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1966-03-30 第51回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十日(水曜日)    午前十一時三十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         田中寿美子君     副主査         宮崎 正雄君     委 員                 青柳 秀夫君                 石原幹市郎君                 小沢久太郎君                 松野 孝一君                 稲葉 誠一君                 山本伊三郎君                 鈴木 一弘君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君    政府委員        総理府人事局長  増子 正宏君        法務大臣官房経        理部長      勝尾 鐐三君        法務省刑事局長  津田  實君        法務省矯正局長  布施  健君        法務省保護局長  本位田 昇君        法務省人権擁護        局長       鈴木信次郎君        法務省入国管理        局長       八木 正男君        公安調査庁長官  吉河 光貞君        公安調査庁次長  宮下 明義君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        管 理 部 長  佐藤 吉弘君    衆議院事務局側        事 務 総 長  久保田義麿君        庶 務 部 長  大久保 孟君    国立国会図書館側        館     長  河野 義克君    説明員        法務省矯正局医        療分類課長    樋口 幸吉君        外務省アジア局        外務参事官    広瀬 達夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) それでは、ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十一年度総予算法務省所管を議題といたします。  まず、慣例では政府側説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、お手元に配付いたしてあります資料をごらん願うこととして、直ちに質疑に入ります。  また、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは御質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  4. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 最初に、新潟県の知事選挙違反のことが前々から取り調べられておったはずですが、これがいまどういう段階にあるかということをお伺いしたいと思います。
  5. 津田實

    政府委員津田實君) 新潟県知事選挙違反事件は、御承知のとおり、昨年の十月二十一日及び二十五日に、検察官に対して告発がなされておるわけでございます。それにつきまして捜査をいたしておりますが、一応の捜査についてのあらかたの捜査が終わりまして、東京高等検察庁新潟地検協議をいたしました結果、さらに補充捜査を要する点と、それから検討すべき問題点というのが出てまいりましたので、それを現在捜査いたしておりますが、遠からずそれにつきましての捜査を終わりまして、処分ということになるというふうに考えております。
  6. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 捜査のことですから内容に立ち至ったことはお聞きするのを遠慮しますが、新潟県の知事選挙が四月十何日でしたかな——二十五日間ですから四月九日からですか、十何日からですか、始まるわけですね。そうすると、その前にいずれにしても結論を出すというふうに承ってよろしいですか。
  7. 津田實

    政府委員津田實君) その点でございますが、新潟県知事選挙が行なわれることはすでにきまっておるわけです。日時の点は私も承知いたしませんが、おそらくそう遠からざる時期に、まあ法律上の制約があるわけでございますが、なると思います。そこで、本件につきましては、それまでにできるだけ結論を出すべきものというふうに私ども考えておりますし、おそらく現地でもそのつもりで努力をいたしておるというふうに私は考えております。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いままでに一応認定された事実というのは、どの程度なんですか。
  9. 津田實

    政府委員津田實君) ただいままで認定された事実と申しますか、これは告発事実を中心にしてもちろん検討いたしておるわけであります。現在までどの程度の具体的事実が認定されたかということにつきましては、私は詳細承知いたしておりませんが、何しろ捜査中でありますので、こまかく報告を受けるということにも至っておりません次第でございます。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私どもなり国民が期待し、希望するのは、事実は事実として、それに基づくしっかりとした処分をきめてもらいたいということですね。だから、これが政治的に動かされるという懸念がないようにしてもらいたい、こういうのが率直な正しい意見だと、こういうふうに考えるわけです。  そこで、本件について、いわゆる政治的な形での妥協というふうな形で処理しないということを、これは法務大臣として言明といいますか、お約束ができるでしょうか。
  11. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) もちろん私は、前からこの問題について幾たびか質問を受けた場合に、私はこの問題には何らの指図をしないと申しておりましたが、今後ともそういうことを考えておりません。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 塚田知事責任をとって辞職をされた、そういうことで政治的な妥協という形で結論づけられては困るわけですから、刑事責任刑事責任として、あくまでも明らかにして、是非曲直をつけてほしいと、こういうふうに考えるわけです。再度にわたって恐縮ですけれども塚田知事辞職との関連において、そこで政治的な妥協というか、そういうやり方をしないということがお約束できるでしょうか。
  13. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいま申しましたように、検事局検事局立場において、厳正なる立場においてやるつもりであります。そういう意味からいたしますと、決して政治的の考慮がそこに払われると私どもは思わないわけであります。政治的にどうとかこうとかなくしてやるのが検事局立場であり、そうあってほしいと私ども念願いたしております。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 別の問題に入りますが、出入国管理関連に入るわけなんですが、一般的に日本人外国へ出ていく、その場合に日本が承認している国と、承認していない国とがあるわけですね。それから逆に、承認している国ないし未承認国から日本へ入ってくる、こういう場合の何といいますか、出入国許可といいますか、そういうようなことの基準というのは具体的にどういうところにあるのか。それから、それに対して法務省はどの程度関与するのかですね。まず問題を分けて、日本から出ていく場合からお尋ねしたほうがいいと思いますが、日本から出ていく場合には、承認国と未承認国に分けて、具体的にどういう手続で出ていくことになり、どういう基準なのか、それに関して法務省がどの程度関与するのか、日本から出ていく場合ですね、これを先にお尋ねしたいと思います。
  15. 八木正男

    政府委員八木正男君) お答えいたします。  日本人国外への旅行、これは憲法の基本的人権一つとして、その具体的な文句は忘れましたが、移転、旅行等の自由が保障されておりますので、個人が国外に出る場合は原則として自由なはずでございます。それに対する唯一の制限と考えられますのは、たとえば犯罪を犯して訴追をされておる者とか、刑を満了しないで逃亡しておるとか、そういったような法律に抵触しておる者を除きましては、外国への旅行は自由なはずでございます。そうしてその手続としまして、日本人旅券の交付を受けて、それを持って国外に出るわけでございますから、その段階旅券申請をする。そうしてそれに技術的な面では、出国の際に、入国管理事務所の職員が出国の証印を押すというのが技術的な面でございます。  それから渡航する先の問題でありますが、御承知のとおり、およそ各独立国というのは、どこの国であっても、自分の国に外国人入国してくることに対しては、それを許すか許さないかの決定権を持っておりまして、その趣旨から、旅行者がこれから訪れようとする国の事前入国許可がない限りは、その国へは入国できないわけでございます。それがいわゆる査証でございまして、したがって日本出国する場合には、入国審査官は、出国先の国の有効な査証がそこに与えられておるかどうかということをチェックいたします。しかし同時に、これは旅券法の範囲内になりますが、日本旅券では渡航先という制度がございまして、本人が今後旅行していく行き先の国々の名前旅券の上に全部記入するわけでございます。それが何もそこに記入されない国へ行ってはいけないというわけのものではなく、ただ、ほかの記入されていない国へ行く場合には、渡航先の追加を受けるというのが旅券法規定であるわけであります。その程度制限日本人出国に対する制限と心得ます。  それから、いまの問題に関連しまして、未承認国——日本国交のない未承認国への渡航ということになりますと、これは事前入国許可——査証を取りつける方法はないわけでございますので、その人が国外に出た場合に、その行き先の国の在外公館のあるところへ参って、そこであらためてその国への入国許可を取りつけ、同時に日本出先機関に参りまして、渡航先のその国の名前を追加してもらうという手続をいたすわけでございます。出国に対しては、大体その程度であります。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事務的にはそういうふうなことになるのですけれども出国の場合に旅券申請して、それがまあ未承認国への旅券申請だった場合に、これは外務省だけで判断するのではなくて、法務省のほうの意見も聞いて、旅券を出すか出さないかをきめるわけでしょう。その具体的な手続というか、その場合に法務省がどの程度関与するのか、これがいまの説明ではちょっとないわけですがね。というのは、法務省入国管理局、関与する、それがまた公安調査庁が関与する、あるいは入国管理局から公安調査庁に対して、まあ何といいますか、何を調査の依頼をするのかわかりませんけれども、そういうような結論を待って、そして旅券を出すか出さないかをきめる手続現実にとられておるのではないでしょうか、そこら辺のところも御説明を願いたいと思うわけです。
  17. 八木正男

    政府委員八木正男君) ただいま申し上げましたのは原則論でありまして、今度は具体的の問題に入りますと、現在日本国交のない、いわゆる未承認国と申しますのは、具体的に数カ国しかございません。アルバニアを除いては、いわゆる対立政権のある共産国でございます。北ベトナム東ドイツ、それから中華人民共和国の三カ国でありますが、そういう国への渡航という場合には、その国と日本との間に国交がございませんので、日本で、その国へ、渡航先として記載し、その査証をとるという方法が実行不可能でございます。そこで、その問題を解決するための方法としまして、これは別に入管令とか、あるいは旅券法とかいう法律の、そこに明確な条項があるということよりも、むしろ現実行政処理の面で、そういう渡航方法を講ずるという必要がだんだん出てまいりまして、その関係旅券申請外務省が受ける。そうしまして、国交のない国でありますから、そこの国におけるその人間の旅行中の生命身体保護というようなことを日本官憲がすることもできないし、またそれを正式にその国の政府に委嘱することもできませんので、そこに若干問題があるわけでございまして、そういう点から、その渡航を許すべきかどうかということについて、一応外務省から法務省相談を受けるという形をとっております。それがいわゆる渡航趣意書という制度でありまして、こういう目的でこういう期間、こういう国へ行きたいという申請が、渡航趣意書申請外務省に対して行なわれまして、それについて外務省からわれわれ相談を受けて意見を述べるという段階があります。したがって、旅券を出すか出さないかという決定は、それは外務省がきめるわけでありますが、そのきめる段階で、一応われわれの意見を聞いてくるということが実際に行政上の取りきめとして行なわれておるわけでございます。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの点で、ちょっとはっきりしない点があるわけですが、法務省が関与する理由が何だかちょっとはっきりしないんですが、法務省で、まあ入管が窓口でしょうけれども公安調査庁意見を聞くわけでしょう。これは法律できまっていることだから別として、現実公安調査庁意見聞いているわけですわね。それは具体的にどういう理由で聞くようになっているんですか。
  19. 八木正男

    政府委員八木正男君) 入管としては、一応日本人出国する場合に、出国をそのまま許してかまわないかという問題の一つに、先ほど申しましたように、いろいろ法律上の問題がひっかかってたりするような審査、そのクリヤーはわれわれのほうでやるわけでありますが、同時に、ことに最近問題になりますのは、中共への渡航というような問題になりますと、これはいわゆる政府方針である政経分離といったような渡航に関する基本的な考え方がございまして、そういった面から、少なくとも、中共への旅行が国にとって別に害はないかどうかということを法務省として答える立場にあるわけであります。入国管理局としては、そういったことを審査する能力もございませんので、一番そういう点で意見を伺うのに適当かと思われている役所一つに、もちろん公安調査庁もございます。それは法務省の一部の局でございますし、その意見を聞くというのが、まあ恒例となっておるのでございます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務大臣の時間の関係があるもんですから、いまの問題にあまり深入りしますと時間がなくなるので、先はしょりますけれども、ちょっといまのははっきりしない点があるのですが、法務省が関与するのは、単に公安上の問題だけではなくて、未承認国なので、日本人生命身体保護関連があって、何か法務省が関与するようにも言われるんですが、ちょっとわからない点がありますが、あとにいたします。  そこで、日本から行く場合に、中華人民共和国北京にいくときには、中華人民共和国行き先だという旅券を出しているわけですね。これはどういうわけなんですか。これは入管ではなく外務省なんでしょうが、便宜お尋ねします。
  21. 八木正男

    政府委員八木正男君) 私、実はその法律的な解釈についてよく存じておりません。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 別に法律的な解釈でなくてもいいんですけれども、これはどこですか、外務省ですね。外務省移住局になるわけですね。
  23. 八木正男

    政府委員八木正男君) はい。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、中国の場合には、北京と書かないで行き先中華人民共和国と書くということは、これは法務省でも知っておるわけでしょう。
  25. 八木正男

    政府委員八木正男君) 承知しております。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、中華人民共和国という行き先は、あの旅券を見ると、中華人民共和国日本生命身体保護を頼むということではないのですか。これはちょっと外務省が来ないとわからないかもしれませんから、あるいはお答えはあとでもけっこうですけれどもね。
  27. 八木正男

    政府委員八木正男君) 実はその生命身体保護の問題、よく議論されるのでありますが、旅券の法的な性質が何なのか、身分を証明する文書なのか、それとも旅行先官憲保護依頼するための依頼状なのかといったことが、いろいろございまして、そういったことは、旅券の歴史的な発達といいますか、過去の背景から言うと、昔は身分保障というような点が非常に多かった。保護依頼という点が強かったと思うのですが、最近では、自分の国に旅行してくる外国人を迫害するというようなことを黙視しているような国はないわけでございまして、実際は保護依頼というものは、一応表面上そういう文句が書いてあるもんですから、その作用もわれわれあると思いますけれども、むしろそういった性質よりも、本人身分を証明するものだということに主眼があると思われます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 旅券を持ってくればよかったのですけれども、ぼくは旅券をもらっていて持っていますけれども、それにはやはり中華人民共和国に対して、日本人である私なら私の生命身体保護依頼するというような文章が旅券の中にはっきり入っているんじゃないですか。
  29. 八木正男

    政府委員八木正男君) 入っております。そういう記載がございます。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 さっき入管局長が、未承認国として三つをあげられましたね。北ベトナム中国関係東ドイツですか、朝鮮があげられなかったのは特別な意図があるわけですか。別にそういうわけではなかったわけですか。
  31. 八木正男

    政府委員八木正男君) 失礼しました。朝鮮も入っております。したがいまして、北ベトナム北朝鮮中国と、それから東ドイツと四つでございます。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 朝鮮へ行く場合の旅券は、これは朝鮮民主主義人民共和国と書かれないわけですね。今度国会議員亀田さんたちが行ったときでも、前にもそうですか、平壌——ピョンヤンと書くわけですね。これはどういうわけですか。
  33. 八木正男

    政府委員八木正男君) 本来の趣旨から申しますれば、国交のない国に旅行先を書くというのは、これは、いずれ外務省旅券担当官がお答えすると思いますけれども、本来はおかしいわけでありまして、そういう点から言いますと、現在、北朝鮮への渡航許可した場合の旅券記載である平壌とかいう地名であらわしているのが、本来のやり方かと思います。ただ、中国の場合は、実は、これは非常に簡単な理論では割り切れない、いろいろな経過——中国人日本渡来、あるいは日本人中共への渡来といったもの、過去の背景が非常に関係がございまして、そういう点から、先方がそう書いてない旅券では困るといった意向もあったかと思います。私、その詳しい経過を存じておりませんけれども、そういうわけで、実は中華人民共和国の場合、旅券面中華人民共和国という国名を書くようなことがかなり前から行なわれております。しかし北朝鮮との間は、実はそれほど密接な往来の関係がございませんでしたので、いま、最近、ごくわずかの例があっただけというので、原則的な方法として国名を書くことができない。したがって地名でいたしたというかっこうになっておりますが、その辺、確かに論理の上では非常にすっきりしておりませんけれども現実の取り扱いの上ではそういうふうになっております。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今度は逆に、向こうから日本へ入ってくる場合の許可基準といいますか、これはどういうふうになっているわけですか。
  35. 八木正男

    政府委員八木正男君) 御承知のとおり、こういう国には日本在外公館がございませんので、そこの国の人が日本に来たいという場合には、日本在外公館のあるもよりの土地へ出かけていって、そこで入国申請をするのが本筋でございます。たとえば、東ドイツから日本へ、ことに技術者などがかなり来た前例がございます。こういうような人たちの場合は、東ドイツ日本在外公館がない。そこで一つ方法として、東ドイツの場合には、日本に直接来る場合の身元引き受けをする人を通じて渡航申請する、いわゆる代理申請であります。そういう形をとっておるようであります。それから、北朝鮮の人が入国をした前例として、たとえばオリンピックの選手ですとか、スケートの選手ですとかいう前例がございますが、こういう人たらモスコーへ参りまして、モスコー日本大使館入国許可を取りつける、それから中共の人の場合は、香港へやってきて、香港日本領事館から査証をとる、入国許可をとるというような方法がございます。  しかし、こういうふうに、もより日本公館へ出頭して、直接本人査証を、入国申請する場合と、先ほどの例のように、日本にある身元引き受けの人が本人にかわって直接日本で、これは具体的には私のほうの役所でございますが、そこで入国申請をすると、二つの種類がございます。で、最初日本大使館領事館に出頭して直接申請した場合には、外務省の内規によりまして、公館長はその入国について許可をしていいかどうかを外務大臣に伺うことになっております。また外務大臣法務大臣にその入国許可して差しつかえないかどうかという協議慣例として行なわれております。そしてそれに対して差しつかえないということになりますと、渡航許可書というものを本人に交付してもよろしいという指示を外務省から在外公館にいたします。本来ですと、この東ドイツなり、あるいは中華人民共和国なり、そういうところは、自分の国の旅券を持っておりまして、その旅券自分の行きたい国の査証を取りつけるという簡単な方法が行なわれるはずでありますけれども日本とそういう国とは国交がない、したがって、そういう国の旅券日本政府としては正規の入管令状によるいわゆる有効な旅券というふうにみなすことができない関係から、その持っておる旅券というものに直接査証を出すことなく、別途渡航許可書というものをつくりまして、それを本人に持たせる、それに査証をしまして、同人が来た場合に、それによって上陸を許すという形をとっております。それからもう一つの、日本法務省に直接代理の人が申請をした場合、この場合は、受付は私のほうで受け付けまして、入国許可をして差しつかえないという場合には、法務省から外務省に対して、同人入国許可するから、それに渡航証明書を発給してよろしいということを言ってやります。そして外務省は、本人の一番便利なもより公館に、その証明書を発行するように指示しまして、本人はそこへ出頭してそれを受領して、それによって日本入国してくるというのが、非常にややっこしいですが、そういう経路で日本に来ております。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの国交承認国からの入国の場合のそれを、日本として認めるか認めないかというのは、法律的にはどこにどのように出ているわけですか。
  37. 八木正男

    政府委員八木正男君) これは別に法律には明確な条文は、私ないと思いますが、まあ国際法上の通念と申しますか、基本原則と申しますか、独立国はその国への外国人入国に対してこれを許可するか拒絶するかは、その国の本来の固有の権利だというような前提がございますので、それに基づきまして許すか許さないかという判定は、その政府が独自の立場でやってよいということになっておる。これは世界じゅうの国がみんなそういうふうにやっておると存じます。別に入管令にそういうことをはっきり規定した条項はございません。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 旅券法の場合には、こういう場合には認めないとかいう条項は、はっきりしておるわけでしょう。これは外務省来てないので、入管局長にお聞きするのはちょっとあれなのですけれども、だから、出る場合ですね、日本人がね。こういう場合には旅券は出さないということは、はっきりしておるのですか。
  39. 八木正男

    政府委員八木正男君) 旅券法の十三条に、一般旅券発給等制限に関する規定がございます。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 旅券の、出ていく場合には十三条でいろいろ条項があって、制限があるわけですね。そうすると、入ってくる場合には何ら法律的な根拠というものが、入国に対してはないのですか。法律的な規制はないわけですか。全く自由裁量ですか、そうすると。
  41. 八木正男

    政府委員八木正男君) 入国を許すかどうかという問題いわゆる査証発給の可否という問題になりますが、これは日本政府のやはり基本方針といいますか、そういうふうに私ども了解しておるわけでありますが、日本は非常に国土が狭いし、人口は多いし、外国人日本に住みつくことは、ますます人口問題にも関係があるし、したがって、日本人の雇用の問題にも影響があるというところから、労働を目的とするものとか、そういう外国人がやたらに入ってくることは困るという、これは何と言いますか、政治的なと言いますか、日本の自然的な条件からする方針のようなものがあると思います。  で、入国申請してくる外国人に対して、在外公館査証を与える場合に、いろいろこまかい基準が出ておるわけでありますが、その中で、単なる短期間の観光であるとか、あるいは旅行の途中通過していくための入国であるとか、あるいはまた外交関係とか、政府の公務員の往復とか、そういう特殊の場合には、在外公館はどんどん査証を自由に出しますけれども、少しでも日本に長く、三カ月とか四カ月とか、長く滞在する外国人、あるいは日本で商売をしようといった者、そういった者には、ほとんど全部の場合に、事前外務省の同意を取りつけるというのが在外公館に下されている指令でありまして、外国人日本への入国に対する制限として、現実にはそういった在外公館査証の発給にあたってとるいろいろな制約を通じて行なっております。しかし、同時に、そういう場合に、特に国交のない国の人が入ってくる問題というのは、純然たる文化的な、あるいは経済的な問題のみの場合かどうかという点の判定もありますので、期間の長短にかかわらず、国交未承認の外国人入国の場合には、特に慎重に審査しております。いずれにしましても、外国人入国を許すか許さぬかは、その国の自由裁量であるというのが根本の政府の考え方でありまして、それに基づいて必要な措置をとるわけでございます。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの御答弁ですけれども、変なことで恐縮ですけれども、それでよろしいですか。法務大臣、いまのお話を聞いていますと、いま社会党が中国代表団を招いていますね。法務省はそれを拒否したわけでしょう。これについては、法律的なよりどころがないのだというお話に聞こえますよ。それでよろしいですか。
  43. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) どの条文によってどうこうとかいう問題でないということを八木局長は申したと思うのでありますが、そもそも何じゃないですか、私は法律家でないので、法律家らしいことを言うのはおかしいのですが、国交のない国においては、私は、出入国というものは認めないのが原則であります。日本からかりに中共へ行きますとか、あるいは北鮮に行くということも、認められないのが原則であります。それから、こちらに来ることも認めないのが原則であります。それで、認める場合には、特別の場合に認めるというのであって、どの法律によって認めないかというよりは、認める場合には、まあ何というのですか、そういうことばが当たりますかどうか知りませんが、友情的とか、あるいは恩恵的とかいうような感じのものによってあれする問題であって、まだ国交がないものですから、ほんとうは行ったり来たりがないのが本体である、こう思っております。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの点は、あとから大臣のおられる間にお聞きしたいと思っていたのですが、国交承認国から日本に来る場合には、出入国管理令の適用はないんですか。そういうことはないでしょう。
  45. 八木正男

    政府委員八木正男君) 日本入国する外国人は、必ず有効な旅券、もしくはこれにかわる文書を持ち、それに有効な査証を持っていなくちゃいかぬ、これは唯一の入国の規則的なものでありますが、御質問の趣旨は、それより前の段階で、外国人国交のない国の国民を日本が入れる場合には、原則として、一体どういう関係入国を許すかといった根本的な考え方の御質問だと了解しておりますが、そういう点から言いますと、いま大臣の言われた御趣旨は、おそらく、国交がないんだから、そういう国との間に人の往来はないのがあたりまえだ、これが一般の原則であるといったふうに私も考えます。ただ、現在の国際情勢、国際関係等は、昔のこととは非常に違いますので、必ずしも国交がないから、実際に人の往来をすべきでないというわけにもいきませんし、そこで、その国がいろいろな政治的な原則自分でつくって、その原則に合致した未承認国外国人入国を許す、合致しない場合にはお断わりをするといったような政治的な処理をするよりほかにしようがないのではないかと思います。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私がお聞きしているのは、国交承認国から日本に入ってくる場合には、出入国管理令の適用があるのかどうかと聞いているのですが、適用があるんですか、それはあるわけですね。
  47. 八木正男

    政府委員八木正男君) ございます。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから入国と上陸とは違うのでしょう。上陸の許可基準というのは、出入国管理令にあるんですね。これと入国許可手続との関連は、どういうことになってくるのかということですね。
  49. 八木正男

    政府委員八木正男君) 出入国管理令にあります上陸許可の条件というのは、入国許可の条件のうちの一部じゃないかと、私は思っております。したがって、その上陸許可条件以外に何かあるような気がします。それが私さっき申しました政治原則とか、そういうものであります。入国、上陸を許可するかどうかということは、これはさっき申しました有効な査証を持ち、旅券を持っているということが前提条件であります。その旅券、もしくはこれにかわる文書、あるいはそれに対する日本政府査証渡航証明書、そういったものを現実に未承認国のある特定の人に発給するかどうかという点の裁量が日本政府にあるというふうに考えますけれども、形式的な要件としては査証証明書、この二つが入国の条件というふうに考えております。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、入国の条件と上陸の条件については、入国のほうは全くの自由裁量なんだけれども、上陸の場合は、査証なんかを持っている場合に、それは自由裁量ではないのだ、一種の法規裁量と申しますか、そういう関係になってくるのだ、こういうふうに承ってよろしいわけですか。
  51. 八木正男

