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1966-07-26 第52回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十一年七月十一日)(月曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君    理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    島村 一郎君       周東 英雄君    田中 六助君       田村 良平君    中馬 辰猪君       登坂重次郎君    藤田 義光君       村上  勇君    森   清君       森下 元晴君    山崎  巖君       井手 以誠君    久保田鶴松君       阪上安太郎君    重盛 寿治君       島上善五郎君    安井 吉典君       門司  亮君    吉田 賢一君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十一年七月二十六日(火曜日)委員会におい て、次の通り小委員及び小委員長選任した。  固定資産税等に関する小委員       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀山 孝一君    渡海元三郎君       中島 茂喜君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    門司  亮君  固定資産税等に関する小委員長                 渡海元三郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十一年七月二十六日(火曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 和爾俊二郎君 理事 華山 親義君    理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    島村 一郎君       周東 英雄君    登坂重次郎君       藤田 義光君    山崎  巖君       井手 以誠君    久保田鶴松君       阪上安太郎君    實川 清之君       島上善五郎君    安井 吉典君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (行政局長)  長野 士郎君         自治事務官         (財政局長)  細郷 道一君         消防庁長官   佐久間 彊君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         警備課長)   後藤 信義君         消防庁次長   川合  武君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 七月二十六日  委員久保田鶴松辞任につき、その補欠として  實川清之君が議長指名委員選任された。 同日  委員實川清之辞任につき、その補欠として久  保田鶴松君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 七月十一日  都道府県合併特例法案内閣提出、第五十一回  国会閣法第一四七号)  地方財政法の一部を改正する法律案川村継義  君外八名提出、第五十一回国会衆法第四号)  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(川村継義君外八名提出、第五十一回国会衆  法第五号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (安井吉典君外九名提出、第五十一回国会衆法  第四〇号)  地方自治法の一部を改正する法律案阪上安太  郎君外八名提出、第五十一回国会衆法第四五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十五日  地方公営企業法の改正に関する陳情書  (第一〇号)  都道府県合併特例法案反対に関する陳情書  (第一一号)  消防態勢確立に関する陳情書  (第一二号)  地方交付税率引上げに関する陳情書  (第一三号)  町村職員定年制早期実現等に関する陳情書  (第一四号)  地方公務員定年制早期実現に関する陳情書  (第一五号)  同  (第八八号)  地方公務員給与改定に関する陳情書  (第一六  号)  地方自治体の超過負担解消のため事業費の基準  単価是正に関する陳情書  (第一七号)  同  (第九〇号)  町村自主財源強化に関する陳情書  (第一八号)  同  (第九一号)  法令等に基づく手数料引上げに関する陳情書  (第八九号)  消防施設整備等に関する陳情書  (第一二  五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  国政調査承認要求に関する件  閉会審査に関する件  警察に関する件  消防に関する件  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与に関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。衆議院規則第九十四条の規定に基づき、本会期中、当委員会の所管に属する事項につき、国政に関する調査を行ないたいと存じます。  つきましては、地方自治行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会設置関係方面からの説明聴取及び資料要求等の方法により、地方自治地方財政警察及び消防に関する事項について、国政に関する調査を行なうこととし、議長に対しその承認を求めたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、小委員会設置の件についておはかりいたします。  昭和四十二年度以降の固定資産税について、免税点基礎控除累進税率等の問題を根本的に検討するため、小委員十名からなる固定資産税等に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。それでは小委員に       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀山 孝一君    渡海元三郎君       中島 茂喜君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    門司  亮君 を指名いたします。  小委員長には、渡海元三郎君を指名いたします。  なお、おはかりいたします。  ただいま設置いたしました固定資産税等に関する小委員会の小委員及び小委員長辞任許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、ただいま設置するに決しました固定資産税等に関する小委員各位に申し上げますが、小委員長から、小委員会は、本委員会散会後、直ちに本委員室において開会いたしたいとの申し出がありますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  8. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  内閣提出にかかる都道府県合併特例法案川村継義君外八名提出にかかる地方財政法の一部を改正する法律案、同じく地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出にかかる公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案阪上安太郎君外八名提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案地方自治に関する件、地方財政に関する件、警察に関する件、消防に関する件、以上の各案件につきまして、閉会中もなお審査を行なうことができますよう、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  10. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、閉会審査案件が付託になりました場合、本会期設置いたしました固定資産税等に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを存置し、調査を速めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、おはかりいたします。小委員及び小委員長従前どおりとし、その辞任許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  13. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、委員派遣承認申請についておはかりいたします。  閉会審査にあたり、現地調査の必要がありました場合には、委員長において適宜委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣地派遣期間派遣委員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと序じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  16. 岡崎英城

    岡崎委員長 警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。實川清之君。
  17. 實川清之

    實川委員 昭和三十八年の九月に、新東京国際空港の問題が出されまして、千葉県の富里村、八街町、山武郡の山武町、この二町一カ村が候補地にあげられたわけでございます。それから現在まで約二年半余り、相当この問題につきまして運輸省あるいは千葉県、地元民の間に折衝が行なわれ、地元民の強い反対があったわけでございますが、去る六月二十二日に従来の富里案を撤回いたしまして、隣接の成田市に新国際空港をつくるということが内定をいたしたわけでございます。その後、七月四日に閣議決定を見まして、この問題が最終的に三里塚を新東京国際空港にするということに方針がきまったわけであります。  御案内かと存じますが、富里の場合におきましては、百数十回にわたって国の方面、あるいは県の方面反対陳情があり、あるいは地元におきましても数千名の農民が集まって反対行動をとって、非常に熾烈をきわめたのでございますが、そういうような情勢の中で、運輸省あるいは千葉県当局も、こう反対運動が強くてはなかなか空港建設もできないだろう、こういうような判断に立ちまして、いまのような三里塚方針が変わったわけでございます。  ところが六月二十二日、千葉県の友納知事佐藤総理の会談が行なわれました。そこで天下り的に、三里塚空港建設場所として決定をしたい、こういう通告があったわけですが、それから決定まで約十日余りございますけれども、その前後を通じまして、全然この問題については地元民にも、関係市町村長に対しましても、建設案内容等については説明もなく、またいわんや地元民意向を聴取するというようなことは全然なされなかったわけでございます。そういうような関係で、一方的に、天下り的に三里塚決定され、これを押しつけてまいったわけです。と申しますのは、友納知事富里案に対する述懐の中にもございますが、富里の場合は非常に時間をかけてきまったので、反対運動が固まって実行ができなかった、もしあれが三十八年九月に問題が出て、その直後に一刀両断ばさりとやってしまえばできただろう、こういうような述懐をいたしておりましたが、あつものにこりてなますを吹くと申しますか、三里塚案の場合はどんぴしゃりで、全然問答無用というような形で最終決定をいたしたわけでございます。したがいまして、地元民といたしましては、やぶから棒と申しますか、青天のへきれきと申しますか、突然降ってわいたように自分たち土地空港ができる、あるいは騒音の下に立たされるというようなことで、非常にあわてまして、自来一カ月余り、ほとんどこの農繁期でも、農作業にも手のつかないようなありさまです。いろいろの集会を持ったり、あるいは陳情したり、そういうことで明け暮れておるわけでございます。これは非常に気の毒な姿だと思います。御承知のとおり、いま七月、八月というのは農家の一番忙しい時期でございますが、その時期にあまり農作業にも出られないというような毎日が続いておるわけでございます。まことに気の毒と申しましょうか、同情にたえないものがあると思います。農民にとりましては、多年住みなれた土地飛行場の用地として収用され、ふるさとを離れて出なければならない、あるいは近接の町村におきましては飛行機騒音に泣かなければならない、将来——現在から今後長い生活の間、騒音の下で苦しまなければならない、こういう立場に立つわけでございます。  御案内とは思いますが、新国際空港に発着する飛行機は、超音速大型機でございます。私は専門家ではございませんから詳しいことは存じませんが、音速の三倍とかあるいは五百人乗り、非常に大型かつ高速度の飛行機が発着するためにつくられる、こういうことを聞いております。したがって、その騒音ども、いまわれわれの頭の上を飛んでいる飛行機とは格段の違いがあるわけでございます。そういうことで、地元民もびっくりいたしまして、おっ取り刀のような形で反対運動をやっておりますが、これらの農民自分生活を守る、あるいはまた自分の農業を守るというような立場から飛行場建設反対をすることが悪いことかどうか、警察当局は、そういう農民の示威的な反対運動犯罪視しておられるのかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  18. 後藤信義

    後藤説明員 新しい国際空港が、成田空港ということで三里塚中心設置されることになったわけでございますが、それが富里からそちらのほうに移った経緯等は、いま先生お話しのようなことだろうと思いますが、私ども警察立場といたしましては、どういう事情で選考になったのか、それがまた地元に対してどういう影響を与えるかというようなことについて云々する立場ではないと存ずるのであります。  私どもは、この問題は空港設置するという政府の担当の部局と、それから地元ないしは地元県当局等と十分に打ち合わせを遂げられることだと考えております。私どもとしましては、間々こうした空港設置問題などにつきまして、地元反対の方々がある。そうしますと、その反対運動というようなところから、往々にして不法越軌行為に流れて、それが犯罪を構成するというようなことがございますので、そういうようなことがないように、防犯的な意味で、そういうことがないかどうかということを注意いたしますとともに、不幸にしてそういう犯罪行為があったような場合におきましては、警察の責任上、これを取り締まっていくというような立場を堅持しておるのでありまして、空港設置が適当であるかどうかとか、あるいはそれが正しいのであるから反対はいけないとか、あるいは反対のほうがいいのであって設置がいけないのであるとかいうようなことは——全然こういうことに対して介入をする立場にはないわけでございます。きめられました方針に従いまして、それが法規その他の手続にのっとって成規に行なわれてまいります場合におきましては、これに対するもろもろの反対ということも表明の自由として認められることであろうと思いますが、それらが法律上のワク内において行なわれる限りにおきましては、私どもこれに対して何ら関与するものではございませんし、いま先生がおっしゃったように、反対運動そのもの犯罪視するということはございません。
  19. 實川清之

