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1966-06-21 第51回国会 参議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十一日(火曜日)    午前十一時七分開会     —————————————    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任      任田 新治君     山下 春江君      宮崎 正雄君     中上川アキ君      木村 睦男君     近藤 鶴代君      矢山 有作君     小野  明君      小柳  勇君     瀬谷 英行君      中村 順造君     亀田 得治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 北畠 教真君                 久保 勘一君                 小林  武君                 鈴木  力君     委 員                 楠  正俊君                 近藤 鶴代君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中上川アキ君                 中村喜四郎君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 秋山 長造君                 小野  明君                 亀田 得治君                 瀬谷 英行君                 柏原 ヤス君                 辻  武寿君                 林   塩君        発 議 者    秋山 長造君        発 議 者    小野  明君        発 議 者    鈴木  力君    衆議院議員        修正案提出者   伊能繁次郎君        修正案提出者   大出  俊君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       高柳 忠夫君        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  赤石 清悦君        文部省管理局長  天城  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    参考人        私立学校教職員        共済組合理事長  佐々木良吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民祝日に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○教育職員免許法の一部を改正する法律案松永  忠二君外一名発議) ○日本育英会昭和二士五年四月一日以降の貸与  契約により貸与した貸与金返還免除に関する  法律案千葉千代世君外二名発議) ○日本育英会法の一部を改正する法律案千葉千  代世君外二名発議) ○市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案松永忠二君外一名発議) ○参考人出席要求に関する件 ○私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。去る六月十六日、中上川アキ君、野溝勝君、瀬谷英行君、鶴圏哲夫君、近藤鶴代君、山下春江君が委員を辞任され、その補欠として宮崎正雄君、小柳勇君、中村順造君、矢山有作君、木村睦男君、任田新治君が選任されました。また、昨二十日、任田新治君、宮崎正雄君、木村睦男君、矢山有作君、小柳勇者中村順造君が委員を辞任され、その補欠として山下春江君、中上川アキ君、近藤鶴代君、小野明君、瀬谷英行君、亀田得治君が選任されました。     —————————————
  3. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。  安井総理府総務長官
  4. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ただいま議題となりました国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  国民祝日に関する法律は、昭和二十三年の第二回国会において制定されたものであります。当時の国会における審議の過程において、将来なお祝日の増加が予想されていたところでありますが、国民の間に現行祝日のほかに幾つか祝日にふさわしい日を加えたいという要望があり、国会におきましても御承知のとおり、国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案が、昭和三十二年の第二十六回国会以降昭和三十九年の第四十六回国会までに、議員提案として七回提出されましたほか継続審査が三回ありましたが、いずれも不成立となっていたのであります。政府といたしましては、このような事情にかんがみ、昨年は政府において、新たに国民祝日を加えることとし、第四十八回国会に、国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案提案いたしたのでありますが、国会会期終了により審査未了となったのであります。  よって、ここに再びこの法律案提案いたした次第であります。以下、この法律案概要につきまして御説明いたします。この法律案におきましては、現行国民祝日に新たに建国記念の日、敬老の日及び体育の日を加えることとしております。  まず、建国記念の日につきましては、建国をしのび、国を愛し、国の発展を期するという国民がひとしく抱いておる感情を尊重して、国民祝日にすることとしたのであります。また、この日を二月十一日といたしておりましたのは、この日が明治初年以来七十余年にわたり祝日として国民に親しまれてきた伝統を尊重したからでありますが、衆議院において、この日を政令で定める日と改め、その政令は、この法律公布の日から起算して六カ月以内に制定するものとされたのであります。また、内閣総理大臣がその政令立案をしようとするときは、総理府設置法の一部改正によって、本年十二月十五日まで総理府に置かれる建国記念日審議会諮問し、その答申を尊重してしなければならない旨修正されたのであります。  次に、敬老の日につきましては、多年にわたり社会に尽くしてこられた年寄りの方々に感謝するとともに、老後の精神的な安定を願い、敬老の日を国民祝日にすることとしたのであります。また、この日を九月十五日といたしましたのは、昭和二十六年以来十数年にわたり、「としよりの日」として全国各地においてその趣旨にふさわしい行事が行なわれており、また、昭和三十八年に制定されました老人福祉法において、「老人の日」として九月十五日が定められていることなど、この日が広く国民の間に浸透しているからであります。  最後に、体育の日につきましては、国民スポーツに親しみ、その精神を通じて健康な心身をつちかって、明かるく住みよい社会を建設することを願い、体育の日を国民祝日にすることとしたのであります。また、この日を十月十日といたしましたのは、昭和三十六年に制定されましたスポーツ振興法において、「スポーツの日」として十月の第一土曜日が定められていることを尊重し、あわせて成功をおさめました一昨年のオリンピック東京大会を記念し、その開会式の日を選んだものであります。  また、以上の改正に伴い、関連する法律についても所要の規定の整備を行なうこととしております。  以上が、この法律案提案いたしました理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 次に、衆議院における修正点説明を聴取いたします。伊能衆議院議員
  6. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) ただいま議題となりました国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案に対して、衆議院において修正いたしました部分について自由民主党、日本社会党民主社会党三党を代表して簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  国民祝日に関する法律改正につきましては、あるいは議員提出、あるいは政府提案等、すでに十年近くの歳月を経ており、かたがたその事柄の性質にかんがみ、衆議院におきましては政府提出原案をそのまま採決することは不適当と認めましたので、自民、社会、民社三党の話し合いによりまして、原案修正を加えて議決した次第であります。  その修正の要旨を申し上げますると、ただいま政府提案理由説明にもありましたとおり、建国記念の日については、その二月十一日を政令で定める日に改め、この政令は、「この法律公布の日から起算して六月以内に制定するもの」としておるのであります。そして、総理府設置法の一部を改正して、内閣総理大臣諮問に応じて建国記念の日となるべき日については、調査審議するため、総理府付属機関として建国記念日籍議会を設置することとし、内閣総理大臣は、「政令の制定の立案をしようとするときは、建国記念日審議会諮問し、その答申を尊重してしなければならない。」ものとしているのであります。なお、この審議会設置期限は、昭和四十一年十二月十五日までといたしております。  以上をもって衆議院修正趣旨説明といたす次第であります。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 こういう重要な修正部分説明をするのに、ちゃんと印刷物を普通は配付して、そうして提案説明を願うわけですが、何で配付しないのですか。しかも、ここに修正……。
  8. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 提案理由説明は配付してあったはずですが。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 していない。配付してあるのは違うんじゃないですか、いま説明したのと。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 提案理由説明は配付されておるけれども修正理由説明は配付されていない。したがって、修正部分法律案はあるけれども理由説明がないわけです。前にもそういう例があって、前には配付されておったが、今度は配付されていない。
  11. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) それでは後ほどすぐ配付いたさせます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 ことさら文句を言うわけ、じゃないのだが、重要な修正について印刷物をあらかじめ用意しないなんというのはおかしい。おかしいだけじゃなしに、ここに修正部分として何かこういう文書があるわけですが、これをお読みになるのかと思っていたら、まるきり見出しから違うわけです。三党を代表して云々、これは非常に重要なことばです、三党を代表するというのは。だから、これは至急印刷にして配ってください。
  13. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 了承しました。
  14. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと議事進行についてお尋ねしたいんですがね。こういう場合の提案説明のしかたというのはこれが正しいんですか。いま総務長官が読み上げられた提案説明の中には、修正案説明左で入ったようなかっこうになっているんですがね。私、この修正案というのは、別に政府原案じゃないんで、衆議院修正されたわけですから、修正案説明衆議院修正責任者説明をされるべきであって、政府のほうの説明原案説明ということであってしかるべきじゃないかというように私は思うんですけれどもね。そこらはどういうことになるんですかな。いま総務長官の読み上げられたのは、原案修正案と両方の説明みたいな説明で、その上さらに伊能さんが今度は修正点だけの説明を読み上げられたようなかっこうになって、まことにそこらが限界がこんがらかっているような感じを受けるのですがね。
  15. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 政府提案原案に対して衆議院修正が行なわれましたために、どういう趣旨説明方法をとるかということにつきまして委員部とも打ち合わせました結果、政府原案説明の中にその修正された部分に対する一応の経過だけは入れたほうがよかろうという事務的な話でございました。前例にもそうなっておる由で、そういう説明をいたしたわけでございます。
  16. 秋山長造

    秋山長造君 前例を、私いまここでめくって見るわけにいかぬのですが、委員部、だれか責任者——そういう前例になっとるんですか。
  17. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ちょっと速記をとめて。   〔午前十一時二十一分速記中止〕      ——————————   〔午前十一時五十五分速記開始
  18. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を始めて。  以上で、本法案についての提案理由説明及び衆議院における修正点説明聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より安井総務長官高柳審議室長出席いたしております。
  19. 小林武

    小林武君 衆議院議長あっせんがあった。これを三党が受諾したと申しますか、一致して、一つの約束をしたわけで、その点についてお尋ねをいたしたいわけであります、なお、このお尋ね安井総理府総務長官伊能並び大出衆議院議員お尋ねするわけでありますが、三党が一致してこのことを六月七日までに衆議院を議了して、本会期中に成立せしめるということを第一に書かれてありますけれども、いわば、これは参議院をも拘束する意味が入っていると思うのでありますが、この三党一致に到達したいわば三党一致になった内容お互い了解し合ったことについてお尋ねをいたします。
  20. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お答えいたします。祝日法に関する政府原案を提出いたしましたにつきまして、衆議院におきまして、三党で一致の御意見のもとに修正がされたわけでございます。その要点につきましては、祝日法に関する法律案は、三党一致をもって六月七日までに衆議院を議了する。本会期中に成立をせしめる。それから国民祝日に関する法律案の一部を次の線で修正をするということで、二月十一日については意見が多いので、これは原案から削る。この法律の附則により、建国記念日決定に当たり、内閣総理大臣諮問に応ずるための審議会を設ける。記念日右審議会の議を尊重して政令で定める。記念日決定は、この法律公布の日から六カ月以内とする。現に両院において審議中の法律案については、審議を促進するために三党協力する。備考といたしまして、政令による審議会委員は学識経験あるもの十名とする。こういうような修正をいただきました。政府衆議院修正の御意見に同意をいたし、その趣旨を実現するようにつとめたい、こう思っておる次第であります。
  21. 小林武

    小林武君 これは伊能さんにお尋ねいたしますが、その修正の個所に、「二月十一日をけづる」とありますが、この「二月十一日をけづる」ということについてどういう意味があるのかお尋ねをいたします。
  22. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) その点は、お手元の修正案内容で御明確と存じますが、二月十一日を削って「政令で定める日」、かように三党間で一致をいたしまして、衆議院としてはその趣旨修正をいたした次第でございます。
  23. 小林武

    小林武君 どうしてこれを削ったことになるわけでありますか。原案は二月十一日を非常に固執しているわけでありますが、削らなければならなかった理由はどこにありますか。
  24. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 三党間で「二月十一日」の問題につきましては意見一致をいたしませんでしたので、議長裁定に基づいて「二月十一日をけづる」、そうして三党間の話し合いは、ただいま申しましたように、これにかわって「政令で定める日」と、かように決定をいたした次第であります。
  25. 小林武

    小林武君 一致しなかったから「けづる」ということになったとすれば、一致点を見出したいという、そういう希望がこの「けづる」の中に入っていると了解してよろしいですか。
  26. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) お説のとおりで、そこで、「政令で定める日」に一致をしたと、こういうことでございます。
  27. 小林武

    小林武君 その場合はどうでございましょう。「一致」ということがこの祝日の問題については大事なことであるということは御存じのとおりであります。祝日法の第一条に明らかに示されておりますように、祝日が、一体、お互いに祝う必要がないというようなことでは困るわけでありまして、この点については、国民がともに「こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民祝日」と名づける。」ということになっておりますから、そういう御趣旨でおそらく一致点をさがそうと、そういうことだと思うのでありますが、そうすると、この「二月十一日」というものについて、どうですか、なかなか、これをいつまでも持ち出していったんでは一致した見解が出ないというような予想が、どうでしょうか、出ないものでしょうか。この点については、ひとつ伊能さんと大出さんに御答弁をお願いしたい。
  28. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私としては、ただいま申し上げたような趣旨で「政令で定める日」に各党一致をした、かように解釈をいたしております。
  29. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) 先ほど御質問一つありまして二つ目なんですが、先ほどのは三党が一致するに至ったということについての質問があったわけでありますが、御指名いただけませんでしたので、二点だけあわせてお答えをいたしておきますが、あとのほうの質問、つまり、「二月十一日をけづる」という点についての理解のしかたの問題だと思うのでありますが、二日深更に議長裁定が提示をされまして、書記長から党内に持ち帰っての説明がございましたが、このときに私も出席をいたしておりまして、とくと確かめる必要があるということから、成田書記長に、私から念のために質問をいたしましたが、その趣旨は、「法律で」きめるという原案が出てきておりますのに、この議長さんの裁定案内容なるものは「政令で」ということに変わっております。本来、戦後、祝日法が出てき、特に二月十一日が問題になりましたときに、政令施行という出し方が当時ありまして、「政令で」ということはおかしいじゃないかということで、その後、議員立法法律に基づく提案がなされまして、回を重ねて政府提案になって、これがまた「法律で」と、こうなってきておるのでありますから、これを「政令で」というふうに一方に一項を起こされまして、片一方で「二月十一日をけづる」、こういう関連がございますので、政治的な意味について、どういうふうに受け取るべきかということでございますが、この裁定案をいただいてまいりました社会党書記長成田氏の説明は、政治的にはきわめて大きな意味がある。「二月十一日」という問題は大いにもめてきまらなかったわけであるから、それを法律条文から削ったということになるとすれば、これは政治的にきわめて大きな意味がある。こういう理解のしかたでございまして、したがって、そういう意識統一を私どもはいたしましたから、社会党として受け取っておる立場というものは、法律条文である「二月十一日」を削った、三党がもめていたその点を削ったというところに意義を認めている、こういうことになるわけであります。  で、もう一点、ILO等の場合には、政府原案が出されまして三党の共同修正が行なわれましたが、この修正は、原案を削ったのではなくて、たな上げにした、いわゆるたな上げにしたということでありますから、削除したのではないのであります。今回は二月十一日を削った、こういうことでありますから、もめた争点は、それによってなくなった、こういう理解ができるという意味の政治的な意義がきわめて大きい、こういう理解だと、このようにお受け取りいただきたい、こう思うわけであります。  それから最初の御質問でございますけれども、三党が話し合い一致に至った、その受け取り方についての質問安井総務長官並びに私に先ほどございましたが、この点につきまして了解事項というのが一つございまして、「委員人選にあたっては三党と話し合う」、「三党と話し合う」というのであります。「三党と」という「と」のかなづかいにつきまして、任命権政府にございますから、その意味で「三党と話し合う」、こういう中身になっているというのが、当時、議長さん立ち会いのもとに三党の書記長幹事長出席をしている、また国対委員長出席をしているときの理解のしかたなんでありますけれども、ここで一つ、この表現だけでは明確になりませんのは、「委員人選にあたっては三党と話し合う」というふうに了解事項をつくりました中身の問題でございまして、その中身については、議長さん立ち会いのもとに三党の間で相当長い時間にわたっての論議が繰り返されておったようであります。私は当時そこに出席しておりませんわけでございますから、出席しておった成田書記長柳田国対委員長からの説明に基づく私ども意識統一、こういうことになる次第でございますけれども、このやりとりのさ中に、「人選にあたっては三党と話し合う」、この了解事項の前段に、三党の話し合い内容とは一体何だという論議が行なわれているのでありますけれども春日民社党の副書記長さんの御発言だそうでございますけれども、「三党と話し合う」という内容は、たとえば、人選については国会承認人事にするとか、運営については満場一致制をとるとかというようなことが「話し合う」の内容で、その一致が必要なんだ、こういう御先言があったそうであります。それを一つ前提にし、かついろいろな意見が出て、最終的に「委員人選にあたっては三党と話し合う」、こういう形の了解事項にした、こういうわけでございます。したがいまして、さて、国会承認人事であるということになりますれば、これは各党が慣例として全く一致した人たちを選んで国会承認を求めるということになるわけでありますけれども、この国会承認人事ということについては、当時、問題がございましたそうでございますが、その問題になりました点はさておきまして、少なくとも三党間で、他党の推薦をする人につきましても、お互いの党間の意見一致をした、こういうことでなければ政府任命をしないのだ、こういう理解のもとにこの了解事項了解をして帰ったのだというの、か成田書記長の報告でございます。  また、運営につきましても、これは審議会がつくられた場合に、その運営については審議会自主性というものが問題になりますけれども、かつて、臨時行政調査会等をつくりましたときの国会附帯決議等もありまして、運営についても決をとらぬなどということが運営にあたってきめられていた前例もあって、その点についても当然運営についての三党の一致があっていいのではないかという、こういう意見等も実は出されたようでありますけれども、結論的に申しまして、三党の委員人選につきましては、他党の雄鷹をする委員についても、各党間に意見一致がない限り政府任命をしない、こういう理解だというふうに私ども理解をしているところでございます。したがいまして、この点については、社会党が長時間にわたって論議をした結果、その受け取り方について、出席者ほとんどのそのときのいきさつの説明を求めまして、その上での理解でございますので、その点つけ加えておきます。
  30. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) その点、関連して私のほうからもお答えをいたしたいと思いますが、いま大出議員は、「三党と話し合う」という内容について非常に、何と申しますか、記録にない内容について御説明がありました。話し合い経過においては、委員人選運営等については全会一致というような御提案はあったことは事実でありますが、結論としては、三党と話し合うという以上に明文になっておらないということを、私はこの機会に申し上げておきたいと存じます。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと関連。この三党申し合わせば、これは文書になっておりますね。これは即刻御提出願いたいと思いますが、すぐできますね。できますか。
  32. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私が御回答するのが適当かどうか存じませんが、いま亀田委員の御提案は、衆議院議長あっせんのもとにおける三党の申し合わせの内容、かようなことでございましょうか。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 そういう意味です。
  34. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) それでしたら文書になっておりますから当然御提出できると思います。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 それから、この文書に書いてない部分とかいうような、了解事項といいますか、何かそういうものが文書のほかにあるわけですね。了解事項というものは文書になっておるのですか、なっていないのですか。
  36. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私からお答えするのが適当かどうかと思いまするが、大出委員のお許しを得てお答えいたしますが、ただいま大出委員が御回答申上げました趣旨了解事項として人選については三党と話し合うということは表向きの文章にはなっておりません。なっておりませんが、明らかに了解事項として成立をいたしております。その内容までを含めてここへ出すことは私は差しつかえないと思います。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういう文書になっておるのですか、非常に重要なことですから。
  38. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 了解事項として、委員人選に当たっては三党と話し合うということが了解事項で、その他は、申し合わせの内容は三項にわたって明確になっております。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 了解事項運営については触れておりませんか。触れておるでしょう。
  40. 伊能繁次郎

    衆議院譲受(伊能繁次郎君) 触れておりません。
  41. 亀田得治

    亀田得治君 われわれの聞くのとたいへん違うのですが、了解事項という文書は公式に出してほしいと思う。その上でまた質問します。関連ですからこれで一応。よろしいな、それ出してもらいます。
  42. 小林武

    小林武君 ちょっと質問いたします、が、了解事項というのは少なくとも三党の、どうなんですか……ちょっと聞いてください。私がいま申し上げるのは、ILOの問題のときも、私は非常にあとにいろいろな理解のしかたが違うために、たいへんな、やっぱり問題を起こしている。これは今度の国会一つの紛糾した大きな原因だということを考えますときに、お互いのこの党間において信頼を持ち過ぎてということになりますというと、両者の意見の食い違いというものは、とにかく徹底的にやはり究明して、ないようにしなければいかぬ。これが残されておるというとたいへんです。すらすらといくようだけれども、あとになってから大げんかのもとになると思う。だから、私はこういう点には皆さんがやっぱりうそを言わない、というとはなはだ失礼になりますけれども、各自看板のないところを言ってもらわなければならぬ、こう思うのです。そこで、安井さんにしろ伊能さんにしろ、了解事項ということをなぜ一体言わなかったかというのがふしぎなんです。私は成田書記長から文章にされたものをもらってきた。そしたら、あとのほうにカツコ書きをして了解事項、先ほど来話をされていることがここに書いてある。私はあなたたちが了解事項があるならあるということをはっきり言ってもらわないというと、もしもわれわれがそのことを知らなかったり、あるいは大出代議士がこなかった場合においてはこれは見過ごされている。そうしてあとの問題の種になると思うのですが、これはあれですか、すなわちあっせんの中にはなくて、別個の文書というものに、了解事項というのは別文章になっているのですか、どうですか、その点明らかにしてください。
  43. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私はうそを申し上げておりません。三項目にわたる議長あっせんに基づく申し合わせは、さいぜん来、大出さんからもお話があったとおりでござい産すが、別途、了解事項として発表はしないが、委員会の人選に当たっては三党と話し合うということは三党の申し合わせの中の文章にばはなっておりません。しかし、事実ではあるということを私は申し上げている。
  44. 小林武

    小林武君 参議院にきてこの問題を取り扱うに当たって、そういう了解事項があったら、このような了解事項一つありますということを言うべきではないですか。大事なことですよ。これはなぜこれを隠しているのかと私は言いたくなる。この点について安井さん、これについては一言も触れないのはどういうわけですか。
  45. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 三党申し合わせというのは文字どおり三党がいろいろ議長あっせん案について協議をなさったときの経過であるわけであります。これは公式文書として政府へ伝達されたものでも何でもございませんので、いま言われまする衆議院議長あっせん案というものは、先ほど私が読み上げました一、二、三というものであり、さらにこれが衆議院の内閣委員会を通過いたします際には、内閣委員一長から正式にこの運営に当たっては人選並びに運営について公平を期してやる、こういう政府の所信をただされただけでありまして、私ども三党同士の過程におきまして出ていることについて政府があまりとやかく言う筋合いのものではなかろうと思っております。
  46. 小林武

