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1966-04-06 第51回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月六日(水曜日)    午後一時十分開会     —————————————    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      大竹平八郎君     岡村文四郎君      川村 清一君     北村  暢君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉江 勝保君     理 事                 金丸 冨夫君                 岸田 幸雄君                 野上  元君     委 員                 岡村文四郎君                 岡本  悟君                 木村 睦男君                 高橋  衛君                 豊田 雅孝君                 山本  杉君                 木村美智男君                 北村  暢君                 山本伊三郎君                 中沢伊登子君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        水産庁次長    石田  朗君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農林経済        局消費経済課長  堀川 春彦君    参考人        関西主婦連合会        会長       比嘉 正子君        銚子漁業協同        組合組合長    坂本庄三郎君        東京魚商業協同        組合理事長    中根 長吉君        六大都市水産物        仲買組合連合会        会長       清久 辰治君        六大都市水産物        卸売人協会会長  伊藤 春次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査水産物の  価格等に関する件)     —————————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ただいまから物価対策特別委員会を開会いたします。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査のため、必要に応じ、参考人出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 委員異動について御報告いたします。  本日、川村清一君が委員を辞任され、その補欠として北村暢君が選任されました。     —————————————
  6. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより当面の物価等対策樹立に関する調査のうち、水産物価格等に関する件を議題とし、調査を行ないます。  参考人のお方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙のところ、御出席をいただきまして、たいへんありがとうございます。本特別委員会は、第四十九回国会、昨年の七月三十日初めて本院に設置されまして、自来毎国会設置を見まして今日に至っている次第でございます。  今日までいたしてまいりましたことは、昨年、国民生活実情につきまして、政府当局から説明を聴取いたしまして、なお、愛知県、大阪府、及び兵庫県下におきまする消費者物価、また生鮮食料品流通機構等につきまして調査を行ない、ことしに入りましてからは、静岡県下の生鮮食料品流通状況や、野菜指定生産地実情等について調査を行ないますとともに、政府考えております物価対策基本方針につきまして、藤山経済企画庁長官から説明を聴取いたしました。  物価問題は、目下国民の関心を深めておりまする第一の問題でありまして、毎日生活に直接つながっておりますので、本特別委員会におきましては、特に物価の中におきまして食生活に関連のあるもの、青果物食肉水産物、この三種類を取り上げまして、まず第一に、去る三月十一日には、青果物価格に関しまする問題について、七人の参考人の方から意見の御開陳をいただいたのでありました。続きまして、去る三月十八日には、食肉価格に関しまする問題について、また四名の方にお越しをいただきまして、貴重な御意見を拝聴したのでございます。  本日は、水産物価格につきまして、皆さまから率直な御意見を拝聴いたしたいと存じます。遠路お越しをいただきまして、たいへんありがとうございます。たいへんどうも恐縮ではございますが、時間の関係上、最初お一人ずつから十五分程度御意見をお述べいただきまして、全員の方が終わりましたあと、委員のほうから質問をいたしたいと存じますので、お答えをいただきたいと存じます。  それでは、最初関西主婦連合会会長比嘉正子参考人から御意見の御開陳をお願いいたします。
  7. 比嘉正子

    参考人比嘉正子君) 比嘉でございます。  毎日マグロタイ塩焼きなどの高級品を召し上がっている殿方でも、たまには目刺しを焼いてくれよと奥さまにお言いつけになります。また料理屋でも目刺しの注文をなさる殿方がいらっしゃることをお見受けいたします。たぶん先生方目刺しのほしい方じゃないかとお見受けするわけです。裏長屋のおとうちゃんも、百姓の方も、毎日イワシサバ塩焼きばかり食べていたんでは、たまにはマグロタイ塩焼きも食ってみたいと言っているのです。人間は上下を問わず、ほしい魚を食べたいと思うのが、国民の魚に対する願いでございます。このごろはやっております総評の春闘も、裏を返せば隣りがタイを食べているから私も食べたいんだ、隣りがピアノやステレオを買っているので私も買いたいんだという要求だと思うんです。そうでなければ、その闘争の筋が通らないと思います。物が高くて暮らせないと言いながら、「ひびき」は二十本で六十円だのに八十円の「ピース」を召し上がっているし、レジャーにもたくさん行っていらっしゃるわけなんです。そして貧富にかかわらず、やはりほしいときにほしい魚が食べたいというのが国民の言っている願いでございます。にかかわらず、政府のほうでは、高級品の高い魚を食べぬでもいいじゃないか、物が高いときには安い大衆魚イワシサバを買って食べたらいいじゃないか、そのほうが栄養もあるんだとおっしゃいますが、こういうことは、貧乏人は徳用米を食え、麦を食えという坂田農林大臣や故池田首相の思想に通ずるから国民は反発したくなるんです。  政治というものは、欲する人たちに欲する魚を新鮮にして安く供給することであって、代議士の先生方大臣方も、ここにいらっしゃる業者の方方も、どうすれば安い新鮮な魚を回すことができるかということは百も承知のはずでございます。それは、読売新聞の物価戦争の記事だとか、新聞、雑誌等短日毎日この改革すべき問題点を指摘しているからです。  しろうとの私が専門家の中で意見を述べるということは、まことに恥ずかしい次第でございますが、また、衆議院でも参議院でも、このたび物価対策委員会をおつくりになっておられるのですけれども、これは世論に押されて、いいスタイルを国民にお見せになるのではないかといって、ひがんでいる国民もたくさんあるわけなんです。ですけれども、私は、どこまでもその政府の施策に対して善意をもって、善意に解して御協力を申し上げたいと思うし、私たちの仲間は、二十年来この問題とぶつかって戦ってまいりましたのですけれども、目に見えない政治の壁という強い壁にぶつかって、いつも希望を失っているのでございます。  それから、物価戦争の中の主婦の暮しの実例をあげてみますと、ちょうど三月、四月ともなれば入学祝いが各家庭で催されています。そしてある家庭で、安いアジ塩焼き祝ぜんに出すと、子供たちは、何だ、おかしらつきのめでたいが出るかと思ったらアジじゃないかということを子供が言う。おかあさんはめったに子供には、お金がないので千円もするおかしらつきタイが買えなかったとは言わないんです。おかしらがちゃんとついているじゃないか、こんなお魚でもおかしらがつけばめでたいんだよと、おかあさん子供に頭を下げたというんです。そうして子供は、このごろはやりのあのシェーと言って笑っていたそうです。  それからもう一人の主婦は、このごろ牛肉が高いので量を減らして買っているんだと、そうしてすき焼きをやると、子供が、ぼく肉一切れしか食べていないのにもう肉が見えないやと言ったそうです。そうすると母親は、すき焼きというものは肉を食べるものじゃなくてだしを取るものだと言ってやったら、そうかと言っていたそうです。そうすると、物価戦争の中の子供というものは、すき焼きは肉を食べるということは知らないから、ふんと言って承知したといって笑っておりました。  私がよく市場に行きまして、魚を買いに行きますと、たとえば八十円のサバでしたら二枚に切っちゃって、骨と頭のついたものが四十五円で、頭のつかないものが三十五円というように売っているわけなんです。そしてこのごろは、私たちの若いときは頭と骨でだしを取って、またさらに大根やら、とうふやらを煮つけて食べたものですが、このごろは化学調味料を使っておりますから、頭と骨でだしを取らないでほかしてしまうわけです。だから、頭と骨代のために十円お金を捨てているわけです。それから、お店で売れ残りの魚をどうしていらっしゃるかと思うと、塩焼きにして一尾二十円を三尾五十円にして売っているわけです。このごろ冷凍魚をたくさん売っていますが、冷凍魚がたくさん売れていない。どうしてかというと、冷凍魚というのは消費者認識不足で買ってくれないというんです。それからもう一つは、冷凍魚を戻して魚にして売ったら高く売れるんだということをよく伺っているわけです。  この問題の中から私は六つ問題点を分析したいと思うんです。農林省の資料によりますと、生産高の約半分が純食料になるんだといっているんです。必要でない頭や内臓や骨まで小売り店消費者まで運ぶ、運ぶ必要があるだろうかというのが第一点。第二点は、お魚屋さんが一尾の魚を切ったり、おろしたり、こまかい作業をやって売る労力というものは、あれでいいだろうかということが第二点。第三点は、消費者は魚の鮮度を最も要求するんです。それを、それだのに水に流して戻したり、焼いたり、鮮度を落としてまで——消費者要求に応ずることはできないで鮮度を落として売っている。そうすると、鮮度要求する消費者に応ずることはできていないということなんです。それから第四点は、食べられる部分だけ供給するには、どうすればいいかということ。それから第五点は、生産者小売り店、それから消費者が納得いくような安定した価格で供給するには、どうすればいいだろうか。第六点は、小売り店消費者冷凍魚の価値を知ってもらう宣伝をどうすればいいかという、この六つの点を私考えてみたんです。  それじゃ、どうすればいいかということは、まず第一点に、いわゆる無頭、無内臓でパックに入れて出荷するということ。全部要らない骨や頭をとってしまう、そうして出荷することにすれば、一から四までは解決できるのじゃないか。ただし、そのときには、いわゆる所要温度の事間、あるいは加工包装、魚の等級をきめること、規格、それから加工品に対しては色素と防腐剤使用等の監督は、これは農林省研究課題だと思うんです。大いに農林省にこういうものを研究さしてくだすったらありがたいものだと思います。  それから第二点が頭の痛いその価格の問題でございます。私のほうの会で、三月の七日、八日に、神奈川県の漁連の実施しているコールドチェーン見学にやりました。その見学に行った報告書に、そのコールドチェーンの趣旨は、新鮮な魚を安くいなかの人に食べてもらうのだというのがキャッチフレーズだそうです。だから、冷凍魚冷凍車農協のアイス・ストッカーに運んで、三段階消費者の手に入るわけです。それで現在では一週間に一回やっているんですけれども、二回いわゆる入れてくれということの要求があって、非常にいいそうでございます。  それからコールドチェーン値段の比較、これはコールドチェーンのいわゆるテストケースと思うんですけれど、その神奈川漁連のほうの——正式にいいますと神奈川県の漁業協同組合連合会でございます。それが、裏側に冷蔵庫を置いて、完全な冷凍魚冷凍車農協のいわゆるアイスボックスに入れております。それで、これは私資料差し上げておりますが、お手元にお配りしてありまする三枚目にこの値段表がくっついております。ごらんくださればたいへん、半値でございます。マグロが百二十円を五十三円、アジ二十円〜三十円が九円——十一円、こういうふうにほとんど半値で、しかも新鮮なのを供給しているわけなんです。それでこれは生産者がなぜ自分値段がつけられないかということの解決はここでできているわけなんです。それから、冷凍車とアイスストッカーは、国と県の補助を受けていると聞きますが、たぶんこれはテストケースとしてやらしていらっしゃると思いますが、やはりこのケースはたいへんいいと思ますので、商業ベースに乗るまで援助をする必要があるのじゃないか。それから国の制度として、お魚の流通機構の確立のために、こういう制度をおとりになったらどうか。  生産者から冷凍魚冷凍車に積んで、いわゆるアイスボックスに入れて消費者に渡す、こういうような行き方を実施していただければどうか。それはだれがしたらいいかというと、大手六社が生産者であり、卸屋であるわけなんです。大手六社もあるし、それから生産者卸屋さん、それから生産団体漁連協会、こういうような方々に、こういうようなコールドチェーンをおやりになるようにPRし、あるいは助言をなされればどうかと思います。日本国じゅう小売り店農協、スーパー、飲食店にこのコールドチェーンを張りめぐらすことによって、国の仕事としてやることによって、やはりうまいこといくのじゃないか。しかも、もし国が補助金をお出しになる場合には、自主的にやろうという団体には進んでひとつ補助金を出していただきたい。しかも、その出すときには柔軟性を持たないと、へたなことをやると、補助金の上にあぐらをかいてしまって、努力をしないおそれがありますから、そこはやっぱり政治性を持ってひとつ助けていただければいいと思います。  それから、これは冷凍魚のことのみでございませんし、一般の小売店の、いわゆる市場のことにも通じますが、法で守り、それから設備を提供している、いわゆる中央市場流通機構の改善に踏み切れないという事情、それからさし値制度があって、多く入荷しているのに安くならないという事情、いろいろな事情があるのですけれども、これをなぜ改革できないだろうかということをいろいろ考えたときに、これは与党の先生方も野党の先生方も別なく、業者と一票につながる宿命を持っている、それからその業界からも代表者を出していらっしゃる、だから非常に決断と勇気が出せないというところに隘路があると思うのです。それで、中央市場というのも既存設備でございますから、これはその方々のお立場もございますので、こういうのにはもうさわらぬほうがよい、そのままに置いておいて、そのままの立場において活動していただいて、私はほかに野市をおつくりになったらどうかということを考えるのです。昔は野市物々交換場所であったわけなんです。この物々交換の姿は非近代的で古いとお考えになるでしょうけれども、しかし私がヨーロッパに参りましたときに、ベルリンの市議会の近代的な建物の真向かいで朝市が開かれるのです。いろいろなくだものやお野菜、たくさん売りにくる。非常ににぎやかで、そうしてみんなが楽しく買いものをしているわけです。そういうようなところもある。それから。パリにおいてはノミの市があって、貴婦人から庶民に至るまで、ピンからキリまで、いろいろなものがあって、それでそこに集まっていろいろなものを買いにきている。自動車でもっていろいろなものを運んでいる。そうしてあちこちに移動している。そういうような実態があるから、これは必ずしも野市というものは昔のいわゆる後進的な、後進国の情景でなくして、ヨーロッパ先進国でも野市朝市というものが、しかも近代ビルのまん前の広場で、公共の設備の前でやらしているということは、見ていても、私も買ったのですけれども、非常に楽しいのです。市の議会ですから、議員の方々がそこに出入りしなさるから、朝の状況を見ていらっしゃる。こういうようなものがある。それで日本にはそれがない。日本は昔から野市が発展して、そうしてたくさんあるわけなんです。高知県には日曜市というのがある。大手前通りというところに日曜市というものがあって、そこは非常に新鮮で安くて、そして楽しく庶民たちが売り買いをやっている。それから佐賀県の朝市、それから六日市だとか一日市だとかというものがほうぼうの国、いわゆる日本全国のどこかに、あちこちにあるわけなんです。もっとお調べになったらこういうような実態がわかると思うのです。そうしてこういうふうな野市というものを、もう一ぺん庶民の触れ合いの場所、楽しい場所をお考えになればどうか。そして場所を提供なすって、そして自由に百姓おっさんたちが持ってきて売るというふうな、直結するということを——新鮮であって、安くて、そしてあるということで楽しいところであるということなんです。それをおやりになったらどうですかということ。  それからもう一つは、小売り市場でございますが、イタリアではまた公営市場というものがあって、そこでいろいろ政府値段を選定してそして売らしている。そうすると周囲市場、いわゆる小売り店からは、やいやい言って文句もありますけれども、とにかくそれが刺激になって、私設の市場でもそれに右へならえして、そしておくれないように競争してやっているという実態というのを見てまいったのでございます。  それから私は、との東京都の市場研究をいたしまして、東京中央市場を中心にして見たわけなんですけれども、こういう東京都の地図をいま見まして、そしてどういうふうな状況になっているかと申しますと、千代田区とか中央区、台東区、文京区あたりのその境界線まん中にコンパスを置いて、そして円を三つ描いて引いてみたのです。そうしたら、その市場が、七つの市場まん中の円の中でごじゃごじゃたくさんあるわけなんです。そこのまん中は、人口というものはどんどん外の円のほうに移動しているにもかかわらず、まん中市場一つも移動しないから、私は今後はそういういわゆる周囲に移動しているところにどんどんあき地を提供して、野市をこさえて、しかもその市場というのは中央市場法令を適用しない市場、そして競争のできる市場をつくっていただきたい。そして住民とともに市場も移動して、そして提供するというようなことにすれば、たいへん物も安くなって、新しいものがどんどん買えるのじゃないかと思う。  大阪において私が八百屋調査すると、七五%野市に依存している八百屋が一割から三割安く売っているわけなんです。それから大阪のほうでニュー・タウンというのができて、そこのほうに主婦と、それからお百姓さんが直結して市場をこさえている。そうすると近代化のいわゆる美観を害するものだといって、周囲小売り店やらが役人にハッパをかけて、役人一緒につぶしてしまうのです。だから私は、こういうことはお役人のインテリのいわゆる、何というのですかな、センチメンタルだと思うのです。だからそういうものは、やっぱし庶民に直結したものはどんどん助成しなくちゃいけない、非常に惜しいことだと思っているわけなんです。  そしていま大阪の場合は南港といって広い海を埋めて、たくさん土地が余っておりますし、そして丸善石油が買うことになっていたのを買わなくなって余っていますから、ああいう土地大阪は、公団に委託して第三のいわゆる野市を、大きいのをつくらしてくだされば——しかも地方行政では、金がありませんから、公団政府が助成をしてつくらせて、そしていまのいわゆる中央市場だとかというところはそのままにしておいて、それで適当に競争相手をどんどんこさえさして、そして自由競争の原則、いわゆる統制をされない庶民市場というものをもう一ぺん検討をして、そして政策の上にしてくださったらどうかと思う。  それからPRの点でございますけれども、その冷凍魚PRがまだまだ足りないと思いますので、冷凍魚をつくっていらっしゃるところのいわゆる業者の方は、どんどんお金を使って、冷凍魚宣伝をおやりになることによって、御自分たちがもうかるから、それをどんどん宣伝をしていただきたいと思う。それからもう一つは、冷凍魚協会という冷凍魚協会があって、そこにPRを委託していらっしゃる農林省は、もっと消費者団体浸透作戦をとって、消費者団体の力も一役お借りになったらどうかと思うのです。それからお魚屋さんの小売り市場の方がいらっしゃるのですけれども、小売り市場の方はどうぞ、もう冷凍魚を買わぬから売らないのだ、そして戻して売るようなことをなさらないで、やっぱり国がコールドチェーンのシステムというものに踏み切ったら、国の政策に順応していくように、そしてそのレールの中に乗っていくようになさらないと私は時代におくれると思うのです。その冷凍魚商売食料品店に取られるんじゃないかと思う。  私は、荒物屋さんがいつまでも洗たくだらいや、割りばしや、しゃもじばかり売っているということはどうしてかというと——電気製品というものは荒物屋の分野なんです。だから電気洗たく機とか炊飯器とか、電気ストーブができているにかかわらず、いつまでたっても洗たくだらいにしがみつき、それから、かんてきにしがみつき、火ばちにしがみついて、これしかほか売らないのじゃと言うとるものだから、電気製品専門店というものができちゃう。あれをどんどん荒物屋が、いまにおくれないように取り入れてお売りになれば、私はけっこう荒物屋が近代的な荒物屋として進んでいけたと思うのです。それと一緒に、私は小売り店の方には、やはりアイスボックスなんか一つ置いて、そうして冷凍魚のほしい方はこれですよ、こういうようなところがありますよといって宣伝しながらお売りになるという、時代の趨勢におくれないようになさるということ。それからまた、切り売りしなければいけない魚だったら、その段階、いわゆる過渡期においてそういうことをおやりになりながら、コールドチェーンのいわゆる協力というものをなさったほうが、私は商売をとられぬでいいんじゃないかと思うのです。  以上、失礼を申し上げました。
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございました。     —————————————
  9. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは、次に、銚子市の漁業協同組合組合長坂本庄三郎君にお願いいたします。
  10. 坂本庄三郎