    實川委員 富里反対運動の場合と、今度の三里塚空港の場合と比較いたしますと、取り締まり当局態度に非常に大きな相違があるように思われます。と申しますのは、富里空港の問題の際には、運輸省なりあるいは千葉県当局も、非常に住民意思を尊重するという線を貫かれておったようです。いわゆる高圧的な、高飛車な進め方というものは、あまりなかったように私は思うのです。運輸省なりあるいはまた県の態度が寛大であった。ところが、それに比較いたしまして、三里塚の場合には先ほど申し上げましたように、住民意思を尊重する、あるいは住民意向を十分生かそうというような努力は全然ございません。独断的に、一方的に、高飛車に問題を強行しようとしている。こういうように運輸省、あるいは県の態度が変わってまいっておりますが、警察のこの反対運動に対する取り締まり態度というようなものも、富里の場合におきましては非常に寛大であったと私は思います。ところが、今度の三里塚の場合になりますと、これががらりと一変いたしまして、非常に強硬な、峻厳そのものといったような印象を受けます。この辺に何か警察が、運輸省なりあるいは県知事の意向をくんで、若干の抵抗があっても今度は腕ずくでもつくってしまうのだ、こういう強い決意をもって臨んでおるような印象を受けるわけです。  たとえば今月の二十日に、芝山町の議会が開かれまして、町の住民が四、五百人はおったと思いますが、傍聴に出かけたのです。その際にも、別に不穏な行動があったのでも何でもないと思いますが、朝の十時半から夜の十二時過ぎごろまで議場内で賛成反対の意見が非常に対立いたしまして、なかなか議決ができなかったのですが、若干そういう情景を見まして、傍聴者の間に興奮してやじったり何かしたのはありますが、いわゆる不法越軌行為というほどの事態は出ていなかったように私は思います。それにもかかわらず、千葉警察本部から機動隊がトラック三台くらいに分乗しまして、わざわざ十里も離れた芝山町までおいでになって、そして議場の前に配置されまして、一つにはこれは農民に対する威圧行為だ、こういうふうにわれわれには映るわけです。さらにまた、これは私服でございますが、十数名の諸君が議場のまわりの廊下に入り込みまして、何やら動いておる、こういうような状態で、あなたのおっしゃる違法の行為がなかったにもかかわらず、非常な圧迫的なことをやっておったわけです。  それから翌日の二十一日には、成田市役所にやはり市議会が開かれまして、これは市長に面会を求めたのです。市長に対する反対陳情のために、やはり付近の住民が二、三百名だろうと思いますが、市役所に押しかけたわけです。その際にもやはり機動隊が出動いたしまして、その反対運動人たちに対し、こづき回したりあるいは突き飛ばしたというような事実がございます。そういうような関係で、富里時代にはあれほど大規模な、しかも回数にいたしましても何十回となくそれに似たようなことがあったのですが、ほとんどその際には問題らしい問題はなかった。ただ一回、ことしの初めに県庁大挙陳情をしたときに、県庁玄関窓ガラスを破った事件がございます。これはさっそくその犯人と思われる人たちが三名逮捕されたわけですが、この事件以外にはほとんど問題らしい問題はなかった。その県庁へ押しかけて玄関ガラスを破ったその事件のあとも、警察取り締まりは、別に特にきびしくなったという印象をわれわれは受けておりません。ところが、先ほど申し上げましたように、この三里塚になりますと、県当局あるいは航空局態度も非常に硬化したと申しますか、あくまでもこれは、腕づくでもやってしまうのだ、こういうような鼻息がうかがわれますが、それに呼応して警察態度も非常にきびしくなっている。これはどうも警察中立性というものがおかされて、県なりあるいは国の意向を受けて態度を硬化さしているのではないか、こういうふうに現場のわれわれははっきり印象づけられておるのであります。この辺についてどのようにお考えになっておりますか。
  20. 後藤信義

    後藤説明員 全般的に申しますと、私ども態度は、富里の場合も今回の場合も、全然変わりがないと存じておるのでございます。ただ、富里の場合は、先生先ほどおっしゃいましたように、非常に長いこと時間がかかっておるわけでございますが、今回は私ども突然の変更でありましたので、いささか戸惑ったような感があるわけでございますが、地元警察といたしましても、急に変更になりましたので、従来富里について大体の様子がわかっておったのが、今度場所が変わりますとその状況がわからない。はたして賛成反対運動というのが、どういうぐあいに展開されていくものか、それが公共の秩序維持ないしは人の生命、身体、財産を守る警察立場から見て、どういう事態になるであろうかという判断をする資料がほしいということで、あわててそちらのほうに取り組むと申しますか、そういう一般的な状況が知りたいということを熱心に考えたことは事実のようでございます。  それで、いま先生お話し芝山町議会の件でございますが、これは先生承知のように、七月の二十日午前十一時ちょっと前ごろから始まりまして、夜間の八時ごろに終わっておるわけでございますが、非常に長時間の町議会でございました。この席上には、先生おっしゃいましたように、三百ないし四百名の町民の人たちが、傍聴席ないしは廊下あるいは窓の外から議事成り行きを見ておったようでございます。その過程におきまして、反対派人々が非常に大きな声でわめくというようなこともあったりしまして、かなり議事の妨害になったようでございます。そういう状態でございますし、これはほかの県の例でございますけれども、ことしに入りましてからでも、議場の中に警察官が入りまして騒いでいる人々を排除するというような活動をやった県がございます。そういうわけで、もしかしてそういうような事態があってはいけないということで、町議会があるという当日は、朝から県警といたしましては、十分な変に応ずる態勢をとっておく必要があるということで、いまおっしゃいましたように、機動隊中心といたしまして六、七十名の者を現場の近くまで持っていっておったようでございますが、だんだんに夜もおそくなってまいりましたので、それらの者を議場の近くの、約二百メートルばかり離れたところに幹部派出所がございますが、そこまで持っていって待機をさせておいたということでございましても幸いにして、私どもの申しますいわゆる警備実施と申しますか、制服部隊が入りまして、事案を片づけるというような事態は起こりませんでしたが、私服の者は成り行きを見るというような意味で、一般の人々と一緒に廊下のほうに入っておったというのは事実のようでございます。しかし、これはあくまでも混乱から不測の事態が免ずるということをおそれまして、そのために事前に部隊を近くまで持っていく、ないしは私服の者に状況を見させておいたというにすぎないのでございまして、これが何らかの威圧を加えるというような意図は全然ないのでございます。  それから成田の件でございますが、これは市長さんが反対派人々の前で事情説明して帰りかけたところが、数名の人が帰るなということで取り巻いた。それで近くにおりました警察官がこれを排除しまして、市長さんを市長室まで送り届けた、こういうことでございますので、それ以上に不法な実力行使と申しますか、権限行使をやっておらないと存ずるのでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、警察官の姿を見せること自体が何らかの意味で圧力を加えるというようなことでございますならば、私どもは平素からそういう点では十分注意をしておるつもりでございますけれども、なお一そう今後そうした面で注意をして、無用に刺激をすることのないように注意はいたしたいと存じます。ただ、七月二十日の場合ですと、待機させる場合でも、車の中に乗せておきまして待機をさせて、できるだけ人目につかないような配慮は講じておったのでございます。
  21. 實川清之

    實川委員 多少あなたの話と私の話が事実の関係は違っておりますが、こまかい点はどうでもいいとしまして、そのほかに、たとえば町会議員が料亭にたむろして何やら相談をしている。そこへ警察官が四名くらい、警備のために行ったのか何かわかりませんけれども、とにかく町会議員の集まっている場所に、その玄関口に警察官が四名、実施をしていたのではないと思うのですが、張り番をしておったというような事実もあるわけです。あるいは、これは成田警察管内ですが、反対運動をやっておる諸君の私宅を訪問しまして、いろいろと調査をしたり、あるいはいやがらせを言ったりしている事実があります。たとえば、おまえこの忙しいのに毎日反対運動なんかにあちこちかけ回っておる、生活が困った場合だれが一体おまえのめんどうを見てくれるのだと、暗に反対運動をやめたらどうだというようなことを言ったりなどしておるのでございます。大体この純朴な農村で、警察官がやたらに出入りをするということ自体が、やはり農民としましては非常に威圧感を受ける、ショックなんです。そういうようなことを平気で現在やっております。こういうのも何かあなたのほうの指令でやらしているのかどうか。あるいはまたそういうことが純朴な農民にとっては非常な威圧を感ずるわけですが、そういうことをなさってもいいのかどうか、そういう点をお伺いいたしたいと思います。
  22. 後藤信義

    後藤説明員 先ほど申し上げましたように、急に富里から三里塚のほうに変わりましたので、その状況がわからない。そこでできるだけ早くこの事案の成り行き反対運動なり賛成派と反対派との対立と申しますか、そういう状況を把握したいということで若干あわてたと申しますか、急いでそういう状況を知りたいと考えて、活動をしたことは事実のようでございます。  先生がおっしゃいましたような言動をなした警察官がおったかどうかということにつきましては、私どものほうで千葉県警に対して行き過ぎのないように、また行き過ぎのあったと思われる事案があるかどうかということについて尋ねました場合におきましては、具体的な事例の報告を受けておらないのでございますが、先生がおっしゃいますようなことがありましたとすれば非常に行き過ぎでございますので、そうしたことが今後ないように十分に注意をいたしたいと考えております。  それから町会議員の住居の付近に警察官が配置されたという問題でございますが、これは具体的な事例を私どものほうでは報告を受けておりません。ただ、町会議員の一部の人々が身辺を警戒してもらいたいということで警察のほうに警戒願いというものを出してきておられるのでごごいます。これは、朝と夜などに反対の署名をしろとか、あるいは反対の表明をしろというようなことで何人かの人たちが自宅のほうにやってこられたというようなことがあったようでございまして、これは自分のみならず家族の者に対してもたいへんに迷惑なことであるし、やや不安でもある。したがって、警察のほうで十分注意をしてわれわれを警戒してもらいたいというような意味の警戒願いと申しますか、保護願いが出ておるのも実情でございます。私どものほうでは、こういう願いが出ましたので、それに相応しまして、万一これに対する危害が加えられるというようなことがないように注意をいたしておることは事実でございます。
  23. 實川清之

    實川委員 ちょっとそれはおかしいのです。あなた方のほうの事態の認識の問題もあると思うのですが、保護願いを出した男というのは大体私もわかっております。その男はいわゆる警察ズレした男で、ばくち打ち上がりです。したがって警察へはしょつらゆう出入りしておりまして、警察官と仲間みたいな気持ちで通じております。警察官のほうではそう思わないだろうが、その男はそう思っております。そこで、そのやくざ上がりの男が警察と相談をしてそういうものを出すように取り計らったんじゃないかという節があるのですよ。それではもしもたくさんの人から保護願いというものを出した場合に、一々全部警察では人を出して保護の任に当たりますか。たとえばぼくらにも現在若干の脅迫行為はあります。そういうのをそれでは全部保護していただけますか。
  24. 後藤信義

    後藤説明員 これは、警察の力が及ぶ限りにおいては、そうしたものについて保護をする義務はあると思います。ただ具体的にどういう危険があるかということは、これはやはり警察のほうの独自の判断でやらしていただいて、具体的に危険がないのにそういうおそれがあるということだけでありましたならば、一応それを頭に入れておいて適当な方法で間違いのないようにやっていくというようなこともございましょうし、また具体的な動きとしてかなり心配であるということの兵実性が強いということになりますと、やはり何がしかの行動をとっていくことは当然必要だろうと考えております。  警戒のやり方はいろいろございまして、非常に状況が悪ければ、これはボデーガードをつけるというようなことにもなりましょうし、そうでなければパトロールの途中に気をつけてその辺をよく見ておくというようなこともございましょう。あるいはときどきそのお宅におじゃまをして、状況をお聞きするというようなやり方もいろいろあると思いますが、全般を通じまして、保護願いがあったからといって直ちに全部取り上げるかどうかということについては、それは必ずしもそうではございませんが、事実をよく調査いたしまして、心配の点があるということでございましたら、やはりそれなりの方法は講ずべきものであると考えておるわけでございます。
  25. 實川清之

    實川委員 それは、あなた方はそうおっしゃるでしょうが、私たち地元の人間はその町会議員のおい立ちというものは全部知っているんです。その男に危害を加えるというよりも、逆に危害を加えられていますよ。その男は実はぎらわれ者で通っている男なんです。危害を加えるのはその男であって、加えられる心配なんか毛頭ないのです。そういう者に巡査をわざわざ派遣して、しかも料理屋の二階で酒を飲んでいるのを保護するというのは、どうもわれわれには受け取れないのです。そういうことに籍口して運動に対する圧迫を加える、こういうぐあいに考えざるを得ないのです。この辺について、東京と千葉の片いなかですから、事情を詳しくおかわりにならないと思いますが、十分調査をして対処していただきたいと思うのです。  とにかく今度の問題につきましては、さいぜん申し上げたように、農民としては何とか祖先伝来の農地を守って農業経営をやりたいのだ、これがほんとうの願いなんです。したがって、その農地を守るために団体行動をたまにはとるときもあるでしょうし、集会を持つときもあるでしょう、あるいはデモ行進をやる場合もあるでしょう、そういうものを一々その動機とか事情というものを考えないで、とにかくこれはけしからぬ、国賊的な行為だ、国家的な要求によって国際飛行場をつくるのに反対するとはけしからぬやつだ、こういうような角度から事ごとに威圧的な行為に出ていくことは非常にわれわれは迷惑するのです。したがってこれはもう少し事情調査しまして——私は警察庁の指令でああいうことをやっているんじゃないかと思ったのですが、お話を聞きますとそうでもないらしいのですが、少なくとも千葉衆の県警は、県がしゃにむに飛行場をつくろうとする、それに呼応しまして、警察力を動員して住民に圧迫を加えておるということは争えない事実です。あなたは専門家だからいろいろ理屈をつけられますけれども、実態をごらんになれば、そんな性質のものではありません。明らかにこれは、不当介入です。こういうような不当介入をやることは、警察本来の任務から申しましても邪道であるし、厳にこれは取り締まっていただきたい。私はこのことを強く要請し、また今後もそういうようなことが繰り返し行なわれるならば、さらにまたこの委員会なりあるいはその他の機会において警察庁に抗議を申したいと考えております。  きょうは以上をもって私の質問を終わります。
  26. 後藤信義

