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1966-11-11 第52回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月十一日(金曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 日野 吉夫君    理事 池田 清志君 理事 稻葉  修君    理事 井谷 正吉君 理事 稻村 隆一君    理事 山口丈太郎君       天野 光晴君    井出一太郎君       岩動 道行君    大竹 太郎君       櫻内 義雄君    壽原 正一君       羽田武嗣郎君    藤本 孝雄君       増田甲子七君    森下 元晴君       森田重次郎君    石田 宥全君       川村 継義君    佐野 憲治君       中澤 茂一君    永井勝次郎君       芳賀  貢君    松浦 定義君       山花 秀雄君    稲富 稜人君       小平  忠君  出席国務大臣        国 務 大 臣 橋本登美三郎君  委員外出席者         総理府総務副長         官       上村千一郎君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  上田 伯雄君         総理府技官         (北海道開発庁         水政課長)   富所 強哉君         総理府技官         (北海道開発庁         農林水産課長) 島津 義満君         総理府事務官         (北海道開発庁         主幹)     窪田  譲君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局総合研         究課長)    緒方 雅彦君         総理府技官         (科学技術庁国         立防災科学技術         センター所長) 寺田 一彦君         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 大串不二雄君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 宮地 貫一君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      飯原 久弥君         農林政務次官  草野一郎平君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      石田  茂君         農林事務官         (農林経済局         長)      大和田啓気君         農 林 技 官         (農林経済局保         険業務課長)  松永 正隆君         農 林 技 官         (農政局植物防         疫課長)    安尾  俊君         農 林 技 官         (農地局建設部         かんがい排水課         長)      梶木 又三君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 松井 芳明君         農 林 技 官         (畜産局自給飼         料課長)    山下 粛郎君         農 林 技 官         (園芸局園芸課         長)      千野 知長君         農 林 技 官         (林野庁指導部         計画課長)   辻 良四郎君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部金融課長) 斎藤 英雄君         気象庁長官   柴田 淑次君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      今里  能君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         地震課長)   木村 耕三君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設技官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (河川局河川計         画課長)    望月 邦夫君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      坂井 秀正君         建 設 技 官         (河川局砂防部         長)      木村 正昭君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    角田 正経君         建 設 技 官         (国土地理院測         地部長)    原田 美道君         自治事務官         (財政局交付税 横手  正君         課長)         消防庁次長   川合  武君     ————————————— 十一月十一日  委員内田常雄君、舘林三喜男君、井伊誠一君、  川崎寛治君、西宮弘君、山田耻目君及び竹谷源  太郎辞任につき、その補欠として岩動道行  君、森田重次郎君、芳賀貢君、松浦定義君、佐  野憲治君、永井勝次郎君及び小平忠君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員岩動道行君、森田重次郎君、永井勝次郎  君、芳賀貢君、松浦定義君及び小平忠辞任に  つき、その補欠として内田常雄君、舘林三喜男  君、山田耻目君落合寛茂君、川崎寛治君及び  中村時雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付し案件  長野周辺地震による災害対策  昭和四十一年十月の豪雨による災害対策  北海道における異常低温による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 日野吉夫

    日野委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、台風第二十四号及び第二十六号による被害状況等調査のため、現地に派遣されました委員から報告を聴取することといたします。  最初に、第二班につきまして私が便宜この席から御報告をいたします。  第二班の調査概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、天野光晴君、湊徹郎君、竹谷源太郎君及び私のほか、地元選出議員の御参加を得まして、去る十月十七日及び十八日の両日、埼玉県及び群馬県における台風第二十四号及び第二十六号による被害状況等について、つぶさに調査をいたしてまいりました。  調査の詳細につきましては、委員会にはかって、本委員会会議録参照として掲載するよう取り計らいたいと存じますので、きわめて簡単に調査概要を御報告いたします。  九月二十五日襲来した台風第二十六号は、午前零時過ぎ、瞬間最大風速四十一メートルの強風と大雨を伴って埼玉県下全域、特に県の中央部を南北に通り抜け、午前二時過ぎ群馬県に達し、群馬県下におきましても瞬間最大風速四〇・二メートルをもって県下全域に猛威をふるって県中心部を縦断し、午前三時三十分過ぎに東北方面に抜け去ったのであります。  このため、両県下におきましては各地で山津波、土砂くずれなどを超こし、家屋の倒壊、収穫前の農作物、風倒木による被害激甚をきわめ、中小河川異常増水のため家屋の浸水、道路橋梁等の損失が多きに至り、特に、埼玉県においては二十八名、群馬県においては十五名のとうとい人命が失われるという悲しむべき事態が発生しているのであります。  埼玉県においては五十二市町村に、群馬県においては二十五市町村に対し災害救助法を発動しておりますが、その被害額は、埼玉県において約百五十五億円、群馬県においては約百六十七億円の多きに達しているのであります。  さらに、埼玉県におきましては、本年六月の降ひょう、同月の台風第四号と、たび重なる災害を受け、群馬県におきましても、九月十一日の集中豪雨による災害と連続的な被害をこうむっているのでありまして、これがため被災者物心両面にわたる大打撃を受け、民生安定の上にも、及ぼす影響は大なるものがあるのであります。  われわれは、災害地の視察とともに、地元方々から数多くの要望を承ってまいったのでありますが、すでにその適用が決定されておりますが、第一に、激甚災害として指定されたいという強い要望があったのであります。第二に、災害融資については、連続災害でもあり、その融資ワク拡大長期低利融資が望まれ、第三に、中小河川の抜本的な早期改修が望まれたのであります。第四に、今次台風が多大の個人災害を惹起しておりますので、風水害による死亡者に対する弔慰金制度個人財産被害に対する復旧費助成等制度化について要望がなされたのであります。  以上がその要望のおもなるものでありますが、困窮した被災民のため、一刻も早い国の援助が切望されるものであります。  以上簡単でありますが、御報告を終わります。  次に、第一班につきましてただいまから報告を願います。山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 第一班の調査概要につきまして、簡単に御報告申し上げます。  派遣委員は、壽原正一君、渡辺栄一君と私の三名、ほかに地元選出議員多数の御参加を得て、去る十月十二日から十四日までの三日間、福島県、宮城県及び栃木県における台風第二十六号による被害状況等につきまして調査を行なってまいったのであります。  内容の詳細につきましては、この会議録末尾参照掲載していただくこととし、各県において被災現場を視察し、現地方々の声を伺ってまいりました印象を一言申し述べます。一 今次災害におきまして最も顕著でありましたことの一つは、各県を通じて市町村関係の小災害がきわめて多かったことであります。いずれの市町村におきましても、小災害自力復旧が困難であるため、国の強力な援助が強く望まれるとともに、将来にわたって、法改正など抜本的な対策検討が必要であると感じてまいったのであります。  次に、農林関係中心とした災害復旧のための各種金融制度の問題、たとえば自創資金天災資金などの融資限度額の引き上げ、利率の引き下げ、据え置き期間償還期限の延長などについて各地で強い要望があったのでありまして、先般北海道で話題となりました制度資金既借り入れ分のたな上げ問題、あるいは政府資金利率が高過ぎる問題などともあわせ、この際、抜本的な法改正を考慮すべき時期にきているのではないかと痛感してまいった次第であります。  その他、個人災害に対する援助の問題、早期査定改良復旧大幅認定災害復旧年次短縮等、いつの災害においても問題とされる数多くの要望がなされたのでありますが、政府におかれては、これら災害地の窮状を体して早急に援助措置を講ずるとともに、抜本的総合的な対策の樹立に御努力あらんことを要望いたしまして、御報告といたす次第であります。
  4. 日野吉夫

    日野委員長 これにて派遣委員からの報告聴取は終わりました。派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  なお、ただいま報告がありました両班の派遣委員から、内容の詳細について委員長手元にその調査報告が提出されておりますので、これを会議録末尾参照として掲載いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 日野吉夫

    日野委員長 台風二十六号による災害対策昭和四十一年十月の豪雨による災害対策北海道における異常低温による災害対策、及び長野周辺における地震による災害対策につきまして調査を進めます。  質疑に先立って、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本建設大臣
  7. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私、閣内で、松代地震対策連絡協議会会長、さようなことになっておりますので、最近における対策をどうやってまいったか、一応皆さんに御報告申し上げて、なお皆さんの御協力と御鞭撻を得たいと存じます。  御承知のように最近この地震拡大されまして、それがために地震対策地域拡大ということについて協議をした結果、従来三十六市町村でありましたものを、八町村を追加いたしまして、これを九月の十四日に決定いたしたわけであります。  次に、避難用応急仮設施設設置。これも早くから、前大臣当時からこれを進めてまいりまして、従来設置済みのものは三百五十二戸でありましたが、最近の拡大その他の事情にかんがみてなおこれを追加増設することに相なりまして、そこで現在すでに完成を見たものは、牧内地区地すべり避難用、これが五むね四十世帯、九月の二十五日に完成をいたしました。それから、落石危険地域及び地震対策地域拡大に伴い新たに必要となった分として百二尺これが十月の二十五日に完成を見ております。さらに、更埴市等の危険地区集団用避難施設、これは八百九十坪でありますが、目下建設中であります。  第三は、消防施設整備。従来設置済みの本年度分小型動力ポンプ六十二台、防火水槽百五基、それに加えて、最近の情勢によりまして新たに必要となった分が、小型動力ポンプが十六台、防火水槽が二十七基、これを追加整備することになって、十月の七日に資金交付済みであります。  四、公立学校仮設校舎建設。これも従来設置済みのものは百十三教室、これに加えて、新たに増加を必要とする観点から、学校設置者から正式な申し出があればいつ何どきでもこれを設置するということを申し伝えて考慮をいたしておりますが、まだ具体的な申し出がない状態であります。  五、地すべり防止対策湧水排水対策地すべり防止区域指定、これは農林省林野庁建設省において指定をすることになるわけでありまするが、建設省は数日前にこれが手続を完了し、目下農林省林野庁において最後の手続を完了する手はずになっております。地すべり防止対策、緊急を要するものについては直ちに予備費等によって措置する方針をきめて、目下これが具体的な計画を進めておる次第であります。湧水排水排水地すべり防止対策の一環として措置いたします。藤原川等湧水流入河川につきましては、予備費をもって改修する方針でこれが計画を進めております。ボーリングによる地下水脈調査、これは瀬関加賀井牧内の各地区において調査することといたしておりまして、目下一部はボーリングに着手いたしております。  六、地震研究費用の確保。研究者の旅費の問題は、前に御報告申したとおりに、総理もこれを考慮して、直ちに予備費をもって支出をいたして、目下観測強化継続中であります。深層ボーリング(二千メートルから三千メートル)の施行、これは来年度において行なう方針で、地震状況技術的可能性について目下その具体的な方針検討中であります。  七、地震研究センター設置。この問題は、かねてから地元からの要望もあり、目下、総理府中心となりまして、科学技術庁及び気象庁中心具体案作成中であります。もちろん、内容としては、観測強化及び人員の強化等を含めた問題はどういう組織にするかということで、目下総理府中心になって具体案作成中でありまして、方針は確定をいたしております。  八、中小企業金融対策特別利子六分五厘の適用地域拡大、これは九月二十七日閣議決定でその後拡大を決定いたしております。2の、通常利率で貸し付けた者に対する特別利子切りかえ措置、これは九月九日付で中小公庫、商工中金、国民公庫に対し中小企業庁大蔵省から通達を出しております。  九、国の特別の財政援助について。国庫補助特例措置を実施しております。応急仮設施設及び仮設校舎建設消防施設整備その他についてこれを行なっております。補助残については、現年発生災害復旧事業債として扱っております。さらに、地方公共団体財政事情を勘案して、特別交付税交付についても特別の配慮を行なうべく、目下関係省において協議をいたしております。  その他の県及び地元方面からの要望でありますが、五ヘクタール未満の耕地に対する国の援助方要望されております。これに対して、災害復旧は、事業費が一カ所十万円以上であれば、面積に関係なく補助する方針である。また、地すべり対策は、地すべり防止区域内のものについては措置をいたします。  二、十万円未満の小災害補助対象とすることについて。これについては、起債の元利償還について助成措置を行なっております。  三、宅地の石がき崩落等個人災害助成について。個人災害の補償はきわめてむずかしい問題を含んでおりますし、いろいろの問題がありますので、目下これが検討を進めておる状態であります。  四、住宅等建物災害に対する長期低利(年三分程度)の融資制度要望されております。これは、他の貸し付け制度との均衡上、現行法をもってはなかなかむずかしい、こういう考え方でおります。  五、危険校舎の改築を災害扱いとし、特別ワクをもって措置するように、こういう希望があります。これについては、松代では、危険校舎については、プレハブ校舎建設屋根がわらのふきかえによって措置をいたしておるような状態であります。  地元からの要望については必ずしも全部が全部これを了承する状態ではありませんけれども、最近澁谷政務次官あるいは上村地震対策会長が参りまして現地のいろんな要望を聞きました。現地は、政府当局にこの松代関係のものについては非常に迅速に措置をしてもらって、もちろん個人災害等ではなおいろいろお願いしなければならぬことがあるが、原則としてはまことに満足をしておる。私のほう、いわゆる政府側としては、県当局に対しましても、かような災害であるから、いわゆる中央政府が具体的にできぬ場合が多い、その場合においては、政府方針を体して現地において特段の方針をとられてけっこうである、かような方針でやっておりますので、その間中央地元との連絡は非常にうまくいっておる、ある意味においては感謝をされておるというのが、現地に参りました代表団といいましょうか、政府から参りました調査団報告でもあります。  以上、問題点及び政府措置してまいりましたことを一括して御報告申し上げて、御了承いただきたいと思います。     —————————————
  8. 日野吉夫

    日野委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。井出一太郎君。
  9. 井出一太郎

    井出委員 ただいま橋本協議会長から、松代地震対策につきまして非常にきめのこまかい報告に接しました。私の質問申し上げようとしておる点にある程度答えていただいておりますので、ごく簡潔に二、三の点をただしておきたいと思うのであります。  私は数日前に松代地すべり地帯を視察いたしました。たまたま社会党の中澤委員も御一緒になりまして、相ともに超党派で見てまいったわけでございます。あるいはこまかい点は中澤委員からこのあとでお尋ねがあると思いますが、第一点は地すべり地帯の問題でございます。昨日の官報でございますか、すでに地すべり地帯としての指定がある、こういうことでありまして、まさに地元要望におこたえ下すったわけで、これはたいへんけっこうと存じますが、お手元の写真なり、ここに掲げた図面にございますように、牧内という地帯、その右にある桐久保、その左にある西平、このあたり一帯にすでに崩壊が起こりまして、そしてこれはある程度の予知と申しましょうか、この場合学問が役立って、亀裂等を事前に予知されまして、ここは危険である、したがって一刻も早く疎開すべきである、こういう学者諸先生の御指摘もあり、町当局ないしは自衛隊等の非常に適切な指示もございまして、人身事故というものは全然なくして済んだということは、まさに備えあれば憂いなしという顕著な一例であったと私は思うのでございます。しかしながら、その写真にもありますとおり、その背後を亀裂が走っておる。その崩落がもし全面的に起こりまする場合には、付近数百戸の住民が非常な危険にさらされる次第でございまして、どうしても抜本的な地すべり対策をしなければならぬというのが、切なる地元の願いでございます。そこで、指定になったことはまことにけっこうであるが、協議会長は、これは建設省でまず取り上げ、林野庁農林省等とも打ち合わせ中である、いまこういう御報告でございました。この辺がそれぞれ役所間の連絡が不行き届きであるならば、思いもかけない事態にならぬとも保しがたい。そこで、こういう役所間の水も漏らさぬ体制というものがすでにできておるのかどうか。そして、さて地すべり地帯指定ということは、具体的にはどうなるのか。それぞれ専門的な工事というものがなされるわけでございましょうが、たとえば横穴を掘ってまず水の排除をするというふうなことが先決でございましょう。実際行って見ておると、まるで新しい川ができたごとくにとうとうと地下水が流れておるのであります。これに近接したスキー場で有名な菅平というところがありますが、この地帯は、従来一種のツンドラというのか、湿潤な地帯であった。最近それがすっかりかわいていてしまって、どうもしろうと考えには、その辺の水が地下を伝わって松代湧水しておるのではないか、こういうことも地元では言うておるのでございます。したがって、地すべり地帯指定はけっこうだが、さて具体的には何をなさんとするか。しかもそれが急を要するとすれば予算の問題にもからんでまいりますが、来年度を待ってというふうなのんびりしたことでは困る。まず、具体的には地すべり対策はどうするか、予算措置等はいかがなものか、これを伺っておきたいと思います。
  10. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは井出さんも御承知と思いますが、現行法律から、建設省指定する地域、これは条件等によりますが、農林省指定する地域林野庁指定する地域と分かれております。今度の場合も、瀬関地区中心にして建設省がやる、牧内中心にして農林省がやる、山のほうは林野庁、こういうふうに分けて、法律がそうなっております。三者協議する、これはどこがやるかということは相談はいたしますが、指定する場合は、建設省はこの地区農林省はこの地区林野庁はこの地区、こういう別々の指定をするということになっております。したがって、その法律に従って、建設省は、数日前に建設省はここを指定するという協議書をつくりまして、もちろんこれは農林関係もありますから農林大臣協議事項になりますが、すでに私のほうは手続を済まして農林省交付してあります。建設省関係としていろいろ技術的な問題は河川局長から説明させますが、湧水は結局は付近の川に流していかなくちゃならぬわけですが、そういうような工事がこれに伴う必要がありますので、建設省関係としては四千万円を目下大蔵省に対して請求中である。それによって急速に工事をやっていきたい、かように進めてまいっております。こまかい点は河川局長から報告させます。
  11. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御指摘のように、地すべり地区は非常に山の上に亀裂が入っておるようでございまして、われわれも全面化することを非常におそれておるわけであります。早急に指定をいたしまして地すべり防止工事をやるということで、農林省農地局林野庁並び建設省とお互いの協議は終わりまして、昨日の官報指定しておるはずです。そういう指定によりまして対策工事をやっていくというふうに考えております。現実にはもうすでにそういう前提でやっているところもございます。  そこで問題は、そういった湧水を早く抜くということが、地すべり防止をする上に非常に大事なことだろうと思います。しかしながら、これを抜くと、非常にたくさんな量が出ておりますので、下流の藤沢川というところにそういう水が流れてくる。藤沢川は非常に川幅が狭い川でございまして、一部分においてあふれ出るというようなところもございます。したがいまして、そういった川は早急に改修しなくちゃいかぬということで、ただいま現地では用地の交渉その他にかかっております。予算的には先ほど大臣から申されたとおりでございまして、ただいま検討中でございます。早急に進めてまいりたいと思っております。この地すべりについての直接の湧水の処置の対策としましては、各省それぞれの所管において予算をつけましてただいま実施中でございます。そういう点でできるだけ早く水を抜くことを重点にやってまいりたいというふうに考えております。
  12. 井出一太郎

    井出委員 大体お答えをいただきましたが、建設省がとりあえずリーダーシップをとられたようです。そこで、農林省なり林野庁は、これを受けてといいますか、やはり同じような心がまえでこれに臨んでおられるはずであるが、そちらの関係者がおられたら、農林省側の心がまえをひとつ伺いたいのであります。
  13. 松井芳明

    ○松井説明員 農地局所管の松代の地すべりについてお答えいたします。  農地局所管の地すべり地域は、いま建設省からお話ございましたように、牧内地区中心にいたしておりまして、十一月十一日付で地域指定官報に告示になりました。この面積は百三十七町歩でございまして、先般地すべりがありました牧内地区並びに桐久保地区を包括してございます。これが県知事に通知が行なわれますと、県のほうで基本計画作成して実施の計画を立てることになっておりまして、地すべり事業につきましては四十二年度から具体的に着手する予定にしておりますが、この中ですでに地すべりが起こりまして被害が相当出ておりますので、この分につきましては、農地等の災害復旧事業としてすでに査定が完了しております。その査定額は九千二百万円でございまして、これにつきましては、とりあえず応急工事として排水をやることを主眼にしてすでに現地では着手しておりますが、引き続き地下水の処理並びに土どめその他農地の復旧、こういうものを含めて、本年度から、大体本年度四千三百万円の事業を行なうように予備費要求を出してございます。おおむね四十二年度で災害復旧のほうは処理いたす予定にしてございます。  なお、湧水処理が非常に問題になりますので、建設省のほうと十分連絡いたしまして、これの排水系統の整備につきましても、現在連絡して緊急に体制を整えるように打ち合わせ中でございます。
  14. 辻良四郎

    ○辻説明員 林野庁といたしましては、松代地震地区加賀井地区につきまして約三十五ヘクタールを地すべり指定いたしたわけでございます。この地区につきましては、主として排水工事等に使う経費といたしまして、三百六十万円を考えております。なお、その周辺地区につきましても、約九千万円の直接の経費並びに補助で四百万円の経費をもちまして、同じような対策を考えております。さらに今後必要に応じましてはそれぞれ緊急治山としての対策を講じたい、かように考えております。
  15. 井出一太郎

    井出委員 いま各省各局それぞれ間髪を入れない対策に臨んでいらっしゃる、まことにけっこうでありますし、予算の面も予備費をそれぞれ要求になっておる、こういうことでございますから、その点は了承をいたします。  そこで問題は、やはり三部門それぞれから伺ったのですが、これを総括した、いうなれば統合参謀本部みたいなものがどうも必要ではなかろうか。これはおそらく橋本さんのところでそういった総括をおやりになるだろうと思いますが、従来とかく指摘されましたような、なわ張りを固執してどうとかいうようなことでなくこれは進行されるものだ、かように信じております。私らしろうとが見て思いますことは、なるほど建設、農地、林野それぞれ応急的にそれの対策を講じられるわけなんですが、もしもその背後の山が全面的に崩壊でも起こす危険ありとするならば、すでに学者から、その写真にもあるように相当な亀裂が走っておる、こういう指摘があります以上、そこに起こった局所的な災害をそれぞれ復旧いたしましても、もっと基本的な大山くずれが不幸にしてあるというようなことが——まあそんなことがないことを望むのですけれども、そういう場合には、せっかく個々にやったものが、さいの川原に石を積んだようなぐあいにまた根こぞぎやられるような心配がありはしないか。地元もそういう点を実は憂慮しておるわけです。これはどうですか、技術面の方でそういう点にお答え願えればありがたいのですが……。
  16. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御指摘のように大規模な地すべりが山の上に起きているようでございます。それによる大規模の地すべりが、地域全体を地すべりさせる可能性もあるという御指摘も受けております。したがいまして、これらの松代地震につきまして地すべり対策の調整協議会というものを私のほうと林野庁と農地局の三者でつくりまして、地すべり問題につきましては、十月二十八日に会議をいたしまして、当面の対策と今後の対策というものをどういうぐあいにすべきかということを協議しました。とりあえず、先ほど申し上げましたように、排水対策というものが地すべり対策としまして一番大事なことだと思いますので、当面ある金をもって排水問題を早くやろうということにいたしました。その後、地域をどういうぐあいに考えていくかという問題は、その排水状況を待ちまして、地すべりがどういう形になっていくのか、そういった問題を観察しまして、そして調整協議会の中で検討してまいりたいというふうに考えております。地元の県からは、あの地区地すべり地区一括にしてもらいたいという要望も聞いております。そこで、そういう問題を討議する前にさらに早急に当面の対策をやらなければいかぬということで、われわれは第一回は当面の対策の問題について協議したわけでございます。その後の進行は、進行状況によりまして観察を十分にいたしまして今後の問題を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  17. 井出一太郎

