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1966-04-07 第51回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月七日(木曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員の異動  四月一日     辞任         補欠選任      須藤 五郎君     野坂 参三君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          和泉  覚君                 木島 義夫君                 松野 孝一君    委 員                 岡村文四郎君                 後藤 義隆君                 斎藤  昇君                 鈴木 万平君                 中山 福藏君                 大森 創造君                 亀田 得治君                 藤原 道子君                 山高しげり君    発議者          藤原 道子君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君    政府委員        法務政務次官   山本 利壽君        法務大臣官房司        法法制調査部長  塩野 宜慶君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省刑事局長  津田  實君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局人事局長   矢崎 憲正君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    説明員        国税庁次長    中嶋 晴雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○売春防止法の一部を改正する法律案稲葉誠一  君外十四名発議) ○商法の一部を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○借地法等の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○最高裁判所裁判官退職手当特例法案内閣提  出、衆議院送付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (選挙違反事件に関する件)  (法務局における税務署通知問題に関する件)     —————————————
  2. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、売春防止法の一部を改正する法律案議題とし、発議者から提案理由説明を聴取いたします。藤原君。
  3. 藤原道子

    藤原道子君 私は、お許しを得まして、発議者を代表して、売春防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  売春防止法が制定されまして本年はちょうどその十周年に当たるわけであります。この間、関係機関、団体の御努力により、法施行による成果が次第に実を結びつつあるとは申しますものの、なお、依然として売春助長行為等があとを絶たないばかりでなく、最近においてはこれがとみに潜在化し、また、悪質化する傾向が見られますことは、すでに御承知のことと存じます。  もちろん、このような事態は、売春助長行為等を根絶するために必要な諸施策や、思い切った社会改善を伴わないことによるものでもありましょうが、他面、現行売春防止法の不備にも大きな原因があると考えられますので、ここに売春防止法の一部を改正する法律案を提出する次第であります。  以下、この法案要点につき、御説明申し上げます。  改正の第一点は、買春の勧誘に応じた者等を、一定の場合に、処罰することに関する改正であります。  現行法は、第五条で、売春をしようとする者が、公衆の目に触れるような方法で、売春相手方となるように勧誘したり、客待ちをしたりする等の行為処罰することとしておりますが、これらの勧誘等に応じて、その相手方となることを承諾したり、相手方となるために勧誘したりする行為は、現在は処罰対象となっておりません。しかしながら、これらの行為は、売春をしようとする者の当該行為を助長するものでありますので、新たに処罰すべきものとし、一万円以下の罰金に処することといたしたのであります。  改正の第二点は、売春相手方となる目的で、売春周旋に応じ、または売春周旋を依頼した者を処罰することに関する改正であります。  現行法第六条は、売春周旋及び周旋人勧誘等行為処罰することといたしておりますが、売春相手方となるため、売春周旋に応じ、または周旋を依頼する行為は、売春周旋を助長するものであるにもかかわらず、何等処罰対象とはされておりません。よって、相手方のこれらの行為も新たに処罰すべきものとし、一万円以下の罰金に処することといたしたのであります。  改正の第三点は、人に売春をさせるいわゆるヒモにつきまして処罰規定を補整したことであります。  最近における売春助長行為等が潜在化し、悪質化しつつある実情を顧みますと、売春婦と特殊な関係を結びまして売春行為を助長したり、あるいは売春婦に寄生いたしまして無為徒食しているいわゆるヒモ取り締まりの強化が、婦女子の人権擁護のためにもぜひ必要と考えられるのであります。現行法規定は、この点についてなお不十分であると思われますので、第七条第一項に改正を加えることによりまして、親族関係のみならず、業務雇用その他の特殊な関係による影響力利用して人に売春させた者も処罰することができることとするとともに、第八条第二項にも同様な改正を加えて、売春をした者に対し、親族関係のみならず、業務雇用その他の特殊な関係による影響力利用して、売春の対償の全部または一部の提供を要求した者も処罰することができることといたしました。  改正の第四点は、いわゆる管理売春に関する処罰規定を補整したことであります。  現行法第十二条は「人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。」こととなっているのでありますが、取り締まりが強化されるに従いまして、人に売春をさせることを業とする者も、コールガール制結婚紹介所制等、本条に規定するところと異なる新たな形態により、悪質な管理売春を営む者があらわれるに至ったのであります。本法案におきましては、このように法網をくぐるために次々と新たな業態を案出してまいります傾向に対処するため、いかなる方法によるかを問わず、およそ人に売春をさせることを業とした者をすべて処罰対象とすることができるように法第十二条を改めまして、その方法を限定することなく、人に売春をさせることを業とした者は、これを処罰する、というようにいたしたのであります。  改正の第五点は、補導処分期間に関してであります。  補導処分期間は、従来の六カ月では、その実効をあげ得ない場合が多いため、二回に限り、これを更新することができることとし、最長期一年六カ月まで補導を行なうことができることといたしました。ただし、補導処分が人身の拘束を含む処分であることにかんがみまして、期間更新は、婦人補導院に収容されている者の補導処分期間が満了する場合において、その者がまだ社会生活に適応する状態に達していないとき、またはその者の更生の妨げとなる心身の障害があるときに限ることとし、期間更新手続についても、婦人補導院の長の申請を受けて裁判所決定をするに際し、専門家意見を聞くとともに、本人またはその代理人の意見をも聞くこととして、その慎重を期し、また、補導処分期間更新決定に対しては、それぞれ二週間以内に、抗告及び再抗告をすることができることといたしました。  改正の第六点は、婦人相談員に関するものであります。  現行法上、婦人相談員設置は、都道府県にあっては義務的、市にあっては任意的とし、また、その勤務については非常勤とされており、これに対し、一定率国庫負担または補助が行なわれるものとされておりますが、今回、保護更生の面における一そうの充実を期しますため、これを特定の市及び特別区についてもその設置義務づけるとともに、特に必要がある場合には常勤とし得る道を開くことといたしました。  右のほか、これらの改正に伴い、所要規定の整備を行ないました。  以上、この法案要点につき御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。
  4. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
  5. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、商法の一部を改正する法律案及び借地法等の一部を改正する法律案議題とし、順次提案理由説明を聴取いたしまします。石井法務大臣
  6. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 商法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明いたします。  この法律案は、現下の経済状勢にかんがみまして、株式会社運営の安定をはかり、株式譲渡手続を合理化し、さらに株式会社資金調達方法を容易に、かつ適正にする等のため早急に改正を要する事項について、商法の一部を改正しようとするものであります。  次に、この法律案要点を申し上げます。  第一に、株式譲渡につき取締役会承認を要する旨を定款定めることができることとし、株式会社運営をはかるとともに、株式譲渡取締役会承認しない場合には、他にその株式を買い受けるべき者を指定しなければならないこととして、株主投下資本回収することを保障いたしました。  第二に、会社額面株式と無額面株式とを発行している場合には、株主は、額面株式を無額面株式に、または無額面株式額面株式にすることを請求できるものとして、株主便宜をはかることといたしました。  第三に、記名株式譲渡するには株券を交付することを要するものと改め、記名株式移転に裏書または譲渡証書の添付の必要がないものとして、株式の流通の円滑化をはかりますとともに、株券の所持を欲しない株主からその旨の申し出があったときは、会社株券発行を停止し、または株券を銀行または信託会社に寄託しなければならないこととして、安定株主の静的安全の保護をはかりました。  第四に、株主議決権を統一しないで行使できる旨及びその手続定め株式信託受託者その他他人のために株式を有する株主が、その株式により実質上の利益を受ける者の指図に従って議決権を行使することを可能にするとともに、会社はその他の株主による議決権の不統一行使を拒むことができるものといたしました。  第五に、株主以外の者に対し特に有利な発行価額定め新株発行する場合には、株主総会特別決議を要することとし、新株引受権株主以外の者に対し付与する場合にも、有利発行でなく、したがって、株主を害しないときは、株主総会特別決議を要しない旨を明らかにして、新株発行の円滑をはかるとともに、会社新株発行する場合には、株主新株引受権を与える場合等を除き、あらかじめその旨を公告するものとし、新株発行が公正に行なわれるよう担保する手段を講じ、株主利益保護をはかりました。  第六に、株主新株引受権譲渡する道を開き、新株引受権を与えられた株主新株払込資金を得るために旧株を処分する等の必要がないようにし、株主利益保護をはかるとともに、新株発行が円滑に行なわれるようにいたしました。  第七に、転換社債転換請求は、株主名簿閉鎖期間内でもすることができるものとし、転換社債権者は、同期間内に転換請求をすることによって株式を取得して、これを処分する道を開いて、その利益保護をはかるとともに、転換社債の募集の円滑化をはかりました。  以上がこの法律案要点であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されまするよう、希望いたす次第でございます。  次に、借地法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  最近における土地及び建物利用実情を見ますと、借地借家に関する紛争が相当多数に上っております。これは、一面においては、宅地及び住宅などの社会的経済的事情によるものでありまするが、他面においては、土地及び建物利用に関する現行法律制度上、当事者間の利益を調整し、紛争発生を予防する面において、なお十分でない点があることにもよるものと考えられます。したがいまして、借地借家に関する紛争を未然に防止してその安定をはかるとともに、土地及び建物合理的利用を促進するためには、社会的経済的条件改善にまつだけでなく、現行法律制度実情に即して改める必要があるのであります。この法律案は、かかる見地からいたしまして、借地法、借・家法、建物保護法及び民法の各一部に所要改正を加えようとするものであります。  以下、この法律案要点を申し上げますと、  第一に、借地権目的たる土地合理的利用を促進するために、事情の変更その他一定要件が存する場合には、裁判所は、当時者の申し立てにより、一切の事情を考慮した上で、非堅固の建物所有借地条件を堅固の建物所有借地条件に変更しまたは増改築制限を緩和する裁判をするとともに、当事者間の利益の公平をはかるために他の借地条件を変更しまたは財産上の給付を命ずる裁判をあわせてすることができるものといたしております。なお、この裁判は、原則といたしまして借地所在地の地方裁判所が非訟事件の手続により行なうものとし、裁判所がこの裁判をするについては鑑定委員会意見を聞くことといたしております。  第二に、借地上の建物の取引を円滑にするために、土地賃借人がその建物他人譲渡しようとする場合において、土地賃貸人敷地賃借権譲渡または転貸を承諾しないときは、裁判所は、賃借人申し立てにより、一切の事情を考慮した上で、賃貸人の承諾にかわる許可を与えるとともに、当事者間の利益の公平を考慮し、その許可地代の増額、金銭の支払いなどの条件を付することができることといたしておりまする反面、賃貸人申し立てがあれば、相当な対価を定めてその建物敷地賃借権とともに賃貸人譲渡することを命ずることができるものといたしております。なお、この裁判手続も、第一の裁判と同様にいたしております。  第三に、地代または家賃の増減請求から生ずる紛争を防止するために、その請求があった場合の法律関係を明確にすることといたしております。  第四に、借家人相続人なしに死亡した場合において、内縁の夫婦または事実上の養親子の関係にあった同居人居住権保護するために、建物賃借関係の承継を認めることといたしております。  第五に、建物保護法第一条第二項の規定によりますと、従来同条第一項の規定により第三者に対抗することができた借地権であっても、建物が滅失すればそれと同時にその対抗力が消滅することになりますが、このことは、その後施行された借地法の解釈との関係において疑義を生ずる結果となりますので、この規定を削除することによって疑義の生じないようにいたしております。  第六に、地下鉄、地下駐車場モノレール等の施設の所有のために土地を立体的に区分して利用する場合の便宜を増進するために、工作物所有目的とする地上権は、地下または空間の部分に範囲を限定して設定することもできることといたしております。  最後に、以上の改正に伴い、防火地域内借地権処理法を廃止し、不動産登記法等所要改正を加え、さらに、必要な経過規定を設けることといたしております。  以上が、この法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されますよう、お願いいたします。
  7. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、商法の一部を改正する法律案について、逐条説明を聴取いたします。新谷民事局長
  8. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 商法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  ただいま法務大臣から提案理由の御説明がございましたように、商法改正点を大別いたしますと七項目に分かれるわけでございますけれども、それぞれの項目商法規定の面から申し上げますとお互いに相前後することになっておりますので、これを規定の順序で御説明申し上げますと、かえって混乱するとも考えられますので、それぞれの事項別に条文をまとめまして御説明申し上げることにいたします。  まず、第一は、株式譲渡制限でございまして、商法の第二百四条第一項の改正でございますが、現行法は、定款をもっていたしましても株式譲渡制限することはできないものとされておるのでございますが、同族会社その他につきましては、会社運営の安定をはかりますために株式譲渡制限することを必要とするものがございます。そこで、本項の改正によりまして、定款をもって株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨を定めることができるものといたしたのでございます。  しかし、他面におきまして、このような譲渡制限を認めますと、株主投下資本回収を妨げられるおそれもございますので、第二百四条ノ二から第二百四条ノ四までの規定を設けまして、投下資本回収を保障する措置を講じました。  第二百四条ノ二以下三条の規定でございますが、株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨の定めがあります場合に、株主株式譲渡につきまして取締役会承認を得ることができないときの投資回収方法規定いたしたものであります。  第一項は、右の定款定めがあります場合には、株式譲渡しようとする株主は、会社に対しまして、その譲渡取締役会承認しないときは、他に譲渡相手方を指定すべきことを請求できるものといたしたのであります。この請求は、書面をもってすることを要することとしたのでありますが、その書面には、譲渡相手方譲渡しようとする株式の種類及び数をも記載いたしまして、譲渡の内容を明らかにすることといたしました。  第二項は、第二項の請求がありました場合に、その請求書に記載されている譲渡承認しないときには、取取締役会は他に譲渡相手方を指定することを要するものといたしたものであります。この場合には、その旨を第一項の請求の日から二週間内に同項の請求をした株主に対しまして通知しなければならないものといたしました。  第三項は、第二項の通知が同項の期間内にされない場合におきましては、第一項の請求にかかる株式譲渡につきまして取締役会承認があったものとみなすことといたしたのであります。これによりまして、第一項の請求をいたしました株主は、第一項の書面に記載した譲渡相手方株式譲渡することができることとなるわけでございます。  第二百四条ノ三でございますが、前条第二項の規定によりまして取締役会譲渡相手方を指定した場合における手続規定したものでございます。  第一項は、譲渡相手方として指定された者は、前条第二項の通知のありました日から十日以内に、株主に対しまして、書面をもって、その株式自己に売り渡すべきことを請求することができるものとしたのであります。この請求によりまして、請求をいたしました者と株主との間に株式売買契約が成立した場合と同一の効果を生ずるわけでございます。  第二項は、第一項の請求により生じまする買い主側義務履行を担保いたしますための規定でありまして、第一項の請求をいたしますには、会社の最終の貸借対照表により会社に現存する純資産額発行済株式の総数をもって除した額、すなわち一株当たりの純資産額譲渡目的たる株式の数を乗じた額を会社本店所在地供託所供託いたしまして、かつ、供託したことを証する書面を第一項の書面に添付することを要するものといたしたのであります。  第三項は、取締役会譲渡相手方として指定いたしました者が第一項の期間内に同項の請求をしないときには、前条第一項の株式譲渡につきまして取締役会承認があったものとみなしまして、株主が当初予定しておりました相手方譲渡し得ることといたしたのであります。  第四項は、第一項の請求により生ずる株主義務履行を担保するための規定でありまして、第一項の請求がありましたときは、株主は、一週間内に会社本店所在地供託所株券供託することを要するものとしたのであります。この場合には、遅滞なく第一項の請求をした者に対しまして供託通知をしなければならないものといたしました。  第五項は、株主が前項の期間内に株券供託をしないときは、第一項の請求をいたしました者は、売買の解除をすることができる旨を明らかにいたしたものであります。  第二百四条ノ四でありますが、第二百四条ノ三第一項の請求によりまして成立した株式売買につきまして、その売買価格決定方法等について規定したものであります。  第一項は、前条第一項の請求がありました場合の株式売買価格につきまして協議がととのわないときには、売買当事者は、同項の請求の日から二十日以内に裁判所に対しまして売買価格決定請求することができるものといたしたのであります。  第二項は、裁判所が右の売買価格決定する際にしんしゃくすべき事情規定したものであります。  第三項は、第一項の期間内に裁判所に対しまして売買価格決定請求もなく、当事者協議もととのわないときには、前条第二項の規定によりまして供託した額をもって売買価格とみなすことといたしまして、法律関係簡明化をはかったものであります。  第四項は、株式移転効力発生は、代金支払いのときに生ずるものといたしまして、株式移転の時期を明らかにいたしたものであります。  第五項は、前条第二項の規定による供託代金支払いとの関係を明確にしたものでありまして、株式売買価格供託額をこえないときには、売買価格確定のときに代金支払いがあったものとみなし、売買価格供託額をこえますときには、供託額に相当する部分について支払いがあったものとみなしたものであります。  第六項は、売買価格供託額をこえる場合におきまして、その差額を買い主が支払わないために株主売買を解除いたしましたときには、第二百四条ノ二第一項の株式譲渡につきまして取締役会承認があったものとみなし、株主が当初予定しておりました相手方譲渡し得ることといたしたのであります。  第二百四条ノ五でありますが、株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨の定款定めがあります場合に、株式が競買または公売された後の手続規定したものでありまして、競売または公売により株式を取得した者は、会社に対しまして、書面をもって、競売または公売による取得を承認しないときは株式を買い受けるべき者を指定すべきことを請求することができるものといたしまして、その後の手続等につきまして、譲渡に関する規定所要規定を準用したものであります。  第百七十五条第二項第四号ノ二でございますが、株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨を定款をもって定めることができることにいたしましたのに伴いまして、その定め株式申し込証の記載事項としたものであります。  第百八十七条は、創立総会におきまして定款を変更して株式譲渡につき取締役会承認を要します旨の定めを設ける場合の要件定めたものであります。  