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1966-04-22 第51回国会 参議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十二日(金曜日)    午前十時二十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十六号   昭和四十一年四月二十二日    午前十時開議  第一 労働組合法の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第二 国有資産等所在市町村交付金及び納付金   に関する法律の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第三 外務省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第四 国家公務員災害補償法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第五 在外公館名称及び位置を定める法律の   一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第六 国務大臣報告に関する件(中小企業基   本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和   四十一年度中小企業施策について)  第七 防衛施設周辺整備等に関する法律案   (趣旨説明)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一 労働組合法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第二 国有資産等所在市町村交付金及   び納付金に関する法律の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  一、日程第三 外務省設置法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第四 国家公務員災害補償法の一部を   改正する法律案内閣提出)  一、日程第五 在外公館名称及び位置を定め   る法律の一部を改正する法律案内閣提出、   衆議院送付)  一、日程第六 国務大臣報告に関する件(中   小企業基本法に基づく昭和四十年度年次報告   及び昭和四十一年度中小企業施策について)  一、日程第七 防衛施設周辺整備等に関する   法律案趣旨説明)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。前川旦君から、海外旅行のため、来たる二十六日から二十三日間、請暇申し出がございました。これを許可することに御異議がございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  地方行政委員長林田正治君から、常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、  常任委員長選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  9. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 常任委員長選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議提出いたします。
  10. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、ただいまの栗原君の動議賛成いたします。
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 栗原君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、地方行政委員長岸田幸雄君を指名いたします。    〔拍手〕      ——————————
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、労働組合法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長阿部竹松君。    〔阿部竹松登壇拍手
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま議題となりました法律案について、社会労働委員会における審議経過と結果を報告いたします。  労働委員会制度は、設置後二十年の運営を経て、今日、幾多の検討すべき事項をかかえております。その中で、委員任期定数については、当面の事務処理に関しても、早急に措置を講ずる必要に迫られてまいっておるのであります。とりわけ、大都市を含む地方労働委員会におきましては、組織労働者の激増、経済情勢労働情勢変化等に伴い、取り扱い件数が著しく増加したため、事務処理停滞が目立つに至っているのであります。  本法律案は、これら当面の対策として、  第一に、中央地方を通じて、労働委員会委員任期を一年から二年に延長すること。  第二に、東京都及び大阪府の地方労働委員会委員定数について、東京にあっては、労・使・公益それぞれ十一名で、計三十三名に、大阪にあっては、それぞれ九名で、計二十七名に増員することを内容とするものであります。  委員会における質疑事項のおもなものは、  1 労働委員会における審査迅速化をはかる対策として、今後、調整機能審査機能を分離することの可否、及び、事務局機能拡充することの必要性について。  2 公益委員中立性確保すべきことに関連して、兼職の状況選任方法の検討、及び、常勤制採用の得失について。  3 不当労働行為事件審査の公正を促進する観点から、現場検査権限の活用、労働者側の出席を容易ならしめる措置、及び、原職復帰措置改善について。  4 不当労働行為の抑止のために罰則の強化を考慮すべきこと等でありました。  採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしましたつ  以上報告いたします。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員会理事沢田一精君。    〔沢田一精登壇拍手
  18. 沢田一精

    沢田一精君 ただいま議題となりました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本法律案は、民間空港が所在する市町村の財源の充実をはかるため、民間空港の用に供する固定資産市町村交付金対象資産に加え、国が管理する第一種及び第二種空港については国が、都道府県が管理する第三種空港については都道府県が、それぞれ所在市町村に対して、当該固定資産価格の十分の五の額を算定標準額として、交付金を交付しようとするものであります。  委員会におきましては、空港にかかる交付金配分方法国有林野にかかる土地価格公社資産評価方法等について、慎重審査を行ないましたが、その詳細は会議録によってごらん願います。  かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対しましては、国有林野にかかる土地価格及び公社資産等に対する評価について、その適正化をはかるものとする趣旨附帯決議案提出されましたが、全会一致をもって、これを委員会決議とすることと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。本案は可決せられました。よって      ——————————
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、日程第四、国家公務員災害補償法の一部を改正法律案内閣提出)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。内閣委員長熊谷太三郎君。    〔熊谷太三郎登壇拍手