    井出委員 どうか応急の対策とともに恒久の対策にも留意しつつ、ひとつ両面作戦みたいなぐあいにして運用を願いたいと思います。次に排水が何よりも大事なんですが、これを下流に導水をいたしていきます場合に、藤沢川がなかなかのみきれない。同時に、あそこには、そう何百メートルと離れずして同じ方向に関屋川という川があるようであります。この川は現在すでに天井川であって、非常な危険にさらされておる。聞くところによりますと、この二本の川を上流でもって一本に統一する、そして拡幅等もするのでございましょう、流れをよくして十分のみ切れるようにという配慮をしたい、またこれはすでに河川局でそういう構想もあるやに伺いました。その点がいかがになっておるか。  ついでに、これらはいずれも下流は千曲川へ入るわけでございますが、あそこには蛭川とか神田川とかいう名前のちっぽけな川があるわけでありますが、それらがいずれも本流である千曲川の水面とそんなに変わらないということから、従来、集中豪雨等があります場合には、のみ切れないでたんぼ一面が冠水、浸水するというような状況であったのでありますが、これは藤沢川一つを改修しただけでとどまるものではない。その千曲川へ入る水門などの操作もしょっちゅう問題になっておったのでありまして、そういうあたり、河川の問題について少し伺っておきたいと思います。
  18. 古賀雷四郎

    古賀説明員 私、現地へ行ってまいりまして、先ほど御説明申し上げたとおりに、藤沢川の中流付近になりましょうか、そこで水があふれておりまして、それでその辺が湿潤地帯になっております。したがいまして、当面の対策として、藤沢川を拡幅いたしますか、あるいは別に水路を設けるかしまして、河床を十分低下させるということを考えております。それと同時に、先ほどお話のありました関屋川というのは、天井川でございまして、これを上流から新しくできた水路に入れるということも可能性があります。したがいまして、そういった点の検討をいたしておりまして、早急に進めるようにいたしたいと思います。なお、下流の千曲川との問題でございますが、これにつきましては、相当工費もかかりますので、したがいまして、当面は関屋川と藤沢川の問題を一応解決したい、それに従って水系を一貫した計画で恒久的な対策を考えてまいりたい。下流の蛭川も非常に狭い川でございまして、これも当然改修を要する川でございます。したがいまして、これらも含みながら当面の対策を講じ、将来の対策も考えてまいりたいというふうに現地をいま指導しておるところでございます。
  19. 井出一太郎

    井出委員 きのうの科学技術の特別委員会地震研究センター設置が公表されたようでございますし、先ほど本部長の総括説明の中にもそれがございました。これも長らく地元からの要望であり、また、松代にはすでに東大の地震研究所をはじめとしていろいろな施設がある。旧大本営あとがたまたまこういうことになり、しかもその機械、施設のある松代周辺にこういったもしこの不幸の面を除外して考えれば、まさに地震研究にとってはこれは天来の福音みたいなものであります。したがって、ここが日本の地震学のメッカになるようにりっぱな施設をつくられようということはけっこうでありますけれども、これは一体所管はどうなるのか。科学技術庁あたりで一本にまとめられていくものか、その他いろいろなわ張り等の問題に何か危惧の念も感じないではない。そういう一本化の問題をどうお考えになるか。このごろ現地を歩いてみますと、ボーリングをしております。それが、片一方東大がやっておるかと思えば、片一方は信州大学がやっておる。これは各大学それぞれそういった講座もあり、学問の殿堂としてはそれぞれやりたいでしょう。しかし、はたしてそういった分散的なことをやっておって効果があるのかというような点も一括して、その地震研究センターにあわせて、そういう問題の解明をひとつ承っておきたい。
  20. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 きのう、科学技術の特別委員会で有田科学技術庁長官から話があったように新聞で拝見しましたので、先ほど有田長官及び運輸大臣並びに森総務長官等でその事情連絡したのでありますが、有田長官の言いましたことは、科学技術庁と気象台とが技術的には中心になって、そこで統一したといいますか、総合した地震研究を進めていきたい。いわゆるセンターの問題は、総理府中心になって何か総理府に置くような形で新聞に出ておったそうでありますが、そういう意味ではなくて、総理府中心になってこれら関係庁と、どういうような内容、機構にするか等について協議を進めるということで、もちろん内容は拡充し、かつまた、さき申しましたような研究所を設けるということの方針は決定しておるわけでありますが、先ほど来お話があったように、大学についても、それぞれの大学がやっておるような状態ではまた地元にとっても不安がありましょうから、その点は、扱い方としては科学一本のものにまとめて、そこでひとつ人員も強化予算強化してやっていきたい。それを気象庁に置くか、あるいはどこにするかという問題は、これから関係省が相談をした上できめる、こういうことに方針はきまっております。しかしながら、予算の時期も迫っておりますからして、なるべく早い機会にこれが決定をしたいと考えております。
  21. 井出一太郎

    井出委員 お答えは、一本化という点については、方向はそうなんだが、具体的にどこの所管にするかというふうなことは、まだ十分煮詰まっておらぬように伺いました。これはひとつ早急に、私が申し上げておるような方向で御処理を願いたい。予算などにしましても、当初はかなり大きな数字を承ったことがありますが、だんだん尻すぼみになってきて、きのうの有田長官の発表等は、私どもの従来考えておった線に比べると少し心細い。しかし、予算はこれからなんだから、そういう点はひとつ協議会長におかれまして——これはあなたの記念事業みたいになるかもしれない。ぜひ充実したものをおやり願いたいと思うのでございます。  それからもう一点、松代町が市町村合併で今度は長野市の一角になったわけですね。それによってどうということはないと思いますけれども、たとえば、いままでの中村町長なんという人は、老躯をひっさげて必死でもってこれに当たりました。この間町長今度は前町長だが、その人に会いますと、これはもうからだを張って取り組まざるを得ぬという、相も変わらない悲壮な気持ちを表明されましたが、しかし、何か行政的にいいますと、大きな長野市というものになって水が薄まっていったのではこれは困る。そういうことのないように万なかろうと思うのだけれども、これはどうですか。自治省あたりだれかいますか。おらなければ、協議会長からひとつお答えを願います。
  22. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 井出さんからお話しのように松代町が今度長野市の一部に入ったわけでありますけれども、松代町の地震長野市に移らないことはこれはお互い地震が移ってしまったのでは困るので、移らないことは心から希望せざるを得ません。これは与野党の皆さんが非常に御熱心で、私が官房長官の時代に、この種の対策は従来はできなかったものでありますが、災害が起きないにかかわらず、これを災害と同じような扱いにしよう、こういうような措置は、この松代地震をもって初めて新しい道を開いたという意味では、皆さんの御努力が非常な画期的な行政上の変化をもたらしたということであり、私も協力申し上げましたが、心から私は喜んでおります。そういうことでこのような措置ができてここまで進められたという以上は、もちろん地元の中村町長の熱心なその努力、皆さんの非常な数回にわたっての陳情、私もこれを聞きまして、断固としてこれは行政上の新しい道を開く必要があるということでこのような扱いをすることができたことは、私は行政の進歩であると考えて心から喜んでおります。この点皆さんにもお礼を申し上げなければなりません。同時にまた、中村町長が町長の職をやめましても、おそらく地元においては、いわゆる長野市におきましては、中村前町長のこの問題に関する地位は十分に考慮せられるであろう、そして今後ともに協力していただけることになるのではないか、かように考えておる次第であります。
  23. 井出一太郎

    井出委員 もう一点。あと中澤委員がもう少し専門的な御質問をされると思いますが、実は松代のあの周辺地区では、いま表面にあらわれておる災害というものは、数字としてはそれほど大きなものではございません。けれども、これを最終的に締めくくるという段階になりますと、それはいつのことか、早いことが望ましい、もはや地震の心配はないという時期が一刻も早く来たることを望みますが、そういうときになると、これは総決算が出てくる。個々の家を見れば、やはりかすがいはすっかりゆるんでしまった、傾斜しているところは柱を入れかえねばならぬとか、そういう個々の、私の家はこういう損害でございます、これを集積したならば、これはたいへんなものじゃないかと思うのです。個人災害に対してはこれを援助することはなかなかむずかしいということではありましょうけれども、やがてそういう時期があるのじゃないか。松代周辺から一戸一戸集積してつけを出されたら、これはほんとうにびっくりする数字になるのじゃないか、こういうあたりもお含みをいただきまして、今後なおひとつ、たいへん御苦労さまですが、引き続いて御関心をお寄せくださらんことをお願いいたしまして、私は一応この程度にいたしておきます。
  24. 日野吉夫

    日野委員長 中澤茂一君。  なお、この際、質疑に関連して、長野周辺地区の図面及び写真の掲示について質疑通告者から申し出がありますので、これを許します。
  25. 中澤茂一

    中澤委員 建設大臣現地へ行っていただくのもなかなか困難ですし、大体図面で概略御承知願っておいたほうが今後の対策にいいのじゃないかと思うのです。  いままで一年半にわたって、非常に協議会長として御努力を願ったし、また前の細田副長官もたいへん御努力をしていただいて、われわれも被災地の皆さんも感謝しております。上村さんは就任されてすぐ飛んでいってこの現地を見ていただいたわけですから、上村さんはよく御存じだ。    〔図面により説明〕  これが牧内地区の崩壊したところで、この間井出先生を案内して一日現地を全部見てまいりました。これは信州大学の地質学教授の杉山先生が郷原という助教授と一緒に十日間実地に山の中を全部歩いて踏査されてやったものです。一番問題は、これが全部断層が入っているのです。亀裂が全部出ておる。それで、これが崩壊してくるとたいへんな事態になる。特に牧内地内からこの地帯にかけての湧水というものは、水けの全然ないところに川が何本もできちゃった。自衛隊が行きまして応急に川をつくりまして藤沢川へ排水しております。それで、杉山教授や郷原助教授の意見では、この地下水を急速に抜かないと、この西平の崩壊点がこれに移ってこれの崩壊の危険が出てきた、こうおっしゃる。それから、ここに沢がありますが、ここのところへ大きな断層が一本入っている。そうすると、この牧内のここの地帯、この湧水が大体毎分二十五トンぐらい出ている。これだけのところが、至るところふき出して川になっているわけです。ですから、これを急速に処理しないと、これが崩壊を起こして大被害を起こす、こういう危険がいま出ているわけですね。それで、これが崩壊したら、このうしろにも亀裂が出ているから、崩壊が次の段階に移りはせぬか。このごろ井出先生と桐久保の崩壊地まで行って見てきました。桐久保は、この図面でいえばここですが、この崩壊地と、ここを通った崩壊地が、断層でもって結ばれているわけですね。ですから、しろうと考えでこれが一帯に割れて落ちるとは私もちょっと判断はしていないのですけれども、しかし、いずれにしても、この崩壊が始まった以上、この地区湧水処理を急速にやらぬと、これはたいへんなことになりはせぬか、こういう心配がある。この地区にこれだけの部落があるわけですね。ですから、もしこれの崩壊をやったとすれば、この一帯の部落は大被害が出てしまう。この部落というものは大体牧内崩壊地のここで、この沢の下です。そういう事態なもので、これはわれわれしろうと考えでわからぬが、この崩壊地点の調査は、信州大学の杉山教授と郷原助教授が十日間にわたってこの山を全部歩いて踏査して、どこに亀裂があるかというので引いた線がこれになっているわけです。ですから、基本的に地下水を早急に抜くことをやっていただかないと、いまは自然地下水が湧出したままになっているわけです。それで、大量湧出しているところは、全部自一衛隊が来て川をつくって藤沢川へ誘導しているわけですね。われわれも現地へ行ってみまして、水けの全然ない畑の中から、三尺ぐらいの川に一尺一ぐらいの水がどんどん流れているのですから、地殻の中の変動がどういうことになっているか、これはちょっとわかりませんが、とにかくこれは容易ならない事態です。牧内地区の崩壊は、これは地震研究所でしたが、これはあぶないぞといって夜中に緊急疎開させて、翌朝大崩壊を起こして、ここで三十戸ばかりの人が死ぬところを助かっているわけですね。そういうところから考えてみると、地すべり地帯指定をいただいたら、早急に地下水を抜くのをやっていただかぬと、これはあまりじんぜん日を過ごしていただいては危険ではないか、私はこういう判断をしておるわけです。先ほどもいろいろなわ張りの問題が出ましたけれども、ここの牧内地区は、これは建設省ですか、農林省ですか、どちらですか。
  26. 松井芳明

    ○松井説明員 農地局所管の地すべり指定区域になっております。
  27. 中澤茂一

    中澤委員 そこで、この牧内地区は、実はこの山が、下から一挙に抜け出して池ができちゃったわけです。その下にまだ人家が何十戸とある。ここへ自衛隊が急速にまん中をぶつ切りまして排水路だけやったのです。ところが、排水路だけつくったが、この湧出量がまた膨大なものですから、いまは水ははけているけれども、崩壊したこの一部が再崩壊する危険があるのじゃないかと私は見ているわけです。それは、地表がくずれてがさがさのところへ水を流しておりますから、地下へ浸透して、池みたいに、こういうふうになって、下がぐっとこうなって、上が盛り上がっているのですから、このまま流していけば、この盛り上がったところが再崩壊を起こす、こういう危険があるわけです。これを至急湧水のところから掘り込んでパイプで誘導してもらわぬと、これはまた再崩壊をする危険がある。くずれたところがまたくずれる危険がある、こういうふうに私は観測してきたわけですが、そういうことで、至急パイプで抜いて、地表を流さずに持ち込んでもらわぬと、これは非常に危険がある。その問題と、この崩壊がどう出てくるか。西平のほうは、私は井出先生と現場を回ってみたのですが、これは表層崩壊です。ここも至るところに湧水をしておる。こういうふうになっておるものですから、地すべり指定の告示はしたが、じんぜん日を送ってもらうことは非常に危険じゃないか。さしあたりの対策として、一応いまの湧水地点のものを、何のパイプでもけっこうですから、その表層を流さずに藤沢川まで至急運んでもらえないか、これが第一点です。茶臼山の地すべりというのは、御承知のように中部断層ですけれども、あれは私が長く扱ってきて、建設省に非常にお願いをいたしまして、全部穴を掘って地下水を抜いて川へ流すという方式で、茶臼山はいま一応とまっている。茶臼山でやったぐらいの工事をやってもらわぬと、これは非常に危険じゃないか。ただ、先ほど井出先生から言われましたが、このなわ張りというのが実に困るのですね。いま言うとおり、農地があれば農地局だ、そこに木が五、六本はえていれば林野庁だ、下のほうに家があれば建設省でございます、そういうやり方というのは、こういう災害には是正してもらわぬと困るのです。いつもこれが災害で問題になってくる。河川の下を流さなければ上の林野がすべってくる、その上に農地がある、そうすると農地局と林野庁建設省と三者でなければこれは話がつかぬなんというのは実に困るのですよ。こういう緊急な場合は、私は、協議会長建設省のほうでおまとめになるか、さもなければ総理府がおまとめになるか、何かそこはもう少し迅速に行政が動く姿勢というものをこの際協議会長に考えてもらいたいと思うのです。その点について御見解を承りたいのであります。
  28. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 その地帯の地すべり問題ですが、おっしゃるとおり非常に重要問題でありますので、先ほど申しましたように、予備費からこれも支出してもらってそうして急速にそこを始めようということで、建設省でいいますれば調査費のうちからすでにボーリングをやっておりますし、仮設的なことは緊急にやっておりますけれども、本格的なものをやっていくと四千万ぐらいかかりますから、正式に補正を組むという必要があろうと思いますが、おっしゃるような心配もありますので、関係各省とは非常に緊密に——松代の問題については決してなわ張り争いがありませんので、その点はひとつ御心配のないように——皆さんが非常に熱心にバックアップしてくれるものですから、農林省建設省林野庁もほんとうに一省のような気持で非常に早い処置をとっております。しかし、それでも、地元の人たちから見ますれば、まだまだ安心のできぬ点がありまするから、より以上これは積極的に、統一した立場で一つのもののような形で進めていきたいと考えております。  なお、計画等につきましては、関係局長、農林省も来ておりますから、そちらのほうから具体的な御説明を願いたい、かように考えております。
  29. 中澤茂一

    中澤委員 一番問題は湧水処理なんですが、この地帯は一体どこの所管で処理するのですか。毎分二十五トンくらいの湧水をしておるわけです。この湧水の処理というのはどこでやるのですか。林野庁ですか、建設省ですか。この青が全部湧水なんです。こ湧水をその表層を流さずに早く処理しないと危険があるんです。これは全部亀裂が入っておるのです。この赤塗りが断層です。東大その他研究機関がみんないろいろなことをやっておる。断層調査をやっておるけれども、問題は、その湧水がこれだけどんどんひどくなると、川になっておる。自衛隊が来て川をつくったのです。湧水処理を早くやってもらわなければいかぬ。これはどこの省がやるのですか。建設大臣が緊密な連絡があると言うから、このくらいのことはわかっておると思う。
  30. 松井芳明

    ○松井説明員 農地局でやっております湧水処理につきましては、現に湧水のために農地に被害を与えるものにつきまして、災害復旧事業として処理しております。これの対象になっておりますのは、すでに地すべりを起こしました牧内地区、これも湧水を伴っております。それから桐久保地区、それから瀬関地区、これは乙女沢のちょっと南になる地区でございます。それから東屋地、西屋地の地区、これはため池の周辺湧水でございます。皆神山の西のほうになりまして、松代町の市街地になりますので、先生の図面には載っておりません。ただいま申し上げました地域湧水の処理につきましては、農地等の災害復旧事業として処理いたすことにいたしまして、すでに査定が経わっております。特に地すべり地帯湧水処理につきましては、先生の先ほどのお話のとおりでございまして、早く処理することが非常に重大な問題でございまして、その処理の方法につきましても全く先理の御説のとおりでございますので、一応集水暗渠で地下水を抜きまして、これを開渠によって藤沢川に送水するということで現在計画を立てております。とりあえずは開渠で出てくる水を排水いたしております。
  31. 中澤茂一

    中澤委員 あなたのところでは、農地のところはため池へ全部流して、水が全部のみ切れないであふれるものだから、土管を緊急にいけて、非常によくやっていただいている。ところが、この地帯はどこがやるのですか。あなたのほうではやってないね。あなたのほうでやっているのは、いま言ったため池ですね。
  32. 松井芳明

    ○松井説明員 牧内地区でございます。
  33. 中澤茂一

    中澤委員 あなたのほうは牧内から下がったこっちの平らなところをやっている。あそこも湧水がものすごく、二十トンぐらい出ておる。これはあなたのほうで処理してくれている。この地区はどこでやっているか。
  34. 古賀雷四郎

    古賀説明員 地すべり対策計画について、簡単に地域を御説明いたします。    〔図面により説明〕  これが牧内地区、地すべりをしていたところでございます。それから、これが桐久保地区でございます。こういう区域が一応農林省の所管でやっております。  それから瀬関・竹原地区建設省所管、加賀井地区林野庁の所管でございます。  そこで、三百六十万の建設省予算につきましては、ただいまボーリングをやりまして湧水を取り出す措置をやっております。同時にこれを藤沢川に流すわけであります。それから林野庁関係も、先ほどお話がありましたようにボーリングをやっております。ここに排水路がすでにできております。  当面の問題は、やはり復旧を先にしないと、現行法でやる場合には早くやる必要があるということで、現行法の段階でいまそういうぐあいにしてやっております。  今後の問題につきましては、先ほど言いました東条、竹原、瀬関、菅間、岩沢……。
  35. 日野吉夫

    日野委員長 中灘君にちょっと申し上げますが、速記の都合上、これ、これと言われると書きようがないので、そこでできるだけ固有名詞を使って、ここは何という地区、こう説明してもらいたいという要求がありますから……。
  36. 中澤茂一

    中澤委員 そうすれば、菅間、竹原、岩沢、瀬関、この地区建設省所管ですね。ところが、いま伺えば、三百六十万で何かやっておる。われわれ現地へ行ってみると、三百六十万ではやりようがないんじゃないですか。三百六十万ではどうにもならぬ。
  37. 古賀雷四郎

    古賀説明員 三百六十万と申し上げたのは、とりあえず調査費を支出いたしましてボーリングをやっておるわけでありまして、そのほかに千二百万という金をつぎ込む考えでございます。
  38. 中澤茂一

    中澤委員 千二百万つぎ込んでこの集水を完全にできますか。
  39. 古賀雷四郎

    古賀説明員 応急暫定的にはできると思いますが、来年もそれに引き続いてやりますから、とりあえずの措置をやっていくということでそれだけを考えております。
  40. 中澤茂一

    中澤委員 ところが、この地帯は、湧水とからんで考えなければいかぬのは亀裂なんです。うちの横からうちの下へずっと亀裂が入って、ちょうど若穂地区の温湯みたいに、この地帯の住居はうちが二つに割れてきているのです。ですから、集水だけでとまるかどうか、私もしろうとでわかりませんが、これは基本的に地殻の下からの変動がああいう形が温湯と同じで出ておると思うのですが、それに対しては建設省はどういうふうにお考えになりますか。
  41. 古賀雷四郎

    古賀説明員 地殻の変動の問題についてどう処理するかという問題でございますが、とりあえずはやはり地すべりを起こさないように湧水を処置することが一番当面の問題だと考えておりますので、とりあえずことしは先ほど申し上げたようなことで実施していきたい。井戸を三カ所掘りまして、さらに開渠工をやりましたり、あるいはボーリングをやったり、さらにその下流につきましては、先ほど申し上げたように河川改修もあわせてやっていきたいというふうに考えております。
  42. 中澤茂一

