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1966-02-22 第51回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十二日(火曜日)    午前十時三十二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  二月二十二日     辞任         補欠選任      吉江 勝保君     塩見 俊二君      田中寿美子君     中村 波男君      木村禧八郎君     木村美智男君      中沢伊登子君     向井 長年君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 小林  武君                 鈴木  強君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 大谷 贇雄君                 梶原 茂嘉君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 小山邦太郎君                 木幕武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 櫻井 志郎君                 塩見 俊二君                 杉原 荒太君                 平島 俊夫君                 増原 恵吉君                 松野 孝一君                 吉江 勝保君                 吉武 恵市君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 木村美智男君                 北村  暢君                 佐多 忠隆君                 瀬谷 英行君                 中村 波男君                 羽生 三七君                 林  虎雄君                 藤田藤太郎君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 小平 芳平君                 多田 省吾君                 宮崎 正義君                 中沢伊登子君                 向井 長年君                 岩間 正男君                 山高しげり君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  中村 梅吉君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        労 働 大 臣  小平 久雄君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  福田 篤泰君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣官房長官  竹下  登君        内閣法制局長官  高辻 正巳君        総理府人事局長  増子 正宏君        公正取引委員会        委員長      北島 武雄君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        経済企画庁調整        局長       宮沢 鉄蔵君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省経済局長  加藤 匡夫君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       星  文七君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        国税庁長官    泉 美之松君        文部省政務次官  中野 文門君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文部省管理局長  天城  勲君        厚生省公衆衛生        局長       中村龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省畜産局長  檜垣徳太郎君        農林省園芸局長  小林 誠一君        林野庁長官    田中 重五君        通商産業企業省        局長       島田 喜仁君        通商産業省重工        局長       川出 千速君        通商産業省繊維        局長       乙竹 虔三君        通商産業省鉱山        局長       大慈彌嘉久君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        建設大臣官房会        計課長      多治見高雄君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君    説明員        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道理        事        遠藤 鉄二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)を議題といたします。  昨日に続き質疑を行ないます。北村暢君。
  3. 北村暢

    北村暢君 最初に、昨日の鈴木委員運賃改定遅延に伴います財源についての大蔵大臣答弁に対しまして私は不満であります。それで二百六十二億の補正のうち、きょうまでですでに約四十億でございます。決してこれは少額とは言えない。したがって、これについてやりくりで何とかすると、こういうことのようですがね。それでは二百六十二億の補正ということは、やりくりできるものを二百六十二億の補正を出すということ自体が不見識じゃないですか。どうでしょうか。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えいたします。今日まですでに三十億程度の欠損を生じておるわけでございます。つまり一日四億円ぐらいの減収に相なるわけであります。それに対しましてどういうふうに措置するかという問題でありますが、予定いたしました歳出はぜひこれをいたしたい、こういう考えでございます。三十億ばかり足りなくなりまするが、それは不用財産を売り払う等いたしまして、何とかこれを充足する、こういう方針でただいま鋭意検討いたしておるところでございます。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連。いま大蔵大臣から、不用財産を売り払うとか何とかしてやりくりをする、こういうふうに言われましたが、売り払うことのできるような不用財産というのが国有鉄道にたくさんあるのかどうか。そういう余裕があるんならば、具体的にどれだけどういうものがあるか、以上のことを国鉄総裁から説明をしていただきたいと思います。
  6. 石田禮助

    説明員石田禮助君) お答えいたします。ただいまの御質問でございますが、これだけの不用財産は売ることはできるということに対して、具体的に申し上げることはできませんが、私は相当にあると確信をしております。さらに、大蔵大臣不用財産売却ということだけ申し上げたのですが、われわれとしては大いに企業精神を発揮して増収をはかる、このほうが私は大きいと思う。このほうに努力をいたしまして、何とかひとつ切り抜けたいと、このように考えております。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は具体的に売却できる不用財産があるんならば、それはどういうものがどれだけあるかということを説明してもらわないことには、これは話にならぬと思うのですよ。この予算審議は、この穴埋めができないことには、この予算審議自体がこれは根本的に考え直さなきゃならぬことになるんじゃないですか。いまの総裁答弁、あるいは大蔵大臣答弁によれば、少しくらい穴があいても、五十億や六十億の穴があいても何とかやります、そのうち何とかなるだろうと、こういったような話なんですね。これでは私は予算を具体的に審議をしておる際にまずいと思う。当てがあるならあるように、どれだけどういうものがあるかということを明確にすべきであると、明確にできないまんまにこの補正予算に対してわれわれ賛成することはできないと思うのです。だからその根拠、大蔵大臣からもそういう当てがあるならあるように、あるいは総裁のほうにあるだろうということではいけないのだから、具体的にこういうものがあるということがあったら、この席上で明らかに私はしてもらいたいと思う。
  8. 石田禮助

    説明員石田禮助君) お答えいたします。御承知のとおり、国鉄の世帯が相当に大きいのでありまして、重箱のすみをほじくる式にやっておれば、どっからか私は相当なものが出てくると思う。それよりも、私が強調したいことは、この不用財産売却による増収よりも、とにかく営業収入のひとつ増収というものに対して大いに馬力をかけて、何とか切り抜けたい、このほうが私は大きな問題であるということに確信しております。
  9. 北村暢

    北村暢君 その瀬谷君の質問の、売却できる資産はひとつはっきりここで出してもらいたい。  それからもう一つ国鉄総裁の言う旅客並びに貨物の輸送量減少に基づくこれは補正なんであります。それが努力によって出るものだったら、何で二百六十二億をここへ補正予算として出したのです、初めっから出さなければいい、こんなもの。そんな答弁は成り立たない。
  10. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 四十年度の収入減少というものは、全くこれは国鉄見込み違いのものであります。それで四十一年度における予想につきましては、われわれはそのつもりで相当に用心深く数字を出してありますので、この点は私は努力次第によっては相当増収ができるのじゃないか。もっともこれは神ならぬ身の、ほんとうのことはわかりませんよ。しかし、世の中の景気が少しでもよくなってくれば、国鉄増収というものは期待できる、私は少なくとも四十一年の後半期においては景気はよくなってくるのじゃないか。そうすれば、増収というものを考えて間違いないのじゃないか、こういうことに考えております。
  11. 北村暢

    北村暢君 補正予算は三月までですよ、あなた。三月までの補正予算をやっておるのだよ。景気がよくなるとかならないとか、これは総理大臣、三月までに景気よくなるのかい、石田総裁の言うように。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま国鉄総裁が言っておること、景気の問題は、私はこの席でしばしば申し上げますように、本四十一年度これは七・五の成長率目標にし、その方向努力して、ぜひともこれを達成したい、かように申しております。  四十年度はたいへん低い成長率でございますから、もうすでに上向いてこないと、いわゆるその目標数字をあげるわけにいかないのでございます。でありますから、ただいま国鉄総裁の言われたことは、これからだんだん上向いていくだろう、そういうことがやはり収益にも影響するだろう、これは三月――もう今年度はごくわずかでございますけれども、その期間でも動かすことはできない、かように申しているのだと思います。  ただ先ほど来私、この話を聞いておりまして、皆さん方もたいへん御心配のようですが、できるだけ早目法案を成立させたい、それではじめてこの補正予算も御審議をいただくのが対応することになるわけであります。運賃法自身がたいへんおくれていることにただいま悩みがございますので、ただいまの仰せのごとく国鉄収入について非常に御心配していらっしゃるその向きからは、ぜひともできるだけ早期にこの法案が成立するように御協力をいただきたいと思います。私は、先ほど来、大蔵大臣なり国鉄総裁がお答えしておりますように、企業努力――もちろん国鉄はその企業努力をすべきであるし、またその他の不用財産等において処分のできるものは処分をいたしまして、そうして今回の国鉄の赤字を切り抜けていきたい、この点ではいわゆる収入確保方向で、いわゆる支出減というもの、そういう努力ではなくて、収入確保、こういう意味であらゆる努力をしたい、かようにお答えしているのでございますから、ただいま申し上げますように、ぜひ運賃法早目に成立さすように御協力をいただきたい、かように思います。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。きのう私からもこの点についてはお尋ねしたのですが、この不用財産処理合理化、その他努力によって切り抜けたい、第四次補正は、大蔵大臣は困ると、こうおっしゃいましたね。ですから、そこに問題があるのです。結局、本来であれば、第四次補正を組んで国会審議を仰ぐというのが、これは筋ですね。しかし、企業努力によってそれがもしカバーできる場合には、補正予算を組まない場合もあると、こういう御答弁であるならばわかります。私がいま質問を聞いておって一番心配なのは、国鉄がいま輸送力の拡大などいろいろな努力をしてくれております。しかし、まあ安全の問題につきましては、総裁、おっしゃるようにいろいろある。はたして国鉄の中に、そういった不用財産として、いまこのせっぱ詰まった段階処理できるようなものが、かりにあるとすれば、一体それは何なんだと、われわれは非常に国鉄総裁努力はしているが、まだ十分踏切の対策もできておらぬ、事故はある、そういう段階で、一体何をやるのか。そのことによって国鉄経営の中に多少なりとも問題が起きないだろうか、こういう心配をするのはあたりまえですよ。だから、いま総裁がおっしゃったように、大いに努力していただいて、三月一ぱいですね、増大をはかってもらうことは、これは当然ですよ、やってもらいたい。景気がどうあろうとやって、それはけっこうですよ。しかし、私たちはそれだけではおさまらないだろうと思うから、あなたは、努力不用品の処理によってやりたいと、こうおっしゃるわけですから、その国鉄不用財産処理というのは一体国有財産でないのだが、これは総裁権限ではやれないと思うのですよ、これはおそらく。何か委員会か何かあるわけでしょう、そういう処理の問題もあるでしょうし、国有財産等審議会にかけてやるというものともちょっと違うように思いますからね。そういった点もあって、私は、この際、不用としていま払い下げて処理しようというものは、一体何かということを具体的にここで聞きたいというのが瀬谷委員質問なんです、北村委員質問なんです。これが出せないことはないはずですよ。だから、いまあなたが考えている中で、これとこれが不用のものだということを明確に言って下さいよ。しかし、それが全部やらなくても、増収が出てくれば、一部で済むかもしれぬし、全部やらなければならぬかもしれぬ。しかし、いまあなたが考えられるものは、これとこれとこれだということをはっきりしてくださいということを要求しているのですから。これは委員長、どうしても出してもらわないと議事は進みませんよ、これは。
  14. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 不用財産処分し得るものというようなこまかいことになりますると、私にはちょっと返答しかねますので、担当常務遠藤常務から答弁させます。
  15. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答え申し上げます。不用財産処分でございますけれども、国鉄にはほんとう不用財産はないわけであります。ただいま話の出ました不用財産と申しますのは二種類ありまして、一つはいろいろな地方で駅舎の改造、都市計画等におきまして用地の交換でございますとか売却ですとか、これはその土地国鉄には要らなくなっても町に必要であるというようなことで、全体のプランをつくりかえまして、交換売却等をやるわけでございます。こういう件は全国的にたくさんあるわけでありまして、東京付近では、新宿はすでに済みましたが、そのほかのところでもございます。名古屋も現在進行中、静岡、浜松あるいは大阪にもございますし、各方面にあるわけでございまして、これは絶えずこういう仕事が回っているわけでございますので、現在のところこれこれの駅についてそれではいつまでに幾らのお金ができるということを、ここでちょっと申し上げかねますけれども、それを促進することによって、ある程度の収入になるというふうに思っております。  それから、もう一つ用品の、何といいますか、貯蔵品というふうに言っておりますけれども、用途の済みました資材を一応倉庫に入れまして、それを不用財産として売却をいたすわけでございます。この仕事もまあ絶えず動いているわけでございますから、これを促進することによりまして相当の金額が出るのじゃないか。  それから、先ほどの話がありました増収の問題でございますけれども、これは三月は最も多客期でございまして、営業努力によりまして、ある程度の増収をはかることができないものでもないわけでございますし、以上の点を考えまして、この席でどこどこで幾らということを申し上げかねますけれども、全体として最大の努力をしてみたいと、こういうことでございます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つ。ちょっと、いまの御答弁の中で伺いたいのは、一つは、倉庫に入れてある品物不用になったというのは――一体国鉄は金がない、金がないと言っているのに、せっかく注文したものが使えないで余っちゃって倉庫に入れておって、それを売るような、そんなばかなことをやっているのですか。  それからもう一つは、最初に言った交換ですね、交換、これは一体だれの権限でやる。
  17. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答え申し上げます。倉庫に入っております品物は、本来不用であったわけではございませんで、レールなどは年限がまいります、いたみますから、それを新品を入れまして、古いレール倉庫に入るわけでございます。それを製鉄所に売りまして製鉄所から新品レールと取りかえるわけでございます。  それから、土地交換払い下げ等の手続でございますけれども、国鉄土地国有財産ではございませんので、これは国鉄から部外の方に委嘱をいたしまして、適正な第三者の評価をいただきまして、それによりまして売却あるいは交換をいたしておるわけでございます。
  18. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 北村君どうですか。(「関連関連」と呼ぶ者あり)じゃ、もう一問だけ、瀬谷君。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いままでの国鉄総裁並びに遠藤常務の話を聞くと不用財産と言うけれども、不用財産というのは結論としてないということでしょう。特にいま議題になっているこの補正予算の穴があくことがはっきりしておる何十億かに該当する不用財産というものは、具体的に指摘できないということがはっきりしたわけですよ。いま苦しまぎれに答弁をしているけれども、それはまあ言うなれば冬物を質屋に持っていくような話なんです。さしあたりの答弁になりませんよ、これは。また、このいま審議しておる予算の問題に対して回答をわれわれに与えたことにならぬですよ。そうすると、大蔵大臣不用財産処理ということを言われましたけれども、あなたは国鉄に対してこれこれの不用財産があるかないかということを確めたわけじゃないということになる。この場当たり的に、その場しのぎに、不用財産処分でもってやりますと言っただけなんでしょう。第一総裁も、総裁答弁で、不用財産処分よりも増収をはかるというようなことに重点を置いていま答弁したじゃないですか、全然違うんですよ、これは。大蔵大臣が言っていることは、不用財産処分ということを言っている。そうするとその当てがない以上は、いままでの答弁でははっきりしているんだけれども、当てがないのです、これは。当てがない以上は、その穴を何とかして埋めなければならぬということになるでしょう。その穴を埋めるために補正の四号はきのうは出さないと言われましたけれども、出さなければ一体どうするんだと、これは当然出すべきじゃないですか。  それから総理大臣は、この運賃の問題の審議を急ぐんだと、幾ら急いでみたところで、二月十五日はもう過ぎちゃっているのですよ、そうでしょう。二月十五日は過ぎちゃっている。参議院にはまだ運賃法はかかっていないのですよ。それを急ぐということは、審議しないで上げてくれというようなことをまさか総理は言うまいと思うのです。われわれは、これだけ問題になっている重大なことなんですから、参議院においても、運輸委員会でもって慎重に審議をしなければならぬと思うのですよ。  そこで、総理にお伺いをすることは、早く上げてくれというふうに言われたけれども、聞きようによっては、これはもうさっと上げてもらいたい、一日か二日でもって上げてもらいたいというふうに聞き取れる。そういう乱暴なことは、われわれ許せないと思うのですけれども、慎重審議をさせないというつもりなのかどうか。これはやはり参考人も呼んで意見も聞かなければならないと思うのですよ。慎重審議をさせないということであれば、これは問題ですからね。だから総理が、この運賃問題についての慎重審議を約束をするかどうかということを第一にお伺いしたい。  第二に、大蔵大臣不用財産云々と言ったことは、まあその場しのぎの苦しまぎれの答弁としかこれは聞き取れないわけです。じゃ具体的にどうするかということを、もっと責任を持って再答弁をしていただきたい。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一、政府国会審議を指図することはできません。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府としては、国鉄で提案をいたしております予算案歳出は、ぜひ予定どおりいたしたい。そのための財源は、運賃法遅延にもかかわらず、何とか調達したい、こういうかたい方針をとっているわけです。その財源を一体どういうふうに調達するか、こういいますと、何しろ国鉄は大きな世帯でありますことは御承知のとおりであります。ただいま遠藤理事から申し上げましたような最大の努力を尽くしまして、この程度の補正ならば、何とかその方向でいたしたい、こういう考えでございます。
  22. 北村暢

    北村暢君 いまの答弁でもさっきと何も変わっていないので、そんなものでは承知できない。とにかく二百六十二億のうち、いま瀬谷君の質問にありますように、慎重審議をやれば、今月一ぱいくらいじゃ通らないということははっきりしている。そうすれば補正予算の三分の一かぐらいのものは該当するのですよ。四、五十億になる。それを何とかできるということであるならば、その何とかできるものを、ひとつ資料にしてここに出してください。それでなければ審議できませんよ。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国鉄の会計も非常に広範でございますので、非常にここで特定した材料についてどうのこうのということまで、今日の段階ではまだ詰めておりません。しかし、できる限りの範囲内において御理解をいただけるような資料を提出することにいたします。
  24. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 北村さん、どうですか。
  25. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと関連不用資産の処理ということを言われますが、いただいた資料によると、三十九億の資産充当という項目がありますが、それが大体すでに不用資産の充用は、ここで計上され尽くしているのではないかと思う。それ以上にさらに六十億なり八十億をまかなえるものがあると言われるのかどうか、それが第一点。  それから第二は、これは大蔵大臣国鉄総裁との答弁の食い違いですが、国鉄総裁増収をもってまかなう、こう言っておられますが、それならば一月、二月、三月の大体収入予想を立てておられると思いますが、それらをどういうふうに数学的に、どれくらいどういう方法で引き上げてそれに充当するというお考えなのか、それを具体的にお示し願いたい。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 後刻一緒に資料として提出いたします。
  27. 北村暢

    北村暢君 ただいまの資料提出については、討論の前に出すということでございますから、それをひとつ厳重に守ってもらうことで、次の質問に移ります。  次に、遠距離逓減制を距離比例制にしたことによりまして、運賃にどのようにまあ具体的になるか。これをひとつ具体的に札幌から東京、鹿児島から東京というふうに、現行と引き上げによる率でどういう差になるか、説明していただきたい。
  28. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答え申しげます。  今回の運賃法改正におきまして、旅客運賃の遠距離逓減を多少修正をいたしております。従来は第二地帯が第一地帯の約半分ということになっております。今回もその制度は変えておりませんけれども、第一地帯と第二地帯との境目を従来まで三百キロでございましたのを、今回は四百キロにさせていただきたい、かような案になっております。したがいまして、長距離の運賃の値上がりが、平均よりは高くなっております。しかしながら、私どもといたしましては、今回は急行料金、寝台料金等の修正がわずかでございます。したがいまして、長距離のお客さまは最近はほとんどが念行、あるいは夜になれば寝台を使われておる場合が多いのでございまして、そういうものの合計の運賃と料金との合計におきましては、御負担は一般の場合とそう変わらないようにいたしたいと思っておるわけでございます。  それから、東京対長距離の例でございますけれども、札幌でごさいますと、急行寝台に乗っていただく場合でございますと、三二%の負担増になります。しかしながら、今回この遠距離の往復割引の制度を強化いたしまして、長距離客の御負担を軽減しようということで、片道千キロから千二百キロまでの岡におきましては、復路一割五分引き、千二百キロ以上の場合には復路二割五分引きにいたしておりますので、礼幌の場合、この往復割引を適用いたしますと二九・八%、かような値がりになっております。(「鹿児島は」と呼ぶ者あり)鹿児島は、運賃料金の合計で三二%五分の増でありまして、往復割引を適用いたしますと、二五・九%の増ということに相なります。
  29. 北村暢

    北村暢君 通勤定期の割引、これは賃上げに直ちにつながってくるのじゃないかというふうに解されますが、どのような見解をとっておりますか、これは運輸大臣。
  30. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 通学の運賃につきましては、今回は引き上げてておりません。それから、通勤のほうは引き上げておりますが、これは雇用者負担等もありますので、それほど大きな負担にはならぬと考えております。
  31. 北村暢

    北村暢君 給与担当大臣おりますか。――おらないな。(「給与担当大臣はどうした、やることになっている」と呼ぶ者あり)
  32. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 北村君、北村君、いま呼びに行っておりますから、できれば続行してください。
  33. 北村暢

    北村暢君 それじゃ労働大臣にお伺いいたしますが――労働大臣もおらぬか、だれもいないじゃないか、これは。
  34. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 礼労委員会に出ておるようですが、続行しておいてくださいませんか、いま連絡をとりますから。
  35. 北村暢

    北村暢君 それじゃ運輸大臣にお伺いしますがね、この通勤定期上げることによって、公務員、地方公務員には、一体どれくらい上がるような形になりますか。
  36. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えさせます。
  37. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 通勤定期の引き上げ率は、平均して六八・四%でございますが、地方公務員の俸給にどういう影響を与えるかということでございますが、通勤費の支給がどれくらいになるかによって、この六八・四%よりも下回ると思われますが、それは計算をいたしておりません。
  38. 北村暢

    北村暢君 これはおられないから、この値上がり分だいぶになりますが、昨年上げたばかりなのに、これをまた上げなければならないという問題が起こるので、これはあとに譲ります。  それで物価への影響でございますが、企画庁長官は、一般物価に対しては〇・五%程度しか影響ないと、こういうふうに言われておるのですが、この国鉄運賃の値上がりというものは、心理的な影響、それから便乗的なもの、これは非常に激しく出てくるのじゃないかと思うのです。そういうものをも含めてこれは〇・五%と、こう判断しているのですか、どうなんですか。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 旅客運賃につきましては、一応CPIに対して〇・三%でございますが、家計費に対しての影響としては〇・五%くらいじゃないかというふうに推算をいたしておるわけでございます。  それからお話しのような一般物価に対するという意味は、貨物運賃の問題だと思います。貨物運賃につきましては、実は非常にたくさんの種類がございまして、その一々の問題を取り上げて、そうして計算していくことは、ほとんどむずかしい状態でございますし、また同時に、そのことは卸売り物価に影響をいたす場合がございますけれども、小売り物価にさらにそれからどれだけ影響していくかということは、計算が非常にむずかしいように思います。したがって、そういうものについては、影響がなかなかわかりにくいのでございますけれども、非常に微弱なものではないか、こう考えております。ただ、お話しのように、運賃が上がるということに対して心理的に相当なやはり影響があるということは、これは事実だと思います。ことに、都市周辺の通勤者等におきましては、地方の一般の人と違いまして、そういう意味での直接家計費に対する負担の心理的影響と申しますか、実質的にも相当なやはり響きを与えるということでありまして、全体のCPIの〇・三というような旅客運賃の値上げの数字だけでは、個個の家庭あるいは個々の通勤者、ことに都市周辺の人のこうむる影響というものは、もう少し強い意味での影響が出ておると思います、部市別に考えてみますれば。
  40. 北村暢

    北村暢君 次に、貨物運賃の値上げに対する通産物資、農林物資にどの程度の影響が出てくるのか、品目別、それから主要品目でいいですから、総体的に一体どのくらいになるか、この点をひとつそれぞれお答えを願いたい。
  41. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 国鉄運賃の通産物資への影響でありますが、付加価値の高いような物資はほとんど問題ではない。しかし、金属、鉱産全体に対しては、二六・四%ぐらいの運賃の増になる。それで、そういう非常に大幅な値上げになって、非常な影響を与えますから、いま国鉄と運輸省当局とで特別の措置を講ずるような折衝をいたしておるわけであります。大体一五%から一七・二%程度で、そういう鉱物の運賃というものについてはとどめようということで、幸いに目下折衝を続けておる次第であります。
  42. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 農林物資につきましても、生活必需物資、その他、重要生産物資が多いのでございまするので、この等級を、特別等級を廃止したり、いろいろの点がありますので、このままではやはり相当影響も大きいと思いまするので、現在いま運輸省と折衝をいたしまして、特別調整措置を講ずるというので、大体五十一品目についてその方向で交渉をいたしております。大体一五%ないし一七%程度。それからなお、公共割引制度、それは現在の制度のままにしていきたいという点についても話を進めておるわけでございます。
  43. 北村暢

    北村暢君 これは政府委員でいいのですが、先ほど、一体どれくらいの額に現在でなるのか、それからいま交渉中の特別措置ということをやれば、どのくらいになるのか、これを政府委員でいいですから聞かしていただきたい。それから、公共割引はどういうふうになるのか、これを運輸当局にひとつ答弁していただきたいんですが、聞くところによるというと、三年くらい町定的に政策割引を残すというふうに聞いておるのですが、この点はどういうふうになっているか。
  44. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答え申し上げます。  今回の貨物運賃改定に際しまして、先ほど来通産、農林両大臣から御説明がございました、特に影響の強い貨物に対しまして、それを緩和する措置を講ずるということで、ただいま事務的に折衝が進んでございます。いままでのところでは、その品目は、農林、通魔両省関係合わせまして七十でございます。それによります減収は四十億円でございます。それから暫定割引と称しまして、十数年前から割引がございまして、それを国鉄では毎年、廃止をさせていただきたいということで希望を申し述べておりますけれども、諸般の事情で継続をずっといたしておりますいわゆる暫定割引というものがございます。これは、年額にいたしまして、各年度多少のでこぼこはございますけれども、概算年間二十億円でございます。これにつきましては、今回も国鉄といたしましては廃止をいたしたかったんでございますけれども、いろんな事情でこれを当分延ばすということでございます。それを、それでは一年間なのか、あるいは王年間なのかということは、これからまた御折衝をいたす、かようになっております。
  45. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 公共割引のこれを恒久制度化する意思は、いまのところ持っておりません。現在では、これを廃止するということをしないで、できるだけ、国民の生活に非常な関係が深うございますので、続けていくという方向で進めていく次第でございます。
  46. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連北村委員質問の中で、貨物の問題に触れましたけれども、先ほどの政府委員答弁によると、さしあたって一年か三年か、それはわからぬが、検討したいということを、言われた。きのうの運輸大臣の答弁では、五カ年間ぐらいは運賃値上げはやらないと、こういうふうに言われました。しかし、先ほどの政府答弁では、部分的ではあるけれども、これは事実上は若干の値上げにたるというふうに解釈をされるわけでございますけれども、五カ年の間値上げをしないという中には、そういう部分的な値上げというものは含まない、それは別であるということなのかどうか、その点お答えをいただきたいと思います。
  47. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は五カ年間運賃を上げないとは申さなかったと思いますが、だれかほかの人じゃないかと思います。
  48. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 国鉄の貨物運賃価上げに対して、物資に対する影響力を、私は事務当局に命じて試算を命じた。なかなかむずかしい計算です、いろいろな要素が入るから。そういう意味で御参考に申し上げておいたほうがいいと思いまして、御質問もありましたんでお答えいたしますが、鉄鉱石の特別措置を講じた場合の卸売り価格へのはね返り〇・二、それから非鉄金属〇・七、硫化鉱二・五、石灰石一・七、硫安〇・二、原木〇・四、こういうふうなことになっております。
  49. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もう一つ……。
  50. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) もう一回だけで。
  51. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先ほどの、私、運輸大臣のつもりだったら、総理大臣でしたか、大蔵大臣総理大臣、どっちだったか忘れましたけれども、どっちにしたって大臣仲間で言ったことは、私が言わなかったからって知らぬ顔されちゃ困る。言った人のほうから、五カ年間はたしか値上げはしないという意味の答弁があったような気がいたしますから、それは部分的な値上げというものは含まないんだと、こういう意味なのか、あるいはまあ値上げをしないように努力したいという程度のものなのか、その辺はきのうの答弁関連をしてきょうお答えを願いたいと思います。
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 昨日私お答えいたしまして、五年程度は改正しないと、かようにお答えいたしたのであります。五年程度ということを申し上げた。それから、ただいまお尋ねになりますように、部分的な改正、まあこれが改正といえば改正でしょうが、部分的な是正の問題、これは含んでおらない。いわゆる運賃改正として、制度上全般的に取り組んだ場合のことを私お答えしたのでございます。
  53. 北村暢

    北村暢君 いま運賃が負担力主義からコスト主義に変わったわけですね。しかし、この負担力主義による割引、これがだんだんなくなっていく、国鉄はもうなくしたいと、こう言っているわね。したがって、特に多い通産、農林物資ですから、ここでその政策目的というものは私は変わってないと思う。したがって、それが国鉄の負担にならなければ、通産なり農林で当然これは考えなければならない。それでなければ、この運賃のはね返りが消費者物価に影響するか、生産者が負担するか、どっちかになるわけです。したがって、通産、農林の用意なしに、国鉄のこのコスト主義による改定というものは、私どもは非常に大きな影響が出てくると思うのです。したがって、通産なり農林なりは、このコスト主義に変わったことによってどのように政策的に考えられるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  54. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 通産物資の中で問題があるのは鉱産物でありますから、これに対しては、やはりおもに中小企業が多いわけですから、企業の合理化、技術指導、設備の近代化、こういう点で、あるいは運搬、採鉱という面についてもこれを合理化していくということで、なるべくやはりこの運賃の値上げが企業自体で吸収していけるような施策も伴わなければならぬと考えております。そういう意味の近代化的な施策というものが並行することが必要である、かように考えております。
  55. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 先ほど申しましたとおりに、特別臨時措置、いわゆる臨時の調整措置を講ずるということ、それから公共割引制度を存続するということによって、そのこうむる問題は十分検討しておりまするので、そういうことで交渉を進めておるわけでありますが、大体そういう方向で進む予定でございます。
  56. 北村暢

    北村暢君 それから次に、いま通産、農林のものも、政策割引的なものも完全になくならない。したがって、国鉄は独立採算制であるから、そういう政策的なものは、当然政府がめんどうを見るべきである。ところが全然見ておらぬ。それから、路線あるいはトンネル、こういうような半永久的な施設については、政府が当然財政投融資、利子補給というようなことで見るべきである、こういうふうな意見が――それでなければ独立採算制というものは成り立たないのじゃないかという意見があるわけです。これに対する総理並びに大蔵大臣の見解をひとつ承りたい。
  57. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国鉄は企業体でもあります。同時に公共性を持ったものである。ですから、ある程度これは公共的なサービスをする、これは国鉄が持った当然の使命と、そういうふうに考えております。しかし同時に企業体でもあるわけでありますので、そこで企業が全体として企業体としての運営ができるように、国の財政投融資計画からいえば、約一割の資金を国鉄に毎年、毎年投入してきておるような状態でございます。非常なこれは援助をいたしておるわけであります。同時にまた、御承知のように、新線の建設、これは特別の事業団をつくることにいたしました。政府もこれに出資をいたしますとかいたしまして、これにも援助をしておる。まあ公共性と独立採算の企業体とが両立するような配意をできる限りやっておる、こういうふうに御了承願います。
  58. 北村暢