  23. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 ただいま議題となりました法律案二件について、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、外務省設置法の一部を改正する法律案改正点は、在外公館新設昇格並びに事務量増加に対処するため、外務省職員の定員を改め、特別職三人、一般職八十三人を増員すること等であります。なお、本法律案については、衆議院において、施行期日等について所要修正が行なわれております。  委員会におきましては、他省庁よりの出向職員の現状、核軍縮問題、ジュネーブ軍縮委員会への参加問題、東南アジア開発閣僚会議開催の経緯とその意義、ベトナムの和平問題等について質疑応答がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、伊藤委員より、日本社会党を代表して反対の意見が述ベられました。次いで採決の結果、本法律案は、少数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案は、本年二月の人事院の国会及び内閣に対写る意見申し出に基づき、昨年の労働者災害補償保険法改正に対応して、国家公務員災害補償制度について、第一に、障害補償年金の範囲を拡大すること、第二に、従来一時金であった遺族補償について、一定の要件に該当する遺族に対する補償については、これを年金とすること、第三に、年金たる補償の額の改定に関し調整規定を設けること、第四に、従来、国家公務員災害補償法適用外とされていた船員である職員についても同法を適用すること、等の改正を行なおうとするものであります。  委員会においては、本法案の改正内容労働者災害補償保険法との相違点補償年金スライド制実施に対する政府見解、最近における公務災害発生状況とその認定の基準、林業災害状況白ろう病取り扱い等について、質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、外務省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第五、在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。外務委員長木内四郎君。    〔木内四郎登壇拍手
  29. 木内四郎

    木内四郎君 ただいま議題となりました法律案は、外交活動充実強化するため、在外公館新設及び昇格等を行なおうとするものでありまして、新設するものは、ガンビア大使館ほか総領事館三館、領事館一館、また昇格するものは、シンガポール総領事館大使館とするほか、領事館総領事館とするもの二館であります。  なお、本案につきましては、衆議院において、施行期日を公布の日に改める修正が行なわれております。  委員会におきましては、熱心かつ慎重なる審議を行ないましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  昨二十一日質疑を終わり、討論採決の結果、本案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  31. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第六、国務大臣報告に関する件(中小企業基本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度中小企業施策について)、  通商産業大臣から発言を求められております。発言を許します。三木通商産業大臣。    〔国務大臣三木武夫登壇拍手
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中小企業基本法に基づきまして、先般政府国会提出いたしました「昭和四十年度中小企業動向等に関する年次報告」及び「昭和四十一年度において講じようとする中小企業施策」の概要を御説明いたします。  三十九年の終わりから四十年にかけて、わが国経済不況と沈滞のうちに推移いたしましたが、そのなかで、中小企業は、生産の伸び悩み、設備投資の著しい低下を示し、企業経営悪化を続け、企業倒産増大いたしました。特に下請企業の分野においては、受注減取引条件悪化等が見られ、小規模企業でも、生産性上昇停滞地位低下が認められる等の変動が生じております。  また、このような諸変動は、中小業経営に困難をもたらしているだけでなく、賃金水準上昇等を通じて諸物価上昇をもたらし、中小工業製品につきましても、卸売り物価は、昭和四十年にはほぼ横ばいで推移しましたが、消費者物価上昇を見ておりますので、今後とも、中小企業近代化流通機構合理化等が必要であると思われます。  かかる中小企業が当面する諸問題は、景気変動によってもたらされているところが大きいことは言うまでもありませんが、加えて、わが国経済高度成長期以降における労働力需給の逼迫、需給構造市場条件変化等影響が特に中小企業に及んでおり、また、規模が小さく、数が多いこと、資金調達力が弱く、技術水準が低いこと、さらに、経営管理近代化がおくれていること等、中小企業に従来からある特性のために、経済条件変化に対して十分に適応できなかったことによるところが大きいものと思われます。  以上のような状況に対処し、また、これらの諸問題に対応しようとする中小企業者努力を支援助長するために、政府といたしましては、昭和四十年度において、需要面金融面税制面、さらには下請取引面等を中心として、不況影響を最小限にとどめるための対策を実施してまいりましたが、そのほか、長期的な観点から、経済環境変化に適応しながら、中小企業の体質を基本的に強化するための近代化高度化等の諸施策を強力に推進いたしました。  また、政府が実施しております諸施策につきましては、これまでよりも一そう適切な施策を効率的に運用することが要請されております。この点につきましては、中小企業施策のうち、基本的な地位を占める近代化協業化のための諸施策効果問題点を見ますと、施策の進展と中小企業者の適応と努力とによって、近代化協業化に成功している事例が多く見られますが、資金確保が困難であること、よい指導者が得られないこと、協調精神が十分でないこと等から、いまだ十分な効果をあげていないものもありますので、この点を反省し、今後の施策の一そうの拡充をはかることといたしたい所存であります。  次に、昭和四十一年度におきましては、景気不振の影響の克服につとめるとともに、中小企業基本法の定める諸施策を着実に強化し、具体化することを基本的な態度といたしまして、次のような諸施策を推進する所存でおります。  中小企業施策の重点といたしましては、  まず第一に、中小企業生産性向上をはかり、直面している諸問題に適応して、その存立基盤を確立するため、設備近代化中小企業構浩高度化を一そう強力に推進するものでありますが、特に、物的担保不足等から資金調達力に乏しい小規模企業者設備近代化協業化を積極的に推進するため、新たに中小企業機械類貸与制度及び中小企業共同工場建設貸与制度を創設いたします。  また、立ちおくれの著しい流通機構合理化をはかるため、卸売り商における流通経路合理化小売り商協業化近代化を強力に推進いたしますほか、新たに、中小小売り商任意連鎖化による経営近代化生産性向上を推進するための小売り商連鎖化資金貸し付け制度を創設いたします。  第二に、中小企業技術向上経営合理化を推進するための、従来からの診断指導事業拡充をはかるとともに、適切、かつ、総合的な指導体制整備をはかるため、府県市における総合的指導機関設置を推進いたします。  第三に、中小企業需要の増進と取引条件向上をはかるため、輸出の振興官公需受注機会増大中小企業者事業活動機会の適正な確保中小企業者の過度の競争の防止等施策につきまして、適切な措置を講ずるとともに、特に下請企業事業活動機会増大に資するため、下請企業振興協会を増設することといたしております。  第四に、中小企業に従事する者の福祉向上をはかるため、労働条件改善労働環境整備を促進し、あわせて技能者教育等充実をはかるなど、中小企業における労働力確保をはかることといたしております。  第五に、中小企業のうち、その大部分を占める小規模企業につきましては特別な配慮を加えることといたしておりますが、特に機械類貸与制度共同工場建設貸与制度を創設して、その近代化協業化を積極的に進めますほか、四十年度から実施しております小規模企業共済制度特別小口保険制度、無担保保険制度等運用強化経営改善普及事業強化拡充をはかるとともに、税制上の措置を講じてまいります。  第六に、以上の諸施策の円滑な推進をはかるため、中小企業金融円滑化、及び租税負担軽減を一そう推進してまいることといたしております。このため、政府関係中小企業金融機関に対する財政投融資を大幅に拡充し、これら機関の金利を昭和四十一年四月一日から引き下げるとともに、信用補完事業充実し、あわせて民間金融機関指導強化してまいります。また、税制面におきましても、中小企業自己資金充実をはかるため、法人税率軽減同族会社留保金課税軽減等措置を講じますとともに、新たに、中小企業事業共同化等、その構造改善を推進するため、中小企業構造改善準備金制度を創設する等、税制所要措置を講ずることといたしております。  以上、年次報告及び昭和四十一年度中小企業施策について、その概要を御説明した次第であります。(拍手
