運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-09-10 第52回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年九月十日(土曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 日野 吉夫君    理事 白浜 仁吉君 理事 稻村 隆一君    理事 山口丈太郎君 理事 山花 秀雄君       天野 光晴君    井出一太郎君       小島 徹三君    櫻内 義雄君       舘林三喜男君    綱島 正興君       中山 榮一君    石田 宥全君       川崎 寛治君    川村 継義君       中澤 茂一君    西宮  弘君       松平 忠久君    山田 耻目君       竹谷源太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  上田 伯雄君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     山野 幸吉君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局総合研         究課長)    緒方 雅彦君         総理府技官         (科学技術庁国         立防災科学技術         センター所長) 寺田 一彦君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         文部事務官         (初等中等教育         局教科書管理課         長)      鈴木  勲君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 大串不二雄君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         農林政務次官  草野一郎平君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      石田  茂君         農 林 技 官         (農林経済局保         険業務課長)  松永 正隆君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 松井 芳明君         農 林 技 官         (食糧庁業務         第一部長)   馬場 二葉君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      手束 羔一君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      安達 次郎君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    本田 早苗君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         予報課長)   久米 庸孝君         運 輸 技 官         (気象庁観測部         地震課長)   木村 耕三君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信参事官)  齊藤  浄君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      渡辺 隆二君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      坂井 秀正君         建 設 技 官         (河川局砂防部         砂防課長)   倉上  靖君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    角田 正経君         建 設 技 官         (国土地理院測         地部長)    原田 美道君         自治事務官         (財政局地方債         課長)     中村 啓一君         消防庁次長   川合  武君         日本国有鉄道参         事(施設局土木         課長)     長野 逸人君     ————————————— 八月二十五日  委員大石武一辞任につき、その補欠として天  野光晴君が議長指名委員に選任された。 九月十日  委員湊徹郎君、森下元晴君、佐野憲治君及び野  口忠夫辞任につき、その補欠として小島徹三  君、綱島正興君、中澤茂一君及び松平忠久君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員小島徹三君及び綱島正興辞任につき、そ  の補欠として湊徹郎君及び森下元晴君が議長の  指名委員に選任された。 同日  理事山花秀雄君同日理事辞任につき、その補欠  として稻村隆一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  委員派遣承認申請に関する件  長野松代周辺における地震による災害対策  昭和四十一年八月及び九月の豪雨等による災害  対策  昭和四十一年六月、七月及び八月の干ばつによ  る災害対策      ————◇—————
  2. 日野吉夫

    日野委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  理事山花秀雄君から、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  引き続きまして理事補欠選任を行ないます。これは先例によりまして委員長指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、稻村隆一君を理事指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 日野吉夫

    日野委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、長野松代周辺地震による災害対策、並びに昭和四十一年八月及び九月の豪雨等による災害対策及び同年六月ないし八月干ばつによる災害対策につきまして調査を進めてまいりたいと存じます。  まず、八月及び九月豪雨による被害状況につきまして政府当局から説明を聴取いたします。総理府上田参事官農林省石田参事官建設省澁谷直藏政務次官、以上から事情を聴取いたします。上田参事官
  6. 上田伯雄

    上田説明員 昭和四十一年の八月台風十三号等及びそれによる被害状況について簡単に御説明いたします。  本年八月には台風十三号、十四号、十五号が本土に上陸または接近し、その影響による大雨が降ったほか、北海道東北山口地方大雨がありましたが、これらによる被害状況のあらましを取りまとめて御説明いたします。詳細につきましては、お手元被害状況資料を御配付してございますので、これにより御承知いただきたいと思います。  まず、八月の台風及び大雨状況でありますが、八月十二日から十三日にかけての北海道東北地方大雨は、梅雨前線のなごりにこれが雷を伴って降った雨でございます。台風十三号は、沖縄付近通り東シナ海に抜け、本土には上陸しませんでしたが、本邦の南岸から九州南部にかけていました前線を刺激して四国中国地方大雨を降らせたものでございます。八月十九日には山口地方で、また、八月十六日から二十日にかけて北海道地方で局地的な大雨がありましたが、これらは大陸からの寒気団の南下に伴って影響を受けたものでございます。  台風十四号及び十五号は、それぞれ静岡県及び宮崎県に上陸したときは急速に勢力が衰えておりまして、幸いにして軽微な被害で済んだものでございます。  これらの大雨によります被害で比較的大きいものは、台風十三号と、八月十六日から二十日にかけての北海道青森地方大雨によるものでございまして、八月三十一日現在の道及び県からの報告によりますと、施設関係等被害は、十三号によるものは、公共土木施設約三十二億、農地等約十七億、農作物等約二十四億、これらを合わせまして総額八十七億円となっております。八月の十六日から二十日にかけての北海道青森地方大雨による施設関係等被害額は、公共土木施設関係約六十六億、農地等約七億、農作物等約三十五億、その他合わせまして総額で百四十二億ほどになっております。  これらの大雨による災害に対しましては、政府といたしましてもそれぞれ所管に従いまして災害応急対策災害復旧対策等に万全を期しております。  なお、十八号は宮古島のほうを襲い、さらに、十九号はきのう、きょうあたり通っていったわけでありますが、台風十九号によりますものは、最新情報——最新と申しますか、現在の警察庁調べによりますと、被害大分をはじめ九州四国中国地方の各県に及びまして、死者、行くえ不明六人、負傷三人、建物全壊二棟、半壊三棟、流失一棟、床上浸水約千八百、床下浸水約五千五百、水田の流失、埋没あるいは冠水したものが八百八十五ヘクタール、その他道路の損壊が七十三カ所、堤防決壊十一カ所等々の被害がございまして、罹災者が約八千人となっております。これはまだ最終的な詳細な報告は入っておりませんが、現在のところ、さような報告がまいっております。
  7. 日野吉夫

  8. 澁谷直藏

    澁谷説明員 建設省関係の八月中の災害被害総額状況を申し上げますると、最初に、八月十二日から十三日の集中豪雨による建設省関係被害額が十四億八千万円、台風十三号によるものが三十二億四千五百万円、八月十六日から二十日にわたりました集中豪雨による被害総額九十四億円、台風第十五号による被害額が二億一千四百万円、以上合計いたしまして、被害総額が百四十四億円となっておるわけであります。  これに対しまして建設省といたしましてとってまいりました措置の概要を御報告申し上げます。  直轄災害関係最初に申し上げますと、まず最初に、河川及びダムにつきましては、緊急、応急復旧の必要ある個所については、既定経費を立てかえて応急工事実施中でございます。また、九月中旬までに調査を完了して予備費を早急に支出する予定で進めております。  次に、道路につきましては、八月十六日−二十日集中豪雨による北海道の国道二百三十七号線及び市町村道芦別−夕張線について、迂回路によるもののほかは、すべて既定経費により一車線以上の交通を確保しております。また、八月十二日から十三日にわたりました豪雨による青森県の七号線につきましては、予備費を二百五十三万円支出して復旧工事を施行中で、その他につきましても九月上旬までに調査を完了して早急に予備費を支出したいと考えております。  次に、補助災害関係でございますが、被害激甚な青森県、宮崎県及び山口県につきましては、災害査定官を派遣して被害状況調査及び復旧工法指導に当たらせました。また、その他の県につきましても、緊急を要する個所については、工法協議を行ない、応急工事実施中でございます。青森県については、一部査定を完了したので早急に予備費を支出する予定であり、北海道、秋田、山口宮崎の各県につきましては、おおむね九月中に査定を完了する予定でございます。  以上でございます。
  9. 日野吉夫

  10. 石田茂

    石田説明員 農林省関係被害状況を御説明いたします。  お手元資料がございますけれども最初にお断わりしておきますが、これは県からの報告を取りまとめたものでございます。したがいまして、目下、詳細につきましては、それぞれ係官を派遣し、あるいは作物関係につきましては私どものほうの統計調査部でもって調査を急いでおるわけでございます。  それで、災害別に申し上げますと、まず、八月十二日、十三日関係でございますが、農林省関係全体といたしましては約八億九千三百万円になっております。このうち特に目立っておりますのは、青森県の三億三千六百万円が一番大きくなっております。  それから、施設別になお若干詳しく申し上げますと、農地農業用施設等につきましては、全体が二億八千六百万円、これにつきましても青森県の一億六千五百万円が特に目立っております。  それから農作物関係は全体が約六千五百万円、これも青森県の四千五百万円が特に多くなっております。  続きまして、八月十三日、台風十三号関係でございますが、農林省関係全体といたしましては約五十二億二千万円、この中でも特に目立っておりますのは、宮崎県の十六億三千万円、それから高知県の十三億二千万円、大分県の十一億六千万円、この三県で大体大半を占めておるわけでございます。  それから農地農業用施設につきましては、全体が約十七億一千万円、これを県別にちょっと申しますと、宮崎県が五億六千万円、大分県が四億四千万円、和歌山県が四億一千万円、高知県が二億一千万円となっております。  それから農産物につきましては、農地よりも若干多くなっておりまして、農地の十七億に対しまして農産物は二十四億五千万円。このほうは、高知県の十億二千万円が一番多くなっております。それから和歌山県七億一千万円、宮崎県が六億四千万円、比較的農産物被害のほうが多くなっておる状況でございます。  それから八月十九日の山口県の被害でございますが、これは山口県だけでございます。全体といたしまして約十一億七千万、このうち、農地農業用施設が四億六千四百万、それから農産物が九千八百万、こうなっております。  それから八月の十六日から二十日の北海道東北地方被害でございますが、全体が約六十六億三千四百万円となっております。これは北海道がほとんど大半を占めております。農地農業用施設は全体で約三十一億、それから農産物につきましては約三十五億二千万、こういうふうになっております。このほうにつきましては、農地農業用施設よりも農産物被害が圧倒的に多くなっておる状況でございます。  それから最後の台風十四号、十五号でございますが、全体が約七億二千九百万円、このうち農地農業用施設は九千四百万円となっております。大分県が六千三百万円で、これが大半を占めております。それから農産物につきましては、全体が約六億三千四百万円となっております。このほうにつきましても農産物被害のほうが圧倒的に多くなっておりまして、特に宮崎県が五億円、その他は三重県が一億円ということになっておりまして、宮崎県の被害がほとんど大部分を占めておるという状況でございます。  簡単でございますが、以上で終わります。     —————————————
  11. 日野吉夫

    日野委員長 これより質疑に入ります。質疑申し出がありますので、順次これを許します。井出一太郎君。
  12. 井出一太郎

    井出委員 きょうの委員会にあたりまして、政府責任者——いまここにお見えの方では足りぬというのではありませんが、やはりいま伺ったような台風ないし集中豪雨被害もございますし、また、わが施政権のほかとはいいながら、宮古島における壊滅的な大被害というふうなものも、日本国民として関心の外に置くわけにはまいりません。そういう次第で、委員長にお願いをいたすのですが、きょうのところは、まあ諸般の御都合もあるそうでございますから、やむを得ないとするも、そう遠くなく当委員会をやはりお開きくだすって、もう少しメンバーをそろえて、先般改造もありましたあとですから、新内閣災害に対する姿勢というふうなものがうかがい知れるような体制を整えて、この委員会をさらにお開きを願いたい、こう希望いたすわけであります。
  13. 日野吉夫

    日野委員長 はい、わかりました。
  14. 井出一太郎

    井出委員 つきましては、きのうの閣議ですか、橋本建設大臣松代周辺地区地震対策協議会長になられた、こういうふうに伺っております。だから、本来ならば、その翌日のきょう、ここで大いに所信表明があってしかるべきだ。渋谷政務次官がおいでになりますから、橋本さんにかわって何らかの御決意をまず伺いたいと思います。
  15. 澁谷直藏

