運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-31 第51回国会 参議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十一日(木曜日)    午後七時十四分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      和田 鶴一君     松野 孝一君      羽生 三七君     亀田 得治君      佐多 忠隆君     森 元治郎君      矢山 有作君     永岡 光治君      春日 正一君     岩間 正男君      山高しげり君     林   塩君  三月三十日     辞任         補欠選任      林  虎雄君     大森 創造君      永岡 光治君     矢山 有作君      林   塩君     石本  茂君  三月三十一日     辞任         補欠選任      赤間 文三君     青田源太郎君      大森 創造君     林  虎雄君      浅井  亨君     小平 芳平君      岩間 正男君     春日 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 亀田 得治君                 鈴木 一弘君     委 員                 青田源太郎君                 青柳 秀夫君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 梶原 茂嘉君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 田村 賢作君                 内藤誉三郎君                 船田  譲君                 松野 孝一君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 林  虎雄君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 鬼木 勝利君                 黒柳  明君                 小平 芳平君                 石本  茂君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵省主計局長  谷村  裕君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○主査報告     —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日岩間正男君が辞任され、その補欠として春日正一君が選任されました。     —————————————
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行ないます。互選は投票によらないで便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、理事亀田得治君を指名いたします。     —————————————
  5. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  本日は、各分科会における審査経過について、主査の方から御報告を承ることにいたしたいと存じます。  それでは、便宜第一分科会主査田中寿美子君からお願いいたします。
  6. 田中寿美子

    田中寿美子君 第一分科会における審査経過を御報告申し上げます。  当分科会担当は、昭和四十一年度予算三案中、皇室費国会、裁判所、会計検査院内閣総理府防衛庁経済企画庁科学技術庁を除く)及び法務省所管並びに他分科会所管外事項であり、三月二十九、三十、三十一の三日間にわたり、関係大臣及び政府委員より説明を聴取した後、慎重に審議を行ないました。  以下質疑の概要について御報告申し上げます。  皇室費につきましては、伊豆の下田に御用邸を新設する計画があると聞くが、土地取得については、十分に留意すべきであるとの質疑がありました。  これに対し瓜生宮内庁次長より、伊豆方面御用邸を求めることは望ましいが、候補地の選定、取得等については、慎重に行ない、いやしくも、これを機会に不当な利益を得るものが出るというような誤解を招くことのないよう注意してゆきたい旨の答弁がありました。  