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。永岡光治君。    〔永岡光治登壇拍手
  35. 永岡光治

    永岡光治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御報告になりました中小企業に関する年次報告について、若干の質問をいたしたいと思います。  今回の白書は、第三回目の白書で、前二回のそれに比較いたしますと、多少の進歩のあとを認めることにやぶさかではありませんが、昨年が、いまだかつて例を見ない不況深刻の年でありまして、この不況のあらしの中の中小企業を描く白書としては、はなはだもの足りなさを感ずるものであります。  第一回の白書近代化白書で、第二回は構造白書、第三回は倒産白書になるのではないだろうかと心配をいたしておりましたが、はたしてそれは倒産白書になってしまい、中小企業にとってまことに嘆かわしい事態になったのであります。一昨年の日本特殊鋼やサンウェーブの倒産に次ぎまして、昨年は五百億円以上の負債金額を持った山陽特殊鋼倒産などが相次いで起こりました。これらに関連する幾百幾千の関連中小企業は、甚大な迷惑をこうむりました。これがために連鎖倒産のうき目を見た中小企業の数も、おびただしい数にのぼったのであります。わが党はこの点をあらかじめ察知いたしまして、一昨年の十二月に各会派共同で「中小企業危機打開に関する決議案」、これを提出いたしまして、政府に警告を発するとともに、この憂うべき事態を打開するため、積極的に遺漏なき措置をとるように注意したのでありました。しかるに、政府のある閣僚は、昨年のことでありますが、夏ごろ景気回復に向かうと言ってみたり、これがはずれますと、次には、秋ごろには回復に向かうだろう、こう発表するなど、楽観に終始していましたが、いずれもその希望観測どおりにはいかなかったのであります。三月決算に続いて九月決算はさらに悪化の一途をたどりました。政府のとった、金融上の措置財政支出の繰り上げなど一連の対策が、いずれも手おくれで、期待どおり効果を示しませんでした。企業倒産もまれに見る高水準持続となりまして、ついに信用保険臨時措置法を制定するというような事態に立ち至りましたことは、まことに遺憾とするところであります。  本年に入りましても倒産旋風は衰えません。一月小康を得たかに見えましたものの、二月には倒産数が五百件をこえるに至り、負債金額は小口化して、いよいよ中小企業倒産が激増するの様相を呈しているのであります。通産大臣も、この不況白書とも言うべき今回の白書を閣議で了承したときに、今度の白書はこれまでにない暗い白書となった、こう率直に述懐したのですが、それでもなお、四十一年度は、昨年末の中小企業対策並びに財政金融政策を通ずる需要喚起策で、景気の基調は上向きだ、したがって中小企業に明るさを増すことが期待できる。このように、依然として自己弁護の言明をされたと報道されているのであります。ことに総理は、不況を克服して景気早期回復すると、しばしば楽観的観測をしておりますが、それは、はたしてほんとうであるかどうか、また、したがって、中小企業もその影響を受けて、現在の苦境から脱出できるかどうか、私ども、はなはだ疑問とせざるを得ないのでありますが、政府の言う景気早期回復理由とその根拠とを、まず、総理及び経済企画庁長官にお伺いいたしたいのであります。  次に白書は、三十九年の終わりから四十年にかけて、わが国中小企業が大きな経営困難に直面したのは、景気変動によるものよりも、構造上のもろもろ要因に基づくものが大きいと述べておりますが、どれが景気変動要因によるものであるのか、また、どの部分構造上の要因に基づくものであると言われているのか、それは必ずしも明瞭とは言えないと思います。しかも、構造上のもろもろ要因と、この響影による中小企業の弱点が浮き彫りにされたとしているのであります。しかし、中小企業不況の最も根本的な原因は、前内閣以来多年とられてきた、いわゆる所得倍増計画に基づくわが国経済高度成長政策そのものにあると考えますし、そのひずみのあらわれと思うのでありますが、この点に関し、白書はほとんど触れることを避けておられるのは、どういう理由でありましょうか。これも総理及び経済企画庁長官の御見解をお聞かせ願いたいのであります。  第三に、倒産対策の問題に関してお尋ねしたいのであります。白書は、不況深刻化に伴う企業倒産の高い水準持続について述べ、四十年の全国企業倒産は、件数では三十九年の四千二百十二件から四五・八%増の六千百四十一件、負債金額では五千六百億円と、前年の四千六百三十一億円から二一・四%も上回る著しい増加を示していることをあげています。金額増加件数増加ほどでないのは、負債金額は少ないけれども倒産するものが多い。したがって、規模の小さい企業が多くなったことを示すもので、それだけ倒産は深刻になったことを物語っているのであります。しかも、この資料は、商工興信所の調査によるもので、負債金額一千万円以上のものだけに限られています。一千万円未満の負債金額倒産したものはさらに多いと想像されるのでありますが、この中小企業の下積み部分の調査については全く不明で、中小企業庁もその実態は何らつかんでおらないのであります。  これら倒産の激増に対し、政府はようやく昨年の年末に、信用保険に無担保保険並びに倒産関連保険の臨時制度を導入いたしましたことは、さきに申し上げましたとおりであります。しかし、その実施状況はどうでしょうか。ことに気の毒なのは関連倒産でありますが、その対策は、御承知のとおり、その内容はきわめて不十分で、各種の制約を設けております。しかも、担当大臣の指定する倒産にいたしましても、その指定はなかなか行なわれず、当初一件を指定しただけで、つい先月、国会の追及があってからようやく兵庫県及び北九州等の数件の指定を行ない、関連倒産対策を講じたような始末であります。  政府は、現在のような企業倒産状況にかんがみ、まず第一に、政府みずからがその実態の調査を行なうべきものと信じますが、政府のお考えはいかがでしょうか。また、倒産関連保険にしても、シビアな制約条件等を緩和して、できるだけ多く関連中小企業の立ち直りに努力すべきであると存じますが、いかがでありましょうか。そして、これ以上の倒産を回避するようにして、せめて第四回目の白書がまたも倒産白書になることを避けるためにも、第二、第三の倒産対策を講ずべきであると考えますが、通産大臣の御所信をお聞かせ願いたいのであります。  第四に、下請企業に関する問題についてお伺いいたします。  下請企業は、白書にも指摘しておりますとおり、不況深刻化に伴い、下請代金支払い遅延、単価の引き下げ、手形期間の長期化などの条件悪化に加えまして、下請企業への選別発注の強化などのため、その受注量の減少がはなはだしくなっており、「金融よりも受注先を」と叫んでいるのが実情であります。下請対策に関し、政府施策としては、受注のあっせん等を行なう下請振興協会の設置が誇らしげに述べられておりますが、これも現在は、大阪、愛知の二カ所にすぎません。来年度に五カ所の増設を予定するというだけで、これでは受注不足の解決はとうていできないと思うのであります。政府はまた、下請代金支払遅延等防止法を厳正に運用すると申しておりまするが、このざる法が、はたして効果を発揮できるかどうか、これも多くを期待し得ないと憂えるものであります。思うに、これは、政府の政策全体の姿勢に基本的な欠陥があるのでありまして、政府が常に大企業偏重主義をとり、大企業があえて弱肉強食を経営方針としていることを、しいてとがめないからであります。親企業が当然支払うべき下請代金を支払わず、遅延し、あるいは、あまりにも長期の手形で決済するごときは、大企業として恥ずべきことで、支払遅延防止法などという、世界に類例のない法律が存在しなければならぬこと自体が、経済的先進国になろうとしている日本の恥辱であるということに、思いをいたさなければならぬのであります。いまや、重工業、重化学工業の発展に伴いまして、下請取引はますます増加し、売買取引と並んで中小企業の最も重要な取引関係になっております。