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1966-06-27 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十七日(月曜日)    午後一時十四分開会     —————————————    委員の異動  六月二十七日     辞任         補欠選任      安井  謙君     田村 賢作君      鈴木 万平君     任田 新治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 園田 清充君                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 仲原 善一君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 川村 清一君                 中村 波男君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    衆議院議員        農林水産委員長        代理理事     芳賀  貢君        農林水産委員長        代理理事     本名  武君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省農地局長  大和田啓気君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        農林省園芸局長  小林 誠一君        林野庁長官    田中 重五君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        食糧庁業務第二        部長       岡田 覚夫君        林野庁林政部調        査課長      高須 儼明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○入会林野等に係る権利関係近代化助長に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○農産物価格安定法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○野菜生産出荷安定案内閣提出衆議院送付) ○青森県平館村石崎に漁港設置請願(第一一八  号) ○農林漁業団体職員共済組合法の一部改正に関す  る請願(第一五九号)(第七四一号)(第七八  九号)(第七九〇号)(第八四九号)(第八六  五号)(第八六六号)(第八六七号)(第八六  九号)(第八七四号)(第八七五号)(第八八  五号)(第八八六号)(第八八七号)(第八九  三号)(第八九九号)(第九〇〇号)(第九〇  一号)(第九一七号)(第九一八号)(第九一  九号)(第九二〇号)(第九二一号)(第九二  二号)(第九二三号)(第九二八号)(第九二  九号)(第九三〇号)(第九三一号)(第九三  二号)(第九三三号)(第九三四号)(第九三  五号)(第九三六号)(第九三七号)(第九三  八号)(第九四八号)(第九四九号)(第九五  〇号)(第九五一号)(第九五二号)(第九五  三号)(第九五四号)(第九五五号)(第九五  六号)(第九七七号)(第九八一号)(第九八  二号)(第九八三号)(第九八四号)(第九八  五号)(第九八六号)(第九八七号)(第九九  〇号)(第九九一号)(第九九二号)(第九九  三号)(第九九四号)(第九九五号)(第九九  六号)(第一〇〇二号)(第一〇〇三号)(第  一〇〇四号)(第一〇〇五号)(第一〇〇六  号)(第一〇〇七号)(第一〇〇八号)(第一  〇〇九号)(第一〇一〇号)(第一〇一一号)  (第一〇一二号)(第一〇一五号)(第一〇一  六号)(第一〇一七号)(第一〇一八号)(第  一〇二五号)(第一〇二六号)(第一〇二七  号)(第一〇二八号)(第一〇二九号)(第一  〇三〇号)(第一〇三一号)(第一〇三二号)  (第一〇三八号)(第一〇五〇号)(第一〇五  一号)(第一〇五二号)(第一〇五三号)(第  一〇五四号)(第一〇五五号)(第一〇五六  号)(第一〇七〇号)(第一〇七一号)(第一  〇七二号)(第一〇七三号)(第一〇七四号)  (第一〇七五号)(第一〇七六号)(第一〇七  七号)(第一〇七八号)(第一〇七九号)(第  一〇八〇号)(第一〇八一号)(第一〇八二  号)(第一〇九二号)(第一〇九三号)(第一  〇九四号)(第一〇九五号)(第一〇九六号)  (第一〇九七号)(第一〇九八号)(第一一〇  六号)(第一一〇七号)(第一一〇八号)(第  一一〇九号)(第一一一四号)(第一一一五  号)(第一一一六号)(第一一一七号)(第一  一一八号)(第一一一九号)(第一一二〇号)  (第一一二一号)(第一一二二号)(第一一二  三号)(第一一二四号)(第一一二五号)(第  一一二六号)(第一一四二号)(第一一四三  号)(第一一四四号)(第一一四五号)(第一  一四六号)(第一一六一号)(第一一六二号)  (第一一六三号)(第一一六四号)(第一一六  五号)(第一一六六号)(第一一六七号)(第  一一六八号)(第一一六九号)(第一一七〇  号)(第一一七一号)(第一一七二号)(第一  一七三号)(第一一七四号)(第一一七五号)  (第一一七六号)(第一一七七号)(第一二〇  九号)(第一二一〇号)(第一二一一号)(第  一二一二号)(第一二一三号)(第一二一四  号)(第一二一五号)(第一二一六号)(第一  二一七号)(第一二一八号)(第一二一九号)  (第一二二〇号)(第一二二一号)(第一二二  四号)(第一二二五号)(第一二二六号)(第  一二三〇号)(第一二三一号)(第一二三二  号)(第一二三八号)(第一二三九号)(第一  二四〇号)(第一二四一号)(第一二四二号)  (第一二四三号)(第一二四四号)(第一二四  五号)(第一二五三号)(第一二五四号)(第  一二五五号)(第一二五六号)(第一二五七  号)(第一二五八号)(第一二六一号)(第一  二六二号)(第一二六三号)(第一二六四号)  (第一二六五号)(第一二七〇号)(第一二七  一号)(第一二七二号)(第一二七三号)(第  一二七四号)(第一二七五号)(第一二七六  号)(第一二八〇号)(第一二八一号)(第一  二八二号)(第一二八三号)(第一二八四号)  (第一二八五号)(第一二八六号)(第一二八  七号)(第一二八八号)(第一二八九号)(第  一二九〇号)(第一二九一号)(第一二九二  号)(第一二九三号)(第一三〇二号)(第一  三〇三号)(第一三〇四号)(第一三〇五号)  (第一三〇六号)(第一三〇七号)(第一三〇  八号)(第一三〇九号)(第一三一〇号)(第  一三一一号)(第一三一二号)(第一三一三  号)(第  一三一四号)(第一三三一号)(第一三三二  号)(第一三三三号)(第一三三四号)(第一  三三五号)(第一三三六号)(第一三三七号)  (第一三四三号)(第一三五一号)(第一三五  二号)(第一三五三号)(第一三五四号)(第  一三五五号)(第一三五六号)(第一三五七  号)(第一三六一号)(第一三六二号)(第一  三六三号)(第一三六四号)(第一三六五号)  (第一三六六号)(第一三七二号)(第一三七  三号)(第一三八五号)(第一三八六号)(第  一三八七号)(第一三八八号)(第一三八九  号)(第一四〇〇号)(第一四〇一号)(第一  四〇三号)(第一四〇四号)(第一四〇五号)  (第一四一一号)(第一四一四号)(第一四二  三号)(第一四三五号)(第一四三七号)(第  一四三八号)(第一四三九号)(第一四四三  号)(第一四四七号)(第一四四八号)(第一  四五〇号)(第一四七六号)(第一四八三号)  (第一四九九号)(第一五〇〇号)(第一五五  六号)(第一五五七号)(第一五五八号)(第  一五七四号)(第一六一六号)(第一六九四  号)(第一九二二号)(第一九六六号)(第二  一八五号)(第二三八五号)(第二六六三号) ○農林省直轄玉名海岸保全整備事業実施に伴う県  費負担軽減並びに事業促進のための必要措置  に関する請願(第二〇一号) ○国営かんがい排水事業水資源開発公団営事業  を含む)並びに付帯県営事業早期完成地元  負担軽減等措置に関する請願(第二〇二号) ○国営かんがい排水事業並びに付帯県営事業の早  期完成地元負担軽減等措置に関する請願  (第二〇三号) ○国営農業水利事業費負担金軽減に関する請願  (第二三一号) ○開拓農家営農振興対策並びに負担対策に関する  請願(第二三二号) ○農業協同組合合併助成法期限延長に関する請  願(第二三三号) ○大規模機械開墾事業費に対する利子補給に関す  る請願(第二三四号) ○農林省直轄海岸保全施設整備事業に関する国庫  補助率引上げに関する請願(第二九〇号) ○国有林野解放のための特別立法に関する請願  (第四一九号) ○新潟県福島潟国営干拓事業促進に関する請願  (第五三九号) ○海外派遣青年帰国後の活動費助成に関する請願  (第七八八号) ○養殖のり被害救済措置に関する請願(第九六  八号) ○食糧自給を放棄した農業基本法体制改善等に  関する請願(第一三四九号) ○土地改良区の職員給及び事務費国庫補助等に関  する請願(第一四一五号)(第一四三六号) ○養豚振興に関する請願(第一四一六号) ○国有林野活用に関する特別措置法制定実現に  関する請願(第一五二四号) ○農地管理事業団法案成立促進に関する請願(第  一五二五号)(第二〇〇八号)(第二一〇七  号)(第二一五八号) ○生産者米価大幅引上げに関する請願(第一五  六六号) ○特別会計制度による国営かんがい排水事業の借  入金利子引下げ等に関する請願(第一六〇五  号) ○農道整備事業拡充強化に関する請願(第一六  九五号) ○第二次沿岸漁業構造改善対策推進に関する請願  (第一六九六号) ○豚肉の安定基準価格等に関する請願(第二一二  〇号)(第二一四六号) ○低毒性有機りん製剤の価格引下げに関する請願  (第二一二一号)(第二一四五号) ○アメリカ脱脂粉乳輸入阻止等に関する請願  (第二六四二号)(第二七一四号)(第二七五  六号) ○消費者米価引上げ反対等に関する請願(第二七  六六号) ○農林省林業試験場開放に関する請願(第二七七  九号)(第二八三八号)(第二八三九号)(第  二九一八号) ○大豆なたね交付金暫定措置法に基づく昭和四十  一年産なたねの基準価格引上げに関する請願  (第二七九〇号)(第二七九九号)(第二八一  〇号)(第二八二〇号)(第二八二八号)(第  二八二九号)(第二八三七号)(第二八五三  号)(第二八五四号)(第二八五五号)(第二  八七〇号)(第二八七一号)(第二八七二号)  (第二八八九号)(第二八九〇号)(第二九三  五号)(第二九五九号)(第二九六〇号)(第  三九八三号)(第三〇二一号)(第三〇二二  号)(第三〇二三号)(第三〇二四号)(第三  〇四八号)(第三〇四九号)(第三二〇八号) ○放魚祭並びに水産資源保護全国運動推進実施に  関する請願(第二八〇〇号) ○鹿児島県加治木営林署林業作業車道の大浪之池  登山観光有料道路兼用促進に関する請願(第二  八二五号) ○開花枯死竹林早期回復対策費補助に関する請  願(第二八三四号) ○中小商業事業活動を圧迫する農協の農機購買  事業是正に関する請願(第二九八四号)(第二  九九〇号)(第三〇二五号)(第三〇二六号)  (第三〇二七号)(第三〇二八号)(第三〇二  九号)(第三〇五〇号)(第三〇五一号)(第  三〇五二号)(第三一八一号)(第三一八二  号)(第三一八三号)(第三一八四号)(第三  一八五号)(第三一八六号)(第三一八七号) ○みそ原料米現行価格維持に関する請願(第三  〇二〇号) ○動物の保護及び管理に関する法律制定に関する  請願(第三〇五三号)(第三〇五四号)(第三  〇五五号)(第三〇五六号)(第三〇五七号)  (第三〇五八号)(第三〇五九号)(第三〇六  〇号)(第三〇六一号)(第三〇六二号)(第  三〇六三号)(第三〇六四号)(第三〇六五  号)(第三〇六六号)(第三〇九三号)(第三  〇九四号)(第三〇九五号)(第三〇九六号)  (第三〇九七号)(第三〇九八号)(第三〇九  九号)(第三一〇〇号)(第三一〇一号)(第  三一〇二号)(第三一〇三号)(第三一〇四  号)(第三一〇五号)(第三一〇六号)(第三  一〇七号)(第三一〇八号)(第三一〇九号)  (第三一一〇号)(第三一一一号)(第三一一  二号)(第三一一三号)(第三一一四号)(第  三一一五号)(第三一一六号)(第三一一七  号)(第三一一八号)(第三一一九号)(第三  一二〇号)(第三一二一号)(第三一二二号)  (第三一二三号)(第三一二四号)(第三一二  五号)(第三一二六号)(第三一二七号)(第  三一二八号)(第三一二九号)(第三一三〇  号)(第三一三一号)(第三一三二号)(第三  一三三号)(第三一三四号)(第三一三五号)  (第三一三六号)(第三一三七号)(第三一三  八号)(第三一三九号)(第三一四〇号)(第  三一四一号)(第三一四二号)(第三一四三  号)(第三一四四号)(第三一四五号)(第三  一四六号)(第三一四七号)(第三一四八号)  (第三一四九号)(第三一九七号)(第三一九  八号)(第三一九九号)(第三二〇〇号)(第  三二〇一号)(第三二〇二号)(第三二〇五  号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案を議題とし、質疑を行なうことといたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 中村波男

    中村波男君 最初にお尋ねをしたいと思いますのは、提案理由の大きな柱でもあります。入り会い林野等が粗放に経営されておる、したがって、近代化することによって農林業に十分な活用をするんだ、こういうことがあげられておりますが、そこで入り会い林野が粗放になっておることは私も認めまするけれども、しからば一般林野、すなわち民有林との比較においてどれだけ粗放に流れておるかという資料等がありますならば、この機会に明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  4. 田中重五

    政府委員田中重五君) その粗放の程度を見るのにはいろいろな指標があると思いますけれども、まず原野のまま放置してあるというようなことをもって粗放の程度と見ますならば、私有林野においてはその原野率が四・一%になっておるのに対して、この入り会い林野においては二二・二%というふうに原野率が高いということもその指標一つであろうと思いますし、それから人工林率についてこれを見ますと、一般私有林野においてはその人工林率が三七・四%というふうになっておるのに対して、入り会い林野では二八・八%というふうに低い。いずれも一九六〇年の世界の農業センサスであります。
  5. 中村波男

    中村波男君 なるほど、いまの数字を一般林野比較いたしますと、入り会い林野が粗放に流れているように思いますが、もともと入り会い林野というのは里山がほとんどと言ってもいいのじゃないかと思いますが、大部分を占めておる。それから入り会い林野というのが昔からいわゆる農山村民の必要な山として、いわゆる草を刈り、カヤを刈り、薪炭を求めたというような関係もありまして、したがって、いわゆる林野が多いというのはそういう土地立地条件にもよるのではないかと思うのであります。それからもう一つは、人工林率比較でありますが、これもおそらく原野部分を除いた比率であると思いますが、これはどうですか。
  6. 田中重五

    政府委員田中重五君) これは原野部分を除いた比較でございます。
  7. 中村波男

    中村波男君 そこで農林大臣にお伺いいたしますが、入り会い林野近代化はもとよりでありまするけれども、一般林野のいわゆる高度利用ということが、統計が示しますようにはなはだ不十分であるということは、大臣もお認めにならなければならないのではないかというように思うわけであります。したがって、林野近代化ということは入り会い林野のみに限定をせずに、やはり国有林を含めた全林野高度利用ということをはからなければならないというふうに思うのでありますが、この点について、大臣の今後の林野に対する行政施策について御所見を承っておきたいと思うわけであります。
  8. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま言われたとおりでございます。ただ、入り会い林野のほうが特にさような状態にありまするので、その林野権利義務関係近代化をはからなければならぬ、こういうふうに考えまして、この法案提出いたしておるようなわけでございます。
  9. 中村波男

    中村波男君 そこで、この法案にはいろいろ問題がありますが、私権化をし、さらに生産森林組合をつくらせて、農林業への高度な企業を考えておられるのでありますが、いま私が指摘をいたしましたように、入り会い林野利用状況というものは、その後、だんだんと変わって来ておるのでありますから、それを近代化の方向で活用させるということについては当然でありますが、問題は、ただ単に権利関係近代化され、生産法人組織がえがなされましても、その後いわゆる十分な助成対策というものが伴わなければ、ただ単にそれだけで造林がものすごく進んだり、あるいは採草地なり放牧地なり、その他農林業に十分な寄与をするような経営というものが、私は直ちに考えられないのではないかというふうに思うわけであります。したがって、いわゆる近代的な体質に改善をいたしますと同時に、それに対する裏づけのいわゆる助成策というものが十分用意されなければならぬと思うのでありますが、これらに対して具体的な計画はいままでには示されておりませんし、本会議で私が総理並びに農林大臣質問を申し上げましたときにも、抽象的な答弁に終わっておるのでありますが、それに対して、特別な、言いかえますならば、一般民有林とは違った助成策というものが用意されておるのかどうか。この点を重ねて御質問を申し上げたいと思うわけであります。
  10. 田中重五

    政府委員田中重五君) 入り会い林野につきましては、かねてから申し上げておりますように、その封建的な権利関係がこの土地利用高度化をはばんでいるという認識の上で、まずその権利関係近代化を手続としてはかろうということでございます。で、そういう新立法的な私権としての権利人に改変された暁におきましては、一般民有林の要請の推進の線に乗せて、林業の場合で申し上げますと、造林事業につきましてはその補助改善、あるいは特に林道事業についての優先採択、あるいはこの低利長期の融資の措置を積極的に講じてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、そういう措置も、この近代的な私権としての意志がその経営者にまず生まれることが必要でございますし、林業構造改善等にこの入り会い林野がそういう段階を経て組み込まれていくということが一番必要かと考えております。
  11. 中村波男

    中村波男君 次に、生産森林組合が今日まで相当設立がされておるようでありますが、本来の目的、機能を発揮しておらないのじゃないか、こういうふうに言われておりますし、私もそう考えるのでありますが、なぜ、本来の目的にかなうような経営運営ができないかというと、私はもともと、設立動機が問題でないかというふうに思うわけであります。たとえて申し上げますなら、市町村有林払い下げ共同経営、こういうことが目的生産森林組合がつくられ、部落有林共同経営、こういうことから生産森林組合がつくられた。ですから、生産森林組合の本来の目的よりもこういう部落有林をどう共同経営するかということでありますから、おのずから前の慣習等々がそれをはばんでおるのじゃないかというふうに思うわけであります。したがって、今日の最も近い時期で林野庁として掌握していらっしゃいますところの生産森林組合の実態、数を含めまして。また設立動機分類があるならば、その分類等をこの機会に御報告いただきたいと、こう思うわけであります。
  12. 田中重五

    政府委員田中重五君) 生産森林組合設立動機といたしましては、いろいろございます。その総数は、現在五百八組合ということになっておりますが、この過半はいま先生のお話の市町村有林等払い下げによる共同経営であるとか、部落有林共同経営であるとか、そういうものが大半を占めているわけでございます。個人の、個人有現物出資に基づく共同経営というのは二十四しかないといった形でございます。
  13. 中村波男

    中村波男君 いまの長官の御報告を聞いても明らかなように、結局、設立動機というものが旧部落有林の所有を維持するというところに生産森林組合をつくった目的がありますから、いい意味の利益追求ということをたてまえとする団体としては、私は発展をしないと思うわけです。したがって、今回の入り会い林野近代化一つの柱といいますか、いわゆる私権化したあとの山林といろものが特定の人に集中されないために生産森林組合をつくらせるという方針でありますが、そこでお尋ねをいたしたいと思いますのは、いわゆる、部落有林等に特に多くの例を見るのでありますが、現金収入、いわゆる収益金というものの使途をこの機会に明らかにいたしませんと、今後、どうこれを指導し、どう持っていくかという上において重大な問題を含んでおるというふうに思うわけであります。したがって、入り会い林野のいわゆる収益金使途がどうなっておるか、これは提出をしていただきました資料によって承知をいたしますと、いわゆる部落費部落公共費、つまり道路とか集会所とか消防とか、こういうような毛のが四七・五%を占める。造林事業部落費等個人分配をしておるのが三四・七%、この内訳がわかりませんから、公共的な支出がどのくらい占めておるか、承知するわけにまいりませんけれども、権利者分配をしておるのが九・二%であるというこの統計からいいましてもこれらの収益金というものはほとんど公共的な費用に充てられている。したがって、これを生産森林組合組織がえをいたします場合の一番反対といいますか、抵抗といいますか、また実際目的には賛成であるけれども、部落としてのいわゆる公共費をどうまかなうかということについて、私はなかなかこれは相談がまとまらないのではないか。この点をやはり具体的に措置をいたしませんと、実際問題として公民館を修理する費用はどうするか、あるいは部落道路を修繕する費用はどこから出すのか、というのでまとまらないのではないかと思いますが、これに対する対策、これに対する具体的措置というものをお考えになっておるかどうかお伺いをしておきたいと思うわけであります。
  14. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまお話がございましたように、入り会い林野からあがった収入につきましては、収入のあった入り会い集団、それの抽出調査でまいりますと、部落費なり部落公共費なりに使ったのは六二%であるというようなデータが出ております。基本的な考え方といたしましては、この入り会い権が近代的な権利に改変をされ個人の企業意欲といいますか、大いに進んで、そうして所得が上がっていく、そうしますと、その市町村としての諸々の税制上の大きな期待が持てますから、したがって、こういった非近代的な部落費の使い方と、それの財源、これは個々の産業が繁栄することによって当然今度は新しい税制の中でそれは期待ができるというふうには考えておるわけでございます。しかしながら、すぐそういうようなふうに飛躍することも問題がございますので、そこで、自治省等ともそういう点についての協議を十分行ないましたが、自治大臣からもこの点についての公共的な経費についての範囲について善処したいということも言っているわけでございます。基本的な考え方といたしましては、個々の企業の成長によってその町村の財源の中からまかなうべきものではないかという考えでおるわけでございます。
  15. 中村波男

