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1966-11-08 第52回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月八日(火曜日)    午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 大坪 保雄君 理事 加藤 高藏君    理事 藏内 修治君 理事 進藤 一馬君    理事 多賀谷真稔君 理事 松井 政吉君       神田  博君    田中 六助君       西岡 武夫君    野見山清造君       三原 朝雄君    滝井 義高君       細谷 治嘉君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         労 働 大 臣 山手 滿男君  委員外出席者         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      森  五郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働基準監督官         (労働基準局労         災補償部長)  中村  博君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(炭鉱災害罹災者対策等  に関する問題)  住友奔別炭鉱爆発事故に関する件      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤(高)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  去る一日、北海道三笠住友奔別炭礦爆発事故により多数の犠牲者が出ましたことは、まことに痛哭のきわみであります。本委員会といたしまして、この際、議事に先立ちまして犠牲者の御冥福を祈り、一分間の黙祷を捧げたいと存じます。各員の御起立をお願いいたします。黙祷始め。   〔総員起立黙祷
  3. 加藤高藏

    加藤(高)委員長代理 黙祷を終わります。どうぞ御着席願います。
  4. 加藤高藏

    加藤(高)委員長代理 石炭対策に関する件について調査を進めます。  去る一日北海道三笠住友奔別炭礦において発生いたしました爆発事故について、まず政府報告を聴取いたしたいと思います。宇野通商産業政務次官
  5. 宇野宗佑

    字野説明員 去る一日起こりました奔別炭礦災害の概況を調査団長といたしまして御報告申し上げます。  災害発生日時は、昭和四十一年十一月一日二時三十分ごろであります。発生個所奔別坑マイナス六百二十五レベルで、第一東九番層坑道引き立て付近であります。罹災者は、死亡十六名、重傷三名、軽傷二名、計二十一名であります。ただし軽傷二名中一名は救出作業中に災いしたものであります。なお、一日調査団が参りましたときの死亡者は七名でございまして、九名の方が当時は行くえ不明でありました。  当鉱は幾春別來炭層を稼行し、坑内は奔別区域及び弥生区域に大別され、奔別区域は立て坑によりマイナス五百五十レベルに至り、さらに中央斜坑によりマイナス六百二十五レベルマイナス八百五十レベルに展開し、現在はマイナス六百二十五レベル地並み主要稼行区域になっております。奔別区域は緩傾斜弥生区域は急傾斜炭層の抹掘でありまして、炭質は一般炭でございます。災害状況を申し上げます。マイナス六百二十九レベル旧九番層払いは断層のため第一立ち入り付近で中止し、該払い風道昇りより約二百メートル奥部において、マイナス五百五十レベルないしマイナス六百二十五レベル間に九番層卸を設け、払い準備中でありました。また、マイナス六百二十五レベル第一東九番層坑道は、九番層卸分岐より約百八十二メートル進行し、堀進中であったわけであります。  災害当時、災害発生しました奔別区域三区内において作業に従事いたしておりました者は八十一名でありますが、うち六十二名は無事脱出をいたしましたが、三名が重傷、一名が軽傷を負い、残り十六名が行くえ不明となったのであります。災害発生後、鉱山救護隊等によりまして救出に全力を傾注いたしました結果、二日二十二時五分を最後に全員の遺体を収容いたしました。なお救出作業中、一名が軽傷を負いました。崩落状況は、このお手元に配付いたしました書類の裏に添付いたしておりますが、その説明図が示しておりますように、約四百四十メートルの坑道にわたり、ワク上約一メートルないし一メートル二十センチの崩落が認められております。なお、崩落個所における倒ワクの方向はほぼ奥部より坑口側に向かっております。  次に、火災の範囲について申し述べたいと思いますが、マイナス六百二十五レベル第一東九番層坑道においては、旧九番層払い風道昇り口より人気坑口側百五十三メートルまでの間に焼痕が認められました。なお、第一東九番層坑道の旧九番層払い風道口より奥につきましては、崩落等のため、現在は未確認でございます。マイナス五百五五レベル第一東九番層卸においては、マイナス五百五十レベル坑道卸口より六十メートルの範囲は顕著な焼痕は認められず、さらに深いところは崩落等のために未確認でございます。  次に、災害原因について御報告いたします。  鉱務監督官によりその原因はただいま調査中でございますが、災害後の状況、火炎の範囲罹災者状況崩落状況マイナス六百二十五レベル東九番層坑道引き立て付近状況等よりガス爆発と推定されますが、濃厚な可燃性ガスが存在した理由及び火源等につきましては、今後の調査にまたなければ断定できません。この災害に際しまして政府のとった処置を御報告いたします。  災害の急報を受けた札幌鉱山保安監督局におきましては、直ちに石炭課長以下十二名の鉱務監督官現地に急行し、罹災者救出作業の指揮に当たり、現在原因を究明いたしております。  また、政府は、先ほど申し述べましたとおり、これは一日当日でございますが、私を長といたしまして、通産、労働両省担当官よりなる奔別炭礦災害調査団現地に派遣し、災害調査並びに対策推進をはかりました。また、奔別炭礦災害調査団調査を終了いたしました後、札幌市に現地関係官公庁よりなる奔別炭礦災害対策連絡会議を設け、主として今後の医療対策遺家族対策に関する連絡推進に当たることにいたしました。  通商産業大臣は、十一月四日現地を視察いたしております。  なお、医療関係に関しましては、当日すみやかに高圧酸素室等現地に搬入いたしまして、ただいまもその使用を続けているのでありますが、詳細は労働省より報告をしていただきます。  以上をもちまして私の報告を終わります。
  6. 加藤高藏

    加藤(高)委員長代理 これにて政府報告は終わりました。  本件に関する質疑は後刻に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 加藤高藏

    加藤(高)委員長代理 次に、炭鉱災害罹災者対策等について質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 三年前の明日、十一月九日に、世界炭鉱史上類例のないと言われます三池の大災害が起こったわけでございますが、これについて私は質問をいたしたいと思うのであります。  まず第一番にお尋ねいたしたい点は、去る十月の十七日の本委員会におきまして、三池一酸化炭素中毒死者実情をもっとよく労働大臣に認識していただかなければならぬのではないかということで、大臣、ぜひ九州を御視察したらどうか、こういう質問を申し上げましたところ、山手労働大臣から、せっかくのお話でございますからよく考慮いたしますというお答えを得ておったのでありますが、その後どういうふうになったのか、まずお尋ねいたします。
  9. 山手滿男

    山手国務大臣 さきの委員会でそのようなお話がございまして、いろいろ私も都合をつけて出張をしたい、こういうような考えを持っておりましたが、あれから、御承知のように、十月二十一日前後、統一スト等もございましたし、さらに今月に入りましてからは、御承知のように、北海道の一日内閣等もあるというようなことで、次から次へと日程に追われておりまして、今日まだ九州に出張する機会を得ておりません。
  10. 細谷治嘉

    細谷委員 十月十七日から今日までまだ三池に行くかどうか結論を得ておらない、こういうことでございますが、その間、この問題についてたいへんな決定をなさっておるわけですね。ところが、そういうたいへんな決定をしたにかかわらず、結論が出ないというのは、考慮するお気持ちがないんじゃないか、こういうふうに判断する以外にないんですが、この点いかがですか。
  11. 山手滿男

    山手国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、御承知のように、その間、岡山全国安全大会、一万人ばかり集めて年次大会が開催される予定になっておりました。それの出席もかねてから予定をし、約束をいたしておりましたが、いろんなことがございまして、滞京をせざるを得ないということで、とりやめる。岡山全国安全大会等を欠席いたしたりしまして、関係者にたいへん申しわけなく思っておりますが、そういうようなことが次々と起きておりまして、私いろいろ考え、計画も立てておったのでありますけれども予定を変更するようなことがございまするので、まだその機会を得ていないわけでございます。
  12. 細谷治嘉

    細谷委員 まだその機会を得ておらないということでございますが、臨時国会がいつ開かれるかは決定しておりませんが、まだかなりの時間的なあれもあると思うんですが、おいでになるおつもりなのか。考慮しますということでありますから、これからでもおいでになるおつもりであるか、重ねてお尋ねします。
  13. 山手滿男

    山手国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、前から約束をしておりますのを、実は神戸の港湾埠頭の問題で、いろいろ要請を受けておりまして、これも行きますと言っているのを延ばしております。いろいろ延ばして不義理をして、前から約束をしておったのを変更して延ばしておるのがたくさんございます。そういうような実情でございまするので、やりくりをできるだけつけたいと思います。それでは、いつ行けるかというようなことになりますと、何日参りますというようなことは、いま申し上げかねるわけでございます。もちろん、臨時国会がいつ始まりますか、臨時国会に続いて通常国会とか、各党の、われわれのほうの大会もあるとか、いろいろなこともございまするので、今日まだ確定はいたしかねておるところでございます。
  14. 細谷治嘉

    細谷委員 先日の十七日の考慮ということでございますけれども、この問題に関する限りは、もっと現地について認識を深めよう、こういう意欲に、私から見ますと、かなり欠けておるんじゃないか、こういうように印象を受けるのでありますけれども、ぜひ一度、御多忙の中でありますけれども現地を御視察をすることが正しい結論を見出す重要な点であろうと思いますから、強くひとつ御検討いただき、実現するように御配慮いただきたいと思うのであります。  これに関連いたしまして、同じその日の委員会におきまして、労働大臣労災審議会に、一酸化炭素中毒立法を諮問なさった。これは全く白紙立場だ、労働省は何らの考えもないんだ、こういうお答えでございました。具体的に言いますと、一体、適用範囲参議院決議のとおり、とりあえず石炭産業に関する中毒患者に限るのかどうかということについては、不公平が起こるので、二硫化炭素等の問題も含めて適用範囲検討しているんだ。その内容は、どういう内容立法をするかということは全く白紙で、審議会検討にゆだねているんだ、こういうことでございましたけれども、その後の労働大臣の重要な決定からいきますと、あの御答弁にはずいぶん矛盾がある、白紙じゃない、結論を持っておる、こういうふうに言わざるを得ないのでありますが、その点いかがでしょう。
  15. 山手滿男

    山手国務大臣 先般答申をお願いしたくだりについて御説明を申し上げましたが、事実そのとおりでございます。CO関係のことばかりでなしに、同じような事例があって、たいへん不公平ということではいけませんので、できればできるだけ早く間に合うように、一般的に国民に説明できるような御答申をいただいたほうが労働省として非常にやりやすいわけでございますし、今後に万全が期せられるわけでございまして、そういうふうにしたいということでございます。  ただ、いまお話がございましたが、三池CO中毒患者の件につきましては、非常に答申——そんなことはないと思いますが、万が一おくれるというようなことがございましても、できるだけ早い機会に、できれば臨時国会に、それにどうしても間に合わなければ、通常国会においては必ず立法をする、こういう意図で取り組んでおりますから、その点は御心配要らないと考えております。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 心配ないということであり、あるいは白紙だというけれども、現実には労働省としては一定の方針に基づいて具体的に行動しておる、こういうふうに申し上げる以外にはないわけでありますが、そういう点について質問をしたいと思うのであります。  十月の二十四日に出されました三池災害酸化炭素中毒患者医療委員会の「三池災害による一酸化炭素中毒患者治療対策とその経過並びに医学的意見について」こういうものを受けて、翌二十五日に労働省措置をされたのでありますが、その内容はどういうものなんですか。
  17. 山手滿男