第三項は、右の場合には、その決議につきましては、会社設立後にその定めを設ける場合と同数の賛成を必要としたものであります。  第四項は、右の決議に反対しました株式引受人保護のため、その者に株式引き受け取消権を与えたものであります。  第百八十八条第一項は、前条第四項の新設に伴いまして、設立登記期間起算日を明確にいたしたものであります。  第二百二十五条第八号は、株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨を定款をもって定めることができることにしたことに伴いまして、その定め株券記載事項としたものであります。  第三百四十一条ノ三第五号は、株式譲渡につぎまし取締役会承認を要する旨定款定めることができるとしたことに伴いまして、その定め転換社債社債申込証、債券及び社債原簿の記載事項としたものであります。  第三百四十八条は、株式譲渡制限に関する定めのない会社定款を変更して株式譲渡について取締役会承認を要する旨の定めを設けますと、株主の利害に重大な影響を及ぼしますために、決議要件等につきまして特別の規定を設けたものであります。  第一項は、右の定款変更決議には、総株主の過半数の賛成と発行済株式の総数の三分の二以上の賛成を必要として、決議要件を厳格にいたしたものであります。  第二項は、議決権のない株主も、右の決議によって重大な影響を受けますので、その決議について議決権を有するものといたしたものであります。  第三項は、株式譲渡制限に関する定めのない会社転換社債発行しております場合には、転換請求期間内に右の定款変更を行ないますと、転換社債権者利益を害することになりますので、右期間内は右の定款変更はできないものといたしたものであります。  第三百四十九条は、定款を変更いたしまして株式譲渡について取締役会承認を要する旨の定めを設ける決議に反対する株主保護いたしますために、株式の買取請求権を認めたものでございます。  第一項は、右の買取請求権の行使の要件定めたものでありまして、右の決議をなすべき株主総会に先立ちまして、会社に対し、書面をもって、その定めの設定に反対の意思を通知し、かつ、総会におきましてこれに反対しました株主は、会社に対して、自己の有する株式を、決議がなかったとすればその株式の有すべかりし公正な価格をもって買い取るべき旨を請求することができるとしたのであります。  第二項は、右の買取請求につきまして、営業譲渡の場合の買取請求に関します規定所要規定を準用いたしましたものでございます。  第三百五十条は、定款譲渡制限に関する定めのない会社定款を変更して株式譲渡について取締役会承認を要する旨の定めを設けました場合には、従来の株券をそのままにしておきますと、第三者に不測の損害を与えるおそれがありますので、株券回収する手続定めたものであります。  第一項は、右の決議をいたしましたときは、会社は、その決議をした旨、一月を下らない一定期間内に株券会社に提出すべき旨、及びその期間内に提出されない株券は無効となる旨を公告し、かつ、株主及び株主名簿に記載のある質権者には各別に通知しなければならないものとしたのであります。  第二項は、右の定款変更は、前項の期間満了の時にその効力を生ずるものとしたのであります。  第三項は、旧株券を提出することができない者に対する新株券交付の手続定めますために、第三百七十八条の規定を準用いたしたものであります。  第四百八条第四項及び第五項でありますが、株式会社が合併します場合に、合併により消滅する会社株式譲渡制限に関する定めがなく、合併後存続する会社定款株式譲渡について取締役会承認を要する旨の定めがあり、または合併により新設する会社定款にその定めを設けます場合には、消滅会社株主保護しますため、合併承認決議要件等を規定したものでございます。  第四項は、右の場合に、消滅会社における合併承認決議につきましては、第三百四十八条第一項の規定によることといたしたのであります。  第五項は、吸収合併の場合におきまして消滅会社が右の決議をしますのには、存続会社定款株式譲渡について取締役会決議を要する旨の定めがあることを株主に知らせるため、そのことを株主総会招集の通知及び公告の記載事項といたしたものであります。  第四百十条第一号は、新設合併の場合におきまして、新設会社株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨を定めますことは、合併当事会社株主に重大な影響がございますので、その定めを合併契約書の記載事項といたしたものであります。  第四百十二条第一項及び第四百十三条第一項は、第四百十六条の改正に伴いまして、報告総会または創立総会を招集すべき日を明確にいたしたものであります。  第四百十六条は、消滅会社定款株式譲渡制限に関する定めがなく、存続会社定款株主譲渡について取締役会承認を要する旨の定めがあり、または新設会社定款にその定めを設けます場合には、その消滅会社株券回収する必要がございますので、株券の提供に関する第三百五十条第一項及び第三項の規定を準用することといたしたのであります。  第二百十条第四号は、第三百四十九条第一項に株主の買取請求権を規定したことに伴う条文の整理であります。  第三百四十一条ノ四第二項第四号は、第三百四十一条ノ三の改正に伴う条文の整理でございます。  第三百五十一条ないし第三百七十四条は、第三百四十八条から第三百五十条までの改正に伴う条文の整理でございます。  次に、第二の額面株式と無額面株式との変更に関するものであります。  第二百十三条でございますが、現行法には、額面株式と無額面株式との相互の変更を認める規定はございませんが、額面株式と無額面株式とを有する株主は、その双方の株式株券を併合することができませんという不便がございますので、その変更に関し規定したものであります。  第一項は、株主は、このような変更を請求することができることといたしたものであります。ただし、会社の事務上の便宜を考慮しまして、この請求は、会社額面株式と無額面株式とを発行している場合に限るものといたしましたほか、定款で別段の定めをすることもできることといたしました。  第二項は、株主が無額面株式額面株式にすることを請求する場合には、額面株式の額面未満の発行が行なわれたのと同様の結果になることを防止するため、会社の資本が額面株式一株の金額に発行済株式の総数を乗じた額以上であることを要するものといたしたのであります。  第百八十八条第二項第五号でありますが、現行法では発行済株式の額面・無額面の別が登記事項とされておりますが、第二百十三条の改正によりまして、額面株式と無額面株式との変更ができることとなったことと、発行済株式の額面・無額面の別は、登記する実益に乏しいことにかんがみまして、これを登記事項から除くものといたしました。  第二百八十四条ノ二でありますが、第二百十三条の新設規定によりまして額面株式を無額蔵株式とし、または無額面株式額面株式としました場合に、資本に変更を生じないことといたしまして、資本の額を明確にしたものであります。  第二百十四条ないし第二百二十一条は、第二百十三条の規定の新設に伴う整理でございます。  次に、第三点の株式譲渡方式等に関するものであります。  第二百五条は、現行法では、記名株式譲渡は、株券の裏書または株券及び譲渡証書の交付によってすることとされているのでありますが、近時における大量の株式の流通にかんがみまして、譲渡手続を合理化しますため、本条を改めたものであります。  第一項は、株式譲渡につきましては、株券の交付を要することとし、株券の裏書または譲渡証書の交付を要しないことといたしたものであります。  第一項は、前項による譲渡方式の改正に伴いまして、株券の占有者を適法な所持人と推定することといたしたのであります。  第二百二十六条ノ二でありますが、第二百五条の改正によりまして、記名株式移転株券の交付によることとなりますために、記名株式の流通は容易になりますが、その反面、株主が一たん株券を失いますと、その株券について善意取得者が生じて、その株主株主としての権利を失うおそれがあります。そこで、本条において、株式の流通よりもむしろ株式を安全に保持することを望む株主のために、株主株券の所持を欲しない旨を会社に申し出たときは、会社は、株券発行を停止し、または株券を銀行または信託会社に寄託しなければならないものといたしまして、株券の喪失による危険から株主保護することといたしました。  第一項は、株主はその記名株式について会社に右の申し出をすることができる旨を定めたもので、この場合すでに発行された株券があるときは、これを会社に提出しなければならないことといたしました。なお、会社の事務上の便宜を考慮しまして、定款で別段の定めをすることができるものといたしました。  第二項は、第一項の請求がありました場合には、会社は、遅滞なく、株券発行しない旨を株主名簿に記載するか、または株券を銀行または信託会社に寄託し、いずれの措置をとったかを株主通知することを要することといたしたのであります。  第三項は、会社株券発行しない旨を株主名簿に記載しましたときは、会社株券発行することができず、また、第一項後段の規定により会社に提出された株券は無効になる旨を規定したものであります。  第四項は、株券の所持を欲しない旨の申し出をした株主も、後に株式譲渡を欲する場合があるので、そのような場合には、株主株券の交付または返還を請求することができるといたしたのであります。また、会社株券を銀行または信託会社に寄託した場合には、株主会社に対してのみ株券の返還を請求することができるものといたしまして、法律関係の明確化をはかったわけであります。  第五項は、株主の申し出によりまして、会社が銀行または信託会社株券を寄託したときは、その費用は会社の負担として、株主利益保護をはかったものであります。しかし、会社株券発行を停止した場合、株主請求によって株券発行するときは、その発行費用を株主に負担させることができますので、その場合との均衡を考慮して、その費用に相当する額につきましては、会社が銀行または信託会社株券を寄託したときも、会社株主にその支払い請求することができるものといたしました。  第四百九十八条第一項第十六号でございますが、株券の所持を欲しない旨の株主の申し出に関する規定を設けたのに伴いまして、罰則について所要改正を加えたものであります。  第二百二十三条第一項は、第二百二十六条ノ二の新設に伴う条文の整理であります。第二百二十九条は、第二百五条の改正に伴う条文の整理であります。次に、第四点は、議決権の不統一行使に関するものであります。第二百三十九条ノ二でありますが、株主が二個一以上の議決権を有する場合に、これを統一しないで行使することができるか否かについては、現行法上疑問がございます。信託の引き受け等が行なわれまして、法律上の株主とその株式により実質上の利益を受ける者とが異なる場合におきましては、法律上の株主が実質上の利益を受ける者の指図に従って議決権を行使することを可能にするために、議決権の不統一行使を認める必要があります。その他の場合には、議決権の不統一行使を許さなければならないとする必要は必ずしもありませんが、議決権の不統一行使を全く許さないことにいたしますと、かえって株主総会の円滑な運営を阻害する場合も生じ得るわけであります。本条は、右のような見地から、議決権の不統一行使について規定したものであります。  第一項は、株主が二個以上の議決権を有しますときは、議決権を統一しないで行使することができるものとし、この場合には、株主総会の会日から三日前に、書面をもって、議決権を統一しないで行使する旨及びその理由通知しなければならないものといたしました。  第二項は、株主株式の信託を引き受けたこと、その他他人のために株式を有することを理由とする場合を除きまして、会社議決権の不統一行使を拒むことができるものといたしたものであります。  第二百三十九条第六項でございますが、株主が二人以上の代理人を株主総会に出席させることができるか否かにつきましては、現行法上疑問がありますが、第二百三十九条ノ二の新設によりまして議決権の不統一行使が認められるに従いまして、二人以上の代理人の出席ができると解される可能性がありますが、株主総会の円滑な運営をはかりますために、会社株主が二人以上の代理人を総会に出席させることを拒むことができるものといたしたものであります。第百八十条第三項は、第二百三十九条第六項及び第二百三十九条ノ二の新設に伴う条文の整理でございます。第五は、新株発行手続に関するものであります。第二百八十条ノ二の第二項でございますが、現打法におきましては、新株引受権者に対しまして新株発行する場合に限って有利な条件新株発行することができるものとし、また、株主以外の者に新株引受権を与えますには、株主総会特別決議を要するものとして株主保護をはかることといたしております。そのため、新株引受権が付与されたか否かにつきまして疑問が生じ、争いとなる事例があります。しかし、株主にとって重要なことは、株主以外の者に対して有利な価額で新株発行されて株主の経済的利益が害されることでありまして、株主以外の者に対し新株引受権が付与されることではございません。したがいまして、本項を改正して、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもって新株発行するには株主総会特別決議を要することを明らかにいたしたものでございます。  第二百八十条ノ三ノ二でありますが、株主新株発行差止請求権の行使の機会を与えますために、会社は、払込期間の二週間前に、新株発行に関する事項を公告し、または株主通知しなければならないものといたしたのであります。  第二百八十条ノ三ノ三でありますが、第一項は、株主新株の引受権の目的たる株式及び有利発行について株主総会特別決議のあった株式につきましては、株主新株発行差止の請求をする機会を与えることを要しませんので、前条による公告または通知をすることを要しないものといたしたのであります。なお、これらの株式につきまして第二百八十条ノ三の規定を適用しないことといたしましたのは、現行法における同条但し書の規定と同趣旨でございます。  第二項は、株主新株引受権が与えられました場合には、端株の合計数に相当する株式及び失権株につきまして株主を募集することがありますが、これらの株式は通常少数でありますので、この場合には、前条による公告または通知をすることを要しないものといたしたのであります。  第二百八十条ノ二第一項第五号及び第八号でありますが、これは二百八十条ノ二第二項の改正に伴う条文の整理でございます。  第二百八十条ノ三は、第二百八十条ノ三ノ三第一項の新設に伴う条文の整理であります。  第二百八十条ノ十は、第二百八十条ノ二第二項の改正に伴う条文の整理でございます。  次に、第六の新株引受権譲渡に関するものでございます。  第二百八十条ノ二第一項第六号、第七号でございますが、現行法におきましては、新株引受権譲渡は、会社に対してその効力を生じないと解されております。その結果、株主新株引受権が与えられました場合に、その株金の払い込みのための資金を有しませんときは、旧株の譲渡等によって資金を調達するほかはないという不便がございます。そこで、本条におきまして、定款または新株発行に関する取締役会もしくは株主総会決議におきまして、株主に与える新株引受権譲渡ができることを定めることができるものといたしました。なお、この場合には、会社新株引受権証書を発行しなければならないこととなりますが、会社の事務上の便宜を考慮いたしまして、株主請求があるときに限って新株引受権証書を発行する旨を定めることができるものといたしました。  第二百八十条ノ四第二項でありますが、新株の引受権を譲渡することができる旨を定めましたときは、これを公示する必要がありますので、その旨を本条第二項の規定による公告に際しましてあわせて公告することといたしました。  第二百八十条ノ五でありますが、新株の引受権を譲渡することができる旨並びに株主請求がありますときに限って新株引受権証書を発行すること及びその請求をすることができる期間定めましたときは、これを株主に知らせる必要がございますので、その内容を本条第一項の株主に対する通知及び第二項の公告に記載しなければならないことといたしました。  第二百八十条ノ六ノ二でありますが、株主新株引受権譲渡することができる旨を定めましたときは、その譲渡は、有価証券である新株引受権証書によってする必要がありますので、これについて規定したものであります。  第一項は、会社は、申込期日の二週間前に新株引受権証書を発行しなければならないこととしたものであります。ただし、株主請求がありますときに限って新株引受権証書を発行すべき旨及びその請求をすることができる期間定めたときは、その定めに従うことといたしました。  第二項は、新株引受権証書により新株の申し込みに必要な事項を知ることができるように新株引受権証書の記載事項定めたものであります。  第二百八十条ノ六ノ三でありますが、第一項は、株主の有する新株の引受権の譲渡ができることとする場合に、その譲渡が円滑に行なわれますように、新株引受権譲渡は、新株引受権証書の交付によってすることといたしたのであります。  第二項は、新株引受権証書について、株券と同様その占有者を適法な所持人と推定するとともに、その善意取得者を保護するために、所要規定を準用したものであります。  第二百八十条ノ六ノ四でありますが、第一項は、新株引受権証書を発行した場合には、新株引受権譲渡新株引受権証書の交付によってされることとなりますので、この場合の株式の申し込みも新株引受権証書によってすることとし、株式申込証による株式の申し込みに関する規定所要規定を準用いたしたものであります。  第二項は、新株引受権を有する者が新株引受権証書を喪失した場合には、除権判決を得る期間がないと考えられますので、新株引受権証書によらず、株式申込証によって株式の申し込みをすることができることといたしたのであります。しかし、新株引受権証書を取得した者がありまして、その者がその新株引受権証書によって株式の申し込みをしましたときは、株式申込証による申し込みは効力を失うことといたしまして、その間の法律関係を明確にいたしました。  第二百八十条ノ十四でありますが、新株引受権証書を発行する場合につきまして、株金の払い込みの取扱場所に関する所要規定を準用いたしたものであります。  第四百九十八条第一項第九号は、新株引受権証書に関する規定を設けたのに伴いまして、罰則について所要改正を加えたものでございます。  第二百二十二条ノ四、第二百六十六条ノ三第一項、第二百八十条ノ十二は、いずれも新株引受権証書の制度の新設に伴う条文の整理でございます。  第七は、転換社債転換請求に関する点でございます。  第三百四十一条ノ六の第一項は、株主名簿閉鎖期間内の転換請求によりまして株式発行される場合に、このような株式株主もその期間内に開かれる株主総会におきまして議決権を有することといたしますと、その者に対する総会招集通知が必要となる等、会社の事務上の負担を増加し、また、転換社債権者にとりましてもその総会で議決権を行使する必要性は少ないと考えられますので、このような株主は、株主名簿閉鎖期間内は議決権を有しないものといたしたのであります。  第二項は、会社が総会におきまして議決権を行使すべき株主定めますため基準日を定めた場合におきまして、その日後の転換請求により株式発行されましたときは、その株式株主も、株主名簿閉鎖期間内の転換請求により発行された株式株主と同様に、その総会におきましては議決権を有しないものといたしたのであります。  第三百四十一条ノ七でございますが、現行法におきましては、株主名簿閉鎖期間内は、転換社債請求をすることができないことといたしておりますので、転換社債権者にとりましてはその期間内に転換社債転換請求して株式として売却することができないという不便があり、このため外国において転換社債発行するについて支障が生じておるわけでございます。そこで、本条の改正によりまして、株主名簿閉鎖期間内も転換請求をすることができることといたしまして、条文を一条繰り下げたものでございます。  次に、附則でございます。  第一項は、施行期日を定めたものであります。  第二項は、新法の適用に関する原則を定めたものであります。  第三項は、この法律の施行前に行なわれました株式移転または取得につきましては、この法律の施行後もなお旧法第二百五条及び第二百二十九条の規定を適用することにいたしますが、この法律の施行前に株券を取得した者がこの法律施行後株券を占有するときには、適法な所持人と推定されることとしたものであります。  第四項は、この法律の施行前に発行されました株券をこの法律の施行後取得するにつきましては、株券の裏書または株式譲渡を証する書面の整否について調査をしなくとも善意取得の妨げにはならない旨を規定したものであります。  第五項は、この法律の施行の日から二週間以内の日を会日とする株主総会または創立総会における議決権の行使につきましては、二人以上の代理人の出席の拒否及び議決権の不統一行使に関する新法の規定を適用しないものといたしたのであります。  第六項は、この法律の施行前に新株発行決議または株主以外の者に新株引受権を与える旨の決議がありました場合には、その新株発行についてはなお従前の例によることといたしたものであります。  第七項は、商法第二百二十四条ノ三第一項の規定による基準日がこの法律の公布の日前でありますときは、新法第三百四十一条ノ六第二項の規定は適用しないものといたしたのであります。  第八項は、新法第二百四条ノ四第一項及びその準用規定並びに第三百四十九条第二項において準用する第二百四十五条ノ三第三項の規定による株式の価格の決定に関する裁判手続等定めますため、非訟事件手続法に所要改正を加えたものであります。  第九項は、新法第二百四条ノ二から第二百四条ノ五までの規定を設けましたことに伴い、有限会社の社員の持ち分の譲渡について社員総会が承認しない場合等に関する規定を整備する等のため、有限会社法に所要改正を加えたものであります。  第十項は、有限会社法の改正に伴ないまして、経過措置を定めたものでございます。  第十一項は、新法及び附則第七項による改正後の再評価積立金の資本組入に関する法律の規定によりまして株主新株引受権新株引受権証書によって譲渡できる道が開かれたのに伴いまして、外資に関する法律の規定を整理したものでございます。  第十二項は、株式会社の再評価積立金の資本組み入れに伴い新株発行する場合も、商法規定により新株発行する場合と同様、株主新株引受権新株引受権証書によって譲渡する道を開きますため、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律に所要改正を加えたものでございます。  第十三項は、新法第二百四条第一項の改正及び第二百四条ノ二から第二百四条ノ五までの規定の新設に伴いまして、日刊新聞紙の発行目的とする株式会社及び有限会社株式及び持分の譲渡制限等に関する法律を整理いたしますとともに、その不備を補うため、所要改正を加えたものであります。  第十四項は、商法改正に伴いまして、会社更生法の規定を整理したものでございます。  第十五項は、新法により株式譲渡につきまして取締役会承認を要する旨の定めが登記事項となったこと及び第四百十六条の改正に伴いまして、商業登記の手続定めますため、商業登記法の所要改正を加えたものでございます。  以上が商法の一部を改正する法律案につきましての逐条説明でございます。
  9. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、最高裁判所裁判官退職手当特例法案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  10. 松野孝一