    中澤委員 大臣所用のために、問題は保留しておいて、あとでまたいろいろお願いもしたいと思いますが、基本的にこういう二つに分けたこと自体に私は問題があるんじゃないかと思うのです。それはなぜかと申しますと、これは全部一体のものなんですよ。建設省地区農林省地区というものは、現地を見ると一体のものなんです。その一体のものというのは、信大の地質学者の調査で明らかになっているのです。それがこういう断層が出ている。ここからこっちだけ建設省で、こっちからこっちは農林省でございますという、こういうやり方は私は困ると思うのです。そこで、桐久保は水田の上にだっと崩壊を起こしている。田がだいぶだめになっておるわけです。その現場へも打ってみたのですが、農地の復旧をやってみたって、これはだめなんです。これはむだなことです。どうしてもまず建設省が先に——建設省がやるのか農林省がやるのか知らぬが、この崩壊地点というものは相当な水がふき出しておるのです。その下から地下水がふき出したから、山林の一部が崩壊して農地の上にかぶさっちゃったのです。この処理を先にやらぬと、農地の復旧なんかやったって意味がない。金をかけて地下水処理をしなければ、またふき出して、せっかくの国費を投入してやったのがまたすべるということなんです。ですから、そういうものをこういう二つに分けないで、まず地下水処理は全部建設省がやるとか、何か一本化しないと、農林省農林省でおそらく地下水処理を先に考えておるでしょうが、全体的にこういう亀裂が出ておるのだから、やはり地下水処理というものをまず建設省が一本でやっていくという方向でないと、そして、いまの表面流出をさせておるものを、ビニールパイプでも何でもいいから、地表に浸透させないように至急に藤沢川に流しておかないと、そこからまた崩壊が起きてくるのですから、そういうことを——ここからこっちは建設省だ、ここからこっちは農林省だ、ここへくれば林野庁でございますという、こういうやり方は、災害の場合全くどうかと思う。これはいま始まったことじゃない、災害のときはいつも問題になるのです。いま橋本建設大臣がそういうふうにおっしゃるけれども、まず地下水の集水——毎分二十五トン出ておるのですから、新しい川が何本も水のないところにできてしまっておる。だから、地下水処理を至急建設省が一本でやるということは考えられないのですか。
  43. 澁谷直藏

    澁谷説明員 先生御指摘のように、地すべりの現象は一体として動いておることは事実でございますから、当然これに対する対処のしかたとしては、一元的に一本でやるというのが一番能率的であることは言うまでもございません。ただ、現行法のたてまえからいいまして、どうしても三つの所管に分かれておるというのも、これまた現実の法制のたてまえでございますので、そこをこの関係各省が協力して実質は一体のように機能するように努力するということが、私は当面一番肝心なことではないかと思うのでございます。そのようなたてまえの上に立って、先ほど河川局長からも御報告いたしましたように、関係者の調整協議会もつくりまして、関係者が一体として動くように最大限の努力をしておるわけでございます。ただいま、湧水対策が何といっても当面の最大の急務である、こういう御指摘は、全くそのとおりでございまして、関係者がなわ張りで争っておるというようなことは全くございません。実際これはもううそ偽りなく関係者がほんとうに一体となって対処しておることも事実でございますので、なお今後先生の御指摘のようにひとつみんなで力を合わせて努力をしていこう、こういうことで対処してまいりたいと思います。
  44. 中澤茂一

    中澤委員 この松代地震に対しては、御承知のように、災害救助法を発動しなければ実体法が動かないのだが、災害救助法を発動せずに、いま法律上厳密にいえばこれは疑義のある問題なんですが、しかし、こういう緊急災害であるからというので、非常な御努力を願って、法律上疑義あるものまでいままでやっていただいておるわけです。その点は私も感謝しておりますが、確かに現行法からいえば、農地の災害復旧、林野、建設関係、それはそうなんです。おっしゃるとおりなんです。しかし、この際、最初から、災害救助法を発動せずに、発動にほぼ準じたような方式をとっていただいておるのですから、いまさらここへきてなわ張りをきめなくても、湧水のほうはおれのほうで一本で処理するぞということは、政務次官、できないのですか。その点どうなんでしょう。
  45. 澁谷直藏

    澁谷説明員 私も気持ちとしては、どこか一本で強力にやることが望ましいという感じは持っておりますけれども、何といっても、行政は、法律、その上に乗った機構で動いておるわけでございますので、この際どこか一本でということは、どうも簡単に結論が出ることは困難ではないかと考えております。
  46. 中澤茂一

    中澤委員 それは私は非常にロスがあると思うのです。そういうやり方を今後もやっておると、血税、国民の税金が非常にロスがあると思う。たとえばボーリングの機械を持っていく場合でも、建設省建設省で機械を積んで持っていく、農林省農林省で同じボーリングの機械を持っていく、林野庁林野庁でおらほうで買った、こういうばかな話はないですよ。やはりボーリングの機械は建設省なら建設省一本にして、五台なら五台送ったら、そのなわ張りを一切取っ払って、湧水の集水ボーリングは全部建設省がこの機械でやっていくんだということが、私は血税をむだにしないで使う方法だと思う。それはいまの行政上のワク内からいって、私の言うことは無理があることは私も承知しておりますよ。承知しておりますが、この際、先ほど申したように、当初から救助法を発動しないで救助法発動と同様なことをやっていただいているのだから、何もここにきて急になわ張りを出して、線を引いて、おまえのほうはここからこっちだ、それじゃ線のちょうどまん中に大湧水したらだれがやるんですか。ちょうど警官の東京の橋取り締まりがそうでしょう。橋のたもとまではこっちの警察の所管になっている。橋のまん中で悪いことをしたのは、どっちの警察がやっていいかわからない。めんどうな事件だと、どっちも逃げちゃって手をつけない。それと同じことで、それじゃまん中から大湧水したら建設省はどういうふうになりますか。農林省がやるんだ、おらほうがやるんだ、しょっちゅうこういうことがあるんですよ。だから、そういうことでなくて、これは法律上の問題もございますけれども、緊密な連絡をとってやっていただいているのはわかるが、しかし、ここでいま一歩前進した行政の姿でやってもらいたい、こういうことを御要望申し上げておくのです。  上村さん、就任と同時にいろいありがとうございました。現地をこまかく見ていただいて、現地では非常に喜んでいる。前の細田副長官には非常によくやっていただきましたので、ひとつ引き続いて、統合調整、この問題はやはり連絡協議会があるそうでございますが、いままでやっていただいたように総理府でそういうものを統合調整してやっていただく。現地から来ても、いままでは総理府の細田さんのところに来ればもう全部問題が各省連絡して解決した、各省を回る必要がなかった、非常によかったと中村町長が喜んでいるのですが、今後は、こうなわ張りをきめちまうと、こっちの地区の人は建設省に陳情にいかなければいけないそうだ、こっちの地区の人は農林省に陳情に行かなければいかぬそうだ、こういう形は好ましくないのです。行政上も非常にロスなんです。できるならば、森長官とも御相談願い、建設大臣農林大臣とも御相談願って、窓口はとにかくいままでどおり総理府副長官のところで一本にしていく、こういう形がとれないものかどうか、ひとつ御所見を伺いたい。
  47. 上村千一郎

    ○上村説明員 先生のおっしゃるとおりと存じます。私も実はこの前調査団を編成いたしまして団長としてつぶさに拝見をさしていただきました。先生のおっしゃるとおりだと思いますし、現在一番問題なのは、わき水の処理ということであろうかと思います。その編成をした調査団の中には建設省河川局長も御一緒でございました。これは調査団一致した考えでございます。それで、実は本年の四月十九日でございますか、松代周辺地区地震対策連絡協議会が閣議で了解されて設置され、ただいま橋本国務大臣会長に相なっておるわけであります。建設大臣としてなっておられるのではございません。でございますが、建設大臣でもございまするので、建設省のほうへも特別な御指示は出ておりますが、そのなっておる根拠は、国務大臣としてなっておるわけです。もちろん、私のほうは副会長という立場にもなっておりますので、お世話をいたすのは当然のことだと思います。いま先生がおっしゃるようなところの具体的な処理ということにつきましては、わき水ならわき水のことにしぼりまして、各関係省を一回集めて、そうしてどういうふうにやっていくかということにいたしますれば、相当この問題は円滑に処理できるのじゃないかと思います。ただここで私どもじかにお世話をいたすようになりまして感じられるのは、この予算措置なんでございます。特別な一つの予算が総括的に連絡協議会というようなところで処理できるような体制になっておりますといいのでございますが、実際上やる場合には、建設省予算農林省予算というふうな関係になりますので、ここに非常な難点が起きておるわけです。でございまするが、ほんとうに地元の御不安というものを感じますれば、あくまでもいま先生おっしゃるようなことを円滑にしなければならぬというような感じを持っておりますので、会長ともよく御相談し、総理府がそのお世話役ということになっておりますので、さっそく長官ともよくお話しまして御期待に沿うような処置をいたしたい、こう思っております。
  48. 中澤茂一

    中澤委員 時間もありませんから、その点は強く要望しますが、私は、四十二年度の松代予算の要求を各省がどうしているか、資料の提出を求めたわけです。松代地震予算としてどういう要求をしているか、各省別に四十二年度の現在の概算要求金額を出してくれと言ったところが、結局これはどこからも出ないのです。こんな大きな問題を処理する上において、あなたのおっしゃるように予算上非常にこれは問題がある。できるならば、各省の松代地震対策としてこれだけ要るのだという予算は、もちろん各省でおつくりになるのはけっこうだが、私は、総理府へ一応集めてもらって、総理府から松代地震対策予算として大蔵省へ一括要求してもらいたい。そうすれば、われわれも大蔵省へお願いするのに、非常に財源難のおりから大削減をやるでしょうが、これは特別なんだからひとつこうしてくれぬかと、強い要望大蔵省にできるわけです。各省ばらばらでやっていると、こういう特殊事情を考慮せずに、軒並みに何%削っていこうというような形で第一次査定をされては、私はとてもかなわぬと思う。だから、いまあなたのおっしゃったように、私そのことをお聞きしようと思ったのですが、できるならば各省の連絡協議会で松代地震予算というものだけは持ち寄っていただいて、総理府でこれを一括する、そして松代地震対策予算として大蔵省へ一括して出していく、こういう形にどうしてもしていただきたいと思うのです。その点できるでしょうか、できないでしょうか。
  49. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は例はちょっと違いまするが、現状を申し上げますると、先ほど井出先生からもお話しになった地震センターの件であります。この前私ども調査団を編成いたしまして行った際に、やるということは御報告申し上げておりますが、その際に、各省に関係しておりますので、いまの予算の問題が現実に起きておるのです。それで、どうするかといったところが、総理府予算要求というような形は、いまのところ経過としてはできない。結局、いま地震センターの場合、各省から出すということになっておりますけれども、各省ばらばらではうまくいかないから、一応地震センターの予算としてはひもつきでやろうじゃないか。ですから、関係各省から一応この予算を出していただいて、それで実は私大蔵省のほうへそのことを申し上げ、それとともに各省からおのおの折衝をする、こういうような話し合いにして、ただいま地震センターの予算大蔵省のほうへ折衝しようということの話を進めておるわけです。この話に結びつけますと、いま先生おっしゃるように、建設省松代関係あるいは農林省関係あるいは厚生省の関係、文部省の関係、いろいろございますが、松代地震対策予算として一応各省が出して、そしてそのことを私どものほうから大蔵省当局へこういうような関係になっておるということを申し上げて、そして各省がおのおの御折衝を賜わる、この程度はできるのでございますが、これを総理府予算として一括して折衝するということは、ちょっとまだそういう点は煮詰まっていないというのが実情でございます。
  50. 中澤茂一

    中澤委員 それは松代地震対策費として各省が了解するなら、私は一括要求できると思うのです。全部持ち寄ったものを、松代地震対策予算を、いままでの経過からいって窓口はここで一本化しているのだから、これで要求していこう、折衝はそれは各省がどうしようがいいですが、最後的にそうやっていただけば、われわれが大蔵省にやるのに非常に都合がいいわけですね。だから、この際ひとつ連絡協議会あたり——まあこれは両大臣いなければしけないでしょうが、両大臣と森総務長官とぜひ御協議願いたいのです。そうしないと、各省でかってに査定し、各省でやったばらばらなものを集めてみたって——地震センターの場合は、その技術統合の問題があるから、なわ張りはなかなかうるさいということは私もわかるが、これは何とかそこをひとつ考慮できないですか。何か一本化してもらわぬと非常にまずいと思うのです。
  51. 上村千一郎

    ○上村説明員 先生のおっしゃることはよくわかりますし、私どもも何とかしないと、いまのような応急といいますか、適切な処置ができぬだろうと思うのです。それでいろいろ検討はするのでございますが、たとえば河川関係につきましても、建設省予算要求というものは、個所づけでなくて、一応総括的に要求しておる、各省の予算の要求がそういう形になっておりますので、事務段階としましてこの松代地区だけの対策でどういうふうに一本化するかということは、事務的に非常に困難なものがあるわけです。でございまして、どうしてもこれをやるということになりますれば、閣僚級のしっかりしたお話し合いということにならぬと、いまの予算の編成関係、要求関係の過程から見ますと、ちょっと無理があるように思いますが、先生のおっしゃることはよくわかりますので、よく長官その他にもお話を申し上げておきたい、こう思います。
  52. 中澤茂一

    中澤委員 では、これは最後に御要望だけ申し上げておきますが、できるならば、政務次官もおいでですから、至急大臣ともお話し願い、それから副長官のほうからも長官のほうへお話し願い、農林大臣にもお話し願って、できれば三省の大臣折衝で、これは何とかいままでどおり一本総合でいこうじゃないか、こういう形にひとつまとめていただくように御努力を願いたいと御要望申し上げておきます。  最後にいま一点だけあれしておきますが、ここに炭酸水の非常に強い湧水が、十九度ぐらいしかないからこれは温泉じゃないのですが出ているのです。ところが、これが全部藤沢川に流れ込んでいるのです。このごろ役場の人や県へ行って聞いてみると、PHの測定はしてみたけれども、農作物被害はたいしたことはないだろうと言っておるのです。この湧水は、私は農業専門ですが、これは一年や二年はたいしたことはないと私は思います。あの程度なら根くされは出ないと思うのです。ところが、これは完全な炭酸水、飲んだらすっぱくて、わずかな期間に流れるのに、川がまっかに鉄粉がついちゃっておる。そういう強力な炭酸水がここに出ているわけです。これをもしこのまま放置して藤沢川に現状のまま流したならば、三年、四年たったら必ず稲の根くされ病が出てくるのです。要するに、鉄粉が流れていきまして、かけ水でかかって微粒鉄粉が沈澱して稲が呼吸できなくなるから、根がくされてくる。これは鉱山災害にしょっちゅう問題になるのですが、これは根くされ病が起こってくる。だから、いまはたいしたことはないが、これをやるときこれだけはどうしても別個処理をしてもらわなければならぬ。幸い藤沢川と関屋川を一本化してこの上流の集水をして落差をつけるという計画が、県でもあり、建設省のほうでも出ていると思います。そこで、私しろうと考えですが、この炭酸水をできたらパイプで完全によそに抜いてしまうのが一番いいのですが、関谷川のほうにこれをパイプで誘導して流していけば、この炭酸水の害というものは藤沢川の水の中へは出てこないわけですね。特にこれは農林省建設省の両方にまたがりますから、また、それは出たって、そんなものはおれのほうじゃないと両方で言い合っていたらこの際ケリがつきませんから、これをひとつ考えておいてもらいたい。この炭酸水の処理をどうするか。これはいま相当の量出ているのです。今後また地震が第四期活動に入ればどうなるか、消えてなくなってくれればいいのですが、一応対策として皆さんのほうで、建設、農林両省にまたがる問題ですから、この炭酸水というものは特に一般用水路の中に流し込まない、こういう処理方針をいまからひとつお考え置き願いたい。いまの問題は皆さんのほうでお気づきにならぬと思っているから、私は、この河川改修の場合、炭酸水処理をどうするかということを建設省で忘れてもらっては困るから、念のために申し上げておきますが、その点は特に御配慮を願いたい、こういうことを御要望申し上げまして終わります。
  53. 日野吉夫

    日野委員長 次に、岩動道行君。
  54. 岩動道行

    岩動委員 私は、去る十月十三日に岩手県の北部沿岸地域中心とする集中豪雨災害に関して若干の質疑をいたしたいと存じます。  まず、この災害の概略でございますが、十月の十三日の早朝から県下一帯に強い雨がございましたが、午後の七時ごろから突如として県北沿岸部に、特に久慈市を中心といたしましました地域に三百ミリをこす集中豪雨があったのでございます。時間雨量がきわめて多かったことによりまして、久慈市とその周辺地域におきましては、死者十一名、行くえ不明一名、家屋の倒壊、浸水、交通網の寸断その他の被害が発生をいたしまして、北部沿岸地域としましては未曾有の惨禍に見舞われ、被害の総額も九億円をこすような深刻な災害が局地的に起こったわけでございます。これに対しまして県当局はさっそく災害救助法を発動いたしまして、久慈市、野田村を中心としまして、自衛隊の応援あるいは被害市町村の応急対策等の災害復旧措置を強力に実施いたしてまいってきておりますが、地元の県あるいは町村ではとうてい解決できない問題が幾多生じておりますので、これらの点に関しまして若干政府のお考えをこの際明らかにしていただきたいと思うのでございます。  まず、第一に土木関係のことでございます被害土木施設に対しましては緊急査定を早急にやっていただきたいという御要望を申し上げておりましたが、これはさっそくその措置をとっていただきまして、去る十一月の九日にはおかげさまで緊急査定も終了いたしまして、その結果、約五億円の査定額が出たのでございますが、その二五%は本年度に措置をする、こういうことに相なったのでございます。そこで、この二五%の財政措置をどのようにおやりになるか、予備費で御措置になるのか、あるいは補正予算で御措置になるのか、その辺をまず伺っておきたいと思います。
  55. 古賀雷四郎

    古賀説明員 通常は予備費でございますが、今後の予算の編成の成り行きによりまして、補正予算になることもあるかと思いますけれども、その辺まだいま折衝中でございまして、具体的なことを申し上げかねます。  それから二五%というお話ですが、これは緊急査定でございますので、必要な緊急なことにつきましては、県でしばらくおやりになっていただいてもけっこうでございます。早急に予算要求につきましては努力したいと思いますが、通常二五%といわれておりますのは、いまの四カ年復旧が二五%になっておりまして、現段階では大蔵省の非常な御尽力によりまして三〇%程度認めてもらっておりますので、おそらく二五%以上の金がいくことと思います。
  56. 岩動道行

    岩動委員 予算の編成の時期、ことに補正予算の編成も間近いわけでございますが、今日の政局の状態から申しますと、なかなかその見通しも困難な状態でございます。私どもは、補正予算は当然年内にやっていかなければならないと、かように考えるわけでございますが、政局の推移によっては補正予算ということもかなり危ぶまれるということも一応は計算に入れてみなければいけない。したがいまして、でき得べくんば応急のものについてはもちろん県でやって、あとで始末をするということもございますが、それに対してはまたそれぞれの応急の指示もしていただかなければなりませんし、また、予備費でできるだけ応急のものはやる、こういうこともぜひお考えをいただきたいと思いますが、再度その点について伺います。
  57. 古賀雷四郎

    古賀説明員 私が答えるのが適当かどうかわかりませんけれども、できるだけ予備費でつけていただくように、再度大蔵省とも折衝してみたいと思っております。
  58. 岩動道行

    岩動委員 最近は集中豪雨によるきわめて局地的な災害というものが目立つように相なってきたわけでございますが、特に中小河川中心としたそういう土木災害というものがあるのでございます。特に今回私どもの見ました岩手の県北沿岸地帯災害につきましては、土砂の崩壊による被害というものがきわめて顕著に出ておるわけでございます。したがいまして、今後の対策といたしましては、砂防の指定地域をふやすということをぜひ政府当局においてお考えをいただきたいと思いますが、この点についての今後の御方針を明らかにしていただきたい。
  59. 澁谷直藏

    澁谷説明員 御指摘のように、最近局地的な集中豪雨が非常にひんぱんに発生してきておる、しかも短時間に集中的に雨が降るということで山くずれあるいは地すべりというようなものが非常に発生いたしておる、近来そういう現象が非常に目立っておるわけでございます。そこで、建設省といたしましては、今般全国に指令を出しまして、県内におけるそういう危険な個所をここでもう一回全面的にひとつ総洗いに洗おうじゃないかということで、すでに示達もいたしまして、調査費も計上いたしましてその準備を進めております。
  60. 岩動道行

    岩動委員 ぜひその点は早急にお進めをいただきたいと思います。  次に、住宅金融公庫の住宅建設資金を特に災害区域にやっていただきたいという御要望も申し上げたのでございますが、地元中央と折衝いたしました結果は、被害金額が少ないということで適用にならぬというような御見解もあったように伺うのでございますが、これは金額が少ないとかいうことになりますと、全体としてはそうかもしれないけれども、しかし、被害を受けた立場のほうからいいますと、やはりもう少しきめのこまかいところまで目を配るようにしていただかなければいけないと思います。この点について今後どういうふうにされるか、ぜひこまかいところまで配慮していただきたいと思います。
  61. 澁谷直藏

    澁谷説明員 もう御意見全く同感でございまして、被害額が少ないからそういう特別な措置をする必要なしという考え方は、これは非常に冷たい措置でございまして、私どもはそういう考えを持っておりません。被害を受けられたその本人は、全体の被害が大きかろうが小さかろうが、同じく被害を受けておるわけでございますから、住宅金融に対する御要望があれば、その御要望に応じて善処したい、かように考えております。
  62. 岩動道行

    岩動委員 次に、農林水産関係でございます。岩手の今度の集中豪雨地帯だけでは、天災融資法を適用する基準にはとうてい達しないということに相なるかと思いますが、隣県の青森県——後ほど森田先生からもいろいろな御要望があると思いますが、この点につきましてもあわせて何かお考えいただけるかどうか、今後十分に御検討いただきたいと思います。これは御返事は必要ございませんが、青森県と合わせた場合にどうなるかということについてお考えをぜひお願いしたいと思います。
  63. 上村千一郎

