運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-06-23 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午後一時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 園田 清充君                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 宮崎 正義君     委員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 仲原 善一君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 川村 清一君                 中村 波男君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    衆議院議員        農林水産委員長        代理理事     舘林三喜男君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林省農地局長  大和田啓気君        農林省園芸局長  小林 誠一君        林野庁長官    田中 重五君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○野菜生産出荷安定法案内閣提出衆議院送  付) ○入会林野等に係る権利関係近代化助長に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○農地管理事業団法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  野菜生産出荷安定法案議題とし、まず農林大臣から提案理由説明を聴取、続いて政府委員から補足説明資料説明を聴取することといたします。坂田農林大臣
  3. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 野菜生産出荷安定法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  最近における国民所得増大に伴う国民の食生活の向上により、野菜に対する需要増大を続けておりますが、野菜生産の現状は天候に支配されるところが大きい上、その生産及び出荷体制が必ずしも十分に整備されていない等のため、野菜農業の健全な発展の上からも、国民消費生活の安定の上からも困難な問題を生ずるに至っております。特に、人口集中の著しい大都市におきましては、野菜消費量も多く、かつ、種類も多岐にわたり、これを出荷する地域も広範囲にわたる等のため、そこで形成される価格全国野菜価格に大きな影響を及ぼしている状況にありますので、大消費地域出荷される主要な野菜について、その安定的な供給を確保し、もって野菜農業の健全な発展国民消費生活の安定に資するための対策が強く要請されているところであります。  このような要請にこたえるためには、野菜生産及び出荷にわたる施策として、大消費地域出荷される主要な野菜の安定的な生産と計画的な出荷を行ない得る集団産地の育成をはかるとともに、その価格の著しい低落に対処するための措置を講ずる必要があると考えられます。  このような考え方に基づきまして、ここに野菜生産出荷安定法案を提出した次第であります。  以下この法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、需要見通しについてであります。すなわち、農林大臣は、一定消費地域における主要な野菜需要見通しを立て、これを公表するものとしております。  第二は、野菜指定産地についてであります。農林大臣は、主要な野菜一定消費地域出荷する一定生産地域で、集団産地として形成すべきものを野菜指定産地として指定することができるものとしております。  第三は、生産出荷近代化計画についてであります。各野菜指定産地管轄都道府県知事は、野菜指定産地ごとに、その区域におけるその主要な野菜生産及び出荷近代化をはかるための生産出荷近代化計画を立てるものとしております。  第四は、野菜生産出荷安定資金協会についてであります。この協会は、野菜指定産地区域内で生産される主要な野菜出荷者による自主的な機関として、これらの者の発意により設立される法人とするものとしております。  協会は、指定消費地域において一定の主要な野菜価格が著しく低落した場合に、野菜指定産地内の生産者経営に及ぼす影響を緩和するため、会員から徴収する負担金等をもって、生産者補給金交付業務を行なうものとしております。  このほか、協会役員総会業務に関する監督等について所要規定を設けております。  なお、農林大臣または都道府県知事は、野菜指定産地から一定消費地域に対する主要な野菜出荷の安定をはかるため、その出荷者に対し合理的かつ計画的な出荷に関し勧告をすることができることとしております。  以上が、この法律案提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 山崎斉