    ○松野孝一君 ただいま議題になりました最高裁判所裁判官退職手当特例法案について、ちょっと質問したいと思います。  これは、この特例法案が通れば、弁護士等民間から最高裁判所裁判官になった人に対する退職手当の特例法ができましたから、従来問題になっておったいわゆる民間から入ってくる弁護士あるいはその他の人に対する退職手当の特例法ができましたから、その点はよくなったと思います。ただ、キャリアの裁判官、下級裁判所裁判官をしておった者がずっと最高裁の裁判官になったという者に対しては、従来一般公務員の退職手当法もあるし、それから一般公務員の共済組合の年金制度もあるので、それで大体いいようにも思うのでありますが、それもみな一緒にしてキャリアの裁判官のほうも最高裁の裁判官になると同時に退職されたものと見なしてこの法律を適用するということになっておるようでありますが、下級裁判所からずっと上がってくる裁判官に対して特別にこの法律を適用することにした理由についてちょっと説明していただきたいと思います。
  11. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) 御指摘のとおり、臨時司法制度調査会におきましてその点がいろいろ論議された次第でございます。その結果、臨時司法制度調査会の御意見といたしましては、弁護士から裁判官におなりになった者について退職手当について特別の措置を講ずべきことを考慮するべきものであるという御意見が出されているわけでございます。今回の退職手当の特例法は、提案理由説明にも申しておりますとおり、最高裁判所裁判官の地位の重要性ないしは特殊性、さらにはまた現在までの任用の実情等を勘案いたしまして、最高裁判所裁判官につきまして今回のような特別の支給率を定めることにいたした次第でございます。したがいまして、その考え方からまいりますと、いわゆるただいま仰せのキャリアから参りました最高裁判所裁判官であると、それから弁護士からお入りになった最高裁判所裁判官であると、いずれも同じ支給率で退職手当を差し上げる、こういう考え方になるわけでございます。臨時司法制度調査会におきまして、弁護士から裁判官におなりになった方について何らかの措置を講ずるのが相当であるという御意見の出ましたゆえんのものは、キャリアの裁判官よりも格差をつけて弁護士からおなりになった方を優遇せよという御趣旨とは受け取れないのでございまして、現在の退職手当の制度がいわゆる勤続報償的な考え方で組み立てられておりますので、弁護士からお入りになった方につきましては、おのずから在職の期間が短い関係で退職手当も少なからざるを得ない。たとえば、現在の率で申しますと、弁護士から最高裁判所裁判官におなりになった者が五年おつとめになっておやめになるということになりますと、現在では約百五十万円の退職手当しか差し上げることができないわけでございます。そこで、こういうような実情でございますので、あまりに低過ぎるから何らかの措置を講ずることが必要であるというのが臨時司法制度調査会の御意見であるというふうに私ども伺っているわけでございます。  したがいまして、今回、最高裁判所裁判官の重要性ないしは特殊性等を勘案いたしましてこういうふうな特別の支給率を定めました関係で、在野からお入りになった方につきまして先ほどの例で申しますと、五年間おつとめになったという場合には、今回の計算で参りますと約千万円の退職手当を差し上げることができる、こういうことになっておりますので、臨時司法制度調査会のこの部分に関する趣旨も十分に実現することができた、かように考えているわけでございます。
  12. 松野孝一

    ○松野孝一君 それから、いまは最高裁判所の判事が退職する場合でありますが、臨時司法制度調査会からの答申にもあったと思いますが、弁護士等から、高裁とか地裁とか、それから簡裁に行く者もありましょう。それらを判事に任用することは裁判所法できまっているのですから、それを円滑にするために、それらの人の退職した場合の──あるいは一般の公務員については共済年金制度がありますし、また、最高裁についてはいまのような退職手当法の特例法もできるようになったとすれば、これらに対する待遇問題について何か考えておりますか。
  13. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) 御質問の御趣旨は、最高裁判所にお入りになった者については今回の特例法で手当ができたが、その他の下級裁判所に弁護士からお入りになる方について何か考えているかというお尋ねの御趣旨だと思います。その点につきましては、御承知のとおり、臨時司法制度調査会では、弁護士から裁判官になる者について特別の措置を講ずるようにという提案をされているわけでございまして、特別に最高裁判所裁判官だけを対象にして御意見が出されているわけではないのでございます。ただ、御意見の中に、特に最高裁判所についてそのような問題を解決するのが緊急の問題であるという御趣旨は含まれていると思うのでございます。そこで、最高裁判所裁判官につきまして、今回のような特例を講じたわけでございますが、今回の特例は、先ほども申し上げましたとおり、最高裁判所裁判官の地位の重要性ないしは特殊性ということに着目してこのような特例をつくりましたので、この考え方を直ちに下級裁判所裁判官に及ぼしてくるということば必ずしもできないと考えられるのでございます。そこで、私どもといたしましても、いわゆる在野弁護士の方々の優秀な方々が下級裁判所にもどんどん入っていただくということは非常に望ましいことでございまして、そういうふうな面から申しますれば、臨司の意見に従ってさらにさような何らかの特別の措置というものを考えていかなければならないというふうに考えているわけでございます。そこで、この問題につきましては、今後下級裁判所裁判官の給与体系を考えていく場合に、その重要な一環として退職手当という面につきましてもさらに検討を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。  これはさらに一書つけ加えて御説明させていただきますと、退職手当というものの性格はいろいろ論議されておりますが、たとえば、退職手当というのは、老後の生活の保障であるとか、あるいはまた給与のあと払いであるとか、あるいはまた永年勤続に対する報償であるとか、あるいは在職中の功績に対する報償であるとか、いろいろな考え方があるわけでございます。現在の一般公務員の退職手当法の基本的な考え方は、勤続報償ないしは功績報償的な考え方が中心になっていると思われるのでございます。そういうふうな考え方で申しますと、裁判官になる前の職歴が下級裁判所裁判官であろうとあるいは在野の弁護士の方であろうと、勤続期間に対する報償という面では、やはり裁判官としての勤続期間が中心にならざるを得ない。それから功績の報償という面から見ましても、やはり同じようなことになるわけであります。さらにはまた、かりに老後の生活の保障という面を考えてみましても、裁判官をおやめになる場合に、弁護士から来られた方については特別に保障しなければならぬ、あるいはいわゆるキャリアの裁判官の場合にはそれと違った待遇でいいというふうな考え方は非常に出にくいのでございまして、従来の退職手当制度というものの考え方から申しますと、いま仰せのような弁護士から下級裁判所裁判官におなりになった方についてそれだけを取り上げて特別の退職手当の制度を積み上げていくということには非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、将来、下級裁判所裁判官の給与体系を検討いたしてまいります場合に、その重要な一環としてこの問題もさらに検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  14. 松野孝一

    ○松野孝一君 臨時司法制度調査会の答申をちょっと見ますと、いまお話しのように、下級裁判所裁判官に弁護士から採用するという場合に、その裁判官が退職する場合における退職手当とかあるいはまた年金とかいうものを支給するにあたって、弁護士である間の期間を年金等の算定する期間に通算するということは非常にむずかしいこととは思うけれどもいまもちょっといろいろ実施されておるよりでありますが、弁護士のいわゆる共済組合法か、そういうものをつくって、両者通算して支給するという制度も出ておるように見ましたが、それらについて何か特別に研究しておりませんか。
  15. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) 御指摘のとおり、臨時司法制度調査会におきましては、弁護士から裁判官におなりになった方々の退職後の処遇につきまして、退職手当の問題と、それから退職年金制度の問題と、両方を提案されているわけでございます。ただいま御指摘の退職後の年金の問題でございますが、これは、御承知のとおり、以前には、公務員が退職いたしました場合には恩給が支給される、かようなことになっておりましたが、現在では、これが共済組合の年金に切りかえられているわけでございまして、いわゆる共済組織による保険数理に基づく相互扶助と申しますか、社会保障の形になっているわけでございます。したがいまして、これに要する経費も、本人が四〇数%負担するという共済組織になっているわけでございます。そこで、弁護士から裁判官におなりになって新しくこの共済組合の組合員におなりになったという方につきまして、従来組合員でなかった期間、したがって、組合の掛け金もしていらっしゃらないその期間を年金の支出のほうについてだけ計算に人れていくということは非常にむずかしい問題でございます。  したがいまして、臨時司法制度調査会でもこの点はいろいろ論議がされたように承っておりますが、結局は、ただいま御指摘のとおり、弁護士会自体に何かこういう共済年金的な組織を公的なものとしておつくりになって、それと公務員の共済組織とを連絡させていくということがあるいは最も妥当な方法ということになるのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、現在まで研究をしておりますが、まだここで御報告申し上げるような段階まで至っておりません。さらにこういう方面につきまして慎重に検討を続けてまいりたい、かよりに考えております。
  16. 松野孝一

    ○松野孝一君 臨時司法制度調査会のできた趣旨、あるいは答申の趣旨にもかんがみ、また、裁判所法にも、弁護士を何年すれば裁判官になれる、あるいは検察官になれるというようなこともありますので、これはまあ検察庁法でありますから別にしますが、とにかく民間から裁判官を採るということは非常に重要な問題だと思いますので、ぜひともその点を早急に研究していただきたいと思います。  それから、ちょっと簡単でいいですから、ここに最高裁判所裁判官退職手当特例法の第二条に「百分の六百五十を乗じて得た額とする。」という理由について説明してもらいたい。
  17. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) 支給率を百分の六百五十と定めました理由でございますが、これは、先ほども御説明申し上げましたとおり、最高裁判所裁判官の地位の重要性、特殊性ということにかんがみまして特別の退職手当を支給するという考え方から申しますと、退職手当ができるならばなるべく高いほうがいい、こういうことになるわけでございますが、退職手当と申します以上、おのずから何らかの限度があるはずでございます。また、財政面の配慮も無視するわけにはいかないわけでございます。それらの要素を勘案いたしまして百分の六百五十という数に到達いたしました次第で、必ずしも厳密な数学的な計算に基づいてこの百分の六百五十という数が出たわけではないのでございます。しかしながら、考え方をちょっと御説明いたしますと、従来最高裁判所におつとめになりまして退職された裁判官の勤続年数を統計的に見ますと、平均七年余りという数字になっているわけでございます。そこで、七年で退職手当の最高限度の支給ということにかりに定めますと、平均の勤続期間以上おっとめになった力の平均以上の在職期間が退職手当に加味されないという結果になってし、まいますので、平均在職期間よりは長くこれを考えていくのが妥当ではなかろうかというふうな考え方になるわけでございます。そこで、それでは長い方はどれほどおっとめになっているかということを従来の実績を見ますと、十年をこえる在職期間におなりになった方々は二割に満たないというような状況でこざいます。そこで、私どもといたしましては、まず勤続期間十年で最高限度の退職手当の額に達ずるということが妥当な線ではなかろうかというふうに考えるわけであります。御承知のとおり、最高裁判所裁判官には任期の定めはございませんけれども、十年ごとに国民審査を受けるということになっておりまして、やはり十年間の在職期間というのが一つの基準になっているというふうに考えることもできるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。そこで、十年間おつとめになって最高額に達するという場合にはどういうふうな率になるかということを逆算してまいりますと、ただいま法案に載せてございますような百分の六百五十という数になるわけでございます。そのような次第で、必ずしも厳密な数学的な一算に基づいたものではございませんけれども、以上のような考え方から百分の六百五十というところが妥当であろうというところに落ち着いた次第でございます。
  18. 松野孝一

    ○松野孝一君 ちょっとわかったようなわからないようなところでありますけれども、国民審査によって最高裁の裁判官が罷免されることがあった場合、あるいはまた、弾劾裁判所等によって罷免されるということがあった場合には、これは適用されないのですね。ちょっとその点を伺っておきたい。
  19. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) いまは、退職したにもかかわらず退職手当を支給しないという場合についてのお尋ねと存じます。これは、現行法では、一般の国家公務員等退職手当法におきましてその八条の第一項に支給しない場合が掲げられているわけでございます。その規定の適用によって支給しない場合が定められていたわけでございますが、今回の特例法におきましても、一般の退職手当法の八条の一項を準用しておりますので、支給しない場合については従来と同じでございます。  そこで、お尋ねの中の国民審査の問題でございますが、これは、裁判官が非行を犯した、あるいは非違があったということで罷免されるわけではないので、国民が必ずしも適任と考えなかったということで罷免される、こういうことでございますから、懲戒によって罷免されたというような場合とは違うわけでございます。したがいまして、国民審査の結果退職されるという場合には、退職手当を支給しないという場合には当たらない、したがって支給するという、こういうふうな従来の解釈になっておりまして、特例法につきましてもこの点は同じと考えております。
  20. 松野孝一

    ○松野孝一君 終わります。
  21. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
  22. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、検察及び裁判運営等に関する調査議題とし、まず、選挙違反事件に関する件について調査を行ないます。亀田君。
  23. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は新潟の昨年の知事選挙に伴う非常に注目されておる問題につきましてお尋ねを若干いたしたいと思います。  せんだって予算委員会においてもお尋ねをいたしましたが、時間がございませんので、十分な質疑はできておりません。その後、私、新潟にも一度参ったわけでありますが、本件に関して特に新潟では非常な関心が持たれておることをあらためて私としては痛感したわけであります。そういう立場から、どうも今回の塚田前知事の選挙違反に関する検察庁の扱いというものが何か不明朗なものがあるのではないかということを感ずるわけです。これは新聞等でも、当時はっきりしていたことですが、新潟の検事正はじめ、本件は十分起訴できる事件であるという立場から、年末の休みなり日曜日までも返上して第一線の検察官たちが一団となって捜査を続けた問題であります。で、県民といたしましても、少なくとも二月中にはきちんとした結論が出るだろうというのが一般の期待でありました。しかし、それがだんだん延びていく。そのうちに、ともかく上のほうからは、もう少し足らない捜査がある、補充捜査を命令されるといったようなこと、しかし、地元の検察庁としては、もう十分やり尽くしたはずだというふうな態度のようにわれわれとしては伝わってくるわけであります。その間にいろいろな政治家の発言等がまざっておる。こういうことで、この事件を政治的に扱っておるという印象をぬぐい切れないわけでありますが、総理大臣なり法務大臣は、一応はそういうことはないというふうに予算委員会等では言われておりますが、それならば、なぜこれだけ注目しておる問題について時間がこれ以上かかるのか、そういう点についてもう少しはっきり御説明を願いたいと思うわけです。どうですか。
  24. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題は、何度もお尋ねを受け、何度も同じような御返事を私はしておるわけでございます。というのは、私の態度、立場が一つも変わらないものですから、変わった御返事ができないわけでございます。これは、告発されまして以来、新潟の地方検察庁のほうで鋭意捜査を続けておるということを承知しておる立場で、それがいつ結論を得るかということは、私はそれにまかしてある状態で、検察方面のことは検察方面にまかしておるわけでございます。いつまでにやれ、早くやれ、ゆっくりやれとか言うような指図もしなければ、また、どうなっておるかというようなことを聞くことも、ある意味においてはそれが指図がましいことになるおそれもあるんじゃないか、さように思うのでございます。いろいろこの問題はあれやこれやととかくのうわさを生むわけで、いまのお話の中にも出てくるように、あなたが新潟においでになってお聞きになると、検察当局では当然のようにこれはちゃんと有罪になるというか、その方向でやっておる、だがだんだんと様子が変わってきたというようなふうにうわさも出ておる。そういうのもうわさであると思います。また、途中でよく話が出ました、何の何がしがどう言うた、こう言うたというようなことも、私は、そう言われて、ああそういううわさも出ているのかなと初めて聞いたくらいでございますが、まあ言うたか言わぬか知りませんが、次から次に、こういうことというものは、ちらっとだれか言いますと、それがまことしやかにうわさになるものでございますから、私どもの言動というものは非常に注意深くやらなくちゃならないと思って、この問題には私はじっといつもお答えしておるように決定を待っておる。静かに待っておる。おそらくまあ近くこれの決定があるのであろうというような心持ちで待っておるという程度のことまでしかいつも申し上げておりません。また、さっき、二月ごろにはきまるのじゃなかろうかとおっしゃいましたが、私どもも、何かそのころにあるのかしらんと思って、一月、二月ごろにもう近くあるんじゃないかというような、それに近いような私も同じような心持ちで御返事したようなこともあったと思うのでありますが、それも何の理由があるわけでもございませんし、もうだんだん調査も進んでいけば早く決定するであろうというようなことのまあ皆さん方と同じような心持ちで待っておるというような意味でございます。これに対しまして、総理大臣も私も、たびたび申しておりますように、特にこういう問題にはお互いに言動を慎まなくてはならないということを注意しておるわけでございます。総理からもいろいろなことを言われておるわけではありませんし、私もこの間参議院の予算委員会でも聞かれましたけれども、指図がましいような行動はとりませんということを申し上げましたが、そのつもりでじっとして待っておるわけでございますから、一体どういうふうにして進んでおるかということも私は聞いておりませんから、状況はわかりません。  刑事局長がここにおりますから、このほうがもう少し情勢を知っておるので、刑事局長からお答えさせます。
  25. 亀田得治

    ○亀田得治君 先に説明があったら、一応知っているだけ全部言うてください。
  26. 津田實

    政府委員(津田實君) この事件は、すでに大臣が申しましたように、しばしば国会の御質問を受けておりますので、事件そのものにつきましては、告発から起きた事件である、それについて捜査をいたしたということでございまして、新潟地検で捜査をいたしました結果をもたらしまして、東京高等検察庁において検討いたしました結果、さらに補充捜査並びに問題点の検討を要する点があるということで、さらに新潟地検でその補充捜査並びに問題点の検討をいたしたわけでございます。  そこで、現段階におきましては、それも大体において終わりに近づいているというふうに考えられますので、おそらく日ならずして処分がなされるというふうに考えている次第でございます。
  27. 亀田得治

