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1966-10-17 第52回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    十月三日  次の委員会開会要求書が提出された。    決算委員会開会要求書  決算委員会を左記により開会するよう衆議院規  則第六十七条第二項の規定により要求する。      記  一、期  日 遅くとも十月十一日を目途とし         数日間の開会を要求する。  一、審議事項 1 国有財産の処理について         2 銀行融資         3 決算委員会審議の在り方         4 その他   昭和四十一年十月三日  衆議院決算委員長 吉川 久衛殿             決算委員 勝澤 芳雄                  田原 春次                  山田 長司                  神近 市子                  栗原 俊夫                  中村 重光                  長谷川 保                  華山 親義                  森本  靖                  吉田 賢一     ————————————— 昭和四十一年十月十七日(月曜日)    午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 濱地 文平君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 山田 長司君       仮谷 忠男君    竹内 黎一君       中村 梅吉君    根本龍太郎君       原 健三郎君    藤本 孝雄君       神近 市子君    栗原 俊夫君       長谷川 保君    畑   和君       華山 親義君    山内  広君       吉田 賢一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         農 林 大 臣 松野 頼三君         通商産業大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣 愛知 揆一君  委員外出席者         防衛政務次官  長谷川 仁君         防衛庁参事官         (長官官房長) 海原  治君         外務事務官         (中南米移住         局旅券課長)  内藤  武君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君         大蔵事務官         (銀行局長)  澄田  智君         国税庁長官   泉 美之松君         農林事務官         (大臣官房長) 檜垣徳太郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      大和田啓気君         農林事務官         (農地局長)  和田 正明君         農林事務官         (園芸局長)  八塚 陽介君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   若林 正武君         通商産業事務官         (通商局次長) 原田  明君         農林漁業金融公         庫総裁     大沢  融君         日本開発銀行副         総裁      石原 周夫君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    楠見 義男君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 八月二十四日  委員華山親義辞任につき、その補欠として平  岡忠次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平岡忠次郎辞任につき、その補欠として  華山親義君が議長指名委員に選任された。 九月十日  委員華山親義君及び森本靖辞任につき、その  補欠として山本幸一君及び江田三郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員江田三郎君及び山本幸一辞任につき、そ  の補欠として森本靖君及び華山親義君が議長の  指名委員に選任された。 同月十六日  委員華山親義辞任につき、その補欠として山  田耻目君議長指名委員に選任された。 同日  委員山田耻目君辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 十月五日  委員華山親義辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員石田博英君、一萬田尚登君、中村重光君及  び森本靖辞任につき、その補欠として竹内黎  一君、仮谷忠男君、山内広君及び畑和君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男君及び竹内黎一君辞任につき、そ  の補欠として一萬田尚登君及び石田博英君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有財産増減及び現況に関する件  政府関係機関経理に関する件    午後一時二十四分開議      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  国有財産増減及び現況に関する件、及び政府関係機関経理に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。押谷富三君。
  3. 押谷富三

    押谷委員 私は、現下非常に問題になっております綱紀粛正の問題につきまして、御所見をお伺いいたしたいと存じます。  官房長官もお見えになっており、農林大臣政務次官その他御列席が、すでに御承知のように……(「佐藤首相を呼べ」と呼ぶ者あり)お静かに願います。今日の日本政治に対する国民批判は、もはやぎりぎりの段階に達しております。それは、政府に対する政治姿勢を正しくすることを求めている声と、自由民主党の中には、みずから自由民主党姿勢を正す粛党の声とによって、いまぎりぎりの段階に達していると申し上げるのであります。  いやしくも一国の大臣、宰相として、行政最高責任者である大臣ともあろう人が、あるいは不用意から、あるいは慎みがなくて、あるいはみずから足らざる結果かもわかりませんが、次から次へといろいろな問題をつくって、国民批判の的になっているのでありますが、これはまことに残念しごくのことであります。これに対する内閣総理大臣なり、あるいはその大番頭であられる官房長官におかれても、さぞ御腐心になっていると思いますが、最初にお伺いしたいのは、内閣として閣僚からこういう状態が出てきて、いろいろな国民批判の的になっているということをいかにお感じになっているか、これに対してどうせなければならぬという態度は御決定になっていらっしゃるか、御決定になっていらっしゃるならば、今日までいかなる処置をなされたか、その具体的な、閣内における綱紀粛正の問題についての御方針なり、とられました処置についてお伺いをいたしたいと思います。官房長官からお伺いをいたします。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政治に対する、一口に申しますと、不信の声が上がっておるというようなことについて、まずどういうふうに考えるか、この点につきましては、私はただいま押谷委員がお話しになりましたところと憂いをともにするものでざごいます。ことに、ただいま御指摘のように、内閣閣僚等についてとかくのうわさが出ておりますことは残念に存じますけれども、これはすでに御承知のとおり、先ごろ運輸大臣の辞職というようなことにあらわれておりまするように、その事態内容その他に関連いたしまして十分反省をいたしますとともに、今後かようなことのないようにということを考えるのはもちろんでございますが、この機会に申し上げたいのは、たまたま佐藤総理大臣が十月初め以来病気になりまして、いまだ静養中である。しかしその病院における静養中におきましても、非常に、最近の政治に対する各種各様の御批判に対しましては、謙虚にこれを反省するという気持ちを新たにいたしまして、退院後最初閣議出席をいたしまして、御案内のような、これは閣僚に対する一つ指示と申しますか、総理大臣としての見解の表明でございますが、閣議を通しまして、与党の党員に対しあるいは国民全般に対しまして、いま私が申しましたような気持ちで、いわゆる愛のむちに対しては謙虚にこれを受け入れて、そうしてみずから期するところもあり、今後かようなことのないように、十分事態を調べた上で適切な措置をとりたい、こういうような考え方でおるわけでございます。  なお、これは申すまでもないところでございますが、綱紀粛正については、佐藤内閣発足以来、あるいはまた八月の改造以来、特に意を用いておりまして、政府全般あるいは公務員等全般にわたりまする綱紀粛正については、説示と申しますか、そういうことももちろん抽象的にいたしまするほかに、具体的に、神経質であり過ぎると思われるほどの注意を払い、そういう事態の起こらないようなふうに努力を新たにいたしておりますような次第でございます。
  5. 押谷富三

    押谷委員 長官の御答弁によりまして、総理大臣も謙虚にこの国民の声に反省をしていらっしゃることを聞きまして、私もかくあるべきであると存ずるのでありますが、これは、ある大新聞の漫画欄に、近藤日出造さんの漫画だと思いますが、「エリ」を正すという題で、えりのない洋服を着ている総理の似顔が出ておったのであります。これはえりを正すといってえりがないという皮肉でありますけれども、単に皮肉とのみ受け取れないことは、これはいろいろ国民の批判を耳にいたしまして、一そうの政府のしっかりした腰の入れ方、姿勢を正す、全く、ないえりでも、しっかりつけて、えりを正すというこの考え方をさらに新たにしてもらって、国民が納得をしますように、いま言われました謙虚な反省ということの実のあがりますように、格別の御配慮をお願いいたします。  党内におきましても、すでに粛党の声は各方面から上がっているのであります。自由民主党は、みずから自由民主党姿勢を整えるために努力をする用意があるのでありますから、政府とともにしっかり綱紀粛正に取り組みたいと存じております。つきまして、具体的な問題で、農林大臣お尋ねをいたしたいと思います。  農林大臣は過般アメリカおいでになりまして、いろいろ国のためにも御苦労になったのでありますが、不幸にしてその間に起こりました二、三の事実につきまして、考えれば不用意であったかもわかりません、あるいは注意が足りなかったということになるかもわかりませんが、常ならば何でもないことでも、今日の時局が許さない場合があります。また大臣というお立場から許されないこともあります。  そこで具体的な二、三の問題についてお尋ねをいたすのでありますが、大臣がカリフォルニアにおいでになりましたその際における大臣随行者は、どなたとどなたであったか、お名前を承りたいと思います。
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 私のほかに、高橋秘書官経済局長水産庁生産部長谷野事務官塚田徹塚田元子であります。それに榊田喜四夫でございます。
  7. 押谷富三

    押谷委員 ただいま伺いましたうちで、榊田喜四夫という人と大臣の御関係、あるいは榊田喜四夫さんのやっていらっしゃるお仕事はどういう関係でありますか。
  8. 松野頼三

    松野国務大臣 榊田喜夫君は、東大を卒業して信用金庫に入社し、今日副理事長をつとめ、その間経済同友会常任理事海外出張語学等経歴を持った男であります。
  9. 押谷富三

    押谷委員 大臣とのつながりは、お友だちですか、それともほかに何か関係がありますか。
  10. 松野頼三

    松野国務大臣 かねてから若手経済人あるいは若手諸般各界の知己はたくさん持っております。その中の一名でございます。
  11. 押谷富三

    押谷委員 その榊田喜夫君大臣随行をいたされたのは、いかなる資格をもって行かれたか、またいかなる随行をせなければならぬ必要があったか、その点について伺いたい。
  12. 松野頼三

    松野国務大臣 これはあるいは官房長からお答えさせるほうが適切かもしれません。と申しますのは、事務的な意味が半分以上ございます。したがって、いきさつについては官房長から後ほどお答えさせますが、要するにそういういきさつのもとに適任者をだれか人選をいたしました。その適任の二、三の候補の中で——やはりこれは資格審査が要りますので、資格審査を経た上、事務的に、今日の場合これが適当であるという、各般審査の上で、これを調査員任命をいたしました。そのあともしあれでしたら官房長に補足いたさせますが、一ついきさつがありました。そのいきさつの上に立って人選をいたしました。その人選も、一般基準に合わせてやりました。それで適任であるということで、これを調査員として、私の語学補佐をあわせてこれにやらせるという意味で、任命をいたしました。
  13. 押谷富三

    押谷委員 語学補佐と、調査のための調査員という資格のように伺いましたが、もちろん官房長からお答えをいただいてけっこうなのですが、それはどういう基準をもって調査をし、この人が調査員ということになったかということと、同時に、こういうことは過去におきましても前例があるかないか、過去の前例につきましてもお尋ねをいたしたいと思います。
  14. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 調査員と申しますのは、農林省としては、水産庁食糧庁等におきまして、特定の事項調査等につきまして、民間専門家、有識者に事務的応援を求める必要があります場合に、事務委嘱するという形をとっておるのでございます。おおむね国内におきます場合には、調査員の発令を行ないませんで、事務委託の形をとって行なっておるのでございます。この場合一定の資格と申しましても、一般公務員のような基準が明確にあるわけではございませんが、委嘱すべき事務内容に精通され、また委嘱するに足る経歴、学識を持っておるかという判断をいたすわけでございます。  事例でございますが、農林省は、御承知のように各般にわたる広い行政分野を持っておりますので、従来も、たとえば食糧庁におきましても、過去におきまして、ビルマの病変米輸入防止対策現地実態調査というような仕事で、小田という日立製作所の中央診療所長委嘱したいことがございます。  なお、大臣海外への出張にあたりまして、民間人調査員をお願いして同行をいたしました例は二、三ございますが、私の記憶でも、河野農林大臣のときに、ある漁業会社の職員を調査員任命いたしまして、同行したという事例がございます。
  15. 押谷富三

    押谷委員 資格調査も十分遂げられて委嘱になり、しかもこの種の委嘱前例のあることであるとあれば、これは一応了承ができるのでありますが、この人の海外出張旅費につきましては、いかなる処置がなされておりますか、お伺いしておきます。
  16. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほどから大臣からも申し上げましたように、榊田氏につきましては、食糧庁調査員という辞令を用いまして、公務出張を命じたのでございますので、旅費法に基づきます外国旅費概算払いをいたしたのでございますが、出発に先立ちまして、当人から旅費辞退の申し出がございましたので、旅費につきましては、返納措置を終えております。
  17. 押谷富三

    押谷委員 それではこう伺っていいわけですか。榊田喜夫君旅費は、出発前にすでに返納申し入れがあったので、返納手続が終わっておった、こう伺っていいわけですか。
  18. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 出発直前のことでございましたので、手続出発後整理せざるを得ない、整理手続はそういうふうになっております。
  19. 押谷富三

    押谷委員 もう少しはっきりしておきたいのですが、申し入ればあったが、手続は少々おくれたが、出発前に旅費辞退をするという申し入れがあった、こう伺っていいですか。
  20. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 そのとおりでございます。
  21. 押谷富三

    押谷委員 これは、私は了承しているのでありますが、世間で多少うわさになっておりますから、農林大臣に重ねて随伴者のことでお尋ねをするのですが、大臣の御令嬢で塚田代議士の奥さんになっていらっしゃる元子さんを御随行になったと聞いております。その間のいきさつにつきまして、どういう理由塚田代議士奥さまを御同行になられたか、その随行理由を伺っておきたいと思います。
  22. 松野頼三

    松野国務大臣 今回の閣僚会議は、夫婦の御招待またそういう慣例でございます。私の家内外国旅行することは健康が許しませんので、私の娘がそれにかわるというので、私の家内代理ということで了解を得まして、それで同行をいたしました。
  23. 押谷富三

    押谷委員 大臣奥さま招待があって、それのかわりに塚田元子さんがいらっしゃった事情はわかりますが、それは相手国においての了解のもとになされているのですか。あるいは大臣がしかるべくお取り扱いになったのか、その辺の関係はどうですか。
  24. 松野頼三

    松野国務大臣 もちろん、私が進んで連れていくという意味じゃなしに、私の家内を連れていくということが慣例であると聞いております。したがってそのかわりに元子という候補を選びまして、もちろん両国とも正式にそれでよろしいという了解のもとで、私もあえてそれを進んだわけでございます。代理としてこれを代行させただけであります。
  25. 押谷富三

    押谷委員 その間の事情は明らかになりましたが、この塚田元子さんの旅費関係につきまして、多少問題がいろいろと取りざたされているようでありますが、この際、旅費関係を御承知であれば、明らかにしていただいたほうがよかろうかと思います。
  26. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 塚田元子さんの日加閣僚会議への同行につきましての経緯は、大臣からお答えを申し上げたとおりでございますが、その旅費につきましても、出発に先立ちまして概算払いをいたしておりますので、この塚田元子さんは特別の身分を持つことなく、一般民間人として出張依頼農林大臣名でいたしたわけでございます。その扱いは、今回日加閣僚会議に御出席になりました各閣僚の御夫人方と同様な扱いでございます。しかしながら、出張依頼をいたしますれば、旅費法に基づく旅費の支給を要するのでございまして、日加閣僚会議にホステスとして御出席を願うという往復の旅費については、当然支払うべき性質のものでございますので、御帰国後精算をいたしております。
  27. 押谷富三

    押谷委員 了承することができましたが、いま一つ大臣随行者に、近畿放送局の副部長で、坂内虎雄という人が御一緒になっておりますか。
  28. 松野頼三

    松野国務大臣 全然これは関係ございません。
  29. 押谷富三

    押谷委員 それではいま一つ、重要な誤解のあるところが世間取りざたをされておりますので、これも明らかにいたしておかなければならぬと思います。それは、大臣の今次外遊に当たっての日程でありますが、ラスベガス等に、どうも観光旅行をするというような日程があって、それがなくなって、二重につくられたとか、いろいろな取りざたはされております。常のときならば、ラスベガスに行ったからといって、さようにとがめられるべき筋合いではなかろうと思いますけれども、今日の時局からいくと、なかなかそうはまいりません。そう甘い考え方は持てないのでありますが、そういうこともよく御承知であろうと思います。さて、その日程はいつごろ組まれて、その日程どおりの御旅行をなさいましたか、その辺のところはどうなっているのですか。
  30. 松野頼三

    松野国務大臣 私は、アメリカ日程で十一日に出発をしまして、十三日に日本帰国をいたしました。したがって私の歩んできた予定決定と申しますか、旅行は、二日に日本出発して十三日に帰国いたしました。日程表のいろいろな問題がありますが、これは、私よりも事務当局のほうが適切かと思いますので、官房長に答弁いたさせます。
  31. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 松野農林大臣の今回の外遊日程につきましては、九月十六日の閣議に承認を求めました日程が、公式の日程の大ワクでございます。その資料によりますれば、出張の期間は十七日間でございます。出発は十月二日、帰国の期日は十月十八日、出張の目的は、カナダ国オタワにおいて開催される第四回日加閣僚委員会出席、並びにメキシコ合衆国及びアメリカ合衆国における農業事情及び流通機構視察のためということに相なっております。日程の概要につきましては、十月二日東京発、十月四日モントリオールを経由しましてオタワ着、十月の七日オタワ発、同日ナッソー着、八日ナッソー発同日メキシコ着、十月十二日メキシコ発ロサンゼルス着、十六日ロサンゼルス発ホノルル着、十七日ホノルル発東京着という日程に相なっておるのでございます。
  32. 押谷富三

    押谷委員 いま表に出された日程はわかりましたが、そのほかにいま裏日程ということばが出ましたが、二重の、他のスケジュールを持っている日程はございませんか。
  33. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 数カ国にわたる海外出張を経験をなさいました方は御理解いただけるかと思いますが、これだけの旅行をするということに相なりますと、交通機関あるいは休養地選択等で、数種の案を事務的にはつくるものでございます。その数種の日程をつくったのでございますが、最終的といいますか、私ども事務当局省内等配付をいたしました最終の日程では、ただいま申し上げました閣議決定ワク内で休養地をどこにするかという問題を、旅行社の意見に従って事務的にかりに予定をいたしまして、発表いたしたものがあるのでございます。  なお、事務的に配付をいたしました資料に至ります過程において、大臣伺いを立てまして、御指示を得た日程案というものがなお別にあったということでございます。
  34. 押谷富三

    押谷委員 なお別にあったというその日程の中には、休養等関係もありましょうが、アカプルコとか、あるいはラスベガスとかいうようなものが日程に組み入れられたものを、別に用意されたようなことがあるのですか。
  35. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 ただいま申し上げましたように旅行日程については、検討段階においてかなり変化をいたしたのでございますが、大臣から、こういう日程で考えろという指示のございました資料によりますと、アカプルコあるいはラスベガスという宿泊地指定はございません。
  36. 押谷富三

    押谷委員 そうすると、最後に大臣の御決定になりました大臣日程の中には、ラスベガスあるいはアカプルコは含まれておらなかったと承っていいわけですね。
  37. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私ども外国事情にそれほど詳しいわけでもございませんので、合理的なと言いますか、最も好都合な日程ということになりますと、えてして専門家であります旅行社にたよる傾きがあるわけでございますが、したがって私ども農林省として、日程表——日程と言いましても、これは厳密には旅行予定表でございますが、予定表として配付したものにはラスベガスが載っておりますけれども、大臣から御指示のあったところは休養ということに相なっておりまして、ラスベガスの御指定はないのでございます。
  38. 押谷富三

    押谷委員 どうもあいまいなことでありますが、結局大臣ラスベガスアカプルコに立ち寄られる予定があったかないかということになると、あったと承るべきですか、あるいはそういう予定はなかったと承るべきですか。日程としてどちらですか。官房長どちらです。
  39. 松野頼三

    松野国務大臣 いろいろな日程を私のところへ持ってまいりました。私自身、日程の正確なことの——現地は初めてのところがありますので、正確にわかりませんが、要するにそういう感じで、こういうところは適当じゃないぞと言って、指示したものがございます。その他のところは、御承知のごとく、現地の領事館あるいは現地の大使館に日程をまかせるほうが適当であるという感じもありましたので、そうきっちりきめるということはよしあしであるぞと言って、私はそういう指示をいたしました。その結果いろんな日程を組んでおったと思います。私も、いろんなものを持ってきましたから、一々覚えておりませんが、そういうわけで、結局何回か変わったことは事実だと私は思います。ただいま官房長の言いましたのが、ただいま私が言いましたような指示のもとにつくった日程であろう、私はそう信じております。
  40. 押谷富三