    北村暢君 いま赤字路線の問題が出ましたから、ついでに赤字路線の問題についてお伺いしますが、鉄道建設公団の設立の目的は何ですか、運輸大臣。
  59. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 新線を建設していきます中には、非常に採算ベースに乗らないような場所等がかなりありますが、しかし社会開発の点から考えますとというと、あるいは営々、地域生活をしておられる方等の立場を考えますときには、採算が合おうが合うまいが、建設を国家としてはしなければならぬというような個所が非常に多いのでございまして、それを直接国鉄にやらしておるのでは、国鉄の経営に大きな圧迫を加えるということになりますので、鉄道建設公団でこれを建設いたしまして、そうして国鉄に貸し付けるとか、こういう方針で建設公団というものをつくったわけでございます。
  60. 北村暢

    北村暢君 いかにも大蔵大臣は建設公団に政府が出資しておるようなことを言っておりますが、四十年度十億であります。それに対して国鉄が七十五億出資しておる。これについて行管長官は監察報告を出しておりますが、監察報告の結果をひとつ報告していただきたい。
  61. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 鉄道建設公団の問題につきまして過般勧告いたしまして、そのうちの一つは、いま御指摘の、政府の出資はきわめて少ない十億、公団は七十五億、そのバランスが本来の設立目的から見て妥当でないということを指摘して、その他数項目にわたりまして勧告いたしました。詳細は政府委員から答弁いたします。――勧告のコピーにつきまして、直ちに取り寄せまして、提出いたします。
  62. 北村暢

    北村暢君 この監察報告の結果によりますと、行管長官は、こういう政府十億、国鉄七十五億では公団を設立した意義がないと、こう言っておるのですよ。政府の中でこう言っておる。一体これをどういうふうに措置されますか、この勧告を受けて……。
  63. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 新線建設公団を設立したわけは、ただいま運輸大臣からお話しのようなこともありますので、また同時に、独立の公団をつくって、事業量、資金量を拡充いたしまして、地方の待望する新線の建設を促進する、こういうことでございます。で、ただいまお話しのように、行政管理庁からの勧告もあるわけでございますので、昭和四十一年度におきましては、資金量を大幅に拡大し、まあ五百億円の事業をやろうと、こういうことであります。またその財源といたしましては、財政投融資を大いに拡充する、こういうことをいまやっております。また政府出資も、従来十億円でありましたが、今度三十五億円といたしまして、その建設を促進しよう、まあ行政管理庁の勧告の線をできる限り尊重した、かように考えております。
  64. 北村暢

    北村暢君 国鉄の出資はどうなるのですか。
  65. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 従来のような規模の出資を計画しております。
  66. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連
  67. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 簡単に願います。
  68. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 簡単な問題じゃないです。いいですか。行政管理庁のほうから勧告されている内容は、四十年度の政府の出資はわずか十億で、残りの七十五億は国鉄の出資である。約九〇%が国鉄の負担になっておる。こういう状況では公団設立の意味がないから、主要財源政府の出資に切りかえる要がある、こういうふうにはっきり書いてありますよ。行政管理庁長官、あんた自分で勧告しているのだから、確信を持っているわけでしょう。大蔵省の方針というのは、必ずしもそうじゃないように聞き取れるわけです。これは三十九年の予算委員会の会議録の中で田中大蔵大臣が、新線建設公団については、経営的に圧迫にならないために新線建設公団をつくったというのが政府の趣旨であって、国鉄の負担から除いて新線建設公団でやろうということである、こういうふうに答えているのですよ。それであるならば、政府の出資と国鉄の出資の割合が九対一と、こういったようなやり力では、これはもう行政管理庁の長官からいけないというふうに言われているのだから、その方針を改めるのがほんとうじゃないですか。その方針を逆転をさせる、改めるという気があるのかないのか、その点を大蔵大臣からはっきり御答弁をいただくと同時に、国鉄総裁として、この問題についてはどのようにお考えになっておるか、この点も明らかにしていただきたいと思います。
  69. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 逆転まではいかないのでございますが、一歩前進というか、数歩前進というか、従来十億円の出資でありましたものを三十五億円にふやす、またその他の資金におきましても、財政投融資計画をより充当拡大する、こういうことを予算としては措置しておるわけであります。
  70. 石田禮助

    説明員石田禮助君) お答えいたします。  建設公団は、国鉄の立場から考えるというと、われわれがこれまでやっておったやつを身がわりにやってくれる、こういうようなことにも考えられるのであります。ことに建設公団のやる線のうちには、国鉄自身が速急にやらにゃならぬ線というのが相当にある。そうして、さらに建設公団がやる線につきましては、一々国鉄として相談してやっているのでありまして、われわれとしては、政府が十億か二十億の出資に対して七十五億というのは、非常に多いようでありまするが、実はできるだけこれを国鉄の利益になるような線にひとつ持っていこう、こういう少し野心が入っているわけなんでありまして、ある意味において、はなはだこれはどうもはっきりは言えませんが、そういう下心がある。たとえば湖西線のごとき、あるいは東京付近の貨物線を敷くがごときに対しては、これはひとつほかの線は差しおいても、まずもってこれに全力を尽くしてもらいたい、こういうような意味で建設公団と交渉する上において、われわれが有利な、力強くそういうことを主張せんがためにやったというような下心が実はあるわけであります。
  71. 北村暢

    北村暢君 国鉄にお伺いいたしますが、新幹線の工事が予定額の倍に工事費がなった。こういうことについて、非常に世論からたたかれております。用地の買収等についても、非常に高過ぎるということで、その他の道路建設等の用地買収に非常に大きな支障を来たしているという問題が出ております。おやじ日の丸式の仕事をやっているというきらいがないわけではない、こういう批判に対して、国鉄はどのようにこたえるか。それから国鉄の工事には下請が非常に多過ぎる、工事費の合理化ということについて、徹底的にやるべきである。こういうことをなおざりにして、大幅な運賃値上げにたよるやり方というものは、納得できないという批判が強く出ているわけでありますが、ひとつ国鉄の考え方、並びに国鉄は独立採算制であるから、先ほども申し上げたように、公共的なものについては、政府がもう少し国鉄を親切に見るべきである、この二つの点について、政府並びに国鉄からひとつ答弁を願いたい。
  72. 石田禮助

    説明員石田禮助君) 新線建設公団の問題につきまして、予算を超過することはなはだしいものがある、それがために二回にわたって追加予算をお願いしたというようなことは、これは国鉄として何とも面目次第もないわけであります。これは実は、ただいま御指摘を受ける前に、去年あたりもさんざん油をわれわれはしぼられた。どうかそれでひとつごかんべん願わなければならない。 ただ問題は、要するに初めの出が遠慮し過ぎたんですよ。要するに、初めから二千億なんて言った口には、これはとても国会を通る見込みがない、こういうことで、はなはだこれは申しわけないことなんですが、初めの出が少なかった。そのために、当然これは第一の追加予算というものが出てきた。しかも、その間に物価は上がる。しかも用地買収の価格なんていうものは、予定以上に非常に商いものについた。こういうようなあれやこれやが加わって、ああいうようなみっともない状態になった次第であります。これはまあひとつ、これまでもさんざんに油をしぼられたのでありまするので、どうぞひとつこれは、今回は御容赦願いたい。  それから用地買収の問題でございますがね。これはおっしゃるとおり、初めの予算に比べると非常に高くなっている。ただ、しかし、この問題につきましては、用地買収に当たった人間の苦労というものをひとつお考え願いたい。結局オリンピックまでに何とかして国鉄を走らせたいという、五年というちゃんと時限というものがある。その間に用地を買収して、そうして建設しなければならぬ。実際にその用地買収に当たった人間を、人をして言わしめれば、実にまあ苦心惨たんしたものなんです。彼らをして言わしめれば、人間に生まれて、再びこんな用地買収なんてやるものじゃないということまで言っているので、これはただ初めの予算と、実際にかかった値段の差というものを見て、国鉄は何だと、こういうようなことだけでお考えにならんで、ひとついかにその局に当たった人間が苦心惨たんしたかということをひとつ御了承願いたい。  それから、下請が多いということなんですが、国鉄はやはり人件費というものが、たとえば昭和四十年においては、総収入の五七%に達しているということで、国鉄合理化の上からいくと、一番大きな問題は人件費なんです。経常費の大部分というものは人件費ですよ。物件費なんていうものは、人件費の半分ぐらいしかない。だからして、人間というものはできるだけ少ない人間でやって、そうしてできるだけ――その結果は下請を使うことが多くなる。別にこれは多く使わんがために使っているのではなくて、やむを得ず使ったのだ、こういうことに御了承願いたい。決してこれは下請をもうけさせようとか、あるいは外郭団体をもうけさせようとかというような、そんな気持ちでやっているのじゃみじんもないんだ、こういうことはひとつ御了解願いたいと思います。  もう一つ、公共負担の問題でありますが、これは国鉄は公共企業体なるがゆえに、できるだけ自分の利害というものを離れて、公共的な精神を発揮せにゃならぬ、そういうことで今日まできたのでありまして、その結果はどういうことになっているかというと、三十二年から三十九年までに約五千三百億円の犠牲になっている、それだけ政府の政策を国鉄の犠牲においてやっているということなんです。四十年においてはこれが九百億になっている。これは私は、ここに総理大臣もいらっしゃるが、大いに政府もお考え願わなければならぬと思っている。国鉄が公共企業体なるがゆえに公共的な精神を発揮するのはよろしい、しかし、するだけのことをしておいてやるのはいいが、たとえばいまの通勤地獄だとか、あるいは過密ダイヤとかというような、ああいうみっともない状態において、そうしてさらに一年に九百億もの公共的犠牲をしいるというととは、これは私は聞こえない、これははなはだ不合理だと思う。つまり、ちょうどこれは貧乏人が金もないくせに身分不相応の寄付をして、それで払えない、こういうことと同じことなんですね。これはひとつ公共負担というものは、ぜひできるだけ早い機会において是正してもらわなければならぬ。そういう意味におきまして、今度運賃の是正をするにいたしましても、公共負担の最も大きな通勤の問題についてわれわれは思い切って是正をしたわけなんであります。その間に、農産物とか、その他に対してやっておりますが、これは政府の物価政策というものを考え、ただ金額からいっても、たいした金額ではないのでありまして、まあ大きなところでひとつ得になっているから、ある意味において小さなところは涙をのんで犠牲になろうじゃないか、こういうことでやったのでありまして、ことに公共負担というものは、やはり歴史的にずっとやってきているのだから、この際ざっくばらんに、一挙にこれを是正するということは、これは私は困難だと思います、徐々に漸を追うてやってもらいたい。たとえば農林物資に対しては農林省がひとつこれをしたらよろしい、また通勤のごときに対しては、ここに通産大臣もおられるが、通産省の予算においてやったらよろしい、こういうようなことで、今後は国鉄の独立採算制、そして今日国鉄というものは、施設の上において非常におくれているということを念頭に置きまして、できるだけ公共負担というものは関係省に持ってもらおう、こういうことで進みたいということに考えております。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大体、国鉄総裁から申し上げたとおりでございまするが、国鉄は独立採算のたてまえ、しかし同時に国家もいろいろな便益を与え、公共性をこれに期待しておるわけであります。そういうことで、まあ国鉄としましては公共へのサービスをする、これはもう国鉄が与えられた使命の最も大きな問題だ、こういうふうに考える次第でございます。したがいまして、まあいろいろな負担を負っておりまするが、これはまあその国鉄の使命遂行だということで、大きくいうと、当然のことだ、こういうふうに考える次第でございます。ただしかし、独立採算制でもありまするから、採算の運営がうまくいかなければならぬ、こういうことで、政府といたしましても財政投融資、先ほど申し上げましたが、とにかく一割もここにつぎ込んでやっておるわけなんであります。今後も国鉄のその二つの使命が完遂できるように、できる限りの相談はいたしたい、かように考えておる次第であります。
  74. 北村暢

    北村暢君 最後に残っておりました通勤料金の値上げに対して、給与担当大臣は、これは大幅な値上げでありますから、公務員、地方公務員に対する影響が大きいので、次の賃金改定の際にどのように考慮せられるか、決意のほどを伺っておきたい。
  75. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 通勤手当につきましては、先般の人事院勧告によりましても、これを九百円から千百円に上げまして、また最高は千五百円までに上げたことは御承知のとおりであります。さらに、これがどういうふうに今後影響してくるか、これは人事院でよくまた実態調査をいたしまして、それにふさわしい処置をとることになろうかと思います。
  76. 北村暢

    北村暢君 次に、十八日の閣議決定になりました林業の年次報告の問題に関連して御質問いたしますが、林産物の需給の動向について一体どのようになっておるか、まず御説明願いたいと思います。
  77. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 林産物でありますが、昭和三十六年ごろから木材は非常に不足いたしまして、ソ連その他からの輸入が相当多く入るように相なり、その後大体七千万立米ぐらいの需要に対して、輸入は二千万立米ですから、大体五千万立米が国内産ということに相なっております。少しずつは内地産も増加いたしておりまするが、輸入も若干増加しておるということであります。
  78. 北村暢

    北村暢君 大臣の答弁は違っておりますから、だれか政府委員でいいですから説明してください。てんでわかっていない。
  79. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。 木材の需給の動向につきましては、いま農林大臣がお答え申し上げましたように、七千万立方メーター程度の需要に対しまして、国内産の木材でほぼ七三、四%、それからその不足する分を外材あるいは外国産のパルプ製品、そういうもので補って、需給の均衡がはかられております。
  80. 北村暢

    北村暢君 外材の輸入量が急速にふえてきているのじゃないですか、どうですか。
  81. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 数字をちょっと申しますと、三十九年は外材輸入が千九百十六万八千立米、それから四十年は千九百九十八万二千立米、それから四十一年は二千八十一万一千立米、こういうぐあいに、先ほど申したように若干ふえておるわけです。
  82. 北村暢

    北村暢君 去年から比べれば若干ふえているのかもしれませんけれどもね、三十五、六年から比べては、非常にふえてきている。約二七%くらいになってきているということでございます。  そこでお伺いいたしますが、その外材の内容についてはどのような傾向にあるか、この点について御質問します。
  83. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。外材の輸入の割合といたしましては、おおむね半分が南洋材でございます。それからあとの半分のうち、ソ連材を除きまして、米材とカナダ材でその四分の三程度を占めております。残りが北洋材としてのソ連材でございます。
  84. 北村暢

    北村暢君 外材の輸入量は長期見通しの計画量より越える傾向にあると思いますが、事実はどういうふうになっているか、それから、今後の見通しはどういうふうな傾向、考え方を持っておるか。
  85. 田中重五

    政府委員田中重五君) 外材の現在の入り方につきましては、現在の景気停滞下とはいいながら、やはり木材需要は年々伸びておりますので、そこでそれに応じて外材の輸入量も増加の方向をたどっております。で、いまお話がございましたように、見込み数量よりも実際に入る数量は若干上回っておりますが、なお、長期的な見通しに立ちますと、国内の木材の需要につきましては、日本は林業生産に気候風土その他で十分に適した国でもございますので、でき得る限り自給率を高めてまいりまして、そうして外材の輸入はその補完的なものとして考えてまいりたい。で、ただいまの見通しといたしましては、昭和五十年前後に外材の国内需要の中で占める割合がピークになるかというふうに見通しておりますので、以後、国内の自給率が高まってまいりますのにつれまして、外材の需要の中に占める率が漸次低下するというふうに見込んでおります。なお、その長期見通しにつきましては、林業基本法に基づきまして、重要な林産物の需要と供給に関する長期の見通しを公表することになっております。で、三月の中旬ごろにはそれが公表できるかというふうに考えております。
  86. 北村暢

    北村暢君 外材輸入量の増加の傾向の原因は一体何なのか。それから、ガット並びに国連の貿易開発会議以降における低開発問題が起こっておりますが、これが外材輸入に対する影響というのはどのように判断されておるか。
  87. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。 外材を、現在の国際貿易上、これをどのように考えているかという点につきましては、御承知のとおり、自由化の時代でもございます。そこで、現在の輸入されております素材あるいは製材等につきまして、一応素材は無税、それから製材につきまして、は一〇%相当の関税がかかっております。それを将来国内の生産等の見合いにおいて関税等の措置を行なうという考え方は持っていないわけでございます。
  88. 北村暢

    北村暢君 日ソ貿易協定における木材の輸入関係についてどんな交渉があったのか。日ソ貿易では木材は主要な輸入物資になっておりますが、ソ連の意向は一体どういうことであったのか。これは外務省がいいのかと思いますが。
  89. 加藤匡夫

    政府委員(加藤匡夫君) お答えいたします。 今度の日ソの貿易協定におきまして、御指摘のように、木材の輸入問題が非常に大きな問題でございまして、ソ連側は、従来より大幅に協定に目標数字といたしまして増加するように主張いたしました。政府部内において外務省、林野庁、通産省と協議の上、一応今後五カ年間の目標数字といたしまして三百六十万立米の丸太を入れるということになっております。それで、これはあくまで目標数字でございまして、御存じのように、丸太の輸入は自動承認制ということになって自由化されておりますので、この協定の目標いかんにかかわらず、日本側の輸入業者と先方と交渉いたしまして国内需要に応じて契約をいたしております。必ずしも目標どおりには従来の実績もいっておりません。
  90. 北村暢

    北村暢君 いまの政府間の協定では三百六十万立方、それに沿岸貿易四十万立方を入れるというと四百万立方でございますが、そうしますと、大体いま実績は見込みであるということでありますが、これは従来の貿易額、四十年度は二百六十三万立方でありますから、相当大幅な増加になるわけであります。したがって、この増加に伴います具体的な木材輸入についての懸案事項があるわけである。これの交渉の経過というのは一体どうなっているのか。
  91. 田中重五

    政府委員田中重五君) 日ソの貿易交渉で材木が入っておりますが、懸案事項を木材の面から見ますと、まず、問題をかつて起こしたところのいかだ輸送の問題がございます。いかだ輸送につきましては、これを全廃する方向で話がついております。四十年、四十一年でいかだ輸送を打ち切りまして、四十二年以降はいかだ輸送はしない。こういうふうになっております。  それから、ソ連材の輸入について、現地に検収員を置く申し入れをいたしておりますけれども、これはいまのところ先方が了解する段階には至っておりません。  それからその次は、日本に輸入する材でございますから、日本の農林規格に合わせて伐採が行なわれることを先方に希望をいたしておりますけれども、その点については、規格の面について若干改善のあとはうかがわれるのでございますけれども、明確に日本の農林規格というところまでは了解がまだ至っておりません。
  92. 北村暢

    北村暢君 輸入材の樹種の混合の場合、これは不要な樹種も抱き合わせで来る傾向があるわけですが、この問題。  それから、材積査定の非常に不利になっている問題。これらの点については、一体どのようになっておりますか。
  93. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。樹種の抱き合わせについてのお話がございましたが、特に、問題はカラマツであろうかと存じます。それで、まあエゾ、トドを主体に、できるだけカラマツを少なくという考え方でございますが、その点につきましては、個々の具体的な契約ベースの面でこの要求を通してまいるわけでございます。  それから、材積につきましては、まあ、先ほども申し上げました検収員の現地への上陸なり、あるいは日本の農林規格の十分な適用なり、そういう点を向こうが了解をするというときでなければ、満足のできるものには至らないかと存じます。そういう面でも、交渉の場においてできるだけ改善するように持ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  94. 北村暢

    北村暢君 次に、ソ連材を輸入する場合に、在来のソ連材の輸入業者が国内で販売する際に、これはもうけているのか損をしているのか、そういう点についての把握のしかたはどういうふうに把握されておるのか、この点についてお伺いいたします。
  95. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。ソ連側とそれから日本側の商社との契約でございますから、価格につきましても、やはり政府が現実に介入するということはないのでございまして、商社とソ連側との交渉でございます。商社は交渉するに先だちまして、木材業者との打ち合わせの上やるわけでございますから、したがって、国内の木材取引価格というものがやはり基準になって契約が行なわれる。それで、林野庁といたしましては、木材価格一般の安定、そういう面での行政指導はいたします。また、今回の場合には、商社にも特にその取引価格の円滑化についての申し入れはいたした次第でございます。それで、ただいまお話しのございました、損しているかどうかという点でございますが、その点は必ずしも明らかではございません。
  96. 北村暢

    北村暢君 ソ連材の輸入の増加に伴います港湾施設でありますが、冬季間凍結するために、これは五月から十月ごろに集中するわけでありまして、そういうようなことで、南洋材あるいは米材の輸入というものとの関係からいって、港湾設備がどのようなことになっておるのか、この点について御説明いただきたい。
  97. 田中重五

    政府委員田中重五君) 外材の輸入に対応する港湾の設備につきましては、特にソ連材だけということではなくて、例の伊勢湾台風のときの惨害にも顧みまして、木材の輸入のための港湾施設については林野庁と運輸省が十分に相談の上でその整備を進めているわけでございます。現在港湾整備五カ年計画によって逐次その整備の態勢は遊んでいるかと考えております。
  98. 北村暢

    北村暢君 次に素材の輸入ばかりでなしに、最近製品の輸入が非常にふえてきているということ、それからチップの輸入というものがふえる傾向にございますが、この見通しについてお尋ねいたします。
  99. 田中重五

    政府委員田中重五君) お話しのとおりに、現在外国産製材、それからチップも若干輸入を見ております。それで、製材の輸入につきましては、特に米材でございまして、まあ産地の業者として付加価値を与えた製材の形で輸入するという動きもあるようでございますけれども、現段階の見通しといたしましては、将来製材の形で非常にふえてまいるというふうにも考えていないわけでございます。  それから、チップにつきましては、ほんとうのテスト・ケースとして輸入を見ております。これが将来の見通しといたしましては、現地における消費の見通し等も勘案しながら、その対策につきましては、よく考えまして国内の年産の実施にできる限り支障のないように持ってまいりたいということを考えております。
  100. 北村暢

    北村暢君 チップの専用船の建造計画はどういうふうになっておりますか。
  101. 田中重五

    政府委員田中重五君) チップ専用船につきましては、現在三望隻が就航しておりますが、なお若干ふえるという見通しでございます。
  102. 北村暢

    北村暢君 外材の輸入が、輸入港において木工団地をつくっておりますが、もうすでに過当競乍の状況にある、しかも、製品が輸入される、あるいはチップが計画的に専用船で輸入されるということになれば、中小企業ある国内の製材業者に対する圧迫、非常に生産基盤の弱いチップ工業というものは非常に大きな打撃を受けると思うのでありますが、これらの輸入に対しての政府の態度は一体どのように考えられておるのか、この点について答弁をお願いいたします。
  103. 田中重五

    政府委員田中重五君) 臨海に木工団地をつくって外国産丸太等を製材するという傾向は確かにふえております。それは、一方におきまして国内産木材の伸び悩みというか、製材工場の資材として十分供給され得ない面があるということが手伝いまして、外材使用工場がふえてまいっておりますが、そのいまお話しの過当競争等の問題につきましては、できるだけ製材工場の構造、企業の合理化、そういう面を行政指導いたしまして、弊害のないように持ってまいりたいということで指導をいたしております。やはり林野庁としての基本的な方向といたしましては、国内三木材の自給率が高まりますように、造林の形式なり、あるいは林道の拡充なり、その他国内生産の生産性を引き上げるという基本的な方向を強く進めてまいりたい、こう考えております。
  104. 北村暢

    北村暢君 輸入港の木工団地は、これは通産省の高度化資金でやっている面が非常に多いと、そういうことですから、ひとつ通産大臣にも御答弁願いたいと思いますが、とにかく、外材が急激にふえてまいりまして、そのために国内の木材生産というものが停滞傾向にあるということは、年次報告で報告しておるところでございます。したがって、この外材輸入ということについての考え方、これについて、ひとつ農林大臣、通産大臣の考え方をお伺いいたしたいと思います。そして、外材の輸入というのを一元化いたしまして、生産基盤の弱い林業でありますから、そういうものに対して輸入の差益金ということで、差益金による国内林業の振興に寄与する、こういう方法を考えたらどうかと思うのでありますけれども、考え方をひとつお伺いいたしたいと思います。
  105. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 外国産の原木、チップの輸入が非常に増大の傾向にあることは、国際価格として割り安であるということが大きな原因になっておるわけでございます。しかし、このためには、やはり日本の国内資源を十分に活用する、そういう意味で、森林資源の開発ということには一段と力を入れなければなるまいという点で、これは農林省が中心となって森林資源の開発ということをもっとやはり積極的にやって国内の資源を開発しなければ、どうしたって、そういう原木、チップの国際価格が安いということになって、また需要もあるということになれば、これはなかなかそれを阻止できない。そういう点で、一そう積極的な国内資源の開発ということが必要である。農林省とも連絡をとって、そういう方向でわれわれも協力をしていきたい考えでございます。
  106. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) いま通産大臣が言われたとおりでありますが、とにかく昭和三十六年に非常な木材の不足からくるところの価格の高騰を来たしたというときに、積極的にこれは輸入しなきゃならぬということを試みましてソ連等から入れたということは、先ほど申したとおりでありますが、その後は大体高い値段、若干ほかの物資については高い値段であるが、横ばいを続けておるわけでありますが、若干ずつやっぱり輸入の増加があるわけでございますることは、言うまでもなく、需要の増加ということでございます。しかし、一番必要なことは、何と申しましても、国内の資源の増強でございまして、したがって、私どもといたしましては、造林の問題、造林の問題にしても、今年のごときは単価を引き上げるということ、あるいは予算の面においても相当これを重視していく。なお、奥地の開発というので奥地林道の問題等にも力を入れる。そのほか、この資源の拡大ということに十分な力を入れて、でき得る限りやって、国内資源の充実というところへ進みたいと思っておるのでございます。これはしかし、なかなか山のことでありますから、急激にいきませんので、当分若干の輸入という問題を考えながら進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 北村暢

    北村暢君 輸入の問題と関連しまして、木材製材工業関係の倒産が非常にふえておるわけです。三十八年が八十二件、三十九年が二百八十八件、四十年現在までで四百五十件、大体全中小企業の倒産の約一割近いものが木材関係の倒産が出てきておるわけです。したがって、これは木材輸入港等については集団団地でありますから、これがもう過当競争でつぶれていくということでは、つくってはつぶしということでは、これは政策じゃないんじゃないかと思う。したがって、こういう点についてどういう施策をとるのか、無関心ではないかと思われるほどでありますが、どうでしょう。
  108. 田中重五

    政府委員田中重五君) 中小企業としての木材製材業の倒産が少なくなかったということはお話しのとおりでございます。で、やはりこの木材製材業の零細性、過当競争、これもございますけれども、相当にまた企業内容の悪さ、非合理的な運営、そのことにも相当に原因があるかと存じます。それで、この不況の時期にでさる限りの企業の健全化を指導し、その生産性を上げるように行政指導を進めておりますが、先ほどのお話の木材製材団地等は、この企業の合同なり、あるいは生産性の向上なり、まあ、そういう面でできる限り役に立つようにという考え方で指導をしておるわけでございます。そのほか金融等につきましては、健全経営に対する在庫の融資その他につきましては、地方により林野庁の申し入れによって農林中金のインターバンクを商工中金にするとかあるいは地元の銀行にするかというようなことで世話をして、資金の融通の円滑化をはかるというようなこともいたしております。
  109. 北村暢

    北村暢君 国内林業生産の停滞の傾向についてお尋ねいたしますが、大臣はいま生産につとめるようなことを言っておりますけれども、最近いままで年産が伸びてまいりましたが、最近になって林業生産は停滞の傾向を示してきた。特に民有林の停滞がはなはだしいのであります。造林等の面積は現実に減ってきているというような状態にあるわけでありますが、対策はいかように考えられておるか、この点についてお伺いします。
  110. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ただいまの点でございますが、確かに現在の情勢からまいりまして、山村の労働力が非常に減っておるということは白書にも出ておりまするとおり、非常な減り方でございます。それから、ところによりますと、山村自身が、これは労働力だけでなしに、戸数も減っていくということ、これはいろいろの点もありましょうけれども、急速なる経済の発展ということと関連しておることであろうと思います。そういう中において、この民有林等においての造林その他には相当骨の折れる点があることは御存じのとおりでございます。そういうわけでございまするので、政府といたしましても、   〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕 これらの点に着目いたしまして、一つはいわゆる近代化、労働力の欠乏を補充するところの近代化の問題、そういうものに力を注ぐ、あるいはまた民有林だけでは困る場合において、国有林の問題としては奥地の奥地林の開発という問題が非常に大事でございまするので、特に奥地林道の開発というような問題、それからして山村問題が根本でございまするので、この前山村振興法を制定いたしまして、この新山村の振興をはかっていこうということで、これらに対する予算並びに立法措置をとって進んでおるということでございます。そういうことで、漸次これら民有林についての方面の確保の問題を進めており、ただ、国有林については特にこれらの問題を考えて十分の道を講じていこう、それから造林の問題にいたしましても、この単価が非常に低いといったようなことがございましたので、いろいろの問題がございましたが、特に造林については一〇%ないし一四%の単価引き上げをやって実情に合うようにいたしたというようなこと等、そのほか多少いろいろございますが、非常に力を入れておるつもりでございます。
  111. 北村暢

    北村暢君 力を入れてきてもなおかつ停滞の傾向というものはなかなか脱出できないのじゃないかというふうに思われます。このことは、この林業生産の長期性の点からいって、将来非常にゆゆしい問題になるのじゃないか、このように思われます。それで全国森林計画すら修正しなければならない――新たにつくろうとしておるようでございますが、一体林業基本法第十条による「森林資源に関する荒木計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」というものは、いつごろお出しになるのか。
  112. 田中重五

    政府委員田中重五君) 林業基本法の第十条に基づく「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」は、先ほども申し上げましたが、三月中旬から下旬にかけて公表の段取りに持ってまいりたい、こう考えております。
  113. 北村暢

