○
石田(宥)
委員 それでは、この問題はこの程度にいたしまして、次に、
農地局長が見えておりますから、伺いたいのでありますが、今回の新潟の水害というものは、二万ヘクタールに及ぶ冠水と六千ヘクタールほどの収穫皆無という、全国にもまれなケースだと思うのです。したがって、これは本
会議における稲葉議員と私の質問に対しても、総理
大臣は、それは救農土木事業というものをやる、こういう答弁をしておる。これは来年の九月まで収穫は全然ないのですから、男の人は出かせぎのできる人もあり、あるいは新潟や新発田などで仕事があればそこにも行けるけれ
ども、子供を持った女の人などではどうにもならないわけです。いま農繁期で、稲刈りで手不足の
地方があるから、そこで何とか就労させたいというけれ
ども、これもほんのわずか出ているけれ
ども、やはり自宅から通えるところでないと思うにまかせないという実情にございます。そこで、当初県が一億の予算を出しました。これはたいへんいいことだと思って喜んでおったわけです。ところが、一億のうち、きょうここへ代表も見えておりますが、一番深刻な
被害を受けた、
農地局長も見てこられたはずですが、豊栄町には半分以上割り当てをしておる。一億のうち五千六百五十万円を割り当てたのでありますが、労賃部分というものは実に少なくて、六百三、四十万円程度でしかない。一一%程度しか労賃部分というものがない。事務費その他で若干使われるということは考えられるが、あまりひどいじゃないかということで、実はいろいろ調べているわけですが、
地元の農民の諸君はこう言っておるわけです。五千六百万円というようなものはなくとも、たとえば三千万円でもいいが、五〇%が労賃部分に当てられるということになれば、それでも千五百万円になるじゃないか。五千六百万円以上も割り当てを受けたけれ
ども、労賃部分が、七百万円もないというような救農土木事業はおかしい、こう言っておる。これは新発田川などが百カ所近く破堤をいたしまして、緊急にやらざるを得ない事情のためにやっておるわけでありますが、承るところによると、大体基盤整備事業というようなものは、少なくとも二〇%から二五%くらいが労賃部分になるのが常識だといわれておるわけですね。私はあなたを責めるわけではないのですよ。直接は県がやったかもしれないと思いますけれ
ども、基盤整備事業に関するような
農地局長所管の事業に対しては、やはりもっと強力な
——と言ってはおかしいけれ
ども、
指導をやっていただきたい。いま申し上げたような数字では全く農民が救われないということです。
それから、草野さんは帰りましたけれ
ども、草野政務次官と
農地局長とおいでになりましたね。そのときに、団体営の基盤整備事業というものを大体事業費で四億円ぐらいのワクを優先的にやろうという話があって、それがいまずっと行なわれておるわけです。そこで、この前の
災害委員会で、救農事業というものが土建屋の救済事業になってはならないということを私は強調しておいたのです。ところが、
局長は御承知だと思うのですが、豊浦村のある部落で暗渠排水事業をやっておるわけですが、その暗渠排水事業をやるにあたって、村長は自分の村におる長谷川組というのを推薦した。長谷川組というのは県の登録業者なんです。ところが、県の土建協会に入っていないから資格がないというようなことで県はこれを排除したわけです。そして新潟市におる本間組というものにこれを請け負わせた。ところが、これは四百万円ほどの事業でありますが、本間組のほうでは約一割の四十万円程度をピンはねしてしまっておる。それから、同時に賃金でありますが、県の計画設計では、日給は千六十円で計画設計をしておるわけです。ところが、緊急事業をやるときに、男は八百円、女は六百円ということにきまっておるので、やはりこれで使っておる。ところが、このごろになって労力が非常にあふれておるから、この八百円、六百円をさらに切り下げようという空気が出てきておるわけです。私は豊浦村の問題だけを出したわけですけれ
ども、少なくとも農林省が割り当てた四億程度のワクをはみ出すくらいに上へ上がってきておるはずです。こういう状態になりますと、私が心配いたしましたように、来年の九月ごろ収穫皆無というような農民を救済するために、労賃を与えるために行なわれる事業が、完全に土建屋の救済事業になり、そうして非常に低賃金で使われる。それでもやむを得ないと、
地元の女の人たちなどは言っておるわけです。こういうことでははなはだ
地元では不満なわけで、実はこれも対県交渉などやっておりますけれ
ども、やはり何といってもあなたの所管の仕事なんで、あなたが
現地に行かれてそうしてお出しになったことからこれがいま行なわれておるわけですから、こういうことがあってはならない。そういうことをやってはならないように強く勧告をしてもらわなければならない。これはひとつあなたの耳に入れておきたい。
それから質問したい点は、そういう
状況の中にありますので、やはり三十九年に
北海道で行なったように八〇%もが労賃に該当するような、ほんとうの
意味の特別就労事業というものをやる計画があるかないか、ないとすれば、やってもらえるかどうか。いま着手しておるものはすでにずっと前から計画がある部分ですから、そうじゃなくて、仕事は幾らでもあるのだから、計画のないものについてはこれから計画をやるべきだ、こう思うのですが、ひとつ所見を承って
地元の農民に安心をさせたいと思うので、お伺いをします。