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北村暢君 大臣は米のほうはなかなか専門家だけれども、どうも労働問題は専門家でないから
答弁しにくいんだろうと思うんですけれども、とにかくいまの
答弁を聞いておりましても、大体
国有林の
日給制の労働者の生活実態なり
給与というものについて全然おわかりになっておらないんじゃないかという気がするんです。そこで私は、
林野庁の
日給制の
賃金の
基本的な、
地場賃金をもってする
考え方については、これは
国有林の山林労働者としてそこに
比較をする
同種労働同一
賃金というこの
考え方には非常に誤りがあると思っておるんです。それは、
民間の林業労働者の
賃金と
比較する場合も、それは
比較してもいいのでありましょうけれども、ところが
比較する
民間の林業労働の
賃金というものの把握のしかた、これは一体どんな形であなた方は把握してるかしれないけれども、
比較するものがまことにあいまいもことしてるんじゃないですか。
民間の
賃金というより山林労働者の
賃金は、
国有林労働者の
賃金の上がるのを見てきめている。あなた方がいまことしの
民間労働者の
賃金と
比較しようとしても、
春闘相場において
賃金が上がったものについて
比較することができない。
民間は
国有林の
賃金の上がるのを待ってるんですよ。したがって、いつも
民間の
賃金の上がらないやっとあなた方は
比較している。そんなことでは
国有林の
賃金上がるわけがない。そういうことなんです。それが、あなた方がほんとうに理論的に正しい
民間の林業労働者の、まあ同一
地場賃金理論において
比較できるデータをお持ちになってるなら、理論的にも出していただきたい、
資料として。ことしの
賃金はかくかくの
民間林業労働者の
賃金と
比較しましたというものを出してもらいたいと思う。
資料として出してもらいたい。ないんですよ、そんなもの。あるはずがない。大体、
民間は
国有林の労働者の
賃金が上がってから、それに右へならえして上げるか上げないかやってるものです。そんなものです。しかも
民間の林業労働者というものは今日どれだけ近代化されてるか。どれだけの労働組合なり組織がされて、そして
賃金なり何なりというものは近代化されてるか。そんなものはありやしないでしょう。その
地場賃金理論というものは、とにかく日本の労働者のうちでまあ家内労働者と
比較になるくらいに、あるいは失対労務者、こういうものとあなたがたは同じような
考え方でやっている。実態がそうです。したがって、最近の十年間における
賃金の
引き上げの率をずっと見ましても、先ほど言った
民間賃金にバランスのとれた上げ方をしていない。
定昇分というものは常に除かれている。そういうことで、私はデータありますからあとからこれはやります。そういうことが重なり重なって、今日
生活保護世帯の給付より以下で
国有林から
賃金もらって、それが、働かないで生活保護を受けているその人の給付よりも下回って、今日
作業員の中から恥を忍んで
生活保護世帯の指定を受けて給付をもらおうという申請を出す者が出てきた。これは過去十年にわたり低
賃金に押えてきたことが累積してこういうことになってきている。したがって、いま大臣の
答弁された
仲裁裁定について、
月給制は出たけれども、大体のことはわかったけれども、しかし、同種の労働とも
均衡をはからなければならない、そういうようなところを
答弁のようでございますけれども、根本的に私は誤っていると思う。しかもこの点については大臣にあまり強く言っても、大臣は一年前になられた大臣ですから、これはしようがないのでありますけれども、とにかく大臣、もう少し
国有林の労働者の実態というものをよく調べてもらいたいと思います。
時間がございませんから、直接の問題ではいま
中村君の触れた
月給制の
仲裁裁定の出た段階における当事者能力の問題について私は
質問いたしたいと思うのですけれども、いま言った根本の問題はさておいて、
仲裁の問題で、これはいま直ちに大臣が処理しなければならない問題でありますから、一つ御
質問申し上げますが、先ほども
中村君の
質問で、大蔵省の主計局次長は、農林省なり
林野庁が団体交渉でやる腹をきめて、これをやろうと、実施するというものについては、主計局は一切それについて干渉することはいたしませんという
答弁であったと思うのですね。そうすれば常識的に言って、昨年の
仲裁裁定の状況から言って、
月給制に対する六・五%というものはすでに出ているのであります。出た段階において、
月給制について、農林省の自主的な立場に立って団体交渉の中で回答をするということはもうすでに可能であるというふうに思うのであります。しかしながら内部的には
協議する必要があると思うので、大臣にはこの点について可能かどうかという点。それからもう一つは、官房
長官とも折衝しておりますけれども、官房
長官、大蔵大臣にひとつ
協議をされて、一両日中にいま最終的な回答をする段階にきているので、急速に
協議をされて、農林大臣の腹というものをすみやかに決定して、
林野庁が動けるようにしてもらいたいと思うのです。この点について所見をひとつ承っておきたい。