    山手国務大臣 先般申し上げましたように、この問題は非常に重要な問題でございまするので、現地のほうでもいろいろ交渉を持ち、対策を立ててやってきたわけでございます。またわが国のその道の最高権威のお医者さんたち先生たちにお願いをいたしまして、三池医療委員会をつくりまして、対策を立てて、療養をしてもらっておるわけでございます。  しかるところ、先般もいろいろ御報告がございましたようで、それについて事務当局から私のほうにいろいろ連絡もございました。しかし、事務当局の話だけ聞いたのではいけないということを私も考えまして、直接沖中教授勝木先生というような方に私はお目にかかりまして実態について専門家立場からの所見をお聞きをいたしました。そうして、こういう報告を出すのだというような話を聞いておりました。具体的にそういう先生方お話もございましたし、また正式な書類委員会所見なり今後こういうふうに処置すべきものであるという書類が出てまいりました。   〔加藤(高)委員長代理退席委員長着席〕 こういう専門家方々書類が出ました以上は、その報告に基づいて処置をする、しかしまた当然参議院決議等もございますから、それらの検討にも十分な考慮を払い、それらに従いつつ処置をする、こういうことが必要になってまいったわけでございまして、そういう処置をした次第でございます。その委員会先生方の御報告に基づいて処置をいたしましたのは、あれから三年たったわけでございまするが、なお、長期にわたって療養を必要とする、でございますから、これから長期傷病補償給付に切りかえる必要があるという人が二十六名という報告でございました。それから症状固定をいたしまして労働能力が一応回復し、職場復帰も可能であろうといわれる方々が七百三十八人ある。こういう症状固定をしたという方々につきましてはなおるといいますか、回復したわけでございますから、従来から給付しておりました療養あるいは休業補償等はここで打ち切る、しかしそれにかわって今後は——まあもとのように十二分に機能を発揮するわけにはいかない場合もあろうと思いまして、そういう人たちには今後障害補償給付に移行をしてという措置をとる。それから、さしあたって療養を必要とするけれども経過によっては職場復帰することが可能であるというような人は従前のような方法でさらに保険給付等を行なってまいりまして、観察の結果さらに症状を見きわめた上でいろいろと対策を立てる。先に申し上げました、さらに長期療養をしてもらうということになる場合もありましょうし、回復をした場合にはそうでなくなる場合もある、こういうふうに判断をいたした次第でございます。この方々が五十八名。それから、一般職場復帰をしていただくたてまえになっております方々についても健康管理等については会社側とも十分連絡をいたしまして積極的に配慮をしてまいる。指導をする。あるいは職場復帰してからいろいろ症状を訴えられるような方がありますれば薬剤の投薬をするというようなことも当然考えております。しかし、今後とも、いずれにいたしましても労組の皆さん方にも非常にかわいそうな方々もあるわけでございまするから、わが国で得られる、動員できる最高権威者をさらに動員をして、いろいろ労働省としても会社としてもベストを尽くして対策を講じていくというような決定といいますか、考え方をいたした次第でございます。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 ただいまの意見書を受けての労働省措置、これに私はたいへんな問題があると思うのです。私は医者じゃありませんから、お医者さんの問題をとやかく申し上げる資格はないわけでありますけれども、日本の最高権威医者に見てもらったのだということでございますけれども、この一酸化炭素中毒患者症状実態については違った意見もあるということを御存じですか。この医療委員会というのは過去十三回にわたって委員会を開いて検討したということでありますが、これについてさらにまた詳しく調べた医師意見も、これと違った見解を持っている、診断結果を持っているということを御存じでしょうか。
  19. 山手滿男

    山手国務大臣 一、二のお医者さんがそういう異なった意見を持っておられるという話を私も聞いております。しかし、まあ私ども考えましても沖中先生とか勝木先生とか、ああいう今日わが国では最高峰の皆さん方、いわゆる国士といわれるような名医の皆さん方長期にわたって御苦労を願い、御診断あるいは御協議を願ったわけでございまして、私たちがあの先生方のお見立てについて、私もしろうとでございますから、とかくのことを言うということはどうであろうか。私もじきじきお会いをいたしましていろいろ御質問も申し上げましたが、確信を持って、まあはっきりしたお話をしておられまして、そうする以外に——われわれがけちをつけたようなことであの先生方にいろいろ申し上げることはどうであろうか、こういう私は感じを持ちました。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 この医療委員会は十三回の委員会を開いたということでありますが、第一回は三十九年一月だといいます。第十三回目はいつですか。
  21. 山手滿男

    山手国務大臣 いまの日にちのことはあとから事務的に報告をさせますが、最終結論先生方が得られます前にも八月に診断をしあるいはさらに追っかけて十月だったと思いますが、診断をしておられます。そういうことでございまして、あの先生方も非常に苦慮をし、非常に慎重にお扱いになったと私は確信をいたしております。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣から十三回目はいつかということは聞きませんけれども、とにかく八月もやったということでございまして、ずいぶんやっているわけですね。そうしますと、私が冒頭質問した十月の十七日の質問、その前からずっと問題はきているわけですね。大臣沖中名誉教授あたりと会ったというのですから、十七日のこの委員会における答弁というのは、とにかく労働省のほんとうの一考えを述べておるわけじゃないでしょう。もう労働省は既定方針どおり進めておったのでしょう、医療団と打ち合わせながら。そうでしょう。そうしか考えられないじゃないですか。二枚舌だよ、これは。
  23. 村上茂利

    村上説明員 大臣から申し上げましたように、二十数項目にわたります精密一斉健康診断と申しますか、これは六、七、八と大体八月中に精密健康診断は終了した、そのデータに基づきまして、さらにいろいろ検討されておったようであります。十三回目の日がいつかというのを、いま承知しておりませんので調べております。その精密健康診断の結果につきましては、私どももよりより連絡を受けておりましたが、非常に慎重を期せられまして、この医学的所見なるものが出される過程におきまして、非常に慎重を期せられた。そこで医療委員会としての考え方を公にする前には、顧問としていろいろ御指導をいただいております東大名誉教授内村沖中先生にも確認を願わなければならないという手続考えられたようでございまして、医療委員会の代表の勝木先生が上京され、両先生とまたこまかく打ら合わせをされたようであります。その結果、大体意見がまとまったとして、大臣のところにお見えになりましたのが十月二十一日のことでございます。それまでは内村沖中先生確認以前の状態でありますので、医療委員会としてはこれを公表することなく、非常な慎重な扱いをしたということでございます。したがって本委員会が開かれましたあの当時におきましては、医療委員会としての正式見解がまだ固まっておらず、内村沖中先生比確認を得る手続をまだ了していなかったというのが経過でございます。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 八百二十二名について個々検討なさったというのでしょう。意見書が出たのは二十四日なんです。二十五日にはもうあなた労働者結論出しているじゃないですか。慎重にやったと、こう言うけれども、しかも十月の十七日には結論は出ておらぬというけれども、二十四日に出た。一週間ぐらいしかないですよ。意見書が出た二十五日には、もう結論出している。二十六日には各人に通告しているでしょう。慎重なということばはわかりますけれども、それはもうずっと慎重に打ち合わせながら個々について検討して、そういう結論を出したというのですから、もう既定のコースとして計画的にやってきた、こういうふうに理解する以外にないですよ、これは。あくまでも二十四日に出てきたその結論で、すぐ二十五日に出したというのですか。稟議などはもっと早くやったのでしょう。どうですか。
  25. 村上茂利

    村上説明員 私が申しましたのは、医療委員会としての正式な意見の取りまとめは、先ほど答弁いたしましたようなことで慎重を期せられたわけであります。しかしその内容につきましては、大臣に正式にお話がございましたのが二十一日、そして後日文書をもって意見書を提示しますというお話がございまして、その文書が出ましたのが二十四日のことでございます。その過程におきまして、私どもその内容承知いたしておりました。本来ならば、一般労災患者の取り扱いは、先生承知のように、医師が判断いたしましたならば、その時点において措置をとるわけであります。しかし今回の問題につきましては、通知の日をもって補償費の打ち切りをせず、一般の例と異なりまして、むしろ慎重にこれを行なって、三十日まで補償費を支給するといったような、一般労災患者の場合と比べましてむしろ支給日をさらに引き延ばしておる、こういうような特別な配慮もいたした次第でございます。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 世界にも類例のないような大事故、しかも一酸化炭素中毒ということについてはあまり医学的な臨床的な実績もないわけでありますから、慎重に扱わなければならぬということはそのとおりですよ。ところで慎重に扱った、また扱わなければならぬということで、一月の二十七日に労働省はこの問題についての態度を打ち合わせて、関係者と意思の確認をしているでしょう。その内容をひとつお示しいただきたい。
  27. 村上茂利

    村上説明員 了解事項として話し合いをいたしましたのは、項目として七つございます。一つは、三年経過後の措置について、第二は特別看護料について、第三は、給付基礎日額の引き上げについて、第四は、入退院について、第五は、災害遺家族の問題について、第六は厚生省関係の問題について、第七は、それ以外の問題についての進め方というような内容のものについて了解事項としてまとめてございます。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 いまおっしゃった七項目了解事項の中で、第四の、入退院について、こういう点があります。参考までに朗読してみますと、「担当医師診断の結果を尊重し、入院または退院の具体的措置を講ずる場合は、事前に組合側話し合いを行ない、相互了解の上で実施する。この場合、患者ないしは組合側において担当医師診断を求め、その結果にくい違いがある場合は、両者間の意見の調整を求め、その結論によって処理することとし、なお、結論を得られない場合は、さらに権威ある医師の判定にまつこととする。」こういう了解事項があります。このとおりやりましたか。
  29. 村上茂利

    村上説明員 この入退院の問題は、本来医師患者の間にはいわゆる相互信頼の関係が認められるべきものであろうというふうに一般に期待されるわけであります。しこうして入退院問題が生じた場合には、この冒頭に書いておりますように、担当医師診断の結果を尊重し、こういうたてまえに立って事が処理せられるのが一般でありますけれども組合側話し合いを行ない云々というふうな手続をここで述べておるわけであります。しこうしてこの了解事項が話がつきました後に、この条項に該当するようないわゆる退院問題は何度も起きてきておるわけであります。その場合には退院すべき患者の名簿を添えまして連絡をしておる。しかしながら遺憾ながら、その退院の通告に応じた患者も少なくないわけでありますが、それ以外の者につきましては、個別の問題としてではなくして、一斉に退院拒否をするというような形になりまして、担当医師診断に得心がいかないという形で、個々患者の問題として事案が処理されるというような形にならなかったのでございます。その点私ども遺憾に存じておりますけれども、もともと相互信頼の関係にあります医師患者との関係でございますから、その間のいろいろな問題をなめらかに処理したいという気持ちでこのような条項が——条項と申しますか、内容のものがとりきめられたわけであります。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 いまあなたが答えたように、担当医師診断の結果を尊重するということはあたりまえですよ。しかし一酸化炭素中毒患者なんという、臨床実例等も乏しいし、医学も必ずしも確定していないのだから、この問題については慎重に扱おう、こういうことになって、「この場合」という形で、いわばただし書きができたわけです。患者あるいは組合でその診断の結果に異議、不服があるという場合には意見を調整しよう、もっと権威あるお医者さんを求めよう、意見を聞いてみよう、こういうことになっておるのですが、あなたのいまの答弁は、退院してくれと通知したけれども、退院拒否者があったから話がうまく調整できなかったのだと言っておる。こういう手続をとっていないでしょう。それでもとったというのですか。拒否した人があるということは知っております。今回の場合は七百三十八名一ぺんにばっさりやっているのですよ。話はしていないじゃないですか。了解事項に違反しているじゃないですか。
  31. 村上茂利

    村上説明員 それは誤解だと思うのでございます。今度の七百三十八名という方々内容は、入院患者だけじゃございません。すでに職場復帰しておる人、通院者、入院者等々がございまして、そういう方々については、それぞれの状態に応じまして措置がなされるわけであります。いまのお話の点は、入退院に限った問題でございます。  さらに今回の処置がいろいろ問題にされておりますのは、行政処分についての問題であろうと思います。医師が医療上の問題として入院さすか退院さすかということと、労働基準監督機関が行政処分をするということとは別なことでございまして、こういう行政処分をする場合にどうこうするというようなことは、この了解事項には触れてないわけであります。御承知のように、お医者さんが個々患者について、あなたは入院を要する、退院を要するといったような医学的な判断と行政処分とは別なわけでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたのことばというのは一向にわからない。先ほど読んだようにはっきり書いてあるでしょう。「この場合、患者ないしは組合側において担当医師診断を求め、その結果にくい違いがある場合は、両者間の意見の調整を求め、その結論によって処理することとし、なお、結論を得られない場合は、さらに権威ある医師の判定にまつこととする。」三段階のかまえをしたのですよ。原則ははっきりしていますよ。担当医師のあれを尊重する。しかし問題が問題だけに慎重に慎重を期した、やってないでしょう。どこに打ち合わせしたのですか。退院しろというのですよ。いままで入院した人も——拒否した人も中に入っていますが、入院した人が二百十七名おる。一ぺんに退院さしておる。手続をとっていますか。たとえばこの了解事項の当事者である炭労等に打ち合わせしましたか、してないでしょう。
  33. 山手滿男

