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1966-03-24 第51回国会 参議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時十三分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      鬼木 勝利君     柏原 ヤス君  三月二十四日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     辻  武寿君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 北畠 教真君                 久保 勘一君     委 員                 楠  正俊君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 中村喜四郎君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 秋山 長造君                 小野  明君                 鈴木  力君                 柏原 ヤス君                 辻  武寿君                 林   塩君        発  議  者  小野  明君        発  議  者  鈴木  力君        発  議  者  秋山 長造君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文部省体育局長  西田  剛君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部省大学学術        局教職員養成課        長        安養寺重夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産炭地域における公立小学校及び中学校の学  級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関  する法律案小野明君外六名発議) ○公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。昨二十三日、鬼木勝利君が委員辞任され、その補欠として柏原ヤス君が選任されました。また本日、山田徹一君が委員辞任され、その補欠として辻武寿君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。小野委員
  4. 小野明

    小野明君 ただいま議題となりました産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案につきまして、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  御承知のとおり石炭産業不況は、石炭鉱業の急激な合理化整備を伴い、多数の炭鉱休廃止関連産業の倒産、炭鉱離職者の大量の発生等を招来してきたのであります。この事態に対して、従来から石炭企業合理化対策離職者対策産炭地域振興対策等が行なわれてまいりましたが、離職者生活環境年齢構成技能程度等の諸条件から、他廃業への再就職にはおのずからきびしい限界と隘路があり、また産炭地域に新しい産業を導入することも立地条件その他により容易なことではなく、その実績も見るべきものがありません。そのため、若年労働者技術者等地域外流出が署しかった反面、老齢者病弱者労働障害者災害未亡人等の数多くの離職者雇用機会がないまま産炭地域に滞留し、鉱害その他の産炭地域特有事情と相まって極端な経済的貧困と社会不安による産炭地域の荒廃がいわれてすでに久しいのであります。しかも、この事態は解決されないばかりでなく、ますます、長期化、固定化して深刻の度を深めている現状であります。  さらに、産炭地域地方財政は、炭鉱休閉山によって深刻な打撃を受け、自主財源の枯渇はもとより、失業対策費生活扶助費等の支出の増大、住民の激減による地方交付税減少等によって極度に窮迫している実情であります。このような現状は、当然に産炭地域における教育の面にも強い影響を及ぼしております。すなわち、貧困家庭がきわめて多く、老齢者病弱者等離職者子供たちが、朽ちていく炭鉱住宅で長年にわたる生活保護に依存しながら、それだけでは生活できないため、職さがし、出かせぎ、日雇いあるいは内職等にきゅうきゅうとして、あすに何の希望もなくかろうじて暮らしており、親子離ればなれ生活や、家出、別居、夫婦別れ等日常茶飯事となっており、欠損家庭はきわめて多い現状であります。このような社会環境家庭環境の悪化のもとでは、子供に対する教育は完全に放置されているのであります。したがいまして、学校がすべての教育活動を一手に引き受けなければならない状態の中で、教職員学習指導のほかに夜間の家庭訪問生活指導等に涙ぐましい努力を払っているにもかかわらず、産炭地域における教育は、次のような憂うべき状況に置かれているのであります。  まず、第一には、非行少年問題児増加が著しく、その非行はますます集団化若年化、悪質化している現状であります。福岡県の産炭地域学校における昭和三十九年度非行少年の数は、警察で判明した数だけでも小学校三千四百五十四人、中学校一万百四十八人の多きにのぼっており、このほかにも潜在的に多くの問題児がおるのであります。北海道福岡県では全生徒数の二〇%近い非行少年が発生している学校の例が報告されております。  第二には、長欠、不就学児童生徒の数が多いことであります。福岡県における産炭地域の全就学児童生徒数に対する長期欠席児童生徒数割合は、産炭地域外に対して二倍近い数を示しております。  第三には、児童生徒激減転出入の著しさは、児童生徒の心理に大きな不安を与えるとともに、教師の子供の十分な把握による教育を不可能としております。児童生徒数炭鉱休閉山以前に比べて五〇%以下になった状態はきわめて普通の状態であって、はなはだしい学校にあっては三分の一以下に減少しております。さらに、長崎県の例によりますと、生活の不安定から、転校歴三回から五回といった子供もまた多数存在するのであります。  第四には、産炭地域における児童生徒の体位、衛生状態の劣悪、疾病の著しい増加が見られるのであります。福岡県のごときは、炭産地域において医療費補助を受けた昭和三十九年度準要保護児童生徒は、昭和三十七年度に比べて五〇%以上増加しております。  第五には、産炭地域特殊条件生活環境から特殊児竜生徒数及び促進該当児童生徒数が著しく多いのでありますが、特殊学級に収容されている児童生徒はきわめて少数にとどまるのであります。福岡県の産炭地域についてみますと、特殊教育を行なう必要のある児童生徒数は、小学校において全児童数の一五%、中学校において全店徒数の一七%を占めておりますが、そのうちわずかに小学校三・五%、中学校三・三%が特殊学級に収縛されているに過ぎない状況にあります。このほか、一般児童生徒は、学習意欲に欠ける、怠惰で生活に活気がない、根気に乏しい、注意力散漫で落ち着きがない、情緒不安定で道徳意識が低い、陰うつである、学力の低下が著しい等々、教育危機状況を示しているのであります。  さらに、経済的貧困のため、産炭地域における要保護、準要保護児童生徒数増加は著しく、窮迫した地方財政を圧迫すると同時に、他方、教職員のこれら児竜生徒に対する扶助費補助金等支給に関する事務量のはなはだしい増大をもたらし、学習指導生活指導の著しい障害となっているのであります。ちなみに、全児童生徒数に対する要保護、準要保護児童生徒数割合のはなはだしい例を申し述べますと、北海道においては九四・四%、福岡県においては、七七・七%、長崎県においては六九・四%といった実態があり、四、五〇%を占める学校も数多い現状であります。このほか、市町村財政との関係上、保護の対象とならないボーダーライン層が相当数あるのが実情であります。  以上申し述べましたように、産炭地域における教育はきわめて憂うべき状況にありますが、これが対策については、他の石炭産業不況対策等に比べてほとんど見るべきものがなく、わずかに四十年度から生活指導主事少数配置就学援助費補助率引き上げ等が行なわれるようになったに過ぎません。このまま推移すれば教育の崩壊を避け得ない事態が予想されるのであります。したがいまして、かような教育環境のもとにある最も抵抗力の弱い児童生徒に対して十分な教職員を配置して学校教育維持向上を期し、また、激増した要保護準要保護児童生徒教育に必要な補助をなし得るよう、疲弊した地方公共団体に対し、国が一そうの援助策を講ずることが緊急不可欠のことと考え、この法律案提案する次第であります。  次に、この法律案内容は、石炭鉱業不況による疲弊の著しい地域及びこれに隣接し、当該不況による影響の著しい地域で、別に政令で定める産炭地域公立の小、中学校について、次の特別の措置を講じようとするものであります。  まず第一に、学級編制の基準について、同学年児童または生徒で編制する学級は三十五人以内とする等の特例を定めることによって、不安な教育環境のもとに置かれている児童生徒教育水準維持をはかろうとするものであります。第二に、もっぱら児童生徒生活指導をつかさどる教員を置かなければならないものとし、就学奨励非行の補導等十分な指導をはかろうとするものであります。第三に、養護教諭を必置することとし、貧困家庭急増等により、児童生徒健康管理がきわめて重要となっている事態に対処しようとするものであります。第四に、事務職員を必置することとし、要保護、準要保護児童生徒急増に伴い、扶助費補助金等支給事務が激増し、生活指導はもちろん日々の授業にも支障をきたしている現状を打開しようとするものであります。第五に、義務教育学校における教育教材に要する経費並びに要保護、準要保護児童生徒にかかる教科書費学用品費通学費修学旅行費給食費日本学校安全会掛け金及び医療費に関する国庫補助金補助率を十分の八に引き上げることとし、これによって、窮迫した財政のもとで合理化整備関連して派生する諸般の財政需要や、せっかく措置された特別交付税一般財源のゆえに就学援助費に優先充当することの困難な事情など、援助措置が徹底を欠いている事態の解決をはかろうとするものであります。また、長期欠席児童生徒の中には、通学用品が購入できないため欠席する者が相当多数あり、一部市町村においては貧困財政のもとで、必要やむを得ずこれを支給している実情にかんがみ、これら児童生徒に対する就学奨励措置として、生活保護法による教育扶助費と同様に通学用品費を加え、国がその十分の八を補助することとしております。  なお、附則において、本法施行期日昭和四十一年四月一日とし、昭和四十六年三月三十一日限り効力を失うものとしております。また、本法施行に要する経費は、昭利四十一年度において教職員給与費教材費就学援助費等あわせて約十四億三千二百万円を要する見込みでありますが、そのうち四千五百万円は昭和四十一年度予算に計上済みであります。  以上、がこの法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。
  6. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 公立筒等学校設置適正配置、及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案については、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますが、この際、政府委員より補足説明を聴取いたします。齋藤初等中等教育局長
  7. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 前回の文部大臣説明を補足して、法律案内容について御説明申し上げます。  この法律案内容の第一は、都道府県区域内の公立高等学校の全日制課程及び定時制課程生徒昭和四十一年度総数(これは、附則別表第一に掲げる算式により算定した数の合計数とします。)が、これらの生徒昭和四十年度総数(これは、附則別表第二に掲げる算式により算定した数の合計数とします。)以下となる場合には、当該都道府県区域内の公立高等学校については、現行法より一年早く、昭和四十一年度の第一学年入学者から、現行法附則第五項及び第六項の適用をしないこととし、学級編制標準及び教職員定数標準法律本則に戻すこととする措置であります。この場合の昭和四十一年度生徒総数昭和四十年度総数以下となるということでありますが、その要点は、昭和四十一年の生徒数については第一学年現行法附則第六項による百分の九の補正減を行なわない数とし、第二学年以上は現行法による補正減を行なった数とし、昭和四十年度生徒数については現行法による補正減を行なった数として、昭和四十一年度総数昭和四十年度総数以下となるということでありまして、こういう場合は生徒数の減が著しいと認められますので、昭和四十一年度の第一学年入学者から本則に戻すこととするものであります。この場合の昭和四十一年度生徒総数及び昭和四一年度生徒総数算定方法について御説明申し上げます。  まず、附則別表第一による昭和四十一年度生徒総数算定方法でありますが、昭和四十一年度の第一学年生徒数は、第一学年入学定員の数を生徒数とすることを原則といたしております。ただ、昭和四十年度において同年度入学定員よりも同年五月一日における第一学年の実生徒数が下回っている場合は、その下回っている実績の率を昭和四十一年度入学定員に乗じた数を昭和四十一年度の第一学年生徒数とすることとし、逆に昭和四十年五月一日における実生徒数が同年度入学定員の一・〇六倍以上である場合は、昭和四十一年度入学定員に一・〇六を乗じた数を昭和四十一年度の第一学年生徒数とすることとしたのであります。この一・〇六倍以上である場合に一・〇六を乗じた数といたしましたのは、急増期には一側程度定員外入学を認めていた府県があるわけでありますが、今回の法改正減少期に入る府県の問題でありますので一・〇六で押えることとし、また昨年の実績が一・〇六未満の府県については前述のように入学定員どおりとすることとしたわけであります。いずれにしても、これらの算定方法はなるべく実情に沿うよう配慮したものであります。昭和四十一年度の第二半年、第三学年及び第四学年生徒数につきましては、四十年度の節一学年、第二学年及び第三学年生徒が半年進行をするものでありますので、四十年度の第二学年以上の生徒について、三十九年度から四十年度にかけての学年進行に伴う生徒数減耗率を乗じた数とすることとし、実情に沿うようにいたしました。さらに第二学年以上については、現行法規定による百分の九の補正減をした数といたしております。以上申し述べました各学年生徒数合計数が、昭和四十一年度生徒総数となるわけであります。  次に、附則別表第二による昭和四十年度生徒総数算定方法でありますが、昭和四十年度生徒数につきましては各学年とも昭和四十年五月一日における実生徒数について、現行法により、第一学年から第三学年までの生徒数については百分の九の補任減を行なうこととし、第四学年生徒数につきましては実生徒数をとりまして、これらの各単年生徒数合計数昭和四十年度生徒数といたしておるわけであります。なお、以上の昭和四十一年度生徒総数及び昭和四十年度生徒総数算定におきましては、実情に即するよう全日制課程または定時制課程ごと算定することといたしております。また、生徒数算定において学科補正ということを行なっておりますが、これは現行法において農業水産もしくは工業に関する学科または商業もしくは家庭に関する学科等につきましては、学科特殊性から、教員定数算定上の生徒数について補正増をいたすこととしておりますので、この学科補正をした数を使うこととして法の趣旨に適合せしめたものであります。  この法律案内容の第二は、都道府県区域内の公立高等学校の全日制課程及び定時制課程生徒昭和四十一年度総数附則別表第一の算定方法による数とするときは、附則別表第二の算定方法による昭和四十年度生徒総数をこえる場合において、昭和四十一年度生徒総数につき附則別表第一の算定方法にかえて附則別表第三の算定方法による数とすれば、その数が昭和四十年度生徒総数以下となるときは、当該都道府県区域内の公立高等学校に対する附則第五項及び附則第六項のうち昭和四十一年度入学者にかかる部分適用についての特例を設け、学級編制標準を五十三人、農業水室または工業に関する学科等にあっては四十二人とし、教職員定数算定上の生徒数補正減を百分の六、農業水産または工業に関する学科等については百分の五として、高等学校生徒急増期における経過規定である附則第五項及び第六項の適用を緩和することとする措置であります。  この第二の場合の要点は、第一の場合の算定方法では昭和四十一年度生徒総数昭和四十年度生徒総数をこえる場合において、昭和四十一年度生徒数算定において第一学年については現行法附則第六項による百分の九の補正減を百分の六の補正減として、その他は第一の場合と同じ算定方法による数とすれば、昭和四十一年度総数昭和四十年度総数以下となるときということでありまして、こういう場合は第一の場合ほど生徒数の減が著しくはないが、かなり減少すると認められますので、昭和四十一年度の第一学年入学者にかかる部分について附則適用を緩和することとするのであります。  附則別表第一の算定方法附則別表第三の算定方法の異なる点は、昭和四十一年度の第一学年生徒数算定において別表第一では生徒数補正減を行なわないが、別表第三では百分の六、農業水産または工業に関する学科等にあっては百分の五の補正減を行なうということであり、その他の点は同じであります。  以上、この法律案内容について補足説明いたした次第であります。
  8. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案補足説明聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。本法案に対し質疑のあるお方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣中野文部政務次官齋藤初中局長が出席しておられます。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま補足説明のありました本法律案、これはもうきわめてさしあたりの応急措置でございまして、問題は非常に簡単な問題ですけれども、法律の条文にまとめますと、まことに複雑でわかりにくいわけで、まあここまでまとめられた当局の御苦労には敬意を表さざるを得ない。   〔委員長退席理事久保勘一君着席〕 まあこの問題に関連して若干御質問してみたい。  まず、今度の改正適用によって一学級当たり生徒数が五十人になる、あるいは五十三人になるという府県がどこどこかということの現在の実情についてちょっと御説明願いたいと思います。