    中村波男君 いま長官の御答弁によると、近代化をして収益があがるようになるから税金のほうでそれがプラスされて、そういう面からの措置も考えなければいかぬというお話でありますが、それは三十年か四十年後の問題でありまして、それから実態としては部落のいろいろな費用というのは、いま町村財政がますます窮迫を告げておる中で、当然町村が負担をすべき負担というものを部落におっかぶしておるというととは御承知だと思うし、それはやはり認識が合わぬ。実際これを問題として、部落の段階に下ろされたときにここで私はつかえるのではないか、こういうことをも考えるわけであります。おそらくおやりになる過程でそれが大きな支障になっていくということは、いま私が断言をしてはばからないわけでありますが、したがって、こういう点をもう少し、もしこれが可決された場合には、具体的にひとつ検討を願い、実地調査を願って、そういう裏づけを与えない限りはなかなか期待されるような方向に動かないのじゃないかというふうに思いますために、特にくどく質問を申し上げるわけであります。  そこで、先般も御質問を申し上げたわけでありますが、何と言っても、最初林野庁はいわゆる私権論の上に立って立案されたけれども、自治省との関係において妥協をして、公権論と私権論と二で割ったような形がこの法案を混乱におとしいれていると思う。そこで、いまさら私が申し上げるまでもなく、入り会い権というものの明治以来の経過をたどってみますならば、明治初年に地租改正及び官民有区分が行なわれたときに、官有地編入を免れた入り会い地の大部分が民有地第二種として民有地に編入された。これが今日の公有林野のもとであると思うわけであります。したがって、名前はいろいろありますが、村民全体の記名共有としたもの、あるいは個人代表の名儀によるもの、あるいは村の名儀によるもの、こういうふうになっておったのでありますが、その後、いわゆる入り会い地は市町村有、財産区有、私有の三つの方向で名儀の上では分かれておりましたが、したがって、実態というのは同じであったわけでありますが、いわゆるその後市町村合併等によって、これが市町村の基本的財産を造成するという名目で、いわゆる旧慣使用権というものを認めてこれを処理した。これは相当反対があったからここまで妥協せざるを得なかったと思うわけであります。したがって、今日の旧慣使用権といえども、もともといまの民有地とは何ら変わらないところの入り会い権があったわけでありまして、したがって、今回、慣行使用権と入り会い権と二つに分けて処理しようというのでありますが、特にここで強調をし指摘をいたさなければならないのは、いわゆる慣行使用権に基づく入り会い地を、入り会い権ということばは認められぬわけでございますが、その措置を適切にひとつやってもらいたい。  したがって、さらにここで確認をしておきたいと思いまするのは、今後おやりになる場合に、公権論的あるいは私権論的立場のいずれかによって整理するかということによって内容が大きく違うと思いますので、実際にどういう立場をおとりになろうとするのか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  16. 田中重五

    政府委員田中重五君) これは手続法でございますし、したがって、民法に言うところの共有の手続と、それから地方自治法に言いますところの旧慣使用権の手続それぞれに従って、その権利関係私権化しようということでございますから、いわゆる学説としての私権論なり、あるいは公権論なりに必ずしも立って進めているというていどではございませんが、いずれにいたしましても、旧慣使用権の場合でも、それがすべての旧慣使用権者の意見を聞いて、そうして私権化されるという点については入り会い権の場合と同じでございます。  そこで、いま先生のお話しのように、入り会い林野が公有林野の整備開発事業ということの中で、主として市町村有を目ざして市町村有の中に繰り込まれてきた。そしてその市町村の基本財産の培養というような方向できたのに対して、今度のこの入り会い林野の手続といたしましては、個々の農民の所得の向上、したがって、それを構造改善を通じ、その農林業による土地利用高度化をはかってやろうということでございますから、そういう意味では農民の私権に基づいてその所得の向上をはかっていきたいということになるかと思います。
  17. 中村波男

    中村波男君 いろいろまだお聞きしたいことがたくさんあるわけでありますが、予定の時間になりましたので、もう一つだけ御質問、意見を申し上げまして私の質問を終わらせていただこうと思うわけでありますが、質問を申し上げますと、この近代化法は手続法だから、こういうふうに逃げられるのでありますが、なるほど手続法でありましょう。しかし、これを進めておいきになる中で、やはり私は相当権利をめぐりまして紛糾をして、裁判所へ提起されるような事件が起きるのではないかということを憂慮するわけであります。したがって、そういうことがこの近代化法そのものには、手続法だからといって責任はないと逃げられましても、実態としては、やはり農村の平和を乱すことにもなりますし、また、そういう対立が深刻になればなるほど、今後のいわゆる農業用に高度に利用していく障害になっていくと思うわけであります。したがって、そういう混乱を引き出さないための配慮なり、慎重な法の取り扱いというものがやはり考えられなければならぬと思うわけであります。まあ幸い衆議院ですべての権利者に意見を聞くということになっておりますが、これは法律的にいいますならば、意見を聞くのでありまして同意を求めるのではないのでありますから、ややもすると、やはり権力的な立場でこれが処理をされる結果、いろいろな紛糾なり混乱が起きるおそれがありますので、したがって、今後これを処理願います場合には、やはり私は処理基準というものをぴっちりとつくりまして、そうしてその指導の上でも、やはり運営の上でも、遺憾のないような方法を考えていただきませんと、どうしても市町村等におきまして、公権論的立場を固持してきたのでありますし、また固持しようとすることが明らかでありますので、そういう点を私はおそれるあまり、重ねて御質問を申し上げたわけでありますが、そういう点に対する行政上の処理基準というものを設けられる用意があるのかないのか、また設けられるとするならば、すでにそういうのが用意されておるのかどうか、そういう点を含めて御質問申し上げて、質問を終わりたいと思うわけであります。
  18. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまのお話はお説ごもっともでございまして、そこで衆議院の御審議の段階での附帯決議にも、旧慣使用林野については関係権利者の実質的な同意、これを十分に取りつけることを条件にしなければならぬということを付されまして、農林大臣からも十分にその趣旨を尊重したいということを申しております。  それからなお、いまお話しの基準につきましては、これは現在お説の趣旨で準備をいたしております。これは県を通じまして、そうしてそれぞれ県におかれてコンサルタント等も通じまして十分にその趣旨徹底を、権利者、それから市町村、これにも浸透するようにはかってまいって、そうしていたずらな混乱を起こさないように配慮いたしてまいりたい、こう考えます。
  19. 北條雋八

    ○北條雋八君 私はまずもって、この入り会い林野のうちで、権利者がこの法案の趣旨に賛同して近代化を望んでおります者と、またこれに反対、あるいは現状維持でけっこうだというような者もいると思うのですが、大体そういう割合はどういうことになっているか、それをまずもって伺いたい。
  20. 田中重五

    政府委員田中重五君) 調査課長からお答えします。
  21. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 現在具体的に判明いたしております資料から申し上げますと、たとえば林業構造改善事業、三十九年度、九十一カ町村、四十年度、百カ町村の計画が新たに出てまいっておるわけでございますが、これらの町村のうち約八〇%の町村は、すでに計画をいたしておる状態でございます。また昭和三十九年度に実態調査を、全国約二百町村について行ないました結果、この法案によって生産森林組合への移行、あるいは個別分割化の方向、このような意向を持っております者が約八割に及んでおる状況でございます。したがいまして、もちろんこの調べました地域が林業構造改善地域、あるいは特にそういった希望の高いところに優位に選定されておる結果かとも思われますが、概してこうした認識が非常に高まってまいっておりまして、非常に希望している地域が多いわけでございます。
  22. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、あとの残りの二〇%というものは、どういうわけで賛成しないのですか。
  23. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 現在この法案によりまして近代化の方向、この法案の指向いたしております近代化の方向を好ましくないとしておる地域も若干あるわけでございますが、その一つの例は、ほとんど草山の状態でございまして、あまり住民に権利意識がない、非常に意識が低いというような状況のところ、それからまた、その部落部落の状況で、まだそういった意識というものが強く出てきてないというようなところかと思われます。現状維持を望んでおるものでございます。
  24. 北條雋八

    ○北條雋八君 その近代化を望んでおる約八〇%の入り会い地に対しましては、それぞれ個人経営と、あるいはまた組合その他の団体で、共有の経営ということに分かれるわけですが、それらの八〇%の人は、その二つのうち、どちらを望んでおりますか。その割合ですね。
  25. 高須儼明

    説明員(高須儼明君) 大体現在の入り会い林野の利用形態を大きく三つに分けますと、共同利用、直轄利用形態のところは、比較的今後も協業経営の方向にこれは行く。やはり七、八〇%になろうかと思われます。割り山の個別分割利用をいたしておりますところは、やはり個別分割化の方向を希望しておるようでございます。
  26. 北條雋八

    ○北條雋八君 本法案による権利関係近代化ということは、個別近代化をするという基本方針であるというふうに従来からも質疑の結果伺っておりますけれども、近代化後の経営体としては、生産森林組合等の協業化も促進することというふうに大体の方針は考えておられるんですか。その点いかがですか。
  27. 田中重五

    政府委員田中重五君) 基本的な指導方針としては、協業化の方向で進めてまいりたい、こう考えております。
  28. 北條雋八

    ○北條雋八君 その点は、私はそれでなければならないと思うのであります。入り会い林野等の沿革から見てもそうならなければならないと思います。本法案によります近代化に当たりましては、実際の問題として考えられる一つの大きい問題があると思うのです。それは所有名義人の所在が不明な場合であります。そういう場合にはどういうふうに対処されるか。これは不明の場合は非常に多いんじゃないかと思うんですが、そういう点を大体調べられ、あるいは見込みをつけられておる何かあれば大体見通しを伺いたい。
  29. 田中重五

    政府委員田中重五君) まあ所有名義人の所在不明の場合、この場合には、やはり民法におきます不在者の財産管理人の選任手続、これによりまして管理人を定めて、その同意を得るという方法によらざるを得ない、こう考えております。
  30. 北條雋八

    ○北條雋八君 所有の名義が個人有である場合については、その所在が不明であるというふうなことはわりあいに少ないんじゃないかと思いますけれども、記名共有の場合にはその例は非常に私は多いんじゃないかと思います。特に、名義者がすでに死亡しておりまして、その相続者の所在が不明であるという場合がかなりあるように思いますが、このような場合には、せっかく関係者が近代化したいと思いましても、全員の同意がなければならないことになっておりますが、そこでちっとも実際の事業は進捗しないということがあると思うんです。そういう場合は大体想像されておると思うんですが、その見込みを伺いたいと思います。大体何%ぐらいですか、大体はそういう心配ないと、その割合でもって伺いたいと思います。
  31. 田中重五

    政府委員田中重五君) いま先生のお話しの、全員同意とおっしゃいましたが、この全員同意は入り会い権者についての話でございますから、入り会い権の改変については、もちろん、法律にもございますように、全員同意でいかなければならないということになるわけでございます。  それからその次は、入り会い集団が使用収益しておる土地の所有者が、名義上だれになっているのかという問題で、そうしてその名義者が記名共有である場合もあるし、それから社専有あるいは特定の個人有というような場合に、特に特定の個人有などの所在不明という場合があり得るということになるかと思います。そういう場合に、先ほども御答弁申し上げましたように、手を尽くしても所在不明等の場合には、これは財産管理人の指定と、その同意によらざるを得ないであろうと、こう考えておりますし、そういうふうに処置しなければならない事業体が、十一万事業体のうちでどれくらいあるかということにつきましては、いまのところやはり個々のケースにあたって見ないと、ちょっと確定は困難かと考えます。
  32. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 関連。いまの、調査をしなければわからないというふうなことでは私はならないと思うんです。この権利等の調査等も三十九年度に実態調査をしたという、先ほどのお話であります。その資料を見ますと、確かに入り会い林野等の利用形態の形態別面積等の比率、これは三十九年度の比率で明らかになっておりますが、そのほかの資料は全部一九六〇年ということになっているんですが、したがいまして、いま御答弁がありましたように、実態の調査をそのところでやらなければならないと言われることが私は納得できないんですが、どちらを基準にして、一九六〇年のセンサスによるところのものの、この資料に基づいての答えになっていくのか、三十九年度のものを主体としての考え方でいかれるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  33. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在お手元に差し上げております資料は、主として一九六〇年のセンサスによる資料が多いわけでございます。そのほかに、入り会い林野の整備に関しまして調査をいたしました資料が三十九年度にあるわけでございます。
  34. 北條雋八

    ○北條雋八君 いや、私は大体政府としても当然見込みを立てておらなければ、この法案をつくるのに前提となることですから、見込みは立てておられると思うんですが、それを伺っておるんです。これを、せっかくできましても、そういうように所在のわからない人がいるために、一人でもいるために進捗しないのじゃ何にもなりませんから、根本的に見通しを伺っておるんです。その点、お答え願いたい。
  35. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましては、全体で現在十一万事業体あるわけでございまして、その十一万事業体の中で、それぞれの入り会い権者が、この法案が成立をいたしました暁には、この法案に基づいて、それぞれ入り会い集団の発意において、その権利関係近代化をはかっていこうということになるわけでございます。ですから、まず入り会い権者の土地利用高度化への熱意と、それから権利、その他の権利関係近代化の発意、これがまず重要なわけでございます。その場合、個々の事業体については旧慣使用林野もございますし、それから民法上の入り会い林野もあるわけでございますから、それぞれ一応所有名義は市町村財産区有なり、あるいはまた、入り会い林野の場合には特定の名義人になっておるわけでございまして、その名義人が実在するのかしないのかという点につきましては、これはいまの手続を進めようというその入り会い集団の発意があった場合に、それぞれ解決をしていかなければならぬ問題ではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  36. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、今後この整備事業を進める過程におきまして、そのような行くえ不明で事業は進捗できないという場合も非常に多いのじゃないかということを危惧するわけでありますが、実は本来この法案をつくるときにそういう場合を想像して、法案の中に、たとえていうならば、一定の期間を限りまして、その期間までに届け出がない、申し出がなければその権利を失うというような条項も加えておくほうがなお安全だというふうにも考えたわけでございますが、いまのお話では、ともかくそれはわからない、やってみなければ、どのくらいのそういうような不明が出てくるかわからないということでありますから、やってみてその結果によって、あるいはこの法案を改正してそういう場合に対処して、いつまでもこれが進捗できない、法案が運用できないということのないようにすることが必要だと思います。万一そういうような場合にはこの法案を改正する。そうして、そういうような場合に対処して将来永久に手がつけられないというようなことのないようにするお見込みでありますかどうか。その点大臣から伺いたいと思います。
  37. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) そのような事例が多くて、近代化の障害になるような場合には、御意見のとおり、今後の問題として法改正が必要となることもあると考えます。しかし、所有名義人の権利を不当に侵害するおそれを生じないような措置でなければならないので、法務省とも協議して、慎重に検討いたしたい、かように存じております。
  38. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に伺いたいのは、これは先ほども中村委員から御質問がございました。この法案では、権利関係近代化ということはございますけれども、その後の土地高度利用の増進について、そのいわゆる土地の利用の近代化については何も触れておりません。すなわち、アフターケアの問題がきわめて重大でございますので、実態調査によりますと、たとえていうと、権利関係近代化されたけれども、そこで社団法人などをつくりまして、法人に改組してみたけれども、しかし、一方、その後の土地の利用状態は旧態依然である。そうして近代化は進まないというようなケースもあるということを私は聞いております。この点につきましては、衆議院の附帯決議にもありますけれども、こういう点について、政府はどのように考えておられるのですか、その具体的の構想なり方針をこの際伺っておきたいと思います。
  39. 田中重五

    政府委員田中重五君) 個々の入り会い林野土地利用計画につきましては、やはり個々の土地立地条件に支配される問題でありますから、そこでやはりその個々について決定していくべき問題であろうというふうに考えているわけでございます。そこで、入り会い林野なり、あるいは旧慣使用なりの権利者がその整備計画を立てる段階で、それぞれの林野土地利用を考えていく。ある部分は草地改良に充て、ある部分造林に仕立てていくということになるかと思いますけれども、そこの土地の傾斜度であるとか、あるいは気温であるとか、あるいはまた、地味、地理、そういうことを勘案しながら、農林技術上のコンサルタントが置かれるわけでございますので、それとよく相談しながら入り会い権者が市町村長とともに最も有効な土地利用計画を定めていくということになるかと存じます。そういう関係の県、あるいはその県に置かれたコンサルタント等につきましては、一般的な基準は政府におきまして具体的に定める。そうしてそれによって指導をしてまいろう、こういう考え方でございます。
  40. 北條雋八

    ○北條雋八君 いまお話がありましたけれども、コンサルタントは、これはどういう人をコンサルタントに充てるか、大体の政府の方針としてはどう考えていらっしゃるのですか、たしか三人でしたか、各県に置くということになっていると思います。その大体の構想を伺いたいと思います。
  41. 田中重五

    政府委員田中重五君) コンサルタントにつきましては、一人は法律技術上の相談、指導相手としてのコンサルタント、一人は林業経営上のコンサルタント、それから一人は農業経営上のコンサルタント、それぞれ農林業については主として農林業の技術上あるいは経済上の相談、指導の相手になるものを選びたいと、こういう考え方でおります。
  42. 北條雋八

    ○北條雋八君 コンサルタントは、土地の事情その他に通じている人というわけでなしに、あるいは二県を担当するというような場合もあるんでしょうか、必ずそれは県ごとに指定されるわけですか、その指定はどこできめるんですか、もうちょっと具体的に詳しく聞かしていただきたい。
  43. 田中重五

    政府委員田中重五君) それは県ごとに三人ずつという考え方でございます。そして、そのコンサルタントはそれぞれの関係の県知事が任命するというふうにいたしたいと思います。
  44. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、これは県の職員はもちろん入らないんでありましょうが、これは学識経験者とか、あるいは実際に土地のそういう事業をやっておる実地家とか、そういう人から選ぶんですか。
  45. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在の考え方といたしましては、やはり民間における、いま申し上げましたような方面の専門家であるとか、あるいは相談相手になり得るような人というふうに考えておる次第でございます。
  46. 北條雋八

    ○北條雋八君 コンサルタントは非常に重大な責任もあるし、今後、近代化をいかに発展させるかという点から非常に大事なことだと思うんで、その人選その他については慎重を期していただきたいと思います。  次に伺うのは、この入り会い林野等の利用の増進をはかるためには、これが可能な条件を育成する必要があることは、これは言うまでもないのであります。林業についていうなら、現在大きい問題となっておりますのは、造林の形態と林業労働力の逼迫であるわけであります。特に、これまた、衆議院の附帯決議にも、これは五番目でしたかに書いてございますが、造林事業につきましては早急に新しい施策を展開しなきゃならぬというふうに思うんでありますが、この附帯決議を見ますと、官行造林の再検討ということがうたってございますが、この官行造林は、御承知のとおり、昭和三十六年に廃止されまして、それで森林公団造林に移行したのでありますけれども、これはいささか朝令暮改の感を免れませんけれども、私もこの国有林の合理化の見地や、あるいは造林の振興の見地から、最近の林業の動向からこれを見てみますと、これはほんとうに再検討の必要があると思います。この点につきましては、政府ではこの附帯決議をつくるまでの過程において、衆議院のほうでいろいろ問題が出たと思いますけれども、どういうふうに考えられておるのか、これはまず大臣から伺い、また、林野庁長官からも、この点について所信を伺いたいと思います。
  47. 田中重五

    政府委員田中重五君) 造林の形態につきましては、外材の関係であるとかいろいろ判断をされておりますが、やはり造林を必要とする地帯における資金の不足あるいは労力の不足、そして非常な高賃金というようなことであるかと思いますが、そこで、この入り会い林野は、土地利用高度化をはかろうとする場合、造林推進をしていこうという場合に、やはり資金あるいは労力、そういうものの不足の問題にぶつかることは、先生のお話しのとおりであろうと思います。そういうことから、やはりこの官行造林の再検討であるとか、あるいは県行造林助長であるとか、あるいはまた、県の林業公社の問題であるとかが提起をされまして、附帯決議にもなってあらわれていると考えております。で、私どもといたしましては、やはりそういう、特に造林を必要とする地帯における造林推進組織的な何かが必要であると思います。そういう意味から林業公社等が考えられる場合には、それの位置づけ等も明確にして、そうしてそれなりの活動が活発に進められるように配慮をしてまいりたいと考えておりますし、官行造林につきましても、この附帯決議の御趣旨もございますので、いま申し上げましたような意味で、この国有林の資金なり、技術なり、あるいは労働力なりを駆使する事業としての官行造林をあらためて再検討をいたしたいと考えております。
  48. 北條雋八

    ○北條雋八君 この点は、言うまでもなく非常に造林というものは金がかかりますし、労力もない点で、積極力の対策を考えないと、せっかく近代化をやろうと思っても、民間にはとうていできませんから、それにつきましては、この附帯決議にもありますとおり、林業公社に将来は県行造林とあわせて活用していく時代が来るというふうに思うのでありますが、各県に設立されております公社は、現在、十五かそのくらいあると思うのですが、将来は、見込みとしては相当ふえるのじゃないかと思いますが、政府は、この際、公社造林に対する方針をやはり立てておられると思いますが、現在、林業公社の現状と、それから、これをどういうふうに位置づけていって、育成するかというようなことを考えられておると思いますが、その点を伺いたいと思います。
  49. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在、造林あるいは林業公社と言われておりますのは、四十年度で十二県、十三公社でございます。大体四十一年度以降にもすでに六県が設立を見まして、さらに他の県に及んでまいる、そういう趨勢でございます。それで造林の実績でございますが、三十九年度末までに公社造林が進められましたのは、千七百五十四ヘクタールでございます。先ほど申し上げました四十年度までの十三公社につきましては、その全体計画としては九万ヘクタールほどございますから、そのうちの千七百五十四ヘクタールを実行したというようなことになるかと思います。で、現在までの造林公社については、先生も御承知かと思いますけれども、もともと県行造林の転化したものでございまして、農林漁業金融公庫の融資対象となるというような必要性から、この造林公社というのは長崎県で初めてその設立を見たというのが沿革でございますが、今後におきましては、この造林公社を高く評価をいたしまして、そうしてこの森林組合等もその出資者として考えながら、その県内の、特に公社造林等で分収造林を強力に進めていく必要のある地帯に、この公社造林の活動を期待をするという考え方で、むしろ公社造林の強化をはかっていく方向で考えてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  50. 北條雋八