    ○亀田得治君 事件の中身に入りますと、捜査中だからごかんべん願いたいというふうにあなたのほうはお答えになりますから、できるだけ事件の中身には入らないようにいたしますが、しかし、全然入らないのではこれはもう質問ができないわけです。そういうつもりでひとつ聞いてもらいたいわけですが、これは、新潟地検が捜査を終えて、そうしてあとはもう高検の指示を待つだけだという立場で一件書類を持って上京されたのはいつですか。これは新聞等にも出ているのですが、まあ確かめたいわけです。
  28. 津田實

    政府委員(津田實君) 私も正確に覚えておりませんが、二月の上旬であったかと思うのであります。ただし、捜査を終えて一件書類を携帯してということはないようでありまして、もちろん、中間報告をし、中間においての相談をいたしたということでございます。
  29. 亀田得治

    ○亀田得治君 新聞によると、もう自分らはやることはすべてやったんだ、あとはもう上の指示を待つばかりだ、その判断についてはまないたの上のコイみたいなものだ、そういうふうな意味のことを検事正も当時言われているわけなんです。やるだけのことはやったと。そうすると、あとは高検なり最高検がどういう指示をするかということにかかっているというふうに、われわれも、新聞記事だけじゃなしに、党の調査団が行ってお会いしたりいろいろな感じからそういうふうに受けているわけなんです。  ところが、その後なかなかそれが進まない。そうして、何か捜査の足らないところがあるからこの部分をもっと調べろというふうに指示もされているようでありますが、外部から見ると、なにか引き延ばすためにそういう指示を与えているような印象もあるわけなんです、率直に言いまして。そういう、人のやることですから、足らんところがあるといえば、これはいくらでも続くわけです。だから、一体どういう点についての補充捜査を指示されたのか。地元の伊尾検事正も、なかなかこれは頭も鋭い人で、私は、あれだけの大事件ですから、ミスがあってはいかないということでおそらく十分な体制を持った捜査をやられたと思うのです。それに対して、この点が抜けているから補充しろというふうに言われたというのですが、一体、どことどこをそういうふうな指示をされたのか、明らかにしてほしい。どうなんでしょう。
  30. 津田實

    政府委員(津田實君) 第一線の地方検察庁以下の検察庁におきまして捜査をいたしました場合、もちろん地元の検事正の判断によりまして起訴、不起訴を決定することは当然でございます。しかしながら、事件によりましては、高等検察庁に、あるいは場合によりましては最高検察庁にしばしば検討を依頼し、あるいは相談をするということは、これは検察庁が最高検察庁を頂点とする組織でありますので、これは当然さようなことになっているわけであります。したがいまして、この事件につきまして、現地検事正がみずからの判断をきめるしにおいて、あるいはみずからの捜査の結果を示しまして判断を求める上において、必要であると思って高等検察庁に参りまして相談をいたしたものというふうに私どもは考えているわけでございます。従来、この事件ではございませんが、重要事件につきましては、さような場合において、高等検察庁あるいは場合によっては最高検察庁が補充捜査あるいはその他法律問題の検討を命ずるということは、これはしばしばあることなんでありまして、そのために何回も高等検察庁あるいは最高検察庁へ足を運ぶというような事件もあったことは御承知のとおりでございます。したがって、この事件がまさにそれの例外ではないのでありまして、すなわち、その種の事件であるというわけでございます。  そこで、ただいまのお尋ねは、どの点の補充捜査を命じたかということでございますが、これは現実には私は存じません。存じておりませんし、また、その点につきましては、これはやはり捜査中でありますので申し上げかねる次第であると思いますが、現実に私は承知いたしておりません。
  31. 亀田得治

    ○亀田得治君 どうせ基本的な犯罪の成否に重要な関係を持っておる点などについては、これはあれだけの事件ですから、第一線の地検が十分私はやっていると思います。まさかそういう点に大きな欠陥があるというふうには私は想像していないのです。おそらく、まあわきの、ほんとうの意味での補充的なものだろうと思うのです。しかし、この補充捜査を命じておるということがずっと新聞等にも伝わりまして、これは非常にやっぱり関心を持たれておるわけなんです。だから、そんな補充捜査はあとからでもできる場合もありますしね、ものによっては。だから、その中身をわれわれとしても知りたいわけなんです。皆さんはことさらに延ばしておるのじゃないと言われますから、ほんとうにそうかどうかというのは、その補充捜査の中身というものがやっぱり一番大きなわれわれの判断の基準になるわけなんです。そういう意味でこれはお聞きしておるわけですよ。で、一体幾つぐらいそういう問題点を指摘されておるのか、個数ぐらいははっきり言えるでしょう。
  32. 津田實

    政府委員(津田實君) その指摘された補充捜査の点、検討をすべき問題点というのを、現実に私は承知いたしておりません。したがいまして、その個数はわからないわけでありまするけれども、いま仰せられました簡単な事柄であるというような事柄とは違うというふうに私は判断いたします。やはり非常な重要な問題点についての補充捜査が必要である。結論を出すには必要である意味の補充捜査である。まあ理屈を申しますれば、起訴、不起訴がきまった後に補充捜査をする──きまったと申しますか、起訴、不起訴の処分をしてから後に補充捜査をするというのはこれは常道ではないことは当然でありますが、その意味は別といたしましても、やはり重要な問題点に影響のある事項というふうに私は承知しておるわけでございます。
  33. 亀田得治

    ○亀田得治君 重要な問題点に影響のあることとして承知しておると言われますが、中身はあなた御存じなんですか。知っておられるようなおられないような、はっきりしない前段のお答えでありましたが、あとのほうのお答えだと、何か知っておられるような印象も受けたんですが、それはどうなんでしょう。
  34. 津田實

    政府委員(津田實君) 先ほど来申し上げておりますように、現実に私は承知しておらぬことは、ただいまも申し上げたとおりでございます。しかしながら、一々具体的な事項については承知いたしませんが、重要な事項について問題点があるので補充捜査を命じたという報告は受けております。したがいまして、重要な問題点ということは申し上げられるわけであります。
  35. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはひとつ調べてください、そんな重要である中身はどういうことなんだかね。いま任意捜査でやっているわけだし、この逮捕の関係等も一応済んでいるわけですし、それによって捜査が妨害されるとか、そういう段階じゃなかろうと思うのです。それほど重要なことなら、双方に専門家がついてやっているわけだし、これは当然予想もできることですしね。だから、単に抽象的に重要な点についての補充捜査をやっているというふうに聞いているというのじゃなしに、その中身をやはり調べてもらって、差しつかえない程度にやはりわれわれにも報告してほしい。そうでなきゃ了承ができないわけなんです。ともかく、なんでしょう、この捜査の過程においては、県会の開会中に四名の県会議員を逮捕しているわけでしょう。これはなかなか異常な強い決意で検察庁は臨んでおるわけなんです。だから、それだけのことをやって、あと何も出てこない、そんなことで検察官が想像していたら、そんなことやれるものじゃない。また、それだけの手を打てば、重要な問題点についてはそれは当然調べを進めておりますよ、おそらく。重要な点について一つの大きな穴があいていた、そんな捜査をもし伊尾検事正はじめやっていたとしたら、そのこと自体、私は検察の威信を落とすものだと思う。だから、補充捜査を命じておるというのは、どうもわれわれとしてはこれは引き延ばしのような感じを受けておるのですが、そうではないというのであれば、重要だ重要だという抽象的なことでなしに、ある程度具体的に私たちに御説明願わないと、これはちょっと納得がいかぬわけです。お調べ願えますか。
  36. 津田實

    政府委員(津田實君) 先ほども大臣が申しましたように、この種の事件と申しまするか、いろいろ問題がある事件につきましては、当然のことでありますが、どういうところが問題点だということをこちらから要求して報告を求めることは、なかなかこれは検察権に対し影響があるのではないかという問題をも含んでおりますので、これは私どもとしても非常に慎重な態度をとっておるわけであります。したがいまして、ただいまの御質問の事柄が、はたして問題点について報告を受けまして本件について差しつかえがないものであるかどうかということは、やはり一応慎重に検討させていただきたいと思うのであります。その上で私どもといたしまして問題点の調査を、調査と申しまするか、報告を受けることにいたしたいというふうに考える次第でございます。  重要な問題点と申しましても、それは現地の検察官が間違いなくやっておるではないかということで現地の検察官を非常に御情用いただいていることはまことに私どもとしてはありがたいことでございまするけれども、御承知のとおり、いろいろな事件を見ますると、やはり十分検討したといっても、裁判所で無罪になるというケースがかなり出てまいっておるわけであります。そういう意味におきまして、やはり個々の事件につきましてはそれぞれ慎重な検討を要することは当然でございます。したがって、その事件についての有罪の得られるかどうかという問題点につきましてはいささかの点もこれはゆるがせにできないわけでありますので、そういう意味におきましての検討は十分尽くすべきである。したがって、現地の検察庁が判断いたしましても、さらにこれを上から見ました場合、あるいは第三者として冷静に判断いたしました場合に、問題点についての検討が不足である、あるいは証拠の点において不足であるということがやはり起こり得るわけでございますので、そういうことはしばしばこれは上級検察官庁においてなされるわけでございます。
  37. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ抽象的に同じことをやりとりしましても前進がないと思うのです。で、一応刑事局長のほうで重要な点についての補充捜査をやっておるように報告を受けたと言われるんだが、それを検討してみてください。これは国会の要求なんですから。その結果によって、それを委員会でそのまま言える内容のものであるのかないのかということが出てくるわけでありますから、その検討もされないというのは私ははなはだ遺憾と思うのです。検討されるようにおっしゃっておりますから、その検討の結果を私は待ちたいと思います。  それから次に法務大臣にお聞きしたいのは、この事件は、荒筋はもう大臣も新聞等でよく御承知されておると思います。ともかく、知事選挙の前に塚田知事が自民党の県会議員の諸君に二十万円ずつ渡したと、こういう案件なんですね。私はこういう事件の扱いはきわめて大きな影響を及ぼすと思うのです、検察庁の処理のしかたいかんによって。それで、ともかく適当な名目をつけて言いのがれておけばもうそれで通るんだということにこれがもしなってごらんなさい、たいへんなことになりますよ、たいへんなことに。私は、新潟の地検なりあるいは新潟の県民の皆さんが非常に注目をしておるのも、やはりそういう選挙の基本に触れる問題だということでやはりこれは心配しているのだと思います。金が動いた事実も、これを動かした人自身も、受け取った人自身も、これは認めておるわけでしてね。事実の筋というものはもうはっきりしておるわけなんだ。あとは、解釈、受け取り方、考え方、そういうものにしぼられてきておるわけです。もちろん、いつ渡したか、渡したときには対立候補との関係はどうであったか、こういうこまかい点は検察庁ですでにお調べのはずです。われわれのほうの諸君も検察庁に呼ばれてそういったような点の調べも受けております。そうすると、やはりその経過を振り返って見ましても、吉浦候補が立候補を決意したその後にこういう金が動いたことも、これは時間的にはっきり出ておる、今日ではね。それをどう見るかということなんでしょう、問題は。私は、これは法務大臣はタッチしないタッチしないと言われますけれども、それこそ正しい意味でこれはタッチすべき問題じゃなかろうかと実は逆に考えるのです。日本では、指揮権の発動というと、つぶすことばかりを指揮権と思っておる、事件をつぶすことを。そうではなしに、世論全体をながめて、そしてまた、選挙をきれいにしていく、りっぱなものにしていくという立場から見て放置できないという場合には、もっと積極的にかまえるべきではないか。そういう立場からの指揮権というものも当然私はこれはなきやらぬと思う。また、そういうことはされていると思うんですね。重要な、世間が何とかやってほしいと思っておる事件については、タッチされておるはずです。まず、その点からちょっとお聞きしたいと思うのです。その指揮権という問題について、法務大臣は、ともかくもうさわらぬのだ、さわらぬのだと。これじゃ私はおかしいと思うわけでありまして、悪い発動は困りますけれども、いい方面の発動は、これはやらなきゃならぬ場合もあるんじゃないですか。どうなんでしょう、基本的な気持ちをひとつ……。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) なかなか重大な御発言だと思うのでございますが、刑事問題になったものを、これが世の中に及ぼす影響が大だというので、これに一々先頭に立って私が指図をするというようなことは、少しく法務大臣としては越権過ぎるのじゃないか。法を守る立場におる者としては、やっぱり第一番には法治国として法を守るということに私は徹すべきものだと思います。それには、一番先頭に立って仕事をしております私どものほうの検察庁がこれを受けて告発をし、事件として扱っておるのでありますから、これは厳正な態度でこれに臨んでおる。そして、いままで長く、こんなに長くかかって何を調べておるんだとおっしゃるほどいろいろな点を調べておるわけでございますから、そうやって結論を出すというものにこうしろああしろという指図をするものは、私はそうすべきものじゃない。そういうところにまかして、厳正な立場でしっかりやれという心持ちは無言のうちに一そうことをまかしておることが無言にその方向を示しておるものだと私は思っておる。そうして、りっぱに検察庁が法を守ってくれることを私は期待しておるわけでございます。
  39. 亀田得治

    ○亀田得治君 基本的には、大臣がおっしゃる態度で私はいいと思うんです。これはもう職責上、検察庁が不偏不党の立場で処理していく、こういうことになっておるわけですから。ただ、法を守るといっても、最後は結局国民の協力、気持ちというものがそういうふうに向いてこなきゃいけぬわけでしょう。したがって、やはり国民の意思を無視してりっぱな法治国家というのは私は成り立つものじゃないと思うのです。で、そういう立場から、法務大臣は絶えず世論の動きとかそういうものをやはり見ておるべきじゃないか。単に、単なる法技術的な面からだけの検討ということでは私は足らぬと思います。それは、もちろん、最高検にしたって、そういう技術的な面だけじゃなしに、いろんなほかの社会的な政治的な面等も考慮して大所高所から判断されると思います。しかし、それでも足らぬ場合もあるわけでしょう、足らぬ場合も。だから、そういう場合には、法務大臣としてはそれにタッチしていくということが検察庁法でも私は許されておる事柄だと思うんですが、いかなる場合にもノータッチでおるということは、私はこれはもう逆に何か勘ぐられる、悪く勘ぐられるの、じゃないかというふうに思うんですが、どうでしょう。
  40. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ある方面からはこうしろ、ある方面からはこうするほうが正しいというようないろんな意見が、どういう問題にもぼくはあると思うのであります。それで、こういう声が強いからその声に従ってやるというようなことを年じゅう考えてやっておると、ともすれば問題は貝殻追放みたいなことになるおそれが私はあると思うのであります。やっぱり日本は法治国だという考えであれば、考えじゃない、そうである以上は、やっぱり法というものを厳守してそれをしっかりやれということで私はそこの座にすわっておるということが一番大事なことだと私はどうしても思っておるのであります。
  41. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ原則論を私が何も全然否定しておるわけでもないわけでして、必要な場合にはやはり高い立場から法務大臣が動くということが私はあってもいいと思うのです。その動き方の中身だと思うのですね。そんなら検察庁法十四条なんていうものは要らないわけだ、逆に。だから、そういう高い指導をむしろ認めておるのが私は現在の法制だと思う。そういう意味でお聞きしておるわけですが、どうも目の前にある具体的な事件が頭の中にあるもん、だから、できるだけそれにはタッチしないのだというふうな気持ちで大臣はお答えになりたいものだから、どうも筋の通った話が逆にうまくいかぬのですが、その点は一つの理論闘争になりますからこの程度にいたしておきますが、それじゃ、大臣は、この件について、たとえば田中幹事長とかそういう与党のえらい人からお話を聞いたことはありませんか。
  42. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題ですか。
  43. 亀田得治

    ○亀田得治君 ええ、この問題について。
  44. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題について、どうしてくれ、こうしてくれということを頼まれたことはありません。
  45. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は当然あり得ることじゃないかと思っているんですよ、そういうことは。ともかく法は国民全体の力で守っていくわけですから、非常に重要な政党にとっての問題が出てきた場合に、私は当然党の責任者が法務大臣に自分の見解を言うということはあり得ると思うのです。ただ、そういうことがあった場合に、それをどう判断するのか、これが私は法務大臣としてのなかなかむずかしい立場なんだと思うのです。お話が全然ないというようなことを言われますけれども、それは、どうしてくれ、ああしてくれという要請はなかったというふうにいま言われましたが、私は当然お話ぐらいはあるものだと思うんです。また、われわれ党のほうとしても、選挙という立場から考えて、法務大臣には言ったかどうか知りませんが、高検なり最高検なり地検にはやはり国民の気持ちを伝えるという意味で言っているわけなんですね。私はそういうことは当然あり得ることだと思うのですが、そういうお話等もないというんだと、ちょっとおかしいのですがね。どうなんです。
  46. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ことばが足りなかったかわかりませんが、この問題についてどうしてくれ、こうしてくれということを頼まれたことがないという意味のことを申し上げたのでありまして、話はいくらでも出ます。これはあなた方があれほど質問される問題でございますから、そのたびに話は年じゅう出ております。
  47. 亀田得治

    ○亀田得治君 したがって、当然私は高検なり最高検を通じて取り調べの実態というようなものもある程度聞いておられると思うんですね。刑事局長はあまりそういうことを知らぬようなお話でありますが、その点はどうなんでしょうか。
  48. 津田實

