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1966-03-28 第51回国会 参議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十八日(月曜日)    午前十時四十分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      八田 一朗君     梶原 茂嘉君      青田源太郎君     古池 信三君      松野 孝一君     和田 鶴一君      楠  正俊君     木暮武太夫君      加瀬  完君     佐多 忠隆君      中沢伊登子君     向井 長年君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 梶原 茂嘉君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 内藤誉三郎君                 平島 敏夫君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 和田 鶴一君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 林  虎雄君                 村田 秀三君                 浅井  亨君                 鬼木 勝利君                 黒柳  明君                 中沢伊登子君                 向井 長年君                 春日 正一君                 山高しげり君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  中村 梅吉君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        労 働 大 臣  小平 久雄君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣官房長官  竹下  登君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        中央青少年問題        協議会事務局長  赤石 清悦君        警察庁長官    新井  裕君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  宍戸 基男君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁装備局長  國井  眞君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁計画        局長       梅澤 邦臣君        法務省刑事局長  津田  實君        法務省入国管理        局長       八木 正男君        公安調査庁長官  吉河 光貞君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省欧亜局長  北原 秀雄君        外務省経済協力        局長       西山  昭君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       星  文七君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省国際金融        局長       鈴木 秀雄君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文部省社会教育        局長       宮地  茂君        文部省調査局長  蒲生 芳郎君        文部省管理局長  天城  勲君        文化財保護委員        会事務局長    村山 松雄君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君        農林省園芸局長  小林 誠一君        通商産業省企業        局長       島田 喜仁君        工業技術院長   馬場 有政君        運輸省海運局長  亀山 信郎君        運輸省船員局長  岡田 良一君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省電波監理        局長       上田 弘之君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○分科会に関する件 ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします  まず、委員異動について御報告いたします。  二十六日、小平芳平君が辞任され、その補欠として浅井亨君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算  以上、三案を一括して議題といたします。  前回に続き、質疑を行ないます。小林武君。
  4. 小林武

    小林武君 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、この間の機関紙あかしや」は、あれは何か答弁がきわめてあいまいであった、調べられた結果どういうことになったか。
  5. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 調査の結果は、人事局長のほうから御報告いたさせます。
  6. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) お答え申し上げます。  「あかしや」の調査の結果でございますが、これの発行目的は、北部方面隊における隊員一般教養を高め、相互の親睦の助長と団結の強化に資する目的を持っております。編集手続でございますが、「あかしや」編集委員会編集方針をきめまして、実施の細部につきましては、編集印刷発行人、具体的には尾崎広美という二等陸佐でございますが、この発行人担当者でございます。編集方針は、タブロイド判でございまして、通常第一面に北部方面隊関係のおもなニュースを掲載いたしまして、第二面以下に一般教養記事その他を記載いたします。花見論文の掲載の手続でございますが、昨年の十二月二十五日に「カレント旬報」第四十一号に掲載しておりました花見達二氏の論文を転載することにつきまして、編集担当者花見氏の了解をことしの一月八日に得ております。見出し等につきましては同氏の希望に沿ってつけたということでございます。
  7. 小林武

    小林武君 いまのあれですというと、方面総監部及び師団司令部組織規則、その組織規則三条並びに第七条に該当するものですか、その文書は。
  8. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) これはあくまでも同人誌と申しますか、隊員親睦のために教養を高めるというような意味におきまして、親睦のために同人誌的に編集をして発行しておる、このように御理解いただきたいと存じます。
  9. 小林武

    小林武君 そうすると、これは違うの、ぼくが聞いたやつと。
  10. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 何と申しますか、厚生業務内容一環として出しておるものでございます。
  11. 小林武

    小林武君 第一部から出ているということになるとおかしいじゃないですか。
  12. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 厚生業務は第一部が所管をいたしております。
  13. 小林武

    小林武君 そうすると、機関紙というのと同人誌というのは、これはどういうことになりますか、機関紙というのは「北部方面隊機関紙」となっておりますがね。「北部方面隊機関紙」という同人誌があるものですか。
  14. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 説明が不十分でございましたが、実は厚生関係でいたしておりますいろいろの仕事の中には、たとえば職員健康管理、あるいはレクリエーション実施いたします仕事等が入っております。たとえば、運動会をいたしますとか、あるいは競技大会をいたしますとかいうときの経費、あるいは賞金、そういうものもすべてこの厚生業務として実施をし支弁をいたしております。そのような一環仕事同人誌的な新聞を出しているということをいたしておるわけでございまして、いわゆる機関紙というものとは違うものであるというふうに理解いたします。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 関連。もっと明確に答えてほしいのですが、厚生業務と言うから、これは公のものであることはどうもお認めになっておるようですが、これをつくる予算はどこから出ておるのか、これをひとつ明らかにしてほしい。厚生業務の中の予算のようにいま聞いておるわけですが、明確にしてほしい。それから、先ほど編集委員会を設けてやっておられると言いましたが、その編集委員のメンバー、これを全部ここで明確にしてほしい。人名とその階級を明らかにしてほしい。  以上、この二点を具体的にここではっきりしてください。それからさらに聞きます。
  16. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 福利厚生業務は、国の経費、いわゆる国費によるものと共済組合費によるものとございます。この場合は職員厚生経費、俗にレクリエーション費と言っておりますが、それを充当して発行いたしました。なお、編集委員会の具体的な名前準備をいたしてまいりませんでしたから、調べまして御報告申し上げたいと存じます。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 国費共済と二つあるというふうに言われましたが、一体どっちなんですこれは。それと編集委員会のほうは、これはすでに問題になっておることですから、電話等でいいからすぐ明らかにしてほしい。
  18. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 福利厚生事業は両方の経費でやっております。この職員厚生経費国費によるものでございます。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 初めから何で国費ということを言わないのですか。それで「あかしや」につきましては、一体幾らの経費が年間使われておるか。
  20. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 福利厚生経費三十五万でございます。
  21. 小林武

    小林武君 同人誌ということについて、ひとつもう一ぺん明確に説明してもらいたい。
  22. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 普通、厳密に申します防衛庁の公式の機関紙――定期的に発行いたします機関紙とはやや性格は異なっておるという意味同人誌と申し上げたわけでございます。
  23. 小林武

    小林武君 答弁にならぬ。そういうばかな答弁をしてはだめだ。同人誌機関紙と一緒にしてはだめだ。
  24. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 機関紙というのは、防衛庁で広報として正式に防衛庁意思を発表する、通達する、これを機関紙という意味でわれわれは解釈しています。しかし、ほかに機関紙というものが北部方面にございません。したがって、その編集というのは、隊員意向隊員希望というものを掲載する、まあ一番大きなものは冠婚葬祭の連絡とか、隊員の報告とか、家族状況とか、寄稿とかいうものが一面、二面、三面四面にありまして、その二面が教養の面に入る。その教養内容は、主として隊内における意向に沿ってこれを編成するというので同人的性格である。したがって、機関紙というのは一つ意思目的を持ってその方向に常に発行するものを機関紙とおそらく私たちは解釈すべきでありましょう。そういうものではないということを申し上げた。そこに機関紙的、同人的編成同人的運営ということばが妥当であると私は思います。
  25. 小林武

    小林武君 やっぱりそういう詭弁を弄してはいかぬね。ここに「機関紙」と書いてある。「北部方面隊機関紙」と書いて、発行者は「陸上自衛隊北部方面隊総監部第一部」と書いてある。なぜ一体それを機関紙と言わないのか。機関紙でしょう。機関紙であるということを認めなさいよ。
  26. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 題目は機関紙でありますが、その運営内容機関紙ということばと多少私は違うと思います。機関紙であるかどうかということは、私の考えでは、一つ意思をきめて、その目的のために発行するもの、これがおそらく機関紙でありましょう。ほかに機関紙というものがないものですから、あるいはその名前として機関紙という名前をつけたかもしれません。しかし、「あかしや」というのが大体においてわれわれが通俗的に使うことばであります。
  27. 小林武

    小林武君 そういう詭弁を弄さないで、先ほどから何べんも言っているその中に発行者発行所、どこが責任を持つかということははっきりしている。国費を使ってやっている。機関紙という銘を打っている。そうなったら、これは機関紙とあなたのほうで認めるべきでしょう。同人誌なんということを言うべきでない。同人誌とは何のことですか。そんなことは通用しますか。
  28. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 一般的に言う機関紙というのは、広場というものが別にちゃんとその一つ目的を持ったものがあります。それとこれとは性質が違うし、編成内容が違う。厚生的なものである。これを私たちは差を申し上げているわけで、名前機関紙と書いてあるじゃないかとおっしゃるが、それは機関紙と書いてあることは私は否定するのじゃない。しかし、その言う機関紙とわれわれの言う機関紙内容が違うということを私たちは申し上げているのであります。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 関連防衛庁長官にお聞きいたします。いまの「あかしや」の論文の「時事評論」にこんなことが書いてある。「ベトナム紛争の行方」として、一番結論のほうですが、「その他諸種の要因を考えるとベトナム紛争には根本的解決は今のところなく、あったとしても一時的休戦かあるいは別な地域におこる次の更に大きな紛争準備期間にしか過ぎないのではないだろうか。従ってわれわれ自衛隊員はいつ東南アジアの紛争日本周辺地域に飛火してもうろたえることなく対応できるように物心両面準備を平生から整えておく必要があろう。一月二十一日記(柴田)」と書いてある。サインをしてある。この時事評論は、いま人事局長が言ったように、現自衛隊員の常識、あるいは平素外交問題に対するとり方などの訓練、教育教養のために書いておると思うが、この柴田という書いた人がどのような階級であるか。こういうふうな思想隊員教育されておるのかどうか。平素、現在のこのベトナム紛争とり方も、日本周辺に飛び火するからいつでもわれわれは飛び出していってこれに対応するという教育がされておる。そういうような、前の三矢作戦などの、ああいうふうな隊内の体制になっているのではないかという気がいたしますが、この「時事評論」というものの任務づけ、それから執筆者、それから最後に私が読み上げたようなことを平素隊員教育しておるのかどうか、お伺いいたします。
  30. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) これはそういう隊内の融和、団結寄稿意見というものを自由に発表を許す隊員一つのあれですから、どういう意向を持ってどういう思想を発表しようが、それは私はあり得ることだと思うのです。それを強制したりそれを統制したりしているものではないというわけです。したがって、各人自由に意見寄稿したり、自分の意見を載せること、これは私は何も個人個人意見の制約はできない。また、教育といっても、かん詰め教育じゃございませんから、各人意見があれば言っていい。しかし、防衛庁全般意向としては私が責任を持っていますから、対外的には私のことばを信用していただきたい。各人意見があることは、これはどこの社会でも今日あると思います。また、その思想があったからといって危険だと……各人の自由な意見がまとまって行動するのじゃありませんから、それは私は自由だと思う。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 関連
  32. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと注意して申し上げておきたいと思うのでありますが、前回も申し上げたんですけれども、なるべく質疑者を中心に、それで関連関連でやっていただきたいと思いますが、そういう運営でひとつ御協力を願いたいと思います。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 長官資料提出を求めます。この「柴田」というサインが入っておりますから、この人の階級、現在の任務、これを資料として提出願います。
  34. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) よろしゅうございます。
  35. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) いまこの「時事評論」ですか、このページは大体隊員寄稿じゃありませんから、「柴田」というのは、おそらく私の想像では、隊員じゃないと思います。このページをただいま現実に見ますと、これはどうも隊員じゃありません。これは自由な一つ寄稿であろうと私は想像します。これは質疑の中で、質疑している間にすぐわかると思います。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 委員長資料提出を確認してください。
  37. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 資料というか、いまの点はいいですか。――いいそうです。亀田君、それじゃ、それでひとつ質疑者に譲っていただきたいと思います。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 松野さん、あなたは、機関紙というものは一つ目的を持って一つ方向に進んでいく、そういう性格のものだと言われる。だから、ここはそのとおりなっているんですよ。ベトナム戦争に対するこういう考え方あるいは花見達二君の引用文、これらをずっと見ると、明らかに一つ方向というものがわかるのです。こういう問題について、いろんな意見がありますよ、日本の国内には。その中で一番右翼的で、一番国民とは背離していて、そういう極端な意見というものはここに並べられておるわけですよ。これは明らかな一つ方向を持っておるんですよ。だから、「北部方面隊機関紙」というのにちゃんとこれはふさわしくできているじゃないですか。だから、機関紙でないということを言われるのに松野さん先ほどのような説明をされましたが、私は矛盾があると思う。  そこで、もう一つ資料要求いたしますが、この「あかしや」というものの存在が確認されたわけですので、百三十四号、これは。したがって、現在までのやつを全部国会に資料として出してください。そうすれば、これが機関紙であるかないか比べてみれば一そうはっきりすると私は思う。一そうはっきりする。これは機関紙定義とか同人誌定義とか、そういうことを抽象的にやっておってもだめですよ。これとおそらく私は大体同一歩調のものがずっと並べられているんだろうと思います。もしそうじゃなしに、そうでないという現実が百三十四号まで出されてはっきりすれば、私たち考え方も多少また違うかもしれません。だから、この百三十四号までのひとつ「あかしや」を全部見れるように出してほしいと思います。委員長から要求してください。
  39. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 「あかしや」の一面、二面、三面四面をごらんいただけばわかります。これはその中の一面であって、第一面じゃございません。第一面には、隊員団結、慰労、連絡が第一面であります。その中の一部のページだけをごらんいただけば、そのように言う御発言もあるかもしれません。一、二、三、四をごらんいただけば、そんなものが全部載っているわけじゃありません。私たちが言う機関紙というものの定義は、一つ目的をもって団体または組織が隊内に常に発行するもの、これが私は機関紙一つ定義だろうと思います。このものは、この一号だけがこれを載せただけで、毎号毎号こういうものを第一面に載せちゃおりません。このとき発行したものでも、第一面は、隊員連絡、慰安が第一面であります。そのあとのほうにたまたまこれが出ておったわけで、したがって、その目的じゃないということは明らかであります。たまたまこういうものがそのとき出たというだけで、ことに全部出せと言われますが、これは保存書類じゃありませんから、厚生的なものでありますから、保存書類じゃありませんから、そういうものがそろっておるとは私は思いません。(「そんなことはない、保存しなければならぬ規則になっているでしょう」と呼ぶ者あり)
  40. 小林武

    小林武君 どうもいろいろなことをおっしゃいますけれども、方面総監部及び師団指令部組織規則というものがある。これは自衛隊法施行令第十三条の規定に基づいてきめられたものなんです。そうでしょう。そうして、これは、「第一部長」というものの仕事の中に、「第一部長は、次の職務を行う。」といって、あんたのおっしゃるのは八号の「隊員福利厚生、」だと、こう言う。福利厚生だと言う。これは一つ業務なんです。業務上出したものなんです。あなたのおっしゃるような、単なる趣味や何かで集まった同人紙ではない。隊の規則に従ってやったものだ。第一部長はその責任を一身をもって受けてやる仕事なんだ。しかもだ、いまあなたの話を聞くと、これらのものについて保存する必要がないと言うが、十二号に何と書いてある。「前各号に掲げる職務に関する文書で部隊の行動に伴って発せられるものの認証、編集及び保管に関すること。」と書いてある。保管されていなきゃならぬ、前掲の問題について。職務に関する問題でしょう、これは。職務でないですか、これは。どうですか。
  41. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 厚生の一部じゃありましょうけれども、その職務の重要なものじゃありません。この課は、先ほど申しましたように、厚生的なもの、そういうものが主でありますから、その主要なものについてはそれは必要な書類の中に入りましょうが、その中の一部なんです。その全部じゃありません。運動会もやる、隊員のいろいろな娯楽もやる、映画も開催する、そういう中の一部なんです。全部保管すべき書類という、その規定の中には入りません。それは業務上必要な隊員の主目的、主行動、主作業――作業の中にはその保管すべきものがありましょうが、これは厚生ですから、その項目には該当いたしません。
  42. 小林武

    小林武君 これは、委員長、議事進行ですけれども、とてもこういうことでは進めていかれないですよ。だから、このことについてもう少しやはり時間をとらないではっきりここで説明してもらわないというと、次のところへ進まれないです。こういう論争をやっておったのでは、お互いに理解し合わないまま、お互いに疑いを持ちながらいいかげんにものを処理していくということになるから、そういうことはもう質問者としてはたえられないから、ここでとにかく時間をとってもらって、そしてもっと事務当局並びにあれを含めてこの問題に関してはっきりした結論を出してから進行してもらいたい。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 まずその点、それから先ほど編集委員会のメンバー、そういったような点を明らかにしてください。「あかしや」も、あるだけ持ってきてもらおう。
  44. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 防衛庁のほうから、何かいまのなにに対して重ねてお話しできれば、ひとつ……。
  45. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 先ほど責任者の名前は事務当局から申し上げたと思います。なお、厚生関係というのは、大体一部が担当しております。しかし、厚生全般的なものは、幕僚長というのがすべてのものに対する責任をとるべき立場に立っておる。その中のこのものについては、先ほど申しました官職氏名のものが担当しておる。これは非常に明確に私は御説明申し上げようという意味で今日調査をそこまでいたしたわけであります。したがって、そのすべてのメンバー、それに関連する者が、それは委員ですから、おるかもしれませんが、すべてそれは厚生という中の全般的なものでありまして、これだけに専門の者がおるというわけじゃありません。その担当者といえば、先ほど申しました者。これぐらい明確に私は申し上げております。
  46. 小林武

    小林武君 二等陸佐がいるじゃないか。尾崎広美はどうした。納得いかん、そんな答弁
  47. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小林君に申し上げますが、防衛庁長官としてもいろいろ自分の信念をここで申し上げておられるのでありますから、質疑者の満足を得るかどうかということは、これはどうも意見の相違といいますか、見解の相違、いろいろの問題もあると思いまするので、また別な観点からいまの問題についていろいろ御質疑を願ってこれはやはり続行していただかぬと、これで答弁が自分の意に満たないからということで質疑中断されることは、ちょっとどうかと思いますが……。(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)  じゃ、そこで速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) じゃ、速記をつけて。
  49. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 非常に話が行き違っておりますが、もう少し申しますと、厚生的なものであるということは御理解いただいたと思います。それでは、機関紙同人紙かと。機関紙定義はもうここまで進んだ。それでは、同人紙ということばはおかしいじゃないかと。私たちが言いますのは、この厚生という行為というものは、隊員意向によって、その厚生費の割り当て、あるいは開催、発行というものをきめておるのです。したがって、予算は、御承知のように、一応の厚生費という総ワクの中で、本年はどういうものをどうするか、運動会をやるか、雑誌を出すか、何を出すかということは、隊員希望によってこれはその割り振りをきめるものなんです。そこで、私のほうは、押しつけたような機関紙ではないと、責任を持ってそういうふうな意味じゃないと、そこを私が申し上げた。  なお、保存すべき書類であるかどうかは、かりに防衛庁規則に関係しておる書類でも、保存年限というのがきまっておるのです。重要なものは永久保存というのがある。一般的なものはもう有限保存を、そんな古いものを残すべき義務はありません。かりに正式のもので部隊の演習とかいうものであっても、永久保存のもの、短期保存のものというものの書類内容がきまっています。これは、そのどちらにも入らない。保存の義務もなければ、永久保存でもないというので、それは私のほうの規則上保存する必要のない書類だ。したがって、これは私は全部そろっておるとは思えない。また、私も、本日この席上に出てきますから、あるものだけは私も目を通そうと思って参りました。しかし、この一週間の間に全部の保存はなかったことを私自身確認しております。したがって、見られるものというのは、そんなにたくさんのものはございません。その意味で、鈴木委員のおっしゃるように、一つ規則の中にある書類であっても、保存の年限というものはさまっておるのです。重要なものは永久保存。重要じゃないものは短期保存だ。その中でもこれは特に保存義務のない書類だ、厚生的なものは。したがって、全部のものはないと言うほうが正しいことだ。そういうことが、私のことばがつぎはぎになったから、あるいは御疑問が出られたかもしれません。そういう意味で私はずっといままで終始答弁してきた。機関紙ということばを使っておるから機関紙だとおっしゃれば、それは機関紙ということばを使っておるように思います。しかし、その内容は違うという意味で私は同人的ということばを使った。したがって、隊員がもうこの雑誌は要らないからやめようといえば、本日でもやめられるような性質、来年からやめられるような性質なんです。それを置かなければならないというものじゃありません。しかも、一年間の予算が三十五万ですから。そうして、その厚生費の中の内訳をきめるその中に隊員一つこれもあったほうがいいということでいままで出しておっただけであります。したがって、隊務上、防衛庁組織令上、あるいはすべてのものにおいて、そんなにかたいものではないという意味で、同人的と言ったのです。隊員意向によって発行をやめようと思えばやめられるものであります。また、それを私が権限で発行しろと命令すべきものでもこれはない。そこが先ほど同人的ということばを私が使ったというならば、そのことを私は終始しておったのです。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 議事進行。ちょっともう少し親切な答弁じゃないと困るですよ。全部はないかもしれぬが、幾らかはあるようなことも言われる。それならそれでお調べになったんでしょうから、何号と何号があるというふうに言われるんならまたこれもわかるわけです。そういう不親切な答弁は困る。  それから私たちとしては、こういうものが自衛隊の中で国費を使って発行されることは、絶対認めるわけにいかぬ。自民党と社会党が何かの問題について多少意見の違いがあると。そういう問題を私たちがいまここで自分たちの思うとおりにならぬからといって追及するわけじゃない。いやしくも国費を使って自衛隊の中でこういうものが配られる、これはもう断じて許すわけにいかぬですよ。こんな答弁じゃだめですよ。もっと全貌を明らかにして……。
  51. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 松野長官、ただいまの議事進行について、何か御発言があれば、御発言願います。
  52. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 私が何度か見ましたから、それはもちろん配付いたします。これは、御承知のごとく、月に一回、ないし年に十回か十二回、そうたくさん出しておりません。したがって、私の見ましたものが御必要なら、それは配付してもさしつかえありません。配付というよりも、差し上げます。政府の資料とするにはあまりに私はその必要はないと思います。したがって、ぜひ見たいという方には、私のできるものはごらんに入れます。政府資料というほどのことでもこれはないと思います。私はそれはそのことを気にしておるわけじゃありません。また、こういうものは一つ教養というページですから、いろいろな意見を載せるページだと私は思います、このページは。したがって、各党の各政治的の意見というものは、おのずから載るものだと私は思います。たまたま花見さんが寄稿されたので、またこの次は、この傾向でいくならば、あるいはいろいろな政治というものが出てくるかもしれません。社会党ばかりを載せておるものじゃこれは絶対ないのですから、その次は自民党が出るかもしれません。あるいはどの政党が出るかもしれません。それは、御承知のように、隊員意向というもので、私どもは、編集者がその寄稿を取り上げるので、責任というのはとれません。
  53. 小林武

    小林武君 証拠を見せなきゃだめだよ、あなた。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 関連して。答えがない、答えが。これを配付すると言われましたが、長官もだいぶごらんになったようですが、何通配付してくれるのです。その結論だけおっしゃっていただきたいのと、それから私たちが一番けしからんと思うのは、こういうことが公々然と自衛隊の中で行なわれておること。長官、実質的な問題として長官意見を聞きたい。こういうものを書いて、こうして国費でばらまいておるわけですね。同人紙ならそういうこともいいんだとあなたこれを認めるのですか。どっちの立場でさっきからお話しされているのですか。その点をはっきりしてほしい。こんなことを認めるのだったら、どこでもやりますよ。ただでさえ自衛隊というのはこういう傾向を持っている。これは常識的に持っておるのです。それに対してけしかけるようなものです。こんなことを一体一般の大衆が承認しますか。その実質的なところについての長官の見解を聞きたい。
  55. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 隊員がそういうような亀田委員の言われたような意向を持っておるかどうか、それは私は必ずしもそうも思いません。しかし、隊員もおのずから常識とレベルというものがあります。一般誌も読んでおります。また、一般のテレビも見ております。相当なものももちろん教養的には素質は備わっておると私は思います。ただ、この問題が突如として出されて、それから私も実は調査をして今日御報告しているわけであります。したがって、これによってそんなに――部内の隊員意向によって花見さんの寄稿を載せたということであって、その内容については、それは一つの問題ですから、いろいろな意見があるでしょう。しかし、やり方というものそのものを否定することは私はできない。やり方は私は肯定している。ただ、この論文についてはどうだと言われれば、これは私の意見があり、皆さん方の意見がある。しかし、その機関紙組織的なやり方は私は肯定しておる。ただ、この記事がどうだと言われれば、これはまた別な話です。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 それを聞いている。
  57. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この記事の内容は、機関紙とは別に、私個人がこの記事はどうだと、これはまた別の話ですから、いずれ今後の話が出てくるだろうと思います。この花見さんの意見を私は肯定しておるわけじゃありません。この機関紙という組織というものを肯定している。花見さんの意見を私は肯定しているわけではない。それは違います。
  58. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小林君、一応質疑を進めてください。
  59. 小林武

    小林武君 何もわからないけれども、こんなことでだらだらやってもいられないから、それじゃ次にお尋ねいたしますが、これは、内容はともあれ、機関紙と書いておってもけっこうなものだということはお認めになりましたな。「北部方面隊機関紙」と、こう銘打って尾崎広美なる陸佐が書いたと、このことについては別に変更を求める必要はない、これは認めましたね。これはどのぐらい一体印刷したものか、まずその点。
  60. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 機関紙という名称で発行しておるようであります。しかし、私の言う内容の性質は、これは再び議論をいたしません。  発行部数は、そのときによって違います。正月とか、あるいは運動会とか、春とか、そのときによって違いますが、おそらく一万前後ではなかろうかと私の調査では出ております。
  61. 小林武

    小林武君 北部方面隊というのは全部で隊員の数がどのぐらいあって、それでちょうど一万名あるのかどうか、次に答弁してください。  そのほかにお尋ねすることは、見出しをつけたのは、これは編集者側であるかどうか。この漫画の中にある社会党を大体あてて書いたものだと思うサル、これは編集者のあれかどうかはっきりしてもらいたいと思います
  62. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 年間三十五万の予算ですから、そんなに多数印刷はできない。隊員の数は二万四千人ぐらい北部方面にはおると思います。それからその内容については、全部花見さんの御意向により、また、ただいま人事局長が御報告した中にもありますように、一月の何日かの花見さんの御意見で掲載したということを先ほど御報告申し上げたと思います。
  63. 小林武

    小林武君 サルはどうした、この漫画はだれが書いたか。それも花見さんかな。
  64. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 別にこれは社会党というようなそんな特定なものでもないようですが、このページは全部花見さんの責任でやったということで、私のところへ報告を受けております。これは何も特定なものを書いたものではありません。
  65. 小林武

    小林武君 防衛庁や自衛隊というのはもっと責任を重んずるところだと思ったらみんな他人にその責任をなすりつける、これは堕落ですね。それで、あなたが何とおっしゃっても編集者というものは編集のしかたというものがある。この中に社会党の真の姿、真姿を見よ、そしてこの論文はどこから転載したものであるということを善いていることはこれはあなたのほうでしょう。あなたのほうの編集者はこの内容を通して社会党の真の姿を隊員に教えようとした、こういう目的であるということは認めますか。
  66. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) これは真の姿を教えようとしたのじゃありません。これは一つの常識的な政治といいますか、いろいろな文化もありましょうが、一つ教養的番組という中でありますから、たまたまそれがそういう内容になったかどうかわかりませんが、一つのこのページというのは自衛隊で組織しているものじゃございません。
  67. 小林武

    小林武君 けしからぬ、とにかく。一体これはどういうことだ、「社会党の真姿を見よ」というところは、これは花見達二の意見ではない、はっきりここに書かれているじゃないですか、編集者の意図でしょう、このことを認めなさい。
  68. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) この「あかしや」の原本でございますが、「カレント旬報」という。パンフレットの中での十一ページから引いたものでございますが、その中にない見出しにつきましても、花見先生がこのように見出しをつけるようにという御指導があったそうであります。そのように聞いております。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 これは質問者がこれ以上質疑ができないというのは当然ですよ。私は松野さんにお尋ねしますが、自衛隊法第六十一条ですね、六十一条、ここに「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は」ここですよ、「何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与し」、「関与し」、ですね、「あるいは選挙権の行使を除くほか」、やっちゃいかぬ、こう書いてあるのです。そこでこの「あかしや」百三十四号の中に議会否認政党として社会党、公明党、こういうふうに載っておるのですね。そうして社会党が日本の破壊と属国化をねらっておると大きな見出しで書いてあるわけですね。これは明らかに、これが同人雑誌であろうと、あるいは機関紙であろうと、機関紙と書いてありますから、こういうありもしないことを議会否認政党であるとか、日本の破壊と属国化をねらっておるとか、そういうようなことを書いて、そうしてその隊員に読ませるということは、これは明らかに六十一条違反ですよ。ですからこの事実をこのまま見のがすわけにはもちろんいかぬ。したがって、やはり責任をもってこれを取り消すとか、何かの措置をせぬことには、これは重大問題です。こんなことをわれわれが看過することは絶対できない。六十一条違反じゃないですか、けしからぬ。
  70. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま鈴木委員の御指摘のその条項につきましては、人事院規則というのがまたさらに明快に出ておりまして、これこれこれが政治活動である、こうしてはいけないという明細が出ております。それとこの問題とは私は少し違うのではなかろうか。また、これを目標にしてこのものが出ておるわけではありません、「あかしや」というものは。そういうものを常に主眼点において私は「あかしや」は出しておるものではないのです。やはり厚生的なもの、あるいは隊員親睦的なものが主目的である。たまたま多少私が言うならば行き過ぎもあったような文章がたまたま寄稿され、これが掲載されたということであります。先ほどもしそういうことを言われるならば、花見さんは、これは花見さんにお聞きいただいたほうがもっと正確かもしれません。それを私は少しも否定いたしません。花見さんにお聞きいただいてもけっこうであります。そういうふうな私は意味で、これはそれを主目的に出しているもの、あるいは主幹者が第一面からそれを主観的に意図して出しているものではない、これを終始私は申し上げておるわけであります。それは御理解いただきたいと私は思います。  この内容についておまえはどう思うかといえば、これはおのずからまた別な機会にお答えいたします。たまたま寄稿がそこに出た、それを転載したということと、その内容についてはまた別な話でございます。だからそれを主目的に常に出しているものではないということだけは御了解いただきたいと思います。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 ですから長官の言われるように、親睦を旨として、だれがなくなったとか、だれのおとうさんがどうしたとかいう、そういうことを出すのはいいんですけれども、しかし、たまたまとおっしゃるが、そのたまたまが議会否認政党であると社会党をきめつけ、社会党を属国化をねらっている社会党ときめつけ、こういうものを発行責任者がこの中に入れるということは非常識きわまることです。これは六十一条の政治的行為の制限というところに明らかに触れるじゃないですか。これを松野さんも明快な頭を持っている方ですから、そういうへ理屈を言わないで、われわれが指摘したことが正しいわけですから、たまたまであっても、こういうことが載ったことはちょっと遺憾だとちょっと言いましたけれども、ちょっとばかりじゃありませんよ。あなたとしても責任問題ですよ。だからこういうことはやはり明らかに取り消して、今後こういうものは絶対やらぬ、政治的行為等の問題と関連してやらぬという謝罪をやらない限りは済みませんよ。これはあなた、そういうふうにやってもらわなければ困ります。
  72. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 六十一条及びその施行令にございますそれを目的としたものについては、私もそれは十分注意しなければならないと思います。ただ先ほどから申しますように、この「あかしや」というものはそれを目的としたものではないということをまず御理解いただきたいと思います。たまたまそれが記事が転載されたということについて、転載ということについてはこれは私は行き過ぎもあったと思います。しかし、その転載と、その「あかしや」というその性質については私はそういうものではないということを繰り返し繰り返し申し上げておるわけであります。したがって、防衛庁法及び自衛隊法の問題とはその性質のものではないということを明確に私は申し上げます。
  73. 北村暢

