運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-06-10 第51回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月十日(金曜日)    午後一時二十分開会     —————————————    委員異動  六月七日     辞任         補欠選任      梶原 茂嘉君     山本  杉君  六月九日     辞任         補欠選任      高山 恒雄君     片山 武夫君  六月十日     辞任         補欠選任      豊田 雅孝君     温水 三郎君      片山 武夫君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉江 勝保君     理 事                 金丸 冨夫君                 木村美智男君                 田代富士男君     委 員                 内田 芳郎君                 大竹平八郎君                 岡本  悟君                 木村 睦男君                 岸田 幸雄君                 高橋  衛君                 温水 三郎君                 山本  杉君                 加藤シヅエ君                 川村 清一君                 北村  暢君                 向井 長年君    衆議院議員        発  議  者  玉置 一徳君        発  議  者  堀  昌雄君    国務大臣        国 務 大 臣  藤山愛一郎君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省園芸局長  小林 誠一君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農林経済        局消費経済課長  堀川 春彦君        農林省畜産局参        事官       太田 康二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○消費者基本法案衆議院送付予備審査) ○物価安定緊急措置法案衆議院送付予備審査) ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (青果物食肉及び水産物価格等に関する件)     —————————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ただいまから、物価等対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る六月七日、梶原茂嘉君が委員辞任され、その補欠として山本杉君が選任されました。また、昨六月九日、高山恒雄君が委員辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。本日、豊田雅孝君、片山武夫君が委員辞任され、その補欠として温水三郎君、向井長年君が選任されました。     —————————————
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) まず、消費者基本法案議題といたします。  これより発議者衆議院議員玉置一徳君から提案理由説明聴取いたします。
  4. 玉置一徳

    衆議院議員玉置一徳君) ただいまから、消費者基本法案提案理由説明いたしたいと思います。  すべての国民は、毎日の衣食住の個人消費を繰り返している意味において、すべて消費者であります。国民経済を拡大し成長せしめている力として最も大きいのは、産業の設備投資在庫投資のような民間企業活動にあるのでもなく、また、中央地方を通ずる財政購買力にあるのでもありません。最大の力は国内の最終需要である国民個人家庭、集団の消費購買力にあります。政府資料によっても、昭和四十一年度の国民総生産規模三十兆八千五百億円のうち、個人消費支出は十六兆六千億円を占め、全体の約五三%に達するものと想定しております。  このように、投資活動財政活動よりも、国民個人消費支出のほうが、国民総生産のうちに占める割合が大きいという事実が明かであるにもかかわらず、わが国経済政策は一貫して、国民個人消費保護につき、きわめて非力であります。その立証として、昭和三十六年以来、わが国消費者物価上昇続きであり、政府は現在に至るも、これを抑制し得ないでいる事実一つをあげれば、足りると存じます。  現在、国民消費生活は、長期にわたる物価上昇のうちにあっても、食生活質的向上衣料品高級化家庭電化製品を中心とした耐久消費財普及など、消費高度化を目ざす国民の意欲はきわめて盛んなるものがありますが、勤労者家計支出は、昭和四十年には、ついに前年に比べて実質的に消費水準が低下しております。国民消費エネルギー物価高のもとに、むなしく停滞せしめられているのであります、また、「消費者は王様」というような売らんがための宣伝用語に踊らされているのであります。  最近、政府は、ようやく消費者保護政策に着目されるに至りまして、経済企画庁国民生活局農林省と通産省に消費経済課を設置し、それぞれ消費者保護行政に取り組む体制をつくられたのでありますが、遺憾ながら、その行政実施の実態は、管掌する個々の行政範囲の中にとどまっているだけで、消費者保護政策についての基本方針の確立、並びに消費者保護政策の体系の整備は、一向に進んでおりません。  本案は、このような現状において、国民消費生活保護充実についての政策基本を明かにし、今後の経済政策が、生産流通に偏重することなく、国民個人消費に対して正当にして適正なる施策を実施する道を提案するものであります。  本案は、ただいま述べましたような趣旨を明かにした前文と、法の主文により構成しました。  法の主文は、第一章総則、第二章一般消費者保護、第三章行政機関及び消費者団体の三章で構成しました。  第一章総則の第一条で政策目標として、本案にいう国民消費生活に関する国の政策目標は、国民日常生活の用に供される商品サービスについてである旨を明かにしました。すなわち、本案は、特殊な高級消費、浪費、ぜいたくの購入までも政策対象とするものではありません。あくまでも国民日常消費のみを対象とするものであります。  第二条で、消費保護についての国の施策基本は何であるかを十項目に分けて明かにしました。この内容は、第二章一般消費者保護におきまして、逐条ごとに具体的な施策方針を定めておきました。第三条で地方公共団体も国の施策に準じて施策を講ずること。第四条で国の施策を実施するために財政金融上、かつまた法制上の必要な措置をとるべきことを定めました。第五条の調査、第六条の国会に対する年次報告は、この種の基本法として当然の規定であります。  第二章一般消費者保護におきましては、まず第七条で適正な価格維持のために、不当な価格についての共同行為を規制すること、並びに流通機構を整備すること等の必要な施策物価政策基本とすべきことを規定しました。第八条は計量の適正化。第九条は品質表示適正化。第十条は消費生活における危害の防止。第十一条は商品標準化普及。第十二条は国民普及型商品普及。第十三条は消費者金融適正円滑化。第十四条は消費者クレームの救済。第十五条は消費者教育広報活動。第十六条は消費者意見を国の施策に反映せしめるための措置。以上の十カ条であります。第七条より第十一条までの五項目商品サービスが本来的にもつ機能を確保せしめるための基本規定であり、第十二条から第十六条までの五項目は、商品サービスを積極的に国民日常消費に役立たしめるための施策基本規定であります。これら十カ条を通じて、第二条第二項として、独禁法に基づいて適切な施策を講ずべき旨も規定いたしました。  特に、十項目のうち第十二条国民普及型商品とは、家庭電気器具大型家具類などのような耐久消費財をより多くの国民家庭に安い価格で供給する態勢をつくるための施策であります。いまやこれらの商品は大企業が大量生産し、誇大な宣伝のもとに販売しておりますが、毎年のような新型品を販売して、新型なるがゆえに価格引下げをなかなかやらないという営業方針をとっております。これに対して、本案では、国民普及型商品を指定した耐久消費財商品について法定して、これを安い価格で大量供給する制度を確立するものであります。なお、これらの普及型については、企業側がアフターサービス義務を負うことを定めております。  第三章は、第十七条消費者保護行政について、独自の行政組織を確立すること、第十八条消費者団体を育成し整備する規定であります。  なお、本案におきましては、消費者保護政策について調査し、かつ政府に具申する審議機関は、現行の国民生活審議会を活用することにし、新設はしないことといたします。  以上が本案の概要でありまして、本案前文冒頭に掲げましたように、国の将来の理想像は、全国民中産階級化福祉国家の実現にあります。これがためには経済活動の究極の目標国民消費生活充実に置くべきであります。憲法で定める健康で文化的な生活を営なむことは、国民の権利であり、これを確保することは国の責務であります。この観点に立ちまして、ぜひとも本案の成立を実現するよう、何とぞ慎重御審議の上、御賛同賜わらんことを切望いたしまして提案説明を終りたいと存じます。
  5. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 本法案につきましては、本日は提案理由聴取のみにとどめたいと存じます。
  6. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、物価安定緊急措置法案議題といたします。これより発議者衆議院議員堀昌雄君から提案理由説明聴取いたします。
  7. 堀昌雄