    参考人坂本庄三郎君) 私、坂本でございます。  皆さんのお手元にお配りしてあると思いますが、「水産物価格について」ということでございます。おもに大衆魚を書いてございますが、私のところは、御承知のとおり、利根の川口でございまして、浅いために大きな船が入れないので、イワシ、サンマ、アジサバ等大衆魚がおもであります。それにすし屋さんで使う近海のマグロとか、あるいは高級な生きのいいタイとかヒラメとかエビとか、そういうもののとれる魚市場でございます。  それで、ここの書類に書いてあるとおり、昨年の水揚げされた総数量は十五万七千トン余りありますが、そのうら十四万二千トンが「イワシ」、「サンマ」、「サバ」のそうざい向き大衆魚です。これら大衆魚は総水揚げ数量の実に九〇%に当たり、金額では総水揚げ金額六十六億円のうち四十四億五千万円で、六七%になりますから、単価の安いことが証明されます。これをキロ当たり平均単価で見ますと、「イワシ」は二十二円くらい、昨年は不漁でわりあい高値で取引された「サンマ」でも四十四円、日本一おいしい「サバ」も四十五円となっておりまして、一尾当たりは、ほほ刺しになる「イワシ」は五十銭から高値一円くらい、高いといわれた「サンマ」も四、五円から六円くらい、「サバ」は大きいもので二十五円から三十円くらい、中くらいのものは十四、五円から二十円、小さい「サバ」は十円以下にしかついておりません。  これらの魚は、組合で経営する魚市場に水揚げされて入札にかけられます。これを落札した産地の仲買い人は、トラックまたは鉄道で消費地に送るわけです。初水揚げのときは御祝儀相場で高値で買い取られるのが通例ですが、入港船の多いときには期待したほどの高値も出ません。そして次の日からは水揚げが増加するにつれて、値段はどんどん下がってくるのですが、こうして買い取りで出荷された魚は消費地の荷受けには委託取引で販売をまかせます。これはおそらくさし値というのは中小業者にはないと思います。消費地の相場が産地仲買い人の諸経費を加えた原価計算以下で仕切られた場合は、すぐ翌日の水揚げ物にはね返って、魚価は下げられて入札されます。「サンマ」、「サバ」をとる漁業は秋から冬の寒風にさらされる海上で、夜も寝ずにとってくるのです。それが最盛期に入って大量に水揚げされるころになると、魚価は暴落してウナギのえさや家畜のえさの原料に向けられてしまいます。昨年の「サンマ」は不漁で、非常な高値で消費地では高級魚並みだといわれておりましたが、十月中旬から十一月末ごろまで豊漁が続き、値段もどんどん下がりましたのに、生鮮魚向けの出荷は減少する一方で、消費地の皆さんに安い「サンマ」を食べてもらおうと思って出荷されたのが損をする始末で、鮮魚として出荷する仲買い人はなくなりました。わずかに産地周辺に出荷する程度で、十月の鮮魚向けは七%、十一月には四%と、全く消費者の要望とはあべこべの、安いものは買わず高いものを買うという現象が出ておりましたが、これと同じことが毎年繰り返されておるのです。  漁業者大衆魚をより多く消費地の方々に食べてもらいたいと思って鮮度に気をつかい、注意して丁寧に氷も十分に使い、港へ運ぶのですが、家畜のえさやウナギのえさになり、安値で売られては生産意欲も落ちます。消費地では生鮮魚は高いといわれておるのに、どうして漁業者、ことに沿岸の大衆魚をとる私たちが大漁貧乏に泣き、採算のとれない企業だと、他の陸上の産業に転換していくのだろうかと絶えず考えさせられます。私が組合長に就任した当時、百四十名余りあった漁業を営む組合員は、十年たった現在では、九十七名に減っております。漁協の組合長、生産地の魚市場長として、どうしたら漁業経営を安定させ、生産を確保して、鮮度のよい魚を消費地に安価で、漁、不漁に関係なく供給することができるだろうかと常々考え、次の諸点を実施することがこの問題解決に必要なことではなかろうかと思われます。  消費地の受け入れ施設の拡充強化、多くとれる大衆魚を安価でより多く消費してもらうには、流通機関のうら、現在の消費地の荷受け態勢を拡充することが必要と思われます。私は、所有漁船が東京に水揚げする関係上、東京中央市場によく参りますが、一千万都民の台所を預かる市場としては、施設の狭隘さが目につきます。現在の施設を大幅に拡大して、隣接地の国や都の建物を移転してもらいその土地を使用すること、どぶ川等もふたをして、衛生的な陸揚げ場を拡張すること、魚を直接売る卸売り場も拡張しなければ、公正な荷さばきはできないと思われます。それに駐車場等も拡張しなければ、時代に即応した施設とは言えないでしょう。それと、入港船を受け入れる荷役場所がこれまた貧弱で、大型化した漁船から陸揚げするのには桟橋なども二十トンぐらいの漁船を対象とした施設で、陸揚げ能率をはなはだしく落としております。漁船乗り組み員の厚生施設については皆無で、生産地の各漁港は、漁船の大型化に伴い漁港の整備はもちろん、陸揚げ場所としての魚市場の改築がどんどん行なわれておりまして、どこでも大幅な拡張に金をかけております。漁船乗り組み員の厚生施設も必ず設置しておりますが、この点東京市場が拡張も改修もなく、昔のままなのが奇異に感じられてなりません。安い鮮度のよい魚をどんどん送り込んでも、現在の受け入れ態勢では消化能力が弱体で、少し入荷が多ければ処理できず、生産地では家畜のえさやウナギのえさに回さなければならないようでは困るので、ぜひ施設の拡充をはかってもらいたいと思います。  食生活に即応した魚の加工品の受け入れと消費の拡大。生産地と消費地の荷受け関係について申し述べましたが、生鮮魚の生産と流通の事情に詳しい流通機関に携わる方々は、生鮮魚の特異性にかんがみ、絶えず消費者の食ぜんに一定の規格で安価で鮮度のよい衛生的な魚類を供給するにはどうしたらよいかと考えていただきたいと思います。生活様式の発達から、これに応じた食生活要求する廃棄物のない、手間のかからぬような魚の加工品としての商品化が必要であろうと思われます。ちょっと思いついても、魚のだんご、魚のハンバーグ、揚げだんご、コロッケ——私は食べものにはしろうとですが、そういうものの原料に加工して——これは機械化でできますから、製品は公営検査、これは国なり県なり、公営検査制をしき、粗悪品を製造させないように、消費者要求に応じたものの消費を、直接消費者に結びつく小売り業者から意向をくみ取り、時代に応じた商品として魚類を消化するよう消費地の荷受け機関の方は生産地の業者との橋渡し役になっていただきたいと思います。  次に冷凍施設の増設。漁、不漁に関係なく消費地に魚を送り込むには、どうしても冷凍庫が必要であることは論をまたないことです。国においても、毎年主要な生産地一、二カ所に冷凍庫を建設する計画で、これを実施しておられますが、大衆魚の水揚げされる漁港にはもっと多く冷凍施設を強化して、大漁時には安い魚を保管し、食料用や、前に述べました加工原料を確保して、常時魚が供給することができるようになれば、魚価も維持でき、供給も安定して、好きなときに安い魚類が食べられるようになります。  漁業者は安価なイワシでさえ氷を十分使用して、鮮度保持を心がけ、漁場から運搬する漁船を増し、速力を速くするためには機械を大きくして、一刻も早く市場に水揚げするように設備を強化しております。こうして一尾でも多く消費者の食ぜんにのぼるよう私たちが努力しているのに、家畜やウナギのえさに取引されて、生産費を割るようでは、生産意欲もにぶり、他産業に転換するのも無理ないことです。私が初めに申し述べました銚子の魚価は、北海道、東北、三陸に比べると、冷凍施設が多いためにまだ高い方で、ここにちょっと書いてありませんが、北海道や三陸のほうでは、大漁になると、これは魚かすといって、肥料に大衆魚はなるのです。それですから十分に、冷凍貨車をなるたけ多くしていただきたい。この地方では冷凍や近代施設に乏しいために、家畜やウナギのえきに回るものが多く、したがって、魚価も安くなっており、食料向けにされず、真にもったいないことです。  水産行政の強化。政府は農業には強力な振興策を講じておられるが、水産業に対しては全く貧弱で、大衆魚に対する——これはまことに失礼な言い分ですが、魚価安定対策としても、先ほども、サンマ、サバアジイワシ、イカ等に生産調整組合法を実施されているだけで、魚価安定基金制度を設けても、大魚時の陸揚げ停止の回航費、停船費の交付をする程度であります。  私たち業者、生産力を高めるために、魚協を中心に融資を受け、設備拡充につとめて、巨額の負債にあえいではおりますが、浜のことばで言う、陸も海も立つような商売でありたいと考えておるので、国においても強力な総合的施策を実施することを望んでやみません。  なお、ここに書き残しましたが、国におかれまして、各方面で資源調査などしておりますが、マグロあるいはサンマ、イワシ、イカ等、大衆魚に対する資源の調査が不十分だと思います。サバなど特に、きょうあってあしたなかったり、ないと思ったら、あくる日また大量に何千トンとあがる、そういうぐあいで、調査船が出てもさっぱりあしたのことがわからないというような始末でございますので、こういう資源調査も十分に国の力でしていただきたいと思います。総合的施策を実施することを望んでやみません。諸先生方には議会の立場で、強力なる御支援をお願いする次第でございます。  結びに、四方海に囲まれている日本が外国から魚を買い入れる現状を思うとき、私たち業者はまことにふがいなく残念でなりません。国内の需要を満たし、外国へも売り出し、日本経済の発展にも役立ちたいと思っております。どうか生産者、流通機関関係者、消費者が三者一体となり、生産を振興し、消費を拡大して、互いにほお笑み、物価安定策に協力してまいりたいと思います。要は実行にあります。結論が出ましたら英慮断行することをお願いする次第でございます。  まことにお粗末ですが、よろしくお願いいたし・ます。
  11. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございました。     —————————————
  12. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 政府側の出席者は、経済企画庁から矢野参事官、農林省から石田水産庁次長、同じく堀川消費経済課長がお出になっております。  それでは続いて、卸売り、仲買い、小売りの順序で御開陣を願います。  次に、六大都市水産物卸売人協会会長伊藤春次君、お願いいたします。
  13. 伊藤春次

