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1966-02-24 第51回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十四日(木曜日)    午前十一時二十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 千葉千代世君                 松永 忠二君     委 員                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中上川アキ君                 中村喜四郎君                 山下 春江君                 秋山 長造君                 小野  明君                 小林  武君                 柏原 ヤス君                 林   塩君     国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省体育局長  西田  剛君        文部省管理局長  天城  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (昭和四十一年度文部省施策及び予算に関す  る件)     —————————————
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査中、昭和四十一年度文部省施策及び予算に関する件を議題といたします。  質疑の申し出がございましたので、これを許します。松永忠二君。  なお、政府側からは中村文部大臣中野文部政務次官斎藤初等中等教育局長西田体育局長天城管理局長が出席しております。
  3. 松永忠二

    松永忠二君 私は、いまお話のありました文部大臣施策方針、それから予算案等について問題な点を少しお聞きをしたいと思うわけです。  まず最初に、教育予算というのは、非常に不況の際には一番先にしわ寄せを受ける、あるいはまた財政が非常に逼迫をすると最初に非常なしわ寄せを受けるのは、やはり文教関係予算だというふうに私たち常識的には考えているわけでありますが、大臣は、本年度予算考えてみて、こういう点についてどういうふうなお考えを持っておられるのか、やはりそういう御心配があるというふうに考えておられるのか、あるいはまた、そういうことは全然文部省予算に関しては心配がないというふうに考えておられるのか、こういう点を、ひとつまず最初にお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 結果的に、先般御報告申し上げたような文部省関係予算にきまったわけでございますが、私どもその過程におきましては、いろいろ実情を財政当局にも説明し、努力を続けてきたわけでございますけれども、ごらんのような結論になったわけでございます。なお、希望としましては、まだまだ達成をいたしたい点も多々ございますが、結果的にはいろいろ人件費等を差し引きまして、先般申し上げたように約一五%幾らかの伸び率になりましたので、やむを得ないところであると観念をしておる次第でありますが、努力の不十分な点もあったことと思っております。
  5. 松永忠二

    松永忠二君 私たちが常識的に考えていたことを調べてみると、やはりそういう傾向がずっと出てきているというふうに私は考えるわけであります。これは昭和三十八年から昭和四十一年までずっと考えてみると、一般予算に対する文教予算状況、特に文教予算増加率というのを調べてみると、昭和三十八年は二一・一%であった。昭和三十九年は一八・三%であった。昭和四十年は一五・六%、昭和四十一年は二二%になっているわけです。それからまたその補正予算に、比べてみて、その補正した後の予算に対する増加の率とを比べてみても、昭和三十九年が一五・一%、四十年が一一・五%、四十一年が八・五%というふうに、いずれも、これには国立学校特別会計等を入れて出されているわけでありますが、増加率がずっと下がってきている。補正についても増加率が下がっているし、ことしあたりは補正予算に対してのものは八・五%ということで非常に下がって、やはり不況の際における文教予算しわ寄せ、特に、景気を回復しようなどというときには、まず文教予算のほうはあと回しという傾向が明確に出てきているというふうに私たちは思う。こういう点については、すでにお気づきになっておられて、こういう問題について御心配を持っておられるのかどうか、そういう点。ただ、本年度増加率が低いというだけではないように私たちは思うわけですが、この点いかがです。
  6. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 総体としての予算総額伸び率は、御指摘のとおり二二%になっておりますが、これは義務教育国庫負担金給与費関係がありますので、人事院勧告ベースアップの率が高いときには、総体としての比率が高くなりますし、本年は前の年に比較しまして、人事院勧告ベースアップの率が低かった関係もありまして、先ほど言い間違いましたが、この義務教育費国庫負担金給与費を除いた一般会計伸び率で申しますと、一七・五%になっておるようであります。総体として、いろいろ私どもも不満足の点が数多くあるわけでありますが、全体の予算伸び率に比較してやむを得ないところである、かように実は考えておるわけでございます。
  7. 松永忠二