    北村暢君 先ほど大臣から労働力流出の問題がありましたけれども、さらにこの所得がほかの地域に比べてはるかに低いという問題。とにかく山村は農村よりより以上に深刻な問題をかかえておるわけでございます。しかも、農家の離脱があるということを言っておりますけれども、一向に林業の零細性というものは解決しない状況であります。結局、これは都市労働者になり切れないで、半分山村に足をついておると、こういう結果であろうと思うのでございます。   〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕  そういうような点からいたしまして、この転換期にあたって、従来の施策ではこれは解決しない。抜本的な施策が要望せられておるのでありますけれども、どのように対処されるか、ひとつこれは総理大臣にお伺いいたしたいと思います。
  114. 田中重五

    政府委員田中重五君) 林業経営の零細性、特に保有規模の零細性につきましては御指摘のとおりでございます。そこで、林業経常につきましても、まず経営の規模を拡大する、小規模林業経営の規模の拡大を林業基本法にもうたっているわけでございます。林業基本法の趣旨に沿いまして林業構造改善事業を、三十九年から強く進めることにいたしましたが、その中身といたしましては、やはり林地の交換分合あるいは入り会い林野の近代化なれ、国有林野の活用なり、そういう面でできる限り個々の林業経営者の経営規模を広げていく。同時にまた、経営の場所は分散しておりましても、それを協業化によりまして、法人としてその経常に当たっていくというような方向へ、特に林業構造改善事業の中で強く進めることにいたしましたが、なお、四十年から事業としては着手しておりますので、その四十年の実績を十分に検討分析いたしまして反省の材料にいたしたいと、こう考えます。
  115. 北村暢

    北村暢君 次に、今度の林業の年次報告では、国有林問題は非常にあっさりと出て、ほとんど報告されていないと言ってもいいくらいでございます。さきに中央森林審議会の答申が、国有林のあり方についての答申がなされておりますが、これに対する政府の態度を明らかにしていただきたい。
  116. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 国有林のありかたにつきましては、中央森林審議会においてもう一年以上この審議をいたし、一つの結論を出しております。それは、申すまでもなく、国有林はやはり公共性の非常に強いものであるということはこれは言うまでもありませんが、一面においては企業性を強くいたしまして、それで植林、造林その他の点から見て森林の維持増強をはかっていくという点についても企業的に強くこれを立てていくといったような問題等から見まして、いまの現在の林野庁を民有林と国有林に対する行政、いわゆる林野行政にし、一方は企業の面だけを一つの企業体によってそれをやっていったらどうか、それによって能率をどんどんあげていったらいいじゃないかというような一つの結論を出しておることは御存じのとおりでございます。しかし、実際の面におきましては、いわゆる機構の問題等についても、国有林に対する機構の問題については特別にこれはよほど考慮すべき点が相当多いのでございます。つまり、理論のみならず、地元の問題、それからして各方面の理解というものを十分これはやはりきわめなければなりませんので、これらの結論をも含めまして、現在、いかなる方向で行くかという点については結論は得ておりませんが、慎重に検討を加えておるところでございます。
  117. 北村暢

    北村暢君 林政審議会と中央森林審議会の役割りについて、今後の運営についてどのように考えられておるか、この点についてお伺いいたします。
  118. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 林野庁長官から答えさせます。
  119. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。 中央森林審議会は、林政審議会が制定されたあとの役割りといたしましては、森林法にいうところの保安林整備臨時措置法に基づく保安林整備計画とそれから治山治水緊急措置法にいうところの泊町の計画と、そういうものを策定いたしましたときに、それの諮問を農林大臣がいたしまして答申をする、その他関係事項と、こういうことになっておりまして、林政審議会との関係はそういうことでございます。
  120. 北村暢

    北村暢君 どうもはっきりしませんけれども、林政審議会は内閣に設けられておるわけで、中央森林審議会は農林大臣の諮問機関。林政審議会ができてからの中央森林審議会の性格というものはやはり変わってくるんだろうと思うんですがね。そういう点からして、中央森林審議会の答申による国有林のあり方の問題については、非常に重要な問題でありますから、当然林政審議会にはかるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  121. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) いまの機構等の問題について、目下のところ省内において検討を真剣にやっておるのでありまするが、時期を得まして、林政審議会にもちろんこれは諮問するつもりでおります。
  122. 北村暢

    北村暢君 国有林野卒業の財政が非常に苦しくなってきているということでありますが、その実態について明らかにしていただきたい。
  123. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林野事業の収支が苦しくなってきておることは、お説のとおりでございます。その実態を予算の形で申し上げますと、昭和四十一年度予算は、収入に対しまして支出が十五億円オーバーしているという形の予算でございまして、その十五億円は持越現金をもって充当している、こういうことでございます。
  124. 北村暢

    北村暢君 将来の見通しはどうなりますか。
  125. 田中重五

    政府委員田中重五君) 将来の見通しにつきましては、ただいま農林大臣からお話もございましたが、中央森林審議会から将来のあり方について答申が出ております。で、その答申の内容を十分に検討をいたしまして、そうしてできるだけ合理的に能率的な通常を行なえるような形に持っていきながら国有林野の中心的な役割りを果たしてまいるようにいたしたいと、こう考えております。
  126. 北村暢

    北村暢君 収支状況の悪くなった、原因はどうなのか、それから最近の損益の状況はどのようになっているのか、この点についてひとつ御答弁を願いたい。
  127. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林野事業の収支が悪くなってまいりました原因といたしましては、一般的には、一般の企業にも見られるような、木材の価格の安定といいますか、別の面から見ますと停滞といいますか、まあそういう問題があり、さらに伐採量におきましてもこれはきまっているわけでございますから、価格が横ばいということになりますと、収入の動きもほぼ横ばいということになるのに対して、支出のほうは給与総額と人件・事務費は年々のベース・アップ等で上昇してまいるということになりますと、そのままでは赤字になってまいるということになります。そこで、そういうベース・アップ等の面を生産性の向上その他で吸収をしていくという努力も必要かと存じます。いろいろな面で仕事合理化がはかられなければならないと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから最近の損益の状況を申し上げますと、三十五年から申しますと、利益が三十五年が百十七億、三十六年が二百三十六億、三十七年が五十六億、三十八年が五十九億、三十九年が三十八億、それに対して、四十年度は、これは予定の損益計算に立った場合でございますが、マイナスの四十六億と、こういうことでございます。
  128. 北村暢

    北村暢君 次に、国有林の成長量と標準年伐量、それから伐採量、これは過去五年くらいでいいですが、どのような傾向になっていますか、どのような実態になっていますか。
  129. 田中重五

    政府委員田中重五君) ただいま御要求のありました成長量と標準伐採量につきましては、過去五年にさかのぼって至急に資料を整えますので、提出を申し上げたいと、こういうふうに考えております。で、おおむねの傾向を申し上げますと、全国森林計画における伐採量、これは実行の面ではほぼまあその程度の伐採を行なっている。経営計画の個々によっては不足伐あるいは伐採超過の面も見られるということでございます。それで、後ほど資料を提出いたしたいと思います。
  130. 北村暢

    北村暢君 それでは、もう一つお伺いしますが、財政の苦しくなった一つの原因に林政協力事業というものがあるはずでありますが、この林政協力事業に出した過去の実績、これはどのようになっていますか。
  131. 田中重五

    政府委員田中重五君) 林政協力事業には、当年度収入でまかなっておりますたとえば関連林道等がございますし、それから特別積立金引当資金から一般会計に繰り入れて使うところの林政協力もございます。それで、当年度収入財源として行なうものを別といたしまして、特別積立金引当資金、これは財源とした額を申し上げますと、昭和三十六年で二十三億、それから三十七年が三十億、三十八年が四十二億、三十九年が五十億、四十年度の予定が四十五億、それから四十一年度予定といたしまして現在四十四億を計上をいたしております。
  132. 北村暢

    北村暢君 中林審の答申によりましても、治山事業並びに林政協力事業等は特別会計でまかなうべきではないんじゃないかという答申が出ておりますが、これに対する態度はどうですか、農林大臣。
  133. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) いまこの機構に関してどうするかという問題については真剣に検討しておるのでございまして、一つ一つ離れて申し上げることはできませんが、真剣に検討した上で審議会にかけてそうして最後のところを得たいと。要するに、方法としては、どこにむずかしさがあるかと申しますと、ちょうど鉄道法と運輸省の関係のようなところもあるわけです、御存じのとおり。そうかといって、双方それで独立採算制でいけるかどうかという問題になりますと、非常に公共性の点がまたその地元の産業、地元民の寄与という問題にまた関連してくるということがございまして、そういう関係から見て、一つのりっぱな案ではありまするけれども、それをすぐ実行したら、たいへんまたそれがいろいろな点において問題が出てくるように思われまするので、私どもとしてはいま真剣に検討しておるところでありまするので、その点は御了承をお願いいたします。
  134. 北村暢

    北村暢君 大体、林業というのは、そう収益の上がるものではない。ところが、特別会計は、先ほどのように相当黒字をずっと出してきているわけです。その段階では治山事業も一般会計で持つべきであるし、林政協力事業もこれも特別会計で持つべきでないというのでありますが、そういうことが収支がもう非常にまかない切れなくなってきたというのが、来年度はもう損益においてすでに赤字になってくるという段階であります。これに対して大蔵大臣はどのように対処せられるのか、この点をひとつ考え方を聞いておきたいと思います。
  135. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国有林野特別会計が赤字になってきたと。しかし、過去まあずっと黒字基調のことが多かったわけであります。一昨年ごろから悪化の傾向があり、まあ昭和四十年度は赤字決算もしなければならぬと、四十一年度も同様の状態だと、こういうことでございまするが、その原因は、やはり、いまお話がありましたように、木材価格の問題があると思うのであります。それから歳出面におきましては、やっぱり人件費の増高と、こういう問題かと思うのです。で、いま公社案というようなものも出ております。おりますが、一体公社にして能率よくやっていけるかどうか、これはへたやりますれば、民間の悪いところと官庁の悪いところを両方こう出すようなことにもなりかねない。これは非常に重大な問題だと思うのであります。機構をどうするかということは、私は相当慎重に検討しなければならぬ。当面まあつながなければならぬというので昭和四十一年度じゃ一般会計から繰り入れもいたしておりまするが、今後どういう推移をたどるであろうかということをよく見きわめた上におきまして機構の問題は考うべきだと、こういう考えを持っておるわけであります。
  136. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしますが、この特別会計の損益計算の方法は一体どうやっておられるのか。
  137. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林野事業特別会計の会計経理につきましては、その立場といたしましては、蓄積経理の方針の上で損益の区分については発生主義をとっているということでございます。
  138. 北村暢

    北村暢君 どうもわかりませんけれどもね。経理のやり方は、特別会計法の第四条と、経理規程の第五十七条ですか、これに基づいてやっているのだと思うのですが、そのやり方についてひとつ説明をしていただきたい。
  139. 田中重五

    政府委員田中重五君) 経理のやり方といいましても、非常に話はこまかくなるわけでございます。で、損益計算井のつくり方は、一般の企業と変わらないわけでございまして、何を益とし、何を損にするかというような区分、それからその償却の方法等が違っていると思いますけれども、いずれにしましても、蓄積経理でやっているという点が一般の損益計算と違うということ、それから現金主義をとらずに発生主義をとっておる、発生の事実に基づいて経理する、こういうふうになっておりますが、そういう点が違うわけでございます。
  140. 北村暢

    北村暢君 どうもはっきりしませんけれどもね。実は、先ほどお伺いしたのは、成長量と標準年伐量、それから実際の伐採量、これが経理規程五十七条に関連をしてくる。現実の経理のしかたは、標準年伐量から上回って切った過伐になった場合はマイナス、切り残した場合はプラスになって財産経理をしている。ところが、成長量と標準年伐量というのは、三十三年までは一致しておった。ところが、標準年伐量のきめ方について、現在の三十三年以降の標準年伐量のきめ方はどのようになっているか、この点をひとつお答え願いたい。
  141. 田中重五

    政府委員田中重五君) 標準伐採量きめ方につきましては、国有林野経営規程にその規定がございます。それで、標準伐採量については経営計画の期間の成長量を基準とすると、こういうことになっております。その限りにおきましては成長量主義でございますけれども、その第二項におきまして、経営計画期間内の成長量を基準としたのでは樹種、林相の改良等がなかなか期待しがたい。で、技術的にできるだけ早く粗悪な樹種あるいは林相を改良するために伏採量をきめる必要があるというふうに考えられる場合には、この経営計画期間の成長量のほかに、それ以後の新生林分が成育した場合の期待成長量、これを保続の程度を勘案しながら伐採職の中へ加えて標準伐採量をきめることができると、こういうふうになっております。そこで、現在は、どの経営計画におきましても、いわゆる成長量だけではなくて、将来の見込みの期待成長量を勘案したものを保続の程度を考えながら加えまして標準伐採量といたしております。
  142. 北村暢

    北村暢君 そこで問題が起こるんですが、将来の予測の成長量を期待をして標準年伐量がきめられておる。そういますというと、三十三年から標準年伐量が急速に林力増強計画によってふえているわけです。そうすると、これは特別会計法第四条の「財産の増減及び異動を、その発生の事実に基いて計理する。」、この特別会計法第四条の規定に違反をしている、こういうふうに解されるのであります。これは将来の造林地がふえる、成長量がふえるであろうという期待のもとにできている年伐量であります。これはそのとおりにいくのかいかないのか。現実に造林事業等は不足であります。それから振りかえ伐採等をやって架空の黒字というものをしてきておる。したがって、これは特別会計法第四条に明らかに違反をしているのであります。これについて、解釈を大蔵当局からひとつ――特別会計法は大蔵省の権限ですから、ひとつ解釈を統一していただきたい。
  143. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまお話しの特別会計法第四条に言うところの「その発生の事実に基いて計理する。」ということばは、現金主義会計に対応するところの経理上の一つの用語であるということでございまして、その意味は、現金主義会計の場合には、現実に金の出し入れが行なわれたものについて経理するのに対しまして、発生主義の場合には、実際に造林した、あるいは林木を売り払ったと、その事実に基づいて経理をするということでございまして、先ほどの標準伐採量の意味とは何ら矛盾はしていないと、こういうふうに考えております。
  144. 北村暢

    北村暢君 三十三年までは成長量と標準年伐量というものはやや均衡しているんですよ。こういうふうにきめられている。ところが、三十三年以降は、将来造林が三倍にふえるだろう、昭和七十年に向かってふえるだろうということで、その将来の成長量を期待したものが標準年伐量に入っているわけなんです。だから、したがって、これは予想であって、特別会計法四条の「発生の事実に基いて計理する。」ということとは明らかに違反をしている。三十三年以降の標準年伐量で切るのと、現在の標準年伐量で切るのとは、明らかに内容が違う。それで損益計算が同じに出るということはあり得ないんです、これは。どうですか。
  145. 田中重五

    政府委員田中重五君) 三十三年から林力増強計画にかわって、そうしてその標準伐採量についてもその策定については改定が加えられるということはお説のとおりでございますが、そういう標準年伐量といいますか標準伐採量を、そのように、つまり国有林野経営規程の十二条にいうような意味に標準伏採量を変えることが特別会計法にいうところの「発生の事実に基いて計理する。」ということと矛盾するとは考えていないのでございます。
  146. 北村暢

    北村暢君 これは学者で問題になっているんですよ。こんなことはですね、山陽特殊鋼の粉飾経理より以上にあやしい経理のやり方をやっている。こんなものを承服できませんよ、そんな答弁で。どうですか、大蔵大臣か何か……。膨大な黒字が出ているのは、粉飾経理のためなんです。財産の食いつぶしをやっているじゃないですか。
  147. 田中重五

    政府委員田中重五君) まあ何度も申し上げるようでございますけれども、一経営計画期間の標準伐採量をいま申し上げました国有林野経営規程の十二条に基いて定めることは、特別会計法の四条にいうところの「発生の事実に基いて計理する。」ということと何ら矛盾しないというふうに考えております。経営規程の標準伐採量のきめ方といたしましては、先ほども申し上げましたように、将来の林力を充実していくというためには、そういうような伐採量のきめ方をとっていいというふうに書いてあるのでございます。それから発生主義のほうは、要するに、現実に処分した、仕事をしたという事実に基づいて経理するというだけのことであるかと思います。
  148. 北村暢

    北村暢君 いまの林野庁長官の解釈は、損益計算理論からいってこれは全く間違いなんです。こんな経理のしかたは、計理学上どこでも通用しない。そういうことを平気でやっているんです。これは、この点についての統一見解を出してもらわなくちゃね。これは内閣でひとつ相談してみてください、法制局長官も入れて。こういうばかげたことはありませんから。
  149. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) いま林野庁長官の答えたことに間違いないと思いますが、なお検討いたします。
  150. 北村暢

    北村暢君 いまね、大臣が検討されると言うけれども、このやり方をやっているというと、架空の損益で利益が出てきたように見えるんですよ。今日までの特別会計が放漫なこういうやり方をやってきたので今日行き詰まっている。林業なんてそんなにもうかるものじゃないですよ。それが膨大な利益を国有林があげてやってきたというところに、そういうでたらめな経理をやっているところに問題がある。したがって、これは絶対承服いたしませんので、私は質問を保留します、これは。
  151. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 北村君、もう一分残っているから、質疑をやってください。――北村君の質疑は後刻行なうこととし、午後二時三十分再開することとして、これにて休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ―――――・―――――    午後三時一分開会
  152. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)を議題とし、質疑を行ないます。小平芳平君。
  153. 小平芳平

    小平芳平君 初めに景気の問題について、総理に経済問題について御質問したいのであります。 いま景気の問題については、特に不況の克服ということが、これはもう国民の最大の願いであります。政府は公債発行、公共投資の拡大、繰り上げ等々の対策を打ち出しておりますが、はたして景気が回復するかどうかというような点について、国民は非常に不安に思っているわけであります。池田内閣の時代には、昭和三十五年十二月二十七日に所得倍増計画というのを閣議決定しまして、その当時の池田総理は、当予算委員会でも、国民総生産が十二兆六千億にもなっている、これを拡大して年平均成長率九%にもいくんだ、そうして向こう十カ年たてば所得が倍増する。非常に国民に期待を持たしておったわけです。もういますぐにも月給が倍になるかのような錯覚に陥るかの、そのくらいの大きな期待を国民に持たしておりました。ところが、わずか六年過ぎた今日の国会では、所得倍増どころか、不況とか、物価対策とか、そういうことが問題になっていて、国民の期待とは反することはなはだしい。総理はよく政治の姿勢を正すというふうに言われますけれども、こういうように国民に対する信頼、国民に対する約束というものが、こういうふうに大きくはずれる、それに対する責任を明らかにするということが政治の姿勢を正すゆえんではないかどうか、そういう点についてお尋ねしたい。
  154. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 小平君にお答えいたします。  この問題は、たびたび当委員会におきまして同趣旨の御質問を受けました。そのつどお答えしておるのでありますが、御承知のように、所得倍増計画を池田内閣でつくった。ただいまはもうすでに二十八兆というような大きな国民所得になっておりますから、いわゆる所得倍増計画というものはりっぱにその目的は果たしつつあったと、かように私ども思います。同時に、この所得倍増計画の結果、各事業間にずいぶん格差を生じた、また地域的にも格差を生じた、こういうものでは全体のしあわせとはなかなか言えない。そういうわけでございますので、いわゆるひずみの是正、これをちょうど一昨年以来手がけてまいりました。経済成長が均衡のとれた成長であるようにということに手をつけてまいったのであります。当時、もうすでにこの所得倍増計画がかもし出しておるどうも好ましからぬ状況に対して手を打つということでございました。昨年も引き続きで、いわゆる格差をなくしていく、こういうような手をとったのであります。その結果は、また一方で非常に設備が進んだところ、これが過剰設備になって、言いかえますと、他で申しますならば、供給力が非常に需要をオーバーしている、こういうことになった。ここにいわゆる不況というような現象を今度はかもし出した。そこで私どもは、ことしの政治課題はいわゆる不況の克服にあるのだ、また同時に、物価の安定にあるのだ、この二つをことしの政治課題として、これとひとつ真剣に取り組んでいくのだ、こういうことで、予算編成に際しましても思い切った積極的な大型予算を編成して、公債政策の導入あるいはまた大幅減税を断行する、そして有効需要を喚起して、ただいまの不況の克服、これに実は取り組んでおるのであります。まだ予算審議の過程でございますが、しかしながら、ことしになりましてから、新年早々からこの経済の指数、指標等をずっとつぶさに見ますると、いわゆる悲観すべき材料のほうはございません。しかし、まだまだ景気が上向いた、積極的な、都合のいいほうの、私どもがとりたいほうの指標はまだまだ小さいものでございます。しかしながら、もう不況をあらわすような数字は、これはない。ただいまこの積極大型予算、必ず不況を克服する、かように私ども確信しておりますし、その意味で各界各層の御協力を願っておる、ただいまそういう状況でございます。
  155. 小平芳平

    小平芳平君 いまの国民総生産の二十七兆あるいは三十兆という数字が出ておりますが、これで、倍増計画がそれの意味をなしていると言われますが、これを物価で換算したらどのくらいになりますか。
  156. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体三十五年度から所得倍増計画が始まりました。で、三十一-三十三年度の物価水準でやってみますと、四十年度の実績見込みは名目で二十七兆七千二百億となっておりますけれども、デフレーターを使いましてやってみますと二十一兆五千億程度、それから四十一年度のあれは名目で三兆八千五百億でございますけれども、デフレーターを使ってやってみますと二十三兆一千億と、こうなっております。ただし、このデフレーターが非常に正確な――かなり大ざっぱなものでございます。で、今度われわれは三月に統計を新たにしていこうというときには、もう少しこまかいデフレーターを用意することにいたして、ただいま検討しておりますから、そうなりますと、もっとこまかい数字が出てまいると思いますけれども、いま、かなり大ざっぱではございますが、デフレーターを使ってやるとこのような状態でございます。
  157. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、総理はそういうふうに倍増計画の成果だと言われる、かりにいまの数字をそのまま使っても、十三兆から二十一兆へ、十三兆から二十三兆へ、所得、生産がそれだけふえてきたのだから、そこでもって単なるひずみ程度の問題かどうかということが問題だと思うのです。いま不況といい、物価高といい、それが大多数の国民が実際に生活に苦しんでいるわけです。そういう多くの国民が物価高や不況で悩んでいるときに、倍増政策はこれでよかったのだというふうに言えるかどうか。確かに数字の上で見れば生産が伸びているにもかかわらず、どうしてそういう思いを国民がしなきゃならないか。それに対する責任を問うているのです。
  158. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは間違いなしに御理解いただいておると思いますが、小平君も御承知のことだと思いますが、所得倍増計画、まだ十年はたっていない。しかし、その途中だったという状況でございますから、その点を一応念頭におきまして、まず成功ではないか。しかし、成功だといって喜んでおるわけではない。ただいま私も指摘し、ただいま御指摘になりますように、ひずみ程度以上の業種間の格差を生じておるじゃないか、こういうことでは、片一方で成功した成功したとは言えぬじゃないか、この御指摘はまさしくそのとおりであります。私も手放しで成功だといっておるわけじゃない。ただいまのような事態が起こることは、これも起こらないで、そうして所得がふえておれば、これは成功だといえると思いますが、ただいまのように例外も生じておりますから、手放しで成功だといっておるわけではありません。ただいまは真剣にこれらの問題と取り組んで、そこで安定成長ということばを使いまして――まあ、安定成長は十分表現していないかもわかりませんが、これは各業種間が均衡のとれた成長をするんだ。それで初めて済経界においても、産業界においても、不平のない世の中になるだろう、かように私は考えているのであります。
  159. 小平芳平

    小平芳平君 そういうように総理がお認めになれで、次へ進みますが、要は、単なるひずみ、単なる一部分の現象でなくて、相当大多数のものが、不況、物価高というものをかぶっているという、この事実をもとにして出発しなければならないと思うわけです。そしてまた佐藤内閣は去年の当予算委員会では中期経済計画ということを盛んに言われましたが、これはきのうも御答弁なさっておられましたが、中期経済計画そのものは、もう根本的に再検討して、新しい経済計画をお立てになる予定ですか。
  160. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりで、ただいま経済企画庁でいろいろ準備中でございます。
  161. 小平芳平

    小平芳平君 その準備の見通し等について。
  162. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今度、何らかの計画をつくってまいりたい、こう思っております。そこで、新しくつくりますものは、先ほどもちょっと触れましたが、新推計を用いてやりたい、こういうことを考えております。それから、御承知のとおり、いまでは三十五年の指数を基準にしてやっておりますけれども、それを五年ごとにかえていくというのがいままでの状態でございます。また、それが適当だと思いますが、したがって、総理府の統計局で四十年には新しいやはり基準をつくっていく、そういうものを整えまして、そして今後の経済見通しというものをつくってまいりたいというふうに考えておるのでございます。したがいまして、時期となりますと、やはりそういうものが全部出そろいますのが四月ぐらいになりますものですから、それから作業をいたすことになりますので、若干おくれて、夏ぐらいにはなるんじゃないか。また、経済審議会等に諮問をいたす関係もございますから、時期は若干延びていくというようなことも考えられるわけでございます。
  163. 小平芳平

    小平芳平君 これから具体的にいろいろな問題についてお尋ねいたしたいのですが、いまの長官のおっしゃるその新しい計画は、当然、景気回復についての具体的な見通し、また単なる景気回復から出発する、またそれ以上にどう経済が拡大し、成長していくか、どういう点を長期計画としてお立てになると思いますから、それによって景気回復の具体的な見通しというものもそこではっきりする、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  164. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体今度の見通しは、ただいま総理が言われましたように、均衡ある成長ということを主軸にいたしまして、それをやるのにはどういうふうに考えていったらいいかという考え方で作成してまいりたいと思います。それから同時に、こういうものを作成いたしましたら、やはりそれを基準にして政策をいろいろ考えていかなければならない。この基準にオーバーしたものは、つまり若干押えていく、あるいはそれに達しないようなところについては、それを伸ばしていくというようなことで、できるだけ見通しに合うようにしてまいりたいと思います。ただ自由主義経済の中における見通しでございますから、統制経済と違いまして、差異の起こることはやむを得ぬ場合もあると思いますけれども、大体基準をつけましたらそういう方向に進み得るようにつとめてまいりたいと、こう考えております。
  165. 小平芳平

    小平芳平君 自由主義経済のもとですから、それは差異の生ずるのはやむを得ない、それはそう思いますが、要は、特定のグループが特に不況や物価高で悩むというような結果にならないようにということが肝心だと思うわけです。  次に、公共投資という点について、これは昭和四十年度の公共投資について、昨年七月ごろから大蔵省のいろいろな検討されたことが出ておりますが、大蔵大臣として、あるいは企画庁として、公共投資についてのいろいろな考え方が昭利四十年度にどのくらい成果をあげたか、思いどおりいったかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
  166. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共投資につきましては、年度初頭は一割留保というようなことをいたしましたのですが、その後の経済の変化に即応いたしまして、それを解除しております。さらに繰り上げ支出を計画する。また公共投資と非常に関連のある財政投融資の拡大をするというような措置を講じたのであります。その結果は、上半期は一割留保という措置が響きまして、非常な手戻りをいたしております。公共事業費予算の全体の中でわずかに二八%の支出しかできなかった状態でございます。しかし、十月から下半期に入り、十、十一月はまだそういう状態が続きましたが、十二月からは非常に活発化いたしてまいりまして、現に一月までの支出の累計を見ますと、五千六百四十億円、予算現額に比べまして六五・四%というような結果と相なっております。昨年度の同期、つまり三十九年度はそれが四千七百十六億で六一%であります。まあ相当改善を見ておるという状態でございます。
  167. 小平芳平

    小平芳平君 そこで四十一年度では、政府説明では上半期に六〇%の契約というふうに説明しておりますが、そうした具体的な見通しが立ちますか。
  168. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは相当具体的な計画のもとに進めておるわけでございます。すなわち公共事業費などにつきまして、各省ごとに、また各公団その他の機関ごとに支払いの計画を立てております。まあ例年の速度より二カ月間、契約並びに支出を促進いたしたい、こういう考え方でございます。契約ベースでは上半期中に六〇%を目標にいたしております。また、支出ではそれに伴いまして四〇%‐五〇%の間のものを上半期中にこなし得る。この間、そういう各省ごとの計画を策定いたしました上、知事会を招集いたしまして、知事にもその計画をごらん願い、御協力をお願いしたわけですが、知事もこの際、経済対策の重要な一環をなす問題でありますので、積極的に真剣に取り組む、こういう意思表示をいたしておる次第でございます。
  169. 小平芳平

    小平芳平君 ところで、もう一つの問題は、土地用地買収にどのくらいお金がかかるという点はいかがでしょう。
  170. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これまでの経過を申し上げます。  いままで建設省所管で、大体事業費の中で用地費がどれくらいかかるか、この中にはもちろん営業譲渡が入る。事業によって違いますけれども、総体的に見まして、三十六年度が一五・一%、三十七年度が一五・二%、三十八年度が一六・七%、三十九年度が一七%、こういう趨勢であります。四十年度、四十一年度もおおよそそういう見込みであります。
  171. 小平芳平

    小平芳平君 そういうように過去にそれだけの用地買収費がかかった、で、これから公共事業を上半期六〇%契約、あるいは四〇%支払い、そのための用地が確保できるというような見通しについてお尋ねをしているのです。
  172. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 事業の種数によって違うのです。道路とか、河川、あるいは住宅、いろいろありますが、おおむね最近のやり方は、全部ではございませんけれども、来年度あるいはその次の年度にやりたいということは、用地の手当てをする、いわゆる先行取得をする、こういう方法をやっておるのが大部分であります。特に住宅地等は、そうでありませんと間に合いません。ただ昨年、追加投資が御承知のようにありましたので、それをある程度食っているところもあります。それで、用地の問題が一番難渋するわけでありますけれども、これは御理解を得ると同時に努力を進めたい、かように考えておるわけであります。
  173. 小平芳平

    小平芳平君 あまり見通しはないという意味ですか。
  174. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 毎年の事業の執行は、おおむね予算の消化ができておるわけでありますから、用地の見通しはもちろんあるわけです。もちろんラフにはいきませんけれども、努力を要する、こういうことであります。
  175. 小平芳平