国会所管につきましては、三権分立のたてまえから、新設の内閣人事局国会職員身分給与等に関与できる限界国会職員の待遇問題に関し、国会独自の給与表必要性、行(二)職の撤廃議警職前歴加算速記職俸給表抜本的改正国会図書館の未整理書籍整理方針等について質疑がありました。  これに対し、久保田衆議院事務総長宮坂参議院事務総長河野国会図書館長及び増子人事局長より、立法府の職員身分給与は、国会職員法及び国会職員給与規定によって定められることになっており、行政府人事局国会人事給与等に容喙する権限はない。ただ一般職及び他の特別職公務員との均衡をはかるという点から、意見を述べることがあっても、最終的には国会の意思で決められるべきことである。国会独自の給与表必要性は痛感しているが、近年の公務員給与体系は、複雑で専門化しており、なかなか独自の案を作成することがむずかしいため、人事院の俸給表に準じて作成しているが、今後さらに検討して理想の俸給表をつくりたい。行(二)表の撤廃はかたい決意で進めたい。明年度特殊職員という形で欠陥を補ったが、すでに限界にきている。議警職前歴加算は、職場で混乱を起こす危険もあるので、弊害の発生を最小限にとどめる方向検討したい。速記職俸給表についても、全面改正の時期にきていると考えているので、慎重に検討してゆきたい。図書館の未整理図書は二十四万冊余であり、整理委員会をつくり、五カ年計画で、非常勤ながら専任の職員も配置して、鋭意これが解消に努力中である旨の答弁がありました。  会計検査院につきましては、国有財産の売り払いが行なわれた際に、用途指定がつくのが普通だが、検査院は、その後の使用指定条件を順守しているかいなかをどの程度検査しているか等の質疑がありました。  これに対し白木会計検査院事務総長より、用途指定財産の売り払い後の使用状況については、常に関係官庁から実情を聴取し、また現状の把握につとめているが、職員の数等の制約もあり、行き届きかねる面もあるので、一そう注意を払ってまいりたい旨の答弁がありました。  総理府所管につきましては、沖縄漁船には現在日本国旗を掲げておらず、国際的には、破損(故障)船の標識となっているデルタ旗を掲げて運行しており国籍が不明である。そのため過去に外国軍艦に砲撃されるという不幸な事件が起きたが、その後の事件処理状況及び沖縄漁船日の丸を掲げるべきではないか。また、沖縄援助実績並びに今後の経済自立の方策、さらに沖縄への出入国制限等について質疑がありました。  これに対し、安井総務長官並びに政府委員より、沖縄漁船日本国旗を掲げることは、わが国船舶法制限もあり、また施政権を持つアメリカ高等弁務官の布令で修正したデルタ旗を掲げることになっているので、法律上はむずかしい。しかし、潜在主権を持ち、乗り組み員は日本人であり、制限的とはいえ沖縄公共の建物に日の丸を掲げているのだから、船舶についても日本国旗を掲げるよう努力したい。インドネシアの軍艦に砲撃を受けた事件は、三十八年に補償額四万五千ドルで一たん妥結したが、翌三十九年に先方が再検討を希望し、結局四万四百十六ドルで話し合いはまとまったが、その後のインドネシヤの経済危機政局不安等が災いして補償問題は片づいていない。補償問題は施政権を持つ米国が第一義的な外交保護権を持っているわけだが、わが国としても、外務省を通じ、事案の解決を促進するよう一そう努力したい。沖縄援助実績は、三十五年に開始されて以来、明年度予算五十八億円を含め約百四十億円となる。また沖縄経済自立のためには、砂糖、パインの特産物中心に、今後農業の多角的経営を推進する方向で指導し、さらに金融等についても、従来米国金融にたより過ぎていた傾向を改め、わが国輸出入銀行を通じて、金融面拡大強化をはかってゆきたい。沖縄への出入国については、特に制限しているということではないと思う旨の答弁がありました。  公正取引委員会につきましては、最近の消費者物価の大幅な騰貴に関連して、公取カルテル等独禁法除外例の取り締まりの姿勢は、消費者保護方向よりも、産業界や、メーカーの要請にこたえる方向に傾き過ぎているのではないか、また、国際競争力強化のためということで、企業合同が従来の企業系列金融系列を越えて積極的に進められようとしているが、合併に伴う独占化弊害が強く感じられるとして、合併に関する公取基本方針合併基準をただした質疑等がありました。これに対し、北島公取委員長より、カルテル行為等に対する公取の態度は、決してメーカー利益を重視するというような片寄ったものでは毛頭ない。