    ○北村暢君 委員長
  74. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小林君が立たれたからその次にしてください、北村君。
  75. 小林武

    小林武君 とにかくあなたは何と言おうと、かりに花見何がしが社会党の真の姿を見よという、そういう表題をつけてくれと頼まれたとしても、これはあなたがおっしゃるように、国費をもって団結を固める、一般的な教養を高めるという目的でこれを書いたからには、日本社会党を露骨な議会制否認の政党であるときめつけ、社会党は日本の破壊と属国化をはかるところの政権奪取の陰謀を持った政党だと、あなたはそういう言い方をして一体隊員教養を高め、団結を固めさせるのですか。これはただ社会党だけではない。公明党も書いてある。公明党もその仲間だと書いてある。これはどういうのですか。そういうことをあなたはあれですか、あたりまえだと、こう言うのですか。
  76. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 記事の内容については、私の感じを申しますが、私はこういう考えを少しも持っておりません。ずいぶんまあどっちかと言えば、記事を寄稿されたのだなあと、いまになって読んでみれば、そう思います。実際に私もそういう考えで、毛頭私自身は考えておりません。しかし、これはそれだからと言って、これを私が、御指摘があって初めて見たのですが、寄稿と言えどこれは少し内容を読んでみて、私自身それはよくわかっております。
  77. 小林武

    小林武君 それから花見という人は達二ですか、達三ですか。
  78. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 花見達二でございます。
  79. 小林武

    小林武君 一体何者だ、これ。達三という人間はどういう人間だ。
  80. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 調査をいたしました結果を申し上げますと、宮城県出身でございまして……。
  81. 小林武

    小林武君 そんなことは聞いていない。花見達三というのは、どこの人間だ。
  82. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 神奈川県逗子に住んでおられます。
  83. 小林武

    小林武君 それは達二だ。
  84. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 本名は達二でございます。
  85. 小林武

    小林武君 これはにせの名前か。
  86. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) おそらくミスプリントであろうと思います。
  87. 小林武

    小林武君 あろうと思うとは何だ。どっちなんだ、はっきりせい。
  88. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) ミスプリントでございます。
  89. 小林武

    小林武君 およそこれはインチキだということはよくわかる。花見達二氏の一体意見によってこれをやったら、その大事な人の名前を間違うようなとぼけた野郎が一体世の中にいるのかね、これは明らかに自衛隊の中の人がかってに編集したものだと言われてもしかたがないでしょう。花見達二と言えば、その思想に賛成するしないはとにかくとして、一かどのすぐれた名前の出ている人ではないですか。何です、これは。一体これについては、あなたたちはどういうあやまり方をしたか、本人に。何もしていないだろう。一本多かったとあやまっているのかね。こういういい加減なことをやって、一体どうなんですか、これは取り消す意思はないか。取り消す意思があるかどうかはっきりしなさい。
  90. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 花見氏の内容については、それは花見氏の責任で、私がどうこう言うわけではありません。しかし、編集方法については、私は注意すべきものがあると思います。
  91. 小林武

    小林武君 それでお尋ねいたしますが、堀田さんというのはあなただと思うが、こういう教育をしたせいかどうか知らぬけれども、あなたの座談会における発言をひとつ御紹介いたしますと、理論的にはクーデターが起こるというようなことはあり得る、こうおっしゃっておる。また、社会党が自衛隊を認めない場合には問題だと、こう言われるような意味の座談会での発言がある。これはどうですか、あなた、そういう座談会を雑誌でやられたことありますか。
  92. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 数年前「自由」という雑誌の座談会に出たことはございます。そのときに自衛隊とクーデターというテーマで討論をいたした記憶がございますので、おそらくいま小林委員の御指摘は、そのときの座談会の記録ではないか、かように考えます。
  93. 小林武

    小林武君 堀田発言を御紹介しますとね、「自衛隊を全廃することを宣言するか」――これは社会党です。「するかしないか、それが一つ問題ですね。」、廃止して首を切ることはまあ起らないでしょう、廃止して首を切ることが起こらないとすればクーデターを起こすことはないでしょう、この裏返しは、廃止の態度を変えない限りはクーデターが起こるという論理になる。こういうお考えをあなたは常々お持ちであるかどうか。理論的にはクーデターが起こるということはどういうことをおっしゃるのか。ちょっと話してみてください。
  94. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 正確に記憶をいたしておりませんが……。
  95. 小林武

    小林武君 何ならここにある。
  96. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 私の記憶では、クーデターというのは一体どういうことを言うのかという議論がそのときにかなり活発に戦わされたように思います。クーデターが起こる条件は何だ、幾つかの条件があげられまして、そういう条件は日本にはないのか、私はないと断定をした記憶がございます。そういう条件はない、はっきり言い切っております。そういう条件が将来起こらないと思うか、こういう質問がございまして、それも私はないと言い切った覚えがございます。
  97. 小林武

    小林武君 そのあとのやつは言わないというの。社会党が……。
  98. 堀田政孝

    政府委員堀田政孝君) 社会党が自衛隊員の全部首を切ったとき云々というのはよく記憶しておりません。
  99. 小林武

    小林武君 これ見なさい。ここのところを読んでみなさい。  それをいま一々評論をやる気持ちはございませんけれども、防衛庁長官にぼくはなぜこれの取り消しを要求するかというと、自衛隊というものの中に、こういう社会党というものをこういう形でもって、あなたがどんなことを言われようと、機関紙という名前自衛隊員の中に一体宣伝するということは、社会党を侮辱したとかなんとかという問題ばかりでなしに、自衛隊そのものの中に重大な危険な思想を持ち込むということになる。先ほど鈴木委員から話が出たが、これは単に自衛隊法にどうするとかなんとかという問題ではない。もっと深刻な問題。だからとにかくのことについてはあなたのほうでははっきりこれを取り消し、こういう編集をやった尾崎何がしというのを処分するとか責任をはっきりするというような態度をとるべきだと私は思う。そうしなければあなたのおっしゃるような自衛隊にはならない。あなたのおっしゃるようなね。その点についてひとつあなたの見解を聞きたい。
  100. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 編集者の尾崎という者についての調査をなお私どものほうでいたしますが、処分するせぬというのは、ここで私が軽々には申し上げられないと思います。ただ私が感じますことは、機関紙というのは非常に誤解を招きますので、これは機関紙というものと機関紙的なものと誤解がありますので、これはなるほど今後改正させるべきである。要するに、こういう機関紙というふうな名前は、これは必らずしも適していないと思いますので、来年から、この問題については誤解が多過ぎると思いますから、ひとつある意味において同人的な名前に改正するほうが私は誤解を防ぎ得ると思います。なお、尾崎本人の問題については、それは私におまかせいただきたい。私は十分調査して私の意向に沿うように、私が十分自分で自主責任をもって調査し、その決定は出すつもりでおります。(「取り消すのか取り消さないのか、どうなんですか。そこのところがはっきりしないじゃないか。」と呼ぶ者あり)
  101. 亀田得治

    亀田得治君 機関紙であることは意味のとりようがいろいろありますが、とにかくまあ広い意味ではこれはもう機関紙であることは明確なんです。それからもう一つは政治活動を持ち込んではならぬ、これも私は自衛隊法上はっきりしていると思う。私はそういう立場からこれはきわめて重大だと思うのです。そういう意味で最高責任者である佐藤総理に出席を求めます。この問題について明らかにしてほしい。ただいま長官は、だんだん不穏当な点も若干認められて、そうして責任者の処理等についても答えられておりますが、うやむやに済ますわけにいかない、こういうのは。決して社会党が無理なことを言っているのじゃない。どの政党に対してもこういうことがやられて、それを私たちは放置することはできない。委員長から善処を求めます。
  102. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。   〔午前十一時四十分速記中止〕   〔午後零時四十二分速記開始〕
  103. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をつけて。  午後一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ―――――・―――――    午後三時十四分開会
  104. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  先刻、八田一朗君、青田源太郎君、松野孝一君、楠正俊君、加瀬完君が辞任され、その補欠として梶原茂嘉君、古池信三君、和田鶴一君、木暮武太夫君、佐多忠隆君が選任されました。     ―――――――――――――
  105. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 午前に引き続き、昭和四十一年度一般会計予算外二案を議題とし、質疑を行ないます。  まず、松野防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。松野長官
  106. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 「あかしや」二二四号において、社会党、公明党を誹謗した編集は当を得ていないので、関係者に対し厳重注意するとともに、今後、編集方針などについて、かかる事態の再び起きないよう、慎重に検討をいたさせます。
  107. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小林君の質疑を続けます。小林君。
  108. 小林武

    小林武君 官房長官にお尋ねいたしますが、中国代表団が来ることについて入国の許可を求めておりますが、その結論が出ないままでありますことは、これはもうわれわれにとってはたいへん遺憾なことでありますが、中国問題についていまここで長々と申し上げるつもりはございません。ただ、いろいろなアジアの情勢等から判断してみても、最近のアメリカにおける中国に対する見方、これは一つは上院における公聴会等を中心にした見方でありますが、その中にもやはり一つの変化が私は起こってきているように考えるわけです。こういう動きの中で、先ほど申し上げたように、この代表団の受け入れば政府で早く態度を決定するべきだと私は思うのですが、この点についてどういうことになっているのか、官房長官から御意見を承りたいと思います。
  109. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) おっしゃるとおり日本と中国との関係は、過去の歴史的な事実あるいは人種関係から考え、かつまた長い間の文化の交流等から、おっしゃるとおり重要なる問題であります。ただ最近における国際情勢、また国内事情等からも勘案して、日本の対中国政策といいましょうか、対中共政策は、従来御承知のように政経分離のたてまえで処理をいたしてまいっております。今回社会党が代理申請者となって中共の代表団の受け入れ申請がありましたので、慎重にこれが検討をいたしている状態で、まだ関係省において事務的な検討が終わっておりません。したがって、いまどう取り扱うというお話を申し上げる段階に至っておりませんことを御了承願いたいと思います。
  110. 小林武

    小林武君 慎重にこの問題の取り扱いを考えているということについては、わからないわけでもないような気もしますけれども、これはすでに佐藤内閣においては、外交の中心はもう中国だというような佐藤総理の四十七臨時国会での意見の表明もある。こういうことを考えますと、慎重の度が過ぎてしまって、いかにも日本の政府は中国に対して敵意を抱いているというような誤解を与えることは、これはどうかと思うわけであります。以前こういう種類の問題が起こったときに、中国人民日報は中国を敵視するこれはやり方だというようなことを述べているわけであります。私は、先ほど来申し上げましたように、非常に微妙な段階に米中の関係なんかもなっているけれども、その中でも米国の中にさえ一つの、中国を理解しようという動きが出ている現段階でありますから、先ほど官房長官がおっしゃるように、中国と日本との関係というものは、これは地理的にも、歴史的にも非常に深い関係にあるし、また将来の中国と日本との関係を考えた場合には、これを未解決のまま置くということは不可能であります。そういう点から、これは一体いつまで待ったらいいのか。社会党といたしましても、これは何か巷間伝えられるようなうわさとは全く違って、相互の理解を深めるのだ、政府部内に、あるいは日本の一部にあるような懸念というようなものは、中国代表団の来訪によって起こり得るはずがない。党でも正式に見解を表明して、そうして政府に善処方を要望しているわけでございますから、この点についてもう一歩前進した考え方というものを、政府部内として出すことができないのかどうか。事務段階のお話がございましたけれども、これはさておいて、その点でひとつ再度、官房長官の御意見を承りたいわけでございます。
  111. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 御承知のように、佐藤総理は、あらゆる公の機会に、日本の対中共観といいますか、考え方を述べております。あるいはまた、ジョンソンとの会談におきましても、日本は過去の歴史的、文化的あるいは人類的、人種的な関係から見て、アメリカと考え方を必ずしも同じうするわけではない。これは、ジョンソンと総理との間の共同声明の中にも見解が述べられております。特に国会での質問に対しましても、総理は、佐藤内閣は決して中共を敵視しておらない、かつまた、アメリカのいわゆる封じ込め政策にも同調しておらない。こういうことを明確に言っております。したがって、従来やってまいりました考え方において、中共側を敵視する理由は一つもないわけでありまするが、あるいは中共側がこれをどう解釈しておるかは別にいたしまして、わがほうとしては、中共に対してそうした特殊な敵意の感情は持っておらないことは、御承知のとおりであります。ただ、世界の情勢、あるいは極東の情勢等から考えて、対中共政策というものは、やはり現時点において考えるべき点と、あるいは長期的な観点からものを考えなければならぬ、いろいろの事情があるわけでありまして、現在の時点で、いま佐藤内閣がとっておる政策は、私たちは妥当な政策としてこれを見ておるわけであって、もちろん、うしろ向きでもなければ、特に中共を敵視する考えも持っておらない。前向きに、かつまた、大いに展開する前提のもとに今日政策をもっておる。この点は十分御理解できませんかもしれませんが、決してうしろ向きではないということを御理解願いたいと思います。
  112. 小林武

    小林武君 重ねてお尋ねいたしますが、長期的とか、それから現時点におけるというようなお話がございました。私は、いまの極東の情勢、アジアの情勢から判断いたしますと、現時点こそほんとうに中共に対してもっと柔軟な、硬直しない外交態度というものが必要だと思うのです。これは佐藤総理がいままで述べておった外交方針にぴったりするものだと、私は思うのです。だから、長期的にはということで、現時点はとにかく現状維持――さらにには現状維持をうしろ向きのようにいわれる政府の態度――そういう誤解を受けるようなことがあっては私はならないと思う。だから、現時点こそ大事だから、たとえばアメリカにおけるところの一つの動きというようなものも、そういうところに私はあると思うのです。そういう意味でどうなんでしょうか。ただいまは政策全体としての御意見を承りましたけれども、この問題を取り扱うにあたって、一体、前向きの姿勢で取り組むというようなお考えがあるかどうか。並びに事務的なと申しますか、これに関係のありますところの外務大臣並びに法務大臣の御意見も、この際お述べいただきたいと思います。
  113. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) ただいまの小林さんの、いわゆる前向きで取り組む考えはないかということは、許可する意向はないかと――端的に申せば、かようにとれるような御質問だろうと思います。現在のところ、もちろん事務的にこれを処理するということは、やはりこうした役所の機構でありますからして、一応は事務的にこれを検討する必要がありますので、目下の段階ではいわゆる各省関係において協議を進めておる。もちろん、これをどう扱うかは、ものによっては政府のほうに相談がくるといいましょうか、政府といいましょうか、官房長官なり関係各大臣に相談をすることがありまするが、とりあえずは各省間でこれは協議をしておる。もちろん、前向きということはどういうととか――先ほど来のように許可する前提ということであれば、必ずしもそうは解釈できないかもしれませんが、もちろん、正面切って正確に取り組んでおる。こういう意味では前向きでありましょうが、許可するかしないかはまだ決定の段階になっておらない、かように考えております。
  114. 小林武

    小林武君 事務的なことをお答えいただく前に、こう理解してよろしいですか。外務並びに法務の両省においてこのことを検討なさって、その結果について政府としては方向を明らかにする。そして、そのことは少なくとも慎重に扱うけれども、中国を敵視するような、あるいは中国を刺激するような、そういう方針をとるものではないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  115. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) ただいま申し上げましたように、いわゆる申請内容は事務的に取り扱って、これは両省というものの最終段階が出るものか、あるいは事務的においてはこれが処理の困難な場合は、政府首脳部においてこれを判断する、こういう意味で申し上げたのであります。もちろん従来総理が発言しておりましたように、中共を敵視する政策をとってものを考えるわけではない。しかし、日本日本としての自主的な立場をもっております。その独立の立場からものを考えてまいる、この点を御了承願いたいと思います。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと関連。非常に重要な問題でありますので、私からも二つの点について特にお伺いしておきたいと思います。  その第一は、法務大臣にお尋ねいたします。法務省では、この書類をすでに受け取っておられるわけですが、現在どのように検討をされておられるか、この点をひとつ御説明を願いたいと思います。  それから、先ほど官房長官のお答えでございますが、現在のところは、許すとも許さないとも未定である。どちらに比重をおいて考えるわけじゃありませんが、ともかく未定である、こういうように理解していいお答えかどうか、この二点について両方からお答え願いたい。
  117. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。  先週の末ごろに、入国の願いを受け取りました。それから、ただいま鋭意調査中でございます。どういう段階にあるかという亀田君のお尋ねでございますが、入国希望者のいままでの日本に来た歴史、前に来たことの沿革もありますし、そういうことの調べ、それから今度の願いについていろいろな関係の書類が出ておりますが、それについての調べを、いま、いろいろたんねんにやっているところでございます。近くこれについての事務当局としての結論を出して、それぞれの関係の方とも相談して、なるべく早く結論を出したいと、こういうふうに考えております。
  118. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 亀田さんの御質問ですが、許可、不許可を未定であるということは、要するに、まだ関係省の調査が終わっておらない、こういう意味で申し上げたと御了承願います。
  119. 亀田得治

    亀田得治君 それでは、重ねてもう一問ずつお聞きしておきます。  法務大臣のほうには、社会党のほうから、そのために必要な書類が、御承知のとおり出ております。この書類によりますと、目的としては、双方の友好親善を深める、もう一つは、両国に共通の諸問題について討議する、こういう二つの目的になっております。そうしてさらに、保証書として、日本国法令の遵守、入国目的以外の活動をさせない、こういう佐々木委員長の保証書が出ております。もちろん、いま私が指摘した点等についてもお調べに――お調べといいますか、検討されておることと思いますが、私は、先ほど小林委員から御指摘がありましたような、現情勢における中国問題の重要性という点から見て、いま指摘申し上げたような目的と保証書のもとにおいては、むしろ進んで入国を認めて、そうして使節団にも、われわれとしては、できれば政府みずからも接触をしてもらいたいというくらいにすら実は考えておる。たとえ多少意見の違い等が出てまいりましても、言うべきことは言う、聞くことは聞いてみるという機会を持つことこそ、現在のアジアの諸般の情勢から見て非常に意義があることじゃないかというふうに考えておるわけでありまして、私は、この辺の問題は、形式的な事務的な検討からはなかなか結論が出てこないと思うのです。したがって、法務大臣として高い立場で、ひとつこれらの検討をしていただきたいというのが第一の要請でもあるし、その点についてのお考え方を聞きたいところであります。  それから官房長官には、いまお答えいただきましたが、使節団の目的は、――目的といいますか、期限は、四月十日入国を目途としてスケジュール等が検討されておるわけでありまして、当然、それから考えれば、いつごろまでに結論が出てくる、また出さなければならぬというふうなことが常識的に考えられるわけですが、そこら辺のめどですね。いずれにしても、いつごろまでに処理をしたいというふうなめどが政府のほうにおありでしたら、その点をあわせて明らかにしてほしいと思います。  以上二つ。
  120. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいまお話しの社会党のほうからお出しになりましたいろいろな入国についての資料が有力な資料であることは、もちろんでございます。それも重要な点として考えていく、そのほかのいろいろな資料もありますので、そういうものをできるだけ取りそろえて、そうしてなるべく早く結論を出し、よく相談をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただいまのお話の御趣旨は、よくわかりました。
  121. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 申請を出されました翌日、中村高一さん外数名の方が参りまして、前日申請を済ましたから、ぜひとも早く結着をつけてもらいたい、許可をしてもらいたい、こういう趣旨であります。これは、もちろん、そのときの理由に、やはり歓迎の準備等があるので、すみやかに結論を出してもらいたい、こういう申し入れであります。したがって、政府としては、これらの点を考慮に入れまして、かような結果において御迷惑のかからぬように、すみやかに結論を出して御通知申し上げたい、かように考えております。
  122. 小林武

    小林武君 ちょっと外務大臣の見解をお聞きすれば、この問題は終わりです。
  123. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 法務省のほうから事務的にとりあえず話し合いがかけられております。私、まだよく聞いておりません。慎重に考究して結論に到着したいと思います。
  124. 小林武

    小林武君 次は文部大臣にお尋ねをしたいのですが、香港の日本人学校が私塾だという御答弁があったのですが、これについて、もう少し詳しくお述べいただきたいと思うのです。
  125. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 外国に在留します日本人の子弟を、後に日本に帰国しましても不自由のないように教育をいたしますのは、主として外務省の在外公館がお世話をしましてやっておりますので、私のほうは、それに対して指導的な教育者についてお手伝いする、こういう立場にありますので、御質問の点は外務省のほうからお答えをいただいたほうが適切かと思います。
  126. 小林武

    小林武君 外務省のほうからは、いろいろ資料はいただきました。そこで、今度学校教育法の改正案が出まして、この間矢山委員からもいろいろ質問がありましたように、朝鮮人学校がどうなるかというようなことについて、今度はやはり決定的な線が出るように新聞も報道しておる。そこで、そのことを理解するのに、どうしてもやはり、一体日本の子弟が外国で教育を受ける場合はどうなるのかということが、朝鮮の人間であろうが外国人であろうが、日本で取り扱う場合には、これは十分比較さるべきことだと思うのです。その意味でお尋ねしておるのです。したがって、文部省もひとつ、外務省と言わずに、おっしゃっていただきたい。たとえば、それは私塾なのか何なのか、香港政庁との関係はどうなのか、まず、この点をひとつお答え願いたい。
  127. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私の承知いたしておりますところでは、諸外国の了解を得て、外務省の在外公館が、正規の学校としてではなしに、塾ということばが当たるかどうかわかりませんが、私的にそういう学習授業を行うというように聞いております。諸外国では、外国人の学校を許可するのは、制度を調べてみますると非常に厳格で、学校の許可をする場合には自分の国の人間を校長にしなければいけないとか、教官が全部もしくは大部分自分の国の人間でなければいけないとか、相当に制限が強いようです。そうした関係で、外務省としては、便宜諸外国の了解を得て在留日本人の子弟の学習授業をやっておるように承知をいたしております。ただ、お話がございましたが、日本の場合におきましては、もちろん、外国人に関する学校の制度を学校教育法等を改正してやります場合には、これは朝鮮人であろうと、アメリカ人であろうと、どこの国の外国人であろうと、やはり同じ規律のもとでなければ適当ではないだろうというふうには考えておりますが、外国では、非常にそういうような条件がきびしいように承知をいたしております。
  128. 小林武

    小林武君 外務省にお尋ねいたしますが、香港政庁の教育法の適用を受けていますかどうか。
  129. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) ただいままで香港にございます日本人学校は、いわば塾のようなものでございまして、適用を受けておりません。今回予算を通していただきますれば、講師の派遣その他施設の拡充等が起こりますので、四月以降は香港政庁から正式に許可をもらう必要があると思います。
  130. 小林武

    小林武君 その場合、何学校ですか。
  131. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 特別の許可を受けて、日本人小学校ということになると思います。
  132. 小林武

    小林武君 私立学校ですか。
  133. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) もちろん私立でございます。
  134. 小林武

    小林武君 どのような教育法の適用を受けていますか。
  135. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 香港政庁の教育部の許可を得ることになりますが、そのときに、私、教育法の詳細を存じませんけれども、私立学校設立についての諸規則がございますので、施設あるいは講師、内容等について、その諸規則に応じた学校とすることが必要であろうと考えます。
  136. 小林武

    小林武君 香港政庁における教員に対しての教育法は、どういうことになっていますか。教員の採用……。
  137. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 教員の採用の細部規則については、ただいま承知しておりません。
  138. 小林武

    小林武君 だれも承知していないのですか。外務省、だれも知らないの。文部省も知らぬ、外務省も知らぬというのは、どういうことですか。
  139. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) ただいまの御質問は、教員の採用の資格の点でございますか。
  140. 小林武

    小林武君 どういうものを教員にするか。
  141. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 教員の資格の問題になると思いますが、それについては、詳細は現在承知しておりません。
  142. 小林武

    小林武君 わりあいのんきですね。これは、こうなっておるでしょう。「香港政庁の認めた大学、師範学校を卒業して教員免許状を持っている者」、これが香港政庁の教員に対する資格条件ですが、これでなければ採用できない。ところが、日本の今度できる学校の校長、教員は、だれがなるんですか。
  143. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 文部省にお願いいたしまして、わが国の教員の資格があるものを選択していただくことになると思います。
  144. 小林武

    小林武君 その場合、政庁の教育法に違いませんか、どうですか。香港政庁の認めた師範、大学ですから、日本の大学は認めていますか。その中に入りますか。
  145. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) ただいま申し上げましたのは、私どもがそういう教員を希望して派遣するのでございまして、その教員が、先方で今回できます日本人学校の教師として教えることができるかどうかにつきましては、もう一回香港政庁の了解をとる必要があると思います。
  146. 小林武

    小林武君 それはおかしいですね。もうきまってしまってから了解をとるのもおかしい。これは、あれでしょう、特に許されたのでしょう、特にね。これはどうですか、文部省も派遣したのですからね。文部省も、あなたのほうも、はっきりしておかなければだめです。
  147. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) まだ香港のほうでは、全部受け入れの準備が完成しておりませんので、人を派遣する段階までには至っておりません。
  148. 小林武

    小林武君 今度は文部大臣にお尋ねしますが、日本から校長並びに教員三人やったのですね。それは、どういうあれでやりましたか。
  149. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いままでは、先ほど外務省からお答えがありましたように、外務省の在外公館が在留民子弟の教育のための教育施設を設営しておったわけで、この場合、ほかの地区にも例がありますように、文部省としましては、外務省の要請に応じまして、学芸大学等を卒業した有資格の教師を外務省のほうの籍に移しまして派遣をするように協力をいたし、できるだけ在外子弟が将来日本に帰国をしましても学業上支障のないようにつとめるのが当然の責任と考えておりますので、さような見地に立ちまして、人員をお世話申し上げておるような次第でございます。
  150. 小林武

    小林武君 文部大臣ね。香港政庁の教育法の中には、日本人の教員をやるというあれはないのです。しかし、日本人を日本人として教育したいという日本希望に対して向こうが特別の措置をとった。それをあなた、お考えになっていただきたいと私は思う。だから、これはあれでしょう。茨城大学の教員が校長になって、新しい卒業生三人、同じく茨城大学の卒業生がこれについていくと、こうなっているのでしょう、これは間違いないですね。どうですか。
  151. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そのとおりであります。
  152. 小林武

    小林武君 そうして、そのカリキュラムは、どういうことになっていますか。それは外務省ひとつ。これは香港のカリキュラムか、日本のかということです。
  153. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 詳細の、カリキュラムをどの程度香港政庁側と詰めておるか、承知しておりませんが、学校設立につきましては、詳細に香港政庁の教育部と日本人クラブ及び総領事館とにおいて打ち合わせしておりますので、私自身は詳細のカリキュラムを承知しておりませんが、香港政庁の承認を必要とするものと思います。
  154. 小林武

    小林武君 その点はすでに承認を得ているのですね。あなたのほうから調べたのですから、私は。カリキュラムは日本のものでやってよろしい、こういうのです。だから、日本の民族教育をやってよろしいと香港政庁は認めている。これはまた日本人の希望でもあるわけです。そう日本の親たち希望するのは当然なんです。そのように、私は、少なくとも今度の学校教育法の一部改正に際しては、外国人学校に日本はやはり襟度を示すべきだと思う。反日教育であるとかなんとかいって、民族教育をいたずらに阻害するような態度はよろしくないと、こう思う。そこで、反日教育というのはどういうことなのか、ここでひとつ、あなたから御答弁をいただきたいと思います。
  155. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) せんだっても申しましたように、外国人が、日本の国内において、自分の国の国民に対して自国語で自国の歴史その他教育をする、いわゆる民族教育というものは、私は、非難すべきものでもないし、また排斥すべきものでもないと思います。ただ、日本の国も独立国であります以上は、まあ、いま小林委員が反日教育ということばを使われましたが、反日的な、日本の安全や利益を害するようなことはやられちゃ困る、この点ははっきりしておかなければならぬのではないだろうか、こう思っておる次第でございます。
  156. 小林武

    小林武君 まあ、この件については、分科会あるいは委員会等でいろいろ議論しなきゃならぬと思いますが、先ほど申し上げましたように、やはり、香港政庁が日本教育に対して示した襟度というようなものは、われわれはまねるべきだ。それを、いたずらに、何か取り締まり法とか治安対策なんていうような、いささか野蛮な教育観はとらないほうがよろしいということを希望しておくわけです。  次に、科学技術のことについて、ちょっと上原長官にお尋ねいたします。  わが国の産業が、どうも技術については過度に外国に依存しておる、こういうことを科学技術庁で言われておるわけでありますが、どうなんでしょうか。昭和三十五年に、この問題についてあなたたちが触れられた過度に依存しておるというのは、どういう点から申されましたか。
  157. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) お答えいたします。  何ぶんにも、戦争その他によりまして、長い間、学問、技術開発がおくれておりましたので、結局、そのおくれを、そういうことばであらわしておる、こう考える次第でございます。
  158. 小林武

    小林武君 現在はどうでしょうか。三十五年にはかなりふえていますが、件数あるいは技術導入の対価というようなものは、先日も何かこの点で質疑がございましたが、長官としてはどうお考えになっていますか。
  159. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 技術導入は、いまは頭打ちの状態で、年に九百件から千件くらいのものが、ここ二、三年行なわれております。そして、わが国の技術は、外国などに比べますと、まだたいへんな隔たりがございますから、まだまだおくれは取り返しておらない。これから必死な努力を重ねて、このおくれを取り返してまいらなければならぬ、かように考えております。
  160. 小林武

    小林武君 科学技術の導入について、変則でない、いわゆる過度の依存でない、というところは、一体どういうことになりますか。たとえば、件数の問題も金額の問題もあるでしょうけれども、それ以外にも何かあるような気がするんですが、そういう点について科学技術庁ではどう判断されていますか。
  161. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 件数や金額の面で、だいぶん負担になっておる、こういうことで、このままではいけないと痛感しておる次第でございますが、それが回復できれば――容易に回復できるという確信もございませんけれども、必死に努力を重ねて回復することができれば、あらまし問題は解決する、かように考えております。
  162. 小林武