    小平芳平君 なかなかその土地の問題はおいそれといかないと思います。また、もう一つには、先ほど全国知事会の、大蔵大臣からお話がありましたが、これも地方財政との関係もあって、なかなかむずかしい問題だと思いますが、その点はちょっと時間がありませんので省略しますが、ほんとうに積極的にかかっていかなければ無理だと思います。そこで、土地収用法の改正について、これもきのうの御答弁では、建設大臣は、土地問題については、それは憲法問題があったからだ、その憲法の問題の解決は国会がきめることになるんだとか、いろいろな御答弁があったのですが、もう少し土地収用法そのものを改正するについての具体的な構想なり、具体的なものがありましたらお知らせ願いたい。
  176. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 土地収用法の改正案は、いま法制局を中心に具体的に案文を調整しておるところであります。相当膨大にわたりますが、その骨子というのは、まあ普通に言われておりますように、ごね得をなくする、これが大きなねらいであります。ごね得をなくするという基本的な考え方は昨日申し上げたかどうかわかりませんが、土地の性質上、土地によって正当と思われない利益は個人には帰属させない、こういういわゆる個人と申しますか、土地所有者に独占をさせない、こういう基本的な態度で収用法の改正をしていく、もう少し具体的に申し上げますと、御承知のとおり従来は事業を執行するという場合に、まず計画を立て、そしてこれを公共事業と認定するということをいたしましてから土地の調査をし、細目の公告をし、それから協議をして土地の買収にかかるわけでありますけれども、御承知のとおり時間がかかる。どうしても話し合いがつかなければ収用委員会の裁決に持っていく、裁決の時点における価格で補償をする、かようになっておりますから、まあものによって違いますけれども、一年以上三年ないし四年もかかる、その間において物価の値上がり、あるいはそういう公共事業をするためによる期待利益というものをかけて補償をする、場合によっては、事業を急ぎますから、やむを得ずある程度のものをつけて支払いをする、いろいろな場合があります。そういうことをいたしますと事業の執行もおくれますし、しかも、いまお話のとおりに用地費がますます高くなる、これでは投資効率もありませんし、事業の執行もおくれる、特に特定のたまたまそこに土地があったというだけのことで特殊の利益を得る、これは社会正義に反する、こういうたてまえから改正せんといたしておりますので、今回の改正は、ここに公共事業をする、いわゆる事業の認定をしたときの価格を正当の補償として算定して支払いをする、土地細目の公告などという複雑な手続は廃止する、その前に必要な土地は調査をして事業認定をする、かような方法を骨子としていま改正をいたしております。したがって、個人の利益といいますか、権利との調整の問題がありますから、そういう事業の認定をいたしました場合には、所有者には、その事業の施行者に買い取りの、買い上げの請求をなすことができる、まあいろいろ調整をはかる法律を準備いたしておるわけであります。
  177. 小平芳平

    小平芳平君 大体、建設大臣の御説明はわかりましたが、聞くところによりますと、もっと建設大臣としては積極的な意見を持っていたけれども、予算折衝その他で相半後退したものになって、いま御説明のあった二点を骨子とした程度になってしまった、ほんとうからいえばもっと積極的な対策がなくてはならないというお考えはございませんか。
  178. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まあ土地の問題というのは私から申し上げるまでもなく、非常な歴史的にも、また人間の感情からも、権利関係からも、あるいは経済関係からもいろいろ複雑な要素を持っております。いまお答えいたしましたのは、そういう複雑な土地対策、あるいは地価対策、その一つの要素としての収用法のことをお問いになりましたから、収用法だけのことをお答えいたしたわけでありますが、少しも私は後退をいたしているとは考えません。収用法は最初から最後までそういう考え方できておるわけであります。ただ問題は、なるほどその用地を収用されるところはそれで解決いたしますけれども、その周辺にある一般の地価対策というものは、これは収用法にかからない、それとのバランスをどうするかということが、これまた社会正義上当然のことであります。したがって、他の一般土地の、価格も、先ほど申し上げましたように土地によっては騰貴をし、あるいは特殊の利益を得るということは排除しなければならない。その原則を一般の土地にどう適用するか、この点が非常にむずかしい問題であります。  これは税制の改正によって調整をはかる。これは私の所管ではありませんけれども、一連の措置としていま大蔵省を中心に検討いたしております。従来、御承知のように土地――いわゆる不動産譲渡税、これは土地に限りますが、土地を譲渡した場合の税率を上げまして、不当な利益は多くはそういう税によって、不動産譲渡税によってこれをチェックする、こういうことをあわせて行なう。そのほかに根本的には、御承知のように土地利用計画を定めなきゃならない。これはしかし、もちろん全国の土地利用計画を立てるということは今後進めてまいりますけれども、これは努力と時間、相当の経費を要することでありますから、一番問題になっております大都市周辺は直ちに、今日ただいま必要である、こういうところから進めていく、こういうことで現在宅地審議会に専門部会を設けまして、首都圏であるとか、あるいは近畿圏であるとか、大都市において土地の問題がひんぱんに起こるところで土地利用計画を今後も立てて、これはすぐただいま間に合うというわけではありませんけれども、基本的な方策を講じなければならない。そういう一連の施策を伴って初めて地価対策が万全なものになる。  ただ、しかし、いま私が万全と申し上げましたけれども、先ほど申しましたように、非常に複雑な問題でありますから、一挙に解決するとは思いません。こういうことを施行いたしましても、やはり欠陥がそれぞれ出てくると思います。その際はそれを補う改正を次々と立てていかなければならない。土地と地価問題は私は経済の基礎である、国民生活の根本問題である、かような姿勢で、建設省のみならず政府国会、国民全体が考えていただきたい、かような希望を持っておるわけであります。
  179. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、建設大臣に特に申し上げたいことは、実際問題、計画的にいっていないのが実情だと思うんです。で、同じ建設省の中でも、はたして住宅と道路とどれだけ連携が密になっているか。こういう点がこうだぞというふうに、実際の工事にあたってはいろいろ欠陥が生ずるわけですから、そういう点を特に注意していかなきゃならないと思うのですが……。  次に、大蔵大臣に税制上の改正についてお尋ねしたい……。
  180. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま建設大臣からお話のありました方針に従いまして、土地収用を行なう場合におきまする税、これは軽減をするというふうにしたいと思います。つまり従来よりも低い価格で収用されることに相なるわけでありますから、それを緩和する趣旨であります。そうすると、近傍の土地、収用を受けないが、しかし収用の結果そこに国家施設ができる、したがって、収用を受けないその土地の地価は上がるわけであります。それを転売した人は利益を得る。これこそ国家的施設による反射的利益、つまり不労所得というようなことになりますので、それに対しましてはいままでよりも相当重課をする、こういうたてまえの税制改正をだんだんと考えておるわけであります。  この御提案する時期は、土地収用法の改正、それと同じ時期に提案をする、かような考えであります。
  181. 小平芳平

    小平芳平君 総理大臣にお尋ねしますが、この問題は非常に国民の関心が弱いのでありまして、それは単なる公共事業――公共事業はもちろん大事であるし、また個人の財産権ももちろん大事でありますし、それに対して政府がどのような検討をしているか、改正を基本的に考えていかれるか、いまいろいろ具体的に御説明がありましたが、総理大臣からまとめて基本的な構想をお聞きしたい。
  182. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が申し上げるまでもなく、最近の経済が非常な発展をして、その際にいつも問題になりますのは地価でございます。土地がその根本だと、かように実は考えておるのでありまして、先ほど来建設大臣や大蔵大臣からも、この地価問題、これを解決できるならば、経済もよほどもとを正すことにもなるのじゃないかと。その意味において物価問題なども、これをまずほぐさない限り、幾ら物価問題を真剣にやると申しましても解決できないのだ、かような観点でこの問題と今回取り組んだわけであります。  過去におきましても、しばしば地価の高騰、暴騰等が議論されて、そうしてこの地価問題と取り組んでいくということでございましたが、なかなか結論を得ない。これはもう昨日も話をいたしましたように、たいへんむずかしい問題だが、この際に、公共のため、こういうことがまず第一に考えられなければならぬだろう。そういう意味で、私権に対する制限なども適当にすべきだ。もちろん妥当性がなければ困りますが、そういう意味でごしんぼう願うということで、ただいまの収用法の改正並びに収用後の建設地域等の不当所得と見られるような、あるいは不労所得と見られるような所得に対する課税なども厳重に審査いたしましてこれを課する、いわゆる公正をはかる、こういうことでこの問題と取り組んでおるのであります。いずれそれぞれの法案審議を受けることになりますから、どうか十分御審議を賜わりたいと、かようにお願いするわけであります。
  183. 小平芳平

    小平芳平君 次に、私は賃金問題についてお尋ねいたしますが、いま景気回復の問題とも関連し、物価とも関連して、賃金問題がいろいろ国会でも論議されましたが、一つの考えとしては、賃金を上げないで賃上げを自粛していくことが企業活動が積極的になり、不況を克服するというような考え方をする人がありますが、しかし、それは無理であって、実際問題として、政府も消費者物価は五・五%上がると言っているのですし、また事実はそれ以上に物価も上がると見られます。また、賃金がストップしていたのでは、実質賃金が下がるし、消費もふえなければ生産もふえないで滞貨が増大する結果にならないかと思うのです。したがって、賃金さえ上げればそれで不況が打開されるというふうには私は考えませんけれども、それにしても、この賃上げについて相当考慮しなければならないというふうにお考えになりませんか。
  184. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生御承知のとおり、近年経済の成長に伴いまして、わが国の労働賃金というものは相当な上昇を続けてまいりました。その間、特に特徴的とも思われますことは、若年労働者の不足という観点から、若い者の賃金、特に初任給が非常に上がったということ、それからいわゆる賃金の平準化というようなことが行なわれまして、従来非常に格差の多かった大企業と中小企業の賃金の格差というものが逐次縮小してまいった。これらが非常な特徴的であると、かように思われるのであります。  しこうして、この中小企業の賃金が上がってまいったというようなことは、一面から見ますれば、確かに国民化活の向上というような点で望ましい現象も招来しておる、かように考えるわけでございます。しかしながら、また他面から考えますならば、賃金が経済の成長に伴わずに、あるいは企業の力というものに必ずしも相応せずに、あまりに機械的に一律に、あるいは大幅に、こういうことが盛んに行なわれましたならば、これは申し上げるまでもなく、いわゆる物価と賃金の悪循環というような現象も、これも起こらぬとも限らないわけでございまして、もしそういうことになりますと、結局労働者にとりましても、実質賃金の面から非常に悪い影響も起きて、好ましくない事態にもなると思います。したがって、概括的に申しますならば、いつもお答え申し上げておりますように、国民経済のやはり成長に応じて、あるいは企業の力に応じてと、こういうことで、労使の間でこういった両者の事情というものをよく考慮した上で、自主的に決定をしていただく、こういうことが、やはり経済の健全ないわゆる安定成長を来たしますためにも、またそれがひいては労働者のためにも一番望ましいことではないか、さように考えておるわけであります。
  185. 小平芳平

    小平芳平君 それで、もう一度労働大臣と、それから総理大臣にお尋ねしたいのですが、総理大臣も、いま労働大臣がちょっとおっしゃったのですが、総理は本会議で、何か、払える企業が賃上げをする、払えない企業が賃上げをするのは無理だというふうにも言われたのですが、しかし、それでは政治とは関係なしに、ただ、うちの会社は払えるから上げる、会社が払えないから上げない、それだけでは政治と関係がないのであって、やはりいま国会で論議する場合、消費者物価がはたして何%上がるか、政府が言うように五・五%上がったと考えた場合に、やはりそれ以上の賃上げが必要だというふうにお考えになりませんかどうか。ということは、いま労働大臣が説明されましたように、確かに平均の給与は上がった、実質賃金の指数は上がったということは言えたとしても、初任給だけが上がって、中高年齢層の上昇率がそれほどでないとか、あるいは中高年齢層は生活を維持するために無理して時間外労働をするとか、最近は不況だから時間外労働さえも会社がなかなかやらしてくれないというようなところから、非常に生活が苦しくなる。そういうような現状から考えても、やはり物価上昇を考える、またそれ以上に賃上げを考えるべきではありませんか。
  186. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 小平君からの御指摘がありましたように、お互いにとにかく所得はふやしたい。したがいまして、賃金労働者もその所得がふえるように、また資本家も自分たちの所得がふえるように努力して、そこに経済活動があるわけであります。  しかし、御指摘にありましたように、賃金は上がったが物価が同時に上がった、こういうことも、均衡がとれていれば、あるいはまた賃金の上がり方のほうが上であれば、これはがまんができますが、もしも物価のほうがより上がるということになれば、これは実質賃金は上がらないことになる。これではいわゆる所得をふやすということにはならないのであります。でありますから、片一方で、政治の面から物価を安定さす、こういう努力が払われる。しかし、これは政治家のやることではございますが、同時に、各界各層の御協力がなければ実は十分成果をあげることはできない。こういうような意味において、同じようにもうかっている事業で働いている人たち、これは賃金を上げるもよろしい。しかしながら、もうかっているからといって賃金ばかり上げないで、やはり物価、最終消費者にその利益を還元する、こういう努力をすべきではないか。そうすれば、物価も下げることもできるだろう。少なくとも横ばいであることもできるだろう。上げなくて済むのだ。これを実は私は指摘しているのであります。  ただいま、社会的な一般の考え方から、所得の平準化ということがいわれております。甲は幾ら幾ら取っている。だから、乙もやはり同じような金額であってほしい。これが同じような生産性のものならば、それもできますが、生産性はそれぞれみな違っている。かようなことを考えますと、所得の平準化どおりにはものごとは片づかない。だから、もうかっている会社、事業体ならば賃金も上げることもできるが、もうからないところが所得の平準化ということでこれを上げようというのは、それは無理じゃないか。だから、そのもうかっているところでも、その所得ばかりふやさないで、やはり価格を下げるという、これは幾らがいいとは申しませんが、やはり賃金あるいは配当と同時に物価、この三つに分けて、その利益分を還元していくというようなことが努力されたらどうか、こういうことを実は申したのであります。 また、その所得の平準化という意味です。工業に働く者も、あるいは農業に働く者も、中小企業に働く者も、みな同じようだ、こういうことがいわれているが、これは少し無理なんです。だから、農業や中小企業の生産性の低いものも、政治の面として生産性を上げるように努力していく、こういうことであります。また、その賃金の平準化が同時にいわれている。同一産業につとめている以上は、賃金は同じであるべきだ、これは理論的にはわかります。たとえば炭鉱ですが、炭鉱によってはもうかっている会社もある。現にもうからない会社もあるのだ。しかし、同じような石炭産業に従事している勤労者だというので、賃金は全部同一だ、こういうことが要求される。そうすると、ただいま申し上げたように、生産性の上がらない炭鉱は、これは赤字を出してくるようになる。そうすると、事業自身がつぶれることになる。労働者はその職場を失う、こういう結果になる。だから、これも、賃金の平準化もけっこうです。けっこうですが、それが行なえるような状態でなければ困る。そういう意味の労使双方の良識による賃金の解決ということがあってしかるべきだ、こういうことを実は申しているのであります。 ことにまた、ただいま問題になりました、初任給が上がった。初任給が上がれば、当然高帯年齢層も、その初任給が上がっただけに比例してやはり上がっていく、こういうような問題があるわけでございます。そうして一つの産業で初任給を上げれば、生産性の低いところでも初任給を上げなければ必要な労働力の確保ができない、これがただいまの状況であります。だから、今日物価が上がったその原因には、そういうものも一つある。だから、生産性の低い部門でも、所要の労働力確保のために、やはり同じように賃金を払わなければならない。そうすると、やはり卸売りあるいは小売りというような、その業種の差にもよりますが、小売りあたりにおいても、結局賃金の上がっただけを物価にかけていくより手がないのじゃないか。でなければ、必要な労働者の確保はできない、こういうことでありますから、ただいま非常にわかりやすい話ではありますけれども、この賃金問題は非常に複雑なものでありますし、各経済、各事業家相互がそれぞれ関連を持っておりますから、そういう意味でやはり気持ちの上で、理論的にどうこうとは申しませんが、気持ちの上でお互いにやはり物価を上げないようにひとつ協力しよう、これ以外には方法はないだろうと、かように申しておるのであります。
  187. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 初任給は上がったが、その後の昇給、特に中高年齢層については昇給がそれほどじゃないんじゃないかという御趣旨と思いますが、実は就職時の年齢別に、それらの人が三年なり五年なり勤続した場合にどうそれぞれの年齢別に変わっておるかと、こういう統計がございませんので、的確に申し上げかねるのでございますが、労働省でやりました賃金実態の総合調査というものがございます。これは各年齢群と申しますか、十八歳未満の者、それから十八歳以上二十歳未満の者、二十歳以上二十五歳未満の者、こういうぐあいに分けまして、最終的には六十歳以上の者、三十六年と四十年との間にどれだけ賃金が上昇したか、その上昇率を調べたものでございます。  ちょっとこまかくなるかもしれませんが、一応読み上げてみますと、この間に、十八歳未満の者ににおきましては、これは製造業全体でございますが、六八・二%であります。それから、十八歳以上二十歳未満の者については五五・五%、それから二十歳から二十五歳の者につきましては五七・四%、二十五歳以上三十歳未満については五一%、三十歳以上三十五歳未満については四〇・八%、それから三十五歳以上四十歳未満につきましては三六・七%、四十歳以上五十歳未満については三四・六%、五十歳以上六十歳未満については四二・一%、六十歳以上については四七・三%、こういうぐあいになっています。したがいまして、このいわゆる中高年齢層といわれる三十五歳を境にしましてそれ未満とそれ以上とかりに分けてみますと、三十五歳までの場合には、この期間に大体平均しますと五十数%上がっている。それに対して三十五歳以上の者につきましては、平均しますと四十数%と、こういうことでございますが、いかに初任給が上がり、若年層の給料が上がったと申しましても、この基本がまあ全体から申せば年齢者のほうが悔いわけですから、アップ率が若年層のほうが若干高いということはありましても、年々の上昇した絶対額とでも申しますか、これはさほどの差がないんじゃないか。その間の詳しい統計もございませんので、冒頭申し上げますように的確には申し上げかねますが。ですから、昇給が非常に悪いとか、あるいは特に中高年齢の場合に悪いとか、こういうことはあまりないんじゃないか。これから見れば、そういうふうに判断されるわけであります。
  188. 小平芳平

    小平芳平君 実は私のほうは時間の制限がありますので、もう一ぺん総理と労働大臣に重ねてお尋ねいたしますが、総理のおっしゃったことは、賃金の平準化、あるいはまた同じ産業で同じ労働をしている人は同じ賃金をもらうという考えがあると。しかし、その企業によってもうかっている企業もあるし、損している企業もある。そこで、もうかっているからといって無制限に上がるのはどうかと思うと。そういう御答弁がありましたが、私が申し上げていることは、そういう企業の利益がある、ない、そういうことを申し上げているのではなくて、私の申し上げていることは、そういう点からいえば、その同一労働同一賃金と、それからもう一つはむしろ最低賃金制です。最低賃金制というそういう、政府としては、ただ企業の利益、赤字黒字にかかわらず、やはり政策としては最低賃金制を全国画一的につくるとか、いますぐできるわけではないかもしれませんが、そういう政府の政策面のことをお尋ねしているわけで、会社の経営方針をお尋ねしておるのではないわけです。
  189. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま申し上げましたが、私がお答えいたしましたのは、まさしくこれは会社の労使双方で話し合ってきめるべき事柄であります。こういう点は政府が直ちに干渉するとこういうものではございません。この点は十分私も心得えております。政府は制度として最低賃金制、そういうものを考えろ、こういうお話、これはすでにいまちょうど改正の時期に来ている、こういうことだと、かように思いますが、いろいろ労働省におきましても調査その他の計画も持っておることだと思いますから、労働大臣からお答えいたします。
  190. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私は、先ほども申しましたように、賃金の上昇は、総理のお話のとおり、国民経済なりあるいは企業の実勢なりに応じて労使間でよくひとつお話を願いたいと、こういうことでございますが、その間お話の出ました最低賃金制の問題でございますが、これにつきましては、中央最低賃金審議会の答申に基づきまして、とりあえずはこの四十一年度末までを目標にして重要対象業種について、五百万人の者にこの最低賃金が適用されるようにと、こういうことで労働省としては推進計画を立てましてやってまいっておるわけです。それで、昨年末現在におきましては、四百十一万人から適用になってまいります。したがって、いま四十一年度末までには大体目標の五百万人には適用できるようになるかと思います。  で、またこの目安につきましても、最低賃金額自体につきましても、まあ最近の状況からいたしますと、従来のものが必ずしも適切ではないということで、先般来これも審議会に諮問をいたしておりまして、つい最近、御承知のとおり今度は全国を三段階に分かちまして、業種別というよりも地区別に今度はその基準の賃金額というものが先般答申があったわけでございますので、逐次これを適用するように指導してまいりたいと、ただいまさように考えておるわけでございます。で、その後の将来の賃金額につきましては、先般も御質疑がございましたが、どうあるべきかということについて基本的な検討を、やはり昨年の八月来中央最低貸金審議会に御検討をお願いしておると、こういう事情になっております。
  191. 小平芳平

    小平芳平君 話がちょっとほかへ行ってしまったんですが、企画庁長官にお尋ねいたしますが、消費者物価が五・五%上昇するものとして、賃金はどのくらい上昇するものとお考えでしょうか。
  192. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価が五・五%上昇する場合に賃金がどの程度という御質問でございますけれども、民間事業会社の労使間の話し合いによって賃金はきまるものでございますから、したがって、われわれが、五・五%上がるからどうだという想定は非常にしにくいと存じます。
  193. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、はっきり何%ということは、まあここでは出ないかもしれませんから、これで終わりますが、要は、物価が上がる。けれども実際問題、非常に中高年齢層の、労働大臣の御答弁では私は満足しませんけれども、非常に苦しい実情にあるわけです。実際に、超過勤務、時間外労働も中高年齢層が一生懸命やるようになってしまう。ということは、それがもう生活費になっているから、というのが実情だと思うのです。したがって、いまここで、次に私はお尋ねしたいことは、とにかく賃金もある程度は上昇するのが当然。とともに、また、政府の政策としては、景気対策として、不況対策として中小企業に思い切って力を入れるのがいいじゃないか。ということは、それこそ、高度成長で大企業が大いに設備投資をしてひずみが生じたというふうな説明がしばしばあったわけですが、したがって、やはり中小企業が相当部分を占めているわけですから、中小企業に大いに力を入れる。いままで以上の思い切った中小企業に対する政策を打ち出す。これが当然じゃないかと思いますが、いかがですか。
  194. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この物価問題を考えてみましても、景気対策のことを考えてみましても、現状におきましては、中小企業なり、あるいは農業なり、低生産部門に力を入れますことが、両面の対策として非常に私は必要なことだと思います。
  195. 小平芳平

    小平芳平君 次はまた次の機会にお尋ねするとして、税金の問題、徴税の問題についてお尋ねしますが、前に当委員会で、総理大蔵大臣も、歳入欠陥が生ずるからといって徴税強化などはしないというふうに答弁しておられましたが、実際に、最近は、たとえば国税庁が特定の業種を定めて、昭和三十八年にさかのぼって一斉に修正申告を出せと、その企業、その同じ業種の軒並みに、その修正申告を、三十八年にさかのぼって出させるというようなことをおやりになっているのです……。
  196. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 税収がはかばかしくないからここで徴税を強化するというようなことは、一切やっておりませんです。
  197. 小平芳平

    小平芳平君 修正申告について。
  198. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) しかし、これは、税務当局は税の執行を適正にしなければならぬ、これはもう今日ばかりじゃありません。ずっとやっておるわけであります。最近私が業者から話を聞くのに、そば屋に対して一斉に調査をしておる。それは何とかせいというような話を聞いております。それから、そば屋のほかはですな、米の販売店です。これも話を伺っております。しかしそれは、ただいま申し上げましたように、目をつけてやっておるわけじゃないので、そば屋につきましては、そばをつくる粉ですね、そば粉からたまたま発見されたんですが、その使用量から見て、どうもそばの申告が少ないと、こういうことがありましたので、まあ一般的に申告を是正していただきたいと、そういうようなお願いをいたしておるわけでありますが、これも話し合いをいたしまして、そう遡及をするというようなことをしないで、こういう際ですから、三十九年度の申告を修正していただくというようなことで話は落ちついております。その他、特に徴税を強化するというようなことはありません。
  199. 小平芳平

    小平芳平君 三十八年からじゃありませんか。
  200. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国税庁長官がお答え申し上げます。
  201. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お答えいたします。 最初に米屋さんの問題は、すでに新聞に出ましたので、御承知かと思いますが、いわゆる特選米の中に普通米をまぜて販売するとか、あるいは配給辞退米をやみに流す、こういうようなことで、所得の脱漏がありましたのを発見いたしましたものでございますから、これはそういった事実のあると思われる向きに対しまして、修正申告の慫慂をいたしました。これは東京国税局におきましては、すでに昨年の五月をもって終了いたしております。したがいまして、その場合には三十八年分までさかのぼった事例がございます。これはしかし昨年の五月でございますので、三十九年分と三十八年分とを修正申告をお願いしたわけでございます。米屋さんで、そのほかの大阪国税局及び名古屋国税局は、昨年の暮れから本年に入りまして修正申告の慫慂をいたしております。それからそば屋さんにつきましては、昨年の秋ごろからそういう事実が判明いたしましたので、修正申告の慫慂をいたしております。これにつきましては三十八年にさかのぼったものはほとんどございません。
  202. 小平芳平

    小平芳平君 確定申告を慫慂すると言われましたが、実際のやり方は、その三十八年にのぼって出しなさいと、それで修正申告を出さなければ市加算税をかけるぞというふうに言ってくる。それからまたお尋ねしたいのは、それじゃ実際の企業のほうで幾ら幾らと言っても、税務署のほうからは幾らと。たとえばこちらが四十三万と言った人にはあなたは九十二万、こちらが七十二万と言った人にあなたは百八十二万、こちらが九十六万と言った人に二百三十二万と、こういうふうに向こうからこう言ってくるのですね。これはどうしてそういう……何か粉か何かで根拠があってそういうふうに言ってくるのですか。
  203. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たとえばいまのそばにつきましては、そば粉の使用量から大体このくらいの売り上げをしているはずだ、こういうことがわかるわけであります。売り上げがわかりますと、それに利益の歩合をかけますと税額が出てくるわけであります。そういうことかと思います。
  204. 小平芳平

    小平芳平君 そんなに簡単に、お宅はそば粉幾ら使ったから利益が幾ら幾らだといって出ますのですか、実際問題として。
  205. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お答えいたします。 お話しのように、そば粉の使用量だけからは簡単に所得は出てまいりません。その経費の問題が使用人が効率的に働いているかどうか、そういったいろんな要素が加わってまいりますので、したがって、そば粉の仕入れ数量だけからそういうことをいたしておるのではございません。そのほかの使用人の数、それから売り上げの状況等を勘案いたしまして、まあお宅はこの程度の所得はおありではなかろうかということを、これは組合を通じまして、組合のほうと折衝いたしまして、組合のほうで申告慫慂をしていただくことにいたしておるのでございます。  なお、つけ加えて申し上げますが、修正申告しないと重加算税を課するというような脅迫がましいことは一切いたしておりません。この点は申し上げておきます。
  206. 小平芳平

    小平芳平君 こういうことがあったら、長官のほうへ言っていくようにいたしますから。
  207. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連して。そういう申告をしなければ重加算税を課するというような脅迫の事実はないというのですが、実際問題は業者のほうからそういう声が出ている。いま小平さんの話がありましたけれども、あの質問のように、四十八万といったところが、いままでの申告がそうなっている。自分のほうで計算してみるとそうなると、利益が上がっているのに、あなたのほうはこうなっていると、ぽんと吹っかけてくる。その算定の基準を聞くというと、その基礎は全然ない。税務署のほうでどうやってそういう利益を計算したのか全然見当がつかない。しかもそれは三十八年度にさかのぼっているし、いま長官は、そういうことを強要したり、おどかすというと語弊がありますけれども、そういう事実はないというんでありますけれども、実際問題には、次から次にこういう声が私どもの耳に入ってきている。その点の責任はどうお考えですか。
  208. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 私どもといたしましては、そのようなことをしないように指示いたしておりますので、現実にそういうことが起こっておるとは存じませんけれども、もしお話しのようなことでございますれば、その点につきましては事実を十分調査いたしたいと存じます。
  209. 小平芳平

    小平芳平君 次に、物価についてお尋ねいたしますが、これもきのう当委員会でずいぶん総理大臣、それから大蔵大臣等から答弁がありましたので、その続きでお尋ねいたしますから。  結局、私が考えるのには、年間五・五%消費者物価が上がるということは、非常にこれは高い上がり方であって、実際には国民生活は切り下げられてしまう。ですから、収入が伸びるならともかく、収入の固定している人はそれだけ五・五%すっぱり切り下げられたのではかなわないわけです。ところが、きのうのお話だと、いやそれは消費者物価が上がるだけで、卸売り物価は横ばいだから、そう計算どおりじゃないんだというふうなお話がありましたが、実際問題としては、国民は消費者物価で生活をしているんですから。卸売り物価で生活しているわけじゃないですから。したがって、二割上がれば二割生活内容が切り下げられてしまう、この点はそうでしょう。
  210. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) かりに収入が前年と同じだということであれば、消費者物価の五・五%の値上がりはそれだけ切り下がることになります。ただ個々の家庭については、その消費内容のいかんによりまして五・五%以上に切り下がる人もありましょうし、五・五%以下の場合もあろうかと思いますが、平均していえば五・五%と、こういうことでございます。
  211. 小平芳平