    参考人(伊藤春次君) 中央卸売り市場が設けられて、産地と消費地市場との間の取引はきわめて敏活になってまいりました。その間、生産者が直接にあるいは間接に、大小に関せず同じ条件で活用されてまいりました。その点は日常の取引が、あるいは入荷がこれを証明しておるのでございますが、先ほど坂本さんのお話のように、その施設が年々いろいろ整備拡充をはかられておりますけれども、どうもその速度が追っつかないようなのが実情であります。平素、いまお話しのように、東京市場等においては非常に御迷惑をかけておる面が多々ございますので、この点ははなはだ遺憾に存じて、開設者並びに農林省当局にも常に陣情申し上げておるわけでございますが、ことに、六大都市の市場の中で施設の狭隘は、東京大阪等のふくれ上がった大都市の中央卸売り市場が最もその傾向が強いのであります。  で、東京市場で、先ほどお話がありましたが、漁船が二、三十トンの漁船から、現在ではすでにお話のように数百トンないし千トンぐらいのマグロ船まで、直行して漁場から入るような状態になってまいりましたのに、これを受け入れする市場の施設は、基幹施設としては依然として五、六十トンの船が係留して荷役ができるというふうな状態で、間に合わせのいろいろな設備拡充を行なっておりますが、まだ本格的に数百トンの魚が機械荷役をして、完全に売り場に並べられるという状態には遺憾ながらなっておりません。幸い経理学校あと等の土地市場用地として指定されて、現在その整備拡充中でありますが、これらも先ほどお話しのように、川の埋め立て、あるいは岸壁の使用等がまだ数年かかるだろうというような状態で、なかなかそれの全面利用という点にはほど遠いのでありまして、何とかして一日も早く産地の要望にこたえると同時に、流通の円滑、鮮度の保持というものをはかっていきたい、かように考えております。  ことに、最近いろいろ農林省からの資料で御存じのように、トラックの輸送量が極端にふえてまいりました。ところが市場にはトラックの受け入れ態勢であるトラック・ターミナルの施設は一向に、どこの六大都市の市場にもございません。これは平面の売り場にそのまま荷おろしされるような状態で、かろうじてその日その日の取引をやっているのでありまして、これらに対しても新しい課題として考えていかなければならない、かように存じております。日常の取引に対しましては、いろいろ各方面から御指摘も受け、また御要望もございますので、そのつど農林省なり開設者とのいろいろ連携によりまして、業者相寄って改善策に専念しているような次第でございます。  ただ先ほど来お話のように、一般の物価問題と水産物物価問題と比較して考えるときに、そこに非常な商品流通の面から見るというと後進性があるのであります。その後進性の第一点は、包装容器の問題であります。これは三十八年の七月に閣議決定による流通改善要綱で指摘されて、いろいろ取引なり、あるいは設備なり、その他の点に着々その実行を促されているのでありますが、たとえば大型取引とか、あるいはできるだけ規格出荷とか、規格的なせり売買というふうなことがうたわれておりますけれども、その原則になり、そのもとになる容器の規格統一、改善というものは一向にはかられていない。したがって、現在鮮魚は、マグロ等の大もの等は一応別にしましても、大衆魚類のものは、大部分が木箱あるいはたる等によって荷づくりされて、その規格たるや、内容、量等に至りますというと数十種類を出ている状態だと存じております。かような現状では、とうていほんとうの物価問題とからむ流通経費の節減だとか、あるいは規格取引というふうなものがなかなか進まない。私はこれに対して、やはり青果物あるいは一般商品と同じレベルまでレベル・アップすべきだ。したがって、農林省で先年来回収魚函として、衛生的な面から金属魚函に対する補助助成をされておりますが、補助助成をされて、六大都市に対する大衆魚の出荷は逆に減っております。それは、大衆魚類は非常に多くとれて多く出荷される場合が多い。そういうふうな場合に、中身のお魚よりもその容器のほうが値段が高い、こういうふうな場合に、その容器の回収に対する保証がないというところへは売れないわけです。したがって売り先に制限を受ける。ですから、そういう魚が多量に入荷した場合に、そういうめんどうくさい、質まで金を積まなければならないような魚は買わない、こういうことになるのが通例でありまして、そういうようなことをおそれて、産地ではそういう容器を使わない。したがって、せっかく御心配願ったりっぱな容器が割合に、大衆魚としての六大都市出荷には、実際に使われないというような現状でございます。したがって、どうしてもこれは段ボールを土台として、現在の木箱程度の値段で、そして耐水性あるいは耐圧性、積んでもこわれない、そういうふうな性質の容器が絶対に必要だと、こういうことを常々提唱しておったのでありますが、幸いなことには、先月その試作品がりっぱにでき上がりました。私宅工場へ行って見てまいったのでありますが、極端な例は、段ボールの中に、金魚が、いけてりっぱに泳いでおった、私、その端へ乗っかってもこわれなかった、こういう箱ができ上がったのでありまして、これを実用化するためには、まだそのスケールあるいはその活用等に対して、値段とそれからその利用を推進するくふうをしなければならないと存じます。現在ではまだいまの段ボールの二倍程度かかるんじゃないかというような試算をしておりましたが、これはアメリカからの機械導入等にたいへんな設備費がかかるだけでなく、まだ、その消費に対する数量の計算が立たない、こういうふうな面もあろうかと存ずるのでありますが、これは大量消費がしっかり約束づけられ、また、国の施策がこれをバックアップすることによって、私は必ずや現在の木箱と同一値段もしくはそれに近い値段で利用されることの見通しが、りっぱに開けると存じております。そうした場合を考えてみますというと、鮮魚もだんだんいまの冷凍魚と同じようなレベルまで商品化されることが可能である、規格化されることが可能である、かように考えております。したがって、大体の大づかみな考え方としましては、産地で魚箱に入れられた鮮魚が、消費地市場を経て小売屋さんの店先まで、同じ荷姿のまま運ばれるというような状態まで馴致することができるならば、流通経費の節減のみでなく、そのロスを防いで、そして産地、消費地の間の価格を近づけるのに有力な手段だと存じております。包装容器の改善は、いろいろな面において流通革新をもたらすものと確信しておりますので、この点、国のほうでも、工業試験所の試験あるいはその他の点で、りっぱにいいものだということが証明されるならば、積極的にその活用をはかっていただきたいと存じております。  次に、もう一点は、魚の生産と消費の需要という関係がきわめてアンバランスであります。先ほど比嘉さんのお話にもありましたように、食いたいときに食いたいものを買うんだ、もう一つの例は、きのうと同じものを食いたくないというのが、これは家庭の一般常識であります。ところが、魚のほうの量は、先ほど坂本さんからもお話しのように、サンマにしましても、サバにしましても、アジにしましても、イカにしましても、ああいう大量の多産獲される魚類は、とれだすというと五日から一週間くらいは必ず続くわけなんです。したがって、その大量にとれたものが、一向に大量に消費されないというところに、アンバランスが生じる。これは中央卸売市場では、あすどのいう魚がどういうふうに入るかという予測がわかるわけです。ところが、そういう供給に対して、需要側を代表するのは、小売屋さんを経て仲買い人の方々がせりに立ち会う。そうすると、仲買いさん、小売りさんの処理能力、販売能力というものと需要との関係が重要になるのであって、供給量がいかに魚種別に多くても変化しても、一向に需要側がそれに応じてこないというところに大漁貧乏の生じやすい欠点がある。中央市場がせっかくできても、冒頭申し上げましたように、産地と消費地の取引は、市場までは割合有機的にいっているのでありますが、消費者の需要というものが中央市場の入荷に関係なく起きている、ブラインドになっている、これが一つの盲点だと考えるのであります。幸いそういうような点も留意せられて、あるいは指定小売店制度とか、もしくはラジオ、テレビ、新聞等で、いろいろその普及に御協力願っておりますけれども、現在のようなところでは、ごく指導的な立場にあられる主婦団体の指導者とか、そういうような関心を持たれておる方のみの関心でありまして、一般の主婦には具体的にその効果が及んでいないのが現状であると存じます。したがって、私は冷凍魚の普及と相まって、鮮魚の中央市場に対する魚種別入荷というものを消費者に知らしめ、その調理方法、あるいは場合によれば値段等もありますが、買い得品の積極的なPRというものをこの際やる必要がある。中央市場では、先ほど申しましたように、魚種別入荷が、あすの入荷がきょうのうちにわかっております。そういう材料を活用することによって、さらにもう一歩進んで、その調理方法等を消費者PRすることによって、消費者の関心というものを呼び起こし、そうして、魚に対する認識を深める、こういうふうなことが非常に必要であろう。今日ほどそれの有効な時期はないのだと、かように考えております。ただし、そういう仕事は現在東京都でもおやりになっておりますが、お役所仕事とか、あるいは民間の魚屋でやったのでは、ほんとうに消費者を動かすようなPRは不可能であります。これは少なくとも一流の専門家を擁して、そうして国なり、また、公の団体の御協力を得て、NHKなり、あるいはいろいろな方面の、新聞、通信方面の御協力を得て、消費者に実益をもたらすように、要するに、もう一つくどいですが申し上げますと、魚の価格が毎月平均で、指数として出されますが、その指数を一般消費者は食っているわけではありません。平均値段を食っているわけではありません。きょうはサンマが幾らだ、サバが幾らだ、このサンマ、サバを食っている。この間も日本経済新聞の夕刊をちょっと私見て、卸価格と小売り価格を比較しますというと、マイワシ——イワシにはセグロイワシとマイワシがありますが、マイワシがキロ百五十円だ、サバがキロ四十円だと出ておりました。生きのいいサバイワシを並べた時分に、一体消費者が見て、どっちを買いたいだろうか、こう考えますと、価格が、やはり希少価値を持った価格が現在出ているのであります。したがって、多いほうのサバをみんなに安く食ってもらうようなくふうをしなければ、いつまでたっても、魚価が一般消費者に対してなじんでいくということがむずかしくなる。ですから、私は冷凍魚の普及にしても、やはり鮮魚を土台に、どういうような魚をどういう注意で買って、どう調理するかということに、もっと主婦が関心を持ち、また、その広報活動を利用することによって、実益が伴うことになっていくことによって、冷凍魚の買い方、あるいは溶かし方等もさらに積極的になっていくのではないか、そういうことを想像をしてみますと、消費者がその日の中央市場に入る割合多い魚の入荷の実情を知っている、それを小売り屋さんを通し、仲買いさんを通してせりに反映するということを考えますと、中央市場のせり自体が生産者消費者の直結ということが間接的にあらわれてくるのでありまして、そこに初めて、中央市場の公開取引の意義が出てくるのではないかと、かように考えます。このことに関しては、その実現にはいろいろくふうをしておりますが、金がかかるだけでなくて、いろいろめんどうがありますので、特に諸先生方並びに消費者団体方々の御理解と御協力が望ましいと考えております。  最後に一言申し上げておきたいと存じますのは、これはむしろ生産面の施策でございますが、青果物に対しましては、指定産地の制度とか、いろいろのものが、具体的に生産対策が講じられ、肉に対しても、肉牛の増産、あるいは輸入の問題等も考えられておりますが、水産の生産対策としては、沿岸漁業に対しては、つきいそあるいは養殖もしくはノリ等で、主として高価な品物に対する漁民の保護としての対策が考えられ、遠洋漁業に対しては、むしろ魚価その他でいろいろ御心配を願い、国際的な関係で御心配を願っておるのが主たる実情でありまして、水産庁の水産予算の大半を占めるものは、たしか漁港整備の予算だと聞き及んでおります。現在、三十八年をピークとして、日本の漁業生産高がだんだん横ばいもしくは低下の状態にある。サンマ漁業にしても、ソ連から出てきて積極的にとられておるような状態にあり、いろいろな面でむしろいままでのように大漁貧乏を嘆いておるだけでなくて、ただ魚は放っておいても多くとれるんだというような考え方でなくて、もっと積極的に資源の問題等も取っ組んで、有効な消費を対象とする生産計画が立てられるような予算の使い方というものが必要じゃないか。商品出産としての計画生産面が考えられていないところに、非常な弱点があるように考えられるのであります。これは私、往年、戦争前に食糧問題をどうするんだということでいろいろ考えさせられて、そのうちの水産の問題は、ニシンとイワシを活用しさえすれば、大体七〇%くらいの需要が満たせると、こういうふうな答案が出て、樺太へまいって半年ほどいたことがありました。ところがあの豊富にとれたニシンが、現在どうでしょう、貴重品になってしまいました。マイワシもやはりその状態であります。現在とられているセグロイワシ、サンマ、アジサバ、イカ等が、はたして将来にわたっていまのような状態でとれるかどうかということも予測ができないし、と同時に、サンマあるいはサバアジにしましても、魚体、あぶらの乗り方等で、そのまま食用にならないような面が非常に多いのでありまして、これらの点に対しましても、たとえば、現在ではサンマに対しては東海区の研究所が大体当たっておる。マグロイワシサバ等に対しては東海もしくは南海区が当たっておる。こういうふうなことで各区別の海区にわたって、試験所が資源の研究をされておりますけれども、これに導入されておる予算の額はきわめて微々たるものであり、それが優秀な船その他を持っておるかというと、必らずしもそうではない。と同時に、全国的な視野に立つ調査活動というふうなものを、もっと積極的に、大々的にやって、食糧としてりっぱに食えるような魚の資源の調査と、それからそれに対する生産計画というものを推し進める基盤が絶対に日本では必要である。日本でやらなければどこもない、かように考えておりますので、少し出過ぎた考え方でありますが、水産は、水産対策をそれほど物価の面で考えなくてもいいというような考え方ではいけませんので、この点もつけ加えて御要望申し上げる次第であります。
  14. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございました。     —————————————
  15. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは、次に六大都市水産物仲買組合連合会会長清久辰治君にお願いいたします。
  16. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 御指名をいただきました清久でございまして、大阪中央卸売り市場で仲買い業を営業いたしておるものでございます。  委員長から水産物価格等に関して意見を述べろということでございまするが、御存じの方もあると存じまするが、私は現在の水産物価格が消費地の中央卸売り市場におきまして、どういう内容のもとにその価格が生まれるかということを御理解願いまして、それを御参考にしていただくことが一番よいのかと存じておりますので、それについて申し上げたいと存じます。  つきましては、これをお話し申し上げる前に、この水産物価格形成に関連性を持ちますところの私らの仲買い人の立場、これをお聞き願いますることが、問題の点につきましての御理解がすごくスムーズにおわかり願えるかと存じまするので、お聞き取り願いたいと存ずる次第でございます。  ただいま御紹介にあずかりましたとおり、私らは中央卸売市場法の上では仲買い人ということになっておりまするが、この仲買い人という名称のために、私ら業界がいままでたいへん自分らの職能を誤解されまして、そうしてから、非常に何か私らの業界が中間業者またはブローカーというようなことに誤解されておることが多かったのでございます。私の申し上げるまでもなしに、ブローカーと申しますと、他人の所有しておるものを他人にあっせんいたしまして、仲介いたしましてそれで報酬を得ているというのが、これがブローカーでございまするが、私らは荷受け機関が全国から集荷したものを、せりまたは入札におきまして、そして私らが私らの責任において買い取りまして、それを買い出し人の方々に卸売りするのが私らの業種でございますが、名前からくる感じと実際やっておる職能とは非常に大きな違いがあるということをひとつ御理解、御了承願いたいと存ずる次第でございます。  それでは、本題に移りまして、水産物価格はどうして生まれるかということでございまするが、これは一口に申し上げますると、消費者の購買力、すなわち需要力とそれから生権者の出荷挺すなわち供給ということのバランスにおいて生まれるのでございます。御承知のごとく、大都市には中卸売市場法によりまして、中央卸売市場が開設されておるのでございまするが、この市場で農林大臣の許可を受けた卸売り人が集荷されました水産物を私ら仲買い人が、先ほども申し上げましたごとく、せりまた入札によって大量に買い取り、それを買い出し人の方々に必要な量をお分けして、そして卸売りいたしておるわけでございます。ここで、お聞き願いたいと存じますることは、中央卸売市場が開設されました当時と現在とは少し変わった面が出てきておるわけでございます。これはどういうことかと言いますると、中央卸売市場が開設されました当時は、卸売り人が一業種一卸売り人で、すなわち卸売り人が単一であったわけでございます。たとえば、その入荷する商品のほとんどが純然たるところの委託品ということであり、元来中央卸売市場法の精神ということになりましても、委託品ということが主眼となっておるわけでありまして、開設者の承認を得て買い付けが特に認められるというような条項があるぐらいでございました。ところで、現在の中央卸売市場の中を見ますると、卸は当時と違いまして、複数となりまして、そして入荷品の内容もただいま申し上げましたように、純委託品というものばかりでなく、純委託品のほかに、生産者からのさし値品というものと、それから卸の見込みによるところの引き受け価格品と申しましょうか、そういうものと、それから卸自身の責任で荷を引きますところの買い付け品というものと、それから冷凍魚、これは冷凍魚生産者自分の売りたいというような価格を指示してきておるわけでございますので、冷凍魚のごとき指示価格品とも申しましょうか、以上五通りのものとなってきておるわけでございます。それで、その場合の価格形成ということについて内容で説明申し上げるわけでございますが、純委託品につきましては、私ら仲買い人が現実の入荷状態、それから現実のそれによるところの価格、それによるところの買い出し人との間におけるところの売れ行きということを、前日を基盤といたしまして、なおかつ、いろいろ本日の売れ行き等を、あらゆる面において、これを勘案いたしまして、それから次に、当日の入荷品がどのくらい入っているか、前日と比較いたしまして、そうして、それと見合って、きょうはどれくらいの売れ行きがあるかということを、第一番にそれを頭に置くわけでございます。それを土台といたしまして、その入ってきた商品の鮮度がどうであるか。また、形態がどういうものであるか、品質がどうであるかというような、かようないろいろの角度からこれを考えまして、そうして先ほど申しましたような、本日の売れ行きはどうかということで値を建てるわけでございます。かようなことでございますので、ここで先ほど生産者坂本さんからいろいろお話しございましたが、私らの価格を建てるときには、これはあくまでもその消費地におけるところの消費者の購買力というものを基盤として建てるのでございまして、生産者の元値が、また、諸掛かりが幾らかかったかということを頭に置いて値段を建てるものではございません。あくまでもその日の売れ行きということを勘案いたしまして、値を建てるのでございます。この点をひとつ御了承願いたいと存じます。建て値——値を建てる点につきましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、せりまたは入札でございまするので、これはなかなか建て値するときには、自分だけ安いものを買おうと思いましても、多くの同業者が一度に公開せりによって値を建てるのでございますから、これは絶対に自分だけが安いものを買うというようなことができないような仕組みになっております。また半面、買い取った商品は、軒を並べて同業者が同じものを、そして買い手はくろうとの買い出し人の方に売るのでございますから、それが高いものを買うと、買い出し人の方になかなかそれを買っていただけませんから、自分が損を受けなければならぬ。かようなことに相なるわけでございまするから、なかなかこのせりに参加して、そしてその統一の建て値をするその商品の建て値をするということは、ほんとうに真剣な態度で臨まなければならないというようなことでございまして、これには長い経験者でなければできないというようなことでございます。こうして生まれることが一つでございまして、大体これが中央市場法の精神からいいますと、この値段のでき方というものが市場法の精神にのっとったところの値段のでき方であると思うわけでございます。  それから、その次の問題といたしまして、生産者のさし値ということがあるわけでございまするが、これは、生産者がこの値段で売ってくれ、この値段でなければ売らないと言うて、一つ自分の思った値段をそこに申し出るわけでございまして、そうしますと、もちろんさし値された値段以下では私らが買い取ろうと思っても買い取れない。かような仕組みになっております。これが第二番目の値段の生まれる方法です。  それから第三番目は、先ほどもちょっと述べましたが、卸が複数になりました関係上、じっとしておりますれば、自分の社業が隆盛にならない、そのような見地からいたしまして、卸の方々は、会社の方々には、やはり自分の会社のために勉強されまして、非常に集荷に対して競争されるわけでございます。そのために、見込み値段というので、大体このぐらいの値段であったらいけるだろうとか、売れるだろうというようなことを産地のほうへ各社からそういうような照会をされまして、そうして、それによって入荷されたものは一応その値段に到達するように勉強してせりされるというようなことで生まれる価格が、これが先ほど申しましたようなところの引き受け価格という第三点の値段のでき方であります。  第四番目は、卸の買い付けでございます。大体その買い付けということにつきましては、これは市場法によりますと、業務規程からいいますと、委託販売の方法により取り扱い品の供給を受けることが困難な場合は、卸売人は開設者の承認を得て買い付けすることができる、こういうようなことになっておりまして、どういう場合かといいますと、その一つとしまして、従来市場に出荷のなかった物品について、新たに取引することになりますときは買い付けできる。それからまた、従来市場に出荷がなかった地方と新たに取引を開始するとき、こういうときが買い付けの対象になるわけです。それから第三番目は、外国産の品を輸入するとき、こういうときが市長の承認を得て買い付けすることができるということになっておりますが、現在ではなかなかそういうような条項ではなしに、広く、じっとしておったら荷が来ない。また、手当てができないというようなことで、この買い付けというものはこれは広くなっております。そうして、この中には塩加工水産物とか冷凍魚ということがわりあいに多く含まれているわけでございます。それが第四番目。  第五番目の価格と申しますと、これは冷凍魚に当てはまるわけでございますが、この冷凍魚の建て値といいますと、これは生産者が製造されたものでありますので、生産者からこれこれの値段で売ってほしいという一つのさし値というようなことが冷凍魚に当てはまるわけでございまして、この点につきまして、先ほどからいろいろ話題に出ておりますところの今後の冷凍魚のあり方ということにつきまして、先生方に非常に参考に、意をとめていただかなければならぬということになるという問題でございます。コールドチェーン問題なんかが出ておりまするけれども、値段というものは何を根拠としてこれをきめるのかということになりますと、これは市場で先ほど申しましたように、純然たる委託品というもので取引された価格が大体その日のめどということになるわけでございまして、これによって生産者方々は冷凍品につきましても、いろいろ値をさし値されてきているということになりますので、こういう点につきまして、今後冷凍品がどんどんできますと同時に、冷凍品としてできたものをどういう値段でこれが値をつけてというようなことになりますと、これは非常に問題点があることと思いますので、ひとつよろしく御判断願いたいと存じます。  以上のような五つの内容をもつ価格の形成方法があるわけでございまして、これが先ほど申しましたように、開設当時と違いまして、すでに市場に来るまでの間に値段ができ上がっているというものがここにでき上がってきたということをお知り願いとうございます。  さて、価格対策というようなことになりますと、水産物価格対策といいますと、私は率直に申し上げますと、なかなかむずかしい問題であるというふうに申し上げねばならぬと存じます。御存じのとおり、水産物価格につきましては、一般物価と違いますことは、普通の価格は、一応上がりますと上がりっぱなしというものが大半でございますが、水産物の場合は、需要と供給のアンバランスによりまして、毎日値段がかわってくるわけでございます。この対策ということになりますと、これは一体消費者のために対策するのかということの問題と、また、生産者のために対策するのかという問題と二つになってくるのだと思います。お互いに相手方の立場を無視してかってなことをいうのであれば、消費者は安いほうがけっこうだ、かような答えが出ます。生産者のほうは高いほうがよろしいのだという答えが出るわけでございます。かようなことで、それで、一応消費者本位で格価対策をすべきか、生産者本位で格価対策を立てるべきか、それを両方の都合のいいといいますか、そういうような適正な価格ということになるわけでございますが、その適正な価格はどういうものが適正な価格かということになりますと、立場立場で非常にむずかしい問題でございます。また、水産物価格は、日々の需給のバランスによってと先ほど申し上げましたが、値段ができると申しましたが、それ以外にも他の食料品とのつり合いでいろいろ価格が左右される、こういうことが、これもあるわけでございます。他の商品が安ければ、それは水産物の購買力が減ってくる、他の生鮮食料品が高くなればこれは水産物のほうを利用しようか、こういうことになってくるわけでございます。昔、大阪では、豆が出てくる年は魚屋の顔が青くなる、豆の色になる、こういうふうに豆が季節的に出回ってくると全然魚のほうは見向きもせぬで、それで魚を売るにも売れぬ、かようなことばがあるように、結局そういうように、ほかの商品が安くなって出回るということになると、水産物価格もそれによってやはり需要量が、購買力が弱まって安くなるというようなことも考えられますので、こういう点も御留意願いたいと存じます。そうしますと、私らの立場といたしまして、どうしたらそれならいいんだというようなことに相なるわけでございますが、まあ水産物価格毎日高く低く、こういう波のごとくなるのでありまするから、ここで波の高い頭を削る方法はどうか、また、あまり低かったら生産者困るのだから、生産者が困らないように低い波をもう少し上のほうに持ち上げられないものかどうか、こういうことに相なるかと思います。それで、高い頭を押えるということについて考えられることは、先ほども伊藤さんからお話がありましたが、三十八年の七月九日の閣議決定の生鮮食料品流通改善対策要綱、これが出されたときに、その七番目に、生鮮食料品価格安定のための輸入措置ということがその閣議決定の第七番目にうたわれておるわけでございます。この点につきまして、もう少しこれを御配慮されたらいいのと違うか、かように思うのでありまするが、これも生産者立場考えながらということが前提となるわけでございまするが、いまの現在大衆魚、一般消費者の一番台所をにぎわすところの大衆魚の大半は非自由化品目の中に入っておるわけでございまして、申し上げますと、ニシン、タラ、ブリ、サバイワシアジ、サンマ、貝柱、イカ、かような、非常にいつも台所をにぎわしているところの大衆品が非自由化品目として制限が加えられておる、こういうことでありまするので、これらに対するところの御処置をお考え願えたらいいのと違うか、かように思うわけでございます。それから冷凍魚によるところの調整ということも考えられておりまするが、この面につきましては、私はまた違った考え方でいろいろ御善処願えぬか、かように思いまするのは、安いときに、これはあまり安くなったら困るということで、先ほど坂本さん申されたように、飼料とか肥料とかになるようでは困るので、こういうときに安い魚をどんどん食べていただくというような処置を何とか考えられぬか、かように思います。伊藤さんもそれに触れられましたが、この点につきましては、昨年の九月十五日に当院のこの委員会が大阪へ参られましたときに、ちょうどここに中沢先生もおられますけれども、そのときにお聞き願ったのでございまするが、私は同じ魚を何日もそれを食うということについての消費者教育というものについて御尽力いただけるか、かようなことを申し上げたのでございます。それはたとえばアジでもサバでも同じことでございまするが、このアジが大どれするとか、サバが大どれしましたときに、おかみさんはきょうサバを買うていただくと、あすの日のサバというものはちょっとなかなかなんぼいいものが出回っていても買え控えられるのが通例でありますので、このとき私が中沢先生はじめ聞いてもらったのは、サバ一つにしましても、そこに料理法がたくさんある。たとえて例を申しますと、塩焼きのほか照り焼きができる。すき焼きもできる。一塩にしますと酢のものになる、一塩にしたものを、大阪ではからまぶしと言いますけれども、おからにまぶして、からまぶしにしますとまた味が変わる。また、それをくずかけしてもらうと一つの料理になる。それからおすしにしてもいただける。それからフライ、てんぷら、それからまた薄塩にしてもらいましてボイルしていただいて、これも洋風にホワイトソースかけますとか、マヨネーズかけますというようなことで、洋風料理に使っていただく、こういうようなことをしますと、同じ魚が何日も変わった味覚で食っていただけるのと違うか。そうしますと、大漁貧乏というようなことにつきましても非常に役立つのと違うか、ただそれをだれが教育するのかということになりますと、これはなかなか、だれが金出してやるかということにいきませんので、そこで先生の力を借りてひとつ御善処方を願いたいと申し上げたのでございますが、生産者がなかなか自分のところの商品を宣伝しますのには、自分のマークのついたのは宣伝していただけますが、そうでない場合にはなかなかサバ宣伝にしても、どこがサバがとれるかわからないので、自分の費用でサバ宣伝するというわけにはいかないので、その点につきまして、大所高所からお考えいただきたい、そういうことで有効的に魚を売るようにしていただきたい、かように思います。  時間も迫りましたので、最後に申し上げたいと存じますことは、いろいろ考えまするのに、私らのひしと感じられますのには、自分らの商売したときと違いまして、国民生活水準が非常に上がってきているというようなことでございますので、相当こういう購買力というものがそこにある。力強い購買力があるということにつきまして、いまの需給のバランスによって値段が非常に上がるというような基因になりますので、この点をお考え願いますとともに、非常に出過ぎた言い方でございまするけれども、水産物ということばかりじゃなしに、総合的な生鮮食料品ということでお考え願いまして御善処願えるならば、水産物価格というものにつきましての安定ということにも少し寄与するのと違うか、かように愚考いたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  17. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) どうもありがとうございました。     —————————————
  18. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 最後に、東京魚商業協同組合理事長の中根長吉君にお願いいたします。
  19. 中根長吉

