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1966-04-07 第51回国会 参議院 法務委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十一年四月七日(木曜日) 午前十時十七分開会
—————————————
委員
の異動 四月一日 辞任
補欠選任
須藤 五郎君 野坂 参三君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
和泉
覚君 木島 義夫君 松野 孝一君 委 員
岡村文四郎
君 後藤 義隆君 斎藤 昇君 鈴木 万平君 中山 福藏君 大森 創造君 亀田 得治君
藤原
道子
君 山高しげり君
発議者
藤原
道子
君
国務大臣
法 務 大 臣
石井光次郎
君
政府委員
法務政務次官
山本
利壽
君
法務大臣官房司
法法制調査部長
塩野 宜慶君
法務省民事局長
新谷
正夫
君
法務省刑事局長
津田 實君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局人事局長
矢崎 憲正君
事務局側
常任委員会専門
員 増本
甲吉
君
説明員
国税庁次長
中嶋 晴雄君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
売春防止法
の一部を
改正
する
法律案
(
稲葉誠一
君外十四名
発議
) ○
商法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備
審査
) ○
借地法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
(
内閣提
出、
衆議院送付
) ○検察及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
(
選挙違反事件
に関する件) (法務局における税務署
通知
問題に関する件)
—————————————
和泉覚
1
○
委員長
(
和泉覚
君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。 まず、
売春防止法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
発議者
から
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
藤原
君。
藤原道子
2
○
藤原道子
君 私は、お許しを得まして、
発議者
を代表して、
売春防止法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。
売春防止法
が制定されまして本年はちょうどその十周年に当たるわけであります。この間、
関係機関
、団体の御努力により、
法施行
による成果が次第に実を結びつつあるとは申しますものの、なお、依然として
売春助長行為等
があとを絶たないばかりでなく、最近においてはこれがとみに潜在化し、また、悪質化する
傾向
が見られますことは、すでに御承知のことと存じます。 もちろん、このような事態は、
売春助長行為等
を根絶するために必要な諸施策や、思い切った
社会改善
を伴わないことによるものでもありましょうが、他面、
現行
の
売春防止法
の不備にも大きな原因があると考えられますので、ここに
売春防止法
の一部を
改正
する
法律案
を提出する次第であります。 以下、この
法案
の
要点
につき、御
説明
申し上げます。
改正
の第一点は、買春の
勧誘
に応じた
者等
を、
一定
の場合に、
処罰
することに関する
改正
であります。
現行法
は、第五条で、
売春
をしようとする者が、公衆の目に触れるような
方法
で、
売春
の
相手方
となるように
勧誘
したり、
客待ち
をしたりする等の
行為
を
処罰
することとしておりますが、これらの
勧誘等
に応じて、その
相手方
となることを承諾したり、
相手方
となるために
勧誘
したりする
行為
は、現在は
処罰
の
対象
となっておりません。しかしながら、これらの
行為
は、
売春
をしようとする者の
当該行為
を助長するものでありますので、新たに
処罰
すべきものとし、一万円以下の
罰金
に処することといたしたのであります。
改正
の第二点は、
売春
の
相手方
となる
目的
で、
売春
の
周旋
に応じ、または
売春
の
周旋
を依頼した者を
処罰
することに関する
改正
であります。
現行法
第六条は、
売春
の
周旋
及び
周旋人
の
勧誘等
の
行為
を
処罰
することといたしておりますが、
売春
の
相手方
となるため、
売春
の
周旋
に応じ、または
周旋
を依頼する
行為
は、
売春
の
周旋
を助長するものであるにもかかわらず、何等
処罰
の
対象
とはされておりません。よって、
相手方
のこれらの
行為
も新たに
処罰
すべきものとし、一万円以下の
罰金
に処することといたしたのであります。
改正
の第三点は、人に
売春
をさせるいわゆる
ヒモ
につきまして
処罰規定
を補整したことであります。 最近における
売春助長行為等
が潜在化し、悪質化しつつある
実情
を顧みますと、
売春婦
と特殊な
関係
を結びまして
売春行為
を助長したり、あるいは
売春婦
に寄生いたしまして無為徒食しているいわゆる
ヒモ
の
取り締まり
の強化が、婦女子の
人権擁護
のためにもぜひ必要と考えられるのであります。
現行法
の
規定
は、この点についてなお不十分であると思われますので、第七条第一項に
改正
を加えることによりまして、
親族関係
のみならず、
業務
、
雇用
その他の特殊な
関係
による
影響力
を
利用
して人に
売春
させた者も
処罰
することができることとするとともに、第八条第二項にも同様な
改正
を加えて、
売春
をした者に対し、
親族関係
のみならず、
業務
、
雇用
その他の特殊な
関係
による
影響力
を
利用
して、
売春
の対償の全部または一部の提供を要求した者も
処罰
することができることといたしました。
改正
の第四点は、いわゆる
管理売春
に関する
処罰規定
を補整したことであります。
現行法
第十二条は「人を
自己
の占有し、若しくは管理する
場所
又は
自己
の指定する
場所
に居住させ、これに
売春
をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の
罰金
に処する。」こととなっているのでありますが、
取り締まり
が強化されるに従いまして、人に
売春
をさせることを業とする者も、
コールガール制
、
結婚紹介所制等
、本条に
規定
するところと異なる新たな形態により、悪質な
管理売春
を営む者があらわれるに至ったのであります。本
法案
におきましては、このように法網をくぐるために次々と新たな業態を案出してまいります
傾向
に対処するため、いかなる
方法
によるかを問わず、およそ人に
売春
をさせることを業とした者をすべて
処罰
の
対象
とすることができるように法第十二条を改めまして、その
方法
を限定することなく、人に
売春
をさせることを業とした者は、これを
処罰
する、というようにいたしたのであります。
改正
の第五点は、
補導処分
の
期間
に関してであります。
補導処分
の
期間
は、従来の六カ月では、その実効をあげ得ない場合が多いため、二回に限り、これを
更新
することができることとし、最長期一年六カ月まで
補導
を行なうことができることといたしました。ただし、
補導処分
が人身の拘束を含む
処分
であることにかんがみまして、
期間
の
更新
は、
婦人補導院
に収容されている者の
補導処分
の
期間
が満了する場合において、その者がまだ
社会生活
に適応する状態に達していないとき、またはその者の
更生
の妨げとなる心身の障害があるときに限ることとし、
期間
の
更新
の
手続
についても、
婦人補導院
の長の申請を受けて
裁判所
が
決定
をするに際し、
専門家
の
意見
を聞くとともに、本人またはその代理人の
意見
をも聞くこととして、その慎重を期し、また、
補導処分
の
期間
の
更新
の
決定
に対しては、それぞれ二週間以内に、
抗告
及び再
抗告
をすることができることといたしました。
改正
の第六点は、
婦人相談員
に関するものであります。
現行法
上、
婦人相談員
の
設置
は、都道府県にあっては
義務
的、市にあっては任意的とし、また、その勤務については非常勤とされており、これに対し、
一定率
の
国庫負担
または補助が行なわれるものとされておりますが、今回、
保護更生
の面における一そうの充実を期しますため、これを特定の市及び特別区についてもその
設置
を
義務
づけるとともに、特に必要がある場合には常勤とし得る道を開くことといたしました。 右のほか、これらの
改正
に伴い、
所要
の
規定
の整備を行ないました。 以上、この
法案
の
要点
につき御
説明
申し上げました。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。
和泉覚
3
○
委員長
(
和泉覚
君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
和泉覚
4
○
委員長
(
和泉覚
君) 次に、
商法
の一部を
改正
する
法律案
及び
借地法等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、順次
提案理由
の
説明
を聴取いたしまします。
石井法務大臣
。
石井光次郎
5
○
国務大臣
(
石井光次郎
君)
商法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を
説明
いたします。 この
法律案
は、現下の
経済状勢
にかんがみまして、
株式会社
の
運営
の安定をはかり、
株式
の
譲渡
の
手続
を合理化し、さらに
株式会社
の
資金調達
の
方法
を容易に、かつ適正にする等のため早急に
改正
を要する
事項
について、
商法
の一部を
改正
しようとするものであります。 次に、この
法律案
の
要点
を申し上げます。 第一に、
株式
の
譲渡
につき
取締役会
の
承認
を要する旨を
定款
で
定め
ることができることとし、
株式会社
の
運営
をはかるとともに、
株式
の
譲渡
を
取締役会
が
承認
しない場合には、他にその
株式
を買い受けるべき者を指定しなければならないこととして、
株主
が
投下資本
を
回収
することを保障いたしました。 第二に、
会社
が
額面株式
と無
額面株式
とを
発行
している場合には、
株主
は、
額面株式
を無
額面株式
に、または無
額面株式
を
額面株式
にすることを
請求
できるものとして、
株主
の
便宜
をはかることといたしました。 第三に、
記名株式
を
譲渡
するには
株券
を交付することを要するものと改め、
記名株式
の
移転
に裏書または
譲渡証書
の添付の必要がないものとして、
株式
の流通の
円滑化
をはかりますとともに、
株券
の所持を欲しない
株主
からその旨の申し出があったときは、
会社
は
株券
の
発行
を停止し、または
株券
を銀行または
信託会社
に寄託しなければならないこととして、
安定株主
の静的安全の
保護
をはかりました。 第四に、
株主
が
議決権
を統一しないで行使できる旨及びその
手続
を
定め
、
株式
の
信託
の
受託者
その他
他人
のために
株式
を有する
株主
が、その
株式
により実質上の
利益
を受ける者の指図に従って
議決権
を行使することを可能にするとともに、
会社
はその他の
株主
による
議決権
の不
統一行使
を拒むことができるものといたしました。 第五に、
株主
以外の者に対し特に有利な
発行価額
を
定め
て
新株
を
発行
する場合には、
株主総会
の
特別決議
を要することとし、
新株引受権
を
株主
以外の者に対し付与する場合にも、
有利発行
でなく、したがって、
株主
を害しないときは、
株主総会
の
特別決議
を要しない旨を明らかにして、
新株
の
発行
の円滑をはかるとともに、
会社
が
新株
を
発行
する場合には、
株主
に
新株引受権
を与える場合等を除き、あらかじめその旨を公告するものとし、
新株発行
が公正に行なわれるよう担保する手段を講じ、
株主
の
利益
の
保護
をはかりました。 第六に、
株主
の
新株引受権
を
譲渡
する道を開き、
新株引受権
を与えられた
株主
が
新株
の
払込資金
を得るために旧株を
処分
する等の必要がないようにし、
株主
の
利益
の
保護
をはかるとともに、
新株
の
発行
が円滑に行なわれるようにいたしました。 第七に、
転換社債
の
転換
の
請求
は、
株主名簿閉鎖期間
内でもすることができるものとし、
転換社債権者
は、同
期間
内に
転換
の
請求
をすることによって
株式
を取得して、これを
処分
する道を開いて、その
利益
の
保護
をはかるとともに、
転換社債
の募集の
円滑化
をはかりました。 以上がこの
法律案
の
要点
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに可決されまするよう、希望いたす次第でございます。 次に、
借地法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を御
説明
いたします。 最近における
土地
及び
建物
の
利用
の
実情
を見ますと、
借地借家
に関する
紛争
が相当多数に上っております。これは、一面においては、宅地及び住宅などの
社会的経済的事情
によるものでありまするが、他面においては、
土地
及び
建物
の
利用
に関する
現行
の
法律制度
上、
当事者
間の
利益
を調整し、
紛争
の
発生
を予防する面において、なお十分でない点があることにもよるものと考えられます。したがいまして、
借地借家
に関する
紛争
を未然に防止してその安定をはかるとともに、
土地
及び
建物
の
合理的利用
を促進するためには、
社会的経済的条件
の
改善
にまつだけでなく、
現行
の
法律制度
を
実情
に即して改める必要があるのであります。この
法律案
は、かかる見地からいたしまして、
借地法
、借・家法、
建物保護法
及び民法の各一部に
所要
の
改正
を加えようとするものであります。 以下、この
法律案
の
要点
を申し上げますと、 第一に、
借地権
の
目的
たる
土地
の
合理的利用
を促進するために、
事情
の変更その他
一定
の
要件
が存する場合には、
裁判所
は、当時者の
申し立て
により、一切の
事情
を考慮した上で、非堅固の
建物所有
の
借地条件
を堅固の
建物所有
の
借地条件
に変更しまたは
増改築
の
制限
を緩和する
裁判
をするとともに、
当事者
間の
利益
の公平をはかるために他の
借地条件
を変更しまたは財産上の給付を命ずる
裁判
をあわせてすることができるものといたしております。なお、この
裁判
は、原則といたしまして
借地
の
所在地
の地方
裁判所
が非訟事件の
手続
により行なうものとし、
裁判所
がこの
裁判
をするについては
鑑定委員会
の
意見
を聞くことといたしております。 第二に、
借地
上の
建物
の取引を円滑にするために、
土地
の
賃借人
がその
建物
を
他人
に
譲渡
しようとする場合において、
土地
の
賃貸人
が
敷地
の
賃借権
の
譲渡
または転貸を承諾しないときは、
裁判所
は、
賃借人
の
申し立て
により、一切の
事情
を考慮した上で、
賃貸人
の承諾にかわる
許可
を与えるとともに、
当事者
間の
利益
の公平を考慮し、その
許可
に
地代
の増額、金銭の
支払い
などの
条件
を付することができることといたしておりまする反面、
賃貸人
の
申し立て
があれば、相当な対価を
定め
てその
建物
を
敷地
の
賃借権
とともに
賃貸人
に
譲渡
することを命ずることができるものといたしております。なお、この
裁判
の
手続
も、第一の
裁判
と同様にいたしております。 第三に、
地代
または家賃の
増減請求
から生ずる
紛争
を防止するために、その
請求
があった場合の
法律関係
を明確にすることといたしております。 第四に、
借家人
が
相続人
なしに死亡した場合において、内縁の夫婦または事実上の養親子の
関係
にあった
同居人
の
居住権
を
保護
するために、
建物
の
賃借関係
の承継を認めることといたしております。 第五に、
建物保護法
第一条第二項の
規定
によりますと、従来同条第一項の
規定
により第三者に対抗することができた
借地権
であっても、
建物
が滅失すればそれと同時にその
対抗力
が消滅することになりますが、このことは、その後施行された
借地法
の解釈との
関係
において
疑義
を生ずる結果となりますので、この
規定
を削除することによって
疑義
の生じないようにいたしております。 第六に、
地下
鉄、
地下駐車場
、
モノレール等
の施設の
所有
のために
土地
を立体的に区分して
利用
する場合の
便宜
を増進するために、
工作物
の
所有
を
目的
とする
地上権
は、
地下
または空間の
部分
に範囲を限定して設定することもできることといたしております。 最後に、以上の
改正
に伴い、
防火地域内借地権処理法
を廃止し、
不動産登記法等
に
所要
の
改正
を加え、さらに、必要な
経過規定
を設けることといたしております。 以上が、この
法律案
の概要であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに可決されますよう、お願いいたします。
和泉覚
6
○
委員長
(
和泉覚
君) 次に、
商法
の一部を
改正
する
法律案
について、
逐条説明
を聴取いたします。
新谷民事局長
。
新谷正夫
7
○
政府委員
(
新谷正夫
君)
商法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、逐条的に御
説明
申し上げます。 ただいま
法務大臣
から
提案理由
の御
説明
がございましたように、
商法
の
改正点
を大別いたしますと七
項目
に分かれるわけでございますけれども、それぞれの
項目
が
商法
の
規定
の面から申し上げますとお互いに相前後することになっておりますので、これを
規定
の順序で御
説明
申し上げますと、かえって混乱するとも考えられますので、それぞれの
事項別
に条文をまとめまして御
説明
申し上げることにいたします。 まず、第一は、
株式
の
譲渡制限
でございまして、
商法
の第二百四条第一項の
改正
でございますが、
現行法
は、
定款
をもっていたしましても
株式
の
譲渡
を
制限
することはできないものとされておるのでございますが、
同族会社
その他につきましては、
会社運営
の安定をはかりますために
株式
の
譲渡
を
制限
することを必要とするものがございます。そこで、本項の
改正
によりまして、
定款
をもって
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨を
定め
ることができるものといたしたのでございます。 しかし、他面におきまして、このような
譲渡
の
制限
を認めますと、
株主
が
投下資本
の
回収
を妨げられるおそれもございますので、第二百四条ノ二から第二百四条ノ四までの
規定
を設けまして、
投下資本
の
回収
を保障する措置を講じました。 第二百四条ノ二以下三条の
規定
でございますが、
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
があります場合に、
株主
が
株式譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を得ることができないときの
投資回収
の
方法
を
規定
いたしたものであります。 第一項は、右の
定款
の
定め
があります場合には、
株式
を
譲渡
しようとする
株主
は、
会社
に対しまして、その
譲渡
を
取締役会
が
承認
しないときは、他に
譲渡
の
相手方
を指定すべきことを
請求
できるものといたしたのであります。この
請求
は、
書面
をもってすることを要することとしたのでありますが、その
書面
には、
譲渡
の
相手方
、
譲渡
しようとする
株式
の種類及び数をも記載いたしまして、
譲渡
の内容を明らかにすることといたしました。 第二項は、第二項の
請求
がありました場合に、その
請求書
に記載されている
譲渡
を
承認
しないときには、取
取締役会
は他に
譲渡
の
相手方
を指定することを要するものといたしたものであります。この場合には、その旨を第一項の
請求
の日から二週間内に同項の
請求
をした
株主
に対しまして
通知
しなければならないものといたしました。 第三項は、第二項の
通知
が同項の
期間
内にされない場合におきましては、第一項の
請求
にかかる
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
があったものとみなすことといたしたのであります。これによりまして、第一項の
請求
をいたしました
株主
は、第一項の
書面
に記載した
譲渡
の
相手方
に
株式
を
譲渡
することができることとなるわけでございます。 第二百四条ノ三でございますが、
前条
第二項の
規定
によりまして
取締役会
が
譲渡
の
相手方
を指定した場合における
手続
を
規定
したものでございます。 第一項は、
譲渡
の
相手方
として指定された者は、
前条
第二項の
通知
のありました日から十日以内に、
株主
に対しまして、
書面
をもって、その
株式
を
自己
に売り渡すべきことを
請求
することができるものとしたのであります。この
請求
によりまして、
請求
をいたしました者と
株主
との間に
株式
の
売買契約
が成立した場合と同一の効果を生ずるわけでございます。 第二項は、第一項の
請求
により生じまする
買い主側
の
義務
の
履行
を担保いたしますための
規定
でありまして、第一項の
請求
をいたしますには、
会社
の最終の
貸借対照表
により
会社
に現存する
純資産額
を
発行済株式
の総数をもって除した額、すなわち一株当たりの
純資産額
に
譲渡
の
目的
たる
株式
の数を乗じた額を
会社
の
本店
の
所在地
の
供託所
に
供託
いたしまして、かつ、
供託
したことを証する
書面
を第一項の
書面
に添付することを要するものといたしたのであります。 第三項は、
取締役会
が
譲渡
の
相手方
として指定いたしました者が第一項の
期間
内に同項の
請求
をしないときには、
前条
第一項の
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
