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1966-02-10 第51回国会 参議院 法務委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年二月十日(木曜日) 午前十時十六分開会
—————————————
委員
の異動 十二月二十八日
辞任
補欠選任
丸茂 重貞君 館 哲二君 奥村
悦造
君
田中
茂穂
君
中上川アキ
君
鈴木
万平
君
近藤英一郎
君
後藤
義隆
君 一月三十一日
辞任
補欠選任
石井 桂君
斎藤
昇君 二月二日
辞任
補欠選任
田中
茂穂
君 重政
庸徳
君 二月三日
辞任
補欠選任
亀田
得治
君
杉山善太郎
君
中津井
真君 二月七日
辞任
補欠選任
中津井
真君
田中
茂穂
君 二月九日
辞任
補欠選任
杉山善太郎
君
亀田
得治
君
—————————————
出席者
は左のとおり。 理 事 木島 義夫君 松野 孝一君 稲葉 誠一君
山田
徹一君 委 員
岡村文四郎
君
後藤
義隆
君
斎藤
昇君
鈴木
万平
君 中山 福藏君 大森 創造君 藤原 道子君 野坂 参三君 山高しげり君
政府委員
法務大臣官房経
理部長
勝尾
鐐三君
法務省刑事局長
津田 實君
法務省保護局長
本位田 昇君
法務省入国管理
局長
八木 正男君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長
寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長
矢崎 憲正君
最高裁判所事務
総局人事局任用
課長
草場 良八君
最高裁判所事務
総局経理局長
岩野
徹君
事務局側
常任委員会専門
員
増木
甲吉
君
説明員
法務大臣官房秘
書課長
長島
敦君
国税庁長官
中嶋 晴雄君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
(
昭和
四十一年度
法務省関係予算
及び
裁判所関
係予算
に関する件) (
今期国会
における
法務省関係提出予定法律案
に関する件) (
法務省共済組合
に関する件) (
法務省職員
の
定員等
に関する件) (
出入国管理
に関する件) (
司法修習
に関する件) (
森脇事件
に関する件)
—————————————
〔
理事山田徹
一君
委員長席
に着く〕
山田徹一
1
○
理事
(
山田徹
一君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。
和泉覚委員長
が請暇中でありますので、その
委託
を受けまして私が本日の
委員会
を主宰させていただきます。よろしくお願いします。 本日は、
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
を議題とし、まず、
昭和
四十一年度
法務省関係予算
及び
裁判所関係予算
について順次
説明
を聴取いたします。
法務省勝尾経理部長
。
勝尾鐐三
2
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) お手元に「
法務省所管昭和
四十一年度予算について」と題する印刷物が配付してございますので、
右印刷物
に基づきまして
法務省所管昭和
四十一年度予算について概要を御説明申し上げたいと存じます。 昭和四十一年度の
予定経費要求額
は五百九十四億八千五百六十万二千円でありまして、これを前年度の当初予算額五百四十三億三千六百三十四万三千円と比較しますと、五十一億四千九百二十五万九千円の増額となっております。前年度の補正後予算額五百五十七億六千六百五十二万一千円と比較しますと、三十七億一千九百八万一千円の増額となっております。 増額分の内訳を大別いたしますと、第一は、人件費の四十二億八千七百六十九万六千円であり、第二は、
一般事務費
の八億五千五百六十万二千円であり、第三は、
営繕施設費
の五百九十六万一千円でありますが、このほかに、
法務本省
第二新館新営費が前年度に引き続いて
建設省所管
に三億一千七百万円計上され、前年度に比して一億二千二百六十八万二千円の増額となっております。 まず、人件費四十二億八千七百万円の増加でありますが、これは、昨年九月から実施された
人事院勧告
の
公務員給与ベース
の改訂等に伴う
所要経費
及び
昇給原資
としての
職員俸給等
の増額がその大部分でありまして、そのほか、検事、
法務事務官等
百七十二名(ただし欠員より
振り替え充当
)の増員に必要な経費の増額等が含まれております。 増員につきましては、法務省としましては最も重点を置いたところでありますが、その内容について申し上げますと、 第一に、
公判審理
の迅速・適正化をはかるため、検事五名、
検察事務官
十名が増員となっております。
東京外主要都市検察庁
における
公判立会専従体制
を確立して、その迅速化に資するためのものであります。なお、検事については
検察事務官
の欠員より
振り替え充当
することとなっております。 第二に、
非行青少年対策
のため、前年度の
少年院教官等
四十名の増員に引き続いて、二十五名の増員となっております。その内容は、
——少年院
の
教化活動
の充実のための教官二十名。2、
少年鑑別所鑑別業務
の充実のための技官五名でありまして、
青少年犯罪
の防止及び犯人の改善を強力に推進するためのものであります。 第三に、法務局において事務官百二名が増員となっております。これは、
登記事件
が
経済規模
の拡大に伴い増加し、処理の能率化をもってしても職員の
事務負担量
はその限界を越える状況にありますので、
登記事務
の迅速・適正化をはかるため、前年度の八十名の増員に引き続いて行なわれたものであります。 第四に、日本国に居住する
大韓民国国民
の
法的地位
及び待遇に関する日本国と
大韓民国
との間の協定の実施に伴う
出入国管理特別法
に基づいて、
大韓民国国民
に対する
永住許可事務
を行なうため、
入国管理局
に事務官七名、
地方入国管理事務所
に
入国審査官
二十三名、計三十名が増員となっております。これにより、
永住許可事務
の処理の適正、迅速化をはかるためのものであります。 なお、以上御説明いたしました増員は、いずれも
内部組織
の
凍結欠員
の解除の方法により
振り替え充当
することとなっておりますが、
在外公館要員
として
法務事務官
一名が
外務省所管
に振り替え計上されることになっておりますので、来年度の法務省の定員は、一名減員となっております。 次に、
一般事務費
八億五千五百万円の増加の内容について御説明申し上げます。 まず、全般的に申し述べますと、
法務行政
の充実をはかるための経費のほか、職員の
執務環境
の改善、保護司、
人権擁護委員
、
矯正収容者等処遇
の改善等に必要な経費の増加がなされております。 そのうち、おもな事項について申し上げます。 第一は、
法務行政
の充実をはかるために必要な経費の増額でありますが、そのおもなものについて申し上げますと、 1、まず各組織に共通なものとして、旅費類の
単価是正
により二億一千二百六十四万九千円、賃金の
単価是正
により四百八十三万四千円等が増額となっております。 2、
法務局関係
につきましては、
登記諸費
(すなわち、法務局、
地方法務局
において登記、台帳、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費)につきましては、
登記登録旅費
(
単価是正分
を除く。)二百一万五千円、庁費三千五百五十二万三千円、
供託金利子
三千万円、計六千七百五十八万三千円の増額となっております。なお、
能率器具購入費
及び
消耗品費
二千二百七十九万九千円、
商業登記簿
の
ファイル化経費
二百万円が増額となっております。 3、
検察庁関係
につきましては、検察費(すなわち、検察庁において処理する
一般刑事事件
その他
各種犯罪事件
の直接
検察活動
に要する経費)につきましては、
検察旅費
六百五十六万九千円、庁費二千六百八万五千円、
精神鑑定依頼等謝金
二百万円の増額となっております。なお、事務の
能率化等器具整備費
五百四十九万七千円が増額となっております。 4、
矯正関係
につきましては、最近の被収容者の
収容人員
の増加に伴い、一日平均の
収容人員数
が、刑務所千人、少年院三百人、計千三百人増員となっており、それに伴う収容諸経費四千五百四十三万五千円の増額、
暴力団関係収容者等処遇
の適正をはかるための
分散拘禁等護送旅費
四百八十二万一千円の増額、
大通拘置支所等移転
に必要な
備品整備等経費
一千五百三十五万円、
看護人養成経費
百三十万五千円が増額となっておりますが、滋賀、
松江刑務所
、
帯広少年院等
の四十年度移転に伴う経費八千四百七十一万円が減額となっております。 5、
犯罪者予防更生法等
に基づく
補導援護
につきましては、
保護観察
を強化するため、
補導援護旅費
百二十七万九千円が増額となっております。 6、
訟務関係
につきましては、訟務費(すなわち、訟務局、法務局、
地方法務局
において、国を当事者とする民事・
行政事件等
の
訴訟事務
を処理するために要する経費)につきましては、諸謝金七十三万七千円、旅費九十六万六千円、庁費百三万一千円、計二百七十三万四千円が増額となっております。 7、
人権擁護関係
につきましては、
貧困者訴訟援助
の強化をはかるため、
法律扶助協会補助金
一千万円が増額となっております。 第二は、
刑務所作業費
の四千二百八十四万九千円の増額であります。これは刑務所被収容者に対し作業を行なわせるために必要な経費でありまして、
原材料費
が相当額増額されたほか、
作業形態
を
紙細工等
の低格作業から金属、印刷等の
有用作業
に転換するための
機械器具
の更新費、
作業附帯経費
を充実するために必要な経費及び
少年受刑者
の
職業訓練用機械器具整備費
が増額となっております。 第三は、職員の
執務環境
や、
人権擁護委員
、保護司、
矯正関係
被収容者の処遇の改善に必要な経費の増額でありますが、そのおもなものについて申し上げますと、 1、職員の
執務環境
の改善につきましては、各組織を通じまして
非常勤職員手当
の
単価是正
二百七十七万二千円、検察官、訟務官の
執務環境
の整備として
検察庁図書室
の整備費五百万円、
訟務官資料費
八十四万円、
外国人登録事務委託費
(
都道府県市町村吏員
の
給与改善費等
)八百九十万九千円、
検察事務官
の
研修強化経費
百二十万円が増額となっております。 2、
矯正関係
被収容者につきましては、
刑務作業等賞与金
の
支給計算基準
を一〇%引き上げるための三千二百二十七万六千円が増額となっております。次に、被収容者に支給する
精神薬品
・
消化器系薬品
、
日刊新聞等日用品
、教化・
教育資料
、
寒冷地燃料
、
職業補導費等
の
収容経費
二千二百四十万六千円、
宗教教講師謝金
二百万円が増額となっております。次に、被
収容者食糧費
でありますが、
米価改訂
に伴う主食費の単価増(八・六%)により七千四百六十四万五千円が増額となっており、また、
菜代単価
を最近の物価の趨勢にかんがみて昨年に引き続いて是正することとし、被収容者一人一日当たり二円五十五銭ないし三円三十五銭増額するのに要する経費として七千七百三十六万五千円が増額となっております。 3、
保護関係
につきましては、
更生保護会
の充実をはかり収容者の更生に万全を期するため、
更生保護委託費
について、
食事付宿泊費
の現行一人一日当たり百九十一円二十銭を二百十七円二十五銭に、宿泊費の現行六十七円四十六銭を七十五円七十八銭に、また、事務費の現行百二円を百九円五十二銭に、それぞれ単価の是正が行なわれたため千六百六十五万六千円の増額となり、なお、これに伴って、
更生保護会補助金
