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1966-02-04 第51回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月四日(金曜日)    午前十一時十八分開会     ―――――――――――――    委員異動  十二月二十八日     辞任         補欠選任      久保 勘一君     草葉 隆圓君  一月二十八日     辞任         補欠選任      米田 正文君     石原幹市郎君  二月二日     辞任         補欠選任      二木謙吾君      櫻井 志郎君  二月三日     辞任         補欠選任      横山フク君      西田 信一君      吉江 勝保君    大野木秀次郎君      林田 正治君     小沢久太郎君      山高しげり君     市川 房枝君  二月四日     辞任         補欠選任     大野木秀次郎君     吉江 勝保君      宮崎 正義君     鬼木 勝利君      大谷 贇雄君     塩見 俊二君     ―――――――――――――    委員長異動 一月二十八日平島敏夫委員長辞任につき、その 補欠として石原幹市郎君を議院において委員 長に選任した。     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹布郎君     理 事                 小沢久太郎君                 西田 信一君                 亀田 得治君     委 員                 青柳 秀夫君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 梶原 茂嘉君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 小山邦太郎君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 白井  勇君                 杉原 荒太君                 平島 敏夫君                 増原 恵吉君                 松野 孝一君                 吉武 恵市君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 佐多 忠隆君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 林  虎雄君                 藤田藤太郎君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 鬼木 勝利君                 小平 芳平君                 多田 省吾君                 向井 長年君                 春日 正一君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  推名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  中村 梅吉君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        労 働 大 臣  小平 久雄君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  福田 篤泰君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        経済企画庁調整        局長       宮沢 鉄蔵君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        常任委員会専門        員        正木 千冬君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣送付予備  審査) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣送付予備  審査) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣送付、  予備審査) ○昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)  (内閣送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  会議に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  私、先般予算常任委員長に選任せられたのでございまするが、まことに微力でございまして、ことに、最近は私は当委員会にあまり関係していなかったものでありまするから、ふなれなことも多々出てまいると思いますが、どうぞお許しを願いたいと思います。ただ私は、誠心誠意をもちまして、議事の円滑なる運営をはかってまいりたいと思っておりまするので、今後何ぶんともよろしく御指導、御協力をたまわりたく、お願い申し上げまして、私のごあいさつにいたしたいと思います。     ―――――――――――――
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) まず、委員異動について御報告をいたします。  二月二日、二木謙吾君が辞任され、その補欠として櫻井志郎君が選任され、二月三日、山高しげり君、横山フク君、吉江勝保君、林田正治君が辞任され、その補欠として市川房枝君、西田信一君、大野木秀次郎君、小沢久太郎君が選任され、本日、大野木秀次郎君、宮崎正義君、大谷贇雄君辞任され、その補決として吉江勝保君、鬼木勝利君、塩見俊二君が選任されました。     ―――――――――――――
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  ただいまの委員異動に伴い、理事が欠員になっておりますので、その補欠互選を行ないます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小沢久太郎君、西田信一君、日高広為君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)  以上四案を一括して議題といたします。  まず、福田大蔵大臣から提案理由の説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  7. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昭和四十一年度予算編成基本方針及びその大綱につきましては、先日、本会議におきまして御説明いたしたところでありますが、本日から予算委員会で御審議をお願いするにあたりまして、あらためてその概要を御説明いたします。  昭和四十一年度予算編成にあたりましては、先日の財政演説で申し述べました財政金融政策運営の基本的な考え方にのっとり、公債政策の導入による財政規模の積極的な拡大と画期的な大幅減税の断行を通じて、有効需要拡大をはかり、景気のすみやかな回復を実現して、経済安定成長の路線に導くとともに、住宅生活環境施設等の飛躍的な拡充をはじめ、物価対策強化社会資本整備社会保障充実、低生産性部門近代化等の重要諸施策に対する財源重点的配分を行ない、あわせて一般行政費節減合理化、機構の拡大定員増加抑制等財政体質改善推進予算弾力的執行強化をはかることを基本方針といたしました。  この基本方針に基づき編成されました昭和四十一年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも四兆三千百四十三億円でありまして、昭和四十年度当初予算に対し六千五百六十二億円、補正(第三号)後の予算に対して五千六百九十五億円の増加となっております。  また、財政投融資計画総額は、二兆二百七十三億円でありまして、昭和四十年度当初計画に対し四千六十七億円の増加となっております。  まず、一般会計予算について申し上げなす。  歳入予算総額四兆三千百四十三億円の内訳は、租税及び印紙収入三兆一千九百七十億円、税外収入三千八百十三億円、公債金七千三百億円及び前年度剰余金受け入れ五十三億円となっております。  