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1966-03-10 第51回国会 参議院 法務委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年三月十日(木曜日) 午前十時十四分開会
—————————————
委員
の異動 三月三日 辞任
補欠選任
山田
徹一君 辻
武寿
君
—————————————
出席者
は左のとおり。 理 事 木島 義夫君
松野
孝一
君 稲葉 誠一君 辻
武寿
君 委 員
岡村文四郎
君 後藤 義隆君 鈴木 万平君 中野
文門
君 中山 福藏君 山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣
石井光次郎
君
政府委員
法務政務次官
山本 利寿君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長
寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長
矢崎 憲正君
事務局側
常任委員会専門
員 増本
甲吉
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
の件 ○
裁判所法
及び
裁判所職員定員法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
訴訟費用等臨時措置法等
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣送付
、
予備審査
)
—————————————
〔
理事松野孝一
君
委員長席
に着く〕
松野孝一
1
○
理事
(
松野孝一
君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。
委員長
が請暇中でありますので、その委託を受けて私が本日の
委員会
を主宰さしていただきます。 まず、
理事
の
補欠互選
を行ないます。 去る三日、
山田徹
一君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
辻武寿
君が
委員
に選任されましたことに伴ないまして、
理事
が一名欠員となりましたので、この際、
理事
の
補欠互選
を行ないます。
互選
は、慣例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野孝一
2
○
理事
(
松野孝一
君) 御
異議
ないと認め、
理事
に
辻武寿
君を指名いたします。 ちょっと
速記
とめて。
—————————————
〔
速記中止
〕
松野孝一
3
○
理事
(
松野孝一
君)
速記
をつけて。
松野孝一
4
○
理事
(
松野孝一
君) 次に、
裁判所法
及び
裁判所職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
、
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
及び
訴訟費用等臨時措置法等
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
政府
から順次
提案理由
の説明を聴取いたします。
石井法務大臣
。
石井光次郎
5
○
国務大臣
(
石井光次郎
君)
裁判所法
及び
裁判所職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を説明いたします。 まず、
裁判所法
の一部を
改正
しようとする点でありますが、これは、新たに、
地方裁判所
に、特殊の
事件
につき、
裁判官
の命を受けて
事件
の
審理
及び
裁判
に関して必要な
調査
をつかさどる
裁判所調査官
を置こうとするものであります。 御
承知
のとおり、
現行裁判所法
上、
裁判所調査官
は、
最高裁判所
及び
高等裁判所
にのみ置かれ、
地方裁判所
には置かれておりません。ところで、
地方裁判所
におきましては、近年、
工業所有権
に関する
事件
及び
租税
に関する
事件
は、その
受理件数
も相当多数にのぼっております上に、その
審理期間
も他の
一般
の
事件
に比し著しく
長期化
している
実情
にあります。もちろん、この種の
事件
の
処理
に当たる
裁判官
の努力にはなみなみならぬものがあるのでありますが、なにぶんにも、これらの
事件
は、事柄の性質上、
法律知識
以外の特殊な
専門的知識
を必要とする複雑困難な問題を含んでいることが多いのでありまして、これが、これらの
事件
の
審理期間
を
長期化
せしめる最大の原因となっているものと考えられます。そこで、
政府
におきましては、この種の
事件
の
審理
及び
裁判
の
適正迅速化
をはかるために、先般
臨時司法制度調査会
が
内閣
に対して述べました
意見
を参酌しました上、今回、