    ○上村説明員 私どものほうの所管かと存じますので、御意図をよく承っておきまして、よく検討いたしていきたいと思います。
  64. 岩動道行

    岩動委員 運輸関係見えておりますか。
  65. 日野吉夫

    日野委員長 気象庁が来ております。
  66. 岩動道行

    岩動委員 それでは気象庁に伺います。  今度の久慈地区集中豪雨については、予報の関係から見て何か多少不十分だったというような声も聞くわけでございますが、これは結局は久慈地区に測候所がなかったということが一つの大きなポケット地帯だったということにもなると思いますので、測候所を今後設けるということについての当局のお考えを承りたい。
  67. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ただいまの久慈地方に測候所を設けるということでございますが、これは久慈あるいは岩手県のほうからの陳情としてわれわれのほうも十分聞いております。つきましては、測候所の件でございますが、先生御承知だと思いますが、岩手県には、県そのものは非常に広うございますけれども、その中に観測点というものが非帯に多く分散されておりまして、一つは雨のための雨量観測所、山の上までロボットの観測をやっております。それからもう一つ、農業気象観測所と申しまして、主として農業を目的としておるという観測所、御承知と思いますが、実は久慈市にも農業気象観測所が一カ所設置してございます。そういうように、雨が降りますと、そういうような観測所から通報が入ってくるわけでございますけれども、その点につきましては今後もう少し改善すべき点は考えております。しかし、集中豪雨そのものの現象を考えますと、この集中豪雨というものは、現在といたしましては、観測点をふやしたがためにこれを事前に的確に予報するというような気象現象ではございませんので、現在のところ、まことに残念だとは思いますけれども、この集中豪雨を事前に予報するためには、集中豪雨そのものがどういうような関係によって起こるものかということがいま十分に解明されていないという点が一つ。それから、集中豪雨は御承知のように非常に狭い地域に起こる現象でございます。こういった非常に狭い地域における現象の予報技術というものが、現在まだ集中豪雨なんかを事前に的確に予報するというところまでの段階に進んでいないということでございますので、要は、集中豪雨そのものの現象がどういうものかというものをもっと研究調査いたしまして、集中豪雨の予報を促進するというほうに全力を注がなければならないというのが、現在の予報技術の段階でございます。これと集中豪雨は別にいたしまして、ともかく岩手県は非常に県が広いということで、御承知のように盛岡と宮古と大船渡の三カ所に測候所がございまして、北のほうはブランクでございます。そういうようなブランクの点がございますので、これは集中豪雨集中豪雨ですけれども、測候所の配分というものを全国的に考えまして将来検討してみたい、いま実は検討している段階でございますので、できるだけ御要望に沿うようにはしたいと思いますけれども、検討の結果まで少し時間をおかし願いたいと存じます。
  68. 岩動道行

    岩動委員 御趣旨はわかりましたが、四十二年度の予算要求にはそのような項目は概算要求として出しておられますか。
  69. 柴田淑次

    ○柴田説明員 久慈の測候所建設に対しての要求は出しておりません。
  70. 岩動道行

    岩動委員 そうすると、まず四十三年度の予算要求ということになって、だいぶ問題は先に延ばされるわけですが、まだ概算要求でございますけれども、来年度予算編成はまだ完了しておりません。何か追加要求でもお出しになるくらいの意気込みでひとつ十分に検討していただきたいことを強く要望いたしておきます。  また土木関係にちょっと戻りますが、久慈市内の中心部に巽山という小さな丘があるのですが、その周辺は住宅地あるいは商店等が密集しております。その巽山の地すべりが最近問題になってきて、本年度、すでに先般は応急の対策を講ずるということで若干の予算の配賦を受けておりますが、今度のようなああいうことがありますと、住民は非常な不安を抱いてきておるわけであります。したがって、この巽山の地すべりに対する今後の対策、これをひとつこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  71. 古賀雷四郎

    古賀説明員 巽山沢のほうはたくさん地すべりを生じたわけでありますが、これは市の事業になります。したがいまして、市と十分協議いたしまして、早急に行なえるようにいたしたいと思っております。災害復旧事業としてでも当然やるべきこともございますが、それとあわせて、具体的に、改良的なことも入れるかどうか、ただいま検討中でございます。
  72. 岩動道行

    岩動委員 それでは、今回の災害とは直接のあれがなくて、予防的なことになるかと思いますが、予備費でも何でもいいから、さらに追加をやるくらいの意気込みでひとつこの問題の解決に当たっていただきたいと思います。
  73. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御趣旨に従いまして十分検討さして、早急に措置ができるようにしたいと思います。
  74. 岩動道行

    岩動委員 文部関係に伺いますが、今回の集中豪雨の結果、久慈市の市内にあります久慈小学校、これが裏山の土砂くずれで一瞬のうちに音楽教室等が土砂に埋まってしまって、ピアノであるとかオルガンとか、一切が土の中に埋もれてしまって、教室まですっかりどろになってしまった。一方、この学校は年次計画で移転をして新しい鉄筋の校舎をつくることになっておるわけでありますが、このような災害が起こってまいりますと、非常に不安な状態で教育を続けなければいけない。したがって、私どもとしては、ぜひこの機会に来年度からこの年次計画を繰り上げて早急に新校舎をつくって、安心して子供たちの教育が行なわれるように、父兄もまた安心して子供に勉強させることができるように、こういうことを要望いたしておるわけでありますが、これについて文部省の——これは助成関係になるわけです。まず補助金が出ないことには仕事は進みませんので、年次計画を繰り上げておやりになっていただく、その御意思があるかどうか、明らかにしていただきたい。
  75. 宮地貫一

    ○宮地説明員 ただいま先生から御指摘のございました久慈小学校の統合計画の繰り上げの件でございますが、私どもも、地元設置者である久慈市の教育委員会並びに県当局から、そのような方向で進めたい、押しつぶされました音楽教室の復旧そのものよりも、むしろ、今回の災害に伴ういろいろいま御指摘の教育上の支障をその統合計画の繰り上げによりまして解消するようにしたいという希望を聞いております。来年度の予算の配分のことでございますので、いま直ちにここでどのようにするということは申し上げかねるのでございますが、この久慈小学校の統合計画は、実は本年度補助金をつけまして、四年計画で実施する計画を持っているように聞いております。この四年計画につきましてその年次を繰り上げ実施ということについては、私ども全体の予算のワクの中で十分そういう設置者の意向を尊重した方向で検討いたしたい、かように考えております。
  76. 岩動道行

    岩動委員 その点は、ぜひ繰り上げるという方針のもとに今後の事業を進めるようにお願いいたします。  それから、また話を土木関係に戻して恐縮なのですが、今回の久慈地域災害では、特に小袖とか、その他の僻地的な漁村が非常に災害を受けております。しかもそこに至る道路が久慈市の市道になっているわけですが、これが非常な災害を受けたために何日も交通ができない、食糧にも困るという緊急な事態まで起こったわけであります。今後はこの市道の復旧に全力を注がなければならないのでありますが、災害復旧というだけでは今後はいけないので、これを改良してまいる、そういった必要も出てくるわけでありまして、災害の関連事業としてこのようなところにまで十分な配慮を特にお願いいたしたい思うのでありますが、この点についての御所見を伺いたい。
  77. 古賀雷四郎

    古賀説明員 小袖に至る町村道路の改修につきましては、県道路課と打ち合わせ中でございまして、改良費を入れてやるかどうか、そういった点について具体的にいま協議を進めております。災害復旧が手戻りにならないように、できるだけ御趣旨に沿うような方向で検討したいと思っております。
  78. 岩動道行

    岩動委員 それでは最後の質問をいたしますが、要望でございますが、特に久慈市をはじめとしまして、被害を受けた野田村でありますとか、こういった近隣の町村は相当の災害に対する出費をいたしておるわけであります。さらに県も相当の応急対策事業費を出しておるわけであります。こういう出費に対しましては、地方財政の非常に苦しいおりから、たいへんな負担になっておるわけであります。したがいまして、特別交付税交付につきましては特段の御配慮をしていただかなければならないのでございますが、この点に対しての当局のお考えをお聞かせいただきたい。
  79. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。  災害復旧事業等につきましては、十分地方債のワクを確保いたしまして、事業を円滑に実施するように措置してまいることにいたしております。その他の災害によります特別な財政需要、こうしたものにつきましては、公共被害額あるいは被災世帯数、こうしたものを参考にさしていただきまして、あるいは個々の被災団体の財政事情、こうしたものも考え合わせまして、特別交付税の際には、岩手地方に限りませんで、今年は全国各地災害があったわけでございますが、同様にその際十分配慮いたしてまいりたい、かように考えております。
  80. 岩動道行

    岩動委員 この特別交付税交付につきましては、もちろん岩手の分だけじゃなくて、全国的な問題でございますが、一体その作業をいつごろ完了して、いつごろ見通しをおつけいただけるのか。地方財政は非常に苦しい状態でありますから、やはり早くめどをつけていただく、これが必要なわけでありますが、そのタイミングについて自治省はどういうふうに考えておられますか。
  81. 横手正

    ○横手説明員 特別交付税は、先生も御承知のように、毎年度二月に決定いたしております。ただ、災害は今年に限りませんで、毎年全国各地で見られるわけでございます。したがいまして、災害関係の財政需要に対します交付税につきましては、例年ある一定のルール的なもので配分をいたすようにいたしておりまして、県なりあるいは市町村を指導いたします県の地方課等におきましては、ある程度の目安はつくといったようなことにもなっております。また、従来のルールからしまして、ほぼ必要な額はおおよそ確保できる。それで、個々の団体にとりましても財政運営に支障のないようなかっこうになっておりますので、今年度も例年よりその基準を下げるというような考え方は持っておりません。ですから、おおよそ確保できるもの、そういうふうに考えております。地方課あたりの指導体制が十分整っておれば、個々の団体もあまりまごつくことはないだろう、かように考えておるのであります。
  82. 岩動道行

    岩動委員 それでは、また特別に十分に地方の財政に不安のないように緊密な連絡をおとりいただいて、措置、見通しをできるだけ早く、ひとつ具体的な金額ででもできるように御指示を賜わりたいと思います。  最後に、委員長にお願いをいたしたいのでございますが、今度の十月十三日の集中豪雨につきましては、衆議院から災害地の視察というようなことはまだ行なわれていないと思うわけでございますが、現地の人たちは、その点については、さびしいと申しますか、何かほったらかされているというような感じが非常に強いわけでございます。これは森田先生からもお話があるかと思いますが、岩手の県北並びに青森県に関連しまして、何か衆議院でも現地を視察して、被災者の激励もしていただき、あるいはまた、具体的な措置に対する衆議院の決意というようなものを明らかにしていただく機会があればまことにしあわせだと思いますので、この点はひとつ後ほど十分に御検討をして、実現できるように御尽力を賜わりたいと思います。これをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  83. 日野吉夫

    日野委員長 実は、ことし集中豪雨等が頻発いたしましたので、最近まで二班に分けて方々歩きまして、帰ってそういう要望のあることを知って、計画もしたのですけれども、このとおりの政情でございますし、それに、名古屋のほうで同時にあった被害が参議院選挙にぶつかったり、理事会を開いてけさもその相談をいたしましたが、先生方の御意向等も承ってさらに理事会で相談するということになっておりますので、たぶん皆さん要望に沿うようにできると思いますので、努力をいたしますから、御了承を願いたいと思います。
  84. 岩動道行

    岩動委員 よろしくお願いいたします。  終わります。
  85. 日野吉夫

  86. 森田重次郎

    ○森田委員 時間もせまっておるようでありますから、簡単に質問いたしたいと思います。  損害の内容あるいは災害の実情等はすでに陳情書等によってそれぞれの官庁に上申いたしておりますから、この点はいまここで繰り返すことをやめます。  要するに結論だけをお伺いしておきたいのは、今回私のほうはちょうど十月の十三日から十四日にかけての集中豪雨で、これはただいま岩動先生からも久慈方面の災害のあれがあったでしょうが、同じ時間に起こった現象なんです。これによって私がいま主として御質問申し上げたい町村は、青森県東津軽郡平内町と、上北郡の東北町、それから天間林村、七戸町、ここにいま申し上げた集中豪雨があって起こった災害に限定して御質問申し上げるわけなのでありますが、これは今度の臨時国会における予算の中に計上されていろいろの施策が実施せらるるであろうと思うのですが、この点を確認しておきたいと思います。
  87. 澁谷直藏

    澁谷説明員 先ほども同じような御質問があったわけでございますが、当面応急のものを含めて予備費で可能なものは予備費で対処する、それで不十分なものは当然これは補正予算措置する、このように考えて現在事務を進めておるわけでございます。
  88. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで一歩進めまして、特にこの平内で起こりました清水川、それから小湊川、この二つの川の災害の実情を私もその次の次の日行ってよく見てまいったのでございます。実はこれはある事件が起こりまして、この川について、集中豪雨等に対して非常に災害の多い川だということを、訴訟関係で実はもうずっと徳川時代から収録いたしておる記録があったのでございます。したがいまして、この川は、川はあまり大きくない川だけれども、水も非常に急流でありますし、大きい石などが川の中にごろごろしているというようなことで、なかなか荒い川で治めにくいということは、これは地方の人がよく知っていることだったのです。そこで、今度まれに見る豪雨が起こって、そうしてわずか二時間の集中豪雨で、特に清水川という部落では、大雨があるということは意識しておったけれども、まさかそんなに大きい災害になるとも考えずにまだ寝ていた、その間に川の水が一斉に押し寄せてきて、寝ていたまま家がそのまま海のほとりまで流されたという驚くべき災害であったのです。まさにこの川の最も悪い猛威をふるったというようなかっこうなのです。そこでわれわれとしては、今後またこれと同じような災害が起こる危険性ありと、こう考えているわけなんです。そこで、これはすぐ隣の小湊川と二本同じ町にあるのでありますが、それともう一本、田沢というところにも小さな川がある。これをどうやって将来そういう災害が起こらないようにするか、ここではっきりとこの防災というものを確立してもらいたい。私らはしろうとですし、建設省のほうは専門家が多いのでありますから、これをただ陳情があったからといって一とおりなでたようなかっこうでの対策では、また同じことが繰り返される、根本対策としてはどうすればいいのか、もうそれぞれ陳情があったわけでありますし、なお、私は現場へ行ったときに、建設省の役人の出先の方々が行って実情を調べているのにもお会いいたしましたが、そういう点等から考えて、建設省でもう大体見当がついているのではあるまいか、こう考えるものですから、その対策概要をお伺いしておきたいと思います。
  89. 澁谷直藏

    澁谷説明員 ただいまお話のございました清水川につきましては、建設省からも現地を視察して、実情はつぶさに承知をいたしておるわけです。これの災害復旧は当然やるわけでございますが、単に災害復旧だけにとどまらないで、今後そのような同じような災害が発生しないように、改良復旧という形で改良費も入れてこの災害復旧を実施したい、そういう方向で現在県のほうとも相談をいたしております。
  90. 森田重次郎

    ○森田委員 いまの御答弁だと、まだ川を復旧するのだというだけのことで、私らの考えている根本対策には少し距離があるんじゃないか、こう思うのです。
  91. 澁谷直藏

    澁谷説明員 単なる災害復旧だけではなしに、さらにそういった災害が起きないように改良費も含めてやりたい、単なる、原形復旧ではないこういうことでございます。
  92. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、おそらくはいまの改良費というものの中に含まれているのではないかと思われますが、一歩切り込んでお尋ねしたいその改良費というのは、一体何をどう改良するということなのか。つまり、地元でわれわれ寄り寄り考えていることは、ここはどうしても上流に防災ダムをつくってもらわなければいけないんだ、こういうことが地方の人々の一致した意見でもあり、また県会のほうでもそういう結論に出ているわけなんです。そこで、いまの防災ダムをつくるという問題については、どういう見解をお持ちになっているのか、その点をお伺いしておきたい。
  93. 澁谷直藏

    澁谷説明員 防災ダムをつくるかどうかということは非常に大きな問題でございまして、ただいま結論は出しておりません。
  94. 森田重次郎

    ○森田委員 結論を出しておらないのでしたら、ひとつこれを相当専門的に検討していただいて、ぜひダムをつくるようにお願いいたしたい。なお、ダムをつくるとすれば、これほど水源なども豊かでありますし、ダムをつくるには屈強の条件を具備している場所でありますから、そう費用が多くなくともできるんじゃないか、こう考えます。  そこで、農林省の方は見えてますか。——われわれは、防災ダムをつくるのでしたら、同時にこれを多目的ダムというものに切りかえてもらえないか。そうして、ここでは四百町歩から八百町歩くらいの開田可能の台地があります。普通の場合は田にすることはなかなか困難ですけれども、ダムをつくって、そこからポンプアップすると水田をつくることが可能の場所でありますから、そういうものとあわせたものをつくってもらいたいという、これも地元の希望でございます。この点に対してひとつ御見解をお伺いしたい。
  95. 松井芳明

    ○松井説明員 私、災害復旧課の担当でございまして、開田その他かん排事業の直接の担当でございませんので、はっきりと答弁できかねるわけでございますが、青森の周辺では開田適地が非常にたくさん残っておりまして、小川原湖周辺で今後ポンプアップによる開田事業を大規模に進めるという大きな計画が県並びに地元のほうで進められていると承っております。気象的にもまた土質的にも、非常に好適な地でございますから、こういったような開田可能地につきましての地元要望が非常に強く出てくるかと思いますが、もしこの防災ダムをさらにかん排事業と組み合わせて効果的にかんがいの水源として適当な場合には開田はもちろん可能でございますので、こういうような点につきましては、さらに農地局といたしましても十分検討して進めてまいりたいと思います。
  96. 森田重次郎

    ○森田委員 政務次官、いまのようなあれでございますから、この点は十分御検討の上、ぜひ地元の要請をいれるように農林省とも関連を持ってお進めを願いたい、こう思うのであります。  そこで、その次の問題は、赤川という東北町にある川の問題です。これはどうも非常に問題の多い川でして、ことしは予算にさらに調整費を四千万かつけていただきまして手をつけているのです。ところが、これは雪解けの場合には、乙供という駅があるのですが、駅のところまで必ず雪解け水が毎年くる。それから豪雨というほどでなくとも、長雨があると必ず洪水になる。それはいままでどうして手をつけていなかったかというと、ここは国有林地帯でありまして、したがって、治山治水のモデルケースみたような場所だったのです。それを、終戦直前からこの国有林を開放しましてそして開拓したわけなんです。したがって、木はほとんど伐採しちゃった。それで水の流域というものが非常に広い。それが沢へ流れ込んで、そうして小さな川へ——昔から川は小さくても間に合ったのだから、自然に小さくなったのでしょう。それで、いまのような新しい条件で開放して、そうして豪雨があると、流域が非常に広いものですからどうしても集中的に流れてくる。そうすると、乙供という駅のある町はちょうどひょうたんの狭いところと同じようなかっこうになるのだから、どうしても洪水を免れない。これは宿命的なものなんです。何も今度の集中豪雨でこれはさまったものでなくとも、毎年そういう目にあっている。そこで、これを何とか早く改修してもらいたいということだったのですが、今度は徹底的に参っちゃった。そういうような関係から、これは、私しろうとでありますから、一体どうすればいいかという案を必ずしも持っているわけじゃないが、これも上のほうにダムをつくってもらえばいいじゃないかという議論が一つあります。それと、ダムをつくった程度では、これはとても小さなダムになって、必ずしも一本の川から流れるのじゃないから困難だ、だから、むしろ町へ入る部分を川を二本に分けてそうして放水の量を多くするようにするよりしかたがないじゃないかという議論と、地元にも二つの議論があるという実情なんです。ところが、これをいままで漫然としたわけじゃないのだけれども、やはり少しやり方が緩慢であったために、今度はすっかり参っちゃったという川なんです。あまり大きい川じゃないのですが、災害が非常に大きい、こういうところに問題があるのです。  そこで、私は政務次官にお願いいたしたいことは、これはどうもわれわれしろうとが集まってああだこうだという議論をしてみたところで、なかなか結論は出てくるものじゃない。流域の調査も必要だろうし、それから集中豪雨がどの程度までくるかという調査も必要だろうし、そこから割り出された量というものを、一体あの川の中で狭められたひょうたんの首ではたしてうまく放水できるのかという点に私は大きい問題があると思う。科学的に検討を要する問題でございます。そこで、これもひとつ御研究をお願い申し上げたい、こういうことですから、どうか早急に専門家を派遣していただいて、全体を御調査の上御対策を立てていただきたい。ことしのうちには町のしりまで河川改修ができる。しかし、上のほうが問題なんですよ。上のほうはまだ全然手をつけていませんから、ここをひとつ御研究願いたい、こういうことであります。これは希望であります。  そこで、赤川のしりなんです。これは七戸川という川に合流する川なんです。そのちょうど川のしりのところに甲田沼という沼があるのです。これは農林省の人は御存じだろうと思うのだけれども、ちょっとあなたにも質問したいのです。これを三百五十町歩干拓してもらったのです。これはわれわれが多年、浅い沼だから干拓したらいいだろうというのが、国のほうで採用されて、これは約七、八年かかってことし完成しまして、初めて植えつけというものをやってみたわけなんです。ところが、その結果が非常によくて、そして大豊年だというので非常に喜んでおったわけなんです。ところが、いまの集中豪雨があり、赤川のしりがこわれてその甲田沼というものに流れ込んだものですから、その三百五十町歩がもとの沼と同じになってしまった。ここを将来農林省でどんな対策でこういうことが起こらないようにするかというところに私は問題があるんだと思う。と同時に、赤川のしりのとめ方が非常に脆弱であって、それが破れたというところに問題があるわけなんです。これは普通のしりのとめ方では困ると思います。そこで、特にこの点は総合的にひとつお考えくださって、建設省のほうでは今度の河川改修はどうせしなければならぬのでありますから、その際は特にここは用心して強いものにしてもらわなければいけないという、これが陳情を兼ねたあれです。  それともう一つ、農林省にあわせてお伺いしたい点はこういうことなんです。その三百五十町歩が一ぱい水があって、それでポンプ所がありましてポンプで揚水していたわけです。ところが、ポンプが埋没してしまったのです。だからポンプの用をなさないのだ。そこで、このままだと、この水が完全に減水するには一月以上かかるだろうという専門家の見解なんです。これだと、せっかく干拓した目的というものが一体はたして達成せられるものだろうかというところに非常に大きい問題がある。そこで、農政局に地元でお願いし、県でもお願いして、特にポンプを五台持っていって援助してもらって、善後処置だけはできたようであります。私が特にお尋ねいたしたいことは、こういうことが今後とも起こる可能性がないわけではないだろうという点なんです。そこで、これに対して将来そういうことの起こらないようにするためのポンプの設備の方法——ことし程度の水でポンプが埋没して役に立たない、それを上のほうへつるし上げたなどというようなことまで起こっているようですが、それと同じようなことが起こったのでは——これはまた起こる可能性があるのです。そこで、ポンプをそういう洪水になっても十分機能発揮ができるような形に改造してもらうか、あるいはその他何らかの方法でこういう干拓地がもとの沼になるような危険をどうやって防止するか、これも私専門家じゃありませんからよくわかりませんが、そこらの点を農林省ではどんなふうに認識していらっしゃるか、その点もあわせてお伺いしたい。
  97. 松井芳明