  10. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) この法案適用によりまして、五十人標準に該当する予定府県は九県ございまして、冨山、石川、三軍、京都、兵庫、和歌山、鳥取、岡山、香川、以上九県でございます。五十三人の標準に該当する予定の県は十五県ございまして、東京、山梨、長野、岐阜、靜岡愛知大阪、奈良、島根、広島、山口、徳島、愛媛、高知、大分、以上の都府県でございますが、その十五県のうちで、東京愛知大阪は不交付団体でございますので、教員定数につきましての交付税措置とは直接関連を持たないわけでございますが、学級規模標準規定適用を受ける、かように相なっておる次第でございます。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 もしこの改正が行なわれなかった場合、現行法のとおりでいった場合には、相当大量の高等学校教職員の減を来たすということで、それぞれの現地で非常にあわてたわけでございますが、今回の改正措置によってどの程度救われるのか、その実数について御説明願いたいと思います。
  12. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 二十四都府県が該当するわけでございますが、先ほど申しましたように、三府県につきましては交付税との関係を生じませんが、この改正要点は、要するに教員定数財政上の保障がどうなるかという点でございまして、もし現行法のままで改正が行なわれないとするならば、昭和四十一年度において財政的に保障すべき定員の差が約千百二十名の教員定数の減となるわけでございます。今回の法改正によりまして約六行七十人の定数増となりますので、差し引き四百五十人の定数上の減にとどまっております。なお、全国教員定数で見ますと、以上該当いたします二十四都府県以外の県の定数増が約七百五十人ございまするので、このただいま申しました該当府県純減の約四百五十人を相殺いたしますと、全国で大体約三百人の定数増になる、こういう数字になっております。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 この中で不交付団体である三都府県のものがどのくらいありますか。
  14. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 富裕都府県の減は百七十一名となっております。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、さっきの御説明で四百五十人減ということだというお話ですが、それから百七十一引いたものが交付団体の減ということになるのですか。
  16. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先ほど申しましたその千百二十人という数字が減になる、改正しなければ減になる予定だということを申しましたのは、これは交付税関係ある部分だけを申し上げたのでございます。と申しますのは、実際上、大きくいえば財政計画ということに相なると思いますけれども、この法案の直接の影響を受ける数字だけを私ども着目して計算いたしましたので、これは別のものでございます。したがいまして、先ほど、どの程度このままでは減になるか、あるいはこれによって救済されるかという点は、いわゆる不交付団体を除いて考えてみた数字でございます。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、不交付団体を三府県除きますから五十三人の県が二一県と、それから五十人が九県で二十一県、この二十一県で四百五十人減になるわけですね。これは数字の上では一応そういうことになるのですが、実態はどうなんですか、その実態について。
  18. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先ほど増とか減とか申しましたのは、最初に御説明しましたように、あくまでも標準法によって算定されております教職員数、すなわち交付税によって交付税の積算の基礎となるべき数字ということの増減を申し上げたわけでございます。ただいまの御質問の実態との関係はどうかということでございまが、この実数は実は義務教育の諸学校と違いまして、高等学校の場合は常勤教諭等と、それから非常勤の講師というものとが分かれております。これは義務制学校に比較いたしまして、高等学校教職員構成から見て相当あるわけでございます。そこで非常勤職員というものを三分の一、三人で常勤一人というような換算をいたしましても、実数といたしましては多くの府県現行法による減をまともに受けるというようなことではなくて、相当用心して生徒の減算を予想しながらやっている県があるわけであります。したがって短数減による実員のいわゆる首切りというような問題はあまりないのでございます。それからもう一つ、県によりましては標準にかかわらず、もう発足当初から、いわば県単位で相当数の人員を持つという方針をとったところもございます。これは必ずしも標準法の推移ということに関係なく、若干、県で持っているところもありますが、全体の傾向といたしましては、実員の関係はただいま申しました標準数等の内数であるということが言えると思います。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 ほとんど出血はないというお話なんですが、若干はあるということなんですか。
  20. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) これは先ほど申しましたように、高等学校の先生について独自に相当の定数を置くという考え方をとったところもあるわけでございますが、しかし、全体といたしましては、四十年度においても標準法定数に対して実員が相当下問っております、全国的に見ますと。したがいまして、四十一年度教職員定数が若干減少しても、実員まで減少させなければならないという実情にはないと思います。それから、もしかりに、ある部分がかかりましても、これは通常、高等学校教員について年度末におきましては二・五%程度の退職者というものがございまして、それによりまして新陳代謝が行なわれるわけでございますが、今回の改正によってもちろんこの通常の退職率よりも以下でありまするし、ほとんど、減少する県におきましても、定数上のあれを見ましても一%以下であろうと思いまするので、これらの措置によりまして退職者もあり、それから十分新規採用できるという実情にあると思います。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 今回の改正による交付税の増額分というのはどのくらいになりますか。
  22. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) これは交付税は、先ほど申しましたように全国で約三百人の増でございますし、それから先ほど申しました改正によって六百七十五人程度ふえるわけでございますから、これが四億強の数字になると思います。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 それで大体今回の改正の輪郭がわかったんですが、このままでいきますと、四十二年度入学生からこの現行法附則五項、六項というのは一応撤廃されるわけですね。それで四十四年度からはもう完全に一学級五十人という本則に返るわけですがね、そうなるんですが、文部省としてもそのとおり実施される見込みなんですか。
  24. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) この改正によりまして二十四の都府県につきましては今回の改正の効果が順次繰り上がっていく関係になりまして、この点は本年の実情だけについて何らかの意味の行政的措置をすることと、今回、改正法を出すこととの意味が非常に違うわけでございます。で、当然に現行法と、今回の改正が行なわれましたならば、そのくさび型の形におきまして、先生おっしゃったような形で一年早くいくところもあるし、それから現行法どおりそのすし詰めが終息するということもあるわけでございます。ただ、高等学校全般の問題は、これは教育水準維持向上のために今後検討していくべき課題が残っておりますので、教員定数のみならず、あるいは学級規模というような観点だけでなく、種々検討をして改善をはかるべき課題が多くあろうと思います。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 あれは三十八年度から六年間でしたね。この文部省の当初見込まれた三十八年度から六年間という急増期は、その後の実績から見まして大体実態に合ったものですか。一番終わりのところが実態と文部省の考え方と急増期というものと多少ずれろというおそれはないんですか。
  26. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) この点が率直に申しまして義務制学校の推移と非常に測定が困難なところがございます。大体の傾向は誤りはなかったわけでございますが、義務制学校でございますと、これは出生の絶対数というものは即そのまま学校児童生徒数にあらわれますけれども、高等学校の場合には進学率の問題、しかもそれが府県によって過去の実績と将来の歩み方が全く違うという実情がございまして、これが高等学校教員定数を論議する場合に非常にやっかいな問題があるわけでございます。全体、実は概観して申しますと、非常に世間では高等学校生徒が急減するという印象をお持ちでございますけれども、私どもが従来の過去の進学率の伸び、それからことに東北地方のように、あるいは九州の一部のように進学率のおくれている府県の今後の様相を考えますと、べビーブームのはしりの三十八年度のところまではとても生徒数が返らないのではないか、あと五年ぐらいのうちに返らないのではないか。三十八年度が三百八十万台でございました。しかし、このままでまいりますと、四十五年のところでもなお四百万を前後するという数字になって、べビーブームのはしりの年までには返らないという全国的に見れば実情があるわけでございます。ただ、この提案理由にも述べておりますように、府県によりましては、中国筋のようにすでにもう進学率が限界に達しているというようなところもあるわけでございます。そういう地域的なバランス、高校生徒に収容すべき進学率の伸びのバランス、それと絶対数とのからみ合いということで、その歩み方はやや複雑な足取りをたどっていると見ております。   〔理事久保勘一君退席、委員長着席〕 でございますから、先ほど申しましたように全体として見通しとしては狂いがない、ただ進学率についてはやや思ったより上昇の傾向がある。それから地域による出生の状況というものが、三年間をかためてみた場合に、どこにピークがきているかということでバランスがくずれているというような実情でございます。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 おっしゃるとおり地域によってずいぶんでこぼこがあると思うのですが、一番極端なのは山陽筋、山陽道の地域と東北地方あたり、これはもうすでにテンポが食い違ってくる点もあるわけですが、まあ、いずれにしても、全般的にこれはもういまの法律どおり四十四年度からは五十人という本則に返るということになるわけだろうと思うのです。そこで、さらに早く、急減期を迎えているところですが、四十四年度ごろになると、さらに生徒数が減っていって、一学級あたり五十人どころじゃない、もっともっと減っていくところが、だんだん出てくると思うのですが、そうなった場合の教職員の配置等についてはどうされるおつもりなんですか。
  28. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 検討の方向といたしまして、この一つは府県ごとの事情というものが一面、それからひとつは、これは財政問題を考えます場合に、全国的な趨勢という問題があって、高等学校教員定数の問題を考えます場合には、先ほど申しましたいろいろ複雑な要素というものを考えざるを得ないのであります。ただ私どもといたしましては、まあ、とにかく四十二年度以降も、全体といたしまして、とにかく三十八年度のベビーブームのはしりの年までは返らないまでも、若干ずつ減少していくという全国的に見ても事情があります。それから府県によりましては、ただいまお話のありましたように、中国筋のごとき進学率がやや限界に達したところでは、絶対数の減というものがもろに影響を受けるという事情がございます。それともう一つは、そういう時代に即応して高等学校教職員定数をどう考えるかという問題でございますが、ただいまお話のありました学級規模というものも確かに考慮の一つの要素であろうかと思います。しかし、私どもはその要素だけでなくて、今後、高等学校教育自体の進展ということを考えますならば、高等学校のあり方、すなわちいろいろ学科によりましてバラエティーを持たせ、専門的な課程も加えていくという努力もしなければなりません。それから教科担当の教員以外にも、いままでいろいろいわれております、たとえば生徒児童の問題でございますとか、あるいは高等学校にふさわしい学校図書館の整備だとか、いろいろな課題が高等学校についてはございます。それから専門化してくる分野というものがふえますれば、単に学級規模ということでなくして、どういう教職員を充当すべきかということ、教職員組織の厚みの問題として問題が起こってまいりますので、そういうこととからみ合わせまして学級規模の要素、それから構成すべき教職員の要素、その基本になりますところの高等学校教育学科その他の教育自体のあり方、こういうものをすべて並行して検討してまいって、高等学校教育の充実をはかりたい、かように考えております。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 実はあとでその点をお尋ねしようと思ったんですが、局長の御答弁が先回りしてしまわれたので、そのことについてもう少しお尋ねしてみたいと思うのですが、確かにいま局長のおっしゃるとおりだと思うのですよ。いまの標準法のたてまえでいきますと、やはり四十四年度以降になれば、ちょうど小中学校で漸次この学級定員を減らしていっておる、年次計画で。同じようにやはり減らしていかなければならぬと思うのですよ。そうでなければどうにもならぬと思うのですけれども、ただ高等学校の場合に、いま局長のおっしゃるとおりで、いままで、いまの標準法のようなたてまえをどこまでもとっていくということが適当かどうかということ、私はやっぱり問題があると思うのです。高等学校教育内容ということから考えまして、学校設置基準というのがございますね、設置基準には一学級四十人ということがすでに早くきめられておるわけですね。にもかかわらず、それはまあ設置基準は設置基準としてたな上げになったような形で、いまの定数を一学級五十人というのが法律で行なわれておるわけですから、だからまあ順序といいますか、形の上からいいますと、設置基準というものが本来あるべき姿であって、いまの標準法というのはそれに至るまでの特定措置といいますか、過渡的な性格を持ったものだろうと思うのです、その純教育的な立場からいえば。ですから、ちょうど急増期がもう数年後には完全に終わるということで一くぎりつくわけですね。だから、そこらでただなしくずしに、さらに五十人からさらに四十九人に、四十八人に、四十六人にというように手直ししていくべきか、それとももうこの際、もう一度学校設置基準のところまで立ち返って、根本的にやっぱり高校の教職員定数の算出の方法なんかを、あらためて出直すべきではないかという一つの大きい切りかえどきを迎えることに私はなるのじゃないかと思うのです。いままで非公式に文部当局でもそういう点をも見越していろいろ構想を練っておられるやに聞いておるのですが、そこらがどの程度具体化しておることなのか。それからまた文部当局として今後どういう方針でいかれるおつもりなのか、方針までかたまってなければ、心がまえでもいいですが、ちょっとお漏らしいただければと思うのです。
  30. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 高等学校生徒高等学校教育人口という観点から申しますと、大体四十五、六年のところから平準化するだろうと思います。しかし、その数というものは、先ほど申しましたように、一部世の中で言われておりますように、急減という要素ではなくて、せいぜい戻ってもベビーブームのはしりの三十八年までは返らないという実態がある、これがしばらく安定期が続き、その後ベビーブームの人たちが結婚されますと、またそれが小学校から急増で上がってくる、これは相当先の話になりますが、四十五、六年のところが一つの安定期になると思います。私ども、先ほどお話のありましたように、設置基準との関係、あるいは設置基準自体の問題ということも頭に入れなければならないと思います。設置基準は、現行の第七条におきまして、国公私立を通じまして四十人以下ということを定めており、それから二十九条で経過的な措置として五十人以下ということを定めております。これと現行法との関係いかんということにつきましては、すでにこの法律の御審議の際にいろいろ御議論になったところでございますが、当時やはりベビーブームを迎えまして、過度のすし詰めというものをなくしたいということがあったと思います。そういう財政保障的な意味を非常に加えた過程で現行法ができておると思います。もしこのまま学級標準というものを法律で押えないで、それから定数算出限度をあの程度に押えなければ、べビーブームの時期にもっと公立高等学校において過度のすし詰めも行なわれる可能性もあったと思います。その意味で私どもも学級規模の問題につきましても、もちろん検討の課題にいたしたいと思いますが、ただ、先ほど申しましたのは、高等学校教育の性格上、学級規模ということは非常にもう重要な事柄であるのか、それとも学級規模というものは弾力的であって、そしてむしろいろいろ専門化してくる教育時代に即応できるように、教職員組織や設備というもののほうを着目するのか、その両方をにらみ合わせていかなければならないという考え方で検討を加えていきたいと思います。しかし、まだこれにつきましては、われわれの気持ちとして、そういう角度の問題点を出している段階でございまして、いまここで文部省の、あるいは事務当局の今後の検討の方針ということを御説明する段階には至っておりません。加えまして、高等学校教育の問題につきましては、現在、中央教育審議会において後期中等教育の拡充の一環として高等学校の問題についても相当触れられると思います。これは近く結論を得て発表される段階になろうかと思います。その高等学校に対する施策の方向とからみ合わせながら検討してまいりたい、かように存じております。
  31. 秋山長造