  5. 小林誠一

    政府委員小林誠一君) 野菜生産出荷安定法案につきまして補足して御説明申し上げます。  この法律案提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、ここでは省略することといたし、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。  この法律案の構成につきましては、全六章及び附則からなっておりまして、以下章を追って御説明申し上げます。  まず第一章におきましては、この法律案目的とこの法律における用語定義を定めております。  この法律案目的につきましては、主要な野菜生産及び出荷の安定をはかることにより、野菜農業の健全な発展国民消費生活の安定に資することを目的としまして、その主要な野菜について、一定生産地域における生産出荷近代化を計画的に推進するための措置を定めるとともに、一定消費地域におけるその価格の著しい低落が、その生産地域におけるその生産者経営に及ぼす影響に対処するための出荷者の自主的な組織である野菜生産出荷安定資金協会制度を確立することとしております。  この法律案における用語定義につきましては、需要見通し野菜指定産地指定等の対象となる消費地域及び主要な野菜について所要定義を定めております。  第二章におきましては、農林大臣は、関係都道府県知事意見を聞いて指定消費地域における指定野菜需要見通しを立て、これを公表することを定めております。  第三章におきましては、野菜指定産地指定及び生産出荷近代化計画作成について定めております。  この法律案に定める措置の中核は、人口集中の著しい大都市及びその周辺の地域に対して主要な野菜の安定的な出荷が行なわれる集団産地を育成することにありまして、この章におきましては、このような集団産地形成のための要件を備えた生産地域野菜指定産地として指定するとともに、そこにおける生産及び出荷近代化を計画的に推進するための措置を定めております。  農林大臣は、都道府県知事意見を聞いて、指定野菜指定消費地域に対する出荷が行なわれる一定生産地域のうち、作付面積、そこへの出荷数量出荷条件等指定野菜集団産地形成に必要な一定要件に適合する地域を、指定野菜種別ごと野菜指定産地として指定することとしており、その指定は、需要見通し等から推定される指定消費地域におけるその指定野菜需要の動向に即するように行なうこととしております。  野菜指定産地指定に関連して、都道府県知事からの指定の申し出、区域変更等について、所要規定を設けております。  野菜指定産地区域を管轄する都道府県知事は、野菜指定産地ごとに、関係市町村農業団体等意見を聞いて、その指定野菜生産及び出荷近代化をはかるための生産出荷近代化計画を立て、これを農林大臣に提出するとともに、その概要を公表しなければならないものとしております。  生産出荷近代化計画作成に関連して、その変更について所要規定を設けております。  第四章におきましては、野菜生産出荷安定資金協会制度について定めております。  野菜につきましては、その特殊な性格により大きな価格変動の繰り返しが見られ、特に著しい価格低落がその安定的な生産及び出荷を阻害していることにかんがみまして、野菜指定産地から出荷される指定野菜について、指定消費地域における指定野菜価格の著しい低落がその生産者経営に及ぼす影響に対処するための出荷者の自主的な組織である野菜生産出荷安定資金協会制度を確立することとしております。  野菜生産出荷安定資金協会は、会員から徴収する負担金等をもって、指定消費地域における指定野菜価格の著しい低落があった場合における会員を通ずる生産者補給金交付業務を行なうことを目的としております。  以下本協会組織等概要を御説明申し上げます。  その第一は、野菜生産出荷安定資金協会設立及び会員に関する事項であります。  協会は、会員たる資格を有する法人七以上が発起人となり、創立総会を開く等協会設立のための事務を行ない、農林大臣による設立の認可、設立登記等所定の手続を経て成立することといたしております。  協会会員たる資格を有する者は、農業協同組合連合会等野菜指定産地から一定指定野菜一定指定消費地域出荷する団体とし、その加入及び脱退は、任意といたしております。  その第二は、協会業務に関する事項であります。  協会業務は、会員から徴収する負担金等により造成する資金をもちまして、一定指定消費地域における一定指定野菜価格の著しい低落があった場合に、その低落野菜指定産地内のその生産者経営に及ぼす影響を緩和するための生産者補給金をその生産者交付するため、会員に対し、生産者補給交付金交付することであります。  その三は、協会管理に関する事項であります。  協会業務の実施につきましては、その公正な運営をはかるため、定款業務方法書規約等により明確な基準を設けて行なうこととしておりますが、このような重要事項は、創立総会及び総会議決事項としております。  協会役員も、定款で定めるところにより、総会において選任することといたしておりますが、資金の適正な管理及び業務の公正な運営を確保するため、農林大臣が必要な監督を行なうこととしております。  第五章は、雑則に関する規定であります。  農林大臣または都道府県知事は、野菜指定産地からの指定消費地域に対する指定野菜出荷の安定をはかるため必要があるときは、その出荷者に対し、合理的かつ計画的な出荷に関し必要な勧告をすることができるものとしております。  また農林大臣は、この法律を施行するため必要があるときは、指定野菜生産もしくは出荷事業を行なう者またはこれらの者の組織する団体から、これらの事業にかかわる業務に関して、必要な報告を徴することができることといたしております。  第六章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、民法によって設立されておりますたまねぎについての財団法人青果物生産安定資金協会及びかんらんについての財団法人野菜指定産地生産安定資金協会から本協会への権利義務の引き継ぎについて定めるほか、協会業務の健全な運営を確保する観点から、昭和四十一年度において協会設立された場合には、政府は、その設立に際し、予算の範囲内において、協会に対し、事務費の財源に充てるため、交付金交付することを定めております。  その他協会に農林中央金庫の所属団体たる資格を与えるほか、登録税地方税所得税及び法人税につきまして、税制上の優遇措置を講ずる等所要規定を設けることといたしております。  以上をもちまして本法律案についての補足説明を終わります。  引き続きまして、法案参考資料について御説明申し上げます。  まず第一ページから二ページにかけまして、農業産出額の中におきます野菜の地位ということを御説明申し上げたいと思います。この総産出額でございますが、これは昭和三十九年には、概算で二兆六千八百六十億になっております。この資料をつくりました以後、四十年の概算が出ました。それによりますと、三兆五百十六億になっております。ここにはございませんが、そうなっておりますが、野菜はそのうちで、三十九年では三千百三十億ということで、これがパーセントにいたしまして一二%でございます。四十年の数字は三千四百三十四億でございまして、大体パーセンテージは変わりません。大体総算出額の中の一二%を野菜が占めておるわけでございます。  それから三ページでございます。三ページは、戦前からの作付面積推移につきまして、主要な二十二種の品目作付面積についての表でございます。これによりますと、昭和——十一年が四十七万二千四百十八ヘクタールでございます。昭和四十年は五十九万五千百五十ヘクタール、一二六%になっております。もっとも、昭和二十四年——六年を見ていただきますとおわかりのように、これは戦前より減っておりまして、九三というという指数になっておるわけでございます。面積といたしましては大体二六%増ということでございます。  その次の表が、今度は収穫量推移から見ました場合に、昭和九−十一年が七百二十五万七千八百六十三トンというふうになっておりまして、昭和三十九年では千二百十八万五百トンということで、一六八という指数になっております。で、また最近四十年が出まして、その数字では千二百八十一万四千トンということでございまして、その指数といたしましては一七七ということになっておりまして、面積の増は二六%でございますが、生産量収穫量と申しますか、その増は七七%になっておるという表でございます。  それから五ページでございますが、上欄の表は、一世帯当たり野菜に対する年間消費金額でございまして、(A)の欄に食料品が書いてございます。三十九年におきまして、一世帯当たり二十七万一千六百九十二円でございますが、そのうち野菜に支出いたしましたのが二万一千六百四十八円ということで、約八%ということになっておりまして、大体まあ七、八%というのが食料品に占める割合でございます。それから5の表でございますが、これは主要野菜の一世帯及び一人当たり年間消費量の表でございます。全都市世帯の家計調査からの表でございます。御参考に供していただきたいと思います。  それから六ページの表は、同じくこれは全都市の全世帯につきまして、重量であらわしました年間消費量でございます。  それから七ページの表でございます。これは年間一人当たり野菜消費量国際比較でございまして、ちょうど各国の統計がそろっておりますのは一九五七年でございまして、そういう点で非常に古いのでございますが、これで見ていただきますと、非常に野菜を消費しておりますのは、フランスが一人当たり百二十三キロという点と、それからポルトガルギリシャがそれぞれ百キロ以上を消費しておりますが、その他の国は百キロ以下でございます。(注)のところにございますが、日本の場合はどうかと申しますと、(注)の3にございますように、この五七年のときは七十五・六キログラムになっております。これは食糧需給表からの計算でございますが、三十九年では百・四キロということになっておりまして、約百キログラムでございまして、大体フランスだとか、あるいはギリシャポルトガルというようなところの次に位するということでございます。  それから八ページの表でございますが、これは総合消費者物価指数野菜価格指数でございまして、下の実線、これが総合物価指数でございまして、波線であらわしておりますのが、これが野菜価格指数でございます。昨年の、四十年四月でございますが、このときには、昭和三十五年を一〇〇といたしまして三〇一・七というふうになったわけでございます。非常に野菜がその当時は上がったわけでございます。本年に入りまして、これは三月までしかございませんが、四月に入りましてこれが二二六ぐらいになったと思います。五月になりまして一八六ということに下がっております。昨年に比較いたしましては、その野菜価格指数は三十五年に対して低い数字になるということが言えると思います。  それから九ページでございます。九ページは、これは年度で見ました消費者物価年度別実績比較でございまして、これでごらんいただきますとおわかりのように、野菜でございますが、これは三十八年度に比べまして、三十九年度は一一%の増ということになっておりまして、それでその場合の対前年の上昇寄与率でございますが、これは食料が四九%になっておりますが、その中で野菜が一〇%ということで、非常に高い上昇の原因になっておるという表でございます。  それからその次は、御参考までに、消費者物価指数の中で野菜の類別の月別ウエートの配分の表を出しておいたのでございますが、大体年間消費支出ウエートとも関連するわけでございます。それぞれ三六六というウエート消費者物価が一〇、〇〇〇のうちで、野菜は三六六ということになっておるわけでございます。月別ウエート、また年のウエートという数字でございます。  それから一一ページからの表でございます。これはずっと一六ページまで、東京都に入荷いたしました月別野菜入荷量と、それから卸売り価格の表でございまして、三十七年から四十年までをとってございます。一カ月ごとにそれぞれ大きな変動があり、また価格変動いたしております。  それで、一六ページの一番最後の欄の総入荷という欄について御説明申し上げますと、計といたしまして、昭和四十年には百三十三万一千百八十一トンという入荷中央卸売り市場に入っておるわけでございます。それで価格を見ていただきますと、これは総入荷量でその受け取り価格を割ったということでございますが、そうしますと、昭和三十七、三十八、三十九というのが、ほとんど、三十二円、三十四円、三十四円ということで変わりません。四十年になりまして四十三円ということで、九円の増になっておるということで、ございまして、野菜平均価格としてはそのように卸売り価格が上がっておるという表でございます。  それからその次の一七ページの表でございますが、これは全野菜につきまして、京浜、中京、京阪神、北九州という四大消費地域入荷量ウエートを示す表でございまして、一七ページの一番右の欄にございますように、この四大消費地域に入ります。中央卸売り市場に入ります野菜が、二百四十五万三千トンということになっておりまして、価額として八百四十六億ということでございます。そのウエートを見ますとおわかりのように、京浜地域がその六三%を占めておりまして、その中で東京は全体の中の五四%を占めておるということで、東京ウエートが非常に高いという表でございます。もっとも、これは中央卸売り市場入荷量でございまして、四大消費地域に入ります全入荷量ではございませんので、御注意願いたいと存じます。  それからその次は一八ページでございます。これは東京市場を中心とした野菜立地条件が変化しているという表でございまして、近郊、これは東京、埼玉、千葉、神奈川でございます。中間、これは福島、茨城、栃木、群馬、山梨ということで、その他の県を遠隔という仕分けになっておりますけれども、そのウエート中間近郊から中間ないし遠隔地域に移っておるという表でございます。  それから一九ページの表でございますが、これはトマトキュウリにつきましての周年供給化傾向の表でございます。最近、トマトキュウリともに冬の出荷というのがふえておりまして、指数で見ますと、昭和三十五年を一〇〇といたしまして、トマトが一月の出荷は三一五というふうにふえておるということでございます。キュウリにつきましても、同じように三六五というふうにふえております。そういうふうに最近の野菜周年化傾向にあるということを示す表でございます。  それからその次は、結球白菜につきまして、都道府県別作付面積推移を示したのでございまして、二一ページにございますように、全国で見ますと白菜作付面積は年々増加しておりますが、その中で茨城の欄を見ていただきますとおわかりのように、非常に毎年変動がございます。大体におきましてその前年度価格が下がりました場合には、作付面積も下がっておるということが言えると思います。この下がっております前年には非常に価格の暴落があった年でございます。その他の野菜につきましては、こういうようにはっきりした数字が出ませんので、御参考までに結球白菜作付面積等推移の表を掲げた次第でございます。  その次の二二ページでございますが、これは野菜農家経営規模でございます。それで四十年の欄で見ていただきますと、野菜農家収穫農家が四百八十八万戸ということで、農家の中で野菜をつくっておる農家八六・二%でございます。しかし、販売農家は百二十万戸ということで、野菜作付農家の二四・七%、約四分の一が販売しておるという表でございます。  それからその次は、規模別農家数野菜作付規模別農家数で、ほとんどが九アール未満でございまして、平均から申しますと、大体七アール程度になっております。  それから二四ページでございますが、これは十アール当たり生産費でございます。ただ、ここには集計の戸数が非常に少ないのでございまして、あまりはっきりしたものが出てまいりませんけれども、御参考までにこの表を掲げたわけでございます。  それから二五ページでございます。これは出荷機関別販売実績でございまして、品目別に見ますと非常に違いがございますが、(2)の総計のところで見ていただきますとおわかりのように、大体におきまして農協連任意団体というものを合わせまして約五〇%、それから商人その他の団体個人出荷があと五〇%ということが言えると思います。  それから二六ページでございますが、これは入荷割合年次別変化でございます。ことに指定品目が大体どれくらいのウエートを占めておるかということを、東京都の中央卸売り市場数字で示したわけでございまして、大根、白菜、カンラン、トマトキュウリ、タマネギということで本年度指定予定いたしております品目入荷量が七十一万六千トンでございまして、全体におきまして占める割合が総入荷量の五四・四%ということでございます。  以上がこの参考資料につきましての御説明でございます。御参考に供していただきたいと存じます。     —————————————
  6. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案議題とし、まず農林大臣から提案理由説明を聴取し、次に、衆議院農林水産委員長代理理事舘林三喜男君から、衆議院における修正点説明を聴取し、続いて政府委員から補足説明及び資料説明を聴取することといたします。坂田農林大臣
  7. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 入会林野等にかかわる権利関係近代化助長に関する法律案につきまして、その提案理由及びおもな内容を御説明申し上げます。  わが国の農山村におきましては、古くから入り会い林野等の利用が行なわれてきたのでありますが、今日なお、その面積は二〇〇万ヘクタールをこえ、全国の民有林野面積の一三%に及んでいるのであります。  これらの林野の利用状況は、一般に粗放であり、農林業経営発展及び農山村民の所得の向上に十分寄与しているとはいいがたい現状でありまして、これによる国民経済上の損失も少なくないと思われるのであります。  入り会い林野等の利用が低位にとどまり、その開発がおくれている原因は、いろいろあると思われるのでありますが、その最も基本的なものは、これらの林野に入り会い権等の権利が存在していることであります。  これらの権利に基づく利用は、今日に至りましても依然として旧来の慣習に制約されておりますため、時代の新たな要請に応じて利用の高度化をはかろうといたしましても、容易にその転換ができないのであります。  したがって、入り会い林野等についてその利用を増進し、農林業経営の健全な発展に役立たせるため、このような権利関係近代化すること、すなわち、入り会い権等の旧慣による権利を消滅させ、これらを所有権、地上権等の近代的な権利に切りかえることが強く要請されるに至っているのであります。  しかしながら、現状におきましては、このような権利関係近代化をはかりますためには、かなり煩瑣な手続や、多額の経費負担を必要とし、農山村民が独力でこれを実行することはきわめて困難でありまして、そのことが、これまでに権利関係近代化を進める上の大きな障害となっていたのであります。したがいまして、入り会い林野等の農林業上の利用の増進をはかってまいりますためには、このような障害を排除いたしまして、農山村民が自主的かつ円満に近代化を実現し得るよう助長する措置を講ずることが緊急に必要であると考えるものであります。  以上のような理由からいたしまして、この法律案におきましては、入り会い林野等権利関係近代化を行なうに必要な手続を定めますとともに、関連する登記手続の簡素化、租税の減免、経費の補助等各種の援助措置を定めたのであります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次に、法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一は、入り会い林野における権利関係近代化、すなわち入り会い林野整備の実施手続等に関する規定であります。  入り会い林野整備を行なうにあたりましては、まず入り会い権者全員の合意によってその整備計画を定め、その計画について土地所有者その他の関係権利者の同意を得る等の手続を経た上で、都道府県知事の認可を受けることとしております。  次に、都道府県知事がこの計画について認可をした場合には、その旨を公告することとし、その公告があったときは入り会い権及びその他の権利が消滅し、入り会い権者が所有権、地上権等の権利を取得することとしております。入り会い権者が取得した権利の登記につきましては、都道府県知事が一括して登記を嘱託することといたしております。またこの場合、入り会い権消滅後の土地の効率的利用をはかるため、協業化の方向を助長する趣旨から、入り会い権者が生産森林組合等に権利の出資を行なう場合の登記につきましても、都道府県知事がこれを嘱託することといたしております。  第二は、市町村及び財産区の所有する林野で旧慣の存しておりますもの、すなわち旧慣使用林野の整備の実施手続に関する規定であります。この場合におきましては、農業または林業構造改善事業等の効率的な実施を促進するために必要な場合に行なうことができるものといたしております。また、この整備計画の作成については、市町村長が、あらかじめ旧慣使用権者の意見を聞き、市町村の議会等の議決を経ることといたしております。  なお、旧慣使用林野整備計画の認可の公告による権利変動、及びその後の登記等については入り会い林野整備の場合に準ずることといたしております。  第三は、入り会い林野整備等が円滑に行なわれるように援助措置についての規定を設けております。  まず、登記手続につきましては、政令で不動産登記法の特例を定めることができることとしてその簡素化をはかるほか、税制上の特例といたしましては、入り会い林野整備等により権利を取得した者の経済的な利益については、課税しないものとするほか、不動産取得税及び登録税の減免措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  8. 山崎斉