の事務費についても、現行一人一日当たり二十四円五十銭が二十六円に改訂されております。また、
保護司実費弁償金
については、補導費の
現行単価
一件一カ月当たり四百八十円を
保護観察内容
の難易により最高六百円から最低五百十円に是正すること等により九千二百八十四万六千円が増額となっております。 4、
人権擁護関係
につきましては、
人権侵犯事件調査
の強化をはかるため、
人権擁護委員実費弁償金
を一人当たり三千三百円(一〇%増)平均として二百七十二万二千円が増額となっております。 以上が
一般事務費
の増額となったおもなるものでありますが、このほか四十一年度予算におきまして次の事項について新規に予算が計上されております。 その一は、昭和四十年六月三日第四十八回
通常国会
で成立した農地被
買収者等
に対する給付金の支給に関する法律(法律第百二十一号)に基づいて、法務局、
地方法務局
が所掌する
農地等所有関係証明事務
を行なうに必要な経費として一億四百八十七万円が計上されております。 その二は、昭和四十年度
補正予算
に計上されましたが、日本国に居住する
大韓民国国民
の
法的地位
及び待遇に関する日本国と
大韓民国
との間の協定の実施に伴う
出入国管理特別法
に基づいて、
入国管理局関係
の
永住許可事務処理
を円滑適正に実施するに必要な経費として、前述しました増員三十名のほかに、
協定永住事務委託費等
として六千四百三十六万九千円が計上されております。 次に、
営繕施設費
でありますが、検察庁、
法務局等庁舎
の新営費、特に登記所の施設の整備を前年度に引き続いて充実するための経費を含めて二億一千六百三十三万五千円、
刑務所少年院等収容施設
の新
営整備等施設費
九千九百七十五万一千円、量増加に伴う
附帯事務費
八百四十八万三千円、
不動産購入費
三千万円が増額となっておりますが、四十年度に計上されました滋賀、
松江刑務所特別取得費
三億四千八百六十万八千円が減額となりましたので、
施設費関係
としましては当初申し上げましたように五百九十六万一千円の増額となっております。 以上、来年度予算の増額の内容について概略申し上げました。 次いで、法務省におきましては、昭和四十一年度予算において、
治安対策
の
充実強化
、
非行青少年対策
、
登記事務処理
の適正化を
主要事項
として取りまとめておりますので、前述しましたところと多少重複いたしますが、これについて簡単にその内容を申し上げたいと思います。 第一の
治安対策
の充実につきましては、前述の検事等十五名の増員及び
従事職員
の人件費を含めて五十三億四千三百八十八万二千円を計上し、前年度に比して三億七千五百七十八万七千円の増額となっております。これにより、
組織暴力
、公安、
交通車犯等
に対処して適切な検察権を行使し、
矯正施設
被収容者の衆情の安定をはかり、
破壊活動調査機能
を充実して社会不安の根絶を期したい考えであります。 その増額分について申し上げますと、 まず、
検察庁関係
として二十六億三千九十一万八千円を計上しておりますが、
公判審理
の迅速化をはかるための検事五名等の増員のほか、直接
検察活動
に必要な検察費千二百四十四万六千円、
交通切符制度運営調査関係経費
百八十八万円の増額分が含まれております。 次に、
矯正関係
として二千四百七十四万七千円を計上しておりますが、
暴力団関係
被収容者の
分散拘禁旅費
、並びに
警備用器具等
六百三十二万五千円が増額となっております。 次に、
公安調査庁関係
として二十六億八千八百二十一万七千円を計上しておりますが、
調査活動費
三千七百五十万六千円の増額分が含まれております。 第二に、
非行青少年対策
でありますが、前述の
少年院教官等
二十五名の増員及び
従事職員
の
人件費並び
に収容総経費を含めて八十五億六千五百二十三万六千円を計上し、前年度に比して八億七千九百七十七万八千円の増額となっております。これにより、粗暴化、低年齢化している
青少年犯罪
に対処する
検察体制
の充実をはかり、少年院、
少年鑑別所
の機能を人的、物的に整備し、同時に、青少年に対する
保護観察機能
を強化して、犯人の改善、再犯の防止をはかりたい所存であります。 その増額分について申し上げますと、まず、
検察庁関係
として三十七億九千四百四十四万一千円を計上しておりますが、
検察取締経費
(検察費)三千七百九十九万円の増額分が含まれております。 次に、
刑務所関係
として五千四百二十三万七千円を計上しておりますが、
少年受刑者
の
職業訓練
を充実するための
訓練用機械器具整備費
九百五十七万五千円が増額となっております。 次に、
少年院関係
として二十二億三千五百九十万四千円を計上しておりますが、
少年院教官
二十名の増員のほか、
初等少年院教化教育経費
、
日用資材
・
医療薬品
・
寒冷地燃料
・
菜代等収容経費
、
職業補導経費等
四千五百七十六万五千円の増額分が含まれております。 次に、
少年鑑別所関係
として十億二百六十三万五千円を計上しておりますが、
鑑別技官
五名の増員のほか、
審判少年
の
護送旅費
、
鑑別器具費
、
菜代等収容経費
千四百二十万四千円の増額分が含まれております。 次に、
保護関係
として十四億七千八百一万九千円を計上しておりますが、前述の
補導援護経費
、すなわち、
更生保護委託費
、
保護司実費弁償金等
についてそれぞれ単価の是正等が行なわれたことに伴う八千二百七十六万二千円の増額分が含まれております。 第三に、
登記事務処理
の適正化でありますが、前述の事務官百二名の増員及び
従事職員
の人件費を含めて五十九億六百五十七万九千円を計上し、前年度に比して六億四千九百八十八万三千円の増額となっております。これにより、
経済規模
の拡大、
公共事業
の
活発化等
に伴う
登記事件
の増加に対処して、処理の適正・迅速化に一そうの改善をはかりたい所存であります。その増額のおもなものは、増員を含む人件費のほか、
複写機等事務能率器具
の整備、事務の
合理化等経費
八千十三万六千円であります。 以上で
法務省所管歳出予算
について御説明いたしました。 なお、このほか、昭和三十三年二月二十一日の
閣議了解
に基づく
東京拘置所
その他の施設を処分することにより、新たに
東京拘置所
、
多摩刑務所
(仮称)、
川越少年刑務所
(
浦和拘置所支所
(仮称)を含む)、「
岡山刑務所
、
旭川刑務所
の各施設を取得するため総額五十七億三千五十九万九千円の
国庫債務負担行為
を要求しており、これにより
刑務所移転対策
の促進をはかる所存であります。 終わりに、当
省所管歳入予算
について一言御説明いたします。 昭和四十一年度
法務省主管歳入予算額
は三百七億五千八百五十八万三千円でありまして、前年度当初予算額二百十八億一千九百四十五万一千円と比較しますと、八十九億三千九百十三万二千円の増額となっております。なお、前年度の補正後予算額三百一億一千二百三十五万一千円と比較しますと、六億四千六百二十三万二千円の増額となっております。 これは、過去の実績等を基礎として算出されたものでありまして、その増額のおもなものは、罰金及び科料と
刑務作業収入
であります。 以上をもって、
法務省関係昭和
四十一年度予算についての御説明を終わります。
山田徹一
3
○
理事
(
山田徹
一君)
最高裁判所岩野経理局長
。
岩野徹
4
○
最高裁判所長官代理者
(
岩野徹
君)
昭和
四十一年度
裁判所所管予定経費要求額
につきまして御
説明
申し上げます。 第一、
昭和
四十一年度
裁判所所管予定経費要求額
の
総額
は三百十五億五千七百二十六万一千円でありまして、これを前年度
予算額
二百八十三億七千十万六千円に比較いたしますと、差し引き三十一億八千七百十五万五千円の
増加
になっております。 この
増加額
の
内訳
を大別して申し上げますと、
人件費
において二十一億二千百七十三万円、
営繕費
において四億八千四百六十八万九千円、
裁判費
において三億九千六十二万九千円、その他
司法行政事務
を行なうために必要な
旅費
、
庁費等
において一億九千十万七千円となっております。 第二、次に、
昭和
四十一年度
予定経費要求額
のうちおもな
事項
について御
説明
申し上げます。 一、
臨時司法制度調査会意見実現経費
でありますが、
昭和
三十九年八月、
臨時司法制度調査会
が決定いたしました
意見
を実現するに必要な
経費
として、
最高裁判所裁判官
の
退職手当
の
増額
に要する
経費
二千五百八十七万五千円、
執務体制確立——宅調廃止
でございますが
——
に伴う
施設
の
整備
に要する
経費
二億五千九百二十五万八千円、
補助機構
の
充実
として
地方裁判所調査官
六人の
増員
に要する
人件費
五百三十七万六千円、
裁判事務処理
に要する
能率器具自動車等
の
整備経費
八千四百六十八万七千円、
裁判所
の
配置改善
に要する
経費
百三十万四千円、
新任判事補
の
補修
に要する
経費
百五十三万一千円、
合計
三億七千八百三万一千円が計上されました。 二、
裁判官等
の
増員
に必要な
経費
でありますが、
高等裁判所
における
事件処理
の
正常化
と
訴訟
の
促進
をはかるため、
判事
二十七人、
裁判所書記官
二十七人の
増員
に要する
人件費
六千二百四十四万一千円、
家庭裁判所
の
事件処理
につき、
家庭裁判所調査官
二十五人の
増員
に要する
人件費
一千二百三十五万三千円、
合計
七千四百七十九万四千円、が計上されました。三、
営繕
に必要な
経費
でありますが、
裁判所庁舎
の
継続工事
二十四
庁舎
、
新規工事
九
庁舎
の新
営工事費
として二十五億一千百三十九万一千円、その他、法廷の増築、
庁舎
の
補修等
の
施設整備費
として二億二千百十七万五千円、
庁舎
新営に伴う
敷地買収
のための
不動産購入費
及び
換地清算金
として四千二百四十六万円、以上の諸
経費
と、前に申し上げました
臨時司法制度調査会意見実現経費
のうち
執務体制確立
に伴う
施設
の
整備
に要する
経費
とを合わせまして、
合計
三十億三千四百二十八万四千円が計上されました。 また、このほかに、
最高裁判所庁舎敷地取得
のため、十五億円を限り、
昭和
四十二年度において
国庫
の
負担
となる契約を
昭和
四十一年度に結ぶことが認められました。 四、
裁判
に必要な
経費
でありますが、これは、
裁判
に直接必要な
経費
でありまして、
国選弁護人
の
報酬
、証人、
調停委員等
の日当、その他
裁判
に直接必要な
旅費
、
庁費等
として二十三億一千六百九十二万七千円が計上されました。 なお、この
経費
には、
執行吏
の
国庫補助基準額
を
増額
するに必要な
経費
として二百七十四万八千円、
国選弁護人
の
報酬
を約一〇%
増額
するに必要な
経費
として二千六百三十三万五千円、二千九百八万三千円が含まれております。 以上が
昭和
四十一年度
裁判所所管予定経費要求額
の
大要
でございます。 なお、お
手元
に差し上げております
要求額
の
説明書
には、
昭和
四十一年度
裁判所所管
の
予算
に関する
使途別分類表
を添付しております。
人件費
、
旅費
、
庁費
、
各所修繕
、
裁判費
、
委託費
、
交付金
、
分担金等
につきまして、それぞれ四十年度と四十一年度の比較を掲げておきました。
備考欄
に
裁判費
の
内訳
を掲げております。 その次にございます表は、
昭和
四十一年度の
裁判所
の
予算
のうち、重要と思われますものを拾い上げて表として添付いたしております。 第三番目の表は、
営繕関係
の表でございまして、
継続分
と
新規分並び
に
執務体制確立分
といたしましてのそれぞれの
庁名
を掲げておきました。 以上でございます。
—————————————
山田徹一
5
○
理事
(
山田徹
一君) 次に、
法務省関係
の
今期国会提出予定法律案
について
説明
を聴取いたします。
法務省長島秘書課長
。
長島敦
6
○