地方裁判所
に、これらの特殊
専門
的な
知識
及び
経験
を活用して
裁判官
を補助する
裁判所調査官
を置くこととし、これに
裁判官
の命を受けて
工業所有権
または
租税
に関する
事件
の
審理
及び
裁判
に関して必要な
調査
をつかさどらせようとすることとした次第であります。 次に、
裁判所職員定員法
の一部を
改正
しようとする点でありますが、その要旨は、
下級裁判所
における
事件
の適正迅速な
処理
をはかるため、
裁判所
の
職員
の
員数
を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその
要点
とするところを申し上げます。 まず、その第一点は、
高等裁判所
における
訴訟
の適正迅速な
処理
をはかるため、
下級裁判所
の
裁判官
の
員数
を増加することであります。
高等裁判所
における
事件
の
処理状況
を見ますと、近年
未済事件
が増加し、
審理期間
の
長期化
が目立つようになってまいりました。そこで、
政府
におきましては、この際、
高等裁判所
における
訴訟
の適正迅速な
処理
をはかるため、さしあたり、
判事
の
員数
を二十七人増加しようとすることといたしました。 第二点は、
裁判官
以外の
裁判所
の
職員
の
員数
を増加しようとする点であります。すでに述べましたとおり、新たに
地方裁判所
に
裁判所調査官
を置くために
裁判所調査官
の
員数
を増加し、また、さきに述べました
高等裁判所
の
判事
の
員数
を増加することとしたことに伴い、
裁判所書記官
の
員数
を増加するほか、近時少年の
保護事件
の数がますます増加の傾向にあること等に伴い、その
調査
の充実をはかる等のため、
専門
の学識及び
経験
により
裁判官
を補助する
家庭裁判所調査官
の
員数
を増加しようとするものであります。これら新たに増加しようとする
裁判官
以外の
裁判所
の
職員
の
員数
の総数は、五十八人であります。 以上が
裁判所法
及び
裁判所職員定員法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。 なにとぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御一決くださいまするよう、お願いいたします。 次は、
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
について、その
趣旨
を説明いたします。
日本国憲法
のもとにおいて
最高裁判所
のになう使命と責任の重大なことは申すまでもないところであり、この重責が全うされるためには、
最高裁判所
の
裁判官
に、広く各方面から、識見の
商い人材
を得なければならないのであります。
最高裁判所
の
裁判官
にそのような
人材
を得、かつ、そのような
人々
が安んじてその職責を全うするためには、その
在職
中の
処遇
についてのみならず、その
退職
後の
処遇
についても特別の配慮が払われなければならないものと考えられます。 現在、
最高裁判所
の
裁判官
が
退職
した場合には、他の
国家公務員等
の場合と全く同様に、
国家公務員等退職手当法
により
退職手当
が
支給
されるのでありますが、同法は、広く
一般
の
国家公務員等
につき、主としてその
勤続期間
の
長短
及びその
退職
の
理由
に着目して
退職手当
の
支給
の
基準等
を定めている関係上、
最高裁判所
の
裁判官
が
退職
した場合に
支給
されまする
退職手当
の額は、
最高裁判所
の
裁判官
の
地位
の
重要性
にかんがみるとき、必ずしもこれにふさわしいものとは言えないうらみがあるのでございます。 ことに、
最高裁判所
の
裁判官
については、そのうち数人は、弁護士のように
国家公務員
としての
長期勤続者
でない者から任命されるのが
最高裁判所発足
以来の常例となっているのでありますが、
現行法
による
退職手当
は、永年
勤続
に対する報償という
性格
を強く持っておりまする結果、このような
人々
に対する
退職手当
の額は、その
地位
の
重要性等
に比べて、きわめてわずかなものとならざるを得ないのでありまして、この点につきましては、先般
内閣
に対して提出されました
臨時司法制度調査会
の
意見
においても、つとに指摘され、これについて何らかの
措置
を講ずべきものとされているところであります。 そこで、
政府
におきましては、
最高裁判所
の
裁判官
が
退職
した場合に
支給
する
退職手当
を増額する等の必要があるものと考えまして、ここにこの
法律案
を提出した次第でありまして、以下簡単にその
要点
を御説明申し上げます。 この
法律案
は、
最高裁判所
の
裁判官
が
退職
した場合に
国家公務員等退職手当法
に基づいて
支給
されることとなる
退職手当
の
算定
の
基礎
となる
支給率
、
勤続期間
の
計算等
について、同法の
特例