    衆議院議員堀昌雄君) ただいま議題となりました物価安定緊急措置法案提案理由を御説明いたします。  今日、国民がひとしく望んでおりますのは物価の安定であるといっても過言ではありません。ここ五、六年、物価上昇は著しく、消費者物価指数は、三十五年を一〇〇といたしまして、四十一年三月には一四〇・二と四〇%もの騰貴を示し、国民生活に著しい悪影響を与えているのであります。  三十九年度は、公共料金一年ストップ政策影響によりまして、対前年度上昇率は四・八%と、三十八年度の六・六%上昇に比べまして、やや下落を示しましたが、四十年度は再び七・四%と急上昇し、その結果、ききに総理府統計局が発表しました家計調査によりますと、四十年の勤労者世帯一カ月当たりの平均手取り実質収入額は、前年を〇・三%下回るという、同調査始まって以来の対前年減少という結果が出るに至ったのであります。  政府は、年頭におきまして、消費者物価上昇率を四十一年度は五・五%に、向こう三年間に三%以内に押さえるとの決意を表明しましたが、抜本的な物価対策がとられず、このまま推移いたしますれば、本年度、さらには来年度の物価上昇率は、七%台、まかり間違えば八%台にもなる可能性があると思うのであります。収入が少々増加いたしましても、物価がこれを追いかけ、場合によっては追い越していく。これでは国民が安心して働けないのは当然であります。物価の異常な上昇ほど、国民生活を破壊するものはありません。この国民生活を破壊する根元をいかにすれば断ち切ることができるのかを、いまこそ真剣に考えなければならない時期ではないかと思うのであります。物価の異常な上昇は、国民の政治への不信を醸成し、社会の混乱の大きな原因になることは、諸外国の例を引くまでもなく、周知のことであります。こうした混乱を、国民生活の破壊を、あらゆる手段を講じても、緊急に避けなければならない、年間六%も七%も上昇する物価を何はともあれ安定させなければならないという立場から、ここに物価安定緊急措置法案提出を決意いたした次第であります。  今日、物価の問題は、単に物価そのもの対策だけでは解決し得ない。総合的な経済政策、すなわち財政金融政策を含んだ計画的な経済政策から、生産振興対策流通対策、さらには消費構造にまで入り込みまして、包括的な対策を立てることが必要でありますが、そういたしますと、これは日本経済の根本的な立て直しをはかる経済計画法たる性格を有することになり、短期日のうちにはとうてい制定を見ることは不可能であります。  そこで、ここに提案いたしました物価安定緊急措置法案は、五年間の時限立法といたしまして、緊急な物価安定策を織り込んだのであります。この法案の大きな特徴は、公共的な料金国会もしくは内閣審議にゆだねるとともに、内閣に強力な諮問機関である臨時物価安定調査会を設けて、物価上昇に関連するあらゆる要因について調査し、内閣に答申するというものであります。特に強調いたしたいことは、経済政策物価不離一体関係にあるとの観点から予算の作成にあたって、内閣はその内容をこの調査会にはからなければならないとしたことであります。少なくともこの五年間、物価安定の緊急性にかんがみ、この法案が大きな役割りを果たすことを確信いたしまして提案をいたした次第であります。  次に、法案内容を御説明申し上げます。  第一は、この法案目的であります。最近における著しい物価の高騰をすみやかに抑制するため、公共料金その他政府が規制する価格料金等について特別の措置を講じ、臨時物価安定調査会を設置して、物価の安定に関する重要事項調査審議きせる等物価の安定をはかるために必要な措置を講じ、もって健全な国民生活維持及び向上をはかる、これが目的であります。  第二は、政府義務についてであります。これは、政府長期経済計画その他の経済に関する基本的な政策を策定するにあたっては、物価の安定について十分な考慮を払い、いやしくも物価の安定を阻害することのないようにすること、さらに物価の安定をはかるために、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるべきことを義務づけているものであります。さらに内閣予算を作成し、並びに財政投融資計画及び地方財政計画を策定するにあたっては、これが物価に重大な影響を及すものであることにかんがみ、これらを後述いたします臨時物価調査会にはかるべきこと、及び物価に関する年次報告、講じようとする施策を明らかにした文書の国会提出を義労づけているのであります。  第三は、公共的な料金もしくは価格について、国会の議決または承認を要するものと、内閣決定を経て定めるものに分類したことであります。前者は、国の独占的事業であります国鉄運賃、郵便、電信、電話料金製造たばこ価格NHK受信料、米穀の販売価格と、民間であっても著しく公共性の高い電力料金とし、後者は従来各省認可であります私鉄運賃通運料金、水道、ガス料金航空運賃など二十二品目といたしました。なお、後者内閣決定を経て定める料金もしくは価格に関しては、その閣議決定にあたり、臨時物価安定調査会にはかることを義務づけているのであります。  第四は、この法律案の基底をなします臨時物価安定調査会の設置についてであります。臨時物価安定調査会は、内閣に置かれる強力な諮問機関でありまして、両院の同意を得て、内閣が任命した二十名によって構成され、次の事項について調査審議し、内閣諮問に答申し、意見を述べることができるのであります。  調査審議いたします項目はつぎのとおりであります。  一、鉄道における運賃その他の公共料金等政府が規制する価格または料金に関する事項  二、独占または寡占の状態にある大企業における生産品または役務価格または料金に関する事項  三、農業、中小企業の低生産部門における生産品または役務価格または料金に関する事項  四、生産品または役務についての価格または料金に関する共同行為に関する事項  五、生産品流通機構に関する事項  六、地価、地代及び家賃に関する事項  七、その他物価の安定に関する事項  第五は、専門委員幹事事務局についてであります。専門委員専門事項調査するものでありまして、学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命することといたしました。幹事学識経験のある者及び関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命し、調査会所掌事務について委員を補佐することといたしました。事務局調査会事務を処理することとし、内閣総理大臣によって任命される事務局長の下に三十名を定数とすることにいたしました。  最後は、主任大臣法律有効期間についてでありますが、内閣法にいう主任大臣総理大臣とし、また法律有効期間は、施行の日から五年を経過した日までとすることにしたわけであります。  以上、提案の骨子について御説明申し上げましたが、よろしく御審議の上、物価安定の緊急性を御認識いただきまして、御賛同くださることをお願い申し上げる次第でございます。
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 本法案につきましては、本日は提案理由聴取のみにとどめたいと存じます。
  9. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査のうち、青果物食肉及び水産物価格等に関する件を議題といたし、調査を行ないます。  本日は、前回に引き続き、本件に関し藤山経済企画庁長官並びに農林省当局に対し質疑を行ないたいと存じます。質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私の伺いたいことは、ただいま委員長が申されました議題範囲にちょっと入らないのでございますけれど、物価安定のその範囲の中に入ることでございますので、質疑をお許しいただけますでしょうか。
  11. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) けっこうです。
  12. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは藤山長官にお伺い申し上げたいのでございますが、せんだってからクリーニングのことにつきまして、いろいろと問題が出ておるのでございまして、今朝の朝日新聞にも大きくクリーニング業法改正案というようなことで、何か議員立法動きがあるやに承っております。その内容は私関知いたしておりませんけれども、私ども家庭主婦立場から、いまのような、器具を貸すとか、あるいは目方でクリーニングを引き受けるとかいう新しく始めましたクリーニング方法は、その代金が非常に低廉になりまして、いままでの半分ぐらいの値段クリーニング費用が済むというようなわけで、家庭主婦にとりましては、これはたいへん適切なよい方法であると喜んでいるわけでございます。また、私、最近あちらこちら外国にも参りましたときに、やはり外国でも、こういうようなことが、もう少し早い時期から普及いたしておりまして、これによるドライクリーニーグが非常に便利で価格が安いので、このドライクリーニング方法によって処理できるように、衣服の質もそれに順応するように変わってきたということさえ聞いております。つまり、これはクリーニング——清潔にするところだけをやって、あとのプレスするとかいうことは別段階になる、いままでのクリーニングが、清潔に洗たくをした上にプレスして、整頓して、きれいな袋に入れたりしてよこす、それだけの費用がかかるわけでございますけれども、全段階の、ただドライクリーニングをしてくれるだけということになりますと、家庭ではその段階ができないわけですから、それだけをやってもらって、しかも、費用が半減で、あとのプレスその他整えるほうは、家庭に持ってきて自分でやるというようなことは、非常に適切な方法である。したがって、最近婦人の服はニットウェアというようなのが世界的に広まってまいりましたのは、ニットウェアにしておけば、あとでプレスする手間がかからない、この非常に安上がりでドライクリーニング目的が達せられるというようなわけで、いかにこれが世界的に家庭主婦にアピールしている方法であるかということでございます。日本でもこれが普及してきたことを私ども非常に歓迎しているわけでございますが、これは確かに洗たく代を半減するというようなことで、既存の業者にとっては相当迷惑なことであるかもしれませんです。したがって、何か議員立法動きが、衛生の面その他を強調して動きがあるやに承っておりますけれども、私ども主婦の願いは、やはりこうした安い値段クリーニングがしてもらえるという方法は、今後とももっともっと普及してもらいたいというふうに考えておりますので、これを何か規制されてしまってできなくなるというようなことは、これはたいへん時代に逆行することだと考えますので、物価の安定について一番の責任をお持ちになる長官としてのお考えがどのようであるか、それを承りたいと思います。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) このクリーニングの問題につきましては、実は私もけさほどの新聞で知りまして、けさ閣議の際に、厚生大臣に伺ったわけですが、厚生大臣もまだはっきりしたことを御存じでございませんけれども、そういうような議員立法でやろうという動きも当面あるというようなお話でございました。したがって、十分、それらについて、どういうお考えなのかわれわれも聞いてみなければならぬことだと思います。ただ、クリーニングは、ドライクリーニングといい、ウエットのクリーニングといい、ともに非常に安くやっていく方法を、これは考えてまいらなければなりませんので、まあ伝えられておりますものは、ドライクリーニングであるのか、水を使うクリーニングであるのか、はっきり新聞紙上ではいたしませんが、コインを入れてやるやつだと、あるいは水を使うやつじゃないかと思います。こういうのは、私ども立場からいたしますれば、普及させなければいけないので、いたずらに制限をして、そして狭めてまいるということは考えておりません。ただ、水を使う場合に何か衛生上の問題があるというなら、それを殺菌する方法を、何か消毒薬を中に入れるとかいうようなことで、そういうものは解決するのじゃないかと思うので、特別の何か制限を厳重に設けてやる程度のことが必要なのかどうかということについては、われわれももう少し厚生省当局とも、あるいはそういう法案考えておられる方々とも話してみませんと、要点が実は今日の段階ではわからぬものですから、中西局長にも、きょう閣議から帰りまして十分その点について意見を徴してもらいたいということを申したのですが、私ども立場は、低利に迅速に行なわれるこの種のものについてみだりに制限をしてはいけない——事情のいかんはどうか知りませんが——という立場をとって問題の検討をいたしてみたい、こう思っております。
  14. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  15. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  16. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの長官の御答弁、たいへんに私の希望しております線に沿っての御回答をいただきました。  なお、もう一言伺いたいことは、ただいまの私の質問が少し十分でなくて、水のほうのクリーニングドライクリーニングとを区別しないで伺いましたんです。それで、水のクリーニングのほうは、洗たく機自分のうちに持つことのできない事情にある方のために、こういうようなものでコインを入れればそこで洗たく機が使えるというようなことは、これは非常にいいことなので、何か衛生の面でそれの置いてある場所が適当でない場合には、それについて注意するという、その程度のことで御指導くださればいいのじゃないか、むしろこれは奨励されるべきものではないか。それから、ドライクリーニングのほうは、先ほど申し上げましたような、これは家庭でできないようなこともやってもらえますし、あとのいろいろの手間のほうは、家庭自分でやるという趣旨のものでございますから、これも奨励さるべきものであると多くの人が考えているわけだと思います。  そこで、もう一つ伺いたいのは、このドライクリーニングのほうが家庭で非常に喜ばれるということは、物価を安定さす、そうしてむしろ引き下げるということの中には、いままで商人の中でサービス過剰というようなところに商人が立たなきゃならない、クリーニング業も確かにそうで、ワイシャツ一枚のためにもわざわざお得意のうちに行って、一枚をもらってきて、またそれを配達するというその手間というものは、これはたいへん高くついてもやむを得ないことになるわけで、そういうサービスを全部自分でまとめてするということは、消費者物価の安定のために協力するという、そういうような方向への御指導も非常に大切じゃないかと思うのです。これはクリーニングだけでなくて、たとえば、一時代前は、おしょうゆ一本からお大根一本まで一々御用聞きが家庭に来た。それがもう時代にそぐわないので、今日はそういうことがなくなるというふうに移り変わってきております。で、それがさらに、いま牛乳の配達、それから新聞の配達、これもやはりその配達というサービス、こういうようなものが今日の時代になお続けられるということが、物価の安定の問題とこれは逆行することではないか、こんなふうに私考えますんですけれども長官は今後、どういうふうにお考えになって御指導なさるお考えか、それも承りたいと思います。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今後、清費者の生活というものは、やはり近代社会の生活として、新しい角度から消費者自身も生活態度を考えていただかなければならぬことで、過去の習慣にとらわれておられてはならぬ。ことに、これからの日本において、労働力は必ずしも非常な大きな過剰状態が続いていくというわけでもないと思います。その労働賃金も高くなることは当然でございます。したがって、やはりサービス自分ができる限りにおいて、従来サービスされていたものに対して自分が仕事をして、合理的な生活内容をつくっていくということが望ましいことであって、何でもかんでも商人のサービスを要求すると、先ほどお話のような過大なサービス競争、そういう意味で高くなるのは当然でございますから、クリーニングとか洗たくとか、あるいは、マーケットに野菜その他を買い出しにいっていただくというようなことが、やはり、これからの消費者、特に主婦の方々の生活——それは物価問題を離れても、生活態度でなければならぬと思います。したがって、われわれもそういう意味で、消費者行政の中では、消費者団体の方々の御協力を得ながら、そういう方面の啓発をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  昨日、大阪に行ってみてまいりましたけれども、大阪ではその意味では、経済も合理性を持ち——生活経済的合理性を持って、比較的みえとか何とかいうことでなしに、相当の地位の御婦人がマーケットに買いに行く、また、マーケットに店を出すことが旧来の小売商の面目を害するのじゃないというような形で、非常に両面合理的に、大阪人の生活態度というものがやっておられる。これは、やはり新しい時代の態度だと、そこへいくと、なぜか東京は、なかなかそうはいかぬようでございます。だんだんにそういうことになると思いますが、国民生活局としては婦人団体、その他と共同して、この点について、十分まあ指導と申すよりは、ともども問題の解決をはかっていきたい。こういう立場でまいりたいと、こう思っております。
  18. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは農林大臣も御出席していただいて、米価の問題を中心に、いろいろ検討会をやりたいという前回のお話でありましたが、きょうは農林大臣が御出席にならなかったわけなんですが、幸い藤山長官が御出席でありますから、藤山長官にちょっとだけお伺いしたいと思うのですが……。  もうすでに、御承知のとおり五月二十三日ごろの新聞であったかと思いますが、田中幹事長が生産者米価は上げても、消費者米価は現状維持、据え置きでいく、このような意味の発言をなされたのじゃないかと思います。それに対しまして、藤山長官は、その五月二十三日の田中幹事長の話は田中幹事個人の見解である、そういう意味のお話をなされていたかと思うわけなんです。それに対しましては、今度は坂田農林大臣は、生産者米価の上げ幅次第では消費者米価も上げざるを得ないと、ほかにもいろいろお話がありましたけれども、一つの焦点を合わせますれば、そのような三人のお方の考え方というものはまちまちの意見が出ているわけなんですが、これに対して、経企庁長官としてのお答えは、一応田中幹事個人の見解であると言っていらっしゃいますが、それぞれ、政府のことでありますし、どのようにお考えになっていらっしゃるか、御意見をお伺いしたいと思います。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) いま御質問になりました閣議の話は、田中幹事長が消費者米価の問題について、話されたあと閣議であったと思います。私は、まだ米価の問題は、ここで種々論議することが早いのであって、もう少したってから十分な論議をすべきだということを、実は申しただけでございまして、幹事長のあれに対しても、農林大臣のあれに対しても、何らかの形で私の考えを表示したわけではございません。むろん、米価の問題は大きな問題でございますから、個人的な、いろいろの見解、あるいはそれぞれ各省の立場に立って、いろいろな見解が出てくることは、これは当然でございまして、そういう問題を討議しながら、終局において、適当な結論を得るということが望ましいことでございますから、いまいろいろの議論が出ましても、それに、一々こだわる必要はないんじゃないか。こう考えております。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 いま問題になっている大事な問題でございますから、いまお話になったようなことでは不本意でありますが、これは、会を重ねていろいろ検討していきたいと思いますが、藤山長官諮問機関であります物価問題懇談会のほうから、米価問題についてパンフレットが回ってきておりますが、この中に「米価は、物価全般のみならず、国民生活および国民経済影響するところが大きいので、政府としては極力その上昇を抑制されたい。」と、そういうような意見書が出ているわけです。この物価問題懇談会の意見書に対しまして、事実はどうであるか、消費者米価の値上げが一般物価に与える影響というものはどのようになっているだろうか、事実、消費者物価は七・四%上がっておりますが、この米価の影響というもの卒特殊分類による消費者物価上昇寄与率の推移というものを、一覧表を見てまいりますと、三十七年が七・七%、三十八年が一四・一%、三十九年が一四・三%、四十年が一八・九%、消費者米価が物価に与える影響というものは、このように、いま申し上げました数字のような推移になっているわけです。こういうところから物価問題の最高機関である長官として、まあ消費者米価と物価問題とからんで、どのようなお考えを持っていらっしゃるか。この数字の上からひとつお答えいただきたいと思いますが。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 米価は、日本人のこの生活の上からいうと、非常に大きなウエートを持っております。それは精神的にも、ある意味からいえば持っていると思います。米が上がったということ自体が、過去においては相当な、それだけで物価上昇になったような感覚を持ったわけでございますから、米価の値上がりというものについては、相当な影響がいろいろな面であることは、これは当然でございます。したがって、米価の決定というものは、私は相当慎重にしなければならぬこと、消費者米価につきましては、いま申し上げたような意味からいって、実質的な意味での影響と、それから、精神的な意味での影響による波及効果と申しますか、値上がりムードを惹起すると申しますか、そういうような面から、両面からあわせ考えまして、私は非常に重要な、米価は物価問題に対して影響があるものだと、こう考えております。  なお、数字等については生活局長から、御必要があれば。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 お願いいたします。
  23. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 先ほどお話しの数字はそのとおりであったと思うのですが、念のために申し上げますと、三十六年から三十七年にかけましては、米が上昇に寄与したウエートは七・七%、三十七年に対して三十八年を見ますと一四一、三十八年に対して三十九年を見ますと一四二二、三十九年に対して四〇年を見ますと一九・一でございます。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 その数字の上からの今後のいろいろな問題等を聞きたかったわけなんですが、きょうは長官の時間が制限されておりますから、この問題については深くまた次回にお聞きしていきたいと思います。  次にお尋ねしたいんですが、いまも出てまいりました物価懇談会の意見書の中で強調された点は、政治加算の排除という点じゃないかと思います。それで、この政治加算金の問題は、いま、もう焦点になっている問題でありますが、これは政府与党の腹がまえ次第では、どうでもきまることじゃないかと思うわけです。少なくともこれだけは真剣に受けとめる必要があると見る向きが多いわけですが、これに対する長官のお考えをお聞きしたいと思うのであります。
  25. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は大体原則から申しまして、この物価問題懇談会の御意見を尊重しながら、企画庁としての発言をいたしていくという考え方でございます。政策決定でございますから、われ一人よしというわけにまいりませんから、最終的に皆きま方の御意見を調整してまいらなければならぬことは、これは当然でございます。立場として、大体私ども諮問機関であります物価問題懇談会の意見考え方をもって、できるだけ問題の処理に当たっていきたい、こういうふうに考えております。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 この問題も、いまのお答えではちょっと不本意でありますが、またこれも次回に詳しくお伺いしたいと思います。  次にお聞きしたいことは、いま政府は、中期経済計画を御破算にして、新しい経済計画を諮問していらっしゃるようでございますが、これを御破算になされたその理由ですね、これはまず第一点ですが、それと、長官は安定成長を目標にして、この安定成長が軌道に乗るならば、現在問題の物価高の大半というものは解消するのじゃなかろうか、そのように述べていらっしゃるわけなんですが、物価対策を抜きにした経済計画というものは考えられないのじゃないかと思います。これに対して、長官としてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
  27. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 中期経済計画は、もう御承知のように、いろいろな面からして計画を立案した当時と著しく状況の変わった状態に置かれたわけでございまして、中期経済計画自身からいえば、あれだけの不況が見舞ってくることも考えられなかったのでございます。同時に、公債発行という新しい事態もその結果として起こってきたということに対して、必ずしも予想をいたしておらなかった物価高の問題につきましても、今日のような現状が招来するとは考えられておらなかった。そういう意味で、計画自体が著しく今日の現状とそごしてまいりましたので、これを一応御破算にいたしまして、そうして新しく今日の実情の上に立ちました計画、そうしてそれを将来どういうふうに健全な経済発展の方向に持っていくかという政策を主眼、中心にした一つの計画をつくり上げてまいりたい。その場合に、申すまでもなく、経済が順当に発展していくためには、物価問題が非常に大きな問題、物価問題は、経済発展のいわゆるゆがみ、ひずみから来た結果でもございますけれども、今日ではまたその物価問題が、これから発展していく経済の一つの何と申しますか、基盤——現在からいえは基盤になっている。ですから、こういう状態を改善していかなければ、同じような形でもって発展していったんでは、いわゆる私どもの言っております安定成長というものは所期し得られないわけでございますから、できるだけ物価をこの際安定する方向へ持っていきまして、そして経済各方面の発達がおのずから比率を得て発展していくというところへ持っていきたい、こういうことで、先般総理大臣からも経済審議会に対する諮問も、第一に物価の安定ということを掲げて、今後の政策方針審議をお願いすることにいたしておりますので、そういうふうな考え方でわれわれとしては進めてまいりたいと、こう思っております。
  28. 田代富士男