    秋山長造君 おっしゃるとおり、昭和四十五、六年ごろが一つの区切りのつく時期である。それからいま局長のおっしゃるように、ただ一学級定員幾らということを中心にして考えていくということだけでは不十分なんです。もう少し高等学校教育のほかの要素を加味して並行的に考えていかなければならぬ趣旨もよくわかるのです。さらに中教審でいま検討されている中教審の後期中等教育の拡充についての答申がいつごろ出るのか、その出方にもよるのですがね、いつごろ出るのですか、その点もちょっと聞いておきたいと思うのですが、またいろいろな要素が出てくるとおっしゃいましたね。いずれにしても、これは高校の標準法の再検討、相当積極的な手直しということでなしに、もっと根本にさかのぼった再検討をしなければならぬという時期が来ているように思うのですが、文部大臣にお尋ねしたいのですが、中教審の答申というのは大体いつごろ出る予定ですか。
  32. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 中教審の答申は、ことしの前半には出る予定になっております。いま局長にも尋ねましたが、大体いままでの検討どおり答申が行なわれる予定と思います。
  33. 秋山長造

    秋山長造君 夏ごろ。
  34. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 局長から説明いたさせます。
  35. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 中央教育審議会は、第二十特別委員会におきまして、主として学校の後期中等教育の拡充という制度面を担当しておられるわけでございますが、これと別に、十九特別委員会で人間像の問題を御検討に相なっております。で、この両特別委員会とも非常に最近はひんぱんに会合を開いておりまして御検討でございますが、まだ私が期日をいつということを申し上げるのは委員会の運営上はなはだ失礼でもございまするので、大臣のおっしゃいましたように、いずれにしても近く、少なくともその中間のものは明らかになり、ことしの前半にはお答えがいただけるというふうに文部省としては期待しているわけでございます。
  36. 秋山長造