あくまでも、私的独占禁止、不当な取引制限、不公正な取引方法禁止を通じ、自由競争を促進するという法の精神に従って行政を行なっている。昨今の消費者物価上昇は問題だが、公取価格統制機関ではなく、自由な競争を通じて消費者保護がはかられることを任務としている。各種カルテルや再販売契約等については、消費者保護の見地から再検討必要性を痛感しており、慎重に検討したい。企業合同については、独禁法第十五条の主旨に照らして判断するが、市場占拠率は二五ないし三〇%を一応の目途とし、ケースバイケースで扱い、いやしくも不公正な取引自由競争を実質的に制限することのないよう十分に注意してゆきたい旨の答弁がありました。  行政管理庁の関係につきましては、各種調査会審議会等活動状況委員選任方法委員兼任実情不要不急委員会整理統合等について質疑がありました。  これに対し福田長官及び関係政府委員より、審議会等の数は現在二百九十一あり、その活動状況はまちまちであるが、過去三年間に総会の開催が年一回未満のものが、三十五もあった。委員選任は有名人に片寄ったり、特定の役所の次官であるというようなことで、五十余の委員会委員を兼ねているような弊害も見受けられるので、再任等機会に改めていきたい。各種委員会等の統廃合は昨年八月以来行管としても積極的に取り上げており、現在までに三十三の整理を行なったが、今後さらに七十ないし八十程度統合廃止等整理を断行したい旨の答弁がありました。  法務省所管につきましては、中国代表団入国を拒否した法律上の根拠、非行少年等保護観察について、制度上は主役たるべき観察官が不足しているため、事実上民間人たる保護司にまかされているという現状をどう改善するか、また鑑別所予算が不足して、最低基準テストすら行なっていないところがあると聞くが、その対策等について質疑がありました。  これに対し石井法務大臣並びに関係政府委員より、中国代表団入国拒否については、未承認国からの入国は認めないのが、国際的な慣習で、認めるのは、恩恵ないし友好的な特別な配慮を加えた例外の場合である。今回の中国代表団は、外交問題が話し合い中心であるとはいえ、国内問題への影響が大きいと考えられ、入国を認め、結果的に内政不干渉の範囲を出ることも心配され、勢い日中関係を悪化させることをも心配して入国をお断わりした。今回のことで、日中関係は一歩の後退を余儀なくされるが、もう一度築き直すほかないと考える。保護観察官は全国で六百八十一名で、一人当たりの件数は百六十から百七十件を担当しており、過重負担現状にあり、その結果、どうしても保護司にたよることになる。抜本的な対策観察官の増員が必要だが、当面、事件種類別に分け、観察官保護司担任区分を行なうとか、観察開始二カ月位を観察官が取り扱い、観察の推移と効果を見きわめて保護司に移す等のくふうをこらし改善をはかっていきたい。鑑別所テストについては、予算不足検査ができないというようなことはない。知能検査人格診断テスト等は必ず実施している。文章完成法質問法等の新しいテスト法は、版権の関係もあって費用がかかるので、三十八年文章完成、四十年質問法をそれぞれ法務省が独自で開発完成し、これを実施して費用の節減をはかっている。今後一そう研究して、非行少年性格調査に適したテスト法を開発実施してゆきたい旨の答弁がありました。  このほかにも、各所管事項にわたり、熱心なる質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上御報告申し上げます。
  7. 石原幹市郎

  8. 北畠教真

    北畠教真君 第二分科会における審査経過報告申し上げます。  第二分科会は、総理府のうち防衛庁経済企画庁科学技術庁並び外務省大蔵省及び通産省の各所管に属する昭和四十一年度予算担当いたしました。  審査は二十九日、三十日及び本日の三日間にわたり、各所管大臣より説明を聴取し、この間熱心に質疑を行なってまいりました。  以下それらの質疑のうち、おもなものについて申し上げます。  まず、経済企画庁所管に関し、政府経済見通しによれば、四十一年度の国民総生産は、三十兆八千五百億円となって、前年度に比し、三兆一千三百億円の増加となっているが、これは四十年度の対前年度増加額二兆円に比較して約一兆円多くなっている。この増加をもたらすために、財政支出に大きなウエートをかけているわけであるが、四兆円、あるいはそれ以上といわれるデフレギャップを埋めることはとうていできず、財政の一兆円分だけの有効需要増加だけにとどまるのではないか。  