説明員
(
長島敦
君) お
手元
にございます「第五十一回
通常国会提出予定法案
」につきまして、
大要
を御
説明
申し上げます。 ただいま予定しております
法案総数
は十五件でございまして、そのうち、
予算関係法案
が二件、その他の
法案
が十三件でございます。これらにつきましては、まだ
内容
が不確定なものも多数ございまして、したがいまして、ただいまから申し上げます
説明
が、その
概要
と申しますか、ただいま考えております
概要
にとどまりますことを御了承いただきたいと存じます。 最初に、
裁判所
法及び
裁判所
職員
定員
法の一部を改正する
法律
案でございます。先ほど
最高
裁判所
から御
説明
がございましたように、このたび工業所有権及び税の関係につきましての
調査
官が地方
裁判所
に置かれることになりましたので、
裁判所
法の改正が必要となるわけでございます。
裁判所
職員
定員
法の関係につきましては、これまた先ほど御
説明
がございましたように、
判事
二十七名の
増員
、これに伴います
裁判所書記官
二十七名の
増員
、
家庭裁判所調査官
二十五人の
増員
、及び、先ほど申し上げました
地方裁判所調査官
六名の
増員
がございますので、これらの
増員
につきまして
裁判所
職員
定員
法の改正が必要でございます。これらの
法案
につきましては、来週中ぐらいには国会に提案になろうかと予測しておる次第でございます。 次に、
最高
裁判所
の
裁判
官の
退職手当
の特例に関する
法律
案でございます。これも、先ほど
最高
裁判所
から御
説明
がございましたように、
最高
裁判所
の
裁判
官について国家公務員
退職手当
法の特例が
予算
的に認められることになりましたので、それに伴う
法案
でございまして、
最高
裁判所
の
裁判
官につきましては、退職の日における
報酬
月額に勤続期間一年について百分の六百五十を乗じた額というのを基準といたしまして
退職手当
を定めようとするものでございます。これも、来週中ぐらいには国会に提案になろうかと存じております。 次は、借地法等の一部を改正する
法律
案でございます。これにつきましては、いろいろ問題がございまして、ただいまなお調整中でございますが、その主たる
内容
は、建物に関します借地条件が事情の変更によりまして不相当となったような場合に、当事者の申し立てによりまして
裁判所
が借地条件の変更その他の相当な処分をすることができる、また、借地権者が借地上の建物を譲渡しようとする場合におきまして、土地の賃貸し人が正当な理由がないのに賃借権の譲渡または転貸しを承諾しないときは、
裁判所
が借地権者の申し立てによりまして賃貸し人の承諾にかわる許可を与えることができる、こういった点が借地法の主要な改正点でございます。このような申し立てがございました場合には、
裁判所
は、原則といたしまして鑑定
委員会
の
意見
を聞きまして、なお、この手続は非訟事件の手続によることになるわけでございますが、これらの手続の点につきましても、当事者の利益を害しないように、ただいま慎重に検討が加えられておる次第でございます。次に、そのほかこの
内容
といたしましては、たとえば、借地、借家につきまして家賃、地代等に争いが起こりました場合に、従来どおりの地代、家賃を
供託
しておきますと、
裁判
の結果、地代、家賃がきまりました場合には、その差額を支払う、あるいは返戻するというようなことで解決をしようとすることが含まれておるわけでございます。民法の改正につきましては、御承知のように、地下鉄あるいは高架線というような地下あるいは空間の部分のみを利用することがふえてきておりますので、そういうような地下あるいは空間の部分のみについて地上権を設定するということができるようにしようというような
内容
を含んでおるのでございます。 次は、商法の一部を改正する
法律
案でございます。これもまだ確定的な
内容
がきまっていないわけでございますが、いろいろ
内容
が含まれております。まず、株式の譲渡制限の問題でございますが、会社は定款をもちまして株式の譲渡について取締役会の承認を要する旨を定めることができるというのが株式譲渡制限の問題でございます。次に、額面株式と無額面株式との間に変更を認めようというのが第二点でございます。それから株券の発行停止または寄託の制度は、記名株式の株主が、定款に別段の定めのないときには、その株式について株券の所有を欲しない旨を申し立てることができるということでございまして、その場合には、株券を発行しない、あるいは株券を銀行等に寄託するということになるわけでございます。新株発行の手続は、証券会社等が新株を一括して引き受けて公募するというような場合につきましての手続を定めようとするものでございます。新株引受権の譲渡は、新株引受権証書というものの発行を認めまして、新株引受権証書の譲渡によりまして新株引受権が譲渡できるという道を開こうとしておるわけでございます。転換社債の転換の請求時期の問題は、転換社債を株式に転換いたします請求は、定款に別段の定めのない限り、株主名簿の閉鎖期間内でも転換することができる、こういった
内容
のものでございます。いずれもただいままだ検討中でございまして、確定はいたしておらないわけでございます。 次は、会社
更生
法の一部を改正する
法律
案でございます。これにつきましても、
内容
は全く現段階ではさまっておらないわけでございまして、近く
法務省
にございます法制審議会の会社
更生
法部会におきましてこれが検討されることになるわけでございますが、その検討の結果、早急に改正を要すべき点として答申がございますれば、それに基づいて
法案
を立案したいという次第でございますが、主として問題になります点は、
更生
債権、
更生
担保権及び共益債権等をめぐる問題であろうかと考えておる次第でございます。 次は、刑法の一部を改正する
法律
案でございます。これは先般すでに今国会に提案になっておるわけでございますが、前回の
通常国会
に提案になりまして御審議をいただきました
法案
と同一の
内容
の
法案
でございます。 次は、下級
裁判所
の設立及び管轄区域に関する
法律
の一部を改正する
法律
案でございます。さしあたり考えておりますのは、市町村の廃置分合等に伴います整理でございます。 次は、司法試験法の一部を改正する
法律
案でございます。これにつきましては、ねらいといたしまして、現在の司法試験が、かなり試験科目が多うございますし、むずかしい試験になっております。で、これを一般の在学生であってもそれほど困難でなく受験できるようにする、また、司法試験管理
委員会
の中に学識経験者も加えるというような方向で検討をしておるわけでございますが、現在の段階におきましてまだ各方面の御
意見
を徴して調整中でございます。確定的な要綱はできておりません。 次は、特許関係事件等についての
裁判所
の管轄の特例等に関する
法律
案でございます。これは、特許関係事件につきましては特別の知識が必要でございますので、東京地方
裁判所
あるいは大阪地方
裁判所
に特別の部を設ける。で、ここの部におきましては土地管轄にかかわらずこの特許事件を受け付けることができるというような
内容
のものでございますが、なお
法律
的にいろいろ技術的な問題もございまして、成案を得るに至っておらない状況でございます。 次に、執行官
法案
、執行官費用
法案
、執行官法等の施行に伴う関係
法律
の整理等に関する
法律
案の三案を一括して御
説明
申し上げます。これにつきましても、近く法制審議会の強制執行部会が開催される予定でございまして、その審議の結果を待ちまして
法案
を立案するわけでございまして、ただいま確定したものはございませんが、一応考、えられておりますのは、
執行吏
を執行官というふうに名称を改めます。ただし、執行官になりましても、現在の
執行吏
制度と同じように手数料制度を前提とするわけでございますが、執行官に対します
事務
の配分あるいは監督につきまして
裁判所
の監督権限を
強化
していこうという
内容
を含んでおるわけでございます。そういった方向で考えようとしておるわけでございまして、たとえば強制執行に際しましての予納金等につきましては、これは
裁判所
が保管をいたします。そのかわり、執行官は各個の一つ一つの職務行為が終わったつど手数料を取ることができるというような
内容
をも含んだものでございます。
執行吏
が執行官というふうに改まってまいりますのに伴いまして、関係
法律
の整理が必要でございますので、整理
法案
が考えられておるわけでございます。 最後に、
訴訟
費用等臨時措置法の一部を改正する
法律
の一部を改正する
法律
案でございますが、これにつきましては、一般公務員の恩給につきまして、年間六万円に満たないものは六万円を最低限度とするというような改正がこの国会に提案されるふうに聞いておりますが、それに合わせまして、
執行吏
につきましても年間恩給が六万円に満たないものは六万円にするという
内容
を含む改正でございます。 最後にございます
裁判
官及び
検察
官の
報酬
、俸給等につきましては、すでに昨年当国会において御承認を得て成立済みの案件でございます。 以上、簡単でございますが、御
説明
といたします。
—————————————
山田徹一
7
○
理事
(
山田徹
一君) 次に、
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
を行ないます。大森君。
大森創造
8
○大森創造君 前回の
委員会
で私と
亀田
委員
、それから過去の記録を見ますというとその他の
委員
からも十分質問があって、大体理論的には解決されたような感じがするのでございますが、例の共済組合の問題ですね、この前の速記録をごらんになってもおわかりになるだろうと思うんですが、全法務という労働組合の代表を入れない理論的根拠はないと思うんです。
——
ちょっと待ってください。私は理論的根拠はないと思うんですよ、この前の問答で。そこで、私は、ただこの
委員会
で意味のない空の論議をしたくございませんから、理論的にそのことが適当であるという判断をされた場合には、実行してほしいと思う。六月に改選たそうですから、全法務労働組合の代表もひとつ入れてください。いかがですか。
勝尾鐐三
9
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
)
法務省共済組合
の運営審議会の
委員
に全法務労働組合の代表を組合員側の代表として選任する問題につきまして、前回の十月二十一日の当
法務委員会
で御質疑がありました
内容
につきましては、当日出席をいたしました所管
課長
からも直接聞いております。速記録も拝見いたしましたところでございます。つきまして、ごく簡単に私のほうから結論だけ申し上げさしていただきます。 ただいま御質疑のございましたように、六月改選の時期がございますので、その時期に結論を出すという方向で私ども考えております。現在の段階における当
法務省
内部の実情を率直に申し上げますと、全法務労働組合の代表即組合側の代表という考え方につきましては、なお内部に異論がございまして、目下調整中でございます。私自身の考え方といたしましては、要するに、共済組合法にもございますように、九条ですか、の条件にかなう者でありますれば、それが全法務労働組合の代表であっても、また幹部であっても、当然私のほうとしてこれを選任するにやぶさかなものではございません。ただ、選任の実際の
事務
的な経過を申し上げますと、前回の
委員会
でも申し上げてございますように、縦割り
組織
の関係がございますので、また、その中に全法務の組合員である者とない者とございます。したがいまして、最終的には私のほうで調整をとって決定する責任を持っておりますが、具体的な選任にあたりましては、各
組織
の所管局とも十分協議をした上でその具体的な人選をきめる運びになっております。その具体出な