    ○北條雋八君 主としてこれは造林のことになりますけれども、造林一般造林補助だけでなしに、この入り会い地の近代化造林に対しては、特別のやはり権利者の恩典として特別措置をとるということも私は必要だと思うのでありますが、その点につきまして、どういうふうに区別をされて今後扱われるか、その点もあわせて伺いたいと思います。
  51. 田中重五

    政府委員田中重五君) 造林につきまして、入り会い林野等造林地帯は、拡大造林を進めていく地帯が当然多いというふうに考えております。そこで、その拡大造林には点数加算の制度における優遇措置等もございますが、要するに、造林補助改善、そういう意味におきまして実質的に補助改善になるような措置入り会い林野の拡大造林については考えてまいりたい、こう考えております。
  52. 北條雋八

    ○北條雋八君 一般造林の場合には、これは新植に対して国と県が補助しているだけでございますけれども、私は、近代化を進める上には、あとの補植とか、手入れとか、そういったものに相当金がかかるわけなんでありますから、何か特別にそういう措置を講ずる必要があると思うのですが、そういう点は全然政府のほうとしては考えておられないのですか。その点を伺います。
  53. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在の造林を融資と補助に分けて考えますけれども、補助の制度の段階では、新植以外に補助の制度を考えていくということはなかなか難点があるかと思いますが、一方、融資につきましては、現在幼齢造林については、保育を含めた低利長期の融資の制度がございまして、そこで保育の期間に一応その制限がございますのを、できるだけ緩和して相当樹齢が大きくなっても、低利の融資で保育を行なえるような制度に改善をいたしたい、こう考えている次第でございます。
  54. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまいろいろお話がありましたけれども、昭和三十九年に実態調査等をなされたという見地の上に立って、いま北條委員質問されておりました計画性に対する、私は造林なら造林計画の、また山林保全なら山林保全の計画のもっと具体的なものが出てこなければならないはずだと思うのですが、その点についての計画性というものの具体化したものを一応聞きたいと思います。
  55. 田中重五

    政府委員田中重五君) 造林計画におきましては、所有階層別に全体の計画をいまだ立てておりませんので、入り会い林野あるいは旧慣使用林野に対する造林についての全体計画というものは、残念でございますけれども、まだ準備ができていないわけでございます。それで、入り会い林野なり旧慣使用林野なりは、先ほども申し上げましたかと思いますけれども、それぞれの権利者が何に使うということによって土地利用高度化がはかろうということになるわけでございますから、そこで、畜産的な、要するに草地改良事業にあてられる場合もございましょうし、果樹園になる場合もあると思います。あるいはその他の農業的利用になる部分も相当あるかと思いますので、やはりそれは個々の整備計画にまかせてまいりたいと、こう考える次第でございます。
  56. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、その整備計画によって今後やろうというのじゃなくて、少なくとも近代化していこうというこの法案提出される前に、もっと現地調査等をはっきりされて、そしてこういう地域におけるところの林野に対してはこうだ、こういうところの林野に対してはこういうふうな計画を持っているんだ、こう示されていくのが私はほんとうだと思うのです。こういう点、いま御説明を聞きますと、所有計画等も、入り会い林野の全体的な計画等も残念ながらなされてなかったということでありますが、そしてまたその部分的な局地的なところから調査をやりながら徐々に進めていきたいということなんですが、この法案で出すところの十カ年計画というものを、一応十カ年ということを打ち出す以上は、そういう計画性というものが一番基礎になっていくんじゃなかろうかと思うのです。こういう点がはっきりしてない。こういうふうに私は言い切っていきたいと思うんですが、どうなんでしょうか。
  57. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましては、そういうお考えも確かにあるかと思いますけれども、いままで申し上げましたように、土地の利用計画をどういうふうにもっていくかということについては、やはりそれぞれの権利者が全員の合意によってきめていくという問題であるかと思いますし、それから、その全員の合意できめる場合に、草地改良なり、あるいは果樹なり、その他の農業的利用あるいはまた造林等の林業的利用もあるかと思います。それは個々の入り会い権者のみずからのきわめて重要な問題であり、また全員の合意を得なければならない問題でありますだけに、やはり個々のケースとして決定をしていかなければならない問題のように考えるわけでございます。
  58. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお話がありましたように、個々の今度は所有権等の権利問題になってくるからというお話もありました。確かにそうだとすると、所有権の分割等で問題が出てくるんじゃなかろうかということを心配するわけですが、買い集められる場合に、金を持っているところに集められてくる可能性もあるんじゃなかろうか、こういうふうに考えていきますと、町村に、あるいはそれらのものが将来計画されようとするものの計画性のほうに還元されるかどうかということを心配しますが、この点はどうなんでございましょうか。
  59. 田中重五

    政府委員田中重五君) ただいま町村のというお話がございましたので、旧慣使用林野の場合かと存じますけれども、旧慣使用林野の場合等も、やはりすべての旧慣使用権者の意見を聞いて、そうして市町村長がその旧慣使用林野整備計画をつくり、そうしてその整備計画においては一部のものに不当に権利が集中していないかどうかの審査を府県知事がするというようなこともございますから、個々の旧慣使用権者の利害は町村の計画に十分反映をされるものだというふうに考えている次第でございます。
  60. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、府県知事の、地元関係者の提出した計画というものを検討していく上で認可するという形にそういうものもなっていくわけでございますか。
  61. 田中重五

    政府委員田中重五君) いずれにいたしましても府県知事が審査をいたしましても、そうして、しかもある一定期間の公示期間を置きますし、その上で府県知事が認可をいたしまして整備計画が有効になる、こういうことでございます。
  62. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 利用計画等をめぐって個人経営あるいは共同経営のいずれをとるかが今度は論議の焦点となってくるように思えるんですが、実際問題として数十人、百十数人の権利者がこまかく分割された場合等、林業経営は成り立っていくものでしょうか。具体的に近代化していく、そうなりますと、意味がだんだんなくなるのじゃなかろうか。そこで林産組合や、生産法人設立して新らしい経営をゆだねるということになっていかなければならないと思うんですが、この点についてはどうなんでしょうか。
  63. 田中重五

    政府委員田中重五君) それはお説のとおりでございます。そこで、いまも申し上げましたように、その整備計画の原案は、権利者の全員の合意あるいは全員の意見を聞いてつくられるものでありますけれども、方向といたしましては、その入り会い林野を単位とした、あるいは幾つかを集めた協業体というふうに持っていって経営をするということで、零細分割化を防ぐと同時に、経営の経済ベースというものを苛めて、そうして合理的な経営ができるように指導を府県知半としてもするようになっているわけでございます。
  64. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間等の関係もありまして、もっと歴史的なことから深く掘り下げて、長時間にわたって私は質問をしてみたかったんでありますが、最後に締めくくりとして一言お伺いしておきたいと思うのでありますが、本案を提出されるときに、いろいろ各省間においてもなかなか話がまとまっていかなかったというふうに聞かされているわけでありますが、この入り会い権の概念及び定義というものの基本からまだ意見に相違があるようにも聞いておるわけですが、こういう点があるか、ないか、はっきり知らしていただきたい。そうして、またこの立法の精神をどこに置くかということは、申し上げるまでのこともございませんが、零細な入り会い権者の生活安定のために制定しなければなりませんし、ドイツのバイエルン州では、一九五四年に法律で、入り会い権者は林役権法によって建築材の役権だとか、あるいは牧草刈り取り権だとか、あるいは放牧権などを具体的に翌録して、そうして入り会い権者の保護をしている、こういうふうな進んだ制度もとっております。こういったような諸外国の法律等ももっと研究をしてこの立法化していく、その精神はあくまでも入り会い権者の人権擁護という見地に立って進めていってもらいたいということを申し添えまして私の質問を終わりたいと思います。
  65. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまお話しのございました入り会い権の概念規定というおことばがございましたが、簡単に申し上げますと、一定地域の農民の集団、生活共同体といいますか、それが農業再生産のために林野を排他的に支配をしておった、その排他的な支配というものを他の農業集団あるいは業種から承認されてきたと、そして、その農民集団の中の利用権は平等であったというような形で徳川時代からきたと思いますが、それが一応入り会い権というふうに考えますと、それが明治二十一年の市制、町村制の施行の際に、いま申し上げました、農民集団の支配していた、これを村と申しますと、その村はどこかの市町村の中へそのまま、あるいは一部として組み入れられたから、そこで、組み入れられた以上は、それは市町村の財産の一部なんだと、で、公有財産なんだと、したがって、公有財産だから、その規定によって、市町村長は市議会の議決さえあればどのようにでも始末ができるんだということになっていましたが、特にそういうふうに組み入れられた公有財産の使用については、その権利者は、許可を得てこれを使用収益するのでなく、慣行を認められて使用収益するんだというふうになってきたと、いわゆるこれが公権論だといわれております。で、少なくとも戦前戦後を通じて、最近までは、そういう方向で、入り会い林野ではあるかもしれないけれども公有財歴ということで、そっちのほうへ組み入れていく方向で公有林野整理開発事業も進められてきたのですけれども、この場合にはそうでなく、農民の権利者の所得の向上という立場で、土地利用高度化をはかるために、その権利関係を近代的な市民法の私有権等に改変したいということになるわけでございます。それが概念規定と今度の立法化の精神でございます。
  66. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 意見は一致したんですか、自治省、あるいは大蔵省、法務省、各省と。
  67. 田中重五

    政府委員田中重五君) 特に自治省といろいろ意見が離れて、そして抗争したということはないわけでございまして、ただ、そこへ意見を調整し一致させていくのに時間はかかったおけでございます。しかし、いま申し上げました近代的市民法によるところの私権の確立という点においては、自治省も農林省も意見が一致しているということでございます。     —————————————
  68. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を行なうことにいたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。村田君。
  69. 村田秀三

    ○村田秀三君 これから農業災害補償法の一部を改正する法律案についての質疑をいたすわけでありますが、その前に、大臣、そしてまた委員長にもお伺いをしておきたいと思うわけですけれども、この法案が当院に送付をされ、委員会に提案をされましたのは二十四日でございます。そして、きょう五十一国会は終わらんとしておるわけでありますが、この中で十分な審議がされるのかされないのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  70. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまの村田君の御質問に対して御答弁いたしたいと思います。お話しのとおり、衆議院から参議院に回付されましたのが非常におそかったということで、十二分には御満足のいくような審議というものをやる時間が必ずしも十分でないということは、まことに遺憾でございます。そういう点につきましても、午前中の理事会で関係者が十二分に話し合いをいたしまして、そういう線に沿って、委員の皆さん方にも、まことに残念ではございますが、要点を集約してひとつ質問していただくように委員長からもお願いしたいと思います。
  71. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで、私もはなはだ遺憾でございますが、こういうような審議のやり方は、まさに参議院を軽視する端的なあらわれだと言わざるを得ないと思うのでございます。そういう事情を了としながらも、これから質問をいたしますが、ただいま委員長が話されました事情で、まことに短い時間でございますので、大臣はじめ当局におきましても、簡明要を得た答弁、そしてその答弁が結果的に効果ある、こういうような答弁をいただきたいことをまずもってお願いをいたしまして、逐次質問を申し上げたいと思います。  実は、私は、本法案を審議するにあたりまして、これは農業災害補償法の一部ということである、とするならば、当然に農業災害補償法全体について触れなければならない思想的なものは持っておるわけでございます。本来なれば、そういう点についてもただしたいと考えておるわけでありますが、先ほどの事情もこれありますので、今回の改正が家畜共済に力点が置かれておりますから、その部分についてのみ限定をいたしまして質問をいたしたいとは考えておりますけれども、しかし、衆議院におけるところの審議経過、あるいは附帯決議事項等もついておるわけでありまして、その附帯事項等についての実施の方針、あるいは目途、特にいまだ設置をされておりませんところの果樹、あるいは葉たばこ、あるいは肉豚、こういう問題の災害補償をどう進めようとしておるのか、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  72. 森本修

    政府委員(森本修君) 衆議院でつけられました附帯決議につきましては、その際にも大臣からお答えを申し上げたとおりでございまして、われわれといたしましては、できるだけその趣旨を尊重して今後実施にあたってまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。特に、御質問がございましたいわゆる新種共済、果樹、肉豚、畑作等につきましては、できるだけ調査ないしはその成案を急ぎまして、早い機会に実施できるよう研究を進めていきたい、こういうふうに思っております。  果樹につきましては、すでに御案内のことと思いますけれども、三十八年から三年間、数種の設計により、また主産県二十数県につきまして実際の試験調査というものをいたしております。また、学識経験者に、三十九年度、四十年度ということでお集まりをいただきまして、制度の骨子について検討を進めていただいております。いずれも四十一年度に出そろう予定でありますので、そういった実地の資料あるいは理論的な検討、両者を踏まえまして、今年度中に成案を得ることを目途にして検討を進めておるところでございます。  それから肉豚、養鶏につきましては、いずれも本年度調査をいたす予定になっております。あるいは養鶏などはもう少し調査期間がかかるかと思うのでありますけれども、いずれも調査を進めるべく現在準備をいたしております。そういった調査の実施過程あるいは実施の結果を十分検討いたしまして、できる限り早い機会に成案を得るようつとめてまいります。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
  73. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連。いまの御答弁、どうも私はよく理解できないのでありますが、と申しますのは、本委員会が昨年の十月四日に開かれております。その際に私は果樹共済についての政府の準備の進捗状況等を詳細に伺ったのでありますが、その際の政府委員の説明は、「三十八年度から果樹の試験調査を実施しておりまして、この調査が四十年度をもって、すなわち本年度をもって終わることになっております。」云々という答弁がある。そこで四十年度に調査が完了するので、四十一年度にそれを実施するかどうかということについて私がお尋ねをしておるわけであります。それに対して後藤政務次官は次のように答弁をしておる。速記録を読みますが、「説明員(後藤義隆君)これは、ただいま申しましたように、本年度すなわち昭和四十年度において調査が完了するわけでありますから、調査の完了を待って来年度に実施するかどうかということを確定したいと思っておりまして、必ず来年度から果樹共済を実施するということ、いまお約束はちょっとできかねますから、御了承願います。」それに私再びお尋ねをいたしまして、後段で、後藤政務次官が次のように御答弁をされております。「四十一年度から必ず実施するというお約束は確約はできませんが、大体その方向に向かって善処したいと思っておりますから御了承願いたいと思います。」これは一年前の十月四日の農林水産委員会における政府側の答弁であります。いまの答弁は四十一年度中に調査が済んで云々というふうに、一年ずれたような答弁のように伺いましたが、聞き違いであれば訂正するにやぶさかではありません。かねての予定どおり三十八年度から研究、調査をして、四十年度には調査は済んでおる。四十一年度からやりたいという、かなり前向きの当時の政務次官の答弁はあったが、なぜ四十一年度からできないのか。四十一年度からできなければ、一体いつからできるのか。衆議院における附帯決議は別といたしまして、私はその困難性をそれなりにわかっておるつもりであります。このことの実施の。しかしながらそれなりの、やはりいろいろな研究をやり、調査を完了した現段階では、もはやその実施時期を明確にする責任は、ただいま私の紹介いたしました昨年の本委員会における政府側の責任ある答弁からいって、当然なさるべきものと期待をしているのでありますが、ただいまの答弁はまことに誠意を欠く答弁であると言わざるを得ない。昨年の答弁よりは後退しておるじゃないか。こういうあわただしい審議の時間もないときに、そういう答弁で一体この果樹共済の法律だけはまあ通せばいいというわけにはいかんじゃないですか。一体その点は、果樹共済については、去年の十月に政務次官が答弁した以上の、実施時期について明確なる答弁をこれは求めます。  それから、いま村田委員が尋ねたことに触れない点がある。それは葉たばこの共済ということを言うておる。もとより、いま葉たばこは、公社自体の一つの所管事項になっておって、農林省としてはこの問題を提起されることは、いささか、あるいは困惑をされるかもしれない。私はこれは農林大臣に伺いますが、しかし、葉たばこを耕作する農民も、葉たばこだけでなしに、他のいろいろな作目を多角的に作付をし、総合経営をしておる。葉たばこはその作目の一つ部分に過ぎない。したがって、農家から見ますとですね、葉たばこは専売公社の所管であるからというて、それぞれの専門の指導員があり、いろいろな肥料の果てまで、上のほうで指定した銘柄のものを使わなければごきげんが悪いという出先公社職員の態度である。これは農家にとってははなはだ迷惑千万な話である。農林省で掌握をしておるいわゆる改良普及員、そういうものが、葉たばこといわず麦といわず大豆といわず、いろいろ総合的な畑作の改良普及指導をやらなければ、総合的なこれは効果が出てこない。そういう素朴な一つの問題点を農家は持っておる。そういう基本的なことをば、まあひとつ突破口を開く意味においてですね、農林大臣は、これは私は果樹のようにいつからどうなんて、そんな容易でないことを伺うつもりはありませんが、先進国の事例もこれあり、わが国においてもこの農業災害補償法の対象に、やがては葉たばこもその対象にして、これらの葉たばこの受けるであろう被害に対して、万全の措置を政府もとるという方向が、私は少なくとも十分御勘案あってしかるべきだと思うのでありますが、その点について局長の答弁がないわけでありますが、大臣はこの点は一体どういうふうに御理解をされておられるのか、これは国民のひとしく期待する問題の一つでありますから、その点についてもこの機会に明らかにしていただきたいのですが、果樹共済の実施の時期、昨年の十月の国会答弁よりももっと具体的な答弁あってしかるべきである。葉たばこについては一体大臣はどういうふうにこれを農業共済の一つの対象作物として考えられるであろうか。それぞれの御答弁を願いたい。
  74. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほど果樹共済につきまして私が申し上げましたのは、三十八年度から四十年度までかけまして、二十数点について実際の調査をいたしておりました。そこでその調査結果が出てまいりますのは、四十一年度、つまり今年の夏ごろ各県から出そろうことになるわけであります。先ほど申し上げましたのは、そういった調査結果を本年度よく検討いたしまして、他方、学識経験者にお集まりを願って、設計等について検討していただいておりますこととあわせて、本年度内に成案を得るように努力をしたい。こういうふうに申し上げておるわけで、あるいは、昨年の十月に政務次官からお答えをいたしましたことと食い違っておるのではないかといったような御印象を持たれたようでありますけれども、その間の事情については表現と、あるいは多少の差はあるかもしれませんが、進捗の予定等につきましてはそれぞれ差がない、こういうふうに考えております。  それから、葉たばこの点につきましてお尋ねがございましたが、事務的な点を、御案内のことと思いますけれども申し上げておきますと、たばこの専売の関係で、御案内のように、専売局のほうで、災害がありますれば補償をやっておるといったようなことがございます。まあそういうことでありますので、現在直ちに農業災害補償制度の中に取り入れるかどうかということは、そちらとの関連において検討をしなければならぬというふうに思います。ただ他の国におきましても、たばこは作物保険の一つとして実施をされておる例もございます。したがいまして、やるとなりますれば、先ほど来のような新種共済よりは技術的にはこなすことが必ずしもむずかしいことではなかろうと、こういうふうに思います。しかし、何ぶんにも他方の専売制度でやっておるといったようなこともございますので、そちらのほうと十分打ち合わせをして検討をしていかなければならないんではないかと、こういうふうに思っております。
  75. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 果樹については八月に成案がまとまるということですか。
  76. 森本修

    政府委員(森本修君) 本年の四月までの実際の調査が、各県で集計をされまして、本省において十分整理をするというのが大体本年の夏と、こういうふうに考えておるわけでございます。で、その調査結果と、先ほど言いました専門家に集まっていただきました果樹共済についての制度の考え方というものを両方総合いたしまして、私どものほうで成案を得るように努力をすると、こういうふうな段取りでございます。
  77. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 果樹についてこれだけ伺って、もう私はやめますが、そうしますと、総合結果を待ってこれは近々出ると、そうして専門家の意見を聞いて来年度から法律を出して実施するような姿勢にいま着々と進捗中であると、こう理解していいでしょうか。法律も出す、予算の裏づけも出す、四十二年度からスタートを切る。そのためにいままでのこれだけの歳月がかかっているんだと、終局は四十二年度からはやるんだと、やる意向でそれぞれ事務的に詰めをされておるんだと、こういうぐあいに内容的には理解して間違いがないんですか。
  78. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほど申し上げましたような段取りで検討をするわけでございますので、私どもの現在の目標としましては、できれば本年といいますか来年の通常国会でも法案が出せたらというふうなことで鋭意検討を進めているつもりでございます。
  79. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もう一つだけ大臣伺いますが、葉たばこは、専売公社で現実にいま賠償金の支払いをやっておる、二次的なものとしてこの共済の対象にすることも必ずしも至難ではない。しかし、大蔵省との関係もあるから、それらの調整等も必要だと、私はこれはかなり困難な問題だと思います。そうたやすいものではないと思います。したがって、そう事を急に私は期待するほうが無理だと思いますが、少なくとも同じ農家の同じ畑の作物の一つであるから、従来の専売公社の賠償金の支払いでは不十分であることは、大臣も御承知でありますので、いろいろなそれらの折衝を経て、やがてはこれも共済制度の対象になるのだということを期待しておるわけでありますが、そういうことについて大臣の御決意のほどをこの際伺っておきたいと思います。
  80. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 先ほど経済局長から御答弁申し上げましたとおりに、諸外国にも例もあることでもございますし、なかなか言われましたとおり困難な点もありますけれども、専売局ともよく交渉し、それらの点について十分ひとつ考えていきたいというふうに考えておりますから、御了承を願いたいと思います。
  81. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで具体的な問題に入っていきたいと思いますが、連合会及び特別会計の収支状況、出されました資料の中で若干触れてはおるわけでありますが、この収支状況についてもう少し詳しく知りたいと思います。で、私が与えられた資料でこのことを判断するわけでありますが、決して好ましい状況であるとは考えられないわけでありまして、もし好ましい状態ではないということであれば、その原因は那辺にあるのか、具体的なお示しをいただきたいと思います。なお詳細な計算書、これは別途資料がありましたら参考のためにちょうだいしておきたいと存じます。
  82. 森本修