    山手国務大臣 事務当局と組合の諸君との話し合いの覚え書きがあるという話も私聞きまして、念のために、いろいろ事務当局の諸君にも根掘り葉掘り私聞いてみました。いまお話のようなことがありますが、事実はお話とはちょっと違うように聞いております。退院をすべきものであるということは何べんかにわたって通告をされましたが、居すわられて、がんばっておられる方もある。それらの諸君については、政府のほうも、医者がそう言っているが、こういう事故でございますからあまり無理はすまい。退院の通知をせっかくお医者さんたちがしておりながら、退院をしないまま黙認をして、ずっとこの一月からやっているようでございます。  そこで、お医者さんの所見について、先ほど来お話のありました一、二の方々所見を異にするというお医者さんもあるのだというお話があったようでございます。ところが、それではそういう方はどういう方かということになりますと、ある大学の助手の方とか、民間の一人の人とかいう方だったそうでございます。それと、政府自体が選んで治療に当たらしておる先生方とは、こんなことは、私はたいへん言いたくないことなんですが、お医者さん仲間でも格の違う方である。相当名医の方と、まだ若い方と対等で、何か医学的な所見をどうこうというようなことはどうも好ましくないじゃないか、もっとしっかりしたのを出してきなさい、こういうようなことを役所のほうからもお願いをしたようでございますが、そういうお願いをいたしましたら、もう組合のほうからは何の応答もなし、ほかのしかるべき権威のあるお医者さんを出しておいでになるというようなこともなかったりして、とうとう皆さんのほうから積極的にこうだという、担当しておる相当な権威のある方々と、組合側が推薦されるお医者さんとが四つに組んで論議をされるような場ができずじまいであったことは事実である。しかし、それはいま世間一般に通っておる常識上からいうと、相当格の違う、自分の弟子のような人と先生とがあれをするというようなことは必ずしも妥当じゃない、もっとしっかりしたのを出してきなさい、こういうことで、多少の行き違いはあったように私も報告を受けました。しかし、全体としては、あの覚え書きそのものを判こを押しておるわけではございませんけれども、十分尊重してきておりますということでございまして、私は了承をいたしたわけでございます。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣のことばを聞くと、大学の教授である医者というのは絶体権威者だ、こういう前提に立ってものをおっしゃっておるわけです。私のお聞きしているのは——大臣、私も大牟田労災診療所から二百メートルぐらいのところに住んでいるのですよ、私は毎朝毎日患者と会っているのです、お医者さんもよく知っているのですよ。わずか二、三百メートルしか離れていないところに住んでおるのですから。だから、医者がどういうあれだかということは私はよく知っています。よく知っていますが、これはこの覚え書きをやっていませんよ。覚え善き、了解事項違反じゃないですか。しかもこの覚え書きというのは、ただ単に事務当局の問題だけではなくて、政府自体が確認していることでしょう。やってないじゃないですか。沖中教授とかあるいは九大の教授だから、もう町の医者とかあるいは大学の助教授なんのいうことは話にならぬのだ、こういう前提に立って、組合のほうからこういう医者診断してほしいという話もあったでしょうが、そんなの一切けっているでしょう。こういう手続をとってないですよ。あくまでも慎重にやるというならそういった話し合いも煮詰めなければいかぬ。医者についての意見があるなら、そういったあれも煮詰めなければならぬ。一番大切なことは、診断結果というものをぴしりゃっとやらなければならぬと思うのだ。覚え書きどおやっていないじゃないですか。
  35. 村上茂利

    村上説明員 この了解事項が成立したあとに、二月十四日、四月五日、四月十五日、七月十六日、九月二十七日といったようなことで、何回にもわたりまして退院問題が生じているわけであります。この退院問題につきまして、医者の指示に従った方と従わない方があまりにも画然といたしておりまして、しかも従わない方は一括して皆さんが退院を拒否するということでありまして、何某何がしがどうかということで、御承知のように医学的な問題は概括的な検討じゃないわけでありますから、個々の一例一例につきまして、どういうふうに扱うかという場合の手続がこれであろうかと存じます。その場合に、そのような形にならずに、一括退院拒否というような形で、この了解事項のような条件になかなかならなかったということを私どもはまず遺憾に存じておるような次第であります。しかしながら、にもかかわらずただいま大臣仰せのとおり、だからといって無理やり退院させたかどうかという点につきましては、二月、四月、七月、九月といったような累次にわたる退院の通告があったのでございますけれども、時期的にまだ余裕を見まして、そのまま退院問題を黙認するような形をとってきた。しかし御承知のように、災害発生しまして、療養開始後三年たったらどういう事態になるかということは三年前にわかっているわけであります。制度というものがございますから、三年たったらどういうふうになるかということは予想できることでありまして、そういう意味では突然な事態ではない。しかも三年間もずっと長くお医者さんが担当してこられ、しかも二回にわたりまして精密健康診断をしたということでございますので、医学的な取り扱いにつきましては慎重を期しておるというふうに考えておるわけであります。
  36. 野田武夫

    ○野田委員長 労働大臣約束の十二時だそうですから、そのお含みで御質問願います。  関連質問を許します。滝井義高君。
  37. 滝井義高

    ○滝井委員 いまの基準局長の御答弁では了承できかねるのです。三年したら労災で打ち切りがくることは知っておるわけです。知っておるからこそ、五十一臨時国会の最後で参議院でああいう話し合いをしているわけです。そうでしょう。それは知っておったのですか。
  38. 村上茂利

    村上説明員 制度として三年たちましたら現在の法制に従いまして処理する、これは当然のことでありますが、ただ、いま問題になっておりますのは、なおったかなおらぬかという医学的判断の問題でございまして、病気がなおるとかなおらぬとかいうことは三年を待たずして結論が出る問題であるわけであります。医者がなおったというものをなおらぬというふうな行政的な取り扱いをするわけにはいかぬのでありまして、それとこれとはやや趣を異にするというふうに考えております。
  39. 滝井義高

    ○滝井委員 そうではないのです。三年したら当然なるとおっしゃるから、この覚え書きは知っているか、こういうことなんです。しかもわれわれがいま問題にしておるのは、この了解事項というものは、明らかに患者さんがなおっていないと言えば、片一方医者がなおっておる、こういった場合に、そこに患者医者との間に開きが出てきておるわけでしょう。医者はなおったと言う。患者は頭が痛い、目まいがします、こう言えば自覚症状が出てきているじゃないですか。それならば患者を納得させるためにどうするかといえば、了解事項では両者の意見の調整を求めるためにそれを第三者なら第三者に見てもらわなければいかぬのです。それをやったかという細谷君の質問なんですけれども、それを権威ある大学の先生がどうだ、若いのがどうだと言うけれども、これは権威ある先生だってわからないのですよ。その証拠にはここに安河内君の書いたのをもらってきた。安河内君は療養所の所長です。所長が四十一年の一月二十日の「リハビリテーション医学」というのに書いておる。何と書いておるかというと、こういう一酸化炭素中毒患者のリハビリテーションというものは、いままでのリハビリテーションのような方法でやってはだめなんだ、これはメンタルリハビリテーションという全く世界類例のない新しい方針を出してやらなければいかぬ、いままでわれわれはそれを気づかなかったのだ、こう言っておるのですよ。そして、これはようやく最近になって気づいた。そこで三池の一酸化炭素の中毒患者医療委員会で討議をしてもらって、急性一酸化炭素中毒に対する治療指針というものが示されて、そしてわれわれは初めてこれを取り上げることにしてきたのだ、こういうことになっておるわけであります。そして私たちがことしの九月に石炭の調査で行ったときに、率直に安河内君からいろいろ説明を受けました。非常に心理的なものが多いということも聞いたのです。それからいま基準局長の答弁の中にも、特殊のグループというのはよくなってやっているんだ、こういう御説明があった。そして、医学的にこういうことをやるのははなはだよくないことだけれども、安河内君のところであえてやっておるわけですが、それは職員と旧労と新労と組夫とに分けてやっておるわけです。その心理的な経過を詳細にやっています。そして、職員でなお中毒患者は六二%、旧労は九六%、新労は六五%、組夫は三五%、こういうように社会的に非常に地位の低い組夫というのが中毒患者が非常に少なくて回復者が多いということは非常に注目しなければならぬ問題点だ——いわば旧労が多いことは、何か労働組合が圧力かけてきているんだというような言い分をこの医者はちょっと書いている。しかしそういう心理的なメンタルリハビリテーションが必要だというのは、大牟田の現在の状況、いわゆる労働組合の状況というものが非常に人間的には反映してくるわけです。これは、たとえば上林山防衛庁長官がみんなの前で追及されると、大々的なお国入りをやるのは鹿児島のお国柄でございますなんということを言い出したでしょう。そんなものは鹿児島のお国柄でも何でもないですよ。そういう、大臣でさえ責め立てられるとやはりぼうっとなって変なことを言い出すのです。そういう心理的な影響というものがこの患者にはきわめて重要な影響を及ぼしておるのですよ。しかもその心理的な影響を及ぼすことも、安河内君は心理緊張と愁訴数——いわゆる憂いを訴える疾状というものをちゃんと論文に書いておる。そして打ち切りをやらせようというとこれが出てくる。いままで何回も打ち切りをやらせようとした。そうすると患者の愁訴が非常に多くなるのです。それほど精神的には不安定なんですよ。ですから、まだ若い大学の先生もえらい先生もみんな同じですよ。えらい先生が何かやったのが最高の権威で、勉強もし情熱も持っている若い医者のやったことはだめだなんということはだめです。こんなものはみんな新しいものです。一酸化炭素中毒の研究というものは進んでいないのだから。いままでは、一酸化炭素の中毒を起こすと大脳の皮質が全部死滅してしまうと考えておった。しかるに最近は、高圧酸素使用というような新しい方法ができて、その状態がぐっと少なくなっている。こんなものは年寄りの医者はやっていない。若い医者が研究してどんどんやっておるのです。だから、年寄りの権威のある医者と若い医者の調べたものがそう月とスッポンのような違いはない。新しい分野ですから、むしろ研究は若い医者がしているのですよ。そういう意味で、いまのような発言を大臣がしてはいかぬのです。しかもこれは未開の分野であるということは大牟田の所長自身が書いて、われわれにこの資料をくれたのです。そこでこの前から私が言っているように、そういう患者は心理的な影響がきわめて微妙なので、これにはやはり組合その他の所属の関係もあるし、賃金の問題が重要な影響を及ぼすということを私はこの前ここで言いました。そして一挙にこういう処置をとらずに、少なくとも大牟田の労災の療養所から、あまり賃金その他の経済的な影響の負担をかけずに、軽減、削減をすることなく、次の荒尾の回復療養所というか訓練所というか、この荒尾の訓練所にやる。そのときに、賃金というものは切り下げぬ状態でやるべきじゃないかという提案をしたら、これは検討いたしましょう、こういうことだったでしょう。そういうこともやらずに、今度は法律をたてにとってやるならば何も質問する必要はないです。こういう特殊な、しかも三池であんな大事故を起こしたあと始末をやる場合に、基準局長のように法律が三年だから法律でしゃくし定木にやるのだというなら政治は要らないですよ。もし基準局長がそういう政治的なものをやるならば、社会党は、お気の毒ながらあなたはこれから国会へ来てもらう必要はない。それほど血も涙もない、それほど弾力のない基準行政をやるというならば、もう少し三池の爆発の状態を調べてきなさい。そこには粉じんがたまっておったからこそ爆発したんじゃないですか。その粉じんを何であなたは行って検査しなかったか。それをやらずに、いまになって三池の首脳部には何ら責任がない、そうして患者は三年の法律で打ち切っていくというならば、粉じんがたまっておったその現実は一体どうするのだ。だれの責任か、君の責任だ。直ちにここで辞表を出しなさい。これだけの多くの人間を殺したというのは君の監督不行き届きだよ。そうだろう。法律のとおりにやるならば、法律よりまずそれをやらなければいかぬ。まずそこからえりを正してこれをおやりなさい。それならわれわれはこれを受ける。それをやらずして、いまのこの患者のものを法律だけでいくというのは何事ですか。しかも国会で何ときめておった、参議院で。参議院できめたものは、衆議院もそれを了承して国対委員長同士できめているのです。それをいまになってしゃくし定木でやるというなら、何でこの前の委員会のときにこれをやると言わなかった。この前の委員会のときは検討しますと言っておったじゃないか。それを、われわれ野党がこれだけ問題にしておるのを何らの相談もなくやるというのは何事ですか。それは官僚政治じゃないですか。そういう政治は許されない。断じて許されない。
  40. 山手滿男