    松永忠二君 この数字の出し方に少し問題があるわけですが、かりに譲って、義務教育費国庫負担金給与費を除いたものが一七・五%としても、一般会計伸びは一七・九%、一七・五%は低いです。いままで文教関係予算一般会計予算伸びに落ちたことはない。そういうような点でも非常に低い。いま給与費を除くというお話がありましたが、給与費が確かに本年度は五十三億、昭和四十年度伸びよりも低いことは事実だ。しかし逆に六十二億八千万の国市債務負担行為が片方に出てきておるわけです。それよりも多い金を国庫債務負担行為にしておいて、国庫債務負担行為も実は予算の総計に入れてあるわけだ。だから一七・五%というのは、給与費を除けば一七・五%。それでも一般会計予算伸びよりも低い。給与費増加は確かにことしは少なくなったが、その増加よりももっと多い増加のものを今度の国庫債務負担行為で認めているわけです。そうなってくると、やはり総体的に昭和四十一年度文教予算伸びというものは、ことしだけじゃありませんが、順次だんだん下降状態をたどっているということは事実なんです。これは単に国の予算だけじゃないのであって、地方文教予算というものもそういう傾向を見せてきていることは事実なんです。だから、やはりこういう点に文教責任者である文部大臣は広く目を注がれて、こういう傾向についてやはり心配をされると一緒に、十分な御努力をいただきたいと思うのです。で、ここにあげてある何か給与費を除いた一般会計予算増加額は一七・五%だが、全体は一三%だからと、こういうふうな印象を受けますけれども、その一三%ということになれば、一七・九%が一般会計伸びですから非常に低い。給与費を除いても一七・五%で、やはり一七・九%より低い。給与費そのものがさつき言うとおり、それより多いものを国庫負担債務行為で本年度は認めているということになる。しかも、さっき申しましたように、もうことしだけじゃなくて、二一%から一八%、一五%、一三%、順次下降してきているということは認めざるを得ない一つ傾向だと思うのですよ。で、やはりわれわれがいつでも心配しているように、さっき申しましたように、もう景気が悪くなれば、まあまあ学校のことなどあとにして、景気回復のほうへ力を入れるほうがいいのだというような、こういう傾向が常識的に出てきたり、あるいはまた非常に不況に伴って、こういう関係予算が少なくなってきているということをやはり強く認識をしていただいて、こういう概算説明などにも、こういうことを除けば一七・五%だということじゃなくて、順次こういう状況文教予算というものが下降状況にあるので、十分にやはり努力をして文教予算の獲得に努力しなければできないという、そういうものをむしろ書いてもらうほうが、われわれ、特に文教委員会に対する一つ説明としては適切なものじゃないかという感じを受けるわけなんです。こういう点について、やはり大臣の特にこういう点の認識を明確にしていただいて御努力をいただきたいと私たちは思うのであります。その点について大臣のお考えをひとつ聞かしていただきたい。
  8. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 総体として、私ども文教予算というものは、本来文教重要性にかんがみまして、他の伸び率よりはむしろ高いぐらいにあるべきものである。したがって、現状のような状況にありますことはまことに遺憾にたえないし、われわれ今後とも最善を尽くし、また常時から財政当局に対して文教関係予算緊要性説明し、趣旨を徹底いたしまして努力を続けてまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。特に四十一年の予算編成につきましては、まあ大蔵省編成方針としましては、不況打開景気刺激不況打開ということが大きな目標でありましたことは御承知のような次第で、したがって、予算で一番伸び率も高いし、たくさんの金額が食われておりますのは建設事業であると思います。したがって、そういう方面に多くを取られまして平均伸び率を下回っておるということは、私どももまことに残念に思っておる次第でございますが、今後とも十分に文教関係予算を充実してまいることに最善努力を尽くしたいと思っております。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 そこで文部大臣所信について少しお尋ねをいたしますが、私はこの所信の中に出ていない点で、いま文教関係で非常にもう大臣として留意をして、努力をしていただきたいという点を一、二あげたいと思うんですが、その一つ父兄負担の重さという問題がある。実は私たちいろいろなところを回ってみまして、新たちはこれ以上学校費用がかかってはたまらぬというところへきていると思うのです。特に子供のことであるので、教育のことともなれば相当な負担があってもがまんをしているというのが実際の状況であって、そういうところをうまく利用してというか、他の事業に比べてみると、文教関係にはいわゆる父兄負担なり税外負担なり、超過負担というのが非常に多いというふうに私たち考えているわけなんです。そういうことについても、これ以上やられてはたまらぬという気持ちを持っているわけであります。いろいろな面からそういうふうなものが積み重なってきて、昨日も緊急質問にあった私学などの問題も、私はこれの例外ではないと思う。実はどうして一体この教育費負担軽減をしていくかということは、やはり緊急の課題だというふうに私たちは思うのであって、こういうことについて、大臣がやはりそういう面についての御努力なり、関心を持たれて努力をしていただくということが、非常に私たち必要なことだと思うのです。で、私が一、二大臣に申し上げたいと思うのは、前に私が公立学校施設建築の問題について非常に補助金が足らないための超過負担補助がつかないけれども現実には学校を建てなければできないために、出すところの税外負担、こういうような問題について、一度資料を出してもらいたいといってお願いをしたら、これは昭和四十年の八月十二日に、助成課のほうから出されたのでは、補助事業として昭和三十九年度補助した事業費というのが四百二十九億ある。ところが補助事業について全部実施した工事費というのは六百五十二億である。それに対して、補助はしないけれども補助以外のものと補助したものと全部含めてやった事業費というのは千百三十四億、つまり補助が四百二十九億で、それに関係した事業費が六百五十二億で、全体が千百三十四億であるということになると、結局補助した事業に対してそれでは足らなくて、余分に使った金というものが二百二十三億、必要があって建てたために、補助したり補助されなかったりしたために、余分に出した金が七百五億と、こういうのが出ているわけです。それから、私は静岡県のものについて調べてみたところが、静岡県が市町村の歳入予算の中に計上している税外負担費用というのが全体で四億二千二百万円あるわけです。この中で教育費用が一億九千七百万円で一番多いわけです。土木とか消防費とか、その他に比べてみて、税外負担の中で予算に計上してあるものが四億二千二百万円で、その中で教育費が一億九千七百万、私の町は藤枝市の中の一つの町ですけれども、私の町の中で、昭和四十年度寄付金として予算に明確にあらわしてあるものが全部で三千六百六十二万円、その中で教育寄付金が三千四百四十一万円、これはただ一つの例ですけれども一つの材料を調べてみても、このくらいたいへんな負担教育費用に出しておるわけです。したがって、私たちはいま文部大臣から、こういう所信の表明を聞くとするならば、少なくともいま現実父兄はいろいろな面から、建築費用、あるいは給食費用、あるいは私学授業料、あるいは通学費、いろいろな面から実は負担に苦しんでおるというものを、一体どうして除去していくかという点について触れていただきたいということを強く私たちは思っていたわけなんです。こういう点について大臣はどういうふうなお考え方を持たれておられるのか、そういう点について大臣認識されておる状況をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  10. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 補助事業に対する地方負担、これはかねてから問題の点でございまして、ことしだけではなく、逐年、校舎建築費あるいは体育館建築費等単価是正ということは努力を続けてきたところでございますが、まだ木造等につきましては十分の域に達しておらないわけであります。大体鉄筋コンクリート建築というものは建築単価が上がりませんしいたしますので、大体努力を続けてきて実績単価に追いついてきましたが、木造は今年度是正をいたしましたが、まだ十分とはいっていないと思うのであります。今後もこういう努力を続けまして、少なくとも前年実績にはぴったり合うぐらいのところにいかなければならない、かように存じておる次第でございます。  また、父兄負担につきましては、これは父兄負担にはいろいろあるようでありますが、まあ文部省としてまず第一に努力をしなければならないことは、教材費等について、本来、公的な経費で十分に整備すべきものが整備されないために、PTA等父兄の援助を受けてしておるという姿はよろしくないのでありまして、教材費整備等に重点を置いて努力をしてまいっておる次第でございます。  教科書につきましては、御承知のとおり、私ども希望としましては、四十一年度中学三年まで無償供与を完成したいというつもりで努力を続けてまいりましたが、いろいろな事情中学一年だけ四十一年度に計上することになりました次第で、これらも早く目標を完成しまして、父兄負担がなくなるようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。  学校給食につきましては、本来これは普通の児童でありますと、本人の負担になっておりまして、そのために若干の引き上げが、おそらく各地区ともやむを得ない現象であると思います。したがって、保護児童、要保護児童に対する予算の計上につきましても、前年度より約一〇%ほど見積もり額増加しておるような次第で、いずれにしましても父兄負担軽減するということは今日の教育に課せられた重大な課題でございますから、一挙に解決できないまでも、逐年努力をしまして父兄負担のないような状態、少なくとも義務教育については父兄負担がなくなるようにつとめなければならない、かように存じております。今後とも引き続きこの方向に向かいましては最善を尽くしたいと思っております。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 こまかいことを大臣から一々お聞きをするわけでありませんので、こういう点について特に所信の中に漏れておるという点を私たちは遺憾に思うわけです。特にこういう問題については明確にやはり出していただくことが、御努力をいただいている一つのあらわれにもなるということを考えて特に申し上げたわけであります。特に父兄負担の中で、それを軽減をしていくという上において重要な二、三の点だけ触れて、また具体的に法律案が出てまいりますれば、その際に申し上げたいと思うわけでございますが、まず施設の中で一番問題の点は、校地取得費というものをやはり国がめんどうを見ていくべきではないか、特に予算を前にして出されました行政管理庁勧告義務教育条件整備に関する行政監察結果に基づく勧告というものを出された。この中にはっきりと校舎用地取得に対して助成するようにすべきだということを言っているわけなんです。で、これはいずれ資料を出していただきたいと思うわけでありますが、管理局長にひとつお願いしておきたいが、よろしゅうございますか。この昭和三十九年度校地取得費が六十九億だというわけです。校地取得費が六十九億で、将来の校地先行取得費が五十億、約百十九億というお金が校地取得費に使われます。この中で財源的に政府政府資金めんどうを見たのは二億である。そのほか交付公債縁故債で五十九億程度しかめんどうを見ていないわけです。事実、校地取得社会増に伴う問題、あるいは適正分離に伴う校地取得ということで、実は校地取得に非常に困っているわけです。しかも、行政管理庁でもはっきりと校地取得についての是正をするようにということを勧告されておるわけですが、これについては具体的に一体大蔵省とどういう交渉をやられたのか、その結果どうであったのか、これについて今後どうしていこうと考えておられるのか、この点をひとつ大臣からお聞きをしたい。大臣がもしあれでしたら管理局長からでもけっこうでありますが、しかし、大臣としては、校地取得費というものがこういうような勧告を受けている。現にあなたの口から大蔵省交渉されたのかどうか、これはわかりませんけれども、この点についてどういう一体交渉をされて、どういうことになっているのか、これをひとつお話をお聞きしたいと思うのです。  なお、もう一つあわせてお聞きをしておくことは、御承知のとおり、本年度昭和四十一年度を初年度とする住宅建設五カ年計画というものが実施され、そうして六百七十万戸を五カ年で計画する。この中には二百七十万戸を地方公共団体建設することになり、自己の民間建設が四百万戸、昭和四十一年度には政府関係するいろいろのが四十万戸、民間が八十万戸、百二十万戸の住宅をつくる。こうなれば当然これは社会移動というものが出てくるわけです。事実、従来の住宅建設の五カ年計画の中には校地というものが計画されているわけです。これは当然こういうような住宅建設に伴う社会移動社会増に対する計画というものが文部省になければならぬと思うわけです。また本年度予算の中には、こういうことを考えて一体その施設予算増加をされているのか、計画をされているのか、大臣にお聞きをしたいのは、こういう社会増、特に住宅建設計画に伴ういわゆる施設増加というものに対する計画、こういうことについてどういう一体話し合いがなされたのか。あるいは校地取得について大蔵省との間にどういう一体大臣は話を持たれたということを知っておられるのか。御自分でおやりになったのか・どの程度のことを一体文部省としてやられているのか。この点を文部大臣からお聞きをして、もしそういうことについてのことが大臣のことでやられないといことであれば、管理局長のほうから、これをひとつ別のほうで局長に。まず大臣にこの二つの問題についてどういう一体考え方をもって予算折衝に当たったのか、これをひとつお聞きしたいわけです。
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 校地の問題は、確かに理論的にいってやはり学校建設の重要な一環でありますから、校舎と同じような国庫補助の道を筋道として講じたい問題でありますが、校舎でありますと、都会の場合でも農村の場合でも大体建設費にそう大した差額がありませんが、校地取得になりますと、学校設置者の地域によって非常な差があることになりますので、そういうような見方を一体どうするか、こういう問題点があるわけでございます。財政需要額自治省交付税を算定していきます基礎町村別にこまかくやっていきますから、財政需要額の中に積算をするということは、これはやや適正な算定ができると思いますが、文部省補助をするということになりますと、町村ごとの格差をつけるわけにもまいりませんし、その点が非常にむずかしい問題点なわけで、懸案のままになっておるような次第で、結局、結果的には財政需要額で積算するほうが妥当であるということで、今日もこの問題は解決をしないでおるわけで、いろいろないきさつを私も伺っておりますが、大臣折衝の項目には取り上げませんでしたけれども、実施上実行するとすれば非常にむずかしいいろいろ問題点があるというのが現状でございます。今後ともわれわれは十分研究をしてまいりたいと思いますが、こういういきさつ、その他いまお話のございました点につきましては、管理局長からなお補足をして説明をさせるようにいたします。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 住宅建設計画……。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それから住宅社会増につきましては、大体、校舎建設に関する限りは社会増にはまず優先的にこれをみていかなければなりませんので、管理局配分上は統一して配慮をしておるように私は承知いたしております。今後とも建設省の住宅計画、あるいは住宅公団住宅計画等とは十分に連絡を緊密にいたしまして、その社会増に対応するような措置文部省としてもとっていきたいと考えております。
  15. 天城勲