    政府委員八木正男君) 私は法律の熟語についてはあれでありますけれども、この入国、上陸の許可条件である査証旅券というのは、日本政府がその人の日本への入国をあらかじめ許可することを予約したと申しますか、一種の約束した文書でありますから、そういうものを持って日本の港に参ったときには、これの入国を認めるのが、国際礼譲からいっても当然のことである、こう考えます。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 上陸の拒否の条件が、出入国管理令の第五条にいろいろと書いてあるのですね。これが入国拒否の条件に、何といいますか、類推して適用にならないのかということですがね。これはなかなかあれですから、いまでなくてもいいです。法務省には法律専門家が一ぱいいるんですからあれですが、それは別としましょう。あとで研究しておいていただきたいのです。 そうすると、未承認国からの入国許可するのか、しないのか。現実の問題としては、中国の代表団を社会党が招いた。それを法務省なり日本政府は、入国を拒否する、こういうことは全くの自由裁量なんで、一定の基準というものはないんだ——これは法務大臣、全く一定の基準というものはないわけですか。何か一つ基準に照らして許すとか許さないとか、こういうものはあるわけですね。端的に言うと、その一定の基準というものは何なんでしょうか。もうさっき大臣お答えになりましたけれども、ちょっと長かったものですから、ポイントをつかんでおっしゃっていただければいいのです。未承認国中国からの日本への入国を認める、認めないのは、自由裁量なんだけれども、そこにはおのずから一定の基準があるんだ、その一定の基準は何だということですね。
  53. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは、いままでこういうふうな方々が見える場合に、特にまあケース・バイ・ケースと申しますか、そのたびにいろいろ研究したわけでございます。どれによってどうということはありませんが、いままでわれわれは、外国から入ってくる人には、こういう場合はこういう態度で臨むということを申しておる中に、特に申しておりますることは、まだ国の交わりのない国からこうやって見える人、そうしてその人たち日本に来て、政治を論じられる場合において、これがわれわれの国の何と申しますか、政経分離ということばを使っており、また、あるいは内政干渉ということばも使っておりますが、そういうふうな形になるような言動をされてはならぬというようなことを、おいでになる前に、条件をつけたような場合もあったようなわけでございます。大体、そういうふうな方針を持っているわけでございます。このたびの場合は、その点から考えますると、どうも入国をしていただくには適当でないという結論に到達いたしまして、それで、わが国の利益に反するという理由をもってお断わり申すということにきめたわけでございます。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、結局は一定の自由裁量だけで、一定の基準というのは、いろいろあるけれども、結局は日本の利益に反する——私はそうは思わないのですが、政府側から言わせれば、日本の利益に反するということが一つ基準なんだ、こういうわけでしょう。
  55. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) さようでございます。もう少し申し上げますと、社会党のほうから申し出がありました説明は、もう、もちろん内政干渉にわたるようなお話し合いはしない、友好親善を深めるためにやるという意味のお話でございました。ところが中共からの申し出、社会党の申し出に対するそれをアクセプトされた電報の写しを提供されたものの中によりますと、「これまでに発表された四回の共同声明の基礎の上にアメリカ帝国主義に反対する闘争をさらに展開し、双方の友情を深めることについて意見を交換することを決定しました」とあるでございます。これが主眼点であると申しますと、どうも、こちらの社会党のほうは、それをお話し合いしないというおつもりであっても、向こうはそれを話さなければ意味がないというようなことになりそうでございます。いままでの行きがかりからしてもそうであるように思いますので、この際はお断わり願ったほうがよろしいというぐあいに決定いたした次第でございます。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 政府なり法務大臣としても、日本中国との親善友好を深める、こういうことには反対なんですか。
  57. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは決して反対ではないのでございます。だから、この問題があるからといって、これで中共日本との関係を悪くしよう、これから先もだんだん何でもかでもお断わりをしよう、いままでやっているものもぶっこわしていこうというような心持ちはないのでございまして、できればそういうものを、いままでやってきたものをもっとよくしていく。たとえば貿易とか、文化の交流というような活動の平和的な、日本中共との間のお互いによくなるような問題であれば、どしどしこれからも進めていきたいという心持ちは、政府一統のみんながすべて考えているところでございます。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、そういうふうに政府一統、あるいは石井さんがお考えになっておっても、現実には今度の政府の措置によって反対の方向に進むということは、これは考えられるのではないですか。こういうような反対の方向に進むのではないかということも十分考慮に入れて判断をされて、そうして結論を出されたわけですか。
  59. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) せっかく社会党がお招きになり、向こうからも来ようということであります。それに水をさすようなものでございますから、決して喜ばれるわけがないと私どもも考えます。できることならば、お客さまをお呼びして、歓待してお返しすることができればたいへんけっこうでございますが、話の内容が、いままでおいでになることの場合に、われわれが承っておった問題とはまるで違う政治的問題について、しかも、こういうふうな問題について話し合いをされるということになりまするので、これは日本の国内の問題ではない、外交問題であるというようなことを言われまするが、国内の問題、外交問題といっても、国内の政治に影響ないとは言えないのでございます。そういう大きな日本の政治の上に影響する問題でございますので、この問題だけは残念ながらどうもおいで願わぬほうがよろしい、かように、おいで願って、こういうことをやられるからこれは困るのだというようなことで、途中でお帰りくださいというようなこと等にもなれば、一そうに両国間の関係を悪化せしめるのでありますから、あらかじめ、おいで願わないで、またの機会に、またほかの目的で仲よく、日本中共の間の関係の仲よく、さっき申しましたように、文化とか経済とか、そういうふうな方面からまずどんどん積み重ねていく方向に近づけていただくように、またもう一ぺん、後退したかもわかりませんが、したかもわからないじゃなく、したに違いないのでありますけれども、もう一ぺんそれから築き直すことにお互いに努力するということにしたいと思うのでございます。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の質問は、日中親善を深めるということについては、これは政府もみな異議がない、またそういう方向でいきたいのだ、こういうことを言われておるわけであります。そうして今度のことを拒否をきめるについて、それでは拒否したことによってどういう影響が起きるかということについては、十分考慮を払われて、そうしてなおかつきめられたのか、こういうことをお尋ねしているのですけれども、そういう点については考慮を払ったのだと、払ったけれども、あまり大きな影響はないというふうに見たのだ——ここまで言われませんけれども、あまり大きな影響はないのだというふうに見たのだと、こういうふうにお考えになったわけでしょうか。
  61. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 決していい影響を及ぼすと思いませんけれども、これによっていままで築いたものが全部ひっくり返ってしまうというまでは考えてないのでございます。私どもは、政治の問題で、そうして日本の国内でほかの国——日本と友好関係のある国を批判するような問題を論議されることは困るのだという心持ちを了解してもらって、また出直していただくということにしてもらいたいというのが私どもの心持ちだという、それを了承してもらえぬだろうかと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、断わることによって日本のプラス・マイナスを考慮したのだ、その結果として——あまり詳しく私聞きませんよ。かえって詳しくお聞きすることがあれだと思いますから、詳しくお聞きしませんけれども日本としてはプラス・マイナスを考慮したのだ、その結果としてこういう結論に出たのだと、こういうふうにまあ聞こえるわけですが、そうすると、内政干渉だと、こういうことを言われるわけですが、この日本に来て、日本の外交方針をこれは批判したからといって、それが直ちに内政干渉になるのだと、こういうふうにお考えになるわけですか。
  63. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そのおそれがあるということを申し上げたのでありますが、どういうことがどう直接なるとは申し上げませんです。内政干渉であるとか、政経分離という点をもって律しているということを申し上げたのであります。そういうおそれがある政治討論をされる、こういうふうな会においで願うことはこの際はお断わりしたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、それに対しては、社会党が責任ある政党として、内政干渉にわたるようなことはしないとか、日本の法令を順守するというはっきりとした保証書ですか、約束を政府に提出しているわけですね。そういうふうな公党が約束をしているのですから、いま大臣が言われるようなおそれというものは具体的にないものだと、なくなっているものだと、こういうふうに判断が当然できる筋合いのものではないのでしょうか。そこはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  65. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 社会党の御説明によりましても、内政問題を話すのじゃない、外交問題を話すのだというお話でございます。ベトナム問題等のお話等々、いろいろ言うておられます。そういたしますと、いままでの私ども、ベトナム問題では、アメリカの北爆はどうであるとか、いろいろな問題について社会党の方々の言動も、ちょうど中共の場合でございますると、アメリカの行動を非難することと一致する点がそこに出てきて、そこでまた共同声明というようなことがあるかどうか知りませんけれども、そういうふうなことのおそれを、私どもはどうなるというわけではございませんけれども、外交問題といえども内政問題にひっかからざるを得ぬということを私どもやはり考えますので、この際はまあさっぱりとひとつやめていただきたいというのが心持ちでございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 共同声明を出すとかなんとかなってくると、それこそ内政干渉になるのじゃないでしょうかね。どうもそこまで取り越し苦労が非常に、口がすべったのかどうか別ですが、非常に内政干渉というような取り越し苦労が多いのじゃないですかね。あんまり取り越し苦労をし過ぎておって、かえって日本の行くべき道を閉ざしているように私は考えるわけです。私は、中共に追随しろとか、社会党が追随しようなんて思っておりません。しかし、お互いに主体性を持って向かっておるわけですから、やっておるわけですからね、その点は誤解ないようにお願いしたいと思うのです。これは日本独自の考え方ですか、これはアメリカあたりの考え方、意向というものもこれはそんたくをし、まさか聞きに行ったわけでもないけれども、向こうが言ったわけでもないと思いますけれども、アメリカとか台湾政府、あそこあたりの意向というものもそんたくをした、ここで中国代表団の日本入国を認めることによって、アメリカなり台湾とのいままでの関係がうまくいかなくなってくる、こういうことは日本として困ると、こういう点が考慮されたことは間違いないわけですね。
  67. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そういうことが新聞に伝えられておることは、私はそういうことは初めて新聞で承知しました。私は、そういうところまで考えておりません。私は、日本独自の立場で考えておったのでございますが、そういうことを考えた人があるかもしれませんが、それは少し思い過ぎじゃないかと思うのでございます。それほどまで日本が考えてこの問題を取り扱わなくちゃならぬ問題とも私は思ってないのでございます。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあ日本がそこまで考えないで判断したというならば、これも一つの判断かもわかりませんけれども日本とアメリカの友好関係を批判することは困るのだということなんでしょう、結論はね。ということになれば、アメリカ側がそれを批判されるということに対してどういう意向を持っているかということは、当然考えられて、それが考慮の中に入っているのじゃないですか。ぼくは、何もアメリカがこういうふうに言ってきたとか何とかいう意味ではなくて、日米の安保体制というものが、いまあなた方に言わせれば、日本の平和を保っていることなのだし、経済の繁栄を保っていることだと、こうおっしゃるのでしょう。日米の安保体制というか、日米の関係が、それに直接水をさされることになるのだ、だから困るのだ、こういうふうなことになるのでしょう。アメリカからどう言ってきたということは私言っていませんよ。
  69. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) アメリカのことを申し上げました、そのとおり、アメリカのことを論議されちゃ困ると申しましたのは、いつでございますか、浅沼書記長が行って、中共で、アメリカは日中共同の敵ですか、と言われたことばがあります。それがどうも消えないで、何か脈々として残っておるというか、何か残っておるので、話が出るとそういうふうなことが出てくる。そういうふうな感じがあり、そして私どもは、日中共同の敵ということばが、まあいまはもうないと思いますけれども、かりにそういうことありとすれば、そして日中共同の敵というものは言い過ぎだと、こう思うのでございますが、やっぱりそこにはおのずから表現のし方があったのじゃないかと思うのでございますけれども、そのときはそのときの政治情勢があったと思います。今度来て、そういうことはないと、私も思います。あなたのおっしゃるとおりだと思うのであります。しかし、そして、論議されて、かりに、アメリカのことを気にするのじゃないか、アメリカのことを気にするわけじゃない。ただアメリカと日本は、とにかく安保条約を結んでおり、日本と最も深い関係国である。そこを、目の前に来て、また、いろいろと友好関係をだんだん結びつつ、その方向に進んでおるけれども、まだ条約を結んでおる国でもない関係、まあその程度の、将来はそうなりたいという心持ちはだいぶ、だんだん盛り上がりつつあるというその中共の間に、そこでここに来て、アメリカをどうだとか、ここでわざわざ東京へ来てやってもらわぬでもいいという心持ちは、私どもにもあります。そういう意味において、アメリカの問題を気にしたとおっしゃれば、その意味においての気持ちは私はあるわけでございます。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だけれども、石井さんは、アメリカが帝国主義だとは考えておられないわけでしょう。アメリカは帝国主義だと、こうお考えになっておられるわけですか。アメリカが帝国主義ということに非常なこだわられるわけですね、いまの政府も石井さんも。アメリカが帝国主義だとは考えてないわけでしょう、そこはどうなんでしょうか。
  71. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) アメリカが帝国主義……。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 アメリカが帝国主義だとは考えておられないのでしょうと、こう言うのです。
  73. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私ですか、私は必ずしもそうとは考えておりません。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから、アメリカが帝国主義でないのですからね、だから、アメリカ帝国主義は日中共同の敵だとも考えないわけでしょう。
  75. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そのとおりでございます。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうなれば、そんなことを言われたって、別にどうといって気にすることもないのじゃないでしょうか。ああ、あんなことを言っておるというくらいの話じゃないですか。
  77. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) しかし、私も政治家でございますから、日本人全体に及ぼす影響を考えておるわけでございます。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは日本人全体にどういう影響を及ぼすのでしょうか。アメリカ帝国主義は日中共同の敵じゃないと思っておるのでしょう、政府の人や、たくさんの人は、日本の国民は、あなた方に言わせれば。それならば、別にそんなことはたいした影響を及ぼさないのじゃないですか。たいした影響を及ぼすのですか、どうも論理のあやみたいになって恐縮ですけれどもね。
  79. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 影響ないとは言えないでしょう。社会党の勢力というものは非常に強いのでございますから、ここに来ていろいろお話し合いになると、たいへんな力になると思うのであります。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 社会党の力を非常に評価していただいたわけですけれども、評価したようなしないようなお話ですけれども、それは冗談話抜きにして、アメリカ帝国主義を批判しているわけでしょう。佐藤内閣を批判しているわけじゃないわけでしょう。ここはどうなんですか。だから、内政干渉ではないのじゃないですか。外政干渉ということばがあれば、外政干渉かもしれぬけれども日本にやってきても、佐藤内閣は別に日本帝国主義だからけしからぬとか何とかということは、電報なり何なりにあらわれておるのじゃないのじゃないですか。
  81. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは理屈をおっしゃればそのとおりでございます。佐藤内閣を攻撃する、佐藤君の何かの仕事を攻撃するので、佐藤君を攻撃しているのじゃないと同じようなもので、そこいらはひっくるめて同じようなふうになるのじゃないですか。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはまああまり理屈争いをしてみてもあれですから、これは大局的な問題ですから、あまりそういう話に入るのはぼくも避けますけれども、そういうような話をしているうちに、何か問題点が出てくるのじゃないかと思って聞いていたのですけれども、だんだんぼくは問題点が出てきたと思うのですよ。それは、やっぱり石井さんの言われたように、日米の友好関係を批判するようなことは困るのだと、あなたは言われた。結局はアメリカに対する気がねというか、そういう点が中心になって拒否をしたのだと、現在日米の安保体制というものがあって、それによって日本は動いているのですからね。そこら辺が中心になっていると考えざるを得ないわけですが、これは議論をしても始まらないことになる、政治的な態度が基本的に違うわけですから。と思いますが、話は別になりますけれども、私はこういうふうな態度を非常に遺憾に思うわけです。これは党全体が遺憾に思って、これは参議院の予算委員会の締めくくりの総括で、おそらく総理大臣に対して、石井さんや外務大臣に対して、私どものほうの委員が基本的な党の全般の外交、防衛、日中の関係、あらゆる問題の基本的な問題として正々堂堂とした議論を張ることになっておりますので、私はあまり深入りをしないで、この程度にするわけですが、そこで、前に戻るのですが、それでは未承認国、未承認国と言われますけれども中国とほかの場合は、実際にはこの取り扱いは違っているのじゃないか。中国は、実際は一つ中国とか何とかという議論は別として、中華人民共和国に対しては、いま言ったように、旅券の中でも中華人民共和国というはっきり国名を書いて、そこに対して日本人生命身体を頼むというような形が出ておるということからいって、事実上承認をしておる、こういうふうに見られてもいいくらいのところなんだと、そうなれば、いわゆる未承認国と同一に論ずるのは誤りではないかと私は考えるわけです。  そこで、もう一つの問題は、これはまた内政干渉になって恐縮ですけれども、自民党の中の方が中国へ行かれるという話がありますね。代表の方が行って、そうすると、向こうであれですか、政治の話をされるということは、これは当局は認めないわけですか、どうなるわけなんですか、大臣ひとつ。
  83. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これはあちらの国で、中共のほうでお許しになれば、私どもどう言いようもないと思います。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自民党の議員が行くことですから、国会議員ですから、私のほうは口入れるのは筋が違いますからあれですけれども、向こうへ行って、政治的な話をされる場合だと、政経分離に反することになるわけですか。まさか自民党の方が向こうへ行って、アメリカ帝国主義は日中共同の敵だとは言わぬでしょうけれどもね。いずれにしても、現在の佐藤内閣のとっている姿勢に対する批判というものが話の中に出てきますね。そういう場合だと、日本から向こうへ行くことは認めないわけですか。そこはどういう態度をとるわけですか。首尾一貫しないような感じがするのですよね、そうでないと。
  85. 八木正男

    政府委員八木正男君) どうも非常に仮定の問題のようになるお話なんですが、先ほどから申し上げました国が外国人入国を許すか許さぬかは、その国の自由裁量で、一言で申し上げれば、自分の国に入国を許しても、許すことが制益である場合には許すと、利益と思わない場合には拒否するというのが各国の立場であるわけです。今度の問題になっております代表団の入国をお断わりしたというのは、日本でそういう会談が行なわれることが好ましくないからということでございまして、裏返しますと、たとえば、いまから、仮定の問題でございますけれども日本の政治家が中共渡航する第一段階として、まず渡航すること自体に対する制限、これはいわゆる憲法によって出国は自由に保障されておりますから、当然基本的人権として出国ができるわけでありますが、ただ相手の政府が政治的な話し合いをするために入国申請した場合に、許可するかどうかというのは、中華人民共和国のかってにきめられる問題であり、中華人民共和国がその入国を認めるほうが自分の国にとって利益であるという判定をした場合には、おそらく入国許可されるもんだろうと思います。そういう場合に、もし許可したとして、日本では許可しなかった。向こうは許可したと、非常に片手落ちでおかしいということは、確かに理論の上ではそういうことになりますけれども、それは私ども入管立場をこえた、もっと上の政治の段階の問題じゃないかと思います。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの問題は、私が議論したり質問するとちょっと誤解を招く点がありますし、また影響が大きいですから、これはこの程度にしておきます。かえって突き詰めないでおきます。いずれにしても、私どもの党の基本的な考え方というのは十分おわかりのことと思いますし、この問題に関連してはほかの委員会なり、あるいは本会議とか、いろんな形で党の立場をさらにはっきりした形で出していくことになると思います。それで私はかえってあれだと思いますから、その問題についてはこの程度で一応終わります。  そこで、大臣がおられる中でちょっと別なことをお尋ねしたいのですけれども、いま再審を申し立てておるのは相当あるわけですね。これは法務省ではございませんが、最高裁判所なり、ほかの裁判所に再審申し立てをしているわけですが、その中で、たとえば福岡でいわゆる二人の人がいま、西と石井君ですか、二人が死刑ということで再審を願っているわけですね。これは占領中の裁判で非常に、私も占領中の裁判経験したことがありますが、事件でやって、何といいますか、事実関係が非常に違う、新しい証拠も出ておるということで、再審の請求をしておるわけです。それに対して、これは法務省として、法務大臣としては、死刑囚が、事実が違うという無実を訴えていることであって、人命にかかわる非常に大きな問題でありますから、これに対して法務大臣としてどういうふうなお考えなのか、お伺いをして、法務大臣はほかへ行かれるということですから、そのお答えだけ願って、ほかの委員会へ行かれてけっこうでございます。
  87. 津田實

    政府委員津田實君) ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、あの事件につきましては、すでに数回再審の請求が本人からありまして、それは最高裁判所まで行って棄却になっておるわけです。ただいま一人の人については再審請求中であるというふうに記憶いたしておりますが、そういう状態であります。  そこで検察庁といたしましたは、もちろん検察官としても再審請求権者でありますが、再審の、御承知の要件に当てはまれば、当然やるべきであると思うのですけれども、現在の段階において、それに当てはまるだけの要件が満たされていると検察官が判断いたしていないわけです。そういう点でありますけれども、しかしながら再審請求そのものが数回なされ、また現に再審請求が係属中でありますので、その結果を待ちまして考えるべき問題だと思うのでありますが、検察官といたしましては、再審請求に該当することがあれば、これはもう再審請求することにやぶさかでないことは当然でございます。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 検察庁から再審請求してくれということを私のほうから言っているわけではありません。そういうことは事実上ないわけですがね。非常上告の場合は別ですけれども、そういうことはあり得ないわけですから、少なくとも二人の人が無実を訴えて、非常に熱心に再審を出し、それからたくさんの人が非常に高まってきた形で、本なども出まして、非常に高まってきた形で無実を訴えている。しかも、それが異常な中で行なわれた時期の事件だ、こういうことから、誤判の危険性も相当あるわけですから、人命を尊重するという基本的なたてまえから言って、大臣としてはどういうふうにお考えになっておるかということですね。結局十分再審に対して注意を払うとか、結局その再審をやっている間に判こを押されてしまったらおしまいになってしまうわけですからね。判こを押すとか押さないとか、そこまで具体的に聞くわけにはいきませんけれども、そういう点について、人命尊重というたてまえから、法務大臣として最終の決裁者ですから、どういうお考えなのか、こうお尋ねしておるわけです。
  89. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいまお話しのように、人命をいかに尊重すべきかということでありますが、問題の福岡のそれにつきましては、これは問題があるのでございます。急に死刑を執行というようなことにならないで、再審ができればやるべきものであると私は思っております。そういう手続、その他が行なわれることを期待しておるわけであります。どういうふうになっているか、関係者の御努力を待っているわけであります。
  90. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  91. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 速記を起こして。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 外務省の方がおいでになっておりますので、ちょっとお尋ねしたいのですが、中華人民共和国へ行く場合ですね、旅券中華人民共和国という国名を表示するわけですね。これはどういう経過からそういうふうになっているのですか、それは正しいと思っているのですよ。経過はどうですか。経過は初めからそうなんですか。
  93. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 私、初めからの経過は十分承知しておりませんけれども、われわれの解釈しておるところでは、中華人民共和国というのは地域的な名称と了解して書いております。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、朝鮮へ行く場合には、朝鮮民主主義人民共和国と書かないでしょう。平壌と書くでしょう。これはどうなんですか。
  95. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 北朝鮮に出しておる場合には平壌と書いてございます。これは平壌、明らかに地域名であります。国によって確かに統一がとれておりませんけれども、考え方としては、中華人民共和国の場合も平壌の場合も、北越の場合は、これは北ベトナムと書いてございますか、まあなかなかニュアンスが違うわけでございますが、考え方は地域名、地域の名称ということで書いております。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはあらゆる国へ行くときみんな、あらゆる国はみんな地域的名称と考えているのですか。台湾もそうでしょうか、台湾という国はないから。
  97. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 外交関係があると承認し、外交関係のある国等についてはその国ということで考えております。ただ表現、形が同じになっておりますけれども、いわば中国大陸というところを中華人民共和国という、かぎカッコを入れたような解釈でわれわれ考えております。それはおかしいと言われるならばおかしいのですけれども、考え方はどうなのかと言われれば、そういうことなんです。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 別におかしいと思っておりませんよ。それはあたりまえだと思っているのですがね。ただ現実には旅券法というものが、中華人民共和国というあて先を書いているということは、中華人民共和国というものに対して、そこへ行く日本人生命の、身体保護依頼するという意味も含んでいるのですか、旅券にはそういう意味のことが書いてありますね。
  99. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そういう中華人民共和国へもちろん行かれる人たちが、身体生命に支障があるのは困るので、できればそういうことがあることが望ましいわけですけれども、いわゆるそういう外交関係を持った国のほうにその点について万般の保障があるようにわれわれ考えておりません。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、旅券にはそういうことが書いてあるのじゃありませんか。
  101. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) そういう、文面はそういうことが書いてございます。しかし、相手国との関係で、そういうような外交関係もないのでございますから、その関係で絶対であるという保証はないが、期待することは期待いたします。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、中華人民共和国に対して日本人民のそこへ行く人は、生命身体保護してくれということを期待しているわけでしょう。その点は事実ですか。
  103. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) それは期待していることは事実でございます。ただ法律的な関係において、それを権利義務のような関係で期待しているわけではございません。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうなってくると、中華人民共和国というものを、法律上の承認かどうかは別として、事実上承認しているということと同じ意見じゃないですか。これは外務省の人と会って、あれは中華人民共和国というのはもう事実上承認しているのですよ、こういうふうに言っているのですが、だれが言ったかは別として、それは公の席ではそこまで言えないかもしれませんけれども、実際はもう承認しているのですよ。事実上の承認と同じことですと、こういうことを言っている。その一つのあらわれが旅券に出ている。中華人民共和国という行き先であり、その中華人民共和国に対して、そこへ行く日本人生命身体の安全の保護を期待していることになってくる。それも一つのあらわれでしょうと考えられるのじゃないですか。これはあなたに聞くのは筋かどうかはあれですけれども
  105. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) 確かに私にお聞きになるのはあまり筋じゃないかと思います。条約局長でしたら法律論として確たるお返答いたすと思います。  私の聞くところにおきましては、事実上の承認ということは、いわゆる法律上の概念としての事実上の承認とは別だと了解しております。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、法律上の承認の概念としての事実上の承認はしていない。法律上の承認でないところの概念としての事実上の承認はやっているのだと、ちょっと複雑ですけれども、ということになりますね。
  107. 広瀬達夫

    説明員(広瀬達夫君) いま、私、裏返しのことが事実であると申し上げたわけではないので、先生がおっしゃった法律的な概念からは事実上の承認をしていない。国際法上の法律上の承認、事実の承認という二つがあることは御承知のとおりでございますが、その意味においては事実の承認ということは、実態関係の問題においては、それぞれ見方において違いはあるかと思います。これはそれぞれの見方であると思います。
  108. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) それでは、午後二時に再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時十九分開会
  109. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) ただいまから、予算委員会第一分科会を再開いたします。  休憩前に引き続いて法務省所管に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省関係で、先に矯正関係、あとから保護関係、大体、以上順を追って質問をしていきたいと思います。  一つは、監獄法の改正は、いま、どういう段階になっているわけですか。途中でストップしちゃっているわけですか。
  111. 布施健

    政府委員(布施健君) 御承知のように、刑法の改正作業が進んでおりまして、法制審議会で審議されておる段階でございます。監獄法はその刑の執行法に当たるわけでございます。したがいまして、いま、審議されております刑法の中で刑罰の種類とか、あるいは保安処分などが論議されておるわけですが、刑罰の内容として盛られるものが、はたしてどんなことに落ちつくのか、そのような点を十分考慮いたしませんと、それを受けて立つ執行法である監獄法はすぐに手をつけるわけにもまいりませんので、一時、事実上作業中止して資料集め等だけを続けておるという段階でございます。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 矯正関係機関いろいろあるわけですが、それらについてお尋ねをしたいのですが、それは矯正管区だとか矯正施設の組織の細目だとか、事務分掌は法務大臣の承認もなくて、それぞれ独自にきめられておると、それであまり内容も合理的なものになっておらないというふうなことが言われているわけですね。三十四年の三月九日に、法務大臣訓令、法務事務次官依命通達に基づいて事務分掌規程案を策定して法務大臣の承認を受けることになっているんだが、上申をしたんだけれども、六カ年を経過してもなお承認を与えられないと、こういうことがあるのですか。
  113. 布施健

    政府委員(布施健君) 勧告にもございますように、さような事実があるわけでございまして、ただ、ただいま御質問のありました中で多少御説明申し上げますと、管区の事務、これは矯正管区組織規程というのできまっておるわけでございます。それから刑務所、少年刑務所、これにつきましても刑務所、少年刑務所組織規程がございまして、それで課までの事務分掌はきめられておるわけでございます。その下の、普通の場合ですと、係以下その事務の細目がきめられておらないという趣旨でございます。しかし、いまの刑務所、少年刑務所等の組織規程、これによりまして事務の細目、これは大臣訓令が出る前から管区長の認可にかからしてあったわけでございます。管区長が認可した細則、それに大体従って、あるいは中には認可漏れもあるかと思いますけれども、たてまえといたしましては、管区長が認可した事務の細則にのっとってやっておったということでございます。三十四年に大臣訓令が出まして、すべて大臣の承認を受けるということになりまして、それから各施設から、事務の細則というものをあらためてつくると申しますか、改正すると申しますか、さような点について上申がございまして、これを検討しておったということでございますが、非常にまちまちでございまして、その内容には統一性を欠くところが少なくないというようなこともございまして、組織あるいは施設の数も非常に多い、特に矯正施設は昼夜を分かたず収容者の収容に当たるという業務の特殊性などから、これは慎重に考えなければならぬ点が多いということで、にわかに認可しがたいといったような状況もございます。その後三十九年になりまして、この間だいぶたっておりましてまことに申しわけないと思いますけれども、三十九年になりまして、組織の細目と事務分掌を定めること、そのことは勤務の体制規準というものと密接な関係があるというようなことを考えまして、自来勤務の体制の合理化をはかりますとともに、職員定員の配置基準をつくって、そうして勤務体制基準を確立するというようなことと、いま申し上げましたような点を合わせ考えまして、刑務所あるいは拘置所等につきまして、事務の種類あるいは分量、そういうものを洗っておる段階でございまして、本年中には一応それが終わる見込みでございますので、それらを勘案して一応の基準を矯正当局でつくりまして、それを流して、ある程度統一のとれた細則をつくらせるという方向で進みたいと、かように考えておるわけでございます。
  114. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 権限について上部に留保されているもののうちに、下部に委譲することが適当と思われるものが少なくないので、権限を下部に委譲するということについてもいろいろ検討しなければならないということが言われておるわけですが、ここにありますたとえば受刑者の集団散歩の許可というのは、これはどこが掌握することになっているのですか。
  115. 布施健

    政府委員(布施健君) これは管区長の認可にかからせておるわけでございまして、これを管区から施設の長に委譲してはどうかという御趣旨だと考えております。これらの点につきましても、もちろん十分検討いたしまして、できるものから、これはまあ矯正の世界では一つくずしますと非常に秩序が乱れる場合もございますので、慎重に考慮してきめる必要があるわけでございます。十分慎重に考慮して委譲できるものから委譲していきたいということを考えておるわけでございます。
  116. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務大臣に権限があるというのは、矯正関係でどういうようなのが権限があるわけですか。それは全部並べたらきりがありませんから、その中でまあ常識的に考えて、何も法務大臣がそんな権限を持たなくてもいいじゃないかというのは大体どんなものがありますか。たくさんあるのですか、法務大臣が権限を持っておるというものが。どんなものがあるのですか。
  117. 布施健

    政府委員(布施健君) これも委譲してないのはみな大臣のあれになるわけでございますが、たとえば、わかりやすい点から申し上げますと、人事がございます。人事につきましては、たとえば三等級以上、公安三等級以上、これは管区長なり、下へ委任するということは非常にむずかしいことでございます。四等級以下になりますと管区長に委任しております。そういうものもありますし、三等級以上になりますと、施設長段階あるいは各施設の部長ということになります。これらについては管区に委譲すべきではないと考えられます。また、予算等の執行につきましても、どこへどれだけのものが何のために要るというふうな使い方につきましては、管区に立案させましても、支出についてはこれは本省で握っておくべきものだというふうに考えますし、また、収容者の移送等につきましても、あとのほうにも出てまいりますけれども、年々計画的に移送をやっているわけです。何百人、何千人といったような大きな収容者の移送、それからほかにもう一つ保安移送というのがございますが、いわゆる派閥関係、こういうものはどこに移送したらいいかというようなことは管区長のみが考えて、その管区の中だけでやれない面があるわけでございまして、かような全国的にまたがるようなもの、こういうものの認可権、これは本省で押えておくべきものと考えております。
  118. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あまり重要な問題でもありませんから、深くあれするわけじゃありませんけれども、職員の管外旅行の認可というのはこれはいまどこにあるのですか、管外旅行というのはどういう意味ですか、管区を管と考えるわけですか。
  119. 布施健

    政府委員(布施健君) これは管区の職員の場合は、その管区の管轄内、管轄ということはおかしいのですけれども、一応管轄と申しております。その施設の長、施設の職員というこの辺になりますと、これはちょっと管轄というものもございませんので、たとえば検察庁で地検の検事が旅行するという場合には、検事正の許可を受ければいいということにちょっとまいらない点があるわけでございます。管区の職員が今度他の管区に行くというような場合、こういう場合は管区長以外の職員につきましては、管区長の認可があればよろしい、それから管区長それから施設長、こういう者につきましては本省の認可にかかっているというような形で運営されておるわけです。それをどこまでどう委譲するかということも非常にむずかし  い問題かと考えております。
  120. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 たとえば千葉の刑務所の職員が、名古屋の刑務所へ、何かのことで名古屋に行くという場合に、これは公の旅行の場合と私的の旅行と二つあると思うのですが、名古屋に行く場合、その場合にはどういう認可を得るのですか。
  121. 布施健

    政府委員(布施健君) 施設長の場合は本省になります。それ以外は管区長でございます。
  122. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、一々管区長に届けるといったって相当日数がかかって、そこまでしなくてもいいのですが、これはいずれにしても法務省の内部で検討していただければいいことだと思いますが、問題になってまいりますのは矯正職員の定員配分の問題ですが、ことに刑務所の職員の定員配分ですね、それは刑務所で五部制の刑務所と二部制の刑務所とありますけれども、それはいつごろできて、どういう基準によってそういうあれができているわけですか。
  123. 布施健

    政府委員(布施健君) できました当時は、刑務所の規模の大小、収容所の数ももちろん入りますけれども、それから東京あるいは大阪とか大都市にありますのは、自然規模も大きくなりますが、大体規模の大小を勘案してきめられたものと考えております。
  124. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いつごろですか、いつごろきめられたのですか。
  125. 布施健

    政府委員(布施健君) すぐに……何いたします。
  126. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなこまかいことはあとでいいですけれども、私のお聞きしたいのは、たとえば関東を見て、東京はいいとして、千葉とか浦和は五部でしょう、そうして宇都宮とか、あとは新潟ですか、新潟は二部ですか、と思いますが、そうすると、それが収容定員との関係で、最初のころは五部制のところが収容定員が多かった、二部制のところは少なかったと、こういうことならば話がわかるのですけれども、現在の状態では、関東管区の管内の刑務所の定員、収容人員ですよ、収容人員の定員と、それから部制の関係はどういうふうになっているかということですね、それは、たとえば五部制のところが収容人員が減ってきて、二部制のところは収容人員がふえてきておるところもあると思うのですが、その変化というものは相当あったと思うのです。できたころと比べて。それはどういうふうになっているわけですか。
  127. 布施健

    政府委員(布施健君) 先ほどの点も含めまして申し上げます。五部長制は昭和二十五年から試みに施行しまして、二十七年から豊多摩、府中、横浜、千葉、大阪、京都、神戸、名古屋、広島、福岡、長崎、宮城、札幌、高松、こういう十四の刑務所に実施しております。その後、小菅刑務所、中野刑務所が加えられ、また、豊多摩刑務所は浦和刑務所と名称変更されました。いまの中野刑務所は、これは豊多摩刑務所とかつて戦時中申しておりました。終戦直後にこれを浦和に移転した形で、浦和の施設を使ってそれが豊多摩刑務所ということになったわけでございます。そこで、その豊多摩刑務所時代には、これはたとえて申しますと、浦和と宇都宮あたりが比較になると思いますが、その浦和、豊多摩刑務所ということで見まして、これは浦和が五部長制に加わっておりましたのは、習志野の作業場というものがございます。これを浦和にありました豊多摩刑務所が持っておったというような関係もございまして、たとえば浦和では五部制になっておるけれども、宇都宮はそうではない、その後の収容人員の変化、これを見ますと、宇都宮より浦和が少ないという形になってきております。こういう点は十分に考慮して検討を加えた上で改めるべきものと考えておりますけれども、一度五部制になってしまいますと、職員の問題等もございまするし、いろいろめんどうな問題がつきまといますので、なるべくその刑務所を五部制にふさわしいように利用していくという方法もあわせて考えるべきであろう、かように考えます。
  128. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから関東管区の中のいまの収容人員ですね、定員ですね、これはわかっておりますか。
  129. 布施健

    政府委員(布施健君) 収容定員を申し上げますと、東京管区管内では、東京拘置所が千九百十七。
  130. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 拘置所はいいです。刑務所だけでいいいです。
  131. 布施健

    政府委員(布施健君) 小菅が千七百十四、長野が千百八十一、府中が二千四百八十二、八王子医療刑務所が五百四十六、横浜刑務所が千二百二十四、横須賀刑務所が百八十九、浦和が六百六十、それから千葉が七百三十三、宇都宮が千五十三、栃木が二百五十一、前橋が八百四十一、静岡が六百七十九、甲府が五百八十五、長野が五百九十八、新潟が六百五十五、川越少年刑務所が二百六十四、水戸少年刑務所が四百四十九、松本少年刑務所が四百四、かようになっております。
  132. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのあれ見ましても、浦和が六百六十ですか、定員が。宇都宮が千五十三でしょう。宇都宮のほうが二部制で、浦和が五部制になっておるわけですね。浦和の五部制がいいとか悪いとかいうわけではないのですが、たとえば宇都宮の場合には二部制ということで、それが具体的にどこに響いてくるかということですね。一つは刑務所の中のお医者さんに響いてくるわけでしょう。二部制はお医者さんが一人しか置けないとか、基準がありますね。五部制だと二人置けるとか、そこら辺のところは具体的にはどういうふうになっておるのですか。
  133. 布施健

    政府委員(布施健君) 五部制の場合でございますと部長がおります。部がございまして、医療部と申します。その下に課が二つございます。したがって、役付課長以上三人というような形になるわけでございます。二部制の場合でございますと、医務課になりまして、部じゃございませんで、課になりますので、医務課長、しかし、課長の下にお医者さんをさらに置けないということではございません。
  134. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ですけれども現実にはお医者さんは二部制のところは二人いるのですか。一人なんですか。一人が多いのじゃないですか、専属にいる人は。
  135. 布施健