  9. 舘林三喜男

    衆議院議員舘林三喜男君) ただいま議題になっております内閣提出衆議院送付入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案に対する衆議院における修正の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  修正の内容は二点であります。すなわち、その第一は、法案では旧慣使用林野の整備にあたって「旧慣使用権者」の意見を聞くことにしておりますが、旧慣使用林野成立の経緯にかんがみまして、「すべての旧慣使用権者の意見をきくこと」と修正することにいたしました。  その第二は、都道府県知事が、旧慣使用林野の整備計画を認可する基準といたしまして、入り会い林野整備計画の認可の場合に準じ、一部の者に対し権利の集中等をもたらすものでない旨の基準を加えることにいたしました。  以上、簡単ではございますが、修正の趣旨について申し上げました。なお、本修正案は自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三党の共同提案で行なわれました。  何とぞ全員の御賛同をお願い申し上げます。
  10. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 田中林野庁長官
  11. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  この法律案の構成といたしましては、全五章及び附則からなっております。  まず、第一章総則でございますが、第一条では、この法律目的を定めております。すなわち、入り会い林野等の農林業上の利用を増進するため、その権利関係近代化助長するための措置を定め、もって農林業経営の健全な発展に資することであります。  第二章は、入り会い林野整備に関する規定であります。  まず、第三条は、入り会い林野整備の実施手続に関する総括的な規定でありまして、入り会い林野整備は、入り会い権者が、その全員の合意によって入り会い林野整備計画を定め、その計画について、都道府県知事の認可を受けて行なうことができることといたしております。  第四条におきましては、入り会い林野整備計画の内容について規定しております。その内容は、対象となる入り会い林野の範囲、入り会い権者及び同意を必要とする関係権利者の氏名等、各入り会い権者が取得することとなる権利の種類、土地利用計画、権利変動に伴う金銭授受の方法等であります。なお、土地利用計画におきましては、入り会い権者が取得した権利を生産森林組合または農業生産法人に出資する計画があるときは、その内容も定めることといたしております。  第六条におきましては、入り会い林野整備計画の審査等について規定しております。都道府県知事は、計画の内容につき詳細な審査を行ない、その結果、認可の申請が適当である旨の決定をした場合には、その旨を公告することといたしております。これは、入り会い林野における権利関係の複雑さにかんがみ、直ちに認可をすることを避けて、利害関係人に異議申し出の機会を与える趣旨に基づくものであります。  第七条におきましては、都道府県知事は、異議の申し出が理由があると認めたときは、入り会い権者の代表者に対して、異議申し出人との協議を命ずることとし、次いで第八条におきましては、その協議がととのわなかったときは、代表者は、都道府県知事に対して調停の申請をすることができることといたしております。  第九条は、入り会い林野整備計画の変更の必要が生じた場合における手続について定めたものであります。  第十一条は、入り会い林野整備計画の認可等に関する規定であります。都道府県知事は、異議の申し出がないとき、協議がととのい、または調停が成立したとき等の場合には、入り会い林野整備計画の認可をしなければならないことといたしております。なお、同条第二項におきまして、金銭の授受を確実に行なわせる趣旨から、認可前に申請人代表者に金銭の供託をさせることといたしております。  第十二条におきましては、入り会い林野整備の効果について規定しております。すなわち、都道府県知事が入り会い林野整備計画の認可の公告をしたときは、その計画の定めるところにより、入り会い権及びその他の権利が消滅し、入り会い権者に対して所有権が移転し、地上権その他の使用収益権が設定されることといたしております。  第十四条は、権利変動についての登記に関する規定でありまして、都道府県知事は、公告後遅滞なく入り会い権者その他の関係者にかわって、登記の嘱託をしなければならないことといたしております。なお、入り会い林野整備後における協業化を助長する趣旨から、生産森林組合等への現物出資が行なわれる場合には、都道府県知事は、これらの法人のために必要な登記をあわせ嘱託することといたしております。  第三章は、旧慣使用林野整備に関する規定であります。  第十九条及び第二十条におきましては、旧慣使用林野整備の実施手続について規定しております。すなわち、旧慣使用林野整備は、農林業上の利用を増進するための事業で国または都道府県の行なうもの、またはこれらの補助にかかるものの効率的な実施を促進するために必要な場合に限り行なえることとし、また、その計画は、市町村長が、あらかじめ旧慣使用権者の意見を十分聞き、さらに市町村または財産区の議会等の議決を経た上で定めることといたしております。  なお、旧慣使用林野整備計画の認可の公告による権利の移転、設定または消滅、権利変動の結果の登記等については、入り会い林野整備の場合に準ずることといたしております。  第四章雑則におきましては、主として国の援助措置について規定いたしております。  まず、第二十七条におきましては、都道府県知事による嘱託登記手続の簡素化をはかるため、政令で不動産登記法の特例を定めることができることとしております。  次に、第二十八条におきましては、入り会い林野整備等により権利を取得した者がその権利取得によって得た経済的な利益については租税を課さないこととし、第二十九条におきましては、都道府県知事がこの法律に基づいて行なうこととなる事務に要する経費については、政令で定めるところにより、その二分の一を補助することといたしております。  第五章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、税制上の特例措置を講ずるため、関係法律の改正規定を設けております。  まず、地方税法の一部改正によりまして、入り会い林野整備等により土地を取得した場合に不動産取得税を軽減することとし、また、登録税法及び租税特別措置法の一部改正によりまして、権利を取得した者について登録税を免税とするとともに、生産森林組合等が権利取得者から現物出資を受けた場合の登録税を軽減することといたしております。  以上をもちまして、入り会い林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案についての補足説明を終わります。  なお、お手元に差し上げました本案に関しまする関係参考統計資料について簡単に御説明申し上げます。  まず一ページをごらんになっていただきます。一ページは入り会い林野等の県別の面積の広がり、それから県別の比率を掲げたものでございます。全面積で二百三万一千ヘクタール、山林が百五十七万九千七百町歩、原野が四十五万一千三百町歩となっておりますが、それの比率を掲げたものでございます。  二ページにおきましては、民有林総面積、北海道を除いておりますけれども、民有林総面積、それから林野全体の面積、その中に占める入り会い面積の比率、これを掲げたものでございます。  三ページに移ります。三ページは一つの入り会い集団、これを事業体と考えました場合に、全体の入り会い集団を事業体と見て十万九千九百九ある。その事業体に所属する入り会い権者の延べの人数が七百十九万九千六百九ございます。以下その一事業当たりの権利者六五・五人、それから一事業当たり面積一四・四町、一権利者当たり面積が〇・二二町、こういうのを県別に掲げたものでございます。  それから四ページに移ります。四ページは、いまの十万九千九百九事業体、それの保有階層別の事業体数、これを見たものでございます。この表にありますように、零細面積を保有する事業体が四三・一%、半ば近くを占めておるという表でございます。  その次の第五ページにおきましては、いまの事業体保有面積、階層別にこの事業体の持っておる面積、それを掲げまして、そうしてその面積の入り会い面積全体に対する比率、それを県別に掲げたものでございます。  それから六ページにまいりますと、これはサンプル調査でございますが、入り会い林野がどういうような利用、収益の状態にあるか、ここにございますように共同利用、直轄利用、分割利用、契約利用と、おおむねこの四つの利用形態がございますが、それぞれの面積比率、これを県別に見たものでございます。  それから七ページ、八ページ、これは省略いたしまして九ページへまいりますと、先ほどの事業体十万九千九百九、これが所有名義としてはどういうものになっておるか、個人、会社、社寺、共有、団体、組合、字有その他になっておりますが、この中で一番多いのが共有名義が五万二千で、約半分ということでございます。  それから一〇ページにまいります。一〇ページでは入り会い権の取得条件、これを掲げたものでございます。これを県別に見たものでございますが、ほとんどのものがその部落内居住ということを条件としておるということを示したものでございます。  それから一一ページにまいります。一一ページでは、どういう場合に入り会い権を失うのか、入り会い権を失った場合にどういう状態になるかということでございますが、これも部落を離れるとその大半は入り会い権を失うというおきてを県別に掲げたものでございます。  最後の一二ページにまいります。一二ページでは、この入り会い林野からあがった収入がどういう使途に使われているのかということを見た表でございます。部落公共費その他造林事業に使ったとか、あるいは入り会い権者に分配したとかいうことを比率で示した表でございます。  以上でございます。     —————————————
  12. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農地管理事業団法案議題とし、質疑を行ないたいと存じます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  13. 北條雋八

    ○北條雋八君 大臣はいますか、いつごろ来られるのですか。
  14. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  15. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。
  16. 北條雋八