    澁谷説明員 大臣が欠席でまことに申しわけないわけでございますが、松代周辺地震対策、御承知のように、非常に広範にわたり、しかも全般的な災害でございまして、これの対策を協議するための協議会を前瀬戸山大臣会長でやってまいったわけでございますが、今般の内閣改造に伴いまして建設大臣もかわりましたので、橋本建設大臣協議会長に就任されたわけでございます。いずれ、ただいま井出先生の御要望にもございましたように、次の本委員会におきまして大臣出席をして大臣所信表明があるかと思うのでございますが、私どもといたしましては、この松代地震地域の住民に対しまして非常な深刻な不安を与えておるわけでございますので、政府関係機関緊密な連絡のもとにこれが対策に万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 井出一太郎

    井出委員 私は松代地震に限って若干の質疑をいたします。その他の台風等につきましてはそれぞれ同僚委員から御発言があろうと思いますので、ごく簡単に済ましたいと考えております。  実は松代地震を当委員会においてお扱いを願いましてからすでに一年の歳月をけみしたわけであります。その間、委員長はじめたいへんな御配慮をちょうだいしましたことを、地元にかわって感謝申し上げますと同時に、政府当局におかれましてもまずまず迅速適確な施策を講ぜられた、このように理解をする次第でありますけれども、しかし、現地からいいますれば、まだまだかゆいところへ手が届くというわけには必ずしもまいっておらない。そこで、この委員会の恒例によります墾談会を数次催していただきまして、きめのこまかいお打ち合わせなどを従来講じてまいりました。そこで、今後においても、きょうは土曜の関係委員長もそこまではお考えになっておられますまいが、次の機会にそういう墾談会等の御配慮をちょうだいしたい。これは、私前段に申し上げた近い機会に正式な委員会をお開きくださることとあわせて、委員長からひとつお答えを願っておきたいと思います。
  17. 日野吉夫

    日野委員長 井出さんのお申し出でありますが、先刻理事会を開きまして相談の結果、大体一週間ぐらい後を目途にもう一度この委員会を開く、そのとき、いまお申し出のような墾談会等、きめのこまかい相談のできるような一つの機会をつくろう、こう考えておりますので、そうひとつあらかじめ御了解願っておきたいと思います。
  18. 井出一太郎

    井出委員 そこで、松代周辺の問題でありますが、地震活動はなかなかおさまらない。一年有余でございますから、かなり地元はいらいらした感情になっておるのであります。これはわれわれ側面から見ておりますと何か実感を伴いませんが、現地へ行ってみますと、一年有余、ともかくもんぺをはいたまま夜休んでおる。まくら元に重要なものはしょっちゅう保存をしておいて、万一の場合にはそれを持って飛び出す、こういう生活を一年あまりやってまいったということに対しては、これはほんとうに同情のほかないのであります。それが、まあ一年ぐらいでどうやらおさまりはせぬかという希望を抱きながらきたのにかかわらず、皮肉なことに、その一年目あたりにまた大きなやつが襲ってきておる。せんだってテレビのスイッチを入れてみますと、地元の人の発言として、もうとてもたまらぬ、何かもう、大きなやつが一ゆれきて、それであとさばさばとおさめてもらいたいものだというような発言も耳にしたような次第であります。  そこで、私の聞くところ、あるいは新聞報道等を見ますと、震域がさらに広がってきておる、あるいはいままでよりも深さが加わっておる。深いところへ地震エネルギーがたまりますと、これは抵抗が大きくなるのかどうか知りませんが、炸裂するときにはむしろ大きなやつが出てまいる、こういうふうにも伺うのであります。しかも、頻度というか、回数も、八月のころには、二、三カ月前に比べて三倍ぐらいに有感回数というものがふえておる。こういう状況でございますので、この機会に、現段階における科学的、技術的にごらんになったことを、気象庁見えておると思いますが、ごく概略、現状どうなんだ——これは学者のお立場ですから、真実を告げなければならぬ、こういうこともある。しかし同時に、不安を与えてはなるまいという御配慮もありましょう。その辺微妙だとは思いますが、まあ新聞等に御発表になっておるところでいいと思うのですが、いまの段階における地震状況というものはどうか、これをさらっとお聞かせを願っておきたいと思います。
  19. 木村耕三

    木村説明員 お手元資料がお配りしてございますが、青焼きのこういう地図をごらん願いたいと思います。  現在、人間に感じます地震の起こっている地域は、かすり模様を入れた地域でありまして、大体われわれが第二期と呼んでおります三月、四月の活動域は、若穂町、松代町の付近でありましたが、それが南に下がってきております。現在も若穂町、松代町では地震が盛んに起こっておりますが、これは数は多いですけれども地震の起こっておる場所が浅い。南のほうの更埴市、戸倉坂城あたりで起こっていますものは、いま井出先生のお話しになりましたように、震源が十キロ前後で、若穂町、松代町の二、三キロに比べますと、かなり深くなっておりまして、八月三日、八月二十八日の地震震度表ごらんになるとわかりますけれども、いままでよりも震度四、震度三という区域がかなり広くなってきております。それから、そのまわりの横線を入れました地域は、これは人間に感じない地震が起こっておる地域でありまして、大体この地域までが地震が起こる危険区域——ゆれるという意味ではございません。地震が起こる危険区域とお考えいただいていいと思います。大体三国山脈の西側と申しますか、そういう地域であります。現在われわれが警戒しておりますのは、その更埴市、戸倉坂城両町地域で、先ほど申しましたように震源域が深いものですから、起こりますと、かなりゆれる区域が広い、それからエネルギーも、ひょっとするといままでよりも大きいかもしれないという懸念を持っております。  ほかに、この図では書いてございませんが、長野市の北に飯縄山という山がございますが、その飯縄山の近くで、十日に一ぺんぐらいずつ散発的にかなり浅い地震が起こっております。  現況は以上申し上げたとおりでありますけれども、われわれのつくっております連絡会の結論といたしましては、ここ当分の間震度五程度のものが起こる可能性がある。当分の間と申しますのは、大体一カ月と見込んでおります。一カ月ぐらいが特に集中して起こりやすいという意味で、その後もぼつんぽつんと起こるかもしれませんけれども、とりあえず警戒していただきたいのはここ一カ月であります。それから、大きなゆれが起こりやすいところは、長野市から上田市まで、千曲川に沿った地域ということでございます。  以上でございます。
  20. 井出一太郎

    井出委員 この間新聞で続みましたのでは、新潟県のほうでしょうか、十日町近所震度三ぐらいのものがきた。これは同じ千曲川の流域なんですが、松代とは何らかの関係があるものでしょうか、その辺おわかりになりますか。
  21. 木村耕三

    木村説明員 従来の統計によりますと、あの地域、大体上田から北のほうでございますが、どうも片方でやると片方で起こるという傾向は持っておりますが、現在、国土地理院で九月から観測を始めたようでございますけれども、その水準測量の結果を見ませんと何とも申せませんが、あちらのほうには、ときどき散発はしておりますけれども、それほど大きくなっていくことはないのじゃないかとわれわれ考えております。なお国土地理院水準測量の結果を見ましてもっと検討したいと思います。
  22. 井出一太郎

    井出委員 いま木村地震課長から言われましたが、八月の二十八日相当大きなのがまいりました。私の知るところでは、落石があったり屋根がわらが飛んだりという外見に見える地震被害は、どうもいままでの震度——何回かきていますが、それよりも大がかりな、はでな被害があらわれておるようであります。そこで長野県としましては、直ちに県の対策会議を催したようであります。県の立場は、察するに、地元の町村からは非常な突き上げを受けるわけであります。あれもしてほしい、これもしてほしい、この辺がさっぱりできておらぬではないかという突き上げが一方で起こる。しかし同時に、県財政で単独にまかなえる範囲というものはきわめてわずかでありますから、どうしても中央の御了解なり指示を仰がなければならぬというところもありまして、板ばさみになっておるようであります。先般瀬戸山協議会長その他、特に佐藤総理も現地に行かれまして、知事にもう大幅にまかせるから、知事はひとつ勇気を持って、独断専行とまではいかなくとも、時あっては少し知事専決というふうなこともあってしかるべきだというふうに、われわれはこれを聞いておって了解をしたわけであります。しかし、役所の仕事でありますから、どうしても規矩準縄にとらわれるということがありまして、はかばかしくない面もあるようであります。こういう点は、まあ事は微妙でありますから、私は何も答弁をここでいただこうとは思わぬ、いずれ懇談会等においてもう少しこまかにその辺を詰めてみようとは思っておりますが、そういうことが県の立場において非常に苦しいところではないか、こうわれわれは察するわけでございます。  そういうことをひとつ含んでおいていただいて、県の側からこのほど二、三の点中央へ陳情に参りました。このことは協議会その他関係各省へも陳情書が回っておると思うのでありますが、その一点は、震源域の拡大に伴って、従来の地震対策地域二十六市町村というものをもう少し拡大追加してほしい、こういう要望がございます。私は現地のことをある程度知っておるつもりでありますから、この県が要望してきておる市町村全部が新たにいまの段階で追加してしかるべきかどうか、あるいはこれに漏れておる地帯もありはしないか、こういう感じがいたします。そこで、これらはひとつ対策協議会において県側ともう少し緊密な打ち合わせをいただく必要があろう、これは場合によれば気象庁その他地震の専門家とも連絡をする必要がありはせぬかと思いますが、この対策地域の拡大ということについて私は大体そのように考えておる。そこで、総理府のほうから、これは責任のお立場の人がおらぬとしても、いまの私の見解程度のことは御納得、御了承を願えるかどうか、承っておきましょう。
  23. 上田伯雄

    上田説明員 御質問にありましたように、県のほうでいろいろ調整いたしまして、一昨日その陳情書が正式のものが上がってまいりました。正式のものとして上がってまいりましたのは一昨日でございましたですが、もう少し前ごろからそういうようなことを県の事務当局からお話を漏れ承っておったわけでございます。正式の陳情書が出てくる前に実は各省のこの地震に関します連絡会議を開いておりまして、その席で、地元にはこういうような要望があるようであるが、これについてさっそく各省とも持ち帰って検討していただきたい、特にこういう震源域の拡大並びにこれに関する将来の影響ということにつきましては、いま御質問にもございましたように専門的な判断を要するようなこともありますし、各省それぞれ専門の立場から措置すべきことがいろいろございますので、みなでそれぞれ持ち帰って研究し、また持ち寄って研究しようじゃないかということで別れておるわけでございます。そういうことでございます。
  24. 井出一太郎

    井出委員 これからは懇談会に移して議論をしようと思いますが、県の要望のその次は、応急避難施設を百戸余り緊急につくってほしいということでございます。私は去る八月二十八日の地震直後に現地を歩いたのですが、これは松代地区ではなく、戸倉温泉という温泉があり、これは長野県の代表的温泉ですが、その入り口に八王子山という岩山がございまして、この落石がたいへんなものであります。非常な危険な地帯であります。何か写真もきておりますが、その直後には、道路一面に相当大きな、もう人間の頭くらいのれきが散乱しておる。中には一トン半もあるような大きな石がころがり込んで座敷をめちゃめちゃにしたというような例もある。この地帯も、少なくとも五、六十戸の人々はどうしてもこれは移転をしなければ無理だということに私は見てきました。県からも情報はきておると思いますが、これらはあまりけちけちしないで、ひとつ急速に要望をかなえてやっていただきたい、これが一点。  その次には、消防施設、可搬式動力ポンプあるいは貯水槽に対する要望がございます。これも松代付近はかなりその配備が行き届いてきておりますが、この周辺地区は、更埴市といい、あるいは戸倉町、上山田町、この方面はまだ十分ではないようでございまして、この消防施設も緊急に設置をする必要があろう。これは補助金その他金がからんでくる問題ではありますけれども、このあたりは、プレハブハウスと同様に、できるだけ緊急に御処置をお願いいたしたい。これはひとつお答えを願っておきたい。
  25. 川合武