かかる際には、私は、佐藤総理みずからが経団連その他大企業の首脳部と懇談し、これを説得をして、経済的道義を没却した支払い遅延等を根絶するよう、政府全体として大奮発をすべきだと思うのでありますが、総理の御決意を承りたいのであります。  それとともに、下請企業の立場を強化するために、遅延防止法のごときものではなく、下請組合を強化いたしまして、組合に名実ともに備わった下請協約の締結権を付与し、組合員以外に対しましても協約を適用するようにし、親企業には発注義務を、下請企業には契約履行の義務を課する等のことを、法制化したらどうかと思うのでありますが、通産大臣のお考えはいかがでありましょうか。  下請代金を遅延させながら、大企業金融機関からばく大な融資を受けていることは、経済道義の上からも許しがたいものがあります。支払い遅延り親企業に対しましては金融的に制約を加えるとか、あるいは支払い促進のためのひもつきの融資をするとか、大蔵大臣の指導があってしかるべきだと思うでありますが、いかがでありましょうか。  次に、第五の問題といたしまして、下請取引と並んで、大企業中小企業圧迫があります。大企業は、ただ資本力と宣伝力にものを言わせまして、単なるもうけ主義から中小企業の仕事を奪い、中小企業下請化し、あるいは吸収合併し、あるいは倒産をさせるなど、その事例は白書も指摘しているところであります。官公需について、大企業が小さな工事までも引き受けて、これを中小業者に下請させる例など、目に余るものがあります。政府も、わが党の多年の主張に耳を傾けまして、不十分ながら、この点に関して、受注の確保に関する法律案を、この国会提出いたしましたので、この問題は、それら法案の審議を通じまして、あらためて論ずることといたしますが、大企業は大規模でなければできない業種業態に限定することとし、小規模であるほうが能率的なものについては、中小企業の分野として、これを侵さないだけの節度を持ちたいと思うのであります。その意味で、わが党は「中小企業者事業分野の確保に関する法律案」を今国会提出しておりますが、これに対しても、官公需の場合と同様、政府は賛意を表することはできないか、総理の御見解を伺いたいと思うのであります。第六の問題として、小規模企業対策についてお尋ねいたしたいのであります。白書は、小規模企業実態調査によって、事業の将来に多少の不安を見えるもの、見込みなしとするものが、回答者の四三%に達しており、また、自分一代でやめるとか、あるいは将来どうしたらよいかわからないとするものが二三%と、かなり大きな比率を示していると述べております。この小規模企業者、しかも圧倒的に数の多い小規模業者に対しまして、政府施策はどうなっているか、はなはだ心もとないのであります。政府は、新年度予算は特に小規模企業対策に意を用いたと言っておりますが、新規施策としての共同貸与工場はわずか三十工場、機械貸与制度はわずか八府県が予定されているだけで、その施策はわずかに芽を出しただけであります。これをいかに拡充していくつもりか。また、昨年十二月に発足いたしました小規模企業共材事業団について言うならば、加入者が長年一定の掛け金をかけ、これに若干の利息をつけたものを転廃業のときに共済金として受け取るということになったのでありますが、この程度では、はなはだ魅力に乏しいのでありまして、加入者もなかなかふえないという状態で、政府事業団の育成発展にいかなる構想を持っているか。通産大臣にこの点についてお伺いいたしたいのであります。  問題点の第七は、中小企業に対する金融政策についてであります。昨年の暮に実施いたしました信用保険における新制度の実施と、この四月からの三公庫の金利引き下げは一応時宜を得た措置であったことを率直に認めましょう。しかし、中小企業金融の九〇%というものは市中金融機関によるものでありますから、この市中金融機関の金利の引き下げが行なわれなければならぬと思うのであります。それも名目的な金利ではなく、実質的な金利の引き下げが必要とされるわけでありまして、歩積み・両建てが主として中小企業に対して課せられている実情は、中小企業の実質金利をいやが上にも高くしているわけであります。大蔵省は、四十一年五月までに、過当な歩積み・両建てを全廃するという指導方針を立ててきましたが、はたして、それが実現できるかどうか。金融機関はあらゆる遁辞を弄しまして、実際には、歩積み・両建てを行なっている模様なので、政府の監督はよほど厳正であることを必要とするのでありますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、私は、中小企業に関し、通産大臣はいかなるビジョンを持っているかということを、あわせて、お伺いしたいのであります。  三木通産大臣は、ある雑誌の座談会で、中小企業予算を顧みて、「あれこれいったら全部料理はあるけれども、これだけは徹底しておるというものが少ない」と話しております。まさに名批判だと私は思うのでありますが、これが、予算要求をした当の通産大臣のことばだと思うと、実は情けなくなるのであります。通産大臣はもう少し太い線でやれないかと言っております。三木大臣のいう徹底した料理、太い線とは、一体、何を考えておいでになるのか。大臣は、中小企業について、ばく然とした何らかのビジョンを持っているようであります。しかし、御本人は、それを的確に表現できず、また、それを具体化できず、あるもどかしさを持っているようでありますが、大臣の持つビジョン、太い線、こういうものについて御説明をいただきたいと思うのであります。  なお、この中小企業年次報告は、五百七十八ページ、前年度よりも五二%増で、まさにページのインフレであります。そして、その分析の内容は精緻をきわめておりますけれども、同時に、きわめて難解であって、一般に読ませるためのものであるかどうか、疑問に思う次第でありますが、今後の白書作成にあたりましては、読みやすい、わかりやすい白書にしていただくように注意して、私の質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  36. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  最近の経済動向を見ますと、鉱工業生産並びにその出荷の状況は、ゆるやかではございますが、これが景気回復を示しておるように私は思いますし、さらにまた、輸出の状況も、依然として、景気をささえるといいますか、そういう方向に働いております。また機械受注、これは設備投資の先行き指標になるのでありますが、これも漸次旺盛に向かっております。また、一部ではありますが、商品市況なども、鉄鋼、セメントなど、強含みであります。また株式市場は、御承知のとおり、ただいまだんだん——ブームとは申せませんけれども、上昇傾向をたどっております。また雇用の面におきましても、これは最近の需要等から見ますると、今日の経済改善されつつある、不況克服の方向に向かって進んでおる、かように私は見るのであります。このことは、昨年の夏以来、政府がとりました一連の政策、これが順次効果をあらわしており、また同時に、国民各界各層の御協力のたまものだと、かように私は思いまして、喜んでおるような次第であります。今日——昨年は不況に明け不況に暮れたと、この一年は高度経済成長そのために生じたのではないかというお話でありますが、私は、高度経済成長は、しばしば申し上げておりまするように、それなりに効果があった。申すまでもなく、完全雇用への道をたどっていたとか、あるいはまた、国民生活が非常に向上したとか、あるいはまた、産業の高度化が実現したとか、こういう点が高度経済成長の長所だと、かように思います。しかしながら、同時に、これが短所もあらわれております。非常に急激でありましただけに、社会資本の不足であるとか、あるいは生産部門が非常に格差を生じた、したがって、中小企業や農業などは非常に近代工業についていけない格差を生じた、あるいは、また、企業自身が悪化している、それぞれあげれば相当の短所もあるわけであります。これらの経験を生かしまして、今度、経済不況を脱却して、経済立て直しをする場合には、各部門間の調和のとれた、均衡のとれた成長が望ましいので、わが国の産業界、また、産業人の力、才能なり努力なり、これは実にすばらしいものがありますから、これをただいま申し上げるように、均衡のとれた発展の方向に動員するなら、りっぱに経済成長ができるのだ、かように思っておりますので、いわゆる安定成長という表現はとっておりますが、これは各方面の力を十二分に発揮するように、そういう状態でただいまの不況を克服したい、かように考えておる次第であります。  また、中小企業全般についていろいろ専門的なお尋ねがございました。