があったものとみなしまして、
株主
が当初予定しておりました
相手方
に
譲渡
し得ることといたしたのであります。 第四項は、第一項の
請求
により生ずる
株主
の
義務
の
履行
を担保するための
規定
でありまして、第一項の
請求
がありましたときは、
株主
は、一週間内に
会社
の
本店
の
所在地
の
供託所
に
株券
を
供託
することを要するものとしたのであります。この場合には、遅滞なく第一項の
請求
をした者に対しまして
供託
の
通知
をしなければならないものといたしました。 第五項は、
株主
が前項の
期間
内に
株券
の
供託
をしないときは、第一項の
請求
をいたしました者は、
売買
の解除をすることができる旨を明らかにいたしたものであります。 第二百四条ノ四でありますが、第二百四条ノ三第一項の
請求
によりまして成立した
株式
の
売買
につきまして、その
売買価格
の
決定方法等
について
規定
したものであります。 第一項は、
前条
第一項の
請求
がありました場合の
株式
の
売買価格
につきまして
協議
がととのわないときには、
売買
の
当事者
は、同項の
請求
の日から二十日以内に
裁判所
に対しまして
売買価格
の
決定
を
請求
することができるものといたしたのであります。 第二項は、
裁判所
が右の
売買価格
を
決定
する際にしんしゃくすべき
事情
を
規定
したものであります。 第三項は、第一項の
期間
内に
裁判所
に対しまして
売買価格
の
決定
の
請求
もなく、
当事者
の
協議
もととのわないときには、
前条
第二項の
規定
によりまして
供託
した額をもって
売買価格
とみなすことといたしまして、
法律関係
の
簡明化
をはかったものであります。 第四項は、
株式
の
移転
の
効力発生
は、
代金
の
支払い
のときに生ずるものといたしまして、
株式
の
移転
の時期を明らかにいたしたものであります。 第五項は、
前条
第二項の
規定
による
供託
と
代金
の
支払い
との
関係
を明確にしたものでありまして、
株式
の
売買価格
が
供託額
をこえないときには、
売買価格確定
のときに
代金
の
支払い
があったものとみなし、
売買価格
が
供託額
をこえますときには、
供託額
に相当する
部分
について
支払い
があったものとみなしたものであります。 第六項は、
売買価格
が
供託額
をこえる場合におきまして、その差額を
買い主
が支払わないために
株主
が
売買
を解除いたしましたときには、第二百四条ノ二第一項の
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
があったものとみなし、
株主
が当初予定しておりました
相手方
に
譲渡
し得ることといたしたのであります。 第二百四条ノ五でありますが、
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨の
定款
の
定め
があります場合に、
株式
が競買または公売された後の
手続
を
規定
したものでありまして、競売または公売により
株式
を取得した者は、
会社
に対しまして、
書面
をもって、競売または公売による取得を
承認
しないときは
株式
を買い受けるべき者を指定すべきことを
請求
することができるものといたしまして、その後の
手続等
につきまして、
譲渡
に関する
規定
中
所要
の
規定
を準用したものであります。 第百七十五条第二項第四号ノ二でございますが、
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨を
定款
をもって
定め
ることができることにいたしましたのに伴いまして、その
定め
を
株式
申し込証の
記載事項
としたものであります。 第百八十七条は、
創立総会
におきまして
定款
を変更して
株式
の
譲渡
につき
取締役会
の
承認
を要します旨の
定め
を設ける場合の
要件
を
定め
たものであります。 第三項は、右の場合には、その
決議
につきましては、
会社設立
後にその
定め
を設ける場合と同数の賛成を必要としたものであります。 第四項は、右の
決議
に反対しました
株式引受人
の
保護
のため、その者に
株式引き受け
の
取消権
を与えたものであります。 第百八十八条第一項は、
前条
第四項の新設に伴いまして、
設立登記
の
期間
の
起算日
を明確にいたしたものであります。 第二百二十五条第八号は、
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨を
定款
をもって
定め
ることができることにしたことに伴いまして、その
定め
を
株券
の
記載事項
としたものであります。 第三百四十一条ノ三第五号は、
株式
の
譲渡
につぎまし
取締役会
の
承認
を要する旨
定款
で
定め
ることができるとしたことに伴いまして、その
定め
を
転換社債
の
社債申
込証、債券及び社債原簿の
記載事項
としたものであります。 第三百四十八条は、
株式
の
譲渡制限
に関する
定め
のない
会社
が
定款
を変更して
株式
の
譲渡
について
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
を設けますと、
株主
の利害に重大な影響を及ぼしますために、
決議
の
要件
等につきまして特別の
規定
を設けたものであります。 第一項は、右の
定款
変更
決議
には、総
株主
の過半数の賛成と
発行済株式
の総数の三分の二以上の賛成を必要として、
決議
の
要件
を厳格にいたしたものであります。 第二項は、
議決権
のない
株主
も、右の
決議
によって重大な影響を受けますので、その
決議
について
議決権
を有するものといたしたものであります。 第三項は、
株式
の
譲渡制限
に関する
定め
のない
会社
が
転換社債
を
発行
しております場合には、
転換
請求
期間
内に右の
定款
変更を行ないますと、
転換社債権者
の
利益
を害することになりますので、右
期間
内は右の
定款
変更はできないものといたしたものであります。 第三百四十九条は、
定款
を変更いたしまして
株式
の
譲渡
について
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
を設ける
決議
に反対する
株主
を
保護
いたしますために、
株式
の買取
請求
権を認めたものでございます。 第一項は、右の買取
請求
権の行使の
要件
を
定め
たものでありまして、右の
決議
をなすべき
株主総会
に先立ちまして、
会社
に対し、
書面
をもって、その
定め
の設定に反対の意思を
通知
し、かつ、総会におきましてこれに反対しました
株主
は、
会社
に対して、
自己
の有する
株式
を、
決議
がなかったとすればその
株式
の有すべかりし公正な価格をもって買い取るべき旨を
請求
することができるとしたのであります。 第二項は、右の買取
請求
につきまして、営業
譲渡
の場合の買取
請求
に関します
規定
中
所要
の
規定
を準用いたしましたものでございます。 第三百五十条は、
定款
に
譲渡制限
に関する
定め
のない
会社
が
定款
を変更して
株式
の
譲渡
について
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
を設けました場合には、従来の
株券
をそのままにしておきますと、第三者に不測の損害を与えるおそれがありますので、
株券
を
回収
する
手続
を
定め
たものであります。 第一項は、右の
決議
をいたしましたときは、
会社
は、その
決議
をした旨、一月を下らない
一定
の
期間
内に
株券
を
会社
に提出すべき旨、及びその
期間
内に提出されない
株券
は無効となる旨を公告し、かつ、
株主
及び
株主
名簿に記載のある質権者には各別に
通知
しなければならないものとしたのであります。 第二項は、右の
定款
変更は、前項の
期間
満了の時にその効力を生ずるものとしたのであります。 第三項は、旧
株券
を提出することができない者に対する
新株
券交付の
手続
を
定め
ますために、第三百七十八条の
規定
を準用いたしたものであります。 第四百八条第四項及び第五項でありますが、
株式会社
が合併します場合に、合併により消滅する
会社
に
株式
の
譲渡制限
に関する
定め
がなく、合併後存続する
会社
の
定款
に
株式
の
譲渡
について
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
があり、または合併により新設する
会社
の
定款
にその
定め
を設けます場合には、消滅
会社
の
株主
を
保護
しますため、合併
承認
決議
の
要件
等を
規定
したものでございます。 第四項は、右の場合に、消滅
会社
における合併
承認
決議
につきましては、第三百四十八条第一項の
規定
によることといたしたのであります。 第五項は、吸収合併の場合におきまして消滅
会社
が右の
決議
をしますのには、存続
会社
の
定款
に
株式
の
譲渡
について
取締役会
の
決議
を要する旨の
定め
があることを
株主
に知らせるため、そのことを
株主総会
招集の
通知
及び公告の
記載事項
といたしたものであります。 第四百十条第一号は、新設合併の場合におきまして、新設
会社
の
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨を
定め
ますことは、合併当事
会社
の
株主
に重大な影響がございますので、その
定め
を合併契約書の
記載事項
といたしたものであります。 第四百十二条第一項及び第四百十三条第一項は、第四百十六条の
改正
に伴いまして、報告総会または
創立総会
を招集すべき日を明確にいたしたものであります。 第四百十六条は、消滅
会社
の
定款
に
株式譲渡
の
制限
に関する
定め
がなく、存続
会社
の
定款
に
株主
の
譲渡
について
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
があり、または新設
会社
の
定款
にその
定め
を設けます場合には、その消滅
会社
の
株券
を
回収
する必要がございますので、
株券
の提供に関する第三百五十条第一項及び第三項の
規定
を準用することといたしたのであります。 第二百十条第四号は、第三百四十九条第一項に
株主
の買取
請求
権を
規定
したことに伴う条文の整理であります。 第三百四十一条ノ四第二項第四号は、第三百四十一条ノ三の
改正
に伴う条文の整理でございます。 第三百五十一条ないし第三百七十四条は、第三百四十八条から第三百五十条までの
改正
に伴う条文の整理でございます。 次に、第二の
額面株式
と無
額面株式
との変更に関するものであります。 第二百十三条でございますが、
現行法
には、
額面株式
と無
額面株式
との相互の変更を認める
規定
はございませんが、
額面株式
と無
額面株式
とを有する
株主
は、その双方の
株式
の
株券
を併合することができませんという不便がございますので、その変更に関し
規定
したものであります。 第一項は、
株主
は、このような変更を
請求
することができることといたしたものであります。ただし、
会社
の事務上の
便宜
を考慮しまして、この
請求
は、
会社
が
額面株式
と無
額面株式
とを
発行
している場合に限るものといたしましたほか、
定款
で別段の
定め
をすることもできることといたしました。 第二項は、
株主
が無
額面株式
を
額面株式
にすることを
請求
する場合には、
額面株式
の額面未満の
発行
が行なわれたのと同様の結果になることを防止するため、
会社
の資本が
額面株式
一株の金額に
発行済株式
の総数を乗じた額以上であることを要するものといたしたのであります。 第百八十八条第二項第五号でありますが、
現行法
では
発行済株式
の額面・無額面の別が登記
事項
とされておりますが、第二百十三条の
改正
によりまして、
額面株式
と無
額面株式
との変更ができることとなったことと、
発行済株式
の額面・無額面の別は、登記する実益に乏しいことにかんがみまして、これを登記
事項
から除くものといたしました。 第二百八十四条ノ二でありますが、第二百十三条の新設
規定
によりまして
額面株式
を無額蔵
株式
とし、または無
額面株式
を
額面株式
としました場合に、資本に変更を生じないことといたしまして、資本の額を明確にしたものであります。 第二百十四条ないし第二百二十一条は、第二百十三条の
規定
の新設に伴う整理でございます。 次に、第三点の
株式
の
譲渡
方式等に関するものであります。 第二百五条は、
現行法
では、
記名株式
の
譲渡
は、
株券
の裏書または
株券
及び
譲渡証書
の交付によってすることとされているのでありますが、近時における大量の
株式
の流通にかんがみまして、
譲渡
の
手続
を合理化しますため、本条を改めたものであります。 第一項は、
株式
の
譲渡
につきましては、
株券
の交付を要することとし、
株券
の裏書または
譲渡証書
の交付を要しないことといたしたものであります。 第一項は、前項による
譲渡
方式の
改正
に伴いまして、
株券
の占有者を適法な所持人と推定することといたしたのであります。 第二百二十六条ノ二でありますが、第二百五条の
改正
によりまして、
記名株式
の
移転
も
株券
の交付によることとなりますために、
記名株式
の流通は容易になりますが、その反面、
株主
が一たん
株券
を失いますと、その
株券
について善意取得者が生じて、その
株主
は
株主
としての権利を失うおそれがあります。そこで、本条において、
株式
の流通よりもむしろ
株式
を安全に保持することを望む
株主
のために、
株主
が
株券
の所持を欲しない旨を
会社
に申し出たときは、
会社
は、
株券
の
発行
を停止し、または
株券
を銀行または
信託会社
に寄託しなければならないものといたしまして、
株券
の喪失による危険から
株主
を
保護
することといたしました。 第一項は、
株主
はその
記名株式
について
会社
に右の申し出をすることができる旨を
定め
たもので、この場合すでに
発行
された
株券
があるときは、これを
会社
に提出しなければならないことといたしました。なお、
会社
の事務上の
便宜
を考慮しまして、
定款
で別段の
定め
をすることができるものといたしました。 第二項は、第一項の
請求
がありました場合には、
会社
は、遅滞なく、
株券
を
発行
しない旨を
株主
名簿に記載するか、または
株券
を銀行または
信託会社
に寄託し、いずれの措置をとったかを
株主
に
通知
することを要することといたしたのであります。 第三項は、
会社
が
株券
を
発行
しない旨を
株主
名簿に記載しましたときは、
会社
は
株券
を
発行
することができず、また、第一項後段の
規定
により
会社
に提出された
株券
は無効になる旨を
規定
したものであります。 第四項は、
株券
の所持を欲しない旨の申し出をした
株主
も、後に
株式
の
譲渡
を欲する場合があるので、そのような場合には、
株主
は
株券
の交付または返還を
請求
することができるといたしたのであります。また、
会社
が
株券
を銀行または
信託会社
に寄託した場合には、
株主
は
会社
に対してのみ
株券
の返還を
請求
することができるものといたしまして、
法律関係
の明確化をはかったわけであります。 第五項は、
株主
の申し出によりまして、
会社
が銀行または
信託会社
に
株券
を寄託したときは、その費用は
会社
の負担として、
株主
の
利益
の
保護
をはかったものであります。しかし、
会社
が
株券
の
発行
を停止した場合、
株主
の
請求
によって
株券
を
発行
するときは、その
発行
費用を
株主
に負担させることができますので、その場合との均衡を考慮して、その費用に相当する額につきましては、
会社
が銀行または
信託会社
に
株券
を寄託したときも、
会社
は
株主
にその
支払い
を
請求
することができるものといたしました。 第四百九十八条第一項第十六号でございますが、
株券
の所持を欲しない旨の
株主
の申し出に関する
規定
を設けたのに伴いまして、罰則について
所要
の
改正
を加えたものであります。 第二百二十三条第一項は、第二百二十六条ノ二の新設に伴う条文の整理であります。第二百二十九条は、第二百五条の
改正
に伴う条文の整理であります。次に、第四点は、
議決権
の不
統一行使
に関するものであります。第二百三十九条ノ二でありますが、
株主
が二個一以上の
議決権
を有する場合に、これを統一しないで行使することができるか否かについては、
現行法
上疑問がございます。信託の引き受け等が行なわれまして、法律上の
株主
とその
株式
により実質上の
利益
を受ける者とが異なる場合におきましては、法律上の
株主
が実質上の
利益
を受ける者の指図に従って
議決権
を行使することを可能にするために、
議決権
の不
統一行使
を認める必要があります。その他の場合には、
議決権
の不
統一行使
を許さなければならないとする必要は必ずしもありませんが、
議決権
の不
統一行使
を全く許さないことにいたしますと、かえって
株主総会
の円滑な
運営
を阻害する場合も生じ得るわけであります。本条は、右のような見地から、
議決権
の不
統一行使
について
規定
したものであります。 第一項は、
株主
が二個以上の
議決権
を有しますときは、
議決権
を統一しないで行使することができるものとし、この場合には、
株主総会
の会日から三日前に、
書面
をもって、
議決権
を統一しないで行使する旨及びその
理由
を
通知
しなければならないものといたしました。 第二項は、
株主
が
株式
の信託を引き受けたこと、その他
他人
のために
株式
を有することを
理由
とする場合を除きまして、
会社
は
議決権
の不
統一行使
を拒むことができるものといたしたものであります。 第二百三十九条第六項でございますが、
株主
が二人以上の代理人を
株主総会
に出席させることができるか否かにつきましては、
現行法
上疑問がありますが、第二百三十九条ノ二の新設によりまして
議決権
の不
統一行使
が認められるに従いまして、二人以上の代理人の出席ができると解される可能性がありますが、
株主総会
の円滑な
運営
をはかりますために、
会社
は
株主
が二人以上の代理人を総会に出席させることを拒むことができるものといたしたものであります。第百八十条第三項は、第二百三十九条第六項及び第二百三十九条ノ二の新設に伴う条文の整理でございます。第五は、
新株発行
の
手続
に関するものであります。第二百八十条ノ二の第二項でございますが、現打法におきましては、
新株引受権
者に対しまして
新株
を
発行
する場合に限って有利な
条件
で
新株
を
発行
することができるものとし、また、
株主
以外の者に
新株引受権
を与えますには、
株主総会
の
特別決議
を要するものとして
株主
の
保護
をはかることといたしております。そのため、
新株引受権
が付与されたか否かにつきまして疑問が生じ、争いとなる事例があります。しかし、
株主
にとって重要なことは、
株主
以外の者に対して有利な価額で
新株
が
発行
されて
株主
の経済的
利益
が害されることでありまして、
株主
以外の者に対し
新株引受権
が付与されることではございません。したがいまして、本項を
改正
して、
株主
以外の者に対して特に有利な
発行価額
をもって
新株
を
発行
するには
株主総会
の
特別決議
を要することを明らかにいたしたものでございます。 第二百八十条ノ三ノ二でありますが、
株主
に
新株発行
差止
請求
権の行使の機会を与えますために、
会社
は、払込
期間
の二週間前に、
新株
の
発行
に関する
事項
を公告し、または
株主
に
通知
しなければならないものといたしたのであります。 第二百八十条ノ三ノ三でありますが、第一項は、
株主
の
新株
の引受権の
目的
たる
株式
及び
有利発行
について
株主総会
の
特別決議
のあった
株式
につきましては、
株主
に
新株発行
差止の
請求
をする機会を与えることを要しませんので、
前条
による公告または
通知
をすることを要しないものといたしたのであります。なお、これらの
株式
につきまして第二百八十条ノ三の
規定
を適用しないことといたしましたのは、
現行法
における同条但し書の
規定
と同趣旨でございます。 第二項は、
株主
に
新株引受権
が与えられました場合には、端株の合計数に相当する
株式
及び失権株につきまして
株主
を募集することがありますが、これらの
株式
は通常少数でありますので、この場合には、
前条
による公告または
通知
をすることを要しないものといたしたのであります。 第二百八十条ノ二第一項第五号及び第八号でありますが、これは二百八十条ノ二第二項の
改正
に伴う条文の整理でございます。 第二百八十条ノ三は、第二百八十条ノ三ノ三第一項の新設に伴う条文の整理であります。 第二百八十条ノ十は、第二百八十条ノ二第二項の
改正
に伴う条文の整理でございます。 次に、第六の
新株引受権
の
譲渡
に関するものでございます。 第二百八十条ノ二第一項第六号、第七号でございますが、
現行法
におきましては、
新株引受権
の
譲渡
は、
会社
に対してその効力を生じないと解されております。その結果、
株主
が
新株引受権
が与えられました場合に、その株金の払い込みのための資金を有しませんときは、旧株の
譲渡
等によって資金を調達するほかはないという不便がございます。そこで、本条におきまして、
定款
または
新株発行
に関する
取締役会
もしくは
株主総会
の
決議
におきまして、
株主
に与える
新株引受権
の
譲渡
ができることを
定め
ることができるものといたしました。なお、この場合には、
会社
は
新株引受権
証書を
発行
しなければならないこととなりますが、
会社
の事務上の
便宜
を考慮いたしまして、
株主
の
請求
があるときに限って
新株引受権
証書を
発行
する旨を
定め
ることができるものといたしました。 第二百八十条ノ四第二項でありますが、
新株
の引受権を
譲渡
することができる旨を
定め
ましたときは、これを公示する必要がありますので、その旨を本条第二項の
規定
による公告に際しましてあわせて公告することといたしました。 第二百八十条ノ五でありますが、
新株
の引受権を
譲渡
することができる旨並びに
株主
の
請求
がありますときに限って
新株引受権
証書を
発行
すること及びその
請求
をすることができる
期間
を
定め
ましたときは、これを
株主
に知らせる必要がございますので、その内容を本条第一項の
株主
に対する
通知