    田代富士男君 次に、昨日の日経新聞であったかと思いますが、それを見ますと、政府物価抑制と景気対策の一石二鳥をねらって打ち出された物品税減税の効果の問題が出ておりましたが、全体として今度の物品税減税というものは、需要喚起の面で心理的な効果をもたらしたということは言えるかもしれませんけれども、ところが実際の今回の調査の結果をもとにした、こうした政策減税の効果をあげるためには、どのような条件が必要であるか、また、どのような点を分析するとともに、減税分を値下げに回していない業界に対しては、四十二年度以降の減税の対象からはずすことも考慮しているということであるけれども、経企庁としては物品税減税についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、この点を詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回の物品税減税にあたりまして、事前に私どもといたしましては、値上げ分だけが現在の価格から引き下げられるようにということを主体にして、各省それぞれ行政指導をしていただくことにお願いしまして、各省ともそれについて十分に行政指導されたと思います。ただいま実はその実績がどうあるかということを調査いたしておるのでありまして、四月から始まったものですから、四、五の実績をいま調査いたしております。いずれどういうふうな結果が出てまいりますか、それらのことによっていろいろ問題を解明してまいりたい、こう思っております。
  30. 田代富士男

    田代富士男君 それでは時間もあまりありませんから、もっとこの問題を次回に突っ込んでお尋ねしたいと思います。  それからいま物価問題と取り組んでいらっしゃるけれども外国を例にとってみますと、フランスにしても、イタリアにしましても、消費者物価が四%も上がったならば、主要工業製品など何十種目にわたって物価ストップの法律がつくられているわけですが、このように国民大衆のために諸外国においてはなされているわけですが、いま政府としましても、このような物価値上げをストップするような措置を講ずる腹がまえがあるかどうか、その点ひとつお尋ねしたいと思います。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) いま私としては、物価をそのままストップしていくという考えはございません。これはヨーロッパ等の状況と若干私は違うと考えておりますので、日本においてはいろいろ構造上の問題から来た問題も多いわけでございまして、むろんそれだけではございませんけれども、需給関係の問題もございますが、構造上から来た問題も多いのでありまして、いきなりただ単純にいまのままストップするということは、必ずしも将来の物価問題からいって適当であるというふうには考えられませんから、全部のものに対してストップ令をかけるというようなことは考えておりません。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 この問題は、通産省にほんとうは聞くべきじゃないかと思いますが、経企庁にもちょっと関係がありますから、最後にお聞きいたしますが、昨年の二月ごろに政府が石油の需要期における生産制限を強化したわけですが、このときに政府は石油業者に対して滞貨融資を考えられたわけですが、その半面六月ごろになってC重油二百五十万キロほど輸入された。ところがこの製品をどのようにされたかということがあまりはっきりしていないわけですが、これは通産省に聞くべきですけれども、聞けば経企庁の計画課において行なわれたと、このように承っているわけですが、その点についてもしおわかりであるならば、本来通産省に聞くべき問題でございますが、この機会を通じてお答え願いたいと思います。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私ただいま十分承知いたしておりませんので……。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 それではこれは計画課においてそういうことをなされたということを聞きましたけれども、計画課においてそういうことはタッチされたか、されていないかがおわかりにならないでしょうか。
  35. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 実はちょっと私も聞いていないのですが、事務的に調べてみまして、先生のほうへ別途御連絡申し上げたいと思います。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 きょういろいろお聞きしましたが、藤山長官はお忙しいお立場で、時間制限、時間制限で不本意な質問でありますし、したがって、このあと農林省関係の質問もありますし、また、きょう聞きたかった問題が残っておりますが、それは次回に回したいと思います。農林省の質問はこのあとにしたいと思います。
  37. 北村暢

    ○北村暢君 まだ若干時間があるようでございますから、私、この際ですから、経企長官に御質問いたしたいと思いますが、この前、あなたのところの物価懇談会から生鮮魚介の価格安定の報告がなされており、昨日ですか、大阪のほうに行かれまして、中央卸売市場の視察もされたようでございます。そこで、私はこの内容についてほんとうはきょう詳しくお伺いしたがったんですが、時間がございませんので、一、二点についてだけ簡単に質問いたしたいと思います。  まず、報告の第一点にある生鮮魚介の価格安定のために、また、物価政策として引き下げる方向として生鮮魚介類の海外からの水産物の輸入を拡大せよということが報告されておるわけであります。この点については、もちろん沿岸漁業あるいは中小企業に悪影響を及ぼさない程度において、この水産物の輸入を拡大せよと、こういうようなことが言われておるのでありますが、従来の水産物の輸入の傾向をみますというと、国内生産と輸入をみますというと、たいした比率になっておらないわけですね。しかも、水産関係においては、これは日本は有数な水産国であるわけでありますが、一体この報告に基づいて水産物の輸入の拡大ということについての見通しなり、方針なりというものがあって、検討されて、この報告が出ておるのか。また、価格問題との関連で輸入水産物についてどのような方針で臨まれるのか、これはいまだかつて農林省ではこういう方針を一回も出したことはございませんから、この際、ひとつ考え方をお伺いしておきたいと思います。
  38. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) これは物価問題懇談会の勧告でございますが、御承知のように、水産資源が沿岸等においてはだんだん少なくなっておるので、自然遠洋にならざるを得ない、同時に遠洋になった場合、日本の船が出て行くばかりでなく、外国からの輸入も考えてみたらどうだろうかという大筋の考え方だと思います。やはり、将来日本のたん白質源を相当程度生鮮魚介に、日本人の嗜好からいって依存していくとすれば、やはり水産資源の培養ということをあわせ考えて、日本の漁業技術が発達しておりますから、遠洋漁業的な方法によって日本人が出ていって取ってくるということが相当行なわれるだろうと思います。と同時に、外国で取ったものを輸入してくる、たとえば、カリフォルニアからエビを持ってくるとか、南米から何を持ってくるということも考えられないというわけではございません。ですから、国内の零細漁民に対する影響を考慮しながら、それらのものを進めていくことが消費者生産者相互に対して適当なんじゃないだろうか、こういう考え方に立っておると、私どもは皆さん方の議論を通じて、そういうふうに承知いたしたのでございます。
  39. 北村暢

    ○北村暢君 これは農林省からこの委員会に出された資料ですがね、魚介類の輸入量よりも輸出のほうが多いんですよ、従来。したがって、輸入をふやせというより、それだったら輸出をやめたらいいじゃないかということになるんじゃないかと私は思うんです。したがって、この点がどうも簡単に文書上で観念的に輸入をふやしたらよかろうと、こういうんでありますが、こういう勧告なり報告なりを受けて政策化する場合に、いま長官の答弁されたようなことでは、実際に政策としてそういうことが実現できるのか、できないのかということが私は大いに問題があると思うんです。したがって、きょうは水産庁関係の方が見えておらないんだろうと思いますが、考え方として、足りないから、簡単に輸入すればいいという、このものの考え方が私は——足りなかったら輸入したらいいじゃないかと簡単に言われるけれども、そういう簡単なものではないんじゃないかという感じがするんです。漁労にいたしましても、漁業の技術にいたしましても、これは日本は有数なんでありますから、最近深海魚等を取ったらいいじゃないかというような議論も出ているようですが、そういうような点からいって、それは漁労の技術からいったって、日本は非常にすぐれているわけですから、輸入する前に自分で取ったらいいじゃないか、こういう問題になると思いますがね。ですから、どうも物価問題懇談会の言っていることが私は抽象的で、何らの根拠なしに、簡単に輸入したらいいじゃないか、こういう意見も出したらいいじゃないかと、こういうふうにしか受け取れない。実情を何も知らないで、勧告なり意見なりを出しているんじゃないかというふうに受け取れるような感じがするんですよ。したがって、こういうものを勧告され、報告されて、政府として、先ほども長官言われているように、こういう勧告なり何なりというものを尊重しながらやっていくと、これは米価の答弁ですけれども、そういうようなことのようですから、尊重されるにしてはあまりにお粗末な答申をしているんじゃないか、それがまた尊重するといって、どういうふうに尊重して政策化するかということだと思うんですね。漁政部長が見えているようですから、この答申を受けた水産庁は一体どんなことで政策化するか、漁政部長にお伺いいたします。
  40. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私から全体のことについて。物価問題懇談会が各それぞれの立場に立った方々にお集まりをいただいて、非常に活発な議論をして、ある程度おまとめになっておる。がしかし、問題によっては、いまお話のように、必ずしもその道の専門家だけが集まっておられるわけじゃなくて、それだけに新しい観点に立ってのものの見方をされますけれども、それが必ずそのまま現実に行なわれるような方法にうまく適応するかどうかという点については問題のある点もございます。したがって、たとえば、都市交通のような問題については、こういうような提案をするけれども、それについてできるものはどういうことだ、できないものはどういうことだ、そういうことについて少し回答を政府としてしてくれ、こういうふうなお話で、懇談会の委員の方々もそういう面もみずから考え提案なりしておられるわけでございます。ですから、この懇談会の席上では、それぞれ各省の担当官がみんな出席してくれまして、そして熱心に質疑応答をやっておられますから、全然実情その他を無視したわけでもございません。しかし、新しい観点に立って、場合によれば従来の行政の中でマンネリズムにおちいったところを新しい観点で見てみようという考え方がありますから、いま御指摘のような感じのする点はあるように思われます。ですから、私ども尊重しながら、これをどういうふうに具体的に盛り込んでいくかということになれば、いずれの提案にいたしましても、全部が全部そのとおりやれるというものではございませんが、精神はとにかく消費者物価を下げていこうという問題に新しい目のつけどころをつけておられるので、できるだけそういう意味で尊重していきたい、こういうように全体として考えております。
  41. 北村暢

    ○北村暢君 漁政部長に答弁を要求しましたが、漁政部長はあとからやりますから、あと十分しかありませんので長官にまずお伺いします。  次にお伺いしたいのは、中央卸売市場の取引が公正な価格をつくり出すよう取引方法などを改善すること、このほかにも中央卸売市場について大都市周辺にふやせとかいろいろあるわけですが、この取引方法の公正化について改善せよということが出ているのですが、大阪の東部市場も大臣は御視察になったようでございますから、一体この取引方法の公正という問題について、いままでどういう問題点があって、それをどういうふうに改善をするのかという点について、大臣視察された感じをひとつ述べていただきたい。これは専門的にあとから事務当局に詳しく質問いたしたいと思いますから、ひとつこの点についてだけ、大臣は非常にフレッシュにいろいろな検討をきれることはいいと言うのですから、大臣のフレッシュな意見をひとつ聞いておきたいと思う。
  42. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者の方々が一番あれされますのは、やはり価格決定が公正に、何といいますか、目の前で公正に決定されるということが、それぞれ農村の方、あるいは流通過程の人でも、その取り扱いをしていて、自分たちがそれで食べていかなければならないのは当然のことですから、生活をしておるのですから、ただそれが公正におのずからきまっていくということになれば消費者の方は納得する。そこで、従来の中央卸売市場等の取引がどういうことになっているのか、なかなかしろうとにわかりにくい点がある。たとえば、同じせりでも昔ならば何かそでの中で隠してやっていた、だれにもわからぬところで取引していた、それは大阪では改善されておりますが、しかし、それでもどういうような勢いで価格がせり上げられているのかよくわからぬが、東部市場で拝見しましたたとえば電気によりますせりというのは、私どもなるほどこれは明瞭に価格形成が納得できるような感じがいたします。機械的操作になれるためにも、仲買い人もなかなか修練を要し、ことにそのせりに参加しておる人は若い人でないとちょっとすぐせり落としの役ができないと言っておりますが、しかし、ああいう形でやりますと時間的にも従来一時間半かかったのが一時間くらいでやれるというようなことで、五秒という時間がかなりあるのに驚いたのですが、五秒の中でせりをやって電気ですっとやる、そういうような改善は私はやっぱりこの際すべきであるという感じがいたしました。  それから同じような中における仲買い人の単数制、複数制というような問題がございます。これなどもやはり相当に検討を要する問題があるんじゃないか、むろん長い間の歴史的な問題でございますから、そういう点について、いろいろ問題はあろうと思いますから、一気にいかない場合もあろうと思いますが、いろいろ改善していかなければならぬ。  それからまた市場は東京も見ました、築地もあるいは神田も大阪も見てみまして、東部市場は全く新しくできましたから、一応理想的ですが、まだあれでもこれからの市場としては五、六年で狭隘になるんじゃないかと思いますが、一応貨物が入ってきて出るまでの流れがチェーン式に流れるようになっておりますが、やはり福島市場のようなところは、もう全くそういう考えなしに古いまま、三十五、六年前の設備でございますしいたしますから、とうていそれらのものが今日の現状に対応するようにはなっておらぬ。これらの問題について、それらの市場を移していくという問題、さらにそれを現状のままで立体化するという問題については、毎日仕事をしている場所を立体化するということは相当困難なことだと思います。現に私どもが中を歩いてみますと、コンクリートのいわゆる石がでこぼこになっておるんです。そうして水をたくさん使うから水がたまっている。とにかく日曜一日しか市場は休まない、そうすると、日曜日一日でもって破れているコンクリートを直しても、翌日使ったらだめになる、四、五日くらいかわかしてからでないと使えない、そういうひまがないから、もうでこぼこのままだということ、でこぼこのままだから、同じように手車を引いてがらがらごろごろやっておるというので、スムーズにはまいりません。そういう点で非能率な状況だ、それらのことは、いま申したような点から、なかなか問題がありますけれども、たとえば、電気せりのようなことについてならば、これはくだものから始めておられるんですが、くだものについては、できることは大阪東部市場ではっきりしていますから、東京市場その他にもこういうことをむしろどんどん政府が積極的に指導して普及さして、一歩でも明朗化の方向に進んでいくということが大事じゃないかということを感想として持って帰りました。詳しいことは局長その他から……。
  43. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それじゃ長官、御苦労さんでした。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  44. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それじゃ速記をつけて。
  45. 北村暢