事務
の運びにおいてこの問題を解決していきたいというのが現在における実情でございます。
大森創造
10
○大森創造君 いま御答弁になったようなことは、前回においても議論が尽くされていると思うんでよ。そういうことは私はよくわかっているのです。しかし、それにもかかわらず、全法務の代表を一人入れたほうが、実際の共済組合の運営上好ましい、より効率的であるという立場で私と
亀田
さんが申し上げた。御了承いただいたと思いますか、いまあなたの御
説明
というものは、もう尽くされておることなんです。繰り返し聞きたくございませんけれども、大阪のほうから連れてきて、そうしてぽっと来るということは、横の連絡もないし、それなら、全法務というものは
法務省
全体の
職員
を網羅していないということは私もその事実は知っておりますが、全法務の代表を入れたほうが運営に効果があると思うのですが、これはひとつ決断をしていただけませんか。
勝尾鐐三
11
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) その点につきましては、私、全法務の諸君とときどき会ってよく話をしているところでございます。要は、共済組合の運営が効率的に動かしていけるという面と、それから
法務省
全体として運営が円滑にいく、両面から私どもとしては解決していきたいということでございまして、その両面のいま調整をしているというのが実情でございます。
大森創造
12
○大森創造君 とにかく入れてください、一人。それで、次に移りますけれども、
定員
の問題については次回の
委員会
で詳しく質問したいと思いますけれども、まず概括的にお尋ねいたしておきます。
定員
増は、ただいまの御
説明
によれば、全部で百七十二名、
法務局関係
が百二名、入管関係が三十名、その他が四十名となっておりますが、
欠員
小補充という原則があって、非現業関係が五割、現業関係が九割の補充というのが認められておる、それが実情ですね。そこで、要望は
——
要望の前に、現在
欠員
はどれくらいありますか。
勝尾鐐三
13
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 本来は民事
局長
あるいは人事
課長
から御
説明
申し上げるのが筋かもしれませんが、私
予算
折衝においてこの問題に直接タッチいたしておりますので、私からひとつ答弁をさしていただきたいと思います。昨年の十二月、
予算
編成期に、
欠員
凍結並びにたな上げの人員は、
法務省
全
組織
を通じまして四百九十四名でございます。
大森創造
14
○大森創造君 そこで、相当大幅な
増員
の要求をしていたわけですね。四百九十四名の
欠員
ということなんだが、そこで問題なのは、いま申し上げましたように
欠員
不補充という原則で、そういう人数を今度の
増員
でまず現実の
欠員
を満たしておいて、それにプラス百七十二名という数字がほしかったのですが、こういうことはできないのですか。
勝尾鐐三
15
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 率直に申し上げますと、この
欠員
不補充並びに凍結の問題が四十一年度
予算
の際にどのような形で
予算
編成方針になるかということについて、
事務
当局として実ははっきりいたさなかったのでございます。それで、御承知のように、
予算
の編成は八月三十一日までに概算要求書を出すわけでございますが、そのときにおきましては、私のほうといたしましては、
欠員
の凍結の解除の問題というものを一応ネグレクトいたしまして、
法務省
所管の人員として必要な人員というものを計上いたしまして、約二千百名前後であったかと思いますが、
増員
要求を続けてまいったわけでございます。それが
予算
編成方針としてはっきり内閣の方針としてわれわれが確認いたしましたのが、昨年の暮れであったかと思います。そういう状況になりましたので、当初の二千数百名の
増員
の折衝に際して一応
欠員
並びに凍結の中からの補充という大原則が打ち立てられましたので、その方針に従いまして私のほうも
予算
の折衝の過程において逐次
増員
の要求について話し合いを進めていったというのが実情でございます。
大森創造
16
○大森創造君
予算
委員会
をこれから二カ月ぐらいやるでしょう、今度は
予算
国会ですから。私不審にたえないのは、一回政府のほうで固めた
予算
というものが、
予算
委員会
の審議で変更にならないのですね。その前に復活折衝だとかなんとかという手続の中で
増額
になって、圧力団体の強いところがうんとふくらんだりするのですが、
法務省関係
はその意味ではぼくは弱いと思うんですよ。 そこで、どうなんですか、将来、
欠員
を凍結してはならない、ことに忙しいのだから、現業的な性格を持っているのですから、そういう方向で努力していただけませんかな。
勝尾鐐三
17
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
)
事務
当局といたしましては、その旨を大臣にもよくお願いをいたしまして、忙しい部局につきましては必要な人員の確保につとめるという考え方でございます。
大森創造
18
○大森創造君 その次に臨時
職員
の問題。一体何人ありますか。
勝尾鐐三
19
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 臨時
職員
につきましては、私のほうの
予算
上、約六百名でございます。
大森創造
20
○大森創造君 私のほうで調べた範囲では千三百六十四名という数字が出ているのですけれども、どっちがほんとうですか。
勝尾鐐三
21
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 私の答弁、全く
事務
的だと思うわけでございますが、総理府あるいは国税庁と
委託
のいわゆる賃金
職員
がそのほかに約六百名いると承知いたしております。
大森創造
22
○大森創造君 そこで、大蔵省の方はおいでになっておるか
——
おられなくてもけっこうだけれども、臨時
職員
に対する
報酬
というんですか、日当といいますか、これは幾らなんですか。
勝尾鐐三
23
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
)
予算
目といたしましては賃金ということで、来年度一〇%アップの五百五十円でございます。
大森創造
24
○大森創造君 そうすると、ことしは五百円ということですね。
勝尾鐐三
25
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) はい、そうでございます。
大森創造
26
○大森創造君 そこで、お伺いしますが、その五百円の中から年末のボーナスなんかを出す、あるいは、弁当代だとか
——
弁当は自分持ちなんですね、昼めしなんかは。それから交通費なんかももちろん自分持ちとなる。実質は私の計算では
平均
四百二十円ぐらいになる、一日の日当が。日当じゃない、賃金か。そういう計算になりませんか。
勝尾鐐三
27
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 大体そのくらいになるかと思います。
大森創造
28
○大森創造君 そこで、さらに調べてみるというと、松江市ですね、あそこの臨時
職員
は三百八十円程度なんですね、実質手取りが。これはお調べになってください。これはあまりに少ないと思う。私の近くの臨時
職員
に聞いたのだが、年は二十六歳で、一昨年試験を受けた。前職は自動車教習所の指導員だったが、試験をやった、
法務局
で。試験をするということで、施行するのは
法務省
法務局
。だから、これはもう自動車教習所よりいいだろうと思って試験を受けたら、通っちゃった。そうしたならば、四百八十円。前の月給より安くなってしまった、いいと思ったら。この人に聞いたら、通勤費が二千四百円かかる、月に。昼食が、六十円、二十五日で千五百円。手取り七千円前後しかない。そこで、私が調べたところによると、人員が足りないので、臨時
職員
を補充すべく職業安定所へ行っている。安定所では、あまりに給与が低いからこれは断わられているのが実情なんですね。四百二十円とか三百八十円の日当では、これはもう安定所だって受け付けませんよ。断わられているのが実情です。そして、一方、あなたのほうでは試験をしている。試験というのは、十名受けて七人合格とか八人合格ということだろうと私は思うのだけれども、そういう採用試験ということは私は少し矛盾しているのではないかと思うし、これは
法務省
が給与が低いにかかわらず臨時
職員
というものを利用する一つのえさにしているような感じがするわけですけれども、どうでしょう。
勝尾鐐三
29
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 具体的な各地の志望者数、あるいはそこでの採用数について、私ちょっといま
手元
にございませんが、ただいま大森
委員
の言われたようなことはあるかとも考えております。ただ、この賃金の
単価
につきましては、御承知のように、各省共通と申しましょうか、という
予算
になっておりまして、私のほう、
法務省
だけで解決できない問題も含んでおるということで、われわれ
事務
当局として折衝上非常に困難があるというのが実情でございます。それで、おそらく、試験をする趣旨といたしまして、賃金
職員
ではございますが、
法務局
の仕事でございますので、やはりかなり権利の移動等に関連する職務を事実上扱わさしていると思いますので、そういう意味で、やはり一定の能力を持った者を採用して執務に過誤なきを期したいということと、それから含みといたしまして、また現状といたしまして、賃金
職員
が相当長期間つとめた場合に、その間において勤務成績のよい者につきましては人事院と折衝いたしまして正式に
法務局
の
事務官
として採用するということも考えておりますので、それらと一連の考え方において一種の試験を行なっておる、このように私理解しております。
大森創造
30
○大森創造君 それで、なぜ臨時
職員
になっているかというと、まあ
職員
になれるのだという期待を持っているのですね。全部。試験を受けて採用通知の中に書いてあるんですよ、文章が。将来
職員
に採用される道があるなどというふうに書いてある現実に。ところが、採用されるパーセントというのは非常に低いでしょう。どの程度なんですか。ほとんどないのじゃないですか。
勝尾鐐三
31
○
政府委員
(
勝尾鐐三君
) 賃金
職員
で採用いたしました者の中から公務員試験に
——
これは民事局といたしましては極力公務員試験を受験することをすすめていると存じますが、合格した場合には、優先的に
職員
に採用しておりますが、大体年間五十ないし六十名の合格者がある、これは優先的に
職員
に採用いたしております。なお、このほかに、公務員試験に合格しなくとも、勤務成績のいい者については、人事院と協議をして採用いたしております。これが年間六十名ないし七十名というように承知いたしております。
大森創造
32
○大森創造君 臨時
職員
で、長い人は六年という人がいるのですね。それで、そういう期待を持って入ってくる。それから
法務局
長や人事担当官などに肩をたたかれて、いつかは
職員
になれるのだと言われて、とうとう制限年齢に達してしまうという哀れな人がたくさんいる。そういう人を
職員
に採用するようなことをもう少し幅を広げていただきたい。朝八時半に来て、夕方五時まで一般
職員
と同じように仕事をしている。高等学校卒業、短大卒業という人が大部分なんだから、たいへん気の毒だと思う。先ほど申しましたように、試験をする、一方では安定所で断わられるというような矛盾、天下の
法務省
、その出先の試験に合格したから小踊りして入ってみたらば、いつまでたったって