また、公共事業を上期に集中して行なうとしているが、その効果があらわれない場合、下期に非常に大きな問題が生ずることになりはしないかとの質疑がありました。  これに対し、経済企画庁長官より、大筋とすれば、デフレギャップは今年一年で全部が埋まるものではないし、また、一年で全部埋めることが好ましいともいえない。政府需要をつけても五百億円しか設備投資がふえない見通しであるが、景気の先行きが回復すれば、積極的なものが出ないとも限らない。ふえ方は少ないけれど、設備投資中小企業に回っていくことが好ましい。景気の動きを見ると、四十年度の上期には成長率がゼロであったが、後年から相当伸び、年度を通じて二・七%となっている。この上昇した過程に、四十一年度上期の公共事業費支出をつないでいく考えで、生きた金として出ていくかいなか景気回復の勝負で、政府としても推進本部をつくって強力に実施していくよう準備している旨の答弁がありました。  また、物価問題について、消費者物価は、今年の三月の水準でそのまま推移したとしても、年度間ではかなり高い上昇率となると思われる。国鉄、郵便料金医療費とメジロ押しに値上げが続けば、値上がりムードを生むのは当然で、五・五%の上昇率に押えることは困難ではないか。さらに、卸売り物価も昨年八月以降上昇し続けていて、このような上昇の底流には操短——自主調整が働いていると思われるが、今後、大型予算影響で鉄鋼、セメントが上がってくるとなると、ますますもって消費者物価を五・五%に押えることは不可能となるのではないかとの質疑がありました。  これに対しては、年度間の上昇率を五・五%に押えるためには、今年の三月の水準から三%以内の上昇率にすることが必要である。非常な困難を伴うし、また構造上の問題もあって急速にきくというわけにはいかぬが、生鮮食料品については流通機構を整備するとか、中小企業制品サービス料金等については、合理化近代化を進めるといった適切な施策を通じて、全力をあげて目標を達成するようにしたい。公共料金については、国立学校授業料は上げないで、延ばした事例もあるごとく、極力押えており、赤字等現状からやむを得ないものに限っている。卸売り物価上昇は銅を中心とした非鉄金属国際的値上がりと、米の値上がりによるものである。操短影響もないことはないが、それは一時的であり、回復すれば解除していく方針である旨の答弁がありました。次に防衛庁所管に関し、中共核装備に対して、アメリカ核抑止力にたよると発言しているが、核問題に対しては、わが国らしく考えることが必要で、単にアメリカに追随することは好ましくないし、また、防衛力について国際情勢の変化に応じられる選択の自由を残しておく必要があるのではないかとの質疑がありました。  これに対し防衛庁長官より中共核装備は、アジアにおいて前例のない脅威である。いま直ちに核戦争が起きるとは考えないが、それに対する対策考える必要がある。しかし、日本の場合、核に対して核で防御することはできないので、その面は日米安保条約でいくわけである。装備兵器選択については幅を残しておくつもりであるが、安保そのもの必要性はむしろ増大していると考える旨の答弁がありました。  さらに防衛懇話会において三次防における装備国産化に関し防衛庁長官が行なった発言について、その内容はどういうものか、国産化比率はどの程度を予定しているのか、三次防は軍事産業を通じて景気刺激を行ない、わが国経済を死の商人とするものではないかとの質疑があり、これに対しては、第三次防衛計画は最終的に固まったわけではないが、戦車約四百両三百億円、輸送機約五十機五百億円、地対空ミサイル、ナイキ三個大隊分四百億円、同じくホーク四個大隊分四百億円、艦艇七万トン約千五百億円、航空機五百機約四千億円、合計七千百億円程度国産化が可能かどうか研究課題として話をしたものである。国産化比率は八〇%以上にしたい考えである。国産化を進めても、わが国経済の規模の一%にも当たらない額であり、経済が軍需化するという見方は当たらない旨の答弁がありました。  次に、科学技術庁所管に関して、わが国におけるウラン濃縮研究現状について綿密な質疑が行なわれ、それによってわが国濃縮ウランは、平和的にのみ利用されるのであるから、低濃縮でもかまわないが、価格的に競争できるものであることが必要である。現在、原子燃料公社遠心分離法による濃縮研究が行なわれ、第二号機の実験をしている段階である。四十一年度はその改良と三号機の設計に入る予定である。このように基礎的研究を進めている段階であるが、十四、五年先に国際的に競争できるようにすることが一応のメドであるなどの諸点が明らかにされた。  