    参考人(中根長吉君) ただいま御指名を受けました全国水産物小売団体連合会・東京魚商業協同組合理事長の中根でございます。  本日、本委員会において全国の小売業者を代表して水産物価格問題について意見を申し述べる機会を得ましたことを深く感謝する次第でございます。  私に与えられた時間は限られておりますので、まず項目別に御説明申し上げたいと思っております。  項目といたしましては、水産物小売商の実態市場関係の問題点、予算の問題、標準店制度の問題、魚の日の問題、保管冷蔵庫の問題、業界の体質改善、大別して、この七項目について申し上げたいと思います。  まず、私ども水産物小売商の実態でありますが、従来より、水産物消費の価格高騰は、その大半が小売業者にあるがごとく指摘されております。このことは、全国八万の同業者並びに私ども業界にいたしましても全く迷惑千万なことでございます。たとえば、去る二月、ある新聞の北洋漁業のタラの追跡調査の記事にいたしましても、小売価格段階価格が急に上昇すると報道がなされております。このことは、魚を日用品と同じように取り扱ってみているもので、魚の歩どまり率を全く無視したものであります。タラの歩どまりは、都水産課の公開調査によりましても四〇・五%でございまして、まるの卸価格と小売りの切り身価格をそのまま比較したものであることは、魚に対する知識を得たものであれば、一目瞭然と申しましょうか、まると切り身に切った値段というものは非常に違っておりますが、これを日本の代表的新聞でありながら、世論を導く報道機関をなさっておる新聞社の方でさえも、非常な間違いがある。水産物価格というものはどんな複雑なものであるかということを皆さんにおわかりを願いたいと思います。御承知のごとく、水産物価格は、他の商品と違って同一の品でも価格が違い、一尾のマグロでも、しり尾の部分と胴の部分とは価格が非常に違うんです。そこにおきますと何十種類、何百種類という千差万別である魚を、一見、仕入れ価格を知っても、どれが適正であるとは判断ができないところがあるんじゃないかと思います。水産物のうちでも鮮魚は一刻一刻の鮮度の低下によって、鮮度それ自体が価格決定のポイントになっておりますと申しても過言ではありませんと思いますが、したがって、市場内における小売り業者の仕入れで、同一品種であるにもかかわらず値段がまちまちでございます。他の商品に見られない姿と申していいと思います。したがって、価格の高い安いだけの単純な比較で、この店が——かりにわれわれ商売しておる店を見ましても、この売っておる魚は高いとか安いとかいうような適正の価格は判断はできないと思います。本日諸先生のお手元にお配りしてあります資料を参照していただくとわかるように、水産物の末端の価格は、他の食品価格などと比較しても決して騰貴率が極端に高いとは言えないと存じます。一部の高級魚を含めての騰貴率をもって魚が高いとする考え方は当を得たものでないと存じます。われわれ何と申しましょうか、日常の生活の魚に対しましては、絶対的に私は高いとは思っておりません。私、小売り商の経験、実態、数字に基づいて、お手元の資料にあるように、都内の平均を算出したものを荒利益率を見ましても、大体われわれ業界は二五%、経費は、御承知のとおり、非常にかかるので、二〇%以上かかります。そうしますとわれわれ業界としまして、自分商売ばかり言うわけではありませんが、御承知のごとく、われわれ小売り業者には何十億何万というような金を持っておる業者はおりません。そういう関係で、せいぜい税務署で査定されてもほんとに税金に苦しむような状態でございます。そういったことを私は考えまして、われわれとしては、われわれ業界にばかりすべてがしわ寄せされることはおかしいと思います。われわれ業界の魚としましては、どういうような商い方をしているかと申しますと、Aという品物に対しては三割をかけることがあります。場合によっては三割五。ただしBという品物に対しましては一割にも満たないような販売をするのが通常でございます。先に述べたごとく、生鮮食料品は非常に鮮度が低下するので、夕方に、われわれが商売する場合には値下げをする。そして販売する。そういうような業界の実態でございます。ですからかりに農林省または東京都の方が物価というものを調べにお見えになっても、その時間的によって非常に違います。荷の着いたそのときにお調べになったのと、夕方の五時ごろ来てお調べになれば、販売価格というものは非常に違っております。それと申しますことは、鮮度というものを十二分に考える関係上、やはりその時間になると非常に安く下げて売らなくちゃならない、そういう状態でございます。また、われわれ業者は、御承知のごとく、朝少なくも六時、夕方の八時ごろまでのわれわれ業界としては商いをしていなければならない。そういうことに対してわれわれ業界のことを考えていただくと、所得税やそういう問題に対しても考慮してもらいたいと思うし、さらに私どもは次の点を強調しておきたいことは、われわれ小売り業者は、一般の都民の方、または消費者の方とおつき合いをしておる。ですからいつも勤務評定と申しましょうか、都会議員であろうと衆議院の方であろうと、何年かに一ぺん選挙に立ったならば四年でも五年でも年数がございます。われわれ業界は、お客さんにあの店はだめだと言われてしまったら、その店はつぶれてしまうような情けない業者であります。そういう問題であることを特にお願いする次第であります。  続いて第二点の問題ですが、市場関係の問題については、現在の市場の機構の問題につきましては、数十年にわたる長い間の実績により、しかもそのつど市場法が改正されてまいりましたので、私は妥当なものであると存じますが、最近の人口の増加により、都市集中化は驚くものがあります。水産物の消費の動きにいたしましても、その都市の人口比例によって消費されていると思われますが、現在の大都市における中央市場での取り扱いの量の中には、相当量が市場の指定地区外に流れたと思っております。大体東京都に入ります魚は、そのうちの四〇%が地区外に搬出されております。そういう事情でありますので、これがために地区外の業者、あるいは都道府県からの運搬車で一そう市場の混乱ということが、いまの築地魚市場では起こっておる次第であります。こういうような、狭いために、その結果と申しましょうか、市場の中が売り手優位市場の性格を強めていると私は思っております。市場ごとの登録制など、先般もお話ししたのでございますが、そういうことを考えられまして、かりに東京都のどの辺の地区は築地魚市場、どの辺の地区は北千住に行けと、そういうような、やはり買い出し人のことも考えていただきたいと思います。  次に、水産物の生産出荷の容器でございますが、先ほど荷受け機関の方からいろいろお話がありましたが、われわれ業者におかれましても、荷受けさんが送った魚をそのままの姿でわれわれの店舗まで入れてもらいたいと思います。なぜかと申しますと、現在の送りに対しましては、箱は箱で全部ふたを取りっぱなし。たるはたるで全部ふたを取りっぱなし。そうした場合に、紛失のおそれまたは目方というものが非常に家に持って行って切れます。そうした場合には、われわれお客さんの前でもって、百グラム幾らというような販売方法をしているので、目切れというものが入るのであります。そういう関係から申しますと、完全な包装容器によりまして徹底した出荷をすることをお願いしたいと思います。その際は、かりに出荷の場所または出荷者の名前、そういうものを十二分に記入されて、あの荷主の品物は非常に目方がいいから普通の値段よりも多少高く買ってもいいと、そういうようになるまでに、そういうことを要請しておきたいと思います。こういう問題に対しましては、管理者のほうから十二分に各出荷者に対してお願いしたいと思います。  それからまた、流通機構の問題でございますが、一つの問題としまして、皆さんも御承知と思いますが、政府の金によりまして豊海に冷蔵庫が建っております。この冷蔵庫は国家の補助もあり、また、これからそれに対して農林省のほうからそこに一億何千万の金を出しまして魚を入れるそうでございます。そういうような生産値段またはそれを冷凍した値段、そういうものに対して、すべての値段のきまったものを、これを市場内に再びかけてせりをさせる必要はないと私は考えます。そういうものは値段のきまっているものですから、こういうものはこうである、ああであるという値段で売っていただきたいと思います。  先ほど一つの問題になっております冷凍品でございますが、昨年は、サンマの一例を申しますと、サンマが七百五十円から八百円した相場が、大体七月、八月の相場です。ところが、漁期になりまして、九月の月に入りました。先ほど出荷者のほうから申されたごとく、サンマが非常に不漁だった。そうした場合に、そのサンマが、一箱七・五キロの目方のものが、千八百五十円、冷凍品。そういうような値上がりをする。そういうことが私もあり得るということを考えますと、私たち考えまして、政府で資金を出しましてそういうような冷蔵庫をつくった場合に、そういうときに初めてそういうような品物を出してもらえば、われわれ業界としましては、お客さんに対してもサービスの一端ができるのじゃないかと考えております。  それから、第三の問題でございますが、政府の予算面について申し上げますと、消費者行政の重要性は物価の問題が非常に大事だということになっておりますが、特に四十一年度における消費行政のための予算はまことに微々たるものでございます。この予算というものをもう少し多くしていただきたいと思います。いま現在は、生鮮食料品ばかりじゃなくて、流通問題とそういう問題に対しての非常にお考えでございますが、物価対策というものを考えれば、もっと相当な予算をとっていただいて、それによって重点をやっていただきたいと思います。  第四点に申し上げることは、標準点舗の問題でございますが、これは御存じのとおり、先般農林大臣のほうの指示によりまして、われわれは標準店舗というものを施行したのでございますが、先生方の御承知のとおり、この標準店舗に対しましてはいろいろな非難がございます。これもわれわれ考えますと、われわれ業界におきましては、物価安定のために幾らかでも安くとか、または魚の流通問題をお客さんに知っていただくつもりで一生懸命この問題に対してやってきた次第でございますが、何としましても、われわれ小売り商だけやっておりまして、仲買いさんでござれ、荷受けさんでござれ、何らの協力もしていない。そうであれば、魚屋だけのことである、こういう問題に対しましては、私は市場全体が、先ほど伊藤さんがおっしゃいましたごとく、すべてこういう問題は市場全体でやっていただくことがいいのじゃないか、そういうふうに考えておりますので、東京におかれましてもどうか、当局も、こういう問題に対して再認識されまして、標準店舗の問題につきましても荷受け並びに仲買い方のほうにも御協力願いたいと思います。  第五点としましては、東京都は御存じのとおり、消費者が非常に多いし、いろいろと冷蔵庫の問題でも対策をされておりますので、何としましてもその問題について十二分に考えていただきたいと思います。  それから今度は東京都で、魚の日、野菜の日、そういう問題を言っております。先般、野菜の日に次ぎましてこれが肉の日、鳥の日、そういうような問題をうたわれてございます。魚の日につきましても、われわれ業界としましては実施いたしたいと思っております。しかしながら、われわれの利潤から申しまして、一割というものはたいした金額でございます。この問題につきましても、ただただ、先ほどの標準店舗じゃないですが、あとの非難を残すことのないように、また、線香花火的に一時的にこれをやるというようなことのないように、やはり荷受け機関並びに仲買い方にもこの御努力をお願いしておるのでございますが、まだ何ら御返事はありませんけれども、こういう問題につきましても、当局におかれまして、十二分にそういう問題に対して関係団体にお願いいたしたいと思います。  再三申し上げるように、水産物の需要はいろいろと問題にされておりますが、市場入荷が何としても一定しておりません。価格はやはり需要のバランスによって行なわれておるのでございますが、魚の日というものをつくったがためにかえって価格の暴騰と申しましょうか、きょうは魚の日だということになりますと、われわれ業界におかれましても、いままで三万円の買い出しをした人が五万円の買い出しをする、そういうことになったときに、非常に魚が高くなる。かえってこれをつくったために、前後が安くて、当日が高いとか、また前の日が売れたのであくる日が非常な安値になる、そういうような問題がございますので、こういうときには特別の貯蔵品というものを政府方で押えておきまして、そういうものをやはり裏付けとすることをお願いしたいと思います。  私、先般所用のために香港に行っておりましたが、そのときに水産物を多少研究してまいりました。大体におきまして東京または日本向けに対しますタイショウエビの積み出しというものを私見ましたところが、香港であのタイショウエビ一本幾らかと申しますと、八円から十円、ところがその品物を日本で買いますと、冷凍してでございますが、四十七円から六十円でございます、現在われわれが仲買いさんから買うと。そうしますと、五倍から六倍というような高値です。きょうの新聞にも出ておりましたが、バナナがやはりそういう傾向がございます。あんまり輸入業者を許可してしまったんで、皆さんがわれもわれもといって香港へ行ってエビを買う。ですからこういう高値をつけてしまうのじゃないかと思います。あちらではそう食べなくて、捨ててもいいというものですから、こういう問題については、よほど輸入業者というものに対しまして——いま八十数軒おるそうでございますが、こういうことも考えていただきたいと思います。物価対策につきまして、案外輸入の問題が一つの問題になるのじゃないかと私も考えております。  その他、水産物についてはいろいろなことがございますが、第六点に申し上げたいことは、われわれ東京都民のこの付近でやはり政府の管理した冷蔵庫というものを置いていただきたい。なぜかと申しますと、これは災害があった場合、またはすべての場合にその冷蔵庫が役に立つのじゃないか。それはなぜかと申しますと、物価対策にも役に立てば、先ほどの大漁貧乏というようなことにも役に立つ、こういう問題を十二分に考えていただきたいと思います。関東ばかりじゃなく、あらゆる方面からの買い出し人が多いのでございますが、東京だけの問題ではなくして、やはり国家の問題としてそういうことを考えていただきたい。  第七点につきましては、私どもの組合でも先ほど婦人団体のほうからいろいろお話しになりましたコールドチェーンなどの問題に対しましてはいろいろと研究しておりますが、なかなかこの問題に対しましても今後注意しなくちゃならない。また、組合の中においても、われわれとしまして特別委員会というものを組織しまして、毎日のようにこの問題を研究しております。これを研究されますれば、また婦人団体の皆さんとわれわれ業界と話したいと思います。このコールドチェーンでございますが、これはわれわれ業界におかれましていろいろと研究はしておりますが、農林省の方、また厚生省、あらゆる方面から来ていろいろのお話を聞いておるのでございますが、大企業の一方的な考えで進められるのじゃないかということを非常に心配しておる次第でございます。そういう点につきまして、御存じのとおり、このコールドチェーンの問題で私のほうとしましても、これはコールドチェーンという、前に一度いまから五、六年前に日冷、日魯、大洋漁業というような団体からやはりケースを十一二万五千、——三万五千は各会社で負担するが、この中へ冷凍品を盛って売れといって私のほうの組合でも受けて商売しました。ところが、一日じゅうついて冷凍品の説明をしながら商いしても、千五百円から二千円の商いしかできない。これは生産性からいきましても——それで利益はどうかといいますと、向こうから指定されて一割七分という利益でございます。そうしますと、これは営業しておりましても、御存じのとおり、いま小僧一人頼みましても、一カ月一万五千円ないし二万円でございます。そのものが一割七分の一日に千円や千五百円の商いをしていたのではこれは生活が立ちません。そういう関係もございまして、やはりお客さんが食べてみて、ほんとうの鮮魚というものと冷凍品の味の差というものは非常に大きいので、これは自然的に売れずに、われわれのほうとしましても、冷蔵庫をはずしてまた再びほかへ持っていったというような始末になっております。それもいろいろと大手会社におかれまして、われわれ業界についてはこうしろ、ああしろということをおっしゃいますが、どうしても、われわれ業界として受け入れをしていたのですが、売れないのでそのままになっていた。これが再び冷凍協会というものができまして、再び冷凍食品ということになっておりますし、われわれの業界が考えますと、われわれ業界で、先ほど婦人の方からも伺いましたが、冷凍品を店で解かして売るというようなおことばでございますが、これは厚生省のほうの指示によってつくられました現在のウインドでございますね、かりに魚河津から持ってきた凍ったサンマならサンマを店へ持ってきてその中にきちんと並べておきますと解けてしまう。決して意識的にわれわれ解かすようなことをしておりません。そういうことをどうかお考え願いたいと思います。  近代化の問題につきましては、われわれ業界においてもいろいろと考えておりますけれども、御存じのように、魚屋は、私が築地にいると、親戚が小山にいる。おまえに毎日魚をやるから取りにこいったって、魚河岸まで毎日取りにきたってしようがないのですから、魚の販売距離というものは半径三百メートルか五百メートルの範囲でございます。そうしました場合に、これは大企業としていいか悪いかということは皆さん方もよくお考えいただきたいと思います。決してわれわれ大企業というものを不賛成するわけじゃございませんが、これは大企業の行き方がいいか悪いかということをお考え願いたいと思います。また、私どもとしましても、研究が不十分な点がございますが、ボランタリー・チェーンという問題に対しましても、ただ、大型化大型化と——、この間ボランタリー・チェーンの問題でその会に出席してみたんでございますが、一年間の売り上げが一億以上のものはしてやる、それ以下のものはだめだというんで、零細企業のわれわれとしては手の伸ばしようがないということでございます。ですから、そういう点もよくお考えになっていただきたいと思います。  その次でございますが、大体、われわれの申し述べたのはそういうことでございますが、ただ、われわれとして皆さんによく言っておきたいと思いますのは、われわれ業者は、魚の問題は農林省、それから衛生問題、ウインドーをつくるとかなんとかというときには厚生省、金がないから何とかしてくれといえば通産省へ行くと、ここのところを皆さんよくお考え願いたいと思うんです。一つ業者であるならば、農林省なら農林省一本でずうっと最後までやっていただきたいと思うんです。金を借りるときは、通産省に行っても、ふだん行っていませんから、金を貸してくれと言ってもいい顔をしません。衛生面では厚生省、魚のことについては農林省、そういうような問題について、政府として、水産業なら農林省として、農林省一本にするように配慮していただきたいと思いますが、そのことを特にお願いする次第でございます。  そのほかに、今後の問題でございますが、昨年一月、科学技術庁によりまして低温流通という問題がございましたが、こういう問題に対しましては、農林省でも四十一年度の予算をとって仕事をしておりますんですが、この問題に対しまして大大手の水産会社、何々会社、何々会社というようなことばかり、それから科学技術者または学校の先生、それはけっこうでございますが、こういうものをつくるにいたしましても、われわれ全国に八万人の同業者がおります。そのほかに、御存じのとおり、自転車のけつにして販売しておる業者というのは十五万、これだけの業者がおりますから、どうかそういう者に対しましても、われわれを呼んで質問なり、また今日のようなことを聞いていただいて、われわれの気持ちということも十分に置いていただきたいと思います。こういう問題に対して、決してわれわれは国策に反対するものでもございません。  そういう関係でございますので、その点をよろしくお願いしまして、私の意見を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  20. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとう。  以上で参考人意見の陳述は終わりました。大体、本調査は五時ごろをめどにいたしたいと思います。  本件につきまして、質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、政府側から経済企画庁の中西国民生活局長もお見えになっております。  どうぞ御意見のあります方は御発言願います。
  21. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど銚子坂本さんから中央卸売り市場の隘路についていろいろお話があったのでございますが、同時に、輸送隘路についてどういう御見解を持っておられるか。先ほど来、大漁貧乏のお話が各方面から出たのでありますが、中央卸売り市場の狭隘な関係はもちろんありましょうけれども、輸送面においても相当な隘路があるのではないか、かような考えを持つんでありますが、これについて、具体的な改善策等の御要望があったならばお聞かせ願いたい。  それと同時に、これは経済企画庁、あるいは水産庁からでもけっこうですが、大衆魚の標準品をとってでもけっこうなんですけれども、輸送費がどれぐらいの。パーセンテージを占めておるのか。要するに、生産費、それから消費者価格、その中で占むる輸送費、これがどういうウェートを持っておるかということを大体の腰だめでけっこうでありますが、また、関係団体のほうからでも、これについて御意見がありましたら承りたいと思います。
  22. 坂本庄三郎

    参考人坂本庄三郎君) 中央市場の狭隘の問題ですが、これはもちろん、直接、漁船が入る場合には、つまり桟橋がない。あっても、昔の桟橋である。それで、船が自由につけられないですね、いまの何百トンという船では——。昔の二十トンから五十トンくらいの船の予定でこしらえた桟橋なんです。  それから、陸上の場合は、貨車はもちろんでありましょうが、トラックで来た場合でも、中央卸売り市場の販売場所が非常に狭いので、魚のトラックが入ってきても、荷をおろして重ねておかなければ、そのトラックの置き場所がないということで、われ先にというので、急いできて、急いでトラックをかたす。駐車場もなし、その魚の並べ場所もないです。それだから、あそこにどぶのような川がありますが、ああいうのは、さっき伊藤さんのお話ではこの先五、六年かかるそうですが、あれをふたしたらどうか。ふたをすれば、すぐその日にでもできるわけですから。二、三隻つけば——ああいうどぶがあると、船なんかは下流ですから、どうしても水につかりやすい。機械やなんかがつかるとか、自然と船の中に汚物が入る、そういうことはまずいと思いますが、そういうふうに五、六年かかるならば、とりあえずふたでもしたらどうか。裁判所なんかもかたすそうですが、そういう駐車場とかあるいは魚の置き場が、要するにせり場になるわけですから、それを至急こしらえていただきたいというふうに思うのですが、非常に狭いわけです、陸送の場合も、それから船で来る場合もですね。それだから、つまり荷が多く入ってこない。  それからもう一つは、輸送費の問題です。これは、品物によって非常に違う、それから距離によって違うというのと、値段によって——銚子あたりから持ってきても、品物によっては、大漁のときに変な品物を売ると、容器と運賃を引くと足りなくなっちゃうというぐあいになる。北海道三陸方面では、大漁時になるとしょっちゅうそれがあるというわけで、それより魚かすにしたほうがいいじゃないかと——。冷蔵庫も満庫になったということで、魚かすにする。魚かすというのは、要するに肥料になるわけです。そういうわけですから、これはパーセントとなると非常にむずかしい問題です、高級魚ならそんなことはないですけれども。輸送資は安いものですが、つまり大衆魚がそんなわけで、時によっては、容器代と輸送代を引くと原価がなくなっちゃうということが往々にしてあるというわけです。  以上、説明はまずいようですが、そんなわけでございます。
  23. 伊藤春次