    小林武君 大臣の御決意のほどはわかりましたが、事務当局のほうから、もう少し詳細にひとつ御答弁を願います。
  163. 小林貞雄

    政府委員小林貞雄君) お答え申し上げます。  技術導入につきましては、最近の情勢も、依然技術導入の件数のほうは減っておりませんわけでございますが、ただ、いっときのような、いわゆる基礎的な技術導入とでも言いましょうか、相当基本的な技術につきましての技術導入そのものというよりも、むしろ応用的な面での技術導入が出てきているということと、さらにもう一つは、単なる技術導入するということだけでは相手方のほうがなかなか認めてまいりませんで、それに見合うべきこちらの技術を向こうに出す、そういう体制でないと話がしにくいとか、あるいはまた資本参加、合弁会社でないと技術導入をなかなか認めない。そういうようなことで、一流のトップレベルの技術につきましては、たいへんむずかしい面がそういう意味で出てまいっておる、こういう状況でございます。
  164. 小林武

    小林武君 科学技術の技術導入については変則的だ、あるいは過度に依存しているというようなことを言われているが、これは適当だと思われるようなことはどうなればいいのですか。
  165. 小林貞雄

    政府委員小林貞雄君) 結局、技術につきましては、自前の技術を日本で培養いたしまして、これからの国際競争に耐えていくためには自前の技術で競争する、こういう体制にならなければならないかと思います。さような意味で、技術導入につきましては、できるだけ件数を減らすためには自分で技術をつちかっていく、自前の国産の技術をつちかっていく、こういうことが大きな将来の方向でなければならないかと思います。さような意味では、国自身で民間が研究しやすいように援助をしてやるとか、あるいは国自身が民間でなかなか手が出ない分野の技術を、技術の基盤とでも申しましょうか、そういうものをつちかっていく、こういう面が非常に必要ではなかろうかと思います。一言で申し上げますと、国産技術をつちかいまして、技術導入をしなくても済むような体制にする、それが一つでございます。それから、もともと技術というものは非常にコスモポリタン的なものでございまして、すべてを自分の中で、全部日本の中でつちかっていくということができるものじゃございません。やはり一部分どうしても導入しなければならない。その導入するためには自分のほうでそれに見合うだけの技術を持ってやっていかなければならぬ。こういう意味で、この面から言いましても、自前の技術をつちかうということが当面一番大事な問題かと思います。従来、技術導入に依存して日本の技術は進歩してまいったわけでございますが、それを脱却するためには、基礎、応用、企業化、各分野にわたります技術の培養をはかっていく必要がある、かように考えておる次第でございます。
  166. 小林武

    小林武君 「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策」というのは、昭和三十五年にこれが答申されたわけでありますが、これは一体どこを起点にして、一体どこで十年目になるわけですか。
  167. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 昭和三十五年度に科学技術会議が総理に答申をいたしましてから今後の十年間、こういう時点になっております。
  168. 小林武

    小林武君 昭和三十五年から十年ということになると、ずいぶん月日がたったわけであります。結果的に見れば、先ほど来も申し上げましたが、件数を見ましても、書いたほうを見ましてもふえているのですね。四十一年がちょっと頭打ちになったという大臣のお話は、これはほんのちょっとですがね、二十四、五年に比べればこれは額は大きいです。したがって、この点は若干、十年計画という対策は文章であり過ぎる、単なる文章であったとまでは言わないけれども、非常に文章的なもので、しかも、今度は結果としては何か法律案を出すということに主力が置かれているというようなことはたいへん遺憾だと私は思う。これはもう国防その他に比べると、科学技術の面はたいへんに勉強が足りない、こう思うのですが、どうですか。
  169. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 十年間にこれくらいのことをしてやらなければいけない、こういうことなのでございまして、これだけやれるということのまあ予定がついていなかったのではないかと思うのでございます。それにしましても、おっしゃるように、遅々たるものがございまして、まことに、何と申しますか、申しわけなく存ずる次第でございます。これもやはり逐年財政事情などが思うにまかせませんので、その他もございまするが、努力も十分であったとは申し上げかねます。かように思う次第でございます。
  170. 小林武

    小林武君 これは政府委員のほうにお尋ねいたしますが、この点については目標というのがあるのですね、目標を見るとかなり具体的になっているのです。これは必ずしも、何というか、単なる文章でないと言える面もある。何々という部門別に実に詳細に書かれてある。この点はどうなんですか。文章であったのですか、それとも具体的にそれに到達するという意欲的な手だてというものがあったのですか。
  171. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) お答え申し上げます。この十年後の見通しをつくりますときには、まだ科学技術全般が問題のころでございました。したがいまして、網羅的に大体科学技術に対してはどうあるべきかというところを基礎から応用、実用化まで考えました。その中で、特に今後政府として技術を伸ばすべきものも、できるだけそのテーマをあげていきたいということで考えてきましたが、三十五、六年のころにおきましては、まだそこまではっきりと出ず、結局網羅的な形になったわけでございます。しかし、去年になりましてから、非常に、やはりこれではまだ十年先の問題点をあげたほんとうのものではないんじゃないかということで、昨年の初めからもう一度見返しをやって見まして、もう間もなくその見返しが終わるのではないか。そういたしますと、これから先、五年先の大体の見通しができると思います。これは現在作業中でございます。
  172. 小林武

    小林武君 まあ、いま政府委員のほうから聞きましても、やっぱりこれは構想倒れなんですな。具体性がない科学技術の振興というのは、これはだめです。だから、これは法律をつくれば科学技術が振興すると考えられると、これは大間違いなんです。手近なところから、どう一体現状を把握しておったら、その現状に沿うたようにどう打開していくのだというその具体的な道がなければならない、こう思うのです。その点は、長官はそういう方向で実際的にやっぱりおやりにならぬというと、科学技術はいつまでたっても私は発展しないと思うのです。  で、時間がありませんから、今度は人間の使い方の問題であります。研究者という、ものに対する人間の問題になりますと、これは基本的なものの考え方は、大体私は案の中にあるものが適当であるというふうにも考えます。しかし、日本の場合、どうも能率的に人を使っているとは言われない、こう考えるのです。これは文部大臣にも、科学技術庁長官にもお尋ねしたいのだが、研究者の一体どこらあたりのところに一番エネルギーがたくさんあって、最も頭の働きと言ったらいいのか、年とったらだめだとは申しませんけれども、どこらあたりを一体一番働かせなければならぬ、そういう人間の能力と能率というものをお考えになったことがございますか。私はどうもここでは年功序列型というような悪いしきたりがぎっちりできておって、ほんとうに人間の能力を使っているやり方ではないと思うのですが、この点はどうでしょう。これは文部大臣のほうは大学とか、そうい付置の研究所とか、そういうところのことをお考え願いたい。科学技術庁の長官は、ひとついままでの所管のところで各省その他についてお考えいただきたい。
  173. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはまことにむずかしい御質問でございますが、やはり科学技術の知能というものはいろいろな経験や分析の進むに従って深みを持っていくので、どうも年をとったからだめになるとは私ども実は考えておりませんが、ただそれには適当な、大学で言えば助教授とか助手とかいうような一体的な研究が非常に必要だと思います。どうも年齢的にいりの時代が一番旺盛な科学技術力を発揮できる年齢だと言われますと、どうも私どももいささか判断に苦しむわけでございますので、まあおのおの考えるところもあるかもしれませんが、この程度のことで御了解いただきたいと思います。
  174. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) お答えいたします。技術者という範疇に入りまする研究者の方々の最も能率の上がるのは、私は大学を卒業してから十年から十五年の間ではないかと思うのでございます。これは技術になりますと、非常に勉強――肉体的にも勉強しなければなりませんから、どうしても大学を出てからあまり長くたちますと、新しい技術、学問を吸収する力が弱まるのではないかというふうに考えますが、何にしましても、御指摘いただきましたように、技術者の数が少ないのでございますから、そんなぜいたくは言っていられないのでございます。そこで、文部省にお願いして、若い技術者をたくさん輩出さしていただくようにお願いしておりまして、文部省でもこれに非常な努力をしていただいておりまして、最近のうちに、二、三年のうちには数だけはどうにかいくのではないかと思いますけれども、質の点ではまだ十分にまいりません。残念でございますが、これが実情だと思うのでございます。
  175. 小林武

    小林武君 まあ、ちょっとこれは大学学術局長にでもお聞きしたいのですが、やはりこれは判断の基準というのはあるのですよ。たとえば学者なら論文がどのくらい出ているとか、その論文の学問的価値がどうであるかということはあると思うのです。まあ上原さんは御自分でいろいろ仕事の面からなかなか的確にやはりつかんでいると思うのです。それは全部合っているとは申しませんが、老年でもりっぱな方もあるということ、それは認めます。しかしながら、このエネルギーをくみ取ることを考えないといけない。年間千人ぐらいずつ日本の頭脳は外国に流出していると科学技術庁の分析では出ている。これはイギリスでもそういうことで非常に困っている。しかし、流れ去るのは一体サラリーの問題だけかというと、それだけではないと言っている。年功序列型の、一体きてもどうにもならぬような場合には再び戻ってこないということを、やはりイギリスの場合でも言っているのです。私はこういう例を最近聞いたのです。アメリカに大学の招聘教授になって行っていた人が帰ってきた、大学の席がないために助手になったという話しを聞いた。これは東大だという話しですが、そういうことを考えると、まことに――その助手というものの待遇がどういう状態にあるかは、これは文部省の方が一番よく知っている。だから、ここらあたりを一体どう打開するかという問題は、科学技術の人間養成とか何とか盛んに言いますけれども、これは重大なことだと思うのですが、どうですか、その点は。
  176. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まあ御質問がいろいろ多岐にわたっていると思いますが、まず優秀な頭脳の諸外国への流出、これはおっしゃるとおり、いろいろな待遇の面で向こうへ行ってなかなか帰ってこないという事例もございます。ただ、これは言われるほどそんなに数は多いことはございません。実はこの三年間に約四十名ぐらいそういう事例を見ております。しかし、それらも近くそのうちには日本へ帰ってくるという予定者もおります。また、外国へ行って研究するということ、そのこと自体はやはりけっこうなことだという面もあるわけであります。ただ待遇が必ずしもよくない、向こうで環境もよければ研究の便宜もある、こういう面で、本来、日本で働いていただくべき人が、数においてはそう多くないにしても、かなりありますこと、そのこと自体は大いに反省しなければならぬ、適正な措置をとっていかなければならぬということ、これは確かだと思います。それからやはり学者、研究者、ほんとうに仕事をするのは、ただいまもいろいろお話にありましたように、若い年代において相当仕事がされていることは事実であります。ことに数学、理学系、数学系についてはそういう顕著な強い傾向を持っております。学問分野によりましては必ずしもそう言えない面もありますけれども、一般に言いまして、やはり若い年代の層を優遇するということが、学者、研究者、優秀な頭脳を確保する上において今後努力されなければならぬ大きな点だと思います。で、そういう点に関連いたしまして、日本の給与制度、また身分制度というものが多分に年功序列型になっておるということは、私は基本的な問題として反省すべき点だと考えます。やはり単なる年齢ということではなくして、その実力に応じてふさわしい待遇をする、その身分を考えていく、こういうことは今後の基本的な問題として検討しなければならない点だと私どもは考えております。何か十分なお答えになっておりませんかもしれませんけれども、以上申し上げます。
  177. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) ただいまの御指摘に、年々千人以上の技術者、学者が流出すると、こうおっしゃいましたけれども、そんなには出てはおらないと思うのでございます。出ましてもまた帰ってまいりますので、千人以上の者が毎年海外に出ますけれども、留学、勉強にまいりますのが多いので、帰ってまいります方が多いので、帰らない人が何人か、何十人かある、こういうことでございまして、その数字はよく記憶しておりませんから、政府委員にお答えいたさせます。
  178. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) いま大臣の申し上げました流出の問題でございますが、大体千人ぐらい出ているのは毎年出ております。それを私たちは三十四年から三十八年までの統計で計算いたしましたときには、四年で帰ってくるのがほとんどでございます。五年おりますのがわずかございます。それから大学関係としましては百二十何名という数字が出ましたが、私たちがとりました国立はほとんどございませんが、ただ民間のやつがなかなかよくとれません。ただ、それのわかっているのを全部取り上げますと大体十五名という数字が出たのが現状でございます。
  179. 小林武

    小林武君 大体いまお話しのように、年間平均すると五年のやつが千人ぐらいになるのです。これは大学だけで言えばいまの学術局長のようなことになる。そこで、飛び飛びにお話をするのですが、ひとつこの問題は単に文部省と科学技術庁の意見の対立というようなぐあいでなくして、ぼくは十分お考えいただきたいと思うのですけれども、科学ということ、これは科学技術といった場合には、私はもっと広義に考えたときには、人文科学、社会科学をどうするかという問題が一つ起こってくるわけです。この間、自民党の御質問の中にあったのですけれども、その中で、一体、科学技術に人文科学は含むこともいいのだが、それはいわゆる自然科学とか、そういうものに関係のあるところから含まれるのであって、哲学とか美学とかいうものは含まないというお話だった。大体この点については科学技術庁の長官は御同意なさった。文部省の御答弁はそうでなくて、自然科学、人文科学というようなものを含めて、全部それが調和的な発展ということでなければ科学の発展はないと、こう言う。これについては、私はやはり傾向としては科学技術庁のほうのお考えを一歩文部省側にお入れいただきたいと思うのです。当面の目標としてはそういうことが言い得ますけれども、長い長期の見通しに立った場合と、それから自然科学というものが飛躍的に発展していった場合に、これに社会科単が、あるいは人文科学が相伴わないでいった場合には、これはたいへんな問題が起きるわけでありますから、この点の理解は、政府部内においてもはっきりと統一されなければならないと思うのですが、お二人に論争をしてくれとは申しませんが、いかがなものでしょうか。
  180. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小林君に念のため申し上げますが、時間がまいりましたから……。
  181. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 小林さんは私の答弁をお聞き違えになったようでございます。私は人文科学も社会科学も含めて一緒にやるのがよろしいと考えまして、そういう考えで、いま党のほうで御検討いただいておるという御答弁を申し上げた次第でございます。
  182. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答え申し上げます。別段、政府部内には意思統一が欠けておるようなことは目下のところないと思います。ただ、人文科学あるいは自然科学の調和ということも私どもも考えておるわけですが、いま基本法の問題で党内では議論があるようですけれども、これについては基本計画という問題が取り入れられておりますから、一体、自然科学は基本計画というものは成り立つが、人文科学というものが入って基本計画というものはおかしいじゃないかというような議論があるようです。しかし、これは議員としての自由な発言の範囲でいま議論をしておる段階でございますから、政府部内としては不統一はないと私考えまして、できるだけ科学技術庁と相談をして、われわれのほうは進めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  183. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小林君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  184. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、田中寿美子君。
  185. 田中寿美子

    田中寿美子君 去る二十六日の私の質問のとき、ちょうど文部大臣は高校選抜野球の始球式にお出かけで御欠席でしたので御答弁いただけませんでした。いま問題を詳しくお話している時間がございませんけれども、事務当局からお聞きいただいたと思いますが、国立大学病院に勤務する看護婦、准看護婦及び助産婦の夜間勤務規則等に関する行政措置の要求が、大学病院に働いている人たちから出ております。それに対して、人事院が調査した結果、判定を下しております。その行政措置の要求の内容とその人事院の判定とを御説明願いたいと思います。
  186. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 措置要求に対する人事院のいろいろ調査をいたしました判定の要旨は五点ほどあるわけでございます。これは月間の夜間勤務の日数であるとか、あるいは患者数に見合う看護力とか、その他いろいろ五項目にわたっておるわけでありますが、国立大学の病院としましては、診療のほかに教育、研究機関としての使命をになっておりますので、普通医療法に規定されておりまする看護婦の配置、患者の数、こういうものと比較して、国立大学病院の場合には相当に看護婦の数は多く配置をされている次第でございます。現在、国立大学の付属病院におきましては、定員としては六千六百五十名ほどになりますが、減員はいろいろな事情で十分にこれを確保することができませんので、助手、准看護婦等を含めまして六千三百五十ほどになっております。したがって、約三百近い欠員がありますわけで、本年度におきましても、そういう事情から極力努力をしまして、百六十数名の補てんをするような措置を考えております次第で、人事院からいわゆる判定をいただきましたような運営をするように、大学当局及び病院当局に対しましては十分に指導をいたしまして、遺憾の点のないように、人事院の判定の線に沿って運営するように実は指示をいたし、指導をいたして努力をしているような次第でございます。
  187. 田中寿美子

    田中寿美子君 さっき、判定の内容を言っていただきたいと申し上げたのですけれども。
  188. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は一々五項目を読み上げるべきところを省略いたしたわけでございますが。
  189. 田中寿美子

    田中寿美子君 読み上げていただかなくてもいいのですけれども。
  190. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体、第一が夜間勤務の日数は月約八日にすべきである。それから患者数に見合った看護力の充実を考えろ、次は産後の看護婦等の夜勤免除はおおむね六カ月程度にすべきである。これは措置要求では一年ということになっておりますが、人事院で調査した結果、一年の必要はかろう、六カ月が適当の程度であろうということになっております。次に、昼間における休息、休憩の時間を明らかにして運営をしろ、もう一項目は、看護助手の充実をはかる等の措置を講じて業務の合理化を考えろ、こういう点でございまして、それぞれそういう方向に向かいまして、実際の運営をやらせるようにいたしておる次第でございます。
  191. 田中寿美子

    田中寿美子君 ただいまのような判定を実際に実行するためには、どれだけのことをなさったかという点をもう一度お願いしたいと思います。
  192. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 政府委員からお答えをいたさせます。
  193. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まず人事院判定の線を忠実に実施いたしますには、どうしても看護婦の定員をふやす必要があるわけでございます。そこで、本年度におきまして、二百五十名の実はそのための定員増を要求したのでありますけれども、残念ながらこの定員増は人員の抑制という観点から認められませんでした。この点は厚生省においても同様な結果になっておると思います。  で、全般といたしましては、診療科の増設等によりまして百六十二名の定員増にはなっておりますけれども、しかし、人事院判定の実現のための措置としては不十分でございます。したがって、この判定の線の完全な実施はきわめて困難な状況であることを、率直におわび申し上げなければならない状況にございます。ただ、大学におきまして、その他の点については運用の面においてかなり実施できるものがございます。そういった点については、私ども大学のほうに、この線に沿って具体的に措置するように申しております。それぞれの大学におきましていろいろくふうをこらして、この人事院判定の線にあとう限り沿うような努力をしていることであります。
  194. 田中寿美子

    田中寿美子君 ただいまおっしゃいましたように、看護婦の人員が不足しているためになかなか人事院の判定の実施ができないということをお認めになったわけなんですけれども、これらの実施をするためにはどうしても増員をしていかなければならないわけです。事実上いま超過勤務が相当されているようですけれども、超過勤務に対しての手当なんというものはちゃんといたしていらっしゃるでしょうか。
  195. 杉江清

    政府委員(杉江清君) その点につきましては、今年度予算において約七千万円の予算措置を実現するように、ただいまお願いしているわけでございます。
  196. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは金額でワクができているわけなんで、実際の超過勤務に見合って支払うということはできない状態じゃないでしょうか。
  197. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まあ十分とは申しませんけれども、その範囲内でまあおおむね支障ないように措置されていると考えております。
  198. 田中寿美子