    ○北條雋八君 昨日の質問に引き続きまして、小作料のことでまずもって伺いたいのですが、この小作料が水田千百十円ということは法案にはございませんが、これは規則か何かであるのでございますか、どこにありますか。
  17. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) お尋ねの小作料の額の問題でございますが、農地法の二十一条で、まず、「農業委員会は、小作農の経営を安定させることを旨とし、省令で定める基準に基き、都道府県知事の認可を受けて、農地ごとに小作料の最高額を定めなければならない。」という規定がございます。それを受けまして、施行規則の十四条の二で、「農業委員会は、法第二十一条第一項の規定により小作料の最高額を定めるには、その農地の農地等級に従い、別表第一に掲げる一反歩当りの額に基き、その農地の面積に応じ算出される額によらなければならない。」とございます。その施行規則十四条の二の別表第一というもので、小作料の額が従前でありますれば反当たりごく最近の改正で十アールあたりの額として規定をされておるわけでございます。それで田の部と畑の部というふうに分けまして、それぞれ等級が一級から十五級までございます。いま水田で反当千百円程度というふうに言われましたが、それに相当するものが田畑それぞれ六級でございます。十アール当たりに直しまして水田において千百十九円、畑の六級において六百七十二円、そういうことで小作料の統制をやっておるわけでございます。
  18. 北條雋八

    ○北條雋八君 この農林水産の統計で見ますと、三十六年から三十九年まで普通田それから普通畑、これに出ておりますけれども、これは全国平均だと三十九年は三千百七円になっております。都道府県別にずっと出ております。一番高いのが九州の四千九十七円、それから東北が三千三百六円というふうになって非常に高い実績でございますが、これはどういうわけでございますか。
  19. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) ただいま申し上げました統制小作料が定められましたのは昭和三十年でございます。三十年に小作料の統制額を定めまして以来、小作料の改定をやっておりませんので、事実上ある程度やみが、やみ小作料が行なわれておるということでございます。したがいまして、農林省の農家経済調査なり、あるいは米の生産費調査などにあらわれますものは実納の小作料でございますので、統制額と若干の食い違いがあるということでございます。
  20. 北條雋八

    ○北條雋八君 そのやみ小作というものは、これは取り締まれないのでありますか。あるいは黙認の形でやっておられるのですか、その点いかがですか。
  21. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 法律上は当然やみ小作料を受け取りました者に罰則がかかることになっておりますから、取り締まることは当然できるわけでございますけれども、小作料に限らず価格統制の取り締まりというのは、なかなか現実にむずかしい問題がございますので、事実上の問題として、ある程度やみが行なわれて、取り締まりは十分行き届かないという面があろうかと存じます。
  22. 北條雋八

    ○北條雋八君 これまた小作料の高低ということに基因するわけでありますが、昨日も申しましたとおり、この小作料が安過ぎるんで請負耕作というものも年々ふえてきておりまして、現在はこの請負耕作が、全国でどのくらいやっておるんだか調べたことがおありになるのか、それをお伺いします。
  23. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農林省の統計調査部を通じて調査したものが若干ございますが、最近の調査の結果によりますと、農地の請負耕作の件数が二万二千戸でございます。請負に出しておる農家が二万二千戸でございます。この請負の中には、農協あるいは農事組合法人その他のものが大機械を用いまして、共同化といいますか、共同作業を行なっているものが若干ございます。そういうところの小作料はやみではございませんけれども、そういう若干の共同作業的な、あるいは共同経営的なと申し上げてもよろしいかと思いますが、そういうものを除きましたあとのものには、事実上やみ小作に類似のものが、若干と申しますか相当あるというふうに私どもも考えている次第でございます。
  24. 北條雋八

    ○北條雋八君 共同耕作によるのはこれはやみ小作でないと、そうすると共同耕作によるものが大部分なんでありましょうか。その割合はどのくらいになっておりますか。
  25. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 共同耕作的なものとやみ小作的なものとの割合は、実は調査結果として出ておりませんけれども、やみ小作的なものと共同耕作的なものとどちらが多いかといいますと、私どもいろいろな実態調査——農村における見聞を通じて把握しております限りでは、共同経営的なもののほうがむしろ少なくて、やみ小作的なもののほうが多いのではないかというふうに考えております。
  26. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、政府としましては、これらのつまり違反行為に対して今後どういう方針をとられるのですか。その点、大臣から一応伺っておきたいと思います。
  27. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) これなかなかむずかしいこと、実態的にむずかしい実態に入っていると思います。したがって、これらの取り締まり等については、やはり行政庁それぞれの面で取り締まりをする、あるいは実態に合わしていくということに進むわけでございまするが、本体的には、やはり小作料の実態というものをよくそれに即応するように、小作料の改正——改定の問題へ進まざるを得ない、私はかように考えているわけであります。
  28. 北條雋八

    ○北條雋八君 いずれにしましても、法律がある以上その法律を守らせるということは、これはもう当然だと思いますが、いま伺えば、いずれ実態に合うように改正しなければならぬというふうに考えていらっしゃるようですが、これはもう当然だと思いますが、昨日も申し上げましたとおり、これは一にかかって大臣の勇断に待つよりしょうがないと思うのですが、この法案が上程されたこの際に、やるには非常に私は好機だったと思うのですが、その点はまことに残念だと思うのです一が、どうぞひとつこういう違反をそのままに見過ごすということをいつまでも続けないで、できるだけ早期に改正をされるように望む次第でございます。  続いて地価対策のことについてお尋ねしたいと思いますが、この農村の地価は予想に反して非常に騰貴してまいりまして、で、農業の収益力に比べまして高い。わが国におきましては構造改善事業の成否にかかわる重大な問題だと思います。農林省の調べでは、全国田畑合わせて一反歩平均十七万円と、こういうことでございますが、事業団が動き出すといいますか、実施されますれば、もっとこれが上がってくるのだというふうにいわれておりますけれども、その予測に対して、また世論に対して、政府はどういうふうに考えていらっしゃいましょうか、その点を伺いたいと思います。
  29. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この問題はやはり非常に慎重に考えておるわけでございまして、したがって、売買等を促進したりということでなしに、現状のままこれをとらえていくようにいたしたい、こう思います。したがって、現状どうしても売る必要があるという問題が、平生からずいぶん調査もいたし、またそういう準備をいたしておる次第でございますが、そういうところにおいて、ただ、いわゆる規模の拡大の方向にそれが流れるということの努力ということに主力を注いでいくわけでございます。  しかしながら、この運営をいたしてまいるために、それぞれの組織を通じまして、また村の実態に合うように地価の対策を十分考えていくように、それぞれの関係者をもって組織する、いわゆる機構と申しますか、村に存在するいろいろの機構というものを中心にいたしまして、平生からそれらの問題の検討をやってまいりたい。そういうまた問題が出たときにおいては、それらが何らかの実態によく合うように、またそれらによって土地の売買をいろいろにそれを動かすことのないように十分注意してやっていこう、こういうことでございます。
  30. 北條雋八

    ○北條雋八君 私の初め伺ったのは、この事業団が発足すれば、一般に農村の地価も上がってくるということは政府も認めておられるのかどうか、それが一点と、それからなお、それを認められているとすれば、その地価の上昇の抑制対策といいますか、地価対策に対してどういうふうに考えられておりますか。たとえていうと、農地管理協議会、こういうものもできるわけでありますが、そこにおいて農地の基準価格というものをつくるとか、あるいはまた二重価格制を制定するとか、そういうような何か御構想があると思うんですが、その点を伺いたいと思います。
  31. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この事業団ができますと、価格が上がるかどうかという問題でございますが、私どもといたしましては、価格は上がることはなかろう、こういうふうに考えておるわけであります。万全とした金融をやるわけではございませんので、さように考えております。ただ、三分、三十年賦ということからいたしまして、これならばひとつ買おうという非常な要求が出てまいる、売る人もわりあいそれが多くなるということになりますと、それはやはり経済関係からみて、その勢いが大きくなる傾向にはなろうかと思いますのでございます。そういうことのないように規模を拡大してまいりたい、こう存じまするので、大体その心配はないように進めてまいりたいと思います。ただ、そういう点につきまして、実行の面においては注意を要する必要があると思いますので、そういう企画等を、いわゆる価格に対するいろいろの企画等を十分考えていく必要があろうと思います。ずっと以前に、自作農創設として政府がこれを助長した以前の行き方もさような考え方を持っておりましたので、当時は三分五厘で二十四年賦というときには、三分五厘、二十四年賦という、そういう場合において年賦償還がどのくらいになるか、土地を取得した場合にはその年賦償還のほかにどういうものを支払わなければならないかといったようなことを比較検討して、小作当時とはその土地を取得しても負担がふえないということを基準にして売買を行なわせ、またそれに対して助成をしたという行き方をとったのでございます。したがって、そういうようなことも考慮に入れながら、やはり基準をよく設けながら、その地方の実態に即応するようにその基準を設けてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  32. 北條雋八

    ○北條雋八君 今度この事業団ができれば、前よりも低利長期の金融ができて買いよくなるし、また売り手のほうでも、相手がそういう確かな事業団が間に入るならば、いままで売らなかったものも売る、それが本案のねらいだと思うのです。そうなれば必ず値段は上がるのが常識だと思うのでありますから、それを抑制する点については、これはよほど考えていただかなければならないと思うのですが、それに関連しまして伺うのですが、昨日、未墾地は事業団は直接は買わない、取得しないのだ。だけれども、耕地は、農地は来年からは事業団も取得されるのだということに伺いました。そうすると、買い手と売り手とそろわなくても、事業団は、当然これは将来農地になる、農地としてこれはりっぱに使える土地だと思えば、買い手がなくても、ぜひ買ってくれというものがあれば、それは事業団が取得されるのですか。どんどんそれを事業団が買い上げていかれるのですか、どうですか、その点を一応伺いたい。
  33. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) ただいまのお尋ねでございますが、農地の売り手ばかりがあって買い手がないというところでございまして、相当な長い間かかってもどうも買い手が見つかりそうもないというところでは、事業団が農地を買ってためておくということは、実際問題としてむずかしいと思います。ただ、現在の時点で買ってほしい、事業団に買ってほしいというものがあるけれども、事業団から土地を買いますものが現在の時点においてはない、しかし、近い将来に必ずそういうものが見つかるという場合には、私はどんどん事業団として農地の買い上げをしたらいいだろうというふうに思います。ただ、これは実際問題として、そういうことがあるかどうかわかりませんけれども、非常に特殊な地帯で、売り手ばかりがあって買い手がないというところにおいては、事業団がすぐ買いに出るよりも、むしろそこにおける農業問題を事業団ばかりでなしに、農政の問題として解決をして、それから事業団が乗り出すということでないと、いたずらに売れ残りの土地ばかりを事業団が抱えて処理上なかなか困難な問題が生ずるということがあるのではないかと思います。しかし、これも売り手ばかりで買い手がないというところは農業問題でいろいろむずかしい問題があるところでございましょうから、事業団なり、あるいは政府なりとしても十分その地帯における農業振興について考慮すべきであると思います。
  34. 北條雋八