    山手国務大臣 いまの滝井先生お話でございますが、私が申し上げましたのも、現在の社会通念で、ああいう先生方は非常に権威があるとされておりますし、われわれのほうの役所の諸君としては、そうした皆さん方に正式に委員会をおつくりいただいて、御信頼を申し上げて治療をお願いをしたわけでございますし、その御意見に従って治癒をしたものについてはそういう措置をしようという態度に出たわけでございます。しかし、いま滝井先生の御指摘のように、必ずしも、泰斗の先生方の御診断、お見立てというものがあったけれども、そのこと自体が、一人一人に当たった場合に、全部、誤診というまでもいかないが、間違いなかったかということについては、神さまだけが知っているわけでございまして、私たちの知識の限界ではどうにもできないわけであります。もしそういう気の毒な事例がありといたしますならば、救済をされる道は残っております。不服の申し立てをされれば医療補償等を打ち切りました一日にさかのぼって給付をするという救済の道も残っておるわけでございますから、一つのグループの人が、そういう平和的に、協力的に事を処理するという体制ではなくて、がんばられるのじゃなくして、医師の勧告に従って退院をし、いろいろ職場復帰をしていこうとしておる方もあるわけですから、どうかひとつ、そういう非常に悪い自覚症状のある皆さん方は異議の申し立てをして、さらに診断もしてもらう。先ほど申し上げましたように、職場復帰をした人でも悪いということであれば健康を十分お調べを申し上げて、そしてそれに相応の対処をすることにやぶさかではございません。ですから、一応そういう治癒したという診断も下された、それから退院の通告も累次にわたって行なわれておりますから、そういう手順を踏んでやったことに従って事務のほうとしてはやったわけでございますし、私自身もそういうことには念を入れなければいかぬということでいろいろ事務の諸君に念も押し、先生方にもお会いをしてだめ押しもして、ここまできたわけでございまして、その点は了承していただきたいと思います。  で、私全国の地労委の皆さん方をここへ招集しておるので、またいつでも出てきますから……。
  41. 滝井義高

    ○滝井委員 簡単ですから……。大臣、この問題を事務的にあなた方が処理しようとすればいまのことでいいのです。ところが、これはさきの通常国会以来、事務的な処理はできないからこそ三井三池CO患者対策に関する総評、炭労の了解事項ができ、さらに自民党の塩見国対委員長と社会党の大和国対委員長との了解ができておるわけです。だから、これは事務的には処理できない要素をはらんでおるから、政治的にやろうということになっておる。事務的なら前の国会のときに片づいておる。これは十一月になれば打ち切りますぞということがわかっておりますから、そうしたらたいへんだからこういうものができておるのです。これを村上君が知らぬはずはないし、大臣は新任されたといっても知らないはずはない。そこがいけないというのです。そうならば、なぜ社会党に相談しなかったかということです。こういうことになりますよ、社会党さんも善後策を講じておいてもらわなければ、このとおり実行できませんぞとなぜ言わなかったかというのです。既成事実をつくって一刀両断にやっておって、あとから事務的になりました、医者がどう言ったというのじゃだめです。政治が後手後手になっておるのです。
  42. 山手滿男

    山手国務大臣 これは事務的にやってけしからぬというようなお話でございますけれども医者世界のことでございまして、われわれの常識からすると、医者皆さん方がああした判断をされました、それに事務的にけちをつける、あるいはわれわれが政治的に異論を唱えるというわけにはいきません。そこでそこのところはすなおに判断をしよう、こういうのが最終的に私が判断をいたした経過でございます、単に三百代言のようなことを言って事務的にやったとかいうことではない。そういう間に泰斗の皆さん方の一致した見解があるものですから、やはりそういう見方というものは尊重していかなければならぬということで、事務的というよりか医療に従った常識について尊重していこう、こういうことでございます。
  43. 滝井義高

    ○滝井委員 医学的に判断するのはいいですよ。しかし政治的に、たとえば池田さんののどにおできができたときに、医者が初めて見たときガンだということがわかっておったのです。わかっておったけれども、それをガンだと言ってしまったらたいへんだから、前ガン症状だといってちゃんと政治的に考慮しているのですよ。そこにもとの秘書の田中さんがちゃんといらっしゃるが……。だから、この問題は医学的にだけではいけませんぞということをわれわれは初めから言っておる。この前も私は言った。だからこそこういう文章をつくっておるのです。だから、そういういまのあなたのような一方的なようなことを言えば、もし自民党が約束したものを医学的だけでものを処理するということなら、われわれは労働行政に絶対協力できないです。
  44. 野田武夫

    ○野田委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————    午後一時十四分開議
  45. 加藤高藏

    加藤(高)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  炭鉱災害罹災者対策等について質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 一月二十七日の労働省と総評、炭労との間の了解事項の四項についてのこの措置は、明らかに労働省の一方的だということが先ほど来の質疑を通じてはっきりしておると思うのです。これはひとつ確認をしていただかなければ前へ進みようがないのだが、基準局長どうですか。
  47. 村上茂利

    村上説明員 先ほども答弁申し上げましたように、あの了解事項が成立しました後に、二月、四月、七月、九月というように退院通告があったわけでございまして、その覚え書きに、了解事項によりまして処理すべき事柄が多々あったわけであります。しかし、遺憾ながらそのような形で事が取り運ばなかった。しかしながら労働省としましては、その間退院を強要するとかそういった措置はとらずに療養を継続したというのが今日までの経過でございます。したがいまして、その協定違反なりやいなやという点につきまして、そういった事実関係にありますことを御了承いただきたいと思うのであります。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 二月とか三月とか六月とか八月と話し合いがつかなかったというけれども、八月段階に至っても、十月の二十五日になっても、総評や炭労は、あなたのほうから一言も聞いていないというのだよ。どういう措置をしたのですか。しておらぬじゃないですか。これははっきり、やる意思はなかった、一方的だったということをお認めにならなければいかぬですよ。
  49. 村上茂利

    村上説明員 現地療養所ではそのつど退院する患者につきましてその氏名を明らかにして連絡をした、こういう形になっておるわけでございまして、二月、四月以降につきましてそういった退院者の名簿提示で連絡をとりつつ話を進めている、こういう態勢にあったことは事実だと思います。ただ、退院拒否という態度をとられましたがゆえに、その了解事項のような形で事が取り運ばなかったということであると存ずるわけでございます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 あくまでも詭弁を弄しているのだが、退院通告をしたことは事実。私が申し上げているのは、そういう退院通告をして拒否者が起こった。拒否者というのは異議を申し立てているわけだ。先ほど大臣答弁で法律上不服があったら異議を申し立てなさい、こうおっしゃっている。異議の控訴があるということは知っていますよ。私はその前の問題を申し上げている。その問題じゃなくて、覚え書き了解事項というのを守ったか守らなかったかということを言っているわけだ。退院する、拒否者が出た、これは不服を言っているわけだね。それから八月まで何回もやってきて、今回は一ぺんにやったわけだ。二百十七名の入院のうち五十二名は拒否者というけれども、一ぺんにやったわけだ。百五十八名が今回退院するのだということでやらせたでしょう。その中で拒否者はおりますよ。その間に了解事項の四項を一つもあなた方は努力していないじゃないですか。やっていないじゃないですか。その言いわけの一つには現地のほうでお医者さんの問題で話があったということは、その話にありました。しかし、そのお医者さんというのはへぼ医者だ、大学の教授のような権威者じゃないのだからということばまでつけ加えて話があったわけだ。何もやっていないじゃないですか。何をやったとおっしゃるのです。二月とか六月とか八月に炭労や総評は一つも聞いておらぬと言っていますよ。
  51. 村上茂利

    村上説明員 大臣お答えしました事柄といまの入退院問題は違いますので、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  入退院の問題は、これは行政処分じゃなくて、医者患者との間に行ないます医療上の行為になるわけであります。その問題につきましていろいろ争いがありましたときには、このような了解事項のような形をとるということで、しかもその問題は個々患者の問題でございますから、個別的な形でだんだん上に上がってくる、こういう形が望ましい、こういうふうに私どもは期待申しておったわけでございます。しかしながら、一括退院拒否というような形をとられておりまして、個別的な話し合いというものが行なわれなかったというのは遺憾であると申し上げたわけであります。  一方、大臣の申し上げましたのは、入退院の問題ではございません。今度の症状固定、いわゆる広い意味の治癒という判断をいたしまして、労災補償費の不支給決定処分ということでございました。これにつきましては、法律上、労災保険に関する審査請求という道が開かれております。そういったような広い意味の行政訴訟、そういう道が開かれておりますから、そういった形でさらに検討される余地があるということを申し上げたわけであります。その部分は了解事項には記載していない事柄であるわけであります。しこうして、いろいろお話がございますが、過去の、いままでのいきさつについて、お医者さんがどうか、あるいは拒否された側がどうか、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、ともかくも、せっかく一月に了解事項が成り立ちましたけれども、その後数度にわたる退院の場合に、このような形で問題が展開しなかった。すべく努力はいたしました。たとえば医師の問題につきましても、さらに直接上部団体等にも御連絡申し上げました。しかしその後お話がなかったというようなことで、この了解事項につきましては、私どもも深い関心を払っておるわけでありますが、そのような経過をたどったということであります。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 深い関心を払ったなんという飾り文句はあまり言わぬほうがいいでしょう。この了解事項を先ほど読んだが、後段に、「合併症の取扱い、障害認定についても上記の措置を準用する。」と書いてある。大臣がおっしゃったことと別じゃないですよ。これほど慎重にやらなければいかぬと言いながら、何も慎重にやってやらぬ。そしていまのことばを聞きますと、いまその問題については、三池労組もなにですが、炭労や総評等がおれの言うことを聞かなかったのだから、今度の措置はあたりまえの措置なんだ、こういうふうな開き直り方でしょう。けしからぬですよ。どこを見たってこれを見れば一方的なやみ討ちじゃないですか。そうとしか理解できないですよ。私どもはこの文章というのは客観的にものを申しているつもりなんだ。どうしても理解できない。これはあなた方がもう冒頭から言っているように、計画的に十一月九日が来る直前に何もかもやみ討ちをやった不信行為だよ、そう申さざるを得ないのですよ。大臣、どうですか。
  53. 山手滿男

    山手国務大臣 先ほど来局長が申し上げておりますとおりでございまして、私もいろいろ念を入れてたびたび聞いておりますが、何ぶんにも一部の方が、一括して退院の通知をいたしましたにもかかわらず居すわっておられて、個々患者診断をし、その結果を観察していくということが大切でございますが、集団的におやりになるものでありますから、こういう結果になってきたと思います。労働省の事務の諸君の話を聞きましても、決してこれを無視していくという考えは持っていなかったわけでございまして、事実上しかし、退院の通知や何かについてもそういう態度をおとりになりまして、十二分に意思が疎通しなかった、相互に信頼し合って、こういう治療や何かの問題は解決すべきはずのものがそういうわけにいかなかったということであろうかと思います。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣は権威主義のようでありますが、それは沖中さんとかなんとかいう人はたいへんな権威者でありますけれども、あまり権威、権威とおっしゃらぬほうがいいと思う。個々患者に手を触れてみたわけでもないわけですよ。極端に言えば、東京の空からだれかが診断したそのカルテを判断しておるような姿、そういうことだから、結果がどうなったか、きのうあたりどういうことが起こったか、局長知っていますか。なおった、固定したのだということで、退院した人にどういうことが起こったか、知っていますか。
  55. 村上茂利

    村上説明員 詳しい事情は存じませんが、退院した中でてんかんの発作を起こしたという方があったやに聞いております。ただし、これは、もちろんそういう発作を起こしたわけでありますから、医学的にいろいろ調べたそうでございますが、CO中毒ということでなくして、てんかんという発作であったというふうに聞いております。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 そんなものなんだ。きのう荒尾の訓練所におる人がてんかんを起こしたというのだ。倒れたそうだ。そうしたら、いまあなたもおっしゃった、てんかんを起こしたのだ。その家の系統——本人はもちろんのことてんかんを起こした例がないのだ。突然てんかんを起こしますか。あまりむちゃなことをおっしゃらぬがいいですよ。血統も何もないのだ。本人もてんかんをやったということはない。ずっと調べたが、そういうことなんですよ。どこからてんかんだって聞いたのですか。会社からですか。——たぶん会社からでしょう。そういう事実があるということを、あなたはそれをまたてんかんで片づけるのはけしからぬ。  もう一つありますが、知っていますか。それを含めて言ってください。
  57. 村上茂利