    ○川合説明員 御指摘の消防施設、すなわち貯水槽並びに可搬ポンプでございますが、従来補助を昭和四十年度と四十一年度と二回にわたりましていたしておりますが、それ以外、先ほど上田参事官から話がございましたように一昨日県からの話がございまして、それによりますと、全然新しくといいますか、範囲を広げました町村の分と、さらに、御指摘のような戸倉、上山田あるいは更埴等、従来補助いたしました分でさらに追加が必要だというふうに県から要望いたしてきている分とございまして、それらにつきまして、ことに新しい町村の分も相当数ございますものでございますから、ただいま関係の向きと相談をいたしておるところでございます。
  26. 今村譲

    ○今村説明員 ただいま先生のお話ありました、県から昨日、百四戸といっておりましたが、百一戸、その後詰めた状況でありますが、三カ町村持ってきております。至急財務当局と話をいまやっておりまして、この前は三百五十二戸出しておりますけれども、今度の百一戸についても至急結論を出したい、こういうふうに考えております。
  27. 井出一太郎

    井出委員 いまの落石のありました現場を見て感じたのですが、砂防という仕事であります。数年前に地震とは無関係にこれは危険な地帯だという要望がありまして、さてこれを建設砂防でやるべきか林野砂防でやるべきか、県の側でもなかなか話がつきませんでした。われわれのほうへ持って上がってまいりまして、結論的には林野砂防で堰堤を二基ばかり入れたことがございます。今回行ってみますと、確かにこれが大きく役立っている。もしこれなかりせば、その下にある十数戸というものは非常な危険にさらされたのではないかというふうな感じがいたし、また、現地の人々もこの堰堤は実にありがたかったということであります。そこで、それだけではとどまらない、どうしてもこれらをもう少し延長しなければならぬと思うのですが、そういう場合、建設省だ農林省だと言っておらずに、その区分を明確にすることができるかどうか、そういうボーダーラインみたいなケースでございますけれども、ときは非常時だから、あまりそういうところで譲り合ったりなんかせずに、そういうものはひとつ積極的にやっていただきたい。これは、幸い農林、建設両政務次官がおられるので、どっちか代表してお答えを願いたい。
  28. 草野一郎平

    ○草野説明員 建設砂防か林野砂防かということでございますが、事態が非常に緊迫度を加えておることでもあり、そうなわ張りの問題でなく、しかも、なわ張りの問題が解決しても分別に時間をかけておっては意味がありませんので、ひとつ実態に即応して両省の間でも相談しながら、どこでやるということよりも、即刻やれるような方向で努力をしてみたい、かように考えております。
  29. 井出一太郎

    井出委員 その他実は多々ありますけれども、何かもう毎回のことで、われわれもともすればそういう危険性があるのですが、私は少しマンネリズムになってきているという感じがするのです。役所の関係も私はそうだとは申しませんが、人情はどうもまたかというのじゃ実は困る。現地はほんとうに切実なんですから、そういう意味で、問題はたくさんありますが、あと同僚の各位からも触れるべき点があろうと思いますので、私はその他の問題は近く開かれるのであろう次会にこれを譲りまして、この程度にして打ち切りますが、マンネリにならずに、地震の続く限りひとつおつき合いを願いたいことを再度申し上げて、一応終わる次第であります。
  30. 日野吉夫

    日野委員長 次に、松平忠久君。
  31. 松平忠久

    松平委員 私も引き続きまして松代地震のことについて二、三の重要な点についてお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、山口(丈)委員長代理着席〕  第一点は、いま井出委員からも若干触れられましたけれども、それは要するに、松代地震対策について昨年来県と中央との間に意見の交換もあり、陳情もあったわけでありますが、その結論として、やはり応急対策というものはある程度県にまかせるのだ、その県にまかせる範囲というものは大体二億から三億程度、そういうことで当時の建設大臣、総理大臣の御了承を得ておって、そうして総理が現地視察のときに、松代の町民の代表を集めてそのことをそこで言明したわけであります。ところが、その後におきまして地震が南方のほうへ移ってきたというようなこともあって、なかなかやまない。したがって、新しい地域において新しい施設をしなければならないということが今日起こっておる。そのときにいろいろ施設をしようとすると、やはり中央に県のほうからまとめていろいろ相談しなければ、なかなかうまくいかぬ。どこかパイプが詰まっておるようなところがありまして、そうして知事に包括的にまかしたと言っておりながら、実際は役人のほうからいろいろな干渉をしている、そういうことが、今日長野県の県自体が非常に県民から批判を受けているし、また、当該の町村の町村長も、一体総理があれだけ言っているのに君たちは何しているのだ、ちっともやってくれぬじゃないか、はかばかしくやらぬじゃないか、こういうことを言われているわけであります。そこで、一度そういうふうに政府がきめたならば、それを事務当局のほうにも徹底してもらって、そうしてある程度向こうから出てきたものはこれを認める、こういうことにしてもらわなければならないのじゃないかと私は思う。それについて一体今日は、あの当時そういうふうにきまったのに対して、実際のやり方というものはそれに沿ってやっておるのかどうか、こういうことをまず私は伺っておきたいと思う。
  32. 澁谷直藏

    澁谷説明員 ただいまの御質問でございますが、もともと事態が異常なわけでございますから、そういった緊急異常な状態に対処して普通の行政機構のルールでは間に合わない、そういう判断をして、総理大臣が、緊急必要なものは現地にまかせる、こういう発言の趣旨だと了解するわけであります。したがいまして、私ども行政機関といたしましては、総理のそういう方針を体して、できるだけ現地の実情に対応できるように努力していくということが私どもの責任ではないかと考えるわけであります。ただ、実際問題といたしましては、ただいま御指摘のようにパイプが詰まっておるとか、何かいろいろなそごが実際において起きておる、そういう事情もおそらくあるのではないかと考えております。ただいまの御指摘もあったわけでございますので、各省の連絡協議会等におきまして、そういう事態がないよう今後とも十分努力してまいりたい、かように考えます。
  33. 松平忠久

    松平委員 それに関連しまして、先ほども触れられましたけれども、県のほうから出してきた四項目の要望事項の中の第一の点で、御答弁では、検討するという御答弁があったわけであります。検討するとは一体何事なんだ。県にまかせておるというからには、検討もへったくれもないじゃないか。新しく八つの町村を協議会に入れたいという要望を県が出してきた。一体何を検討するんだ。
  34. 上田伯雄

    上田説明員 新しい地域が正式のものとして上がってまいりましたので、私、各省の方がたまたま集まる席がございましたので、ここで検討をお願いしたのは、そういうような地域でいかなる対策を講ずるか、具体的に言いますと、たとえば、先ほどのプレハブの問題でございますとか、ポンプの問題でございますとか、そういうような具体の問題について各省にお願いいたしたい、こういうようなことをお願いしたわけでございます。そして各省に御検討を御依頼したわけでございます。
  35. 松平忠久

    松平委員 現地から、現地震源地が拡大した、したがって、拡大された地域の町村を協議会の対象地区の中へ入れたいという要望を出してきた、そうすると、この地域というものはある程度いろいろな地震対策というものを積極的にやらなければならない、こういうことになるわけです。県のほうではそれをしたほうがいいということで出してきたのでしょう。あなた方のほうは、これを検討するんだといってたな上げにしてしまったのではないか。いつそれを許可するんです。一体これはどういう検討をして、いいか悪いかということをだれが決定するんです。
  36. 上田伯雄

    上田説明員 協議会で各省のメンバーがそろっておりますので、協議会の決定ということにすべきものと考えております。
  37. 松平忠久

    松平委員 それはいつやるんです。いつ決定するんです。
  38. 上田伯雄

    上田説明員 一昨日そういうお申し出を受けたばかりでございますので、各省に連絡したところで、まだ各省ともその検討が終わってないと思いますけれども……。
  39. 松平忠久

    松平委員 どういう検討をするんだ。君らは何を検討するんだ。各省はどういう検討をするんだ。
  40. 上田伯雄

    上田説明員 先ほどのプレハブの問題でございますとか、あるいは防火施設等について、どれだけ必要があるかということを検討してもらうことになると思います。
  41. 松平忠久

    松平委員 県にまかしたんじゃないですか。県に第一の責任をとらしておるんじゃないですか。それを東京でまたさらに検討し直す、こういうことですか。それじゃ一体、総理が行って、県知事にまかせるんだ、君らしっかりやれと言ってきたのと君らの態度は違うじゃないですか。それは一体何なんだ。
  42. 上田伯雄

    上田説明員 新しくこういう対策を講じようといたしますれば、各省とも財源の問題等いろいろございますので、各省にもそういうようなことをよく手当てしてもらっておかなければなりませんので、そういうことについての検討でございます。
  43. 松平忠久

    松平委員 プレハブをよけいつくるとか、あるいは可搬式ポンプをもっと多数用意するとか、水槽を用意するとかということについては、なるほどそういうこともありましょう。しかし、この八つの町村をその中へ入れることについて検討するということは、これからそこでどういう施策をするか、その施策の全部の計画なり予算というものが出てこなければ、それを協議会の対象地区の中に入れないと、こういうのですか。
  44. 上田伯雄

    上田説明員 その予算等と申しますように、何と申しますか、正確な積算までを要求するものではございませんので、各省ともその気になってやっていただきませんと、緩急順序だとか、あるいは予算の都合とかございますので、一方的に——何さまおとといの話でございますので、各省連絡担当省も責任者の方ばかりではございませんでしたので、そういうことで御依頼したわけでございます。
  45. 松平忠久

    松平委員 さっき君は、これはおとといでしたけれども、その前から県と連絡して、こういうものが出てくるということをあらかじめ知っておったと答弁しておったではないか。
  46. 上田伯雄

    上田説明員 出てくると申しますよりも、県の中でいろいろ議論なさっておる、賛否両論あって、いろいろ議論がなされておるというような段階報告を聞いております。そこで、まだこういうようなものが正式なものになるかどうかわからないけれども、あらかじめ御検討願いたい、こういうような趣旨でございます。
  47. 松平忠久

    松平委員 これをいろいろ言っていてもしようがないんだけれども、県のほうから、八つの町村を新たに加えてもらいたい、こういう要望を出してきた。総理は、知事に現地のことはある程度まかせるんだ、こういうことを言っておった。ところが、八つの町村を新しく入れたいと言っても、中央政府の君らのほうでは検討するということになって、これを許可するのかしないのかもわからない、こういう実情だろうと思うのです。それじゃ一体何のために県にまかせるということを総理は言ったのです。少なくとも、県でやったことはある程度好意的考慮をもって早急にそれを認める、こういうことにならなければ意味はないんじゃないですか。政務次官、二人おるが、どう思うね。
  48. 澁谷直藏

    澁谷説明員 建設大臣協議会会長を担当しておりますので、私かわって御答弁申し上げますが、ただいま上田君から、いろいろいままでのいきさつ等について答弁があったわけでございますが、今回地震震源地域が拡大された、したがって、県の段階でいろいろ検討した結果、新たにこれだけの町村を追加してもらいたい、こういう要望が出てきた。しかもそれは二日前だ。先ほども申し上げたとおり、この事態そのものが異常でございますから、これに対応するわれわれの態度もまた普通の状態と当然変わらなくちゃならぬと考えます。したがいまして、上田君の気持ちといたしましても、これを普通の状態のように、いろいろな角度から検討をして、いわゆる慎重に検討してどうするか結論を出したいということではないので、できるだけ早急にこれは結論を出さなくちゃならぬと私どもは考えております。来週早々大臣とも相談をいたしまして結論を出したい、かように思います。
  49. 松平忠久

    松平委員 ぜひひとつそうお願いしたいと思います。  もう一つ聞いておきたいのは、いま科学技術庁でボーリングをあそこでやっておりまして、二百メートルくらいボーリングしたと思うのです。そこで、このボーリングをした場合において、その中へ小さな器械を入れてそうして観測をするということを聞いておったのですが、この観測をいまやっておらないということを聞いておるわけだ。一方において、このボーリングをしておるあの施設の土地は松代町で地代を払っておる、こういうことを聞いております。そこで、松代町で地代を払わせながら観測はやめておるということで、町の者が、おかしいじゃないか、こういうことを言っておるわけです。その実情をちょっと説明してもらいたい。
  50. 緒方雅彦