    政府委員(森本修君) 家畜共済の連合会及び特別会計の収支の状況は、お手元にお配りしたような状況でございます。なお、これにつきまして多少詳細な資料はないかというお話でございますので、調製をいたしまして後ほどお出しいたします。  お手元にお配りしてございますようなことで、総体的に言いますと、連合会では三十九年度末の収支の累積の結果によりますと、黒字を出しております連合会が十、それから赤字を出しております連合会は三十六ということで、不足金が約十一億ということでございます。  それから特別会計のほうも、三十七年あるいは三十八年ころにかけまして収支の悪化を来たしておりまして、三十九年度末におきましては、十一億ぐらいの赤字であるということでございます。  こういうふうに収支が悪化してまいりました事情は、一つは加入が停頓をしておる、そういうようなことからいわゆる逆選択という傾向が見られるということが一つであります。それからもう一つは、多頭化の過程におきまして病症事故がかなり多くなってきておるといったようなことが第二であります。それから連合会につきましては、家畜診療所というのを直接経営いたしておりますが、家畜診療所の収支もかんばしくないというふうなことがその原因になっていると思うわけであります。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕  今回の改正によりまして、その点はどういうふうになるかということでございますが、加入の点につきましては、国庫負担の掛け金について国庫負担を増額するといったようなこと、あるいは需要に見合った事故の選択といいますか、そういうことが可能になるといったようなこと、あるいは従来の一頭加入制から包括加入制として原則として切りかえるというようなことは、かなり加入の点では向上が見られるであろうと思っております。そういうことがまたひいては事業に対する収支の面でも好影響があるだろうというふうに見ております。  それから事故の多発の点でございますが、これは今回の改正によりまして損害防止事業を強化するというふうなことでございますので、そういうふうなことを全国的にかなり統一した方針でやってまいりますれば、事前の病気の発見といったようなこと、あるいは手当を事前にやるというふうなことにもなってまいりますので、これまた事業収支に対して好影響があるだろうというふうに私どもは考えておるわけであります。  なお診療所の収支につきましては損害防止事業に対して国からの交付金を出すというふうな考え方でございます。その他、診療所の整備統合といったようなことについても財政的に援助をする予定になっております。両者合わせまして診療所の収支に対してもかなりな改善が見られる、そういうふうに思っております。
  83. 村田秀三

    ○村田秀三君 私がお伺いをしない面まで実はお答えをいただいたわけでありますが、しかし、それらの点は重要な部分でございますから逐次詳細にただすことにいたしまして、今回の改正がいわゆる事業の収支を好転させる、そういうことと関係あることは間違いのないこと、いま聞きました。そこで、その問題につきましても詳しくお伺いいたしますが、気になることを一つ申し上げるならば、事業の面だけを考えてこの事業が存在する理由、つまり飼養農家の経営の向上なり、あるいはいわゆる畜産の振興、そういう面がなおざりにされておるという、つまり本質的なものがどこかへいってしまって、そして事業の収支だけをめんどう見ればいいのではないかというような考え方が含まれているというところに、私は根本的な問題があるのではないかと思いますが、これは逐次やることにいたしましても、ただいま事業の収支について私は詳細にお伺いをしたわけでありますが、いまここで答弁をいただきましたのは出された資料だけであります。もしも本法案の改正が事業の収支に相当大きなウエートが置かれておるとするならば、事業の経営全体についてもっと詳細な資料提出して、そして審議をするというのが本来の姿でなければならないと思いますが、この点はどうでありますか。これは赤字十一億ありますからこうなりますというような、単にそういう問題だけで詳細な検討ができるのかどうか聞きたい。
  84. 森本修

    政府委員(森本修君) 事業の収支につきまして、まあ先ほど申し上げたことで数字的にはお答えいたしておりますのは、最終的な結論といいますか、総括表でございます。もちろんこれを分解をいたしますればもう少し詳細な、あるいは県別とかそういった数字がございますし、あるいは危険率がどういうふうに上昇をしてきたか、上がってきたかといったようなものも県別の数字はございませんけれども、危険率の数字などはお配りをしておりますところの資料の中に入っておるわけでございます。そういう点が、いろんな角度から御検討をいただくということは当然のことでございますが、要約をいたしますと、さっき申し上げましたような要因によりましてそういった収支の結果が出ておるということでございます。またそういう点についての手当てにつきましても、先ほど先走ったかもしれませんけれどもお答え申し上げた、こういうつもりでございます。
  85. 村田秀三

    ○村田秀三君 ただいまの答弁は、私の聞きたいことと全く違うようであります。先ほど申し上げましたのは、とにかく事業の経営に重要な影響を及ぼす法改正であるから、事業の収支というものは、単に赤字が幾らでございますという簡単なものではなくて、もっと詳細なもの——まあ私がこれは初めてであるから、なおさらそのように感ずるのかもしれませんが、実は各県別の危険率が幾らでですよ、本来なればそういうこまかい問題までも知りたいところであります。しかし、まあそういうこまかい問題は別といたしまして、つまり事業の現在の形態がどのようになっておるのかということを知らなくては、これは審議のしようがないわけであります。これは別途、先ほどの答弁の中にもありましたが、診療所の経営がうまくないとか、うまくないというのにはどういう理由があるのかというようなこともすべて書かれまして、そうしてこれに対しては現在補助金が幾ら出ておるけれども、これを幾らにしてもらわなければならぬのだというようなことまで含めなくては、これはやはり提案の趣旨というものは徹底しないのではないか、こう実は思います。しかし、その問題は先ほど申し上げましたように、事業の収支をもう少し詳しいものをひとつ別途いただくことにいたしまして、この点は追及をしないということにいたしたいと思います。  これは再度念を押すわけでありますが、今回の改正の主要な部分というのは、これは包括引き受け方式でありますか、その点と、国庫補助率の問題でありますね、これは多頭化はいいんでありますけれども、私が見たところではその二点がきわめて主要な部分である、こう理解をいたしておりますが、この提案というのは、先ほども申し上げましたように、いわゆる事業会計の収支を改善するという、そういう意味であるかどうか。あるいはこれは飼養農家の利益のためなんですよということが明らかに言い切れる面を持っているのかどうか、そういう点についてお伺いしておきます。
  86. 森本修

    政府委員(森本修君) お尋ねがまず事業収支に対する影響ということでございましたので、事業収支の面からお答えを申し上げたのでございますが、もちろん今回の制度改正をいたします私どもの感じとしましては、加入をされる農家が十分利用できるような、利用しやすいような保険制度に改正をしていくという点が主眼点でございます。特に現在農家側から現在の制度に対しまして不満だというふうにされております点は、一つは掛け金負担が高いというふうな点がございます。それから二つには、保険の現在予定をいたしておりまするいわゆる死廃病傷一元下のもとにおける給付方式が必ずしも地域により、あるいは経営によって需要にマッチしないというふうな点が第二に指摘されております。それから第三には、特に病傷の給付でございますが、病傷の給付が従来のような事故率の限度を画するやり方では農家側にとって利用上不便であるという点が第三点として指摘をされておったわけでございます。主として農家側から不満とされておりましたのは以上のようなことでございますが、そういう点につきましては先ほども申し上げましたように、今回の改正によりまして包括加入をします農家には、病傷部分について従来は掛け金の国庫負担がありませんでしたのを、新しく病傷についても掛け金の国庫負担をするということ、それから総合いたしまして、従来の国庫負担率よりは上げていくというふうなこと等を通じまして、直接的に掛け金の農家負担が軽減されるというふうな方向を意図しておるわけでございます。なお、長期的には、保険のことでございますから事故率が上がってまいりますと、掛け金率が上がってくる。そういうふうなところから、農家の掛け金負担が増加するという面もございますので、先ほど申し上げましたように、事前に傷害の防止事業を強化いたしまして、できるだけ事故率が上がっていくのを防止するということもまた農家負担の軽減につながるであろう、そういうふうに考えております。  それから第二点の、需要と給付が合わないという点は、今回の事故の選択制ということによりまして、客観的に見て事故の除外が適当であるというふうな農家に対しましては、現在の事故の中から一定のものを農家が自主的に選択をし、除外をする。除外をいたしますれば、それに見合った掛け金が割り引きされる、そういう制度を新しく設けることにしたわけでございます。それから給付の点は、従来事故ごとに制限がございまして、かなり重い病気にかかった場合には十分治療をすることができないという不満が一つございました。今回は事故ごとの制限をやめまして、年間の給付の制限ということにいたしました。そういうことにしますならば、重い病気にかかったときでありましても、徹底した治療が可能になるということになるわけであります。なお、従来の不満の一つは、多くの家畜を二戸の農家が加入しております場合に、一頭について相当な料金になります場合、他の健康な家畜の給付の限度が両用して使えないということが、これまた不便だという大きな理由でございました。で、今回は農家ごとに、多頭飼養の農家に対しては給付限度を設けるということになりますので、そこで一頭の家畜が重い病気になりましても、他の健康な家畜の診療点数の限度をつくって、十分な治療に専念できる、そういうふうなことにもなるわけでございます。  以上、農家側から見まして、今回の制度改正についてこういう取り組み方をいたしておるのであります。
  87. 村田秀三

    ○村田秀三君 飼養農家が利益する面、いま改正要点についてお伺いをいたしたわけでありますが、それはそれでけっこうでございます。部分的には後ほどまた触れたいと思いますから……。  ただ、私が申し上げました中で、飼養の経営改善にも効果があるのではないか、こういう言い方をしたわけでありますが、それについては、先ほどは、若干それに触れられたような答弁がありましたけれども、いまはなかった。なかったのですけれども、しかし、そういう面も考えておることは間違いないと思いますが、いかがですか。
  88. 森本修

    政府委員(森本修君) いま私が申しましたような観点から改正を考えたわけでありますけれども、事業収支に対しましては、先ほど申し上げましたような観点から、結果的にはかなり好影響が出てくるであろう、こういうふうに実は思っておるわけであります。
  89. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで私は、この事業収支、それから具体的に制度の改正というものが飼養農家の利益になるのかどうか、こういう二面からいろいろとお伺いをしていきたいと思っておるわけであります。というのは、私が申し上げるまでもないと思いますけれども、この関係というものは、いわゆる相関関係を持っておるのではないかと思います。どちらが先、どちらがあとということではないと思います。したがいまして、いろいろと農家がこの改正によりまして利益される面につきましての概略はお伺いをいたしましたが、いわゆる事業収支改善のためにはどうすればいいかという基本に触れてお伺いをいたしてみたいと思います。先ほど局長の答弁の中に、どうも事業収支が芳しくないということは、幾つかの例をあげまして、加入の停とんがあるのだということが出てきました。そうして今後の対策としましては、加入の促進ということも考えられるであろうということを言っておりましたが、この加入の停とんの原因、これについてひとつお伺いをしたいと思います。
  90. 森本修

    政府委員(森本修君) 加入の停とんの理由は、加入率をごらんいただきますと、まあ馬のほうは七割以上、それから一般の和牛が七割弱、それから乳牛が五割弱、現在こういうふうな加入率になっております。特に乳牛について、加入の状況が停とんしておるということであります。その大きい理由は、乳牛のほうは、御案内のように、多頭飼養化の傾向にございまして、多頭飼養農家が必ずしも持っているところの家畜を全頭共済に加入せしめないというようなことが大きな理由であろうというふうに思っておるわけであります。今回そういうふうな点につきまして検討をいたしました結果、やはりそういった乳用牛についての加入の状況を示しますのは、加入頭数と習いますか、飼育頭数がふえますとどうしても掛け金の負担が高いという感じが強くなるというふうなことで、多頭飼養農家の一部加入の現状を改善していくには、国庫負担をそういう面において増額をする必要があるということで、特に飼育頭数の規模に応じて国庫負担を逓増するというような方式を今回考えたわけであります。それからまた乳牛につきまして、加入が芳しくない理由としまして、先ほど申し上げましたように、乳牛の飼養農家の中には、地域により、経営により、一定の事故について必ずしも経営上リスクを見ないというような経営も出てきております。あるいはまた、かなり乳牛についての飼養の経験を積んで、事故発生についても自信を持っている、そういうような農家もあらわれてきているわけです。そういう農家に対して画一的に死廃病傷全事故を共済の内容とするような保険に加入を強制することが実態に合わない。また掛け金もそれに応じて支払わなければならないというような事情でありますので、そういった一部の地帯なり、経営の農家に対して、現行制度の方式が必ずしもマッチしないという点が大きな加入上の障害になっているのではないか、こういうふうに思われるわけであります。そういう点から、事故についての選択制除外を認めるというふうなことにいたしたわけであります。それらの点を改善いたしますれば、かなり加入につきましても好影響があるだろうというふうに思っておるわけであります。
  91. 村田秀三

    ○村田秀三君 マイクのないところに少し雑音が入りますし、声も小さいようなので、ちょっと聞き取れないところもありますから、質問が重複する場合もあるかもしれませんが、それは御了承をいただくことにして、確かにいま局長が申されたように、配付をいただきました資料によりましても、加入頭数というのが非常に少ないわけです。私も実はとれはこの資料を見まして意外であったわけでありますが、一般にこれは人間の場合と動物の場合、例になるかどうかは別問題でありますけれども、普通任意団体が共済事業を行なうときには、大体加入率を八〇%以上に押えないとその収支というものは危ぶまれる、こういうことになっておるわけです。この四九・四%というのは、これは乳用牛のことでありますけれども、私も非常にこれは少ないと思う。そこでお伺いをしたいのですが、これはむしろ事務的なことでありますけれども、使用戸数とそれから加入戸数、これは動物の頭数だけではなくて、戸数の問題について幾らか聞いてみたいと思います。と同時に、それに関連をいたしますが、多頭飼育化が進むと言われておりますが、有資格牛の場合と加入牛を比較いたしますと、四九・四%ということになると、大体二頭に一頭ということであります。したがいまして、これはいろいろあると思うのですが、二十頭、三十頭飼っておるところが二、三頭で間に合わしておるという例があるのかないのか。実はそういう点について伺いたいと思ったのです。
  92. 森本修

    政府委員(森本修君) 乳用牛について申し上げますと、飼養戸数に対して加入戸数の割合が約八〇%ということになっております。それで先ほど言いましたいわゆる頭数加入率が五割弱であるということでございますので、二月の農家で数頭飼養しておりましても、保険に加入する場合は必ずしもそれ全部を入れない、いわゆる一部加入といいますか、自己の飼養している家畜について一部を共済に加入するという傾向がかなり最近目についてきておる、こういうことでございます。
  93. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、これは二頭のところを一頭加入ということではなくて、これは一頭のところは大部分加入しておるけれども、相当大量に飼育しているところのほうがむしろほんの一部きり入っておらない、こういうことを物語っておるということになりますね。それはわかりました。そこで聞くのですが、これは私しろうとだから聞くということになりますが、多頭飼育の場合、そのうち一部が加入をしている。そうすると、耳にしるしをつけるとか、鼻にしるしをつけるとかいう話はきょう実は聞いたわけでありますが、その共済の対象の動物というのが固定をしておるものと理解をするわけでありますが、固定された動物と加入をしないいわゆる動物と混同されて運用されているという実態があるのかないのかということについて伺いたい。
  94. 森本修

    政府委員(森本修君) 一戸の農家で、数頭ございまして一頭ないし二頭しか入らないというふうな場合には、その加入をいたしますところの家畜の特色をちゃんと帳面に記帳いたしまして、どの家畜が入っておるということが確認できるような仕組みを事務的にはとっております。しかし、いま第二の御質問の、その間に保険の扱い上混淆はないかという点でございますがたてまえといたしましては、いま言いましたようなことでわかるようにいたしておりますけれども、末端におきまして、そういう点について混淆があるというふうなことも、何といいますか、ときどき私どもも耳にいたすわけであります。しかし、できるだけそういうふうな点についても事務上のたてまえを貫くように厳重な指導はいたしております。
  95. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで、こう見てまいりますと、まあ大部分の飼養農家は加入はしておるけれども、現実、頭数において半分である、半分以下であるということは、何かしら欠陥を持っておる。欠陥の理由は先ほどいろいろ聞きましたが、これは魅力がないということですね。魅力がない、掛け金が高いとか、いろいろあるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、加入頭数を増加させることが、これは事業の収支面からいってきわめて重要なことである、こういうことだけははっきりしておるわけでありますね。これはお答えをいただかなくても当然のことであります。先ほどもそれには触れておったのでありますから。  論点を変えまして、先ほど事業収支の改善には危険率の低下が必要であるということを申されたわけであります。損害防止事業を充実するというようなことばも言っておられましたけれども、その点についてもう少しく詰めてみたいと思いますが、この危険率を見ますると、三十五年と三十八年を比較してみまして飼養頭数が相当にふえておる、そしてまあ加入頭数ももちろんふえておりますけれども、いわゆる事故率を見ますと、死廃病傷それぞれ、その使用頭数の増加の傾向よりも高くなっておることがお配りをいただいた資料だけでも見られるわけなんですね。そこで、それはどういうわけかという疑問を私持つわけでありますが、その点をひとつお聞かせを願いたい。と同時に、いわゆる有資格頭数と無資格頭数があるわけでして、この表に出ておりますのはこれは有資格頭数の分のみこの事故率が掲載しておる、しかし、これは加入をしておらない牛や馬であってもおそらく死廃病傷にはかかっておることは当然でありますから、加入をしておらない家畜のいわゆる危険の度合いといいますか、死廃病傷の比率、この無資格と資格を対照してみたいと思いますが、その資料がありましたらお出しをいただきたいと思います。
  96. 森本修

    政府委員(森本修君) 事故率が上がってまいりました乳用牛を例にとって言われたと思いますが、事故率が上がってまいりましたのは、やはり一つは多頭化の過程におきまして、農家のほうで飼養技術が必ずしも十分でないといったような関係がございまして、そういう飼養経理技術の未熟という点が一つあると思います。また繁殖障害等が事故の種類としては多いわけでございますが、こういう点につきましては自給飼料あるいは購入飼料の給与のあり方といったような点、端的にいいますれば購入飼料が多投されるといったような点も事故率が上昇をしてきておる一つの要因ではなかろうか。また保険の関係でございますが、ここにあります危険率というのは、実際に保険の給付をいたしましたものが実績としてあがってくるわけでございますので、保健所の診療にかかる事前に事故を発見をいたしまして予防をするというふうなことをいたしますれば、ここの保険上のいわゆる危険率というのは好転するというふうな関係になりますので、事前の損害防止事業が各県で、あるいは共済の関係であれば各連合会、組合が自主的にやっておるわけでありますが、そういう点が必ずしもまだ十分ではなかったというふうな点も危険率をこういうふうな傾向にした一半の原因ではないか、こう思っております。なおここの危険率の数字は共済に加入をしております家畜の数字であります。共済に加入をしておりませんものは実はこういう形で統計が出ておりませんので、残念でございますけれどもこういった形での統計数字は現在のところわかりかねるわけであります。
  97. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで問題が二つあると思うのですが、有資格者の加入をしないものの事故率ですか、これをお伺いしたのは、先ほどの飼養戸数対加入戸数、この問題が関連してくると思うのですが、おそらく私の推定——これは想像に類するわけでありますけれども、いわゆる未加入頭数の事故率というのが現実問題として非常に低いのじゃないか。ということは、いわゆる保険をかけておらないけれども事実上保険対象になったと思われるような節がある。したがって、これは包括加入という問題にこれはなるのでありましょうけれども、そのことは一応認めながらも、ここで問題があるわけでありますが、この包括主義になります場合に——これはほんとうに農家に行きまして私この問題について聞いたわけでありませんからわかりませんが、あとの問題にも触れますけれども、魅力がないのにこれは強制的に加入をさせられるというような傾向、ないしは、いままで加入はしておったけれども掛け金が高いので今度はひとつ御遠慮申し上げましょうというようなかっこうが出てきやせぬかというのが一つあるわけであります。これはまあどうも業務の具体的な問題でありますから、後ほど若干触れてみたいと思いますが、この事故率の防止、先ほど損害防止事業を進めるということを言っておりましたが、それをひとつ具体的に知りたいと思います。冒頭申し上げましたように、どうもこの損害防止事業を進めると言ってみてもその具体的なものが出てこないわけでありますから、いわゆる事業の経営がそういう問題も含めてどのように進められておるかという資料は何一つないわけでありますから、本来審議はできないわけでありますから、そういう点をひとつ聞いてみたいと思います。
  98. 森本修