    後藤説明員 先生のおっしゃることはよくわかりました。冒頭に申し上げましたように、賛成あるいは反対運動そのもの警察官のほうが介入をしていくということはやるべきことではないことは申し上げるまでもございませんので、従来ともその立場で仕事を進めてきたと存じます。しかし、先生がおっしゃいますように、どうも行き過ぎじゃないか、もう少し慎重であるべきでないかというお話でございますので、さらに実情をよく調べまして、行き過ぎの点のないようにしながら警察の責務を十分に果たしていきたい、こういうふうに考えるものでございます。      ————◇—————
  27. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、消防に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  28. 奥野誠亮

    奥野委員 消防施設の整備に要する財源を確保するために消防施設税が提唱されました関係もございまして、損害保険会社が消防施設の整備に対して融資の面で協力をするという体制が打ち出されたのが昭和三十年であったと記憶いたしているわけでございます。当時その融資額が一億三千万円でございましたが、現在では十七億五千万円に増額されてきているというように伺っております。その限りにおいては損害保険会社の協力を多とすべきでございますけれども、融資条件を伺ってまいりますと、今日なお一年据え置きの六年償還で年利七分二厘だと承知しているわけでございます。国債が発行されるようになりまして、国債の表面金利は六分五厘でございます。割引発行されておりますので、応募者利回り六分七厘九毛になっているようでございます。しかし、いずれにしましても、損保債の条件が悪いことは事実でございます。損害保険会社が国債消化の面においても協力しているのだろうと思うのでございますが、貧弱な市町村財政を助けて消防施設の強化に協力をするというたてまえでありながら、一般的な長期金利の低下の傾向にもかかわらず七分二厘を据え置いているということにつきましては、私は非常な不満を感ずるものでございます。消防庁としてもいろいろ努力はされていると思うのでございますけれども、どういう努力をされているのか、また今後どういう態度をもって望まれるのか。私たちとしては損保協会のあり方いかんによっては、相当な決意を持って消防施設の財源確保について考えを新たにしなければならないのじゃないかという感じすらいたすものでございます。今日の損保償の模様からいたしまして、政府債の融資が受けられない場合には、損保資金であるならば辞退するというような市町村も若干出てきているように何っているのでございます。そういう意味合いにおきまして、消防庁の損保債に対する考え方、今後これをどう持っていこうとしておられるのか、その間の決意等を伺っておきたいと思います。
  29. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘をいただきましたように、損保債は昭和三十年から始まりまして逐年額も増加をしていただいておるわけでございます。ただ利率の点におきましては十年前より若干よくなったようでございますが、ほとんど変わっておりません。ただいま御指摘をいただきましたような全体の情勢も考えまして、私どもとしてはさらに利率の引き下げ方について協力を求めるように、従来からも若干話はしておったようでございますが、今後さらに折衝いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  30. 奥野誠亮

    奥野委員 七年で七分二厘の融資ということでは単なる商業ベースによる融資にほかならないじゃないか、このことを強調しておきたいわけでございまして、消防施設税にかわる措置として別途協力をしたいという申し出であるならば、少なくとも国債なりあるいはそれ以下の条件で融資されるべきではないか、かような考え方を持っておるものでありますので、その気持ちを特にこの際明らかにしておきたい、かように考えるものでございます。  次に、今日文化の発展はまことに目ざましいもりがございます。これらの発展を行政運営の上に生かしていくということは、為政者の忘れてはなつない重要な点だ、かように考えておるものでございます。消防の問題をとってみましても、通信が非常に発展をしてきた。あるいは道路が整備されてきた。自動車の機能というものが非常に充実してきた。あるいはまた消火機器につきましても相当な発展が見られるというふうに、いろいろな面で大きな発展を遂げてまいってきておるわけでございます。そうなってまいりますと、これらを消防行政の上に反映させていく、その一つの大きは眼目もやはり広域的な処理によって能率の高い消防力を築き上げていくということになるのじゃなかろうか、かように考えるものでございます。広域的な消防体制を整備していくという行き方といたしましては、一部事務組合をつくらせるということもございましょう。あるいは徹底して、消防だけじゃございませんが、学校などについても問題が多分にあるようでございますけれども、市町村合併をさらに推進するという考え方もございましょうし、あるいはまた特定の市町村が周囲の市町村消防力を補う意味において、特に充実した消防力を持って応援的な役割りを果たすという行き方もあると思いますし、あるいはまた消防の機能を一部府県が分担をするという行き方もあろう、かように考えるわけでございます。いろいろな考え方があろうと思うのでございますが、いろいろな考え方をそれぞれのところに適当に応用していくのだというあいまいなことじゃなしに、どういう方向が望ましいのか。日進月歩の文化の発展というものを消防力の上に反映させていく、それにはどういう方向が望ましいのか、広域処理体制の整備という点についてどのような考え方をお持ちになっているのか、またどのような検討をしておられるのか、そのことを最初に伺わしていただきたいと思うのでございます。
  31. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 消防が他の行政と同様に、社会の文化、交通、通信等の変化に伴いまして広域化を考えていかなければいかぬという点につきましては、私どもも全く同感でございます。それにつきまして、ただいまおあげになりましたいろいろな方法が考えられるわけでございますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、現行の消防組織法が市町村自治体消防をたてまえとするということに相なっておるわけでございまして、このたてまえは、私は今後とも堅持をしてまいるべきではなかろうかと思いますし、市町村自治体消防のたてまえの上に立ちながら時代の要請に応ずる近代化あるいは科学化と申しますか、そうした方向でいくべきではなかろうかと思う。したがいましてこの際、市町村消防を部分的にせよ府県消防に移していくというような考え方は持っていないのでございます。  そこで、市町村自治体消防をたてまえといたしまして、最近の要請に応じていくためにどのような広域的処理の方法を考えるかということに相なるわけでございます。御承知のように、市町村行政全体につきましての広域的処理のための市町村合併を従来相当進めてまいりましたが、そのことが間接的に消防につきましても広域化をある程度助けておるのでございます。しかし、現状を見てまいりますと、市町村におきまして常備消防を置くものと、政令で指定をいたしておりまする都市的な市町を除きまして、そのほかの町村におきましても最近消防団員が減少する。特に若い者が都会に流出していくという傾向が顕著のようでございます。そこで私どもといたしましては、一部事務組合をこの際真剣に取り上げて検討すべきではないか。数市町村が共同で常備消防を持つ、むろん消防団も併用してまいるわけでございますが、そういうような方向で時代の要請に応じていくということを真剣に検討すべきではなかろうかという気持ちでおるわけでございます。むろんすべての地域に一部事務組合が適当するとも思いませんが、相当活用の余地があるのではなかろうかと思っておる次第でございます。  なお、相互応援体制を強化していくということは、これは引き続き勧奨してまいりたいと思います。これも関係町村の置かれている事情によりまして、相互応援体制がうまくいく場合もございますし、必ずしもうまくまいらぬ場合もございますので、その辺は個々の条件を考えながら指導をしてまいりたいというのがただいま考えておるところでございます。
  32. 亀山孝一

    亀山委員 関連して。ただいま奥野委員の御質問に対して消防庁長官からお話がありました。この広域消防といいますか、これは現在の、いまお話がありましたけれども、機材の高度化及び消防団員の現状から見ますと、常備消防以外の町村消防を見ますと、いま長官のお話のように、若い人がだんだん消防団員にならなくなったという問題もありますが、一面、消防団員でありましても、多く昼間は他の方面に出ておる、出勤しておるというようなところから、昼間に火災のあった場合にはまことに憂うべき現状でございます。ところによっては婦人消防等によって補っておりますけれども、私ども見聞しているところによりましても、非常に懸念にたえません。そこで、いまの奥野委員のお話のように、一部事務組合というような問題、これをぜひ取り上げていただきたい。応援協力という問題、これはけっこうですけれども、これにはいろいろな議論があるし、また経費の負担関係等でなかなか円満にいかぬとも聞いております。ことに機材、人員をそろえる意味からいっても、単なる応援体制はむだなのである。いま長官は市町村消防を原則とすると言われましたけれども、それよりもむしろ一部事務組合という方法によって機材の整備、人員の事あるときの充実という方面にぜひ着眼していただいて、いま慎重にとおっしゃいました、けっこうです、慎重にしてかつ迅速にこういう協力体制といいますか、消防機能の発揮のできますような広域消防について、もう一度長官の御所見を伺いたい。ぜひやっていただきたいと思います。
  33. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 全く先生がおっしゃいましたことにつきましては私も同感でございます。特に、私御承知のように前任の仕事の関係もございますので、消防庁へ参ってみまして、これはぜひ市町村の共同処理の方法によって現状を打開をしていくべきではないかということを、現在まだ就任早々でございますけれども、私自身としては痛感をいたしておる次第でございます。  ただ、部内でいろいろ意見を伺ってみますと、なおそれについてはいろいろ検討すべき問題もあるようでございますが、しかしできるだけ早急に結論を出しまして、そういう方法がいいということになりますれば、強力に指導をしてまいるというふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
  34. 奥野誠亮

    奥野委員 かりにいまお話のございましたような一部事務組合方式を取り上げるといたしました場合には、施設の高度化とかあるいは集中管理とかいったような方法が具体化されなければならないことになるのだろうと思うのであります。その場合に、私年来そのことを強調しているのでありますけれども警察の場合より以上に消防の場合には待機宿舎のような施設を整備する必要があるのではないか、かように考えておるのであります。ところが今日なお実現を見ていない。とにかく実現をさせるのだ。単に宿直だけ泊まっていればいいのだということでなしに、どういう大事に至っても直ちに全力をあげて消防体制に移れる。しかも一刻を許さずそういう体制に移せるということが私は消防にとって一番大切なことじゃないかと思うのでありますけれども、そういう面についての強化が進んでいないように思うのであります。進め方にはいろいろな方法があるだろうと思うのでございますけれども、とにかく四十二年度施策においては必ずこれを取り上げるという決意で臨んでいただきたい。それが伴わなければ、かりに一部事務組合方式をとるにしたところで、私は内容の充実を期することは困難ではなかろうか、かように考えるわけでございまして、この点についての御決意を伺っておきたいと思います。
  35. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまのお話のございましたように、私も警察よりもむしろ消防のほうが迅速に現場にかけつけなければならぬという必要が時間的に強いのじゃなかろうか、かような観点からいたしまして、ただ職員のための住宅を持つというのではなくて、待機宿舎というような形のものがぜひほしい、かように考えておる次第でございます。  内容その他につきましてはなお検討をいたしたいと存じますが、四十二年度予算にはこれが具体化するように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 奥野誠亮