    押谷委員 単に日程一つをとってみましても、当然、長の旅行中に休養する場所を選ぶ、それが常のときならば看過されることでありましても、今日の時局からいたしまして、いろいろ問題をかもすことが考えられるので、私もお気の毒だとは存じますが、こういうような問題がいま取りざたされるということにつきまして、農林大臣はどういう御心境で、この世間の批評に対していかなるお考えを持っておるか、最後の結びとして、農林大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  41. 松野頼三

    松野国務大臣 私の真意でない姿に受け取られて、まことに遺憾に感じまして、深くみずから考えさせられることがございます。
  42. 押谷富三

    押谷委員 農林大臣関係はこの程度にいたしまして、防衛庁長官関係についてお尋ねいたしたいと思います。   〔山田(長)委員「関連」と呼ぶ〕
  43. 吉川久衛

    吉川委員長 山田君、わかっています。
  44. 押谷富三

    押谷委員 政務次官お尋ねしますが、防衛庁長官アメリカおいでになったのは何日でありましたか。
  45. 長谷川仁

    長谷川説明員 出発いたしましたのは十月七日でございます。
  46. 押谷富三

    押谷委員 十月七日といいますと、国会におきましても世間においても、防衛庁長官に対する批判の声が相当出ておった時分ではないかと思われるのですが、時間的にそういう時分にアメリカおいでになったために、世間ではいろいろこの問題について批判をいたしております。お聞きのとおりだと思いますが、防衛庁長官おいでになるときに、国会で防衛庁長官のお国入り問題等について取り上げられるであろうことをあらかじめ御承知の上、アメリカおいでになったようなことはないのですか。この点について、御本人に承るべきでありますが、一応政務次官から伺いたいと思います。
  47. 長谷川仁

    長谷川説明員 長官の意思を代弁するわけにはまいりませんけれども、渡米のいきさつを御説明申し上げたいと思います。  それは、上林山長官が就任いたしましてから間もなく、八月初旬だと思いますが、米国政府から公式に御招待申し上げたい、こういう御連絡がございまして、そうして、当初はマクナマラ長官とは十二日に会見するという予定でございました。ところが、御案内のとおりに、マクナマラ長官がベトナムに参りましたために、これが延期になりまして、二十日にマクナマラ長官と会見する、その後の日程につきましては、陸軍士官学校、それから兵学校、それからコロラドスプリングスの基地ほか四カ所を回りまして、二十五日の十七時二十五分に帰国する予定になっております。したがって、委員会に呼ばれるということについて本人はどう考えていたのか、一部のうわさでは避けたのだというようなことがございますけれども、決してそうではございません。これはアメリカ側の公式の招待にこたえて日程を組んだわけであります。
  48. 押谷富三

    押谷委員 おいでになるのはアメリカの公式招待に基づいていることは、われわれも了承をいたしておりますが、当委員会においても、いま私を皮切りとして、防衛庁長官のお国入りの問題は、野党の諸君からも相当追及をしようという心がまえでいらっしゃるようでありまして、これは単に決算委員会のみならず、衆議院、参議院の各委員会においても、この種の問題は相当大きく取り上げられる情勢にあるのであります。こういうときに、その当の本人である、責任者である御本人が、アメリカでゆうゆうとよそをながめて歩いているというようなことは、これは大臣としての態度としてはとるべきではないと、私は与党の議員としても考えるのです。二十日に向こうの関係者とお会いになるのはけっこうですけれども、それから後の四日間、五日間というものは、これは見物をなさるのです。もちろん参考のためにいろいろ政治上の見物もありましょう。調査もありましょうが、国会において自分の問題が重要な課題となって、審議の対象になっているというこの段階において、よその国でのほほんとしていることは許されません。私は、御関係者も、早く帰られるように何とかの処置をせられるのが正しいと思いますが、この問題についてどうお考えになりますか。いまこうして国会では上林山長官の問題が取り上げられているのです。各委員会も取り上げようとしているのです。そのときにあたって、当の御本人がアメリカでのほほんとしている。これは私はとらざるところだと思うのです。政務次官、御関係者としてどうお考えになっていますか。
  49. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただいま押谷委員の、マクナマラ長官と会見後のほほんとして四日間を過ごすというような御表現がございましたが、私どもといたしましては、マクナマラ長官会見後に、防衛庁長官として、今日の米国内の軍事基地の施設を視察するということはきわめて重要なことじゃないかというふうに思いますし、かつまた、せっかくアメリカ政府が組みましたところのスケジュールを急遽変更するということは、国際的な儀礼という点におきましてもどらかと思いますので、私どもとしては、これは予定を変更する予定はございません。しかしながら長官を急速呼び戻すべきかどうかということに対する答弁は、政務次官ではなくして、官房長官がおられますので、官房長官にしていただきたいと思います。
  50. 押谷富三

    押谷委員 私は、いま呼び戻すとか、そういう手続の問題をお尋ねしているのではありません。また向こうの軍事基地を見ることの必要性を否定しているものでもありません。しかし国会という重要な場所で、自分のとった過去の態度についていま審議をされようとしているこの問題だけは、これは絶対大切なことであります。このことは、国際的儀礼をきつく妨げない限り、失礼に及ばない限り、このことが優先をしなければならぬ。まず国会へ出て、自分の立場を明らかにする、当時の事情を弁明するということが大臣として、長官として必要なことではなかろうかと私は思うのでありまして、あなた方らに呼び戻しなさいと要求をするものでもありません。また呼び戻して帰るようなことはかえってよろしくないことで、自発的に事態を正視して、みずからを顧みてこの問題に対処せられることがよいのではないか。そのためのアドバイスはやられるべきではないか。私はそういう事務的な手続を言っているのではなくて、そうした長官としての正しい政治姿勢というものが、国会において問題になっている、自分が行って早く弁明をするとか謝罪をするとか、適当な処置をするというこの態度、これがいま国民が求めている政治姿勢えりを正すというのはこれをいうのです。それをやらずに、そのアドバイスをやらずに、私はこれはどうも受け取れないと思うのですが、そういうアドバイスをやる考えはないのですか、助言をしてやる考えはないのですかということをお尋ねします。
  51. 長谷川仁

    長谷川説明員 アドバイスをしたかどうかということにつきましては、私どもすでに二度にわたりましてワシントンに国際電話をかけまして、そうして今日の政局はこうなっている、また長官をめぐりまして新聞報道はこうであるというようなことにつきましては、私どもとして詳細にできるだけの報告はいたしております。かつまたそれに対して何を言ったかということにつきましては、これは本来ならば長官がお帰りになってから、長官御自身がお答えになるべきでございましょうけれども、現在の長官の心境の一端を伝える電報といたしまして、ワシントンの十三日の共同特派員の電報——これはもちろん私は長官のすべての意向を伝えているとは考えられませんけれども、その中から感じとられますことは、「お国入りと鹿児島、熊本の郷土部隊初巡視とを一緒にやったので混同して受け取られた点があったとしたら、いま考えてみて少し配慮が足りなかったように思う。」という反省のおことばがあったことは、これは新聞報道にもあるようなわけでございます。
  52. 押谷富三

    押谷委員 この問題で、さような声明のあったことも新聞で見ました。また、多少国民の誤解を受けたことを遺憾であるという言いわけめいたことも言っていらっしゃる。しかしマクナマラ長官とお会いになることは、これはやめられないと思うのです。国際的な大きな儀礼もありますから、これはおやりになるのがよかろうが、その後直ちに帰ってきて、そしてみずからその弁明の衝に身をもって当たるという態度が必要ではないかと思うのです。私は希望いたします。自由民主党、与党の代議士として希望いたします。こういう態度は大臣としてとらないところである。これはとってはならない態度である。実際は早く帰って、そうして自分の考えている所信を披瀝せられるなり、あるいは反省すべきものは反省の意を表するということが一番正しい態度である、これがえりを正す一番正しい道であると考えますから、でき得ましたならば、そういう助言をしていただきたいということを要望いたしておきます。  そこで、本論のお国入りの問題についてお尋ねをするのでありますが、お国入りはなかなかはでなものであったと聞いております。たしか九月の二日でありましたか、上林山長官が初めてお国入りせられるときに、天野統幕議長と吉江陸幕長あるいはその他官房長らの大幹部を多数引き連れてお国入りになった。こういうことは過去において例がありますか。えらい人を全部引き連れて堂々と凱旋将軍のようなお国入りは、これははたして過去において例があるか、その点を伺っておきたいと思います。
  53. 長谷川仁

    長谷川説明員 従来、防衛庁長官が地方の部隊を視察する場合に、陸幕長あるいは海幕長、あるいは海幕長と空幕長、こういうふうに帯同したという例はございます。あるいは単独に空幕なら空幕、陸幕なら陸幕と帯同したことはありますけれども、各幕僚長、統幕議長をお連れしたのは今回が初めてでございます。  しかし、統幕議長以下各幕僚長をお国入りだけに連れていったわけじゃないと思います。それは八月以来、六日には練馬の部隊、それから九日には横須賀基地、それから十三日の入間基地、これはいずれも統幕議長とそれから三幕僚長を帯同しておりますから、ここでもしも鹿児島に連れていかないというと、かえってこれはおかしなことになります。ですから、練馬、横須賀そして入間と、この三基地も連れていっておりますので、鹿児島にも連れていった、こういうわけでございます。
  54. 押谷富三

    押谷委員 まあ、あまり白々しい弁明はちょっと受け取りにくいのですがね。いままで例のないことをおやりになって、世間批判を受けているのですから、これは御本人でなければいけませんが、しかし何といっても、御本人よりも、ついている人、大ぜいがついて歩いたのですから、そこでついて歩いた人もみずからを反省して、これはあまりどうも大名行列に過ぎたとか、あるいは凱旋将軍のようなかっこうをし過ぎたとかいうようなことがあるならば、これはついていった人も反省が必要なんです。私は単に上林山長官だけをいま言っているのではなくて、いやしくも身は自衛隊のえらい人である、すべてを指揮しているようなえらい人、幕僚長というような人が、ぞろぞろと行列をしていくというかっこうはいけません。また、政務次官お答えのうちに、練馬を見たとか横須賀を見たから、そこで鹿児島へもみな一緒に行かなきゃいけぬじゃないかという、その考え方もまた変じゃございませんか。それはよほどお考えになる必要があると思います。が、これはいずれ上林山長官がお帰りになってから聞くことにいたしまして、この際聞いておきたいのは、従来のこういうお国入りに際して、小学校の児童が、二校でしたか、旗を持ってお迎えをするというかっこうをしたようでありますが、こういう例はありますか。
  55. 長谷川仁

    長谷川説明員 これも、私の答弁のいかんによりましては、まことに苦しい釈明になるかもしれませんけれども、これは地元の行事でございまして、別に長官がこうしろ、あるいは防衛庁がこうしろというような命令あるいは指示をいたしたことはございません。
  56. 押谷富三

    押谷委員 地元がたいへん喜んで、地元の小学校の児童が出たということも受け取れます。しかし、これはあらかじめわかったら、やはり断わりをせられるほうが謙虚でよかろうかと思いますので、この問題で直ちに長官の責任を問うとか、あるいは防衛庁の責任を問うなどということはいたしませんけれども、今後こういうことがあらかじめわかったならば——大臣のお国入りに旗を持って迎えるということも他にもあります。これは上林山長官だけの問題ではありませんが、郷土から大臣が出た、うれしいというあまり、こういうこともありますけれども、これは官房長官にもお願いをいたしておきたいのですが、あり得ることであって、しかもこういうことは慎むべきことではないかという感じがいたします。これは悪いというほどのこともありませんが、いま問題になっておりますから、これについての判断というものもやはりしてもらう必要があるのではないかという感じがいたしますから、お尋ねをしたのであります。  もう一つ上林山長官のことで、串木野高校の校庭へ、ヘリコプターで授業中に着いたという事実があります。こういう事実がございますか。
  57. 長谷川仁

    長谷川説明員 この実情につきましては、官房長からお答えいたします。
  58. 海原治

    ○海原説明員 この件につきましては、先ほど参議院の内閣委員会でも御質問がございまして、お答えしたことでございますが、私どもとしましては、地元のほうであらかじめ学校関係者と相談をいたしまして、校庭にヘリコプターでおりてもいいということの許可をとったからということの連絡で、ヘリコプターの、定められました飛行場外における着陸の許可という手続はいたしております。ただ問題は、ホーム関係のときではございましても、それがたまたま授業中になっております。この点につきましては、私ども今後いろいろと考えなければならないというふうに、現在感じておる次第でございます。
  59. 押谷富三

    押谷委員 この手続上の問題、あるいは、これが違法であるかどうかということについての、いま官房長お答えは了承をいたしました。授業中に、校庭へヘリコプターを大きな音をして着けたということについては考えなければならぬというおことばだけでは、少々納得がいきません。これはよろしくありません。もっと配慮が足りな過ぎるんじゃないかと思いますが、今後もあることです。学園において、神聖な教育をしている場所に、防衛庁長官というおえらい人がヘリコプターで着けて、そして、その音のために授業を妨げるということは当然考えられるのですから、それは考えるというような単純なことばで、官房長の答弁は受け取れません。それについてのもう少ししっかりした官房長の御所見を伺っておきたい。
  60. 愛知揆一

    愛知国務大臣 立ちましたから……。先ほど来いろいろ御意見がございましたが、先ほど申しましたように、今後の場合におきましては、十二分な注意を払ってまいりたい。御参考に申し上げますが、たとえば佐藤総理大臣がいわゆる国内視察を始めました場合におきましても、学校その他を視察いたします場合は、十分そういう配慮でやっておるような次第でございまして、今後各閣僚におきましても、なお一そう注意をして行動をしてもらいたい、かように考えます。
  61. 押谷富三

    押谷委員 最後に、きょうの私の質問は与党の委員として質問をいたしたのであります。これは与党からこういう質問をせなければならぬという、いま緊迫した事態にあることをよく御了承願わなければなりません。官房長官が愛のむちということばを使われました。総理大臣もよく愛のむちということばを使われます。与党が、こうして政府御列席の方々に詰問的な質問をしなければならぬのは、これこそほんとうの愛のむちでありまして、どうかその気持ちで、私の質問に対して深い反省をお願いをいたしたいと思います。  質問を終わります。
  62. 吉川久衛

    吉川委員長 押谷君の松野農林大臣海外出張に関する質疑に関連をいたしまして、山田長司君の発言を許します。
  63. 山田長司

    山田(長)委員 海外出張勝澤委員がやりますから……。ただ、松野農林大臣に、関連で一点だけ伺いたいと思います。  それは、大臣就任早々、事務局で、あなたの乗る専用車の用意をされたそうですが、その車がぼろだと称して、新たに新車一台を購入したという話がありますが、事実かどうか。農林省としてはばく大な年度予算を擁することであって、一台の購入車などはそう問題じゃないかもしれません。しかし、全国の数百の出先事務所においては、千円か二千円の金でも、経費節約にきゅうきゅうたるものがあります。私はかつて当委員会で新潟の亀田郷の視察に行ったときに、若い橋本というその場所における研究所員が、オートバイで一日じゅう何百キロという間の調査をして歩いているけれども、ガソリンがなくて歩く個所があるという話を聞いた。国費を私物視したり、自己一身の虚栄のために数百万円の自動車を就任早々用意するに至りましては、これは地方の人たちに対する容易ならない影響を持つものと私は思うのです。この点、大臣の所見をひとつ伺っておきたい。
  64. 松野頼三

    松野国務大臣 事務的なことで、官房長からお答えいたさせます。
  65. 山田長司

    山田(長)委員 事務的なことではない。それはあなたが強調したことによって、自動車の買い直しをしたという話である。この点はやはりあなたの姿勢を私は聞いている。
  66. 松野頼三

    松野国務大臣 いま私が申しましたのは、買うについてのいきさつについて、官房長からお答えをさせるつもりでございまして、私の気持ちとしては、特に自動車を買えとかどうだという気持ちはございません。買ったということについてのいきさつを、官房長からお答えさせるほうが明確であると私は思います。
  67. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 ただいまお話がございましたように、まだ正式に支払いを完了いたしておりませんが、大臣用の新車を発注をいたしまして、最近完了いたしましたことは事実でございます。農林省事務当局といたしましては、大体自動車の損傷程度を見まして、政務次官の車については大体三年間ぐらい使用いたしましたあと、各局長あるいは部長に下げていくというやり方をやっているのでございます。草野政務次官の車が六三年型でございまして、更新の時期でございます。草野政務次官の車を新調いたしますか、大臣に新しい車を求めまして、大臣の車を政務次官に回すか、いずれかの方法しかないわけでございます。草野政務次官の御希望は、現在大臣の乗っておられる車を回してもらいたいという御希望でございますので、大臣の新車を調達をするということにきめたのでございます。特に大臣大臣用の車を、理由なく事務当局に新調を命じたということではございません。
  68. 山田長司

    山田(長)委員 農林省の予算からすれば、新車一台を購入する予算という問題は大したことじゃないというものの考え方のようですが、これが末端の数百の農林省の地方における事務所に及ぼす影響というものを考えたときに、そういうことがなされる場合でも、決していままで大臣の乗っていた車が悪いのじゃないのです。それがボロであるというふうなことをかりに言って乗りかえられたものとするならば、これは私は考え方がたいへんな間違いだと思うのです。さらにこれは数百万円するという話ですが、一体どういう車を買ったのですか。
  69. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 新車はニッサンプレジデントという国産車でございます。まだ価格は、最終の交渉が終わっておりません。と申しますのは、完全に購買方式にするか、それとも農林省のどれかの車との交換方式をとるか、きまってないものですから、現在試乗中でございますが、一応三百万前後という価格であるということになっております。      ————◇—————
  70. 吉川久衛

    吉川委員長 手続の都合がございますので、質疑の途中でございますが、この際お諮りいたしたいことがございます。  本件調査のため、参考人として、農林中央金庫より楠見義男君に御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人出頭の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  73. 吉川久衛

    吉川委員長 質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 松野農林大臣日加閣僚会議出席に対しまして、いろいろといま押谷委員から質問がありましたが、まだ相当な疑問がありますので、それについて、引き続いて質問をいたしたいと存じます。  その前に、日本側からの出席閣僚と、そしてそれに対する随行はどういうふうに出ておりますか、おわかりになりますか。
  75. 松野頼三

    松野国務大臣 各閣僚の随員の全員を私は存じ上げておりません。会議出席いたしましたのは、外務大臣、大蔵大臣、通産大臣、企画庁長官、私と、五閣僚であります。随員まで私は承知しておりません。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関係がどこかわかりませんから、官房長官にちょっと要望しておきますが、日加閣僚会議出席した閣僚並びに随員の名簿、それからどういう旅行日程出発され、帰着されたか、この点を資料としてお出し願いたいと思います。  それからもう一つ、いま、川島副総裁ですか、あるいは特命大使というお名前ですか、御出張されておりますが、どういう方々が出ておられますか。それから随行がどういうふうになっているか、その点おわかりになりましたら、お答え願いたいと思います。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまここに資料をあいにく持ってまいりませんでしたから、できるだけすみやかに、両件合わせて資料として提出いたします。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 農林大臣お尋ねいたしますが、日本を御出発なされてから帰るまでの日程ですね。どういうふうにお回りになったのかという点。先ほど事務的なことだから、こう言われておりましたけれども、実は実務的なことが、どういうふうにお回りになって、どういうふうにして十三日お帰りになったかちょっとわからないわけであります。その点おわかりになりましたら、あるいはおわかりにならなかったら、随員でどなたか行った方がおられるでしょう。どういうふうに回ったかという点をちょっと御説明願いたいと思います。
  79. 松野頼三