    ○北村暢君 それでは私、この前からの当委員会におきます生鮮食料品の価格等に関する各参考人の意見聴取し、その意見に基づきまして、調査室で問題点等を集約しているようであります。したがって、このせっかく聞きました参考人の意見の集約でありますから、当委員会としても、将来この問題点を集約し、そうしてこれを行政当局に要望するものはすると、まあこういうことになるようでございまするので、主としてこの問題について私は質問をきしていただきます。  これは流通関係のいろいろな——生産者、あるいは流通機構における荷受け、仲買い並びに消費者と、いろいろの代表者が、しかも、それぞれの立場で主張をいたしますから、必ずしも統一された意見にはもちろんなっていないわけであります。私どももそれらの点を踏まえながら、ひとっこれらの意見を集約する意味において、主として農林当局でございますから、農林当局に対して、この物価安定対策について質問をいたしたいと思います。  農林当局では、当委員会における六月三日付の生鮮食料品の需給及び価格の動向と価格安定対策について説明をされております。これらの問題を見ますというと、まあ動向は、大体この物価の値上がりに生鮮食料品の占める地位というものが、しかも、値上がりの状況というものが説明されて、それの対策が述べられておりますが、農林省でありますからやむを得ませんが、大多数の対策生産対策が主として述べられております。そうしていま問題になっておる流通機構の問題、あるいは末端の消費者に対する行政の問題、消費者の行政は、これは生活局でありましょうが、末端の小売り業までは、これは農林省の所管であろうと思うのでありますが、それらについては、中央卸売市場の整備等ということで、中央卸売市場については若干述べられ、小売業については、近代化のあり万等について検討を行なう、この程度対策しかないわけですね。これは一体生産対策を見ますというと、これは全部書けないのでしょうけれども、全く漫然たる対策であるわけですね。こういうもので、私は、いま生鮮食料品の価格安定の問題が最大の問題になっている時期に、この程度のものの説明で足りるというように考えている農林省の態度に対して、私は非常に不満に思うんです。しかも、これは最近において行政管理庁の監察報告でも指摘されておりますが、それは三十八年の閣議決定に基づく生鮮食料品の価格安定対策、これについての監察をやっているようでございますけれども、それですら、いろいろな問題が指摘されているわけです。しかも、行政管理庁の指摘は——行政管理庁は流通の問題なり何なりの専門家じゃございませんから、この監察報告なり何なりというものは、ある程度の問題は指摘しておりますけれども、監察に行った監察官が、それも行った先々で教えられて、そうして監察している程度ですから、これは能力のない者が監察しているわけですから、大したものじゃないと思っているんです。こう言ったら行政監察局はおこるでしょうけれども、適当にあしらわれてきているというのがこれは事実です。したがって、私は、そういう面からいって、その行政管理庁ですら、今日監察結果を勧告しているんですね。それにしては非常にお粗末なんでありますが、一体農林省流通問題なり何なりに対する取り組み方の姿勢の問題として私は問題があると思うんです。これじゃ幾ら参考人の意見を聞いてみたところで、何してみたところで意味をなきないと思うんですね。したがって、そういう面についてまず政務次官からそういう基本的な態度の問題について、ひとつ明らかにしていただきたいと思うんです。大臣ならいいんですけれども、大臣おられないから、政務次官ひとつはっきりしてもらいたい。
  46. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 農林省の従来のたて衰えといたしましては、生産方面に重点を置いてやってまいったのでありますが、最近消費面について非常に問題になってまいりました。ことに、また消費面の物価にはね返りの点についても大きな問題になりますので、経済企画庁におきましても、そういうような点について重点を置いております関係上、やはり農林省といたしましては、配給面について重点を置いてやらなければいかぬ、あわせてやはり配給面も重点的に考えなければいけないというようなふうに最近の政策が変わってまいりつつあるのであります。
  47. 北村暢

    ○北村暢君 そういうように変わりつつあるならあるように、ものを出してもらわぬと困るのですよ。六月三日に官虎企画室で出した説明書ですよ、それに流通問題、何行書いてあるのですか。何もあなたの言ったように、配給面に重点を置くような形になっていない。こういうことでは、私は、いまの説明では納得いたしませんから、もう少し委員会に親切な資料なり何なりを出すようにしていただきたいと思うのです。
  48. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 詳細の点は官房長に説明いたきせます。
  49. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 六月三日付で御提出をいたしました資料でございますが、なるほど北村先生の御指摘のように、流通面について農林省が現に、すでにやろうとしているところ、また今後努力しようとしていることに、必ずしも予算を伴わない指導行政であったり何かする関係もありまして、この資料の作成の際に十分な内容を盛り込まなかった点は、作成上若干御批判のとおりだと思いますので、今後そのような点のないようにつとめてまいりたいと思いますが、ただいま政務次官が答えられましたように、流通問題については農林省も相当以前からいろいろ近代化なり合理化なりの施策を講じ、また指導もやっておるわけでございまするが、何ぶんにも短期間に急激に効果があらわれるというような種類の行政ではございませんので、そういう意味から、自然この委員会に御提出するような資料の中でも、特に具体的な内容として記述が十分に行なわれなかったのが、そういうところにあるのではなかろうかと思いますが、先ほど先生のおっしゃったことに、別におことばを返すつもりはないわけでございますが、最近における生鮮食料品——野菜とかその他の生鮮食料品の生産と需要の傾向が、その資料にも書いてございまするように、非常に最近の経済の成長なり、国民生活内容充実等に伴いまして、食料品に対する需要の構造が変わってきている。急激な勢いで需要が伸びたものに対して、生産が相当伸びておりますけれども、必ずしも十分追いついておらないという実情が相当顕著にあらわれておるわけでございまして、私ども従来農林省生産に力を入れてやっております対策を今後ますます充実することは、すなわち供給を需要に追いつかすことによって、結果的には価格安定に寄与する効果はあると私どもも信じておるわけでございまして、そのような観点から、野菜につきましても、その他の肉類等につきましても、安定的な供給を確保するという施策を講じておりますることは、見ようによっては、生産対策ではないかというおことばのとおりかもしれませんけれども、私どもは、消費者価格の安定をはかる最も正しい道はその道ではないかということでやっておるわけでございまして、生産対策だけやって、価格安定のほうはさっぱりやっておらぬということでは必ずしもないと思っておりますが、ただ従来からの施策のほかに、流通問題についての行政の内容が非常にむずかしいということ等もありまして、御批判を受けたような、成果が必ずしもほかのものほど急速にあがっておらないという点は、私どもも今度十分に、御注意の点を肝に命じましてやってまいりたいと思っております。
  50. 北村暢

    ○北村暢君 その抽象論をやっておりましても、私は何も、農林省ですから、生産対策をやるというのは悪いと言っているのではなくて、大いにやってもらいたいと思うのです。ただ生産対策ではなくて、生産対策に重点を置くというふうに言っているので、ここでも生産対策はある程度どうしよう、こうしょうということが出ているのです。だけれども流通面に対しての対策についてはごく大ざっぱであるということだけを申しておるので、しかも、いま集約しようという問題は、ほとんど流通対策で、生産対策は、もちろん出荷対策もありますけれども、大部分が流通問題なんです。  したがって、具体的にこれからお伺いいたしますが、まず、中央卸売市場対策として、それぞれ述べた意見はそのまま出ておるようでありますけれども、第一に市場を増設すべきである。こういう意見が出ているわけであります。市場増設について、これはだれが見ても、市場増設については意見は一致するところではないか。ただ問題は、これは市場関係者からいえば、市場増設という問題は、特に荷受け等においてはなかなかむずかしい問題であろうと思います。が、総体的にいって、市場増設というのはだれも反対する者はいないと思うのですが、一体市場増設について、盛んに市場整備その他をうたっておるのですが、農林省は一体どういうふうな考え方を持っておられるか。
  51. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 御説明を申し上げます。農林省といたしましては、中央卸売市場につきまして、計画的な開設整備をはかっておるわけでございますが、これは法律によりまして、人口十五万以上の都市に中央卸売市場が開設できることになっておりますから、その中で開設の条件が整っており、かつ開設の必要があるというふうに思いましたものを、開設整備の八カ年計画に組み入れまして、現在すでに開設済みの都市は二十三都市でございますが、そのうち計画の対象といたしまして、既設の都市につきまして大部分と、それから現在新設をすべく予定をしております四都市につきまして、計画的に整備を進めておるわけでございます。  なお、人口十五万以上の都市で、相当残っておるわけでございますが、この残りの中でかなり開設の必要性を認め、具体的な地元の動きのあるものが十都市余りになっております。そういうところを指導いたしまして、今後できるだけ急速に中央卸売市場の整備を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 北村暢

    ○北村暢君 この対策の中にも出ておるのですが、四十一年度、この中央卸売市場の整備助成金として五億五千万円、これはいま今年度の計画実施は一体どのくらいになるのか、これをまず説明していただきたい。
  53. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 中央卸売市場の開設整備には相当なお金がかかりますが、これは地方公共団体が施設をつくるわけでございますから、これに対する国の助成として、そこに書いてございますように、五億五千万円の補助金と、それから他に起債措置というものがあるわけでございます。地方公共団体の施設建設に対する財源充当のための起債措置、これが本年は四十五億になっております。それらの資金が国の手当てをする分でございまして、残りは若干、用地費等自己財源でやるものというものがあるわけでございます。
  54. 北村暢

    ○北村暢君 そういうことを聞いているんじゃなくて、地方公共団体が施設をつくるわけですから、それに国が若干の助成をするということですが、いまおっしゃるように、十五万以上の都市にこれをどんどんつくっていくということになれば、八カ年計画で十五万都市の半分もできるわけじゃない、二割か三割でしょう。まあそういう状態なんですが、とにかく、この前当委員会でも質問したのでありますけれども、東京都内約四百万人口当時の中央卸売市場というものの状態です。まあ若干分場等はできておりますけれども、周辺地の中央卸売市場の整備ということは、これはもうたいへんな問題になっていることだろうと思うんです。  したがって、私の聞きたいことは、中央卸売市場を整備していくというんですけれども、また、強化してもらいたいという要望があるんだが、ところが、待ち切れないで、民間の地方市場がどんどんできていくわけですよ。御存じのとおりでしょう。一体政府は、今後の流通の主体をこの中央卸売市場に置いていくのか、そういう民間でできる私設市場、地方市場というものがどんどんできていくのを、それをそのまま見ておるのか。ここら辺に私、政策上の非常に大きな問題があると思っているんです。で、政府は一体どういう方針でこれに臨まれるのか、これは政府施策を待ち切れないんです。八カ年計画だなんていっているけれども、八カ年計画の中で、東京周辺にできる——ことしは船橋ですか、できた程度で、松戸にもできる、大宮にもできる、なにか中央線の沿線にもできる、そういう状態で、どんどん私設市場ができちゃう。そうすれば、この中央卸売市場を中心とした流通機構というものが私は乱れてくる可能性が出てくると思うんです。そういう点についての政府方針を聞いているんです。——これは課長じゃだめじゃないのかな。どうですか、政務次官、ひとつはっきりした答弁してください。
  55. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 堀川課長でいいですか。堀川課長。
  56. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 現状におきましても、中央卸売市場の開設都市は二十三都市ということでございまして、政府といたしましても、今後十五万以上の都市について、その中で、どれもこれも一ぺんにというわけにはまいりませんので、人口も多い、それから消費需要が顕著に伸びつつある、そういった都市に重点を置いて整備を進めておるわけでございますが、中央卸売市場としてつくるということになりますと、やはり相当広大な用地を取得をして、そこに相当たくさんの量を扱っていただくということにいたしたいと。なお、取引面でも、きちっとした秩序立った取引をしていただくためには、やはりそれ相応のりっぱな方々を集めて、そうして相当大きな商いをしていただくということも必要であるわけでございます。先生のお話のように、特に大都市の周辺で私設の市場ができていく傾向があるわけでございますが、これは中央卸売市場として、必ずしも私ども考えておりますような施設規模なり取引方法というものをとっておるものでもないと思います。したがって、できるだけこういう地域におきましても大きな中央卸売市場をつくるということが必要だとは思うわけでございます。具体的に、開設する都市のいろいろの事情なり、また、業界の統合を進めるということも大切な問題でございます。そういう関係を調整して進めるという関係がございますので、一挙には参らないという困難さがあるわけでございます。  しかしながら、なお、先生の御指摘のとおり、私どもも周辺部における市場開設につきましても努力をいたしていくつもりでございまして、さしあたり、本年度から船橋を取り上げて、これを着手し、推進をするという体制にしておるわけでございます。なお、周辺部における、これは東京都の市場でありますが、板橋地区なり、あるいは世田谷の地区におきましても新市場を建設をし、そうして膨大な人口の消費需要の増加というものにこたえてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、この意見の中に、野市などをどんどんつくらして、そして自由な取引をやらしたらいいじゃないかというような意見が出ているんですが、これに対して農林省はどういう考え方を持っているのか。  それから、東京都周辺については、もうとても、中央市場を建設したいのはやまやまだけれども、手が回らない、予算的にも何にも、ということで、いま東京都の、都営のですか、都営の市場ができる、またそれから完全な私設の市場もできる、こういう状況のようですけれども、いわゆる今度の流通ターミナルの建設の法案がいま出ているわけですが、ああいうものは都営でやっていくという考え方ですか、どうなんですか。
  58. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 野市の点につきましては、私ども今後の問題といたしまして慎重に検討さしていただきたいと思っているわけでございます。現在の段階におきまして結論を持っておるわけでございませんが、しかしながら、いわば野市と申しますのは、市場になるもう一つ前の発展段階考えられておる、そういうふうに見られる向きもあるわけでございますから、その辺は、野市として育成していくのがいいのか、あるいは市場にするという考え方でいくのがいいのかという問題がございます。今後の問題として検討さしていただきたいと思っておるわけでございます。  なお、流通ターミナル等が大都市の周辺にできたという場合に、その中における生鮮食料品の卸売市場といたしましてどういうものを考えていくかという点につきましては、具体的に、現在の段階で東京都における計画を申しますならば、板橋地区に流通センターをつくりたいという話があるわけでございます。ここにつくります市場は、東京都の開設いたします中央卸売市場というふうに考えておるわけでございます。
  59. 北村暢