    小平芳平君 それで総理大臣にお尋ねしますが、むしろ五・五%で、たとえば貯金をしているような場合は、たとえば入学とか、結婚とか、家を買う、土地を買う、そういうような目的があるわけです。そういうような目的から見ても、五・五%よりももっと切り下げられるというのが実感じゃありませんか。
  212. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまのは、五・五%は上がり過ぎだと、かように言われるのですか。もちろん日本の物価にいたしましても、経済企画庁で、まず、さしあたりは五・五に指標を置こう、しかし、その次の指標は大体三%、こういうところへ持っていこう、アメリカのように二%あるいはそれ以下なかなかなりませんから、また、過去の倍増計画のときに、これは賃金も上がりましたが、物価も五%あるいは六%あるいは六%五と、こういうような上がり方を示しておりますから、日本の経済で五・五%にするというのは、これは相当安定さした、かように思うのでございます。ことに昨年四十年度等を見ますると、これはたいへんな上がり方でございますから、これを五・五に下げようというのは、これはたいへんな努力が要ると、かように私ども思っておりますので、一足飛びにできないことはまことに残念でございますが、まず第一の目標として、五・五にとどめるようにいたしたいものだと、かように思っております。
  213. 小平芳平

    小平芳平君 いまお話がありましたように、四十年が七・七%、四十一年が五・五%という、また、そのうちにいきなり三%になるという、それはそういう努力をするということであって、実際そういう根拠があって、計算があってやったわけじゃないというわけですね。
  214. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 重ねて申し上げますが、次の三%になると、これは努力でございます。しかし、ことし四十一年度、これはもう現実の問題でございますから、五・五、これを目標にして、これを実現するように努力する、こういう約束でございます。
  215. 小平芳平

    小平芳平君 去年四十年と、四十一年を比べた場合に、いろいろな条件――公共料金の上がりぐあい、いろんな条件から見て、どうして四十一年のほうが物価上昇率が低いと言えるか、その点が非常にわれわれはふしぎに思うのですが。
  216. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公共料金等も上がってまいりますけれども、われわれといたしましては、物価総体を下げるために全力を上げてただいま施策を進めておるわけでございまして、したがって、今回の場合は、少なくも五・五%を目標にして下げたい、そうして、かねて申し上げておりますように、本年の実情から申して、来年は昨年の実情と違いまして値段も一%下がっておりますと考えられます。したがって、努力目標として、少なくも五・五%ぐらいなものを置いて、それが達成できますようにあらゆる手を打っていくということで、私どもはそれが達成できる目標だと考えておるのでございます。
  217. 小平芳平

    小平芳平君 これは結局、目標ということで、努力するということで、それ以上を出ないと思うのですが。それから、一つ具体的な問題として、生鮮食料品の流通機構についていろいろな施策をしたんだ、していくのだということを言われておりますが、これについて御説明願いたい。
  218. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 生鮮食料品の流通問題につきましては、これは相当われわれも関心を持って、各種類について努力してまいらなければならぬと思います。申すまでもなく、物価値上げに占めます生鮮食料品のウエイトが非常に高いものでございますから、ですからこれを考えていく。そこで、一応野菜その他の安定的な価格というものを想定して、安くて農村の方々が生産意欲を失うということではまた高くなってしまいますのですから、やはり一定の安定的な価格を設けるということにしてまいる。また同町に、大都市周辺におきます指定産地制度を拡充いたしまして、今日まででも二百カ所ほどの指定産地がございますが、来年度の予算ではそれを倍ぐらいにしてまいる予定になっております。そういうことによりまして、価格の安定をはかりながらまいりますと同時に、流通機構の面におきましても、この生鮮食料品の流通過程というのは相当に旧来の形が温存されているような点もございます。したがって、都市におきます市場の組織等につきましても、われわれはさらに近代的にそれを改善する必要がございますし、また、輸送の面につきましても、あるいはコールドチェーンというような構想を入れましたのも、魚介類につきまして、今日では沿岸漁業と申すよりもどちらかと言えば大洋漁業になっておりますので、そういうところで冷凍して持ってまいりましたものを漁港において冷蔵庫設備する、それだけで足りません、さらに冷凍貨車、冷凍自動車等によりまして持ってくる、さらに都会における消費地におきましても、鮮魚等を扱っていらっしゃる方々に対してそういうものを、冷凍設備を完備していただくような力を注いでいく、そしてコールドチェーンの一環の筋道がついてまいりますと、比較的安く、また、消費者も冷凍魚は必ずしもまずいものではないという理解を得られれば、おのずからそういうものについて新しい流通機構の改善が行なわれていくと思います。  また、包装その他の関係につきましても、われわれはさらにそれは研究する必要があるのでございまして、たとえばパレット輸送というようなことも考えられておりますし、そういうような輸送経費の削除というような問題についても一そう検討もし、また、現に検討の結果としていいというものについては努力をしてまいらなければならぬと思います。  それからまた、都市におきます自動車販売というような問題もございます。団地等がございまして自動車でもって販売をする。これなどもやはり現状の中小の野菜あるいは魚等を売っていらっしゃる方の相当な既得権を侵されやしないかという反対もございますが、しかし、それらの方々の理解と、あるいは御教導を得て、そういう方々が組合をつくったり何かして、そういう自動車販売というようなことが行なわれますれば、これもまた非常に消費者のためには便利であり、また、価格等にも影響してくると思います。これはもう一連の施策を十分推進してまいることが必要でございまして、それには若干のやはり時間を要するのでございますけれども、物価問題というのは当面の問題であると同時に、将来再びこういうことが起こらないように、今日からいろいろな問題を築き上げてまいらなければならないと思います。当面の対策として緊急輸入その他で押えていく、あるいは値上げムードに押されて値上げをするというようなことを押えてまいりますことは当然でございますけれども、再びこういうことを繰り返さないために、将来の対策としていま申し上げたようなものもじみちに築き上げてまいることが必要だと思います。したがって、若干の年月、歳日をいただきたいと私が申しておるのも、そういう点でございます。
  219. 小平芳平

    小平芳平君 具体的な問題になりますと非常にこまかい問題になるのと、それからまた、具体的な問題によらなければ意味がないのと、非常にここで時間との関係があるわけですが、そこで農林大臣に一つお尋ねしますが、一つは、農林大臣として物価対策の一環として、野菜、それから中央卸売り市場、それから肉用牛の繁殖育成センターですか、そういうようなことによりて今年度どの程度、こういう点が実際実現できるという点が昭和四十一年にどの程度見通しがつくか、それが一つと、もう一つは、中央卸売り市場は、法律では十五万人以上の都市に置くことになっているそうですが、ないところがだいぶあるようですが、その現状と理由についてお尋ねしたい。
  220. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ちょっと簡単になかなか申し上げにくいところもありますが、まず、中央卸売り市場の面については、とにかく設備の是正をやっておりますのでございまするが、そのほかに、取引の問題につきまして、たとえば量をあまり小さいやつを出しておってもいかぬものですから、大きくしていくのでやっていますが、最近は三年くらいの間に二倍ぐらいの大きさに単位がなってきております。  それから、せりのほうですけれども、せりのほうにしても、小さいやつをあちこちでごそごそやってもいけませんので、これはやはり共同せりということをだいぶ奨励しております。  それからまた、仲買いのほうでございますが、これの法人化なり、あるいは大型化、いわゆる大きく統合するといったようなことを勧奨しております。これらの点は、勧奨はしておるけれども、そう簡単にはなかなか進みにくいのでございますが、ある程度は進捗いたしております。  それから、卸のほうでもう一つ手数料の合理化をやっております。これは若干、いま数字はちょっと忘れましたが、ごく若干でございますが下がっておるのでございます。  それから、問題は、やはり一番大きなのは小売りの問題の段階だと思います。昨日も申しましたように、リンゴ一つ農家から放すのが四円だが、東京へきてみると四十円も五十円もしておるというような問題が実はあるわけです。そういう問題は卸の問題よりもむしろ小売り段階だと私は思います。したがって、小売り機構の近代化というものが、それはやはり非常に必要だと思います。しかし、これはなかなかむずかしいし、問題がございまして、現在、したがって、私のほうでは専門家と当業者一緒になって研究をいましておるところでございます。去年まで一つの案をお願いしておったのでございますが、成立しなかったわけでございますが、非常にやはりむずかしい問題でございます。しかし、これはどうしてもその小売りの問題に遊んでいきたい、かように思います。  それから、物資別になると非常にこまかくなりまして、ほんとうに恐縮でございます。きのうも申し上げたのでございますが、野菜は流通というだけでなしに、生産と流通と一番結びついておる品物であることは御存じのとおりでございます。いわゆる圃場から市場へと言ったほうがよかろうと思うくらいであります。つまり貯蔵も非常に困難であるし、経営も小さい。そして散在しておる、こういう品物でございますから、流通だけ離して言うわけにもいきませんし、生歴だけ離して言うわけにもいきません。これは全く圃場から市場へという性格を持っておりますから、両々相まってこれらの問題を進めなければならぬことはおわかりのことであろうと思います。したがって、先ほど企画庁長官からお話が大体ありましたようなことで、指定産地をふやしてまいります。これは、ことしは三百十の地帯を推定にして、それから、単に指定産地だけでなしに、それに近代化を加えていこう、かん水施設をつくったり、それから農道を入れたりして働きやすいように生産の力をつけていくという意味で、近代化をそこへはかっていこう、これは一ぺんになかなかできませんので、時間はかかりますけれども、そういう方向にいく、また、そうやるには集団していなければなりませんので、散在したものを、これは強制的にというわけにはいきませんが、でき得る限り集団して、そしてそれらの分化、いわゆる近代化をはかっていこう。それから、単に生産手段の近代化ばかりでなしに、出荷の近代化も、集荷場等の荷づくり所とか、そういう点についても、近代化というものをはかってまいるわけでございます。それから、それだけでなしに、値段があまり暴落したのでは、その次はうまくつくれない、これは御存じのとおりでございますので、あまり暴落することはこれは困るのでありますから、それを補償する意味の制度をつくっておりますが、それに、本年からは政府みずからそれに力を加えていこう、こういうことを加えておるわけでございます。 それから、なお、市場の市場関係をよくわからなければいきませんので、産地の市場関係をよく見るようにいたしていくわけでございます。それから、単につくれ、つくれと言ってもいきませんので、その三百十の産地にはやはり指導員を置いて、それは農協なんかに置くことにしたいと思いまするが、それが生産の指導、それからいろいろの点についての話相手、それから出荷についての話相手もやらそうというので、今年はそれも加えてやっていこう、こういうので相当具体化して今度は進んでいこうという考え方でございます。  それから、肉のほうでございますが、あまり長くなると……。それで、そういういろいろなことやるので、いますぐこれにどうということを無理に言わされますと、たいへん間違ったことを言いますから、それはでき得る限り効果をあげるようにしたい、こう考えて、ひとつ御了承を願いたい。
  221. 小平芳平

    小平芳平君 中央卸売り市場のことにつきまして……。
  222. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 中央卸売り市場の個所数の問題につきまして……。
  223. 森本修

    政府委員(森本修君) 現在中央卸売り市場を設置しております都市は二十三ございます。で、あと一、二年いたしますと、四都市設置をする予定になっております。なお、十一あるいは十二の都市におきまして、目下中央卸売り市場を設置することについて検討をいたしております。いずれにいたしましても、土地の取得、あるいは卸売り人の収容等につきまして、若干の準備が要りますので、なるべく早く設置をするように指導をしておりますけれども、準備期間が要ることを御了承願います。
  224. 小平芳平

    小平芳平君 農林大臣、中央卸売り市場は、いま局長答弁されたように、土地の取得や準備以外に、なぜ少ないか、ほかに原因はございませんか。
  225. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ちょっとあまり――お答えが違うかもしれませんが、私は中央卸売り市場の場合と、それから地方都市の場合との行き方が非常に違いやせぬかと思っておるのでございます。それで、たとえば、私はヨーロッパを見ましたときに、国によって非常に違いまして、地方的な、小さな地方都市にはやはり市が立ちますですね。ドイツなんかは、州市というやつがあって、そこに全部商売屋も店を出すし、それから農家も店を出す。そこに家庭の人が買いに行くという、その州市が至るところに出るということがあります。ところが、東京のような大きな都市になりますと、それも場合によったらある程度必要な場合もあろうと思いますが、量的に絶対だめですな。やはり中央卸売り市場ということでいかないとだめなように私は思うのでございます。そういう点に、いろいろその都市の姿によっての違いがかなりあると思います。
  226. 小平芳平

    小平芳平君 どうもあまり話がむずかしいので、次に行きます。  公取の委員長さん、たいへんお待たせしまして恐縮でしたが、二月一日と二日に公正取引委員会が、セメントあるいは製粉業界に価格協定の疑いがあるとして、家宅捜索をしたというふうに報道されております。こうした公取の働きに対しては、消費者は非常な期待を持っているわけでありますが、そういう期待はさることながら、公取として、今後の方針として、価格をつり上げていくようなやみカルテル、そういうものは当然取り締まっていく、また、波及して起きるいろいろな問題、特に通産省が不満を表明したというような報道もありましたが、そういうような点についてのお考えをお尋ねしたい。
  227. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 申すまでもなく公正取引委員会は、独占禁止法の指導の任にあたっているものでございまして、あえて価格統制の任にあたるものではございませんけれども、現在の物価事情にかんがみまして、独禁法の運用によりまして、少しでも物価対策にお役に立つ仕事についてはできるだけ推進いたしたい、こう思っておるつもりでございます。もちろん、物価だけに関係あるものだけがいたすわけでございませんで、独占禁止法の違反の疑いがございますれば、私どもの職責といたしましてこれを取り締まらなければならないわけでございます。  セメント、小麦粉の問題につきましても、そういった疑いから私ども審査いたしたわけでございまして、まあその内容につきましては、現在まだ審査を完結いたしておりませんので、ここで御報告申し上げます白山を持たないのでございますが、今後におきましても違法なカルテル行為、特に価格協定によって価格が引き上げられていく、こういう行為につきましては、公正取引委員会といたしましてもどんどんこれを取り締まっていきたい、こう考えております。  なお、先ほどセメントの事件のときに、通産省から何か不満はなかったか、こういうお話でございますけれども、これはまあ新聞のゴシップでございまして、私どもほんとうにそういうふうに当局の方がおっしゃったとは思っておりません。あくまでもやはり独占禁止法違反の事件につきましては、公正取引委員会といたしましては、独自の立場で今後とも取り締まっていくつもりでございます。
  228. 小平芳平

    小平芳平君 それから、もう一つ委員長にお尋ねしますが、再販価格維持行為を禁止する方向で、これは独禁法の改正もあり得るというように報道されておりましたが、この点についてはいかがでしょう。
  229. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 再販売価格維持契約、これはまあ存在の理由もあること、でございまして、それで昭和二十八年の改正で加えられたわけでございますが、現在の物価関係から申しまして、やっぱり再検討すべきものをたぶんに持っているように思います。そこで、とりあえず、現在公正取引委員会で指定いたしておりました商品九品目につきまして選定をいたしまして、とりあえず、いままでほとんど行なわれておらない三品目について指定を取り消し、一品目についてはきわめて範囲を限局いたしまして、海外旅行者免税のものに限るということにいたしまして、今後その面について起こり得るところの再販売価格維持契約を事前に防ぐ、こういうことをいたしました。これはもちろんほんの序の口でございまして、なお、残る五品目につきまして、はたして独占禁止法上の要件でございます自由な競争が行なわれているかどうか、まあ、こういう点も施行当初認められたものからただいままで、だいぶ時日も経過いたしておることでございますので、現に行なわれているものにつきましても、そういう条件に当てはまるかどうかについて十分検討してみたい。そして、もし自由な競争が行なわれてないということになれば、品目について指定の取り消しを行なうわけでごございます。なお、物価対策の問題といたしましては、公に認められている再販売価格維持契約だけでなくて、認められておらない商品について再販売価格維持行為が行なわれている疑いが多分にございますので、そういう品目につきましては、どしどしひとつ私のほうで調査して取り締まっていきたい、こう考えております。  なお、法律の改正云々でございますが、こういう点はもっとさらに内容を検討いたしましてからのことでございまして、目下のところ、法律の改正をどうこうというふうには考えておりません。現行品目について十分に検討いたし、それとともに実態の把握につとめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  230. 小平芳平

    小平芳平君 通産大臣にお尋ねしますが、いまの独禁法の問題ですが、これはいま公取委員長が御答弁なさったとおりでよろしゅうございますか。通産省として、特に生産者の立場から御意見がございますか。
  231. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 公取委員会が独禁法の規定に従って活動することに異論は何もありません。
  232. 小平芳平

    小平芳平君 次に、国鉄運賃についてお尋ねします。国鉄運賃の値上げについては、もうしばしば論義されてまいりましたので、いろいろの点が明らかになっているわけですが、私としては、第一に、政府の都市の建設や、あるいは産業配置が無計画である。また、その結果、過密都市を生じ、交通難をもたらしている、こういうような政治の貧困というものが原因になって非常に国鉄の経営を困難にさせたのじゃないか。しかも、その国鉄運賃の値上げは大きく物価に影響する、この段階でなぜ値上げしなければならないか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  233. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 大都市近郊の交通事情が非常に逼迫いたしました大きな理由は、やはり日本の高度経済成長等の影響が多分にあると思います。非常にこの交通運輸等に対する需要が増大しましたのに対して、施設がそれについていっておらなかった、こういうことが今日の交通の異常な問題を起こしておる事情でございます。そこで、この交通情勢を緩和するために、御承知のように、第三次長期計画が策定されたのでございますが、その第三次長期計画のねらっております第一は、大都市の通勤通学等の緩和、これに約五千数一億をつぎ込むことになっております。さらに幹線輸送の逼迫を緩和していくということ、さらに保安確保のためにできるだけの万全の措置をとる、こういうことが内容となっておるのでございまして、そのために三兆に近い二兆九千数百億というような大きな資金をつぎ込むことになっております。その資金の根拠は、財政投融資、さらに政府出資等、それから運賃収入、こういうことでまかなう以外にないのでございますが、御承知のように、財政状況も勘案いたしまして、現在の段階政府出資等を大きくつぎ込むというわけにまいりませんので財投をふやす、それから、一部は運賃というものを是正していただいて、そうして運賃収入による利子のつかない自己資金というものも強化していく、そういうふうに考えて今回の第三次長期計画は立案されておるわけでございます。
  234. 小平芳平

    小平芳平君 それで、国鉄は独立採算制という面もあるし、また、一面、公共性というものがあるんだ、したがって、赤字だから値上げするというのじゃなくて、そこでもって企業努力がまず第一だと思いますが、この点はいかがですか。どのように企業努力をしてこられたか。
  235. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄といたしましては、まあ国鉄運営全体に相当合理化を促進するとか、あらゆる面に企業努力を続けてきておりますが、たとえて一つ申し上げますと、人員等をふやさないようにして、現状の人員で第三次長期計画を完遂していこうというような、そういうふうにあらゆる面にくふう、努力を続けて今日の国鉄経営をやってきておるという状態でございます。
  236. 小平芳平

    小平芳平君 非常にそういう公共料金の値上げについてはわれわれは反対でありますが、時間の関係で次へまいります。  医療制度についてお尋ねしますが、現行の医療制度は多くの欠陥がある。医療保険が膨大な赤字財政となって、いつも問題になっております。しかし、この問題解決のために論議されていることは、たとえば診療側は診療側の利益、支払い側は支払い側の利益というものを非常に強調する。また、政府は当面の赤字対策というものにきゅうきゅうとしている。そういう現状でありますので、特に政府は場当たり的な赤字対策ばかりでなくて、医療制度の根本的なあるべき姿というものを考えていかなくちゃならないと思いますが、いかがですか。
  237. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま小平さんからお話がありましたように、近年保険財政が、受診率の上昇、給付内容の改善等に伴いまして、急速に財政の悪化をみております。しかし、一面におきまして、医療の国民皆保険によりまして国民の健康は著しく増進をいたしておるのでありまして、保険財政は赤字でごさいますけれども、健康環境は黒字である、国民の寿命は戦後になりまして二十歳ほど延びておるわけでございます。ただ、そこで、この保険財政をどうして立て直していくかという問題でございますが、これは御指摘のように、支払い側と診療者側との間に非常な意見の相違、また、利害の対立がございまして、政府はこの町方の主張を調整をし、中央医療協なり、あるいは社会保険審議会、社会保障制度審議会を通じまして、十分各方面の御意見を聞いて根本的な対策を立てようといたしておるのであります。当面、政府管掌の健康保険におきましても、あるいは日雇健保におきましても、また、船員保険におきましても、財政が非常に悪化しておりますので、当面の財政対策を講ずることといたしまして、先般社会保険審議会の御答申を得て保険三法の改正案を今国会に提案をいたしておる次第でございます。私は、引き続き、この当面の対策のほかに、御指摘の抜本的な制度の改善策につきまして、近く中医協及び社会保険審議会、社会保障制度審議会等に諮問をいたすことといたしておりまして、目下厚生省の内部に対策委員会を設けまして、諮問案をせっかく検討中でございます。
  238. 小平芳平

    小平芳平君 たとえばこの支払い側のほうの新聞を見ますと、そうすると、現在の医療制度の欠陥は支払い体系の合理化が先決問題である、したがって、第三者機関による医業の経営実態調査を行なうべきである、不正をなくすべきである、あるいは医薬分業をもっと進めて、お医者さんが薬でもうけなくてよいような制度にすべきである、ともに、また、医師の技術をちゃんと尊重した制度にすべきであるというような具体的な主張に対してのお考えはいかがですか。
  239. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま御指摘がございましたように、診療者側及び支払い者側にそれぞれの主張がございます。まず、支払い者側におきましては、診療報酬体系の適正化を早急にはかるべきである、その前提として医業経営の実態調査を行なうべきである、また、薬価基準を決定いたしますところのバルクラインにつきましても再検討をすべきである、こういう御提案があるわけであります。また、一面、診療側といたしましては、日本の医療保険制度がたくさんに分かれておる、この制度間において、負担の面におきましても、また、給付の内容においてもアンバランスがある。そこで、各種医療保険制度を総合調整し、さらに進んでは、これを一本化すべきである、こういう御主張がありますることを私は承知いたしておるのであります。しかし、これは日本の医療保障制度を改善いたしますためには、いずれも根本的な問題でございまして、私は今後それぞれの審議機関にお諮りをいたしまして、各方面の御意見を十分聴取いたしまして、制度の根本的改善をできるだけ早く実行いたし、四十二年度の予算編成には、ぜひそのことを織り込んだ法律の改正をしたいと考えておるわけであります。
  240. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、具体的にはちょっと入る時間がありませんので、もう一度厚生大臣と総理大臣からお答え願いたいと思いますが、いま私の申し上げましたように、また、厚生大臣もお話なさったように、現状いろいろの問題点があります。支払い体系の合理化、それから、また、保険者の諸団体を統合する、そういうような問題をそのままにしておいて、財政が赤字だからといってすぐ保険料を値上げする、あるいは給付率を引き下げるとか、患者の一部負担をあれするとか、そういう解決方法は非常にまずい方法であって、いま最も医療制度に要求されるものは、こうした根本問題の解決を至急にやらなくちゃならない。それには、いかんせん、両方とも利害関係もありますので、政府が推進する力にならなければいけないと思いますが、いかがですか。
  241. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この問題は、御指摘のように、たいへんむずかしい問題であります。支払い者と診療側と意見が一致しない。また、公正な中立的な委員の諸君も、その間に処して、これをいかにまとめるかということで非常に苦労しておるのであります。政府におきましても、ただ一方的に、また、非常に問題を簡単に片づけるような考え方ではございません。ただいま厚生省、大蔵省それぞれが、いかにすればほんとうにこの制度が本格的な発展をすることになるだろうか、こういうような意味で各界の協力を得るようにまとめるというので、たいへん努力している次第でございます。この上とも私どもも努力いたしますが、それぞれの方々もこの問題の健全な発展のために力をかしていただきたいとお願いをいたすわけであります。
  242. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま総理からお答えがございましたように、当面の臨時応急の対策は、先ほど申し上げましたように、保険三法の改正案として木田会に御提案をし、御審議を願うことにいたしておりますが、これではどうしても長期にわたっての保険財政の安定をはかることができない、こういう観点に立ちまして、根本的な改善策につきまして、引き続き政府として熱意をもって努力をする所存でございます。
  243. 小平芳平

    小平芳平君 次に、生活保護の問題についてお尋ねをしますが、生活保護の扶助基準、標準四人世帯、東京で現行一万八千二百四円、それを今度は扶助基準を平均一三・五%引き上げるという、こういう政府数字には理論的な根拠はないわけですか。
  244. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 生活保護基準を決定いたします場合におきましては、一般国民の消費生活の水準、また、社会経済的な諸問題を考慮に入れながらこれを決定をいたすのでございますが、今回昭和四十一年度におきまして一三・五%の引き上げをいたしましたのは、経済見通しによりますと、一般の消費水準の上昇は一〇・二%程度に見込まれております。これに対しまして一三・五%の引き上げを行ないまして、できるだけ格差をも縮小する方向で今回一三・五%にいたした次第でございます。  なお、社会保障制度審議会から、昭和三十五年度を基準として、昭和四十五年度までに実質三倍に引き上げるべきである、改善すべきである、こういう御答申があったのでありますが、政府はこの実現に対しまして毎年努力を重ねてまいっておりまして、昭和四十年度に名目二倍、実質一・五二倍というところまできております。それに今回一三・五%の引き上げを行なった次第でございまして、四十五年度までには答申の線に到達できるように、最善の努力をいたしたいと考えております。
  245. 小平芳平

    小平芳平君 結局、理論的に八%がいいか一三・五%がいいか、かっちりきまっているわけでないと思うのですね。非常にこれは国の財政事情というようなものも関係していると思うのです。  そこで、次にお尋ねしたいことは、この運用にあたって、非常に切り下げ切り下げで、何か収入があれば減らすという――ついこの間新聞で私も見たわけですが、大阪でもって電気冷蔵庫を売れと言われて自殺したとか、あるいは四国では身体障害者が電話があるからといって生活保護を打ち切るか電話を切るかと言われて、電話を切られたとか、そういうような問題が起きているわけですが、一体この電気冷蔵庫はだめだと、売れば千円くらいしかならないのだそうですが、それでもあれば、おまえは生活保護は受けられないぞ、テレビならよろしいというようなことは、一体だれがきめるのですか。
  246. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 生活保護の運用の問題につきましてお尋ねがあったわけでありますが、この生活保護は、一般国民の生活の実情、生活水準と見合って決定いたしますことは先ほど申し上げたとおりでございます。また、その運用にあたりましても、一般国民及び特にその地域社会の方々の生活とよく照合いたしまして、これを適正に運用してまいらなければならぬわけでございます。その一般国民が、まだ電気冷蔵庫、あるいは電話につきましては普及率が非常に低い、そういう段階におきまして電気冷蔵庫でありますとか電話を保有なさっておるということは、納税者であるところの一般の周囲の国民から、額に汗をして勤労して、自分で自立してやっておられる方々から見て、自分らもまだそこまで持たないものを持っておられるというようなことは、国民感情からいっても思わしくない、おもしろくないと、こういうようなことで一定の基準をきめて、これを適正に運用するようにいたしておるわけであります。テレビ等につきましては、相当国民各層に普及しておりますので、これももう持ってもよろしいようにいたしたのであります。逐次これは一般国民の生活水準と見合って改めていく、こういう方針でございます。
  247. 小平芳平

    小平芳平君 その点はよくわかりますけれども、私がいまお尋ねしている点は、電話が何でもかでもいいかというのじゃなくて、両足不自由という特殊な身体障害者の場合だったわけですよ。また、電気冷蔵庫の場合も特殊の、自殺したというようなことがあったのにもかかわらず、大阪府の民生部長からですか、その問い合わせに対して、それはもう現行規則どおりきちきちやれと、自殺があったとか、そういうことは関係なしにびっしりやれみたいなことが出ておりますが、そういうような、場合によって、事情によって運用するというような考えがないかどうかということをお尋ねしているのですよ。
  248. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 特別な事情のあります場合にはこれを認めておるわけでございます。たとえば内職をいたしますために電気ミシンを必要とするとか、あるいは、また、バイクを必要とするとか、そういうような生活のために特に必要な事情にありますものにつきましては、一般で原則で認められないものもこれを認めておるわけであります。私どもは、第一線でこの運用に当たる方々につきましては、十分そういう点を配慮しながら、適正に運用されるようにということを指導いたしておる次第でございます。
  249. 小平芳平

    小平芳平君 次に、総理大臣に別個の問題でお尋ねしますが、地方財政とも関係する、また、大きな社会問題でもあると思いますが、競馬、競輪とかオートバイ、モーターボート競走というような、こういうようなものは廃止するという方向で検討すべきではありませんか。
  250. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 競馬、競輪、競艇等、しばしば問題になっておりますが、ただいまのところ、廃止するというような考え方を持っておりません。御承知のように、地方財政にも相当寄与いたしておりますし、また、その開催等について特別に監督も厳重にいたしておりまして、弊害等の除去に特に注意するということでただいまのような開催を計画しておるのであります。いますぐにとは、もちろんそういう考え方を持っておりません。一応過去の批判なども落ちついてまいったのではないか、かように私は感じております。
  251. 小平芳平

    小平芳平君 およそ健全娯楽とはほど遠い、あるいは家庭悲劇の原因になっている、そういう実情はありませんか。
  252. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお答えいたしましたように、相当弊害もありますから、これがいわゆるかけに没頭するようなことがあってはいかぬというので、開催なども注意しておるわけであります。また、いま御指摘になりましたような家庭悲劇も起きたというような話を聞いております。もちろんこういうことも、開催者も悪いが、同時に、その利用にあたりましても、お互いに節度を守っていかなければいかぬことだ、かように私は思います。
  253. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、地方財政といいますが、たとえば愛知県蒲郡市というところでは、三十九年一般会計の四二%がモーターボート、福岡県芦屋町というところでは三十九年一般会計の四七%が同じく競艇、大阪府箕面市というところでは同じく四四%、こういうように、まるきり財政がそういう競走事業の負担になって運営されるというような行き方でこれがけっこうな行き方だと思いますか。
  254. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 過去におきまして国会で批判のあったのもただいま御指摘のような点だと思います。やはりこういう事柄に大きく地方財源を求めるということは、これは健全ではない、かようなことが言えるだろうと私も思います。
  255. 小平芳平