及び第二項の公告に記載しなければならないことといたしました。 第二百八十条ノ六ノ二でありますが、
株主
の
新株引受権
を
譲渡
することができる旨を
定め
ましたときは、その
譲渡
は、有価証券である
新株引受権
証書によってする必要がありますので、これについて
規定
したものであります。 第一項は、
会社
は、申込期日の二週間前に
新株引受権
証書を
発行
しなければならないこととしたものであります。ただし、
株主
の
請求
がありますときに限って
新株引受権
証書を
発行
すべき旨及びその
請求
をすることができる
期間
を
定め
たときは、その
定め
に従うことといたしました。 第二項は、
新株引受権
証書により
新株
の申し込みに必要な
事項
を知ることができるように
新株引受権
証書の
記載事項
を
定め
たものであります。 第二百八十条ノ六ノ三でありますが、第一項は、
株主
の有する
新株
の引受権の
譲渡
ができることとする場合に、その
譲渡
が円滑に行なわれますように、
新株引受権
の
譲渡
は、
新株引受権
証書の交付によってすることといたしたのであります。 第二項は、
新株引受権
証書について、
株券
と同様その占有者を適法な所持人と推定するとともに、その善意取得者を
保護
するために、
所要
の
規定
を準用したものであります。 第二百八十条ノ六ノ四でありますが、第一項は、
新株引受権
証書を
発行
した場合には、
新株引受権
の
譲渡
は
新株引受権
証書の交付によってされることとなりますので、この場合の
株式
の申し込みも
新株引受権
証書によってすることとし、
株式
申込証による
株式
の申し込みに関する
規定
中
所要
の
規定
を準用いたしたものであります。 第二項は、
新株引受権
を有する者が
新株引受権
証書を喪失した場合には、除権判決を得る
期間
がないと考えられますので、
新株引受権
証書によらず、
株式
申込証によって
株式
の申し込みをすることができることといたしたのであります。しかし、
新株引受権
証書を取得した者がありまして、その者がその
新株引受権
証書によって
株式
の申し込みをしましたときは、
株式
申込証による申し込みは効力を失うことといたしまして、その間の
法律関係
を明確にいたしました。 第二百八十条ノ十四でありますが、
新株引受権
証書を
発行
する場合につきまして、株金の払い込みの取扱
場所
に関する
所要
の
規定
を準用いたしたものであります。 第四百九十八条第一項第九号は、
新株引受権
証書に関する
規定
を設けたのに伴いまして、罰則について
所要
の
改正
を加えたものでございます。 第二百二十二条ノ四、第二百六十六条ノ三第一項、第二百八十条ノ十二は、いずれも
新株引受権
証書の制度の新設に伴う条文の整理でございます。 第七は、
転換社債
の
転換
請求
に関する点でございます。 第三百四十一条ノ六の第一項は、
株主名簿閉鎖期間
内の
転換
請求
によりまして
株式
が
発行
される場合に、このような
株式
の
株主
もその
期間
内に開かれる
株主総会
におきまして
議決権
を有することといたしますと、その者に対する総会招集
通知
が必要となる等、
会社
の事務上の負担を増加し、また、
転換社債権者
にとりましてもその総会で
議決権
を行使する必要性は少ないと考えられますので、このような
株主
は、
株主名簿閉鎖期間
内は
議決権
を有しないものといたしたのであります。 第二項は、
会社
が総会におきまして
議決権
を行使すべき
株主
を
定め
ますため基準日を
定め
た場合におきまして、その日後の
転換
請求
により
株式
が
発行
されましたときは、その
株式
の
株主
も、
株主名簿閉鎖期間
内の
転換
請求
により
発行
された
株式
の
株主
と同様に、その総会におきましては
議決権
を有しないものといたしたのであります。 第三百四十一条ノ七でございますが、
現行法
におきましては、
株主名簿閉鎖期間
内は、
転換社債
の
請求
をすることができないことといたしておりますので、
転換社債権者
にとりましてはその
期間
内に
転換社債
の
転換
を
請求
して
株式
として売却することができないという不便があり、このため外国において
転換社債
を
発行
するについて支障が生じておるわけでございます。そこで、本条の
改正
によりまして、
株主名簿閉鎖期間
内も
転換
の
請求
をすることができることといたしまして、条文を一条繰り下げたものでございます。 次に、附則でございます。 第一項は、施行期日を
定め
たものであります。 第二項は、新法の適用に関する原則を
定め
たものであります。 第三項は、この法律の施行前に行なわれました
株式
の
移転
または取得につきましては、この法律の施行後もなお旧法第二百五条及び第二百二十九条の
規定
を適用することにいたしますが、この法律の施行前に
株券
を取得した者がこの法律施行後
株券
を占有するときには、適法な所持人と推定されることとしたものであります。 第四項は、この法律の施行前に
発行
されました
株券
をこの法律の施行後取得するにつきましては、
株券
の裏書または
株式
の
譲渡
を証する
書面
の整否について
調査
をしなくとも善意取得の妨げにはならない旨を
規定
したものであります。 第五項は、この法律の施行の日から二週間以内の日を会日とする
株主総会
または
創立総会
における
議決権
の行使につきましては、二人以上の代理人の出席の拒否及び
議決権
の不
統一行使
に関する新法の
規定
を適用しないものといたしたのであります。 第六項は、この法律の施行前に
新株
の
発行
の
決議
または
株主
以外の者に
新株引受権
を与える旨の
決議
がありました場合には、その
新株
の
発行
についてはなお従前の例によることといたしたものであります。 第七項は、
商法
第二百二十四条ノ三第一項の
規定
による基準日がこの法律の公布の日前でありますときは、新法第三百四十一条ノ六第二項の
規定
は適用しないものといたしたのであります。 第八項は、新法第二百四条ノ四第一項及びその準用
規定
並びに第三百四十九条第二項において準用する第二百四十五条ノ三第三項の
規定
による
株式
の価格の
決定
に関する
裁判
手続等
を
定め
ますため、非訟事件
手続
法に
所要
の
改正
を加えたものであります。 第九項は、新法第二百四条ノ二から第二百四条ノ五までの
規定
を設けましたことに伴い、有限
会社
の社員の持ち分の
譲渡
について社員総会が
承認
しない場合等に関する
規定
を整備する等のため、有限
会社
法に
所要
の
改正
を加えたものであります。 第十項は、有限
会社
法の
改正
に伴ないまして、経過措置を
定め
たものでございます。 第十一項は、新法及び附則第七項による
改正
後の再評価積立金の資本組入に関する法律の
規定
によりまして
株主
の
新株引受権
が
新株引受権
証書によって
譲渡
できる道が開かれたのに伴いまして、外資に関する法律の
規定
を整理したものでございます。 第十二項は、
株式会社
の再評価積立金の資本組み入れに伴い
新株
を
発行
する場合も、
商法
の
規定
により
新株
を
発行
する場合と同様、
株主
の
新株引受権
を
新株引受権
証書によって
譲渡
する道を開きますため、
株式会社
の再評価積立金の資本組入に関する法律に
所要
の
改正
を加えたものでございます。 第十三項は、新法第二百四条第一項の
改正
及び第二百四条ノ二から第二百四条ノ五までの
規定
の新設に伴いまして、日刊新聞紙の
発行
を
目的
とする
株式会社
及び有限
会社
の
株式
及び持分の
譲渡
の
制限
等に関する法律を整理いたしますとともに、その不備を補うため、
所要
の
改正
を加えたものであります。 第十四項は、
商法
の
改正
に伴いまして、
会社
更生法の
規定
を整理したものでございます。 第十五項は、新法により
株式
の
譲渡
につきまして
取締役会
の
承認
を要する旨の
定め
が登記
事項
となったこと及び第四百十六条の
改正
に伴いまして、商業登記の
手続
を
定め
ますため、商業登記法の
所要
の
改正
を加えたものでございます。 以上が
商法
の一部を
改正
する
法律案
につきましての
逐条説明
でございます。
和泉覚
8
○
委員長
(
和泉覚
君) 次に、
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
を
議題
とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
松野孝一
9
○松野孝一君 ただいま
議題
になりました
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
について、ちょっと質問したいと思います。 これは、この特例
法案
が通れば、弁護士等民間から最高
裁判所
の
裁判
官になった人に対する退職手当の特例法ができましたから、従来問題になっておったいわゆる民間から入ってくる弁護士あるいはその他の人に対する退職手当の特例法ができましたから、その点はよくなったと思います。ただ、キャリアの
裁判
官、下級
裁判所
の
裁判
官をしておった者がずっと最高裁の
裁判
官になったという者に対しては、従来一般公務員の退職手当法もあるし、それから一般公務員の共済組合の年金制度もあるので、それで大体いいようにも思うのでありますが、それもみな一緒にしてキャリアの
裁判
官のほうも最高裁の
裁判
官になると同時に退職されたものと見なしてこの法律を適用するということになっておるようでありますが、下級
裁判所
からずっと上がってくる
裁判
官に対して特別にこの法律を適用することにした
理由
についてちょっと
説明
していただきたいと思います。
塩野宜慶
10
○
政府委員
(塩野宜慶君) 御指摘のとおり、臨時司法制度
調査
会におきましてその点がいろいろ論議された次第でございます。その結果、臨時司法制度
調査
会の御
意見
といたしましては、弁護士から
裁判
官におなりになった者について退職手当について特別の措置を講ずべきことを考慮するべきものであるという御
意見
が出されているわけでございます。今回の退職手当の特例法は、
提案理由
説明
にも申しておりますとおり、最高
裁判所
の
裁判
官の地位の重要性ないしは特殊性、さらにはまた現在までの任用の
実情
等を勘案いたしまして、最高
裁判所
の
裁判
官につきまして今回のような特別の支給率を
定め
ることにいたした次第でございます。したがいまして、その考え方からまいりますと、いわゆるただいま仰せのキャリアから参りました最高
裁判所
の
裁判
官であると、それから弁護士からお入りになった最高
裁判所
の
裁判
官であると、いずれも同じ支給率で退職手当を差し上げる、こういう考え方になるわけでございます。臨時司法制度
調査
会におきまして、弁護士から
裁判
官におなりになった方について何らかの措置を講ずるのが相当であるという御
意見
の出ましたゆえんのものは、キャリアの
裁判
官よりも格差をつけて弁護士からおなりになった方を優遇せよという御趣旨とは受け取れないのでございまして、現在の退職手当の制度がいわゆる勤続報償的な考え方で組み立てられておりますので、弁護士からお入りになった方につきましては、おのずから在職の
期間
が短い
関係
で退職手当も少なからざるを得ない。たとえば、現在の率で申しますと、弁護士から最高
裁判所
の
裁判
官におなりになった者が五年おつとめになっておやめになるということになりますと、現在では約百五十万円の退職手当しか差し上げることができないわけでございます。そこで、こういうような
実情
でございますので、あまりに低過ぎるから何らかの措置を講ずることが必要であるというのが臨時司法制度
調査
会の御
意見
であるというふうに私ども伺っているわけでございます。 したがいまして、今回、最高
裁判所
の
裁判
官の重要性ないしは特殊性等を勘案いたしましてこういうふうな特別の支給率を
定め
ました
関係
で、在野からお入りになった方につきまして先ほどの例で申しますと、五年間おつとめになったという場合には、今回の計算で参りますと約千万円の退職手当を差し上げることができる、こういうことになっておりますので、臨時司法制度
調査
会のこの
部分
に関する趣旨も十分に実現することができた、かように考えているわけでございます。
松野孝一
11
○松野孝一君 それから、いまは最高
裁判所
の判事が退職する場合でありますが、臨時司法制度
調査
会からの答申にもあったと思いますが、弁護士等から、高裁とか地裁とか、それから簡裁に行く者もありましょう。それらを判事に任用することは
裁判所
法できまっているのですから、それを円滑にするために、それらの人の退職した場合の──あるいは一般の公務員については共済年金制度がありますし、また、最高裁についてはいまのような退職手当法の特例法もできるようになったとすれば、これらに対する待遇問題について何か考えておりますか。
塩野宜慶
12
○
政府委員
(塩野宜慶君) 御質問の御趣旨は、最高
裁判所
にお入りになった者については今回の特例法で手当ができたが、その他の下級
裁判所
に弁護士からお入りになる方について何か考えているかというお尋ねの御趣旨だと思います。その点につきましては、御承知のとおり、臨時司法制度
調査
会では、弁護士から
裁判
官になる者について特別の措置を講ずるようにという
提案
をされているわけでございまして、特別に最高
裁判所
の
裁判
官だけを
対象
にして御
意見
が出されているわけではないのでございます。ただ、御
意見
の中に、特に最高
裁判所
についてそのような問題を解決するのが緊急の問題であるという御趣旨は含まれていると思うのでございます。そこで、最高
裁判所
の
裁判
官につきまして、今回のような特例を講じたわけでございますが、今回の特例は、先ほども申し上げましたとおり、最高
裁判所
の
裁判
官の地位の重要性ないしは特殊性ということに着目してこのような特例をつくりましたので、この考え方を直ちに下級
裁判所
の
裁判
官に及ぼしてくるということば必ずしもできないと考えられるのでございます。そこで、私どもといたしましても、いわゆる在野弁護士の方々の優秀な方々が下級
裁判所
にもどんどん入っていただくということは非常に望ましいことでございまして、そういうふうな面から申しますれば、臨司の
意見
に従ってさらにさような何らかの特別の措置というものを考えていかなければならないというふうに考えているわけでございます。そこで、この問題につきましては、今後下級
裁判所
の
裁判
官の給与体系を考えていく場合に、その重要な一環として退職手当という面につきましてもさらに検討を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。 これはさらに一書つけ加えて御
説明
させていただきますと、退職手当というものの性格はいろいろ論議されておりますが、たとえば、退職手当というのは、老後の生活の保障であるとか、あるいはまた給与のあと払いであるとか、あるいはまた永年勤続に対する報償であるとか、あるいは在職中の功績に対する報償であるとか、いろいろな考え方があるわけでございます。現在の一般公務員の退職手当法の基本的な考え方は、勤続報償ないしは功績報償的な考え方が中心になっていると思われるのでございます。そういうふうな考え方で申しますと、
裁判
官になる前の職歴が下級
裁判所
の
裁判
官であろうとあるいは在野の弁護士の方であろうと、勤続
期間
に対する報償という面では、やはり
裁判
官としての勤続
期間
が中心にならざるを得ない。それから功績の報償という面から見ましても、やはり同じようなことになるわけであります。さらにはまた、かりに老後の生活の保障という面を考えてみましても、
裁判
官をおやめになる場合に、弁護士から来られた方については特別に保障しなければならぬ、あるいはいわゆるキャリアの
裁判
官の場合にはそれと違った待遇でいいというふうな考え方は非常に出にくいのでございまして、従来の退職手当制度というものの考え方から申しますと、いま仰せのような弁護士から下級
裁判所
の
裁判
官におなりになった方についてそれだけを取り上げて特別の退職手当の制度を積み上げていくということには非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、将来、下級
裁判所
の
裁判
官の給与体系を検討いたしてまいります場合に、その重要な一環としてこの問題もさらに検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
松野孝一
13
○松野孝一君 臨時司法制度
調査
会の答申をちょっと見ますと、いまお話しのように、下級
裁判所
の
裁判
官に弁護士から採用するという場合に、その
裁判
官が退職する場合における退職手当とかあるいはまた年金とかいうものを支給するにあたって、弁護士である間の
期間
を年金等の算定する
期間
に通算するということは非常にむずかしいこととは思うけれどもいまもちょっといろいろ実施されておるよりでありますが、弁護士のいわゆる共済組合法か、そういうものをつくって、両者通算して支給するという制度も出ておるように見ましたが、それらについて何か特別に研究しておりませんか。
塩野宜慶
14
○
政府委員
(塩野宜慶君) 御指摘のとおり、臨時司法制度
調査
会におきましては、弁護士から
裁判
官におなりになった方々の退職後の処遇につきまして、退職手当の問題と、それから退職年金制度の問題と、両方を
提案
されているわけでございます。ただいま御指摘の退職後の年金の問題でございますが、これは、御承知のとおり、以前には、公務員が退職いたしました場合には恩給が支給される、かようなことになっておりましたが、現在では、これが共済組合の年金に切りかえられているわけでございまして、いわゆる共済組織による保険数理に基づく相互扶助と申しますか、社会保障の形になっているわけでございます。したがいまして、これに要する経費も、本人が四〇数%負担するという共済組織になっているわけでございます。そこで、弁護士から
裁判
官におなりになって新しくこの共済組合の組合員におなりになったという方につきまして、従来組合員でなかった
期間
、したがって、組合の掛け金もしていらっしゃらないその
期間
を年金の支出のほうについてだけ計算に人れていくということは非常にむずかしい問題でございます。 したがいまして、臨時司法制度
調査
会でもこの点はいろいろ論議がされたように承っておりますが、結局は、ただいま御指摘のとおり、弁護士会自体に何かこういう共済年金的な組織を公的なものとしておつくりになって、それと公務員の共済組織とを連絡させていくということがあるいは最も妥当な
方法
ということになるのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、現在まで研究をしておりますが、まだここで御報告申し上げるような段階まで至っておりません。さらにこういう方面につきまして慎重に検討を続けてまいりたい、かよりに考えております。
松野孝一
15
○松野孝一君 臨時司法制度
調査
会のできた趣旨、あるいは答申の趣旨にもかんがみ、また、
裁判所
法にも、弁護士を何年すれば
裁判
官になれる、あるいは検察官になれるというようなこともありますので、これはまあ検察庁法でありますから別にしますが、とにかく民間から
裁判
官を採るということは非常に重要な問題だと思いますので、ぜひともその点を早急に研究していただきたいと思います。 それから、ちょっと簡単でいいですから、ここに最高
裁判所
裁判
官退職手当特例法の第二条に「百分の六百五十を乗じて得た額とする。」という
理由
について
説明
してもらいたい。
塩野宜慶
16
○
政府委員
(塩野宜慶君) 支給率を百分の六百五十と
定め
ました
理由
でございますが、これは、先ほども御
説明
申し上げましたとおり、最高
裁判所
の
裁判
官の地位の重要性、特殊性ということにかんがみまして特別の退職手当を支給するという考え方から申しますと、退職手当ができるならばなるべく高いほうがいい、こういうことになるわけでございますが、退職手当と申します以上、おのずから何らかの限度があるはずでございます。また、財政面の配慮も無視するわけにはいかないわけでございます。それらの要素を勘案いたしまして百分の六百五十という数に到達いたしました次第で、必ずしも厳密な数学的な計算に基づいてこの百分の六百五十という数が出たわけではないのでございます。しかしながら、考え方をちょっと御
説明
いたしますと、従来最高
裁判所
におつとめになりまして退職された
裁判
官の勤続年数を統計的に見ますと、平均七年余りという数字になっているわけでございます。そこで、七年で退職手当の最高限度の支給ということにかりに
定め
ますと、平均の勤続
期間
以上おっとめになった力の平均以上の在職
期間
が退職手当に加味されないという結果になってし、まいますので、平均在職
期間
よりは長くこれを考えていくのが妥当ではなかろうかというふうな考え方になるわけでございます。そこで、それでは長い方はどれほどおっとめになっているかということを従来の実績を見ますと、十年をこえる在職
期間
におなりになった方々は二割に満たないというような状況でこざいます。そこで、私どもといたしましては、まず勤続
期間
十年で最高限度の退職手当の額に達ずるということが妥当な線ではなかろうかというふうに考えるわけであります。御承知のとおり、最高
裁判所
の
裁判
官には任期の
定め
はございませんけれども、十年ごとに国民
審査
を受けるということになっておりまして、やはり十年間の在職
期間
というのが一つの基準になっているというふうに考えることもできるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。そこで、十年間おつとめになって最高額に達するという場合にはどういうふうな率になるかということを逆算してまいりますと、ただいま
法案
に載せてございますような百分の六百五十という数になるわけでございます。そのような次第で、必ずしも厳密な数学的な一算に基づいたものではございませんけれども、以上のような考え方から百分の六百五十というところが妥当であろうというところに落ち着いた次第でございます。
松野孝一
17
○松野孝一君 ちょっとわかったようなわからないようなところでありますけれども、国民
審査
によって最高裁の
裁判
官が罷免されることがあった場合、あるいはまた、弾劾
裁判所
等によって罷免されるということがあった場合には、これは適用されないのですね。ちょっとその点を伺っておきたい。
塩野宜慶
18
○
政府委員
(塩野宜慶君) いまは、退職したにもかかわらず退職手当を支給しないという場合についてのお尋ねと存じます。これは、
現行法
では、一般の国家公務員等退職手当法におきましてその八条の第一項に支給しない場合が掲げられているわけでございます。その