    秋山長造君 まあその答申がどう出るかは別として、現行の高等学校設置基準というものがありますね。昭和二十三年の文部省令第一号で出ているのですが、この高校設置基準というのはいま文部行政の中でどういう扱いを受けているのすでか。第七条の「四十人以下とする。」ということがありますが、これは確かに局長のおっしゃるように、剛等学校教育というのはいろいろな要素がありますからね。だから、ただ一学級幾らということだけの議論には尽きぬと思うけれども、しかし、やはりこの一学級幾らということは一つのやはりめどといいますか、高等学校教育を考える場合の一つの重要な基準には私はなることは間違いないと思うのです、まあ常識的に考えましてね。それはいまの働き盛りの高校生は、私はひとつのそういう状態に、男女共学で、しかもすし詰めにして五十人あるいはそれを上回るというような状態でやっていって、他の点がどれだけ考慮されたとしても、それはやはり高等学校教育の効果というものが上がるとは思えぬのでね。やはりそういう意味ではこの一学級のこの定員ということがやはりおろそかにできぬ重要な要素だということは間違いないと思う。現に同校設置基準でも、だからこそ第七条で特にそういうことをぴしっときめられておるわけだと思うのですがね、まあいまの高等学校実情は、高校設置基準にははるかに隔たっておるわけなんですが、当面の目標としてはこの設置基準にすみやかに合わせていこうということであるべきだとも考えるのですがね。まあ歴史的に見れば、設置基準に対していまの標準法というのは一つの暫定的というか、過渡的な扱いをきめた法律だ。本来は高校設置基準にまですみやかに持っていくべきなんだ、いきたいのだということだろうと思うのですけれども、これはどうですか。
  37. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 第一に御質問ありました設置基準が甲号、乙号ときめられておりまして、それが現実にいかなる作用をしているかという点でございますが、これは学校教育法に基づきます基準でございまするから、これは全体として高等学校設置認可をするときに、現実にこれが役目を果たしておるわけでございます。それを認可権者でありますところの府県知事が、この設置基準を見ながら具体的にどう適用していくかということがございまして、これは単に、学級規模ということは一部でございまして、施設設備等、新たに学校を認可するという場合には、この規定はかなり重要な指針になりながらやってまいるわけでございます。それから、この現行法とこの基準との関係ということでございますが、この実質は、その基準というものは、かなりいろいろな要素がございますから、まあどこの部分をどう比較するかと言いますと、端的に学級規模のところと教員定数だけのところと比較することになるわけでございますが、この教員定数の問題につきましては、少なくとも校長、教諭の問題につきましては、これは甲号基準、乙号基準はもとより上回っておりますが、現行法といえども甲号基準に、かなり全日制課程等については接近をしておるのであります。この設置基準と現行法が比較的離れている点は、むしろまあ定時制の問題でありますとか、それからその他の職員、実習助手でありますとか、そういうようなところがわりあいに離れが距離があって、普通の全日制教員につきましては、たとえば七百五十人規模の普通課程をとってみますと、甲号基準によりましても三十六人でありますのが、現行で三十三人となっておりますから、この差はわりあい小さいのであります。で、むしろその他の職員等につきましてのほうが普通の教員の隔たりよりも多いということでございます。でございますから、設置基準自体もいろいろな点で検討すべき問題もあろうかと思います。こう見ますと、やはりこの高等学校教員組織、しかもその基盤になっておりますところの、将来予見をされます、あるいは中教審で御検討に、なっておりますいろいろな多様化、あるいは専門課程の充実というようなこと等の基盤の上で、教職員組織というものを将来検討していくべきものだと考えておるわけであります。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと委員長関連。いまの局長の答弁で、どうもはっきりしないのは、この設置基準の学級四十人というところを、これが知事の認可の基準であるとか、いろいろな説明をされましたし、他の要素の説明もされましたのですが、ここのところが、四十人と規定をしたときの趣旨が少なくとも一個学級生徒数という場合に、普通科の場合は四十人をこえるとほんとうに高校の教育実績があがらないという根拠に立っていると思うんですね。そこのところをたなに上げて、他の条件とそれから教員総数がどうだ、だいぶ近づいたということでは、ぼくは近づいたと思っていないんです。なぜかといいますと、ぼくも離しい統計は持っていないけれども、大体、後期中等教育学級生徒数というものは、諸外国の例を見ましても現実には五十人に近いところも若干あることはあるけれども、しかし規定上は四十人をこえているというところはあまり見当たらないような気がしますね。努力目標としますと大体三十人前後というのが多いという趨勢になっているわけです。大体、教育という立場から見ますと、少なくとも普通課程においても四十人というものに、これはどうしてもいかなければならない数字である。そういう立場で、設置基準に直ちにならぬにしても、四十人ということが規定されてあると思うのです。そういうことを考えてみますと、他の条件ももちろん議論しなければならないし、再検討は要するけれども、今日の状態では少なくとも四十人に持っていくということが一つの努力目標でなければならない、こう考えているのですが、その辺をはっきりと答えていただきたい。
  39. 小野明

    小野明君 ちょっといまのに関連して。いま鈴木委員が諸外国の例ということを言われたんですけれども、わかっておれば諸外国の例をあわせて御答弁を願いたいと思うのです。
  40. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 御質問に直接お答えする前に、現行法との関連を一つだけ御説明しておきたいと思います。義務教育の諸学校が、学級というものの担任というものを非常に基礎におきまして、そして教職員を考えます、ことに小学校のような場合等。それから現行法におきましても、教職員定数をはじきます基礎といたしましては、規定学級の数というものを考えておらないで、これは世界でいろいろな比較上行なわれておりますように、教員生徒の比率というような形で教員数を論ずる、その立て方を一応とっているわけでございますね、現行法。もちろん、それはその背後に現実に行なわれるべき学級組織というものは頭にありますけれども、たてまえとしてはそういう形で現行法も組まれておる。この現行法の表は全部そうなっているわけであります。そこで私どもも、この学級規模設置基準に定められておるので、これをネグレクトしてほかの問題を全部考えたほうがよかろうということを申しておるのではなくて、ただ、高等学校の場合はより学級規模の要素というものだけでなしに、ほかの要素もあわして将来の課題としては検討する必要があるということを申しているだけでございまして、別に設置基準の現行規定の意味とか価値とかいうものを無視するという気持ちは私は毛頭持っておりません。それから諸外国との関連でございますが、私ども手元の資料によりますと、アメリカが、一九六二年の資料で大学の前段階である中学校について見ますと、二十二人に一人、イギリスが二十人に一人、西独が二十一人に一人、フランスが二十一人に一人、それでその比率だけを見ますと、わが国の標準法は、普通科の場合は二十二・七ということになっているわけでございます。  それからもう一つ、中等教育を考えます場合に、まあアメリカは別といたしまして、ヨーロッパ諸国の中等教育というものは、イギリスのグラマー・スクールにしても、ドイツにいたしましてもフランスにいたしましても、わが国の高等学校実態とかなり違っておりまして、一種の高等教育に付設するような教育というものが制度として本筋をなしておりまして、日本でいう高等学校人口ほど多量なものではございませんから、その単純な比較は非常に危険なところがあると思うのであります。その点では、学校教育としてアメリカとの比較のほうが、学校制度を基盤にすればより目安を得るものではないかと思っておるのでございます。そこで、そういう比率というものについて、そう隔たりはないけれども、現実に不自由を感じているのは何かというようなことを、もう少し洗ってみたいと思うのであります。これはあるいは高等学校のそういう教員定数だけの問題じゃなくて、高等学校のカリキュラムの問題自体にあるのかもしれませんし、あるいは学科組織という面もあるかもしれません。あるいはもう少し端的に、学校の管理自体の教員の職務と、それからその他の庶務、会計等の事務というような関係がもう少し整備されなければならぬというようなこともございまするので、以上のようなことをすべて検討の課題として、高等学校教育の向上のために真剣に検討してまいりたい、さように考えているわけでございます。
  41. 鈴木力