    小林武君 そういう形式的なことを、どこかあなた政治の世界から隔離された場所にいらっしゃるならそういうことをおっしゃるのはけっこう。あなた参議院職員でしょう。そうして国務大臣、少なくともあれだけの紛糾を起こしたことで、あなたがこれは三党の間で話し合いをしたといったら、あっせん内容というものはどういう内容であるかということを検討なさらないとあなたはおっしゃるのですか。ぼくはそんなことは思わないね。で、党の問題であろうが何の問題であろうが、あなたの責任においてこれは処理しなければならぬ問題だとしたら、両者の間においてどれだけの一体条件があるか、食い違いはどこにあるか、そういうことを明らかにしないでおいて一体やられるというお考えですか。そんなことは知らないということを言い張られるつもりですか。それじゃこれから何が起こってくるか、ほじくり出てくるかわからぬということになるわけですね。そういうしかし言い方がありますか。安井さんどうですか。で、前のことを言ってはなはだあれですけれどもILO特別委員会のときはとにかく特別委員長だった、参議院の。私は特別委員だった。理事だった。あの当時、一体、衆議院の側から、ILOの問題が回ってきたときに、とにかく衆議院で十分討議された問題だから、あまり参議院でいろいろなことを言うというと、かえって八年間苦心したのに結果がうまくなくなったら困るから、参議院ではやんわりひとつやってくれということを要望された。それでわれわれもなるたけそのことに触れないように、まず結果的にうまくいけばいいのだということでやったところが、その後思わざる問題かたくさん起こってきて、そうしてとにかくいまのような結果になっている。それがどれだけ政党間の政治不信、あるいは政府と野党との間の政治不信を招いているかということは、あなた身にしみて知っていらっしゃると思うんだな。しかも、あなたどうですか、ILO特別委員会の委員長が、今度はそれに関係の深いことになっているのじゃないですか。今度も同じような審議会の問題であなたはぶつかる。そうしたら、私は考えれば、あなたよほど慎重にも慎重を期していくということにならなければならぬはずなのに、そういう了解半事項は知っちゃいないというようなことは非常に理解できない。ぼくらまただまされるのかということになるわけですよ。そういうものの言い方はひとつやめてもらいたいな。あなたほんとうに知らなかったのか、このことは知っていて言わなかったのか、知らずにいたのかどうか、それを明らかにしてもらいたい。
  47. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは三党の間で話し合いの過税において起こっておった問題なんで、政府がこれについてあまりとやかく言うのは筋違いだと私は心得ておるので、そういったいろいろな話が話し合いの過程においてあった。しかしながら、審議会委員任命権そのものは政府にあるのだ、こういう結論だけを私は伺っておるのであります。したがって、委員会におきましてもそういった問題についての御議論は出ませんで、木村委員長から——念のために読み上げますと、「この際、委員会を代表して、委員長として政府に対し所見を求めたいと思います。政府は、建国記念日審議会の設置に際しては、その審議すべき事項の性格及び今回の三党一致話し合いの精神にかんがみ、委員の選考及び会議の運営については、公正不偏、慎重な配慮のもとに、国民の要望にかなう結論が得られるよう最善を尽くすべきものと考えますので、この点に関する政府の見解を明らかにされたい。」、これだけの御要望といいますか、愚見を求められましたので、私は、「ただいまの御発言趣旨につきましては、政府といたしましても同様に考えておりますので、審議会人選並びに運営につきましては、十分配慮して万全を期する所存であります。」、これは三党が一致されて修正案を出されました最終段階において政府の所見を求められました際の話でございまして、これだけの中で三党に盛られております公式の意思というものは、これで十分御納得がいって出された委員長発言であると心得ております。そういう意味ですから、私が修正案の経緯につきましてあれこれ政府側として申し上げるのはこれは適当でない。そういう趣旨から、私はいま政府の立場で言い得ることの限界を全部申し上げておるわけであります。
  48. 小林武

    小林武君 私が言っているのは、そういうことについて三党間の話し合いにあなたがかれこれ言えということを言っているのじゃない。そういう了解事項のあることをあなたは知っていたか知っていないかという問題。知っているとしたら、あなたは三党の話し合いのあれについて守る責任があるわけだ、ある程度ね。守らないというのは別だけれども、守らないと答弁していただいてけっこうだけれども、私は守る責任がある。われわれ参議院の側としても、衆議院でやったことではあるけれども、参議院側としては、そういう衆議院側の三党の話し合いというものは尊重していかなければならぬと思うから、われわれ非常にこの問題を重く取り上げている。あなたは知らないというのか、それとも、これについていろいろなことをとやかく言いたくない、あなたのことばをもってすれば、とやかく言いたくないということなのか、知らなかったのか、どっちですか。存在したことを知らなかったのかどうか、了解事項があったことをね。
  49. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 了解事項なるものがどういう形でどういうふうに出ておりますのか、そういった成文化については、私は成文化されたものがどういう形で出ておるかということについては私は存じません。ただ、過程におきまして、そういった人選については諸般の事情をよく考慮して、公平、慎重を期するよう、そのためにはそういったようなそれぞれの各党の御意向も十分そんたくをして政府がやるべきものである、この精神については、私は十分に今後もこれを守っていきたいと思っておりますが、公式上、委員会におきましてそういった話は一切出ておりません。また、三党を代表されまして委員長からの政府に対する所信表明も、そういういま読み上げたようなおことばでありますので、私はそれ以上のことをちょっとここで申し上げることは適当でない。ただ、そういう修正案の精神につきましては、十分に私は今後も尊重してまいりたいと考えております。
  50. 小林武

    小林武君 知らなかったというのはわかりました。知らないということになると、これは私はかなり重大問題だと思うのです。社会党の場合、これは成田、柳田両氏が出ておったから、これはそれぞれの機関を通して党の関係者には十分納得のいくように話をされたし、文書をわれわれにも示された。  伊能さんにお尋ねいたしますが、党の決定というもので三党間の話し合いが行なわれた。これは政府に浸透しない場合においては何の意味もなさないわけです。そうすると、あなたの政党は政府に対してはそれを知らさなかったわけですか。
  51. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 知らせたか知らせないかということについて、党執行部の行き方、やり方を私はここで承知はいたしておりませんが、私がお答え申し上げましたのは、了解事項については文書にもなっていないし、公表をしないという三党間の話し合いであったと私は了解いたしております。したがいまして、私は、さいぜん安井総務長官が三党官の申し合わせを朗読いたしました際にも、そのとおり理解をいたしておると申し上げたのでありますが、たまたま大出衆議院議員から了解事項内容にも触れましたので、そういう事実があったかどうかというお話がございましたから、文書にはなっておらないが、了解事項としてはまさにそういうお話があったことを、私は亀田委員に確認をしておいた次第でございます。
  52. 小林武

    小林武君 これくらいふしぎな話はないですよ。了解事項というものは、きわめてこれはもっと大事な問題なんですよ。このことは、少なくとも約束を守るということは、単に幹事長書記長だけが守ればいいものじゃないのです。社会党一つの問題について、三党のあっせんについてこの約束を守っていこうということになると、関係の代議士はもちろん、参議院の議員にも全部納得させなければいかぬ、そういうもの、だと私は思っておる。これは公表しないというのはどういうことなんですか。政府にも言わなければ党員にも言わない。だれにも言わないものがどういう効力を有するのですか。たとえば、了解事項の、人選については各党と話し行うということがあれば、内容的には伊能さんと大出さんの間にはちょっとズレがあり、食い違いがありましても、このことは少なくとも人選という具体的な問題を実行するために必要なことなんですよ。それを公表しないというのはどういうことですか。これは伊能さんを責めてもしようのないことでございましてね。これはやはり当事者に来てもらわなければ困るわけですから、どういうことになりますか、それじゃどなたに一体お尋ねしたらわかるのですか。その点だけちょっと伊能さんにお尋ねいたします。
  53. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私が答弁するのが適当かどうか、私自身、自信を持ってお答えするわけではございませんが、三党間の申し合わせ、これはただいま申し上げたとおりであります。その際における了解事項は、委員人選に当たっては三党と話し合うということは公表をしないということも明らかでありますが、さいぜん大出氏のお話しのように、社会党内部においては、この問題も内部の書紀長報告として報告があったと私どもも聞いております。したがって、公夫をしないということについては、三党間の申し合わせでそういう話し合いができたのだ、かように理解をいたしております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと関連して。先ほどお聞きしたときに、何か了解事項は公表はしないけれども文書にはなっておるのだというふうに聞いたのですが、その点は間違いなのかどうか。ただいまのところの質問ではどうも文書がないようなことを言う。さっきはあるけれども公表しない。その点が一つ。それからもう一つ文書があれば、その文書を見せてもらえば、その署名者を見ればわかるのですが、文書がないということになると、一体、書記長幹事長ということになるのか、あるいは国対委員長同士ということになるのか、その点も具体的に説明願います。
  55. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私どもが承知しておる三党間の申し合わせの内容は、いまの了解事項文書になっておらないと私は承知しております。しかし、事実はそのとおりであった。そこで、書記長幹事長会談でございますから、国対委員長は随行をしたと私は理解しております。したがって、三党間の書記長幹事長の間でこの問題は正確を期するために、三党書記長幹事長間でひとつ事実の信憑性をただしていただくことが最も適当であり、さらにまた議長あっせんでありますから、衆議院議長におただしを願うことが適当である、かように存じます。
  56. 小林武

    小林武君 い衣の点についてはわかりました。  そこで、ひとつこの項について、公表しないという意味を両党でお聞かせいただきたいんです。よくわかるようにひとつ聞くために申し上げますが、公表しないということは党内のあれなのか。それから公表しないというのは、たとえばいよいよ具体的な人選に入った場合に、公表しないということになると一体何にも意味がないんじゃないかということも考えられる。公表しないということの内容ですね、どういうことなんですか。これを両党の代表から伺っておきます。
  57. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私はその内容について残念ながら聞いておりませんので、公表をしないということがきめられたという以上には何も存じておりません。
  58. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) この点、私は書記長にただしましたからお答えをいたしますが、公表しないというのは一体どういうことかと言ったところが、田中幹事長等が言われたことがことばに出まして、だいぶ熱くなっている両党間の事情等がある、したがって、いまそのことを記者発表等を行なうとなかなか党内まとまらぬから、おまけに一番最後のやつは持ち帰って相談して出直すということではまとまらぬ、だから、まとまるまでこの部屋から出ないことにしようじゃないかということで、そこでまとめた、こういうわけです。そうなると、記者発表その他はしないということは、当面の紛糾を避けてまとめるためにと、こういう理解である、こういうことになったわけでありますが、したがって、私の党のほうも新聞記者の皆さん等に発表しているわけではございません。しかし、先ほどの御質問からいきますと、この三党一致ということに至ったところについて、何が一体三党一致であったのか明らかにしろ、こういう意味の御質問でございますから、先ほど安井総務長官のほうからお話しがございました委員長質問、つまり衆議院内閣委員長政府に対する質問の中にもございますように、「今回の三党一致話し合いの精神にかんがみ」、こうなっているわけです。「三党一致話し合いの精神にかんがみ、委員の選考及び会議の運営については、公正不偏、」云々、こうなっているわけですが、先ほど伊能さんからお話しがありました議長の裁定三項目は、あくまでもこれは裁定でありまして、おのみになるかいかがですかというはかり方がされております。したがって、あまりこれは話し合いの余地がない。したがって、これをめぐって話し合いが行なわれた結果、何らかの話し合い一致がなければ三党一致の結論は出ないのであります。となりますと、この議長裁定文書にされている三項目以外のところに、実は三党が一致、当時せざるを得なかった事情があるわけでありますから、これを申し上げなければ私は皆さんの審議にたいへんな支障が起こる。これは記者の皆さんには発表するわけではございませんで、事参議院の文教委員会という場所での答弁を申し上げるわけでありますから、この点は明確にいたしませんと御質問趣旨に沿わない、こういう結果になります。そこで、先ほど私は、申し合わせ事項として委員人選に当たっては三党と話し合う、こうまとまった、この前後の事情を先ほど私が御説明いたしましたが、そこで、この了解事項というのは一体どういうことになっているのですかという質問を私は成田書記長にいたしましたが、紙に書きまして、これを了解事項にしてよろしゅうございますかということで三党が話し合いをして、了解事項ということでこういうふうに紙にしたためた、それをもって文書というのか、あるいは文書といわないのか、この辺のことは私もちょっと判断しかねますけれども、それは率直に申し上げますれば、そういう形で委員人選に当たっては三党と話し合うという、このことは了解事項でよろしゅうございますかということで紙に書いて、お互いがそれを慰め合って了解事項としてそういうことで持ち帰ったというわけでございまして、私は当事者でございます三党の田中幹群長、成田書記長、春日副書記長、この三人の方々に、参議院のほうへ行って、当事者の方々ですから、むしろこの方々が提案者になっていただいて、この修正案を参議院の文教委員会なり本会議なりに提案すべきであるという主張を実は衆議院の内閣委員会理事会等におきましても、るる主張をしたわけでありますけれども、皆さんが目を通しておられて御存じのように、六月六日までに衆議院を議了し、こうなっておりますから、七日の十二時になってしまいますと、この議長あっせんを受けております限りは当然逸していかなければならない性格のものでございますから、私は中途でその主張を通らないままに打ち切らざるを得なかったわけであります。したがいまして、私も伊能さんも、あるいは総務長官も、この席に出席をしていた当時者ではございませんから。その意味ではお三人の方々が議長立ち会いのもとに出席して話し合いされたわけでありますので、皆さんのほうでその方々をお呼びいただいてお聞きになるということであれば一番これが明確になる。私はまた聞きでありますから、そのようにお答えを申し上げます。
  59. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまお聞きしますと、了解事項、三党申し合わせができ上がるまで、この了解事項というのはかなり重要な部分を形成をしているように聞き取れるわけです。つまり、この了解事項というのは普通の場合だったらつけたりのような場合もあるわけです。さしみのつまのような場合もあるわけですけれども、この三党の申し合わせに関する限りは、この了解事項があったから三党申し合わせというものができ上がっているというふうに理解してよろしいのかどうか。つまり接着剤のような役割りをこの了解事項がしているのだとすれば、この了解事項を抜きにして三党の申し合わせ事項を論議しても始まらないような気がする。だから、いまのお話によりますと、これからの委員会では、この問題を審議する場合には、どうしても当事者である書記長幹事長あるいは衆議院議長に出てもらわなければ。これは委員長に対して注文したいと思う。委員長並びに理事打ちく合わせ会などでしていただくことでありますが、私は委員長に注文したい。それからもう一つお聞きしたいのは、この了解事項というのは、やはり非常に重要な内容を含んでいる。これがあったからこそ、三党申し合わせなるものは、とにもかくにもでき上がったのだ。もしこれがなかったら、三党の了解事項がなかったら三党申し合わせというものもはたしてでき上がったかどうかわからぬ、このように理解してよろしいかどうか、この点は大出さんと伊能さんのお二方にお聞きしたい。
  60. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) ずばり御質問でございますから、私もずばりお答えいたしますが、この了解事項がなければ申し合わせば成立いたしません。成田書記長に私はただしましたが、あわせて、もし委員人選に当たっては三党と話し合う、このさらに中身について先ほど私申し上げましたが、他党の推薦する委員であっても各党が認め合うということでなければならぬのだ、再三これは議長立ち会いのもとに繰り返した、こういうことでありますから、しからば他党の推薦の委員であっても、各党了解し合うということでない、こうなった場合、了解できないということになった場合に、一体、一方的に任命などということが行なわれるのか、それともこの申し合わせば御破算だと解釈していいのか、三党一致の申し合わせば御破算になる、こう解釈していいのか、帰ってきた早々の成田書記長質問いたしましたが、そういう解釈でけっこうだというお話がございましたので、私は、しからばわれわれとしても了解をいたそう、こういうふうにいたしておりますから、そこから先のことは当事者でございませんと、私からは何とも、私自身が質問したことを申し上げるわけでありますから、われわれはそういうふうに理解をしたということを申し上げざるを符ない。だから、われわれ特にこの申し合わせ、了解事項、それがなければ三党の一致した話し合いの結論は出なかったと明確に申し上げ切れると思うわけであります。
  61. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 大出さんからたいへん断定的なお話がございましたが、私ども瀬谷さんのお話しのように、この三項目が一致の段階においてお話のようにいろいろな話が出て、了解事項として、人選に当たっては三党と話し合うという内容も重要であることには私ども異議を差しはさむものではありません。しかしながら、さいぜん総務長官がお話しをいたしましたように、人選については政府任命するわけでありまするから、いま、大出議員がお話しになったように、全会一致でなければ話し合いがこわれるんだというようなことは私は毛頭聞いておりません。と申しますことは、その裏返しの理由として、三党間の話し合いの際には、審議会人選並びに運営については全会一致だというお話も出ましたが、そのお話は消えまして、そうして最後にかような了解事項がついた、かように私ども了解いたしておりますので、この点については、率直に申し上げると、最後の何といいますか、それぞれの了解についてはあるいは若干のニュアンスの違いがあるのではないか、これは正直に申し上げましてそういうように私ども理解しております。
  62. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) いまの点ちょっと。大事な点でございますので、相違点を明らかにさしていただきたいと思いますから。私のほうの理解は、先ほど申しましたように、三党の間で、他の党が推薦した委員であっても、つまり、推薦の党でないほかの党の方々が了解をするということでなければ政府が一方的に任命することはないんだと、こういうことを含めてそのことを文章にするなどということになれば、これはとてもじゃないが各党なかなかまとまらぬというような事情もある。したがって、そのことを中に含んで、了解事項の表文章というものは、委員人選に当たっては三党と話し合う、こういうふうにまとめておかなければまとまりぐあいが悪い、ここに論点があって、こういうまとめ方をしたというふうに聞いておりますし、理解をいたしておるわけでありますので、この点が実は明確に違うところだろうと私は思っております。
  63. 小林武

    小林武君 お二人からそれぞれお話を承って、はっきりここに対立した意見が出たわけであります。先ほど来の質疑の中にも明らかにされましたように、この了解事項というようなものは、これがあるとかないとか、理解が違うとかいうことによっては、この衆議院議長あっせんというものが成り立つか成り立たないかということを左右するような問題でありますから、これはやはりいいかげんにしておいてこれからの議論を進めるというわけにはいかない。といって、お二人もその当事者でないわけでありますから、ここでそれぞれ論戦をやられても、われわれも判断に困る。われわれの、社会党の側からいえば、大出さんのおっしゃるように、そのとおりに聞いておるわけでありますので、これがもしそうでなかったら、何でこんなものをのんだかということに私は実はいま思ったわけであります。したがって、そういうことを取り上げていま議論をしてもしようがありませんから、一つ任命権の問題もあるし、公表の問題もある、いろいろその他付属した問題がございますから、この点については、委員長、どうしてもこの問題の一番中心になる衆議院議長あっせんの問題に対して、両党の責任者、この方に来てもらわなければならぬから、それについてのお取り計らいは、ひとつ委員長においてお願いします。衆議院議長、それから幹事長書記長、それぞれにお出ましを、いまでなくていいですよ、この次でけっこうでありますから、よろしいですかな。
  64. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) これは理事会その他でよく相談をしてやりますから。
  65. 小林武

    小林武君 あたりまえのことです、相談するといったって、こんなことでいまもめても……。なお、委員長、ここで申し上げておきますが、こういうことで、また呼ぶとか呼ばないとか何とか言うたらこれは妙なことになる。今度は参議院議長のほうだけれども本会期中に議了せいということだから、これは参議院議長あっせんを守るという立場からどうしても議了せなきゃいかぬ、その立場で、ひとつ委員長も、それからその他の方々も御協力をしてもらいたい、こう思うのです。  もう一つ、これは伊能さんにちょっとお尋ねをいたしたいのでありますが、「二月十一日をけづる」、この一項で次に移りますから。この場合、ILOのときのことを思い出すのです。これはたな上げ事項というやっと削るというやっとはたいへんな違いだと思っておる。このたな上げして審議会に移すというやっと、削ってね、削ればなくなる。なくなるから、なくなったところで審議会がやるのですから、その区別がはっきりしておらぬというと、たいへん私どもはこれから困る。でありますから、そこらの、そのたな上げによって審議会に移った場合と、削った場合とについて、大体お二人がどんなことを各党の代表としてお考えになっていらっしゃるか。また、これについては担当の大臣でいらっしゃる安井さんがどういうふうに一体腹におさめておるのか、これをひとつはっきりここでお聞きいたしたいと思います。
  66. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 私は、この議長あっせん案の趣意に従いまして、「二月十一日をけづる」という第二項があります。同時に、「記念日右審議会の議を尊重し政令で定める」というのでありまするから、政令で定まる日までこれは二月十一日を削る、こういうふうに解釈しております。
  67. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) ただいま安井総務長官からもお答えがありましたが、私どもはILOの問題等についていろいろ論議のあったことも承知はいたしておりまするが、これだけ論議のあった大きな問題でございまするから、その問題については政令できめる、それまでは削っていくということについては審議会審議を尊重する意味からも当然である。しかし、十二月十五日をもって終期とする審議会において審議をしていかだいて、政府はその答申を尊重するということでありまするので、十二月十五日までにはきめていただける、それであれば削って、政令で定める日ということにすっきりしたほうがいいと、かように考えまして、すなおな形でわれわれ三党間で一致した次第である、私はかように了解しております。
  68. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) これは修正案——いまこちらへ提案されている三党の修正案の問題ではなくて、実は議長の裁定なるものの中で、この議長裁定三項目ございますうちの二項の(イ)という項で、「二月十一日をけづる」、こういうふうに裁定が行なわれておるわけでございまして、これをのんだわけであります、各党が。したがって、この「二月十一日をけづる」という議長裁定に基づいて原案をいま御提出申し上げておるように修正した、こういう経緯でございますから、そこのところをまず前提として明らかにしておきたいと思うわけでございます。そこで、なぜ、しからば議長裁定で二月十一日を削ったか。このことについての私どもの党の理解でございますが、本来、九回ももめてまいりました紀元節問題が、事二月十一日という日にち、これが前面に出ておりまするために、今日までかくのごとく紛糾を続けてきたわけでございます。これが二月十一日でないとすれば話の余地はいろいろとあったわけであります。審議の過程におきましても、非公式ながら、与党の皆さん方からも、二月十一日でない日ならばいいのかというお話もあったわけでございまして、したがって、議長がこのたいへんな紛糾を避けるという意味でおつくりになった裁定案文の中に、「二月十一日をけづる」、こういう文章が出てきたと、こういう経過から見ての理解ができるわけであります。そうなりますと、いまの御質問のような、ILOのときのように、政府原案がございまして、議長の裁定の段階で政府原案がそのままそっくり施行期日延期、あるいは凍結、たな上げといわれておりまするような扱いをしたこととは本質的な違いがある、こう理解をいたします。したがいまして、一番紛糾を続けておった二月十一日を削ったのだと、こう理解をいたしますから、そうなりますと、さっき私が申し上げましたように、重大な政治的意味を持つ、こういうことになる、これが先ほど来私が申し上げている趣旨でございます。
  69. 小林武