    松野国務大臣 二日に東京を出発いたしまして、向こうの日にちの二日にカナダに到着いたしました。三日、四日、五日、六日まで会議がございました。七日に出発をしまして、七日の晩にナッソーという島に泊まりました。八日からメキシコへ参りました。十日にメキシコの農林大臣と会見をいたしました。十一日にたって、日本に帰ってまいりました。これが私の全日程でございます。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで実際の日程はわかりました。それから、最近伝えられるところによりますと、新しい日程が発表されたようでありますが、新しい日程によりますと、少し合わないところがあるわけです。八日にオタワを出て、その晩はニューヨークに泊まって、九日にニューヨークを出て、それから十日、十一日メキシコ、こういうふうになっておるわけですが、この新しい日程と、いまの実際回ってきた日程との相違はどういうわけでしょう。
  81. 松野頼三

    松野国務大臣 今回の目的は、日加会議、メキシコの農林大臣に会うこと、ロサンゼルス周辺の果樹園、農園の視察をすること、この三つが私の主たる目的であります。したがって経過地につきましては、飛行機の都合、時間によって変わることは、私は気にしておりませんでした。したがってその日にちが、ナッソーのほうの飛行機がとれるというのに変わったと私は思います。したがって日程そのものは、目標は三つでしたから、ニューヨークは何も特別な目標とか予定とか日程は組んでおりません。その変更は、オタワの会議が終了したそのころに、次のメキシコ行きの日程をきめたわけであります。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、その新しい日程というものは、最初からあったものでなくて、あなたがお帰りになってから、飛行場に着いたとたんに、官房長ですか、あるいは次官ですか、飛行機の中にお入りになって、打ち合わせをされて、つくられたものだという前提に実は立っているわけです。その中で食い違っているのは、発見された日程というのはニューヨークになっている。あなたの実際のところはナッソーだ。ですから、じょうずの手から水が漏れたといいますか、化けの皮があらわれたと私は見ているわけです。私はそう認識するわけです。ですからその点を御質問いたしました。  それでは、次に、もう一つ日程があるわけです。日程は実は二つあるようですが、三つあるわけです。もう一つ日程は、アカプルコへ行ってラスベガスへ行く日程なんです。そういう日程があるのです。その日程については、武田事務次官は、十一日の段階アメリカでいったら十日の段階ですね。あなたは十日に帰国を決意された、こちらは十一日に連絡したわけですけれども、実は十日。日付変更の関係でそうなりますから、全く合うわけです。このときに武田事務次官は、メキシコはトウモロコシや水産業をやっているのだから、アカプルコは農業地帯だから、それからロサンゼルスは日系人もおって園芸をやっているから、ラスベガスは日米の経済の問題だ、こういうふうに、実は武田事務次官が新聞記者に語っておるわけであります。これが武田事務次官の報告として載っておるわけでありますから、武田事務次官はあなたの日程の中にアカプルコラスベガスも入っておるということを承知いたしておるわけであります。それを、そうでないと、こう言っているから、実は新しい日程表を出さざるを得なくなっているわけです。ですから、すなおにその日程、入っておりましたというならばそれでいいわけでありますけれども、まさに何か小手細工をつくってやっておるから問題になっておるわけです。この点いかがですか。もし違うのだったら、これは武田事務次官が記者に語っておるわけですから、明確になると私は思うのですが、いかがですか。
  83. 松野頼三

    松野国務大臣 そういう小手細工をしておりません。そんな、飛行機の中で日程を急につくったということはしておりません。その原文は私の出発する前の問題であります。ただいま私が申しましたのは、出発する前の問題であります。少しも最近つくった日程ではございません。じょうずの手からといいますか、そんなに私があれならもっと——そんなことはしておりません。そのままの姿で、食い違いは食い違いのまま御説明しておるわけです。そのままの姿です。その食い違いがどうしてあったかということは、私はおりませんでしたから、もし御必要なら、そのいきさつについては、事務次官よりも官房長がおりますから、そのいきさつ、当日のことは、官房長からお聞きいただけば、私の言うことが御理解いただけるのじゃないかと思います。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは官房長お尋ねいたしますが、事務次官は新聞記者にこう語っておるわけです。農林省を色めがねで見ないでほしいと前置きをして、「メキシコはトウモロコシを産出するし、水産業も日本の船が行くので関係は深い。アカプルコは農業地帯だし、ロサンゼルスは日系人の園芸農業も盛んなところ。ラスベガスだけは週末の経由地として寄るところだ……」と弁解をしている。十一日の夕です。武田事務次官がこう語っておるわけであります。そして今度は武田事務次官がその晩の十時四十分にメキシコ滞在中の農林大臣と電話で打ち合わせした結果、急遽帰ることになった。十一日の午後十時というのは、計算をしてみれば向こうの十日になるわけでありますから、農林大臣が決意されたのと全く合うわけであります。ですから、武田事務次官でさえも、こういう日程があると思っておったわけでありますから……。官房長いかがですか。
  85. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほども申し上げましたとおり、農林省事務当局農林大臣旅行予定表を対内的ないし記者クラブ等へ配付をいたしましたものは、旅行社の意見を徴しまして、最も順調に旅行のできるコースを選ぶように考えて決定をいたしたのでございます。私も、実は大臣が飛行場にお帰りになるまで、私どもが発表しましたものが大臣の御意図どおりの日程であると思っておったのでございます。ところが農林大臣から、自分が出発前に指示をした日程はこういうことになってなかったはずだ、調べてみろということで、調査をいたしましたところ、確かに数次日程の変更があるのでございますが、農林大臣指示によりますカナダ、メキシコ、米合衆国旅行日程というものがあるわけでございます。それがただいま申し上げました、私どもが発表といいますか、配付をいたしました日程表と違ったものであったということを事後に発見いたしたのでございます。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣の意図とは関係ないとしても、ラスベガスアカプルコが入っておったということはお認めになるわけですね。それが大臣の意図とは違っておったかどうかというのはいいですよ。武田事務次官もそう思っておったのですから……。ですからそういうふうに思っておったということだけはっきりしてくれればいいのです。
  87. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 武田事務次官も、配付をいたしました旅行予定表が最終的な日程表であるというふうに理解をしておったことは間違いございませんし、またその表にアカプルコラスベガスが、途中の経過地あるいは宿泊地として載せられておることは事実でございます。
  88. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで最初日程がわかりました。しかし、それは大臣指示した日程とは違っておった、こういうわけであります。しかし、大臣指示した日程というのは、この新聞で見てみますと、十二日にロサンゼルスへ泊まって、十三日にまたロスへ泊まって、十四日にロスに泊まって、十五日にロスに泊まって、そして十六日にロスを出ているわけであります。ロサンゼルスというところは、私も知っておりますけれども、こんなにロサンゼルスに四日間もいる用事があるかないかという判断をしてみると、これは実はつくられた日程だといわざるを得ないわけです。これはかりに大臣がこういうふうに計画されたとしても、このあなたの予定日程の中で、ロサンゼルスが無理に四日もごまかさなければならなかったようになってしまっておるのです。ですからどうしても不自然なんです。私は最初行くつもりだったけれども、それはおれの指示でやめたのだというならば、それでさっぱりするわけです。しかし、初めからおれはそういう気がなかったのだということになると、そこが、私はつくられた日程表になると言うのですよ。これはあなたが幾ら答弁したって、ロサンゼルスがあまり多過ぎるのじゃないですか、この日程の中で四晩も泊まって。どうです。
  89. 松野頼三

    松野国務大臣 当初、私はロサンゼルスの果樹園と米作地帯を希望いたしました。米作地帯を見たい。米作地帯はなかなか遠方であるという話がありましたから、いずれそれはロサンゼルスへ行ってから予定はきめられるであろうし、また、たまたま水産問題がございましたから、水産庁の生産部長をロサンゼルスへ帯同して、その日程の中に水産を入れたいと私は考えたわけです。生産部長はカナダまで参りまして、そうしてそこに生産部長は十一日までに来ておりました。そういう意味で、ある意味ではそこに幅を持たしたことは事実でありますが、私自身が少しもその問題でどうという気持ちは持っておりません。日程ですから、多少長かった、短かったということはありますが、私は最初は米作地帯を見たかった。しかし、非常に遠隔地であるために、日にちがはたしてどうかと思いましたから——そのころ水産問題がございました。私がカナダへ行ったころから、水産問題がアメリカで問題になっておる。そこで生産部長を帯同して、ロサンゼルスでは、私は水産を見たいという計画を実は持っておりました。もちろん計画は変更しております。しかし、その四日間という日にちが念頭にありましたから、私の計画も可能じゃないか、こう考えたわけであります。しかし、現実にはその日にち前に帰ってしまいましたから、その計画も実際は実行いたしかねております。
  90. 勝澤芳雄

    勝澤委員 もう一つ、つくられた日程の中に、実は重大な問題があるわけであります。まあ問題が問題ですから遠慮いたしておりますけれどもつくられた日程であることは間違いない。その点はっきりいたしましたから、それでは次の問題に移りますけれども、今度は費用の明細であります。これは官房長でいいでしょう。ひとつ随行者の各人別、大臣を含めて、計算の基礎、これをひとつ御説明願いたいと思います。
  91. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 日加閣僚委員会出席のための海外旅行についての各人別の経費につきましては、概算額の総額は手元にございますが、計算基礎というのはちょっと手元にございませんので、御説明をいたしかねますけれども、一応申し上げますと、大臣につきましては、当初の概算額は七十八万三千六百五十円でございました。これを、日程の変更がございましたので……
  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはいいです。日程の変更はいいですから、最初支給したやつにしてください。いつからいつまで、出張期間。
  93. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 出張期間は二日から十三日まででございます。
  94. 勝澤芳雄

    勝澤委員 十八日までの計算でしょう。
  95. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 概算は二日から十八日まで、精算額は……
  96. 勝澤芳雄

    勝澤委員 精算を聞かないのです。一番最初のものです。最初のものでいいです。
  97. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 最初は二日から十八日までの概算額で……
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 全員それでやってください。
  99. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 七十八万三千六百五十円。それから令嬢の塚田元子さんは同じく七十六万五千六百二十円、それから事務取り扱いの高橋事務官については六十九万七千百六十円、榊田調査員につきましては七十六万五千六百二十円ということに概算額はなっております。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あとの人はどうなんですか。
  101. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 あとのはちょっと手元にございませんが、あとの随行者は、カナダから直行して東京へ帰る予定になっているわけでありまして、亀長水産庁生産部長だけは途中命令変更をいたしておりますが、手元に資料がございませんので、ちょっと御説明いたしかねます。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは次に、旅券の発行は、いつどういう旅券を発行しておるのですか。
  103. 内藤武

    ○内藤説明員 お答えいたします。  大臣につきましては外交旅券、それから塚田夫人につきましても外交旅券、それから、そのほか農林省関係随行された方につきましても、これはそれぞれ外交旅券が出ております。榊田調査員につきましては公用旅券が出ております。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 高橋さんというのは……。
  105. 内藤武

    ○内藤説明員 これも外交旅券になっておると思います。塚田代議士は公用旅券です。
  106. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどちょっと押谷委員からお尋ねいたしましたが、榊田さんと大臣との関係を、もう少し明確にひとつ説明願いたいと思います。
  107. 松野頼三

    松野国務大臣 政治家ですから、いろいろな人物を各界知っております。若手の中でも何十人か優秀な青年実業家あるいは青年の運動すべて知っておりますが、そういう知己であって、特別に縁類だどうだという、そういう意味ではございません。
  108. 勝澤芳雄

    勝澤委員 随行の必要性といいますか、なぜ榊田さんを連れていかなければならなかったのかという点について、御説明願いたいと思います。
  109. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 松野農林大臣の今回の外遊に際しましては、それぞれ国内行政の担当部局からは一名ずつの随行を命じたのであります。なおそのほかに秘書官が当然随行をするという慣例になっておりまして、これもつけたわけでございます。当時、といいますのは、日加閣僚会議への出席閣僚がきまりました当時、私と武田事務次官の間では、課長級で英語のたんのうな者を一名つけたい、公式の会議等では、外務省関係の正式の通訳がおりますので必要ないのでございますが、今回のような旅行ということに相なりますと、非公式な場における向こうの知名士の応接でありますとか、あるいは現地調査視察でありますとかいう場合に、通訳の援助を必要とするという見地で考えたのでございます。そういう人選に立ちますと、経済局に適当と思われる課長が二名いたのでございますが、一名は大臣帰国前に東南アジアの調査出発することに内定しておる、いま一名はジュネーブにおきますガットのケネディラウンドがだんだん論議が活発になっておりまして、先行の職員を出しておりますが、場合によっていつでもガットの会議出席できる態勢をとる必要があるということで、待機させざるを得ないようになったのでございます。だんだん日にちも迫りますので、適当な通訳を兼ねてカナダ、アメリカ、メキシコ等の農業事情視察に適当な方はないものだろうかということで、先ほど申し上げましたように前例もございますので、民間適任者はないものかということで、秘書官のほうへ事務次官から心当たりを求めたのでございますが、その際二、三の候補があがったようでございます。その中で榊田氏は、先ほど農林大臣からもお話がありましたように、東大の法学部を出まして、外交試験の学科試験も合格しておる、また外遊経歴も五回ある、なお京都の経済同友会の常任幹事をしており、かつ担当しております部門の中に農業部門があるということで、この方であれば、大臣の通訳を兼ねて調査依頼するということには適任者であるということで、決定をいたしたのでございます。
  110. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは、前例がある、前例があると言われましたけれども、それは墓場の陰で河野一郎さんが、うまいところへ逃げたと笑っておると思う。さっきのやつは、病気を調べにお医者をやったり、診療所長をやっている。それが例です。今度は農業と何も関係がないでしょう。  それではまず、むろん本人の履歴書をおとりになっておると思いますが、本人の履歴書を詳細にそこで読み上げてみてください。
  111. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 履歴書。本籍現住所等は略しまして、榊田喜四夫昭和三年三月八日生、学歴、昭和二十二年三月第四高等学校文科卒業、昭和二十二年四月東京大学法学部政治学科入学、昭和二十八年三月同大学卒業、昭和二十八年四月京都信用金庫入社、昭和三十年一月京都信用金庫理事就任現在に至る、現在京都経済同友会常任幹事、社団法人日本WHO協会理事、賞罰なしへ上記のとおり相違ありません。
  112. 勝澤芳雄

    勝澤委員 農業事情調査するということが一つの目的ですね。では、その経歴の中で農業事情調査する資格がありますか、その人は。
  113. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 ただいま申し上げましたように、経済同友会の常任幹事で農業部門を担当しておるという方であるならば、カナダ、アメリカ、メキシコ等、日本の食糧穀物、飼料穀物等の輸入ソースであります諸国についての、食糧事情あるいは穀物事情、流通事情等を視察調査していただく方として、私は十分な方ではなかろうか——なお私どもの発想の端緒としては、ただいま申し上げましたとおり、大臣の非公式な場における通訳を十分に果たせる人という資格をまずもって頭に浮かべまして、人選をいたしたわけでございます。
  114. 勝澤芳雄

    勝澤委員 では、この人の旅行日程をちょっと説明してください。
  115. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 榊田調査員旅行日程は、農林大臣が十二日にロサンゼルスを御出発になるまで同行されております。その後米国内に残っておられまして、まだ帰国いたしておりません。
  116. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどの榊田さんの旅券ですと、あるいは旅費の概算を見てみますと、大臣と同じ十八日までになっているじゃありませんか。そうしますと、それは一体どういうふうに御説明できるのですか、どういうことなんですか。旅費はあなたのほうは支給したのでしょう。公用旅券を発行して、ちゃんと旅費を支給しておいて、そして十二日からあとは個人的にアメリカで自由にさせる、一体それはどういう意味ですか、そんな発令というものはあるのですか。
  117. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほど来御説明をいたしておりますとおり、農林大臣帰国の日時は十月十八日と予定をいたしておったのでございます。その期間については、榊田氏の同行を発令当時予定をいたしておりまして、したがって調査員の発令期日は十月十八日までということに相なっております。でございますので、十八日がまいりますと、調査員の身分は自動的に消滅をいたし、また公用旅券の有効期限もそれで変わるわけでございます。同日以降は一般旅券に切りかえるわけでございます。
  118. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この榊田さんの家庭では、松野さんの世話で、銀行業務視察のために同行させてもらった、こう言っておりますよ。銀行業務視察のために松野さんに連れて行ってもらったんだ、こう言っていますよ。あるいは、京都の信用金庫の役員会では、旅行の目的は、アメリカの経済、金融状態を調査のためということで、この理事会の議事録があるじゃありませんか。いかがですか。十月一日から十月末まで、そうなっているじゃありませんか。
  119. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私どもは、調査員を発令しかつ公務の出張を命じました期間については、これは命令に従った行動をとってもらうことを求めるのは当然でございますが、事後の問題については、必ずしも拘束するものではない。家庭その他におきます御発言等は、私どものほうは了知をいたしておりません。
  120. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまの言うことがもしこの世の中に通るならば、(「通る」と呼ぶ者あり)通るならば、それは、いまの内閣の言うこと、いまのあなたの言うことを信用する人は、ほんのわずかな人でしょう。こんなでたらめなことがありますか。  それでは、この発令をした食糧庁長官お尋ねをいたしますが、食糧庁長官は、いかなる理由食糧庁調査官という発令をなされたのですか。あるいは食糧事情調査ということについて、適格性について、どう判断されたのですか。
  121. 大口駿一

    ○大口説明員 お答えいたします。  榊田氏は食糧庁調査員という発令をいたしまして、大臣随行をいたしたわけでありまするが、今回の大臣日加閣僚会議会議の途中における公式の会議以外の場において、いろいろな重要問題についての意見交換等の場において、大臣の通訳の任務を果たすということのほかに、大臣が、今回の御旅行を通じまして、アメリカ、カナダの農業事情あるいはカナダ小麦の生産、流通、輸出事情、メキシコのトウモロコシの生産事情、将来の輸出余力の有無等の視察をなされるわけでありまするので、榊田調査員につきましても、食糧庁といたしましては、そのような穀物の生産、流通事情等の調査に当たっていただくという意味で、食糧庁調査員の発令をいたしたわけでございまして、榊田氏が帰国をいたしました後において、同氏が旅行食糧庁調査員の身分を持っておりまする期間において調査をいたしました結果は、報告書もしくは復命書によって、私どもは報告を受けることにいたしております。
  122. 勝澤芳雄

    勝澤委員 食糧庁には、全無その経験のない、こういう人以外にないのですか、そういう調べをする人は……。
  123. 大口駿一

    ○大口説明員 私どもの食糧庁には、もちろん経験のある人間もおりまするし、またこのような調査をする人間がこの榊田氏以外に一人もおらぬということを申し上げておるわけではございませんが、役所の担当者の中では、いろいろな事情でこの期間に他の仕事関係外国出張できないという事情もありましたし、また大臣の通訳を兼ねてなし得る人物ということも念頭に置いた上で、この榊田氏を食糧庁調査員にお願いいたした次第であります。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この大臣日程の中で、この調査目的を完全に果たすことができる人であるのですかどうですか。これは幾ら抗弁をしたとしても、大臣日程からずっと見てごらんなさい。これはその食糧庁調査員、初めから実は無理なものなんです。だからこういう出し方はいけないと、各省でみな言われているではありませんか。  それでは次にお尋ねをいたしますが、官房長旅費を渡したとこう言っている。   〔発言する者多し〕
  125. 吉川久衛