    参考人(伊藤春次君) いまのお答えで、輸送手段ですがね、先ほど私申し上げましたように、戦前は、大体、東京市場に例をとってみますと、鉄道貨車で来るものが六〇ないし七〇%、トラックとそれから船の輸送がやや相半ばしておるような状態が、最近に至っては貨車輸送が五〇%に満たない、それから、トラック輸送がややこれと匹敵するようなものになっている。あと一〇数%が船によるもの、船はもともとは運搬船でありましたけれども、現在は漁船の直航がほとんど大部分である。こういうふうな状態になっておりまして、したがって、貨車で来るものの絶対量は東京市場を例にとって見ましてもそれほどふえておりません、最近でも。非常な速度でふえておるのはトラックです。それから大型漁船、そういうかっこうになっておりまして、鉄道のほうは今度の計画によりますというと、レム形式による保冷貨車の装備をよくするとか、あるいは増強するとかいうふうなことで着々おやりになっておるようです。しかし、トラックのほうも保冷トラックに対する農林省の助成を——これは、従来は漁業者団体のつくるものということに限定されておったのが、今度は出荷業者のそれにも補助されるという道が開かれたので、最近、そういう保冷自動車、トラックによる長距離輸送というものが目に見えてふえてまいりました。したがいまして、現在の状態では、道路の整備と相まって比較的輸送手段には漸次、改善のあとが見られておる。私、むしろ、たとえば貨車にしましても、現在のような木箱、あるいはたる等になりますというと、容積がわりあいに積み込み量が少ない。ところが、段ボールのような容器になりますというと、少なくとも一割五分ないし二割よけいに同じ輸送容器で輸送できる。また保冷できる。こういうことに考えておりますので、輸送包装等に対しましては現在とられておる施策を、さらにきめこまかく推進されるということによって大体充足されるのではないか。それよりも受け入れ態勢の整備とか、あるいは包装容器等に対して積極的に御心配を願えれば、物的流通自体に対してはわりあいうまくいくんじゃないか。かように考えております。
  24. 比嘉正子

    参考人比嘉正子君) 港から消費地までの輸送の件でございますが、神奈川県のコールドチェーンのほうでは、浦賀郊外十カ所の直売店に冷凍車で輸送しております。それは農協が一五%の手数料を取って、なお冷蔵庫の費用、それからガソリン代、人件費というようなものを引いても卸値ぐらいで売れるそうでございます。一週間に一回集荷しておりますが、一週間に二回にしてほしいという要望が出ておりますから、うまいこといっていると思いますので、なおその点を詳しくひとつ御調査願えたら参考になるのではないかと思います。
  25. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 輸送経費のことにつきまして御説明を申し上げたいと思います。  水産物の輸送経費につきましての一般的な統計というものはまだ整備をされておらない現状でございます。農林省におきましては、昨年の秋から水産物の流通統計を実施いたし、逐次体系的に整備をはかっていく考えでございますが、ここで、いまの何と申しまするか、事例調査というものがあるわけでございます。そういうものを一つの御参考に申し上げたいと思うわけでございます。多少古うございますが、数年前に農林省が産地から消費地市場、さらに小売店までの追跡調査をしたことがあるわけでございます。ここにおきまして幾つかの事例を調べておりますが、そのうちの一つ、長崎の産地の市場から東京の築地市場に入りました中物のアジ、中くらいの、中型ぐらいのアジの輸送経費について申し上げますと、これは一箱に十三・五キログラムばかりのものでございますが、十三・五キログラム一箱当たりで輸送経費は七十九円かかっておるわけでございます。この場合の輸送手段は国鉄の貨車輸送でございます。この場合における小売り価格に対する輸送の経費の割合は、小売り価格を一〇〇といたしまして七・八%に相なっております。先ほども生産者代表の方からお話のございましたように、時期によりあるいは品物により非常にこの間の比率というものは変わってくるわけでございます。なお、この調査を実施いたしました年以降輸送経費や運賃の改定その他で上がってまいりまするから、そういうことを考慮をいたさなければならないわけでございますが、一つの事例を申し上げたようなことでございます。
  26. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それぞれありがとうございました。実は私は輸送費の占める。パーセンテージ等を特に聞きたいと思いましたのは、物価対策の見地からいきますと、先ほど来関係団体からも御意見が出ておりましたけれども、えてして販売業者にしわが寄ると言うと語弊があるかもしれませんが、攻撃の矢が向けられるのでありまして、それだけに輸送費の占むる地位、ウェート、改善策、こういう点が非常に問題になると思って聞いたのでありますが、工業製品でいうと一番輸送費のかからぬものが三五%、三割五分、一番かかるものは七割五分という数字が最近出ておるのであります。いま承ると、中型アジ、これは七・八%だと、非常にその点じゃ輸送費の占むる。パーセンテージがあまりにも少ないということになるということなんでありますが、これはそれで一応話を承っておいてと思いますが、なお、産地の坂本さん、さっき終着駅の中央卸売り市場についてのいろんな隘路については重ねて具体的にお話があったのですが、むしろ産地駅、銚子の駅などの、始発駅においていろいろ隘路はあるのじゃないかどうか。また、そういう点から具体的にこれは一例でありまするけれども、貨車繰りであるとかあるいはダイヤの編成であるとか、そういうものについて要望はないのかどうか。そういう点だけ承っておきたいと思います。ほかに御質問がいろいろあると思うものでありますから、私のほうも急いでその点だけ伺っておきます。
  27. 坂本庄三郎

    参考人坂本庄三郎君) 実は大体銚子のほうは冷凍貨車が非常に回りが悪いので、わざわざ遠距離に出る場合は東京までトラックで持ってきて、東京から大阪とか、各方面へ冷凍貨車で出す。ほとんど冷凍貨車というものは銚子に回ってこないというのは、定期的に出ていないですから、というのは漁期によって、ありませんから。それから、ほとんど東京へ運ぶのはトラックで運んでおります。そんな関係で、遠距離に向けて、冷凍貨車がないために中央市場まで、あの付近まで持ってきて、それで冷凍貨車に積んで出しておる。そういう状態でございます。
  28. 中根長吉

    参考人(中根長吉君) 先ほどの農林省の輸送の関係でございますが、これは卸売り市場まで入る輸送費じゃないかということをお聞きしたと思うのですが、それより仲買いさんまで、小売り商人まで持ってくる輸送費となりますと、先ほど先生がおっしゃった値段のように高くなるのじゃないかということを考えます。
  29. 山本杉

    山本杉君 ちょっと伺いたいと思いますが、私は東京などで魚屋の店先を見ておりますと、ずいぶん品物が残っているのです。そうして、それを夕方売り切れるわけじゃないので、また冷蔵庫へしまい込んで、あくる日売るのだろうと思いますが、鮮度が悪くなればますます売れ行きが悪くなって、そういうのは結局捨てられるか、豚のえさになるか、どっかへ回されるので、そういうロスといいますか、そういうものを含めての小売り値段なんだろうと思うのです。さっき中根さんでございますか、冷凍物も持ってきて店に置けば自然に解けちゃうとおっしゃったのですが、解けないような設備の中で、それを置いておおきになれば、あしたがきても、あさってになっても、その値段で売れると思うのです。それについていろいろ伺いたいのですが、伊藤さんのお話のおしまいのほうで有効的とおっしゃったかしら。非常に有効的な消費を対象とした計画生産ということをおっしゃったのですが、お説ごもっともと思いますが、その具体的なことについてお願いします。
  30. 中根長吉

    参考人(中根長吉君) 冷凍品に対しましては、これは御存じのとおり、われわれ業界としましては、ウインドというものを厚生省の案によってつくっております。その中に置いて販売しているのでございますが、どうしてもあすこはプラス十度ぐらいにして、また、よほど下げましてもプラス〇・一度程度でございます。あれを全般的にはプラス二十度ということになりますと、鮮魚と別々なものをつくらなければいけないということになるわけでございます。そうなりますと、現在の店の態勢からいきまして、両方のウインドを、先ほど申したごとく、十万円でわれわれ業界もウインドを並べたこともあります。ところが、御存じのとおり、売り上げというものが、冷凍品についてその日の売り上げの一割か一割五分の売り上げでは、御存じのとおり、間口が大体二間か二周半の間口でございますから、そこに六尺の冷凍品のケースで売り上げがこれだけの金額ということになりますと、やはり人件費にも合わなければ、すべての経費にも合わないという形態が出てくるわけでございます。また、中央市場に入ってくるものは冷凍魚でございまして、なまザケでございましても、冷凍してあるものについては一ぺん解かさなければ切ることはできません。そういう関係がございます。かりにカレイ類であってもそういうような関係がございます。それからもう一つは、冷凍食品、先ほど婦人会の方からおっしゃったことは冷凍食品だと思うのですが、冷凍食品ということになりますれば、やはり北洋でとってきたものなら北洋でとってきたものは、一応会社へ持ってきて、会社でそれはわれわれの魚屋と同じに解かしてしまって、それを切り身に切ってまた凍らす。そういうことに二重の手間がかかるのじゃないか。そういうことを考えれば、われわれの現在の商売のしかたが一方的に悪いということもないと思うのです。御存じのとおり、われわれは、今度政府補助金を出していただいて、それによりましてこの程度までのウインドをつくり、そういう中に冷凍品を並べたいと思いますが、それを、冷凍品を解かして切り身にすると、これは店頭でやっても工場でやっても一たん解かしてしまえば同じじゃないか。われわれ業界としましては、大きな冷凍船でとれた魚を、中央市場に揚がったものをわれわれの手によって解かして切るということが、われわれの技術で、なれている者がやったほうが、かえってしろうとの方が自分家庭に持っていって解かして切るということよりは——大阪でこの間一つの例がございました。タイというものを大阪のデパートで販売したのですが、その販売したタイというものをそのまま家庭へ持って帰ったけれども、近所の魚屋へこさえてくれと頼みにきているわけです。東京家庭の場合で見ますと、一流の家庭のうちの人は、どんなまないたでもほうちょうでもございますが、一般の東京に住んでいる家庭を見ますと、こういうまないたやほうちょうの並べてある家庭はありません。そういう点からいきますというと、やはり魚屋の店でもってある程度それを、冷凍を解かして切り身に切ったり、またそれを家庭に持って帰るようにしても、先ほど申したように、半径三百メートルぐらいの販売範囲でございますから、そういう点で考えるならば、冷凍食品を一たん会社の工場で解かして、切り身に切って冷凍をさすことをやっても、このほうが安く上がっていいんじゃないか。もう一つは、そういうことで政府補助金や何かで大会社がそういうことをしますと、これもけっこうでございますが、これは一定の値段で幾らに販売しなくちゃいけないとなれば、その値段、一方的な値段であって、中央市場の買い手と卸手の値段の相違というものはなくなってしまうのじゃないかということを考えるわけです。
  31. 比嘉正子

    参考人比嘉正子君) 消費者考え方から申しますと、頭だとか内臓だとかは要らないから、それを輸送費をかけて送る必要はないじゃないか。今後は、ポリエチレンの袋に無頭無内臓の魚を入れたものが消費者のもとまでくるというふうな考え方、それから冷凍した魚をまた戻して冷凍食品におつくりになると言うけれども、戻さぬでも冷凍されたままどんどん切れて調製できると思うのですが、どうでしょうか、その点は。
  32. 中根長吉

    参考人(中根長吉君) 御存じのとおり、確かに母船というものは、大きな母船というものをもってきまして、そこでつくる、頭を切ってしまえばいま言ったようになりますが、そこにおいても人件費というものはばく大にかかります。母船なら母船のとったものをその場でこしらえてということになりますと、人件費——われわれの魚屋の十二、三から、十五、六の小僧に仕事をさせるというのと違って、その品物によってばく大な人件費がかかるということを考えていただきたい。そうした場合には、冷凍品の品物は高くなるということをわれわれ考えなければならない。私たちは、魚には頭があってしりがある小魚というのが、これが食膳の魅力とわれわれは考えております。私は、この前、幼稚園の生徒を十二名うちへ呼びまして、うちでもって頭をとったアジと、頭をとらないアジを同じ塩焼きにしてお膳に並べて、どれでもいいから食べなさいと言ったところ、どの子供も頭のあるのをとった。魚はみんな頭をとり、しりをとって、そうして食膳に出したらどうなるか。冷凍の魚、マグロであろうと、何であろうと、一つの機械にかけてだんごにして売ればいいじゃないかということと同じで、これは日本国民としては、まだ魚というものに執着の強い国民でありますから、そういうことはちょっと無理じゃないかということを考えます。将来もっと進んできまして、自然的にそういう機構になってくることについては、われわれはいかぬとは思いませんが、これは無理に政府が大資本にそういう金を投入して、そういうものをつくって、われわれの食膳に並べさせる、そういうふうにあまり急速に押えるというやり方をせずに、これは大資本の行き方で、先ほど申したごとく冷凍食品がよかったならば、五年前にやったときに、日魯でも日水でもああいうところがそれでもってどんどんやっておるのです。それを一応やめたということに対しては、採算が合わないということ、結局売れなかったということが起因しているのじゃないですか。今度は冷凍協会に対しまして何千万の資本金を出しまして、現在東京都内で五十三カ所許可になっております。五十三カ所で三千万の大宣伝費を使ってやっても普及しないというのは、まだそれほど冷凍食品というものに対して魅力がないのじゃないかということが考えられますので、冷凍品として、また冷凍魚として送っていただくことが、中央市場を通して、中央市場でお互いに買い手と売り手のバランスをした値段で販売されることが、今後のわれわれの行き方としていいのじゃないか。また、われわれ業界におきましては、少なくとも二十度ぐらいの冷蔵庫を自分の店に備えまして、そこでなるべく解けないようにしておいて、これを夕方お買いになるお客さんにそれをくずして販売してやるという行き方は決して悪い考え方じゃないとわれわれは考えております。
  33. 伊藤春次

    参考人(伊藤春次君) 先ほど申し上げたのは、非常にわかりにくいむずかしいことなんです。現在、漁業白書にも出ておりますように、日本の漁業の大体おもなものは、底びきによるものと遠洋、いわゆる主として資本漁業がやっておる遠洋、その中にも大資本並びに中資本によるマグロ、カツオ、そういうものと、それから沖合いのあぐり、きんちゃく網等による大衆向き多獲魚、それから沿岸漁業と、大体こういうふうに分かれておりますが、遠洋漁業のほうは、これは大資本によるものと中資本によるもの、それに対する、むしろ水産庁でおやりになっておるのは漁獲というふうなものによってそれを統制される。あるいはいろいろな海洋調査等によってもやられておりますが、それからもう一つ、底びき等はやや安定した漁獲を続けるために暴騰暴落というふうなものが比較的少ない。一番暴騰暴落の多いのはいわゆるアジサバイワシ、サンマ、イカ、マイワシ、こういうふうなものなんです。ところが、これに対する対策というものは、全国的な視野に立った資源調査なり、海洋調査、そういうふうなものが必要なんです。ところが、それに対する総合的な施策が十分に施されていないために、サンマ算の対策につきましても、この間、私聞いたのでありますが、最近ようやく東北海区の水産研究所でサンマの骨の数によってその年の、あるいはあくる年の大型魚がどういうふうにとれるか、あるいは中型魚がどういうふうに回遊してくるかということがわかるというふうな、試験官の中での研究が発表されております。私の申し上げるのは、漁業におけるそういうものの生産性という面から言って、大体海洋なりあるいは資源調査が総合的に行なわれることによって魚体及び魚種別のある程度の漁獲予想、資源の予想というようなものがつけば、それを有効に漁獲するような生産手段なりあるいはそれに対する処理、加工の手段なり、そういうふうなものが考えられる。ところが、一番多獲魚であるにもかかわらず、行き当たりばったりで、生産設備とかそういうものに対する金融その他のお世話は水産庁でなさっておりますので、前年の例等を参考にし、あるいはいろいろなものをとってやっておりますけれども、いまの状態では何ら科学的根拠がなく、おそらく陳情その他の判断によって許可を本体としたそういう施策が現在の状態じゃないか。したがって、一番国民生活に重大な関係を及ぼすそういう多獲性魚類に対する生産面の施策を、根本的にひとつうんと本格的に国が力を入れて、そうしてそういう生産が有効に行なわれるような基礎的なものをつくり上げていくことでなければ、魚はいつでもとれるんだというふうな甘い考え方をしておるというと、国際的な制約を受けるだけでなく、その大事なサンマ等に対しても、ソ連の船がどんどん来て、大型でとっておる、どういうふうな状態になっておりますから、いまのうちに大事な、そういう多獲性魚類に対する有効な生産を行なうための資源なりあるいは基礎的な調査、これに思い切って金を出してもらいたい、これが私のさっき申し上げたことであります。
  34. 野上元

    ○野上元君 それでは二、三御質問申し上げたいと思いますが、清久さんに二、三連続して御質問申し上げるので、長くなりますから、一つ一つ区切って御質問申し上げたいと思いますが、先ほど清久さんから、仲買い人の職能について御見解の発表があったわけなんです。仲買い人というのは誤解されておる、世上一般のブローカーと呼ばれている、非常に心外である、どういうふうに言われたわけです。そしてブローカーというものの定義についてあなたはお述べになったわけです。お話を聞いておりますと、確かにこの魚の場合でも、あなた方仲買い人の場合には、みずからの金を投じて、そうして一応自分の魚を自分のものにして、自分の魚を今度は小売り商の方々に分ける、こういう関係になるから、明らかにそれはブローカーではないのだ。むしろ卸売り商なんだ、こういう見解を発表されたわけですが、そうしますと、どっかにブローカーがおると思うのですね。いまの機構からいいますと、荷受け機関ですか、これがブローカーになるんじゃないでしょうか。荷受け機関としてはリスク負担というものはやっておりますか。たとえば自分の金を出して——荷受け機関がお金を出して、そうして自分の荷物にして、魚にして、それを仲買い人に渡す。仲買い人がまたそれを買って小売り商に渡す、こういうような関係ではないと思うのです。荷受け機関は明らかに集荷は行なっておるようでありますけれども、しかし、何らのリスク負担がない、むしろ手数料を五分五厘取っておられますね。したがって、明らかにこの場合のブローカーというのは荷受け機関になるのじゃないですか。そういう私は見解を持つのですが、清久さんの御意見はいかがですか。
  35. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) お答え申し上げます。端的に荷受け機関をブローカーであると言うて、まだそれを申し上げること、判断されるということについては少しちゅうちょする面があるわけですけれども、そういう面につきましては先ほど私の中でも申し上げましたように、一応買い付けとかというようなことをやっている面で、ちょっぴりではございまするけれどもあるわけでございますが、そういう面については少し当てはまらぬのではないか。で、いまおっしゃるとおり、卸売り人の方は一応産地から頼まれたものを、人のものをまた私らのせりに上場するという、そういうような仕事を、いわゆるせりというものを二、三持っておられましてそういう仕事をする。その仕事の上において五分五厘の手数料をちょうだいしておられるというような意味合いからしますと、おっしゃるとおり、ややそれに似たような感じもする面もあるわけでございますが、私は以上のように考えますので、どうぞ……。
  36. 野上元