次に、大蔵省所管に関して、政府はかつてない大幅な減税を行なった。これによって家計、企業貯蓄に役立つとしているが、物価上昇の分を調整すべき額が約三百億円にものぼるので、自慢すべきほどのものではない。最近の調査によれば、物価上昇のため貯蓄が困難になった層がふえており、個人の蓄積に役立たないと思われるがどうか。また税の特別措置時限立法でつくられているが、延期され恒常的になってしまっている。弾力的に運用すべきでないか。特に利子配当所得分離課税は、税負担の公平を阻害するデメリットが大きいから、一度に廃止までいかないとしても条件を強化して、段階的になくす方向に向こうべきでないか、との質疑がありました。  これに対して大蔵大臣より、貯蓄物価上昇によって阻害される面はないとは言えないが、それだからといって減税が無意味ということにはならない。物価上昇を消して余りある効果を発揮すると考えているのである。特別措置については固定化する考えはない。しかし、期限がきたからといって直ちに廃止するのではなく、経済状況、政策の効果を見て判断すべきである。利子配当所得分離課税についても、期限は来年であるが、撤廃したらどのような影響があるかも十分考えて真剣に検討したい旨の答弁がありました。通産省所管につきまして、中小企業対策予算の伸びは高く、努力のあとが認められるが、金額的には同じ低生産部門農林予算に比較してはるかに少ない。もっと画期的にふやすべきではないか。また、過去の中小企業高度化資金近代化資金にかなり使い残しが出ているが、これは政府施策が頭の中で考えられていて、中小企業者の肌で感ずるものと異なった机上の空論となっているのではないかとの質疑があり、これに対して通産大臣より、中小企業に対する予算は三八%も伸びており、飛躍しない予算の例から見れば最大限の増大である。今後も中小企業に対する施策は一段と充実させたい考えである。農林予算と比較すると、少ないようであるが、金融面農林関係は千五百億円であり、中小企業には五千億円ついているので、違いはほとんどないと思っている。中小企業に対する施策が末端の零細企業にまで浸透せず、予算の使い残しが出ている点も確かにあるので、明年度巡回診断制度を強化するなどの手を打っていきたい旨の答弁がありました。  外務省所管につきましては、第五三海洋丸事件を見ると、外交ルートを通じて正式に交渉するのではなく、政治的に解決しようとする姿が見られる。違反の有無を確認することなく、何となく帰って来たことになっている。両国の友交関係からないことにしようなどという、あいまいな解決をすることなく、専管水域に入ったかいなかはっきりさせるべきであると思うがどうかとの質疑があり、外務大臣より、現在までは何はともあれ釈放することを主に要求してきた。船長が釈放されたので、事実関係をよく聞いて対処したい。うやむやにするようなことはしないつもりである。将来再びこのようなことのないように、事実認識が食い違わないための処置、たとえば、共同パトロールなどを考えて対処したい旨の答弁がありました。  このほかにも各所管事項にわたって熱心なる質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。以上御報告申し上げます。
  9. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、第三分科会主査井川伊平君からお願いいたします。
  10. 井川伊平

    井川伊平君 第三分科会における審査経過を御報告申し上げます。  第三分科会担当は、昭和四十一年度予算三案中、郵政、農林、運輸、建設の四省所管に属するものであります。  分科会におきましては、二十九日に郵政省、三十日に農林省及び運輸省、本三十一日に日本国有鉄道及び建設省の順に、それぞれ所管予算について提案理由説明を聴取し、その後質疑を行なったのであります。連日深夜に及ぶまで慎重に審査を行なってまいりました。以下質疑のおもなものについてその要旨を御報告申し上げます。  まず、郵政省所管予算につきましては、郵便料金は七月から値上げされることになっているが、値上げをしないための内部努力はなされたのかどうか。値上げをしないとすれば、特別会計の赤字はどのくらいになるのか。また、値上げによる増収額とその使途の重点は何か。今回の値上げによって、今後何年くらいは値上げをしないで済むと考えるか等の質疑がありましたが、これに対し、郵政省側から、値上げに至るまでの努力としては、内部の節約、財政投融資等、あらゆる面から検討したが、これにもおのずから限度があり、やむを得なかった。