    田中寿美子君 この間も申しましたように、ほんとうにこの看護婦の絶対不足に対処しますのには、条件をよくすること、それから家庭を持って資格を持って中に入っている人も働けるような条件を整えていくことで、それには大幅な予算の増額が必要だと思います。で、私は、もうすでに定員が要求されたものが削られたというお話がありましたので、この点については木村委員からも関連質問がございました分を大蔵大臣にお答えいただくことにいたしまして、終わりたいと思います。
  199. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 田中さんからの質問に関連しまして、木村さんから、公債を発行している、そういう際であるのにかかわらず、社会保障に熱心でない、特に看護婦の定員の要求を削減したのはどういうわけか、こういうお話のようでありますが、私どもは公債を発行したからといって決して国費をどしどしゆるやかに使うというような状態には考えておりません。むしろ、公債を発行する際でありまするから、国費の使用にあたっては特に厳正にこれをやっていかなければならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。そういう考え方から、戦後初めて、政府の部局は新設しない、あるいは関連の諸機関はつくらない、こういう方針を貫き通したわけでございます。  また、定員につきましても、一般行政上の定員はわずかに百六十三人しかふやさない。これは非常に珍しいことでありますが、千人とかそれ以上のふえ方をしてきたのを、今度百六十三人に押えたわけです。しかし、現業的な役目についておる方々ですね、これはそういう際でありまするけれども特別に考えなければならぬというので、看護婦につきましては七百人の要求があったわけです。しかし、そういう一般に定員抑制という方針をとる際でございますので、七百人というわけにはまいりませんでしたが、まあ二百余りの定員をふやすということをしたわけでありまして、社会保障の面につきましては、そういう公債財政のもとでありまするけれども、特に意を用いておると、今後も努力していく、かように御了承を願います。
  200. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 田中君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  201. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、中沢伊登子君。
  202. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、主として国民生活と物価問題その他について、二、三の点を御質問を申し上げたいと考えております。  初めに経済企画庁のお考えを伺いたいと思いますが、先日ある新聞に、「来るか新“三種の神器”時代」という見出しで、業界が大衆車からカラーテレビ、クーラーを一斉に売り込み態勢をやり出した、こういうことが書いてございましたが、こういうことについて、企画庁長官、どういうふうにお考えですか。
  203. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ちょっとうしろにおりましたので、よく……。そのままでひとつ……。
  204. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 新三種の神器というのは、大衆車とか、カラーテレビとか、クーラーとか、こういうものを盛んに今度は売り出すのだということがこの間新聞に出ておりました。それについてどういうふうにお考えになりますか。
  205. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まあ三種の神器というのはどうですか知りませんが、クーラーとか、そういう種類のものは、だんだん国民生活が向上していけば、できるだけ普及させることは望ましいことは望ましいと思います。しかし、いまのような現状で、すべてがあんまり飛躍していきますことも、もう少し国民生活とすれば地についた方向でやっていただくのが私は適当じゃないかと、こう考えております。
  206. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私がこういうことを質問申し上げましたのは、最近の国民生活がどうも少しアンバランスになっているのではないか、こういうことが非常に気になりますものですから伺っておりますが、今度、その新三種の神器というのは、大衆車を盛んに売り出す、それからルームクーラーを売り出す、あるいはカラーテレビを一生懸命で売ろうということでございますけれども、日本のいまの道路の状態でこれ以上大衆車をどんどん普及させて、そうしてはたしていいものかどうか、こういうことについて伺っているわけでございます。
  207. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今日の現状から申しますれば、世界で、テレビに関しては、アメリカに次いで二千五百万台もすでにある。しかも、これは白黒で普及しておりますから、いきなりカラーテレビにまで飛ぶことがいいかどうかということについては疑問がございますし、また、カラーテレビそのものの色彩効果とか、あるいは機械の性能というようなものも逐次よくなってまいりますし、いままあ日本のカラーテレビもアメリカにどんどん売り出されておるような状況でございますから、将来やっぱり値段の安くなる時期もあると思うのでございまして、必ずしも急いでそういうものが国内に普及されることが望ましいかどうか。  また、自動車につきましても、今日では、実際問題といたしますと、かなり家庭において、青少年の子供たちが自動車を持ちたいと。むろん持っている現状からいえば、全部新品を持っているわけでなしに、学生などは中古を買ってきて、自分で機械いじりをして直してみる。それは一つ教育にもなるものでございますけれども、しかし、あまりそういう状況になってきて、新品が盛んに売れていくというような状況は、いまの道路の状況その他から見れば、漸次そういう方向にいくことは望ましいことでございますが、必ずしもいますぐ奨励すべき、何と申しますか、政府とかあるいは国民指導の立場で、奨励すべきものとは必ずしも思っておりません。
  208. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 しかしながら、ずいぶん日本では広告宣伝というものが盛んでございまして、その広告宣伝というものがどうしても消費者を圧迫してまいります。それで、いま日本国民所得水準というものは相当世界の中では低い地位に置かれていると思います。そうしてまた、住宅にしても、隣の話し声が聞こえる、夫婦げんかの声まで聞こえるというような、そういう家に住みながら、耐久消費財がどんどん家の中に入ってくる。こういうものもアンバランスであると思いますし、また、日本のいま生活環境、あるいは公害の問題、いろんな点でずいぶん私はこういったものが普及してくる、そうしてそういう広告宣伝によってどんどん家庭に取り入れられる状態が来るということは、私は少し国民の生活にとって問題があるのではないか、こういうことを考えますが、いかがでございますか。
  209. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 広告宣伝の必要なことは私も存じておりますけれども、いまお話しのような誇大の広告、あるいは興味をそそるように刺激をしたり、あるいは景品をつけて売り出すような刺激的な広告、そういうものについては、私はやはり広告業者及び販売業者も自省してもらわなければならぬと思います。正しい広告で、消費者に自分の買いたいもの、役に立つものというものを明確に正しく知らせるということが、私は消費者に対する広告としてのサービスではないかと思います。ですから、個々の消費者からいたせば、何も値段が高くなくても、簡易なものでも、自分のいまの立場で使うのにはちょうどぴったりしたものだというようなことがわかるような広告ですね。われわれは、いまいろいろな商品が出ておりまして、そのうらどれがわれわれ自体の生活の上でぴったりするのか、あまりいいものが出て買ってみましても使いこなせないというようなものが往々にしてございます。ですから、そういうような意味において、正しい広告をすることが一番大事であって、誇大な広告、あるいは虚偽とは申せないかもしれませんが、それに似たような広告、刺激的な広告というものは、これは自省されなければならない、こう思うのです。
  210. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 一体、いま日本の広告宣伝費というものはどれくらい使われておりますか、おわかりになりましょうか。通産大臣、お伺いしたいと思います。
  211. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 三十九年度の実績で三千五百億でございます。
  212. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 一年間に三千五百億円もの広告費がいま日本で使われているわけですが、私たちは消費者として広告から知らされる権利を持っていると思います。ところが、最近の広告は、知らされるどころか、むしろほしがらされる、あるいは買わされるというようなことになっていると思います。私どもは、いろいろな物資に対して選択できる権利と安全である権利、そうしてまた知らされる権利、消費者の意見を聞いてもらう権利と、こういうふうなものを持っていると思いますが、こんな三千五百億円もの広告費、これをあまり私どもは負担をさせられ過ぎているのではないか、こういうことでいろいろな物価もずいぶん高くなっているのではないかと考えますが、こういうことの行政指導といいますか、そういうものについて通産大臣からお伺いをいたします。
  213. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) むろん、お話のようなあまり行き過ぎた広告というものは慎まなければならぬ。これに対しては、いま言った不当な景品であるとか、あるいは内容の表示と実物と違うような場合は、取り締まりの法律があるわけであります。しかしながら、一般的には、広告というものが消費者に対していろいろな情報を与えて、そのことによって大量の消費、またそれが大量の出産に結びついて、やはり近代社会における広告が果たしておる役割りというものをわれわれは否定することはできません。だから、これは行き過ぎは押えなければならぬ。広告の持っておる消費者とメーカーとを結びつけておる社会的役割りというものは、かなり高く評価しなければいかぬ。それによってたくさんなものを一ぺんにつくって、消費者に対しても物が安く買えるような効果を持っておるのではないか。行き過ぎだけは、これは取り締まらなければいかぬ。  まあ、三千五百億円と言われますが、大体一%前後なんです、各商品。自動車なんかでも一%少々ですね、広告費は。みな各商品からすると、各商品別で見ると一%前後で、薬だけがちょっと多い。これは一〇%ぐらいで、それ以外はそうたいした、広告費が世界各国の例と比べて多いとは私は思っていないわけです。しかし、誇大な広告、消費者を惑わすようなことは、今後、厳にこれは引き締まらなければならぬと考えております。
  214. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 将来は厳に取り締まっていただくようなお話でございましたが、いま現在は少し野放し状態になっているのではないかと、私はこういうふうに考えておりますが、いま原価の一%くらいな宣伝費だと伺いましたけれども、   〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕 電気製品については製造者自身が、三%くらいかけている、こういうふうなことをこの間言っているのを私は伺ってきたわけですが、薬はどれくらいかかっているのですか。
  215. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私の記憶においては、九%ないし一〇%ぐらいのものだと考えております。
  216. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 広告はいま野放し状態になっていると私は申し上げましたけれども、それについてはいかがですか。
  217. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これはやはり取り締まりの法規を持っておることに違反するようなことは、これは取り締まれますけれども、しかし、各企業に対して広告費が多過ぎるということを取り締まる根拠になる法律はありません。したがって、やはり各企業があまり必要以上の広告費を使わないような自粛といいますか、各企業の良識にまつよりほかにはない。各企業ごとに広告費が多過ぎるということを指摘して、広告をとめることはできない。不当なものに対しては、取り締まれる根拠の法律によってこれは取り締まれますが、それ以外はやはり各企業の良識にまつ以外には方法はない。そういう良識を喚起するための行政指導というものは必要だと考えております。
  218. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いわゆる旧三種の神器というものが家庭の中に入ってまいりましたときは、家庭の主婦はずいぶん内職をしたり、あるいはポーラ化粧品のセールスをやったり、あるいは生命保険の外交をやったり、いろいろなことでずいぶん苦しい思いをしながら、その三種の神器というものを家庭の中に入れたわけです。しかし、もうテレビというものはほとんどいまの状態では家庭の必需品、こういうことになっているわけですけれども、やっと手に入ったその三種の神器、今度また新しいものをどんどん広告をされて、何だか子供が騒ぎ立てたりいろいろなことで、また家庭の中でどうしても内職をしてまで働いてこういうものを入れなければならないような気分になることは、やはり国民生活にとって少しバランスがくずれてくるのではないか。  しかも、私がきょうこういうことを申し上げたいのは、この間、福田大蔵大臣と田中寿美子委員とが、バラ色の人生という論争をやられたわけですけれども、いま国民は、その百八十七円の食費が高いとか、あれでは何が食べられないとか、いろいろなことをこの間から言われておりますけれども、実際は百八十七円も食費にかけられない層が非常にたくさんあるわけです。そういう層が非常にたくさんある一方で、そういうカラーテレビだの大衆車だの、そういうものがどんどん広告によって国民の生活を何か苦しめてくるような、そういうのがいまの国民生活の実態ではないかということを非常に心配しているわけですけれども、福田大蔵大臣の御意見を伺います。
  219. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま広告過剰というお話でございますが、私もそんな感じを持ちます。バランスを失したそういう過当な広告は何とかならぬものか、私どももまたよく考えてみたいと思います。
  220. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間、田中さんとバラ色の生活のビジョンということをお話しになりましたけれども、ほんとうは日本の国の将来の理想像というものはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  221. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあどういう角度での理想像でございましょうか。まあ私は、世界じゅう争いがなくなって、みんなそれぞれの国が平和ということをほんとうに享受していく状態ですね、それから同時に、その状態が高い生活水準にささえられていると、こういうことだろうと思います。高い生活水準とは一体どういうことかというと、私は日本の政治として見ますると、それぞれの家庭が適当な蓄えを持ち、そしてそれぞれの夢を実現できる実力を持っている、そして今日を働き未来を楽しむと、こういう状態の物心ともに安定した社会、これが私は一番いい社会だと、こんな感じがいたします。
  222. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私はいま国民のバランスのとれた生活ということに焦点を合わせて質問しているわけですけれども、まあ私に言わせるならば、全日本国民が中産階級化して、そして福祉国家の実現がなされなければならぬ、これがいまのほんとうの政治じゃないかと私は思うわけですけれども、いまデパートに行ってみますと、少しいろいろな持ちものや、それから売られているものがちょっと奢侈に流れ過ぎているんではないかというような感じを持ちますが、いかがでございますか。
  223. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私もそういうふうに思います。今日何となくそういう、ただいま中沢さんの御指摘のような風潮が少し強過ぎるのではないか、そういう感じを持ちます。人生の評価、これは今日ただ単に食って、そして遊んでしまう、こういうのじゃなくて、やはり未来に夢を持ってそれを着々と実現していくと、今日大いに働くがやはり少しぐらいは余裕をつくっておいて、そして夢の実現のために備えると、こういう生活のほうが価値の高い生活だと思います。あまり今日を奢侈と、奢侈で流れる、私は心配すべき世相だと、そういうふうに存じます。
  224. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど申し上げましたように、百八十七円もとても食費にかけられないという層が相当あるわけです。それから、そういうことの非常に苦しいために、生活が苦しいために、今度はテレビを買うためでなしに、生活が苦しい、ほんとうに食わんがため、どうしても奥さんが働かなければならぬという層が非常にたくさんあるわけです。そういう点で、ひとしく国民は健康で文化的な生活を営む権利があるということは憲法でうたわれているんですけれども、何とか早くバランスのとれた生活に持っていってほしい。まあそういういろいろな、カラーテレビとかそういった高価なものを売るよりも、もっと私は住宅問題とかあるいは道路とか、そういうものに政治力を発揮してもらいたいと思いますけれども、いかがですか。
  225. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま国の経済はどういう状態にあるか、これを大きく見ると、昭利四十一年度の想像図で、計画図で見ますと、五二、三%が国民消費に流れる、それから一五%が廃業の投資ですね、それから財政活動に二三%、こういう配分になっておるわけですが、まあ一五%の産業投資は、これはもうふやすというわけにはなかなかいかない問題です。あとそうすると、経済政策のかじのとり方は、国民消費の五三%というシェアをふやすのか、あるいは財政の二三%というシェアをふやすのかと、こういう問題にまでなってくると思うんです。  私は、われわれの生活はただ単に個人の家庭だけで成り立っておると考えてはならぬと思います。つまり、所得なり資産の一部を出し合って、そうして国家を形成しておるわけです。国家がわれわれの共同の諸施設を増していくわけです。その共同の諸施設が非常におくれていると私は考えるわけです。つまり、いま御指摘の住宅の問題、あるいは道路、上下水道、あるいは公害の問題ですね、あるいは社会保障と、こういうような問題、そういうような方面の国家のやるべき施策を伸ばそうとすると、どうしても五三%というこれをそうふやすというわけには私はいかないと思います。ですから、いま中沢さんの御指摘のように、レジャー、バカンスと、あるいは奢侈に流れ過ぎやしないかというようなお話でございましたが、われわれはわれわれの生活向上を、ただ単にわれわれの家庭の中だけで実現するということだけを考えてはならない。やはり共同でいろいろな仕事をする、それはつまり財政だ、そっちの方面にも重きを置かなければならぬ。私が公債政策というものを今日出しておるのはそういうところに根本的な着眼を輝いておるわけなんであります。つまり、国民には貯蓄をしてもらう、貯蓄をしてもらうそれをしばし拝借をして、そうして共同の施設をこの際整備しよう、こういう考え方なんです。お話のとおり、そういう共同の諸施策について今後日本はよほど力を入れぬと立ちおくれてしまう、かようにまあ考えます。
  226. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いろいろ理想をお語りになりましたけれども、実際は、百八十七円というような食費がとの間出てまいりましたが、あれではエンゲル係数が四八%ぐらいになる。その四八%のエンゲル係数、そういう標準が出てくるような家計の中で、若い人たちはいま住宅の過重負担に悩んでいるわけです。中年層になりますと、今度は教育費の過重負担で非常に困っている。昔、終戦後、私どものエンゲル係数というのがまず六二%ぐらいまで上がったことがございます。そのときはほんとうにタケノコ生活といって、食べるだけに、命をつなぐだけにやっとの生活でございました。いま、もしも四八%のエンゲル係数というようなことになりますと、教育費の値上がり、あるいは住宅の過重負担、そういうふうなことで、私はこれはほんとうにたいへんな国民生活だと思います。  そこで、私が先ほどからいろいろなことを申し上げているわけですけれども、そういう国民生活の中で、家庭の主婦が子供を置いて働きに出なければならない、そういうようなこと、それから主婦が働きに出ているのにかぎっ子対策がなされていない、そういうふうなことで、私はいまの青少年の非行問題の遠因はそういうところにあったような気がするのですけれども、文部大臣のお考えを伺います。
  227. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに、いままで大都市の一部ではかぎっ子対策のようなことをやっておられたことを承知しておりますが、文部省としましては、本年度から試みとしまして、まあかぎっ子という名前を使うわけにはいきませんから、留守家庭児童会という名称で、できるだけ全国的に主要な地域には奨励をして、助成をして、そういう非行化の起こる根源を解決するように進めてまいりたいと思っております。
  228. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 厚生大臣にお伺いをいたしますが、終戦後、国民の中にいわゆる栄養障害、栄養失調症の人が相当あったと思います。私の調べたところでは、終戦後以来今日もなお、このパーセンテージはあんまり変わっていないように聞いてまいりましたが、いかがでございましょうか。
  229. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 終戦後国民の食生活は年々改善をされておるのであります。したがいまして、生活保護基準の中におきましても、この一般国民の消費生活に見合って毎年改善を加えておるのでございます。御承知のように、昭和四十一年度の一般国民の消費水準の向上は、一〇・二%程度と見通されておるのでありますが、生活保護基準は一三・五%こういう改善を加えております。これは格差をできるだけ縮めていこう、こういう考えに基づくものであります。この生活保護の中におきまする食生活、食料費の面におきましても、カロリーの面でまいりますと栄養失調あるいは栄養障害というようなものは絶対に起こらない、こういう確信を私ども持っておるのであります。ただ、中沢さんも御承知のように、カロリーの面でそうでありましても、栄養に対する理解あるいは栄養に対する配慮というものが十分行なわれませんと、一部の栄養に欠陥を生じまして、そういう面から栄養障害を起こす、こういうことがあり得るわけでございます。全般的に脂肪であるとか、たん白であるとか、そういうものは十分確保されておるのでありますが、ビタミン&であるとかそういう面が欠乏しておる傾向がございます。したがいまして、この食料費、家計に占める食料費の面は、食生活の面は向上いたしておりますけれども、一部栄養に対する知識が低い、理解がない、あるいは十分に配慮がされていないというような面から、栄養障害者というものが依然としてあるわけでございます。また、偏食でありますとか、いろいろな問題があるわけでありますが、これは学校給食であるとか、あるいは職場給食等で、私たちも栄養の問題を十分留意してやるように指導をいたしておるのでございます。
  230. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 戦後約二十年たった今日でも、国民の栄養はまだ二〇%くらいが栄養失調の中にある。百八十七円のあの食費でも、あれをよく見ますと卵とか牛乳とか、あるいは嗜好品というものがあの中では食べられておらない。   〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕  だからずいぶん物価を引き下げなければ私どもはほんとにいまたいへんなときにきている。そういうふうに考えるわけですけれども、藤山企画庁長官にお尋ねをいたしますが、物価対策に力を入れなければならないと、しょっちゅうおっしゃるわけですけれども、物価対策の費用は、今度の予算の中でどれくらいお使いになっておりますか。
  231. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価関係の予算は、各省にまたがっておりますから、局長から御説明いたさせます。
  232. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 申し上げます。  物価関係で大きな意味合いにおきまして、農業・中小企業その他の低生産性部門の生産性向上あるいは労働力の流動化というようなことを含めて申し上げますと、これは相当大きな金額になります。四十一年度の概算で四千二十八億円、前年度の補正後の数字で申しますと三千四百七十九億ということで、これは広い意味での構造改善等が入っております。そういう意味で、別途物価対策に直接関係のあるという観点で締めくくりましたもので申し上げますと、四十一年度は百五十八億円程度でございます。
  233. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その百五十八億円というのは総予算の〇・四%にしか当たらない。これでどのような対策ができるか、あるいは消費者保護のための対策というものがわりあいに打ち出されていない、こう考えますが、消費者保護政策、あるいはいまの、百五十八億円、〇・四%、そういうものでどのような対策が立てられているかお伺いいたします。
  234. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お答えいたします。  先ほど申し上げました百五十八億円の内訳で申しますと非常に長くなるのですが、要点だけ申し上げますと、野菜の生産出荷対策が一つの柱であります。昨年度に対して五億円ばかりふえておりますが、それが一つでございます。それから卵価の関係、さらに水産物の関係、この水産物の関係では、ここに農林省と科学技術庁に、いま問題になっておりますコールドチェーン関係の推進の経費が入っております。さらにそれらに関連いたしまして、中央卸売り市場の施設整備の関係、これが五億五千万円になっております。それから大きな柱で、流通の合理化ですが、ボランタリーチェーンの育成、啓蒙、普及等の経費があります。これは一般会計のほかに開銀からの融資も相当金額ついております。さらに卸総合センター設置の問題、それからLPGの備蓄用のタンクを整備する、これも開銀からの融資が予定されております。そのほか流通の合理化という意味合いで、運輸省を中心にしましてパレットプール・システムの研究をやってもらいます。さらに国鉄などを中心にしましたコンテナの利用の推進ということもございます。そのほかにさらに、これは金額が大きいのですが百三十五億円、中小企業の近代化と高度化の関係での補助金等がございます。そのほか公正取引委員会の機構の拡充、定員の充実。お尋ねの消費者教育対策も百五十八億円の中に入っておりますが、金額は前年度一千万円に対しまして、本年度御要求申し上げているのは三千三百万円、これは経済企画庁の消費者行政推進に関する経費、あるいは通産省の日本消費者協会の事業費の補助、あるいは教育映画等の作製についての経費、さらに農林省で新しく取れたのでございますが、農林畜水産物の関係の商品のテスト、あるいは消費改善の講習会等の経費でございます。
  235. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまいろいろお話を伺いましたが、何だか私の質問のしかたが悪かったのか、考えていらっしゃることが私どものはだに感じないで、何か頭の上をすっと通ったような感じがする、もう少し何かはだ身に感ずるような消費者行政といいますか、消費者保護対策といいますか、あるいは消費者教育といいますか、そういうものの計画は立っていないのでしょうか。たとえば物価対策特別委員会でいろいろな所に視察に参りました。たとえて申しますと、焼津の浜で一尾二十五、六円のサバが、私どもが買うときには、私は神戸も調べてみました。その翌日調べてみると、やっぱりサバが一尾百二十円前後であったり、あるいは出荷地では一本五円に満たないようなキュウリが、買おうと思うと二十五円したり三十円したり、こういうふうなことでございます。一体どこに欠陥があるのか、一体だれがもうけているのか。いまそういうようなことでどういうお考えを持っていらっしゃるか、一ぺん伺わしていただきたいと思います。
  236. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 御指摘の点は、各種追跡調査もございますし、また、流通を担当しておるいろいろな段階でそういう調査をした事例がございます。で、お話しのように、生産者段階から消費者段階までの間に二倍になる、あるいは三倍になるというケースは見られている事態でございます。そういう点について、どこにどういう問題があるかということでございますが、われわれの感じでは、特に野菜あるいは魚に例をとって申し上げますと、水揚げ地あるいは生産地、それがトラックあるいは鉄道、さらに着地においてトラック、さらに市場にくる、その辺の設備が整備されてないために、非近代的な取引が残らざるを得ない、そのために非近代的な取引の機能もやはり温存されておる、そういうふうな指摘ができるのではないかと、実はいま研究をいたしておりますが、そういうような施設の不備からくる非近代的な取引等の温存というようなことをなくする必要があるのじゃないかというふうに、一言にしていえば構造改善でございますが、考えておる次第でございます。
  237. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間、物価対策委員会でやはり食肉の関係をいろいろ参考人から伺ったわけですけれども、食肉の増産がまだなかなかなされませんけれども、一ぺん物価が上がりますと、今度それをなかなか下げる方法を知らないとか、下げることを忘れてしまった、こういうようなことが私は相当行なわれているのじゃないか。一ぺん上げたものがなかなか下がらない、そういうふうに私どもは考えておりますが、いかがでございますか。上がったものでも、ずいぶんたくさん生産されれば下がってくるでしょうか。今度野菜法案というのを出されるように伺っておりますけれども、この間も、もう少し野菜やらいろいろなものを計画生産をさせて計画的に出荷をしたら物価が下がるだろうというようなことを伺いましたけれども、ほんとうにその計画生産ということができるかどうか。野菜もいま私どもの目に触れるところでは店頭に相当あふれているように思うのですが、いかがでしょうか。
  238. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答え申しますが、この肉につきましては、豚肉なり鶏の肉のほうはまあいろいろありますけれども、これは大体落ちついておる、多少高目はありますけれども。というのは、農家のほうからいいますと、逆に、豚を飼うと数年ならずして夜逃げするといわれたくらいで、変動がひどいのです。三年ごとにこう動く、ところが今度は、いま言ったように畜産振興事業団というものができまして、最低値段と最高値段をきめまして、その間に価格をおさめようという制度が御存じのとおりできておる。もっともそのとおりなかなか初めてですから思うようにいきませんけれども、かなりそれが進んでまいってきております。それから豚にしても鶏にしましてもわりあい生産が、国内における生産がふえてまいりまするので、需要と生産がよくわりあいマッチしてきます。そこでそのわりでないのです。ところが、牛肉になりますと、これは非常にアンバランス、つまり最後のところは、所得がふえますと国民の……、どうしても肉として、やはり牛肉が一番望むところの人が多いということが原因でありましょうけれども、その牛肉は非常に足らない。というのは、これはこういうと少し長くなりますが、肉牛という牛は、役牛、つまり働くことと肉用と二つ兼用しておったものです。ところが農家のほうでは、働くののほうはトラクターやいろいろなものができて牛はあまり使わないようになりました。そうすると肉専門の牛でなければならぬということになりますので、ぐっと馬と同様に減りました。それで、そういう関係で、これはどうしても減るわけです。そこで、昨年から、どうしても肉牛というものをひとつ増産していかなければいかぬ。特に日本では、あれは草を食うやつですから、それで日本で、やり方によって草の生産がどんどんやり得るのでございまするので、その草の生産というものをずっと考えて、それと同時に肉牛の増産というものを、特に四十一年度の予算においてはその点に重点を置いて、肉牛の生産というものを、これはこまかくなりますから省略しますが、やることになっておる。ところが、これが御存じのとおり、なかなか牛というやつはそう豚のようにふえないわけです。そこで、この効果がすぐにはあらわれません。そこで私どものほうとしては、その過渡的の間でも牛肉を輸入しよう、どうしても間隙を縫うために輸入しようというので、いま輸入計画をやっておるわけです。で、いつもやっておりまするけれども、特に今年は計画的にひとついこうというので、それをいまかかっておるわけでございます。ところが、この牛肉というのはどこの国でも足らないのですね。だからドイツのようなところでも九〇何%自国で自給しておりますし、イギリスのような国でさえも牛肉となると七五%輸入しておる。そういう関係で、なかなか牛肉というやつは、これは相当豚肉やそれとはまた違った一つの形を見ておりますが、とにかく今度これらの増産という問題を考えていきたいというので、問題を、今度の四十一年度の予算に特にそれを考えておるわけです。  それから、野菜の問題についてでございますが、野菜につきましては、これは非常にいろいろの点でありますが、きわめて簡単に、一つ先に申しますと、それはやっぱり農業の生産が小さいということですね、いわゆる生産性が非常に上がりにくいということ、これはしょっちゅう申しておるところです。ところが、それだけでなしに、都市へ参りましての小売り商の機構というものも、やっぱりこれも零細企業であって、非常に生産性を高める必要のあるもの。だから野菜のごときは、生産性を上げなければならぬというのが生産者にも流通の面においても両方にこれがあるわけです。しかもそれが非常にたくさんの人数なんですね。よく御存じのとおり、非常に多い。生産するほうも多いし、それをいわゆる売るほうも非常に多いわけでございますね。そういうときにおいて、これを合理化していくという問題がここへ加わっていかなければなりませんので、なかなか相当困難である。困難と申しますよりも、相当やはり時をかしていかなければならぬと私は思います。しかし、そういうことを言っておってもまいりませんので、御存じのとおり、流通の面においては中央市場の問題をずっとやっております。これはやはり手数料も若干下げましたし、それから仲買いの大型をやる、せりの大型をやるとか、そういう方法をやっておりまするし、それから小売りの関係についてもいろいろこれはやっておりますることは、中小企業の合理化資金でそれらの施設を整備していくとか、いろいろのことをやっておる。しかし、もとは何と言っても生産でございますから、しかもこの生産は年によって非常に豊凶の差の大きいもの、雨が降らぬとすぐもうこれはだめです。寒いとだめだ、こういうので、天候の支配を非常に受けます。そういうことでありますが、今年は非常に、どららかというと恩恵を受けておるのかしりませんが、今年の三月は従来にない野菜が安いのです。そうして高いのは、現在はキュウリと何か二つくらい高いように思いますが、あとは昨年に比してみんな安いんです。中には、非常に安いので生産者のほうで困っているというものもあるくらいで、本年はあたたかいから。ところが、実はあたたかいから、いまはいいけれども、とうが立つとたいへんだというのでどんどん出てくる。そうすると安くなる。そうすると今度はその次の機会において高くならぬかということが心配になるのであって、これらの問題についていわゆる価格及び流通の上の安定化をはかっていくということが絶対必要だ。高いときはあと必ず安くなる、安くなるとまた高くなる、これで非常にお互いに消費者も生産者も困るわけですから、価格の面及び生産の面において安定をはかろう、こういうことが野菜に関するいまの、今度特に力を入れようということになっておるのでございます。それらの内容等については、長くなりますから何でございまするが、また必要がございますればお答え申し上げまするが、そういうことでいま一生懸命努力しておるわけでございます。
  239. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 一生懸命坂田農林大臣が御答弁をいただいておりますが、もしも野菜法案というのが通りますと、農家がつくったときに非常にたくさんできて、野菜を安く売らなければならないときの補償はなさるわけですね。ところが、そういうときに消費者というのは、野菜が安くならないと損をするのではないかという懸念を私は持っております。そのことが一つ。  それから牛肉の生産でございますが、農家がもう牛を飼う意欲をなくしている、それは飼料が高いとか、あるいは子牛が高過ぎる、そういうことで農家はすっかり肉牛を飼う意欲をなくしている。こういうことを伺うのですが、その飼料の対策とか、あるいはその手数料とかそういうものを農家が潤うようなことを考えていらっしゃるかどうか。  それと、もう一つ伺いたいのは、来年くらいになると乳牛もだいぶ減ってくるのではないか、そうすると、ひょっとすると私どもがいただく牛乳もだいぶ足りなくなるのではないかということを心配されておりますが、この点について御答弁願います。
  240. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答え申します。  野菜については、先ほど申しましたように、価格及び数量の安定をはかるということを基礎にして、そういうことを目的として今度は法律も出し、予算の裏づけを置いて法律を出そう、こういうことでございます。それは指定産地をつくりまして、そこで集団的に栽培させる、それに対してはいろいろといわゆる近代化、合理化の施策を講じていこう。ですから、そこへいわゆるそのかんがい排水もやります、農道もつけるというようなことで、出荷及び生産についての合理化、及び生産農村の安定をはからせるためのことをやりまして、そこへまたいろいろの指導員を配置することもやりまして、そうしてなおこの出荷計画、生産計画等についても十分やる。それから大きな消費都市についての需給関係をよく調べ上げまして、それに即応するようにやっていく。ただ、それをやっていきますときに、値段がもっと暴落した場合なんかの場合には、これは非常にもう生産を飽き飽きしたというので、別の作付に転換するようなことに相なりまするから、非常に下がったような場合においては、それを補償するために生産者みずからがお互いに金を積み立てておくわけです。それに対して。そうして非常に下がったときに、その基金から金を補給金として出してくるわけです。それに対して政府のほうからも助成をいたしていこう、こういう仕組みに相なっておるわけであります。  それから、先ほどの牛の問題でございまするが、牛のほうは幸いにして草を食う家畜でございまするので、草を食い、それから残菜を食い、それから濃厚飼料でもごくわずかなものでいける。そこは豚や鶏とだいぶ違いますので、草を主とするという問題でございます。したがって、今度も草の、いわゆる草地の改良とか、あるいは野草の利用法とか、まだいろいろなその間において蹄耕法という、これは省略させていただきますが、非常にいろいろなやり方において草の利用方法がございます。そのほか特別の飼料関係の方法もございまするので、牛のほうは、えさがどうだという問題よりも、人手の問題であったり、あれは山村で非常に飼われておったのだが、山村の人が非常に減ってきたといったような問題があったり、いろいろなことで減っておるわけでございます。それから、先ほど申しましたように、役牛が要らぬようになったということも大きな原因でもございます。しかし、これらの問題に対してはでき得る限りこれらの増殖という問題について力を入れてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  241. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま乳牛のことを伺えなかったのですが、乳牛のこと……。
  242. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 乳牛の問題につきましても、今回、乳からいろいろの乳製品をつくるための原料乳については、これについては不足払いの制度を今度は置きまして、そうしていわゆる生産、いわゆる酪農製品の値段があまり高くなってもいけませんし、高くなったときには非常にまたいろいろの問題が起こります。そうかといって、出産農民のやはり補償も考えていかなければいけません。でありまするので、その補償価格というものをきめまして、そしてその間における不足を政府が支払いするという意味で、補給でございますな、支払いの補給、不足払いの制度というものを設けていくことにいたしております。  それから、飲用乳については別に価格のきめをいたしておりませんのでありますが、これは加工原料よりも、原料乳よりも高いのが普通でございます。そして日本としては、やはり原料乳よりも飲料乳を多く日本では消費させるようにしてまいりたいということ、特に学校給食のごときも計画的にこれを進めていこうというので、飲用乳のほうに力を入れていこうということでございます。でありまするので、もちろんこの日本の農業は畜産というものが最近の、これはいわば昔からあった産業でないだけに非常に弱いのです。これは確かにその点がございまするけれども、しかし、農家の意欲も相当大きいほうなんです。国民の需要に対する要請、要求も非常に大きいのでございまするので、これらについても、酪農の問題は肉牛以前からこれに力を入れておるようなわけでありまして、これは減らないように十分力を注いでまいりたい、かように考えております。
  243. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 牛乳をほんとうに減らないように力を入れてほしいと思います。それは厚生省がせっかく、妊産婦あるいは乳児に牛乳の無料配給をするということが、せっかくいいことがなされたのに、たちどころに牛乳が減ってしまってなかなかそれも飲めなくなってとめてしまわなければならないということになったら、政治の逆行でございますし、私が昨日実は農家に行って聞いてみますと、やはり子牛が一頭八万円もする。そうして三年くらい肥育させて、売るときには三年くらいかかるのに、えさ代が相当かかって、そして人手もなくて、とてもじゃないけれども、売るときに十五、六万円にしか売れないので、とってもとっても肉牛を飼うことは意欲がないというようなことを伺いましたが、相当飼料代がかかるのと違うのでしょうか。
  244. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) そのところによって、いろいろ使い過ぎるところもあるんじゃないかと思いまするが、これはやはり草を主とする家畜でございます。もちろん濃厚飼料も要らぬことはございません。多少これはやっぱりたん白の意味でも、ある程度考えていかなければならぬわけでございまするが、豚や鶏のように濃厚飼料、購入飼料というものよりも、草というものでいくべき性質であり、また、いかさせなければならない、こう考えているのでございます。
  245. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 農林大臣についでにもう一つお伺いをさせていただきたいのは、最近は裏作をやらないという話を聞きますけれども、現在の実情はどうなっていますか。
  246. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、確かに水田の裏作が非常に減っておる。いま手元に数字を持っておりませんが、三十五年は三〇%ぐらいまで裏作をやった、水田で。ところが現在は十九・何%ですから、約二〇%しかやれません。ですから一〇%の裏作減少になっております。それから水田以外で畑の冬作ですね、冬作においても相当減少いたしております。その数字は、はっきりここに数字を持っておりませんが、おそらく三十五年か六年と現在とを比較しますと、三十八万町歩ぐらいの冬期不作付地の増加となっております。これは水田の裏作も入れてでございますが、減っております。しかし、減っているものの一番大きな原因は、麦でございます。麦の作付の減少は、その間において約五十万ヘクタールぐらい麦は減っております。そうして不作付地は全体として三十八万ヘクタールぐらい増加しておりますから、その差は、多くは、いろいろ別のものが植えられているけれども、主としてその別なものというのは飼料作物でございます。
  247. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 農家が裏作をやらなくなって、そうして収入が減ってまいりましたので、キャディに行ったり――ゴルフ場のたま拾いに行ったり、あるいは男の人は、冬の酒屋さんに酒づくりに行ったり、いろいろなことをしているという話を伺いますけれども、文化的な生活を営む権利があると言われながら、夫婦が半年ぐらい別居生活しなければならない。私は、これはずいぶん大きな問題じゃないかと思いますけれども、これについてどうお考えですか。
  248. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) この問題は、なかなか問題でございます。と申しますのは、これは、やはり労働力が減っておる。いま申しました五年の間に、就業労働者の数が三百万ぐらい減っておるのじゃないかと思います、数字はちょっとここに持っておりませんが。だから非常に就業者は減っております。就業者は減りますけれども、農家戸数はそんなに減りませんのでございます。で、これらについてもいろいろ問題はございまするのでありますが、これは最近特にその傾向があるのでございまして、最近特にその傾向はあるけれども、以前もどうかというと、以前も相当多うございます。いわゆる兼業農家というのは、多くはそれでございまするから、ただ、その地帯において仕事がある場合においては出かせぎしなくてもいいということになりますが、その地方にも仕事がないというときには出かせぎということになるわけでございます。それらに対していろいろ社会問題が起こったりしておるわけでございます。しかし、これは、問題は、いろいろの地方地方の実情によるのでありまするが、やはり農産物のうちでも、畑作物が一番不安定でございます。果樹とか、あるいは蔬菜の高級蔬菜をつくるというところは別でございます。そうでない一般の普通の畑作は非常に収入が少ないということが一般でございます。したがって、それらをつくっておるよりも、賃かせぎなり、そのほうの収入のほうが利益であるという計算から出ておる状態でございます。
  249. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 確かに出かせぎに行くほうが収入が多いかもしれませんけれども、日本では、やはりまだ足りなくなれば野菜も輸入するし、肉も輸入するし、そしてまた飼料も輸入しているはずでございますが、こういう農地の有効利用方法を考えていらっしゃるのですか。
  250. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、かような関係からいたしまして、私どもとしても、原則として、やはりこの農業上のそういうやり方は、その他の生産政策、あるいは構造政策、その他全般を通じて、そのところにいて経営ができるというところへ進んでいきたいということを考えておるわけでございます。
  251. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは通産大臣にもう一つお伺いをしたいのは、私どもはいろんなところに行って話をしますときに、包装の問題がずいぶん出てまいるのでございます。たとえばワイシャツ一枚買っても、ふだん着であるのにわざわざ箱に入っているのを買わなければならないとか、石けんを一つ使おうと思ったら、三枚か五枚か、箱やら紙やらめくらないと中の石けんが出てこない。ずいぶん物価が商いので、そういう包装を何とかもう少し簡単にしてほしい、そういうことを申し上げますと、そんなことを言う婦人の消費者はわずかであって、みんなデラックスのものを好みますよということで、まるで消費者をばか扱いされるわけですが、こういうことに対して行政指導がなされないでしょうか。  それから、もう一つは着色の商品でございます。タラコとか、この間、下の食堂でいただきますと、ミカンにまで着色がしてございました。こういう着色もやめていただいたら私はもう少し物価が安くなるのじゃないかと思います。
  252. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 包装には、外のほう、外装のほうは非常にやっぱり木材でやっておるのをボール紙にするとか、いろいろ資材の転換が非常に行なわれております、いまでも。ただ、内輪に済む紙がぜいたく過ぎるのじゃないかということをおっしゃっていられると思うのです。これはやはり企業の側からすれば、なかなか包装紙というものは営業の上から大事なんですね。きれいな紙で包むということはなかなか大事なんです。しかし、あまり行き過ぎたものに対しては、これはそんな行き過ぎたようなりっぱな包装紙で包む必要もないのですから、こういう点はできるだけそういうことのないようにしなければならぬのですけれども、あれはしかし、宣伝として重要な商品と何か不可分のような関係を持っている、包み紙が非常に美しい包み紙ということは。だから、これをもう実用的にしろということはなかなかできにくいと思います。しかし、華美に流れるということは慎まなければならぬことだと思います。  それから、色ですが……。
  253. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 外側だけじゃなしに、中身も何重も何重も包むということはむだであるということ。
  254. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) それはどうもそうです。そういう点は、私は何重も何重ものものはあまり見ないのですけれども、やはり物によったらあるのでしょうが、そういう点は指導をいたしましょう。何重も何重もする必要はないから。
  255. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 例を申し上げますと、たとえば石けんですね、石けんは、たった中の一つの石けんを出すのに、薄い紙にくるんで紙箱に入れて、それからまたそれを三つか四つか紙箱に入れて、それからまた買うときにはデパートの包み紙にくるんで、ほんとうに石けん一つ使うのにそんなに包装されているわけです。
  256. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) それはやはり不必要なことはやめればいい。ただ、美しくあることは、これはやむを得ない。何重も何重もする必要はないので、そういう点は注意をいたします。  それから、着色のほうは、これは私も大きらいなんです、着色は私自身が。いろいろ食料に色をつけてするということは私も大きらいで、何とかああいうものはやめられないかと思うのですが、これについては、これは厚生省のほうですね。どうも管轄が違いますが、私はあなたと同感でございます。
  257. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 食用色素の使用許可にあたりましては、まず第一に安全性というものを確認せにゃいかぬ。また、できるだけ厳選をいたしまして、極力この不要な着色というものはこれをやらせないように指導してまいるということにつきましては、中沢さんと私ども全く同感でございまして、そういう心がまえで食品衛生の指導をいたしておるのであります。
  258. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまいろいろお話を伺いましたけれども、つづまるところ、先ほど私はひとつ消費者保護の対策をどうしているかということに御答弁をいただけなかったわけですけれども、そういうふうに、包装の問題にしても着色の問題にしても、私どもが申しますと、消費者のこれは要求でございますということで突っぱねられるわけですね。それで消費者をもう少し守ってもらうような行政をやっていただきたいと思いますが、それについて御答弁をいただく前に、いまの三木通産大臣と厚生大臣のお話ではございませんけれども、私は、消費者行政というのが、どうも横の連絡がなくて、何だか縦割り行政でばらばらになっている、私どももどの大臣に質問すればいいのかなあというふうに、少し迷うようなことがあるわけなんですね。たとえばいまの問題もそうですし、広告の問題一つとってみてもそうなんです。どうもお役人さんのたいへん悪口言って申しわけありませんが、お役人さんの頭に消費者行政が向いていないのではないか、そういうような感じすら受けるわけでありますが、消費者保護の行政についてひとつ御答弁をいただきたい。
  259. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者行政は非常に大事でございますけれども、お話のように、今日まで消費者行政について扱っておる役所がなかったと申しますか、昨年の六月、国民生活局が発足いたしまして、同時に、国民生活審議会が法的に審議会として設立いたしまして、そこでこれからまあおくればせながら進めていくわけであります。そこで、国民生活審議会に、「社会開発の一環として消費者保護の強化及び消費者教育の推進をはかるための基本的方策並びにその実施にあたって国及び地方公共団体、出産者及び販売者並びに消費者の果たすべき役割りについて」という諮問をいたしまして、大原会長が努力をして、御答申が最近いただけることになっておると思います。したがって、そういうことを目標にして今後の消費者行政の基本的な考え方、そして進むべき方向をはっきり本年度は打ち出してまいりたいと、こう思っております。それまでの間、今日まで消費者の保護については、われわれも消費者各団体と御連絡を申し上げながら、また、消費者教育の面については、若干ではございますけれども、展示会とか講演会とか、そういう種類のものをやって、基本方策ができましたらその方向で進んでまいりたい、こう思っております。
  260. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私どもは、消費者として、消費者が団結をしなければいけないということで生活協同組合運動というのをやっているわけです。もう四十五年ほどになるわけですけれども、全国に相当な数の生活協同組合がございます。この生活協同組合の一年間の販売高というのは、日本の全小売り高の約二%ぐらいしかないわけです。そこで、何とかこの生活協同組合運動というものを助けていただきたいと、私はこう考えるわけです。実は私どもがいろいろ経験をしております中で、生活協同組合の物価安定に果たす役割りは相当大きなものがございます。そこで、租税特別措置法というようなものを適用していただけないものでございましょうか。これは大蔵大臣ですか。
  261. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 中沢委員に申し上げますが、大蔵大臣ちょっと何していますから、後刻答弁いたします。
  262. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは経済企画庁長官に、消費者保護の立場から消費者基本法をつくる、そういうお考えはございませんでしょうか。
  263. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者保護のために消費者基本法をつくるかつくらぬか、そういう問題もあわせて、いま国民生産審議会で御検討になっておりますものですから、それを待って、おそらく五、六月ごろまでには答申が得られると思いますので、それを伺った上でと思っております。
  264. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、もっといろいろ突っ込んでみたいと思いますけれども、私はまだもう少し質問をする要項が残っておりますので、これくらいにとどめますけれども、初めに申し上げましたように、国民生活がバランスがとれていないというところからこんな質問をいままでしてまいりましたけれども、新生活運動協会というのがございますが、バランスのとれていない国民生活を、もう少しバランスをとる意味において、まあいろいろ私どもの使っているものが奢侈に流れてきたり、また、結婚式が非常に華美になってきたり、そういうことがございますので、この新生活運動というものを軸にして、もう少し何か政治的に私どもの生活を推進していくような、そういうお考えがあるかどうか、伺わしていただきたいと思います。
  265. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 新生活運動の問題は、総理府の総務長官のところで主宰しておられるのじゃないかと思いますが、この消費者行政をやってみまして、むろん生産者、あるいは販売業者も考えなきゃなりませんが、同時に、現在の消費者が、ことに日本の過渡的な場合におきまして、消費者自身がもう少し選択の権利を行使していただきますと、販売業者も、あるいは製造業者もそれが自粛していくというような面が私どももだいぶあるように思います。したがって、そういう面についてやはり考えていかなければなりませんので、この国民生活審議会等でも、そういう問題について非常に関心を持っておられます。したがって、新生活運動、その他国民の生活改善運動というものは、やはり引き続きやっていきまして、単なる儀礼というような形を近代的に改善していくというようなことも必要ではないかと私ども考えておるのでございます。
  266. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ぜひそういう運動を私は盛り上げていただきたいと考えております。  次に、中村運輸大臣に御質問申し上げたいと思いますが、去る三月の二日に、衆議院の第五分科会で室戸丸のことが社会党の野原委員から質問されたと思いますが、そのときに検討してみようというお答えがあったように記憶いたしますが、どのように検討されたか、具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  267. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 室戸丸の事件は、中沢委員御承知のように、約二十年前の事件でございまして、この事件に対しましては、大体当時の法律の規定によりまして、死亡者に対しましては一人当たり千五百円から千円、その他けがをした人には百円というような処置がとられておりまして、大体そのときの規定によって処理をされたものでございますが、私はこの間いろいろ事情等を聞きまして、これはやはり終戦直後、昭和二十年の十月のたしか七日ごろの事件でございまして、非常に混乱といいますか、終戦直後で、すべてが――ことばは何でございますが、どさくさのうちに起こったような事件でございまして、これに対していろいろないま言いましたような処置がとられておりますが、その被災者が二十年間処置が不十分であるといって訴え続けてこられたというこの事態は、私は、政治はやはりよく見直さなければならぬ、かような点もあると思いますので、もう少し何かあたたかい処置ができないかという観点に立って検討してみたい、こういうことを申し上げたのでございまして、これは防衛庁との関連もございまするので、いま防衛庁のほうといろいろ検討いたしておりますが、御承知のように、法律の規定によって処置したものをもう一度処置するというようなことは非常にむずかしゅうございますので、何らかの形で、見舞金といいますか、何かそういう形で適当な処置ができないものか、こういうことで、いま防衛庁のほうと事務的にいろいろ折衝を続けておる段階でございます。
  268. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 あの当時触雷やなんかで沈没した漁船、そういったものが約五十七隻あったという報告を私も承っておりますが、第二大東丸と第七大東丸、あの二つは、何かその当時の特別給付金ですか、それの対象になったように伺っておりますが、そうでございますか。
  269. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から答えさせます。
  270. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) ただいまあげられました二隻の船につきましては、これは防衛庁のほうで取り上げておる問題でございますので、私のほうでは承知いたしておりません。
  271. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、きょうは防衛庁の方が見えておられませんが、あの特別給付金というのは時限立法で、昭和三十六年の十一月に立法されたと思うのですが、それがもうすでに期限が切れているように私は伺っておりますが、先ほど中村運輸大臣からいろいろ御答弁がございましたが、その当時一般乗客に対しては何らかの処置がなされた。ところが、船員は処置がなされていないように伺っておりますが、そうでございましょうか。
  272. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) お答え申し上げます。  室戸丸事件の被災者のうちで、船員の方が十六名含まれております。船員の方々につきましては船員保険法という法律が当時からございまして、この保険法に基づきまして、当時の給与月額の三十六カ月分に当たる遺族一時金あるいは五カ月の遺族年金を支給しておりますが、現在、遺族年金というものはその後恩給と同様に増額されまして、年額一万四千八百八十円というのが通常の遺族年金でございます。船員保険法に基づく遺族年金によって補償の措置をとっておる次第でございます。
  273. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その遺族年金とか船員保険とかというのは、いわゆる普通のもの、普通の保険と同じように思うのですけれども、その一般乗客の中にも、あるいはそういう年金をもらうような人もいたのではないかと想像されますが、いかがですか。
  274. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) 当時の記録がはっきりしておりませんが、各種の年金をもらった方がいるかどうかという御質問に対しては、現在のところ、はっきりつかんでおりません。
  275. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もうその事故があってから約二十年もたってまだそういうことがわからないということは、ずいぶん私は冷たい政治だと思います。ずいぶんこういう船の、この五十七隻の船の沈没は、私は、当時占領軍のもとにあった日本の船でございますし、掃海や何かいろいろなことが占領軍の命令によってなされたと思いますが、乗客も船員も私は当然同じように扱われてしかるべきだと思います。これはほんとうに特殊な問題でございますので、何とか特別措置を講じていただきたいと思いますが、講じられるものでございましょうか、いかがでしょうか。
  276. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私も中沢委員と同じように、何らかの特別の処置ができるならと考えて検討いたしておりますが、立法の点ではいろいろやはりむずかしさもあるようでございますが、私はそういう観点から、船客、それから船員も、先ほど海運局長も言いましたが、大体年間一万四千そこらのいわゆる遺族年金をもらっておる。いまの時期に一万四千の年金というようなものは、これは非常にやはり少額で、月に直せば千円ちょっと、そういう点等を考えまして、一般の被災乗客に対しては、先ほど言いましたような何らかの処置を考えたいと思いますが、船員の方々に対しても何らかの処置ができるなら考えてみたい、こういう気持ちで検討を続けてみたいと考えておる次第でございます。
  277. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ぜひそれを考えていただきたいと要望をいたしておきます。  その次に、中村運輸大臣にもう一つ申し上げたいことは、この間、私は二月二十二日の質問のときに、大阪の国際空港のことを少し御質問を申し上げておきました。その後、中村運輸大臣が、三度も続いたあの飛行機事故以来、飛行場の整備には非常な情熱を傾けて、一生懸命でいま走り回っておるということを伺いまして、非常に政治力には期待をいたしますし、また、そういう政治良心といいますか、そういうものには私は敬意を表するわけでございますけれども、大阪国際空港が早期に完成されることは非常にうれしいですけれども、あれを完成されますと、ますますいろいろな飛行機が発着をいたしまして、付近の騒音や危険度は高くなるわけですが、これに対してどのようにお考えになっていらっしゃるか。また、第二空港を、いま羽田に対しては富里の空港とか何とかいうことがずいぶん問題になっておりますが、大阪空港に対しても第二空港をお考えになっていらっしゃるかどうか。大阪国際空港の整備されたあとの騒音の被害とか、あるいは事故があったときの補償とか、そういうものに対する立法化の意思がおありになるか、伺わしていただきたい。
  278. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 大阪の空港の問題は、実は施設を整備いたしますのは昭和四十三年度を目標としておったのでございますが、諸般の情勢がきわめて大阪空港の整備を急ぐ事情等が生まれてまいりましたので、四十二年度末にひとつ仕上げたい、かように考えて、いませっかく努力中でございますが、その結果、いろいろのジェット機その他がもっと入ってくるようになることは事実でございます。それにつきましての騒音対策等につきましては、あれは昨年の十二月の上旬であったと思いますが、地元の公共団体、それから航空会社、あるいは航空局の内部等の者が一緒になりまして、いわゆる騒音対策等、そういう対策の特別の委員会をつくりまして、そこでいろいろ検討をして騒音対策等に対処していきたい。あるいは学校とか、あるいは病院とか、あるいは幼稚園というような特殊な施設に対しましては、騒音対策上、いわゆる防音装置等がわりあい可能な建物が多うございますが、一般民家は、御承知のように、防音装置をすると申しましても非常にむずかしい案件でございます。そういう点につきましては、今後できるだけ周辺の人たちの不満、不平を少なくするように努力をいたしてまいりたいと、かように考えておる段階でございます。大阪近郊の新空港、これはいま伊丹の第一空港の整備が十分にでき上っておりません段階でございますが、今回考えております三千メートルの滑走路ができ上がりましても、近畿経済圏を中心とする空港としてはきわめてこれは不十分である。そこで新空港をつくらなければという、これは民間にもかなり声が強いようでございますが、日本の航空事情等を勘案いたしましても、やはりそれは必要であると考えるのでございますが、ただ、その場所が、やはり東京近郊につくろうとしておる新空港と同じように、やはり大阪の中心点から少なくとも一時間半かそこらで行けるというような、一つの定木というようなもの、基準というものが一応考えられますので、そういう範囲内で、はたして適当な地があるかどうかというようなこと等も非常にむずかしい情勢にあるようでございますが、地元の人等にも、適当な場所があるなら、ひとつそろそろ候補地等を考えてみていただきたい、かように申し上げているような段階でございます。政府といたしましては、ここ一、二年の間に第二空港ということは考えておりませんが、しかし、そう長くはいまの伊丹飛行場だけではどうせたえられませんので、新しい空港が必要であるということだけは考えておりまして、できるだけそういう適当な地をまず物色して、あまりごたごたやいろいろトラブルの起こらないような形で新空港をつくってまいりたい、かように考えている段階でございます。
  279. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、最後に文部大臣にお尋ねをしたいと思います。  最近、教育ママというのがずいぶんあちこちで問題になっておりますが、これについてどうお考えになっていらしゃいますか。また、教育ママが出てきたその背景というものはどういうものでございましょうか。
  280. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 近来とみにこの教育熱が高まっているということから教育ママという非難を受けるような状況が出てきたと思うのですが、教育熱の高まること自体はけっこうなことでありますが、どうも世の中がやはり学歴偏重の機運がありますから、自然に、子を愛する親としては、何とかして自分の子供を格式のいい学校に入れたいというようなことから起こっておると思うのです。したがってこれを解決するということは、補習教育などを全廃する、これも一つの方法で、けっこうなことでございますが、そのほかにいろいろな施策を並行して行なわなければ、単にこれを非難することもいかがかと思うのですが、要は、家庭ではしつけを、そうして学校では教養をということに割り切るような雰囲気を世間全体でつくっていく必要があろうと思います。私どもはそういうことについても努力してまいりたいと思っております。
  281. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま大臣もおっしゃいましたように、少し世の中が学歴偏重に流れ過ぎている。私は、確かに社会の仕組みといいますか、何か出世万能主義、そういうふうなことになってしまっているのが一つ過熱教育を生んでいる原因だとは思いますけれども、私は、終戦後日本に六三三制という制度が生まれてまいりましたが、これについてひとつここで大臣のお考えを伺いたいと思います。
  282. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お尋ねがあまり端的で、よく理解できませんが、いまの六三制というものは、非常に当時施行したころは無理だったと思うのですが、中学校も一応全国的にできましたし、整備されましたから、この体制は私はこのまま維持するほうがよかろう。ただ、その間、若干に上下なり組み方の研究は今後あってしかるべきだと思いますが、この体制はよかろうと思うのです。ただ、上のほうの高等学校とか大学につきましては、私どもも近く中教審に御研究をいただきまして、大学にしても四年で、二年は一般教養、二年が専門育教ということでは、どうも専門教育が不十分でないだろうかというように考えますから、これらの点は、今後の課題として、できるだけ早い機会に検討してみたいと思っておる次第でございます。
  283. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 時間があまり気になったものですから、つい飛び出たような質問をいたしましてたいへん恐縮いたしましたが、実は私は、少し親も子も精神教育というのを忘れ過ぎているんじゃないか。先ほどからいろいろ国民生活ということについて、広告の攻勢があったりなんかということで、どうも少しみんなが物質万能主義になり過ぎてしまった、少し精神教育といいますか、人間教育、そういうものを忘れ過ぎているのではないか、そういうところに私はやはり教育ママというのもできてきているのではないか。それには私としては、六三三というのはちょっと納得のいかない点があります。というのは、少し日本国民も体位が向上してきている、子供たちがずいぶん大きくなってまいりました。そこで、いま幼稚園、保育園というものにもなかなか入りにくくて困っておりますので、むしろ六三三制の六を一年繰り下げて、いまのいわゆる幼稚園一年を義務教育にしてしまう。そしていまの六年制を五年くらいに切り下げて、中学校を四年くらいにしたら何とかここで少しはゆとりのある精神教育といいますか、人間教育といいますか、そういうものができるのではないか、こういうことを考えていたものですから、いきなり六三三制に飛びついてしまっておかしな質問になりました。
  284. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 念のために申し上げます。時間が来ております。
  285. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 高等学校を受けなくちゃいけないということで、それから、また、すぐに有名な大学に子供を入れたいというふうなことがいつも母親の頭にあるものですから、一番精神的な教育を受けなくちゃいけない中学校でも、その三年間もまた詰め込み教育をやらなくちゃいけないということで、かたがた、幼稚園でも裏口入学をやるとか、保育園が足りないとか、幼稚園に入り切れないとか、いろんな問題があるものですから、せめて、急にはいかないかもしれませんけれども、いまの小学校の下の一年くらいを小学校の一年生ということに年齢を切り下げてみたらどうかということをひとつ提案してみたいと思って考えてみたのですが、文部大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  286. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘の点は確かに検討に値する問題で、私どもも今後研究をしてまいりたいと考えます。
  287. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 先ほど大蔵大臣からの答弁が残っておりますから、大蔵大臣。
  288. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 生活協同組合に対する課税の問題につきましてお話があったそうでありますが、生活協同組合は、中小企業等協同組合、あるいは農業協同組合と違いまして、相当一般的な色彩が強いのです。それで、そういう際に課税特例を設ける、そうしますと、他の中小企業との関係は一体どうなるだろうか、こういう問題が起こってくるわけです。そういうような点から、その扱いを慎重に考慮しなければならぬ、こういうふうに考えておりますけれども、前向きで検討をしてみます。
  289. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 中沢君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  290. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に春日正一君。
  291. 春日正一