    政府委員(布施健君) 専属のお医者さん、常勤のお医者さんは一人のところもかなりございます。東京管区内だけこころみに申し上げますと……。
  136. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、あまりこまかいことをやってもあれですから、いいですけれども、五部制のところと二部制のところはお医者さんがどういうふうに違うかということを中心に聞きたいわけです。五部制のところで定員が少ないところもあるわけですね。二部制のところで定員の多いところがあるわけですね。いま言ったみたいに。ところが、お医者さんの数は定員の多い、収容人員の多いところへ少なくて、収容人員の少ないところへお医者さんが多いのです。これはおかしいじゃないかというのが一つの聞きたいところですが、そこにしぼってお答えいただいたほうがいいのじゃないかと思います。
  137. 布施健

    政府委員(布施健君) 事は、お医者さんの採用難ということにつながってくると存じます。たとえば浦和に三人おります。その一人を宇都宮ならば宇都宮に移せばいいじゃないか、配置がえをすればいいじゃないかというようなことにつながるわけでございます。ところが、お医者さんは非常に採用難でございまして、これは法務省関係だけではないと存じますけれども、最近は特に大学の医局とのつながりも深いようでございますし、そこを離れてどっかへ行くということになりますと、もうやめてしまうというような、非常に問題があるわけでございます。同時に、もう一つは収容施設におきます収容者のお医者さんに対する態度、暴言を吐くとか、あるいは乱暴もしかねないといったようなこともございまして、何と申しましても、一般の病院で働くよりは勤務条件が悪いというような点もございまして、お医者さんの採用難、それにあわせまして、配置がえの困難という問題があるわけでございます。
  138. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはわかるのですけれども、じゃ浦和は何人いまお医者さんいるのですか。宇都宮は何人ですか。専属ですよ。
  139. 布施健

    政府委員(布施健君) 横浜は五人でございます。
  140. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 浦和は。
  141. 布施健

    政府委員(布施健君) 浦和は三人でございます。
  142. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 宇都宮は。
  143. 布施健

    政府委員(布施健君) 宇都宮は一人でございます。
  144. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから機械的にね、ぼくもけっして言うわけではない。それは収容人員をお医者さんの数で割って、それを浦和では六百六十人で三人だから二百二十人に一人なんだと、宇都宮は千五十三人に一人だといって、そのまま算術でやっていくわけじゃありませんけれども、どうもそういう点がこれは医師の採用難があることは、私もよくわかるのですけれども、どうもおかしい。収容者の人権の問題にも関連してくるわけですね。お医者さんが十分いないもんですから見られない。で何か病気になった場合にですね、中のお医者さんでなくて外のお医者さんにかけてほしいという要望が出てくるわけですね。その場合になかなかこれは認めないわけですね、率直な話が。あまりこまかいことを聞きませんけれども。ですからいま言ったような形から見ても、横浜は千二百二十四人に対して五人お医者さんがいるんですか。横浜の刑務所に入った人のほうが品のいい人が入るのかどうかわかりませんが、それに五人いて非常に不均衡なわけですね。東京に近いからいるのかもわかりませんけれども、これは何かの形で打開をしていただきたい。これはむずかしいことはわかっておりますけれども、打開していただいて。それは浦和にいる人をときどき宇都宮によこしていただくとか、定期的でいいから、専属でなくていいですが、そういうような形でまかなってもらって、便宜というものをはかっていかないと、収容者が病気になったときなんかに、大きな問題になる危険性がありますからね。十分この点は御配慮を願いたいと、こういうふうに思うわけです。これはまたあらためて御答弁願いたいのでありますが、それに関連して婦人刑務所である栃木、これは二百五十一人の収容人員ですが、これではお医者さんは何人くらいおるのかということと、それから横須賀がありますね。横須賀はアメリカ人がいまどのくらい入っておりますか。三十何人入っておりますか。アメリカ人がだいぶ入っておるんですがね。横須賀の刑務所は、そういう関係があるのですが、これは明らかになると思うのですが、これは横須賀の刑務所はお医者さんは何人くらいですか。
  145. 布施健

    政府委員(布施健君) 栃木は一人でございます。それから横須賀はこれも一人でございます。
  146. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 話、横になっちゃいましたけれども、横須賀はいまアメリカ人はどのくらい入っておるんですか。この前資料もらったのあるんですけれどもね。
  147. 布施健

    政府委員(布施健君) あそこはただいま数字を持ち合わせませんで、たいへん恐縮でございますが、一般の民間人と申しますか、そのほうの外国人、これは府中へ入れておるわけです。横須賀のほうは軍人軍属のようなものでございまして、数はあまり多くないように聞いております。さっそく調べます。  四十年十二月末日現在の外国人の収容者の全体でございますが、横須賀だけでなく、全体の数字はただいまここにございます。これによりますと、受刑者二千八百三十名、これは韓国それから朝鮮中国、台湾すべて含めてでございまして、一番多いのは朝鮮人で二千七百十人、それから中国人の七十二名、次がアメリカ人の三十九名ということでございます。これは四十年の十二月末現在でございます。
  148. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 横須賀の刑務所ヘアメリカ人が入っているのですが、どうも三、四十名というふうにこの前ちょっと聞いていたのですが、正確な数字はあとでいいですけれども、これはあれですか、待遇は日本人——横須賀の刑務所は日本人も入っているわけですね。そうでしょう、一緒に入っているわけでしょう、房は別かもわかりませんけれども。その待遇面は別なんですか。食糧の面とか、衣服の面とか、どういうふうに違っているのですか、これは。これはアメリカの軍人でしょう、アメリカの軍人が公務外で犯して入っているわけですね、横須賀の刑務所は。カロリー計算なんかだいぶ違うんだという話もあるのですけれどもね。
  149. 布施健

    政府委員(布施健君) 外国人のうちで日本人と習慣を異にするといったようなものにつきましては、食事も違うわけでございます。大体。パン食、まあ言えばパン食が多くなるということでございまして、日本人と違う食事ではございます。
  150. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本人の場合には刑務所でも、あるいは少年院でも食糧の基準がありますね、等級に分けて。たとえば一等級が三千二百カロリーとか、何等級は何カロリーとか、あるわけですね。それと比べると、アメリカの軍人で犯罪を犯して横須賀に入っている人と比べると、カロリーだけで判断できるかどうかは別として、その食糧の基準は何かあるのですか。どういうふうになっていますか。あまりこまかくなってあれならば、あとでいいんですよ。  それは、なぜかと言いますと、本人日本人と同じ待遇でもいいと言えば日本人のあれでいくのだけれども、いやだと言うと、今度はアメリカ人に対しては、特別な待遇というか、まあいま言った食糧も違うのですけれども、全体としてのカロリーや何かも、日本人よりもずっと——ずっといいかどうかは別として、だいぶいいものを食べさせているということもあるのですけれどもね。そういう話もあるのですけれども、これは日本人の憲法違反かどうか知りませんけれども、そういう話もあるのですが、あまり具体的でこまかいのでなんですが、何かわかればいいと思うのですけれども……。  まあ、それはそれとして、それから入管の中で、これはあとで、ここでありませんから、入管のほうで、大村の収容所がありますね。あそこに入っている人の待遇などとはどういうふうに違うのでしょうかね。これは、入管のほうは矯正局ではありませんから、あれですけれども……。
  151. 布施健

    政府委員(布施健君) たいへん恐縮でございますが、比較しておりません。
  152. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あまり横道にそれるとあれですから、今度はもとに戻しますけれども、そうすると、収容定員と現実の収容人員とはいまどういうふうになっているのですか。大体同じ程度ですか。場所によって非常に違うようですね。拘置所なんかは非常にふえているところもありますね。 刑務所も非常にふえているところもあるし、それから少ないところもあるわけですか。
  153. 布施健

    政府委員(布施健君) ございます。
  154. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ある時点をとって、収容定員と収容人員との比率は、どういうふうになっていますか。
  155. 布施健

    政府委員(布施健君) 収容定員は全国で六万二千二百二十人に対しまして、収容人員は六万三千二百三十三人、ただし、このうちから構外作業場がございますので、そちらのほうに出ておりますが、これを差し引きますと六万二千二百五十七名ということに相なります。
  156. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑務所の中で非常に過剰拘禁、過剰収容といいますか、なっているところは相当ありますか。  それから拘置所は非常に場所によってあるのじゃないですか。たとえば二割、三割増しのところがりまあすね。大体はどの程度までを黙認しているわけですか。黙認というのも変な話ですが、どの程度まで定員をオーバーしても過剰拘禁でないというふうに認めているわけですか。
  157. 布施健

    政府委員(布施健君) 拘置所の場合は、これはよそへなかなか移しにくいわけでございまして、一定の、どの程度をこえたらどうという基準を考えておるわけではございません。常識的に考えまして、少し多くなってきて、処分もやりにくくなったり非常に窮屈だ、こういうことになりました場合には、拘置支所の場合でありますと、本所で引き取る、あるいはほかの刑務所に拘置区を設け、そこへ引き取るといったようなことで緩和をするということを考えておりまして、一定の基準というものはございません。
  158. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 拘置所の場合、たとえば定員が六、七十人で百人くらい入っているところも相当あるのじゃないですか。宇都宮の小幡町なんかはそのときにもよりますけれども、多いときは百人まで入っていないかな。六十七、八人かな、定員は。それで九十何人くらい入っているときもあるのじゃないですか。
  159. 布施健

    政府委員(布施健君) 昨年の暮れでございますが、小幡町の拘置所は九十名……年間の平均で申し上げますと、四十年一月から十一月までで月平均九十五名ということでございます。
  160. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 定員は六十何名ですか。
  161. 布施健

    政府委員(布施健君) 定員は六十六名でございます。
  162. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ほかのところもそうすると、いまのでいくと六十六名で九十何名となると、約五割増し近いわけですね。これはもちろん、支所の場合なんかはそんなにふえていないでしょうけれども、拘置所の場合相当過剰拘禁になっているところがあるわけですね。しかも、建物は木造のものが多いのじゃないですか。これはたとえば火事でも出たらたいへんあぶないのじゃないですかね。これが一つ。  それから、員数が入り切れないもので、代用監獄で、警察の留置場を指定して借りて入れていくわけですね。そうすると、警察のほうではいやがるわけですね。警察のほうでもし事故が起きた場合に、警察の責任になるからということで、警察のほうではいやがるし、結局何となく警察のほうではありがた迷惑なかっこうで、護送とかなんとかということについても、拘置所がやるような形での熱意というか、そういうものはなくなってくるのじゃないかということも考えられるし、そういういろいろな問題が起きてくるわけですね。ですから、過剰拘禁というものをなくするためには、どういうふうな考え方を持っているわけですかね。
  163. 布施健

    政府委員(布施健君) 拘置支所の場合でございますと、非常に本所から離れておるといったようなことで、出廷にも支障がある。そういうようなところで非常に過剰拘禁が続いていくということになりますれば、その施設を拡充していくという方向で進みたいと、かように考えておりますが、施設はなかなか簡単にできないものでございますから、ある程度一年では足りませんで、二年くらいの間は見て、その間どこかもよりのところで刑務所があれば、そこに一時移すというようなことでまかなって、検討を加えておるわけでございます。
  164. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑務所のお医者さんに関連して、薬剤師の仕事はこれはお医者さんがやるわけですか。これどういうふうにやっているわけですか、薬剤師というのはないわけでしょう。
  165. 布施健

    政府委員(布施健君) 薬剤師もございます。ただし、これは全施設に行き渡るほど多数ではございませんで、刑務所の場合に全国で三十四名、それから少年院で七名という数でございます。
  166. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 問題を進めて、刑務所の職員ですね。これの勤務というか、待遇の問題に入りたいとこう思うわけですが、刑務所の看守とか看守部長とか、ああいう人たちの勤務はどういうような形できめられておるわけですか。何か二部制だとか三部制だとかいろいろあるようですけれども。ことに保安に携わる人たちですね、その勤務は時間的にどういう割り振りでやっているのですか。
  167. 布施健

    政府委員(布施健君) 刑務所の主として保安職員の問題になると思いますが、これの勤務につきましては三部制をとっておるところも若干あるようでございます。一般には昼夜勤と日勤という形でございます。日勤と昼夜勤の場合でございますと、日勤に早出日勤というのと、おそ出日勤というのがございます。早出のほうは朝六時二十分から勤務につきまして、夕方五時半まで勤務につく。それからおそ出のほうは七時十分から勤務につきまして午後五時三十分に終わるという形でございます。その勤務の区切りは、早出は大体二時間十分、二時間、二時間、二時間、一時間。おそ出は二時間二十分、二時間、二時間、二時間二十分ということで、間に三十分ずつのお休みがあるという形でございます。昼夜勤の場合ですと、朝八時二十分から勤務につきまして、習朝の八時半に勤務を終わるということでございます。その間午後七時半から以後は、一時間、一時間、一時間、一時間、一時間、一時間三十分、二時間とこういう勤務の形でありまして、その間に一時間ずつの仮眠時間が五回で五時間という形をとっておるわけであります。これが一般の形でございます。
  168. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは制度として説明を願ったわけですけれども、それじゃ一人の看守が具体的にどういうふうに組み合わされるのか、一人の人の例をとってみるとどういうふうになるのか。早出をしてその次の日どうなるのか、いろいろあるでしょう。それはどうなるのですか。そこらはよくわからないのですがね。そこらは局長、なかなかわからないでしょうか。
  169. 布施健

    政府委員(布施健君) 日勤の場合でございますと、日曜日に休みまして月曜日に早出日勤、火曜日から土曜日までおそ出日勤、日曜日に休日出勤する場合がございますが、休日に出勤したといたしまして、月曜日が早出日勤、火曜日から土曜日までがおそ出日勤というようなことで繰り返していくわけでございます。昼夜勤の場合でございますと、昼夜勤、朝八時半に勤務を終わりますと、大体非番となるというのが一般の形であります。
  170. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、看守の人は、日勤の人は全部ずっと日勤ばかりでいくのですか。昼夜勤の人は昼夜勤ばかりでいくのですか、そこ、かわるのですか。
  171. 布施健

    政府委員(布施健君) かわる場合があるようでございます。すべてが常にかわるということではない。と申しますのは、日勤の看守、日勤の場合でございますと、一日中いろいろ仕事がありまして、庶務もやっておるわけでございます。比較的優秀な看守が当てられるという面がございます。昼夜勤の場合でございますと、寝てしまっておりますというようなことで、必ずしも全部を常にかえられるということにはならないのと、もう一つは、一部には昼夜勤のほうを好む、つまり一晩泊って、次の朝勤務を終わって家へ帰って野ら仕事もするというようなものもあるようでございます。いろいろでございまして、このほかには一がいには言えませんが、そういったような要素から必ずしも全部が日勤と昼夜勤、常に交代するということにはいっていないわけでございます。
  172. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうするとあれですか、日勤と昼夜勤と大体本人の希望とか家庭の状況に従って分けるのですか。切りかえはしないわけですか、そとはどうなっているのですか。昼夜勤の人はほとんど昼夜勤ばかりでいくのですか。日勤の人は日勤ばかりでこういく、大体こういう形ですか。
  173. 布施健

    政府委員(布施健君) 希望する者につきましてはかわる場合もあるやに聞いております。ただし、そのこまかい具体的な点になりますと、たいへん恐縮でございますが、私存じておりません。御了承願います。
  174. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これ、待遇違うのですか。昼夜勤の方と日勤の方とで現実の実入りが違うのですか。
  175. 布施健

    政府委員(布施健君) 俸給は同じでございまして、ただ違うのは超過勤務手当というもので違う場合が出てくるわけでございます。
  176. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日勤で、そうするとあれですか、これは保安だけですか、庶務とか何かやっている人は、保安の人は朝六時二十分に出てきて五時半まで、かなわぬですね、朝早くて。庶務のほうは普通に出てくるのですか。
  177. 布施健

    政府委員(布施健君) 事務のほうは一般の公務員と同じです。
  178. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そして問題になってくるのは、いま日曜の話が出ましたけれども、刑務所の職員が日曜、祭日をどの程度実際休んでいるか。これは統計はありますか。これはぼくらあちこちの刑務所へ行って、たとえば福島の刑務所へ行ったときもいろいろこまかいことを聞いているのですが、一年に休みが、日祭日が六十何日あるうちに、大体三十日か四十日出勤している刑務所の看守が多いというのですが、それはどういうふうになっておりますか。月のうち一日くらいしか休めない。あとはほとんど休めない。日曜日に行事をやるということが非常に多いでしょう、刑務所は。普通、月に一日ぐらいしか休めないといってこぼしている人が多いのですが、そこは、日曜はどの程度休んでいるのでしょうか。
  179. 布施健

    政府委員(布施健君) その統計とっておりませんので。たいへん恐縮でございますが。ただ、昼夜勤の場合は、日曜に当たるものは普通昼夜勤で回ってまいります。それから、日勤の場合は、日曜祭日にいろいろ行事もございますから、出勤するという者が出てまいります。なお、昼夜勤でも人手が不足の場合は居残りをするという場合も出てきます。具体的に個々の人が何日休めるか、あるいは平均してはどれくらいだということの資料がございませんので、たいへん恐縮でございます。
  180. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、下のほうの刑務所で実際の資料をつくって矯正局のほうに出さないのかもしれませんね。出すとどういうふうになるか知らぬけれども、遠慮して出さないのかもしれないけれども、私どもが委員会で視察に行ったときに、よく所長なんか話してくれるのです。これは、この前福島へ行ったときにも話していましたが、ほとんど休みがないというのでこぼしております。それでは一体どうするのだといったら、日曜にはいろいろな行事があって、出てこざるを得ないのだと、こう言うのですね。いま言ったような形で非常に休みが少ないというのですが、実態調査を、全国というのはたいへんですが、特定の刑務所を二つ三つとって実態調査をやってみても、その結果が出てくると思うのですが、結局日曜出勤をして、月に超勤手当ですか、それがもらえるかというと、もらえないと、こういうわけですね。そういう形になってきてしまうのです。現実に矯正局の予算からいって。そこのところはどういうふうになっているのですか。ある程度の調べは概括的にはできているのじゃないですか。
  181. 布施健

    政府委員(布施健君) 超過勤務の問題につきましては、私どもももちろんいろいろ心配はいたすわけでございます。大体事務と保安の人員を分けまして、事務四、保安六という形になろうかと思います。さような割合で超過勤務手当を考えまして、保安関係につきましても、月大体四十七時間程度の超過勤務の範囲内でとどめるように配置を考えるということを指導いたしておるわけでございます。ただ、現実にはこまかい実績をタッチいたしておりませんので、今後実態を調査いたしてみたいと、かように存じます。
  182. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 月平均一日ぐらいしか日曜が休めないというのは、それは人によって違うし、あるいはオーバーかもしれませんけれども、大体そういうようなことらしいのです。そうなってきますと、月の勤務外の時間を働いているのは非常な時間になってきて、月に四十七時間以内にとどめるようにといったってどうにもしようがないわけです。そういう点から、矯正職員の間で不満が非常に多いわけですが、それと同時に、非常にいまの昼夜勤務のような形で無理しますし、いま言ったような形で、朝六時二十分から五時半まで毎日やられて、日曜は休めないという形でからだを酷使するわけです。からだを酷使をするものですから、定年に達して、やめて二、三年、三、四年ですか、たつとなくなる人がある。過労からというのですが、なくなる人が非常にというか、多いというのです。それを矯正局の職員が非常に訴えるところなんです。だから何とか勤務状態のあり方を変えてくれなくちゃ困るじゃないかということを言っているわけなんですが、だから実際にやめてから何年たってなくなったかということを調べるのはなかなかたいへんかもしませんけれども、とにかくやめてから二、三年たつとなくなる方が相当ある。過労が原因だと、こういうのです。とにかく盛んに職員は言っていますよ。それからもう一つ、三部制というものをとっているところもあって、三部制になるというと、相当からだが楽になるのですか、それはどういうことですか。
  183. 布施健

    政府委員(布施健君) 結局二十四時間を八時間、八時間、八時間ということでございますので、楽になると私どもも考えております。
  184. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいまどこでとっているのですか。
  185. 布施健

    政府委員(布施健君) 私が聞いております限りでは、名古屋がそうでございます。
  186. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、特段に収容人員が多い、職員が多いというところが三部制をとっているという意味ではなくて、それは刑務所長の自分の裁量で、判断で三部制をとるか、どういうふうにするかということはできるわけですか。何かとにかく三部制をとってくれという意向も職員の間に相当あるようですが、からだがもたぬ、たまらぬというわけですね。三部制というのは、所長の裁量でできるのですか、それならほかでも、これがもしいいとすれば、私はこれがいいかどうかよくわかりません。そこまで内部のことはよく知りませんけれども、そういうようなことになれば、三部制をとったほうがいいということなら、そういう方向で進むとか、行き方はあるのじゃないでしょうか、この点はどういうふうになっておりますか。
  187. 布施健

    政府委員(布施健君) 本来は、法務大臣の認可になるわけでございますけれども、試行的にやらせるという場合がございます。宇都宮、前橋等では、三部制、いろいろな形があると思います。日勤、夜勤、非番、これを繰り返すといったような形の仕組みを試みております。
  188. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どういうやり方をとったら職員の健康状態にもいいか、と同時に、刑務所ですから、収容者に対する何といいますか、行政もありますから、そのかみ合わせがもちろんあるわけですけれども、どういうような勤務のやり方をとったらいいかということについて、もっと実態調査をやろう、その中から最善の方法というものを生み出すように、これは努力をしなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点についてはいかがですか。
  189. 布施健

    政府委員(布施健君) 最初の勧告事項の際に申し上げましたように、定員の適正な配置という問題もございますし、勤務の合理化という問題もございますので、いま洗っているわけでございます。できるだけ合理的な勤務体制を考えていきたいと、かように存じております。
  190. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年院の場合は、教官が宿直をするわけですか。刑務所の場合には、宿直しないのはどの程度の人がしないんですか、宿直というか、夜やらないのですか。
  191. 布施健

    政府委員(布施健君) 宿直をいたしませんのは部長以上と心得ております。もちろん、事務のほうの宿直、これは違いますけれども、保安のほうの関係では、必ず当直看守所というのがあるわけなんで、看守長も泊まるわけです。
  192. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年院の教官の話を聞くと、刑務所と少年院の対立があるわけですよ。対立というか、何というか、とにかく矯正というもの全体が刑務所を中心に動いている。これは従来の行き方がそうだったかもしれませんけれども、そういうものに対する反発というものが、少年関係からあることは事実ですよね。これはどうしてもあなたのほうで言えないとしても、私どもはよく聞いていますからわかりますが、少年院の教官というのは、刑務所のあれとは違うんだ、たいへんなんだと、とにかく宿直をして回って歩かなければならないんだそうですね。それが同じクラスの人が、刑務所のほうにはないけれども、少年院の教官となるとやらなきゃならないんだ、たいへんな負担なんだと、こういう点をちっとも見てくれないじゃないかという声が出てくるわけですよ。それがそのまま正しいかどうかわかりませんが、そういう声があることは事実なんですね。だから、刑務所の人はわりあいに平均してると、平均してるというか、少年院に入っている人は非常に激動期にありますから、そういう面でよけい気をつかわなければならないというので、宿直というか、何というか、教官が保安業務も兼ねなければならないといいますか、そういう面で非常に精神的負担も大きいのだと、こういう話が盛んに出てきますが、これは実態はどうなっておりますか。
  193. 布施健

    政府委員(布施健君) 御指摘のように、少年院では教官が宿直をやって、保安面も兼ねておるわけです。刑務所の場合も、看守部長が庶務の先端でございます。保安だけではなくて、やはり庶務も見ておるというのとあまり変わないんではないかと私は考えております。ただ、ただいま御指摘のように、少年院の場合は、寮舎の中に仮眠室がございまして、一つの寮舎の中に一人で泊まっておるというような場合があって、非常に気をつかうということは事実であるわけでございます。それから、回って歩くという問題になりますれば、これは刑務所の場合も、少年院の場合も同じでございます。
  194. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 矯正局の中には課はお幾つあるんでしたっけ。
  195. 布施健

    政府委員(布施健君) ちょっと数えますから、七つと存じておりますが……、五課二室でございます。五課と参事官室と、それから法規室と、こういうことになっております。
  196. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 五課ですね。この中に少年院関係のものを特に独立してないのは、どういうわけなんですか。
  197. 布施健

    政府委員(布施健君) 先ほど御指摘もございましたけれども、やはり一つの、少年と行刑面、これとを一本に考えて、そこで機能的に分けてあるという形でございます。しかし、現実の問題として、教育課が、主としては少年のほうを見ることになるわけでございます。
  198. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年刑務所と少年院とは、基本的に理念が違うわけでしょう。ですから、少年院のほうの場合は、別の形でそれを統括するというものができてないとおかしいような感じがするんですが、少年刑務所は刑務所ですからわかりますけれども、少年院は刑務所じゃないんだから、そこが違ってきてるんじゃないかと、こう思いますけれども、少年関係のことは、教育課が中心となってやっているわけですか、あるいは刑事局には青少年課というのがあるでしょう。刑事局には青少年課があって、少年犯罪の問題が非常に重要になってくるならば、矯正局にも少年刑務所と少年院を一緒にするのがいいかどうかということは議論があるとしても、いずれにしても、少年を中心にした課というのが一緒の所轄になっていいのじゃないかとこう思うのですが、こういう点はどうなんですか。
  199. 布施健

    政府委員(布施健君) 御指摘のように、少年院は保護処分でございます。刑務所のほうは刑罰の執行でございますから、分けられればこれが一番理想的であろうという感じもいたしますし、ただ、また、分けますとむだがあるという点もございます。いろいろと議論があろうかと存じます。いまのところ、検討を要する問題かとは思いますけれども、従来のままでもうしばらくやっていきたいという方針でございます。
  200. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年院は保護処分ですからね、私は最初保護局の所管だと思っていたのですよ、率直な話。けれども、聞いてみたら、矯正局だというので、それは内部の話ですから、ほかから介入すべき筋合いのものではないのですけれども保護局と矯正局との権限が、何か矯正局のほうが強くて、保護局のほうが弱いというか、少ないというような印象を持つのですがね、これはどうなんですか。元来、これは一緒だったんですか、一緒だったものが分かれたのですか、どうなんですか。
  201. 布施健

    政府委員(布施健君) 私の承知いたしております限りでは、戦争中から戦後、今日にかけまして一緒になったり、分かれたり、一緒になったりということで、いまは分かれております。ただ、御指摘ございましたが、矯正のほうが強過ぎて、保護のほうが弱いのじゃないかという点につきましては、私どものほうとしては、さようなことは考えておりません。私どものほうは、施設内の処遇を担当しておるわけでございますし、保護のほうは、施設外の処分を担当しておるわけです。それぞれの機能も違うわけでございます。そこにどちらが強い、弱いという問題はないと私は考えております。
  202. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 矯正局と保護局との関係においては、どうも保護局のほうが全体として弱い、矯正局のほうが強いという、矯正局の中においては刑務所関係が、俗に言えば幅をきかしている、幅をきかしているというのはことばが悪いけれども、少年院関係が何かまま子扱いをされているというような空気といいますか、これはひがみかもわかりませんけれども、そういうような意向というのが相当あちこちに出ているように思いますが、これは刑務所では作業収入が上がってくるものですから、作業収入を持っているところが強いのだということに結局なってくるのじゃないかと思いますが、これは内部の話ですからこの辺にしておいて、別に回答を求めるわけじゃありませんが、問題になってきましたのは、その次のことですが、鑑別所は、これはどっちですか、やはり矯正局ですか。
  203. 布施健

    政府委員(布施健君) 矯正局でございます。
  204. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鑑別所で、ぼくも気がつかなかったのですけれども、鑑別所へ入れられれば二十八日間入れられるものだというようにちょっとぼくは考えていたんですが、違うのですね。これは十四日が原則なんですね。十四日が原則なのに、どんどん更新して二十八日までいっているわけですね。十四日間では鑑別できないのですか。これはどういうところに問題があるわけですか。これは最高裁家庭局の関係かもわかりませんが、鑑別所は十四日が原則なんでしょう。実際、十四日の中でも初めからできない、できないものと見ていて、二十八日というのがあたりまえだという考え方で大体やっているんじゃないですか。いまは十四日だけで済ましているところは、ほとんどないんじゃないですか。具体的にはどういうふうになっていますか。
  205. 布施健

    政府委員(布施健君) 鑑別所のほうといたしましては、できるだけの力を傾注いたしまして、早い時期に鑑別を終わりたいということでございます。二十八日まるまるというのはあまり多くなく、二十四日、五日とか、そこら辺が多いように記憶しております。
  206. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで、鑑別所の中でいろいろテストするわけでしょう。テストは何段階あるんですか。あるいはどういうテストをするんですか。   〔主査退席、副主査着席〕
  207. 布施健

    政府委員(布施健君) テストは、知能テストとそれから性格テスト、それから身体の疾患とか、精神的なものもございますが、知能テスト、性格テスト、こういうものになりますと、各鑑別所によって必ずしも一定はいたしておりません。数種類の方法をやっているところもあれば、あるいは十といったようなところもございます。なぜさようなことになるかと申しますと、鑑別のテストの方法と申しますのは、どういうテストを幾つやればそれで十分なのかという結論はまだ出ていないと思いますし、精度が高くなればなるほどよろしいわけでございます。したがいまして、テストの方法、これは年々いろいろなものが出てまいりまして進んでおるというふうに承知いたしております。したがって、新しいテストも取り入れてみるというようなことで、各鑑別所によってまちまちになっておるわけでございます。
  208. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鑑別所でまちまちになっているのは事実ですけれども、一応の基準はあるんじゃないですか。それはどうですか。もう少し詳しく——鑑別所の人は来てないんですか。鑑別所でこれだけのものはやらなければならないというテストの基準はあるんじゃないですか。
  209. 布施健

    政府委員(布施健君) 専門的なことでございまして、十分お答えできなくて恐縮でございますが、ただ、一定の基準というものを設けてはおりません。それで、法務省といたしましていまやっておりますことは、最小限度これだけはやってもらいたいというものを考えまして、それで従来行なわれているものの中から、四十年度は法務省式の質問紙法、三十九年度は文章完成法を作成し、それぞれのテストの基準をつくりまして、明年度は非行性測定検査をやるように考えております。このようにしまして、統一できるものから統一して、そして基準を高めていきたいという方向で進んでおるわけでございます。しかし、ただいまも申し上げましたように、それはあくまで上を目ざしながらも最低線にとどまる可能性が強いわけでございまして、それ以上に各所で試行的にいろんなテストを加味してやっていくということになろうと存じます。
  210. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、最低、少年鑑別所でやるテストというのは、ちょっともう一ぺんはっきり説明していただきたいんだが——あなたでなくてもけっこうです、専門家の方がおられれば説明していただきたいと思うんですが、なぜこういうことを聞くかというと、質問の趣旨は、それの最低基準があるわけですね。ところが、それを全部やってないわけですね。やってないというより、やるだけの費用がなくてやれないわけですよ。こういう問題があるわけですね。非常にテスト用紙が高くて、テスト用紙を買う金がないんだそうですよ。それでできないというんだそうです。それで全体の最低基準のものもやらないところが相当あるらしいんですが、そういう話になってくるわけですよ。だからどういうテストとどういうテストがあるかということを聞くわけですけれども、これはいまでなくてもいいですけれども、テスト用紙は一枚五十円取るんでしょう。変なことであれですけれども、五十円取るんで、それで買えないんだそうですよ、十分に。たしか三つか五つぐらいあるんじゃないですか。それを全部やると金がかかってとてもできないからというので、鑑別所ではやらないところがあるそうですよ。それはぼくはよく付添人で鑑別所へ行くし、保護司もやっているし、刑務所の篤志面接員もやっているからそういう点では大体わかりますが、どうなんですか。
  211. 布施健