値上げをしない場合の赤字額は、四十一年度二百億円を上回るものと見込まれ、料金値上げによる四十一年度の増収額は、二百八十六億円であるが、その使途は、過去の赤字解消、人件費、物件費の増加分を差し引き、残り八十二億円が局舎その他郵便事業の近代化の経費に充当される。今後の値上げについて、政府景気回復、物価安定策を考慮すると、三年ないし五年間は上げないで済むと思う旨の答弁がありました。  電電公社の予算につきましては、公社の財政状況を見ると、他人資本としての債務は増加の傾向にあるが、その返済については方法が考えられているのか、減債資金の積み立て等を考えた場合の、ここ数年間の事業収支はどのようになるか、また、政府公共事業促進策、中小企業への需要拡大策等については、電電公社はどのような配慮をしているか等の質疑がありましたが、これに対し、公社側から、債務の返済のについては、毎年計画に従い、予算に計上しているが、四十五年度以降になると、年に千五百億程度の償還が必要となるので、検討中であるが、この一番大きな部分を占める加入者債券については、減債引き当ての積み立てを考えると、今後七年間で九千三百億円の金が必要となり、これを含めた事業収支は、七年間で一兆六千五百六十四億円の欠損となる。また、公共事業促進策については、公社関係は、標準契約率を上回る九〇%を九月までに完了する見込みであり、中小企業に対する配慮も十分考えている旨の答弁がありました。  次に、農林省所管予算につきましては、水銀農薬は、いもち病対策の特効薬として果たした役割は大きいが、反面において国民の食生活に不安を与えている点は無視できないので、すみやかに科学的根拠に基づく結論を出すとともに、低毒性の農薬の開発を計画的に進めるべきではないか。また、今年度から、土地改良についての長期計画が定められることになったが、これにより農民等に過重負担となるようなことはないか。その事業規模、負担割合はどうなっているか等の質疑がありましたが、これに対し、農林省側から、水銀農薬の人体に及ぼす害毒については、まだ的確な結論を得ていないが、でき得るならば使いたくないという方針のもとに、低毒性農薬の開発に努力している。土地改良長期計画については、事業規模は、十カ年で二兆六千億円、うち行政投資は二千三百億円、地元の負担割合は二割である。また、農民負担については、国費の立てかえ払い、償還期限の延長等、負担軽減について配慮がなされている旨の答弁がありました。  次に、運輸省所管予算につきましては、全日空遭難者の遺体引き揚げ、遺族に対する補償、原因の究明の状況はどうなっているか。四十年度の補正予算の編成に際しては、航空機の検査関係費や、器材購入費が、財源捻出のため削減されているが、こういう絶対必要な経費を節約するのは筋違いではないか。また、海上保安庁の予算は、漁船保護、海難救助等に必要な予算が十分確保されていないのではないか。港湾五カ年計画の進捗状況はどうなっているか等の質疑がありましたが、これに対して運輸省側から、全日空の遭難者の引き揚げは、まだ四遺体残っているが、全部引き揚げるまではやめない方針に変わりはない。補償については、とりあえず葬祭料四十万円をあげてあるほかは、捜索続行中のため、措置はとられていない。事故原因の究明については、メドはついていないが、一日も早いことを望んでいる。また、補正予算の財源捻出のため、航空機の安全関係の経費を削減するようなことは今後繰り返さないよう注意する。保安庁予算については、十分とはいえないが、毎年若干ずつふえており、巡視船艇の増強等については、今後も一そうの努力をしたい。港湾五カ年計画の進捗状況は、四十一年度分を加えて事業費ベースで二九・六%になる旨の答弁がありました。  国鉄予算につきましては、運賃値上げ法の成立遅延による収入欠陥はどのようにして補てんするのか、なかんずく企業努力による増収分ははたして確保できるのか。新幹線に運転休止が多いが、安全確保対策に欠くる点があるのではないか等の質疑がありましたが、これに対し国鉄側から、運賃法の成立遅延に伴う収入不足額は七十三億円であるが、うち四十三億円は内部の努力により捻出し、残り三十億円については、短期借り入れ金で対処することとし、すでに大臣の認可を得ている。増収分についても確保できると考えている。新幹線の運転休止は、速度の関係から必要以上に慎重を期しているためであり、安全輸送を第一にしているので、今後事故は少なくなると思う旨の答弁がありました。  