    吉川委員長 御静粛に願います。
  126. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまあなたは、もしあなたが渡したと言ってないとするならば、これは重大な問題です。各社で一斉に出しているあなたの対談の中で、あとで言い直して、旅費を渡した、こう言っている。あとで精算をしようと言っている。もしあなたがここで言わないとするならば、じゃ各社の会見をした——全部同じ記事です。私は全部調べて見ました。全部同じです。渡したのですか、渡さないのですか、はっきりしてください。
  127. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほども御説明をいたしましたとおり、公務出張の命令を出しました場合には、予定日程に従った概算払いをすることが、これは正当の手続でございますので、概算払いはいたしました。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 渡しましたね——渡しました。そこで、一体渡すべき人かどうかということです。そうすると、大臣が個人的にこういうふうに、これを持ってこい、何もかもとにかくわからぬやつを連れていくのに、一体国民の血税をこういう——まさに公私混同ですよ。いまあなたはそれを、今度帰ってきたらどういうことにするのですか、旅費をどういうことにしますか。
  129. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 旅費につきましては、先ほど申し上げましたように、概算払いをいたしましたが、出発に先立ちまして、当人から辞退の申し出がありましたので、返納措置を完了をいたしております、ということを先ほど申しておりますが、そのとおりでございます。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたがいま言っていることと、あなたがいままで新聞記者の皆さんと会談をした内容と、食い違っておるのですよ。とにかく帰ってきてから精算してもらうとこう言っているのですよ。帰ってきてから返してもらうと言っているのです。そうすると返せばいいのかということです。(発言する者あり)返せばいいのかということです。もっと明確にしてください。
  131. 吉川久衛

    吉川委員長 御静粛に願います。
  132. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 私ども当初以来、措置としては一貫した方針をとっておるのでございまして、帰国後精算をすべき対象は、必ずしも榊田氏のみに限るのではございませんで、大臣以下の各出張者についても精算をいたすわけでございます。その点は確かに新聞記者会見で申し上げました。榊田氏については、辞退の申し出があったということでございますから、これは返納措置をとりますということを、私は言っておるのでございます。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 じゃ、榊田氏の場合は全額返納させるのですか、どうなんですか。
  134. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 全額辞退をいたしておりますので、全額返納をさせることになっております。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 返納させる理由は何ですか。
  136. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 御承知のように、旅費につきましては、旅費規定にもございますように、本人からの棄権があればこれは支給を要しないということでございますので、辞退がございましたので、これは当然返納措置をとるということになるわけであります。
  137. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは、公用旅券を発行した人については旅費を出さないと人事院からやかましく言われるからということで、出したのでしょう。そうあなたは言っているわけです。ですからあなたが、とにかく新聞記者の皆さんと会って言っておることと、いまここで言っておることはまさに食い違っておりますよ。理屈が通っていないじゃありませんか。一体、どういうわけなんですか。もっと明確にしてください。
  138. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 旅費を全く支給しないぞということは、人事院の規則の関係で、それは言えないことなのでございます。ただ、本人が辞退をした場合に、支給しないでもよろしいということは、旅費法のたてまえに立っておりますから、可能なことでございます。
  139. 勝澤芳雄

    勝澤委員 なぜ本人が辞退をしたら取れるのですか。そこがよくわからないのです。あなたたちは発令しているわけです。正式な発令をしているわけです。綱紀を紊乱して、資格のない者に発令しておるわけです。資格のない者に発令しておることは間違いないでしょう。もし資格があるとするならば、一体食糧庁の中で、こういう調査をする人はないのですか。そんなに、食糧庁の中には農業事情がわかる人がいないのですか。なぜ農業事情がわかる食糧庁の中から選ばずに、なぜ私的な人を選ばにゃならぬ理由があるのですか。何もないじゃありませんか。それを、河野さんのを持ってきて、一体これが例になりますか。先ほどの押谷委員の質問に対するあなたの答弁なんというのは、まさに国会を愚弄するのもはなはだしいですよ。そんなのが一体、例になりますか。さっきの例をもう一回言ってみなさい。これと比較してみなさい。さっきの例とここと、どういう例が一体一緒になりますか。もう一回説明してください。
  140. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 先ほどの、民間の学識経験者を農林省ないし食糧庁水産庁調査官として発令をし、海外における事務委嘱したという事例は、私の知る限りでも数件ございます。その中で、河野一郎農林大臣の当時、日ソ漁業条約に行かれるに際して、某漁業会社の職員と申しますか、役員だったかどうか、ちょっとわかりませんが、少なくとも職員でありました民間人調査員任命をいたしまして、農林大臣随行者にしたという事例がございます、ということを申し上げたのでございます。
  141. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、農林大臣の最近十年間の資料をひとつ出してください。これと同じだと思う例を出してみてください。そしてみんな履歴書をつけて見せてください。それから発令と、旅費をどういうふうに支給しておるのか、それから実際の旅行日程。ひとつ公文書を出してください。その公文書にあなたがインチキを出すようでしたら、それは公文書偽造ではっきりいたしますから。
  142. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 調査の上、資料として提出いたします。
  143. 畑和

    ○畑委員 関連。いまの勝澤君の質問に対する答弁で、はっきりしないところがあるのです。  問題は、辞退をした時点だ。これはまだはっきりしない。先ほど官房長は、出発前に辞退をした、こう言われましたね。それで概算渡しで渡した。出発前に辞退をした。出発前に辞退すれば、なぜそのときに払い戻ししないのか。この問題で、時点がいつなのか、どうもつくられた辞退ではなかろうか。あとになってから、こういう問題になったから、したがって、いま勝澤さんが言ったようなことで、適当な公用としての出張とは認められぬというような世論もあるので、それであとで、今度こうなってから、本人は向こうにいるけれども、返すことにした。どういう連絡でやったか知らぬけれども、辞退をした。ところが本人は向こうに行っている。しかも出発前に辞退の申し出があったと言う。私は、そうじゃない、いまになって、辞退をしたい、こう言ってきたのだと思う。その辺をはっきりしていただきたい。
  144. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 概算払いをしたのは、出張命令を出しました際に概算払いをいたしまして、その後出発までの間に、辞退の申し出があったということでございますが、日にちについては、食糧庁長官からお答えをしてもらいます。
  145. 畑和

    ○畑委員 どうもはっきりしない。出かける前に辞退の申し出があったとすれば、その時点でなぜ金を受け取らない。いまになって、こういう問題になってから、今度返す申し出があったというのなら話はわかる。ところが、あたかも初めから受け取るつもりはないような、そうして出発前に辞退の申し出があった、それだったら、なぜ出発前にあなたのほうで受け取らないか、こういう疑問なんです。はっきり答弁してください。
  146. 大口駿一

    ○大口説明員 榊田調査員の身分が、食糧庁調査員ということになっております関係で、食糧庁でいろいろ旅費の支給その他の部内の決裁手続等を進めているわけでございますが、私の承知しておりますのは、旅費概算払いをいたしましたあと、四十一年十月一日付で旅費支給辞退の申し出がありましたので、その申し出に従いまして、部内で従来旅費を支給する前提で進めておりました出張命令の内容を変更いたします書類手続を進めまして、すでにその決裁は終わっておるのでございまして、先ほど来官房長が、すでに旅費返納手続を了しておると答弁をいたしておりますのは、その十月一日の支給辞退の申し出に伴って、部内で手続を進めて終わっておる、こういう意味でございます。
  147. 畑和

    ○畑委員 その辞退の申し出の書類を見せてもらいたい。
  148. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 辞退の申し出がありましたことは、ただいま食糧庁長官が申し上げましたとおり事実でございます。またその事実に基づいて、事務処理を進めてまいったのでございますが、内部資料でございますので、私ども責任を持って善処をするということは当然のことでございますが、資料提出としては、お許しをいただきたい。(「そんなばかなことがあるか。」と呼ぶ者あり)
  149. 畑和

    ○畑委員 それは納得できない。かんべしてくれ——そんなことは簡単じゃないか。そんなもの取り寄せたらいいじゃないですか。(「いますぐ出せ」と呼ぶ者あり)
  150. 松野頼三

    松野国務大臣 その経過については責任をもって、日にち、方向、処理の方法はいたします。したがって、明確に何月何日、また何月何日起案、何月何日返納命令というのは、責任をもってその日にちは正確にお出しいたします。
  151. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま大臣から、出すというお話がありましたが、ひとつ大臣、まだあと農地や国有林の問題で質問をやっておりますから、その間に準備をしていただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  152. 松野頼三

    松野国務大臣 辞退した日にち、その起案の日にち、返納命令を出した日にち、これは明確にお出しいたします。
  153. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、この榊田さんというのは、ドルはどういうふうに持っていかれたのですか。何か、支給は何もされないというような話ですけれども、旅費はもらっていかないという話、もらっていったとかいかないとかいうのは明確な話ですか。そうすると向こうに行くドルの関係はどういうふうになりましたか。おわかりになりますか。
  154. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 外貨につきましては、渡航者に対する一定の旅行日程に従った外貨の許可がおりるわけでございまして、これは必ずしも旅費云々ということとは関係がない。政府が支給しあるいは概算払いをいたしますものは、円貨で旅費を支給するわけでございます。必要な渡航期間中の外貨が許可されますことは別途の措置でございますので、関係はないのでございます。
  155. 吉川久衛

  156. 畑和

    ○畑委員 私は、過般新聞紙上等でも問題になりました国有農地、これの返還の問題について質問をいたします。  この件に関しましては、まだ国会では論議をいたされておりません。この国有農地の返還の問題、これは新聞の報道によりますると、次官会議で一たん決定をみたことでありまするが、その後それが中止となりました。そしてそのあとの処置は別途考究する、こういうことになっておるのであります。この次官会議決定がいち早く新聞に伝えられまするや、これが政治的に見て非常に非常識であるということで問題になったことは御承知のとおり。三・三平方メートルあたり二円何がしの買収の価格でもとの地主に払い下げる、その農地が現在では場所によりますとばく大な価格になっておる、こういうことであります。それで、次官会議では簡単にこれがきまったという。しかし、さすがに政治家である総理等も、この批判によりまして、この次官会議決定をもとに戻すということをいたしました。この点についてお聞きをいたすのですが、一体こうした国有農地がどのくらいあるのか、これをまずお聞きいたしたい。
  157. 和田正明

    ○和田説明員 四十年度末現在で、六千三十九ヘクタールでございます。
  158. 畑和

    ○畑委員 それで、いまの時価ということについては、概算してみたことはございますか。
  159. 和田正明

    ○和田説明員 しておりません。
  160. 畑和

    ○畑委員 これを旧地主にまた売り戻すということは、農地法のたてまえから申しますならば、なるほど買収価格で売り渡すということは、農地法第八十条という条文に大体ありますけれども、しかし買収してからずいぶん長い時間がかかっておる。この間におきまして地主の経済的努力一つもなくて、経済事情が変動いたしたためにばく大な値上がりをいたしておる。それをわずかに買収価格、もとの値段で売り渡すというのが農林省の案だったというふうに思うのでございますが、この辺につきまして、あなた方農林省の官僚としては、これでいいと思ったのですか、その点聞きたい。
  161. 和田正明

    ○和田説明員 若干長くなりまして恐縮でございますが、政令を制定しようといたしました経過を若干御説明をいたしたいと思います。  御承知のように、現在の農地法は、昭和二十七年に制定をされたのでございますが、その以前に、終戦後普通農地改革と呼ばれております自作農創設特別措置法という法律で、一定条件にあります小作地の買収をいたしたわけであります。買収は、土地収用法のように、まず当事者と話し合いをいたしまして、当事者がこれに応じない場合に収用手続をとるというのとは違いまして、一定の条件に該当いたしますものについては、強制的に国が買収をする手続をとりましたことも、先生御承知のとおりでございます。それらの買収をいたした農地のうちで、当時は非常に戦災を受けまして各地の都市も相当荒廃をいたしておったわけでございますが、戦争前から将来の市街地区域の拡大を期待いたしまして、区画整理等の事業が行なわれておりましたけれども、しかしやはり一面では食糧事情も非常に窮迫いたしておりました関係で、それらの土地が現況農地として耕作されておったわけであります。それらを買収すべきか買収すべからざるかということについては、当時非常な議論がございました上で、当時の戦災復興院と内務省と農林省の三省の次官共同通達で、農地改革全体の成果の勢いを落とさないようにするために、現況農地であれば、とりあえず買収はするけれども、近い将来の都市の復興を期待されるような地帯については、小作人への売り渡しを保留するという制度があったのでございます。またそのほかに当時小作人がおりましたけれども、その小作人で、疎開をいたしました人とか、その他三反未満の零細な農家でございます場合には、売り渡しを保留するという制度があったのでございますが、それらの売り渡しを保留しました農地が、先ほど申しましたように、現在約六千ヘクタールあるわけでございます。憲法の二十九条のたてまえから考えまして、土地収用法にも同種の規定がございまして、収用した土地が収用の目的に使用されない場合には、旧所有者の申し出があれば、収用当時の価格で当事者に返還をいたすことは、土地収用法にも規定がございますし、農地法八十条にも同種の規定があるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、現行法の体制のもとにおきましては、収用の目的である自作農創設の用途に供し得なくなった土地は、憲法二十九条のたてまえ、また農地法八十条のたえまえで、当然に旧地主に返還をし、買収がなかった状態に返すべきものであるというふうに、事務的には判断をいたしたのでございます。  ただいま先生は、本人が経済的に何ら努力をしないのに、経済上の変化で地価の値上がりがあった、というふうにお話がございましたが、それは買収農地だけの問題ではございませんで、経済情勢変化の一般論であろうかと思いますから、今回の問題自身が内包しておる問題とは別個の立場で議論されるべき問題かと思います。ただ、そういう事務的な立場あるいは法律的な立場で、政令の改正を考えたわけでございますが、ちょうど当時御不在中だった松野大臣からの御指示もあり、さらに諸般の事情を十分検討して、慎重に対処をいたすことにいたしまして、その政令案は次官会議決定のままたな上げをして、現在いろいろ関係方面の御意見を伺いながら、慎重に検討いたしておる段階にございます。
  162. 畑和

    ○畑委員 ただいまは農林省の官僚として、農地法上の法律論というか、その条文解釈というか、そういうことの御答弁と思う。しかしながら、これを一括して一度に、この際政令を改正して、旧地主にもとの買収価格で返すということは、どう見てもとにかく世論は納得しない、こういうことですね。この点は農林省の官僚としては考えなかったのですか。ただ農地法に忠実に、何とか処理をしなくちゃいかぬ、八十条に従えばこうなるんだ、ということで、いっそのことこの辺でまとめてケリをつけたい、こういうことでやったようにしか思えない。もっと大きな立場が必要だったと思う。この辺はどうですか。
  163. 和田正明

    ○和田説明員 ただいまのお尋ねは二つの点があったかと思います。一つは、今回の政令改正で、現在国有の農地として残っております六千三十九ヘクタールを、一括旧地主に返すかのようなお尋ねでございましたが、今回考えましたのは、そういうことではございません。自作農創設という目的で収用いたした農地でございまするけれども、都市の外延的な発展等によって、現在すでに市街地に取り囲まれまして、将来にわたって農地としての使用ができないと考えられるような地帯の農地についてだけ、八十条の規定による返還を考えたのでございますので、全部の返還を意図したわけではないので、その点を誤解がないようにお願いいたしたいと思います。  ただ、価格の関係につきましては、もちろん私どもも、最近の経済上の変化に対応してどのように対処するかということについては、非常に慎重に検討をいたしました。この問題を農林省事務当局が検討開始いたしましたのは昭和三十九年でございまして、そのころから調査予算をとって実態調査等もいたし、また価格関係に関しまして、いろいろ関係各省から意見もございましたので、法制局の意見等も十分徴しまして、検討をいたしたのでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、当時の私どもの法律解釈等の理解では、やはり収用という強制手段をとって私有権を制限をした以上、本来の制限の目的と違うことに使うことは許されない。それはむしろ買収自身が問題であったという理解で、やはり八十条の法意にのっとって、旧価格で旧地主に返還すべきであろうという法律論に到達をいたしたわけでございまして、何らそれらの点について検討いたさなかったということはなかったわけでございます。
  164. 畑和

    ○畑委員 農地法の解釈によると、買い上げた価格でやるということにならざるを得ない、収用した土地を、その収用の目的がなくなったという場合に、もとの所有者に返すという場合は、やはり同じ価格でやっている、こういう例もあるということの話でありますけれども、これは憲法学者その他の学者も、憲法違反にもならぬ、こう言うておりまするし、値段の問題等も、必ずしももとの価格でなくてもよろしい、事情変更の原則に従って、新しい評価でよろしいという主張が相当あるのであります。こういう点については、農林省が単なる農地法の立場からばかり考えて、非常に近視眼的になったことが、こういう結果になったと思うのです。しかし、これが途中でストップされたことは、私はけっこうなことだと思う。まあこれからどう考究して処置を講ずるかということについては、また農林大臣のほうにもお聞きをいたすわけですが、そこでお尋ねをいたしたい。  この次官会議決定が二日だったと思いますね。ところで、農林大臣の御出張が、先ほど日程で問題になりましたやはり二日でございます。農林大臣出発する前かあとか知らぬけれども、同じ二日に、次官会議で、農林省のほうの次官がおそらく発議したのでありましょう、次官会議でこれを持ち出して、それでそのようにきまった、こういういきさつに、時間的になるわけだ。そうなると、農林大臣としては、あなたが御出発のその日に、もう農林次官が次官会議に提案するというからには、大臣がカナダへ行ってしまってからの話だったら別なんですが、そうじゃなくて、同じ日に次官会議できめたというからには、順序として、どらも農林大臣が、これを次官をして次官会議にはからしめたというようなことになるのではなかろうか。その辺は、農林大臣としてはどこまで関与しておったか。時間的に見て、ちょっとあれだと思いますから、お聞きしておきます。
  165. 松野頼三

    松野国務大臣 私が出発する前日、農地局長から、この問題について話がありました。私は、口頭だったと思います、この問題は多少私も疑義があるから、よく与党及び各部と調整の上に進めろ、こういうことを私は口頭命令で出したことをはっきり記憶しております。その後オタワに電話がかかりましたから、かかったときには、次官会議ではかったという電話で、これは少し調整が早過ぎたのではないかと思っておりましたところが、実は閣議にははかっておりませんと言う。それじゃちょうど私の気持ちと似ているから保留しておけ、私が帰ってから処理するというので、帰りましてから最初閣議で、この問題は新たな農地問題を全般的に検討した上、さらに次官会議にはかるというのを私は閣議にはかりました。そういういきさつがその当時にございまして、私がもう少しそのときに強く言っておけばよかったなと思いますが、私も条件づきで、ちょうどここに農地局長おりますけれども、各部の連絡をしてからこれはやれよ、そういうふうな注意、条件つきで私は承知した、こう思っております。土曜日だったと思います。したがって、一日じゃなかったかと私は記憶します。
  166. 畑和