私もこの中小企業につきましていろいろ努力をいたしております。その中で、ただいまもお話になりましたように、この下請代金制度、この支払いがどうもおそい、これが中小企業として一番悩みなので、金融がうまくつかない、こういうことが指摘されると思います。これらの点では大蔵大臣から詳しく説明されるだろうと思いますが、同時に、経済不況でありますと、どうしても中小企業に対する注文がいかない。これはたいへんでありますので、最近は、発注関係がどうなっているか、受注関係はどういうようになっているか、こういうことも十分気をつけておるわけでありますが、経済が立ち直りますと同時に注文がふえてきておる。そうして中小企業そのものが組織化もするし、そうして力を持つし、同時に、近代化を進めていくことによりまして、大企業とも協力を一そう緊密にすることができる。もともと大企業中小企業の関係は、競争の立場にもありますが、同時にまた、協力の立場にもある、かように考えますので、お話にもありましたように、長所を生かしていって、大企業とともに日本産業の再建に協力していただきたい、かように思います。お話の中に、総理みずからが率先して産業界の方々と懇談をして、そうして中小企業の育成強化をはかったらどうか、かような御提案でもあり、同時に、御鞭撻でございます。私どもも、あらゆる機会を通じまして、さような気持ちでこの問題と取り組んでおるつもりであります。具体的に通産大臣がただいまとっております諸制度の改正なり諸設備の説明をするだろうと思いますが、さらに、御提案もありましたので、一そう、そういう方面で努力すべきだ、かように私も思っております。  最後にお尋ねがありました大企業中小企業〉の分野の問題であります。これは十分考えてい九なければならないと思います。ただいま申し上げましたように、競争の立場、協力の関係、こういう二つの面を持っておりますので、十分大企業中小企業に対して理解のある育成強化をはかっていただく、かように思います。(拍手)    [国務大臣三木武夫登壇拍手
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 永岡君から数点にわたって御質問がございましたことに対して、お答えをいたします。  第一番に、中小企業倒産の実態調査といううのを、もっと負債総額一千万円以下のものに対してもすべきではないか、こういうふうなことでございました。現在は、東京商工興信所倒産に関する調査というものをわれわれは利用しておるわけであります。しかし、もっと実態を把握する必要があると考えますので、各地方通産局から、倒産事情調査をできる限り、これは人員等の制約があって、非常に末端までというわけにはいきませんが、できるだけ零細企業に対しても倒産の実態の調査をしようということにつとめておる次第でございます。  次に、倒産関連保険について、いろいろ御批判もございましたけれども、これは相当に私は効果をあげておる。大阪、兵庫などにおいて相当な中小企業倒産があったのですが、これを適用することによって、ある程度連鎖倒産を防止する効果をあげておると思います。最初には播磨鉄工にこれを適用したわけでありますが、しかし、その後いろいろやってみた結果、いろいろなこれに対しての適用の基準なども、もう少し緩和しなければならぬという必要を感じまして、これについては実際の運用面において基準を緩和いたしまして、できる限りこの精神を生かして、弾力的に運用することによって、この連鎖倒産を防止しようという法律の精神を生かしたいと考えております。  それから中小企業下請代金の支払い遅延防止、総理からもお答えになりましたが、あるいは中小企業の受注、大企業が進出してきて、中小企業の分野が縮小されるではないか、これは対等の地位中小企業に与えるべきだというお話でありますが、われわれもさように考えるわけでありまして、下請業者がやはり一つの団体をつくって、対等な地位で親会社といろいろな契約が締結できるような指導を、今後とも行なっていきたいと思うのでございます。また中小企業の協同組合法等によっても、法的な根拠も持っておるのでございます。ただ大企業中小企業の分野にまで進出をするということは、われわれとしてもこれはある程度分野を確保しなければ、次第に中小企業の分野が少なくなったのでは、これは中小企業の将来の発展のためにも非常に大きな支障になると考えまして、永岡さんのお話にもありましたように、今回、政府機関あるいは公社、公団等の受注に対して、中小企業の受注を確保しなければならぬという法律をこの国会提出をいたしたのでございます。これは相当な政府の決意であるということは、評価をしていただきたいと思うのでございます。なかなか困難、困難であっても、大企業にばかり注文しないで、注文をするときには一ぺん中小企業に注文できないかということを頭の中で考えるということは、中小企業の今後の分野を確保する上において非常に必要であると考えて、政府は相当な英断のもとにこの法案を提出したものでございます。これはお認めを願いたいと思うのでございます。  また、小規模企業の共済事業団についていろいろお話がございましたが、中小企業の諸団体に対して業務の委託をいたしますほか、積極的に加入を促進して、小規模企業事業団の活動を今後積極的に進めていきたい。その結果、どうしても欠陥があるということならば、制度の改正も考えたいと思っております。  最後に、中小企業に対する政策の太い線という発言はどういうことかということでございますが、これは中小企業に対するビジョンは何かということとも関連をいたすわけであります。日本の中小企業対策というものは、いろいろ野党の方から御批判をされますけれども、政府としては、何とか中小企業というものの経営を安定することによって、大企業と、規模は小さくても対等な地位まで持っていきたい、日本の経済を均衡のとれた発展に持っていきたいということが、経済政策の基本であることは間違いない。そのために、中小企業対策についてはいろいろと気を配って、こういう点で、あるいは、ああいろ点で、ということで、きめこまかく中小企業対策を進めておることは、これは国民の各位もお認めくださっておるとおりだと思うのであります。ただしかし、なかなか業種がいろいろ分かれて、商業もあり工業もあり、しかも、規模も大きいのもあり小さいのもありということで、非常にむずかしさがあるのでありますが、しかし、今後の中小企業対策の太い線ということは、結局は、中小企業が大企業に比べて、生産性の点で今日のような格差を、生産性の面において大企業と格差のない状態に持っていくということが中小企業対策の根本であります。だんだんと生産性はあがってはまいりましたけれども、まだ大企業に比べると六〇%にもならない。しかも、賃金は安い賃金というわけにはいかない。労働の需給関係がこんなに変化して、人手不足のような事態がきたのでありますから、賃かねは大企業と同じようになって、生産性が低いというところに、中小企業問題の根本がある。これに対してメスを入れなければ、中小企業というものの安定した基盤というものができるわけではない。だから、今後の大きな中小企業対策の方向は、中小企業近代化する、あるいは協業化することによって、そして生産性を高めていく。政府は、一方において、税制とか金融の面とか、あるいは指導の面において、中小企業の将来発展できるだけの条件をつくり上げる。一方においては中小企業生産性を高めていく。このことに施策を集中していくということが、中小企業対策の太い線であるし、また、将来の中小企業対策のビジョンであると申し上げてよかろうと思います。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇拍手