まず、租税及び印紙収入三兆一千九百七十七億円は、前年度当初予算に対し九百億円の減少、また、補正(第三号)後予算に対し一千六百九十億円の増加となっております。これは、現行税法を前提とする四十一年度収入見込み額三兆四千六十六億円から、税制改正による減収等二千八十九億円を差し引いた額であります。  四十一年度税制改正におきましては、最近における国民税負担状況及び経済情勢の推移にかんがみ、国税において平年度三千六十九億円(初年度二千五十八億円)にのぼる減税を断行することといたしましたが、これは、戦後最大の規模減税であります。  税外収入三千八百十三億円は、前年度当初予算に比べ八百六億円の増加となっております。  次に、公債金七千三百億円は、財政法第四条第一項ただし書きの規定により、公共事業費出資金及び貸付金財源に充てるため発行する公債収入を見込むものであります。なお、ここにいう公共事業費範囲は、一般会計予算総則第七条に掲げるとおりでありますが、その金額並びに出資金及び貸し付け金合計額は七千六百五十億円でありまして、公債金収入見込み額七千三百億円を三百五十億円上回るものとなっております。  このように、四十一年度発行する公債は、その対象を公共事業費等に限定いたしますとともに、市中消化によることとし、今後における公債発行が乱に流れることのないよう特に配意いたした次第であります。  前年度剰余金受け入れ工十二億円は、前年度当初予算に比べ六百四十四億円の減少となっております。  次に、歳出のおもな経費につきまして、順次御説明申し上げます。  社会保障関係費といたしましては、総額六千二百十七億円を計しし、経済発展国民生活向上に即応した施策充実をはかっております。  すなわち、まず生活保護費におきまして、生活扶助基準を十三・五%引き上げる等の改善措置を講じますほか、社会福祉費において、心身障害児対策強化等児童保護施策充実社会福祉施設職員処遇改善等を行なうことといたしております。  社会保険費におきましては、拠出制国民年金年金額を大幅に引き上げ、いわゆる夫婦一万円年金を実現いたしますほか、福祉年金についても、年金額引き上げ等改善を行なうことといたしております。政府管掌健康保険等に対しましては、四十二年度に抜本的な財政再建対策を講ずるまでの間、保険料率引き上げ等財政措置を講ずるとともに、特別の国庫補助を行なうことといたしております。さらに、国民健康保険につきましても、療養給付費に対する国庫補助制度整備して、世帯員七割給付の着実な推進をはかることといたしております。  このほか、保健衛生対策につきましては、結核、精神衛生原爆障害等、各般にわたり経費増額いたしますとともに、特にガン対策強化することといたしております。  また、雇用対策につきましても、職業転換給付制度新設等失業者就職促進労働力移動円滑化に資するための施策拡充することといたしております。  文教及び科学振興費といたしましては、総額五千四百三十三億円を計上し、青少年の健全な育成科学技術振興をはかることといたしております。  すなわち、初等中等教育につきましては、引き続き学級編制基準改善を行ないますとともに、公立文教施設につきましては、単価及び補助基準改定等により、その整備を一そう促進することといたしております。  また、義務教育教科書無償給与につきましては、その範囲を中学一年にまで拡大いたしますとともに、学校給食拡充就学援助強化特殊教育充実等につきましても格段の配慮を加えております。さらに、僻地教育充実についてもきめのこまかい施策を講ずることとし、新たに僻地における学校ふろ設置費に対する補助を行なうとともに、僻地教員宿舎増設、寄宿舎の整備無償給食実施等措置を講ずることといたしております。  次に、大学教育につきましては、大学入学志願者の急増に対処して、国立大学新設及び学部・学科等新設拡充により約四千六百人にのぼる入学定員増加を予定しておりますとともに、これに即応した施設整備充実をはかりますほか、育英貸し付け金制度拡充等を行なうことといたしております。  また、特に、私学に対しましては、私立学校振興会貸し付け規模を大幅に拡大いたしますほか、各種の国庫補助拡充いたす等、その助成を強化することといたしました。  以上の施策を通じて、学校教育水準及び内容の充実向上を期している次第であります。  さらに、科学技術振興につきましても、原子力の平和利用宇宙開発大型重要技術研究開発等重要研究推進するとともに、各省の試験研究機関研究体制整備をはかっております。  国債費といたしましては、国債の償還及び利子の支払い等に要する財源国債整理基金特別会計に繰り入れるため、四百八十九億円を計上いたしております。  恩給関係費につきましては、恩給増額の際の年令制限緩和等、引き続き制度改善をはかることといたしまして、千九百十七億円を計上いたしております。  次は、地方財政対策であります。  四十一年度地方財政は、地方税収等の伸びの鈍化、人件費増加等により、きわめて困難な状況に立ち至っておるものと考えられます。  このような事態の改善は、地方公共団体自身財政健全化のための努力にまつべき点も少なくないのでありますが、国におきましても、地方財政の健全な運営を確保するため、積極的に、総合的な財政対策を講ずることといたしております。  すなわち、まず地方交付税の率を二・五%引き上げて三二%とし、これにより五百八十六億円の増額を行ないますとともに、四十一年度限りの措置として、臨時地方特例交付金四百十四億円を交付することとし、あわせて一千億円を手当てすることといたしました。また、地方債につきましても、新たに特別事業債千二百億円を計上することとしておりますので、地方財政対策総額は二千二百億円と相なるのであります。  このほか、地方公営企業に対する再建措置超過負担解消のための措置等をあわせ講ずることにより、地方行政水準住民福祉の一そうの向上を期することといたしております。  防衛関係費としては、三千四百七億円を計上いたしまして、国力に応じた防衛力計画的な整備充実をはかるとともに、特に基地対策強化に配意いたしております。  特殊対外債務処理費につきましては、韓国に対する無償経済協力費増額等を行なうこととして、三百十五億円を計上いたしております。  公共投資につきましては、国力発展基盤を培養するとともに、国土保全に万全を期するため、社会資本計画的な整備拡充を思い切って推進することとし、公共事業関係費といたしまして、総額八千八百四億円を計上いたしております。  まず、当面の急務である住宅対策につきましては、一世帯住宅の目標を実現するよう、新たに住宅建設五カ年計画を策定し、計画期間内の建設必要戸数を六百七十万戸と見込み、このうち政府施策により二百七十万戸を建設することといたしております。四十一年度におきましては、その初年度として、公営住宅改良住宅公庫住宅及び公団住宅について合計三十万三千五百戸を建設するとともに、住宅床面積拡大等、質の向上をはかることといたしまして、一般会計住宅対策費四百八十七億円、財政投融資計画において住宅金融公庫及び日本住宅公団に対し二千六百七十四億円を計上いたしております。これらを合わせて見ますと、前年度当初に対し実に一千億円をこえる増加となり、その総額は三千百六十一億円と相なるのであります。なお、政府施策住宅全体では、このほか厚生年金住宅等をも合わせ四十万四千戸に達すると見込まれるのであります。  また、生活環境施設整備につきましては、公園、上下水道、終末処理施設ごみ処理施設等建設促進するとともに、公害防止対策にも特に配意いたしております。  さらに、新たに都市開発費金融資制度を設け、大都市における再開発推進するため、工場あと地等買収等に要する資金地方公共団体に融資することといたしております。  次に、道路整備につきましては、産業基盤整備をはかり、地域開発の一そうの推進に資するため、まず一般会計におきまして三千六百十三億円を計上いたしております。また、財政投融資計画におきましても、日本道路公団等有料道路事業について大幅な増額をはかり、一千六百七十一億円の資金を投入することといたしております。  空港につきましては、将来の国際航空輸送増大に対処して、四十一年度には新東京国際空港建設に着手するほか、東京及び大阪国際空港その他の整備を重点的に実施するとともに、港湾整備につきましても、輸出振興地域開発等に関連する事業に重点を置いてその促進をはかることといたしました。  次に、日本国有鉄道につきましては、安全輸送の確保と輸送力の増強をはかるため、工事規模を大幅に拡充するとともに、特に四十一年度から山陽新幹線に着工することといたしました。また、日本鉄道建設公団につきましても、新線建設促進するため、五百億円の事業規模を確保することといたしております。  