    小林武君 これもまた、伊能さんとの考え方に違いかあると思う。安井さんの考えに至っては、私の聞き力が悪いかもしれませんが、きまる日まで削るというのだが、そのきまる日まで刷るというやつをだまって聞いていると、二月十一日にきまる“まで削るなんということじゃ、これはたいへんなことなんです。それで、安井さん、あなた、はくはこの文章がいい文章なのか悪い文章なのかよくわからぬけれども、その修正案の中のこれ、何べんも読んでみて、なるほどうまいなと思ったんです。二ページですよ。「まず、建国記念の日につきまして」と、ずっとやっていく。「この日を」——「この日」というのは建国記念の日なんだ。それを二月十一日にしていく、その次に、二月十一日が「明治初年以来」云々と、こう書いてある。「衆議院において、この日を政令で定める日と改め」る、こう書いてある。この日、この日という二つがきわめてじょうずに、どっちにとっていいかわからぬような表現になっている。へたをするというと、二月十一日をきめる日まで削ってやるというふうにとられたら一大事だとぼくは思う。あなたの答弁をちょっと聞いていると、私、耳が悪いせいかどうか、きまる日まで削る、その日にきめるんだ、こういうふうに聞こえるんですわ。そうでないのかどうか、はっきりあなたひとつ答弁してください。
  70. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 説明がへたで非常に誤解を招いてたいへん恐縮でございます。これは先ほども申し上げましたように、この修正案趣旨説明にも明らかになっておりますが、建国記念日の日として二月十一日を「政令で定める日」に改める、これがまた法律案改正趣旨でもあり一ます。したがいまして、二月十一日、こういう字は法律からはなくなるわけでありまするが、それのかわりに「政令で定める日」に改める、そういうふうに相なっておると思います。
  71. 小林武

    小林武君 そうすると、きまる日まで削るということじゃないわね。どうもしかしこの文章すっきりしてもらわなければ、文章があまりうま過ぎる。
  72. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 安井さんの答弁はへたなんじゃなくてずるいんだよ。最初に言ったときには、政令で定める日までは二月十一日を削ると、こういうふうに言ったんでしょう。ここに書いてあるのはそういうふうに書いてない。「二月十一日をけづる」とだけしか書いてない。ところが、さっきの答弁では政令できまるまではる削んだ、政令できまらなかったら二月十一日を復活すると聞きとれる。いわばそれまでの間のたな上げであるかのように聞きとれるわけです。われわれ社会党の解釈ではたな上げじゃないんです。たなおろしなんだ。それは削るならほんとうに削っちゃう、下へ落っことしちゃう、こういうふうに開きとれるわけです。その聞き方が違うわけです。そうすると、いまの二回目のあなたの答弁では、政令できまるまでということじゃなくて、政令がかりに一月一日ときまれば、その一月一日を建国記念日である、こういうことであって、そのどういうふうにきまるかわからないが、要するに、二月十一日という原案は削ったんだと、こういう解釈でいいですね。
  73. 安井謙

    国務大臣安井謙君) それはそのとおりだと思います。私もそのつもりでものを言ったんですが、どうもちょっと説明が悪いので恐縮ですが、二月十一日という日は法律案から消えたわけであります。したがって、今度はいつの日というのがきまるかという問題は、六カ月以内に政令で定める、これはいつになるかわかりません。それはそのとおりだと思います。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 安井さん、端的に聞きますが、審議会で五”月三日ときめたらいいわけですな。いまの答弁からいけばそれでいいわけでしょう。
  75. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 審議会意見を尊重いたしまして、政令でこれを定めることにいたしております。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 だから、審議会一致して五月三日ときめたら当然尊重するんだから、それに従わなければならぬでしょう。それでも従わぬということであったら、何か腹に一物持っているからでしょう、どうなんです。はっきり開いておきたい。
  77. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 一致して云々ということばは、非常にデリケ−トな問題が出てきますので、私ども触れたくないんです。したがって、審議会意見を尊重いたしまして、政令できめるというふうに文字どおりお取りをいただきたい。そうでないと、一致したとか、しないという議論になりますと、非常にデリケートな、将来を予測していまあれこれ言うのはよろしくなかろうと思うから、私はすなおにそのとおり申し上げているんです。
  78. 鈴木力

    鈴木力君 伊能さんに伺いたい。二月十一日の一致論ですね。先に二月十一日を削った理由に、伊能衆議院議員説明では、二月十一日があると、三党間の意見一致しないので、削って一致をした、こういう説明がございましたね。そういたしますと、これが政令できめるということになっている場合に、これは文章づらとか、あるいは文字がどう出ているとかいうことじゃなしに、修正したときの精神として、二月十一日を出したら一致しない、この精神で持ってきて、それで削った。したがって、そのあとのゆくえというものを見ておっても、あるいは祝日法の第一条にある「国民こぞって」、こういうことが書いてある趣旨から見ても、やはり二月十一日というのはほんとうに削って、それから政令にゆだねよう、こうくるのがすなおな解釈なんですね。したがって、削ったという意味は、いま私が申し上げたような意味なのか、二月十一日が出れば一致しないのだということが前提になっているのだから、そうして一致してやるのだということが前提になっているのだから、これはきめていると解釈してよろしいわけですね。
  79. 小野明

    小野明君 安井さんの答弁を聞いておりますと、どうもいま亀田さんなり、それから鈴木さんから質問が出たように、二月十一日を削る、こういう趣旨がどうもこう生かされていない。やはり腹に一物でね。ちょっとあずけるけれども、これはどうせ委員人選等でごまかして、二月十一日できめるのだ、こういうように受け、取られてしかたがないわけです。この二月十一日を削るとはっきりここに書いて、三党申し合わせができている。そうしますと、この審議会で、たとえば五月三日なら五月三日できまった、こういうことになりますと、それを尊重するのではなくて、政府の裁量、あなたのほうの裁量でね、これをはっきりそういうふうにいたしますというように言わないで、いや、それは政令できめるんです、こういうふうに言われる。どうもあなたのほうの三党申し合わせなるものを尊重しようとする気持ちが全然うかがわれない。全然この三党申し合わせをばかにしているといいますかね、ほごにする気持ちのほうが強くわれわれにうかがわれてしかたがない。明確に三党申し合わせなるものをどういうふうに考えておられるのか、あるいはそれを政令にどう生かそうとされるのか、もう一回安井さんの答弁を聞きたいと思う。
  80. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 逆に申しますれば、二月十一日というものを政府は全部放棄して、永久に削除してしまえ、そういう精神で三党申し合わせができたのじゃないかというふうにも聞こえるのでありますが、私どもはそういうふうには考えておりません。とにかく国会で二月十一日というものがなかなか一致しがたい、事の性質上、第三者の公平な人の意見を十分聞いて、審議会でその意見のまとまったものを尊重してやれ、だから二月十一日になるやら、五月三日になるやら、それはいま私がここで予測するわけじゃございません。したがって、それ以上のものを、どうもここで二月十一日を腹にしまっているのだろうと言われましても、これははなはだ迷惑な話でありまして、私ども提案しますについては、むろん二月十一日が非常によいという確信を持って出したわけであります。あとは国会での御意向に文字どおり従って、意見を尊重して政令できめるということで、いまいずれとも考えをきめているというようなことは一切ございません。
  81. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) ただいまの御質問について、私の提案理由説明をごらんいただけばわかるのでありますが、私ども二月十一日を削るという趣旨は、それを削った以上、白紙になっているわけでありますから、二月十一日にあらためてきまるか、さいぜん亀田氏や、小野さんからお話のあったように、五月三日にきまるのか、あるいは何日にきまるのかは、審議会を尊重するという意味政令で定める、かようにいたした次第であります。
  82. 鈴木力

    鈴木力君 いまの件で伊能さんに伺いたいけれども、私が伺ったのは、そういう公式的なことを伺ったのじゃない、気持ちを聞いたわけであります。それは提案理由説明じゃなしに、あとでの小林委員質問に対するお答えの中で、二月十一日があると三党が一致しないから、三党が一致するために二月十一日を削ったのだ、修正の際に。そういう答弁があったわけですね。——いや、そういう趣旨の答弁がありましたよ。そこで、それは政令にゆだねよう、こういうことになった、そういう説明でした。だから、公式的に言えば、いまおっしゃったように、三党内では一致しないから政令にゆだねよう、こういう形になった、その流れはわかるわけです。そのときには、二月十一日があると一致しないということが前提になっているのだから、これはどちらの機関に出しても、二月十一日というのが生きているなら、これはまとまらぬじゃないか、そういう気持ちがあるはずだということを聞いているわけです。その気持ちはどうなんですか。
  83. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) 私はさいぜん小林委員にさような答弁をいたした覚えはございません。ここにある提案理由説明どおりで、原案ではまとまらないので、かような修正案を出した、修正案については、議長裁定に基づく三党一致の協定、これによって二月十一日を削って白紙にして、あらためて審議会にその意見答申を求めた。したがって、審議会意見がどういう日になるかということは、審議会意見を尊重するということで、これはおそらく国会としても、委任した以上はその答申を尊重するというのが本旨だろうと思います。
  84. 小林武

    小林武君 いろいろ質疑がかわされているうちに、たな上げによる審議会と、それから削ったということによる町議会のあり方というものは違うので、それについてのやっぱり意見の食い違いというやつがありますから、これも先ほどの問題で、何といっても衆議院議長が一体どういう意図であったか、それからその際、これを承った人たちが一体どういう考え方であったかということをやっぱり明らかにしなければなりませんので、この点については、またその際のひとつ議論に譲りたいと思います。  そこで、ここの衆議院議長あっせんのところで一つだけ聞いておきたいのですが、「(備考)」の中に「審議会委員はその学識ある者十名」とありますが、この「学識ある者」ということは、どういう理解のしかたをしているか。それから「十名」というのは確実な数であるかどうか。この点について安井総理府総務長官お尋ねをして、それについて何か食い違いがございましたら、ひとつ各党から御答弁をお願いしたい。
  85. 安井謙

    国務大臣安井謙君) この「学識ある者」というのも、文字どおり学問、知識、経験の豊富な人というつもりでおります。祝日といったような国民感情全体に触れる問題でありまするから、できるだけ広い意味の各層のいわゆる学識経験者、こういう人を選びたい、公平な立場で選びたい、そういうふうに思っております。それから十名につきましては、やはり十名という数がこうしてきめられたんでありまするから、私ども十名を的確に選びたい、こういうふうに思っております。
  86. 小林武

    小林武君 他のお二人の方は、学識については大体いまのようなところで理解しておるのですか。
  87. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) これは先ほど私申し上げましたように、三党の話し合いという了解事項もありまして、当然、何党からはどういう人をというふうな形の出し方になるだろう、こう思うわけであります。したがって、そのおのおのの党がどういう人を選ぶか、そこで、選び方、選ぶ対象、こういうことになるだろうと思うわけであります。したがいまして、これは修正案をめぐりまして、理事会でいろいろやり合う際におきましても、どういう人を学識経験者にするかというふうなワクのはめ方はいたしておりません。したがいまして、広い意味の学識経験者の中で各党がどういう人を選んでいくかということになるのだろうと思う、こういう理解のしかたであります。
  88. 小林武

    小林武君 そのことについては、また質疑をやる時間がございますからさておいて、今度は、先ほど安井総理府総務長官から述べられた中にありました、衆議院の内閣委員会を代表しての委員長質問に対する安井総務長官の御答弁並びに質疑の問題についてお尋ねするわけでありますが、これについてはひとつ両党の代表の方からも十分御説明をいただきたい。  まず、分けてみますと、「審議すべき事項の性格」というのがあるんですよ。「この際、委員会を代表して、委員長として政府に対し所見を求めたいと思います。政府は、建国記念日審議会の設置に際しては、その審議すべき事項の性格及び今回の三党一致話し合いの精神」——このことをやっぱり明らかにしておかなければならない。「その審議すべき事項の性格」、その性格をどうおとりになるか。「審議すべき事項の性格」と「今回の三党一致話し合いの精神」との関連、このことが明らかにならないと、次の「委員の選考」、「会議の運営」の問題、「国民の要望にかなう結論」というものがなかなか出がたいわけであります。安井総理府総務長官の答弁はきわめてすらすらとわずかのことばで言っておりますが、これはどうもこういうことばをそのまま信用しておっちゃ、最後になったらどういうことになるかわかりませんから、やはり質問のことについてはっきり聞いておかなければなりません。こういう意味お尋ねをするわけであります。「その審議すべき事項の性格」と「今回の三党一致話し合いの精神」、その関連をひとつ。
  89. 安井謙

    国務大臣安井謙君) この委員長から政府の所見を求められました文言につきましては、三党で御協議の結果まとまったので、これを代表されて委員長から御質問があったと私は心得ております。なお、その答弁要旨につきましても、実は三党と御了解の上でこういう趣旨の答弁をいたすということで、これも御了解を得ておるという次第でございます。したがいまして、そこにはそういった本質的な食い違いとか何はなかろうと思いますが、いま念のためにお聞きくださいました「審議すべき事項の性格」というものにつきましては、これはまあ国民祝日をきめる、ことに建国を記念する日をきめるというような国民全体の感情にもいろいろ影響のある問題であるから、そういうような事情にかんがみて、この三党一致話し合いの精神を十分尊重をして、委員の選考、また運営についても公平不偏、慎重な配慮のもとに結論が得られるように最善を尽くせ、こういうことでございますから、私どもそういう趣旨で今後もはかっていきたいと思っております。
  90. 大出俊

    衆議院議員大出俊君) 私ども理解からいきますと、これは衆議院の内閣委員長さんみずからが質問をされた形になっておりまして、もちろん中身は、三党の理事あるいはそれに類する方々が集まって一応のまとめをやったわけでありますが、本来、衆議院の内閣委員長さんの持論がございまして、四月二十五日の日だと思いますが、衆議院の内閣委員長さんから審議の態度等についての提案がございました。これはここにおられる衆議院の内閣委員会の伊能理事も同席されておられましたけれども、そのときに委員長のおっしゃっておりましたのは、建国の日を記念するというきわめて重要な内容を持っている、したがって、国民のうちの三分の一は反対、三分の二は賛成だなどというのでは困る、したがって、できるだけ時間をかけ、広く国民意見を聞かなければいけない、その意味で、まず委員会が十分審議を尽くす、その上でできるだけ多数参考人を呼びたい、そうして全国八カ所以上に及んで公聴会を開きたい、さらに内閣委員会で審議を続けたい、これが私の信念だ、こういうふうに御提案がございました。したがって、そういう事柄の性格上、予算関係法案等が全部通ったあとで、そういう方針で慎重な審議をしたいのだ、こういう御提案がございましたが、私もまことにごもっともな信念だというふうに思っておりますが、それが自後、他の法案が残っておる間に、おそらく党内の皆さんの事情があったんだと思いますけれども、急速に審議日程にのぼしていただきたいというお話もございまして、形の上では多少の変更が行なわれましたけれども、そういう気持ちで、内閣委員長衆議院側におきましてやってまいりましたから、ここに言うところの「審議すべき事項の性格」とはそのような性格のものである。さらにそのように審議をすべき性格のものである、こういうふうに理解をすべきである、こういうふうに考えておるわけであります。  それから後段の三党一致話し合いの精神にかんがみという点につきましては、先ほど私御答弁を申し上げた中ですでに触れたところでございますけれども議長の裁定という案文は賛成ですか反対ですかという形の問い方になっておりましたから、それをめぐるやりとりが三党間で行なわれて、その一つの申し合わせ了解事項、こういうふうなものができ上がって、曲がりなりにも意見一致したということになると思うのでありまして、そういう意味では、ここで言っている三党一致話し合いの精神にかんがみというのは、単なる文章づらではなくて、三党がこれをまとめていくために政治不信を起こさぬようにという配慮を含めて真剣に話し合っていく過程で慎重な議論が行なわれておるわけでありまして、民社党の赤日副書記長さんからも、たとえば三党の了解事項中身というのは、人選については国会承認人事にすべきだとか、あるいは審議会運営については満場一致制をとるべきだというふうな意見も出ておりますように、つまり審議すべき事項の性格を受けまして、三党が審議をして話し合いを煮詰めてまいりましたその精神をそのように受け取って、政府のほうもお考えをいただきたい、こういう趣旨のいきさつだったというふうに考えているわけでありまして、なお、実はこの委員長質問いたしましたのは七日の日でございまして、私どもの側といたしましては、この日は一日、朝から晩までかけて、十二時まででも、許されている時間は七日一日でありますから、とことんまでひとつ審議を、実は質問をしていきたいと思ったのでありますけれども、そのことによってせっかく三党の幹事長書記長了解事項までおつくりになったそのことを、おのおのの党内に、その質問によって紛争を起こすようなことにしてしまっては、かえって趣旨が生かされないのではないかという配慮から、一切の質疑をやめまして、理事会としてこの文章にまとめて、衆議院の内閣委員会を代表していただいて委員長にこの趣旨質問をしていただいた、こういう経過でございますので、そのようにおくみ取りをいただきたいと存じます。
  91. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) ただいま大出委員から大体のわれわれの気持ちについてお話がございました。それに対して特段の意議を差しはさむものではございません。ただ、委員長が、慎重な審議を遂げたい、公聴会もやり、参考人も呼んで、口にちをできるだけよけい取ってやろうということについては事実でございまして、ただし、私はそれに対して、何か衆議院内閣常任委員会の慣例がございますので、慣例に基づいて一応提出議案の順序に従って審議を開始してもらいたい。したがって、提出議案の順序が来た際には、三党の代表質問を、本国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案につきまして審議を開始してほしいということを、私は自由民主党の理事を代表して強く主張をいたしました。しかしながら、私の主張は社会党さんのいれるところではございません。その間にいろいろ経緯がございました。結局つまるところ、ただいま大出氏のお話にありましたように、他の法案の審議を終えてということに話し合いがまとまった次第でございまするが、その間に時日がだんだん経過をいたしました結果、さいぜん来御質疑をいただいている議長裁定に基づく三党の話し合いというものが成立をした次節でございまして、委員長としては、ただいま大出氏のお話にありましたような精神で、われわれ三党間でまとまったその内容質問をいたし、また、総務長官からお答えをいたしたような内容の答弁があった次第でございますが、その精神については私どもはさいぜん来ここで明らかにいたしておりますように、三党協定の趣旨並びに了解事項は、私がさいぜん来説明をいたした趣旨で、われわれは政府において公平な処理をしていただきたい、かように理解をいたしておることをあわせて付言して御説明を申し上げます。
  92. 小林武

    小林武君 先ほども申し上げましたが、国民祝日に関する法律には、「国民こぞって祝い、」ということが書かれてある。「国民こぞって祝い、感謝し、」、こういう日でなければならぬということを言われておることを、衆議院の内閣委員長は御理解があって、そうして三分の一の反対だとか、院内だけの話ではありますけれども、これが今度国民の側にいきますというと、またさまざまに反対、賛成の議論が出てくると思います。まあ宗教団体などは二月十一日にはこれはもう反対、そういうようなものもありましょうし、また賛成の者もあるかもしれません。しかし、まあ賛否両論の問題をとにかく力できめてしまうという速戦即決で直ちにものをきめてしまうというようなことをお避けになりたいということは、私は最も賢明な措置だと思うわけでありますが、そういう点の御配慮がありながら、事実はなかなかそうは進んでおらない深刻な問題になってきたわけでありますから。私はですから皆さんとの間にいろいろ質疑をかわして、そうしてこの参議院の段階で本会期中に議了することができれば、私はその審議会の段階で慎重に配慮すべきところはまず一点これだと思うのです。もうとにかく国民全体がこぞって祝うように、感謝するようにということを絶対ひとつ忘れてもらいたくない、これについては安井さんははっきり答弁されているわけでありますが、ここで念を押しておくわけであります。  もう一つ忘れてもらいたくないことは、やはり国民祝日に関する法律の冒頭にあります「自由と平和を求めてやまない日本国民は、」ということなんです。自由と平和を求めてやまない日本国民が美しい風習をつくりつつ、よりよき社会、豊かな生活というものをつくるようなそういうものでなければならぬ。この点を忘れると、何か一人の趣味みたいなものできめられたのじゃたまらないわけでありますから、ここのところは私はその審議すべき事項の性格ということを言っているのだと私は思うのですよ、でありまするから、ちょっと答弁に不満だというようなことを申し上げるわけではありませんけれども、非常にお急ぎになったようでありますから、そこまでいかなかったのは残念でありますけれども国民祝日に関する法律というものの第一条をお読みいただいて、これは三条だけの法律でありますから、第一条のところをお読みいただいて、審議会をやるのだということを質問なさっておったと、こう理解して間違いないだろうと思うのでありますが、後ほどひとつ御答弁をいただきたいのであります。したがって、三党の話し合いの精神で問題を解決するとすれば、これはもう当然、強行採決だとか、力をもってどうするなんということは出てこないのであります。特に審議会なんかの場合にあまり政府が干渉して、このような結論を出すように努力しなければいかぬというようなことをやられては困る、どうもILOの問題のときにはたいへん政府の誘導がみごとだったという話がある、これはしかしうわさであるから、私は見たわけではないからわかりませんけれども、労働者の委員の中からそういう声がずいぶん出ている。そのために、最後はどうであるかというと、委員のあれが分裂しちゃっている。そうして、せっかく八年間も努力をしてやったことがどうも思わしくない結果に終わったということになっておるのでありますから、そういう点では、この三党の話し合いの精神というものは十分生かされるようにやるというのが、三党一致話し合いの精神にかんがみてやれということだと私は思うのです。  そこでお尋ねいたしますが、この委員の選考、会議の運営、これは大事なことだと思うのです。ここでは、委員の選考、会議の運営と書いてあるが、それについて安井総務長官は、「十分配慮して万全を期する併存であります。」と、「万全を期する」というのはどこでもここでも使われておりますけれども、ことばの意味はそう簡単なものじゃない。欠けたところがないようにやれというのですから、これはきわめてむずかしいことなんです。しかし、まあ欠けたところがないようにやるように安井総務長官がお考えになってることについては非常に敬意を表しているわけでありますが、この委員の選考、「公正、不偏、慎重な配慮のもとに、」、これはなかなかりっぱに書いた。「公正不偏、慎重な配慮」、これをもっと具体的にちょっと言ってもらえないかと思うのです。委員の選考に当たって、「公正不偏、慎重な配慮」というのはどういうようなことか。会議の運営で「公正不偏、慎重な配慮」ということは、過去の委員審議の状況からいろいろ顧みて一体どういうふうにやろうとお考えになっておるか。この点は安井総務長官以外には御答弁が、できないと思うのですが、ひとつここで具体的にお話をいただきたい。特に安井さんは、ILOの問題については非常ななまなましい経験をお持ちでございますので、ひとつこの点について安心のいくような話を聞かしていただきたい。
  93. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ILO関係の公務員制度審議会のことに再三言及されての重ねての御質問でございますが、私はあの審議会に対しましても、政府がこれに特別な圧力をかけたとか、そういったようなことは毛頭やった覚えはございません。その証拠には、八人の公益委員の方、この中にはいわゆる総評、社会党、御推薦の方も当時入っておったわけでございますが、その八人の方が全員一致した意見を出されたわけでございまして、これが決して一部に対する政府の圧力と、そういうようなもので左右されたものでないことだけは御了承願いたいと思います。  それからいまの審議会委員人選でございますが、私は文字どおり公平かつりっぱな人選をいたしたいと考えております。その手順の一つといたしましては、できるだけ調べまして、いままで書物あるいは公開の席等で、二月十一日がよろしいのだという強い主張をなさった方、あるいはいけないのだと強い主張をなさった方でなくて、世間から納得のいく、なるべく公平な良識ある学識経験者、こういう方をなるべく選ぶようなことで、この法案か成立いたしましたら進めたいと思ってるわけでございます。まだ法案が成立しないのでありまするから、あらかじめそういうようなことを想定するのは不謹慎だと思って、まだ具体的には考えておりません。
  94. 小林武