    ○北條雋八君 来年からは事業団は直接に土地の取得をするということは、買い手と売り手がそろっていてしまえば事業団が買う必要はないと思うんです。事業団は、とにかく経営規模を拡大させるために置かれる事業団でありますから、そういうのは、とうてい見込みのないところではそれは問題じゃありませんけれども、どんどん買って、場合によれば国有地もむしろ取得しまして、そうしてそれを各地の希望者に払い下げてやる、売ってやるという積極的のことをされなければ事業団が買われる意味がないと私は思うんですが、さしあたりは何でしょうが、将来の、農林省で考えておられる構想といいますか、それをしっかり伺いたいと思います。
  35. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 本年はさような慎重な態度で出ているわけでございますし、もちろん将来もそうでございまするが、根本的にはやはりいま仰せのとおりの方向に向かって努力を進めてまいろうという考えでおります。ただ、いま局長が申しましたように、その点は、当初は、少し締めた考えで進むわけでございますが、結論はやはりそこにもっていかなければならぬ、こういうように考えておるわけであります。
  36. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、将来は先買い制度も設けるというところまで考えておられるのでありましょうか、その点。
  37. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども法案を議論いたしますときに、当然先買い権の問題を議論いたしました。外国でも先買い権を持つ事例もございますし、また、先買い権のない事例も同様の仕組みの中にあるわけでございます。私ども現在のところは、前々申し上げておりますように、そう積極的にといいますか、農地を売ることを奨励するという態度ではなく、むしろ売られる農地を構造改善に沿うように方向づけるということが主体でございますから、現在の段階では先買い権ということはまず要らないではないか、しかし、将来の問題としては、私どもも十分この事業団の活動を促進するといいますか、有効に活動を行なわせるために、将来の問題としては当然検討すべき問題の一つだというふうに考えております。
  38. 北條雋八

    ○北條雋八君 当然そうならなきゃならないと私は思うのでありまして、そういう意味から昨日も、どんどん将来は未墾地でも何でも買って、そうしてそれを農地に、事業団が土地改良なり何なりしまして、そうしておぜん立てをして、いわゆる建て売り方式でもってやっていくくらいの積極的な姿勢を持たなければいけないというふうにお話したわけでありますが、この点はそういう方向でぜひ進んでいただきたいというふうに思います。  それからなお、この際、未墾地の内訳と申しますか、現在未墾地がどのくらいあって、そうして経営規模の拡大に使える未墾地がどのくらいあるか、主としてこれは採草地が多いのじゃないかと思いますけれども、その点調べられたことがあるなら聞かせていただきたいと思います。
  39. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 未墾地がどのくらいあるかということは、実は戦後一回農林省として調査いたしたことがございます。それは自然的な条件で、傾斜度でございますとか、温度でございますとか、あるいは土質等を勘案して、開拓可能の未墾地というのはたしか百五十万町歩ということを申し述べたことがございます。最近におきましては、そういう自然的な条件で未墾地がどのくらいあるかということの調査は、開拓を進める上からそれほど大きな意味がございませんので、自然的に可能であると同時に、地元の農家の意思で開拓可能な土地がどのくらいあるだろうかという調査をやった経験がこの両二、三年の間にございます。その計画に基づきまして、今後、昭和四十年から四十九年におきまして農地の造成が、わずかの干拓地を含めまして、農地三十五万町歩、草地四十万町歩という数字を出したわけでございます。したがいまして、十年の先に延ばしますと、それより若干ふえますけれども、この十年間見通しとして、農家も大体ぜひやりたいというふうに考えておりますし、また自然的な条件においてもそれが可能だと思われるところは、農地三十二、三万町歩、他に干拓地が二、三万町歩、合わせて三十五万町歩。草地四十万町歩ということでございます。
  40. 北條雋八

    ○北條雋八君 この未墾地の中には、不生産地といいますか、使いものにならないものも相当あるんじゃないかと思うんですが、そういう面積はたいしたことはないんでしょうか。
  41. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が申し上げました数字は、自然的に開拓なり、あるいは草地造成が可能であると同時に、地元の農家が大いにやってみようという、いわば自然的条件と社会経済的な条件とが結び合った土地でございますから、いま先生がおっしゃいましたように、開拓不適地というものは調査上はございません。
  42. 北條雋八

    ○北條雋八君 年々農地が移動しております。最近は七、八万町歩あるということはこの間伺いましたけれども、その単価はどのくらいになっておるかということは、まだ表に出ていないと思いましたが、もしおわかりだったら、大体でけっこうですが、知らせていただきたい。
  43. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 実際動いております。万町歩ないし八万町歩の実際の単価の調査は実はございません。私ども七万五千八百町歩三十九年において自作地が動きましたということは、県が自作地を売買いたします場合に許可をいたしますから、その許可の数字を集計したものでございますから、県においては幾らで売買されたということはなかなか押え切れないものでございますから、それは出ておりません。ただ、一般的な農地の値段がどのくらいであるかということの資料は、私どもすでに御提出しております農地管理事業参考統計資料の中に年次別に、また地帯別に、水田、畑について御報告申し上げておるわけでございます。
  44. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に伺いますが、この事業団が発足すれば、この規模拡大がどの程度に進捗するか。わが国の耕地の全面積は、四十年調べでもって約六百万四千町歩でしたか。あるわけでございますが、その現状でいうならば、先ほども話したとおり、七、八万町歩の農地が移動している。で、かりにその七、八万町歩の農地が全部経営規模拡大に役立ったといたしましても、これはごくわずかなもので、全面積からいうならば一・二、三%にすぎないわけであります。政府は、この事業団が発足したと仮定して、この十年間ぐらいを目安にして、一体どの程度の拡大ができるのか、また、農家戸数がどの程度減って、それで現在の一人当たり経営規模面積平均どのくらいになるかといったような長期見通し、そういう構想をお立てになったことがあれば、その計画を、大体でけっこうですが知らしていただきたい。
  45. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、農地管理事業団を動かす場合には、いわば役所が町村を頭から幾つ幾つというふうに指定するつもりはございません。町村からの要望、あるいは農家の要望に従って、指定町村の数をふやしていくというたてまえでございますから、そういう意味で、いわばちゃんとした計画というものはございませんけれども、私どもの大体の見通しとして考えておりますことを申し上げますと、四十一年度におきましては、四百の町村の指定をいたす予定でございます。で、以下、四十一年から四年間、毎年五百ぐらいずつの市町村の指定をしたらどうか、そして五年後に全体で二千四百程度の指定をしたらどうだろうか。もちろんこれは農家からの要望なり町村からの要望があることが前提でございます。そういたしますと、四十五年において二千四百ということになりますが、現在七万五、六千町歩の移動が、これは少しずつふえておりますから、十年先のことを考えますと、平均して大体九万七千町歩程度の自作地の移動が行なわれるというふうに一応の試算をいたします。そうして、有償移動で動く自作地のうちで、四割が農地管理事業団の手によって構造改善のために直接役立つというふうに推定をいたしまして計算をいたしますと、四十一年度においては自作地の移動というのはわずか二千百町歩程度でございますけれども、だんだんふえて、四十五年においては三万三千町歩程度、農地管理事業団の手によって構造改善の目的に直接農地の移動が行なわれるというふうに私ども推定をいたしております。そういたしますと、四十一年から五十年の十カ年間で、大体農地にいたしまして二十五、六万町歩、二十六万町歩弱というものが農地管理事業団の手によって動くのではないか、そういうふうに考えまして、同時に、未墾地の取り扱いもだんだん事業団としてふえるわけでございますから、同じく四十一年——五十年に、未墾地の取り扱いといいますか、自立経営なりその候補者になる人に未墾地の取得のあっせんをいたします数字が、大体十二万町歩程度というふうに私ども推定をいたします。十二万町歩はもちろん全部が農地になるわけではございませんから、若干のものは非農地として残るわけでございますが、それらを合計をいたしますと、十年間で、農地、未墾地——未墾地は当然農地なり草地なりに造成されるわけでございますが、合わせまして、事業量として大体三十四万町歩程度の農地が、直接構造改善の目的のもとに、事業団の取得あるいはあっせんによって農家が土地を取得するというふうになると思います。この三十四万町歩ほどの土地が何人の手によって取得されるかということによりまして、一人当たり、一戸当たり経営規模がどの程度ふえるかということに関係いたすわけでございますが、現在は、先日も申し上げましたように、相当規模の大きな、あるいは自立経営になる過程にあるような農家に対する農地の移動というのはごくわずかでございますから、それに比べますと、そういう目標、十年間に三十万町歩をこえる農地が動くということは、これは自立経営の育成なり、あるいはその候補者をつくるために、私は相当な意味があろうかというふうに考えておるわけでございます。
  46. 北條雋八