    政府委員(津田實君) 全部の事件について一線から報告があるわけではありませんが、少なくともこのような事件については、もちろん事件が受理されたときに報告がございます。その後捜査の進展につきまして国会においてしばしば御質問があるわけでありますので、その必要のつど現状はどの辺までいっておるかということについて刑事局から最高検察庁に問い合わせをする、こういうことにはいたしておりますが、しかしながら、御承知のように、一般的には、受理をした報告と今度は処分報告としかとらないたてまえになっております。したがいまして、随時最高検察庁のほうから法務省刑事局に事件の捜査の進展状況について報告のあることは、これはございますわけでありますが、本件につきましてもちろん内容自体についてこちらから御質問のつど現在どうなっておるかという程度の問い合わせばいたしておりますが、こういう捜査をしておって、これがこういうことを言っておって、これがこうであるという内容につきましては全然報告を受けておらない次第でございます。たとえば、家宅捜索をしたとか、あるいは塚田前知事を何回取り調べたとかいう外形的事実については最高検察庁を通じて報告は受けております。したがいまして、その報告がありました結果をまとめまして大臣に御報告いたすことはこれは当然でありますので、それはいたしておりますが、全部最高検察庁と大臣との間は私のほうを通じていたしているわけでございます。
  49. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあそれだけ交流があれば、これは刑事局長も専門家ですから、大体全貌というものはつかんでおられる。あなたがつかんでおられる、これは大臣も大体つかんでおられるというふうにわれわれとしては解釈できるわけなんです。  そこで、こまかいことは抜きにして、法務大臣のひとつ選挙という問題に対する考え方をお聞きしておきたいのですが、それは選挙制度調査会等でも選挙運動のやり方についていろんな意見が出ておると私も承知しておりますが一つの問題点としては、戸別訪問とか文書違反とか、こういったようなものはもう取り締まり対象からはずしてしまえ。そうして、ともかく実質犯ですね、金で良心を動かしていく、これはもう選挙の一番重要なところです。これがくずれたら、これは民主的な政治の土台がくずれることになるわけでして、それはそのかわりにうんと強く処理していけ。イギリスなどはそういうふうなやり方ですね。非常にきびしい、その点については。しかし、戸別訪問等は一切自由。政治家が自分の知った人に、自分の考え方に同調してくれと頼みに行くのはあたりまえだ、政治家にしゃべることを拘束するようなことはもともと間違いであるというふうな徹底した考え方なんですね。だから、そういう立場からの選挙法の改正意見というものが出ておる。まあ党の立場は別として、私個人の考えから言いますと、いつも私はむしろそのほうがほんとうだというふうに思っておるくらいなんです。これは、ちょっとした形式犯等でひっかかった事件の弁護等をしたりしてますますそういうことを感ずるわけです。ひっかからぬ人はだだうまくひっかからないということなんでありまして、選挙運動というものは、とにかくできるだけ人に会って同調を求める、このことを前提にしておるわけです。私の個人的な意見ですが、しかし、これは個人的な意見というよりも、そういう考え方は相当強いわけです。ただ、その反面、実質犯については、これは送挙制度の根本をくずす、腐敗させるものであるということで、これはもう一致してその点については世間はどの派を問わずやかましいわけです。で、ここは私は法務大臣としてのたとえば本件のような問題についてどういう態度をとるかということに関係してくると思いますので、そういう選挙法の問題点について私がいま指摘した問題点について大臣としては平素どういうふうにお考えになっておるか、大まかな基本的な考え方だけを聞かしてほしい。
  50. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) いまの選挙法の上におきましてはみんな禁止されているような問題でございますが、その中でも特に金銭が横行するという問題は、これは厳重に取り締まるべき問題でございます。その点においてば私は全面的に賛成でございます。あとの問題は、これはいろいろな意見もあるでございましょう。選挙法の改正問題みたいになりますが、戸別訪問等は、まだやめるには早過ぎるとか、もうやめてもいいとか、いろいろな意見があるだろうと思いますか、これはあとの問題といたしまして、本問題にも関連しての心持ちとしてお尋ねになりまする金銭に関連するような選挙違反であれば、特に金の問題は厳重に取り締まるというように私は今後ともどの選挙においても大きく取り上げていかなくちゃならぬ、こういうふうに思います。
  51. 亀田得治

    ○亀田得治君 基本的な大臣の考えを聞きまして、私も非常に共鳴を覚えるわけであります。それで、そういう基本的な考えを持っておられるとすれば、この新潟の二十万円事件というものについては、私はこれはもっと前向きで考えてもらいたいと思っているんです。これは検察側としては私は十分な証拠調べをやられたというふうに想像しております。それでもなおかつ完全なことを言えば、どんな事件だってやはりそういう危惧というものは若干残るわけでして、そこにまた裁判の必要性があるわけなんです。そういう完全なことを求める必要はない。とにかく、こういう問題について裁判所がどう考えるのかということの判断をやはり一応求めてみるべきだというふうに考えるんです。事実ははっきりしておる、事実は。はっきり過ぎるくらい。関係者がみんな認めているのですから。解釈において若干言い分が違う、それだけのことなんです。本人が否定しても、客観的にそういうことは選挙と無関係というふうにはとれない。裁判官がそういう判断をすればそれで有罪になっていくわけですね。
  52. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は、いま言った問題と新潟の知事の今度の事件と右左に結びつく問題ではないわけでありまして、それだからこの間の問題は当然有罪であるとかなんとかといりのは、これは鋭意捜査中の問題で、捜査がどういうことになっておるか、どういうことになるか、内容はどう進んでおるかわからないわけでございますから、当然それが有罪であるかどうかということはこれは別問題にしていただきたいと思います。私はいまのような選挙取り締まりの方向としてはそうあるべきだというふうに言っておりますので、そこにけじめを置いていただきたいと思います。
  53. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはわかります。一つの抽象的な論議として先ほど大臣のお考えを言われた、これは私もそういうふうに聞いております。ところが、たとえば労働組合が、従来、メーデーなりあるいはいろんな動員の際に、三百円とか五百円とか日当を出す習慣があったわけなんですね。そういうことが選挙の際にも習慣としてやられた。それをつかまえて買収じゃということで起訴しているところが千葉とか神戸あるいは鹿児島、こういうところに昨年起きたんですよ、昨年ね。私たち、まあこれは習慣的にやっているものであって、だいいち買収・被買収というような主観的な意思自身が全然入っていやせぬ、おかしいじゃないかというふうなことでずいぶん論議した。しかし、それでも検察庁は押し切って、買収・被買収という関係でこれを起訴しているんですよ。ところが、これはまあ検察庁はそういう金の問題については厳重にやるんだという立場からやられたのだと思いますが、そういうことすら起訴しておいて、こういう天下公知の二十万円ずつばらまいたというような問題がそのままになったのでは、私はこれはもう、何といいますか、検察の威信に関する問題だと思うんですがね。比較してみてどうでしょうかね。大臣は今回の事件の内容をあまり知らないとおっしゃるから、あるいは比較はできぬかもしれぬが、ともかく与党には非常にゆるくやる、野党にはきびしいという印象を与えているのじゃないですか。どうなんですか。
  54. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 検察官がそういう相手方の党派別であるとかあるいは貧富の差であるとか社会的な地位によって法の当てはめ方を変えるということは、これは憲法の精神にもとることは当然のことでございます。そういうことはあるべきはずではないと思うのでございます。まあどういう場合でございますか知りませんが、もしそういうことがありとすれば、そういうことは世間に通るわけはないと私は思うのでございます。そんなことに見えたか知りませんが、少なくもそういうことは隠して陰でやれる問題じゃないのでございます。どこかで新聞に書き立てられるし、あなた方がどんどん攻撃されれば国会の問題にもなるでありましょうし、それが平気で行なわれるということは私は考えられぬと思うのでございます。一向実例を知りませんから、弁護するわけじゃございませんが、筋としてはそう思うのでございます。
  55. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは、大臣のおっしゃるのは筋をおっしゃっておる。筋のとおり運んでおらぬような印象を与えるところにやっぱり問題があるわけですよ。大臣は十二時半にここを退席されるから、こまかいことはあとにしますが、一問だけお聞きしますが、塚田さんが知事をやめるという決意をされる、それと引きかえに起訴猶予にしようというような話がだいぶん行なわれたんじゃございませんでしょうか。そのとおりになるならぬは別として、そういう動きがされたのじゃないでしょうか。
  56. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 全然そういうことは私はないだろうと思うのです。第一、塚田知事がやめるという問題でございますが、塚田知事はやめぬといううわさを私は聞いておりました。どういうわけでやめぬのか、いつまでやめぬのか知らないのでございますが、やめないということで本人がんばっておるという話だったが、そのよしあしは別として、そういううわさを聞いておったのだが、やめぬのかなと思っていたら、やめると、いつ何日とかに発表するとかということで、はあと言うただけでございます。だから、あらかじめ取引も何もあったわけでもございません。そういう起訴猶予にしてやろうというようなことは、私ども相談にあずかったこともございません。
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 実力者の大臣を与党か──しかも塚田さんとは非常に関係も深いように私たち聞いておるのですが、どうも法務大臣を抜きにしてああいう重大なことがどんどん進むとも思われないわけなんですが、しかし、まあ法務大臣の立場上なかなか手がたく御答弁されている気持ちもわかりますが、ともかくこれは処理いかんによっては非常に波紋を起こす問題でございますので、十分ひとつ御検討願いたいと思う、いい意味でね。いい意味で法務大臣が心配すべき問題だと私は逆に思っておるんです。法務大臣はさわらぬようにさわらぬようにと、こう言われますけれども、やっぱりさわってもらっていいんですよ。そのさわり方なんですよ、問題はね。どうか、そういう意味で、ひとつ善処を私はお願いして、そうして一応大臣に対する質問はこの程度で終わらしておきます。  それから刑事局長に一、二点だけお聞きしておきますが、あなた自身は、この二十万円事件ですね、検察庁から聞いた限りでは、これはもうりっぱに買収犯だと、買収・被買収だと、こういうふうに考えておられますか。
  58. 津田實

    政府委員(津田實君) これは非常にむずかしいお尋ねだと思います。御承知のとおり、裁判官といたしましても、検察官といたしましても、一件記録を全部検討いたしましてその心証が来なければこれは軽々に言うことはできないわけです。ところが、先ほど来申し上げておりますように、私は国会の御調査の際の必要な範囲内において進行状況の問い合わせをしたり、あるいは進行状況について報告があったりしておるわけでございます。で、事実として知っておるのは、告発事実程度であります。したがいまして、私はこの事件がどうなるかということについてはこれはもう判断ができる材料も持っておりませんので、かりに判断をいたしておるという前提のもとにお答えすることはとうていできないということになるわけでございます。
  59. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、これだけ世間を騒がしておる問題ですから、それは刑事局長としても一つの意見というものを持てるぐらいにやはり調べておいてもらいたいですよ。そうしなければ、なんでしょう、たとえばこれが処分の結果発表になったあなたにまた聞きますが、これは担当の検事正なり何なりを直接呼ぶという方法もあるが、一応は法務省を通じて聞くというような習慣になっているわけですから、それはつかんでおってもらわなければいかぬですよ。そうして、やはり専門家としての意見を聞かれる場合もあるわけですから、それはあなたお答え願えるようにしといてもらわぬと困るじゃないですか。そうしないと、そういう刑事関係の問題については、どんなに世間的に注目されておる問題であっても、中身に入った琴線に触れた質疑というものが一つもできないということになるわけですね。私はそういうことは間違いだと思うんです。それは、どれもこれもそんなことをしちゃいかぬ。しかし、世間の人がほんとうにどうなるんだろうかと心配している問題については、それくらいのことは私はやっても少しも差しつかえないと思うんですよ。差しつかえないと思う。どうなんですか。実際にあなた知っておられるのでしょう。知っておると言えば、じゃ答えてくれと言われるものですから、どうも知らぬようなことばかり言われますけれども、どうなんですか。
  60. 津田實

    政府委員(津田實君) 本件が処分になりました暁におきましては、もちろん当然国会を通じてそのことの御調査があるだろうということは予想されるわけであります。したがって、それにつきましてその際は、まあ従来の具体的な記録によるかどうかは問題でございますけれども、内容の経緯、詳細については、私は検討をいたしまして十分御説明を申し上げるつもりでおります。しかしながら、現段階におきましてそれをいたさないのは、先ほど指揮権の問題について御意見がございましたが、もちろん指揮権で問題になるということは、いわゆる不起訴といいますか、つぶす事件であるということが一番問題になるわけであります。しかしながら、これは、つぶす事件であろうと、起訴する事件あろうと、その点は少しも変わりはないわけでありまして、起訴することを検察庁が考えていないのに、法務大臣がこれを諸般の事情から起訴すべきだなどという指揮をすることも、これはやはり指揮権発動であると思うのであります。  現在、指揮権につきましては、たとえば外国使臣に対するものとかというようなものにつきましては、検察庁から稟請をとって、法務大臣の指揮をもって起訴をいたす、あるいは不起訴にいたしておりますけれども、これは検事総長の意見法務大臣意見とが違わないということによって、検事総長も同意見で、処分して差しつかえなしということになっておるわけであります。それが異なった指揮をいたしますると、これは指揮権発動である。そこで、検事総長から稟請がある、まあ稟請事件でなくても、いろいろ報告があった場合に、天下国家あるいは大所高所から見て問題があるではないかというような場合には、検事総長に対しましていろいろ法務省側の意見を述べるということは従来からございます。それは刑事局長において行なっているわけであります。しかしながら、それはあくまでも意見交換でありまして、指揮ではございませんわけです。そこで、さような意見交換をいたしましても、検事総長においてとうしても自分としてはかく処分すべきだという判断をいたしますれば、これをもってそれを変えるように指揮することは、指揮権発動になると思うのであります。したがって、その限度までいけば、これは検事総長の処分にまかせるというのが現在の法務大臣の態度でありまして、これはずっと変わっていない態度であります。  そこで、その場合にいろいろ問題にされますのは、それでは意見交換ならいくらやってもいいじゃないかという御意見になろうと思います。しかしながら、それがやはりまたむずかしいところでありまして、その意見交換の間に影響を与えるようなことをすることは非常に避けなけなければならないということであります。ことに、純法律問題というようなものにつきましては、相当意見交換をしてもそういう点に差しつかえないのでありますけれども、裁量処分の内容についての意見交換ということになりますと、これは非常に問題が起こり得るということなので、そういう問題につきましては非常に慎重を期しておるというのが現状でございます。  そこで、先ほど来申しましたように、本件につきましては、その進行について、あるいは告発の事実についてもちろん報告を受けておりますし、それは十分承知いたしておりますが、現在のところそれじゃこの記録あるいは捜査の経過全部について知っておるかとおっしゃいますと、これは現実には承知いたしておりません。知っておりません。でありますが、これが起訴になりあるいは不起訴になった暁におきましては、その内容につきまして十分私どもは知ることをすべきであると思いますし、したがいまして、その処分の直前には私どもはその内容を十分検討をしたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 亀田得治

    ○亀田得治君 あと大森委員の質問もありますので、簡単にいたしますが、県会議員が県会の開会中に四名逮捕されたんです、被買収というかどで。私はこれはもうよほど検察側の態度がきちんと固まっていて断行されたものと思います、こういうことばめったにないことだからね。一体、県会開会中に四名も県会議員を逮捕して、そうしてそのまま無罪放免といったような前例は、いままでありますか、ないでしょう。私がちょっと聞いたところではない。どうなんです。
  62. 津田實

    政府委員(津田實君) その点の前例は私はいま存じませんが、都道府県会開会中に逮捕したというのは、これは東京都議会の場合あるわけでありまして、これはもう前例があるのであります。あの事件は、具体的に逮捕した者が全部起訴されたかどうか、ちょっといま記憶しておりませんが、そういうことはあるわけであります。ですから、県会につきましては、もちろん時期等の必要性によりましてはやむを得ず逮捕するということはございます。逮捕した者をさらに起訴したかどうかという点は、いま私資料を持っておりませんのでわかりませんが、少なくとも逮捕した事実は、しばしば前例があると思っております。
  63. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかく、そういう状態の中で逮捕するのですから、逮捕したけれどもあとはもうなんにもなかった、そんなわけにはいくものじゃないんですよ。そんなことを第一線の検察官にさせたら、これはもう意欲が減退しますよ。また、住民も納得しませんよ、そういうことは。そういう結果に私はまさかなるまいと思いますが、塚田さんとともにこれは、塚田さんかやめたからというようなことで、それを二つの情状にして何とかならぬだろうかと関係者の動いていることは事実ですよ。そんなことはノータッチ、それはそれとして、やめただけでそんなことは絶対にあり得ないんです。ところが、塚田さんがやめたって、四人の県会議員は一体これはどうなるんです。塚田さんがやめたついでにおまえさんも不起訴だ、そんなことはあり得ないんですよ。それじゃ、不起訴にできないから、四人の県会議員を起訴する。それじゃ、一体、その金をばらまいたほうをほうっておくのか、できやせぬでしょう。だから、これは延ばすだけ無理なんです、無理なんですよ。だから、早くやはりこれは態度をはっきりして、そうしてやりませんと、次にまた新潟の知事選挙が始まるんですからね。あんなことがいいということになれば、それじゃもうちょっとじょうずにやればいい、こうなりますよ。せっかく検察庁の検事正以下がこういう実質犯はよくないといろいろな抵抗を受けながらも強い態度でやったことが、全くもうゼロになってしまう。警察、検察、それは寛厳よろしきを得なきゃいかぬか、だれが見たってこういう金で選挙を動かすというようなことはもう一番の問題点として指摘しておるところですから、このことについては、私たちも、もしこういうことが不起訴、起訴猶予、そういうことになれば、相当われわれとしても覚悟しなければならぬと思いますよ。そういうふうに思っておるわけでして、まあ刑事局長は大いに懇談などはおやりになっているようですから、国会における質疑の模様というものをやはり懇談の中でお伝えしておいてほしいんです。これはできますか。
  64. 津田實

    政府委員(津田實君) 国会の御論議につきましては、これは法務委員会の記録は検察庁へ参っております。検察官も常時これは読んでおります。したがいまして、本件ももちろん例外ではございませんから、これは当然読んでおるものと私は思っております。でありまするから、国会における御論議は、十分検察官は承知しておると思っております。
  65. 亀田得治

    ○亀田得治君 いや、私の言うのは、文書だけよりも、やはり口頭でこういう議論があったということをお伝え願うほうがよほどやはり直接でいいわけでして、そのことを言っておるわけなんです。それは、そういうことはもうしたくないというのですか、この件については。速記録を見てくれればいい──速記録は、津田さん、これはだいぶおくれるんですよ。あなたは近くと言っていたでしょう。速記録はあとになるかもしれぬじゃないですか。近くというのは、いつのことを大体頭に置いておるんですか。私たちは、実はざっくばらんに言うと、きょう決定が出るんじゃないかというふうなことを聞いたんです。それで、まあ幸い法務委員会があるということでありましたので、党の国対のほうで緊急だがきょう質問してくれ、こういうことになって、きょう実はしているんです。近くというのは、近いんでしょう。どうなんです、それは。それくらいのことはちゃんとわかっておるでしょう。
  66. 津田實

    政府委員(津田實君) これは、まあ、処分に熟すると申しますか、熟する時期ということになるわけでございます。私が報告を受けて私が判断しておるところによりますと、先ほど申し上げましたように、日ならずしてということになるであろうというふうに考えておるわけでございまして、何日ということは私としてはいまわかりません。
  67. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、普通、日ならずしてというと、これは正確にはどういう意味になりますか。一日か二日というところですか。日ならずして一日にならぬという意味ですかね。数日というのは普通はちょっと若干の日数があるでしょうが、日ならずしてというのは非常に近いということですね。きょうは日ならずの中に入りますか、ことばの使い方として。
  68. 津田實

    政府委員(津田實君) これは、先ほども申し上げましたように、処分に熟した時期ということになります。が、私の推測と申しまするか、報告による判断によりましては、日ならずしてというわけですが、その日ならずしては何かということであると、若干の日数ということとお考え願ってよろしいと思います。
  69. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはまあもうちょっと過去の時点に立ってしかも日ならずというのでしょうから、その日ならずが大体こう到達時期になっていると私は思っているのです。熟しておるのはもう十分熟しておると思うのです、いろいろ情報を聞きますと。これは熟しておる。だから、ほんとうの意味のこれは日ならずなんです。だから、そうしますと、速記録はこれは間に合わないんですよ、一週間以上かかるので。だから、ぜひ、きのうですかおとといですか衆議院の法務委員会でも質疑があったようですが、われわれの質疑もあわせて口頭でやはりお伝えください。これは公の場での発言でございますから。どうでしょう。
  70. 津田實