職員
になれないで、手取りが一日四百八十円、月に七千円前後、いま申し上げましたように前のほうが給料がはるかに多いというようなことで、人生の岐路立っておるような人がたくさんございますから、これは特段の御考慮をいただきたい。 その次に、私は、入管の問題についてお伺いいたします。
現行
の
出入国管理
令というのは、スピード時代の今日、
内容
的にマッチしない点が多々あると思います。たとえば、外国人の在留資格は十六種類以上もあるわけですね。アメリカあたりでは四つか五つでしょう。外国に例がないと思います。こんなものはひとつ
出入国管理
令を改正するようなそういうお考えはございませんか、将来にわたって。
八木正男
33
○
政府委員
(八木正男君) お答えいたします。 実は、御質問の機会にちょっと釈明と申しますか、言いわけを申さなければならないと思いますが、ちょうど一年ほど前の衆議院の内閣
委員会
で、受田新吉先生から、入管令改正の意思があるかどうかということの御質問がございました。ただいま大森先生から御指摘のように、この入管令は制定されて十数年たっておりまして、その間にいろいろ
内容
的に実情に合わない、あるいは非常に不便であるというような点が若干ありましたので、すでに五、六年前からこれを改正しなければいけないということになりまして、局内に入管令改正のための部屋をつくりまして、そこで各国の立法例を調べたり、従来の実務の上から得た経験に基づいて改正すべき点を調べたりして準備をしておりました。昨年の受田先生の御質問のときに私お答えしましたのは、その
作業
もだいぶ進んでかなり具体的な新しい
法律
の要綱が完成しておる、そして、もともとポツダム政令から
法律
化された
法律
でございますので、名前も入管令というようなことで非常に体裁がよくないというようなことから、近々に具体的に審議が完成して、年末の
通常国会
、すなわち現在の国会でございますが、それまでには何とか提出したいと思うという答弁をしたわけでございます。 ところが、そのころ私日韓会談の
法的地位
関係の代表をやっておりまして、日韓会談第七次会談が始まった当時でございます。で、実は日韓
協定
がそう年内に急速にできるということは当時予想しておりませんで、これは過去十年来日韓会談というのは一年くらい続いては断絶するというのが年中行事であったものですから、その辺を見越してそういう答弁を申し上げたわけでありますが、意外にも
協定
が成立ということになりまして、そこで、私としては、局内に持っておりました参事官室という部屋でやっておるのですが、その参事官室全員に、すぐ入管令改正の仕事をやめて、
協定
による永住のための特別立法をしなければならない、また、その後の永住申請の受付の一切の手続等、そういうことを立案しなければいけないという事態になったものですから、そっちのほうに専念するようにすぐ命令をいたしました。しかし、前に国会でそういう答弁をしておりますし、この国会に間に合うようにできれば改正案を出したいと思っておりますけれども、実は、御承知のとおり、この一月十七日に
協定
永住の申請が始まりまして、当分の間そっちのほうで忙殺されておるものでありますから、この
通常国会
にはたして提出できるかどうか、私非常に自信がございません。その点は、いずれまた別の機会におわびせぬといかぬのじゃないかと思います。 それは蛇足でございますが、そういうわけで、実はこの入管令の改正について、ただいま御指摘のような在留資格について十六もある、確かに非常に一面から申すと繁雑であるということは認めざるを得ないと思います。ただ、御承知のとおり、日本という国は非常に狭い国土に非常に多数の人間が住んでおりまして、日本のために金を落として行ってくれる観光客のようなものは大いに歓迎いたしますけれども、日本に住みついて仕事をする人間がふえるということは、ただいま法務関係の地方の方々の非常に
待遇
の悪いお話が出ましたが、こういうような面から言いましても、日本人の職業を外国人に奪われるということは日本のためにならないわけであります。そこで、私どもは、常に、相当長期にわたって日本に滞在する外国人に対しては、その在留をできるだけ厳格に取り締まる、なるべく長くはおらせないようにしたいというのが一番の基本的な考え方でございます。そこで、それを
法律
に具現化いたしますと、どうしても在留資格を非常に厳密に規定する、そうしてそれを融通無碍にはしないというのがわれわれのどうしても根本方針にならざるを得ないかと思います。 ただ、実情に合わない面はいろいろございます。たとえば、くだらぬことでございますが、一つの例として申しますと、現在留学生という制度で来た人に対しては在留期間一年というように規定されております。一年以下の期間は与えられない。したがって、半年勉強したいという学生を日本へ入れてやろうとしますと、それには一年やらざるを得ない。しかし、一年やりたくないという場合に、半年しか留学させないということができないわけでございます。そのためにいろいろやりくりをしてほかの方法でやったりなんかしておりまして、こういうような融通のきかない点なんかを改正する必要もございますし、それやこれやで、ただいまの十六の種類は大幅に減らす必要があると私ども考えております。同時に、従来の在留期間というものは非常にかたくきめられておって、種類が非常に少なかった。これをもう少し実情に合わせてふやしていきたい。それから
入国審査官
による期間の供与についてもかなり自由裁量を与えなくちゃならないというような点を考えまして、こういうような点を盛り込んで現在入国管理令の改正の仕事もやっておるわけでありますが、各国の立法例なんかも十分に参酌いたしまして、その基礎的な
調査
は大体終了いたしております。あとは、これを法文の上に法文の体裁をつけるという仕事がまだ残っておりますが、それは、先ほど申しましたように、実は手持ちのそういった専門家を全部
協定
実施
のためにいま振り向けておりますので、できるだけ早い機会に提出できるように今後とも努力を重ねていきたいと思っております。
大森創造
34
○大森創造君 大体経過は了承いたしました。見込み違いだったんですね。日韓会談があんなに早く成立するとあなたも思わなかったんですね。それはびっくりするのはあたりまえだ、社会党が。当事者のあなたが日韓会談があれほど急ピッチできまると思わなかったんだから……。 それはそれとして、入管令というものを、私が申し上げたような趣旨で、非常に矛盾点が多いから、しかも国会で答弁されたことだから、近い将来にこれは改正すると、こういうことですね。大体見当はいつごろになりますか。
八木正男
35
○
政府委員
(八木正男君) 昨年のようなことを再び繰り返さないために、オオカミが何回も来るようになっては困りますので、はっきりこの次の
通常国会
というふうに具体的に申し上げるのは私はちょっとこりましたので、今度はそれはかんべんしていただきますが、私としては突発事故が起こらない限りはこの次の
通常国会
には出したいと思っております。
大森創造
36
○大森創造君 次に移りますけれども、
入国管理局
構成幹部
職員
——
課長
以上ですね
——
は、私の
調査
したところによるというと、外務省と
法務省
との話し合いで割り当てられているような気がする、話し合いで。
局長
は外務省から来ている。次長は
法務省
、総務
課長
は外務省、審判
課長
は
法務省
、資格審査
課長
は外務省、警備
課長
は
法務省
、入国審査
課長
は外務省、登録
課長
は外務省、こういうことです。かつて外務省の外局であって、現在
法務省
の内局でありますけれども、こういうことはどうでしょう。単なる慣習でしょう。しかも悪い習慣、悪い慣例ではないかと思うのだけれども、いかがでしょう。
八木正男
37
○
政府委員
(八木正男君) 私自身その一人だものでありますから、私から申し上げるのはちょっとどうかと思いますが、法務大臣が人事権によりましてどういう人間を入管
局長
、次長、
課長
の地位につけるかという点は、大臣がおきめになり得る点でございます。ただ、ただいま御質問にございましたように、本来、局の成り立ちが、外務省の中にでき、それが
法務省
に移ってきたといった過去の経緯から現在そのような構成をやっておりますけれども、これは決して
法律
できまったというような性質のものではございませんから、今後状況に応じて大臣が適当と認めた人間をその地位に任命するということは当然行なわれていくものと考えます。
大森創造
38
○大森創造君 そこで、入管設置以来すでに十六年になりますので、基礎も確立されたと思われますが、入管本来の
職員
は、いま私が申し上げたようなポストにはいかに優秀であっても就任できないのが実情ですね。そういう実情はお認めになっているだろうと思うのだけれども、それでは一般入管
職員
の士気に非常に影響すると思う。これはひとつやめていただきたいと思うのですけれども、いまの御答弁の趣旨を実際に生かしてほしいと思うのだけれども、いかがでしょう。
八木正男
39
○
政府委員
(八木正男君) これも、どうも直接私がやる仕事ではないと思います。ただ、ただいまのお話に関連しまして申し上げますと、現在のところはそういうかっこうになっておりますが、入管にも、入管固有のと申しますか、すなわち上級職試験を合格して初めから入管の
職員
として入ってきた人たちが、
昭和
二十三年度から始まって、毎年数名ずつ入っております。こういう人たちがいずれその年限に達すればその地位についてくるだろうということは私として予想できると思っております。
大森創造
40
○大森創造君 しかし、これはもう旧套を打破しないと、そういうことは実際問題としてできないでしょう。だから、私が申し上げるのは、法務大臣に機会があったらお尋ねしたいと思うのだけれども、単なる悪例だと思うのです。単なるいままでの習慣だと思うんですよ。入管という
組織
、機構の成立上こういうことになったのはある意味ではいたし方がない面があるかもしれないが、十六年になるのだから、これは断ち切ったらどうだ。そうでないと、意欲が出てきませんよ。それから腰かけ的になりますから、ほんとうの勉強できませんよ、落ちついて。家族的な空気も生まれてこないですよ。だから、ここですっきりした形にいたしたい。これはまああなたではなくて、機会があったら法務大臣にお伺いすることにいたします。 その次に、日韓国交
正常化
に伴って韓国人の永住権の申請が行なわれているが、外国人登録法の施行当初、韓国人登録が民団や団体の一括申請などを行なったため、間違った登録が今日に至っているものが相当あると思うので、これを整理するのは非常に容易でないと思われる。人員、期間などの準備はどういうふうになっているか。これは五年ぐらいかかるのではないかと思うのです、いまの二十何人ですか、三十名の
増員
が認められた程度では。お見通しはいかがでしょうか。
八木正男
41
○
政府委員
(八木正男君) 三十人特に
増員
していただきまして、大体、私どもの腹づもりとしまして、東京に七名程度、それから各入国管理
事務
所の中で在日韓国人の人口の特に多いところの入国管理
事務
所に残余の二十三名を配分いたす予定でおります。この人たちの仕事と申しますのは、
法的地位
協定
に規定されております資格要件を備えた韓国人が
協定
による永住申請をした場合、その申請の
内容
に疑問があったような場合に、個々の事例を
調査
するための任務を持っておるわけでございます。ただいまの御質問にお答えするためには、具体的にどのくらいの件数の
協定
永住の申請があり、そのうち何%ぐらいが
調査
を必要とする
——
調査
と申しますのは、特別にそういう人たちを使って個人的な
調査
をする必要があるのが何%ぐらいになるかというようなこと、これは一切実は将来に属することでございます。 そこで、
予算
折衝の段階で人員の
増加