    ○北條雋八君 十年間に三十四万町歩とすれば、一年間に三万四千動くということになりますが、現在は年々七、八万町歩動いているわけですが、それを比べるとあまりたいしたことはない、むしろそれより減っているということになりませんか。
  47. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、資料で差し上げてございますけれども、七万五千町歩ほどの農地が動きながら、農家の中で、小さい農家の中でお互いに売員をしている現象が現実には非常に多いわけであります。その点、もう最初の資料説明で申し上げましたけれども、北海道を除きます都府県で申し上げますと、七反歩以上の農家に七反歩以下から農地が移っている面積というのはわずか三千町歩台でございます。それを七反で切らないで一町五反でかりに切りますと、年々千町歩ないし千五百町歩でございます。農地管理事業団が業務をいたします場合の基準として、別に一町五反で線を切るということでは毛頭ございませんから、一町五反で論ずるわけにはまいりませんけれども、七反以下から七反以上に移るものがわずか三千町歩台である、一町五反以下から一町五反以上に移るものがわずか千町歩ないし千五百町歩ということが実態でございますから、年間平均三万町歩程度のものが構造改善のために動くということは、日本の農業にとって相当大きな意味があるというふうに思っておるわけでございます。
  48. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、現在の経営規模と比べまして、どの程度平均経営規模がふえると思っていらっしゃるんですか、その点もうちょっと詳しく説明していただきたいと思います。
  49. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほども申し上げましたように、農地管理事業団の事業の対象になる農家というのは必ずしも特定はいたしておりません。これは毎々申し上げておりますように、現在の経営面積に必ずしもこだわらないで、経営主ないしあと取りが農業を一生懸命やっているものと、経営なり、あるいは技術なりの能力において人からすぐれていて、将来農業で自活といいますか、自立できる見込みがある人ということを基準として選ぶわけでございますから、何人というふうになかなか特定いたすことはできません。しかし、そうは申しましても、あまりばく然といたしますから、かりにいろんな前提を置いて御説明申し上げますと、最近の資料をもとといたしまして、都府県でかりに一町歩上、北海道で四町歩以上の農家で、世帯主とあと取りとともに主として農業に従事している農家というのは大体四十万戸ほどございます。それからいまのような農家のうちで、世帯主か、あるいはあと取りか、いずれか一方が主として農業に従事しているという人が大体百万戸でございます。それから先日も申し上げましたけれども、新しい農家分類によって一種農家とされて、そして一種農家の中で専業とされる農家というのが、内地と北海道と合わせて大体百二十万戸でございますから、その人たちでかりに百二十万戸というふうに広げて考えますと、私が申し上げました三十四万町歩ほどの農地なり、あるいは農地として造成される土地というのは、都府県で約二反五畝クラス、北海道で九反四畝クラス、かりにそれをもう少し農家の戸数というものを減らして考えますと、極端に申し上げますと、あと取りと、あるいは世帯主とが両方とも農業を一生懸命やっておるこの四十一万戸というものを対象にいたしますと、都府県で七町歩、北海道で約三町歩ということになります。これはしかし機械的に申し上げたわけでありますから、いろいろな農家があるので、また農家経営規模の拡大のプロセスも違うわけでありますから一がいには申し上げられませんけれども、おおよその目の子勘定と申しますか、この三十四万町歩ほどの土地が農地管理事業団の手によって移るとすると、どの程度の経営規模の拡大が行なわれるかという御質問でございますから、大体の見当を申し上げたわけであります。
  50. 北條雋八

    ○北條雋八君 大臣も帰られましたから、この程度で質問を終わりたいと思います。
  51. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後三時四分休憩      —————・—————    午後五時三十八分開会
  53. 山崎斉

    委員長山崎斉君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続いて質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  54. 北條雋八

    ○北條雋八君 先ほどの政府の答弁では、この事業団が発足すれば、今後十カ年の間に約三十四万町歩の農地が経営規模拡大のために流動するというお話でありましたが、かりに自立経営農家全国で百二十万戸とすれば、北海道では九反歩、内地では二反四畝と、それだけの規模がふえる、また自立経営農家が四十一万戸とすれば、北海道では三町歩、また内地では七反歩というものが拡大に寄与されるというお話でありますが、この程度の規模拡大では生産性の向上も大したことはありませんし、コストダウンによる農家の所得増大に及ぼす影響もきわめて微々たるものだと思いますが、このように考えてきますと、経営規模の拡大とこれを推進するには、単に個々の農家の耕地面積を拡大するよりも、むしろ協業によるとか、あるいは貸し地によるとか、あるいは委託農業によるとか、そういう方法によって、集団作業を推進していく方向に進めるほうがいいのじゃないかというふうに思いますが、この拡大の方法で、いろいろいまあげましたとおりありますが、政府は、今後そのうちどれを主眼として拡大をさせていくお見込みであるか。その点を伺いたいと思うのです。で、昨日もその点について多少触れましたけれども、協業あるいは委託農業ということに対して、どの程度政府が期待を持っておられるか。なお具体的に詳しくお考えを伺いたいと思うのでございます。
  55. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまのお問い合わせの点でございますが、私どもとしては、いろいろの形が出てくると思いますが、要するに集団的なものをやはり進めていきたいと、かように存じておるわけでございます。と申しますのは、それを吟味しますと、作業の共同化的な面もありましょうし、あるいは経営そのものの場合もありましょうし、いろいろの形がある。それは一つの形ではなかろうと思います。思いますが、その意味において全体を包含して申しますると、集団経営、農地の集団ということによって、経営をでき得る限り広めてまいるという方向に進めたいと、かように考えております。
  56. 北條雋八

    ○北條雋八君 いまのお答えでありますと、いろいろ拡大の方法がありますけれども、何に主眼を置いて今後やられるか。この点を伺いたいのですが、なおもう一応伺います。
  57. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いろいろの道があります。それからして、さらにこれらの点を見ますというと、地域的にも非常に違うと思います。これは地域的にも違う。それからして農業の本質によっても違う。と申しますのは、園芸の場合、あるいは畜産の場合、畜産にしても、豚の飼育の問題を主にする場合とか、養鶏の場合、かようにして、そのものによって、経営内容によって非常に違う。また土地によっても非常に違いを持ってくるだろうと思います。ひとつ水田地帯をかりに見るということになりますと、やはり経営内容はいろいろのものが出ると思いますので、私どもは一つを別に固定しようとは思いませんけれども、やはり個人経営というものがやっぱり何としても大きい。いわゆる自作農式の個人経営というものがやっぱり大きな形であると思う。しかし、個人経営の一つ一つが小さく、これができるだけやはり経営を広げることが必要であると同時に、その者たちが集団することによっていわゆるいろいろの病害の防除も共同でできますし、それから作業の共同もどんどんそれでふえていきますし、品種の問題にしても統一とれますし、そういう意味において、本質は個人経営の本質を持つけれども、それは集団して作業を共同にする。いわゆる作業の共同というものが一番たくさんに多く、それらが育成していくものであると、こう私は思っております。
  58. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると結局は協業を、個人の経営規模増大すると同時に、協業に大いに今後も力を入れてやっていくのだということでありまするけれども、協業にもまたいろいろ、全面協業、また一部分の協業等ありまするけれども、全面的の共同経営ということは私はおそらく日本ではできないのじゃないかと思うのです。その点につきまして、いままで協業をやった実績といいますか、現在どのくらい協業をやっているものがあるか、またその協業のうちで内訳はどういうことになっているか、それを伺いたい。
  59. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) もちろんこの協業そのものの定義もこれはなかなかきまっておるわけでもございませんが、いわゆる経営そのものが一つの経営、いわゆる集団化した多数の経営者の集まりでなしに、一つの経営にまとまったというある意味において会社のような、そういう意味の協業化か、あるいはもっとそうでなしに、個人経営が寄った協業というのもある。その協業に対する定義が十分に私は統一していないように思うのでございまするが、いま北條委員からお聞きになった点についての協業は、経営を一つにするという意味の協業だと私は考えましてお答えをいたしますならば、私は全面協業というものはなかなかむずかしい、大体部分的な協業はあります。相当多い。これらの点については、なお詳細事務のほうから御答弁いたさせまするが、私はこれは現在の情勢においては、全面協業的なものは非常に少ない。またそれが成績が初めはよさそうであってうまくいかないという実例をたくさん見ております。しかし、全面でなしに一部のものをそういうふうに協業でやるというものは相当発展しておるようにも思われます。しかし、一番多く発展し得るものは、この集団経営、いわゆる個人経営であるけれども、作業を共同にするというものが一番多いものであろうと思います。私もまたさようなことで進むものではないか、かように考えておるのでございますが、なお詳細なる部分については事務当局から御答弁させていただきます。
  60. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 共同経営の現状を若干申し上げますと、四十年の二月一日現在で、協業経営の数は全国で五千十八でございます。これは農林省調査であります。五千十八の中で全面協業経営が三百八十、それから部分協業経営、たとえば豚を飼うとか、あるいはミカンをつくるとか、稲作だけをやるとかいう部分協業経営が四千六百三十八でございます。共同経営全体としてはそれほどふえておらないわけでございますが、特に全面協業は全体の協業経営の中で、比率にいたしまして七・六%という状態でございます。  なお、全面協業について多少申し上げますと、主力を畜産に置いておりますものが三百八十の中で二百三十一、特に酪農が百七十一というふうに、全面協業経営におきましては畜産、特に酪農の比率が相当高いというのが現状でございます。
  61. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、この全面協業というのは共同経営で一つの組合なり会社みたいなことでやっていると思うのですが、これはいまわずかでありますけれども、ともかくこれもだんだんふえていっているのかもしれませんけれども、私はたまたま東北地方に行きまして、非常によくいっているというので見たこともありますけれども、それはもう一時的によくても、やはり分収といいますか、収穫の配分のときに必ず将来はもんちゃくが起きて、それで解体していくのが多いということを聞いておりますが、これは当てにならないと思う。部門協業ですか、これに力を入れてやっていかれるのだと思いますが、なお今後これに対してどの程度期待をかけておられますか、その点の御所見を伺いたいと思います。
  62. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 私は部門経営にももちろんいろいろと考えておるわけでございまするが、私の一番期待いたしたいのは作業の共同、経営そのものは個人的な個人経営であっても作業は共同で進んでいきたい、こういうことであります。したがって、農地のごときも分散せずにできるだけ集合させる。耕地整理、土地改良等によってそういうふうにするというので、作業の共同という問題が一番中心をなして進めるべきではないかと、こう思います。それから協業のうちで全面とか部分的協業ということでありますと、全面協業は非常にむずかしいということも、私はよくあちこちのやつを見ておりまして非常にむずかしい。しかしながらこれがうまくいくということには私は反対ではありませんので、これがもしうまくいけばそれは非常にけっこうだと、こういうふうには考えておりまするけれども、現実においてはうまくいきません。いかぬのが多い。中にはいいのがありましょうが、それから部分協業のほうは全面的なものに比して相当いいのもありまするが、これもなかなかよく吟味いたしまするというと、いろいろと事情が錯綜しておるのもあることをよく見ております。私は、やはり耕地を集団化して、それが作業の共同というものにずいぶんその点を発展させていきたいということを、きわめて熱心に考えておるひとりであります。
  63. 北條雋八