    政府委員天城勲君) 校地の問題は御指摘のとおり、最近の文教施設建設過程におきます一番大きな問題になってきております。いま大臣から御説明申し上げましたように、土地単価が非常に不動でございますし、補助金でこれをやるのも非常に困難でございますので、むしろ実態に即して取得できるようにということで、起債でやるべきじゃないかという考え方がいまわれわれ当局考え方でございます。御存じのとおり、起債自治省の所管でございますので、主として交渉自治省といたしております。現在のところ、これも御存じだと思いますけれども、ほとんどが交付公債、要するに、政府資金以外の起債でまかなわれている状況でございますが、これも地方によって単価が違います事情はございますけれども、大体、希望を申請の単価でとれるようにはいたしておりますけれども一般に、政府資金による起債の要望も非常に強いし、私たちもそうすべきだと思っておりまして、この点につきまして自治省とたえず交渉いたしております。ごく最近の問題として、四十年度の問題につきましては現在も話を続けておるところでございまして、前年度に比してかなりのワクは広げられる段階にきておりますし、それから政府資金一般起債のほうの充当の点につきましても、金額的にはまだ最終段階ではございませんが、話を進めている状況でございます。  社会増の問題につきましては、いま大臣からお答え申し上げましたように、配分にあたりましては最優先という態度をとっておりまして、これにつきましては集団住宅建設の場合の前向きの坪数をとっている、別に前向きの収容児童数基礎にしてとるという考え方、あるいは一定の場合には住宅公団学校建設して、あとでこれを調査して取得する、その場合に補助をするというようないろいろな措置をやって、社会増の問題は強く意識いたしております。なお、全体といたしまして、集団住宅建設が当初の計画とかなり違っておりますし、また、公団ですとか、はっきりした集団住宅でもなくて、実際上はばらばらにできてくる住宅からくる社会増も非常に多いものでございますので、今年度は全体の計画遂行上、新たな調査を実施いたしたいと、こう考えております。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 これについても行政監察勧告が出ておることはもう御承知のとおりだと思うのです。ひとつ聞いておきたいことは、こういう住宅建設に伴う公団建設とか、そういうことについて、対応する計画というものを文部省はつくるのかつくらないのか。予想できない、いま言うような散在したものもあるけれども、集団的にそういうものをつくっていく計画が片方に行なわれているわけだから、それに伴って当然ふえなければいけない施設増加計画、それと当然いままでのふえているものとプラスしていかなけりゃ結果的には食い込んでいってしまうわけだけれども、こういうことについて計画をつくって、いま聞けば調査をしているということだが、調査して計画を発展していくというやり方をやっていくのか、その点はどうなのか。
  17. 天城勲