    ○緒方説明員 お答えいたします。  先週の土曜日かと思いますが、朝日新聞の夕刊にそのことが記載されていたかと思うのです。それで、少し詳しくお話し申し上げますと、ボーリングが終わりましたのが六月の二十日ころでございます。それからいろいろボーリングの穴の中の調査をいたしまして、大体七月初めくらいに所定の計器を取りつけたわけでございます。非常にこまかくなって恐縮でございますが、当初はひずみ計と温度計、それから地電流測定装置、地震計、それから水圧をはかります水位計、これらをセットする予定にいたしておりました。ところが、井戸を掘りました結果適当な水層がございませんので、水位計はやめることにして、そのかわり東京大学の傾斜計を入れることになりました。そういうことで観測項目は変わっておりますが、一応その観測の内容といたしまして五項目やることにいたしました。  それで、このひずみ計と温度計でございますが、ひずみ計は、これは七月の五日からずっと連続観測をいたしております。それから温度計につきましては、二百メートルの井戸の底につけますものは、これは当庁の防災センターが観測をすることになっております。それで、その上に五十メートルと百メートル、百五十メートルの深さのところにつけました温度計は、これは東京大学の分でございます。それで、この温度計でございますが、実は観測機器を井戸の中にセットいたしましたときに、セメントで固めたわけでございます。そのセメントが乾燥いたしますときによく発熱をいたしますので、その熱の影響がなくなるまでの間は、大体一週間おきぐらいに温度をはかったわけでございます。それで、九月三日から大体発熱の影響がなくなり、二百メートルの深さの地面そのものの温度をはかれる、こういう自信を得ましたので、この点につきましては、九月三日以降連続観測に入っております。なお東京大学の五十メートル、百メートル、百五十メートルのところは、これは連続観測ではございませんで、必要のあるときに参りましてはかっている。そのために、地表で見ますと、地下から温度をはかるために取り出しました電纜が切れているように見えるわけでございます。これは連続観測でないとそのように見えるわけでございます。  それから地電流につきましては、これはやはり井戸を掘りましたときに、地層のいろいろな電気的な検出をしたのであります。その結果、非常に雑電流が多いということがわかりましたので、現在六十サイクル以上の電流をカットする装置、これを新たに試作しないと観測できないということが、井戸を掘ったことによりましてはっきりわかりましたために、現在その装置を製作いたしております。これが、少しおくれますが、大体十月下旬ころにでき上がる予定になっております。十一月中ばごろからは連続観測に入れるか、かように考えております。  それから地震計につきましては、これは当初から、連続観測ではございませんで、定時観測でございまして、一週間ないし二週間に一ぺんくらいの定時観測でございます。これも井戸のところで見ますと、ちょうど電纜が切れているような形に見えているものでございます。  そういう状況でございます。
  51. 松平忠久

    松平委員 簡単にあと二つばかり御質問いたします。  一つは、いまのことに関連するのですけれども松代地区に地震研究センターというものをつくるというので、細田副長官のころ、協議会のほうでそういうものをつくる予算を要求する段階にもなっておるので、いまの松代地震観測所を中心にいたしまして、あれを増強してもう少しりっぱなものにするということだろうと思うのですが、そういうものをつくるということになって、気象庁のほうからもその青写真が出てきておると思うのであります。その青写真は松代町の町長のところにも送られてきております。しかし、それによると、何だか博物館的なものをつくるような色彩が強いのでありまして、当初はそういうことではなかった。このプランは参議院議員の羽生先生がかなり熱心に主張されておって、それを総理府総務副長官の細田君のところで取りまとめるということで、だんだんと実現の方向に来たわけでありますが、その方向がいまのように博物館的なものである、そうであるならば、これは文部省の所管であるということにもなるわけなんです。当初の考えとは違った方向に来ておるように思うのです。したがって、これは元へ戻してもらって、そうして総理府の副長官が関係各省を集めてこの話を進めてきたわけでありますから、上村君のところでこれを軌道に戻してもらって、早く当初の方向に実現方をやってもらうようにできないものかどうか、このことについて御意見を伺いたいと思います。
  52. 上田伯雄

    上田説明員 地震研究センターの設置につきまして、かねてから委員会においても議題になったのでございますが、問題がきわめて尋問的でもありますし、また各省庁にもまたがりまして、いまおっしゃったような御趣旨のことでしばしば関係の担当官が集まりまして協議しておるのでございまして、もっと合目的的なそういう研究センターをつくるべく協議しております。現在のところでは、話題をしぼってきまして、科学技術庁と気象庁において具体的に検討してくれております。
  53. 松平忠久

    松平委員 これは澁谷さんはあるいは御存じないかもしれませんけれども、ひとつあなたのほうからも上村副長官とよく話をされてそうして軌道に戻して、予算の編成時期になっておるのだから、何とか実現方に御努力をお願いしたい、こういうふうに思います。   〔山口(丈)委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つは、町の財政が非常に困難をきわめております。したがって、起債等の場合におきまして、元利というものを払っていかなくちゃならない。交付税である程度まかなうことができますけれども、しかし、激甚災害であるならば、かなり交付税で起債の返還分が認められる。しかし、そうでない場合には、大体交付税の中に二八・五%くらいの償還財源しか認められておらない。そういうことで将来非常に財政難におちいるのではないか、こういうことが各町村の悩みの種になっておるわけであります。それは消防施設にしても、プレハブその他にしても、ことごとく起債でやっておるわけでありまして、補助金以外は起債でやっておるわけでありますから。そこで考えられることは、何か激甚地なりあるいは準激甚地というような考え方をもって地方財政というものを将来にわたってこの起債の返還ができるような施策を考えてもらいたいというのが、現在どこの町村長も一番悩みに思っておる点なんです。そこで、きょう自治省もおいでになっておると思うのですが、激甚災害というような指定はできないのかどうか、あるいはこれはやるとすればどこがきめるのか、協議会できめるのか、あるいは知事がきめるのか、あるいは準激甚地という方法があるかどうか、こういうことについて伺いたい。——それではこれは懇談会の席に譲りまして、答弁は求めません。  これで終わります。
  54. 中澤茂一

    中澤委員 関連して木村さんにちょっとお伺いしておきたいのは、異常に隆起して、ことしの四月の隆起から見て二倍、三倍の隆起を東南部がしておる。これはどういうことか。隆起しているなら、われわれしろうと考えで、どこか若干へこむところがあっていいのだが、へこむところはちっともない。新聞には書いてなくて、隆起のほうだけが異常に隆起しておる。どういうことかちょっとわからぬので、お聞きしたい。
  55. 木村耕三

    木村説明員 私たちも中を見ておるわけでございませんので、推定でございますが、松代観測所に置いておりますひずみ地震計というものを昨年の地震の直前から動かしまして、地震が始まりましたので調整がうまくいきませんでしたが、最近ようやく調整がついたようであります。それと、先ほど緒方課長のほうからお話しましたボーリングの穴の中を見ましたひずみ計と両方対照して見ますと、どうやら地震計のひずみもうまく自記しておるようであります。その記録とボーリングの結果をあわせて見ますと、あそこの地が、少なくとも皆神山付近はぐるっと南北に押しつぶされておるような形で、片一方のほうに伸びていかないで、上に盛り上がっておるような形になっておる。ですから、南北に押されて東が盛り上がっておるという形のようであります。それで、そう解釈すると、いろんな現象がよくわかりまして、結局、さっきの図にもございましたように、南のほうに震源が伸びておるというのは、ぐっと押されているからで、盛り上がっておるほうには地震が起こっていないということであります。  それからもう一つ最近わかりましたことは、ぐっと押されておる力の記録が、押しておる力がなくなりましてそれから数日後に例の地震が起こっておりますので、まだ一例でございますからわかりませんけれども、何らかその数日前の地震の予知ということができるかと思います。これは必ずできるかどうかはわかりません。  それから、ついでにつけ加えておきますけれども、東大で最近移動観測班というものをつくりまして、例の八月二十八日の地震の前に川西村で観測しましたところ、二分間に一ぺんずつ地震が上山田付近で起こっておるということがわかりました。それから二日後に例の地震が起こっておりますので、この面からも何か予知の手がかりができるかと思います。いまそういう点で一生懸命に調べております。
  56. 中澤茂一

    中澤委員 土の下のことはどうもわからないが、このごろ予算委員会調査で内之浦にミューロケットの調査で二十四日に行ったが、あれ一発上げるのに二億かかるというのです。うまくいけば衛星になるかもしれないがということを糸川博士が言っておりました。私はそれを見たときにしみじみ感じたのは、宇宙の競争は日本はやめたらどうか、あんなものを一発二億かける。ソ連とアメリカにまかしておけばいいじゃないか、それよりむしろわが日本は地の底を研究するんだ、今度の松代地震で十億くらいの予算を組んで地の底を研究するということをやったらどうかということを私はしみじみ思ったのです。これは政治的な問題ですが、あれが悪いという意味で言っておるのではない。あれをやるのもけっこうですが、これだけ一年間やって、これだけの事態が出て、絶好のチャンスですよ、学問に天が与えたチャンスです。これに思い切り政府が金をかけて地の下を研究するということを日本が世界にやったらどうかということを、これは政治的な問題ですから、あとでいろいろ考えてもらいたい。ほんとうにしみじみそう思うのです。あれを一発上げるのに二億でしょう。いま松代に二億なり三億の研究費をばっとつぎ込んだら、私は非常な研究ができると思うのです。これは政務次官、政治的な問題だから、ひとつ考えてもらいたい。  最後に、資料要求をしておきますが、四十一年度に、各役所がいままで御努力になっていろいろやっていただいたわけで、総括的なものはここへ出ておりますけれども、これをこの次の懇談会までに具体的に、ただ総額予算で四千何百万、五分の三の補助を幾らやったということだけでなしに、三十六市町村の自治体ごとに、たとえば四十立方の貯水槽を何個つくったか、これに対して予算はどうだった、これは各省庁ごとにやった個別的な資料を全部ひとつ出してもらいたい。これは協議会のほうで至急まとめてもらいたい。それが一つ。  それからいま一つは、これはやはり何といってもすぐ銭の問題になるわけですが、四十二年度の予算において、松代災害に対する一括した予算、これは研究費を含めて——特に研究費は膨大なものを取ってもらいたいと思うのです。それと同時に、いままでに予備費や財政調整交付金——災害救助法も発動していないものだから、皆さんの御努力で、しかたない、財政調整交付金のやり繰りをしたりしたが、こういうやり方は四十二年度予算ではもうやめてもらいたい。はっきり松代地震対策としての予算要求をしてもらいたい。これははっきりしておいてもらわぬと、今後これはいつまで続くかわからないのですから、また金がないから予備費から出す、財政調整交付金の一部をちょっと借りて出しておいただの、こういうことは私は各役所にやめてもらいたいと思う。四十二年度予算要求は、各省が松代地震対策予算というはっきりした項目でひとつ要求をしてもらいたい。それに対して、いまのところ、松代地震対策として関係しておる九つの役所が一体どういう概算要求を八月三十一日までに大蔵省に提出したか、これについて各役所とも具体的に資料として次の委員会、懇談会までに提出してもらいたい。  この二つの資料要求を委員長に出しておきます。  それからいま一点、草野さんは帰っちゃったけれども、先ほど、両省庁で話し合いして至急やりますということだったが、私もくずれたあとをすぐ見に行ったのです。これはたいへんなので、できるならば、この次の委員会は、委員長は幾日の日を予定しておられるか、まあ一週間くらいとさつき雑談のときに出たのですけれども、それまでに、林野砂防堤防というのは、私はあれは継続でいいと思うのですが、至急林野なら林野と澁谷さんのほうとお話し願って、あれの強化拡張をやるということでこの次の委員会までには決定しておいてもらいたい。  非常に早急で恐縮でございますが、以上三つを要求しておきます。
  57. 日野吉夫