    政府委員(津田實君) その点は、確かに速記録はおくれることと存じます。国会の御審議の内容につきましては、最高検察庁を通じまして知らせるつもりでおります。
  71. 亀田得治

    ○亀田得治君 速記録じゃなしに伝えるということですね。
  72. 津田實

    政府委員(津田實君) そうでございます。
  73. 亀田得治

    ○亀田得治君 それじゃこの程度にしておきます。
  74. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、法務局における税務署通知問題に関する件等について調査を行ないます。大森君。
  75. 大森創造

    ○大森創造君 まず、刑事局長にお尋ねいたします、いい機会でございますから。  私は、三月の三十日の予算の第四分科会において労働省の問題を問題にいたしました。ずいぶん長時間議論をいたしました。それから四月四日の日に決算委員会の場で、ここに委員長もおられますけれども、ここで約一時間半議論いたしました。そこで、三月三十日の日に、小平労働大臣が、私の質問の内容をつぶさに聞いて、大森君の言うのが事実ならば当然刑事事件に値すると、これは速記ができているだろうと思いますけれども、そういうふうに再三にわたって言明されております。実は、労働省の内部の事情を伏線として私申し上げた。労働省始まって以来のいま混乱ですよ。法案審議などについていろいろ衆議院、参議院で議論をされましたけれども、そうでない、これは労働省自体の根幹をゆるがす問題を私は提起した。そして、私は、労働省の答弁も、ほとんど信用しない。名前は言いませんけれども、まあ一割ぐらいしか信用しない。私の言うた具体的事実のほうが完全に信憑性があると信じている。そこで、労働省は、これはたいへんだということで、いままでの委員会における質疑応答と違う。だから、八方に手を打っている。なにしろ私は具体的な人名を五、六人あげましたからね、国会の議員の名前を、元大臣の名前を。来るなと思ったら、来た、お手やわらかに願いたいと。何ならそこらで金の授受でもあるんじゃないですか、普通の場合は。私のことだから、だめだといって聞かない。  そこで、ここで聞きますけれども、私は単なるスキャンダルあばきじゃないんですよ。労働省はいまのままではだめなんですよ。そこで、抜本的にメスを入れてスクラップにして、それからビルドの方向を私は考えている。いまのままにうやむやにして終わったならば、これは基準行政はもうだめです。あってもなくてもいいことになります。そこで、労働省は信頼しませんから、信頼しているのは刑事局長あなたなんです。それから、ともかく信頼しているのは会計検査院。ところが、どうも、あなたではないが、大きな問題になると、ツーツーカーカーになってなれ合いになる傾向がある。そういうふうに具体的な事実を私は過去に知っている。あなたのほうに、この問題について、新聞には出なかったけれども、たいへんな問題だ、刑事局長、手かげんしてくれということが某方面から話はありませんか。
  76. 津田實

    政府委員(津田實君) 私は、前回決算委員会でございましたかお尋ねのありました事件については、まだなんにも聞いておりません。で、いま、私といたしましては、ただいまお話しの予算分科会とそれと前回の決算委員会の速記録はまだ手元に来ておりませんので、速記録が手元に参りましたら検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。それ以外はなんにも承知しておりません。
  77. 大森創造

    ○大森創造君 いいですか。繰り返しますが、労働省は私は全然信用していないんですよ。会計検査院もあんまり信用していないんです。刑事局長はまさかそういうことはあるまいと思うんだが、ものごとの根幹に触れる問題については、必ず私のところに圧力かかってくるんですよ。労働省始まって以来の事件なんですよ、今度の問題は。私はあそこの労働省の廊下を通っただけですぐ感ずる。私のところに国会議員が直接来られないから、実に二十人から来ましたよ、お手やわらかにと。で、そういう話があったでしょう、あなたのほうに圧力が。お手やわらかにということが刑事局長に。ありませんか。
  78. 津田實

    政府委員(津田實君) これが刑事事件かどうかもまあ問題だと思いますが、現在のところ、さようなことを聞いたことは全然ございません。
  79. 大森創造

    ○大森創造君 繰り返しますが、小平労働大臣は、大森さんの言うのが事実なら刑事事件になると、言っているんだ。彼は、国会議員ですからね、そうして大臣ですからね。その人がそう言っている。ところが、労働省は、そのことがずっと捜査されて刑事事件になる、一方、会計検査院から余すところなくマル特会計なるものが私の手元に出てくるということになるとたいへんなことになるということで、あらゆる手段を尽くしているということをあなたにひとつお耳に入れておきたいと思うんです。だから、さっきの亀田委員の発言ではないが、歴然たる事実を私は幾つも持っておりますから。このことば私が見ても刑事事件に値しますから。そうして、労働省の何万人か知らぬ、必ず刑事事件になる、だろうというふうにうわさしておりますから、しろうとの私でもこれは刑事事件になると思っておりますから、慎重にひとつ、いいものはいいとして、どっかから、圧力がかかってもはねのけて、そうして法務省、刑事局長としての職責を尽くしてほしいと思う。御答弁は要りません。いいですか。会計検査院はやや信用できそうだ。しかし、あぶないと思っている。労働省の答弁は一割しかほんとうのことを、言っていない。九割うそだ。私の言うことが大体九五%ぐらい正しいですから。そうして、その速語録を見た場合には、刑事局長の判断でこれは完全に逮捕者が出ると私は思っている。  このことだけで刑事局長に対する質問は終わります。  その次に、民事局長にお尋ねいたしますけれども、非常に事務量が多くなっておりますね。最近、あなたのほうは、圧倒的に事務量が多くなっています。どの程度に事務量が多くなっていて、それに対する人員の配置ぐあいはどうか、これをひとつ伺います。
  80. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 事務量の増加についての御質問でございますが、法務局の事務量と思いますが、最近の件数を申し上げますと、上として法務局の事件がふえておりますのは、登記事件と台帳関係の事件でございます。御承知のように、現在、登記簿と台帳の一元化の作業を推進いたしておりますので、従前に比べますと、台帳の件数そのものは制度の改善に伴いまして減少の傾向にございます。しかし、登記事件そのものとして見ます場合には、非常な増加の傾向をたどっているわけであります。  具体的に申し上げますと、登記事件について申し上げますと、三十九年度におきまして九千四百六十二万八千件でございます。これが、四十年度の予算件数がやはり九千四百五十三万件。四十一年度の予定しております予算件数が一億三百四十万二千件という見込みでございます。したがいまして、前年度と比べますと、約一〇%くらい増加するだろうという見込みを立てておるわけであります。それから台帳件数のほうは、先ほど申し上げましたような事情がございますので、必ずしも台帳事件としての増加はございませんが、三十九年度に七百七万五千件でございましたのが、四十年度の予算件数は四百八十六万件、四十一年度の予算件数は四百二万三千件、こういう予定をいたしておるわけで、こちらのほうは減少いたしております。  概要はいま申し上げたような状況でございまして、登記所の事務量というものが圧倒的に増加してまいっております。これは、いろいろ公共事業が行なわれましたり、経済活動の影響を受けましてこのような結果を反映してまいっておるわけであります。戦後できました法務局につきまして、一般機構上の問題、あるいはまた固有の業務の問題等、たくさんございまして、これにつきましては、できるだけ合理的に能率的に運営できるように私ども配慮すべき責任があると思っておるわけでございます。何と申しましても、明治時代から取り扱っております現在の登記制度あるいは台帳制度というものでございますので、いろいろ改善を加えなければならない問題もございます。そういった点も着々と一歩一歩改善の方向に進めてまいっておりますと同時に、一般の職員の増加、さらにそれに関連いたしまして執務環境を改善いたしまして事務が能率的に行ない得るように、また、施設そのものも改善いたしまして同じく事務の円滑な運営を期するという方向をとるべく、各方面にわたりまして現在いろいろの計画をいたして実行に移しつつある状況でございます。
  81. 大森創造

    ○大森創造君 時間がないので、これはあなたの言われたことをあとで速記をよく調べてみて、そしてまた十二日に委員会があるようですから、能率的に質疑応答いたします。しかし、不正確なことを言っては承知しませんからな、あとで委員会があるんですから。  そこで、私の調べでは、この十年間で事務量が約四倍強に達しているにかかわらず、人員増のほうは大体一三%増ということになっているんです。したがって、一人当たりの専務負担量というのは四倍強にいまなっている。四倍強になっている。そういう事実を認めておりますか。
  82. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ただいまお示しのように、事件数ば非常に増加いたしておりますが、人員のほうは一三%の増加にとどまっておりまして、必ずしも件数にスライドして人員がふえているという現状ではございません。
  83. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、私は、圧倒的に人員が足りないと思うんだ。法務局の正規の職員は何人ですか。職員の数くらいわかるだろう。
  84. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 四十一年度の予定が一万百二十二名となっています。
  85. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、正規の職員の数が一万何がしであって、法務局の採用臨時職員は、私の調査によるというと一千三百六十人、それから外部団体としての司法書士のほうは約一万二千、それから外部団体としての土地家屋調査士が約二万、両団体の補助職員の数を入れると数万になる。これを応援一人毎八時間として換算するというと、正規の職員以外に四十九万二千六百八十人というお手伝いをもっていまの法務局の仕事を遂行しているというのが実情だというふうに私の調査ではできている。これはちょうどベトナムにおける戦争みたいなもので、正規軍が一万人であとは何十万という民兵がいるということなんだが、こういう観点からすると、実は法務大臣にお伺いしたいのだが、心臓強くがっちりと、定員を取ったらどうだ。なるほど事務の合理化は若干やっておりますよ。しかし、郵政省の事務と裁判所の事務と併用したような性格の事務であって──機械化や合理化は断然必要ですよ。必要だが、人をもってしなければ扱えないような事務量が非常にあるんですから、これはことばどおりでなしに青写真を示してほしいと思うのだが、一つは事務の合理化の問題についてどうするかということ。みんなガラス。ペンで書いているんですから、ノイローゼになってしまいますよ、あんな仕事をやっていたら。頭をかくひまもないですよ、めちゃくちゃに事務がふえているんですから。少し同情しなければいかぬと思う。事務の能率化のためいくらでも近代的な設備、機械などが採用できる面があるにかかわらず、旧態依然ですね。だから、そういう事務の能率化のための具体的な施策、青写真と、それから心臓を強くして国家のためだから定員を大幅に増員するようにしてもらったらどうだと思うのだが、これは法務大臣に聞くのが適当と思うのだが、お覚悟のほどを──現状でいいと思っておりますか。
  86. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 登記所の業務量の現状にかんがみまして、現状で満足しているわけではもちろんございません。もうすでに十数年来、私どの立場といたしましては、法務局の内容の充実、事務の合理化、職員の負担軽減ということを大きなねらいにいたしまして、いろいろの施策をとりつつあるわけでございます。確かに、大森委員の仰せのように、人員が非常に不足しておるということは、私どもも認めざるを得ないわけでございます。ただ、増員のみによってすべてが解決できるかと申しますと、必ずしもこれはそうは参りません。人員のほかに事務用の器具、備品等の合理化も考えてまいらなければなりませんので、すでに数年にわたりましてそういった面につきましても独特のくふうをこらしたものもございます。機械に乗るものは機械化していく。どうしても機械で処理できないものは人手によらなければならない。その限度を見ながら、なおかつ、国の全体の方針といたしまして、従来定員を抑制するという非常にきつい措置が出ておりますので、これにもわれわれ政府職員といたしましてはある程度従わなければいけない。こういうジレンマに立ちながらも、何とか現状の窮境を打開する必要があるということは、私どもも同様に考えておるわけでございまして、そういった点についての改善をぜひやりたいという気持ちにおきましては大森委員に決して劣らないと私は思っております。
  87. 大森創造

    ○大森創造君 そのお話の限りにおいては私も同感なんだが、問題は現実にやるかやらないかなんです。予算の取り方だって、法務省は少し私は弱いと思うのだ。去年までこのくらいだからことしはこれでいいというものじゃないですよ、いまの法務局の定員増の要求というのは。これは圧倒的に飛躍させなければいかぬですよ。こんなべらぼうな話はないですよ。正規が一万人で、それからその他お手伝いのほうが何十万というような形は、これは官庁としてはあり得べからざる姿ですよ。それから事務の能率化の問題について確かに私も調べてみた。改善のあとは見えます。だけれども、もっともっと大胆にやらないというとかわいそうですよ。具体的にやってください、国会の答弁でなくして。どうするのだということを具体的にやってほしいと思う。  そこで、人員は、国全体の予算というワクもあるだろう。しかし、あなた自身のすなおな感じは、どのくらい必要だと思う。一万人くらい要るでしょう。
  88. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) あとどのくらい人間が要るかということでございますけれども、まあこれは将来の事件の増加の傾向、さらに、人間以外の事務の合理化がどの程度できるか、能率化、機械化というものがどの程度できるかということとも関連してまいる問題でございます。ただいま、現状に即して、さらに一万人必要であるか、あるいは五千人必要であるかということを確たる御返事を申し上げられませんことは申しわけございませんけれども、いずれにしても相当数の増員が必要であるということは考えておるわけでございます。
  89. 大森創造

    ○大森創造君 押し問答をしてもしかたがないから、そう言明したからには、少し具体的な要求をして、がっちり定員を獲得するように法務大臣と相談をしてやっていただきたいと思う。  それから各職場の実態から見て──幾つだっけな、職場は。一千六百ぐらいあるんじゃないかな。こういう実態を見て、ガラスペンで謄本なんか書いていたんでは、とても話になりません。私、ずいぶん謄本をとったけれども、読めたためしがない。目が悪いわけじゃないんですよ。だめなんですよ、あれはとても過重労働で。  そこでお伺いしますけれども、臨時職員というのが一千三百六十四人いるんだが、日割り計算でするというと、私の計算では四百円から六百円なんだな、一日。二十五日計算として月額一万から一万五千円、この前の法務委員会で申し上げたとおり。だから、職業安定所へ行っても、これは人が来ないんですよ。ところが、一方、試験採用なんかやっているんだな。法務省法務局で採用いたしますなんという通知を出す、本人に。なにしろ法務省法務局というところで試験を実施して、おれはパスしたんだからといって再び勇んで行ってみると、いままでの給料が一万五千円のものが一万円になってしまう。こんな安定所へ行っても求人ができないような状態でありながら、試験を一方で実施して権威づけるというようなことは、私はナンセンスだと思う。実は、この前申し上げたとおり、その生きた例を知っているんだ。うちの主人は小学校時代非常に成績がよかったから、試験を受けてみた。天下の法務省法務局の試験を受けてみて、採用通知が来たが、行ってみると、いままで二万五千円の給料が月収一万五千円になってしまった、こういうこっけいな例があるんですよ。  そこでお伺いしたいのは、そういうところに必ずただし書きがある。本職員にするというようなことがあるんだけれども、いままでの実例を見ているというと、欠員不補充の原則と、一方公務員の希望者が多いというようなことで、これはなかなか木採用にならないんだな。人事院の特例承認制度という制度を活用している面はございますけれども、年齢制限やその他の条件があるために、現実には本職員になれていない。これは、一種の、何と言うかな、ことばを悪く言うと、広告でつって、そして人をだましたことになる。こういう点について、具体的にどうしたらば職員に採用できるような方法があるか、これをひとつ研究してほしいと思うが、何かあればお答えいただきたい。
  90. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 臨時職員の採用にあたりまして、法務局におきまして、それぞれ面接、あるいは場合によりますと試験というふうな形式をとりまして、多数の希望者の中から最も適当と思われる者を採用いたしておるのが実情でございます。ただ、その試験をいたします際に、将来にいろいろ希望を持たせるような約束があるのではないかというふうなことも確かにあり得ると考えますが、そう申しましても、現在の国家公務員の採用は人事院の試験の合格者でなければならないというたてまえをとっております。したがいまして、直ちに臨時職員を公務員として定員職員内に組み入れて採用するということはできないわけでございます。そうかといって、せっかく臨時職員こして採用しまして法務局の仕事にもなれてきて、また、法務局につとめたいというふうな人でありますれば、法務局の立場といたしますれば、てきるだけこれを定員職員に組み入れていくとい措置を講ずべきであると思っております。また、現にそのような努力もいたしているわけであります。過去におきましても、試験に合格しないためについに採用できない人もむろんあったと思いますけれども、法務局の実態を申し上げますと、三十五年から四十年までの間に全部で七百五十名ばかりの者を定員職員に組み入れをいたしております。これは、必ずしも人事院の試験に合格した者ではございません。そのつど人事院の特別の承認を得まして定員に組み入れるという措置をとっているわけでございます。したがいまして、すべて臨時職員なるがゆえに定員職員に入り得ないというわけのものでもございませんし、まあ今後も採用はだんだんむずかしくなるようなこともあり得ると思いますけれども、可能な限りにおきまして臨時職員を定員の中に入れていくという考えには変わりはございません。
  91. 大森創造

    ○大森創造君 その説明はわかるのだけれども、まあ一万人ぐらい定員もふやさにゃいかぬというたてまえからして、これは臨時職員というものを──いろいろ人事院の規則もあるだろう。あるだろうが、やれば実際できるんだから、臨時職員というものを本職員に入れるように、ほかの省のまねなどしないで、法務省だけでがっちりやってもらいたいたいと思うのだが、お約束できますね。それからもう一つ、あんまり仕事が忙しいので、長欠者と病休者と死亡者などがきわめて多いと思うんだ、ほかの省と比べてみると。これは資料としてあとから出してほしいと思う。いいですか。長欠者、それから病休者、死亡者。それからもう一つ、二十日間の許された年休があるのだけれども、これは利用できないのが実態なんだ、仕事の量が多過ぎて。こういうものの資料をひとつ可及的すみやかに出していただきたいと思うのだが、どうでしょう、いかがですか。
  92. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) できるだけ資料を整えまして提出できるように努力いたします。ただ、いまのお話の最後にございました二十日間の年次休暇をどの程度とっているかという実情でございますが、これはいま直ちに私どもの手元にないと思いますので、これを調べるといたしますと、かなりの時間がかかるかもしれません。その点は御了承いただきたいと思います。
  93. 大森創造

    ○大森創造君 次に移りますけれども、民事局にいま課長が何人いますか。
  94. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 五人おります。
  95. 大森創造