  38. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) 景気の動向がどうかという問題につきましては、ただいま総理からも、鉱工業生産、商品市況、機械受注等につきまして御説明がございましたけれども、若干上向き傾向でございまして、一、二の例を申し上げますれば、たとえば生産指数は、三十五年を一〇〇として、昨年の十一月が一七三、十二月が一七五、一月が一八一、二月が一八〇、出荷指数は、十一月が一七〇・五、十二月が一七三・一、一月が一八一、二月が一八〇というようなふうに、ゆるやかな上昇をいたしております。先ほど総理が言われました機械受注等におきましても、十一月が五百八十一億、一月になりまして六百三十二億、二月も六百四十億というように、ゆるやかな上昇を続けております、したがいまして、まだ私ども最終的集計をいたしておりませんので、はっきり数字はわかりませんけれども、昨年十一月につくりました見通し、個人消費が一一・一%と見通しておったのですが、これが若干上回るような数字が出てくるのではないか、同時に、成長率二・七%を、これも若干上回るような数字が出てくるのじゃないか、ただいま鋭意集計中でございますが、そういうような感じがいたしております。したがって、景気はまず一応底入れになったということが言えると思います。ただ、業種別に見ますと、まだ景気がすぐに浸透して受注がふえているところと、それの回りがあと回しになっているところとございますし、また業種、格差によりまして、大企業のほうが先に受注がふえて、中小企業にまだ十分回っていないというような、業種もしくは格差によりまして若干影響の高下がございます。しかし、それらにつきまして、私どももアンケート調査をただいま行なっておりますけれども、過去に■昨年末に見ましたようなアンケート調査によりましても、不況がこのまま続くという調査は、非常に減ってまいりまして、先行きは明るい見通しが得られるだろうというアンケート調査のほうが、非常にふえてまいりました。したがって、指数の面から申しましても、あるいは業者の方々の実感から申しましても、まず一応底入れをして、ゆるやかなカーブでもって上昇しつつある、こう判断するのが適当だと思います。  高度成長政策の問題につきましては、総理から答弁されましたので、つけ加える必要はないと思います。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  39. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  私に対する質問の第一点は、下請代金支払遅延等防止法の適用を、金融機関に対してよく指導をしているかと、こういうことでございますけれども、お説のとおり、できる限りこの精神にのっとるようにという指導をいたしておるのであります。現に全国銀行協会におきましては、昨年その細目をどうするかということにつきまして協議決定をし、相互にこれを順守しようという態勢を整えておるという状況でございますが、これは非常に重要な問題でありますので、今後もこの法の精神が貫徹をされるように、行政指導を続けていきたい、かように考えております。  第二点は、歩積み・両建ての問題でございます。これもなかなかむずかしい問題でございまするが、一昨年これが整理の方針基準を立てまして、金融機関に対して働きかけをいたしておるのであります。銀行につきましては、昨年の五月に報告が出てきております。また、相互銀行以下の中小金融機関につきましては、この五月末日に報告書を提出ずることになっております。銀行のほうについて見ますと、まずまず整理基準から見ました実施状況、これは良好でございます。また相互銀行以下のこの五月に出てくる報告、この中間報告を徴してみても、基準に沿うた整理は行なわれておるようなな様子でございます。私といたしましては、この報告書を、全部精細に調査をしてみたい、また現地につきましてもやってみたい、こういうふうに考えておるのであります。それから基準自体、一昨年つくった基準でございまするから、これにもまだ足らないところがあるのではないかというふうな考え方もいたしておるわけであります。そういうことを総合的に検討いたしまして、この困難な歩積み・両建て問題の解決、これに向かって近く第二段の措置をとる、こういう考えを持っておるわけであります。まあ、鋭意やってみるつもりでございますということを申し上げておきます。(拍手
  40. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第七、防衛施設周辺整備等に関する法律案趣旨説明)。  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。松野国務大臣。    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  42. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 防衛施設周辺整備等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  従来、防衛施設周辺対策としては、米駐留軍の行為によって生じます特定の事業経営上の損失について、法律に基づき所要補償措置を講ずるほか、米駐留軍及び自衛隊の行為に起因する各種の障害については、予算措置によりこれらの防止等を実施してまいりました。しかしながら、このような防衛施設周辺対策の実施は、国民生活にとり密接な関係を有するものでありますので、その対策の基本を法律に定め、防衛施設周辺整備等を積極的に実施する必要があると考え、ここにこの法案を提案いたすこととしたのであります。  この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、自衛隊等の射撃、爆撃その他の行為により生ずる障害を防止し、または軽減するため、あるいは航空機等により生ずる著しい音響を防止し、または軽減するための工事につき、国が補助するものとしたことであります。  第二は、防衛施設の運用によりその周辺地域の住民の生活または事業活動が著しく阻害されていると認められる市町村が、生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設の整備をはかるときは、国が補助することができるものとしたことであります。  第三は、自衛隊等の使用する特定の飛行場の周辺において住民のこうむる障害の軽減に資するため必要があるときは、国は一定の区域に所在する建物等の移転等の補償及び土地の買い入れをすることができるものとしたことであります。  第四は、第一または第二に述べました措置を行なう地方公共団体その他の者に対し、国は、資金の融通あっせんにつとめることとするとともに、普通財産の譲渡等を行なうことができることとし、かつ、関係行政機関の長は、防衛施設の周辺における生活環境及び産業の基盤整備をはかるようつとめるものとしたことであります。  最後に、自衛隊の航空機の離着陸等のひんぱんな実施その他の行為により特定の事業経営上の損失を与えた場合は、国が補償するものとしたことであります。  以上が防衛施設周辺整備等に関する法律案趣旨でございます。(拍手
  43. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。伊藤顕道君。    〔伊藤顕道君登壇拍手
  44. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました「防衛施設周辺整備等に関する法律案」について、総理並びに関係各大臣に質問いたしたいと存じます。  佐藤総理は、過日来、衆参の予算委員会におきまして、自衛隊の海外派兵、核のかさ、安保条約の固定化、こういう問題について積極的な発言を行なってまいりました。その内容は重大であり、明らかに意図的なものと見受けられるのであります。ことに、自衛隊の海外派兵については、国連協力という美名のもとに、国連監視団への参加という形で、また、沖縄に対する日本国民の特殊な民族感情に訴えて、沖縄への派兵という形で、その突破口を、その抜け道を求めんとするものであり、「核のかさ」論議についても、国民を次第に免疫にして、核兵器持ち込みの準備工作をねらうものだと言わざるを得ないのであります。一方、さらに「中共の核武装が進めば、日本の防衛力を最大限に増強したい」との松野防衛庁長官のことばに至っては、長官は憲法の条文をお忘れになっているのではないかと疑わざるを得ないのであります。  佐藤内閣は、このように、帝国主義アメリカのしり馬に乗って、昨年末の日韓条約の強行突破以来、軍事問題を前面に押し出して、その反動性を露骨にあらわしてまいりました。その意図は一体何か。察するに、一九七〇年の安保改定期に備える布石であります。この前の安保闘争の際の盛り上がった国民のエネルギーを、まのあたりに見て、おびえをなし、異常なまでに神経を使って、これが対策に狂奔しているのが、自民党政府の最近の姿であります。いま問題の本法案も、その布石の一環であると言わなければなりません。基地問題を安保改定期まで何とか平穏にしておきたい、基地周辺住民に、あめを与えて、なだめすかすなど、このような姑息的手段を弄して、何とか眠らしておきたい、これが本法案の偽らざる願いでありましょう。防衛施設庁あたりでは、基地問題には特効薬はないと、うそぶいているようでございますが、実は特効薬はあるのであります。