    奥野委員 最近の消防関係の問題を見ておりますと、火を消すという点につきましては非常な進歩が見られる反面に、多くの犠牲者を出し、多数の人命をそこなってきている。これはやはり世の中が進歩してきて、いろいろな化学製品がつくられるようになってきた、そういうようなことが多分に関連していると思うのでありますけれども、和歌山の白浜における問題、あるいは群馬の水上における問題、あるいは川崎における問題、いろいろ数え上げると際限がないと思うのであります。やはり消防力の強化につれて、火を消す点については相当な進歩が見られるけれども、人命を救っていくという点についてなお一段の奮起が望ましいように私には思えてならないのでございます。これはやはり世の中がどんどん変わっていっている。それにどう対処していくかという点についてのもう一段の研究が欠けている点があるのじゃないだろうか。一生懸命努力していられると思うのですけれども、やはり日進月歩の世の中からいろいろな変化を予想する。たとえば火災から異常な煙が発生する、化学製品から異常な煙が発生する、それに巻き込まれるとか、あるいは高層のビルであるとか地下の部屋であるとか、そういうところで起こった場合にどうやって人を助けるか。火を消す点については非常な進歩があると思うのでありますが、世の中がどんどん変わっていっておる。化学製品もあろう、高層ビルもある、地下ビルもある、そういうようなところにどう対処して人を救うかという点について、もう一つのくふうが足りない——と言うとちょっと失礼かもしれませんが、もう一段の力を出してもらいたい。望まれる点が多分にあるのじゃないか。そういう人命救助を兼ねた消防技術をどう会得していくかという問題がございましょう、あるいは人を避難させるのにはどのような機具を用意していかなければならないかというような問題もございましょう、あるいはまた人命をそこなわないような予防体制をどう平素から心がけていくかという問題もあろうかと思うのでございます。これらの点について、消防庁としてどういう決意を持って今後どう対処していこうとしているのか。それらの点について伺っておきたいと思います。
  37. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまのお尋ねいただきました点も、私どもといたしましては現在重点的に検討をしていかなければならない課題と存じておる次第でございます。これにつきましてはいろいろの角度から対策を講じていかなければならぬかと思うのでございます。  現在私どもがいたしておりますことを二、三申し上げますと、まず、消防機関が平素からそういう対象物につきまして立ち入り検査等を励行いたしまして、事前に事故の起こらぬように努力をするという点につきまして、いままでもやっておるようでございますけれども、特に人命につきましていろいろ災害を起こします可能性の強い建築物、施設等を対象といたしまして、特にこの立ち入り検査、調査等の励行をさせたいという気持ちで指導をいたしております。  それから第二番目には、避難器具機材の点でございますが、この点につきましては当委員会におかれましても、本年に入りましてからいろいろ御指摘がございましたことを承っております。私どもといたしましても検討を進めておりますので、現行政令をもっとそういう観点から改善をするということで、なるべく早く結論を得て制度的な改善もはかりたいと考えております。  それから第三番目には、そうした避難施設、器具が備わっておりましても、旅館を例に申しますと、そこに泊っておる人たちがそれの使い方を知らないということではいかぬわけでございますので、その点につきましては、たびたび起こりました事故にかんがみまして、旅館、ホテル業者の代表と懇談会もいたし、業界としてもそれぞれ各業者に対して注意を喚起をする、器具、器材の使用法あるいは非常口等について、泊ったお客さんに対して徹底するようにするということをやってもらうと同時に、私どものほうから消防関係機関に対しましても、その点留意して指導をするように通達も出したところでございます。  それから第四番目には、最近特に起こってまいっておりますいろいろな化学薬品をもとにした特殊災害、あるいはまた高層ビルなり地下街等の災害、あるいは各種危険物災害、それらのものに対処いたしますためには、それを科学的にいろいろ研究をしなければならぬ分野が相当あるようでございます。それらの点につきましては、消防研究所を督励をいたしまして研究を進めてもらっておるわけでございます。なお現在の陣容、施設では十分ではございませんので、明年度予算要求にあたりましても、それらの点も一つの重点事項として必要な措置を講ずることができますように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 奥野誠亮

    奥野委員 いろいろ御努力になっているようでございまして、その点については多とするにやぶさかではございませんけれども、近時自動車事故の頻発などから、とかく人命が軽んぜられるきらいがなきにしもあらずでございます。消防体制の整備にあたっては、この点について一般の御努力をわずらわしておきたい、かように考えるものでございます。  最後に、消防組織法で、消防庁の任務として、市町村消防に必要な人員及び施設の基準の研究及び立案に関する事項が定められておるわけでございます。これに基づいて、消防庁の告示で、昭和三十六年の八月に消防力の基準が発表されております。このことについて考えられますことは、その後において非常に大きな変化が生じてきている。単に先ほど申し上げました通信とか道路とか自動車とかいうような式の問題ばかりじゃなしに、農村人口が都市にどんどん移っていってきているというような問題も、非常に大きな変化として考えられてまいってきていることでございます。そうしますと、このような変化から考えて、消防力の基準を再検討しなければならない時期にきているのではないか、かように思うのでございます。もう一つは、三十六年に消防力の基準が定められたけれども、それの裏づけになる財政措置との間に大きな隔たりがあったように思うのでございます。やはり一つのめどを示す、そのめどは市町村として努力しなければならない目標でございますが、努力すればできるだけの財政的な裏づけを並行してとっておかなければいけないんじゃないか、かように考えるものでございます。でありますから、私は現在の時点に立って、いままで示されておる消防力の基準を、その後の変化を頭に入れ、同時に財政措置と呼吸のあったものにするという方向で、ぜひりっぱなものを立て、市町村がどうやって努力をしていくかその目標を明示され、そして消防体制が一段と確立されてまいるようにみんなで努力していきたい、かような考え方を持つものでございますが、これについての所見を伺っておきたいと思います。
  39. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 昭和二十八年に消防施設強化促進法を御制定いただきまして、その後十カ年計画を立てまして消防力の充実に努力をいたしてまいったのでございますが、御指摘いただきましたように、昭和三十六年につくりました消防力の基準がその後の各種の事情の変化にマッチするように、あるいはまた財政措置との関係も考えまして、再検討する必要がないかどうかという御指摘でございます。その点は、必要があると私ども考えておる次第でございます。現にこの基準に基づきまして整備計画をつくったわけでございますが、その基準そのものは別といたしまして、最近の要請による科学消防力の強化ということにつきましては、別に科学消防力の強化のための予算もちょうだいいたしまして、現在努力をいたしておるわけでございますが、そういう点をさらに、先ほどおあげいただきましたような新しい各種災害の研究の進みぐあいともにらみ合わせまして、消防力の基準について再検討を加えてまいりたい、かように考える次第でございます。  なお、財政措置との関連でございますが、正直のところ、十カ年計画で当初予定をいたしましたものと比べてみますと、現在消防庁で定めてあります消防力の基準に照らしまして、これはものによりましていろいろございますが、総体として見ますとまだ六割程度のようでございます。そこで十カ年計画もすでに七年次まで参っておるわけでありますが、今後いままでのテンポで整備を進めてまいりますならば、あるいはもう十年くらいかかるのじゃなかろうかと思うのであります。しかし、そういうテンポでは当面の要請にこたえるわけにはまいりませんので、明年度予算要求の際にはもう一度これを検討し直しまして、たとえば五年くらいで緊急に整備を終わるというような心組みで、この十カ年計画による財政措置につきましても考え直す必要があるのではなかろうかということで、ただいま部内で検討いたしておる次第でございます。いずれにいたしましても、先生のおっしゃいましたように、財政措置と呼吸の合った整備計画、また消防力の基準というものを持っていかなければならぬという点につきましては、まことにごもっともな御指摘でございますので、この点につきましては十分心に置いて努力をいたしたい、かように思う次第でございます。
  40. 奥野誠亮

    奥野委員 消防力の基準を再検討されるにあたりましては、先ほど来申し上げました広域処理体制の問題とか、あるいは人命尊重の消防体制の確立とかいったような問題も十分に反映されるように御検討をわずらわしたい、かように考えるものでございます。同時にまた財政との適合の問題、財政関係の一そうの協力をぜひ要請していただきたいと思いますし、反面また、財政を無視したような消防力の基準になってしまいますと、どうせできない基準じゃないかということで、基準そのものが一般から無視されるということになっていくおそれもあるということも心得ていただきまして、十分密接な連絡をとってりっぱな基準をつくっていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  41. 岡崎英城

  42. 細谷治嘉

    細谷委員 一言御質問したいのでありますが、いま財政問題について奥野委員からも発言があったわけでありますけれども、四十八国会だと思うのでありますが、市町村消防の損保債等の利子等については、お話があったとおりで、私はこの問題について、損保債が五億円導入された際に、消防力の基準に早く追いつくように、ポンプ等を早く買うのだ、だから補助をつけたところには起債はつけない、こういう方針でよけいポンプを買うようにするのだ、これはまあ言ってみますと、市町村の財政無視ですね。そういうことを私が質問をしたところが、当時の松村長官が、従来のとおり補助をやったところについては起債はやらぬ、こういう考えは改めますということを私に約束したのです。議事録にもはっきり残っております。ところが、どうもそれが松村長官の国会における約束どおり実施されておらない向きが今日あるようであります。私はそんなことはないと思うのでありますけれども、少し口ぎたないのでありますが、消防庁のほうは、新聞にも——私はここに持ってきておりますけれども、イソップ物語を地で行っているようなところがたくさんあるのだね。法令に書いてある、重要文化財等については火災報知機をつけろといっている。五、六年前に、使いものにならないで、そして重要文化財の浴室のところでベルが鳴ったので、十五回も十六回も消防車が出ていった。ところが火事ではない。ところが本物の火事が大徳寺で起こったら全部焼いてしまった。イソップ物語のオオカミと少年のような話なんです。そういうようなことをやっていながら、地についてやっていないのに、どうも形だけ消防ポンプをふやせばいいのだ、こういうようなかっこうでやっているようなんです。ほかの省でもそうでありますけれども、じゃ、国会でいろいろ言われたって、一日か二日しんぼうすればいいのだ、あとはおれたちの天下なんだ、おれたちの世界なんだ、こういうことをうそぶいておる傾向は消防庁が一番強いそうだ。長官もかわったことでありますから、ひとつ新しい気分で、先ほど非常に気合いのこもった、意気込んだ方針を述べられたわけで、私もぜひそういうふうにやっていただきたいと思うのでありますけれども、国会で約束したことを一年後にはもうやっておらぬ、こういうことではどうにもならないと思うのです。約束したとおりやっているのかいないのか、補助と起債とは別ものだという扱いをしているのかどうか、これは一事でありますが、お答え願いたいと思います。
  43. 川合武

    ○川合説明員 補助と起債との御指摘でございますけれども、化学消防車あるいははしご車の金の非常にかかるもの、金額のかさみますものにつきましては、補助の裏づけとして、全部ではございませんが、起債の裏づけをしておるわけでございます。また離島のみならず、今日非常に財政力の貧困な市町村に対しましての補助につきましては、裏づけの起債を行なっております。全体の補助に対しましての起債の裏づけというものには至っておらないので、これは私どももそれをかたい方針としておるわけではございませんで、できればいたしたいのでございますが、そう言いますと、おまえ、だから非力だというおしかりを受けることになると思いますが、事実起債に対しましても、これを全部充当するというまで全体額が至っておりませんものですから、ただいま申しましたような点につきましては起債の裏づけを考慮しておりますが、全部というわけに至っておらないのが率直なところ事実でございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷議員 いま川合次長がお答えした点は、四十八国会における松村前長官の私の質問に対する答えと違う、国会で約束したことを守っておらない、こういうことになります。きょう議事録を持ってきておりますが、私ははっきりそういうことを記憶しております。これは議事録を見ればわかることであります。私はそういうやり方はきわめて不満であります。きょうは、これ以上時間がありませんから言いませんけれども、国会で約束したことを守っておらぬということになりますと、たいへんです。問題を保留しておきます。
  45. 岡崎英城