    ○畑委員 いま大臣は、自分が出発したあとこれを次官会議でよく検討しろというふうに指図をしたのだけれども、その結果がもう一回できまってしまったということで、大臣外国からお帰りになって、そして閣議でまた練り直すということになった、こういうお話なんです。大臣気持ちとしては、すぐきめちゃうつもりじゃなかったのだとおっしゃるけれども、どうもそうもとれないような節がある。大臣がむしろやはり同じような気持ちでおったのじゃなかろうかと勘ぐりたい気持ちでございますけれども、これはいつまで議論していても同じでございますから、ともかく別の新しい処置、どういうような処置をとるのかということ等につきましては、別に勝澤委員等からもいろいろと質問があるかと思いますから、私のこれに関する質問はこれで終わります。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次官会議の案については、大臣は、あらかじめ慎重にやれということで承知されておったわけでございますが、次官会議決定したものが次官会議でまた白紙になった、この理由はどうなんですか。
  168. 松野頼三

    松野国務大臣 次官会議にはかることを私は了承したのじゃありません。この問題を各部と調整をして進めることを了承いたしました。各部と調整をしてそれから進めろ、そういうところが、私のことばといまの勝澤委員の質問と食い違っておりますけれども、この問題を直ちに次官会議にはかれという了承じゃありません。各部と調整した上で、この問題について進めることはよろしい。その理由は、実はそのとき口頭で、よく覚えておりますが、各般の問題がありまして、これは会計検査院からの指摘あるいは行管からの指摘等がある、したがって、この問題を各部において検討する、進めたい、こういう農地局長からの申し出でありましたから、私もこれは多少いろいろあるから、十分各部と調整することで進めることまでは了承いたしました。次官会議に直ちに出るという印象は私は持っておりませんでした。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次官会議できめたいきさつというものは、それじゃ局長あれですか、大臣了解を得ずにやったということですか、これは局長どうです。次官会議というのはそういうものですか。
  170. 和田正明

    ○和田説明員 大臣が御出発前に、大臣一日とおっしゃいましたけれども、そのもう一日前の九月の末日であったと思います。大臣に御説明を申し上げまして、大臣からいろいろ御質問なり御注意もありましたことは、大臣お話しのとおりでございます。それで、先ほどもちょっとお答えを申しましたように、関係省の間での意見調整は、その後も十分いたしたわけでございます。そういうことで、月曜日に次官会議に一応かけたわけでございます。ただ、勝澤委員承知のように、私どもの事務当局の調整をいたしました結果は、法律論なり価格論を含めて、いろいろ調整をいたしたわけでありますが、それとは別の視野で、農地法のワクを離れて考えるべきではないかという御批判が次官会議後出てまいりましたので、大臣にも御連絡をして、先ほど大臣お答えになりましたような措置で、現在別途の視野で慎重に検討いたしております。そういう段階でございます。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次官会議で満場一致できまったのでしょう。次官会議で満場一致きまって、閣議にかけるばかりのときに、社会党からあるいは世論から抗議をされておやめになった、こう私は聞いているわけです。ですから、次官会議決定をしたという前の手続というものは、大臣指示どおりにやられているのですか、いないのですか。
  172. 和田正明

    ○和田説明員 次官会議にかけます前に必要な関係省との間の事務的な調整は、私ども事務当局としては、終えておったわけであります。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、大臣の命令どおりやったということですね、どうですか。
  174. 和田正明

    ○和田説明員 関係各省との事務当局間の調整は、私どもとしては、大臣の御指示のとおりいたしたつもりでおります。
  175. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、大臣の命令はどういう命令ですか、大臣もう一回。
  176. 松野頼三

    松野国務大臣 各関係部及び党との連絡をして、そうしてこの問題を進めることはよろしい、そういう検討の条件つきで、私は了承いたしております。
  177. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま大臣の言うとおりにやられたのですか、局長。どこが違うのですか。
  178. 和田正明

    ○和田説明員 先ほどから申し上げておりますように、関係省との間の調整はいたしたのでございます。
  179. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣の命令どおりやられたのですか、局長。
  180. 和田正明

    ○和田説明員 たびたび同じことを繰り返して恐縮でございますが、関係省との間の、事務当局としての調整はいたしまして、次官会議に提出いたしました。
  181. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、いま局長の答弁はお聞きのとおりです。局長の答弁は、あなたの命令どおりやられた結果ですか、次官会議にかけたということは。
  182. 松野頼三

    松野国務大臣 そこが少しニュアンスが違いますのは……(勝澤委員「ニュアンスじゃなくて、事実行為ですよ」と呼ぶ)事実行為が違いますのは、党と関係各部——党というものをあわせて私は念頭に置いて、各部と連絡をしろ、こう言ったのです。党及び各部、各官庁との連絡をしろ、それを私は含めて、関係とよく連絡をして、進めるなら進めろ、そこに、私の念頭には、各部という中には自民党も入っており、各省とも入っております。
  183. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたと食い違ったのは、外遊日程官房長とあなたと食い違っておった。今度は農地の問題についても、あなたと局長とは食い違っておった。あなたの意図とはまるっきり反対の方向になっているということです。  それでは局長にお尋ねいたしますが、政令案の対象となる農地面積はどれだけあるのですか。
  184. 和田正明

    ○和田説明員 現在国有で残っております農地面積は、六千三十九ヘクタールでございます。
  185. 勝澤芳雄

    勝澤委員 政令案に基づく農地は幾らあるのですかというのです。
  186. 和田正明

    ○和田説明員 これは、実は政令がもし事務当局の計画をいたしましたように改正をされました上で、今後三年間にわたりまして、現実に実態調査をいたしながら処理をしていく、判断をしながら処理をしていく計画であったわけでございますが、およその推計で八百ヘクタール程度というふうに推測をいたしております。
  187. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この国有農地が現状どうなっておるかというのは、だれも知らないのですよ、局長。それほどこれは不法地帯になっているわけです。これは行管からも会計検査院からも指摘されているから、おわかりのとおりであります。現状を知らずに、もう十何年もたっておる、いや二十年もたっておるにかかわらず、現状を知らずに、この法律をつくってこういう方向をするという、こんなばかばかしいことはないのです。現状が認識されてないのです。だから問題になるのです。ですから、現状の認識について、それは農林省の直接管轄じゃないからそういうことになるでしょう、ずっと下の市町村ですから。ですから、それが不法占拠されている、あるいはどうなっているかわけがわからぬ。十町歩あると思って調べてみたら、まるっきり帳簿上だけで、なかったという実例が幾らも出ているわけです。そういう中でこれを推し進めようとしているわけですから、そこにむちゃくちゃだということができるわけであります。これは長い懸案なんです。何年も何年もいわれておって、あなたのほうが考える一つの刺激をした。刺激をしたために、これはまあ前進をすることですから、何といいますか、失敗であったけれども、一つ政府の考えていなかったこと、あるいはまだおくれていた面をついたという点では、まああなたも大臣の命令に違反をしたかあるいは聞き違えたか知りませんけれども、一つの前進にはなったと思うのですが、そこでこれは一体どうするのですか。それは公共用地を他用途に使う場合の取り扱い、これはいまの法律の上からなかなかむずかしいわけですね。国有財産法との関係、それから特別会計の関係ですから、これをどうお扱いになろうとするのですか。あるいはお扱いになろうとする方向については、私はぜひこれは国会の審議を経て、これだけ問題になっているのですから、方向というのをきめていただきたいと思うのですが、これは大臣いかがですか。
  188. 松野頼三

    松野国務大臣 事務的ないきさつが確かに多少の——私の指示が明確でなかったことがこの問題であったと私は思います。したがって、帰りまして直ちに、私の責任で先般の閣議決定の方向を——閣議決定しただけで、これは一つの方向を示しました。そのときもございましたように、これはいろいろ法律問題が複雑でして、ある場合には憲法にも問題が出てまいります。ある場合には農地法にも抵触いたします。したがって、いま私が考えておるようなことをやるには、ある程度法律事項に改正、改善がなされなければ思うようにいかない点が私は出てくると思います。したがって、当然この問題は、法律関係に抵触するならば、あるいは改善、改正案を出さなければならないなら、当然国会にはからなければなりません。したがって、そういう手はずをただいまから——御指摘のように実態調査も正確ではありませんので、さらに実態調査を進めて、各法律整備をいたしまして、そして次の国会中には間に合わせたい。なかなか時間がかかります、ここまでまいりますと。しかし、この問題が提起された以上、なるべく次の国会までには、国会中には何とかこれを処理したいというためには、ある場合には法律事項も出てくるかもしれません。また出てこないにしても、これだけ問題になりましたことは国会に報告をして、あるいは十分われわれの意図を理解していただいた上でなければ、軽々にはやらないつもりであります。したがって、政令をたな上げしたのは、現行法における政令ですから、法律が変われば当然政令もまたさらに改正をいたしますので、その意味で、現行法における政令をただいま保留したというのがいまのいきさつで、これを進めるならば、現行法においてはいまの政令を進める以外にありません。したがって、現行法を改善する、あるいは改正するという意図のもとに、現行政令をただいましばらく停止させておるというので、次官会議以上進めておらないのは、そういう意図であります。
  189. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特にこの問題は農林省だけというものの進め方でなくて、土地問題という立場から十分これを検討されると思いますので、ひとつそういう問題も含めて、私は今日この問題があのような批判を呼んだ。法律に違反をしなければ何でもいいのだというものの考え方、あるいは、大蔵大臣みたように、消費者米価を上げるのは常識だという、ばかばかしい常識を言うような閣僚が多いようでありますから、法律に違反しなければ何事でもいいのだというばかばかしい常識でやらないように、ひとつ私は広い視野から特に要望いたしておきます。  それじゃ引き続いて、国有林の問題について御質問いたしたいと存じます。  この国有林の払い下げについては、いろいろと実は問題が起きております。これは長い間問題が起きております。そしてまた、それが政治に結びついて、そしてまた、汚職、疑獄という形にまで発展をしておるわけであります。たとえばこれは蔵王のロープウエーの問題を見てみましても、このために営林署長がひっぱられて、あるいは陸運局長までひっぱられて、そして県と県の境が変えられたという事件が、いまこれは裁判中であります。あるいは、ある国会議員を立候補させるために秋田の山を切った。判こをおすに、こういうふうに裏返しをしながら一本と計算したという話まであるわけであります。あるいは、最近では、吹原事件で、風倒木ですか、また、最近の事件を見てみますと、この国有林というものがまことにけしからぬ状態になっておる。あるいは、次の衆議院議員に予定されておる候補者が、営林局長で、いろいろと無理な払い下げをしたというのが、最近参議院の決算委員会でも指摘をされております。  そこで、私は、この貸し付けについて、それから払い下げについて、あるいは交換について、営林局長や営林署長だけでなくて、林野庁でやっておるのですから、もっと十分な調査を行なってやるべきだと思うのですが、そういう点についていかがですか。
  190. 松野頼三

    松野国務大臣 国有林の問題につきましては、いろいろ実は過去におきましても、今日におきましても、整備上不十分な点が多々見受けられますので、今回新たに国有林の貸し付け、払い下げ、交換等について、新たな基準と方向を求めたい、かく考えまして、最近は就任以来、貸し付け、払い下げ、交換、特に公用、あるいは特別な公共用、あるいは学校林、あるいはすでに既定された各官公庁と調整済みのもの以外のものは全部この進行をとめまして、新たな基準を実はいま策定中でございます。  なお、詳細にいろいろな問題がございますので、林野庁長官から、もしさらに御質問があれば答弁いたさせます。
  191. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私は特に最近の貸し付けの状態を一つ取り上げてみますと、貸し付け料金が適正でないわけです。これは会計検査院から指摘もされております。ですから、貸し付け料金についても、やはり観光目的に従っている貸し付けについては、これは収入金に見合った貸し付け料を取るべきだと思うのです。その土地に見合った貸し付け料というよりも、収入金に見合った貸し付け料というものを取らない限り、これはもう国有林が全部つぶされてしまって、そして貸し付けを行なって、それが半永久的な権利として生じておると思うのです。そういう点について、貸し付け料の問題についていかがですか。
  192. 若林正武

    ○若林説明員 国有林野の管理及び処分につきましては、先生も御承知のように、国有財産法あるいは国有財産特別措置法、さらに国有林野法等に基づきまして、従来からその適正を期してまいっておるのでございます。しかしながら、最近におきます国会で論議のございましたように、若干私どもとして今後改善をしてまいりたいということで検討いたしておる事項がございます。その第一の問題につきましては、交換制度の問題でございまするが、御承知のように、現在の交換につきましては、相手方に渡しまする交換渡し財産の用途指定なりあるいは転売禁止というふうなことにつきましての拘束は、現行法規では何もないわけでございます。今後こういった点をどう考えていくのかという点が一点でございます。  それからもう一点といたしましては、ただいまお話のございましたような観光、レジャー用地あるいはそういった見込み地の評価のしかたでございます。そういった点につきましても、今後積極的に改善策を考えてまいりたいということで、現在検討いたしておるような状態でございます。
  193. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ひとつ貸し付けの問題について少し意見をお尋ねいたしたいと存じますが、貸し付けについて、たとえばロープウエーだとか、あるいはホテルだとか、こういう永久建造物があるわけでございます。行政財産にこういう永久建造物を建てて貸しつけるやり方というのが一体どうだろうか。貸し付けの解除のときに、補償の問題というのがたいへん問題になる。いつか河川敷の補償の問題をやりましたけれども、占用許可即財産権が生じるという解釈を建設省はしていながら、河川敷の占用許可ということをさして、補償金をもうけさせておるという例があるわけでございます。いま国有林の問題につきまして、貸し付けの解除をした例があるかといっていろいろ聞いていますけれども、貸し付けの解除をした例というのは皆無でございます。あるいは一、二あるかもしれませんけれども、それは問題がない点だけなんです。しかしいま貸し付けている現状から見て、貸し付けの解除を、かりに貸し付け期間が切れた段階において解除できるかといっても、解除できない、そこに、かりに行政財産といっても、私はやはり財産上のこの補償の問題というのは必ず出てくると思うのです。こういう観点から考えるならば、やはり貸し付けについて私は、原状復帰というものは困難だし、永久建造物を建てられるということになるならば、貸し付けでなくて、売り渡しなり何なり、そういう方向というものをやはりこの際検討しなければいけないのじゃないか。貸し付けておいて、財産権を生じさせおいて、それをいつかの時代に払い下げるというようなことは、これは明らかに初めから予想されておることです。熊本におきましても、三件貸し付けた会社の中身で言って、いや、二年か三年たったらこれは払い下げるんだ、こう言われておるわけであります。だれが言っているかといえば、貸し付けに努力した政治家が言っていると、こううわさされているわけであります。しかしその過去の例を見てみるならば、なるほどなあと思う例があるわけであります。ですから、貸し付けそのものについても私はこの際相当問題がある、いや、問題になってきているわけです。ここ数年です。数年そういう状態が起きているわけであります。その問題については、私は、やはり貸し付けの解除というものができるような状態にかりに置くならば、補償しなくてもいいというならば、それはいいでしょう。しかし補償しなければならぬという。財産権が生じる。行政財産だからいいのだ。それではその建物を現実に取りこわして全部やれるかと言えば、やれないような状態になっているじゃありませんか。そういう観点から、やはり特に観光施設に対する貸し付けという問題については、もう一回私はお考えを聞きたいと思います。
  194. 若林正武

    ○若林説明員 先生の御指摘のように、短期間に返地が困難だというふうな貸し付けにつきましては、今後は貸し付けでは処理していかないつもりでございます。むしろただいまお話のございましたような、売り払いという方向で進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、マイクロウエーブの中継所であるとか、あるいは電線敷等の公共性の非常に強いもの、こういったものにつきましては引き続き貸し付けるということで処理したい、かように考えております。
  195. 勝澤芳雄

    勝澤委員 貸し付けの次に問題になるのは、払い下げの場合であります。法律上は随意契約で、競争相手を、みな話し合いで、談合で一本にしぼって払い下げるのはいいでしょうけれども、これもやはり払い下げるべき場所がどうかという点について問題があるわけであります。必ず政治が入っているわけであります。特に交換の問題は、たとえば那須の場合、宅地にしますというのを予想して、実はあなたのほうが交換するときに宅地査定をしているかと言えば、してないじゃありませんか。高槻の場合もそうです。西宮の場合もそうです。みな宅地にするのだという申請を出しながら、あなたのほうが交換するときの評価を見てみれば、宅地評価をしていないのです。だからうまみがあってもうかるからといって、交換がたくさん行なわれているわけであります。それが実は特定な会社にみな計画的に行なわれているわけです。それが今度の共和製糖の担保に入っているということで、あなたのほうの評価と担保の評価とばく大な違いが出ているわけであります。ですから、やはりそれはあなたのほうが、ただ評価が正しいのだというだけでは、私は問題にならぬと思うのです。それが木が売られて宅地にされて、どれほどもうけをしているか。三千五百万のものが三十五億か四十億の担保に入っている。常識では考えられないことがやられております。那須も同じことです。ですから、やはりこの交換の問題についてももう少し使用目的について十分精査すると同時に、あるいは国有財産の払い下げですと原状復帰とか、あるいは五年間なり用途指定というのができる。しかしなかなか国有林にはそれができないのだ。理屈を聞いてみるともっともだと思うのです。もっともだと思いますけれども、やはりその点をいまの不正が起きた現状から考えてみて、もう少しこの問題についてはこの際再検討しなければならぬときに来ている、こう思うのですが、いかがですか。
  196. 若林正武

    ○若林説明員 大臣からもお話ございましたように、改善策について検討するつもりでございます。ただ、ただいま先生からお話ございましたが、評価についてでございます。宅地で評価をする必要がある場合は宅地でやっておりますし、また道路敷で評価をしなければならぬ場合は道路敷でやっております。この点御説明申し上げておきます。
  197. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですから、これはやはりこの際過去の例というものを十分出していただいて、その評価がどういうふうにやられたのかというのを出していただいて、それで私たちも現地を見て、この評価が正しいのか正しくないのか、そうして一体その交換された、あるいは払い下げたものがほんとうにどういう目的に使われているのかどうなのかという点を、私は精査せねばいかぬと思うのです。ですから、いま一番問題になっているのは、何といいましても交換の問題でいろいろ出ております。それが営林局長がおるところばかりがそうなっておるわけであります。どこの営林局長も、見てみると、実はそういうのがあるわけです。どこでも、一つ二つは過去に問題になってきたわけであります。そしてまたこれは大臣よく聞いておいてもらいたいわけですけれども、営林局長をやったのが衆議院に出るとか参議院に出るとかというと、必ず実はそれが起きております。林野庁長官の中にもみんな出ているわけです。これは私は問題だと思うのです。選挙に出ない局長のところはあまりないわけでありますけれども、選挙に出る局長のおったところというのは、必ずそういう不自然な交換、払い下げというものがいままでずっと行なわれてきたわけです。ですからそういう不自然な払い下げができないように、私はこの際きっちりしなければいかぬと思う。いまの法律をそのまま見たら、できるようになっているわけでありますから、どこからも抜け道があって、どこからも随意契約で、国有林をさがしてくれば自由に交換できる。お金があったらこんなうまみのある仕事はないと思うのです。立木の払い下げについてもとかくのうわさが出ております。とにかくここ数年間で、この国有林という問題がいまほど騒がれたことはないわけであります。あなたが大臣になられる前にやられたことでありますから、この際国有林がそういう国民の疑惑を招くことのないように、いま貸しておるものはしかたがないとしても、とにかく貸さないということ、それから払い下げをしないということ、それから交換はしないということ、これをきっちりしていただいて、今後どうあるべきかという点を、いままでの法律にとらわれずに、過去にいろいろ国会で問題になった実例を調べてもらって、この際きっちりすべきだ、私はそう思うのですが……。
  198. 松野頼三