    政府委員(森本修君) 損害防止事業の考え方なりやり方でございますが、損害防止事業を私どもが考えておりますのは、一つは対象の疾病を、病気を何にするかということ、それから損害防止事業の実施方法をどういうふうに考えていくかということ、それから損害防止事業の対象頭数をどういうふうに考えていくかというふうなことが骨子になると思います。  以下そういう点について要点を申し上げます。  まず対象になる疾病でございますが、これは現在病傷なり死廃事故が多発をしておりますところの事故の原因になる疾病を重点にしてやっていきたい。たとえば乳用牛につきましては、先般も資料説明で御説明いたしましたように、繁殖障害なり代謝障害、金属異物性疾患あるいは肝蛭病、そういうものがきわめて事故の原因としては多いわけであります。また一般的にそういう疾病が多発をしておる傾向にございます。それから肉用牛につきましては金属異物性疾患あるいは肝蛭病。馬については代謝障害、骨軟症といったような重点的な事故防止対策の疾病にしていきたい、そういうふうに思っております。  それから第二点の、具体的な実施の方法でございますが、まず農林省から各連合会に対しましてあらかじめ実施の頭数なりやり方について大綱をお示しする、それに基づきまして連合会から具体的な実施計画を出していただく、それに対して農林省が承認をするというふうなことで、全国的に統一をとった方法で重点的にやっていきたい。それから具体的な実施のやり方としましては、実際に担当をしていただきますのは、共済関係の診療所の獣医師のほかに一般の関業獣医師についても広く参加を願いまして損害防止事業を計画的にやりたい。また単に検診だけではなしに、発見をいたしまして応急的な措置をしなければならぬというふうな場合があるかと思います。そういうことについても応急措置をあわせて実施していくということを考えております。  それから対象頭数でございますが、乳用牛、肉用牛、馬それぞれ病気等によって特色がございますので、あるいは画一的にはいかないかと思いますが、現在考えておりますのは、延べ頭数にいたしまして一年間に百九十万程度損害防止事業の対象にしていったらどうか、こういうふうに思っております。  以上、大体の要点でございますが、損害防止事業の考え方について御説明申し上げました。
  99. 村田秀三

    ○村田秀三君 いまお伺いしたのは損害防止事業についてでありますが、県ですね、地方自治体、公的機関——ただいまいろいろ説明をいただきましたものはまあ民間対象ですね。したがって、公的機関のこの種の施設、それとどう関連させようとしておるのか、現実問題として関連しておるのかどうか、そういう点ですね。それからあと早期発見云々ということを言われましたけれども、定期的に計画的に検診をするというような状態になっておるのかどうか。この点も含めてお伺いをいたします。  時間がありませんから意見を差しはさむわけでありますけれども、もしそういう状態になっておるとすれば、私一番疑問を持つのは、やはり三十五年と三十九年度を比較いたしまして事故発生率が高くなっておる。これは大体肉用牛でさえも飼養頭数は減っておりながらもいわゆる〇・二%増加しておるということになっておるわけであります。非常に疑問を持つわけです。少なくとも畜産振興であるとか酪農振興ということを言われて去りながら、いわゆる飼養技術というのがさほどに低下をしておるのかどうか、こういう点について非常に疑問を持つわけでありますから、その点も含めてお答えを願いたいと思います。
  100. 森本修

    政府委員(森本修君) まず第一点の、県なり、あるいはそういった公共団体との関連調整をどう考えていくかという点でございますが、もちろん先ほどお答えをいたしましたのは、共済関係の進め方の概略をお答え申し上げたわけでありますが、いずれにいたしましても、家畜の事故を防止するという点は、いわゆる畜産行政との関連をきわめて密接に保っていかなければならないことは言うを待たないわけでございますので、実際に県段階におきまして事業を実施するときにおいても、県のしかるべき担当部局と十分連絡調整をして進めていくように考えておりますし、中央でも私どものほうと、端的に言いますれば、畜産局とよく相談をいたしまして、その間にそごのないように緊密な連絡をとっていきたい、こういうふうに考えております。それから事故の防止のやり方で、定期的に集団検診といったような方法であるかどうかというお話でございますが、従来、共済の関係だけについて申し上げますならば、必ずしも全国各県におきまして、定期的に集団検診をするというふうなことにはなっていないわけであります。もちろん手厚くやっております県もございますし、あるいはその件について必ずしも十分でない県もあるわけであります。そういうことでありますので、今回はできるだけ統一した方法で損害防止事業をやっていきたいというのがこの趣旨であります。やり方としても、定期的に集団検診をやるし、また応急措置もそれに対して必要なものは加えていくと、こういうことになるわけでございます。
  101. 村田秀三

    ○村田秀三君 ここで希望しておきたいと思いますが、間々なわ張り根性というのがありまして、同じような仕事をするにもかかわらず、同じ農業団体の中でも、いわゆる家畜共済は家畜共済というような傾向がこれはなきにしもあらずだと思うんです。そうではなくて、同一の目的であるならば、公的機関ともよく連絡をとりながら、それぞれの持つ予算を効果的に活用する、そういうたてまえの上に立ちまして、いわゆる病気になったから来てくれ、医者にかかった、手術料を払ったと、こういうようなかっこうよりも、これは定期的に集めてやるというよりも、回って一頭ごと指導をしながら、飼養の指導をしながらやるということになれば、これは一番念入りなわけでありますけれども、少なくとも畜産指導と、それから健康管理を含めて定期的に巡回をして、そして対処できるような制度が考えられるべきではないか、こういうことを実は思っておりますので、これは希望として申し上げておきたいと思います。  次に、防止事業の中で、診療所の問題が非常に重要視されておるようであります。これは獣医師の問題であるとかいろいろあるとは思いますけれども、これを効果的に活用せしめるために何らかの補助をしなくてはならぬというたてまえに立って、衆議院のほうでも附帯決議がなされたようでありますが、その補助をするのかしないのか、この点について、お伺いをしておきたいと思います。
  102. 森本修

    政府委員(森本修君) 家畜診療所につきましては、先ほど申し上げましたように、収支が必ずしもよくない県が相当ございます。その収支のよくない理由といたしまして、一つは、家畜の分布と診療所の所在が必ずしも十分マッチしていないというふうな点があるのでございます。それからもう一つは、やはり加入家畜が少ない、総体的に少ないというふうなことで、必要な技術料収入が十分確保できないという点がございます。それからまた、診療所のほうでは、診療のみでなしに、先ほど言いましたような損害防止事業といったようなものも従来自主的にやってきたわけでございますけれども、そういう部分についての収入が必ずしも確実に入ってこないというふうな要因が多々あったわけでございます。第一点の、診療所と家畜分布との調整は、現在私どものほうでは診療所の整理統合ということで、できるだけそういう点にマッチしたようなことで診療所が整備されるように、国のほうでも何がしかの助成金を出して進めつつある段階でございます。第二点の、技術料収入については、先ほど来申し上げておりますように、加入家畜が加入増加をするということになりますと、必然的に技術料収入も増収になるというふうなことが見込まれるわけであります。それから第三点の診療以外の事業に対する収入は、損防の交付金を来年度から交付をするということで、できるだけその予算の確保について努力をしたい、またそれを出すということは、今回の改正案に法律上明記をいたしているわけであります。そういう点からいきますれば、診療所収支に対しても、できるだけ私どもは努力をしたいところであるということが御了解をいただけると思うわけであります。
  103. 村田秀三

    ○村田秀三君 衆議院の附帯決議を見ましても、けちをつけるわけじゃありませんけれども、私がいささか疑問に思いましたのは、診療点数を再検討せよということが書いてあります。私はこれは問題だと思うわけであります。まあ、診療点数の引き上げということに——改善という意味は引き上げも含めて考慮せよという意味ではないかと思いますが、かりに引き上げられるとすればこれは当然飼養農家にはね返りがくる——もちろん部分的には共済負担ということになるかもしれませんが、これははね返ってくるわけでありますから、そういうものではなくて、少なくとも法の目的が農業災害補償でありますから、そういう立場に立ちまして、これはやはり点数を上げるという考え方ではなくて、あくまでも事業の効率的運営と同時に補助率の引き上げ、こういうことから考慮を進めていただきたい、このように希望を申し上げたいと思います。  そこで、今度は少しく事務的な問題についてお伺いをしてみたいと思いますが、ともかく本来なれば、実は包括引き受け方式になった場合ですね、どのようになるのか、つまり引き受けの契約の形態から、それから掛け金の状態、これはおそらくふえるものと私は思いますが、まあ事故率の問題は、にわかにこれを低下するというわけにはまいらぬかもしれませんが、少なくとも先ほどいろいろと論議をしてまいりました事業収支の改善には、加入促進が必要なんだという、その加入促進には非常に効果をあらわすものと私は考えているわけであります。したがって、その内容をですね、本来なれば詳しく聞いてみたいところでありますけれども、時間がありませんので簡単にできるならばお答えをいただきたいわけであります。なお、それ以外に構想するところがあれば、別途指導していただきたいとは思いますが、特に私が聞いてみたいと思いますことは、保険計数からいうならば、加入頭数がふえたということ、これは掛け金率は今後二年間据え置くような前提になっておりますから、特に私は言うのでありますが、加入頭数がふえれば掛け金率は低下をして、掛け金負担は、少なくとも一頭ごとに計算をするならば、現行よりも相当に下がらなければならないという問題が出てくると思うのです。その辺のところどのようになるのか、ひとつ伺っておきたいと思う。
  104. 森本修

    政府委員(森本修君) 第一点は、引き受け方式の改正の内容という点でございますが、従来は、先ほども申し上げましたように、一頭ずつ加入するということでありますから、たとえば一戸の農家で従来の飼養頭数よりも本年は頭数がふえるというふうな場合には、共済に加入をしようと思えば、新しくふえました家畜について新たに加入の契約をする、またそれに見合った掛け金を新しく増加して支払いをする、そういうふうな手続によって加入ができるということになるわけであります。今回の農家単位の包括引き受け方式ということになりますならば、農家単位に家畜種類ごとに包括的に共済関係ができておるわけでありますから、ある農家が飼養家畜がふえたというときには、単にふえたという通知をすれば、新しく飼養することになりました家畜についても当然に保険に加入をしておるというふうな状態になるわけであります。もちろんその際に掛け金を支払いをする場合もございますし、掛け金をその一頭分について支払いをしなくても、少なくとも保険関係だけは成立するというふうなことにするつもりであります。ただそういうふうに新しく掛け金を支払いませんと、全体についてやや薄まったような形になりますので、できれば追加の分についても掛け金が追加して支払われるほうがいいのではないかというふうには思っておりますけれども、少なくともそういうことがなくても新しい家畜について共済関係が成立するというふうなことに内容としてはなるわけであります。  それから危険率について、そういうふうなことで加入が増加いたしますればどういう影響があるかという点でございましたが、計数的にはなかなかこれをあらかじめ予測するということはむずかしいのでありますけれども、もちろん先ほど来申し上げておりますように、加入頭数の比率がふえてまいりますれば、当然に事故率は低下するであろうということをわれわれは期待をいたしております。そういう関係もございまして、できるだけそういった実績を掛け金率に反映したいということで、料率の改訂期間も今回は短縮する、できるだけそういった実態を反映するために料率の改訂期間を短縮するというふうなことを考えておるのであります。
  105. 村田秀三

    ○村田秀三君 料率の基準を出す機関を短縮するといいましても、これは実施後二カ年ということでしょう、四十二年の四月一日以降二カ年間ということではないですか、そういうことですね。そうしますと、いま六月でございますから一年間というわけにはまいりませんけれども、少なくともこの間三カ年あるということには間違いない。で、私はずいぶん素雑な提案だと思うのですが、もしも包括加入方式を採用して、そうして全頭数が加入をしてくれるとするならば、事業の経営形態、つまり事務系統の、管理系統のその部分は別といたしましても、危険率もまた現行のままであると仮定いたしましても、掛け金は幾らになりますという計算が当然出てこなくてはならないと思うのです。かりに来年の四月一日にこれを施行したといたしましても、いわゆる掛け金はいままでと同じであって、そうして、二年間はいわゆる全部入ったとするならば、掛け金はいままでよりも高くなりますよというような状態であれば、そう簡単に、私は入りますというようなかっこうにはなってこない。したがって、これは当然に八〇%加入のときには、事故率が何%のときには幾ら幾らの掛け金で済むようになりますから、みんなで一緒に努力をしようじゃありませんか、政府としてはこのような手当てをいたしますよ、こういう理解のいくようなやり方を、進め方をしない限り、これはやはりいつまでたっても同じ状態になるのではないか、これは相関関係を持っていると思います。その点を私は明らかにしていただきたいと思ったわけですが、今後一年間の準備期間の中でそれはできますか。
  106. 森本修

    政府委員(森本修君) 包括加入方式と掛け金率の関係でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもでわかっておりますのは、加入家畜についての事故率の従来の実績であります。未加入の家畜については、これは調べればということでありますけれども、なかなか保険の料率の設定に織り込むような形での計数は出しにくいというふうに事務的に思っております。そういう関係でありますから、掛け金率としては手づかみで計算をするわけにもなかなかまいらない性質のものでございますので、できればそういう制度の実績が出たところで、掛け金率に反映していくということで運営をいたしたいと思っておるわけであります。そういう関係から、従来は四年ごとに掛け金率を改訂しておりましたけれども、原則としては三年で、制度の発足当時は二年間というようなことで、できるだけそういった実態を早く料率に反映さしていきたいということを考えておるわけであります。
  107. 村田秀三

    ○村田秀三君 その点私は不可解だと思うわけであります。それは、確かに実際に実施をしてみなくてはわからないということはあるにせよ、これは八〇%加入確保できるならば、その他現行のままの制度であっても、料率は幾らにすることができますよということが、これは直ちに出るはずであります。そうしますと、それをもとにして、つまり、いわゆる加入促進をはかっていくということ、加入促進ということはどういうことでありますか、法律がある、法律があるから皆さん入りなさい、入るのが義務じゃありませんか、というようなかっこうでは、これはだれも入らないわけであります。いわゆる農家の方々が全体寄り集まって助け合っていくのだというような思想的な、運動的なものがなければ、これは成功しないと思います。今日までわずか四九%だというのは、実際問題としてそういう面が欠けているからではないかと思うのでありまして、どうしても、やはり今後の三年間の間に、料率を決定するなどということを言わないで、加入率八〇%になりますと、これだけの掛け金ですむようになります。もっと魅力のあるものになりますというようなことが説明できるように、この算定はもっとすみやかにやっていただきたい、こう思います。  次に、飼養頭数区分による国庫補助でありますが、中身についてはいろいろと聞く時間もございませんから、資料によって私が考えた面だけをひとつ質問をしたいと思いますが、いろいろと分類をしたのはどういうわけでありますか。
  108. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほども申し上げましたように、特に乳牛につきまして、頭数区分に応じて国庫負担率をかえていくというふうなことをしたわけでありますが、それは従来の加入の実績、状況を見ますというと、多頭化の程度が高いほど加入率が悪いという調査のデータがございます。そういうふうなデータによりますと、三頭以上飼養農家、それから六頭飼養以上というふうな農家につきまして、それぞれ加入率がかなり低減もしておるというふうな点が一つでございます。それから、何といいましても飼養頭数が多くなりますというと、共済に入ろうとすれば掛け金負担の絶対額も頭数に応じて多くなるというふうなことは事実でございますので、そういった関係も考慮いたしました。また、時に六頭以上の飼養農家につきまして、掛け金の国庫負担を一番厚くしたという点は、酪農の近代化計画というふうなものによりましても、最も育成すべき規模であるというふうなことになっておるというふうな、政策的な観点からも十分検討いたしました。以上申し上げましたような三点の要素を十分勘案をして、お示しいたしましたような頭数区分に応じて国庫負担率を調整する、そういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 村田秀三

    ○村田秀三君 実は私は単純に考えまして、畜産政策の方向が多頭化を示しておるということで、このような区分をしたものと即断をしておったのです。ところが、いま聞きますると、これは先ほども若干出てきておりますが、多頭化の傾向ほど加入率が少ない。だから、畜産の方向性を指示するということもあるけれども、いわゆる加入促進のためにこうやるのだということは、結果的には入りたくないものを強制的に入らせるという意味を持っていやせぬかという気がするわけです。したがって、実際は包括加入方式というものは、現状と、飼養農家の立場からするならば、幾らか逆行するものがあるのではないか。これは事業の面からは好ましい現象ではない、こういう結果が出てくるような気がしてしかたないわけであります。それはさておきまして、きわめて重要な問題でありますが、それはいまここで差しおきますけれども、本来、共済に一頭ごとに国庫補助というものの考えをしていいのかどうかということなんです。少なくとも共済事業であります。これが災害補償という立場に立つ共済である限り、なおさら私はそう思うのでありますが、これは全部平等に扱うべきじゃないかという意見を持っておるのでありますが、この点はどうでありますか。
  110. 森本修

    政府委員(森本修君) 入りたくないものを入れるためにというのも、ちょっと私どもとしてはどうかと思うのでありますが、現在の共済制度のあれからいきますと、万一の事故があった際には、共済に加入をしておりますと、死亡したり廃用になった場合には、共済の関係から保険金がもらえる。病気になりましても、その診療費はほとんど自己負担なしに医者にかかれる、こういうふうな制度でありますので、相なるべくは、農家のほうで自主的に共済に入っていただくことを念願をいたしているわけであります。しかし、現実には、御指摘のように、加入率は必ずしも良好ではないということでありますので、できるだけそういった加入状況、入りたくても掛け金の負担が高いので入りにくいという農家に対しまして、国庫負担を厚くして、できるだけ農家負担を軽くして、共済関係に入れるように配慮していきたいというのが今回の制度改正の趣旨であるというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。
  111. 村田秀三

    ○村田秀三君 なかなか了解はしにくいわけでありますが、先に進むことにいたします。  次にお伺いしたいのは、私の質問に、私の誤解している面があれば訂正をしていただきたいと思いますが、共済金額、これは家畜の価額の、これは包括方式でいえば総額ということになりますが、百分の八十が共済金額ということであります。それから事故が発生をいたしまして、共済金額を支払う際は、これは共済金額全額支払いをされるのでありますか。
  112. 森本修

    政府委員(森本修君) 共済金額は、農家が実は自主的にその共済金額を選べるということになっておりまして、ただいまお話のありました八〇%というのは、家畜の価額に対して八〇%までが限度だということになっているわけであります。したがいまして、事故が起こりました際の保険金なり共済金の額は、農家が選びました共済金額がそのまま保険金としていくというふうに御理解いただきたいと思います。
  113. 村田秀三

    ○村田秀三君 その点わかりました。  それでは時間もだいぶ経過をいたしますので、具体的な問題としましては、私はこの程度で終わりたいと思いますが、今回の制度改正、家畜共済の全体を見てまいりますと、やはり加入頭数のこれは増加、今回制度改正をされましても、いわゆる政策的な問題はまだ解決されていないわけでありますから、全部が加入する問題にはなかなか発展をしないわけでありますから、したがいまして、どうしてもこの事業の収支改善、合理的な運営をはかるためには、加入の促進、これがまず先決である。と同時に、もちろんこれは加入農家に魅力を与えるためには、掛け金を少なくして給付を多くするという、その姿が常識的に出てくると思うのです。そのためには、事故率をやはり軽減をするようにしていくということ、これは先ほど来いろいろ御答弁をいただきました。私も申し上げたつもりでありますけれども、そういうような具体的な手当てをしていって、そして初めて効果をあげることができるものと理解をするわけでありまして、機械的に単に包括方式にすれば事業が改善されるというような簡単な気持ちではなくて、飼養農家の立場に立って、そうしてすべてを考える、こういうことであるならば、これは補償制度であるならば、当然国家負担というものはもっともっと大幅に支出されねばならないわけでありますが、今日とられておる共済の範囲で考えたといたしましても、いわゆる、また、いってみまするならば、補助金、補助金というよりも、もっともっと別な問題がたくさんあるんではないかという点も見受けられないわけではないわけであります。したがいまして、そういう点につきまして今回の法改正を契機にいたしまして、遺憾なきように心から期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  114. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は村田委員質問となるたけならば重複しないように質問をしていきたいと思いますが、先ほど村田委員もお話がありましたように、審議期間というものがまことに少ないので、ある程度やむを得ず重複する点もあると思うのでありますが、御了承願いたいと思います。  この法律案の要旨は、私がいまさら申し上げることもありませんが、引き受け方式の改善、共済事故の選択制の創設、共済掛け金の国庫負担方式の改善、異常事故に対する政府の再保険責任の強化、損害防止事業の強化、病傷給付方式の合理化というふうになっておるように思えるのでありますが、いま村田委員のほうから最後のほうに、包括引き受け方式のことで、掛け金のことでお話がありましたけれど、私が包括引き受け方式のことを、これをやるようにしていくならば、相当掛け金も大きくなってくる。そうすると農家負担というのも多くなってくる。そうすれば当然これは一括して払い込むんではなくて、分納してその掛け金を払い込んでいくようにしていくように考えてあげるのがほんとうの法の共済の精神に沿うものではないかと思うんですが、まずこの点からお伺いしていきながら進めたいと思います。
  115. 森本修