規定
の適用によって支給しない場合が
定め
られていたわけでございますが、今回の特例法におきましても、一般の退職手当法の八条の一項を準用しておりますので、支給しない場合については従来と同じでございます。 そこで、お尋ねの中の国民
審査
の問題でございますが、これは、
裁判
官が非行を犯した、あるいは非違があったということで罷免されるわけではないので、国民が必ずしも適任と考えなかったということで罷免される、こういうことでございますから、懲戒によって罷免されたというような場合とは違うわけでございます。したがいまして、国民
審査
の結果退職されるという場合には、退職手当を支給しないという場合には当たらない、したがって支給するという、こういうふうな従来の解釈になっておりまして、特例法につきましてもこの点は同じと考えております。
松野孝一
19
○松野孝一君 終わります。
和泉覚
20
○
委員長
(
和泉覚
君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
和泉覚
21
○
委員長
(
和泉覚
君) 次に、検察及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
を
議題
とし、まず、
選挙違反事件
に関する件について
調査
を行ないます。亀田君。
亀田得治
22
○亀田得治君 私は新潟の昨年の知事選挙に伴う非常に注目されておる問題につきましてお尋ねを若干いたしたいと思います。 せんだって予算
委員
会においてもお尋ねをいたしましたが、時間がございませんので、十分な質疑はできておりません。その後、私、新潟にも一度参ったわけでありますが、本件に関して特に新潟では非常な関心が持たれておることをあらためて私としては痛感したわけであります。そういう立場から、どうも今回の塚田前知事の選挙違反に関する検察庁の扱いというものが何か不明朗なものがあるのではないかということを感ずるわけです。これは新聞等でも、当時はっきりしていたことですが、新潟の検事正はじめ、本件は十分起訴できる事件であるという立場から、年末の休みなり日曜日までも返上して第一線の検察官たちが一団となって捜査を続けた問題であります。で、県民といたしましても、少なくとも二月中にはきちんとした結論が出るだろうというのが一般の期待でありました。しかし、それがだんだん延びていく。そのうちに、ともかく上のほうからは、もう少し足らない捜査がある、補充捜査を命令されるといったようなこと、しかし、地元の検察庁としては、もう十分やり尽くしたはずだというふうな態度のようにわれわれとしては伝わってくるわけであります。その間にいろいろな政治家の発言等がまざっておる。こういうことで、この事件を政治的に扱っておるという印象をぬぐい切れないわけでありますが、総理大臣なり
法務大臣
は、一応はそういうことはないというふうに予算
委員
会等では言われておりますが、それならば、なぜこれだけ注目しておる問題について時間がこれ以上かかるのか、そういう点についてもう少しはっきり御
説明
を願いたいと思うわけです。どうですか。
石井光次郎
23
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) この問題は、何度もお尋ねを受け、何度も同じような御返事を私はしておるわけでございます。というのは、私の態度、立場が一つも変わらないものですから、変わった御返事ができないわけでございます。これは、告発されまして以来、新潟の地方検察庁のほうで鋭意捜査を続けておるということを承知しておる立場で、それがいつ結論を得るかということは、私はそれにまかしてある状態で、検察方面のことは検察方面にまかしておるわけでございます。いつまでにやれ、早くやれ、ゆっくりやれとか言うような指図もしなければ、また、どうなっておるかというようなことを聞くことも、ある意味においてはそれが指図がましいことになるおそれもあるんじゃないか、さように思うのでございます。いろいろこの問題はあれやこれやととかくのうわさを生むわけで、いまのお話の中にも出てくるように、あなたが新潟においでになってお聞きになると、検察当局では当然のようにこれはちゃんと有罪になるというか、その方向でやっておる、だがだんだんと様子が変わってきたというようなふうにうわさも出ておる。そういうのもうわさであると思います。また、途中でよく話が出ました、何の何がしがどう言うた、こう言うたというようなことも、私は、そう言われて、ああそういううわさも出ているのかなと初めて聞いたくらいでございますが、まあ言うたか言わぬか知りませんが、次から次に、こういうことというものは、ちらっとだれか言いますと、それがまことしやかにうわさになるものでございますから、私どもの言動というものは非常に注意深くやらなくちゃならないと思って、この問題には私はじっといつもお答えしておるように
決定
を待っておる。静かに待っておる。おそらくまあ近くこれの
決定
があるのであろうというような心持ちで待っておるという程度のことまでしかいつも申し上げておりません。また、さっき、二月ごろにはきまるのじゃなかろうかとおっしゃいましたが、私どもも、何かそのころにあるのかしらんと思って、一月、二月ごろにもう近くあるんじゃないかというような、それに近いような私も同じような心持ちで御返事したようなこともあったと思うのでありますが、それも何の
理由
があるわけでもございませんし、もうだんだん
調査
も進んでいけば早く
決定
するであろうというようなことのまあ皆さん方と同じような心持ちで待っておるというような意味でございます。これに対しまして、総理大臣も私も、たびたび申しておりますように、特にこういう問題にはお互いに言動を慎まなくてはならないということを注意しておるわけでございます。総理からもいろいろなことを言われておるわけではありませんし、私もこの間参議院の予算
委員
会でも聞かれましたけれども、指図がましいような行動はとりませんということを申し上げましたが、そのつもりでじっとして待っておるわけでございますから、一体どういうふうにして進んでおるかということも私は聞いておりませんから、状況はわかりません。 刑事局長がここにおりますから、このほうがもう少し情勢を知っておるので、刑事局長からお答えさせます。
亀田得治
24
○亀田得治君 先に
説明
があったら、一応知っているだけ全部言うてください。
津田實
25
○
政府委員
(津田實君) この事件は、すでに大臣が申しましたように、しばしば国会の御質問を受けておりますので、事件そのものにつきましては、告発から起きた事件である、それについて捜査をいたしたということでございまして、新潟地検で捜査をいたしました結果をもたらしまして、東京高等検察庁において検討いたしました結果、さらに補充捜査並びに問題点の検討を要する点があるということで、さらに新潟地検でその補充捜査並びに問題点の検討をいたしたわけでございます。 そこで、現段階におきましては、それも大体において終わりに近づいているというふうに考えられますので、おそらく日ならずして
処分
がなされるというふうに考えている次第でございます。
亀田得治
26
○亀田得治君 事件の中身に入りますと、捜査中だからごかんべん願いたいというふうにあなたのほうはお答えになりますから、できるだけ事件の中身には入らないようにいたしますが、しかし、全然入らないのではこれはもう質問ができないわけです。そういうつもりでひとつ聞いてもらいたいわけですが、これは、新潟地検が捜査を終えて、そうしてあとはもう高検の指示を待つだけだという立場で一件書類を持って上京されたのはいつですか。これは新聞等にも出ているのですが、まあ確かめたいわけです。
津田實
27
○
政府委員
(津田實君) 私も正確に覚えておりませんが、二月の上旬であったかと思うのであります。ただし、捜査を終えて一件書類を携帯してということはないようでありまして、もちろん、中間報告をし、中間においての相談をいたしたということでございます。
亀田得治
28
○亀田得治君 新聞によると、もう自分らはやることはすべてやったんだ、あとはもう上の指示を待つばかりだ、その判断についてはまないたの上のコイみたいなものだ、そういうふうな意味のことを検事正も当時言われているわけなんです。やるだけのことはやったと。そうすると、あとは高検なり最高検がどういう指示をするかということにかかっているというふうに、われわれも、新聞記事だけじゃなしに、党の
調査
団が行ってお会いしたりいろいろな感じからそういうふうに受けているわけなんです。 ところが、その後なかなかそれが進まない。そうして、何か捜査の足らないところがあるからこの
部分
をもっと調べろというふうに指示もされているようでありますが、外部から見ると、なにか引き延ばすためにそういう指示を与えているような印象もあるわけなんです、率直に言いまして。そういう、人のやることですから、足らんところがあるといえば、これはいくらでも続くわけです。だから、一体どういう点についての補充捜査を指示されたのか。地元の伊尾検事正も、なかなかこれは頭も鋭い人で、私は、あれだけの大事件ですから、ミスがあってはいかないということでおそらく十分な体制を持った捜査をやられたと思うのです。それに対して、この点が抜けているから補充しろというふうに言われたというのですが、一体、どことどこをそういうふうな指示をされたのか、明らかにしてほしい。どうなんでしょう。
津田實
29
○
政府委員
(津田實君) 第一線の地方検察庁以下の検察庁におきまして捜査をいたしました場合、もちろん地元の検事正の判断によりまして起訴、不起訴を
決定
することは当然でございます。しかしながら、事件によりましては、高等検察庁に、あるいは場合によりましては最高検察庁にしばしば検討を依頼し、あるいは相談をするということは、これは検察庁が最高検察庁を頂点とする組織でありますので、これは当然さようなことになっているわけであります。したがいまして、この事件につきまして、現地検事正がみずからの判断をきめるしにおいて、あるいはみずからの捜査の結果を示しまして判断を求める上において、必要であると思って高等検察庁に参りまして相談をいたしたものというふうに私どもは考えているわけでございます。従来、この事件ではございませんが、重要事件につきましては、さような場合において、高等検察庁あるいは場合によっては最高検察庁が補充捜査あるいはその他法律問題の検討を命ずるということは、これはしばしばあることなんでありまして、そのために何回も高等検察庁あるいは最高検察庁へ足を運ぶというような事件もあったことは御承知のとおりでございます。したがって、この事件がまさにそれの例外ではないのでありまして、すなわち、その種の事件であるというわけでございます。 そこで、ただいまのお尋ねは、どの点の補充捜査を命じたかということでございますが、これは現実には私は存じません。存じておりませんし、また、その点につきましては、これはやはり捜査中でありますので申し上げかねる次第であると思いますが、現実に私は承知いたしておりません。
亀田得治
30
○亀田得治君 どうせ基本的な犯罪の成否に重要な
関係
を持っておる点などについては、これはあれだけの事件ですから、第一線の地検が十分私はやっていると思います。まさかそういう点に大きな欠陥があるというふうには私は想像していないのです。おそらく、まあわきの、ほんとうの意味での補充的なものだろうと思うのです。しかし、この補充捜査を命じておるということがずっと新聞等にも伝わりまして、これは非常にやっぱり関心を持たれておるわけなんです。だから、そんな補充捜査はあとからでもできる場合もありますしね、ものによっては。だから、その中身をわれわれとしても知りたいわけなんです。皆さんはことさらに延ばしておるのじゃないと言われますから、ほんとうにそうかどうかというのは、その補充捜査の中身というものがやっぱり一番大きなわれわれの判断の基準になるわけなんです。そういう意味でこれはお聞きしておるわけですよ。で、一体幾つぐらいそういう問題点を指摘されておるのか、個数ぐらいははっきり言えるでしょう。
津田實
31
○
政府委員
(津田實君) その指摘された補充捜査の点、検討をすべき問題点というのを、現実に私は承知いたしておりません。したがいまして、その個数はわからないわけでありまするけれども、いま仰せられました簡単な事柄であるというような事柄とは違うというふうに私は判断いたします。やはり非常な重要な問題点についての補充捜査が必要である。結論を出すには必要である意味の補充捜査である。まあ理屈を申しますれば、起訴、不起訴がきまった後に補充捜査をする──きまったと申しますか、起訴、不起訴の
処分
をしてから後に補充捜査をするというのはこれは常道ではないことは当然でありますが、その意味は別といたしましても、やはり重要な問題点に影響のある
事項
というふうに私は承知しておるわけでございます。
亀田得治
32
○亀田得治君 重要な問題点に影響のあることとして承知しておると言われますが、中身はあなた御存じなんですか。知っておられるようなおられないような、はっきりしない前段のお答えでありましたが、あとのほうのお答えだと、何か知っておられるような印象も受けたんですが、それはどうなんでしょう。
津田實
33
○
政府委員
(津田實君) 先ほど来申し上げておりますように、現実に私は承知しておらぬことは、ただいまも申し上げたとおりでございます。しかしながら、一々具体的な
事項
については承知いたしませんが、重要な
事項
について問題点があるので補充捜査を命じたという報告は受けております。したがいまして、重要な問題点ということは申し上げられるわけであります。
亀田得治
34
○亀田得治君 それはひとつ調べてください、そんな重要である中身はどういうことなんだかね。いま任意捜査でやっているわけだし、この逮捕の
関係
等も一応済んでいるわけですし、それによって捜査が妨害されるとか、そういう段階じゃなかろうと思うのです。それほど重要なことなら、双方に
専門家
がついてやっているわけだし、これは当然予想もできることですしね。だから、単に抽象的に重要な点についての補充捜査をやっているというふうに聞いているというのじゃなしに、その中身をやはり調べてもらって、差しつかえない程度にやはりわれわれにも報告してほしい。そうでなきゃ了承ができないわけなんです。ともかく、なんでしょう、この捜査の過程においては、県会の開会中に四名の県会議員を逮捕しているわけでしょう。これはなかなか異常な強い決意で検察庁は臨んでおるわけなんです。だから、それだけのことをやって、あと何も出てこない、そんなことで検察官が想像していたら、そんなことやれるものじゃない。また、それだけの手を打てば、重要な問題点についてはそれは当然調べを進めておりますよ、おそらく。重要な点について一つの大きな穴があいていた、そんな捜査をもし伊尾検事正はじめやっていたとしたら、そのこと自体、私は検察の威信を落とすものだと思う。だから、補充捜査を命じておるというのは、どうもわれわれとしてはこれは引き延ばしのような感じを受けておるのですが、そうではないというのであれば、重要だ重要だという抽象的なことでなしに、ある程度具体的に私たちに御
説明
願わないと、これはちょっと納得がいかぬわけです。お調べ願えますか。
津田實
35
○
政府委員
(津田實君) 先ほども大臣が申しましたように、この種の事件と申しまするか、いろいろ問題がある事件につきましては、当然のことでありますが、どういうところが問題点だということをこちらから要求して報告を求めることは、なかなかこれは検察権に対し影響があるのではないかという問題をも含んでおりますので、これは私どもとしても非常に慎重な態度をとっておるわけであります。したがいまして、ただいまの御質問の事柄が、はたして問題点について報告を受けまして本件について差しつかえがないものであるかどうかということは、やはり一応慎重に検討させていただきたいと思うのであります。その上で私どもといたしまして問題点の
調査
を、
調査
と申しまするか、報告を受けることにいたしたいというふうに考える次第でございます。 重要な問題点と申しましても、それは現地の検察官が間違いなくやっておるではないかということで現地の検察官を非常に御情用いただいていることはまことに私どもとしてはありがたいことでございまするけれども、御承知のとおり、いろいろな事件を見ますると、やはり十分検討したといっても、
裁判所
で無罪になるというケースがかなり出てまいっておるわけであります。そういう意味におきまして、やはり個々の事件につきましてはそれぞれ慎重な検討を要することは当然でございます。したがって、その事件についての有罪の得られるかどうかという問題点につきましてはいささかの点もこれはゆるがせにできないわけでありますので、そういう意味におきましての検討は十分尽くすべきである。したがって、現地の検察庁が判断いたしましても、さらにこれを上から見ました場合、あるいは第三者として冷静に判断いたしました場合に、問題点についての検討が不足である、あるいは証拠の点において不足であるということがやはり起こり得るわけでございますので、そういうことはしばしばこれは上級検察官庁においてなされるわけでございます。
亀田得治
36
○亀田得治君 まあ抽象的に同じことをやりとりしましても前進がないと思うのです。で、一応刑事局長のほうで重要な点についての補充捜査をやっておるように報告を受けたと言われるんだが、それを検討してみてください。これは国会の要求なんですから。その結果によって、それを
委員
会でそのまま言える内容のものであるのかないのかということが出てくるわけでありますから、その検討もされないというのは私ははなはだ遺憾と思うのです。検討されるようにおっしゃっておりますから、その検討の結果を私は待ちたいと思います。 それから次に
法務大臣
にお聞きしたいのは、この事件は、荒筋はもう大臣も新聞等でよく御承知されておると思います。ともかく、知事選挙の前に塚田知事が自民党の県会議員の諸君に二十万円ずつ渡したと、こういう案件なんですね。私はこういう事件の扱いはきわめて大きな影響を及ぼすと思うのです、検察庁の処理のしかたいかんによって。それで、ともかく適当な名目をつけて言いのがれておけばもうそれで通るんだということにこれがもしなってごらんなさい、たいへんなことになりますよ、たいへんなことに。私は、新潟の地検なりあるいは新潟の県民の皆さんが非常に注目をしておるのも、やはりそういう選挙の基本に触れる問題だということでやはりこれは心配しているのだと思います。金が動いた事実も、これを動かした人自身も、受け取った人自身も、これは認めておるわけでしてね。事実の筋というものはもうはっきりしておるわけなんだ。あとは、解釈、受け取り方、考え方、そういうものにしぼられてきておるわけです。もちろん、いつ渡したか、渡したときには対立候補との
関係
はどうであったか、こういうこまかい点は検察庁ですでにお調べのはずです。われわれのほうの諸君も検察庁に呼ばれてそういったような点の調べも受けております。そうすると、やはりその経過を振り返って見ましても、吉浦候補が立候補を決意したその後にこういう金が動いたことも、これは時間的にはっきり出ておる、今日ではね。それをどう見るかということなんでしょう、問題は。私は、これは
法務大臣
はタッチしないタッチしないと言われますけれども、それこそ正しい意味でこれはタッチすべき問題じゃなかろうかと実は逆に考えるのです。日本では、指揮権の発動というと、つぶすことばかりを指揮権と思っておる、事件をつぶすことを。そうではなしに、世論全体をながめて、そしてまた、選挙をきれいにしていく、りっぱなものにしていくという立場から見て放置できないという場合には、もっと積極的にかまえるべきではないか。そういう立場からの指揮権というものも当然私はこれはなきやらぬと思う。また、そういうことはされていると思うんですね。重要な、世間が何とかやってほしいと思っておる事件については、タッチされておるはずです。まず、その点からちょっとお聞きしたいと思うのです。その指揮権という問題について、
法務大臣
は、ともかくもうさわらぬのだ、さわらぬのだと。これじゃ私はおかしいと思うわけでありまして、悪い発動は困りますけれども、いい方面の発動は、これはやらなきゃならぬ場合もあるんじゃないですか。どうなんでしょう、基本的な気持ちをひとつ……。
石井光次郎
37
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) なかなか重大な御発言だと思うのでございますが、刑事問題になったものを、これが世の中に及ぼす影響が大だというので、これに一々先頭に立って私が指図をするというようなことは、少しく
法務大臣
としては越権過ぎるのじゃないか。法を守る立場におる者としては、やっぱり第一番には法治国として法を守るということに私は徹すべきものだと思います。それには、一番先頭に立って仕事をしております私どものほうの検察庁がこれを受けて告発をし、事件として扱っておるのでありますから、これは厳正な態度でこれに臨んでおる。そして、いままで長く、こんなに長くかかって何を調べておるんだとおっしゃるほどいろいろな点を調べておるわけでございますから、そうやって結論を出すというものにこうしろああしろという指図をするものは、私はそうすべきものじゃない。そういうところにまかして、厳正な立場でしっかりやれという心持ちは無言のうちに一そうことをまかしておることが無言にその方向を示しておるものだと私は思っておる。そうして、りっぱに検察庁が法を守ってくれることを私は期待しておるわけでございます。
亀田得治
38
○亀田得治君 基本的には、大臣がおっしゃる態度で私はいいと思うんです。これはもう職責上、検察庁が不偏不党の立場で処理していく、こういうことになっておるわけですから。ただ、法を守るといっても、最後は結局国民の協力、気持ちというものがそういうふうに向いてこなきゃいけぬわけでしょう。したがって、やはり国民の意思を無視してりっぱな法治国家というのは私は成り立つものじゃないと思うのです。で、そういう立場から、
法務大臣
は絶えず世論の動きとかそういうものをやはり見ておるべきじゃないか。単に、単なる法技術的な面からだけの検討ということでは私は足らぬと思います。それは、もちろん、最高検にしたって、そういう技術的な面だけじゃなしに、いろんなほかの社会的な政治的な面等も考慮して大所高所から判断されると思います。しかし、それでも足らぬ場合もあるわけでしょう、足らぬ場合も。だから、そういう場合には、
法務大臣
としてはそれにタッチしていくということが検察庁法でも私は許されておる事柄だと思うんですが、いかなる場合にもノータッチでおるということは、私はこれはもう逆に何か勘ぐられる、悪く勘ぐられるの、じゃないかというふうに思うんですが、どうでしょう。
石井光次郎
39
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) ある方面からはこうしろ、ある方面からはこうするほうが正しいというようないろんな
意見