    ○北條雋八君 私の伺った意味は、やはり大臣と同じようなつもりであったのですが、部門協業といいますか、これは主として作業を共同でやるというのが多いのじゃないかと思うのですが、特に作業を共同でやっているところは、この中で何件くらいあるのでございましょう。
  64. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 協業経営と申しますのは、ある意味でさいふを一つにして経営を一つにするわけでございますから、全面協業経営でも部分協業経営でもさいふを一つにする点は同じでございます。この部分協業経営以外に大臣の申し上げておりますのは、たとえば構造改善事業地区で基盤整備をやってトラクターを導入して作業を共同化する、そこでは別にさいふを一つにはいたしませんで、作業を一つにするということで、協業経営と作業の共同とはやや性格の違うものでございます。
  65. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、五千十八のうち、共同作業でやっている協業はどのくらいの割合にあるのですか。
  66. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 五千十八の経営は、これは協業経営でございますから、さいふを一つにすると同時に作業も一緒にやるのが通例でございます。それで、それ以外に、先ほど申し上げましたように、トラクター等を用いて作業を共同にする、あるいは愛知県等で起こりました集団稲作栽培というように、トラクターを用いませんでも品種の協定あるいは施肥、かんがい排水の時期の協定等をやって作業を共同にするものは、そのほか数県ございます。ですから、作業の共同化のものは、ここに私が申し上げております協業経営の中には入らない、それ以外にというふうに御了解いただきたいと思います。
  67. 北條雋八

    ○北條雋八君 私の質問のしかたも悪かったかもしれませんけれども、私は経営規模拡大の意味で共同作業でやらなければならないと思うのです。現状においてそうでないところが私は多いのじゃないかと思うので、その全体に対しまして現在はそういうふうに共同作業をやっているのがどのくらいの割合にあるのかということが伺いたかったわけであります。
  68. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) その数字の点はいま事務のほうで調べてまいりたいと思いますが、根本的に農業というものは共同でいくべきものだということを、私は特にそういう考えを持っておるひとりでございます。すなわち病虫害を防除するにも共同、田植えも共同、すべて共同で成り立つというところにこの農業のとうとさがあると思いまするし、また社会組織の上においても非常に重要である。この食糧増産とか経済問題とかいうことを離れて、仕事そのものが、職業そのものが共同が中心であるというところに私は非常な農業のとうとさを、私は社会構成上重要なものであると認めておるわけでございまするが、現在のところ防除をやるにしても、人の地面と自分の地面とが離れておって、それで共同でやるのにも非常に離れたところで共同をやるから能率的ではございませんので、できるだけおのおのが耕地を集合させる、それから経営はいま申したように、全く個人経営であるけれども作業を共同するに適したように土地整理もやり、いろいろな点においてそれらを進めていくということによって、非常な経営の能率をあげ得ることができる、こういうふうに私は考えておるのでございます。でありまするから、この意味において可及的にこれらの問題は進めてまいりたいということを、熱情を持っておることを申し上げておきたいと思います。
  69. 北條雋八

    ○北條雋八君 個々の農家経営規模を拡大するといっても知れたものだと私は思うんで、ぜひその方向で進める必要があると思いますし、また委託経営、これも将来大いに推進すべきものだと思うんです。と申しますのは、現在委託経営が進まないのは、前にも申し上げましたとおり小作料が安いんであります。委託者がないと言うんであります。現状において委託経営をやっている実績というものは非常に少ないとは聞いておりますが、いま全国でどれくらいあるんですか。ついでに伺いたい。
  70. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 北條先生が言われましたことはおそらく信託であろうと存じますが、信託は、農協が現在までやっておりますが、最近の数字で、全国で百六十件という数字でございます。数字としては御指摘のように非常に少ないわけで、まだ十分活用されているとは言えない状況でございます。
  71. 北條雋八

    ○北條雋八君 これは一応伺っておきたいんですが、この隘路は一にかかってやはり小作料だと思いますが、そのほかに何か原因がありますれば伺いたいと思います。
  72. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農地の信託が十分に活用され得ません理由といたしましては、小作料が低く押えられているということも一番大きな理由であろうと思いますけれども、それ以外に、信託を従来までやっておりますのが農協でございます。現在信託規定をつくって信託の業務をやり得るようになっております農協の数は、全国で大体七千をこえる状況でございます。しかし、まあ農協の性格といたしまして、何といいましても購買、販売、信用、共済というふうに経済行為に主力が置かれている現況でございますから、信託を積極的にやる農協というものの数はそれほど多い状態ではございません。このことがまあ信託事業をそれほど数多くさせないことの一つの理由になっておるだろうと思います。それからもう一つは、今度の農地管理事業団法案では、私ども農地管理事業団に土地を貸して、農地管理事業団からまた土地を転貸するという形で小作の問題をひとつ解決しようというふうに思っておりますが、信託の場合は所有権を一応農協に移す形になるわけでございます。まあ農家の気持ちといたしまして農協に所有権を移すことについてある程度のためらいもあるというふうに私ども想像しております。いろいろ小作料が安い、あるいは農協が本来の業務といいますか、主力を置いておる業務と遠い業務でございますから、それほど熱心にならないような事情もある、さらに信託という法律上の性格からいって農家になじみがたい、そういういろいろな事情が私はからまっておるだろうと思います。
  73. 北條雋八

    ○北條雋八君 この信託農業というものはやはりこの規模拡大について非常に私は役立つものだと思います。特に兼業農家としましてはですね、この農地法の改正を見れば委託するものが非常に私は多いのだと思うのであります。それで、せんだってから、農地法の改正が先決だと言うこともその点にあるわけなんであります。  その点は、それじゃ時間もありませんから、その程度にいたしまして、次に伺いたいのは、本年度は四百カ所につきましてこの事業団が事業をするわけでありまして、四十億という予算をもって発足するわけであります。先ほど宮崎委員の質問の答えに、四百カ所はあるいはできないかもしれないというふうにお答えになったようにも思いますが、この点もう一度ちょっと伺っておきたいと思います。
  74. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 宮崎先生の御質問にお答えいたしましたことは、四百の市町村を指定いたすわけでございますが、私どもこの仕事はあわててやるつもりはございませんで、よく農家あるいは農業委員会、町村当局の納得と理解を得て指定をいたそうと思いますので、農地管理事業団を設立するといたしますと、大体八月には本部をつくって、十月ぐらいからだんだんに市町村の指定にかかろうと思います。したがいまして、予算としては一応六カ月分を取ってございますので、町村の仕事として六カ月分を取っておりますけれども、十月一日に指定するものはよほど態勢の整っているところで、以下順次十月から来年にかけてこれを指定をいたすつもりでございます。  なお四百町村にならないだろうというふうに私は申し上げたわけではございません。昨年の秋の調査でも、これはまあ十分理解した上での回答なり、覚悟した上での回答とは私ども考えておりませんが、一応全国で六百五十六の市町村から実施の希望がございますので、その後もぼつぼつ追加がまいっている状態でございますから、四百市町村の指定は私は十分に可能であるというふうに考えております。
  75. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、かりに四百市町村の指定ができましたとしましてもですね、明年度から四カ年続いて五百市町村ということになりますが、明年度、四十二年度のこの予算といいますか、それは一カ所一千万円という話でございますが、それはことしでありまして、これはもうつまり売買のあっせんその他であります。明年度からは事業団自身がいろいろ売買をされるわけでありますし、一カ所一千万円程度ではとうてい済まないことでありますから、かりに倍の二千万円としましても五百市町村だと百億になりますが、どういうふうな予算をいまから考えておられるのか、その点も伺いたいと思います。
  76. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 四百町村で四十億というのはこれは半年分でございます。平たく一年に延ばしても少なくとも一町村二千万円でございます。なお今年実施の結果を見まして、一市町村二千万円で足らないようでありますれば、当然四十二年度においてふやすわけでございますし、それから予算を組む場合でも、私ども、四十一年は初年度でございますから、そう農地管理事業団が進出をして農地の売買に介入することもむずかしいでありましょうから、一応そこの村で売買する農地の三分の一を農地管理事業団がめんどうをみるという計算をいたして予算を組んでおります。しかし、四十二年度以降は三分の一ではなくて四割というふうに考えておりますから、四十一年度に四百指定し、四十二年度にさらに五百を指定をいたしますと、ことし、まあ四十億の予算は、私が申し上げましたとおりの考え方で組むといたしますと、二百億は若干こえるという程度のものを現在想定をいたしております。
  77. 北條雋八

    ○北條雋八君 明年度から事業団が土地を取得するということでありますけれども、その土地はどのくらいの見込みを立てておられるのですか、予算の上においてですね。非常に影響も多いものだと思いますけれども、その点を伺いたい。
  78. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 事業団が取り扱う仕事といたしましては、自作地以外小作地の取得といいますか、小作農が小作地を買う場合に融資をする場合もありますし、未墾地の問題もありますが、私がいま申し上げましたような予定で、四十二年度に仕事をいたすといたしますと、取り扱う自作地の面積事業団の買い取りと、それから取得のあっせん融資等を含めまして、大体一万二千町歩程度になるはずであります。
  79. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 きょうは時間がありませんので、私もずっと引き続いてこの予算処置の問題とか、あるいは小作地の所有権の譲渡に関する考え方、融資等の考え方について関連をしてお伺いしたがったのでありますが、時間がありませんので、一点だけ伺っておきたいと思うのですが、この小作人の所有権を譲渡する場合のあっせんでございますね、そういうものに対する考え方をちょっとお伺いしたい。
  80. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 小作農が現在耕作している場合に、その農地の取得のあっせんいたします場合も、大体自作地を売買するときと同じように、今後農業に専心して、農業によって自立しようとする農家の場合に、農地管理事業団があっせんをし、また資金を提供するというふうに考えてまいりたいというふうに思っております。
  81. 北條雋八

    ○北條雋八君 私、一点伺いたいのでありますが、かりに団体あるいは農業法人が、その法人あるいは団体を構成している構成員の土地を買う場合にも、この事業団の取り扱いによって低利長期の資金が使えることになるのですね、その点。
  82. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) そこで実現しようとしております共同経営が、自立経営に準ずる共同経営でありますれば、自立経営に準ずる共同経営というのは、要するに、共同経営の中で農業に従事する者が、その農業所得によって自立経営並みの生活を家族に与えられるという、そういう経営でございますけれども、そういうものでありますれば、私ども、共同経営する構成員から農地を取得する場合でも、この制度の適用をいたしたいというふうに考えております。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
  83. 北條雋八