    ○北村暢君 野市に対するのは今後検討さしてもらいたいというのですけれども、これは中央卸売市場をつくるときには最大のガンになりますよ、こういうものをどんどんつくらしたら。検討してもらうとか、もらわないとかの問題じゃなくて、野市というものは望ましくない性質のものじゃないですか。大阪の東部市場を開設する際に、あそこの野市を収用するためにどれだけ問題が起こり、どれだけ紛糾したかわからないです。これは私はやはり中央卸売市場というものの整備がおくれているからそういう結果になるのですから、私はやはり今後の流通問題の近代化されていけばいくほど、この野市というものがいいんだということには、農林省政策としてはあり得ないのじゃないか。検討するまでもない問題じゃないかと思うのですがね、どうなんでしょう。
  60. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 北村先生のおっしゃいましたのは、野市というおことばは、一般の類似市場というふうにお考えになってお話しになったと思うわけでございますが、私ども物価懇談会でのいろいろの議論等を考えてみますと、もう少しこれには若干ニュアンスがございまして、小規模のものでもよろしいから、生産者が自由に出荷ができ、また消費者もそこに自由に買い出しに行けるような場所、こういうようなことで考えておられた向きがあるように思うわけでございます。そういったいわば新しいといいますか、そういった感じの生鮮食料品の取引される場所ということについて、検討してみたらどうか、こういうことでございますので、そういうようなものが、たとえば水産物などになりますと、非常にむずかしくなりますし、青果物では若干そういうことがあり得るかと思いますが、それをどう政策的に考えていったらいいかということは、若干問題もございますので、検討さしていただきたいと申し上げたわけであります。  なお、類似市場に対しましては、中央卸売市場との関係で、相互に競合する関係も、たとえば大阪のような場合にはあるわけでございます。私どもとしましては、基本的な方向としては、やはり中央卸売市場ということでいくべきだと思います。類似市場は類似市場なりに、そう弊害のないというような形であるなれば、すぐさまこれを廃止をするというふうに直ちに踏み切るというわけにはなかなか実際問題として困難があろうというふうに考えております。むしろ中央卸売市場の補完的な機能を果たすという限りにおいては、そういう機能を認めることも一つの方法ではないか。積極的にこれを育成するという考えではない。現状において特段の類似市場に対する措置というものを、物価懇談会で従来と違ったような形で展開をするということは、直ちには考えておらぬわけでございます。今後この問題は、中央卸売市場審議会等におきまして、特に大都市におけるそういった問題について検討していくという所存でございます。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 次にお伺いしたいのは、流通機構が複雑で、これを整理していったらいいだろうというような意見が出ているわけであります。これは青果と消費者のほうから出ているようですが、この流通機構が複雑だということについて、現在の流通機構というものについて簡素化するような方向において考えておるのかどうなのか、そういう考え方があるのかどうなのか、この点をお伺いしておきます。
  62. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 主として中央卸売市場を中心にして御説明申し上げますと、現在経済の状況なり消費の状況、あるいは生産の状況も変わりつつあるわけでありますが、ここ当分の間は、生鮮食料品につきましては中央卸売市場を経て流れるという姿が、大体一般の姿であろうと思っておるわけでございます。したがって、その中央卸売市場における簡素化の態勢をとるというようなことにつきましては、たとえば仲買いの統合を勧奨いたしまして、しかし、それに対しましては助成措置、融資のあっせんをするというようなことを考え、融資については進めているわけでございます。さような方法で、できるだけ合理化された、大型な形で市場運営ができるという形に持ってまいりたい。しかし、その他中央卸売市場を通らない流通の形態というものもぼつぼつあるわけでございます。そういった形態が出てくるにはまた出てくるだけの必然的な理由といいますか、そういうものがあるのでございますから、こういった新しいタイプの流通の姿というものにも、農林省といたしましてはよく注意いたしまして、これは今後政策的に推進するとすれば、相当いろいろな問題がございますから、そこらの点を研究いたしまして、将来に備えさしていただきたい、かように思っているわけでございます。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 次に、先ほどの取引の公正化の問題ですが、これについて先ほど企画庁長官からも、視察された御意見を述べられたわけなんですけれども、大臣が行けば、大体あのくらいの程度しか見てこないわけです。確かに取引のやり方について、そでの下の取引とかなんとかというのは、これは改めたほうがいいと思うのですけれども、ところが、しろうとが行ってわかるようなせりをやれと、こう言う。これは一体どういうふうに考えておられるか、たいへんな問題だと思うのです、これは。しろうとでわかるようなせりを一体できるのか、できないのか。私はこれはとてもそんなわけにはいかない。株式取引市場に行って手でやっているやつ、あれを直せと言ったってちょっと直らないでしょう。それは陰でやっているのじゃあれですけれどもね、その手の動かし方がいかぬとか、手でやるのはだめだとか、機機ぜりにして数字にしてやれということは、いま機械で全部できるかと言ったら、これもできないですね。東部市場で機械ぜりやっているけれども、これはごく限られた商品しかやっていない、品目しかやっていない、これに対する農林省考え方はどうです。
  64. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) せりを公正にやるということは、私どもかねて来必要と思っておりまして、指導を進めているわけでございますが、せりという仕組み自体が、衆人環視の中で行なわれ、ガラス張りであるという意味で、どういう価格がどういった品物について、どういう買い手が参画をして形成されたか、その価格は幾らであったかということがわかるということが必要だと思うわけであります。そのわかるというのは、せりのことでございまするから、価格決定されるまでにいろいろの符牒を申しましたり、あるいは手で数字を示しましたり、いろいろなことがございますが、要するに最終的には幾らの価格決定をされたかということがはっきりとわかるというようなことも、これは一つ重要なことであろうというふうに考えているわけでございます。  農林省といたしましても、従来競落価格については、はっきりと呼び上げてというようなことを指導してきたのでございますが、それを一そう明確な形で、たとえば東部市場の機械ぜりの場合には壁に競落価格がきちんと出るわけでございます。こういうことも一つの方法であろうかと思いますが、せりの公正を確保する、あるいはまた迅速、能率的に行なうという観点から見てまいりますと、その他の要素も種々ございます。それらをすべて機械で解決できるかどうかという点については問題がございますが、東部市場の機械ぜりにおきましても、当初は非常に運営を危惧されたわけでございますが、現在では昨年の暮れから、果実の大宗でありまするところのミカンにこれを適用して、大体好成績をおきめておるというような実情もございますから、できればこのような大がかりな機械装置でなくても、多少簡易な移動式のせり機械というようなものも開発されつつあるようでございます。  こういったものを今後全国の市場に普及をしてまいるというようなことも、一つのせり方法の改善に役立つのではないか。しかし、それのみをもってせりの公正を確保し、あるいは能率迅速化をはかるということの万全を期するわけにはまいりません。その他の施策もあわせて、並行的に進めていくことが必要であろうと考えております。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 そこです。機械ぜりなら機械ぜりが公正に行なわれている、あれはもうごまかしようがないという面では、機械ぜりはその面において私はいいと思うのですよ。しかし東部市場の機械ぜりというのが、ほんとうに機能を発揮しておるとお考えになっておりますか。
  66. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) まだ、大衆ものであるミカン等に適用しましてワン・シーズンしか使っておらないわけでありまして、現在の段階で最終的な評価を申し上げるわけにはいきませんが、かなり好成績をおきめておるものと私ども見ておるわけでございます。ただし、これを非常に規格の雑多な近在の野菜というようなものに適用できるかどうかというような問題につきましては、かなり研究すべき余地があると思うわけでございまして、これらはむしろ東部市場のようにせり自体を機械でやるという方式よりも、競落価格を明確に表示すると同時に、その価格を、たとえば電気式によりまして伝票を自動的に打ち出すと、かような装置をアタッチメントとしてつける、そういうようなものを適用するというのが一つの方法であろうかと考えております。
  67. 北村暢

    ○北村暢君 その点確かにあるのですけれども、ここであまり触れてもどうかと思うのですがね。いま言われた最後のところが大事なんですよ。機械でやっても、最後の価格が伝票になって出てくるという機械になっているんですよ。実際は、ところがそうなっておらないのですよ、それは御存じですか。
  68. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 東部の市場におきましては、その装置がついておるのでございますが、現在故障等がございまして、使用しておらず、壁面に出ました最終価格を卸売り会社の職員が読み上げて、それを記帳しておるというかっこうに相なっております。しかし、これは衆人環視の中でやっておるわけでございまするから、その後におきまして伝票の訂正というようなことがございますれば、これは私ども検査に行って摘発をし、その理由が正当でない場合、監督をいたすということにしておるわけでございます。
  69. 北村暢

    ○北村暢君 その点なんですよ、問題は。あれは絶対に公正にできる機械になっているのです——なっているのですが、いま課長のおっしゃったように、最後のところが、職員が読んでそれを記帳するわけです。これは同じなんですよ、手でやろうが何しようが。でありますから、この機械ぜりというものが公正であるということには、最後にやはり電子計算機のパンチでもって押されて出てこなければほんとうの性能を発揮するとは言えない。これは機械の故障か何かのせいか、現にそうなっていないのですね。したがって、私はこの機械でやれば公正なんだという観念、これはひとつのむだみたいなもので一にはなっているかもしれないけれども、ほんとうにやる気で、やはり農林省は今後指導に当たらなければならないし、そしてまた、そういうものでなければならないと思うのです。  そこら辺が、何か機械でやればみな正確でいいんだ、こういうふうに、行った人は気づきませんが、あれを機械で数字が出るから正しくやっているんだなと思うだけで、少しいてごらんなさいよ。どの品物とどの数字と合っているかわからないですよ、しろうとが行ったんじゃ。おそらく藤山さんも、数字が出て、なるほど正確にやっているなと思ったのでしょうけれども、その数字は品物のどれと合っておるかということは、これは商売人でないとわからないですよ、ほんとうは。これは五秒ずつでどんどん動いているんですから。だから気持ちだけで視察に行った人——だれでも見えますから、主婦団体も何も行くんです。行くんですけれども、そういう問題があるということをひとつ理解しておいてもらいたいと思うことと、それから消費者が行った場合に、わからないわからないというんですが、機械ぜりでもほんとうはわからないんですよ。わかったような顔をして出てくるけれどもわからない。そうだと思う。たとえ手でやっても何にしても、やったものが残るんですよ。黒板に書いたり数字に書いたり、手でやったりするわけですね。しかしそれが、消費者に完全にわかるようにしたんでは、市場の機能というものは私はとまっちゃうと思う。そこら辺が、わかるようにやれやれといわれても、私はこれは不可能でないかと思うんですね。したがって、これは消費者教育をしてもらわないと、これはいけない問題でないか。何か市場のやっておるのは何でも不正確なことをやっておるんじゃないか、この感じは、私はやはり改めたほうがいいんじゃないかと、こう思うんですね、この点はどうですか。
  70. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) せりのやり方は、私ども専門家ではございませんが、専門家の方のいろいろお話も聞きましたり、現地を見まして、非常に何と申しますか、一般のしろうとにはわかりにくい感じがするということは確かにあるわけでございます。これをすべて出発点からゴールに至るまで、全部しろうとが見ても何もかもわかる、こういう仕組みにせよということで長官もおっしゃったのではないのだと思うわけでございまして、つまり入荷した品物につき、どのような価格決定をされたかという全体の仕組みがはっきりとわかるようなことにしてほしいという意味であろうと思います。そういうことでございますれば、狭い施設で非常に混雑をしておる中でせりをやっておるというようなことになりますと、先ほど先生のおっしゃったように、どれをせっているか、多少はっきりしないと、一般の人が見ればそういう感じもあろうかと思います。これらは施設整備の問題として解決していかなければならぬ問題だと思います。  なお、機械ぜりを大阪でやっておりますものは、横からローラーへ乗せて出てまいりますが、これは一々統計も読み上げますし、サンプルも目の前に出して、確定をして整理をしておるわけでございます。なお、新しい市場につきまして、たとえば高松の市場では、先ほど先生の御指摘になりました、せりの最終段階における記帳の段階まで機械式によってやろうという考えのもとに計画をして、目下その機械を開発中でございます。発注をしておるというふうに承っておるわけでございます。  いずれにしましても、せり全般につきまして、公正であり、かつ迅速、能率的に行なわれるその仕組みについて、一般の消費者の方が一々細部について技術的なことまでおわかりにならなくても、おおよその全体の仕組みについて安心ができる、こういうことにすることが必要であろうと思います。そのために、農林省もなお解決すべき点が多うございますから、研究をし、指導してまいるつもりでございます。
  71. 北村暢

    ○北村暢君 ここで公正取引の問題は、私は最終的に価格が、だれが見ても、公にされて価格決定されていれば、それで公正な価格であるというふうには——これは大臣が視察なんかに行けばそこまでしか見ない。これは私は公正な価格とは言えないと思うんですよ。ということは、それだけではないんじゃないか。公正な価格対策というものは、まだ大きな問題があるんじゃないですか、どうですか。
  72. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) おっしゃるとおりでございまして、公正な価格の形式をはかるためには、取引全体が公正な仕組みにならなければならないということでございます。ということになりますと、一つは産地に対する関係、それから一つはせりのやり方、それから一つは、その結果をどういうふうに金銭的にも結末をつける、そういうこと、それからさらには今度は買い受ける人たちに対する関係、これらのすべてが全体として公正な仕組みにならなければならぬと思うわけでございます。それらについては、専門的なことを先生非常に御承知でございますが、いろいろと問題がなおあるわけでございまして、これらについては、できるだけ改善をはかりたいと思っているわけでございます。
  73. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。   〔速記中止
  74. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記を起こして。
  75. 北村暢

    ○北村暢君 この公正取引というのは、私は中央卸売市場の非常に重要な役割りである。いま課長は、だいぶ検討されているのですからあれですけれども、大事な点を抜かしているのじゃないですか。それはやはり価格形式において、仲買いなり買参の者が価格をつけるのは、その日の入荷量、それから品物、消費傾向、総体的なものを判断して、買ったものが売れるか売れないかまで、天気がいいか悪いかによっても値段が違っちゃうわけですね。そういう非常に微妙なもので、いろいろな要素を勘案して価格をつけるわけですね。その前提が狂っておれば、私は公正な価格というものは出てこないと思う。  これはこの前も指摘しましたように、入るべき荷が入らないという問題があるのですよ。とめ車の問題について、中央卸売市場の築地で一体どのくらいのとめ車が、一日平均でどのくらいとめ市の問題があるか、それから転送の貨物が一体どのくらいあるのか、こういうことを検討されておりますか。
  76. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 価格は公正に決定をされると同時に、その変動なら変動の大きさといいますか、そういうもの、あるいはレベル自身も問題になるわけでございます。いろいろの関係考えまして、私どもおっしゃるような、とめ車でございますとか、あるいは転送でございますとか、そういった問題を今後の大きな課題として、ひとつ検討を続けてまいりたいというふうに思っております。現在の段階におきまして、明確にこれらを数量的に示す数字をいま手元に持っておりませんが、これらの問題は、取引の公正化なり、あるいは価格の形成、レベルや変動というものに対しても、無関係ではあり得ませんので、その辺は今後の問題として検討させていただきたいと思っております。
  77. 北村暢

    ○北村暢君 この点は把握されてないというと非常に困るのですよ、非常に大きな問題になっているのですから。しかも、これを公然と認めるような空気になりますというと、これは非常にふえていくのです。私は聞いているところによるというと、荷受けからの働きかけで、この転送というものをある程度認めようじゃないか。認めても認めなくても実際は起こるのだから認めようじゃないか。また、大都市の中央卸売市場は集散地的な傾向があるので、転送もやむを得なかろう。こういう考え方を農林省がとっておるということを聞いておるのです。これは私は非常な誤りなんであって、中央卸売市場法のどこにも転送ということばはない。ただ出荷者が転送にしてくれと言ってきたものについては、これはできるようになっておる。それ以外のものはできないことになっておるのですね、転送ということは。ところがこの点が非常にルーズになっていて、事後処理で、荷受けが出荷者の意思によらずして、あとで了解をつけるとか、その証拠がないもの、転送してくれと言ってきた証拠のないもの、で、大阪等においては、もう必ず電話では証拠が残らぬから、電報なら電報でやってくれという、何か証拠のあるものでなければだめだと、こういうふうなことまで指導されておるようです。この点がルーズになりますというと、公正な価格というものが私は出てこないと思うのです。  大体あなたは、とめ車が一日どのくらいあるか、まだ把握しておらぬというようなことでは、これは職務怠慢ですよ。私でさえわかっておるのだから、一日どのくらいの平均とめ車がどのくらいあるかということ、築地なら、築地についてですね。これはちょっと調べればわかることですよ。この点農林省の指導の方針として、一体どういう方針をとっておられるのか。これからの重大問題だから、検討しますなんという段階じゃないと思う、私は。先ほど言った転送問題についての農林省の態度というものは、そういうことでないというならないというように、ここではっきり御答弁を願いたい。
  78. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 私どもとしては、市場の取引問題を扱いますときには、これほど物価問題あるいは流通問題でやかましいおりからでもあり、かねてから国会方面非常に御議論のある点でございまするから、純正な立場におきまして、だれからの要請があったとかいうようなことでなくて、どうやったら市場の取引が秩序立って行なわれるようになるかということを主体にし、価格形成の面におきましても、りっぱにその機能を果たすようにするにはどうしたらいいかという観点に立って、いろいろと検討をしてきたわけでございまして、いま、とめ車の問題につきまして、私手元に資料を持っておりませんために、非常に失礼を申し上げましたけれども、こういつたような問題、その他いろいろございます。私どもとしては真剣に検討をし、いま現在結論を持っておるわけでもございません。立場だけはそのような心組みで検討をさせていただいておるつもりでございますから、御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  79. 北村暢