    政府委員(布施健君) 御指摘の点につきまして十分承知いたしませんので恐縮に存じますが、予算関係で最小限度のものもやれないということがあるようには聞いておりませんし、今後実情を調査いたしまして、予算の配分等につきましても十分検討を加えてまいりたいと思います。
  212. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鑑別所を管轄するのはどこの課ですか。
  213. 布施健

    政府委員(布施健君) 医療分類課です。
  214. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 樋口さんは来ておられませんですか。
  215. 布施健

    政府委員(布施健君) 時間がございますればさっそく呼びます。
  216. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 樋口さんは専門家ですし、きょういらっしゃいますか。いらっしゃれば来ていただいてその関係について説明願えれば、まだ時間ありますから。樋口さんは日本でも最高の専門家ですから、こっちも勉強になるので聞かしていただきたいと思います。それじゃそれは保留しておきます。おられなければまた別の機会でもいいと思います。  別の問題に入りますが、独居房のつくり方ですね。独居と雑居とあるわけですね。拘置所の場合と刑務所の場合ともちろん違うんですけれども、初めは独居が非常に多かったのが、だんだん減ってきちゃったという行き方になっているんですが、その間の違いはあるんですか、そこらはどういうふうになっておるんですか。
  217. 布施健

    政府委員(布施健君) 準則がございまして、それにのっとってやってきたわけでございますけれども、独居と雑居の割合につきましては、戦後施設が足りないということで、急速にこれを整備しなければならぬ、そういう必要から、財政の問題もございまするし、雑居が多ければ収容者もたくさんとれるというようなことで、独居と雑居の割合が多少乱れてきたわけでございます。現在これはまあ大蔵当局にもお認め願っていると存じておりますが、拘置所につきましては独居が大体七、雑居が三、それから刑務所につきましてはその逆と、大体そういったような割合で建設を進めておるわけでございます。しかし、その立地条件その他によりまして多少これは変更になる場合もございます。
  218. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、接見禁止になっている場合は全部独居に入れるのですか。ところが、現実にはそうじゃなくて、接見禁止になっていても、独居といいながらそこへ二人、三人入っているのも相当あるわけですか。それはないんですか。
  219. 布施健

    政府委員(布施健君) 大きい拘置所ではあまりないと存じておりますけれども、ただ、共犯者的なものは同じ房には入れないということで、たとえば分けて雑居へ入れなければならないというような施設の状況になっている場合もあろうかと存じます。推測でございまして、はっきりした資料は持っておりません。
  220. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから近ごろ建築するのに合同庁舎がありますね。合同庁舎の中に拘置所を入れるというのは、八王子なんかもありますし、アメリカの行き方らしいですけれども、あれは法務省としてはどういうふうに考えているんですか。あまりないでしょう。
  221. 布施健

    政府委員(布施健君) ああいった形の合同庁舎は幾つかあるはずでございますが、私、直接には八王子しか存じておりません。ただ同じ敷地の中に別むねといいますか、区画をいたしまして、拘置所が併設されている——併設と申しますか、同じ敷地内に区画されて拘置所が、支所があるという形のものはたくさんございます。
  222. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あれですか、アメリカ式なんですか。アメリカの行き方をとっているんですか、合同庁舎の中に拘置所が入っているという行き方は。八王子は三階か四階にあるんでしょう。
  223. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) アメリカのことにつきまして私の見聞した範囲でございますので、全般的にどうかということについては確信はございませんが、拘置所あるいは拘置監のようなものが七階の一番上にあるという建物は数カ所見ております。現在わが国でいわゆる合同方式で検察庁、法務局等と一緒にありますのが、小倉、それから沼津の支所、それから八王子等でございます。これはなるべく敷地の効率的な利用といった予算的な観点もございますが、また一つの便宜の点も考えて、差しつかえない範囲で、私のほうとしては合同庁舎方式をできるならば推し進めたいと考えておりますが、ただ小倉、八王子、沼津の経験から考えますと、階の上に乗せるというやり方よりも、並列的に並べた合同庁舎といった点が現実の問題としてはそのほうがいいような感じを私としては持っております。
  224. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはまだあなたのほうで十分準備がされておられないかとも思うのですけれども、この前、朝倉参事官が論文を書いておられましたけれども、監獄法、昔の非常に古い法律ですね。それで監獄法の改正が問題になっているけれども、一応刑法の改正との関連でストップしている。そうすると憲法は新しくなった、憲法との関連で監獄法の改正すべき点あるいは改正すべきでないとしても、すぐ改正すべきかどうかは別として、現実に改正して運用している面と、こういうふうな面はこれは具体的にはどういう点にあるわけですか。現在の刑務所なり拘置所の収容者の処遇について、これが憲法との関係で問題になっておるのはどういう点なのか。それに対してどういう措置をとっておるか。立法すべき点だとすれば、立法までまだいってない段階でもってどういう長所をとってギャップを埋めておるか。こういう点について。これはちょっとそこまですぐきょう聞くというあれでなかったものですから、あるいは十分なものがなくてもけっこうですけれどもね。その点はどういうふうになっておるのですか。資料としては、あとでこれは法務委員会でもう一ぺん聞きますから、きょうでなくてもけっこうですが、突然のあれで恐縮ですけれども、これはこの前、朝倉参事官の論文読んでいたので感じたものですから……。どうなんですか、それは。大ざっぱなことでけっこうです。
  225. 布施健

    政府委員(布施健君) 準備いたしておりませんので恐縮でございますが、やはり問題になりますのは、基本的人権との関係でございます。たとえば図書等の差し入れあるいは懲罰の関係とかいったようなことと心得ております。
  226. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私のほうでも通告をしてないのでちょっと聞くのがあれだと思いますから、これはまあ省略しておきまして、別の委員会のときに詳しく問題点聞きますから……。あれは朝倉さんの論文というか、あれがありましたからね。あれに関連して日をあらためて聞きます。きょうここで聞いたのではかえって混乱すると思いますから、よく研究しておいていただきたいと思います。それから、どういう点が問題となっておると、それに対してどういうふうに現実に処置しておるということですね。ここら辺のところがあれだと思うのですね。  それから違うのは、拘置所の場合の処遇と代用監獄で警察にいる場合の処遇が全く違うのですね。これがどういうふうになっておるのですかね。拘置所のほうではわりあいに新しい憲法に合うようになってやっておるのだとしても、警察のほうは昔の準則みたいのがあるのですか、そのままにしてやっておるので憲法と合わないということが出てくるのですかね。これについては何かわかりませんか。
  227. 布施健

    政府委員(布施健君) 代用監獄である警察の留置場の運営につきまして、それがどのような根拠に基づいてどのように行なわれておるかという実態についてはよく承知いたしておりません。私どものほうといたしまして、法務省あるいは矯正の施設監獄等におきまして代用監獄である留置場の運営についてとやかく申す権限も何もないわけでございまして、その辺はひとつ御了承願いたいと思います。
  228. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 よく私どものほうも研究しますがね。代用監獄ですから法令は監獄心得にあるわけでしょう。それで法務省が全然口入れできないというのはおかしな話なんで、そこで憲法違反のことは相当行なわれておるわけですよね。だから法務省関係のほうでは、いまの監獄法はまだ古いあれですけれども問題点はあるけれども、憲法にマッチするように実際の運用でやっておるところが何か古い通達みたいのがあるのですか。代用監獄をつくったときのそれをそのまま守っているのですから、代用監獄の場合には問題点があるということもあるのですけれどもね。きょうは省略しておきましょう。 問題はいろいろ出てまいるのですけれども、そうすると、暴力団や何かの人、そういう関係者を拘置所へ収容すると、それから刑務所に入った場合に、特段にどういう点を留意してやっておるわけですか。暴力団関係者が入ってきた場合に、どういう点を留意してやっておるわけですかね。拘置所の場合とそれから刑務所の場合とちょっと違うかもわかりませんがね。
  229. 布施健

    政府委員(布施健君) 暴力団関係者につきましては非常にむずかしい問題でございますが、組関係も非常に多いわけでございます。したがいまして、刑務所について申し上げますれば、たとえば府中刑務所一つ取り上げましても、その中に入っておる受刑者の中には百組以上の組関係者がいる——組の数にしまして百組以上ということでございます。したがいまして、刑務所におきましては、それらの組関係者が対立抗争して事故を起こさないようにということを配慮いたしますとともに、また組関係者以外の者が、そういう組関係者によって圧力を受けるということがないように配慮します。そのために保安輸送ということを実行しておるわけでございます。たとえば、広島の暴力団の幹部が広島刑務所に入りました場合、これを北海道へ送るとかあるいは東北に送る。逆に大阪の組関係者が受刑者になった場合には、これを九州に送るといったような、全国的な規模での分散輸送を実施いたしまして、ただいま申し上げましたことのないようにつとめておる次第でございます。
  230. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何かそれで組織暴力関係者ですね、これはいわゆる処遇困難者ということを言っておるらしいですけれども、これらによる反則があると、その場合に同じような懲罰事犯に対してその処分が刑務所間において違っている事例が見られるんだと、だから施設設備の整備、処遇規律の改善、懲罰の適正な執行等について措置する必要があると、こういうあれがあるんですけれども、これはぼくは画一的になかなかいかないんじゃないかと思うわけです。やっぱり刑務所長の権限でその刑務所の運営というか、何といいますか、刑の目的を達するためにある程度自由裁量が与えられていませんといけませんから、これは画一的にいかぬと思いますけれども、相当なあれですか、違いがあるんですか。いままで、ここにも出ているんですけれども、懲罰事犯というのはどの程度あるんですか。これは懲罰の内容にもよりますけれども、大体どの程度ありますか。
  231. 布施健

    政府委員(布施健君) 懲罰事犯の全国的な統計資料はこれは取っておりません。
  232. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大体年間三万人ぐらいあるんですか。懲罰の内容にもよりますからね、重いのも軽いのもありますから一がいには言えませんけれども、三万人程度あるんですか。抗争、抗命——抗命というのは命令にさからうですね。殺傷等の悪質なものが大体年間八千件——九千件あるというふうに指摘しているんですけれども、こんなにあるんですか、ちょっと多いような感じがするんですがね。
  233. 布施健

    政府委員(布施健君) ただいまお答えいたしましたように、懲罰事犯の数についてはこれの統計を、資料を用意しておりません、たいへん恐縮でありますが。ただ抗命といったようなことを御指摘になりましたので申し上げますと、職員殺傷−職員に対して手向かって殺傷したと、その職員殺傷、これは三十九年で七十八件、それから同囚殺傷、これは収容者同士の殺傷、これが百八十一といったような数が出ております。
  234. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鑑別関係は樋口さんがおいでになってからちょっとお聞きしたいと思っていますので、保護関係に移ります。
  235. 布施健

    政府委員(布施健君) 先ほど御質問のございました横須賀の関係でございます。四十年の十二月末現在で白人だけになりますが、アメリカ人が三十人、カナダ人が一人、こういうことになっております。  それからカロリーの問題、これはカロリーの総体は同じでございます。ただ主食で、日本人の場合ですと主食でそのカロリーをたくさんとる。三千カロリーといたしますと、日本人の場合はうち五百カロリーを副食でとる。外国人の場合はそのところがその倍の千カロリーを副食でとることになっております。予算単価は同じです。
  236. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 保護行政の中で問題といいますか、これは現実保護行政保護司まかせというと語弊がありますけれども、そういう形になっておって、保護観察官の元来主体であるべきものが逆になっておる傾向があるわけですね。あれは予防更正法の五条でしたか、何条でしたか、主体はやっぱり保護観察官がやるのが主体になっておるわけでしょう。現在の保護観察官は具体的にどういう仕事をしておるのですか。全国に何人ぐらいいて、どういう仕事をしておるのですか。
  237. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 御指摘のように、犯罪者予防更生法によりますと、保護観察官で十分でないところを保護司が補うという立て方になっております。ところで保護司は、定員が全国で五万二千五百名ということになっておりますが、欠員がございまして、現実には約五万人程度が全国にそれぞれ配置されておるということになるわけでありますが、一方、保護観察官のほうは、保護観察所に所属する保護観察官が定員の上で六百八十一名ございます。そういう関係でどうしても保護観察官がみずから対象者に接して保護観察を実施するというととができにくい状態になっておることは事実でございます。  そこで保護観察官が現実にどういう仕事をしておるかということでございますが、一般的には、保護観察事件そのものは保護観察官が担当するわけでございます。そうしてそれぞれケースごとに保護司にお願いしまして、面接なり補導援護の仕事をしていただいておるわけであります。そこで保護司の側から出てまいります成績報告書を調査しまして、その中から新たに観察官として保護司にお願いする事項がございますれば、そういうことについて連絡しながらやっていくということが多くなっております。しかしながら、これも一つの試みでございますけれども、そういうことばかりでは適当でない事件によりましては、保護司が直接前面に出て仕事をする必要があるということで、たとえば事件のまあ分類的なことを行ないまして、重点的な事件については観察官がなるべく直接接触をする機会を多くするような配慮をしつつあるわけでございます。
  238. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの六百八十一名の保護観察官というのは、現実保護観察の業務に当たっておる人はこれだけいないんじゃないですか。所長とか、課長——まあ課長はやっておる人がいますけれども、実際にやっていない者があることはあるんじゃないですか。
  239. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 保護観察所長は保護観察事件を持っておらないのが通常でございます。そのほか保護観察所の課長は、これは地方によりまして違いますけれども、やはり一般の保護観察官を十といたしますと、これとの対比におきましては四割であったり五割であったり、まあその程度しかやれないということでございます、六百八十一人そのままで割ってみまして。現在約百三、四十件のものを一人の観察官が持っておるということになります。いま申しましたように、所長なり課長の監督官で一〇〇%持っておらない者を考慮いたしますと、やはり百五十件以上、百六、七十件というものを担当する計算になるかと思います。
  240. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 現実には保護観察官が最初のときにちょっと本人なり家族に面会して、三、四十分面会するだけに終わってしまって、あとは保護司のみということになっておるわけじゃないですか。実際はどういうのですか。
  241. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 一般的な傾向といたしましては、そういうことになりがちであることは事実だろうと思います。そこで、先ほどもちょっと触れましたけれども、これを何とかして打開していくという方向を見つけなければなりませんので、これもまだ未完成でございますけれども、事件を何かの目安で分類してみる、たとえば暴力団の事件であるとか、あるいは行くえ不明になりそうなおそれの非常に強い事件であるというものにつきましては、観察官が前面に出て接触する機会を多くしていく。何とか保護司さんにお願いしてやっていけそうだと思う者につきましては、当初から、手を省く意味と申しては失礼でございますけれども、そういうことで保護司さんにお願いするというような色分けの方法を考えて試験的には実行しております。 それからなお一昨年、保護観察官が二十二名増員になりました。これを普通の仕事をしておる中に投入してしまいますとちょっとそういうことがやりにくうございますので、一つの調査研究という意味も含めまして、この二十二名を東京、大阪、名古屋、事件の多いところ三カ所に配置しまして、そして青少年を中心とする一定の基準によりますところの事件につきまして、初期二カ月間には少なくとも保護観察官がやってみるというやり方をやっておるわけであります。これによりますと、まだ結果の十分な検討が終わっておりませんが、少なくとも一つのポイントを取り上げますと、行くえ不明になる率が非常に少なくなっておるというようなことはもうすでにはっきり言えるかと思います。こういうやり方がそのままでいいかどうかは別といたしまして、やはり保護観察官がもう少し前面に出て直接自分で接触するということを充実していく必要があるように考えております。
  242. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは名古屋を中心にしてやったんではないのでしょうか。あれとは違うのですか。
  243. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 東京、大阪、名古屋であります。
  244. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 で、実際に保護観察をするのは、一号からずっとあるわけですけれども、どういう観察がいま一番多いわけですか。
  245. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 数から申しますと、やはり家庭裁判所で直接に保護観察になった一号観察が多うございます。
  246. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 保護司のいま言った定数は非常に欠員があるわけですね。欠員、いまどのくらいか聞き漏らしましたが、これを具体的にどういうふうに埋めていくのか、その点についての考え方はどういうふうになっているわけですか。
  247. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 先ほど申しましたように、定数は全国で五万二千五百名以内ということでございます。現実に今日現在の数が幾らになっておりますかは、ちょっとつかみかねますけれども、大まかに申しまして、大体五万ぐらいが委嘱されて実働しておると思います。そこでこの欠員をすぐに募集するということは、実際問題として困難と存じますので、大体運用の上では、年に二回程度保護司連合会が開かれまして欠員になった者を募集する。あるいは任期の終わった者を再任の手続をするということにいたしております。したがいまして、二千五百名程度の欠員というものは大体そのままいつもあるという形になっておるのが実情でございます。
  248. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 家庭裁判所で保護観察になってそしてすぐ少年なりなんなりが保護観察所へ来ますがね。来た場合に、家庭裁判所のほうからその少年の具体的ないろんな経歴だとか、内容とか、そういうことを示したものが来ない場合が相当あるのですか。よくわからないというか、事件の内容がはっきりしないで面接する場合があるのですか。
  249. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) そういう場合も間々あるわけでございます。実際には家庭裁判所の、本省の場合には地元に保護観察所がございます。連絡が行けば直接に家庭裁判所におもむいていろいろなことを口頭でじきじきに聞いて帰ってくるということが行なわれるわけでございますが、その場合にやはり家庭裁判所における調査記録を見せてもらうということが必要なわけであります。ところが、これが必ずしもそのとおり行なわれなかったことも過去にはあったと思います。  もう一つの問題は、支部で扱われた事件の場合でございます。この場合には、地元に保護観察官がおらないのが通常でございます。保護司さんの駐在でやっていただいておる場合がございます。こういうときにはやはりそういうことになる場合が多いのではないかという点を憂慮するわけでございます。
  250. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 仮釈放の場合は、これは現実にはいまどういう手続で仮釈放が行なわれているわけですか。これはまあ刑務所から始まっていくわけでしょう、刑務所から保護観察に。
  251. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) これは職権で地方更生保護委員会がやるという規定がございます。しかしながら、これは現実には行なわれておりません。やはり施設のほうから申請がございまして、それに基づいて委員会のほうが審査して決定するということになるわけでございます。もう少しこまかく申し上げますと、仮釈放に対してその審理を促進させるということの場合には、やはり早目に手を打つということが必要になるかと思います。そこで申請が出ましたら、なるべく早い時期に本人の帰住予定地の環境の調査調整というようなものを進めますと同時に、直接施設の中におります受刑者なり少年がどういう問題点を持っているかということをつかみ出して、それに基づいて帰住予定地などの環境などの調整もそれに合ったようにしていくということが必要なわけであります。
  252. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると仮釈放関係は法務局がやるわけですか。その間の途中のところは矯正関係でやるわけですか。
  253. 布施健

    政府委員(布施健君) 矯正関係といたしましては、刑務所の場合ですと受刑者、少年院ですと保護処分の少年、こういう者が入って来ましたときにその旨を地方更生保護委員会のほうに通知いたすわけであります。その後、施設の中での成績によりまして、最も適当だと思う時期に委員会のほうへ仮釈放ないし仮退院の申請をする、こういうことになるわけであります。
  254. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 地方更生保護委員会が仮釈放の何というのですか、決定といいますか、これをやるわけですね。これはあれですか、従来からこういうやり方をとっておったのですか。もとはどうですか。刑務所の管理でやっておったのですか。
  255. 布施健

    政府委員(布施健君) かつての時代はこれはもう法務大臣がやったという形でございます。当時は司法大臣でございますね。
  256. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは弊害があるからというので、地方更生保護委員会という制度を設けて、これは民間人、民間人というか、委員の合議体できめるのですか、それはどういうきめ方できめるわけですか。
  257. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 地方更生保護委員会の構成は、委員三人の合議制でございます。これは、現実には更生保護関係の仕事をやってまいりました経験の十分にある者を任命しておるのが数からいって多うございます。そのほか、矯正施設の長などをやられた方、あるいは検事からも入って仕事をされておるわけでございます。
  258. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 具体的決定権は、三人の合議体でやるわけですか。それが刑務所のほうで仮釈放を申請するわけでしょう、更生保護委員会へ。そうすると、何かなかなか調査が、人数が足りない点もあって行なわれない。おくれるきらいというか、傾向があるわけですか。
  259. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 現実の仮釈放事件というものは、近年数からいいますと、少し減っております。これは、その理由は、施設に入っておる者の数がかつての場合に比べますと、幾らか減ってきておるということと表裏する関係だろうと思います。しかしながら、減ったと申しましても、たとえば東京にあります関東の更生保護委員会は、関東地方の十五都府県を管轄しておるわけでございます。委員会が三つございまして、合計委員が九名おります。ところが、何ぶんこの仕事は、実際を申しますと、主査、つまり三名の委員の中の一人が主査になりまして、実際施設に出向きまして、面接するという仕事があるわけでございます。これがやはり、関東地方には相当の施設の数もございます。それぞれ分担して出かけていって面接もするわけでございますが、一回の面接で事足りる場合もございますが、そこまでまだなかなか心証もとれないというようなこともございます。仕事自体は、かなり負担の重い仕事になっておるわけでございます。それともう一つは、委員の場合を申し上げたわけですけれども、そのほかに、本来的に申しますと、帰っていく先の環境の調査、調整ということが、やはり必要なわけでございます。このほうが、やはり人手の関係でおくれがちになる。これは、やはり保護観察所のほうで実際の仕事をやることになりますけれども保護司の方にお願いしましても、これがなかなか思うようにまいらないということなどが原因になっているかと思います。
  260. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの環境調整ですね。ことに帰住地の場合の引き受け人とか、環境のあれは刑務所の所長が部内で、課長会議を開いてそれで仮釈放を申請するか申請しないかきめるわけですか。そのときまでに大体環境調整というものをやっていくわけじゃないですか。
  261. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 手続最初段階から申しますと、施設の側で対象者が入ってまいりますと、身上調査書というものをつくります。これは委員会にも参りますし、観察所にも行くわけであります。そこで、その時点における問題が一つ出てくるわけでございます。しかしながら、実際には施設の中に入りましたあとの経過というものがやはり必要でございまして、実際には相当期間施設の中におった上で初めてみずから自分問題点を持ち出すというようなこともございます。でございますので、環境の調査、調整ということも一回やってみまして、これでいいという場合はむしろ少ないかと思います。何回も重ねまして、問題点があるのでさらに調整するというようなことが多い事情もございます。
  262. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはそうすると、刑務所長が仮釈放の申請を地方更生保護委員会にした後に、更生保護委員が独自で保護観察所を通じて環境調整の調査をやるということもあるわけですか。
  263. 本位田昇

    政府委員(本位田昇君) 事を円滑に運ぼうと思いますと、申請があってからよりも、前に、たとえば三分の一過ぎますと、応当日と申しますけれども、応当日が経過すればそういう仕事にとりかかってもいいわけでございます。そうすれば、仮釈放の審査事務もより円滑になると思いますが、まだ現状では人手の関係どもございまして、そこまではやりかねているのが実情でございます。
  264. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ですから、関東の場合、特に施設が多い関係もあるでしょうけれども、刑務所長が申請してから仮釈放をやるかやらないか、これを慎重にやるのが正しいと思いますけれども、何かだいぶおくれるというので、中でやきもきしていて、刑務所長なんか処遇上いろいろ頭を悩ますというようなこともあるらしいのですが、これはできるだけ迅速に、しかも適正にやっていただきたいということですね。これは答弁はいいです。  それで前に戻りまして、樋口さんおいでになられたようですから、鑑別所のことについてお聞きしたいのですが、鑑別所の鑑別のやり方ですね。これについて何か各地の鑑別所で非常に違うし、精粗いろいろあるというようなことを聞くのですけれども法務省としては、これだけのものは必ずやらなければならないというようなものは何と何であって、それ以外にプラス・アルファとしてやっているというのは何と何か、こういう点はどういうふうになっているのですか。
  265. 樋口幸吉

    説明員(樋口幸吉君) 現在鑑別所で必ずやっておりますテストは、知能検査法と人格診断法でございます。知能検査法では、集団検査法として田中ビネーシモン検査をやっております。さらに、田中ビネーシモン法によって知能障害に重要な問題があるということを感じた場合には、ウエイクスラーあるいはウエイスというような個別法を適用いたしております。それから人格診断法といたしましては、クレペリン加算法、それから心情質検査法、それから文章完成法、それから矢田部ギルフォード、訳してYGテストと申します。これは大部分の鑑別所で実施しております。そのほか鑑別所の技官によりましては、ロールシャッハ・テスト、TATとかベンダーケスタルトとかカイガ・フラストレーション・テストとか、いろいろな種類のテストをやっております。これまで私どもとして特にこれをやれというふうに指定したことはございませんけれども、鑑別技官がそれぞれ各地あるいは全国で研究会を開いて、それぞれその結果を持ち寄りまして、どういうテストがいいかということをお互いに検討いたしまして、大体いま申し上げましたようなテストが広く使われているように思われます。しかしながら、法務省といたしましても、各鑑別所の恣意にまかせるというふうにはまいりませんので、実は昭和三十八年、予算をいただきまして、法務省式文章完成法テストというものを昨年つくりまして、さらに昭和四十年度には質問紙法についての予算をいただきまして、目下それを検討中でございます。したがいまして、ある程度やはり全国的に統一したテストを使うということも行政上必要な措置ではないかと考えております。しかしながら、こういうテストの背景となっております人格論とかあるいは非行理論、その基礎となっております学問のほうが日進月歩でございますので、一つのものに固定するとか、特定のものを選ぶということにも、またいろいろ問題がございます。そういう意味で、一方では法務省としてある程度統一したテストを幾つか使う、それと同時に、各鑑別所でやはりそれぞれ鑑別技官の出身の大学の教授、大学で教えられたこと、あるいはそこの研究なども加味して、最もいいものをつくり上げていく、そういうふうに考えておりますので、そういういろいろなテストをやってみるということもやむを得ないのではないかと、こういうテストの進歩発達という点から、ある程度はやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。
  266. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 お話はよくわかるのですし、画一的にやれとなると、それだけやってあと終わりだという形になる危険性がありますから、そうではないのですけれども、最小限度何と何をやらなければいけないということをいま大体お聞きしたのですけれども、ところが、その予算関係で何かそこまでやってないのがあるんじゃないかというふうなことを言う人がいるのですけれども、これは家庭裁判所の調査官のやり方と、それから少年鑑別所の人とのあれですか、そういうような少年に対する鑑別というか、何と言いますか、心理テストみたいなやり方、これは違うのですか、ここはどういうのですか。
  267. 樋口幸吉

    説明員(樋口幸吉君) 各鑑別所によってやり方があるいは違うかもしれませんが、仰せの鑑別所では、家庭裁判所の調査官と研究会を開いたり資料を交換し合ったりしておりまして、特に家庭裁判所と鑑別所との間に、そういう本質的な違いがある、こういうふうには考えられないと思います。  それからテストの費用についてでございますが、大部分のテスト用紙はそれぞれ版権がございまして、私どもでそれを使用するとなりますと、それぞれまた金を払わなければならぬ、ある程度予算措置はいただいておりますが、そういう新しいものを高い金を出して買うということに問題がございますので、実は先ほど申し上げました法務省式テストというのも、法務省でそういうものをつくっておけば、そのテストの費用も安くあがるということがねらいでございます。
  268. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何か聞きますと、テスト用紙が高いのですか、一枚五十円くらいかかるのですか、そんなこと言って、みみっちい話なんですけれども、それを一人について五種類ぐらいやらなければならないと思うのですけれども、それだけの予算がないので、二種類か、三種類で間に合わせているのが相当ある。鑑別所でそういうようなことを言う人あるのですよ。内部の人がね、話をして、これは困るというような話をする人があるのですけれども、実際はどうなんですか、最低基準、ここまでやらなければほんとうは診断にならないということがわかっていても、人数の関係だとか、予算関係とか、いろんな点でそこまでいかない場合もあるんですか、どうなんですか。
  269. 樋口幸吉

    説明員(樋口幸吉君) 先ほど申し上げましたように、知能検査、それからクレペリンテスト、心情質、この程度のことはどこの鑑別所でもやっていると思いますが、そのほかのテストにつきましては、今度は対象者の種類と言いますか、犯行内容とか、人格特徴というようなものによりまして、ある少年にはTAT、あるいはベンダーゲスタルトというようなもので人格特徴がわかる、しかし、他の少年にはほかのテスト、モザイクテストあるいはロールシャッハでよくわかるというような、それぞれ対象者によって使うテストの種類がございますので、これは、やはり先ほど申し上げました画一的にできないという理由にもなりますが、そこで、この特に金のかかります質問紙法、あるいは文章完成法——クレペリン・テストとか、心情質検査という、これは紙が一枚でございますので、あまり金がかかりません。ところが、文章完成法とか、あるいは質問紙というのは相当分厚いものになりますので金がかかります。そこで、実は法務省式テスト、そういう金のかかるものを、しかも人格の内部まで調べられるものは、一応予算でまかないたいというようなことで、法務省式テストというものを考えた次第でございます。
  270. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、現実にやっているのですか。
  271. 樋口幸吉

    説明員(樋口幸吉君) 法務省式文章完成法は、すでに手引書をつくりまして、現在全国の鑑別所でやっております。
  272. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはそれだけやればいいということになるわけですか。ほかにはあまりやらなくてもいいということになるのですか。そこはまだはっきりしていない。それはいろんなものがまざったものなんですか。いまあなたの言われたものを、まざって文章式のものをつくったのですか。いいところを選んだのか知りませんけれども。そこまで、言うと版権の問題になってくるのかな。
  273. 樋口幸吉