    村上説明員 ただいまの点は、何ぶんにも医学的な判断の問題でございますので、私もそういうような医学的な判断だというふうに聞いております。  もう一つというのは、実はよく承知いたしておりませんが、お伺いできたらと存じます。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 私がいまお聞きすると、お医者さんはてんかんと診断した、こういうことだ。私はこの間衆議院の石炭特別委員会九州のほうを視察した際に労災の大牟田療養所を見たのだ。そのときに気がかりになっておるから、安河内院長に聞いた。一体一酸化炭素中毒というのはなかなかいえないのだけれども、性の問題はどうですかと言ったら、あたりまえですよと言っておるのだ。安河内さんが医者であることは知っておる。あの人はノイローゼですよ。現実にどういうことになっておるか、行ってごらんなさい。私の知っておる社宅、これは約四百戸あるのだけれども、毎年毎年四百人ぐらいの子供が生まれておったのだが、事故があってから三年間生まれた子供はたった二人ですよ。これを見たって、性の問題なんて安河内が言うようなものじゃないのですよ。いま何と言った。権威ある医者、権威ある医者と言いますけれども、これこそノイローゼ医者診断か政治的な診断、こう申し上げる以外にないじゃないか。どこに権威があるのですか。それをまた労働問題についてはあたたかい気持ちでやらなければいかぬ労働省が、てんかんが起こりそうもない人にてんかん、てんかんと片づけられては、医者の権威といってもたまったものじゃないですよ。もっとよく調べてください。  もう一つ申し上げておきましょう。ある人がふろに入った、たまたまよその人が行った、またふろに入った、何べんふろに入っても、いやこれからふろへ入るのだ、こういう例なんですよ。これは健忘症でなくて、神経をやられているのだから……。そういう事態なんだ。私は、この間五十二名の退院しなさいと安河内から言われた人に会った。二十四歳か五歳、退院しなさいと言うから本人に会ってみたら、どういうことを言ったか。話していると、手がこういうふうにゆれているのだ。これでなおったといえますか。そういう状態なんですよ。これを何でも都合が悪ければてんかんだなんて言っている。そういう診断で、しかも一方的に覚え書きを無視してやったというのは、大臣よく御存じないだろうと思うのだ。これは村上ペースに乗せられているのですよ。けしからぬことだと思うのです。  そこで、もう一つお尋ねしておきますが、新聞の十月三十日付で書いてあるのでありますが、二十八日の夜、労働省の言うたことについてそのままこれを受け入れた三池新労の証明書というのがあるのだ。これについて三池新労とどういう覚え書きをしたのか、ポイントだけ言ってください。
  59. 村上茂利

    村上説明員 ちょっと私のほうは質問の趣旨が十分把握できないのでありますが、三池新労……。(滝井委員「三池新労との覚え書きがあるか、約束があるかないか」と呼ぶ)覚え書きといったようなものは承知しておりませんが、確か七、八項目についていろいろな話があったということは承知しております。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 あまりとぼけぬほうがいいですよ。十一項目の覚え書きを交換しているでしょう。新聞にも書いてあるんだよ。全部その項目を言いなさいよ。
  61. 村上茂利

    村上説明員 事項について申し上げますと、定年延長者及び既退職者並びに六カ月以内の退職者に対する失業保険金の受給資格の問題、これが第一でございます。それから第二の問題は、審査請求の具体的手続及び認定期間の見通しの問題。第三は退院後職能訓練を受けた者の旅行の問題。第四は万田訓練所退所者に対する職能訓練を受ける者の旅行の問題。第五は大学病院、天領病院、万田訓練所に入院、入所中の者で治療認定されなかった者の取り扱い。つまり今回の決定には長期にわたりまして継続療養を必要とする者、あるいは経過観察のために従前どおり療養を継続するという者がかなりあるわけでございます。それをどうするかといったような問題。それから第六は保険施設の外科後処置の具体的方法をどうするか。第七は長期傷病給付該当者の取り扱いをどうするか。第八以降は、たとえば立法化の問題をどうするか、万田訓練所をどうするかといったような問題でございます。労働省の態度はどうかといったような問題もございましたけれども、これは以上申し上げましたような、具体的な取り扱いの問題と別個な問題であるかと思います。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣村上局長の態度というのはそんなものですよ。ちゃんと持ってきているくせに、私の最初の質問に対しては五、六項目ありました。いま九項目読んだ。十一あるんですよ。それをいま九項目言ったからあと二つ言わぬのですが、けしからぬですよ。持っているくせに、ここではごまかす。
  63. 村上茂利

    村上説明員 別に隠す意思とかそういう気持ちで申し上げているわけではありません。非常に技術的な問題もございますので、いかがかと思ったわけでございますが、第九の項目は万田訓練所の閉鎖の問題、第十は入院患者に対して治癒認定を受け、そのまま退院を拒否した者の取り扱いについてどうするか、十一が労働省の今回の措置に対して変わらないかどうかといったような項目でございます。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 もうぼくは、村上局長の態度というものはけしからぬ、大臣にもどうも村上ぺースだ、こう言っていたのでありますが、どうも問題になりそうなところは隠しているんだ。十、十一なんて隠している。退院を拒否した者の取り扱いについては治療または入院費用は労災保険では支弁しない、十一はCO患者問題に関する労働省の今回の措置——現行法による今回の措置は絶対不変のものであると言い切っているんだな。ますますこれは神がかり、権威主義だ。しかもこの覚え書きなどを無視して一方的にやったものを、絶対不変だなどと労働省が組合とこういうことを約束するとか、組合に押しつけるなんてけしからぬことだ。そこで、こういう労働省の態度であります。大臣、最後にことしの六月二十七日に——六月二十七日というのは国会の最終日ですよ、どういう決議がなされたか。これをひとつ念のために読んでおきます。「決議——これは決議といっても附帯決議ではないですよ。村上局長、よく知っているだろう。「一、CO被災労働者援護措置法については、さしあたり炭鉱労働者に限り、今度一ケ年以内に立法措置を講ずるよう努力する。二、右立法措置が成立するまで被災労働者——被災労働者ですよ。被災労働者というのは意味があるということは、これは話し合いの中で局長御存じのはずだ。「に対する療養、その他の援護措置は現在の状態を変えざるよう措置する。」こう書いてありますよ。しかもメモとして「労働大臣会社療養その他援護措置について、今迄と変らざるよう解雇の問題を含んで措置して貰いたい。会社側労働大臣の意向について、誠心誠意最善をつくすよう努力します。」こういう念書まで入っている。さらにこれだけでは不十分だということで、自社両党の覚え書きとして「一、政府は速かに立法措置を講ずること。二、立法化をみるまで、政府会社の行なう現在の補償を継続するよう責任をもって指導する。三、もし会社が実施しない場合は、政府が責任をもって措置する。以上の実現にあたって自・社両党が完全実施するよう申合せる。自民党塩見国対委員長、社会党大和国対委員長」とあるのですよ。これを、この決議の線は尊重しますと大臣がおっしゃっているのでありますが、いままでの労働省のやってきたこと、あるいは労災審議会に諮問したそういう態度、これは一貫して国会の決議を尊重する意思がないということははっきりしたじゃないですか。大臣、どうお考えでしょうか。
  65. 山手滿男

    山手国務大臣 ただいま御指摘の覚え書きといいますか、附帯決議ではないようでございますが、そのことについてはよく承知をし、いろいろ私からも事務当同にも念を押しております。ただ、しかしすでに治癒したと認定された者、専門家によってなおったと認定を受けた者をさらに治療する、こういうようなことはその中には含まれていない。やはり療養を必要とする者といいますか、治癒しない者に対する態度であるわけでございます。でございまして、私ども労働省としては、治癒しない者については、いまの文書のとおりに誠意をもってあくまで継続をして療養させるし、いろいろな処置を積極的にやってまいる所存でございます。しかし患者で治癒をした者にさらに国費で治療をするというようなことは、これはわれわれの一般的な常識から見ましても問題があるわけでございます。そうした見解に対しては、私もそのとおりであろうということで措置をさせたわけでございます。
  66. 滝井義高

    ○滝井委員 関連して。大臣、いま治癒したから打ち切った、こういうことになりましたね。そこでさいぜんの大臣の御説明では、二十六人は療養をしなければならぬですね。それから七百三十八人は打ち切る。症状固定して治癒したから打ち切る。五十八人はなお医学的な検討をしながら経過を見る、こういうことだったのですね。これは間違いない。そうしますと、七五二十八人の内わけを少し示してもらいたい。
  67. 山手滿男

    山手国務大臣 ただいまの御質問に対しましてはきわめて事務的でございますので、事務のほうから申し上げます。
  68. 村上茂利

    村上説明員 症状固定と認定いたしました七百三十八名について申し上げますと、出勤中の者が六十五名、それから通院しておる者、この中には回復訓練を受けておる者もございますがそれが五百十五名、入院中の者が百五十八名、こういう内わけになっております。
  69. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと通院しておる者五百十五名、この人たちは何のために通院をしておるのですか。なおったならば通院する必要はないでしょう。何のために通院をしておるのですか。それから入院の百五十八名は何のために入院をしておるのですか。
  70. 村上茂利

    村上説明員 いま申し上げましたのは十月二十六日の通知をいたしましたその当時の状態を申し上げたわけであります。通院者につきましてはそれぞれ軽重がございまして、回復訓練所に入りまして訓練を受けておる者もございますれば、そうでなくて自宅におっていわゆる通院をしておったというような者もあるわけでございます。そういう状態であったわけでございまして、この段階におきましてはまだ症状固定、いわゆる治癒認定はしていなかったわけでございます。
  71. 滝井義高

    ○滝井委員 十月二十六日に通知した当時の状況は出勤六十五、通院五百十五、入院百五十八、そうすると、七百三十八名は十月二十六日通知が本人に届いた時点からもはや病院に来る必要はない、こういういわゆる医師診断に基づいて労働省は認定をするわけですね。
  72. 村上茂利

    村上説明員 労働省扱いとしましては、直接入退院の医学的な指示をするということではなくして、症状固定ということでございますから、療養補償は行なわないという決定をしたわけであります。したがいまして、その後には障害補償費の支給という問題があったり、いろいろな問題がございますけれども入退院そのものについて処分は触れておるわけじゃないというわけであります。
  73. 滝井義高

    ○滝井委員 入退院そのものに触れていないと言ったって、あなたはなおりました、固定しておるのだからもう病院に来る必要はない。投薬、注射の必要はない、こういうことなんでしょう。そうなるのでしょう。そこを聞いているのですよ。
  74. 村上茂利

    村上説明員 先ほど来お話がございましたように、三池医療委員会所見といたしましては……。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 いや、それを聞いているのじゃないのです。処置をどうするか。処置を聞いておる。
  76. 村上茂利

    村上説明員 ただその前提としましては、そのような医学的な所見をもとにいたしまして症状固定、いわゆる治癒認定という立場をとりまして、補償費と申しますか、療養補償及び休業補償の支給をしないという決定をしたわけであります。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 注射とか投薬とかをこれからしてくださいと病院に行っても、それは拒否して、必要はない。おまえはもうなおっておるから必要はない、こういうことになるのでしょう。こう言っておる。そういう態度を労働省は示すのですか、こう言っているのです。そこだけ言ってもらえばいいのですよ。もう医療委員会のことはよくわかったのです。だから、あなたのほうは、行政としてはもう固定してよくなったんだから、もう注射も投薬も必要はない。診断も一年に二回かそこらやればあとは何でもないし、よくなったからもう仕事に行け、こう言うのでしょう。そのとおりかと言っているのです。
  78. 村上茂利

    村上説明員 いわゆる医療行為としての診断とか投薬とか、そういった処置につきましては、一応療養補償の対象外になるわけであります。   〔加藤(高)委員長代理退席委員長着席〕 ただ午前中にも大臣お答え申し上げましたように、回復訓練なり職場復帰をします際に、健康管理の問題が非常に重要だ。したがいまして健康管理のための健康診断をしたり、あるいは薬剤的なものが必要でありますならば、そういったものにつきましては労災保険等から処置をできるようにいたしたい、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、健康管理の状態で事柄を処理するか、あるいは医療補償として事柄を処理するかという点に違いはありますけれども、今後の健康管理については十分注意してまいりたいという考えであります。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 健康管理で健康診断その他をやる、しかしそのあとでことばを潤して、今度は薬剤的なものが必要なら薬剤的なものをあげますというなら、なおっとらぬわけじゃないですか。そういうものが必要ならなおっておらぬじゃないですか。もし私病ならば健康保険で見てもらえるのですが、労災は見ないのですよ。こういう大事なときにそういうあいまいなことではいかぬですよ。見ないなら見ない、これできちっとしたんだから、あとは病気になれば一切私病です。それをあなたが自信を持って断言できるなら私は引き下がります。しかしいまのようにこれから健康管理もしなければならぬ、そして必要なら薬剤もあげます。注射もします。それじゃまるきり自身がないじゃないですか。  それから大臣にお尋ねしますが、百五十八人入院しておった、いままで入院しておったのですよ。入院しておった患者に突如としてきょうはお前はなおったんだ、今日この口からなおったんだ、さあ病院を出て帰って仕事に行きなさいといって、一体それができるのですか。そういう常識が一体この世の中に……。どんなりっぱな医者が来たって私はここで論争しますけれども、負けはしない。そんな医者ならやぶ医者の滝井義高でも負けはしない。そんなことが一体できるのですか。あなたがその身になってごらんなさい。まず自分をつねってみて人の痛さを知らなければいかぬ。もしあなたが結核で三年も療養しておって、そこへ医者が来て、おまえの病気はもうなおったから、さああしたから仕事をしろと言ったって、それができますか。そんなことは常識ですよ。どんな権威のある医者だって、もしここに来てそんなことを言ったら、ぼくはその医者を面罵してみせます。論争したって、そんな医者なら負けやしない。そんなことができるはずがない。そういうまるきり普通の常識を越えたような処置をとるということはいけないですよ。しかもこの決定は絶対に不変であるなんという、そんな、何か独裁ヒットラー以上のことを言うものじゃないですよ。そんなことがありますか。もし、こういう決定をして間違っておったら直しますというのがほんとうですよ。それを不変である。既成の事実をつくって、それを何でもかんでも押し通してしまう。それはファッショです。いつ労働省はアァッショになったのですか。しかもこの再五十八人というのは、まだ入院しているのですよ。入院していなくて通院か何かしておる者ならば、まだそういうことをしてもこれはまた問題があるかなと幾ぶんわれわれは考えてみます。しかし現実に入院している。しかもその入院している人に、医者が退院すべきであると言ったにしても、やはり段階的な処置を踏むのがこれは普通ですよ。しかもこの起こった原因というのが、いままでわれわれの経験をしたこともないようなたくさんな一酸化炭素中毒患者が出て、そうして医学的な未開の分野でしょう。それを一挙に法律の期限が来たから打ち切ります。打ち切ったら、さあ病院を出ていけ。出ていかなければ、いたって治療費は全然見ませんなんという、そんなことまで書くのはおこがましいですよ。だから大臣、いま入院中の百五十八名を十月二十六日のこの通知をもって全部追い出すつもりなのですか。
  80. 山手滿男