    岡崎委員長 門司亮君。
  46. 門司亮

    門司委員 もう時間もあまりありませんし、それから同僚から質問をされている事項が非常に多かろうと思いますので、きわめて簡単に二、三の点についてだけ御質問申し上げたいと思います。  これは、もう次長のほうがよく御存じだろうと思いますが、最近のビルその他の火災の場合に、たくさんの死傷者を出していることは御存じのとおりであります。火事に焼死する者がつきもののような感じを与えている現在、かつてありました川崎市の金井ビルの火災の状況は、これは全部焼け死んだわけではございませんで、窒息死で十七人が全部死んでいる。この部屋には火は一ぺんも入っておらない。私もまだ死体のあるうちにこの現場に行って一応見てきたのでありますが、そういう死に方もある。また逃げ場がなくて焼死されている。それからどこかの温泉だったと思いますが、ここでは行楽客が、非常口がありながら、その非常口のドアにかぎがかかっていて、これがあけられなかった。したがって当然これがあけられれば、二十数名の人の命は助かったと思うのだが、それがその非常口の手前で戸があかないで、みなそこで死んでいる、こういうことを考えてまいりますと、結局もう少し消防の指導がはっきりしておれば、そういうことはなかったのではないか。たとえば金井ビルの問題にいたしましても、救命袋もちゃんと置いてある。それからいわゆるなわばしごも七階にはちゃんと整頓して置いてある。しかし、それも実際には使っておらない。そうして数人の人を救出したのは、そのなわばしごを使わないで、隣のビルからロープを渡して、そのロープを伝わって何人もの人が救出されている。わずかに施設の中で使われたのは、火災の発生したと思われる部屋にあった消火器を使った形跡が、当時私が行ったときには残っておった。一体消防自身というものが日ごろどういう訓練をされているのか。おそらくこれらの業者は、いずれも非常口をつくればいいのだ、なわばしごがあればいいのだ、あるいは救命袋があればそれでこと足りるのだということで、ほとんどこれらのものを使うという日ごろの訓練が行なわれていなかったのではないかということが痛感される。従業員のほうは、ほとんど長くつとめている人は私は少なかろうと思う。また到来されているお客さんのほうは、むろんその宿屋にその前の日にいるものでもなければ何でもない。そういう事態に対する知識というものがきわめて乏しいはずである。したがって訓練するのは、やはりそこにいる従事者あるいはその他の人について、救命の訓練が日ごろ十分行なわれていなければならないはずであると考えておるが、これを怠ったことのために、ああいう大きな人身事故を起こしたが、こういうものに対して、消防庁は一体どういうふうにお考えになっているか、どういう措置をされているか、まずその点を最初にお聞きしておきたいと思います。
  47. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 水上温泉の事故あるいはまた金井ビルの事故等にかんがみまして、御指摘のように器具、器材がありましても、それを使用する方法が徹底していないというようなことが人命に対する災害を大きくしたということが認められるところでございます。そこで、消防庁といたしましては、その点について関係の業者についてどうしても徹底をさせなければいかぬということで、特に水上温泉の事故がございました直後、温泉旅館、ホテル関係の業者と懇談会を持ちまして、そこでいろいろこれらの点について御相談をいたしました結果を、ホテル、旅館業者はそれぞれ代表から全国の各業者に徹底するように連綿をする。同時に、消防庁におきましては庁名で各消防機関に通達を…しまして、その点について徹底を期するように処置をいたしたのでございます。  それからいま一つは、これも先生が前国会で御指摘になられた点、承っておりますが、避難器具、器材につきまして現在消防法施行令二十五条で定めておりまするが、この基準を再検討する必要がある、こういう御指摘をいただいておりますが、この点につきましては現在せっかく検討中でございます。これも、ただのんべんだらりと検討に手間どっておったのではいけませんので、私、関係の担当官に、八月一ぱいにそれについて検討の結果を私の手元まで報告するようにということで指示をしておりまするので、その結果が出ました上で、これにつきましても早急にいろいろ改正の措置を講ずるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 門司亮

    門司委員 それでは、これは八月一ぱいに検討した結果が出て、それからだと言われるのですけれども、火事はあしたあるかあさってあるかわからぬのです。私は役所で検討するというようなことも必要かとも思いますけれども、実は、これはそうむずかしい問題じゃないと思うのですよ。非常口は必ずいつでも内部からあけられるようになっておればそれでいいのであって、どろぼうはうちから入るのじゃなくて外から入るのでしょうから、外からあかなければいいので、うちのほうはちゃんとどこに非常口があって、そうしてかぎはどうなっておるかというようなことを各ホテルで各部屋に明示しても、たいした費用はかからないし、私は大きな問題にならぬと思う。何を一体検討しているかということです。私は、消防庁の検討しているということが実はわからぬのであるが、いまこれ以上ここで押し問答しても始まらぬと思いますから……。  それからもう一つの問題は、たとえば火事の場合に建築法との関係でいろいろ私は問題があろうと思う。しかし金井ビルの実態を見てみますと、あれは七階です。入り口の階段はずっと上のほうまでほとんど同一の個所についておる。それから裏ばしごも同一個所についておる。これは一面、同じところから上がって同じところからおりられるのはいいように思いますが、火事の場合に考えなければならぬのは停電です。直ちにまっ暗になる。明るいときには避難のはしごの位置もわかるし、いろいろわかるはずであるが、しかし火事のときには全部暗くなるのであります。停電することはわかりきったことである。したがって、お互いの避難をする場所というものは考えられる。同時に、あの火事は三階から起こっておりますが、三階が火事になって火になってしまえば、四階以上の人がおりようったっておりようがない。はしご段の下が燃えておるのでありますから、おりようったっておりられない。一体こういう建築のあり方というものがよろしいかどうかということです。下が燃えておって、それにあおられて上へ上へと上がっていく。そうしてなくなった人の状況も、四階におった人が五階にまで上がって、五階で死んでおる。あるいは六階であったかと思いますが、下におったことに間違いのない家族の人が上に上がって死亡しておる。上へ上へと逃げるより手がない。そうなってまいりますと、裏にはしごがつけてあっても何にもならない。したがって、建築の基準その他でいろいろ問題があろうと思いますけれども、少なくとも人命に関するものだけは、やはりきちんとした建築をひとつやってもらいたい。こういう点について消防庁としては建設省とも話し合いをされた事実があるかどうかということであります。私がこういう質問を申し上げますのは、あの金井ビルの状況にかんがみ、さらに当局者の意見を聞いて——当局者から出された、はっきり言えば川崎の消防局長から出されたそういう問題に対する現場の責任者としての意見を、私は消防庁にはそのままの書類を差し上げておるはずである。これは現場の局長のほんとうのなまなましい意見でありますから、私どもが理屈やあるいは机の上でものを考えて出したわけではない。現場の一局長の意見というものが必ずしも全体に通用するかどうかということは別といたしまして、現場における全責任を背負った人の意見というものは、やはり私は相当貴重なものだとして、実はそのまま私は消防庁に差し上げておるはずだ。消防庁はそういうことに対して、一体いつどれだけの検討をされてそれを具体化しようとされておるのか。もしその辺の意見がおありなら、ひとつこの際に発表しておいていただきたいと思います。
  49. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまおっしゃいました現場消防局長からの意見、先生のほうからちょうだいをいたしましたものは私も拝見をいたしております。ここに書かれておりますることは、ただいま御指摘のございましたような問題も含めまして、消防庁限りで処置のできない建築基準法関係のものが相当あるわけでございます。特に避難階段等、建物の構造、施設に関係をいたしましたものは建築基準法関係の改正を要するわけでございます。  そこで、その意見をちょうだいをいたしましてから、本年の二月十七日に消防庁次長から建設省の住宅局長あてに、建築基準法及び同法施行令の改正につきまして、今回の金井ビルの火災にかんがみて検討をしてもらいたいという意向を、文書でお願いをいたしてございます。その中に、おっしゃいましたような点も含めておるわけでございます。建設省のほうでは、現在建築基準法全体について再検討を加えておるように伺っておるわけでございます。建築審議会などの意見も聞いておるようでございますが、いつごろどういうめどで結論が得られますか、その点はまだつまびらかにいたしておりませんけれども、私どもとしてはただいま申し上げましたような措置をとっておりまするので、引き就き建設省のほうの作業について関心を持って、これが促進をはかるようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  50. 門司亮

    門司委員 もう時間もございませんので、次に移っておきたいと思いまするが、実は、私よく聞きますのは、たとえば消防庁もかなり熱心におやりのように聞いておりますが、長野県の松代の地震というようなものに対する消防の処置であります。これらの問題は、部分的というかあるいは地域的の問題ではありますが、普通の火災とは違うのでありまして、普通の消防としての考え方がどの辺までなされておるかということについては、私は多少の疑問を持っておるわけであります。私も大正十二年、東京、横浜における大震災に遭遇した。そうしてその当時の状況は十分承知をいたしておるのでありますが、御承知のように、地震があってたくさんの人がなくなるということは、ほとんど火事さえなければ、そういうことは少ないのであります。あの大震災におきましても、圧死された数字というのはきわめてわずかであります。ほとんど全部といっていいほど火災によって焼け死んだ人であることに間違いはございません。ところが地震のときに火事が起こってまいりますと、消防の能力はゼロであります。水道は破壊される、道路は亀裂を生ずる。あるいは、いま日本では地下線でなくて全部電線が上をはっておりまするから、電柱が倒れてくる。これはもう消防の威力というようなものはほとんど使えないのじゃないか。そうして火災は至るところに何カ所か発出しておる。消防車を持っていこうとしても持っていきようもない。夜になれば全部まつ暗でありまするから、これまたいかんともしがたい。燃えるにまかしておくというような状態。一つの地域で何カ所からも火が出てまいりますと、その火に全部その市街地は包囲されてしまって、そうして何方というたくさんな人の生命を失う。今日のように都市が過密してまいりまして広場がなくなってくる現状においては、かりに大正十二年のような大きな震災が東京、横浜を襲ったということになれば、それの何十倍かの死人を出すことは、私は想像にかたくない。こういう事態に対して一体消防はどういう処置をおとりになろうとしておるのか。これは松代の地震を考えてみましても考えられることである。こうわれわれが考えてまいりますと、天災に対して、人力によってこれをどう予防するかということはきわめてむずかしい問題ではあろうかと思いますが、だからといってこれを放置しておくわけにはいかない。少なくとも地震による消防関係の一番大きな問題は、火事を出さないということをやはりその地域に徹底させておく必要があるということであります。先ほど申し上げましたように、関東大震災でも、火事さえなければあれほど大きな死傷者は出さなかったのであります。したがって、震災に対しまする消防の策も大きな課題というものは、火の始末をどうするかということを各戸に完全に徹底させるということ、新潟の地震における火災も、あれが石油タンクから出てきた火災であるか、あるいはどこから出てきた火災であるかということは、国会でもかなり議論になりました。これは損保協会との間でいろいろ議論が出てきて問題になったことは御承知のとおりであります。そういう点について、一体消防庁は松代地震等に対してどういう処置を今日まで指導されたのか、この機会にもし御発表ができるなら、ひとつその点を明らかにしておいていただきたい。
  51. 川合武

    ○川合説明員 地震における火災の問題は御指摘のとおりでございまして、私の記憶するところでも、たとえば栃木県の今市の地震は、各自の家庭の初期消火といいますか、火を出さないということによりまして、地震そのものはあれだけの強烈なものであったけれども、無名の地震に終わらしめている記憶もあるのであります。私どもは、いま御指摘の点を基調といたしまして現地の消防機関、ことに消防団が、この場合におきましてはほとんど各地域に溶け込んでといいますか、いわばその地域の中核となりまして、火の注意、これらについての訓練を行なっておるわけでございます。なお、もし万一出た場合におきまして、われわれの消防体制でございますが、これは徹底した分散配置をすべきであるという考えで、大型のポンプはお話しのように交通その他の状況で機能を低下いたしますので、先般来二度にわたりまして行ないました特別の補助によりまして、小型動力ポンプ、防火水槽の二つにしぼりまして徹底した分散配置の方針を指導しておるわけであります。  なおついでに、多少得意になって申し上げて恐縮でありますが、新しい考え方としまして、老朽といいますか、倒れんとする家があるわけであります。地震に耐えられなくて倒れるおそれのある家があるわけであります。で、生計の困難な者に対しまして県が補強いたします木材というものにつきましても、この二分の一でございますが、国庫補助をいたした次第であります。これはそのことによりまして、お話しのように、努力と相まちまして火事を防ぐために必要だ、かように考えたからでございます。  以上でございます。
  52. 門司亮