    小林武君 強い主張をしない、両方とも強い主、張をしない、まあ眠いよく問題の理解の深い人があればけっこうですけれども、無関心みたいのがなると全くまたこれも困るし、——それで安井さんどうなんですか、これはやっぱり先ほど来の話にまた戻るのですけれども、やはりこれはきれいなことを言ってみたところで、無色透明なんというのはないですよ。公正にして片寄らない、不偏不党なんとかいうことは、ことばはいろいろ出てくるけれども、なかなかそうはいかぬ。そうすると、私はこれについては、一極の提案みたいなものですけれども、三党の理解のしかたというやつか、私はこうです、わが党はこうですというようなあれを、ひとつざっくばらんに話し合って、そうして各党の考え方を十分に代表するような、そういう人選というのが私はいいのではないかと思うのです。あなたは、何かどこか論文を見られるとか——これは容易じゃない。そうして、これはあなたがお選びにたってもなかなかたいへんだ。片方ではなかなか了解できないということもあるでしょうから、そういうことはどうなのかと思うのです。なお、私はいつも思っているのですが、政府がよくものを頼まれる方はきわめて片寄っているのですね。NHKの前田さん、ILO委員になったら今度は国語審議会の会長になった。片一力でわあわあ騒いでいるときに国語審議会の何か会長とかになった。どうもわあわあ騒ぐときになるとNHKの会長がおさまるというところに、政府の立場に立たしめるということがあったのではないか。そういうことでやったのではないかというように、私のようなものの見方をする者は考える。あるいは相当老齢な方でいらっしゃって、おいでになるにもなかなか大儀でいらっしゃるのではないかと思うような方が三役も四役も五役もやっていて、ほんとうに名刺に書き切れないようなお役を持っていらっしゃるのではないか。これは政府のほうであげてごらんなさい。ぼくは五、六人ずっと名前をあげてもよいが、これはやめておきますが、どうもそういう傾向がある。だから、人間を選ぶということについては、なかなかこれはむずかしいのです。あなたがそうおっしゃっても、全部論文を読んでみてもよくおわかりにならない。総評なんかも率先推薦してこんなことになろうとは思わなかったと思うのであります。それがこんなことになってしまった。こういうこともあるわけですから、あなたのほうは二月十一日だいじょうぶと選んだところが、とんでもないことになってしまったということもありますから、色分けははっきりして、前々から各党意見をはっきり取り入れて、そうしてそれが数の上においても何の上においても公平に取り扱われるようなやり方をやったらよろしいと思うのですが、どうですか、その点。
  95. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 具体的な選び方につきましては、いまの三党いろいろなお話もございましょうから、そういった状況も十分勘案して具体的にきめたいと思っておりますが、要はしかし、三党の申し合わせの公平な精神によって選びたいという気持ちでぜひ進みたいと思っております。なお、御指摘のような、幾つもの委員を兼ねておられ、とうていそんなものを審議するひまがないような人まで、この人はいつも政府に便利であるからというようなことでお願いをするというようなことはいたさないようにしたいと思っております。
  96. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 三党の申し合わせをしきりに尊重する旨を言われましたけれども衆議院では、先ほどからの質問をやってまいりまして聞いてみると、衆議院ででき上がったけれども了解事項やら何やらたくさんある中で、どうも抜けている点や不十分な点があるような気がするわけです。ちょうど食事が終わらない最中に地震がきたような感じで、大急ぎで取りまとめたという印象を受けるわけです。それが参議院にまいりますと、参議院は院の構成がちょっと迷うわけです、御承知のとおり。三党といいましても、衆議院にない公明党という党もあるわけです。公明党が何も意見がなければ別だけれども意見があるということになれば、公明党も一枚加わるということになるでしょう。そうすると、院の構成が違う。それから衆議院がろくな審議をしていない。言っちゃ悪いけれども何もやっていない。だから参議院でやらなければ審議する場面かないのです。審議してみると、どうも衆議院の申し合わせもあっちこっち穴があいている。埋め合わせをしなければならない。三党といったけれども、参議院にくると四党になるということがある。ほかの党が加われば五党になるか六党になるか、どこまでふえるかわかりませんが、要するに、この委員会に関する限り院の構成が違っておりまして、三党の、民社党にかわる公明党の存在が出てきておるわけです。そうなると、十名というふうにきめてみても、公明党からもまた注文が出てくるかもしれないということになると、十名という人数についても、それから内容についても、それからいままでの審議の中で疑念があったもろもろの問題についても、補強されるということになってくるという可能性はあると思うのです。そういう場合には三党の協定というものが参議院においては形を変えるという可能性も出てくると思いますね。これは御破算にするという意味じゃなくて、補強をするというような形でもって、また、参議院の委員長が、衆議院委員長がやりたくてもできなかりた、たとえば公聴会もやるという良識を発揮していただければ、また局面が違ってくるわけです。そうなってきた場合には衆議院と違った形での協定といいますか、申し合わせというものになってくる可能性があるのだが、その場合には、あらためて衆議院における三党の話し合いとは別に、当院におけるところの新しい結論を政府としては尊重をするというお気持ちがおありになるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  97. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話のとおり、参議院におきましては公明党という有力な政党もあられることでございますし、そういうような各党派閥でいろいろなお話し合いがあり、それが委員会なり本会議へ反映いたします場合には、これは十分に尊重しなければなるまいと思っております。
  98. 小林武

    小林武君 それでは、私の質問は大体約束の時間がありますからこれで終わりますが、先ほどの、これからの審議を進めるについて、どうしても来ていただかないというと考えの違いがはっきりしないような方々は、それぞれひとつお呼びいただきたい。なお、その際、私はこれは非常に参議院の段階で、問題になるのは、参議院側の議長さんとか、それと最終の段階では総理大臣の御意見も伺わなければならぬということになりますから、そういう点について、ひとつ委員長も十分お含みになって今後進めていただきたい。
  99. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 午前の委員会はこの程度にし、午後二時半から再開いたします。  これにて休憩いたします。   午後一時三十三分休憩      ——————————   午後二時四十七分閉会
  100. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) これより委員会を再開いたします。  教育職員免許法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。小野明君。
  101. 小野明

    小野明君 ただいま議題となりました教育職員免許法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び内容概要を申し上げます。  近年、科学技術振興策の推進に伴い、科学技術教育が重要視されておりますことは世界的風潮であります。わが国においても、その具体的施策の一つとして産業教育及び理科教育に対する国家予算が年々増大を見るに至りました。申すまでもなく、科学技術教育の根幹をなすものとして理科教育の分野がありますが、この理科教育を直接に担当し、推進する者は理科教諭であり、その理科教諭の職務を助ける者は理科実習助手であります。ところが、高等学校における理科の実習助手は、現代的課題や要請にこたえる意味からもきわめて重要な職務を帯びておりますにもかかわらず、他の実習助手と比較して、その待遇はなお不満足な状態に置かれているのであります。  すなわち、農業、水産、工業または商船にかかわる科学技術教育に携わる実習助手は、つとに産業教育一半半の支給を受けておりますが、同じく科学技術の分野に嘱する理科の実習助手はこの手当を受けていないのであります。また、家庭、農業、工業、商業、水産または商船の実習教諭にかかわる実習助手に対しましては、昭和三十六年の教育職員免許法の一部改正によって実習教諭としての免許状を取得できる道が開かれましたが、理科実習助手につきましては、いまだこのようだ措置が講ぜられていないのであります。  本来、理科教育は自然界の基本的原理原則を理解させることを目的とするものでありますから、その理論面とともに、実験実習による指導が他の教科に比べてより強く要請されております。したがって、理科の実習助手は単に授業の前後に実験実習のための準備やあと始末をしたり、教諭の助手として生徒の実験実習の指導に当たるばかりでなく、特に最近の理科教育の発展に伴う教材に関し、常にその理論や学説についての研修につとめなければなりません。また、担当教諭の欠勤、出張等の場合など、みずからこれにかわって生徒の指導に当たることもまれではありません。このように、理科の実習助手の職務の内容は他の教科の実習助手のそれに比較してまさるとも劣らぬ重要なものであります。  現在、理科実験実習助手は、全国で約三千六百人にも及んでおりますが、さきにも述べましたとおり、特別手当の支給対象にも含まれず、また、教諭への昇進の道も開かれておりません。このような状況のまま放置されますことは、彼らをしてその職務に対する熱意を減退させることとなり、特に日進月歩の科学技術の進展に即応していかなければならない理科教育に、大きな支障の生ずることが予想されるのであります。それゆえに、みずから研さんを重ねて学問的向上を遂げ、一定の経験を積み、所定の単位を取得して適応な能力を具備するに至った理科実科助手に対しては、その昇進の機会を与えて将来への希望を生かすことにより、人材開発の措置を講ずることが、相次ぐ工業界等への転職に伴う理科担当教職員の手薄を補う意味においても、現在最も必要な措置であると信ずるものであります。  以上申し述べました理由により、同等学校における理科の実習助手に対しましても教諭への昇進の道を開くことが、高等学校の理科教育の充実に資するため適切な措置であると考え、ここに本法律案を提出した次節であります。  法案の内容は、高等学校において理科の実習を担任する教諭の職務を助ける理科実習助手で、一定の基礎資格を有する者が、所定の在職年数及び単位数を充足した場合には、高等学校の理科を担任する教諭の二級普通免許状を取得できるように規定することを骨子とし、その他必要の改正を行なうことといたしております。なお、この法律案公布の日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  102. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  103. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 日本育英会昭和二十五年四月一日以後の貸与契約により貸与した貸与金返還免除に関する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。秋山長造君。
  104. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま議題となりました日本育英会昭和二十五年四月一日以後の貸与契約により貸与した貸与金返還免除に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  現在、日本育英会法第十六条の四第二、項の規定によって、大学、高等専門学校、大学院、国立養護教諭養成所または国立工業教員養成所において、日本育英会の学資の貸与を受けた者が修業後一定年数以上継続して法令の定める教育または研究の職にあった場合には、その貸与金の全部または一部の返還が免除されることになっておりますが、かような措置はこれら教育または研究の分野に積極的に人材を誘致して、教育の充実と学術の振興をはかる上で貢献しているところであります。しかし、この制度につきましては、今日、均衡上種々の問題を生じておりますので、その是正策を講じようとするものであります。  問題の第一は、この日本育英会貸与金返還免除の制度は、昭和二十八年の法改正によって、まず、義務教育の従事者と高度の学術研究者を確保する目的で発足したものでありますが、この実施については、法改正前に貸与した貸与金についても適用することとされたのであります。しかるに、その実際の適用にあたりましては、日本育英会法施行令附則によって、大学院における貸与金については法の規定どおり全面的にさかのぼって適用されましたが、大学における貸与金については国立大学の教育学部または学芸学部の小学校または中学校の教員養成課程に在学する者に対してのみ、昭和二十五年度以降に貸与した貸与金についても適用されたのであります。それゆえに、一般の国公私立大学の修業者の貸与金については、昭和二十五年度にさかのぼることなく、昭和二十八年度以降この制度が適用されたのであります。  第二は、昭和三十六年の法改正によって、高等学校進学者の急増に対処するとともに科学技術者の養成を促進する目的で貸与金の返還を免除される職について、大学、高等専門学校等の貸与金については、従来の義務教育に従事する教員のほかに高等学校、大学、高等専門学校等の教育の職を、大学院における貸与金については、従来の大学のほかに中学校、高等学校、高等専門学校等の教育または研究の職をそれぞれ加え、公布の日から施行され、その施行の際、現に大学等に在学する者に対しては、その在学期間中に貸与した貸与金については返還免除の措置がとられたのでありますが、それ以前の貸与契約により学資の貸与を受けた者については返還免除措置が講じられなかったのであります。  以上申し述べましたように、貸与金返還免除の制度は、教育または研究の職に優秀な人材を確保するための政策として行なわれたものでありますが、法による利益の供与はできるだけ均てんすることが望ましく、同じく重要な教育または研究の職にありながら、その出身学校の差異、あるいは修業年度の相違によって貸与金返還免除の措置に差異を生ずることはきわめて不合理、不均衡と言わなければなりません。また、教育の現場においても、このような不平等の存在は教員相互間に好ましくない影響を与えているのであります。本案は、このような不合理、不均衡を是正するため、昭和二十五年四月一日以後に日本育英会から学資の貸与を受け、修業後、教育または研究の職についた者の貸与金で、その返還を免除されなかった者についても、その返還を免除できるように措置しております。また、これに伴い、返還を免除した金額に相当する額については、従来の返還免除額と同様に、政府貸し付け金の償還を免除することとしております。  なお、別に御審議をいただいております日本育英会法の一部を改正する法律案内容の一部として提案しております貸与金返還免除の条件の緩和、すなわち貸与金の返還を免除されるため大学等を修業後、教育または研究の職につくことを要する期間一年を三年に延長することにより、新たに返還免除措置の対象となる者についても、本法律案によって昭和二十五年四月一日にさかのぼって適用することが必要でありますので、本法案は日本育英会法の一部を改正する法律案と密接な関連を持っておりますことを特に申し添えます。  以上が本法律案提案理由内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  105. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  106. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 日本育英会法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。秋山長造君。
  107. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま議題となりました日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  日本育英会は、昭和十九年、日本育英会法に基づいて設立されまして以来、国家的な育英奨学事業として人材の開発と教育の機会均等に大きく貢献してまいりました。しかし、その事業等については今後なお一そうの充実改善をはかることによりその発展を期待しなければなりませんが、当面特に急務と考えられる次の諸点について改正を施そうとするものであります。  まず、その第一は、日本育英会の学資の貸与及び貸与金返還免除の対象に、文部大臣の指定する養護教諭養成機関及び教員養成機関に在学する者を加える問題であります。養護教諭養成機関は、養護教諭の需要を満たすことが困難な事態に対処するため、教育職員免許法第五条第一項の規定に基づいて、また、教員養成機関は、幼稚園教諭、音楽の中学校教諭等を確保するため同条別表第一の備考第二号の規定に基づいて、それぞれ文部大臣が教員養成の機関として適当な条件の整ったものについてのみ指定するものであり、現在、前者は四十五校、後者は七十一校が指定されておりますが、通常の各種学校とはその性格、実態を異にするものであります。しかも、ここで所定の単位を取得した者に対しては、養護教諭、幼稚園教諭、音楽の中学校教諭等の免許状が授与されているのであります。かように、厳格な条件を付して、文部大臣が指定した養成機関で修業し、教職員免許法によって同一の資格を与えられるものが、学資貸与の対象にされていないことはまことに不合理と言わなければなりません。さらに、養護教諭、幼稚園教諭等の充実は、学校教育の当面の重要な課題でありますが、その充足はきわめて困難な現状であり、一そうの養成確保につとめ丸ければならないにもかかわらず、これら養成機関が日本育英会の学資の貸与及び返還免除の対象に加えられていないことは、その養成確保の面からも著しい障害となっているところであります。したがいまして、現在、学資貸与の対象の決定政令で規定すべき事項となっておりますが、さらに、指定養護教諭養成機関及び教員養成機関に在学する者への学資貸与の道を開くとともに、それら養成機関において学資の貸与を受けた者が、一定年数以上継続して養護教諭、幼稚園教諭等として勤務した場合には貸与金返還免除の法的措置を講ずべきものと考えます。  筋二には、日本育英会貸与金返還免除に関する条件の緩和に関する問題であります。現在、学資の貸与を受けた者が教育または研究の職についた場合の貸与金返還免除の条件として、日本育英会法施行令第十八条ないし第十九条は日本育英会法第十六条の四第二項の規定に基づいて、原則として、大学等を修業または退学後一年以内に教育または研究の職につくことを要するものとしております。ただし、文部大臣の認可を受けた特別の事由のある場合にはその期限を延長することを認めております。すなわち、大学、高等専門学校等の奨学生であった場合には、傷痍疾病等の事由がある場合にさらに一年以内、大学院の奨学生であった場合には、傷痍疾病のほかに返還免除の対象とされていない教育または研究の職への就職、留学等の事由がある場合はさらに四年以内と、それぞれきわめて限られた事由のある場合に限って延長することが認められているに過ぎません。教員または学術研究者の需要供給の関係が各都道府県ごとに完全に計画的に行ない得るものでありましたら、現行の一年の猶予期間で十分でありましょうが、児童生徒の減少、教員または研究者の志望者数の変化等の事情もあり、また、教員養成について開放制のたてまえをとっていることでもありますので、その需給関係を完全に計画的に行なうことは、不可能と言わなければなりません。したがいまして、教員または研究者の需要の少ない年度におきましては、修業後一年以内に教育または研究の職につくことのできない者、あるいは返還免除の対象とされていない教育または研究の職、すなわち助教諭、非常勤講師等の職にしか就職できない者が多数生じているのであります。かように、修業後一年以内に法令の定める教育または研究の職につくことのできなかった者は、その後せっかく教育または研究の職についても貸与金返還免除は認められないのであります。これは本人の責任ではなく、たまたま修業町の教員または研究者の需給事情によるものでありまして、そのため返還免除措置に差異が生ずることはきわめて不合理、不均衡と言わなければなりません。少なくとも、貸与金の返還を免除するため、修業後、教育または研究の職につくことを要する期間を三年に延長すべきものと考えます。なお、貸与金返還免除の条件として、日本育英会法第十六条の四第二項は、「一定年数以上継続して」教育または研究の職になければならないものと規定し、同施行令第十八条ないし第十九条はこの年数を二年と規定しているのでありますが、上述の改正に対応する意味からも、また、返還免除に関する基本的条件という意味からも、これまた日本育英会法に明確に規定することが望ましいものと考えます。  第三には、日本育英会法第三十六条の二において、当分の間、沖繩における教育または研究の職についた場合も、同法十六条の四第二項に定めると同じ条件で返還免除に関する規定が適用されることになっておりますので、以上述べました二点についても何様の改正を施すべきものと考えます。  以上、本法律案提案理由について申し述べましたが、次にその内容について簡単に申し上げます。まず、文部大臣の指定する養護教諭養成機関及び教員養成機関において学資の貸与を受けた者についても、日本育英会がその返還を免除することができることとしております。次に、貸与金の返還を免除されるため、修業後、教育または研究の職につくことを要する期間を三年とし、その期間延長について規定するとともに、二年以上継続してその職にあることを要するものとしております。なお、学資の貸与を受けた者が、「硫黄鳥島及び伊平屋局並びに北緯二十七度以南の大東諸島を含む南西諸島」、いわゆる沖繩における教育または研究の職についた場合の返還免除措置についても、上述の二点について同様に改めることとしております。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  108. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  109. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。鈴木力君。
  110. 鈴木力

    鈴木力君 ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案について、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  科学技術の発達と社会進歩の著しい今日、教育の拡充発展は、世界各国共通の課題であり、これに携わる教員の責務も一そう重大となっております。これがため、教育の場に優秀な人材を集めることはぜひとも必要であり、教員の待遇、勤務条件なども整備されなければなりませんが、わが国の公立学校の現状は、その点いまだ十分とは申せないのであります。すなわち、教育公務員ば法令に基づいて一日八時間、一週四十四時間の勤務に携わることになっておりますが、一般には本来の職務のほかに不特定の多くの雑務を背負わされ、超過勤務を余儀なくされているのがその実態であります。昭和三十八年の文部省の調査及び昭和四十年の全日本中学校長会の教員の勤務量調査は、いずれも平均一週十一時間の超過勤務が事実上行なわれていることを報告しております。その内容をみますと、教員の受け持ち時間数が多いために、授業準備、事後処理、採点、研修などに要する時間が増加しており、さらに特別教育活動、生徒会指導、進路指導、生活指導、家庭訪問などの指導に相当の町間を要しております。また、養護や事務の関係教職員、用務員等の不足から保健衛生、給食、図書整理、調査統計事務、集金事務、清掃、営繕などの雑事も多くなっており、さらに学校行事、対外試合、出張、職員会議その他の打ち合わせ会、PTA関係など驚くほどの仕事がみられるのであります。  公立学校の教員が以上のような勤務の実情にあることは、本来の教育活動を大きく妨げていることはもとより、教員の私生活をも圧迫し、健康的で人間らしい生活をゆがめているのであります。しかも、現実にはこのような勤務実態にありながら、昭和二十四年の文部次官通達以来、公立学校の教員に対する超過勤務手当の予算的措置がなされないままに、その手当すら支払われてこなかったということは、教員に二重の苦痛を与えるものであり、きわめて遺憾なことと申さねばなりません。超過勤務について、同一の法令の適用を受けている一般の地方公務員に対しては、給与の六%相当額が予算化され、超過勤務手当が支給されているのでありまして、公立学校の事務職員もこれを受けております。ひとり教育公務員のみが、超過勤務をしているのにその手当を受けられないということはまことに矛盾もはなはだしい事柄であります。事実上、教育公務員が超過勤務をした場合には、当該予算の有無、校長権限の有無などにかかわらず、超過勤務手当が支払われるべきことは、労働基準法その他の請法令、最高裁判決、京都地裁判決、静岡地裁判決、人事院及び数県の人事委員会の回答、判定などですでに明らかになっているところであって、教育公務員のみを例外におくことはもはや許されないのであります。  ここで問題になるのは、教育水準の維持向上と市町村財政の観点からして、市町村立学校教職員の給与負担者を都道府県とする旨定めている市町村立学校職員給与負担法の給与費目において、わざわざ、教員にかかる超過勤務手当のみを除いていることであります。このような間違った国の方針があるために、それぞれの法令や判決、判定が超過勤務手当を支払うべしときめても、設置者たる弱小市町村ではこれを支払うことができず、ただただ困惑しているのみであります。したがいまして、これを改めて、市町村立の義務教育諸学校及び高等学校定時制課程の教員にかかる超過勤務手当の負担者は都道府県と定め、義務教育諸学校教員にかかる手当の半額を国庫負担とすることによって、一日も早く問題の窮状を打開することはぜひとも必要であると考えて本法律案を提出した次第であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  111. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  112. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 参考人出席を要求する件についておはかりをいたします。  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として私立学校教職員共済組合理事長佐々木良吉君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  114. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣、天城管理局長が出席をいたしております。
  115. 鈴木力