    政府委員(森本修君) お説のようなことでございまして、包括引き受け方式ということになりますと、掛け金の一戸当たりの絶対額もかなり多くなる。従来よりは多くなるということになろうかと思います。したがいまして、一時に掛け金を支払うということは、負担の関係からいきましても、あるいは農家の資金繰りというふうな関係からいきましても、むずかしい点があろうと思いますので、私どもは改正制度の実施にあたりまして、そういった関係でかなりまとまって掛け金を支払わなければならないという農家に対しては、まあ年四回ぐらいに分割をして掛け金を支払えるというふうな道を開いていきたいと考えております。
  116. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど渡辺委員からたばこのお話がありましたけれども、これは一つの例でございますが、昨年角ひょうが降りまして、そしてたばこは痛めつけられてしまった、せっかく収穫どきになって。収穫どきちょっと直前でしたのですが、全部の葉がやられたわけですね。そのあとで、その共済補償の認定についてもう一回話が出てから、その認定なり検定なりの算定をしようというような事例があったわけでありますが、こういうふうなことから考えていきましても、この共済制度ができますという面から考えていきましても、この分納の点に結びつけていきましても、当然いまおっしゃられたような年四回の分納をしていくように考えられておると言われましたけれども、私はさらにもう少しゆるやかにしていくことを考えられるほうがよかろうかと思うのですが、たばこの、被害を受けたそのあとからの認定等を考えてから査定するといって、とうとうそれでされてしまったわけです。これと結びつけて申し上げるのはちょっと問題がずれているように思いますけれども、その精神の面においては問題はずれてないと思うのですが、こういう観点からいっても当然そうあるべきだと思うのですが、もう一度この点大臣のほうから精神についての問題を答えてもらいたい。
  117. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 先ほど申しましたように、分納を、四回に分納するということを経済局長からお答えを申し上げたとおりでございまして、そういう精神によってまいりますることはただいまのお説のとおりでございます。御了承を願います。
  118. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まことに弱々しい御発言で、いつもの大臣のように思えないのでございますが、ひとつそういう観点において見守っていって行政をしかれるように、これは希望を申し上げておきます。  次に、国庫負担の面につきまして申し上げたいと思うのですが、先ほど村田委員からお話がありましたので、私は要点だけ申し上げたいのは、大体飼育している段階では三頭から五頭、十頭ぐらいまでの人たちが非常に多いわけです。こういう人たちの負担率というものをもっと私は考えてやらなきゃいけないのじゃないか、こう思うわけであります。この点について一番これが、こういろ飼育している人たちの数というものは多いんじゃないかと思うのですが、これが育成あるいは助成等について、またそういう飼育者が大体どれくらいあるか、三−五頭、あるいは十頭までの人たちがどれくらいあるかということを参考に伺いたいと思います。
  119. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっと三頭からうまい区切りにはならないかと思いますが、現在手元にあります三十九年十二月調べによりますと、これは戸数ではなしに、そういう農家が飼育をしております家畜の頭数比率でございますが、三頭から五頭までの飼養農家が飼養しております家畜の全頭数に対する比率は約三七%ということでございます。なお、六頭から二十九頭までの農家は一四%、そういう農家が飼養しております頭数の全体に対する比率は一四%、そういうことでございます。
  120. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお話がありましたように、三頭から五頭が三七%も占めておるわけであります。こういう人たちの負担率は四割であるというところに私はもう少し考えていかなければならない、こう思うわけであります。同時に、国庫負担の拡充の趣旨が畜産行政の上の政策的な立場の上に立っていくとすればまた何をかいわんやでありますが、六から百ぐらい、二十九、百ぐらいまでにいくのが趣旨というのだと思いますけれども、その率に比べてみても非常に私は遺憾だと思うんですが、こういう点についても一言伺っておきたいと思います。
  121. 森本修

    政府委員(森本修君) 頭数区分によりますところの掛け金の国庫負担率を考えましたのは、先ほど申し上げましたような加入の実績、それから掛け金の農家全体の重み、あるいは畜産における育成目標といったようなことを考えまして、頭数区分別の国庫負担割合を検討いたしたわけでありますが、お説のように、私どもとしましても、もちろん農家負担の軽減のために引き続き努力をしていかなけりゃならぬ。従来も努力をしてまいりましたけれども、将来においても努力をしていかなきゃならぬというふうに思っておりますが、さしあたり本改正案によりましては、まずこういうふうなことで出発をいたしまして、加入の状況あるいは農家負担の状況等を十分検討いたしまして、将来においても、さらに家畜全体についての国庫負担の拡充について、引き続きひとつ努力をしていきたいということを考えております。
  122. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 改正案では、乳牛の雌が今度は包括飼育に含まれることになっておりますが、肉用極と乳牛との掛け金率が非常に差があるということと、また、乳牛とこれを国津負担の肉用種の負担率から考えてみますと、これは当分の間四割にしていくということなんであります。こういう点についての理由をひとつ御説明願いたいと思います。
  123. 森本修

    政府委員(森本修君) 乳牛の雌につきましては、私どもの理解としては、大部分がいわゆる乳をとるというふうなことで経営をされておるものというふうに理解をいたしておるわけであります。もちろん御指摘のように、地域によりましては、あるいは乳量が少ないというふうな雌について、肉用を目的として飼養するというふうなこともあるかとも存じますけれども、必ずしも一般的な傾向であるとは承知をいたしておりません。したがいまして、そういうふうなものについて特例を設けていくということも今回としてはいかがなものであろうか、そういうものが全国的あるいは一般的になりました際に、しかるべき検討を加えてもいいんではないかと、かように思っております。
  124. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 乳牛の話が出ましたので、これは北海道のことをちょっと申し上げて恐縮ですけれども、北海道には草地あるいは耕地化のできる面積が大体百万ヘクタールぐらいあるわけです。この適切な生産を進めていこうとすれば、これが実施できれば、世界の酪農の地とも酪農郷とも大体言われてくるようになるくらいでありますが、そのためには、どうしても必要になってくるいろんな条件というものがあるわけですが、これは第一には、御存じのように、労働力の不足であるとか、あるいはまた、そのうしろだてには資金等がなくちゃならないということと、またもう一つには、北海道あたりでは、半年は雪に埋もれてしまう、そういったような不便な点がありますけれども、こういう世界的な酪農郷としていけるような北海道の地に、この共済制度等の確立がはっきりされれば、これは今後の日本の大きな利点にもなるのじゃないか、こういうふうにも考えていくわけでありますが、こういった面に対する協業の経営とか協業の経営の——飼養の規模等についての考え方を農林大臣にお伺いしたいと思います。
  125. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 大臣がお答え申し上げます前に、日本の酪農の育成の方針のうちで北海道についての考え方を事務的に御説明を申し上げたいと思います。  昨年の十月に、私ども酪農振興法の規定に基づきまして酪農の生産振興の方針を示したのでございますが、その中で北海道については、昭和四十六年度までに百八十万トン程度の生乳の生産を期待する、これは全国の目標数字七百九万トンに対応いたしますと二七%前後になるかと思うわけでございます。で、今後、日本の酪農の、特に伸長が期待されます地域は、北海道が第一でございまして、東北、南九州等が考えられるわけでございます。北海道の酪農は、私ども将来、酪農による自立経営の育成ということを考えておるのでございまして、市乳圏に近い地域においては、経産牛十頭以上の経営を考える、加工原料乳を主とする地域については、経産牛十五頭以上の経営ということを考えておるのでございます。このために必要な粗飼料の給与等のための土地基盤整備その他については、昨年の本国会におきまして御検討いただきました土地改良法の改正あるいは農地開発機械公団法の改正等による大規模草地の改正を中核として整備を進めてまいりたいというふうに思っておるのでございまして、北海道の開発計画というものに即しつつ、酪農振興も進めてまいる、そして、日本における最も安定的な、かつ、規模の大きな酪農を育成するということに目標を置いている次第でございます。
  126. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御承知のように多頭化畜肉という面におきましては、いまお話がありましたように、北海道等は最も適しているところでありまするし、そうなりますと、いよいよ共済制度というものの確立がなされなければならない、そういう観点から考えましても、損害防止事業等の問題で、先ほど村田委員からお話がありましたけれども、その仕組みの問題につきましても、あるいは事業の規模の面につきましても、何年ごろにはこういうふうにやっていくのだという事業の規模等の具体的なお話がなくて、すらすらとお話が進められただけなのでありますが、仕組みとか、あるいは国庫の交付率を今後はどういうふうに考えていくとかいうようなことをこの際明確にしていただきたいと思います。
  127. 森本修

    政府委員(森本修君) 損害防止事業のやり方につきましては、先ほどお答えを申し上げたとおりでございますが、現在考えております損害防止事業の規模といたしましては、これも先ほどちょっと申し上げましたわけでありますが、一年間に、延べ頭数にいたしますと牛馬合わせまして約百九十万頭について損害防止事業をやっていったらどうかというふうに思っております。で、それに必要な経費でありますが、それに必要な経費としましては国のほうからできるだけ交付金を必要な額として交付をいたしたいというふうに思っておりますが、先ほど申し上げました百九十万頭をやるに必要な経費の七割程度は国から交付金として交付するというふうなめどで、実は四十二年度の予算折衝をしてみたいと考えております。いずれにいたしましても来年度の実施でございますので、四十二年度予算において御指摘のような点も十分考慮をいたしまして、必要な損防事業費を確保するということで最善の努力を払うつもりでございます。
  128. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 異常事故によるところの危険といいますか、その異常事故の範囲といいますか、これはきめられておりますが、こういう点もこの際明らかにしていかれたほうがいいんじゃないかとも思うのですが、この点についての考え方を伺っておきたいと思います。
  129. 森本修

    政府委員(森本修君) 考え方としましては、農業共済組合連合会等で、従来の負担方式で負担をいたしますというと、相当な負担の超過によって赤字が累積するというふうなことを防止をしたいというのが今回の負担区分の改正でございますので、ある程度の広がりを持った事故といいますか、ある程度大事故といったような感じのある事故について、今回の負担割合の改正を適用していくと、こういう考え方であります。具体的には、そういいましても、必ずしも確定をいたしませんので、現行考えております基準としましては、家畜伝染病予防法等によりまして移出が禁止されるようなことが発生をした場合もあるいは天災融資法あるいは激甚災害法が発動になるような事故というふうなことで、ある程度全国的に見ても相当大きな規模の災害であるというふうなものを客観的な基準によって確定をして負担割合を変えていきたいと、こういうふうに考えております。
  130. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお話になりました伝染病とか、あるいは天災による風水害の事故等についてのことを異常事故としていくという、それには全額を政府は再保険の形でやっていくように考えておられるわけですか。
  131. 森本修

    政府委員(森本修君) そのとおりでございまして、従来は国のほうと連合会の負担割合は七割と三割ということになっておりましたが、ただいま申し上げましたような事故によって発生した支払い金については、特別会計から全額連合会に交付をするという考えでございます。
  132. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間もございませんので、そのほかいろいろまだお伺いしたいことがありますのですが、最後に伺っておきたいことは、包括引き受け方式の採用で、事故除外等によって事務量がどう変化していくかという面については、先ほどちょっと村田さんのほうからもお話がありましたけれども、御存じのように、家畜関係の事務というのは非常に多いわけなんです。こういう点の国庫扶助の増額は当然すべきだと、これは衆議院のほうの附帯決議のほうにも出ておりますが、この点は、特に申し添えておきたいと思うのであります。  またもう一つは、獣医が一般の事務をとっておるというのをずいぶん私は知っているわけですが、そしてまた、獣医の人たちが農村から離れていくということも非常な現象じゃないかと思うのですが、その獣医の人が日本全国で一人どれくらいの飼養家に対する数の受け持ちをしておるか、その獣医の負担率といいますか、そういうものがわかれば一言説明を願いたいと思います。
  133. 森本修

    政府委員(森本修君) 今回の改正によりまして、事務量はどういうふうになるかということでございますが、単に増加をする面のみではございませんで、かえって減少をするといったような要素もございます。たとえば頭数規模別の国庫負担をすることによりまして従来よりは国庫負担の計算のしかたが複雑になるというふうなこともございますが、従来は加入奨励金といったようなものを二種に分けて交付をいたしておりましたが、今回は国庫負担の中に解消をいたしますので、そういった事務の手続が簡略になるというふうなこともございます。また、年間給付限度を設定するというふうなことによって、一面事務がふえるようでありますけれども、他面におきまして従来からやっておりました事故別の限度というものがなくなる、あるいは損害評価会の事前の審査も省略するというふうなことをやるつもりでございますので、必ずしも事務量が増加するのみではないと思っております。で、概括的に言いますと、増加する分と減る分とがほぼとんとんといったような関係に、もちろんこれはこまかく言いますればいろいろ出入りはあると思いますが、そういう関係になるのではないかというふうに思っております。しかし、御指摘がございましたように、事務費の国庫負担について増加しろということは、従来からも要望がございますし、また特に御指摘もございましたので、私どもとしてはできるだけ毎予算折衝の過程において努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから獣医師の担当している家畜はどの程度であるかというふうなお話、その点は私どものほうでは診療所だけ扱っておりますので、全般的な獣医師全部についてどの程度の頭数を受け持っておるかということは、畜産局長のほうからひとつお答えをいただきたいと思います。
  134. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) わが国の獣医師の総数は一万九千六百七十六名ということに私のほうの登録では相なっております。この中には公務員でございますとか、あるいは民間団体の職員、開業獣医師あるいは全く獣医業に従事しない者というふうになっておりますが、この獣医免許を持っておる者に対して家畜の数がどうなっておるかということを申し上げますと、牛馬の単位、いわゆる家畜単位というものに還元して計算いたしますと一人当たり二百頭ということになるのでございまして、非常に少数に相なるわけでございます。  御参考までに申し上げますと、アメリカあたりでは四千九百頭ということになりますが、そのうち、いわゆる産業動物の診療関係の獣医師の数が五千五百十四名、この中には共済関係、会社関係、開業獣医師があるわけでございますが、これは産業動物に関係する獣医師の数で割りますと一人当たり家畜単位で約五百頭というふうに相なっておりまして、現状におきましては家畜の数に比例いたしまして獣医師数がまだ多いというような関係に相なっております。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど説明の中に、家畜加入の推進奨励金等を含めたことをお話がありましたけれども、そういうお話が出ましたから、これを最後につけ加えて伺っておきたいのですが、現行国庫負担率に比べてこれは不利になっていくようなことはないのでしょうか。  さらに最後に——最後最後と三回目でございますけれども、農林大臣からお答え願いたいと思いますのは、先ほどもお話がございましたけれども、共済制度の根本的な法案というものを一括して改正していくべきじゃないか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  136. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 国庫負担の関係お尋ねでございますが、国庫負担の関係では、たとえば乳牛につきましては、現行では国庫負担率が二〇%程度。で、改正後いろいろなものを平均をいたしますと四〇%弱——三九・二%ということになるわけでございますが、先ほどお答えをいたしました奨励金におきましても現行は約三〇%程度ということでございますので、奨励金を含めました国庫負担のものと比較をいたしましても、改正後の国庫負担は上がることになります。従来より不利になるということはまずまずないというふうに私どもは考えております。
  137. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この家畜関係の共済制度につきましては、現在までのことで実施に着手してまいるのでございますが、これをやりました結果を見てさらに根本的な改正等を加えてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
  138. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私の申し上げたのは、何というのですか、農業、いわゆる農産物に対する全般的のことなんであります。それをこの際抜本的に改めていく考えがあるかないかということを伺ったおけでございます。
  139. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この農作物についての共済制度の改正はせんだってやりましたわけでございます。今度この家畜関係に進んでいきたい。なお園芸作物について、その他家畜についても、いままでやっておりませんものについても着手を進めてまいりたいというので、着々その方向に進んでおるのでございまするが、なお本質的な改正ということになりますというと、これらの制度を実施いたしまして、さらに根本的ないろいろの点についての改正ということが必要でありまする際は、それらに向かっての改正を進めてまいりたいと思うのでございます。
  140. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  141. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。     —————————————
  142. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案を議題とし、まず衆議院農林水産委員長代理理事芳賀貢君から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入ることといたします。農林水産委員長代理理事芳賀貢君。
  143. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題となりました農林水産委員長提出農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。  農産物価格安定法は、昭和二十八年に制定されましてより、今日まで、米麦に次いで重要な農作物であるイモ類等について、生産者団体が行なう自主調整と相まってこれらの農産物等が正常な価格水準から低落することを防止し、農業経営の安定をはかるうえにおいて相当の効果をあげてまいりました。  しかしながら、法制定後十三年間を経過した今日におきましては、イモ類及びそのでん粉等の生産、需給事情等がかなり変化し、本法は実情に沿わない面があらわれてまいりましたので、この際、過去における本法の運用状況等をも勘案のうえ、農業基本法の趣旨にのっとり本法に所要の改正を加え、農産物等の生産の確保と農家所得の安定に寄与しようとしてここに、本案を提出した次第であります。  以下本案のおもな内容を申し上げますと、  第一に、現行法では「米麦に次いで重要な農産物の価格が、正常な水準から低落することを防止し、もつて農業生産及び農家経済の安定に資することを目的とする。」とありましたのを、「米麦に次いで重要な農産物が適正な水準から低落することを防止し、もつて農産物の生産の確保と農家所得の安定に資することを目的」といたしました。  第二に、農産物等の政府買い入れについて、従来は「農林大臣の定める数量の範囲内」となっておりましたものを、イモ年度を通じ買い入れワクの規制はなく、必要な時期に必要な数量を買い入れることができることといたしました。  第三に、原料基準価格については、従来「農業パリティ指数に基き算出した価格、生産費及び需給事情その他の経済事情を参しゃくして」定める方式で運用されておりましたが、これを改善するため、今回「農業パリティ指数に基づき算出した価格を基準とし、生産費及び物価、需給事情その他の経済事情を参しゃくし、再生産を確保することを旨として」算定することとし、農産物等の生産の確保と農家所得の安定に資することといたしまするとともに、政府の買い入れ基準価格につきましても原料基準価格に「原料運賃、加工に要する費用等を加え得た額」とすることといたしました。  第四に、イモ類等の取り引きについては、従来買いたたき等不公正な取り引きが行なわれる場合もありましたことにかんがみまして、今後、イモ類等が原料基準価格に基づく額に達しない価格で取り引きの行なわれることのないよう趣旨徹底をはかり、必要があればでん粉等の生産者に対し、原料農産物の取り引きの公正を確保するため、農林大臣または都道府県知事は必要な勧告を行ないこれを公表することができることといたしました。  以上本案の提案の趣旨及び内容について申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  144. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本案に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
  145. 川村清一

