募集する必要はないのです。そんならあなたのほうは絵を募集しておるかね。どかか郵政省の額ぶちにでもする絵を募集するということか、そうでないだろう。切手のデザインを募集しているのだろう。そうすると特選になったものは一番最初これは切手の図案にするのは当然だろう。だからこれは私はあくまでも返してもらうべきだと思う。あなたが言うように本人が非常に困っておるとするならば、担当局長以下、次長、課長、全部が出し合うて弁償しなさい。そのくらいの意気込みがなければ、今後こういうあやまちを何回も起こす。官僚の諸君はやはりそれだけの責任を負うべきだと私は思う。この点は私は今後深く追及をいたしません。ひとつ郵政省と会計検査院と十分話し合いをしてもらって、この結末については国民が納得のいくように結末をつけてもらいたい、こう思うわけであります。  それから、ちょっと聞いておきたいと思いますが、二円収納のスタンプを今度押すことになっておりますね。このスタンプを押した場合には、受領証はどうなっておるのですか。
  72. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 収納印を押しました場合に、御案内のように二円収納という印面がはがきそのものにあらわれておりますので、本人に対しましてはそれでいいわけでございますけれども、郵便料金の受領証の交付という点につきましては、料金別納にする場合と同じような方式をもちまして、差し出し人の要求がある場合には料金の受領証を作成して交付いたします。しかし要求がない場合には受領証は差し上げないということにしております。
  73. 森本靖

    森本委員 料金別納の郵便は、要求があろうがなかろうが受領証を出すのじゃないですか。
  74. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御案内のように、ただいま御指摘のございましたように、原則としましてはさようでございます。ただ例外的にいま申しましたようなことをしておるわけでございます。
  75. 森本靖

    森本委員 今回の二円収納のスタンプを押したやつは、現実には郵便局は受領証を出してないでしょうが。
  76. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 先ほどお答えいたしましたように、本人から要求があれば出すということにしてあるわけでございまして、先生お示しのように、きわめて厳格に、全部出すべきじゃないかという御意見もあろうと思いますけれども、いろいろ事務処理手続の簡素化のためにさようしておる次第であります。
  77. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、受領証を出してない場合に、何ぼスタンプを押したということの確認は一体だれがやる。
  78. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 その点につきましては、私ども非常に心配いたしまして、事故とか特に犯罪などの事案にならないように十分注意するようにという通達まで出してある次第でございますが、だれがやるかということについては、端的に、当該局長がやることになります。
  79. 森本靖

    森本委員 当該局長がそう一々やれるか。ばかなことを言うな。郵便局の窓口を君知らぬのか。東京の中央郵便局で、郵便局長が一々やれるか、三千人もおるのに。窓口においてそのスタンプをぽんぽこ押したら、これは二円になってしまうのだよ。それは料金別納の場合には、一応料金別納として受領証を出さなければならぬから、証拠書類が残る。ところが今回の場合は、ぽんぽこスタンプを押したら、これの証拠書類は何もない。百通押したところで、これを二十通押したところで、わかりっこない。そういうところに一つの犯罪の要素が出てくる。この応急措置としてこういうようなスタンプを設けたことについて、そういう点のやり方について一体窓口はどうやっておるのかということを聞いておるわけだ。たとえば一人がスタンプを押すと、そのスタンプを押した枚数を数えて現金を受け取る者は別の者が受け取るというような方法にしておるのか、あるいは郵便局の窓口でぽんぽんスタンプを押して、その押した者が現金をもらっておるのか。だから、私が言っておるのは、あなた方は雲の上のほうで、下のやり方は一つも知らぬと言っておるのだ。
  80. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 御案内のように、普通局の大局等になりますと、私申し上げましたような局長ということは、局長の責任という意味で申し上げたのでございますが、おっしゃるとおりだと思います。ただ、収納印を一番問題にしておりますのは、無集配局の窓口等におきましての要望が当然多うございますので、必要と認めた無集配局におきましては収納印を認めておりますので、そういう局におきましては局長がということを申し上げた次第でございます。ただ、事実、内部手続におきまして、相互牽制という仕組みが会計法上の手続としていろいろあるわけでございます。そういった点につきましては、十分それにのっとりながら、先生御指摘のように、事故犯罪の起こらないように注意していきたいと思います。
  81. 森本靖