    鈴木力君 この前の委員会で、私立学校共済組合の概要と短期給付その他の状況まで伺いましたけれども、きょうはその残った主として運営の状況と経理という問題についてお伺いいたしたいと思います。  で、この前、短期給付の中でも相当の赤字になっておるということを伺いました。しかし、その赤字についてはまだきめ手がなかったわけでありますが、しかし、いずれにしても、医療保険制度の全般的な改善と相待ってというような御答弁もいただきましたけれども、この点は次にくる長期給付の問題ともかかわり、かあると思うのです。長期給付と短期給付は別だということにはなっておりますが、しかし、やはりこの私立学校共済の財政的な力が基本的にないところにいろいろな問題があるわけでありますから、そういう観点で今後これから若干お伺いしたいと思います。特にこの本法案は長期給付についての国庫補助を増額をするということが、財政食掛の増額が主要な法案でありますから、長期給付についても若干お伺いいたしたいのでありますが、現在のこの長期給付の状況について、たとえば組合員数のうちに相当高年齢にわたる者がたくさんあるわけでありますから、退職をされて長期給付を受けるその者の大体の年齢がどの程度になっているのか、おわかりでしたら、まずそれを伺いたいと思います。平均でもよろしゅうございます。——お答えいただけないのは、いまそこに資料がないということですか。なければあとで……。
  116. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 私のほうにいま詳細な資料ございませんが、記憶では六十五歳前後だと思っておりますが、詳細な資料を手元に持っておりませんので、あとで調べてお答えいたします。
  117. 鈴木力

    鈴木力君 その六十五歳前後というのは平均ですか。
  118. 天城勲

    政府委員(天城勲君) いま正確に平均と申しかねるのでございますが、大体、年金を受けるに至っている人たちの年数、と申しますのは、さっきのお話の中にもございましたけれども、高齢者のほか女子の若年でおやめになった方が多いものですから、年金にならないで一時金になっていることがかなりございますものですから、年金になる方は公務員よりもかなり年齢が高いと、こういう意味で六十五歳にいたしたものと思うのでございます。
  119. 鈴木力

    鈴木力君 私の言いたかったのは、高齢者の中の平均ということは、なかなかこれは平均といってもあまり大した意味にならないわけなんですが、年金を受ける人たちの年齢のバランスといっても、これはなかなかむずかしいが、一番多い年齢のところが大よそ何年何歳ぐらいなのか、それから最高クラスではどれくらいの人がいるのか、そういうものをひとつ伺いたかったのですが、もし局長のほうでむずかしかったら、参考人として理事長おいでになっているのですから、共済組合側からでもよろしゅうございます。
  120. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 年齢は何歳が最高かということは、これは私学の関係は特殊な関係でございまして、非常に高齢者が国家公務員関係の共済組合と違って多いのです。ただ、何歳は何人というのはわかりませんけれども、六十五歳以上の者が七千四百六十六人、それから七十歳をこす者が三千七十二人、こういうふうになっております。それに、それらの中で二十年以上経過した者が結局七十歳以上で百七十九人、大体こんなような関係で非常に高齢の人がおられる、こういうわけであります。
  121. 鈴木力

    鈴木力君 それで、いま伺いましたように年金受給の始まりが六十五歳以上となると七千人もある、相当に数も多いわけなんです。そこで、この前にもちょっとそういう問題を伺ったのでありますけれども、きょうはちょうど理事長さんがお見えになっていらっしゃるので理事長さんに伺いたいのです。この高齢者に年金を支給される場合、受給者が不在になる、これは遺族年金にかわるわけなんです。なくなった場合に受給者がかわる、そういうような問題点がこういう高年齢者を多く扱う場合にございませんか、どうか。
  122. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) これはいわゆる受給者がなくなった場合、遺族ということになりますが、そうなると率が違うわけであります。非常に不利になる、そういうわけで高齢者に対する私学共済組合としての新しい形において何らかの策を講じなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。いま申し上げましたように、公立の関係の先生方は大体定年等の関係があるから早くおやめになる、私立学校では定年がなくて、自分がつくった学校がいわゆる制度化したもので、一身を賭し、あるいは全財産を出してやっているような方も多いのです。それらの君がそのままに現在なっておるので、それだけ高齢者に対する何らかの策を講じなければならないのじゃないかということを検討しておるわけでございます。
  123. 鈴木力

    鈴木力君 何らかの形でということがどういう形かわかりませんけれども、検討も、出てこなければわかりませんけれども、私どもは特に私立学校の場合にはいまのような事情があるのであるから、年金の受給を始める年齢をもう少し下げるなら下げておいて、そして在職中でも年金が受けられるというような道を開くというようにできないのかどうか、これはたとえば厚生年金なんかはそうなっておるというふうに聞いております。そういう関係についての御意見を伺いたいのです。
  124. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実は何らかの方策を申し上げましたことは、高齢者に対する場合、高齢者在職支給というようなことを考えたい、それによって六十五歳あるいは七十歳以上の者の、いわゆる有年金資格者を対象として、そうしてそこの救済をはかる、こうしたいと、こういうわけでございます。
  125. 鈴木力

    鈴木力君 長期給付の経理状況を見ますと相当容易でない状態があると思うのです。そういうような問題といまの問題とをかねて、私立学校共済といたしますと、国庫補助金といいますか、国庫負担金といいますか、これを要求してきておると思いますが、それていまの長期に限っての——これはもうきょうは実はあまり時間がないのではしょって伺いますが、長期に限って財政的に最も食掛が多くかかる場所はどこなんですかね。それの対策はどういうことなのか、そういう点も理事長さんのほうからお伺いしたいと思います。
  126. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実はこの今度お願いいたしました法案が成立いたしますれば、一応の給付内容は、創立当時から私どもが念願として毎年努力しておった、いわゆる国共済の関係までようやく達するような状態になります。そこで、それと同時に私のほうといたしましては、私学共済組合というものは一種の特殊性を持っておる。一つはいま申し上げましたように高齢者が非常に多い、それからもう一つは、いわゆる長期、短期の給付が掛け金をもってまかなわれておるという観点から見まして、この法案が通ったといたしまするというと、平均給与の五年を三年に改めるとかあるいは五万二千円の頭打ちを廃止するとか、あるいは既裁定を六万円にする、遺族を三万円にする、これらのことは十六——いわゆる百分の一で大体まかなえる可能性を持って実はお願いしたわけであります。しかし、いま申し上げましたような既裁定年金の引き上げ、いわゆる高齢者の在職支給、そういうものをやりますと、とうていこれをまかなうわけにいきませんので、実はそれらのものを含めまして最初お願いいたしましたのが、百分の十五から百分の二十に長期を引き上げてもらいたい。そういうことにお願い申しましたが、その百分の一だけではいまのような高齢者の在職支給とか、あるいは既裁定年金引き上げのことしか、そういうものができかねるというわけであります。したがって、これを将来ともに、監督官庁とよく話し合って、それらの問題に対しては、在職者の高齢者支給、あるいは既裁定年金の引き上げ、こういうものを実現いたしたい、こういうふうに考えております。
  127. 鈴木力

    鈴木力君 一言で申し上げますとこういうことですね、つまり公立の共済なり、そういう他の共済教職員の待遇と均衡をとるためには、どうしても百分の二十の補助金がなければやっていけない。現在やっておるところの赤字を埋めるのは十六になれば何とかやっていける、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  128. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) いわゆる長期の百分の一というものは、結局現在においてはそれなりにおいてまかなうという限度で、いわゆるそれ以上の私学の特殊の問題はこれでは解決できない。したがって、私学の特殊性を生かしてやるには、それ以上の補助をいただかなければまかなえない、こういう、ふうに考えております。
  129. 鈴木力

    鈴木力君 その次のことを伺いたいのですが、福祉事業につきましては大体わかるのです。ただ、この福祉事業を見ましても、たとえば住宅資金の資し付け額等を見ましても、公立共済とを比べますと、だいぶ少ないですね。ところが、私はもう一つの面から見ますと、資金の運用のところを拝見をいたしますと、組合の貸し付けのほうは、公立と比べると非常に少ない点もある。であるが、資金の運用を見ますと、たとえば私立学校振興会でありますか、私学振興会に相当の資金の運用がなされているように見えるわけですね。「組合の概要」というパンフレットにも、三十一ページにもございますけれども、私学振興会に出している、運用しておる金額と、それから組合員に運用しておる金額との間がだいぶ少し開きが多いような気がいたします。そうしますと、まず共済組合は組合員の福祉ということが第一の目的なのであるから、私立学校の経営面を助けるための振興会に回す金は組合の福祉事業に回す金の次にすべきじゃないかという感じがするのですが、この間についての考え方を、まあ実情と考え方を伺いたいと思います。
  130. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) ごもっともな何ですが、結局、私立共済の現状は、貸し付け関係は四十年度の末の結果を見ますというと、一般と、それから住宅貸し付け、災害貸し付けのいわゆる九億一千八百万、それから特殊住宅貸し付けが七億六千万、こういうふうに想定されまして、約十五、六億になるわけであります。それで、私学振興会には四十年度末の残が五十四億ですかになっておりますが、これは私学振興会に出すということは、これは二面、私学共済組合の目的が私学の振興に資するところにあると、こういうふうな意味を含めまして、私学の振興をはかるために、規定以上のものは、文部省のほうの監督官庁にお願いいたしまして私学振興会にやっている。これはひいて私学振興のためになるんだと、こういうことになっています。ただ、一面、この資産関係においては、いわゆる健全なる立場においてこれを保持して維持しなければならないという当初からのことがございまして、貸し付けが、ことに住宅貸し付けのごときは五十万という、そういうように少なくなっておりまするが、これは当初の関係を見まして、返済等の関係をからみあわせてみて、この程度でよかったが、現在の経済状況を見ますれば、とうていそういうもので満足するとは私も思っておりません。何らかこれに対して一般の借り手の実情を見ますというと、住宅金融公庫で借りて、いわゆる抵当権を設定し、その不足分をこれで借りるというような形になっております。第一抵当担保権をもしも共済のほうでとるというと、住宅金融公庫から借りられない。住宅金融は、抵当権を五十万、百万、そういうような関係でよそに貸しておりますが、こういう点から見ますというと、この住宅貸し付けが非常に少ないので、そこで、教職員のために特殊住宅貸し付けといいますか、これは先ほど申し上げたように、今年度は七億六千万ほど予定しておりまするが、これは学校が借りて、学校において教職員の住宅を建てると、こういうような仕組みになって、これらのものは学校で保証をしてくれる関係において、できるだけ大幅にこれを進行していきます。それらと合わせて、一般の貸し付けのほうもこれらのものももっと検討いたしまして、何らかもう少し有利になるような方法を考えたいと努力しておる次第でございます。
  131. 鈴木力

    鈴木力君 私はいまの理事長さんのお答えには納得できないのです。まず、このあとをお伺いする前に、文部大臣に御意見を伺いたい。いま理事長さんが、組合員の福祉のための貸し付けは、これは特殊貸し付けというのもちょっと事情が違いますけれども、それも合わせて十五億、私学振興会に運用しておるのが五十億なんですね。ところが、これのこうしておる理由に、私立学校共済組合の目的は、まず私学教育を振興することにあるから、こういう形でやっておるのだ、そうして組合員の貸し付け等は不十分であるから今後検討したい、こういう趣旨でいま御答弁をちょうだいしたと思う。こういうふうに文部省もお考えになって、この私立学校共済組合に対処しておるのか、大臣の御意見をまず伺いたい。大臣に伺いたい。これは基本的な考え方です。
  132. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体ほかの年金等を見ましても、長期の分は、大体その積立金の運用を、資金運用部のほうに回しておるのが多いわけで、これが大体まあ大蔵当局の基本的なものの考え方でございます。しかし、私学共済の場合には、先ほど理事長からもお話がございましたように、私学の振興ということのほうに使わしてもらったほうがいいんじゃないかというので、運用部資金のほうに回さないで、私学振興会のほうに活用しておる、こういう現状でございます。なお、しかしながら、福利厚生施設に適当な借り手があり、需要が多いとするならば、この点は御指摘のように、今後、運用上検討すべき問題点であろう、かように思っております。
  133. 鈴木力

    鈴木力君 この私立学校教職員共済組合の目的にこう書いてある。「私立学校教職員共済組合は、私立学校に勤務する教職員を対象として相互扶助事業を行ない、その福利厚生を図り、私立学校教育の振興に寄与することを目的として設立されたものであります。」、順序から申しまして、組合員対象の事業が私は主でなければいけないと思う。これは掛け金のことからいってもそうなんです。組合員が半分かけておるわけです。組合員の掛け金と国庫の負担をもって、国費をもって運営をしておるわけであります。そうして目的はそうなっている。ところが、いまのこの資金運用を見ますと、私が言いたいのは、たとえば住宅資金なら住宅資金は一人に五十万円しか貸すことができないような仕組みにしてある。公立学校は百万円まで貸せるわけですね。いまのような状態で五十万円ということでは足りないというのは、痛切な、非常に強い教職員の声なんです。ところが資金が足りないとか、いろいろな理由で五十万と押えておる、一つの例を申しますと。まだあると思います。私は組合員がもっと強く望んでおるのは、例をあげると数々あります。そういう状態にしておいて、しかも一般の貸し付け金額は、これは住宅資金だけではもちろんございませんで、組合員に直接運用されておる貸し付け額は九億一千二百万円、それから特殊住宅ということがございまして、これは私も承知しております。まあ特殊住宅というのは結局は教育職員が住む住宅でありますから、これは教育職員の側になります。しかし、言いようによっては大学当局の財産になるんですね、この建物は。まあしかし、実際は教員が利用するんだからそれはよろしいにしても、私学運用のためにあるこの必要な私学振興会に回っておる。私は資金運用部に回さないで私学振興会に回したのはけしからぬなんて、これは決して言いません。余裕さえあれば全額をあげて私学振興会なり、私学振興のために運用するのは正しいと思いますから、大臣が答えられた点については私も正しいと思う。だから、運用部と私学振興会の比較ではなしに、教育職員の要求と私学振興会の要求とどっちが主でどっちが従かということになりますと、先ほどの理事長さんのように、私立学校共済組合は私学の振興が目的でありますからと、こう言われると、私はどうもいままで熱意を持って、私学共済が金が足りなそうだから、多少、大臣にいやなことを言っても、何ぼかふやそうという気持ちが、何だかその気持ちがくずれるような気がしてならない。理事長さんにもう一ぺん私立学校共済組合の運用のお考え方を伺いたいと思います。
  134. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 私の言い方がまずいためにそういうふうにとられたかと思います。私は組合員を従にし、私学振興会を第一に思っておることは毛頭ございません。ただ、従来からの何もありますし、私学の借り入れ状態を見ましても、これをふやさなければならないということは常に思っておることでございます。現在の財産保持ということからかけても、それをできるだけ健全な方向に向けていきたいという観点のもとに、いわゆる組合員を大事にして、それを、ひいてはその結果振興に寄付する、こういうふうに考てえおるわけでございます。したがって、振興することが組合員の利益になるという、そういうさかさまな考えは持っておりません。まず組合員を主にして、その組合員がしあわせになり、安心して教職寄与されると、こういうふうに考えておりますから、前の言い方があるいは誤解を受けるもとになったかと思いますが、さようにお受け取り願いたいと思います。なお、私学振興会には年々政府の補助というものがございます。整理資源関係で一億二千五百万、それから福祉施設に関しては四億八千六百万、これは病院、宿泊所、会議等、それからいわゆる旧私学恩給財団一億八千九百万、こういうような助成をしてもらうことをつけ加えておきます。
  135. 鈴木力

    鈴木力君 まあ私は理事長さんをやっつけるためにいまお話を聞いているわけじゃありませんから、真意がはっきりしていただければそれでいいんですけれども、私はむしろ、理事長さんも苦しい答弁をしなければいけないのは、結局はこの前に局長さんに伺っても、短期の面でさえも足りない、長期でもいま言ったように、この法律が通っていまの赤字を埋めるのがせいぜい一ぱいであって、私学の持っている欠陥を克服するにはどうにもならない、こういう状態が、はしなくも理事長さんが資金の健全な運用ということばを使われましたが、そこにだいぶ頭が行かれていると思うんですね。もちろんその資金の運用が健全でなければこれはたいへんなことですから、健全な運用でなければいけない。しかし、どうしても私はこの私立学校の共済組合自体が、できるだけこの資金の有効なと言ったらいいか、効率なと言ったらいいか、効率な運用ということをどうしても考えなければならぬところに追い込まれているのじゃないかという気持ちが、いま言ったような、この資料を拝見いたしますと、そういう感じがしてならないんであります。私学振興会が、たとえば整理資源を補助してくれておるとか、福祉事業に補助してくれるとかいうことはわかっておる。わかっておりますが、かといって、私学振興会にもそれは余力がある限り運用をしなければならない対象になるのだけれども、しかし、組合員がおろそかになり、留守になってはいけないわけです。どうしてもその点はよく組合員の要求を、たとえば五十万なら五十万というものは住宅資金に限ると、公務員並みにまず広げるというようなことをしても、そうい形のところに努力をしていき、いま言ったように資金全体が足りないから窮屈な答弁をしなければならないというこのお気持ちは、文部大臣はよく理解して聞いていただいて、この問題の解決に今後も御努力をお願いしていきたい、こういう気持ちでおります。これは理事長さん、私が申し上げた気持ちと違うのですか、やっぱり。——じゃもう少し言いましょう。私はいま多少理事長さんのほんとうの本音を聞きたいと思ってしゃべったのですが、お答えがないんですが、まあ、その答え、なければやむを得ません。理事長さんに重ねてお伺いいたします。資金の健全運用といいますか、健全財政を期するということを何べんもおっしゃっておられたので、これは私心から賛成です。こういう団体がもし経理的に何か事故でもあったら、これはもうたいんなことでありますから、どこまでも健全な運用ということをお願いしたい。なお余力かあれば効率運用ということを考えていただくことも、いまの制度上はこれはやむを得ないことでありますから、それについても私は何も申し上げません。ただ、ちょっと伺いたいのは、私立学校共済の中での掛け金等の未納とか、徴収——まあ徴収の状況かどうなっておるかということが、これが私のほんとうの質問なんですけれども、回りくどく言わないで、未納金、未徴収金といいしますか、それがどれくらいになって、どういう状態に運用されておるのか、その点について理事長さんからお伺いいたしたいと思います。
  136. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 先ほどの効率運用のことは私どもも常に考えておることで、いわゆるその他の資金運用につきましてはできるだけ効率に回すと、こういうふうに考え、具体的に申し上げますと、あるいは私学振興会、そういうものにあるいは必要なものを除いた以外のものは、運用の委員会がございまして、その委員会にかけて、そうしていわゆる利率の高い、しかも元金の保証されるということを前提としてそういうようなことを運用いたしております。いま、その掛け金の未納あるいは掛け金の滞納ということでございますが、これはいわゆる焦げついているもの約六千万ほどございます。それで、大体三月はおいて四月、五月にまた入りますので、まあ焦げついているようなものは六千万と現在なっております。大体三百億の掛け金に対して六千万、大体そんなような結果になっております。これに対しては、まあいろいろ考えて督促あるいは話し合い、あるいは分納、あるいはその他関係において、できるだけ支払いやすいような方法で学校と話し合ってそうしてやる。しかもそういう焦げつきに対してはなかなか学校では払ってくれませんので、その団体の手を借りて、そうして円満に話をしていただけるように、そういうふうに督促を期待しておりますけれども、現在焦げついておるのは六千万円もあります。
  137. 鈴木力

    鈴木力君 全体の数からいえば、六千万というのは、比率からいうとたいしたことがないみたいにも聞こえます。これはちょっと立ち入ったことをお伺いするのはぐあいが悪いみたいな気もしますけれども、これは文部省でも聞いていらっしゃるのかどうかわかりませんが、東京都内のある一つの学校が、過去十年間に、その六千万のうちの三千万が未納になっているという事実を私は聞いておる。しかも、その三千万円が教育職員からは共済組合費として納入をされておる。その納入をされた命が共済組合には届かない。それがきょうこのごろ始まったことじゃなくて、過去十年間くらいの間にたまりたまったものか三千万になっておる。こういうことを私はちょっと耳にはさんでおるのでありますが、そういうことが事実なのかどうか。いろいろな事情があるかもしれません。しかし十年間もそういうようなものがたまりたまって三千万という金になっておるとすれば、これはやはりちょっと、なぜそのままにしておいたのかという気打ちがある。と同時に、私はどうしても、これはもしほんとうならそのまま見過ごせないと思うのは、私立学校の教職員は月給が安くてというような、給与が安いというような問題は、この前の委員会でだいぶ私は問題にしたつもりです。それが共済の運営のほうにも響いておるという角度では話はいたしました、お伺いもいたしました。その安い給与の組合員が組合費を学校までは出しておるのに、共済組合までは届いていない。これがほんとうだとすると、これはちょっとそのまま過ごせる問題ではないんじゃないかという気もいたしますので、これはある学校と申し上げますが、そういうことが事実ならば、学校名なんか私は聞く必要はありませんが、AならAでよろしゅうございますが、その実情を正直にお伺いしたい。
  138. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 文部省でもこういう事例を知っておるかということなんで、最初に私からお答え申し上げますが、御指摘のように、都内の某中高を経営している学園でありますが、現在、財政状況は非常に悪化しておりまして、掛け金と延滞金の滞納額が御指摘のように三千万ほどになっておるということは、共済組合からも伺って承知いたしております。この学校につきましては、学校自身のいろいろな問題があるようでございまして、訴訟問題にもなっておりますし、多くの借財をかかえておるようでありますが、共済組合側といたしましては、実はかなり前からきわめて熱心に、この学校には単に徴収のための努力というだけでなくて、学校の共済組合としての立ち入りの限度がございましょうけれども、先生方の立場も考えて、かなり努力はされてきていることも伺っております。詳細な事情は、組合からの報告のほうがよろしいと思いますが、私たちとしましても、ここの学校の問題につきましては、基本的に学校の現在の財政状態の悪化、あるいはそれに伴います学校運営の問題、あるいは訴訟の問題が解明いたしませんと、学校の共済の掛け金の問題については、決して悪意でない態度をとっていると聞いておるのでございますが、結果的には教職員にはたいへん迷惑をかけておると思っておるのでございまして、憂慮いたしておるのでございますが、なおこの間の事情につきましては、組合側のほうが詳細に御報告できるかと思っております。
  139. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実は組合といたしましても、未納徴収に対しては非常に頭を痛めており、そういうようなことのないようにいたしたい。ところが特殊な事情から、あるAという学校としておきましょう、Aという学校が三千万ほどの未納になっておりますか、滞納金——延滞金といいますか、それを入れまして三千万円、それに対してはもういろいろな手を用いてやりましたけれども、なかなかこれはうまくいかないので、結局は訴訟その他の関係でなければ、滞納処分その他をしなければいけないんじゃないか、こう思うけれども、学校自体はいま生徒もおりますし、これから教育の場として振興する途上にあると申されるので、そこで何回も話し合いの結果、土地を売って、その売った金で払うというまでに約束いたしましたが、その土地は結局他人の名義になっているので思うようにいきませんでした。 この間、結局話し合いで三千万円の中の一千万円を十月に支払う、それから今年の五月末には二百万を支払う、そうして十月には一千万支払う、そうしてあとの残りは来年早々返済して解決する、こういうような一応のお約束をいたしましたけれども、しかし、払わなければこれも何とも言えませんが、私のほうとしましては、学校の先生方はみんなりっぱな紳士である、またそういうようなものであるということを信頼いたしまして、せっかく現在教育事業をやっていることを、私学共済が組合員のためを思うけれども、それをぶちこわすというようなことはなるべく避けたいというようなことで、実は円満なる解決方法をとってやりますが、もしもこの方法でいかなければ、法的な手段をとって、そうして解決するほかないと存じております。なお、この問題は名城大学でももとありましたが、これも数千万の滞納がありましたが、これは話がついて円満に解決いたしたような例もございますので、まあさような意味におきまして、話し合いがつけば、これも解決できるんじゃないかということを実は期待しておるわけでございます。かような現在の結果になっております。
  140. 鈴木力