    ○松井説明員 ただいまの甲田沼の干拓の地区は、農林省の直轄開墾事業でやりました三本木地区の沼先の工区かと思います。この地区は、ただいま先生の御指摘のとおり、沼周辺を干拓して水田にいたしたところでございまして、周辺が川で包まれまして、一面が甲田沼に面しているという低地帯でございますので、川のちょうど沼に流入するところに排水ポンプを設置したわけでございます。この排水ポンプは、川に囲まれました地区内の水を排除する目的で計画されておりますので、この容量は必ずしも洪水に対して大さなものではございません。今回の災害は、御指摘のとおり、七戸川の決壊による水が地区内に流入いたしまして非常に長期間湛水したということでございまして、これは小規模な、新潟の水害と非常に似た形のものでございます。したがいまして、この地区対策につきましては、まず外水が入らないように−川の水があふれて地区内に流入すれば、これはもうどんな大きなポンプをつけてもかなわないわけでございます。これはちょうど新潟の水害で、非常に大きな新井郷川のポンプ所があっても、あれだけの水が川から入ると長い間湛水したというのと全く同じでございます。したがいまして、まず建設省のほうと十分連絡いたしまして、地区周辺を流れております七戸川は、これを完全に河川改修をしていただきたい。それで、その上に立って、内水の処理で現在のポンプが今度の雨で不十分なような場合には、新しい雨に対処して排水機能を十分発揮できるように災害復旧のほうで直したいと思います。これを含めまして、災害地区内の水路並びに農道その他につきまして相当出ておりますので、現在直轄災害として今明年にわたって災害復旧を行なう計画でございます。
  98. 森田重次郎

    ○森田委員 「ななえ」川と言いましたが、これは「しちのへ」川というのです。  いま七戸川が出ましたが、政務次官、この七戸川のしりのところがいまの甲田沼です。それから赤川のしりのところも甲田沼なんです。その双方が土手が決壊して水がたまったというところにあれがあるのです。そういうことでございますから、この復旧工事につきましてはできるだけすみやかにひとつお願いしたい。  なお、七戸川の上流、これもだいぶ早く河川改修をやりまして、自来あまり洪水がなかったのですが、やはり最近の集中豪雨で今度参りました七戸川の上流にもダムをつくってもらいたいという要請がありまして、県のほうもこれを認めて上申してあるはずでございますから、この点をひとつ予算化してもらいたい、こんなふうに思うのでございます。その点ちょっと……。
  99. 澁谷直藏

    澁谷説明員 ただいまのお話を伺いますと、農林省が直轄で非常に広大なところを干拓して、それが河川の改修が十分でないために今後全部やられてしまった、このようなことがまた繰り返されるということになれば、せっかくやった干拓も何の意味もない、こういうことになるわけでございますから、農林省は当然農林省の立場でこれの対策を考えられるでございましょうし、これは河川に関連をしておりますから、建設省農林省で十分相談をいたしまして、これは抜本的ということばがよく使われますが、今後こういう事態が起きないように対策を進めていくように努力をしたいと思います。
  100. 森田重次郎

    ○森田委員 もう少し清水川を中心に別な角度から御意見をお伺いしておきたい。それは、これも私は全然しろうとですが、しかし、地元皆さんの意見を聞いてみますと、こういう現象が起こったのです。御存じのとおり河川改修をやって、川の岸の表面をどうやっているかというと、あのコンクリートのブロックで四角なものをつくり上げて、それをうしろのほうを針金か何かでつないで、そして表面はくっつけている工事があるのです。きょう専門家が見えていますか。これは何式というものなんですか。
  101. 坂井秀正

    ○坂井説明員 コンクリートの護岸にはいろいろな石を使って昔はやっておりました。現在は石が非常に少なくなって、あるいは労務が非常に乏しくなったということで、コンクリートのブロックでもってこれを代用するような趨勢にございます。それにはいろいろ各会社のほうでパテントを持ちまして、非常に数の多いブロックでございます。ただいま先生のおっしゃたそういうような針ブロックといいますか、ブロックをそれぞれ置きまして、それを相互に針金でつなぐというような様式のものもございます。それから、川に沿って石のような形をつくりまして、間にコンクリートを詰める、こういう様式のものもございます。ただいま先生のおっしゃったものがどういう式のブロックであるか、現物を見ておりませんのでよくわかりませんが、そういうブロックも確かに全国にはございます。
  102. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、あれはどのくらいありますか。
  103. 坂井秀正

    ○坂井説明員 大体三十センチ……。
  104. 森田重次郎

    ○森田委員 いや、あまり大きくないもので、板型にできたもので、そしてこれをずっと連ねて、いかにもコンクリートでずっとつないだようなものなんです。ふだんの場合だと無事にすっと水が流れていきますから、問題ない。われわれもこれを見て、これは近代的な技術からきた一つのあれだろうというふうに大いに尊敬していたわけなんです。ところが、その尊敬していたものが今度全滅してしまった。だんだん理屈を聞いたりなんかしてみますと、こうつないだものが、洪水ですから、うしろから水が入るわけです。うしろから水が入るというのは、板みたいにずっと広がっているものはみな水の勢いに負けてひっくり返ってしまう。今度ほとんど清水川はだめでした。そこで、これと同じ様式のものをまた繰り返されたのでは、これは意味がないのだ。専門的なことではありますけれども、結果から推論してみると、この方式は失敗だと私は思う。一つの試行錯誤として考えれば意味があるかもしれませんけれども、あれと同じようなことを繰り返されたのではしようがない。そこで、この間われわれの間でいろいろ議論した結果、どういうことかというと、水というものは、ああいうような閉鎖方式といいますか、あれでやったのではうまくいくわけがないのだ。昔のじゃかご方式で石を詰めて針金でやって並べたもののほうが今度はこわれていません。だから、素朴的だけれども、あれのほうがよかったのじゃないか。つまり、近代技術と称するものが自然に負けたのだ。だから、やはり昔のじゃかごに返って、それを何かくふうするのでないと、ほかの方法はとにかくとして、この川には適さないのじゃないかという、これはしろうとの結論です。こういうようなことは一体当局として御検討なさっておいでになるかどうか、また、問題としてこれを取り上げているのかどうか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  105. 澁谷直藏

    澁谷説明員 森田先生も私もこういった問題はしろうとでございますが、その点はまた専門家の立場で検討の結果も御報告したいと思いますが、いま私のほうで調査した結果によりますと、清水川は確かにいま言った方式で一部河川の改修をやってきたわけでございますが、それが今回やられた。その根本の原因は、大体小規模河川でございまして、二百四十トン程度の水の流量を想定してこの河川改修を進めてきた。ところが、今回の集中豪雨によって四百十トンの水が流れてきた。予定しておった流量を非常にオーバーしておるわけです。それでこれは一ぺんにやられてしまった、こういうことでございますので、従来の二百四十トンを目標としてやってきたこの河川改修計画は、これは全面的に改定しなければ、今後こういった集中豪雨の場合はまたやられる、こういうことになるわけでございます。そこで建設省としても、従来の二百四十トンの計画を全面改定をしてそして本格的な河川改修をやらなければならぬだろう、こういう方向で現在検討を進めております。この点をひとつ御了解いただきたいと思います。
  106. 森田重次郎

    ○森田委員 もう一点、清水川の下流の問題で、この間舗装を完了したばかりの国道がみごとに中断されました。まだ改修しておりません。私が実地を見ますと、川の曲げ方に非常に無理がある。自然の水の勢いというようなものにのっとらないで、何か水に対して強い抵抗を感ずるような形のとめ方をいたしておる。この点は、あれを直さないとこの次もまた起こると考えられます。これが一点。  それから清水川の鉄道の上のほうに薬師野という部落がありますが、ここからの水の流れ方というのが今度すごかったのです。それで家が先ほど申し上げたような流れ方をして、人が二人も死んでおります。しかも一瞬の間に死んでいるというような例がある。これも私しろうとの観点から見たのでありますが、かつて神戸にこういうような大災害が起こったことがあります。これは戦時中です。そのときに、一体あそこほど近代技術をうまく活用した場所はないはずなのに、どうしてそういう災害が起こったのかということを、お見舞いに行って視察したことがある。ところが、水というものはえらいものだと思って感心したのですが、人間の力でいろいろ川をまっすぐにしたり何かしてコンクリートで固めたものが、そういう豪雨になりますと、ほとんど昔流れたかっこうで川が流れている、それでほとんど土砂に埋まってしまった、こういうようなことで、自然の原則というものはやはり水についてはある程度尊重しなければならないという感を持ってきた。今度薬師野から昔流れていたかっこうをとって流れてきた水が、鉄道に攻められて、そして鉄道をくぐって向こうへ通る道路があった、そこへ集中してきました。これはやはり行って調べてみると、昔流れたあとです。それだけ猛烈な水の流れで、それで人家を海辺まで流して持っていったという場所に当たっておるのです。だから、ああいうのは、洪水に備えて、やはり道路の佃なりあるいは鉄道の橋脚をあんなふうな埋め方をしないでやらなければいけない。そこがやはりあの鉄道がこわされて、長い間汽車が通るわけにはいかないというかっこうの災害を受けている。だから、その点、先ほど、国道の決壊したのは水の曲げ方に問題がある、こういう点は、やはり自然の原則にのっとって、何かもう少し自然に水が流れるようなかっこうにやらないと、これもまた再び起こりそうな感がしてならない。この辺の御調査が済んで何か結論が出ているでしょうか、ひとつお伺いいたします。
  107. 坂井秀正

    ○坂井説明員 この清水川あるいは小湊川は、現在災害査定の最中でございます。十五日には終了することになっております。その査定官が現在この河川につきまして調査を行なっておりますが、帰ってまいりまして本省でよく協議しまして、それから災害復旧改良復旧を加えまして、先生のおっしゃったような点についても十分検討を加えて本式の計画を決定したい、こういうぐあいに考えております。
  108. 森田重次郎

    ○森田委員 もう一つ、清水川の下流なんですが、これも鉄道を越えて海辺を通る間が非常に不自然な川のあり方なんです。あなたのほうで最初立てた案は、これはやはりいけないんだ、このやり方だと災害が起こるぞというので、これはまっすぐ海へ持っていかなければならないという御意見だったという話です。ところが、なかなか地元が言うことを聞がぬものですから、とうとう屈していまの不自然な形に持っていったので災害が非常に多い。そこで、地元民もいまはその点を自覚して、なるほどこれは考えなければならぬということなんです。だから、この計画というのはやはり早く立ててもらわなければいけない。そのうち熱がさめますと、また個人的な利害関係が発生したりなんかして問題になる。いままだこわいものだという気持ちが濃厚でありますから、この間に思い切った計画を立てて、そうして二度とこういう災害の起こらないようにしてもらいたい、これがお願いでございます。  そこで、青森県はことし非常に雨が多うございまして、あなたも御存じのとおり、大鰐の水害がある、田名部の水害があるということで、非常に多かった。そうして洪水が起こると、稲が萎縮しちゃって伸びない。ただ死なないで生きているというかっこうで、そうして妙なかっこうになっちゃうのですね。それで穂はむろん出ません。私のほうでは方言でこれをじっくいといっているのです。もうあそこはじっくいになったと、こういうのです。これは全滅で、一つもとれはしません。収穫量がない、こういうことなんです。これがごくわずか起こっているならしかたがないのですけれども、ことしなんぞは何百町歩というものに該当する。こういう病害というのか、これは水からくる災害と見るべきものかわかりませんが、これは何かその対策があるものじゃないだろうか、こういうことなんです。そこで、農林省の専門の方々、試験場の方々がこういうものに対して一体従来問題として取り上げているのか、取り上げておるならば、一体この病気の実態というものは科学的にもう明瞭になっているのか、それからこれに対する対策というものが確立しているのか、この点をお伺いしておきます。
  109. 安尾俊

    ○安尾説明員 先生のいまお話しの症状は、おそらく稲の黄化萎縮病という病気の一種と思います。この病気は、スクレロフソラというカビの一種で起こる病気でございまして、ただこの菌は水と関係が深うございまして、このカビの胞子、これは専門語で申しますと游走子と申しますが、ちょうどソラマメのような形をしておりまして、それに二本の足がついておりまして、この胞子が水の中を泳いでいきまして、稲が分けつするその根先の中に入っていきまして、それで全身的な症状を起こして、先生御指摘のように、収穫時になりますと、奇形の穂を出したり、あるいは穂が出なかったり、また穂が出ても稔実がたいへん悪いというような全身的な病気でございます。この病気につきましては、農林省といたしましては、一年前からすでに滋賀県に指定試験を設けまして、これらの発生の生態並びに防除方法の研究を専属でやっております。ところが、この病気は、いま申し上げましたように、ほかの病気と違いまして支障がございまして、非常に防除がむずかしゅうございます。それで現在のところ、病気にかかった苗を温度で処理するか、あるいはストレプトマイシンのような薬を根から吸わせまして治療するか、試験的には若干明るい見通しが立っておりますが、まだ実用的な防除方法は見つかっておりません。それで、さしあたり現在のところでは、水と非常に関係がございまして、浸冠水を稲がいたしますとこの病気にかかりやすいものでございますから、苗しろは水をかぶらないようなところに設ける、それからもし苗しろ期あるいは本田の初期、特にこの病気は、水にかかったときでも、低温の、十八度から二十度以下に水温がありますと非常によくかかるものですから、そういう時期に稲が浸冠水したときには、もしほかに予備苗があれば早く植えかえるというような予防的な指導対策はとっておりますが、残念ながら、現在のところ、病気にかかったものにほかの病気のように薬をかけて防除するという方法はまだないようでございます。
  110. 森田重次郎

    ○森田委員 こういう病気というのは、これは各地方に普遍的なものなんですか、それとも特定した県などに起こる現象なんですか、その点をひとつ……。
  111. 安尾俊

    ○安尾説明員 この病気は、特に特定なところとは一般には申せません。ただいま申しましたように、気温が十八度から二十度以下のときに稲が浸冠水いたしますと、往々にしてどこでも出る現象でございます。
  112. 森田重次郎

    ○森田委員 これの実験に一体どれくらい予算をとって使っているのですか。それから、これの試験員というか実験員というか、そういうものは何人くらいこれにかかってやっているか、その辺を……。
  113. 安尾俊

    ○安尾説明員 実は試験研究のほうは技術会議のほうで担当いたしておりますので、私、予算的なことは、ちょっと現在資料を持ち合わせておりませんので御返事申し上げることができませんが、滋賀の指定試験では、たしか専門に三名の職員がこの病気に従事していると思います。そのほか、私のほうは、特に京都大学にこの道の専門家がおられますので、京都大学の農学部の赤井教授、そのほか、県といたしますと、島根県あるいは福井県など、この病気のよく出るような県の試験場とよく連絡いたしまして研究を進めておりまして、現在ここに私のほうがまとめた成績書が二冊すでに出ております。このほかに最近また一冊出る予定でございます。
  114. 森田重次郎

    ○森田委員 それじゃもうこれで結論で終わりますが、この黄化萎縮病というものに対して、これは相当長い経歴を持っていると思うのです。私ら子供のころからあった病気なんです。それが近ごろ非常に範囲が広くなってきている。したがって、これから受ける損害というものも非常に大きくなってきている、こういうわけなんです。しかるに、これに対して農林省がまだ結論を出してこれを救えないということは、たいへん遺憾に考えているものなんです。特に青森県にはこれは相当出ているはずでございます。そこで、ほかの県では研究しているというんだが、私の県には御存じのとおり田中稔という試験場長がいて、この稲に対する世界的権威者なんです。今度はまた冷害対策に対しての実験の場を特に与えられていたので、その方面に対しては相当研究が進んでいるはずでございます。だから、農林省はもう少し科学的実験というようなものを尊重しなければいけないんじゃないか、どうも予算のとり方などもひどく消極的だ、私はこう見るのです。近代化近代化といったって、それは機械化も近代化でしょうが、こういう問題を早く科学的に研究して、その原因を究明して防除の方法を考える、こういうようなものに対しては、相当まとまった一定の期間を置いてその間に解決しようというような意欲的な動き方をしないと、ただ漫然と、予算をこれだけ取っているから、まあ一生懸命やったらいいだろうぐらいのことでは、なかなか効果は私はあがらないと思う。だから、この点は、あなたは予算には直接あれがないかもしれませんけれども、ひとつお帰りになったら大臣にもよくお話し、あるいは関係方々にも話して、それから予算の取り方なども私はもっと積極的であってほしい。同時に、青森県などでも、いま申し上げましたいろいろの条件が整っているはずですから、それらの試験などを委嘱するなり何なりして、一日も早くこの病気をなくするような方向へ御努力願いたい、こういうことですから、ひとつよろしくお願いいたします。
  115. 安尾俊

    ○安尾説明員 帰りまして上司並びにこの試験研究を担当いたします技術会議のほうにも先生の御趣旨を十分伝えまして、私ども専門家といたしましても、これらの防除法の一日も早くできんことを念願いたしておりますので、最大の努力をいたしたいと思います。
  116. 日野吉夫

    日野委員長 それでは、午後三時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————    午後三時二十一分開議
  117. 日野吉夫

    日野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  北海道における異常低温による災害対策について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。壽原正一君。
  118. 壽原正一

    壽原委員 農林政務次官がおいでですから伺いますが、先ほど当委員会に陳情のあったとおり、北海道は、三十九年の冷害、部分的であったが昨年も冷害、また今年度も冷害、こういう三年の冷害によって農家の経済は非常に苦しい状態になっております。そこで、冷害に対する応急対策というものは農林省は一体どういうようなことで考えておるか、その点をまず一点伺っておきたいと思います。
  119. 草野一郎平

    ○草野説明員 何かばくとしたお尋ねでございますので、もう一ぺんちょっとおっしゃってみてください。
  120. 壽原正一

    壽原委員 北海道の三年続いた冷害に対して、農林省は、将来こういうような冷害が再び起こり得るという問題に対して、何か考えておるだろうと思う。いわゆる寒冷地農業という基本的な問題をどう考えておるかということを聞いておる。
  121. 草野一郎平

    ○草野説明員 わかりました。どうも失礼しました。  北海道のいわゆる三年連続の冷害に対しましては、これはただいまもお話のありましたように、寒地農業としての、基本的なといいますか、恒久的な対策と、同時に、今日当面しておる問題と、二つに分けて考えるべきでしょうが、その問題をまた同時に進推する必要もありますので、ことに恒久対策の中におきましても、この冷害の中で体験した問題によってさらに部分修正をしなければならぬようなものも次から次へと起こってきておるわけであります。たとえば作物によって冷害に耐え得る限度というものもありますし、またその程度の差というものもございますから、そうしたものも勘案しながら、この際、あれだけの広範なる地域でもありますし、日本農業においてきわめて大きなウェートを持っておる北海道のことでありますから、この問題については真剣な態度でもって恒久対策を考究しつつあると同時に、当面の問題とといたしましては、先ほど、三枝副知事の陳情もありましたが、この問題は、昨日農林水産委員会のときにも、北海道の道議会あるいは農協、さらに農民組合の方々等からるる御陳情もありました。そういう中で直接的に指摘されておる問題もありますし、それに先立って、農林省といたしましては、万全の対策を立てながら、北海道の特殊性にかんがみ、今日の事態にあわせ対処して遺憾なき方法をとるべく、恒久、応急両面の対策を立てつつあるわけであります。
  122. 壽原正一

    壽原委員 さっぱり要領を得ないので、よくわからぬが、応急対策、恒久対策というと、たとえば冷害があって豆がだめだったならばほかのものにかえるとか、あるいは農業全般がいけなかったならば酪農にかえるとか、そういうような具体的な案を持って農林省が対処しなければ、北海道の農業というものは立ちいかぬということだけはよく考えておいてもらわなければならぬと思う。  そこで、これからの恒久対策は政務次官にお尋ねしても無理でしょうから、この点にとどめておきますが、今回の冷害の問題で激甚災害法というものが出されるように聞いておる。昨日の農林委員会で、きょうこの委員会に返事を持ってくるようになっておるということも聞いておりますが、いつ一体この激甚災害というものに指定できるか、その時期がわかりましたら言うておいてください。
  123. 大和田啓気

    ○大和田説明員 昨日の農林水産委員会でもお答えいたしたかと思いますが、天災融資法の発動につきましては、現在せっかく計算中でございまして、私どもの現在考えておりますことは、今月の下旬、できるだけ再来週中に天災融資法の発動をいたしたいというふうに努力いたしておるわけであります。
  124. 壽原正一

    壽原委員 もう少しこれは早くできぬものかね。どういうことで早くできぬのか。やるということがきまったならば、さっさとやらなければいかぬもので、私は与党自民党に所属しておるものであるが、いまどうも与党としてもあまり世間にはいいうわさのない最中であるから、せめてこれぐらいの農家を喜ばせるようなことは早くやってやらなければいかぬものだ。政務次官、あなたもよく聞いてください。与党、政府としてこれだけはぜひ早くやってやらなければならぬ。農家は食うにも困っておる。そうして、将来一体どうするかという問題は、農民がひとしく考えておることであるから、政府としては、今月の末だの、来年だの、再来年だということを言わぬで、一日も早くそういうことをやってやらなければ、いわゆる天災資金というものを借りることができなければ、自作農資金の問題にしても、あるいは何の問題にしても解決がつかぬというような状態になっておるわけですから、一日も早くこういう問題をひとつ取り上げてやってもらいたい。再来週間違いなしにやれますか。
  125. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども、再来週中に天災融資法の発動ができるように、いま懸命に努力しておる最中であります。
  126. 壽原正一

    壽原委員 ただいま副知事から、天災資金において百二十八億、自作農資金において八十一億という数字が、出されましたがこの資金の問題について、これはあなた方のほうで陳情を受けてよくわかっておるでしょうが、このまま通していただけるものかどうか、見込みだけ言うてみてください。
  127. 大和田啓気

    ○大和田説明員 天災融資法の関係だけについて申し上げますと、北海道の道庁から百二十八億という数字も受けております。現在せっかく計算中でございまして、まだ詳細申し上げることもできませんし、また、百二十八億確保するというふうにも申し上げられませんけれども、とにかく非常は大規模な冷害でございますから、私どもといたしましては、実情に即してできるだけ無理のない数字をはじき出すように努力をいたしておるわけでございます。
  128. 壽原正一

    壽原委員 無理のない数字というのは幾らになるかわからぬが、それでは資金関係で、自作農資金の問題で八十一億、これが出されておるのですが、この問題について、一戸当たりおおむね八十万というようなことで、現在の五十万から三十万増し、これについてはあなたのほうではどうお考えになっておりますか。
  129. 石田茂

    石田説明員 自創資金につきましては、ただいま貸し付け限度を、道庁のほうからでございますけれども、八十万円にして、八十一億円という御要望がございます。この貸し付け限度を幾らにするかという問題につきましては、一戸一戸の被害農家が一体どのような貸し付け残高であるか、いろいろ借金もあることと思いますから、そういった詳細な資料をいま道庁のほうからいただきまして、これを引き上げる方向で検討しておるわけでございます。その結果八十万円が適当ならば八十万円ということになるかと思いますが、天災融資法の場合と同じようにいま作業中でございまして、これもできるだけ早く結論を出したい、こういうふうに思っております。
  130. 壽原正一