    門司委員 時間もございませんので、これは大臣に率直に聞きたいと思うのですが、火災と消防、建築と建設省の関係、この関係がどうもうまく行っていないのじゃないかというような気が私どもするのであります。建築については建設省でやられる、そうしてもし火災が起これば、それのあと始末は消防がやる、先ほどからお伺いをいたしておりますと、建設省住宅局との間に話を進めておるということでありますが、これらの調和は一体どこでほんとうにおとりになるのか。私ども消防をやかましくいっても、建築のほうでこれに十分の処置が講じられていなければ、結局消防はしりぬぐいをしているだけだということになって、死人が出る、けが人が出てくれば一応消防力が云云されるということになって、消防庁はあまり割りのいい役目ではないと思うのです。その点について大臣はどうお考えになりますか。先ほど重要文化財その他の関係等もございましたが、これらの問題が、単に消防庁だけの責任であるかのようなことでなくして、やはりもう少し関係各省は十分なる話し合いの中で、消防庁が十分に活躍のできる施設あるいはそれに要する費用というようなものが相談をされて考えられないことですか。重要文化財等は文部省に関係があろうかと思いますが、体文部省は重要文化財を守ることにどういう手段とどういうことを考えておるか、あるいは建設関係については建設省はどういうことを考えているのか。これはやはり三つが一体になって真剣に考えてもらわなければ、予算確保といっても消防だけの問題であっては私はなかなか無理じゃないかと思う。その辺のことに対しまする考え方について、もし大臣の御意見があるならばこの際聞かしておいていただきたいと思う。
  53. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生のおっしゃいますこと、全くそのとおりでございまして、消防にとって一番大事な建築物の耐火性と申しますか、そういう問題は建築基準法で、建設省が主管する法律で規制をする、またそういう物質についての研究は建築研究所で行なっておるというようなことでございます。そこで、これは役所がそれぞれ権限を分かって責任を持ってやっておることでございまするので、役所間の連絡を密にいたしまして、そうして政府全体としてうまくいくように努力をしていかなければならぬと考えておる次第でございます。それらの点につきましては、私も率直に言うて、従来もう少し緊密な連携をとるべきだということが、各省間におきましてなお努力の足らない点があろうと思いますので、その点は気をつけてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 門司亮

    門司委員 どうもそういう点、抽象的なことだけの御答弁だとまだ言わなければならぬようにだんだんなってくるのでありますが、各省間で人命を守っていく、あるいは重要文化財をお互いが守っていくということは非常に大きな問題であることに間違いがない。それと同時にもう一つ大きな問題は、たとえば昨年でありましたか、例の横浜の鶴見川の下流、海上で起こった船火事がある、あの場合でも、一体消防庁の権限がどこまで及ぶのか、あるいは海上保安庁がどうするのかということになると、ここにもなわ張りがある。船が岸から離れておれば、これは海上保安庁の関係だ、接岸して焼けておれば、おかに火がついてくれば消防庁の関係だなんということで、お互いに自分のなわ張りというか、持ち腸持ち場だけしかしない。焼けておるほうはどんどん焼けてまごまごするとおかに火があがってくるかもしれない。船だけでおさまるかもしれない。私はそういうなわ張りからくる——あの鶴見川の下流で行なわれた十何隻かの船が焼けて、そうして実際は手がつけられなかったような状態になる。ところが、あのとき焼けなかった船というのは、一体どういう形であるか。これは自由に動ける地位におって、位置を変更することの十分にできた船だけが、二つか三つかバージが焼け残っておる。あとはほとんど全部焼けた。こういう場合でも、なわ張りというよりも、もう少し——なるほど海の上のことは海上保安庁でやるかもしれない。消防は海の上まで見ないといえば、見ないでいいかもしれない。しかし、火事であることに間違いはないのであって、しかも消防の中にも消防艇とかその他持っておる。こういう場合の指揮系統、命令系統というのは、一体どういうことになるのかということであります。この辺が明確になっていないと、結局現場に行っても、いやそこまではおまえのほうだ、ここまではおれのほうだということで、迷惑をするのは焼けている本人だ。こういう点は将来一体どういうふうに指揮系統をされようとするのか、その辺をお伺いしておきたいと思いますことと、それからもう一つ最後に聞いておきたいと思いますことは、いろいろ財政上の問題で聞きたいこともございますが、きょうは時間もございませんので、具体的な問題だけを聞いておきますが、この間四号台風以下のいろいろな災害があった。その場合の水防団の関係であります。これはほとんど消防団員とダブっている、こういう形を持っておって、大体水防団員だけが特別にあるわけではない。ところが、片方には消防団というものがあり、片方には水防団というものが法律上できることになっておる。これらの調節は、一体どこでその指揮命令系統というものをはっきりさせるか。これは両方とも大体消防庁の管轄の中に置かれているんじゃないか、少なくとも現状は置かれているんじゃないかということが考えられる。だから、消防は火と水と両方の防衛体制をまかせられておるというか、受け持ちになっておると考えても差しつかえがない。こういう点について、もう少し水防関係等についてもやはり——消防がいろいろな問題をやっておるから、それでよろしいということになれば、それでよろしいかもしれない。  それからもう一つ、私は消防関係で変わった方面で意見だけをこの際聞かしておいていただきたいと思うことは、救急車の問題であります。これも法律では、御承知のように消防の受け持ちになっている。従来救急事業というのはどこの受け持ちだかわからなかったのであるが、しかし、消防がやっておったから、法律消防がよかろうということで消防のほうでやっておる、義務づけられておる。そうすると、消防の仕事というのは火事も受け持つし、水防も受け持っておる、あるいは道路では病人、交通事故等が起こった場合の救急作業も消防がやらなければならぬことになる。いわゆる人命に関する非常災害のほとんど全部といっていいものが、消防の所管に大体今日なっておる。こういう問題について、いまの消防庁、あるいは地方に参りますと消防局というような陣容で、十分これの処置ができるかどうかということなんです。と同時に、全国を見渡してまいりますならば、これは消防庁のほうがよく御存じだと思いますが、まだ救急車を持たない邪心、町村がかなりたくさんあると思う。こういうものに対する財政上の処置あるいは指導がどう行なわれておるか。  以上三つの点は、おのおの実態は違いますけれども消防庁に課せられた人間の命に関係する問題でございますので、この三つに対する消防庁の意見がもしおありならば、この際はっきりしておいていただきたいと思うことと、最後の救急車の問題については、持っておらない町村がかなりたくさんあります。だから、少なくともいまの法律のたてまえからいけば、この面だけを町村の組合か何かをつくって、そうして一つの町村で、あるいは一つの小さな市で救急車を持つということが非常に困難だとするならば、二つか三つのもので持ってもらいたい。  それから最近起こった一つの事件としては、救急車を申し込んだが、それは市が違うから、あるいは町が違うからといって断わられたという実例がある。消防庁は私は御存じだと思う。せっかくそういう制度が法律上あるものを、その施設がない、器具を持っていないというようなことで、これを受け付けるわけにいかない、あるいは行政区域が違うから、それを受け付けるわけにいかないというような事実も、ごく最近あったことを私は消防庁御存じだと思う。これらの問題について消防庁はどういうふうにお考えになるか、この際御意見があるならば、はっきり聞かしておいていただきたいと思います。
  55. 川合武

    ○川合説明員 海上の火災、港湾の火災の問題でございますが、御承知のように、一応の限界というものは文章の上ではございますけれども、昨今錯綜してきております港湾の状況でございましてことに岸が海にせり出してきておるというようなコンビナートの状況におきましては、現実の問題として事に処するその場合においての現地の消防機関が、いろいろ苦慮しておる点でございます。これらにつきましては、応援協定という一応のシステムをとって私どもも指導いたしておりますが、いま申しましたように、非常に複雑な様相を呈しておりますものですから、確かに多くの問題点を投げかけております。室蘭の場合を例にとりますと、その場合の指揮系統は、一応あそこの市長——消防はほとんど市に属しておるわけでございますが、海上関係、保安庁関係も一つの対策本部をつくりまして、市長がそこで指揮をとったわけでございます。あそこは御承知のように長くもめまして、苦闘した結果の自然発生的な組織とも言えるわけでございます。一つの今後の参考になる考え方ではないかというふうに思って、さらに検討を続けていきたいと思っております。  それから水防の問題、これはお話しのとおりでございまして、末端へ行きますと、現場で活動いたしますのは消防団でございます。これはあるいは水防団の名のもとに呼ばれ、あるいは水防団と二枚看板というようなことでございまして、基づくところは水防法でございまして、私どもこの水防法につきましては、これは現存する法律でございますので、とやかく申すのはかような席では差し控えなければならぬと思いますが、しかし、現地においての実際に活動する連中は、これによっていろいろむだなエネルギーと申しますか、苦労があるのではいかぬので、何とかこの間についての問題を前進させなければいかぬ。災害対策基本法の防災計画において、これを結びつけ、指揮と申しますか、運用について防災計画の大きなかなめにすべきであるというふうには各市町村には言っておるわけでございまして、さような状況でございます。  それから救急でございますが、現在御承知のように法律義務でやっておりますのは百五でございまして、そのほか任意で自主的にやっておりますのが二百九十六ということでございまして、これは救急の任意のほうが法律でやっておりますよりも非常に多くなっておりますということ自体は、すでに救急の必要性というものが高まってきておるわけでございます。私どもこの救急の制度をさらに各都市に、やってないところで、しかも交通量その他の多いところがあるわけでございますが、もっと広くこれを行なうように——しかし、これは財政的な裏づけというものもむろん考えなければいけないと思いますが、さような点で、新しい長官の積極的な方針の一つにもなっておるわけでございます。  なお、それらにつきまして、一つだけではやれない、あるいは隣のために救急車を呼べなかったという、御指摘のような点の不合理な点といいますか、あれもありますものですからもそういう点につきましては、先ほど長官の言われました共同処理の方式というようなものとあわせて前進していきたい、かように思います。      ————◇—————
  56. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公務員給与に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。組谷治嘉君。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、人事院勧告が八月の上旬になされるようでありますから、地方公務員も準じてなされるわけでありますから、それの財源等について自治省はどう考えているのか。もう一つは、ILOの政令施行に伴いまして、たとえば交渉のやり方なり、あるいは管理職の範囲等について、地方では若干の混乱があるようでありますから、この二点にしぼってお尋ねしたいと思います。  まず、行政局長にお尋ねいたしたいのでありますが、七月十七日の日本経済新聞の記事に「地方の人件費減らす」、「浮いた分公共投資」へと、こういう見出しで、自治省としては「(1)地方財政計画に占める人件費の比率を地方財政法などの法令によって一般財源の一定率以下に制限し、その代わり費用の使途、方法はいっさい地方団体の権限にゆだねる(2)地方公務員の定年制を採用するとともに給与体系を能率給に改める(3)地方公務員法を改正し、地方公務員給与水準を現行の「国に準ずる」から「国の水準をこえないこと」と改める(5)地方公共団体が管理している公共施設の運営をできるだけ民間に委託して、職員数を削減する」、こういうような自治省の方針が書かれております。そしてさらに、いわゆる補助職員というものを大蔵省等でも大幅に減らす、こういうこともありますし、あるいは国の財政の悪化というようなことから、たとえば公営住宅の用地費はもう補助しないんだ、こういうような地方の行財政にとって非常に重要な記事が最近出ておるのでありますが、いま私がお尋ねいたしました地方の人件費を減らして、その分を公共投資にするという、いま朗読いたしました四点、こういう方針をお持ちなのかどうか、こういうことでおやりになるという方針決定したのかどうか、これをまずお尋ねしておきたいと思います。
  58. 長野士郎