    説明員(樋口幸吉君) これはいろいろ諸外国で出ておりますもの、あるいは日本で改訂いたしたものを検討いたしまして、やはり諸外国でつくっておりますものは、必ずしも非行少年を相手にしたテストではなくて、さらに独特の人格論をもとにしたテストでございます。それを日本の非行少年に合うような形で法務省職員多数集まりまして一年間かかって検討してつくったものでございます。ただ文章完成法だけをやれば全部の人格がわかるというようなものではございませんで、やはり文章完成法と、それからただいま検討しております質問紙法、これと、それからいままでやっておりますYGテストとかあるいはクレペリン・テストなどを併用しますと、大体少年の人格診断テストとしては一応必要条件は備えられるのではないかと思います。裁判で使われております精神鑑定書などでも大体その程度のテストで間に合っているように見受けます。
  274. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の質問はこれで終わりますが、従来この国会の中で法務行政というものは、率直に言えば、あまり取り上げられないというか、いわば等閑視されているわけです。その中で刑事関係とかなんとか、まあいろんな事件なんかあったりして取り上げられますけれども、やはり矯正関係保護関係というものももっといろんな面で建設的な形で取り上げていく必要があるのじゃないか。こういうふうなことを考えておりますので、いろいろ質問したわけですけれども、また機会を得て別な面なりあるいは資料をいただく中で、さらに質問を続けたいと思うのですけれども。きょうはちょうど四時半になりましたので私の質問はこれで一応終わります。
  275. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 予算書の中に、国庫債務負担行為として浦和の拘置所、川越の少年刑務所、そのほかの刑務所の各施設を取得するために五十七億と書いてあるわけです。この財政法にいう支出負担行為の支払い計画は、いつごろに大体確定してきますか。
  276. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 御指摘のように、書で東京拘置所を中心としました施設の取得のために五十七億三千五十九万九千円の国庫債務負担行為を要求いたしております。との五十七億三千五十九万九千円につきましては、四十五年度までに全部の施設を完成して取得をするというようになっております。一方その歳出の面につきましては、最終年度に一年に全部の歳出ということになりますと、財政規模に大きな影響がございますので、四十三年度に二十六億九千二百七十九万円、四十四年度に十億八千三百二十八万六千円、四十五年度に十九億五千四百五十二万三千円、こういう計画になっております。
  277. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大体これだけ一ぺんにある国庫債務負担行為は同時にいろいろ交渉そのほか始められるのが順序はございますか。
  278. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 予算書にございますように、四十一年度に全部の取得すべき刑務所に関する契約を完了して、工事を始めるという予定でおります。したがいまして、現在関係の相手方と並行して話を進めております。
  279. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 浦和の拘置所と川越の少年刑務所ですね、この二つにちょっとしぼって聞いておきたいんですが、これはどこへ動くようになりますか。
  280. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 川越の少年刑務所につきましては、現在川越の行政区画内でございますが、大東地区と申しておりますが、大東地区に法務省の所有地がございますので、そこへ新しい川越の少年刑務所を建設する予定でございます。なお、その際に川越少年刑務所の現在の収容定員はたしか三百名となっておりますが、新しい川越少年刑務所につきましては千二百名を収容する新しい施設をつくる予定でございます。そういたしまして、関東近県を主といたしまして、全国的に一応現在の少年刑務所について再検討を加えていただきまして、川越の三百名を除きました約九百名近くを現在のほかの、いまの少年刑務所から選別をして集める。数字的に申し上げますと、約一カ所に八百名程度の少年刑務所が一カ所あく勘定になるわけでございます。したがいまして、そこへ現在の浦和刑務所を移してまいりたい、そういう計画でございます。
  281. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この一カ所あくというのはどこですか。
  282. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) その点につきましては、川越の少年刑務所が完成いたしますのが四十四年度でございまして、現在矯正局のほうと協議をしながら具体的な場所はまだ決定いたしておりませんので、現在協議中でございます。
  283. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 東京拘置所はどうなりますか。
  284. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 東京拘置所につきましては現在の小菅刑務所を拘置所に改修いたしまして、そこへ移し、小菅刑務所を多摩の青梅市の行政区画内でございますが、大荷田に小菅刑務所を移す予定でございます。
  285. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 あと地の使用計画はどういうようになっておるんですか。
  286. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 御承知のように、東京拘置所敷地の総面積は二万一千三百三十五坪でございますが、区画から道路を隔てたところに公務員宿舎敷地として使用している二千七百二十六坪がございますが、これは今回の国庫債務負担行為の中から除きまして、残りの一万八千四百九坪、これを都市計画の対象といたしまして、その一部約千五百坪を公園敷地用地として提供をする。その余りの約一万六千九百坪、これを交換財源といたしまして、現在東京都において工事中の首都高速道路五号線との取りつけ道路及びインターチェンジを建設いたしまして、ただいま申し上げました一万六千九百坪のあと地外に人工地盤を造成いたしまして、約三十六階の高層ビルを建築して、次のような事業を行なう予定になっております。  一つは、都市計画法に基づまして東京都市計画地方審議会が決定いたしましたバスターミナル、駐車場の建設、さらにその上に修学旅行会それから児童会館等、さらに貸事務所、それから貿易会館、ビジネスホテル、住宅等の施設を建てる、こういう計画になっております。
  287. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 浦和はどういうふうにあと地は利用するんですか。
  288. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 浦和につきましては、約一万二千坪あと地を利用することになっておりますが、そこに浦和刑務所がなくなりますので、川越少年刑務所の拘置支所として、検察庁が浦和市にございますので、そのための拘置支所、それからさらに懸案になっております裁判所、検察庁、公安調査局あるいは法務局等の合同庁舎を建設をする。なお、浦和の刑務所の移転につきましては、その経緯にかんがみまして、浦和市あるいは埼玉県等からかねがねその一部について利用の申し入れがございますが、これは市なりあるいは県の予算との関連がございますが、市なりあるいは県のほうからその一部について公共的に利用するという具体的な計画が提示される場合には、私のほうとしてはこれを検討しなければならないと思っておりますが、もし、そのような提示がない場合には、大蔵省浦和地方財務部等とも協議をいたしまして、行政財産として活用をはかっていきたい、このように考えております。
  289. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 浦和市あるいは県から積極的に予算との関連で具体的な提示があれば考えたいという話であったわけですが、浦和市は市役所にしたいということで法務省にこのあと地を、一万坪だったか何だったか忘れましたが、ほしいと言ったところが、却下になったというような話を聞いているんですが、その辺の事情はどうなんですか。
  290. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 却下をしたということはございませんでした。浦和市といたしましては、そのあと地の一部に、現在の浦和市の庁舎自体が木造であり、狭隘である、なお業務の場所が数カ所に分散をしているので、ぜひそこに集約をしたいという計画は、現在もなお先方から示されておりますので、現在私のほうとしては、浦和市に対して具体的にその計画と予算の見通し等についての青写真を早急に示していただきたいということを先方に申し入れている段階でございます。
  291. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうですが。浦和市のほうで聞くというと、いまの答弁はそういう答弁ですけれども法務省のほうとしては、このあと地を譲らないということで、やむを得ず埼玉大学の移転のあと地のほうに切りかえざるを得なかったという、そういう説明があるんですが、その辺の事情はどうなんですか。
  292. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 法務省といたしまして、現在まで数年にわたりまして浦和市と折衝を重ねているわけでございますが、私のほうから拒絶したということはございません。
  293. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃこれからでもまだ提示があれば、先ほどの答弁のとおり受けるということですね。
  294. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 約二週間前にも浦和市の責任者に来ていただきまして、早急に案を持ってきてもらいたいということをこちらからも申してございます。
  295. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 話に聞いたところでは、一部は県の公園になるのではないか、あとは先ほどのお話のような官庁街ができる、こういう話を聞いているわけですが、そういう具体的な計画というものは、あと地の活用についてはまだできておらないですか。
  296. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 私のほうといたしましては、約一万二千坪というおおむねの面積でございますが、そこに裁判所とそれから検察庁等の法務合同庁舎と拘置所と、これだけを最小限度建てたいわけでございますが、そういたしますと、浦和市等に渡し得る建設地というものは、おおむね四千坪以内ということになるのではないかと思うのでございます。したがいまして、おおむね四千坪をめどにして市のほうとしての公共的な事業計画を立ててきてもらいたいということを申し伝えてございます。
  297. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、現在の計画では、八千坪を合同庁舎にして、あとの四千坪は行政財産を普通財産に直して売り渡しをしたいということでございますね。
  298. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 市なりあるいは県のほうの申し出がございますれば、従来の経緯にかんがみまして、それを受けて立つという考え方でおります。ただし、市なりあるいは県のほうから、そういう具体的な計画等について、計画がない場合は、これは大蔵省とも協議いたしまして、あるいは浦和市に散在いたします国の行政機関の合同庁舎をつくる、そういうようなことも考え得るのではないかと考えております。
  299. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 行政財産として残すということになる。最悪の事態でございますけれども、そういうふうになったときには、そういう庁舎を持ってくるということなのか、それとも当座そうはいかないとなれば、いわゆる行政財産としての公共用の公園みたいなものにして……。
  300. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 最悪の場合と申しますか、庁なり県のほうが、それについての利用計画を推進できないということになりますれば、これはもう少し先の話ではございますが、おそらく国のほうとしても浦和市に多数の行政機関が散在いたしておりますので、あるいは行政合同というような線が出る可能性が強いのじゃないかと、これは私は想像しております。
  301. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると現実の問題に戻りまして、その浦和市あるいは埼玉県との契約をするということになれば、めどというものをつけなければならないわけですが、いつごろまでがめどということに考えていらっしゃるのですか。
  302. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 私のほうといたしまして、浦和市あるいは県に対しましては、おおむね八月下旬ごろまでに契約を結びたい、このような申し出をしてございます。
  303. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの東京都のあと地の問題でございますけれども、バスターミナルの駐車場に一階を使ってというように、ずいぶんと貸し事務所をその中に設ける、こういうかっこうですね。これは用途指定は何になるのですか。
  304. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 地下二階、地方三階のバスターミナル及び駐車場というのは、一万六千坪、全面にわたって建てられるわけでございます。これは都市計画法に基づきまして、先般一月十七日に東京都市計画地方審議会で計画決定がなされました。一月の二十四日に建設大臣の建設省告示六十六号をもって示されたところでございます。したがいまして、このあと地につきましては、都市計画法によってきめられたバスターミナル並びに駐車場に必ず使用しなければならないという法律的な制約があるわけでございます。
  305. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほど言われた貸し事務所というのは、これは何ですか、それとバスターミナルも。
  306. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) これは地上三階、地下二階のバスターミナル駐車場の上に人工地盤をつくりまして、その人工地盤の上に修学旅行会館、児童会館、あるいは公会堂あるいはビジネスホテル、庁舎といったものが人工地盤の上に建てられるという計画でございます。
  307. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、旅行会館あるいは貸し事務所というのは、言いかえばこれは収益事業になってくる。バスターミナルの点も収益事業ということになるわけですね。そうすると、法律上、用途指定の場合は、先ほどのあれで、部市計画法ですかで、バスターミナル云々に使われなければならないというのと、はずれないのですか、だいじょうぶですか。
  308. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 御指摘のように、バスターミナル、駐車場等については、都市計画法で法律的な条件がつくわけでございます。その上に建つものにつきましては、そういった意味の法律的な条件ではございません。法務省といたしましては、その上にいかがわしいものが建てられるということについては、極力これを抑制する必要がございますので、広い意味におきまして、副都心と申しますか、池袋地区の再開発に寄与するような事業という意味で、ビジネスホテルあるいは貸し事務所あるいは児童会館等が建てられるということは望ましいと考えております。
  309. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この場合はやはり売り渡しですか。譲渡じゃないですね。売り渡し、売り払いになるわけですね。
  310. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 売り払いでございます。
  311. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 売り払いの場合は用途指定がされるわけですね。
  312. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 当然私のほうで売り払いの契約をする際、一方で新施設の購入の契約をするわけでございますが、その際、契約上、こういった契約の上ではっきりさせて、これ以外の計画に変更させないようにいたしたいと考えております。
  313. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃその点あとで誤解のできないようにしっかりお願いしたいと思うのです。  それから土浦の拘置所ですが、非常にどまん中にあるので、市民からの声ははなはだ大きいわけです。浦和、川越と同じように前から声が出ておるのですが、これについては、今回は国庫債務負担行為に入ってこないわけですけれども、どのように見ておるわけですか。
  314. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 土浦の拘置所については、御指摘のように、非常に交通量の激しいところであり、老朽でございます。そうして一応交換の話も私のほうで検討いたしましたが、そのあと地の利用につきまして、若干高い値段で分譲するのじゃないかというような、要するに、あと地の利用につきまして、若干私のほうで納得のいかない点がございまして、話が中途になっておるという状況でございます。
  315. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 若干納得のいかないということだそうですけれども、相手方はどこだったのですか。
  316. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 私のほうへ参りましたのは民間の人でございます。名前はいまちょっと失念いたしておりますが、民間の人でございます。
  317. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 地方公共団体である市とかそういうところからは何も話は出てこない。
  318. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 話は私のところへは参っておりませんのでございます。
  319. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それでは基本的なことで、ここに大臣がいれば一番ぐあいがいいのですが、非常に、前は刑務所あるいは拘置所というのは町中であった。しかし、土浦の場合なんかお城のまん前で、すばらしい場所です。そういうようなところにあったのが、だんだん市街地が開発されるに従って町中になってきて、どうしてもどけなければならないと、行くところがないじゃないかという声も多少ありますけれども、山の中に行く以外にないのかというような声もありますけれども、そういうような状態が変わってくれば当然考えなければならなくなってくる、そういうことから考えても、私どもは土浦は急いでほしいと思うのですけれども法務省側から積極的に多少でもそういう声が出てきたときには、地方公共団体と話し合ってみる、あるいは自分のほうで計画を立ててみるとかというようなことはないのですか。
  320. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 具体的な事情によりましては、私のほうから地方公共団体に相談をするということにやぶさかでないつもりでおります。
  321. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 基本的には、そういう市中にいまは存在しなくなったこのような施設については、移転方ということを考えている、鋭意努力していく、そういうことに了解しておいてよろしいですか。
  322. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 結論から申し上げますと、矯正施設としての立地環境が矯正教育を遂行する上にも支障があり、なおかつ、当該自治体の発展を阻害をしているという状況でございますならば、私のほうはその移転について取り組む気がまえでおります。ただ、その際、関係者に私のほうからかねがね申し上げておるのでございますが、施設の移転と同時に、そこに勤務する職員、家族の住居の移転がございますので、子弟の就学問題、あるいは日用品の購入といった直接職員の家庭に響く大きな問題がございますので、移転先につきましては、その辺を御理解いただいて、ひとつ、御協議になっていただきたいという基本的な態度でございます。   〔副主査退席、主査着席〕
  323. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それじゃ、私の法務省関係はこれで終わります。
  324. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 法務省関係はこれで…。  それでは速記をちょっと……。   〔速記中止〕
  325. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) それでは速記を……。  以上をもちまして、法務省所管に関する質疑は終了いたしたものと認めます。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  326. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 速記をつけて。     —————————————
  327. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) それでは、昭和四十一年度総予算中国会所管を議題といたします。  まず、慣例では国会側からの説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととして、直ちに質疑に入ります。  また、その説明資料は、本日の議事録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  328. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、御質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  329. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、まず総理府からひとつ質問したいと思います。順序は、総理府、それから大蔵関係、それから国会の事務当局、こういう順序でやりたいのですが、大蔵関係については、ずっと私の質問に関係がございますので、ひとつ大蔵関係だけは、質問が済んでもおっていただきたい。 それでは総理府にまず聞きますが、総理府はどなたが出ておられますか。
  330. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) どなたか……。
  331. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 人事局長が出ております。
  332. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長官は差しつかえがあるのですか、総理府。——それでは人事局長にお尋ねします。  これは衆議院の予算分科会でも問題になったようでありますが、この国会職員の身分は、国家公務員法第二条によりますと、ひとしく特別職というふうになっておるのですが、特別職には、総理大臣からずっと各号列記してありますが、国会職員の特別職としての身分と申しますか、取り扱いについて、国家公務員法が昨年改正をされまして、まだ全部人事局の権能を発揮されておりませんが、人事局ができたその際に、特別職についても総理府人事局としてこれに管理権があるのか、これを包括的にまず聞いてみたい。
  333. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) ただいまの御質問の点でございますが、人事局の所掌事務といたしましては、総理府設置法の第六条の三で明示されておりますけれども、この中におきましては、第一号としまして、「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」というのがございます。それから第二号におきましては、「国家公務員等の人事管理に関する各行政機関の方針、計画等の総合調整に関すること。」とございます。それから第三号は、「一般職の国家公務員の」云々ということでございます。したがいまして、一号から三号まで見てまいりますと、第一号におきましては、国家公務員全般につきましての制度の調査、研究、企画ということで、これはあらゆる国家公務員を含むものと考えられるわけでございます。それから第二号におきましては、「国家公務員等」ということで、これも非常に範囲は広いのでございますけれども、「各行政機関の方針、計画等の総合調整」ということがございますので、行政機関関係のものということに一応限定されるかと存じます。それから第三号におきましては、「一般職の国家公務員」云々でございますから、これには特別職関係は入ってこないというふうに考えるわけでございます。ところが、次の四号におきましては、「国家公務員等の退職手当に関すること。」、それから五号におきましては、「特別職の国家公務員の給与制度に関すること。」というのがございます。で、四号の「国家公務員等の退職手当に関すること。」、この「国家公務員」の中には特別職も一般職も当然含まれるものと考えられます。それから第五号におきましては、言うまでもなく特別職ということになっておるわけでございます。  そこで、この場合、特別職の問題でございますが、国会職員は、御案内のとおり、国家公務員法におきましては、特別職の範囲に入っておるわけでございます。そこで、人事局といたしましては、この特別職であります国会職員につきましてどういった関係に立つかということになるわけでございますが、お尋ねのように、国会職員特別職としての国会職員の身分全般につきまして総理府人事局が管理権を持つというふうには考えられないと存じます。ただし、先ほど申し上げました範囲内におきまして、特別職である国会職員も含められる、あるいは含まっておるというふうに考えられる項目もあるわけでございます。最初の、国家公務員に関する制度の調査、研究、企画ということでは、これはもちろん国会職員オンリーということではございませんけれども、国会あるいは裁判所等も含めまして国家公務員全体というものにつきましての制度について調査、研究、企画というようなことは、これは一応考えられることであると思うわけでございます。  それから次には、退職手当に関することでございますが、これは現行法におきましても、国家公務員等の退職手当法が国会職員にも適用になっておるわけでございます。で、この実定法の所掌事務は人事局において処理しておるわけでございます。その範囲におきまして、つまり、国会職員の退職手当の関係につきましてはこの法律が及ぶということでございます。  次に、給与でございますが、「特別職の国家公務員の給与制度に関すること。」ということになっておりまして、この特別職の範囲は、先ほど申し上げましたように、国家公務員法第二条で規定しておる特別職というものと大体同じ範囲のものというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、国会職員、裁判所職員等も一応はこれに含まれるわけでございます。で、この特別職の給与につきましては、いろいろ、御承知のように、法律がございますが、その中で一般的な法律と考えられます特別職の職員の給与に関する法律、これはその第一条で目的と適用範囲を規定いたしておりますが、その中に、「国会職員」というのが明確に規定されておるわけでございます。したがいまして、この特別職の職員の給与に関する法律に関する事務を所掌するという関係におきましては、国会職員につきましても関与してくるということになるわけでございます。ただし、この法律の第十一条を見ますと、国会職員の「給与の種類、額、支給条件及び支給方法は、国会職員法及び同法の規定に基く国会職員の給与等に関する規程の定めるところによる。」というふうに規定されておるわけでございます。で、この国会職員法は私どもの所掌ということではございません。また、この国会職員の給与に関する規程等につきましても、これは国会におきまして独自に定められるものでございまして、これにつきまして人事局がいわば直接関与するということはないわけでございます。ただし、先ほど申し上げましたような給与制度の管理といいますか、そういった観点では、やはりその内容等につきまして私どもいろいろと知っておく必要があるのではないかという意味におきまして、いろいろ実際問題としてはこの規程、法令等の改正等につきましては御相談を受け、それにつきましていろいろと御意見を申し上げるというような関係になっておるわけでございます。
  334. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこに重要な問題を含んできておるのです。で、人事局ができるまでは、特別職に対する給与の問題は大蔵省が実は所管をしておったのですね。その大蔵省の所管というのは、予算を預かっておるという関係が大きな要素であったと思うのです。総理大臣の傘下にある人事局が、特別職、特に三権分立のたてまえである国会職員に、議員でないが職員に対して、給与の制度またそのもっと広範な制度についてまで人事局がこれに容喙するということについては、憲法の条章から見ても私は問題があると思う。もちろん、議員についてはこれは特別の扱いをしておりますから、これはもう独立しておるものでありますが、国会職員については、議員の——いわゆる国民を代表した議員が立法府の役目を果たすための補助機関として要するに国会職員というものがあると私は思っておる。これが職員について、その職制とか給与の制度について総理大臣の指揮下にある人事局が容喙することについては、私は大きな問題があると思うのです。私は残念ながら、この前の国会で総理府設置法あるいは国家公務員法の改正案については参画する機会がなかったので、いまとなって言うのはどうかと思いますが、総理府設置法において、いま言われた問題も、相当私は問題が含まれておると思う。もちろん人事局においてそういうことをよく考えて、三権分立のたてまえで国会職員についてはそう容喙しないとは思いますけれども、やろうと思えば、その制度なり給与制度において容喙できます。そうすると、国会職員は、いわゆる国会職員法においてきめておるように、他の国家公務員に比較いたしましても、他の特別職の職員と比較いたしましても、別個にやはり職務を持っておると思うのです。そういうことからいくと、いま人事局長が言われましたけれども、われわれとしては、給与の制度あるいはまた一般の制度についてまで容喙するという権能は私は問題があると思うのです。その点はどう思いますか。
  335. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 人事局と国会職員との関係につきましては、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、もちろん、私ども先般の改正によりまして、すなわち、設置法の改正によりまして人事局の所掌事項とされたこと、そのことは、これはもちろんそれを肯定した上で話を進めなければならぬわけでございますが、もちろん、この場合におきましても、御指摘のように、いわゆる三権分立といいますか、三権の独立の原則、これを排除してこのような規定の設置が行なわれたというふうには考えないわけでございます。総理府が特別職の国家公務員の給与制度を管理する、あるいは給与制度に関することを処理するといたしましても、それは特別職相互間あるいは一般職と特別職との間の給与制度の均衡というようなことをはかる必要がある、そういった仕事をどこでやるかという観点から一応それが総理府の所掌とされた、これが国会の意思としてそういうふうに定められたというふうに私たち解釈いたしておるわけでございます。しかしながら、いまも申し上げましたように、こうなったからといって、いわゆる行政部が立法部のいろいろな事務に干渉する、あるいは給与事務あるいはその他人事等につきまして容喙するというようなことが許されるというふうには考えていないわけでございます。
  336. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もちろん、それは増子さんのような賢明な人事局長がおればそういうことはないと思うけれども、国家公務員法または総理府設置法から見ると、あの法文からいくと、相当深く容喙しておる、これは違法でないかという解釈が出てくると思う。で、私は特に法律によってやっておると言われるから、特にここで発言しておる。衆議院の予算分科会でも多賀谷さんから質疑があって、その議事録を読みましたが、若干私もあいまいな点があるのでここで確かめておくのですが、給与制度についていろいろと人事局は管理すると、こういうことですが、国会職員の給与法があるのですから、それはもう国会、立法府自身できめたらいいということになりますから、人事局が容喙しようと思ってもできないのですが、しかし、おそらく総理府設置法または国家公務員法によって、国会事務当局といいますか、国会の意思を代表していろいろ人事局と相談があると思う。私が言いたいのは、相談をしなければならないのかどうか、法文でそうなっておるけれども、三権分立のたてまえから、独自の考え方で給与法の改正、いわゆる国会職員の給与法の改正なりあるいは制度について私はやり得るという考えでおるのですが、その点どうなんですか。
  337. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) まあ、私どもの考え方は先ほど申し上げたとおりでございますが、最初に申し上げましたように、この特別職の給与に関する法律によりますと、国会職員についてはこれこれによっての定めるところによるというふうになっておりますので、その内容がまあどのようになっておるかということは私どもとしては当然承知していなければならぬのじゃないかという気がするわけでございます。したがいまして、これらの規程の改正等にあたりましては、私どもいろいろ御照会もするし、その内容等につきましても御説明を聞く、それで要すればこの際意見を述べるというようなことはあっていいのではないか。ただし、それが国会の側で必ずそうしなければならぬかどうかという点につきましては、私どもそうだというふうに申し上げることはいかがかと存じます。要するに、実際問題といたしましても、国会自身でこれを決定するまあ権限があるわけでございますから、最終的には国会自身の御意思によってこれはきめられるものというふうに私ども承知いたしております。
  338. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 了解できぬこともないんですが、やはり大蔵省が管轄しておったときに、私はそれでも問題があるんですけれども予算の編成権のある大蔵省であるから、これは国会職員といえども国費を使って支弁するんですからやむを得ない。しかし、それは予算に関する範囲においての相談であって、制度なりそういうものにまで容喙するということには私は考えておらなかったし、現実にまたそういう運用をいままでしてきたんですね。しかるに、今度は国家公務員法の改正に従って総理府設置法が改正されて、総理大臣の傘下に、指揮下にある人事局ができた場合、やはり私はここに一つのけじめをつけておかなくちゃならぬと思うんですよ。いわゆる三権分立されておる国会職員に対し、国家公務員だからやるということは一応考えられるけれども、職員の制度に行政府が実権を持っているということは、そこにやはり議員には直接の影響はないとしても、やはり職員の行動によって議院のいわゆる立法府としての独立性に対して、やはり若干でも影響するという気持ちがある。したがって、そういうことを考えるときには、私総理府総務長官が来てほしいというのは、重要な一つのキーポイントですから、この問題だけは明らかにしておかなくちゃならぬ。人事局長はあとのほうで何か事をごまかされましたけれども、やはりあの法律があるときには、国会の当事者は、かってに案をつくって出すということについては、あとで国会事務当局に尋ねますけれども、やはり相談を受けるあなたのほうが意見を言う。意見を言うということは非常にていさいよく聞こえますけれども、その制度については総理大臣の息のかかったことが出てくることはこれは間違いないです。そういう点が私は一応総理府設置法にあるのだから、全然ノータッチということについては、あなた自身は答弁できないと思うが、しかし、少なくとも制度——国会の意思によってやったものについて意見を言うというけれども、やはりその意思を無視することはできないと、こういうひとつ原則を明らかにしてもらわなくちゃいかぬと思う。そうでなければ、法律があるんだからやり得るんだということであれば、あの法律を改正してもらわぬと私はどうにもなりませんという答弁があとに出るかもしれませんけれども、少なくとも、やはり運用上の問題に限定しても、それだけのことは、やはり憲法の定める三権分立のたてまえからいってもそうあるべきであるということぐらいは総理府として言明をできると思うんですが、その点どうですか。
  339. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 恐縮でございますが、御質問の点、私もし取り違えておりましたら御指摘いただきたいのでございますが、人事局が仕事をする場合に、御質問の点は、国会の意思を無視するということはしないということをはっきりさせるようにということでございましたなら、まさに先ほど申し上げたのはそういう意味で申し上げたわけでございます。
  340. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 こういう理解したらいいですか。——これはまあ国会議事録に載るんですが、なるほどあの総理府設置法なり国家公務員法から見ると、特別職という範囲に限っては、この制度についてはやり得ることになっていることは事実ですよ。これは私否定してない。否定してないから、私はここで少なくとも行政府意見をただしておるんですが、国会の意思を無視する、それは当然できないです。これはもう憲法の定むるところですが、しかし、給与制度の問題が現実手続上出される場合には、国会の意思を決定する前に、事前にいわゆる人事局——あなたのほうと国会当局とがやはり相談されると思うんですね。したがって、その場合は国会の意思を何も無視してないと言える。しかし、それにしても、結局その総理府の——政府がタッチをした案というものが国会に出してこられる。もちろん、われわれも気をつけておりますから、人事局はどう言ったか、この点はどうだったということをただしますけれども、そうはいつまでもそんなことは見ておられぬから、その段階においてあなたのほうは容喙する権能があるが、それもわれわれとしては認められないと、少なくともこちらから相談があった場合に、国会当局は、そういう給与の関係とか、そういうことには、まあ失礼な話ですが、広範な知識がないから、この点はどうでしょうというような尋ね方については、ほかにはこうなっております、こういう程度であれば私はいいサゼッションですが、少なくとも国会当局がこうやるということを、これはいけませんと言うようなことがあってはいけないと、こういう私は趣旨の質問をしておるんですが、その点どうなんですか。
  341. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 国会の事務御当局から私どものほうに、最終的な意見決定する前に事務的に御相談されるという段階があるわけでございますが、その段階におきましてのお話というふうに私理解いたします。で、その際に私どもが御求めに応じていろいろ意見を述べる、その際に、それを採用されるかどうかということは、もちろん国会の事務当局が御決定になることではないかと思うわけでございます。その際に、私どもになぜ相談されるかということは、先ほどもちょっと申し上げましたように、国会職員の給与、これは一般的には特別職ということでございますけれども、その内容等につきましては一般職といろいろ類似の関係もある、したがって、一般職の職員の給与とのいろいろな均衡、類似関係に応ずる対応した措置、そういったものにつきましてどうなっているか、こういう問題についてはどう考えたらいいかというようなまあ御相談で来られる場合が多いと思うわけでございます。その際に私どもが考えておることをいろいろと申し上げて、そうしてそれについて御納得がいただければ、これは国会事務当局御自身のお考えになったものというふうに私ども考えていいんじゃないかと思います。私どもがいろいろ申し上げた点について御採用にならない限りは、それは私どもそれ以上どうしようもないことでございますし、そのように考えるわけでございます。したがいまして、御心配のように、国会事務当局が了解もしない、納得もしないのに、われわれの意見を押しつけるということは、実際問題としても考えられないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  342. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だいぶ明らかになってきたのです。そうすると、一応法律上具体的に言うと、国家公務員法並びに総理府設置法にそういうものもあるけれども、実際の運用については、あの法律というものは、これは全然国会職員については独自のものだということについては、独自に決定するといっても、他の国家公務員などとの関連性があるので、そういう意味において連絡というような意味であの法律は考えているのだ。したがって、裏返して申しますと、国会当局は自信があって、あえて人事局と相談しなくてもこれでいいのだ、国会当局といえどもそんな給与に全然暗い人ばかりじゃないのだから、国家公務員法もよくわかっているし、またそれによって国会職員の給与もきめられているのだから、したがって相談する必要なし、自信を持ってやり得るというならば、あえて人事局にその相談を持ちかけなくてもいいと、そう解釈していいですね。
  343. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) まあ、そういうことに考えてもよろしいかと存じます。ただ、先ほども申し上げましたように、規程等の改正の場合におきましては、私どもやはりその内容等につきましていろいろ伺わしていただきますし、それにつきまして意見があるときには申し述べるという、こういうこともあると思いますので、その点はお含みをいただきたいと思います。
  344. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体衆議院の答弁よりも明らかになってきました。私も了解をいたします。それは根本的には法律改正をしなければ、あなた自身としても法律の命ずるままに、全然ノータッチにやるのだということはおそらく言えないと思う。しかしぼくは、あの設置法なり国家公務員法なり特別職についてはいろいろ問題があります。時間があればいろいろと質問したいのでございますけれども、そもそも国家公務員法に言う特別職というものを分離したこの趣旨は、一から相当特別職を列記しておりますけれども、これは同じようなウエートで特別職を規定しているのじゃないと私は思っているのです。第一号の総理大臣からずっと公取の委員長その他みななっておりますけれども、この国家公務員法の一般職と特別職を分けたというのは、その立法される歴史過程から見ると、国家公務員として人事院で管轄のできないものが、これが一括して特別職としてこれを区分したと私は理解している。したがって、それはおのおののウエートで、特別職を同じように人事局がどうこう言うわけではないと思う。したがって、そういう考え方で私は国家公務員のこの特別職が成り立っていると思っております。したがって、私は国会職員、これは稲葉さんが言われるかもしれませんけれども、裁判所の職員、これもおのおの私はウエートが違うと思うのです。裁判所職員についてはきょうは本論に関係ありませんから触れませんけれども、そういう考え方で今後運用していただきたいと思います。したがって、いまの人事局長の答弁で私はある程度明らかになったので、この点は質問はこの程度にしておきます。   〔主査退席、副主査着席〕  次に、大蔵省にちょっと。大蔵省は、一応特別職については人事局ができれば——まだいまのところはそうでないらしいのですが、将来は特別職についての給与なんかについても一応ははずれると思うのですが、しかし、予算関係の部門についてはやはり大蔵省が国会職員についてもいろいろまた意見を出されると思うのですが、それはどういう関係になりますか。
  345. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 先ほどから特別職のお話がございましたが、先生のおっしゃいました、人事局ができます前に大蔵省のほうで特別職の国会職員の給与関係を担当しておりますが、これは大蔵省の設置法におきまして、一つ予算、決算に関することがやれるという規定があります。ほかに、特別職についての給与に関することという条項がございまして、それでやっておったわけでございます。今回人事局のほうにこの規定が移りまして、そのまま移ったわけでございます。そこで、実際にそれでは特別職の給与に関してどういう仕事があるのかということになるわけでございますが、私らが移る前からやっておりましたときの考え方といたしましては、三権分立というのが一つございます。したがって、立法、司法、行政というものはそれぞれ独自の機能を発揮できるようにし、そのためにほかに容喙してはいけないという原則がございますが、一方、国会職員の方もこれも同じような国の公務員でございます。そこで、そういった同じ国の公務員としての均衡といいますか、統一といいますか、そういう面からはある程度問題点の調整というものは必要になってくるのではないかと思います。そういう意味合いで、特に現在の以前の設置法に給与に関することという規定が入っておりました。それがそのまま人事局のほうに移ったというふうに了解をいたしております。そこで、実際上この規定によりましてどういうふうに人事局のほうでお仕事をされるかという点は、これは具体的には非常にむずかしい問題でございまして、おそらくはっきりと規定することは法制局あたりで検討していただかないとわれわれのほうとしても自信はないわけでございますが、全体の制度関連のある、特別職の公務員の全体に関連のあるようなことについては、やはり人事局のほうで御調整をいただくのがいいのではないかと、こういうふうに考えております。  それから予算につきましては、そういうものを前提といたしまして御要求のあります点について、予算問題として人事局の意見も聞きながら調整をする、こういうたてまえでやっております。
  346. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あとの答弁だけを求めたのだ。要らぬことをあなたさっき言ったのですが、私、それに異議があるのですよ。なるほど、大蔵省設置法には、特別職に関する事項はありますよ。あるけれども、それは連絡調整ということも考えておるけれども、そういうことでいままで運用されたという私経験がないのです。総理大臣の給与をきめるときに、大蔵省がそれをほかと連絡をとって調整したということも聞いておらない。予算関係においては私は大蔵省が管轄しておると見ておるのです。先ほど言われた人事局長は、われわれとしてある程度納得した結論を得たのだが、大蔵省は管轄がはずれているのだから、要らぬこと言わなくてもいいのですよ。私は予算関係について尋ねているのです。大蔵省がいままでやっておる特別職の給与法案を私は内閣委員会で何回か審議したけれども、そのときの答弁というのは、そういう総理大臣の給与はほかの公務員と連絡調整してこうしました、ほかの公取の委員の俸給はこうしましたというのは聞いたことがない。やはりそれは一応所管するところできめたやつを私は出してきておると思うのです。たまたま国会職員というのは一般職の公務員と非常に状態が似ているので、私は人事局長にいろいろと時間をかけて聞いて大体了解点に達したのですが、大蔵省の管轄からはずれたのだから、あなたを別に追及する必要はございませんけれども、私はそういう理解でいままで法案を扱ってきたし、また、それならばどういうことで特別職の給与をきめるときに連絡調整をして話をしたか、その過程を聞かなくちゃならない。だから、もう済んだこと、要らぬことをあなた言って、人事局の援護をするために言ったかどうか知りませんけれども、そういうことはわれわれ了解できない。いままで大蔵省はそういう考え方でおったということになれば、その事実を私は説明してもらわなければならない。
  347. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) いま私は御質問に対してそのとおりの答えをしなかったことをおわびをいたしますが、先ほどからの御説明を聞いておりますと、ややその辺はっきりしない点がございましたので、特に私のほうの見解を申し上げたわけでございます。  お話しのございました総理大臣その他全体の特別職につきましても、われわれのほうで昔この給与に関することという規定がありましたときにやっておりましたのは、ただ予算編成だけでやったわけではないのでございまして、給与に関することという規定に伴って全特別職についても全体の調整をとりながら調整をするということをやったわけでございます。
  348. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは事実どうして調整をやるかという問題です。それは、総理大臣のやつを五十万円にきめる。五十万円にどうしてきめたのか。いままで質問したことがありますよ。そのときに、各大臣その他の均衡もあるからという同じ部類のものについていろいろ説明はありました。しかし、五十万円をきめるというのに国家公務員の問題がどうかというようなことは、国家公務員がかりに七・九%ベースアップしたときでも、総理大臣についてはこうするのだ、一体その関係はどうか、総理大臣は総理大臣だから、こういうことである、こういう説明なんですね。調整したという形跡は私は見受けられない。それはこれをやったときにはそう考えたのだと言えば証拠のないことであるけれども、そういうことによって先ほど人事局長と私が質疑応答したものを、容喙できるのだ、連絡調整の場合にはできるのだと、大蔵省はかつてそうやられたのだと、そういうことを、前の人事局長との質疑応答を打ち消すようなことをなぜやられるかということ、あなたの所管について質問をしたならいいですよ、せっかく話が前へ進んでおるときに、あなたが尋ねもせぬことをなぜそういうことを言うか。取り消しなさい。
  349. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 先生の御質問に対してそのまま答えなかったことはおわびいたします。われわれが従来やっておりましたことのその規定がただ動いただけで実際上の運用が違っていくものであろうかという点がございましたので、従来の経緯を御説明したわけでございます。
  350. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 従来の経緯をあなたに説明してくれと私言うたこともなし、従来こうあったのが人事局に変わったらこうだというような見解をとるような人もおらぬと思うのだけれども、やはり大蔵省に所管を持たしたということは、やはり予算編成権のあるという——他の所管ではこれはできないということもあって、私は大蔵省に特別職の給与については一応関係をさしておると見ておる。大蔵省は予算についてはもう全省庁に関係あるのですから、これはすべて大蔵省を通すことはこれは当然ですよ、予算を通じてね。したがって、私はその範囲においては認めるけれども、給与なり公務員の制度全体について今度人事局のほうに移ったやつを大蔵省が、私はやっておったと思わないのだ、実際、形跡上。私、人事院にいろいろ聞いたけれども予算については相談するけれども、そういうことはあり得ない。特別職について私は所管の人にもいろいろ聞いておりますが、予算については聞くけれども、この制度はどうもいかない、均衡がいかないからといって大蔵省で制度自体について言われたことを私聞いておらない。したがって、そういうことがあれば、今後参考だから、そういうものがあれば、こういうほかの特別職についての制度についてはこれは均衡が合わぬからこうしたのだという事跡があれば、私は参考までに聞いておきたい、こう思っておる。
  351. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 私の申しましたのは、この給与制度に関することという規定によりましてどういう調整をやっておったかということでございますが、これはもう先生も御承知のように、たとえば総理大臣の月給をきめる場合、あるいは裁判官の月給をきめるような場合にも、それぞれ担当の部局と給与課のほうで相談をいたしまして、それは予算上ということだけではなくて、全体の特別職の公務員の均衡ある調整という意味合いからお話し合いを進めて、その結果が法案となって出てくる、こういうことになっておったわけであります。
  352. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 過去の問題であなたのほうでそういうことを主張されて、今度人事局に移ってもそういうものが妥当だという意味であなた言われたんですか、それを聞いておこう、あなたと議論してもしようがないので。
  353. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 私は、従来の経緯から申しまして、さように解釈されるべきではないかと思いますが、本件は非常にむずかしい問題でございます。したがって、実際にどういうふうにすべきであるかという現状の問題は、これは法制局その他で御判定願えればいいのじゃないか、さように考えております。
  354. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 法制局と逃げちゃったが、あなたが言い出したことですね、自分で一応この決をららなければいかぬでしょう。こちらが質問をして言い出したことでなく、あなたが自分自分の考えを言ったので、法制局に来てもらってやらぬでもいい。そんなことでは私は納得できませんよ。私の所管でありませんので、私はそう思うということの答弁を聞いておらぬですよ。予算関係があるが、それはどうなるかということを聞いただけであって、それはあなたの思っていることであれば、私の思っていることであるということで、少なくともあなたここに来ているのは政府委員として来て答弁することは私は承服しがたいから、前の答弁は自分意見であったのでこれは取り消しますということで取り消してもらわないと困る。あなたの意見を聞いておらない。あなたの意見を聞いたならばいいけれども自分かってに質問せぬことを言って、自分意見はこうだからと言って、そういうことについては、これは議事録に載らなければいいが、議事録に残るんですから、先ほど申しましたのは私の意見であって、質問範囲でないから取り消します、このくらい言えるでしょう。
  355. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 御質問そのとおりの答弁でなかった点がございまして、その点は取り消します。
  356. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことで時間を費やしてどうも……。  それで本論に入りますが、結局、何ですか、大蔵省としては、そういうことで人事局にそういうものが移ったので、今後は予算関係においてはやはりいろいろ折衝があると思うんですが、その範囲とかそういうものについては法制局その他の意見を聞いてやらなければわからないということですか。先ほどの答弁はちょっと重要なことを抜かしたんですが、私の質問に対する答弁も含むんですが、それはどうなんですか。
  357. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 予算としての扱いですか。
  358. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 予算の扱いとしてやはり関係があるということですか。
  359. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) それはあります。
  360. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、きょう谷村さんをと思ったんですが、次長がおいでですからいいんですが、具体的に聞きますけれども、この前の給与改定のときに、参議院の議運の委員長があなたのほうに相談に、予算編成のときに行っておられるらしいんです。これは参議院の議運の速記録を抜粋して私調べてきたんですが、ここにいろいろあるんですが、速記録をそのままちょっと私は言いますが、こういうことが載っておる。これは参議院の議運の委員長田中茂穂さんが発言をして、前のほうは省略いたしますが、「ただいまの柳岡君」——これは社会党の議運の理事です。——「柳岡君の御要望に対しまして、若干、私からお答えさしていただき、御参考に供したいと思いますが、この問題は多年の懸案」——これはあとで言いますが、国会職員の給与改定の問題についての答弁です。——「多年の懸案でございまして、今度の予算折衝におきましても、最終的に大蔵省の両政務次官に、私以下、鍋島理事、江藤庶務小委員長三人で、衆議院の委員長以下と一緒になって、最後までこの問題を論議したわけでございますが、国会関係だけの部分を切り離して行(二)撤廃」——ということは、行政職第二表撤廃の意味です。——「行(二)撤廃ということは、かなりやはり大蔵省としては、他の官庁との関係で問題があるというようなことで、なかなか撤廃まで踏み切るところまで今度はきまらなかったわけでございましたが、将来」これについて善処いたします。こういう答弁なんですが、   〔副主査退席、主査着席〕  先ほどのあなたの答弁を聞いて、これを私は蒸し返すわけです。そこで私は聞きたいんですが、将来予算関係ということになりますと、問題の焦点は予算上どういうことになるのかということの観点でやられるのか。それとも、先ほどあなたが言われた制度の問題も合わせて、この問題を予算の編成のときにこういう問題まで論及されるのか、この点ちょっと聞いておきたい。
  361. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 予算の問題だけとしてというふうにおっしゃいますけれども、実際問題はなかなかむずかしゅうございまして、予算上の問題で幾ばくの金を計上するかというのは、やはりその制度がどういうふうになっておって、どういうような運営をされておるかということが基礎になって、そうしてこれだけの予算になる、ということになるわけでございますから、そういう意味合いでは関連を持ちながら調整をしていくということに相なるかと思います。
  362. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは予算編成上の問題ですから、単にこの金はこれだけ要るからということではいかぬということは、私は単に国会職員の給与だけでないから、わかるんです。  そこで問題になるのは、私は大蔵省がいろいろ予算編成上問題を取り上げられますが、先ほど人事局長との話の中で大体はお聞きだと思いますが、国会職員には国会職員としての特殊性が相当あるんですね。一昨年の予算分科会でも谷村——その当時は次長だったと思いますが、いろいろ質疑をやったんですが、いや決して無理なことをしておりませんと、しかし言うことを全部聞くということについては、予算編成上の問題で問題ありますので、まあ趣旨は十分わかりましたということの答弁であったと思う。したがって、特殊性について、無理なことは国会も言うていくということは私はないと思うんです。国会は立法府でありますから、お手盛りの実は給与をつくるんだという考え方は私はおそらくないと思います。われわれも自粛しなければならぬと思いますが、ところが、必要以上に干渉されると、結局、国会の自主性というものが失われるようになるんですが、この点について新たな段階で、いわゆる人事局ができて、予算編成上の問題として取り上げる大蔵省としては、十分この点を考慮してもらわなくらやいかぬと思うんですが、この点どうでしょう。
  363. 岩尾一