    ○野上元君 これは清久さんに御質問申し上げますのは、非常に御無理なことと思います。それはよくわかりますが、大体の機構を申し上げますと、いまそういうふうになるんじゃないかと、そのように、ふと感じたわけでございます。  そこで、卸売りの荷受け会社のほうが、最近は、複数になってきた。調べてみると、なまのものが東京都内に五つあって、加工のものが東京都内には二つある、こういうわけですね。したがって、合計七つの荷受け会社があるわけですね。これはそれぞれ五分五厘のマージンを取って、そうしてやっておられるようです。これは先ほどどなたかからお話がございましたけれども、複数になって、ある点では競争されている。したがって、鮮度の高いものを安く売ろうという競争が、そこに自然に行なわれる。こういうふうに見れば利点もある。こういう御見解が出ておったのですが、しかし、たくさんあり過ぎるということは、適当ではないんじゃないかというような気がするのですが、これはある人に聞いてみると、七つは多過ぎる。東京都内の場合の例ですが。これを一つにした場合に、私はいままで五分五厘のマージンを取っておったものは三分に引き下げることは十分可能であるけれども、公平なる原則に基づいて行なわれ得るのである。こういう見解を発表された方もある。この点について荷受け機関というものが複数のほうがいいか、それとも一本化したほうがいいか、仲買いの立場から見てどういうふうにお考えになっておられるか、この点をひとつ。
  37. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 私は従来から卸売り人は単数でなければならないということをある場所で私は申し上げておるわけでございまして、その意味から言いまして、はっきり単数のほうがいい、こういうように思うわけでございます。それから私どもがいまそれでは単数がいいか、複数がいいかということについては、従来から非常に議論になった問題でございまするが、やはりその複数という立場から申される議論も、議論を聞いてみますと、単数というのは、そとに何か一つの横暴的な立場になって、あぐらをかくというような立場になって、ぐあいが悪い、複数の場合はそこにおいて非常に競争ということが加味されるから、そのほうがいいんだというおことばをちょうだいするわけですけれども、私の場合は、それによって起こるところのいろいろの弊害ということが、いわゆる率直に申し上げますと、集荷競争ということになる。その集荷競争によって、そうして産地に対するいろいろ卸売り人として——そこまで勉強させることもいいというような、過当競争というふうな内容も含むというようなことで、集荷されているというふうな面があるわけです。これはだれが得をするか、損をするかということになると、私はそういう面については単数ということによって自然の姿で集荷され、そうして価格形成されて、そうして販売するということのほうがいいのではないかと、むだな競争をすることは、これは産地の面においても、産地は、えらい競争をしてくれるということについては、得のような向きもあるけれども、その実はそうでもないというような面が、相当私はそこにあるのではないかと、私はこう思うわけでございます。  それからいま荷受け会社が、東京の場合多い、こういうようなことであります。これは適限複数ということをこのごろ言われまして、数はあとのほうの複数がいいんじゃないかという議論が出るわけですけれども、私の所属している大阪には、卸しは二つございます。一つの卸しが、加工、水産の両方の許可を持っておりますけれども、二つの会社があります。ところが、よく世上で言うことばですけれども、相撲になるとか、相撲にならぬとかということばがあるわけです。七つという数の問題ですが、複数のいい悪いということではないと私は思います。七つでも、そこにぬきんでて大きいその会社があって、そうでない会社が、たとえ数が多くあるとしても、その大きい会社に対して自分競争しようか、あくまでたてつこうか、こういうところまではたてついてもだめだ、いわゆる、横綱にふんどしかつぎがたてついてもだめだということで、そこで、あまりむだな競争というものは——競争はありながら、そう熾烈じゃない、こういうことも言えると思います。大阪の場合を例にして非常になにですけれども、大阪の場合は横綱同士が二つある。こうなりますと、相撲にならないのじゃなく、相撲になるわけで、相撲になった場合に、生れるところの弊害というものはそこにあらわれるのと違うか。一本であれば、単数であれば一つの産地に対して一つの情報を出せばいい。また、一つの会社であれば一つでいいやつを、たくさん会社があると、同じ産地に対して数社がその引き合いとか電報とか電話というようなことをやると同時に、また同じ荷主さんに対して同じ複数の会社が同じようにサービスをして、自分の会社に荷をいただこうかというようなことがそこに行なわれておるというような面からしますと、これはどうかと思うわけでございます。それで、数の問題じゃなしに、その相手の問題について適限複数といいましても、非常に大きなものが二つできたというような市場におきましては、ちょっと、それは適限複数といえども弊害があるということ、こういうことを申し上げたい、かように思います。
  38. 野上元

    ○野上元君 それらの点についていろいろと突っ込んだ話を聞きたいんですが、時間がありませんから、あまり突っ込んだ御質問もできませんので、先に進めてまいりますが、複数の場合であっても適正な、いわゆる公正な競争が行なわれておれば、複数にする価値もあると思うんですが、しかし、現実にはプライス・メーカーによって、そこでさし値をきめられてしまって、そうしてほかの者は右にならえさしてしまうということが実際に行なわれておるとすれば、これはいたずらに五分五厘のマージンを引き受け会社が取っておるにすぎないので、そこではほとんど適正競争が行なわれておらないというような場合には、問題があるというような気がします。しかし、この点は私の気持ちなんで、将来研究してみたいと思っております。  そこで、価格形成の問題についても先ほど清久さんは触れられておりましたが、五つの場合を考慮されて御説明になったわけです。聞くところによりますと、大体卸売市場においてはせりというものが原則的に行なわなければならない。しかも、それは三声原則であるということが言われております。三声のときに初めて落ちるという原則が行なわれて、初めて公正な価格形成ができるんだというふうに言われておりますが、現実はそういう状態では全くない。聞いてみますと、ほとんどさし値というものでやられておる。これは明らかに管理価格ではないかというような仲買い人の方々の御意見もあると思う。これは東京の場合で、大阪の場合はどうか知りませんが、そういうことがございます。したがいまして、この五つの価格形成のパターンを示されたわけですが、この中で最も重要な価格形成に及ぼす影響を持つのは、第一番目の純委託価格だ、こういうようにおっしゃいました。これがきまればほかのほうは自然にきまってくるような状態にある、こういうことを言われておったんですが、この純委託価格をきめる場合に、大阪の場合あたりでせりをやっておられますか、それともさし値でやられておるわけですか、その点一つお聞きしておきたいと思います。
  39. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 純委託品はほとんどせりで格価形成をやっております。ただ、そのせりをやります場合に、純委託品といえども、そこにさし値というものがありますと、業務規程で定められまして、さし値は、最初にそれの意思表示しなければいかぬということになりまして、委託品で送りながら自分のさし値というものがあるという商品につきましては、初めからこの商品はさし値があるという表示をされるわけです。されぬ場合には、全部それは委託品としてその日の格価でせり落とされて売買されておるわけでございます。  それから、三声というような点でございまするけれども、これは一番最初にいわば一声せりというような時代もあったんでありまするが、大体多量の品物を迅速に——生鮮食料品のことですから、迅速にはかさなければいかぬというたてまえから、大体早いスピードでそのようなことが行なわれておりますけれども、先ほど言いました——まだ質問のない項目になりますけれども、卸売り人が産地に対して自分が、このくらいの値だったら送ってくれとか、これくらいの値だったら引き受けるというような、自分自身から引き受けたというような値段の立て方をした場合、引き受け方をした場合には、それはその格価に達しようという努力のもとに、二声が三声、三声が四声、五声になるということもままあり得るということで、私の答弁にいたしたいと思います。
  40. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この五つの形式が行なわれておるんですが、このいわゆる取引の量による比率はどういうふうになりますか。一から五までの間にどれが一番多いということがおわかりでしょうか。簡単でけっこうです。
  41. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) これは大体の勘でございますけれども、大体それは全部のうちで純委託品というものについては約三〇%ないし四〇%あるのと違うか、かように思います。それからさし値ということになりますと、これは加工品にわりあいに多いというウェートを占めております。それから買い付け品と、それからいまの卸のほうから自分のところからの引き受け価格というような点につきましては、これははっきりしたことはわかりませんけれども、これはやはり二、三〇%ぐらいのことになるのと違うか、かように思います。それから、冷凍魚ということになりますと、それ以外の残ったウェートを占める、こういうことになると思います。
  42. 野上元

    ○野上元君 東京では仲買い人に対する荷受け会社からの奨励金というのがたしか四厘ぐらい出ておるはずです。その実態を調べてみましたら、四厘もらえる人はほとんどいないんですね。その中の——仲買い業者東京にもたくさんおりますが、一五%か二〇%しか四厘の奨励金をもらっておらない、平均すれば一厘ぐらいだ、こういうお話を私は聞くんですが、大阪の場合はどうでございますか。
  43. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 大阪の場合は、これは大阪特有の一つのシステムがありまして、いわゆる市場の信用保持、信用の向上という意味合いにおきまして、生産地から送荷されました商品の代金は、迅速に確実に生産地へ仕切り金が渡る、こういうことにしなければいかぬという意味合いで、卸と私らの間におきまして、私らの手におきまして共同清算のシステムをとりまして、確実に組合員が連帯責任のもとに、だれが倒産をしようとも、支払い不能におちいろうとも、あとの人が連帯責任の任を負うというような意味合いで代払いを大阪の場合はやっておるわけでございます。こういう意味合いにおきまして、大阪の場合は三月三十一日の現在の人員におきまして五厘の奨励金というものを受け取っておるわけであります。で、これが四月一日からその率が変わりまして、大体総卸売り人の総取り扱い高の四厘以内ということに、こういうことになっております。そこで、大阪では四厘五毛ぐらいでその金額に該当するのと違うかというようなことで、この四月一日からその率によって実施するということになっておりまするが、大阪の場合は、いま申し上げましたように、仲買い人の手で代払い制度をしておりますんで、これは三月三十一日までは四十八時間目に払うております。この四月一日から七十二時間日になりましたけれども、そういうふうに私らの手において金融措置も講じて、そうしてからその代払いも行のうておる。そういう意味合いにおきまして、大阪の場合はこの四月一日から約四厘五毛ぐらいの奨励金を仲買い人が受け取る、こういうようなシステムになっております。  なお、つけ加えて、参考までに申し上げまするが、私らと買い出し人の間の取引ということになりますと、平均これは二十三、四日——四、五日ごろぐらいというところの延べ取引の日数になっております。
  44. 野上元

    ○野上元君 この奨励金を出す場合の条件は、東京の場合は、お聞きすると、翌々日に荷受け代金を荷受け会社に払い込んだ者にのみ適用する、こういうふうになっておるようですが、実際には仲買い業者方々の資金不足のために翌々日に払い込むということはなかなかむずかしい。それをあまり延ばしておると仲買いの免許を取り上げられてしまうというような制度になっておるそうでございますが、大阪でもやはり翌々日に払い込んだ者に対してのみ奨励金が出る、こういうことになっておるのですか。
  45. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) お話しのとおりでございます。その期間に払わなければ奨励金はいただけない、かようなことであります。東京のことは、私は大阪でありますから、詳しい点につきましては御説明申し上げることを控えるほうがいいのと違うかと思うのでございますが、大体先生の申されたとおりでございまして、私が申し上げましたように、仲買い人対買い出し人の取引の日数が、先ほど申し上げましたような日数であります関係上、なかなかそういうきめられた日に払うとするなれば相当資金的にえらいというのが現状であると思います。
  46. 野上元

    ○野上元君 仲買い人の人たちは、われわれは手数料商人ではない、われわれは差益商人なのだ、こういうことをよく言われるわけですが、したがって、荷受け会社が現在とっておる五分五厘のマージンというのはこれはきまったものですね。仲買い人の場合はそうじゃないのだ。ある場合には七分取るかもしれないし、ある場合は二分でがまんする場合もある。そのときの市場の状態、あるいは需要と供給の関係のバランスを見ながらやっていくのだ、こういうふうに言っておられるようですが、平均して、大阪あたりの場合で仲買い人のいわゆる差益といいますか、手数料といいますか、何%ぐらいになるのですか。
  47. 清久辰治

    参考人(清久辰治君) 平均ということになりますと、大体五分ないし六分ということが私平均かと思います。それから説明するまでもなくおわかりと存じますが、一般大衆魚、ああいう商品を売る場合には、箱そのままで大量に買い出し人の方々でも相当たくさんおさばきになる、こういうような意味合いから、一箱何ぼという取引になるわけでございます。そういう大衆魚についての箱何ぼというものは非常に率が低く、いま申されたように、二分ないし三分というようなこと、またそれ以外に、高級魚で料理屋系統とかそういうようなところへものを売るには、少量ずつ何種類も取りそろえて、そして向こうへ届けなきゃいかぬ、また、その支払いも、サイトということについてもまたいろいろ考えなきゃいかぬということになりますと、実庭用ということと比べて少しマージンの率が高いというような面もあるわけでございます。
  48. 野上元

    ○野上元君 伊藤さん、ちょっとお聞きしたいと思いますが、仲買い人の皆さん方からいろいろと意見を聞いてみますと、現在の荷受け会社というのは非常に大資本を擁して非常に巨大な会社になっておる、したがって、仲買い人はどうしてもその荷受け会社の言うとおりにならざるを得ないのだ、こういう傾向が非常に強い、しかも東京都の場合なんかでは、ほとんど農林省とかあるいは東京都庁のお役人が荷受け会社のほうに天下ってくる、したがって、非常な金力と権力と両方握ってしまっておる、だから仲買いが何ぼ束になってかかっていっても結局は負けてしまう、そこに今日の問題があるのだ、こういうことを言われる人があるわけですがね。それについて伊藤さんはどういうふうにお考えになり、あるいはまた御意見があれば一応聞かしておいてもらいたいと思うのです。
  49. 伊藤春次

    参考人(伊藤春次君) 清久さんから先ほどお話しのありましたように、中央卸売市場が開設された当時は自由市場で、東京で申し上げますと、日本橋、四日市に千数百名の問屋、仲買い人がおったわけです。それで、個々まちまちな取引をやっておるので、これを無補償で中央市場に収容する、こういうことで収容を慫慂された。したがって、中央卸売市場法に明示されておる取引その他の規制を受けて、そうして過去の業者が無補償でそれに収容されて同じような形態の仕事を続けていくことはこれは不可能なわけです。したがって、そこで各個の営業権というものがみんなまちまちなんです。それを何らかの形で評価してそうして補償するにあらざれば、収容が実際問題として困難だ。それが単一会社による自己賠償の形式で老舗料の査定というものをやったんです。それが営業権となって、そうして単一卸売会社によって業務が営まれておったわけです。ところが、戦争でもって統制令による解体、戦後のあるいはアメちゃんの指導による自由登録制というものによって、だれでも登録すれば卸売会社の仕事ができる、こういうことになったので、第三国人等の申請もあって、二十数社の卸売会社ができたわけです。それが自由競争の結果、脱落に脱落を重ねて、しかも非常に産地に対する信用不安を起こしてきた。こういうことで整備の方針を立てて、大阪等においてもそうでありますが、ことに東京ではこれまた私どもが主になったわけでありますが、自主整備といって、ほんとうにやっていけない会社に対しては、あとの会社が売り上げ高に対する比率で拠出したものを土台として、そうして荷主なりあるいは従業員に迷惑をかけないような方法で整備を行なって、数次の整備を行なった結果現在に至っている。卸売り人の数の単複の問題が先ほどありましたが、すでに農林省の方針としては、単一卸売り人に限る、こういうふうな方針で、しかも、取り扱い高の東京大阪等に比しては非常に少ない札幌あるいは仙台その他の市場に対して、そういう方針で打ち出されているにもかかわらず、実質上は生産者の反対等がおもな原因となって、ほとんど二つ以上の卸売会社で収用されておるというような現状なんです。したがって、この問題に対しては、確かに自動車メーカーのように、はたしてどういうような数が妥当であろうか、経営者の質にもよりますが、そういうことで、これは人間ですから、やっぱりいまの日本の自由主義経済を営んでおるところでは、ことになまもの等を取り扱う場合には、やっぱり人の信頼にこたえるだけの信用取引ということが土台になっておりますから、簡単に机上で考えたような理屈どおりにはまいらない。ことに、私そう言っておるのでありますが、現在すでに中央卸売市場法のもとに卸売り人として農林大臣から認可されてやっておる会社を、どういう根拠によって一体統合させることができるのか、これは不可能なんです。したがって、私はこれを進めていくのに、必ずしも現在の数なり現在のあり方がこれで万全だとは考えておりません。これは巨大な資本と申しますけれども、むしろ取り扱いに比しては非常に貧弱資本です。これは東京大阪あるいは六大都市、同じ六大都市でも市場の卸売り人の内容等に至りますというと、必ずしも恵まれた環境にないものもあります。これはやっぱり経営方針、あるいはヒンターランドの大小等によっておのずから違ってくるわけです。しかしながら、そういう過程を経て現在に至っておるのが実情であります。  農林省の天下り云々もありますが、その事例はありません。ただいま四番目くらいの売り上げをもっている会社の中に、過去に農林省におつとめになった方が監査役をしておられる会社もありますけれども、これは、おそらく農林省の推挽ではありますまい。東京都の天下りもこれは一人もおりません。これは元東京都におられた方は、これは全然脱落して、そうしてそれこそ浪人をされておった時代にわれわれと一緒に入って経営に当たられた、全然違ったバックのもとにお入りになった方もありますけれども、現在の状態では、農林省をかさに着、東京都をかさに着てやるような、そんな甘っちょろい経営ではありません。したがって、これはやはりいろいろな面から考えて、そうしてやはり過当競争という面も確かにあります。だから、それを補正していくにはどういうふうにしてやっていくことがいいか、また、卸売り人等の数に対しては、私は、少なくともやはり経営規模から割り出して、正しい、そんなにあくせくしなくてもいいような経営規模というものを基準にして、そして自主的な統合整理を勧奨するようなことで、われわれの団体としてもだんだん農林省等と御相談申し上げて進めていきたい、かように考えております。あるいは御質問に合うかどうかは別としまして……。
  50. 野上元

    ○野上元君 時間が長くなりましたので、最後に御質問申し上げたいと思いますが、先ほどの価格形成の問題でいろいろと御意見がございました。その中でちょっと気づいた点は、水産物価格形成の場合には、生産者価格というものは全然考慮されておらないんだ、それは消費と需要とのバランスの上においてのみ価格形成は成り立つんだというような、こういうふうな御意見がございましたし、それから、大漁による大量が必ずしも大量消費にならない、むしろ魚のえさになってしまっておる、あるいはウサギのえさになってしまっておるというような問題については、これは明らかに消費者の嗜好あるいは消費計画と申しますか、そういうものに問題があるんだ、こういうふうに言われておるわけでございます。そこでわれわれとしては一体どこに欠陥があるのか、非常にこの問題については、水産物ばかりじゃありません、肉も青果の問題も全部お聞きしたわけですが、どこに隘路があるのか非常にむずかしい問題なんでございますが、いまそういうふうにお話しになっておったように、米の場合には明らかに生産者価格というものがはっきりと打ち立てられておる。ところが、水産物の場合には生産者価格というものは全然考慮されておらない。実際には需給のバランスによって、その日の市場の動きによって価格がきまってしまうんだ、こういう御意見でございますが、そういうきまり方をしても生産者の方には全然問題がないのかということを実は生産者の方に聞きたいわけです。そういう価格形成が行なわれながらも生産者には何ら不利がないのか、もっと生産者立場から見て価格形成に意を用いてもらう必要があるんではないかとわれわれは思うんですが、生産者立場はどうか。  それから、比嘉さんにお伺いしたいのは、消費者に責任があるんじゃないか、今日のいわゆる一般大衆の消費性向といいますか、あるいは消費計画といいますか、そういうものに問題があるんだ、大量にとれたときには、それを創意くふうして、いろいろな料理で毎日食ってもらえば非常に安いものが食えるのに、せっかく大量にあるのを一日でやめてしまって、翌日は別のものを求めていく。これは比嘉さんに言わせれば、人間の本能だからやむを得ないと言いますけれども、その本能に沿うような一つの創意くふうがそこに必要なんじゃないだろうか、こういうほかの方々の御意見なんですが、それをひとつ生産者の方と、それから比嘉さんにそれぞれのお立場から御意見を伺いたいわけであります。
  51. 坂本庄三郎

    参考人坂本庄三郎君) それでは、生産者から申し上げますと、いま水産庁から次長さんがお見えになっているそうですが、ここからちょっと見えませんが、非常に心配していただいておりますが、ほんとうに水産には、漁業にはこの最低価格というものが定められていない。たまたまあるのは、大衆魚のサンマ、サバアジイワシ、イカの価格安短基金制度というので調整組合ができておりますけれども、これはわずか水産庁で三千万か幾らか、われわれ業者が何千万か継ぎ足しまして。私もその役員をやっておりますが、その金利をわずか出すだけで、それと他港への回航費と停船料だけであります。大漁の場合は休漁といって休むわけです。それでよそのすいている港に回るとか、あるいは休む。それでこの価格たるや、キロ何円——−私どうも頭が悪いのでよくわかりませんが、キロ二十何円か幾らかで、ばかに安い相場で、魚かすになるような、飼料になるような相場で生産に合わないというので、漁獲のストップですね、になるわけであります。どうも非常にわれわれの立場が苦しいというので、農林中金とかあるいは農林公庫、あるいは各銀行等に借金が相当ある。また、一番わかりやすいのは船員保険です。これも申すと悪いですが、厚生大臣が、御承知のわれわれの仲間の先生ですが、あの岩手県なども非常に悪くて、千葉県なんかも特に悪いんですが、船員の保険料も満足に払えない始末ですね。それで、たまたま厚生省では、銚子に厚生省の船員寮をつくってやるというわけなんですが、その保険料の支払いが悪いので、まだ延び延びになっておりまして、三年になりますが、そんなわけで、銚子ばかりじゃなく、支払いのいいところは何県もないです。支払いの悪い県が非常に多い。というのは、大衆魚をとっているところはだいぶ悪いところがありますが、なお、カツオ、マグロなんかの操業は特に遠洋漁業ですからよくない。そんなわけで、すべての漁業がよくない。底びきとかあるいは小さな船を持った親船はけっこうやっておりますけれども、その他の漁業は生産に合わないのが実情ではないかと思っております。それでありますから、これはやはり農業同様に、やはりある程度大衆魚なり、マグロなり、一定の価格を、最低値というものをきめていただけばけっこうだと考えます。その最低値も、あまり安い、合わないようなものでは困りますが、引き合う程度でけっこうなんです。金利の払えるようなものでけっこうなんですが、そういうぐあいに御指導願えればお願いしたいと思います。非常に苦しくて、経営する人も年々、参考資料にございますとおり、倒産するものが毎年あります。そういうようなわけで、一言申し上げた次第でありますが、よろしくお願いいたします。
  52. 比嘉正子