    政府委員天城勲君) ちょっとことばが足りませんでした。現在、公立文教施設の整備、いま第二次五カ年計画の第三年目に入っておりますが、この五カ年計画のプランを立てましたときに、当時の予想される集団住宅につきましての基礎を織り込みまして、それによる人口増加ということを計画に入れたわけでございます。それの中に、いま申し上げました集団的な住宅が三百戸以上建設される場合には、一年半先の情勢を見込むとか、あるいは住宅公団が一千戸以上建設する場合には、公団であわせて建物を建てるというような計画を進めてきておるわけであります。いま四十一年度調査をしたいということを申し上げましたことは、その後この基礎数にいろいろ新しい動きが出てきておりますので、これを補正する意味で、年度の中途でございますが、新しい数字を得たい、こう考えておるわけでございます。全体としてはいま申し上げましたような、一応、基本的な建設省側との話し合いの上で、住宅公団建設に伴う学校建設を進めているわけでございます。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 その点はあなたの御説明だけれども、その後、住宅建設計画そのものが違ってきているわけなんだから、最初計画というものをやはり改めていく必要があるということを申し上げている。やはり前に計画してありましたというお話ですけれども、その当時の計画と——全然また住宅建設増加をした計画を持っているわけだから、それに対応して前の計画増加をしていく、それから新たにそういうふうなものについての勧告を受けているように、散在したもので、そのために伴う社会増計画を、それにあわせて要求していくということを、ぜひともやっていただかなければできないという点を、ひとつ実際に実行していただくようにしていただきたい。なお、いまお話しの校地取得の問題については、やはり格差があるというお話ですけれども、それは格差があるというお話になれば、従来の都市の建築だってそれは幾ぶん、差はないというものの、そういう格差というものは認められるわけだから、現実の上に立って考えていけば、やり方はあるのじゃないかと私たち考えます。  そこで、もう少しいまほかの面で、先ほどお話の出たPTAの会費とか、そういうような問題、教材費の問題、これも非常に実は実際よりも過小になっているということは、具体的な例をあげれば幾らもきりはないわけです。特にいま問題になっているのは、学校の令達した予算というものとPTAの予算と比べてみると、令達した予算とPTAの予算と同じだというところもある。あるいはまたそれをオーバーしているところもあれば、少ないところでも五割ぐらいを、そのPTAの令達された学校予算に対して、PTAが五割を負担をしているという、こういう状況がすでに出てきている。それじゃPTAの予算の中で、当然PTAとして予算に計上しなければできない予算がどのくらいあるかといえば、これもまた一般的に一五%だといわれている。あとの八五%、まあ八割程度は当然国が負担をしなければできないのです。PTAが負担をするPTAのための予算というものは大体一五%程度のものだと、こういうのが一般的な覆い方だ。これはまた教材費についても、すでに文部省も五〇%を引き上げたいと言ったものが、たった一〇%にとどまってしまった。これも現実的に相当努力をしていかなければ、父兄負担軽減というものはできないわけだ。そこで、ただそれを毎年教材費を上げろ、教材費を上げろと言ってみたところでどうにもならないので、これについてもすでにいろいろな面から言われているように、学校の運営費の基準というものをつくったらどうだ、あるいはまた教材整備の基準というものを作成をして、それを計画的に学校に実施をしていく、またその運営基準に基づいて、結局、教材費の不足というものが明確になってくるわけなので、そういうところから教材費をどうしてもふやしていかにゃできぬということをやっていくべきじゃないか。で、文部省は一体この学校運営の基準とか、あるいは教材費の整備基準というものの作成も、すでにこの勧告でもすすめられているわけだ。こういうことについては一体今後どういうふうにやっていくつもりなのか、教材費というのは、一体そうした不足について、やはり相当優先的に考えられるべき筋合いのものだというように私たちは思うのですが、この点については一体どうしてこれをやっていこうとしているのか、これをひとつ、もしあるなら局長のほうからお聞きしたい。
  19. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいまお話しのように、教材費については年々増額をはかってきておりまするし、また、四十一年度予算の一〇%引き上げというものでなお不十分であるということは承知しておりまするし、また、その具体的な方法といたしまして、国が負担すべき基準というものをつくらなければならないということも、私どもそのように考えます。ただ、本年は御承知のように、他のいろいろな基準、理振、産振、定通等の補助金にかかわる基準というものを、四十一年度予算におきましてほとんど全部改定をいたしまして、その所要の予算を計上するという仕事がございまして、それらの問題は、おおむね新基準によって発足するという段階になっております。これらのものは一般教材ではございませんけれども義務教育におきましても、あるいは高等学校におきましても、教材の整備、教材教具の整備になるものが非常に多いのでございますので、その部分についてはおおむね四十一年度予算で所期の目的を達したと思うのでございます。少なくともその足がかりを得たと思うのでありますが、いま御指摘の、その一般的な教材につきましては、文部省として、今後国が負担すべき基準の作成につきまして検討してまいりたいと、かように存じます。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 まず検討するという初中局長の話ですけれども、実際につくって、さっきお話しのように、産振、理振なんかについて、新しい基準をつくられた努力については認めるわけですけれども、同時に、これは現実にこういう問題があるわけですから、基準を作成するようにきちっとしていただきたい。現実学校あたりでは、すでにもう市町村が教材整備基準というものをつくられて、それに基づいて年度的に計画的に市が予算を出しているという、非常に計画性を持ったやり方をやっているところがある。ただ、PTA負担軽減しなければならぬということを言わないで、国としてこれだけのものは整備されなければならない。これだけの運営費、消耗費は、大体どのくらいの学校ではどうだという基準が出てくるわけだから、それに基づいて計算すれば、どれほど一体市町村から令達されている予算が少ないかということがわかる。こういうことをもとにして世論も起こってくると思う。これはもう明確に基準をつくってひとつ強力に進めてもらいたいと思うのであります。なお、二、三少しこまかいことですけれども給食の問題であります。これについては、実は僻地の給食の問題についても大臣が特に努力をされて予算を計上して、ミルク、パンについて国庫が負担をしていくというやり方をやられたことは、私たちもけっこうなことだと思うわけでございます。ただ、いま言うように、非常に物価の値上がりが激しいために、学校給食費用の値上がりというものが非常にひどいわけです。こういうことに比べて、いわゆる準要保護児童に対する給食費の補助単価、あるいはまた僻地の給食における小学校、中学校単価というものは非常に差があるのじゃないかというように私たちは思う。これはやはり相当な努力をしないと現実給食費の単価というもに沿っていかない。これが結果的にはどういうことになるかといえば、結局PTAが負担をしたり、市町村が負担をしたりして、これまた負担が非常に過重になってきているのも事実である。僻地については、非常に努力をされているが、同時にまた、これについては、副食費の問題とか、あるいはそれに伴なう人件費の問題等もすでに一部から要望の出ていることも事実なんで、いろいろこれに関連をしたことがある。それからまた、脱脂粉乳とか、なま乳とか、小麦粉というものがいろいろと国が補助をしているわけだが、この単価が前年どおりになってきている。これも実は値上がりというものと補助金との関係というものは、これまた非常にやはり現実に即さない面が出てきている。これらはみんなどこへしわが寄ってくるかといえば、結局は父兄負担しわ寄せられ、あるいは市町村にその負担がかけられていく、もう一つの問題として、遠距離の通学の通学費補助、これも僻地校について四キロ以上、六キロ以上のものについてはやられている。しかし、もうこれはすでに大臣も御承知だと思うのですが、統合している学校、僻地でなくて統合している学校通学費負担にたえられなくて、これを交付税の中に積算をしてもらいたいという要望もある。あるいはバスの施設をする。統合するためにバスをつくるので、これに対して国の助成をしてほしいという要望もある。これも現実には市町村なり父兄なりが負担をしている。実はそういうための負担というものも非常に多いわけです。だから、やはりいろいろ努力はされているけれども、こういう面について、やはり非常に努力をなお重ねていかなければいけない点があるという点をひとつ十分に考えていただきたいと思う。こういう点について、体育局長にもお願いしておくのは、現実給食費というものと、こういう単価との関係をひとつ資料として出してもらいたい。また、さっき申しました脱脂粉乳、なま乳、小麦粉等の値上がりの問題と、この単価とがどういうふうな関係にあるのか、この関係をひとつ資料として出していただきたいけれども大臣にはこういうふうな問題について、これは十分おわかりだと思うのですけれども、非常にやはり問題の点があることは御承知だと思うので、この点について、どういうふうな方向で解決に努力をされていくという気持ちを持っておられるのか。たとえば、僻地については拡充の方針として、なお僻地に指定されたものに拡充していきたいという気持ちを持っておられるのか、あるいはまた、いま出てきている完全給食という面で副食の費用の助成という問題はすでに出てきているが、こうした問題についての具体的なものがもしあるとすれば、大臣からお聞きしたい。局長からこの問題について、単価と実際の価格との差について、今後どういうふうな努力をされていこうとされているのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  21. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、完全給食を達成する目標に向かって現在進行いたしているわけでございますが、できるだけ私どもとしましては、要保護世帯、準要保護世帯、これの実態をつかみまして、実情に沿ったように、少なくともそういう家庭の者は完全に公費で無欲給食ができるようにすることが先決問題で、このほうの充実にいままでつとめてまいったわけでございます。さらに、一般児童生徒におきましては、御承知のとおり、小麦粉の問題、それからなま乳に対する補助、こういうようなことで現在は進んでいるわけでございますが、このなま乳を年々、前年度は七十万石、四十一年度は百万石ということにふやしてまいりましたが、これは農林省の施策としての酪農振興、酪農普及、これと並行をいたしまして、できるだけなま乳を全面的に使用できるような段階に持っていきたいというような努力を今後進めてまいりたいと思うのでございます。そこで、要保護世帯、準要保護世帯以外の一般家庭の給食については、さらに国の負担なり助成なりをふやしていく方向に努力はいたしたいと思いますが、これについては、財政当局との関係は、今年の折衝においても問題点がありましたように、結局どこにいても食べるだけは最小限食べるんじゃないか、これを国の負担に広げていくということについては問題点があるというような議論がありまして、まだ解決が、といいますか、そういうような根本論をしておる段階でございます。いずれにしましても、これも重要な父兄負担の一部でございまして、いままでの数字等を見ましても、給食費の父兄負担しておりまする年額の数字を見ましても、逐年、物価の騰貴やいろんな関係で上がってきておりますことは事実でございますから、やっぱりこの父兄負担軽減する一環として、関連をして努力を続けてまいりたいと思います。なお、実情につきましては、体育局長が来ておりますから、詳細に御説明を申し上げることにいたしたいと思います。
  22. 西田剛