が、どういう問題にもぼくはあると思うのであります。それで、こういう声が強いからその声に従ってやるというようなことを年じゅう考えてやっておると、ともすれば問題は貝殻追放みたいなことになるおそれが私はあると思うのであります。やっぱり日本は法治国だという考えであれば、考えじゃない、そうである以上は、やっぱり法というものを厳守してそれをしっかりやれということで私はそこの座にすわっておるということが一番大事なことだと私はどうしても思っておるのであります。
亀田得治
40
○亀田得治君 まあ原則論を私が何も全然否定しておるわけでもないわけでして、必要な場合にはやはり高い立場から
法務大臣
が動くということが私はあってもいいと思うのです。その動き方の中身だと思うのですね。そんなら検察庁法十四条なんていうものは要らないわけだ、逆に。だから、そういう高い指導をむしろ認めておるのが私は現在の法制だと思う。そういう意味でお聞きしておるわけですが、どうも目の前にある具体的な事件が頭の中にあるもん、だから、できるだけそれにはタッチしないのだというふうな気持ちで大臣はお答えになりたいものだから、どうも筋の通った話が逆にうまくいかぬのですが、その点は一つの理論闘争になりますからこの程度にいたしておきますが、それじゃ、大臣は、この件について、たとえば田中幹事長とかそういう与党のえらい人からお話を聞いたことはありませんか。
石井光次郎
41
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) この問題ですか。
亀田得治
42
○亀田得治君 ええ、この問題について。
石井光次郎
43
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) この問題について、どうしてくれ、こうしてくれということを頼まれたことはありません。
亀田得治
44
○亀田得治君 私は当然あり得ることじゃないかと思っているんですよ、そういうことは。ともかく法は国民全体の力で守っていくわけですから、非常に重要な政党にとっての問題が出てきた場合に、私は当然党の責任者が
法務大臣
に自分の見解を言うということはあり得ると思うのです。ただ、そういうことがあった場合に、それをどう判断するのか、これが私は
法務大臣
としてのなかなかむずかしい立場なんだと思うのです。お話が全然ないというようなことを言われますけれども、それは、どうしてくれ、ああしてくれという要請はなかったというふうにいま言われましたが、私は当然お話ぐらいはあるものだと思うんです。また、われわれ党のほうとしても、選挙という立場から考えて、
法務大臣
には言ったかどうか知りませんが、高検なり最高検なり地検にはやはり国民の気持ちを伝えるという意味で言っているわけなんですね。私はそういうことは当然あり得ることだと思うのですが、そういうお話等もないというんだと、ちょっとおかしいのですがね。どうなんです。
石井光次郎
45
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) ことばが足りなかったかわかりませんが、この問題についてどうしてくれ、こうしてくれということを頼まれたことがないという意味のことを申し上げたのでありまして、話はいくらでも出ます。これはあなた方があれほど質問される問題でございますから、そのたびに話は年じゅう出ております。
亀田得治
46
○亀田得治君 したがって、当然私は高検なり最高検を通じて取り調べの実態というようなものもある程度聞いておられると思うんですね。刑事局長はあまりそういうことを知らぬようなお話でありますが、その点はどうなんでしょうか。
津田實
47
○
政府委員
(津田實君) 全部の事件について一線から報告があるわけではありませんが、少なくともこのような事件については、もちろん事件が受理されたときに報告がございます。その後捜査の進展につきまして国会においてしばしば御質問があるわけでありますので、その必要のつど現状はどの辺までいっておるかということについて刑事局から最高検察庁に問い合わせをする、こういうことにはいたしておりますが、しかしながら、御承知のように、一般的には、受理をした報告と今度は
処分
報告としかとらないたてまえになっております。したがいまして、随時最高検察庁のほうから法務省刑事局に事件の捜査の進展状況について報告のあることは、これはございますわけでありますが、本件につきましてもちろん内容自体についてこちらから御質問のつど現在どうなっておるかという程度の問い合わせばいたしておりますが、こういう捜査をしておって、これがこういうことを言っておって、これがこうであるという内容につきましては全然報告を受けておらない次第でございます。たとえば、家宅捜索をしたとか、あるいは塚田前知事を何回取り調べたとかいう外形的事実については最高検察庁を通じて報告は受けております。したがいまして、その報告がありました結果をまとめまして大臣に御報告いたすことはこれは当然でありますので、それはいたしておりますが、全部最高検察庁と大臣との間は私のほうを通じていたしているわけでございます。
亀田得治
48
○亀田得治君 まあそれだけ交流があれば、これは刑事局長も
専門家
ですから、大体全貌というものはつかんでおられる。あなたがつかんでおられる、これは大臣も大体つかんでおられるというふうにわれわれとしては解釈できるわけなんです。 そこで、こまかいことは抜きにして、
法務大臣
のひとつ選挙という問題に対する考え方をお聞きしておきたいのですが、それは選挙制度
調査
会等でも選挙運動のやり方についていろんな
意見
が出ておると私も承知しておりますが一つの問題点としては、戸別訪問とか文書違反とか、こういったようなものはもう
取り締まり
の
対象
からはずしてしまえ。そうして、ともかく実質犯ですね、金で良心を動かしていく、これはもう選挙の一番重要なところです。これがくずれたら、これは民主的な政治の土台がくずれることになるわけでして、それはそのかわりにうんと強く処理していけ。イギリスなどはそういうふうなやり方ですね。非常にきびしい、その点については。しかし、戸別訪問等は一切自由。政治家が自分の知った人に、自分の考え方に同調してくれと頼みに行くのはあたりまえだ、政治家にしゃべることを拘束するようなことはもともと間違いであるというふうな徹底した考え方なんですね。だから、そういう立場からの選挙法の
改正
の
意見
というものが出ておる。まあ党の立場は別として、私個人の考えから言いますと、いつも私はむしろそのほうがほんとうだというふうに思っておるくらいなんです。これは、ちょっとした形式犯等でひっかかった事件の弁護等をしたりしてますますそういうことを感ずるわけです。ひっかからぬ人はだだうまくひっかからないということなんでありまして、選挙運動というものは、とにかくできるだけ人に会って同調を求める、このことを前提にしておるわけです。私の個人的な
意見
ですが、しかし、これは個人的な
意見
というよりも、そういう考え方は相当強いわけです。ただ、その反面、実質犯については、これは送挙制度の根本をくずす、腐敗させるものであるということで、これはもう一致してその点については世間はどの派を問わずやかましいわけです。で、ここは私は
法務大臣
としてのたとえば本件のような問題についてどういう態度をとるかということに
関係
してくると思いますので、そういう選挙法の問題点について私がいま指摘した問題点について大臣としては平素どういうふうにお考えになっておるか、大まかな基本的な考え方だけを聞かしてほしい。
石井光次郎
49
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) いまの選挙法の上におきましてはみんな禁止されているような問題でございますが、その中でも特に金銭が横行するという問題は、これは厳重に取り締まるべき問題でございます。その点においてば私は全面的に賛成でございます。あとの問題は、これはいろいろな
意見
もあるでございましょう。選挙法の
改正
問題みたいになりますが、戸別訪問等は、まだやめるには早過ぎるとか、もうやめてもいいとか、いろいろな
意見
があるだろうと思いますか、これはあとの問題といたしまして、本問題にも関連しての心持ちとしてお尋ねになりまする金銭に関連するような選挙違反であれば、特に金の問題は厳重に取り締まるというように私は今後ともどの選挙においても大きく取り上げていかなくちゃならぬ、こういうふうに思います。
亀田得治
50
○亀田得治君 基本的な大臣の考えを聞きまして、私も非常に共鳴を覚えるわけであります。それで、そういう基本的な考えを持っておられるとすれば、この新潟の二十万円事件というものについては、私はこれはもっと前向きで考えてもらいたいと思っているんです。これは検察側としては私は十分な証拠調べをやられたというふうに想像しております。それでもなおかつ完全なことを言えば、どんな事件だってやはりそういう危惧というものは若干残るわけでして、そこにまた
裁判
の必要性があるわけなんです。そういう完全なことを求める必要はない。とにかく、こういう問題について
裁判所
がどう考えるのかということの判断をやはり一応求めてみるべきだというふうに考えるんです。事実ははっきりしておる、事実は。はっきり過ぎるくらい。
関係
者がみんな認めているのですから。解釈において若干言い分が違う、それだけのことなんです。本人が否定しても、客観的にそういうことは選挙と無
関係
というふうにはとれない。
裁判
官がそういう判断をすればそれで有罪になっていくわけですね。
石井光次郎
51
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) 私は、いま言った問題と新潟の知事の今度の事件と右左に結びつく問題ではないわけでありまして、それだからこの間の問題は当然有罪であるとかなんとかといりのは、これは鋭意捜査中の問題で、捜査がどういうことになっておるか、どういうことになるか、内容はどう進んでおるかわからないわけでございますから、当然それが有罪であるかどうかということはこれは別問題にしていただきたいと思います。私はいまのような選挙
取り締まり
の方向としてはそうあるべきだというふうに言っておりますので、そこにけじめを置いていただきたいと思います。
亀田得治
52
○亀田得治君 それはわかります。一つの抽象的な論議として先ほど大臣のお考えを言われた、これは私もそういうふうに聞いております。ところが、たとえば労働組合が、従来、メーデーなりあるいはいろんな動員の際に、三百円とか五百円とか日当を出す習慣があったわけなんですね。そういうことが選挙の際にも習慣としてやられた。それをつかまえて買収じゃということで起訴しているところが千葉とか神戸あるいは鹿児島、こういうところに昨年起きたんですよ、昨年ね。私たち、まあこれは習慣的にやっているものであって、だいいち買収・被買収というような主観的な意思自身が全然入っていやせぬ、おかしいじゃないかというふうなことでずいぶん論議した。しかし、それでも検察庁は押し切って、買収・被買収という
関係
でこれを起訴しているんですよ。ところが、これはまあ検察庁はそういう金の問題については厳重にやるんだという立場からやられたのだと思いますが、そういうことすら起訴しておいて、こういう天下公知の二十万円ずつばらまいたというような問題がそのままになったのでは、私はこれはもう、何といいますか、検察の威信に関する問題だと思うんですがね。比較してみてどうでしょうかね。大臣は今回の事件の内容をあまり知らないとおっしゃるから、あるいは比較はできぬかもしれぬが、ともかく与党には非常にゆるくやる、野党にはきびしいという印象を与えているのじゃないですか。どうなんですか。
石井光次郎
53
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) 検察官がそういう
相手方
の党派別であるとかあるいは貧富の差であるとか社会的な地位によって法の当てはめ方を変えるということは、これは憲法の精神にもとることは当然のことでございます。そういうことはあるべきはずではないと思うのでございます。まあどういう場合でございますか知りませんが、もしそういうことがありとすれば、そういうことは世間に通るわけはないと私は思うのでございます。そんなことに見えたか知りませんが、少なくもそういうことは隠して陰でやれる問題じゃないのでございます。どこかで新聞に書き立てられるし、あなた方がどんどん攻撃されれば国会の問題にもなるでありましょうし、それが平気で行なわれるということは私は考えられぬと思うのでございます。一向実例を知りませんから、弁護するわけじゃございませんが、筋としてはそう思うのでございます。
亀田得治
54
○亀田得治君 それは、大臣のおっしゃるのは筋をおっしゃっておる。筋のとおり運んでおらぬような印象を与えるところにやっぱり問題があるわけですよ。大臣は十二時半にここを退席されるから、こまかいことはあとにしますが、一問だけお聞きしますが、塚田さんが知事をやめるという決意をされる、それと引きかえに起訴猶予にしようというような話がだいぶん行なわれたんじゃございませんでしょうか。そのとおりになるならぬは別として、そういう動きがされたのじゃないでしょうか。
石井光次郎
55
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) 全然そういうことは私はないだろうと思うのです。第一、塚田知事がやめるという問題でございますが、塚田知事はやめぬといううわさを私は聞いておりました。どういうわけでやめぬのか、いつまでやめぬのか知らないのでございますが、やめないということで本人がんばっておるという話だったが、そのよしあしは別として、そういううわさを聞いておったのだが、やめぬのかなと思っていたら、やめると、いつ何日とかに発表するとかということで、はあと言うただけでございます。だから、あらかじめ取引も何もあったわけでもございません。そういう起訴猶予にしてやろうというようなことは、私ども相談にあずかったこともございません。
亀田得治
56
○亀田得治君 実力者の大臣を与党か──しかも塚田さんとは非常に
関係
も深いように私たち聞いておるのですが、どうも
法務大臣
を抜きにしてああいう重大なことがどんどん進むとも思われないわけなんですが、しかし、まあ
法務大臣
の立場上なかなか手がたく御答弁されている気持ちもわかりますが、ともかくこれは処理いかんによっては非常に波紋を起こす問題でございますので、十分ひとつ御検討願いたいと思う、いい意味でね。いい意味で
法務大臣
が心配すべき問題だと私は逆に思っておるんです。
法務大臣
はさわらぬようにさわらぬようにと、こう言われますけれども、やっぱりさわってもらっていいんですよ。そのさわり方なんですよ、問題はね。どうか、そういう意味で、ひとつ善処を私はお願いして、そうして一応大臣に対する質問はこの程度で終わらしておきます。 それから刑事局長に一、二点だけお聞きしておきますが、あなた自身は、この二十万円事件ですね、検察庁から聞いた限りでは、これはもうりっぱに買収犯だと、買収・被買収だと、こういうふうに考えておられますか。
津田實
57
○
政府委員
(津田實君) これは非常にむずかしいお尋ねだと思います。御承知のとおり、
裁判
官といたしましても、検察官といたしましても、一件記録を全部検討いたしましてその心証が来なければこれは軽々に言うことはできないわけです。ところが、先ほど来申し上げておりますように、私は国会の御
調査
の際の必要な範囲内において進行状況の問い合わせをしたり、あるいは進行状況について報告があったりしておるわけでございます。で、事実として知っておるのは、告発事実程度であります。したがいまして、私はこの事件がどうなるかということについてはこれはもう判断ができる材料も持っておりませんので、かりに判断をいたしておるという前提のもとにお答えすることはとうていできないということになるわけでございます。
亀田得治
58
○亀田得治君 いや、これだけ世間を騒がしておる問題ですから、それは刑事局長としても一つの
意見
というものを持てるぐらいにやはり調べておいてもらいたいですよ。そうしなければ、なんでしょう、たとえばこれが
処分
の結果発表になったあなたにまた聞きますが、これは担当の検事正なり何なりを直接呼ぶという
方法
もあるが、一応は法務省を通じて聞くというような習慣になっているわけですから、それはつかんでおってもらわなければいかぬですよ。そうして、やはり
専門家
としての
意見
を聞かれる場合もあるわけですから、それはあなたお答え願えるようにしといてもらわぬと困るじゃないですか。そうしないと、そういう刑事
関係
の問題については、どんなに世間的に注目されておる問題であっても、中身に入った琴線に触れた質疑というものが一つもできないということになるわけですね。私はそういうことは間違いだと思うんです。それは、どれもこれもそんなことをしちゃいかぬ。しかし、世間の人がほんとうにどうなるんだろうかと心配している問題については、それくらいのことは私はやっても少しも差しつかえないと思うんですよ。差しつかえないと思う。どうなんですか。実際にあなた知っておられるのでしょう。知っておると言えば、じゃ答えてくれと言われるものですから、どうも知らぬようなことばかり言われますけれども、どうなんですか。
津田實
59
○
政府委員
(津田實君) 本件が
処分
になりました暁におきましては、もちろん当然国会を通じてそのことの御
調査
があるだろうということは予想されるわけであります。したがって、それにつきましてその際は、まあ従来の具体的な記録によるかどうかは問題でございますけれども、内容の経緯、詳細については、私は検討をいたしまして十分御
説明
を申し上げるつもりでおります。しかしながら、現段階におきましてそれをいたさないのは、先ほど指揮権の問題について御
意見
がございましたが、もちろん指揮権で問題になるということは、いわゆる不起訴といいますか、つぶす事件であるということが一番問題になるわけであります。しかしながら、これは、つぶす事件であろうと、起訴する事件あろうと、その点は少しも変わりはないわけでありまして、起訴することを検察庁が考えていないのに、
法務大臣
がこれを諸般の
事情
から起訴すべきだなどという指揮をすることも、これはやはり指揮権発動であると思うのであります。 現在、指揮権につきましては、たとえば外国使臣に対するものとかというようなものにつきましては、検察庁から稟請をとって、
法務大臣
の指揮をもって起訴をいたす、あるいは不起訴にいたしておりますけれども、これは検事総長の
意見
と
法務大臣
の
意見
とが違わないということによって、検事総長も同
意見
で、
処分
して差しつかえなしということになっておるわけであります。それが異なった指揮をいたしますると、これは指揮権発動である。そこで、検事総長から稟請がある、まあ稟請事件でなくても、いろいろ報告があった場合に、天下国家あるいは大所高所から見て問題があるではないかというような場合には、検事総長に対しましていろいろ法務省側の
意見
を述べるということは従来からございます。それは刑事局長において行なっているわけであります。しかしながら、それはあくまでも
意見
交換でありまして、指揮ではございませんわけです。そこで、さような
意見
交換をいたしましても、検事総長においてとうしても自分としてはかく
処分
すべきだという判断をいたしますれば、これをもってそれを変えるように指揮することは、指揮権発動になると思うのであります。したがって、その限度までいけば、これは検事総長の
処分
にまかせるというのが現在の
法務大臣
の態度でありまして、これはずっと変わっていない態度であります。 そこで、その場合にいろいろ問題にされますのは、それでは
意見
交換ならいくらやってもいいじゃないかという御
意見
になろうと思います。しかしながら、それがやはりまたむずかしいところでありまして、その
意見
交換の間に影響を与えるようなことをすることは非常に避けなけなければならないということであります。ことに、純法律問題というようなものにつきましては、相当
意見
交換をしてもそういう点に差しつかえないのでありますけれども、裁量
処分
の内容についての
意見
交換ということになりますと、これは非常に問題が起こり得るということなので、そういう問題につきましては非常に慎重を期しておるというのが現状でございます。 そこで、先ほど来申しましたように、本件につきましては、その進行について、あるいは告発の事実についてもちろん報告を受けておりますし、それは十分承知いたしておりますが、現在のところそれじゃこの記録あるいは捜査の経過全部について知っておるかとおっしゃいますと、これは現実には承知いたしておりません。知っておりません。でありますが、これが起訴になりあるいは不起訴になった暁におきましては、その内容につきまして十分私どもは知ることをすべきであると思いますし、したがいまして、その
処分
の直前には私どもはその内容を十分検討をしたい、かように考えておる次第でございます。
亀田得治
60
○亀田得治君 あと大森
委員
の質問もありますので、簡単にいたしますが、県会議員が県会の開会中に四名逮捕されたんです、被買収というかどで。私はこれはもうよほど検察側の態度がきちんと固まっていて断行されたものと思います、こういうことばめったにないことだからね。一体、県会開会中に四名も県会議員を逮捕して、そうしてそのまま無罪放免といったような前例は、いままでありますか、ないでしょう。私がちょっと聞いたところではない。どうなんです。
津田實
61
○
政府委員
(津田實君) その点の前例は私はいま存じませんが、都道府県会開会中に逮捕したというのは、これは東京都議会の場合あるわけでありまして、これはもう前例があるのであります。あの事件は、具体的に逮捕した者が全部起訴されたかどうか、ちょっといま記憶しておりませんが、そういうことはあるわけであります。ですから、県会につきましては、もちろん時期等の必要性によりましてはやむを得ず逮捕するということはございます。逮捕した者をさらに起訴したかどうかという点は、いま私資料を持っておりませんのでわかりませんが、少なくとも逮捕した事実は、しばしば前例があると思っております。
亀田得治
62
○亀田得治君 ともかく、そういう状態の中で逮捕するのですから、逮捕したけれどもあとはもうなんにもなかった、そんなわけにはいくものじゃないんですよ。そんなことを第一線の検察官にさせたら、これはもう意欲が減退しますよ。また、住民も納得しませんよ、そういうことは。そういう結果に私はまさかなるまいと思いますが、塚田さんとともにこれは、塚田さんかやめたからというようなことで、それを二つの情状にして何とかならぬだろうかと
関係