    参考人比嘉正子君) 仲買い人や、卸屋の方がおっしゃれないことを消費者立場からお話しますと、中央市場というものは、都民の食生活に新鮮な安いものを回わすという方針でおつくりになったと思うけれども、いまはそういうふうな機能を果していない。なぜ果していないかというと、われわれから見ると、卸屋というのが、いまは生産者卸屋と、それから入札する人と同じような方がやっているように報道されているんです。ですから、人為的に値段をつくることができると言われているところに問題があると思います。やはり、いま私たちの聞くところによると、卸のほうが五%で、そのうちから二・五%——一・二五は生産者、一・二五は小売り屋さんに奨励金として出しているということも聞いているわけなんです。それから、仲買い人の方がまあ一五%取っているということも聞いておりますが、やはり、卸屋の方は、売れても売れぬでも、入荷しただけの手数料というものが的確に入ってくる。だから、伝票の操作一枚でもうかっているわけなんです、仲買い人は。だから、卸屋の方がさし値というものをつくって、ほんとうは一割入荷が多かったら一割下がるのがほんとうなんです。一割入荷が少なかったら一割上がるというのが、これは自由経済の原則でございますけれども、一割も二割も入荷が多いにかかわらず、消費価格というものがびーんとはね上がっている。これは先ほどから、さし値というものがあるので、これは人為的につくれる。これはやはり卸屋とそれから生産者一緒になって、同じ方だというような、こういうことも言えるわけなんです。それで、やはり近代的にものを考えるときに、そういう電話一本や伝票一枚でもうけるような問屋というものは要らないじゃないかと思うのですよね。直接生産者から仲買い人が取引したらどうだろうか。そうしたら、ここで一つなくなる。生産地のほうでも卸屋も仲買い人もいる。それから、消費地のほうでも、卸と仲買い人があって、非常にパイプが長いわけなんです。そうして、仲買いの方がほんとうに長靴をはいて一生懸命奮闘しているわけなんです。こういう方がもし卸量の役割りを果たした場合に、生産地に対する現金支払いが非常にむずかしくなるので、生産者のほうでは心配する。それから、先ほど消費者は料理の面についていわゆる安い大衆魚を食べたらどうかというようなお話でございましたけれども、消費者は、実は物が高いこの物価戦争の中で涙ぐましい生活をしているのです。政府に対しては、われわれ貧乏人はイワシを食べろというふうにイメージを持っているのですけれども、実際生活の上においては非常につつましい生活をして、大根が八十円になればせん切りを二十円買って二日も三日も食べるとか、あるいはおさしみのつまをみそ汁にするとか、肉のかわりにマトンを食べるとか、いろいろくふうしているわけなんです。ただ、生産地においてお魚のアジが一匹十円しているものを、消費地になると五十円も六十円もするということは何事だというのですね。だから、生産者消費者に非常にしわ寄せが寄っているわけなんです。生産者もきっと十円のアジを十五円ぐらいで消費者に食べてもらったらやはり満足しなさるだろうと思うのです。われわれは安いのに何で消費者は高く買って食べんならぬかということで、生産者にも納得がいかない。消費者にも納得がいかない。そういうふうなところに不満があるわけなんです。ただ、政府の方が発表なさるときに、貧乏人はイワシ食べればいいじゃないかと言うから、そういうような発表のしかたをなさると抵抗を感ずるのであって、別に高いときにタイなんかというような食べ方していないわけなんです。ただ、やはり政府の姿勢というものが、ただアドバルーンだけじゃなくして、いいスタイルだけを見せるのじゃなくして、ほんとうの政策の上で実行してくださるだろうかという、その心配があるわけなんです。ほんとうにそれをしてください。それから、さっき小花り屋の方が非常に頭のついたのを子供は喜んで取ったと、あるいは冷凍魚を買わぬので——前は普及されたのだけれども、買い手がないからケースを返したとか、それから大手メーカーのいわゆる宣伝に巻き込まれるのじゃないか、大手メーカーをもうけさすようなものじゃないかといろいろ御心配があったのですけれども、やはり、このごろの都市生活になると、ごみの処理だとか、骨、頭の処理というのは、ネコでもいればネコも食べますけれども、ネコも飼えないような都市生活に移ってきますと、食生活が簡素化して、そうして要らないものはやはりとったところで処理して、こやしにするとかなににすれば、もっと合理的な生活できるのじゃないかと思うので、いま子供は頭がついたのをほしいと言ったって、それを売るということは、やはり捨てるようなものはあまり売らぬほうがいいと思うし、それから、非常にいまは急速に冷凍魚の普及が進んでおりますので、やはり普及する時期というものがあって、あまり早くしてもだめだし、その時期とムードというものができたとき急速に進むので、いまはそのチャンスではないと思う。昔はそうであっても、現在の冷凍魚の普及というものは急速に進んでいるとお見受けしているのです。  それから、大生産者に対する宣伝の片棒をかつぐのではないかという御心配のようですけれども、私たちは、そういうことはいつも心配して、大資本に押されて中小企業が非常に苦労しているのを見てはいられないのですが、政府の行き方、ここにも生産者団体の方いらっしゃいますので、そういう方をどんどん助けてあげて、そうしてコールドチェーンでも実施なさると競争する自由競争の人々もたくさんつくるということ、それで中央市場に対するわれわれ要望もあるのですけれども、なかなかむずかしくて、皆さん先生方といえども、すべてが改革をこうしなさいと言っても、むずかしいと思いますので、そういう方はそういう方であいといて、やはり新しい方式のものをどんどんおつくりになって、生産者団体が泣かないように、そういう豊漁貧乏させぬように、コールドチェーン・システムというものをおつくりになったらどうかと思うのです。
  53. 木村美智男

    木村美智男君 時間がありませんから簡単にお伺いしたいと思うのですが、坂本参考人に伺いますが、あなたの意見の第一番の冷凍施設の増設という問題ですね、先ほどから言われているように、また先ほどのお答えを聞いておりますと、消費者立場からすると、非常にもったいない話になるわけで、せっかくの大漁が生産者の場合には貧乏になっておるという、この問題の一つのやはり解決のかぎは、あなたおっしゃられたように、冷凍施設の増設という問題はたいへん大事なことです。いま比嘉参考人から言われた、今日のシステムを根本的に変えたらどうかという問題は、非常に大きな問題ですから、私は早計にこれはちょっと断定を下し得ないので、少し勉強さしてもらわなければいかぬと思いますが、この冷凍施設の増設の問題で、ここ四、五年の間に銚子の場合には大体どういうふうな改善なり拡充がなされているか、あるいは全国的に見て、この生産地のそういう冷凍施設の関係が具体的にどの程度まあ改善なり拡充をされているかという問題、もしおわかりであったらお答えをいただきたい。
  54. 坂本庄三郎

    参考人坂本庄三郎君) 先ほど伊藤さんのほうから資源問題で、私が申すべきことを中央市場のほうから申されまして、生産者として何とも申しわけないですが、これはどうも感謝します。これは私はサンマの場合無尽蔵だと、二、三年前で言うと、とんでもないことを言うと、とってふえるものは何もないじゃないか、とれば必ず減る。終戦直後サンマは、いまの漁法で、千葉県が発祥地です。あれは、ちょっと話が長くなりますが、その当時は二キロのあかりでサンマを満船できた、ちょいと出れば。いまは千島沖に行かぬとサンマはとれない。それからだんだん南下してきた。それですでに水産庁のなにでも三十キロですが、すでに船が大型化して、船内灯だけでも三十キロ使っている、電気のあかりが。そういう大型船でとるのです。終戦直後は二キロの電気でサンマを満船できた、銚子沖で、房州です。そういうわけで、資源というものは非常に減っております。しかし、大漁になると、輸送が、貨車で運んでもトラックで運んでも運び切れないのです。運び切れないから、産地へ冷蔵庫をこしらえていただきたい。むろん消費地にも冷蔵庫がほしい。これはさっき小売り屋さんの方からも申しましたが、冷蔵庫があいていればそこへ入るわけですから、それだから、産地へ盛んに冷蔵庫をこしらえていただきたい。というのは、民間がこしらえるとコストが非常に高くなります。それを再加工して何にするとも——目刺しにしようと、あるいはサンマの開きをこしらえようと、アジの開きをこしらえても、あるいはサバの開きをこしらえても、なまでそのまま出しても、コストが高くなる。だから、これは政府の力で冷蔵庫をこしらえていただきたいというのが念願でございます。それで、これは小さい港では、構造改善で漁業組合がこしらえる場合には、半分国の補助がありますが、大きい漁業組合は構造改善というのはありませんからそれができないということで、全部借り入れでやらなきゃならない。そうするととても採算が合わないというわけなんです。それだから、国の力で産地及び消費地にも冷蔵庫をこしらえていただきたいというのが念願であります。  それから、ここにコロッケとかハンバーグとか書いてありますが、これは産地で食べると非常においしいです。これは先生方に、いつかひまがありましたら、ぜひ銚子へおいでになっていただいて、手料理で私がこしらえますから、ぜひひとつ試食をしていただきたいと思います。これは実は河野農林大臣が現職の時代に、二回ほど見えまして試食したことがあるです。こんなうまいものがあるのに、やれタイのさしみだのクルマエビのてんぷらだの、こんなむだなものこしらえてとおこられたこともあるんですが、まあ、各大臣方だとかえらい方が来ると、試食していただいております。こういうのはまあ都会の人は食べたことはないでしょうが、あるいは産地によってもこしらえませんが、これは非常においしいんです。ネギとかショウガとか入れるとにおいが消えるし、そんなわけで、再製品として再加工した場合に、そのコストが高くなるから冷蔵庫をこしらえていただきたい、国の力でこしらえていただきたい。輸送が間に合わないという理由は、そこです。余談に走りまして、申しわけありませんが。
  55. 木村美智男

    木村美智男君 ただいまのお話によりますと、やはり相当この冷蔵庫という問題が、単に生産地の漁民が大漁貧乏になっておるだけでなしに、このこと自体が生鮮魚介類の価格形成に大きなウエートを持っておるように思うんです。で、生産者のほうとしては、痛切にこれを、コストが高くならぬように国がやってくれという御意見であるわけですが、そこで、きょうは参考人ではないのですが、経済企画庁の中西局長が出ておられるので、少し伺いたいのです。政府は、ことしは特に不況克服と物価対策が重要施策になっているわけですが、何もいまに始まったわけじゃなしに、すでに三十五年九月の消費者物価対策についての閣議了解に始まって、大体私の手元にある資料でも、毎年物価安定総合対策であるとか、それから物価安定のための総合施策であるとかいうふうに、昨年の一月二十二日にもそうでした。ことしになってからも一度物価懇談会を中心に態度を出しています。その中では、必ずこの魚の関係についてやはり生産地及び大消費地における貯蔵及び加工設備を拡充しようということが、これは明確に文章で入っている。したがって、いま生産地で言われている状況を聞いてみますと、どうも民間で自発的にやらして、でき得れば多少の補助を与える。ところが、その補助をもらっても、それが借金で背負い込んでしまうので、なかなかやれぬというところに実情があるように私は受け取れるわけです。そこで、政府は一体こういう貯蔵設備の問題、こういうことについて具体的にどういう計画を持って——もう始まってから四、五年たつのですから、どういう計画を持って今日まで施策をやってきたかということと、それから、本年度はこういう関係について予算を一体どの程度取って、どれくらいの設備拡充あるいは冷凍施設の整備をやろうとしているか、こういうことについて実は具体的にお伺いをしたいわけです。もし質問が突然であって具体的な数字が出せないというなら、あとでひとつ委員長のほうへ資料として御提示をいただきたい。これは、どうしてもそういう問題を具体的に掘り下げなければ、抽象論として何ぼやっておっても、物価安定対策にならぬので、そういう面で大事な資料でありますから、なければ、あるいはお答えがちょっときょうはむずかしければ、そういう資料をひとつつくっていただきたいし、一応答えられる範囲内でいまの問題についてお答えいただきたい。
  56. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 水産庁次長も見えていますから、資料はあとで提出させていただきたいと思います。  御指摘の水揚げ港あるいは消費地それぞれにおいて冷蔵、冷凍施設というものが十分整備されるということが必要であるということについては、先生の御意見のとおりに思っています。それを整備する際のいろんな計画実行についての産地の、何といいますか、用意あるいは消費地における用意、そういうものが十分伴いませんと、むずかしい点もあろうかと思いますが、特に力を入れて将来やりたいと思っておることが一つであります。もし四十一年度の予算で組んでおるより以上に具体的な計画が日程にのぼってくるというふうなことがあれば、場合によっては予備費を要求してもいいんじゃないかというふうな事務的な感触ではおるのですが、いろいろ研究しておりますが、一まだそこまでは実は行っていない。予算が通ったので、予算の実行をやっていただいて、そのうちにもっと先のこともあわせて考えるというふうなことで各省の協力も得たいと実は思っています。建設省のほうでやっている流通団地——この流通団地には当然冷蔵庫も入ると思いますが、流通団地をつくる場合に法を適用したいというので、法案もいま論議されています。そういうものとあわせて考えてまいりたいと思いますが、何か追加することがあれば、水産庁のほうからお願いしたいと思います。
  57. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいまお話しございましたが、御説のように、産地冷蔵庫及び消費地冷蔵庫及びこれを結びます輸送機関、冷蔵自動車、こういうふうなもの、これが非常に重要なことはお話しのとおりであると思います。政府といたしまして、いまも生産者代表の方からお話しございましたように、一つは、漁業の構造改善事業というのを実施しております。その中で小規模のものも多数やっています。そのほか千トン以上の大規模の産地冷蔵庫を漁業協同組合または漁業協同組合の連合会、これが設置いたしますものにつきまして三十六年以来ずっと補助をいたしております。現在までに建設できましたものが十数カ所ございまして、四十一年度にはさらに三カ所程度これを追加建設いたしたいということで予算を組んだわけでございます。消費地の冷蔵庫につきましては、三十八年東京及び大阪おのおの一万トン及び五千トンのかなり大規模な冷蔵庫を補助いたしまして建設をしていただいておるわけでございまして、これをつなげた冷蔵自動車といたしましては、やはり三十六年から毎年補助をいたしております。現在までほぼ三十台程度のものがすでに補助が行なわれておるわけでございます。四十一年度におきましては、さらに二十台程度これを追加補助いたしたいということを考えておるわけでございます。そのほか、現地におきまする先ほどの魚体処理と申しますか、いろいろな魚の処理の施設その他につきましてもおのおの補助の体系を組みつつ進めておるわけであります。さらに、ただいまこのように冷蔵庫の設置等を推進してまいっておりますが、これを最も有効に活用するということが必要ではないかということで、先ほど来参考人の御意見にも、季節的価格変動、これの背景をくずすということがきわめて重要であるというようなお話があったわけでございまして、私どもといたしまして、四十一年度におきましては、東京及び大阪におきまして、たとえば事例を申しますと、入荷量が減ってまいって品がすれが起こりそして価格が上がってまいりますのが、東京市場でございますと、七月、八月及び十二月、それと小さな山でもございますが四月というのがございます。このときを、何とかこの山をくずすということのために、産地から冷凍いたしました多獲性品、これを東京及び大阪に搬入いたしまして、これをこの消費地冷蔵庫に保管いたしまして、この品がすれ時期に放出して何とかこの山をくずしてまいる、こういうことをやってまいりたいということで、四十一年度予算にその裏づけの予算を組んでおるわけでございます。新年度に入りましたので、これを至急実施に移したいということで、ただいま取り進めておるわけでございます。そのように、従来から努力を重ねてまいりましたが、さらにいろいろ御意見を伺い、さらに徹底した措置を今後一そう進めてまいる必要があり、また、そうしていかなければならぬというふうに思っております。
  58. 北村暢