    ○北村暢君 この点、課長じゃだめですよ。これは政務次官、どの程度状況把握されておるか知りませんけれども、私は検討する段階じゃないのです。わかっておるのです。したがって、これは価格形成に非常に大きな影響のある問題ですから、ひとつ答弁願いたいと思う。  それから、とめ車ばかりじゃないですよ。この間も問題になっておりました三声ぜりの問題があるのですよ。水産関係生産者が、漁業資本が大資本経営があるわけです。しかも、ここに根本的な問題があると思うのですが、中央卸売市場の荷受けが全部これは資本系列化されているのです。実態おわかりだろうと思うのです。築地の荷受けだってマルは大洋系、日水系、日魯系、みんな資本系列になっておりますよ。それで大資本のものは、自分の出荷者の予定価格でなければ、三声ぜりやって、三声ぜりが五声になり、あげくの果てには、思うようにいかなければ荷を引っ込めてしまうのですね。そういうことが現実に行なわれておる。これで適正な価格などはできっこないです。実際行なわれているのですよ、そういうことが。それで適正な価格を、公正な価格決定しなければならないなんて、改善策だなんて言っているが、改善してやろうと思えばできるのです、これは。そういう適正な価格ができないような、公正な価格決定されないようなことが、公然と農林省監督の中央卸売市場において行なわれておるということについては、私はこれは承服できない。だから検討してやるとか何とかいう問題じゃない。直ちにこれは何とかしなければならない。  こういう点について、転送の問題、価格形成の問題について改善策というのでありますから、改善するなら改善するような、もうこれはいま始まったことでないのです。私がこの問題を指摘してからもう何年にもなっているのです。ですから、この点は課長が、検討して対策を講じますなんという筋合いのものじゃない。政務次官の答弁をひとつお伺いしましょう。
  80. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 適正な価格決定する上において、いまお話しのとめ車ないしは転送というのが非常に重要な関係があると思います。そこで、とめ車並びにその転送を、出荷者のほうでもって希望して、ことにまた電報その他の書面でもってそれを希望すれば、出荷者の意思に反してそれを処分するということもどうかと思いますから、そういうような的確なものがあればやむを得ないが、それでなければ、とめ車ないしは転送ということは絶体にやるべきでないというふうに思いますから、監督官庁である農林省は、立ち入って、そういうようなふうなことの将来ないように、やはり積極的にこれは指導すべきである、こういうふうに考えますので、なお私のほうでもってそれはひとつ十分に監督していきたいと思っております。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 まだ北村先生の御質問あるそうですが、選手を交代しまして、ちょっと。いま生鮮食料品の中で一番問題になっている問題は食肉の問題じゃないかと思います。   〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕 いま食肉関係値段というものが、御承知のとおりに非常に高くなっている。そこで牛肉を輸入しようじゃないかということがいま問題にされているわけなんです。それに対しまして豚肉のほうは、これはまたいまだぶついている。この豚肉をヨーロッパのほうにいま検討して輸出しようというような話が出ているわけなんですが、この実情は一体どのようになっているかという、まず最初に実情をお聞かせ願いたいと思います。
  82. 太田康二

    説明員(太田康二君) まず最初に豚肉の問題でございますが、御承知のとおり、豚肉につきましては、畜産物価格安定法に基づきまして、安定帯価格を設けまして、一定額を割ったときには畜産振興事業団で買い入れをし、さらに一定額をこえましたときには、畜産振興事業団が放出するというような形で、価格安定事業をやっておるわけでございまして、実は昨年非常に高い価格で推移いたしましたので、農家の肥育豚経営というものが非常に数がふえまして、その結果出荷トン数が増加いたしましたのは御承知のとおりでございます。そこで昨年買い入れをいたしました、いわゆる安定基準価格というものは三百十円であったわけでございますが、三月に入りまして価格が低落いたしましたので、三月の中旬以降買い入れを始めたわけでございます。その後三月末に、御承知のとおり畜産物価審議会で、四十一年度の指定食肉たる豚肉につきまして、安定基準価格、安定上位価格というものを定めるための諮問をいたしたわけでございますが、その際、下ささえ価格でありますところの安定基準価格が三百二十円に、これは大宮の場合でございますが、三百二十円に上げたわけでございまして、引き続き肉豚経営農家といたしましては、かなり強気の先行き見通しを持っておりまして、われわれの出荷動向調査等によって先行きを見てまいりましても、いままでは大体一七%程度の出荷の伸びであったわけですが、昨年の終わりごろから本年にかけましては三〇%というような出荷の増もございまして、価格は低落をいたしておる。したがいまして畜産振興事業団は、三月から五月までに約十六万頭、さらに六月には九万頭買うという予定をいたしておりまして、そのための資金の借り入れ等の措置も講じておるわけでございます。  最近におきましてはやや回復をいたして、価格の回復を見ておるわけでございますが、先ほど申し上げました出荷動向調査というようなものについて考えてみますと、先行きやはりそう楽観は許さないのではないか。したがって、昨年のように高い高原相場で卸売り価格が形成されるということはあまり期待できずに、先行きやはり価格が回復しても、先ほど申し上げました安定基準価格に近い線で卸売り価格が推移するというふうに考えておるような次第でございます。  それから牛肉につきましては、非常に需要が旺盛であったにもかかわらず、国内供給が不足をしたというような結果、実は四十年は三十九年度より消費が落ちておるような状況でございまして、価格は高騰の一途をたどったわけでございます。その間の価格の動向について申し上げますと、卸売り価格が、四十一年の牛肉の卸売り価格は、四十年の一月は三百七十一円というような価格であったわけでございますが、これが十二月には五百八十七円という、いままでの市場最高の価格にまで値上がりをいたしたような次第でございます。しかしながら、最近におきましては、あまり値段が上がり過ぎました結果、逆に需要のほうが頭打ちになりまして、価格が値下がりを示しておりまして、現在は、五月現在で五百五十六円、六月には若干下げまして五百五十五円というような価格で推移をいたしておる、こういった状況でございます。   〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕
  83. 田代富士男

    田代富士男君 いま説明を聞きましたが、牛肉といい豚肉といい、片方では品不足である。豚肉のほうはトントン値段が下がってきた。それに対して牛肉のほうはギューギュー値段が上がってきた。で、豚は輸出しなくちゃならない、牛肉は輸入しなくちゃならない、こういう事態がわが国に起きておりますが、これは一貫して畜産行政あるいは価格政策のひずみをあらわしているんじゃないかと思うわけなんです。まあその点と、いま余った豚肉を今後どのように処理されるお考えであるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  84. 太田康二

    説明員(太田康二君) 豚肉につきましては、先生御指摘のとおり、卸売り価格が非常に安くなっておりますし、なお、できますれば小売り価格の引き下げを行なって、末端における消費の増進ということで価格の回復をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、なお、農家経済立場から見まして、現在のように価格長期に低迷してまいるというようなことでございますと、農家所得の面からまたいろいろ問題も出てくるわけでございますので、できますれば、畜産振興事業団の保管する牛肉等につきまして輸出を考えたらどうかというようなことも検討はいたしたわけでございますが、実際は、価格の面あるいは貿易等の面でいろいろ種々障害がございまして、現在までのところでは、これを輸出に向けるというような段階決定には至っていないというような実情でございます。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 いまの話では、輸出に向ける段階まで至っていない、消費の需要を伸ばしていく以外にないというお考えでありましたが、この前、この豚肉に対して農林省考えとしては、卸値が下がったのにもかかわらず、肉屋さんが小売り値を下げないために消費が伸びなかったのである、こういう農林省は見方をしていらっしゃるわけなんです。それに対して小売り屋さんは、消費が頭打ちになったので、枝肉がダブついたのは小売り屋のせいである、そのような農林省の言い方をしているけれども、それはとんでもない間違いである、そのように農林省の見解と実際出先機関であります小売り屋さんとの見解の違いがあるわけなんです。この点に対しまして、農林省として、あなたのほうではこのように言っていらっしゃるわけなんですが、このように小売業者の真の声というものが反映されてきているわけなんです。ところが、今度は、需要というものは国民大衆の中にはまだまだ伸びていく余力があると思うのですが、小売り屋さんとのそのような意見等の食い違いがあるわけですが、これに対してどういうお考えをしていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  86. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私が申し上げましたのは、もっと小売り価格が合理的に引き下がるものであれば下げるように指導をいたしまして消費を伸ばしてもらいたいということで、実は小売り屋さんの団体の長の方に来てもらいまして、われわれの試算によれば、なお末端の小売り価格を若干引き下げられるのではないかというお話を申し上げたことは事実でございます。その際、先般参考人の方がここでお述べになったように二五%の荒利益というようなものも考慮に入れまして、現在のわれわれの試算によりますと、実際は適正な二五%は確保していただきたいと言われた利益以上の利益を取っておられるような計算がわれわれの計算では出てまいりましたので、そういったところから見ますと、なお二五%の荒利益の確保というような見地からいいましても、値段を若干下げられるのではないかという意味で、先般お話を申し上げたような次第でございまして、まあ、持ち帰りまして、いろいろ各県に食肉事業協同組合連合会ができておりますから、そこでお話しをして、できる限りその意向に沿いたいという回答をいただいておりますが、現に群馬県等では近くそういったことも実施に移したい、福岡県におきましてはすでに値下げをやっておるというような回答も得ておるような次第でございます。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 まあ牛肉の問題は、いまの値下げ等やっていけばそれでおさまるというような問題でもないと思うのです。これはこの前にここでずいぶん、参考人をお呼びしたときにも、一匹の牛の、牛ちゃんの一生を追ってみますと、最初生まれたときが四万円そこそこの牛が、八回せり市にかけられまして最終的に二十三万円くらいの価格で売られておると、こういうような畜産行政自身の構造上の面においてもいろいろ問題点が多いのじゃないかと思うのです。ただ、そういうふうにいろいろ問題点を下げていくならば需要が伸びていくと、豚肉にしても——豚肉の場合はそうでありますけれども、だから、畜産行政自身にそういう問題点が多分にあると思うのですが、この点に対する御意見はいかがでございましょうか。
  88. 太田康二