者の動いていることは事実ですよ。そんなことはノータッチ、それはそれとして、やめただけでそんなことは絶対にあり得ないんです。ところが、塚田さんがやめたって、四人の県会議員は一体これはどうなるんです。塚田さんがやめたついでにおまえさんも不起訴だ、そんなことはあり得ないんですよ。それじゃ、不起訴にできないから、四人の県会議員を起訴する。それじゃ、一体、その金をばらまいたほうをほうっておくのか、できやせぬでしょう。だから、これは延ばすだけ無理なんです、無理なんですよ。だから、早くやはりこれは態度をはっきりして、そうしてやりませんと、次にまた新潟の知事選挙が始まるんですからね。あんなことがいいということになれば、それじゃもうちょっとじょうずにやればいい、こうなりますよ。せっかく検察庁の検事正以下がこういう実質犯はよくないといろいろな抵抗を受けながらも強い態度でやったことが、全くもうゼロになってしまう。警察、検察、それは寛厳よろしきを得なきゃいかぬか、だれが見たってこういう金で選挙を動かすというようなことはもう一番の問題点として指摘しておるところですから、このことについては、私たちも、もしこういうことが不起訴、起訴猶予、そういうことになれば、相当われわれとしても覚悟しなければならぬと思いますよ。そういうふうに思っておるわけでして、まあ刑事局長は大いに懇談などはおやりになっているようですから、国会における質疑の模様というものをやはり懇談の中でお伝えしておいてほしいんです。これはできますか。
津田實
63
○
政府委員
(津田實君) 国会の御論議につきましては、これは
法務委員会
の記録は検察庁へ参っております。検察官も常時これは読んでおります。したがいまして、本件ももちろん例外ではございませんから、これは当然読んでおるものと私は思っております。でありまするから、国会における御論議は、十分検察官は承知しておると思っております。
亀田得治
64
○亀田得治君 いや、私の言うのは、文書だけよりも、やはり口頭でこういう議論があったということをお伝え願うほうがよほどやはり直接でいいわけでして、そのことを言っておるわけなんです。それは、そういうことはもうしたくないというのですか、この件については。速記録を見てくれればいい──速記録は、津田さん、これはだいぶおくれるんですよ。あなたは近くと言っていたでしょう。速記録はあとになるかもしれぬじゃないですか。近くというのは、いつのことを大体頭に置いておるんですか。私たちは、実はざっくばらんに言うと、きょう
決定
が出るんじゃないかというふうなことを聞いたんです。それで、まあ幸い
法務委員会
があるということでありましたので、党の国対のほうで緊急だがきょう質問してくれ、こういうことになって、きょう実はしているんです。近くというのは、近いんでしょう。どうなんです、それは。それくらいのことはちゃんとわかっておるでしょう。
津田實
65
○
政府委員
(津田實君) これは、まあ、
処分
に熟すると申しますか、熟する時期ということになるわけでございます。私が報告を受けて私が判断しておるところによりますと、先ほど申し上げましたように、日ならずしてということになるであろうというふうに考えておるわけでございまして、何日ということは私としてはいまわかりません。
亀田得治
66
○亀田得治君 まあ、普通、日ならずしてというと、これは正確にはどういう意味になりますか。一日か二日というところですか。日ならずして一日にならぬという意味ですかね。数日というのは普通はちょっと若干の日数があるでしょうが、日ならずしてというのは非常に近いということですね。きょうは日ならずの中に入りますか、ことばの使い方として。
津田實
67
○
政府委員
(津田實君) これは、先ほども申し上げましたように、
処分
に熟した時期ということになります。が、私の推測と申しまするか、報告による判断によりましては、日ならずしてというわけですが、その日ならずしては何かということであると、若干の日数ということとお考え願ってよろしいと思います。
亀田得治
68
○亀田得治君 それはまあもうちょっと過去の時点に立ってしかも日ならずというのでしょうから、その日ならずが大体こう到達時期になっていると私は思っているのです。熟しておるのはもう十分熟しておると思うのです、いろいろ情報を聞きますと。これは熟しておる。だから、ほんとうの意味のこれは日ならずなんです。だから、そうしますと、速記録はこれは間に合わないんですよ、一週間以上かかるので。だから、ぜひ、きのうですかおとといですか衆議院の
法務委員会
でも質疑があったようですが、われわれの質疑もあわせて口頭でやはりお伝えください。これは公の場での発言でございますから。どうでしょう。
津田實
69
○
政府委員
(津田實君) その点は、確かに速記録はおくれることと存じます。国会の御
審議
の内容につきましては、最高検察庁を通じまして知らせるつもりでおります。
亀田得治
70
○亀田得治君 速記録じゃなしに伝えるということですね。
津田實
71
○
政府委員
(津田實君) そうでございます。
亀田得治
72
○亀田得治君 それじゃこの程度にしておきます。
和泉覚
73
○
委員長
(
和泉覚
君) 次に、法務局における税務署
通知
問題に関する件等について
調査
を行ないます。大森君。
大森創造
74
○大森創造君 まず、刑事局長にお尋ねいたします、いい機会でございますから。 私は、三月の三十日の予算の第四分科会において労働省の問題を問題にいたしました。ずいぶん長時間議論をいたしました。それから四月四日の日に決算
委員
会の場で、ここに
委員長
もおられますけれども、ここで約一時間半議論いたしました。そこで、三月三十日の日に、小平労働大臣が、私の質問の内容をつぶさに聞いて、大森君の言うのが事実ならば当然刑事事件に値すると、これは速記ができているだろうと思いますけれども、そういうふうに再三にわたって言明されております。実は、労働省の内部の
事情
を伏線として私申し上げた。労働省始まって以来のいま混乱ですよ。
法案
の
審議
などについていろいろ衆議院、参議院で議論をされましたけれども、そうでない、これは労働省自体の根幹をゆるがす問題を私は提起した。そして、私は、労働省の答弁も、ほとんど信用しない。名前は言いませんけれども、まあ一割ぐらいしか信用しない。私の言うた具体的事実のほうが完全に信憑性があると信じている。そこで、労働省は、これはたいへんだということで、いままでの
委員
会における質疑応答と違う。だから、八方に手を打っている。なにしろ私は具体的な人名を五、六人あげましたからね、国会の議員の名前を、元大臣の名前を。来るなと思ったら、来た、お手やわらかに願いたいと。何ならそこらで金の授受でもあるんじゃないですか、普通の場合は。私のことだから、だめだといって聞かない。 そこで、ここで聞きますけれども、私は単なるスキャンダルあばきじゃないんですよ。労働省はいまのままではだめなんですよ。そこで、抜本的にメスを入れてスクラップにして、それからビルドの方向を私は考えている。いまのままにうやむやにして終わったならば、これは基準行政はもうだめです。あってもなくてもいいことになります。そこで、労働省は信頼しませんから、信頼しているのは刑事局長あなたなんです。それから、ともかく信頼しているのは会計検査院。ところが、どうも、あなたではないが、大きな問題になると、ツーツーカーカーになってなれ合いになる
傾向
がある。そういうふうに具体的な事実を私は過去に知っている。あなたのほうに、この問題について、新聞には出なかったけれども、たいへんな問題だ、刑事局長、手かげんしてくれということが某方面から話はありませんか。
津田實
75
○
政府委員
(津田實君) 私は、前回決算
委員
会でございましたかお尋ねのありました事件については、まだなんにも聞いておりません。で、いま、私といたしましては、ただいまお話しの予算分科会とそれと前回の決算
委員
会の速記録はまだ手元に来ておりませんので、速記録が手元に参りましたら検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。それ以外はなんにも承知しておりません。
大森創造
76
○大森創造君 いいですか。繰り返しますが、労働省は私は全然信用していないんですよ。会計検査院もあんまり信用していないんです。刑事局長はまさかそういうことはあるまいと思うんだが、ものごとの根幹に触れる問題については、必ず私のところに圧力かかってくるんですよ。労働省始まって以来の事件なんですよ、今度の問題は。私はあそこの労働省の廊下を通っただけですぐ感ずる。私のところに国会議員が直接来られないから、実に二十人から来ましたよ、お手やわらかにと。で、そういう話があったでしょう、あなたのほうに圧力が。お手やわらかにということが刑事局長に。ありませんか。
津田實
77
○
政府委員
(津田實君) これが刑事事件かどうかもまあ問題だと思いますが、現在のところ、さようなことを聞いたことは全然ございません。
大森創造
78
○大森創造君 繰り返しますが、小平労働大臣は、大森さんの言うのが事実なら刑事事件になると、言っているんだ。彼は、国会議員ですからね、そうして大臣ですからね。その人がそう言っている。ところが、労働省は、そのことがずっと捜査されて刑事事件になる、一方、会計検査院から余すところなくマル特会計なるものが私の手元に出てくるということになるとたいへんなことになるということで、あらゆる手段を尽くしているということをあなたにひとつお耳に入れておきたいと思うんです。だから、さっきの亀田
委員
の発言ではないが、歴然たる事実を私は幾つも持っておりますから。このことば私が見ても刑事事件に値しますから。そうして、労働省の何万人か知らぬ、必ず刑事事件になる、だろうというふうにうわさしておりますから、しろうとの私でもこれは刑事事件になると思っておりますから、慎重にひとつ、いいものはいいとして、どっかから、圧力がかかってもはねのけて、そうして法務省、刑事局長としての職責を尽くしてほしいと思う。御答弁は要りません。いいですか。会計検査院はやや信用できそうだ。しかし、あぶないと思っている。労働省の答弁は一割しかほんとうのことを、言っていない。九割うそだ。私の言うことが大体九五%ぐらい正しいですから。そうして、その速語録を見た場合には、刑事局長の判断でこれは完全に逮捕者が出ると私は思っている。 このことだけで刑事局長に対する質問は終わります。 その次に、民事局長にお尋ねいたしますけれども、非常に事務量が多くなっておりますね。最近、あなたのほうは、圧倒的に事務量が多くなっています。どの程度に事務量が多くなっていて、それに対する人員の配置ぐあいはどうか、これをひとつ伺います。
新谷正夫
79
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 事務量の増加についての御質問でございますが、法務局の事務量と思いますが、最近の件数を申し上げますと、上として法務局の事件がふえておりますのは、登記事件と台帳
関係
の事件でございます。御承知のように、現在、登記簿と台帳の一元化の作業を推進いたしておりますので、従前に比べますと、台帳の件数そのものは制度の
改善
に伴いまして減少の
傾向
にございます。しかし、登記事件そのものとして見ます場合には、非常な増加の
傾向
をたどっているわけであります。 具体的に申し上げますと、登記事件について申し上げますと、三十九年度におきまして九千四百六十二万八千件でございます。これが、四十年度の予算件数がやはり九千四百五十三万件。四十一年度の予定しております予算件数が一億三百四十万二千件という見込みでございます。したがいまして、前年度と比べますと、約一〇%くらい増加するだろうという見込みを立てておるわけであります。それから台帳件数のほうは、先ほど申し上げましたような
事情
がございますので、必ずしも台帳事件としての増加はございませんが、三十九年度に七百七万五千件でございましたのが、四十年度の予算件数は四百八十六万件、四十一年度の予算件数は四百二万三千件、こういう予定をいたしておるわけで、こちらのほうは減少いたしております。 概要はいま申し上げたような状況でございまして、登記所の事務量というものが圧倒的に増加してまいっております。これは、いろいろ公共事業が行なわれましたり、経済活動の影響を受けましてこのような結果を反映してまいっておるわけであります。戦後できました法務局につきまして、一般機構上の問題、あるいはまた固有の
業務
の問題等、たくさんございまして、これにつきましては、できるだけ合理的に能率的に
運営
できるように私ども配慮すべき責任があると思っておるわけでございます。何と申しましても、明治時代から取り扱っております現在の登記制度あるいは台帳制度というものでございますので、いろいろ
改善
を加えなければならない問題もございます。そういった点も着々と一歩一歩
改善
の方向に進めてまいっておりますと同時に、一般の職員の増加、さらにそれに関連いたしまして執務環境を
改善
いたしまして事務が能率的に行ない得るように、また、施設そのものも
改善
いたしまして同じく事務の円滑な
運営
を期するという方向をとるべく、各方面にわたりまして現在いろいろの計画をいたして実行に移しつつある状況でございます。
大森創造
80
○大森創造君 時間がないので、これはあなたの言われたことをあとで速記をよく調べてみて、そしてまた十二日に
委員
会があるようですから、能率的に質疑応答いたします。しかし、不正確なことを言っては承知しませんからな、あとで
委員
会があるんですから。 そこで、私の調べでは、この十年間で事務量が約四倍強に達しているにかかわらず、人員増のほうは大体一三%増ということになっているんです。したがって、一人当たりの専務負担量というのは四倍強にいまなっている。四倍強になっている。そういう事実を認めておりますか。
新谷正夫
81
○
政府委員
(
新谷正夫
君) ただいまお示しのように、事件数ば非常に増加いたしておりますが、人員のほうは一三%の増加にとどまっておりまして、必ずしも件数にスライドして人員がふえているという現状ではございません。
大森創造
82
○大森創造君 そこで、私は、圧倒的に人員が足りないと思うんだ。法務局の正規の職員は何人ですか。職員の数くらいわかるだろう。
新谷正夫
83
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 四十一年度の予定が一万百二十二名となっています。
大森創造
84
○大森創造君 そこで、正規の職員の数が一万何がしであって、法務局の採用臨時職員は、私の
調査
によるというと一千三百六十人、それから外部団体としての司法書士のほうは約一万二千、それから外部団体としての
土地
家屋
調査
士が約二万、両団体の補助職員の数を入れると数万になる。これを応援一人毎八時間として換算するというと、正規の職員以外に四十九万二千六百八十人というお手伝いをもっていまの法務局の仕事を遂行しているというのが
実情
だというふうに私の
調査
ではできている。これはちょうどベトナムにおける戦争みたいなもので、正規軍が一万人であとは何十万という民兵がいるということなんだが、こういう観点からすると、実は
法務大臣
にお伺いしたいのだが、心臓強くがっちりと、定員を取ったらどうだ。なるほど事務の合理化は若干やっておりますよ。しかし、郵政省の事務と
裁判所
の事務と併用したような性格の事務であって──機械化や合理化は断然必要ですよ。必要だが、人をもってしなければ扱えないような事務量が非常にあるんですから、これはことばどおりでなしに青写真を示してほしいと思うのだが、一つは事務の合理化の問題についてどうするかということ。みんなガラス。ペンで書いているんですから、ノイローゼになってしまいますよ、あんな仕事をやっていたら。頭をかくひまもないですよ、めちゃくちゃに事務がふえているんですから。少し同情しなければいかぬと思う。事務の能率化のためいくらでも近代的な設備、機械などが採用できる面があるにかかわらず、旧態依然ですね。だから、そういう事務の能率化のための具体的な施策、青写真と、それから心臓を強くして国家のためだから定員を大幅に増員するようにしてもらったらどうだと思うのだが、これは
法務大臣
に聞くのが適当と思うのだが、お覚悟のほどを──現状でいいと思っておりますか。
新谷正夫
85
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 登記所の
業務
量の現状にかんがみまして、現状で満足しているわけではもちろんございません。もうすでに十数年来、私どの立場といたしましては、法務局の内容の充実、事務の合理化、職員の負担軽減ということを大きなねらいにいたしまして、いろいろの施策をとりつつあるわけでございます。確かに、大森
委員
の仰せのように、人員が非常に不足しておるということは、私どもも認めざるを得ないわけでございます。ただ、増員のみによってすべてが解決できるかと申しますと、必ずしもこれはそうは参りません。人員のほかに事務用の器具、備品等の合理化も考えてまいらなければなりませんので、すでに数年にわたりましてそういった面につきましても独特のくふうをこらしたものもございます。機械に乗るものは機械化していく。どうしても機械で処理できないものは人手によらなければならない。その限度を見ながら、なおかつ、国の全体の方針といたしまして、従来定員を抑制するという非常にきつい措置が出ておりますので、これにもわれわれ政府職員といたしましてはある程度従わなければいけない。こういうジレンマに立ちながらも、何とか現状の窮境を打開する必要があるということは、私どもも同様に考えておるわけでございまして、そういった点についての
改善
をぜひやりたいという気持ちにおきましては大森
委員
に決して劣らないと私は思っております。
大森創造
86
○大森創造君 そのお話の限りにおいては私も同感なんだが、問題は現実にやるかやらないかなんです。予算の取り方だって、法務省は少し私は弱いと思うのだ。去年までこのくらいだからことしはこれでいいというものじゃないですよ、いまの法務局の定員増の要求というのは。これは圧倒的に飛躍させなければいかぬですよ。こんなべらぼうな話はないですよ。正規が一万人で、それからその他お手伝いのほうが何十万というような形は、これは官庁としてはあり得べからざる姿ですよ。それから事務の能率化の問題について確かに私も調べてみた。
改善
のあとは見えます。だけれども、もっともっと大胆にやらないというとかわいそうですよ。具体的にやってください、国会の答弁でなくして。どうするのだということを具体的にやってほしいと思う。 そこで、人員は、国全体の予算というワクもあるだろう。しかし、あなた自身のすなおな感じは、どのくらい必要だと思う。一万人くらい要るでしょう。
新谷正夫
87
○
政府委員
(
新谷正夫
君) あとどのくらい人間が要るかということでございますけれども、まあこれは将来の事件の増加の
傾向
、さらに、人間以外の事務の合理化がどの程度できるか、能率化、機械化というものがどの程度できるかということとも関連してまいる問題でございます。ただいま、現状に即して、さらに一万人必要であるか、あるいは五千人必要であるかということを確たる御返事を申し上げられませんことは申しわけございませんけれども、いずれにしても相当数の増員が必要であるということは考えておるわけでございます。
大森創造
88
○大森創造君 押し問答をしてもしかたがないから、そう言明したからには、少し具体的な要求をして、がっちり定員を獲得するように
法務大臣
と相談をしてやっていただきたいと思う。 それから各職場の実態から見て──幾つだっけな、職場は。一千六百ぐらいあるんじゃないかな。こういう実態を見て、ガラスペンで謄本なんか書いていたんでは、とても話になりません。私、ずいぶん謄本をとったけれども、読めたためしがない。目が悪いわけじゃないんですよ。だめなんですよ、あれはとても過重労働で。 そこでお伺いしますけれども、臨時職員というのが一千三百六十四人いるんだが、日割り計算でするというと、私の計算では四百円から六百円なんだな、一日。二十五日計算として月額一万から一万五千円、この前の
法務委員会
で申し上げたとおり。だから、職業安定所へ行っても、これは人が来ないんですよ。ところが、一方、試験採用なんかやっているんだな。法務省法務局で採用いたしますなんという
通知
を出す、本人に。なにしろ法務省法務局というところで試験を実施して、おれはパスしたんだからといって再び勇んで行ってみると、いままでの給料が一万五千円のものが一万円になってしまう。こんな安定所へ行っても求人ができないような状態でありながら、試験を一方で実施して権威づけるというようなことは、私はナンセンスだと思う。実は、この前申し上げたとおり、その生きた例を知っているんだ。うちの主人は小学校時代非常に成績がよかったから、試験を受けてみた。天下の法務省法務局の試験を受けてみて、採用
通知
が来たが、行ってみると、いままで二万五千円の給料が月収一万五千円になってしまった、こういうこっけいな例があるんですよ。 そこでお伺いしたいのは、そういうところに必ずただし書きがある。本職員にするというようなことがあるんだけれども、いままでの実例を見ているというと、欠員不補充の原則と、一方公務員の希望者が多いというようなことで、これはなかなか木採用にならないんだな。人事院の特例
承認
制度という制度を活用している面はございますけれども、年齢
制限
やその他の
条件
があるために、現実には本職員になれていない。これは、一種の、何と言うかな、ことばを悪く言うと、広告でつって、そして人をだましたことになる。こういう点について、具体的にどうしたらば職員に採用できるような
方法
があるか、これをひとつ研究してほしいと思うが、何かあればお答えいただきたい。
新谷正夫
89
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 臨時職員の採用にあたりまして、法務局におきまして、それぞれ面接、あるいは場合によりますと試験というふうな形式をとりまして、多数の希望者の中から最も適当と思われる者を採用いたしておるのが
実情
でございます。ただ、その試験をいたします際に、将来にいろいろ希望を持たせるような約束があるのではないかというふうなことも確かにあり得ると考えますが、そう申しましても、現在の国家公務員の採用は人事院の試験の合格者でなければならないというたてまえをとっております。したがいまして、直ちに臨時職員を公務員として定員職員内に組み入れて採用するということはできないわけでございます。そうかといって、せっかく臨時職員こして採用しまして法務局の仕事にもなれてきて、また、法務局につとめたいというふうな人でありますれば、法務局の立場といたしますれば、てきるだけこれを定員職員に組み入れていくとい措置を講ずべきであると思っております。また、現にそのような努力もいたしているわけであります。過去におきましても、試験に合格しないためについに採用できない人もむろんあったと思いますけれども、法務局の実態を申し上げますと、三十五年から四十年までの間に全部で七百五十名ばかりの者を定員職員に組み入れをいたしております。これは、必ずしも人事院の試験に合格した者ではございません。そのつど人事院の特別の
承認