を要求しました際にももちろんいろいろ将来に対して推測をしてそれに基づいて請求をしたわけでございますが、これはあくまで裏づけはないわけでございます。われわれの見込みに基づいて申請をした、そういう点でまずとりあえず初年度分としてこれだけの人間をもらったわけでありますが、実は在日韓国人というのは万をもって数える数があるわけで、その大きな数に対して三十人ぐらいで何ができるかという御疑念もお持ちかもしれませんけれども、実はこの
協定
によって
協定
永住の資格者と認められた人間の判定というのは、比較的大多数のものについては簡単でございます。と申しますのは、
昭和
二十二年に第一回の外国人登録が始まりまして後、二年ないし三年ごとに一括して外国人登録を切りかえておりまして、昨年の秋第八次の切りかえが行なわれましたが、第一次から八次まで続いて全部登録されている人間であれば、それは当然該当者ということになりますので、
調査
の必要はないわけでございます。したがいまして、われわれとしては、相当大ぜい韓国人は対象者はあったとしても、個々の
調査
の必要の生じてくる人間、たとえば、偽っておるとかいうような場合、あるいは名前が変わっておって疑わしいとか、そういった個々のケースについて調べる数というのはそう無制限に多いものではないというふうに考えます。 それから五年というお話でございますが、これは
協定
にも五年間は申請期間が認められておりますので、五年の間当然その仕事が続きます。 そこで、具体的にどのくらいの比率の人間の
調査
が必要になるのかということは、この一月十七日から始まった申請でございまして、まだほとんど言うに足りない数しか来ておりませんが、この新年度以降になりまして相当まとまった申請が行なわれたころになれば、われわれとしてもかなりの具体的な予測ができて、その結果、現在の人員ではとうてい迅速な
処理
が困難であるということになりますれば、随時
予算
的な措置をお願いして、
増員
するなり何なりしなければならないかと思いますが、その予測はいまの段階ではちょっとまだ裏づけになる数字が出せませんので、もう半年ぐらいは待たないと、われわれとしての見通しも持ちかねるのではないかと思います。
大森創造
42
○大森創造君 時間がありませんから、次に移ります。 日韓恩赦ということがときどき取りざたされました。選挙違反を恩赦でかんべんするというようなお話もあったけれども、日韓恩赦、情状酌量の余地のある韓国人の犯罪について考えてやるというような考え方はございませんか、選挙違反ではなくて。
本位田昇
43
○
政府委員
(本位田昇君) 実は、私ども、今回の日韓条約に関連する特別の恩赦というものは行なわない意向というふうに承知しておるわけであります。昨年十二月初めごろから日韓恩赦を期待される一般の要望があるやに伺いまして、上司からいろいろ基礎的な資料などにつきまして整理検討することを指示されたこともございます。その段階で日韓恩赦を日韓条約の締結ということについてふさわしいものとして考える場合の題名などについても考えてみたわけでありますが、まず中心的に考えられますのは、やはり
出入国管理
令であるとかあるいは外国人登録法というような法令に関するところの違反事件であろうかと思うわけであります。 ところが、これについていろいろ検討をいたしましたが、犯情のくむべきものがある場合は大部分罰金刑になっておりまして、すでに執行が終了しておるということであります。また、それ以上の犯情と申しますか、罰金ではないけれども懲役刑に処せられる場合でありましても、情状のよい者につきましてはやはり執行猶予が大部分ついておりまして、そういう者に対しまして恩赦を行なうということは、これは実益も全くないわけでございます。そこで、残りますのは、懲役の実刑に処せられておる者がどれくらいの数があるかということなんでございますが、いま申しましたように、懲役刑につきましても大多数が執行猶予になっておる。残っておりますものは数も非常に限られてまいりますし、個々の事案について見ますと、犯情といたしまして必ずしも恩赦を行なうに適当とは考えられないようなものになるということでございます。数字は正確にいまここでは記憶しませんが、たとえば
昭和
三十八年の
裁判
の結果に徴しますと、懲役刑に処せられまして一年以上の実刑になっておる者というものは、
出入国管理
令の場合に十数名、それから外国人登録法の場合は二、三名という程度なんでございます。それらは、かなり犯情といたしまして
裁判
上実刑相当ということになりましたような事案でございます。恩赦を行なうことは必ずしも適当でないと考えられるほか、外国人管理の行政の上から申しましても、一挙に恩赦ということは適当でないというふうに考えております。
大森創造
44
○大森創造君 次に移りますけれども、昨年の十一月二十九日の
鈴木
忠一司法研修所長の講話、これを私は手に入れてこの講話の
内容
を読んでみたけれども、非常に不穏当な個所が多いのですね、これは。憲法否定の言辞が随所に出ておりますし、ずっと読んでみるというと、たいへんなことを講話しておりますね。司法研修所長が
司法修習
生全員を集めてこういう講話をするということは、一体許されるのかどうか。こういうことも言っているのですね。これはそのとおりのことばでないかもしれないが、「弁護士を非難する例はもっとも悪い例をとらえて全体を批判しようとするくせがある。
法律
家は、例外的な一、二の事柄をあたかも原則かのようにとりあげて議論する傾向がある。国会での社会党のような三百代言的な発言がそれである。」と、こう言っている。社会党が三百代言なら、自民党は一体何だ。政治ブローカーじゃないか。こういうことを言っているし、これはそのままでなくて誤記もあるだろうと思うのだけれども、これをずっと読んでみるというと、こういう思想で教育されたんでは、将来の
判事
、
検事
、弁護士はたまったものではない。これは大いに問題だと思うのです。私は、法務大臣と、それから担当の
鈴木
忠一さんに来てもらってただしたいと思うのだけれども、ひとつ御答弁をいただきたい、どなたかこの問題について。ゆるがせにできない不穏当な
内容
が随所に出ておりますが、いかがお考えですか。
矢崎憲正
45
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) 昨年の年末の衆議院の
法務委員会
におきまして、横山
委員
から、
鈴木
所長が発言された
内容
についての御質疑がございました。さっそくいろいろと研修所について実情を聞きまして、そうして御答弁を申し上げたわけでございます。それで、横山
委員
からのお話では、非常に不穏当な発言があるではないか、どういうようにその点を
鈴木
所長は考えているかというようなことでございました。その際いろいろと聞きましたところによりますと、要するに、
法律
家というものはとかく枝葉の点について頭を突っ込みがちなものである。だから、たとえば修習生の諸君が
検察庁
に行けば、
検察庁
の内部から
裁判所
、弁護士会のいろいろなこまかい批判を聞くだろう。それから弁護士会に行けば、また
裁判所
、
検察庁
についてとかくこまかい批判を聞くだろう。また、
裁判所
に行けば、弁護士会、
検察庁
についていろいろなこまかい批判を聞くだろう。どうもわれわれ
法律
家というのは、とかくこまかいことについてとらわれがちなもので、うっかりすると自分自身もそういうような弊害におちいりかねないのだというようなことを言われまして、そうしてその際、ただいま大森
委員
から御指摘のあったような点についての発言をさしたようでございます。 そこで、その点を衆議院の
法務委員会
において申し上げまして、そうして、横山
委員
から、
鈴木
所長においてその発言について釈明する意思はないか、
司法修習
生全員が集まったところでそういう趣旨についての発言があったんだから、やはり
司法修習
生全員が集まったところで釈明する気持ちはないのかということでございまして、ちょうどその年末には
司法修習
生が正月を控えまして全国に散らばって郷里に帰っております。したがいまして、一月になったならばさっそくその点について釈明する。ちょうどその横山
委員
から御指摘のあった
委員会
が、
裁判
官の
報酬
の問題についても論議されている
委員会
でございます。そういう
委員会
の席上を騒がせたことはまことに申しわけなかったというようなことで、結局のところ、本年の一月の十四日に
鈴木
研修所長が修習生全員を集めまして非訟事件に関する講話をいたしたのでございますが、その際前回の発言について衷心より遺憾の意を表するということを述べられまして、横山
委員
から御指摘のあったような点についての釈明と申しますか、遺憾の意を全修習生を前にして述べられたということでございます。
大森創造
46
○大森創造君 私は社会党を三百代言と言われてもけっこうだけれども、問題は、この
鈴木
さんの講話なるものの
内容
自体が、随所に不穏当な表現がある。考え方、思想の上において問題がある。だから、いま御
説明
があったように、衆議院の
法務委員会
で横山
委員
から指摘があったので、そこで今度は一月の何日かに釈明をし、取り消すようなことを言ったけれども、これは免許の取り消しなんかと違うのですね、性質は。思想ですよ。考え方ですよ。こういう考え方、思想というものを持っている人が、釈明する、あるいは前言を取り消すというふうなことでは私は済まされないと思う。いまの個所は不適当ですから速記取りやめだとか取り消しだというものとは事の性質が違うと思う。こんな思想を持っている人、考え方を持っている人は、がっちりこんと固まっていますよ。憲法否定の思想や考え方が随所に横溢していて固まっている。この方が、
司法修習
生全員を集めて、そうして前の話は間違いだったなんと言ったって、済まされる問題ではないと思う。 これは法務大臣に聞こうと思うけれども、この人は不適当ですよ。間違った発言ではありません、相当長時間にわたって講話しているのですから。それを、前回そんなことを述べたのは誤りであった、あるいはあのことは私の考えではないなんと言ったって、これはそういうことは許されませんね。取り消しができない問題ですよ、これは。この考え方を持っている人を司法研修所の所長に置くことは不適当だと私は思うのだが、どうですか。
矢崎憲正
47
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君)
鈴木
所長は、お人柄の点等から申しましても、非常に私どもはりっぱな先輩として尊敬いたしておるわけでございますけれども、非常に学術的な論文なんかもたくさん書かれまして、また文芸上の素養も十分持っておられまして、
裁判
官としての実務経歴も非常に長い民事の
裁判
官でございまして、ただいま御指摘の発言が社会党の非難ないし批判というような趣旨で述べているのでは決してございませんので、その際述べたことの一つの、何と申しますか、端的に言いますれば、ほんとうの述べたことに対してちょっと口がすべったというような趣旨でございますので、どうぞその点を御了解願いたいと思うわけでございます。
大森創造
48
○大森創造君 私は、社会党が三百代言だというようなことにいたずらに固執するわけではございませんけれども、人柄が何であろうと、あなたは尊敬をしておられようと、こういう趣旨の講話を修習生会員のいるところで述べられたその人は不適当だと思うのです。これはあなたは云々言えないでしょうから、法務大臣にあとでお伺いいたしますが、私は片言隻句をとらえて云々しているのではございません。この考え方でやられたのではたまったものではありませんよ、これは。あなたはごらんになったかどうか知らぬけれども、こういうことを言っているんですよ。「弁護士法第一条の「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という規定をどう考えるのか。世人は「社会的正義……」というようなことを考えていない」、こういうふうに断言しておる。「私は弁護士法第一条のこういう規定を弁護士に掲げることに疑問を持つ。」ずっとこう読んでくると、これは非常に危険な思想だ。日本の司法制度、司法関係、これはもう危ぶまざるを得ないような考え方が終始一貫これは述べられている。これは取り消しのできない問題ですよ。だから、こういう考え方がまずいということを衆議院の