    鈴木力君 いまの局長のお話、きわめてりっぱな話なんですがね、まあ外国との比較の場合には、いま局長がおっしゃったように事情がみんな違うと思いますね。ただ、統計からいいましても、直ちに何人に一人という統計が、それが直ちにまた比較にもならぬわけです。たとえば教育職員生徒の数の比較というのと、いまのような学校のいろいろな機構がありますから、学校職員生徒の数の比較、この比較のしかたによってもずいぶん違ってきます。特に実業学校なんかは、相当出てくる数字は、そのどこを押えるかによって一人当たりの数字は違いますから、その点についてはいろいろ検討もあるし、今後の検討を要する点があると思いますが、ただ、今日のいまのこの教育制度の中で、少なくとも高等学校が、これは義務制と違うことはわかります。義務制と違うことはわかりますが、普通科においてはホームルームを単位とした指導授業というのが相当数以上に行なわれていることは、これはもう現実なんですね。それを全部御破算にして、単位制度であるから、単位制度に切りかえるというのであれば、これは最初から標準法から、設置基準から切りかえなければならぬわけで、ホームルームというものを中心にした普通科の普通教育課程をとっておる限り、これはやはり一個学級当たり何人が適当なのかという議論は、他の議論と組み合わせて、だんだんに色が薄くなるということでは、これはどうしても納得ができないわけです。そういう意味では、設置基準をつくるときに四十人とつくったことが相当意味があると思う。四十人でも多いんじゃないかと思うけれども、実情からすると、四十人に追いつくこと、が相当苦労なところですから、だから少なくともいまいろいろ検討を要するとしても、一個学級生徒数が幾らであるべきかという場合には、設置基準、いわゆる甲号ですか、設置基準はこれが当面の努力目標でなければならぬ、学級に関してはですね。その他の条件は、その上になおその条件は検討されなければならない、こう解釈すべきだと思うんですけれども、その辺をはっきりしてもらいたいということなんです。
  42. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 私、先ほど来お答えいたしておりますのは、まあ私の頭に去来しております高等学校というものの検討の課題を幾つか言ったわけでございまして、必ずしもどこに重点を置いてというほどの検討をしておるわけではございません。ただ、私申し上げましたのは、これは機会あるごとに私が言っておりますのは、義務教育と同じ段階で議論するのには要素が複雑過ぎるぞという意味で、いままで申したことを幾つか言って、皆さんの討議の材料にしてもらっているということが実情でございます。いろいろ高等学校の問題につきましては、先ほどのように中教審の問題で、中教審でもお取り上げになるし、それから高等準校長会等におきましても、教育長の会議におきましても、いろいろ議論になっておりますし、また、私どもといたしましては、答申が出るまでもなく、その中で起こってまいります高等学校の多様化の問題というものを予測していろいろな作業も進めておりますので、そういうことをやります場合に、その検討のよって立つ要素というものについて、できるできないは別として、あらゆる要素をひとつやって、どこから先にいくのがいいかということを彼比考量しながらやっていったほうがよかろうという意味で私は申しておるのでございまして、必ずしもこの点を無視して、学級規模その他の点を無視して進めることがいいという気持ちは毛頭ございません。ただ、検討すべき課題はいろいろあるから、どこを先にとっていったらいいかということについては相当十分に論議していく必要があると、こういう意味で私申しておるわけでございます。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 もう一言だけ言わしてください。どうも局長、あまり高度な説明をちょうだいするんで、わけがわからなくなる。私は簡単に申し上げているんです。いろいろ検討しなければならない要素はたくさんあるけれども、いまこの法案に盛られていることは、学級生徒数のところが中心の議論をしているところですから、ここから追っていくと、設置基準の七条にはっきりと四十が出ておる、しかし、いまいきなり四十にいけないので、経過措置としての議論をされているんだが、少なくともそういう議論の過程からして、この場合はどうということは言えないにしても、四十ということにまずいかなきゃならないんだ、学級生徒数からいえば。そういういく過程の中で、いま齋藤局長が言われたようないろいろな教育的な検討はさらに必要だ、そこのところをはっきりしてもらえればいいのだ。そういうことはたなに上げる意思は毛頭ありませんと言っているけれども、話を聞いているというと、そう言いながらどうもかすんでしまうみたいに聞こえるから、四十は目標なんですとはっきり言ってもらえば、それでおしまいなんです。
  44. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 私の立場になりますと、財政上の事情、ことに地方財政に占めるべき役割りというものは相当大きい問題でございますから、検討するのにはいろいろ現実的な段階がございます。ただ、私どもはいまのところ、この学級規模について検討する気持ちがあるのかないのかという端的な御指摘につきましては、これは将来の課題として検討してまいりたい、かように思います。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 局長の立場ではそう説明せざるを得ないとおっしゃるんですから、大臣にちょっとはっきりおっしゃっていただきたい。この設置基準というものがあって、しかもこれがつくられてからもう少しで二十年になる、これはこの前に申し上げた養護教諭等も同じことなんですけれども、少なくともここが、学級生徒数という考え方からすれば、今日の努力目標でなければならないはずだと思います。その点を大臣の立場からはっきりと関連してお伺いいたしたい。
  46. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 関連して。この設置基準の問題、四十人に近づけるというのが理想的なことは私たちもよくわかります。また、そうならなければならぬと思いますけれども、私たち地方におりまして、今度の高等学校急増対策に対して、新しく学級増加しなくちゃならない、新しく学校を建てなくちゃならぬという意味で、各府県が非常に苦労をしていることもよく知っているわけでございます。問題点は、地方で学校関係においても問題にされている学級の人数もさることながら、教科内容、教授内容、教科科目、あるいはいまの教育の中でプラグマチックな、実践的な教育内容が加えられなければならないという声が非常に強いということを私たちは認識しているわけです。先ほど齋藤局長から、教授内容を主とした問題として考えていきたい、教科内容を考えていきたい、それらも当然に考えなくちゃならないのだ、同時に中教審の答申も待っているのだと、こういうような御発言がありましたが、私は設置基準の四十名、五十名というよりも、その点に対して大臣及び局長がどういう考え方を持っているか。というのは、教科内容、教授内容の質的な向上を高める上において、どういう考え方を持っているか。その点は先ほど局長が触れましたが、局長からまず御答弁いただいて、大臣から御答弁いただきたい。
  47. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 中教審の答申を待って具体的に検討をいたしたいと思いますが、教育内容につきましても、あるいは高等学校の目的が、一般教育及び専門的な技能を授けるという目的からみまして、現状はなお、学科の組織、それから学科の中で行なわるべき教育内容、あるいは学校の形態等につきまして検討すべき問題があるというふうに考えております。
  48. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 私はあまりこまかい点は、正直のところよくわかりませんが、まあ大局的に考えますと、日本の教育のあり方は、かけ足で形を一応整えようということでやってきておると思うのです。ですから、どうにか形の整ってきた段階で、根本的な内容の充実をしなければならないというふうに考えておるわけで、設置基準をつくりましたときの四十人というのも、おそらくその当時としてはいろいろな理由があり、あるいは諸外国の実情なども参考にしてきめられたかと思うので、この設置基準のできるときには、それなりの理由があったと思うのです。そこで、問題点は、いまもお話がありましたように、学級規模の問題と、もう一つは教科内容の問題と、それに関連した生徒数に応じた教官の数はどのくらいであるべきか、この三つの問題があると思うのです。現在は確かにこの標準法とそれから設置基準とは食い違っておるわけで、これは本来合致させるべき筋合いのものだと思いますが、いまは要するにまだ発展過程の完了前の状態だと思います。幸い中教審で後期中等教育について真剣に取り組んで、検討を専門家にしていただいておりますから、これらの結論を待って、現在ある諸制度全体を思い切り再検討をする必要があろうと思います。その段階で改善すべき点は改善さるべきであると思っておりますので、今日の段階といたしましては、とにかく実情に合うような配慮だけはしていかなけりゃならないので、このたびこういうような立法措置提案して御審議を願うことにいたしましたような次第でございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 どうもいまの鈴木委員局長質疑応答に端的にあらわれておると思うのですが、これはなかなか議論が尽きぬと思いますが、しかし、とにかく高等学校設置基準というものは生きておるわけですね。生きておるわけでしょう。これはもう寝かせたわけじゃないんでしょう。生きているんですね。生きている限りは、やっぱりそれに近づけていくために文部当局として最善の努力――現実にそれがどこまでできるか、最善の努力をされてしかるべきだろうと思うし、また、そのおつもりだろうと思うのですが、その点はどうですか。これはわかり切ったことですけれども、もう一度確かめておきたい。生きておるのかどうかということ。これもやっかい視して、まあなるべくさわらずに、そっとしておこうということじゃないと思うんでね。
  50. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 設置基準は法律の委任に基づきまして制定されたものでございまして、基準として生きているものでございます。なお、その方向といたしましては、われわれは改善に努力すべきものだと思っております。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 齋藤局長がおっしゃる高等学校の場合、義務教育とニュアンスの違う面が多々ある、一口に言って多様化という角度からやっぱり多面的に検討していかなきゃいけないということはもうよくわかります。私もそう思うんですよ。それはもうそうあってしかるべきだと思うが、ただ、そういうせっかくの齋藤局長の善意が、事実上は設置基準の第七条への努力をおろそかにする口実に利用されるように――結果的にですよ、なっては、これはまことにどうも遺憾のきわみですからね。そういう多様化の努力はもちろんされながら、やはり一番肝心なポイントとしては、この設置基準の第七条、一学級生徒数四十人以下というところがやっぱり一本筋金として通っていませんと、憲法論争みたようなことになって、第九条なんかの問題、議論はするけれども、肝心なところはいつもそっと触れずに避けて通るようなことと同じことになってしまいまして、これはわれわれ社会党――野党がつくったわけじゃないんですからね。これはやっぱり一国の責任ある政府が、文部当局が、こうあるべきだということをお示しになっているわけですからね。つくった人自身が、またそれを日々実践しておられる人自身が、つくりはしたが、どうもいまとなるとなるべく避けて通るという形になっては、これは高校教育の一番基本がもうくずれてしまうわけですから、その点だけはひとつあくまで、高校のいろんな面を考えなきゃならぬが、しかし、その中の重要な一つのポイントとしては、第七条、一学級編制四十人以下が高等学校学級編制としては適当だということだけはひとつしっかりしておいていただかぬと、あとのせっかくいい構想が死んでしまうんじゃないかという気がするんで、まあわかり切ったことではあるが、しかし案外それはわかり切っておらぬかもしれぬ。もう一度その点、文部大臣、ひとつはっきり言明しておいていただきたいと思うんです。
  52. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 私もこの設置基準自体は、文部省が検討して案をつくり、きめたものでありますから、これがおそらく当時の文部省当局の高校教育についての一つの理想の目標であったと、こう見てよかろうと思うんです。ただ実情は、地方財政の問題、あるいは地方交付税の問題等、担当の当局としては方々にらみ合わせながら前進しなきゃならぬということから、皆さんの御質問に対しても、それがいいことなんで、ぜひそういたしますとは簡単に言い切れない実情があるのだと思うんです。したがいまして、文部省としては、実際に進める上で、中教審の意見も求めて御検討いただいておりますが、あわせて地方の教育長とか、教育委員会とか、県当局の地方財政を担当しておる当局の実情やあるいは意見等も十分聴取し、また、しばしば会合の機会もありますから、そういう意見を聴取しつつ改善を期しておるというのが実際のあり方であると思います。したがいまして、私どもとしましては、高校教育というのは、成長期における一番大事な教育でありますから、事情の許す限り、諸般の情勢をにらみ合わせながら理想に到達するために最善の努力をするというのが当然であろうと思います。したがいまして、いずれ中教審の答申が出ましてから、標準法や、設置基準やこれらの関係制度というもの全般について根本的な再検討を要すると思いますが、とにかくそういう新しい結論が出るまでの過程としては、一度定めました設置基準の理想に近づくことに向かって最善の努力をするという考え方で進んでまいりたいと思います。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 もう少し簡単明瞭に大臣の所信を表明していただきたいと思うけれども、多少前置きがついておるのでどうも結論がぼやけるのですが、とにかく高校設置基準に一日もすみやかに、テンポのいかんはこれはやむを得ません。おっしゃるように、いま単に、よろしゅうございます、次には四十人編制で予算要求をしますと言われても、それが予算編成で通るとばかりもいまの状態では率直なところ言えぬから、それは一挙にということはこれは言えぬことはよくわかりますが、とにかく高等栄校設置基準というものは、いわば高等学校についての一つの憲法だと思うんですよ。だから、それではっきり確立をされている以上は、不断にそれに向かって一歩でも二歩でも近づいていこうという努力と意欲だけは示してもらわなければいかぬ。これはぜひそうあっていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。  それからこの機会にもう一つ文部当局の御意向を聞いておきたいのは、いま高校生が急減をしておる府県では、公立高等学校と私立の高等学校との間で生徒の奪い合いのようなことが至るところに出てきていると思うのです。そういうことと関連をして、また別な面から、私立の高等学校の経営難といいますか、せんだって早稲田なんかでも、やはりその系列の問題だと思いますけれども、高等学校でも地方の私立の高等学校というのはその面から一つの非常な難局に立っている、また、それに関連するいろんな付随的な問題が起こりつつあると思うのです。そういう問題について文部当局としてはどういう対策を用意しておられるか、お尋ねしたいと思います。
  54. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 府県によりまして、高校急増期を迎えまして、公立、私学間に役割りを大まかにきめまして、高校生の急増に対処してきたという実績がございます。府県によりましては、公立高校の入学定員と私立の入学者との割くというものについて、妥当な考慮を払いながら、県下における高等栄校全体についての施策を考えておると思いますが、いまお話のように将来減少していきます場合に、私立学校の経営上の問題が生ずるんではないかという点でございますが、これにつきましては、すでに設置されております私学振興方策調査会におきまして、大学問題のみならず、高等学校以下の学校を経営します法人に対する経営上の問題ということで検討をされておりますが、抜本的な対策はその検討の結果を待って措置されると思いまするけれども、いままで現在やっておりますのは、主として私学振興会によりますところの長期低利の融資をするということ、それから設備の関係につきましては、産業教育でありますとか、理科教育でありますとかにつきましては、公私を問わず設備の助成をし、産業教育については施設についても助成をいたしまして、そして私立の学校の一面においては、教育の向上、それから経費の削減ということに役立てたいと思っておるわけでございます。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 いまおっしゃられたことは、いわばこれはもういつの時代にもやっぱりわれわれが質問すれば同じ御答弁があって、それ以上に一歩も出てないわけですが、いまの御答弁は。これは私立大学の問題についても同じ御答弁が出ると思うのですが、そういう従来やってこられたことをそのまま今後もやっていかれるということだけでは、なかなかいまの私業の問題が解決しないから、そこにいろんなトラブルが起こっているんだ。その新しい何か方策があるかということについては、調査会で鋭意検討しておられるということになるだろうと思うのですが、何かもう少しこう変わった新しい効果的な対策というものは考えられませんか。それからまた調査会がいつ結論を出されるかしらぬが、その調査会が結論を出す時期、さらに調査会が結論を出したら答申の形で出るんですか。出れば出たで、それをほんとうに政府は忠実に実行されるおつもりなのかどうか。そこら辺、ひとつこれはそうこまかしい問題でなく、一つの方針に関する問題ですから、文部大臣からひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  56. 小野明

    小野明君 ちょっと関連。いま私立学校の問題が出ましたから、これを私もお尋ねしてみたいと思うのですが、いまこの答申待ちということで非常に明確な答弁が出ない、そういう答申だけを待つんでなくて、執行部としてもやっぱりきっちりした現状分析の上に立って、こうするんだというような答弁がほしいと思うのです。これは私がちょっと調べて見たんですけれども、やっぱり高等学校教育というのは、生徒の数、それから教員の数、学校の数、こういうものが三つ一緒にならないと質が上がってこない、大臣が言われる質が上がってこないと思うのです。それで昭和二十四年を百と見ましてこれらを見ますと、昭和三十九年までのものですけれども、公立の高校では生徒数が二百三十になっています。それから学校の数が百三十九一です。学校の数でも伸びがわりあい少ない。私立の学校生徒数の伸びを見ますと五・六倍になっている、私立高校で。それから学校の数で言いますと一・三倍、ですから、学校の場合は私立の場合も公立の場合もあまり変わっていないということが言えると思うのです。ところが、公立学校に比して私立学校生徒数が五・六倍、倍以上の生徒数をかかえているということになりますと、これはいま秋山先生が指摘されている問題がきわめて大きな問題として考えられてくるわけなんです。その辺もあわせて、私立高校に対する施策といいますか、対策といいますか、どのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  57. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 結果的に結論といたしましては、いまの私学振興方策調査会が、大学、高校とも合わせて私学全体のあり方及び今後の国の助成すべき方策、こういうようなことについて昨年国会で議決されて調査会ができまして、期限が来年の昭和四十二年六月ということになっておりますから、おそくもこの調査会設置期限の六月以前に結論を得て答申をいただけるものと思うのであります。そこで、私学のいま高校教育について受け持っております実情から見ますというと、おそらく生徒数では公立の半分ぐらい、ですから全体の三分の一ぐらいを私立同校が担当しておると思うのです。したがって、その数から言いましても、非常に今後、これは私立だからといっても非常に重要性があると思います。そこで、ここで考えられることは進学率の増加傾向でありますが、現在は四十年が七二%幾ら、四十一年が七三%幾ら、大体四十五年になりますと、進学率は七九・五%になるだろうというふうに実は文部省としては推定をしておる次第で、したがって、急増期はだんだん潮を引いて総数としては落ちていきますが、進学率では相当また上がっていく面がある、こういう点との関係がどうなるかわからない。文部省としては、できるだけ実情を、データを調査会に出しまして、そういう角度から御検討をいただきたい。将来の助成方策としては、やっぱり理科教育とか金のかかるようなそういう施設について援助をするというのが方向としては正しいことと思うのですが、これらにつきましても、具体的にどうするかということについては、目下、調査会が専門的に検討しておるわけでございますから、私どもとしては現在のところ実はいろいろな機会に御質がございましても、思いつきなことはつとめて避けて、できるだけ現段階で正確なデータを調査会に提供するという作業に努力をし、そうして適正な答申をいただいて、その答申を尊重いたしまして、公私立全体を通しての水準のとれた教育の向上に努力をしてまいりたいというように、いまのところ考えておる次第でございます。
  58. 秋山長造