を得まして定員に組み入れるという措置をとっているわけでございます。したがいまして、すべて臨時職員なるがゆえに定員職員に入り得ないというわけのものでもございませんし、まあ今後も採用はだんだんむずかしくなるようなこともあり得ると思いますけれども、可能な限りにおきまして臨時職員を定員の中に入れていくという考えには変わりはございません。
大森創造
90
○大森創造君 その
説明
はわかるのだけれども、まあ一万人ぐらい定員もふやさにゃいかぬというたてまえからして、これは臨時職員というものを──いろいろ人事院の規則もあるだろう。あるだろうが、やれば実際できるんだから、臨時職員というものを本職員に入れるように、ほかの省のまねなどしないで、法務省だけでがっちりやってもらいたいたいと思うのだが、お約束できますね。それからもう一つ、あんまり仕事が忙しいので、長欠者と病休者と死亡者などがきわめて多いと思うんだ、ほかの省と比べてみると。これは資料としてあとから出してほしいと思う。いいですか。長欠者、それから病休者、死亡者。それからもう一つ、二十日間の許された年休があるのだけれども、これは
利用
できないのが実態なんだ、仕事の量が多過ぎて。こういうものの資料をひとつ可及的すみやかに出していただきたいと思うのだが、どうでしょう、いかがですか。
新谷正夫
91
○
政府委員
(
新谷正夫
君) できるだけ資料を整えまして提出できるように努力いたします。ただ、いまのお話の最後にございました二十日間の年次休暇をどの程度とっているかという
実情
でございますが、これはいま直ちに私どもの手元にないと思いますので、これを調べるといたしますと、かなりの時間がかかるかもしれません。その点は御了承いただきたいと思います。
大森創造
92
○大森創造君 次に移りますけれども、民事局にいま課長が何人いますか。
新谷正夫
93
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 五人おります。
大森創造
94
○大森創造君 これは、私の
調査
によると、全部検事から横すべりなんだけれども、どういう根拠でそういうことをしている。
新谷正夫
95
○
政府委員
(
新谷正夫
君) これは、民事局のみに限りません。まあ法務省の特殊性と申しますか、従来司法省時代からのこれは沿革になるわけでございます。これは大森議員も御承知と思いますけれども、ほかの行政庁におきましては、行政試験の合格者が大体そういう経路をたどっているわけでございます。ところが、戦後、高等試験行政科試験というものがなくなりまして人事院の試験に切りかわってきて、また、司法
関係
におきましては司法試験がそのまま残っております。そうして法務省に入ってまいります職員も、現在はそのようなことは少なくなってまいりましたが、従来は、いわゆる高等官に相当する者で全部判事か検事の資格を持っている者でなければ実際上司法行政の仕事をやれなかったという経緯がございます。確かに
裁判所
、検察庁等を出先機関に持って おります中央機関としまして仕事をいたします際に、法律の立案をいたしますにつきましても、また、行政をやるにいたしましても、やはりそういった資格のある人でないとやりにくい点がございましたので、昔からそういう経緯がありまし て、判事あるいは検事の資格を持っている者がそういうポストについているということになっているわけでございます。
大森創造
96
○大森創造君 昔は司法省と言ったのだけれども、私はそういう制度はまずいと思うんだ。あなたの
説明
は、いままでの沿革を言うた。そうして、現状を肯定するような論理を立てられた。どっちが正しいかといえはこれは、あなたがいまおっしゃられたように、単なるいままでの惰性ですよ。習慣ですよ。何であなた民裏局の事務に通暁しておりますか、東大を一番で出たって。一生民事局の仕事をしたって検事でなければ課長になれないというそういう不文律はやめたほうがいいと思う。そうして、いま私が言うていることのほうが正しいと思う。何で民事局の課長が検事である必要があるか。どうも、考え方が、私は宮内庁とそれからおたくの法務省は頭が古いと思っているんだ。宮内庁も古い。感心するほどだ。その次に古いのは法務省。これは大臣と相談してくださいよ、きょうは大臣行っちゃったからあれだけれども。何だ、民事局の五人の課長が営繕課長まで検事である必要がありますか。なんにもわからないですよ。一千六百余の登記所の事務がどうだなんてことはなんにもわからないでしょう、上にいる人は。だから、事務の実態がわからない人が頭にすわっているってことです。そういうことをささえているというのは、いままでの習慣なんだ、悪習なんだ。やめたほうがいいね、こんなことは、各官庁とも見ておるというと、学歴がなくとも非常に有能な人がいる。資格と、ある程度の年限をやっているというと、いすからいすにのぼっている。こういう新旧交代の時期だ。法務省は民事局の課長が五人とも検事でなければならないなんていう根拠がありますか。これは私の言うことのほうが正しいから、あとで大臣が来たときにがっちり念を押そうと思うんだ。検事はわからないんですよ、末端の仕事を。だからこういうことになっているんだ。事務の
改善
をすべきところはここだということを、第一線で働いてきた人は全部そう言っている。ところが、事務の実態がわからない人が課長をやってぽんとしているから、それはまたその日送りでやっているから事務が進捗しないということになって、労働強化になっている。これはあなたと議論したって始まらないけれども、大臣がいるときにじっくりとひとつ申し上げようと思うけれども、あなたから言うてくれますか。私の言うことのほうが筋だと思う。昔からの悪習だよ。そんなものはぽんと破ったらいかがです。
新谷正夫
97
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 確かに、
実情
は、判事、検事の出身者がそういう地位についております。しかし、これは昔からの沿革ということも無視できないわけでございまして、一挙にそういうポストにつき得る人がはたしておるかということになりますと、これはそうではないわけであります。私どもも、いま仰せのように、判事、検事のみの仕事であるか、それに限られるものかということでございますれば、必ずしもそうではないものもございます。そういう意味で、民事局その他法務省の枢要なポストは検事でなければならないというあれはございません。私はそう思います。したがいまして、私どものほうでは、これは民事局、法務局だけの問題でございますけれども、必ずしも判事、検事でなければならないという考えはとっておりません。最近におきまして、いま大森議員のおっしゃいましたように、昔ならば司法試験であったのでございますけれども、現在は人事院試験というものがあって、その上級試験に合格した優秀な人もおりますから、これをどんどん採用して、将来幹部職員になれるようにわれわれも指導もし養成もする責任もあるわけでございます。現にそういう方向で私ども動かしておるわけでございまして、まだまだ、いますぐ本省の課長になれるかと申しますと、そういうところまでは行っておりません。行く行くはあるいはそういう場合もあり得るし、あるいはまたそういう場合が望ましい場合もあると思いますけれども、いま現在直ちにそういうことに切りかえるということは、実際問題としてできないわけでございます。
大森創造
98
○大森創造君 まあそれはそういう面もあるでしょう。だけども、五人が五人、偶然にしては全部検事出身であるということはおかしいと思う。これは、
設置
法によるというと、検事を充てることができるということになっているんだけれども、現状は検事でなければならないという解釈になっちゃっている。今年からでも来年からでも、二人でも三人でもいいから入れなさいよ。そういうことをできないというふうにおっしゃいますが、私は知っているんだ。ああいう無能な検事が課長になって仕事ができないのはちゃんとわかっている。私は、昔、二等兵で軍隊をつとめたことがあるけれども、私がりこうで、中隊長がばかなんだ。それから小隊長もばかなんだ。もうそういう軍隊は敗戦にきまっている。私が中隊長になれば必ず勝ったんだ。それと同じ現象があるんですよ、あなたのほうには。だから、お話はわかったが、そしてお認めのようだから、それならば必ず有能な人がいるから、私が推薦するから、今年からでも来年からでも、五人のうち──大体、検事を充てることができるということになっているんだ。充てることができるというのに、検事でなければならないというふうなことでやっているんだから、今年からでも来年からでも、二人でも三人でも入れなさいよ。なぜかといえば、事務のわからない検事、検事なるがゆえに課長になっているという姿は、旧来の陋習ですよ。おやめください。これは、大臣に言うて、今年からでも来年からでも新規
更新
を採用しなさい。このことは
法務大臣
とあなたのほうで腹をきめるとすぐできることです。中国の使節団の入国拒否なんということになればがんとして動かない。 だから、あなたのほうで、大森議員の言うとおりだとなったならば、事務の合理化を大胆にやれ。それから能なしの検事は首切っちゃえ、そうして交代したらいい。お約束できますね。
新谷正夫
99
○
政府委員
(
新谷正夫
君) これは、全般の問題でなくて民事局の問題として大森議員が御質問になったといたしますれば、まことにおことばを返すようでございますけれども、現在の民事局の課長にそのような無能なものがいるとは私は信じておりません。すべて非常に優秀でございます。また、登記所の
実情
につきましても積極的に勉強しまして非常に有能な仕事をやっていると私は確信いたしているわけでございます。したがいまして、現在いる課長がどうこうということは私は全く考えていないわけであります。ただ、一般論として考えます場合に、検事でなければならないということがあるかとおっしゃいますと、それは必ずしもそうではない。われわれ、現に、そういう優秀な人事院試験に合格した若手の職員をどんどん採用いたしまして、将来に備えて現在それを育成指導している段階でございます。将来のことはまだだいぶ先のことになるかもしれませんけれども、いま直ちにそういう人たちを本省の課長にということは、これは法務省全般の問題にもなります。私の口からお約束申し上げることはできませんけれども、そういう方向で私は考えていることは申し上げられると思います。
大森創造
100
○大森創造君 これは法務省の中の入管もそうなんだけれども、入管は法務省とそれから外務省で上のほうを占めているんだね。おたくのほうの課長も期せずして全部検事だ。検事でなければならないということになってはいないが、現実の課長はみんな検事出身だということですね。そこで、みんな有能だと。それは無能だとは国会であなたの立場として言えないはずだ。あなたの言うこともわかるけれども、現実にそういう登用の道を開いてほしいと思う。これは大臣と相談をしてください。いいですか。 次に移ります。いわゆる税通の
業務
というのはどこの
業務
だと思う。税通というのはおわかりだと思うが、これはあなたのほうの
業務
でしょう。
新谷正夫
101
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 登記所の仕事でございます。
大森創造
102
○大森創造君 登記所の仕事は法務局本来の仕事であるという意味だね。
新谷正夫
103
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 現在やっております税務署
通知
の仕事は、登記所の仕事としてやっております。ただ、法務局本来の仕事であるかということになりますと、本来の仕事は、原則として登記と台帳の仕事を扱うのが法務局の本来の仕事でございます。
大森創造
104
○大森創造君 国税庁長官はなぜ来ない。
中嶋晴雄
105
○
説明員
(中嶋晴雄君) ただいま、午前中でございましたら病院に行っておりまして、私かわりに出ておりましたので、どうなっておりますか存じませんが、調べて御答弁いたします。
大森創造
106
○大森創造君 きのう電話でぼくとしばらく話したのだけれども、病気は何ですか。
中嶋晴雄
107
○
説明員
(中嶋晴雄君) 私、病気の内容は存じておりません。
大森創造
108
○大森創造君
委員
会が終わってからぼくのほうへ連絡してください。 そこでお伺いしますけれども、税通のことについて国税庁ではなぜ前段に申し上げたように圧倒的に人員不足のところへ頼んでいるのだろうか、また、なぜ法務局のほうではそれを気やすく受け入れているのだろうか、両方にお聞きしたい。
中嶋晴雄
109
○
説明員
(中嶋晴雄君) これは、大森
委員
御存じのことでございますので、くどくど申し上げるのは避けたいと思いますが、いろいろな税の
目的
に照らしまして課税資料が私どもにとりましては必要なわけでございます。その中の一つにまあ不動産の
移転
、登記、その真正の権利
義務
者を確認させるという問題が税の必要上起こってくるわけでございます。その意味におきまして、課税資料と私ども言っておりますが、そういうことで法務省のほうにお願いいたしまして、登記所から税務署に対しまして不動産の
移転
登記事務につきまして単記式の
移転
登記の内容を御連絡をいただいておるわけでございます。
新谷正夫
110
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 私どもの立場といたしましては、国税庁からそういう御依頼がございましたので、国家機関相互間の協力
関係
といたしましてその御依頼にこたえておるというわけでございます。
大森創造
111
○大森創造君 人手不足で病欠者が多くて、あと一万人も足りないというときに、少し人がよ過ぎやせぬか。あるところは渋くて、こういう税通の問題についてはこれは人がよ過ぎやせぬですか。いかなる根拠のもとにあなたのほうは受け入れたか、その事務を。
新谷正夫
112
○
政府委員
(
新谷正夫
君) ただいま申し上げましたように、官庁相互間でそういう依頼があれば、可能な限りはその依頼に応ずるというのが一般のやり方でございます。また、この場合、国税庁のお立場からしてもそういうものが必要だということでありますれば、いろいろの
事情
を考えまして、この
方法
がよろしいということであれば、われわれもそれに協力しなければならないと思うのでございます。 ただ、仰せのように、非常に人手不足の際になぜこのようなものを受け入れたか、こういうことでございますが、確かに、人手不足の際によけいな仕事を職員に課するというふうなことになりましては、これは私どもの立場としても責任が全うできないわけでございます。そこで、ただ依頼がありましたから無
条件
にそれを受け入れてこの
通知
の仕事をやっておるというのではございません。現在の登記所の
業務
に支障のないようにして、可能な限り御協力しようというのがわれわれの立場でございます。国税庁のほうにおかれましても、そのために昭和三十八年度以後かなりの予算を特別に計上されまして、それを法務局のほうに支出委任されております。その範囲内でわれわれもやる責任はあるということでございまして、職員の仕事の負担をさらに加重するということには必ずしもならないというふうに考えておるわけでございます。
大森創造
113
○大森創造君 加重することになるじゃないか、これだけの仕事を引き受けたら。何でならないことになる。
新谷正夫
114
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 国税庁のほうから毎年賃金予算を支出委任を受けます。その賃金予算によりましてこれに必要な職員を採用しましてその仕事をやらせておるというのが実態でございます。したがいまして、その予算の範囲内でわれわれはやるべきものでありまして、予算がないのに、そういうことを無視して、本来の仕事を差しおいてこれをやるということは、これはちょっと法律上もむずかしいと思っておるわけでありまして、要するに、国税庁のほうから特別のそういう予算措置まで講じて依頼されるのであれば、その範囲内で協力することにおいては別に登記所の本来の
業務
には妨げにならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
大森創造
115
○大森創造君 だけれども、税通の仕事を始めたのは三十六年からだろう。
新谷正夫
116
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 三十六年から始まりまして、その当時は予算はございません。この当時、まあたいしたこともなく、負担もそう多くかかるまいと思って始めたことだろうと思いますけれども、その後だんだんやってみますと、必ずしもそうでないということがわかりましたので、その点は国税庁のほうでも理解されまして予算に計上することになったのだろうと、こういうふうに理解しております。
大森創造
117
○大森創造君 三十六年と三十七年はただでやったんだね。
新谷正夫
118
○
政府委員
(
新谷正夫
君) そのとおりでございます。
大森創造
119
○大森創造君 それで、三十八年は八百万出している、国税庁のほうから。三十九年は一千六百万出している。四十年は二千四百万出している。四十一年度は幾ら出す、国税庁は。
中嶋晴雄
120
○
説明員
(中嶋晴雄君) 四十一年度の予算に計上されましたいわゆる支出委任額、これは
通知
事務に従事する人の賃金でございますけれども、三千万円を若干こえたところでございます。
大森創造
121
○大森創造君 国税庁に聞くが、これは徴税事務費の中に入っている予算か。
中嶋晴雄
122
○
説明員
(中嶋晴雄君) さようでございます。
大森創造
123
○大森創造君 そうすると、昭和三十六年、三十七年のときも、徴税事務費の中にそれに相当する予算は組み入れてあったのだろう。
中嶋晴雄
124
○
説明員
(中嶋晴雄君) 私、三十六、七年ころのことを実は非常につまびらかにしておりませんが、最近、国家公務員の定員の問題、先ほどから大森
委員
がいろいろ御質問になりました点にからみまして、なかなか定員増が認められない、しかしながら事務が非常にふえてまいるということに対処いたしますために、私ども賃金予算と言っておりますが、臨時職員を雇います賃金を予算に計上してもらまして、それによりましてそういう事務をさばいておる、かようなことになっております。
大森創造
125
○大森創造君 これは、大蔵省のほうからあんたのほうで予算を取って、そうして八百万、一千六百万、二千四百万、三千万というふうになったのは、どうしてそういうふうな金額になったのか。そして、初めはただなんだ、三十六年と三十七年は。どういう
理由
なんですか。物価の値上がりか。
中嶋晴雄
126
○
説明員
(中嶋晴雄君) これは、いろいろな
事情
が実はあろうかと思います。これは、私、若干想像にわたりますので、間違っておればあとでまた訂正いたしますが、最初三十六年に国税庁長官から
法務省民事局長
にお願いいたしましたときには、市町村ごとに連記式のもので
所有
権
移転
の
通知
をいただきたい、こういうことをお願いいたしまして、それに対して了承したという御返事をいただきまして、それに基づきまして事務を執行してまいったわけでございます。で、当初は
移転
登記事務が現在に比べますと相当数が少なかったことはこれは事実でございます。最近数年非常に
移転
登記事務がふえてまいりまして、したがいまして、それに即応いたしまして支出委任額も年々ふえてきたということでございます。もちろん単価のアップという問題も大森
委員
御指摘のように中に含まれておる、かように考えております。
大森創造
127
○大森創造君 どうも私は混線していると思うんだな、あなた方の
説明
は。これは本来の姿に戻すべきだと思うんですよ。予算をわざわざ国税庁のほうで取ってそれを法務省のほうに委任するということをしないで、一つの試みは、市町村のほうに出すんでしょうから、市町村のほうに協力を願ったらどうだろう。圧倒的に専務量がふえておる、この十年間で四倍以上になっている法務局のほうにお願いする必要はないでしょう。法的根拠は何だ、一体。官庁間の協力ということなら、いくらでもそういうことになって、事務がごたごたになってしまいますよ。だから、本来の姿に戻しなさい。 −
中嶋晴雄
128
○
説明員
(中嶋晴雄君) 先ほど民事局長から御答弁がございましたとおりでございまして、私ども、国家行政組織の中におきまして、それぞれの官庁が事務を他の官庁にお願いする場合はしばしばあるわけでございます。文書の照復をいたします場合もかなりあります。この不動虚に関する
移転
登記の
通知
事務は、いわば定型化された事務でございまして、これを個々にお願いいたしますよりも、一括してお願いしたほうがお互いに
便宜
であろうということでお願いしておるわけでございまして、地方団体との
関係
とはややその点は同じ国家の行政組織の中での協力
関係
でございますので違っているのではないか、かように私は考えております。
大森創造
129
○大森創造君 法的根拠は一体何です。こういうものをさせられる法的根拠は一体何ですか。法務局は断って、それから国税庁自体がやったほうが筋なんだから、筋に戻したらいいんじゃないですか。
中嶋晴雄
130
○
説明員
(中嶋晴雄君) 本来の姿というようなお話でございますが、これはいろいろな事務の運び方があろうかと存じます。たとえば、登記所へ税務職員がおじゃまいたしまして毎日そこで写すというようなことも一つの手であろうかと思うのでございます。しかし、そういうやり方は、かえって登記所の中でおじやまをするというよりな感じにも相なりますし、私どもはむしろ単記式のものでしかもカーボンで二枚とりましたものをいただいたほうが、まあ私どもの事務も非常に助かりますし、そういう趣旨で法務省のほうに実はお願いしておるわけでございます。もちろん、大森
委員
からお話がありましたように、この事務の運び方そのものにつきましては、これだけが唯一のものであるというふうには考えません。いろいろな
方法
があろうかと存じております。
大森創造
131
○大森創造君 法的根拠は何です。何かあるんでしょう。ただ仕事が忙しいし便利だから法務局に頼むというだけのものでないでしょう。何か法的根拠があるはずでしょう。
中嶋晴雄
132
○
説明員
(中嶋晴雄君) この税務事務の
通知
のお願いにつきましては、法的根拠はございません。
大森創造
133
○大森創造君 やめたらいいと思うんだが、やめる気はないか。法務局もこれは断わったほうがいいだろう。
中嶋晴雄
134
○
説明員
(中嶋晴雄君) 法的な根拠はございませんが、先ほどからたびたび申し上げておりますように、行政組織の中での、何と申しますか、協力
関係
に基づきまして事務をお願いしておるわけでございまして、それに対しまして予算的な措置も不十分ではございますがとれてある、かようなことになっておるわけでございまして、私どもただいまのところこれを廃止するつもりはございません。
大森創造
135
○大森創造君 あんたのほうは。
新谷正夫
136
○
政府委員
(
新谷正夫
君) それは、根拠とおっしゃいますと、最初申し上げましたように、国家機関の協力