    松野国務大臣 お説のように、国有林につきましては、多年いろいろな問題があったことは私も承知しております。就任以来、私自身が省内を督励して、全書類を私自身が目を通しております。その結果、今日の法律では合法であるかもしれないが、基本の法律そのものがはたして今日の常識に合うかどうか、あるいは基準が合うかどうかと実は私も疑問を持ちまして、これは大蔵省の国有財産関係もございますから、各省との打ち合わせをするために、今日三カ月間はすでにその問題の進行をとめております。三カ月ではまだ済みませんから、あと来年の四月ごろまでは、この審査と各省の打ち合わせがかかりますので、新規のものは公用、公共用、学校林あるいはすでに事務的にそれの済んだもの、あるいはオリンピック等のために特に必要なものという限定をして、一般的なものは全部交換も貸し付けも払い下げもしばらくは、基準ができるまで実は停止しておるのは、そういう趣旨であります。いろいろなことがありますけれども、私自身そのつもりでおりますし、なお営林局長のうわさがいろいろありますが、今後衆議院に出るといううわさのあるような者は、私がおる限り営林局長にはするつもりはございません。そういうことは一つ気持ちとして、私が今後問題を進めたいという気持ちをひとつ御理解いただいて、いずれこれは農林委員会あたりでも関係ございますから、十分御協議をいただきたい。林野庁長官も同じような趣旨で、先般林野庁長官命令を出しております。
  199. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この国有林の問題につきましては、私たちも決算委員会として長い間取り扱った問題でありますから、その結果、あるいは実情等についても十分調査をして、決算委員会としてもこの問題については決議を政府につきつけて、今後の是正をしなければならぬと思います。われわれが十分調査が済むまで差しとめをしておるということでありますが、しかし過去においては、その張本人が何かやったのじゃないだろうか、大臣がやったのだ、こういうことすら参議院のほうでは言われておるようでありますから、ここで言った限り、国有林については松野大臣手をつけられないと思いますので、一つくらいはいいなんていわれては困りますから、ひとつそういう点については十分われわれも検討いたしますので、いまの答弁について、私たちも一応いまの段階においては了承いたしておきます。  最近バナナとかコンニャクとかノリ、バナ・コン・ノリということで、とかくうわさが出されております。しかもそのたびに政治家の名前が出され、国民政治不信の念を抱かしているということはたいへん遺憾なことであります。この際、私はこういうものについて政治の中で明確にすることが、やはり国民の期待にこたえることだと思うのです。このバナナとかノリとか、あるいはコンニャクなどというものを政治の中で取り上げるということはなかなか困難であります。しかしバナナを取り上げると言っただけで、やはりいろいろうわさされている政治家の人たち、あるいはまたこういうものに関係する多くの人たちが、それによって少しでも正しい方向に行くならば、私はたいへん幸いだと思うのです。そういう意味で、この問題は、こういうスキャンダルがあるとか、こういうことだからといううわさは出ておりますけれども、そういうことよりも、やはりこの際、政治家としての姿勢を正す、こういう意味からバナナの問題は考えなければならぬし、そうしてまたバナナが高過ぎるという意見があるわけであります。一体どこに問題があるのかという点などについて、この際、私は明確にしたい。  そこで最初に、まず通産大臣から、バナナについていろいろうわさが出ておりますが、その原因は、大臣として、どういうことでこういういろいろなことが出されておるのかという点についての御認識を伺いたいと思います。
  200. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もいろいろ出版物などで、これにいろいろうわさが出ておることは承知いたしておりますけれども、国会議員の名誉からして、さようなことがあるものとは信じていないのでございます。ただこういうことがやはり委員会の席上において問題になり、そのことが今後政治姿勢の上において、非常にみなに対して姿勢を正す上において効果があることがもしありとするならば、それはけっこうなことだと思いますが、いろいろなうわさについては、私はさような事実も存じませんし、さようなことは、同僚の名誉のためにも、あるべきものではないと私は信じておるのでございます。
  201. 勝澤芳雄

    勝澤委員 バナナに関係をしている人たちは、私もあるように思うのです。しかしそれはどういう形であるのかという点が実はいつも不明確になっているわけです。そこで、バナナが自由化する前、それから自由化されたいま、そして今日は輸入組合が成立をして、一応曲がりなりにもまとまった形になったというこの三つの段階に分けてみますと、自由化する前はまずまず一応のまとまりをしておりました。しかし自由化された三十八年から四十一年、組合が成立まで、まさにここが戦国時代です。ここの中にいろいろなうわさがあるわけであります。ですからバナナを自由化した、そのことについても、いろいろ政治的な問題があるわけであります。台湾側のほうはいまちゃんとワクを設けて、一応政府が窓口になって押えておりますけれども、日本側のほうは、自由化されたあとはまさに百鬼夜行のごとく、飛行機をおみやげに贈ったなんという話まで実は出ておるわけであります。真偽のほどは知りませんけれども……。しかしそういう時代があったことは、私もいろいろ調べてみると確かだと思います。しかし、それは自由化になったのだから、ある程度の商業の取引というものは当然だと思うのです。それが行き過ぎておる。国際的な問題なんです。日本だけの問題ならともかくも、それが台湾政府との関係において、あるいは台湾の業者との関係においていろいろ問題があることは、やはり国民が高いバナナを食べさせられることになるわけであります。そういう意味から、私はやはり自由化前と、自由化のあとと、輸入組合成立までの状況について、経過を御説明願いたいと思う。
  202. 三木武夫

    ○三木国務大臣 こういうものはえてして、割り当てというものに対してはいろいろな問題が起こるわけです。自由化することが好ましい。原則的には私はそう思っておる。ところが、バナナの場合でも、昭和三十八年に自由化すれば、向こうの台湾側のほうでは自由化しない。割り当てで、全く売り手市場の状態になって、台湾参りということになって、勝澤君御承知のように、まあ国辱的な状態になってきた。そこでこのままには放置できないということで、輸入組合をつくり、そうして割り当て制をとらざるを得なくなってきたわけであります。これはそのことによって——現在は輸入組合もできて日も浅いわけですが、やはり輸入の秩序を維持するためには、こういう輸入組合というものを健全に育てていくよりほかにはない。そうして一方においては、日本の果樹栽培者に対して打撃を与えない。これは日本の国内で果樹をやっておる人たちに急激な打撃を与えることはいけませんから、そういうことも勘案しながら——ある程度の需要があるわけですから、バナナは。その需要を確保して、できるだけ消費者にも低廉なバナナを供給できる。打撃を与えないで、そうしてできるだけ消費者にも安いバナナが供給できるようにという一見矛盾したような政策を調整しながら、そうして輸入組合というものに秩序を与えて、一つの秩序ある輸入をしていくことが、この段階としては——これはずっと将来の問題として、この制度が、ずっと永久に割り当ての制度がいいとは思っていないのですが、当分の間は、こういうことで秩序づけていくよりほかにはない。向こうのほうがちゃんと押えているのですから……。そうして需要というものもやはり相当にあるわけですから、そういうことで健全に輸入組合を育てて、輸入秩序を維持していきたいというのが基本的な考えでございます。  詳細な経過について、必要があれば、事務当局も参っておりますので、適宜補足的な説明をいたさせることにいたします。
  203. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十八年以前の自由化する前は業者数はどうであったか、それから今日輸入組合にまとめられた組合はどうなっておるのか、それからまた、自由化する前はどれぐらい輸入されておったのか、そうしてどういう経過をたどって、いまはどれぐらい輸入割り当てがされているのか、こういう点について御説明願いたい。
  204. 三木武夫

    ○三木国務大臣 事務当局から説明をいたさせます。
  205. 原田明

    ○原田説明員 御説明申し上げます。  勝澤先生御指摘のとおり、三十七年自由化をいたします前にとっておりました制度は、輸入の割り当て制度でございます。その当時は、台湾だけの割り当てということではございませんで、グローバルと申しまして、世界一本で割り当てをいたしております。そのときにバナナを扱っておりました商社の数は約二百三十社でございます。正確には二百三十四社割り当てております。そのうち台湾からのバナナを扱っていたものを推定いたしますと、約百三十社といわれております。三十七年当時の自由化の風潮及び国内果樹産業に及ぼす打撃、将来の影響といったようなものを勘案いたしまして、バナナは自由化するほうが消費者に安いバナナが提供されるわけであります。かつまた、台湾にとりまして非常な重要な輸出品でございますバナナが日台貿易の健全な発展にも役立つという判断をいたしまして、三十八年の四月から自由化をいたしたわけでございます。この三十八年、自由化をいたしました当初、台湾側におきましては、日本側の自由化に応じまして直ちに自由化をするということではございませんで、それまで行なっておりました品質、規格等の規制に加えまして、割り当て制を新たにしいてまいりました。三十八年には日本側のインポーターに割り当てをいたし、三十九年に至りまして、弁法と称しておりますが、対日バナナ輸出規則、日本ならばそのように訳してしかるべきような規制を制定いたしまして、数量割り当てに踏み切ったわけであります。したがいまして、日本側においては、非常に急激に増大してまいりました需要に応じ、輸入業者が、台湾の割り当てをもらった輸出業者からのオファーというものをもらいますために狂奔いたしまして、ただいま大臣から御説明申し上げましたような過当競争の弊害を来たしました。特にこの弊害は四十年の四月−六月、そのころには非常に激しくなってまいったわけであります。したがいましてかかる激しい過当競争のもとでは、日本側にとっては値も高くなりますし、外貨の損失にもなります。かたがた不公正競争を通じ法律違反等の問題も生じて、まことに望ましからざる状態である、かかる輸入秩序の混乱は早急にこれを防止して、輸入秩序の確立をはからなければならない、こういう要請が各方面で起こりました。業界内部におきましても、次第に、このような過当競争自体はみずからを滅ぼす道であるというふうに理解をされてきました。また台湾側におきましても、政府、特に心あるりっぱな輸出業者の方々、こういう方々の中では、バナナ貿易がこのように混乱をしておるということは、長い目で見て日本と台湾との間のバナナ貿易の健全な発展に役立つものではないという認識が生じてまいったようでございます。このような機運が横溢いたしまして、私どもといたしましては、この輸入秩序収拾策に乗り出したわけでございます。ただ一ぺん自由化いたしましたものを、昔のようにただ政府の割り当てに戻すということだけではよろしくないと考えまして、今後はできるだけ業界の自主的な努力によって輸入秩序を回復したい、その方策といたしましては、輸入組合の育成によるものが最もよろしいということで、一方において輸入組合の設立の勧奨をいたしました。ただ非常に過当競争をいたしておる業界でございますし、業界の中におきましても、利害を異にし立場を異にする幾つかのグループが争っておりますので、なかなか話がまとまりませんで、結局去年の九月十五日、日本バナナ輸入組合が正式の認可を受けて成立をいたした次第でございます。  ただ、バナナ輸入組合は、そういう経緯をたどって成立したのでございますが、組合自体の手で十分に輸入秩序を確立するほどに強力なものとはなり得ませんでしたので、このような業界の自主的な努力による秩序の確立をいたしますまでの暫定的な措置としまして、当分の間ということで、四十年の七月から自動割り当て制度のもとにおける数量割り当て制を開始いたしました。このことで輸入秩序の確立をはかるという制度をとってまいったわけであります。  その方策としましては、三十八年、三十九年及び四十年の初期における過当競争の結果、約百三十社と推定せられておりましたバナナ輸入業者の数が五百二十八社程度にまで非常に増加をいたしてまいりました。そういう輸入業者相互間の過当競争を防止するには、何らかの基準が必要でございます。結局三十八年及び三十九年の二年間における実績をとって、それを基準として割り当てをする以外にはないという結論に達しましたので、四十年から実績というものを基準にして割り当てを実施しておるという状況でございます。このような輸入秩序維持の努力によりまして、本年くらいに至りまして、輸入組合自体が一本化をして台湾側と交渉できるくらいの体制になってきたという実情であると了解いたしております。
  206. 勝澤芳雄

    勝澤委員 年度別の輸入実績を……。
  207. 原田明

    ○原田説明員 昭和三十七年度における台湾からの輸入実績は百八万かご、三十八年度が百十万かご、三十九年度が四百十万かごに増加をいたし、四十年度は六百九十万かごにのぼっております。本年、六六年は一月−七月で三千二百万ドルの実績を……。
  208. 勝澤芳雄

    勝澤委員 かごでは……。
  209. 原田明

    ○原田説明員 通関統計はドルで表示をされておりまして、本年度分のかご表示はまだ正確に出ておりません。ただ平均価格が八ドル及び七ドルでございますので、七・五で割りますと……。
  210. 勝澤芳雄

    勝澤委員 割り当ての予定があるだろう。
  211. 原田明

    ○原田説明員 割り当て予定額は七百十万かご割り当てております。ただ十月からの一年間では八百八十万かごを予定いたしております。
  212. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十七年に百八万かごが、八百八十万かごという膨大な数にのぼっておるわけであります。それでもなおかつうまみがあるので、このバナナが問題になっておる。そこで台湾バナナの値段の仕組みですね。どういうふうに輸入されて、小売り業者あるいはわれわれ消費者に一体幾らで売られておるのか、こういう点、通産、農林両方からひとつ御説明願いたい。
  213. 原田明

    ○原田説明員 バナナは台湾から八ドルないし七ドルで、CIF価格で、割り当てを受けた輸入業者が現在輸入をいたしております。輸入業者から消費者に渡るまでの段階は、必ずしも一定していないようでございますが、私どもが理解をしておりますところでは、輸入業者から加工業者にいきます。それから、卸、小売り業者にいくというのが通常の形態であります。また輸入業者の中に加工業者を兼ねている者が相当にございますので、それから同様に、卸、小売り業者、消費者にいくというように、大きく分けまして、こういう形態をとって消費者の手に渡っているだろうと思います。こういう系統が各部でどういう値段の仕組みになっているかということは、こういう青果物の特徴といたしまして、非常に把握困難でございますが、われわれが利用可能な範囲の統計によって申し上げますと、八ドルの場合でございますと、円貨にいたしまして二千八百八十円。以前はバナナは関税が非常に低うございまして、そのかわり差益が吸収せられておりましたが、現在は自由化と同時に関税が七〇%に上げられておりますので、この場合、関税が二千十六円になるわけでございます。これに通関手数料、銀行におけるLC開設手数料あるいは一般管理費、その他の経費等等を加えまして、非常に大だんな推定でございますが、原価がほぼ五千四百円程度になるのではないか。この五千四百円で仕入れましたバナナを、輸入業者が加工業者に幾らでおろすかという点でございますが、この場合、輸入業者と加工業者の間に取引が行なわれる。そこで、一般にいわれております浜相場というものが立っております。この浜相場というものは、必ずしもその価格で売られるという価格ではございませんで、一応の標準価格として定められているもののようでございますが、これもバナナの需給によって変動いたしておりますが、おおむね五千二百円ないし六千円——たとえば台風、その他で高くなったときは、もっと高いときもあるようでありますが——程度と考えられますので、五千六百円程度という推定をいたしますと、それが加工業者が輸入業者から入手する場合の一応の標準価格になる。ただ、相場が非常に強い場合には、これに若干の配荷手数料といったようなものをさらに払わなければ、加工業者は入手できないというような実情にあるようでございます。この加工業者から地方の卸、小売り、その他全国の販売網を通じて消費者に渡るという次第でございます。  小売りその他の段階でどのくらいもうけておるかというような統計は、非常に把握が困難でございます。小売り価格について発表されている統計から推定をいたしますと、この小売り価格もいろいろ変動いたしておりますが、二百四十円、二百九十円、三百円あたりでございますと、二百六十円程度ということで推定をいたしますならば、一かご分が大体一万四百円くらいになるというかっこうになっております。この場合に、途中の運送の費用でございますとか、その他いろいろの経費もかかっておるようでございますが、それがどのくらいになって、小売り、加工、卸売り、仲買い人等々がどのくらい実際にもうけておるかというところは、なかなか把握が困難でございます。一般には、現在の需給の状態のもとでは、かなりどの段階でも利益が高いというふうにいわれておるようでございます。
  214. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いまどの段階でも利益が高いということから、一部では、二五%ないし三〇%も安くなるから、おれも輸入業者にせよ、こういう人もあるようでありますが、あるとするならば、やはりそういう方法もできるではないだろうかと思うのです。それについての御意見はいかがですか。
  215. 原田明

    ○原田説明員 現在バナナの消費者価格をできるだけ引き下げて、バナナをほしがっている消費者に、なるべく安くてうまいバナナを食わせるべきであるという声が業界の内外に非常に高まっておるように私ども感じます。そうして現在の物価政策の一環といたしましても、この問題は非常に真剣に取り組むべき問題であると考えております。  この場合に、非常に幾つかの提案がございます。その最も有力なものの一つとして出ておりますのは、現在の輸入業者、特に輸入組合に属する輸入業者は、実績を持って割り当てを受けておるので、その割り当てに基づいて得た利益の上にあぐらをかいて非常に高く売っておる。したがって、バナナが非常に高くなっておる。もしその輸入業者を経由しないで、たとえば加工業者が自分で直接輸入をすることができるならば、輸入業者にマージンを払うことがないわけでございますから、それだけ消費者にバナナが安くいくわけである。これはバナナを安く供給する最も手っとり早いかつ有効な手であるという議論ではないかと思います。その場合に、団体によりまして、私の団体なら二五%、私の団体なら三五%下げてみせるとおっしゃっているように理解いたしております。この問題につきましては、最も有力な議論の一つのようでございますので、私どもも最も真剣に検討いたした次第でございます。まずこの議論の通りますわけは、輸入業者という中間者が一人減ることによって、加工業者が入手すれば、それだけマージンが減るから安くなるという議論であります。実情を調べてみましたところ、加工設備の大部分というものは、現在の輸入組合に属する輸入業者が持っているということが判明いたしました。この点は、バナナの加工設備には、非常に高級なりっぱなものから非常に簡単なものまで非常にたくさんございます。全国にあります数でも、何千という数があるといわれております。したがいまして、これを的確に把握することはきわめて困難な次第でございますが、われわれが利用可能な最も信頼できると思います調査によりますと、室の能力その他で、六、七割に近い程度のものを現在輸入組合の中にすでに持っておるわけでございます。したがいまして、その方々は加工設備を持っておるわけでございます。加工団体の加工設備を持っている人が直接輸入しておるわけでございますから、それで安くなるはずであるという議論が、すでにそこに実態として実現されているということになるかと思います。  それから最終的には、私どもはそういうふうに加工ないし輸入業者が安く入手いたしました場合でも、その方からさらに卸、小売り、仲買人、といった幾つかの流通経路を通じて消費者の手に渡っておりますので、その途中の流通経路に当たる方々が、いずれも、安いものを入手したら安くするという仕組みが確保されません限りは、なかなか安くなりにくいという結果が生ずるかと思います。実際問題といたしましては、バナナに対する需要は非常に強うございまして、三年間で輸入が八倍になっておるようでございます。  このように非常に輸入が増大し供給がふえた農産物というのは、他に例を見ないのではないかと思います。それでもまだまだバナナの価格は戦前の一般的概念から見るとちょっと高いように感ぜられます。ただ実際問題としては若干下がりぎみではございます。結局バナナは非常に腐りやすい商品でございますので、もし需要を供給が上回る、品物が余っているというような事態が起こるならば、直ちに腐りますので、いわゆる戦前のバナナのたたき売りという事態が出現せざるを得ないと存じます。現在はまだそういう事態を生ずるところまで参っておらないということは、消費者の需要は依然としてかなり強くて、供給がこれに追いつかないという状況であるかと思います。そういたしますと、結局最後には、高く売れるというものを、どこでだれがどういうふうに販売するかという状態になるかと思いますので、私どもとしましては、現在消費者価格を引き下げる最大の方策は、国内各方面の影響のぎりぎりの範囲で輸入量を増大していき、供給をふやすことが最大であるというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  216. 勝澤芳雄