    小平芳平君 健全ではないけれども廃止しないというのはどういうことか、まあ総理はあまりいいことだと思っていないと、結局。それで、私も、いますぐきょう廃止しろと言っているわけじゃないのですが、そこで、ひとつ次に通産大臣、それから運輸大臣にお尋ねいたしますが、こういうその競技を実施した団体から、県の競走会とか競技会というものがあって、そこへ交付金の形でお金がいくわけですが、それで、その交付金は一定限度で頭打ちにして、いまのようにずるずる幾らでもいくというような方式は改めたほうがいいのじゃないかと思いますが、いかがですか。それが一つ。  もう一つは、競走会や競技会の経理は、実施団体の市から報告を求められたらこれに応ずるという契約になっているから、契約どおり応ずべきだと思いますが、いかがですか。
  256. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 交付金については、売り上げが非常に多くなってきたら次第に交付金が少なくなっていくような、そういう仕組みになっております。
  257. 小平芳平

    小平芳平君 金額はふえております。
  258. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 金額がふえた場合、車券の売り上げが非常にふえてくれば交付金は漸減するということになっております。それから、また、一方においては、この交付金によって非常な剰余が出るようなことならば交付金の率を変えるというようなことで、これは弾力的に運営ができますから、頭打ちというようなそういう制度をしなくても、弾力的運営で目的を達成できると考えております。   第二の御質問である、それは経理内容に対して報告の義務を持っているわけでありますから、府県、あるいは、また、市町村の委託した公共団体が競技会に対して経理内審の報告を求めたときには、当然にそれは報告の義務があるわけです。そういう契約になっておるものでございます。
  259. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 通産大臣から答えられたとおりでございます。ただ一つ、特殊の地域につきましては、交付金がやはり相当な額にのぼるというようなところもあると思いますので、御指摘の点を注意をして、今後はそういう点は是正の方向に検討してまいりたいと思います。
  260. 小平芳平

    小平芳平君 特に第二の質問にはっきり答えていただきたい。
  261. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 第二の質問は……。
  262. 小平芳平

    小平芳平君 経理内容の……。
  263. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 経理内容の公開につきましては、実施団体と委託を受けた協会との間に約束がございますので、その約束によって実施団体が経理内容を示すようにという要請があったときには、これは示すことになっております。現在の規定でもそうでございますが、指導の方針としても、そういう場合には誠実な報告をするように強く指導してまいりたいと考えております。
  264. 小平芳平

    小平芳平君 それで、先ほど通産大臣が、交付金が売り上げによって減るように言われましたが、率は減っておりますが、金額としてはやはりふえると思いますがね。それを簡単に変えるように言われましたが、やはり法律か規則で定まっているから、とても変えられないと、こういうふうに言うのですが、特に私が申し上げたいことは、実施団体のほうから、たとえば市や県から経理内容について報告を求めても、その競技会とかそういう競走会は、断然われわれは通産省の監督を受けているのだ、われわれは運輸省の監督を受けているのだということで拒否する。そうすると、契約には応ずると契約しておきながら、わざわざ拒否するというのは、悪いことをしてなくても、何か悪いことがあるのじゃないかというような疑惑を持たれるもとにもなりますが、その点はよろしいですね。
  265. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 委託をした府県とか市町村の、長が経理内容の報告を求めれば、これは当然にすべきそういう契約になっておるのですから、注意をいたすことにいたします。
  266. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 実施者、いわゆる公共団体と委託を受けております協会との間には、いま通産大臣が答えられましたように、きちっとした契約があるのでございます。当然これは経理内容の報告を求められた場合には出さなければならないのでございまして、出しておると考えておりますけれども、御指摘等の点もありますので、厳重にそういう方向で指導をしてまいりたい、かように考えております。
  267. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小平君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  268. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) この際、委員の異動について御報告をいたします。先刻、田中寿美子君が辞任され、その補欠として中村波男君が選任されました。     ―――――――――――――
  269. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、中沢伊登子君。
  270. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 初めに佐藤総理大臣にお伺いをいたします。  佐藤総理大臣は、施政方針演説で、二度までも青少年に訴えると演説をされましたが、私ども青少年の非行化問題には非常な関心を持っております。そしてお互いに、ともどもに協力しながらよき時代を次に残していきたい、こういうふうに考えているわけですが、しかしながら、青少年に言わせれば、おとなに要求したいことがたくさんあると、こういうふうなことを青少年が私どもに言うわけですが、それはたとえていうならば、小林章議員の問題とか、あるいは新潟県知事の問題とか、あるいはピストルの密売事件とか汚職とか、いろいろそういう問題を取り上げて、おとなこそなっていないではないかと、こういうふうなことをまあ言われるわけでございます。また、総理は、すき間のない政治をしたいと、こういうふうに申されましたけれども、せっかくできたびわこ学園、あれにはお医者さんの手が足りないとか、あるいは看護婦が足りないとか、そういうことで、十分その機能を果たしていない、あるいは、また、新幹線の騒音がやかましくて、学校のほうが移転をしようかというような問題、あるいは、また、小さな問題ですけれども、学校の宿直の先生が抜け出してお酒を飲んだあげくに交通事故を起こした、こういうようないろいろな数限りのないような、あまり青少年にとってよいと思われないような事態が次々に発生をしてまいります。こういうことは、ほんとう総理の言われるすき間のない政治でなくて、むしろすき間の非常に多い政治ではないか。これは佐藤さん一人の責任ではございませんけれども、自民党の政治がずいぶん長く続いておりますから、やはり一応自民党の責任が問われるべきではないでしょうかと考えまして、ひとつ御質問させていただきます。
  271. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどの青少年のおとなに対する注文というか、批判といいますか、これは私も先週の土曜日に、直接なまの声を聞きました。ちょうど青年のつどいをいたしまして、一万二千名ばかり集まった。その中で坂井さんという婦人が、ただいまのような、もう少しおとなは話すわけにいかないのか、われわれ新聞を見ると、国会では乱闘のことばかり発表されておるが、もっと国民のために審議に熱を持ったそういう声が聞きたい、こういうような話がございました。私は、確かにそういう一面もありますし、その青少年の非行云々を申します前に、おとな自身がその身を正さなければいかない。ことに私が総理であり、また、政局を担当しておる。こういう意味におきまして、私自身がみずからの身を正すことが第一だと、かようにその責任の重いことをみずから反省もし、また、みずから自粛すべきだ、かように考えておるのでございます。私は政治家としての政治家に対する注文、これは最近の世相からも非常に多いことだと思いますし、ただいまあげられました選挙の腐敗、あるいは汚職、あるいはまた規律の乱れ等々、そういう点は枚挙にいとまがないだろう、かように思います。政治は、もちろん大きな大綱もございますが、同時に、また、日常茶飯事というようなこまかな点にも注意しなければ政治はりっぱなものにならない、かような意味で、官房長官は特にすき間のない政治ということを言っております。私はすき間のない政治というのが言える資格でもないと、かように思っておりますので、私自身は使いませんけれども、ただいま申すような官房長官が使いましたのは、これはきめこまかな、そういう落ち度のないような政治をしろと、こういうことだと思いますので、つとめて、大きくはみずからのえりを正して進むこと、同町に、また、世話をいたすにいたしましてもこまかな留意をして、そうしてただいま御指摘になりました、せっかく病院ができたけれども、お医者さんがいない、あるいは看護の手が足らない、こういうことのないように十分こまかな点にも留意すべきだ、かように私は思います。
  272. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間の十五日の晩だったかと思いますけれども、中村運輸大臣がテレビの対談の節に、飛行場を拡張しようと思っても、建設しようと思っても、付近の住民がなかなか土地を売ってくれない、協力をしてくれないというようなことを言っておられましたけれども、実は私も大阪国際空港のことで一度中村運輸大臣に陳情に伺ったことがございますけれども、その後そういうものが一体どうなっているのか、全然私の耳に返答が返ってこないわけでございますが、住民としましては、いろいろそういうことを陳情したり、あるいは要求をしてまいりましてもつんぼさじきに置かれる。そういうことで、何だかそういう政治というものが一方通行になってしまうのではないかと私は思っているわけですが、そうしますと、いろいろ皆さんのおっしゃることが、よく頭ではわかっているけれども、どうしても心では納得ができない、こういうふうなことになるのではないかと私は思うわけでございますけれども、大阪国際空港の騒音の対策のことや、あるいは補償問題、あるいはことしの予算でそういう問題がどのように予算化されているか、そのことについて御答弁をいただきたいと思います。
  273. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいま中沢委員の御質問でございますが、私は、先般中沢委員から、伊丹の空港の拡張工事のダンプカーが宝塚市内を通ってその工事を遂行しておるために、非常に宝塚の人たちが迷惑をしているが、これに対して何か対策を立ててくれぬかというような中沢委員の要求がございましたので、私はあれからすぐ航空局の職員を宝塚市当局と市議会の代表者に会わせまして、そして請負をしております業者を――宝塚市にはダンプカーの安全協会というのがございます、御承知だと思います、それに加入をいたさせまして、そして安全協会と人の安全に関する協定というものが結ばれております、その協定を順守するように実は処置いたしたのでございまして、その結果、内容でございますが、大体一日のダンプカーの通行する時間は午前七時から午後の五時までと規定いたしまして、同時に実施するようにさせましたし、さらに一日にダンプカーの土を運びます回数も、たしか何か規制をしておると思いますが、それは私詳細に回数を承知しておりません。それから、必要な場所には、中沢委員が非常に危険だとおっしゃっておりましたので、監視人を置くようにしておるはずでございます。それから、散水、道路の清掃等も十分やらせるようにいたしておるはずでございます。それから、ダンプカーの積載量、それからスピードを厳重に守るようにということで、これは約束をきちっとさせておりまして、これは私はその点はそういう処置をさせております。それから、その際に、騒音についても強く要請がございました。騒音につきましては、去年の十一月二十四日からジェット機の飛行時間を制限いたしておるはずでございます。その時間は、午後の十一時から午前六時まではジェット機の飛行をしないようにということでございます。中沢委員はあのときには、午後十時からにしてということでございましたが、御承知のように、大阪の飛行場は日米航空協定の関係でアメリカの飛行機もやがて来るようになると思います。そういう関連もありまして、十時からというのは少し無理がある、そういう事情で、羽田と同じように、十一時からということにいたしたのでございます。さらに、十二月の九日には、騒音対策委員会というものを大阪の伊丹空港を中心につくらしております。これは、地方公共団体の長と、それから航空会社の八社と、それから航空局を構成メンバーといたしまして、騒音対策につきましては、随時研究をして、地元民の意向等を取り入れていく。プロペラの飛行機につきましては、それはこの委員会でひとつ今後の研究課題としていく、こういうことで、実は騒音対策等、中沢委員のこの間強く要請されました宅塚の中に飛行場の工事のダンプカーの通ることによる危険防止の方法は、そういういま申し上げましたような形でとらしておる次第でございます。さらに、伊丹の飛行場の整備の予算等につきましては、私は詳細には記憶しておりませんので、次のいつかの機会にひとつ答えさせていただきます。
  274. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、伊丹の飛行場については調査費が計上されただけでございますね。
  275. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ちょっと答え忘れておりましたが、騒音対策調査費としまして百四十九万程度を計上いたしております。
  276. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 大蔵大臣にひとつお願いをしたいと思いますけれども、あそこら付近の小、中学校及び病院、そういったものは早く防音装置をしていただかないととてもやりきれないと思います。いまも伺ったら、やっとことし調査費が百四十九万円とかついただけだということでございますけれども、中学校というものは三年間で済んでしまう。地元の人たちが連動を起こしたのは三十九年だったと思いますけれども、騒音の中で入学して騒音の中でもう卒業してしまうと、こういうことは非常に私は問題があると思います。早急に予算を組んで防音装置をしていただきたいと思いますが、そのおつもりございますか。
  277. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 運輸大臣とも相談いたしまして、できる限りお話のようにいたしたいと思います。
  278. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間の全日空機の事故は、非常に痛ましい事故で、私どももなくなった方の冥福を祈っておるわけですけれども、大阪の国際空港のまわりには八つの町がありまして、もしもあれがあの伊丹の空港の上で起こったとしたらどんなことになるだろうかということは、非常に私どもも寒気を覚えるような問題でございますけれども、そういう問題についても、私どもはふだん騒音だけでなしに非常な危険にさらされている、こういうことでございますが、そういうことも十分心に秘めておいていただきたいと思います。同時に、まだ二十四遺体があがらないようでございますけれども、これをやはりいつまでもあのように捜索させて、企業にまかせっぱなしにしておかれるのでしょうか、いかがでしょうか、そのことをお伺いしたいと思います。
  279. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 今回の飛行機事故によりまして百三十三名の犠牲者が出まして、まことにお気の毒の限りでございますが、現存はこの遺体を引き上げることに、最初からまあ全力をあげてまいったのでございますが、御承知のように、けさまでの状態は、百九体あがりまして、あと二十四体残っておるのでございますが、しかしこれは私は最後まで一人も残らないようにぜひ引き上げたいという熱望で全努力を集中しておるわけでございます。新聞等で、あるいはテレビ等でごらんになると、何か手をゆるめておるようにお考えになる方もあるかもしれませんが、決してそういうわけではございません。現在は捜索の方法を、前のように潜水夫だけでやらせることなく、機材を全部あげてしまいましたので、大体一定の場面だという、場所が限られておるようでございますから、それに底びきを動員いたしまして、全面的に底びきでかいていくというような行き方で捜索をいたさせておるわけでありますが、きのうも五十数隻の底びき網を動員しております。それからさらに、もしも浮揚して外に流れることのないように、飛行機、ヘリコプター、それから船等で随時こう回って、沖に行くことのないように気をつけておるわけでございます。いまの段階では、水温が非常に冷たいのでございまして、まだ浮揚して流れていくというようなところまで遺体が変わっておらぬというような状態でございまして、やはり水の中にある、かように考えておるような次第であります。できる限り捜索範囲を広めまして、今日全力を集中しておるわけでございます。
  280. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 佐藤総理にもう一つお伺いしたい問題は、この間の施政方針演説で、農村の、農家の後継者をつくっていきたいというお話をしておられました。どのような方法をもって後継者をおつくりになるか、教えていただきたい。
  281. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これも私は、土曜日に農村の青年からじかに聞いた問題でございまして、この青年の諸君は、お嫁さんがなかなか来てくれない、そういうことで、自分はもう長男に生まれておるし、百姓をやるつもりで農業にいそしみますが、なかなかそういうことが恵まれないから、どうかひとつ理解ある方に来ていただきたいというような話でした。たくさんの御婦人の方も見えていましたので、その講じかに聞かれて、農業にいそしんでおる、ほんとうに熱意のある青年、これに対しては、家庭的なそういう悩みも自分たちで解消しようという協力者もあるようでございます。問題は、やはり農業がりっぱに成り立つといいますか、個々に特別な働きができる、そういう農業に私たちがつくりしげなければならない。また同時に、その農村におきましても、同じような文化生活のできるような、そういうような農村にしなければならぬ。いずれも政治の問題でございますので、ただいまは、農業の事業格差、これをなくするという最大の努力をいたしておりますし、また農業基本法ができておりますので、その目標ははっきりいたしております。また、農村生活そのものを考えると、教育、学校の問題から、同時にまた道路の問題作々、まあ総合的な面で、農村に対しましても魅力のある生き方、生活ができる、こういうことにしなければならぬと、かように私ども思って、せっかく努力している最中でございます。
  282. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私どもが農村を回るときも、農家のおかみさんたちが、自分の子供は農家にお嫁にやりたくない、そうして長男のお嫁さんは欲しいということで、ずいぶんいろいろな問題を頼まれて非常に困るわけでございますが、早急に農村を近代化していただくようにお願いしたいと思います。  文部大臣はどこかお出ましでございましたね。それでは建設大臣にお願いをいたします。  今年度の政府予算、七千三百億の国債を発行することに対して、名目を社会開発の推進とか、なかんずく住宅投資の推進をはかるというようなことで七千三百億の国債を発行なさるような様子でございましたが、実際はこの一般予算において住宅対策費が幾ら増額されたのでしょうか、またこれによって今年度幾らぐらいの公営住宅の増加が期待できるのでしょうか、御質問申し上げます。
  283. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 住宅対策は、政府といたしましては、四十一年度最大の努力をしようと、こういうことでやっておりますが、一般会計におきまして四百八十六億、昨年度と御参考までに比較いたしますが、四十年度は三百六十五億、まあ伸び率で見ますと三四%、こういうことで、いわゆる一般会計の全体の伸び一八%の中で、住宅対策については三四%の増ということをはかっておるわけであります。  なお、これはいわゆる一般会計の公営住宅等でありますが、そのほかに、御承知の住宅金融公庫、あるいは住宅公団、こういうもの、いわゆる財政投融資でまかないますものが、四十一年度二千六百十四億、昨年度――四十年度が千七百九十四億であります。これが四九%の増。合計いたしまして四十一年度三千百六十一億、四十年度が二千百五十八億であります。まあ増といたしまして千二百億、伸び率で四六%の増であります。こういうことになっております。  それから、戸数で言いますと、公営住宅が七万二千戸――七千戸の増、こういうことになっております。そのほか、公庫、公団の住宅があるわけでございます。
  284. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまのは財政投融資もみなひっくるめてですか、一般会計からだけですか。
  285. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど予算を申し上げましたのは、一般会計において三四%の増、財政投融資だけで計算いたしますと四九%の増、それを合計いたしますと四六%の増と、こういうことになるわけでございます。
  286. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 都道府県への補助が相当低いですから、それと自治体が非常にいま財政に困っておりますので、この公営住宅の七万二千戸というのが二分の一ぐらいひょっとしたらできないのじゃないかというような心配をいたしておりますが、いかがでございますか。
  287. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 従前も公営住宅の消化ができなかったことはございますが、お説のとおりに、いわゆる建築単価増等によりまして、あるいは用地の問題等、いわゆる地方負担が多くなりますので、地方もなかなか困難をなされておる。こういう点で、四十年度もその点を是正いたしましたが、四十一年度は重ねて建築単価を上げ、なお用地費一五%、建築単価では、いろいろ建築の構造がバラエティがありますから、七%から一六%のアップをいたしました、昨年度に比べて。用地が一五%のアップをいたしました。いわゆる地方負担をできるだけ軽減すると、こういう措置をとっておりますと同時に、公共事業全般でありますけれども、特に住宅問題は緊急性がありますから、地方の負担については、もし地方負担の不足分は起債を充当すると、そういう手配をいたしておりますから、心配ないと思います。
  288. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、文部大臣が見えたようですが、文部大臣に一つお尋ねをいたします。  早稲田の大学の問題は、とうとう最悪の事態になってしまったようでございますが、政府のほうのいろいろな御意見は新聞紙上で伺ってはおりますけれども、一体ああいう私学の騒動、あれの根本の原因は何でございましょうか。
  289. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まことに遺憾な事態になっておりますが、事の起こりは、第二学生会館を新しくつくって、その管理運営の問題、それから、いろいろな学校の諸経費等から見て、学生の負担を引き上げなければならないということで、授業料値上げ等の問題がありましたので惹起しておるのが直接の原因でございますが、なお現在の実態を見ておりますと、なかなか実情は複雑のようでございます。それらについては、またしかるべき機会に申し上げるというふうにいたしたいと思います。
  290. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、今度の問題なんかを通じて非常に大きな問題は、国立、公立学校、私立学校との格差があまりに大き過ぎる、こういうことに私は一つの原因があると思います。憲法には教育の機会均等ということがうたわれておりますが、私の調べたところでは、もしも今度試験を受けて国公立に入りますと、まず国公立は一番初めに納める費用が入学金あるいは一年間の月謝で約二万円、私立学校においては、平均約十九万八千円、このように大きな格差があるわけです。しかも、国公立の学校というのは、大半が税金でまかなわれている。私立に入る人も税金を払っているけれども、私学の月謝はみんな自分が払わなければならない。こういうところに非常に大きな原因があるように私は思いますが、国公立の学生は一年間教育されるのに、税金が一人七十六万円使われている。私立の学生はわずか四千円余りしか使われない。こういうところに、私は、現在機会均等がうたわれているのに、格差があまりに大きいのではないか、こういうふうなことを感ずるわけですけれども、私立大学にも先生や何かの人件費をも含めてもっとたくさんの助成を考えていただきたい、このように考えますが、いかがですか。
  291. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに、御指摘のとおり、非常な格差を今日は生じております。  そこで、私学のあり方について、私学にはそれぞれ発達の歴史もあるわけでございます。いかにあるべきかということは、実は日本の現状としては簡単には結論が出せませんので、私学振興に政府として極力力を注ぐべきであることはわかりますが、どうあるべきかということにつきまして、昨年の国会で私学振興調査会を設けていただくことになりまして、鋭意この検討を続けておる次第で、適切な結論を得て、私どもとしましては、できるだけ是正をし、改善の方向努力をしていきたい、かように考えております。
  292. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 大蔵大臣にお願いをしたいと思いますけれども、私学に寄付をいたしますと、その寄付金に税金がかけられる。しかも、寄付をしたこっちのふところまでも何かさぐられるような気がするわけでございますけれども、私学に寄付をするその寄付金に税金をかけない、こういうようなことができないものでしょうか。  それが一つと、それから、この前の夏の国会のときに、私が質問をして、要望をいたしておきましたが、私立大学の学生の学費に対して、生命保険料が税金控除の対象になるように、私学の学費に対して税金控除の対象にすることを考えてみていただきたいということを要望しておきましたけれども、そういうことにお考えをしていただけましたかどうか。
  293. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず私学の人に税金を見てあげる、減税をするというお話は、この前もよく伺ったわけでございます。いろいろ検討いたしてみたのでございますが、いま所得税体系として、基礎控除、これがまだ上げておらぬ、こういうふうに結論としてはなったわけであります。今度基礎控除を上げまして、課税最低限を引き上げる。かたがた、中堅所得階層、中堅低額所得階層、この税率を改正するということにいたしまして、この国会でお願いをすることにいたしたわけでございます。ただ、前々からあるのでございますが、勤労学生、それから身体障害者、これは特別の控除制度を三十七年からとっております。それにつきましては、適用範囲を拡大する。つまり、学生につきましては、いままでは一般的な定時制の生徒というようなことでございましたけれども、特定の、いわゆる特定科目をやる各種学校、そういうものにつきましてもいろいろ見るというようなこと、また身体障害者のほうもそういう拡大をいたしまして、なるべく御要望の趣旨には沿うことにいたしたのですが、まだ全面的とは言いかねるのでございます。  それから、寄付金の問題でございますが、これは極端な意見になりますると、寄付金は全部免税にしてしまえというような意見もあります。しかし、これは結局、それだけ国民の国家に対する納税が減るわけであります。寄付に対して免税をいたしますことは、国の財政、つまり国民全体の犠牲において特定の学校に対する寄付が行なわれる、こういうことになるわけであります。その結果としては、寄付者が相当顔をきかせるというような事態にもなり、その特定の寄付者に対しまして特定の恩典を与えるということにもなるわけであります。ですから、全額とか、大幅とか、これはなかなかむずかしいだろうと思います。しかし、これは現実の問題といたしまして、まあ学校だとか、あるいは福祉社会事業とか、そういうものに対する寄付は、ある程度これは税額を緩和することを考えたほうが実際的である、そういうふうに考えまして、四十一年度の税制改正におきましては、多少の税率の緩和を行ないますとか、あるいは寄付をする基準を――寄付をした場合、免税になる基準に相当きびしい制限があったわけです。たとえば、一つの事業に対して五十人の寄付者がなければそれは免税に該当しないというようなことになっておったが、これを十人にいたしますとか、あるいは一つの事業に対する寄付、その一人のシェアが二〇%をこえてはならないというような制限があったのですが、これを五〇%までゆるめるとか、そういういろいろ実際に即した措置はとっておるのですけれども、今日の段階とすると、その程度が精一ぱいのところではあるまいか、さように考えておるわけであります。
  294. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう一つ文部大臣にお尋ねをしたいことは、公立高等学校の一クラスの定員のことでございますが、ちょうどタイミングよく、この問題を質問しようかと思いましたら、けさの新聞に、何か閣議決定で現行の高校標準法の附則五項、六項、あれを撤廃するとかなんとかいうことが出ておりましたが、これを撤廃なさることは決定されたわけですか。
  295. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) けさの閣議で最終的に決定いたしましたが、御承知のとおり、高校生急増期間に限りまして、特例として五十五人ということになっておりまして、昭和四十二年から急増期でなくなりますから、本則の五十人に戻るわけでありますが、県によって格差ができておりますから、そこで一部の県については、今年から五十人の本則に戻る。それから中間の県においては五十三人で今年一年がまんしていただく、こういうような是正措置を、標準法の改正をすることになりました。本日決定しましたから、近々に提案をして御審議を願うことにいたしたいと思っております。
  296. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 時間がもう来ておりますので……。
  297. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう一つだけ、もしも緩和されたその府県が、財政上その他の理由で実施できないような事態が起きたときはどうなさいますか。これはこのことをお伺いするのは、実は兵庫県のほうから何かそういうふうな陳情が参っておりますので、ひょっとして兵庫県がこれの適用を受けないのではないかということを心配されておりますので、ひとつそのことにお答えをいただきたい。
  298. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答えいたします。 兵庫県は適用になることになっております。そこで問題は、兵庫県なら兵庫県について申しますと、本年から五十人の本則に戻りますわけで、したがって、自治省の交付税の算定の基礎がそういうことになってまいります。
  299. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 中沢君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  300. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、岩間正男君。
  301. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、いま焦点になっている国鉄運賃値上げ問題で質問するはずでありましたが、これは運輸委員会のほうに時間の関係から譲って、主として外交、防衛問題について、総理並びに外相の意見をただしたい。  第一にお伺いしたいのは、下田外務次官の核問題に対する発言は、その後多くの論議を呼んだようです。この問題について、総理大臣や外務大臣は、事前にこのことを知っておったのかどうか、このことを先にお伺いします。
  302. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 外務大臣からお答えいたさせます。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 知っているかどうかということは、総理しか答えられない。
  304. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事前には知らない。新聞記者会見する前は知らない。
  305. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 記者会見の結果新聞に出て初めて知ったのでありますが、しかし内容は、これはもうしょっちゅう話し合っておることでございますから、別段目新しい問題ではないのであります。
  306. 岩間正男

    ○岩間正男君 目新しい問題でないと言っているが、まるで食い違ったあとで統一見解を出しているんでしょう。私は一事務次官に、上司に相談もなくこんな重大問題について発言させる、そしてすぐにそれを取り消さねばならないというようなことになるというと、これは非常にまずいと思う。これは日本外交そのものが非常に混乱している、不統一だと、こういうことを国際的にもこれはさらけ出した最も具体的な例じゃないかと思いますが、この点について佐藤総理どう思いますか。
  307. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま岩間君のような考え方は、私はしておりません。下田君の新聞に発表した、しゃべったことが真意がつかまれてなかった。各紙におきましてもそれが同一でないところから見ましても、真意を十分つかんでおらない、かように私は思っております。先ほど外務大臣からお答えいたしましたように、その平素話し合っていることと別に変わりはないという報告は、私は聞いております。
  308. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは政府の統一見解というものをここで、この本院でも明らかにしてもらいたい。
  309. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 下田発言には、二つの事柄が含まれております。一つは核拡散防止協定、この問題はソ連、アメリカそれぞれ提案をしておるが、まだ核を開発しておらぬところに対してこれをつくらない、また譲り受けない、いかなる方法でも新しく核に近づかない、こういう約束をせよと、こういう点が非常に顕著に出ておって、すでに持っておる、開発しておる核所有国を縛るという点が、非常に微弱なんです。それで最近ソ連は、非核保有国に対しては核保有国が攻撃を加えない、核攻撃を加えない、こう言っておる。それからアメリカは、核を持たぬ国も、核に対する計画というものに参画できる、そういうようなことを追加的につけ足しておる程度でございます。それで、それではいかぬので、核保有能力を持っておる数国の間においてもうすでに論議が出ておりますとおり、持てる国がしかも開発しない、そういう努力をしておるんだから、持っておる核保有国も、漸次核兵器の縮小をすべきである。そうして最後には全面軍縮に到達するというような姿勢を示すべきだ。そうじゃないと、ただ、持っているところはそのままにして、持たないところに持つな持つなと言うだけでは、説得力が非常に薄いのではないかという、この問題が第一点。第二点は、核のかさに入るか入らぬかというようなまあ問題、この二つの問題があるのであります。  それで主要な問題は第一点でありますが、第一点については、これはもう絶えず内部で論議しておって、別にこと新しい問題ではない、こういうことをまあ申し上げたわけであります。   第二の核のかさの問題については、これは非常にあいまいなんですね、核のかさというのは、どの程度のことを言っているのかよくわからない。そこでこの問題について世間の誤解が非常に多いと思うので、それでこれはあらためて統一見解というものを発表した次第であります。その内容は核のかさという表現は、きわめてあいまいな意味を持っておるのであるから、日本が核のかさに入るべきかいなかを断定的に論議するということは適当でない。そこで現在の図際情勢において、米国の持っている核報復力が全面戦争の発生を抑止するきわめて大きな要素をなしているのであるから、日本もこのような一般的意味における核のかさに入ることを否定するものではない。もし米国の核戦力によって国家の安全を保障されておるということが、核のかさに入っておるということを意味するなら、それは日本も核のかさに入っておることになる。しかし核のかさに入るということが、日本を核兵器の基地にしたり、あるいは北大西洋条約機構内部で論議されておるような多角的な核戦力のごときものがアジアに設けられた場合に、これに日本が参加するというような意味であるならば、これはこのような計画は存在しないし、また今後も日本はそのような計画に参加するつもりはない。でありますから、核のかさとは一体何であるかということがはっきりしないのですから、それで新しく核兵器の基地を提供するとか、あるいは核の持ち込みを許すとか、あるいはまた多角的な核戦力体制というものができて、それに参加するというものならば、そういうことは日本は参加しないし、またこれを認めようともしておらぬと、こういうことが統一見解であります。
  310. 岩間正男