    ○大森創造君 これは、私の調査によると、全部検事から横すべりなんだけれども、どういう根拠でそういうことをしている。
  96. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、民事局のみに限りません。まあ法務省の特殊性と申しますか、従来司法省時代からのこれは沿革になるわけでございます。これは大森議員も御承知と思いますけれども、ほかの行政庁におきましては、行政試験の合格者が大体そういう経路をたどっているわけでございます。ところが、戦後、高等試験行政科試験というものがなくなりまして人事院の試験に切りかわってきて、また、司法関係におきましては司法試験がそのまま残っております。そうして法務省に入ってまいります職員も、現在はそのようなことは少なくなってまいりましたが、従来は、いわゆる高等官に相当する者で全部判事か検事の資格を持っている者でなければ実際上司法行政の仕事をやれなかったという経緯がございます。確かに裁判所、検察庁等を出先機関に持って  おります中央機関としまして仕事をいたします際に、法律の立案をいたしますにつきましても、また、行政をやるにいたしましても、やはりそういった資格のある人でないとやりにくい点がございましたので、昔からそういう経緯がありまし て、判事あるいは検事の資格を持っている者がそういうポストについているということになっているわけでございます。
  97. 大森創造

    ○大森創造君 昔は司法省と言ったのだけれども、私はそういう制度はまずいと思うんだ。あなたの説明は、いままでの沿革を言うた。そうして、現状を肯定するような論理を立てられた。どっちが正しいかといえはこれは、あなたがいまおっしゃられたように、単なるいままでの惰性ですよ。習慣ですよ。何であなた民裏局の事務に通暁しておりますか、東大を一番で出たって。一生民事局の仕事をしたって検事でなければ課長になれないというそういう不文律はやめたほうがいいと思う。そうして、いま私が言うていることのほうが正しいと思う。何で民事局の課長が検事である必要があるか。どうも、考え方が、私は宮内庁とそれからおたくの法務省は頭が古いと思っているんだ。宮内庁も古い。感心するほどだ。その次に古いのは法務省。これは大臣と相談してくださいよ、きょうは大臣行っちゃったからあれだけれども。何だ、民事局の五人の課長が営繕課長まで検事である必要がありますか。なんにもわからないですよ。一千六百余の登記所の事務がどうだなんてことはなんにもわからないでしょう、上にいる人は。だから、事務の実態がわからない人が頭にすわっているってことです。そういうことをささえているというのは、いままでの習慣なんだ、悪習なんだ。やめたほうがいいね、こんなことは、各官庁とも見ておるというと、学歴がなくとも非常に有能な人がいる。資格と、ある程度の年限をやっているというと、いすからいすにのぼっている。こういう新旧交代の時期だ。法務省は民事局の課長が五人とも検事でなければならないなんていう根拠がありますか。これは私の言うことのほうが正しいから、あとで大臣が来たときにがっちり念を押そうと思うんだ。検事はわからないんですよ、末端の仕事を。だからこういうことになっているんだ。事務の改善をすべきところはここだということを、第一線で働いてきた人は全部そう言っている。ところが、事務の実態がわからない人が課長をやってぽんとしているから、それはまたその日送りでやっているから事務が進捗しないということになって、労働強化になっている。これはあなたと議論したって始まらないけれども、大臣がいるときにじっくりとひとつ申し上げようと思うけれども、あなたから言うてくれますか。私の言うことのほうが筋だと思う。昔からの悪習だよ。そんなものはぽんと破ったらいかがです。
  98. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 確かに、実情は、判事、検事の出身者がそういう地位についております。しかし、これは昔からの沿革ということも無視できないわけでございまして、一挙にそういうポストにつき得る人がはたしておるかということになりますと、これはそうではないわけであります。私どもも、いま仰せのように、判事、検事のみの仕事であるか、それに限られるものかということでございますれば、必ずしもそうではないものもございます。そういう意味で、民事局その他法務省の枢要なポストは検事でなければならないというあれはございません。私はそう思います。したがいまして、私どものほうでは、これは民事局、法務局だけの問題でございますけれども、必ずしも判事、検事でなければならないという考えはとっておりません。最近におきまして、いま大森議員のおっしゃいましたように、昔ならば司法試験であったのでございますけれども、現在は人事院試験というものがあって、その上級試験に合格した優秀な人もおりますから、これをどんどん採用して、将来幹部職員になれるようにわれわれも指導もし養成もする責任もあるわけでございます。現にそういう方向で私ども動かしておるわけでございまして、まだまだ、いますぐ本省の課長になれるかと申しますと、そういうところまでは行っておりません。行く行くはあるいはそういう場合もあり得るし、あるいはまたそういう場合が望ましい場合もあると思いますけれども、いま現在直ちにそういうことに切りかえるということは、実際問題としてできないわけでございます。
  99. 大森創造

    ○大森創造君 まあそれはそういう面もあるでしょう。だけども、五人が五人、偶然にしては全部検事出身であるということはおかしいと思う。これは、設置法によるというと、検事を充てることができるということになっているんだけれども、現状は検事でなければならないという解釈になっちゃっている。今年からでも来年からでも、二人でも三人でもいいから入れなさいよ。そういうことをできないというふうにおっしゃいますが、私は知っているんだ。ああいう無能な検事が課長になって仕事ができないのはちゃんとわかっている。私は、昔、二等兵で軍隊をつとめたことがあるけれども、私がりこうで、中隊長がばかなんだ。それから小隊長もばかなんだ。もうそういう軍隊は敗戦にきまっている。私が中隊長になれば必ず勝ったんだ。それと同じ現象があるんですよ、あなたのほうには。だから、お話はわかったが、そしてお認めのようだから、それならば必ず有能な人がいるから、私が推薦するから、今年からでも来年からでも、五人のうち──大体、検事を充てることができるということになっているんだ。充てることができるというのに、検事でなければならないというふうなことでやっているんだから、今年からでも来年からでも、二人でも三人でも入れなさいよ。なぜかといえば、事務のわからない検事、検事なるがゆえに課長になっているという姿は、旧来の陋習ですよ。おやめください。これは、大臣に言うて、今年からでも来年からでも新規更新を採用しなさい。このことは法務大臣とあなたのほうで腹をきめるとすぐできることです。中国の使節団の入国拒否なんということになればがんとして動かない。  だから、あなたのほうで、大森議員の言うとおりだとなったならば、事務の合理化を大胆にやれ。それから能なしの検事は首切っちゃえ、そうして交代したらいい。お約束できますね。
  100. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、全般の問題でなくて民事局の問題として大森議員が御質問になったといたしますれば、まことにおことばを返すようでございますけれども、現在の民事局の課長にそのような無能なものがいるとは私は信じておりません。すべて非常に優秀でございます。また、登記所の実情につきましても積極的に勉強しまして非常に有能な仕事をやっていると私は確信いたしているわけでございます。したがいまして、現在いる課長がどうこうということは私は全く考えていないわけであります。ただ、一般論として考えます場合に、検事でなければならないということがあるかとおっしゃいますと、それは必ずしもそうではない。われわれ、現に、そういう優秀な人事院試験に合格した若手の職員をどんどん採用いたしまして、将来に備えて現在それを育成指導している段階でございます。将来のことはまだだいぶ先のことになるかもしれませんけれども、いま直ちにそういう人たちを本省の課長にということは、これは法務省全般の問題にもなります。私の口からお約束申し上げることはできませんけれども、そういう方向で私は考えていることは申し上げられると思います。
  101. 大森創造

    ○大森創造君 これは法務省の中の入管もそうなんだけれども、入管は法務省とそれから外務省で上のほうを占めているんだね。おたくのほうの課長も期せずして全部検事だ。検事でなければならないということになってはいないが、現実の課長はみんな検事出身だということですね。そこで、みんな有能だと。それは無能だとは国会であなたの立場として言えないはずだ。あなたの言うこともわかるけれども、現実にそういう登用の道を開いてほしいと思う。これは大臣と相談をしてください。いいですか。  次に移ります。いわゆる税通の業務というのはどこの業務だと思う。税通というのはおわかりだと思うが、これはあなたのほうの業務でしょう。
  102. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 登記所の仕事でございます。
  103. 大森創造

    ○大森創造君 登記所の仕事は法務局本来の仕事であるという意味だね。
  104. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 現在やっております税務署通知の仕事は、登記所の仕事としてやっております。ただ、法務局本来の仕事であるかということになりますと、本来の仕事は、原則として登記と台帳の仕事を扱うのが法務局の本来の仕事でございます。
  105. 大森創造

    ○大森創造君 国税庁長官はなぜ来ない。
  106. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) ただいま、午前中でございましたら病院に行っておりまして、私かわりに出ておりましたので、どうなっておりますか存じませんが、調べて御答弁いたします。
  107. 大森創造

    ○大森創造君 きのう電話でぼくとしばらく話したのだけれども、病気は何ですか。
  108. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 私、病気の内容は存じておりません。
  109. 大森創造

    ○大森創造君 委員会が終わってからぼくのほうへ連絡してください。  そこでお伺いしますけれども、税通のことについて国税庁ではなぜ前段に申し上げたように圧倒的に人員不足のところへ頼んでいるのだろうか、また、なぜ法務局のほうではそれを気やすく受け入れているのだろうか、両方にお聞きしたい。
  110. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) これは、大森委員御存じのことでございますので、くどくど申し上げるのは避けたいと思いますが、いろいろな税の目的に照らしまして課税資料が私どもにとりましては必要なわけでございます。その中の一つにまあ不動産の移転、登記、その真正の権利義務者を確認させるという問題が税の必要上起こってくるわけでございます。その意味におきまして、課税資料と私ども言っておりますが、そういうことで法務省のほうにお願いいたしまして、登記所から税務署に対しまして不動産の移転登記事務につきまして単記式の移転登記の内容を御連絡をいただいておるわけでございます。
  111. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 私どもの立場といたしましては、国税庁からそういう御依頼がございましたので、国家機関相互間の協力関係といたしましてその御依頼にこたえておるというわけでございます。
  112. 大森創造

    ○大森創造君 人手不足で病欠者が多くて、あと一万人も足りないというときに、少し人がよ過ぎやせぬか。あるところは渋くて、こういう税通の問題についてはこれは人がよ過ぎやせぬですか。いかなる根拠のもとにあなたのほうは受け入れたか、その事務を。
  113. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ただいま申し上げましたように、官庁相互間でそういう依頼があれば、可能な限りはその依頼に応ずるというのが一般のやり方でございます。また、この場合、国税庁のお立場からしてもそういうものが必要だということでありますれば、いろいろの事情を考えまして、この方法がよろしいということであれば、われわれもそれに協力しなければならないと思うのでございます。  ただ、仰せのように、非常に人手不足の際になぜこのようなものを受け入れたか、こういうことでございますが、確かに、人手不足の際によけいな仕事を職員に課するというふうなことになりましては、これは私どもの立場としても責任が全うできないわけでございます。そこで、ただ依頼がありましたから無条件にそれを受け入れてこの通知の仕事をやっておるというのではございません。現在の登記所の業務に支障のないようにして、可能な限り御協力しようというのがわれわれの立場でございます。国税庁のほうにおかれましても、そのために昭和三十八年度以後かなりの予算を特別に計上されまして、それを法務局のほうに支出委任されております。その範囲内でわれわれもやる責任はあるということでございまして、職員の仕事の負担をさらに加重するということには必ずしもならないというふうに考えておるわけでございます。
  114. 大森創造

    ○大森創造君 加重することになるじゃないか、これだけの仕事を引き受けたら。何でならないことになる。
  115. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 国税庁のほうから毎年賃金予算を支出委任を受けます。その賃金予算によりましてこれに必要な職員を採用しましてその仕事をやらせておるというのが実態でございます。したがいまして、その予算の範囲内でわれわれはやるべきものでありまして、予算がないのに、そういうことを無視して、本来の仕事を差しおいてこれをやるということは、これはちょっと法律上もむずかしいと思っておるわけでありまして、要するに、国税庁のほうから特別のそういう予算措置まで講じて依頼されるのであれば、その範囲内で協力することにおいては別に登記所の本来の業務には妨げにならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  116. 大森創造

    ○大森創造君 だけれども、税通の仕事を始めたのは三十六年からだろう。
  117. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 三十六年から始まりまして、その当時は予算はございません。この当時、まあたいしたこともなく、負担もそう多くかかるまいと思って始めたことだろうと思いますけれども、その後だんだんやってみますと、必ずしもそうでないということがわかりましたので、その点は国税庁のほうでも理解されまして予算に計上することになったのだろうと、こういうふうに理解しております。
  118. 大森創造

    ○大森創造君 三十六年と三十七年はただでやったんだね。
  119. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) そのとおりでございます。
  120. 大森創造

    ○大森創造君 それで、三十八年は八百万出している、国税庁のほうから。三十九年は一千六百万出している。四十年は二千四百万出している。四十一年度は幾ら出す、国税庁は。
  121. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 四十一年度の予算に計上されましたいわゆる支出委任額、これは通知事務に従事する人の賃金でございますけれども、三千万円を若干こえたところでございます。
  122. 大森創造

    ○大森創造君 国税庁に聞くが、これは徴税事務費の中に入っている予算か。
  123. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) さようでございます。
  124. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、昭和三十六年、三十七年のときも、徴税事務費の中にそれに相当する予算は組み入れてあったのだろう。
  125. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 私、三十六、七年ころのことを実は非常につまびらかにしておりませんが、最近、国家公務員の定員の問題、先ほどから大森委員がいろいろ御質問になりました点にからみまして、なかなか定員増が認められない、しかしながら事務が非常にふえてまいるということに対処いたしますために、私ども賃金予算と言っておりますが、臨時職員を雇います賃金を予算に計上してもらまして、それによりましてそういう事務をさばいておる、かようなことになっております。
  126. 大森創造

    ○大森創造君 これは、大蔵省のほうからあんたのほうで予算を取って、そうして八百万、一千六百万、二千四百万、三千万というふうになったのは、どうしてそういうふうな金額になったのか。そして、初めはただなんだ、三十六年と三十七年は。どういう理由なんですか。物価の値上がりか。
  127. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) これは、いろいろな事情が実はあろうかと思います。これは、私、若干想像にわたりますので、間違っておればあとでまた訂正いたしますが、最初三十六年に国税庁長官から法務省民事局長にお願いいたしましたときには、市町村ごとに連記式のもので所有移転通知をいただきたい、こういうことをお願いいたしまして、それに対して了承したという御返事をいただきまして、それに基づきまして事務を執行してまいったわけでございます。で、当初は移転登記事務が現在に比べますと相当数が少なかったことはこれは事実でございます。最近数年非常に移転登記事務がふえてまいりまして、したがいまして、それに即応いたしまして支出委任額も年々ふえてきたということでございます。もちろん単価のアップという問題も大森委員御指摘のように中に含まれておる、かように考えております。
  128. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私は混線していると思うんだな、あなた方の説明は。これは本来の姿に戻すべきだと思うんですよ。予算をわざわざ国税庁のほうで取ってそれを法務省のほうに委任するということをしないで、一つの試みは、市町村のほうに出すんでしょうから、市町村のほうに協力を願ったらどうだろう。圧倒的に専務量がふえておる、この十年間で四倍以上になっている法務局のほうにお願いする必要はないでしょう。法的根拠は何だ、一体。官庁間の協力ということなら、いくらでもそういうことになって、事務がごたごたになってしまいますよ。だから、本来の姿に戻しなさい。               −
  129. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 先ほど民事局長から御答弁がございましたとおりでございまして、私ども、国家行政組織の中におきまして、それぞれの官庁が事務を他の官庁にお願いする場合はしばしばあるわけでございます。文書の照復をいたします場合もかなりあります。この不動虚に関する移転登記の通知事務は、いわば定型化された事務でございまして、これを個々にお願いいたしますよりも、一括してお願いしたほうがお互いに便宜であろうということでお願いしておるわけでございまして、地方団体との関係とはややその点は同じ国家の行政組織の中での協力関係でございますので違っているのではないか、かように私は考えております。
  130. 大森創造

    ○大森創造君 法的根拠は一体何です。こういうものをさせられる法的根拠は一体何ですか。法務局は断って、それから国税庁自体がやったほうが筋なんだから、筋に戻したらいいんじゃないですか。
  131. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 本来の姿というようなお話でございますが、これはいろいろな事務の運び方があろうかと存じます。たとえば、登記所へ税務職員がおじゃまいたしまして毎日そこで写すというようなことも一つの手であろうかと思うのでございます。しかし、そういうやり方は、かえって登記所の中でおじやまをするというよりな感じにも相なりますし、私どもはむしろ単記式のものでしかもカーボンで二枚とりましたものをいただいたほうが、まあ私どもの事務も非常に助かりますし、そういう趣旨で法務省のほうに実はお願いしておるわけでございます。もちろん、大森委員からお話がありましたように、この事務の運び方そのものにつきましては、これだけが唯一のものであるというふうには考えません。いろいろな方法があろうかと存じております。
  132. 大森創造

    ○大森創造君 法的根拠は何です。何かあるんでしょう。ただ仕事が忙しいし便利だから法務局に頼むというだけのものでないでしょう。何か法的根拠があるはずでしょう。
  133. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) この税務事務の通知のお願いにつきましては、法的根拠はございません。
  134. 大森創造

    ○大森創造君 やめたらいいと思うんだが、やめる気はないか。法務局もこれは断わったほうがいいだろう。
  135. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 法的な根拠はございませんが、先ほどからたびたび申し上げておりますように、行政組織の中での、何と申しますか、協力関係に基づきまして事務をお願いしておるわけでございまして、それに対しまして予算的な措置も不十分ではございますがとれてある、かようなことになっておるわけでございまして、私どもただいまのところこれを廃止するつもりはございません。
  136. 大森創造

    ○大森創造君 あんたのほうは。
  137. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) それは、根拠とおっしゃいますと、最初申し上げましたように、国家機関の協力関係ということに尽きると思うのでございます。一方、法務局の側におきましては、市町村に同種の通知をすることになっております。税務署に通知いたしますのと同様の内容のものを通知するわけでございますので、従来市町村に通知しておりましたものにさらに複写紙を一枚多く加えただけの形にいたしまして、一度で双方への通知書が書き上げられるような形で現在やっておるわけでございます。  また、本来の姿に戻したら、いいではないかという御質問でございますけれども、登記所の側といたしましても、いろいろ研究した結果このようになったわけでございまして、本来の姿に戻しますと、税務署の方が登記所に見えまして登記簿の閲覧を請求する、あるいは謄本、抄本の請求をする、こういうかっこうになるわけでございます。そうなりますと、事件が非常にふえている際に、同じ登記簿をあちこちから利用しあうというふうなことになりまして、かえってそのために登記所の事務が混乱するということも考えられるわけであります。のみならず、謄本、抄本をつくって税務署に差し上げるということにいたしますと、これは現在の通知よりももっと繁雑なことになるわけでありまして、一々これを証明して内容を確認してやるわけでございまして、このほうがむしろ手数がかかるということになりまして、これは現在の法務局の人員、予算の範囲内ではとてもやり切れるものではございません。そこで、もしそういう形であるとすれば、これは遺憾ながらお断わりするほかはないのが実情でございましょう。しかし、しいてそうしてもらいたいという申請がございますれば、登記所はこれは拒否できません。これは非常に苦しい立場に立つわけでございます。そこで、税務署のほうもこういった形式のもので通知してもらうほうが簡便であり、法務局のほうもこういった形をとるほうが簡便である、加えて国税庁からそれに必要な予算を支出委任を受けるということになりますれば、その範囲内でやる分におきましては、むしろ法務局としましても現在の形のほうが仕事は楽であるということが言えるわけでございます。したがいまして、国税庁からの御協力がございますれば、これを一がいに本来の業務外だというだけの理由で断わるわけにもまいらないというのが実情でございます。
  138. 大森創造