最後に、建設省所管予算につきましては、道路整備は、これまで幹線中心に進められてきたため、市町村道等の整備がおくれ、総体として道路の機能を害しているが、今後は市町村道等の整備に重点を移していくべきではないか。また、住宅については新五カ年計画により六百七十万戸の建設が見込まれているが、宅地造成は確保されているのかどうか等の質疑がありましたが、これに対し建設省側から、道路については、今後幹線中心主義を是正していく方針であり、五カ年計画改定の際は、市町村道等に重点を移していきたい。住宅五カ年計画の建設規模六百七十万戸については、建てかえ、増築等も含まれているが、宅地造成については、既往五カ年間の一億坪に対し、公的分、民間分合わせて一億五千坪の造成を考えており、民間分については、融資等助成の道も考えられている旨の答弁がありました。  このほか各予算を通じ、あらゆる方面から熱心に質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして、第三分科担当予算全部の審査を終了した次第であります。  右、御報告申し上げます。
  11. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、第四分科会主査鬼木勝利君からお願いいたします。
  12. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 第四分科会における審査経過を御報告申し上げます。  本分科会担当は、昭和四十一年度予算三案中、厚生、労働、自治及び文部の各省所管に属する予算でありまして、二十九、三十日と本日の三日間にわたり、関係大臣並びに政府委員から、それぞれ説明を求め、慎重に審議を行ないました。以下、質疑のおもなるものについて御報告いたします。  まず、社会保障制度の姿勢について、政府は社会福祉国家を標榜しているが、過ぐる昭和三十七年に出された社会保障制度審議会の答申の趣旨を、どの程度四十一年度厚生省予算に反映したか。膨大な軍事費をかかえたアメリカでさえも、先般の大統領教書によれば、その社会保障関係費は総予算の三三%を占めているが、それに比べわが国の厚生省関係予算はあまりにも少な過ぎる。たとえば、生活保護基準にしても、社会保障制度審議会の答申では、昭和四十五年度までに実質三倍に引き上げることを勧告しているのに、昭和四十一年度予算では、わずかに二二・五%の引き上げにとどまっているのは、物価の値上がり、工業生産の躍進の点から考えても、あまりに低きにすぎると思う。しかも、この生活保護基準の引き上げ率をきめるのに、失対賃金とからませながら操作していること、この事自体に問題があると思うが、厚生当局の見解を聞きたいとの質疑がありました。  これに対しまして、厚生大臣並びに関係政府委員から、わが国の社会保障が欧米先進国のそれに比し見劣りすることはおっしゃるとおりでありますが、欧米各国の場合と違い、住宅、道路その他の社会資本の充実に特別多くの予算を必要とすることも御承知のとおりだと思う。四十一年度の厚生省予算については、国の総予算が前年度当初予算に比べ一七・九%の増であるのに対し、二〇・四%の伸び率を示しているわけで、これで十分とは思いませんが、今日の財政事情とも考え合わせ、一応これにより厚生省としての重要施策の柱は立ったと信じております。また、生活保護基準の引き上げについては、できるだけ一般国民の生活水準との格差を縮めたい考えのもとに、毎年その改善につとめている次第で、失対賃金によって制約を受けるようなことはありません。政府としては、社会保障のおくれている点は十分反省もし、今後とも審議会答申の線に沿って協力する考えである旨の答弁がありました。  次に、労働省関係について申し上げますと、まず、今後の労働政策の方向がどうあるべきかという点で、四十一年度の労働省予算には、そこに何か新しい施策を盛ろうとした意図はうかがえるが、はたしてそれが労働者保護の立場においてなされるものかどうか疑問なきを得ない。戦後日本企業は飛躍的な発展を続け、いまや高度成長から安定成長に移ったと言われる中で、労働者の生活が一向に安定していないことは、毎年春闘が繰り返される事実によって明らかである。経済企画庁当たりの産業計画だけがどんどん進行し、そのアフターケヤーだけを労働省が受け持つというのでは困る。一体労働条件の向上などは、政府のどこでやるというのか。賃上げは中労委にまかせっ放し、団体交渉となると、むしろ労働者側の断圧に回る傾向さえ見える。