を設けようとするものでありまして、その内容は、おおむね次のとおりであります。 第一は、
退職手当
の
支給率
についての
特例
であります。
国家公務員等退職手当法
におきましては、
勤続期間
一年についての
退職手当
の
支給率
は、
勤続年数
、
退職
の
理由等
に応じて、おおむね
俸給月額
の百分の百ないし百分の百八十と定められているのでありまするが、
最高裁判所
の
裁判官
の
退職手当
につきましては、
勤続年数
の
長短
及び
退職
の
理由
にかかわりなく、その
支給率
を、
最高裁判所
の
裁判官
としての
勤続期間
一年について
報酬月額
の百分の六百五十としようとするものであります。 第二は、
退職手当
の
算定
の
基礎
となる
勤続期間
の
計算
についての
特例
であります。
国家公務員等退職手当法
の規定によりますと、
一般
の
国家公務員等
としての
在職期間
と
最高裁判所
の
裁判官
としての
在職期間
とが引き続いている場合等には、両
在職期間
を通算して
退職手当
の額を
計算
した上、これを
支給
することとなるのでありまするが、第一に述べた
特例
によりまして、
最高裁判所
の
裁判官
の
退職手当
が他の
職員
のそれとはややその
性格
を異にするものとなること等にかんがみまして、
最高裁判所
の
裁判官
としての
在職期間
については、他の
職員
としての
在職期間
と引き続いている場合であっても、その
期間
とは通算しないこととし、
最高裁判所
の
裁判官
の
在職期間
についてのみ、第一で述べた
支給率
の
特例
による
退職手当
を
支給
することとしようとするものであります。 以上が
最高裁判所裁判官退職手当特例法案
の
趣旨
であります。 なにとぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御賛成くださいまするよう、お願いいたします。 次は、
訴訟費用等臨時措置法等
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を説明いたします。 この
法律案
は、第一に、
民事訴訟
及び
刑事訴訟
の
証人等
の
宿泊料
の
最高額
を増加するため、
訴訟費用等臨時措置法
について
所要
の
改正
を行ない、第二に、一部
低額
の
執行吏
の
恩給
を増額する等のため、
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
(
昭和
二十四年
法律
第五十五号)について
所要
の
改正
を行なおうとするものでありまして、以下簡単にその
要点
を申し上げます。 まず、
民事訴訟
における当事者、
証人
、
鑑定人
、
通事等
の
止宿料
、
刑事訴訟
における
証人
、
鑑定人
、
通訳人等
の
宿泊料並び
に
執行吏
の
宿泊料
の額につきましては、
国家公務員
が出張した場合に
支給
する
宿泊料
の額に準じて、現在その
最高額
を特別区の存する地、京都市、大阪市、名古屋市、神戸市及び横浜市においては千五百円、その他の地においては千二百円と定めているのであります。このたび
政府
におきましては、
国家公務員
の
旅行
の、
実情等
にかんがみまして、
内国旅行
における、
宿泊料等
の定額を引き上げる必要を認め、別途今
国会
に
国家公務員等
の旅費に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を提出いたしましたが、
証人
の
宿泊料等
につきましても、これに準じて、その
最高額
を引き上げる必要があると考えられまするので、今回、これを特別区の存する
地等
においては二千円、その他の地においては千六百円に改めようとするものであります。 次に、
執行吏
は、
一般
の
公務員
の場合と同様に
恩給
を受けることになっておりますが、
政府
におきましては、
一般
の
退職公務員
について、
低額恩給
を改善する等の必要を認め、今
国会
に
恩給法等
の一部を
改正
する
法律案
を別途提出いたしておりますことは御
承知
のとおりでありまして、
執行吏
の
恩給
につきましても、これに準じて、一部
退職執行吏
の
低額恩給
を改善する等の必要があると考えられますので、その
年額
が六万円未満のものについては、その
年額
を六万円とする等
所要
の
措置
を講じようとするものでございます。 以上が
訴訟費用等臨時措置法等
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。 なにとぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決くださいまするよう、お願いいたします。
松野孝一
6
○
理事
(
松野孝一
君) これらの議案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時三十二分散会
—————
・
—————