日本電信電話公社につきましては、旺盛な電話需要に対処するため、加入電話百二十二万個の増設等電信電話施設整備を進めることといたしました。  さらに、治山治水対策につきましては、既定の計画促進をはかるとともに、一級水系追加指定等を行なうこととし、また、災害復旧等事業費を大幅に増額して、四十年発生災害につきその復旧進度を繰り上げる等の措置を講ずることといたしております。  輸出振興国際経済協力推進は、わが国経済の均衡ある発展をはかっていく上において不可欠の要件でありまして、四十一年度においても、重点的に施策拡充をはかっているところであります。  すなわち、まず大幅な企業減税により、企業国際競争力強化をはかりますとともに、日本輸出入銀行に対して千五百二十億円の財政資金を投入してその貸し付け規模を大幅に増額するほか、日本貿易振興会等が行なう輸出市場拡大のための諸事業拡充し、輸出の一そうの伸長を期することといたしております。  また、経済協力につきましては、韓国及び台湾向け借款増加等に対処して、海外経済協力基金に対する財政資金を大幅に増額いたしますとともに、新たにナムグム・ダムの開発援助資金拠出、アジア開発銀行に対する出資等を行なうことといたしております。  さらに、貿易外収支改善に資するため、海運業再建整備外航船腹拡充国際航空事業育成強化等につきましても、格段の配慮を加えております。  農林漁業と並んで、中小企業生産性向上は、当面の緊要な課題であり、四十一年度においては、その近代化高度化を独力に推進するため、税制財政金融上の諸施策を総合的に展開することといたしております。  まず、一般会計におきましては、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れを大幅に増額し、貸し付け条件改善を行なうとともに、新たに小売商連鎖化及び共同工場建設貸与制度を設けることといたしました。また、設備近代化補助小規模事業対策経営指導事業についても一そうの充実につとめることといたしております。  税制面におきましては、法人税軽減税率引き下げ等により、平年度七百億円をこえる減税を行なうことといたしております。  中小企業金融につきましては、まず財政投融資計画におきまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に対し、二千五百四億円を投入し、貸し付けワクの二割拡大をはかるほか、本年四月以降の長期貸し付け金利の三厘引き下げ等により中小企業者負担軽減につとめることといたしました。この措置は、昨年九月の引き下げに続く再度のものであります。  また、昨年十二月に、連鎖倒産防止のための保険制度の創設等大幅な改善が行なわれた信用補完制度につきましても、中小企業信用保険公庫融資基金に充てるため、四十年度補正予算による十億円の出資に引き続き、七十五億円を出資して、中小企業者に対する事業資金融通円滑化をはかることといたしております。  農林漁業につきましては、その近代化合理化を着実に推進するため、生産基盤整備充実するとともに、需要の変化に即応する生産選択的拡大経営近代化、価格の安定等施策を総合的に推進することといたしております。  これがため、新たに事業規模二兆六千億円の土地改良長期計画を定め、圃場、農道等を中心に農業基盤整備計画的に推進いたしますとともに、林道、漁港等につきましても事業拡充をはかることといたしております。また、農林漁業を通ずる構造改善事業推進農林水産物生産及び流通対策拡充、なかんずく畜産、園芸等成長部門生産拡大につとめるとともに、農地管理事業団等による自立経営農家育成農業保険の円滑な運営等についても施策強化することといたしております。  また、当面重要な農林水産物の価格安定につきましては、野菜の集団産地育成食肉供給増大中央卸売市場整備水産物冷凍化普及等施策推進することといたしました。  さらに、金融面施策といたしましては、農林漁業金融公庫農業近代化資金等について、それぞれ貸し付けワク拡大するとともに、特に農業近代化資金融通円滑化をはかるため、都道府県の農業信用基金協会保証業務強化することとし、農業信用保険制度を創設することにより、その改善円満化をはかることといたしております。  石炭対策費といたしましては、昨年末の石炭鉱業審議会中間答申の線に沿い、石炭鉱業合理化離職者の援護及び産炭地域振興等に対する施策強化することといたしまして、二百四十億円を計上いたしております。  食糧管理特別会計に対しましては、調整資金状況等を勘案いたしまして、一般会計から千三百十九億円を繰り入れることといたしております。  産業投資特別会計におきましては、日本輸出入銀行に対する出資三百七十億円をはじめとする総額四百八十億円の出資を行なうこととし、これに要する財源として、一般会計から同特別会計へ四百四十億円を繰り入れることといたしております。  予備費といたしましては、災害復旧に要する経費等、最近におけるその使用状況を勘案して、四十年度当初予算に対し百五十億円増の六百五十億円を計上いたしております。  四十一年度におきましては、大蔵省証券発行限度額引き上げ、及び災害復旧その他緊急の必要がある場合における国庫債務負担行為限度額引き上げを行なうこととし、予備費増額と相まって、予算弾力的執行をはかることといたしております。  さらに、予算及び財政投融資計画を通じ、事業執行を上半期に可及的に繰り上げ実施して有効需要喚起拡大をはかることにより、景気早期回復を達成するとともに、年度を通じて安定的な成長を確保することといたしております。  以上、主として一般会計予算について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計に準じ、経費及び資金重点的配分と効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。  財政投融資につきましては、以上のそれぞれの項目において御説明いたしておりますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計出資四百八十億円、融資原資として、資金運用部資金一兆二千三百六十一億円及び簡保資金千七百億円、合計一兆四千五百四十一億円の財政資金のほか、民間資金等の活用として、公募債借り入れ金等五千七百三十二億円を見込み、合計二兆二百七十三億円を予定いたしております。  運用計画の策定にあたりましては、住宅建設に特に重点を置いてその推進をはかりますとともに、道路、運輸通信等社会資本充実輸出振興等により有効需要拡大に資することといたしますほか、中小企業及び農林漁業金融充実並びに生活環境施設文教施設等の整備拡充についてもそれぞれ配慮を加えております。また、地方財政につきましては、現下の状況にかんがみ、地方債計画において必要な措置を講ずることといたしております。  以上、昭和四十一年度予算につきまして、その概要を御説明いたしましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださることをお願い申し上げます。  次に、昨年末提出いたしました昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)につきまして、その概要を御説明申し上げます。  日本国有鉄道につきましては、さきに政府関係機関補正予算(機第2号)により当面緊急に手当てを必要とする修繕費及び改良費等の追加等を行なうことといたしたのでありますが、さらに、今回、旅客及び貨物輸送量の減少による運輸収入減少等に伴う所要の予算補正を行なうこととしたものであります。  今回の補正予算におきましては、本年二月十五日以降に運賃の改定を行なうこととしてもなお生ずると見込まれる減収学二百六十二億円につきまして、鉄道債券の発行等によりこれを補てんすることといたしております。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  8. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまの大蔵大臣の説明に関し、これより、順次政府委員から補足説明を聴取いたします。谷村主計局長