法務委員会
で肯定をされて、それで今度は一月になってから修習生全員を集めて取り消しのような発言をしたんだろうと思うんだが、そうならばなお問題だと私は思う。これは押し問答になりますから、あとでひとつ法務大臣と
鈴木
さんに
法務委員会
の御了承を得られればおいで願って、私はもう少しただしたいと思う。私は非常にまずいと思うんですよ、こういうことでは。前回言ったことは間違いであったなんというようなことで済まされる性質の問題ではないと思う。できるならば、私も所長それから法務大臣に来てもらってこのことをただしたいと思う。 その次に移ります。
司法修習
生の研修
内容
を見るというと、やはり
鈴木
忠一所長の講話を裏づけているごとく、最近では、講義
内容
の中に憲法が入っていないんですよ。憲法が入っていない。いくらなしくずしにくずされていく憲法であろうと、
司法修習
生の科目の中に憲法というものがないというのはどういわけか。
鈴木
所長のこういう講話と裏腹一体になっているんじゃないかというふうな、私はそういう疑問を持つ。非常に不安を感ずる。あまりに技術的に片寄り過ぎていると思う。やせても枯れても、憲法というものは、これはもろもろの
法律
の親ですよ。基本ですよ。それが
司法修習
生の講義の中に憲法という科目はないんでしょう、いま。その教科
内容
を示してください。
矢崎憲正
49
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) 憲法の講義でございますけれども、御承知のように、
司法修習
生になられる方々は、大学等におきまして十分
法律
的な検討及び勉強を積み重ねて試験に合格をしておいでになった方たちでございます。憲法は
法律
のすべての基礎となる根本的なものである、基本法であるということは、これはもう当然のことでございまして、おそらく司法研修所が憲法を教科課程の中に入れていないのは、もう当然そういった素養があるものだということを前提にしているのではないかと、こう思うわけでございますが、教科の決定は研修所の
教官
の会議できめているようでございます。従来憲法の講義ないしその教科があったのかどうか、あったとすればいつごろからなくなったかというような点について、私ここではつまびらかにいたしませんので、十分
調査
いたしたいと思います。
大森創造
50
○大森創造君 非常に私は問題だと思うのです。この
鈴木
所長の発言の
内容
というものと、それから現在司法研修所の教科課程の中に肝心な憲法という課程がないという事実は、私は表裏一体をなしているものだと思う。これは憲法否定の精神に充満しておりますよ、この所長の講話は。前は憲法の講義はあったはずですよ。そこで、それが去年かあるいはその前の年あたりから憲法という講義をなくしたのですよ。これは重大な問題だから、これはひとつお調べいただきたいと思うのだが、その教科課程というものは
教官
の会議できめられるというけれども、所長がすでにこういう思想の持ち主なんだから、これは
教官
の会議で憲法を意識的に除いているのだろうと思う、意識的に。まあ大学を出て素養がある人だから憲法を知っている
——
冗談じゃないですよ。一番勉強せにゃならぬのは私は憲法だと思うのだ。憲法の精神というものをしっかり身につけて、それでその他の
法律
を勉強しなかったら、意味ないと思うのです、私は。あまりに技術的なことに片寄り過ぎている。 いいですか。もう一回繰り返しますが、この所長がこういう思想の持ち主で、そこで前は憲法の講義をがっちりやっていたはずだ。いつごろからかこいつは課程の中からはずされているということ、これは非常に私は疑問に思うし、危険にも思う。で、これはひとつ本
委員会
で了承を得て、いかなる経緯なのか資料として提出してもらうと同時に、関係の方においで願うほかないと思う。いまおわかりでしょう、憲法という科目はないでしょう、いまは。
矢崎憲正
51
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) ただいまは教科としてはないだろうと思いますけれども、ただいま大森
委員
から御指摘の点、あったとすればいつごろあって、いつごろなくなったかというような点については、
調査
いたしますればわかることでございますから、さっそく
調査
いたしたいと思います。
大森創造
52
○大森創造君 私は、まあ押し問答になりますから、これ以上追及いたしませんが、非常に重大だと思うのです。
司法修習
生の講義に教科の中に肝心の憲法が抜けていたのでは、これは話にならぬと思うのです。国会法にしたって、もろもろの
法律
だって、これは全部憲法が、第九条はともかくとして、生きているのですからね。そういうものを意識して私は省いていると思うので、ひとつ研修の教科課程というものをひとつ準備して私のほうに出していただきたい。同時に、この
法務委員会
のほうにお出しいただきたいと思います。これは単なる
委員会
でのやりとりだけでは済まされない重大な私は問題を含んでいると思う。将来の
検事
ですよ。森脇将光の問題を担当する
検事
ですよ。それから
判事
ですよ。弁護士ですよ。その
司法修習
生に対して、こういう講話をして、そうしてそれを裏づけするように講義
内容
に憲法が近ごろ抜けているという事実は看過できないと思う。これだけはがっちりひとつ経過を資料として出していただきたい。よろしゅうございますね。 その次に移りますが、横浜地裁において、近ごろ修習生の修習の方法を四班に分けておりますね。若い人と、それからだんだんと年齢によって。これはいかなる意図で分けてきましたか。
矢崎憲正
53
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) 横浜における
司法修習
生は、大体三十名内外を横浜の
裁判所
に
委託
しておるものと存じます。これについて四班に分けてやっておりますことも、御指摘のとおりでございます。四班に分ける分け方につきましては、現地で弁護士会と
検察庁
、
裁判所
から出ました
委員
によって分け方をきめて、分けて実務の修習をさせている、こういうように承知しております。
大森創造
54
○大森創造君 なぜ分けたんですか。いつから分けたんですか。
矢崎憲正
55
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) 三十名前後ということになりますと、一つにまとめてやるということは、とても困難で、できませんでございます。たとえて申し上げますと、修習生の修習は、
裁判所
の中にいたしますれば刑事、民事に分かれますし、それから
検察庁
のほうにも分かれますし、それから弁護士会のほうに分かれているのでございます。それで、その修習生たちに
裁判
の面、
検察
の面、それから弁護士の面から最も修習させるに都合のいい人数というものは、これはできるだけ少ないほうが都合がいいわけでございますけれども、大きな
裁判所
になりますと、おのずからそういうように四つなり五つなり、またあるいは数を多く班を分けて実務を修習させるということになるものと思われます。
大森創造
56
○大森創造君 それならば、どうして東京、大阪、名古屋、仙台、札幌あたりは分けてやっていないんですか。どうして横浜だけを分けてやっておるのですか。
矢崎憲正
57
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) これはもうどこの
裁判所
も分けてやっておるのが実情でございます。分けませんと、とても修習の実務を教えるのに不可能というようなことになりますから、必ず一定の人数に小分けしてやっておるわけでございます。
大森創造
58
○大森創造君 一応あなたの
説明
もわかりますけれども、真意はこうでしょう。ある程度の年配の者は
判事
にしたくないと、そういう思想があるでしょう。それで、年配の者は弁護士のほうにすると、こういう思想が近ごろ芽ばえてきたから始まったんでしょう。これはそう言うていますよ。全部そういう不安を感じておる。
矢崎憲正
59
○
最高裁判所長官代理者
(矢崎憲正君) ただいま大森
委員
の御指摘の点は、おそらく横浜におきまして昨年の修習生について年齢で四班に分けたという点について、何か特別の意図があるんではないかというようなことに関連しての御指摘ではないかと思うわけでございますが、横浜で分けました実情を申し上げますと、横浜には昨年三十三名参りました。そして、その中で八名ずつを三班に分けまして、それから残り九名が一班になったわけでございます。都合
合計
四班になったわけでございます。ところで、その分け方につきましては、従来はアイウエオ順というようなことで分けていたようでございますけれども、昨年は、
裁判所
側、
検察庁
側、弁護士会側から集まりました
委員
で構成されておりますところの
司法修習
生指導連絡
委員会
におきまして、年齢別で班別を組んでみようじゃないかということになりまして、年齢別で四つに班を組んだようでございます。大体その趣旨とするところは、一番上の方が五十二歳の修習生がおいでになったようでございます。一番若い方が二十二歳でございました。いわば親とそれから自分の子供みたような年齢の開きがございます。あまりに年齢が開き過ぎるから、これはやはり若い人、それから年配の方というように組んで一度やってみたほうがまとまりの点とか発言の点とかでいいんじゃなかろうかというような点から、そういうような年齢別の編成方式を考えたようでございまして、これは私ども聞いておりますところでは現在のところは横浜だけの一庁だけでそれをやったようでございまして、その趣旨とするところも決して年齢差によって別に差別を設けるというのではなく、いわゆる修習の便宜という点からそういうような分け方をしたというように承知いたしております。
大森創造
60
○大森創造君 時間がありませんから、先に急ぎます。
国税庁長官
……
中嶋晴雄
61
○
説明員
(中嶋晴雄君) 次長でございます。
大森創造
62
○大森創造君 それから刑事
局長
に、森脇の問題についてお尋ねいたします。 これは、国税徴収法の五十六条の規定によっていろいろなものを差し押えているはずだと思う。動産なり有価証券なり、これは現在国税庁のほうで占有しておりますか。
中嶋晴雄
63
○
説明員
(中嶋晴雄君) 森脇関係につきましては、更正決定をいたしました税額に相応する資産につきまして保全処分を行なっております。大部分は銀行預金等でございますが、そのほか、ただいまお尋ねの有価証券、不動産等につきましても保全処分を行なっております。
大森創造
64
○大森創造君 そうすると、国税庁のほうで押えているんですね、占有しているんですね。
中嶋晴雄
65
○
説明員
(中嶋晴雄君) 不動産等につきましては差押しているものがございます。
大森創造
66
○大森創造君 そのうちで、回収不可能の分と回収可能の分とあるだろうと思うんだが、どういうことになっているか、これは資料として全部こっちへ出していただけませんか。森脇の貸金に対する手形とか、貸金の証書、それから保証金、いわゆる黒金念書に類するところの一切の原本というものを国税庁は占有していると思うんだが、本
委員会
のほうに出していただけませんか。お出しできるでしょうか。
中嶋晴雄
67
○
説明員
(中嶋晴雄君) 森脇関係の脱税の追徴につきましては、数字で申しますと、大体延滞料を含めまして七十八億程度になっているわけでございますが、これはもちろん徴収のほうで非常に徴収
職員
が苦労いたしまして、二十三億円程度はすでに
国庫
に納付されております。したがいまして、残り
——