    ○春日正一君 私は先日、本院で矢山委員が質問した在日朝鮮人の教育問題についての文部大臣の御答弁、それから二十六日付の朝日新聞に報道された政府の学校教育法改正構想というものを読んでみますと、これは重大な問題が含まれておるというふうに感じるわけです。この問題からお聞きしたいと思います。それで政府は、朝日新聞が報道したような内容の学校教育法の改正案、これをこの五十一国会にお出しになる考えですか。
  292. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 朝日新聞の記事を私も見ましたが、あれは検討段階のものがどこで抜かれたか、材料を入手したかわかりませんが、そういう段階の記事のように見受けました。私どもとしましては、国内の各種学校というものが、相当に職業教育を盛んにやっておる。ところが各種学校というのは、一条しかない法律でありますから、この各種学校に対するいろいろな保護助成の道と、やるならばあわせて、日本には日本のこういう特殊事情から、外国人というものが相当おりますので、また外国人の各種学校とか、あるいは無認可の学校とかも相当ありますので、これらについて、何とか外国人学校についての制度の確立を一緒にできればしたいということで、目下検討をいたしておりますが、まだ結論を得ておりません。間に合えば今国会に提案をいたしたいつもりでありましたが、いまだその結論を得ておらないというのが現状であります。
  293. 春日正一

    ○春日正一君 いま、法案そこまでは煮詰まっていないということでしたけれども、相当検討もされておいでなようだし、この問題に対しての政府の基本的な考え方、それから法改正の、どういうところを変えようとしているかという要点ですね。これを聞かしていただきたいのですが。
  294. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 考え方としましては、外国人学校という制度を各種学校の改正にあわせてやるといたしますれば、一定の条件に当てはまるものは学校として認可をする。もちろん、先般来議論がありましたように、外国人が自国語の自国の教育をすること自体は、さしつかえないことでありますから、これをとやかく言う意図はございません。ただ一面において、日本の制度で学校として許可する以上は、その一つの条件といいますか、制度は守っていただかなきゃなりませんから、その守っていただくような道も講じたいという、まあ方向としてはそういう考え方でございます。
  295. 春日正一

    ○春日正一君 いままででも外国人は日本にはたくさんおったし、戦後だけとってみても、もう二十数年外国人の教育問題というものはあったわけですけれども、いまこの時期になって急に学校教育法を改正しようということが、あらためて問題になってきたという主要な動機といいますか、理由といいますか、それはどういうところにあるのですか。
  296. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは急に起こったわけとは思いませんが、御承知のとおり公立学校の分校として、公立学校で日本の学校の一部分という形でおりながら、しかし、内容は全部公立学校本校の校長の支配の及ばない状況ができております。これが相当御承知のとおり数がございますので、一体そういう姿というものを、そのままにしておいていいかどうかということは、かねがねの懸案でございます。そこで学校教育法改正の、各種学校等について改正の機会があるならば一緒に検討したらどうか、それですっきりした姿にしたほうが、お互いに都合がいいじゃないかというような角度から考えておるわけでございます。
  297. 春日正一

    ○春日正一君 それで、現行法でやられておる各種学校制度というものについて、具体的にどういう弊害が起こっているのか、こういう問題について検討しなきゃならぬという問題ですね、そういう同額ありますか。
  298. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 現行法の各種学校というのは、御承知のとおりあまり簡単過ぎまして、制度的に各種学校として行政指導をする範囲もありませんし、学校教育法にたった一条各種学校ということを書いておるだけでございますから、どうもこれでは国内の各種学校を見ましても、いろいろ最近では美容学校とか理容学校であるとか、裁縫にせよ料理にせよ、正規の高等学校、大学等に行かれない人たちが、相当のたくさんの数がここで一通りの職業を得る勉強をしておる。これがまあそういうような姿に置かれておりますから、各種学校並びに外国人が、とにかく日本の国はよそと違いまして相当に数がおる国柄でございますし、過去の事情からいいましても、かつて朝鮮人は日本人であったという時代もあったりいたしますので、ここでそういう問題の懸案を解決したらどうかということでございます。
  299. 春日正一

    ○春日正一君 そうしますと、この間の矢山委員の質問に、各種学校という形で第一、外国人の学校が幾つもある、たとえばアメリカンスクールだとかあるいは横浜の中華学校だとか。しかしそういうものにはあまり問題はないと、問題なのは、在日朝鮮人学校、その中でも特に朝鮮籍ですね、総連系統とよくいわれておる、この学校が取り締まりの主たる対象になる、法改正の主たる対象になるというようなふうに私は受け取ったのですけれども、その点はどうですか。
  300. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答えします。  もし外国人学校という制度をつくるとすれば、韓国人であろうと、朝鮮人であろうと、アメリカ人であろうと、外国人に関する限りは、同一の制度で臨みたい。目下のところ、考え方としてはそういうように考えております。
  301. 春日正一

    ○春日正一君 その点、確かに外国人学校の制度をつくるということになれば、これはすべて含まれるわけですけれども、しかし、あとのものはいまのままでもいいし、含まれてもいいということであって、主たる、特に改正してやらなければならぬという主たる対象は、さっき私の言ったようなものだということじゃないですか。たとえば、昨年の十二月二十日、日韓条約が批准されて、二十八日という仕事じまいの日に次官通牒をお出しになっている。そうして各種学校の認可はストップするというようなことが通達されている。こういう点考えますと、やはりそこのところに問題があって、アメリカとか、イギリスとか、そういうようなところは外国人学校の制度をつくるのだから、ワクには入れるけれども、それがあるからこれを変えなければならぬとか、創設しなければならぬという問題じゃないのじゃないですか。
  302. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 次官通達は、その当時、昨年度の予算編成、その他予算予算編成関連して、四十一年度の施策を検討した際に、そういったいま私が申し上げたような構想が省内に起きまして、ついては、そういうような方向がきまるまで各種学校というのは、現在は都道府県知事が認可できることに制度上なっておりますが、都道府県知事が自己の判断だけで認可しないようにしてもらいたい。そして統一をしてやりたいということで出した通達でございます。御承知のとおり、最近各都道府県に起こっておりますことは、先ほども申し上げた公立分校という、本校の校長の支配の及ばない分校が、その資産等を府県あるいは市町村から移譲を受けて、そうして各種学校にかわろうという動きが、近時、日韓国交正常化にも関連しまして非常に最近活発なわけであります。これは北鮮だけではなくて、韓国系の学校からも、各種学校の認可の申請が出ておりますが、これらも平等になるべく一つ方向がきまるまで待ってもらいたいというたてまえをとっております次第であります。できることならば、私どもは日本の国はこういう特殊事情にございますから、すっきりした姿に外国人学校というものをしたいというのが、昨年の予算編成期における省内の討議から方向が出てまいりました事柄で、従来いろいろな具体的な具体策について検討しておりますが、まだ目下のところ最終的な結論を得ていないというのが、現段階でございます。
  303. 春日正一

    ○春日正一君 外国人学校設置の認可は、文部大臣の承認を得た上で、都道府県知事が行なうというようにして、いままでは都道府県知事が自分の判断でやれたものを、承認を得た上で行なうというようにして、文部省の事前承認ということを前提につけて、さらに承認を与える場合は、関係省と協議するというような趣旨のものが、この改正に取り入れられるというふうに聞いているのですけれども、その点どうですか。
  304. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 先ほど来申し上げておりますように、まだ結論は得ておりませんが、考え方としましては、外国人に関する制度でございますから、できるだけ全国的に、各府県のばらばらの考え方よりは全国的に統一されたほうがよかろうということと、もう一つは、文部大臣としましても、文部大臣限りでやるよりは、やはり外務特等に協議した上で、最終的な結論を出すということのほうがよろしいのではないかという構想は確かにございます。どういう方法でいくかは、まだいま結論が出ていないというのが現状でございます。
  305. 春日正一

    ○春日正一君 関係省というのは、大体どの省とどの省になるんですか。
  306. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 考えられますものは当然に外務省、それから入国管理等の関係がありますから、法務省も関係者ということに数えれば数えられると思います。まあ大体広く見ましても外務、法務両省ということになろうかと思います。
  307. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、その場合に大臣が承認するあるいは不承認をするという基準、これはどういうところに目安を償いておられるんですか。
  308. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはもちろん法律の中、もしくは政令に委任をしたにしましても、政令の中におきまして一定の基準をつくるべきだと思います。その基準に合致するものは、協議は制度上外交関係を担当している外務省あるいは入管を担当している法務省に協議をいたしますけれども、ワクなしで自分らの考え方だけで処理するようなことにはならないことと思っております。
  309. 春日正一

    ○春日正一君 いや、政令で出されるという、そのこまかいところまではあれでしょうけれども、一番大事な法改正の問題なんですから、大体どういうことだったら許可できるとか、こういうものは承認できないとかいうような、ひとつ筋を聞かしていただきたいのですが。
  310. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まだそこまで煮詰まっておりませんけれども、教育施設でありますから、やはり学校法人をつくってもらうとかいうような、学校法人はどういう基準でやるとかいうようなことになろうと思いますが、まだ実はそこまで煮詰まっていないものですから、いまの段階では想定質問問答みたいなことになりまして、明確にお答えしかねるわけであります。
  311. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、それは制度的なことで、たとえば教育内容上の云々というようなことが認否の用件になってくるということにはならないのですか。
  312. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 教育内容でございますか。
  313. 春日正一

    ○春日正一君 ええ。
  314. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それは外国人の学校ですから、日本人としての教育をするわけじゃありません。もちろんないと思います。したがって前から申し上げておりまするように国語、自国語を教える、朝鮮関係なら朝鮮語で教える、アメリカ関係ならアメリカ語で教える、あるいは自国の歴史を教えるというようなことまで、われわれは干渉したり関与しようとは考えておりません。
  315. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つこの関係ですけれども、今度の法改正では、都道府県知事に閉校命令を出す権限を与えて、そして閉校に反対する者に対しては、禁錮あるいは罰金などの刑罰を科するというような点が入れられるというように私は聞いているのですけれども、その点はどうですか。
  316. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私もこの間朝日新聞の記事を見まして、文部省でそういう先ほど来申し上げたようなことを考えまして、まあいろいろ関係官がそれぞれの構想を練っておるわけですが、その過程の一部が出たんだと思うんです。まだ役所全体としては、取りまとめの会議もいたしておりませんから、結論を得ていないという状況で、これまたどうも想定問答になりますから、朝日新聞の記事は記事として、おそらくそういう研究過程のものが取材されて、大体この方向でいくんじゃないかということで書かれたものと、私どもも拝見をしておるわけであります。
  317. 春日正一

    ○春日正一君 大体こういう点をずっとお聞きしてみて、まあいまのように想定問答という段階ですけれども、やはりこの学校教育法の改正というものが、在日朝鮮人の教育問題というものを治安対策の対象にして取り締まる弾圧法規になっていくんじゃないか、こういう危険を非常に感じるわけです。で、こういうことをすれば、親が子に対する教育をする権利を奪うということになるし、外国人が自分たちの子供を、自分の国語と歴史、あるいは文化を教えるというような民族的な、民主的な権利を奪うということになってくるんではないか、こういうふうに思うんですけれども、その点についての大臣のお考えはどうですか。
  318. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、現在まだ各種学校としても認められていない。まあ先ほど来この委員会で出たことばを引用すれば、私塾的と申しますか、無認可の学校のようなことをやっておる施設が、われわれのほうの調査では四十カ所ぐらいございます。その一部からも早く認可をしてもらいたい。要するに通学定期の割引の問題とか、あるいは旅行の際の学割の問題とかいうようなことがありますし、その他にも税法上の関係がありますので、いろいろ要望がございます。これらにも見合いまして、できれば、できるだけ早くそういう制度化をきちんとしたほうがすっきりするのではないか。一方、治安的な角度でやるのじゃないかという御質問でございますが、この点は、先般来私もここで繰り返し申し上げておりますように、日本の国の独立国としてのですね、日本の国に対して、その安全や利益を害するようなことを公然とやられちゃ困るので、それならば何も日本の国内で保護する必要ないんですから、その点は、いずれにしても私どもははっきりさしたいということでありまして、治安対策的の考えを、学校制度として研究する段階でわれわれ考えておるわけではありません。
  319. 春日正一

    ○春日正一君 まあ日本のその利益に反するような行為を学校でやったと、現にやっておると、だからこういう改正もしなきゃならぬというようなこの事実はあるのですか。
  320. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いや、それは別問題としましてですね、制度をつくる以上は、一方において、日本の法律制度で学校として認めるというかわりに、また同時に日本の国に害があってはこれは困るのですから、害のないような締めくくりはしておくべきであるというように考えておるわけであります。
  321. 春日正一