  9. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 昭和四十一年度予算の概要につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお細部にわたりまして補足して御説明することといたします。  お手元には、四十一年度予算の説明という、未定稿ではございますが、冊子が御参考のために配付してあると思いますが、詳細はこれに書いてございますけれども、ただいま、便宜、その中で大臣の提案理由説明を補足する程度の要所々々についてだけ御説明することといたします。  一般会計予算規模は、近年の一般会計当初予算についていろいろ比較してみますと、前年度当初予算に対する伸び率が、四十一年度予算の伸び率一七・九%は、四十年度予算における一二・四%、三十九年度予算における一四・二%、三十八年度予算における一七・四%のいずれをも上回り、三十七年度予算における二四・三%以来四年ぶりの高い伸び率となっております。  次に、国民生産との比較でありますが、四十一年度一般会計予算規模は、四十一年度国民生産の見込み額三十兆八千五百億円の一四・〇%に相当するものであります。  最近の当初予算について、その規模を、それぞれの年度国民生産の当初見通しと比較いたしますと、四十一年度における一四・〇%は、四十年度における一三・〇%、三十九年度における一三・五%を上回り、三十八年度の一四・〇%と並ぶものとなっております。  次に、国民生産に対する中央、地方政府財貨サービス購入の割合は、四十一年度には二三・二%に達すると見込まれるのでありますが、これは、四十年度当初における二一・四%、三十九年度当初における二一・九%、三十八年度当初における二二・〇%のいずれをも上回るものであります。  次に、歳入について申し上げます。歳入につきましては、税制のことにつきましては、後ほど他の政府委員から補足説明をいたしますので、ここでは税外のものについて申し上げたいと思います。  歳入予算のうちで、税外収入は三千八百十三億円でございますが、その内訳は、専売納付金千八百十四億円、うち日本専売公社納付金千八百一億円、官業益金及び官業収入百七十三億円、うち国立療養所等の病院収入百六十億円、政府資産整理収入二百六十四億円及び雑収入千五百六十一億円となっております。  この雑収入のうちのおもなものとしては、日本銀行納付金四百三十二億円のほか、四十一年度の特別の財源対策として予定しました外国為替資金受け入れ百四十三億円及び農業近代化助成資金受け入れ二百八十一億円が含まれております。  次に、公債でございますが、公債発行の対象となる経費の金額は七千六百五十億円でございますが、その内訳は、一般会計予算総則第七条に掲げました公共事業費六千六百六十三億円、これは公共事業関係費五千八百六十八億円、その他施設費七百九十五億円、それのほか、出資金八百億円及び貸し付け金百八十七億円ということになっております。  前年度剰余金受け入れ五十三億円は、三十九年度決算の結果新たに生じた純剰余金二百四十億円のうち、四十年度補正予算(第三号)において歳入予算に計上した額百八十七億円を控除した残額でありまして、地方交付税及び道路整備費に六億円、国債償還の財源に四十七億円が充てられることとなっております。  次に、歳出の点でポイントを申し上げます。  社会保障関係費六千二百十七億円は、前年度当初予算に対し千五十一億円の増加、伸び率は二〇・三%であります。  生活保護費のうち、生活扶助基準引き上げは一三・五%であります。これにより、東京都の標準四人世帯に例をとりますと、生活扶助の支給額が月一万八千二百四円から二万六百六十二円に増額されることとなります。  重症心身障害児あるいは障害者対策といたしましては、新たに国立療養所等に五百二十床の施設を設けますほか、民間施設に対する療育費補助増額し、また、在宅重症心身障害児の訪問指導を開始する等、対策の強化をはかっております。  また、従来の重度精神薄弱児扶養手当を重度障害児扶養手当に改め、新たに重度身体障害児をも支給対象に含めることといたしております。  拠出制国民年金は、年金水準の大幅引き上げを行なうこととしております。これにより、たとえば、二十五年拠出の老齢年金は、月額二千円から五千円に増額されることとなり、夫婦合わせていわゆる一万円年金が実現いたします。  また、福祉年金におきましても、老齢福祉年金の月額千三百円から千五百円への引き上げのほか、障害、母子及び準母子の各年金月額の引き上げ並びに各種所得制限の緩和等を行なうことといたしております。  国民健康保険助成費のうち市町村に対する療養給付費関係の国庫補助体系につきましては、次のようにその整備をはかっております。すなわち、従来、世帯員七割給付の実施に伴う療養給付改善特別補助金というのがございまして、それに財政調整交付金の中に含まれておりました世帯給付改善交付金、この二つをこれまで補助率二五%であった療養給付費補助金に統合いたしまして、これに伴ない、その補助率を四〇%に引き上げますとともに、財政調整交付金の交付率を一〇%から五%に改めることといたしました。  文教及び科学振興費五千四百三十三億円は、前年度当初予算に対し六百八十二億円の増加、伸び率は一四・四%であります。  義務教育諸学校の学級編制基準改善は、一学級当たりの最高児童生徒数四十八人でございましたのを四十七人とすることを内容とするものであります。  公立文教施設整備費につきましては、学校統合、危険改築等を重点としてその大幅な増加をはかるとともに、単価、構造比率及び屋内運動場の補助基準等の改善を行なうことといたしまして、前年度予算に比べ二割増の二百四十七億円を計上いたしております。学校給食改善の内容は、国内産生牛乳の使用量の引き上げ、前年度七十万石というのを百万石にされておりますが、給食設備の整備、学校栄養職員の増員、要保護及び準要保護児童生徒のおかず代の引き上げ等、その内容の改善をはかっております。さらに、高度僻地学校の児童生徒に対しましては、新たに、パン及びミルクを無償で給与することといたしております。  次に、私学の振興につきましては、私立学校振興会に対する出資を十億円から十二億円に、また、財政投融資を百億円から百九十億円に増額いたしまして、その貸し付け規模を前年度の百五十億円から二百四十二億円に飛躍的に拡大することといたしております。  このほか、理科教育設備、研究設備等に対する補助強化することとし、これらを含め、私立学校助成費として前年度当初予算に比べ二割増の五十二億円を計上いたしております。  次に、地方財政でございますが、一般会計における地方財政対策は、地方交付税交付金七千五百七億円、臨時地方特例交付金四百十四億円、合計七千九百二十一億円であります。これは、前年度当初予算における地方交付税交付金七千百六十二億円に対し、七百五十九億円の増加となっております。  まず、地方交付税交付金でございますが、これは交付税率を二九・五%から三二%に引き上げております。そこで、地方交付税交付金七千五百億円というのは、四十一年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込み額合計額二兆三千四百五十六億円にこの交付税率三二%を乗じまして得た額七千五百六億円と過年度精算額一億円との合計額であります。臨時地方特例交付金四百十四億円につきましては、そのうちの二百四十億円は、日本専売公社が小売り人等へ売り渡す製造たばこの本数によって、また、百七十四億円は、普通交付税の配分方式に準じ、それぞれ地方公共団体に交付することといたしております。  以上の措置により、現行交付税率で算定した場合に対し、合計一千億円の対策を講じた次第であります。  公共事業関係費につきましては、特別失業対策中業費四十一億円を含めまして総額八千八百四億円となっております。これは前年度当初予算に対し一千四百四億円の増加、伸び率は一九・〇%となっております。  政府施策住宅建設単価は、建築物価指数の上昇率のほか、質の向上をも加味いたしまして、工事費、用地費単価ともその引き上げを行なっております。  また、規模は、第二種公営住宅の中層耐火等につき〇・五坪、改良住宅につき一・〇坪、公庫住宅の分譲共同住七につき〇・五坪、公団住宅の普通分譲住宅につき一・〇坪、その他の公団住宅につき〇・五坪をそれぞれ拡大することといたしております。さらに、四十一年度の重点施策である中堅勤労者の持家対策につきましては、新たに公庫に産業労働者用分譲住宅制度を設け、従業員が勤務先から貸し付け等を受けて分譲住宅を取得する制度を設けました。また、公団においても、一定の賃貸期間経過後分譲する方式の分譲住宅制度を設けることといたしました。四十一年度には、両者それぞれ五千戸ずつ、合計一万戸を予定いたしております。  次に、道路のことを申し上げます。道路整備事業費三千六百十三億円の財源構成は、揮発油税収入等の特定財源が二千七百九十八億円、一般財源が八百十五億円となっております。特に一般財源につきましては、揮発油税収入の伸びの鈍化等を勘案いたしまして、前年度当初予算の五百二十億円に対し二百九十五億円という大幅な増額を行なっているのでございます。