    秋山長造君 その調査会の検討の結果は大体いつごろなんですか。
  59. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 大体、昨年の六月、国会が終わりまして、六月に人選をしてスタートをしたわけでございますが、設置期間が二年間になっております。考えようによっては、二年間の検討というのは長いじゃないかという感じも、私どももしろうととして持ちましたが、なるほどやっていただいております実情から見ますというと、これも勘やつかみで結論を出せるものじゃございませんので、いろいろな実態を調査し、まあ現在では部会を設けまして、大学は大学、短大は短大、高校は高校という実態調査を委員会としてされております。役所として出せる資料は出します。同時に、専門家の人たちが、自分ら自身で関係者を呼んで実態調査をしておる段階でございます。こういう作業を通して正確な、しかも国全体の実情も勘案しながら適正な結論を出すということは、やはり相当期間かかるんじゃないか。とにかく設置期間が来年六月でございますから、五月ごろの時期には必ず答申がいただけるものと私ども期待しておる次第でございます。
  60. 小野明

    小野明君 いま大臣が言われるように、この問題は、やはり進学率という問題がからんでまいりますから、なかなか判断がつきにくいむずかしい問題があると思います。それもよくわかるのです。いまの高等学校に入りたいという、あるいは入れたいという父兄が非常にふえておる。こういう実情から見て、それは困難であるということはわかるのでありますけれども、公立高再校の場合、若干のこういった配慮がされておる。これも先ほどから言われておるように、本則になるべく早く近づけるように、あるいは設置基準というものをめどにやってもらわなければならぬ、こういう新論が出ておるのですけれども、私立高校の場合、この経緯、推移を判断するのがなかなかむずかしい問題だと思うのです。この点に対して初中局長のほうではどのように考えられておるのか、あるいはいま大臣が言われた程度に尽きるのかどうか再度お尋ねしたいと思うのです。
  61. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 抜本策につきましては大臣がお答えしたとおりでございます。ただ、現在までにやってきております、たとえば融資の問題にしましても、あるいは特定の分野の補助金にいたしましても、これは年々かなり努力をいたしております。産振の施設、設備等につきましては、ほとんど希望をまかなえるような状況に現在はできております。ことし五十億のかたまりがございますけれども、その中で十分に私学の要望に沿えるだけの補助金を出すことができるようになっております。それからもう一つは、たとえば実は財政の問題だけでなく、今度、高校生の入学志望者が急減していく場合の私立学校の経営上のあり方というものも、一つ重要なことだろうと思います。これは文部省として直接どうこうということじゃございませんけれども、私、先ほど申しました特色のある学科を編成をし、そうして多様化をはかっていきますれば、これは十分に優秀な志望者を吸引し得る道があるので、そういう学校自体のあり方についても、学卒者は努力をしていただく必要もあるし、また、私どもはこういう問題を議論をする場合には、必ず公立関係者のみならず、私立の関係者も加えていろいろ御協議もし、また、おすすめすべきことはおすすめもするというふうに考えておるわけでございます。
  62. 秋山長造

    秋山長造君 きょうは、この程度で……。
  63. 鈴木力

    鈴木力君 いまの定数の問題は、大体いいのですが、つけ加えまして、設置基準にもあるのですけれども、教科担任のほかに、高等学校定員でいま問題になっておるのは、その他の職種、たとえば養護教諭を名学校に一人ずつ置いておりますが、特に実習助手なんかにつきましては、これは学校教育法にもはっきり出ていないような設置基準で実習助手を置かなければいけない、こういうことになっているのですけれども、この実習助手もまだ非常に足りない、非常に実習助手側からいえばいろいろな問題がたくさんあるわけです。こういうような実習助手なり事物職員なり養護教諭なり、その他の職種の問題の充足についても、これは同時に、この法案とは直接は関係がありませんけれども、相当やはり善処をひとつお願いしたいと思うんですが、これらについての文部省の考え方をひとつ伺いたいと思います。もう一つは、定数とも関係があると思いますが、定時制関係なんですけれども、定時制の問題についてもずいぶん問題が多いわけです。特に小規模学校といいますか、政令二一一号では何か百人以上の定時制が廃止されるのではないかというような、そういう心配を持っている向きもあります。しかし、今日の定時制の問題は、本質的に言っても、勤労青少年問題からいって重要な問題をかかえておりますから、定時制についての御見解もあわせて伺っておきたいと思います。
  64. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 養護教諭につきましては、現行法生徒数六百人以上の学校に一人ということになっておりまして、これは養護教諭は、高校関係義務制と比べまして非常に充足度が高うございまして、わずかな未充足しかございません、定数に対しましては。それから事務職員が、普通の生徒数七百五十人の学校をとりますと二名というのが現行法規定でございます。これらの問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、教職員組織全体の問題として今後改善、検討を加えてまいりたいと思います。それから第二の定時制、通信の問題については、御指摘のとおり、よく私どもも事情を承知しておりまして、従来はまあ定時制の分校として置く実体のないものが、そういうものになっていたという向きも一部にはございましたので、統合ということも当然の行政指導でございましたけれども、農山村等、真に小規模であっても必要な定町制教育というものにつきましては、これを解消することではなくて、これを維持するだけでなくて、充実してまいりたいというふうに考えております。
  65. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 先ほどの定員の問題についての考え方ですが、いろいろの角度から検討されたようですが、私は最初の出発点の問題から考えてみたいと思うんですが、四十名という問題、それは私いつも教育の理想からいって、それはそれなりで非常に有意義である、そうあるべきだと思うんですが、問題は、いま生徒急増から急減になったというが、必ずしもそうばかりは見られないと思うんですが、おそらく今後教育の普及に従って入学者数のパーセンテージは卒業生に比較してふえていくのではないか、この人たちを、できるだけ数多くの人たちを入学きせるというこの観点をまず私は考えていきたいと思うんです。地方における入学難の問題からして、いろいろ勉強のあり方等についてもいま検討を加えられていると思うんです。特に入学者の中で、学校施設の中で工業学校、農学校、商業学校等々の実業教育の施設が非常に劣っている、こういう問題の施設を充実していくことが一つの観点であり、また、教室とか体育館とか、こういうものを充実して、そうしてその教育内容が実践的なものまで踏み込んでいけるような教育体例を整えていくということも、これも一つの問題ではないか。実際これから、現在の進学率が七〇%と仮定した場合に、これを四十五人、四十人と減らした場合には、どうしても新たに学校を増設しなければならないとか、あるいは学級数を増加して校舎施設を増設しなければならぬ、こういう問題を考えてみますと、現在の地方財政の中ではなかなかまかなえない、現在の地方財政の中で、しかも、入学者をできるだけ数多く入学させ、そして施設内応を充実していくと、こういう点に、現時点においては文教行政というものは向けられていかなければならないのだと、こういうことを私は痛感しているわけなんですが、全員入学の方向へのこういった問題に対して、初下中局長はどんな考え方を持っておりますか、これは教育の立脚点の問題ですから。
  66. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 高等学校教育というものは一定の水準がございますから、それぞれの、多様化されましても、とにかく一定のそれを履修し得る能力、向き向きがございます。能力、適性に応ずる限界というものがございます。後期中等教育の問題と申しますのは、単に全日制高等学校だけの問題ではなくして、高等学校以外の教育訓練機関というものも、それぞれの地域において拡充し、その相互がどう連係するかということが中心の課題であるように承知しております。また、高等学校教育内容として、専門的な教育というものを拡充すべきだということについては先ほどお答えしたとおりでありまして、これは抜本策については今後の問題でございますけれども、経過的に見ましても、私どもは産業教育の振興関係の予算をことしは相当基準を上げまして、新たな長期計画に基づいて実施できるというだけの予算がございます。その予算をできるだけ現在の段階では活用いたしまして、産業教育関係の専門分野の施設、設備というものの充実をはかりながら、専門的な教育の向上に役立ってまいりたいと思います。なお、急減という事態にならないではないかという御指摘につきましては、先ほどお答えいたしましたように、世間で一般に言われているほど全国数字ではそうならないのであって、三十八年度の時点に返るか返らないかという程度であります。ただ府県によりましては非常に実情を異にしておる。急激に今後進学率が伸びていくところと、それから頭打ちのところがあるという実情でございます。
  67. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
  68. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  なお、政府側より、中村文部大臣中野文部政務次官齋藤初中局長、杉江大学学術局長が出席をいたしておられます。
  69. 鈴木力

    鈴木力君 いまの問題につきましては、この前の委員会のときにもだいぶお伺いしておりますので、この前に伺ったあとの若干の問題をお伺いしたいと思います。大体この前にお伺いいたしましたことではっきりしておりますのは、これも学校教育法の本刑にのっとって、本来であれば全労校に養護教諭を必置しなければいけない。その上に立って、しかし、いろいろな事情から五カ年計画、あるいは現在の標準定数を充足をするというところに努力中である、こういう方向で伺ったのでありますが、だが、この前に伺いました中に、その五カ年計画でさえなかなか充足をすることは困難だという御答弁を伺っているのであります。そこでお伺いいたしたいのは、この養教を充足をするのに困難である。その困難な事情がどういうことにあるのか、まずお伺いをいたしたいと、こう思います。
  70. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 養護教諭の資格をとりまず内容につきましては、教育職員免許法に規定がございます。その資格を取得いたします方法がいろいろございます。まず、大学、短大で所定の専門の単位をとらなくちゃならぬという問題がございまして、この際、そういう単位をとるような仕組みをするかしないかは、それぞれの大学の任意というかっこうになっているわけでございます。一般に現在のところでは、他の教科の先生の免許資格取得のような用意と異なりまして、大いにそういう用意が各大学で仕組まれるというような状態に、まだほど遠い現状にあるのではないかというような感じがいたしているわけでございます。したがって、資格を取得できる方法というのが、まだまだこれから拡大をされなくちゃならないというふうに考えているわけでございます。なお、教員の資格を取ります際に、実は養護教諭の資格とあわせて、保健の免許状を取るとか、家庭の免許状を取るというようなことに相なりまして、そういう面でも、せっかく資格を取りました者のすべてが養護教諭という職につくということになっておらないというような状態もございまして、いろいろ大学の養成につきましても困難がまだ残っている。それからいま一つの養成のしかたでは、看護婦の資格をすでに取得した人が、さらに一年勉強を特別にして、その上で養護教諭の資格が取得できるという方法がございます。現に、保健婦の養成機関が幾つもございますが、文部大臣がそれを指定をいたしまして、当該指定機関の卒業者で養護教諭の資格を取得できるというような者が相当数現に出てきているわけでございます。しかし、御案内のとおりに、看護婦の需要、保健婦の需要というものもいろいろ逼迫をしております。養護教諭のほうと競合するというような形でございまして、これもやはり確保するのに多少の困難を伴うというような面がございます。かような関係から、国立で特別に養護教諭の養成を目的とする養成所をつくってはどうかというぐあいに考えましたのが、現在御検討願っている本年度から始まる養護教諭の養成所、こういうものになりますと、卒業生はそのまま養護教諭になっていただけるのだというぐあいにわれわれも期待をし、また、そのように、ぜひ卒業生の全員になっていただこうというふうに考えて、いろいろと教育的にも配慮を加えているというような現状でございます。
  71. 鈴木力