    政府委員西田剛君) ただいまの第一点の、準要保護児童生徒に対する単価が実情に沿うておらないのではないかというお尋ねの点でございますが、実際には、準要保護児童に対しては市町村が半額以上出した場合には国は必ず実績において半分を見る、こういうやり方になっております。したがいまして、実行上は市町村が出す分の二分の一は出す、こういう形になっております。ただ法律上、たとえば完全給食の場合、三十円なら三十円かかった場合に、半分以下しか市町村が持っていないという場合には国は補助をいたしませんけれども、市町村がいやしくも給食にかかった経費の準要保護児童分についての二分の一以上を負担している場合には、国が必ず二分の一を実績に応じて持つというやり方になっております。したがいまして、この準要保護児童生徒の給食費の単価というものは、その実情に沿うように事実上積算の単価として積算をするという意味しかございません。そこで、実情を申し上げますと、完全給食の場合も地域や学校事情によりましてずいぶん差がございます。東京のように四十円近いところもございますし、あるいは九州地区、青森のようにまだ二十二、三円平均のところもございます。そういうようなことで非常なばらつきがございます。大体、平均いたしまして昨年度の実情は、小学校の例で言いますと、一食三十円四十八銭ということになっておりますが、それに対して、この準要保護児童生徒に対する補助の基準としての給食費は、一応、昨年は二十五円八銭、明年は二十七円九十八銭に引き上げる、こういうふうな組み方をいたしておるわけでございまして、一一・五%の値上げを見込んでおるのでございまして、それは一般給食費の値上がり率に即応した値上がり率を見ておるわけでございます。したがいまして、内容的には、食内容の改善と物価の値上がりを加味しまして一一・五%のアップということになっております。したがいまして、この実質上の全国平均の三十円四十八銭と、こういうふうな準要保護の単価との間にズレがございますのは、大体、高いところが大都市でございまして、大都市には準要保護児童生徒数がわりに少ない、そうして給食費がわりに低い府県なり地域なりが、準要保護児童生徒の数が多いというふうな関係で、こういうふうな差が生じておりますけれども、実際問題として、市町村が持った分の二分の一を国が実質上持つという実績になっておりますので、その点御説明を申し上げます。  それから、人件費のことと僻地の単価のことでございますが、僻地のパン、ミルクにつきまして新しく無償で実施をいたしたい、これは、三級地の僻地は、僻地の中でも特に僻地性の強い地域でございまして、僻地地域の中でも一六%程度にあたりまして、いわば想像を絶した地域でございまして、文化的にも経済的にも、あるいは種々な環境から見ましても、非常に劣悪な条件下にある実情でありまして、児童の健康、体位の状況、また、保健の状況等も著しく悪い面もございますし、また、事実問題として学校給食の普及は非常におくれておるというようなことにかんがみまして、昨年、特別対策を講じまして相当の成績をあげましたが、なお不十分でございますので、今回、パン、ミルクについて三級地以上の児童生従については、全員に無償で給与をしようという予算を計上いたした次第でございます。なお、単価につきましては、パン、ミルクと輸送費を含めまして一食当たり十円三十五銭、小学校の場合、年間百八十三日分になりますので、小学校に例をとりますと、年間二千三円のワクになります。そこで、給食の態様は非常に実情はまちまちでございまして、たとえばパン、ミルクの給食と申しましても、パンの場合に例をとりますと、なまパンの場合もございますし、蒸しパンを利用する場合もありますし、それから乾パン、クラッカーを利用せざるを得ないような場所もございますし、あるいは乾めんを使う場合もありますし、それから米飯を使うというような場合もありまして、非常にまちまちでございます。また、ミルクの場合も、普通の脱脂粉乳を使えるような学校もございますし、それから、インスタントミルクを使わざるを得ないようなところもございますし、また、酪農地区に非常に近いところで、なま乳を生産者からすぐに買い入れ得るような場所もあるというようなことでございますから、全体のワクを非常に弾力的に使えるような方法で補助のしかたを実施いたしたい。したがいまして、一食当たりの平均といたしましては十円三十五銭でございますが、これは上回る費用があってもいいし、下回る費用があってもいい。要するに、年間二千三円の範囲内で実行のできる日にちを実行してもらうという弾力性を持った運営方法をとっていきたいと、こういうふうに考えております。
  23. 千葉千代世

    千葉千代世君 関連質問。なま牛乳の切りかえの件なんですが、昨年三月の予算委員会で、私、この切りかえの件を質問した。そのときに文部大臣のお答えの中には、脱脂粉乳をだんだんなま乳に切りかえていくという文部省方針である。それについては、大体、最大限たしか二百十五万石とおっしゃったと思いますが、そのくらいの用意がある、しかし、すぐはできないから年次的にやっていきたい。それに対して農林大臣——当時赤城さんでいらっしゃったと思うのですが、農林大臣のお答えの中には、三百五十万石ぐらいを五年計画で用意できると、こういう御答弁をなさったわけです。それから考えていきますというと、昨年の六十七万石、それから今度の予算に九十八万石計上されている。そうすると、去年の三月に答えられた年次計画との関係はどうなるんでしょうか、たいへんに少ないように思うのです。これは大臣に伺います。
  24. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ちょっと待ってください。
  25. 西田剛

    政府委員西田剛君) これは農林関係予算で、また政策に関係することでございますが、おっしゃるとおり、ことしは七十万石で明年は百万石になっておるわけでございます。そうして年次計画といたしましては、まあ五年計画で、大体、農林大臣お話では、全体をなま乳に切りかえますと、約三百五十万石ぐらいかかるわけですが、それを逓増する方向で酪農振興を大いにさせて、全面的に切りかえ得るような方向で進めたいというお話を聞いております。ただ、事実問題としましては、僻地その他の場所もございますので、全面的にこのなま乳が使えるかどうかというような点は、やはりよほど研究してかからなければならないというふうに考えております。なお、年次計画等につきましては、これは農林関係のほうで、私どもとしましては、一応の向こうの大まかな目安としての数字は承知しておりますけれども、固まったものでございませんので、一応説明を省略させていただきます。
  26. 千葉千代世

    千葉千代世君 その農林関係のほうでは、酪農振興とあわせて、酪農協会か何かございますが、そちらのほうでは、価格さえ安定してくれれば、保証してくれればということでした。保証してくれれば十分まかなえる用意がある。それから山間僻地、たいへん遠いところですというと、なま牛乳にすぐ切りかえるといってもすぐはできませんので、これは当分の間、粉ミルク  これは脱脂ではないが粉ミルク、こういう方向で進みたいということをおっしゃっておった。そうしていきますというと、たとえば農林のほうの食管会計繰り入ればどのくらいだったでしょう。ちょっと私いま知りませんので。
  27. 西田剛

    政府委員西田剛君) このなま乳関係予算及び執行は、すべて農林関係予算に計上され、実施をされ、計画もされるわけでして、当方の文部関係予算には計上されておりません。繰り入れの予算額としましては百万石で、農林省の予算として五十億がついております。
  28. 千葉千代世