日本国有鉄道工事規模につきましては、前年度当初予算の三千億円から三千六百億円に拡大することといたしております。また、日本電信電話公社建設費につきましては、前年度当初予算の三千三百六十九億円から四千百二十億円に拡大することといたしております。  次に、貿易振興及び経済協力関係について若干補足いたしますが、貿易振興及び経済協力費二百八十一億円は、前年度当初予算に対し、百五十二億円の増加、伸び率は一一七・五%でございまして、前年度の二倍をこえる予算額となっております。また、このほか海運対策費百四十五億円を計上いたしております。日本輸出入銀行につきましては、貸し付け規模を前年度当初計画の千九百四士五億円から二千三百三十億円に拡大することといたしております。海外経済協力基金に対する一般会計出資及び財政投融資を、それぞれ前年度の十億円から七十五億円に増額いたしまして、合わせて百五十億円の財政資金を投入し、その事業規模を百四十億円から二百二十億円に拡大することといたしております。なお、韓国に対する無償経済協力費につきましては、別途、特殊対外債務処理費のうちに八十九億円を計上いたしております。アジア開発銀行は、アジア地域について、地域内の経済成長を高め、経済協力を助長し、かつ、地域内の開発途上にある加盟国の経済開発促進することを目的として設立されるものでありまして、四十一年度におきましては、同銀行に対し三十六億円(一千万ドル)を出資することといたしております。日本開発銀行の海運融資のワクは、七百七十三億円でありまして、前年度当初計画の五百七十三億円に対し、二百億円の増額となっております。  次に、中小企業関係について若干補足いたしますが、中小企業対策費二百九十三億円は、前年度当初予算に対し、七十七億円の増加、伸び率は三五・八%であります。  内容といたしまして若干申しますと、中小企業高度化資金につきましては、一般会計から中小企業高度化資金融通特別会計へ八十億円を繰り入れ、同特別会計から都道府県に八十一億円の貸し付けを行なうことといたしております。その内容につきましては、償還期間の延長等貸し付け条件の大幅な改善をはかるとともに、新たに消費者物価対策の一環として、流通過程の合理化をはかるため、商工業協業化資金のうちに小売り商連鎖化資金一億円を追加し、また、小規模企業共同工場建設貸与資金十六億円を創設いたしております。政府関係中小金融三機関に対する財政投融資二千五百四億円の内訳でございますが、国民金融公庫千百二十九億円、中小企業金融公庫千三百十億円及び商工組合中央金庫六十五億円でございまして、商工中金に対しましては、そのほかに一般会計出資が二十五億円ございます。国民金融公庫及び中小企業金融公庫におきましては、本年の四月以降、長期貸し出しの基準金利を現行の年利八・七%から〇・三%引き下げて八・四%といたしますほか、商工組合中央金庫においても、組合貸しの長期貸し出しについて年利〇・三%の引き下げをはかることといたしております。  次に、農林漁業関係でございますが、農林水産業構造改善対策費二百三十四億円の内訳は、農業関係百九十五億円、林業関係二十四億円及び沿岸漁業関係十五億円となっております。このうち、農業構造改善事業につきましては、四十一年度に新たに四百八十地域において事業に着手いたしますほか、さらに五百市町村を計画地域として指定することといたしております。生鮮食料品対策というのが出ておりましたが、そのおもな項目を申し上げますと、野菜の生産と出荷の安定をはかるための野菜集団産地育成、カンランなどの価格安定資金の助成、それから食肉供給の増強をはかるための肉用牛繁殖育成センター設置等に対する助成、中央卸売市場整備に対する補助増加水産物価格の安定をはかるため冷凍化した多獲性の魚の出荷調整事業の試験的な実施などでございます。農林漁業金融公庫におきましては、新規貸し付け契約額を前年度の千二百四十億円から千四百二十億円に拡大することといたしております。また、農業近代化資金の新規貸し付けワクを前年度の七百億円から八百億円に拡大いたしますとともに、生産家畜及び果樹の育成資金等を新たに融資対象に加え、また、貸し付け金制を年利〇・五%引き下げることといたしております。  なお、農業近代化資金にかかる債務保証制度充実強化するため、都道府県の農業信用基金協会の行なう債務保証について保険するとともに、債務保証に必要な資金の融資を行なうため設立される農業信用保険協会に対して四十四億円を交付することといたしております。  特別会計につきましては、一般会計の関連する項目においてそれぞれ御説明いたしましたので、ここでは四十一年度新設を予定しております地震再保険特別会計及び都市開発金融特別会計について御説明いたします。  なお、この二つの特別会計新設に伴い、特別会計の数は、全部で四十五となるわけでございます。  地震再保険特別会計は、地震等による被災者の生活安定に寄与するため、住宅及び家財について超過損害再保険制度を創設することに伴って新たに設けられるものであります。それから、都市開発金融特別会計は、大都市における再開発促進し、都市計画事業を円滑に実施するため、関係地方公共団体に対して工場あと地等の買収及び特に重要な都市計画施設の用地の先行取得を行ないますための資金を融資することを目的として、新たに設けられるものであります。なお、都市開発資金融通特別会計に対しましては、一般会計から五億円を繰り入れますほか、十億円の財政投融資を行なうことにいたしております。  政府関係機関につきましては、関連する項目においてそれぞれ補足説明いたしましたので、ここでは申し上げません。  以上で補足説明を終わります。
  10. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、塩崎主税局長から説明を聴取いたします。主税局長
  11. 塩崎潤

    政府委員(塩崎潤君) 歳出予算に続きまして、昭和四十一年度租税及び印紙収入予算の補足説明をいたします。  便宜上、お手元に配付申し上げましたところの「昭和四十一年度租税及び印紙収入予算の説明」という小冊子によりまして御説明申し上げたいと思います。  まず、第三ページを開いていただきたいと思います。三ページは、四十一年度租税及び印紙収入予算額の現行法及び改正法の全貌が示されておるのでございます。この内容につきましては、一ページからその説明が始まっております。説明いたしますと、昭和四十一年度一般会計における租税及び印紙収入予算額は三兆一千九百七十七億一千百万円でありまして、この額は、昭和四十年度の当初予算額三兆二千八百七十七億九百万円に対しましては、八百九十九億九千八百万円の減少となっておりますが、昭和四十年度補正後の予算額三兆二百八十七億三百万円に対しましては、千六百九十億八百万円の増加となっているのでございます。この予算額は、昭和四十一年度におきます租税及び印紙収入額を現行の税法によって見積もった場合の収入額三兆四千六十六億六千六百万円、つまり補正後の予算額に対しまして三千七百七十九億六千三百万円、当初予算に対しまして一千百八十九億五千七百万円の自然増収を見積もったものでございますが、この収入額から今回の税制改正に伴いますところの、第一に、所得税減税企業減税等の減税による減収見込み額が二千六十三億九千百万円、第二に、租税特別措置の調整合理化による増収見込み額五億四千八百万円、第三に、関税率改定等による減収見込み額三十一億一千二百万円、合計減収見込み額二千八十九億五千五百万円を差し引いたものでございます。  なお、この一般会計における予算額に、交付税及び譲与税配付金特別会計歳入となる地方道路税、石油ガス税及び特別とん税の予算額五百六十六億五千九百万円を合わせますと、昭和四十一年度における国の租税及び印紙収入予算額の総額は三兆二千五百四十三億七千万円となるのでございます。  以上が昭和四十一年度の現行法及び改正法の総体的な御説明でございました。  次に、第一に、四十一年度におきまして、現行法のもとにおきましては租税収入がどういうふうに動くかという点について御説明申し上げたいと思います。  この予算額は、最近までの課税及び収入状況並びに今後の経済情勢の推移等を考慮して見積もったものでございますが、昭和四十一年度わが国経済は、この小冊子の五十二ページに掲げてありますところの昭和四十一年度経済見通しに基づき漸次均衡がとれ安定した成長の路線に乗っていくものと期待し、国民生産は対前年度一一・三%、実質七・五%成長するものと想定いたしております。