    ○長野政府委員 お答えいたします。  お尋ねのございました新聞記事は、私どもも実は読んだわけでございますが、その内容につきましては、自治省としては何ら関知しないところでございまして、入手いたしました記事の人手先はどこか存じませんけれども、したがいまして、自治省がそういう方向で方針決定したとかどうとかということは、全然ございません。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省はこういう方針決定しておらない、自治省の責任ではないのだ、単なる新聞記事だ、こういうお答えでございますから、そういうふうにきょうは確認をしておきたいと思う。  次に、財政局長にお尋ねしたいのでありますが、今年度の地方税全体としては、地方財政計画に見積もったものとどういうような変動があると、いま推計しておるのか。  第二は国税三税、これは交付税にはね返ってくるわけでありますが、国税の伸び等についてはどういうふうに見積もられておるのか。おそらく財政局長、いまの段階ではわかりませんと、こうお答えになるだろうと思うのですが、昨年のいまごろは、大体においてもう通常国会の終わりごろに予算に見積もった国の税収というものはかなり大幅に穴があくのだ、千五、六百億程度の穴があくのだ、こういうことが盛んに言いふらされておって、交付税でも大体はね返り五百億程度の穴があくだろう、こういうことがいわれておった。事実そのとおりになったのですね。ですから、いまもう、専門家でありますから、かなり的確な、当らずといえども遠からずという数字をおつかみになっているのではないか、こう思うのであります。この点のひとつお見通しをお聞きしたい。
  60. 細郷道一

    細郷政府委員 御指摘のように、まだ年度の最初でございますしいたしますので、年間の収入の見通しは現段階では困難でございます。ただ、五月末で道府県税について見てまいりますと、五月末におきます道府県税の収入額は、年度当初の地方財政計画の見込み額に対して約一二・九%ということになっております。   〔委員長退席、和爾委員長代理着席〕 ここ数年間におきます五月末の収入率というものも、平均してみますと大体そんなところでございます。そういったところからいたしまして、この限りでは、財政計画で見積もっております額はおおむね達成できるのではなかろうか、こういう非常に荒い見通しがいま立てられているわけでございます。もとより御承知のように、税収は、その年の大きな変動は九月決算にあらわれてまいりますので、その推移を見てみないとわかりかねると思いますが、五月末ではいま申し上げたような状況でございます。  なお、国税につきましても、五月末はどういう状況であるかと言いますと、国税の一般会計全体といたしましては、予算に対して五月末で一六%収入されております。昨年が一四・四%ということでございました。その数字だけから申しますと、五月末のところでは、国税は去年よりも予算に対する収入率はちょっとばかり上回っておる、こういうことが言えるのでございます。ただ、これを年度間に見ますにつきましては、地方税におきますと同様、九月の決算等を見てまいらなければならないと思います。  それから、なお、自治省に対しましては、本年度は法人の徴収猶予がわりに少なくなっております。御承知のように、いわゆる三カ月の徴収猶予ができる規定になっておりますが、即納がかなりふえております。いろいろ市中金利その他の関係があるのだろうと思います。そういったようなことも三月決算では出ておりますので、そういった情勢が今後どういうふうに動いていくかといったようなことも見てまいらなければならぬ、かように考えております。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 具体的のお答えをいただかなかったのでありますけれども、地方税も、いまのお話によりますと、大体普通のペースぐらいで地方財政計画からいくと伸びるんじゃないか。いま一二%程度というお話でありますが、国税のほうも穴はあかない、若干伸びが期待される、こういうお見通しを持っておるのではないかと思うのです。  ところで、これは大臣にひとつお尋ねいたしたいのでありますが、八月の中旬ごろに——昨年は八月十三日だったのでありますが、今度は中旬ごろにということで、公務員の給与の引き上げというのが六・七%程度——私は六・七%がいいか悪いかということはきょう議論を申し上げませんが、六・七%程度の引き上げの勧告がなされるのではないかということを最近の新聞は報道しております。ところで、かりに六・七%程度の勧告があったといたしますと、これに必要な地方財源というものは、おおよそ五、六百億円と推定されております。そういたしますと、四十年度は全く別ものでありますが、三十八年度、三十九年度等のペースからいきますと、三十八年度、三十九年度もやはり地方税はかなり伸びておるわけです。国税の伸びもあって、交付税にはね返ってきておるわけです。しかし、三十九年度においては、この給与財源としての百五十億円というものは、実質的には交付税の先食いという形で補てんされたわけなんです。今度の地方財政計画にはこの財源を見積もっておりませんから、今日の地方財政では、若干の税の伸びがある  すでに地方財政計画で百五十億円というものは当初から押しつけておるわけですから、もう節約の余地がない、こういうことになりますと、交付税もかりに若干のはね返り増があっても、あるいは地方税の若干の伸びがあっても、この財源というのは、残念ながら国においてその不足分は責任を持っていただかなければならぬのではないかと思うのであります。五十一側国会の地方財政計画等の審議の際に、大臣としては、給与財源については、自分としては国においてやはり責任を持って国に準じてできるようにしたいという決意のほどを述べられたわけでございますが、勧告を目前に控えまして、ぜひひとつ大臣の御決意のほどを、あるいはこの財源措置についての基本構想についてお聞かせをいただきたい、こう思うのであります。   〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 永山忠則

    ○永山国務大臣 人事院勧告が出ますれば、国家公務員について給与改定が行なわれるのでございますが、地方公務員につきましても、やはり国家公務員に準じてやる考えでございます。そしてそり財源的処置につきましては、国と地方と一体の立場におきまして、十分財源の処置をいたしたいと考えております。その具体的内容等は、税収そり他を児なければわかりませんけれども、十分財源的処置をいたしまして、地方財政の安定というてこに努力をいたす考えでございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、十分に手当てをしたい——むろん地方税の伸びなりあるいは国税の伸び等まだ明確じゃないわけであありますから、基本的な姿勢としては十分にめんどうを見るということでありますが、この問題について、ひとつ大臣にぜひこれはやっていただかなければいかぬことは、先ほど申し上げましたように、三十九年度は不足分百五十億円というのを交付税の先食いという形でやったわけです。昨年は、三百億円というのを、これもまた交付税の先食いという形でやったわけです。何のことはない。タコが自分の足を食っているようなものです。こういうことでは、これをまた三年連続して続けるということでは、先ほど大臣のおことばにあった地方財政の健全化の方向で十分の財源措置をするのだという御趣旨に沿わないのではないかと私は思うのであります。ですから、ほんとうに名実ともに財源手当てをしたということで御配慮いただくことが必要ではないかと思うのでありますが、この点いかがでしょうか。
  64. 永山忠則

    ○永山国務大臣 こそく的な手段を用いずに、十分に健全財政の立場に立って財源的措置をするようにいたしたいと考えております。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 ついでにというとたいへん恐縮でありますが、いま、いつ開かれるかわかりませんけれども、通常国会の前に臨時国会が開かれることも間違いないと思うのでありますが、その節、いろいろな補正要因が多いといわれております。この地方行政委員会、また、自治大臣、大蔵大臣も含めて、責任ある問題として、例の固定資産税に関連する五十二億円の措置というのが、実は五十一回国会の次の国会ということで約束をいただいておるのでありますが、五十一の次は五十二——五十二というのは今国会であります。今国会は特殊な使命を持って召集された国会でありますから、冒頭の理事会で、今国会ではその補正をやらないということは、「次の」ということばからいきますと問題がありますけれども、実情は私どもは了承したのでありますが、次の補正を行なう臨時国会でぜひとも措置していかなければならぬ問題だと思うのでありますが、この問題についての大臣の御所見をひとつお聞きしておきたいと思います。
  66. 永山忠則

    ○永山国務大臣 御意見のとおりにいたしたいと存じます。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、それぞれ簡単に質問してまいりますが、行政局長にお尋ねいたします。  六月十九日と思いますが、行政局長名で、昨年のいわゆるILO問題に関連する事務次官通達に基づいて行政局長通達というのを出されたわけです。その中には、「管理職員等の範囲を定める規則について」というのが盛り込まれないで、あとでこの通達を出すということになりまして、四十一年七月九日に、自治省行政局長名で都道府県知事に通達が出されております。この通達についてまずお尋ねしたいことは、当時、この委員会でもこの問題について質問があったのでありますけれども、自治省としては、十分慎重にこの問題は取り扱いたい、ILO八十七号条約の精神と、もう一つは、従来の慣行を尊重した立場で、たとえば、当事者である自治労等とも打ち合わせた上でこの通達は出したいということでございました。そうして七月九日に出たのでありますが、その前に、私どもは、自治省が原案として出されておる資料、それを資料としていただいたのであります。それとあまり変わっておらないのであります。この委員会でも指摘された問題等はほとんど生きておらないのであります。比較をしてみますと、守衛というのを守衛長に直した、その程度でありまして、この委員会で発言されたことはほとんど手を加えておりません。言ってみますと、九八%ぐらい自治省の原案のとおりこの通達が出されておる、こういうふうに思うのでありますが、どうもその間の経過からいきますと、自治省は少しこの問題について独走しているんじゃないか。独走ということばは何ですが、少し独善じゃないか、こう思うのでありますが、御所見いかがですか。
  68. 長野士郎

    ○長野政府委員 お話にございましたように、七月九日付で行政局長名をもって、前の通達で別途管理職の範囲等につきましての参考例を送るということにいたしておりましたものを送付をいたしたわけでございます。  内容につきましては、当委員会でいろいろ御論議がありました点につきましても十分検討を加えまして、その上で関係の自治労等とも話し合いをいたしたのでございまして、全部が合意に達したというわけではございませんが、二、三の点を除きましては大体合意に達したように聞いておるのでございます。当時原案を当委員会にお示ししたというふうに実は聞いていないのでございまして、おそらくそれは国家公務員に関しますところの人事院がつくっておりました案のことではないだろうかと考える次第であります。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 局長さんもかわっておりますから、当時の経過はおわかりにならないと思うのでありますが、たとえば今度の通達の中に、診療所とか公民館とか保育所とか、所長、館長というのは管理職だという大原則に立っておるのですね。表の中にちゃんと市なり町村と書いておる。ところが、市や町村に行きますと、保管所の所長というのは、名前は所長でありますけれども、実際には係長よりも下なんですね。本庁の係長よりも下なんです。公民館といいますと、おそらく職員が一人か二人しかおらないところですが、長という名前はついております。そういうことでありますから、もっと実情に即したようにしたらどうですか。そのためには表からこういうものは消し去って、確かに原案と違うところは、「所長および館長で、その職務が労働関係に関する事務以外の事務に限られるものは除かれる。」この注が入ったんです。入ったんですから実情を考えなさいということだったんですけれども、この所長とか何とかそういう実際の格づけなんですから、これは原則としてもう管理職じゃないんだ。しかし、その中で労働関係をやっておるならば、問題は管理職ということにしなければならぬが、それは例外的なものなんだから、むしろそういうことは注で書いておいて、原則として表の中に入れないほうがいいじゃないかという意見がありました。私は先週三つばかりの町村に行きまして実態を聞きましたら、これは町長さんも困っておる、組合側のほうも困っておる、表の中に入ってきたもんですから。なるほど注はありますけれども、町長さんも組合側も実際困っておる。どうしたもんでしょうかと私に質問しております。そういうことで、なるほど労働関係に関する事務以外のものは管理職ではないんだ、こういうように注には書いてありますけれども、考え方の原則というものは変わっていない。そのために町村あたりでは、町村当局も職長組合もむしろ混乱しておる、こういうように私は思うのでありますが、どういうふうに受け取っていらっしゃいますか。
  70. 長野士郎