    鈴木力君 理事長さんのことばじりをつかむわけじゃありませんけれども、学校の先生方は紳士だと思っているから解決すると思いますというお答えがありましたけれども、私は事の起こりは、学校の先生方がいままで何かやったからというふうに把握をされているとすると、もう少し実情を伺わなければならぬと思うんですよ。私は、先生たちは毎月共済組合費は出してある、それなのに共済の本部まで届かないというんだから、そうすると、先生たちが紳士であっても解決はしないと思う。紳士でない人かどこかにいるんじゃないか。それを、そういう形でものを言われるとちょっとぐあいが悪いのであって、そこの点は理事長さんの把握を直してもらわないと、どうも学校の先生が月給から出すのを出し惜しみしたからというかっこうになったのではぐあいが悪いので、その辺をはっきりしておいてもらって、それから進めたいと思います。
  141. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実は私は先生を甘く見ているのかもしれませんけれども、教職にある者はさようでなければならないという一つのものを持っております。そういう意味で、学校の先生は少なくとも良心的にやるものだと、こういうふうに考えて、実はそれを信頼してまいったわけであります。それで、五月の二百万円もすでに入金したわけでございますから、おそらくは、この誠意をもって示せば十月の一千万円も入るであろうという強い期待を持っております。そういう意味で、もう少しその模様を見て善処したいと、こういうふうに考えております。
  142. 鈴木力

    鈴木力君 理事長さんに頼みますがね、聞いたことを答えてもらいたい。大体、私学振興会がこの未納処理の問題について交渉しているのはどこと交渉してるんです。学校の理事者側と交渉してるんでしょう。
  143. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) そうです。
  144. 鈴木力

    鈴木力君 学校の先生たちが紳士だから解決すると思うということを裏返しすれば、今日までのこの未納金は、学校の先生が何か滞納があったからこういう状態になったんだということに聞こえてならないと思う。ところがそうじゃなくて、先年たちは組合費は納めておった、それが十年間にこういう状態になったというんだから、先生たちが紳士だから、したがって、これは解決するでしょうというふうに、責任を先生に持ってってもらっちゃ迷惑だということなんです。ここで言ってもらうのは、先生の責任じゃなくて理事者側の責任だということをはっきり言ってもらって、それからいま言ったような理事長さんの処理の進み方なり何かなりにやってもらう、こう言ってもらえば私はわかると、こういうのです。
  145. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実は、内部的にはいろいろ組合員の方々から、いわゆる掛け金を学校で徴収しておるということを聞いておりますので、その点は便宜に私のほうから……。ただ、いまの法的な何からいたしますと直接に組合員にやるという……。
  146. 鈴木力

    鈴木力君 私はそのことを言うてるんじゃない。組合員がいままで払わなかったからこういうことになってると……。
  147. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) そういうことは言っておりません。組合員が納めないというようなことはございません。理事者側がいろいろな事情でこういうことになってるということで、理事者のほうにそういうふうなことを私のほうから要求しているということです。
  148. 鈴木力

    鈴木力君 それで、実はこういうことはまあ全体からするとパーセンテージはそう高いパーセンテージじゃないから、私学共済の運営をどうこうするということじゃないけれども、しかし、やはりこういう問題がこの私学全体の、特に組合員や何かについては非常な心配を起こさせる種になると思うんですね。そこで、私は理事長さんがおいでになってるから続いてお伺いしたいのは、運営審議会の構成がどうなっているのかお伺いいたしたいと思います。
  149. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 運営審議会は定款に定めるとおり、その目的を果たすということになっておりますが、適正なりっぱな人を選ぶ。しかし、その委嘱は文部大臣の委嘱になっておる。それで、その大体のきめるときには、いろんな諸情勢を考案して、そうして委嘱するということでございます。たとえば学識経験者、それが七人、それから学校法人代表が七人、それから組合員代表が七人、こういうふうになりまして、これを文部省には、私学団体が検討して、そして適当な人を候補者として差し上げておる、こういうふうに承っております。で、文部省といたしましては諸般の事情からこれを検討いたしまして、私学の共済の理事長にも意見を問うて、そうして委嘱されるようになっております。したがって、私どもといたしましてはそれに対するところの、組織というものはこれは文部省の委嘱によってやり、また私学団体がその一翼をにない、共済組合もその一翼をになってわれわれがそういうものをきめていくというような、三者構成になっております。
  150. 鈴木力

    鈴木力君 それじゃ文部省に伺います。私が構成がどうなってるかと言うのは、手続や何かを聞いたわけじゃない。手続は大体読めばわかるのですが、いまの話のように伺いましたが、現在の運営審議委員二十一人のうち、学校法人代表七名、組合側代表七名、それから学識経験者七名、こういう構成だということを伺いましたけれども、まず組合員代表の七名というのは、どなたとどなたが組合員代表として選ばれているのか、これは文部省にお聞きします。
  151. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 組合員代表七名、これは平田栄太郎、敬称は略しますが、専修大学総務部次長、福山馨、大阪商業大学の事務局長、篠原雅雄、成城大学の教授、清水福市、大妻女子短期大学の教授、海野昌平、麻布高等学校の教諭、菊地徳志、日大の付属第一高等学校の教諭、小島忠治、これは東横学園小学校主事、この七名でございます。
  152. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと考え方をお伺いしたいのですが、私立学校共済の構成員のうち、一番数の多い職種は教授なのか主事なのか。教授というのは教諭ですからわかる。主事とか、事務局長とかいう人たちと、いわゆる教諭、教授という人たちとの比率はどれがどのくらいになっているのですか。
  153. 天城勲

    政府委員(天城勲君) いま教職員一本でとっているものでございますから詳細にあれできませんけれども、簡単に申しまして、教授とおっしゃいましたもので、大学、短大の教職員、それから中高を中心に考えた場合に、数から申しますと大体大学で六万台、それから中高で七万台と思っております。中、高、小のほうが若干多い割合になっていると思います。
  154. 鈴木力

    鈴木力君 私が聞きたいのはそういうことじゃなくて、職種で一番多い職種が何かということを実は聞きたかったのです。要らないことに時間をとって申しわけないから率直に私は申します。十数万の組合員のうち、おそらく運営審議会で代表権を持たされていない人たちが非常に多いということです。私のほうで聞いてみたところが、いま天城局長が申されましたうち、清水さんが教授です。小鳥さんは主事、福山さんは事務局長、平田さんは総務部次長です。篠原さんは教授、海野さんは教諭、それから菊地徳志も教諭、役職のつかない人は一人も出ていない。ところが、学校で役職のつかない職員が共済組合の組合員では一番多いわけですね。そういう人たちの代表は一体運営に参加させない気なのかどうか、文部省は。私に言わせれば、この種の問題は、組合員なんですから、これまで教員組合と、文部省みたような考え方で考えてもらったらとんでもない話です。組合費をかけて自分たちの福祉のためにこれを運用している組合員なんですから、全部が責任を持つという気持ちを持っておれば愛着も持っているわけです。そういうときに学校の役職のつかない人たち運営には参加させないで、なるほど組合員側からの代表と言えば筋は通ります、話は通るけれども、そういう姿でない運営というものがもっと必要ではないかということなんです。公立共済の場合には半分が、これは教員側が選んだ運営審議委員が半分出ている。それから文部省側というと、これは語弊かありますけれども、行政側から選んだ人が半分出ている。それがしかし行政とか教員とかという区別はないんですね、共済組合の運営に関する限りは。全部組合員なんです。そういうことで運否に責任を持たしてやるところに、自分の組合だという気持ちがあり、建設的な運営審議会ができると思う。ところが正面のところ、大臣ば聞いていらっしゃらないと思いますが、局長もそういう話は耳に入ってはいらっしゃらないと思うけれども、私立学校の先生方の一番の大きな不満はここにもある。運営のしかたはわれわれの知ったことじゃないというような不満があるのは、運審の任命をもう少し配慮してもらったらどうかという気持ちを私は持っている。だから、いわゆる学校法人側の代表と、それから組合員側の代表という場合の組合員側の代表は、もっともっと配慮してもらうべきじゃないか。だから、ほんとうをいえば、この程度のことを学識経験者を頼まなければ運営ができないということも、ぼくはどうもほんとうはよくわからぬのですけれども、もう少し組合員の出る率を多くするとか——まあ私は決していまの運審が民主的でなく行なわれているとかという、そういう評価をしてものを言うわけじゃありません。そこのところはどうなっておるのか伺ってもいませんし、そういう不満もあまり直接は聞いていないのですけれども、そういう配慮があって初めていまのような未納金なら未納金という問題も、ほんとうにこの組合員側の声として処理の方法も出てくると思います。そういう熱意も出てくると思いますから、この運営審議会の構成を今後考える場合には、文部省が任命者だそうでありますから、相当配慮してもらいたいということを、これはもう私の希望意見として申し上げておきたいと思います。  そういうことで、大体私の共済の問題についての御質問は終わるのでありますけれども、そういういままでにいろいろと明らかにされたことと、この法律提案の経緯とを考えますと、どうもやはり私は法律そのものには賛成ですけれども、まだまだどうも不満な点があるということを最後に申し上げたいんですが、大体この法律が今日ここに出てくるまでにはいろいろな経緯を持っておるわけです。しかし、少なくとも四十八国会においての附帯決議がついておるわけでして、これは衆議院ですが、四項目がついておるわけであります。そこから出発してきておるわけでありますから、まあ適用除外校をなくすということ、国の補助率の引き上げについては一五%から二〇%に引き上げるべきである、それから年金のスライド制をはかるべきである、そして四番目に、女子及び高年齢者層の組合員に対する特別な配慮をすべきである、この四項目がついておったと思います。いま理事長さんに伺っても、しかし女子職員や高年齢者に対しては具体的な策ができないにしても、いろいろとお考えになっていらっしゃる。金さえ出てくればできるんだというふうにも聞こえるような御答弁と伺ったわけであります。そうなりますと、やはりこの国の補助率の引き上げについてということがやはり一番大きな問題だと思います。一五%から二〇%にというこの附帯決議から出発してまいりまして、それで今度一%だけをプラスをして、そういうことになりますと、これは国としても直ちにでもなお二〇%に近づけるような努力は、これはやはり文部省がしなければいけないんじゃないか。なお衆議院修正されました点は、さらにこの予算の都合によりという何か条件がついておりましたけれども、このほかにも補助金を出させるということにもなりましたし、幅も相当広がっておりますから、こういうこの私学共済の特徴的な弱点をカバーするためには、この法案が通ったからそれでよろしいということじゃなしに、もっともっと積極的にいろいろなこの欠陥の問題を克服するようには、文部省も積極的に取り組むべきじゃないかと、こう思うわけでございます。
  155. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 昨年の国会におきましても、本法の一部改正にあたって院の附帯決議をいただいたことは私もよく承知いたしております。実は本年もこの附帯決議の趣旨に基づきまして政府部内においては努力をいたしたのでございますけれども、結果的に十分その実があげられませず、今回は従来から国公共済との不均衡を来たしている点の改正という点にとどまらざるを得なかった事情でございます。御指摘のように、私学共済のいろいろな今後の充実をはかるためには、どうしてもやはり経理問題が中心でございますので、これをどういうふうにまかなうかということが、まあ最大の問題でございます。共済組合の趣旨からいって、掛け金の問題と、それから国庫の補助という問題との組み合わせの問題が、実は率直に申してたいへんむずかしい点でございますけれども、特に私学が持っておりますいろいろな特殊な状態、あるいは他の年金制度においてとられておる制度等は十分に考慮しながら、画面にわたって今後も努力をいたしたいと、こういうふうに強く感じております。
  156. 鈴木力

    鈴木力君 終わります。
  157. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この委員会に提案されております私立学校教職員共済組合法改正について、内容をいろいろ調べまして、まあ最初にこの共済組合法そのものについて文部大臣にお伺いいたします。  この私立学校共済組合法は、国家公務員共済組合法の条文適用の形で制定された法律であると言われておりますし、事実そうですが、それに対してこの法律は奇形的な法律だと、こういうふうに言われております。去年もことしも改正案が出されましたけれども、この改正すべき点以外にも、社会保障の立場から多くの改正しなければならない問題が残っていると思います。しかし、この根本的な改正がなされなければ、絶えず改正をしていかなければならない。また組合員のための組合にもならないのじゃないか。そこで、私学共済組合の実態をよく見て、こうした凶公共済の準用の形をやめて、新たに単独法の形式でこの共済組合法をつくり直すべきであると思っておりますけれども、そういう意思がおありであるかどうかをお伺いいたします。
  158. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のように、この私学共済法、法律をごらんになりますと、国家公務員共済法の準用形式をとっておるところが非常にございますので、何かたいへん継ぎはぎの法律のような御印象を受けるかもしれませんけれども、これは私学共済がやはり共済制度であります以上は、われわれが前々から考えておりますように、共済制度として他の制度と同じような形態ないしは給付をすべきだという考え方を持っておりまして、率直に申して、私学共済が当初できましたときには、いろいろな給付水準が、国家公務員あるいは地方公務員の給付水準に至っておりませんでした。逐年それを改善いたしまして、今回の段階でほぼ国公共済と近い形まできたわけでございます。したがいまして、準用形式があるから私学共済の根本問題が解決できないというふうには私たちも思っておりませんし、むしろ、他の共済と同じような点につきましては準用しておいたほうが全体の動きの上からいっても、むしろ都合のいい点がかなりございます。一部で準用条文は読みにくいんだという御批判をよくいただくのでございますけれども、これにつきましては、共済法自身が一般的に読みにくい法律でございますので、組合員に対しましては、できるだけ便利なハンドブックとか、あるいはもっと明快な方法で中身を紹介するように努力をいたしておりまして、御指摘の私学共済の独特な問題ももちろんかかえておりますけれども、やはり共済組合は共通的な制度でございますから。それから過去のいきさつをこういう制度はしょっておるのでございまして、たとえば私学共済につきましても、この法律ができる前に何らの年金制度に入っておらなかった方もおられますし、厚生年金から入ってきた方もおられますし、旧私学財団から来た方もあるということで、そういった系列から入ってきておるために法律が非常に複雑になっております。御指摘の点は私どももよくわかるのでございますが、実体的な問題と形式的な問題とは矛盾しないようにこれからも十分考えていくつもりでございます。
  159. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そのことについてまた後ほど具体的にお聞きしたいところがございますので、問題を次に移してまいります。これも理事長さんにお伺いしたいのですが、退職年金の最高限度支給率について、組合員の立場に立って考えてみますと、給付率は百分の百以上にすべきである、それが共済組合制度の精神ではないかと思うのです。これについていかがなものでしょうか。
  160. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 私どもも、できるならばフルに還元されるような、そういうことをいたしたいと思っておりますが、現在の状態においては、なかなかそういうようにいかない点がある。ということは、結局、財源不足、一口に言いますれば。何らかの方法によって財源ができれば、掛け金を軽減するか、あるいは百を還元してあげるというようなことをいたしたいとは存じておりますけれども、なかなかこれは容易でないことでありまして、これから大いに検討、皆さんの御努力によって、ひとつ果たしたいということは考えておりますが、これはなかなか容易でないことと存じております。この上とも監督官庁その他の関係の方とも十分相談いたしまして、そして共済組合のためになるような方向に向けることにはやぶさかでないのですから、その方向に向かっていきたいと思っております。
  161. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この給付率の引き上げについて、政府としては、将来どういうふうに考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。
  162. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 現在五分の七十という点の御指摘だと思うのでございますが、これは私学共済だけではございませんで、他の国公共済もみなこの制度をとっております。共済制度の改善すべき点につきましては、私学共済独特の問題があると問時に、各共済を通じての問題がございます。したがいまして、通じて改善すべき点につきましては、私たちもできるだけ改善の方法をはかりたいと思っておりますが、私学共済だけで解決できない点もあることを、ひとつ御了承願いたいと思っております。
  163. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 福祉事業のことについて理事長にお伺いいたしますが、保健施設とか、宿泊施設などができておりますが、よく組合員に聞いてみますと、組合員のためにつくられているんだけれども、組合員以外の者もこれを利用している、逆じゃないか、組合員が締め出されているというようなことを聞いているわけですが、これについて理事長としてどういう指導ないし監督をしているか、具体的な指導、監督の状況をお知らせいただきたいのです。
  164. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) そういう声があるとは、はなはだ私どもも実は困ったことだと思います。私どもはやはり組合員のために持っておる福利厚生的な施設であるから、どうしても組合員の方々から活用、利用してもらわなければならない、こういうことです。したがって、やはり組合員にあらざる者を優先的に入れるというようなことは、これは厳に私どもとしては禁じているわけなんです。ただ、たとえばかりに宿泊施設をもってすれば、あいている場合に、組合員に関係の人、あるいは組合員の紹介ある人はそれを利用することがあり得るというわけなので、どこまでも組合員がそういう希望あれば、それを他に貸すということはないように指導しております。ただ問題は、施設がまだ全国的には少ないのでございまして、会員が十四万もありますというと、時期になると非常に利用が殺到してくる場合もあります。そういう場合は、やはり三月前に申し込み、あるいは組合の抽選によってやるというところまで配慮をして組合員のために利用していただきたい、こういうふうに考えておりますから、組合員以外の者が多くて、組合員の人が少ないということはないと私どもは考えております。
  165. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長はそんな心配はないとおっしゃっておりますけれども、事実そういう声を至るところで聞くわけですね。また、それがないことが望ましいことであって、あってはまずいと思います。ですから、理事長として、そういうことのないようにどういう指導をし、どんな監査をしているかということをお聞きしているわけです。
  166. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) これはその責任者がおりますから、責任者に、私のほうからは組合員の利用するそういうふうないわゆる希望がある場合は、よその者を絶対に入れないように、まずともかくその責任者に申し渡している、したがって、その責任者が受け付ける場合においては、その受け付けの状態を見て、組合員にあらざる者はこれをあと回しにするとか、あるいはあいたときにするとか、そうして組合員を優先的にというか、組合員一本でいくように指導しております。ただ、場所によっては非常に殺到するところがありまして、そういう点は、あるいは申し込んだけれどもなかなか当たらないというようなことが出るかもしれませんが、これは組合員が大ぜい申し込むためのできごとでありまして、やはりわれわれとしてはその責任者に対してさようなことのないように常に申し渡しております。さような関係の人々が集まって、月に一度、あるいはその他の関係で会合をいたします。その場合にも絶えず念を押してそういうことのないように申し渡しております。なお、そういうことがわかった場合においては、その事情、理由を調べまして、その理由のないものに対しては厳にそういうことがないように注意をしてもらう、こういうふうな強い考え方でやっておりますから、御了承を願いたいと思います。
  167. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いま理事長のおっしゃることを聞いておりますと、その精神とか、そういう点を何か強くおっしゃっておるようで、具体的にこのように、またこのようにというふうに、方法をもう少しはっきり示していただけないのでしょうか。何らかやる方法とか、一年に何回こういうことをやっているとか、こういうものをそのために調べさせているとかいうようなものはないのですか。
  168. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 結局問題は、来ましたときに組合員にあらざる者を受け付けなければそういう問題は起こらないわけです。だから、そのときに申し込んだ場合に、組合員にあらざる者を受け付けした場合にそういう問題が起こる。だから、受け付けないということが一番これは基本的な形において実効をあげることじゃないか、こういうように思うので、私のほうといたしましては、実は私学会館もございますし、あのときも私学会館でいろいろな話があって、私学会館は教職員の共済の制度のもとに建てられるわけだから、組合員が東京に来た場合に使うようにするとか、あるいは組合員が会合するのに使う、私学会館は研修に来た者をこれを泊める、こういうようなぐあいにやっておりますので、私のほうとしてはそういうことを具体的に申すといっても、一々これを受付に申し出て報告させ、報告のそういうものがあった場合においては、どういう事情でこれが泊ったのか、あるいは会議に使ったのか調べてみて、妥当でないものはこれは二度とさようなことをしないようにやっております。なお、受付の人には、そういうふうに破局の責任の——あそこは支配人、それから責任者がおりまして、これには私どもはたびたびそういうことを申し上げて、組合員をとにかく優先させる、そうして組合員が大勢の場合にはどうするか。こういう場合はいまのとおり先着順とか、あるいは大勢か同町の場合には抽せんをするとか、そこまで配慮してやっているので、組合員にあらざる者がさように多く利用するとか、あるいはそういう声がないものと思っております。
  169. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長にお伺いいたします。組合員の中の声ですけれども、組合員の人たちは全体の福祉的なものを非常に望んでおります。いろいろ福祉事業はやられておりますが、山に行きたい人はその場所にそうした施設があればそれを使って行く、また、お金を貸し付けてもらいたい者はお金を貸し付けてもらう、そういう福祉事業がされております。それはそういう人たちだけのものであって、全体の組合員のためではないと思うのですね。それで積み立て金の額を調べてみても、相当の積み立て金がありますし、それは年々増加していくものであって、もっともっと組合員全体のための福祉事業というものをやっていくべきだと思うわけなんです。これについて将来の計画などがおありでありましたら示していただきたいと思います。
  170. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 福祉事業はどういう事業を行なっているかということは、ここに書いてあるとおりでございますので御説明申し上げません。ただ問題は、結局福祉事業は、一つは貸し付け、一つは病院等の医療施設、一つは山、海の保健施設がありますが、これは全体のためにやるという基本的な精神はこれは忘れておりません。したがって、共済組合がかってにあっちのほうに会館を延てる、こっちのほうに何を建てるというようなことはいたしておりません。ただ、全体から考えますというと、学校の数とか、組合員の数とか、それから地域的にそれを利用する状況とか、そういうようなことの諸般の事情を考慮して、実は東京、関東方面は湯島会館という、湯島一丁目に事務所並びにそういうふうな意味の福祉的な宿泊その他の施設がある。それから大阪にも、あそこは学校が多いものですから、大阪もそういうものが必要じゃないかと最初思っておりましたが、あそこには大阪の教職員などが大阪文化会館という私学会館を建てましたので、これをやる。それから福岡に一つ会館を建てたいという何を持っております。それから札幌はこれも同様な意味で北海道もできました。大体大きな会館は北海道、関東、それから名古屋に一つ、それから福岡をやりたい。その他は宿泊所というところで、これは各県に散布しておる。こういうようなわけで、これをきめるにも、大体から言うと、地方の教職員の協会とか、あるいは団体とか、そういうものの希望をとりまして、その要望によってそれを建てる。大阪あるいは名古屋福岡、たとえば福岡ならば九州全体の教職員にどこに選んだらよろしいかというようなことを考えて、そうして福岡に会館を希望になるというならやりたい。それから四国には、これは小さいから会館というものは必要ないが、しかし四国は四国のたまり場所で集まる場所、そうして私学教職員の懇親と、そうして将来のレクリェーション的なものとしてファイトをわかすものにしたいというので、これも四国全体の教職員の相談の上のそれを持ってきたものを土台にして、私どものほうでは木造の保健施設というような名前で建てる。こういうようなわけで全国的にまんべんなくと申しますか、これは組合員の単なる個人とかそういうのじゃなくして、その地域的の協会とか団体とか、そういうものの意見を十分に聞いて、そういうふうにしていまのような福祉事業は行なっておりますので、これが財源的な関係でなかなか思うように行きませんが、行く行くは全国的にさような点、全国的にどこへ行っても共済の会館、共済の保養所を利用すればできるというふうな、その地域的に部分の人もそうであるし、あるいはその他の関係の人も利用できて、全国的にそういう意味の必要ならば利用していただく、こういうふうに考えて、そうしていまさようなふうに実行いたしておるわけであります。
  171. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いま理事長のおっしゃったことはよくわかります。それがかってに組合員の考えていることを取り上げないでやっているというようなことを言っているのじゃなくて、そういうことはまた今後も全国的にやらなければならないと思いますけれども、さらに積極的に、もっともっと組合員の全体を考えて福祉事業というものをやっていこうとしているかどうかということをお聞きしているわけなんですね。それはほかの共済組合などを見ましても、物資を安く提供するとか、そういうようなこともやっておりますので、私学共済組合などもそういうことをやっていくような、そういう計画をお考えであるかどうかということをお聞きしたわけなんです。
  172. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) いま大幅にそういうとうなものまで手を広げてやっていくかという御顧問のようですが、実は公立関係のものの土地とへ建物の関係と、それから私学共済でそれをやる場合とは趣を異にしております。たとえば県でやるならば県の県有地とか、あるいは県の営造物とか、そういうようなもの、そういうものを私学共済はみずから金を出して獲得しなければならぬ、そういうふうにまず緩急的にみんなの要望するものが何かというところのことを検討して、先にほしいものからだんだんにこれをやっていきたいというのが私の考え方です。したがって、そういういまおっしゃったようなことも、これはぜひ必要でありましょうから、財源的にある程度のものへ得ましたならば、そういうこともやっていくよとにいたしたいと思っておりますが、いまのところ、そこまではなかなか手がつかないような状態になっております。
  173. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 貸し付けについて理事長にお伺いいたしますが、貸し付け額の範囲が国公共済に比べて非常に低いと思うのです。これを百万円ぐらいにすべきではないか。また、利息がほとんど年利六分のようになっておりますけれども、それを年利五分くらいにしたらどうか、特に災害貸し付けばさらにこれより安くすべきではないか、こう思いますけれども、いかがですか。
  174. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) ごもっともです。先ほどからだんだんにお教えいただきましたが、私どものほうでは会員優先といたしまして、そういう貸し付けについても、おそまきながら他の同僚団体等を参考にして、財源を獲得して、それぞれ監督の官庁と話し合いをして、これを広げたい、こういうふうな考えをもって実現するように努力いたしたいと思っております。
  175. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この福祉事業のことについてもう一点。PRの問題ですが、いろいろ見てみますと、福祉事業の内容があるわけですね。実際私立学校に勤めている教員をしている人たちに聞いてみますと、この福祉事業のことを全然知らない人が多いですね。私の友だちなんかにも聞いてみますと、こういう問題については相当関心を持っているんですけれども、よくわからない。また「私学共済早わかり」、こういうのが学校へいっているようなんですけれども、あまり見てないのですね。それで調べてみると、たいした枚数も配られていないようですし、実際にそれじゃそういうところを利用しようと思うと内容がよくわからない。こんなふうでは、組合員のためにいろいろ考えていながら、この福祉事業の利用というものがされないのじゃないか。PRをどのようにしていらっしゃるか、その京をお聞きいたします。
  176. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) このことは私も頭を悩ませているわけでございます。実は私学広報とか、パンフレットがございまして、それにそういう福祉事業的なものを印刷し、新しくできたものは必ずそれに載せて、名学校にこの私学共済の事務担当者がございますから、それに必要な数を送る、こういうことで、まず私学広報によってこれをやっております。しかし、私の知っている教授に聞きますと、福祉事業があるというならば、それを利用すればよかった、私は知らなかった、こういうふうに見ない人がおりますので、これをいかにして見させるか、あるいはそれを知らしむるかということについては、これは一段の努力を払わなければならぬと思っております。そのほかいまの青表紙のパンフレット、広報、それからポスター、そのほかに巡回指導というものがございます。それから説明会がございまして、その際にも、集まった諸先生方にそういうふうなことを質問に応じて御説明を申し上げることになっております。現在はかような意味でパンフレット、それから広報、それから巡回指導、説明会、その他必要に応じて電話その他によって聞いてきた者にそれを行なう、そういうふうなわけで、ポスターとか、そういうものまでも考えることはできるけれども、これはややもすると、また私学共済の品格という問題にもかかわるから、そういうものを下げないようなポスターで、できるだけほかの団体と同じような意味をもってPRをして大いに利用していただきたい、会員のための福祉事業でありますから利用してもらいたい、現在のところはそういうようないまの状態でPRしております。今後は、そういう声がありますれば、なお——この間も実は支部設置の前提といたしまして、巡回指導あるいは説明会と別個に、北海道から九州まで臨時駐在所というものを置きまして、大体四十日間以上滞在をして、そうして諸先生方と、あるいは実際の事務担当者と会いましたときにも、そういうときにも、そういう問題についてよくわかるように説明をし、知らしむるような方法をとりましたし、またとりたい、そういうふうに考えております。パンフレット等は、そういうものがいっておらないようなところ、あるいはそれが少ないようなところには、いつでもお送りするような手配ができております。なお、そのほか、運営審議会とか、あるいは役員会とか、そういうところでこういう福祉事業、福祉的なものの相談とか、あるいはそのほかいろいろなことについてきめる前に御意見を伺いますが、それらの機会を通じてまたPRをいたしたい、こういうふうにできる限りの手を尽くしたい、こういうふうに実は存じておる次第で、そのように努力いたしております。
  177. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 文部大臣にお伺いいたしますが、私学共済の理事長以下役員のメンバー、また運営審議会委員の方たちをお知らせいただきたいのです。
  178. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 事務当局から御説明いたします。
  179. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 役員と運審の委員のお名前を申し上げます。敬称を略させていただきます。理事長、常勤、佐々木良吉、常務理事、常勤で関野房夫、非常勤の理事として石川正臣、松本生太、公江喜市郎、大河内四郎、磯田好祐、常任監事として辻田力、非常勤の監事といたしまして戸谷賢。それから運営審議会委員は、先ほど鈴木先生の御質問のときにも一部申し上げましたが、二十一名で、組合員関係としましては、平田栄太郎、福山馨、篠原雅雄、清水福市、海野昌平、菊池徳志、小島忠治、この七名が組合員関係であります。法人関係といたしまして、中館耕蔵、森本武也、岡本富郎、児玉九十、岸田与一、笠原秀定、大沼淳、この七名が法人関係でございます。学識経験者といたしまして、石川亘、犬丸直、沼正也、武見太郎、片健治、清水康平、宮川孝夫、以上七名でございます。
  180. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 こういう方々の選び方はどのようにしておりますですか。
  181. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 任命権は、一応、文部大臣でございますけれども、実際には私学側の御意向を伺って選任するというやり方をいたしておりなすが、実は私学関係も大学、短大、中学校、高等学校関係、小学校、幼稚園というような幾つかの団体がございます。また、大学についても、御案内のように、三つの団体がございますし、また、全体を通じては全私連という団体もございますので、全私達を通じましてそれぞれの団体の御意向を伺って、その御意向を受けてわれわれのほうで選任していくというやり方をいたしております。
  182. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この共済組合が社会保障制度の一つであるという点から、また私学共済組合というそうした民主的なものでなければならないという立場から、この役員や運営委員を文部大臣によって任命するとか、委嘱するということは、この私学共済だけだと思うのですね。また事実そうですが、私はこれは矛盾だと思うのです。こういう点が国公共済法の準用の形で制定されたための一つの欠陥ではないか、こういう天下り的な文部大臣によって任命される、委嘱されるというようなことは改めなければならない、こう思いますが、いかがでしょうか。
  183. 天城勲