すなわち、昭和四十一年度におきましては、鉱工業生産は対前年度八・〇%と伸ば率は回復するが、昭和四十年度におきましては、伸ば率が二・四%と停滞した影響もあり、また、卵売り物価はほぼ横ばいに推移すると見込まれますので、法人税収入には多くを期待できませんが、雇用、賃金の伸びに伴う給与所得の増加、個人消費等の堅調な増勢にささえられた事業所得の増加等が見込まれますので、所得税におきましては相当の増収が期待されておるのでございます。また、間接税等につきましては、最近の課税状況等を勘案して算定いたしましたが、総じて若干の増収にとどまるものと見込まれるのでございます。  三ページに示されておりますとおり、三千七百七十九億六千三百万円の自然増収のうち、このような見込みの結果、所得税の自然増収が半分以上占めておりまして、一千九百八十二億一千七百万円、五二・四%が構成比となっております。一方、法人税は三百六十億七千九百万円でございまして、九・五%となっておる状況でございます。  以下各税の収入見込みにつきましては省略させていただきまして、このように三千七百七十九億六千三百万円、当初予算に対しましては一千百八十九億五千七百万円の自然増収を見込みました。  現行法のもとにおいて行なわれますところの税制改正、並びに税制改正の結果、租税及び印紙収入予算がどのように動くかにつきまして御説明申し上げたいと思います。  二十五ページの「昭和四十一年度税制改正の要綱」というのに詳しく掲げてございますので、とれによりまして、その概要を御説明申し上げたいと思います。  なお、各項目に基づく増減収見込み額につきましては、三十三ページと、さらにさかのぼって四ページと五ページにその詳細が示されております。  四十一年度税制改正のおもな柱は四つございます。第一に、中小所得者の負担軽減のための所得税の減税、第二は、国民の適正な財産形成を確保するための相続税の減税でございます。第三は、企業の体質改善、特に中小企業経営基盤強化等に資するとともに、現下の経済状況において緊要と認められる諸施策推進するための企業減税でございます。第四の柱は、健全な消費需要の喚起等のための物品税の減税でございます。  このような減税の結果、国税におきまして、平年度三千六十九億円、初年度二千五十八億円の減税が行なわれることになっているのでございます。その概要につきまして若干の注釈を加えたいと思います。  まず、第一は、所得税の減税でございます。所得税の減税には重点が二つございまして、第一には、現行法五十六万四千円の課税最低限を標準世帯につきまして平年度分六十三万一千円程度に引き上げることを目標といたしますところの所得控除の引き上げでございます。第二は、昭和三十二年以来久しぶりに行なわれますところの、課税所得三百万円までの階層に対しますところの税率の緩和でございます。このような減税の結果、所得税におきましては平年度千五百五億円、初年度千二百八十九億円の減税が行なわれることになっておるのでございます。  次は、相続税及び贈与税の減税でございます。これにつきましては、昭和三十三年以来の大幅な改正でございまして、標準的な相続につきまして課税最低限を五百万円から千万円と大幅に引き上げることを目標とし、さらにまた、夫婦間の贈与あるいは夫婦間の財産移転に伴いますところの相続税につきまして特例を設け、さらにまた、相続税の税率並びに贈与税の税率を大幅に緩和したものでございます。この減税の結果、平年度約百五十億円、初年度五十億円の減収となる見込みでございます。  第二は企業減税でございます。企業減税には三つの重点がございます。第一は、企業の体質改善促進でございまして、第二は、企業減税で最も重点を置かれました中小企業の体質の強化でございます。第三は、いつも重点が置かれております輸出振興でございます。このような三つの重点の結果、企業減税につきましては、平年度千七十七億円、初年度四百三十一億円の減税が行なわれることになっておるのでございます。  第三は物品税の減税でございます。物品税も昭和三十七年以来の減税でございますが、課税の廃止、免税点の引き上げ、税率の引き下げ等を行なうことによりまして、平年度三百四十七億円、初年度二百八十七億円の減税が行なわれることになったのでございます。  以上四つの柱のほか、特別措置の整理合理化が今回の大きな特色として行なわれることになっておりまして、重要産業用合理化機械の特別償却制度と新規重要物産免税制度の特別措置につきまして整理合理化、特に新規重要物産免税制度につきましては廃止が行なわれることになっておりますほか、その他の土地対策、住宅対策等の最近の経済情勢に応じますところの税制改正が行なわれることになっているのが今回の税制改正でございます。  三ページに戻っていただきまして、以上申し上げました税制改正の結果、先ほど申し上げましたように、国税におきましては、平年度三千六十九億円、初年度二千五十八億円の減税が行なわれることになったのでございますが、そのほか、関税におきまして銅不足に対処いたします等のため関税率の引き下げが行なわれまして、平年度三十七億円、初年度三十一億円の減税が行なわれることになっておるのでございます。その結果、国税におきましては平年度三千百六億円、初年度二千八十九億円の減税が行なわれることになるのでございます。なお、このほか、地方税におきまして平年度五百十五億円、初年度二百五十七億円の減税が同時に行なわれる予定になっております。したがいまして、国税、地方税合わせまして、平年度三千六百二十一億円、初年度二千三百四十六億円の大幅な減税が行なわれることになっておるのでございます。  以上、四十一年度税制改正によりまして国民の租税負担率がどういうふうに動くかにつきましては、四八ページにその状況が掲げられておるのでございます。四十年度におきましては負担率は二一・二%でございましたが、大幅な減税の結果、四十一年度におきましては二〇・二%になる見込みでございます。  さらにまた、直接税、間接税の構成比がどのように動くかにつきましては、四九ページにその結果が示されております。四十年度におきましては、直接税の割合は五九%でございました。間接税の割合は四一%でございましたが、所得税、法人税、相続税等、直接税に減税の重点が置かれました結果、四十一年度には、直接税の割合は五七・七%になり、間接税は四二・三%と、間接税の割合が若干上がる傾向が示されておるのでございます。  以上、簡単でございますが、昭和四十一年度租税印紙収入予算額の補足説明でございます。
  12. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、中尾理財局長から説明を聴取いたします。中尾理財局長
  13. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 昭和四十一年度財政投融資計画等につきまして、若干、重複を避けて補足して説明を申し上げます。  お手元に御配付申し上げております「昭和四十一年度予算の説明」の七六ページ以下に、財政投融資の関係の数字が出ております。ごらんになりながらお聞きいただきますと幸いであります。  昭和四十一年度財政投融資計画は、先ほど御説明がございましたように、総額二兆二百七十三億円でございまして、四十年度当初計画額の一兆六千二百六億と比較いたしますると、金額で四千六十七億円、割合にいたしまして二五・一%の増加となっております。いわゆる七・五%という成長を前提といたしました経済成長の中におきまして、諸般の経済関係とバランスのとれた財政規模をもちましてこの当面の不景気回復に資しまするとともに、すみやかにこの経済安定成長の路線に持っていくという財政の考え方が実は端的にここに出ておるのでございまして、ここ数年来の財投の伸びはおおむね対前年度二〇%程度でございます。相当積極的な増加でございます。  最初に、原資について補足いたします。右上の「1原資見込」の表に数字が出ておるのでございますが、まず、産投会計出資でございまするが、最近補給金方式を活用することになりましたので、昭和四十年度当初計画案に対しまして七十七億円減の四百八十億円を計上することにいたしております。この財源といたしましては、産投会計の資金がございましたが、これは四十年度において全額取りくずしておりまする関係で、同特別会計の普通の財源のほか一般会計から四百四十億円を繰り入れまして充てることにいたしておるものでございます。これは昭和四十年度の当初予算と比較いたしまして三百十五億円増加の繰り入れでございます。  次に、資金運用部資金につきましては一兆二千三百六十一億円、四十年度の出初計画案に対しまして金額で千七百二十二億円の増加計画いたしております。この大宗を占めまするものは郵便貯金と厚生年金でございまするが、郵便貯金につきましては、四十年度に対しまして千百億円の増加、四千九百億円を見込んでおる次第でございます。