関係
ということに尽きると思うのでございます。一方、法務局の側におきましては、市町村に同種の
通知
をすることになっております。税務署に
通知
いたしますのと同様の内容のものを
通知
するわけでございますので、従来市町村に
通知
しておりましたものにさらに複写紙を一枚多く加えただけの形にいたしまして、一度で双方への
通知
書が書き上げられるような形で現在やっておるわけでございます。 また、本来の姿に戻したら、いいではないかという御質問でございますけれども、登記所の側といたしましても、いろいろ研究した結果このようになったわけでございまして、本来の姿に戻しますと、税務署の方が登記所に見えまして登記簿の閲覧を
請求
する、あるいは謄本、抄本の
請求
をする、こういうかっこうになるわけでございます。そうなりますと、事件が非常にふえている際に、同じ登記簿をあちこちから
利用
しあうというふうなことになりまして、かえってそのために登記所の事務が混乱するということも考えられるわけであります。のみならず、謄本、抄本をつくって税務署に差し上げるということにいたしますと、これは現在の
通知
よりももっと繁雑なことになるわけでありまして、一々これを証明して内容を確認してやるわけでございまして、このほうがむしろ手数がかかるということになりまして、これは現在の法務局の人員、予算の範囲内ではとてもやり切れるものではございません。そこで、もしそういう形であるとすれば、これは遺憾ながらお断わりするほかはないのが
実情
でございましょう。しかし、しいてそうしてもらいたいという申請がございますれば、登記所はこれは拒否できません。これは非常に苦しい立場に立つわけでございます。そこで、税務署のほうもこういった形式のもので
通知
してもらうほうが簡便であり、法務局のほうもこういった形をとるほうが簡便である、加えて国税庁からそれに必要な予算を支出委任を受けるということになりますれば、その範囲内でやる分におきましては、むしろ法務局としましても現在の形のほうが仕事は楽であるということが言えるわけでございます。したがいまして、国税庁からの御協力がございますれば、これを一がいに本来の
業務
外だというだけの
理由
で断わるわけにもまいらないというのが
実情
でございます。
大森創造
137
○大森創造君 一つお伺いしたいんだが、昭和四十年は四月以降十月までその事務を中断したね。そうでしょう。 どちらでもよろしい。
新谷正夫
138
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 中断はしてないと思いますが……。
大森創造
139
○大森創造君 中断したよ。なぜ中断したか。
中嶋晴雄
140
○
説明員
(中嶋晴雄君) 中断をされたということは、私はただいま存じておりません。ただ、年末に非常に登記事務が登記所で忙しいときにその分について翌年回しにされたというう点は承知しております。
大森創造
141
○大森創造君 そういう
事情
もあるだろうが、予算が来なかったんじゃないか、予算が。
新谷正夫
142
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 国税庁と私どものほうで年度の予算が幾らになるかという話し合いができませんと、現地のほうに連絡するわけにもまいりません。そういう意味合いにおきまして若干日町のずれるということはあり得るわけでございます。これはやむを得ないわけでございますが、それはさておいて、税務署
通知
を全然中断したということはないわけでございます。
大森創造
143
○大森創造君 中断はないけれども、中断にひとしい状態に置いたことは間違いない。その原因を探るというと、やはり事務のそういう、何というか、引き受け、国税庁のほうが法務省のほうにたかっているというふうなこういう形が不自然だからこういうことができる。これはもとに戻したほうがよろしいし、多少めんどうでも国税庁のほうは大蔵省なんだからお金があるんだから、これは市町村のほうに行ってそうして必要な
手続
をとったほうがいいんじゃないかな。第一線の人はみんなそう言っている、第一線の人は。いかがですか。
中嶋晴雄
144
○
説明員
(中嶋晴雄君) いわゆる登記書の写しの問題でございまして、これは市町村に行って私どもがその内容を承知するという筋合いのものではなく、むしろ法務省のほうにお願いすべき筋合いであろうと、かように考えております。
大森創造
145
○大森創造君 そうすると、こういう税通事務ということは未来永久にやっていくおつもりですか。
中嶋晴雄
146
○
説明員
(中嶋晴雄君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、ただいまのところ、このお願いを取りやめまして、登記所に行きまして税務官吏が登記簿の閲覧をするというような
手続
をとることは考えておりません。
大森創造
147
○大森創造君 もう一回一番最後のほうを……。
中嶋晴雄
148
○
説明員
(中嶋晴雄君) 登記所へ税務官吏が参りまして登記簿を閲覧して内容を写して参るという事務をすることは考えておりません。
大森創造
149
○大森創造君 私の
意見
は、もう少しすっきりさせるべきである、そう思う。予算が来ないから四月から十月までやめてみたり、予算が来たらやるということではおかしいし、それから金額が年ごとによってだんだん変化していくというような状態もおかしいんだが、大蔵省のほうとしては、三千万円ということに査定をしたこれは知っているのかな。委任事務というか、依頼するための事務が三千万というのは、徴税事務とか賃金の予算、そういうものの中で法務局とそれから国税庁のほうとの話し合いでここらがよかろうということできめておるのか、それとも、大蔵省のほうで了解してきめた線なのかな、この額は。どういう性質のものか。
中嶋晴雄
150
○
説明員
(中嶋晴雄君) 先ほど三千万円程度という予算につきまして御
説明
申し上げましたが、これは国税庁にほかにいろいろそういう賃金予算をいただいておりますその中の一部でございまして、もちろんこれは最近の登記事務の繁雑さ複雑さと勘案いたしましてそれにスライドしてふやしてきた、かように考えております。もちろん、内容につきましては、これは法務省と予算を編成をする過程で打ち合わせをしていると思います。
大森創造
151
○大森創造君 この三千万円、初めはただでやったんだけれども、だんだん金額がふえてきたのだが、この金額三千万円という植拠は一体何か。五千万円にできないものか。
中嶋晴雄
152
○
説明員
(中嶋晴雄君) 実は、登記所から税務署のほうで収受をいたしました登記資料につきましては、これは私どものほうで数字をつかんでおるわけでございます。最近二、三年の
傾向
を見ますと、かなり急激にふえておりまして、数字をただいま申し上げますと、三十七年度で約百六十万枚、三十八年度で二百五十万枚、三十九年度で四百五十万枚程度になっております。これは実は
譲渡
人と譲受人の両方につきまして二枚資料をいただいておりますので、実際の移動件数はこの半数であろうというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、資料はさようなことになっております。その後の数字はただいま承知しておりませんし、なお、四十一年度中どの程度の登記事務が起こりますか、それも私ども予想できません。ただ、これまでの趨勢からただいま申し上げました予算が支出委任額がきめられたものと、かように考えております。
大森創造
153
○大森創造君 端的に聞くが、この金額をきめるのは、法務省とあなたのほうの話し合いできめるのか。
新谷正夫
154
○
政府委員
(
新谷正夫
君) これは、予算編成の一般の経路をたどるものと思います。三千万円余りということでございますが、三千万円にするという約束ではもちろんございません。これは、たとえば一般の予算の場合に、一億の要求をいたしまして、七千万円でとまるということもございます。国税庁のほうでどの程度御要求をなさいましたか、私のほうではわかりませんが、最終的に大蔵省と国税庁との間の話し合いで煮詰まったものが三千万円になったということであろうと私は理解しております。
大森創造
155
○大森創造君 これは、そうでなくて、国税庁が賃金予算というものを大ワクを取っておいて、そうして、大蔵省の予算のほうはわからなくて、あなたのほうと法務省の話し合いで、ことしは三千万円にしよう、ことしは金が足りないから上半期はそういうことをやらないようにしようということを随時やっているのと違いますか。
中嶋晴雄
156
○
説明員
(中嶋晴雄君) ただいま民事局長から御答弁もありましたように、予算編成の過程では、私どもいろいろな数字をつくるわけでございます。国税庁の予算につきましても例外ではございませんで、私ども円滑に事務を処理するために予算を要求いたすわけでございます。これは、国全体の財政規模、その年の財政政策によりまして、やはりある程度査定をされるわけでございまして、したがいまして、国税庁
関係
の賃金予算につきましても、そういう一般的な予算編成の方針できめられたものというふうに承知いたしております。
大森創造
157
○大森創造君 私が言うのは、これは大蔵省の予算から賃金予算として取っておいて、大蔵省の主計局なり予算の係のほうがわからないのに、適当に年ごとに法務省と話し合いをしてきめている金額だろうというんです。そうでなければ、三千万円だ、一千六百万だ、二千四百万だという数字が予算書のどこに書いてあるのか、あとでぼくのところに持ってきてほしいと思うのだが、どうです
中嶋晴雄
158
○
説明員
(中嶋晴雄君) 三千万円という予算は、これは国税庁全体の賃金予算の中の問題でございます。しかしながら、その数字につきましては、これは主計局との折衝の過程で主計局のほうも承知しておる数字であると、かように考えております。
大森創造
159
○大森創造君 主計局のほうは承知したといっても、私は承知しないのだから、予算書の中に三千万円という数字が出ているか出ていないか。あなたのほうのやりくりと違いますか。
中嶋晴雄
160
○
説明員
(中嶋晴雄君) 予算書がどうなっておるか、ただいま私持っておりませんので、調べましてまた御答弁いたします。
大森創造
161
○大森創造君 ピンはねしているのじゃないか、あなたのほうは。そうともとれるね。たとえば、賃金予算というものを大ワク取っているだろう。そこで、大蔵省のほうはわからないで、ことしは三千万円、ことしは二千万円でかんべんしてもらうということであるから、本来は五千万円出すべきものを三千万円にしておいて、あなたのほうでいい思いをしているというふうにも考えられるんですね。そうでなければ、表立ってことしはこういう仕事を委任するために三千万円という数字が大蔵省の予算書の中に出てきていなきゃならぬと思うのだけれども、それは推定だ推定だと言っているけれども、私の推定はそう思う。
中嶋晴雄
162
○
説明員
(中嶋晴雄君) ただいま申し上げました数字は、これは国税庁の賃金予算の中でございます。その意味では、大森先生のおっしゃるような意味になろうかと思います。これは法務省の予算ではございません。しかしながら、仕事そのものは、これは法務省でやっていただいております
関係
上、支出の委任額、かようなことに相なっておるわけでございます。
大森創造
163
○大森創造君 時間がなくなるから、私は簡単に終わりますが、一つこれをお願いしたいと思います。きょうの答弁たるや、わからないんです。法務省や民事局のほうはうそは言わないと思うのだか、冒頭に刑事局長と問答したように、労働省なんというのは大体ひきょうですよ。ほとんどうそばかり言っているんだからね。ほとんどうそばかり言っている。だから、会計検査院と刑事局のほうに頼むほかない。そこで、これは、実際に仕事をやっている人に聞いてごらんなさい。こんなものはやはり本来の姿に戻すべきだという
意見
が圧倒的に強いので、労働組合と話し合いをしなさい。これを約束してください。このことを国税庁、法務省の労働組合と話し合いしなさいよ。
中嶋晴雄
164
○
説明員
(中嶋晴雄君) これは実は国税庁のほうの職員の問題ではございませんので、国税庁のほうでは話し合いをするつもりはございません。
大森創造
165
○大森創造君 とにかく労働組合というものとこれは話し合いをしなさいよ。国税庁も法務省もいかがです。そのことを約束をしてください。
新谷正夫
166
○
政府委員
(
新谷正夫
君) 税務署
通知
の問題は、数年来労働組合のほうでも関心を持っている問題でございます。毎年私どもも組合の代表者と会いまして、この問題について話し合うわけでございます。ただ、先ほど私が申し上げましたように、もしこの措置をとらないで本来の姿に戻すといたしました場合に、はたして現在の忙しい登記所がそれに耐え得るかどうか。意地悪なことを考えますれば、そんなことはございませんでしょうけれども、務税署のほうから、それならもう全部あげて登記書の登記抄本を出してもらおうというようなことでも起こりました場合には、現在以上にたいへんなことになるわけであります。そういったことも考え、なおかつ、法務局の職員の負担を特別に過重にするというのではなくて、こういった特別の予算の支出委任を受けまして、その範囲内でやればよろしいということでありますれば、これはむしろこちらの措置のほうが円滑にいくのではあるまいかということをわれわれ考えているわけでございまして、そういった趣旨のことをかねがね労働組合のほうと話し合いをしております。おりますが、いかんせん、これを完全に返上いたしますと、そのあとに来る問題のほうがかえって大問題になるわけでありまして、むしろこうやってお互いに協力し合って円滑にこの仕事が遂行できるのでございますれば、われわれとしましては、この措置のほうがむしろ法務局にとって害がない、むしろ無難なのではないかというふうに考えております。 もちろん、労働組合との折衝は、この問題のみではございません。いろいろ法務局の職員の意向、
意見
等も聞く必要もございますので、今後も十分そういう点については気をつけまして話し合いをいたすつもりではございます。
大森創造
167
○大森創造君 法務省のほうは話し合いをするが、国税当局も話し合いをしなさいよ。毛ぎらいする必要はない。これはこの次の
委員
会で問題にしたいと思うが、各省ともとにかく第一線の労働組合を分裂させるようなことをやっている。具体的な事例を私たくさん申し上げたいと思うが、国税当局の事務を委任しているんだから、敬意を表してぜひとも労働組合と話し合いをしなさい。そんなこともできないで頼むというような──こういう紋切り型の形式的なことを委任しているんだから、敬意を表する意味でも、第一線で働いている労働組合と話し合いの機会をもちなさい。それが礼儀でしょう。
中嶋晴雄
168
○
説明員
(中嶋晴雄君) もちろん、国税庁におきましても、職員組合との間に、労働
条件
につきましていろいろ交渉、折衝をいたしているわけでございます。ただ、この問題は、これは税務署に対する登記資料の
通知
という問題でございまして、私ども国税庁の問題ではないということを実は申し上げたわけでございます。この点ひとつ大森
委員
に御了承願いたいと思います。
大森創造
169
○大森創造君 国税庁の事務ではないといったって、国税庁の事務をやらせるのだから、敬意を表する意味で、あなたのほうは、全法務、法務省の労働組合と話し会いの機会を持ちなさい。それが礼儀でしょう。
中嶋晴雄
170
○
説明員
(中嶋晴雄君) 法務省
関係
の職員の団体と国税庁とが交渉するということは、これは、ちょっと、何と申しますか、職員組合との折衝のルールから申しましてできないことではなかろうかと、かように私考えます。実は、いま大森
委員
がお話しになります御趣旨は、私、よくわかるわけでございまして、そういう問題もあったかと思うのでございますけれども、そういう折衝をする筋合いではないということを申し上げまして、御了承を願いたいと思います。
大森創造
171
○大森創造君 筋合いでないならば、筋合いでないような仕事を頼む必要はないんですよ。私は筋はやはり国税庁自体でやるべきだと思っている。お願いする立場なんだから、ひとつ敬意を表して労働組合と話し合いしなさいよ全法務の労働組合と。そこらはできるでしょう。
中嶋晴雄
172
○
説明員
(中嶋晴雄君) これは、やはり、私ども職員組合と折衝いたします場合には、その勤務
条件
に関していろいろ話し合うわけでございまして、国税庁が法務省
関係
の職員組合と勤務
条件
につきまして話し合いをするということは、これはむしろ、そういうことをいたしますよりも、法務省とその職員組合との間の話し合いにお願いするのが筋ではなかろうか。この問題そのものにつきましては、私ども平素から法務省のほうといろいろ打ち合わせをしておりますし、これがどういう影響を登記所におきます職員の勤務
条件
に及ぼすかということにつきましても私ども決して無関心ではないわけでございますけれども、筋合いはさようなことであろう、かように考えているわけでございます。
大森創造
173
○大森創造君 税通の問題というのは非常にやっかいだと言っているんですよ、組合の人やそれから実際に仕事を受け持っている人は。きょう答弁に立たれた法務省の方とは違っている。ほんとうにこれは逸脱している。本来、
設置
法によるというと、国税庁のほうでやるべきものなのに、非常に迷惑だというのが第一線の声だから、これは、国税庁の次長が言うたように、その答弁はわけがわからないことはないけれども、これは勤務
条件
やそれから予算の問題でなくして、仕事そのものを扱っているのが法務省の職員なんだから、そのほうの
意見
も聞いてやりなさい。そこらのことはやっていいですよ。やりなさいよ。どうです。
中嶋晴雄
174
○
説明員
(中嶋晴雄君) 法務省の職員におきます勤務
条件
の問題につきましては、法務省のほうからいろいろお話を承りたい、かように考えます。
大森創造
175
○大森創造君 とにかく、私は、お役所というものを近ごろ信用しなくなったんだよ。労働省じゃないけれども、マル特会計というのは警察にもあるんだな。だから、警察がほんとうに私が要望したようにできるかどうかあやしんでいる。それほどがっちりこんと仕事やっているかというと、そうでなく、ある面においては手かげんをしている。労働省なんかすごいからね。マル特会計なんか億単位なんだから。そういうことではぼくは基準行政はできないということで刑事局長に言ったけれども、あなたのほうでもそうなんです。警察だってマル特会計持っているんだから。だから、ここで答弁をするときには非常にかたいことをおっしゃいますけれども、みんな、会計検査院だって汚職が出てきたり、法務省の役人だっておかしなことが出てきたり、警察の交通係の自動車事故なんか案外多いんだから。調べてみたら多い。ところが、たいてい、警察の巡回したり交通の
取り締まり
の自動車とぶつかると、相手が悪いことになってしまう。 だから、あなたの言うこともわけのわからぬことはないけれども、もう少しやったほうがスムーズに進むのだから話し合いしたらいいだろうということなんです。やらないというほどにかたいんなら、それほどがっちりやっているかというんです。私いくらでも例をあげてやる。なぜ私が大きい声で言うかといえば、国税庁だってとんでもないインチキをやっているんだ。私はそれを知っている。次回の
委員
会に持ち出そうか。手かげんしているところはものすごい手かげんをしている。何億という手かげんをしている。いずれ長官に来てもらって──きのうも電話をかけて言ったら、ものすごい手かげんをしている、政治圧力によって。私がこれほどお願いしているんだから、労働組合との話し合いを持ちなさい。あのくらいいいかげんにやっている国税庁なんだから、規則にない労働組合との話ができないというようなばかがたいことを言うなら、私もばかだから、今度は国税庁のほうを洗いますよ。規則はないかもしらぬけれども、労働組合との話し合いをやるのが礼儀だ。
中嶋晴雄
176
○
説明員
(中嶋晴雄君) 先ほどからいろいろ申上げましておしかりを受けているわけでございますが、実は、法務省の職員団体と勤務
条件
につきまして交渉いたしますのは法務省であり、私ども国税庁につきましても同じことでございまして、勤務
条件
につきましてはよく職員の意向を聞き、その要望を聞いて、それを施策の上に反映させい、かように私は考えております。ただ、全法務の問題につきましては、私そういう大森
委員
のお話しになります点はよくわかるのでございますけれども、そういういわば対角線交渉と申しますか、それをいたしますと、むしろ私どもの折衝そのものが無責任になると申しましょうか、ことばが非常に不適当でございますけれでも、責任のあるいろいろな折衝が私どもできないのではないか、かようにも考えて、実質的にもそういうふうに考えております。
大森創造
177
○大森創造君 私はどうしてもこの税通の問題については反対であって、こういうことが行なわれたならば、各省の協力の度合いということで混線してきてわけがわからなくなるから、このことは反対だ。 それから、国税庁の次長ね、言うことは筋だ。それはよくわかる。だけど、それはそのとおりだけれども、これはこちらからのお願いなん、だから、これほど大きい声をして。だから、会ってやってくれ、こういうことなんです。だって、手かげんしているんだものな。すごいぜ、あの手かげんぶりは。上から圧力が来るというと、すごいんだから。人が悪くなっちゃうんだ。これは筋が違いますから法務省の労働組合と話ができないと、それほどがっちりやっている国税庁ならば、私は一方で何でああいうことをやっているのか不思議なことが幾つもある。話し合いをお願いしますというんですが、そのお願いを聞けないですか。
中嶋晴雄
178
○
説明員
(中嶋晴雄君) 非常におしかりをこうむるばかりでございますけれども、私ども国税庁の幹部が全法務とお会いして、その勤務
条件
についていろいろ申し上げて、あるいはお話しを伺うということは、これは官庁の何と申しますか、組織の問題等からいたしまして、いささかどうであろうかという感じがいたしますので、大森
委員
からいろいろお話がございましてよくその趣旨は私も長官に申し伝えますが、ここではすぐどうということはお引き受けできないわけであります。
大森創造
179
○大森創造君 それでは、長官に話して、よけいなことかもしれないが、私がお願いするから、話し合いをしていただきたいと思う。 それから税通の問題、これは私は反対だ。こういう折り目のないことじゃだめだ。こういうことをやったのでは、各省庁のことがばらばらになっちゃいますよ。私は反対。 長官に話してください。妙なことを言うわけじゃないけれども、そのくらいの融通性があっていいんだ。融通性がある役所なんだ、大蔵省、国税庁というのは調べてみると。だから、長官に話してください、そして話し合いをしてやってください、何ということはないんだから。 以上で終わります。
和泉覚
180
○
委員長
(
和泉覚
君) 本日はこれにて散会いたします。