    政府委員(天城勲君) いろいろ御意見があることだと思いますけれども、特殊法人としての組合の役員の構成でございますので、まあ、現在の共済組合の所管省でございます文部大臣が最終的に任命権を持つということでございますが、御指摘のように、それぞれの組合の持っている事情がございまして、私学は私学なりの事情がございますので、私たちもその点は十分考慮いたしまして、たいへんこれは複雑な事情もございまして、私学団体も非常にたくさん分かれております。それらの意向の反映のしかたも逐次ルールができてまいりまして、この私学団体の御意向も十分反映し得る状態になってまいりましたので、いまおことばですけれども、天下りというような考え方でこれは運営いたさないように、極力、私学関係者の意向の反映できるような方法で、人事の問題は処理してまいりたいと思います。
  184. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事のメンバーを見ましても、はたしてこういう人たちが組合を代表しておるかどうか、大事な理事の任命などはほんとうに組合のために働いた人たち任命されるべきであって、文部省の役人であったような者がこういう共済組合の理事になるということは、だれが見ても納得しないと思うのですね。文部省のための理事なのか、組合のための理事か、こういうような疑問も起きてくるわけですけれども、この理事の任命などについても、もっともっと組合のために働いてきた人たちを選んでいかなければならないと思いますが、いかがでしょう。
  185. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御趣旨は先ほどもお答え申し上げましたように、私学教職員の共済組合でございますので、あくまでも運営も人事もその点に主眼を置いていくべきであるということは全く同感でございます。文部省のための組合でないことはもちろんでございまして、ただ、組合の運営と申しましても、理事と運営審議会、監事、いろいろな役職がございますので、いま申し上げ趣旨に基づきながら、最もそれにふさわしい適任者をあげるという考え方で行なっておる次第でございます。
  186. 辻武寿