郵便貯金は、最近もおおむね順調な伸びを続けておりまして、四十一年度におきましても増加の見込み額を十分に達成できるものと考えております。また、厚生年金につきましては、保険料収入の自然増等を見込みまして、四十年度に対しまして七百九十二億円増加の四千五十二億円を計画いたしております。  次に、簡保資金でございまするが、これは契約の集中満期の影響を受けまして四十年度におきましては三十九年度に比べまして四百億円減少したのでございまするが、四十一年度におきましてはその関係が解消いたしまして、四十年度に対しまして六百億円の増、千七百億円を見込んでおるのでございます。  公募債借入金等につきましては、五千七百三十二億円を予定いたしております。四十年度の当初計画額に対しまして千八百二十二億円の増加計画しておるものでございます。このうち、国内民間資金につきましては五千二百九十億円で、四十年度当初計画額に対しまして二千三十億円の増加となっておるのでございます。これは現下の経済情勢並びにそれに基づきまするところの民間資金の需給の実勢というものに顧みまして、民間におきまするところの貯蓄を財政部門に導入することによりまして積極的に財政支出の拡大をはかりまして、もって当面の景気回復につとめるとともに、すみやかに経済安定成長を確保するために必要として考えられたものでございます。  なお、民間資金の内訳を申しますると、その主体をなします政府保証債の発行予定額は四千億円でございまして、四十年度当初計画額に対しまして千七百三十億円の増加となっております。  公募地方債は五百六十億円を予定いたしておりまして、これは四十年度当初計画額に対しまして百億円の増加計画いたしておるものでございます。  なお、日本住宅公団資金に充てます生命保険会社、信託銀行から借り入れます借入金につきましては、七百三十億円を予定いたしております。これは四十年度当初計画額に対しまして二百億円の増加計画いたしておるものでございます。  次に、外貨債等につきましては四百四十二億円を予定いたしておりまするが、これは四十年度に対しまして二百八億円の減少でございます。外貨債につきましては、外国資本市場が非常にタイトな状況にあることを勘案いたしまして、産投外債五千万ドル及び政府保証外債二千五百万ドルを計画に計上しておるものでございます。また、世銀借款につきましては、四十一年度中に借り入れることになる予定額を計上しておるものでございます。  以上の原資を合計いたしますると、二兆二百七士二億円と相なるわけでございます。これら原資の計画にあたりましては、全体といたしまして国、政府関係機関、地方公共団体、民間等におきまする資金需要に対しまして、先ほど申し上げましたような経済事情に即しました資金の配分ということにつきまして適正を期するという見地から達観を行ないまして、その配分を考えておる次第でございます。  この原資をもちまして昭和四十一年度財政投融資の運用を行なうことになるわけでございまするが、先ほど大臣から提案理由説明において申し上げましたように、住宅建設に特に重点を置きましてこれを推進することといたしまするとともに、道路、運輸、通信等、社会資本充実輸出振興等をはかることによりまして有効需要拡大に資することといたしております。また、中小企業及び農林漁業金融充実並びに生活環境整備、又施設等の整備拡充につきましてもそれぞれ配慮を加えておる次第でございます。また、地方財政につきましては、その現状に顧みまして、地方債計画におきまして必要な資金措置を講ずることにいたしておる次第でございます。  これら各機関に対する運用の詳細につきましては、多岐にわたることでもございまするし、また先ほど来いろいろ御説明がございましたことと重複する部分もございますので、詳細は省略させていただきまするが、七八ページの中ほどの以下に一表ございまして、「Ⅲ使途別分類表」というのがございます。これによりましてその大要を御説明申し上げまするというと、(1)が住宅でございまするが、先ほど来御説明にもございましたように、特に住宅に重点を置きまして財政投融資の拡充をはかっておりまして、一番右の欄の財投合計でごらんになりますような形に相なっておるわけでございます。以下、住宅を含めまして、生活環境整備、厚生福祉施設文教施設中小企業農林漁業と続きまするが、(1)から(6)までがいわゆる国民生活に最も密接な直接な関係を有します部門でございまするが、これらの部門に対する財政投融資は総額一兆八百二十六億円にのぼっております。昭和四十年度の額に対しまして二六・五%の増加でございまして、財政投融資計画全体の伸びを上回る形になっておるものでございます。なお、(7)から(10)まではいわゆる社会資本を形成する部門でございますが、この部門に対しましても総額で六千三百十五億円財政投融資を行なうことといたしておるものでございます。  以上で四十一年度財政投融資計画についての説明の補足を終わります。  最後に、予算並びに財政投融資等を含めました国庫収支の見込みについて若干補足申し上げます。  これにつきましては、「昭和四十一年度予算に関する参考資料」として一枚刷りの表紙のついた資料をお手元にお届け申し上げております。数字はそれに出ております。四十一年度の国庫収支の見込みでございまするが、合計欄の数字にございますとおり、二千七百九十億円の散布超過となる計算でございます。  これは、まず、一般会計におきましては、前年度剰余金を若干使用いたしまするほか、外為資金農業近代化資金等の活用をはかりましてこれを財源に用いまする関係上、合計いたしまして五百二十一億円の散布超過が見込まれます。また、食管会計におきまして食糧証券の発行超過によりまして百三十二億円の散布超過が見られます。また、運用部関係におきまして三百億円の散布超過が見込まれる計算になります。さらに日銀納付金あるいは法人税等を主といたしまする日銀と政府とのやりとりの関係及び各特別会計の収支、これらを総合いたしまして三百九十七億円の散布超過となるものと計算されます。これらを合計いたしまして、一般財政といたしましては千三百五十億円の散布超過が見込まれるのでございます。  このほかに、外国為替の関係におきまして、四十一年度の国際収支は四億ドルの黒字というふうに見込まれておりますので、これらによりまして千四百四十億円の散布超過になるものと計算されます。  以上によりまして、四十一年度の国庫収支といたしましては一応二千七百九十億円の散布超過になる計算でございます。もとより、この見込みは、ただいま御説明にもございましたように、経済見通し並びに国際収支等がその見込みどおりにいった場合、一般会計特別会計におきましても、税収、税外収入、各般のものも予算に計上いたしましたとおりに決算ができました場合の試算でございますことは申し上げるまでもございません。  以上が国庫収支に関する補足の説明でございます。
  14. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 中尾理財局長に伺いますが、いまあなたの説明された要旨ですね、やっぱり印刷されたものがあれば、われわれにも配ってください。そのほうがみんながわかりやすいから、ひとつお願いいたします。
  15. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 後ほど速記を見せていただきまして調整いたします。それで整えて御要請に応じたいと思います。
  16. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、宮沢調整局長より説明を聴取します。宮沢調整局長
  17. 宮沢鉄蔵