    日野委員長 資料要求と要望の点は、極力御趣旨に沿うように努力します。  次に、白浜仁吉君。
  58. 白浜仁吉

    ○白浜委員 日本が非常な災害の多発国であるということは世界によく知られておるわけでございますが、各委員諸君の御発言をじっと承っておりながら、つくづく私またそのことをあらためて感じたわけであります。  先ほど参事官からの報告の中では、松代地震を含めての問題や、あるいは台風大雨、こうした問題の報告があったわけですが、私は別途また干害、いわゆる干ばつのことについて少しお尋ねをし、御所見を承りたいと思うわけであります。  九州、特に北九州の四県、最近は熊本県もその報告がまいっているかと承っておりますが、非常に順調に進んでおりました稲作が、福岡、佐賀、長崎、大分、こうした地方におきましては、雨量がこの四県で平均、六月は七二%とか、七月は三二%、八月は四一%とかいうふうに、非常に連日の干天が続いておりまして、非常な農作物の被害を受けたというわけであります。各県におきましては、これは揚水機の購入あるいは借り入れをやったり、あるいは井戸を掘ったり、ボーリングをやったりというふうなことで、相当緊急の対策事業費を苦しい財源の中から投じておるわけでありますが、こうしたものに対して農林当局は一体どういう助成なり補助というものを考えておるのか、あるいは詳しい報告がきているかどうか、こういうふうな点についての御意見を承りたいと思うわけであります。  私ども手元にまいっている例を見ましても、水稲で約十二億、果樹蔬菜等を含めまして約十六億、計二十八億の被害があるというふうなことでありまして、これは非常にゆゆしき問題だと私ども考えておるわけであります。今年は史上最大の豊作だ、こういうふうにいわれておる反面に、こうした隠れた非常なきびしい立場に立っておる農村もあるということを十分お考えになって対策を講じてもらいたいと思うわけであります。  私の選挙区のことに触れて恐縮でございますが、たまたま福岡県の沖にあります壱岐などは、もうすでに六十数日間降らないというふうなことで、その飲み水にもあえいでおるというふうな状況でございます。これは全く、先ほどの地震課長の話ではありませんが、私どもがどうすることもできない問題でございますが、毎年毎年繰り返されているこうした水害、干害というものについて、やはりある程度政府自体としても本気で何か対策を考えなければならない時期にきたんじゃないか、政府も私どもも含めてその感を深くするわけでありますので、政務次官その他も御出席でございますので、十分このこともあわせて真剣に御検討を願いたいというふうに考えるわけであります。意見をまじえながらひとつ御所見を承りたいと思うわけであります。
  59. 大和田啓気

    ○大和田説明員 いまお話しのとおり、ことしは北九州各県におきまして七月中旬より八月中下旬にかけて相当な干害がございまして、用水確保のためにいろいろな応急工事が行なわれたようでございます。私ども手元にきております資料によりましても、三億以上の事業費がかかったようでございます。また、北九州以外にも中国、四国地方でも相当な被害があり、ミカン地帯等を中心にして相当な事業費も組まれておるようでございますので、私どもといたしましては、ただいま県とも打ち合わせの上綿密な調査を、全体の事業費がどういうものでどれだけかかったかということの調査をいたしておるわけでございます。過去の事例で申しましても、干害がひどくて相当な事業費が支出されました場合は、大蔵省と予算折衝をいたしまして相当な助成措置などを講じておるわけでございますので、北九州あるいは中国、四国等からの被害状況あるいは応急事業の内容等々早急に取まとめを急いでおりますので、その取りまとめをまちまして大蔵省とも予算措置等について十分折衝いたしたいというふうに考えております。
  60. 日野吉夫

    日野委員長 石田宥全君。
  61. 石田宥全

    石田(宥)委員 災害が起きますと、直後に関係大臣政府の高級官僚の諸君がいち早くかけつけて、いろいろと被災民に対するお見舞いやら事後の対策等に対して景気のいいごあいさつをなさるのでありますけれども、しばらくたちますとだんだんと先細りになってまいりまして、新潟県の七月十七日災害などは、このごろではどうも、次々に新しい災害が起こるからではありますけれども、何か忘れられたような感じがいたして、はなはだ遺憾に考えるわけでありますが、時間の都合もありますから、私、二、三点だけをお伺いしたいと思います。  第一番目には、河川局長と通産省の公益事業局長に伺いたいのでありますが、七月十七日の加治川の洪水の災害については、その当時から、これは加治川の発電所ダムの操作によるところが一つの大きな原因であるということが指摘されておりました。現に沿岸の諸君が水を見にいっておったら、例の鉄砲水というものがうなりを立てて来たので、これはもう防ぎ切れないといって逃げ出してきた。そういう状況がありましたけれども、なかなかこれは表向きに問題になりませんでした。ところが、最近になりまして、町村長の中にも、あるいは農業団体等も、どうもこれはほっておけない問題ではないかということで、一部の諸君が発電所に参りまして、そこの責任者とも会談をいたしましたわけでありますが、これに対して、緊急な事態で、集中豪雨であるからということでありますけれども、しかし、これについてはいろいろとやはりダムに関する特則というようなものでかなりこまかく規定があるわけです。ところが、最初から私ども伺っておったことには、ダムの水を放水してから二時間後に県に報告をした、こういうことを実は承っておったわけであります。その後調べたところによりますと、東北電力株式会社の従業員は、われわれは発電オンリーで操作をしておるので、下流にどういう被害を及ぼすかというようなことは実は考慮をしておらないのだということをはっきり言っておるわけです。だれが何月何日にどういうことを言ったかということの記録もありますけれども、きょうはそこまで申しませんが、一体そういう取り扱いでいいのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、やはりそこで明らかになったことでは、いまのような発電ダムでは、もしちょっとでも油断をして若干でも堰堤をオーバーするようなことになれば、ダムそのものが崩壊をする危険性があるのだということを言っておるわけです。そうなりますと、ここに操作上の問題とダム構築の問題と二つの問題があるわけでありますが、操作の問題については河川法で規定をいたしておるわけでありますから、これは河川局長公益事業局長からこの操作の問題についてまずお考えを聞かしていただきたい。  きょうはあまりこまかなことを申し上げませんが、これも先ほど来お話がありましたように具体的な問題についてはあとで懇談会等でいたしたいと思いますが、少なくとも新潟県知事は、そのような実情であるとすれば東北電力株式会社に損害の賠償を要求しなければならないし、自分が責任を負ってその交渉をやる、こう言っておるわけでありますから、それらのこともお含みの上で答弁を願いたいと思います。
  62. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 ダム工作物は河川管理上非常に重要な影響を及ぼすものでございます。したがいまして、これらの工作物の設置につきましては、河川管理上従来からも万全の注意を払ってきているわけでございますが、特に工作物の強度の問題、あるいはダムの異常事態に対する対策の問題、あるいは操作規定の問題という各般にわたりまして考えております。河川法でも示されておりますように、操作の原則といたしましては、十全の機能を維持するという原則に立ちましてやっております。したがいまして、操作規則はそういう点で練られておりまして——さような操作のミスというものがあるかどうかは知りませんが、放流等に対する連絡の規定、そういったものを設けまして、下流に事故がないような措置を講じておるつもりでございます。  現在われわれの河川管理者としまして調べました加治川ダム並びに飯豊川の第一発電所の両ダムにつきまして検討いたしましたが、若干二、三トンの食い違いはございますが、大体流入量に相当する流出をやっております。ただ、十六日の六時ごろの流量につきましては、洪水の初期でございますが、そのころは百一トンの流入量に対しまして百二十五トンの放水を行なっておりまして、これは二十四トン程度の放水量の増になっておりますが、その他の時刻につきましては流入量と流出量はほぼ同量でございます。それから飯豊川の第一発電所のダムにつきましては、これはゲート操作ができないダムでございまして、流入量が必ず流出されるという結果になります。そのいずれのダムも大体有効貯水量が二十七万トンくらいの小さいダムでございまして、ほとんど調節能力はないダムでございます。したがいまして、流入量即流出量という形で、洪水の初期に先ほど申し上げたような問題が若干あろうかと思いますけれども、その他の点につきましては流入量どおりに出しております。  なお、専用電話はいずれも設けられております。専用電話の連絡方法は、加治川ダムにつきましては、飯豊川の第一発電所を通りまして、新発田の東北電力の事務所に行き、それから新発田の土木事務所、いわゆる河川管理者のところに参るというような連絡方法をとっております。それが二時間もかかったということにつきまして、私らも十分の調査をいたしておりませんので、今後さようなことのないように十分注意したいと思います。
  63. 安達次郎

    ○安達説明員 大体いま建設省のほうからの御説明のとおりでございますが、特にこのダムの操作規則におきましては規定がございまして、いわゆる警戒洪水量をこえた場合には、新発田の土木出張所長並びに社内の新潟支店の土木課長あてに状況報告するというような規定が定められております。現実にその連絡状況を調べましたところ、同日の連絡先として、新発田の土木出張所あるいは赤谷警察署、新発田の水防組合というようなところに、主任技術者から、十六日の四時半から十八日の十時までに一時間ごとに連絡をいたしましたというような状況報告がございます。  それからもう一つ、発電オンリーで考えているので、下流の迷惑なんかちっとも考えることはないんだというようなことをもし電力関係の者が申したとすれば、これははなはだ不謹慎なことだと思います。もちろん、電力事業でございますから、発電のためにつくってあるものでございますから、そういう発電のことが念頭にあるのはあたりまえでございますが、下流のほかの迷惑は考える必要はないのだというような意味での発言があったとすれば、これは絶対にそういうようなことがあってはならないことでありますので、私のほうからも厳重に注意したいと思います。
  64. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま河川局長から詳しく、また公益事業局長からも答弁がありましたが、実は私たまたま被災者の代表と知事の会談に立ち会ったのですが、いま御答弁になった内容は、県の河川課、あるいはまた、会社の報告ではないかと考えるのですが、何か現地調査をどちらもおやりになっておりますか、どうですか。
  65. 安達次郎

    ○安達説明員 通産省では現地調査はいたしておりません。この前の水害が起こりました直後に、大体ダムの操作その他において誤りがないかどうか、いわゆる具体的なデータをもって説明を会社の者から聴取いたしております。先ほど建設省から御説明のありましたように、おおむねダムの操作においては誤りはなかった、こういう判断をいたした次第でございます。
  66. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 ただいま申し上げた資料も、発電所の資料に基づいた資料でございます。
  67. 石田宥全