ラウンドで申し上げますが、五十五億円程度につきましてなお差押あるいは仮処分等の必要があるわけでございます。しかしながら、その
内容
につきましては、これは非常に個別の問題でございますし、また、取引先、利害関係人の方の問題もございますので、非常に具体的の問題につきましては当
委員会
に資料を提出いたしますことはお許しを願いたい、かように考えております。
大森創造
68
○大森創造君 資料を提出することはお許し願いたいということはあなたのほうの希望であるけれども、これは憲法の六十二条かにありましたけれども、国会の要求があれば提出しないわけにはいかぬでしょう、
法律
的にこれは。ひとつ提出してください。どうしても
内容
を見たい。
中嶋晴雄
69
○
説明員
(中嶋晴雄君) ただいまお尋ねのとおり、国会法に、資料提出の要求があれば、応じなければならぬという規定がございます。一方、公掛員につきましては守秘義務が課せられておりまして、特に一般の公務員の守秘義務のほかにさらに国税
職員
についてはそれよりさらに重い守秘義務が課せられているわけでございます。これは、考えまするに、やはり納税者の財産、所得等につきまして相当具体的な問題になりますとプライバシーの問題がございますので、そこまでやはり資料を公表いたしますことはいかがかというような趣旨でさような規定があるものではなかろうかと考えている次第でございます。非常な大きな方針等につきましては申し上げますが、個々の差押物件の明細等につきましてはひとつごかんべんを願いたい、かように思います。
大森創造
70
○大森創造君 法務当局に私は再三にわたって、また
法務委員会
の
調査
室を通じて、
森脇事件
の冒頭陳述の写しを提出してほしいということを依頼したが、今日まで提出しておられない。これはどういう理由ですか。
津田實
71
○
政府委員
(津田實君) 冒頭陳述書の要旨につきましてはすでに差し出したと思うのであります。この分はすでに公表いたしておりますが、冒頭陳述そのものは法廷におきましてこれを行なうものでありまして、その法廷において行なう冒頭陳述の
内容
をしるした書面として
裁判所
及び
訴訟
関係人に提示するものであります。したがいまして、そのもの自体は、その毛のが原本でありまして、そのものそのものを御提出するということはまあできないわけです。ただ、問題は、それじゃそれの写しを出すかどうかという問題でございますが、これは
訴訟
記録の写しということになりますと、それ自体
訴訟
関係人以外の者には渡る余地がないわけであります。したがいまして、そういう意味におきまして、これはやはり司法関係の管理に属しておる書類という意味におきまして、
法務省
としてはこれを差し出すということは私は差し控えたいと思うのであります。
大森創造
72
○大森創造君 私は少しおかしいと思うのだ。要旨は私のほうに確かに出した。なぜ全文が出せないのか。現在
裁判
が開始されているし、世間に公開されているわけでして、原木の写しを出すことは差しつかえない。三権分立ということもあるけれども、
検察
行政というものは行政官が行なうものでございますから、これは本
委員会
で
——
委員会
は院を代表するものですから、本
委員会
のほうで要請があれば、私は原本の写しは出して差しつかえないと思う。係争中の事件であることは
説明
を聞かなくても私は知っております。私は、の
内容
、または未公開の証拠や
内容
を報告せよとは言うてない。
訴訟
遂行の妨げとなる事実や、法廷の
訴訟
指揮を妨げる
事項
ではない。すでに
検事
が世間に発表した冒頭陳述の写しでしょう、私の要求しているのは。それが出せない理由がわからない。また、
事務
局からの報告によるというと、
検察
官の会議の結果、提出できないというような結論が出たというが、どういうわけか私はわからない。そういう会議が必要なのかどうか。私は実に奇怪だと思うのだけれども、いかがですか。本
委員会
でもって、すでに世間に公表されている相当膨大なものだというが、それの原本の写しを出すことに応じていただけませんか。
津田實
73
○
政府委員
(津田實君) この問題は、すでに
裁判所
に提出した書類の
内容
の、いわばそれについての御
調査
ということに私はなると思うのです。したがいまして、それは司法権と国会との関係においてお考えをいただいて御承知いただくのでありまして、私ども行政府はすでに司法部内に提出したものなのでありますので、その意味において、その原木が御必要ならば、司法権と国会との関係において処置をしていただきたいというのが私どもの考え方でございます。
大森創造
74
○大森創造君 そうしますというと、本
委員会
のほうで、冒頭陳述、並びに先ほど申し上げました国税庁で占有しているところのいろいろな債券あるいは黒金念書などというようなもの、そういうもろもろのもの
——
その中で取れないものが相当あるでしょう。百億なんてないはずですよ。そういうものを一切本
委員会
の要求があれば、お出し願えますね、
法律
的に。法制局の方がおられないからわからないけれども、これはそういうことになりますね。
中嶋晴雄
75
○
説明員
(中嶋晴雄君) 議院における証人の宣誓及び証言等に関する
法律
によりますと、要求されました資料につきまして行政府が出せない場合につきましては、やはりそれが「国家の重大な利益」に影響するというような声明を求めることができるということになっておるようでございます。そこで、そういう声明があった場合には、「証人は証言又は書類を提出する必要がない。」ということになっておりまして、これは証人として喚問された場合の規定でございます。普通の場合につきましては、私どもやはり公務員の守秘義務の関係から、具体的な差押の
内容
、明細につきましては、やはり提出いたしますにつきましては相当問題があろうかと、かように私は考えております。
大森創造
76
○大森創造君 これはまあ当事者のあなたのほうに伺ってもなんだから、あとで法制局なり何なりにただすことにして、
法務委員会
の
意見
を代表して言えば、いままでずっと習慣的にそれをやっておりますから、
委員会
の要求があれば、当然
委員会
に提出すべきものだ、国会に提出すべきものだ、私はそう思います。あなたのほうの答弁は参考までにお伺いしたわけです。 その次の質問、最後の質問に移りますが、これは国税庁のほうでどういうふうにお考えか、政治団体の寄付金のことで伺いたい。 政治資金規正法により届け出をしている団体が寄付を受け取ったとき、税金をかけるのですか、かけないのですか。たとえば、宏池会とか佐藤さんの政治団体などが一日二千万円ぐらい上がってきた場合に、税金はかけなくてもいいですか。
中嶋晴雄
77
○
説明員
(中嶋晴雄君) 法人あるいは個人からいろいろな寄付の態様につきましては、さまざまなものがございます。その中の一つとして政治献金という場合もあろうかと思うのでございますが、ただいまお尋ねの一つの政治結社と申しますか、政治団体、これはまあ法人格のない社団である場合が大部分であろうと思うのでございます。その場合には、
法律
の上におきましては、収益事業を営んでおればその部分については課税関係が発生いたしますけれども、さような収益事業がない場合には課税関係は起こらないということになっております。
大森創造
78
○大森創造君 所得税法の九条で免税にしているのは、公職選挙法による選挙の際に寄付を受けた候補者個人が届け出をした場合には課税をしないという規定で、福田会とか政治団体が日常の政治活動のために受けた寄付を免税にしていいとは書いていない。だから、実情は、政治資金規正法を
拡大
解釈して課税対象からはずしているのと違いますか。
中嶋晴雄
79
○
説明員
(中嶋晴雄君) ただいま御答弁申し上げましたのは不正確でございまして、お尋ねの所得税法第九条の点につきましては、公職選挙法に基づきますものにつきましては、これは
法律
上わざわざ非課税というふうに書いております。それ以外のものにつきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。
大森創造
80
○大森創造君 それなら、私は課税していいんじゃないかと思うのです。よく週刊誌なんかに出ておりますけれども、ある有力な代議士が年間の所得六百万円だ、八百万円だというのに、一方では十年にして何百億かの財産ができたとか週刊誌に出ておる。こういうからくりの種がここにあるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。不思議にたえない。
中嶋晴雄
81
○
説明員
(中嶋晴雄君) いろいろな寄附の態様は、初めに申し上げましたようにさまざまでございますが、個人にその資金が帰属いたします場合には、それは所得税法に従いまして課税関係が生じてまいります。先ほど申し上げましたのは、政治結社、人格のない社団に対しての寄付の場合を申し上げた次第でございます。
大森創造
82
○大森創造君 具体的な事例でお伺いしますが、ある株式会社があって、それで利益金が一千万円あったという場合に、個人を中心にした政治結社があって、その一千万円の利益金をそっちに
——
私なら私に、福田会でも、宏池会でも何でもいい
——
に寄附をする。そうして、税務署のほうではこれは領収証は要らないことになっていますね。領収証は必ずしも必要でない。こういうことになると、脱税はいくらでもできますね。架空の話だけれども、一千万円の利益金をだれだれさんの政治結社に渡しましたということを言明する。そうして、一定期間を過ぎると、その金をその政治家のほうから株式会社のほうに戻してやるということはできますね、いまの
法律
上。そういうことになるでしょう。いかがでしょう。
中嶋晴雄
83
○
説明員
(中嶋晴雄君) 国税
職員
が法人税等を
調査
をいたします場合に、いわゆる使途不明
経費
と申しますか、使途不明支出にぶつかる場合が相当ございます。その場合、やはりこれはそれぞれ正規の領収証等がなければ、この取引が実際にあったかどうかがわかりませんから、申し立てがありました場合には、相手方につきまして反面
調査
を取引先
調査
をいたします。それで合致いたします場合には、法人のほうでは損金に落とし、受けたほうでは課税
処理
をするというのがたてまえでございます。したがいまして、一般論として申し上げますと、ただいまお尋ねのような領収証がなくてもいいんじゃないか、脱税は公然と行なわれておるというようなことには私どもは考えておりませんし、そういう使途不明支出につきましては十分追及するように指導をいたしておるつもりでございます。
大森創造
84
○大森創造君 お話はわかるんだけれども、実情はそうでないんですね。有力な政治家の場合には決して課税にならないようにできている。そういうことになっている。だから、先ほど申し上げたように、たてまえはそうでしょうけれども、年間六百万なり八百万の収入しかないはずなのに、数十億の資産ができたなどという現象が週刊誌にすっぱ抜かれる。私は、政治資金規正法というものは、やっぱり時の政治権力者
——
吉田茂さんがこういうことを言いました。政治家の台所はつまびらかにできないと言ってたんかを切ったことがある。そういう政治的な力のもとに政治資金規正法というものはできていると思う。このことは時間がないからあとにします。 そこで、きょうは、
委員
長代行
理事
の方にお願い申し上げますが、私がさっき要求した二つの資料、これはもう必ず本
委員会
でもって正式に資料要求があれば出さなければならないもの、出して差しつかえないものというふうに了解いたしますので、これは
委員
長
理事
打合会において御検討の上、ひとつ資料提出をお願いいたしたいと思います。 以上をもちまして、時間がありませんから、終わります。
山田徹一
85
○
理事
(
山田徹
一君) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十三分散会 —
——
——
・—
——
——