    ○長野政府委員 申し上げるまでもなく、先生のほうはすでに御承知だと思いますが、この七月九日に通知いたしましたのは、参考例といたしまして、県市町村についての一例を示したものでございます。具体的に管理職の範囲を決定いたしますのは、それぞれの地方団体におきますところの人事委員会及び公平委員会であって、中立機関におきまして各地方団体の職制及び権限の分配の実態に基づきまして範囲を定めるものでございますから、必ずしもこの参考例どおりということにはならないわけでございます。御指摘のございましたような公民館等の場合におきましては、いわゆる小規模の出先機関である場合が多いという御指摘でございますが、小規模の出先機関におきましても、人事とか労務等についての権限を有しますところの所長は、やはり管理職等の職員としてこれに該当するといわざるを得ないわけであります。注書きにございますように、その職務が労働関係の事務に全くタッチしないということであります場合にはそれは除かれますが、規模の大小ということももちろん一つの問題ではございますけれども、小規模でございましても、そういう意味で労働関係に関する事務にタッチしておる、それをつかさどっておるということでありますならば管理職員に該当する、こう考えざるを得ないので、こういう参考例を示したわけでございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 長野局長の考え、私もそれは理解できますが、やはり自治省というのは自治体にとりましては神さまのようなものなんですね。神さまのようなもの、それはけっこうなことなんです。自治省を信頼しておることなんですから、神さまのようなものです。その紙の上に表の中に書きますと、それは糸へんの紙じゃなくて、ほんとうに神さま扱いにされて、そっくりそのまま機械的に適用されるところに適用しようとする、こういうところに私は問題があると思って、そういうことを私は先週、町長さん三人から、この表の中に入ってきたのでもう実は困っております。こういうことばを聞きました。しかし、まあそういう実態をひとつ十分わきまえて、必ずしも自治省がお考えになっているようなふうには受け取っておらないということを申し上げておきたいと思います。  そこで、いま行政局長さんのことばの中にもありましたように、この問題は、それぞれの人事委員会なり公平委員会によってその基準というのはきめられるわけでございますが、地方自治体でございますから自治省を信任するということはたいへんけっこうでございますけれども、最終の意思決定というのは、やはり自治体が責任を持ってやらなければならぬと思うのであります。これにとかく自治省が干渉をしているということを聞くのであります。長野局長がおっしゃったようなことではなくて、自治権を侵害するような干渉をしておるように聞くのであります。具体的な例は、私は握っておるのでありますけれども、これはまずいと思うのです。やはり人事委員会なり公平委員会がきめたことについては、自治省は干渉しない。それは自治体の法律に基づいた人事委員会、公平委員会がきめる。これに条例をつくる。住民から選ばれた議会がきめるわけでありますから、自治省が示した基準というもの、いわゆる例、規則案、条例案、基準案というものはそれでけっこうでありますが、その基準案をがんじがらめにして干渉するということになりますと、これは基準案じゃないですね。自治省がきめたということになるのですから、問題があろうと思うのです。したがって、自治省としては、この問題について干渉しないということを約束していただかなければいかぬ。当然なことなんです。私がここの席でこんなことを言うのがおかしいのであります。いかがでしょうか。
  72. 長野士郎

    ○長野政府委員 七月九日の管理職等の範囲を定める規則について通達を出しました際にも、その前文を読んでいただきますとおわかりいただけますように、この参考例の趣旨を明らかにしております。これは一例である、そして、具体的には中立機関でありますところの人事委員会または公平委員会が、その地方団体の実際の権限なり職制の実態というものに基づいて具体的に決定をすべきものであるということを明らかにしておるわけでございます。ただ、改正法の趣旨を誤りましたり、あるいは逸脱しましたりすることがないように、自治省としては、もとより地方自治の本来の考え方というものに従いまして、干渉をいたしましたり強制にわたることは絶対に避けるべきであるというふうにもちろん考えておりますが、何さま改正法の実施に伴いましていろいろふなれな問題もございますし、そういう意味で、必要な場合には意見を述べまして、そうして指導上の責任を全うし、適切な良好な結果が得られるようにいたしたいということで考えておる次第でございます。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 あるところで今後の労使の諸問題の取り扱い上予想できないこともあるし、また自治体として当然なことでありますから、たとえば、その他任免権者が認める——おたくのほうの通達の中には二つしかないわけですね。ですから、自治体でありますから当然、その他任免権者が特に必要と認めた場合というような一条を入れるということについては、断固いかぬということで、ある市でそういう条項を入れようとしたところが、地方課を通じて削除しろと命令したということを聞くのでありますが、そういう事実はありませんか。
  74. 長野士郎

    ○長野政府委員 お尋ねの件は、福島市における事例ではないかと思うのでございますが、福島市におきましては、お話しのとおり、行為の制限の特例に関する条例を市会に提案いたしますにあたりまして、私ども、自治省の準則にはない場合といたしまして、その他任命権者が必要と認める場合という条項を加えて提案をいたしたと聞いております。これが六月二十八日ごろであったように聞いておりますが、その当時福島県の地方課からそういう連絡を受けております。また、市の当局は、その後検討を加えました結果、七月二日に同条例案を撤回したということを聞いております。しかしながら、私どものほうでは、このことについて自治省が福島市に直接指示したことはないというふうに聞いております。ただ、県の地方課から連絡がありました際に意見を求められましたので、そのような条項を新たに加えることは改正法の第五十五条の二第六項でございますか、職員が、給与を受けながら、職員団体のためにその業務を行なったり、活動してはならぬ、ただし条例で定める場合は別だという条例の特例事項としては、この趣旨からして妥当でないということを、県の地方課に対して意見を述べたということは聞いておりますが、直接干渉したというふうには聞いておりません。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 なかなかデリケートでありまして、先ほど言ったように、自治省はやはり神さまのように思っておりますから、自治省はこういうふうに考えている——なるほど例を出しているのですから、例は二つしかないわけですから、条例できめればいいわけですが、干渉したことはないと言うけれども、自治省が言ったら実質上地方課あたりではやはりそれは大きな権威になってくるわけでありまして、そこに自治省が特に地方団体に対しては慎重を期さなければならぬ点があろうと私は思うのです。しかし、時間がありませんから、この点はそれ以上申し上げません。  私がこの問題について五十一回国会で御質問した際に、今度は交渉をする場合には予備交渉をしなければならぬ、こういうことでありました。ではその予備交渉というのは当然交渉の中に入るものであって、これは賃金カットの対象にならぬのではないかと言ったところが、行政局長は、最初はそれは賃金カットの対象にならぬのだと私の意見と一緒だった。うしろのほうから引っぱられて、いやそれは私の間違いでありました、賃金カットの対象になります、こういうことでありました。そこでもう一ぺん言いましたら、それは検討してみますということで、そして六月二十七日と思いますけれども、最終日のこの委員会理事会で、予備交渉はやはり交渉の一部とみなしますという御回答をいただいたわけであります。したがって、議事録にとどまっておりません。理事懇談会でそういう自治省の御意向を聞いたわけでありますから、ひとつこれはきらんと議録にとどめておかなければならぬと思うのでありますが、そのとおりでありますね。
  76. 長野士郎

    ○長野政府委員 特例条例の解釈といたしまして、適法な交渉を行なう場合という範囲の中にはどの範囲のものが入るか、予備交渉が入るか入らないかという問題だと思いますが、適法な交渉といいます場合に、条例でそれぞれ適法な交渉ということの規定をしておるわけでございます。その条例の解釈に認められますところの範囲であればそれは含まれるということに相なるわけでございまして、一般的に申しますと、適法な交渉を行なう場合というものには、適法な交渉に付随する行為は含まれると解することが妥当である。適法な交渉に入る前の若干の時間、あるいは適法な交渉を行なうための取りきめというようなものがその趣旨に従って行なわれます限りは、それに要する必要最小限度の時間というものはそれに含まれるということで、給与の減額の対象にはならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、この辺はすっきりしたほうがいいのじゃないか。自治省の現実的な考えというのは、予備交渉というのは大体どこで、何時に、四人で話し合うかということは、専従の書記長がおるから、それなら予備交渉なんて認めぬでいいだろう、こういう考えがあったようにうかがうのであります。しかし、それはまずいのであって、専従しているというのは、自治体全体からいきますとごくわずかでありますから、交渉の予備交渉というのは、今度はっきりと法令できめられたわけでありますから、これはやはり交渉の一部としてみなさなければいかぬ。それから、その予備交渉をやって、交渉をやって、数字の詰め等があった場合には、これもやはり交渉の一部としてやっていかなければ、交渉というものはうまくいかないのじゃないか。やみで当事者同士が認め合ったら、これは決して好ましい姿じゃないのじゃないか、こう私は申し上げたわけです。したがって、必要なものはやはりきちんと認めていく。余分なものを認める必要はない。また、あまりに臨機応変というものも好ましくないだろうと私は思うのです。  ところが、これは変な現象が起こっておるようであります。御存じであろうと思うのですが、実例を申し上げます。どこそことかなんとかは申し上げませんが、たとえば交渉をする場合には、往復時間があるわけですね。市役所あたりですといいですけれども、県の本庁といいますと、たとえば代表の人が行ったとすると、往復時間、十分かかる場合もあるでしょうし、あるいは三十分かかる場合もあるでしょう。そんなものもそのためだというわけですね。そうすると三十五条の職務専念義務でひっかける。それなら有給休暇をとって行きなさい。有給休暇というのは年に二十日しかない。有給休暇のない人は、交渉する立場にあっても交渉できない。できないならしようがないから、それをやったら、おまえは処罰だ、こういう変な現象が起こっておるようであります。ドライヤー勧告の精神というのは、申すまでもなく、組合を弱体化するということじゃなくて、組合の健全な育成強化ということをねらっておることは申すまでもないわけであります。そういう混乱が起こって、これはどうもたいへんなことです。三十五条の職務専念の義務についての免除もしない。やるならやってみなさい、有給休暇をとりなさい、有給休暇がない人は交渉に行きなさんな、それをやったら処罰だ、こういうことであります。そうして交渉に行った人は、有給休暇はしようがないけれども、あとは賃金カットをするぞということになりますと、どうもあなた方の考えておる通達の精神、あるいはドライヤー委員会の勧告の精神、八十七号条約の精神、あるいは従来の既得権をできるだけ尊重するということは全く無視された形で、現実の問題が幾つかの例として起こっておるのでありますが、これについては、やはりよほどの慎重な指導と誤りのないようなリードが必要ではないかと思うのであります。これについて、もう時間がありませんから、行政局長の考え方と、この問題全般についての自治大臣のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  78. 長野士郎

    ○長野政府委員 改正法の施行につきましては、いろいろと実施の過程におきまして双方にふなれな場合があることは容易に予想されるところでありますが、御指摘のような問題につきましては、結局適法な交渉に参加するための前後における若干の時間というものはどうするかというような問題にも相なろうかと思うのでありますが、そういう場合の考え方といたしましては、そういう若干の時間は、交渉を行なう場合に含まれると考えることが妥当であるという場合が多かろうと思うのであります。また、お話しのようなことで、御指摘になりましたような組合活動を不当に抑圧する、あるいは弾圧するというような事例と考えられるような場合があるといたしますならば、これは法の目的とするところでございませんので、自治省といたしましても適切な指導を加えてまいりたいと思っております。
  79. 永山忠則

    ○永山国務大臣 改正法の精神に徹しまして、健全な労使の関係が確立いたしますように、今後とも十分注意して指導してまいりたいと存ずる次第でございます。
  80. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。      ————◇—————
  81. 岡崎英城

    岡崎委員長 この際、念のために申し上げますが、今国会本委員会に参考のため送付されました陳情書は、地方公営企業法の改正に関する陳情書外十三件であります。      ————◇—————
  82. 岡崎英城

    岡崎委員長 この際、固定資産税等に関する小委員各位に申し上げます。  先ほどの小委員会開会については、小委員長から、本会議等の都合もあり、小委員と打ち合わせの結果取りやめるとのことでありますので、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会