    石田(宥)委員 実はどうもそうらしいのです。そこで、この知事と被災者との交渉の中では、河川課長はついに答弁ができないで、単に会社の報告を受けただけだ、こういうことで、会社が利害関係を中心にして、一方的に会社の報告だけでは信用できないじゃないかということで、知事が、なお精査をした上で被災者の主張するがごとくであるとすれば、東北電力株式会社は当然それは補償しなければならないことになるので、それはひとつ私におまかせ願いたいという結論になっておるわけです。ですから、あなた方がここで答弁をされるのに、東北電力株式会社の報告書だけで答弁をされたのでは、私のほうは納得いかないのです。ですが、皆さんはそれぞれの系統機関からの報告に基づいての答弁をされておるのだから、これは信憑性に乏しいものと私どもは判断せざるを得ないが、きょうは時間の都合でこれ以上はいたしません。なおひとつよく調査をお願いしたいと思います。  次に構造の問題です。これはこの間実は驚いたのでありますが、やはり構造がほとんど全国一律だと思うのです。若干でもオーバーすればダムは崩壊する危険がある、だから、われわれはそれがために非常に神経を使っておるのだが、どこでもそうなのだ、こういう話をそこの会社の人は言っておるわけです。そうだとすると、これは阿賀野川にしても、利根川にしても、全国至るところの発電ダムのあるところの沿岸民はまくらを高うして眠ることはできないことになりはしないか。こういう点では、構造についてはどうなのでしょうか。
  68. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 ダムの安全率につきましては、その安全という側から調べて見ますと、まず転倒の問題、ひっくり返ること、それから、すべりの問題というような問題が、大きなダムに対する安全の問題だと思いますが、そのほかに、岩盤の地耐力の問題——岩盤の地耐力の問題は省略いたしまして、異常洪水の場合のダムの安全の問題ですが、すべりに対しましては、われわれとしましては、高堰堤規則によりまして、安全率を四以上にとるということでやっております。したがいまして、地震等も考慮いたしまして安全率四以上でございます。この加治川ダムにつきましては、四よりも高い五・八七九という、これは計算による資料でございますが、安全率をとっております。したがいまして、異常洪水がやってきましても、まずすべりに対しては大丈夫である。それからオーバーしたらどうなるかという問題でございますが、これはゲートをあけて下流の洗掘の問題が一番大きなファクターになるわけであります。そういう点につきましては、放水のたびに下流が洗掘されないように十分それにつきまして細心の注意を払って施工をしてありますので、これについても、現在まで土堰堤のほかにコンクリート堰堤がこわれたという実例を見ておりません。たまたまイタリアとか、そういったところにつきましては、特殊な事情によりましてダムがこわれたという実例もございますが、現在まで日本におきましてハイダムのこわれた実例を見ておりません。したがいまして、これも安全であるというふうに考えております。
  69. 安達次郎

    ○安達説明員 私から特に追加することはございません。
  70. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは、この問題はこの程度にいたしまして、次に、農地局長が見えておりますから、伺いたいのでありますが、今回の新潟の水害というものは、二万ヘクタールに及ぶ冠水と六千ヘクタールほどの収穫皆無という、全国にもまれなケースだと思うのです。したがって、これは本会議における稲葉議員と私の質問に対しても、総理大臣は、それは救農土木事業というものをやる、こういう答弁をしておる。これは来年の九月まで収穫は全然ないのですから、男の人は出かせぎのできる人もあり、あるいは新潟や新発田などで仕事があればそこにも行けるけれども、子供を持った女の人などではどうにもならないわけです。いま農繁期で、稲刈りで手不足の地方があるから、そこで何とか就労させたいというけれども、これもほんのわずか出ているけれども、やはり自宅から通えるところでないと思うにまかせないという実情にございます。そこで、当初県が一億の予算を出しました。これはたいへんいいことだと思って喜んでおったわけです。ところが、一億のうち、きょうここへ代表も見えておりますが、一番深刻な被害を受けた、農地局長も見てこられたはずですが、豊栄町には半分以上割り当てをしておる。一億のうち五千六百五十万円を割り当てたのでありますが、労賃部分というものは実に少なくて、六百三、四十万円程度でしかない。一一%程度しか労賃部分というものがない。事務費その他で若干使われるということは考えられるが、あまりひどいじゃないかということで、実はいろいろ調べているわけですが、地元の農民の諸君はこう言っておるわけです。五千六百万円というようなものはなくとも、たとえば三千万円でもいいが、五〇%が労賃部分に当てられるということになれば、それでも千五百万円になるじゃないか。五千六百万円以上も割り当てを受けたけれども、労賃部分が、七百万円もないというような救農土木事業はおかしい、こう言っておる。これは新発田川などが百カ所近く破堤をいたしまして、緊急にやらざるを得ない事情のためにやっておるわけでありますが、承るところによると、大体基盤整備事業というようなものは、少なくとも二〇%から二五%くらいが労賃部分になるのが常識だといわれておるわけですね。私はあなたを責めるわけではないのですよ。直接は県がやったかもしれないと思いますけれども、基盤整備事業に関するような農地局長所管の事業に対しては、やはりもっと強力な——と言ってはおかしいけれども指導をやっていただきたい。いま申し上げたような数字では全く農民が救われないということです。  それから、草野さんは帰りましたけれども、草野政務次官と農地局長とおいでになりましたね。そのときに、団体営の基盤整備事業というものを大体事業費で四億円ぐらいのワクを優先的にやろうという話があって、それがいまずっと行なわれておるわけです。そこで、この前の災害委員会で、救農事業というものが土建屋の救済事業になってはならないということを私は強調しておいたのです。ところが、局長は御承知だと思うのですが、豊浦村のある部落で暗渠排水事業をやっておるわけですが、その暗渠排水事業をやるにあたって、村長は自分の村におる長谷川組というのを推薦した。長谷川組というのは県の登録業者なんです。ところが、県の土建協会に入っていないから資格がないというようなことで県はこれを排除したわけです。そして新潟市におる本間組というものにこれを請け負わせた。ところが、これは四百万円ほどの事業でありますが、本間組のほうでは約一割の四十万円程度をピンはねしてしまっておる。それから、同時に賃金でありますが、県の計画設計では、日給は千六十円で計画設計をしておるわけです。ところが、緊急事業をやるときに、男は八百円、女は六百円ということにきまっておるので、やはりこれで使っておる。ところが、このごろになって労力が非常にあふれておるから、この八百円、六百円をさらに切り下げようという空気が出てきておるわけです。私は豊浦村の問題だけを出したわけですけれども、少なくとも農林省が割り当てた四億程度のワクをはみ出すくらいに上へ上がってきておるはずです。こういう状態になりますと、私が心配いたしましたように、来年の九月ごろ収穫皆無というような農民を救済するために、労賃を与えるために行なわれる事業が、完全に土建屋の救済事業になり、そうして非常に低賃金で使われる。それでもやむを得ないと、地元の女の人たちなどは言っておるわけです。こういうことでははなはだ地元では不満なわけで、実はこれも対県交渉などやっておりますけれども、やはり何といってもあなたの所管の仕事なんで、あなたが現地に行かれてそうしてお出しになったことからこれがいま行なわれておるわけですから、こういうことがあってはならない。そういうことをやってはならないように強く勧告をしてもらわなければならない。これはひとつあなたの耳に入れておきたい。  それから質問したい点は、そういう状況の中にありますので、やはり三十九年に北海道で行なったように八〇%もが労賃に該当するような、ほんとうの意味の特別就労事業というものをやる計画があるかないか、ないとすれば、やってもらえるかどうか。いま着手しておるものはすでにずっと前から計画がある部分ですから、そうじゃなくて、仕事は幾らでもあるのだから、計画のないものについてはこれから計画をやるべきだ、こう思うのですが、ひとつ所見を承って地元の農民に安心をさせたいと思うので、お伺いをします。
  71. 大和田啓気

    ○大和田説明員 いろいろお話を伺ったわけでございますが、私ども短時間でございますけれども現地も視察してまいりまして、広い意味の救農土木で、とにかく農業土木を進めながら被災者に賃金の補給をするということを一生懸命やることを地元の人にもお話をいたしまして、私ども帰ってまいりましてから、いま御指摘にありましたが、実は従来からきまっていた仕事をやるのではなくて、ごく最近に施行いたしましたけれども、圃場整備あるいは農道関係で若干の手持ちの金が全国的にプールいたしてありましたのを新潟県に集中的に出すことにいたしまして、約三億円ほどの施行をごく最近いたしたわけでございます。これはいままできまっていたものをやるということではなくて、今回の新潟の災害に関連して広い意味の救農土木として特に行なったものでございます。なお、災害復旧事業関係で新発田管内を中心として四十一年度に施行する補助事業が約三十億円ございます。私どもこれをもう少し少な目に考えておりましたけれども、だんだん査定をやっていきますにつれて事業額がふえまして、大体三十億ぐらいに四十一年度の実施の補助事業の額がなるであろうと思います。この間予備費できめましたものも事業費といたしまして約八億四千万円ほどの災害復旧事業をすでに着手できるような状態にいたしておりますし、査定もどんどん進んでおりますから、四十一年度について申し上げますと、大体三十億ぐらいの災害復旧事業が新発田地区管内を中心にして行なわれる。それから、いま申し上げました三億程度の圃場整備あるいは団体営かん排、農道整備というものを新しくあの地帯にぶち込むわけでございますから、県にもよく指示をいたしまして、豊栄を中心としたほんとうの被害地帯には必ずしも農業施設なり農地なりの災害はないわけでございますから、その周辺にむしろ被害があって、そのほんとうに収穫皆無という地帯から多少はずれたところに農地災害なりあるいは農業施設の災害なりがありまして、そこで災害復旧事業が行なわれるわけでありますから、県と地元でよく相談をして、豊栄その他ほんとうに困っておる人たちの就労に差しつかえないように計画的な人のやりくりをしてくれということをよく県に話してございます。それで、私ども特別に救農土木という形でいま先生が御指摘になりましたようなことをやらなくても、三十億の補助事業と三億の圃場整備その他の特別の事業の施行によって、私は十分しのげるのではないかというふうな感じを持っているわけでございます。  ただその場合に、最初に県がやりました一億の中で労賃部分が一一%程度というお話は、ちょっと私は了解しかねるところがございます。私が短時間でありますけれども見て回った限りでは、労賃部分を大きくするためにずいぶん無理な仕事のやり方をやっていて、ローラーで道路を転圧すべきところを、ローラーを使わないで人の力で小石を積んだりして、さてこれはあまりに極端に過ぎやしないかというふうに私もちょっと感じたほど、労賃部分を大きくすることに県が苦心をしている。それで、最初の救農土木一億のうちで労賃部分が千百万円程度ということは、ちょっと私了解いたしかねますけれども、よく調査をして、もしも今後、いま申し上げました圃場整備その他の特別の事業が三億あるいは災害復旧事業が三十億でございますから、それが相当救農土木的に使われることがないと、私どももその趣旨を了とするわけにもまいりませんので、よく県とも相談いたしまして、事業の性質からいって労賃部分というものはある程度まで制約されますけれども、その中でも、一一%ということでは少なくともないようです。県も十分督励をいたす考えでございます。
  72. 石田宥全

    石田(宥)委員 それから、いま豊栄のお話は、ごらんになったのだから、そのとおりでよろしいが、新発田市、それから加治川周辺のたんぼの流失埋没の状態、これに対する復旧事業の一つの算定方式があるわけですね。これによりますと、一戸当たりの耕作面積によって非常に違いがあるわけです。たとえば一町五反歩平均ですと二十万円、一町歩平均だと二十九万円、五反歩平均の場合には六十万円と、あまり開きが大き過ぎるように思うのです。そこで、これは政令で変えられると思うのですが、新発田市の場合などは、幸か不幸か平均耕作面積が大きいわけですから、どうも一部なかなか復旧が困難じゃないか。流失してしまっておる。岩船郡の関川村にもそういうところがある。川ぶちで全部流れちゃった。この単価では復旧がちょっと困難じゃないかと思われる節がある。これは政令事項ですから大臣決済でできると思われるので、やはり現地の実情に即するようにひとつ御配慮が願われないかどうか、どうですか。
  73. 大和田啓気

    ○大和田説明員 その反当の基準を変えるかどうかということは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、過去の実例を申し上げましても、農地の復旧がそこで押えられているためにうまくいかないという事例はほとんどないわけでございます。農地の復旧、農業用施設の復旧等、いろいろ関係がございますから、具体的にうまく処理される場合が多いわけでございます。いま御指摘のところは、私ども具体的にひとつ検討いたしまして、農地災害復旧が十分円滑に行なわれるように努力をいたしたいと思います。
  74. 石田宥全