    説明員(太田康二君) 確かに、牛肉につきましては先生のおっしゃるように、非常に生産構造に変革がございまして、従来の役飼養のための中間の地帯が完全に脱落いたしまして機械に変わりましたので、その面から子牛の価格が非常に低落したと、したがって子牛の繁殖農家の収益性が非常に低下したために、だれもそういった仕事をやらなくなったということがあったことはおっしゃるとおりでございます。しかし、最近におきましては、実は、一方におきまして牛肉に対する需要が非常に強いというようなことから、末端の卸売り価格が非常に値上がりをした、したがって、肥育農家といたしましても、肥育が割りに合うようになった、したがいまして、繁殖育成農家から子牛を高く買うこともできるようになったというような、価格に一本筋が通りまして、ようやく従来の低収益性の経営からかなりのいい水準にまで回復をしてきたというふうにわれわれ理解をいたしておるわけでございます。そこで、今後におきましては、やはり肉牛対策の重点は、当面非常に資源が枯渇いたしておりますので、繁殖育成部門というものに力を入れ、この際積極的な子取りをやっていただかなければならんわけでございます。なお、農家の方にとりましては、その際の価格の低落というようなことが一番問題でございますので、昭和四十二年度からは、現在豚についてとっておると同じように、子牛の価格安定制度というものを打ち出しまして、生産者の方が安心して繁殖育成経営に従事できるような態勢をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、牛のほうはいまお話しありましたが、今回のまた豚の問題でありますが、豚肉の思惑の主因というのは、御承知のとおりのように、四月一日から豚肉基準価格をキロ当たり一律十円——だったと思いますが、上げられたことにあるのじゃないかと思うのです。この値上げ問題が出たときに安定価格を据え置くべきだという意見農林省にあったのじゃないかと、そういうことが強かったと聞いておりますけれども、この点の事情を詳しく聞かせていただきたいと思います。
  90. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先ほども申し上げましたとおり、三月の中旬にすでに前年度の三百十円を割りましたので、畜産振興事業団の買い出動も行なっておったような事情もあったわけでございます。そこで、われわれ生産費の調査あるいは従来畜産物価審議会に諮問をいたしておりましたときに採用いたしております算式の需給実勢方式で四十一年度の価格諮問をいたしたわけでございますが、その結果によりますと、中心価格がいずれの場合も三百五十五円、そこで価格の変動幅を幾らに見るかというところが問題になったわけですが、最終的には一〇%の幅で見ることになりましたので、先ほど申し上げた安定上位価格が三百九十円、安定基準価格が三百二十円ということで、結果としては先生御指摘のとおり、十円の値上がりということになったわけでございますが、われわれ事務当局といたしましては、現在買いを続けておるような状況でもございますし、なおかつ、肉畜の出荷動向調査等の結果を見ましても、かなり先行き出荷がふえるというような数字も把握いたしておりますので、できますれば三百十円に据え置いたほうがいいのではないかという主張を持っていたことは事実でございますが、最終的な決定といたしましては、審議会の御意見あるいは与党の先生方との折衝という段階におきまして、一応三百二十円ということで決定を見たと、こういう次第でございます。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 豚肉、牛肉の点はいまの程度にいたしまして、次にお聞きしたいことは、生鮮食料品全般についての質問でありますが、この生鮮食料品、魚にしましても、野菜にしましても、これはわれわれの食生活にこれは欠くことのできないものじゃないかと思うわけなんです。そうして、その需要量というものはもう全国どの地域においてもある一定の量というものはさまっているのじゃないかと思うわけなんです。だからこれは、値段が安いから需要がふえていく、あるいは高いから減っていくというものではなくて、一定量きまったものであるし、また、これが一定量保たれている状態というものが一番いいわけなんですが、その間のちょっと量の変動によるところの値段の高下というものがなされているのじゃないかと思うわけなんです。その問題に対しましても、この当委員会におきましても、また関係各省におきましても、いろいろ検討されております流通機構の問題点、それにも今日の物価高という原因があるのじゃなかろうか。もちろん、それも必要じゃないかと思いますが、一面から考えるならば、農林省当局としては、このような生鮮食料品の計画生産あるいは貯蔵とかこのような計画出荷、こういう問題点も含まれているのじゃないかと思うわけなんですね。それよりも一番大事な問題は、野菜を出荷しております農家にしても、あるいは魚を出荷している漁民にしても、無統制な出荷競争になっているわけなんですね、昔そのままの出荷競争になっている。こういうような出荷調整の政策がとられてない点に、また今日の物価問題の一つの原因が含まれているのじゃないかと思うわけですが、この点に対する農林省当局としてのお考えはどういうお考えでしょうか、また、この問題に対する対策がどのように現在行なわれておるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  92. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 生鮮食料品の価格の現状をもたらした原因は、私どもの見ておりますところでは、最近の需要が非常な勢いで伸びているのに対しまして生産が必ずしも追いついておらないということが、長期的にはじりじりと価格がだんだん高くなってきた一つの原因であろう——これは品目によって若干事情は違いますけれども、一般的な生鮮食料品全体を通ずる一つの現象ではなかろうかと思います。それから、短期的な価格がきわめて変動するということは、いま先生御指摘のように、需要量に対する入荷量と申しますか、出荷量と申しますか、これが日々変動することによって短期的な価格の変動あるいは年間を通じての季節的な変動というものも生産状況によってはやむを得ない品目もあろうかと思います。したがいまして、長期的な価格の騰勢を押える方法としては、先ほどお答えいたしましたように、生産増強なり安定供給を確保するということが生鮮食料品各品目を通じての農林省の一つの長期的な施策だろうと思います。短期的な価格の変動を防ぐ方策としましては、従来から、たとえば水産物については、産地、消費地にそれぞれ冷蔵庫をつくりまして、いわゆる大漁貧乏というものが起きないようにするということは、これは生産者に対する対策であると同時に、スムーズな消費地における入荷を促進するという意味では、私は消費者物価対策の一つの有力な手段であろうと思います。このような施策は、すでに水産物については従来から逐次増強してまいっておるような次第でございます。  野菜、青果物等につきましては、ただいま御指摘のように、生産と需要との結びつき、あるいは需要の動向を把握して計画的な生産をするということが、やはり安定した供給量を消費地に確保するということについて一つの大きな眼目であろうかと思いまするが、ただいま国会におきましても野菜につきましての法案を御審議をいただいておるような次第も、このような考え方に基づくものだろうと思います。  それからまた、畜産物につきましても、いろいろ価格の安定をはかっておりますことは、やはり価格が変動いたしますると、生産者のほうは、どうしても価格が高いときにはたくさんつくりたい、価格が下落すればつくり方を減らすということのために供給が安定をしないということを誘発をいたしますので、私ども価格の安定をはかっておりまするということは、生産者の所得面についての対策であると同時に、供給を安定的に確保するという方策を講じておる次第でございまして、品物によっていろいろ事情は違いまするが、ただいま先生の御指摘のような方向でもろもろの品目に対する行政を運用してまいっておる次第でございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 いまのいろいろのお話を聞きましたが、また問題は、今度はそのようにして出荷されまして、いま北村先生がせりの問題等、いろいろ話をされましたが、市場自身にも問題点があるのじゃないかと思うのです。だから、市場はいま卸売り人の独占市場になっているのじゃないかと思います。いま大阪の東部市場の問題も出ました。全国どこの中央市場にしても全部そのような態勢というものが成り立って、生産者の独占性というものが認められていない、それが生かされていない、こういう点にもあるのじゃないかと思うわけなんです。そういうところで出荷競争があおり立てられておる。こういうような政策的な要素に価格変動という、そういう価格変動を助長しているという問題点が含まれているのじゃないかと思うわけなんですが、これに対して農林省としてどういう手を打っていらっしゃるか。また、この問題点に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるかをお聞かせ願いたいと思います。
  94. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 生鮮食料品の価格対策の問題としては、先ほどお答えをいたしましたような対策のほかに、ただいま御指摘のような流通機構における不合理な点を合理的に是正してまいるということが一つの大きな要素なり項目になることは、先生の御指摘のとおりだろうと思います。いま、卸売り人の独占ということを仰せられたのでありますが、どのような観点から——ちょっと私、あるいは誤解をしてお答えをすることに結果的になろうかと思いますけれども、中央卸売市場同士の卸売り人の競争という要素もあるわけでございまするから、要は、流通段階を通じまして、現在一般にとかく指摘を受けておりまするように不合理な点、あるいは、ことばをかえて申しますれば、一面においては前近代的な取引というものもあるいは指摘をきれておると思いまするが、そのような点を逐次是正をしてまいることがぜひ必要であるという認識に立ちまして、農林省といたしましても数年来行政をやっておるわけでございまするが、この方面の行政は、やはりそう統制命令的なことばかりで全部ものが片づくわけでもございませんので、あるいは御期待のような速度で行政の効果が実現をしておらないではないかという御指摘もあろうかと思いますが、私どもの心がまえとしては、流通機構の問題も価格安定には非常に大きな要素であるということの認識に立ちまして、合理化につとめておる次第でございます。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、この問題につきましては、また後日もっとお聞きしたいと思いますが、いまの、前時代的ないま機構になっているという卸売市場につきましても、流通団地をつくろうというような計画もなされているわけなんですが、いまこの流通団地を法案化されまして国会においても審議されておりますが、これはどういうことであるか。各省のなわ張り争いであるかもわかりませんけれども、なかなかこれが実現が立っていないわけなんですが、こういう点についてはもっと力を入れるべきであると思うのですが、この流通団地といいますか、この法案化に対して将来の見通しは農林省としてどういうふうに持っていらっしゃるのか、この点、全国的な見通しをお願いしたいと思います。また、それに含めて中央卸売市場の将来の全国的な見通し、これについてお願いしたいと思います。
  96. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) ただいま御指摘の流通団地の法案は、目下参議院で御審議をいただいておる段階でございまするが、この法案の立案過程におきまして、ただいま各省のなわ張り争いということをいろいろ仰せられましたが、私ども、いわゆる世上に言われておるような、なわ張り争い的な感じでこの法案の立案過程において参画をしたのではございませんで、むしろ農林省といたしましては、単に流通団地を建設をするということだけを目的とする法案ではなくて、やはり団地を建設をすることが結果的に消費者価格の安定、引き下げに役立つような方向で、この法案内容をりっぱに仕上げるべきだということで、いろいろ意見を申し上げ、協力を申し上げたんでありまして、決して立案当局に対してなわ張り争い的なことをやったわけではございませんし、また、この法案国会の御審議の結果成立いたしました暁におきましても、その運用につきましては、農林省としては前向きで協力をしていく覚悟でございます。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 中央卸売市場の将来の見通しはどういう見通しを持っていらっしゃるのですか。その点お聞かせ願います。
  98. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 先ほども申し上げましたわけでございますが、中央卸売市場の開設資格のある都市でまだ未開設が相当数ございますが、その残っておりますものの中で、これは約六十都市あるわけでございますが、その中で人口も相当大きい、それから消費需要の増加も急速度に伸びておるというところを重点にいたしまして開設を急ぐという方針でやってまいっております。ただ、これは地元都市の、いろいろ市場をつくるにつきましては、相当広大な用地を取得しなければならない、そういう土地の目当てがなかなかつかないとか、あるいはまた、業界の統合を進めなければならないとか、いろいろと地方財政上の問題もあるわけでございまして、そこらの点がございまするから、いまここで何年までに幾つということを明確には申し上げられないのでございますが、当面、現在話の起こっております十都市余りというようなところに重点を置きつつ早急に整備を進めたい考えでございます。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 いま私その問題をちょっと調べてみました。そうしますと、中央卸売市場がずっとなされてまいりました都市が、現在十五万以上の都市が日本で八十七あるわけなんです。で、八十七あるうちに中央卸売市場の開設をしているのがわずかに二十三都市しかない。だから、二十三都市しかないその中を調べてみますと、人口四十八万以上の市と申しますと、東北の中心地仙台市、それ以上の都市でありますが、これはほとんどある。ところが、人口四十六万の大阪の隣の堺市をはじめ、熊本、長崎、浜松、岐阜、静岡——三十六万都市でありますが、ここには中央卸売市場は一つもない。三十三万都市の北陸の中心であります金沢以下には軒並みにないという有様なんです。そうしますと、御存じのとおりに、東京の中央卸売市場を考えますと、ここへ送られてきたいろいろな生鮮食料品がまた生産地へ返送されていく。そういうようないろいろな問題等が起きてきているわけなんです。これら十五万都市以上が八十七ありますが、これの中央卸売市場のない都市ですが、貧乏の市だけじゃなく黒字団体の富裕団体として指定されているそういう都市も入っているわけで、もちろんこれはいま言われているとおりに、政府の補助もたしか三割くらいじゃないかと思いますけれども、だから、ここいらからいってもなかなかできないと思いますけれども、こういうところにも力を入れていくならば、そういうような、返送されてくるために、運賃だとか、そういう価格の値上げというものは省かれてくるのではないかと思う。そういう面に対しては何年までと明確にできないというお答えでありますけれども、こういうものあたりは、できないときめつけずに、一応長期計画を立てて明確にさしていくならば、それに対して各省も呼応してくれるのではないかと思うわけなんですが、そういう点に対してのお答えでは、ただ、一ぺんのお答えでございますが、もうひとつ詳しくお答えをお願いしたいと思います。
  100. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 人口十五万以上の中央市場を設置する資格のある都市でまだないところが約六十都市あるわけでありまして、こういうところには早急にやはり中央市場をつくらなければいかぬと思っております。それで、それを積極的に奨励して推し進めていきたいと思いますが、それとあわせて、やはり大都市並びに大都市の周辺に私はやはり中央市場をたくさんつくることが必要である、そういうようなふうに考えております。これもあわせて実行に移したいと、こう思っております。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 もうちょっと詳しいことをお聞きしたいと思いますが、この問題も次回に回したいと思いますが、もう一つお聞きしたいことは、たしかことしの二月ころであったと思いますが、食料品流通消費総合調査というものをことしの秋に厚生省と農林省両省の手で行なうように話が出ているわけなんです。ところが、この調査というものは、もちろん生鮮食料品の食生活が中心になりますけれども、これまで全く調査されていなかったわけなんです。それで卸あるいは小売り間の流通過程、家庭の食卓にのぼるまでの価格あるいは生鮮食料品の質の変化を調べるなどとなっておるわけなんですが、いまだに調査されていないけれども、これもむろん農林省と厚生省が両方でやるわけでありますが、準備はどの程度進められておるか、そのことをお聞きしたいと思います。お願いいたします。
  102. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) ただいま先生が御指摘の調査は、四十一年度予算におきまして、従来の食品の需要の実態調査をやっております調査内容だけでは十分でないという見地から、農林省の統計調査部と厚生省とが協力をいたしまして、食糧消費総合調査というものを実施をしようということが今年度予算に盛り込まれたことをおさしになっての御質問ではなかろうかと思いますが、この予算が具体的にいますでに実施の段階に移っているかどうかの確認は、ちょっといま私手元に詳細な資料を持ち合わしておりませんので、必要がありますれば、またいずれかの機会までに詳しくお答えができるように準備をきせていただきたいと思いまするが、本年度初めて予算化をいたしましたこの調査のことをおさしになっての御質問ではなかろうかと思っております。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、今度どの方でもけっこうですから、一応私のほうへ知らしていただけますか。
  104. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) はい。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 お願いいたします。  それから、最後に一つ聞きたいのですが、いまは卸あるいは生産者の話をしましたが、今度は小売りの問題です。  いま、小売り店というものはさまざまな形態がとられているわけなんです。ところが、スーパーマーケットあるいは生協——私も、この前、視察して来ましたが、灘生協なんというものなどは典型的な機構を持っているわけなんですが、そのような商法というものがいま軌道に乗りかかってきているわけなんです。また、事実、小売り店よりもスーパーマーケットや生活協同組合等で買えば安いということが大衆の中に聞かれるわけなんです。そういうところで総合小売市場法案というものをつくられたりして、そのように少しでも安く物価を安定させていこうということがなされているわけなんです。ところが、このたびの法案というものも、理由はさまざまありますが、その理由はさておいて、そういうものが流れたというけれども農林省としては、価格安定のためにそういう小売り店を大型化して、スーパーあるいは生協のような形をとっていく方向に持っていくべきであるかどうかという、その農林省考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  106. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 小売りに対する行政の一環といたしまして先国会において法案提案いたしましたが、いろいろな御批判の結果、あのような結果になったことは御承知のとおりでありまするが、農林省といたしましては、あの法案審議の最中にいろいろ各方面から寄せられました御意見等を慎重に検討いたしました上で、またの機会に何らかの形で総合的な方策の結論を得たいということで、目下慎重に検討をいたしている段階でございますが、方向といたしましては、やはり何らかの形でこの点に重点を置いた施策を講じてまいりたいと、かように考えております。
  107. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 私資料をお願いしたいのですけれども、その前提としてお伺いしておきたい、局長おられますようですから。  ただいま田代委員からもちょっと触れましたが、この産地指定制度と言いますか、こういうものが問題になっておる。現に、参考人の意見にも、野菜については計画生産、計画出荷の態勢を整備するよう法制化すべきであるというようなことが載っておるわけなんですが、これに基づいて先ほど法案を出しておられる——まあわれわれは専門の者ではありませんから、その内容を十分知らないのでありますが、この線に沿っての法案と私は理解しますが、これに対しての簡単な説明をひとつお願いしたい。