    政府委員(岩尾一君) 国会職員の方の特殊性を十分認識をして予算を計上していただきたいというお話でございますが、先ほどからもお話がございましたように、人事局の御意見、国会御当局の御意見等をしんしゃくいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  364. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、大蔵省の関係は重要な問題は終わったんですが、あとの具体的な給与の問題に入っても関係がありますので、大蔵省の次長さん以下、すみませんが、ちょっと残っていただきたいんですが、そこで、いよいよ国会当局に、具体的に今度はひとつ質問をしていきたいと思います。  国家公務員に準じて国会職員の給料表というものができておりますね。これは国会当局、立法府の職員として、国会事務当局が独自に国家公務員の給与なんか参酌してつくられたのか、それともいま大蔵省がおられますけれども、いろいろそういうところに相談されてつくられたのか、それをまず最初に伺いたい。これは事務総長ひとつ。
  365. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。この国会職員が政府の管理から離れまして、国会職員という一つの独自の身分を取得していく上において、その給与体系等をどうすればよいかということで、普通の事務系統の関係は国家公務員の一般職の職員と相通ずるものがあるので、それにある程度準じてはどうか、ただし、国会独自の職員、独自のものはその中から考慮すべきである、なお、そのほかに警務のほうと速記は独自性が非常にあるので、この三本立てでいったらどうだろうかということで、国会側でそういうふうな考え方を打ち出したわけでございます。それにつきまして、法律をつくるという関係上、大蔵省の主計局とも相談——ちょうど私そのときおりませんでしたが、相談をしたものと私は解釈しております。
  366. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 当時事務総長もおらなかったんだから、それぐらいしか言えぬと思うのですが、国会の職員の給与等に関する規程を見ますと、いま質問いたしましたように、また答弁もあったように、特殊な問題については独自なことをやったと言うけれども、これを専門的に見ると、速記職の場合は、これも国家公務員の給与を焼き直したということである。議警職——議院警察職については——衛視だと思いますが、公安職に準じてつくっておるんですが、私はその準ずるということについては、それは私はいけないと言わないですが、無理に押しはめておるというきらいがあるんです。これはあとで具体的に明らかにしますけれども、この点について先ほどからずっと人事局なり、大蔵省といろいろやりとりいたしましたけれども、国会の事務当局は少し職員の給与については私は独自の見解、もっと言えば、権威のないようなやり方でないかと思うんですが、この点どうですか。
  367. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。先生のおっしゃるとおり、国会が独自の給与体系、その他身分関係のものを完全につくるということは理想でございますし、また事実そうあるべきがほんとうだろうと思います。しかし、ただまことに遺憾でございますけれども、最近の給与体系というものが非常に複雑になっておりまして、非常な専門的な要素も含まれてまいります関係上、その完全な体系をつくることが今日までできていないわけでございます。私たちも何とかしてそういう理想を達成したいという希望は持っておりますが、まだそこまでいっておりませんのを遺憾に存じます。そこで、私どもも現在の段階において、一般職につきましては人事院等で相当の権威あるいろんな御検討も願っておりますので、一応それを標準にいたしまして、私どもの職場に合わない、あるいは職員に合わない点、しかもまたわれわれとしても特異な存在でございますので、その特異性に合うような修正と申しますか、違ったところをつくりましてやっておるということでございまして、決してこれが完全でございませんので、何とか先生のおっしゃるように、理想のほうに向かって進みたい、こういう希望は持っております。
  368. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで具体的に伺いますけれども、国家公務員の一般職の場合、一般職の給料表として(一)表と(二)表があることは御存じだと思うんです。国家公務員の場合は五十万という一つの大世帯の給料表であるから人事院も研究してやったと思うんです。これにも実は問題があるけれども、きょうはそれには触れない、国会職員に限定いたしますが、国会職員の場合、同じように準じて運用ができることになってきている実態があるんですね。これは参議院の総長も給与関係御存じだと思うんです。職種を選んで、国会職員の場合は、電話交換手はこうだから、自動車課のものはこうだからということで(二)表だ、こういうきめ方に非常に無理を生じているんですね。したがって、それでどうもいかぬというので専門職というようなものを置くというようなこそくな——これは予算編成上の問題として大蔵省に了解を得たということでありますけれども、私はそういうことでなくして、そういうこの国会という、権威ある国会であるけれども、職員の数からいうと限定された職域にいるんですから、そういうものについて、国家公務員はこういうことであるから、この職種はこうだというふうなきめ方では見識がないと思う。したがって、もう(一)表、(二)表では運用できないという段階まできているのに、なおかつ、これで押し通そうという考えであるのかどうか、これをまず聞いておきたい。
  369. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。私が常に申し上げております行(二)の撤廃の問題あるいは議警職、速記職の給料表の問題の改正ということも、実は何とか独自の案を進めたい、また進むべきであるという観点と考え方に立ちまして、はなはだまだ十分とは申しかねますけれども、その方向への実現への一歩という意味でやっているわけでございます。
  370. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほど専門職と申しましたが、これは特殊職員ということに私訂正しておきます。  行政職第(二)表撤廃への段階として今度予算編成した、そういう職制はないのだけれども、特殊職員ということで行政職(一)表を当てはめるような措置をとられたということについては、いま総長の言われた努力があるということは、私は認める次第であります。しかし、私はそういう運用上の問題でなくして、国会職員の実態を考えて、やはり合うように早く給料表自体の改正が必要ではなかろうか。そうでないと、これは広い場所であれば、不満というものは、あるいはここもああだから今後こうしたらいいじゃないかということで、お互いに職員の間で慰めもするけれども、狭い職域でそういうことが出てくると、やはり国会職員の中にいろいろと不満も出、その不満というものはひいてはやはり仕事にも影響するということですから、第(二)表撤廃については努力されているのだが、これについて次の給与改定も、おそらく人事院勧告も私はことしもあると思いますか、そういう際にこれを根本的に検討するという考えありやいなやということをひとつ端的に聞いておきます。
  371. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  この行(二)の撤廃は私もかたい決意を持ってやっております。何とかこれが実現するように機会あるごとにこの問題の解決に邁進したい、こう思っております。
  372. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、先ほど人事局なりあるいは大蔵省にいろいろやったんですが、そういう特殊性は衆議院、参議院の院のほうで確信を持って私は説明すれば、いかに、先ほどの答弁ではそこまで了解しないと言っておられるけれども、自信を持って説明すれば、私はそれは他の省、いわゆる総理府並びに大蔵省では私は問題はないと思います。したがって、これは早急にこの改定をしなければ、もう行き詰まっておるのですよ。しかも、きわめてこそくなその場限りの方法で運用しているから、ますますその矛盾が露呈してきて、それをどう変えるかというと、またこれに対して暫定的な措置をとるから、ますます均衡が破れてしまうということでありますので、どうですか、この次の改定、国家公務員の給与改定があると思うのです、これをいますぐやれ、国会は独自性があるからやれというようなことは私言いません。やはり他の国家公務員との問題もあります、われわれ自身考えておるから。人事局がタッチするせぬにかかわらず、そういうこともありますので、その際に変えるという意思があるかどうか、端的に聞いておるのです。その点どうです。
  373. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 今後ベース改定等があり、それに伴って改定があるかどうかという予想は、私ちょっとわかりませんが、ベース改定の時期にとの問題を折衝するのがいいのか、あるいは予算折衝のときにするほうがいいのかという問題については、私ただいまのところ、まだ踏み切っておりません。
  374. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その答弁は了解できないのですがね。それじゃ、何ですか、予算関係あることはあります、若干ありますが、もう実は行き詰まって、それで院では、これは大蔵省でもそれは相談のときには意見があったと思うのです。そんなことは私はいま言いませんけれども、特殊職員というような名前をつけてまでそういう運用をしなければならぬということは、もうその実態、給料表では、この着物ではあまりにも子供が大きくなって着せられないというところまできておると思うのです。つくろいではもうだめですよ。だから、私はいまの総長の答弁では、給与改定のときに、時期は予算編成のとき、年末だと思いますが、そのときまでに院としてそういう考え方で立案するという、そういうことに受け取っていいですか。
  375. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 私のほうといたしましては、予算折衝の段階あるいはその他の機会におきましても大蔵省にこの問題は突きつけておるわけでございますが、予算折衝におきましても、これを全部廃止するということで計画を立てて折衝をいたしておるわけでございます。今度もそういうつもりで私のほうはするつもりでございます。
  376. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、院当局としては衆参合わせて行口の給料表については、もうこれが運用上からいっても行き詰まっておる、したがって、少なくとも給与改定のとき、というと八月になるか十二月になるかは別として、予算編成のときには院としては廃止ということで進んでいくという考え方であるという了解をしておきます。それでいいですね。
  377. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 衆議院としてはそれでけっこうでございます。
  378. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院は。
  379. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 行(二)の点につきましては、久保田事務総長の格段の御努力があったわけでありますが、私どもといたしましては、ただいまこの予算要求において、大蔵省の御理解を得てちょうだいいたしました三十プラス——三十一のこの移行させる準備に相当なむずかしさがあるのじゃないかというととを痛感いたしておりまして、これが将来に向かいまして増員等いただいた場合に、どういうふうに行(一)に組み入れるかという点につきましても、慎重に審議をいたしまして、できるだけ早く良好妥当な行(一)への組み入れをまず第一にいたしておきたいと思います。その結果に基づきましてとれが運用いたしました暁においては、いろいろな不利な点もまだ残っているでありましょうが、それはその次の段階において、衆議院ともども協力いたしまして大蔵省にお願いする、こういう心組みでおります。
  380. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこまで聞いておけばいいのですが、今度の四十一年度予算編成では、そういう努力のあとが見えているのです、これは私も調べておりますが。したがって、ある程度行政(一)のほうに移行している人も相当見られますが、ただこれは行(二)の問題、基本的な問題は、それで一応両院の事務総長の誠意もわかりましたのでいいの  ですが、暫定的に行政の(一)表に入れましたあとの昇格について、昇格と申しますか、一等級にいくとか二等級にいくとかという問題については、院では等級別に定数をきめているようであります。それを見ると、一年間待ったら全部解消してやるのだということになるかもわかりませんが、やはり暫定的でも、その昇格と申しますか、それについては十分均衡を考えてやっていただきたいと思うのですが、現在の実情、これはまあ私のほうにデータもあるのですが、在職期間わずか一年ぐらい違いで本俸で一万円も違っているという実情もあります。それは、入るときにお前は不遇だったのだと言ってしまえばいいとしても、同じ仕事をしている人が、一年間で一万円も相違するということになると、だいぶ私は問題があると思うのですが、それがいま言ったように、狭いところで行(一)と行(二)をつくっているというところからきているのですが、そういうものについて四十一年度の給与の問題を考えるときに、昇格についても基準はあるだろうと思うけれども、これを有利に昇格をさす、こういう考え方についてどうですか。
  381. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。行(一)へ移行する場合の、行(二)の移行される人の処遇でございますが、私のほうといたしましては、できるだけ本人に有利な点を考えていきたい。まだ具体的に個々的に検討をいたしておりませんので、具体的にお答えはできませんが、方針は、私はできるだけ本人に有利になるように考えていきたい、このように考えております。
  382. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院は。
  383. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院も同様でございます。
  384. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これもまあ暫定的な問題でもう一つだけ聞いておきますがね。いま行(二)の二等級の定数は一体どれくらいになっているのですか。具体的ですから総長でなくてけっこうです、人事課長でも。
  385. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。いま私のほうの行(二)の実際は三百四十八名。
  386. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから、その中の二等級から一等級に、先ほどできるだけ努力すると言っておられるのだが、職員については、もう生活の問題で緊急な問題ですが、一等級から行政職(一)表に移行したそのあとを埋めるというところまで努力はされるのですか。
  387. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 先ほど私、質問を間違えておりまして、三百四十八と申しましたが、行(二)の二等級というのは、私のほうは百十一でございます。それからただいまの(一)に移行したその穴埋めをどうするかという問題でございますが、この点も埋め得るものは埋めたいと思っております。
  388. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこれは院当局のぼくは誠意に待ちたいと思うのですが、ただ心配になるのは、四十一年度の予算との関係があるのですよ。予算から見ると、ここに国会職員の専門職、特殊職員、一般職員ということで予算書があるのですけれども、これでいくと、現実に実は合わなくなってくると思うのですが、その点どうなんですか、これは予算関係ですから。
  389. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) その辺は私ちょっとわかりませんので、庶務部長から答弁さしていただきたいと思います。
  390. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) ちょっと質問の趣旨が理解できなかったのですが、定数内でやることになると思います。
  391. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは具体的に聞きますが、今度一等級が特殊職員として行政職(一)表に移行しますわね。それが何名くらいか。そのあとに、移行する場合に、一等級が行った場合に予算が伴いますが、その予算がいま言われたように、一等級の人が(一)表に移行したあとに、それだけの数をするとすれば、それだけの予算がまかなえるかどうか、この予算まだ上がっておりませんけれども、この予算の内容から見ると、そういうわれわれとしては気がするのですが、その点はどうかということです。予算上の問題。
  392. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 行(二)から行(一)に四十八名予算定員書いてございますが、五等級に十五名、六等級に十六名、七等級に十七名移行いたしまして、いま先生おっしゃいました行口の一等級から移る場合、たとえば行(一)の五等級に十五名行く。ここら辺は予算的には処置されておりますので、困ることはございません。
  393. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 特殊職員として、一等級の中からいま言っている行(一)のほうへ行く人がありますね、それはいいんです。それはわかっているのですけれども、二等級から今度は一等級に上げなければならぬ。その場合に一等級の定数だけを上げるのではなくて、それ以上になるのじゃないかと思う、私の考えでは。それはならぬですか、大体満たせるようになっているのですか。
  394. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 全体の定数の範囲内では移せると思います。
  395. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実施できる。  それでは、今度は一等職から行(一)にいく人は、いま何名とか言いましたね。
  396. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 一等級と申しますか、行(二)職から行(一)にいきます場合に、行(一)の五等級に該当するところにまいりますのは十五名でございます。
  397. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 行(一)へいく人でしょう。それで、十五名というのは必ずしも一等級に該当した人だけではないのですね。
  398. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 原則的には必ずしも一等級からということでございませんで、経験年数その他を勘案しました場合に、具体的には、経験年数の長い方がほぼ一等級におりますから、そのほうからいくことになると存じております。
  399. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、これは具体的な問題で恐縮ですが、十五名行(一)にいくのですが、このあとへ、われわれとしては十五名いままでのやつは埋めるべきだと、こう言っておるのですが、それは予算的にも埋めていけるということですね。
  400. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 定数の範囲内では動かせると思います。
  401. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 定数というのが問題なんですね。定数というのは一体どれだけになっておるのですか。定数はそれでいけることになっておるのですか。それをお聞きしておるのです。
  402. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 四十一年度の予算書の級別定数に一等級十八名となっておりまして、これは十五名移行したあとの十八名でございまして、現実的にはこの中に十数名いける勘定になると思います。
  403. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 勘定になるじゃなしに、そのあとを埋めても予算的にはいけるということですね。
  404. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) そういうことでございます。
  405. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、それだけお聞きしておけば、行(二)の問題は一応こまかいことを尋ねまして恐縮ですが、いま言いましたのは、これはいずれも暫定的な問題であって、基本的には、先ほど申しましたように、そういう意味のテクニックをしなければならぬということのないように、行(二)を撤廃して、合理的な行(一)表の制度でやってもらいたいという気持ちで言っているので、これは了解してもらいたい。  それじゃ次に、議院警察職についてちょっと尋ねたいと思います。これも給料表を見ると、大体、国家公務員の公安職に準じてつくられておると思うのですが、ここにちょっと一つ問題があるのです。ちょっとじゃない、相当大きな問題があるのですが、公安職、いわゆる一般の警察官ですか、警察官の場合には相当——現在十六万も全国に警察職員いておるのだし、もちろん国家公務員、地方公務員に分かれておりますけれども、運用上、私はやはりまた職務実態からも運用できると思うのですが、国会の警察職の人は限定された、参議院では二百名足らずだと聞いております。衆議院では二百六十数名ですか、と聞いているのですが、その範囲内で格づけ基準なんかを考えて、国家公務員の公安職と同じように考えると、これはもう行き詰まることは当然なんです。したがって、まず最初に聞きますが、衛視職と表現をいたします。まあ議警職でもいいのですが、議警職の格づけ基準について現在どういう運用をされておるかということをまず聞いておきたい。専門的になるから、総長でなくてもいいですよ。
  406. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) それではおことばがございますので、庶務部長からお答えいたすことにいたします。
  407. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 議警職における格づけ基準というお話でございますので申しますが、大学卒の場合には、一応四等級の五で採用しております。それから、短大卒の場合には四の三、高校卒の場合は四の一、そういう基準で採用しております。
  408. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは一般公安職に準じた格づけに準じておるのですか。あなたのいま言ったのは、初任給の格づけを言っておるのですがね。
  409. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 国家公務員の公安職につきましては高校卒四の一という基準で採用しております。大学、短大卒というのはございません。
  410. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、院のほうでは初任給格づけは若干優遇しておると、こういうことですか。
  411. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 短期大学及び大学卒につきましてその学歴を見ておるということでございます。
  412. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 矛盾点を私は指摘しますから……。この院の議警職については前歴加算というのはどう見ているんですか。
  413. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 現在の議警職につきましては、一応その前歴と申しますか、一般の事務その他の経験を、採用の際には原則的には見ておりません。
  414. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 見てない。それは、なぜ見ないのですか。その理由はどうですか。
  415. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 議警職、いわゆる警察官に相当する衛視さんにつきましては、その前と同じ職業でない点を考慮いたしまして、原則的には議警職につきましては、前歴と申しますか、前にどこかの会社におったとか、そういう点については見ておりません。規定もそういうふうになっておるわけです。
  416. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院の規則で、第五条だったと思いますが、前歴加算の基準がありますね。同一の職種にあるときは十割、おのおのずっとありますが、それは全然見てないんですか見ているんですか。見ておるのはどういうことかと聞いておるのですが。
  417. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 規定上は一応身分取得後の経験年数によってやっておりますが、運用面におきまして若干見ております。
  418. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 認めておるというのはどう認めておるのか。前歴を認めておらぬと私は思うのですがね。
  419. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) ちょっと問題がはずれますが、事務系統でも同種の職についてのみ前歴一年半といいますか、十八カ月を一年として加算してあるわけでございますが、衛視の勤務につきましては、前歴と申しますか、同じ職種でないものでございますので見てないわけでございます。ただ、見ておると申しましたのは、別な形ということでございます。
  420. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 前歴を認めておるが、同一の職種がないので認めておらない。若干認めておるんですか。
  421. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 原則は認めないことになっておりますので……。
  422. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その認めないというのは、一体どういう……。国会の特殊性ということで、国家公務員に準ずるが、いいところは認めない、それはどういうわけなんですか。単に同一の職種でなくても一般職については十割あるいは八割、五割ということで、前歴加算が認められている。しかも、極端に言うと、年齢加算ということも考えておるのですね。それだのに何で院の場合にはそれを認めないのですか。その理由が私にはどうも理解できない。
  423. 大久保孟