    石田(宥)委員 もう一点だけで終わりますが、自創資金と天災資金の関係で、自創資金は農地局、天災融資は経済局担当だと思うのですけれども、参事官がおられますから、参事官でよろしいのでありますが、地元の要請は、自創資金が二十七億八千万と記憶しております。それから天災資金は十二億五千万円というものを再三確認して要請をしておるようです。ところが、手続が非常に繁雑でありまして、豊栄町などは、いまのような状態では、自創資金の再建計画というようなものは、こまかくやっておるとどうもことし一ぱいかかる。これは私、実は経済局長に、もっと簡単に手続のできるようなことをひとつ考えてくれないかということを言っておりますけれども、この手続の問題が一つ。  それから、もう一つは、一体どの程度ワクを見込んでおるか。県のほうでは九月二十日ごろ集約をしたいということのようですが、何か県ではワクをしぼるような意向を持っておるようで、これはおそらく農林省のほうの意向をそんたくして、その資金ワクをずっと縮めようとしているのではないかと考えられるのでありますが、その点と、もう一点は、自創資金と天災資金を通算して話をしていこうとする、これは当然性質が違うのですから、再生産資金と、それから農地の維持資金というものとで性格は全然違うのだから、これはやはり別個に取り扱うべきものであって、通算してやるべきものではないということを、かなり地元からも強く要請をしておるわけですが、これは性格の違うものであり、やはり別個にそれぞれ取り扱うべきものであると考えますが、いかがですか。これはどちらからでもけっこうです。参事官のほうでもけっこうです。
  75. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私のほうから自作農維持資金の点についてお答え申し上げます。  私どもこの間新潟へ行きまして、農家の自作農維持資金の借り入れ状況等々の資料をちょうだいしたわけでありますけれども、私どもがただいままでもらっておる限りの部分的な資料では、ワクの問題を御主張のように解決する方向にはなかなかいかないように思います。しかし、私どもも、ワクの問題は全然変えないということだけでこの問題を処理するつもりはございません。よく実態を見て——県のほうも相当広範囲にいま調査しております。私がいま申しましたのは一つの部分的な調査でございますから、県のほうで相当広範な調査が出ましたら、それに基づいて考えたいというふうに思います。  それからなお、自作農維持資金の需要量、これは、御承知のように、災害が出ましたときどれだけ金が要るだろうということの推定と、その後だんだんいろいろな事情が煮詰まりましたときの額とは、当然いろいろな場合において違うわけでございますから、二十七億ということで私ども正直のところ考えておらないわけでありますけれども、事柄の性質上、資金の手当てが行き届かないということがありませんように、限度一ぱいできるだけ新潟の被災者に必要な資金を供給するというたてまえから、十分資金の額について配慮いたしたいというふうに考えております。
  76. 石田茂

    石田説明員 まず、貸し付け資金の手続の簡素化の問題でございますけれども、これは抽象的な問題でなくして、非常に具体的な手続の問題でございます。十分これは検討さしていただきたいと思います。  それから自創資金と天災資金の通算というお話でございましたけれども、これはあくまでも別個の問題と思っております。  それから天災資金のワクの問題でございますけれども、私ども、県のほうから九月二十日ごろには自創資金のほうとあわせまして報告がくるということを聞いておりますので、それを待ちまして検討さしていただきたいと思います。
  77. 石田宥全

    石田(宥)委員 質問を終わりますが、農地局長も参事官も、いま答弁になったような趣旨でひとつ極力御尽力を願いたい。  以上で質問を終わります。
  78. 日野吉夫

    日野委員長 それでは、川崎寛治君。
  79. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 たいへんおそくなりましたが、ごらんのように、新潟あるいは長野、それぞれ県の代表がおりまして、地元の問題を熱心に取り上げたわけであります。しかし、残念ながら沖縄には代表がいません。そのために、これは総理府の関係だけだ、こういうことで各省は全部総理府にかぶせることになろうかと思いますが、結局、代表がいないところの問題でありますから、私は、そういう意味で、隣県の者としてこの問題については少し各省にもお尋ねをしたいと思うのです。その根本の姿勢は、いま教育権の機能別分離返還、こういうことを総務長官もたいへん張り切ってやっておられます。であるならば、そのことは各省においても当然にいろいろと検討されるべき問題があろうと思いますから、そういう点に関連をしながらお尋ねをしたいと思います。  まず第一に、今回の十八号台風、第二宮古島台風と名づけられましたこの災害、これはたいへんにひどい状況でありますが、これについて政府関係機関から派遣をされたものはどういう人たちで、その報告はどのようになったか。その報告に基づいて政府はどのような対策をとろうとしておられるか、まずそこからお願いしたいと思います。
  80. 山野幸吉

    ○山野説明員 今回の宮古島台風災害は、まれに見る非常に甚大な被害宮古島を中心とします一帯に惹起いたしたのでございます。政府といたしましては、さっそく、たまたま現地に派遣しておりました大蔵省の渥美主計官、それから総理府の朝日会計課長、それから特連局の林総務課長、この三名に急遽宮古島のほうの被害状況調査を命じまして、三名は直ちに宮古島へ参りまして実情を調査した後に、昨夜帰ってまいったのであります。さらに政府といたしましては、即刻総理大臣、総務長官からワトソン高等弁務官と松岡行政主席に対しましてお見舞いを申し上げると同時に、日本政府としてどのような援助を要望されるか、その援助の具体的な内容を早急に報告してほしいということを連絡したのであります。これに対しまして、弁務官、松岡主席から、目下被災の実態を調査中であるので、十三日中には琉球政府災害対策本部で全体の被害がまとまる、したがって、直ちにそれに対する対策を検討の上、日本政府連絡したい、こういう報告があったのであります。これに対応いたしまして、総理の御命令で総理府の古屋総務副長官、それから厚生省社会局の施設課長、農林大臣官房総務課長建設省住宅局の住宅建設課長、防災本部から官房参事官、それから南方同胞援護会の事務局長、この一行を明日から四日間現地に派遣いたしまして、現地災害の実情を調査するとともに、さきの十三日の台風被害の実情の把握できる、時点において、米国民政府並びに琉球政府と詳細これの対策について打ち合わせをして帰ってこられる予定に相なっておるのであります。なお、政府といたしましては、御案内のとおり、南方同胞援護会を中心とします民間ベースの宮古救援体制についても各般の手配を要請したのであります。  それから教科書等緊急に必要な物資等につきましては、日本航空の好意によりまして飛行機の特別便等で急遽現地へ送るような手配もいたしておるのであります。  以上でございます。
  81. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 宮古島台風災害対策本部というのは政府にできておるのですか。
  82. 山野幸吉

    ○山野説明員 政府といたしましては、宮古の台風災害につきまして特に災害対策本部というものはつくっておりませんが、総理府の特連局が中心になりましていま申し上げましたような諸対策を講じまして、実質的には災害対策本部と同じような機能を果たしていこう、かように考えておる次第であります。
  83. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 新潟に地震がある、災害がある、あるいは松代に問題があると、政府に本部ができます。総理は昨年沖縄に行かれたときに、本土と沖縄の一体化ということをしきりに強調されてきたわけです。いまも局長が言われるように、未曽有の大きな台風であったわけです。これは当然、国内の一県であれば、つまり施政権が戻っておれば、対策本部というものができるべきものだと思うのです。つくることはできないのですか。
  84. 山野幸吉

    ○山野説明員 私どもといたしましては、いま御指摘にもございましたが、沖縄は日本の施政権下にないわけでございまして、災害対策を具体的に推し進めるためには、もちろん米国民政府等と協議を要するのであります。したがいまして、自主的に私ども災害対策を立てて、それをそのまま沖縄に実施していくということは困難でございます。しかしながら、いま申し上げましたように、特連局が中心になりまして各省庁と十分連携を保ちながら実質的に本土と同じような災害対策が実現できる方向で具体的な諸対策を講じていきたい、実質的に災害対策本部をつくったと同じような効果を発揮していきたい、こういうつもりで目下対策を講じております。
  85. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 つくることは困るのですか、できないのですか。
  86. 山野幸吉

    ○山野説明員 ただいまのところ、つくることは考えておりません。
  87. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 考えているいないではなくて、つくれないのですか。制度的に困るのですか。
  88. 山野幸吉

    ○山野説明員 制度的に困る困らぬということより、ただいま申し上げましたように、災害対策本部をつくる以上は、災害対策本部できまった対策が現実具体的にそのまま実施されなければ災害対策本部の意味がないと思うのであります。したがいまして、いま私がえんきょくに申し上げましたように、災害対策本部をつくったと同じ結果を来たすような方向で諸対策を進めたい。それは、御案内のとおり、沖縄がわが国の施政権下にないという関係を考慮したものでございます。
  89. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 時間の制約がありますから、急ぎます。  次には、気象庁おられますか。——今回のたいへん大きな災害を見てみましても、私、鹿児島で、台風銀座ですから、気象予報についてはいつもたいへん感謝をしておるほうです。今日のシステムの中で、日本本土の気象庁と琉球政府の気象庁、その辺の関連において、まあ現地新聞等を読んでみると、気象観測と情報伝達と申しますか、そこの点についてはずいぶん要望も強いようです。那覇と宮古島だけいまレーダーがありますね。あと大東島あるいは石垣、与那国、こういうところにレーダーが設置されておるならば、もっと早く情報もわかるだろうし、観測もできるだろうし、災害対策の手も打つのが早くなるのではないか、こういうことが現地新聞には見られるわけです。そうしますと、そのことは、沖縄、そして九州と必ず上がってくるわけですが、今日まで日本本土の気象庁としてこれらの点は不便を感じておるのか、あるいはまた、設置すべきだという考え方でおるのか、あるいは政府の援助としてそういう観測網の設置ということについては緊急度の問題だというふうに考えておられるのかどうか。
  90. 久米庸孝

    ○久米説明員 私、予報課長でありますから、気象庁当局のお答えはできませんが、ただ、技術的な問題としましては、今度の台風については、宮古島に新しくつけましたレーダーが非常にものをいっております。それから沖縄につきましてはほとんど国産品がついておりますが、石垣島と南大東島は高層観測——ラジオゾンデが完備しております。宮古島にはレーダーを装置してあります。ほかの各島もレーダーを装備すれば、もちろんいまよりはるかによくなります。
  91. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 担当の方がいませんので、それはまたあらためて伺うことにして、その点、特連局長のほうはどうですか。
  92. 山野幸吉

    ○山野説明員 さきに総務長官が八重山群島を視察されましたときに、地元から石垣に気象レーダーをつくってもらいたいという強い要請がございまして、総務長官も琉球政府の主席等と相談しておられましたが、早急のうちに石垣島に気象レーダーをつくるべきだというようなことをお話のうちに言っておられました。琉球政府もそういうようなことを検討しておるようにも聞いております。
  93. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 昭和三十四年に宮古島台風がありまして、今度は第二宮古島台風というふうに名称づけられておるわけでありますが、沖縄との関係において、つまり施政権という厚い壁があるので常に問題があるわけですが、三十四年の宮古島台風の際の災害対策——災害対策というよりも、これは六千万程度の援助費を民間から送っておるわけですけれども、そのときからいたしますと、今回の第二宮古島台風に対しては制度的にどれだけ変わりますか。
  94. 山野幸吉

    ○山野説明員 制度的に変わった点と申しますと、本土の側から見まして沖縄の災害対策のために特別な立法措置を講じ、その他の対策、措置を講じたということはございません。ただ、琉球政府のほうでは、三十四年の台風にかんがみまして、三十五年に災害対策の一連の立法をやっております。その中身は、御案内のように、災害救助法を一九六〇年の立法第二号でつくりました。その内容は、大体本土の救助法と同じ内容になっております。それから災害対策要綱という——これは立法のしかたが違う関係もあるかと思いますが、災害対策要綱というのが一九六〇年に訓令第五〇号で出されております。その中には、激甚地の災害対策、それから高率災害地の対策、それから普通災害地の対策、こういう三つに分かれておりまして、その内容を詳細には当たっておりませんけれども、補助対策、融資対策その他一連の措置が、本土の激甚法なりその他の諸立法の重要な点をとらえてこの対策の内容に書かれておるのでございます。もちろん、本土のような複雑なものではございません。それから一九六〇年立法第四号というので農林水産業施設災害復旧事業費政府補助の暫定措置に関する立法、これは農林水産関係の施設災害の補助立法が行なわれております。
  95. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 先ほど新潟の問題で石田先生から御質問がありました。農林省の方おられると思いますが、あれだけの災害に対して、救農土木事業として三億程度のものが行なわれるということが先ほどあったわけですね。そうしますと、農林省にお尋ねしたいのですが、キビなりパインなり夏野菜の全滅、こういう今日の宮古島の実態の視察に農林省は行っておりましたね。
  96. 山野幸吉