    政府委員(宮沢鉄蔵君) 予算の参考として、昭和四十年度経済情勢と、昭和四十一年度経済運営の基本的態度及び経済見通しにつきまして概要を御説明申し上げます。お手元にお配りしてあります「昭和四十一年度経済見通しと経済運営の基本的態度」をごらんいただきたいと思います。  初めに、四十一年度の出発点となります四十年度経済情勢について概略を御説明いたしますと、御承知のとおり、景気回復が予想外におくれ、わが国経済は、三十九年末以来の金融緩和策の実施にもかかわらず、四十年度に入ってからも停滞状態を続けました。これに対処し、政府は、過般来、景気早期回復をはかるため、財政金融両面からの景気対策を鋭意実施してきており、また、民間産業界においても自主的な不況対応策が進められております。これらの諸対策が相まって今後、年度末にかけて、経済は徐々に明かるさを増していくものと期待されますが、年度を通じてみますと、遺憾ながら四十年度の日本経済は総じて停滞基調に推移するものと考えられます。  このような四十年度わが国経済の実績見込みについて、まず国内需要の面から見ますと、政府支出や個人住宅建設は堅調な伸びを示しておりますが、民間設備投資や在庫投資は前年度水準を下回る見通しであります。国内需要の停滞を反映して、鉱工業生産も横ばいぎみに推移しておりまして、年度末に若干上昇しても、前年度比二・四%程度の上昇にとどまる見込みであります。  他面、国際収支は好調でございまして、輸出が顕著な増加を示し、輸入が国内景気の停滞を反映して落ちついた推移をたどっておりますので、貿易収支は年度間で十五億五千万ドル程度の大幅な黒字になると思われます。したがいまして、貿易外収支や資本収支が相当の赤字を示すとしましても、総合収支で二億ドル程度の黒字になるものと予想されます。  また、物価の動向についてみますと、卸売り物価は全体として横ばいに推移しているのに対し、消費者物価はかなりの騰勢を示し、前年度比七・七%程度の上昇になるものと見込まれます。  以上のような経済情勢のもとで、四十年度国民生産はほぼ二十七兆七千二百億円の規模となり、経済成長率は前年度比で実質二・七%、名目八%程度となる見込みであります。  次に、昭和四十一年度経済運営の基本的態度及び経済見通しについて御説明申し上げます。  四十一年度わが国経済においては、民間需要は総じてゆるやかな上昇にとどまる見通しであり、一方、社会資本の不足、消費者物価の上昇、低生産性部門近代化の立ちおくれ等、経済、社会のひずみについても、すみやかにその是正をはかることが必要とされております。  このような情勢に対処し、有効需要拡大をはかって景気回復に導き、あわせて経済、社会のひずみ是正を積極的に推進し、経済を均衡がとれ安定した成長路線に乗せていくため、四十一年度においては本格的に公債政策を導入し、所得税及び法人税を中心とする大幅減税を実施するなど、積極的かつ弾力的な財政政策を推進しなければならない状態になっております。  また、世界経済及び世界貿易の動向につきましては、当面なお、おおむね順調な拡大基調を続けるものと思われますが、輸出競争の一そうの激化、米国の公定歩合の引き上げ開発途上国における外貨不足の影響等もありまして、わが国をめぐる国際経済環境には、必ずしも楽観を許さないものがあります。  このような内外の情勢を認識し、四十一年度を均衡がとれ安定した成長へ乗り出す年とするため、その経済運営にあたりましては、健全にして弾力的な財政金融政策を中心とする経済政策の適切な運用によって景気回復をはかり、消費者物価の安定化につとめるとともに、経済各分野における質的充実に意を用い、経済の均衡ある発展及びそれと調和のとれた社会開発推進することを基本的態度とすることにしております。  このため、社会資本充実、消費者物価の安定、企業体質の改善、農業、中小企業等の近代化輸出振興経済協力推進、社会開発推進等の重点施策を強力に推進することにしております。 このような経済運営の基本的態度に基づき、四十一年度における経済成長の姿を想定いたしますと、経済は、政府民間の努力が相まって、均衡がとれ安定した成長の路線に乗っていくものと期待され、実質七・五%、名目十一・三%程度の堅実な成長を達成し得るものと考えられます。  次に、この場合における経済の主要項目について簡単に御説明申し上げます。  まず個人消費支出は、経済がゆるやかに回復し、勤労所得をはじめ各種所得が落ちついた伸びを示すことになると見られますので、伸び率は前年度比十一・二%程度と見込まれます。設備投資につきましては、経済全体の回復テンポがゆるやかであります上に、一部業種に依然として設備の過剰が見られることなどから、前年度をわずかに上回る四兆五千五百億円程度の規模にとどまるものと見込まれます。また、在庫投資は、経済活動がゆるやかな回復を示すものと見込まれますので、その規模が八千億円程度と比較的小さいものの、四十年度の落ち込みが大きいので、前年度比二三・一%程度の伸びが見込まれます。このような民間需要のゆるやかな回復を補い、有効需要を喚起して景気早期回復をはかるため、政府財政規模を積極的に拡大しておりますので、政府の財貨サービスの購入は、中央、地方財政を通じて七兆一千五百億円程度と見込まれ、伸び率は一五%程度になるものと見込まれます。また、個人住宅建設につきましては、四十年度に引き続き順調に拡大し、二六・一%程度の大幅な増加が見込まれます。  このような需要面に対応する供給面におきましては、まず鉱工業生産は、国内需要のゆるやかな回復に伴い、前年度比八%程度の伸びが見込まれます。農林水産業の生産につきましては、需要の強い畜産物、果実、野菜などの生産の順調な伸びが期待できますことのほか、米作についても順調な推移を期待するとして、農林水産業総合ではおおむね三・一%程度上昇するものと見込まれます。  次に、国際収支でございますが、輸出はその伸びがかなり鈍化し、年度間九十四億ドル、前年度比一〇・六%増程度になるものと思われます。一方輸入につきましては、前年度比九・四%程度増加して、七十六億ドル程度にとどまると見込まれ、貿易収支では十八億ドル程度の大幅な黒字になるものと思われます。貿易外収支が九億ドル程度の赤字に達するものと見られ、資本収支も年度間では五億ドル程度の赤字は避けられないものと思われますが、貿易収支の大幅黒字に支えられて、総合収支では四億ドル程度の黒字を示すものと思われます。  また、物価につきましては、卸売り物価はほぼ横ばいに推移するものと考えておりますが、消費者物価につきましては、各般の物価対策を強力に推進することによりまして、四十年度に比べて五・五%程度の上昇におさまることが期待されるのであります。  以上、四十一年度経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして御説明申し上げた次第でございます。
  18. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 以上をもちまして、昭和四十一年度予算三案並びに補正予算に対する説明は終了いたしました。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料の要求。いずれ詳細はあとでまたいたしますけれども、簡単に四つだけちょっと資料要求しておきますからお願いします。簡単に言います。  第一、国庫債務負担行為につきまして、一般会計特別会計政府関係機関につきまして、前年度国庫債務負担行為増加額と、それから四十一年度ですね、増加額と比較しまして、これはなかなか予算書を見ても計数整理はわからぬですから、総合的に政府関係機関もあわせて。特別会計一般会計は出ておりますけれども、政府関係機関は出ておりませんから。それが一つ。  それから第二は、大蔵省の法人統計に基づきまして、金利負担と減価償却費につきまして、これはどのくらいになっていて、それで金利については、一厘金利を下げたらどのくらい負担軽減になるか。それから、減価償却については、昭和三十九年度法人税法改正以前の減価償却――十四年平均の耐用年数、それと改正後においてはどのくらいの差が出てくるのか。減価償却について、それと、法人税がどのくらい違ってくるのか。それが第二。  第三は、これは前年度も、この前も要求しましたが、四十一年度でも自然増収があるわけですね。五・五%の消費者物価の値上がりによる名目所得の増加による増収分はどのくらいか、四十一年度についても出してもらいたい。四十年度でも出してもらいましたから。  それから最後に第四、四十一年度三千六十九億の戦後最大の国税の減税といいますが、それと比較しまして、昭和三十五年度以後でよろしいのですが、昭和三十五年以後、それに対応して、米価、国鉄運賃、私鉄運賃、社会保険、国民健康保険、郵便料、この六つについて、減税年度に応じてどのぐらいの値上げが行なわれたか、その値上げによる国民負担の増加額、それと比較して出してもらいたい。よろしゅうございますか。
  20. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 政府側、いいですか。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 資料はそれぞれ各委員からかなり要求がありますので、この扱い方については、いまの木村委員のは、ここで了承されましたけれども、理事会等において、適当に早くまとめていただいて、各省に要求するように、委員長のほうでお取り計らいをいただきたいと思います。
  22. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 承知しました。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会      ―――――・―――――