    森本委員 具体的にどうやっておるのだ、それを聞いておるわけだ。私は現実に窓口を見てきたのだから。あなたは見に行ったことがないだろう。窓口でいまやっているようなことをやっておったら、犯罪になることはわかり切っている。だから具体的に郵便局の窓口でどうやっておるかということを聞いておる。これは、ぽんぽこぽんぽこスタンプを押したら、それでいいのですよ。受領証も何も要らぬのだから、現金をそのままもらうのだから。これは応急の措置として郵務局が考えたことだろうけれども、私は非常に危険性があると見ておる。だからこれは、スタンプを押す者、金をもらう者、枚数を数える者、こういうふうな分け方をすればある程度いいけれども、一人の者がスタンプを押す、金をもらうということになれば、何も証拠書類がないのだ、そういうふうにやっておるのでしょう、各窓口は。どうなんだね、それは。見に行ったことがあるかね。
  82. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 私も、実は私の所用とします切手を買うために局に行ったことがございます。先生の専門的に御指摘になっておりますような、そういった立場でよく監査しておりませんでしたので、先生の、見たかということでおっしゃいますことに対するお答えとしましては、そういう意味では見ておらぬということを率直にお答えせざるを得ないと思います。  ただ、先ほどいろいろ申しておりますように、当然これは郵便雑収入として受け入れるわけでございますので、収入の受け入れにつきまして、それぞれの局におきますところの出納員の監査ということになるわけでございますが、総合服務局におきましては、定員も少ないものですから、それも兼ねておる。あるいは、局員の窓口の者にそれをさせるというのが一番妥当だと思いますが、とにかく、先生が厳格におっしゃる意味のチェック等につきまして、通達をさらに厳密に指導してまいりたいと思います。
  83. 森本靖

    森本委員 実はもう時期がおそい。きょうは七月の十九日だから、この十九日間がピークですよ。その間にやっておるわけなんだから、その間にあわててスタンプを出したわけだから、こういうスタンプを出すくらいなら、実際に犯罪が起きてあとで押えるよりか、そういうことが起らぬようにしむけてやるのが郵政省の幹部のやり方なんだ。それを、あわてふためいて、スタンプをこしらえてそれを押せ、そのやり方はちっとも指示してない。どだい郵政省として、あなた方はもっとこういう細部について検討する必要があるのじゃないか、あなた方自身をもう一ぺん再訓練する必要があるのじゃないかというふうに今度の郵便法の改定で考える。私がしょっちゅう言うように、本省の局長は、各現業局の窓口に、一週間ぐらい全部交代ですわって見たらどうだ。保険局長郵務局長貯金局長全部。そうせぬと、とてもじゃないが、実際問題として郵便事業現業の実態を知らぬ人々が計画をする。だから、そういう点について、今後も十分に御注意を願いたい。今後二度とこの郵政犯罪の問題について、起こらないようにひとつお願いをしたい。それから、郵便法改正における混乱についても、これ以上の混乱が絶対に起きないように、もっとひとつPRを積極的にやっていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。  それから、これは全然観点が違いますが、電電公社にお聞きいたします。いわゆるカーテレフォンの問題とベルボーイの問題でありますが、これについて、電電公社は四十一年度予算に若干の予算を組んでおったと思いますが、その予算はどの程度でしたか。
  84. 米沢滋

    米沢説明員 ベルボーイにつきましては、結局基礎設備、東京におきますいわゆる基礎設備の建設費を見込んでおりまして……。(森本委員「幾らですか」と呼ぶ)三億二千万円でございます。
  85. 森本靖

    森本委員 三億二千万円の予算が成立をいたしておりますが、もう七月でありますが、大体それに対するところの見通しというものはいまどういうふうになっておりますか。
  86. 米沢滋

    米沢説明員 電電公社といたしまして、このベルボーイをやる場合には、やはり新しい技術でありますので、いままでその携帯無線機の開発につきまして約一年半くらいずっとやってまいりました。試験をやりまして、これは十分やれるという見込みが立ちました。現在問題は周波数の問題でありますので、郵政省に対しまして、いろいろ事務的に周波数に対します要望を出しておる、こういう段階であります。
  87. 森本靖

    森本委員 それでは郵政省電波監理局長に聞きますが、その周波数については出る余地がありますかどうか。なければ、電電公社の三億一千万円の予算というものは不用になるわけであります。そういう予算郵政大臣が責任を持って国会に出すこと自体がおかしい。ここで電電公社郵政省の意見がもし違うとするならば、それは大臣の責任になるわけです。その辺どうなっておるか、ひとつ事務当局からお聞きしたいと思います。
  88. 上田弘之

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのベルボーイにつきましての周波数は百五十メガ帯、やるとすればそこのところが適当だと考えておりますけれども、その具体的な波につきまして、いまのところまだはっきりとこの周波数ならば出せるというところまでいっておりません。
  89. 森本靖

    森本委員 そうすると、昭和四十一年度電電公社予算案を提案する場合に、郵政大臣が責任を持って提案をしたのじゃないですか。
  90. 郡祐一

    郡国務大臣 さようでございます。
  91. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、いまの電波監理局長の答弁では、周波数についてはまだはっきりきまらないから、これが発足しない、こう言っておる。そういう周波数の問題についても、今後どういうふうに解決をつけるというめどを予算編成のときにちゃんと電電公社郵政省とが話し合いをした上において、この三億一千万円の予算が上程されるべきではないか。予算予算で通しておいて、実際にいざ話し合いをしてみたところが、電波監理当局と電電公社との意見が違うということでは、一体郵政省としてはどういう予算の編成のしかたをしておるか、こういうことになるわけです。これは大臣、一体どうなのですか。
  92. 郡祐一