    山手国務大臣 ほかのこととは違いますから、医療関係については、医師患者との間が、血が通って、相互信頼関係の上に立って治療をしておるはずでございます。しかしながら、医者のほうでは、けさ来申し上げておりますように、たびたび、もう大体これでいい、退院をしなさいというような勧告といいますか、通知をしておるのにもかかわらず、そうじゃないというようなことで、しばしばの退院の通知に対しても居すわっておられる。そういう方々でございまして、いま滝井先生お話しのように突然こういう措置をとったというようなことではないと私は思います。でございまして、医師患者が相互に信頼し合い、相互にフェアにいくというような雰囲気でなかったので、皆さんのほうから見るといかにもそういうふうに見えるかもわかりませんけれども、実際はいま申し上げましたように、それまでに退院の通知もしばしばいたしておりまするし、やみ討ち的にやったとかなんとかという御批判は当たらないと思います。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 やみ討ちにやったことではないとおっしゃるけれども療養所の所長の安河内君が、われわれもこれは社会復帰の段階が来ていると思う。思うけれども、長い聞こういう療養所に入れて治療をしておる、そう一挙にはできません。だから社会復帰がおくれている原因はどこにあるかというと、賃金問題にありますと言明しているのですよ。あるいは荒尾の訓練所にやるにしても、やはりそこに収入の問題がからまってきます、こう言っているのです。しかも、この患者というものは非常にメンタル・リハビリテーションというものを必要とする。そういう総合的な観点からこの問題を処理しなければだめだということを彼はわれわれに言ったのです。労働省は一体そういう総合的な処理をやっておるのですか。やっておってこの処置をとったというならば、それは私は、突如青天のへきれきのごとく二十六日の通知が来たとは言いません。しかし実際にやっていない。この前も私はここでそれを主張した。主張したら、検討しますと言ったじゃないか。検討しますと国会で言っておって、何らわれわれに検討した実績も示さずして、こういうことをやっておるでしょう。だから、もしこういうファッショ的なやり方で、しかもこういう異常な患者に対してやるというならば、労働行政は、要らないですよ。山手さんなり基準村長があくまでもいまの三池新労との覚え書きのように不変のものだと突っぱるなら、これからあなた方の行政に社会党は断じて協力できない。これだけは覚悟しておいてもらわなければいかぬですよ。これが不変だなんということはあり得ない。自分の決定したものが最高のものであって、そうしてそれから一歩も退けぬという行政がありますか。しかも一方においては、炭労、総評なり社会党と約束をしておる。一方においては今度は別の約束三池の新労とやるというなら、これは全く二枚舌で分裂支配をやろうとする悪い昔の封建的な殿様と同じことをやっておるじゃないですか。そういうことで世の中が通ると思ったら大間違い。だから、あなた方がこれを撤回しない限りは、臨時国会を開こうと何を開こうと、労働省の行政は一歩も進まぬですよ。おどすわけではない。われわれはそれだけの覚悟を持ってそれをやりますから……。そんな血も涙もない、ヒューマニズムのない労働行政がありますか。それはよし百歩下がって、入院した人が退院を拒否したにしても、それならば説得をして退院をさせるように何か段階的な処置を踏まなければいかぬです。いままで自分は患者だと思って入院しているのだから、それだけの配慮のない医学的な処置はあり得ない。われわれのようなやぶ医者だって、それだけの医学的処置をやりますよ。行政でただ一片の法律でものが運ぶと思ったら大間違いですよ。これをもしあなた方が貫こうとしたら、おそらく社会的に許されません。だからこれは撤回すべきです。やりかえなさい。私はやぶ医者でも、医学的に見て、百工十八名を一挙に療養所から追い出して、そうしてこれから仕事に行けなんていったって、それはできるものではない。たとえ患者に六〇%、七〇%の悪い点があったにしても、これはできないです。どうですか、大臣。もう一ぺんやりかえる意思がありますか。
  82. 山手滿男

    山手国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、われわれとしては念を押し、いろいろな手を尽くして考えた上でこういう措置をとったわけでございまして、政府考え方に応じて退院をしようとされる諸君においても、先ほどお話しのように、こういうことについてはどうなんだ、こういうことでだめ押しのようなお話をいろいろしてこられました。労働省は、事がたいへん重大でございますから、そういう方々についても行政措置としてできるだけのことはいたしましょう、私が朝申し上げましたように、退院をされた方についても健康管理そのほかで万全を期していきましょう、それから薬剤なんかもある程度のことは奮発をして投薬をさすようにいたしましょう、こういうようなことを申しておるわけでございまして、決してごり押しに非人情なことをやろうというわけではございません。それで私たちもいろいろ経験がございますが、一カ所に病気だとかなんとかというようなことで長く入院しておりますと、かえってノイローゼになるわけでございまして、気分を転換し、そして新しい気分で新しく御活動願えば、その間に気分も晴れてきますし、いろいろよくなる面もあるわけでございます。しかも専門家がそういう診断をしておるわけでございますから、さっきおとがめがありましたが、新労の皆さんがこの間おいでになって、この点については労働省は協力するか、こういう点はどうだというようなお話があったようでございますが、できることは労働省としてもできるだけ前向きの措置を講ずる、そのかわり、患者皆さん方もできるだけ相互に信頼し合ってやってみる、私はこういうことであるべきものだと思います。それで、もしそれでも十二分に自分は社会復帰ができない、こういうことであれば、異議の申し立てをされれば、あらためてまたさらに検討をするチャンスもあるわけでございまするから、私たちは決して御批判をいただいておるような事態ではない、こういうふうに確信をいたしております。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣の発言は非常に矛盾をしておる。健康管理をしたり、あるいは必要ならばお薬も上げます、こう言っておるわけでしょう。そんなものは医者のやることであって、何も大臣が薬を上げますなんて言う必要はないわけですよ。それだけの親心があるならば、百五十八人の入院しておる人をまず打ち切らずに訓練所にやってみたらいいのです。そして訓練させてみたらいい。これは大臣御存じのとおり、訓練はきわめて段階的にやっていくのです。まず一級というのは、少し回復の重いほうですね。そのときには散歩とか輪投げをやるんですよ。それから二級のAになりますと、今度はなわ飛びとかピンポンをやるんです。それから二級のBになりますと、今度はドッジボールぐらい、機械体操をやるのです。それから今度は二級のCになりますと、バレーボール、ソフトボール、バスケットボールをやるのです。それから今度は三級、だんだん体力がずっと回復をしてきますと、水泳から行軍から登山をやる、こういう過程を踏んでおる。それから安河内君は、中毒の非常に激しい人は、生まれたときの赤ちゃんと同じだと言うのです。したがって、赤ちゃんの段階から幼稚園の段階、幼稚園から小学校の段階、小学校から中学校、中学校から高等学校、こういうふうにやって持っていって、職場復帰させるとちゃんと書いている。そうすると、いままでは退院せよと言っても、まだ悪いから退院したくないと、患者立場からいえば拒否をしておる。このことは法律が三年きたから一挙に一刀両断に切って、そうして帰れ、不服があるならば行政的な審査を訴え出よ。そしてまた薬でもやりますよというような行政では、医学的に言って、メンタル・リハビリテーションにならないですよ。それはとにかく患者さんを扱っている安河内さんが論文を書いてちゃんと発表しておるのです。だからこれだけのきわめて丁寧な、かゆいところへ手の届くような段階的な措置によって初めて社会復帰ができる。坑内坑外で働くことができる。そういう医学的な微妙なところがあるというこの患者に対して、これは一刀両断にやるというようなことは、だれが何と言ったって無理なんですよ。もしこういうことをやっていいという医療委員会の人があったら、私はここへ呼んで論争をします。こんなことをやれとは言わぬはずだ。医学的には固定をしておりますよ。しかし、それをどう今度は社会復帰をさせるかというような行政を、医学的なものに基づいて段階的にやるのが政治です。それを医者固定をしたからといって、一刀両断に法律によってやるなどというそんな行政はないですよ。しかもまだこういう特殊な未開の分野で、しかもこちらのやったことは、何が何でもだれが来てもこのまま筋を通すというのなら、もうわれわれは質問する必要はない。やるだけむだだ。しかしそれでは通らないですよ。それはわれわれはこれから与党とも話し合いますが、それでは通らない。そんなことを今度新労に約束したら、もう私たちは断じて引きはしない。できやしません。だからここで悪いと気づいたら改めなければいかぬです。百五十八人の入院患者をおっぽり出す、そんなことができますか。もし出なかったらどうしますか。警察でも連れていって、自衛隊でも連れていって追い出すのですか。そんなことはできやしないでしょう。わかり切ったことをやっておって、それで貫こうとしてはいかぬ。もうあまり時間をかけぬうちにもう一ぺん再検討いたします、そして話し合いに入って事態の収拾をはからなければ、何日だってあなたを引っ張り出しますよ。われわれはまたあすの労働委員会でもやりますよ。予算委員会でも総理を呼んでやりますよ。こんな血も涙もない政策をとるから、だから佐藤内閣の人気は二六・二%じゃないですか。またがた落ちしますよ。こんなことをやっているようでは——いや、あなたではない。政治段階ですよ。労働大臣、どうします。百五十八人、考え直しますか。それともこのままあくまで押し通していくのかどうか、再検討の余地はあるのかないのか。
  84. 村上茂利

    村上説明員 大臣の御答弁の前にちょっと事実関係がございますから、私から答弁させていただきたいと思います。  先生御指摘のように大ぜいの患者をいきなり抜き打ち的に退院を命じて、そしていきなり職場に・働かすというような形のものでございますれば、これはいろいろ問題があろうかと思います。しかし先生承知のようにいわゆる治癒した、症状固定したものが職場復帰する場合、いきなり職場で働かすのかどうかという点については、すでに組合と会社の間に——これは新労も旧労も同様でございます。両組合とも会社と協定を結びまして、まず四週間の坑外訓練、さらに四週間の坑内訓練をする。その場合の手当は幾ら支給するか。それから、つまり訓練期間中の賃金の支給額。それから特別加納といったようなことについてはすでに協定ができておるわけでございまして、治癒し、退院して職場に戻るというその過程が、いきなり職場で従来の労働をさすというような形にはなっていないのであります。従来の実態と同じように回復訓練をいたしながらやる。四週間、四週間、合計八週間の回復訓練をしつつ職場復帰さす。こういう形にもうすでに協定ができておるわけであります。それ以外に私どもが健康管理の面についていろいろ配慮をしようというようなことは、これはまさに先生御指摘のように、この一酸化炭素中毒患者につきましては、アフターケアが非常に大事だということで、この点については医療委員会先生方からもいろいろ示唆を受けておるわけでございます。それが制度的にどうなっているかと申しますと、これも先生承知のように、保険施設でいわゆる外科後処置その他の措置が認められておりますので、そういった形においてアフターケアをする。そういった意味のアフターケアの制度が保険施設内にあるわけでございます。そういう既存の制度を活用いたしまして健康管理に、つまりアフターケアに努力をいたしたいということであるわけであります。そういうことで、大勢といたしましてはアフターケアの問題、回復訓練の問題、それぞれの問題があります。そして先生が御指摘のように、究極は賃金問題に関連している。医療だけの問題じゃなくて賃金問題があるのではないかという点につきましては、私どもは深い関心を持っておるわけでありまして、この点についてはすでに労使双方の間に労働協約が締結されておりますので、これは両者の意思の合致によるところでございますから、職場復帰後における問題は両者の意思の合致したこの労働協約によって御承知願いたい、かように考えておるわけでございます。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣が間違うといかぬから……。それは一酸化炭素中毒についてではないのです。いままでの、いわば旧来の一般的なことを言っているのであって、一酸化炭素中毒でそんな協約を結んでいますか。
  86. 村上茂利