    衆議院参事(大久保孟君) 先ほど申しましたが、事務系職員につきましても同種の職分についてのみ前歴を加算するというたてまえ、規定になっておりまして、警察職と申しますか、議警職につきましては身分取得後の経験ということで従来やっておりますので、たてまえ上は認めないことになっております。
  424. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はこの前、一昨年質問したときそこまでたださなかったので、実はそれを聞いて驚いておるのですがね。私は公務員の給与体系の基本的な考え方からいって、やはり前歴加算というものがなければこれはバランスとれないのですよ。いまは議警職に限ってやりますけれども、議警職の場合には、完全にそういう前歴加算、年齢加算なんかをやると、職階的な考え方から言うと、もっと砕いて言うと、位の高い者よりも低い者のほうが給与は上になるというきらいもあります。それはわかります。しかし、そういうものを考えても、全然こういうものを見ないということについては、特に議警職あたりについては、学校を出てすぐ就職する人よりも、昔の軍隊と申しますか、警察の前歴を持ち、またそれに類似したもの、またそれがなくても若干の他の経験を持って入ってくる人があるのだから、これを見ずに昇格基準をきめても、私はそれはもうほんとうに架空なものになって、現実に合ってこないと思う。いまの規定がそうなっておるからあなたやるということは、それは事務当局、自分の仕事としてはわかるけれども、私の聞いておるのはそうじゃない。国会の事務当局としてわれわれももちろん責任あると思うのだ。こういうものを今日まで自分らの院の職員がこういうことでやっておるということについてわれわれが知らなかったということについては責任を感じます。しかし、事務当局としてもこういうものは常識の問題だから、私はなぜ国家公務員よりも有利にしたければならぬかということをあとで言おうと思っておるのですよ、一般の公安職から見ても、院のこの議警職については、私は特殊なものであるから別に考えなくっちゃならぬと思っておるのですが、それすらも前歴加算してないということでは、われわれとしてはどうしても納得もできないし、むちゃだと私は思うのですがね。この点について事務総長はどう考えられますか。
  425. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。衛視の前歴加算の問題は、私も前歴加算をし得るものならばしたいとは存じますが、実際にその職場を見ておりますと、追い越し——非常に職種がみな同じ職種の形の集団になっておるわけでございますので、そこにぽつんとあとから来て、その上に乗るということは、まことに職場の中での空気というものがそぐわないという点があるわけでございまして、これは非常に大きな問題があるようでございます。かつて私のほうでもこの大学卒を高校卒よりも高くとろうとしたときにも相当の問題がございまして、いろいろ話し合って、結局これも認めたと、大学出のほうは見てほしい、そうでない者は、同じ仕事をしておるのじゃないかと、同じ職種をやっておるのにおかしいじゃないかと、こういうふうなこともありまして、非常にこれも困難を来たしたのでございます。前歴加算の問題も確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、私どももでき得ればやりたい。そこでこれを実際にやりますと、実は追い越しという問題が出てきます。追い越されるほうにとってみると、まことにおもしろくないということにもなりますので、私のほうとしましては、機を見て、あまりそこに変動を生じないような形のときに、別の形でこれを救済していくという方法をとっておりますが、なかなか目的の達成にはむずかしい点が多々ございます。今日も個々的に、具体的に一人一人当たって検討はしておりますが、実ははたと困っておるのが真相でございます。しかし、できるだけその方向に近づけていきたいとは考えております。
  426. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はそういうことが言われるということも予定して言っているのですが、追い越しということについては、それは職場の感情もあります。しかし、相当年をいって入って来た人が、しかも、低い格づけで給与をもらってやるということは、これは、私は、生活権の問題につながっていると思うのですね。前歴加算というものは、そういうものを勘案して、公務員についてこれは規定したものですね。ただ、単に、追い越しの問題があるから、実はそれはやっていないのだ。ほかの方法というのはあとで聞きますが、どういう方法でやるか、どういうことで調整をやるか。私は、追い越しをやらなくても、具体的な資料をある程度もらっておりますけれども、ある程度やれる方法があるのですよ。追い越しということを避けるために、私は、本俸についてはこうだけれども、これ以上は足踏みをしてここでとめるとか、私はいろいろ方法がある。実際、運用上からいえば、ですよ。それを、全然前歴を見ないと言う。追い越しという理由だけで認めないということは、私は絶対に承服できない。これは、つとめておる人から見れば、生活権の問題ですよ。そういうことをやっておるから議警職に対する希望者も、私は、あるなしは知りませんけれども、この重要な仕事に携わる人が、まあ私は完全にやらないとは言わないが、非常に熱意を失ってくるのではないかと思うのですね。したがって、それは人事管理の一環として考えるべきであって、前歴を全然見ないというようなことは理由にならない。追い起すような場合の計算が出た場合にはどういう措置をするとかという具体的な方法を、私にさせたらやってもいいですよ。そういう追い越しの問題だけで、全然前歴加算を見ないのだというようなことについては、私は両院事務当局の怠慢を追及せざるを得ないと思うのですね。もしそういうことがあれば、議運ででもこういうことがあるということで相談をされれば、われわれもそれはこうしたらどうかということで意見を言ってもいいと思うのですが、全然そういうことだけで事務当局が押えておるということについては、私はどうしても納得できないと思うのですが、とれを追及したところで、これは改めてもらわなければいかぬのですが、これについては、今後具体的に検討する用意があるかどうかということだけを聞いておきます。どうですか。
  427. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  現在も、先ほど申し上げましたとおり、個々的に検討いたしておりまして、どういう方法で解決したらよかろうか、また、いまの方法はどうかという点も考慮いたしまして、三十五年ころから、そのことに頭を痛めておったわけでございますが、まだ、先生御指摘のように、実現しない点はまことに遺憾でございますが、何とかそういう方向を、うまく解決するように努力したいと思っております。
  428. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、この昇格基準ですね。これは、私は聞いているだけで、責任者からは聞いておらないのですが、平衛視——平議警職、それから班長、副長、衛視長、こういうことで階級があるようでありますが、そういう昇級格づけ、いわゆる平が班長にならなければこれは頭打ちすることは当然です、この給料表からいくと。運用でやっていると言えば、その運用でやっていることを私は聞きたいのですけれども、あるいは一般の公安職の場合には、その点はある程度厳格にやっているようです。しかし、これは国会の衆議院二百六十名、参議院百九十名、二百名足らずの議警職の中で、そういうことをやっておればこれは運用できませんよ。これは全部班長を副長にするということはできないと思うのですね、ああいう制度がある以上は。したがって、この昇格基準については別個に考えなくちゃならぬと私は思うのですが、この点、どう考えておられますか。
  429. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) この昇格基準を別個に考えなければならぬ点も確かにございますが、私のほうには議警職以外に一般の職員というものもございまして、一般の職員は係長に何年でなったとか、何等になったとかという比較が常々目の前にちらつくものでございますから、警務の衛視さんにしましても、いつまでも平衛視でいるということよりも、何とか早く班長になりたいとか、あるいは三等級に——暫定でもいいから三等のほうにいきたいとかという希望もあるわけでございまして、その点の調整をはかりませんと、公安職のような形、一生衛視でいけばどうなるという形にも直ちに持っていけないという悩みがございまして、この間の妥協をどういうふうにはかろうかということを考えつつ、議警職の表の改定ともう三、四年前から取り組んでおるのでございますが、なかなかむずかしいということで、最近、二年にわたりまして、これは公安職とは違うのだ、公安職に準じているところが違うのだから、議警職というものを違うという点からまず考えて打ち破っていこう、こういう方針で私はただいま進めておるわけでございます。
  430. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 努力されているということばかりですが、これは方法はあるのですよ。これは国家公務員の場合は職階級ですから、これに対してはわれわれは意見があるが、きょうはそんなことは言いませんが、職階級自体問題があるのですが、職階級でありますけれども、院のような部隊の少ない現職の議警職の範囲では、同じような階級的な昇格基準では、私は運用は、どんなに考えてもいけない、できません。やろうと思えば、それは運用上の方法でやらなければ私はいけないと見ておるのですよ。どんな議警職の給料表をつくられるか知りませんが、私は考えて——四等級、これを三等級にするかまた二等級に縮めてしまうか、いろいろ方法はありますよ。しかし、それだけでは私は院の議警職の日常の人事管理もむずかしいだろうと、むしろ同情的に思っておるのですが、したがって、少なくとも年限、号俸に応じて、たとえば平が班長にならなくても、十年なら十年おれば三等級に移行していく、三等級でまず何年かおれば——その基準については検討をする必要もありましょうけれども、実態に即して二等級にする、一等級の場合はこれは最高でありますから、そう簡単に移行することはむずかしいと思いますが、いかに二百名足らず、二百六十名の範囲であっても、なかなか運用上はむずかしいが、少なくとも二等級くらいまでについてはそういう運用をしなければ私はできないと思う。そういう点についてどう考えられますか。
  431. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  私も一度そういうふうな、先生の意意見のような案もつくってみたのでございます。みまして、いま四等級——衛視の四等級の表の間差を、三等級と同じような間差に近いようなところまで持っていけるという形の案もつくりましたのですが、それだけでは、この特殊性と申しましょうか、それよりも、暫定でもいいから三等に上がったほうがいいというような感じの受け取り方もいたしまして、そこで、それの折衷案的なものでも考えてみたらどうであろうかということを先ほど申し上げたのですが、まだその点について踏み切っておりませんが、去年は一等級の点、ことしは二等級の点をそういうふうな形で間差を変えてみたわけでございますが、この次に三等と四等のところも考えなければなりませんので、これからも十分検討していきたい、かように存じております。
  432. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 暫定的にと言われますけれども、抜てきで四等級が三等級に、三等級は二等級にということについては、議警職職員に一つの不安与える。したがって、私はこの二百人あまりの、そういう職場で安定した勤務ぶりというものが必要であろうと私は思うんですよ。したがって、私は無理に公安職の等級を当てはめ、そのままでないと思いますけれども、若干優遇しているかと思いますけれども、それだけの昇格基準、初任給基準じゃ運用できないと考える。したがって、やはりそういう、たとえば何年すれば階級に関係なくして等級は上がっていくんだと、こういう一つ制度を私は確立する必要があると思う。そういうこと……。
  433. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。確かにそういうふうな方向にいくことが私も望ましいと思っておりますが、なかなかいろんな事情でそこまでまだ踏み切っていくことができないことを遺憾に思います。なお十分にその点は検討してみたいと存じます。
  434. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あとでその総括的な私はまあ言質を取りたいんですがね。それと初任給基準の、格づけ基準の問題ですがね、これも現在まあまちまちになっておる。四十年以上の人と四十年以下と、これは非常に差があって、これは参議院の場合。私は衆議院の場合調べてないんだ。したがって、大学出の議警職については四等級の四号となっているが、やっぱり四等級の五とすることがまあ大体きめられておるようでありますが、それに準じて短大卒あるいは高卒、これについても六カ月の短縮とかいうことで初任給格づけ基準についても考えなけりゃ、古い人が非常な不利になっている点があるんですがね。そういうもの出てないですか、出ていると思うんですが。私は表を見ただけで実態調べてないんだからわからないが、国家公務員の問題を長い間取り扱ってきた者から見れば、私はそういうものが出ていると思います。したがって、これも合わせて、いま申しましたように、初任給の格づけと、それから昇格基準、それから前歴加算、こういうものが全くまあでたらめということは言いません。整理をされてないという表現をしますが、整理をされてない。こういうものを早急に整理をしなければ、議警職の給与体系というものは、実は私が見ても、よくこれでやっているなと思っておるんですよ。これについてどうですか。いま申しました前歴加算についての調整、初任給基準の格づけについての調整、それから昇格基準についての調整、合わせて早急に結論を出すようにできますか。
  435. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。ただいまの三点でございますが、われわれも摩擦を生じないように、またいろんな矛盾が生じないようにという方向でただいま真剣に取り組んでおるわけでございますが、十分御意思の点は考慮をいたしまして検討いたしていきたいと、このように思っております。
  436. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院におきましても、前歴の点につきましては従来研究を重ねておりますが、今後とも衆議院等とも十分連絡をとりまして、お説のような事情を参酌いたしまして、十分努力をいたしたいと思います。
  437. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま申しました前歴だけでなくて、初任給基準、それから格づけ基準、それから昇格基準合わせてですか、いいんですね。
  438. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 承知いたしました。
  439. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはぼくは衛視と申しますか、警察職の人々は、これはまあ職務実態からいって公安職とまた別の、あるいは一般の警察官とは別の苦労があると思うんですね。そういう苦労をするという意欲をやっぱり持たさぬと、これは院の独立から院内の警察権を持っておるんですからね。しかも、その警察権の発動が一般の警察官のようなことではいかない実情にあるんですね。これはわれわれも考えなくちゃならぬ問題もあると思いますけれどもね、率直に言えば。そういう人に対して私はある程度——何も私は特に優遇せよということは言えないと思います。特にこれだけ優遇せよというようなことは言えないと思うけれども、少なくとも一般の公安職の人から比較して、ある程度私は見てやらなくちゃいけない、こう思っているにかかわらず、一般の公安職において実施しておる前歴加算も、それから昇格基準の問題についても、私は乱れておると思いますから、これはもう早急にその点をやっていただきたいということを最後に私は言質をいただきたいと存じます、もう一回ひとつ。
  440. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。この公安職と警務との関係は、必ずしも私のほうが劣っているとは考えておりません。また、私はあまり一般的にかけ離れてもいけない。しかし、私のほうは特別に考えなければならぬ点が、公安職と違った面においてあると、その面を私は見ていかなければならぬのじゃないか。また、衛視の特殊性につきましても先生の仰せのとおりでございまして、私もそれに合致した方向へ向かいたいと思います。ただいまの前歴加算の問題は、私もその気持ちは先生と同じでございます。同じでございますが、実際にこれをやりました場合に、結局一斉昇給等をしなければ実現できないというところまで結論が出てまいりますので、それをどのところでどういうふうにしてどういう段階でうまく調整してやっていくかというところにいま苦慮しております。そういう点から、何とか知恵をしぼって先生のおっしゃる方向へ持っていきたい、ただいまの段階ではこの程度のお答えしかできないことはまことに遺憾に存じます。
  441. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 答弁が逆戻りするようですがね、前歴加算についての調整は、それはおっしゃるとおりに、これはいままでにやっておけば、一度にやると、いま言われたようなことになるが、入るときに考えておけば、これは問題解決しておったんですよ。それやらないから、いまこの調整するんだからそういうことが起こるのであって、この責任はかかって、まあわれわれも含めて、院に責任があると思うんですね。したがって、これはむずかしいと言うけれども、やる方法は、これは相談かけられたらありますから、むずかしいからやらぬということでなくして調整をやるべきだ、これを言っておる。  それから、初任給格づけについては、これはもうすぐやらなくちゃならぬです。あとで入った人のほうが格づけが上だというようなことは、われわれとしてはこれはもうこれこそ逆にいって問題あろうと思いますから、これはすぐ初任給格づけはやるべきだ。  それから、昇給に対する昇格基準については、先ほど申しましたように、院の議警職の実態から、公安職のように、平、班長、それから副長というような段階では運用できないので、これはまあ考えるということは言われたんですが、前歴加算だけは何かこれはなかなか急にできないということについては、私はやれないのはどういう点がやれないかと、それは追い越すということだけじゃ承服しがたいんですがね。やる方法はあると思う。総長がやれないというのかどうか、その点ひとつ。
  442. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) いまのやれないかどうかという問題も含めまして、私は前向きにやるような方向で何か方法ないのかということで日夜いま警務部と庶務部とで盛んに折衝をやらしておる状態でございまして、その経過あるいは結論まで、まだ私のところにも届いておりません。そういうことで、私がここで明言はできないことを御了解願いたいと存じます。
  443. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院もそうですね。
  444. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいま久保田総長の御答弁のとおりでありますが、参議院は終戦後ずいぶんな混乱した事態にたくさんな議警職を採用したものでございますから、前歴等につきましては相当な困難なところがあると私は想像いたしております。何ぶんの御指示でございますから、十分そこを研究させていただきたいと思います。
  445. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 困難なことがあると言われますが、私はその点の理解ができない。したがって、やるということの考え方があれば、われわれも、こういう予算分科会でなくして、私は案を考えてもいいと思うんです。やれますよ。ただ、私は、ここで時間がかかるから、一々これはこうだということを言わないが、また、私がそれだけの権限も発案権もないが、やろうと思えばやり得る。やる熱意があるかどうかということを——いまやろうということを言っておるけれども、むずかしい、むずかしいのだというのなら、むずかしさを解消するようにわれわれも考えますから、早急にひとつやっていただきたい。  それじゃ、時間もたちますから、速記職にひとつ移りたいと思います。  速記職は、これは他の国家公務員にもない特殊な、院における特殊な職種ですが、私、速記職の、実はこの前もやったのですが、給与を見ると、これはまあ今の総長のときにつくったのでないから、もう時間がないので、あまり言わないが、国会速記職給料表を見ますると、どういう考え方からこれを出したのか、表をつくるときにどういう考え方か、ちょっとわからないんです。もしそれがわかっておれば、関係者から説明願いたい。それで、念のために私は人事院にも聞いてみたのです。人事院は、速記職については、これは国会の問題でありますから、私のほうは全然相談を受けておりませんということで聞いておるのですが、速記職のこれは昭和三十二年ですかにつくられたと私思っておるのですが、私はまだ国会に出ぬ先でございますが、これはどういう考え方で速記職というものを三十二年に別表でつくられたかということの経緯をちょっと知らしていただきたい。
  446. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 速記職をこういう別表にいたしましたのは、速記というものは他の公務員に全くないわけでございます。それと、もう一点は、一般の役人と同じような立て方のほかに、速記には速記手当というものを別につけて、その間の調整をいたしておりました。そこで、速記手当を本俸に繰り入れろという点の要求もございましたし、またところが、それを全部入れることがいいのか悪いのかということもございまして、確かに速記というものは別のことであり、また、他の人がよくその事情をわからないはずだ、国会が一番よくそのことがわかるということから、私が当時記録部長のときであったかと思いますが、そのときにそういうことから速記の人たちとも一緒になりましてこの別表というものをつくったわけでございます。で、そのときの考え方といたしまして、当時の一般の職員とは従来どっちかというと有利に速記というものはなっておったわけでございます。その有利になった部分を一般職の職員との関連から考えてどこに格づけしたらよかろうかということを念頭に置きましてただいまの別表ができ上がっておるというふうに、大まかに申し上げますとそのとおりでございます
  447. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なるほどこの速記職を調べますると、初任給、格づけ、昇格基準、こういう点については一般職よりある程度優遇ということばを使うことがいいかどうか知りませんが、上位にあることは認めます。しかし、全体を見ると、そうはいかない。で、いま総長から言われましたけれども、つくる過程、そういうものについては私はわかります。これは別表をつくるべきだと思うのです、特殊な職種ですから。ただ、この表をとってきたのはどこから——一般職から引いてきたんでしょうけれども、一般職の三等級が一等級になっておるのじゃないですか。それは旧の国家公務員の三等級が一等級ですから、新たに言うと新三等級が一等級になっておるような金額しか出ておらない。一等級の一号俸は五万円、十九号は九万三千二百円、これはいいんですね、国家公務員一般職から見ると。非常にこの問題が私は大きくクローズアップしてくると思うのです。したがって、これのとり方が、なぜそういう国家公務員の一般職——国家公務員じゃなしに、院の一般職と比較をしてこういうとり方をしたかということについて私はちょっと理解できないのですが、それは根拠があるのですか、一等級をここへ押えた……。
  448. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これも、先ほど申し上げました、当時一般の事務の職員と速記職の職員との間の大体の差というものがいまだに尾を引いてきているという考え方でございますが、そこで、そのために、したがって、一般職の職員の給料表を全然無視してやるというわけにもまいらなかったわけでございます。当時は一緒の俸給でやったわけでございますから、それを分けたわけでございますので、それから離れるというわけにはまいりませんのと、そこで、その点を考慮いたしまして、当時は相当——私の目から見れば相当有利な表であったはずでございます。それがだんだんと頭打ちその他のことも出てまいりまして、速記職給料表の改定ということも考えなければならぬような時期には来ておりました。しかし、それによりまして、私といたしましては、昨年と今年とにおきまして、この速記職の給料表について、まず一等級のところを直していこう、こういうことから、一等級のほうでは、初号と二号引き上げまして、行(一)の三等級と同額にする、七号給からは、さらに行(一)二等級寄り、いわゆる行(一)の二等級寄りのところを打ち出したわけでございます。そうして最高号給を二号伸ばすというようなことをやったわけでございます。それから二等級につきましても、十号給以上について昇給間差額の積み上げによる改善をはかったわけであります、そうして最高号給を一号伸ばしました。こういうふうな形で改定をいたしまして、それから三等級のところも七号給以上の昇給間差額を調整いたしました。こういうふうな形で、他のほうの一般事務のほうはこの改定はございませんが、速記につきましてはより有利にこの点を考えたわけでございます。  なお、これだけで十分かどうかという点はあろうかと思いますが、ただいまもなおまだ引き続きこの速記職表につきましても検討を怠っているわけではございません。
  449. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 速記職の格づけ、これは昇格基準ですが、新制高校を卒業して二年の養成所、それから半年の研修期間を経て五等級の二号俸に格づけ、それを一年おると四等級の一号俸に昇格をする。それから数年、四年ぐらいたてば三等級に格づけされる。そこまでは私はある程度速記職の特異性を認めた方法でやっていると思うんです。ただ、問題は、そういう給料になっておるけれども現実には等級別定数があるから、三年たっても、四年たっても、五年たってもいけない。結局、そういう基準はあるけれども、実際には運用できないということがあるやに聞いておるのですが、それはどういう考えですか、今後。
  450. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) その点は、押せ押せになってまいりまして、ある程度頭打ちとか、上のランクに暫定のまま救済されているという姿は、速記に限りませず、全般にあるわけでございますが、速記にももちろんそういうものもございます。そういうことも幾らかずつでも救済していきたいという考え方から、こういうふうな改善策をとったわけでございます。全体に給料表というものがこれだけではまかない切れない状態になっていることは確かでございまして、私はそれの一つの道行きと考えていまこの改定に努力をいたしておる、こういうわけでございます。
  451. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三等級や二等級、一等級の格づけは、これは速記職の職階と申しますか、課長あるいは部長ということで二等級、一等級は格づけされておるのですか。
  452. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 私のほうは、この一等級と申しますのは、速記監督でございまして、まあしいて申し上げますれば、課長と課長補佐の間くらい——間よりちょっと上位になるかもわかりませんが、そういうような考え方で、それから課長は、私のほうは、行(一)の定数で、行(一)の処遇になっております
  453. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまそう言われましたけれども、これは一般職とも関係あるので一緒に聞いておきますが、一昨年の人事院勧告によって、国家公務員の場合には、次官が指定職として飛び抜けちゃって、局長が一等級に全部格上げしたのですが、それが国会の一般職にもまた速記職にも取り入れられておるのですか。
  454. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これは新三の問題かとも存じますが、そういうことも含めまして今度の改定はできておるわけでございます。
  455. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、国会の場合は、いままで一等級——これは一般職でいきましょう、速記職はあとにして、こんがらがってはいけませんから。一般職の場合、次官が指定職になった場合、いままで院の場合は一等級はどれに当てはめておったのですか、階級的にいうと。事務総長はこれは特別職……。
  456. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 私は特別職でございますが、次長はこれは指定職になっております。それから部長が、指定職が一部と、それから一等級の部長というものがございます。それから課長は二等級。それから速記のほうの一等というものは、その一等とは全然関係がございません。
  457. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、院の場合は、部長は一等級——これは一般職でしょう。それから課長は二等級、課長補佐が三等級——課長補佐という名前は検討するとして、それに類する人は三等級、係長四等級、こういうことで格づけしているのですね。——これは一般職ですよ。速記職はあとで……。
  458. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 私どものほうも、一職職的な職員につきましては、一般職と同じにやっております。
  459. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 具体的に言って、院の部長は一等級、課長は二等級、こういう格づけでやっておるのですか。
  460. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) さようでございます。
  461. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、一昨年次官が指定職になったときに、次長が新たに指定職になったのですか。
  462. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 事務次長は指定の甲でございまして、乙は、私どものほうは当時三名が指定の乙でございます。それが三名、その他は一等級でございます。
  463. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院も大体そういう方向ですね。
  464. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 大体さようでございます。次長以下、指定職乙に入っている部長、それから一等級の部長と、こう分かれております。
  465. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、一昨年の国家公務員の給与の改定のときに指定職が別につくられたときにそういう措置をとられたのですか。
  466. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 一般職が行なわれましたときに、同時に私のほうもそれにならってやりました。
  467. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは初めてそれを聞いたんですが、部長のうちに乙の指定職と二つに分かれるというのは、院の人事管理上からいうと——あれは国家公務員のあれをつくった場合にも非常に問題があったのです。問題があったけれども、その考え方というのは、特別職にするには若干問題があった。これは一般職の場合ですよ。そういうことで、苦肉の策として指定職というものを出してきたのです。したがって、それにも論議はあるのですが、部長の中で指定職と一等級の二つにまたがっているということについては、これはまた別に考える必要があると思うのです。考えなければならぬと思うのです。分けられたという理由は、どういうことですか。その職務権限によって分けたのか、それとも勤続年数なりそういうもので分けているのか、その点はどうですか。
  468. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 一般職の場合は、職を指定して、その職がそういうふうになるようになっておるようでございますが、私のほうは、どのポストが一番いいとか悪いとかということを判定するわけにもまいりませんので、いわば序列の実際の先輩という形の人が私のほうは指定されたわけでございます。
  469. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは院の特殊性ということであるので、そういうこともわれわれはあり得るだろうと思いますが、指定職というのはどこまでも指定職ですから、部長が、この人は先輩であるから指定職だ、この人はそうでないからということの分け方については、私はその運用ということはわかるが、それはちょっとわれわれとしては問題があるかと思うのです。これは論議をしていけばなかなか深くなりますが、優遇しようという意味か、頭打ちができたからそうしようというのか、指定職は御存じのように一職一給ですから、その官につけばその給料ということで変えない、甲乙の別はあるけれども。一等級となれば順々に昇給していくのですから、上がっていくのですが、そういう指定職の給与を設定をした考え方というものは別にあるのですが、それを同じ部長級で分けられているというのはちょっと理解がしにくいのですが、これは全く運用上の問題ですか、どうですか。
  470. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これは、私のほうは運用上の問題としてこれを扱いました。
  471. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参議院は。
  472. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 山本先生御指摘の、職そのものに限るという御趣旨ではございましょうが、国会は非常な特殊な職務がございますので、行政省並みに一つを固定して指定職にするということは非常な困難を伴う点がございますので、ただいまの衆議院の事務総長の答弁のとおりの運用でまかなっていくわけであります。
  473. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はそうだろうと思った。私はきょう聞いて初めてわかったんですが、そこまで知らなかったのですが、私は特殊な院の実態から言えば、部長を全部指定職にしてもいいと思うのです。でないと、一等級の中に部長もおるとなれば、下のほうにずっと影響してくると思う。これは職階給的になっておりますから、この給料表というのが。したがって、国家公務員の場合は、指定職をつくったということは、あるいは反対をしたというのは、問題は別にありますが、ずっと八等級まで影響があって有利な格づけができるという考え方からして、指定職については、しいて問題はあったけれども、認めざるを得なかったという事情なんですね。したがって、私は、ずっと格づけを調べていくと時間がかかりますから、質問はやりませんが、やはりそういうことをやっておると、下のほうに影響が出ておると思うのです。この点は次回にまたやるといたしまして、その点は私は等級表自体に、変えなくちゃならぬ——人事局なり大蔵省の前提の考え方には、おそらくそういう別個な行政職一表をつくるとまたいろいろと文句が出てくるので、運用でやろうという考え方が出たと私は思うのです。しかし、先ほど冒頭に申しましたように、国会の職員——一般職でも、あるいは速記職でも、議警職でも、あるいはその他の(二)表に関係する人でも同じことですが、そういう給料自体において特殊な問題を策定しなければ、運用だけでは私は持っていけないと思うので、この点はひとつ一般職についてはまだまだありますけれども、考えてほしいと思うのです。  それから、一般職はわかりましたが、一般職はそういうふうにしておるが、速記職を見ると、速記職の一等級は、一般職と比較すると、だいぶ落ちておると思うのです。速記職というのは、これは御存じのように、職階的にこれを規定するという給料表でないと私は見ておるのです。それを無理に六等級の職階をつくって、六等級はほとんど運用されていない。下のほうであるから問題はないのですが、そうして、運用で五等級に初任級格づけ、二号になるとすぐ試験制度があるけれども、すぐ翌年度には四等級に上げています。五等級の号俸がずいぶん羅列してあるけれども、これは全然動きようのない数字なんですよ。そういうものをつくっておるというところに問題があるが、つくっておることはいいんですけれども、そういうことで考えていくと、一等級——一般職と比較して、指定職も含めて見ると、速記職については課長補佐ぐらいの金額しか出ておらない。実際の運用上から見て若干金額が伸びておりますけれども、課長補佐程度が一等級の点だと思うのですが、この点は、速記職が、いかに職階制であるといっても、これはいまは運用ではいけるかしらぬが、将来は行き詰ってくると思う。したがって、これは少なくともあなたは課長級だというなら、課長級ぐらいまでに考えていかないといけないと思うが、この点についてはどうですか。
  474. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) この速記の優遇方法というものと課長級との関連という問題は、私も一般の事務をかかえております関係上、それとの調整も必要でございまして、その点はまことにむずかしい問題だと思います。そこで、速記の一等級と課長補佐との関係でございますけれども、これもできるだけ伸ばそうということで、課長補佐は八万一千五百円まででございますが、速記のほうの一等級は九万三千二百円、こちらの課長の一番上よりちょっと下というところまで実は伸ばしたわけでございます。  そうすると、この六等級——無用の六等級があるのでございますが、これは、速記が当時非常に速記者が少ないものでございまして、当時未完成の速記者をも実はここで採っておったわけでございます。そのためにこの六等級というのがございました。そして、先生のおっしゃるとおり、当時やはりこういう職階制のような形をとらなければならないような、全体の公務員制度の形がそういう形でございましたので、それに応じて私のほうも一応こういう形をとりました。と申しますのは、その前も国会職員としましては警務も速記もみな同じでございまして、速記は、試験をすれば上がれる、試験を通らない人は五等級の場合でもその表に従って順次進んでいくというたてまえになっておるわけでございます。最近は皆さんが試験をパスいたしますために、パスいたした者は四等級に飛べる、また、四等級からも試験をいたしましてパスした者は三等級、こういうことで、もし落ちればこれが必要となってくるという立て方でございますので、これをはずすというわけにも実はまいらなかったわけでございます。その点、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  475. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、いよいよ結論に入りますが、速記職の場合、試験制度、これも私は特殊な職種として、その実体は私は知りませんけれども、試験制度というものはやむを得ないかとも思うんですが、試験が通らなければ等級を上げないというのは、これは国家公務員の場合の一つの関門なんですね。この場合に、五等級や四等級を一々試験制度で上げるということは、これはそんな不成績な人は私はないと見ておるんですが、この点も私は一つ問題があると思うんです。しかし、いまうまく運用されておるようですから、これは追及いたしませんが、問題は、二等級、一等級に行ける問題とあわせて、人事院の勧告が出て上がっておるんですが、三等級の八号ですか、四万六千三百円から以上については、計算をしますと、上げ方が、実は若干上積みをしたというぐらいの程度で、合理的な上げ方をしていないんですね。こまかい計算を私は言いませんけれども、三等級の八号以上の改定は、昨年四十年度の六・四%の一般公務員のベースアップがあったんですが、そのときの改定はどういう方法でやられたんですか。本俸だけでいいですよ。
  476. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 人事院勧告に従いますと、この点はあまり動かないんでございますが、それに私のほうである程度の上積みをしたと、こういう形で三等級の七からずっと上を間差を直したわけでございます。
  477. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 間差も、出たり入ったりということで、ずっと並んでないのですがね。これはやはり実情に応じてこうやらざるを得なかったのですか。たとえば八号からずっと見てみますと、二千円、その前が二千百円、その次は二千二百円、二千二百円、こういうことで、これはどういうわけでこういう間差がでこぼこになっておるのですか。これは印刷の間違いですか。
  478. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これは、落ちないようにということを主眼にしまして、その間に幾らかの矛盾はありますが、そこは落ちては困る、現状より落ちてはいかぬということでそういう形のものができたわけでございます。
  479. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、人事院の一般職の場合でも、そういう給与改定のときは、暫定切替表をつくって落ちないようにするのですから、暫定的にこの給料表の運用でやればいいけれども、これがずっと恒久的な給料表として決定する場合には、もっと上位にいくような格づけを考えたら、そういう点は運用でやれる。運用でやったらいいところを運用でやらずに、運用でやれないものについては運用のような形で給料表をつくるということについては、これは私は国会に籍を置いておる者から見ると、これはほんとうは何だ、こういうものを一体どう説明するのかと言われたときに、ぼくらも実は説明できないのですね。したがって、ぼくらも実際ここまで実は調べておらなかったということはわれわれも責任を感じておるのですが、速記職についてもっと根本的に給料表の問題について私は考える必要があると思うのです。冒頭に聞いたように、これは国会、院内にしかない職種ですよ。民間にもない、他の国家公務員にもない速記職の給料表というものは、ただ単に優遇しておるのだ優遇しておるのだと言うだけでは、この速記職の職員の方々には納得はできないと思うのです。したがって、少なくとも速記職というものは、これは研究職と同じように——課長なりあるいは部長なりと上がるというポストが私は非常に少ないと思うのですね。やはり一生——一生と言うと失礼でありますけれども、速記職という専門の職種で国会に尽くそうという熱意に燃えて入ってきておるんだと思うのです。そういう人なら、そういう人だけに、私は少なくとも部長級——ということになるかどうか知りませんが、そこまでは行ける人が何人おるかわかりませんが、やっぱりそういう一つの希望を持つ方法を考える。そうすれば、比較的五等級、六等級、七等級の人にもおのずから優遇措置の速記職給料表というものはできると思うのです。それを運用だけでやろうということじゃなくて、速記職給料表については、速記職という特殊な職種について私は検討し直す必要があると思うのです。したがって、いま総長が言われましたけれども、落ちる人があるからこうしたとかなんとかいうことには納得はできない。したがって、速記職という特殊な職種に対してもう少し考え直す必要がある。現在でも優遇しておると言われるけれども、私は速記職を——私は速記の経験はないからわかりませんが、国会の速記につきましては私は別な苦労があると思うのです。これは、他のまあ講演会の速記を頼まれてそうして速記をやっておる人というのとは責任の度合いが違うと思うのですね。そうすると、速記が誤れば院の決定を左右するような重要な仕事だと思うのですね。私のような早口で言うとなかなか速記はむずかしいと思うのです。それでも、自分の言うことが間違っておれば、私は異議があると思うのですね。そういうことで、国会の速記というのは、単に言うことばを文字にかえるという職でなくして、国会の決定を左右するという問題も私は出てくると思うのです。そういう人に対して、もう少し給料表についても、優遇ということは当たるか当たらぬか知らぬが、妥当な速記職の給料表というものを考えてつくらなければいかぬと思う、単に運用だけでなくして。そう私は思うのですが、これについて、私のこれは意見ですが、私の意見に対して何かあなたのほうの考え方があれば、御説明を願いたいと思います。
  480. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  私も初めにちょっと申し上げましたが、速記職給料表もそろそろ全面改定の限度に来ているのじゃなかろうかということに私は考えております。そこまで持っていきます場合に、まだ機も熟していないいろんな客観情勢から、そういう点もありますので、私は、まず一等級、二等級、三等級というようなこういうところのびほう策と申しましてはまことにあれでございますが、改善を加えつつ全体の方向へ持っていかなければならぬのじゃないか、こういうことを考えまして、実はこの改善案を、はなはだ不完全で恐縮でございますが、こういうふうな形のものに持っていったわけでございます。  なお、この全面改定等その他については、私はこれからも十分検討していきたい、かように考えております。
  481. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一等級で二号伸ばす、二等級で一号伸ばすというこの趣旨は私はわかるのですけれども、これもほんとうにつくろいで伸ばしたらそれでいいというような形——その熱意はわかるのですよ、何か優遇しなければならぬというのは。こんな二号足を伸ばしたということは、何も働かないのですよ。実際問題でこれは該当する人が何人おったか知りませんが、私はそう二号足を伸ばしたからといってそれほど効果を発揮していないと思う。給料表については、ただ一等級で二号足を伸ばして若干優遇したということよりも、新三等級ができたときに速記職についても全面的にやはりその給料表の改定——適当な、優遇的と申しますか、適当な速記職給料表というものを作成すべきであったと思うのです。それをやらないから、結局、運用で一時を糊塗しようということになっておると思いますが、くどくど申しませんが、これについて先ほど事務総長言われましたが、早急にこの点については改定をする考え方があるかどうか、それをひとつ聞いておきたいと思います。
  482. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) この速記に限りませず、私は、警務の人につきましても、何らかの再検討を要するということで、これには真剣に取っ組んできております。しかし、まだこれでよしというような案が見つからないというような状態であり、また、他の一般職員との関連性も考えつつ私はその方向に進んでいきたい、こういうふうに考えております。
  483. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは国会の事務総長ですから、各省の大臣の答弁はいつもそういうことで考えます考えますと言うが、これは私はぼくらのほうの責任とも考えるのですよ、この問題については。院の職員ですからね。議長がいわゆる何といいますか任用するという形で管理しておる職員ですから。私はこの前は時間がなかったのであまりやらなかったのですが、今度はいろいろ聞くに従って非常に問題が出てきておると思うのです。したがって、私は、冒頭に申しましたように、人事局、大蔵省がいままでどう干渉したか知らないけれども、冒頭に、これがあるためにあれだけの  一応の約束と申しますか干渉はいたしませんということを言っております。はなはだしく一般公務員と懸隔のあるものを出せというわけじゃないのです。院の特殊性はこうだ、こういうことの自信を持って改正でき得ると私は思っておるのです。しかし、それも予算を伴いますから、その限度もあります。そのときは、この場合は三カ年計画でやるとかという方法もあります。したがって、二時間余りやりましたけれども、やりっぱなしということは、これは私は承知できないと思います。したがって、これはまあ議運の仕事になるかしれませんけれども、一度取り上げた以上は、こういう一つのわれわれとしては不合理が発見されたのだから、しかもこれは熱意を持って解消をいたしましょう、こういう答弁ですが、これはじんぜんとそういうことで一年たっても二年たっても考慮するということでは、これはわれわれ自身の責任ですから、行政府がそういうような答弁では私はいかないと思いますから、その覚悟ができていますか。
  484. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) 職員のことにつきましてたいへんあたたかいおことばを賜わりまして、ほんとうに私も感謝をいたしております。私一人で決意を持ちましてもなかなかこういう問題は進まないのでございますが、先生方の御協力によりまして順次その方向に向いてまいりました。私も、総長としていろいろ申し上げましたことを、とにかく全力をあげてその実現に努力をしてまいります。なお一そうひとつ御協力を賜わりたいと存じます。
  485. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) だんだんの御指示の点につきましては、私どもといたしましては、常に第一分科会におきましていろいろ実は承るのでありますが、これらの点につきましては、われわれ自身でできますことは早急にわれわれの手で解決いたして実施いたしますが、また、私たちの力の限度外におきましては、庶務小あるいは議運の理事会等へ早急にお託し申しまして御指示を仰ぎたいと思っております。
  486. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 最後に国会図書館。 国会図書館は、あれは衆参両院の管理になっておりますから、館長おられますけれども、職員の給与については、両院の給料表、制度をそのまま当てはめられておるのですか。
  487. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 国立国会図書館の職員も国会職員でございますから、国会職員に関する給与規程の適用があり、したがって俸給表もそれが適用されておるわけでございます。
  488. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、国会職員と同様なことになっておるのですね。
  489. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) そのとおりでございます。
  490. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それなら、もうこれから言う必要はないが、いま言うたことは館長よく御存じだと思いますが、これをきめる方法を知らないのですが、この改定するときに、国会図書館のものを一緒に議運へ出てあなたの案を出すんですか。国会職員についてはあなたのほうから出されるのですか、国会図書館の館長が案を。
  491. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 国会職員の給与規程につきましては、衆議院、参議院の事務当局及び私どものほうで十分協議をいたしまして、一つの成案を得まして、それによりまして両院の議院運営委員会あるいはは理事会、図書館小委員会等に付議をいたしまして、御承認を得ますればこれが実施されると、こういう運びになるわけであります。
  492. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一つ聞いておきますが、国会図書館の衛視ですか、あれは議警職になっておらないのですね。
  493. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 議警職になっておりますのは、議長警察権の作用をなす警察の権能を持った職員について行なわれておるものでございまして、国立国会図書館におります監視等は、警察の権能はございませんし、当然議警職の俸給表の適用を受けることはございません。
  494. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どういうことですか、国会の院の独立した警察権の及ぶ範囲というのは、厳格に言うと。安保のときちょっと問題になったのですが、この本館の建物内ということが、さく内か、あるいはわれわれの議員会館も含めておるんだろうか。これはどういうことなんですか。これは、館長でなくても、だれでもいいです。
  495. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  これはさく内ということになっておりまして、会館には議院警察権は及ばないことになっております。
  496. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 さく内と、それは有権解釈は院でされたのですか。私、ちょっとその点は、だから自分自分を責めることになるかしらぬが、安保のとき警察官の導入があったときはですよ、さく内はいいと、本館の玄関から厳格に言うと線まで引いて、これからは院内警察権の範囲である、いわゆる立法府の独立した治外法権の範囲はこうだということであったのですが、さく内ということですか、いまは。
  497. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これは議運の委員会でさようなことになっておりまして、さく内ということでございます。
  498. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、会館は、もちろん院内警察権の及ばない——逆に言うと、一般の警察権の及ぶ範囲ということですが、そうすると、会館の玄関に立っている衛視さんですね、これも国会図書館と同じように衛視さんになっているのですか。
  499. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) これは、参事たる衛視——参事たる形で向こうに出ているわけでございますが、もちろんその衛視は、さく外に出ておりますので、警察権は執行はできません。その意味で、衛視ではございますが、警察権は向こうでは執行できません。
  500. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこに矛盾があるんですね。国会図書館の衛視は、さく外だから、これは警察権が及ばぬから、議警職ではないと。会館の場合は、警察権は及ばないけれども、これは議警職だということになると、その点は同じ衛視から見ると、ちょっと不公平だと思うのですが、この点はどうですか。
  501. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答えいたします。  会館に参ります衛視は、そこに固定をしておりませんで、院内の衛視が交代でもって向こうに勤務するという体制になっております点が、図書館の衛視と申しますか守衛さんと申しますかとは違うと思います。
  502. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きょうは、私、警察権の問題の範囲とかなんとかそういうものを質問する趣旨じゃなくて、ちょっと聞いたのですが、これは衛視なりそういう人の立場に立って見ると、警察権が及ばぬから行政職(二)表でいいんだと。われわれから見ると、国会図書館におろうと、やはり国会の一つの衛視と申しますか議警職だいうと考えでおったのですが、会館は交代でかわるのだからそれで議警職を置いておく、国会図書館の人は交代しないのだから監視でいるというのですが、私はその考え方についてはちょっといま頭に来ないのですが、これはもうすぐ検討しますけれども、少なくとも待遇についてはある程度考えてやらぬと、行政職(二)表を撤廃されるということの約束——一応、約束と申しますか、誠意を持ってやることになっていますが、少なくともこういうことから見ると、早く行政職の(二)表というものを考え直さなければいかぬと思う。なかなかあの図書館の職員も、議員という——これは言うとおこられるかもしらぬけれども、なかなかものわかりのいい人がよけいおりますから、(笑声)なかなか図書館でも苦労すると思うんだ。そういうことで、やはり普通の図書館の職員とは違うので、その点、給与表を衆参両院の国会職員についてのものを準用をしていると思いますが、この点についても私は国会職員についてはもっと触れたいのですが、時間も過ぎましたので、ひとつ十分に先ほど述べました両院についての私の言ったことを勘案して処置してもらいたいと思いますが、館長の最後の答弁を承りたいと思います。
  503. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 国立国会図書館の職員はもとより国会職員でございまして、当館の職員も含めまして、国会職員一般の勤務の特殊性、あるいは勤務を遂行する上のいろいろな心労の多いことは、だんだんのお話のあったとおりでありまして、私自身も十分承知をしておるところでございます。したがいまして、先ほど、監視と、現在の議員会館等に衛視が似たような仕事をしている関係の御指摘がございましたが、まああれにつきましては、現在のような議員会館ができるまでは、両院ともそれぞれ守衛という形でやっておりましたので、ひとえに議長警察権を国立国会図書館に及ぼすのが妥当かどうかというような観点から来ておると思いますが、いずれ、衛視の者でないにせよ、私どもはその身分なり処遇が十全でなければならないということを常に考えておるものでございますので、先般の予算の問題につきましても、両院と同じく行政職第二表の撤廃を強く主張しておったものでありますが、現実の姿はこういうことでございますが、そういう方面につきましても両院と協調いたしまして重ねて努力をいたしたいと思っております。
  504. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、私、これで質問を終わります。大蔵省の次長はじめ長らくおっていただいて質問せぬと非常に恐縮だと思いますが、ただまあおってもらったというのは、私の国会事務当局との質疑応答を聞いていただいて、そして今後判断をして予算措置をしてもらいたいという意味においておってもらったんでございますから、その点は御了承願いたいと思います。したがって、そういう経緯を十分踏まえて、予算編成では十分ひとつ考慮をしていただきたい、これを希望しておきます。  これで私は質問を終わります。
  505. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常に時間が詰まっておりますから、予定よりずっと詰めて行ないたいと思います。  お伺いしたいのは、初めに調査室の問題ですが、調査室のほうの実際の空気というものは、まあ私どもが一番やっかいになっているところでありますけれども、どうしても非常に調査室長の中に高齢者がいる。そういう点で、人事的な若返りというか、そういう点に多少声が出ているようです。それで、同齢の人も非常な見えられておるわけですけれども、そこで、参議院の職員は一体何年まで、年齢でいえばどの程度まで調査室長等については考えておるのか、また、身分というものはどういう身分になっているのかという初歩的なことから伺いたいと思います。
  506. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 調査室に限ってでございますか。
  507. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ええ。
  508. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 調査室の専門員並びに調査員は、常任委員長が推薦をいたしまして、私が、事務総長が任命をいたすことに相なっております。その場合には、議運におかけして議長の御同意を得て任命するわけであります。  いまお尋ねの年齢につきましては、調査室長につきましては満六十五歳をもって定年といたしております。それから調査員につきましては六十三年をもって一応定年といたしておりますが、事務局等の職員との権衡等に照らしましての運用上、満計算等の手続がございまして、大体満六十四歳ということで退職いたしていただいておる、こういうことになっております。
  509. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 調査室以外のところはどうなっておりますか。
  510. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 調査室以外につきましては、事務局の職員につきましては一応六十三、それから用務課勤務の職員につきましては六十七をもって勧奨の年齢といたしておりますが、これも、先ほど申し上げましたとおり、満計算その他の運用の実際は一年延びまして、退職願う年数は、一般職員については六十四歳、それから用務員勤務の職員については六十八歳、また、その用務員の職員についてはまた特段の配慮が何カ月かなされております。
  511. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 室長の身分というのは、あれは特別職になっているわけですね。
  512. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 事務総長と同様の特別職であります。
  513. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 特別職ということになれば、政治活動の自由そのほかが全部認められている、こういうことですね。
  514. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 同様でございます。
  515. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 衆議院のほうでは、この室長についての任期というのをきめていらっしゃるのでしょうか。
  516. 久保田義麿