    ○山野説明員 これからです。
  97. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これからですか。それだけの災害がある場合には、本土の一県であれば当然どれくらいの救農土木事業が行なわれるわけですか。
  98. 石田茂

    石田説明員 ただいまちょっとお話がありましたように、私どもの官房の総務課長が参ります。その調査の結果を待ちまして、いろいろとできるだけの対策を講じたいと思っております。
  99. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 まだ視察の結果が集約されていないし、いろいろな機関の関係で、本日は具体的な点については、先ほどからの山野局長の御答弁のように、どうもなかなか伺うことがむずかしいわけであります。  それでは、たいへん抽象的なことになりますが、次にお尋ねしたいのは、学校関係の教科書等については日航で特別輸送をやるということでありますが、教育権の機能別分離返還ということが行なわれたならば、今回の場合どういうことになりますか。
  100. 山野幸吉

    ○山野説明員 この教育権の返還問題につきましては、御案内のように、目下、総務長官の私設諮問機関と申しますか、懇談会がつくられまして、そこでこの具体的な内容等につきまして、今後いろいろ先生方の御意見を聞きながら具体的に全貌をはっきりさせていきたいという段階で、さきに第一回がありましたけれども、まだ具体的な内容に入っていないのでございます。
  101. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 文部省にお尋ねしますが、沖縄が日本本土の内地の一県であるということであるならば、今回のこういう災害の場合、どれだけのことが文部省として手を打たれますか。
  102. 大串不二雄

    ○大串説明員 ただいまの御質問は、もし沖縄が日本の一県であった場合には、こういう災害が起こったときにはどういうふうな措置が文教関係について考えられるかということだと思いますけれども、まず、災害を受けまして、教科書とかあるいは学用品とか、そういうものが滅失いたしまして、採業を受けるのにすぐ困るという児童生徒に対しましては、災害救助法によりましてそういうものを支給、補給するということになっております。それからさらに、継続的に学校教育を受けるのに経済的に困窮して困るというような家庭の児童生徒に対しましては、就学援助の法律によりましてこのほうの補助をすることになっております。それから高等学校、大学などの生徒学生で学校教育を受けるのに学資が困難になるというような者に対しましては、育英資金のほうで学資の援助をするということになっております。それから、経済的に困窮いたしまして、修学旅行費とかあるいは給食費とか、医療費とか通学費とか、そういうものが困難になる者に対しましても、やはり同様に就学援助の法律あるいは学校給食法などによりまして援助ができることになっております。  それから、学校の建物、施設が災害を受けましたものに対しましては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法によりましてそれの復旧をすることになっております。  それから、災害が激甚であります場合には、激甚災害法によりましてさらにその復旧の補助をかさ上げして高率の補助をする、そうして復旧をはかるということになっております。  それから、社会教育施設あるいは私立学校につきましては、これは激甚災害法が適用される場合にはやはりその復旧費を国庫で補助するということになっております。  大体ごく概要は以上のようなことになっております。
  103. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、次に建設省にお尋ねしたいのですが、災害復旧事業は一般公共事業よりも手厚くやられているわけですね。ですから、今回の沖縄のこういうふうな災害復旧については、これは後ほど特連局長にまとめてまたお尋ねをしたいのでありますけれども、今回のこういうふうな災害の場合に、つまり本土並みの検討を行なうならばこれだけのものはというものが当然出てくるわけですね。災害復旧事業として、直轄——直轄はないわけだけれども、出てくるわけです。そういう計算の上に立って日本政府としてアメリカからの援助要請あるいは琉球政府からの援助要請、そういうものに応ずるわけですか。まず建設省のほうにお尋ねしたいと思います。
  104. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 どうも具体的なお答えはできないのですけれども調査団が近いうちに派遣される予定でございまして、もしも日本と同じように措置するとすれば、公共土木施設災害国庫負担法によりまして、公共施設等については応分の負担をやっていくということになろうかと思います。激甚法の場合も同様の措置がされると思います。それらの問題につきましては、今後の問題でございますので、具体的にお答えできないことを残念に思います。
  105. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 建設省にお尋ねいたしますが、つまり総理府が日本政府の窓口となってまとめるわけですね。その場合には、算定としては本土並みの形で検討するわけですか。それとも、ただこれだけを援助してくれというから日本政府として援助することになるのか、その点、建設省としてはどうなりますか。
  106. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 そのまとめ方の方針が総理府できめられましたならば、その方針に従ってまとめることになります。
  107. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そのことは、つまり本土の一県としての査定なりは行なわれないということですね。
  108. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 どういう形のまとめ方になるかは具体的にお答えできませんけれども、おそらく従来の国庫負担法と参照をしながらまとめることになろうかと思いますけれども、総理府の方針に従いまして措置することになると思います。
  109. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは特連局長にお尋ねしたいのですが、結局、その方針は、あと自治省なり、それぞれたくさんお尋ねしたいのですが、たいへん時間が過ぎておって、議事進行に協力をしたいと思いますので、なるべく結論を急ぎたいのですが、つまり本土の一県であるならば、自治省なりあるいは農林省なり、文部省なり厚生省なり、それぞれその省の立場で査定をされ、検討され、法律の適用、こういうことになってまいるわけですね。しかし、施政権がとられている、だから本土の法律の適用はできないということになれば、今日のような援助の方式で何がしかの援助をやる以外にないのだ、こういうことになっておるわけです。そういう意味では、先ほど特連局長は制度的に幾分かの点の法律の説明もありましたが、しかし、根本的な点では前進はないわけです。少しも前進はしていないわけで、依然として、切り離された九十六万の同胞は、こういう災害の際にも、ただ本土側に恵みを待つ、こういうことになっているわけです。そこで、教育権の機能的分離返還なり何なりというものが考えられるならば、なぜそうした——もっと基本的人権の保障ということすらもいま実は守られていない。これは大統領行政命令違反でもあるわけですが、あるいは国連憲章の問題でもあるわけです。しかし、それはもうこの機会、この場所ではいたさずに、総務長官なり総理との場所で一ぺんまたやりたいと思いますけれども、こういう災害にぶつかってみれば、いかに切り離されていることがみじめであるかということをより一そう痛感をするわけです。そうしてそのことは、各県の災害、各地方災害等の場合であれば、事こまかに本委員会においても追及がなされますし、またそれぞれ進められていくわけです。しかし、施政権がないということで、これはもう手の届かない遠いところで特連局長一人が苦労している、こういうことに今日はなっているわけです。  そこで、特連局長にお尋ねをしたいことは、今回の災害に対する災害対策として援助をされる、本来ならば災害関係の法律すべての準用が望ましいわけです。適用とまでは言いませんけれども、準用が望ましいわけですね。しかし、それができない。結局、総理府が米側と話し合った結果に基づいて方針が立てられて、そうして何がしかの金が本土側から援助費として送られる、こういうことにならざるを得ないわけです。その場合にも、先ほど文部省、建設省にもお尋ねをしたように、それらの点はぎりぎり本土の一県ならば、つまり日本の施政下にあるならばという立場で査定をされて、その上で米側との折衝をやられるのかどうか、あるいは米側から言われる額に応ずることになるのか、基本的な作業の進め方についてお尋ねしたいと思います。
  110. 山野幸吉

    ○山野説明員 沖縄は御指摘のとおり米国の施政下にございますけれども、りっぱな同じ日本人でございますし、こういう災害にあたりましては、私どもとしましては、日本本土災害と同じような立場でどういう取り扱いを受けるであろうかということをまず前提に置きながら、ひとつ今度調査に行かれる専門の方々から各方面の御調査を願い、それから琉球政府災害対策本部ともお話し合いをしていただきまして、その結果、その財源措置等につきましては、これは米国民政府なり琉球政府の自己財源なりあるいはまた日本政府の援助なりというもので全体をまかなうことになるわけでございます。したがいまして、民政府その他琉球政府のいろいろ御意見もあろうかと思いますけれども、基本的な態度としては、日本のほかの県に起きた災害と同じような立場でこの災害対策等を考えていっていいじゃないか、そういうことを向こうのほうにも十分徹底していいじゃないかと思います。ただ問題は相手のあることでございますけれども、日本政府の側としてはそういう態度でこの問題は対処できるのではないか。ただ、今回の災害は、これは御案内のとおりでございますが、全体といたしましては、家屋の災害と、いま御指摘にもなりましたサトウキビの壊滅と申しますか、六〇%ないし七〇%の被害といわれておりますが、十七、八億になんなんとするそういう減収が予想される、その対策をどうするか。それから二千七百戸の全壊家屋あるいは四千四、五百戸の半壊家屋、これをどうするかということが中心であろうと私は思うのでありまして、全体としまして、一般的な公共災害は、あの台風にもかかわらず、比較的少なかったように、現在のところ聞いております。いずれにいたしましても、調査団でひとつ専門的に見ていただきまして、よく関係方面と話し合っていただいて対策を講じてまいりたい、かように考えます。
  111. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そういう方針で一県並みにひとつ厳密に査定をしていただいて、当然国民として受けられる点については十分に対策を集約していただいて対処してほしいと思うのです。その場合にはひとつ強い態度で米側とも折衝してもらいたいし、日米協議委員会はおそらく早急に開かれると思うのですが、これは日米琉技術委員会になるわけですか。
  112. 山野幸吉

    ○山野説明員 これをどのような外交交渉なりあるいは事実上の話し合いで解決していくか、目下のところそれはきまっておりません。いずれその問題も含めまして調査団等で御検討になると思うわけでございます。
  113. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 最後に、中央防災会議の方にお尋ねしたいのですが、中央防災会議があり、各県に県の防災会議があります。しかし、現在施政権がないということで、沖縄県の防災会議というか、そういうものとの関係あるいは指導連絡。そういうものは事実上どのように行なわれているわけですか。
  114. 上田伯雄

    上田説明員 制度的には、いま特連局長からお話がありましたように、日本の施政権の及ばぬ範囲でございますので、具体的にどうこうすることをしてはおりませんですけれども、実質的には、たとえば三十四年の災害あとで、向こうの災害立法をどうするかというようなことをこちらのほうへ尋ねてきて、うちのほうで、まだそのころは防災会議というものがあったわけではございませんですけれども、各省にいろいろ教えてもらってつくった、あるいはまた、この数日来、向こうでもさらにそういうものを進めるべく、向こうの担当の方が来られまして、われわれの資料を差し上げるとか、あるいはデータを差し上げるとか、きのうもだいぶそういうことを話し合いをしまして、そういうようなことで実質的にはかなりの連絡はやっております。ただ、具体のあれについては、そこの川がどう、ここのあれがどうということはやっておりませんです。
  115. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 終わりますが、一つ厚い壁がありますので、いろいろとジグザグのコースをとらなければならぬわけですが、日本国民でありますので、早急に各般の施策が遅滞なく行なわれますようにお願いをして終わりたいと思います。
  116. 日野吉夫

    日野委員長 この際、おはかりいたします。      ————◇—————  先ほどの理事会で協議いたしました結果、昭和四十一年八月及び九月の豪雨等による被害状況調査等並びに同年六月、七月及び八月の干ばつによる被害状況等の調査のため、現地委員を派遣し、実情を調査いたすことに決定いたしたのでありますが、理事会の決定のとおり、委員派遣承認の申請を行なうことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣地、派遣期間、期日、派遣委員の員数及び人選、並びに議長に対する承認申請手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 日野吉夫

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、航空機利用の必要があります場合にも、委員長においてしかるべく取り計らいたいと思いますので、御了承をお願いいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十六分散会