    ○大森創造君 一つお伺いしたいんだが、昭和四十年は四月以降十月までその事務を中断したね。そうでしょう。  どちらでもよろしい。
  139. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 中断はしてないと思いますが……。
  140. 大森創造

    ○大森創造君 中断したよ。なぜ中断したか。
  141. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 中断をされたということは、私はただいま存じておりません。ただ、年末に非常に登記事務が登記所で忙しいときにその分について翌年回しにされたというう点は承知しております。
  142. 大森創造

    ○大森創造君 そういう事情もあるだろうが、予算が来なかったんじゃないか、予算が。
  143. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 国税庁と私どものほうで年度の予算が幾らになるかという話し合いができませんと、現地のほうに連絡するわけにもまいりません。そういう意味合いにおきまして若干日町のずれるということはあり得るわけでございます。これはやむを得ないわけでございますが、それはさておいて、税務署通知を全然中断したということはないわけでございます。
  144. 大森創造

    ○大森創造君 中断はないけれども、中断にひとしい状態に置いたことは間違いない。その原因を探るというと、やはり事務のそういう、何というか、引き受け、国税庁のほうが法務省のほうにたかっているというふうなこういう形が不自然だからこういうことができる。これはもとに戻したほうがよろしいし、多少めんどうでも国税庁のほうは大蔵省なんだからお金があるんだから、これは市町村のほうに行ってそうして必要な手続をとったほうがいいんじゃないかな。第一線の人はみんなそう言っている、第一線の人は。いかがですか。
  145. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) いわゆる登記書の写しの問題でございまして、これは市町村に行って私どもがその内容を承知するという筋合いのものではなく、むしろ法務省のほうにお願いすべき筋合いであろうと、かように考えております。
  146. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、こういう税通事務ということは未来永久にやっていくおつもりですか。
  147. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、ただいまのところ、このお願いを取りやめまして、登記所に行きまして税務官吏が登記簿の閲覧をするというような手続をとることは考えておりません。
  148. 大森創造

    ○大森創造君 もう一回一番最後のほうを……。
  149. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 登記所へ税務官吏が参りまして登記簿を閲覧して内容を写して参るという事務をすることは考えておりません。
  150. 大森創造

    ○大森創造君 私の意見は、もう少しすっきりさせるべきである、そう思う。予算が来ないから四月から十月までやめてみたり、予算が来たらやるということではおかしいし、それから金額が年ごとによってだんだん変化していくというような状態もおかしいんだが、大蔵省のほうとしては、三千万円ということに査定をしたこれは知っているのかな。委任事務というか、依頼するための事務が三千万というのは、徴税事務とか賃金の予算、そういうものの中で法務局とそれから国税庁のほうとの話し合いでここらがよかろうということできめておるのか、それとも、大蔵省のほうで了解してきめた線なのかな、この額は。どういう性質のものか。
  151. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 先ほど三千万円程度という予算につきまして御説明申し上げましたが、これは国税庁にほかにいろいろそういう賃金予算をいただいておりますその中の一部でございまして、もちろんこれは最近の登記事務の繁雑さ複雑さと勘案いたしましてそれにスライドしてふやしてきた、かように考えております。もちろん、内容につきましては、これは法務省と予算を編成をする過程で打ち合わせをしていると思います。
  152. 大森創造

    ○大森創造君 この三千万円、初めはただでやったんだけれども、だんだん金額がふえてきたのだが、この金額三千万円という植拠は一体何か。五千万円にできないものか。
  153. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 実は、登記所から税務署のほうで収受をいたしました登記資料につきましては、これは私どものほうで数字をつかんでおるわけでございます。最近二、三年の傾向を見ますと、かなり急激にふえておりまして、数字をただいま申し上げますと、三十七年度で約百六十万枚、三十八年度で二百五十万枚、三十九年度で四百五十万枚程度になっております。これは実は譲渡人と譲受人の両方につきまして二枚資料をいただいておりますので、実際の移動件数はこの半数であろうというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、資料はさようなことになっております。その後の数字はただいま承知しておりませんし、なお、四十一年度中どの程度の登記事務が起こりますか、それも私ども予想できません。ただ、これまでの趨勢からただいま申し上げました予算が支出委任額がきめられたものと、かように考えております。
  154. 大森創造

    ○大森創造君 端的に聞くが、この金額をきめるのは、法務省とあなたのほうの話し合いできめるのか。
  155. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、予算編成の一般の経路をたどるものと思います。三千万円余りということでございますが、三千万円にするという約束ではもちろんございません。これは、たとえば一般の予算の場合に、一億の要求をいたしまして、七千万円でとまるということもございます。国税庁のほうでどの程度御要求をなさいましたか、私のほうではわかりませんが、最終的に大蔵省と国税庁との間の話し合いで煮詰まったものが三千万円になったということであろうと私は理解しております。
  156. 大森創造

    ○大森創造君 これは、そうでなくて、国税庁が賃金予算というものを大ワクを取っておいて、そうして、大蔵省の予算のほうはわからなくて、あなたのほうと法務省の話し合いで、ことしは三千万円にしよう、ことしは金が足りないから上半期はそういうことをやらないようにしようということを随時やっているのと違いますか。
  157. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) ただいま民事局長から御答弁もありましたように、予算編成の過程では、私どもいろいろな数字をつくるわけでございます。国税庁の予算につきましても例外ではございませんで、私ども円滑に事務を処理するために予算を要求いたすわけでございます。これは、国全体の財政規模、その年の財政政策によりまして、やはりある程度査定をされるわけでございまして、したがいまして、国税庁関係の賃金予算につきましても、そういう一般的な予算編成の方針できめられたものというふうに承知いたしております。
  158. 大森創造

    ○大森創造君 私が言うのは、これは大蔵省の予算から賃金予算として取っておいて、大蔵省の主計局なり予算の係のほうがわからないのに、適当に年ごとに法務省と話し合いをしてきめている金額だろうというんです。そうでなければ、三千万円だ、一千六百万だ、二千四百万だという数字が予算書のどこに書いてあるのか、あとでぼくのところに持ってきてほしいと思うのだが、どうです
  159. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 三千万円という予算は、これは国税庁全体の賃金予算の中の問題でございます。しかしながら、その数字につきましては、これは主計局との折衝の過程で主計局のほうも承知しておる数字であると、かように考えております。
  160. 大森創造

    ○大森創造君 主計局のほうは承知したといっても、私は承知しないのだから、予算書の中に三千万円という数字が出ているか出ていないか。あなたのほうのやりくりと違いますか。
  161. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 予算書がどうなっておるか、ただいま私持っておりませんので、調べましてまた御答弁いたします。
  162. 大森創造

    ○大森創造君 ピンはねしているのじゃないか、あなたのほうは。そうともとれるね。たとえば、賃金予算というものを大ワク取っているだろう。そこで、大蔵省のほうはわからないで、ことしは三千万円、ことしは二千万円でかんべんしてもらうということであるから、本来は五千万円出すべきものを三千万円にしておいて、あなたのほうでいい思いをしているというふうにも考えられるんですね。そうでなければ、表立ってことしはこういう仕事を委任するために三千万円という数字が大蔵省の予算書の中に出てきていなきゃならぬと思うのだけれども、それは推定だ推定だと言っているけれども、私の推定はそう思う。
  163. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) ただいま申し上げました数字は、これは国税庁の賃金予算の中でございます。その意味では、大森先生のおっしゃるような意味になろうかと思います。これは法務省の予算ではございません。しかしながら、仕事そのものは、これは法務省でやっていただいております関係上、支出の委任額、かようなことに相なっておるわけでございます。
  164. 大森創造

    ○大森創造君 時間がなくなるから、私は簡単に終わりますが、一つこれをお願いしたいと思います。きょうの答弁たるや、わからないんです。法務省や民事局のほうはうそは言わないと思うのだか、冒頭に刑事局長と問答したように、労働省なんというのは大体ひきょうですよ。ほとんどうそばかり言っているんだからね。ほとんどうそばかり言っている。だから、会計検査院と刑事局のほうに頼むほかない。そこで、これは、実際に仕事をやっている人に聞いてごらんなさい。こんなものはやはり本来の姿に戻すべきだという意見が圧倒的に強いので、労働組合と話し合いをしなさい。これを約束してください。このことを国税庁、法務省の労働組合と話し合いしなさいよ。
  165. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) これは実は国税庁のほうの職員の問題ではございませんので、国税庁のほうでは話し合いをするつもりはございません。
  166. 大森創造

    ○大森創造君 とにかく労働組合というものとこれは話し合いをしなさいよ。国税庁も法務省もいかがです。そのことを約束をしてください。
  167. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 税務署通知の問題は、数年来労働組合のほうでも関心を持っている問題でございます。毎年私どもも組合の代表者と会いまして、この問題について話し合うわけでございます。ただ、先ほど私が申し上げましたように、もしこの措置をとらないで本来の姿に戻すといたしました場合に、はたして現在の忙しい登記所がそれに耐え得るかどうか。意地悪なことを考えますれば、そんなことはございませんでしょうけれども、務税署のほうから、それならもう全部あげて登記書の登記抄本を出してもらおうというようなことでも起こりました場合には、現在以上にたいへんなことになるわけであります。そういったことも考え、なおかつ、法務局の職員の負担を特別に過重にするというのではなくて、こういった特別の予算の支出委任を受けまして、その範囲内でやればよろしいということでありますれば、これはむしろこちらの措置のほうが円滑にいくのではあるまいかということをわれわれ考えているわけでございまして、そういった趣旨のことをかねがね労働組合のほうと話し合いをしております。おりますが、いかんせん、これを完全に返上いたしますと、そのあとに来る問題のほうがかえって大問題になるわけでありまして、むしろこうやってお互いに協力し合って円滑にこの仕事が遂行できるのでございますれば、われわれとしましては、この措置のほうがむしろ法務局にとって害がない、むしろ無難なのではないかというふうに考えております。  もちろん、労働組合との折衝は、この問題のみではございません。いろいろ法務局の職員の意向、意見等も聞く必要もございますので、今後も十分そういう点については気をつけまして話し合いをいたすつもりではございます。
  168. 大森創造

    ○大森創造君 法務省のほうは話し合いをするが、国税当局も話し合いをしなさいよ。毛ぎらいする必要はない。これはこの次の委員会で問題にしたいと思うが、各省ともとにかく第一線の労働組合を分裂させるようなことをやっている。具体的な事例を私たくさん申し上げたいと思うが、国税当局の事務を委任しているんだから、敬意を表してぜひとも労働組合と話し合いをしなさい。そんなこともできないで頼むというような──こういう紋切り型の形式的なことを委任しているんだから、敬意を表する意味でも、第一線で働いている労働組合と話し合いの機会をもちなさい。それが礼儀でしょう。
  169. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) もちろん、国税庁におきましても、職員組合との間に、労働条件につきましていろいろ交渉、折衝をいたしているわけでございます。ただ、この問題は、これは税務署に対する登記資料の通知という問題でございまして、私ども国税庁の問題ではないということを実は申し上げたわけでございます。この点ひとつ大森委員に御了承願いたいと思います。
  170. 大森創造

    ○大森創造君 国税庁の事務ではないといったって、国税庁の事務をやらせるのだから、敬意を表する意味で、あなたのほうは、全法務、法務省の労働組合と話し会いの機会を持ちなさい。それが礼儀でしょう。
  171. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 法務省関係の職員の団体と国税庁とが交渉するということは、これは、ちょっと、何と申しますか、職員組合との折衝のルールから申しましてできないことではなかろうかと、かように私考えます。実は、いま大森委員がお話しになります御趣旨は、私、よくわかるわけでございまして、そういう問題もあったかと思うのでございますけれども、そういう折衝をする筋合いではないということを申し上げまして、御了承を願いたいと思います。
  172. 大森創造

    ○大森創造君 筋合いでないならば、筋合いでないような仕事を頼む必要はないんですよ。私は筋はやはり国税庁自体でやるべきだと思っている。お願いする立場なんだから、ひとつ敬意を表して労働組合と話し合いしなさいよ全法務の労働組合と。そこらはできるでしょう。
  173. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) これは、やはり、私ども職員組合と折衝いたします場合には、その勤務条件に関していろいろ話し合うわけでございまして、国税庁が法務省関係の職員組合と勤務条件につきまして話し合いをするということは、これはむしろ、そういうことをいたしますよりも、法務省とその職員組合との間の話し合いにお願いするのが筋ではなかろうか。この問題そのものにつきましては、私ども平素から法務省のほうといろいろ打ち合わせをしておりますし、これがどういう影響を登記所におきます職員の勤務条件に及ぼすかということにつきましても私ども決して無関心ではないわけでございますけれども、筋合いはさようなことであろう、かように考えているわけでございます。
  174. 大森創造

    ○大森創造君 税通の問題というのは非常にやっかいだと言っているんですよ、組合の人やそれから実際に仕事を受け持っている人は。きょう答弁に立たれた法務省の方とは違っている。ほんとうにこれは逸脱している。本来、設置法によるというと、国税庁のほうでやるべきものなのに、非常に迷惑だというのが第一線の声だから、これは、国税庁の次長が言うたように、その答弁はわけがわからないことはないけれども、これは勤務条件やそれから予算の問題でなくして、仕事そのものを扱っているのが法務省の職員なんだから、そのほうの意見も聞いてやりなさい。そこらのことはやっていいですよ。やりなさいよ。どうです。
  175. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 法務省の職員におきます勤務条件の問題につきましては、法務省のほうからいろいろお話を承りたい、かように考えます。
  176. 大森創造

    ○大森創造君 とにかく、私は、お役所というものを近ごろ信用しなくなったんだよ。労働省じゃないけれども、マル特会計というのは警察にもあるんだな。だから、警察がほんとうに私が要望したようにできるかどうかあやしんでいる。それほどがっちりこんと仕事やっているかというと、そうでなく、ある面においては手かげんをしている。労働省なんかすごいからね。マル特会計なんか億単位なんだから。そういうことではぼくは基準行政はできないということで刑事局長に言ったけれども、あなたのほうでもそうなんです。警察だってマル特会計持っているんだから。だから、ここで答弁をするときには非常にかたいことをおっしゃいますけれども、みんな、会計検査院だって汚職が出てきたり、法務省の役人だっておかしなことが出てきたり、警察の交通係の自動車事故なんか案外多いんだから。調べてみたら多い。ところが、たいてい、警察の巡回したり交通の取り締まりの自動車とぶつかると、相手が悪いことになってしまう。  だから、あなたの言うこともわけのわからぬことはないけれども、もう少しやったほうがスムーズに進むのだから話し合いしたらいいだろうということなんです。やらないというほどにかたいんなら、それほどがっちりやっているかというんです。私いくらでも例をあげてやる。なぜ私が大きい声で言うかといえば、国税庁だってとんでもないインチキをやっているんだ。私はそれを知っている。次回の委員会に持ち出そうか。手かげんしているところはものすごい手かげんをしている。何億という手かげんをしている。いずれ長官に来てもらって──きのうも電話をかけて言ったら、ものすごい手かげんをしている、政治圧力によって。私がこれほどお願いしているんだから、労働組合との話し合いを持ちなさい。あのくらいいいかげんにやっている国税庁なんだから、規則にない労働組合との話ができないというようなばかがたいことを言うなら、私もばかだから、今度は国税庁のほうを洗いますよ。規則はないかもしらぬけれども、労働組合との話し合いをやるのが礼儀だ。
  177. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 先ほどからいろいろ申上げましておしかりを受けているわけでございますが、実は、法務省の職員団体と勤務条件につきまして交渉いたしますのは法務省であり、私ども国税庁につきましても同じことでございまして、勤務条件につきましてはよく職員の意向を聞き、その要望を聞いて、それを施策の上に反映させい、かように私は考えております。ただ、全法務の問題につきましては、私そういう大森委員のお話しになります点はよくわかるのでございますけれども、そういういわば対角線交渉と申しますか、それをいたしますと、むしろ私どもの折衝そのものが無責任になると申しましょうか、ことばが非常に不適当でございますけれでも、責任のあるいろいろな折衝が私どもできないのではないか、かようにも考えて、実質的にもそういうふうに考えております。
  178. 大森創造

    ○大森創造君 私はどうしてもこの税通の問題については反対であって、こういうことが行なわれたならば、各省の協力の度合いということで混線してきてわけがわからなくなるから、このことは反対だ。  それから、国税庁の次長ね、言うことは筋だ。それはよくわかる。だけど、それはそのとおりだけれども、これはこちらからのお願いなん、だから、これほど大きい声をして。だから、会ってやってくれ、こういうことなんです。だって、手かげんしているんだものな。すごいぜ、あの手かげんぶりは。上から圧力が来るというと、すごいんだから。人が悪くなっちゃうんだ。これは筋が違いますから法務省の労働組合と話ができないと、それほどがっちりやっている国税庁ならば、私は一方で何でああいうことをやっているのか不思議なことが幾つもある。話し合いをお願いしますというんですが、そのお願いを聞けないですか。
  179. 中嶋晴雄

    説明員(中嶋晴雄君) 非常におしかりをこうむるばかりでございますけれども、私ども国税庁の幹部が全法務とお会いして、その勤務条件についていろいろ申し上げて、あるいはお話しを伺うということは、これは官庁の何と申しますか、組織の問題等からいたしまして、いささかどうであろうかという感じがいたしますので、大森委員からいろいろお話がございましてよくその趣旨は私も長官に申し伝えますが、ここではすぐどうということはお引き受けできないわけであります。
  180. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、長官に話して、よけいなことかもしれないが、私がお願いするから、話し合いをしていただきたいと思う。  それから税通の問題、これは私は反対だ。こういう折り目のないことじゃだめだ。こういうことをやったのでは、各省庁のことがばらばらになっちゃいますよ。私は反対。  長官に話してください。妙なことを言うわけじゃないけれども、そのくらいの融通性があっていいんだ。融通性がある役所なんだ、大蔵省、国税庁というのは調べてみると。だから、長官に話してください、そして話し合いをしてやってください、何ということはないんだから。  以上で終わります。
  181. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 本日はこれにて散会いたします。