    千葉千代世君 文部省の当初要求は幾らだったでしょうか。
  29. 西田剛

    政府委員西田剛君) なま乳につきましては、文部省としてはできるだけ多く希望するということで、参議院の御要望もありましたので、できることなら百五十万石くらいお願いしたいということで、農林省のほうにお願いをいたしておりました。これを農林省のほうではいろいろ検討された結果、大体百十万石で予算の要求をされたようでございます。そうしてその結果百万石ということに落ちついたわけでございます。
  30. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は予算の審議のときにまた伺いたいと思いますけれども、やっぱり計画をはっきり出していただいて、三百五十万石用意できると言ったならば、それに沿って、文部省としては来年度、四十一年度は幾らほしいのだと、できることならということでなくて、当然の要求としてお出しになっていただきたい。そういう計画もいまおできになっていますか、どうですか、文部省としてのo
  31. 西田剛

    政府委員西田剛君) これは日本の酪農生産との関係で、事実上継続的、計画的に学校給食のほうになま乳をどれだけ割り当ててもらえるかという問題になります。私どもとしましては、現在、学校希望量と比較しますと、約八五%くらいの充足率にいまのところなっております。希望量から見れば。それで先ほど申し上げましたように、できるだけ多くのなま乳を学校給食に回してもらいたいということを農林省のほうへ要望いたしているわけでございます。したがって、農林省のほうで計画も立ち、実行のできる範囲のものを回してもらい、計画外のものについては、私どもの脱粉その他で手配するという仕組みになっているわけでございます。
  32. 松永忠二

    松永忠二君 まだこまかい点はいろいろあるわけですけれども、そういう点を含めて父兄負担軽減という点について言及をしてほしかった。さらに、あまり時間もあれですが、もう一つ、ここで所信に触れてほしいという点は入試の問題である。いま御承知のとおり、高校の準備教育を廃止をするという動きが非常に全面的に出てきておる。しかも、これが非常に各方面で、教育長の協議会、あるいは公聴会、あるいは各教育委員会、また教員組合というわけで、非常にこの状態が出てきている。単に高校の準備教育だけではなくて、大学入試についても、これはこの前の国際的な教育会議においても非常な関心を持ってすでに行なわれている。大学入試についても、いま出てきているように推薦入学制の問題、あるいは能研テストの利用の問題、あるいはすでに出てきている、巷間一般では、特に大学、高校入試については、来年からは相当大きく変わってくる期待が持たれるのではないかという、こういう期待すら起きているわけなんです。私はやはり大臣がこういう世論というか、動きに呼応して、やはり文部省が積極的にこれに乗り込んでいく、そうしてまたこれと呼応して、この時期に、問題である準備教育の問題や、こういう問題について、とにかくこの際ひとつはっきりした期待に沿うような施策が行なわれるということをわれわれは期待をするわけです。こういう点について全然触れておられないという点については、やはり私たちはこの所信の表明に一つの不満な点があるのです。これはぜひともひとつしてほしいという気持ちを強く持ったわけなんです。で、これについてはまた時期を改めて、私はもう少しこまかくお尋ねをしたいと思うわけですけれども、私がここで申し上げるまでもなく、東京都が二回にわたって通達を出している。教育委員会でも、四十年度に七つばかりの教育委員会がこの問題について、島根、奈良、群馬、徳島、和歌山、千葉、北海道、また富山とか、広島あたりの公聴会でも意思の表示がなされた。特に全国教育長の協議会が二月の十五日にこの問題について検討をする。第一部会等において検討をして、この専門委員をこしらえて具体案をまとめて文部省に申し入れをするということを決定をしておる。特に東京都では、その選抜方法の改善審査会というものが発足して、この入試の問題について諮問をして、六月に答申を得ようとしておる。一方また日教組でもこの補習教育教育の問題について、すでに中央委員会で決定をして、来たるべき定期大会でこれを決定をする。それに応じて各県教組にもすでにそういう動きが出てきて、意思を明確にしている県の教組も相当ある。こういうふうにして、態勢としても非常にそういう態勢がすでにでき上がってきているという状況だと思うわけです。そこで、一体、文部省はどういう方法でこれを検討していて、また具体的にこれを一体いつの時期に文部省としてその態度というものを、方法を明らかにしていこうとしているのか、その点をひとつお聞かせをいただきたい。
  33. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この入学試験の問題、それから準備教育の問題は非常にいま大きな問題でございまして、私どもも深い関心のあるところであり、所信表明の際に申し加えたい重要な点でありますが、現状いろいろ問題点があり、社会環境の問題があり、学校格差の問題があり、これ一発でこう改善ができるという自信のある見当が実はついておらないものですから、所信表明の中にも織り込まなかったようなわけでございますが、方向としましては、今日のように準備教育の行き過ぎがある、この行き過ぎは、準備教育というものはやめるべきであるという声が雰囲気として起こってきておるということは非常にけっこうなことだと思うのであります。これを解決していく道は、推薦制度をどうしていくか、能研テストのような方法をどう織り込んでいくかというような問題等と関係があると思います。  そこで問題は高校入学と大学入学と二段に分かれておりますが、高校の場合に準備教育をなくしていくというためには、入学試験をするほうの試験の出題といいますか、選抜方法といいますか、選抜方法のやり方というものが統一をされて、そうして少なくとも高校であれば、中学校教育課程の上で取り上げて教育をしておる内容について選抜試験の出題をするようにしていかなければなりませんので、こういう点につきましては文部省として進めていくことのできる道でありますから、極力選抜方法の改善についてはまず力を入れていきたいと思います。それと問題は、やはり私立学校との間はなかなか困難であるにしましても、できるだけ公立の高等学校については格差はなくしていくという努力をしていくことが必要であろうと思います。  大学入試になりますと、大学の格差是正ということは考え方として必要なことでありますが、なかなか実行は困難なことでありますが、こういう点につきましては、やはり社会全体が、有名校に殺到するような傾向、あるいは卒業生を採用する場合に、有名校の卒業生を優先的に採用するような社会環境というものが改まって、むしろそういう有名校であるとか、あるいは筆記試験だけの結果から出てきた成績だけでやるとかいうことでなしに、人物を十分に見抜いて世の中が人材を採用するような環境ができてくれば、入試自体にも相当の影響を来たすものだと思いますので、いろいろな工夫をしまして、こういう悪弊をなくすようにしていく努力をわれわれもするし、また、一般の方々にもお知恵を拝借しまして改善に最善を尽くして努力を続けてまいりたい、かように思っております。
  34. 松永忠二