    鈴木力君 国立の養成所をつくると全部養護教諭になってもらえる、そういう計算で国立の養護教諭養成所をつくるという気持ちはよくわかるのでありますけれども、私は文部省当局にもう少し配慮してもらいたいことがあるのですけれども、それはいまも安養寺課長からの御答弁にもありましたように、たとえば、保健の免許状を取ると他へ就職脅していくということですが、養護教諭にならないで他に出ていく。この原因は、やはり実は養成制度の問題ではないと思うのです。そういう角度から文部当局にこの原因を追及をしてもらって、できればそちらのほうの免許状を持った者も養教に集まってくるように、そういう配慮をしてもらわなければならぬ時期にきているのじゃないかと思います。そこで具体的に若干伺うのですが、この国立の養護教諭養成所を卒業した場合に、給与はどう考えていらっしゃるのか、まずそれをひとつお伺いいたします。
  72. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 現在の給与制度のたてまえから、三年短大卒業者と同じ資格基準を用いるというぐあいに考えております。
  73. 鈴木力

    鈴木力君 工業教員養成所の卒業生のほうはどういうことになっておりますか。
  74. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 工業教員養成所のほうはすでに法律的にもそういう措置がございまして、三年制短大卒業者と学士との中間というような給与制度になってございます。
  75. 鈴木力

    鈴木力君 その点、工業教員養成所の卒業生のほうは三年卒でも新大卒の一号下というところに位置づけられているのですね。養護教員のほうは三年短大卒ということになりますと、これよりちょっと一号くらい落ちるのじゃないかと思うのですが、こういうふうに差がついてくるようなことは、一つはやはり他に就職することを押えるということにならないのじゃないか、同じ国立の教員養成所ですから。もっともこの工業教員を確保するというあのときの気持ちはわかりますけれども、まだ教員の充足率は、この前伺ったようにきわめて少ないのですから、やはり同じ立場でそういう給与の格づけをするということが、まず基本的に最初から考えてもらいたいことだと思うのです。この点についてひとつお伺いしたい。
  76. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) これは現状の御説明になるわけでございますが、工業教員養成所の卒業生は学士相当の免許資格を取得させるという特別の制度でございまして、したがって、そういう観点から特に工業科の教員の確保というものが困難であるというような関係で、優遇策を講じようということで考えた制度でございます。したがって、その給与につきましても、いまのような特例を開くという形で処理をしたわけでございます。かたわら養護教員養成所につきましても、ほぼ似たような制度の仕組みでもございますし、養護教諭を確保することについての使命、また卒業生を確保することの努力ということについては、いろいろくふうをこらす必要があるわけでございますが、自体この制度は現在の免許法の規定によりまして、他にもこういった類似の制度が可能なわけでございます。したがって、その他の養護教員の養成機関との比較におきまして、三年短大相当というスクーリングによって処理をするのがこの際適当ではなかろうか。特に優遇を講ずるということにつきましては、その他の比較において多少困難であるというような事情もございまして、先ほど御説明したような形に一応いまなっておるわけでございます。
  77. 鈴木力

    鈴木力君 この工業教員養成所の特に優遇策を講じたという理由に、工業教員を確保するのに困難な状態でああいう制度をつくった。そういうことから特にこの学士待遇の資格を与える教育課程をつくって、そうして給与の面でも優遇しておる。養護教員養成所のほうは他との関連もあって、都合が悪いから短大待遇をする。つまりこの前にも私が申し上げたのですが、今日この義務教育学校養護教諭が足りないという実情に対する御認識が、どうも私はやっぱり文部当局は足りないのじゃないかという感じがするのですね。どんなにいま学校養護教諭を望んでいるか、これはあとでまた申し上げたり、伺ったりもしたいのですけれども、たいへんなもう養護教諭に対する希望が大きいわけです。そういう実情に対して、しかも学校教育法には、校長、教諭、養護教諭を置かなければならないとある。これは学校教育法ができる前は校長と訓導だけで教育をやっておった。そのときは学校看護婦というのを置いている学校は町の裕福な学校にしかすぎなかった、そういう考え方から養護教諭を見ていただくと、何かいまのような、文部省当局が事務的に御都合がいいというようなことで、これ以上はしかたがないという結論が出てくるのじゃないかと思うのです。この点は、なお私が申し上げたような立場に立って御検討を願いたいと思います。相当待遇面についても優遇策を講じてやらないと、なかなか養護教諭になり手がないと思うのです。そのことについてもう少し申し上げますが、いまの養護教諭がいない学校が非常に多いということからいろいろな問題があるわけです。たとえば僻地教育という立場から考えますと、無医村という問題があります。あるいは学校保健婦もいない、そういうところには無理をしても養護教諭をやらなければいけないという空気が非常に強いのです。そういたしますと、養護教員の人たちは、特に新しい人たちは僻地のほうに赴任させられるという人がどんどん出てきている、そういう形にいまなっているときに、他よりも待遇が悪いということでは、これは養護教員にはならないほうがいいという気持ちが出てきますから、だから、たとえば保健なり、そういう他の免許状を取得できれば、できるだけ勤務の条件のいい他の免許状を生かす方向に向いていくというのは、これは当然の話だと思う。そこで、そういう意味から現在の養護教諭が、今度の卒業生ということではなくて、現在の養護教諭がそういう待遇を受けている、そこから来ているんじゃないかということも考えられるわけです。そこで、いま養護教諭がいろいろな形で兼務させられている。給与ばかりではなしに、仕事の面において兼務させられているということを、養護教員の側からいいますと、非常に大きな芳情の一つになっているわけです。兼務の形はいろいろあると思います。養護教諭の仕事と他の学校業務の兼務という問題が一つあります。それからさっき申し上げたように、僻地の学校に赴任したりした場合には、二校以上のかけ持ちという熊状もあるわけです。こういう兼務の実態について調査されているものがありましたら伺いたいと思います。
  78. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) ただいまのお話の公立養護教諭の他の教科の授業の担当の実態でございますが、特に中学校の場合に、それぞれの保健体育あるいは家庭、こういうものに授業担当をある程度の人間はいたしております。資料が古うございますが、昭和三十四年にこういうきわめてこまかい調査をしたものがございまして、約七百人程度の人が保健、体育をさせられている、家庭の担当を約七十人の人たちがしている。その他を含めまして約八百人程度の人が他の教科の授業の担当をあわせてやっている、いま現状をいろいろお話がございました中には、養護教員の資格と同時に、保健の免許状を取っているという人もおりまして、さらにこの実態、詳細の勤務の量というものは、私は実は詳細を知りませんけれども、そういう点では、単に養護教諭だけでなしに授業の担当もあわせてやっているという実情はございます。
  79. 鈴木力

    鈴木力君 二校以上の……。
  80. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) かけ持ちの状態は、われわれのほうで実情を確認いたしておりません。
  81. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、これは私のところにも統計がございません。統計はありませんが、少なくとも私の郷里のような僻地の多いところでは、これはもう事実二校ないし三校かけ持ちをしているという例はあるのです。養護教諭その人に言わせれば、村の実情なり、あるいは僻地の地域実情なりを考えると、これは辞令をもらうとかもらわぬとか、それから労働過重とか過重でないとか、そんな理屈を言う前に、やはり教師の良心としてやっておるわけです。ところがそのために、僻地というのは学校学校の間とか、いろいろな悪条件が重なっておるのですから、その条件で自分で犠牲になりながらあくせくとしてやっておる。そういう人たちの気持ちは、やっぱり機会があったら、もう養教はやめたい気持ちを持っているのですね。たとえば保健の免許状を持っておれば、どこでもいいから保健の学校の先生になりたいという気持ちになる、そこまで追い込んでいると思うのです。養護教諭定数が非常に少ないものですから、転任したいと言っても、転任はまた条件が限られておるでしょう。そうすると、結婚した場合には転任が不可能だからやめるというような現象が出ている。こういうようなことがありますから、この兼務の問題については、文部省で調査なさっていないとしたら早急に調査なさって、これは養教は兼務をすべきでないという立場からの早急な御指導をお願いしたいと思うのですが、どうですか。
  82. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 養護教諭になりまして、養護教諭の職務をやっておる人が、実は中学校の場合でございますと、保健の免許資格がとれるというようなのが通常でございます。したがって、各学校で保健の授業もやるというのは、先ほど申しましたように、数にあらわれておるようにわりと多いわけでございます。かたわら中学校の保健体育という教科を――保健の領域というものは二年、三年が授業を受ける、一年は授業がないというように、実は保健体育の教科の中のあるごく少数の時間が割り振られておる。したがって、かたわら体育の先生というのでいろいろやりますけれども、保健の領域だけを特に養護教諭の先生にやっていただくほうが、むしろうまくいくんじゃないかというようなお考えが学校によってはあるのじゃないか。また実態もあるのじゃないかというような感じがいたします。そこで、実は類似の養護教諭養成所の卒業生にも、二年で二級の養護教諭の免許状を取得できるわけでありますから、特に終了年限を三年にいたしまして、あわせて保健の免許状もとれるように仕組もうというようなことにしておるわけでございます。そういう構想で、養護教諭の先生方が一般の教科の先生と伍して、ある教科の領域を担当されるということも意味があるのじゃないかというように考えたわけでございます。たまたま前年、衆議院の文教委員会におきまして、その趣向はたいへんけっこうであるとおほめにあずかったやに記憶いたしておりますけれども、だから便利であるからというので、労働過重にならぬように文部省は指導せよ、こういう附帯決議をいただいたわけでございまして、先生のいまお話の点はそにあることを拝聴いたしております。われわれのほうとしましても、御説を体しまして、そういうことによく注意をいたしたいと思っております。
  83. 鈴木力