    ○春日正一君 その点が、一番問題だと思うのですけれどもね。文部大臣は昨年十二月四日に本院で小林委員がこの点について質問したときに、外国人が自分の国の国語を教え、あるいは歴史を教え、憲法その他の諸制度を教えるだけなら私はかどを立てる筋合いではないというふうに言われておりますけれども、その直後の十二月二十八日には次官通達を出して、在日朝鮮人が日本の法律に基づいて申請している各種学校の認可をしないようにという指示をされております。それだけでなくて、すでに各種学校として認可されているものでも、引き続き認めるかどうかは再検討しなければならない、これは矢山委員にお答えになっているわけであります。そういうことになると、結局これから、あるものも押える――それは法改正があるからまあ待てというふうにあなた言われましたけれども、しかし、すでに認可されておるものまで再検討しなければならぬということになると、すでに認可されておるものの中にも問題があると少なくともお考えになっているということになると思うのですよ。こういうふうなことをして、これから認可申請してくるものだけでなくて、すでにある、現に教育が行なわれているものさえ再検討しなければならぬというふうなことになれば、大臣がそう言われただけでも、関係者は非常な不安を感ずる、つぶされるのじゃないかというふうな不安を感ずる。こういう形で教育環境を奪うような措置をおとりになっておいて、それであなたは一体、在日朝鮮人がどうしてあなたのおっしゃるような自分たちの子供に民族的、民主的な教育を施すことができるか、その点どうお考えですか。
  322. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 現在許可されておるものでも再検討せねばならないということを申し上げたか、あるいはどういうふうに議論の中で申し上げたとすれば申し上げたかわかりませんが、問題は、新しく制度をきちんとつくります以上は、学校である限りは一定の教室とか施設、設備というものは規格としてつくらなければならないと思います。したがって、規格に該当しないものはすぐには許可いたしかねる。あるいは一定の猶予期間を設けて、その期間内にこういうような規格に当てはまるように整備をなさいということにはなっているだろうと思いますが、その他の意味で再検討ということは私申し上げた記憶が実はないのですが、そういう意味におとりをいただきたいと思います。
  323. 春日正一

    ○春日正一君 それで、現在ある各種学校にしても、日本の法に基づいて認可されてやっておるわけです。それから、新しく認可を申請するということは、在日朝鮮人諸君が日本の法に基づいてこの日本で自分たちの子供を教育していきたいという考えを持っておることだと思うのですね。だから、そこには何にも問題がないはずだ。ところが、最近大阪府が大阪朝鮮高級学校その他十六校の各種学校を認可したようですけれども、これは去年の十二月に、大阪府議会の総務委員会に、子供の教育条件は外国人であっても十分配慮すべきものであるという申し入れを府の理事者に行なって、府の理事者がそれに基づいてその実情を調査し、あるいは他府県でどうしているかという例まで調べて、そうして認可するということが妥当であるということで決定したわけですね。だから、この大阪府議会と府当局のとった措置というものは、直接この問題に責任を負っておる自治体当局として完全に適法なことだし、同時にこれは非常に公正なものだと思いますよ。そうして、この措置は、やはり世界人権宣言が明確に規定しておる国際的な義務と信義、これにかなった行為だと思います。ところが、文部省のほうは、大阪府当局に対して、遺憾な措置をとったと通告したというように私聞いているのですけれども、こういうことがなぜ遺憾なのか、この点をお聞きしたいと思います。
  324. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) こまかい事情は事務当局から必要によってお答えをしますが、大阪府の場合は、たぶん公立分校を分離して各種学校として認可をしたのだと思います。公立学校の分校の場合には、土地も建物も大阪市もしくは府の所有でございます。そういうように資産を無償で譲与して別途処理するということは、統一された制度ができてからのほうが望ましいという考えを、実は文部省としてはかねがね持っておりました。これに対して、大阪府としましては、それはなるほど慎重に担当者との折衝もしたでしょう、あるいはほかの地区の実情の調査もしたかもしれませんが、そういうことで、文部省としては、統一的な措置が講じられてから、いままで長年公立分校としてきたものでありますから、何も急にその維持ができないはずでもないので、待っても別段不都合はなかろうと思うので、大阪府限りでやられたということは、文部省の考えておった従来の考えからすれば遺憾なことでありますが、しかし、大阪府知事の権限として実行されたことでありますから、これに対して、別段大阪府知事に対して異議を申し立てたわけではありません。そういうような事情にあるわけであります。
  325. 春日正一

    ○春日正一君 だから、そこらの辺、大臣のおっしゃることを考えてみても、やはり将来文部省が事前承認の権利をとるというようなことになれば、やはり地方自治体が直接的に負うものとして実情に応じて認可しようということも、かなり文部省の考え方によって拘束されてくるというような形で、実際上地方自治権を侵していくというようなことになってしまうのではないか、私はそういうふうに思います。  そこで、この問題をはっきりさしていく上で、第三回国連総会で採択された人権に関する世界宣言――世界人権宣言といわれておりますけれども、これには、その前文に、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」、こういうように書かれております。第二十六条にも、「すべて人は、教育を受ける権利を有する。」、また「親は、その子供に施さるべき教育の種類を選択するについて、優先的な権利を有する。」、こういうように規定されております。それから日本の憲法の前文にもやはり、終わりのほうですけれども、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、」「この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」、そういう国際関係におけるわが国の立場、これははっきり規定しております。そうして二十三条には、「学問の自由は、これを保障する。」とはっきり明記されております。こういう条項は当然政府が守るべきものだ、守らねばならぬことだと思いますけれども、その点はどうですか。
  326. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お話のありました人権宣言は、これは国際的に各国とも守るべきものだと思います。私どもは、その人権宣言の趣旨をじゅうりんしたり、無視しようとする意図はございません。
  327. 春日正一

    ○春日正一君 こういう条項に照らして見ますと、第一に、在日朝鮮人が自分の子供たちに朝鮮語を教え、朝鮮の歴史、文化、社会について教育するということは、これは国際的にも、また日本の憲法でも保障されておる正当な権利と考えるわけですけれども、この点どうですか。
  328. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そのこと自体は、私は当然かと思います。
  329. 春日正一

    ○春日正一君 そうしますと、政府が、次官通達とか、学校教育法の改正というようなことで、在日朝鮮人に日本政府の教育方針を押しつけて、まあこの前も言われたような同化政策を行なう、あるいは特別に朝鮮民主主義人民共和国の公民である在日朝鮮人の民族教育に対して差別や干渉を行なうということは、当然国際的な日本政府の負っておる義務にもそむくし、日本の憲法の精神にも違反するものだということになると思うのですけれども、この点はいかがでしょう。
  330. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私ども、同化政策とか、あるいは日本教育を押しつけるというようなことは考えてもおりません。ただ、先ほど御指摘のありましたような、外国人が自国語であるいは自国の歴史その他を教育をするということ自体は差しつかえない、このたてまえは世界的に共通することだと思いますが、ただそれだからといって、それではその国の制度として、学校として正規に認可するかしないか、これは別個の問題であります。日本でも、ずいぶん日本人が海外にたくさんおりまして、各地でやはり学校教育をしなければなりませんから、教育をいたしておりますが、ほとんどの国は日本人の学校教育に対しも正規の認可はしていない。まあ最近香港政庁が許されているということでございますが、まあ非常に日本と親善関係の深いタイ国あたりでも、正規の学校としては、各種学校としても何学校としても認可をしておりませんので、各国のそういう事情を見ましてもですね、やることが、差しつかえない、あるかの問題と、それを認可をするかどうか、その国の学校制度として認めるか認めないかということは、これは別個の問題だと思うのであります。しかしまあ、日本は特殊の事情にございますから、私どもとしては、トラブルを続けていくよりは、正規の制度をつくったほうがいいんじゃないか、こういうような考え方に、実は考え方としては、そういう考え方を持っておるわけであります。
  331. 春日正一

    ○春日正一君 この間の矢山委員の質問のときにもですね、きょうも言われましたけれども、大臣は、民族教育は差しつかえないけれども、わが国との友好を阻害したり、わが国に対する不信感を誘うようなものであってはならないんだというふうにも言われましたしですね、反日教育は困るのだというふうにも言われたんですけれども、これは非常にデリケートな問題で、これの解釈いかんでは、学校を認可するかしないかというような問題も起こってくるんじゃないか。だから、私さっき教育内容に基づいて認否をきめるということがあるのかどうかお聞きしたのですけれども、この友好を阻害したり、不信感を誘うようなものとか、特に反日教育というようなことは、どういうことをさして具体的に言われるのか、これは一定の尺度がおありになるはずだと思いますよ。これを聞かしていただきたいと思います。
  332. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まだ一定の尺度は考えておりません。ただ、朝日新聞の記事にもありましたが、不信感云々というような記事があったと思うのですが、不信感というのは、これは考えようによってはこれが不信感だと言われれば不信感になりますから、非常に尺度としてはどうかと、私どももそういうふうな感じはいたしております。要するに、要は日本の政治制度を破壊や批判をしたり、あるいは社会を混乱さしたり、要するに日本に害を与えることということに言えばまあやや適当かと思うのですが、それがしからば尺度としてはどういう尺度がいのかということになると、これはなかなか問題で、私どももまだそういう点について最終的な見解を定めておるわけじゃありませんし、検討課題としても、そういう問題は、一体どういうふうな尺度が無理のない正しいものであるかということについては、鋭意研究をしておる段階でございます。
  333. 春日正一

    ○春日正一君 まあ友好と信頼というような問題は、これは相手のあることで、総合的な問題だと思いますが、信頼されるような態度をとらなければ不信頼もされるだろうし、友好的な態度をとれば相手も友好的になるだろうし、そういうことが非常に多いと思います。特に在日朝鮮人の教育の場合で言えば、戦後二十年のあれを見ても、一九四八年の学校解散ですね、大阪で強制的に解散さして、子供が一人殺されたというような事件が起こって、ああいうことをすれば、これは信頼しろと言ったって信頼できっこない、かえって反目を増すようなことになる。だから、この信頼と友好というような基準を立てて、何でもこちらの、言うことを信頼しないからいかぬということにはならぬと思う。こういうことは非常に不適当だと思います、どうにでもなる問題なんだから。ところで、反日教育ということになるともっと問題があると思うのですけれども、この点は大臣は、去年の日韓国会での小林委員の質問に対しても、二十五日の矢山委員の質問に対しても、反日教育の具体的の事例を示してくれという質問に対して、あなたは、御存じないと、ただ私どもの耳には、北朝鮮系の学校ではこういうことをやっている、けしからぬではないかということが非常に大臣の耳に入ってくるというようなふうに言っておられるだけですわ。そうしてまた、小中学校では問題ないようだけれども、朝鮮大学には問題があるようなふうに聞いておるというようなふうにして、聞いておる、耳に入ってくるということを問題にしておられるのですけれども、こういうふうに、具体的な根拠は何もない、だから現実に違法なことをやっておるとか、反日的なことをやっているというような事実が具体的にないにもかかわらず、そういうことをもとにして法改正までやって在日朝鮮人の教育を取り締まろうというようなことになると、これは非常におかしな話じゃないか。現実にこういうことがあった、だからこうしにやならぬというようなことなら世間も納得するけれども、そうじゃなくて、私は具体的な事実は知らない。しかも四カ月もたっているのですよ、小林委員が質問してから矢山委員が質問するまでに。しかもその答弁は同じだ、私は知らないと、うわさに聞いておると、こういううわさをもとにしてそういう教育政策の方針を立てられるということは、非常に異常に感じるわけですわ。だから、ありていに言えば、この外国人学校の制度の創設、そうしてこれが急にいまのこの時期に問題になってきたということは、教育行政の実際の中からこういう弊害があったからどうしても変えにゃならぬというものは一つもない。それを証明するものは何にもない。むしろ教育行政の外部から何かの要因で持ち込まれてきた問題じゃないかというふうに考えざるを得ないわけですわ。だから、もう少し突っ込んで言えば、この日韓条約を日本政府が批准して南朝鮮の朴政権と手を握ったことによって、朝鮮民主主義人民共和国というものを政治的には否認してしまうという立場に立ってしまった。だから、そういう立場から見て、朝鮮民主主義人民共和国の国籍を持つ公民が自分の祖国の歴史や文化やそういったもので子供を教育することは好ましくない、つまり韓国化しろというような動機が第一にあるのじゃないですか。
  334. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まあ疑心暗鬼をすればお互いに際限ありませんが、疑心暗鬼の上に立ってわれわれこういう制度を確立したらどうかということを考えているわけではございません。日本の国としては、日本人が外国におって、学校制度として、各種学校としても何学校としても許可を受けたところはほとんどなくて、ブラジルあたりの二世は、向こうの教員で向こうの教育をしている、スペイン語の教育をしているというようなところは認可されておりますが、純然たる日本教育をしているところで認可されたところはほとんどありませんで、今度香港で認可されるということでありますから非常にけっこうなことだと思うのですが、したがって、日本の国としましても、外国人が日本の国内で何か自国の国民に対して教育をしようというものに対して、これを日本の法律制度として認可するかしないかは、これは自由であります。いままで認可したものはしかたないが、今後これからのものは一切認可すまいというのも一つ方針、外国ではかなりきびしいようであります。日本でも同じきびしさでいくのがいいのか、あるいはやっぱり教育施設として許可して正規にいくのがいいのか、ここらが判断のしどころだと思うのです。したがって、私どもとしては、世間にどういううわさがあるから、そういう疑心暗鬼の上に立ってどうしよう、あるいは北鮮を閉め出そうというような意図はありません。まあたとえば、今度法的地位の協定によりまして、日韓関係においては、永住権を持った子供さんに対しては、希望に応じて日本の小中学校等に就学をさせますと、それについては、やはり就学援助もします、困る生徒には学用品もあげますと、教科書もただであげますというようなことにいたしておりますが、このときに出した通牒をごらんいただけばおわかりのように、そういうような法的地位に関する協定ができたと、しかしこれについては、北鮮の子供さんに対してもこれと同様な取り扱いをするようにということを付言してございますので、差別的な待遇をしいてしようというようなことは、あの通牒をごらんいただきましてもおわかりのとおり、ないわけで、さような片寄った意図のもとに特別の抑制を加えようというのじゃなくて、ただしかしはっきり申し上げておきたいと思いますことは、やる以上は、日本の国も独立国として存在しておるのでありますから、日本社会を混乱さしたり、あるいは日本の安全や利益を害するようなことをされちゃ困るということだけは、これはいつの場合にどういうことが起こるかわかりませんから、過去の疑心暗鬼は別として、明確にしておく必要があろうというような抽象的な考えで、具体的な点はまだ煮詰まっていないというのが、先ほど来繰り返して申し上げておる段階でございます。
  335. 春日正一

    ○春日正一君 法務大臣にお聞きしますけれども、先日の矢山委員の質問に対して、北朝鮮籍に韓国籍から変えてほしいという者が一万六千でしたか、相当な数ありましたね。それから、朝鮮籍から韓国籍に変えてほしいという者が八千八百八十八と私は記憶しているのですけれども、これは相当こうなぐり書きした数字じゃないかと思いますけれども、そのうち、韓国籍の者は、無条件で朝鮮籍から韓国籍へ移る者はどんどん承認する。しかし、韓国籍から朝鮮籍に移る者は原則として認めない、そのうち、三十何名かお認めになった。これはどういう根拠に基づいてそういうふうにされるのですか。
  336. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題は、日韓条約のときにはしきりに問題になった問題であります。韓国籍から朝鮮の籍へ移すのは原則的に認められないと。これはごく簡単に申し上げますと、朝鮮から韓国へ移るのは認める。というのは、韓国のは、韓国の国籍を証明するものを持って申請があるわけでございます。その国籍証明書を持って見えれば、私のほうの外国人の登録のところでは、いわゆる国籍欄に書くことはすでにきまったる国籍をただそこに記載するだけでございますから、韓国で韓国人であるということが証明されておるのは、そこへ韓国ということを書くということで、朝鮮から韓国と善くのでございます。  ところが、韓国から朝鮮という場合は、朝鮮というものは、これはいまでもまだ国籍ではないのでございます。これは、もとは符号、符号と申しておりましたのでございますが、これは北鮮の人もあれは、まだどこに――韓国に入るかどこかきめてないという人もあるような状態でございます。はっきりわからないのでございます。そういう状態でございますから、韓国は、朝鮮が独立しましたといいますか、日本から離れた時分に、みんな朝鮮とし、それから韓国というものができて、韓国というものにどんどん国籍を変えた時代ずっと韓国籍に移すほうにはやってきたのでありますが、朝鮮のほうには移さないのがたてまえにしてまいっているわけでございます。ただいまにおいては、なおさら、それがはっきりとだんだんしてまいりましたので、たくさんの申し出がありまするけれども、それはその人の個人的の希望だけでございますから、国籍はないと私ども思うのであります。国籍は個人のかってに、きょうはおれは朝鮮籍だとか、あしたは韓国にしようとか、かってにはできないものでございまして、国籍は、御承知のように、国と人の結合でございます。それだから、たとえば韓国に籍があれば、韓国政府と韓国に、そこに忠誠を誓う人との一体になっての、いわゆる国籍であるというようなわけでございますから、一人でもって見えて、個人で出されましても扱いようがない。それだからお断わりをするというのが、いまのたてまえになっておるわけでございます。
  337. 春日正一

    ○春日正一君 日本の憲法二十二条二項には、「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」、こう書いてありますが、どこの国の国籍になろうと、それは、おもしろ半分に、きょうはこっち、あしたは、というわけにはいかぬだろうけれども、とにかく、まじめに考えて、どこの国籍をとりたいというなら、それをはばむという根拠はないと思うのです。いまあなたは、韓国というのは国があると、朝鮮というのは国じゃないと言っている。確かに朝鮮という国はない。しかし、朝鮮民主主義人民共和国という国はこれはりっぱにあるわけです、政治的に承認しようとしまいと。そうしたら、その国の公民になりたいというふうに望んだ場合、それを拒否する根拠はないと思うのですよ。
  338. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいま申し上げましたように、国と人との結合が国籍でございますから、人だけで国籍はかってにきまらない。だから国と人とが一緒になって、国籍というものを証明するものを持って見えれば、それは変更せざるを得ぬことになるだろうと思うのであります。たとえば、いまのお話のように、北鮮ということがはっきりするような旅券と申しまするか、それを証明するものを持って見えれば、おのずから違う扱いをしなくちゃならぬだろうと思う。いま出ておりまする書類というものは、そういうものの私どもの扱いではないわけであります。そういうものが出てくれば、またこれは特別に――というよりは、そういうのが国籍でございます。国籍としてどう扱うかは別といたしまして、それは私どもがかってには変更しません。
  339. 春日正一

    ○春日正一君 それはおかしいです。国籍は、韓国からこっちへ移りたいと、あるいは、ある国からこっちへ移りたいと言うのだから、移りたい国の国籍があるはずがないんだから……。
  340. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) だから、その国籍を証明するものを持っておいでになれば、それ相応に扱うと申しております。
  341. 春日正一

    ○春日正一君 私、これおかしな話だと思うのですよ。朝鮮のほうに移りたい、新しい国籍をつくるというのだから、それを持ってこいと言ったって、ないからそこへ行きたいと言っているのに、持ってこいたって、持ってこれるわけがありゃしない。
  342. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 日本もただいまのところ、北鮮を認めてないというような状態でもありまするし、事実上、そういうことも困難でございます。だから、事実上はそれができないのは、そのとおりだと思うのであります。しかし、だからと言って、個人がかってに、おれはきょうは朝鮮、韓国をやめて朝鮮だとか、あしたは今度は韓国にするとかというような、個人がかってにきめて、国籍欄をかってに変えるということもできないわけであります。事実上、いまの状態から、お気の毒だけれども、どうすることもできないというのが事実でございます。
  343. 春日正一

    ○春日正一君 結局、朝鮮民主主義人民共和国は、日本政府は承認していない、国交がない、だから、そっちへ移籍することはできないし、そういう便宜もはからぬということになれば、明白に、国籍を変えようという自由を否定してしまうということになる。この議論を私はやりませんけれども、とにかく、そういう形で、北朝鮮の側に属する人たちに対する差別というようなもの、これは現実日本政府がやっておる、そういうものとして……。
  344. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 念のために申し上げます。時間が切れております。
  345. 春日正一

    ○春日正一君 これから言うだけ言ったら終わります。  そういうもので、結局、日本の今度の教育問題にしても、在日朝鮮人の教育、特にその中で、朝鮮籍を持つ公民に対する教育を、反日的とかなんとかということで規制していく、そういうこととしか考えられないわけです。だから、結局、日本がそういう形で国籍と結びついていく……。
  346. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 超過しております。
  347. 春日正一

    ○春日正一君 そうして反共主義、軍国主義政策を進めている。こういう政策を進めておる上で、朝鮮人民の、在日朝鮮人の自主的な民族教育がじゃまになる、取り締まれということになるのじゃないかと思う、だから、そういうことになれば、やはり政府が準備している学校教育法の改正というものが、在日朝鮮人が血のにじむ思いでつくり上げてきた教育の成果、あるいは民族的、民主的な教育というものを破壊するということになる。これは必ず恨みを結びますと思いますよ。日本の長い将来を考えてみたら、こういう扱いをすれば、必ず日朝両国の友好という上で有害な作用を来たす……。
  348. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 二分間超過しております。
  349. 春日正一

    ○春日正一君 そういう意味で、政府が次官通達を撤回され、あるいは学校教育法の改正の企てを取りやめにするということを私は特に要望して、質問を終わります。
  350. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 春日君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  351. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  中沢伊登子君が辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     ―――――――――――――
  352. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、山高しげり君。
  353. 山高しげり

    ○山高しげり君 私は、家庭対策を中心に、関係各大臣に質問を申し上げたいと思います。  最初に、厚生大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、厚生省は、かつて児童局という役所を、現在は児童家庭局というふうに名前が変わっておりますが、これは当然その中身も変わった点があるわけだと思いますけれども、その児童家庭局になさっての実績と申しましょうか、ことばは足らないかもしれませんけれど、その点についてお答え願いたいと思います。
  354. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 児童福祉の行政をやってまいります場合に、その育成の基盤である家庭の問題と切り離して児童福祉行政を進めることは、これはできないのでありまして、本来、私は、家庭行政と児童福祉行政というのは不離一体のものとして進められるべきものである、かように考えておるのであります。したがいまして、昭和三十九年に児童家庭局というぐあいに局の名称は変わりましたけれども、との考え方で家庭行政、児童福祉行政というものを一体の形で進めておるということをまず申し上げておきたいと思うのであります。  この児童家庭局が発足をいたしましてから、そういうような観点で、まず、家庭を対象とする実態調査実施をいたしております。昭和三十九年に全国家庭児童調査をやったのでありますが、それに引き続きまして、全国家庭福祉実態調査というものを実施をいたしまして、家庭並びに児童福祉行政を進める実態の把握ということに努力してまいったのであります。  さらに、昭和三十九年七月に、御承知のように、母子福祉法というものを制定をいたしまして、そうして母子家庭の福祉対策を推進をいたしておるのであります。  昭和四十年の八月に母子保健法を制定をいたしまして、今年の一月からこれを実施いたしまして、母子保健施策の総合的な、また、体系的な推進をはかっておるのでございます。  さらに、第四点といたしましては、重度精薄児あるいは重症心身障害児、そういうようなお気の毒な子供さんを持っておられる家庭に対する施策を進めますために、これらのお子さん方の収容施設を整備する、また、在宅の指導に当たる。また、昭和四十一年度から、従来重度精薄児だけに支給されておりましたところの扶養手当制度を、重症心身障害児あるいは重度の肢体不自由児全般にこれを広げまして、特別児童扶養手当制度というものに発展をさせまして、こういうお子さんをかかえておる家庭対策を強化してまいろうと考えているのであります。  さらにまた、家庭児童相談機関を整備をいたしております。年次計画をもちまして、福祉事務所に家庭児童相談室を設置いたしまして、すでに全国に三百カ所程度設置され、今後もこれを拡充いたしてまいりたいと考えております。また、民間の家庭児童相談事業を促進いたしますために、昭和三十九年度から、その活動に対しまして国が助成を行なっておるような次第でございます。  こういうぐあいに、家庭行政、児童福祉行政、これを一体的に進めますための対策を行なっておるのであります。
  355. 山高しげり

    ○山高しげり君 ただいまのお話の中で、家庭児童相談機関の問題でございますけれども、家庭児童相談員という方々がこの相談室においでになって相談を受けておられるようでございますが、この実績を大臣はあがっているとお思いですか、なかなかうまくいかないとお思いでしょうか、その辺承りとうございます。
  356. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 年々この家庭児童相談室に対する相談に見える件数もふえておりまして、それだけ私は成果があがり、また 皆さんから期待をされておると、このように見ております。
  357. 山高しげり

    ○山高しげり君 私どもが知っております点では、少しことばが酷かもしれませんけれど、実質的に開店休業状態のところもないようではなく承っております。その一つの大きな理由は、相談員の条件というものがなかなかむずかしゅうございまして、それが、問題児をかかえている親たちが足代を払って時間をかけて福祉事務所の中にある相談室まで行くということにも困難がありまして、両々相まって、どうも所期の目的がたいへんにあがっているというふうに思えないのではないか、かように私の推測が当たらずといえども遠からずでございましたら、まずい点は改めていきたいと思っていらっしゃいますか。少しずつでも数がふえていれば、それは増加だからそれでいいというふうにお考えでございますか。
  358. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 昭和三十九年度の実績を見ますと、約一万九千件程度でございまして、相当私は利用されておる、このように見ておるわけであります。
  359. 山高しげり

    ○山高しげり君 この制度が実施をされる直前におきまして、私が予算委員会で、前の大臣でございましたでしょうか、どうも福祉事務所にすわっていて相談をお受けになるというのと、たとえば、大臣がさっきお話しになった母子福祉法の中にございます母子相談員のような、当該家庭にこちらから足を運んでいくのと、どちらがいいものだろうかと、私は、すわっていて受けるというほうは、親切も足りないようだし、思うように伸びないのではないかという苦言を呈したことを記憶しておりますので、この点も一回ひとつ、きょうはこの問題はこの程度の質問にとどめますけれども、よく御研究が願いたいと思います。  次に、民生委員さんと児童委員さんというものは、現在兼任になっておりますけれども、これについても、その仕事の本質上、児童問題が深刻になってきた現段階では、むしろ、これは分離をして別々の方にやっていただいたほうがいいのでないか、もちろん、適任者が兼ねてお仕事をなさることは差しつかえがないけれども、児童委員に向いた方が民生委員に向かない場合もないとは言えないので、その分離の問題ということも、かねがねこの席上で申し上げて、あるときの大臣は、ぼくもそう思っていると、こうおっしゃったことがございますけれども、大臣いかがお考えでしょうか。
  360. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この問題につきまして、いろいろ検討いたしておるのでありますが、私は先ほど冒頭に申し上げましたように、児童福祉行政というものは、やはり家庭と一体の関係に立って行政をし、またお世話をしていくことが適当である、こう考えておるのでありまして、そういう観点からも、民生委員と児童委員を分離をするということにつきましては、私はいま直ちにそうすることにつきましては結論が得られない。ただ、いま山高さんが御指摘になっておりまするように、児童の世話をやくということにつきましては、女性の方々のように、こまかい点まで行き届いたお世話をしていただく方が適当だと思うわけでございまして、そういう観点から、民生委員を選任いたします際に、御婦人の民生委員さんをだんだんこれを数をふやしていくと、そうして民生委員と児童委員とを両方兼ねましても、十分その目的に沿い、成果があがるようにと、こういう配慮で今後も人選を進めてまいりたいと考えておるのであります。
  361. 山高しげり

    ○山高しげり君 はからず、大臣から婦人民生委員のことをおっしゃっていただきましたが、昨年の民生委員の改選で、婦人委員が相当増加いたしましたでしょうか。
  362. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ここに数字がございますので、数字でお答えをいたします。昭和三十四年には、婦人の方が全体の二三・六%でございました。三十七年には二六・五%、さらに、昨年は二八・六%、婦人民生委員の数は、約三万七千人にのぼっております。
  363. 山高しげり

    ○山高しげり君 婦人民生委員が全民生委員の三分の一程度望ましいということは、民生委員制度発足当時から厚生省が指示しておられたことでございますけれども、私が厚生省からいただいた数字では、大体昨年三割に到達したかなと、十数年かかってようやく三分の一にふえたという裏側にございます問題について、大臣はよくお考えを願って、先ほど私が要望いたしました民生委員、児童委員の分離の問題につきましても、もう一ぺんお考えが願いたいと要望いたしまして次に移らせていただきます。  次には、過般大阪府の八尾市で起こりました冷蔵庫母子心中事件を中心にして伺いとうございます。冷蔵母子心中事件と申しましても、これは格別推理小説の題名ではございませんので、全く深刻な母子家庭に発生した事実でございますが、非常に問題点が多いように思います。そこで、大臣にたびたびおそれ入りますが、大臣はこの母子心中というものについてどんなふうにお考えでございましょうか。
  364. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) まことに痛ましいことであり、御同情にたえないと思います。
  365. 山高しげり

    ○山高しげり君 母子心中の分析をもう少しおっしゃっていただきたかったと思いますが、先を急ぎますので、その冷蔵庫心中事件を中心に進めてまいりますならば、この母子心中は戦前にもあり、戦時中は比較的少なかったようですが、戦後また発化しております社会的な現象でございますけれども、戦前の母中心中は、ほとんど末亡人が生活に窮して子供を殺して自分も死んだ、戦後の母子心中は、これは厚生省でお調べかどうかわかりませんが、ほとんど例外なしに有夫の妻が、事情はいろいろございますけれど、あたら幼い者の命を断ち、自分も死に急いでいくというふうに、非常に母子心中今昔物語のようなものがありまして、その実態が変わっております。未亡人は戦後たいへん死ななくなったのでありますが、今回の八尾の事件は未亡人が死んだわけで、久しぶりで私ども未亡人の母子心中にぶつかりました。ところで、この事件については、マスコミがたいへん大きくこれを取り上げたように思いますが、大臣は、あの事件についてマスコミがなぜあんなに大々的に取り上げたとお思いでしょうか。
  366. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) あの事件は、生活保護の運用の問題につきまして、ケースワーカー等の行き過ぎな取り扱いがあったのではないかというような観点から、そういう社会保障の問題として、この生活保護にからんでの問題として大きく取り上げ、御批判があったものと考えておるのでございます。
  367. 山高しげり