問題を雇用にしぼって言えば、会社が操短をやって労働者の首切りを行なうという場合、労働省が「待て」と言って中止させた事例があるなら承りたい。新たに雇用対策法が提出されるようだが、労働組合方面ではいずれも反対しているわけで、この際、労働大臣の所信を伺っておきたいとの質疑がありました。  これに対し、労働大臣からは、労働者の福祉を担当する責任官庁は、言うまでもなく労働省であり、われわれとしては、労働条件なり労働権が正しく評価され、それが経済の進展とともに、働く人たちの生活の向上と安定をもたらすことを期待し、努力している。ただ賃金については、法制上最低賃金制と失対賃金の面で関係しているが、その他の賃金の決定については、労使間の取りきめによるたてまえになっており、したがって、賃上げ等に関する団体交渉の際、直ちに労働者側に立てと言われても、簡単には応じ得られない立場にあることも了承されたい。また、雇用対策法は、基本的には労働者の地位の向上を目ざすもので、これによって、従来ややもすれば、無責任なやり方で首切りなどを行なう雇用主に対し、その責任を追及するとともに、長期的計画的に雇用の安定化をはかろうというねらいを持っているとの答弁がありました。  次に、自治省所管予算につきましては、今日地方財政は極度の窮迫を告げ、単独事業はもとより、国からの補助によって行なう公共事業すら消化しかねている。これは地方自治体に自主財源が乏しいからであり、「三割自治」といわれるゆえんでもあるが、自治当局はこの実態をどう把握し、どのように対処しようとするのか。また、地方税の減収に伴う補てん策をいかに考えているかとの質疑がありましたが、これに対し、自治大臣は、自主財源がきわめて不十分なことはよく承知しているので、今回地方債として特別事業債千二百億円等、総額二千九百億円を認め、国と地方が一体となって地方財政の健全運営に当たることによって、公共事業その他の基礎事業を行なうこととした。なお、自治体によっては貧富の格差がはなはだしいゆえ、いずれは国と地方の実情に即した事務及び税財源の再配分措置も必要だと考えており、また、税収減の対処策としては、とりあえず交付税率二・五%の引き上げと臨時地方特例交付金四百十四億円の国庫支出によって処理できるものと考えておる旨の答弁がありました。  さらに地方公営企業の経営のあり方及び赤字解消策についてどう考えるかとの質疑がありましたが、この問題については、公営企業は、本来、公益性と受益者負担による独立採算制との総合調和をとって進むべきもので、独立採算制を重視し過ぎてもいけないし、役所の延長のようであっても困るわけです。このため今回の法律改正にあたっては、負担区分を明らかにするとともに、看護婦の給与、水道料金等はこれを一般会計に移し、公益性に対しては国の長期融資ないし補助を仰ぐ一方、管理体制を厳にし、経営の合理化をはかるとともに、過去の赤字は長期債に振りかえることにした旨の答弁がありました。  最後に、文部省関係でありまするが、宇宙開発研究現状とその問題点として、東京大学宇宙開発研究所で行なっているロケット観測の研究成果を中心に活発な質疑が行なわれたのでありまするが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、当分科会担当予算の全部の審査を終了した次第であります。右御報告申し上げます。
  13. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御苦労さま。以上をもちまして、各分科会主査の御報告は全部終了いたしました。     —————————————
  14. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、総予算三案の締めくくり総括質疑についての委員長及び理事打合会における協議事項について御報告いたします。  質疑総時間は二百九分とし、各党派への割り当ては、自由民主党及び社会党はそれぞれ八十分、公明党二十八分、民主社会党、共産党及び第二院クラブは、それぞれ七分といたしました。質疑順位は、社会党、自由民主党、公明党、社会党、自由民主党、民主社会党、共産党、第二院クラブの順といたしました。  以上、御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入るのでございまするが、時間の都合により、明日午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後八時五分散会