    鈴木力君 私は保健の免許状を授与することに反対だとは言っていない。これはできるだけの免許状を獲得させるような教育がいいと思います。ただし、免許状あれば使ってもいいという考え方でものを言われると、これは教師はたまらないというのですよ。養護教諭の仕事というのが主たる仕事でしょう。養護教諭になって採用されているのだし、お前は保健の免許状もあるから、保健の授業もするのがあたりまえだ。こういう立場で文部省が出られるということに対して、現地にいる養護教諭が悩んでおるということを私は申し上げたのです。現職の養護教諭はつとめて養護教諭に専念できるような指導を文部省はすべきではないか、こういうことなんです。養護教諭が充足してくれば、そうして保健の教諭にもなる、まあ保健の教諭にもなれるような道は当然開いておくべきだ。しかし、どういうことで、ただ文部省が労働過重にならないようにと一言言っておけば、兼務の状態でも労働過重にならないというような、そんなあいまいな栄校の仕組みではないということをわかってもらいたいと思うのです。それから私が申し上げたいのは、それよりも深刻なのは二校以上の兼務ですね。私どもの知っておる限りにおいては、辞令はもらっておりません。辞令はもらっておらないが、おまえはあの学校も一緒にやれという実情が相当あるわけです。このことについても、おまえは免許状を持っているのだから、しかも、何々県公立学校何とかという免許状を持っておるのだから、二つも三つもやっていいという考え方にまさか立たないと思いますが、もしそういうことが調査の上あったら是正できないかということをいま聞いておるのです。
  84. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) ことばが足りませんで恐縮でありますが、前段につきましては先生のおっしゃるのと全く同様のことでございまして、そういうようなつもりでいまお答えをいたしたつもりでございます。後段のものにつきましては、われわれのほうでも調査をいたしまして、御趣旨のように措置をとりたいと考えております。
  85. 小野明

    小野明君 関連。私はこの法律案についてどうだ、こうだということじゃないんですが、いまお話の中で、養護教諭の勤務の実態ですね、そういうものを御存じないというような御答弁があったかと思いますが、そうですが。
  86. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 先ほど鈴木委員のお尋ねに対しまして、他校とのかけ持ちがどういう状態であるか、他の教科をあわせて負担しておるが、負担量の詳細、こういうことにつきましては、私どももまだしかと実態を把握しておらぬというようなお答えを申し上げたわけであります。
  87. 小野明

    小野明君 そうしますと、三校かけ持ち、あるいはいまあげられたような以外について、学校でどのような仕事をされておるかというような調査をおやりになったことがありますか。
  88. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 具体的に学校でどういうことをすべきであるかというような内容のことは、実は体育局のほうでいろいろ教育委員会等に指示いたしております。その実態についての調査等は実は私のほうではやったことはございません。
  89. 小野明

    小野明君 養護教諭の配置をされている学校というのはきわめて少数なわけでしょう。これは三十九年の「文部統計速報」で見ますと、公立小学校で二万五千五百四十九校配置をされていない。公立中学校で八千三百八十校、七五・七%が配置をされていない。これをいまの指定統計、学校全体から見ますと、小学校ではほぼ二万六千校、中学校で二万八千数百校ぐらいになるのですけれども、そのうち配置されていない学校のほうが、六三%なり七五・七%であるとしたならば、調べるほうがごく簡単です。非常に少ないわけですね。これの勤務実態をあまり御存じない。数字に誤りがあれば御指摘を願いたいと思うのですが、これを知らないというのは怠慢じゃないですか。それで、続けますけれども、いま申し上げた数字に間違いないとすれば、小学校の場合に残りの、残りじゃない、六三%なり、あるいは中学校で七五・七%、この大部分市町村費なり、あるいは市費でやりくりされているのだと、こういうことが言えるわけです。これはやはり重大問題です。大臣、これはいま学校の校舎も狭いとか、あるいは古い、あるいは多くの子供がおりますから、千名以下の学校あるいは中学校というのはきわめて多いわけですね。ですから、こういう大きなパーセンテージになるわけですよ。そうなりますと、遊び盛り、元気盛りの子供ですから、毎日けがをする子供も何人かできる。あるいは最近はいわゆるメンスの年齢というのが下がっているわけです。これは私が養護教諭の先生に聞いたのですが、平均が、安養寺さん知っておりますか、小学校の五年ですよ。私も娘を持っておりますが、これが大きな失敗をしたことがある。五年が平均なんです。委員長びっくりしたような顔をされておるが。それで小学校で六三%の学校に不在なんというのはきわめてたいへんな問題なのです。しかも学校給食、学校給食云々ということを言いますけれども、大半は養護教員の先生がやっているのですよ。非常にこれはやはり任務が過重になっているということが言えるし、こういった面から見ましても急速に養護教諭をやはり配当していく、あるいは埋めていく、養成していくという措置をとってほしいということを要望したいと思います。以上です。
  90. 鈴木力

    鈴木力君 それで、さっきの続きになりますけれども、私はいまの五カ年計画、文部省で五カ年計画を充足すると、こういっているのですけれども、もう一つの面から配意してもらいたいのは、いまいる養護教諭の年齢層ですね、こういう問題について、文部省で御検討なさったことがありますかどうか伺いたいわけです。と申しますのは、養護教諭の採用はこの制度がなかったときに採用したものですから、したがって、他のいろいろ看護婦の経験者でありますとか、そういう他の経験者の方たちにいろいろな施策をほどこして養護教諭に採用したというケースが過去にあるのです。それからいろいろ各県で苦労して養成をしてはきておりますけれども、そういう年齢層の人たちのやめていく時期というものが、ある時期には相当かたまってくる時期があるのではないか。こういうことも考えますと、いまの五カ年計画や、あるいは今度三校の養成所を設置したと、こういう形ではとても、本則では充足するのが目標でございますと言っても、計画それ自体すらやることは、充足することは困難になると思いますから、そういう点についての配慮なり、あるいは調査なりされていることがあったら伺いたいと思うのです。
  91. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 計画の全体をつくります際には、新規の定数増と現におられる人の減耗の補充分というものが充当すべき総数ということになるわけでございまして、現在私のほうで考えております減耗の補充率は、現におられる養護教諭だけの減耗を一応算定をいたしまして、約三%というように考えているわけでございまして、現に小中学校に勤務しております養護教諭の年齢別の調査もいたしてございます。
  92. 鈴木力

    鈴木力君 全部ですか。
  93. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) はあ。
  94. 鈴木力

    鈴木力君 それで、そこからどういう見通しを持っているのですか。
  95. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 現在、公立の小中学校養護教諭で勤務しておりますものが一万一千四百名程度でございます。二十九才以下が約三千名で二六%、三十才から三十九才までが四王三百名約三八%、四十才から四十九才までが約三千で二七%、他の約千名弱の全体で言いますと九%の人が五十才以上という形になっております。一般の小中学校の女子教員の退職率、現段階のと比べますと、実は中栄校の場合でございますと、養護教諭の女のほうの退職率は高こうございますけれども、小学校の場合はほぼとんとん、したがって、一応現在の段階では、この当面の計画を立案する際には三%程度の減耗というものを基礎におけば一応いいのではないか。その後いろいろとまた調査をいたしまして検討して、将来の充足計画を持ちます際には、お話のように、なお、しさいに検討を要するだろうと考えておるわけでございます。
  96. 鈴木力

    鈴木力君 それでは最後にちょっとお伺いをしたいのですが、先ほど伺ったように、三年制の養護教諭の待遇については工業教員養成所との待遇の差がある。これはこういう法律をつくってこれを実施するということになれば、そういう条件があるからやむを得ない、こういうふうにおっしゃっているけれども、私は、だからそういう観点からして将来この教員を養成するという機関は、文部省がつくる場合に、三年制というようなことをせずに、やはり四年制の大学にして、ほんとうの教育課程を終えた教師と同じ資格を与えてやる。そうして優遇措置を講じてやる。こういう方向についてひとつ検討してもらいたいと思います。これが第一の要望です。それからいまの充足計画については、前に大臣もあるいは局長もお答えになっていらっしゃるように、少なくとも義務制についても全校必置をしなければいけないわけです。かりに五カ年計画が完全に成功したとしてもまだ四十数%にしかならない。こういう状態ですから、全校必置を目ざしてやります場合、もうすでにいまから抜本的な検討を開始されて、できるだけ早く全校必置になるような方途を御検討願いたいと思います。具体的に申しますと、少なくともいまのような養成所の数とか募集人員とかでは、これは焼け石に水というと少しことばが過ぎますけれども、非常に足らない。何にもならない。これは文部省に要求をして、要求したのが大蔵省にいれられなかったという話もございますが、この前のそういう話でしたが、どっちがいい悪いということではなしに、もっと大幅な養成制度の拡充ということについても全努力をあげてもらいたいと思います。それからいまつとめておる養教の人たちの勤務条件については、特に兼務の問題は、養教としての労働の問題はこれも考えてもらわなくちゃいけないけれども、兼務という事実があるために、なお非常に労働過重になっておる人たちが相当数いるということなんです。こういうことについては、先ほども、御答弁をただきましたけれども、早急に調査をされて、そうしてこの兼務をつとめて解除をされるように御指導いただきたい。こういう形で養教という仕事が魅力ある仕事に切りかえてもらうことによっていまのようないろいろな困難な諸条件も克服できる一つの道でもあると考えますから、そういう意味からも御努力をお願い申し上げたいと思います。  以上、要望を申し上げまして質問を終わります。
  97. 秋山長造

    秋山長造君 五カ年計画というのは生きているんでしょうね、これ。
  98. 杉江清

    政府委員(杉江清君) これは三十九年からの計画として、私どもの目標として現に生きている計画でございます。
  99. 秋山長造

    秋山長造君 五カ年計画は三十八年度からですか。
  100. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 三十九年から四十三年までの計画としておるわけでございます。
  101. 秋山長造

    秋山長造君 教職員養成裸からの資料が出ていますね。この資料の最後のページに、都道府県別、公立小中高等学校別養護教員配置状況という全国都道府県の一覧表がありますね。この最後の計のところですが、そこに学校数と養護教員実数が書いてありますが、その養護教員の数の中で、五カ年計画によって充足したものが町名いるかということはわかりますか。小中高についてわかればちょっと数字を言っていただきたい。
  102. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 三十九年度から四十三年度まで約五千二百の充足計画でございます。これが三十八年度実態の上に立った五〇%の増の計画でございます。三十九年度は七百、それから四十年度が九百八十、それから四十一年度が千百二十、それから四十二年度、四十三年度でそれぞれ千二百ということを想定しているわけでございます。
  103. 秋山長造

    秋山長造君 それはいいのです。その計画でなしに実績です。これは数字が出ておるでしょう、小学校は八千二十三人、中学校三千三百二十四人、高校が二千九百二十六人、これですね。この数字の中で、この五カ年計画によって今日までに、この四十年五月一日の、これは学校基本調査ですか、そのときまででいいのですがね。その調査が行なわれたとき現在で、この数字の中でこの五カ年計画で充足したものが何人、実績として何人この中に含まっておるかということを知りたい。
  104. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先ほど三十九年度七百と申しましたのが実績でございまして……。
  105. 秋山長造

    秋山長造君 小学校だけ。
  106. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 小、中合わせてでございます。三十九年度に計画として組織しましたのが八百五十です。そのうち先ほど申しました七百が充足をされた。四十年度は千三百を計画としては織り込んで、それが九百八十という実績でございます。四十一年度は計画といたしまして千百二十、それから四十二年千二百、四十三年千二百というふうに計画しております。
  107. 秋山長造

    秋山長造君 あの高等学校のほうは五カ年計画に入ってなかったのですか。
  108. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 高校定数のほうは経過規定で埋めていくという考え方をとっておりませんので、これは年次計画というものではございません。ただ、すし詰めの経過措置のために若干触れますけれども、これは二十数名とか、微弱なものでございますから、義務制のような経過措置はございません。先ほどお答えいたしましたように、この高等学校における養護教員財政措置と、それから実数とはほとんど差がございません。
  109. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会