    ○辻武寿君 関連。いまの件については文部大臣はどういうふうに思っていらっしゃるわけですか、その天下り任命だというのに対して文部大臣は。
  187. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、先ほど局長が御説明申し上げましたように、運営審議会委員は三者構成で七、七、七となっておりますが、これらの法人関係七人あるいは組合員関係七人、いずれもこういうのは全私連を通しまして私学各団体に協議していただいて、そこから推薦のあった方を盲目的といいますか、尊重いたしまして、文部大臣が任命をいたしておる次第でございます。  次に先ほど御質問のございました理事についてのお話でございますが、やはり非常勤の理事は先ほども申し上げたように、各学校関係の人をお願いしておるわけでございます。これらも私学関係の意向を大体打診をしまして、こういうような力をお願いしておるのでありますが、常勤者につきましては、やはり文部省は最終的に責任を負わねばならない立場にございますから、常勤の理事長、常任理事等を選任いたしまする場合には、できるだけ過去の経歴その他から見て、絶対に間違いをみずからは——それは大ぜいの人を使ったり何しますから、末端で全部間違いのないように目を通すということは人間として困難であるかもしれませんが、極力末端においても間違いのないように、また、理事長、常任理事等も、自身においても間違いは絶対にないような人の人選をすることが私どもの責任を完璧にするゆえんである。かような観点に私は実は考えておる次第でございます。従来の文部大臣としましても、そういう観点に立ちましてこれらの理事の選任をしてきていると思いますので、天下りと申しますか、このような団体はなるべく組合員全体の利益のためのものでありますが、半面また非常な公共性が高いもので、もし万一にも間違いがありますと、これは所管大臣である文部大臣としては全責任を負わなければならない立場にありますから、そういう点を考慮いたしまして任命をいたしておるものと考えておる次第でございまして、今後とも非常勤の理事も理事会に参画して運営に万全を期せさせ、協力をいたしまする非常勤理事等は、できるだけ学校関係の方々でそういう方面の知識を持った方々をお願いし、また、運営委員につきましては、それぞれの団体から御推薦のあった者を尊重して任命をする、かようにすることが民主的であり、また一面、公共性を達成していく上の要素であろうと、かように考えておりますので、今後も十分注意をいたしますが、私どもといたしましては、さような考え方を持っておる次第でございます。
  188. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 運営審議会の問題についてお聞きしますが、この会合はどのように開かれているか、委員出席状況はどんなふうであるかを理事長にお伺いいたします。
  189. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) この運営につきましては、できるだけ民主的な、いわゆるそういう方向をたどってやっております。その招集は理事長が招集し、重要なる定款にある事項、これを全部委員会にかけ、そうして出席は非常に率がいいようです。少なくとも公用のために休むのが三人か四人くらいの程度で、あとはいずれも全部出席という状況であります。
  190. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ことしは何回開きましたか。
  191. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) これは法改正とか、そういう予算、決算以外のことにつきましては、そういう重要事項のあるときに開きますが、ことし四十一年になってから二回開いております。
  192. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで検討されました内容は、どんなことを検討されたのでしょうか。
  193. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) そこには大体いままでの報告、それから組織の変更とあればそれ、計画、そういうものをおもに、法改正がありますというと法改正のときについての審議、今度六月の末に決算の関係の運審の委員会を二十七日に開くことになっています。
  194. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この運営審議会というのは、理事長の諮問機関にすぎないという立場になっているわけです。これでは私は何の権威もない審議会になっているんではないか。で、こうした審議会はやはり私学共済にのみあるのであって、ほかの組合に比べてみますと、この運営審議会というのは、学校と組合員の二者によって構成されているものであるのに、共済組合としては最も権威を持った会でなければならないと思うのです。そうした立場から、他の組合に比べればこの会は総会に準ずるものではないか、こういう立場から、この組合の決議権というものはこの運営審議会に与えるべきであると、こういうふうに考えますが、文部大臣はこれに対してどのようにお考えか、お伺いいたします。
  195. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 運営審議会のあり方、あるいは権限についての御質問でございますが、佐々木理事長からお話がございましたように、運審の行なっております職務につきましては、法律上何をかけなければいけないということが明らかになっております。重要な私学共済の定款の変更から業務方法書の変更、それから毎年度の予算、あるいは財産処分その他訴訟関係、いろいろな問題を運一審にかけることになっております。これはまあ法定の職務事項でございます。もちろんこのほかに運営審議会は理事長から諮問に応じて意見を述べますし、あるいはまた必要と認める場合にはみずから理事長に建議することができるという法律的な構造になっております。それで、先ほど連帯の三者構成の問題についてもお話がございましたけれども、私学共済の行なわれておりますいろいろな事業、あるいは財政状況、経理のやり方はいろいろと特殊でございまして、理事者と、それから教職員というだけでなくて、先ほど申し上げましたように、たとえば私学振興会ときわめて深い関連を持っております。長期の運用資金につきましても、運用部に預けないで振興会に貸し付けする、これは共済組合としては最も独特だと思います。また一面、振興会からは給付——恩給財団の方々に原資の給付を受けるとか、あるいは私学会館、あるいはその他の福利の施設に関して補助金が出るとかいろいろな結びつきがございます。また、地方公共団体におきましても、私学共済の掛け金について補助金を出していただいておるというような関係もございますので、やはり第三者を含めるやり方のほうが現在の私学共済の仕事の上からいって適当である、こういう考え方をとったわけでございますが、御指摘のように、できるだけ本質的な、組合員の福利厚生が本来の目的でございますので、組合員の意向が十分反映するように、運営審議会運営についてもわれわれは重視しておりますし、共済の佐々木理事長もその点について最大の留意を払っているものと私ども承知しておるわけであります。
  196. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 運営審議会に組合決議の決定権を与えるべきだということに対して、文部大臣はどういうお考えでしょうか。
  197. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 運営審議会の権能につきましては、ただいま天城局長から申し上げたとおり、大体法律で重要な事項は明記してあるわけであります。そのほかにももちろん先ほど来理事長が御説明申し上げておりましたように、福利施設等をどの地区へどういうものをつくるか、こういうこと等につきましては、もちろん地方の意見を聞き、また運営審議会等の意見も聞いてまいるのだと思いますが、まあそのほかに、運営審議会のほかに理事の組織もございますから、これらが合議制で運営をしてまいりますので、その間を通しまして、各私学関係の意見は反映させることができると思いますので、万事、議決機関としてここにかけなければ車が回らないようにするよりは、現行制度の程度が適当であろう、私自身はさように実は考えております。
  198. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうしますと、すべての、この組合で決議されたものの決定というものは理事長にあるわけですね。
  199. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 先ほど申し上げることを何しましたが、運審は非常に大事な会でございまして、しかも大ぜいの方々でございまするから、できるだけ多くの反映した意見を集めるという意味で、会長が議長になります。いま児玉九十先生が議長になりまして、議長運営審議会の何を運営いたしております。出席は先ほど申し上げたとおり、運営委員は、これは規定によりまして欠席者には委任状をいただきまして、こういう事項をこうするということを、あらかじめ示して委任状をいただきまして、そうして満場一致できめるという民主的な方法をとっているような状態でございます。しかも、議事録は署名を付しまして、そうして議事録をとって、それによって運営をしていく、こういうような状況に現在実際やっております。
  200. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣にお伺いいたしますが、そのように運営されている運営審議会というものは、あくまで共済組合法からいうと理事長の諮問機関にすぎないのである。そうなりますと、先ほど伺っておりますように、理事長にすべての決定権があるのじゃないか、またあると、こう解釈いたしますけれども、それでよろしいでしょうか。
  201. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先ほども申し上げましたように、私学共済法上、法定の事項については、運審の権限という形に規定しておりますので、これはもう法律上の運営審議会の機能でございます。したがいまして、理事長が最終の責任者であるということは、御指摘のように理事長制をとっておりますので、この制度として当然でございますけれども、それがいま申し上げましたように、こういう構成のもとに議事を進めるような制度になっておりますので、御心配のように、理事長が単独で大事な問題をきめていってしまうというような形にならないような制度をいたしておりますので、もし組合員その他の意向の反映が、こういう制度は不十分ではないかという御心配からの御質問でございましたならば、制度的にもその点を考えておりますし、運営上も理事長が一番絶えず気を配っておられる点でございますので、現行でさして支障はないものだと私ども考えておるわけでございます。
  202. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それで理事長にお伺いいたしますが、この問題に関連して、昭和三十五年の二月に法律改正委員会というのができて、共済組合の理事長に中間報告をしております。その中で、役員、運営委員の定員増、任期の延長などを考慮し、かつ任命について改正するという一項目が出ておりますけれども、このことについて理事長としてどのように文部省と話し合っていままで努力してきたかをお伺いいたします。
  203. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実は改正委員会においてはそういうふうな民主的な意味から見て、いわゆる農林漁業共済的なものをやったらいいじゃないかというふうな意見もございました。しかし、これを実行することになると相当な経費と時間を要すようなことにも考えられますし、それから現在の状態において、いわゆる支障があるかどうかということも考えなきゃなりませんし、それらのことをやりますと、他の同僚の人数も大体同じような、組合員に比例して私のほうは少なくないという人数でもあります。そのようなことから見て、いま早急に改正することは、これはもう少し模様を児たらいいじゃないかというので、当時私は、いやしくも改正委員会の意向がそういうふうな答申がありましたので、これは文部省にもこういうような報告をいたしまして、そして善処方を相談いたしましたが、支障がなければ、支障ということははなはだ語弊があるかもしれませんが、支障がなければ、他の同僚団体もその程度であるならばいま少し模様を見たらいいじゃないか、このようなわけで、その後この問題についてはいろいろな支障的な、そういうお声も私のほうに反映がないものですから、実はそのままになっておる次第でございます。しかし、事情の変更等が生じた場合には、これらのもののあるいは改正をしなくてはならぬじゃないかというような意向を持っております。
  204. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣にお伺いいたしますが、この運営審議会委員の選び方ですが、法律では大臣の委嘱とありますけれども、これはそうではなくて、各地から選ばれた代表によって組織しなければ、ほんとうの運営審議会にならないのではないか、こういうふうに考えますが、その点いかがでしょうか。
  205. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、この運審の七名、七名は、私学関係の法人から七名、それから職員関係から七名、こういうことになっておりまするが、この実際の運営は、人選といいますか、実際の人選は各それぞれの私学団体にはかりまして、最終的には全私達でありますが、全私達の下部組織といいますか、いろいろ大学は大学、短大は短大、中高は中高というように組織がございますから、それぞれの組織を通しまして全私達が協議を遂げて、そうしてきまってきたものを文部省に進達をされてくるわけで、文部省ではそのきめられたとおり実は尊重しまして委嘱をしておりますので、こちらでこの人がいい、あの人がいいといって人選をしている余地は全然ないようでございます。今後もそういう運営のしかたが、また人選のしかたが妥当であると思いますから、私どもはそういう方法で今後もやっていきたいと、こう思っております。
  206. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この点についてもう一点お聞きしたいのですが、昭和二十九年の文教委員会の附帯決議としてこの問題がやはり取り上げられております。役員の任命の点、あるいは運営審議会の役員の構成についても取り上げられております。また、参議院の文教委員会でも同じようなことが取り上げられておりますけれども、これはこの共済組合法ができたときからやはりいろいろ問題を残していると思うのですね。こういう点、文部省としてどのように検討していらしたか。
  207. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のように、国会の附帯決議にいまの問題があることも承知いたしております。これらにつきましては、法改正の機会に十分他の問題とともに検討を続けておりますが、先ほど来私が申し上げましたような見解で、現在のところ現行方式を改める必要はないだろうという考え方でおるわけでございます。
  208. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この私学共済組合法に対する改正案は去年もことしも出されておりますが、こうした根本的な問題はいつもいいかげんにされているのじゃないか。しかも、もう十年あまりを過ぎている。次の国会あたりでこうした根本問題を改正していったらどうか、こういうふうに思いますが、意思はおありでしょうか、文部省にお伺いします。
  209. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 私学共済、昨年もことしもその前の事情を見ましても、たびたび改正をいたしまして国会に御審議をわずらわしているわけでございまして、それだけ問題が多いし、また不十分な制度であるということばわれわれも自覚しているわけでございます。今後も共済組合の充実につきましては、この制度の本旨にかんがみて、また私学のいろいろな特殊な事情を十分考慮して改善をはかっていきたいという気持ちは持っております。そのときにどこをどうするかということにつきましては、見方によれば非常にたくさんの問題を持っているものでございますので、その全体の中で重点的に改善策をはかっていくという態度をとっておりますので、今後とも御指摘のような問題も含めまして、私学共済全体の充実のための法律改正を通しての努力はいたしたいと思っております。
  210. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長に加入の問題についてお聞きいたしますが、私立学校でこの私学共済に加入していない学校がどのくらいあるか、人員にしてどれだけになっているかをお聞きいたします。
  211. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 私のほうの調べによりますというと、これは百十七校、組合員にたるべき対象としての人は二万四千八百五十七名、そういうふうになっております。
  212. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長にお伺いいたしますが、一昨年、加入措置を強力に推進しましたが、一部の大学の加入拒否によって、また厚生省の反対、かあって、改正案として国会に提出されるところまでいかなかったということを聞きますが、その理由はどこにあるんでしょうか。
  213. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) いろいろあるかと思いますけれども、私らの調べたところによりますというと、私学の学校側といわゆる単位健康保険組合側との意思の連絡が十分でなかったといううらみがあるわけでございます。実は私どもはこの立法化の問題は最初から希望し期待しているわけで、何とかしてこれを実現いたしたいということであらゆる方面にお願いをして、大体の私学団体の委員とか、そういう関係の方々はやろう、ことに関西の関係の方が非常に熱心でぜひやってくれというので、私らとしてもそれを文部省に申し上げてやりまして、文部省も非常に力を入れてやりましたが、厚生省との折れ合いがなかなかつかない。それでもこれを極力いたしましてやりましたが、結局は内部的に、組合関係と、それから学校側との意思の疎通と申しますか、連絡が十分でなかったということに基因して、それから破れた。その最もの基因となるものは、やはり経済的な問題と、そうした学校側との問題ではないかと思います。というのは学校によりましては、いわゆる配分の関係が、全部学校側といわなくても、とにかく大半が学校側で頂推しておる。個人の負担率が少ない。そうなりますというと、共済組合に入れば共済組合はすでに現在持っておる権利以上の権利を与えない、いわゆる現在の組合員以上のものを与えない。組合員と同じにする、そういうたてまえになる。また、その人方に対しては特別な利益を与えない。いわゆる現在の組合員を害するようなものを与えない。こういうような基本的考え方を持っていたわけなんで、その掛け金の問題や経済的な意味の問題がそこに出てきたんじゃないかと私は思って、極力そういうことをやっていきましたが、とうとう時間がなくて組合側とも十分に話す機会がない。その後、私らは一本化という問題は捨てたわけで、はございませんで、極力やっても、無理に入りたくない者を入れるということもこれはどうかと思います。それだから自然の形においてできるだけ無理をしないでやる。それにはまず共済組合というものを、組合員のために魅力があるような組合をつくるべきことが先決じゃないか、そういうようなわけで実はお願いをして法改正や給付の内容の引き上げ、いろいろなことをして、そうしてまあ大体公務員並みになりましたが、ただ、いまの財源上の問題、配分の関係を、もう少しこれは話し合ってよくしないというとなかなかむずかしいんじゃないかと思うので、捨てたわけではないので、実態をもう少し再検討いたしまして、そうして何か自然の方向に向かうようた糸口を見出すならば、その方向に邁進して監督官庁と話をして法改正をしていただきたい、こんなふうに考えております。現在そういう状態になっております。
  214. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この未加入の学校に対して文部省としては今後どういうふうにしようと考えているのか、お伺いします。
  215. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 未加入校と申しますか、法律制定当時の除外校といわれておる百十七校の問題ですが、先ほど理事長の御説明がございましたような状況でございまして、一言で申しますと、それぞれの学校ないしは組合員の持っております既得権ないしは期待権というものが、移行の過程においてどう実現するか、それが現在の私学共済の組合員とのバランスでどうなるかという、率直にいってきわめて利害関係に直結した問題でございますので、いま理事長も申されたように、ただしゃにむに加入させるということもできかねるかと思っております。いままで何回かの努力が重ねられてきておりますが、何ぶん私学共済の給付内容が不十分でございましたので、やはりこれを充実させるということが先決だということで、しばらくの間、私学共済の充実、特に給付内容の向上ということに主力を注いできた次第であります。今後も基本的にはそういう考え方でこの問題を措置していきたいと考えておる次第でございます。
  216. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長にお伺いいたしますが、高校が生徒が減っていくために急減期に入っている。これは一般に言われておりますが、当然、経営困難な学校が出てくる。この問題に対して私も心配いたしておりますけれども、これは避けられない問題であると思いますが、組合としてもこういう避けられない問題に対してお考えになっていると思いますが、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  217. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実は運審の委員会においても役員会においても、そういう問題を重大視して、私学の危機じゃないか、こうまで言われておるわけです。それで、私どもも高等学校以下中学校、小学校がどの程度教員あるいは職員が減少するか、それをいま去年から実は見ておるわけですが、学校自体は大学等はふえてくる状態にあります。したがって、組合員数はふえておるというような現状のようでございます。しかし、この状態が来年も再来年も続くかどうか、あるいはまたそのまま続くかどうかということは私ども非常に心配いたしておりますから、事実に即してまた役員会、連覇の委員会等にかけて、それらのものの対策というものを、これをおそまきながらやりたい。こういうふうに思っておりますが、現在のところ大学の関係がふえたせいか、教職員の数は減っておらないような状態なので、そういう安易な気持を持っておるのかもしれませんが、これではいかぬと思いまして、私どももいま申し上げ趣旨に従ってこれの実態調査をして、そうしてこれに対する対策を講じたいというふうに考えておるのであります。いま具体的措置をどうするかということは、まだ実はそういう点まで至っていないのでございます。
  218. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長がおっしゃったお話の中ですが、大学はふえているからというようなお話がございましたが、大学がふえておりましてもその教員というのは雇われ講師が多いのです。ほかの共済組合に入っているものも相当いると思うのです。そういうふうに考えますと、高校急減のために減った組合員を大学のほうで補なっていくということは、現実の問題としてちょっと心配な点があると思うのです。それで、私学振興会などの職員をこうした共済組合の組合員として入れるようなお考えがあるかどうかお伺いします。
  219. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 大学と申しましたことは、これは他の高等学校の生徒は減っておるけれども、教職員の数は減っていないという現在の統計になっております。したがいまして、学校教育のあり方という面から教員の減少ということを相当行政的にも、あるいはその他の関係においてお考えになっておるのかと、こう存じます。そういう意味で、学生数は減っておるけれども教職員の組合員の数は動かない。それから、そのほかに私学団体の連鎖的な関係を持っているほうの関係の方々、実は組合員の中に入れてもらいたいということをこの前の改正のときですか、そういうことをお願いして、組合員の数の中に振興会、そういうものを入れたいという、こういう考えを持っておりましたが、できるならば私どもはぜひともそういうふうにしていただきたい、こういうふうに考えておりますが、これもいろんな関係の事情がありますので実現できなかったことを申し上げておきます。
  220. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長にお伺いいたしますが、未納校がだいぶあると聞いておりますが、その状況ようなものを資料として出していただけるでしょうか。
  221. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実ははなはだ申しわけないのですが、学校別の何は用意してまいりませんで、もしお許しが得られますればお届けいたすようにいたしたいと思います。大体三十校程度じゃないかと思います。そして六千万程度滞納としてあります。そんなような状況でございます。
  222. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これに対してどういう方法を講じているか。未納の理由が学校の経営困難によるものか、また事務処理の不統一というような点からなるのか、また組合に対して組合員が不満があって、そういう組合を抜けたいというような考えで未納になっているのか、いろいろ原因があると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  223. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 大体から言うと経営困難というのがほとんどそういう未納校の大部分のようでございます。不満とか、そういう経営困難以外の理由で聞いたことはございません。生徒が少なくなったとか、学校経営の何と申しますか、適正を欠くと申しますか、そういうために次第に学校経営困難になってきて、結局、未納しなければならない、こういうようなものが多いようであります。それに対しての対策は、先ほど申し上げましたとおり、これは結局、われわれもそうですが、たまってしまうとなかなか納めにくくなる、たまらないうちにそれをしょっちゅう催促されると、少額のときには払いやすいわけであります。そんなようなわけで、さきほどの大きな赤字が出ましたけれども、これは特別といたしまして、普通の場合は少額の金、あるいは三万とか、九万とか、十万とかというような何ですから、話し合いをしてそうしてたまらぬうちに催促を足まめにやって、向こうの理事者側と話し合って納めるよりに、どうしても何なものは、いわゆる法の規定に基づいて滞納処分というものをいたしたいと思っております。さようなわけで、いわゆる徴収方の能率を上げるようにして、いま九八%ぐらいまでの成積をおさめた。だから、一二%ぐらいが滞納ということになっておるので、これに満足しないで、私のほうは努力して組合員の迷惑にならないようにいたしたいと考えております。
  224. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 組合員の声を聞きますと、事務手続に対して不満が多いわけですね。複雑であるとか、手続完了期間のスピードを問題にしているわけです。もっと早くやってもらいたい、不親切だ、よく突っ返されるというような声を聞くわけなんです。これはやはり組合員のための組合ということを考えたならば大きな問題である。これに対して理事長はどのようにこれを指導し、また監督していらっしゃるのか、それをお聞きいたします。
  225. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実はそういうような事務的におそくなるということは聞いております。そのために今年度は四月からいわゆる支部を置く前提として、長期の、長期と申しましてもいわゆる最も忙しい時期の四月、五月に駐在所を要所要所に設けて、そうして、それらの不満をなくするようにことしあらためて始めたわけです。その前にもそういうものがありましたが、私どもはできるだけそういうことのないようにいたし、私のところにも手紙が参りまして、おそいとか何とかかんとかいうことはありますが、これはすぐその事務の責任の者を呼んで、どういう事情かを調べました。調べてみるというと、やはり組合員のほうでももう少しよく知っておればそういうことがなくて済むというようなこともあるので、それではさっそくそれを教えてやったらいいというと、一方はこの程度のことはパンフレットも学校に参っておるし、あるいは説明会もやっておるし、あるいは巡回指導においても指導しておるからわかっておるだろうというような気持ちで、そういう行き違いになることはありますが、そういうことは漸次少なくなって、そうして組合員に対しては、いわゆる組合員の身になってやるように、自分がそういう請求、申し込みまで、そういう場合には自分がやるようなつもりでこれをやれと、こういうように常に実は組合の事務の責任者の関係には申しておるような次第でございます。たまたまそういうことがあるとさっそく事情を調べまして、その是非を明らかにして、そうしてそれを本人に納得するようにいたしたい。そういう意味説明会、巡回指導、パンフレット、それによってわかるようにしている。それからいまの臨時出張もやっております。ただ、条文等非常にわかりにくいのですが、これを何かわかりやすい手引きを書く方法はないかというようなことで、いま検討させておりますから、あるいはもっとわかりやすいものができたならば、そういうことも少なくなるだろうと存じまして、準備、研究しておる次第でございます。
  226. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この問題を解決するために事務所というものはどうしても必要である。特に地方において現在はどのようにこの事務所というものは仕組まれておるでありましょうか。
  227. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 地方には各都道府県に事務委嘱者を設けて、そうしてそれらのことを御指導願うようになっております。それから学校関係には事務担当者をこの学校に一人一人設けていただいて、その方と連絡をするようにいたしております。したがって、その指導に当たっておるところの担当者の方々が十分に説明会とか、そういう会においでになって理解していただければ、そういうようなことがあっても少なくなるのじゃないか、それを強化するというようなことで、県庁にはいま申し上げたとおり事務の委嘱者を貫いて、わからぬことは都道府県の委嘱者に行ってお聞きしてくださるようにということを申し上げております。そういうふうにいたしております。
  228. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 各県の県庁の議員にこういう事務処理の委託をしておるというようでは、私はとうてい複雑な事務の消化はできない、またスピード化というものも不可能じゃないか、ぜひこの解決のためには地域的に支部を設置する以外にない、そして事務能率の向上をはかるべきじゃないかと思いますが、そのような構想は考えていらっしゃいますか。
  229. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 実はそういう考えのもとに臨時出張所を繁忙期に設けたわけです。実は私どものほうはできることならば支部を設置して、やはり組合員が最も大事な直接関係のあるものは、その現場でなまの声を聞きながら処理したほうがいいじゃないか、こういうふうに思いまして支部設置の委員会をつくりまして検討させてみましたが、いろいろな複雑さがありまして、中間報告を受けますと、各県あるいはやり方によっても違いますけれども、相当な財源を要する。いまの共済組合をもってしてはとうていこれはまかないきれるどころか、とうていやれない、不可能なような何である。したがって、私としては四十一年度のいまこの反省会を開いて、現在行った駐在員の人方から声を聞いておりますが、それによってどこかに一つ支部くらいを設けたい。東京は事務所はございますが、大阪はどこか適当な組合員の一番の要望するところに支部を置いて、それでその他は駐在所で何とかひとつ用を足していきたし こういうふうな実は考えを持っていま検討しておるところであります。したがって、支部設置ということは非常に私ども望んでおるところでございまするが、諸般の事情から全国にそういうものを設けるということはとうてい不可能な状態になっているような現在でございます。
  230. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 しろうと考えですけれども、その組合員がほんとうに不便を感じているその事務所をつくるということは、理事長さんとしてもほんとうにそう思っている、ですけれどもお金がかかる、お金の問題でできないというふうにおっしゃいますけれども、そのお金がかかるというのは結局建物だと思うのですね。でしたならば、いままである私学会館を使うとか、学校自体が不便を感じているのですから、各県の私立学校を使って事務所を設置するというようなことも考えられるように思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。
  231. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) ごもっともなお話でございますが、まず人件費ですね。この間の臨時駐在所を設けただけでもまあ多いところは三人やりました。二人ずつ大体回りますが、二人じゃとうてい足りないところが多いのです。そうすると三人以上ほしい。駐在所で、ある限定された事務を取り扱うにしてもそれだけが要る。それから場所は、これは公立なら公立の学校をお借りするとかいうような、私学はまとまっておる大阪のようなたくさんあるところはいいけれども、地方にいくと散在をしているので、いろいろ地域的に不便やいろいろなまた事情があってなかなか得られない。そうすると、結局どこをするかというような問題で、駐在所も今度借りましたけれども、地域的に非常に不便だったというような批判もございますので、それらのことを考えますというと、これはよほど慎重にやらないと、かえって費用をかけてそうして組合員のためにならないというようなことが起こってはたいへんですから、慎重な態度でこれを考えて、そうして監督官庁に具申して、そうしてそれを実現するような方向に向けていただきたいと、こういうふうな考えであります。
  232. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 今度提案されています改正案の内容について幾つかお伺いいたします。  政府にお伺いいたしますが、長期給付に対する国庫補助金率を厚生年金と同様に百分の二十とすべきであるという文教委員会の附帯決議が昨年国会において決議されましたが、今回出されたのは百分の一にすぎない内容ですが、これらの折衝のいきさつというものはどうであったのか、その理由を伺いたいと思います。
  233. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先年の院の御決議もございますし、われわれも内部的には百分の二十という案を持ちまして種々折衝をいたしたのでございますけれども、結果的に百分の十六ということに落ちつきまして、先ほど来も申し上げましたけれども、公立共済その他と比較して不利な点を是正するということに落ちついたのがいきさつでございます。
  234. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 今度の百分の一というその国庫補助金の率は、金額にしますとどのくらいになるのでしょうか。
  235. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 今度の百分の一の増加に伴う金額は千二百二十九万一千円でございます。
  236. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その金額がどういうことに幾ら使われるのか、その対象人員はどうなっているか、それを種類別に示していただきたいと思います。
  237. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 今度の法の改正点が四点ございます。旧法の平均標準給与五年平均から三年に改正いたします。これに該当いたします方々が四千七百七十八人とわれわれ計算いたしておりますが、所要財源率では千分の〇・四一三でございます。それから旧法の五万二千円の頭打ち撤廃、これの該当者が二百四十八人でございまして、財源率でいくと〇・五七八でございます。それから二十年以上在職者の既裁定年金の引き上げでございます。この分が該当者二十名で財源率でいきますと〇・〇〇一でございます。それから改正点といたしましては旧恩財年金の引き上げがございますが、これは該当者七百五名でございますが、財源は別途、私学振興会からの分がございますので、合計いたしましてこの四種類の改正によりまして財源率約千分の一で処置ができると、こう考えておるわけでございます。
  238. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまお伺いしたその点から、この改正法案によって恩恵を受ける者はほんとうにわずかだと思います。組合員は十数万人いるというのにわずか六千人くらいの程度の者が恩恵を受ける、しかも対象になる者はすでに私学をやめた者であって、現在つとめている私学の教員に対してはほとんど何の関係もない法案である、ごく一部分改正がなされたにすぎない法案であると、こう思いますが、いかがでしょうか。
  239. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘でございますけれども、必ずしもそういうわけでございませんで、今後こういういう計算になりますものですから、過去の人のみでなくて、今後この新しい規定によって全般に、組合員全体に新しい改善の策が及んでいくわけでございます。ただいま申し上げましたのは、当該年度における、本年度、四十一年度における該当者を申し上げたんでございまして、年金制度——共済組合制度は、今後、未来に向かってずっとつながっていくわけでございますので、この改善は全面的に及ぶ、もちろん旧恩財のほうに、過去に限られた方々の問題はずいぶんございますけれども、その点の制度は全般的に及んでいく制度でございます。
  240. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この補助率については、すでに附帯決議において百分の二十ということが示されております。ですから、それにこたえて補助率を今度高めた、それは当然のことであって、さらにこの百分の二十に向かって努力していかなければならないと思いますが、百分の二十というものに対して、具体的に組合としてこの百分の二十というものを実現させるためには、こういうことをやっていきたい、こういう点を改善したいという、実際やっていきたい問題があると思うのです。そして、それに対してそれだけの金額が計算されるんだ、そういうものが示されなければ、この百分の二十というものに対する要求は弱いと思うのです。この点、理事長はいかにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  241. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 一つは既裁定年金の引き上げ、二つ口は高齢者に対するところの年金の在職支給、それから旧法期間に対する新法の適用、大体この方面にそれをいたしますと、二十ということになるわけでございます。
  242. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 その計算はどのようになっておりますか。
  243. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 既裁定年金引き上げが〇・二三二、それから二十七年の十月一日から三十六年の十二月三十一日までの恩給財団の例による年金のスライド式の引き上げ〇・〇七九、それから高齢者在職支給について、六十五歳以上の人を対象とした場合は六・〇〇二、七十歳以上を対象にして実施した場合は一・三五九、そのような割合でいたしますと、いまのような大体二十になるわけでございます。
  244. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 理事長にお伺いいたしますが、事務費に対して、組合の掛け金の一部を事務費に使っているようですが、これをやめて国公共済と同じように全額国庫負担にすべきと思いますが、いかがですか。
  245. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) 予算の範囲内で国からの補助があることになっておりますが、不足する部分につきましては長期、短期の掛け金の中から千分の一ずつ専務費を負担してやっております。
  246. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 全額国庫負担にしようというような積極的なお考えはいまのところはないのですか。
  247. 佐々木良吉

    参考人佐々木良吉君) これは、そういうことになればまことにけっこうな話で、私ら文句はないわけですが、なかなかこれには諸般の事情からみるとむずかしいことが多々あるのでございます。しかし、気持ちはそういう気持ちで向かいたいと思います。
  248. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先ほどから申し上げているように、事務の問題が非常に組合員にとって不便をしているわけです。どうしても事務所をもっと地方につくらなければならない、こういうことを考えますので、組合としても、もっとこの事務費の問題はお考えになって、全額国庫補助ぐらいにするように努力していっていただきたいと思うんです。また、私たちもそれについてはできるだけやるべきだと思っております。その点について、政府としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  249. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 組合の事務費につきまして、現在、一部を国庫補助をいたしておりまして、全額という問題でございますけれども、国共済、地共済、これは事務費は長期からの繰り入れでまかなっておりまして、事務費を全部国で出すということは必ずしもやらなければならぬということもないと思うのでございます。ただ、実際問題といたしまして、私学共済の事務費が非常にかかるということは、先ほど来、理事長からのお話があったとおりでございますので、私たちとしても、この私学共済の事務費の国からの補助金の問題につきましては、できるだけ増額を努力いたしておるわけでございますが、掛け金率の関係がございましたりいたしますので、総体的に事務の運営を見ながらこれを考えていきたい、こう考えておるわけでございまして、たとえば四十一年度の予算におきましても、若干でございますが、これの改善をはかったわけでございます。十分組合の事務費のあり方については今後も検討していきたいと思っております。
  250. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 政府にお伺いいたしますが、国公共済組合法においては、恩給の部分の算定の基礎は本人の最終俸給をとっておりますが、私学共済も同様に本人の最終俸給を基礎とすることができないものかと思いますが、その点、いかがですか。
  251. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 最終俸給の問題でございますが、これは共済組合は全部同じでございまして、三年間の平均という形になっております。ただ国家公務員につきましては、恩給制度から出ておる点がございますために恩給法の系統でくると、そういう点が出てまいりますが、現在は共済制度という点では私学も公立も基本的には同じ考え方をとっておりまして、共済制度の保険数理上現在のやり方が妥当だということで現在なっております。国家公務員の場合には、恩給の系統ということと、現在の共済制度の趣旨というものが恩給と違うということをやはり考えてまいりませんと、非常に的確な比較もできかねると思うのでございますが、その点はひとつ私たちといたしましては考えておるのでございまして、御了解を得たいと思っております。
  252. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 最後に一点お聞きいたしますが、年金のスライド制については、その原則の規定が他の法律によって制定され、私学共済組合法もそれを適用されることになっておりますが、その具体的基準を早く明確化して実施に移すべきだと思います、が、これはいかがでしょうか。
  253. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 年金のスライド制につきましては、今回別個の法律関連いたしまして、一部改正案を提出しておる次第でございますが、御指摘のように、これの実行をはかるためには具体的な措置が伴わなければならないわけでございます。スライド制の方法論につきましてはいろいろな考え方がございまして、国家公務員の場合のように、給与表というものが私学の場合には統一的にできておりませんものですから、いろいろな場合を考えていかなければならないと思っております。従来とも物価水準比例方式なり、あるいは一律の引き上げのしかたとか、いろいろなことを検討いたしておりますが、御指摘のように今回その趣旨が法定されましたので、今後具体策について検討いたしていくつもりでございます。
  254. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会      ——————————