    郡国務大臣 当然予算をお願いいたしますのは、年度内の実施が可能なことを予想いたしまして——もちろん例といたしまして実際不可能だったことも起こりまするけれども、このたびの問題につきましては実施が可能という確信を持ちましていたしておることでございます。したがいまして電波監理局電電公社との間に話し合いが十分つき得るめども私はあると思っておりまするから、電波監理局長を督励いたしまして、解決ができるようにいたすことにいたします。
  93. 森本靖

    森本委員 あなたが電波監理局長に幾ら命令したって、電波監理局長はなかなかむずかしいと言っておる。むずかしいものはできっこないのです。局長、これはむずかしいのかね。事実どうなんだ。これはむずかしかったら、こういう予算を出したことは間違いなんだ。
  94. 上田弘之

    ○上田政府委員 今後さらに検討していきたいと思います。
  95. 森本靖

    森本委員 これは今後さらに検討するということでなしに、郵政大臣が責任を持って上程をして、国会で可決をされた予算であります。その中に三億一千万円というものが一つの予算に載っておるわけであります。そうなってくると、郵政大臣としては責任があるわけであります。そこで電電公社郵政省とが話し合いをして、そうしてその周波数の波については解決をつけて、早急にこれが発足をするようにするのが、いわゆる郵政省電電公社の責任でしょう。もしもそれが周波数がないということであるとするならば、何でこんな予算を出したかということになる。これはひとつ真剣に、このベルボーイの問題については、郵政大臣が、任期もまだ一年ぐらいあるかどうか知りませんが、あなたの任期中に解決をつける責任があると思う。このベルボーイの問題についてはひとつ早急に解決をつけてもらいたい。その点については、これは局長クラスにまかしておいたのでは、ああでもない、こうでもないということになって、話にならぬ。だから大臣の責任において命令をして早急にやらすということをやらなければ、これはもうちっとも先に進まぬ。ひとつこれは大臣総裁両方とも御回答願っておきたい。
  96. 郡祐一

    郡国務大臣 命令をいたしまして、早急に解決いたします。
  97. 米沢滋

    米沢説明員 私のほうといたしましては、郵政大臣にいままでも申し上げておりますけれども、あらためて、またいろいろお願いにあがって処理いたしたいと思います。
  98. 森本靖

    森本委員 それから、もう一点だけ聞いておきたいと思いますが、きょうの読売新聞に、沖繩にテレビの公共放送局が、本年度十月にできるということが載っておりまするが、この内容だけではちょっとわかりませんけれども、受信料をとるということになっておりまするから、大かたこれは日本のNHKに似たようなものではなかろうか。それに対して、現在沖繩にありまする民間放送が反対をしておるというふうな記事が載っておりますが、これについての情報は、総務長官のほうから郵政大臣のほうに何か入っておりますか。
  99. 郡祐一

    郡国務大臣 総務長官のほうからはまだ聞いておりません。ただ、何か公共放送的な色彩の強いものにして、そして仕事をやっていく考えであるというようなことは、郵政部内からその程度のことを承知いたしたいであります。それ以上に詳しいことを聞いておりません。さっそく私のほうから積極的に問い合わせてみることにいたします。
  100. 森本靖

    森本委員 これは受信料をとってやるということであるとするならば、この中には政府補助金も加えるということになっておりますが、政府補助金はのけて、これは受信料によってやるとするならば、日本のNHKをそのまま沖繩に持っていったらどうですか。そのくらいの交渉が、日本政府とアメリカ側との間においてできませんか。琉球において、受信料をとって、日本のNHKと同じようなかっこうの公共放送を置くとするならば、そういう公共放送を置くよりかはNHKの機関として置けば一番手っとり早い。特にあそこにはクリアリングハウスもあるし、そういう観点からいくとするならば、今回沖繩に公共放送局というものを、受信料をとって置くとするならば、それをNHKの末端機構としてやるという点について、これは日本政府としては、アメリカ政府と折衝してみる気がまえはございませんか。もうあとよけいないからやめておこう、こういうことですか。——それは失礼ですが、もしこういうふうな放送局ができるとするならば、私は、これはぜひNHKにやらすべきではないかと考えるのです。そうすれば、沖繩と本土との間の親密感、一体感というものがより一そう強力になる、こういうふうに考えるわけですが、今回沖繩にできるというこのテレビ公共放送局は、内容を見てみますると、日本のNHKとあまり変わらぬ形になると思います。どうですか、その辺は。
  101. 郡祐一

    郡国務大臣 沖繩との関係は、電波の監理そのものが、御承知のように態様を異にいたしております。したがいまして、私は、NHK自身が沖繩についてかなり関心を持っておりますことも承知をいたしております。そういう意味合いで、森本さんの御指摘の点は、十分意味はわかるのでありますけれども、現在の電波管理の筋そのものに触れてまいることと思います。しかし、私も、その点は事柄としては、ただいまの問題とあわせて、問題があるということは十分腹に入れながら話はいたしてみたいと思います。
  102. 森本靖

    森本委員 これは日本政府としてアメリカ政府に対して話し合いをしてみるということを、ひとつ積極的にお願いしたいと思います。  あといろいろ質問がありますけれども、暑い時期でありますので、この辺でとどめておきます。
  103. 加藤常太郎

    加藤(常)委員長代理 次会は二十六日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会