    壽原委員 自作農資金が八十万円ということは、私は、これは百万にしても百五十万にしてもいいだろうと思う。現在北海道の自作農資金状態を見ると、全部借り切っておる者も相当おります。まだ半分より使っておらぬ者も相当おる。それですから、困った農家は、八十万というと、五十万にあと上乗せ三十万、三十万だけでは来年のいまごろまでめしが食えない。三十万でめし食えないということになったならば、八十万というけちなことを言わぬで、やはり百万でも百五十万でも、貸す制度をこしらえたらどうなんですか。八十万ぴっちりはいかぬということで、うわさに聞くと、何か七十万で妥協するとかせぬとかいう話も聞いておるのだが、新潟の災害のときには、何も騒がなくても七十万出しておるでしょう。新潟の災害のときには、何も騒がぬでも七十万出してやった。北海道全般にこれだけ六百十一億もの災害があったということであったならば、八十万が百万でも出してやらなければならぬという、いわゆる政治にあたたかみがなければいかぬものだろうと私は思う。そういうことは考えておりませんか。
  131. 石田茂

    石田説明員 八十万円の御要望がありましたので、必ず八十万にするという意味で申し上げたのではございません。あくまでも被害農家の実情に即しましてこの問題は処理したい、こう考えております。
  132. 壽原正一

    壽原委員 この自作農資金というものは、もうほんとうに困った農家でもって借りるのですから、八十万だとか五十万と言わぬで、いま少し農林省大蔵省に強い態度でもって折衝してもらわなければ、農家がめし食えないことになる。そういうことをよく考えておいていただきたい。  それから、今年はこういうような状態で、北海道で来年種つけするのにも種が一つもない。それを確保しなければならぬ。それから、酪農に切りかえろといって、酪農に切りかえさせた。ところが、豚、鶏あるいは牛、こういうところのえさがなくなった。これの問題はどう対処しておるのですか。
  133. 石田茂

    石田説明員 今回の冷害につきまして種もみその他が不足することは、私ども当然予想しておるところでございます。それで、種もみの確保はもちろんのこと、それに対する購入の補助につきましても現在私どもで検討中でございます。  それから飼料対策につきましても、一応御要望としましては、ビートパルプの購入補助という問題もございますけれども、これはいまもお話がありましたように天災資金というような制度もございますので、そういった経営資金をひとつ活用していただくということで、いま私どものほうで用意しておりますのは、輸入フスマを一応払い下げるように努力しておる段階でございます。
  134. 壽原正一

    壽原委員 それらの買い入れに対する補助はどのくらいしてやるつもりですか。
  135. 石田茂

    石田説明員 飼料に対する購入補助という制度は、過去においてもございませんし、ただいまでは考えておりませんけれども、フスマの払い下げ価格は、かなり市価より安いかと思います。そういうことでとりあえずのところは対処したいと考えております。
  136. 壽原正一

    壽原委員 それじゃ、援助もなしに、安い値段だから買えといっても、金がなくて買えなかった場合には一体どうするか。
  137. 石田茂

    石田説明員 そういう意味におきまして、天災融資の発動などをいたしまして経営資金をお貸しするわけになります。
  138. 壽原正一

    壽原委員 この金を貸すのは、返済期間は一体何年の年月ですか。
  139. 石田茂

    石田説明員 六年間でございます。
  140. 壽原正一

    壽原委員 利息は……。
  141. 石田茂

    石田説明員 普通の場合は六分五厘でございますけれども、特別被害地域方々には三分ということになっております。
  142. 壽原正一

    壽原委員 特に被害の多かったところは三分というけれども、どういう地域指定するかわからぬが、大体農業を営んでおる者が、六分の銭を借りて商売になってめし食っていけるというのは、現在の状態ではない。そこで、農業に対する問題の融資はほとんど三分くらいでもってやらなければ、なかなかめし食っていけるような状態にはならぬ。将来そういう問題に対しては、ぜひあなた万のほうでも大蔵省にかけ合って、そうして農業融資資金というものはおおむね三分を限度とするということにしてもらわなければ、農家というものはめし食っていけないだろうと思う。北海道のような冷害ばかりでない。内地の場合には、災害もあり、いろいろな問題で農家の立ち行く瀬がないような現状を見て、もう少し農林省はあたたかい目で農業を育成するというような気持ちになってほしい。これは要望しておきます。  そこで、今回の被災農家が一番要望しておるのは救農事業です。救農事業というものは、これは農家にとって一番めしを食う種になる。たとえば、冷害があっても希望を持って働ける、こういう楽しみを持っておるのです。この救農事業に対しての処置は一体どう考えておりますか。
  143. 石田茂

    石田説明員 冷害の場合には、風水害の場合と違いまして、いわゆる災害復旧事業というものがございませんので、特に北海道の場合には、いわゆる現金収入の道となるような救農事業が必要であるということは、私どものほうでも十分考えておるところでございます。そこで、農家の方々に一体どのくらいの救農事業を一応必要とするかという点につきましても、現在道庁といろいろ御相談しておりますけれども、いろいろ途中で被害がふえた関係もありまして、いまのところ、道庁のほうからの御希望によりますと、約十二億をこえるような金額になっております。それで、その十二億をこえるような金額をどういう事業で吸収していくかということでございますが、一応これは救農という字が書いてございますけれども、こういった新しい制度を設けるのではなくて、現在の国でやっておりますこと、あるいは道庁でやっておりますこと、あるいはその他民間の企業団体でやっておりますこと、現在やっておりますいろいろな事業をこれにつぎ込みまして、そしてこれは国として一体どれだけ見るべきかというようなことをいませっかく検討中でございます。  そういった観点でやりますけれども、農林省のことに関しますと、一応林野庁の営林局の仕事もございますし、それからまた、当然、農地局の関係になりますれば、同じくそういう事業をやる場合には、先ほどからお話がありますように、恒久対策となるように——と申しますのは、いわゆる土地改良というようなものに直接役立つような事業をこの際講じたらいいじゃないかということで、これを一体どのような地域にどういうふうに持っていくかということをいま検討中でございます。
  144. 壽原正一

    壽原委員 ここで質問は一たんやめて、大蔵省は来ていますか。
  145. 日野吉夫

    日野委員長 嶋崎主計官が来ております。
  146. 壽原正一

    壽原委員 私は各委員会に始終出ておるのだが、大蔵省はどうも委員会というものの制度に対して非常に怠慢であるということが言える。三時に始まる委員会にいま来たなんというのはどういうわけだ。どういうことでおくれたんだ。われわれはこの災害に対して真剣に取り組んでおるのにもかかわらず、役人の分際でそれは何だ。どういうわけでおくれたんだ。答えなさい。
  147. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 おくれてまことに申しわけありません。御承知だと思うのですが、補正予算、本予算の編成の最盛期でございまして、特に所管である事項について重要な問題が実は山積しておりまして、きょうあすにもお答えを出さなければならぬということで、幹部のところへ呼ばれまして会議をやっておりまして、私が説明の主役になる会議でございましたので、おくれてまことに申しわけありません。
  148. 壽原正一

    壽原委員 それならそれで早く言っておいたらどうなんです。われわれは三時前から来て、大蔵省がいつ来るか、通産省がいつ来るかということで、委員は全部そろっておる。大体大蔵省なんてなまいき千万だ。いままで各委員会大蔵省を呼んでも時間どおり来たためしは一ぺんもない。特に君らの態度はなまいき千万だ。金を持っていればそんなになまいきにならなければいかぬのか。どうなんだ。そういうふまじめなことでわれわれに対してうそぶいておって、感情を害したからどうだこうだと能書きを言う。何を言っている。大蔵省という役所は、そんなに役所のほうでわれわれに対して侮辱的な態度でいなければならぬ役所なのか。どうなんだ。あとは言わないから、その一点だけは答えなさい。
  149. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 委員会に対して御指摘のような侮辱的な態度をとる気持ちは全く持っておりません。ただ、そういう予算の時期でございますので、会議その他の関係でおくれまして、その点は深くおわび申し上げたいと思います。
  150. 壽原正一

    壽原委員 言うたからその程度でいい。  それでは、救農事業の問題で伺います。これは大体地方自治体でほとんど負担しておるのですね。国の金では一切そういうことはやっておらぬのですか。
  151. 石田茂

    石田説明員 これは全部地方で負担するというふうには考えておりません。これは現在私どものほうでやっております土地改良の予算の範囲内でも、当然できることでございます。そういった配分を、国あるいは道、あるいは先ほど申しましたような国鉄その他の御協力も得まして、これをどういうふうにして実施するかということをいま検討しておるのであります。
  152. 壽原正一

    壽原委員 地方団体だけがこれを負担すべきものではない。それは当然国においても応分の負担をせぬければならぬ。仄聞するところによると、農林省において国庫補助による救農土地改良事業を実施するやに聞いておるのだが、その額、補助率、地方分担金に対する財源措置決定の時期は一体いつごろになるのか。
  153. 梶木又三

    ○梶木説明員 救農の事業につきましては、ただいま北海道庁のほうから一応三億二百万という数字がまいっておりますが、他事業でどのくらい救農に労務を提供して救済できるか、こういう点につきまして、もう少し詰めが残っておりますので、目下その検討中でございます。  なお、補助率につきましては、先ほど来お答えがありましたように、前向きでもってやりたい、恒久的な事業に回したいということで、現在考えておりますのは、従来の団体事業と同じ事業を実施いたしたい、補助率につきましても、従来の団体と同じ、こういうことでございます。
  154. 壽原正一

    壽原委員 その時期はいつになるのですか。
  155. 梶木又三

    ○梶木説明員 ただいま申し上げましたように、その詰めが終わりましてできるだけ早い機会に結論を出したいと考えております。
  156. 壽原正一

    壽原委員 できるだけ早くではわからぬのだが、おおむねのめどはつきませんか。
  157. 梶木又三

    ○梶木説明員 道庁のほうにいま作業をお願いいたしておりますので、その作業の結果がまいりましたら、至急にかかりたいと思います。
  158. 壽原正一

    壽原委員 なるたけ早くやらぬと、北海道は雪が降りますからね。雪が降っても仕事は十分できます。  ところで、大蔵省に聞くのだが、北海道は冬になると仕事ができないので、そういう金をやったってむだじゃないかということを、大蔵省でささやいておるそうだが、そういうことはございますか。
  159. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 そういうことをささやいているつもりはありません。現在農林省から相談のある団体営の事業というのは、どちらかというと雪が降ってもできるような、たとえば馬そりの客土であるとかいうようなことを中心にこの問題を考えたらどうかということで、金額的な詰めは別にやっておりませんけれども、事業の種類その他考えまして、できる限り冬場でもできるようなやり方をやりたい。現に三十九年のときには、補助事業は行なっておりませんけれども、節約解除をやりまして実施した実績もあるわけでございます。そういうものを参考にして判断をしていきたいというふうに思っております。
  160. 壽原正一

    壽原委員 あなたが来る前に天災資金のワクについてちょっ伺っておいたのだが、北海道から、百二十八億、自作農資金が八十一億の要求が出されて、われわれもそれ以上にやってやらなければならぬと思っておる。そこで、あなた方は農林省といろいろこの問題で詰めるでしょうが、おおむねいままでこういう問題で農林省と話し合っておりますか。
  161. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 まだ正式な被害状況というものについて詳細は承っておりませんけれども、御承知のように、北海道の本年の冷害の規模というのは、金額的には少なくとも最高であるということを聞いておるわけでございます。私もこの問題については先例等を調べ準備をしておるわけでございますが、三十九年のときに、実は天災融資法の融資ワクを、当初考えていたのではなかなかはまらなくて、増大しなければならぬというような事態があったことも記憶しております。したがいまして、本年度天災融資ワクを決定するにつきましては、農林省の御意見も十分聞き、かつまた被害者の実態等もあわせ考えまして、適正な額を決定いたしたいと思っております。
  162. 壽原正一

    壽原委員 前例等もよくにらみ合わしてと言うのだけれども、一番最初、三十九年の災害は五百七十三億であったが、そのときは初めて冷害になったものであるからまだ余裕があった。昨年は部分的でもやはり冷害という問題に見舞われておる。さらには引き続いて今年の冷害ということであるから、前例によってこれを考えるというような考え方でなしに、前の上積みでずっときておるこの農家の悲惨な状態というものをよく把握して、いま少し行政面においても血の通ったことを考えてやらなければならぬだろうと思う。その点は考える余地はありますか。
  163. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいま御質問のあった点につきましては、天災融資法によるところの融資ワクの問題と、それからもう一つは、連年まことにお気の毒な状態でございまして、過去三年間冷害に見舞われておるわけでございます。そういう意味で、具体的にその負債対策をどういうぐあいにするかということも、今回の冷害対策の一つの問題点として提起されておるわけでございます。その具体的な内容につきましては、まだ正式にはありませんけれども、三十九年の場合でもその負債対策というものが問題になりまして、その際にいろいろな対策が考えられた。一番簡単な償還期限の延期とか、そういうものに加えまして、三十九年のときに、いわゆる自創資金の問題をどういうぐあいにするかという議論がございまして、まだ具体的な問題としてその問題は聞いておりませんけれども、そういう負債対策をどういうぐあいにしていくかというような問題はたぶん議論になるのじゃなかろうかというふうに思っております。ただ、具体的な負債対策を議論する場合の負債の現実の状況、実態というような点につきまして承知をいたしておりませんので、詳細な検討はありませんけれども、そういう面について何らか考慮すべきではないかということは、先般の礼幌での閣議の際にもいろいろ話が出たそうでございますので、あわせて慎重に検討していきたい、こう思っております。
  164. 壽原正一

    壽原委員 大蔵省はどうも銭のあるところだから出しにくくて困るらしいが、今度の災害だけは特別であるから、一日も早く天災融資法の適用をしてやって、そして早く農民を救ってやってもらいたい。  それから北海道開発庁、あなたのほうでは、この冷害に対してどういう処置をとっておるか。
  165. 島津義満

    ○島津説明員 この冷害対策につきましては、農林省からもお話がありましたように、恒久対策と応急対策の二つがありまして、とりあえずの応急対策につきましては、開発庁といたしまして仮の窓口になりまして、金融及び救農土木、そういう方面を取りまとめ、道とともに関係各省に極力その推進方を努力する世話役をつとめておるわけでございます。  恒久対策につきましては、実は寒冷地農業というものを開発庁は一昨年から表題に出しましてその寒冷地農業における開発計画ということに邁進しておるわけでございます。そのためには、まず基盤を整備すること、それから農用地を造成して極力その経営面積を広げること、この両々相まった真の意味の開発を促進すると同時に、適地適作の確立に今後とも努力していきたいと思っております。と同時に、開発審議会の農林水産小委員会におきまして、先月の終わりに、冷害に対する撲滅恒久対策ということでもって、開発審議会の委員の方の問題の提起によりまして小委員会でもってその案を練りまして、小委員会で大体の方向を見定めまして、今月の二十九日の予定にいましておりますが、開発審議会にこれをかけまして、その方法論を論じたいと思っておるわけでございます。
  166. 壽原正一

    壽原委員 今回の災害ばかりでなしに、毎回私は思っておるのだが、開発庁というところは、北海道開発庁という名前のとおり、北海道の開発問題については全部あなたのほうでやっておるわけなんだね。そこで伺いたいのは、何か公共事業のみで、他の問題については道庁が直接各省に行って話をするやに聞いておるのだが、その点はどうなんです。
  167. 島津義満

    ○島津説明員 この組織の内容からいたしまして、実施予算におきます事業の調整、推進という項目がありまして、あえて公共事業だけであるということは、これは予算面上の問題でございまして、それ以外のものにおきましてもいろいろ窓口としてお世話をするように努力をしておりますが、この御意向の趣旨は十分に尊重いたしましてこれを検討いたしますが、現在の組織の状態におきましても、そういう意味から一応責任を果たしておると思っております。
  168. 壽原正一

    壽原委員 君らに聞いてもこれはしかたがない。大臣でも出なければ答えられぬだろうからよう聞かぬが、北海道開発庁という名称がある限りは、北海道で起こり得たすべての政府関係の問題については、公共問題であろうとも何の問題であろうとも、開発庁がすべてこれを扱わなければならぬとわれわれは考えておる。ところが、たまたまそういうような状態にないということを聞いておる。その点については、君らに話してもしかたがない。今度大臣の出たときに、どういうことでこれができないのかということをよく聞くことにするから、きょうは開発庁はこの程度にしておきます。  中小企業庁は来ておりますか。——統計はまだよく出ておりませんが、三十九年の冷害のときに、農家が一般中小企業の商店から借りておる品物代が約百五十億くらいであったと記憶しておる。今回もそれを下回るということはおそらくないだろうと思うのだが、この点について、農家が払えない場合がたくさんできてきている。三十九年のときには、約百五十億くらいのうち三十億くらいが支払い能力がなかったやに聞いておる。今回もそういう状態になるだろうというふうに察せられるのだが、この点について、中小企業庁は、中小企業者に対してそういう場合にはどういう扱いをしておったか。それから、いままでなかったならばなかった、これからはこういうふうにしたいという考えがあるかどうか、その点お答え願いたいと思います。
  169. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 三十九年の冷害におきまして、先生御指摘のとおりいまの数字でございますが、そのときは、政府金融のほうで申し上げますと、政府金融機関一応十億の融資目標、市中金融機関十五億の融資目標を設けまして、政府金融機関のほうには、われわれのほうから、それぞれ融資ワクと申しますか、ある程度の余裕を持つような指示をいたしまして実行いたしたわけでございます。おおむね十億近い融資実績になっております。それから、今回の冷害におきましても同様に、先ほど実は道庁ともいろいろ電話で話をしておりましたが、おおむね三十億前後のやはり冷害による売り掛けの損が出るのじゃないか、こういう御連絡もございまして、道庁のほうと現在具体的な措置は相談をいたしておりますが、おおむね前回政府金融機関が十億ということでもございましたので、今回やはり十億程度の政府金融機関からの特別のワクを設けまして融資を実施するようにというふうに現在考えております。なお、民間の金融機関に対しましては、これは道のほうでございますが、やはり一定金融を預託いたしまして、前回とほぼ同様の金額の融資目標で実施したい、こういうふうに道庁のほうでは申しておるわけであります。それから、前回民間の金融機関に対しまして一応融資をいたします場合に保証協会から保証をいたしておりますが、これにつきまして中央の信用保険公庫というところから二千万円の貸し付けをいたしております。今回もほぼ同様のことで、これはまだ具体的に決定には至っておりませんが、私どもの気持ちといたしましては、ほぼ同様の貸し付けを行ないまして、保証協会が保証しやすいようにしたい、こういうふうに考えております。
  170. 壽原正一

    壽原委員 話を聞いてみると、保証協会の手を通ずるということであるのだが、保証協会の手を通じて中小企業が金を借りるということは非常にめんどうじゃないかと思う。これの緩和策はないのかね。
  171. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 保証協会が保証をいたします場合の信用保証料等につきましては、道庁と私どものほうと相談をしました上で、保証料をある程度軽減する等の措置を考えております。
  172. 壽原正一

    壽原委員 いや、保証料はともかくとして、保証協会で保証して金を借りるという場合、方々聞いておるのだが、なかなかめんどうだそうですね。簡単に保証せぬそうだ。そういうことについては、あなた方実態を調べてみたことがあるかね。
  173. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 保証協会の運営は主として道庁がやっておりまして、かつ、具体的な事例につきましては道庁がやっておられますが、私どものほうももちろんその運営の一翼を背後から見ておるわけでございますので、当然ある程度のことは調査をいたしたりいたしております。
  174. 壽原正一

    壽原委員 北海道庁がそれをやっておるといっても、幾らの金を貸すのでも金額によらず保証協会の保証が要るのですか。
  175. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 保証協会の保証は、通常の民間の金融機関から融資をいたします場合に、担保その他いろいろの問題で融資がしにくい場合に限りまして、保証協会が保証いたすわけでございます。保証がなくても通常の民間の金融機関から融資ができる場合、これがおそらく大部分であろうと思います。
  176. 壽原正一

    壽原委員 そんなことはよくわかっているのだが、幾らの額でも、担保がなければ、保証協会で保証しなければ金が借りれないのか、こう聞いておる。こういう特別な冷害について、農家が払えないで中小企業が倒産するというような場合にですよ、幾らの金でも保証協会が保証しなければ借りられない制度になっているのか、こう聞いているのです。
  177. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 政府金融機関につきましては、通常の場合こういう保証なしで融資をいたします。それから、民間の金融機関につきましても、保証がなければ融資をしない制度にはなっておりません。
  178. 壽原正一

    壽原委員 あなたに聞いているのは、民間の金融機関、民間銀行から借りる金の問題は別として、あなたのほうで融資をするという金は、全額おおむね政府の金融機関でやるのじゃないですか。そうじゃないのですか。
  179. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 一応の融資目標は両方設けますが、私どものほうで指示をして一応融資の目標なり何なりを設けてありますのは、政府金融機関でございます。
  180. 壽原正一

    壽原委員 大体この辺で私は質問を終わらせていただきますが、今回の冷害というものは、北海道としては全農家がひとしく痛手をこうむっておると同時に、こういうものが来年も起きたならば、北海道での農業というものは当然なし得ない状態になるのじゃないかと私は考えております。  そこで、委員長からも、どうかこの問題については、本委員会を通じまして、早急に政府関係当局に対して、北海道の今回の冷害問題に対しての大幅な援助を必要とするという旨の強い要請をしていただきたいことをお願い申し上げておきます。  また、大蔵省農林省ともに、北海道のこういう三年続きの冷害問題に対しては、いち早く要望のようなすべての諸施策をとって、再び農家が営農できるという安心感を与えてやってほしいことを要望しておきます。私も北海道選出の代議士でございますが、農家の窮状を見るのにまことに目をおおわざれば見れないというような状態の個所が、ことしは北海道にございます。特に来年の時期も考えてみますと、なかなか容易ならざる状態でございますから、この点もよく心得て、そうして農家が営農できる得る処置を一日も早く講じてもらいたいことを要望しておきます。   これで私の質問を終わります。
  181. 日野吉夫