    北村暢君 私はちょっと意見も入るかもしれませんけれども、まず産地のほうから申し上げますと、石田次長から説明ありましたけれども、産地の要望している大衆魚の冷蔵庫——豊漁のときの冷蔵庫というのは、産地の冷蔵庫に行ってみればわかるのですが、これは冷蔵庫の経営そのものはやはり品物の出入りが多くて年間ふさがっていないと採算とれないわけですよね。ところが、産地の冷蔵庫というのは、毎日豊漁であるわけじゃないので、使わない場合が多いのです。これは、それで冷蔵庫そのものの採算がとれない。これは、その点は水産庁、何も見ていない。いまおっしゃるように、冷蔵庫建設のための補助金は出すけれども、その後の、建設したあとの運営というものについてはめんどうを見ていない。これは、冷蔵庫に入れておけば採算がとれないとなれば、採算をとれるようにするには冷凍魚を高く売らなければならないという結果になる。これはやはり、いま坂本さんがおっしゃっているように、政府でやってくれというのは、まあそういう意味が私はあるんだろうと思うんですよ。だから、これをひとつやらないというと、せっかくの価格調整機能というものが完全に果たせない。これについての意見一つ聞きたいということ。  それから次に、先ほど坂本さんは、中小荷主のものはさし値はないと思う、いわゆる資本漁業のものがさし値が多い。——多いとは言わなかったんですね、中小のものはないと、こう言われたんです。したがって、さし値の多いのは資本漁業のものが私多いだろうと思うんですね。しかも、先ほど野上君からこまかく清久さんにお尋ねがありましたから私は簡単に聞きますけれども、この原則はやはり私は、純委託で価格が形成される、これが中央卸売市場法の精神なんです。この精神のものが三〇%か四〇%で、中央卸売市場法の精神でない価格のきまってくるようなものは中央市場へ入れる必要はない、こんなものは。それは精神がはき違えられておる。それで、大漁のときに安くなった場合には生産者は困る。これは価格政策として政府が見なければならない、その不足払いなりなんなりね、損をするんですから。生産者だって損をしてはやっていけないわけです。それは価格政策として見るべきであって、あくまでも中央卸売市場法という法律の精神は、これはせり——入札による自由競争なんです。したがって、価格の形成はやはり私は純委託というものが本筋である、こうあるべきだと思う。したがって、今日の中央卸売市場法のもとにおける中央市場の運営というものは、これは曲げられてきておる。これは監督官庁である農林省の重大な責任であると私はそう思う。農林省の監督がだらしないからこういうことになる。したがって、これは農林省にひとつ今後の方針について私は承りたい。  それからもう一つは、さし値もいけないんですが、荷受けというものは中央卸売市場法の精神からいって、伊藤さんには非常に聞き苦しくて申しわけないけれども、これは価格操作はやってはいけない、いま言ったように。ところが、荷受けが往々にして価格操作をやっておる。この事実は農林省も知っているはずだ。知っているはずの農林省が、荷受けが価格操作をやっておるのに対して黙っているという手はない。監督すべきだ。これはけしからぬことなんでありまして、私はこの点は、価格操作をやっている一つの大きな例として転送の問題がございます。転送は農林省がこれを認めたような形でやられておる。これはまことに遺憾でありまして、転送ということは原則としてやるべきじゃない。農林省は、一体転送というものについてどういう考え方で転送というものを認めようとしているのか。中央卸売市場法の中に転送ということばはないし、またこれはやってはいけないことであります。転送をやれば自由の価格というものは出てこない。当然その市場に上場されるべきものがほかへ持っていかれて、品物が不足になれば、これは価格が上がるにきまっておる。こんなことを農林省が監督官庁として簡単に認めるなんてばかな話はない。価格の安くなるものをわざわざつり上げるためにほかの市場へ持っていくということはあり得ない。やってはいけないんです。やってはいけないことをやっておるということ、これがいかぬ。農林省のひとつ意見を聞きたい。これは転送ばかりじゃない。先取りの問題もある。先取りについては、札幌の中央卸売市場では、三、四日前ですか、これはやめたということを言っております。これも価格操作の一つの大きな要素になる。それから、とめ車の問題があります。貨車で入ってきたものをホームにおろさないで貨車に入れたまま置いておく。これは理屈はあるでしょう。狭くておろせないとかなんとか理屈はあるでありましょうけれども、これがおりるとおりないとで、これはまた荷物が揚がらないのでありますから、価格に影響してくるんです。したがって、こういう価格操作をやるということをやっている。確かに荷受けはそういう価格操作をやっている。こういう問題について私は厳正にやはり荷受けは反省すべきである、このように思います。この点については、私は農林省考え方を、まず転送問題についてひとつお伺いしたい。まあ、貨車のとめ車の問題その他の問題はあれでありますが、転送の問題はひとつ意見を聞きたいと思う。しかも、転送というものは、これはかってに転送はできないわけですね。その管理がもうでたらめきわまりないのだ。これは東京都が開設者として監督することになっているけれども、転送は、係官が判を置きっぱなしでかってに判を押して証明書を持っていくような形になっている。これはこの前視察に行ったときに、東京都会議員が行ってその事実を押さえてきた。そういう問題があります。したがって、開設者の監督もだらしがないし、それを認めようとする農林省のあり方も私は断じてこれは許されない問題だ、このように思います。以上の点についてひとつ明快に出していただきたい。  それから、根本の問題としては、だれも触れないのですが、これはおかしいのですが、荷受けも仲買いも小売りも触れないのですが、実際に市場へ行って見て、三、四日前も私徹夜で見ました。全く徹夜で、夜の七時から朝の小売りが帰るまで、昼一ぱいまで、全然休まず、徹夜で実態を見ました。あれで、あの夜中で労働をやっている。働いているのです。貨車が来、トラックが来、荷をおろす。そうして、あの深夜の勤務をやって働いているのですね。仲買いにしても、仲買いの方の意見では、従来は荷受けが仲買いまで配達をしてくれた。ところが、最近は荷受けは配達してくれないので、仲買いは店まで持って来なければいけない。そうして茶屋まで運ばなければいけない。こういうことで仲買いの搬送の労務というものもふえている。こういう従業員の——小売りにしても店舗の従業員の賃金というものは非常に上がっているのですね。これは一人もだれも言わないのですけれども、皆さんは待遇を悪くして、低賃金で使っているからそれを言う必要はないのかもしれないのですけれども、そうでもないと思うのですね。最近非常にやはり——黙って低賃金で働いているばかはいまどきいない。これは非常な賃金です。それでもなおかつ安いのです、私がずっと調べたところによると。荷受けの関係者の従業員も、仲買いの関係の従業員も、ほかの一般と比較して非常にまだ安いです。安くてもよく働くものだと感心するくらいであります。この点はだれも触れていない。それであればもうかっているのだろうと、こういうふうに判断されるのはあたりまえなんです。そうじゃないでしょう。いま皆さんだってたいへんなんです。それから、よく言われましたが、厚生施設なんというものも全くないですね。築地あたりでも、従業員は夜夜中ああいうふうに勤務しているけれども、深夜に通勤する。国電やバスの安いものを利用して通勤ができないという状況のようですね。付近に宿舎のある人もあるし、ない人もある。遠くから通っておる者もある。これはタクシーで通わざるを得ない。こういう状況です。こういう厚生施設なりなんなりというものは何もやっていない。農林省東京都を監督しているかどうか知りませんけれども、全くひどいものです、これは。したがって、この魚関係に関係する従業員の労働条件なんというものは全く悪い。したがって、いま若い人でこういう人をさがそうといってもなかなか来てくれないという状況でしょう。小売りさんにしても、店であの水だらけになってああやってやるのはきれいな商売じゃないですから、ぬれてやるというのは。なかなかいまの若い人で、昔のようにでっち奉公で魚屋へ喜んで行くというのはあまりいないですね。そういう状態です。これがやはり、そうかといって、とんでもない機械化して合理化ができるかというと、できない。人件費はかさむ。これじゃ安い魚を食おうというのは無理です。だんだん高くなっちゃう、どうしたって。そういう状態です。いまこれを何とかしなければ、私はとても安い魚を食べようといったって無理だと思う。生産者生産者で、大量にとれれば、容器代と運賃だけで、あとかえって損するという状況。漁民だって決していい生活していない。そういう状態ですね。したがって、合理化しようとしてもなかなか合理化できない性格を持っているというものなんです。ですから私は、そういう点でやはりそれぞれの悩みというものはおそらくあるのじゃないかと思うのですけれどもね。そういう点について率直な意見を聞きたいと思います。  それから最後に、コールドチェーンの問題について、比嘉さんはなかなかコールドチェーンの信奉者のようでございますけれども、このコールドチェーンというものの、理解のしかたが、まだコールドチェーンだの何だのといったって、一般消費者は何のことだかわからないです、大体。アメリカでコールドチェーンが普及しているわけですけれども、アメリカ人の食生活の内容と、日本人の食生活の内容と違うし、家庭の所得水準も違いますし、冷蔵庫なり自家用車の普及もこれは問題になりませんし、そういう点からいって、いわゆる冷凍食品と冷凍魚という問題について中根さんが説明されましたけれども、産地のどこへ行っても、伊藤さんな輸送のための規格化ということを盛んに言われる。凍ったま家庭によこせということになると、イカのがんと固まったやつをそのままあげるよりしようがなくなる。それで消費者はいいのかというわけです。そんなものを、イカの一箱何キロ——十キロも七キロもするものを家庭に持っていくなんということは、そういうことはあり得ないわけですね。だから、大きな魚は、たとえばマグロの冷凍してあるやつを一匹、がんと凍っているやつを一匹持って行けと言ったって、これは商売にもならないし、魚屋だって大体こんなもの……。したがって、これはやはりコールドチェーンというものについての認識がまだなくて、政府の言うことは何でも守っていればいいという、非常に順法精神があっていいようですけれども、これはそう簡単にいかない問題なんです。先ほど言われたように、冷凍魚で持って来たものを一回溶かして家庭に向くように冷凍食品につくり変えないといけない問題なんです。その場合に、その衛生の点からいっても、手間からいっても、決して冷凍品というものは安くつかないということなんです。安くつかない。冷凍品というものは安いものだという観念は、冷凍品が普及してくれば決してそういうことになりません。それだけ手をかけるのですから、手をかければ、これは中間にそれだけ手間をかければ高くなるのはあたりまえの話で、安くはならないのです。普及すればうんと安くなるかというと、普及すればまた冷凍魚はよく食べてくれるが高くなる、これは。そういう性格を持っているのですね。いま冷凍魚は、冷凍と言ったらだれも消費者買わないから、しかたがないから安く売るのであって、冷凍魚をみんなが喜んで食べるようになったら、だれも安くなんか売りませんよ。しかも、これはコールドチェーンの目標としておるのが、まあ科学技術庁の説明を聞いたら、コールドチェーンというものが相当徹底普及する。科学技術庁がいまやっているわけでありますから、科学技術庁はアメリカの翻訳したものを直らにそれをやって、すごく普及しようとしておるが、失敗するかしないか知りませんが、やってみよう、失敗した場合には、これは科学技術庁が責任を負う、農林省には御迷惑をかけませんと言っている。農林省は実際に仕事をやらなければならない。実際はそんなあやしげなことでコールドチェーンが普及されて国民が試験台になるのですから、これはまことに迷惑な話なんでありまして、試験は試験としてやってもらってもいいから、確実に安く食べられるということの実証ができるまで、コールドチェーンコールドチェーンとのぼせ上がったようにコールドチェーンでなければ夜も日もあけないようなことを言うのは、これはちょっとどうかと思うのです。こういう点について、私はひとつ十分主婦連の方も検討していただきたい。  ただ、一つ神奈川コールドチェーン漁業協同組合のやっているのを、一週間一ぺん何かのついでに農協へ持っていった。それが毎日運搬したのでは、採算がとれるかとれないか。一部分で見ればなるほど安くできたということはあるかもしれません。あるかもしれませんけれども、これが全国的にコールドチェーンがいいかというと、これはよほど検討をする必要がある。このように思うのです。したがって、いま意見、だいぶお説教がましくなりましてまことに恐縮なんでございますが、しかし、業者の言われることももっとも、みんなの言うことがみんな正しいのでというふうには、私はそうはやはりみんな関係者ですから、自分がもうけたいことは一心で、だれも損することは考えてないので、みんなそれぞれの意見はあると思います。消費者消費者で安く、それぞれの意見あると思うのです。したがって、いまの物価対策の中で、この問題がいま政治問題化しているわけですから、物価対策としては私は役立っていかなければならない、このように思いますので、意見がましいことを申し上げて恐縮でございますけれども、それぞれひとつ御意見をお伺いしたい、こう思います。
  59. 比嘉正子

    参考人比嘉正子君) 先生のおことばを返すようでありますけれども、物価を安定させるにはどうすればいいかということは、主婦主婦なりに研究しているのですけれども、あっち行ってもこっち行っても壁にぶっつかる。それで魚を安くするにはどうすればいいかということを考え冷凍魚の普及をしておりますので、いまその研究をしているわけです。それで、心配していらっしゃるのは冷凍魚をまた水に戻して切るということはしなくてもいいんです。冷凍魚のままちゃんと機械ですうっとこま切れに切れるわけです。ですから、それを包装してこんな大きなタイ家庭に持ち運ぶのと違うのです。箱のまま家庭に来るのと違って、いわゆる規格化されたもの、品質を区別したもの、種類を区分したもの、そういうものを包装して、そして、規格化されたものを家庭に行くように、どんどんポリエチレンの袋に入れて配達するという、こういうようなことが農林省の今後の研究課題ですと申し上げたのです。だから大きなものはもらわぬでもいいわけです。  それから、各家庭の冷蔵庫が、零下二十五度くらいの低温のいわゆる冷蔵庫の中に、家庭に持っている冷蔵庫の中に一つのボックスをこしらえて、冷凍魚を買ってきたらそのボックスへ入れるようにするのが電気メーカーの研究課題です。もう研究しておると思うのです。そういう点も農林省がハッパをかけて電気メーカーにそれをつくらせるようにしなければならぬ。政府のやる政策……消費者が端的に値を下げるのは、不買すれば下がるのです。ですから、政府のやる長期計画……消費者がやらなくちゃいけない、端的に値を下げるのは、ちゃんと心得ておりますので、ひとつそういう点ございますが、御心配なさらないように。
  60. 北村暢

    北村暢君 いまのことばを返すようですけれども、魚だけのコールドチェーン考えてないのですよ、科学技術庁は。野菜からくだものから、それから肉から加工食品まで考えておるのですよ。そうしないというと、コールドチェーンの意味がないのです。そうすると、家庭の百立方くらいの冷蔵庫じゃだめなんですね。これはアメリカ式のやはり四百立方くらいの大きな冷蔵庫でないと家庭に届かない。いまの日本家庭でそういう大きな冷蔵庫を置くと寝るところがないような日本の住宅の状況の中で、そういうコールドチェーンというものを普及して家庭の現実に合うかどうかということについては、魚だけとればそういうことを言えるかもしれませんけれども、 コールドチェーンというのは魚だけを考えておるのじゃないので、これはもう家庭生活様式が変わってくるわけなんです。そこまで見越してほんとうの対策を立てないというと、これはたいへんなことになるのです。したがって私は、研究課題としてはいいが、直ちにいまそれを実際にやるというと、もう生産からいまの流通機構から消費者家庭に至るまで、これが一貫したもので、政策として完成しないというと、コールドチェーン 一私は冷凍魚を普及することを反対しておるのじゃないのです。冷凍魚冷凍魚で、冷凍魚というものに対して、日本人の感覚というものが、冷凍魚だって必ずしもまずくはないのだ、若干栄養度の問題ありますけれども、そういう感覚を持ってもらうことは賛成なんです。賛成なんですけれども、コールドチェーンというのはそればかりじゃないのです。ですから、そういう点でひとつ私は私なりに、いま科学技術庁で考えてあるコールドチェーンというものは、ああいうアメリカの生活様式というものをそのまま取り入れたような形のものであるから十分検討していただきたい。
  61. 比嘉正子

    参考人比嘉正子君) 私たち物価の問題で迷路に迷い込んで冷凍魚にぶつかって、それを研究しておる間に政府の方針がわかっちゃったわけなんです。
  62. 石田朗

    政府委員(石田朗君) まず私からは、北村委員からお話しがございました冷蔵庫建設の補助はやっておるようだが、あとの経営問題等でいろいろの問題があるが、これらの点についてどう考えるかというお話でございます。その点についてお答えいたしたいと思います。  いまの先生のおっしゃったように、冷蔵庫経営というのは、商業経営であれ、協同組合経営であれ、非常にいろいろな問題を含んでおることは事実のようでございます。で、冷蔵庫の建設のことがありましたときに、そういったいろいろな問題も考えに入れて補助をいたしたわけでございます。  さらに、経営上の難点ということをどうするかという御質問であろうと思います。この点につきましては、私どもがこういう問題を取り上げてまいります場合には、これが全体の価格の安定あるいは消費者保護、生産者保護、こういうような全体の政策目的に沿って、これをどうしていくかというふうに考えていかなければならないのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。実は先ほどちょっと申しました生産地とそれから大消費地、これを結びまして、生産地で凍結をいたし、それを産地冷蔵庫に保存いたしますが、さらに消費地に引っぱってまいる。そこである期間、たくさんとれます時期に保存をいたします。これを品枯れの時期に出す、こういう計画を持っております。この一環としては、そういった問題について裏づけをまあ考えております。ただ、この事業は全く新しい事業でありまして、私どもやってまいります間にいろいろ問題点も出てくるかと思います。出てまいります問題点につきましては、逐次これを打開してまいります。さらに、これを今後恒久的な制度としてどういうふうに確立してまいるか、あるいは現在は東京大阪だけでございます。それをどういうふうに拡大してまいるかというふうな問題につきまして、これを実施してまいります過程において十分に検討を加えていきたいというふうに考えておりまして、先生のおっしゃいましたような点も、これらの検討の中に一つの問題としてさらに検討を続けていくべきではないかというふうに考えておるわけであります。小売市場問題等については農林経済局の消費経済課長から。
  63. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 北村先生のお尋ね、いろいろあったようでございますが、主として転送の問題についてお答えをいたしたいと思うわけでございます。近ごろ、大都市の中央卸売市場に一たん入荷しました水産物が、いろいろなルート、方法によりまして、地方都市の市場でございますとか、問屋さんその他に出ていくという現象が見られておるのは事実でございます。これを一口に中央卸売市場の集散市場化というふうに理解しておるわけでございます。こういったことが起こります原因等はいろいろあるわけでございますけれども、お尋ねの市場価格形成というたてまえから見まして、そのような事象をどのように考え、またこれに対する監督官庁としての対処の方針はどうか、こういうことであろうと思いますが、広く言いまして、いろいろなルートで一たん入荷した一ものが中央卸売市場からさらに出ていく。このうら仲買い人において、これを地方の方が買いに来た場合に売るというようなルート、あるいは地方の方が売買参加者になりまして、許可を得まして直接せり売りに参画して物品を購入して持っていくというような方法は、これは市場法規でも何ら、規制をいたしておりませんし、適法であることは申すまでもないわけであります。問題は、卸売り人が何らかの方法によりましてそういった流れに参画をする。こういうことをさしていわゆる転送問題とおっしゃっておられるのではないかと推察をするわけでございます。この場合に二つございまして、一つは荷の出荷者でございます委託者の指図または承認があった場合におきましては、他の地方市場等に物品の販売を再委託することは現在の法規で認めておるわけでございます。しかしながら、委託者の、つまり出荷者の指図なり承認がなくて、さらにその荷の販売の委託を他市場等にするということは、こういうことは市場法規において禁止されておるところでございます。  なおまた、開設者の承認なしに市場に入荷をし、委託を受けた物品を仲買い人なり、あるいは許可を得ました売買参加者以外の者に売るということも、これも市場のたてまえに反する。かようなことになっておりまして、この面につきましては、農林省として従来検査を実施した際にその事実を確認をしますれば、監督をし、さようなことがないように指導してまいったわけでございます。しかしながら、この問題をとらえる視点というものがいろいろございまして、先ほど申しましたような大都市の市場が、何と申しましても集散市場的な実体を備えつつあるということが一つの経済の現実でもあり、それと市場法規のたてまえ、あるいは先ほど先生の御指摘になりました価格形成に影響する度合い、そういったものから弊害の有無を判定をいたしまして、今後どう持っていくかということは一つの大きな問題でございます。私ども、法規がある以上、いまの段階では法規に違反するようなことは厳正に取り締まるという考えではございます。根本的にこの問題を解決するにはどうしたらいいかということを真剣に考えざるを得ないと思うわけでございます。たとえば一つの方法として、仲買い人さんの中で、非常にそういったことを専門に扱うという方が、分化して出てまいりまして、その方が大型になって市場のせりでそれを買って、地方の需要にもこたえる。こういうような形になるといたしますれば、それはそれで一つの何ら市場法規に違反しない方法でもございまするし、そういう形がすんなりと出てくるということでありますれば、私どももまた望むところでもあると思うわけでございます。そこらの問題を具体的にどういうふうに進めたらいいだろうかということで、監督は監督として厳正にやるつもりでございます。なお、問題は残っておりますので、研究はさせていただきたいと、かように考えておる次第でございます。
  64. 北村暢

    北村暢君 いまの、その転送問題について、法規違反じゃない、指図のあるものは法規違反じゃないと言うけれども、これは転送というのは原則としてやるべきじゃないのですよね。しかも、その理屈が、その市場でまあ築地なら築地に入ってくるものを転送する場合に、ただあり余って腐るような危険性のある場合に転送する。そういうようなことを言われておる。もったいないからこれは転送したらよかろうというようなことを言われるんですけれどもね、実はあり余っておるときはほかは要らないんですよ。あり余っておるときは、ほかもやはりあり余っている。したがって、転送されるというものはね、これは少ないものなんですよ。少ないものを転送される。したがって、仲買いなりなんなり、ほしくてしょうがない、ほしくてしょうがないものが転送されてしまう。だから、ますます価格が上がるようになっているんです、これは。そこら辺の農林省の認識というものが、もう私は全然違うと思っております。実情はそうなんですよ。あり余って値の下がるようなものは、それは腐らせたほうが言いわけも立つ、荷主に。委託で来るんですから、どうしても売れなければ、それは腐ったってしょうがないわけだ。そのために消費地の冷蔵庫もあるわけですから、余ったものは冷蔵庫に入れて腐らないようにする方法もある。転送というのはそうじゃない。荷がほしくてほしくてしょうがないものが転送されてしまうから、ますます値が上がるという形になっているんですよ。善意の転送ではないのですよ。そこら辺はひとつ十分考えてもらわにゃいかん。これは伊藤さんはどう弁解されるかしれないけれどもね。(「ゆっくりお話し合いしましょう。北村先生勉強されておるから」と呼ぶ者あり)実情は私はそうだと思う。だから、そういう単純な問題ではないのです、これは。だから、法規に違反するとかしないとかという問題ではなくして、市場価格の形成の上において、重大な影響の出てくる問題なんです。だから、いま物価値上がりということで、やかましく言っているんですから、私は、下げるというんだったら、やはり価格操作はやるべきじゃないと思っているんです。それが荷主からの指図があれば違反であるとかないとか言うけれどもね、いま言ったようなことで、これはやはり私ははっきり言って物価値上がりに大きな役割りを果たす一つの大きな要素になる。こういうことはね、自由価格で完全な価格形成というものはできない。そういう点で、これはもうほんとうに例外中の例外として認めるべきものなんですね。認めるべきだ。で、大阪でも商習慣としてあることは知っておりますよ、私も。大阪でもどこでも、その商習慣としてある程度のことはやっておるということは知っておる。しかし、これは公然とやるべき筋合いのものではないのですよ。だから、農林省がそれを認めるようなことを場長会議において話したとか、通達したとか言うんだけれども、これはもってのほかなんで、今後これはひとつ私は今度のいまの機会ではどうにもしようがないから、農林大臣なりなんなり呼んでこの問題はやはり黒白をはっきりつけるべき筋合いのものである、このように思っております。したがって、きょうのところは、いまの答弁では私は簡単に納得しない。
  65. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) まだ委員の各位から御質疑もあろうかと存じますが、だいぶ時間もたちましたので、きょうはこの程度にいたしたいと存じます。  参考人の方に一言お礼を申し上げます。本日は御多忙のところお差し繰りいただきまして御出席、しかもたいへん熱心に御意見の御開陳をいただきまして、本特別委員会の貴重な資料になったことと存じます。この点本委員会といたしまして厚くお礼を申し上げます。また次の機会にこういうまた機会がございました節には、重ねてお越しを賜わりたいと存じます。     —————————————
  66. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 委員異動について報告いたします。  本日、大竹平八郎君が委員を辞任され、その補欠として岡本文四郎君が選任されました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————