    勝澤委員 自由化前、百三十社の台湾バナナの取り扱い業者であったのが、いまは五百二十八社になっている。しかもここ数年間で相当な量にふえているということから、このバナナの問題については結局うまみがある、バナナの輸入権利をもらっているだけでばく大な利益になるということがいわれ、そして過去の百三十社で扱ってきた状況と今日の五百二十八社をいろいろ見てみると、いろいろまたうわさが出、流れておるわけでありまして、また業界の中もまことに複雑怪奇であります。ですから、こういう複雑な中に政治がからんでくると、なおさら取り扱いは慎重にならなければなりません。一部では、業界の中からも、役人の中からも、こういううわさが出されている。真偽はわかりません。わかりませんけれども、やはりこういう疑惑を招くということは、このバナナというものがうまみがあるものだということに、私は問題があると思う。ある国会議員は二十万かご持っておる。私のところに名前を言ってきた人もあります。いやあの人はこうだという、いろいろな名前が出ておりますけれども、真偽はわかりませんし、また自由化されたあとにおいて、その人がそういう輸入をやった限りにおいては、まあ指摘すべき点があるかもしれませんけれども、名前をここで発表することは私もはばかりたいと存じますが、ここで取り上げた、バナナはうまみがあり過ぎる、値段形成の中で、とにかくもっと安くなるではないだろうかと、事務当局もお考えになっておるわけでありますから、ひとつバナナに対する疑惑というものがこの際ないように、特に通産大臣としても、通産行政の中で十分——いま輸入組合というものができて、一応調整はされているようでありますけれども、中身を見ると、まだまだたいへんなことでありますから、そういう問題が出て、われわれ国会議員の中から政治不信というものを招かないように、ひとつ十分な取り扱いをしていただきたい、私はこう思います。最後に御所見を賜わりたい。
  217. 三木武夫

    ○三木国務大臣 勝澤さんの御注意、全く私も同感でございます。バナナとかコンニャクとかノリとか、こういうものに政治家が関連して、不信を招くというようなことは厳に慎まなければならぬことでありますので、通産省としては、厳重にこの問題を通じて、いやしくも国民の疑惑を招くようなことのないように、十分な注意を払っていくことを固く約束をいたすものでございます。
  218. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いずれ別の機会に、私のところに来ている名前を大臣に差し上げますから、よく事務当局とその取り扱いを十分検討されて、やっていただきたいと思います。
  219. 山田長司

    山田(長)委員 議事進行に関して……。  けさほどの理事会におきまして、本日の議題に関する数種の種目をあげられたはずでありますが、政府委員の顔ぶれを見ますと、私の要求いたしました政府委員はまだ出ていません。これにつきまして、時間もだいぶ過ぎています。もっともきょうじゅうに時間を費してやるなら別ですけれども、来てもらう大臣の顔ぶれがそろっていなければ、呼びに行くような始末になっては困りますから、いまのうちにすみやかに呼んでもらいたい。委員長決定したことはやはり守ってもらわなければ困ります。
  220. 吉川久衛

    吉川委員長 あとで、理事会で御相談をします。  それから、いつでも呼べるように手配をいたします。
  221. 山田長司

    山田(長)委員 あとで理事会を開くと言いますけれども、けさ開いてきめられたことは、委員長、やはり実行に移してもらわなければ困りますよ。吉田委員がいま質問されるのはわかりますけれども、その間に呼んでもらいたい。私は吉田委員のすぐあとで質問することになっているのですから、それは時間によって大臣が帰られてしまうようなことになると、あとで出てもらうのに手間どることになって困りますから、すみやかにひとつ頼みます。
  222. 吉川久衛

  223. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は愛知官房長官伺います。  まず綱紀粛正の問題につきまして、押谷委員からもだんだん御質問がございまして、また他の委員からもそれぞれお触れになったことでございますが、いまの時点におきましては、政治問題としては最も重要な一つの課題でございます。そこで、実は綱紀粛正は、ただに一行政官の問題とか、あるいはある非違行為の現象の問題とか、そういうことじゃなしに、日本の国会と行政を含めまして、政治姿勢の根本に連なる問題でありまするから、これを正すということは、少なくとも国会に対しまして憲法上連帯の責任がある内閣の首班がみずから出て応答するということが、この際適当であります。伺えば、八月上旬以来の御病気で、出にくいとのことでございまするが、しかし朝の理事会等におきましても、この重要性を力説いたしまして、時間を制約しまして、簡潔に要点を尽くして問答するということまで申し出てあるのであります。しかるにお出にならぬ。閣議には出られる。縦横の論議に参加しておられる。はたして官房長官は、総理を完全に代理するようなつもりでお出になっておるのかどうか、その点まず伺います。
  224. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御承知のように、佐藤総理は、先般来腎盂炎というような病気にかかりまして、その後療養につとめました結果、すでに退院はいたしておりますけれども、本来ならばここ一週間くらいの間は、さらにできるならば転地療養でも、私としてはしてもらいたいところなんでありますけれども、現在いろいろと問題も山積しておりますので、とりあえず自宅において静養かたがた執務をいたしておるような状況でございます。こういうような状態でありますことはたいへん残念でございますが、しかし病状の許す限り、たとえば閣議などには出席をしてもらいたい、また自宅におりまして必要な指図等も仰ぎたい、こういう状況でございます。実は今日も午前中自宅で執務し、私も必要な指図を受けているような状況でございます。とりあえず、ただいまのところ、まことにどうも至らぬものでございますが、総理にかわりまして、できるだけの御答弁も申し上げたい、かように存じておる次第でございます。
  225. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 総理大臣の現在の病後の実情は、今日の内閣首班としての激務にたえられないという状態にあるという御判断なのか。一週間転地療養するということはきわめて重要なことであります。これは当然閣議にはかるとかなんとかしなければ国政が麻痺するのであります。したがって、これに対してどう一体お考えになっておるのか。官房長官としての人柄なり御人格なり、またその見識については、これは何の危惧も持っておりません。しかし事はやはり国会と内閣との問答でございます。びょうたる吉田ではございますけれども、かりにもやはり国会におきまして内閣の首班と問答するということは、これはやはり国会に対する責任において対処をしてもらわねばならぬのであります。転地療養してもらいたいと思うくらいだということは、これは言うならば私情であります。激務にたえぬということであるならば、これはやはり代理首相を置かねばならぬのであります。それほどやはり政治に対しまして、現実の行政に対しまして、最高の責任感を持つということを事実に示してもらうことが粛正の第一歩である。それはどうお考えになりましょう。
  226. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お話のとおり、先ほど私申しましたのは私情でございまして、私情においてはまあ今週一ぱいぐらいは転地療養でもしてもらいたいと思うぐらいであるが、それは、何と申しますか、そういうことはいたしませんで、国政に当たってもらうということで、先ほど申しましたように、静養かたがた国政に当たっておるわけでございますので、ただいまの状況で、たとえば外に出ますのはもう一週間ほど御猶予いただきますならば、十分元気をもって、心身万全の状態で、いろいろと、国会にももちろんでございますが、十分な執務態勢ができるであろう、こういうふうに考えまして、完全な全快をすみやかにしてもらうようにつとめておる次第でございます。
  227. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば、愛知官房長官は、憲法上総理としての答弁をかわってするというようなお気持ちであるわけです。そのような一体心がまえで問答してくださるのですか。その点はいかがです。
  228. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたように、総理大臣にかわりまして、総理大臣気持ちをもって、何と申しましょうか、総理大臣気持ちを考えながら、私でかわり得る限りにおいて、総理大臣の心境も申し上げたい、かように考えております。
  229. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の申し上げたいことは、やはり、総理気持ちをそんたくいたしまして、あなた御自身の責任において言うというようなことであると、問答しましても、官房長官がそう言っても、総理はそうでないということなら、これは一体問答は意味をなさぬことにもなるわけです。そんな権威のないような問答をすべき段階ではない。いまの時点の綱紀問題というものは、もっと重大にお考えを願いたいと思うのです。それで申し上げているのです。  そこで、このくらいにいたしまして、伺いまするが、一体ことしは、田中彰治君事件にいわば端を発して、政治不信の渦が国民のうちにわき上がってまいりました。田中彰治君も、われわれの同僚として当委員会に籍を置いて、しかも決算委員会決算委員長、決算委員でございと言って、起訴されるような数々の事件が起こった。実にあらゆる意味におきまして、われわれは深刻な衝動を受けた次第であります。それからその次に、今度は荒舩運輸大臣の事件がまた起こりました。在職七十二日ですか、ついにこの十一日に辞職。しかも自分だけ何でこんなに責められるのであろうかというような捨てぜりふまで残しなさるというような、まことに不可解なことが伝わっておる。さらにまた、松野さんの海外旅行について、かなり軽率でなかったかというような面がだんだんと指摘されておる。防衛庁長官の問題にしましても、全くそれに至っては論外です。われわれは批評のことばを知らぬです。防衛庁長官のそのふるまいは児戯に類する。大臣かあるいは子供かわからぬというほどにまで私どもは実は考えたいのであります。さらにまた、参議院におきましては、元農林大臣の重政君に対する贈収賄のことばすら国会で出てまいっております。またその他の人の名前も出ております。しかし、こういうようなことを顧みましたときに、一体よってきたるところは何か。十四日の閣議の席上で、総理が、綱紀粛正を中心といたしまして、かなり列挙的に覚悟を示したことはわかるのです。しかし、こういうことは、ことばやら作文やら声明やらで解決する問題ではございません。根本的に国民は何を望んでおるのか。国会に対する不信ですよ。国会不信ということがほんとうに進行いたしてきましたならば、あなたの自民党のある領袖のことばではないけれども、こんなことでずんずん進んでいったならば、右と左の独裁政治に道を開くのでないかという心配すらされております。だから、これは政治に携わっている者だけではありませんわ。国民全部が何らかもっと明るい、自信を取り戻したような道を発見したいということが真実の願いですよ。これにこたえるということは、私は絶対の責任だと思う。閣僚というものは、一政治家というよりも、行政府に対する首長であります。総理大臣はその首班であります。だから最高の政治モラルが要請されなければならぬ。一つぐらいいいじゃないか、小さいからいいじゃないか、金銭の代償いいじゃないか、まあだれもやっていることだからいいじゃないかということでは、一体これは何をか言わんやということになります。最高の政治モラルを要請しておる国民にこたえるのが、現職の総理の立場だと私は思う。一体官房長官として、私のこの言説に対してどうお考えになり、またあなたのお立場から、閣議に対し、首相と毎日連絡をとっておいでになるが、どういうふうに運ぼうとお思いになっておるのか、具体的にお聞かせ願いたい。
  230. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまもお触れになりましたが、先般の閣議における佐藤総理の表明した決意というものも、私は異常なくらい力の入ったものであると理解いたしておりますが、その中で、いろいろと起こる事態に対して目をおおうてはいかぬ。これを直視して処理しなければならない。しかし同時に、いまも御指摘になるような点に関連して、いわば一種の病根といいますか、あるいは積弊と申しますか、こういったようなことが相当に存在しておるわけでございますから、これに対して勇気を持って対処しなければならないことは当然であるけれども、同時に一朝一夕で処理のできないものもございましょう。非常に一朝一夕ではできにくいところもあるけれども、こういうときには一大決心を持って、場合によりましては多少の時間がかかっても、その間忍耐を持って対処するという心がまえも、最高の政治の責任を扱う者としては大切なところである、こういう気持ちも、このことばの中に出しておる。これが私は佐藤総理の心境であると思います。いろいろのことがうわさその他に出ておる。まず真相を調べることである。そうしてそれに対する責任を明らかにすることである。しかし、そういった種類の問題に対しては、一朝一夕に片づかぬものもあるというところにおいては、相当の期間、歯を食い縛ってでも、これに対して処する道がなければならない。深くみずから期するところがあるということを言っておるのでございますが、この言っておりますところにあらわれておる気持ちというものを御了察いただきたいものと、かように考えるわけでございます。
  231. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それほど問題に対して切実なお気持ちを持っておいでになり、重大な決意が十四日の閣議で表明されたとするならば、病躯を押してでもこの場に臨んで、そしてたとえ片言隻語たりとも、国民の切々とした訴えというものに耳を傾けることが大事です。あなたは広い見聞があろうけれども、いま、たとえば諸外国におきまして、イギリスあたりにおきましても、「タイムズ」の論評など見ても、あるいは西ドイツにおきましても、アメリカ、フランス等におきましても、日本の最近の大臣、特に荒舩君が俎上にのぼって辞職したという、これが一つの頂点になっておるらしいのだが、こういうものが諸外国に与えました影響というものは、少なからざる日本政治信頼に対する低下もしくは懐疑あるいは見守り、こういったようなものを投げ与えておるのです。ですから、こういうときは決死の覚悟をもって国会に臨むというのであるならば、その真剣さがわかる。文書やらそんな声明というものは、何ぼつくりましても問題は解決しやしません。何が原因かということについても、それは一朝一夕に片づかないものもあります。十八年もあなたのほうの内閣が継続しておるのだから、永久に政権にあぐらをかいているような気持ちでもあったらたいへんであります。私は、やはり一切党派を超越いたしましてこの問題に対処することが、少なくとも現在議席にある者の至上の使命だろうと思うのです。  私は、最近あらためて明治、大正の憲政史をちょっとひもどいてみましたが、明治、大正へかけての閣僚もしくは総理大臣というものの覚悟は決死的ですわ。みんな命をかけておりますよ。それほどの心がまえでございましたら、今度の打ち続く不祥事、国民の疑惑に対しましては、身を張って答えなければならぬ。家で政務をとっておるから、国会へ出られません、一週間ぐらい静養さしたい、そんななまやさしい考えを持っておられること自体が認識不足、のみならずモラルがありませんわ。評論家のことばをかりて言うならば、倫理性欠除ですよ。そんな中途はんぱなことではいけませんわ。それだけでも、一体内閣を指導する適格性ありやとまで、私は極言をしたいと思うのです。  そこで、具体的に一体どうしようということになるのだろうか。具体案が何かありますか。あれば、粛正をしたい、ないしはあとを断ちたい、原因を探求したい、ときにいけなければ長期作戦でいこう、いろいろとあろうと思いますけれども、一体具体的にどうしようというプログラムを持っておりますかどうか。
  232. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この種の種類と申しますか、政治に対する不信でありますとか、あるいは綱紀が乱れているというふうにいわれておるこの種の問題に対する対処の姿勢としては、具体的にと言われますけれども、これはまず実情をできるだけ明らかにするということ、それから、その起こりました時期あるいは態様あるいは内容というようなものをやはり十分に掌握する必要がある。それぞれに対処する道もあると思います。それから将来に対する方法は、先ほども申しましたように、あらゆる点に及んで、かりそめにも話題になるようなことをしないように、この上ともに十二分の注意をする、こういう点において、それぞれ所要の指図等もいたしておるわけでございますが、先ほど申しましたように、一朝一夕に何かやるというような意味を含めての将来のプログラムということについては、いろいろお考えもおありかと思いますけれども、私といたしまして、いま具体的にこうするのだと申し上げるようなことはございません。
  233. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一つの原因は、やはり閣僚任命の問題にあると私は思うのです。憲法六十八条では、総理閣僚任免権がありますから、その任命につきまして、率直に申しましたならば、これは適材適所で任命するというやり方になっておらぬ。これはもう公知の事実であります。また、皆さんもよくお認めになっておるところでございます。そしてこの派閥を解消したいということも長年の懸案でございましょう。あなたのほうの党自粛運動とか、種々のことをやっておいでになることも、これはよくわかる。しかし、このような時点において相当思い切った適材適所主義で、ほんとうに国民に奉仕するたてまえで適材を選んでいく、適所に置くということをする勇断がなかったならば、これは統治能力を欠いておると言わねばならぬ。統治能力を欠いておるところに、あらゆるスキャンダルが起こり問題が起こるのはもう当然であります。ですから、原因の一つの重要なことはそこにありということを探求する必要がある。個々のケースについてきわめるということ、事態を確実に掌握するということの必要性はもちろんです。いいかげんな道聴塗説、風説等によって処理すべきものではございません。あくまでも迅速果敢に事態の真相を確認いたしまして、その上に立って、内閣の所信に従って方針を立てる、これはもちろんです。もちろんですけれども、その個々の問題の解明と解決のほかに、一般的な原因といたしまして、これは他党の私が言うことは妙なことですけれども、しかし、党を超越いたしまして、私は、国会と行政全体をひっくるめて粛正しなければならぬという観点に立って、実は申し上げておるのです。だから、トコロテンのように、何々派の大臣がすべったら、次、その派からまた出さなければいかぬというようなことは、これはもう実際、こういうことを繰り返しましたならば、政治を私物化します。政権を私物化します。政権を私物化するということは憲法違反ですよ。そういうことは憲法のどこにも書いておりません。内閣といえども、一切の公務員は国民に奉仕することが憲法の大精神であるのです。でなければ、憲法じゅうりんであります。そんなじゅうりんをしておりましたならば、一切憲法を無視する、国会を否定するという思想が起こってくることは当然です。ずっと昔のことですけれども、これは戦前のことだけれども、ドイツにおきましてナチスが起こった。共産党が起こった。議事堂が焼かれた。ああいったようなことで、左右極端な対立の結果、世界大戦を誘発するに至りましたということも考えてもらいたいのです。日本は、永遠に何もしないで、平和、安全、独立、繁栄、そんなうまいことはありません。やはり一つ一つこれは実践の経過をたどりまして、実績を積んでいく以外に手はない。こんな重大な問題が起こって一体——官房長官に伺ってみますが、たとえば荒舩問題にしましても、私は、荒舩君に対しては、むしろ率直な、あけすけな、好感の持てる人材だと思っております。しかし、たとえばこのような閣僚の引退事件にいたしましても、明治、大正、昭和にかけまして、こんな事例はざらになかったと思うのです。こういうことも、一体ほんとうに考えてみてもらいたい、こう思うのであります。でありますので、私は、原因の探求ということについて、勇敢なれということはほんとうに切言したいです。けれども、これは内部のことでありますから、これ以上は申しませんけれども、したがいまして、そこまでまいりますと、たとえば、派閥を統率していこうとすると、ばく大な経費が要るという、これまた公知の事実であります。ばく大な経費が要るということは、また政治活動に経費が要る、そこで政治の腐敗がある。あるいはまた財政の紊乱がある。いろいろな予算作成等々をめぐりまして、一つの混乱が起こるということ、何もかもが因果関係を生じてくるということがありますので、こういうことに対して相当思い切った、これと対決して改革していくということが必要になってくるのではないかと思うのです。それならば、つながるところは、いわゆる行政改革にもなっていきます。国会を含めての行政改革になっていきます。でありますから、これは一つの根本的な治療方法です。実はこういうことに対する内閣としての御所見が聞きたいのですが、いかがですか。
  234. 愛知揆一