    村上説明員 七月二十日に協約を結んでおりまして、CO中毒患者とかいろいろ区別けをしまして協定をいたしております。この点については労使の意見が合致しておるというふうに、私ども了解しておったわけでございます。こういった事実関係については、これは労働協約として七月に成立したものでございます。法的には労働協約として有効なものであります。両者の意思が合致してできたものだというふうに私どもは当然理解しております。こういった労使関係の場におけるいろいろな問題、それから法律上の措置、それらを総合的に合わせたものがCO中毒患者に対する措置になるというふうに考えておるわけであります。
  87. 滝井義高

    ○滝井委員 それはCOの患者のことを含んだにしても、十分患者が了解をして、そして退院その他についても、私はもう自覚症もだいじょうぶです、働ける、そういうものについてはわかるんです。御存じのように、一酸化炭素中毒患者というのは、他覚的な症状というのはないんだから、自覚症が中心なんだから、それはもう他覚的な症状も自覚的な症状もないことがみずからきちっとした患者です。そういう場合についてはあるいはそういう協約があるかもしれない。しかし今度のような場合にはそれは適用できないです。問題は、大臣、百五十八人については何が何でもこの方針どおり一歩も動かぬということでいくのかどうかです。それとももう一ぺん再考してみようという余地があるのかどうか。それをひとつ大臣からお答え願いたい。
  88. 山手滿男

    山手国務大臣 先ほど来繰り返し申し上げておりまするように、こういう問題は相互に信頼し合って相互に円満に片づけるということでなければいけないと私はもともと考えております。その話は、皆さん非常に冷酷無情のようなお話でございますが、なるほどそういう症状固定をした、労働能力が回復したというような方々に対しましては職場復帰が可能であるわけでございまして、療養や休業補償は打ち切りますけれども、もしそれについてほんとうに困る人については、先ほど来申し上げておりまするような救済手段もありますし、またほかに障害補償給付へ移行をしてまいるわけでございまして、私は、何らなすところなしに政府が突っ放すというようなことでもないと思いまするし、これはみんながうまく理解し合って処理をすべきものである、こういうふうに考えておりまして、いまやっておりますことについては、ずっと変更をしたりなんかする意思はございません。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、あなたは当時大臣じゃありませんでしたから、参議院の六月二十七日の状況をよく御存じないと思うのですけれども、この決議が行なわれたのは、現行法ではどうにもならない、ですから特別立法が要るんだ、社会党のほうでは議員立法で出しておったわけでありますけれども、こういう意見の一致を見て、議員提案を引っ込めてこういう決議がなされたわけですね。そこで、大臣、どこまで村上局長から聞かれているか知りませんけれども、右立法措置が成立するまで被災労働者に対する療養その他の援護措置は現在の状態を変えざるよう措置する、こう書いてあるのに対しては、これは字句ばかりじゃなくてずいぶん議論になった問題なんです。ずいぶんの時間をかけて議論になっている問題です。そこで、これは村上局長はおそらくここでは否定なさるかもしれぬけれども、私が先ほど朗読した中にはありませんけれども、この決議の第二項の療養その他の援護措置は現在の状態を変えざるよう措置するという中身は何か、前提は何かということでいろんな議論が出された。その大前提というものの一つは、立法措置が講じられるまでは治癒認定はいたさない、この一酸化炭素中毒患者というのは浮動的であって、現代医学もなかなかカバーし切れない事情なんだ、治癒認定はいたさない、長期療養給付の認定もしない、こういう二点がたいへんな問題になったんですよ。そのとき、社会党の参議院方々——おそらく村上局長もおったんでしょうが、その際に村上局長はこう言ったと聞いている。これは参議院でどんどん詰めていただかなければいかぬですが、この二点については、まだ特別立法ができておらぬのだから、現行法の中において政府の責任の一端を持っておる局長が、そういうことを文書で残すことはいかぬ、行政的にもある程度応用問題として措置できるんだから——認定の時期の問題でしょうが、そういうことの了解ということが含まれておるということを聞いておる。村上局長はそういう話があった、そういうことも確認されておる、こういうことなんですが、それを大臣聞いておりますか。
  90. 山手滿男

    山手国務大臣 私が聞いておりますのはそんなふうには聞いておりません。もしも治療認定をしないということであれば、当然明文に書かなければいかぬのでありますが、治癒した人はこの中には含まれません。なおった人にさらに療養さすなんというのは矛盾でございまして、治癒をしないから療養さす、人院さすのであるというたてまえでございますから、治癒認定、なおった人に対してなおったなどと言わないというようなことは私は全然聞いておりません。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 誤解を招くといけませんからはっきり申し上げておきますが、なおった人は職場復帰せぬでいいなんて言っているのじゃありませんよ。なおった人は職場復帰すべきである、これは当然なことです。しかし一体なおったかなおらないかという問題は、この一酸化炭素の問題については非常に重要なんです。だからこそ特別立法の必要があるわけです。ですから参議院がそういう決議をしたわけです。その決議の際に、治癒認定とか長期療養給付に落とすということはたいへんな問題でありますから、そういう問題が当事者間で詰められた。村上局長も同席したと聞いております。ところがいまお話を聞きますと、いやいやそんなことは全然ないのだ、そんなことであれば明文化すべきである、明文化するについては現行法のたてまえから当局としては困る、こういうことを村上局長は主張したと私は聞いております。むろん当事者がおるのですから、その辺は明らかになるでありましょう。そういうことでありますから、大臣、いまのことばはそういう事実も御存じないようであります。この問題についての認識の不十分さというのが端的に大臣のことばであらわれておると思うのです。もう一度ひとつお答えをお聞きします。
  92. 山手滿男

    山手国務大臣 いま申し上げたとおりでございますが、権威あるお医者さんが退院してもよろしい、退院しなさいと言っておるような人々、それが病院にずっと居すわってこられたわけでありますが、労働省としてはあまり無理をしてはいかぬというので、相当長期に入院をされたまま経過をいたしておることは御承知のとおりであります。そこで医学的に見てなおった、こう判断をされておるものが、治癒の認定をしないというようなことでいつまでもいてよろしいものだとは私は思いませんし、こういう状態になって私自身たいへん気まずい思いがするのでございますけれども、これから先はいま言ったようにほんとうに悪い人はもう一度 何かこのグループは全部病院に居すわるとかなんとかいうことではなしに、ほんとうに御指摘のように悪い人があれば、それはお申し出いただいて、救済する道があるのですから、そういう方に対しては私たちも何も冷酷な仕打ちばかりをしようなどということは毛頭ございませんから、そういう措置に出てもらう。それから健康管理を十分やる。御健康に今後も暮していただかなければいかぬわけですから、会社側そのほかについても十分善処をするように私たちのほうからも働きかけていくというような、あれもこれもの措置をとって、相互が信頼の上に立ってこの問題を解決するのでなければ、このグループだけは全部居すわるのだ、どうだとかいうような、非常に荒々しいことになってまいりまして、非常に私は残念に思っております。
  93. 野田武夫

    ○野田委員長 質問者の方にちょっと申し上げます。二時半に労働大臣参議院の社労委に行くそうですから、そのことをお含みで御質問願います。
  94. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣のいまのおことばに、何かグループ、グループということばがある。その三池医療委員会にも、こういう新語があるのですよ。いわゆる医学にことばがないのだそうです。組合原性疾患ということばをつけている。それがあなたの言うグループということでしょう。そういう前提意識を持っていただくのはいかぬと思う。一酸化炭素中毒というのは、医学においても未開発の部分がたくさんあるじゃないか。しかも、よくなったと見ても、あれが浮動しているということは事実なんです。そういうことから、従来の法律ではなくて、特別の立法が必要じゃないか、これが参議院決議だろうと思う。したがって一年以内に立法措置をするのだから、治癒認定というのも医学的になかなかむずかしいものですから、そういうような、なおった人が職場に行くことはけっこうであります。しかし十月二十四日に意見書が出たら、翌日きらんと一刀両断にするなんという、そういうことじゃなくて、そういう経過というのも十分にながめる必要があるのじゃないか。そういうことから治癒認定の問題とか長期療養給付に落とす、切りかえるという問題はたいへん重要だということで議論されて、そういう問題が前提となってこの第二項が生まれた、こういうことなんですよ。いま村上局長、そんなことはないなんて断わっておりましたが、事実そうなんです。これは参議院で詰められるでありましょう。そういう点、グループだとかなんとかというそういう政治的なことをおっしゃいますと、医者も政治的じゃないかということになりますよ。滝井さん本人が、やぶ医者、やぶ医者と自分で言っておりますけれども、れっきとした医者ですよ。この人だって言っておるのですから。あなた権威、権威と言っているのは、その権威の中に隠れて、労働大臣としての見識を埋没しておる、こう申さなければならぬ。ですから、この参議院決議、そういう線に立ち返ってもらいたいということを私は強くあなたに要請しておきます。
  95. 野田武夫

    ○野田委員長 多賀谷真稔君。
  96. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今回の労働省措置は、参議院決議に基づく立法化を、いわば一方的に事前に措置して既成事実をつくった、こういうことにほかならないと思うのです。そうして具体的に、さっきから信頼感の話がありましたけれども、ドライヤー勧告に基づいて、日本の労使関係は非常に不信感が強い、だから話し合いをしなさいというので、昨年の暮れの定期会談において、総理と太田議長の間で三池問題について話し合いがなされた。これが先ほどから問題になっております一月二十七日の了解事項であります。その了解事項が実施されていないということが、私はきわめて遺憾である。労働行政全般の問題として扱われ、その一部が、しかもきわめて重要な問題がなされていない。局長は入院、退院の問題は、医者のいわば管理権といいますか、権限の問題であって、行政の認定の問題ではない、こう言っておる。ところがこの了解事項というのは、先ほどから御指摘がありましたように、障害認定についても、これを準用すると言っておる。当時は参議院決議がありませんから、先ほどお話がありました治癒認定については、時期の問題だという問題は起こっていない。当時は現行法でいくということが前提であったでしょうから、障害認定ということを書いた。障害についても、要するに組合側が推薦をしたお医者さんと、担当医師との間で意見調整をするということ。障害認定の問題というのは治癒を判断する問題でしょう。治癒を判断しないで障害認定はできないわけですから、当然その問題も含むわけですよ。それを局長は詭弁を弄して、行政の権限の問題はこれと違うのだと言っているけれども、その前提は、先ほど言っておるように、お医者さんがきめるのだと言っておりますから、医師の判断の問題になっておる。医師の判断の問題は、そういうことがあるでしょうから、相互に食い違いがあるでしょうからというので、食い違いを前提としてこれは協定ができておるんですよ。食い違いがなければこんなものは書く必要がないですよ。食い違いがあるからできておる。それをなぜ破ったのか。これが実行されなかったのか。どうも先ほどからの論議を聞いていても了解できない。納得できない。これだけの協定があって。了解事項があったのに、それが実施できていない。これが第一。はっきりおっしゃっていただきたい。  それから今度の措置は、当然この一月の二十七日の了解事項からすれば、障害認定の前提になる問題である。これをなぜやらなかったか。  さらに参議院決議からいえば、そのこと自体が行なうべきでなかったということになる。これは参議院は、時期としてはその後に決定をされた問題ですから、当然新しいものが優先をする。何にいたしましても、結局政党間の了解事項、国会の決議、さらに労働省と組合との了解事項が全部順守されていないじゃありませんか。これで一体労働行政がやれるのですか。まず障害認定の、一歩下がって総評との了解事項をなぜやらなかったか。  さらに先ほどお話がありましたこの立法のいわば事前の既成事実をつくって、立法を骨抜きにしようという意図が明らかでしょう。これは、なぜそういう措置をとられたのか。  それから大臣、治癒、治癒と言うけれども、これはお医者さんのことばなんですよ。機能が回復しているということとは違うんですよ。症状固定しておるということなんですよ。何か大臣もしろうと、私もしろうとですが、治癒というとなおった、機能がもとに回復したということで論議されておるけれども、治癒というのは症状固定しているということなんですよ。ですから当然ある程度の機能が回復しないものについては、障害等級の問題が起こる。ですから、なぜこういう政党間の取りきめ、国会の決議、組合と労働省の取りきめが実行できなかったか、これは大臣から御答弁願いたい。
  97. 山手滿男