    ○山高しげり君 マスコミの一つのあるテレビが特集番組を組んでおりましたけれども、非常に大ぜいの人がそれを見まして感想を聞かしてくれましたのに、二十六歳ぐらいのケースワーカーさんに深刻な母子家庭の問題がわかるだろうか、これが一つ。もう一つは、生活保護法はずいぶん冷たい法律だと、これでございます。あの事件以外でも、常に生活保護法は何と冷たいかということを常に国民が申します。けれども、ケースワーカーの立場になれば、そういわれてしまって、行き過ぎだといわれたら、さぞお困りではないかと、私なぞ多少そっちの方面をのぞいたことのあるものは思うわけでございます。なんでございますか、あの事件については、上のほうでは、マスコミに対してたいへん早く、もう少し緩和してもよかったのかもしれないというような、マスコミに迎合するといっては語弊がありましょうけれども、そういう態度をわりあいに当局が早くおとりになった、それがケースワーカーたち、末端で仕事をしている、法を守っている人たちがだいぶ苦しい立場に立ったような話も聞きましたけれども、その点はいかがでございましょうか。
  368. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) お尋ねの第一点でございますが、この母子家庭につきまして、民生委員の方、奥田さんという民生委員の力は、相当長くおやりになり、練達の民生委員さんでございますが、この母子家庭を担当いたしまして、親身になってよく平素御相談に乗っておった、こういうことでございまして、全然民生委員やなにがこの家庭を冷たく扱っておった、こういうようなことではないのでございます。これはあとで、奥田さんの非常に親身になってのお世話が陰にあったということを私ども承知をいたしておるのでございます。  さらに、生活保護の運用の問題について、厚生省なりその他の指導の立場にある政府と、また、末端の第一線で実際にこれをやっておられるケースワーカーの方々との間に考え方が違ののではないかというような意味合いのお尋ねがあったのでございますが、さようなことはございません。あの事件に対しまして深く御同情申し上げておったという気持ちの問題でございますが、運用につきましては、この耐久消費財――電気冷蔵庫でありますとか、あるいはステレオでありますとか、比較的一般の家庭に普及度がまだ低いもの、これは地域によってだいぶ違うと思います。テレビ等はすでに相当普及をいたしておるのでありまして、これは生活保護家庭でお持ちになっておりましても問題にいたしておりません。また、電話などは、電気冷蔵庫と同じように扱っておるのでありますけれども、これとても実態に即しまして、たとえば内職をされる、副業をおやりになるというようなことで電話が必要である、あるいはまた、バイクが必要である、あるいはミシンが必要である、そういう場合には、実情に応じまして電話等も認めておるのでございます。しかし、電気冷蔵庫等がその地域社会に普及度が低いという場合には、働いて納税をしておられる一般の家庭がまだ十分持てないのに、生活保護を受けておられる家庭でそういうものを持っておるということは、周囲の地域住民との気持ちも、これは私はしっくりいかないんじゃないか。やはり納税者の立場、働いてそうして税金も納め生活をしておる方々との気持ちの上でも融和をし、円満にやっていくというためには、やはり地域社会の生活に見合ってだんだん生活保護の内容も改善さるべきものだ、かように私は考えておるわけでございます。
  369. 山高しげり

    ○山高しげり君 まあ生活保護法も、昔は新聞もとってはいけない、ラジオもいけないという時代もあったのでございますから、時代の進展に伴って運用していらっしゃることは、私どもよくわかっておりますけれども、それに比べて一般国民大衆は、わりあいに生活保護法についてよくわかっていないようでございまして、その点は、お役所もひとつもう少しPRをきめこまかにおやりになりませんと、テレビというようなものの力は非常に大きいのでございますので、見た人たちの声を聞きましたから、こういう機会に申し上げたわけでございます。  さて、生活保護法の被保護世帯が、最低生活の保障を国からいただいているわけでございますが、あのおかあさんも、何か内職を多少、三軒先のお裁縫の先生がたいへん手筋がいいと目をかけて一仕事もさせて、いささかの貯金ということをさせておったということのようでございますが、その貯金通帳を家庭に置けば、ケースワーカーの目にとまって困るというので、お裁縫の先生が預かっておったといったようなことも、テレビに出てきたのでございます。その貯金、それから――時間がございませんから急ぎますが、あるいは被保護世帯が、生活保護費の中から宗教団体等に寄付金というようなことをいたすようなこと、これは何かこれぐらいの金額まではよろしいとか、それ以上はいけないとか、あるいは一切いけないとか、何かその辺ございましょうか。
  370. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 生活保護を受けておられます被保護世帯の場合におきましても、働かれて収入がある、そうして働いただけのことはあった、こうしてあげることが自立更生の面からいって私ども必要である、こう考えておるのでありまして、そういう面の控除、勤労控除あるいは貯蓄につきましても、盆暮れに、日雇い等のほうから特別な手当が入ったとか、そういうような場合には、特別な配慮をいたしておるのでございます。なお、詳しい内容の問題につきましては、政府委員から御答弁をいたさせます。
  371. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 続けますか、山高君。
  372. 山高しげり

    ○山高しげり君 承ります。
  373. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答答申し上げます。なくなられたあとで少額の月五百円とか六百円とかというふうなのを預けておられたということは、あとで伺いました。実は少額の不安定収入と、むずかしいをこと言いますけれども、小さな千円以下のようないわゆる常勤労務者の収入のようなものでなしに、内職とかなんとかいうものについては、収入認定をしないということにしておりますので、その辺もう少し趣旨を徹底しておれば、別に御心配になる必要がなかったのではないか、こういうふうに存じます。
  374. 山高しげり

    ○山高しげり君 寄付金の問題はいかがでしょうか。
  375. 今村譲

    政府委員(今村譲君) 寄付金は、別に何らの規定はございません。ですから、その生活も苦しいのですけれども、その範囲内において若干のものをなさるということについては、それも社会空活の内容でございますから、とやかく申す筋はありませんが、ただ月分でほとんどの、何といいますか、食を詰め、着るものも着ないでどんどん特定のところに寄付するということについては、社会的に見てもちょっとあまり狂信的なかっこうになっても困ると思いますけれども、これはやはり個人の問題じゃないかというふうに考えております。別に規制はいたしておりません。
  376. 山高しげり

    ○山高しげり君 若干ならば貯金もよし、寄付金もよし、こういうふうに承りましたが、貯金のほうは額をおっしゃったように思いますが、寄付もその程度ならよろしいのですか。もしか一けた上でございましたら、どうなりましょうか。
  377. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。たとえば東京都で四人世帯、一級地でありますが、二万六百六十二円、四十一年度そうなるわけでありますが、その中で、一けた上と仰せられましたが、一万円とかいう、そういうことはちょっと考えられないというか、私ども実は検討いたしておりませんが、その範囲内である程度の食を詰めて、しかるべきという金額というのはおのずからきまるだろうと思いますが、そういうケースにつきましては、生活費の半分以上を差し上げる、それではどうして食うのだろうか、こういう問題がありますので、まだ全然検討いたしておりませんが、至急御質問の趣旨に沿って検討をしてみたいと思います。
  378. 山高しげり

    ○山高しげり君 まあこの問題、この程度にいたします。  で、そういうつましい最低生活をしていたあの八尾のおかあさんが死んだあとに、問題になった冷蔵庫の中にキュウリが二本残っていた。このキュウリにも実は問題ありという人がございまして――これはもう時間がございませんから進みますけれど、キュウリ二本の価格は、二月ごろでございますと、一本八十グラムぐらいのものが十五円か二十円でございました。まあ紹局三十円か四十円の野菜、で、もしもこのおかあさんがホウレンソウを一わ買っておりましたらば、金額はあまり大差はないんですが、その栄養価から申しますと、ビタミンAとかCとかというものは、ホウレンソウが数倍はあるといったようなことがあるわけでございます。こういった生活指導というものが、被保護世帯を含めた母子家庭には必要でございますけれども、これに任じてもらう母子相談員というもの、これが一昨年の母子福祉法で常勤にしてもよろしいということになりましたけれども、その後いかがでございましょうか。どの程度の地方で常勤制が敷かれたのでございましょうか。
  379. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) お答えいたします。常勤の母子相談員を実施いたしました県並びに数でございますが、八県、母子相談員の常勤を実施いたしまして、その数は九十九名でございます。
  380. 山高しげり

    ○山高しげり君 なかなかこれがふやせない実情もあるようでございますが、やはり常勤にできるというのであれば、常勤にできるだけなりますように御当局の御指導が願いたいし、常勤でなく、非常勤にとどまっております人たちの処遇の問題にいろいろ前から問題がございますので、これは大臣が最初にお述べになった児童家庭行政というものの立場から、母子相談員の処遇等について、さらに積極的にお考えを願いたいと思います。要望をいたします。  もう一つ大臣に伺いたいのは、母子寮というものが児童福祉法の中にございますが、どうしてあれがまだ母子福祉法に移されないのでございましょうか。これは昭和十二年に母子保護法ができましたときに初めて法律に入った施設でございますので、その後母子保護法が廃止になりまして、児童福祉法に入ったように聞いておりますから、当然母子福祉法ができたらばそこに移されなければならない性質の施設ではないのでしょうか。
  381. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 昨年の十月現在で母子寮は六百三十一施設でございまして、それに入っておりまする方が、収容定員には若干満ちておりませんが、相当利用はされております。私ども、この母子寮の制度というものがいままでの形でいいのかどうか、これは実は母子寮長さんの協議会がございますが、その協議会におきましても、時代に沿うように母子寮の制度は再検討をする必要があると、こういう御意見が多いのでございます。この母子寮制度をどういうぐあいに内容的に改善をするかということを研究しながら、母子福祉法の中へ将来これをはっきり位置づけするということを今後やってまいりたいと思います。
  382. 山高しげり

    ○山高しげり君 母子福祉法の中へ将来必ず入れたいと承ったようでございますが、ひとつお急ぎを願いたいと思います。  その母子福祉法でございますが、その中にございます母子福祉資金、貸し付けられておりますその予算が、四十年度は五億五千万円であったかと思いますが、この年度末にまいりましてずいぶんそのお金が余っているようでございます。そうかと申して、母子家庭の需要が満たされたというわけではございませんで、そんなに国のお金が余ったということは、このお金が国のお金と地方のお金と合わせて支出されるからのように思いますけれども、母子福祉法以前に母子福祉資金の貸付等に関する法律以来の貸し付け制度でございますが、過去におきましても一度そのような現象があったように記憶しております。その場合は、国と地方が半々に持たれて、それで地方の財政が苦しくて、国のお金が余ってきたという段階がございました。そのときには国の負担率を三分二に、地方の負担を三分の一にというような措置がとられたわけでございますが、再び似たような現象が起こってまいりましたことにつきまして、これを大蔵大臣に承ってみたいのでございますが、前回と同じような措置がとれないものでございましょうか、国の負担率をもっとふやすというようなことでございます。国のお金を使い余したくない、もったいないという気持ちでございます。
  383. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 聞き漏らしまして恐縮でございますが……。
  384. 山高しげり

    ○山高しげり君 母子福祉資金が、現行では国が三分の二をお持ちいただいて、地方が三分の一持っておられます。ところが、国のお金が八千万円くらい余ったようでございますけれども、これは余さずに使うためには、将来国の負担率をお引き上げいただくというような考え方……。
  385. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国と地方が一緒になってそういうような仕事をする場合におきまして、三分二という負担率は相当これは重い負担率なんです。余ったのはそういう仕事がおそらく運ばなかったからだと思います。これをさらにということは、いろんな補助態勢ですね、バランスの上からむずかしいのじゃないかと思います。
  386. 山高しげり

    ○山高しげり君 まあ大蔵大臣のお立場では多分そうお答えになるだろうかと思ったのでございますけれども、いま聞いていらっしゃったかどうかわかりませんが、過去において国と地方が半々に持った時代に、やはりたいへん国のお金が余ったと、その場合に国の負担率を三分の二に改めていただいたという、その歴史があるものでございますから、そんなふうにはできないだろうかという声が母子家庭にたいへん強うございますので、この機会に伺ったわけでございます。  それでもう少しおそれ入りますが、厚生大臣をいじめるつもりはないのでございますが、たいへん片寄って、ほかの大臣お待ちでおそれ入りますが、最後に伺います。一括して申し上げます。児童手当はどうなりましたでしょうかということが一つ。それからさっきお話がございましたが、母子保健法によって本年度から実施になりました妊産婦、乳児へのミルクの配給、これがいまの母子福祉資金と同じようにたいへん予算が余ったようなお話を聞くのでございますが、なぜこれは余りましたろうか。三つ目は、児童遊園に指導員のようなものを置いてほしい。年来婦人団体等でお願いをしてまいりましたけれども、建設省で児童公園がたいへんりっぱなものができますけれども、そこに人が一人もおりませんために、吉展ちゃん事件のような事件が発生した。なぜ人を置くということに厚生省当局が御熱心になっていただかれないのでしょうか。  以上三点で厚生大臣への御質問を終わりたいと思います。
  387. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 第一点の児童手当の問題でございますが、厚生省におきましては、参事官を中心に十名近い職員を置きまして、いま内容的に検討を進めておるのでございます。かりに義務教育を受けておりますお子さん一人に対しまして月額千円を支給する、こういうことにいたしましても、約三千億程度の大きな財源を必要といたすのであります。との相当膨大な原資を必要といたしますので、支給の範囲をどの程度に出発の当初において行なうかどうか、そしてこれを年次的に計画的に拡大していくかどうか、また支給の金額をどの程度にするか、また現在勤労者の給与の中に家族手当という制度がございますが、この家族手当の中には児童の扶養手当のような内容のものも含まれておるわけでありますが、そういう制度との関連をどういうぐあいにするか、いろいろ実施にあたりましては、今後検討を要する問題点がまだ多々あるわけでありまして、鋭意これを近い将来に実施に移したい、こういう前向きで検討を進めておる段階でございます。  第二のミルクの無償支給の問題でございますが、昭和四十年度予算で初めてこれを実施いたしました関係もありまして、全国の市町村に十分これが理解をされ浸透していなかった点もあると思います。また母子保健法が昨年八月の国会でようやく成立をした、こういうような事情等もございまして、四十年度におきまして八千万円余りの予算が未消化に終わったのでございますが、昭和四十一年度におきましては、母子保健法もすでに一月から実施に移されており、この制度につきまして十分市町村の理解と協力を得られるように私ども指導をいたしておるのであります。また、ミルクの支給の範囲につきましても、生活保護世帯、市町村民税の非課税世帯だけでなしに、均等割りだけを納める家庭につきましても、妊娠中毒その他の特別な事情の御家庭にはこれを支給をすると、そういう方向でこの制度を育てていきたい、こう考えております。  第三点の児童遊園につきましては、市町村自治団体の財政事情等からいたしまして、一つの児童遊園に一人の児童厚生員を配置をするということが困難な市町村もございますので、そういう場合には二、三カ所の児童遊園を一人の方が兼務をするとか、こういうような指導をいたしまして、また、一週間に定例日をきめて指導に当たる、あるいは毎日何時ごろにはその児童遊園に巡回指導をするとか、こういうぐあいに計画性を持たせるように指導をいたしておるのであります。
  388. 山高しげり

    ○山高しげり君 いまの児童員には予算の助成があるのでございますか。
  389. 竹下精紀

    政府委員竹下精紀君) 児童厚生員につきましては、予算の補助はございません。ただ、児童館あるいは保育所その他児童福祉施設の職員が兼務でやっている場合がございますが、そういった場合は、福祉施設としての措置費の事務費の補助がございます。
  390. 山高しげり

    ○山高しげり君 どうも、それぞれよくわかりましたけれども、児童手当の大きな財源が要ることは、初めからわかったことながら、たいへんこれについてはPRが先ばしったように思います。それだけ社会が期待をかけている、ときがかかり過ぎる、こういう印象をみんな持っているようでございます。  ミルクのことは、確かに私もおくれたそれはわかるのでございますが、ただ、将来の問題としては、市町村の財政その他でこぼこがずいぶんございますので、実施のその実績の地域差というものがどうしても出ると思いますので、いまおっしゃったようにできるだけ御指導に御努力を願いたいと思います。  児童厚生員でございますか、この問題はまだいまのお答えで承服できませんけれども、これで打ち切ります。  時間がもうたいへん残りが少なくなりましたので、簡単にほかの大臣方にお答えを願いたいと思います。労働大臣にお願いをいたしますけれども、先ほどの母子家庭にいたしましても、母親たちはみんな仕事があれば働きたいと、生活保護をもらっていることに甘んじていない人たちが多いことは、いまさら申し上げるまでもないのでございますが、今度雇用対策法がおできになる場合に、中高年齢層の就労の問題を大きくお取り上げと聞いたのですが、その中に婦人の問題は特別にひとつ積極的に扱っていただきたいように思います。家内労働法につきましても、各婦人議員が非常にそのことの要望を述べておられましたけれど、まあどうやら審議会もできる方向へ前向きに歩いていらっしゃるように伺いますけれど、家内労働法の調査会が、六年かかってようやっと答申が出たというような過去の事実を見ますと、私どもあんまり安心ができないので、中高年齢の婦人の就労問題を、この段階におきましてもう一ぺんひとつ強く取り上げていくという意思表示を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  391. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 中高年の御婦人の方の就労問題でございますが、今度御提案を申し上げて御審議願いたいと思っております雇用対策法におきましても、これは男女を問わず一般的に中高年の方々の就労促進のためにもろもろの施策を総合的にぜひ推進していきたい、こういうたてまえでございますが、その中にあって、特に御婦人の問題につきましても、労働省といたしましてももちろんこれを重視いたしまして、訓練なりあるいは職業の紹介あっせんなり、これらを十分やってまいるつもりでおったわけでございますが、先般の雇用審議会の答申におかれましても、特にこの中高年の婦人の就労問題というものを、単にこの以前のように男子の手不足を補うといったような、そういう補充的なあるいは便宜的な考え方から脱却をして、御婦人の持っておられる能力というものを有効に活用する、こういうたてまえから、これを一つの柱として考慮すべきである、雇用対策の基本計画をつくるにあたっても、いま申したようなひとつ考え方で対策を立てろ、基本計画をつくれ、こういう答申もございましたし、また一方、先生も御承知と思いますが、役所にあります婦人少年問題審議会におかれましても、この中高年御婦人の就労問題というものを中心にして御検討を願ってまいりまして、近くそのほうの答申もある予定でございますので、これらの事情を勘案いたしまして、十分中高年婦人の方の就労問題というものについては積極的に対策を講じてまいろう、かように考えております。  なお家内労働審議会のことにつきましても、かねがね申し上げておりますとおり、役所といたしましては、ぜひこれを設置をいたしたいということで関係方面と協議をいたしてまいったところでございますが、近く結論が出ると思います。大体前向きの方向で結論が出ると期待いたしておりますので、結論が出ましたならば、今国会にも御提案を申し上げて御審議をこれまた願いたい、かように考えておるのであります。  それから従来ありましたこの調査会が、三十四年からやっておった関係もあって、審議会ができてもまただいぶ時日を要するのじゃないかといった御心配もおありかと思いますが、これは従来相当程度の実態の調査なり、そういうことも進めてもらっておるわけでございますから、私としてはそうこの長年月を経ずに、まあ場合によりましては期限を切ってでも、新たに審議会ができましたならば急いでひとつ御審議を願って、それを尊重して善処いたしてまいりたい、目下かように考えておるところでございます。
  392. 山高しげり

    ○山高しげり君 それでは次に、総理府総務長官にお願いをしたいと思います。  伺いたいこと二点ございます。一つは、総理府で御所管の家庭生活問題審議会はいま何をしていらっしゃるかということでございます。その次には、総理府の御所管に国民会議というような名称のものが幾つもあるようでございますが、それらのあり方と申しましょうか、その予算の取り方と申しましょうか、お金の使い方と申しましょうか、国民としては少しよくわからないような点もございますので、簡単でけっこうでございますから、大臣としてのお考えを一応承りたいと思います。
  393. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 第一の家庭生活問題審議会の運営がどうなっておるかというお尋ねでございますが、これは昨年御承知のとおり九月に発足をいたしまして、都立大学の磯村教授が会長になられまして、鋭意いま御審議を願っておるわけです。これは新しい時代の家庭全般のあり方、社会との結びつきというものについての御検討をいただいておるわけでございますが、いまこの家庭問題に対するアンケートを出しておられるようでありまして、これが三月中に集計されまして、四月に整理をした上で、来年の四十二年の三月末までにこの答申をいただく、こういう手順で進んでおります。  それから総理府関係のいろんな国民会議といったようなものにつきましてのお尋ねでございますが、これは古いもので申しますと新生活運動、これは十年来の歴史を持っていまやっておるわけでございまして、内容は二十数名の理事さん、さらに各種百数十団体の団体代表、あるいはマスコミ代表、評論家代表、学者代表等による評議員会、これで全国都道府県に組織を持っていまこの新生活運動を進めておるわけでございまして、このほうへ純粋に使っておりまする補助費と申しまするか、金が大体二億四千万円。そのほかにいま体力づくりの国民会議というのができております。これはまあ一昨年のオリンピックのあとを受けまして、国民が全体に総体力を、健康づくりを国民のあらゆる層に普及していこうというので協会ができておりまして、これが一応一億二千万円でございますが、大体補助というより委託事業費の形で見込んでおります。それからあとは、今度青少年問題に関する国民会議が目下できつつあるような予定でございます。これは昨年から懇談会、準備会あるいは発起人会というようなことで、まあ五月ごろに国民会議が発足するんじゃないか。ただお断わりしておきますのは、すべてこういうものは、政府は、こういう運動は国民運動として起こってほしい、またできるにつきましては、できる限りの応援をいたすという体制でございますが、政府が主宰してやる、政府自身が天下りにそういう団体をつくり上げる、そういう性格のものじゃございません。あくまで政府のそういった政策に呼応していただきまして、民間から自主的にそういった運動を盛り上げていただく、こういうふうにいたしておるわけであります。
  394. 山高しげり

    ○山高しげり君 大体はわかるのでございますけれども、委託事業費で出ているということになりますと、その予算は大蔵省でも相当まあきびしく御査定になるものかと思いますけれども、いろいろな運動がありまして、それがわりあいに一括して委託をされると申しますか、あまり大蔵省は何と申しましょうか、こういうお金の出し方といえば、もう大蔵大臣おわかりなんだろうと思いますけれども、そういうものがまあ国民の生活の面には、新出活も、体力づくりも、青少年問題も、まだほかに幾らでも問題があると思いますが、今後そういう形でかりに自主的に盛り上がってきた場合、それは際限なく委託事業費をお出しになるのでございますか。その辺。
  395. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国民運動に対しまして国費を出す、これは非常に慎重に扱わなければならぬかと思います。そういうようなことで、まあ減らすほうの努力もいたしておるわけなんですが、なかなか思うようにまいらない点もあります。今後できる限り効果的に金が使われてお役に立つ、こういうものに焦点を合わせて予算は組むと、こういうふうに努力したいと思います。
  396. 山高しげり

    ○山高しげり君 国民といたしましては、いまのたくさん並んでいるような題目もどれ一つ大切と思いますし、ほんとうに国民会議、国民運動の名前にふさわしいような実質のものを国民が喜んで盛り上げられるようでありたいと、名前はそうであるけれども、何か片寄っておる、一部分の人がやっているというようなことになりませんように、これは御所管の大臣も慎重にひとつ対処していただきたいとお願いをいたしておきます。  最後に文部大臣に、これはまた別な機会にこまかいことは伺えるようになったわけでございますけれど、せっかくお待ちをいただきましたので一言だけ。さっきから保育園とか幼稚園の問題がだいぶ出ておりましたが、子供の親たちがやはり幼稚園というものとそれから保育園というものにつきまして、一本にしてほしいという、これは素朴過ぎるかもしれませんけれども、早くからその声がございまして、児童福祉法ができる当座から一本化ということが叫ばれておりました。その当時の文部当局は、将来は幼稚園の義務制ということを考えていると、だから保育園は幼稚園のもう一つ手前にあるんだと、自然にうまいぐあいに段階的に問題解決できるとおっしゃったんですが、このごろは幼稚園の義務制ということはどうなりましたろうか。問題にもなっておりませんですか。それともあまり好ましくないというふうにお考えなのでしょうか。現在の大臣のお考えを承りとうございます。
  397. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは非常にあらゆる角度から研究すべきことと思いますが、かつて前任の文部大臣が、幼稚園義務制ということをどこかの場所で言われたことがあったようでございますが、私も実はまだ役所で検討したわけではありませんが、感じを率直に申しますと、もし広げるならば、小学校の底を一年ぐらい下げていくのがやっぱり穏やかな進め方じゃないだろうかというような感じは持っておりますが、まだ具体的には、文部省自体として何ら検討した問題ではございません。現在では目的は違いますが、保育園の制度と幼稚園の制度と、この幼児教育というものは大事でありますから、この普及につとめてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  398. 山高しげり

    ○山高しげり君 またの機会にこれはいろいろ詳しく承りたいと思います。  それから文部大臣が先ほど、かぎっ子対策費というものをお取りになったと、しかしそれは試案であると、留守家庭児童会と仮称かもしれませんが、そんな名前で助成金を出すとおっしゃいましたけれども、そうでございますか。留守家庭児童会というのですか。
  399. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 予算の費目をどういうふうにしようかということをいろいろ考えたのですが、やはり留守家庭児童会ということに落ちついたわけであります。そういう組織を関係の市町村でつくっていただいて、そうして留守家庭児童会という形で、いわゆるかぎっ子を放課後親が職業から帰るまでの時間、健全に時間を過ごさせるというようにいたしたい、これに対して国のほうで補助をしようということで、そういう経過でございます。
  400. 山高しげり

    ○山高しげり君 大臣みずから試案とおっしゃいましたのですから、それ以上は申し上げたくございませんけれども、先ほど来ほかの委員さんたちのお話でも、仕事が各省にまたがっているということが多々ございまして、この問題も文部省だけで御解決はなかなかできないことのようでございますので、お手落ちはございますまいが、横の連絡をよくとってお願いをしたいように思います。  最後に、経済企画庁長官に一言お伺いをいたします。もう実は私が承ろうと思ったことは、中沢委員そのほかに出ましたので、ほとんど残っていなくなったのでございますが、中沢さんも言われましたが、消費者教育という問題、これはずいぶん多く言われておりますけれども、解釈はまちまちかと思うのでございますが、将来消費者行政の中で大きな役割りをとるものではないかと思う。そこでだんだんお仕事が始まっておりまして、大臣は講演会もやる、展示会もやるというふうにおっしゃったのでございますが、講演会、展示会も開きようではずいぶんきき目があるし、やり方では税金がもったいないような場合もずいぶんございますので、そのことについて一言だけお答え願いたいと思います。
  401. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者教育はなかなかむずかしい問題で、適切に運営されないといけない問題だと思います。したがって、いまお話のような展示会とか講演会を開きましても、開いたということだけが実績になっては何にもならぬと、かように思います。やはり、その講演会なら講師、あるいは展示会ならばその消費者に直接必要な展示が行なわれて、そしてそれに十分人がついて説明をする、そうしてあるいは、たとえば帳簿の問題なら、そこで帳簿をつけるようなことも実演して見せると申しますか、そういうような種類のことは丁寧親切に行なわれないと効果がないと思います。したがいまして、それについて、われわれ役所でやることでございますから、今後とも十分注意していかなければ、そういう企画がいまお話のように、十分浸透しない場合もございますので、十分そういう点については注意してまいりたいと、こう思っております。
  402. 山高しげり