    衆議院事務総長(久保田義麿君) お答え申し上げます。  私のほうは、任期内規というものがございまして、一応四年、ただし再任を妨げないということで、大体三回までなれることになっておりますが、その間選考委員会というのがございまして、そのつど選考委員会の議を経なければならないということになっております。
  517. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 追加して申し上げますが、室長の人事につきましては、室長に任ぜられてから十二年目に一応当該委員長と御相談申し上げまして、議運の理事会にかけまして、自後もこれを存続させるかどうかということを決定する機会を持つことになっております。
  518. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 衆議院では、四年ということで任期が切れる、三回まではできる、いわゆる十二年ということ、参議院の場合は、十二年たってもさらにこれを延ばすことが可能だということですね。参議院では任期というのはないわけでしょう。
  519. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 満年齢が達します六十五歳に一応そこでストップされるわけでありますが、就任いたしてから十二年目に、まあ俗なことばでクリアランスと申しますか、その時期があると、こういうことでございます。
  520. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 十二年というのは、一つの任期が衆議院のように四年と切っていて三年連続して再任されたということで十二年、こういうことならば、中には四年で終わる人もある、八年で終わる人もあるということで、いわゆる調査室それ自体の人事というものが変わってくる、新しい風が入るということになるわけですけれども、参議院のように十二年間ぶっ通しということになれば、新しい風が入らない。特に調査室は議員にとっては一番大事なところですけれども、そこが新しい空気にならないで十二年もつながるということになれば、どうしても室の中の空気というものは沈滞ぎみになってくるということはわかっていることです。で、これは、なぜ衆議院と同じようにできないのかということですね。まあ参議院の議員の任期が六年だからということかもしれませんけれども、任期をきめるべきじゃないですか、四年とかもう少し詰めて。十二年じゃなくて、その辺の考えはどうなっておりますか。
  521. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 参議院の十二年を決定いたしました時期は、参議院の専門員として調査室長に任命された人材が非常に高年齢職員であったわけでありまするが、しかし、その割りに非常に優秀な人材がそろっておりましたので、それらを勘案いたしまして十二年ということに決定されたのであります。
  522. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 もっと詰めて、四年の任期というように、衆議院と同じようにはできませんか。
  523. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 一応常任委員会調査室人事刷新に関する要綱というものが議運の委員会において決定いたされておりますので、いま直ちにこれを改正するというようなことはちょっとできかねるわけでございます。
  524. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それはわかります。議運できまってくることでしょうから、わかりますけれども、しかし、制度としては、当然総長のほうからも、人事全体を見ていけば、これはもうぼつぼつ空気を従来のような空気でなく変えていくためにも考える必要があるんじゃないか。だから、あなたのほうからも今度は院自体として、議運のこともあるでしょうけれども、あなたの考えというのはできないからというのではなく、考え方はどうかということを聞いている。
  525. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) これは調査室の人材の養成とも非常に密接な関係がございますので、慎重に考慮いたさなければ相ならぬのでございますが、これは定年六十五歳との勘案もいたさなければ相ならぬわけでございまして、最近はそう早く、たとえば五十歳前に室長に任命されるというようなケースは少なくなっております。それらの点も考慮してみなければ相ならぬわけですが、いま早急にお答えする用意はございません。
  526. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 四年前から人事交流というのが行なわれることになったのですね。一部では、その人事交流制度があるためにしかたなしに人事交流をやっている、こういうような声があるようなんですね。そういう点はどうですか。
  527. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 人事交流につきましては、先ほど申し上げました調査室刷新の要綱によりまして人事交流をいたさなければならぬことに相なっておりますが、これはただ調査室だけにとどまる問題ではないのでございまして、私たちの事務局の各部課はもちろん、あらゆる分野において交流をいたすという方針を議運の委員会において御決定相なったわけですが、その線に沿ってわれわれは二度ばかり実施いたしましたので、いろいろな御批判もございましょうが、私の承知いたしておる範囲においては、若い諸君にとっては非常に好評をもって迎えられておるようであります。しかしながら、少し役付、高年齢の者にとっては、どちらかと申しますれば、非常に苦労の点が伴いますので、あまり気乗りしないような方もあるわけでありますが、何といたしましても人事の交流をいたさなければ調査室並びに各職場の刷新はできかねるのでありまして、その点につきましては、ここに御出席の国会図書館の館長、副館長の御協力を得て、大がかりな人事異動を二回ばかり行なって、今年が三回目の時期に相なっておるのであります。
  528. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 調査室の機能を高めるという、そういう目的が一つあったろうと思います、刷新ということは。しかし、いま一つは、本人があまり希望しない場合にはかえって逆効果を生む場合だって出るでしょうし、それから、簡単に動けば、簡単にまた一つの調査室がほかのところに動いていくということになって、人にとっても調査にとっても損失を生む、そういう点の効果というか、成果は、どうなっておりますか。
  529. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) それらの点につきましては、交流直後におきましては御心配のような能率低下ということも考えられないことはなかったのでありますが、調査室のいろいろな諸君の意見を聞いてみますと、調査室長によって調査の方針が非常に違っておりまして、別の調査室長のもとにいくと、また別の気分で勉強ができるということで、非常に喜んでおる職員が多いようでありまして、交流の効果があったと私は思っております。
  530. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 人事交流につきましては、一つには確かに総長の言うような効果もある。一方において、よく気をつけないと、一つの調査室でせっかく専門的な知識が長期的に付与されてきた、それが今度ほかに調査員が動いて、そのために自分自身としても能力的に多少心配になってくる、そういうような心配というもののないように私はやっていただきたいと思います。
  531. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 御指摘の御心配は十分私も了承しておりまして、交流にあたりましては本人の十分なる意見を聞いて行なっておるような実情でございます。
  532. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今度は別の問題ですが、その調査室の質的な問題ということになると、議員とも直結しているだけに、かなりの書籍購入、現地調査もやらさなければならぬと思う。実際に現在調査室についている書籍購入費というのは、今度の予算で配分されるのはどのくらいですか。また、増がどのくらいですか。
  533. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) お答えいたします。  図書の購入費といたしましては、図書の購入及び新聞雑誌類あるいは法令集の追録というものがございまして、予算上これだけが図書費であるというものは出てまいりませんけれども、積算の基礎といたしましてついております調査室の図書購入費は、わずか二万九千円でございます。それで、調査室だけの図書購入費をもっていたしましては、とうてい図書、資料が購入できませんので、事務局全体といたしまして、事務局全体の庁費が四千五百万余でございますが、そのうち一割強の五百六十万余円をもちまして大体従来の実績を勘案いたしまして配付をいたしておるわけでございます。その中で、調査室につきましても、そのつど御要望に応じて図書、資料の購入を認める、こういうやり方をいたしておりますので、明らかに前年度より今年度がどうなっておるかはちょっとお答えできかねるわけでございます。
  534. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この五百六十万は四十一年度ですね。
  535. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 四十年度の実績でございます。
  536. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 四十年度の実績の五百六十万のうち、調査室に配分になったのはどのくらいですかわかりませんか。
  537. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) ちょっと図書購入費のうち調査室の分はわかりませんが、大体このうらで図書を購入いたしましたのは約七十万円でございます。で、これは事務局合わせてでございますので、調査室がどのくらいかは、ちょっと集計はございません。
  538. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現地調査費なんかの旅費はどの程度ついていますか。
  539. 佐藤吉弘

    ○参事(佐藤吉弘君) 調査室の諸調査旅費として計上してございますのは、百六十五万九千円でございます。これは、前年度は、節約がございましたので、若干減っておりましたが、今年度は、その節約分が戻っておりまして、前年度の当初予算と同額でございます。これを今度の鉄道運賃の値上がりを見まして、一四%の増になっております。で、調査室にはこの予算を各調査室ごとに配分をいたしまして、その中で運用してもらっておるわけでございます。ただ、このほかに、議員に随行いたしまして調査いたします費用は、別に随行旅費としてついているわけでございます。
  540. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いずれにしても、質的な向上を考えるとするならば、図書の購入費等についても、積算の基礎は二万九千円と、こういうふうじゃ話にならないですけれども、図書だけで七十万、そのほかのものがどのくらい行っているか、それはわかりませんけれども、全体のあれだけの調査室の規模から考えると、非常に少ないように思う。ウエートはむしろこういうほうにかかってこなければならぬと思うんですね。調査室とかそういうようないわゆる調査機関になっているわけですから、その点、さらにこれを増額させる必要があるだろうと私は思うのです。その点についてはどうお考えですか。
  541. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) ただいま申し上げました正式の図書購入費のほかにも、いろいろな調査室の要望に応じまして特別な経費を支弁して、その間のなにを合わせるように努力はいたしておるわけでございます。
  542. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 努力しておりますはわかりますけれども、調査員の人に聞いてみると、とにかく間に合わないということです。実際問題が、われわれが調査を依頼してみても、実際に書籍等が間に合っていない。現地にも行ってみなければどうも答弁できないようなものもある。しかし、旅費のほうには制約があるのでつらいということが絶えず言われるわけです。そういう点で、努力をいたしております。というような考え方じゃなくて、これはもっと大幅にふやすように院自体として努力しなければしょうがないでしょう。それを言っているわけです。ただほかのほうからやりくりして何とか考えていきますなんというふうじゃしょうがない。今年度予算では間に合わないとしても、この次には大幅にふやすという努力を本気にするということでなければ困る。
  543. 宮坂完孝

    ○事務総長(宮坂完孝君) 次の機会にも十分努力いたします。
  544. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国会図書館関係について、一つだけ聞いておきます。  現在の書籍の中で、未整理のものはどのくらいありますか。
  545. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 未整理、それから現在受け入れもしてないもの、合わせまして約二十五万冊ございます。そのうら、未受け入れのものが約十四万数千冊になっておったかと存じます。
  546. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはいつごろまでに整理ができるのですか。どのような対策を考えていますか。
  547. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 国立国会図書館に整理、受け入れがされてない図書がありまして、一般の利用、閲覧をしていただくわけにまいらぬということはまことに私どもとして申しわけないことと存じまして、昨年特別委員会を館内につくりまして、これが処理の計画を綿密に練りまして、本年度の予算におきましては、非常勤職員十一名、賃金形態の職員十二名の予算を得まして、これをもって整理の第一年度として発足し、作業の実施状況を見てまたいろいろ勘案しなければならぬ点もございますが、おおむね五カ年をもって現在の未整理、未受け入れの図書の整理を了したいと存じております。
  548. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それから、中には貸したままで紛失したものというのがあるだろうと思うのです。その点については、相手が議員の場合もあるでしょうし、職員の場合もあるかもしれませんけれども、厳重に弁償させて、その本を返させなければならぬ。その点についての実施状況なんというのはどうなっておるのですか。これは私は一つの例を取り上げて申し上げたいのですが、昭和の終戦直後の雑誌類というのは、カードには確かに図書館内にはある。しかし、その書籍が全然ない。さがしようが足りないのかどうかしりませんけれども、欠番になっておるわけです。当然そこになければならない、何冊かずつになっているですから。それが、カードにはあるけれども、手元には閲覧をすることもできない。一体、そういうようなのが、ずいぶん前のことかもしれませんけれども、紛失したのか、あるいはどっかにまぎれ込んでいるのか、全然わからない。そういうことでずいぶん困ったことがあるんです。それだからなおのこと伺いたいわけですけれども、そういう紛失したものについて相当はっきりした処分というものをとらなければならないだろうと思います。それについての方針はどうなっておりますか。
  549. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 現在、あるべき図書がない、あるいは見つからないというようなことは間々あることでありまして、心を痛めておる次第でございます。そういう際に、それの原因につきましては、三名の常時点検の班というものがございまして、そういう出納をしようとしても出てこない本の行くえを探求をいたしております。それで、それが紛失がはっきりいたしました場合においては、これをさらに同じ本を入手することにつとめますとともに、その紛失した原因等についてはっきりいたしますれば、お話のごとくいろいろな処置も講じなければなりませんけれども、その紛失した状況によって個々に考えておるのが実情でございます。
  550. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま、三人だけでもって、そういうようないわゆるカードはあるけれども本がない、あるいは、整理された雑誌がない、こういうのは、どのくらいあるのですか、数量にして。
  551. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 紛失した、あるかないかわからぬというようなことでその数がどれだけかということを数の上からとらえることは困難でございますが、それがわかることは、閲覧を申し込まれましてこれを出納をするという際に現実にその図書を出し得ないものがどのくらいあるかということで一応判断をしておるわけであります。これは、この数年来、八・八%ないし九・六%の線を上下いたして、いわば横ばいの状態になっております。もちろん、出納ができなかったと申しましても、すでに閲覧者が借り出して館内で読んでいる場合、あるいは一般の閲覧室以外の特別閲覧でこれを借りてきて読んでいる場合、それから図書館間貸し出しということでほかの図書館にこれを貸し出しておる場合、あるいは本がいたんで製本のほうへ回っておる場合、それから閲覧を求めようとする本人がスリップといいますか、請求表に誤記をして、そのためにどうしてもさがし出せないというものがございます。そういうものが全体の約半分は占めておるようでございまして、現実にその出納部面の点を追及いたしましても、どうも本がなくなっているのじゃなかろうか、いわゆる出納がはっきりしないというものは、さっき申し上げた八・八%ないし九・六%のさらに半分くらいの率になっていると思います。それで、蔵書の数二百万冊をこえるような大きな図書館におきましてはある程度のそういう数が出ることはやむを得ないというふうにも聞いておりますが、私ども責任者としては、さらに努力をいたしまして、こういう数が減少するようにつとめたいと思っております。
  552. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 三人で間に合いますか。
  553. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) この問題と本格的に取り組みますには、私は三人というのは十分な数ではないと思っております。その他、そういった現に出納ができなかった場合にそのあとを追及するという以外にも、あらかじめいろいろな書庫の乱れを直す方策を講ずべき必要があろうと思います。ただ、その方法いかんによりましては相当長期にわたって休館をしなければならないというような観点も出てまいりまして、必ずしも国立国会図書館として実際的ではない方法にもなることがございます。それで、私どものいまの考え方といたしましては、昭和四十三年に第二期工率が完成し、書庫も大幅に増大をいたします。そういう際を目途として、何らかもう少し根本的な方策を講じてみたい、さように存じておる次第でございます。
  554. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 あと一つだけにとどめておきますけれども、現在の外国雑誌ですね。いわゆるアメリカの雑誌等は、これはエアメールですか、それとも船で来るというどちらをとっておりますか。
  555. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 雑誌は船で参っておるはずでございます。新聞につきましては、エアメールで参っておるものもございます。
  556. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで、実際にぼくたち議員が使うときにすぐ思うのですけれども、非常におくれるわけです。船の場合ですと、二月なり三月なりというのがざらです。すでに外電では入ってくるような状態のものも、雑誌そのものが国会図書館に着くのは非常におそい。それが非常に不便を感ずるわけです。これは当然エアメールにしなければならない。特に知名な雑誌というのはさまっておりますから、そういう点は今後どういうふうになさろうとするのですか。私どもとしては、ぜひそうしてほしい。また、そういうふうな予算要求をすべきであろうと思います。
  557. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) お話の趣旨は、よく理解できることでございます。私どももつとめて早く外国の重要な雑誌は入手をしたいと存じております。むろん、経費その他の関係で簡単にまいりませんが、私いま的確には存じませんが、あるいは雑誌でもごく少数はエアメールで来ているかもしれないという話でございますが、これからの努力といたしましてはそういうことを増大してまいりたいと思っております。
  558. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次の予算の要求のときには出せるわけですね。
  559. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 現在、洋雑誌で当館に入っておりますのは、約一万二千タイトル、種になっております。それで、非常に客観的に見て重要性がはっきりしておって、ほかのものはともかく、これだけはぜひというようなことがいろいろな観点からはっきりできるような場合には、そういうものの早期の入手ということについてさらに努力をしてみたいと思います。一般的に申しますと、さっき申し上げたようなタイトル数になりますので、それについてエアメールをということはちょっと無理かと思っております。
  560. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私の申し上げたのも、「U・S・ニューズ・アンド・ワールド・リポート」のような、そういうポイントになる雑誌ということですから、その点は誤解のないように、いわゆる一般学術書のようなものまでエアメールということではたいへんなものになるということはそれはよくわかります。
  561. 田中寿美子

    主査田中寿美子君) 国会図書館に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。明日は、午前十時から開会することとします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時十四分散会      —————・—————