    山手国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国会の決議を尊重いたしてまいりますし、労働省がお約束をいたしましたことについては、いろいろな周囲の事情もよく考えて、忠実に履行していく決意でございまして、その点には毛頭変わりはございません ただ御承知のように、あの決議そのほかは、なおった人もずっと療養をさせなさいというような形にはなっていないわけでございまして、お話とはちょっと違うように私ども考えます。  それから症状固定をしたものは、確かにお話のとおりでございます。したがって症状固定したものに対しましては、先ほど来申し上げておりますように、障害補償給付のほうに移行をしてまいるわけでございまして、その点については、そういうことにはからってまいりたいと思います。
  98. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が言っているのは、大臣がいろいろ答弁されましたけれども了解事項を順守されなかったというその理由がはっきりしない。それはへぼ医者と大権威とが話し合うのは不見識な話だということにすぎぬでしょう。それでも話し合ったらいいじゃないですか。これは地労委でも——きょうは全国の労働委員会の会合があったと思う。その立場で話し合っておる。個人の問題じゃないでしょう。ですから、この了解事項というのは組合のほうで納得できないから、ひとつわれわれの意見を聞くようにお医者さんを出して、そして意見調整をしよう。——意見調整をしたらいいじゃないですか。
  99. 山手滿男

    山手国務大臣 その点は先ほど申し上げたわけですが、退院の問題等とからんで、初めは組合のほうからも御承知のようにお二人の人を出してこられたわけです。ところが、御承知のようにこれは国のほうでも非常に重要に考えておって、医療委員会の権威のある皆さん方に特にお願いをいたしまして処理をしてきたわけでございまして、たいへん失礼ですけれども、まあもっと権威のある人を出してきてもらいたいというようなことを出先のほうで申したようでございます。そうしたところが、そうするというようなふうであったのでございますが、その後何らそれにこたえていただくようなことに具体的にならなかった。そういうことのためにずっと居すわってこられたわけです、しかし、居すわってこられたからといって労働省がすぐ退院を強制するというようなことはまあしないけれども、累次に行なわれておりまして、そういうことで相互信頼の関係にあるべき医者患者の関係がそうでなくなったことは、私は非常に遺憾に思っております。
  100. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういうことをあらかじめ予想されたからこういう協定ができたんでしょう。そういう状態が予想され、現実に当時でも入退院の問題を中心として起こっておったから、わざわざこういう了解事項ができたのです。ですから、その手続を省略してできるくらいなら、労働行政は要りませんよ。労働行政の機微ですよ、それは。同じ役所の仕事でもいろいろあるでしょうけれども、そういう点を扱うのは労働行政の機微だと私は思うのです。一番重要な点だ。ほかの大臣は気がつかなくても、労働大臣はそれを非常に気をつけて慎重に扱わなければならぬと思うのですよ。これが扱われていない。しかもこの了解事項というのは、総理と総評との間の定期会談に基づくものでしょう。ですから、私はそういう取り扱いをなされたということは非常に遺憾だと思う。それから少なくとも国会の決議をまるっきり既成事実をつくって無視するようなことをおやりになるなら、やったらいいでしょう。決議など要らぬですよ。どこが実行したのです。一つも実行してないじゃないですか。いままでの間でどこが実行されましたか。この国会の決議を尊重したというなら、どこを尊重しておるか、具体的に事例をあげてごらんなさい。
  101. 山手滿男

    山手国務大臣 国会の決議を尊重いたしまして、御承知のように審議会に諮問も求めて、どういう法律にしたらベストなものになるかというようなことで、いろいろ検討してもらったり、いろいろなことを尊重するたてまえでやっておるわけでございます。  それから、いまの話でございますが、どうも私たちの感触では感じがちょっと違うんですが、まああれだけの権威のある人たちを動員して三池医療委員会をつくって、事故が起きました直後からずっと、いろいろな意味で御配慮をいただいたわけでございますが、最後に退院するというような事態が起きたときに、まあ比較的若い人や何かを連れてきて、そういう人たちと権威のある人とすりかえたような形で診断をさせ、いろいろ論議を進めていくということは、私が患者であれば、どうもそういう方法はしたくないと思います。やはり事故が起きた直後からずっといろいろな意味で御配慮をいただいておるわけです。しかも天下の権威者でございまするから、そういう人たちの言うことについては一応の信頼を持ってもらってもよろしかろう、こういうふうに私は考えております。また、あまりそうむちゃなことをあの先生方がやったとも私は考えておりません。
  102. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国会の決議を尊重したとおっしゃいますけれども長期療養給付に切りかえれば解雇問題だって出るのですよ。いま国会の立法の問題では、三年以内の解雇をすることができるという問題については、これはすべきでないということで参議院から立法が出ておるでしょう。そういう争点になっておるところが既成事実が行なわれているじゃないですか。それから傷害の認定問題だってそうですよ。現行法でいけば認定したものを、また新法によってもう一回変えますか。そういうように三池問題は新法ができてもみなほとんど既成事実で終わってしまう、そういうことになるでしょう。いまから千名近いCO患者が出るような災害が起きてたまりませんよ。
  103. 山手滿男

    山手国務大臣 新法があってもなくても同じということでないと私は思います。ずっと今後継続して治療をさしたり、いろいろなことが起きるわけでございまするから、やはり法律はつくるべきである、つくりたい、こういうふうに考えております。
  104. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 法律をつくるのはけっこうですよ。しかし三池患者については、たとえば解雇問題だってもう既成事実が積むでしょう、こう言っておる。じゃ長期療養給付の者はずっと解雇をしないでいきますか。新法ができるまでずっと待っていきますか。全部新法待ちにしますか。
  105. 山手滿男

    山手国務大臣 内容はもちろんまだきまっておりませんから、最終的な断定的なことを申し上げるわけにはいきませんが、長期療養をすることになっておった人でも、今後のお医者さんたち所見によってなおったというようなことになれば、もちろんこれは新しい事態でございましょうし、そうでない場合にはもちろん長期にわたって療養をしてもらう、こういうことでございます。
  106. 野田武夫

    ○野田委員長 滝井君。−時間の関係で、約束ですから一問だけにしてください。
  107. 滝井義高

    ○滝井委員 最後に一つだけお尋ねしておきたいのは、定年退職になる人がおりますね。これは一体どういうことになるのです。今度その定年のくる人は何人おりますか。
  108. 村上茂利

    村上説明員 いわゆる定年退職につきましては、労働協約、就業規則に定めがあるわけでありますから、この人数としては、私ども現在六十四名程度ではなかろうかというふうに聞いておりますが、労働協約、就業規則の定めるところによりまして問題が処理されるかと思います。しかし、この点については今後も団体交渉するやに聞いておりますので、さらにその成果を、成り行きを見たいと考えております。
  109. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、こういう人は労働協約その他を見てやるというだけで、労働省としては指導も何もしていない。そうすると、ぼくは労働協約その他の内容をよく知りませんが、いまの三池の者は、これは首を切られてもしかたがないですね、定年になっているんですから……。
  110. 村上茂利

    村上説明員 私どもが聞いておりまして特に問題とされておりますのは、失業保険金がやめた際にもらえない。三年間入院しておりまして受給資格がない。これはあまりにも気の毒ではないか。そこで、失業保険給付に見合う額を何とかして確保できないかということが当面の問題になっておると聞いております。しかしそれ以外の問題についてもいろいろあるわけでございます。いま団体交渉がなされるわけでございますから、労使でいろいろ論議しておる問題でございますので、私どもかれこれ言うのは差し控えたいと思いますが、現在私どもが仄聞いたしますと、会社側のほうで再雇用約款について申し入れをしたとか、いろいろ新しい事態が開けておるようでございます。かねて申し上げておりますが、そういった労使の問題でございますけれども、これが円満かつ適正に処理されますように、会社側にも私ども機会あるごとに強く申し入れをいたしておるような次第でございます。
  111. 滝井義高

    ○滝井委員 会社側に強く申し入れをしたとかなんとかと言うけれども、三年間治療した、治療中に定年退職をする時期にきてしまった、そうしたら失業保険は、賃金がないからもらえない、それを何とかしょうと言ったって、それは政府が何とかしてくれるのですか。まさか、法をがしっと守っておる人が、法をくぐって失業保険をやるというわけにもいかぬでしょう。それじゃ会社がやる以外に方法がないじゃないですか。こういうところこそ、ここでその処置をしたときには、六十四人の定年退職者についてはこれこれの処置をするようにしてこういう処置をやったというのが政治ですよ。それが行政ですよ。いままでにそういう大事な点については少しも手を打っていない。打っておるなら言ってごらんなさい、どんな手を打っておるのか。
  112. 村上茂利

    村上説明員 この問題につきましては、私どものほうから会社に善処方を非常に強く申しておるところであります。ただ、事柄自体は労働協約でまとめることであります。したがって法律上の指示権とかそういうのは私どもございません。ありませんけれども会社の最高首脳部の人々にその点を再三強く要請しまして、実現方を期待しておるようなことでございまして、ちょっと簡単な要請ではありませんので、かなり強い要請をしておるところでございます。しかしその金額確保の問題以外に、今度は再雇用約款の問題が出ているとか、いろいろ問題が開けておるようでございますので、これらの条件が労働者に有利になりますように、私どもも十分注意を払いまして、その結果を見たいと思っております。
  113. 滝井義高

    ○滝井委員 そういうように既成事実をつくって、そしてその上で今度は会社にお願いをするというようなことは筋違いですよ。そういうことをおやりになるならば、定年退職者についてはどういう処置をするということをやはり国会に報告ができる形をつくっておかなければいかぬわけですよ。いまから会社に幾ら強く要求をしたって、会社が拒否したらどうしますか。国が出しますか。責任を持って立法をつくりますか。失業保険の金額のない人に失業保険の金額に見合うものをやってくれますか。あなた方のやることは全部無責任ですよ。率直に言っておきますが、とにかく村上さん、これを撤回しない限りは、ぼくらはあなたの罷免を要求しますよ、お気の毒だけれども。こんな血も涙もない行政はないですよ。しかもあの三池の爆発は、だれにも責任がない不可抗力で爆発したようなものです。そんなばかげたことはない。そして不可抗力で出た患者については労災をがっちり適用していく。こういうことでしょう。もしあれが事業主の責任でなかったら、労災なんかありはしない。全部国が持たなければならぬでしょう。そうしたら打ち切りなんかあり得ないはずです。定年退職者は実に気の毒な人たちです。そういう大事な人たち処置を、いま会社に強く要求しておるのだ、普通よりか強く要求しておりますと言っても、われわれは納得できません。そんな処置なんかやろうとすれば、きちっと一刀両断のごとく国会で説明ができる体制をつくっておかなければならぬ。そういうものも何もつくっていない。もしあなたが大臣を補佐してあくまでもこれで押し通すというのなら、押し通してけっこうです、そのかわりに、われわれはどんなことがあっても徹底的に抵抗しますから。私はこれでやめます。
  114. 細谷治嘉

    細谷委員 委員長、資料を……。いままでなおったといってリハビリテーションあるいは職場復帰した人——私は先ほど実例をあげたのだ。問題が起こっているから、それを追跡しているだろうと思う。どういう状態になっているか、その資料をひとつ。  もう一つは、今度強制退院を受けた人——権威者がやったというのだけれども、病情を診察した結果の資料を出せませんか。出せるでしょう、権威者がやったのだから。それを要求したいと思います。
  115. 野田武夫

    ○野田委員長 わかりました。では、いまの資料要求はできるだけのことをやってください。      ————◇—————
  116. 野田武夫

    ○野田委員長 この際、申し上げますが、去る一日の北海道住友奔別炭鉱爆発事故実情調査のため、十一月十日、委員派遣を行なう予定でございます。  派遣委員は藏内修治君、多賀谷真稔君、伊藤卯四郎君でございまして、十日早朝、羽田を出発し、当日夜帰京の予定でございます。委員派遣の承認申請に関しましては、すでに委員長に御一任いただいておりますが、念のため御報告いたしておきます。      ————◇—————
  117. 野田武夫

    ○野田委員長 次におはかりいたします。  今国会の閉会中に北海道及び九州地区における石炭鉱山の実情等の調査を行ないましたが、その派遣委員から報告書が提出されておりますので、これを会議録に参考のため掲載することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 野田武夫

    ○野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十八分散会