在日米軍のすみやかな撤退を実現して、基地をなくすことであります。米軍さえいなければ、基地周辺は、平和と静けさを取り戻しまして、鶏も再び卵を産むようになるなど、生産も活気を呈しまして、住民も安定した生活を享受することができるのであります。あるいは、ジェット機の墜落事故、あるいは話のできないほどの騒音、あるいは誤射、誤投下事件、米兵の風紀問題等々に悩まされております。それだけではありません。最近における原子力潜水艦の寄港、ベトナム戦争への直結と、米軍基地のはらんでいる危険までが具体化して、身にひしひしと感ぜられるに至っては、社会党の安保体制反対、米軍基地撤廃の主張のいかに正しいかを、はっきり理解されてくるのみではなく、自民党支持の人々の間にすら、かかる危機感を排除するために、米軍基地の返還を求める声が次第に高まってきつつあることは、また当然のことと言わなければなりません。  この防衛施設と呼ぶ軍事基地の問題は、単に基地周辺だけの問題ではなくして、いまでは、国土の全域と、すべての国民の運命にもかかわる重大な問題であると言わなければなりません。狭隘の領土に人口過密の日本で、約百五十の米軍事基地があって、そこで戦争の予備訓練をやるとは、しょせん無理な話であります。昭和二十七年の独立から現在まで、わずかながら、米軍基地は少なくなってきております。これも、日本政府の返還交渉の成果というよりは、米軍の極東戦略の転換に基づく一方的なものでありましょう。私は、ここに、その一例を示したいので断ります。それは、群馬県にある太田大泉米軍飛行場であります。ここでは、昭和三十三年八月以降、昨年までに、連続八回にわたって物資投下訓練中の誤投下事件が起きております。飛行場周辺の小学校に、また小学校の近くに、あるいはジープ、あるいはドラムかん、または電気通信機などの誤投下事件が起きておるのであります。この地域は、首都圏整備法に基づく市街地開発地域に指定されている、きわめて重要な地域であります。そのため、群馬百六十万県民は、一体となって、即時返還運動を続けてきたのでありますが、いまだ返還は実現されておりません。私も、昭和三十四年より引き続き八年間、この国会の場で、この問題を取り上げてまいりました。三十四年、当時の赤城防衛庁長官は、「三十五年三月までには返還できるようにいたします」と、私に公約されております。次の江崎長官も、「三十五年じゅうには何とか返還できるようにいたします」というふうに、返還期日までも明示して、私に公約されておるのであります。かくして、今日まで八年間、八代にわたる長官が、その返還を、それぞれ約束されておるのでありますが、いまだに公約は果たされておりません。国会の場で、一国の国務大臣が公約されたことが、八年間も果たされていないということは、明らかに、行政の府が立法の府を軽視しておる証左であって、断じて許すことはできないのであります。ことほどさように、政府の返還交渉とは名のみであると言わざるを得ないのであります。  そこで私は、佐藤総理に対しまして、基地問題に対する政府の基本的方針、並びに、現在、米軍に提供している基地の返還について、米軍政府と強力な政治交渉を直ちに開始する御意思がおありかどうか。また、国務大臣国会の場で公約したことが、七年八年も経過して、いまだに果たされていないということに対し、総理は、どのように責任を感じておられるか、あわせてお伺いいたしま  次に、本法律案を検討して見ますると、第二条の定義において「自衛隊等」と規定し、その中に駐留米軍をも含ましめ、「防衛施設」という概念で、自衛隊基地と米軍基地とを一体化して取り扱っているのでありますが、この法文の立て方は問題でありはす。御承知のごとく、自衛隊基地と米軍基地とでは、法体系が別であります。それにもかかわらず、あえて一くくりにしておることは、明らかに一つの意図があるものと考えざるを得ないのであります。それは、昭和三十七年の防衛施設庁設置以来、政府が推進してきておりまする自衛隊基地、米軍基地を通じての基地行政を、さらに一歩進めて、これを法制化し、行く行くは米軍基地から自衛隊基地への使用転換を容易ならしめ、また一方、自衛隊基地を前面に押し出すことによって、米軍基地反対運動のほこ先をにぶらそうとの魂胆が隠されていると見られるのであります。さらに、ここで指摘したい点は、政府は、本法案は、基地周辺住民の生活安定と福祉の向上をはかる基地基本法とも言うべき画期的なものであると、宣伝されておるようであります。けれども、その内容をしさいに検討してみますると、現在まで政府が不完全ながら予算措置で行なってきたことを、ただ法文化し、あとは二、三の精神規定を加えたにとどまっておるのであります。わずかに目新しいものとして、第四条の民生安定施設の助成の規定があるにすぎません。そして、その助成もわずか五億円の予算がついているだけであります。二階から目薬ほどの五億円で、一体何ができましょう。そこで、この法案は掲げる看板に偽りありと言わざるを得ないわけです。基地周辺の民生安定をはかろうとするものではなく、民心の安定だけをはからんとする一種の宣撫工作にすぎないものだと断定せざるを得ないのであります。こういうふうに見られるのでありますが、佐藤総理のこの点に対する御所見はいかがか、お伺いいたしたいと存じます。  また、この法案は、全条文至るところで「政令で定めるところにより、」とか、「予算の範囲内において、」というふうに、二重、三重にワクをはめて、しかも法文上明らかなように、「その費用の一部を補助することができる。」として、補助するのはその費用の一部であるということ、また補助するかしないかは国の任意とされているのであります。われわれは、ここに根本的な問題があるということを強く指摘しなければならないのであります。このように立法権軽視の立法例は他に類例のないものでありまして、きわめて独善的なものであると言わなければならないのであります。この点についての総理のお考えはいかがか、お伺いしておきたいのであります。  かつて池田内閣は、基地問題は、法制措置によらず、ケース・バイ・ケースの行政措置で解決していくことで足りるとして、押し通してまいりました。しかし、佐藤内閣が誕生してから、わずか一年有余にして、急転直下、法制定に踏み切ったということは、一体どのように解すべきか。それは言うまでなく、佐藤内閣の長期路線の展望において、四年後に迫った安保改定期に備えて、基地周辺住民を迷わせ、基地を固定化、永続化しようとするものであるとしか断定できないのであります。そこで、この点に対する総理の御所見はいかがか、お伺いしたいのであります。  なお、基地周辺の整備については、何年くらいの年次計画で、どの程度の経費を投入しようと考えておられるのか。また、この法律の対象になる学校、病院等の、公共施設の新設あるいは改良等を必要とする件数、経費等は、どの程度見込まれているのか、防衛庁長官にお伺いいたします。  さらに、この法案では、国家が補償しなければならない個人の被害対策が全く無視されておって、たとえば、商工業経営者や給与生活者、勤労者、その他一般の住民については、日常生活の面において、いかに精神的、肉体的、または物心両面にわたる被害があっても、何ら救済の道が講じられていないのであります。この点は、この制度の致命的欠陥として、強く指摘しなければならないのでありますが、その理由は、一体那辺にあるのか、この際、防衛庁長官にお伺いしておきたいのであります。  次に、本法案と地方公共団体との関連についてお伺いいたします。本法案に規定する障害防止工事は、たとえ、その実施は地方公共団体が当たるべきだとしても、最終的には、当然、国が責任を持つべき筋合いのものであります。しかるに、規定では、何か地方公共団体に押しつけ、国が予算の範囲内で一部を補助するなど、責任を転嫁しております。そして、基地周辺市町村の財政については、何ら考慮が払われていないのであります。これは、まことにゆゆしきことと言わなければならないのであります。かかる問題は、国が十分な予算措置を講じてのみ解決されるものであります。基地関係都道府県が、本問題に深い関心を寄せておったのも御承知のとおりであります。地方財政の窮迫を告げているおりから、基地周辺市町村の財政整備に関する政府の方針について、自治大臣にその所信を伺っておきたいのであります。  最後に、本法案と一般公害対策との関連についてお伺いいたします。本法案には、従来あった米軍基地関係の、いわゆる特損法の規定が持ち込まれております。これは、従来の損失補償理論を一歩進めて、無過失賠償責任主義の採用に踏み切ったものといえるのでありましょう。その限りでは問題はないのでありますが、ここに規定する程度の障害は、他の国家活動、たとえば、国鉄などにおいて障害を与えている例もあろうと思うのであります。