    愛知国務大臣 切々たる御意見に対しまして、私も非常に敬意を表するわけでございます。同時に、先ほども申しましたように、佐藤総理考え方といたしましては、何べんも引くようでございますが、閣議で発言いたしておりますように、一大勇猛心をもって積弊を払拭することに努力を新たにいたしたい。その中にはいろいろの問題を考えておるわけでございます。しかし、同時にただいまおことばもございましたが、道聴塗説に対していたずらに右往左往するというようなことは、私は政治の最高の責任者としてとるべき気持ちではない。ここは根気強く根本的な問題に対処しなければならない。そうしてみずから期するところをもってやろう、この表現をもって御理解をいただきたいと思いますが、なお、閣僚人事等に対する御意見等につきましても、私はもちろん十分ここで伺っておりますし、佐藤総理にも十分さらに伝えたい、かように考える次第であります。
  235. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば、この委員会は、きょう、あす、あさって連続開会されるのではございますが、最終的には、綱紀粛正を中心として相当な論戦が展開されると思います。そこで、どうしても多少の時間でも当委員会に使う、こういうことに総理との間にあなたが取りきめていただきたい。いま相当な、根本的な態度をもって臨みたいという決意の表現がありますので、これはやはり総理から言明をしてもらいたい。これが私はほんとうの国会に対するあり方であろうと思います。ですから、この点はひとつぜひとも善処を御要望しておきたいと思います。  次に、松野さんに伺いたいのでありますが、松野さんの今回の海外旅行につきましては、だんだんと同僚諸君から質疑がございました。いろいろと終始遺憾な点がございますが、やっぱりこれは大臣といえども、いかなる場合でも下僚まかせでなしに、直接自分に関係するような問題につきましては、もっと身近な責任感を持って善処してもらいたいのであります。これは最近ではありませんが、少し前にドイツの国防省の問題もございましたが、これは若干違いますけれども、まあ大臣が責任感に乏しいということは、やはりこれほど憂うることはございません。上へいくほど厳格に身を持し、あるいは行為を慎み、旅程一切について法を守る。いまのような、あなたの日程その他のことをいろいろと伺ってみたりなんかしておりますと、こういうようなことが繰り返しありましたならば、日本人は法治国の国民としての能力がないのではないであろうか、行く先行く先で適当に出まかせのことをやっていっても平気である、こういうことになるのではないであろうか、こういうことさえ実は考えるのであります。でありますので、これはドイツでしたか、フランスでしたか、何か海外旅行、私的旅行を官費でしたというので、弾劾されてしまったような実例が最近あったようでありますが、私は、やっぱりこういうことは、公私混同は絶対にすべきではない。その模範を示すべきである。最高のモラルを要求するということは、そういうところにも端的にあらわれます。  昔、国会議員が素裸になってハワイで踊ったというて、国際間で大きな話題を投げました。アメリカあたりにおきましても、エレベーター・ガールにキッスしてしかり飛ばされて問題を起こしたような、こういう例も国会議員にございました。幾多の不名誉を世界に流した前例はあります。しかし、やはり大臣としまして一省を統率していく責任があり、国会議員の身分の方は、やはり海外旅行等におきましても、厳格にみずからを規制しつつ行動してもらいたい。あなたのさっきの御答弁もだんだんと聞き、スケジュール等一切を聞いておりましたし、何かと見聞きしておりますと、やっぱりそこに共通の抜けたものを持っておられる。少々のことはいいだろう、公私混同しちゃってもいいだろう、そんなことを繰り返しておりましたなら、ロンドンにいってラシャをうんと買って、外務大臣の名前によって、大使館の名前によって、飛行便で日本に送ってくるような悪たれもできます。ときにはやみドルもあります。いまこそ粛正の絶好のチャンスです。あなたは、先月二十七日か八日に、参議院の決算委員会において、農林省を中心にした諸般の問題のやりとりをしておるんですよ。したがって、この黒い雲とか乱れた状況ということはよく御承知の上で言っておられる。それならば、いささかでも非難されるようなことがないように、ぴしゃっと断ち切って前後行動するということがあってほしかった。なかったことは実に遺憾です。あれを取り消した、お金を返します、そんなみっともないことはいよいよ出て、いよいよ醜なんです。まずいです。やればやるほどまずいということになると思うのです。ですから、こういう点につきまして、私は非常に重大なこととは思いませんけれども、しかし、共通したモラルの低い一つのあらわれといたしまして、国民の指弾するのは当然であります。だから、この点につきまして重ねてあなたの御所信をちゃんと聞いておきたいと思うのです。
  236. 松野頼三

    松野国務大臣 私の不注意な点が多々ありましたし、気持ち吉田委員の御趣旨のような気持ちで今日もおります。もう一度わが身を振り返りながら、この気持ちが現実の姿に合うように、最善の努力をいたします。
  237. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、今度は共和製糖をめぐりましてのいろいろな問題で、農林省はだんだんと質疑応答が逆になって、ちょっと前後して恐縮いたしますけれども、結論的にあなたに伺っておかなければならぬことは、やはり農林大臣は大蔵大臣とともに、たとえば公庫にしたって金庫にいたしましても、これを監督する行政責任がおありなんでありますから、とかく問題が起こるようなことにつきましては、一たん小さな問題といえども起こるきざしがあるならば、これに対処していくにやぶさかでない、あるいはまた相当長年間、数年間くすぶったような問題、世上喧伝いたしましてかなりあちらこちらで問題になってついにうみが出だしたというのが共和製糖の問題のようでありますから、こういう経過に照らしましても、相当厳格に指導あってしかるべきでないであろうか、こういうように思っております。これは大いにやりますというような抽象的なことではなしに、これをきっかけといたしまして、林野行政にしましても、あるいは金融行政にいたしましても、それぞれ農林省はもっとしゃんとしてもらわなければいけません。農林省にしたって、通産省にしたって、物資庁というものは、こういう時世においては一番いろいろな問題の巣になりがちです。お金がほしい、物がほしいというような世相ですから、そんなときに、物資庁というものはそういう問題が一番起こりやすいところです。あなたのような方はきれいな人ということはわかりますが、そういう方はいまこそみずから厳として臨まなければいかぬ。したがいまして、まだ問題は、未解決の問題が共和製糖のグループ問題については相当あるようでございますので、今後どう発展するかいなやは別といたしまして、これは態度を一変いたしまして厳格な態度をもって臨む。私は、きょうは金庫関係の大蔵省のほうも来ているかどうかわかりませんが、一昨日来でも、いろいろと資料を要求いたしましても、大蔵省あたりの資料はまだよくできていない。いま調査中です。大体そんな能率の上がらぬような行政をやっているから問題が起こるのです。行政能率の上がらぬことは、文明国、先進国は日本が第一番だろうと思うのです。ですから、国会で重大な問題が起こって、ことに九月が始まるや、参議院では取り上げておるのであります。至るところで、地方で問題も起こしておるのであります。そんなようなときに、それぞれ監督する官庁なんかは、金融機関の行為についても、やった実績についても、問題点についても、即刻厳令を下して調査して、そうして結論を出して、国会、しかるべき方面に報告するというような、そのようなかまえがなければいかぬ。どこもかもがゆるふんです。ゆるふんだからすきが多過ぎて、そこに問題があるのです。だから、これは大蔵省の問題でおそれ入りますが、農林省農林省といたしまして、この問題につきましては、これはもう中心の一番重要なところです。ですから、この点につきましては、あなたの強い覚悟と、それからほんとうに各方面に厳命いたしまして、問題の究明と解決等、一切の疑いを晴らしてしまうということ、改むべきことは断固として改める、こういうような姿勢をもって臨まれんことを希望するのですが、どうですか。
  238. 松野頼三

    松野国務大臣 農林省行政、また、ただいま御指摘の事件については、最善を尽くして、今日相当私自身は進めております。そんなに遠からず、この問題の報告あるいは整理というものが可能であると私は見通しをつけております。ただ、所管が私ではありませんから、公庫に命じて、その気持ちで今日相当進めさせておることを、本日明言しておきます。
  239. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この国有農地の売り戻しの問題にしましてもそうなんです。世論がごうごうとわいたらすぐに引っ込める、こういうような不見識なことはいけません。これはやはりどこかにすきがあるからです。だから、出ること慎重であるならば、引っ込むこと、こんなにそそくさとする必要はないのです。出ることに軽率であるということは、これはやはり全体として弛緩しておるのであります。現に一坪二円そこそこで売り戻すということは、どんなに考えましても、法律の精神とかあるいは所有権のたてまえとか、いろいろなことを考えましても、常識に反することは当然であります。だから、世論がたたいたらすぐに引っ込めるというような、そんなことでは、これはもう全く行政の責任が一体どこにあるかということになります。これはまだ不発に終わりました。たたかれて不発に終ったけれども、私は不発に終わったということ自体がやはり相当評価されてしかるべきだと思うのです。一つあることは二つある、出そこなったことはまた出る、こういう危険性があると思う。こういう点のことがありますので、ひとつぜひともその点は積極的にこれに対する災いを転じて福とするといいますか、まだ六千町歩ばかりの未解決の国有農地が残ったままでありますので、これは世論の動向にもかんがみまして、それこそできるだけ早い機会に最善を尽くしていってもらいたい。いろいろな要請はあるのでありますから、これは強く御要望いたしますが、いかがでありましょう。
  240. 松野頼三

    松野国務大臣 農地問題につきましては、確かにお説のような点がございます。しかし結局は、これを機会に、その問題をより公共的に、より国民が納得する方向に、これは改善をいたす準備をただいましておりますので、通常国会中には議会にはかり得るような諸般の準備を進めております。どうぞ、いままでいろいろな点がございますが、私がただことばで言うばかりではなしに、できる範囲の最大のものは一日もおろそかにせず進行して、必ず結果をごらんに入れるつもりであります。
  241. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 共和グループの企業問題にちょっと触れていきたいと思うのであります。これは本格的には明日展開されていくのでありますが、一応私は資料を要求して、かつ論議をする準備をする意味におきまして、一、二お尋ねしておきたいのであります。  大蔵省、見えておりますか。——大蔵大臣は中金の監督機関でありますが、現在中金と農林公庫、開銀などで、高槻の国有林十万坪といわれているやつですね。これの担保物件としての評価が非常な違いなんです。一つは十九億円と言い、一つは、中金は三十三億円と言っておるのです。こういうような違いがありますのは、それは対象の内容が、時点が違っておるとか、あるいはふえたとか、あるいはほかのものも加わったとかいうような、そういう問題も実はあろうかと思います。あろうかと思いますが、しかし、それならそれで相当明確になってしかるべきであります。明確にしないままに評価が全く違っておるということになっておりますので、これらの点については、すみやかにあなたは銀行局に命じまして、ひとつこれを明らかにするようにしてもらいたい、こういうふうに思っております。
  242. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 共和製糖グループ問題に関連いたしまして、高槻の国有地が私有地と交換をされたわけであります。私も、この問題が提起されてから、事務当局から報告を聞いたのでありますが、大体この国有地は三千四百万程度の評価である。それが共和グループの必要資金の融資の担保になっておる。これが総額にすると三十数億円になりますが、これは添え担保なんです。はたしてその土地が幾らの担保として見られるものであるか、見られたものであるかということにつきましては、認定が非常に困難なんですが、いろんな資料から認定ができるものかできないものか、ただいま関係当局において調査を進めておる、こういう段階でございます。   〔発言する者あり〕
  243. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、これは資料要求だけしておきますから、銀行局のほうでお調べになりました融資の実態、最高の貸し出し金額あるいは担保の内容あるいは長期、短期の区別、現在の残額等、こういうものをひとつ一切あした出せるように御用意を願いたい。これに関連いたしまして、同様に公庫も金庫も開銀もこの融資についての取り入れ担保あるいはその評価、それから長期、短期の区別とかいうものがあるならば、そういうものにつきまして、貸し出しに関する数字の資料をぴしっとそろえて出すようにしていただきたい。それからなお林野庁におきましては、大阪の高槻の国有林の交換につきまして、その後この国有林の登記関係がどういうふうになっておりますか。それから相手についてどういうふうな調査ができたか。それから広島の交換物件についての調査はどういうふうになっておるか、両者の当時の踏んだ時価についての評価の根拠、方法、こういうものをひとつ全部資料としてお出し願いたいと、こう思います。
  244. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいまの吉田委員資料要求について政府の答弁を願います。
  245. 松野頼三

    松野国務大臣 農林省関係については、準備いたします。
  246. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 できる限り準備をいたすようにいたします。
  247. 山田長司

    山田(長)委員 議事進行についてもう一度発言を求めさしてもらいます。  けさの理事会におきまして決定されたにもかかわらず、それが全く委員長及び自民党の理事によって踏みにじられようとしている。私はまことに心外です。けさの理事会で、きょう私の要求した緊急質問に対する発言を正確に確認したはずです。しかるにそれが、そのことはきめられてなかったというに至りましては、私承知できません。そんなばかなことはないです。それで、押谷さんも押谷さんだ。私はそういう事態があるといけないと思いましたから、けさ念を押したはずです。それが了承を得て、理事会を終わった。しかも開会時間をおくらせて、この会場に変更することに至るまで、結論が出て、午前中の部は散会したはずです。しかるに、その話はしなかったというに至っては、まことにこれは心外にたえません。そんなばかなことはないですよ。  それでしかも、先ほど私は関係大臣その他を呼んでもらうはずで、あなたに請求したはずだ。しかるに関係者はだれも来ていない。何のためにこれは関係者は来てないのですか。一応もう一ぺんこの点明らかにしてもらいたい。
  248. 吉川久衛

    吉川委員長 山田理事の御発言のあったことは承知をいたしております。しかし事は法務委員会に属することではないかというような気もいたしましたし、本日のこの議題とも若干かけ離れているような感じもいたしましたので、私は特に他の理事の御要請もございませんでしたので、承っておいたつもりでございます。しかし、ただいまの御発言もございますので、明朝の理事会において、あらためて御審議をいただくことにいたしますから、御了承願います。
  249. 山田長司

    山田(長)委員 明日の委員会ということは、けさの理事会で決定したわけじゃない。時間がおくれるということはあり得るかもしれないけれども、何がゆえに——それではあなたきめられてないというけれども、きめられたと思ったから、こっちは念を押しておるはずですよ。それで了承を得たはずです。その了解を得たにもかかわらず、しかるにそれが全く無視された形が生まれてしまっているわけです。何で法務関係の事件であるからといって——小林章の問題というのは、これは当然予算に関係のある部門の経費も、証言台で宣誓して言われているというところに問題があるのです。ですから、われわれとしては当然これは決算の仕事に属するので明らかにしなければならぬと思うから、緊急質問の形で、けさほどの理事会におきましては、私は要求したはずです。それが理事があなた方のほうは二名しか出ていなかった。大体二名程度しか出ていなかったところに問題があるのです。きょうに決算委員会を延ばしたのは、わが党は先ごろから、決算委員会を開くために要求書まで、法規に従って出しておった。法規に従って決算委員会開会要求をしておったにかかわらず、それが開かれなかった。十二日、十三日に開くだろうと思ったら、それがけ飛ばされた。け飛ばした理由は、きょうにまで延ばしたのは、その当日までには必ず理事もそろえるし、委員もそろえるから、かんべんしてくれという話だった。しかるに、全く出てきた委員は、委員らしきものは出てきておるけれども、理事はけさ欠員だった。(「失言だよ、委員らしきというのは」と呼ぶ者あり)けさの状態は、理事の人たちはそろわなかったし、おまけに——失言の点があればそれはことばが悪かったかもしれませんけれども、全くそれは延ばした理由にならない。十七、十八、十九の三日間に延ばした理由というものは、全員必ずそろえると言われたのにそろっていやしない、そういう点が私理解できない。あしたの朝理事会を開いて、もう一ぺんやり直しするなんということでは承服しませんから……。
  250. 押谷富三

    押谷委員 私の名前が出ましたから、一言当時の事情を申し上げます。  理事会において、山田君から、参議院の小林章君事件について、東京地方裁判所である人の証言があった。その証言の内応について、ここで一つ審査対象にするという御意見はありました。けれども、私は当初から、それはここでなすべきものではないという基本的な考えを持っておったのです。それは現在裁判中における重要な証人の証言の内容を国会が審議の対象にすることは、たいへん不謹慎であり、しかもそれは司法権を干犯するものであるという基本的な、これは私の考えです。だから反対をするつもりをいたしておりましたが、まあ聞き置く程度の話でありましたから、黙っておったのです。もしこれを、あしたにでもあるいは今日でも取り上げて議題にされるならば、このことは、裁判所における重要証人の証言を自由心証によってこれを採証するという、この原則に影響のあるような国会の、審議が行なわれるということは、国会審議の秩序を乱しますから、私は断じて反対です。断じてそういうことをしてはならぬ。またそういうことがかりに行なわれても、法務当局は絶対これに対して答弁をするようなことがあってはならぬと確信をいたしております。だから私は賛成するはずはないのです。またわが党の同志諸君も、この私の意見に大多数賛成していらっしゃるようでありますから、明日もしお取り上げになりましても、ここで明らかに反対の意見を表明いたします。
  251. 山田長司

    山田(長)委員 私は、ただいまの押谷委員の発言に対しましては、全く理解できません。なぜかと言えば、私はみんな立ち上がるまぎわに——これはわれわればかりじゃない、当時新聞社の人たちもたくさんおられたと思うのです、けさの状態は。私は、これでいいなと念を押した。あなたは山田の発言としてけさのメモに書いたはずです。ちゃんと書いてある。先ほど見ると、それがかってに赤鉛筆で消されてある。そんなばかばかしい委員長の処理のしかたは絶対に間違いです。それでさらに問題になるのは、一体、きめられていることをきめられていないと言うようなことに至りましては、これは理事会としてきめられたことは全部今度は署名しなければならぬような事態になりますよ、それでいいですねと念を押したら、いいということになった。私はそう言っておりますよ。いいですねと言ったら、いい。それで散会しているのだ。それで先ほどから見ていると、ちっとも呼んでいる様子がないから、念を押して、先ほど私は呼んでいないじゃないかという質問までしている。あしたの朝にやり直さすというようなことは、これはまことにばかにした話です。こんなことを簡単に取り消されては困ります。
  252. 吉川久衛

    吉川委員長 山田理事に申し上げますが、綱紀粛正の問題について、吉田委員押谷委員等から要求がございましたので、それをやりますと言いましたら、私の名前も入れてくれということがありましたから、私はこれへ書き込んだのでございますが、小林章君の問題は最後に御発言になりましたけれども、私はこれは法務委員会で扱う問題であるので、承った程度にいたしておいたのでございます。  そこで、あえて御主張でございますから、明朝の理事会であらためて御相談をしたいと思いますから、御了承を願います。(「明朝と言わないで、即時やってくれ」と呼ぶ者あり)  それから吉田理事伺いますが、ただいまの吉田理事の御発言の中で、若干間違いがあったように思いますので、その点は議事録から削除いたしておきますから御了承願います。
  253. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 承知いたしました。
  254. 華山親義

    華山委員 先ほど榊田喜四夫が旅費辞退したという文書を出せということにつきまして、あれは出すことになったのですか、出さないことになったのですか、どっちなんです。出すんですね。
  255. 吉川久衛

    吉川委員長 出すことになっております。(「終わるまでに出すということだ」と呼ぶ者あり)あしたの朝というわけにいきませんか。(「だめだだめだ」と呼ぶ者あり)  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  256. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。  これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会