    日野委員長 御趣旨に沿うように努力します。  芳賀貢君。   〔委員長退席、井谷委員長代理着席〕
  182. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、北海道冷害対策に関して政府に質問をいたします。  本日の質問の範囲は、総理府農林省大蔵省、開発庁関係に及ぶわけでありますからして、政府関係の各位はとどまってもらいたいと思います。  第一にお尋ねしたいのは、昨日の農林水産委員会におきまして、北海道の冷害に対する激甚財政援助法の発動というものが予定としては非常に遅延しておるので、この点に対して政府の熱意ある方針というものを当委員会において明らかにしてもらいたいということを予告しておるわけであります。したがって、総理府関係といたしましても、中央防災会議の事務局長である総理府総務長官としてこの方針というものを明確にしてもらいたい。
  183. 上村千一郎

    ○上村説明員 ただいま御指摘を賜わった点でございますが、北海道におきましては、三年越しになるわけでございますが、本年も冷害によりまして農作物について多額の被害をこうむっておられるわけであります。政府といたしましては、これが対策につきまして御要望に沿うように検討いたしておるわけでございますが、激甚災害指定につきましては、実は天災融資法の発動と相まちまして、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律適用するという方向でいま検討いたしておるわけであります。それで、天災融資法の発動がまだされていないというような点でございまして、これと相まちまして早急に善処する、こういう状態に相なっております。
  184. 芳賀貢

    芳賀委員 上村さんは総理府副長官であるということはおおよそ知っておるが、中央防災会議の事務局長にいつからなったのですか。
  185. 上村千一郎

    ○上村説明員 中央防災会議の事務局長に相なっておるわけではございませんけれども、総理府の所管事項になっておりますので、長官がおりませず、副長官といたしまして私がお答えをいたしておる次第でございます。
  186. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは事務局長の権限をあなたは代行できるわけですね。権限のない者の答弁では意味がないですから、この点は明らかにしてもらいたいと思います。
  187. 上村千一郎

    ○上村説明員 権限の問題に相なりますと、防災会議としましては、会長総理でございます。ただいま事務局長がおりましても、その問題につきましては、私が申し上げる以上のことは申し上げられないだろう、こう思うわけであります。実は他の委員会におきましてもこの問題の御質問がございまして、同様なお答えをいたしておりますので、この委員会におきまして発言を許していただいてお答えをいたしておる、こういうわけでございます。
  188. 芳賀貢

    芳賀委員 これは重要な点ですよ。それは長官であっても次官であっても、担当の役人以上の答弁になかなかできないのですよ。しかし、大臣政府を代表して発言する場合と、大臣を代理するだけの権限も持たない政務次官クラスが発言する場合の責任の度合い、権限の度合いはおのずから違うのですよ。ただきょうお尋ねするのは、中央防災会議の事務局長は総理府総務長官ということになっておるわけですから、長官が不在の場合副長官が事務局長の代理ができるということであれば、あなたの答弁でもいいわけです。代理ができないとすれば、あなたがどんなりっぱなことを言っても意味がないわけですから、その点もう一度明確にしてもらいたい。
  189. 上村千一郎

    ○上村説明員 代理と申しますると、防災会議総理府におきまして所管いたしております。そうして長官の大体意向がそういうふうになっておりますので、私がその意を体して申し上げておる、こういうわけでございます。長官の御意向という意味で申し上げておるわけで、そうかた苦しい意味におきまして申し上げておるわけではございませんが、他の委員会でもそのことを申し上げておりますから、発言を許していただいて申し上げた次第でございます。
  190. 芳賀貢

    芳賀委員 実は私は、政務次官クラス——と言っては失礼ですが、政務次官あるいは副長官というものに対してあまり信頼と期待を持っていないのですよ。ですから、長官が出てこれぬときは、これは防災会議担当の参事官がおりますから、むしろ事務的な点はあなたより詳しいのじゃないかと思うのです。しかし、せっかくおいでになったわけですから、長官である事務局長を代理してあなたが政府としての立場から責任のある答弁ができるとすれば、きょうはこれを敬遠するわけではありませんから、その責任の範囲だけ明らかにしてもらえばいいと思うのです。あなたがおわかりでなければ、事務当局の参事官から、副長官で間に合うということを明確にしてもらいたい。
  191. 上村千一郎

    ○上村説明員 参事官に答弁さしてけっこうであります。けれども、従来他の委員会におきましても答弁をお許し賜わっております。参事官でけっこうであるということになれば、参事官からお聞き取り賜われば幸いかと思います。ただ、御通知がございましたので、私が出頭さしていただいたわけであります。
  192. 芳賀貢

    芳賀委員 参事官から法制上の権限を言ってください。
  193. 上田伯雄

    ○上田説明員 お答えいたします。  激甚法の指定の件でございますが、中央防災会議というのは、指定のための諮問がございましたときに……。
  194. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことはわかっておるよ。副長官が事務局長の代理がつとまるかどうかということをあなたが言えばいいじゃないか。
  195. 上田伯雄

    ○上田説明員 長官が事務局長でございまして、次長が三人おられまして、事務の副長官と審議室長と消防庁次長でございます。
  196. 芳賀貢

    芳賀委員 事務の副長官は上村さんですか。
  197. 上田伯雄

    ○上田説明員 上村さんではございません。
  198. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは上村さんは防災会議にはあまり関係ありませんね。
  199. 上田伯雄

    ○上田説明員 防災会議としては関係ありません。総理府の副長官として出ておられるわけでございます。
  200. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、私が聞いたのは、本日は北海道冷害に対する激甚災の指定の発動の件について、これはやはり中央防災会議というものがあらかじめ幹事会を開いて、北海道冷害を指定すべきかどうかということを審議して、その幹事会の意見に基づいて閣議において政令を発動するということになっておるわけですよ。ですから、長官である事務局長が公務のためどうしても出席できないということであるから、それではそれにかわる次の権限者に出てもらいたいということを言っておるわけです。あなたに代理権限があればいいですよ。なければ、せっかくおいでになっても、この件については傍聴してもらうよりしようがないということになる。委員長、そこをはっきりしてください。
  201. 井谷正吉

    ○井谷委員長代理 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕   〔井谷委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 日野吉夫

    日野委員長 速記を始めて。  いろいろ議論がありましたけれども、芳賀さんの質問の趣旨は、きのうのあとを受けてここで決定的なあれを聞こうという考えのようでありますが、まだ防災会議の議題になっていないわけです。そこで、上村副長官は政府の意向をここで質問に応じて答える、それを聞くということできょうの会議を進めてもらう、こういうことにして再開いたしますから、ひとつその趣旨で御質問願います。
  203. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは政府にお尋ねしますが、三十九年の北海道冷害の場合においては、十一月九日に天災融資法並びに激甚災法の政令の指定をすでに行なっておるわけです。ことしの場合には、三十九年よりも被害程度はさらに激甚である。この場合いまだに発動が行なわれておらないということは、何らかの理由に基づいて発動しないとわれわれは考えなければならぬわけであります。一昨年の冷害の場合においては十一月九日に両法の発動が行なわれておる。今年はいまだに発動をしないというのは、何らかの理由があると思うわけでありますが、その発動をせざる理由について、この際政府から明らかにしてもらいたい。
  204. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は天災融資法の発動と相まちまして激甚災害指定をいたすというような心づもりで、総理府としましてはいま検討を進めておるわけであります。そして天災融資法の発動につきましては、農林省のほうでこれが準備をされておりまして、農林省のほうからお見えでございますので、天災融資法の発動の点につきましてはお答えを願うこととして、政府といたしましては、それと相まちまして急速に激甚災害指定をいたすべくただいま検討中でございます。
  205. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、天災触資法の発動が先に行なわれて、その後に激甚指定をやらなければならぬ、天災融資法の発動を農林省がまだやらぬから、総理府においては激甚指定の発動ができない、こういうことですね。
  206. 上村千一郎

    ○上村説明員 激甚災害指定法律のたてまえが、天災融資法の発動によりますところの財政の特別な措置のたてまえになっておりますので、天災融資法の発動と相まちまして激甚災害指定検討をいたしておる、こういうわけでございます。
  207. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、まず天災融資法を発動しなければならぬ、しかる後に激甚法の発動をやる、こういうお考えですか。
  208. 上村千一郎

    ○上村説明員 そういうことに相なります。
  209. 芳賀貢

    芳賀委員 ところが、そうなってないのです。激甚法の第八条の特例というのは、天災融資法の発動をする場合、その災害が特に激甚であると認めた場合においていわゆるその指定の特例を発動するわけです。切り離すわけにいかないんですね。発動はこれは政令をもって行なうのですから。第八条の政令の指定は、地域指定を行なうと同時に、天災資金のワクの決定を政令をもって明らかにしなければならぬということになっておるわけですから、これは切り離すわけにいかないのですよ。あなたの説明からいうと、まず農林省が天災融資法の発動をしなければならぬ、そのあとで、実情をよく検討して、それから激甚法の指定を行なう、こういうことを繰り返して言われておるわけですが、それに間違いないんですか。
  210. 上村千一郎

    ○上村説明員 激甚災害指定は、御案内のように、一定の損害の基準額に達した場合でございます。その基準に達しますと、それによりましていわば発動する、こういうふうになっておりまして、その基準は、昭和三十七年かと思いますが、中央防災会議の基準がございまして、その基準に照らしまして発動をするというたてまえに相なっております。
  211. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、低温災害による指定基準を述べてもらいたい。
  212. 上村千一郎

    ○上村説明員 きわめて事務的なことになりますので、参事官から答弁させていただきます。
  213. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが言いなさいよ。自分でやりなさいよ。
  214. 上村千一郎

    ○上村説明員 事務的なことでございますので、参事官から答弁させていただきます。
  215. 上田伯雄

    ○上田説明員 激甚災害に関します指定基準というものがございまして、これで激甚災害法の八条に関しますものは、お読みいたしますと、  四 法第八条(天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例)の措置適用すべき激甚災害は次のいずれかに当該する災害とする。ただし、災害の実態によりその必要性がないと認められるものについては、この限りではない。   A 当該災害に係る農業被害見込額が、当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・五%をこえる災害   B 当該災害に係る農業被害見込額が当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・一五%をこえる災害であり、かつ、一の道府県の区域内における当該災害に係る特別被害農業者(天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法第二条第二項に規定する特別被害農業者をいう。)の数が当該都道府県の区域内における農業をおもな業務とする者のおおむね三%をこえる都道府県が一以上あるもの こういうのが基準でございます。
  216. 芳賀貢

    芳賀委員 いま参事官が述べたとおりであります。  そこで副長官にお尋ねしますが、今回の北海道の冷害の被害というものを特例法で認定する場合は、このAとBのいずれを適用するつもりですか。
  217. 上村千一郎

    ○上村説明員 その点は、私どものほうはいま検討中でございますが、その点について参事官からお答えをさせます。
  218. 芳賀貢

    芳賀委員 それは、検討した結果AになるかBになるかわかりませんか。
  219. 上村千一郎

    ○上村説明員 Aになるというわけでございます。
  220. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ検討しなくてもいいじゃないですか。冷害ですからね。冷害の被害はどういう様態を呈するかというと、これは全部農作物だけが被害を受けるのであって、Bの施設災害というものは全然起きないんですよ。冷害の場合はこれはもう検討の余地がないんですよ。しかもAの基準の場合は、全国の農業所得の推定額の〇・五%をこえる被害である場合ということになっておるわけですから、それでは、この一番の基準になる全国の農業所得の推定額というものを一体総理府は幾らに押えておるわけですか。
  221. 上村千一郎

    ○上村説明員 一兆九千四百七十九億円と押えておるわけであります。
  222. 芳賀貢

    芳賀委員 約二兆円ですね。二兆円に対して〇・五%をこえる被害の場合ということになるわけだが、その場合には、どれだけの金額以上の災害であれば指定の対象になるのですか。
  223. 上村千一郎

    ○上村説明員 約百億でございます。
  224. 芳賀貢

    芳賀委員 北海道の今次の冷害による被害額は、これは農林省の正式な公表によりますと、六百七億円ということになっておるわけです。これは政府が手から調査して、もう公表しておるのですよ。北海道の低温による被害額は六百七億円。百億円をこえる被害であれば激甚指定をしなければならぬということに当然なっておるわけですから、その六倍の被害があることを政府においてこれは十月末日に確認して公表しておるわけです。そうなれば何も検討の余地はないじゃないですか。一昨年の場合も同じように、十月三十一日で農林省は、北海道、東北の異常低温による被害額というものを公表いたしまして、これを基礎にして、十一月の九日に天災法並びに激甚法の同時的指定を政令をもって行なっておるわけです。ですから、一昨年の冷害も今年の冷害も、冷害そのものの実態に何ら変わりはない。行政的前例としては、一昨年は十一月九日にすでに指定の発動を行なっておるのにかかわらず、先ほどの農林省経済局長の答弁によりましても、あと二週間後でなければ発動がでないということは、われわれとしてはまことに不可解であります。何らの検討の余地がないじゃないですか。政府調査によって六百億円の被害がある。北海道を全域指定にする場合には、二兆円の〇・五%以上の被害であれば発動ができる、こういう厳然たる基礎事実の上に立って、どうしてあと二週間以上遷延しなければ発動ができないか。その点を、昨日の農林委員会においても明確になっておらないので、本日に中央防災会議事務局長の総理府総務長官にぜひ政府としての責任ある答弁を求めるということに実はなっておるわけです。これについて責任のある確固たる方針というものを当委員会に明らかにしてもらいたい。
  225. 大和田啓気

    ○大和田説明員 天災融資法の発動に関することでございますから、私から申し上げます。  昨日も御説明いたしたと思いますが、確かに、昭和三十九年の冷害に対します天災融資法の発動は十一月九日にございました。これは、当時のことをいろいろ考えますと、非常に事務的に急ぎ過ぎた面がございます。拙速ということばが必ずしも適当でございませんけれども、非常に事務的に急ぎまして、確かに十一月九日に天災融資法の発動はいたしましたけれども、たしかにそのときの融資ワクは四十五億でございまして、四十五億では北海道の農家の人たちの要望に沿いがたいということで、十二月の下旬になってこの額を改定をいたしまして、相当大幅な融資をいたした経験がございます。私ども、そのときの経験からいたしまして、そう簡単に、十一月一日に被害額が出たからすぐにはじけるということではございませんで、的確な額を計算して、大蔵省等と交渉をいたしまして、そこで、北海道の人たちの納得も同時に得られる数字を出すためには若干の時間が必要であることは、御了承いただきたいと思います。  さらに、三十九年のときは、いままでやっておりましたことをそのまま天災融資法の発動の機会に盛り込んだわけでございますが、このたびは、三年連続冷害というきわめて異常あるいは特殊の事態でございますので、借りかえの加算額等につきましても、私ども、従来の五十万円という額を、さらに実情に合わして増額いたすことを考えておるわけでございます。したがいまして、三十九年のときの事情とは相当事情が変わっておるということを御了承いただきたいと思います。私ども、天災、あるいは今度のような北海道の大冷害でございますから、事務的にできるだけ急いでやることはそのとおりで、おくらせることはお互いに何の利益もないことでございますから、おさまる数字を出すために若干の時間の御猶予をいただきたいということでございます。  なお、今後の作業のスケージュールを御参考のために申し上げますと、今週一ぱいには私どもの腹づもりが大体できるだろうと思います。したがいまして、来週早々大蔵省協議をいたすつもりでございます。大冷害で相当被害が多く、また、私どもの融資希望額も相当の額に達するわけでございますから、五億、十億、二十億というときの折衝とのようにそう簡単にはまとまりませんから、若干の時間がかかるだろうと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、今月の下旬——というよりは、私の腹づもりといたしましては、ぜひとも下旬も末にならならように、再来週一ぱいには天災融資法の発動を片づけたいという気組みで現在作業を督励いたしておるわけでございます。
  226. 芳賀貢

    芳賀委員 経済局長は昨日の農林委員会に出席をしていないわけです。ですから、昨日の農林省の答弁と同じようなことをあなたは繰り返されますが、一昨年の事情というのは実はこうなっておるわけです。一昨年の冷害については、当時農林大臣は赤城宗徳君ですね。政務次官が舘林三喜男君。大臣も政務次官も非常に農業災害には熱意を持って、いち早く北海道現地の主要なる災害地帯というものはみずから調査されたわけです。そうして、特に現地においては、今次の災害対策はいろいろ重要な課題があるが、特に天災法の発動については、現行の天災法そのままをもってしてはこれは不十分である、したがって、臨時国会の召集を待って、天災融資法、それに関連する激甚災害法の改正をどうしてもしなければならぬ、しかし、臨時国会を待って法律の改正をするということであればどうしても十二月に入るので、とりあえず、改正するということを前提として激甚指定というものはすみやかに行なって、災害農民の不安を一掃します、こういうことでまず十一月上旬に当時の現行法のままで激甚法の発動を行なって、融資ワクは四十五億円、十二月の臨時国会の中で改正案を審議しまして、社会党からは天災法並びに激甚法の根本的な改正法案を出したが、残念ながら自民党の諸君が同調しないわけですからして、不十分な政府案というものが一部修正の形でこれは通過したわけです。ただし、なお金利あるいは、条件の緩和の問題については次期通常国会においてこれを行なうという赤城農林大臣政府を代表する確約をとって、われわれは当時臨時国会において天災融資法の修正議決を実は行なったわけです。その改正と相まって、十二月二十八日に、今度は改正法に基づく指定というものを政令改正の形で出して、そうして天災資金については百十三億円に改正をし、あわせて自創資金に対しては六十五億円の北海道災害対策用のワクというものが決定されたわけです。ですから、二回にわたって天災法の政令の実施は行なわれているが、一つは、当時の政府の熱意による法律の改正による実施ということになっているわけです。ですから、この点については、十一月下旬まで延ばすというのであれば、今回は三年連続の異常な災害であるので、現在の天災法あるいは激甚法をもってしては不十分である、だから国会でこれを改正するということを前提にして慎重を期して発動しないというのであれば、政府の見解というものを明らかにしてもらいたい、こういうことを昨日私は指摘しているわけです。ところが、政府当局においては、現在の法律そのものの改正ということは考えておりませんという答弁が実はなされたわけであります。したがって、もしも現行制度というものをこの際十分に検討して連続災害に対応できる法律というものにするのであれば、改正が必要であると思うわけです。きのうは、必要なしというので、それではすみやかにこれは指定を行なうべきでないかということになっているわけです。この点ははっきりしてもらいたい。法律の改正が必要であれば、もちろん待ちましょう。必要なしとするのであれば、一昨年の前例もあるわけですからして、これはすみやかに十分な発動をしてもらいたいですよ。何も、亘一千億あるいは百五十億の政令の決定を行なっても、その金は全部有権的に使わなければいけないということではないと思うのです。その点を明瞭にしてもらいたい。役人としてではなく、政府委員としてね。
  227. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私が申し上げましたのも、天災融資法の法律を改正することを前提として申し上げているのではございません。現在の法律のワクの中でできるだけということでございます。
  228. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、先ほどの副長官の言辞の中には、中央防災会議に対して、北海道冷害を激甚指定すべきかいなやの政府からの諮問がいまだになされていないというようなことばがありましたが、そのとおりですか。
  229. 上村千一郎

    ○上村説明員 さようでございます。
  230. 芳賀貢

    芳賀委員 それは必要ないと判断して諮問をしないのですか。
  231. 上田伯雄

    ○上田説明員 お答えいたします。  激甚法の問題は、天災融資法の特例措置でございまして、天災融資法のことにつきまして、先ほど農林省当局からいろいろ御発言がありましたが、各種の面を検討しておられるわけでございまして、これらのものがまとまって、天災融資法の政令の案がまとまった上で、その案を踏まえながら激甚法の適用の政令の案をつくるわけでございまして、そのもとになりまするところの天災法の案がまだできておりませんので、まだ諮問の段階に至っておらないわけであります。
  232. 芳賀貢

    芳賀委員 私の承知している限りでは、この種の問題の処理は、中央防災会議に幹事会というものがあって、たとえば今次の北海道冷害については、被害の規模が六百億をこえている、しかも三年の連続災害である、天災融資法の発動は当然疑問の余地のないところであり、天災融資法発動の場合には、このような激甚被害規模に対しては激甚法を発動すべきである、こういう点は、この幹事会において事前に検討すべきことになっておるのですよ。いいですか。どういうわけでそういう事務的な検討もやれないのですか。いまの佐藤内閣というのは熱意がないじゃないですか。何のために十月三十一日に松野君が北海道の冷害地を調査に行ったわけですか。何のための十一月五日の政府の一日内閣ですか。そのとき総理あるいは開発庁長官であるとか各国務大臣北海道の冷害の一部を調査して帰ってきておると思うのですよ。北海道現地へ行っては、これはたいへんな災害であるからして、政府としては熱意をもって対処します、緊急対策にしても、また将来にわたっての北海道農業に対する恒久対策についても、抜本的な措置を講じますということを公言しながら、政府内部というものはいまだに内容検討もしておらぬ、したがって諮問も発せられておらぬということになれば、いつの日にはたしてこの発動が行なわれるかということになるわけなんですよ。この種の災害の場合には、まず段階的には、激甚法の発動が行なわれて、それを基礎にして必要な行政的措置あるいは法律上の措置というものが講ぜられるのが通例になっておるわけです。一番基礎になる激甚法の指定を何のために遷延しておるかということになるわけなんですよ。同じ自民党内閣でも、一昨年は池田内閣、農林大臣は赤城君ですね。政務次官は館林君。政権たらい回しだからして、内閣の名前は変わっても、自民党の内閣じゃないですか。総理がかわったことによって全く災害に対して熱意を喪失するというのが、いまの佐藤内閣の実態でしょう。この点は、災害地の直接の被害者あるいは間接の災害者は、ひとしくいまの政府のやり方には大きなふんまんと憤りを持っておるわけですよ。きょうのような答弁の内容というものが天下に明らかになった場合、これはどうなるのですか。黒い霧よりもいまの政府に対する不信というものは高まるですよ。これは一体どうするのです。事務的に全部できるじゃないですか。総理府総務長官のかわりにあなたがそこにおすわりになっておるとすれば、政府を代表して責任のある見解を述べてもらいたいと思う。
  233. 上村千一郎

    ○上村説明員 この問題は、農林御当局のほうに、御関係が深いと思いますし、御当局お見えでございますから、そのほうからお願いをいたしたいと思います。
  234. 芳賀貢

    芳賀委員 われわれは、今度の冷害を、通常被害として天災融資法だけの発動で可なりとは考えていないわけです。当然これは激甚法の発動でなければならぬということでやっておるわけですからして、激甚法発動ということになれば、これはやはり総理大臣を長とする総理府の所管ということになるわけじゃないですか。何もあなた、農林省さんなんて言わぬで、あなたは総理府で、しかも総理大臣の直属じゃないですか。
  235. 上村千一郎