    ○北條雋八君 そういう場合には、これはもう確かに農業経営をやり通すのだという見込みを立てるのは、どこが中心になってそういう判定をされるのですか、その点。
  84. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、先日も資料説明で申し上げましたが、農地管理事業団の事業を村で行ないます場合に、農業委員会の中に農地管理協議会というものをつくりまして、そこで農業委員ばかりでなしに、協同組合の関係者あるいは町村当局、さらに実際農業を熱心にやっている人などを含めて協議会をつくるわけでございますが、そこで、その村で育成すべき自立経営の目標と共同経営の目標とをつくっていく、その基準に基づきまして、別に一ぺんに自立経営をつくったり、あるいは自立経営に準ずるような共同経営を一ぺんにつくるという趣旨ではございません。だんだんに経営を充実していけばよろしいわけでありますから、土地の取得も漸次だんだんにやっていくということで、一ぺんにそういう自立経営なり自立経営に準ずる共同経営をつくるという趣旨ではございませんけれども、そこでどういう協業経営が将来成り立つか、あるいは育成すべきかということを十分吟味して、その基準に従うものについて、農業委員会が農地管理協議会の意見を聞きながら具体的に認定をしていく、最後の可否の決定は農地管理事業団の支所でそれぞれ最終的な決定をする、そういう仕組みに考えておるわけでございます。
  85. 北條雋八

    ○北條雋八君 その点は、私は非常に大事なことだと思いますし、また、この低利長期の資金目当てに、非常に将来は危険な団体もあるのじゃないかと思うので伺ったわけですから、そういう点は慎重にお願いしたいと思います。  時間もございませんから、最後に、大臣に一点伺いたいのですが、わが国の農業が、この重大な危機に直面しております現在の農政が、従来のように大所高所から見通した長期目標も立てないで、そうして、ただ断片的その場限りで無責任な思いつき農政を続けておりますれば、いよいよこの日本農業は窮地に追い込まれることは明らかだと思うのでございます。  現在、日本農業のビジョンは、七十万円の所得を目標としておりますけれども、他産業は、御承知のとおり、かなりの速度をもちまして生産性等所得水準を高めております今日、七十万円の農業を育成しても、これは数年を出ずして自立できない農家に転落することも、これは明らかだと思います。で、したがいまして、この際すみやかに、少なくとも十年なり十五年後の自立経営のビジョンを目標にしまして、そしてそれを目当てに推進していかなければいけないと思います。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 また敗退する傾向農業の現状を克服していきますには、この際五年なり、あるいは十年なり一定期間を限りまして、そして長期的見通しを立てて、そして農林省ばかりでなく、各省、特に大蔵省は率先して協力し、それで財政の総力をあげまして、そして抜本的、総合的な農業構造政策の遂行に取り組むべきときが現在だというふうに私は痛切に感じておるわけでございます。その点につきまして、最後に大臣から御所信を承りたいと思います。
  86. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 北條委員の申されるとおり、きわめて重大なときにあたっておると思います。したがいまして、現在いままでありました中期計画を破棄いたしまして、農業だけではございませんけれども、全体を通じての長期計画をいま立案中でございます。農林省といたしましてもその計画の大きな部門として、農業問題を中心にしての検討をさっそく現在進めておるようなわけでございます。大体十月ごろを目当てにしてやっておるわけでございまして、そういう方向に進みたいと存じております。それから、ここにお話しのように、七十万円とかいうことは、一応そういうことをめどにしておりまするが、もちろんこれは時代とともに違ってまいりますことは言うまでもありません。ただ私が申し上げたい点は、私はあまり経営をある一つの型にはめるということは非常におもしろくないと、こう思っておる一人でございますが、たとえば産業界を見ましても、いろいろのバラエティーがある。ここに非常な発展の妙味があると私は思うのです。ところが農業の場合は、特に地主階級は、よしあしは別として、もとありましたものが、いまはない。みな自作農だ。そして非常に小さなものからさらに非常に微細のものにまで、ある意味においては小さいところにかたまったという形が現在である。明治維新当時においても、東北なんかは十五町歩ぐらいの自作農家が相当あちこちに点在しておったことは北條委員もよく御存じのことだと思います。そういう意味からいたしまして、私はやはり相当大きな自立経営農家がその村に相当数存在することを期待すると同時に、小さくても同様に存在して、決してそれは悪いものではない。どこの国の事情を見てもやはりさような実態にあるし、あまりに小さいものにかたまり過ぎたというのが、現在の私は非常に一つの大きな進歩のためによくないというふうに思われるのでございます。まあ私は、やはりそうでないと、村全体をお世話する人というものが農業を離れた人だけがお世話するという実態にだんだんなるように思いますので、もっとバラエティーの多いものになることを非常に私は強く期待しておる一人でありますことをつけ加えて申し上げておきたいと思います。
  87. 中村波男

    ○中村波男君 いろいろ質問の用意をしたのでありますが、一昨日といまの北條委員の質問に対して、農林大臣の今後の農業のビジョンについてお聞かせをいただきましたので、北條委員の質問のあとを受けまして、関連してひとつ質問を進めてみたいと思うわけであります。  いまの御答弁の中に、あまりにもいま日本の農業が小さくかたまり過ぎた、これは私もそのとおりだと思うのでありますが、そこで、農基法には、二町五反、十年間に百万戸の農業をつくって、粗収入百万で農業所得六十万というような想定をされておったと思うのであります。  そこで、まず最初にお伺いをしたいのは、構造改善を今後進めておいでになる場合に、いわゆる農地の流動というものはどれほど考えておられるか、この点をまずお尋ねしたいと思うわけであります。
  88. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) お答えいたします。  農業基本法において、二町五反とか一部に申されておって、それでいろいろのことを聞かされておるのでございますが、私は当初からさようなことは、農業基本法制定当時から、考えておりません。と申しますのは、これはもう中村委員もよく御存じのことであって、ここで申し上げることはたいへん恐縮でございますから差し控えたいとは思うのですが、何べんでも繰り返しておるように、地域によって全部違う。たとえば北海道なら、北のほうに行くと二十町歩以上なければなりませんし、それから広島県ならば、現在は平均で六反歩、もう少しこれを増強する必要があろうと思いますが、それはそれだけに経済的な根拠のあることである、こう思います。それから平坦部等、また都市近郊の蔬菜をやるといったような地帯、それぞれによってまた違う。まあ違うのは当然で、土地価格というものから見て、都市近郊は、そんなに大きな面積経営をやりますと、大体マイナスになりますということは、これは言うまでもないことでございまして、私は、この地域的に、また都市との距離の問題、あるいは経済的な発展の程度、あるいは気候、風土の関係ということによって、非常に違うと思うのです。それに加うるに、さんにバラエティーがあっていいじゃないか。先ほど申し上げたことで、御存じのことを繰り返しているようで恐縮でございますが、私はこの点は一番だいじなことであると思いまするので、特に申し上げるわけでございます。私はさような方向に向かっていま努力を進めてまいりたいと、こう考えておるのでございます。
  89. 中村波男

    ○中村波男君 大臣は、そういうことは夢にも考えておらなかったようなことをおっしゃいますが、昨年の農地管理事業団法の審議にあたりまして、渡辺勘吉先輩が昭和四十年三月二十四日の本会議で質問をいたしておりますのに対して、赤城農林大臣はこのように答えておるのであります。いまお話しの百万戸、二町五反、こういう計画を立てたが、二町五反の農家昭和四十五年度に百万戸できるという見通しは、いまのところ持てない状況である。だが、なるべく早い時期に、六十万から八十万くらいの所得を得られる農家が多く育成される方向へ進めていこうということで、四十三年においては何戸というような目標をいまは立てておらない、このように前大臣の赤城さんが肯定をしておられるのでありまして、坂田さん個人としてはそういうお考えがなかったと思うのでありますが、そうだとするならば、大臣が大胆率直に、こういう計画の誤りというものを施策として打ち出していただきたいと思いますし、ここに私は問題があるというふうに思うわけであります。したがって、局長にお尋ねいたしますが、その後、中期計画において、いわゆる反別でこれを規定するということはやらない。やらないということを、私に言わしめますならば、みごと失敗をいたしましたから、今度は所得で押える方向に変わってきたと思うのであります。しかし、赤城さすも言っておられますように、いわゆる自立経営農家、それは経営規模内容なり、経済成長の伸展に伴いまして二町五反が三町になり、四町になるかもわかりませんし、また下がるかもわかりませんけれども、自立経営農家というものを考えます場合には、いまの平均の七反七畝の耕地では達成できないということは、これはお認めにならなければならぬし、そこに今後の事業団法の提起される理由があると思うわけです。したがって、まずその点を、前大臣と今の大臣がそれほど大きな違いがあるということでは、きょうは質問を私はこれでやめますから、次の委員会までにまとめていただきまして明らかにしていただきたいということをお願いをするわけであります。
  90. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) このいまの問題は、二町五反とか、いろいろの問題は、本質的には、私はいま申したようなことでございまするが、大体の上において、平均した場合においてどういうことになるかという問題は試算をいたしておるわけです。しかし、それがあまり試算がずっと本質のようにいきますというと、私は、いま申しましたように、そこに差異も何もありません、それは試算をするときに一応の形として、まあ全体を平均的に見ればこうだという問題を取り扱っておることであると思うのでございまして、またさようであったと思うんです。しかし、これは決していま方向が間違ったとかなんとかいうわけでなしに、私はそれがあまりにはやり過ぎると本質が失われるから、この際、こういう全体として平均的にいろいろ見たということが、かえってそれではいろいろの問題が起こるから、そこで実質問題として地域によって違うということをこの際やはり申しておかないとかえって誤解が起こる、こういう意味で私は申しておるのでございまして、いままでいろいろ申されており、あるいは国会等において私も二町五反ということを言っております。事実言っておる、平均的に、それは言っておる。しかし、これは非常に誤解が、つまり地域的に非常に違うということをはっきりさせておかないと、漫然とこれを使うと誤解があるからという意味から、私は特にそれを強く申しておるのでありまして、そういう意味でございまするので、決して前と、赤城前農林大臣が言ったことと、そう違うという意味ではないので、それがいろいろ誤解を及ぼしてくるとこれはいかぬ、平均的にと申したことは、日本のように長ちょろいところだから、そこに非常に違いが起こってくるということを注意のために申しておるのでございますから、その点はあしからず御了承を願いたいと思います。
  91. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後六時三十五分散会      —————・—————