    ○岩間正男君 二つはやはり明らかに食い違いあるでしょう、少くとも。第一の下田発言を要約すれば、一つは、日本はアメリカの核のかさに入るなと、もう一つは、核保有国の核軍縮、核兵器全廃に努力せよ、これが主意ですよ。ところが、政府の見解では、第一には、かさ論議を軽率にやるな、第二には、アメリカの核のかさが、核の力が戦争抑止力として働いている、この意味ではかさに入っているということができるのだ。ところが、日本を核基地にしたり核兵器の持ち込みをすることが、それが核のかさに入ることの条件になるのだったら日本は入ってない、まことにこれはあいまいですわね。かさに入っておるとも考えられるし、入ってないとも考えられる。全くぬるま湯みたいなきわめてあいまいな表現をやっているのが統一見解。さきに話したというのですけれども、アドバルーン的に話し合った、そうして、しかし驚いて、今度は下田発言となって、そのあとにやはり食い違いのあるこれは統一見解を出した。したがって、これに対してどういうふうにこれは……。
  311. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 初めから食い違っていない。ただ、核のかさということになると、どうも新しく北太平洋条約の多角的核戦力というものの体制をつくって、それに入るというようなふうに聞こえたり、あるいはまた核を持ち込まないとか、あるいは核基地として新しいものを設定するとかいうような疑いを持ちやすいから、それでこのままではいかぬからというので、統一見解として打ち出したので、下田次官の考え方も、初めから混乱していないのです。ただ、核のかさというものについての定義がはっきりしないから、それで、これは世間を迷わしちゃいかぬというのではっきりしたというだけの話で、初めから食い違ってなんぞいない。
  312. 岩間正男

    ○岩間正男君 じゃ両方の文書を資料として出してみなさい。これを厳密に検討すれば、はっきりいま言ったような食い違いが出てくる。私は現にやったんだから。その中で政府の統一見解というものは基礎になるのでしょうから、それをもとにいきますが、アメリカの核のかさに入ることが、核基地をつくり、また核兵器の持ち込みなどを意味するなら、日本は核のかさに入らないと言っているが、はっきりその点を確認していいかどうか。総理の見解、いかがですか。
  313. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日本が核武装はしない、これはもうたびたび申しました。また、日米安保条約がございますが、このアメリカ自身が核兵器の持ち込みをしたい、こう言った場合に、日本はこれを許すか、こういう問題があるわけですが、これも事前協議の対象になるので、日本がよろしいと言わない限り、アメリカだけが持ち込むというわけにはいかない。そしてその協議があれば、日本はノーと言う。これはもうはっきりいままで申し上げているのでございます。だから、いわゆる日本が核武装することもなければ、核兵器の持ち込みもない、こういうことであります。また日米安保条約のたてまえ――私がジョンソン大統領と話し合ったときも、もしも日本が攻撃を受けるならば、アメリカはその攻撃がどういうものであろうが、とにかく日本の防衛に立つ、かように申しておるんです。だから、これはもう在来兵器の攻撃であろうが、また新しい核兵器の攻撃であろうが、そういうものに対しては、アメリカは日本を守る、かように言っておるということは、これもすでに何度も申しておるので、よくわかっていることだと思います。
  314. 岩間正男

    ○岩間正男君 核基地を提供したり、核兵器を持ち込むという反対給付なしに、日本だけを守ってやる、こういうことを言うわけはないわけです。で、いま総理答弁ありましたが、もうこれはそういう条件なら入らない、そう確認していいのですか。
  315. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま私が日本の基本的態度、これを変更する何ものもございません。
  316. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことを言っているが、いままではそう言っていないじゃないですか。入ると、そういうことを言ったことがあるじゃないですか。現にあるじゃないですか。いままでどうですか、ないですか。
  317. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういうことは、私は言った覚えはございません。
  318. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私も、申し上げたことはありません。
  319. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理大臣も外務大臣も健忘症になっているのですね。私ははっきりここへ提出しますが、参議院の日韓特別委員会、一九六五年十二月三日に、私は、松井国連大使の、「核拡散防止条約に参加するからには、非核保有国が核保有国の脅威と攻撃から安全を守るため、二国間または集団的な防衛条約を結ぶことを妨げないということを明らかにすべきだと思う」、こういうような国連での演説を松井大使がやった。この発言を取り上げて、私は、これは政府の公式見解かとただしたのに対して、あなたは一体何と答えているか。ここに速記がありますから、何なら速記をお見せしてもいい、何と答えたか、忘れましたか。時間がないというので打ち切ったから、委員長ああいうことをやるから、こうなる。
  320. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) あまりはっきり記憶しておりませんから、読んでください。
  321. 岩間正男

    ○岩間正男君 こっちから読むとなんだから、あなたに読ませたほうがいい、自間の関係があるから。――そうでしょう、明々白々じゃないですか。どうする。
  322. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 「核拡散防止がかりに守られても、核を持たない国の、核からの脅威というものを、これを防ぐような機構が設けられる必要があるということを言っているわけで、これはあたりまえのことです。別に……。」。
  323. 岩間正男

    ○岩間正男君 その次、読んでください。
  324. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 「とにかく、核拡散防止をする以上は、能力があって、なお核を持たないという国が多数あるのでありまして、そういう国に対する安全というものは、何らかの方式によって守られなければならぬという主張でありまして、これはきわめて穏当な、きわめて妥当な主張であると私は考えております。」、ここでも核のかさなんということは言っていないのです。お返しします。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのなには、さきの松井発言をあんたはよく読まないでそんな答弁をやっているのですよ。はっきりこれは二国間の協定並びに集団的な防衛機構をつくる、そういうものをつくるべきであるということを国連で発言をしてやっているのですよ。それに対して、あなたはそういう、いまのところ、ちょっとなにしましたけれども、おかしい、ごまかしみたいになったけれども、実際は最後には、これは松井大使の言うことは私の言ったとおりでありますというようなことで言っています。松井大使の言ったことはそういうことなんでしょう。松井大使の言ったのは、さっき私が言ったでしょう。時間の関係から、もう一ぺんこれを読むのは、時間の制限を受けるといけないからあれですが、もう一ぺん読みます。「核拡散防止条約に参加するからには、非核保有国が核保有国の脅威と攻撃から安全を守るため、二国間または集団的な防衛条約を結ぶことを妨げないということを明らかにすべきだと思う」、こう言っているのですから、はっきり二国間条約、それから集団的防衛条約は必要だと、こう言っているのです。それにやはり積極的な役割りをしておるのですよ、松井大使は。
  326. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういうことはもうほとんど言うをまたない問題でありまして、核のかさというようなことはどこにも書いていない。結局、核を持っている国が、核を持つ能力を持っているがしかし核を開発しないという国、あるいは能力もなくて持たない国、そういう国に対して核の攻撃から守るということは、きわめてこれは妥当な話である、こういうことを言っているだけの話であります。それを私は核のかさとかなんとかいう表現を用いておらないのであります。
  327. 岩間正男

    ○岩間正男君 核のかさということばを使わなくても、核のかさというものの内容にはっきり入るでしょう。核のかさ、これは先のほうは時間の関係でやりませんけれども、はっきりその問題をやっているのだ。つまり、核安保体制なんですよ。核拡散防止に名前をかりて、核を持たない国を守ってやるのだと言うので、核保有国が実際は核兵器を広げる、核基地を広げる、こういうのが核安保体制です。この問題について私は質問したのです。そういう体制の中に巻き込まれる、当然その中に編入される、これが核のかさです。核のかさということばがあるとかないとかいう問題ではない。実質的にどうなるかというのが最大の課題なんです。その点について、あなたたちのそういうような答弁では、これは問題に私はならないと思います。この点をやはりはっきりしないと、どうも松井国連大使の発言と政府声明は食い違う、下田発言とも食い違う。結局、どうです、どうも最近の情勢で、日本政府の態度というものは非常に動揺しておるのです。こういうかっこうで、あのような異例な措置をとっている。それから、これはアドバルーンかどうかわからないけれども、これに対して統一見解というものを出しておるわけですね。私はそういう実情というものを明確にしなければならぬと思うのです。政府の本心というものは、これはどういうことなんですか。この点をもう一度お聞きしたい。
  328. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどからお答えしたとおりでございます。本心は別にございません。このとおり言っているのです。別にはございません。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうなんです。佐藤総理にお聞きしますが、昨年の一月にアメリカに行ったとき、これは米国から、あらゆる核攻撃から日本を守るという言明を取りつけたというような、さっき話がありましたね。それで共同声明まで発表している。そのとき、核安保に対するこういう問題が出なかったのですか、出たのですか、どうですか。
  330. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 核に対する日本の主張ははっきりいたしておりますので、米国から別に何にも相談は受けておりません。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、アメリカ側はどういうふうに考えているか。これはたとえば、ハンフリー米副大統領は四十年十一月に、これは朝日新聞の秦外報部長との記者会見で、いまや米国にとって、核戦略と核政策の中に友好諸国を含めるべきときが来たと思う、それは、これらの国に核兵器を譲り渡すという意味でないが、日本も大国としてこの討議に加わるべきだと思う。続いて十一月工日にはラスク米国務長官が、核問題についての話し合いに日本をも参加させることは、米政府方針であり、米国はすでに一本をも含めた同盟諸国と、それらの国々に関係のある問題について協議を行なっている、この中には核戦略に関する話し合いも含まれている、こういうんです。それから、先国会でこの問題を質問されたときに佐藤総理は、話し合いがあれば自分から出ていって参加する、こういうことを言っているのですが、いかがですか。
  332. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 少し、もう一ぺんくどいようでありますが、申し上げますが、核のかさと、こういうのが、多角的核戦略体制というものがアジアで結成されて、そして日本がこれに入るというような必要は日本は認めてないと、それから日本の基地を核戦略の基地に提供するとか、その他一切の核兵器を持ち込まないという政策を変えて持ち込むということは、これはやらない。もし、核のかさというものが、そういう多角的戦略体制に参加する、それから核の持ち込み、核の基地を認めるということ、これに該当するものなら、日本はそういう核のかさの下には入らない、こういうことを言っている。それで、しかも、じゃあ核の攻撃があった場合を予想して、それは今日の核兵器の技術的な発達から見て、日本に必ずしも核の持ち込みや核の基地を置く必要はない、こういうことを言っているんです。そういうことを言っておるのであって、さらに、核戦略に関して日本がそういう会議等に参加する、しないということは、この問題とはまた別なんです。そういうことは別なんです。少し区別しておかれたらいかがですか。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 参加すれば入れられる。それから、いずれにせよ、これは核安保条約でアメリカの核のかさのもとに入って安全だと考えて国会を切り抜けようとしたって、どっちにしろ、核による安全保障の立場に立つならば、日本への核の持ち込みや、核基地化ということは避けられない、現にそう言っているでしょう。ここに源田さんがいますよ、源田さんがそう言っている。ちゃんとそう言っている。「朝日ジャーナル」の二月二十日号、核兵器の持ち込みを禁止したら、核のかさに入っている意味はなくなる、はっきりそう言っている。ですから、核の基地を禁止したり、持ち込みを禁止したりするというようなことを前提として、そうして核のかさに入るなんと言ったら虫のいい話だし、それはまたできない。ここに問題があるんです。この点について、はっきり答弁を願いたい。
  334. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも困ったことですが、共産党は、これは意味がないと言われるが、私どもは、核基地は提供しない、核持ち込みは私どもも賛成しない、かように申しておる。これは共産党と私どもの主張のはっきり違っておるところでございますから、別に説得はいたしません。
  335. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 岩間君、時間が来ております。
  336. 岩間正男

    ○岩間正男君 一問だけ。
  337. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじゃ、これで終わります。
  338. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは私は時間がないので……。これは非常に重大な、日本の今後の方針をどうするかという、また、九千万国民の安全にかかわる重大な問題ですから、ほんとうは、こんなのには時間をくれて委員長も裁量してくれるのが、国会のこれは審議のためには必要だと思っている。しかし、われわれは十分という時間ですから、もう一問だけ許していただきたいと思うんですが……。
  339. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 岩間君、簡単に願います。
  340. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在、日本に核兵器を持ち込まないと言っていますけれども、どうですか、核艦隊の日本入港は、もう昨年の九月の日米安保協議委員会でこれはきまっていたんじゃないですか。これは、防衛庁長官も見えてますから、外務大臣と防衛庁長官がこれは協議委員になっておりますから、この点についてはっきり答えていただきたい。したがって、「エンタープライズ」をはじめ核艦隊は日本に、横須賀に入れないという一月の佐藤総理の言明は、この前の決算委員会でこれは取り消された。こういうあいまいな態度をとっているわけでありますが、この点についてまず第一にお聞きしたい。  それから……
  341. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 簡単に願います。
  342. 岩間正男

    ○岩間正男君 第二には、現に日本には原潜が二十日以後入港している。そうして新たに核艦隊が入ろうとしている。で、これについて一体どういうふうな態度かというと、これはまあ核兵器そのものじゃないからというので、日本政府はこれに対して許可をしようとしている。しかし、これは核兵器を積んでいるか積んでいないかということを一体どうして確かめるんですか。安保条約によっては、これを通告を受けたり、軍艦そのものが入ってくるときに、通告を受ける必要はなくなっているのでしょう。あるいは、こちらで立ち入り検査はできない、全然これはほおかぶりにたな上げになっているのが日本の現状であります。  もう一つの例をあげれば、飛行機の問題がそうだ。
  343. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 岩間君、申し合わせは守ってください。簡略に願います。
  344. 岩間正男

    ○岩間正男君 現に日本の、B52――日本の空、この空には実際は核兵器を積んだB52が飛んでいないという保証はない。現にスペインでは、核を積んだアメリカのB52が落ちて、大きな問題になったのじゃないですか。ところが、この問題であなたの兄さんの岸総理に、私は安保国会で聞いたのです。日本の空を飛んでないという保証はあるかないかと、そうしたら、これについて、これは結局、条約のたてまえからいえば、これを調べることはできない、ただ、アメリカはそういうことをしないだろうという、一つの希望的な観測の上に立って問題が決定されているのであります。したがって、核のかさに入っているのか入ってないのかという、この論議を一つやっているわけでありますけれども、これもいずれは、そういうところに追い込まれてくるだろう、そうして日本の現実そのものが、安保条約がある限り、そういうところに追い込まれているという、この現実というものを私たちは無視することはできない。この点で、はっきり、やっぱり政府は腹をくくった立場に立って、そうして、ほんとうに、単に(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり)一時のがれの、あのような統一の見解じゃ私はだめだと、こういうふうに考えるわけであります。まあこれは……(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり)それじゃあ、まあ時間だって言うから、答弁なくてもいいです。答弁しますか、ないですか、なければなくてもいい。
  345. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 岩間君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  346. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  先刻、中沢伊登子君が辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     ―――――――――――――
  347. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、山高しげり君。
  348. 山高しげり

    ○山高しげり君 最初総理にお伺いをしたいと思います。  このところ、ピストルに関係をした青少年の事件が続発をしております。京都のピストル少年事件のことは言わずもがな、福岡では、中学生が暴力団のピストルを家庭から持ち出して、友人に重傷を負わした。滋賀県では、やはり中学一年生が十一人もおもちゃのピストルを手製でつくって、それが暴発をして一人が負傷をした、こういったような事件が、   〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕 偶然でございましょうけれども、引き続いて起こっておりますが、この一連の事件について、総理はどんなふうにお感じになっておられますでしょうか、それをお伺いしたいと思います。
  349. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは偶然のことでしょうが、いま山脚さんが御指摘になりますように、次々に問題を起こしております。ことに、そのうちで、私、最もこの少年の非行というような意味で京都の事件が取り上げられ、また、その他のところがやはり問題になっております。また、このピストルというものに対します一般人の注意というか、これに対する感覚ももっと厳正でないと、厳格でないと、とんでもないことになるのじゃないか、さような意味で、片一方で青少年の非行、同町にまた、ピストルというものが厳密にこれが扱われていない、こういうところに非常な危険を感じておるような次第でございます。
  350. 山高しげり

    ○山高しげり君 現在、日本の国内でピストルが私どもの目にとまるのは、警官が持っておられるピストルと、それから、ときどき暴力団その他が持っておられて、これはまあ不法所持というようなことらしゅうございますけれども、きょう私、その警官のピストルについて、総理の御意見を伺いたいと思うのですが、日本の警官がピストルを持たれるようになった歴史は浅いと思います。けれども、今日数年を経過いたしまして警官がピストルを持たれることの功罪というものが、プラスとマイナスがそれぞれあると思われるのでございますが、その点は総理は、持たせてよかったとお思いか、それとも、相当問題があるというふうにお考えか、その辺を承りたいと存じます。
  351. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私がお答えするよりも、公安委員長が答えたほうがいいかと思います。
  352. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 警察官がピストルを持っておりますのは、先進国みなそうでございまして、イギリスが持っておりませんが、各国まあそういう関係でございまして、日本のほうにおきましても、持つことを原則といたしております。しかし、交通関係や、あるいは雑踏警備等の場合には持っていないのでございます。   〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕 したがいまして、外勤の関係の事故を防止し、あるいは事件関係者を逮捕する関係者が常時持っております。その数は大体五万人ぐらいでございます。ことに、これを持ちますことは、持っているために、逃走中あるいは護送中、あるいは、これに攻撃を受けました場合に、持っておるためにこれを逮捕することができる事例が非常に多くございますし、特にイギリスと比べまして、わが国のほうの凶悪犯が、数字は後ほどはっきりしますが、向こうが五百ぐらいで、日本は二千数百名でございまして、漸次にこの凶悪犯は少なくなる傾向でないのでございますので、やはり身の保全及び逮捕の関係等、現段階におきましては、これを持つことが妥当と考えておるのでございます。後ほどまた必要の数字はいつでも申し上げます。
  353. 山高しげり

    ○山高しげり君 公安委員長のお話では、まあ確かに持つことがいま現在では原則になっているでしょうけれど、問題があるように思うので総理にもお聞きをいたしました。まあ総理は、当面の責任者の公安委員長に肩がわりをなすったわけでございますが、公安委員長にもう一ぺん伺いますが、五万人だけでございますか、持っておられるのは。私、ほかでもう少したくさんあるように承りましたけれど、まあその数字はあとでとおっしゃいますし、けっこうでございますけれど、警察官の身になりまして、持ったときと持たないときと――持っておるために危害をこうむる。この間の京都の少年にいたしましても、彼が精神病者であるなしにかかわらず、とにかく警官が持っている。ピストルがほしかったために、刺してそれを奪った。ほかの場合にも、刺して奪うための凶悪な犯罪が非常に多いので、もしも警官が持っていなければ、それらは全部起こらないわけでございますけれど、英国は持たないというお話もございまして、先進国はほとんど持っているから日本もそのまねをしなければならないと、これは論理的には成り立つかもしれませんけれども、実際問題としては、まだまだ考えてもいい余地があるのではないかと思いますので、総理大臣に伺いたかったわけでございます。
  354. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 警官の武装の問題は、やっぱりそのときどきの社会的実情等にも対応して考えなければいかぬだろうと考えます。背はサーベルを持っておったがこれが警棒にかわった、さらにまた最近は、警棒も持っておるがピストルも持っておる、こういうようにやっぱり社会的な要求に応じたまあ武装をして、そうして治安の確保に最善の努力をしておるというのが現状だと思います。別に先進国がどうこうということではなく……。そこで問題になりますのは、やはり犯罪がどういう形であるかということだと思います。また、これが奪われるという、そういうことについては特別な注意をしなければならないことは当然でありますので、その警官自身が非常な油断でこういう自分の持っておるピストルを取り上げられるという、そうしてそれが犯罪の用に使われるという、こういうことは警察官として最も不名誉な事柄だろうと私は思います。したがいまして、これは警官がピストルを持っておるから奪われるのだという、かような論理で考えられないで、警官自身がこれは治安の確保に従事する、献身するのだ、そういう場合に、これはピストルは必要なんだ、そのピストルを自分が持っておる以上、これが暴力その他によって取り上げられるとか、または置き忘れる、こういうようなことがあってはならないのです。そういう意味で警官が責任を持つべきだと、私はかように考えておる次第でございます。
  355. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) ちょっと誤解があってはいけませんので発言を求めまして恐縮でございますが、警察官で拳銃を持っておるのは十四万九千五百人でございますが、しかし、常時携帯をしておるのは、外勤員の五万二千人でございます。持つことが原則で持ってはおるんですけれども、携帯して出ているのは五万二千人でございます。したがいまして、その半数が勤務についておりますから、まあ二万五千人が絶えず持っているということでございます。なお、これがイギリスは五百件で、日本は二千三百四十八件でございます。そうして警察官が職務執行中、犯人の攻撃で受傷、けがをいたしました件数は、三十七年が六百九十五でございます。三十八年が六百六十、三十九年が七百三十二人でございますので、やはりこの傾向は減少いたしておりません。そして、さらにまた、拳銃発射によって適切に職務を執行して犯人を逮捕した件数が、三十八年で五十五件、三十九年四十四件というようになっておりますので、現状そういうことを御了承願いたいと思います。
  356. 山高しげり

    ○山高しげり君 時間がございませんから、この問題はまだ解決はしないと思いますけれど、私の考えでは、ピストルの平和利用ということはないと思います。そういう意味で暴力団が持っているピストルについても、非常に当局はこのごろ積極的にお取り締りでそれはけっこうだと思いますけれど、警察官のピストルについても、これは一ぺんお考えが願いたいと要望をいたしまして、この問題を終わります。  次に、実は時間がございませんので、総理にもう少し青少年対策について伺いたいと思いましたが、次回に譲りまして、国鉄の値上げにつきましても、青少年対策のお立場からお考えがあるかどうか承りたいと思っておりましたところが、本日の夕刊で、本日の閣議において、運輸大臣から何かその点の御発表がございましたようでございますので、ここでちょっと伺いたいと思います。
  357. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) きょうの閣議ではございません。閣議後の記者会見で、私が考えを述べたのが、おそらく夕刊に出ているのじゃないかと思うのでありますが、青少年の帰省の際等の運賃割引につきましては、これは認めるという方向でいま検討をさしているという情勢でございます。どの範囲にするかということで、技術的にいろいろ問題がございますので、いま目下検討中でございます。
  358. 山高しげり

    ○山高しげり君 夕刊を見ますと、勤労少年の国鉄の割引――現在学生に年二回の帰省の割引がございますが、それと同じものを、お休みにいなかに帰る青少年にその道を開こうとか、あるいはまた、今回の値上げで問題点とされております通学定期の途中乗車、あるいは通学以外の使用禁止といったような点に対して、むしろそうすると不正乗車がふえると思われるから、緩和をするように国鉄に指示をなさったと、たいへん具体的な内容で出ておりまして、これを運輸大臣のお口から承りたいと思ったのですが、いま承りますと、新聞の記事よりはたいへん抽象的でございますので、じかにおっしゃるほうを信じなければならないと思うと、少し不安心になってまいりましたけれども、その点はいかがでございましょうか。
  359. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 勤労青少年に対しましては、私は、いま申し上げましたように、割引を認めるという方向でいま検討しているということでございまして、新聞記事との間にも矛盾はないと思っております。  それから通学割引の途中下車あるいは使用目的――学校に行くときでないときに使うような場合の規制につきましては、これは規制したらいいという意見もありますが、現在のところでは、技術的な問題もありますし、これを規制しますと、学生がいろいろ、きせるのような、いわゆる悪いことを平気でするようなことが非常に多くなる、これは青少年の教育上重大であるという観点に立ちまして、規制をしないでいくという方向で検討させておると、こういう現状でございます。
  360. 山高しげり

    ○山高しげり君 どうぞひとつ、できるだけ実現をいたしますようにお願いしたいと思います。  次に、大蔵大臣にお伺いをしたいと思いますのは、大臣は先ほど、勤労学生の所得税における勤労控除の問題にお触れになりましたので、その点、もう一ぺん承りたいと思います。物価が上がり、ことに国鉄運賃のようなものが上がってまいりますと、みずからの力で働き、かつ、夜の学校なぞに学んでおります勤労学生、たいへんに苦しくなってまいります。その数字はいまここで申し上げる時間がございませんけれども、現行の所得税におきます特別控除であるところの勤労学生に対する控除でございますね、これはもう数年前から税額六千円というその引いていただく額が動きませんけれども、この点、どうお考えでございましょう。
  361. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 勤労学生に対しましては、先ほどもお答え申し上げたんですが、今回、各種学校の学生までこれを拡張すると、こういう措置をとったわけです。六千円をさらに拡大するかどうかという点は、いろいろ検討したんですが、やはりこれはいまの税体系からいたしますと、各種控除を引き上げる、こういう形のほうがよかろうと。まあ各種控除が引き上げられ、その上、上積みとして六千円乗るわけでございます。そういう形で相当勤労学生にも負担の軽減になろうと、こういうふうに考えている次第でございます。
  362. 山高しげり

    ○山高しげり君 それではあわせて伺いますが、この特別控除には、勤労学生のほかに寡婦とか老人とかいうのがございますが、やはりその各種控除で減税をして、上積みはしばらく触れないというお考えでございますか。
  363. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回は勤労学徒と身体障害者の範囲を拡大するということにつとめている次第でございます。
  364. 山高しげり

    ○山高しげり君 そうすると、その老齢と寡婦は、いま何もおさわりになっておらぬということですね。
  365. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さわりませんが、いずれ、それらの方も家族の構成員だと思います。そういう方は、各種控除を引き上げる結果、それに均てんをする、こういうことに相なる次第でございます。
  366. 山高しげり

    ○山高しげり君 これには問題を残しておりますので、また別な機会に伺いたいと思います。  次に、厚生大臣に伺いたいと思います。先ほどの京都のピストル少年事件でございますが、あれは十七歳の少年ということで、社会はがく然としたようでございますが、だんだんわかってみますれば、彼は精神病者であった。結局は精神病対策の中で考えられなければならないことがたくさんあるようでございますが、最近厚生省は、この精神衛生法の改正が昨年の六月に行なわれ、続いて保健所法の改正もございました結果、在宅の精神障害者の指導体制強化をなさるということで何か通牒等をお出しになったようでございますが、そのことで伺いたいと思います。
  367. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 京都で起こりました井川少年のピストル事件、これはまことに遺憾な事件であったのでありますが、井川少年は、昨年の三月に病気のために入院をいたしました。昨年の十一月に緩解したということで退院をいたしたのでありますが、その退院中に起こった事件でございます。政府は、従来この精神衛生対策につきましては、発生の予防、それから治療、さらに社会復帰という一貫した精神病対策を進めてまいったのでありますが、昨年の六月に、御指摘になりましたように、精神衛生法の一部改正をいたしまして、申請通報体制の整備でありますとか、あるいは作宅の保護指導の体制を強化する、あるいは通院に対して公費負担をやるとか、そういう精神衛生対策の強化をいたしたのでございます。現在保健所等に対しまして嘱託医を増員するとか、あるいは相談員を配置するとか、そして在宅の患者の指導に、特に予後の対策を強化するという面につきまして力を入れておるところでございます。今後も、精神衛生対策はますます社会情勢の変化に伴いまして、私ども強化してまいらなければならない、かように考えておる次第であります。
  368. 山高しげり

    ○山高しげり君 まあ予算のことなどは、また別な機会に伺いますけれども、たとえばお医者さんをふやす、あるいは精神衛生相談員というような、こういう人が、末端といいますか、第一線に働いていただいてこそ、予防とか、いろいろアフターケアとかいうものができるかと思うのでございますが、まあこれ一つに限りませんけれども、いま厚生行政、あるいは、そのほかの行政におきましても、末端にそういった相談員のような制度は非常にたくさんできているようでございますけれど、現状においてはいささかなり手がなくなってきているんじゃございませんですか。その意味におきまして、たとえば精神衛生相談員がすでに置かれていた、そうすると、あの少年は退院をしたけれども、ほんとうになおっていないのですから、こういう相談員がお世話をする対象ではないのでございますか。彼は相談員とはどんな関係にございましたでしょうか。
  369. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、井川少年は、十一月に退院をいたします際には、精神病で言います緩解、なおったということで退院をいたしまして、その後職場にもついて働いたようでございますが、この春になりまして急にまた状態が悪くなって、そうして再度入院させようという、そういう段階において起こった遺憾な事件でございます。で、昨年の六月の精神衛生法の改正も、こういうアフターケアを十分にやるというところにも重点が置かれておりまして、そういう意味合いからいって、保健所等に精神相談員、あるいは嘱託医の増員等を考えているのでありますが、御指摘になりましたように、なかなか待遇の問題や、いろいろの面で十分確保されておりません。四十一年度の予算におきましては、さような点を考えまして、保健所の職員の待遇改善を大幅に実施するようにいたしている次第であります。
  370. 山高しげり

    ○山高しげり君 結局、いろいろの施策というものが立てられますけれども、その施策の伸展に対して、関係職員に周知徹底をさして、そうして、その伸展に万全を期せというような通牒はよく出るのでございますけれども、末端のことに対して、国民はやはり不信でございます。不安を感じております。そのことを申し上げ、最後に、労働大臣にひとつ伺いたいと思います。  これは前回も私お伺いしたのでございますけれども、家内労働法の制定ということを、労働大臣はなさるおつもりがございますのですか、それを伺いたいと思います。
  371. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) お答えを申し上げます。家内労働法の問題でございますが、この件につきましては、すでに御承知のとおり、三十四年以来、家内労働調査会において、いろいろ家内労働の問題について御検討をいただいてまいったわけでございますが、先般答申をいただきました。その答申は、家内労働の現状についての報告ということと、それとあわせまして、家内労働対策の今後の進め方に対する見解、こういう二つに分れておったわけでございますが、この後者におきまして、今後家内労働政策を進めるについてはどういう方向でやったらいいかということがうたってあるわけでございますが、その第一番目に、政府は、今後家内労働というものが非常に複雑であり、また常に変化をしておる、その実態をとらえることも困難であるし、またそれに対する対策を打ち立てることもなかなか困難である。そこでどうしてもこれは長期的に、また総合的に調査もし、またそのときどきに応じた施策というものが打ち出されなければいかぬ。こういう意味で、法制的な措置を含んだ今後の対策、そういうものを検討するために家内労働審議会というものを設けるべきだ。こういう実は一項があるわけでございます。したがいまして、労働省といたしましては、今後尿内労働法といったようなものが必要だとは思っていますが、どういう内容にすることが適当であるかというようなことにつきましては、なお引き続いて総合的な検討がどうしても必要であろう。そこで、この審議会をぜひ設置いたしたいと、こういうことで、目下各方面に、設置をするという前向きの方向で、関係方面と目下協議中なのでございます。したがって、この審議会が発足ができますならば、さらに詳しく御検討いただいた上で、家内労働法等も将来はぜひつくってまいりたい、かように目下考えておるところでございます。
  372. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 山高君時間が来ております。もう一問で……。
  373. 山高しげり