    ○上村説明員 非常に大きな問題でもございますし、これはむしろ長官なりその他からおっしゃっていただいたほうがいいんじゃないかと思います。  なお、ただいまの激甚災害指定のいろいろな手続的な問題ということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、冷害で北海道の農民の方々は非常にお苦しみになっておる、これは何とか早くしなくちゃならぬじゃないかというような心持ちであることは私も変わりございません。事務関係につきましては、早くそういうような処置をしてあげるのがいいであろうということを、私自身としては申し上げておる実情でございます。
  236. 芳賀貢

    芳賀委員 昨日の農林委員会においては、発動がおくれる一つの理由として、北海道庁からの調査が非常にことしは遅延しておる、十一月七日にようやく北海道からこの冷害関係報告が到達したような次第であるので、結局北海道庁が冷害に対する熱意がないので、したがって報告もおくれておる、報告がおくれるので作業が進まぬという、こういう農林委員会における答弁がきのうはあったわけです。私も北海道出身ですから、北海道の町村知事が全く消極的に扱っておるということになれば、反論の余地はないですけれども、しかし、中央政府が地方官庁に対して、激甚法の発動をしなければならぬので、すみやかに所要の報告を行なえということであれば、それを拒むようなことはないのじゃないかと私は考えるわけであります。結局、政府においても北海道においても、両者が直結して熱意を失っておるということが、この指定をおくらす最大の原因となっておると思うわけなんです。  そこで、参事官にお尋ねしますが、一体この幹事会を開く意思はないのですか。
  237. 上田伯雄

    ○上田説明員 先ぼと来幹事会のお話があったわけでございますが、いままで他の案件等につきまして幹事会をときどき開いたことがございます。農林当局からもそのつど、もちろん詳細なわけではございませんが、概括的な話は聞いておりました。それから、この幹事会というのは、正式には——正式にといいますか、激甚指定ということになりますれば、正式の諮問があった場合に、それをうけて事務的に検討する会でありますから、いま申し上げましたように天災融資法の特例の措置でございますので、先ほど来お話のあります農林当局案が出てきましてから、それから諮問して幹事会を開く、こういう手続になるわけでございます。したがって、いま局長申されましたように、まだその案が出ておらぬ段階でございますので、いままでは概括的な話を幹事会では聞いておるという程度でございます。
  238. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは草野政務次官にお尋ねしますが、結局、農林省がサボっておるようなことになってしまったわけです。だから、あなたのほうがもう少し作業を進ませれば、今週中といってもちょっと無理かもしれないが、再来週を待たいで来週早々くらいにはできるじゃないかと思いますが、どうですか。有能な政務次官がおって、それくらいのことが役人を鞭撻してできないということはないじゃないですか。
  239. 草野一郎平

    ○草野説明員 この問題では非常に御熱意のある御意見を昨日来拝聴しておるわけでありまして、ほんとうは、とんとん組んでいってみると、再来週をもうちょっとはみ出すようなことになるのではないかという予定でございましたが、昨晩もおそくまで追い詰めまして、何としても再来週までには御期待に沿えるような結果を出そうというところまで追い込んできょう出てきたわけなんですが、さらに強い御要請もありますし、私たちも身をもってその強さを感じておりますから、さらに、現地の実情は、さきに松野農林大臣も見、あるいは温水政務次官を団長とした視察調査班も出かけておりますし、私自身も南部、北部二回にわたって参っております。そういう関係もありまして、これは切実に感じておりますので、再来週末ということを申しておりますが、それをどの程度繰り上げられるか、ひとつここでピッチを上げてやる考えでございますから、御了承いただきたいと思います。
  240. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、一昨年は十一月九日で百十三億ですからね、初めからまじめにやれば、十一月九日前にこれは発動ができたわけだから、それから一週間おくれるごとに罰金として十億円くらいこれは当然加算すべきじゃないですか。これはもう政府の失態ですからね。北海道としては、百二十八億円という、わざわざ端数をつけたささやかな要求をしておりますが、それにこだわるわけじゃない。ただ、今次の被害は——一昨年のほうが約九十億円少ないし、連続災害ですから、当然、三十九年災害天災資金の今次借りかえる部分というものはこれは特別に必要になるわけです。そういうものを十分勘案した場合は、罰金というのはちょっと語弊があるかもしらぬが、そういう必要性というものは、一昨年の百十三億円を十分勘案して、いままで慎重にやったんだから、あしたというわけにもいかぬでしょうが、いかなる善処をするかという点に対してお答えいただきたい。これは大和田さんからでもいいですよ。
  241. 大和田啓気

    ○大和田説明員 先ほど申し上げましたように、一昨年は最初四十五億で出しまして、十二月の下旬に百十三億に改定いたしたわけであります。それで、ことし北海道庁から百二十八億という数字を一応受けております。私どもこの百二十八億ということでいまお引き受けするわけにもまいりませんけれども、とにかく大規模な冷害でございますから、農家がほんとうに必要とする資金を融通できるように、できるだけ勉強いたしたいと思います。
  242. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、十月三十一日に農林大臣が直接冷害調査に行っておるわけです。従来、担当大臣被害現地調査をやった場合には、必ず閣議の際に報告を行なうということになっておりますが、松野農林大臣北海道冷害調査に関する報告というものはすでに閣議において行なわれたかどうか。他の大臣北海道冷害調査ということで役所から旅費をもらって出張したとすれば、これも当然調査報告をしなければならぬわけけでございますが、農林大臣報告とあわせて、閣議においてどのような北海道の冷害報告がなされたか、この点をお答え願いたいのです。
  243. 草野一郎平

    ○草野説明員 三十一日に北海道を視察いたしまして、それから翌一日の火曜日の閣議に報告をし、そのあとを受けまして省議を開いて、松野農林大臣から、この問題に対して、全省をあげてスピードを上げてこの問題の解決に当たるんだという強い指示がございました。そのことを申し上げておきます。
  244. 芳賀貢

    芳賀委員 指示だけで、またどこかへ吹っ飛んでしまったわけですね。そうじゃないですか。
  245. 草野一郎平

    ○草野説明員 農林省は非常にうまくいっている役所でございまして、一たび指示が出ますと、まるで打てば響くように全省をあげて活躍する省でございますので、それ以来スピードが上がったということで、したがって、ことに芳賀先生の御叱咤御激励があるわけでございますが、そうした中で進めておりますことが、特に松野農林大臣の指示が今日生きておることでございますから、さよう御承知願いたいと思います。
  246. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に一点お尋ねいたしますが、これは先ほど北海道庁の担当官から発言がありましたが、北海道冷害撲滅対策というものを行なうという計画でありますが、この構想、骨子について尋ねたいと思います。
  247. 島津義満

    ○島津説明員 お答えします。  冷害の恒久対策につきまして、農林水産小委員会に対し開発審議会の委員数名の方から案が出たわけでございます。それを農林水産小委員会検討いたしました。  その骨子と申しますのは、まず第一に、農業経営規模の拡大と生産基盤の確立ということでございます。これは、とにかく零細経営ではだめだ、四町や五町ではだめなんだ、相当大きな経営規模を持たなければいけない、そのためにはどうしたらいいか、幸いに北海道は未墾地がたくさんあるので、とりあえずその基盤の整備をやっていくということでございます。  その第二点といたしましては、総合的な農業金融制度の確立。いまいろいろ金融制度が分かれておりますが、それをこの農業経営という大きな面から見た一つの金融制度の整理と、それから低利長期の融資の確立、こういうことがあげられております。  第三といたしまして、農畜産物の抜本的価格対策の確立と総合的流通対策の樹立、こういうことでございます。現在の不足払い価格制度、また米の価格、そういういろいろな価格面において、もっとも、特に農畜産の中の畜産が主体になっておりますが、こういう価格は農民が安心できる価格にしろ、こういうことでございます。  第四点といたしましては、畑作共済制度の早期確立でございます。これをいま農林省北海道南九州畑作振興対策調査室でもって調査をいたしておりまして、二年後に調査の結果が出ることになっております。  それから第五といたしましては、農業指導体制の強化と試験研究施設の拡充。これは農業の適地適作の地図を十年ごとに更改してその担当者に示す。十年ごとと申しますのは、技術の進歩がございますので、十年ごとにこれを変えていくよう適地適作の農業地図を確立せよということと同時に、北海道の寒冷地に適します作物の試験研究機関の整備拡充をはかる。  以上の五点でございます。
  248. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうはほとんど政府委員あるいは責任のある大臣が出席しておりませんので、この点に対して質問を試みる意思はありませんが、私は政府に対してこの機会に明らかに申しておきたいことは、先般の札幌において開催された一日内閣を中心にして、各担当大臣等の発言というものが今回の冷害地域の農民に深刻な不安を与えておる一事実があるわけです。たとえば水稲北限論。このように毎年冷害が連総的にきて水稲あるいは豆類が被害を受けるということであれば、これは改むべきである、それが水稲北限論の根拠であります。これは北海道知事の町村金五君も初めそういうことを述べたわけですが、あとで、そういうことを言ってはみたが、これは実行できないということで、実は取り消しておるわけです。最近、政府の責任者がこれに同調するように、たとえば、いま言われた第五項目の寒冷地に適する作物のいわゆる適地適作主義、こういう無責任な政府の責任者の放言というものが、北海道の全被害農民に対してどういうような心理的影響を与えておるかということは、これははかり知れないものがあるわけですよ。そういう無責任な放言をする前に、一体ことしの冷害対策というものを政府の責任でどうするかということが先決じゃないですか。それを全然行なわないで、北海道に水稲をつくるのが悪いんだ、そういうきめつけ方の政府の態度というものは、結局激甚法の指定もおくらせるということに通ずると思うのです。この点については次の委員会等において、たとえば総理大臣農林大臣、開発庁長官等から、特に政府北海道農業に対する責任のある方針というものをぜひ承りたいと思っておるわけです。それを唐突にまた委員会で質問しても、きょうのようにほとんど答弁ができないと思うわけですから、きょうこの点を予告しておきますから、各省においては十分主管の大臣に伝え、次の適当な委員会の機会にこの問題に対して根本的な政策の論議あるいは行政的な論議というものをぜひ行なう必要があると思いますので、この点は、特に総理大臣農林大臣、開発庁長官——あえて名前を言わないのは、いつまでいまの内閣が続くかわからぬし、これらの大臣がいつかわるかわからぬから、名前は言いません。しかし、そのような所管の大臣がいつの場合においても必要であるということは変わりはないですから、その時点における責任の大臣から、この点に関する最も責任のある解明をしてもらいたい、これを特に委員長を通じて要望して、政府の答弁を得て質問を終わりたいと思います。その点は確かめてください。
  249. 日野吉夫

    日野委員長 ただいまのこと、私からも要望いたしますから、ひとつ忘れないように用意をして臨んでくださるよう御配慮を願います。  小平忠君。
  250. 小平忠

    小平(忠)委員 本年度の北海道における冷災害の現状はまことに深刻であります。特に昭和三十九年から三年連続の被害だけに、被害を受けた北海道の農家にとりましては、この災害対策について政府のあたたかい手が一日も早く差し伸べられることを待ちあぐんでおるのであります。本日の災害対策委員会で、特に今朝の理事会において、三時から北海道の冷災害について政府の所信をただすことに相なったので、私もさっそく理事会の決定に従いまして質問をいたすことになり、委員部を通しまして特に総理府総務長官、大蔵大臣農林大臣建設大臣北海道開発庁長官に出席の要求をいたしました。これに対して、北海道開発庁の堂垣内事務次官はわざわざ私の部屋まで来られて、長官はこういう事情で出席できないので、代理者を出すから了解してもらいたいという話があります。私は長官が出席できないという内容をお聞きいたしまして、了解いたしました。しかし、ほかの大臣からは何の話もありません。現在国会は閉会中でありますから、国会の審議に対して正式なる政府委員というものが任命されておりませんが、しかし、本日はこの北海道のきわめて激甚災害に対して本委員会政府の所信をただし、災害地の悲惨な状態に一日も早く救済の手を差し伸べようという見地から関係閣僚の出席を願うということでありますから、出られない閣僚については、私は、本日政務次官をはじめとして各省の局長あるいは参事官が責任を持って答弁をされると思うのであります。先ほど来同僚議員の質問に対する答弁を聞いておりますと、きわめてあいまいもことして、納得のでき得る答弁は少ないのであります。時間もおそくなっておりますから、私はかいつまんで三、四点質問申し上げますから、簡明に、政府を代表し大臣にかわって答弁を願いたいと思うわけです。  第一点は、農林政務次官にお伺いいたしますが、現行の天災融資法による金利並びに償還年限は、これは現在の災害の実態から見て適切だとお考えですか、いかがでしょうか。
  251. 草野一郎平

    ○草野説明員 天災融資法の金利及び償還年限の問題、昨日来いろいろの陳情等があったわけでありますが、この融資法は、過去二回にわたっていろいろ検討を重ねて改正された点もあり、現在のところこの程度でいけるのではないかという考え方をいたしておりますが、将来のことはまだいかんとも申し上げる段階ではないと思っております。
  252. 小平忠

    小平(忠)委員 きわめて認識不足であります。これはひとり冷災害等農業災害だけでなく、集中豪雨その他定期台風による農業災害についても、その他一般公共災害についても、この天災融資法の現行の金利並びに償還期限については、過ぐる四十年度におきましても与野党が一致して一部修正はされたけれども、不十分であるということから、すみやかにひとつ改定をしようというのが、国会における論議を通じて与野党一致した意見であります。したがって、農林省がそういう考え方を持っておるのではこれは話にならない。現実問題として、政務次官が所属されておる自由民主党においても、改定すべきであるという意見を持っておりますが、これは非常に重要な問題で、この金利体系は、従来の大蔵省の役人が考えておるような非常にめんどうな考え方では是正できない。したがって、本件については農林省が腹をきめてやらないと、やはり大蔵省という一つの予算なりあるいは資金なりを操作しておる役所があるのですから、私は政務次官にはっきりと言っておきますが、そういう情勢にあるから、これはすみやかに——現に北海道の道あるいは各農業団体から切実なる要求として、また現地でもそういうことをたくさんあなたも聞いておるはずです。再度お伺いいたします。
  253. 草野一郎平

    ○草野説明員 ただいま御答弁したようなことでございますが、小平委員からの再度の御質問の要点、それらを十二分に腹の中におさめながら今後対処していきたい、さように考えております。
  254. 小平忠

    小平(忠)委員 これはやはりきわめて重要な問題で、中央防災会議においてもこれは非常に重要な点です。先ほど来芳賀君の質問で、中央防災会議の事務局長というのじゃなくて、総理府総務長官にかわる副長官としての総理府の見解を承りたい。
  255. 上村千一郎

    ○上村説明員 実は災害の点につきましていろいろとお世話役をいたしておる総理府といたしまして、私もいろいろと災害の実情を拝見したりするわけでございますが、具体的に一々この法条はどうかと言われますと、まだ十分検討しているわけではございませんけれども、不十分な点が多々あるのではなかろうかというような考えを持っておるわけでございます。
  256. 小平忠

    小平(忠)委員 現状の認識を十分お持ちいただいて、われわれ国会が与党野党一致してこの考え方をまとめた場合に、行政府たる政府は、その国会の、また現地災害地の要請にこたえて、すみやかに改定をすべきであるということを私は強く要求いたすものであります。  第二点は、たくさん問題がある中で、非常にこれから寒空を控えて年末にぶつかるのでありますが、やはり災害対策措置として、数多くの問題の中で、現行制度によって与えられておる共済金であります。北海道の過去三カ年共済金を支給しいてる現状は、年末ぎりぎり、十二月二十五日ころの決定で、農林中金からの関係を通して個々の農家の手元に入るときにはもう大みそかという、こういうことで、たいへんな支障を来たしておるのであります。お手元に要請が出ておる中においても、ぜひ十二月十五日までに支払うようにしてもらいたい、こういう要請であります。この点は何も法改正やあるいはめんどうなことは要らない。結局、農林省の行政事務を促進してくれればよろしいのであります。この点はいかがでございますか。
  257. 大和田啓気

    ○大和田説明員 昨年などたしか共済金の支払いが十二月二十八日ころであったと思いますが、私ども一日でも二日でもそれを早めるように、現在北海道の共済組合連合会等とも打ち合わせをいたしまして、例年に比べて事務を急がしておるわけでございます。いまお話の十二月十五日というのは、これは何ぶん下から積み上がってくる仕事でございますから、農林省だけでさかさになっても共済金の支払いをするというわけにはまいりませんし、また仮払いではございませんので、十二月十五日までは、正直申し上げてとても無理でございますけれども、例年に比べて多少でも早めるように現在努力いたしております。
  258. 小平忠

    小平(忠)委員 現在農林省調査をしておる段階において、共済金の予算の補正を必要と考えておりますか。予算の補正の必要はないと考えておられますか。
  259. 大和田啓気

    ○大和田説明員 ただいま数字の整理中でございますので、もうしばらく御猶予を願いたいと思います。
  260. 小平忠

    小平(忠)委員 整理中であれば、それは幾ら幾らという額をここでお伺いしようとは思いません。補正を必要とするような現状にありますか、補正を必要としない現状であるか、いかがでございますか。
  261. 大和田啓気

    ○大和田説明員 ただいま集計中でございますので、的確に申し上げることはできませんけれども、すでに計上されている予算ではなかなか及びにくい問題があるのではなかろうかという判断をいたしております。
  262. 小平忠

    小平(忠)委員 その場合に、臨時国会で補正を上げなければ支出できないとお考えですか、ほかに便法があるとお考えですか。
  263. 大和田啓気

    ○大和田説明員 これはなかなかむずかしい問題でありますが、いずれにしろ、私ども、北海道、東北、北陸等の早場地帯につきましては水稲関係の共済金の支払いを今年中にいたすつもりでございますから、それができるような措置はぜひとも講じなければならないというふうに考えております。
  264. 小平忠

    小平(忠)委員 そうすると、かりに臨時国会において予算補正がならなくても処置できるということでございますね。
  265. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども、ただいま申し上げましたように、共済金の支払いは早場米地帯につきまして今年中にできるようにできるだけ努力いたすつもりでございます。
  266. 小平忠

    小平(忠)委員 それは方針だけれども、いま局長は、既定計上されている予算では、補正しなければ足りないように思う、目下計算中だから、はっきりした額はここに言えないと言われたが、その場合に、補正を国会で可決されなくても出せるかどうか聞いておる。
  267. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私どもの集計の結果、本年度の予算で足りません場合は、当然、早場米地帯の共済金を今年中に支払うためには予算の補正ということが望ましいわけでございます。しかし、かりにそれができないということに——これは仮定の議論でございますけれども、できないということになりましても、ぜひとも今年中に早場米に対する共済金の支払いができますようにいろいろくふうの道はないこともないというふうに考えております。
  268. 小平忠

    小平(忠)委員 それで了解いたします。と申しますのは、政局御承知のようにきわめて重大な段階であります。したがって、臨時国会で予算の補正がなされないから共済金の支払いがおくれたとかあるいは年を越したとかいうことは、これは非常に重要なことなのであります。局長は御存じかと思うのでございますが、これは補正がなされなくても、かつて、三十年と思いましたが、農林中金に立てかえ支払いをさせて、その利子を国が負担した過去の例がある。そういうことから、かりに臨時国会の開会がおくれても、農林省は本件を地元の道等を督励いたしまして吸い上げて、かりに十五日が困難であっても、それに近い線で閣議決定を見てこれの支払いをするように——ことしのように三年連続して非常に困っておる地帯における共済金というのは、非常にありがたい。やはり寒空を控えて、厳寒の北海道の年越しをするのに、この共済金が唯一の家計費のかてになるというところが多いのでありますから、十分に御配慮願いたいと思います。  時間もおそいから、最後にもう一点お伺いしたいのでありますが、大蔵省の責任者がいないので残念でありますが、これは農林省のいわゆる責任者として政務次官から御答弁願いたいのですが、あなたも北海道の現状をごらんになられ、松野農林大臣も見ている、総理も見ている、あの現状を推してみると、三年連続で、すなわち天災資金、いわゆる制度資金、これらがほとんど償還できないという農家が非常に多いのであります。私は、道から出ておる陳情、農業団体から出ておる陳情は、これはむしろ内輪にしていると思う。あの冷災害を受けた被害地の農家の現状としては、国から借りた金は返さぬとは言わぬけれども、しかし何とか少し待ってくれないか、数年たな上げ、据え置きにして、そして今日のいろいろ進んだ農業技術なり、あるいはあらゆる観点から最大限の努力をして、そして一日も早く返せるめどをつけて返すという切実なこの現状からして、私は、こういった旧債については一時たな上げをして、五年なり十年なりの据え置き期間を置いて、そしてその期間に長期低利資金と借りかえをするか、こういった抜本策を講じなければ、次から次とこの制度資金を借りても、ほんとうに金利に追いまくられる、資金の償還に追いまくられるという現状になると思うのです。これはかつて昭和の六年、七年の凶作の際、農村負債整理組合法を制定して負債整理組合をつくり、さらに農業災害の特別措置法を制定して、すなわち農村の負債というものを一時たな上げにして、あるいは負債整理組合法による組合をつくって負債を整理した昭和の初期の実例があるのです。そういう観点から見るならば、私は今日の北海道の現状から見ると、こういった連年、三年連続という災害地については、当然そのような措置農林省は立案してこれを国会に上程すべきと思うが、いかがでしょうか。
  269. 草野一郎平

    ○草野説明員 まことに重要な問題の御発言だと考えます。制度金融関係のものが固定化しておることも大きな要素でありましょうが、さらにその他の債務というものの固定化しておる部分も相当あろうかとも考えられます。そうしたこともあわせて、北海道の救農対策といいますか、新しい方途を展開する方法といたしましては、おもりを背負ったままで立ちあがっていくということが非常に至難な問題であることは当然であります。したがって、この問題は、道庁の資料等も十分に取り寄せ、かつ御相談をしながら、農林省としては真剣に検討を続けてみたい、さように考えております。
  270. 小平忠

    小平(忠)委員 それじゃさっぱり、あなたが現地調査したときにいろいろ感銘する激励のことばを残してきたその災害地の農家が、ああそうかといって安心のできるあなたのいまの答弁じゃないのです。きょうは責任ある閣僚がお見えになっておりませんので、これ以上お伺いしても無理かと思います。しかし、農林政務次官総理府の総務副長官も、いずれも国会に議席を持つりっぱな政治家であられるのだから、いかに政変がありましても、現状の立場においてどうかひとつ、この切実な災害地を救うために、かりに今後かわられても、十分にあなた方が在任中にそれだけの処置はしてバトンタッチをしてもらいたい、また、現職におる間にそれだけのことは誠意をもって大臣を補佐して進めてもらいたい、私はこう思うのであります。  以上申し上げまして私の質問を終わります。
  271. 日野吉夫

    日野委員長 たいへん長時間御苦労さまでございました。  本日はこの程度で散会いたします。    午後五時三十六分散会