  108. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 指定産地制度の問題でございます。今国会に野菜生産出荷安定法案提出いたしておりますが、その骨になりますのが指定産地制度でございます。で、これはどういうことかと申しますと、いまの野菜の現状をいろいろ見てまいりますと、ことに価格の問題を見てまいりますと、非常に、どう申しますか、価格につきましては、上昇もきることながら、年々非常な暴騰、暴落を繰り返しておるという点を解決いたしますために、四大消費地域——大体京浜、京阪神、中京、北九州、ここに出荷されます野菜の量が中央卸売市場で二千五百万トンくらい年間出るわけでございます。相当大きなウエートを占めておるわけであります。その指定消費地域に出荷されます中でおもな野菜を取り上げまして、いろいろ野菜の種類はたくさんあるわけでございますが、百二十品目以上にも達するわけでございますが、私たちがいま考えておりますのは、その中で生産及び需要が非常に多いと考えられますカンラン、それから白菜、タマネギ、それから大根、トマト、キュウリというこの六品目を押えまして、そういたしますと、大体、いま申しました市場への入荷量の五割四分くらいに相当するわけでございます。入荷のトン数の五割四分に相当するわけでございます。それぞれの品目につきましてまた出荷時期が違うわけでございます。たとえばカンランの場合ですと、わせ、それから普通、高原、それから寒玉というような四種類になるわけでございますが、そういう作柄別に指定産地を指定いたしまして、その指定産地の中の生産を安定させ、また、それからの出荷を安定きせるということと、これまで従来、その指定産地制度はとっていたわけでございますが、現在までのところ、百九十八産地でございます。それを四十一年までに三百十産地にいたしまして、大体、将来の目標といたしましては、先ほど申しました主要な野菜のそれぞれの品目ごとに四大消費地域に出荷されます出荷量のうちで、七割以上をカバーする程度まで指定産地を広げていきたいというふうに考えておるわけでございます。この指定産地の中におきましては、都道府県知事が生産出荷近代化計画というものを樹立することにいたしております。  それで、その内容といたしましては、野菜の生産は非常に気候の影響を受けるところが大でございます。たとえば、干ばつでございますとかあるいは病虫害が発生いたしますと、とたんに減産になるということにもなるわけでございますので、たとえばそこにございます畑地かんがいをやる、あるいは病虫害の防除のための機械を導入する、あるいは野菜につきましては非常に人手がかかるものでありますので、この労働力を節約するという意味におきまして大型の機械を入れるというような生産の近代化の計画、また出荷につきましても、包装、荷づくり、選別と、非常に手間がかかる。そういう出荷に関します計画あるいは規格の統一というものにつきましては、計画を立てまして、それの計画に基づきまして土地改良区でございますとか、あるいは農協というところでその事業を実施するという場合につきましては、地盤整備につきましては地盤整備の補助率、それから、先ほど申しましたいろいろの機械、共同利用施設につきましては、これは三分の一を国が助成をいたすというような考え方で、その指定産地についての生産、また、そこから出ます各市場への出荷を安定きせるということによりまして、卸売市場価格を安定きせる。それが生産者のためにもちろん、なるわけでございますが、現在の状況を見てみますと、卸売市場価格が非常に変動する。もっとも、卸売以下の小売りまでの段階の経費というものは、最近、増高はしておりますが、比較的固定的でございます。その根っこにございます卸売市場価格を安定きせるということによりまして、生産者のための、また消費者のための施策を行ないたいということを考えておるような次第でございます。
  109. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 安定きせるということで、生産を計画に乗せるということによってもちろんある程度価格安定ということはできるでしょうが、生産者の立場に立ってこの前も主張されたことは、その価格——生産したものがはなはだしく低廉になるというような場合の不安を何とか補償してもらいたいという、いわゆるこの価格補償制度というものが唱えられておりましたが、これはこの法案に入っておりますか。
  110. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 価格補てん制度も本法案の主要な内容でございます。それにつきまして概略御説明申し上げますと、指定産地において生産されます本年度の計画では、カンランと、それからタマネギ、それから京浜向けの白菜につきましてその制度をとろうとしておるわけでございます。これは従来からもあった制度でございますが、生産団体とそれから県と国とがそれぞれ金を出し合いまして、そして資金を積み立てる。従来はそれぞれ三分の一ずつ積み立てましてということでございましたが、本年この法案を契機にいたしまして、予算措置といたしましては国が二分の一、それから生産者と県がそれぞれ残りの二割五分ずつというものを負担いたしまして、資金協会というものを出荷者団体が自主的につくり、そこで価格が非常な暴落をいたしました場合に、その生産者に対します打撃を軽減するために交付金を生産者に交付するという仕組みになっておるのでございます。
  111. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 価格補償の場合は、ある一定額より下落した場合にはその価格を補償するというようなものや。きめるのですか。それとも生産状況に応じて別の方法で助成するということになるわけですか。
  112. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) その資金協会の仕組みでございますが、これは出荷者団体、大体まあ県の連合会が主体になります。それが会員になりまして、あらかじめ物の別、たとえばカンランならカンラン、それの時期別、市場別に予約数量というものあきめるわけでございます。私のほうはとにかく一万トンなり二万トン予約しますということを資金協会との間にきめるわけでございまして、それらによりましてその期間の間に価格の下落がありました場合に、一定の価格から一定の水準以下に下がりました場合に、その基準価格との差額をその出荷期間が終わったあとで交付するということで、あらかじめ資金を積んでおきまして、そしてそういうような大暴落のときはすぐ金を渡せるという仕組みになっておるのでございます。
  113. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 県それから国、連合会等のその処置によって計画されるのはわかりましたが、その引き受けi生産地のほうは、四大都市というようなところに集まる野菜等については、必ずしも自分の県内ということではない。近県もあろうし、あるいは大いに九州だ東北だとかいうことになる場合もあると思いますが、これは相手はどういうことになるのですか、何を相手に。
  114. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 野菜法案は、四大消費地域に出荷する指定産地につきまして、その制度を採用するということにいたしておるわけでございます。したがいまして、四大消費地域に出荷されますものにつきまして価格補てん制度をするということになっております。もっとも各生産者は、その指定産地からは四大消費地域だけではなくてその他の地域にも出荷されるわけでございます。したがいまして、生産者はどこに出荷されたか、実はそれは農協なり農協連が自分できめることでございます。したがいまして、そういう意味におきましては、各末端の出荷組合単協におきましては、その協会から交付金が参ります場合、さらに生産者に分配いたしますときは、当然そこにプール計算を前提といたしておりますので、四大消費地域に出荷されない分の生産者についてもその金が渡るということになろうかと思いますけれども、その予約数量は、これは四大消費地域に出荷されるという分だけを対象といたしておるのでございます。
  115. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 この産地指定制度というのは、先ほどすでに百九十八産地を実行しておるということを聞いたのですが、この百九十八の産地は、この法案の出るまで、いままでのところではどういう仕組みになっておるわけですか。たとえば出荷を要請するのは四大消費地では市場が中心になるわけですが、県がやっているわけですか。
  116. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 百九十八産地というのは、すでにこれまで農林省が指定したわけでございます。これは法律に基づかないものでございまして、それで、それに対します助成といたしましては、実はわずかばかりの助成をやっておったわけでございます。わずかな助成をしておったわけでございまして、一指定産地当たり六十万円のたとえば機械を買うというときに、その機械の二分の一ということで、三十万円、実質最高三十万円の助成をしておったわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたような都道府県知事が生産出荷の近代化計画というようなものを立てるのじゃなくて、率直に言いますれば、名刺がわりといいますか、その程度の展示的な機械の助成をしておったわけでございますが、このたびの制度によりますと、この計画に基づきます土地改良あるいは共同利用施設というものにつきましては大幅な補助金が増額されるということに相なるわけでございまして、そういう意味では、従来の指定産地が非常に名目だけなものであったというのを実質的に切りかえていく。もっとも、先ほど申しました百九十八産地につきましても、この法律が施行されますれば、それに基づきます指定をもう一回やり直す、そうしてその地域についても近代化計画を新たに立ててもらい、厚い助成を行なっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  117. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりましたが、もうすでに法案が来ておるのを私があまり詳しく聞くことはむだかもしれませんので、あとでよく勉強しますから——。  いまの制度はそれは野菜に限っておるのか、あるいは若干、それまでの必要はないかもしれないけれども、たとえば青果ですね、青果については、法案は別としまして、そういう制度をやっておりますか、おりませんか。
  118. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 野菜につきましてだけ本法案対象でございますが、青果とおっしゃいますと、くだもののことですか。
  119. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうです。
  120. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) くだものにつきましては、これは果樹等につきまして特別措置法というものがこれまであったわけでございます。それを今国会におきましてその特別措置法を改正いたしまして、やはりそこにおきましては需要の動向に基づきました生産を振興するということで、これもいま審議を願っておるような次第でございます。
  121. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。  そのくらいで打ち切りまして、ちょっと資料を少しお願いしたいのですが、これは野菜のほうではないのですけれども、米の関係。米の問題は、米価がもうすでに近日中また生産価格決定するとかいうので新聞紙上等にも大きく取り上げられておりますが、これにつきまして少し説明を願わなければならぬのですが、大臣がおられませんので資料だけをひとつお願いしたいと思うのです。三十八年、三十九年、四十年度の生産量、それから現実に配給した総量ですね、配給量。これをひとつお願いしたい。  それから今度は、直接問題になっております四十年度の——昨年ですな、それの米価決定についての算定の基礎ですね。政治加算があるとかないとかというようなことをいろいろ問題にされて、けさほどの新聞にも載っておるというようなことになると、これはわれわれとしては、これがどういう算定によってやられたかということをはっきり理解しておく必要があるのです。新聞紙によりますというと、いまの四十年だけはいわゆる所得補償方式にさらに指数化方式というものを加えておる、こういうことですから、三十九年産米——最近でよろしゅうございますから、どういうことで決定になって一万六千三百七十五円になったかという、それをひとつ出してもらいたいと思います。  それからもう一つ、非常に外米の輸入の問題が米価に関連してちょっと問題になるわけですが、外米の三十八年、三十九年、四十年度の輸入数量、それからそれの価格、これをひとつ教えていただく、この表をお願いしたいと思います。  それから、もう一つお願いしたいのは、いま非常に牛肉が高くなっておりますね。これに対する措置関係もあるのですが、米と同じに内地産と輸入との関係、というのは非常にむずかしい問題ですけれども、肉類−豚は輸出ということを先ほど言っておりましたが、反対に、こういう高いときには輸入がやはり従来もされておったと思うのですが、この輸入数量——最近の数量がありますれば、ひとつそれを資料でお願いしたい。以上です。
  122. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) いまの金丸先生の御要求の資料について、こちらからちょっとお尋ねしたいのですが、三十八年、三十九年、四十年の生産量、配給量、それから外米の輸入、それぞれこれは米穀年度でやってよろしゅうございますか。
  123. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 それじゃ、数字のあるのでよろしゅうございます。
  124. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 外米というのは、もちろん準内地米と普通米と両方のことをおっしゃっておると思いますが……。
  125. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうです。
  126. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) なるべく早く調製をいたしまして、提出いたします。
  127. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 この次に大臣出られるようですから、そのときに質問をするのです。その材料に……。
  128. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  129. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 質問を中断されておったわけですけれども、もう時間がございませんから、私、けさ新聞に築地の暴力団の問題が出ておるわけなんです。これは直接農林省には関係はないのでありますけれども、中央卸売市場の信用の問題に関連してくるので、私はちょっと質問をしておきたいと思うのです。このけさ新聞によりますというと、築地の業界の自治団体である築地市場協会が、東京都に対して暴力団の問題についての要請をしておるようであります。というのは、関係業者非常に困っておるわけなんでありますが、築地の中にいま暴力団がおるというのは、皆さんおそらく知っておられるかどうか知りませんけれども、昨年のこの新聞にも出ておりますが、昨年白昼堂々と殺人行為が行なわれ、そのほか盗難その他の問題で犯罪が非常に行なわれておる。それで、昨年のこの殺人が行なわれた際に、この暴力団に対して東京都も一応手を打ったようでありますけれども、実際は縁が切れないのであります。そして、大体この暴力団の人がやっておる仕事は何かというと、仲買いの小運搬をやっておる人なんです。これが相当数おりまして、ここでは交通のスピード違反したのを何とか示談で解決してやるとかなんとか新聞で言っておりますが、そればかりじゃないのです。この暴力団が流通面において非常な悪いことをやっておるのです。これで非常に迷惑をしておる。たとえば魚の場合、小運搬に、せりで落とした物を取りに行くわけですね。取りに行く場合に、荷受けの子会社であります下請会社である小揚げというのがある。それで荷物の番をしておるわけですね。そして渡す責任があるわけだ。そこへ荷物を取りに行く人が、この暴力団によって非常な迷惑をしておる。というのは、そこに積んである魚のいいやつだけ持って行ってしまう。それで、文句がつけられないで荷受けの小揚げの荷の番をしている者が、実は見て見ないふりをするというか何というか、そういうことが行なわれる。しかし、そういうことが、仲買いが暴力団であるということがわかって、実はそれを使って不当な利益を得ている者がこの中央市場の中におる。これはたいへんなことなんです。で、この新聞にはそういうことは書いておりません。おりませんけれども実際はそうなんです。そういう者があるということは、東京都は百も承知二百も合点、わかっている。それでいてこの暴力団と手を切ることができないということです。そういう問題がある。そして、この市場関係者の中には労働組合があるんでありますけれども、労働組合に対してはこの中央市場の施設、部屋は一切貸しません、東京都は。まことにけしからぬことだと思うんですが、あいておっても労働組合には貸さない。ところが、この暴力団の——これは労働者ですよ、使用者でもなければ経営者でもない労働者です。その暴力団には堂々と事務所を貸している。これは非常にわずかな人です。いわば四、五十名の人なんですがね、暴力団。これはほんとうに登録した暴力団であることは間違いない、わかっている。その者には東京都の中央市場の施設の堂々たる事務所を貸している。昨年の夏に東京都から注意を受けて、そして名前を変えたんですよ。いままで団体、まあ一種の労働組合なんですけれども、労働組合と言わない。何か親睦会のような名前を使っておる。その殺人行為が起きたので、うるさくなったので、その団体には事務所を貸さないと、こう言っておる。だけれども、名前を変えたようなんだけれども内容は同じものが事務所を看板だけ変えて堂々とこの中央市場の中に暴力団が入っておる。こういう問題なんです。東京都にはこれはわかっておるし、やかましく言われているんですけれども、労働組合なんかもうるさく、われわれに事務所貸さないでなぜ暴力団に事務所を貸しているかと言って東京都もやられているんですけれども、東京都処理し切れないで今日これがこういうふうな問題になってきょうの新聞に出ておるわけです。これは長い間かかって東京都が処理し切れない問題ですから、監督官庁である農林省は、私はやっぱり行政指導の面からいっても、魚河岸の中に暴力団が堂々と巣をくっているということを監督官庁の農林省は知ってか知らないでか、黙っているということは私はいかぬと思うのですよ。したがって、これは長い問題なんで、ここでは私はまあしゃべったことないんですけれども、実情は私よう知っております。知っておりますが、したがって、これは農林省も行政指導として東京都にこういう問題はやはり処理するように、そうしてまた、そういう暴力団であるということを明らかにわかっておるものを利用をしている仲買いの業者がおるわけです。こういうのはやっぱり何らかの制裁措置なりなんなり加えないというと絶えないのじゃないかと思うんですね。これをいいことにして暴力団を使って、まあ、いわばいいものをかっ払ってくるような形で商売をやっているものが堂々と政府公認の中央市場の中にいるということは許されないことですよ。それをひとつ私は行政指導として農林省にやってもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  131. 森本修

    政府委員(森本修君) 私、実は詳細ちょっといま承知をいたしておりませんが、御指摘のような事態は、市場内における秩序等からいきまして、きわめて残念な次第であります。さっそくひとつよく取り調べをいたしまして、十分ひとつ東京都等とも相談をして善処をいたしたい、こういうふうに考えます。
  132. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件についての調査は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会