    ○山高しげり君 いやいまの続きで。この審議会の案を含む予算を四十一年度に御要求になっているのですか。これからなんでございますか。四十一年度の予算案には入っていないんでございますか。答申が出ましたのがだいぶおそかったようで。
  374. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) これは審議会予算としては、審議会が未決定でございますので、ありませんが、一応従来の調査会を続けるというたてまえにおいて若干の予算が認められておるわけでございます。したがって、審議会の設置ということが決定しますならば、これまた大蔵当局とも相談しまして、適当に移用その他を考えてまいりたい、かように考えております。
  375. 山高しげり

    ○山高しげり君 ぜひそれはお急ぎいただきたいと思います。こういう経済成長の中で、家内労働者の生活がどんなに苦しいか、具体的に申し上げる時間がございません。その中で非常にたくさんの部分を含んでいる内職者のためにも、これはもう少しお急ぎが願いたい。総理にもひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  終わります。
  376. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 山高君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  377. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、坂田農林大臣から発言を求められておりまするので、これを許します。農林大臣。
  378. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 北村委員のお尋ねの国有林野事業特別会計損益計算の件に関しお答えいたします。  林木の将来の生長量を標準年伐採量の中に織り込んでいることは、森林保続に関する考え方の問題であり、また経理方法としての蓄積経理方式と密接な関係があるので、この経理方式については中央森林審議会の答申にもかんがみ、その当否について検討いたしたいと考えております。
  379. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、午前中に保留になりました北村君の質疑を行ないます。
  380. 北村暢

    北村暢君 ただいまの農林大臣の答弁については、私は後刻また、別に予算委員会でひとつ徹底的に質問したいと思います。  次に、運輸大臣に収支欠陥の補てんについて、資料の内容を説明していただきたいと思います。
  381. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から御説明いたさせます。
  382. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) 今回の補正予算で、運賃値上げによる増収分といたしまして、百九十一億円組んであるわけでございます。そのうちの二月分といたしましては、五十五億円、一日平均にいたしますと三億九千万ぐらいでございます。その程度を見積っておったわけでございます。で、運賃法成立のおくれたことによります収入欠陥の補てんで、われわれいろいろな努力をいたしまして、この補てんに努力したいと思っております。その内訳を御説明申し上げますと、第一点は、資材の売却、つまり使い古しました廃用レールでありますとか、普通鋼のくずでありますとか、銅くず等の廃用の貯蔵品売却でございます。これに十二億九千万円程度を期待いたしたいと思っております。これは十二億九千万という数字は、帳簿価格でございまして、現在は銅の値段も非常に上がっておりますので、これが実際にどの程度で決算できますか、やってみないとわからないわけでございます。一応帳簿価格にいたしまして十二億九千万円を得ることができるわけでございます。 次に、不用施設の不動産の売却でございます。これは午前中も申し上げましたように、絶えずこういう仕事が進んでいるわけでございまして、現在懸案になっておりますものを極力事務を促進いたしまして、年度中に七億一千万程度の売却をぜひ努力いたしてみたいと、かように考えております。  次に、貯蔵品の効率的使用といいますか、これは国鉄では年度末で予算で三百五十億円程度の資材が貯蔵残高として認められているわけでございますが、これを現業の補修用の資材を極力回転率を臨めることによりまして、二十億程度の、三百五十億を三百三十億円程度にいたしますと、二十億という資金が出るわけでございます。  それから増収でございますが、これは国鉄の月別決算は少しおそくなりまして、連絡運輸等で精算がまだできておりませんので、概算の話でございますけれども、四百五十三億の減収というものは、これは大部分上半期の新幹線関係の輸送力増強がおくれたこと、あるいは特急料金がB料金を適用したというようなことによるものと、貨物の減収でございますが、下半期になりましてからは、旅客は相当好調でございまして、順調に推移いたしておりまして、現在の時点では四百五十三億の減収見込みであると思っておりますが、これをさらに三月努力をいたしまして、あと十億円くらいの増収をはかることはこれは不可能なことではない、努力次第ではできるのではないか。その内訳といたしまして、新幹線の「こだま」の三往復、その他全国的に二十一木の念行を予定外に増発をいたしまして、十億円程度の増収、これは三月の旅客収入の合計を五百億以上見込んでおりますので、十億の増収ということは二%でございまして、努力次第ではできないことはない、かように考えております。かような方法によりまして、五十億程度の収入欠陥の補てんに努力いたしたい、かように考えております。
  383. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連。いまの御答弁だと、要するに、きのうときょうの大蔵大臣答弁に基づいて、国鉄でもって大急ぎでこういうものをこしらえたような気がするんです。前々からそういうものがあったとするならば、これはやはり問題だと思うわけです。そこで、まず総理にお伺いしたいけれども、国会審議のあり方としていいかどうかという問題が一つあると思うのです。提案をされた予算にもう穴があくことはわかっているというよりも、すでに穴があいているんですよ。そうすると、当然その穴をどうやって埋めるかということを明らかにしないと、提案のしかたとしては私は正しくないと思う。だから、政府の責任において当然予算上の措置を講ずべきだというように私は思うのだけれども、総理としては一体どういうふうに思うか。それが一つと、それから大蔵大臣答弁からこれは事が起こったんです。きのうの日高さんの質問ときょうの北村さんの質問にそれぞれ答えて、あるいはきのうの鈴木さんの質問にもそうですが、不用財産売却するということを言われた。それでは不用財産売却当てがあるか。これはその場しのぎの言いのがれだと思う、そうでしょう。当てがないということははっきりわかっている。苦しまぎれの借金のへたな弁解みたいに、苦しまぎれに女房のへそくりで返しますといったようなものです。へそくりのほうは実際あれば別だけれども、ないものだから、だからしょうがないから、こういうものを出してきた。この不用財産をいろいろ並べられましたけれども、この売却するという場合に、ものを売るには買い手がなければならぬわけでしょう。不用財産というものは、俗なことばでいえば要らないものですから、要らないものを売るというのだけれども、要らないものは他人だって要らないのですから、そうすると、買い手がつかなければ値段がつかないわけでしょう。一体買い手がつくという当てがあるかどうか。こわれた機関車だとか動けない連絡船なんというものは、だれも買いませんよ。買わなかった場合どうするのですか。押し売りか何かやるつもりなんですか。もし売れなかったらどうするかということを国鉄総裁あるいは運輸大臣にお聞きしたい。それから大蔵大臣にもお伺いしたいのですけれども、あなたは補正は組まないということを再三言われました。しかし、この穴が一体どこまで広がるかということがわからない。わからないのだから、幾らになったら補正を組む、しかし、ここの範囲だったら組まなくてもいい、それはこういうものを売った場合には、少なくともこのくらいに売れる、こういう一つの見当がついていなければならぬわけです。だから、その点は大蔵大臣としては補正の組み方、あくまでも五十億が百億になっても補正を組まないというつもりなのか、あるいはその点は一定の限界というものがあって言われていることなのか、その点は大蔵大臣にもお伺いしたい、以上の三点についてお伺いしたい。
  384. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは最初運賃法がもっと早く成立する、こういうことで補正予算を組んだことは御承知のとおりであります。また審議の過程におきまして、補正予算審議、また運賃法改正の審議、これを並行してやりましたから、当時におきまして、いわゆる次の段階のことは考えなくてもよかった。そこで補正予算審議にあたりましては、大蔵大臣もしばしばお答えいたしましたように、数日であるならば何とかやっていけるようですと、だからその程度にぜひおさまるように御協力を願いたいと、こういうようなことを実は申してまいったのでございます。ただいまはもうすでにその予定されました二月十五日を経過し、そうして今度はいつ出るかわからない。ただいま御審議の話をしておられますが、そういう状態でございますが、しかし審議の関係者等といたしましては、およそこの辺ならできるだろうと、こういうようなところで、とにかくいま出しておるところで何とかつづめを合わすわけにはいかないのか。これはもう当然の責任といいますか、本来の姿だと思います。そういう意味でいろいろ知恵をしぼった結果が、ただいま説明したような材料になるわけでございます。これも最初出したもの、それをとにかく変更しないように最善の努力をしようと、こういうあらわれでございますから、あまりお責めにならないで、本来からいうならば、これだけもう狂ったんだ、もうはっきり狂っているじゃないか、その事実がありますから、さらに別なものを出せと、補正予算やれと、こういうことは理論的には考えられますけれども、ただいま申しますように、関係者としては何とかして最初の予定どおりにひとつやろうと、そういうことで、ない知恵をしぼったと、かように御了承いただきたいのでございます。
  385. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総理大臣の御答弁に尽きておるかと思うのでありますが、まあお示しいたしました資料ですね、その程度でありますれば何とかそういうような、方向でしのぎはつくと、こういうふうに考えております。ただいま百億円の減収があったらどうするというようなお話でありますが、そういう事態は私はまあ想像いたしておりません。
  386. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄が要らないものでも第三者では、要るという人が相当あると信じておりますから、売れると確信をいたしております。
  387. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連
  388. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 佐多君、簡単にお願いをいたします。
  389. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 資産充当として公社予算にすでに三十九億見込んでおり、ます。なお四十一年度以降も三十億程度見込んでおりますが、この三十九億の内訳を御説明願いたいと同町に、すでに三十九億見込んでおられるにかかわらず、なお非常に苦しまぎれに急遽三、四十億の資産充当をへそくられたというような、非常にずさんな経理になっているのじゃないかという疑問が起きますので、その点の解明をしていただきたいと存じます。  同時に、いま総理は、この程度は見のがしてほしいとおっしゃいますけれども、明確に資産充当の項目は四十億程度の違いが出ておる。それからまた、運輸収入のほうは二百六十二億の減を立てておられますが、これも十億の増ということになれば、この減は二百九十二億と立てなければならない。そういうふうに数字が狂ってきておるのでありますから、やはりここは厳密に、正確にさらに再修正をして提出をしていただきたい。
  390. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えさせます。
  391. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) お答えいたします。  三十九億円の資産充当が予算に計上されてございます。で、これは普通の事務の手続の進行によりまして、それだけの資産充当の結果をあげたいと思っておりますけれども、先ほど申し上げました七億円の不用財産売却でございますが、これは尋常の事務でありますと、なかなか年度内に資金化しない。それを、事務を極力急ぎまして資金化したい、かようなことでございます。  それから売る相手がないかというお尋ねでございましたが、これは全部売る相手がございまして、話し合いが進行中のものでございます。
  392. 北村暢

    北村暢君 収入欠陥の補てんについて、いまの答弁では、おそらく佐多先生も満足されておらないと思います。で、資産の売却不用施設の売却、この内容を見ますというと、相当の件数にのぼっておって、簡単に一カ月くらいで私は解決しないのじゃないかと思うのです。ただ、国鉄がこれからどれだけ努力するかということは、これは言い得るだろうと思うのです。したがって、これらの問題について、説明に不備な点がありますけれども、これはまだ運輸委員会等もありますから、そこでひとつ十分審議していただくことにいたしまして、私の質疑は終わります。
  393. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 以上をもちまして、質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって、質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  394. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは、これより討論に入ります。  通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。小林武君。
  395. 小林武

    小林武君 私は、日本社会党を代表いたしまして、国鉄運賃値上げを内容とするところの昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)に反対の立場より討論を行なおうとするものであります。  反対の第一といたしましては、民主政治の根幹に触れる基本的な問題として、政府予算案国会に提出し審議を受ける態度について述べたいのであります。  補正予算の提案理由説明によりますと、二月十五日から国鉄運賃の値上げを予定して本補正予算は組まれていることは明らかでありますが、参議院予算委員会が本案の審議に入りましたのは昨二十一日であり、予定期日をすでに八日過ぎております。また、本補正予算の裏づけをなすところの運賃値上げ法案は、まだ衆議院段階にあって、法案の前途は容易に予断を許さないという状態にあります。  ところで、政府説明によりましても、今回の運賃改定は、一日四億二千万円の増収を見込んでおるのでありますから、十日では四十二億、半月おくれますと六十三億円も、提案された予算より減収となるのであります。かかる異常な事態に対し、政府は一体、計画変更をするのか、あるいは第四次補正を提出するのかという、われわれの正当なる指摘につきまして、言を左右にし、数日間であれば何とかなるだろう、資産充当でもできようし、短期借り入れの方法もあろうと、このような政府答弁を聞きますと、一体政府は、まじめに本補正予算の成立をはかろうとする意思があるのかいなか、疑いたくなるのであります。  民主政治とは、政府に行政をゆだねますが、それを予算という計画に基づいて執行することを求めているのであります。しかるに、政府の提出いたしました予算が実施の期日において狂い、予算が計画どおりに実施できないことが明白であるにもかかわらず、それを、ほおかぶりして通そうとする佐藤内閣の政治姿勢を見ますと、およそ財政民主主義の何たるかを解せざるものと評するほかありません。  なお、関連して申しますと、今回の予算補正にあたり、政府は、公式には運賃値上げを表面に出さず、単に二百六十二億の赤字を生じているから同額の鉄道債券の増発を求めるような形をとっているのであります。その実態を指摘すれば、ずさんな東海道新幹線運行計画の失敗をはじめ、旅客貨物収入における水増し予算が不況のため大穴があき、四百五十三億という赤字を生んだこと、その穴埋めとしての運賃改定と鉄道債券の増発が計画されている次第であります。  このような経緯は、予算書のどこにも出ていないということ自体が、財政の民主化と、いかにほど遠いかということを証明するものであります。われわれは断じて承服できないのであります。  反対の第二点は、本予算の実体をなす国鉄運賃値上げが、はたして不可避であったのかどうか、また、今回の運賃改定が、国鉄の財政を、はたして安定ならしめるかどうかという点であります。 御承知のとおり、今回の国鉄運賃改定は、昭和四十年度を初年度とする国鉄輸送の増強七カ年計画の一環として計画されたものであります。その計画によりますと、七カ年に、国鉄は二兆九千七百億円の工事と七百億円の出資を行なうことになっており、その財源といたしまして、七年間で一兆二千億にのぼるものを運賃引き上げに期待しておるのであります。しかし、それだけの値上げにかかわらず、損益勘定からの利益として資本勘定に受け入れられる額は八千五百億に過ぎず、結局、三兆一再億を外部資金に仰ぐことになっております。その結果、四十六年度の姿を見ますと、利子の支払いが二千億円をこえ、損益勘定上の利益が千億を割り、九百七十八億円になっております。  一体、三兆円からの設備投資をいたしまして、この完成時の収益が、いまよりだんだん減っていき、九百億ばかりになるという計画は、はたして健全合理的であると認められるところでありましょうか。  さらに、昨日の説明にありますとおり、この計画には物価騰貴が織り込まれておりませんから、現実には行き詰まり、四十六年度よりももっと早く再び赤字になるというような可能性が強いのであります。政府は、今回値上げをすれば、この期間中は再値上げはないと申しますけれども、だれもそれを信ずる者はないのであります。  そこで、なぜに国鉄の資金計画は不安定たらざるを得ないかと考えますと、それは、国鉄の投資計画の性格に帰着するのではないでしょうか。すなわち、国鉄が今後投資するもののうち、通勤輸送や山陽新幹線のように、投資とともに収益が伴うものもありますが、幹線電化、複線化、踏み切り、信号機の増設等の問題は、必ずしも投資と収益とが関連をするものではありません。そのほか、国鉄は公共負担も負わされているのであります。このような国鉄は、公共企業体として、独立企業の面と公益性の二面的性格をもたらす矛盾に絶えず苦しんでいるのであります。国有鉄道の設備投資をまかなうべき財源として、通常の運賃収入や市中借入金というもののほかに、国家資金の直接投下、あるいはそれにかわる利子補給のごとき手段を適切に組み合わさるべきは理論的に考えても当然であるし、イギリス、フランスの国有鉄道も、こうした方向をとっているのであります。  日本社会党が、国有鉄道整備緊急措置法という法律を提出した趣旨は、運賃値上げだけでは国鉄財政は安定しないこと、運賃値上げと借金政策は、結局将来国鉄を借金の重圧下に押しつぶす以外の何ものでもないことを明らかにせんとするものであります。国有鉄道の性格にかんがみ、政府がもっと早くより国鉄資本投下の三分の一程度を一般会計より出資していただければ、おそらく今日の値上げ問題は発生していなかったであろう、かように考える次第でございます。  最後に、第三の反対点として、政府の物価政策の欠除を指摘するものであります。  佐藤総理福田蔵相、藤山企画庁長官は、いずれも、池田内閣の高度成長政策の批判者として知られております。安定成長と物価の安定に努力することを公約しておりました。しかし、皮肉にも、佐藤内閣になって以来この二年、物価が騰貴したことは、これ以上のものがないのであります。しかも、高度成長の裏目が出て構造的不況になって以来、雇用と賃金の伸びが鈍化し、勤労者の収入は横ばいの状態になり、消費者物価の騰貴は直接国民生活の危機として映ずるに至ったのであります。今日ほど、国民が切実に物価の引き下げを望んでいるときはないのであります。しかるに、佐藤内閣のなすところは、一月一日から二度目の米価値上げ、さらに私鉄運賃の引き上げ、二月は国鉄運賃、次いで郵便料金と、相次ぐ公共料金値上げの追い打ちは、全く国民生活をないがしろにするものであると言わなければならないのであります。公共料金については、他の消費物価と異なり、政府が決定権ないしは影響力を発揮し得るものであり、政府の物価政策のきめ手として公共料金政策がすこぶる重要なる意味を持つものであります。その中で、国鉄運賃の改定が物価水準に及ぼす影響は、きわめて大きいと考えるわけであります。それゆえに、米価に次いで国鉄運賃を急いで上げるべきではなかった。また、国鉄運賃改定を既定のものとして私鉄運賃の大幅引き上げを認めた政府の態度は、軽率と言わなければなりません。国鉄運賃を改定するにしても、その実施の時期を繰り下げ、政府の出資をふやすこと等により、その値上げ幅を縮めるならば、ひいて、私鉄、バスの値上げを抑え、あるいはその幅を縮小させ得たはずであります。政府は、このような手当てを全く考慮することなく、むしろ、近く値上げの必要な料金はことごとく上げてしまえという式の姿勢であり、それは、やがて来たるべき総選挙対策にも通ずるものだと解釈されても、しかたがないのであります。国民が切実に物価の安定を望んでいる今日、自己の権力政策の打算から物価政策をもてあそぶ佐藤内閣のやり方に、国民は衷心より憤激を覚えるでありましょう。  以上の三点より、日本社会党は本補正予算案に反対し、その撤回を求めるものであります。(拍手)
  396. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 日高広為君。
  397. 日高広為

    ○日高広為君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)に賛成の意を表明せんとするものであります。  この補正予算は、国鉄運賃の改定を行ないましても、なお生ずると見込まれますところの減収額二百六十二億円につきまして、鉄道債券の発行により、これを補てんしようとするものであります。  御承知のように、一昨年秋ごろから、わが国の経済は次第に沈滞の度を加え、昭和四十年度は、きわめて深刻な不況のうちに終始いたしたのであります。その結果、日本国有鉄道におきましては、四百五十三億円にのぼる運輸収入減少が見込まれるに、至ったのであります。  ところで、国鉄の現状はどうかと申しますと、日本経済の急激な成長に伴う輸送需要の増加に対しまして、輸送力の増強は著しく立ちおくれて、輸送量輸送力との間の不均衡がますます拡大の一途をたどりつつある状況であります。すなわち、通勤輸送は殺人的な様相を呈し、幹線輸送もすでに限度に達していることは周知のとおりであります。かくて国鉄は、現有の輸送施設を極限まで利用せざるを得ず、列車ダイヤは、すべていわゆる過密ダイヤとなっているのであります。このことは、単なる輸送力の逼迫というようなことだけではなく、輸送の安全性にかかわる最も重大な課題となっておるのであります。したがって、国鉄輸送力の増強をはかり、並びに保安施設の整備をはかるために国鉄運賃を改定するということは、やむを得ないと認めざるを得ないのであります。 もとより、国鉄運賃引き上げは、物価対策の見地から慎重に考慮されなければならないことは言うまでもありません。しかしながら、今回の運賃引き上げの消費者物価に及ぼす影響は、本委員会の質疑を通じまして判明いたしましたところでは、わずかに〇・三%にしか過ぎないのであります。もちろん、その波及する効果についても考慮を払わなければなりません。政府といたしましては、物価対策には最も真剣に取り組んでおり、便乗価上げなどは絶対に許さないということでありますので、国鉄運賃の値上げを基軸といたしまして物価が大幅に押し上げられるということは考えられないのであります。のみならず、運賃の値上げは、もちろん一時的には消費者物価に影響を及ぼしますが、しかし、長い目で見れば、物資の輸送力を円滑にし、流通経費を節減するととによりまして、物価の上昇を押え得る作用をも持つものでありまして、したがって、長期的には一種の構造的な消費者物価対策とも考えられるのであります。  社会党提出の日本国有鉄道整備緊急措置法案によりますと、運賃引き上げは取りやめ、そのかわり、国鉄の鉄道施設整備に要する経費の三分の一を財政負担にせよということでありますが、財政負担といっても、国民の負担であることには変わりはないのでありますから、財政負担として国民全体の負担とするか、それとも、利用者の負担とするかは、鉄道そのものの本質に照らしまして、慎重に決定しなければならないのであります。かりに、国鉄輸送力増強を税金でまかなうというようなことにいたしますと、国鉄の利用者といなとにかかわらず、負担を強制されることになり、かえって公平を欠くということにもなりかねないのであります。したがって、原則としては利用者負担によるのが筋であり、このため、国鉄は公共企業体として独立採算制をたてまえとしておるのであります。  かようなわけで、国鉄が国民経済の発展に積極的に寄与するためには、輸送設備の整備増強をはかり、国鉄の機能を正常に果たすことを可能ならしめるような適正な運賃の設定が本質的に必要なのであります。したがって、今回の運賃改定が、国鉄の機能を正常なものとするような運賃の適正化である限り、引き上げもまた、やむを得ないと言わなければなりません。  かくて、運輸収入の減収補てんと運賃改定を含むこの補正予算は、国鉄がその機能を発揮するために必要欠くべからざるものであります。したがって、わが党としては、当然、本案に対し賛成の意を表するものであります。  ただ、国鉄運賃の改定が、諸般の事情によりまして、当初予定されました二月十五日に実施される運びに至らず、したがって実施時期のおくれただけ減収額が増加することになったのは、はなはだ遺憾であります。しかしながら、この点につきましては、政府並びに国鉄当局の善処を強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わる次第であります。(拍手)
  398. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 多田省吾君。
  399. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和四十年度政府関係機関補正予算に対しまして、反対の討論を行なわんとするものであります。  本補正予算の内容は、国鉄が二月十五日以降に二五%の運賃値上げを行なうことにいたしましても、なお二百六十二億円に及ぶ減収額が予想され、これを特別債券の発行等によって補てんしようとするものであります。  われわれは、今回の国鉄運賃値上げ案には絶対反対をいたします。その理由といたしまして、  第一に、物価値上げ反対は国民の悲願でございますが、国鉄運賃の値上げが全物価の値上がりに大きく影響するのは当然であります。一月二十日には、私鉄運賃まで一斉に便乗値上げがなされている一事をもってしても、今回の運賃値上げが全物価の値上がりに波及すると断定できるのであります。したがって、国鉄運賃値上げによる国民生活の窮迫は実にたいへんなものであります。  また第二に、値上げ決定の時期、動機等においても、きわめて不純なるものを感ずることであります。運輸審議会を全く無視し、答申案もまとまらぬうちに、公聴会を開いているのを知りながら、各閣僚の、あるいは四月実施、あるいは一月実施の主張の中間をとって二月十五日実施を決定するがごときは、全く国民を愚弄した話であります。  また第三に、四百五十三億円にのぼる、ばく大なる収入見込み違いについては政府当局は重大な責任があるのであり、しかも、このような事態を引き起こしました国鉄企業努力につきましても、われわれには大いなる不信があります。赤字と言いながら外郭団体に出資したりしておるのは非常に疑問もあり、また、鉄道弘済会等を吸収する方法を考えるなど、まだまだ企業改善の余地があると思うのであります。  第四に、国鉄の第三次計画では、大都市通勤ラッシュの改善、緯線過密ダイヤの緩和、あるいは事故防止対策の強化等をうたっておりますが、これは、政府の都市計画の無為無策を遺憾なくあらわしておるのであります。政府が前に唱えました学園都市とか、あるいは新産業都市建設等は少しも進まず、過密都市化、交通難等がますます激しくなり、その政治の貧困の肩がわりとして、運賃値上げ、諸物価値上がり等という、ばく大なる負担を国民大衆は負わなければならぬのであります。われわれは、このような政府の総合的な政治の貧困、国鉄企業努力の不熱心さに基因する値上げに断固として反対し、さらに、財源を安易に運賃値上げに求めるやり方にも絶対に反対するものであります。  次に第五点。しかも、今回の値上げ案で、一日の増収分は約四億三千万円と言われておりますが、もし価上げ案の成立が二月十五日より十五日間おくれれば六十四億円の減収となり、したがって、この補正予算そのものも、きわめて矛盾に満ちたものであると言わざるを得ません。われわれは、国鉄の経常合理化をはかるとともに、国鉄の公共性にかんがみ、造船等と同じく利子補給等をはかる、あるいは減収不足分は国庫負担によって補う等を行なって、そして運賃値上げは断じてなすべきことではないことを主張いたしまして、国鉄無賃仕上げを基調とする本補正予算に断川反対するものであります。(拍手)
  400. 石原幹市郎

  401. 向井長年

    向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)に対し、次の理由から反対の意を表明いたしたいと存じます。 私の反対する第一の理由は、本案が、昭和四十一年度よりの国鉄運賃値上げを意図する国鉄運賃法改正案と一体化して初めて国鉄予算審議となり得るものであります。私どもは、一方では全面的な値上げを策しながら、他方では借入金によって建設資金を調達しようとする国鉄予算のあり方に対して断じて承服できないのであります。  第二の反対の理由は、本案の趣旨が、四十年度において、輸送量減少により、その収入減を安易な運賃値上げによって補おうとする点であります。そもそも、国鉄は公共事業であるため、厳格な意味での独立採算制を保持しようとするところに無理を生じ、年々ばく大な赤字負担に悩まざるを得なかったのであります。したがいまして、このような場合、国の責任において、財政支出により資金の確保をはかることが、国鉄の本来の意味から考えて、より妥当なものであると思います。しかるに政府は、平均三九%の運賃値上げを行ない不足資金をまかなおうとしておりますが、これでは、私鉄関係と何ら異なるものではありません。よって、今回の措置は断じて認めることができません。  第三の反対の理由は、運賃値上げによる波紋の大きなることが問題であります。およそ、今日、政治の最大の課題は物価の抑制にあります。すでに御承知のごとく、国鉄運賃の値上げが叫ばれるや、私鉄関係各社の運賃値上げの申請が一斉に出され、大手十四社は平均二〇・二%の値上げが認められ、続いて、市バス、市電等も運賃値上げを要求をいたしております。このように、国鉄運賃値上げは、一般物価等、もろもろの物価上昇に連鎖反応を及ぼしており、政府の物価政策は国民の期待を裏切る結果となっております。  わが党は、以上の理由に基づき、政府の態度にきびしい反省を求め、反対の討論を終わります。
  402. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 岩間正男君。
  403. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、国鉄運賃値しげの本補正予算案に反対するものであります。  佐藤内閣の今度の国鉄運賃値上げは、米日独占資本に奉仕する国鉄の第三次長期計画に要する二兆九千七百二十億円のばく大な資金を人民の負担でまかなうという、きわめて反人民的なものであります。  そもそも国鉄は、第三次長期計画の目的として、保安対策、通勤混雑の緩和、幹線輸送の増強の三つをあげていますが、前の二つは、うたい文句であり、さしみのつまで、真のねらいは、米日独占資本のための幹線輸送力の増強をはかることにあることは、第一次、第二次計画の実績に照らしても、あまりに明らかであります。  次に、第三次計画のねらいは、運賃収入をはじめ、大幅の財投を通じて、現在の深刻な過剰生産に苦しむ独占資本のための無気刺激策として大きな役割りを持たせることであります。国鉄は、歴史的に一貫して、独占資本には安く人民には高くという、反人民的な運賃体系をとっており、貨物輸送の赤字を、人民からしぼり取った旅客運賃の黒字で埋め合わせるという独占奉仕を続けてきました。今度の値上げ案は、貨物一二%、旅客三一%と、上げ幅に大きな差をつけることによって、この反人民的料金制度を、一そうひどいものにするものであります。しかも、その結果は、物価値上げに連鎖反応を促し、一そうの拍車をかけ、人民生活の苦しみを増大させることは、きわめて明らかであります。わが党は、このような、人民の生活を犠牲にする予算案は、断じて認めることはできないのであります。  わが党は、国鉄が自民党政府によって直接管理され、米日独占資本との結合を深め、人民にとって国鉄がますます寄生的なものとなり、人民収奪の機能を強めている現状を根本的に改めることを主張し、次の政策を掲げて戦うものであります。 第一、運賃値上げをやめ、米日独占資本の収奪に反対すること。  第二に、公共の安全保持のため、また混雑緩和を中心とした輸送力の増強をはかること。  第三に、このため必要な経費は国の財政から出資すること。  第四に、借入金、債券の償還を引き延ばし、利子率を引き下げること。  第五に、独占価格の引き下げ。工事契約、資材購入等は公正な入札で行なうようにすること。  第六に、独立採算制に反対し、必要な経費を国の一般会計から支出すること。  第七に、世銀借款を廃止し、米軍と自衛隊の軍事輸送を停止すること。  第八に、独占収奪のための合理化反対、労働者をふやし賃金を保障すること。労働条件の根本的改善をはかり、労働者のストライキ権を復活すること。  第九に、以上の政策を実行するために、国鉄の運営を徹底的に民主化すること。  以上の政策を掲げて、われわれは戦うことを明らかにして、本予算に反対するものであります。
  404. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、討論は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  405. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  先刻、木村禧八郎君、吉江勝保君が辞任され、その補欠として、木村美智男君、塩児俊二君が選任されました。     ―――――――――――――
  406. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは、これより採決に入ります。  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)を問題に供します。本案に賛成の方の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  407. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  408. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後七時三十九分散会