なぜ、自衛隊の場合のみ、その補償を認めて、他の国家活動一般に基づく公害については、何ら損失補償の規定のないままに放置しておくのか。との点は、軍事優先のあらわれと言わなければならないのであります。すべからく、一般公害補償についても、同様措置すべきであります。そこで、厚生大臣に、この際、一般公害に対する補償並びにその対策についてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  45. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  冒頭におきまして、いろいろ御意見を述べられました。私どもの政策の基本的な問題についても御批判がございましたが、これは、伊藤君の御意見として私は聞いておきます。ただ、一言申し上げておきたいのは、政府はもちろんのこと、また、各議員も、ともどもに、憲法を守る、あるいはまた、法律を順守すると、これは基本的な態度でありますから、私どもは、憲法違反のことは絶対にいたしておりませんので、その点は誤解のないようにお願いいたします。  お尋ねになりました点についてお答えをいたしますが、まず第一は、基地問題に対する政府の基本方針はどうかということであります。御承知のように、御指摘にもありましたように、基地問題は、基地周辺の住民だけの問題ではございません。これはもう御指摘になりましたとおり全国的な問題である。これは言いかえれば、わが国の国防上の問題である。たいへん重大な問題であります。そういう意味で、基地問題関係の閣僚懇談会も政府は持ちまして、そうして民生の安定、同時にまた、基地としての効用を十分あげるように、また必要最小限の基地と、こういうような考え方で、それぞれこの懇談会で審議をいたしておるわけであります。順次所要措置をとっておると、かように御了承いただきたいと思います。  次に、米軍の基地に対しての返還要求はするか、政治的な折衝をするかと、こういうお話でありますが、もちろんこれは安全保障条約の第六条に基づいて、そうしてこの施設協定をしておる。その第二条に、この基地の返還についての取りきめがございます。政府はその線に沿いまして、そうして所要の交渉をいたしておるわけであります。申すまでもなく、国防上から申しまして、わが国の安全を確保する、こういう観点に立ちまして、私どもは自衛力を増強しております。自衛力が増強すれば、かような基地の返還などは当然起こるわけであります。今日の実情をごらんになれば、これらの点も御理解がいただけると、私はかように考えております。したがいまして、御指摘のとおり、独自の立場において、米軍に対して、また、米国政府に対して、言うべきことは、当然、国民のために私どもは発言し、要求をしておるということを申し上げておきます。  次に、太田大泉飛行場の問題について御指摘がございました。私は、この点はまことに残念、遺憾に思っております。この飛行場は、これだけをやめるわけに実はいかない、代替地が必要だということであります。関係の面におきましても、代替地を選定することについて、いろいろ協議もし、くふうもしておるわけであります。しかし、今日まで実現しなかった。こういうことで伊藤君からおしかりを受けた。これはもちろん、さようなおしかりを受けるのが当然だ、かように思いまして、私も一そうこの代替地の選定等につき、この上とも具体的な努力をいたしたいと、かように思います。  次に、今回のこの法律案は、民生安定のためではなくて、宣撫工作ではないか、また、もう一つは、一九七〇年を予定し、それを目標にしての基地の長期化、固定化をはかったものではないか。こういうたいへん皮肉な御意見、質問を述べられました。政府は、さような考え方を持っておるわけではございません。これはほんとうに、先ほど申しましたように、心から民生の安定、そうして、その基地が十分住民の協力を得るように、そういう立場で効用を発揮するように、そのために、私どもが考えて提案しておる法律であります。これはただ単に、行政的な手段だけでは不十分だ、かように考えまして、今回立法に踏み切ったのであります。ただいまのような皮肉なお話でございますが、すでに、この基地周辺の住民が非常に希望しておるということも御承知だろうと思いますし、また、全国知事会の決議でも、全国都道府県議会議長会の決議でも、また町村会の決議でも、市議会の決議でも、そのことを要望しております。これはいわゆる民意に沿うといいますか、この要望にこたえる、かような政府の考え方でございますから、どうか社会党の皆さんも皮肉な見方をしないで、率直に、国民のために政府がとっておる施策だ、かように御了承いただきたいのであります。  次に、たいへんこれは政令への委任事項が多い、これは立法府を無視しておるんじゃないか、かような御意見でございますが、御承知のように、私どもが予定しております障害の除去というものは、なかなか多種多様であります。そういう意味で、これを一片の法律で規定することはなかなか困難であります。実情に応じた処置をとるのが、この障害の除去にもなるわけであります。さような意味で、これはどうも政令委任が多い、こういう点は、御注意もございますから、私どもも一そう留意して、そうして立法府の無視にならないように、この上とも努力するつもりであります。また、「予算の範囲内」という、そういうワクがかかっているということについて、たいへん御不満のようでありますが、ただいまの障害の除去が助成措置である以上、これは予算を伴うのは当然であります。「予算の範囲内」というのは、かような意味において、この規定を必要とするのであります。(拍手)    〔国務大臣松野頼三君登壇拍手
  46. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 必要な防衛力の増強は憲法違反ではない、違反どころか、わが国の独立と平和を守るためには必要なことであると考えて、本案を提案をいたした次第であります。  本法の関係する予算といたしましては、三十九年が七十一億、四十年が九十五億、四十一年が百十二億でございます。対象物件といたしましては、鉄筋改築防音の学校が百十件、予算で百十億、病院は目下検討中でございます。  第四条の規定は、障害の緩和、民生安定のためでありまして、個人の障害まではまだ今回の法律では規定するわけにはまいりません。一般的な緩和法を第四条に入れた、これが特徴かと私は思います。(拍手)    〔国務大臣永山忠則君登壇拍手
  47. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 地方財政を圧迫するような結果にならないかという御質問に対しましては、障害防止工事に対しましては、元来、国が責昭和四十一年四月二十二日参議院会議録第二十四号防衛施設周辺整備等に関する法律案趣旨説明)任を持つものでございますから、政令をつくる段階において、国が責任を十分持つように努力いたしたいと存じます。  さらに、民生安定の施設につきましては、旧来、補助がなかったものを明記されておりますので、この点は地方財政に非常にプラスになると思うのでございます。そうして、資金のあっせん並びに融資、あるいは国の財産の譲渡、あるいは関係機関が協力するということを明記されておりますので、これらの点を十分活用をいたす。さらにまた、基地交付金は本年十五億−去年の十四億を十五億にいたしておりまして、一億増しております。今後もこれを増すように努力いたしまして、地方財政の安定をはかりつつ、民生の向上と産業の発展に努力をいたしたいと思います。 (拍手)    〔国務大臣鈴木善幸君登壇拍手
  48. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 公害の処理は、原則といたしまして、発生源者が第一次申に責任を負うべきものである、とう考えておるのであります。したがいまして、産業公害の場合におきまして、公害が発生いたしました場合には、発生源者がその補償の責任に任ずる。また、国が発生源者であります場合には、同様に国がその責めを負うべきものである、このように考えておるのであります。現行法のもとにおきまして、民事上の手続で国が公害に対して補償すべきものだ、こういうぐあいに決定をいたしました際におきましては、国家賠償法その他の法律に基づきましてこの補償に任ずるわけでございまして、ただいま一般公害につきまして特別な立法措置を考えておりません。(拍手
  49. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会