    ○川村清一君 ただいま議題になりました農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、若干質問をいたしたいと思います。私の質問は、理事のお話によると、三十分でやめるようにという指示がございました。三十分以内でまとめてやりたいと思いますが、したがって、本案にある基本的な点だけを提案者並びに農林大臣お尋ねをいたしたいと思います。  最初に、提案者にお尋ねいたしたいと思うわけでございますが、この法律案は、第一条の目的を達成するために、法律の運用に当たりましては省、政令にゆだねられている点が数点あるわけでございます。たとえば第二条におきまして「必要な時期において、必要な数量の甘しょ生切干、甘しよでん粉、馬鈴しよでん粉」、こういう農産物を「省令の定めるところにより」と、こううたわれているわけでございます。さらに第五条にまいりまして、第五条の(買入価格)の場合等におきましても、「政令の定めるところにより、農業パリティ指数に基づき算出した価格を基準とし、生産費及び物価、需給事業その他の経済事情を参しやくし、再生産を確保することを旨として」、こうあるわけでございます。次に第八条にまいりますと、ここにまた「農林大臣又は都道府県知事は、政令の定めるところにより、」云々と、こうあるわけでございます。したがって、定められるところの省令、政令の内容のいかんが本法律案の第一条の目的達成とは密接不離の関係がありまして、省令のいかんによりましては、せっかくのこの法律案の趣旨が生かされないという心配があるわけでございます。現行の法律は二十八年に制定されたわけでございますが、その運用上やはりこの法律の政令によりまして幾多の問題を起こしているわけでございます。したがって、今回のこの改正案は、現行の二十八年に制定されました法律はもとよりでございますが、それを裏づけする政令から起こるいろいろな弊害といいますか、問題点といいますか、それを除去するために、はっきりと運用面をも規制するために提案されたものと私は思うわけであります。その点提案者はいかがでございましょうか。したがって、提案者は行政庁に対しまして、この法律の趣旨が省、政令の内容の中においても完全に生かされる、そういう内容を持った省、政令が改正あるいは新らしく定められることを期待して提案されたものと思っておる次第でございますが、その点はいかがなものか、ひとつ御説明を願いたいと思うわけであります。
  146. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) ただいまの御質問にお答えいたします。この御質問のありました、政府にゆだねるところの法律の政令あるいは省令の問題でありますが、これは言うまでもなく、法律の精神である第一条の目的に沿って、政府としても行政的に措置運用することは言うまでもないわけであります。ただ、この法案の成立の経過を顧みますと、川村委員からの御指摘のありましたとおり、昭和二十八年でありますが、これは当時衆議院において議員立法として成立したわけであります。従来私ども内閣提案にかかわる法律の運用と、議員提案にかかわる法律の運用に対しての政府当局の態度を見ますと、議員提案の法律に対してはどうしても熱意を持たない態度で政府が対処しているというふうな点が多々あるわけであります。政府提案の場合には、最初から国家国民のために積極的になるということだけを念願にしない点があるので、かってに法律の趣旨がこうだということで運営しておるわけでありますが、少なくともわれわれが立法府においてみずから法律を制定した場合においては、政府提案にかかわる法律とはその根本において違う点があるわけであります。そういう関係がありまして、過去十数年の間毎年のように現在ではなたね、あるいは大豆は本法からはずされまして、大豆、なたね交付金によることになっておったわけでありますが、毎年度この法律を根拠にいたしまして、イモ類でん粉あるいは大豆、なたねの決定の時期等においても、もう繰り返し繰り返しこの法律の精神というものを政府の役人に徹底して、これは両院の委員会においても追及するのでありますが、決定の結果というものは必ずしも法律の精神に沿ったものではないことは御承知のとおりであります。そこで、今回特に法律の第一条の目的を改めたわけでありますが、これは制定当時も、イモ類、でん粉等は需給関係から見ると、国内においても、ややもするとその生産面において過剰傾向になるような、そういう現象があらわれておりましたので、これに配慮の重点を置きまして、需給関係から生ずるいわゆる価格の低落というものを防止するためには、どうしても法律を制定して、法律の力で、基準になる一定の価格水準というものをあくまでも維持しなければならぬというところに法律制定目的があったわけです。そういうことでありますから、積極的に、米価決定あるいは食管法による麦価の決定のような場合には、この基準年度というものを明らかに定めて、そうしてよほど経済事情の激変がない限りは、前年度の価格を下回ることは絶対ないわけでありますが、イモ類でん粉の場合は、年度によって、むしろ前年度の価格を下回るような事態が数年間続いておるわけです。そこで、今回の目的改正に当たりましては、その目的を消極的な、過剰傾向が生じて、政府が価格支持の発動をしなければならぬというような点を根本的に改めまして、今度は農業基本法の趣旨に沿って——最近は国内におけるでん粉の供給力というものが非常に供給不足というような形になって、トウモロコシを輸入して、それを原料にしたコーンスターチが四十年度においても約三十万トン生産されておりますし、このままでいきますと、四十一年度は四十万トン近い外国トウモロコシを原料にしたコーンスターチに依存しなければならぬというような事態が生ずるわけでありますからして、この点は国の施策のよろしきを得れば、何も外国から原料を輸入しなければでん粉の供給ができないというわけではありませんので、この際、積極的にイモ類の生産の拡大の方向というものを基本法に根拠を求めまして、それを目的に加える。生産の拡大確保と同時に、それが結局このイモ類生産農家の所得の向上に寄与することができる、そういうようにまず目的を根本的に改めたわけでございます。したがって、目的の改正に伴うて買い入れ条項あるいはそれに伴う条文等についても、この精神というものが必要な政令事項あるいは省令事項にも生かされなければならぬと考えておるわけであります。  そこで、御指摘の第二条の「買入」の条項につきましては、従来はこの発動というものは、ほとんど農林大臣、いわゆる農林当局にまかされておったわけでありますが、まかせる限度というものを法律の中で限定することにいたしました。その第一の点は、従来もそうでありますが、イモ類の年度というものは、これは毎年十月に始まって翌年の九月に終わるのがイモ類の年度ということになっておるわけです。ですから、こういう年度が設定されておるわけでありますからして、その年度内において特にイモ類を原料として生産したでん粉が政府の買い入れ基準価格より下回る場合においては、当然そのイモ類年度を通じて所要の買い上げ等をやるわけでありますが、これが政府の運用によりますと、政府がそのイモ類の年度内において買い上げするという時期というものがまず限定されておるわけであります。これは法律のたてまえから見て非常に不都合なことでありますが、従来は政、省令に基づいてそういうことをやっておるわけです。ですから、この点を改めまして、「必要な時期において、必要な数量の」買い入れができるということに明らかにしたわけでありますからして、こうなると、政府としてもこれをごまかすわけにはいかないと思うのであります。したがって、買い入れ時期については、イモ類の年度を通じてその年度内に買い入れの必要ができた場合においては、時期の限定はしない。それから買い入れ数量の問題については、現行法におきましては、年度当初に「農林大臣の定める数量の範囲内において」買い入れをすることができるということになっておりまして、これはやはり年度当初に農林大臣が買い入れの一定数量を予定して定めるということは、これは買い上げにも支障がくるわけでありますし、価格維持のためにも非常に窮屈になるわけでありますので、この「農林大臣の定める数量の範囲」というものを改めまして、必要な数量は目的達成のために買い入れできる、そういうふうな趣旨に改めたわけであります。  で、今度の改正の中にも第二条においては「省令の定める」という字句が二カ所ばかり載っておりますけれども、この前段の「省令の定めるところにより」というこの「省令」は、これは格づけでして、大体カンショでん粉、バレイショでん粉を買い入れる場合の規格、こういうものは従来省令であらかじめその規格をきめて、それに適合するものを買い上げるということになっておりますので、この省令につきましては、主としてバレイショでん粉、カンショでん粉さらに切り干しイモ等の買い入れをやる場合の規格、これを省令によって定めるようにするというのが第一の点。  それから、その次に「省令で定めるものの売渡の申込により買い入れる。」というのは、これはこの法律にもあるように、いわゆる「生産者団体」——生産者が直接間接に組合員になっておる農業協同組合、その協同組合によって結成されておる連合会等がいわゆる省令で定める生産者団体ということになっておりますので、この保管調整を行なうところの団体の申し込みに応じて買い入れをする、この点が省令事項になっておるわけでありまして、この点だけが省令に定めるということでありますので、これは大きく法律の趣旨を変えるような作用というものはこの省令においては行なわれないようなことになっておるわけであります。  それから第五条の関係でございますが、これは現行法においても非常に問題になった点でありまして、これがまあいわゆる政令附録算式というこの政令であります。したがいまして、この農安法以外の各農産物の価格支持の法律によりましても買い入れ価格とか、あるいは基準価格を設定する場合には算定方式、それはやはり政令によりどころを置いて、そして算式の基本を政令できめて、それを受けて省令でまた詳しく明定するということになっておるわけであります。それで漠然としたことを法律に書いておくと、また現行法のような附録算式が生まれることになりますので、今回の改正においては、基準になる価格算定方式の一番基準になる価格というものを、今度は農業パリティ指数に基づくところの価格というものを、これを基準として、従来はやはり農業パリティ指数による価格、算出したその基準的な価格と合わして、いわゆる需給事情というものをこれをパリティ指数と同列において、そうしてまあパリティの上昇率、さらにまた国内のイモ類の需給事情というものを並列的に置いて、これをまあ一つの価格の基準的なものにして、それに、まああと経済事情、それから生産事情等を参しゃく要素とするということにしてあったわけでありますが、この需給事情なるものはどうも価格決定上にマイナスの要素を、足を引っぱる作用を強くやっておるわけでありますので、実はこれを需給事情なるものを排除すべきであるというような研究もこの改正案策定の過程において行なったわけでありますが、なかなかこの削除というものはできかねて、それにかわる物価事情ですね、生産費及び物価というこの字句を需給事情の上に加える。そこでパリティ指数に基づいて、まあ算定の方式から言いますと、過去三カ年間の、カンショでん粉、バレイショでん粉の三カ年間の平均的な販売価格に、それに三年間のパリティの平均指数と決定年の当該年度におけるパリティ指数というものを乗じて結局基準的な価格が出るわけでありますからして、それに今度は物価上昇率、それから需給事情ということになると、これは従来政府はこの価格安定のために買い入れ保管をしておった凍結したでん粉をもこれをイモにまた換算いたしまして供給数量に加えるということをやって、そして価格の引き下げ要素に使っておったわけでありますが、そういうことはとるべき方法ではありませんので、需給事情というものは、これはあくまでも国内における需要数量ですね、一カ年間にカンでん、馬でんを通じてでん粉としてどのくらいの需要があるかということをまず把握いたしまして、それに対して国内のカンでん、馬でんの供給力がどうなっているかということを、これを対応させて、結局今日においては国内の生産でん粉だけでは相当大幅に供給不足ということになるわけでありますからして、これはやはり生産確保あるいは生産拡大ということになれば、この需給事情というものは今日の情勢から言いますとやはり生産拡大のためのプラス要素に使わなければ、これは効力がないということになるので、そういう配慮は委員会の審議の中においてもできれば政府当局に対して御質問を通じて明らかにしておいていただきたいと思うわけでございます。そういうことでございますので、今後もこの政令によって算定方式を新たに今度はつくることになるわけでありますからして、この点は立法者の側において、単に衆議院側ということでなくて、特に参議院の農林水産委員会においてもこの点を十分重視して政府に対する御鞭撻をお願いしたいと思うわけでございます。  それからさらに、この第五条の改正の末尾のほうに、でん粉の買い入れ価格をきめる場合には、現行法におきましてはイモの価格にでん粉を製造するに要する加工経費を一切加えた額ということになっているわけでありますが、従来はイモを生産した畑から、いわゆる農家の庭先からでん粉を生産するでん粉の製造工場までの原料イモの運賃というものは、これが明らかに計上されていないわけです。これはやはりでん粉のコストというものを計算する場合においては、当然原料の運賃というものは加算するのが至当でありますけれども、このことが実行されておりませんので、この際特に法律の中にわかりやすく原料運賃と加工経費と合わせてここに加えたような次第でございます。  それから最後の第八条の二は、これは全くの新設でありますけれども、この点は末端における原料イモの取引価格というものが地域においては、政府がやはり決定をするわけでありますけれども、その価格さえも維持して取引がされないというような事情が、九州地域においても関東地方においてもまた北海道においてもそういう点がまだあとを断ちませんので、この際政府がきめた原料イモの基準価格というものは必ずでん粉製造業者においてもこれを尊重して取引しなければならぬということを明らかにして徹底させるためには、やはり農林大臣並びに地元の都道府県知事の勧告権というものをこの農安法に付与いたしまして、随時これが発動できるようにすべきであるというふうに考えまして、これは従来の経緯にかんがみましてこの点を一つつけ加えたような次第であります。  以上が御質問に対するおおよその趣旨であります。
  147. 川村清一

    ○川村清一君 非常に詳細な御説明がございましたのでよく了解いたしました。  そこで、私はこの法律が制定されました場合において、これを運用してまいります政府当局に対して数点お尋ねをしたいと思うわけであります。  第一にお尋ねいたしたいことは、この法律案が議会において成立した場合に、政府は国会の議決を尊重しまして、この改正法律案の趣旨が十分に生かされるよう、行政措置を講じなければならないことは当然の責任であります。したがって、農林大臣といたしましては、この法律案が制定を見た場合に、どういう基本的な姿勢で対処しようとなさっておるのか、まず農林大臣の基本的なお考えをお尋ね申し上げたいと思います。
  148. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 本法案が両院で可決いたしますれば、政府としては院議を尊重して善処いたしたいとかように存じます。
  149. 川村清一

    ○川村清一君 さらに政府当局にお尋ねいたしますが、この法律の名前が農産物価格安定法と名づけられておりますとおり、これは第一条にはっきりうたわれておりますように、「米麦に次いで重要な農産物の価格が適正な水準から低落することを防止し、もってその農産物の生産の確保と農家所得の安定に資することを目的とする。」この目的を達成するために種々の行政措置がなされる、それを規定する法律でございます。そこで、この法律の一番大事なことは、農産物の価格の問題でございます。それは第五条に規定されておりますカンショ、カンショでん粉あるいはバレイショ、バレイショでん粉の政府買い上げ価格をどうきめるか、このことが重要な問題であり、また本法の目的であろうと私は思うわけであります。  そこで農林大臣お尋ねいたしますことは、第五条に、この価格を決定する基準といたしましては、農業パリティ指数に基づき算出した価格を基準とし、生産費及び物価、需給事情その他の経済事情を参しゃくし、再生産を確保することを旨として、こうあるわけであります。そこで、第一は生産費の問題、第二は再生産という問題でございます。当然のことながら、この決定に当たりましては、再生産が確保されるそういう価格においてきめられなければならない。その再生産を確保する価格とは何か、つまりその前段にありますところの生産費及び物価、物価の高騰に伴う生産費、それから、もちろん需給事情その他の経済事情を参しゃくすることは当然といたしましても、再生産が確保されなければならない。そうしますと生産費が補償され、さらに生産農民の所得が補償される。で、所得が補償されるということは、その生産に投下される労働費というものが労働賃金というものが適正に評価される、そうして所得が補償される、こういう点がなければ再生産を確保するということには相ならぬと私は思うわけであります。この点農林大臣は、再生産を確保するということは生産費が補償され、そうして所得が補償される、こういう要素に基づいて再生産を確保すると、こういうふうに解釈なされているかどうか、非常に重要な点でございますのでこの点を明確にしていただきたいと思うわけであります。
  150. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) それらについては政、省令に関する問題であると思いますが、現在のところまだ詳細に検討する余裕がございませんのでございます。先ほど申しましたように、繰り返して申しますと、本法案が通過いたしまするならば、院議を尊重いたしまして善処いたすことだけは、ここではっきり申し上げます。
  151. 川村清一

    ○川村清一君 院議を尊重いたしまして、そうしてこの法律案の趣旨が完全に達成されるようにそういう立場において検討なされると、こういうことでございます。したがって、そういう御趣旨ならば、私が申し上げたことは当然の問題として検討されなければならない検討のことは基本をなすものではないか、この辺が非常に不明確でありましてはその検討されるいわゆる姿勢がきわめて不明確である、もっとこういう立場で、再生産とは川村委員の言うとおり、そう解釈してそういう立場で検討する、こういうようなお答えでなければ私は納得できないわけでありますが、重ねてひとつ御答弁を願います。
  152. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 院議を尊重して善処いたしたいと存じます。いまそういう点の詳細のこまかい点、荒い点、すべてその省令に関する問題を研究する、検討する余裕がないのでありまするので、これらの点については、再び申しますが、院議を尊重いたします。
  153. 川村清一

    ○川村清一君 それでは、二十八年にこの法律が制定されまして、あなたは院議を尊重されて法律を運用されてまいったと思うわけであります。ところが、たとえばバレイショでん粉一つに例をとりますならば、いいですか、大臣、よくお聞きいただきたいと思うわけであります。つまりバレイショの原料価格においてこの法律が制定されたのは二十八年。二十九年の年には原料価格が三十七・五キログラム二百三十五円。これが昭和三十九年には二百三十円、五円下がっております。十一年間で。しかも、昨年はあのような大きな問題が出まして幾らになったかというと、二百四十円、十円上がったのであります。十円。ただし、歩どまり一六%が一六・五%、歩どまり〇・五%上がったのであります。そうすると、実質上がった価格というのはたった五円ですよ。こういう、昭和二十九年から昭和三十九年までの間において価格が全く同じ、あるいは下がっておる、こういう状態の中で、院議を尊重してやるのだと、検討するのだと言われましても、過去十年間こういう状態であるから、はい、さようでございますかと言って、はなはだ失礼でありますが、大臣の御答弁を、それこそ私が尊重いたしましてそのまま下がるわけにはちょっと相ならないわけであります。そこで、この点をぜひはっきりしていただきたいと思うわけであります。
  154. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 繰り返して申しますが、院議を尊重いたします。
  155. 川村清一

    ○川村清一君 それでは、私は、事務当局でもよろしゅうございますが、いままではこの価格決定は政令にある付録算式に出ておる非常にむずかしい高等数学、P1=P0カI0分のI1I−(Q0分のQ1−Q0)r、こういう、何のことやらわからないこの方程式によって出されておりますが、いいですか、この付録算式でなされているのですよ。ですから、これが重大なんです。これは当然院議を尊重されまして、そしてこの法律の趣旨が生かされるように、ことしの買い上げ価格を決定される場合においては、この付録算式のところまで下がって検討されなければほんとうに院議が尊重された買い上げ価格が出てこないと私は思うわけであります。これはどうでございますか。
  156. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) ただいま農林大臣が申されましたように、院議を尊重して善処するということでございます。その趣旨に即しまして、われわれとしても付録算式につきましても十分検討いたすつもりでございます。
  157. 川村清一

    ○川村清一君 それでは、一点この点だけただしておきたい。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕  いま私が申し上げましたこの算式の中で、一番最後にrというのを掛けますね、このrというのは何か。供給量と価格との間の弾力係数で、農林大臣が定めるその弾力係数です。非常に弾力的なものです。しかもこれは客観性がない、農林大臣が定めるわけです。農林大臣の解釈いかんによってどうでもこの係数が変わってくるわけです。そうしますと、私の数学的な知識をもって言うならば、この価格を、出そうとする価格は、いわゆるP1ですね、P1というものを出すためにイコールこの方程式が成立すればこのP1が出てくるわけですね。そうなれば、あなたのほうでかりに二百四十円というものに、P1イコール二百四十円、こう出したいと思ったならば、それをこうやっていって、きわめて弾力的な客観性のない、科学性のない、そのときの経済事情、経済事情の解釈ですから、どうでもなりますから、農林大臣の定める係数をここへ掛けますとどうでもなってくるわけですね、安くもなる、ほんとうに。ですからこのrというのをちょっと聞きますよ。
  158. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 先ほど先生、数式が非常にむずかしいとおっしゃいましたけれども、実ははなはだ私たちは簡単なものだと思っているわけですけれども、rにつきましては、これは農林大臣がかってにきめるという数字ではございません。過去の歴史的な事実から確定をいたしました数字を毎年使っておりまして、毎年rというものが変動するというふうには実は考えておらないのでございます。そういう意味からすると、非常に不確定なそのときの判断によりまして変更するというふうなことは考えておらないのでございます。
  159. 川村清一

    ○川村清一君 そういうことになりますれば、これは昨年の十月二十二日北海道新聞に出た、切り抜きなんですよ、これはでん粉価格——カンショでん粉、バレイショでん粉、これで非常な大きな政治的な問題になった。このあとの問題でございますけれども、ちょっと読んでみますよ、これはさきに農林省が示した支持価格九百十七円、これは二十五キログラムでん粉ですよ、これが九百十七円より三百三円の値上げとなって千二百二十円になった。こうなるまでには……ちょっとこれを読むと差しつかえがありますから読みませんが、与党の自民党さんの中では非常な内部に政治問題があった。中には、価格を上げないならば自民党を脱党するという離党届まで出した代議士もおって、こういうふうなさわぎがあって、その結果、農林省で出したのが九百十七円、最後に三百三円、それがプラスされて千二百二十円でオーケーということになった。これはどうですか、これはrで出していったらこうなった、ところが千二百二十円というのはなんで出してきたんです。そうなるでしょう、rでどうでもなるといったらどんな数字でも出てくる。関係はないですか。
  160. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) それは価格が最終的にきまる過程においていろいろな計数をはじくわけでございますが、その際、供給力なりそういったものをどういうふうに見るか、こういうふうな問題としていろいろ問題があるわけでございまして、rの数値が変わったというふうには考えておらないわけでございます。
  161. 川村清一

    ○川村清一君 だからあなたの言われること自体がどうでもなる付録算式でしょうと申し上げている。ですから私の申し上げたいことは、そういういいかげんにどうでも変わるそのときどきの考えによって、いわゆるいままでの価格の決定というものは、一応法文には生産費ということが書かれておるんですよ。ところが、実際問題となった場合には、そんなものはあっちへ置いておいて、いわゆる需給均衡——需要と供給との関係ですよ、こういう需給の均衡方式、それを基本として価格が決定されておる。だからちょっと見たならばわけのわからないようなこういう算式を使ってどうでも説明する。こういうどうでも説明のつく、どうでも価格を決定できるようなこういうことはやめていただきたいということなんです。私の申し上げますことは。だから第一条の目的を達成するために、第五条の政府の買い入れ価格を、この決定がきちっとしたものが書かれておる。いわゆるパリティ指数、これを基礎として、そうしてそこに生産費、当然物価が考えられる、それから経済事情、需給の関係、これは一応考える。そうして農家の再生産ということをうたっているんですよ。この再生産が確保されるような付録算式をつくられているならば、そういうきちっとした価格が出てくるようなそういう算式をぜひつくってもらいたい。だから、そういう意味においてこの政令を改正されるならば、それではじめて大臣の言う、院議を尊重してやったということになるんじゃないか。それができなかったら、院議を尊重したことにならないと私は思う。何回聞いても、院議を尊重したということになりませんから、もう聞くのをやめます。  次にもう一点お尋ねしたいのは、第二条です。この第二条については非常にいいものが書かれている。こういうふうな改正案をつくられました衆議院の両党のこの作業をなされた議員の皆さんに、私は大いに敬意を表するのでありますが、前条の目的を達成するために「必要な時期において、必要な数量」こううたわれておる。一体、必要な時期において必要な数量を買い入れる、こういうふうに規定されるわけでありますが、ところが、これも「省令の定めるところにより」こうある。したがって、これをきめる省令の内容は非常に重要な意味を持つと思う。必要な時期において必要な数量を買い入れるということは、市場価格が基準価格を破るおそれが出た場合、あるいは市場価格が基準価格を破ったというその瞬間においてそれが必要な時期だ。その必要な時期に基準価格を守る、少なくとも市場価格がこの基準価格より下がらない、それだけの措置をとれる数量を買い入れることだと私は思うわけであります。そうでございますね大臣、この「必要な時期において、必要な数量」というものの理解が、私はそう理解するわけですが、大臣はどう御理解なされますか。
  162. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 従来も省令の定めるところによりまして、必要な時期において必要な数量の買い上げをいたしておったわけであります。その点につきましては、省令の定めるところによるというのが、今度は法律上、必要な時期、必要な数量ということになったわけでありますが、その必要な時期、必要な数量につきましては、従来と考え方はおおむね同じだというふうに考えております。
  163. 川村清一