    松永忠二君 そういう内容について、いま大臣からお話があれば、私、意見もあるわけですけれども、ただどういう方法で、たとえば初中局等に諮問の機関をつくるとか、あるいはどういう方向でいつ一体この結論を得ようとしているのか、このことをお聞きをしたいと思う。簡潔にひとつ。
  35. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 高等学校の入学の問題についてだけ私お答えいたします。高等学校の入学試験あるいはその準備のための過度の行き過ぎということについて、それぞれの都道府県におきましていろいろの啓蒙、施策を講じようとされておりますが、文部省といたしましては、実は先般、指導担当の責任者の会議をいたしましたときに、これを中心にいたしまして、地方の実情とそれから県がとろうとしております施策の方向ないし問題点等を十分に聞かしていただきました。大体この選抜方法自体は、三十八年度の高等学校教育についての改善協議会というものについて全国的な指導をいたしております。内申の問題あるいは中学校教育課程との問題、あるいは学力試験で実施する教科の問題等について、これを大体四十二年度の選抜のときから従来のものに改善を加えたいというのが大体各府県の希望でございまするので、文部省として三十八年度の通達自体についてしかるべき方々に集まっていただいて検討いたしてみたい、そうして府県が四十二年度の試験に改善を加えるのに間に合うような資料を提供できたならばということで準備をいま進めておるわけでございます。ただ、これは申すまでもなく、具体的方法で何が選抜方法の改善になるか、これは非常にむずかしい問題でございまして、たとえば教科一つとりましても目的は同じでございます。より客観的、より合理的な方法は何かということと、受験準備をしないでみられる方法は何かという、目的は同じでございますけれども、これを具体的にいたしますと、全く正反対の意見が方法論としては出てくるようなこともございますので、その点について十分ひとつ関係者の意見も聞いて、文部省としては全国に指導すべきものは指導したい、かように考えております。それからもう一つ、やや長期のことになりまするけれども、一面これは中教審等で後期中等教育の問題の一環といたまして、高等学校のあり方について検討なさっております。私どもはその答申が出ましたならば高等学校の学科、教育内容、そういうものの問題を考えてまいって、そうしてそういうものが高等学校の一種の多様化、生徒の適性、能力に応ずるようないろいろのタイプのものができますれば、これは基本的に現在行なわれております入学試験の弊害というものの改善にかなり役立つものであるというふうに考えておりまして、私どもの初中局といたしましては、一つは高等学校自体のあり方の検討と、それから選抜方法をより合理的、より客観的にし、そうして中学校教育課程というものを学習すれば、その能力適性に応じて、それぞれのところにいけるというような方向で検討してまいりたいと思っております。
  36. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、初中局内に諮問機関をつくるということではなくて、他方面の関係のものを集めて、四十二年に間に合うように一応成案を得ていきたいということかどうか。それからもう一つ大臣にお聞きをしたいことは、これは非常に専門的なことのようであるけれども、同時に、やはりもう少し広い視野に立ったもので判断をしていかなければできないものだと思うんです。したがって、初中局の中へまかしておけばそれでいいという筋合いでは私はないと思う。こういう点についてはいま進められている計画が私の言ったようなものなのか。それからまたそういう点についてやはり大臣としてはもう少し政治的な配慮を加えて、単に専門的に検討するということでなくて、妥当な案も出てくるような配慮をしてほしいと私は思うんですが、これいかがですか、ひとつ大臣から。
  37. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに準備教育というものをなくしたい、これは私どもも同様でございますが、具体的な方法はやはり高等学校を設置運営しておりまする県の教育委員会、あるいは学校長等の教育関係者、こういう関係方面の意見を十分に初中局を中心に聴取させ、議論をさせ、そして、推薦ならば推薦をどの程度の幅にどうして取り入れる、あるいは選抜方法のやり方をどういうふうにする、出題の傾向としてはこういう範囲、あるいはこういう方法にするというようなことを十分にしほらして、その成案を得た上でないと、勇ましいことだけ言っても実現の可能性がないと思いますので、そういう積み上げた努力を引き続き早急にさしたいというのが現在の考え方でございまして、そういうような具体的な方策が出ましたら、これでひとつ全国いこうじゃないかというような呼びかけなり指導なりを徹底するようにいたしたい、かように考えております。もう一つは、先ほど申し上げたように、少なくとも公立高等学校である以上は格差の是正ができるように、その内容の充実、ことに理科施設等の充実、平準化、こういうことにつきましては文部省として助成の道等を通して十分に努力をし、また各設置者の府県を指導するようにしてまいりたいと思っております。
  38. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) どういう機関で相談をするかという御質問でございますが、これは事実上各方面の、高等学校関係者もございますし、中学校関係者もございますし、あるいは教育委員会等の行政を担当しておる者等を実際上お願いいたしまして、グループをつくって十分に議論していただくという考え方でございます。なお、高等学校自体の問題、あるいは全般の入学試験をどう考えるかというような非常に大きな問題になりますと、これは現在、中央教育審議会で後期中等教育の拡充整備という観点から全般的に御議論になって、近く結論が得られるものと思いまするので、その結論を尊重いたしまして施策を講じてまいりたい、かように思っております。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 文部大臣の談話で、補習教育について宮之原日教組委員長文部省と協力してやりたいと言っているそうだが、趣旨はけっこうだが、実際はむずかしいと、まあいろいろのことを申されている。こういう考え方大臣が言われたように新聞に出ている。ところが、一方また新聞によっては、日教組が準備教育のことをいろいろ言っているそうだけれども、そんなことは文部省とは関係ないことだというようなことも新聞に報道されたように私たちは見ているわけです。で、私は特にこの準備教育の問題などは、実際その効果をあげていく上において、教師自身が一体どういう協力の態勢を示すかということ、これはまた教師個人であると同時に、いろいろな条件に関連することであるので、教員組合がやはりこの問題について非常な関心を持っていくということが、このもの自体の効果をあげるという意味においても非常に欠くべからざるものだと思うんです。東京都がこういう通達を出したことについて教師がどういう反応を示しているかという点も、実は新聞紙上に載ったものがあります。賛成が何%であって批判が何%、無関心がどうだというようなのが出ておりますけれども、私はやはりこういうものこそ、教師、あるいはまた教師の団体である日教組あたりの積極的な協力というものがなければ、十分な効果をあげることはできないと思うんです。で、これはまあ教師の地位の勧告に関連するとまたいろいろ問題がありますけれども、すでにそういうものでも、こういうふうなものについて、教育政策というものについての意見をどうこうというような問題がすでにいろいろな勧告にも出ているわけなんで、その勧告の問題からも当然だと私は思うんですが、まあ勧告の問題は別としても、こういうものこそ、大臣が言っているように、文部省と協力してやりたいという、いろいろ話し合いをしていくということについてはまことにけっこうだというこの考え方でいって、十分にひとつ話し合いをされて、相互に協力をする面を出し合っていくということは非常に私けっこうだと思うのですが、この点は大臣はどういうお考えを持っておられるのか、これは新聞記事だけでありましたので、大臣の口からこの考え方を聞かしていただきたいと思う。
  40. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 準備教育の問題について、私、公式に発言したことはいままでないと思うのです。記者会見はしばしばやりますから、新聞記者が個人的に聞いた場合に、何かの感じぐらいは言ったことはあるかもしれません。しかし、私の根本的な考え方としましては、準備教育をなくするようにするということ、これ自体は大いに賛成であり、そうすべきものだ、こう思っております。ただ準備教育を、たぶん記者会見の席でも、文部省が小尾教育長のような勢いで、そういうことをいますぐに言っていいかどうか、こういうことについては実はちゅうちょもしておる。たとえば準備教育を、全然こちらが号令をかけるといいますか、叫んでなくすると、その結果はどうなるかといえば、家庭が豊かで、家庭教師でも頼んでいる子供だけが得をして、一般の子供というものは非常な割りを食うことになってはうまくないじゃないか。だから、やっぱり準備教育をなくするのには、それのいろいろな準備体制、たとえば高校の入学選抜試験のあり方、こういうものの改善というものが先決問題で、こういう土台ができた上で、さて準備教育は一切やらないのだ、こういうやり方にならなければいかぬのじゃないかということを、私はおぼろげに考えておりましたから、そんなような表現は、あるいは記者会見で聞かれたときなどに出たかもしれません。実はけさも日教組との会談を私いたしまして、準備教育の問題も、最近の大きな課題でございますから、この会談の中の話し合いにしたいと思っておった。