    ○山高しげり君 じゃ、ほかは他日に譲って、本日の質問はこれで終わります。
  403. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 山高君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  404. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、内藤誉三郎
  405. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は、わが国の安全保障と文教の基本問題について、関係の大臣にお尋ねいたしたいと思います。  わが国の外交は、どこの国とも仲よくすることだということをしばしば言明されておりますが、国民の中には、米国にもよく、ソ連、中共にもよくというようなことはなかなかむずかしく、ともすれば八方美人的になり、事なかれにおちいり、結局はどこからも相手にされなくなりはしないか、また、日本が外交上孤立しはせぬかという不安の向きもあるようであります。わが国は自由主義陣営の一員でありますから、自由主義陣営の仲間から信頼されることが第一でありまして、共産圏諸国からも畏敬されるような外交方針を堅持していただきたいと思いますが、外務大臣のお考え伺います。
  406. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どの国とも仲よくというのは、もちろん無条件でございませんで、条件はあるわけであります。お互いに内政干渉しない、お互いの立場を十分に尊重するといったような上でと、もちろんこういう考えであります。そういう意味で、日本の外交はどの国とも仲よくするという方針でございますけれども、御指摘のとおり、まず自由陣営の一員でございますから、自由陣営とのつき合いに十分に役に立つ仲間、尊重され、尊敬されるというような行き方が必要であると思います。同時にまた、政治理念を異にいたしましても、とにかく少なくとも畏敬されるということが必要な限度ではないか、こう考えます。
  407. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 最近日ソ関係が改善しつつありますことはたいへん喜ばしいことでございますが、先般外務大臣が訪ソされた際、日ソの友好親善は、第三国との関係を阻害しないということで、ソ連が安保条約に反対でないという印象を受けたのでございますが、その後の経過を見ますと、対日覚え書きを送りまして、わが国が米軍に基地の使用を許し、物資、役務の調達を認めることにより、米国の南ベトナム侵略を援助しているというような非難をしてまいりましたが、この非難は的はずれであって、わが国は安保条約の義務を履行しているのにすぎないのである。私は、ソ連が日米安全保障条約に賛成でないというふうに思うのですが、この点はソ連の真意はいかがでございましょうか。
  408. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ベトナムの戦争のとらえ方は、おのずからソ連とわが国とは違うわけであります。向こうの外相と話し合ったときも、ベトナムの戦争は、これは一方的アメリカの侵略行為である、こういうことを言っておりました。平和共存といっても、やはりまだ民族解放というような理念にこだわってものごとを判断しようという点は、これはどうも向こうの立場でございますから、これはいたし方ない、こう思います。少なくともそういう観点から、ベトナム戦争に対しての日本のやり方は、これは戦争協力であるというような考え方は、これは全然あたらないものと思います。御指摘のとおりだと思います。
  409. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 昨年秋に、日中青年友好大交歓会が行なわれ、日本からも五百名近い青年が招待され、毛沢東、劉少奇、周恩来、廖承志等、政府要人がたくさん出席しました。沿道には百万をこえるという人々の空前な大規模の歓迎が行なわれたと聞いております。その際、中共の基本的態度について、特に米帝国主義と対決して、アジアの解放、日米安全保障体制の打破と日韓条約反対、沖縄の返還、台湾の解放等を強調したと言われておるのであります。   〔委員長退席、理事白井勇君着席〕  もしかようなことが事実とするならば、これは内政干渉ではなかろうか、本年も約千名の招待がうわさされておるのでありますが、私はこの点について、渡航については慎重な配慮をされることが必要ではないかと思いますが、外務大臣の御所見いかがですか。
  410. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 伝えるところによると、いま御指摘のとおりの状況とわれわれも承知しておるのでございまして、これは重大なる内政干渉にほかならない、こう考えます。また、再びかようなことが繰り返されるということは、これは黙視できないと考えます。その場合に当面いたしまして、十分考究の上、これに対処したいと考えます。
  411. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 ただいま申されたような基本的態度、今後二、三年後に予想される核兵器の開発を考えますと、わが国の安全と国際平和の維持の見地から、どうしても一方においては安保条約の存続が必要であると同時に、私は中共を国連に加盟させたほうがいいという意見のあることを承知しているのですが、台湾の地位を保障しながら、中共を加盟させるということはできないものでしょうかどうか、外務大臣にお伺いしたいと思います。
  412. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 最近の極東、アジアの情勢からいいまして、日米安保条約体制なるものは堅持すべきものだという点については同感でございます。一方中共の問題でございますが、国連に加盟さすべきものであるということは、かなり多くの国がこういう主張をしているのでありまして、中共と非常に仲の悪いインド、インドの考え方も、ああいう国であればあるほど、中共という国は国連のワク内に取り入れて、そうしてもっと協調的な国際感覚を持たせるようにしむけることが大切であるということを言っているようなわけでございまして、中共のやり方、方針というものに賛同しない国であって、なおかつ国連に加入さすべきものであるという主張を、たてまえをとっておる国が相当あるのではありまして、これは一つ考え方であると思います。しかし、いまお話しのごとく、中共を国連に入れて、そして台湾を追放するということになるのであります。いま中共も台湾もと、こういうことは中共自身も、台湾政府自身もそういう立場をとっておらない。それはそういう意味からいって、現実の解決策ということにはならない。そこに問題があるのでありまして、日本といたしましては、かようなむずかしい問題であればあるだけ、国際世論の大多数の動向というものによって、この問題を慎重に取り扱っていかなきゃならぬというたてまえをとっているのも、そういったような複雑な問題であるからでございます。
  413. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 南ベトナムの平和的解決のために、米国及びわが国が努力したことに対して、私は大いに賛意を表するものでありますが、結局北ベトナムを引き出すことができずに失敗に終わったわけでございます。ベトナム戦争の今日までの経過を見ますと、武力による解決は非常に困難ではないかと思うのでございます。相手が交渉の場に出てこない場合に、これを待つのも一つの方法かもしれませんが、むしろこの際、米国のほうが政策転換を行なって、北爆を徐々に緩和しつつ、南ベトナムにおける治安の確保、民生の安定、経済の復興に全力をあげて、この面において、南北が競争して、戦争をなしくずし的に終局させる方法があるのではないかと思いますが、外務大臣どうお考えになりますか。
  414. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ああいう国内のゲリラ戦というようなものは、どうしてもゲリラ等破壊活動をやる分子と良民との区別がなかなかつかない。そして良民を場合によってはテロ行為によって威嚇する場合もありましょう。あるいはまた非常に親切に接していつの間にか一般国民の心をつかむというようなこともよくあるのでありますが、かようなことを考えますと、武力行動だけでこういう問題を解決するということはやはりむずかしい。どうしても同時に、平和建設をやって、そして民心を指導していく、それだけの指導力をまず持つということが非常に大事だと私は考えます。最近二月でございますか、ホノルル会談が行なわれまして、あの会議の中心は、まさに武力行動だけではいかぬ、どうしてもこの際飛躍的に経済その他建設的な面においてやはり相当の政策を進めていく必要があるということが基本的にあそこで論議されたようでございますが、私はそういういき方が一番正しいのではないかと、そして段階的に北爆を幾らか軽減するというようなことをいまちょっとおっしゃいましたが、実際問題としては、いまアメリカはむしろ北爆の点については、できるだけこれを拡大しないで、むしろ縮少していきたいというような考え方でおるように私は聞いておるのでございます。
  415. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 今後日本政府が米国にいろいろ意見を述べる場合に一番大切なのは、私は米国の日本に対する信頼感の問題だと思うのです。ベトナム戦争は、先般外務大臣お話しのとおり、防衛戦争でございますから、米国の南ベトナム政策を積極的に支持すべきだと、こういうふうに考えるのでございます。特に英国の労働党内閣でさえも、公然とジョンソン政策を指持しているような状況でございます。私は、特に米国はじめ韓国、豪州、ニュージーランド等の自由主義陣営は共産主義に対決して、自由を守るために血を流して戦っているのであります。わが国は米国の同盟国であり、自由主義陣営の一員であるので、私はこれらの国々の信頼を失ってはならないと思うのであります。米国の極東相当の国務次官補のバンディ氏が、米国はベトナムに対して領土的野心もなければ経済的野心もないのだ、南ベトナムが赤化されて困るのはむしろ日本ではないかというような不満さえ述べているのでございます。アジア開銀が本店をマニラにもっていかれたのは、アジア諸国と米国のわが国に対する不信感のあらわれではないかともいわれているのであります。南ベトナムに対して積極的に経済援助を行なうべきものと思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
  416. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) お説の点に関しましては、昭和三十九年に約五億数千万を予備費から振り当てまして、もっぱら医療関係を中心に民生の安定のために日本協力をいたしました。それから四十年度は、ずっと額は少ないのでございますけれども、これまた難民救済というような趣旨から、人道的な意味においてその施策を行なっているわけであります。四十一年度におきましても、予算がもし御承認になれば、従来の方針どおり難民救済、民生安定のために経済協力をしたい、こう考えております。
  417. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 次に、国連協力の点についてお尋ねをいたしたいと思います。国連は、平和維持の機関であり、その活動は憲法九条にいう国際紛争解決のための戦争には該当しないと思います。国連協力のための海外派兵は、私の解釈では、憲法上問題ないと思いますが、先般海外派兵についてはいろいろ問題もあったことでありますが、国連監視団への参加は、この点は差しつかえないと思いますが、外務大臣はどうお考えでございますか。
  418. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 憲法上の問題としては、ただ軍事知識を使うというだけの監視団の派遣でございますから、武力行使を目的として海外に派遣されるのではありませんから、憲法上は問題ないというのが、これはもうどなたも異論のないところだろうと思います。ただ、自衛隊法その他法制上の問題がございますので、慎重にただいま研究しているところでございます。
  419. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 日本が国連に対して軍事的または警察的に何らかの協力が必要ではないかと思うのであります。ただ、憲法上のことを理由にいたしまして、国連憲章に定める義務を履行しないということは、世界には通用しない議論ではないかと思います。特に、北欧の小さな国でも国連待機軍を創設している現状でございます。私は、いま申しました国連監視団への派遣等、問題のないものから逐次始めていただきたい。こういうような状態を続けていきますと、国連からも日本は相手にされなくなりはしないかという心配をもつものでございます。安保条約第一条では、わが国は国連強化の義務を負っているわけであります。同条約十条においては、国連の措置が十分な効果をあげるに至ったと双方が確認した場合には、安保条約が失効することになっておりますことは、御承知のとおりでございます。安保条約の失効するような事態が望ましいことでございますが、このためには、どうしても国連を強化することが必要でありますが、わが国の国連協力への具体策をひとつ外務大臣からお伺いいたしたいと思います。
  420. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 国連強化の具体策というお話でございましたが、まあいろいろございます。わが国といたしましては、すべての機会において、従来からも国連強化のために寄与いたしておる、すなわち国連中心の外交政策をとっておるところでございますので、最近は安保理事会の議長として日本の松井国連首席大使が活躍したのであります。十分に成果はあがらなかったけれども、その間において国連の各加盟国から非常に日本の諸般の日本に対する認識の仕方、これに対する真剣な努力というものを高く評価されておるような状況でございます。
  421. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 次に、自衛力の強化の点について防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。防衛の長期計画の観点から安保条約の継続が必要であるということを先般総理からお述べになりましたが、この安保条約の存続している間に自衛力の強化をはかることが必要ではないかと思います。装備の近代化をはかるために、防御兵器のみならず攻撃兵器も保持して、自分の国は自分で守るという自主防衛の体制をすみやかに確立すべきだと思いますが、防衛庁長官の御所見はいかがでしょうか。
  422. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 防衛の基本としては、自主防衛というものが一つの目標で各国どこでもあると思います。日本の場合はその状況が多少違いますので、そのような計画はまだこの三次防期間では私はその体制が整えられない、こう思います。
  423. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 自衛隊の現状では最新式の最も優秀な兵器というのは米国その他の外国に依存しているので、いざという場合には補給が続かなくなり、自衛隊が役に立たなくなってしまうというおそれがあるのではなかろうか。このため防衛産業の育成が必要であると思いますが、現状はどうなっておるのか、今後どう育成されるのか、この点を伺いたいと思います。
  424. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御指摘のように、近代的兵器の国産化はなかなかまだできません。総装備品に対してはある程度国産化率がふえました。しかし、一番進んだナイキとかあるいはホークとか、あるいは艦艇に載せます新型兵器は残念ながらまだ国産という段階に至っておりません。しかし、順次このレベルも上げまして、防空、艦艇等の兵器は国産にすることがやはり日本のすべての防衛に必要なことだと思いまして、三次防では国産を大幅にふやしたい、その計画で今日おります。
  425. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 戦争というものはめったにあるものじゃないし、また、あってはならないと思いますので、こういうのはなかなか採算が取りにくいと思う。一朝有事の際に備えて、技術の研究、開発を行ないながら兵器を製造する国営の兵器廠を設ける必要があると思いますが、その点いかがでしょうか。
  426. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今日、技本、技術研究所というもので基本的な開発計画を進めております。しかし、兵器廠をつくるというのには、まだ日本の状況では諸般の状況が整わないと私は思います。
  427. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 いまの自衛隊の呼称というのは、あまり国民にもなじめない。私はやはり陸海空軍ということに改める、あるいは将官、佐官、慰官というような昔の階級制度のほうが国内的にも国際的にも通用しやすいのじゃないかという気がするのですが、改正の御意思はありませんか。
  428. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 御指摘はおそらく一佐、二佐、三佐というのは大佐、中佐、少佐という呼称のほうがいいじゃないかという御指摘じゃないかと思います。われわれは国民とともにある、国民に親しまれやすい、国民に理解されやすいということが目的でございますから、国民が大佐、中佐、少佐のほうが親しみやすいと言われれば、われわれは国民の親しみやすいほうにするほうが妥当であろうと思いますが、ただ、まだ、どちらが親しみやすいのか私ども判断がつきませんので、どちらがいいかとは言いません。しかし、そうのほが親しみやすいと言われるならば、それもあえて私たち国民の親しみやすい呼称に改正するということは否定するものではございません。
  429. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 国防省昇格はどうなったのでしょうか。今国会に上程されるお考えでしょうかどうか。この点、長官にお尋ねいたします。
  430. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 今日、内閣では国防省問題は検討中という一つのランクに入っております。私もぜひ出したいと思いますけれども、諸般の情勢及び進行状況、議会の模様等を勘案しまして、最終的に決定いたしたい。しかし、私が国防省というものに提案をしたいという熱意は変わっておりませんけれども、熱意だけでは成功ができませんので、出す以上はぜひその成功を見たいと、それにはやはり議会の空気、あるいは法案の遊行状況というものも勘案しなければ現実にはできない問題じゃないか。熱意は変わっておりませんけれど、現実的にはまだ閣議決定するまでには至っておりません。
  431. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 次に、文教問題に移りたいと思いますが、わが国教育界の最大のガンは大学入試であると思います。世界に類例を見ない入試制度のために日本教育は破壊され、いまや日本中の小・中・高等学校、幼稚園までが大学受験の予備校化して、百科事典式知識の詰め込みに追われて、人間形成とかあるいは人格完成というようなものは片すみに押しやられて、親も子も教師も進学に狂奔しておるという状態でございます。その結果、人間不在の教育が行なわれているといわれているのであります。これを抜本的に改革しなければ、人間形成とか個人の能力、天分を伸ばすという教育本来の使命はとうてい実現できないと思いますが、文相は入試に対してどういうお考えをお持ちでございますか。
  432. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘の点は、確かに現在重要な問題でございます。そこで、最近文部省としましては、大学入学者選抜方法改善会議というものをつくりまして、いろいろな権威ある人さらに御協力をいただいて、何とかこの大学入学選抜方法というものを合理的なものにして、ああした詰め込みの勉強で合格するのでなく、ほんとうに平素の実績で入学できるような道を開きたい。各国の制度等も検討をいたしまして真剣にまあ取り組んでおる段階で、近き将来に何か具体的な名案というか、成案を得たいと思っております。
  433. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私はその際に御考慮していただきたいことを二、三点申し上げたいと思います。一つは、欧米諸国では統一的な入試制度が行なわれております。大学入試後の学生の修学状況を見ますと、高校の成績というのが一番信頼度が高いのでございますが、遺憾ながらこれは学校差があり過ぎるのでございます。そこで、今日能研テストが生まれたわけですが、能研テストについては、これを改正していただきたいと思いますのは、進学適性検査と学力検査に分けて、学力検査はイギリスのように普通、上級、特級、この三段階を設ける等の改善を行なって、できますれば、いま財団法人の組織を特殊法人にしていただきたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  434. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 能研テストも現在財団法人組織として御承知のとおり進めておりますが、ことしの入学選抜ではこの能研テストを採用したところもございます。外国の例を見ましても、国家的にこの統一テストをやりまして、これによって大学入学者を選抜していくという道が有力な国々でたくさん行なわれておるようであります。わが国としましても、いま御指摘の点はもう少し研究をし、さらに能検テストの採用される大学、各関係大学等の意向も十分に検討した上で、なるほどこれがいいということになれば、財団法人という組織よりは法律でつくった特殊法人にいたしまして、権威ある統一的な方法を講じて、そうして、ばらばらな思いかってな選抜方法でなしに統一したものを確立すれば、これに越したことはないと思いますが、まだ、研究課題として御指摘のような方向については研究を重ねておる段階でございます。
  435. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 高校の内申書と能研テスト、できますれば作文、面接等に統一されまして、現在のような各学校ごとの大学入試を廃止していただきたいと思うのでございます。少なくとも国立大学くらいはそうすべきではないでしょうか。これだけ教育界に害毒を流している以上、もはや大学自治にゆだねているべき課題ではないと思うのでございます。強力な行政指導を行ない、必要があれば立法措置も講じていただきたいと思うのですが、文部大臣の御所見を伺いたい。
  436. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに有力な国立大学になればなるほど入学が困難で、非常な無理な勉強をする。その結果、東京大学について昨年調査したところによりますと、在学生の一二%くらいが心身に異常を来たしておるというようなデータも出ております。これは国民の健康とか健全な発達、発展ということから見ても非常に問題があると思います。ですから、そういう短期間的な詰め込み勉強ではなしに、高等学校の成績で推薦をするとか、あるいは高等学校在学中一年に一回くらいの統一的なテストをして、そうして平均点数のいい者を入学者に選抜するとかいうような道は確かに開かれてしかるべきだと私ども考えますので、真剣にこういう問題と取り組んでまいりたいと思っております。
  437. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 次に、指導理念の確立についてお尋ねしたいと思います。現在のわが国の教育には具体的な指導理念が明確にされていない。昔は、御承知のとおり、教育勅語がありまして、その指導理念が教科書の中ににじみ出ており、教師及び父兄の日常の指導指針となり、統一が立ち、そこに戦前の教育には一本筋が通っておったといわれておるのであります。この教育勅語は明治、大正、昭和の三代六十年の長きにわたりましてわが国教育界の具体的な指導原理であったことは御承知のとおりでございます。戦後教育基本法が制定されまして、平和で健康で文化的な国民を育成するということでございますが、これはあまりに抽象的過ぎて具体的な指導理念が明確にされてないのでございます。このためわが国教育教育技術に堕し、知識技術の切り売りが行なわれ、豊かな人間形成とかあるいは高い人格完成というようなものは期しがたいのでございます。ソ連や中共の生徒守則を見ましても、祖国を愛するとか、親を大切にするとか、弟妹をいたわるとか、目上の人を尊敬するとか、教師に望従するとか、二十数項目の具体的な指導目標が明確にされておるのでございます。かかる見地から私は、教育勅語の現代版とも言うべきものを制定する必要があると思いますが、文部大臣のお考えを伺いたい。
  438. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 考え方としてはまことにごもっともであると私ども考えます。そこで、現在中央教育審議会では、御承知のとおり、「期待される人間像」というような構想を練りまして、昨年の一月に御承知の中間答申を出しました。これに対しては、世間おのおのの立場から各種の批判があるようでございます。この批判をさらに取り入れて、どうあるべきか、さらに専門特別委員会を中教審の中に設けまして検討を続けられておる段階でございます。私どもとしましては、いろいろとむずかしいことよりは、いま内藤委員の御指摘になりましたように、親とか自分の教師とかは尊敬すべきであるとか、兄弟は仲よくしろとか、あるいは愛国心を持てとかいうようなことは、これは当然なことなんで、あまりむずかしいことよりは、そういうことでしぼれるならしぼったほうがいいと思いますが、いまの時世でございますから、あまり文教担当の文部省が出過ぎてこれがいいんだということはいかがなものかと思いますから、大いにひとつ中教審を中心にそういった問題を御検討いただきまして、適切な答申をいただきましたら、われわれも国会の御意見等も承りつつ具体化をはかってみたい、こう思っておる次第でございます。
  439. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 天皇主権から主権市民になった今日、いまさら教育勅語を持ち出すまでもございませんが、今度は国会の議決を経て法律の形でわが国教育の向こうべき具体的な指導理念を鮮明にするために、たとえば、教育憲章のようなものを制定する必要があると思うのですが、この点はいかがお考えでございますか。
  440. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 先ほどの御質問とも関連した問題と思いますが、これらもいい目標なり具体化ができれば、確かに教育にはきちんとした目標があってしかるべきなんですから、それは確かに立法化しまして、国民全体、つまり、国民の代表の府である国会の審議をいただいて、そういうものが具体化されるならば、非常にけっこうなことだと思います。   〔理事白井勇君退席、委員長着席〕 しかし、先ほど申し上げたように、われわれが今日の時世で正しいと思って、是なりと思って持ち出しても、案外世間からは疑心暗鬼で批評されたり、あるいはそれがせっかくりっぱな目標を持ちながら、それがそうでないように解釈をされたりしては芳しくありませんから、そういう点はいま申し上げたように、中教審の審議と相まってわれわれは検討を進めてまいりたいと思っております。
  441. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 次に、教員養成のことについてでございますが、教育で一番大切なのは何と申しましても教師だと思います。いまのように単位さえとればいいというものではないと思うのです。教員養成の学校が師範学校から専門学校になり、大学と三段飛びをいたしましたので、いろいろな問題が生じておるわけでございます。私はまず第一に、このぼろ校舎の整備を急速に進めていただきたい。他の学部に比して一番おくれているのが教育学部でございまして、これを積極的にやっていただきたい。第二番目は教師の資質向上のため在外研究員をもっとたくさん出していただきたい。他の学部に比べて私は少ないのではなかろうか。このために少なくとも毎年一大学一人ぐらい、五十人程度の別ワクを確保して、教員養成に刺激を与えなければ改善されないと思うのです。第三には、教員志望の学生の素質の低下を防ぐために、教育特別奨学制度が生まれました。来年度は大幅に増員されましたことは大へんけっこうでございますが、この教育特別奨学制度を高校長の推薦で教員適格者を無試験で入学させるような方法を考えるべきではないかと思いますが、以上三点について文部大臣の御所見を伺いたい。
  442. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 教員養成の重要性は御指摘のとおりでございます。しかるところ、現在は教員養成か何かわからぬような、学芸学部、学芸大学という制度に戦後なっておりますので、本国会におきましても、私どもとしましては、教員養成の目的を明らかにした教育大学あるいは教育学部、学科というようなものにいたしたいという提案をいたしておるのでございます。これに対して一部では、師範学校の復元を考えておるのじゃないかというような御批判もあるようでありますが、われわれは師範学校の復元などということは毛頭考えておりません。あの当時と今日とは時世が全然違います。ただ問題、目標は、りっぱな教育者の養成ができるように、それにはそうした目標を明らかにして、教授陣営も強化する。あるいは設備も充実する。いま校舎の問題がありましたが、そういう点も充実し、あるいは教材等の施設、設備も充実するというようにいたしまして、目標を明らかにして、それにふさわしい充実をはかっていきたいということでございます。  最後の点は、特別奨学生の問題ですが、これは昭和四十一年の予算編成にあたりましても、鋭意努力をいたしました点で、教育者を希望して就学をする学生に対しましては、特別奨学の幅を大いに広げておる次第でございますが、今後さらにこの幅を拡張する必要もございましょう。また御指摘のように、高等学校在学中から、教員にふさわしい、教職の身分になるのが非常にふさわしい、あるいはまた成績も良好であるというような人を推薦によって、特別奨学のワクに入れていくということも、非常に重要な点であると思いますから、今後一そう拡充、強化することについて配慮いたしたいと思っております。
  443. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 教育特別奨学生を今後大幅に増員していただくようにお願いするとともに、私は教員養成の根本的改善策として、ひとつ全寮制というものを御検討いただきたい。イギリスのオックスフォード、ケンブリッジのカレッジを見学いたしましたが、補導教官が学生と寝食をともにしながら生活し、教育しているところの家庭的な寮を見たのでございます。歴史と伝統を誇る寮に、私はこれが英国紳士養成のかぎであるということを考えたのでございます。オックスフォード、ケンブリッジ大学のある意味で生命でもあり本体でもありました。少なくとも教員養成の学校には、英国のような全寮制を採用して、人間形成と教師としての使命感を育てる必要があると思いますが、文部大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  444. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) イギリスのケンブリッジやオックスフォードでは非常に規模の――適正規模といいますか、小さい規模の寮があって、そこの寮には補導教官が必ずついておって、家庭的な生活をしておるような行き方のようでございます。わが国でもそういうことは考えられますが、ただ私ども現在の段階ではですね、学芸学部を教育学部に変えて、そうして大いに教授陣営も整え、設備もよくして、そうしてりっぱな教育者を養成するようにつとめたいという真心でやっておりましても、一部からはそれは昔の師範学校に戻るんじゃないかという危惧の念があるくらいでございますから、いまの段階でわれわれその全寮制度にすると言えば、昔の師範学校そのままじゃないかというような批判も起こるかと思いますから、世論等もよく勘案をしながら、こういう点は慎重に検討すべきものと、実はいまのところ思っておるわけでございます。
  445. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 次に、教師の待遇の点について若干お尋ねいたしたいんですが、学歴とか勤務年限というものを基礎にして、他の行政官との均衡をはかっている現在の給与体系を改めまして、判検事のように超過勤務手当を支給しないということを法律に明記して、特別の給与体系をつくり、このもとに教員を画期的に優遇する必要があると思いますが、この点はいかがでしょうか。文部大臣及び人事院総裁に伺いたいと思うのです。
  446. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答えを申し上げます。この点は確かに一つの、御指摘の点は重要な点であると思います。教育者は教育という特別の職に専念をする方で、一般行政職とは全く違った性質を持っております。したがいまして、判検事という御指摘がありましたが、それと類似と言えるかどうかわかりませんが、一種の専門職として今後考えるという問題は検討の課題であると思います。現在でもこの教育職俸給表ができますときに、一般職とは区別をしまして、初任給を若干なりとも同じ大学卒業者でも一般職よりはよくなっておりますが、文部省としましては、教職者にできるだけいい人材を得たいということで、人事院に対しまして近年その給与の改善方を要望してまいりました。昨年の人事院勧告ではたぶん二千円以上の初任給の差を持つような勧告がありましたので、勧告どおり政府は実施することにいたしておりますが、今後この点は教育上重要な研究課題であると心得ております。
  447. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 教員の方々の給与改善についての努力は、ただいま文部大臣からもお話が出ましたとおりに、われわれも重ねてまいっておりますが、問題はいま御指摘の超過勤務手当との関連において一つの私は問題があると思います。このためにはやはり教員の方々の、たとえば勤務時間の制度と申しますか、給与の実態というものをとらえまして、それからさらに検討を進めていかなきゃならないということでございますが、幸いに文部省の御努力によりまして、今回の予算にその関係の調査の費用が盛り込まれておるわけで、文部省として大がかりな全国的な勤務実態の調査というようなものをおやりになるということになっておりますので、その結果をわれわれとしても十分拝見さしていただきまして、あるいは勤務時間の制度が適正であるかどうかということもその一つでございますが、さらにはいま申しましたような給与体系そのものが、いかなる形が一番適当な形であるかということも検討してまいりたいと思いますので、ただいまの御指摘の点もその検討の重要な内容としてまいりたいと思います。
  448. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 毎年の物価高に取り残されて懲戒処分を受けないで、毎年減俸処分を受けておるようなのが生涯を教育にささげた退職公務員の諸君でございます。今回の恩給法の改正で物価とのスライド制の原則が確立されたことはたいへん私は喜ばしいことであり、大蔵大臣の御英断に心から敬意を表しておるのでございます。おい先短いこの人たちに失望を与えないように、せっかくできたこの法律が空文にならぬように、物価が上がり、公務員の給与が上がった場合には、現役の諸君に準じた措置をとっていただきたいと存じますが、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  449. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 御指摘の点は、昭和二十三年度以前に退職された教員のことかと思います。今回はそれに対して御承知のような改正をしたのですが、今後もこれらのことについては、国家の功労者としての立場から十分配慮していきたい、かように思います。
  450. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 ちょっと今度恩給法の改正にスライド制を入れた点について、あれが空文にならぬようにしていただきたいということ……。
  451. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 御趣旨のように努力をいたします。
  452. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 最近、大学紛争がしばしば行なわれますが、その原因は、一つは私は管理体制の弱体化だと思うのです。管理体制の弱体化というのは、国公私立を通じて学長選挙の弊害もあるのではないか。教育公務員特例法によれば、学長の選考権は、協議会が持っておるというふうになっておりますが、この一身専属の権限をみずから行使しないで無制限に選挙にゆだねているところは、これは私は法の精神を逸脱した、著しく適性を欠いておると思いますが、文部大臣はどういうふうなお考え、今後どう改善されるお考えか、この点を伺いたいと思います。
  453. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘のとおり、確かに国立大学の場合におきましては、学長の推選は、これは大学の協議会が推選することになっております。協議会には各学部長及び各学部長以外に各学部の有力な人たちが協議会員になる制度になっておりますから、本来からいえばこの制度で私は、できるだけ少数といってもこれは何十人になりますが、その程度の人数でじっくりと次期学長はだれにしたらいいかというようなことを練って御推選をいただくほうがいいのじゃないかと思っておりますが、現状は、この協議会が学内の選挙ということにゆだねておりまして、形はなるほど文部大臣のところに任命を推薦してくるときには協議会の責任で推薦してくるのでありますが、実際には教授、助教授、あるいは講師等、非常に近ごろ大学が大きくなりましたから非常に多数の人で選挙をしてくる。したがって、おそらく大学自身から見ても自分らの好まないようなところに落ちつく場合もあり得ると思うのです。この点は現在とにかくそういうふうになっておるような慣行が多くの大学で行なわれておりますから、一がいに私どもどうしようという具体策を持っておりませんが、相当にこの国立大学協会等で自主的に御研究をいただくべき問題点ではないだろうかと思っておる次第でございます。
  454. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 最後に、時間がございませんから、私学振興の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。私学振興の根本的対策につきまして目下調査会で検討中でございますが、人件費等の経常費の補助が問題になると聞いておりますが、とりあえず現行の私学助成策を一段と強化していただきたい。  まず第一に、私学に対する免税がどうなっているのか。免税額はどのくらいか。今後全免にするお考えがあるかないか。これは大蔵大臣。  第二点は、私学振興会の金利は、住宅公団、農林公庫等に比べて高いように思います。これを引き下げるために利子補給を考えてはどうかと思いますが、文部大臣及び大蔵大臣の御見解を伺いたい。  第三番目は、私学の長期債は一体どのくらいあるのか。市中銀行から借りている高利債がどのくらいか、高利債借りかえはどうなっているのか、今後どういうふうに改善される御意向か、文部大臣及び大蔵大臣の御所見を伺いたい。
  455. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私学に対しては、教育の重要性から見て、国ができるだけ助成をしたほうがいいことは間違いない点だと思うのですけれども、しからば、その助成方法をどうするかということは非常に問題が多いと思うのです。おそらく大学側としても、人件費まで助成をしてくれという意見も一部にあるようですが、全体としてはそういう援助はしてもらいたくないと、人件費まで援助すれば、助成をすれば、自然会計検査の今日の国の法律制度の上からいいましても、会計検査の問題も起こってくるというようなこと等から、おそらく全体の大学の機運としてはそういうところまで考えていないのじゃないかと思うのですが、現在御承知のとおり、私立学校振興方策調査会が設けられまして、この調査会には大学の関係者も数人御参加をいただき、そうしてそのあるべき姿というものについて、真剣に取り組んでいただいておりますから、われわれとしましては、いまの段階では、思いつきな考え方をかれこれ申しますよりは、その結論を待ってそうして十分に善処をしてまいったほうがいい、こう思っている次第でございます。  それから私学の負債がどういう割合であるかという点につきましては、私も概略は承知しておりますが、間違うといけませんから、政府委員からお答えさせることにいたしたいと思います。
  456. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私学に対する国の助成の方針は、ただいま文部大臣が申し上げたとおりでございます。  それから私学に対する寄付の免税でございますが、これは個人につきましても、また法人につきましても現在あるわけです。個人の場合は、相当の制限を加えていることは御承知のとおりだと思います。法人の場合は、指定寄付につきましては相当高度の減額とか、こういうふうになっているわけです。で、いま御審議を願っている法案におきましてもこの指定寄付の条件を緩和しよう。つまりいままで指定寄付で免税が適用になるという範囲が、たとえばこの一事業に対してその一人のシェアが二〇%を越えてはならぬというのがありますが、これを五〇%まではよろしいとかですね、あるいは何人一緒になって寄付しなければいかぬというような制限があるのですが、これをいままでは五十人あるいは五十法人でなければならぬというのを、二十法人あるいは二十個人というまでに下げるとか、いろいろ緩和措置をはかっております。ただ、早稲田大学以来、私学問題というのは相当クローズアップされてまいりまして、そういうような状況も勘案してなお適切な免税の拡大ができるか検討しております。何とかひとつ拡大してみたい、こういう考えでおります。ただ、これを全額ということはなかなかこれはむずかしい。つまり、これは寄付が、そのまま国に納付すべき税をその個人なり法人なりがその教育事業に寄付すると、こういう財政の肩がわりみたいなことになるわけであります、と同時に、その人がその学校に対して顔をきかすというような結果にもなりますので、その辺の均衡というものが非常に大事かと思いますが、まあせっかく努力してみたい、かように考えております。  それから、融資の点につきましては、ただいま私学振興会を通じまして融資をやっております。いま御審議を願っておる予算案におきましても、財政投融資を通じて百九十億円、また出資として十二億円と、こういう援助をするわけでございます。それを基礎にいたしまして、ただいまお話の高利債の借りかえ、これは百億円さしあたりやろうと、こういうことでございますから、まあだんだんとそういう努力を積み重ねてまいりまして、私学の負担を軽くしていきたい、かように考えております。
  457. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 以上で私の質問を終わりたいと思います。
  458. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 内藤君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、一般質疑通告者の発言は全部終了いたしました。  総予算三案の一般質疑は終了したものと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  459. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をつけて。  次に、分科会の件について協議いたしましたので、その内容について御報告いたします。  分科会の数は四個とし、おのおのの所管及び分科担当委員数と、これが各党派への割り当ては、お手元に配布いたしました刷りもののとおりといたしました。分科担当委員の選任は、先例によりまして委員長において指名する方法によること、また、分科担当委員の変更については、その取り扱いを委員長に一任することにいたしました。また、分科会において、参考人出席要求を決定したときは、その取り扱いを委員長に一任することにいたしました。  なお、明二十九日は分科会の第一日とし、第一分科会は内閣、総理府関係を、第二分科会は経済企画庁、防衛庁、科学技術庁を、第三分科会は郵政省、農林省を、第四分科会厚生省、労働省を審議することといたしました。  第二日以降は、明日公報をもってお知らせすることといたします。  以上、報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  460. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、ただいま御一任願いました分科担当委員の選任は、お手元に配付いたしましたとおり決定いたしましたので、御了承願います。  次回の委員会の開会日時は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後九時十七分散会