    ○川村清一君 それではこういうふうに解釈してさしつかえございませんね。いわゆる買い入れの数量というのは、予算の範囲内——予算があるとかないとか、買い入れのワク何トンとか何千トンとか何万トンとか、そういったワク、そういうものには一切とらわれない。もしも、私が前段申し上げましたように、市場価格というものが農民に非常に損害を与える、こういうことになりましたならば、予算の範囲の内であるとか、あるいは買い入れワクであるとか、数量とか、そういうものに一切とらわれない、ある場合においては全量買い上げをする場合もある。そうしていかなければこの法律目的が完全に達成できないと思うのです。ただいまあなたが言われましたことは、私はそう理解するわけですが、これはそう理解して間違いございませんか。
  164. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 農安法につきましては、一応自由市場の流通ということを前提にいたしまして、一定の価格水準から低落することを防止するという形にしておりますので、したがいまして、この本制度で全量買い上げということはおそらくあるまい。一部の数量を買えば価格は当然騰貴するということで基準価格を回復するということは当然だろうと思います。したがいまして、全量買い入れというようなことはこの法律のもとにおいては存在しないというふうに考えております。
  165. 川村清一

    ○川村清一君 ですから、私も全量買い上げということは申しておらないのであります。だから私もそういうことになることは何も予想しておるわけじゃないですけれども、まあ少しオーバーに言ったわけであります。もし、そういうような必要な時期において必要な数量ということをオーバーに言うと、そういう必要な場合にはそういうこともあり得るでしょうと、私はこう解釈しておるのだが、私の解釈とあなたの解釈は違いますかということを聞いておる。
  166. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) これは、第一条の目的を達成するために必要な時期の判断でございます。で、それを、基準価格を回復するだけの必要な数量ということで考えております。で、四十一年度予算では、四十年産、四十一年産を合わせまして十万トン程度の数量の買い入れを予定を予算的にはいたしておりますけれども、現実的には買い入れが必要がないというふうな状態でございました。最近の情勢からいたしますと、でん粉が比較的量的に減ってまいっておるというふうな関係から、でん粉の価格はかなり高くなってまいっておるわけでございます。最近の情勢におきまして、買い入れる必要はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
  167. 川村清一

    ○川村清一君 私の割り当てられました時間はたちましたので、これで質問をやめます。  昨年十月の本委員会において、私、相当この問題を発展さしてお尋ねをいたしまして、最終的には政務次官の御答弁も承っておるわけであります。ずいぶん政治的に大きな問題まで発展したことでございますから、ことしはこのような法律改正案が出てまいったわけであります。もしもこれが成立した場合におきましては、大臣、先ほどから非常に院議を尊重してということで言われておりましたが、ぜひ、ひとつ院議を尊重して、この法律案の第一条の目的が達成されるように、われわれが心配しているようなことがこれがほんとうに全部完全に消化されますように、りっぱにその行政を運用していただきたいと思うわけであります。これから出される省令、政令等につきましては、われわれも十分注目いたしますが、この点、十分考えてひとつやっていただきたい。もしもまたわれわれの期待と相反するようなことになりますれば、十月ごろの段階において非常なまた政治的な大きな問題に発展するだろうと思いますので、そういうようなことがないようにぜひ善処を賜わりますことを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  168. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま、川村委員から、計算算式等の問題で、私も相当こまかくお伺いしようと思ったのですが、お話が出たようで、お答えもりっぱなお答えが出たようでございますので、その点については後日に譲りまして、りっぱというのは、答えがりっぱで納得できるりっぱじゃなかったということなんでありますが、ともかくもこの本案が出る前には、こういうふうなことも新聞等で拝見しているわけですが、イモでん粉価格維持対策として、農産物の価格安定法の一部改正と、でん粉法という仮称、そういうでん粉法というものをつくって、そうして設定してから両案を一緒に今国会でやろうじゃないかというような話し合いもあったということなんですが、ところが、出てきたものは、とにかく農産物価格安定法の一部改正ということにして今度は出そうと、そして、言うならば、ぼつぼつ部分的に改正していこう、こういうふうな考え方から出たようにも思えますし、従来の内容からいって、当然もう改正されていかなければならない点もずいぶんあるわけなんです。こういうふうな考え方をやめて、本案を提出する前に、でん粉法ならでん粉法、またあとで考えられるようなことをやめて、一切、抜本的に、将来の計画を立てて改正していくべきである、こう私は思ったわけであります。この点について、まず伺っておきたいと思うのであります。
  169. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) 今回の農安法の改正までの経緯でございますが、いまの御質問でありますが、昨年のイモでん粉の決定の時期におきまして、政府としても、これは衆議院、参議院の農林委員会でもそういう発言があったと思いますが、この現行の農安法をもってしてはなかなかイモ類の生産者、あるいは国会の指摘に答えることはなかなかできない、むしろ農産物安定法そのものに期待に沿えない原因があるわけでありますからして、これを根本的に改める場合には当然農安法の形態を抜本的に改めるか、あるいはまた現在の経済事情等に対応できる別途のイモ類でん粉を対象にして法律をつくるか、それ以外に道はないわけです。それで、改正案をつくる前にも、実は衆議院段階におきましても、特に与党と私ども社会党との間に数次にわたって話し合いをしたわけですが、もともと農安法ができた当時は、外国のでん粉に依存しなくても自給が十分可能であるというような事情に置かれておったわけです。ところが政府は昭和三十六年当時から、まず当時農安法の対象品目でありました大豆、なたねの自由化を行なったわけであります。このときに非常に国会においても議論がきびしくなりまして、この結果、大豆、なたねだけを農安法の対象からはずして、いわゆる大豆、なたねの交付金法なるものをつくった。そうして自由化による国内の大豆、なたねの価格の水準というものを維持するために、いわゆる不足払いですね、国から一定の交付金というものを交付して、そうして自由化政策というものを強行する、これはわれわれとしてはあくまで反対したわけでありますが、その結果は、当時われわれが国会で指摘したとおり、現在の大豆及びなたねの国内の生産事情というものは、自由化以前から見ると、なたね、大豆においても大体三分の一以下にこれは生産が激減しているわけです。ですから、いかに無計画な無法な自由化政策というものが国内の農業生産を重大な危機に追い込むかということは、これはよって立証しておるわけであります。ですから農安法を全く別な角度から検討するということになれば、大豆、なたねと違った形で自由化が行なわれておるわけであります。でん粉類については、これは自由化はしておりませんが、でん粉の原料であるトウモロコシを自由化で認めておるわけですからして、これが無制限に入ってきて、そのトウモロコシを用途別に区分しますと、家畜のえさ用にする場合には関税率がゼロで入ってきておる。トウモロコシを原料にしたいわるコーンスターチを製造する場合には、これは普通の関税率で一〇%ということになっているわけです。とういう状態です。最近コーンスターチの企業というものは急速に伸びてまいりまして、フル操業をさせればいまでも五十万トンくらいのコーンスターチの生産ができるということになっているわけです。だから、ほんとうに国内のイモでん粉の保護をやるということになれば、政府の行なっておるトウモロコシ、特にでん粉原料のトウモロコシの自由化というものを、これを規制するということをまず行なわなければ抜本的な対応策にならないわけです。この点が、与党並びに社会党との話し合いの場合におきましても、トウモロコシの輸入というものを一体どうするかということが簡単に話がつかないわけです。これはまあ政権の所在でもかわれば簡単に解決するわけでありますが、なかなかいまの自由党内閣のもとにおいてはここまで及ぶということはできがたいと思うのです。それでまあ次善の策のようなことになりますけれども、農安法をまず強力にこれを改正して、ことしの秋のイモでん粉の問題に対処する。その結果を見て、どうしても農安法の改正だけでこれはきき目がないという場合には、次の時限でもう少し強力な、形を整えた制度というものをつくる必要がある。そういうことで、われわれとしてもこれは十分でないというふうに考えておりまするので、その点は御了承を願いたいと思います。
  170. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどお話がありましたように、昭和二十八年に農安法が設定された当時、カンショだとかバレイショだとか、本法の第一条の目的である米、麦に次いで重要な農産物としてこれは規定された。そうして当時は国民生活にはなくちゃならないものであったが、それが国民生活の食生活の変化等で、選択的拡大政策の推進によって次第に主食の位置からかけ離れてしまった。これはもう私がいまさら申し上げることもなく、先ほど川村委員からもこの点についてはちょっと触れたようでありますが、こうした農産物の生産の特徴として、私が言うまでもなく、カンショは鹿児島、宮崎等を中心にした九州地方であって、関東地方等もこれは作付けられておりますが、米、果実等の栽培が困難な農地においては特にこれらが生産されておる。バレイショにあってはこれは北海道における数少ない畑作物となっていることも言うまでのことはありません。農家の所得の向上を目的とする農業の上からいってもこれは重要な意義があると思うのでありますが、私は政府にお伺いしたいのは、この第一条である旧法の字句の解釈になりますが、「正常な水準」から「適正な」という語句の解釈、それと「確保」という、その「生産の確保」という面からいきましてこの生産性の計画と需要とをどう将来考えていくのか、こういう点について政府に伺っておきたいと思います。
  171. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 農産物価格安定法は、もちろん第一条にございますような目的に従って、従来の法律のたてまえといたしましては「農業生産及び農家経済の安定に資することを目的」といたしております。申し上げるまでもございませんけれども、でん粉は水あめだとかブドウ糖その他の加工品の原料でございます。したがいまして、原料という形で第一条の目的を達成するというふうな考え方でできておるものというふうに考えております。
  172. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 加工品の原料という話が出ましたので、最近のカンショとかバレイショの消費動向を見てみますと、当然これは完全に加工消費が中心になっておることはこれは明らかであります。このことは三十九年のカンショにしても非常に減産している。ところが、それと、価格が下落しているというその背景といいますか、そのバックには、粗糖の抜き打ちの自由化あるいは砂糖の価格の低落によってでん粉市場が非常に低迷している。こういうことから考えてきますと、価格の問題を取り上げていくと同時に、加工産業ということも当然これは考えられてこなければならないと思います。加工段階におけるところの対策というものがどういうふうになっているか、この点も伺っておきたい。
  173. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 昨四十イモ年度、本四十一イモ年度におきましては、カンショでん粉の供給がかなり不足をしてまいっておるわけでございます。そういうふうな点からでん粉の価格はかなり高水準になっておるわけでございます。そういうことを背景にいたしまして、このでん粉を使用いたします水あめ、ブドウ糖等はかなり苦しい状態にまいってきておるわけでございます。消費者のためにも生産者のためにもでん粉の価格が安定する、適正な水準で安定するということがきわめて望ましいことであるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、現在政府が手持ちしておりますでん粉の売却等を通じまして価格安定をはかり、でん粉、ブドウ糖、水あめ等の産業が安定的に繁栄をするような努力をいたしておりますし、今後も努力をいたすつもりでございます。
  174. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお話がありましたように、農産物自体の価格安定ということは、このままの状態では済まされなくなってきておるというお話がありましたけれども、さらに同じことを聞くようでありますが、関連産業という立場から加工業界においても、遠くに加工工場をつくるというよりその生産されているその生産地で加工工場をつくっていくような方針等についての考え方はどうなんでしょうか。
  175. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) ただいまお話しの点は、でん粉の生産地に加工工場をつくったほうがいいではないか、こういう御質問だと思うのでございますが、現実にでん粉を使用します加工工場というものはほとんどが都市に集中をいたしております。自由な経済の流れの中におきましてどのような形が最も合理的であるかということから、関連産業がその立地をきめておると思うわけでございます。現在は都市に集中をしておるということから考えますと、当然都市に立地したほうが合理的であるということにならざるを得ないのではないかというふうに考えるわけでございますが、そこで、その理由を検討いたしてみますと、やはり製品につきましては、たとえばその製品を使用します産業にそれを供給する必要がある、こういうふうな点から考えてみますと、どうしても関連産業に近いところほど販売をするのに有利であるというふうな事情が一つ存在します。それからまた、原料を送るほうが有利であるか製品を送るほうが有利であるかというふうなことを考えてみますと、やはり製品を輸送するよりは原料を輸送したほうが有利である、こういうふうな点から現在生産地にでん粉加工産業が存立しなくて、都市に、つまり消費地に存立しておるというふうな事情ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  176. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 将来の行き方として考えられますことは、ここにあります第五条ですか、第五条に原料の基準価格ということ——原料、運賃、加工に要する費用等を加えて得た額という、原料の基準価格という問題もこれは重点を置いて考えてこられなければならないと思うのであります。いまお話がありましたようなことは、現時点の情勢からいきましてこれはわかるわけですが、将来におけるところの行き方として、私はビジョンはどこに置くのかということを伺ったわけなんです。ですから、原料運賃等につきましても、これは農家の手元に入るまでには、生産するほうの側に入るまでにも相当な額がかかってくるわけです。また中間的にいる団体等でマージン等も取られている。したがいまして、そういうところに生産者のしわ寄せ等もあると、こう思うわけなんです。ですから、将来はどういうふうな方向づけでいくべきであるかということを伺っているわけです。
  177. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) でん粉企業はもちろんイモからでん粉をつくるわけでございますが、このでん粉企業というものは、イモの輸送というのはたいへんでございますから、したがいまして、イモの生産地に立地しておるということになっておるわけであります。それから、でん粉を使いまして新しくつくります水あめとかブドウ糖とか、そういうふうな産業につきましては、これは直接それが売られるという立場から、消費地に立地しておるという状態にあると思いますが、こういうふうなことは今後においてもそういう状態は持続する、ブドウ糖だとか水あめだとか、その他の加工産業が生産地に立地するという条件はなかなかないのではないかというふうに考ておるわけでございます。
  178. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これもまた私の考え方を言って論争すれば相当時間がかかりますので、残念ながらこれはまた後日に譲りまして、先ほど輸入の話が出ましたのですが、外国品等の話が出ましたのですが、需要の何パーセントになっているか、その点を伺っておきます。
  179. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 昭和四十イモ年度におきましての需給を申し上げますと、でん粉の需要といたしましては、すべてのでん粉の需要が百十四万八千トン程度であろうと考えております。それに対しましてそれに見合う供給を確保する必要があるわけでございますが、それに見合う供給な考えた場合に、コーンスターチは二十七万トンということに相なろうかと存じます。
  180. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 さっきの四十万トンというのは何ですか。
  181. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) 先ほど芳賀先生から四十万というお話がございましたが、これはコーンスターチの生産能力だろうと思いますが、私たちが見ておりますところでは、おおむね三十三万トン程度ではないかというふうに考えて、それをまるめまして四十万トンというふうにおっしゃったのだろうというふうに考えております。
  182. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) コーンスターチの企業は、これは政府が特に制限を加えているわけではないのですから、これは調査の方法によっては、農林当局のように非常に内輪に把握しているのもあるし、われわれのように実態を正確に把握している場合と、数字上の差はあるということはあるだろうと思うのですが、これはゆゆしい問題だと思うのです。年間操業ですからね。非常に近代的設備でやっているということになるわけですからして、おそらく北海道のバレイショでん粉の倍の数量は、コーンスターチのいまの製造能力で生産できるというふうに考えております。
  183. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もっと私質問を続けていきたいのですが、本会議等が第二ラウンドであるようなことなので、質問は終わりたいと思いますが、生産者の立場のみを考えられるのじゃなくて、消費者の立場の上に立っての、その中からの行き方を私は強く要望しておきまして、消費者の立場に立ってからの、また逆に言えば業者、それから生産者、こういう考え方の上に立っていくべきが至当だと思うということを一言申し添えまして、私の質問を終わります。
  184. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  185. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記起こして。  暫時休憩いたします。    午後六時十五分休憩      —————・—————    午後十一時十七分開会
  186. 山崎斉

    委員長山崎斉君) これより委員会を再開いたします。  まず、おはかりいたします。  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案、野菜出荷安定法案入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案農業災害補償法の一部を改正する法律案農産物価格安定法の一部を改正する法律案、以上五法律案につきましては、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案について、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  189. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  190. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、野菜生産出荷安定法案について、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  野菜生産出荷安定法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  192. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  矢山君から発言を求められておりますので、これを許します。
  193. 矢山有作

    ○矢山有作君 ただいま可決されました野菜生産出荷安定法案について、自由民主党、日本社会党、公明党の三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同を願います。  案文を朗読いたします。   「野菜出荷安定法案」に対する附帯決議案   政府は、野菜の生産・出荷の安定をはかり、野菜農業の健全な発展と国民生活の安定に資するため、本法の施行にあたり、とくに左記事項の実現を期すべきである。      記  一、野菜指定産地の指定、生産出荷近代化計画の樹立実行に当つては、生産者団体等の意見を十分に徴し、系統農業協同組合の行なう共販機能を活用し、農業者の自主的経営意欲を助長するとともに、指定産地以外の野菜産地をも含め生産出荷体制等に対する指導及び財政的措置を積極的に拡充すること。  二、価格補てん事業の実施にあたつては、国の助成措置等により、安定資金の確保に十分な考慮を払い、価格補てん機能の充実に対処し、野菜生産の安定のため、適正な保証基準価格の設定及び補てん金の交付額の引上げを行なうとともに、これに必要な資金は国庫負担とすること。なお生産過剰が生じ廃棄等が行なわれた場合は、適正な補償措置についても検討すること。  三、指定消費地域は、野菜消費量等の動向をみて、今後、必要に応じて拡大をも考慮し、指定野菜の対象品目は将来需要の増大が予想されるものを加えること。  四、野菜価格の安定をはかるため、生産出荷計画の指導に万全を期し、生産出荷団体間の生産出荷調整が十分に行なわれるよう努めること。  五、本法のねらいとする野菜価格の安定を期するためには、本法による野菜の生産、出荷の安定だけでは困難であつて、これがためには、消費地における荷受けから消費者に至る間の流通合理化を徹底的に行なう必要がある。これがため次の措置を講ずること。  (1) 流通近代化を促進するため消費地における流通近代化施設(集配センター等)を整備することとし、国は、所要の助成を行なうこと。  (2) 中央卸売市場の抜本的合理化を早急に行なうこと。  六、補てん金の交付の対象は中央卸売市場出荷分に限定することなく、流通近代化にともなう集配センター等の施設における取引にも適用すること。   右決議する。  以上です。
  194. 山崎斉

    委員長山崎斉君) おはかりいたします。矢山君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  195. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  196. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨に沿い、十分検討の上、善処いたします。     —————————————
  197. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案について、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  199. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  中村君から発言を求められておりますので、これを許します。
  200. 中村波男

    中村波男君 ただいま可決されました入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党の三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同を願います。  案文を朗読いたします。   入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案に対する附帯決議案政府は、入会林野等の利用の高度化を図って農林業の振興に資するため、本法の施行に当つ  ては、とくに左記事項を充分尊重して整備を促進すべきである。  一、入会権者または旧慣使用権者の権利を尊重し、あわせて権利関係の整備を円滑に推進するため、実情に則した整備基準を策定すること。とくに旧慣使用権については、その成立の沿革にかんがみ、入会権に準じた取扱いを行なうこと。  二、入会林野等の整備に当つては、土地の集中分散を防止するため、生産森林組合、農事組合法人の設立等協業化の促進を図り、これら協業体の育成措置に万全を期すること。  三、権利関係を整備した入会林野等農林業上の利用を増進し、農林業の構造改善に資するため、造林、林道、草地造成その他必要な事業に対する助成を強化すること。また、整備が困難な入会林野等についても、その利用を高度化するため、管理体制の整備等その指導に努めること。   右決議する。  以上であります。
  201. 山崎斉

    委員長山崎斉君) おはかりいたします。  中村提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  202. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  203. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、誠意をもって努力いたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  204. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案について、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  206. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  村田君から発言を求められておりますので、これを許します。
  207. 村田秀三

    ○村田秀三君 ただいま可決されました農業災害補償法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党の三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同願います。  案文を朗読いたします。    「農業災害補償法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議案   政府は、本法の施行にあつては十分その趣旨の普及徹底等を図るとともに、畜産の発展と飼養農家の経営向上に資するため、これが実施に遺憾のないようとくに次の措置に万全を期すべきである。  一、制度の普及徹底を図るはもちろんであるが、さらに木制度が飼養農家をして期待せしむるに充分な内容を具備するよう努めること。  二、農家の損害てん補の実をあげるため、共済金の早期支払いを期し得るよう家畜共済の事務処理の簡素化を図ること。  三、共済掛金の国庫負担の対象となる共済金額の最高限度については、最近の家畜価格の上昇傾向にかんがみ、実情に即応して引上げる等所要の措置を講ずべきである。  四、家畜共済の損害防止事業を実施するにあたっては、これが円滑な実施をはかるため必要な予算を確保するとともに、畜産指導とあわせて家畜の健康管理等適切な畜産施策と共済事業の密度な連携を図りつつ家畜診療体制の充実に努める。  五、家畜共済制度の診療業務を担当する家畜診療所の活動および運営の実態にかんがみ、これが抜本的な改善につき適切な措置を講ずるよう検討すること。  六、肉豚、葉たばこ等の各種共済について、早急に調査を完了し、制度の確立を期すること。  七、調査を完了した果樹共済については、昭和四十一年度中に成案を得るよう措置すること。   右決議する。  以上であります。
  208. 山崎斉

    委員長山崎斉君) おはかりいたします。村田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  209. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  210. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨に沿うよう十分検討の上、善処いたします。     —————————————
  211. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農作物価格安定法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  農産物価格、安定法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  213. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決すべきものと決定いたしました五法案について、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
  215. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 次に、請願第一一八号外四四三件を議題といたします。  先ほどの理事会で下審査いたしました結果を、専門員から報告させます。
  216. 宮出秀雄

    ○専門員(宮出秀雄君) 請願第一一八号青森県平館村石崎に漁港設置請願外百三十二件は採択することとし、その他は、法案成立済み等のため、留保とすることが適当であると意見が一致いたしました。
  217. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) それでは、請願第一一八号外百三十二件は議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものとし、請願第二三三号外三百十件は留保と決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  219. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 継続調査要求についておはかりいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  222. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 続いて、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産政策に関する調査のため、今国会閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  226. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後十一時四十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————