日教組側もそう思っておったのですが、ほかの問題で時間をとりまして、まあことしの入学試験はもう間に合わないのだから、次の機会にしようというようなことで、この課題は実はあと回しになりまして、次、また会談の機会には、こういう問題も、われわれのほうももっと研究したり、準備を進めていきますが、意見交換をして、これは文部省としても、あるいは教職員団体とも大いにその方向を一にして、悪弊はなくしていくようにつとめたい、こう思っております。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 大臣は、非常にむずかしい問題で、こういうこともやらなければできぬというお話もわかります。しかし、それなら、たとえば私はもちろん、ただ学校の格差をなくしたからといって、これが、準備教育が行なわれないということはなくて、大学の場合もそうですが、問題はやはり社会的な環境にある。学歴を尊重し、学較差をつけている社会に問題があるわけなんです。こういうことになってくると、たとえば、私は政府なりのやり方というものに一貫性がないというか、たとえば池田総理が、総理の当時に、定時制の卒業生に対して、これを十分に尊重し、就職についてめんどうを見ていこうということで、実に定時制の卒業生というのは希望を持ってこの談話を受け取ったわけなんです。何を一体やったのかということであります。何を一体具体的にやったのかということ、現に就職の条件の中に、高校の卒業生と書いてあって、カッコ定時制を除くというのは幾らもありますよ、就職のあれに。相当りっぱな、相当どころじゃない、日本の指折りの電気の会社で、現実に定時制の高等学校の卒業生を高等学校の卒業生とみなさないということを明確にしている会社がある。こんなことをやっている。私はやはり、これは定時制の問題でありますけれども、こういうふうな、大学で言えば一つの学歴だけを尊重する、学較差を認めていくこのやり方をなくしていかなければ、現実の問題として、私はこういう準備教育の廃止とか、大学入試の問題の解決はできないと思うのです。こういうことについて、当時の総理大臣がそういうことを言ったということで、これは総理大臣が言ったことであって、文部省のやることではないと考えておられるのか知れませんが、やはりやらなければできないことがあると思うのです。具体的に、たとえば大学の問題についても、自分の会社では大学を出てくることを条件とした就職試験をやらないで、大学卒業に見合う就職の試験をやって、いかなる学校を出てきてもこれはいい。学歴を問わずして、就職は自分の会社の試験をパスすれば、それを大学の卒業生とみなして就職していくということを、こういうことを一流の会社がやってくれれば、何もむやみやたらに学校を卒業する必要はないわけです。もっとそういうふうな社会的な環境を整備するということが非常に重要なことであって、このことは別に入試の方法が結論が得られないからと言ってでき得ないことではない。こういうことを具体的に進めていくということが私は必要だと思うのです。こんなことは、何もやらないでおいてむずかしい問題だ、むずかしい問題だというのも、私はこれは考えてもらわなければならない。大学入試の問題はきょうはやめますけれども、すでに推薦入学制の問題についても、それを決定した北大あたりは、これをやめることにしてしまった。だめだということになった。能研テストを採用した学校についても必ずしも問題がないわけではない。大学入試についてだって具体的に手を打った推薦入学制や能研テストのこの文部省施策も、実は必ずしも受け入れられていないという現状にあるわけです。そうなってくると、私は非常にむずかしいかも知れぬけれども、いま教育委員会が具体的な案をつくろうではないか。また何回にもわたって父兄にも呼びかけているという現状を見たときに、むずかしい問題だから、結論が出てこなければ文部省としてはうっかり動かれないということではなくて、やはりできることをやられると同時に、準備教育そのものについてはそれは考え方として、こういう反対の考え方を持ち、これをやめていかなければならない考え方を持っているというような点も明らかにしながら、しかも、ある時期には文部省としての考え方をもって、四十二年からの入試については地方で進んだ改善の仕方をしてもらうというような、そういう意思表示だって私はしたっていいと思うのです。そういうバックアップをしなければ、現実に一生懸命やって進めている地方教育委員会のこういう問題も実ははばまれていく、現に東京都でもいろいろな批判が出てきていることは御承知のとおりです。しかし、私は純粋にその熱意は認めなければならない。その改善の必要性はあると思うのです。だから、大臣の言われているように、談話でも私は見ましたように、なかなかいろいろむずかしいものがある。あるにはあるけれども、これはある時期に検討して、こういうふうな時期には結論を出していきたい、根本に流れている準備教育の問題については非常に反対なんだ、こういうことに各方面が非常な努力をしているということは全く賛成だというような点ぐらいは、やはり積極的な意思のあらわれるものを出されるということは、私は非常にいいことじゃないかと思うのですがね。こういう点について、根本的な問題の解決には幾多むずかしい問題があって、それは慎重にやることは必要だけれども、そういうことを文部省自身も努力をしているし、そういう考え方を支持をして、われわれも一生懸命やろうというような、こういうことについて積極的な文部省の意思を示されることはいままさに時期だと思うのですが、こういう点については文部大臣どうお考えになりますか。  それからもう一つあわせて、さっき申しました定時制、特に就職条件に高校としてこれを認めないというようなものについては、日経連、経営者団体等について特にこれをひとつ認めてもらう、そういうことのないようにしてもらうという点についての文部大臣の積極的な活動をお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょうか、この二つ。
  42. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かにお説承りますと、御指摘のとおり、どうも大事を取り過ぎたようなきらいがあるような気もいたします。まあ問題の解決は一つの雰囲気にも大いに関係がありますから、そういう社会環境をつくるためにどういう呼びかけがしかるべきか、こういう点につきましてはひとつ研究をいたしたいと思います。いずれにしましても、ことしの入学についてはもう間に合わなくなりましたので、しかし、ちょうど世論がいろいろ起こり、一般的にも研究、検討をされている問題でございますから、私どももこの点につきましては早急にわれわれのとるべき態度といいますか、あるいは社会に呼びかける方法の有無等につきまして研究をしてまいりたいと思います。  それから定時制高校とか、あるいは大学の夜間部の卒業生、こういうものにつきましては、私の気持ちからいえば、学問の分遣に多少の差はあるかもしれませんが、人間的にいって、私は働きながら夜間の定時制高校に学ぶ、あるいは夜間の大学に学ぶというような人こそ、これは人間的にとうといのであって、人を使う人たちは大いにこういう人たちを尊重し、こういう人たちを活用する心がけというものが私は必要じゃないかと思うのです。さような意味におきまして、私も商工会議所でやりました企業者関係の方々の会合の席上でも、最近のいろいろ社会で問題にしております諸問題に関連をしまして、とにかく学較差をなくすといっても、学較差をなくし、あるいは定時制の高校の生徒がいま恵まれない、これをどうするかということについては、これは企業者側が頭の切りかえをして、筆記試験や学校在学中の成績や、そういう形の上にとらわれた人事採用をされては、いつまでたっても社会環境は直らない。したがって、人事の採用にあたっては学校在学中の成績や、あるいは何かを参考にするのはいいとしても、もっと重点は面接の時間などを十分にとって、人物、人をよく見る。そうして人を採用するのだから、採用してから再教育もできれば、本人の心がけ次第では、学問の分量の足りない人間でもどんなにでも成長はできるわけなんですから、そういうような努力をして環境の改善に配属してもらいたいということを述べたこともあるのでありますが、私の気持ちとしましては、定時制筒校あたりこそ私はとうとい人間的な存在で、こういう人を世の中が喜んで受け入れる態勢を築いていくことにつとめなければならない、そういうふうに思っておるのでございます。
  43. 小林武

    ○小林武君 委員長にお願いをしておきますが、この前の私の西洋美術館の質問に対しまして、委員長並びに文部省その他美術館に対して調査をして、早急にこの報告をするようにというようなことを申し上げたところですが、内々私は、直接は聞いておらないけれども、いろいろな人の口を通して、きわめて近いうちにその報告があるやに聞いているわけです。たいへんけっこうだと、私もその点は従来にないいいことだと思っているわけでありますが、その際は、私は政務次官にこの前お話をいろいろお聞きいただきましたけれども文部大臣もひとつ御臨席をいただきたい、必ず。そのときでないというと報告はやっていただきたくないと思うのです。  それから西洋美術館はひとつ責任者が出ていただきたい。この前、嘉門さんにおいでいただきましたけれども、富永さんもひとつ、万やむを得ない用事があれば別ですけれども、ひとつ全部そろった上でいろいろな御報告をいただきたい、このように思いますので、どうぞひとつ進行上の取り扱いはそのようにお願いいたします。
  44. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 了承いたしました。  他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会      —————・—————